説明

治療薬としてのフリーB環フラボノイドおよびフラバンの混合物の製剤

本発明は、血小板凝集および血小板に誘発された血栓症に関係した疾患および状態の予防および処置に用いるための、本明細書中においてUP736と称される、二つの特定のクラスの化合物、すなわち、フリーB環フラボノイドおよびフラバンの混合物を含んで成る新規な組成物を提供する。本発明は、更に、UP736を、注射可能なまたは経口の抗凝固薬、抗血小板薬、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)およびCOX−2選択的阻害剤との組合せで含んで成る新規な組成物;および血小板凝集および血小板に誘発された血栓症に関係した疾患および状態の予防および処置において該組成物を使用する方法を提供する。最後に、本発明は、これら物質の投薬量を減少させる;これら物質の急性または慢性投与に関連した副作用を減少させる;これら物質の急性または慢性投与の危険に対抗するまたは拮抗する;および追加のおよび/または多数の臨床的利点を達成する手段としての、抗血小板薬、抗凝固薬、予防薬およびNSAIDとの組合せでUP736を使用する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血小板凝集および血小板に誘発された血栓症に関係した疾患および状態の予防および処置に関する。具体的には、本発明は、血小板凝集および血小板に誘発された血栓症によって媒介される疾患および状態の予防および処置に用いるための、以下、UP736とも称される、二つの特定のクラスの化合物、すなわち、フリーB環フラボノイドおよびフラバンのブレンドの混合物を含んで成る新規な組成物に関する。本発明は、更に、アジュバントおよび/または相乗作用薬および/または増強薬としてのUP736を、注射可能なまたは経口の抗凝固薬、抗血小板薬、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)およびCOX−2選択的阻害剤と一緒に使用する方法に関する。最後に、本発明は、これら物質の投薬量を減少させる;これら物質の急性または慢性投与に関連した副作用を減少させる;これら物質の急性または慢性投与の危険に対抗するまたは拮抗する;および追加のおよび/または多数の臨床的利点を達成する手段としての、抗血小板薬、抗凝固薬、予防薬およびNSAIDとの組合せでUP736を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
細胞膜からのアラキドン酸(AA)の遊離および代謝は、いくつか異なった経路による代謝産物の生成を引き起こす。おそらくは、最も重要な経路の内の二つは、酵素5−リポキシゲナーゼ(LOX)およびシクロオキシゲナーゼ(COX)によって媒介される。これらは平行した経路であり、ロイコトリエンおよびプロスタグランジンの生成を引き起こすが、それらはそれぞれ、炎症性反応および血小板凝集の開始および進行において重要な役割を果たしている。結果として、これらメディエーターを生成するのに関与している酵素は、関節リウマチ、変形性関節症およびアテローム血栓症などの疾患の病因となる血小板凝集のモジュレーションおよび炎症の処置を目的とした多数の新薬の標的となってきた。
【0003】
COX酵素の阻害は、大部分の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS)に起因する作用機構である。COX酵素には、約60%の配列相同性を共有するが、発現プロフィールおよび機能が異なる二つの明瞭なイソ型(COX−1およびCOX−2)が存在する。COX−1は、血小板凝集、胃内の細胞機能の保護、および正常腎機能の維持などの正常な生理学的機能を調節するのに役立つ生理学的に重要なプロスタグランジンの生産に関連していた酵素の構成性形である(Dannhardt and Kiefer (2001) Eur. J. Med. Chem. 36:109-126)。もう一つのイソ型COX−2は、インターロイキン1β(IL−1β)などの前炎症性サイトカインおよび他の増殖因子によって誘発可能である酵素の形である。(Herschmann (1994) Cancer Metastasis Rev. 134: 241-256; Xie et al. (1992) Drugs Dev. Res. 25:249-265)。このイソ型は、アラキドン酸(AA)からのプロスタグランジンE(PGE2)の生産を触媒する。COX阻害剤の作用機構は、大部分の慣用的なNSAIDの作用機構と重複しているので、COX阻害剤は、アテローム血栓症、一過性状態および慢性疾患における炎症に関連した痛みおよび腫脹を含めた同じ症状の多くを処置するのに用いられる。
【0004】
血小板は、正常なホメオスタシスに中心的な役割を果たしている。血管傷害後、血小板は、損傷した内皮壁を介して細胞外マトリックス中に漏出し、そこで、それらは、コラーゲン、プロテオグリカン、フィブロネクチンおよび他の接着性糖タンパク質を含めた、細胞外マトリックス中のいろいろな構成成分によって活性化される。細胞外マトリックスと接触すると、血小板は、接着および形状の変化、二つのタイプの顆粒の分泌および凝集を含めた多数の且つ逐次的な反応を行う。二つの効力のある血小板凝集メディエーター、すなわち、アデニン二リン酸(ADP)およびトロンボキサンA2(TxA2)が識別された。ADPは、細胞外マトリックス構成成分によって活性化された後の血小板から放出される。血小板の凝集を媒介することに加えて、ADPは、他の血小板からのADP放出をも促進して、血小板凝集のための正のフィードバックループを形成する。TxA2は、血小板から合成され且つ放出され、そして更に、血小板凝集に重要な刺激物質である。ADPと一緒に、TxA2は、自己触媒反応を生じて、拡大する血小板凝集体の集合をもたらす。凝集した血小板は、引き続きの血液凝固過程に重要である。これら活性化された血小板は、血漿凝固因子の限局活性化を刺激して、血小板凝集体を強化するフィブリンクロットの生成をもたらす。最近の研究は、凝固系の膜に結合した反応は全て、活性化した血小板の表面に局在していることがありうるということを示唆している(Conde et al. (2005) Blood 106:1604-1611)。
【0005】
血小板の接着および活性化は、突然の血管傷害への修復指向応答であるが、一連の自己維持増幅ループを介する未制御の進行であるこの過程は、血管内の血栓形成、血管閉塞および一過性の虚血または梗塞をもたらすことがありうる(Ruggeri (2002) Nat. Med. 8:1227-34)。正常なホメオスタシスおよびアテローム血栓症の双方に関与する血小板の能力は、いろいろな刺激物質に応答してきわめて速やかに活性化した状態になるそれらの能力およびそれらの接着性に依存している。
【0006】
天然の血小板は、COX−1のみを発現する。血小板は、PGH2を処理して、主にTxA2を生じるが、それは、血小板により、コラーゲン、トロンビンおよび他の刺激物質に応答して合成され且つ放出される。TxA2は、TxA2受容体であるGタンパク質共役受容体との相互作用によって、不可逆的血小板凝集を引き起こす。したがって、TxA2は、異種アゴニストへの血小板の応答を増幅するための機構を与える。更に、TxA2は、効力のある血管収縮薬であり、血管平滑筋細胞の増殖を引き起こし、そしてプロアテローム発生性である。血管収縮薬としてのTxA2は、適当な血小板凝集を促進する。COX−1酵素を阻害することにより、アスピリンは、TxA2の生産を減少させるであろうが、それは、減少した血小板凝集をもたらす(Patrono et al. (2006) The New England Journal Medicine. 353:22: 237)。
【0007】
プロスタサイクリンは、動脈および心臓の内皮層において生産される。強力な血管拡張薬であるプロスタサイクリン(PGI)と、TxA2などのトロンボキサンの場合との間の平衡は、適当な心臓血管機能を維持することに決定的である(Bunting et al. (1983) Br. Med. Bull. 39:271)。PGIもTxA2も、動脈内皮内層および心臓組織におけるCOX−1およびCOX−2の生産に依存している(Caughey et al. (2001) J Immunol, 167:2831; Ribuot et al. (2003) Cardiovascular Res 58:582)。COX−1とCOX−2の比率は、PGIおよびTxA2双方の平衡に影響することが分かった。COX−1は、アラキドン酸を代謝して、その脂肪酸を主にTxA2へと変換するが、誘発されたCOX−2は、アラキドン酸を処理して、それをPGEおよびPGIへと変換する(Oh-ishi (1997) Biochem. Biophys. Res. Commun. 230:110; Brock et al. (1999) J. Biol. Chem. 274:11660)。PGI2は、PGI2受容体との相互作用によって全てのアゴニストに応答して血小板凝集を阻害する。TxA2は、主にCOX−1に(大部分は、血小板に)由来するプロスタノイドであり、その生合成は、アスピリンによる阻害にきわめて感受性である(Rocca et al. (2002) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 99:7634-9)。もう一方において、PGI2は、主としてCOX−2に由来し(McAdam et al. (1999) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96:272-7)、アスピリンによる阻害への感受性は少ない。COX−2のきわめて選択的な阻害は、エイコサノイドCOX−1経路内のアラキドン酸の分路によるTxA2(COX−1経路)を上回るPGI2(COX−2経路)の合成の平衡を傾けることによって血栓を促進することがありうる。(Gaetano (2003) Trends in Pharmacological Sciences. 24(5):245-252)。
【0008】
血小板凝集は、アテローム血栓症(athrothrombosis)の誘発および発生にきわめて重要な役割を果たしているが、それは、深部静脈血栓症;肺塞栓症;アテローム性動脈硬化症;心筋梗塞;脳血管性イベントに至る脳血管血栓症および/または脳血管塞栓症の主な原因である。アスピリンなどの抗血小板薬、およびヘパリンおよびワルファリンなどの抗凝固薬(Verheugt (2005) Presse Med. 34:1325)、ヒルジン、デシルジン(desirudin)、ビバリルジン(bivalirudin)などのトロンビン特異的阻害剤、およびスタチンなどのトロンビン非特異的阻害剤(Shen (2006) Front Biosci. 11:113)は、現在、血栓塞栓症(thromboemboliam)の管理に用いられる標準薬である。しかしながら、重篤な出血による合併症は、高用量急性抗血小板療法によるおよび抗凝固薬の主な副作用である。より少ない用量の抗凝固薬を、アスピリンなどの中程度〜低用量の抗血小板化合物と組み合わせた使用は、危険性の高い患者での出血のおそれを減少させる場合に有意の治療的価値を有することが分かった(Harrington et al. (2004) Chest. 126.3 Suppl.513S)。
【0009】
血小板シクロオキシゲナーゼの不可逆的阻害およびTxA2形成の予防により、アスピリンタイプの薬物も、心臓血管疾患の危険を減少させるために、急性心筋梗塞を予防する場合に、および急性閉塞性卒中を予防する場合に、長期にわたって利用されてきた(Hennekens (2002) Am. J. Manag. Care 8(22 Suppl.):S691)。アスピリンおよび他の抗血小板サリチレートの長期使用によって生じる最も一般的な副作用は、COX−1の阻害による胃粘膜の局部びらんであるが、それは、粘膜内層の完全さを維持する場合に重要である。胃粘膜のこのような損傷は、重篤な胃十二指腸傷害により、潜在失血〜急性GI出血をもたらすことがありうる。抗血小板薬の急性高用量投与は、更に、有意に増加した卒中の可能性および外科的処置後の出血のような、それ自体の危険を有する。最適投薬量の調整は、これら副作用を減少させるための一つの選択肢である(Kong (2004) Am. J. Cardiovasc. Drugs 4(3):151)。75mg〜150mgの1日用量は、長期予防使用に提示される。アスピリン抗血小板作用を、その副作用を増加させることなく改善することができるいずれかの化合物は、確かに、有意の治療的利点を有するであろう(Patrono et al. (2005) New Eng. J. Med. 353:22; 2373)。残念ながら、現在のところ、このような利用可能な選択肢はないが、プロトンポンプ阻害剤などの抗分泌薬の使用は、抗血小板薬を摂取している患者での上部胃腸管出血の危険を減少させることがありうる。
【0010】
アスピリンおよび他の古典的NSAID毒性、具体的には、選択的COX−1阻害によって生じる胃腸管潰瘍形成および出血に取り組むために、薬物発見過程において二つの戦略が行われてきた。第一の戦略は、COX−2の選択的阻害剤を探求することを包含するが、それは、胃粘膜におけるCOX−1防御機能を控えることによって胃腸管副作用を減少させる(DeWitt (1999) Mol. Pharmac. 4:625-631)。この努力は、COX−2に対して選択性を示す Celecoxib および Rofecoxib などのいくつかの市販薬の成功した発進をもたらした。臨床試験において、COX−2選択的阻害剤は、痛みおよび他の炎症症状に対して、より低い胃腸管イベント発生率で有意の効力を示した。しかしながら、選択的COX−2阻害剤の使用に関連した多数の副作用が、徐々に現れてきた。例えば、これら化合物は、アレルギー性および喘息性の発作を促進する;急性腎不全、うっ血性心不全を引き起こす;冠状動脈および心臓血管の疾患を悪化させる;破損した骨の成長および潰瘍の治癒を遅らせる;免疫系を抑制して、ウイルス性髄膜炎発作に感受性にする;および胃びらんがあるまたは Helicobactor pylori 感染がある患者での潰瘍発生を促進することが判明した(Rainsford (2001) J. Physiol. - Paris 95:11-19)。若干のきわめて選択的なCOX−2阻害剤の有意の抗炎症作用は、その投薬量レベルが、COX−1活性も阻害されたレベルに達した後にのみ認められたという最近の報告(Wallace et al. 91999) Br. J. Pharmac. 126:1200-1204.)は、炎症過程の後期におけるCOX−2酵素による抗炎症性プロスタノイド生成(Gilroy et al. (1999) Nature Med. 5:698-701)と一緒に、選択的COX−2阻害剤の効力を更に喚起した。
【0011】
2004年に、Vioxx(Rofecoxib)薬は、ある臨床試験が、時間経過中に、このきわめて選択的なCOX−2阻害剤が、心臓発作の危険を、別のNSAID、Naproxen と比較して2倍を超えて増加させたということを示した後に、自発的に市場から回収された。更に、National Cancer Institute が提供した、Celebrex(Celecoxib)を伴った臨床試験は、このCOX−2選択的阻害剤の長期高用量使用が、心臓発作の危険を2倍を超えて倍増させたということを示した。別の選択的COX−2阻害剤、Bextra(Valdecoxib)による心臓血管の危険への懸念も高まった(Meier B. Marketing Intensified Trouble for Pain Pills. The New York Times, December 19, 2004)。実際に、最近の科学文献の概説は、Rofecoxib(Vioxx)および他の選択的COX−2阻害剤による心臓血管イベントの増加した危険が、早くも2000年に認められたということを示している(Juni et al. (2004) Lancet. 364(9450):2021-2029; Clark (2004) Drug Safety 27(7):427-456)。この心臓毒性の主な原因が、このクラスの薬物の極端に高いCOX−2選択性であるということを示す証拠が増加している。(Neal et al. (2004) J. Pharm. Sci. 7(3):332-336)。
【0012】
最近のデータは、COX−2が、腎臓の緻密斑/cTALHおよび髄質間質細胞などの健康な臓器(Harris et al. (Aug. 2004) Acta Physiol Scand. 181(4):543-7);内皮細胞(Parente and Perretti (Jan. 2003) Biochem Pharmacol. 65(2):153-9);および脳(Hoffmann (Nov. 2000) Curr Med Chem. 7(11):1113-20)で発現されるということを示している。腎臓の場合、COX−2酵素は、アラキドン酸からのPGEおよびPGI(プロスタサイクリン)の生産に必要とされる。PGIは、具体的には、体内のナトリウム平衡の不可欠な調節物質である(Harris (2000) J Am Soc Nephrol 11:2387)。腎内でのCOX−2選択的阻害剤によるPGEおよびPGIの阻害は、PGEが、ナトリウム再吸収を減少させ、PGIが、腎血流と糸球体濾過速度との間の平衡、または簡単にいうと、体内で生産される尿の量を維持する強力な血管拡張薬であるので、ナトリウムおよび水分の保持、および血圧の上昇をもたらす。PGIは、更に、レニン放出を刺激し、それが、アルドステロンの放出増加を引き起こし、次に、それが、ナトリウム再吸収およびカリウム分泌を増加させる。(Carmichael and Shankel (1985) Am J Med 78:992; Whelton and Hamilton (1991) J Clin Pharmacol 31:588)。適当な腎灌流を維持するために、腎臓は、血管収縮薬の作用に対抗するPGIの合成をアップレギュレーションして、適当な腎機能を維持する。大部分の健康な個体は、血管収縮または血管拡張を引き起こす化合物による干渉を伴うことなく、体液の取込みと尿の排泄とを独力で平衡させることで、適当な血圧を維持している。これら個体の場合、PGIによって平衡される血管収縮薬の作用は要求されない。しかしながら、高血圧のそれら個体の場合、Vioxx は、血圧を更に増加させることが判明した(Lamarque (2004) Bulletin du Cancer (Montrouge) 91:S117; Whelton et al. (2001) Am J Ther 85:85)。この血圧増加は、急性心筋梗塞(AMI)の増加した発生率の原因となることがありうる(Deray (2004) Presse Med 33:483)。
【0013】
COX−2酵素は、更に、心臓におけるPGEおよびPGIの発現を誘発し、それらが、急性心筋梗塞(AMI)を防御する(Dai and Kloner (2004) J Cardiovascul Pharmacol Therapeutics 9:51)。ウサギおよびマウス双方での最近の研究は、誘発されたAMIの際に、COX−2が、有意にアップレギュレーションされて、抗梗塞メディエーターとしてイベントを妨げるように作用するということを示した(Shinmura et al. (2000) PNAS 97:10197; Guo et al. (2000) Basic Res Cardiol 95:479)。この抗梗塞活性は、更に損傷が起こることを妨げ、それによって、心臓機能を保護する。(Bolli et al. (2000) Am J Physiol 282:H1943)。動物モデルにおいて、研究者らは、プラシーボに対して選択的COX−2阻害剤をラットに投与した場合、PGIレベルが消滅したことを示した。PGIのこの欠如は、ラットの心臓が、誘発されたAMIイベントに対抗するのを妨げた(Bolli et al. (2000) Am J Physiol 282:H1943; Shinmura et al. (2002) Am J Physiol 283:H2534)。COX−2が、選択的に阻害される場合、TxA2は、PGIと比較してはるかに高レベルで生産される。TxA2による血管収縮は、PGIに誘発された血管拡張によって平衡され、それが、心臓の周囲の動脈の血流を減少させる。この血流減少と、栄養素および酸素供給の制限は、AMIに対して感受性の患者の平衡を傾けることがありうる(Bing and Lomnicka (2002) J. Am. Coll. Cardiol 39:521)。
【0014】
要約すると、シクロオキシゲナーゼイソ型およびそれらの機能についての最近の評価は、顕著なCOX−1阻害の欠如が、Vioxx(Rofecoxib)および他のきわめて選択的なCOX−2阻害剤に関連した心臓血管副作用の認められた増加についてのもっともらしい説明であるということを示した。適するCOX−1阻害剤(例えば、低用量アスピリン)を使用することなく、きわめてCOX−2選択的なNSAIDを使用することは避けるべきであるということさえ提示されている。(Neal et al. (2004) J. Pharm. Pharmaceut. Sci. 7(3):332-336)。
【0015】
最近の抗炎症努力は、シクロオキシゲナーゼおよびリポキシゲナーゼ双方を阻害する物質の探求に焦点を合わせてきた(Parente (2001) J. Rheumatol. 28:2375-2382; Bertolini et al. (2001) Pharmac. Res. 44:437-450)。COXおよびLOXへの二重特異性を示す阻害剤は、アラキドン酸代謝の多数の経路を阻害する明らかな利点を有すると考えられる。このような阻害剤は、プロスタグランジン(PG)の炎症性作用を、更には、多数のロイコトリエン(LT)のそれら作用を、それらの生産を制限することによってブロックすると考えられる。これには、遅反応性アナフィラキシー物質としても知られる、PGE2、LTB4、LTD4およびLTE4の血管拡張作用、血管透過性作用および化学走性作用が含まれる。これらの内、LTB4は、最も効力のある化学走性作用および化学運動性作用を有する。(Moore (1985) in Prostanoids: pharmacological, physiological and clinical relevance, Cambridge University Press, N.Y., pp. 229-230)。
【0016】
PGEの炎症性作用を、更には、多数のロイコトリエン(LT)のそれら作用をブロックする意義は、選択的COX−2阻害剤の有意の欠点が、アラキドン酸経路のリポキシゲナーゼ経路への分路に関連していて、それによって、前炎症性、化学走性、胃損傷性および気管支収縮性のロイコトリエンの過剰生産を引き起こすという最近の発見に基づいていた(Celotti and Laufer (2001) Pharmac. Res. 43:429-436)。
【0017】
NSAIDに誘発される胃炎症は、主に、LOXの代謝産物、具体的には、LTC4およびLTB4によるということが確かめられた(Kirchner et al. (1997) Prostaglandins Leukot. Essent. Fatty Acids. 56:417-423)。ロイコトリエンは、白血球浸潤を刺激し、微小血管を閉塞させ、粘膜血流を減少させ、そしてメディエーター、プロテアーゼおよびフリーラジカルを放出することによって、有意量の胃上皮傷害の原因となる。選択的LOX阻害剤は、インドメタシンに誘発される潰瘍形成の予防または重症度の有意の減少を示した(Fosslien (1998) Annals Clin. Lab. Sci. 28:67-81)。更に、COX経路を阻害することにより、アスピリンおよび他のCOX阻害剤は、アラキドン酸代謝産物をLOX経路へと向けて、システイニルロイコトリエンレベルの増加と共に、増加した気管支収縮性ロイコトリエン放出を引き起こし、それが、慢性鼻結膜炎、鼻ポリープ、および長期ウイルス性呼吸器感染に類似の喘息をもたらすということが確かめられた。アスピリンに誘発される喘息(AIA)の喘息集団における有病率は、約10〜20%であり、抗ロイコトリエン薬は、AIAの患者の処置に利用されてきた。(Babu and Salvi (2000) Chest 118:1470-1476)。
【0018】
二重阻害剤も、他の治療的利点を示す。それらは、ラットモデルの関節炎心臓(arthritic hearts)の冠状動脈血管収縮を減少させるし(Gok et al. (2000) Pharmac. 60:41-46)、そしてヒト内乳房動脈のアンギオテンシンIIに誘発される収縮を有意に減少させることが判明した(Stanke-Labesque et al. (2000) Cardiovascular Res. 47:376-383)。オピオイド受容体活性化は、中脳ニューロン中のアラキドン酸のLOX代謝産物によって媒介される神経伝達物質放出のシナプス前阻害を引き起こすことがありうる。オピオイドの効力は、COXおよびLOXの二重阻害剤での脳ニューロンの処置によって相乗的に増大する。これは、低用量のオピオイドとCOX/LOX二重阻害剤との組合せを包含するCNS鎮痛薬の開発をもたらすかもしれない(Christrie et al. (1999) Inflamm. Res. 48:1-4)。COXおよびLOXの二重阻害剤は、更に、初期および後期双方における水晶体タンパク質に誘発される眼炎症を予防することがありうる(Chang et al. J. Ocular Pharmac. 5:353-360)。
【0019】
COXおよびLOXの二重阻害剤は、急性炎症性状態の原因となるプロスタグランジンを抑制するのみならず、慢性炎症性症状に直接的に関連している食細胞ロイコトリエンの蓄積に向けられる。更に、二重阻害剤は、COX−1阻害活性からの心臓防御も与える。これら特性は、COXおよびLOXの二重阻害剤に、選択的COX−2阻害剤およびNSAIDにまさる明瞭な利点があるかもしれないということを示唆している。この概念は、in vivo モデルにおいて合成薬候補で成立することが分かった(Fiorucci et al. (2001) Biochem. Pharmac. 62:1433-1438)。
【発明の開示】
【0020】
本発明は、概して、血小板凝集および血小板に誘発された血栓症に関係した疾患および状態の予防および処置に用いるための製剤化された組成物に関する。この組成物を、本明細書中において、UP736と称する。その組成物は、二つの特定のクラスの化合物、すなわち、フリーB環フラボノイドおよびフラバンの混合物を含んで成る。フリーB環フラボノイド、フラバンおよびそれらの混合物を含んで成る組成物は、2002年3月1日出願の「Identification of Free-B-Ring Flavonoids as Potent COX-2 Inhibitors」と称する米国特許出願第10/091,362号;2002年3月22日出願の「Isolation of a Dual Cox-2 and 5-Lipoxygenase Inhibitor from Acacia」と称する米国特許出願第10/104,477号;および2003年7月22日出願の「Formulation with Dual Cox-2 and 5-Lipoxygenase Inhibitory Activity」と称する米国特許出願第10/427,746号に記載されている。これら文献は各々、本明細書中にそのまま援用される。
【0021】
本発明に包含されるのは、少なくとも一つのフリーB環フラボノイドと;少なくとも一つのフラバンと;そして注射可能な抗凝固薬であって、ヘパリン、ダルテパリン(dalteparin)、エノキサパリン(enoxaparin)およびチンザパリン(tinzaparin)が含まれるがこれに制限されるわけではない群より選択されるもの;経口抗凝固薬であって、ワルファリン、ビタミンKアンタゴニストおよびビタミンKレダクターゼ阻害剤が含まれるがこれに制限されるわけではない群より選択されるもの;抗血小板薬であって、アスピリン、クロジポグレル(clodipogrel)およびジピリダモールが含まれるがこれに制限されるわけではない群より選択されるもの;抗アンギナ薬であって、ニトレート、β遮断薬、カルシウム遮断薬、アンギオテンシン変換酵素阻害剤およびカリウムチャンネルアクチベーターが含まれるがこれに制限されるわけではない群より選択されるもの;非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)であって、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、ジクロフェナク、サリチレートおよびインドメタシンが含まれるがこれに制限されるわけではない群より選択されるもの;またはCOX−2選択的阻害剤であって、ロフェコキシブ(rofecoxib)、セレコキシブ(celecoxib)、エトドラク(etodolac)およびメロキシカム(meloxicam)が含まれるがこれに制限されるわけではない群より選択されるものから成る群より選択される少なくとも一つの物質との混合物を含んで成る新規な組成物である。
【0022】
組成物中のフリーB環フラボノイド対フラバンの比率は、特定の疾患または状態の予防および処置に関して具体的な必要条件および指示に基づいて調整することができる。概して、フリーB環フラボノイド対フラバンの比率は、約99:1のフリーB環フラボノイド:フラバン〜約1:99のフリーB環フラボノイド:フラバンの範囲内でありうる。本発明の具体的な態様において、フリーB環フラボノイド対フラバンの比率は、約90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、20:80および10:90から成る群より選択される。本発明の好ましい態様において、組成物中のフリーB環フラボノイド対フラバンの比率は、約85:15である。それらフリーB環フラボノイドおよびフラバンは、合成することができるおよび/または単一の植物または多数の植物より単離することができる。好ましい態様において、フリーB環フラボノイドは、スクテラリア(Scutellaria)属植物の一つまたは複数の植物より単離され、そしてフラバンは、アカシア(Acacia)属およびウンカリア(Uncaria)属の植物の一つまたは複数の植物より単離される。
【0023】
本発明は、更に、血小板凝集および血小板に誘発された血栓症に関係した疾患および状態を処置するおよび予防する方法を包含する。その方法は、それを必要としている宿主に、合成されたおよび/または単一の植物または多数の植物より単離されたフリーB環フラボノイドおよびフラバンの混合物を含む組成物を投与することを含んで成る。この方法の効力は、異なった細胞系および多数の動物モデルにおいて精製酵素を用いて示される。
【0024】
本発明の方法によって予防することができるし且つ処置することができる、血小板凝集および血小板に誘発された血栓症に関係した疾患および状態には、深部静脈血栓症;肺塞栓症;アテローム性動脈硬化症;心筋梗塞;脳血管性イベントに至る脳血管血栓症および/または脳血管塞栓症;虚血および梗塞を引き起こす末梢循環および/または微小循環の血栓症;左心房の血栓形成および血液の状態に関連している心房細動;機械的心臓弁、除細動器(defibricators)、薬物送達用の外科的植込物、および人工股関節、関節および他の外来臓器などの人工植込物を含めた血栓形成部位が含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0025】
本発明は、更に、アジュバントおよび/または相乗作用薬および/または増強薬としてのUP736を使用する方法であって、それを必要としている宿主に、少なくとも一つのフリーB環フラボノイドと;少なくとも一つのフラバンと;そして注射可能な抗凝固薬、経口抗凝固薬、抗血小板薬、抗アンギナ薬、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)またはCOX−2選択的阻害剤から成る群より選択される少なくとも一つの物質との混合物を含んで成る組成物の有効量を投与することを含む方法を包含する。注射可能な抗凝固薬の例には、ヘパリン、ダルテパリン、エノキサパリンおよびチンザパリンが含まれるが、これに制限されるわけではない。経口抗凝固薬の例には、ワルファリン、ビタミンKアンタゴニストおよびビタミンKレダクターゼ阻害剤が含まれるが、これに制限されるわけではない。抗血小板薬の例には、アスピリン、クロジポグレルおよびジピリダモールが含まれるが、これに制限されるわけではない。抗アンギナ薬の例には、ニトレート、β遮断薬、カルシウム遮断薬、アンギオテンシン変換酵素阻害剤およびカリウムチャンネルアクチベーターが含まれるが、これに制限されるわけではない。非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)には、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、ジクロフェナク、サリチレートおよびインドメタシンが含まれるが、これに制限されるわけではない。最後に、COX−2選択的阻害剤の例には、ロフェコキシブ、セレコキシブ、エトドラクおよびメロキシカムが含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0026】
本発明は、更に、同等かまたは改善された臨床的排出量を達成するための、抗血小板薬、抗凝固薬、予防薬、NSAIDおよびCOX−2選択的阻害剤の標準用量を減少させる方法を包含する。その方法は、それを必要としている宿主に、少なくとも一つのフリーB環フラボノイドおよび少なくとも一つのフラバンの混合物を、この抗血小板薬、抗凝固薬、予防薬、NSAIDまたはCOX−2選択的阻害剤との組合せで含む組成物の有効量を投与することを含む。
【0027】
本発明は、更に、アジュバントおよび/または相乗作用薬および/または増強薬としてのUP736を、少なくとも一つの非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)であって、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、ジクロフェナク、サリチレート、インドメタシンが含まれるがこれに制限されるわけではない群より選択されるもの;および少なくとも一つのCOX−2選択的阻害剤であって、ロフェコキシブ、セレコキシブ、エトドラク、メロキシカムが含まれるがこれに制限されるわけではない群より選択されるものと一緒に使用する方法および組成物を包含する。この組成物および方法は、同等かまたは改善された臨床的排出量を達成するのに必要なNSAIDの用量を減少させ;これら物質の急性または慢性投与に関連した副作用の減少、およびNSAIDの急性または慢性投与の危険への対抗または拮抗を引き起こす。この方法は、更に、下に詳述されるような追加のおよび/または多数の臨床的利点を達成する手段を提供する。その方法は、それを必要としている宿主に、フリーB環フラボノイドおよびフラバンの混合物を、少なくとも一つのNSAIDおよび少なくとも一つのCOX−2選択的阻害剤および薬学的に許容しうる担体との組合せで含む組成物の有効量を投与することを含む。
【0028】
本発明は、更に、抗血小板薬、抗凝固薬、予防薬、NSAIDおよびCOX−2選択的阻害剤の急性または慢性投与に関連した副作用を減少させるまたは排除する方法および組成物であって、UP736と一緒のこの物質の投与による方法および組成物を包含する。その方法は、それを必要としている宿主に、フリーB環フラボノイドおよびフラバンの混合物を、この抗血小板薬、抗凝固薬、予防薬、NSAIDまたはCOX−2選択的阻害剤および薬学的に許容しうる担体との組合せで含む組成物の有効量を投与することを含む。
【0029】
本発明は、更に、抗血小板薬、抗凝固薬、予防薬、NSAIDおよびCOX−2選択的阻害剤の急性または慢性投与に関連した危険に対抗するまたは拮抗する方法であって、UP736と一緒のこの物質の共投与による方法を包含する。その方法は、それを必要としている宿主に、フリーB環フラボノイドおよびフラバンの混合物を、この抗血小板薬、抗凝固薬、予防薬またはNSAIDおよび薬学的に許容しうる担体との組合せで含む組成物の有効量を投与することを含む。
【0030】
最後に、本発明は、追加のおよび/または多数の臨床的利点を達成する方法であって、抗血小板薬、抗凝固薬、予防薬、NSAIDまたはCOX−2選択的阻害剤の、UP736との組合せでの共投与による方法を包含する。下に論じられるように、UP736は、効力のある抗酸化剤であり、それは、NFκBおよびPPAR−γのメッセンジャーRNAの生産を調節して、TNFα、IL−1β、IL−6および他の前炎症性サイトカインの特異的ダウンレギュレーションを、遺伝子発現およびタンパク質生産双方のレベルでもたらす。その方法は、それを必要としている宿主に、合成されたおよび/または単一の植物または多数の植物より単離されたフリーB環フラボノイドおよびフラバンの混合物を、この抗血小板薬、抗凝固薬、予防薬、NSAIDまたはCOX−2選択的阻害剤および薬学的に許容しうる担体との組合せで含む組成物の有効量を投与することを含んで成る。
【0031】
次の発明によって用いることができる、本明細書中においてフリーB環フラボンおよびフラボノールとも称されるフリーB環フラボノイドには、次の一般的な構造:
【0032】
【化1】

【0033】
(式中、R、R、R、RおよびRは、独立して、−H;−OH;−SH;OR;−SR;−NH;−NHR;−NR;−NR;炭素、酸素、窒素または硫黄のグリコシドであって、アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学的誘導体が含まれるがこれに制限されるわけではない単一の糖または多数の糖組合せのグリコシドから成る群より選択され;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリドおよびカーボネート等が含まれるがこれに制限されるわけではない薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
によって示される化合物が含まれる。
【0034】
次の発明によって用いることができるフラバンには、次の一般的な構造:
【0035】
【化2】

【0036】
(式中、R、R、R、RおよびRは、独立して、H;−OH;−SH;−OCH;−SCH;−OR;−SR;−NH;−NRH;−NR;−NR;挙げられた置換基のエステルであって、ガレート、アセテート、シンナモイルおよびヒドロキシルシンナモイルエステル、トリヒドロキシベンゾイルエステルおよびカフェオイルエステルおよびそれらの化学的誘導体が含まれるがこれに制限されるわけではないエステル;炭素、酸素、窒素または硫黄のグリコシドであって、アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学的誘導体が含まれるがこれに制限されるわけではない単一の糖または多数の糖組合せのグリコシド;二量体、三量体および他の重合フラバンから成る群より選択され;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリド、カーボネート等が含まれるがこれに制限されるわけではない薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
によって示される化合物が含まれる。
【0037】
本発明のフリーB環フラボノイドは、合成法によって得ることができる、および/またはバンレイシ科(Annonaceae)、キク科(Asteraceae)、ノウゼンカズラ科(Bignoniaceae)、シクンシ科(Combretaceae)、キク科(Compositae)、トウダイグサ科(Euphorbiaceae)、シソ科(Labiatae)、クスノキ科(Lauranceae)、マメ科(Leguminosae)、クワ科(Moraceae)、マツ科(Pinaceae)、イノモトソウ科(Pteridaceae)、ヒメウラジロ科(Sinopteridaceae)、ニレ科(Ulmaceae)およびショウガ科(Zingiberacea)が含まれるがこれに制限されるわけではない植物科の一つまたは複数の植物より抽出することができる。フリーB環フラボノイドは、デスモス(Desmos)、アキロクリン(Achyrocline)、オロキシルム(Oroxylum)、ブケナビア(Buchenavia)、アナファリス(Anaphalis)、コツラ(Cotula)、ハハコグサ(Gnaphalium)、ヘリクリスム(Helichrysum)、センタウレア(Centaurea)、フジバカモ(Eupatorium)、バッカリス(Baccharis)、シラキ(Sapium)、スクテラリア(Scutellaria)、モルサ(Molsa)、コレブローケア(Colebrookea)、スタキス(Stachys)、オリガヌム(Origanum)、ジジホラ(Ziziphora)、リンデラ(Lindera)、アクチノダフネ(Actinodaphne)、アカシア(Acacia)、デリス(Derris)、グリシリザ(Glycyrrhiza)、ミレティア(Millettia)、ポンガミア(Pongamia)、テフロシア(Tephrosia)、パンノキ(Artocarpus)、イチジク(Ficus)、ピチログランマ(Pityrogramma)、ノトレナ(Notholaena)、アカマツ(Pinus)、ハルニレ(Ulmus)およびハナミョウガ(Alpinia)が含まれるがこれに制限されるわけではない高等植物属より抽出する、濃縮するおよび精製することができる。
【0038】
本発明の生物学的に活性なフラバンは、合成法によって得ることができる、および/または Acacia 属および/または Uncaria 属より選択される一つまたは複数の植物より抽出することができる。好ましい態様において、Acacia 植物は、A.カテキュ(A. catechu)、A.コンシナ(A. concinna)、A.ファルネシアナ(A. farnesiana)、A.セネガル(A. Senegal)、A.スペシオサ(A. speciosa)、A.アラビカ(A. arabica)、A.シーシア(A. caesia)、A.ペナタ(A. pennata)、A.シニュータ(A. sinuata)、A.ミールンシイ(A. mearnsii)、A.ピクナンタ(A. picnantha)、A.ディールバタ(A. dealbata)、A.アウリクリホルミス(A. auriculiformis)、A.ホロセレシア(A. holoserecia)およびA.マンギウム(A. mangium)が含まれるがこれに制限されるわけではない群より選択される。好ましい態様において、 Uncaria 植物は、ウンカリア・ガンビル(Uncaria gambir)、U.ラノサ(U. lanosa)、U.ヒルステ(U. hirsute)、U.アフリカナ(U. africana)、U.エリプティカ(U. elliptica)、U.オリエンタリス(U. orientalis)、U.アテヌエート(U. attenuate)、U.アシダ(U. acida)、U.ホモマラ(U. homomalla)、U.セシリフルクツス(U. sessilifructus)、U.ステロフィラ(U. sterrophylla)、U.ベルネイシイ(U. bernaysii)、U.シネンシス(U. sinensis)、U.カロフィラ(U. callophylla)、U.リコフィラ(U. rhychophylla)、U.トメントサ(U. tomentosa)、U.ロンギフロラ(U. longiflora)、U.ヒルステ(U. Hirsute)、U.コルダタ(U. cordata)およびU.ボルネエンシス(U. borneensis)から成る群より選択される。
【0039】
好ましい態様において、フリーB環フラボノイドは、Scutellaria 属植物の一つまたは複数の植物より単離され、そしてフラバンは、Acacia 属および Uncaria 属植物の一つまたは複数の植物より単離される。
【0040】
上述のように、フリーB環フラボノイド対フラバンの比率は、約99:1のフリーB環フラボノイド:フラバン〜約1:99のフリーB環フラボノイド:フラバンの範囲内でありうる。本発明の具体的な態様において、フリーB環フラボノイド対フラバンの比率は、約90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、20:80および10:90から成る群より選択される。本発明の好ましい態様において、組成物中のフリーB環フラボノイド対フラバンの比率は、約85:15である。
【0041】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は双方とも、単に代表するものおよび説明するものであり、請求の範囲に記載の発明を制限するものではない。
好ましい態様の詳細な説明
本明細書中において、いろいろな用語を用いて、本発明の側面を述べる。本発明の化合物の説明を明らかにするのを助けるために、次の説明を与える。
【0042】
「ある」物質が、一つまたはそれを超える物質を意味するということ、例えば、フラボノイドが、一つまたはそれを超えるフラボノイドを意味するということは、留意されるはずである。「ある」、「一つまたはそれを超える」および「少なくとも一つ」という用語は、それ自体、本明細書中において同じ意味に用いられる。
【0043】
本明細書中で用いられる「フリーB環フラボノイド」は、次の一般的な構造:
【0044】
【化3】

【0045】
(式中、R、R、R、RおよびRは、独立して、−H;−OH;−SH;OR;−SR;−NH;−NHR;−NR;−NR;炭素、酸素、窒素または硫黄のグリコシドであって、アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学的誘導体が含まれるがこれに制限されるわけではない単一の糖または多数の糖組合せのグリコシドから成る群より選択され;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリドおよびカーボネート等が含まれるがこれに制限されるわけではない薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
によって示される、芳香族B環上に置換基を有していない特定のクラスのフラボノイドである。
【0046】
本明細書中で用いられる「フラバン」は、次の一般的な構造:
【0047】
【化4】

【0048】
(式中、R、R、R、RおよびRは、独立して、H;−OH;−SH;−OCH;−SCH;−OR;−SR;−NH;−NRH;−NR;−NR;置換基のエステルであって、ガレート、アセテート、シンナモイルおよびヒドロキシルシンナモイルエステル、トリヒドロキシベンゾイルエステルおよびカフェオイルエステルおよびそれらの化学的誘導体が含まれるがこれに制限されるわけではないエステル;炭素、酸素、窒素または硫黄のグリコシドであって、アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学的誘導体が含まれるがこれに制限されるわけではない単一の糖または多数の糖組合せのグリコシド;二量体、三量体および他の重合フラバンから成る群より選択され;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリド、カーボネート等が含まれるがこれに制限されるわけではない薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
によって一般的に示すことができる特定のクラスのフラボノイドを意味する。
【0049】
本明細書中で用いられる「治療的」には、処置および/または予防が含まれる。用いられる場合の治療的は、ヒト、更には他の動物に言及している。
「薬学的にまたは治療的に有効な用量または量」は、所望の生物学的結果を誘発するのに十分な投薬量レベルを意味する。その結果は、所望の生体系の疾患のまたはいずれか他の変化の徴候、症状または原因の軽減であってよい。
【0050】
「プラシーボ」は、ある疾患の徴候、症状または原因を軽減することができる所望の生物学的結果を誘発するのに十分な薬学的にまたは治療的に有効な用量または量の、非活性物質での代用を意味する。
【0051】
「宿主」または「患者」は、本明細書中に記載の組成物を投与される生きている対象、ヒトまたは動物である。したがって、本明細書中に記載の発明は、獣医学用途に、更には、ヒト用途に用いることができ、そして「患者」または「宿主」という用語は、限定的に解釈されるべきではない。獣医学用途の場合、投薬量範囲は、動物の体重を考慮して、下記のように決定することができる。
【0052】
「遺伝子発現」は、遺伝子のmRNAへの転写を意味する。
「タンパク質発現」は、mRNAのタンパク質への翻訳を意味する。
本発明は、概して、血小板凝集および血小板に誘発された血栓症に関係した疾患および状態の予防および処置に用いるための製剤化された組成物に関する。この組成物を、本明細書中において、UP736と称する。その組成物は、二つの特定のクラスの化合物、すなわち、フリーB環フラボノイドおよびフラバンの混合物またはそれぞれを個々に含んで成る。
【0053】
組成物中のフリーB環フラボノイド対フラバンの比率は、特定の疾患または状態の予防および処置に関して具体的な必要条件および指示に基づいて調整することができる。概して、フリーB環フラボノイド対フラバンの比率は、約99:1のフリーB環フラボノイド:フラバン〜約1:99のフリーB環フラボノイド:フラバンの範囲内でありうる。本発明の具体的な態様において、フリーB環フラボノイド対フラバンの比率は、約90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、20:80および10:90から成る群より選択される。本発明の好ましい態様において、組成物中のフリーB環フラボノイド対フラバンの比率は、約85:15である。
【0054】
本発明の一つの態様において、標準化されたフリーB環フラボノイド抽出物は、実施例3、実施例4および実施例8に定義のような、1〜99(重量)%の純度の全フリーB環フラボノイドを有する活性化合物を含んで成る。バイカリン(Baicalin)は、その抽出物中の主要活性成分であり、それは、全フリーB環フラボノイドの約50〜90(重量)%にあたる。好ましい態様において、標準化された抽出物は、>70%の全フリーB環フラボノイドを含有し、その内の>75%のフリーB環フラボノイドは、バイカリンである。
【0055】
一つの態様において、標準化されたフラバン抽出物は、実施例5、実施例6および実施例7に定義のような、1〜99(重量)%の純度の全フラバンを有する活性化合物を含んで成る。カテキンは、その抽出物中の主要活性成分であり、全フラバンの50〜90(重量)%にあたる。好ましい態様において、標準化されたフラバン抽出物は、>50%の全フラバンを含有し、その中の>70%のフラバンが、カテキンである。
【0056】
一つの態様において、UP736は、上に詳述されたような植物抽出物かまたはそれらの合成同等物を、99:1〜1:99(フリーB環フラボノイド:フラバン)の比率で混合することによって製造される。フリーB環フラボノイド対フラバンの好ましい比率は、実施例9に定義のように、85:15のフリーB環フラボノイド:フラバンである。UP736中のフリーB環フラボノイドの濃度は、約1%〜99%でありうるし、そしてUP736中のフラバンの濃度は、99%〜1%でありうる。本発明の好ましい態様において、UP736中の全フリーB環フラボノイドの濃度は、UP736の全重量の約60%のバイカリン含有率で、約75%であり;そしてUP736中の全フラバンの濃度は、約9%のカテキン含有率で約10%である。この態様において、UP736中の全活性成分(フリーB環フラボノイド+フラバン)は、全重量の>80%である。
【0057】
本発明は、製剤を最適化し且つ所望の生理学的活性を得るための、酵素モデルおよび in vivo モデルを用いた、フリーB環フラボノイドおよびフラバンの異なった組成物の評価を包含する。これまでのところ、本発明の出願人は、疾患および状態の処置のための主な生物学的活性成分としてフリーB環フラボノイドおよびフラバンのみを組み合わせた製剤についてのいずれの報告も承知していない。フリーB環フラボノイドの芳香環の内の一つに置換が無いことは、これら化合物を有効にする場合にきわめて重要な役割を果たしている。多数の他の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS)および天然に存在する化合物とは異なり、バイカリンなどのフリーB環フラボノイドは、その分子の片側に低極性芳香環を、そしてもう一方の側に、高極性グルクロニドおよび2個のヒドロキシル基を有する。この構造配置は、これら化合物が、組織および細胞に標的指向することを可能にする。本明細書中においてUP736と称される組成物を製造するためのフリーB環フラボノイドとフラバンとの組合せは、エイコサノイド系のCOX経路およびLOX経路双方の相乗的で且つ効力のあるモジュレーターを与える。
【0058】
本明細書中において、フリーB環フラボノイドおよびフラバンの組合せは、COX−1酵素およびCOX−2酵素の一層平衡したモジュレーションを与えるということが明らかに示される。例えば、COX−1選択的阻害剤であるアスピリンは、COX−1に対して150倍を超えて選択的であるが、胃腸管副作用を引き起こす。逆に、Vioxx、セレブレクス(celebrex)および Bextra は、COX−2酵素に対して50〜200倍を超える効力を有する選択的COX−2阻害剤であり、胃腸管損傷を引き起こす程ではないが、しかしながら、これらCOX−2選択的薬物は、心臓血管の危険を増加させる。
【0059】
S.バイカレンシス(S. baicalensis)より単離され、精製された成分バイカリンによるCOX−1およびCOX−2の阻害プロフィールは、COX−2に対してほぼ2倍の選択性を示した(COX−1のIC50は、0.44μg/mL/酵素単位であると決定され、そしてCOX−2のIC50は、0.28μg/mL/単位であると決定された)。ところが、A.catechu より単離された、90%を超えるカテキンを含んで成る組成物によるCOX−1およびCOX−2の阻害プロフィールは、ほぼ3倍を超えてCOX−1選択的である。カテキンについて、COX−1阻害のIC50は、0.11μg/mL/酵素単位と計算され、そしてCOX−2のIC50は、0.42μg/mL/単位と計算された。
【0060】
以下、UP736と称される組成物を得るための、S.baicalensis の根より抽出されたフリーB環フラボノイドと、A.catechu の皮より単離されたフラバンとの80:20の比率の混合物の組合せは、2:1の平衡したCOX−1対COX−2選択性を与える。この製剤は、バイカリンのより大きいCOX−2活性と、カテキンのより大きいCOX−1活性との間に平衡を与え、COX−1選択的NSAIDに関連した胃腸管副作用も、COX−2選択的阻害剤に関連した心臓血管の危険も伴うことなく、エイコサノイド経路の最適モジュレーションを与える。
【0061】
更に、作用機構が、上に挙げられた現在利用可能な薬物と、天然処方UP736との間で完全に異なるということは有意である。アスピリン、Vioxx、セレブレクスおよび Bextra は、共有結合によってCOX酵素に不可逆的に結合して、強固に結合した酵素−阻害剤複合体を形成する。このような劇的相互作用は、酵素の活性部位およびサイドポケットを完全に変化させ、酵素を破壊する。(Walker et al. (2001) Biochem. 357:709-718)。もう一方において、UP736中のフラボノイドは、それらの抗酸化性のための一層弱く且つ可逆的な結合によってCOX酵素を阻害する。この相互作用過程において、COX酵素の構造および機能は、不可逆的に変更されることはなく、それが、UP736について、はるかにより良い寛容性および安全プロフィールを生じる。
【0062】
A.catechu より単離されたフラバン抽出物によるLOX活性の阻害は、in vitro のリポキシゲナーゼスクリーニング検定を用いて評価した。フリーB環フラボノイドにフラバンを加えることにより、UP736は、5−リポキシゲナーゼ(LOX)の活性も阻害する。LOXの阻害は、慢性炎症症状に直接的に関連している食細胞ロイコトリエンの蓄積の減少を引き起こし、そして更に、胃腸管副作用の可能性を減少させる。フリーB環フラボノイドとフラバンとの組合せが、ロイコトリエン生産を有意に減少させる追加の利点を与えるということは明らかである。このロイコトリエン生産の減少は、背景の項に論じられているように副作用を減少させるおよび効力を改善するという点で、イブプロフェンなどの伝統的非ステロイド性抗炎症薬よりもはるかに優れている。
【0063】
フリーB環フラボノイドおよびフラバンの抽出物の混合物を含んで成る製剤の利点は、二つの動物研究によっても示されたが、それらは、この新規な組成物が、予想外の相乗作用を示したということを示した。これら二つの研究に用いられた組成物は、フリーB環フラボノイドである62.3%のクリシン含有率を有する、オロキシルム・インディクム(Oroxylum indicum)種子抽出物(10.0g)(ロット#040723)より得られたフリーB環フラボノイドと、32.5%の全カテキン含有率を有する、Uncaria gambir 全植物抽出物(40.0g)(ロット#UG0407−050420)由来のフラバンとの混合物を含んで成った。上の二つの抽出物の80:20のブレンド比の組合せは、UP736と称される製剤を与えた(50.0g,Lot#BH−283−14−1)。Oroxylum indicum の種子からのフリーB環フラボノイド抽出物;Uncaria gambir の全植物からのフラバン抽出物;およびそれら抽出物の組合せ(UP736)の一つ一つを、マウス耳腫脹試験(Mouse Ear Swelling Test)の急性炎症動物モデルにおいてインドメタシン対照を用いて、100mg/kgの投薬量で経口投与した。UP736による耳腫脹の阻害(50.8%阻害)は、同用量の個々の成分、すなわち、それぞれ、36.5%の Uncaria gambir 抽出物および Oroxylum indicum 抽出物による31.7%よりも有意に良好であった。
【0064】
別のin vivo のアラキドン酸に誘発されたマウス耳腫脹阻害検定において、相乗作用は、UP736−Kと称される製剤でも認められたが、それは、25%のバイカリンを含有するS.baicalensis の根からのフリーB環フラボノイド抽出物および Uncaria gambir の全植物からの40%カテキン抽出物を9:1の比率でブレンドしていた。UP736−Kは、24%のバイカリンおよび4%のカテキンを含有した。S.baicalensis の根からのフリーB環フラボノイド抽出物;Uncaria gambir の全植物からのフラバン抽出物;およびそれら抽出物の組合せ(UP736−K)の一つ一つを、インドメタシン対照を用いて100mg/kgの投薬量で経口投与した。UP736−Kは、浮腫を減少させる場合に、個々の抽出物各々に対して統計的に有意の改善を示した。
【0065】
更に、異なった生物学的利用能、すなわち、上皮細胞膜に浸透する生物学的に活性な化合物の速度および百分率、および生物学的に活性な化合物の局部的濃度ゆえに、二つの異なったタイプの化合物(より高い極性フラバン対より低い極性フリーB環フラボノイド)の組合せは、生物学的に活性なフリーB環フラボノイドによるCOX/LOX経路の一層長く持続するモジュレーションと一緒に、生物学的に活性なフラバンによるどちらも速やかな現場のCOX/LOX阻害を与える。UP736中のフリーB環フラボノイドが有効な濃度に達するには、経口投与後約2時間を要する。しかしながら、フリーB環フラボノイドの血清濃度は、経口投与後約10時間、治療的レベルを超えたままであろう。フリーB環フラボノイドによる速やかなバイオアベイラビリティー欠如を補うために、カテキンタイプフラバンの製剤は、相補的(complimentary)利点を与える。カテキン、ケルセチンおよびエピガロカテキン−3−ガレートのバイオアベイラビリティーの研究は(Kao et al. (2000) Endocrinology 141(3):980-987; Koga and Meydani (2001) Am. J. Clin. Nutr. 73:941-948; Lee et al. (2002) Cancer Epidemiol. Biomarker Prevention 11:1025-1032)、カテキンのCmaxおよびTmaxが速やかに(約45分)生じることを示しており、その半減期は2時間であると報告された。したがって、フリーB環フラボノイドとフラバンとを組み合わせることにより、急速浸透するカテキンは、経口投与後約0.5時間で有効な血清濃度に達する。カテキン濃度が降下する時に、第二の活性成分であるフリーB環フラボノイドが、生物活性濃度に達し、それは、経口投与後12時間まで持続するであろう。結論として、UP736製剤は、カテキンなどのフラバンによって生じる速やかな現場のCOX/LOX作用と、バイカリンなどのフリーB環フラボノイドによって生じる一層長く持続する作用を有するように設計される。このような相乗的且つ相補的(complimentary)作用は、更に、処方の局所送達によって実現されるであろう。
【0066】
最後に、有意量のフリーB環フラボノイド(80重量%)を、比較的低濃度のフラバン(20重量%)と一緒に有する製剤の好ましい態様において、一層効力のある抗酸化性フラバンは、フリーB環フラボノイドの酸化的分解に対する天然保存剤としても、その組成物を中和し且つ緩衝化するのにも機能して、主要活性成分であるフリーB環フラボノイドの最適なpHおよびイオン化条件における送達を可能にするであろう。カテキンは、4個のフェノール性ヒドロキシル基を含有するが、それが、この化合物を一層酸性にし且つ酸化的ストレスに感受性にしている。カテキンの極端に高い酸素ラジカル吸収能(Oxygen Radical Absorption Capacity)(20,000でのORAC)は、その抗酸化性を示している。pH、Hの存在および金属イオンなどのいろいろな条件下での純カテキンのストレス試験に基づき、カテキンは、4℃および40℃双方における中性条件下で安定であるが、塩基性条件下では、またはFe3+などの金属イオンに暴露された場合は安定でないということが確かめられた(データは入手可能であるが示されていない)。弱塩基性条件下でも(pH=7.5)、カテキンは分解する。しかしながら、それは、塩化第一スズ(SnCl)、重硫酸/メタ重亜硫酸ナトリウム(SBS)および他の保存剤が含まれるがこれに制限されるわけではない多数の保存剤によって保存することができる。
【0067】
本発明に包含されるのは、少なくとも一つのフリーB環フラボノイドと;少なくとも一つのフラバンと;そして注射可能な抗凝固薬であって、ヘパリン、ダルテパリン、エノキサパリンおよびチンザパリンが含まれるがこれに制限されるわけではない群より選択されるもの;経口抗凝固薬であって、ワルファリン、ビタミンKアンタゴニストおよびビタミンKレダクターゼ阻害剤が含まれるがこれに制限されるわけではない群より選択されるもの;抗血小板薬であって、アスピリン、クロジポグレルおよびジピリダモールが含まれるがこれに制限されるわけではない群より選択されるもの;抗アンギナ薬であって、ニトレート、β遮断薬、カルシウム遮断薬、アンギオテンシン変換酵素阻害剤およびカリウムチャンネルアクチベーターが含まれるがこれに制限されるわけではない群より選択されるもの;非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)であって、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、ジクロフェナク、サリチレートおよびインドメタシンが含まれるがこれに制限されるわけではない群より選択されるもの;またはCOX−2選択的阻害剤であって、ロフェコキシブ、セレコキシブ、エトドラクおよびメロキシカムが含まれるがこれに制限されるわけではない群より選択されるものから成る群より選択される少なくとも一つの物質との混合物を含んで成る新規な組成物である。
【0068】
本発明は、更に、血小板凝集および血小板に誘発された血栓症に関係した疾患および状態を処置するおよび予防する方法を包含する。血栓症は、静脈または動脈でありうる望ましくない凝血塊形成である。UP736は、上述の疾患および状態の予防および処置のための抗血小板薬、抗凝固薬および予防薬として利用することができる。その方法は、それを必要としている宿主に、合成されたおよび/または単一の植物または多数の植物より単離されたフリーB環フラボノイドおよびフラバンの混合物を含む組成物の有効量を投与することを含んで成る。
【0069】
本発明の方法によって予防することができるし且つ処置することができる、血小板凝集および血小板に誘発された血栓症に関係した疾患および状態には、深部静脈血栓症;肺塞栓症;アテローム性動脈硬化症;心筋梗塞;脳血管性イベントに至る脳血管血栓症および/または脳血管塞栓症;虚血および梗塞を引き起こす末梢循環および/または微小循環の血栓症;左心房の血栓形成および血液の状態に関連している心房細動;機械的心臓弁、除細動器(defibricators)、薬物送達用の外科的植込物、および人工股関節、関節および他の外来臓器などの人工植込物を含めた血栓形成部位が含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0070】
本発明は、更に、アジュバントおよび/または相乗作用薬および/または増強薬としてのUP736を使用する方法であって、それを必要としている宿主に、少なくとも一つのフリーB環フラボノイドと;少なくとも一つのフラバンと;そして注射可能な抗凝固薬、経口抗凝固薬、抗血小板薬、抗アンギナ薬、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)またはCOX−2選択的阻害剤から成る群より選択される少なくとも一つの物質との混合物を含んで成る組成物の有効量を投与することを含む方法を包含する。注射可能な抗凝固薬の例には、ヘパリン、ダルテパリン、エノキサパリンおよびチンザパリンが含まれるが、これに制限されるわけではない。経口抗凝固薬の例には、ワルファリン、ビタミンKアンタゴニストおよびビタミンKレダクターゼ阻害剤が含まれるが、これに制限されるわけではない。抗血小板薬の例には、アスピリン、クロジポグレルおよびジピリダモールが含まれるが、これに制限されるわけではない。抗アンギナ薬の例には、ニトレート、β遮断薬、カルシウム遮断薬、アンギオテンシン変換酵素阻害剤およびカリウムチャンネルアクチベーターが含まれるが、これに制限されるわけではない。非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)には、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、ジクロフェナク、サリチレートおよびインドメタシンが含まれるが、これに制限されるわけではない。最後に、COX−2選択的阻害剤の例には、ロフェコキシブ、セレコキシブ、エトドラクおよびメロキシカムが含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0071】
本発明は、更に、同等かまたは改善された臨床的排出量を達成するための、抗血小板薬、抗凝固薬、予防薬、NSAIDおよびCOX−2選択的阻害剤の標準用量を減少させる方法を包含する。その方法は、それを必要としている宿主に、合成されたか、および/または単一の植物または多数の植物より単離された少なくとも一つのフリーB環フラボノイドおよび少なくとも一つのフラバンの混合物および薬学的に許容しうる担体を、この抗血小板薬、抗凝固薬、予防薬、NSAIDまたはCOX−2選択的阻害剤との組合せで含む組成物の有効量を投与することを含む。
【0072】
UP736は、抗酸化剤と、多数の方法で生体に役立つ他の天然に存在する食物化合物を含有する二つの伝統的な植物に由来する天然産物である。UP736は、選択的COX−2阻害剤ではないが、むしろ、COX−1に対して、COX−2に対する2.25倍を超えて選択であり、そして更に当然ながら、多数の血管拡張性および化学走性のロイコトリエンを生産する経路を調節している5−リポキシゲナーゼ(LOX)を阻害する。酵素阻害によって検定される、COX−2対するUP736の天然に存在する阻害活性は、表1に示されるように、きわめて選択的なCOX−2薬である Rofecoxib および Celecoxib と比較して、有効性が約50〜400倍劣る。
【0073】
【表1】

【0074】
UP736は、効力のある抗酸化剤でもあるが、当然ながら、NFκBおよびPPAR−γのメッセンジャーRNAの生産を調節して、TNFα、IL−1β、IL−6および他の前炎症性サイトカインの特異的ダウンレギュレーションを、遺伝子発現およびタンパク質生産双方のレベルでもたらす。
【0075】
本発明は、更に、アジュバントおよび/または相乗作用薬および/または増強薬としてのUP736を、少なくとも一つの非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)であって、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、ジクロフェナク、サリチレート、インドメタシンが含まれるがこれに制限されるわけではないもの;および少なくとも一つのCOX−2選択的阻害剤であって、ロフェコキシブ、セレコキシブ、エトドラク、メロキシカムが含まれるがこれに制限されるわけではないものと一緒に使用する方法および組成物を包含する。この組成物および方法は、同等かまたは改善された臨床的排出量を達成するのに必要なNSAIDの用量を減少させ;NSAIDの急性または慢性投与に関連した副作用の減少、およびNSAIDの急性または慢性投与の危険への対抗または拮抗を引き起こす。この方法および組成物は、更に、上記のようなTNFα、IL−1β、IL−6および他の前炎症性サイトカインの特異的ダウンレギュレーションによって生じる追加のおよび/または多数の臨床的利点を達成する。
【0076】
本発明は、更に、抗血小板薬、抗凝固薬、予防薬、NSAIDおよびCOX−2選択的阻害剤の急性または慢性投与に関連した副作用を減少させるまたは排除する方法および組成物であって、UP736との組合せでのこの物質の投与による方法および組成物を包含する。その方法は、それを必要としている宿主に、合成されたおよび/または単一の植物または多数の植物より単離されたフリーB環フラボノイドおよびフラバンの混合物を、この抗血小板薬、抗凝固薬、予防薬、NSAIDまたはCOX−2選択的阻害剤および薬学的に許容しうる担体との組合せで含む組成物の有効量を投与することを含む。
【0077】
本発明は、更に、抗血小板薬、抗凝固薬、予防薬、NSAIDおよびCOX−2選択的阻害剤の急性または慢性投与に関連した危険に対抗するまたは拮抗する方法であって、UP736と一緒のこの物質の共投与による方法を包含する。その方法は、それを必要としている宿主に、合成されたおよび/または単一の植物または多数の植物より単離されたフリーB環フラボノイドおよびフラバンの混合物を、この抗血小板薬、抗凝固薬、予防薬、NSAIDまたはCOX−2選択的阻害剤および薬学的に許容しうる担体との組合せで含む組成物の有効量を投与することを含む。
【0078】
最後に、本発明は、追加のおよび/または多数の臨床的利点を達成する方法であって、抗血小板薬、抗凝固薬、予防薬、NSAIDまたはCOX−2選択的阻害剤の、UP736との組合せでの共投与による方法を包含する。上述のように、UP736は、効力のある抗酸化剤であり、それは、NFκBおよびPPAR−γのメッセンジャーRNAの生産を調節して、TNFα、IL−1β、IL−6および他の前炎症性サイトカインの特異的ダウンレギュレーションを、遺伝子発現およびタンパク質生産双方のレベルでもたらす。その方法は、それを必要としている宿主に、合成されたおよび/または単一の植物または多数の植物より単離されたフリーB環フラボノイドおよびフラバンの混合物を、この抗血小板薬、抗凝固薬、予防薬、NSAIDまたはCOX−2選択的阻害剤および薬学的に許容しうる担体との組合せで含む組成物の有効量を投与することを含んで成る。
【0079】
本発明は、本発明の治療薬を含む治療的組成物に関する。本発明の治療薬は、例えば、非経口投与、局所投与、経口投与または皮内などの限局投与、注射、またはエアゾルを含めたいずれか適する手段によって投与することができる。具体的な投与方式は、処置される状態に依存するであろう。本発明の物質の投与は、いずれかの体液、または体液を介して到達可能ないずれかの標的またはいずれかの組織を経由してよいと考えられる。本発明の好ましい態様において、その物質は、経口投薬量で投与される。このような送達は、いずれかの罹患した部位に限局投与することができる。治療的組成物は、投与方法に依存して、いろいろな単位剤形で投与することができる。例えば、動物の経口投与に適する単位剤形には、散剤、錠剤、丸剤およびカプセル剤が含まれる。本発明の治療的組成物の好ましい送達方法には、例えば、注射または局所投与による静脈内投与および限局投与が含まれる。本発明の治療的試薬は、いずれの動物にも、好ましくは、哺乳動物に、より好ましくは、ヒトに投与することができる。
【0080】
具体的な送達方式について、本発明の治療的組成物は、薬学的に許容しうる賦形剤、アジュバントおよび/または担体などの他の成分を包含するように製剤化することができる。例えば、本発明の組成物は、処置される動物が耐性でありうる賦形剤中で製剤化することができる。このような賦形剤には、セルロース、二酸化ケイ素、デキストレート(dextrates)、スクロース、ナトリウムデンプングリコラート、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、水、生理食塩水、リンガー液、デキストロース溶液、マンニトール、ハンクス液および他の生理的平衡塩類水溶液が含まれるが、これに制限されるわけではない。不揮発性油、ゴマ油、オレイン酸エチルまたはトリグリセリドなどの非水性ビヒクルを用いることもできる。他の有用な製剤には、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトールまたはデキストランなどの粘度増強剤を含有する懸濁剤が含まれる。賦形剤は、更に、等張性および化学安定性を増強する物質のような、微量の添加剤を含有することができる。緩衝剤の例には、リン酸緩衝液、重炭酸緩衝液、トリス緩衝液、ヒスチジン、シトレートおよびグリシン、またはそれらの混合物が含まれ、保存剤の例には、チメロサール、m−またはo−クレゾール、ホルマリンおよびベンジルアルコールが含まれる。標準的な製剤は、液体注射可能物質でありうるかまたは固体でありうるが、それは、注射用の懸濁液または溶液として適する液体中に入れることができる。したがって、非液状製剤の場合、賦形剤は、デキストロース、ヒト血清アルブミン、保存剤等を含むことができ、それに、投与前に滅菌水または生理食塩水を加えることができる。
【0081】
本発明の一つの態様において、組成物は、更に、アジュバントまたは担体を包含することができる。アジュバントは、典型的には、概して、COXおよびLOX経路に関係した適応症を予防するおよび処置する場合の処方の機能を増強する物質である。適するアジュバントには、フロイントアジュバント;他の細菌細胞壁成分;アルミニウム基材塩類;カルシウム基材塩類;シリカ;ホウ素、ヒスチジン、硫酸グルコサミン、コンドロイチン硫酸、グルコン酸銅、ポリヌクレオチド;ビタミンD、ビタミンK、トキソイド;サメおよびウシの軟骨;血清タンパク質;ウイルスコートタンパク質;他の細菌由来標品;γインターフェロン;Hunter's Titermax アジュバント(Vaxcel.T.M., Inc. Norcross, Ga.)などのブロックコポリマーアジュバント;Ribi アジュバント(Ribi ImmunoChem Research, Inc., Hamilton, Mont. より入手可能);およびサポニンおよび Quil A(Superfos Biosector A/S,Denmark より入手可能)などのそれらの誘導体が含まれるが、これに制限されるわけではない。担体は、典型的には、処置される動物中での治療的組成物の半減期を増加させる化合物である。適する担体には、高分子制御放出製剤、生物分解性植込剤、リポソーム、細菌、ウイルス、油状物、エステルおよびグリコールが含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0082】
本発明の一つの態様は、本発明の組成物を動物中で徐々に放出することができる制御放出製剤である。本明細書中で用いられるように、制御放出製剤は、本発明の組成物を制御放出ビヒクル中に含む。適する制御放出ビヒクルには、生物分解性高分子、他の高分子マトリックス、カプセル、マイクロカプセル、微粒子、ボーラス製剤、浸透圧ポンプ、拡散デバイス、リポソーム、リポスフェアおよび経皮デリバリーシステムが含まれるが、これに制限されるわけではない。本発明の他の制御放出製剤には、動物への投与時に、現場で固体またはゲルを形成する液剤が含まれる。好ましい制御放出製剤は、生物分解性(すなわち、生物侵食性)である。
【0083】
治療的組成物がいったん製剤化されたら、それは、滅菌バイアル中に、溶液、懸濁液、ゲル、エマルジョン、固体、または脱水されたまたは凍結乾燥された粉末として貯蔵することができるし、または直接的に、経口投与用の他の不活性担体と一緒にカプセル成形するおよび/または錠剤成形することができる。このような製剤は、直ぐ使用できる形でかまたは、投与直前に再構成を必要として貯蔵することができる。全身送達用の組成物を含有する製剤を投与する方式は、経口、皮下、筋肉内、静脈内、鼻腔内、または膣または直腸坐剤によってよい。
【0084】
特定の障害または状態に処置に有効であろう組成物の量は、障害または状態の性状に依存するであろうが、それは、標準的な臨床技術によって決定することができる。更に、in vitro または in vivo 検定は、任意の投薬量範囲を決定するのに役立つように用いることもできる。製剤中で用いられる正確な用量は、投与経路、および疾患または状態の重症度または進行度にも依存するであろうし、開業医および各々の患者の状況によって決定されるべきである。有効用量は、in vitro のまたは動物モデルの試験システムに由来する曲線状の用量反応から外挿することができる。例えば、組成物の有効量は、徐々に変化した用量の組成物を投与し且つ所望の作用を観察することによって容易に決定することができる。
【0085】
本発明による処置方法は、それを必要とする患者に、フリーB環フラボノイドおよびフラバンの混合物、または少なくとも一つのフリーB環フラボノイドと;一つのフラバンと;そして注射可能な抗凝固薬、経口抗凝固薬、抗血小板薬、抗アンギナ薬、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)またはCOX−2選択的阻害剤から成る群より選択される一つの物質との混合物を含んで成る組成物の治療的有効量を体内にまたは局所に投与することを含む。その混合物の純度には、一つまたは複数の化合物を得るのに用いられる方法に依存して、0.01%〜100%が含まれるが、これに制限されるわけではない。好ましい態様において、フリーB環フラボノイドおよびフラバンの混合物およびそれを含有する医薬組成物の用量は、概して、0.01〜200mg/kg(体重)の範囲より選択される有効な無毒性量である。常套の臨床試験を用いる当業者は、処置されている具体的な疾患に最適な用量を決定することができる。
【0086】
抽出物を製造する一般的な方法は、実施例1に記載している。抽出方法は、調べられた各々の種について有機および水性の抽出物を生じる。いろいろな種の抽出結果は、表2に示されている。植物抽出物から活性化合物を効率よく識別するには、実施例2に記載のように、高処理能分別方法を用いた。簡単にいうと、活性な有機および水性の抽出物を、二つの異なった方法をそれぞれ用いて分別した。それら画分を、96ディープウェルプレート中に集めた。次に、各々の画分を、その生物学的活性について調べた。
【0087】
スクテラリア・オルトカリクス(Scutellaria orthocalyx)の有機抽出物中に存在する活性フリーB環フラボノイドの分離、精製および識別は、実施例3に記載されている。図1に関して、10種類の化合物を解明したが、Baicalin は、主要活性成分として識別された。
【0088】
実施例4および表3は、3種類の異なった植物種からの5種類の活性植物抽出物中のフリーB環フラボノイドの含有率および量を示している。フリーB環フラボノイドは、水性抽出物に対して有機抽出物中にはるかに多量に存在する。
【0089】
Acacia catechu の有機抽出物中に存在する活性成分の分離、精製および識別は、実施例5に記載されている。実施例5に記載の方法を用いて、カテキンおよびエピカテキンは、5〜7μg/mLのIC50値を有する Acacia catechu の根からの有機抽出物中において二つの主要活性化合物として識別された。Acacia catechu および Unicaria gambir からの活性抽出物のHPLC定量化は、実施例6に記載されている。それら結果は、表4に示されているが、それは、HPLCによって決定したところ、A.catechu の有機抽出物および水性抽出物中のフラバン含有率が、それぞれ、30.4%および1.0%であるということを示している。実施例7は、Acacia からの標準化された抽出物の一般的な製造方法を記載している。この実施例では、A.catechu からのフラバンを、異なった溶媒系で抽出した。それら結果は、表5に示されている。本発明の改善された方法は、フラバンを含有する植物の粉砕されたバイオマスの、有機溶媒、または一つまたは複数の溶媒の組合せおよび/または水での抽出;中和および中和された抽出物の濃縮;およびその抽出物の再結晶および/またはクロマトグラフィーによる精製を含む。表5から、水中の80%メタノールは、Acacia 植物からのフラバンの抽出に好ましい溶媒の一つであるということが理解されうる。上に与えられたように、これらフラバンは、Acacia 属および Unicaria 属の植物から単離することができる。本発明の方法は、これら化合物を含有するいずれかの植物源からのこれら化合物の単離へと拡大することができる。
【0090】
実施例8は、いろいろな Scutellaria 種からの標準化された抽出物の一般的な製造方法を記載している。実施例8において、二つの Scutellaria 種からのフリーB環フラボノイドを、異なった溶媒系で抽出した。それら結果は、表6および表7に示されている。本発明の方法は、フリーB環フラボノイドを含有する植物の粉砕されたバイオマスの、単一のまたは組合せの有機溶媒および/または水での抽出;中和および中和された抽出物の濃縮;およびその抽出物の再結晶および/またはクロマトグラフィーによる精製を含む。上に与えられたように、これらフリーB環フラボノイドは、20種類を超える植物科の属より単離することができる。本発明の方法は、これら化合物を含有するいずれかの植物源からのこれら化合物の単離へと拡大することができる。
【0091】
実施例9は、UP736組成物の一般的な製造方法を記載しているが、それは、フリーB環フラボノイドおよびフラバンをそれぞれ含有する二つの標準化された抽出物の有標ブレンディングを含んで成る。実施例9に示される一般的な方法において、組成物は、Acacia および Scutellaria からそれぞれ単離された二つの標準化された抽出物を用いて、賦形剤と一緒にまたは賦形剤を含むことなく製造される。実施例9に用いられた Acacia 抽出物は、カテキンおよびエピカテキンとしての>60%の全フラバンを含有していたし、そして Scutellaria 抽出物は、>70%のフリーB環フラボノイドを含有していたが、それは、主にバイカリンであった。その Scutellaria 抽出物は、表8に示されるような他の微量のフリーB環フラボノイドを含有した。組成物には、一つまたはそれを超える賦形剤を加えてもよい。加えられる賦形剤の量は、実際に活性な望まれる各々の成分の含有率に基づいて調整することができる。個々の製品バッチ各々のブレンド表は、個々のバッチの成分の製品規格およびQC結果に基づいて作成すべきである。製品規格を満たすために、2〜5%の範囲内の追加量の活性成分が提示される。実施例9は、UP736の一つのバッチ(Lot#G1702)について作成されたブレンド表を示している。異なったブレンド比の製剤化されたUP736製品も製造して、それらの生物学的活性を調べた。
【0092】
実施例10は、UP736およびアスピリンの混合物を含んで成る組成物が、アラキドン酸に誘発された血小板凝集の阻害について有する相乗作用を示している。それら結果は、表9および表10に示されるが、それらは、UP736単独は、10μMまでの濃度でほとんど抗凝集活性がなかったが、アスピリンの抗凝集性は、0.007μMのUP736と同程度に低い投薬量で有意に増加したということを示している。
【0093】
アスピリンの用量を低下させることは、理論上、出血合併症の危険を低下させうると考えられる。しかしながら、きわめて低用量のアスピリンは、ある種の疾患または状態を処置するまたは予防する場合に有効でないことがありうる。例えば、急性心筋梗塞の長期処置について、1日に75mg未満の用量の作用は不明である(Hennekens (2002) Am. J. Manag. Care 8(22 Suppl):S691-700)。更に、アスピリン耐性は、低用量のアスピリンに応答しない個体に見出される(Patrono (2005) Thromb. Haemost. 8:1597-602)。本発明は、低用量のアスピリンによって劇的に与えられる抗血小板凝集活性を、UP736を用いて強化することによって問題を解決する。
【0094】
実施例11は、UP736が、単独でもアスピリンとの組合せでも、出血時間にほとんど作用しないということを示している。それら結果は、表11〜14に示されている。
本出願中には、様々な引用が与えられているということに注目されたい。各々の引用は、本明細書中にそのまま具体的に援用される。
【0095】
次の実施例は、単に例示の目的で与えられ、発明の範囲を制限するためのものではない。
【実施例】
【0096】
次の実施例は、単に例示の目的で与えられ、発明の範囲を制限するためのものではない。
【0097】
実施例1Acacia、Uncaria および Scutellaria 植物からの有機抽出物および水性抽出物の製造
Acacia catechu(L)Willd. 皮、Uncaria hirsute 気生部分、Uncaria sinensis 気生部分、Uncaria tomentosa 皮、Scutellaria orthocalyx 根、Scutellaria baicalensis 根またはスクテラリア・ラテリフロラ(Scutellaria lateriflora)全植物からの植物材料を、2mm以下の粒度に粉砕した。次に、乾燥した粉砕植物材料(60g)を、エルレンマイヤーフラスコに移し、メタノール:ジクロロメタン(1:1)(600mL)を加えた。その混合物を1時間振とうさせ、濾過し、そしてそのバイオマスを、再度メタノール:ジクロロメタン(1:1)(600mL)で抽出した。それら有機抽出物を一緒にし、真空下で蒸発させて、有機抽出物を与えた(下の表2を参照されたい)。有機抽出後、そのバイオマスを自然乾燥させ、そして超純水(600mL)で1回抽出した。その水溶液を濾過し、凍結乾燥させて、水性抽出物を与えた(下の表2を参照されたい)。
【0098】
【表2】

【0099】
実施例2活性抽出物のHTP分別
活性な植物からの有機抽出物(400mg)を、プレパック済みフラッシュカラム(2cmIDx8.2cm、10gシリカゲル)上に充填した。そのカラムを、Hitachi 高処理能精製(HTP)システムを用いて、(A)50:50のEtOAc:ヘキサンおよび(B)メタノールの、5mL/分の流速で100%A〜100%Bへと30分の勾配移動相で溶離した。分離は、広帯域波長UV検出器を用いて監視し、それら画分を、Gilson フラクションコレクターを用いて、96ディープウェルプレート中に1.9mL/ウェルで集めた。試料プレートを、低真空および遠心分離下で乾燥させた。DMSO(1.5mL)を用いて、各々のセル中の試料を溶解させ、そして一部分(100μL)を、BIOLOGICAL阻害検定に用いた。
【0100】
活性な植物からの水性抽出物(750mg)を、水(5mL)中に溶解させ、1μmシリンジフィルターを介して濾過し、そして4mLの高速液体クロマトグラフィー(HPLC)バイアルに入れた。次に、その溶液を、自動試料採取器によってプレパック済み逆相カラム(C−18、15μm粒度、2.5cmIDx10cm、プレカラムインサートを含む)上に注入した。そのカラムを、Hitachi 高処理能精製(HTP)システムを用いて、(A)水および(B)メタノールの、10mL/分の流速で100%A〜100%Bへと20分の後、100%メタノールを5分間の勾配移動相で溶離した。分離は、広帯域波長UV検出器を用いて監視し、それら画分を、Gilson フラクションコレクターを用いて、96ディープウェルプレート中に1.9mL/ウェルで集めた。試料プレートを凍結乾燥させた。超純水(1.5mL)を用いて、各々のセル中の試料を溶解させ、そして一部分(100μL)を、生物学的阻害検定に用いた。
【0101】
実施例3Scutellaria の有機抽出物からの活性フリーB環フラボノイドの単離および精製
実施例1に記載のように単離された、Scutellaria orthocalyx 根からの有機抽出物を、プレパック済みフラッシュカラム(120gシリカ、40μm粒度、32〜60μm、25cmx4cm)上に充填し、そして(A)50:50のEtOAc:ヘキサンおよび(B)メタノールの、15mL/分の流速で100%A〜100%Bへと60分の勾配移動相で溶離した。それら画分を、試験管中に10mL/画分で集めた。溶媒を真空下で蒸発させ、各々の画分中の試料を、1mLのDMSO中に溶解させ、そして20μLのアリコートを、96ウェル浅皿プレートに移し、生物学的活性について調べた(データは示されていない)。それら生物学的検定結果に基づき、活性な画分#31〜#39を一緒にし、蒸発させた。HPLC/PDAおよびLC/MSによる分析は、8.9分の保持時間を有する主要化合物と、MSピークを272m/eで示した。その生成物を、更に、C18半分取カラム(25cmx1cm)上において、(A)水および(B)メタノールの5mL/分の流速で45分間にわたる勾配移動相で精製した。88個の画分を集めて、5.6mgの淡黄色固体を生じた。純度は、HPLC/PDAおよびLC/MS、および標準との比較およびNMRデータによって決定した。
【0102】
【化5】

【0103】
その化合物を、バイカレインとして同定した。
分取C−18カラムクロマトグラフィーを用い、82.2%のフリーB環フラボノイド含有率を有する Scutellaria baicalensis(ロット#RM052302−01)の根より単離され標準化された抽出物を用いて、他のフリーB環フラボノイドを単離し且つ同定した。図1に示されるように、11種類の構造を、HPLC/PDA/MSを用いて解明した。図1に関して、識別された11種類の化合物は、バイカリン(baicalin)、ウォゴニン−7−グルクロニド(wogonin-7-glucuronide)、オロキシリンA7−グルクロニド、バイカレイン、ウォゴニン、クリシン−7−グルクロニド、5−メチルウォゴニン−7−グルクロニド、スクテラリン(scutellarin)、ノルウォゴニン(norwogonin)、クリシンおよびオロキシリンAであった。
【0104】
実施例4Scutellaria orthocalyx(根)、Scutellaria baicalensis(根)および Oroxylum indicum(種子)より単離された活性抽出物中のフリーB環フラボノイドのHPLC定量化
3種類の異なった植物種より単離された5種類の活性抽出物中のフリーB環フラボノイドの存在および量を確認したが、それを表3に示す。それらフリーB環フラボノイドを、Luna C−18カラム(250x4.5mm、5μm)を用いたHPLCにより、1%リン酸および80%〜20%のアセトニトリル勾配を22分間で用いて定量的に分析した。それらフリーB環フラボノイドを、UV検出器を用いて254nmで検出し、そして保持時間に基づいて、フリーB環フラボノイド標準との比較によって同定した。
【0105】
【表3】

【0106】
実施例5Acacia catechu の有機抽出物からの活性化合物の単離および精製
実施例1に記載のように単離されたA.catechu の根からの有機抽出物(5g)を、プレパック済みフラッシュカラム(120gシリカ、40μm粒度、32〜60μm、25cmx4cm)上に充填し、そして(A)50:50のEtOAc:ヘキサンおよび(B)メタノールの、15mL/分の流速で100%A〜100%Bへと60分の勾配移動相で溶離した。それら画分を、試験管中に10mL/画分で集めた。溶媒を真空下で蒸発させ、各々の画分中の試料を、DMSO(1mL)中に溶解させ、そして20μLのアリコートを、96ウェル浅皿プレートに移し、生物学的活性について調べた(データは示されていない)。それら生物学的検定結果に基づき、活性な画分#32〜#41を一緒にし、蒸発させて、2.6gの固体を生じた。HPLC/PDAおよびLC/MSによる分析は、15.8分および16.1分の保持時間をそれぞれ有する二つの主要化合物を示した。その生成物を、更に、C18半分取カラム(25cmx1cm)上において、212.4mgの生成物を充填し、(A)水および(B)アセトニトリル(ACN)の5mL/分の流速で60分間にわたる勾配移動相で溶離して精製した。88個の画分を集め、二つの活性化合物を単離した。化合物1(11.5mg)および化合物2(16.6mg)。純度は、HPLC/PDAおよびLC/MSデータにより、標準(カテキンおよびエピカテキン)との比較およびNMRデータによって決定した。
【0107】
化合物1。
【0108】
【化6】

【0109】
その化合物を、カテキンとして同定した。
化合物2。
【0110】
【化7】

【0111】
その化合物を、エピカテキンとして同定した。
【0112】
実施例6Acacia catechu および Unicaria gambir からの活性抽出物のHPLC定量化
Acacia catechu の心材から単離された有機抽出物および水性抽出物中の、PhotoDiode Array 検出器(HPLC/PDA)および Luna C18カラム(250mmx4.6mm)を用いたHPLCによって定量されたフラバン含有率。それらフラバンは、10%〜30%ACNの20分間にわたるアセトニトリル勾配の後、60%ACNを5分間用いてカラムから溶離した。それら結果を、表4に示す。HPLC精製プロフィールは、図2に示されている。それらフラバンを、保持時間およびPDAデータに基づき、カテキンおよびエピカテキンを標準として用いて定量した。二つの主要フラバンの保持時間は、それぞれ、12.73分および15.76分であった。
【0113】
【表4】

【0114】
Unicaria gambir の全植物から単離され標準化された抽出物(Lot#UG0407−050420)中のフラバン含有率を、HPLCにより、PhotoDiode Array 検出器(HPLC/PDA)および Luna C18カラム(250mmx4.6mm)を用いて定量した。それらフラバンは、10%〜30%ACNの20分間にわたるアセトニトリル勾配の後、60%ACNを5分間用いてカラムから溶離した。それらフラバンを、保持時間およびPDAデータに基づき、カテキンを標準として用いて、28.6%のカテキンおよび3.9%のエピカテキンとして定量した。
【0115】
実施例7Acacia catechu からの標準化された抽出物の製造
Acacia catechu(500mgの粉砕された皮)を、次の溶媒系で抽出した。(1)100%水、(2)80:20の水:メタノール、(3)60:40の水:メタノール、(4)40:60の水:メタノール、(5)20:80の水:メタノール、(6)100%メタノール、(7)80:20のメタノール:THF、(8)60:40のメタノール:THF。それら抽出物を濃縮し、低真空下で乾燥させた。各々の抽出物中の化学成分の識別は、HPLCにより、PhotoDiode Array 検出器(HPLC/PDA)および250mmx4.6mmのC18カラムを用いて行った。それら化学成分を、保持時間およびPDAデータに基づき、カテキンおよびエピカテキンを標準として用いて定量した。それら結果を、表5に示す。表5に示されるように、80%メタノール/水での溶媒抽出によって生じたフラバン抽出物は、最良濃度のフラバン成分を与えた。
【0116】
【表5】

【0117】
実施例8いろいろな Scutellaria 種からの標準化されたフリーB環フラボノイド抽出物の製造
Scutellaria orthocalyx(500mgの粉砕された根)を、25mLの次の溶媒系で2回抽出した。(1)100%水、(2)80:20の水:メタノール、(3)60:40の水:メタノール、(4)40:60の水:メタノール、(5)20:80の水:メタノール、(6)100%メタノール、(7)80:20のメタノール:THF、(8)60:40のメタノール:THF。それら抽出物を一緒にし、濃縮し、低真空下で乾燥させた。各々の抽出物中の化学成分の識別は、HPLCにより、PhotoDiode Array 検出器(HPLC/PDA)および250mmx4.6mmのC18カラムを用いて行った。それら化学成分を、保持時間およびPDAデータに基づき、バイカレイン、バイカリン、スクテラレイン(scutellarein)およびウォゴニンを標準として用いて定量した。それら結果を、表6に示す。
【0118】
【表6】

【0119】
Scutellaria baicalensis(1000mgの粉砕された根)を、50mLの次のようなメタノールおよび水の混合物で2回抽出した。(1)100%水、(2)70:30の水:メタノール、(3)50:50の水:メタノール、(4)30:70の水:メタノール、(5)100%メタノール。それら抽出物を一緒にし、濃縮し、低真空下で乾燥させた。それら化学成分の識別は、HPLCにより、PhotoDiode Array 検出器(HPLC/PDA)および250mmx4.6mmのC18カラムを用いて行った。各々の抽出物中の化学成分を、保持時間およびPDAデータに基づき、バイカレイン、バイカリン、スクテラレインおよびウォゴニンを標準として用いて定量した。それら結果を、表7に示す。
【0120】
【表7】

【0121】
実施例9Scutellaria baicalensis の根からの標準化されたフリーB環フラボノイド抽出物および Acacia catechu の皮からの標準化されたフラバン抽出物を含む製剤の製造
本明細書中においてUP736と称される新規な組成物を、Acacia および Scutellaria からそれぞれ単離された二つの標準化された抽出物を用いて、一つまたはそれを超える賦形剤と一緒に製剤化した。このような組成物を製造する一般的な例を下に示す。この実施例に用いられた Acacia 抽出物は、カテキンおよびエピカテキンとしての>60%の全フラバンを含有していたし、そして Scutellaria 抽出物は、>70%のフリーB環フラボノイドを含有し、それは、主にバイカリンであった。その Scutellaria 抽出物は、表8に示されるような他の微量のフリーB環フラボノイドを含有した。一つまたはそれを超える賦形剤を、その組成物に加える。フラバンおよびフリーB環フラボノイドの比率は、製品の生物学的活性に関する具体的な必要条件および適応症に基づいて調整することができる。賦形剤の量は、実際に活性な各々の成分の含有率に基づいて調整することができる。個々の製品バッチ各々のブレンド表は、個々のバッチの成分の製品規格およびQC結果に基づいて作成すべきである。製品規格を満たすために、2〜5%の範囲内の追加量の活性成分が提示される。表8は、UP736の一つのバッチ(Lot#G1702)について作成されたブレンド表を示している。
【0122】
82.2%(バイカリン)のフリーB環フラボノイド含有率を有する Scutellaria baicalensis 根抽出物(38.5kg)(ロット#RM052302−01);80.4%の全フラバン含有率を有する Acacia catechu 皮抽出物(6.9kg)(ロット#RM052902−01);および賦形剤(5.0kgの Candex)を一緒にして、85:15のブレンド比を有するUP736製剤(50.4kg)を与えた。表8は、実施例4および実施例6に与えられた方法を用いて決定される、この具体的なバッチのUP736(Lot#G1702)の活性なフリーB環フラボノイドおよびフラバンの定量化を与える。
【0123】
表8に関して、この具体的なバッチのUP736は、75.7%のフリーB環フラボノイドおよび10.3%のフラバンを含めた86%の全活性成分を含有する。二つの異なった投薬量レベルのカプセル形最終製品は、このバッチのUP736(50.0kg)から製造した。125mg/用量(60個カプセル剤)および250mg/用量(60個カプセル剤)。
【0124】
同じアプローチを用いて、二つの他のバッチのUP736を、Scutellaria baicalensis 根からの標準化されたフリーB環フラボノイド抽出物と、Acacia catechu 皮からの標準化されたフラバン抽出物との、50:50および20:80のブレンド比をそれぞれ有する組合せを用いて製造した。
【0125】
【表8】

【0126】
実施例10アラキドン酸に誘発された血小板凝集の阻害へのUP736およびアスピリンの混合物を含んで成る組成物の相乗作用の証明
アラキドン酸に誘発された血小板凝集の阻害へのUP736およびアスピリンの混合物を含んで成る組成物の相乗作用を、血小板凝集検定において、ニュージーランドウサギから調製された血小板の多い血漿を用いて証明した。それらウサギ(2.75±0.25kg)を、クエン酸三ナトリウム(0.13Mの最終濃度)で処置した。UP736、アスピリンまたはそれらの組合せを、0.3%DMSO中に溶解させ、血漿と一緒に37℃で5分間インキュベートした。それら化合物のアゴニスト作用またはアンタゴニスト作用を、凝集の光学濃度によって定量した。アゴニスト作用について用いられる有意の判定基準は、アラキドン酸応答に対するその?50%の血小板凝集である。アンタゴニストについて用いられる有意の判定基準は、アラキドン酸に誘発された血小板凝集のその?50%阻害である。この検定において、いろいろな濃度のUP736(10μM、2μMおよび0.2μM)およびアスピリン(30μMおよび3μM)を、個々に、血小板の多いウサギ血漿中での血小板凝集のアゴニストかまたはアンタゴニストとして調べた。表9は、それら試験結果を示している(試験#1)。
【0127】
【表9】

【0128】
同じ実験条件下で行われた別の検定において(試験#2)、より低い濃度(0.2μM、0.067μM、0.022μMおよび0.007μM)のUP736および3μM濃度のアスピリンの混合物を調べた。それら結果を、表10に示す。
【0129】
血小板凝集研究の結果は、UP736単独では、10μMまでの濃度でほとんど抗凝集活性がないということを示している(表9および表10)。しかしながら、きわめて低い投薬量(3μM)でのアスピリンの抗血小板凝集活性は、UP736により、調べられた最低濃度(0.007μM)でも有意に増加した。
【0130】
【表10】

【0131】
実施例11出血時間へのUP736、およびUP736およびアスピリンの混合物の作用
UP736は、血小板凝集の阻害において、アスピリンとの相乗作用を示したが(表9および表10)、マウスでの出血時間へは、UP736は、単独でもアスピリンとの組合せでも、実質的な作用を示さなかった。出血時間検定は、Minster and Kling (1997) Thrombosis Research 10:619-622) および Butler et al. (1982) Thromb Haemostas 47:46-49 によって記載の方法にしたがって行った。試験製品を、5匹のICR雄マウスに、各々の尾の先端(1.0mm)の標準化された横断離断の1時間前に投与した。ホルダー中に保定されたマウスを、直ちに垂直につり下げ、それら尾先端を、37℃の生理食塩水が入っている試験管中に浸漬した。最大カットオフ時間は設定しなかった。測定は、実際の出血が認められると同時に開始し、そしていずれかの時点で、15秒間またはそれを超えて出血が止まると同時に止めた。データは、スチューデントt検定を用いて分析した。一つの検定において(試験#3)、3mg/kg、10mg/kg、65mg/kgおよび100mg/kgのアスピリン単独、または100mg/kg用量のUP736をで単独でかまたは3mg/kg、10mg/kgおよび65mg/kgのアスピリンとの組合せで、5匹のICR雄マウスの群に経口投与した。それら結果を、表11に示すが、それは、ビヒクル対照群にまさる、被処置群における平均出血時間および出血時間増加パーセントを示している。表11に関して、それら結果は、出血時間へのUP736の作用が有意ではないということを示し、そして3mg/kg〜65mg/kgの増加濃度のアスピリンとの組合せでのUP736の作用は、限られていたし、しかも100mg/kgのアスピリン単独によって与えられる作用よりも小さかった。その検定を、同じ実験条件下で繰り返した(試験#4)。それら結果を、表12に示すが、それは、ビヒクル対照に対する被処置群における平均出血時間および出血時間増加パーセントを示している(n=5)。表11および表12で理解されうるように、それら二つの実験において、きわめて一致した結果が得られた。それら二つの実験によるデータを一緒にし、表13および図3に示した(n=9〜10)。
【0132】
【表11】

【0133】
【表12】

【0134】
【表13】

【0135】
出血時間結果を確かめるために、UP736、またはアスピリンとの組合せでのUP736を、独立した研究において(試験#5)、変更された実施手順を用いて再度調べた。22±2gの体重の5匹のICR由来雄マウスの群に、各々の尾の先端(0.3mm)の横断離断の1時間前に、UP736を、100mg/kgの用量で、単独でかまたは3mg/kg、10mg/kgおよび30mg/kgのアスピリンとの組合せで経口投与した。更に、アスピリン単独を、3mg/kg、10mg/kg、30mg/kgおよび100mg/kgでマウスに同様に投与した。ホルダー中のマウスを、直ちに垂直につり下げ、各々の尾の末端2cmを、37℃の生理食塩水が入っている試験管中に浸漬した。180秒の最大カットオフ時間を設定した。180秒の観察時間中のいずれかの時点で、15秒間またはそれを超えて出血が止まった場合、測定を中止したが、引き続きの出血はいずれも、考慮されないと考えられる。対照群の被験動物に対して50パーセントまたはそれを超える(50%)出血時間の延長を、有意とみなした。それら結果は、上記の実験(試験#3および#4)より得られた結果と一致する。出血時間への100mg/kg用量でのUP736の作用は有意でなかったし、しかも30mg/kgのアスピリンとの組合せでの100mg/kgのUP736の作用は、100mg/kgのアスピリン単独によって与えられる作用よりも小さかった(表14および図4)。
【0136】
【表14】

【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】図1は、82.2%のフリーB環フラボノイド含有率を有するS.バイカレンシス(S. baicalensis)(ロット#RM052302−01)の根より単離され標準化された抽出物のHPLCクロマトグラムを示す。図で理解されうるように、次の10種類の化合物を、HPLC/PDA/MSを用いて解明した。バイカリン(baicalin)、ウォゴニン−7−グルクロニド(wogonin-7-glucuronide)、オロキシリンA7−グルクロニド、バイカレイン、ウォゴニン、クリシン−7−グルクロニド、ノルウォゴニン−7−グルクロニド(norwogonin-7-glucuronide)、スクテラリン(scutellarin)、クリシンおよびオロキシリンA。
【図2】図2は、水中の80%MeOHでA.catechu より抽出されたフラバンのHPLCクロマトグラムを示す。
【図3】図3は、実施例11による組合せデータを用いた、ビヒクル対照に対する被処置群の出血時間および出血時間増加パーセントをグラフで示す(n=9〜10)。ビヒクル対照に対する被処置群の平均出血時間および出血時間増加パーセントを、スチューデントt検定を用いて示し且つ分析する。被処置群の出血時間の延長は、ビヒクル対照に対する出血時間増加パーセントとして表される。
【図4】図4は、実施例12による結果をグラフで示す。この実施例では、22±2gの体重の5匹のICR由来雄マウスの群に、各々の尾の先端(0.3mm)の横断離断の1時間前に、UP736を、100mg/kgの用量で単独でかまたは、3mg/kg、10mg/kgおよび30mg/kgのアスピリンとの組合せで経口投与した。更に、アスピリン単独を、3mg/kg、10mg/kg、30mg/kgおよび100mg/kgでマウスに同様に投与した。対照群の被験動物に対して50パーセントまたはそれを超える(50%)出血時間の延長を、有意とみなした。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって、少なくとも一つのフリーB環フラボノイド;少なくとも一つのフラバン;および注射可能な抗凝固薬、経口抗凝固薬、抗血小板薬、抗アンギナ薬、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)またはシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)選択的阻害剤から成る群より選択される少なくとも一つの物質の混合物を含んで成る組成物。
【請求項2】
前記組成物中のフリーB環フラボノイド対フラバンの比率が、約99:1のフリーB環フラボノイド:フラバン〜約1:99のフリーB環フラボノイド:フラバンの範囲より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
組成物中のフリーB環フラボノイド:フラバンの比率が、約85:15である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記フリーB環フラボノイドが、次の構造:
【化1】

(式中、R、R、R、RおよびRは、独立して、−H;−OH;−SH;−OR;−SR;−NH;−NHR;−NR;−NR;炭素、酸素、窒素または硫黄のグリコシドであって、アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学的誘導体を含めた単一の糖または多数の糖組合せのグリコシドから成る群より選択され;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリドおよびカーボネートを含めた薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
を有する化合物の群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記フラバンが、次の構造:
【化2】

(式中、R、R、R、RおよびRは、独立して、H;−OH;−SH;−OCH;−SCH;−OR;−SR;−NH;−NRH;−NR;−NR;置換基のエステルであって、独立して、ガレート、アセテート、シンナモイルおよびヒドロキシルシンナモイルエステル、トリヒドロキシベンゾイルエステルおよびカフェオイルエステルから成る群より選択されるエステル;炭素、酸素、窒素または硫黄のグリコシドであって、アルドペントース類、メチルアルドペントース、アルドヘキソース類、ケトヘキソースおよびそれらの化学的誘導体を含めた単一の糖または多数の糖組合せのグリコシド;二量体、三量体および他の重合フラバンから成る群より選択され;ここにおいて、
Rは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり;そして
Xは、ヒドロキシル、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フルオリド、カーボネートが含まれるがこれに制限されるわけではない薬学的に許容しうる対アニオンの群より選択される)
を有する化合物の群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記フリーB環フラボノイドおよび前記フラバンが、有機合成によって得られている、または植物から単離されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記フリーB環フラボノイドおよび前記フラバンが、茎、茎皮、幹、樹皮、小枝、塊茎、根、根皮、ヤングシュート(young shoots)、種子、根茎、花および他の生殖器官、葉および他の気生部分から成る群より選択される植物部分より単離されている、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記フリーB環フラボノイドが、バンレイシ科(Annonaceae)、キク科(Asteraceae)、ノウゼンカズラ科(Bignoniaceae)、シクンシ科(Combretaceae)、キク科(Compositae)、トウダイグサ科(Euphorbiaceae)、シソ科(Labiatae)、クスノキ科(Lauranceae)、マメ科(Leguminosae)、クワ科(Moraceae)、マツ科(Pinaceae)、イノモトソウ科(Pteridaceae)、ヒメウラジロ科(Sinopteridaceae)、ニレ科(Ulmaceae)およびショウガ科(Zingiberacea)から成る群より選択される植物科より単離されている、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
前記フリーB環フラボノイドが、デスモス(Desmos)、アキロクリン(Achyrocline)、オロキシルム(Oroxylum)、ブケナビア(Buchenavia)、アナファリス(Anaphalis)、コツラ(Cotula)、ハハコグサ(Gnaphalium)、ヘリクリスム(Helichrysum)、センタウレア(Centaurea)、フジバカモ(Eupatorium)、バッカリス(Baccharis)、シラキ(Sapium)、スクテラリア(Scutellaria)、モルサ(Molsa)、コレブローケア(Colebrookea)、スタキス(Stachys)、オリガヌム(Origanum)、ジジホラ(Ziziphora)、リンデラ(Lindera)、アクチノダフネ(Actinodaphne)、アカシア(Acacia)、デリス(Derris)、グリシリザ(Glycyrrhiza)、ミレティア(Millettia)、ポンガミア(Pongamia)、テフロシア(Tephrosia)、パンノキ(Artocarpus)、イチジク(Ficus)、ピチログランマ(Pityrogramma)、ノトレナ(Notholaena)、アカマツ(Pinus)、ハルニレ(Ulmus)およびハナミョウガ(Alpinia)から成る群より選択される植物属より単離されている、請求項6に記載の組成物。
【請求項10】
前記フラバンが、アカシア・カテキュ(Acacia catechu)、アカシア・コンシナ(Acacia concinna)、アカシア・ファルネシアナ(Acacia farnesiana)、アカシア・セネガル(Acacia Senegal)、アカシア・スペシオサ(Acacia speciosa)、アカシア・アラビカ(Acacia arabica)、アカシア・シーシア(Acacia caesia)、アカシア・ペナタ(Acacia pennata)、アカシア・シニュータ(Acacia sinuata)、アカシア・ミールンシイ(Acacia mearnsii)、アカシア・ピクナンタ(Acacia picnantha)、アカシア・ディールバタ(Acacia dealbata)、アカシア・アウリクリホルミス(Acacia auriculiformis)、アカシア・ホロセレシア(Acacia holoserecia)およびアカシア・マンギウム(Acacia mangium);ウンカリア・ガンビル(Uncaria gambir)、ウンカリア・ラノサ(Uncaria lanosa)、ウンカリア・ヒルステ(Uncaria hirsute)、ウンカリア・アフリカナ(Uncaria africana)、ウンカリア・エリプティカ(Uncaria elliptica)、ウンカリア・オリエンタリス(Uncaria orientalis)、ウンカリア・アテヌエート(Uncaria attenuate)、ウンカリア・アシダ(Uncaria acida)、ウンカリア・ホモマラ(Uncaria homomalla)、ウンカリア・セシリフルクツス(Uncaria sessilifructus)、ウンカリア・ステロフィラ(Uncaria sterrophylla)、ウンカリア・ベルネイシイ(Uncaria bernaysii)、ウンカリア・シネンシス(Uncaria sinensis)、ウンカリア・カロフィラ(Uncaria callophylla)、ウンカリア・リコフィラ(Uncaria rhychophylla)、ウンカリア・トメントサ(Uncaria tomentosa)、ウンカリア・ロンギフロラ(Uncaria longiflora)、ウンカリア・ヒルステ(Uncaria hirsute)、ウンカリア・コルダタ(Uncaria cordata)およびウンカリア・ボルネエンシス(Uncaria borneensis)から成る群より選択される植物種より単離されている、請求項6に記載の組成物。
【請求項11】
前記フリーB環フラボノイドが、Scutellaria 属植物の一つまたは複数の植物より単離されていて、前記フラバンが、Acacia 属および Uncaria 属植物の一つまたは複数の植物より単離されている、請求項6に記載の組成物。
【請求項12】
前記注射可能な抗凝固薬が、ヘパリン、ダルテパリン、エノキサパリンおよびチンザパリンから成る群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記経口抗凝固薬が、ワルファリン、ビタミンKアンタゴニストおよびビタミンKレダクターゼ阻害剤から成る群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記抗血小板薬が、アスピリン、クロジポグレルおよびジピリダモールから成る群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記抗アンギナ薬が、ニトレート、β遮断薬、カルシウム遮断薬、アンギオテンシン変換酵素阻害剤およびカリウムチャンネルアクチベーターから成る群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記NSAIDが、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、ジクロフェナク、サリチレートおよびインドメタシンから成る群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記COX−2選択的阻害剤が、ロフェコキシブ、セレコキシブ、エトドラクおよびメロキシカムから成る群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
血小板凝集および血小板に誘発された血栓症に関係した疾患および状態を予防又は処置する方法であって、それを必要としている宿主に、フリーB環フラボノイドおよびフラバンの混合物を、薬学的に許容しうる担体と一緒に含む組成物の有効量を投与することを含む方法。
【請求項19】
組成物を、0.01mg/kg体重〜200mg/kg体重より選択される投薬量で
投与する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
投与経路が、経口投与、局所投与、坐剤投与、静脈内投与および皮内投与、胃内投与、筋肉内投与、腹腔内投与および静脈内投与から成る群より選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
血小板凝集および血小板に誘発された血栓症に関係した疾患および状態が、深部静脈血栓症;肺塞栓症;アテローム性動脈硬化症;心筋梗塞;脳血管性イベントに至る脳血管血栓症および/または脳血管塞栓症;虚血および梗塞を引き起こす末梢循環および/または微小循環の血栓症;左心房の血栓形成および血液の状態に関連している心房細動;機械的心臓弁、除細動器(defibricators)、薬物送達用の外科的植込物、および人工股関節、関節および他の外来臓器などの人工植込物を含めた血栓形成部位から成る群より選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
注射可能な抗凝固薬、経口抗凝固薬、抗血小板薬、抗アンギナ薬、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)またはシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)選択的阻害剤から成る群より選択される物質の送達のためのアジュバントおよび/または相乗作用薬および/または増強薬としての、少なくとも一つのフリーB環フラボノイドおよび少なくとも一つのフラバンの混合物を含んで成る組成物を使用する方法であって、それを必要としている宿主へ、前記物質を前記フリーB環フラボノイドおよびフラバンの混合物と組合せて投与することを含む方法。
【請求項23】
前記注射可能な抗凝固薬が、ヘパリン、ダルテパリン、エノキサパリンおよびチンザパリンから成る群より選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記経口抗凝固薬が、ワルファリン、ビタミンKアンタゴニストおよびビタミンKレダクターゼ阻害剤から成る群より選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記抗血小板薬が、アスピリン、クロジポグレルおよびジピリダモールから成る群より選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記抗アンギナ薬が、ニトレート、β遮断薬、カルシウム遮断薬、アンギオテンシン変換酵素阻害剤およびカリウムチャンネルアクチベーターから成る群より選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記NSAIDが、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、ジクロフェナク、サリチレートおよびインドメタシンから成る群より選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
前記COX−2選択的阻害剤が、ロフェコキシブ、セレコキシブ、エトドラクおよびメロキシカムから成る群より選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項29】
組成物を、0.01mg/kg体重〜200mg/kg体重より選択される投薬量で
投与する、請求項22に記載の方法。
【請求項30】
投与経路が、経口投与、局所投与、坐剤投与、静脈内投与および皮内投与、胃内投与、筋肉内投与、腹腔内投与および静脈内投与から成る群より選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項31】
抗血小板薬、抗凝固薬、予防薬、NSAIDおよびCOX−2選択的阻害剤から成る群より選択される物質の標準投薬量を減少させる方法であって、少なくとも一つのフリーB環フラボノイドおよび少なくとも一つのフラバンの混合物を、前記抗血小板薬、抗凝固薬、予防薬またはNSAIDと組合せて含んで成る組成物を投与することを含む方法。
【請求項32】
組成物を、0.01mg/kg体重〜200mg/kg体重より選択される投薬量で
投与する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
投与経路が、経口投与、局所投与、坐剤投与、静脈内投与および皮内投与、胃内投与、筋肉内投与、腹腔内投与および静脈内投与から成る群より選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
抗血小板薬、抗凝固薬、予防薬およびNSAIDから成る群より選択される物質の急性または慢性投与によって引き起こされる副作用を減少させるまたは排除する方法であって、少なくとも一つのフリーB環フラボノイドおよび少なくとも一つのフラバンの混合物を、前記抗血小板薬、抗凝固薬、予防薬、NSAIDまたはCOX−2選択的阻害剤と組合せて含んで成る組成物を投与することを含む方法。
【請求項35】
組成物を、0.01mg/kg体重〜200mg/kg体重より選択される投薬量で
投与する、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
投与経路が、経口投与、局所投与、坐剤投与、静脈内投与および皮内投与、胃内投与、筋肉内投与、腹腔内投与および静脈内投与から成る群より選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
抗血小板薬、抗凝固薬、予防薬、NSAIDおよびCOX−2選択的阻害剤から成る群より選択される物質の急性または慢性投与の危険に対抗するまたは拮抗する方法であって、少なくとも一つのフリーB環フラボノイドおよび少なくとも一つのフラバンの混合物を、前記抗血小板薬、抗凝固薬、予防薬またはNSAIDと組合せて含んで成る組成物を投与することを含む方法。
【請求項38】
組成物を、0.01mg/kg体重〜200mg/kg体重より選択される投薬量で
投与する、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
投与経路が、経口投与、局所投与、坐剤投与、静脈内投与および皮内投与、胃内投与、筋肉内投与、腹腔内投与および静脈内投与から成る群より選択される、請求項37に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2008−533041(P2008−533041A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−500994(P2008−500994)
【出願日】平成18年3月10日(2006.3.10)
【国際出願番号】PCT/US2006/008749
【国際公開番号】WO2006/099217
【国際公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(504000568)ユニゲン・ファーマシューティカルス・インコーポレーテッド (12)
【Fターム(参考)】