波面操作および改良3D測定方法および装置
【課題】 光学システムにおいて、位相および振幅情報を含む波面分析、ならびに3D測定を実行する方法および装置、特に、光学システムの画像面のような、中間面の出力の分析に基づく方法および装置を提供する。
【解決手段】 薄膜コーティング、または多層構造の個々の層が存在する表面トポグラフィの測定について記載する。多重波長分析を、位相および振幅マッピングと組み合わせて利用する。マクスウェルの方程式の解に基づき、仮想波面伝搬を用いて、波面伝搬および再合焦によって位相および表面トポグラフィの測定を改良する方法について記載する。このような位相操作方法によって、または広帯域およびコヒーレント光源の組み合わせを利用する方法によって、光学撮像システムにおいてコヒーレント・ノイズの低減を達成する。本方法は、集積回路の分析に適用され、コントラストを高めることにより、または1回のショット撮像における3D撮像によってオーバーレイ測定技法を改善する。
【解決手段】 薄膜コーティング、または多層構造の個々の層が存在する表面トポグラフィの測定について記載する。多重波長分析を、位相および振幅マッピングと組み合わせて利用する。マクスウェルの方程式の解に基づき、仮想波面伝搬を用いて、波面伝搬および再合焦によって位相および表面トポグラフィの測定を改良する方法について記載する。このような位相操作方法によって、または広帯域およびコヒーレント光源の組み合わせを利用する方法によって、光学撮像システムにおいてコヒーレント・ノイズの低減を達成する。本方法は、集積回路の分析に適用され、コントラストを高めることにより、または1回のショット撮像における3D撮像によってオーバーレイ測定技法を改善する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測用途、特に、薄膜を組み込んだ集積回路の測定分野、および画像処理用途における複素光波面(complex optical wavefront)測定の使用分野に関する。
【背景技術】
【0002】
同時係属中であり、本願と同じ譲受人に譲渡されたPCT出願第PCT/IL/01/00335号は、WO01/77629、米国特許第6,819,435として公開され、そしてPCT出願第PCT/IL02/00833号は、WO03/062743として公開されており、これらの全てはここで引用することにより、その内容全体が本願にも含まれるものとする。この中では、波面分析および表面マッピング、位相変化分析、分光分析、物体検査、格納データ検索、三次元撮像、ならびに波面分析を利用するその他の適した用途のための方法論およびシステムが記載されている。
【0003】
これらの方法の原理の一部を図1および図2に記載する。図1は、波面分析機能性の簡略化した一部模式的、そして一部絵画的な図を示す。図1の機能性は、以下の副機能性を含むものとして要約することができる。
【0004】
I.振幅および位相を有し、分析対象の波面に対応する複数の位相変化相違変換波面(differently phase changed transformed wavefront)を得る。
【0005】
II.複数の位相変化相違変換波面の複数の強度マップを得る。
【0006】
III.複数の強度マップを用いて、分析対象の波面の位相および振幅の少なくとも一方、可能であれば双方を示す出力を得る。
【0007】
図1に示すように、「A」で示す第1副機能性は、以下の機能性によって実現することができる。複数の点光源で表すことができる波面を、全体的に参照番号100で示す。波面100は、実線で表し、全体的に参照番号102で示す、空間的に非均一な位相特性を有するのが通例である。また、波面100は、破線で表し、全体的に参照番号103で示す、非均一な振幅特性を有することも同様に通例である。このような波面は、光ディスク、例えば、DVDまたはコンパクト・ディスク104を読み取ることによる等により、いずれかの物体からの光を受信することにより、従来の方法で得ることができる。
【0008】
本方法は、参照番号102で示すような位相特性、および参照番号103で示すような振幅特性の測定を改善して可能にする。尚、位相の定義により、位相特性は相対的特性であるので、この用語は波動内におけるいずれか2点間の相対的位相マップまたは位相差を意味することを記しておく。総じて、本願全体を通じて、そして特許請求する場合、「位相」の測定または計算に関する全ての引用、または位相マップのような同様の詳述は、位相シフト、または位相差、またはその場所において論じられている特定の位相の文脈に言及する相対的位相のこのような測定または計算を意味することは言外である。
【0009】
参照番号106で象徴的に示す変換を、分析対象波面100に適用することにより、象徴的に参照番号108で示す変換波面を得る。光路遅延110、112および114によって表される複数の異なる位相変化、好ましくは空間位相変化を変換波面108に適用することによって、それぞれ参照番号120、122および124で表される、複数の位相変化相違変換波面を得る。尚、複数の位相変化相違変換波面の個々の1つずつの間に示す差は、変換波面の部分がそれ以外に対して異なって遅延していることは認められよう。
【0010】
「B」で示す第2の副機能性は、変換、好ましくは、フーリエ変換を複数の位相変化相違変換波面に適用することによって実現する。最後に、機能性Bは、複数の位相変化相違変換波面の強度特性の検出を必要とする。このような検出の出力は、強度マップとなり、その例を参照番号130、132および134で示す。
【0011】
「C」で示す第3の副機能性は、以下の機能性によって実現することができる。コンピュータ136を用いることによる等で、マップ130、132および134のような複数の強度マップを、分析対象の波面の位相および振幅、ならびに複数の相違した位相変化の少なくとも1つの数学的関数として表現する。ここで、位相および振幅の少なくとも一方、恐らくは双方は未知であり、変換波面108までの光路遅延110、112および114で通例表される複数の相違した位相変化は既知である。そして、コンピュータ136による等で、少なくとも1つの数学的関数を用いて、分析対象の波面の位相および振幅の少なくとも一方、可能であれば双方を得る。ここでは、参照番号138で示す位相関数、および参照番号139で示す振幅関数で表されており、見てわかるように、それぞれ、波面100の位相特性102および振幅特性103を表す。波面100は、内包されている情報、即ち、本例ではコンパクト・ディスクまたはDVD104のような、測定物体の高さマップを表すことができる。
【0012】
図1の機能性を実行するのに適した波面分析システムの簡略化した一部模式的、一部ブロック図の一例を図2に示す。図2に見られるように、ここでは参照番号150で示す波面は、レンズ152によって位相マニピュレータ(phase manipulator)154上に合焦する。位相マニピュレータ154は、好ましくは、レンズ152の焦点面に位置する。位相マニピュレータ154は、位相変化を生成し、例えば、空間光変調器、一連の異なる透明で空間的に非均一な物体とすることができる。第2レンズ156が、波面150を、CCD検出器のような検出器158上に撮像するように配置されている。好ましくは、第2レンズ156は、検出器158がその焦点面内に入るように配置されている。検出器158の出力は、好ましくは、データ記憶および処理回路160に供給される。これは、好ましくは、図1を参照して先に説明した機能性「C」によって実行する。
【0013】
図1の機能性および構造を用いた表面マッピング・システムの簡略化した一部模式的、一部絵画的な図を図3に示す。図3に見られるように、光または音響エネルギのような放射ビームが、任意にビーム・エキスパンダ202を介して、放射源200からビーム・スプリッタ204上に供給され、ビーム・スプリッタ204は放射線の少なくとも一部を、検査対象の表面206上に反射する。検査表面206から反射した放射線は、表面マッピング波面であり、振幅および位相を有し、表面206に関する情報を内包する。表面206に入射した放射線の少なくとも一部は、表面206から反射して、ビーム・スプリッタ204を透過し、合焦レンズ208を介して位相マニピュレータ210上に合焦する。位相マニピュレータ210は、好ましくは、放射源200の画像面上に位置する。位相マニピュレータ210は、例えば、空間光変調器、または一連の異なる透明で空間的に非均一な物体とすることができる。第2レンズ212が、CCD検出器のような検出器214上に表面206を撮像するように配置されている。好ましくは、第2レンズ212は、検出器214がその焦点面内に入るように配置されている。検出器214の出力は、その一例が参照番号215で示す1組の強度マップであり、好ましくはデータ記憶および処理回路216に供給される。データ記憶および処理回路216は、好ましくは、図1を参照して先に説明した機能性「C」を実行し、表面マッピング波面の位相および振幅のうち少なくとも一方、可能であれば双方を示す出力を供給する。この出力は、表面の幾何学的ばらつきや反射率のような、表面206に関する情報を獲得するために、更に処理することが好ましい。位相マニピュレータ210は、複数の異なる空間位相変化を、表面206から反射され、レンズ208によってフーリエ変換された放射波面に印加するものとして説明する。複数の異なる空間位相変化の印加によって、複数の位相変化相違変換波面が得られ、これらは続いて検出器214によって検出される。
【0014】
アルゴリズムおよび計算方法の概略的な原理を図4に示す。図4は、図1の機能性の一部の簡略機能ブロック図である。図4に示す構成例では、分析対象の波面に適用する変換はフーリエ変換であり、少なくとも3つの異なる空間位相変化が、このように変換された波面に適用され、波面の位相および振幅のうち少なくとも1つの指示を獲得するために少なくとも3つの強度マップが用いられる。図4に見られるように、そして図1を参照して先に副機能性「C」として示したように、強度マップは、分析対象の波面の位相および振幅のうち少なくとも一方、可能であれば双方の出力指示を獲得するために用いられる。
【0015】
図4において、分析対象の波面は、第1複素関数
【0016】
【数1】
【0017】
として表される。ここで、「x」は空間位置の概略的な指示である。複素関数は、振幅分布A(x)および位相分布φ(x)を有し、分析対象の波面の振幅および位相と同一である。第1複素関数
【0018】
【数2】
【0019】
は、参照番号300で示されている。複数の異なる空間位相変化の各々は、好ましくは、既知の値を有する空間的均一空間位相遅延を、変換した波面の所与の空間領域に適用することによって、変換した波面に適用する。図4に見られるように、これらの異なる位相変化を支配する空間関数を「G」で示し、その一例を、位相遅延値θについて、参照番号304で示す。関数「G」は、変換した波面の各空間位置に適用される位相変化の空間関数である。参照番号304で示す具体例では、空間的に均一な空間位相遅延はθの値を有し、この関数のどこの値よりも大きいθの値を有する関数の中心部で示すように、変換した波面の空間的に中心領域に適用される。
【0020】
空間関数I1(x)、I2(x)およびI3(x)で示す、複数の期待強度マップは、各々、参照番号308で示すように、第1複素関数f(x)および空間関数Gの関数として表される。続いて、絶対値|S(x)|および位相α(x)を有する第2複素関数S(x)を、第1複素関数f(x)および空間関数「G」のフーリエ変換の畳み込みとして定める。この第2複素関数は参照番号312で示され、以下の式
【0021】
【数3】
【0022】
によって表される。ここで、記号「*」は畳み込みを示し、F(G)は関数「G」のフーリエ変換である。波面の位相であるφ(x)と第2複素関数の位相であるα(x)との間の差は、参照番号316で示すように、Ψ(x)で表されている。
【0023】
参照番号308で示すようなf(x)およびGの関数としての期待強度マップの各々の式、参照番号312で示すようなS(x)の絶対値および位相の定義、ならびに参照番号316で示すようなΨ(x)の定義により、期待強度マップの各々を、波面A(x)の振幅、第2複素関数|S(x)|の絶対値、波面の位相と第2複素関数Ψ(x)の位相との間の差、ならびに各々少なくとも3つの強度マップの1つに対応する少なくとも3つの相違した位相変化の1つによって生ずる既知の位相遅延の第3関数として表すことが可能となる。この第3関数を参照番号320で示し、3つの関数を含む。その各々は、以下の一般形式を有することが好ましい。
【0024】
【数4】
【0025】
ここで、In(x)は期待強度マップであり、n=1、2または3である。3つの関数において、θ1、θ2およびθ3は、均一な空間位相遅延の既知の値であり、各々変換した波面の空間領域に適用され、こうして複数の異なる空間位相変化が行われ、強度マップI1(x)、I2(x)およびI3(x)がそれぞれ得られる。尚、好ましくは、いずれの所与の空間位置における第3関数であっても、同一の空間位置x0においてのみ、A、Ψおよび|S|の関数となることは認められよう。強度マップは、参照番号324によって示されている。
【0026】
第3関数を特定の空間位置x0の各々について解く際、少なくとも3つの異なる位相遅延θ1、θ2およびθ3において少なくとも3つの強度値I1(x0)、I2(x0)およびI3(x0)に関係する少なくとも3つの式を解くことにより、3つの未知のA(x0)、|S(x0)|およびΨ(x0)の少なくとも一部が得られる。このプロセスは、通例、全ての空間位置について繰り化され、その結果、波面A(x)の振幅、第2複素関数|S(x)|の絶対値、および波面の位相と第2複素関数Ψ(x)の位相との間の差が得られる。これは、参照番号328で示す通りである。その後、一旦A(x)、|S(x)|およびΨ(x)がわかれば、参照番号312で表す第2複素関数を定める式は、通例、かなりの数の空間位置「x」について解決され、参照番号332で示すように、第2複素関数の位相α(x)が得られる。最後に、分析対象の波面の位相φ(x)を得るには、参照番号336で示すように、第2複素関数の位相α(x)を、波面の位相と第2複素関数の位相との間の差Ψ(x)に加算する。
【0027】
波面分析システムは、以下で図5に示すように、2つの機能性、撮像機能性、撮像波面分析機能性を含んでいればよい。分析対象の波面510は、撮像機能性520によって撮像され、撮像波面530が得られる。撮像波面は、撮像波面分析機能性によって分析され、その結果波面に関して得られた情報を、続いて、データ記憶および処理部550によって処理し格納する。尚、撮像機能性520および撮像波面分析機能性540は、同じ合同システムの3つの副機能性としても実施可能であり、このような場合撮像波面530は、同じ合同システム内において内部的に生成されることを記しておく。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
本発明は、波面分析および3D測定を行うため、そして特に、光学システムの画像面のような中間面の出力の分析に基づくような実施方法および装置を改良して実現しようとするものである。提供する方法および装置は、前述のPCT出願第PCT/IL/01/00335号、およびPCT出願第PCT/IL/02/00096において提供した方法、ならびに当技術分野において公知のその他の波面分析方法というような、種々の波面分析および測定方法に適用することができる。また、本発明は、精巧化し、改良し、強化した波面分析方法論およびシステムも提供する。
【0029】
加えて、本発明は、薄膜コーティングが存在する表面トポロジの新たな測定装置および方法を提供し、従来技術の方法の不利益や欠点の一部を克服しようとするものである。先に引用した特許文書に記載されている干渉測定法や波面分析方法によるというように、物体から反射した波面または物体を透過した波面を分析する従来技術の方法は多数存在する。しかしながら、物体の表面上に薄膜コーティングが存在すると、多数回の反射のために、反射または透過した波面に対して、余分な位相変化が加わることになる。この位相変化は、波面が反射した表面トポロジを計算する際に誤差の原因となる。事前の知識または既知の方法を用いた直接的な測定のいずれかによって、薄膜コーティングの厚さおよび構成層の屈折率がわかっていれば、既知の式を用いて、多数回の反射によって生ずる追加の位相変化を計算することが可能となる。この追加の位相は、表面トポロジを正しく計算するために、反射または透過した光の位相から排除または減算することができる。
【0030】
したがって、本発明の好適な実施形態によれば、薄膜コーティングが存在するような、多層物体上においても精度の高い測定を行う能力を組み込んだ位相測定システムを提供する。これらの動作を実行するための従来技術の楕円偏光方法は、一般に大きな照明スポットを用い、このような大きな照明スポットは、大きな入射照明角度を用いるときには、その幅と交差する方向の被写体深度が制限されるために、空間分解能が低く、二次元撮像能力も低い。先に引用した特許文書に記載されているように、この多層物体の検出および測定能力は、広帯域光源およびフィルタ・ホイールまたは分光計を測定装置の撮像光学系に追加することによって改善する。フィルタ・ホイールを用いると、視野全体から反射する光を、視野全体から反射する光を、物体の画素毎またはセグメント毎に独立して暴行分析する。分光計を用いると、物体の1つ以上の選択したゾーンから反射した光を画素またはセグメント毎に独立して分光分析する。分光計またはフィルタ・ホイールの追加により、物体の各セグメントまたは各画素において、透明または半透明の多層の厚さの測定が可能となる。位相の測定と組み合わせることによって、上面のトポロジが得られる。薄膜コーティングの厚さは、前述の新規なスペクトル分析方法、および多層スタックにおける層の屈折率および厚さの所定の知識を用い、既知の反射計または楕円偏光アルゴリズムを実施することによって、高精度に計算することができる。あるいはそして逆に、薄膜の屈折率は、前述の分光分析方法、多層スタックにおける層の正確な厚さの所定の知識、および既知の反射計または楕円偏光アルゴリズムを用いることによって、精度高く計算することができる。前述の方法によって計算した、物体の各画素または各セグメントにおける既知の薄膜コーティングの厚さおよび屈折率を用いると、薄膜コーティングが存在することによる位相の変化を、既知の式によって精度高く計算することができる。屈折率の実要素および複素要素から計算したこの位相変化は、表面トポロジを正確に得るために、反射または透過光の測定位相から排除または減算することができる。
【0031】
本発明の更に好適な方法によれば、多層を備える物体を測定する際の多重反射による位相変化は、フーリエ変換分光学を前述の波面分析方法と組み合わせ、広帯域光源を用いることによって計算することができる。フーリエ変換分光学は、以下のステップによって実行する。
1.基準ミラーとして移動ミラーを追加し、物体に入射する光と基準ミラーから反射する光との間の干渉を生成し、次いで移動毎に干渉パターンの強度画像を捕獲する。
2.各画素の蓄積強度データをフーリエ変換して、フーリエ変換分光分析と同様に、各画素のスペクトル反射率を得る。
3.各画素の分光反射率、材料に関する所定のデータ、および既存の分光測光または反射測光モデルを用いることによって、物体の各画素における層の厚さを得る。
4.既知のアルゴリズム、ならびに各画素における各層の材料の厚さおよび屈折率に関して得たデータを用いることによって、多層スタックに起因する位相変化を計算する。
5.前述の波面分析方法の使用により、反射波面の位相および振幅を得る。この位相データは、各画素における多層スタックによって生成された位相変化も含む。
6.各画素における多層スタックに起因する位相変化(第4説で説明したような)の計算値を、波面分析方法(第5節で説明したような)によって得た位相データから減算して、真の表面トポロジを得る。
【課題を解決するための手段】
【0032】
したがって、本発明の好適な実施形態によれば、本発明の更に別の好適な実施形態によれば、
物体の厚さを測定するための光学装置を更に提供し、
(i) 物体の面の上方に配置され、その光軸が面に対して垂直である対物レンズと、
(ii)ある範囲の放出波長を有する照明源であって、レンズの上方において本質的にレンズの焦点面内に配置されて、レンズが平行ビームを生成するようにし、照明源が光軸から横方向にオフセットして、平行ビームが垂直でない入射角度で物体を照明するようにした、照明源と、
(iii)照明源とレンズとの間に配置されている第1偏光エレメントと、
(iv) 本質的にレンズが生成する物体の画像面において、光軸から横方向にオフセットして配置された検出エレメントと、
(v) レンズと検出器との間に配置されている第2偏光エレメントと、
を備えている。
【0033】
好ましくは、レンズの開口数は0.5よりも大きい。更に、照明源は好ましくは広帯域光源とするとよい。加えて、ある数の離散波長を有することもできる。好ましくは、検出エレメントは検出器アレイである。
【0034】
本発明の別の好適な実施形態によれば、いくつかの透明層を有する物体の表面トポグラフィを測定する方法を提供し、(i)物体を照明し、これから反射する波面の振幅および位相を測定するステップであって、(a)振幅および位相を測定している波面に対応する複数の位相変化相違変換波面を得るステップと、(b)複数の位相変化相違変換波面の複数の強度マップを得るステップと、(c)波面の振幅および測定した位相を示す出力を得るために、複数の強度マップを使用するステップとによって複数の位相変化相違変換波面を得るステップと、(ii)物体の広帯域照明によって透明層の厚さを測定し、少なくとも2つの波長において、物体からの反射強度を分析するステップと、(iii)厚さの測定値から、透明層からの多数の反射による反射波面の計算位相マップを計算するステップと、(iv)物体の表面トポグラフィを得るために、計算位相マップを測定位相と比較するステップとを備えている。
【0035】
前述の方法において、比較するステップは、好ましくは、物体上の同じ位置において測定した位相から、計算位相マップから得た位相値を減算することを含むとよい。
【0036】
更に、本発明の別の好適な実施形態によれば、物体における透明層の厚さの測定のための光学装置を提供し、
(i)物体を照明するコヒーレント光源と、
(ii)透明層からの反射率を測定する検出器と、
(iii)コヒーレント照明によって物体から反射した位相を測定する干渉計と、
(iii)物体における透明層の厚さを得るように、透明層の厚さおよび光学特性の関数として、期待反射位相および期待反射振幅を記述する数学的モデルにおいて、測定した位相および反射率を利用する処理ユニットと、
を備えている。
【0037】
コヒーレント光源の照明から得られる位相と、広帯域照明を用いた種々の技法のコヒーレント光源の反射率および/または反射光測定分析から得られる振幅との組み合わせを、この実施形態では用いる。この位相および振幅の組み合わせにより、透明層の厚さのより良い測定が行われる。位相分析は、コヒーレント照明を用いた干渉測定方法を起源とすることができる。反射光測定分析は、広帯域照明および標準的な分析技法(フィルタ・ホイール、分光測光器)から、または数個のコヒーレント光源の振幅分析から行うことができる。
【0038】
加えて、本発明の更に別の好適な実施形態によれば、物体における透明層の厚さの測定方法を提供し、
(i)少なくとも1つの所定の波長において物体をコヒーレント光で照明するステップと、
(ii)干渉計を用意し、物体から反射したコヒーレント光の位相を測定するステップと、
(iii)複数の追加の所定の離散波長の光で物体を照明するステップと、
(iv)複数の所定の離散波長において、光の反射率を測定するステップと、
(v)複数の所定の離散波長において、反射光の期待の位相および振幅特性を記述する数学的モデルを、透明層の厚さおよび光学特性の関数として用いるステップと、
(vi)物体における透明層の厚さを得るために、数学的モデルにおいて測定した位相および反射率の値を利用するステップと、
を備えている。
【0039】
前述の方法において、複数の所定の離散波長は、好ましくは、フィルタ・ホイールの使用によって得るとよい。加えて、複数の所定の離散波長は、好ましくは、分光測光計の使用によって得るとよい。加えて、複数の所定の離散波長は、好ましくは、少なくとも1つのコヒーレント光源から得るとよい。
【0040】
前述の方法の別の好適な実施形態によれば、物体における少なくとも1つの点は既知の構造を有し、少なくとも1つの点における期待位相特性遅延は絶対的に既知となるようにし、この方法は、物体全体の絶対位相差を決定するために絶対的に既知の位相特性を用いるステップも備えている。
【0041】
また、本発明の別の好適な実施形態によれば、物体の合焦画像を得るための方法を提供し、
(i)物体を照明するステップと、
(ii)物体から出射する照明の波面の振幅および位相情報を、波面が必ずしも合焦画像を生成するとは限らない任意の平面において得るステップと、
(iii)波面の伝搬特性の数学的解によって、波面の伝搬経路に沿った一連の追加平面において、波面の形態を計算するステップと、
(iv)追加の平面のどれにおいて、波面が合焦画像の形態を有するか判定を行うステップと、
を備えている。
【0042】
この方法では、追加の平面のどれにおいて、波面が合焦画像の形態を有するか判定を行うステップは、好ましくは、追加の平面の各々において、波面の少なくとも1つの光学特性の複素関数のエントロピを計算するステップであって、波面の複素関数の累積表面積の尺度からエントロピを決定する、ステップと、エントロピが最小となる伝搬ステップを判定するステップとを備えている。次いで、波面の複素関数は、好ましくは、複素振幅関数、複素位相関数、ならびに複素振幅/位相関数のうち少なくとも1つであるとよい。
【0043】
本発明の別の好適な実施形態によれば、物体の第1および第2セグメント間の高さ差を測定する方法を提供し、
(i)物体のセグメント双方を照明するステップと、
(ii)物体から出射する照明の波面の振幅および位相情報を、波面が必ずしも合焦画像を生成するとは限らない任意の平面において得るステップと、
(iii)波面の伝搬特性の数学的解法によって、波面の伝搬経路に沿った一連の追加平面における波面の形態を計算するステップと、
(iv)波面の追加の平面のどれにおいて、波面が第1セグメントの合焦画像の形態を有するか判定を行うステップと、
(v)波面の追加の平面のどれにおいて、波面が第2セグメントの合焦画像の形態を有するか判定を行うステップと、
(vi)波面が第2セグメントの合焦画像の形態を有する追加の平面と、波面が第1セグメントの合焦画像の形態を有する追加の平面との間の距離を減算することによって、高さ差を得るステップと、
を備えている。
【0044】
前述の方法において、好ましくは、他の測定方法において生ずる位相の曖昧さを低減するために、2つのセグメント間の高さ差を、高さ差の推定値として利用するとよい。
【0045】
また、本発明の別の好適な実施形態によれば、位相測定システムにおいて2π曖昧さを解決する方法を提供し、
(i)第1波長において物体を照明し、物体上に入射する第1波面の位相情報を決定するステップと、
(ii)第2波長において物体を照明し、物体上に入射する第2波面の位相情報を決定するステップと、
(iii)物体において少なくとも2つのセグメントを定めるステップと、
(iv)第1セグメントにおいて第1の点集合を指定し、第2セグメントにおいて第2の点集合を指定すし、第1集合における点の1つを第1アンカー点として定め、第2集合における点の1つを第2アンカー点として定めるステップと、
(v)第1アンカー点と第1の点集合との間の高さ差、および第2アンカー点と第2の点集合との間の高さ差を得るために、第1および第2位相情報の少なくとも1つをアンラップするステップと、
(vi)点の対の集合に対応する高さ差の集合を決定するために、第1および第2位相情報を用いて、第1集合における点と第2集合における点との間の高さ差を計算するステップと、
(vii)近似高さ曖昧さ集合を得るステップであって、各近似高さ曖昧さが高さ差の集合における1つの高さ差に対応する、ステップと、
(viii)第1および第2アンカー点間の近似高さ曖昧さ集合を決定するために、近似高さ曖昧さ集合を用いるステップと、
(ix)第1および第2アンカー点間の近似高さ曖昧さ集合から、第1および第2アンカー点間の高さ曖昧さの最も確率が高い値を決定するステップと、
(x)最も確率が高い曖昧さの値を利用して、第1および第2位相情報測定値間の2π曖昧さを解決するステップと、
を備えている。
【0046】
この方法では、第1および第2アンカー点間の高さ曖昧さの最も確率が高い値は、第1および第2アンカー点間の近似高さ曖昧さ集合の平均値に最も近くなるように取ることが好ましい。あるいはおして好ましくは、第1および第2アンカー点間の高さ曖昧さの最も確率が高い値は、第1および第2アンカー点間の近似高さ曖昧さ集合のヒストグラム・プロットの最大値と取るとよい。
【0047】
本発明の更に別の実施形態によれば、光学システムにおいて空間フィルタリングに用いるための1組のフィルタを提供し、各フィルタが、特徴的なサイズの開口と特徴的スペクトル特性とを有し、各フィルタの開口およびスペクトル特性を、システムにおける画像コントラストを高めるように選択する。各フィルタの開口および空間特性は、好ましくは、撮像光の空間拡散増大の効果を、増大する波長によって、更に撮像光の空間拡散減少の効果を、増大するアパーチャ・サイズによって相互に相殺するために選択する。更に、フィルタの各々について、フィルタの開口のフィルタが動作する波長に対する比率が本質的に一定であることが好ましい。前述の組のフィルタのいずれにおいても、空間フィルタリングは、好ましくは、撮像システムの視野の中心領域と周辺領域との間において実行する。これらのフィルタの組の使用により、機械的な移動を伴わずに、異なる波長に対して異なるアパーチャを得ることが可能となる。
【0048】
また、本発明の追加の好適な実施形態によれば、空間フィルタリングのために撮像システムにおいてコントラストを高める方法を提供し、
(i)少なくとも2つの別個の制御可能な位相変調領域と、主軸とを有する複屈折空間光変調器を設けるステップと、
(ii)複屈折空間光変調器の前に、直線偏光エレメントを配置するステップであって、直線偏光エレメントの偏光方向が空間光変調器の主軸と一致しない、ステップと、
(iii)複屈折空間光変調器の後に、直線偏光エレメントを配置するステップと、
(iv)画像の出力画像コントラストを最適化するように、2つの位相変調領域間に必要な透過率比を決定するステップと、
(v) (a)各波面出力において、2つの位相変調領域間で異なる位相遅延が得られ、(b)全ての波面出力が2つの位相変調領域間において同じ透過率比を有し、(c)同じ透過率比が要求透過率と等しくなるように、直線偏光エレメントの少なくとも1つを回転させ、変調領域の少なくとも1つにおける位相遅延を調節することによって、システムから多数の波面出力を得るステップと、
を備えている。
【0049】
本発明の更に別の好適な実施形態によれば、光学システムにおいてコヒーレント・ノイズを低減する方法を提供し、
(i)撮像対象物体を照明するステップと、
(ii)物体から出射する照明の波面の振幅および位相情報を、波面が合焦画像を生成する波面の伝搬経路に沿った第1平面において、測定するステップと、
(iii)システムにおいて、非合焦距離だけ画像の焦点を外すステップと、
(iv)非合焦距離だけ第1平面から離れている第2平面において、物体から出射する照明の波面の非合焦振幅および位相情報を得るステップと、
(v)非合焦振幅および位相波面情報を用いて、波面の伝搬特性の数学的解法により、第2平面から非合焦距離だけ離れた第1合焦面における再合焦振幅および位相波形情報を計算するステップと、
(vi)撮像物体におけるコヒーレント・ノイズを低減するために、測定振幅および位相波形情報、ならびに再合焦振幅および位相波形情報を組み合わせるステップと、
を備えている。
【0050】
この方法では、組み合わせるステップは、好ましくは、平均、比較、および画像処理のうち少なくとも1つによって実行する。
【0051】
加えて、本発明の更に別の実施形態によれば、第1の所与の平面において波面内のノイズを低減する方法を提供し、ノイズは第2平面に位置する外乱から発生する。この方法は、
(i)所与の平面における波面の振幅および位相情報を測定するステップと、
(ii)波面の伝搬特性の数学的解法によって、波面の伝搬経路内の追加平面における波面の振幅および位相情報を計算するステップと、
(iii)外乱を含む画像を最適に合焦させるのは、追加平面のうちどれに波面が位置するときか判定するステップと、
(iv)外乱を相殺するように、最適合焦位置において波面を修正するステップと、
(v)修正波形を用いて、波面の伝搬特性の数学的解法によって、局在外乱からノイズが発生することなく、画像を得ることができる、第1平面における新たな振幅および位相波形情報を計算するステップと、
を備えている。
【0052】
この方法では、外乱は、合焦していない埃粒子からの同心円フリンジとして現れるとすればよい。このような場合、外乱は、好ましくは、合焦していない埃粒子から同心円フリンジとして現れるようにするとよい。更に、好ましくは、外乱を画像処理によって相殺するとよい。
【0053】
本発明の更に別の好適な実施形態によれば、光学システムにおいて、所与の平面における波面内の収差を低減する方法を提供する。収差は光学システムにおけるどこか他の場所で発生し、この方法は、
(i)所与の平面において波面の振幅および位相情報を測定するステップと、
(ii)波面の伝搬特性の数学的解法によって、波面の伝搬経路内の追加平面における波面の振幅および位相情報を計算するステップと、
(iii)収差の発生源が位置付けられるのは、追加平面のうちどれに波面があるときか判定するステップと、
(iv)収差を排除するように、収差源位置において波面を修正するステップと、
(v)修正波形を用いて、波面の伝搬特性の数学的解法によって、収差のない画像を得ることができる、別の平面における新たな振幅および位相波形情報を計算するステップと、
を備えている。
【0054】
また、本発明の別の好適な実施形態によれば、物体の画像におけるコヒーレント・ノイズを低減する方法を提供し、
(i)コヒーレント照明源、位相マニピュレータ、および多数の光学エレメントを含む光路を備えている撮像システムを設けるステップと、
(ii)ある画像面における物体の画像を表す波面の振幅および位相情報を測定するステップと、
(iii)物体、照明源、および光学エレメントのうち少なくとも1つの少なくとも1つの位置を移動させ、次いで再合焦するステップと、
(iv)移動および再合焦するステップの後、物体の画像を表す波面の振幅および位相情報を測定するステップと、
(v)コヒーレント・ノイズを低減するように、移動させるステップの前後における波面の振幅および位相情報を平均化するステップと、
を備えている。
【0055】
前述の方法では、移動は、好ましくは、光源を少なくとも1つの軸方向に移動させること、および移動する光源の画像面内にそれを維持するための位相マニピュレータの対応する移動から成り、画像を時間ドメインにおいて一体化する。加えて、位相マニピュレータを光源の画像面内に維持し、光源上の同一点を、移動とは無関係に、位相マニピュレータの同じ点上に撮像することが好ましい。あるいはそして好ましくは、移動は、多数の位相変化変換波面を生成するための光路内における位相マニピュレータの移動、または物体のZ軸に沿った異なる合焦および非合焦状態への移動、または異なる軸外れ位置または異なるティルトへの物体の移動から成るとよい。また、本方法は、好ましくは、画像位置合わせのステップを備えているとよい。
【0056】
前述の方法のステップの例は、好ましくは、以下を含むことができる。
【0057】
(i)光源およびPLMの所与の位置において画像を撮影するステップ、
(ii)PLMをその軸のいずれかに沿って移動させるステップ、
(iii)光源の画像が、移動の前に占めていたPLMの同じ位置上を占めるように、それに応じて光源を移動させるステップ、
(iv)PLMおよび光源のこの新しい位置において、別の画像を撮影するステップ。すると、その結果、必要な情報の全てが2つの画像において同一のままとなる。何故なら、光源およびPLMが共役であればよいからであるが、ビームはシステム内の異なる経路を伝達するので、その結果異なる空間ノイズ・パターン、即ち、異なるフリンジ集合が得られる。
【0058】
(v)これら2つの画像の平均を取り、信号対ノイズ比を高めるステップ、
(vi)数個の画像に対してこのプロセスを繰り返し、更に信号対ノイズ比を高めるステップ、そして最後に、
(vii)位相測定システムの入力として「平均画像」を利用し、ノイズの少ない位相を得るステップ。
【0059】
本発明の別の好適な実施形態では、光路は好ましくは回転ウェッジを含み、該ウェッジの回転に伴って光路が空間運動を行うが、光学エレメントの他のいずれの運動も必要としないようになっているとよい。
【0060】
本発明の別の好適な実施形態によれば、撮像システムにおいてコヒーレンス・ノイズを低減する方法を提供し、
(i)第1の精度レベルを有する平滑な画像を得るように、中程度に広帯域の光源を用いて物体を撮像するステップと、
(ii)物体のフィーチャの暫定計算高さを、位相曖昧さの限度内で決定するステップであって、第1の精度レベルは、広帯域光源の短コヒーレント長によって制限される、ステップと、
(iii)平滑な画像よりもノイズが多いが、第1の精度レベルよりも高い第2の精度レベルを有する画像を得るために、コヒーレント光源を用いて物体を撮像するステップと、
(iv)フィーチャの高さを、精度を上げて決定するために、コヒーレント撮像によって得られる位相のために、物体のフィーチャの暫定計算高さを初期入力として用いるステップと、
を備えている。
【0061】
本発明の別の好適な実施形態によれば、撮像システムを用い、当該撮像システムの解像力よりも高い分解能で物体のフィーチャのエッジの位置を判定する方法を提供し、
(i)最良の焦点周囲における多数の異なる焦点外れ距離においてフィーチャの一連の画像を生成し、照明レベルの記録を、画像を横切る横方向距離の関数として生成するステップと、
(ii)記録を分析して照明レベルが画像を横切る共通横方向距離において集束する点を求めるステップであって、点がフィーチャのエッジの位置となる、ステップと、
を備えている。
【0062】
最後に、本発明の更に別の好適な実施形態によれば、更に、多層構造においてオーバーレイの測定を行う方法を提供し、
(i)多層構造を照明し、多層構造のうち第1層内の平面の画像を表す第1複素波面マップの振幅および位相情報を生成するステップと、
(ii)波面の伝搬特性の数学的解法によって、多層構造の第2層内の平面の画像を表す第2複素波面マップの振幅および位相情報を計算するステップと、
(iii)第1および第2層のオーバーレイに関する情報を提供するために、第1および第2複素波面マップを比較するステップと、
を備えている。
【0063】
この方法では、撮像システムを再合焦する必要なく、1回の撮像プロセスにおいてオーバーレイの測定を行うことが好ましい。更に、この方法によって、オーバーレイ測定における振幅および位相情報の使用が、好ましくは、位相情報を用いない撮像方法と比較して、コントラスト測定値を高めることを可能とする。また、多層構造に関して三次元情報を得ることを可能とすることによって、位相情報を用いない撮像方法と比較して、位置ずれの測定を改善する。また、オーバーレイ測定における振幅および位相情報の使用により、位相情報を用いない撮像方法と比較して、測定焦点深度の増大を可能とすることによって、1回の撮像プロセスにおいて1つよりも多い層の撮像を可能とする。
【0064】
本発明は、図面と関連付けた、以下の詳細な説明から一層深く理解および認識されよう。図1から図5について背景で簡単に説明し、残りの図面については以下の詳細な説明において説明する。以下に図面の概要を述べることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0065】
これより図6を参照すると、楕円分光測定によって多層物体の検出および測定を可能とし、前述の位相測定方法を用いる、本発明の第1好適実施形態のエレメントを模式的に示す。照明光源600が、物体602の表面が、顕微鏡の対物レンズ604のような撮像システムを通じて、物体の表面に対する法線に関してある既知の入射角度で傾斜平行光ビーム606によって照明されるように、光学系内に配置されている。照明光ビーム608は、物体の表面で反射し、検出器610上で合焦する。検出器610は、好ましくは、高開口数の対物レンズ604によって、ピクセレート(pixelate)されたアレイである。この手段によって、反射ビームは、大きな視野上からの情報を内包した画像を検出器上に生成する。測定が行われる入射角度のために、s−およびp−偏光に対する反射が異なり、したがって、楕円偏光測定によって各画素の厚さの決定が可能となる。偏光エレメント612が入射ビーム内、好ましくは、対物レンズ604と検出エレメント610との間に、偏光板と補償板とを用いて配置されている。測定は、一時に比較的大きな視野にわたって行われ、撮像楕円偏光測定の使用により、空間分解能の向上を達成することができる。得られたこれらの測定値、既知の入射角度、屈折率の知識、多層スタックにおける層の公称厚さの知識、および既知のアルゴリズムを用いて、物体の各画素または各セグメントにおける薄膜コーティングの厚さを精度高く計算することができる。あるいはそして逆に、前述のスペクトル分析方法、多層スタックにおける層の厚さについての事前の知識、および既知のアルゴリズムを用いて、物体の各画素または各セグメントにおける薄膜の屈折率を精度高く計算することができる。薄膜コーティングの厚さ、および屈折率がわかっていれば、物体の各画素または各セグメントにおいて薄膜コーティングが存在することによる位相変化を、既知の式によって計算することが可能となる。この位相変化は、表面トポロジを正確に取得するために、反射または透過光の位相から排除または減算することができる。照明光は、1つの単一波長を含むコヒーレント光源、数個のコヒーレント光源、または広帯域光源のいずれかとすることができる。反射光をスペクトル分析すると、薄膜コーティングの厚さまたは屈折率を計算するための情報を一層多く提供することができる。
【0066】
物体から反射する波面を2回、2つの偏光の各々について測定する。一方の偏光の測定した複素振幅を、第2偏光の測定した複素振幅で除算することにより、表面トポロジによる位相変化を相殺する。これらの測定値、既知の入射角、屈折率の事前知識、多層スタックにおける層の厚さの事前知識、および既知のアルゴリズムを用いて、物体の各画素または各セグメントにおける薄膜コーティングの厚さを精度高く計算することができる。あるいは、前述の測定値、多層スタックにおける層の精確な厚さの事前知識、および既知のアルゴリズムを用いて、物体の各画素または各セグメントにおける薄膜の屈折率を、精度高く計算することができる。薄膜コーティングの厚さおよび屈折率がわかれば、物体の各画素または各セグメントにおける薄膜コーティングの存在による位相片かは、既知の式によって計算することができる。この位相変化は、正確に表面トポロジを取得するために、反射または透過光の位相から排除または減算することができる。照明光は、1つの単一波長を含むコヒーレント光源、数個のコヒーレント光源、または広帯域光源のいずれかとすることができる。反射光をスペクトル分析すると、薄膜コーティングの厚さまたは屈折率を計算するための情報を一層多く提供することができる。
【0067】
本発明の更に別の好適な実施形態によれば、反射光のスペクトル情報を、測定した反射波面の位相と組み合わせて、多層スタックにおける層の厚さを求める。広帯域光源を用いる場合、多層物体からの反射光を、フィルタ・ホイールまたは分光計によって分析する。加えて、反射波面の位相および振幅は、1つ以上の波長を有するコヒーレント光源および位相測定システムを用いることによって得られる。位相測定システムによって得られた位相データは、前述のスペクトル分析に追加のデータを付加する。位相測定システムおよび前述のスペクトル分析によって得られた位相データ双方を組み合わせて、多層スタックにおける層の厚さを求める。相対的な位相データ、即ち、異なる位置間における相対的な位相差が得られるに過ぎず、絶対的な位相ずれは得られないので、視野内のある位置において、薄膜コーティングの厚さが高精度でわかることが望ましい。絶対的な位相ずれは、この位置において行う測定によって決定することができる。あるいは、透明層がない視野内の位置があれば、この位置も高精度で厚さがわかる位置として供することができる。3つの異なる波長についてのシリコン上酸化シリコンの多層スタックからの反射光の位相および振幅の一例を図7に示す。
【0068】
尚、図7は3つの位相の位相および振幅における厚さ依存性を示し、3つのコヒーレント光源による干渉法によって位相分析を行う状況に対応する。より多くのデータを得るためには、各位相が異なるデータを提供しつつ、これ同じ3つの光源の反射率について、これらの振幅を分析することによって反射率分析を行う。画像から注目すべき別の事項は、振幅の曖昧さが周期的である場合、厚さの位相および振幅測定における曖昧さの種類が異なることである。つまり、振幅が0.6と得られた場合、図7Aによれば厚さが〜0nm、〜180nm、〜350nm等の内どれであるのか知ることができない。位相測定における「不確実範囲」は厚さの範囲である。即ち、波長の1つにおいて「1」の位相を得た場合、400〜500nmの厚さが、この厚さの結果となることができる。これら2種類のデータを異なる不確実性または曖昧さと組み合わせることによって、殆ど曖昧さなく、厚さを特定することが可能となる。
【0069】
本発明の更に別の好適な実施形態にしたがって、薄膜が存在する場合における位相再現および表面トポロジ測定のための改良アルゴリズムについてこれより説明する。薄膜コーティングの存在により、多数の反射に起因する位相変化が、反射または透過波面に加わることになる。この位相変化は、波面が反射する表面トポロジを計算する際に誤差(即ち、反射物体から生成する波面からの逸脱)の原因となる。薄膜コーティングの厚さおよび屈折率がわかれば、付加される位相変化を既知の式によって計算し、反射または透過光の位相から排除または減算し、表面トポロジを正確に計算することができる。本発明のこの好適な実施形態によれば、少なくとも1つのアンカー点を視野内に設け、ここで薄膜コーティングの厚さが精度高くわかるようにする。視野内において薄膜コーティングがない位置があれば、これがアンカー点として供することができる。加えて、位相データまたは振幅データ、あるいは物体からの1つ以上の波長における反射波面の位相および振幅データの組み合わせも与えられる。これらのアンカー点は、アンカー点がどこに位置するかには係わらず、他の点における厚さ、または視野内におけるスタック構造の他の領域における厚さを得るためにも用いられる。
【0070】
本発明の更に別の好適な実施形態によれば、しかるべき照明条件の使用により、多層から成る物体を照明するときの多数回の反射による位相変化の影響を低減する方法を提供する。これを図8に示す。このような第1実施形態によれば、多層から成る物体800を、大きな入射角において傾斜光ビーム802で照明する。入射角が大きいために、多数回の反射808の振幅が減少し、各層の各側からは1回のみの反射が支配的となる。図8に示す例では、最外側層の前面から1回の反射804があり、最外側層の裏面から1回の反射806がある。このように、各層の各側からは反射が1回のみであると想定し、簡略化した反射モデルを用いることができる。簡略化した2ビーム・モデルを用いた位相変化の計算の、多数回の反射でも完全な楕円偏光測定モデルを用いた位相変化の計算からの偏差は減少する。他の実施形態によれば、最外側層とこの最外側層の直下にある層との間で、ブルースター角度(もしもあれば)にて傾斜平行光で物体を照明する。その結果、多数回の反射804、808等の全てはs−偏光となる。反射経路内に直交偏光板を配置すると、p−偏光のみが透過し測定され、このs−偏光は最初の反射でのみ生ずるので、この測定により、下地層からの干渉がなく、外面輪郭を容易に測定することが可能となる。
【0071】
この実施形態の方法によれば、1つまたは多数の透明層が存在する場合のトポロジ測定のために白色光干渉計を用いるアルゴリズムを提示する。このアルゴリズムは次のステップを含む。
【0072】
A.「標準的な」白色光干渉計画像強度データを取り込む。
【0073】
B.各画素の強度データをフーリエ変換して、フーリエ分光法と同様に、各画素のスペクトル反射率を得る。
【0074】
C.既存の「分光法」モデル、各画素における材料の厚さおよび屈折率に関する既知データ、ならびにステップBにおいて記載したように、各画素において計算したスペクトル反射率を用いて、各画素における層の精確な厚さを得る。
【0075】
D.既知のアルゴリズム、ならびに各画素における層の材料の厚さおよび屈折率に関するデータを用いて、各画素において多層スタックに起因する位相変化を計算する。
【0076】
E.白色光干渉法によって取得した強度データを用いて、ウェーブ・パケット(wave-packet)を「最良に合焦すること」により、物体の輪郭を得る。これらの輪郭は、各画素における多層スタックによって誘発される位相変化による誤差を含む。
【0077】
F.(ステップD)において前述した)各画素における多層スタックに起因する位相変化の計算値を用いて、位相に起因するコヒーレント・エンベロープ・ピークの誤差を補正し、補正した表面トポロジを得る。
【0078】
事前の知識を追加して高さ測定の範囲を広げるために、または異なる多層スタックから成る物体を用いて動作するために、視野を異なるセグメントに分割し、各セグメントが異なる特性を有し、異なるセグメント毎に、その特性の異なる事前知識を付加できるようにすることが好ましい。従来技術において、振幅データのみに基づいてセグメント分割を行う「白色光」方法がいくつか知られている。しかしながら、本発明のこの好適な実施形態によれば、位相測定システムによって得られた位相および振幅データ双方を組み合わせて利用すれば、物体の表面セグメント分割を行うプロセスが改良される。好適な実施形態では、異なる波長における物体の画像を表す少なくとも2つの波面が得られ、各波面が位相および振幅データを有し、これらの位相および振幅データを用いて、画像のセグメント分割を行う。この方法は、既知の方法によって、「白色光」から得たセグメント分割を補正するために用いることができる。あるいはそして好ましくは、図9に示すように、このデータは、同じ反射率を有するが位相変化が異なる(そして、「白色光」方法では差別化することができない)異なる多層スタック間で差別化するために用いることができる。
【0079】
前述の波面分析方法では、複数の異なる空間位相変化の各々を、好ましくは、既知の値を有する空間的に均一な位相遅延を、変換した波面の所与の空間領域に適用することにより、変換波面に適用する。前述の従来技術の図4に関連する説明に見られるように、これらの異なる位相変化を支配する空間関数は、「G」で示されている。関数「G」は、変換波面の各空間位置において適用した位相変化の空間関数である。好適な実施形態では、空間位相変化は、変換波面の中心部に適用され、変換波面にとってはローパス・フィルタとして作用する。しかしながら、関数「G」の空間的寸法が大きい場合、真のローパス・フィルタとして作用しない。この場合、撮像した波面を再現することは困難である。更に、関数「G」の空間寸法は、用いる波長に応じて増減し、したがって短い方の波長に対してはローパス・フィルタとして作用しない。本発明の更に別の好適な方法によれば、改良したアルゴリズムを実施する。この改良したアルゴリズムにしたがって、空間寸法が小さな「偽りの」「G」を用いて、基本的な再現を行う。この再現した波面から、「真の」空間寸法に対応するディジタル・ローパス・フィルタリングによって新たな「S」関数を得て、α(x)およびΨ(x)の補正値を計算する。これらの補正値を用いて、補正した再現を得る。このプロセスを繰り返し継続することにより、再現の精度が高くなる。
【0080】
本発明の更に別の好適な方法によれば、波面伝搬および再合焦によって位相および表面トポロジの測定を改良する方法も提供する。周知のように、マクスウェルの方程式は一意の解を有するので、任意の平面における特定の解、およびその境界条件の全てがわかれば、他のどの平面における解も絶対的に決定することができる。したがって、放射複素振幅は、前述の波面分析方法によって、またはある平面におけるいずれかの既知の波面検索方法によって、任意の平面において分析または検索することができ、既知の式によって他のどの所望の平面にも伝搬することができる。これより図10を参照すると、Z方向への波面の伝搬が模式的に示されている。ボックス1000の形態で所与の振幅を有する波面が、平面P1までの距離Z1を伝搬する。平面P1において、伝搬した放射線の複素振幅は、以下の関数で記述することができる。
【0081】
【数5】
【0082】
P1における振幅は、もはや均一ではない。平面P1における放射線の複素振幅は、更に、平面P2までの距離Z2を伝搬する。波面の複素振幅が伝搬するに連れて、振幅および位相が変化し、関数
【0083】
【数6】
【0084】
で記述される異なる複素振幅が平面P2において得られる。波面が1つの平面においてわかれば、他のいずれの平面においても計算することができる。前述のPCT国際公開第WO03/062743号には、ソフトウェア伝搬によって、即ち、マクスウェルの方程式の解に基づくアルゴリズムの使用によって、異なる「合焦」状態を得て、波面の物理的な伝搬を計算する方法が記載されていれる。この方法論を用い、測定デバイスが測定対象の物体上に合焦していない場合、(合焦していない)測定した波面の複素振幅を測定面から他のいずれかの所望の平面に伝搬させ、合焦した画像に対応する波面を得ることができる。
【0085】
したがって、最良の焦点面は、一連の伝搬波面または一連の画像から、「最少エントロピ」と言われているものを有する波面または画像を発見することによって得ることができる。この含意において有用なエントロピの一例は、波面の複素振幅関数の累積「表面積」である。この表面積は、好ましくは、例えば波面の複素振幅関数の積分によって求めることができる。別の可能なエントロピの例には、波面のみの振幅関数の累積表面積、または波面の位相関数の累積表面積がある。一連の波面は、既知の伝搬式を用いての、測定した複素波面の異なる平面へのソフトウェア伝搬によって得ることができる。一連の画像は、ソフトウェア再合焦によって、または物体の異なる焦点位置からというように、他のいずれかの源泉から得ることができる。強度画像では、エントロピに可能な定義の1つは、画像の強度関数の累積表面積である。これより図11を参照し、焦点距離に沿った任意の波面の伝搬位置の関数として、この波面のエントロピ・プロットを示す。縦軸のゼロにおける焦点距離は、波面を測定した開始平面を表す。焦点が最良の焦点1100を通って前進するに連れて、エントロピは明確な最小値を通過して進んで行くことがわかる。グラフの右側における局所最小値1102は、ビーム制限アパーチャが焦点に入る位置によるアーチファクトである。
【0086】
本発明の別の好適な方法によれば、そして図12における方法の模式図を参照すると、「最良の合焦」は、画像または波面の異なるセグメント1200、1202に独立して適用する。一方のセグメントの「最良の焦点」1204から別のセグメントの「最良の焦点」1206の平面までの波面伝搬を用いることによって、これら2つのセグメント間の高さ差を、図12に模式的に示すように、2つの合焦面間の伝搬距離として決定することができる。加えて、セグメントのエントロピ自体が、セグメントの焦点外れの量についての尺度として、または初期推定値として供することができる。言い換えると、異なるセグメントのエントロピを測定することにより、エントロピ関数の集束率の所定の知識から焦点距離の差、したがって異なるセグメント間の高さ差を計算または推定することができる。したがって、これら3つのステップを高さ測定方法に組み込むことができる。即ち、
(i)測定した波面の波面伝搬により数個の複素波面および対応する画像を求め、各複素波面が異なる焦点状態に対応する。
【0087】
(ii)セグメント毎に最少エントロピ・アルゴリズムを適用することにより、セグメント毎の「最良の焦点」の複素波面を決定する。
【0088】
(iii)第1セグメントに対応する最良焦点複素波面と第2セグメントに対応する最良焦点複素波面との間における「伝搬距離」によって、どの2つのセグメント間の高さ差をも計算する。
【0089】
尚、双方のセグメントが合焦状態となる画像は、これらのセグメント間の高さ差を計算しなくても、伝搬によって構築できることを記しておく。
【0090】
本発明の別の好適な方法によれば、最良の合焦および高さ測定値は、立体波面伝搬を適用することによって求めることができる。これより図13を参照して、この手法を用いると視認される物体1300を示す。ここでは、波面がある指定した方向のみに伝搬する間に、伝搬する距離にしたがって、波面の角度スペクトルの一部のみを用いることによって撮像する。この所望の距離への伝搬は、仮想アパーチャ・ストップ(virtual aperture stop)1302によって遂行する。次いで、再度ソフトウェアによって波面を異なる方向に伝搬させる。このとき、アパーチャ・ストップ1302’を図13におけるその破線位置に仮想的に移動させることにより、伝搬する方向に応じて、図13において点線で示すように、角度スペクトルの別の部分を撮像する。このように、異なる方向に伝搬する2つの異なる波面を得ることができる。これは、立体視において得られる2つの異なる画像と同様である。これら2つの異なる波面を用いて、物体の深さまたは高さデータを、アナログ様式で、目が深さの認知を決定することができる程度に到達させることができる。
【0091】
最良合焦位置を利用する、本発明による好適な方法の他の用途について、これより提案する。多重波長波面決定方法を用いて表面トポロジ測定の範囲を拡大するために、2π曖昧さを克服する多重波長測定解法の能力を阻む撮像ノイズを克服するために視野における異なるセグメントの高さに関する従来のデータが必要となることが多い。本発明によれば、視野における異なるセグメントの高さに関する従来のデータは、各セグメントの「最良合焦」から得ることができる。同様に、干渉の2π曖昧さを解決するための従来のデータは、視野における各セグメントの「最良の合焦」から得ることができる。
【0092】
本発明の更に別の好適な実施形態によれば、表面トポロジ測定の範囲を拡大する装置および方法を提供する。表面トポロジ測定では、多くの場合、広い範囲にわたって高さを測定する必要がある。高さ測定に対する干渉法の範囲は、2π曖昧さのために制限される。高さ範囲を拡大する既知の方法の1つは、数個の異なる波長を用いて2π曖昧さの問題を解消することである。しかしながら、この方法はノイズに敏感である。
【0093】
この方法によれば、異なるセグメントにおける画素間の2π曖昧さを計算する際に、以下のアルゴリズムを用いて、位相の少なくとも2つの波長再現を組み合わせる。
【0094】
A.少なくとも1つの波長において再現した波面の位相をアンラップ(unwrap)する(高さ差から離れた領域においてのみ、明確な位相測定が得られる)。
【0095】
B.視野において各セグメント内で1つのアンカー点を選択する(以後,FOVと呼ぶ)。
【0096】
C.各セグメントにおける多数の点の対の明確な高さ差を計算する。各対の一方は当該セグメントのアンカー点であり、再現した波面の位相を用いる。各セグメントにおける点の対における点の各々は互いに近接しているので、高さ差を明確に計算することができる。
【0097】
D.3つのセグメントにおける各点の対の曖昧さの順序(ambiguity order)から、各セグメントから1つ、これら2つのセグメントの2つのアンカー点の曖昧さの順序を、点の対毎に繰り返し求める。
【0098】
E.これらのアンカー点の対の曖昧さの順序のヒストグラムを設定し、順序について1つの値を選択する。この値は最も確率が高い値とすることができ、平均または曖昧さの順序のヒストグラムからのその他のいずれの統計的派生値にも最も近い。
【0099】
F.選択した順序の値を再度用いて、各点の曖昧さの順序を、再度、精度を上げて求める。
【0100】
この方法は、異なるアンカー点の対に対して繰り返し、精度およびノイズに対するロバストネスを高めることができる。
【0101】
別の方法によれば、FOVにおける異なるセグメント内の異なる画素間の2π曖昧さの順序は、以下の第2アルゴリズムを用いて、少なくとも2つの位相の波長再現を組み合わせることによって計算する。このアルゴリズムは、数学的には、前述のアルゴリズムと同等である。
【0102】
A.少なくとも1つの波長において再現した波面の位相をアンラップする(高さ差から離れた領域においてのみ、明確な位相測定が得られる)。
【0103】
B.FOV、S、Tにおけるどの2つのセグメントについても、多数の点の対(Mi、Ni)を選択する。ここで、MiはSの点であり、NiはTの点である。点の対(Mi、Ni)毎に、少なくとも2つの波長再現を組み合わせて、点Miの高さと点Niの高さとの間の明確な差を計算する。
【0104】
C.点Niにおいてアンラップした高さ(ステップAにおいて得られた)を加算し、点Miにおいてアンラップした高さ(ステップAにおいて得られた)を減算し、点Miにおける明確な高さと点Miにおけるアンラップした(ステップAにおいて得られた)高さとの高さ差Δiの曖昧さの順序を得る。
【0105】
D.差Δiの曖昧さの順序のヒストグラムを設定し、この順序に対して1つの値を選択する。この値は、この値は最も確率が高い値とすることができ、平均または曖昧さの順序のヒストグラムからのその他のどの統計的派生値にも最も近い。
【0106】
本発明の更に好適な方法によれば、視野における異なる画素間の2π曖昧さの順序は、少なくとも2つの波面再現を組み合わせ、2つの波長においてそれらの位相を得ることによって、そして以下のアルゴリズムを用いて計算する。
【0107】
A.視野において数個の基準点および1つのアンカー点を選択する。
【0108】
B.視野における各画素と基準点との間の曖昧さの順序を、再現した波面の位相を用いて計算する。
【0109】
C.各画素と基準点との間で計算した曖昧さの順序を用いて、当該ある画素とアンカー点との間の曖昧さの順序を繰り返し求める。
【0110】
D.当該ある画素の曖昧さの順序のヒストグラムを設定し、最も確率が高い順序を選択する。
【0111】
この方法は、異なるアンカー点について繰り返せば、精度を高めることができる。
【0112】
2つ以上の波長を用いて物体の表面トポロジを生成する場合、2つ以上の単一波長の再現を、波長毎に1つずつ得ることができる。一般に、単一の波長位相関数を用いて、波面の位相を決定し、他の波長位相関数を組み合わせて、この波長の位相の2π曖昧さを解消する。しかしながら、これら2つ以上の解決した単一波長再現は、以下のように、再現を改善して生成するために用いることができる。視野における各位置において、これら解決した単一波長再現の内1つのみを用いて波面の位相を決定する。これは局所的に最も高い品質を有する。このように、異なるセグメントに対して、各セグメントにおける波長毎のデータの品質に応じて、異なる単一波長再現を用いることができる。局所的に精度が低い他の波長における位相を組み合わせて、精度が高い波長の位相の2π曖昧さを解決する。あるいは、解決した全ての単一波長再現のある平均を用いる。この場合、この平均を計算するための重みは、単一波長再現の各々の品質マップによって決定し、FOVにおける異なる位置に対しては異なる場合もある。
【0113】
「白色光干渉法」では、基準ミラーに対して光路差を有し、光のコヒーレント長未満である高さにおいてのみ、フリンジ・パターンを見ることができる。このため、白色光源をコヒーレント光源と共に用いると、「白色光干渉法」のフリンジ・パターンは、コヒーレント光源を用いて干渉法の曖昧さを解消するためのアンカー高さとして供することができる。一例として、高さに1μmの差がある、FOVにおける2つのエリアは、多数のコヒーレント波長を用いると、1μm異なるように、または4μm異なるように見ることができるが、白色光を用いると、これら2つのエリアが互いから1μm以内にあるか否か、間違いなく決定することができる。あるいは、白色光干渉をコヒーレント光干渉法と共に用いると、干渉法のために事前のデータを提供することができる。図14を参照すると、白色光およびコヒーレント光干渉法を組み合わせて用いることに基づいた、干渉法装置の模式図がある。白色光1400およびコヒーレント光1402は、ビーム・スプリッタ1404、1406によって物体1401に誘導され、反射光がCCD1408上に撮像する。
【0114】
波面分析に広帯域照明を用いると、広帯域光のコヒーレント長に限界があるために、高さ計算において誤差が生ずる。本発明の更に別の好適な実施形態によれば、十分に誤差が少ない広帯域照明を用いた測定を、データ発生器として用いることができ、コヒーレント光源干渉法のための先験的データを提供することができる。
【0115】
本発明の更に好適な方法によれば、波面再現のためにコントラストを高める装置および光学素子を提供する。ゼルニケ位相コントラストのような、そして前述の方法および国際特許出願公開第WO03/062743号のような種々の再現方法において、位相光変調器(PLM)の中心領域と周辺領域を通過する光の間の干渉のために、撮像コントラストは、アパーチャ・サイズおよび波長に左右される。コントラストは、これら2つの領域を横断する比較光レベルによって決定する。2つの領域におけるエネルギ・レベルが近い程、画像のコントラストは高くなる。波長が長い程、PLMの平面における光の空間拡散は大きくなる。加えて、加えて、アパーチャが小さい程、PLMの平面における光の空間拡散が大きくなる。したがって、波長毎に最適なコントラストを得るためには、アパーチャの寸法を波長の関数として修正することが望ましい。
【0116】
異なる波長に対するアパーチャの寸法は、図15に示すような異なるスペクトル・フィルタを用いることによる等で、異なる波長に対して異なる透過率を有する同心円から成るアパーチャによって修正することができる。このように、各波長または波長範囲にはそれ自体のアパーチャを設ける。このようなアパーチャの構築は、異なる波長または波長範囲、および用いる波長に応じて拡縮したアパーチャの空間寸法に対してコントラストを最適化することができる。
【0117】
本発明の別の好適な実施形態によれば、システム・アパーチャのようなスペクトル感応フィルタの代わりに、PLMの中央部分と比較して周辺部分の透過率を変化させるために、PLMに接近してこれを配置することができる。このエリアの透過率を低下させると、コントラストを高めることができる。これによって、波長毎に別々にコントラストを高めることが可能となる。コントラストが低い場合、PLM空間スペクトル透過関数の調節を用いれば、コントラストを改善することができ、特にPLMの中心領域および周辺領域の相対的スペクトル透過を改善することができる。
【0118】
本発明の更に好適な方法によれば、位相マニピュレータの前後に偏光板および第1回転偏光板を光学系に追加する方法を提供し、位相マニピュレータは、複屈折材料から成り、種々の顕微鏡空間フィルタリング方法において画像面において得られるコントラストを制御し最適化する。位相マニピュレータは、複数の異なる空間部分を有する。各部分において、光の2つの偏光に対して、各部分に印加する制御信号に応じて、異なる光路差を選択することができる。偏光板の偏光状態、および各部分における光路差は、光の透過率および位相遅延に影響を及ぼす。このため、光路差を変化させ、第2偏光板を回転させることによって、位相マニピュレータの各空間部において光の透過率および位相遅延を制御することができる。
【0119】
好適な一実施形態では、位相マニピュレータは、2つの空間部分を有し、複屈折材料の光軸は、第1偏光板の軸に対して45゜に配置されている。第1偏光板の軸はX軸に対して平行であり、位相マニピュレータの各空間部分の透過率τは、以下の式で与えられる。
【0120】
【数7】
【0121】
ここで、θiは、ある空間位置iにおいて2つの偏光間で位相マニピュレータによって生じた位相遅延、
αは、X軸(第1偏光板の軸)に対する回転偏光板の角度である。
【0122】
位相マニピュレータの各部分において回転偏光板を通過した後の光の位相遅延は、以下の式で与えられる。
【0123】
【数8】
【0124】
位相マニピュレータの2つの空間部分間における位相遅延差は、次の通りである。
【0125】
【数9】
【0126】
ここで、位相遅延差は、波面分析に用いるために、異なる位相変化の複数の波面を得るために利用する。
【0127】
いずれの透過率比τ1/τ2が必要であっても、Δθには4つの異なる解があり、異なる値のαも必要となる場合がある。したがって、本願の背景の章に記載したように、完全な波面決定を行うために必要な3つの異なる画像を得るために、これら4つの解を用いることができる。逆に、第2偏光板を固定すると、即ち、固定したαに対して、必要な透過率を得るためにPLMの種々の空間部分における位相遅延の調節によって位相差を加えると、θに対して2つの解があり、したがってθ’に対して4つの解があり、したがってΔθに対して少なくとも4つの解がある。したがって、本願の背景の章に記載したように、完全な波面決定を行うために必要な4つの異なる画像を得るためにこれら4つの解を用いることができる。
【0128】
本発明によれば、どの所与の透過率比τ1/τ2に対しても、一定の位相マニピュレータを用いることにより、位相マニピュレータの2つの部分間において4つの異なる位相遅延を発見することができる。好適な実施形態では、一定位相マニピュレータは、複屈折率材料から成り、その前に1つの偏光板があり、その後ろに回転偏光板がある。位相マニピュレータの複屈折率材料の光軸は、第1偏光板に対して45゜に配置されている。位相マニピュレータの一方の部分はλ/4波長板として作用し、他方の部分はλ波長板として作用する。この場合、 位相マニピュレータのλ/4波長板部分の透過率は常に0.5である。位相マニピュレータのλ波長板の部分における透過率は、第2偏光板の回転によって制御することができ、以下の式で与えられる。
【0129】
【数10】
【0130】
位相マニピュレータのλ波長板の部分における位相遅延は、常にゼロであり、位相マニピュレータのλ/4波長板部分における位相遅延は、以下の式で与えられる。
【0131】
【数11】
【0132】
式(5)を用いると、どの所与の透過率比τ1/τ2に対しても、位相マニピュレータの2つの部分間において4つの異なる位相遅延を発見することができる。
【0133】
本発明の更に好適な方法によれば、多数の異なる実施形態において、物体のコヒーレント照明の結果混入するノイズを低減することにより、波面再現のために画質を改善する装置およびアルゴリズムを提供する。このような第1実施形態によれば、異なる平面において測定した異なる伝搬波面の位相および振幅成分を比較または組み合わせると、波面測定値を補正し、ノイズを低減することができる。何故なら、これらの間の差はノイズのみの結果であり、真のデータの結果ではないはずであるからである。この方法によれば、完全な波面再現を含む1回の測定値をある焦点面において取り込み、同様に完全な波面再現を含む別の測定値を、システム・ハードウェアによって画像の焦点を既知の量だけはずす平面において取り込むことによって、ノイズ低減を達成することができる。次いで、前述の方法において説明したように、伝搬ソフトウェアによって、適用した焦点外しの既知量だけ、焦点を外した波面を再度合焦し、こうして第2の合焦波面を生成し、平均化、組み合わせ、またはその他の既知の画像処理機能のどれかによってこれら2つの波面を組み合わせることを用いて、ノイズを低減することができる。
【0134】
本発明の更に別の実施形態によれば、光路内における埃や欠陥のような、異なる平面における局所的外乱によってノイズが生ずるためにノイズのある波面を、外乱が局在する平面に伝搬させる。即ち、外乱を合焦状態にする。次いで、その平面において、近隣エリアの内挿補間または平均化、あるいは他のどの方法によって、外乱を排除することができる。次いで、修正した波面を元の平面、または他のいずれかの定めた平面に逆伝搬し、外乱のない波面を生成する。同じ方法は、画像の収差を補正するためにも用いることができる。収差源があり既知の形態を有する平面に波面を伝搬させることができ、そこで収差を排除し、波面を逆に伝搬させて、収差のない波面を生成する。
【0135】
これより図16を参照し、外乱の円形フリンジの周波数および位置を用いて、外乱源の位置、即ち、外乱が合焦状態にある平面の直接計算によって、光路内の埃または欠陥によって生ずるような、波面における外乱の影響を低減するこの方法を実施する好適な方法を模式的に示す。この位置的知識は、真の外乱源を相殺する、同じ位置における仮想外乱源を追加することによる等で、外乱を排除するために用いることができる。外乱は、いずれの点源外乱、または光構成要素が生成するような、他のどの種類の外乱でも可能である。図16は、外乱源の位置1602、その出射波面1606、および得られたフリンジ・パターン1604を示す。
【0136】
本発明の更に別の好適な方法は、撮像、特にコヒーレント撮像において、そして前述の波面分析方法の結果において、分析対象の物体の多数の画像を光学撮像経路におけるいずれかのエレメントの移動によって取得することにより、ノイズを低減するために用いることができる。この移動は、以下に記載する移動の1つまたは組み合わせのどれかとすることができる。
【0137】
I.3本の軸全てにおける物体照明光源の移動、および移動する光源の画像面にPLMを維持し、画像を時間領域において統合する場合に、光源の移動を補償するための、対応するPLMの移動。
【0138】
II.多数の位相変化変換波面を生成するための光路内で用いられるPLMの移動。
【0139】
III.異なる合焦および非合焦状態へのZ軸に沿った物体の移動。
【0140】
IV.軸外れの異なる位置または異なる傾斜および画像位置合わせにおける物体の移動。
【0141】
V.光路におけるあらゆる光学構成部品の移動。
【0142】
これらの方法によれば、画像情報は加算的であるので、多数の画像の移動および平均化の補償を実行してノイズの影響を低減し、ノイズは移動位置毎に空間的に異なるので平均を取る。補償は、これら多数の画像の位置合わせ、およびこれら位置合わせした画像の平均化によって遂行することができる。あるいはそして好ましくは、ハードウェア、および多数の画像の平均化によって移動を補償する。あるいは、波面伝搬および操作のようなソフトウェアによって移動を補償することが好ましい場合もあり得る。これらの位置合わせ、補償および平均化は、画像の強度、または物体の再現によって生ずる測定結果のいずれかに対して実行することができる。
【0143】
これより図17を参照し、撮像システムのエレメント自体のいずれをも機械的に移動させずに、光源1702とビームが入射するPLM上における特定点1722との間で光路を変更する方法を実施するための、本発明の別の好適な実施形態にしたがって構築され動作する好適な装置を示す。システムを貫通するその経路の間に、物体を照明する平行ビームを、同一スポット1722において常にPLMに入射するように導く。ビームは、異なる光路に沿って、光源と図17における1704として模式的に示すPLMとの間にある撮像システムを通過するようにされている。物体を照明する平行ビームは、物体を照明している間導かれ、その復路においては入射経路と平行な経路に導かれる。図17において、回転ウェッジ(rotating wedge)1706を用いてビームの運動を生成する。ウェッジは、好ましくは、照明システムの光軸に平行な軸1720を中心に回転する。ウェッジ1706の回転により、破線で経路を示す入力照明ビーム1710が、回転ウェッジから、その出力点1712において動揺(wobble)する経路を生成し、ウェッジが回転するに連れて円形に導かれる経路を記述し、出力点からの伝搬の方向は、循環的にウェッジの回転位置に依存する。図17において、回転ウェッジの1箇所についてのみ経路が示されている。動揺するビームは、ルーフ・ペンタ・プリズム(roof-penta prism)1708内に導かれ、ビームはそこから反射し、更にビーム・スプリッタ1714において反射して、システム1704の撮像部に向かい、次いでPLM1722に向かう。ペンタ・プリズム1708は、X−およびY−方向に奇数回の反射を生ずるために用いられており、ビーム・スプリッタ1714における反射と組み合わせて、偶数回の反射が生じることになり、後方反射効果を生成し、戻るビームは常に入射ビームと平行となる。所与の角度でエッジに入るどのビームも、光路全体を通過した後に同じ角度で戻って来る。したがって、光源とPLM上の入射点との間の撮像関係は、ウェッジが回転するに連れてこれらの間の光路が空間的運動を受けても、不変である。
【0144】
本発明の更に別の好適な実施形態によれば、測定値を補正し、それによってノイズを低減するために、撮像物体のフーリエ変換の計算および測定強度を比較または組み合わせることによって、撮像システムにおいてコヒーレント・ノイズを低減する方法を提供する。これを行う好適な方策の1つは、好ましくは、(i)物体の、完全な波面再現を含む、撮像面において測定を行い、波面のフーリエ変換を計算するステップと、(ii)フーリエ面を直接撮像することにより、物体を撮像する撮像システムのフーリエ面の実強度画像を取得するステップと、(iii)再現した波面から得られ計算したフーリエ変換の強度を、フーリエ面において得られる実強度画像と組み合わせるか平均化するか、あるいは画像処理によって処理しつつ、計算したフーリエ変換の元の位相を不変のまま残しておくステップと、(iv)同じ位相関数を用いて逆フーリエ変換を実行し、ノイズを最少に抑えた修正波面再現を生成するステップとを備えることができる。
【0145】
加えて、好ましくは、撮像システムにおけるコヒーレント・ノイズは、広帯域光源およびコヒーレント光源のような光源の組み合わせを用いることによって低減することができる。広帯域光源は、平滑な画像を得るため、視野において異なるセグメントを定めるため、そして位相曖昧さの制限以内で暫定計算セグメント高さを決定するために用いられるが、計算した高さは、白色光のコヒーレント長に限界があるために正確ではない。これら高さの暫定的計算値は、各セグメントの正しい高さを決定するために、コヒーレント光源によって得られた位相の初期入力として供する。これは、コヒーレント光源を用いて精度高く決定される。
【0146】
本発明の別の好適な方法によれば、物体の表面トポロジを生成するために2つ以上の波長を用いることによって、撮像システムにおけるコヒーレント・ノイズを低減することができ、2つ以上の単一波長再現を、波長毎に1つずつ、得ることができる。一般に、波面の位相を決定するために単一波長位相関数が用いられ、他の波長位相関数を組み合わせて、この波長の位相の2π曖昧さを解消する。しかしながら、これら2つ以上の解決した単一波長再現を用いれば、以下のようにして、再現を改良して生成することができる。視野の各位置において、異なる単一波長再現を比較し、1つ以上の解決した単一波長再現がある位置において平滑なパターンを与える場合、他の単一波長再現の他のパターンも同じように平滑化される。スムージングは、平滑な単一波長再現の品質マップによる重み付けというような、精巧化を高めた重み付けアルゴリズムによる影響を受ける可能性がある。
【0147】
本発明の更に別の好適な実施形態によれば、撮像システムにおけるコヒーレント・ノイズは、2つの異なる光の変更によって得られる2つの画像の組み合わせおよび平均を用いることによって低減することができる。
【0148】
空間コヒーレント光を用いて動作する撮像システムは、多くの発生源、特に光路における異なる層間の干渉パターンによって生ずるフリンジのために、ノイズが多い場合がある。フリンジを排除し、横方向分解能を高めるために、光の空間コヒーレンスを低減することが望ましい。しかしながら、複数の位相変化変換波面から複数の強度マップを得るためには、空間位相変化を適用する波面全体に対する空間コヒーレンスが好ましい。この好ましい方法によれば、1つの次元のみに空間コヒーレンスを有する光源を用いることが好ましい。これは、例えば、点光源の代わりに線光源を用いることによって遂行することができる。この線光源は、分析物体からの光を反射するため、または部分的に透明な分析物体に光を透過させるために用いることができる。加えて、変換波面(先に「G」を付した)の各空間位置において適用する位相変化の空間関数は、好ましくは、線関数(line function)であり、変換波面の中心領域を通過する、比較的幅が狭い、線状の細長い形状を有する領域において、空間的に均一な空間位相遅延を生成する。この線空間関数を線光源と共に用いると、計算アルゴリズムを、前述したものと非常に類似した計算アルゴリズムに変換する。この線位相遅延は、例えば、図18に示すように、フーリエ面においてフィルタによって導入することができる。図18の好適な実施形態では、光は、線光源1800から、物体1802を通じて投射される。得られた波形をレンズ1804によって、好ましくはレンズ1802の焦点面に位置する線位相マニピュレータ1806上に合焦する。波面を検出器1810上に撮像するために、第2レンズ1808を配置する。
【0149】
図18において前述した構成では、Y方向における空間コヒーレンスが消滅する。図18の好適な実施形態においてカメラの表面上に得られるような撮像面では、物体の畳み込みおよびフィルタのフーリエ変換が一方向(X)についてのみ得られ、他の方向(Y)については得られない。したがって、分析物体の測定に必要な計算、即ち、分析対象の波面の位相および振幅を得るために必要な計算は、一方向においてのみ実行すればよく、双方の方向で実行する必要はない。加えて、測定および分析システムは、測定を反射または透過のいずれによって行っても、Y軸での分析物体のティルトに対する感度は遥かに低い。続いて、分析物体を回転させ、他の寸法(dimension)におけるティルト(tilt)の感度を低下させることができる。尚、線は光源の好ましい形状の一例に過ぎず、点光源以外のいずれの形状でもコヒーレンスに作用し、したがって使用可能であることは明白である。各時点について光の空間コヒーレンスを順番に一方向において消滅させるときに2つの画像の組み合わせを用いることにより、分析物体を二次元で独立して再現することが可能となる。これら2つの再現画像を組み合わせると、物体の2−D画像の第3次元を再現することができる。
【0150】
2つの一次元再現画像は、光源および位相板をフーリエ面において同様に回転させることによって得ることが好ましい。あるいは、2つの一次元再現画像を得るには、光の異なる2つの偏光を用いる。各偏光は、それ自体の一次元光源と、フーリエ面における一次元位相板とを有する。回転偏光板は、好ましくは、一度に1つの強度画像をカメラに向けて透過させる。更に好ましくは、光源は2つの交差一次元光源(線光源)から成り、各々異なる偏光を有するとよい。フーリエ面における位相板は、交差パターンの複屈折材料から成り、交差における一方の線は、一方の偏光に対してのみ適した位相の移行(phase shift)を行い、交差における他方の直交線は、他方の偏光に対して適した位相の移行を行う。回転偏光板は、好ましくは、一度に1つの強度画像をカメラに対して透過させる。
【0151】
多くの用途においては、光学システムによってのみ解決される小さなフィーチャ、または光学システムによって解決可能な最小サイズよりも遥かに小さいフィーチャを測定することが望まれる。測定の要求精度は、フィーチャが既にぼけて見えたり、あるいは従来の撮像によっては見ることすらできない光学システムの解像力よりも数桁高くなければならない場合もある。ここで図19を参照すると、これは、50倍の対物レンズを有する顕微鏡によって撮影した一体化光学導波路構造の画像を示す。解像力が0.5μの光学システムを用いて、導波路間のフィーチャ幅即ち間隔である、0.05μの精度で測定する必要がある。
【0152】
これより図20を参照し、図19の画像に印した区間で示すように、図19の画像の拡大部分を示し、画像におけるエッジの詳細が、顕微鏡の解像力の限界によってぼける様子を示す。測定対象のターゲットの画像を異なる焦点外れの位置で撮影すると、画像のぼけが焦点外れの度合いに応じて変化する。
【0153】
これより図21を参照すると、これは、異なる焦点外れレベルについて、デバイスの画像における導波路のエッジを横切る照明の断面の曲線を示すグラフである。見てわかるように、断面の全ては同じ高さ位置を通過しており、示される幅は暗い線の真の幅である。
【0154】
この方法によれば、測定対象の画像を数枚、好ましくは、異なる焦点外れ位置において撮影し、画像における異なるフィーチャのエッジを横切る照明の断面をプロットする。異なる焦点外れ位置について横方向位置の関数として強度の関数において固定点で照明のプロット全てが集束する点を求めることにより、エッジおよび異なるフィーチャ間の間隔の高精度な測定値を得ることができる。照明光源は、いずれの程度のコヒーレンスでも有することができる。撮像センサの主軸に対して狭い線を回転角度に位置付けると、線の真の幅を決定する精度を高めることができる。これを図19および図20において、XおよびY軸を横切る撮像センサの軸に対して狭い対角線によって示す。
【0155】
本発明の別の好適な実施形態によれば、異なる焦点外れ位置において、波面分析システムを用いて測定対象ターゲットの測定を数回行う。画像における異なるフィーチャのエッジを横切る強度または位相あるいは双方の断面をプロットする。エッジおよび異なるフィーチャ間の間隔は、これらのプロットの半分の高さの点を求めることによって高精度に測定することができる。
【0156】
これより図22を参照し、周期的な波長未満の構造の断面を模式的に示す。この構造の詳細を、本発明の更に別の好適な実施形態によって解決し特徴付ける。この実施形態の方法によれば、分光楕円偏光測定法を用いてこのような波長未満の測定を行う。周期的構造を数学的に数層の仮想的な層に薄切りする。各層は、当該スライスを構成する異なる材料の割合が異なるために、異なる平均光パラメータnおよびkを有する。図22の好適な例では、材料は、空気と、構造自体を構成する別の材料である。薄切りにした周期的な波長未満の構造を規則的な多層スタックと見なすと、各スライスの平均光パラメータnおよびkは、分光楕円偏光測定法および関連するアルゴリズムによって得ることができる。したがって、フィーチャの各スライスにおける異なる材料の異なる割合を得ることができる。これらの計算した割合を、設計した構造による、当該スライスにおける異なる材料の期待した割合と比較することができる。各スライスにおける異なる材料の期待した割合からの逸脱はいずれも、意図した構造からの製作した構造の逸脱と解釈することができる。
【0157】
あるいはそして好ましくは、各スライスの測定した平均光パラメータnおよびkを、期待平均光パラメータnおよびkと比較する。いずれの逸脱も、設計した構造からの製作した構造の逸脱と解釈することができる。あるいは、各スライスの測定した平均光パラメータnおよびkは、好ましくは、多くのシミュレートした周期的な波長未満の構造のバンクに格納されているnおよびkに関するデータと比較する。格納データからの逸脱はいずれも、製作したフィーチャのシミュレートした構造からの逸脱と解釈することができる。
【0158】
本発明の別の好適な方法によれば、周期的な波長未満の構造は、前述のように、本発明の波面分析システムを用いて、分光楕円偏光測定法によって測定する。加えて、このような場合、画像波面における各画素は、異なる周期的な波長未満の構造に対応すると考えることができる。次いで、前述の分光楕円偏光測定法のアルゴリズムを画像の各画素に独立して適用する。
【0159】
半導体集積回路(IC)業界では、回路の実装密度向上の要求が高まっている。この要求の結果、実装密度向上およびミクロン未満のデバイス寸法を達成するために、新たな材料およびプロセスの開発に至った。このような微小寸法でICを製造する場合、回路に加わる複雑度が高まり、その製造の種々の段階において集積回路を検査する方法の改良に対する要求も増大する。ICは、デバイスを構成する多くの層および回路の導体によって構成される。オーバーレイとは、リソグラフィ・プロセスの間に生成した層間の位置ずれであり、リソグラフィ・プロセスを監視するために、オーバーレイ測定値を用いる。
【0160】
これより、薄膜の整合および測定についての位相データを用いた利用方法の使用に基づく、改良したオーバーレイの測定を行う好適な方法について説明する。本方法には、オーバーレイをターゲットとした測定について、既存の方法を上回る潜在的な使用法および利点がいくつかある。測定した波面の複素振幅をオーバーレイ材料の上面からいずれかの他の所望の面まで、本発明の方法のように、伝搬させることにより、異なる層の合焦画像を得ることができる。これら異なる面の画像は、好ましくは単一の撮像手順で短時間の時間枠において得られた、単一の波面のソフトウェア操作によって得られ、したがって異なる層を撮像するために異なる合焦レベルで撮影した多数の画像に起因するノイズまたは機械的外乱を受けることがない。次いで、異なる層における異なる画像を測定し、比較し、または互いに対して整合する。
【0161】
コントラストを高めるために別の好適な方法を用いる。オーバーレイ・ターゲットによっては、従来の明視野撮像方式(bright-field imaging scheme)を用いて視認することが困難な場合もある。これらのターゲットは、化学機械式研磨(CMP)後のオーバーレイ・ターゲット、または僅か数ナノメートルというような、非常に薄い膜から成るターゲットを含む。本発明の方法によって可能となるコントラストの強化により、このようなターゲットを判別し易くなる。何故なら、撮像した層間における位相差による低コントラストを高めることができるからである。更に、本方法は、通例10nm未満までの非常に薄い層の区別も可能にする。
【0162】
3D情報を利用する別の好適な方法では、分析ターゲットの完全なトポグラフィ(topography)に関する実情報を追加して提供し、データ分析および位置ずれの計算を改良することができる。3Dデータは、ボックス層のティルト、またはボックス・エッジの異なる傾斜というような、プロセスの非対称的な現象を示すことができる。微視的レベルでの層のティルトに関する情報は、ステッパのフィードバックのために、またはいずれの化学的/ツール・プロセスを制御するためにも用いることができる。ティルト現象が巨視的である場合、ソフトウェアによる単純なティルト相殺により、位置ずれ計算の精度および再現性を改善することができる。
【0163】
本発明の方法は、位相分析ツールとして、比較的大きな焦点深度でFOVの高さマップを再現することができる。何故なら、強度画像において焦点が外れている層は、位相領域(phase regime)における方が正確に合焦することができるからである。この特徴により、1回のグラブ(grab)において数枚の層の検出が可能となる。即ち、別個の層に連続的に合焦する必要がない。このような多数層合焦は、「二重グラブ」(double grab)として知られており、この従来技術の手順は、機械的移動の結果として画像の位置ずれのような誤差を生じやすい。更に、撮像工程毎に必要な余分な時間が回避され、したがってスループットは向上する。
【0164】
3D情報は、多少焦点が外れていても得ることができる。これが意味するのは、3D測定に対する有効焦点深度は、同じ光学部品を用いた従来の2Dシステムの焦点深度よりも大きいということである。
【0165】
既知の式によって再現した波面の複素振幅をある面から別のいずれかの所望の面に伝搬させることにより、それ以上の走査を必要とせずに、3Dおよび物体の表面マッピング範囲を拡大して得られる。
【0166】
測定対象のターゲット上に測定デバイスを合焦する必要はない。ある平面において測定した波面の複素振幅を測定面から他のいずれかの所望の平面に伝搬させれば、合焦したターゲットの画像を得ることができる。
【0167】
測定した波面の複素振幅を測定面から他のいずれかの所望の平面に伝搬させて合焦したターゲットの画像を得ることにより、これら2平面間の絶対距離を計算することができる。
【0168】
測定した波面の複素振幅を測定面から他のいずれかの所望の平面に伝搬させて合焦画像を得ることにより、大きな焦点深度で、合焦したターゲットの画像を得ることができる。
【0169】
本発明によれば、既存の2Dオーバーレイ検査システムに3Dセンサを追加することができる。
【0170】
既存の2Dに3Dセンサを追加することによって、2Dにおける測定のために最適な焦点を求めるために利用することができる3D情報を提供する。
【0171】
合焦システムとして用いる3Dセンサは、半透明層も、特に、このような誘電体層の屈折率や公称厚さが予め分かっている場合に、扱うことができる。
【0172】
また、3D情報は、ツールによって誘発されるずれ(TIS)の問題を予測することができるデータも提供することができ、それに応じてデータ分析および焦点補正を可能とする。
【0173】
2D測定と合わせて3D情報を用いると、合否(またはいずれの0/1)判定に対する「多数決」の同じ考えにおいて、位置ずれの分析が改善する。
【0174】
3Dセンサは1つの波長(または狭い帯域幅)があればよいので、性能を高め色収差を排除した光学システムを設計することができる。
【0175】
ターゲットの画像は、異なる焦点外れ位置で撮影する。前述のように、種々の合焦位置を用いて高分解能で線の幅を求め、プロファイルの交差点を求める方法を用いると、精度を高めて各ターゲットの位置を判定することができる。
【0176】
前述の方法および実現例は、当該実現例の具体的な詳細または構成要素に関係付けずに説明した場合もあった。本方法および装置を広げるために可能な方法の一部は、本方法の可能な詳細の一部、および当該方法を実施する可能な構成要素と共に、PCT出願第PCT/IL/01/00335、米国特許第6,819,435号、およびPCT出願第PCT/IL/02/00833号において述べられている。
【0177】
尚、具体例または具体的な数値の詳細が与えられている場合、これらは本方法に可能な1つの実現例を説明することを意図するに過ぎず、本発明の方法はこれらには限定されないことを記しておく。
【0178】
本発明の方法およびデバイスの詳細を説明する本文書における詳細および詳述は、これらの特徴のあらゆる組み合わせも含めて、本発明の方法に可能なシステムおよび実現例の数例に過ぎず、本発明の方法はこれらには限定されないことを記しておく。
【0179】
尚、明確化のために、本発明の種々の特徴を別個の実施形態の文脈で説明したが、これらを組み合わせて1つの実施形態にしてもよいことは認められよう。逆に、簡潔性のために1つの実施形態の文脈で説明した本発明の種々の特徴を別個に設けること、または適当などのサブコンビネーションでも設けることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0180】
【図1】図1は、波面分析機能性の、簡略化した一部模式的、一部ブロック図の一例である。
【図2】図2は、図1の機能性を実行するのに適した波面分析システムの一部模式的、一部ブロック図の一例である。
【図3】図3は、図1の機能性および構造を採用した、表面マッピング・システムの一部模式的、一部絵画的な図である。
【図4】図4は、本発明の種々の実施形態において用いるアルゴリズムおよび計算方法の概略的な原理を示し、図1の機能性の一部を簡略化した機能ブロック図を示す。
【図5】図5は、2つの機能性、即ち、撮像機能性および撮像波面分析機能性を含む波面分析システムの模式図を示す。
【図6】図6は、楕円偏光分析による多層物体の検出および測定を可能とし、図1から図5に示した装置および方法において記載した位相測定方法を用いる、本発明の第1好適実施形態の要素を模式的に示す。
【図7】図7は、3つの異なる波長についての、シリコン上二酸化シリコンの多層スタックからの反射光の位相および振幅の例を示す図である。
【図8】図8は、しかるべき照明条件の使用による、多層から成る物体を照明したときに、多重反射による位相変化の効果を低減する方法を模式的に示す。
【図9】図9は、同じ反射率を有するが異なる位相変化を有し、「白色」方法では差別化できない、異なる多層スタック間で差別化するためにどのように位相測定データを用いることができるかを模式的に示す。
【図10】図10は、ある面におけるいずれの既知の波面でも、既知の伝搬式の使用によりいずれの他の所望の面にでも伝搬することを可能にする波面分析方法を示すための、Z方向への波面の伝搬を模式的に示す。
【図11】図11は、焦点距離に沿った伝搬位置の関数として、任意の波面のエントロピ・プロットを示す。
【図12】図12は、画像または波面の異なるセグメントに独立して適用される「最良合焦」の方法の模式図である。
【図13】図13は、立体波面伝搬方法を適用することによって得られる最良合焦および高さ測定値を用いる、本発明の別の好適な方法を示す。
【図14】図14は、白色光およびコヒーレント光干渉法の使用に基づく干渉測定装置の模式図である。
【図15】図15は、異なるスペクトル・フィルタを用いることによる等で、異なる波長に対して異なる透過率を有する同心円から成るアパーチャによって、アパーチャの寸法を異なる波長に対してどのように変更できるかを模式的に示す。
【図16】図16は、埃から発生するような、波面における外乱、および光路における欠陥の影響を低減する方法を実施する好適な方法を模式的に示す。
【図17】図17は、撮像システム自体の要素はいずれも機械的に移動させることなく、撮像システムにおける光学部品を移動させる方法を実施するための好適な装置を示す。
【図18】図18は、横方向分解能を高めるために光の空間コヒーレンスを低減する光源を用いたコヒーレント撮像システムを、図18に記載した構成において、Y方向の空間コヒーレンスを除外して示す。
【図19】図19は、×50の対物レンズを有する顕微鏡を用いて撮影した微小構造の図であり、このような画像における分解能を高める方法を示す。
【図20】図20は、顕微鏡の分解力に限度があるために、画像におけるエッジの詳細がどのようにぼけるかを示す、図19の画像の拡大部分を示す。
【図21】図21は、異なる焦点外れレベルについて、図20の画像における構造のエッジ全域に渡る照明の断面の曲線を示すグラフである。
【図22】図22は、本発明の更に別の好適な実施形態によって詳細を解決し特徴付けた、周期的波長未満構造の断面を模式的に示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測用途、特に、薄膜を組み込んだ集積回路の測定分野、および画像処理用途における複素光波面(complex optical wavefront)測定の使用分野に関する。
【背景技術】
【0002】
同時係属中であり、本願と同じ譲受人に譲渡されたPCT出願第PCT/IL/01/00335号は、WO01/77629、米国特許第6,819,435として公開され、そしてPCT出願第PCT/IL02/00833号は、WO03/062743として公開されており、これらの全てはここで引用することにより、その内容全体が本願にも含まれるものとする。この中では、波面分析および表面マッピング、位相変化分析、分光分析、物体検査、格納データ検索、三次元撮像、ならびに波面分析を利用するその他の適した用途のための方法論およびシステムが記載されている。
【0003】
これらの方法の原理の一部を図1および図2に記載する。図1は、波面分析機能性の簡略化した一部模式的、そして一部絵画的な図を示す。図1の機能性は、以下の副機能性を含むものとして要約することができる。
【0004】
I.振幅および位相を有し、分析対象の波面に対応する複数の位相変化相違変換波面(differently phase changed transformed wavefront)を得る。
【0005】
II.複数の位相変化相違変換波面の複数の強度マップを得る。
【0006】
III.複数の強度マップを用いて、分析対象の波面の位相および振幅の少なくとも一方、可能であれば双方を示す出力を得る。
【0007】
図1に示すように、「A」で示す第1副機能性は、以下の機能性によって実現することができる。複数の点光源で表すことができる波面を、全体的に参照番号100で示す。波面100は、実線で表し、全体的に参照番号102で示す、空間的に非均一な位相特性を有するのが通例である。また、波面100は、破線で表し、全体的に参照番号103で示す、非均一な振幅特性を有することも同様に通例である。このような波面は、光ディスク、例えば、DVDまたはコンパクト・ディスク104を読み取ることによる等により、いずれかの物体からの光を受信することにより、従来の方法で得ることができる。
【0008】
本方法は、参照番号102で示すような位相特性、および参照番号103で示すような振幅特性の測定を改善して可能にする。尚、位相の定義により、位相特性は相対的特性であるので、この用語は波動内におけるいずれか2点間の相対的位相マップまたは位相差を意味することを記しておく。総じて、本願全体を通じて、そして特許請求する場合、「位相」の測定または計算に関する全ての引用、または位相マップのような同様の詳述は、位相シフト、または位相差、またはその場所において論じられている特定の位相の文脈に言及する相対的位相のこのような測定または計算を意味することは言外である。
【0009】
参照番号106で象徴的に示す変換を、分析対象波面100に適用することにより、象徴的に参照番号108で示す変換波面を得る。光路遅延110、112および114によって表される複数の異なる位相変化、好ましくは空間位相変化を変換波面108に適用することによって、それぞれ参照番号120、122および124で表される、複数の位相変化相違変換波面を得る。尚、複数の位相変化相違変換波面の個々の1つずつの間に示す差は、変換波面の部分がそれ以外に対して異なって遅延していることは認められよう。
【0010】
「B」で示す第2の副機能性は、変換、好ましくは、フーリエ変換を複数の位相変化相違変換波面に適用することによって実現する。最後に、機能性Bは、複数の位相変化相違変換波面の強度特性の検出を必要とする。このような検出の出力は、強度マップとなり、その例を参照番号130、132および134で示す。
【0011】
「C」で示す第3の副機能性は、以下の機能性によって実現することができる。コンピュータ136を用いることによる等で、マップ130、132および134のような複数の強度マップを、分析対象の波面の位相および振幅、ならびに複数の相違した位相変化の少なくとも1つの数学的関数として表現する。ここで、位相および振幅の少なくとも一方、恐らくは双方は未知であり、変換波面108までの光路遅延110、112および114で通例表される複数の相違した位相変化は既知である。そして、コンピュータ136による等で、少なくとも1つの数学的関数を用いて、分析対象の波面の位相および振幅の少なくとも一方、可能であれば双方を得る。ここでは、参照番号138で示す位相関数、および参照番号139で示す振幅関数で表されており、見てわかるように、それぞれ、波面100の位相特性102および振幅特性103を表す。波面100は、内包されている情報、即ち、本例ではコンパクト・ディスクまたはDVD104のような、測定物体の高さマップを表すことができる。
【0012】
図1の機能性を実行するのに適した波面分析システムの簡略化した一部模式的、一部ブロック図の一例を図2に示す。図2に見られるように、ここでは参照番号150で示す波面は、レンズ152によって位相マニピュレータ(phase manipulator)154上に合焦する。位相マニピュレータ154は、好ましくは、レンズ152の焦点面に位置する。位相マニピュレータ154は、位相変化を生成し、例えば、空間光変調器、一連の異なる透明で空間的に非均一な物体とすることができる。第2レンズ156が、波面150を、CCD検出器のような検出器158上に撮像するように配置されている。好ましくは、第2レンズ156は、検出器158がその焦点面内に入るように配置されている。検出器158の出力は、好ましくは、データ記憶および処理回路160に供給される。これは、好ましくは、図1を参照して先に説明した機能性「C」によって実行する。
【0013】
図1の機能性および構造を用いた表面マッピング・システムの簡略化した一部模式的、一部絵画的な図を図3に示す。図3に見られるように、光または音響エネルギのような放射ビームが、任意にビーム・エキスパンダ202を介して、放射源200からビーム・スプリッタ204上に供給され、ビーム・スプリッタ204は放射線の少なくとも一部を、検査対象の表面206上に反射する。検査表面206から反射した放射線は、表面マッピング波面であり、振幅および位相を有し、表面206に関する情報を内包する。表面206に入射した放射線の少なくとも一部は、表面206から反射して、ビーム・スプリッタ204を透過し、合焦レンズ208を介して位相マニピュレータ210上に合焦する。位相マニピュレータ210は、好ましくは、放射源200の画像面上に位置する。位相マニピュレータ210は、例えば、空間光変調器、または一連の異なる透明で空間的に非均一な物体とすることができる。第2レンズ212が、CCD検出器のような検出器214上に表面206を撮像するように配置されている。好ましくは、第2レンズ212は、検出器214がその焦点面内に入るように配置されている。検出器214の出力は、その一例が参照番号215で示す1組の強度マップであり、好ましくはデータ記憶および処理回路216に供給される。データ記憶および処理回路216は、好ましくは、図1を参照して先に説明した機能性「C」を実行し、表面マッピング波面の位相および振幅のうち少なくとも一方、可能であれば双方を示す出力を供給する。この出力は、表面の幾何学的ばらつきや反射率のような、表面206に関する情報を獲得するために、更に処理することが好ましい。位相マニピュレータ210は、複数の異なる空間位相変化を、表面206から反射され、レンズ208によってフーリエ変換された放射波面に印加するものとして説明する。複数の異なる空間位相変化の印加によって、複数の位相変化相違変換波面が得られ、これらは続いて検出器214によって検出される。
【0014】
アルゴリズムおよび計算方法の概略的な原理を図4に示す。図4は、図1の機能性の一部の簡略機能ブロック図である。図4に示す構成例では、分析対象の波面に適用する変換はフーリエ変換であり、少なくとも3つの異なる空間位相変化が、このように変換された波面に適用され、波面の位相および振幅のうち少なくとも1つの指示を獲得するために少なくとも3つの強度マップが用いられる。図4に見られるように、そして図1を参照して先に副機能性「C」として示したように、強度マップは、分析対象の波面の位相および振幅のうち少なくとも一方、可能であれば双方の出力指示を獲得するために用いられる。
【0015】
図4において、分析対象の波面は、第1複素関数
【0016】
【数1】
【0017】
として表される。ここで、「x」は空間位置の概略的な指示である。複素関数は、振幅分布A(x)および位相分布φ(x)を有し、分析対象の波面の振幅および位相と同一である。第1複素関数
【0018】
【数2】
【0019】
は、参照番号300で示されている。複数の異なる空間位相変化の各々は、好ましくは、既知の値を有する空間的均一空間位相遅延を、変換した波面の所与の空間領域に適用することによって、変換した波面に適用する。図4に見られるように、これらの異なる位相変化を支配する空間関数を「G」で示し、その一例を、位相遅延値θについて、参照番号304で示す。関数「G」は、変換した波面の各空間位置に適用される位相変化の空間関数である。参照番号304で示す具体例では、空間的に均一な空間位相遅延はθの値を有し、この関数のどこの値よりも大きいθの値を有する関数の中心部で示すように、変換した波面の空間的に中心領域に適用される。
【0020】
空間関数I1(x)、I2(x)およびI3(x)で示す、複数の期待強度マップは、各々、参照番号308で示すように、第1複素関数f(x)および空間関数Gの関数として表される。続いて、絶対値|S(x)|および位相α(x)を有する第2複素関数S(x)を、第1複素関数f(x)および空間関数「G」のフーリエ変換の畳み込みとして定める。この第2複素関数は参照番号312で示され、以下の式
【0021】
【数3】
【0022】
によって表される。ここで、記号「*」は畳み込みを示し、F(G)は関数「G」のフーリエ変換である。波面の位相であるφ(x)と第2複素関数の位相であるα(x)との間の差は、参照番号316で示すように、Ψ(x)で表されている。
【0023】
参照番号308で示すようなf(x)およびGの関数としての期待強度マップの各々の式、参照番号312で示すようなS(x)の絶対値および位相の定義、ならびに参照番号316で示すようなΨ(x)の定義により、期待強度マップの各々を、波面A(x)の振幅、第2複素関数|S(x)|の絶対値、波面の位相と第2複素関数Ψ(x)の位相との間の差、ならびに各々少なくとも3つの強度マップの1つに対応する少なくとも3つの相違した位相変化の1つによって生ずる既知の位相遅延の第3関数として表すことが可能となる。この第3関数を参照番号320で示し、3つの関数を含む。その各々は、以下の一般形式を有することが好ましい。
【0024】
【数4】
【0025】
ここで、In(x)は期待強度マップであり、n=1、2または3である。3つの関数において、θ1、θ2およびθ3は、均一な空間位相遅延の既知の値であり、各々変換した波面の空間領域に適用され、こうして複数の異なる空間位相変化が行われ、強度マップI1(x)、I2(x)およびI3(x)がそれぞれ得られる。尚、好ましくは、いずれの所与の空間位置における第3関数であっても、同一の空間位置x0においてのみ、A、Ψおよび|S|の関数となることは認められよう。強度マップは、参照番号324によって示されている。
【0026】
第3関数を特定の空間位置x0の各々について解く際、少なくとも3つの異なる位相遅延θ1、θ2およびθ3において少なくとも3つの強度値I1(x0)、I2(x0)およびI3(x0)に関係する少なくとも3つの式を解くことにより、3つの未知のA(x0)、|S(x0)|およびΨ(x0)の少なくとも一部が得られる。このプロセスは、通例、全ての空間位置について繰り化され、その結果、波面A(x)の振幅、第2複素関数|S(x)|の絶対値、および波面の位相と第2複素関数Ψ(x)の位相との間の差が得られる。これは、参照番号328で示す通りである。その後、一旦A(x)、|S(x)|およびΨ(x)がわかれば、参照番号312で表す第2複素関数を定める式は、通例、かなりの数の空間位置「x」について解決され、参照番号332で示すように、第2複素関数の位相α(x)が得られる。最後に、分析対象の波面の位相φ(x)を得るには、参照番号336で示すように、第2複素関数の位相α(x)を、波面の位相と第2複素関数の位相との間の差Ψ(x)に加算する。
【0027】
波面分析システムは、以下で図5に示すように、2つの機能性、撮像機能性、撮像波面分析機能性を含んでいればよい。分析対象の波面510は、撮像機能性520によって撮像され、撮像波面530が得られる。撮像波面は、撮像波面分析機能性によって分析され、その結果波面に関して得られた情報を、続いて、データ記憶および処理部550によって処理し格納する。尚、撮像機能性520および撮像波面分析機能性540は、同じ合同システムの3つの副機能性としても実施可能であり、このような場合撮像波面530は、同じ合同システム内において内部的に生成されることを記しておく。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
本発明は、波面分析および3D測定を行うため、そして特に、光学システムの画像面のような中間面の出力の分析に基づくような実施方法および装置を改良して実現しようとするものである。提供する方法および装置は、前述のPCT出願第PCT/IL/01/00335号、およびPCT出願第PCT/IL/02/00096において提供した方法、ならびに当技術分野において公知のその他の波面分析方法というような、種々の波面分析および測定方法に適用することができる。また、本発明は、精巧化し、改良し、強化した波面分析方法論およびシステムも提供する。
【0029】
加えて、本発明は、薄膜コーティングが存在する表面トポロジの新たな測定装置および方法を提供し、従来技術の方法の不利益や欠点の一部を克服しようとするものである。先に引用した特許文書に記載されている干渉測定法や波面分析方法によるというように、物体から反射した波面または物体を透過した波面を分析する従来技術の方法は多数存在する。しかしながら、物体の表面上に薄膜コーティングが存在すると、多数回の反射のために、反射または透過した波面に対して、余分な位相変化が加わることになる。この位相変化は、波面が反射した表面トポロジを計算する際に誤差の原因となる。事前の知識または既知の方法を用いた直接的な測定のいずれかによって、薄膜コーティングの厚さおよび構成層の屈折率がわかっていれば、既知の式を用いて、多数回の反射によって生ずる追加の位相変化を計算することが可能となる。この追加の位相は、表面トポロジを正しく計算するために、反射または透過した光の位相から排除または減算することができる。
【0030】
したがって、本発明の好適な実施形態によれば、薄膜コーティングが存在するような、多層物体上においても精度の高い測定を行う能力を組み込んだ位相測定システムを提供する。これらの動作を実行するための従来技術の楕円偏光方法は、一般に大きな照明スポットを用い、このような大きな照明スポットは、大きな入射照明角度を用いるときには、その幅と交差する方向の被写体深度が制限されるために、空間分解能が低く、二次元撮像能力も低い。先に引用した特許文書に記載されているように、この多層物体の検出および測定能力は、広帯域光源およびフィルタ・ホイールまたは分光計を測定装置の撮像光学系に追加することによって改善する。フィルタ・ホイールを用いると、視野全体から反射する光を、視野全体から反射する光を、物体の画素毎またはセグメント毎に独立して暴行分析する。分光計を用いると、物体の1つ以上の選択したゾーンから反射した光を画素またはセグメント毎に独立して分光分析する。分光計またはフィルタ・ホイールの追加により、物体の各セグメントまたは各画素において、透明または半透明の多層の厚さの測定が可能となる。位相の測定と組み合わせることによって、上面のトポロジが得られる。薄膜コーティングの厚さは、前述の新規なスペクトル分析方法、および多層スタックにおける層の屈折率および厚さの所定の知識を用い、既知の反射計または楕円偏光アルゴリズムを実施することによって、高精度に計算することができる。あるいはそして逆に、薄膜の屈折率は、前述の分光分析方法、多層スタックにおける層の正確な厚さの所定の知識、および既知の反射計または楕円偏光アルゴリズムを用いることによって、精度高く計算することができる。前述の方法によって計算した、物体の各画素または各セグメントにおける既知の薄膜コーティングの厚さおよび屈折率を用いると、薄膜コーティングが存在することによる位相の変化を、既知の式によって精度高く計算することができる。屈折率の実要素および複素要素から計算したこの位相変化は、表面トポロジを正確に得るために、反射または透過光の測定位相から排除または減算することができる。
【0031】
本発明の更に好適な方法によれば、多層を備える物体を測定する際の多重反射による位相変化は、フーリエ変換分光学を前述の波面分析方法と組み合わせ、広帯域光源を用いることによって計算することができる。フーリエ変換分光学は、以下のステップによって実行する。
1.基準ミラーとして移動ミラーを追加し、物体に入射する光と基準ミラーから反射する光との間の干渉を生成し、次いで移動毎に干渉パターンの強度画像を捕獲する。
2.各画素の蓄積強度データをフーリエ変換して、フーリエ変換分光分析と同様に、各画素のスペクトル反射率を得る。
3.各画素の分光反射率、材料に関する所定のデータ、および既存の分光測光または反射測光モデルを用いることによって、物体の各画素における層の厚さを得る。
4.既知のアルゴリズム、ならびに各画素における各層の材料の厚さおよび屈折率に関して得たデータを用いることによって、多層スタックに起因する位相変化を計算する。
5.前述の波面分析方法の使用により、反射波面の位相および振幅を得る。この位相データは、各画素における多層スタックによって生成された位相変化も含む。
6.各画素における多層スタックに起因する位相変化(第4説で説明したような)の計算値を、波面分析方法(第5節で説明したような)によって得た位相データから減算して、真の表面トポロジを得る。
【課題を解決するための手段】
【0032】
したがって、本発明の好適な実施形態によれば、本発明の更に別の好適な実施形態によれば、
物体の厚さを測定するための光学装置を更に提供し、
(i) 物体の面の上方に配置され、その光軸が面に対して垂直である対物レンズと、
(ii)ある範囲の放出波長を有する照明源であって、レンズの上方において本質的にレンズの焦点面内に配置されて、レンズが平行ビームを生成するようにし、照明源が光軸から横方向にオフセットして、平行ビームが垂直でない入射角度で物体を照明するようにした、照明源と、
(iii)照明源とレンズとの間に配置されている第1偏光エレメントと、
(iv) 本質的にレンズが生成する物体の画像面において、光軸から横方向にオフセットして配置された検出エレメントと、
(v) レンズと検出器との間に配置されている第2偏光エレメントと、
を備えている。
【0033】
好ましくは、レンズの開口数は0.5よりも大きい。更に、照明源は好ましくは広帯域光源とするとよい。加えて、ある数の離散波長を有することもできる。好ましくは、検出エレメントは検出器アレイである。
【0034】
本発明の別の好適な実施形態によれば、いくつかの透明層を有する物体の表面トポグラフィを測定する方法を提供し、(i)物体を照明し、これから反射する波面の振幅および位相を測定するステップであって、(a)振幅および位相を測定している波面に対応する複数の位相変化相違変換波面を得るステップと、(b)複数の位相変化相違変換波面の複数の強度マップを得るステップと、(c)波面の振幅および測定した位相を示す出力を得るために、複数の強度マップを使用するステップとによって複数の位相変化相違変換波面を得るステップと、(ii)物体の広帯域照明によって透明層の厚さを測定し、少なくとも2つの波長において、物体からの反射強度を分析するステップと、(iii)厚さの測定値から、透明層からの多数の反射による反射波面の計算位相マップを計算するステップと、(iv)物体の表面トポグラフィを得るために、計算位相マップを測定位相と比較するステップとを備えている。
【0035】
前述の方法において、比較するステップは、好ましくは、物体上の同じ位置において測定した位相から、計算位相マップから得た位相値を減算することを含むとよい。
【0036】
更に、本発明の別の好適な実施形態によれば、物体における透明層の厚さの測定のための光学装置を提供し、
(i)物体を照明するコヒーレント光源と、
(ii)透明層からの反射率を測定する検出器と、
(iii)コヒーレント照明によって物体から反射した位相を測定する干渉計と、
(iii)物体における透明層の厚さを得るように、透明層の厚さおよび光学特性の関数として、期待反射位相および期待反射振幅を記述する数学的モデルにおいて、測定した位相および反射率を利用する処理ユニットと、
を備えている。
【0037】
コヒーレント光源の照明から得られる位相と、広帯域照明を用いた種々の技法のコヒーレント光源の反射率および/または反射光測定分析から得られる振幅との組み合わせを、この実施形態では用いる。この位相および振幅の組み合わせにより、透明層の厚さのより良い測定が行われる。位相分析は、コヒーレント照明を用いた干渉測定方法を起源とすることができる。反射光測定分析は、広帯域照明および標準的な分析技法(フィルタ・ホイール、分光測光器)から、または数個のコヒーレント光源の振幅分析から行うことができる。
【0038】
加えて、本発明の更に別の好適な実施形態によれば、物体における透明層の厚さの測定方法を提供し、
(i)少なくとも1つの所定の波長において物体をコヒーレント光で照明するステップと、
(ii)干渉計を用意し、物体から反射したコヒーレント光の位相を測定するステップと、
(iii)複数の追加の所定の離散波長の光で物体を照明するステップと、
(iv)複数の所定の離散波長において、光の反射率を測定するステップと、
(v)複数の所定の離散波長において、反射光の期待の位相および振幅特性を記述する数学的モデルを、透明層の厚さおよび光学特性の関数として用いるステップと、
(vi)物体における透明層の厚さを得るために、数学的モデルにおいて測定した位相および反射率の値を利用するステップと、
を備えている。
【0039】
前述の方法において、複数の所定の離散波長は、好ましくは、フィルタ・ホイールの使用によって得るとよい。加えて、複数の所定の離散波長は、好ましくは、分光測光計の使用によって得るとよい。加えて、複数の所定の離散波長は、好ましくは、少なくとも1つのコヒーレント光源から得るとよい。
【0040】
前述の方法の別の好適な実施形態によれば、物体における少なくとも1つの点は既知の構造を有し、少なくとも1つの点における期待位相特性遅延は絶対的に既知となるようにし、この方法は、物体全体の絶対位相差を決定するために絶対的に既知の位相特性を用いるステップも備えている。
【0041】
また、本発明の別の好適な実施形態によれば、物体の合焦画像を得るための方法を提供し、
(i)物体を照明するステップと、
(ii)物体から出射する照明の波面の振幅および位相情報を、波面が必ずしも合焦画像を生成するとは限らない任意の平面において得るステップと、
(iii)波面の伝搬特性の数学的解によって、波面の伝搬経路に沿った一連の追加平面において、波面の形態を計算するステップと、
(iv)追加の平面のどれにおいて、波面が合焦画像の形態を有するか判定を行うステップと、
を備えている。
【0042】
この方法では、追加の平面のどれにおいて、波面が合焦画像の形態を有するか判定を行うステップは、好ましくは、追加の平面の各々において、波面の少なくとも1つの光学特性の複素関数のエントロピを計算するステップであって、波面の複素関数の累積表面積の尺度からエントロピを決定する、ステップと、エントロピが最小となる伝搬ステップを判定するステップとを備えている。次いで、波面の複素関数は、好ましくは、複素振幅関数、複素位相関数、ならびに複素振幅/位相関数のうち少なくとも1つであるとよい。
【0043】
本発明の別の好適な実施形態によれば、物体の第1および第2セグメント間の高さ差を測定する方法を提供し、
(i)物体のセグメント双方を照明するステップと、
(ii)物体から出射する照明の波面の振幅および位相情報を、波面が必ずしも合焦画像を生成するとは限らない任意の平面において得るステップと、
(iii)波面の伝搬特性の数学的解法によって、波面の伝搬経路に沿った一連の追加平面における波面の形態を計算するステップと、
(iv)波面の追加の平面のどれにおいて、波面が第1セグメントの合焦画像の形態を有するか判定を行うステップと、
(v)波面の追加の平面のどれにおいて、波面が第2セグメントの合焦画像の形態を有するか判定を行うステップと、
(vi)波面が第2セグメントの合焦画像の形態を有する追加の平面と、波面が第1セグメントの合焦画像の形態を有する追加の平面との間の距離を減算することによって、高さ差を得るステップと、
を備えている。
【0044】
前述の方法において、好ましくは、他の測定方法において生ずる位相の曖昧さを低減するために、2つのセグメント間の高さ差を、高さ差の推定値として利用するとよい。
【0045】
また、本発明の別の好適な実施形態によれば、位相測定システムにおいて2π曖昧さを解決する方法を提供し、
(i)第1波長において物体を照明し、物体上に入射する第1波面の位相情報を決定するステップと、
(ii)第2波長において物体を照明し、物体上に入射する第2波面の位相情報を決定するステップと、
(iii)物体において少なくとも2つのセグメントを定めるステップと、
(iv)第1セグメントにおいて第1の点集合を指定し、第2セグメントにおいて第2の点集合を指定すし、第1集合における点の1つを第1アンカー点として定め、第2集合における点の1つを第2アンカー点として定めるステップと、
(v)第1アンカー点と第1の点集合との間の高さ差、および第2アンカー点と第2の点集合との間の高さ差を得るために、第1および第2位相情報の少なくとも1つをアンラップするステップと、
(vi)点の対の集合に対応する高さ差の集合を決定するために、第1および第2位相情報を用いて、第1集合における点と第2集合における点との間の高さ差を計算するステップと、
(vii)近似高さ曖昧さ集合を得るステップであって、各近似高さ曖昧さが高さ差の集合における1つの高さ差に対応する、ステップと、
(viii)第1および第2アンカー点間の近似高さ曖昧さ集合を決定するために、近似高さ曖昧さ集合を用いるステップと、
(ix)第1および第2アンカー点間の近似高さ曖昧さ集合から、第1および第2アンカー点間の高さ曖昧さの最も確率が高い値を決定するステップと、
(x)最も確率が高い曖昧さの値を利用して、第1および第2位相情報測定値間の2π曖昧さを解決するステップと、
を備えている。
【0046】
この方法では、第1および第2アンカー点間の高さ曖昧さの最も確率が高い値は、第1および第2アンカー点間の近似高さ曖昧さ集合の平均値に最も近くなるように取ることが好ましい。あるいはおして好ましくは、第1および第2アンカー点間の高さ曖昧さの最も確率が高い値は、第1および第2アンカー点間の近似高さ曖昧さ集合のヒストグラム・プロットの最大値と取るとよい。
【0047】
本発明の更に別の実施形態によれば、光学システムにおいて空間フィルタリングに用いるための1組のフィルタを提供し、各フィルタが、特徴的なサイズの開口と特徴的スペクトル特性とを有し、各フィルタの開口およびスペクトル特性を、システムにおける画像コントラストを高めるように選択する。各フィルタの開口および空間特性は、好ましくは、撮像光の空間拡散増大の効果を、増大する波長によって、更に撮像光の空間拡散減少の効果を、増大するアパーチャ・サイズによって相互に相殺するために選択する。更に、フィルタの各々について、フィルタの開口のフィルタが動作する波長に対する比率が本質的に一定であることが好ましい。前述の組のフィルタのいずれにおいても、空間フィルタリングは、好ましくは、撮像システムの視野の中心領域と周辺領域との間において実行する。これらのフィルタの組の使用により、機械的な移動を伴わずに、異なる波長に対して異なるアパーチャを得ることが可能となる。
【0048】
また、本発明の追加の好適な実施形態によれば、空間フィルタリングのために撮像システムにおいてコントラストを高める方法を提供し、
(i)少なくとも2つの別個の制御可能な位相変調領域と、主軸とを有する複屈折空間光変調器を設けるステップと、
(ii)複屈折空間光変調器の前に、直線偏光エレメントを配置するステップであって、直線偏光エレメントの偏光方向が空間光変調器の主軸と一致しない、ステップと、
(iii)複屈折空間光変調器の後に、直線偏光エレメントを配置するステップと、
(iv)画像の出力画像コントラストを最適化するように、2つの位相変調領域間に必要な透過率比を決定するステップと、
(v) (a)各波面出力において、2つの位相変調領域間で異なる位相遅延が得られ、(b)全ての波面出力が2つの位相変調領域間において同じ透過率比を有し、(c)同じ透過率比が要求透過率と等しくなるように、直線偏光エレメントの少なくとも1つを回転させ、変調領域の少なくとも1つにおける位相遅延を調節することによって、システムから多数の波面出力を得るステップと、
を備えている。
【0049】
本発明の更に別の好適な実施形態によれば、光学システムにおいてコヒーレント・ノイズを低減する方法を提供し、
(i)撮像対象物体を照明するステップと、
(ii)物体から出射する照明の波面の振幅および位相情報を、波面が合焦画像を生成する波面の伝搬経路に沿った第1平面において、測定するステップと、
(iii)システムにおいて、非合焦距離だけ画像の焦点を外すステップと、
(iv)非合焦距離だけ第1平面から離れている第2平面において、物体から出射する照明の波面の非合焦振幅および位相情報を得るステップと、
(v)非合焦振幅および位相波面情報を用いて、波面の伝搬特性の数学的解法により、第2平面から非合焦距離だけ離れた第1合焦面における再合焦振幅および位相波形情報を計算するステップと、
(vi)撮像物体におけるコヒーレント・ノイズを低減するために、測定振幅および位相波形情報、ならびに再合焦振幅および位相波形情報を組み合わせるステップと、
を備えている。
【0050】
この方法では、組み合わせるステップは、好ましくは、平均、比較、および画像処理のうち少なくとも1つによって実行する。
【0051】
加えて、本発明の更に別の実施形態によれば、第1の所与の平面において波面内のノイズを低減する方法を提供し、ノイズは第2平面に位置する外乱から発生する。この方法は、
(i)所与の平面における波面の振幅および位相情報を測定するステップと、
(ii)波面の伝搬特性の数学的解法によって、波面の伝搬経路内の追加平面における波面の振幅および位相情報を計算するステップと、
(iii)外乱を含む画像を最適に合焦させるのは、追加平面のうちどれに波面が位置するときか判定するステップと、
(iv)外乱を相殺するように、最適合焦位置において波面を修正するステップと、
(v)修正波形を用いて、波面の伝搬特性の数学的解法によって、局在外乱からノイズが発生することなく、画像を得ることができる、第1平面における新たな振幅および位相波形情報を計算するステップと、
を備えている。
【0052】
この方法では、外乱は、合焦していない埃粒子からの同心円フリンジとして現れるとすればよい。このような場合、外乱は、好ましくは、合焦していない埃粒子から同心円フリンジとして現れるようにするとよい。更に、好ましくは、外乱を画像処理によって相殺するとよい。
【0053】
本発明の更に別の好適な実施形態によれば、光学システムにおいて、所与の平面における波面内の収差を低減する方法を提供する。収差は光学システムにおけるどこか他の場所で発生し、この方法は、
(i)所与の平面において波面の振幅および位相情報を測定するステップと、
(ii)波面の伝搬特性の数学的解法によって、波面の伝搬経路内の追加平面における波面の振幅および位相情報を計算するステップと、
(iii)収差の発生源が位置付けられるのは、追加平面のうちどれに波面があるときか判定するステップと、
(iv)収差を排除するように、収差源位置において波面を修正するステップと、
(v)修正波形を用いて、波面の伝搬特性の数学的解法によって、収差のない画像を得ることができる、別の平面における新たな振幅および位相波形情報を計算するステップと、
を備えている。
【0054】
また、本発明の別の好適な実施形態によれば、物体の画像におけるコヒーレント・ノイズを低減する方法を提供し、
(i)コヒーレント照明源、位相マニピュレータ、および多数の光学エレメントを含む光路を備えている撮像システムを設けるステップと、
(ii)ある画像面における物体の画像を表す波面の振幅および位相情報を測定するステップと、
(iii)物体、照明源、および光学エレメントのうち少なくとも1つの少なくとも1つの位置を移動させ、次いで再合焦するステップと、
(iv)移動および再合焦するステップの後、物体の画像を表す波面の振幅および位相情報を測定するステップと、
(v)コヒーレント・ノイズを低減するように、移動させるステップの前後における波面の振幅および位相情報を平均化するステップと、
を備えている。
【0055】
前述の方法では、移動は、好ましくは、光源を少なくとも1つの軸方向に移動させること、および移動する光源の画像面内にそれを維持するための位相マニピュレータの対応する移動から成り、画像を時間ドメインにおいて一体化する。加えて、位相マニピュレータを光源の画像面内に維持し、光源上の同一点を、移動とは無関係に、位相マニピュレータの同じ点上に撮像することが好ましい。あるいはそして好ましくは、移動は、多数の位相変化変換波面を生成するための光路内における位相マニピュレータの移動、または物体のZ軸に沿った異なる合焦および非合焦状態への移動、または異なる軸外れ位置または異なるティルトへの物体の移動から成るとよい。また、本方法は、好ましくは、画像位置合わせのステップを備えているとよい。
【0056】
前述の方法のステップの例は、好ましくは、以下を含むことができる。
【0057】
(i)光源およびPLMの所与の位置において画像を撮影するステップ、
(ii)PLMをその軸のいずれかに沿って移動させるステップ、
(iii)光源の画像が、移動の前に占めていたPLMの同じ位置上を占めるように、それに応じて光源を移動させるステップ、
(iv)PLMおよび光源のこの新しい位置において、別の画像を撮影するステップ。すると、その結果、必要な情報の全てが2つの画像において同一のままとなる。何故なら、光源およびPLMが共役であればよいからであるが、ビームはシステム内の異なる経路を伝達するので、その結果異なる空間ノイズ・パターン、即ち、異なるフリンジ集合が得られる。
【0058】
(v)これら2つの画像の平均を取り、信号対ノイズ比を高めるステップ、
(vi)数個の画像に対してこのプロセスを繰り返し、更に信号対ノイズ比を高めるステップ、そして最後に、
(vii)位相測定システムの入力として「平均画像」を利用し、ノイズの少ない位相を得るステップ。
【0059】
本発明の別の好適な実施形態では、光路は好ましくは回転ウェッジを含み、該ウェッジの回転に伴って光路が空間運動を行うが、光学エレメントの他のいずれの運動も必要としないようになっているとよい。
【0060】
本発明の別の好適な実施形態によれば、撮像システムにおいてコヒーレンス・ノイズを低減する方法を提供し、
(i)第1の精度レベルを有する平滑な画像を得るように、中程度に広帯域の光源を用いて物体を撮像するステップと、
(ii)物体のフィーチャの暫定計算高さを、位相曖昧さの限度内で決定するステップであって、第1の精度レベルは、広帯域光源の短コヒーレント長によって制限される、ステップと、
(iii)平滑な画像よりもノイズが多いが、第1の精度レベルよりも高い第2の精度レベルを有する画像を得るために、コヒーレント光源を用いて物体を撮像するステップと、
(iv)フィーチャの高さを、精度を上げて決定するために、コヒーレント撮像によって得られる位相のために、物体のフィーチャの暫定計算高さを初期入力として用いるステップと、
を備えている。
【0061】
本発明の別の好適な実施形態によれば、撮像システムを用い、当該撮像システムの解像力よりも高い分解能で物体のフィーチャのエッジの位置を判定する方法を提供し、
(i)最良の焦点周囲における多数の異なる焦点外れ距離においてフィーチャの一連の画像を生成し、照明レベルの記録を、画像を横切る横方向距離の関数として生成するステップと、
(ii)記録を分析して照明レベルが画像を横切る共通横方向距離において集束する点を求めるステップであって、点がフィーチャのエッジの位置となる、ステップと、
を備えている。
【0062】
最後に、本発明の更に別の好適な実施形態によれば、更に、多層構造においてオーバーレイの測定を行う方法を提供し、
(i)多層構造を照明し、多層構造のうち第1層内の平面の画像を表す第1複素波面マップの振幅および位相情報を生成するステップと、
(ii)波面の伝搬特性の数学的解法によって、多層構造の第2層内の平面の画像を表す第2複素波面マップの振幅および位相情報を計算するステップと、
(iii)第1および第2層のオーバーレイに関する情報を提供するために、第1および第2複素波面マップを比較するステップと、
を備えている。
【0063】
この方法では、撮像システムを再合焦する必要なく、1回の撮像プロセスにおいてオーバーレイの測定を行うことが好ましい。更に、この方法によって、オーバーレイ測定における振幅および位相情報の使用が、好ましくは、位相情報を用いない撮像方法と比較して、コントラスト測定値を高めることを可能とする。また、多層構造に関して三次元情報を得ることを可能とすることによって、位相情報を用いない撮像方法と比較して、位置ずれの測定を改善する。また、オーバーレイ測定における振幅および位相情報の使用により、位相情報を用いない撮像方法と比較して、測定焦点深度の増大を可能とすることによって、1回の撮像プロセスにおいて1つよりも多い層の撮像を可能とする。
【0064】
本発明は、図面と関連付けた、以下の詳細な説明から一層深く理解および認識されよう。図1から図5について背景で簡単に説明し、残りの図面については以下の詳細な説明において説明する。以下に図面の概要を述べることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0065】
これより図6を参照すると、楕円分光測定によって多層物体の検出および測定を可能とし、前述の位相測定方法を用いる、本発明の第1好適実施形態のエレメントを模式的に示す。照明光源600が、物体602の表面が、顕微鏡の対物レンズ604のような撮像システムを通じて、物体の表面に対する法線に関してある既知の入射角度で傾斜平行光ビーム606によって照明されるように、光学系内に配置されている。照明光ビーム608は、物体の表面で反射し、検出器610上で合焦する。検出器610は、好ましくは、高開口数の対物レンズ604によって、ピクセレート(pixelate)されたアレイである。この手段によって、反射ビームは、大きな視野上からの情報を内包した画像を検出器上に生成する。測定が行われる入射角度のために、s−およびp−偏光に対する反射が異なり、したがって、楕円偏光測定によって各画素の厚さの決定が可能となる。偏光エレメント612が入射ビーム内、好ましくは、対物レンズ604と検出エレメント610との間に、偏光板と補償板とを用いて配置されている。測定は、一時に比較的大きな視野にわたって行われ、撮像楕円偏光測定の使用により、空間分解能の向上を達成することができる。得られたこれらの測定値、既知の入射角度、屈折率の知識、多層スタックにおける層の公称厚さの知識、および既知のアルゴリズムを用いて、物体の各画素または各セグメントにおける薄膜コーティングの厚さを精度高く計算することができる。あるいはそして逆に、前述のスペクトル分析方法、多層スタックにおける層の厚さについての事前の知識、および既知のアルゴリズムを用いて、物体の各画素または各セグメントにおける薄膜の屈折率を精度高く計算することができる。薄膜コーティングの厚さ、および屈折率がわかっていれば、物体の各画素または各セグメントにおいて薄膜コーティングが存在することによる位相変化を、既知の式によって計算することが可能となる。この位相変化は、表面トポロジを正確に取得するために、反射または透過光の位相から排除または減算することができる。照明光は、1つの単一波長を含むコヒーレント光源、数個のコヒーレント光源、または広帯域光源のいずれかとすることができる。反射光をスペクトル分析すると、薄膜コーティングの厚さまたは屈折率を計算するための情報を一層多く提供することができる。
【0066】
物体から反射する波面を2回、2つの偏光の各々について測定する。一方の偏光の測定した複素振幅を、第2偏光の測定した複素振幅で除算することにより、表面トポロジによる位相変化を相殺する。これらの測定値、既知の入射角、屈折率の事前知識、多層スタックにおける層の厚さの事前知識、および既知のアルゴリズムを用いて、物体の各画素または各セグメントにおける薄膜コーティングの厚さを精度高く計算することができる。あるいは、前述の測定値、多層スタックにおける層の精確な厚さの事前知識、および既知のアルゴリズムを用いて、物体の各画素または各セグメントにおける薄膜の屈折率を、精度高く計算することができる。薄膜コーティングの厚さおよび屈折率がわかれば、物体の各画素または各セグメントにおける薄膜コーティングの存在による位相片かは、既知の式によって計算することができる。この位相変化は、正確に表面トポロジを取得するために、反射または透過光の位相から排除または減算することができる。照明光は、1つの単一波長を含むコヒーレント光源、数個のコヒーレント光源、または広帯域光源のいずれかとすることができる。反射光をスペクトル分析すると、薄膜コーティングの厚さまたは屈折率を計算するための情報を一層多く提供することができる。
【0067】
本発明の更に別の好適な実施形態によれば、反射光のスペクトル情報を、測定した反射波面の位相と組み合わせて、多層スタックにおける層の厚さを求める。広帯域光源を用いる場合、多層物体からの反射光を、フィルタ・ホイールまたは分光計によって分析する。加えて、反射波面の位相および振幅は、1つ以上の波長を有するコヒーレント光源および位相測定システムを用いることによって得られる。位相測定システムによって得られた位相データは、前述のスペクトル分析に追加のデータを付加する。位相測定システムおよび前述のスペクトル分析によって得られた位相データ双方を組み合わせて、多層スタックにおける層の厚さを求める。相対的な位相データ、即ち、異なる位置間における相対的な位相差が得られるに過ぎず、絶対的な位相ずれは得られないので、視野内のある位置において、薄膜コーティングの厚さが高精度でわかることが望ましい。絶対的な位相ずれは、この位置において行う測定によって決定することができる。あるいは、透明層がない視野内の位置があれば、この位置も高精度で厚さがわかる位置として供することができる。3つの異なる波長についてのシリコン上酸化シリコンの多層スタックからの反射光の位相および振幅の一例を図7に示す。
【0068】
尚、図7は3つの位相の位相および振幅における厚さ依存性を示し、3つのコヒーレント光源による干渉法によって位相分析を行う状況に対応する。より多くのデータを得るためには、各位相が異なるデータを提供しつつ、これ同じ3つの光源の反射率について、これらの振幅を分析することによって反射率分析を行う。画像から注目すべき別の事項は、振幅の曖昧さが周期的である場合、厚さの位相および振幅測定における曖昧さの種類が異なることである。つまり、振幅が0.6と得られた場合、図7Aによれば厚さが〜0nm、〜180nm、〜350nm等の内どれであるのか知ることができない。位相測定における「不確実範囲」は厚さの範囲である。即ち、波長の1つにおいて「1」の位相を得た場合、400〜500nmの厚さが、この厚さの結果となることができる。これら2種類のデータを異なる不確実性または曖昧さと組み合わせることによって、殆ど曖昧さなく、厚さを特定することが可能となる。
【0069】
本発明の更に別の好適な実施形態にしたがって、薄膜が存在する場合における位相再現および表面トポロジ測定のための改良アルゴリズムについてこれより説明する。薄膜コーティングの存在により、多数の反射に起因する位相変化が、反射または透過波面に加わることになる。この位相変化は、波面が反射する表面トポロジを計算する際に誤差(即ち、反射物体から生成する波面からの逸脱)の原因となる。薄膜コーティングの厚さおよび屈折率がわかれば、付加される位相変化を既知の式によって計算し、反射または透過光の位相から排除または減算し、表面トポロジを正確に計算することができる。本発明のこの好適な実施形態によれば、少なくとも1つのアンカー点を視野内に設け、ここで薄膜コーティングの厚さが精度高くわかるようにする。視野内において薄膜コーティングがない位置があれば、これがアンカー点として供することができる。加えて、位相データまたは振幅データ、あるいは物体からの1つ以上の波長における反射波面の位相および振幅データの組み合わせも与えられる。これらのアンカー点は、アンカー点がどこに位置するかには係わらず、他の点における厚さ、または視野内におけるスタック構造の他の領域における厚さを得るためにも用いられる。
【0070】
本発明の更に別の好適な実施形態によれば、しかるべき照明条件の使用により、多層から成る物体を照明するときの多数回の反射による位相変化の影響を低減する方法を提供する。これを図8に示す。このような第1実施形態によれば、多層から成る物体800を、大きな入射角において傾斜光ビーム802で照明する。入射角が大きいために、多数回の反射808の振幅が減少し、各層の各側からは1回のみの反射が支配的となる。図8に示す例では、最外側層の前面から1回の反射804があり、最外側層の裏面から1回の反射806がある。このように、各層の各側からは反射が1回のみであると想定し、簡略化した反射モデルを用いることができる。簡略化した2ビーム・モデルを用いた位相変化の計算の、多数回の反射でも完全な楕円偏光測定モデルを用いた位相変化の計算からの偏差は減少する。他の実施形態によれば、最外側層とこの最外側層の直下にある層との間で、ブルースター角度(もしもあれば)にて傾斜平行光で物体を照明する。その結果、多数回の反射804、808等の全てはs−偏光となる。反射経路内に直交偏光板を配置すると、p−偏光のみが透過し測定され、このs−偏光は最初の反射でのみ生ずるので、この測定により、下地層からの干渉がなく、外面輪郭を容易に測定することが可能となる。
【0071】
この実施形態の方法によれば、1つまたは多数の透明層が存在する場合のトポロジ測定のために白色光干渉計を用いるアルゴリズムを提示する。このアルゴリズムは次のステップを含む。
【0072】
A.「標準的な」白色光干渉計画像強度データを取り込む。
【0073】
B.各画素の強度データをフーリエ変換して、フーリエ分光法と同様に、各画素のスペクトル反射率を得る。
【0074】
C.既存の「分光法」モデル、各画素における材料の厚さおよび屈折率に関する既知データ、ならびにステップBにおいて記載したように、各画素において計算したスペクトル反射率を用いて、各画素における層の精確な厚さを得る。
【0075】
D.既知のアルゴリズム、ならびに各画素における層の材料の厚さおよび屈折率に関するデータを用いて、各画素において多層スタックに起因する位相変化を計算する。
【0076】
E.白色光干渉法によって取得した強度データを用いて、ウェーブ・パケット(wave-packet)を「最良に合焦すること」により、物体の輪郭を得る。これらの輪郭は、各画素における多層スタックによって誘発される位相変化による誤差を含む。
【0077】
F.(ステップD)において前述した)各画素における多層スタックに起因する位相変化の計算値を用いて、位相に起因するコヒーレント・エンベロープ・ピークの誤差を補正し、補正した表面トポロジを得る。
【0078】
事前の知識を追加して高さ測定の範囲を広げるために、または異なる多層スタックから成る物体を用いて動作するために、視野を異なるセグメントに分割し、各セグメントが異なる特性を有し、異なるセグメント毎に、その特性の異なる事前知識を付加できるようにすることが好ましい。従来技術において、振幅データのみに基づいてセグメント分割を行う「白色光」方法がいくつか知られている。しかしながら、本発明のこの好適な実施形態によれば、位相測定システムによって得られた位相および振幅データ双方を組み合わせて利用すれば、物体の表面セグメント分割を行うプロセスが改良される。好適な実施形態では、異なる波長における物体の画像を表す少なくとも2つの波面が得られ、各波面が位相および振幅データを有し、これらの位相および振幅データを用いて、画像のセグメント分割を行う。この方法は、既知の方法によって、「白色光」から得たセグメント分割を補正するために用いることができる。あるいはそして好ましくは、図9に示すように、このデータは、同じ反射率を有するが位相変化が異なる(そして、「白色光」方法では差別化することができない)異なる多層スタック間で差別化するために用いることができる。
【0079】
前述の波面分析方法では、複数の異なる空間位相変化の各々を、好ましくは、既知の値を有する空間的に均一な位相遅延を、変換した波面の所与の空間領域に適用することにより、変換波面に適用する。前述の従来技術の図4に関連する説明に見られるように、これらの異なる位相変化を支配する空間関数は、「G」で示されている。関数「G」は、変換波面の各空間位置において適用した位相変化の空間関数である。好適な実施形態では、空間位相変化は、変換波面の中心部に適用され、変換波面にとってはローパス・フィルタとして作用する。しかしながら、関数「G」の空間的寸法が大きい場合、真のローパス・フィルタとして作用しない。この場合、撮像した波面を再現することは困難である。更に、関数「G」の空間寸法は、用いる波長に応じて増減し、したがって短い方の波長に対してはローパス・フィルタとして作用しない。本発明の更に別の好適な方法によれば、改良したアルゴリズムを実施する。この改良したアルゴリズムにしたがって、空間寸法が小さな「偽りの」「G」を用いて、基本的な再現を行う。この再現した波面から、「真の」空間寸法に対応するディジタル・ローパス・フィルタリングによって新たな「S」関数を得て、α(x)およびΨ(x)の補正値を計算する。これらの補正値を用いて、補正した再現を得る。このプロセスを繰り返し継続することにより、再現の精度が高くなる。
【0080】
本発明の更に別の好適な方法によれば、波面伝搬および再合焦によって位相および表面トポロジの測定を改良する方法も提供する。周知のように、マクスウェルの方程式は一意の解を有するので、任意の平面における特定の解、およびその境界条件の全てがわかれば、他のどの平面における解も絶対的に決定することができる。したがって、放射複素振幅は、前述の波面分析方法によって、またはある平面におけるいずれかの既知の波面検索方法によって、任意の平面において分析または検索することができ、既知の式によって他のどの所望の平面にも伝搬することができる。これより図10を参照すると、Z方向への波面の伝搬が模式的に示されている。ボックス1000の形態で所与の振幅を有する波面が、平面P1までの距離Z1を伝搬する。平面P1において、伝搬した放射線の複素振幅は、以下の関数で記述することができる。
【0081】
【数5】
【0082】
P1における振幅は、もはや均一ではない。平面P1における放射線の複素振幅は、更に、平面P2までの距離Z2を伝搬する。波面の複素振幅が伝搬するに連れて、振幅および位相が変化し、関数
【0083】
【数6】
【0084】
で記述される異なる複素振幅が平面P2において得られる。波面が1つの平面においてわかれば、他のいずれの平面においても計算することができる。前述のPCT国際公開第WO03/062743号には、ソフトウェア伝搬によって、即ち、マクスウェルの方程式の解に基づくアルゴリズムの使用によって、異なる「合焦」状態を得て、波面の物理的な伝搬を計算する方法が記載されていれる。この方法論を用い、測定デバイスが測定対象の物体上に合焦していない場合、(合焦していない)測定した波面の複素振幅を測定面から他のいずれかの所望の平面に伝搬させ、合焦した画像に対応する波面を得ることができる。
【0085】
したがって、最良の焦点面は、一連の伝搬波面または一連の画像から、「最少エントロピ」と言われているものを有する波面または画像を発見することによって得ることができる。この含意において有用なエントロピの一例は、波面の複素振幅関数の累積「表面積」である。この表面積は、好ましくは、例えば波面の複素振幅関数の積分によって求めることができる。別の可能なエントロピの例には、波面のみの振幅関数の累積表面積、または波面の位相関数の累積表面積がある。一連の波面は、既知の伝搬式を用いての、測定した複素波面の異なる平面へのソフトウェア伝搬によって得ることができる。一連の画像は、ソフトウェア再合焦によって、または物体の異なる焦点位置からというように、他のいずれかの源泉から得ることができる。強度画像では、エントロピに可能な定義の1つは、画像の強度関数の累積表面積である。これより図11を参照し、焦点距離に沿った任意の波面の伝搬位置の関数として、この波面のエントロピ・プロットを示す。縦軸のゼロにおける焦点距離は、波面を測定した開始平面を表す。焦点が最良の焦点1100を通って前進するに連れて、エントロピは明確な最小値を通過して進んで行くことがわかる。グラフの右側における局所最小値1102は、ビーム制限アパーチャが焦点に入る位置によるアーチファクトである。
【0086】
本発明の別の好適な方法によれば、そして図12における方法の模式図を参照すると、「最良の合焦」は、画像または波面の異なるセグメント1200、1202に独立して適用する。一方のセグメントの「最良の焦点」1204から別のセグメントの「最良の焦点」1206の平面までの波面伝搬を用いることによって、これら2つのセグメント間の高さ差を、図12に模式的に示すように、2つの合焦面間の伝搬距離として決定することができる。加えて、セグメントのエントロピ自体が、セグメントの焦点外れの量についての尺度として、または初期推定値として供することができる。言い換えると、異なるセグメントのエントロピを測定することにより、エントロピ関数の集束率の所定の知識から焦点距離の差、したがって異なるセグメント間の高さ差を計算または推定することができる。したがって、これら3つのステップを高さ測定方法に組み込むことができる。即ち、
(i)測定した波面の波面伝搬により数個の複素波面および対応する画像を求め、各複素波面が異なる焦点状態に対応する。
【0087】
(ii)セグメント毎に最少エントロピ・アルゴリズムを適用することにより、セグメント毎の「最良の焦点」の複素波面を決定する。
【0088】
(iii)第1セグメントに対応する最良焦点複素波面と第2セグメントに対応する最良焦点複素波面との間における「伝搬距離」によって、どの2つのセグメント間の高さ差をも計算する。
【0089】
尚、双方のセグメントが合焦状態となる画像は、これらのセグメント間の高さ差を計算しなくても、伝搬によって構築できることを記しておく。
【0090】
本発明の別の好適な方法によれば、最良の合焦および高さ測定値は、立体波面伝搬を適用することによって求めることができる。これより図13を参照して、この手法を用いると視認される物体1300を示す。ここでは、波面がある指定した方向のみに伝搬する間に、伝搬する距離にしたがって、波面の角度スペクトルの一部のみを用いることによって撮像する。この所望の距離への伝搬は、仮想アパーチャ・ストップ(virtual aperture stop)1302によって遂行する。次いで、再度ソフトウェアによって波面を異なる方向に伝搬させる。このとき、アパーチャ・ストップ1302’を図13におけるその破線位置に仮想的に移動させることにより、伝搬する方向に応じて、図13において点線で示すように、角度スペクトルの別の部分を撮像する。このように、異なる方向に伝搬する2つの異なる波面を得ることができる。これは、立体視において得られる2つの異なる画像と同様である。これら2つの異なる波面を用いて、物体の深さまたは高さデータを、アナログ様式で、目が深さの認知を決定することができる程度に到達させることができる。
【0091】
最良合焦位置を利用する、本発明による好適な方法の他の用途について、これより提案する。多重波長波面決定方法を用いて表面トポロジ測定の範囲を拡大するために、2π曖昧さを克服する多重波長測定解法の能力を阻む撮像ノイズを克服するために視野における異なるセグメントの高さに関する従来のデータが必要となることが多い。本発明によれば、視野における異なるセグメントの高さに関する従来のデータは、各セグメントの「最良合焦」から得ることができる。同様に、干渉の2π曖昧さを解決するための従来のデータは、視野における各セグメントの「最良の合焦」から得ることができる。
【0092】
本発明の更に別の好適な実施形態によれば、表面トポロジ測定の範囲を拡大する装置および方法を提供する。表面トポロジ測定では、多くの場合、広い範囲にわたって高さを測定する必要がある。高さ測定に対する干渉法の範囲は、2π曖昧さのために制限される。高さ範囲を拡大する既知の方法の1つは、数個の異なる波長を用いて2π曖昧さの問題を解消することである。しかしながら、この方法はノイズに敏感である。
【0093】
この方法によれば、異なるセグメントにおける画素間の2π曖昧さを計算する際に、以下のアルゴリズムを用いて、位相の少なくとも2つの波長再現を組み合わせる。
【0094】
A.少なくとも1つの波長において再現した波面の位相をアンラップ(unwrap)する(高さ差から離れた領域においてのみ、明確な位相測定が得られる)。
【0095】
B.視野において各セグメント内で1つのアンカー点を選択する(以後,FOVと呼ぶ)。
【0096】
C.各セグメントにおける多数の点の対の明確な高さ差を計算する。各対の一方は当該セグメントのアンカー点であり、再現した波面の位相を用いる。各セグメントにおける点の対における点の各々は互いに近接しているので、高さ差を明確に計算することができる。
【0097】
D.3つのセグメントにおける各点の対の曖昧さの順序(ambiguity order)から、各セグメントから1つ、これら2つのセグメントの2つのアンカー点の曖昧さの順序を、点の対毎に繰り返し求める。
【0098】
E.これらのアンカー点の対の曖昧さの順序のヒストグラムを設定し、順序について1つの値を選択する。この値は最も確率が高い値とすることができ、平均または曖昧さの順序のヒストグラムからのその他のいずれの統計的派生値にも最も近い。
【0099】
F.選択した順序の値を再度用いて、各点の曖昧さの順序を、再度、精度を上げて求める。
【0100】
この方法は、異なるアンカー点の対に対して繰り返し、精度およびノイズに対するロバストネスを高めることができる。
【0101】
別の方法によれば、FOVにおける異なるセグメント内の異なる画素間の2π曖昧さの順序は、以下の第2アルゴリズムを用いて、少なくとも2つの位相の波長再現を組み合わせることによって計算する。このアルゴリズムは、数学的には、前述のアルゴリズムと同等である。
【0102】
A.少なくとも1つの波長において再現した波面の位相をアンラップする(高さ差から離れた領域においてのみ、明確な位相測定が得られる)。
【0103】
B.FOV、S、Tにおけるどの2つのセグメントについても、多数の点の対(Mi、Ni)を選択する。ここで、MiはSの点であり、NiはTの点である。点の対(Mi、Ni)毎に、少なくとも2つの波長再現を組み合わせて、点Miの高さと点Niの高さとの間の明確な差を計算する。
【0104】
C.点Niにおいてアンラップした高さ(ステップAにおいて得られた)を加算し、点Miにおいてアンラップした高さ(ステップAにおいて得られた)を減算し、点Miにおける明確な高さと点Miにおけるアンラップした(ステップAにおいて得られた)高さとの高さ差Δiの曖昧さの順序を得る。
【0105】
D.差Δiの曖昧さの順序のヒストグラムを設定し、この順序に対して1つの値を選択する。この値は、この値は最も確率が高い値とすることができ、平均または曖昧さの順序のヒストグラムからのその他のどの統計的派生値にも最も近い。
【0106】
本発明の更に好適な方法によれば、視野における異なる画素間の2π曖昧さの順序は、少なくとも2つの波面再現を組み合わせ、2つの波長においてそれらの位相を得ることによって、そして以下のアルゴリズムを用いて計算する。
【0107】
A.視野において数個の基準点および1つのアンカー点を選択する。
【0108】
B.視野における各画素と基準点との間の曖昧さの順序を、再現した波面の位相を用いて計算する。
【0109】
C.各画素と基準点との間で計算した曖昧さの順序を用いて、当該ある画素とアンカー点との間の曖昧さの順序を繰り返し求める。
【0110】
D.当該ある画素の曖昧さの順序のヒストグラムを設定し、最も確率が高い順序を選択する。
【0111】
この方法は、異なるアンカー点について繰り返せば、精度を高めることができる。
【0112】
2つ以上の波長を用いて物体の表面トポロジを生成する場合、2つ以上の単一波長の再現を、波長毎に1つずつ得ることができる。一般に、単一の波長位相関数を用いて、波面の位相を決定し、他の波長位相関数を組み合わせて、この波長の位相の2π曖昧さを解消する。しかしながら、これら2つ以上の解決した単一波長再現は、以下のように、再現を改善して生成するために用いることができる。視野における各位置において、これら解決した単一波長再現の内1つのみを用いて波面の位相を決定する。これは局所的に最も高い品質を有する。このように、異なるセグメントに対して、各セグメントにおける波長毎のデータの品質に応じて、異なる単一波長再現を用いることができる。局所的に精度が低い他の波長における位相を組み合わせて、精度が高い波長の位相の2π曖昧さを解決する。あるいは、解決した全ての単一波長再現のある平均を用いる。この場合、この平均を計算するための重みは、単一波長再現の各々の品質マップによって決定し、FOVにおける異なる位置に対しては異なる場合もある。
【0113】
「白色光干渉法」では、基準ミラーに対して光路差を有し、光のコヒーレント長未満である高さにおいてのみ、フリンジ・パターンを見ることができる。このため、白色光源をコヒーレント光源と共に用いると、「白色光干渉法」のフリンジ・パターンは、コヒーレント光源を用いて干渉法の曖昧さを解消するためのアンカー高さとして供することができる。一例として、高さに1μmの差がある、FOVにおける2つのエリアは、多数のコヒーレント波長を用いると、1μm異なるように、または4μm異なるように見ることができるが、白色光を用いると、これら2つのエリアが互いから1μm以内にあるか否か、間違いなく決定することができる。あるいは、白色光干渉をコヒーレント光干渉法と共に用いると、干渉法のために事前のデータを提供することができる。図14を参照すると、白色光およびコヒーレント光干渉法を組み合わせて用いることに基づいた、干渉法装置の模式図がある。白色光1400およびコヒーレント光1402は、ビーム・スプリッタ1404、1406によって物体1401に誘導され、反射光がCCD1408上に撮像する。
【0114】
波面分析に広帯域照明を用いると、広帯域光のコヒーレント長に限界があるために、高さ計算において誤差が生ずる。本発明の更に別の好適な実施形態によれば、十分に誤差が少ない広帯域照明を用いた測定を、データ発生器として用いることができ、コヒーレント光源干渉法のための先験的データを提供することができる。
【0115】
本発明の更に好適な方法によれば、波面再現のためにコントラストを高める装置および光学素子を提供する。ゼルニケ位相コントラストのような、そして前述の方法および国際特許出願公開第WO03/062743号のような種々の再現方法において、位相光変調器(PLM)の中心領域と周辺領域を通過する光の間の干渉のために、撮像コントラストは、アパーチャ・サイズおよび波長に左右される。コントラストは、これら2つの領域を横断する比較光レベルによって決定する。2つの領域におけるエネルギ・レベルが近い程、画像のコントラストは高くなる。波長が長い程、PLMの平面における光の空間拡散は大きくなる。加えて、加えて、アパーチャが小さい程、PLMの平面における光の空間拡散が大きくなる。したがって、波長毎に最適なコントラストを得るためには、アパーチャの寸法を波長の関数として修正することが望ましい。
【0116】
異なる波長に対するアパーチャの寸法は、図15に示すような異なるスペクトル・フィルタを用いることによる等で、異なる波長に対して異なる透過率を有する同心円から成るアパーチャによって修正することができる。このように、各波長または波長範囲にはそれ自体のアパーチャを設ける。このようなアパーチャの構築は、異なる波長または波長範囲、および用いる波長に応じて拡縮したアパーチャの空間寸法に対してコントラストを最適化することができる。
【0117】
本発明の別の好適な実施形態によれば、システム・アパーチャのようなスペクトル感応フィルタの代わりに、PLMの中央部分と比較して周辺部分の透過率を変化させるために、PLMに接近してこれを配置することができる。このエリアの透過率を低下させると、コントラストを高めることができる。これによって、波長毎に別々にコントラストを高めることが可能となる。コントラストが低い場合、PLM空間スペクトル透過関数の調節を用いれば、コントラストを改善することができ、特にPLMの中心領域および周辺領域の相対的スペクトル透過を改善することができる。
【0118】
本発明の更に好適な方法によれば、位相マニピュレータの前後に偏光板および第1回転偏光板を光学系に追加する方法を提供し、位相マニピュレータは、複屈折材料から成り、種々の顕微鏡空間フィルタリング方法において画像面において得られるコントラストを制御し最適化する。位相マニピュレータは、複数の異なる空間部分を有する。各部分において、光の2つの偏光に対して、各部分に印加する制御信号に応じて、異なる光路差を選択することができる。偏光板の偏光状態、および各部分における光路差は、光の透過率および位相遅延に影響を及ぼす。このため、光路差を変化させ、第2偏光板を回転させることによって、位相マニピュレータの各空間部において光の透過率および位相遅延を制御することができる。
【0119】
好適な一実施形態では、位相マニピュレータは、2つの空間部分を有し、複屈折材料の光軸は、第1偏光板の軸に対して45゜に配置されている。第1偏光板の軸はX軸に対して平行であり、位相マニピュレータの各空間部分の透過率τは、以下の式で与えられる。
【0120】
【数7】
【0121】
ここで、θiは、ある空間位置iにおいて2つの偏光間で位相マニピュレータによって生じた位相遅延、
αは、X軸(第1偏光板の軸)に対する回転偏光板の角度である。
【0122】
位相マニピュレータの各部分において回転偏光板を通過した後の光の位相遅延は、以下の式で与えられる。
【0123】
【数8】
【0124】
位相マニピュレータの2つの空間部分間における位相遅延差は、次の通りである。
【0125】
【数9】
【0126】
ここで、位相遅延差は、波面分析に用いるために、異なる位相変化の複数の波面を得るために利用する。
【0127】
いずれの透過率比τ1/τ2が必要であっても、Δθには4つの異なる解があり、異なる値のαも必要となる場合がある。したがって、本願の背景の章に記載したように、完全な波面決定を行うために必要な3つの異なる画像を得るために、これら4つの解を用いることができる。逆に、第2偏光板を固定すると、即ち、固定したαに対して、必要な透過率を得るためにPLMの種々の空間部分における位相遅延の調節によって位相差を加えると、θに対して2つの解があり、したがってθ’に対して4つの解があり、したがってΔθに対して少なくとも4つの解がある。したがって、本願の背景の章に記載したように、完全な波面決定を行うために必要な4つの異なる画像を得るためにこれら4つの解を用いることができる。
【0128】
本発明によれば、どの所与の透過率比τ1/τ2に対しても、一定の位相マニピュレータを用いることにより、位相マニピュレータの2つの部分間において4つの異なる位相遅延を発見することができる。好適な実施形態では、一定位相マニピュレータは、複屈折率材料から成り、その前に1つの偏光板があり、その後ろに回転偏光板がある。位相マニピュレータの複屈折率材料の光軸は、第1偏光板に対して45゜に配置されている。位相マニピュレータの一方の部分はλ/4波長板として作用し、他方の部分はλ波長板として作用する。この場合、 位相マニピュレータのλ/4波長板部分の透過率は常に0.5である。位相マニピュレータのλ波長板の部分における透過率は、第2偏光板の回転によって制御することができ、以下の式で与えられる。
【0129】
【数10】
【0130】
位相マニピュレータのλ波長板の部分における位相遅延は、常にゼロであり、位相マニピュレータのλ/4波長板部分における位相遅延は、以下の式で与えられる。
【0131】
【数11】
【0132】
式(5)を用いると、どの所与の透過率比τ1/τ2に対しても、位相マニピュレータの2つの部分間において4つの異なる位相遅延を発見することができる。
【0133】
本発明の更に好適な方法によれば、多数の異なる実施形態において、物体のコヒーレント照明の結果混入するノイズを低減することにより、波面再現のために画質を改善する装置およびアルゴリズムを提供する。このような第1実施形態によれば、異なる平面において測定した異なる伝搬波面の位相および振幅成分を比較または組み合わせると、波面測定値を補正し、ノイズを低減することができる。何故なら、これらの間の差はノイズのみの結果であり、真のデータの結果ではないはずであるからである。この方法によれば、完全な波面再現を含む1回の測定値をある焦点面において取り込み、同様に完全な波面再現を含む別の測定値を、システム・ハードウェアによって画像の焦点を既知の量だけはずす平面において取り込むことによって、ノイズ低減を達成することができる。次いで、前述の方法において説明したように、伝搬ソフトウェアによって、適用した焦点外しの既知量だけ、焦点を外した波面を再度合焦し、こうして第2の合焦波面を生成し、平均化、組み合わせ、またはその他の既知の画像処理機能のどれかによってこれら2つの波面を組み合わせることを用いて、ノイズを低減することができる。
【0134】
本発明の更に別の実施形態によれば、光路内における埃や欠陥のような、異なる平面における局所的外乱によってノイズが生ずるためにノイズのある波面を、外乱が局在する平面に伝搬させる。即ち、外乱を合焦状態にする。次いで、その平面において、近隣エリアの内挿補間または平均化、あるいは他のどの方法によって、外乱を排除することができる。次いで、修正した波面を元の平面、または他のいずれかの定めた平面に逆伝搬し、外乱のない波面を生成する。同じ方法は、画像の収差を補正するためにも用いることができる。収差源があり既知の形態を有する平面に波面を伝搬させることができ、そこで収差を排除し、波面を逆に伝搬させて、収差のない波面を生成する。
【0135】
これより図16を参照し、外乱の円形フリンジの周波数および位置を用いて、外乱源の位置、即ち、外乱が合焦状態にある平面の直接計算によって、光路内の埃または欠陥によって生ずるような、波面における外乱の影響を低減するこの方法を実施する好適な方法を模式的に示す。この位置的知識は、真の外乱源を相殺する、同じ位置における仮想外乱源を追加することによる等で、外乱を排除するために用いることができる。外乱は、いずれの点源外乱、または光構成要素が生成するような、他のどの種類の外乱でも可能である。図16は、外乱源の位置1602、その出射波面1606、および得られたフリンジ・パターン1604を示す。
【0136】
本発明の更に別の好適な方法は、撮像、特にコヒーレント撮像において、そして前述の波面分析方法の結果において、分析対象の物体の多数の画像を光学撮像経路におけるいずれかのエレメントの移動によって取得することにより、ノイズを低減するために用いることができる。この移動は、以下に記載する移動の1つまたは組み合わせのどれかとすることができる。
【0137】
I.3本の軸全てにおける物体照明光源の移動、および移動する光源の画像面にPLMを維持し、画像を時間領域において統合する場合に、光源の移動を補償するための、対応するPLMの移動。
【0138】
II.多数の位相変化変換波面を生成するための光路内で用いられるPLMの移動。
【0139】
III.異なる合焦および非合焦状態へのZ軸に沿った物体の移動。
【0140】
IV.軸外れの異なる位置または異なる傾斜および画像位置合わせにおける物体の移動。
【0141】
V.光路におけるあらゆる光学構成部品の移動。
【0142】
これらの方法によれば、画像情報は加算的であるので、多数の画像の移動および平均化の補償を実行してノイズの影響を低減し、ノイズは移動位置毎に空間的に異なるので平均を取る。補償は、これら多数の画像の位置合わせ、およびこれら位置合わせした画像の平均化によって遂行することができる。あるいはそして好ましくは、ハードウェア、および多数の画像の平均化によって移動を補償する。あるいは、波面伝搬および操作のようなソフトウェアによって移動を補償することが好ましい場合もあり得る。これらの位置合わせ、補償および平均化は、画像の強度、または物体の再現によって生ずる測定結果のいずれかに対して実行することができる。
【0143】
これより図17を参照し、撮像システムのエレメント自体のいずれをも機械的に移動させずに、光源1702とビームが入射するPLM上における特定点1722との間で光路を変更する方法を実施するための、本発明の別の好適な実施形態にしたがって構築され動作する好適な装置を示す。システムを貫通するその経路の間に、物体を照明する平行ビームを、同一スポット1722において常にPLMに入射するように導く。ビームは、異なる光路に沿って、光源と図17における1704として模式的に示すPLMとの間にある撮像システムを通過するようにされている。物体を照明する平行ビームは、物体を照明している間導かれ、その復路においては入射経路と平行な経路に導かれる。図17において、回転ウェッジ(rotating wedge)1706を用いてビームの運動を生成する。ウェッジは、好ましくは、照明システムの光軸に平行な軸1720を中心に回転する。ウェッジ1706の回転により、破線で経路を示す入力照明ビーム1710が、回転ウェッジから、その出力点1712において動揺(wobble)する経路を生成し、ウェッジが回転するに連れて円形に導かれる経路を記述し、出力点からの伝搬の方向は、循環的にウェッジの回転位置に依存する。図17において、回転ウェッジの1箇所についてのみ経路が示されている。動揺するビームは、ルーフ・ペンタ・プリズム(roof-penta prism)1708内に導かれ、ビームはそこから反射し、更にビーム・スプリッタ1714において反射して、システム1704の撮像部に向かい、次いでPLM1722に向かう。ペンタ・プリズム1708は、X−およびY−方向に奇数回の反射を生ずるために用いられており、ビーム・スプリッタ1714における反射と組み合わせて、偶数回の反射が生じることになり、後方反射効果を生成し、戻るビームは常に入射ビームと平行となる。所与の角度でエッジに入るどのビームも、光路全体を通過した後に同じ角度で戻って来る。したがって、光源とPLM上の入射点との間の撮像関係は、ウェッジが回転するに連れてこれらの間の光路が空間的運動を受けても、不変である。
【0144】
本発明の更に別の好適な実施形態によれば、測定値を補正し、それによってノイズを低減するために、撮像物体のフーリエ変換の計算および測定強度を比較または組み合わせることによって、撮像システムにおいてコヒーレント・ノイズを低減する方法を提供する。これを行う好適な方策の1つは、好ましくは、(i)物体の、完全な波面再現を含む、撮像面において測定を行い、波面のフーリエ変換を計算するステップと、(ii)フーリエ面を直接撮像することにより、物体を撮像する撮像システムのフーリエ面の実強度画像を取得するステップと、(iii)再現した波面から得られ計算したフーリエ変換の強度を、フーリエ面において得られる実強度画像と組み合わせるか平均化するか、あるいは画像処理によって処理しつつ、計算したフーリエ変換の元の位相を不変のまま残しておくステップと、(iv)同じ位相関数を用いて逆フーリエ変換を実行し、ノイズを最少に抑えた修正波面再現を生成するステップとを備えることができる。
【0145】
加えて、好ましくは、撮像システムにおけるコヒーレント・ノイズは、広帯域光源およびコヒーレント光源のような光源の組み合わせを用いることによって低減することができる。広帯域光源は、平滑な画像を得るため、視野において異なるセグメントを定めるため、そして位相曖昧さの制限以内で暫定計算セグメント高さを決定するために用いられるが、計算した高さは、白色光のコヒーレント長に限界があるために正確ではない。これら高さの暫定的計算値は、各セグメントの正しい高さを決定するために、コヒーレント光源によって得られた位相の初期入力として供する。これは、コヒーレント光源を用いて精度高く決定される。
【0146】
本発明の別の好適な方法によれば、物体の表面トポロジを生成するために2つ以上の波長を用いることによって、撮像システムにおけるコヒーレント・ノイズを低減することができ、2つ以上の単一波長再現を、波長毎に1つずつ、得ることができる。一般に、波面の位相を決定するために単一波長位相関数が用いられ、他の波長位相関数を組み合わせて、この波長の位相の2π曖昧さを解消する。しかしながら、これら2つ以上の解決した単一波長再現を用いれば、以下のようにして、再現を改良して生成することができる。視野の各位置において、異なる単一波長再現を比較し、1つ以上の解決した単一波長再現がある位置において平滑なパターンを与える場合、他の単一波長再現の他のパターンも同じように平滑化される。スムージングは、平滑な単一波長再現の品質マップによる重み付けというような、精巧化を高めた重み付けアルゴリズムによる影響を受ける可能性がある。
【0147】
本発明の更に別の好適な実施形態によれば、撮像システムにおけるコヒーレント・ノイズは、2つの異なる光の変更によって得られる2つの画像の組み合わせおよび平均を用いることによって低減することができる。
【0148】
空間コヒーレント光を用いて動作する撮像システムは、多くの発生源、特に光路における異なる層間の干渉パターンによって生ずるフリンジのために、ノイズが多い場合がある。フリンジを排除し、横方向分解能を高めるために、光の空間コヒーレンスを低減することが望ましい。しかしながら、複数の位相変化変換波面から複数の強度マップを得るためには、空間位相変化を適用する波面全体に対する空間コヒーレンスが好ましい。この好ましい方法によれば、1つの次元のみに空間コヒーレンスを有する光源を用いることが好ましい。これは、例えば、点光源の代わりに線光源を用いることによって遂行することができる。この線光源は、分析物体からの光を反射するため、または部分的に透明な分析物体に光を透過させるために用いることができる。加えて、変換波面(先に「G」を付した)の各空間位置において適用する位相変化の空間関数は、好ましくは、線関数(line function)であり、変換波面の中心領域を通過する、比較的幅が狭い、線状の細長い形状を有する領域において、空間的に均一な空間位相遅延を生成する。この線空間関数を線光源と共に用いると、計算アルゴリズムを、前述したものと非常に類似した計算アルゴリズムに変換する。この線位相遅延は、例えば、図18に示すように、フーリエ面においてフィルタによって導入することができる。図18の好適な実施形態では、光は、線光源1800から、物体1802を通じて投射される。得られた波形をレンズ1804によって、好ましくはレンズ1802の焦点面に位置する線位相マニピュレータ1806上に合焦する。波面を検出器1810上に撮像するために、第2レンズ1808を配置する。
【0149】
図18において前述した構成では、Y方向における空間コヒーレンスが消滅する。図18の好適な実施形態においてカメラの表面上に得られるような撮像面では、物体の畳み込みおよびフィルタのフーリエ変換が一方向(X)についてのみ得られ、他の方向(Y)については得られない。したがって、分析物体の測定に必要な計算、即ち、分析対象の波面の位相および振幅を得るために必要な計算は、一方向においてのみ実行すればよく、双方の方向で実行する必要はない。加えて、測定および分析システムは、測定を反射または透過のいずれによって行っても、Y軸での分析物体のティルトに対する感度は遥かに低い。続いて、分析物体を回転させ、他の寸法(dimension)におけるティルト(tilt)の感度を低下させることができる。尚、線は光源の好ましい形状の一例に過ぎず、点光源以外のいずれの形状でもコヒーレンスに作用し、したがって使用可能であることは明白である。各時点について光の空間コヒーレンスを順番に一方向において消滅させるときに2つの画像の組み合わせを用いることにより、分析物体を二次元で独立して再現することが可能となる。これら2つの再現画像を組み合わせると、物体の2−D画像の第3次元を再現することができる。
【0150】
2つの一次元再現画像は、光源および位相板をフーリエ面において同様に回転させることによって得ることが好ましい。あるいは、2つの一次元再現画像を得るには、光の異なる2つの偏光を用いる。各偏光は、それ自体の一次元光源と、フーリエ面における一次元位相板とを有する。回転偏光板は、好ましくは、一度に1つの強度画像をカメラに向けて透過させる。更に好ましくは、光源は2つの交差一次元光源(線光源)から成り、各々異なる偏光を有するとよい。フーリエ面における位相板は、交差パターンの複屈折材料から成り、交差における一方の線は、一方の偏光に対してのみ適した位相の移行(phase shift)を行い、交差における他方の直交線は、他方の偏光に対して適した位相の移行を行う。回転偏光板は、好ましくは、一度に1つの強度画像をカメラに対して透過させる。
【0151】
多くの用途においては、光学システムによってのみ解決される小さなフィーチャ、または光学システムによって解決可能な最小サイズよりも遥かに小さいフィーチャを測定することが望まれる。測定の要求精度は、フィーチャが既にぼけて見えたり、あるいは従来の撮像によっては見ることすらできない光学システムの解像力よりも数桁高くなければならない場合もある。ここで図19を参照すると、これは、50倍の対物レンズを有する顕微鏡によって撮影した一体化光学導波路構造の画像を示す。解像力が0.5μの光学システムを用いて、導波路間のフィーチャ幅即ち間隔である、0.05μの精度で測定する必要がある。
【0152】
これより図20を参照し、図19の画像に印した区間で示すように、図19の画像の拡大部分を示し、画像におけるエッジの詳細が、顕微鏡の解像力の限界によってぼける様子を示す。測定対象のターゲットの画像を異なる焦点外れの位置で撮影すると、画像のぼけが焦点外れの度合いに応じて変化する。
【0153】
これより図21を参照すると、これは、異なる焦点外れレベルについて、デバイスの画像における導波路のエッジを横切る照明の断面の曲線を示すグラフである。見てわかるように、断面の全ては同じ高さ位置を通過しており、示される幅は暗い線の真の幅である。
【0154】
この方法によれば、測定対象の画像を数枚、好ましくは、異なる焦点外れ位置において撮影し、画像における異なるフィーチャのエッジを横切る照明の断面をプロットする。異なる焦点外れ位置について横方向位置の関数として強度の関数において固定点で照明のプロット全てが集束する点を求めることにより、エッジおよび異なるフィーチャ間の間隔の高精度な測定値を得ることができる。照明光源は、いずれの程度のコヒーレンスでも有することができる。撮像センサの主軸に対して狭い線を回転角度に位置付けると、線の真の幅を決定する精度を高めることができる。これを図19および図20において、XおよびY軸を横切る撮像センサの軸に対して狭い対角線によって示す。
【0155】
本発明の別の好適な実施形態によれば、異なる焦点外れ位置において、波面分析システムを用いて測定対象ターゲットの測定を数回行う。画像における異なるフィーチャのエッジを横切る強度または位相あるいは双方の断面をプロットする。エッジおよび異なるフィーチャ間の間隔は、これらのプロットの半分の高さの点を求めることによって高精度に測定することができる。
【0156】
これより図22を参照し、周期的な波長未満の構造の断面を模式的に示す。この構造の詳細を、本発明の更に別の好適な実施形態によって解決し特徴付ける。この実施形態の方法によれば、分光楕円偏光測定法を用いてこのような波長未満の測定を行う。周期的構造を数学的に数層の仮想的な層に薄切りする。各層は、当該スライスを構成する異なる材料の割合が異なるために、異なる平均光パラメータnおよびkを有する。図22の好適な例では、材料は、空気と、構造自体を構成する別の材料である。薄切りにした周期的な波長未満の構造を規則的な多層スタックと見なすと、各スライスの平均光パラメータnおよびkは、分光楕円偏光測定法および関連するアルゴリズムによって得ることができる。したがって、フィーチャの各スライスにおける異なる材料の異なる割合を得ることができる。これらの計算した割合を、設計した構造による、当該スライスにおける異なる材料の期待した割合と比較することができる。各スライスにおける異なる材料の期待した割合からの逸脱はいずれも、意図した構造からの製作した構造の逸脱と解釈することができる。
【0157】
あるいはそして好ましくは、各スライスの測定した平均光パラメータnおよびkを、期待平均光パラメータnおよびkと比較する。いずれの逸脱も、設計した構造からの製作した構造の逸脱と解釈することができる。あるいは、各スライスの測定した平均光パラメータnおよびkは、好ましくは、多くのシミュレートした周期的な波長未満の構造のバンクに格納されているnおよびkに関するデータと比較する。格納データからの逸脱はいずれも、製作したフィーチャのシミュレートした構造からの逸脱と解釈することができる。
【0158】
本発明の別の好適な方法によれば、周期的な波長未満の構造は、前述のように、本発明の波面分析システムを用いて、分光楕円偏光測定法によって測定する。加えて、このような場合、画像波面における各画素は、異なる周期的な波長未満の構造に対応すると考えることができる。次いで、前述の分光楕円偏光測定法のアルゴリズムを画像の各画素に独立して適用する。
【0159】
半導体集積回路(IC)業界では、回路の実装密度向上の要求が高まっている。この要求の結果、実装密度向上およびミクロン未満のデバイス寸法を達成するために、新たな材料およびプロセスの開発に至った。このような微小寸法でICを製造する場合、回路に加わる複雑度が高まり、その製造の種々の段階において集積回路を検査する方法の改良に対する要求も増大する。ICは、デバイスを構成する多くの層および回路の導体によって構成される。オーバーレイとは、リソグラフィ・プロセスの間に生成した層間の位置ずれであり、リソグラフィ・プロセスを監視するために、オーバーレイ測定値を用いる。
【0160】
これより、薄膜の整合および測定についての位相データを用いた利用方法の使用に基づく、改良したオーバーレイの測定を行う好適な方法について説明する。本方法には、オーバーレイをターゲットとした測定について、既存の方法を上回る潜在的な使用法および利点がいくつかある。測定した波面の複素振幅をオーバーレイ材料の上面からいずれかの他の所望の面まで、本発明の方法のように、伝搬させることにより、異なる層の合焦画像を得ることができる。これら異なる面の画像は、好ましくは単一の撮像手順で短時間の時間枠において得られた、単一の波面のソフトウェア操作によって得られ、したがって異なる層を撮像するために異なる合焦レベルで撮影した多数の画像に起因するノイズまたは機械的外乱を受けることがない。次いで、異なる層における異なる画像を測定し、比較し、または互いに対して整合する。
【0161】
コントラストを高めるために別の好適な方法を用いる。オーバーレイ・ターゲットによっては、従来の明視野撮像方式(bright-field imaging scheme)を用いて視認することが困難な場合もある。これらのターゲットは、化学機械式研磨(CMP)後のオーバーレイ・ターゲット、または僅か数ナノメートルというような、非常に薄い膜から成るターゲットを含む。本発明の方法によって可能となるコントラストの強化により、このようなターゲットを判別し易くなる。何故なら、撮像した層間における位相差による低コントラストを高めることができるからである。更に、本方法は、通例10nm未満までの非常に薄い層の区別も可能にする。
【0162】
3D情報を利用する別の好適な方法では、分析ターゲットの完全なトポグラフィ(topography)に関する実情報を追加して提供し、データ分析および位置ずれの計算を改良することができる。3Dデータは、ボックス層のティルト、またはボックス・エッジの異なる傾斜というような、プロセスの非対称的な現象を示すことができる。微視的レベルでの層のティルトに関する情報は、ステッパのフィードバックのために、またはいずれの化学的/ツール・プロセスを制御するためにも用いることができる。ティルト現象が巨視的である場合、ソフトウェアによる単純なティルト相殺により、位置ずれ計算の精度および再現性を改善することができる。
【0163】
本発明の方法は、位相分析ツールとして、比較的大きな焦点深度でFOVの高さマップを再現することができる。何故なら、強度画像において焦点が外れている層は、位相領域(phase regime)における方が正確に合焦することができるからである。この特徴により、1回のグラブ(grab)において数枚の層の検出が可能となる。即ち、別個の層に連続的に合焦する必要がない。このような多数層合焦は、「二重グラブ」(double grab)として知られており、この従来技術の手順は、機械的移動の結果として画像の位置ずれのような誤差を生じやすい。更に、撮像工程毎に必要な余分な時間が回避され、したがってスループットは向上する。
【0164】
3D情報は、多少焦点が外れていても得ることができる。これが意味するのは、3D測定に対する有効焦点深度は、同じ光学部品を用いた従来の2Dシステムの焦点深度よりも大きいということである。
【0165】
既知の式によって再現した波面の複素振幅をある面から別のいずれかの所望の面に伝搬させることにより、それ以上の走査を必要とせずに、3Dおよび物体の表面マッピング範囲を拡大して得られる。
【0166】
測定対象のターゲット上に測定デバイスを合焦する必要はない。ある平面において測定した波面の複素振幅を測定面から他のいずれかの所望の平面に伝搬させれば、合焦したターゲットの画像を得ることができる。
【0167】
測定した波面の複素振幅を測定面から他のいずれかの所望の平面に伝搬させて合焦したターゲットの画像を得ることにより、これら2平面間の絶対距離を計算することができる。
【0168】
測定した波面の複素振幅を測定面から他のいずれかの所望の平面に伝搬させて合焦画像を得ることにより、大きな焦点深度で、合焦したターゲットの画像を得ることができる。
【0169】
本発明によれば、既存の2Dオーバーレイ検査システムに3Dセンサを追加することができる。
【0170】
既存の2Dに3Dセンサを追加することによって、2Dにおける測定のために最適な焦点を求めるために利用することができる3D情報を提供する。
【0171】
合焦システムとして用いる3Dセンサは、半透明層も、特に、このような誘電体層の屈折率や公称厚さが予め分かっている場合に、扱うことができる。
【0172】
また、3D情報は、ツールによって誘発されるずれ(TIS)の問題を予測することができるデータも提供することができ、それに応じてデータ分析および焦点補正を可能とする。
【0173】
2D測定と合わせて3D情報を用いると、合否(またはいずれの0/1)判定に対する「多数決」の同じ考えにおいて、位置ずれの分析が改善する。
【0174】
3Dセンサは1つの波長(または狭い帯域幅)があればよいので、性能を高め色収差を排除した光学システムを設計することができる。
【0175】
ターゲットの画像は、異なる焦点外れ位置で撮影する。前述のように、種々の合焦位置を用いて高分解能で線の幅を求め、プロファイルの交差点を求める方法を用いると、精度を高めて各ターゲットの位置を判定することができる。
【0176】
前述の方法および実現例は、当該実現例の具体的な詳細または構成要素に関係付けずに説明した場合もあった。本方法および装置を広げるために可能な方法の一部は、本方法の可能な詳細の一部、および当該方法を実施する可能な構成要素と共に、PCT出願第PCT/IL/01/00335、米国特許第6,819,435号、およびPCT出願第PCT/IL/02/00833号において述べられている。
【0177】
尚、具体例または具体的な数値の詳細が与えられている場合、これらは本方法に可能な1つの実現例を説明することを意図するに過ぎず、本発明の方法はこれらには限定されないことを記しておく。
【0178】
本発明の方法およびデバイスの詳細を説明する本文書における詳細および詳述は、これらの特徴のあらゆる組み合わせも含めて、本発明の方法に可能なシステムおよび実現例の数例に過ぎず、本発明の方法はこれらには限定されないことを記しておく。
【0179】
尚、明確化のために、本発明の種々の特徴を別個の実施形態の文脈で説明したが、これらを組み合わせて1つの実施形態にしてもよいことは認められよう。逆に、簡潔性のために1つの実施形態の文脈で説明した本発明の種々の特徴を別個に設けること、または適当などのサブコンビネーションでも設けることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0180】
【図1】図1は、波面分析機能性の、簡略化した一部模式的、一部ブロック図の一例である。
【図2】図2は、図1の機能性を実行するのに適した波面分析システムの一部模式的、一部ブロック図の一例である。
【図3】図3は、図1の機能性および構造を採用した、表面マッピング・システムの一部模式的、一部絵画的な図である。
【図4】図4は、本発明の種々の実施形態において用いるアルゴリズムおよび計算方法の概略的な原理を示し、図1の機能性の一部を簡略化した機能ブロック図を示す。
【図5】図5は、2つの機能性、即ち、撮像機能性および撮像波面分析機能性を含む波面分析システムの模式図を示す。
【図6】図6は、楕円偏光分析による多層物体の検出および測定を可能とし、図1から図5に示した装置および方法において記載した位相測定方法を用いる、本発明の第1好適実施形態の要素を模式的に示す。
【図7】図7は、3つの異なる波長についての、シリコン上二酸化シリコンの多層スタックからの反射光の位相および振幅の例を示す図である。
【図8】図8は、しかるべき照明条件の使用による、多層から成る物体を照明したときに、多重反射による位相変化の効果を低減する方法を模式的に示す。
【図9】図9は、同じ反射率を有するが異なる位相変化を有し、「白色」方法では差別化できない、異なる多層スタック間で差別化するためにどのように位相測定データを用いることができるかを模式的に示す。
【図10】図10は、ある面におけるいずれの既知の波面でも、既知の伝搬式の使用によりいずれの他の所望の面にでも伝搬することを可能にする波面分析方法を示すための、Z方向への波面の伝搬を模式的に示す。
【図11】図11は、焦点距離に沿った伝搬位置の関数として、任意の波面のエントロピ・プロットを示す。
【図12】図12は、画像または波面の異なるセグメントに独立して適用される「最良合焦」の方法の模式図である。
【図13】図13は、立体波面伝搬方法を適用することによって得られる最良合焦および高さ測定値を用いる、本発明の別の好適な方法を示す。
【図14】図14は、白色光およびコヒーレント光干渉法の使用に基づく干渉測定装置の模式図である。
【図15】図15は、異なるスペクトル・フィルタを用いることによる等で、異なる波長に対して異なる透過率を有する同心円から成るアパーチャによって、アパーチャの寸法を異なる波長に対してどのように変更できるかを模式的に示す。
【図16】図16は、埃から発生するような、波面における外乱、および光路における欠陥の影響を低減する方法を実施する好適な方法を模式的に示す。
【図17】図17は、撮像システム自体の要素はいずれも機械的に移動させることなく、撮像システムにおける光学部品を移動させる方法を実施するための好適な装置を示す。
【図18】図18は、横方向分解能を高めるために光の空間コヒーレンスを低減する光源を用いたコヒーレント撮像システムを、図18に記載した構成において、Y方向の空間コヒーレンスを除外して示す。
【図19】図19は、×50の対物レンズを有する顕微鏡を用いて撮影した微小構造の図であり、このような画像における分解能を高める方法を示す。
【図20】図20は、顕微鏡の分解力に限度があるために、画像におけるエッジの詳細がどのようにぼけるかを示す、図19の画像の拡大部分を示す。
【図21】図21は、異なる焦点外れレベルについて、図20の画像における構造のエッジ全域に渡る照明の断面の曲線を示すグラフである。
【図22】図22は、本発明の更に別の好適な実施形態によって詳細を解決し特徴付けた、周期的波長未満構造の断面を模式的に示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体の厚さを測定するための光学装置であって、
前記物体の面の上方に配置され、その光軸が前記面に対して垂直である対物レンズと、
ある範囲の放出波長を有する照明源であって、前記レンズの上方において本質的に前記レンズの焦点面内に配置されて、前記レンズが平行ビームを生成するようにし、前記照明源が前記光軸から横方向にオフセットして、前記平行ビームが垂直でない入射角度で前記物体を照明するようにした、照明源と、
前記照明源と前記レンズとの間に配置された第1偏光エレメントと、
本質的に、前記レンズが生成する前記物体の画像面において、前記光軸から横方向にオフセットして配置された検出器エレメントと、
前記レンズと前記検出器との間に配置された第2偏光エレメントと、
を備えた光学装置。
【請求項2】
請求項1記載の光学装置において、前記レンズの開口数は0.5よりも大きい、光学装置。
【請求項3】
請求項1記載の光学システムにおいて、前記照明源は広帯域照明源である、光学システム。
【請求項4】
請求項1記載の光学システムにおいて、前記照明源は、ある数の離散波長を有する、光学システム。
【請求項5】
請求項1記載の光学システムにおいて、前記検出器エレメントは、検出器アレイである、光学システム。
【請求項6】
いくつかの透明層を有する物体の表面トポグラフィを測定する方法であって、
前記物体を照明し、これから反射する波面の振幅および位相を測定するステップであって、
振幅および位相を測定している前記波面に対応する複数の位相変化相違変換波面を得るステップと、
前記複数の位相変化相違変換波面の複数の強度マップを得るステップと、
前記波面の前記振幅および測定した位相を示す出力を得るために、前記複数の強度マップを使用するステップと、
によって複数の位相変化相違変換波面を得るステップと、
前記物体の広帯域照明によって前記透明層の厚さを測定し、少なくとも2つの波長において、前記物体からの反射強度を分析するステップと、
前記厚さの測定値から、前記透明層からの多数の反射による前記反射波面の計算位相マップを計算するステップと、
前記物体の前記表面トポグラフィを得るために、前記計算位相マップを前記測定位相と比較するステップと、
を備えた方法。
【請求項7】
請求項6記載の方法において、前記比較するステップは、前記物体上の同じ位置における前記測定位相から、前記計算位相マップから得た位相値を減算することを含む、方法。
【請求項8】
物体における透明層の厚さの測定のための光学装置であって、
前記物体を照明するコヒーレント光源と、
前記透明層からの反射率を測定する検出器と、
コヒーレント照明によって前記物体から反射した位相を測定する干渉計と、
前記物体における前記透明層の前記厚さを得るように、透明層の厚さおよび光学特性の関数として、期待反射位相および期待反射振幅を記述する数学的モデルにおいて、前記測定した位相および前記反射率を利用する処理ユニットと、
を備えた光学装置。
【請求項9】
物体における透明層の厚さの測定方法であって、
少なくとも1つの所定の波長において前記物体をコヒーレント光で照明するステップと、
干渉計を用意し、前記物体から反射した前記コヒーレント光の位相を測定するステップと、
複数の追加の所定の離散波長の光で前記物体を照明するステップと、
前記複数の所定の離散波長において、前記光の反射率を測定するステップと、
前記複数の所定の離散波長において、前記反射光の期待の位相および振幅特性を記述する数学的モデルを、透明層の厚さおよび光学特性の関数として用いるステップと、
前記物体における前記透明層の前記厚さを得るために、前記数学的モデルにおいて前記測定した位相および反射率の値を利用するステップと、
を備えた方法。
【請求項10】
請求項9記載の方法において、前記複数の所定の離散波長は、フィルタ・ホイールの使用によって得る、方法。
【請求項11】
請求項9記載の方法において、前記複数の所定の離散波長は、分光測光計の使用によって得る、方法。
【請求項12】
請求項9記載の方法において、前記複数の所定の離散波長は、前記少なくとも1つのコヒーレント光源から得る、方法。
【請求項13】
請求項8記載の方法において、前記物体における少なくとも1つの点は既知の構造を有し、前記少なくとも1つの点における前記期待位相特性遅延は絶対的に既知であり、前記物体全体の絶対位相差を決定するために前記絶対的に既知の位相特性を用いる、方法。
【請求項14】
物体の合焦画像を得るための方法であって、
前記物体を照明するステップと、
前記物体から出射する前記照明の波面の振幅および位相情報を、前記波面が必ずしも合焦画像を生成するとは限らない任意の平面において得るステップと、
前記波面の伝搬特性の数学的解法によって、前記波面の伝搬経路に沿った一連の追加平面において、前記波面の形態を計算するステップと、
前記追加の平面のどれにおいて、前記波面が合焦画像の形態を有するか判定を行うステップと、
を備えた方法。
【請求項15】
請求項14記載の方法において、前記追加の平面のどれにおいて、前記波面が合焦画像の形態を有するか判定を行う前記ステップは、
前記追加の平面の各々において、前記波面の少なくとも1つの光学特性の複素関数のエントロピを計算するステップであって、前記波面の前記複素関数の累積表面積の尺度から前記エントロピを決定する、ステップと、
前記エントロピが最小となる前記伝搬ステップを判定するステップと、
を備えた、方法。
【請求項16】
請求項15記載の方法において、前記波面の前記複素関数は、複素振幅関数、複素位相関数、ならびに複素振幅/位相関数のうち少なくとも1つである、方法。
【請求項17】
物体の第1および第2のセグメント間の高さの差を測定する方法であって、
前記物体の前記セグメント双方を照明するステップと、
前記物体から出射する前記照明の波面の振幅および位相情報を、前記波面が必ずしも合焦画像を生成するとは限らない任意の平面において得るステップと、
前記波面の伝搬特性の数学的解法によって、前記波面の伝搬経路に沿った一連の追加平面における波面の形態を計算するステップと、
前記波面の前記追加平面のどれにおいて、前記波面が前記第1セグメントの合焦画像の形態を有するか判定を行うステップと、
前記波面の前記追加平面のどれにおいて、前記波面が前記第2セグメントの合焦画像の形態を有するか判定を行うステップと、
前記波面が前記第2セグメントの合焦画像の形態を有する前記追加平面と、前記波面が前記第1セグメントの合焦画像の形態を有する前記追加平面との間の距離を減算することによって、前記高さの差を得るステップと、
を備えた方法。
【請求項18】
請求項17記載の方法において、他の測定方法において生ずる位相の曖昧さを低減するために、前記2つのセグメント間の前記高さ差を、高さ差の推定値として利用する、方法。
【請求項19】
位相測定システムにおいて2πの曖昧さを解決する方法であって、
第1波長において物体を照明し、前記物体上に入射する第1波面の位相情報を決定するステップと、
第2波長において前記物体を照明し、前記物体上に入射する第2波面の位相情報を決定するステップと、
前記物体において少なくとも2つのセグメントを定めるステップと、
前記第1セグメントにおいて第1の点集合を指定し、前記第2セグメントにおいて第2の点集合を指定し、前記第1集合における前記点の1つを第1アンカー点として定め、前記第2集合における前記点の1つを第2アンカー点として定めるステップと、
前記第1アンカー点と前記第1の点集合との間の高さ差、および前記第2アンカー点と前記第2の点集合との間の高さ差を得るために、前記第1および第2位相情報の少なくとも1つをアンラップするステップと、
前記第1および第2の位相情報を用いて、前記第1集合における点と前記第2集合における点との間の高さ差を計算して、前記点の対の集合に対応する高さ差の集合を決定するステップと、
近似高さ曖昧さの集合を得るステップであって、各近似高さ曖昧さが前記高さ差の集合における1つの高さ差に対応する、ステップと、
前記第1および第2アンカー点間の近似高さ曖昧さ集合を決定するために、前記近似高さ曖昧さ集合を用いるステップと、
前記第1および第2アンカー点間の前記近似高さ曖昧さ集合から、前記第1および第2アンカー点間の前記高さ曖昧さの最も確率が高い値を決定するステップと、
前記最も確率が高い曖昧さの値を利用して、前記第1および第2の位相情報測定値間の2π曖昧さを解決するステップと、
を備えた方法。
【請求項20】
請求項19記載の方法において、前記第1および第2アンカー点間の前記高さ曖昧さの前記最も確率が高い値は、前記第1および第2アンカー点間の前記近似高さ曖昧さ集合の平均値に最も近い、方法。
【請求項21】
請求項19記載の方法において、前記第1および第2アンカー点間の前記高さ曖昧さの前記最も確率が高い値は、前記第1および第2アンカー点間の前記近似高さ曖昧さ集合のヒストグラム・プロットの最大値である、方法。
【請求項22】
光学システムにおいて空間フィルタリングに用いるための1組のフィルタであって、各フィルタが、特徴的なサイズの開口と特徴的なスペクトル特性とを有し、各フィルタの前記開口および前記スペクトル特性を、前記システムにおける画像コントラストを高めるように選択する、1組のフィルタ。
【請求項23】
請求項22記載の1組のフィルタにおいて、各フィルタの前記開口および前記空間特性は、撮像光の空間拡散増大の効果を、増大する波長によって、更に撮像光の空間拡散減少の効果を、増大するアパーチャ・サイズによって相互に相殺するために選択する、1組のフィルタ。
【請求項24】
請求項22記載の1組のフィルタにおいて、前記フィルタの各々について、前記フィルタの前記開口の前記フィルタが動作する波長に対する比率が本質的に一定である、1組のフィルタ。
【請求項25】
請求項22記載の1組のフィルタにおいて、前記空間フィルタリングは、前記撮像システムの視野の中心領域と周辺領域との間において実行する、1組のフィルタ。
【請求項26】
請求項22記載の1組のフィルタにおいて、前記1組のフィルタは、機械的な移動を伴わずに、異なる波長に対して異なるアパーチャを得ることを可能にする、1組のフィルタ。
【請求項27】
空間フィルタリングのために撮像システムにおいてコントラストを高める方法であって、
少なくとも2つの別個の制御可能な位相変調領域と、主軸とを有する複屈折空間光変調器を設けるステップと、
前記複屈折空間光変調器の前に、直線偏光エレメントを配置するステップであって、前記直線偏光エレメントの偏光方向が前記空間光変調器の前記主軸と一致しない、ステップと、
前記複屈折空間光変調器の後に、直線偏光エレメントを配置するステップと、
前記画像の出力画像コントラストを最適化するように、前記2つの位相変調領域間における要求透過率比を決定するステップと、
各波面出力において、前記2つの位相変調領域間で異なる位相遅延が得られ、全ての波面出力が前記2つの位相変調領域間において同じ透過率比を有し、前記同じ透過率比が前記要求透過率と等しくなるように、前記直線偏光エレメントの少なくとも1つを回転させ、前記変調領域の少なくとも1つにおける位相遅延を調節することによって、前記システムから多数の波面出力を得るステップと、
を備えた方法。
【請求項28】
光学システムにおいてコヒーレント・ノイズを低減する方法であって、
撮像対象物体を照明するステップと、
前記物体から出射する照明の波面の振幅および位相情報を、前記波面が合焦画像を生成する前記波面の伝搬経路に沿った第1平面において、測定するステップと、
前記システムにおいて、非合焦距離だけ前記画像の焦点を外すステップと、
前記非合焦距離だけ前記第1平面から離れた第2平面において、前記物体から出射する照明の波面の非合焦の振幅および位相情報を得るステップと、
前記非合焦振幅および位相波面情報を用いて、前記波面の伝搬特性の数学的解法により、前記第2平面から前記非合焦距離だけ離れた前記第1合焦面における再合焦振幅および位相波形情報を計算するステップと、
前記撮像物体におけるコヒーレント・ノイズを低減するために、前記測定振幅および位相波形情報、ならびに前記再合焦振幅および位相波形情報を組み合わせるステップと、
を備えた方法。
【請求項29】
請求項28記載の方法において、前記組み合わせるステップは、平均、比較、および画像処理のうち少なくとも1つによって実行する、方法。
【請求項30】
第1の所与の平面において波面内のノイズを低減する方法であって、前記ノイズは第2平面に位置する外乱から発生し、前記方法は、
前記所与の平面における前記波面の振幅および位相情報を測定するステップと、
前記波面の伝搬特性の数学的解法によって、前記波面の伝搬経路内の追加平面における波面の振幅および位相情報を計算するステップと、
前記外乱を含む画像を最適に合焦させるのは、前記追加平面のうちどれに前記波面が位置するときか判定するステップと、
前記外乱を相殺するように、前記最適合焦位置において前記波面を修正するステップと、
前記修正波形を用いて、前記波面の伝搬特性の数学的解法によって、前記局在外乱からノイズが発生することなく、画像を得ることができる、前記第1平面における新たな振幅および位相波形情報を計算するステップと、
を備えた、方法。
【請求項31】
請求項30記載の方法において、前記外乱は、合焦していない埃粒子からの同心円フリンジとして現れる、方法。
【請求項32】
請求項30記載の方法において、前記外乱を画像処理によって相殺する、方法。
【請求項33】
請求項30記載の方法において、前記外乱は、前記波面の伝搬経路における埃または欠陥によって生ずる、方法。
【請求項34】
光学システムにおいて、所与の平面における波面内の収差を低減する方法であって、前記収差は前記光学システムにおけるどこか他の場所で発生し、前記方法は、
前記所与の平面において前記波面の振幅および位相情報を測定するステップと、
前記波面の伝搬特性の数学的解法によって、前記波面の伝搬経路内の追加平面における前記波面の振幅および位相情報を計算するステップと、
前記収差の発生源が位置付けられるのは、前記追加平面のうちどれに前記波面があるときか判定するステップと、
前記収差を排除するように、前記収差源位置において前記波面を修正するステップと、
前記修正波形を用いて、前記波面の伝搬特性の数学的解法によって、収差のない画像を得ることができる、別の平面における新たな振幅および位相波形情報を計算するステップと、
を備えた、方法。
【請求項35】
物体の画像におけるコヒーレント・ノイズを低減する方法であって、
コヒーレント照明源、位相マニピュレータ、および多数の光学エレメントを含む光路を備えた撮像システムを設けるステップと、
ある画像平面における前記物体の画像を表す波面の振幅および位相情報を測定するステップと、前記物体、前記照明源、および前記光学エレメントの少なくとも1つのうちの少なくとも1つの位置を移動させ、次いで再合焦するステップと、
前記移動および再合焦するステップの後、前記物体の画像を表す波面の振幅および位相情報を測定するステップと、
前記コヒーレント・ノイズを低減するように、前記移動させるステップの前後における前記波面の前記振幅および位相情報を平均化するステップと、
を備えた、方法。
【請求項36】
請求項35記載の方法において、前記移動は、前記光源を少なくとも1つの軸方向に移動させること、および移動する光源の画像面内にそれを維持するための前記位相マニピュレータの対応する移動から成り、前記画像を時間ドメインにおいて一体化する、方法。
【請求項37】
請求項35記載の方法において、前記位相マニピュレータを前記光源の画像面内に維持し、前記光源上の同一点を、前記移動とは無関係に、前記位相マニピュレータの同じ点上に撮像する、方法。
【請求項38】
請求項35記載の方法において、前記移動は、多数の位相変化変換波面を生成するための前記光路内における前記位相マニピュレータの移動から成る、方法。
【請求項39】
請求項35記載の方法において、前記移動は、前記物体のZ軸に沿った異なる合焦および非合焦状態への移動から成る、方法。
【請求項40】
請求項35記載の方法において、前記移動は、異なる軸外れ位置または異なるティルトへの前記物体の移動から成り、更に、画像位置合わせのステップを備えた、方法。
【請求項41】
請求項35記載の方法において、前記光路は回転ウェッジを含み、該ウェッジの回転に伴って前記光路が空間運動を行うが、前記光学エレメントの他のいずれの運動も必要としないようになった、方法。
【請求項42】
撮像システムにおいてコヒーレンス・ノイズを低減する方法であって、
第1の精度レベルを有する平滑な画像を得るように、中程度に広帯域の光源を用いて物体を撮像するステップと、
前記物体のフィーチャの暫定計算高さを、位相曖昧さの限度内で決定するステップであって、前記第1の精度レベルは、前記広帯域光源の短コヒーレント長によって制限される、ステップと、
前記平滑な画像よりもノイズが多いが、前記第1の精度レベルよりも高い第2の精度レベルを有する画像を得るために、コヒーレント光源を用いて前記物体を撮像するステップと、
前記フィーチャの高さを、精度を上げて決定するために、前記コヒーレント撮像によって得られる位相のために、前記物体のフィーチャの前記暫定計算高さを初期入力として用いるステップと、
を備えた方法。
【請求項43】
撮像システムを用い、当該撮像システムの解像力よりも高い分解能で物体のフィーチャのエッジの位置を判定する方法であって、
最良の焦点周囲における多数の異なる焦点外れ距離において前記フィーチャの一連の画像を生成し、照明レベルの記録を、前記画像を横切る横方向距離の関数として生成するステップと、
前記記録を分析して前記照明レベルが前記画像を横切る共通横方向距離において集束する点を求めるステップであって、前記点が前記フィーチャのエッジの位置となる、ステップと、
を備えた方法。
【請求項44】
多層構造においてオーバーレイの測定を行う方法であって、
前記多層構造を照明し、前記多層構造のうち第1層内の平面の画像を表す第1複素波面マップの振幅および位相情報を生成するステップと、
前記波面の伝搬特性の数学的解法によって、前記多層構造の第2層内の平面の画像を表す第2複素波面マップの振幅および位相情報を計算するステップと、
前記第1および第2層のオーバーレイに関する情報を提供するために、前記第1および第2複素波面マップを比較するステップと、
を備えた方法。
【請求項45】
請求項44記載の方法において、撮像システムを再合焦する必要なく、1回の撮像プロセスにおいて前記オーバーレイの測定を行う、方法。
【請求項46】
請求項44記載の方法において、前記オーバーレイ測定における前記振幅および位相情報の使用により、位相情報を用いない撮像方法と比較して、コントラスト測定値を高めることを可能とする、方法。
【請求項47】
請求項44記載の方法において、前記オーバーレイ測定における前記振幅および位相情報の使用により、前記多層構造に関して三次元情報を得ることを可能とすることによって、位相情報を用いない撮像方法と比較して、位置ずれの測定を改善する、方法。
【請求項48】
請求項44記載の方法において、前記オーバーレイ測定における前記振幅および位相情報の使用により、位相情報を用いない撮像方法と比較して、測定焦点深度の増大を可能とすることによって、1回の撮像プロセスにおいて1つよりも多い層の撮像を可能とする、方法。
【請求項1】
物体の厚さを測定するための光学装置であって、
前記物体の面の上方に配置され、その光軸が前記面に対して垂直である対物レンズと、
ある範囲の放出波長を有する照明源であって、前記レンズの上方において本質的に前記レンズの焦点面内に配置されて、前記レンズが平行ビームを生成するようにし、前記照明源が前記光軸から横方向にオフセットして、前記平行ビームが垂直でない入射角度で前記物体を照明するようにした、照明源と、
前記照明源と前記レンズとの間に配置された第1偏光エレメントと、
本質的に、前記レンズが生成する前記物体の画像面において、前記光軸から横方向にオフセットして配置された検出器エレメントと、
前記レンズと前記検出器との間に配置された第2偏光エレメントと、
を備えた光学装置。
【請求項2】
請求項1記載の光学装置において、前記レンズの開口数は0.5よりも大きい、光学装置。
【請求項3】
請求項1記載の光学システムにおいて、前記照明源は広帯域照明源である、光学システム。
【請求項4】
請求項1記載の光学システムにおいて、前記照明源は、ある数の離散波長を有する、光学システム。
【請求項5】
請求項1記載の光学システムにおいて、前記検出器エレメントは、検出器アレイである、光学システム。
【請求項6】
いくつかの透明層を有する物体の表面トポグラフィを測定する方法であって、
前記物体を照明し、これから反射する波面の振幅および位相を測定するステップであって、
振幅および位相を測定している前記波面に対応する複数の位相変化相違変換波面を得るステップと、
前記複数の位相変化相違変換波面の複数の強度マップを得るステップと、
前記波面の前記振幅および測定した位相を示す出力を得るために、前記複数の強度マップを使用するステップと、
によって複数の位相変化相違変換波面を得るステップと、
前記物体の広帯域照明によって前記透明層の厚さを測定し、少なくとも2つの波長において、前記物体からの反射強度を分析するステップと、
前記厚さの測定値から、前記透明層からの多数の反射による前記反射波面の計算位相マップを計算するステップと、
前記物体の前記表面トポグラフィを得るために、前記計算位相マップを前記測定位相と比較するステップと、
を備えた方法。
【請求項7】
請求項6記載の方法において、前記比較するステップは、前記物体上の同じ位置における前記測定位相から、前記計算位相マップから得た位相値を減算することを含む、方法。
【請求項8】
物体における透明層の厚さの測定のための光学装置であって、
前記物体を照明するコヒーレント光源と、
前記透明層からの反射率を測定する検出器と、
コヒーレント照明によって前記物体から反射した位相を測定する干渉計と、
前記物体における前記透明層の前記厚さを得るように、透明層の厚さおよび光学特性の関数として、期待反射位相および期待反射振幅を記述する数学的モデルにおいて、前記測定した位相および前記反射率を利用する処理ユニットと、
を備えた光学装置。
【請求項9】
物体における透明層の厚さの測定方法であって、
少なくとも1つの所定の波長において前記物体をコヒーレント光で照明するステップと、
干渉計を用意し、前記物体から反射した前記コヒーレント光の位相を測定するステップと、
複数の追加の所定の離散波長の光で前記物体を照明するステップと、
前記複数の所定の離散波長において、前記光の反射率を測定するステップと、
前記複数の所定の離散波長において、前記反射光の期待の位相および振幅特性を記述する数学的モデルを、透明層の厚さおよび光学特性の関数として用いるステップと、
前記物体における前記透明層の前記厚さを得るために、前記数学的モデルにおいて前記測定した位相および反射率の値を利用するステップと、
を備えた方法。
【請求項10】
請求項9記載の方法において、前記複数の所定の離散波長は、フィルタ・ホイールの使用によって得る、方法。
【請求項11】
請求項9記載の方法において、前記複数の所定の離散波長は、分光測光計の使用によって得る、方法。
【請求項12】
請求項9記載の方法において、前記複数の所定の離散波長は、前記少なくとも1つのコヒーレント光源から得る、方法。
【請求項13】
請求項8記載の方法において、前記物体における少なくとも1つの点は既知の構造を有し、前記少なくとも1つの点における前記期待位相特性遅延は絶対的に既知であり、前記物体全体の絶対位相差を決定するために前記絶対的に既知の位相特性を用いる、方法。
【請求項14】
物体の合焦画像を得るための方法であって、
前記物体を照明するステップと、
前記物体から出射する前記照明の波面の振幅および位相情報を、前記波面が必ずしも合焦画像を生成するとは限らない任意の平面において得るステップと、
前記波面の伝搬特性の数学的解法によって、前記波面の伝搬経路に沿った一連の追加平面において、前記波面の形態を計算するステップと、
前記追加の平面のどれにおいて、前記波面が合焦画像の形態を有するか判定を行うステップと、
を備えた方法。
【請求項15】
請求項14記載の方法において、前記追加の平面のどれにおいて、前記波面が合焦画像の形態を有するか判定を行う前記ステップは、
前記追加の平面の各々において、前記波面の少なくとも1つの光学特性の複素関数のエントロピを計算するステップであって、前記波面の前記複素関数の累積表面積の尺度から前記エントロピを決定する、ステップと、
前記エントロピが最小となる前記伝搬ステップを判定するステップと、
を備えた、方法。
【請求項16】
請求項15記載の方法において、前記波面の前記複素関数は、複素振幅関数、複素位相関数、ならびに複素振幅/位相関数のうち少なくとも1つである、方法。
【請求項17】
物体の第1および第2のセグメント間の高さの差を測定する方法であって、
前記物体の前記セグメント双方を照明するステップと、
前記物体から出射する前記照明の波面の振幅および位相情報を、前記波面が必ずしも合焦画像を生成するとは限らない任意の平面において得るステップと、
前記波面の伝搬特性の数学的解法によって、前記波面の伝搬経路に沿った一連の追加平面における波面の形態を計算するステップと、
前記波面の前記追加平面のどれにおいて、前記波面が前記第1セグメントの合焦画像の形態を有するか判定を行うステップと、
前記波面の前記追加平面のどれにおいて、前記波面が前記第2セグメントの合焦画像の形態を有するか判定を行うステップと、
前記波面が前記第2セグメントの合焦画像の形態を有する前記追加平面と、前記波面が前記第1セグメントの合焦画像の形態を有する前記追加平面との間の距離を減算することによって、前記高さの差を得るステップと、
を備えた方法。
【請求項18】
請求項17記載の方法において、他の測定方法において生ずる位相の曖昧さを低減するために、前記2つのセグメント間の前記高さ差を、高さ差の推定値として利用する、方法。
【請求項19】
位相測定システムにおいて2πの曖昧さを解決する方法であって、
第1波長において物体を照明し、前記物体上に入射する第1波面の位相情報を決定するステップと、
第2波長において前記物体を照明し、前記物体上に入射する第2波面の位相情報を決定するステップと、
前記物体において少なくとも2つのセグメントを定めるステップと、
前記第1セグメントにおいて第1の点集合を指定し、前記第2セグメントにおいて第2の点集合を指定し、前記第1集合における前記点の1つを第1アンカー点として定め、前記第2集合における前記点の1つを第2アンカー点として定めるステップと、
前記第1アンカー点と前記第1の点集合との間の高さ差、および前記第2アンカー点と前記第2の点集合との間の高さ差を得るために、前記第1および第2位相情報の少なくとも1つをアンラップするステップと、
前記第1および第2の位相情報を用いて、前記第1集合における点と前記第2集合における点との間の高さ差を計算して、前記点の対の集合に対応する高さ差の集合を決定するステップと、
近似高さ曖昧さの集合を得るステップであって、各近似高さ曖昧さが前記高さ差の集合における1つの高さ差に対応する、ステップと、
前記第1および第2アンカー点間の近似高さ曖昧さ集合を決定するために、前記近似高さ曖昧さ集合を用いるステップと、
前記第1および第2アンカー点間の前記近似高さ曖昧さ集合から、前記第1および第2アンカー点間の前記高さ曖昧さの最も確率が高い値を決定するステップと、
前記最も確率が高い曖昧さの値を利用して、前記第1および第2の位相情報測定値間の2π曖昧さを解決するステップと、
を備えた方法。
【請求項20】
請求項19記載の方法において、前記第1および第2アンカー点間の前記高さ曖昧さの前記最も確率が高い値は、前記第1および第2アンカー点間の前記近似高さ曖昧さ集合の平均値に最も近い、方法。
【請求項21】
請求項19記載の方法において、前記第1および第2アンカー点間の前記高さ曖昧さの前記最も確率が高い値は、前記第1および第2アンカー点間の前記近似高さ曖昧さ集合のヒストグラム・プロットの最大値である、方法。
【請求項22】
光学システムにおいて空間フィルタリングに用いるための1組のフィルタであって、各フィルタが、特徴的なサイズの開口と特徴的なスペクトル特性とを有し、各フィルタの前記開口および前記スペクトル特性を、前記システムにおける画像コントラストを高めるように選択する、1組のフィルタ。
【請求項23】
請求項22記載の1組のフィルタにおいて、各フィルタの前記開口および前記空間特性は、撮像光の空間拡散増大の効果を、増大する波長によって、更に撮像光の空間拡散減少の効果を、増大するアパーチャ・サイズによって相互に相殺するために選択する、1組のフィルタ。
【請求項24】
請求項22記載の1組のフィルタにおいて、前記フィルタの各々について、前記フィルタの前記開口の前記フィルタが動作する波長に対する比率が本質的に一定である、1組のフィルタ。
【請求項25】
請求項22記載の1組のフィルタにおいて、前記空間フィルタリングは、前記撮像システムの視野の中心領域と周辺領域との間において実行する、1組のフィルタ。
【請求項26】
請求項22記載の1組のフィルタにおいて、前記1組のフィルタは、機械的な移動を伴わずに、異なる波長に対して異なるアパーチャを得ることを可能にする、1組のフィルタ。
【請求項27】
空間フィルタリングのために撮像システムにおいてコントラストを高める方法であって、
少なくとも2つの別個の制御可能な位相変調領域と、主軸とを有する複屈折空間光変調器を設けるステップと、
前記複屈折空間光変調器の前に、直線偏光エレメントを配置するステップであって、前記直線偏光エレメントの偏光方向が前記空間光変調器の前記主軸と一致しない、ステップと、
前記複屈折空間光変調器の後に、直線偏光エレメントを配置するステップと、
前記画像の出力画像コントラストを最適化するように、前記2つの位相変調領域間における要求透過率比を決定するステップと、
各波面出力において、前記2つの位相変調領域間で異なる位相遅延が得られ、全ての波面出力が前記2つの位相変調領域間において同じ透過率比を有し、前記同じ透過率比が前記要求透過率と等しくなるように、前記直線偏光エレメントの少なくとも1つを回転させ、前記変調領域の少なくとも1つにおける位相遅延を調節することによって、前記システムから多数の波面出力を得るステップと、
を備えた方法。
【請求項28】
光学システムにおいてコヒーレント・ノイズを低減する方法であって、
撮像対象物体を照明するステップと、
前記物体から出射する照明の波面の振幅および位相情報を、前記波面が合焦画像を生成する前記波面の伝搬経路に沿った第1平面において、測定するステップと、
前記システムにおいて、非合焦距離だけ前記画像の焦点を外すステップと、
前記非合焦距離だけ前記第1平面から離れた第2平面において、前記物体から出射する照明の波面の非合焦の振幅および位相情報を得るステップと、
前記非合焦振幅および位相波面情報を用いて、前記波面の伝搬特性の数学的解法により、前記第2平面から前記非合焦距離だけ離れた前記第1合焦面における再合焦振幅および位相波形情報を計算するステップと、
前記撮像物体におけるコヒーレント・ノイズを低減するために、前記測定振幅および位相波形情報、ならびに前記再合焦振幅および位相波形情報を組み合わせるステップと、
を備えた方法。
【請求項29】
請求項28記載の方法において、前記組み合わせるステップは、平均、比較、および画像処理のうち少なくとも1つによって実行する、方法。
【請求項30】
第1の所与の平面において波面内のノイズを低減する方法であって、前記ノイズは第2平面に位置する外乱から発生し、前記方法は、
前記所与の平面における前記波面の振幅および位相情報を測定するステップと、
前記波面の伝搬特性の数学的解法によって、前記波面の伝搬経路内の追加平面における波面の振幅および位相情報を計算するステップと、
前記外乱を含む画像を最適に合焦させるのは、前記追加平面のうちどれに前記波面が位置するときか判定するステップと、
前記外乱を相殺するように、前記最適合焦位置において前記波面を修正するステップと、
前記修正波形を用いて、前記波面の伝搬特性の数学的解法によって、前記局在外乱からノイズが発生することなく、画像を得ることができる、前記第1平面における新たな振幅および位相波形情報を計算するステップと、
を備えた、方法。
【請求項31】
請求項30記載の方法において、前記外乱は、合焦していない埃粒子からの同心円フリンジとして現れる、方法。
【請求項32】
請求項30記載の方法において、前記外乱を画像処理によって相殺する、方法。
【請求項33】
請求項30記載の方法において、前記外乱は、前記波面の伝搬経路における埃または欠陥によって生ずる、方法。
【請求項34】
光学システムにおいて、所与の平面における波面内の収差を低減する方法であって、前記収差は前記光学システムにおけるどこか他の場所で発生し、前記方法は、
前記所与の平面において前記波面の振幅および位相情報を測定するステップと、
前記波面の伝搬特性の数学的解法によって、前記波面の伝搬経路内の追加平面における前記波面の振幅および位相情報を計算するステップと、
前記収差の発生源が位置付けられるのは、前記追加平面のうちどれに前記波面があるときか判定するステップと、
前記収差を排除するように、前記収差源位置において前記波面を修正するステップと、
前記修正波形を用いて、前記波面の伝搬特性の数学的解法によって、収差のない画像を得ることができる、別の平面における新たな振幅および位相波形情報を計算するステップと、
を備えた、方法。
【請求項35】
物体の画像におけるコヒーレント・ノイズを低減する方法であって、
コヒーレント照明源、位相マニピュレータ、および多数の光学エレメントを含む光路を備えた撮像システムを設けるステップと、
ある画像平面における前記物体の画像を表す波面の振幅および位相情報を測定するステップと、前記物体、前記照明源、および前記光学エレメントの少なくとも1つのうちの少なくとも1つの位置を移動させ、次いで再合焦するステップと、
前記移動および再合焦するステップの後、前記物体の画像を表す波面の振幅および位相情報を測定するステップと、
前記コヒーレント・ノイズを低減するように、前記移動させるステップの前後における前記波面の前記振幅および位相情報を平均化するステップと、
を備えた、方法。
【請求項36】
請求項35記載の方法において、前記移動は、前記光源を少なくとも1つの軸方向に移動させること、および移動する光源の画像面内にそれを維持するための前記位相マニピュレータの対応する移動から成り、前記画像を時間ドメインにおいて一体化する、方法。
【請求項37】
請求項35記載の方法において、前記位相マニピュレータを前記光源の画像面内に維持し、前記光源上の同一点を、前記移動とは無関係に、前記位相マニピュレータの同じ点上に撮像する、方法。
【請求項38】
請求項35記載の方法において、前記移動は、多数の位相変化変換波面を生成するための前記光路内における前記位相マニピュレータの移動から成る、方法。
【請求項39】
請求項35記載の方法において、前記移動は、前記物体のZ軸に沿った異なる合焦および非合焦状態への移動から成る、方法。
【請求項40】
請求項35記載の方法において、前記移動は、異なる軸外れ位置または異なるティルトへの前記物体の移動から成り、更に、画像位置合わせのステップを備えた、方法。
【請求項41】
請求項35記載の方法において、前記光路は回転ウェッジを含み、該ウェッジの回転に伴って前記光路が空間運動を行うが、前記光学エレメントの他のいずれの運動も必要としないようになった、方法。
【請求項42】
撮像システムにおいてコヒーレンス・ノイズを低減する方法であって、
第1の精度レベルを有する平滑な画像を得るように、中程度に広帯域の光源を用いて物体を撮像するステップと、
前記物体のフィーチャの暫定計算高さを、位相曖昧さの限度内で決定するステップであって、前記第1の精度レベルは、前記広帯域光源の短コヒーレント長によって制限される、ステップと、
前記平滑な画像よりもノイズが多いが、前記第1の精度レベルよりも高い第2の精度レベルを有する画像を得るために、コヒーレント光源を用いて前記物体を撮像するステップと、
前記フィーチャの高さを、精度を上げて決定するために、前記コヒーレント撮像によって得られる位相のために、前記物体のフィーチャの前記暫定計算高さを初期入力として用いるステップと、
を備えた方法。
【請求項43】
撮像システムを用い、当該撮像システムの解像力よりも高い分解能で物体のフィーチャのエッジの位置を判定する方法であって、
最良の焦点周囲における多数の異なる焦点外れ距離において前記フィーチャの一連の画像を生成し、照明レベルの記録を、前記画像を横切る横方向距離の関数として生成するステップと、
前記記録を分析して前記照明レベルが前記画像を横切る共通横方向距離において集束する点を求めるステップであって、前記点が前記フィーチャのエッジの位置となる、ステップと、
を備えた方法。
【請求項44】
多層構造においてオーバーレイの測定を行う方法であって、
前記多層構造を照明し、前記多層構造のうち第1層内の平面の画像を表す第1複素波面マップの振幅および位相情報を生成するステップと、
前記波面の伝搬特性の数学的解法によって、前記多層構造の第2層内の平面の画像を表す第2複素波面マップの振幅および位相情報を計算するステップと、
前記第1および第2層のオーバーレイに関する情報を提供するために、前記第1および第2複素波面マップを比較するステップと、
を備えた方法。
【請求項45】
請求項44記載の方法において、撮像システムを再合焦する必要なく、1回の撮像プロセスにおいて前記オーバーレイの測定を行う、方法。
【請求項46】
請求項44記載の方法において、前記オーバーレイ測定における前記振幅および位相情報の使用により、位相情報を用いない撮像方法と比較して、コントラスト測定値を高めることを可能とする、方法。
【請求項47】
請求項44記載の方法において、前記オーバーレイ測定における前記振幅および位相情報の使用により、前記多層構造に関して三次元情報を得ることを可能とすることによって、位相情報を用いない撮像方法と比較して、位置ずれの測定を改善する、方法。
【請求項48】
請求項44記載の方法において、前記オーバーレイ測定における前記振幅および位相情報の使用により、位相情報を用いない撮像方法と比較して、測定焦点深度の増大を可能とすることによって、1回の撮像プロセスにおいて1つよりも多い層の撮像を可能とする、方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公表番号】特表2007−533977(P2007−533977A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−502493(P2007−502493)
【出願日】平成17年3月11日(2005.3.11)
【国際出願番号】PCT/IL2005/000285
【国際公開番号】WO2005/086582
【国際公開日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(507154723)アイコス・ビジョン・システムズ・ナムローゼ・フェンノートシャップ (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月11日(2005.3.11)
【国際出願番号】PCT/IL2005/000285
【国際公開番号】WO2005/086582
【国際公開日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(507154723)アイコス・ビジョン・システムズ・ナムローゼ・フェンノートシャップ (3)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]