説明

洗浄装置、及び乾燥装置

【課題】洗浄槽及び乾燥槽を薄型化することができ、これにより洗浄装置及び乾燥装置の占める面積を小さくするとともに、洗浄及び乾燥に用いる流体の量を減少させることができ、さらにウオーターマークがつきにくい洗浄装置及び乾燥装置を提供する。
【解決手段】洗浄槽内の洗浄用流体により、前記洗浄槽に配設された板状の被処理物を洗浄またはリンスする洗浄装置であって、前記洗浄槽は、一側壁と装置躯体が当接することによって扁平ボックス状に構成されて内部空間が密閉され、前記一側壁は、前記洗浄槽において被処理物の表面又は裏面が臨む面であり、かつ、洗浄槽内に臨む面に隙間形成部材を配してなり、前記被処理物は、前記隙間形成部材に接触しつつ起立した状態で保持され、洗浄槽の一側壁と、一側壁に対向する側壁との間で両側壁から離間した位置で洗浄されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄槽内で板状の被処理物を洗浄又は乾燥する洗浄装置、及び乾燥装置に関し、特にウエハなどの半導体基板の表面及び裏面を一枚ずつ洗浄又は乾燥する洗浄装置、及び乾燥装置に関する。また、良好な液切れを実現する被処理物の受け部材に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程において、ウエハなどの半導体基板を一枚ずつ洗浄し、リンスし、乾燥する洗浄装置は、特許文献1に記載されるようにスピン方式が一般的である。このような洗浄装置100は、図18に示すように、円筒形状のチャンバ102内に、チャック等を用いてウエハ101の端面等を保持するウエハ受け台103を備え、このウエハ受け台103が回転軸104を介して支持される。この回転軸104は、モータ(不図示)に接続され、モータの駆動により、ウエハ受け台103に保持されたウエハ101が回転可能に設けられる。
【0003】
ウエハ受け台103の上方には、供給ノズル105が備えられ、この供給ノズル105から有機溶剤などの洗浄液、リンス用の純水、窒素ガスなどの乾燥用流体がウエハ受け台103上のウエハ101へ順次供給されて、このウエハ101が洗浄され、リンスされ、乾燥される。この供給ノズル105には温度センサ106が設けられて、この供給ノズル105へ導かれる洗浄液、純水、乾燥用流体の温度が測定される。尚、図18中の符号107は排液口であり、符号108は排気口を示す。
【0004】
また、洗浄装置には、特許文献2に記載されるように、洗浄槽内に洗浄液を満たし、この洗浄液に一枚のウエハを投入し、超音波振動を利用して、ウエハの表面及び裏面を同時に洗浄するディップ方式の洗浄装置が提案されている。このような洗浄装置200は、図19に示すように、洗浄槽202上方の開口部202aから、ウエハチャック(不図示)を用いて、ウエハ201を洗浄槽202内の受け台204に受け渡し、受け台204によってウエハ201の端面等を支持する。その後、給液口205を介して洗浄槽202内に洗浄液を満たし、洗浄液及び/又は洗浄槽202の底面に配された超音波発生装置206により、ウエハの洗浄を行う。洗浄槽202から溢れだした洗浄液はオーバーフロー槽203によって回収される。また、洗浄終了後、排液口207を介して洗浄液を排出するものである。
【0005】
【特許文献1】特開2000‐21840号公報
【特許文献2】特開平5‐13397号公報
【特許文献3】特開平5−36664号公報
【特許文献4】特開平5−160101号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、図18に示すスピン方式の洗浄装置100では、ウエハ101が水平状態に設置されているため、洗浄装置100の全体の据付スペースが増大してしまう。更に、洗浄装置100が、回転機構部としてのウエハ受け台103及び回転軸104を備えることから、部品点数が増大すると共に、これらの回転機構部の調整に多大な時間と手間を要する。
【0007】
また、上記洗浄装置100では、回転するウエハ101へ供給ノズル105から洗浄液などが供給されるので、ウエハ101の表面101Aへ均一に洗浄液等を供給することが難しく、更に、洗浄液などの温度管理も困難となる。
【0008】
また、上記洗浄装置100では、ウエハ101がウエハ受け台103によって回転するので、この回転時に生ずる気流(乱流など)の作用で、チャンバ102内、またはこのチャンバ102に設置されたカップ109内における不要なガスの排気を適切に実施することが困難となる。
【0009】
また、上述の洗浄装置においては、ウエハ受け台103とともに回転するウエハ101上へ、供給ノズル105から洗浄液・乾燥用流体を供給することによりウエハ101を洗浄・乾燥させているため、例えばウエハ101がウエハ受け台103から外れた場合に破損してしまうおそれがある。
【0010】
また、回転するウエハ101を十分に洗浄・乾燥させるには、大量の洗浄液・乾燥用流体を供給することが必要である。さらに、ウエハ101の上面の上方から洗浄液・乾燥用流体を供給するため、上面(表面101A)を洗浄・乾燥させることはできるが、下面の洗浄・乾燥はウエハ101をウエハ受け台103に付け直さなければできない。
【0011】
また、図19のようなディップ方式の洗浄装置の場合には、ウエハチャックが洗浄槽202上方の開口202aを通じて洗浄槽内に出入りするため、洗浄槽202はウエハチャック分の幅を確保する必要があり、洗浄槽幅を広く保つ必要があった。そのため、必要とされる洗浄液及び乾燥用流体が増大する。
【0012】
また、洗浄効果を確保するべく、洗浄液の流速を確保する必要があり、前述の如く洗浄液の必要量が増大することから、流速確保のために大型のポンプが必要となっていた。
【0013】
また、乾燥用流体については、その使用量を低減するため、乾燥工程専用の処理槽を別に設ける必要があり、洗浄槽202から乾燥工程用処理槽へのウエハ201の搬送のため、スループットが低下するとともに、濡れ状態のウエハ201が乾燥工程処理槽への搬送にあたって、酸素にさらされ、ウォーターマーク発生の原因となっていた。
【0014】
また、ウエハ201を支持する受け台204は、ウエハ201を起立状態とするべく、「V」字状の溝によって構成されるが、乾燥工程時にV字溝内に洗浄液等が残り、乾燥不良が発生する可能性があった。
【0015】
そこで本発明は、上述の事情を考慮してなされたものであり、被処理物の表面及び裏面を同時に洗浄・乾燥することができ、洗浄・乾燥中に被処理物が破損するおそれがなく、洗浄液・乾燥用流体の使用量を大幅に低減することができ、洗浄工程及び乾燥工程の両工程を同一の槽において処理可能な洗浄装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するため、本発明の洗浄装置は、洗浄槽内の洗浄用流体により、前記洗浄槽に配設された板状の被処理物を洗浄及び/又はリンスする洗浄装置であって、前記洗浄槽は、一側壁と装置躯体が当接することによって扁平ボックス状に構成されて内部空間が密閉され、前記一側壁は、前記洗浄槽において被処理物の表面又は裏面が臨む面であり、かつ、洗浄槽内に臨む面に隙間形成部材を配してなり、前記被処理物は、前記隙間形成部材に接触しつつ起立した状態で保持され、洗浄槽の一側壁と、一側壁に対向する側壁との間で両側壁から離間した位置で洗浄されることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の洗浄装置の前記洗浄槽を構成する一側壁は、水平面に対し、前記一側壁よりも前記一側壁に対向する他の側壁の方が高くなるように傾斜していることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の洗浄装置の前記被処理物は、洗浄槽の一側壁と、一側壁に対向する他の側壁との間で両側壁から同程度離間した位置で洗浄されることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の洗浄装置の前記洗浄槽は、被処理物より下方に洗浄用流体供給部を配し、被処理物の表面及び裏面の各々の面が対向する両側壁であって、両側壁において被洗浄物の上端部より上方の箇所にオーバーフロー槽を配することを特徴とする。
【0020】
また、本発明の洗浄装置の前記洗浄槽は、洗浄及び/又はリンス時においては、洗浄用流体の液面より上方の空間に絶えず不活性ガスを供給し続けることを特徴とする。
【0021】
また、本発明の洗浄装置の前記洗浄槽は、洗浄及び/又はリンス時において、前記洗浄槽の上端部に配された不活性ガス供給口から洗浄用流体の液面より上方の空間に絶えず不活性ガスを供給し続け、前記オーバーフロー槽の上部より排気されることを特徴とする。
【0022】
また、本発明の洗浄装置の前記洗浄槽は、前記一側壁と対向する他の側壁に超音波振動装置を備え、当該超音波振動装置は、当該他の側壁に連続して間接槽が配され、間接槽を介して振動板が配されているものであって、振動板と他の側壁とは、1°乃至5°傾いた関係で対向していることを特徴とする。
【0023】
また、本発明の洗浄装置の前記振動板と前記他の側壁とは、上方に移行するに従い、互いの距離が離間することを特徴とする。
【0024】
また、本発明の洗浄装置の前記隙間形成手段は、前記一側壁に形成された挿通孔と、挿通孔内に挿通される隙間形成部材と、前記隙間形成部材を摺動させる隙間形成部材摺動手段からなることを特徴とする。
【0025】
また、本発明の洗浄装置の前記隙間形成部材は、前記挿通孔から、洗浄槽内部に対して突出して被処理物に接触することを特徴とする。
【0026】
また、本発明の乾燥装置は、乾燥内の乾燥用流体により、前記乾燥槽に配設された板状の被処理物を乾燥する乾燥装置であって、前記乾燥槽は、一側壁と装置躯体が当接することによって扁平ボックス状に構成されて、内部空間が密閉され、前記一側壁は、前記乾燥槽において被処理物の表面又は裏面が臨む面であり、かつ、乾燥槽内に臨む面に隙間形成部材を配してなり、前記被処理物は、前記隙間形成部材に接触しつつ起立した状態で保持され、乾燥槽の一側壁と、一側壁に対向する側壁との間で両側壁から離間した位置で乾燥されることを特徴とする。
【0027】
また、本発明の乾燥装置の前記乾燥槽を構成する一側壁は、水平面に対し、前記一側壁よりも前記一側壁に対向する他の側壁の方が高くなるように傾斜していることを特徴とする。
【0028】
また、本発明の乾燥装置の前記被処理物は、乾燥槽の一側壁と、一側壁に対向する他の側壁との間で両側壁から同程度離間した位置で乾燥されることを特徴とする。
【0029】
また、本発明の乾燥装置の前記隙間形成手段は、前記一側壁に形成された挿通孔と、挿通孔内に挿通される隙間形成部材と、前記隙間形成部材を摺動させる隙間形成部材摺動手段からなることを特徴とする。
【0030】
また、本発明の乾燥装置の前記隙間形成部材は、前記挿通孔から、乾燥槽内部に対して突出して被処理物に接触することを特徴とする。
【0031】
また、本発明の受け部材は、円板状の被処理物の周縁部分を保持することにより、当該被処理物を起立した状態で保持する受け部材であって、板状に構成された本体部を備え、前記本体部は一辺が被処理物の周縁部に沿うように配され、前記一辺からは少なくとも2つの支持片が被処理物側に対して突出し、一の支持片は前記本体部の表側から突出し、隣り合う他の支持片は前記本体部の裏側から突出し、前記一辺の最下部における被処理物の円周接線と、当該円周接線に接する本体部下方側の他の一辺の向き合う角度は、110°≦ω≦140°であることを特徴とする。
【0032】
また、本発明の受け部材の少なくとも2つの前記支持片は、前記本体部の一辺の異なる箇所から互い違いの関係で突出していることを特徴とする。
【0033】
また、本発明の受け部材においては、前記被処理物の周縁部が前記本体部から離間した状態で保持されることを特徴とする。
【0034】
また、本発明の受け部材の互い違いで対向する前記支持片の内側は、前記本体部に近づくに連れて漸次幅狭となるように構成され、対向する前記支持片の内側の距離は、最終的に被処理物の厚さよりも小となることを特徴とする。
【0035】
また、本発明の受け部材の前記本体部は、固定部を介して壁面に固定されることを特徴とする。
【0036】
また、本発明の受け部材の前記本体部において被処理物の周縁部に沿うように配される一辺は、被処理物の周縁部の曲率と同程度の曲率で逆R状に構成され、かつ、被処理物の周縁部から離間するものの最大限近接して配されることを特徴とする。
【0037】
また、本発明の受け部材の前記本体部は、三角形状に構成されることを特徴とする。
【0038】
また、本発明の受け部材の前記受け部材は、疎水性素材によって構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0039】
本発明によると、洗浄槽に洗浄用流体が供給されたときには、隙間形成部材によって、洗浄槽内の被処理物表面側と裏面側の両空間に同程度の充分な空間が確保されるため、被処理物の表面側と裏面側の両方に洗浄液が行き渡ると共に、被処理物の表裏面の両方に対応してオーバーフロー槽が配されていることから、被処理物の表面側と裏面側の両方において洗浄液等の流れ及びその流速が確保され、表裏面を等しく洗浄することが可能である。
【0040】
また、被処理物は、一側壁の傾きαから生じる重力により、隙間形成部材を介して一側壁に立て掛けられた状態となり、縦方向に起立状態で保持される。そのため、被処理物を縦方向に起立するための保持手段を設ける必要がないことから、洗浄装置の構成の簡素化を図ることが可能であり、洗浄槽ひいては洗浄装置全体の省スペース化を実現できる。
【0041】
洗浄槽に配される超音波振動装置において、振動板と、洗浄槽の他の側壁とは、1°乃至5°傾いた関係で対向しているため、洗浄装置(洗浄槽)間の製品誤差や、組付誤差によって生じる超音波の音圧のむら(定在波のむら)を、振動板と、洗浄槽の他の側壁の間で超音波の乱反射が起こることを利用して緩和することが可能である。また、振動板と洗浄槽の他の側壁は、上方に移行するに従い、互いの距離が離間するため、洗浄用流体の液面上方の空間に超音波振動を逃がすことが可能となり、超音波振動を逃がす空間の存在しない洗浄槽下部に超音波振動がこもることにより音圧のむらが発生することをより確実に防止し、超音波振動を十分に確保することが可能である。
【0042】
洗浄及びリンス工程中、不活性ガスが洗浄槽内に導かれることで、洗浄槽内の酸素(O)濃度が低下し、被処理物が酸化することによって生じるウォーターマークの発生を防止することが可能である。
【0043】
不活性ガス供給口が洗浄槽の上端部に配されることから、洗浄槽の上端部からオーバーフロー槽側への不活性ガスの流れができるため、薬液(洗浄液)から生じた蒸気に、他の配管がさらされることを抑制することが可能である。同様の理由から、オーバーフロー槽の上部空間に薬液(洗浄液)から生じた蒸気が滞留してしまうことが防止される。
【0044】
液切れの良い受け部材を使用することで、洗浄用流体の排出時の液膜が通過した後でも水膜の発生及び破膜による洗浄用流体の飛散が防止され、ウォーターマークの発生が防止されるものである。
【0045】
一側壁の内側表面からの隙間形成部材の位置決めが可能であることにより、洗浄槽内における被処理物の位置の調整を行うことが可能となり、被処理物の表面と裏面の何れかを重点的に洗浄したい場合に、隙間形成部材を進退させることにより、洗浄したい被処理物面側の空間を幅広に採り、洗浄用流体の流れを活発化させ、洗浄効果を高めることができる。特に、粘性を持った洗浄用流体については、重点的に洗浄したい被処理物面側の洗浄空間を幅広に採ることによって、粘性の高い洗浄液でも洗浄効果を確実に上げることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面に基づき説明する。
[A]第1の実施の形態
図1は、本発明の第1実施形態に係る洗浄装置の待機状態を、斜め正面側から目視して示す斜視図である。図2は、本発明の第1の実施形態に係る洗浄装置の待機状態を、斜め背面側から目視して示す斜視図である。図9は、図1(図6状態)の洗浄装置の原理を説明するための概略構成を示す断面図である。
【0047】
[装置概要]
本実施形態に係る洗浄装置11は、洗浄後に、洗浄槽23を乾燥槽とする乾燥装置としても機能するものであり、同一の処理槽で洗浄及び乾燥の両工程をこなすことが可能である。また、洗浄装置11は、洗浄工程を省略し、洗浄槽23を乾燥槽と捉えた乾燥装置として利用することも可能である。このような洗浄装置及び乾燥装置によれば、被処理物としてのウエハ1を縦方向に起立した状態で洗浄、乾燥出来るため、洗浄槽ひいては洗浄装置全体の省スペース化を実現できるとともに、少量の洗浄用流体及び乾燥用流体で確実にウエハ1の洗浄、乾燥を行うことができる。ここで、洗浄装置11は、洗浄装置11を傾けて構成したことにより、ウエハ1を常に起立した状態とすることができるものである。
【0048】
洗浄装置(乾燥装置)11は、図1乃至図9(特に図9)に示すように、基本構造となるボックス形状の装置躯体29において、その内部に、洗浄液、純水を貯液してウエハ1の洗浄を行う扁平ボックス形状の洗浄槽23と、洗浄槽23に隣接し、石英板53により区画されて併設された間接槽52と、間接槽52に隣接すると共に洗浄槽23と反対の位置に設置された超音波振動装置25と、洗浄槽23の上方で、この洗浄槽23に隣接して前後に2つ設けられたオーバーフロー槽26(26a、26b)と、同様に洗浄槽23の上部で洗浄槽23内へ乾燥用流体を導く乾燥用流体供給部27とを有して構成される。
【0049】
また、扁平ボックス形状の洗浄槽23は、石英板53によって一側面が閉塞され、間接槽52と区画された装置躯体29に対して、前記石英板53に対向する位置が開口しており、当該開口29a(図4及び図5)に対して一側壁としての正面壁28が当接することで密閉空間(洗浄槽23)が構成される。前記装置躯体29の開口29a外面には、図1等に示すように、正面壁28と当接する領域にシール部材32が配設され、洗浄槽23の密閉状態が担保されている。また、正面壁28及び装置躯体29によって構成される洗浄槽23に接続される配管(給液口、給気口、排液口、排気口)は全て図示しないバルブによって閉塞可能となっており、各配管は使用時以外バルブによって閉塞されている。
【0050】
[正面壁の動作]
上記正面壁28の上端には、図1等に示すように水平プレート33が直交して結合され、さらに正面壁28の両側にはサイド板79が設置されて水平プレート33との固定関係が強化され、この水平プレート33にスライダ34が取り付けられる。また、洗浄槽23の上方には、側面視L字形状のベースプレート部35が固着され、このベースプレート部35の水平プレート36にレール37が敷設される。このレール37に上記スライダ34が摺動自在に嵌合される。また、正面壁28の下部には、図3に示すように貫通孔38が形成される。また、装置躯体29には、下部に支持シャフト40がシャフトベース41を介して取り付けられ、この支持シャフト40が上記貫通孔38に摺動自在に挿通される。
【0051】
上記ベースプレート部35の水平プレート36には、図1に示すように、ロッドレスタイプのスライドシリンダ42が設置され、このスライドシリンダ42の図示しないピストンが、上記水平プレート36を貫通して正面壁28の水平プレート33に結合される。従って、このスライドシリンダ42の作動により、レール37及びスライダ34と、支持シャフト40及び貫通孔38とに案内されて、正面壁28は、装置躯体29に対し開口29aの軸方向29R(図4及び図5)に沿って、例えば75mmのストロークで移動可能に構成される。
【0052】
図3及び図4に示すように、装置躯体29の両側部上部、中央部、下部の3箇所の計6箇所にはクランプシリンダ43が設置され、このクランプシリンダ43のロッドにクランパ44が取り付けられている。図7及び図8に示す正面壁28と装置躯体29との当接時には、上記クランプシリンダ43が作動してクランパ44が正面壁28を装置躯体29に押圧させ、正面壁28が装置躯体29に一体化されて洗浄槽23が構成される。このとき、装置躯体29のシール部材32(図7)が装置躯体29に密着して、正面壁28と装置躯体29とのシール性が良好に確保され、洗浄槽23の密閉状態が担保される。
【0053】
図1及び図6に示すように、正面壁28は、下端部が上方に向けて切り欠かれており、装置躯体29の正面側下部であって、前記正面壁28の切り欠き部分に対応してドレンパン80が配されている。正面壁28が、装置躯体29から退避した場合に、洗浄槽23内に残存した洗浄用流体等が槽外に流出した場合に当該残存液を受け止め、排液口80aを通じて排出を行うものである。
【0054】
正面壁28は、図1乃至図3に示すように、左右両側であって、側面視、ウエハ1がピン71及び受け部材73を介して正面壁28に立て掛けられる位置にウエハ1のセット状態確認用のセンサ(ウエハ確認センサ45)を備えるものであって、正面壁28の一端側に発光部45aを配し、他端側に受光部45bを配し、発光部45aからの発光信号の有無を受光部45bにおいて判断してウエハ1が正面壁28の内側に配されているか否かを判断するものである。
【0055】
発光部45aと受光部45bとは、ウエハ1の有無及び立て掛け状態判定の精度を挙げるべく、ウエハ1の上端部に発光信号が衝突するように配される(図3)。発光信号がウエハ1の上端部に衝突することにより、受光部45bにおいて発光信号が検出されず、ウエハ1が正面壁28に立て掛けられていることが確認される。
【0056】
発光部45aと受光部45bとは、ウエハ1と後述する搬送用ロボット15とがウエハ確認用センサ45に接触することを防止するべく、図3に示すように一方(発光部45a)がウエハ1の上端より高い位置に配され、他方(受光部45b)がウエハ1の上端より低い位置に配される。
【0057】
これにより、正面壁28が装置躯体29から退避している状態において、ウエハ1の立て掛けの有無が判定されることから、搬送用ロボット15が正面壁28と装置躯体29との間に進入する場合に、ウエハ1が倒れてしまっており、そこに搬送用ロボット15が進入することによる接触や、既にウエハ1が立て掛けられている場合にさらにウエハ1を重複して立て掛けてしまうことが防止されるものである。尚、ウエハ有無確認センサ45は、受光部と発光部によって構成される旨述べたが、一端側に発光機能と受光機能の両者を持たせ、他端側に発光信号を反射する反射板を配することにより、一端側で発光信号の反射の有無を確認する構成としても良い点は当然である。
【0058】
[ウエハの支持方法]
また、図7乃至図9に示すように、正面壁28の内側には、ウエハ1と正面壁28との間で隙間形成部材としての機能する細長円柱状のピン71がウエハ1の端部に沿って複数本植設されており、本実施の形態においては、ピン71が等間隔に4本植設されており、ピン71の存在により、ウエハ1が側面視、洗浄槽23の中央部に位置することになる。そのため、ピン71の正面壁28からの突出は、側面視、洗浄槽23の中央にウエハ1を位置させるのに必要な分突出するものであって、図9に示すように、洗浄槽23におけるウエハ1が位置するL1幅が、例えば5mmであり、ウエハ1の厚さが0.75mmである場合、ピン71の突出高は、2.125mmとなる。
【0059】
また、図10は、受け部材によるウエハの支持状態を示す図であって、(a)は正面図、(b)は(a)図中内の一点鎖線による矩形枠部内の拡大斜視図、(c)は同矩形枠部内をB矢視した拡大右側面図であり、図7乃至図9にも示すように、ピン71のさらに下方には、ウエハ1の形状に対応して受け部材73が正面壁28に対して設置される。この受け部材73は、ウエハ1の下端面を支持し、ウエハ1の裏面3側を支持する前記ピン71及び洗浄槽23自体の傾きとともにウエハ1を洗浄槽23内に固定するものである。また、受け部材73の厚みは、ピン71が正面壁28から突出して隙間が形成することから、ピン71の高さとウエハ1の厚みとの和分以上が最低限確保されて構成される。
【0060】
本実施の形態の如く円形状のウエハ1を洗浄・乾燥する場合、前記受け部材73は、ウエハ1の周縁部に沿って複数配される。まず、ウエハ1の最下端部、即ち、ウエハ1の下部中央においては、上下共に先細り形状、正面視、全体形状が縦長の菱形形状に構成され、前記ピン71によって形成される隙間以上の厚みを有する中央受け部材73aが配される。ウエハ1周縁の最下端部を菱形形状の上端部において点接触状態で支持するため、ウエハ1への汚染等が抑制される。また、中央受け部材73aの下部も先細り形状に形成されているため、洗浄液・リンス液の排出時においても、良好な液切れが実現される。
【0061】
また、中央受け部材73aの左右上方であって、ウエハ1の周縁に対応した箇所にさらに受け部材を配することにより、ウエハ1が正面視、左右に転がってしまうことを防止することが必要となる。
【0062】
ここで、図11は、受け部材によるウエハの支持状態の一例を示す正面図であって、同図に示すように、前記中央受け部材73aと同一の構成の受け部材(左右受け部材)73cを中央受け部材73aの左右上方のウエハ1の周縁に対応する箇所に配する構成とすることにより、ウエハ1が正面視、左右に転がってしまうことを防止することが可能である。
【0063】
しかしながら、本願発明者は、前記中央受け部材73aと同一の構成の左右受け部材73cを利用してウエハ1を支持する構成においては、洗浄液・リンス液の排出時、その液面が低下し、左右受け部材73cの下端部を通過した場合であっても、場合によっては、良好な液切れが実現されず、ウエハ1の最下端部側寄りのウエハ1周縁部と、左右受け部材73cの上端部が隣接し合う箇所に水膜74が発生し、場合によってはその後に水膜74がはじけ、水膜74を構成する洗浄液・リンス液がウエハ1の表面(裏面)に飛散し、ウォーターマーク発生のおそれがあることを見出した。また、中央受け部材73aにおいては、左右の別がないため、液切れが良く、水膜が発生しないことが確認された。
【0064】
そのため、本願発明者は、中央受け部材73の左右上方のウエハ1の周縁に対応する箇所においても、水膜の発生を防止し、良好な水切れを実現するべく、図10(a)乃至(c)に示す側方受け部材73bをも開発するに至ったものである。
【0065】
即ち、側方受け部材73bは、図10に示すように、中央受け部材73の左右上方のウエハ1の周縁に対応する箇所において、全体形状が、正面視略三角形状、かつ側面視板状に構成され、その一辺が、ウエハ1の周縁部に沿うように配されている。側方受け部材73bは、その三角の板状体に構成された本体部73b1が、正面壁28の内側との間において固定部73b3を介して正面壁28の内側に固定されている。この固定部73b3は、先端部が二股に分離した構成を採り、この二股部分が正面壁28に埋め込まれることにより、正面壁28への固定及び位置決めがなされている。
【0066】
また、図10(b)及び(c)に示すように、本体部73b1のウエハ1の周縁に沿うように配された一辺からは、向かいあうウエハ1の周縁部を挟み込むように支持するべく、2つの支持片73b2がウエハ1側に対して突出しているものである。2つの支持片72b2中、一方の支持片73b2は、本体部73b1の表側から突出し、他方の支持片73b2は、裏側から突出するとともに、正面視、三角形状の本体部73b1のウエハ1の周縁部に沿うように配された一辺の異なる箇所から互い違いの関係で突出しているものであって、それら互い違いの関係で本体部73b1の一辺に配された支持片73b2は、図10(c)に示すように、側面視、互い違いで対向する支持片73b2の内側が、本体部73b1に近づくに連れて漸次幅狭となるように構成されて、その2つの支持片73b2間にウエハ1の端部が挟み込まれるように支持されるものであって、対向する支持片73b2の内側の距離は、最終的にウエハ1の厚さよりも小となることより、ウエハ1の周縁部が、側方受け部材73bの本体部73b1に接触せず、離間した構成となっているものである。
【0067】
従って、正面壁28の内側から、互い違いで対向する支持片73b2までの距離は、正面壁28とウエハ1との隙間形成部材として機能するピン71の長さに対応して定められるものである。
【0068】
尚、本体部73b1のウエハ1の周縁に沿うように配された一辺から突出する支持片73b2は、ウエハ1の保持を考慮すると、少なくとも2つ存在することが必要とされ、3箇所以上配される場合においては、互い違いの千鳥足状に配されることが好ましい。
【0069】
また、支持片73b2が配される本体部73b1の一辺は、ウエハ1の周縁部の曲率と同程度の曲率で逆R状に構成されて、ウエハ1の周縁部から離間するものの最大限近接して配されるのが好適である。これにより、ウエハ1の周縁部に沿う本体部73b1の一辺にリンス液の水滴が乗り移りやすくなり、ウエハ1の水切れが促進されるものであり、ウエハ1の周縁部から本体部73b1に乗り移った水滴は、ウエハ1の周縁部に沿った本体部73b1の一辺に対向する本体部73b1の下方側の頂点より水切される。
【0070】
また、図10(a)及び(b)中のωで示すように、ウエハ1の周縁部に沿う本体部73b1の一辺の最下部におけるウエハ1の円周接線と、当該円周接線に接する本体部73b1の下方側の他の一辺の向き合う角度は、110°≦ω≦140°が必要であって、本実施の形態においては、125°に構成されている。上記範囲の角度で構成されることにより、良好な液切れが確保されるものであり、この角度の範囲内であれば、本体部73b1の形状は前述した三角形状である必要はなく、矩形体等の他の構成であっても可能である。
【0071】
上記受け部材73(中央受け部材73a、側方受け部材73b、左右受け部材73c)は、良好な液切れを実現するため、水との接触角が90°以上となる疎水性素材によって構成され、その疎水性素材の一例として、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)が挙げられる。
【0072】
上記側方受け部材73bを使用することで、洗浄液・リンス液の排出時の液膜が通過した後でも水膜の発生及び破膜による洗浄液・リンス液の飛散が防止され、ウォーターマークの発生が防止されるものである。
【0073】
[洗浄槽の傾き]
ここで、図1、図2、図5及び図9等に示すように、洗浄装置11の下部には、楔形状の底板82が配され、その形状により、正面壁28よりも正面壁28に対向する側壁としての石英板53の方が高くなるように構成され、そのため正面壁28が水平面(H)に対して角度α傾斜している。このような構成としたため、ウエハ1は、重力により、ピン71及び受け部材73を介して正面壁28に立て掛けられた状態となり、縦方向に起立状態で保持される。
【0074】
そのため、ウエハ1を縦方向に起立するための保持手段を設ける必要がないことから、洗浄装置11の構成の簡素化を図ることが可能である。ここで、この角度αは、ウエハ1の保持の観点からは大きいことが好ましいが、ウエハ1上を流れる洗浄液又はリンス液の流れの均一性も考慮すると、0°<α≦10°が好ましく、3°であることがより好ましい。
【0075】
[搬送用ロボット]
前述のごとく、正面壁28は装置躯体29に対して開口29aの軸方向29Rに沿って移動可能とされる。この正面壁28が装置躯体29から離反するウエハ1の搬入出時または受け渡し時には(図3、図4)、搬送用ロボット15のハンド部15a(図4)がウエハ1の処理面としての表面2を非接触状態で保持して正面壁28と装置躯体29との間に入り、受け渡しを行う。
【0076】
ここで、搬送用ロボット15のハンド部15aによるウエハ1の非接触保持は、特開2002−64130号公報に記載の如く旋回流による負圧の作用でウエハ1表面2を非接触状態で保持することによって行われる。
【0077】
また、受け渡し完了後、ウエハ1は、その裏面が隙間形成部材としてのピン71に、その端面は受け部材73に接触しており、正面壁28の傾きαによって、ウエハ1が起立状態となっている。ウエハ1が洗浄槽23内に搬入された後に、図7乃至図9に示すように、正面壁28が装置躯体29に当接して密封された洗浄槽23が構成され、洗浄液等の貯液が可能となり、洗浄、さらには乾燥が可能となり、洗浄槽23内に搬入されたウエハ1は、正面壁28の傾きにより、常時、縦方向に起立した状態となっている。
【0078】
[洗浄用流体の供給及び排液]
ウエハ1の洗浄時またはリンス時には、図8及び図9に示すように、洗浄用流体供給部として機能する装置躯体29の下部に設けられた洗浄槽給液口49から洗浄液またはリンス液が洗浄槽23内へ導かれる。また、洗浄槽給液口49の直上には、洗浄槽23内を略水平方向に閉塞するが如く配され、複数の孔が形成された整流板49aが配されている。この整流板49aを介して洗浄液又はリンス液を洗浄槽23上部へと送ることによって、洗浄液等の流れを整え、乱流及び停滞流の発生を抑え、洗浄効果を確実に発揮させるものである。さらに、洗浄槽給液口49の下方、装置躯体29(洗浄槽23)の下端部には、洗浄液・リンス液及びを排出可能な排液口65が配されている。
【0079】
洗浄液供給孔49から供給された洗浄液またはリンス液は、整流板49aを通過後、洗浄槽23内を上方へ向かって流動し、ウエハ1の表裏面を洗浄またはリンスした後、オーバーフロー槽26に一時貯溜される。オーバーフロー槽26は、正面壁28の上部外側(ウエハ1の裏面3側)に連接して設けられた第1オーバーフロー槽26aと、装置躯体29の上部外側(ウエハ1の表面2側)に連接して設けられた第2オーバーフロー槽26bとから構成され、この第1オーバーフロー槽26に貯溜された洗浄液またはリンス液は、各々のオーバーフロー槽26の下部に設けられた排液口26a1、26b1を経て排出される。排液口26a1、26b1から排出される洗浄液は、図示しないフィルタ及び循環ポンプによってろ過された後、洗浄槽23内に戻すことも可能である。また、各々のオーバーフロー槽26は、その上部に排気口26a2、26b2を備えている。
【0080】
このウエハ1の洗浄時またはリンス時には、図9に示すように、隙間形成部材として機能するピン71によって、洗浄槽23内のウエハ1表面2側と裏面3側の両空間に同程度の充分な空間が確保されるため、ウエハ1の表面2側と裏面3側の両方に洗浄液が行き渡ると共に、ウエハ1の表裏面の両方に対応して第1オーバーフロー槽26a(ウエハ1裏面3側)、第2オーバーフロー槽26b(ウエハ1表面2側)が配されていることから、図9中の洗浄槽23内の矢印で示すようにウエハ1の表面2側と裏面3側の両方において洗浄液等の流れ及びその流速が確保され、表裏面を等しく洗浄することが可能である。
【0081】
また、乾燥工程においても同様であり、隙間形成部材として機能するピン71の存在により、ウエハ1の表面2側と裏面3側の両方に乾燥用流体が行き渡り、ウエハ1の表裏面ともに等しく乾燥させることが可能である。
【0082】
上記洗浄槽23は、後述の如く石英板53によって間接槽52と区画されるが、図9に示すように、この洗浄槽23内におけるウエハ1が配された位置における側面視の洗浄槽23の幅L1(正面壁28の内側と石英板53の内側との間の寸法L1)は、洗浄槽給液口49が設けられた洗浄槽23の下部の寸法L2よりも狭く設定される。これにより、洗浄槽23の中央部を流動する洗浄液またはリンス液の流速が上がり、洗浄槽23に配設されたウエハ1の洗浄効率またはリンス効率の向上が図られる。例えば、上記寸法L1は前述の如く約5mmに、上記寸法L2は約35mmにそれぞれ設定される。
【0083】
[超音波振動装置]
図2及び図9に示すように、超音波振動装置25は、超音波振動子51、振動板51a、間接槽52、洗浄槽23の一部を構成する石英板53及び図示しない高周波発振器を有して構成される。前述の如く間接槽52は、ウエハ1と略平行に配された石英板53を介して洗浄槽23に隣接し、超音波伝達媒体としての純水を満たす。間接槽52には、下部に間接槽給排液口54が、上部に間接槽オーバーフロー口55がそれぞれ形成され、間接槽給排液口54から新鮮な純水が間接槽52内へ導入され、この間接槽52内の純水が間接槽オーバーフロー口55を経て排水されたことを確認して超音波振動装置25が作動する。
【0084】
尚、間接槽52は、超音波振動時に洗浄槽23内に洗浄液・リンス液が貯留されていなかった場合に、間接槽52内の純水の存在により、空焚き状態となって洗浄槽23及び超音波振動装置25等が破損してしまうことが防止可能である。また、洗浄槽23内において、酸洗浄液による洗浄や、不活性ガス(窒素ガス)による乾燥を行う場合、酸洗浄液は100℃以上、不活性ガスは200℃以上のものが使用されることが想定されるが、その場合は、間接槽52を空にしておくことにより、間接槽52を断熱層及び熱を奪う媒質として利用することが可能となり、それら高温の流体の熱が、洗浄槽23の構成要素や、超音波振動装置25(超音波振動子51等)に対して歪みの発生等の影響を与えることを防止することが可能であり、超音波振動装置25においてはこれにより、常時同一条件における超音波振動が可能となる。また、石英版53の破損時においても、間接槽52への洗浄液の流出のみで洗浄装置11外への洗浄液の流出が防止される。また、後述する振動板51aの破損時においても、間接槽52内でのみ汚染が発生し、洗浄槽23内のウエハ1へ汚染が及ぶことが防止される。さらに、間接槽52内においては、純水として脱気水を利用することが可能であり、超音波振動の伝播を妨げる気泡が水中に存在しないことから、洗浄槽に対して直接に超音波振動子を装着した場合と同等の超音波振動の透過率を確保することができ、充分な洗浄効果を得ることが可能である。
【0085】
また、上記超音波振動子51は振動板51aを介して間接槽52背面に連接して装着される。ウエハ1と略平行に配された石英板53と、この振動板51a及び超音波振動子51とは、平行ではなく、図9に示すようにβ°傾いた状態で配される。ここで、この角度βは、1°<β≦5°が好ましい。これにより、洗浄装置11(洗浄槽23)間の製品誤差や、組付誤差によって生じる超音波の音圧のむら(定在波のむら)が生じるが、故意にβ°傾けて石英板53と振動板51a等とを配することにより、石英板53と、振動板51a及び超音波振動子51の間で超音波の乱反射を故意に引き起こし、音圧のムラを緩和するものである。
【0086】
尚、上記傾きβ°は、石英板53と、この振動板51a及び超音波振動子51とは、上方に移行するに従い、石英板53と、振動板51の距離が離間することが望ましい。これにより、洗浄液・リンス液の液面上方の空間に超音波振動を逃がすことが可能となり、超音波振動を逃がす空間の存在しない洗浄槽下部に超音波振動がこもることにより音圧のむらが発生することをより確実に防止し、超音波振動を十分に確保することが可能である。
【0087】
上記高周波発振器からの高周波信号が超音波振動子51へ送信されることによって、この超音波振動子51が振動板51aを励振し、振動板51aが超音波振動し、この超音波振動が間接槽52内の純水及び石英板53を経て、洗浄槽23内の洗浄液またはリンス液へ至り、ウエハ1の表面2を超音波洗浄またはリンスする。更に、洗浄槽23内へ至った超音波振動は、ウエハ1を経て、このウエハ1の裏面3を流れる洗浄液またはリンス液へ伝播され、ウエハ1の裏面3を超音波洗浄またはリンスすることが可能であり、ウエハ1の表面2及び裏面3のそれぞれの全面を均一に洗浄またはリンス可能となっている。この超音波の作用により、アルカリ洗浄液によるウエハ1の洗浄効率、及びこのアルカリ洗浄後のリンス液(純水)によるリンス効率が向上する。
【0088】
[乾燥用流体供給部]
図8及び図9に示すように、装置躯体29(洗浄槽23)の上部に設けられた乾燥用流体供給部27は、洗浄槽23内に乾燥用流体を供給するべく、有機溶剤ベーパーの供給部として機能する有機溶剤ベーパー供給口56、乾燥用ガスの供給部として機能する高温不活性ガス供給口57及び酸素濃度低下用ガスの供給部として機能する不活性ガス供給口58を有して構成されている。
【0089】
上記有機溶剤ベーパー供給口56は、有機溶剤ベーパーを洗浄槽23内へと導くためのものであって(有機溶剤ベーパー供給部)、洗浄槽23内に満たされた洗浄液等が流入しない高さに形成される。有機溶剤ベーパー供給口56から洗浄槽23内に貯留される有機溶剤ベーパーは、水溶性で且つウエハ1に対する純水の表面張力を低下させて、乾燥を促進しうるアルコール類、ケトン類またはエーテル類から選択された有機溶剤を蒸発させ、キャリアガスとして機能する不活性ガスにより運ばれるものである。本実施形態では常温のIPA(Iso−propyl alcohol)と常温の窒素ガス(N)を混合し、洗浄装置11の外部に設けられた気化器(不図示)で昇温させてIPAを気化させ、IPAベーパーとするものである。具体的には、IPAの沸点78.3℃以上の例えば83℃に常温のIPAと常温の窒素ガスとを昇温させて気化させ、IPAベーパーを発生させるものである。
【0090】
気化器には、公知のものを使用可能であり、一般に加熱又は減圧された雰囲気下で有機溶剤を蒸発させ、蒸発した有機溶剤をキャリアガスによって搬送するものが挙げられる。
【0091】
また、前記気化器によって有機溶剤ベーパーを生成するのではなく、例えば、有機溶剤の液中において、不活性ガスを噴射し、有機溶剤の泡沫化をなし、泡沫化に伴い、有機溶剤の液面を介して、有機溶剤のベーパーを発生させてもよい。
【0092】
また、図8及び図9に示すように、有機溶剤ベーパー供給口56の上方には、乾燥用ガス供給部として機能する高温不活性ガス供給口57が配されており、図示しないヒーターにより高温の不活性ガスを洗浄槽23内に供給して、ウエハ1の乾燥を行うものであり、本実施形態では、例えば230度の窒素ガス(N)が供給される。
【0093】
さらに、図8及び図9に示すように、乾燥用流体供給部27中、最も上方の位置、即ち、装置躯体29の上端部に酸素濃度低下用ガス供給部として機能する不活性ガス供給口58が配されており、洗浄及びリンス工程において常温の不活性ガスを洗浄槽23の上部、即ち、洗浄槽内に満たされた洗浄液・リンス液の液面上方の空間に供給することが可能であり、本実施の形態では、不活性ガスとして常温の窒素ガス(N)が供給される。洗浄及びリンス工程中、常温の不活性ガスを洗浄槽23内に導くことで、洗浄槽23内の酸素(O)濃度を低下させ、ウエハ1が酸化することによって生じるウォーターマークの発生を防止することが可能であり、オーバーフロー槽26の両排気口26a2、26b2から排気される。
【0094】
ここで、不活性ガス供給口58が乾燥用流体供給部27中、最も上方の位置、即ち、装置躯体29の上端部に配され、不活性ガス供給口58から供給された不活性ガスが、不活性ガス供給口58より下方に配された高温不活性ガス供給口57及び有機溶剤ベーパー供給口56が配された空間を通り、さらに、洗浄槽23の前後に配された第1オーバーフロー槽26a及び第2オーバーフロー槽26bの上部空間(オーバーフロー液の液面上方)へと至り、各々のオーバーフロー槽2の排気口26a2、26b2から排気される。従って、洗浄槽23の上端部からオーバーフロー槽26側への不活性ガスの流れができるため、薬液(洗浄液)から生じた蒸気に、有機溶剤ベーパー供給口56及び高温不活性ガス供給口57がさらされることを抑制することが可能である。同様の理由から、オーバーフロー槽26の上部空間に薬液(洗浄液)から生じた蒸気が滞留してしまうことが防止される。
【0095】
洗浄槽23内で洗浄されリンスされたウエハ1へ上記IPAベーパーが導かれることで、ウエハ1の表面2に付着した水分が、蒸発しやすいIPAベーパー雰囲気下となり、このウエハ1の表面2の乾燥が促進される。このIPAベーパーは、リンス液としての純水(DIW)が洗浄槽23内から排出される前、即ち、例えば15秒前から、不活性ガス供給口58からの不活性ガスの供給停止とともに、有機溶剤ベーパー供給口56から供給され、既に不活性ガスで満たされた洗浄槽23内のリンス液の液面より上方部分へ導入され、その後、リンス液が排液口65を介して排出され、リンス液の液面が低下するとともに、洗浄槽23内部全体がIPAベーパー雰囲気下となっていくものである。
【0096】
この場合、オーバーフロー槽26の排気口26a2、26b2においては、IPAベーパーの供給開始時から排気量を低下させ、洗浄槽23内のIPA濃度を高めておき、さらにリンス液の排出中でも、有機溶剤ベーパー供給口56からIPAベーパーを供給し続けるものである。これにより、リンス液の排出中においても、IPAベーパーが高濃度に保たれ、リンス液に対してIPAベーパーが溶けこみ、ウエハ1とリンス液の液面が接する部分において表面張力の勾配(IPAの濃度勾配)が生じ、上側から下側に向かう引き戻し力が発生し(マランゴニ効果)、リンス液がウエハ1の表面(裏面)にウォーターマークとなって残ることが防止される。洗浄槽23の純水2の液面が下降するに従って、ウエハ1の表面(裏面)のリンス液がIPAに置換されて、水分の蒸発が促進され、極めて静澄な状態となるものである。このように、リンス液の排出中、リンス液の液面とウエハ1の接する部分においてマランゴニ効果が促進されるとともに、IPAベーパーが絶えず供給されていることから、洗浄槽23内においては、既にIPAが飽和状態となっており、ウエハ1の表面(裏面)においては、IPAがリンス液に置換し、リンス液の蒸発が促進されるとともに、IPAが凝縮したままとなっている。
【0097】
尚、リンス液の排出測度は、例えば、6mm/sec程度であり、同排出速度を確保可能であれば、自然排出、ポンプ等による強制排出の何れを問わない。この場合、液面センサーを利用することにより、リンス液の排出速度を可変制御することが可能である。
【0098】
即ち、図7において例示するように、装置躯体29の上部(ウエハ1の上端部より上方)及び下部(ウエハ1の下端部より下方)には、接続口85(上部)、86(下部)が配されており、両接続口ともに継手87aを介して鉛直方向に配されるパイプ87に取り付けられる。パイプ87には、洗浄槽23内の液面を検出する液面検出センサー89が配されており、接続口85と接続口86がパイプ87を介して連続することから洗浄槽23のリンス液の液面とパイプ87内の液面が同期し、パイプ87内においても、洗浄槽23内と同じ高さにまでリンス液が満たされる。液面検出センサー89は、静電容量近接センサー等のパイプ87内の液体(リンス液)の有無を確認しうる手段によって構成されている。液面検出センサー89は、リンス液の排出速度を変えるリンス液の液面に水平方向で対応した箇所に配されるものであって、例えば、図7中のh1の如く側方受け部材73bの上端部や、h2の如く中央受け部材73aの下端部に対応した箇所に配される。
【0099】
これにより、リンス液の液面がh1の如く側方受け部材73bの上端部にまで下がった場合に、排液口65の排液量を低下させることにより、排水測度をさらに低下させることにより(例えば、2〜3mm/sec程度)、リンス液の液切れを確実なものとし、側方受け部材73bにおける水膜の発生及び破膜による飛散等をより確実に防止することが可能である。
【0100】
また、リンス液の液面がさらに低下し、h2の如く中央受け部材73aの下端部にまで下がった場合には、水膜の発生等の危険が低下するため、リンス液の排出速度を上げて、スループットの向上を図ることも可能である。
【0101】
この場合、上記h1とh2の距離が近いため、h1ラインにまでリンス液の液面が低下し、液面検出センサー89が液面の低下を感知して排出速度を低下させた後、予め定めた一定時間経過後(h2ラインにリンス液の液面が至るまでの所要時間)に排出速度を上げるようにして、スループットを向上させても良い。また、液面検出センサーを用いず、全てタイマー制御によって、リンス液の排出速度を可変制御しても良いことは当然である。また、上記リンス液の排出速度の可変制御は、洗浄液の排出速度についても同様に適用可能であることは当然であり、さらに、洗浄液・リンス液の排出速度の可変制御は、排液口65、排気口26a2、26b2におけるバルブ調整や、洗浄装置11外に設けたポンプ(不図示)の作用によって強制的に洗浄液・リンス液を排液口65より排出すること等により達成される。
【0102】
また、ウエハ1の乾燥は、上述した高温不活性ガス供給口57より、ヒーター(図示せず)により加熱された高温の不活性ガス、本実施形態では230度の窒素ガス(HOT N)が洗浄槽23内のIPAベーパー雰囲気下のウエハ1の表面(裏面)へ供給されることにより、ウエハ1の表面(裏面)に凝縮したIPAが蒸発し、乾燥が急速に達成される。高温不活性ガス供給口57から洗浄槽23内へ高温の窒素ガスが導かれる際には、洗浄槽23の下部に設けられたガス排気口62(図8及び図9)を通じて高温の窒素ガスの排気を行う。これにより、ウエハ1の上端から下端までの全体に効率よく、高温の窒素ガスを照射し、乾燥を行うことが可能である。また、装置躯体29の最上部には不活性ガス供給口58と並んで、ガス排気口64が配されており、待機時や、メンテナンス時等には、このガス排気口64を開操作して、装置躯体29の最上部内の雰囲気を正常なものとすることも可能である。
【0103】
[作用]
次に、上述の洗浄装置(乾燥装置)11の作用を、図12及び図13を用いて説明する。図12は、図1の洗浄装置における動作の一部を示すフローチャートであり、図13は、図12の動作の残部である。
【0104】
[工程概要]
洗浄装置11は、搬送用ロボット15によりウエハ1を洗浄槽23内へ搬入し、このウエハ1の表面2を装置躯体29側に、ウエハ1の裏面3を正面壁28側に臨ませ、正面壁28と装置躯体29とを密着させて、密封された洗浄槽23を構成し、ウエハ1を洗浄槽23内に収容するウエハ1の搬入工程(ステップS1乃至S4)と、洗浄槽23内で洗浄液を流動させ、この洗浄液に接液するウエハ1の表面2を洗浄しリンスすると共に、洗浄槽23内の洗浄液またはリンス液により、ウエハ1の両面を洗浄・リンスする洗浄・リンス工程(ステップS5乃至S19)と、この洗浄・リンス工程の終了後に、ウエハ1を洗浄槽23内に装着した状態でIPAベーパー、窒素ガスを洗浄槽23内へ導き、上記ウエハ1を乾燥する乾燥工程(ステップS20乃至S22)と、上記洗浄、リンス及び乾燥処理されたウエハ1を、搬送用ロボット15により洗浄槽23外へ搬出するウエハ1の搬出工程(ステップS23乃至S25)とを有する。これらの各工程を更に詳説する。
【0105】
[搬入工程]
ウエハ1の搬入工程では、まず、ウエハ搬送容器(所謂フープ)(不図示)が容器オープナーによって開けられ(S1)、搬送用ロボット15のハンド部15aがウエハ搬送容器内のウエハ1の表面2を非接触状態で保持する(S2)。
【0106】
次に、図3乃至図5に示すように、洗浄装置配置部12における洗浄装置11の正面壁28が装置躯体29から離反し、搬送用ロボット15のハンド部15aが、ウエハ1の裏面3側を正面壁28のピン71に立て掛ける(S3)。即ち、ウエハ1は、正面壁28の傾きαから生じる重力により、ピン71及び受け部材73を介して正面壁28に立て掛けられた状態となり、縦方向に起立状態で保持される。そのため、ウエハ1を縦方向に起立状態とすることができ、ウエハ1を縦方向に起立するための保持手段を設ける必要がないことから、洗浄装置11の構成の簡素化を図ることが可能である。この場合、正面壁28の両側部に配されたウエハ確認センサ45(45a、45b)により、搬送用ロボット15が正面壁28の内側に進入する前に誤って既にウエハ1が立て掛けられていないか、又は搬送用ロボット15が所定の箇所に立て掛けを行えたか否かを判断する。これは搬出工程においても同様である。また、図6乃至図8に示すように、その後に正面壁28が装置躯体29に当接して密閉された洗浄槽23が構成されると同時に、ウエハ1が洗浄槽23内に装着(収容)される(S4)。
【0107】
[洗浄・リンス工程]
洗浄・リンス工程では、図9に示すように、洗浄槽給液口49からアルカリ洗浄液が整流板49aを通過して整流された後、洗浄槽23内へ供給されると共に(S5)、間接槽52内へ間接槽給排液口54から純水が供給される(S6)。このアルカリ洗浄液の供給開始時に(S5)、不活性ガス供給口58から常温の窒素ガスの供給が開始されるとともに、オーバーフロー槽26の排気口26a2、26b2が開操作され、常温の窒素ガスは、不活性ガス供給口58の下方に配された高温不活性ガス供給口57及び有機溶剤ベーパー供給口56が配された空間を通り、さらに、洗浄槽23の前後に配された第1オーバーフロー槽26a及び第2オーバーフロー槽26bの上部空間(オーバーフロー液の液面上方)へと至り、各々のオーバーフロー槽2の排気口26a2、26b2から排気される。従って、洗浄槽23の上端部からオーバーフロー槽26側への不活性ガスの流れができるため、薬液(洗浄液)から生じた蒸気が、有機溶剤ベーパー供給口56及び高温不活性ガス供給口57がさらされることを抑制する可能である。同様の理由から、オーバーフロー槽26の上部空間に薬液(洗浄液)から生じた蒸気が滞留してしまうことが防止される。さらには、洗浄及びリンス工程中、常温の不活性ガスを洗浄槽23内に導くことで、洗浄槽23内の酸素(O)濃度を低下させ、ウエハ1が酸化することによって生じるウォーターマークの発生を防止することが可能である。S5より継続しているこの不活性ガス供給口58からの常温の窒素ガスの供給は、リンス終了15秒前に、有機溶剤ベーパー供給口56からIPAベーパーの供給を開始するまで続けられる。また、オーバーフロー槽26の排気口26a2、26b2の開状態は、上記有機溶剤ベーパー供給口56からIPAベーパーの供給が開始された後においても、排気口26a2、26b2からの排気量を低下させた上でさらに続行されるものである。
【0108】
洗浄槽23内で洗浄槽給液口49から洗浄槽23の上部方向へとアルカリ洗浄液が流動し、ウエハ1の表面2及び裏面3を均等に洗浄し(S7)、さらには洗浄槽23から溢れでたアルカリ洗浄液がオーバーフロー槽26へ向かって流動し、このオーバーフロー槽26から排液されたアルカリ洗浄液は、ろ過され洗浄槽給液口49を経て洗浄槽23内へ戻り循環する(S7)。また、アルカリ洗浄液を循環させることなく、静置させておくことも可能である。アルカリ洗浄中に、間接槽52内で間接槽給排液口54から間接槽オーバーフロー口55へ向かって新鮮な純水が流動する。純水が間接槽52内を流れる間に超音波振動装置25が作動して、この超音波及びアルカリ洗浄液によりウエハ1の表面2及び裏面3を洗浄する(S7)。
【0109】
このアルカリ洗浄時には、図9において矢印で示すように、隙間形成部材として機能するピン71によってウエハ1の表面2側と裏面3側の両方にアルカリ洗浄液が行き渡ると共に、ウエハ1の表裏面の両方に対応して第1オーバーフロー槽26a、第2オーバーフロー槽26bが配されていることから、ウエハ1の表面2側と裏面3側の両方において洗浄液等の流れ及びその流速が確保され、表裏面を等しく洗浄することが可能であり、この点は、酸洗浄液による洗浄工程及びリンス工程においても同様である。
【0110】
このアルカリ洗浄終了後、超音波振動装置25を停止し、洗浄槽23内のアルカリ洗浄液を排液口65を経て排液し(S8)、洗浄槽23からアルカリ洗浄液が排液される(S8)。この場合、アルカリ洗浄液の排出速度は、前述の如く可変制御を行い、水膜の発生防止及びスループットの向上を図ることも可能である。アルカリ洗浄液の排液後、洗浄槽給液口49を経て洗浄槽23内にリンス液としての純水(DIW)を導く(S9)。尚、アルカリ洗浄液の排液なしに、純水を洗浄槽23内に導き、アルカリ洗浄液を稀釈化(純水に直接置換)することによってリンスを行うことも可能である。
【0111】
このリンス液が洗浄槽23内で洗浄槽給液口49からオーバーフロー槽26に向かって流動し、その間に超音波振動装置25を作動して、ウエハ1の表面2及び裏面3をリンス液によりリンスする(S10)。このリンス時に、オーバーフロー槽26の排液口26a1、26b1から排出されたリンス液は廃棄されて、洗浄槽23内には洗浄槽給液口49から新鮮なリンス液(純水)が供給される。
【0112】
上記リンス終了後に、超音波振動装置25を停止し、洗浄槽23内から排液口65を経てリンス液を排水する(S11)。超音波振動装置25の停止と同時に間接槽52内への純水の供給が停止され、間接槽52内の純水が間接槽給排液口54を経て排水される(S12)。次工程において用いられる酸洗浄液は、一般に100℃以上の高温であることから、一度、間接槽52内の純水を排水することにより、空の間接槽52を断熱層及び熱を奪う媒質として利用するものであって、これにより、洗浄槽23自体及び超音波振動子51等へ熱が影響を与えることを防止するものである。
【0113】
次に、酸洗浄液が洗浄槽給液口49から整流板49aを通過して整流された後、洗浄槽23内へ供給される(S13)。この酸洗浄液は、洗浄槽23内で洗浄槽給液口49から洗浄槽23の上部方向へと流動し、ウエハ1の表面2及び裏面3を均等に洗浄し(S14)、さらには洗浄槽23から溢れでた酸洗浄液がオーバーフロー槽26へ向かって流動し、このオーバーフロー槽26から排液された酸洗浄液は、ろ過され洗浄槽給液口49を経て洗浄槽23内へ戻り循環する(S14)。また、酸洗浄液を循環させることなく、静置させておくことも可能である。このように循環又は静置された酸洗浄液が、ウエハ1の表面2及び裏面3を洗浄する。
【0114】
この酸洗浄の終了後、洗浄槽23内の酸洗浄液を排液口65を経て排液する(S15)。この場合、酸洗浄液の排出速度は、前述の如く可変制御を行い、水膜の発生防止及びスループットの向上を図ることも可能である。また、酸洗浄液の排液が開始された後、間接槽52内へ間接槽給排液口54から純水が供給される(S16)。洗浄槽23へのリンス液の供給(S17)に先だって間接槽52内へ純水の供給を開始することにより、洗浄槽23に比して容量の大きい間接槽52を早期に純水で満たすためであって、これにより、間接槽52内への給液完了を待つ必要がなくなり、スループットの向上を図るものである。洗浄槽23内からの酸洗浄液の排液後に、この洗浄槽23内へリンス液としての純水(DIW)を供給する(S17)。尚、酸洗浄液の排液なしに、純水を洗浄槽23内に導き、酸洗浄液を稀釈化(純水に直接置換)することによってリンスを行うことも可能である。
【0115】
このリンス液が洗浄槽23内で洗浄槽給液口49からオーバーフロー槽26へ向かって流動し、その間に超音波振動装置25を作動して、ウエハ1の表面2及び裏面3をリンスする(S18)。このリンス時に、オーバーフロー槽26の排液口26a1、26b1から排出されたリンス液は廃棄され、洗浄槽23内には洗浄槽給液口49から新鮮なリンス液(純水)が供給される。
【0116】
[乾燥工程]
上記リンス終了後に乾燥工程へ移行するが、この場合、リンス終了15秒前に、この不活性ガス供給口58から常温の窒素ガスの供給を停止させるとともに、有機溶剤ベーパー供給口56からIPAベーパーを供給する。さらに同時に、オーバーフロー槽26の排気口26a2、26b2においては、IPAベーパーの供給開始時から排気量を低下させ、洗浄槽23上部のIPA濃度を高めるとともに(S19)、超音波振動装置25が停止される(S19)。その後、リンス液が排液口65を介して自然排出され、リンス液の液面が低下するとともに、洗浄槽23内部全体がIPAベーパー雰囲気下となっていくものであり(S20)、また、S16より続けられている間接槽52内への純水の供給が停止され、間接槽52内の純水が間接槽給排液口54を経て排水される(S21)。
【0117】
この場合、リンス液の自然排出中でも、有機溶剤ベーパー供給口56からIPAベーパーを供給し続け、リンス液の排出中においても、IPAベーパーが高濃度に保たれ、リンス液に対してIPAベーパーが溶けこみ、マランゴニ効果が生じることによって、リンス液がウエハ1の表面(裏面)にウォーターマークとなって残ることが防止される。リンス液の自然排出中、リンス液の液面とウエハ1の接する部分においてマランゴニ効果が促進されるとともに、IPAベーパーが絶えず供給されていることから、洗浄槽23内においては、既にIPAが飽和状態となっており、ウエハ1の表面(裏面)においては、IPAがリンス液に置換し、リンス液の蒸発が促進されるとともに、IPAが凝縮したままとなっている。
【0118】
上記IPAベーパー供給終了後に、乾燥用流体供給部27における高温不活性ガス供給口57より、高温の窒素ガス(HOT N)が洗浄槽23内のIPAベーパー雰囲気下のウエハ1の表面(裏面)へ供給されることにより、ウエハ1の表面(裏面)に凝縮したIPAが蒸発し、乾燥が急速に達成される(S21)。この際には、洗浄槽23の下部に設けられたガス排気口62(図8及び図9)を通じて高温の窒素ガスの排気を行う。これにより、ウエハ1の上端から下端までの全体に効率よく、高温の窒素ガスを照射し、乾燥を行うことが可能である。
【0119】
[搬出工程]
上述の乾燥工程終了後にウエハ1の搬出工程へ移行し、図5に示すように、洗浄装置11の正面壁28が装置躯体29から離反する(S23)。この後、図4に示すように、搬送用ロボット15のハンド部15aが正面壁28と装置躯体29との間に入り、ウエハ1の表面2を非接触状態で保持して、正面壁28からウエハ1を受け取る(S24)。この搬送用ロボット15は、ウエハ搬送容器(フープ)が開操作された時点で、受け取ったウエハ1をウエハ搬送容器内へ収納する(S25)。
【0120】
[メンテナンス]
本発明に係る洗浄装置11は、装置躯体29と正面壁29を当接させることにより、密閉された洗浄槽23を構成することができることから、ウエハ1を洗浄槽23内に収容していない状態において、純水や、処理槽用洗浄液を洗浄槽23内に満たすことにより、容易にメンテナンスが可能である。また、装置躯体29の最上部に配されたガス排気口64を開操作して、待機時や、メンテナンス時等には、装置躯体29の最上部内の雰囲気を正常なものとすることも可能である。
【0121】
[第1実施形態により生じる効果]
以上のように構成されたことから、上記実施形態によれば、次の効果を奏する。
上記構成によると、洗浄槽23に洗浄液・リンス液が供給されたときには、ピン71によって、洗浄槽23内のウエハ1表面2側と裏面3側の両空間に同程度の充分な空間が確保されるため、ウエハ1の表面2側と裏面3側の両方に洗浄液が行き渡ると共に、ウエハ1の表裏面の両方に対応してオーバーフロー槽26が配されていることから、ウエハ1の表面2側と裏面3側の両方において洗浄液等の流れ及びその流速が確保され、表裏面を等しく洗浄することが可能である。
【0122】
また、ウエハ1は、正面壁28の傾きαから生じる重力により、ピン71を介して正面壁28に立て掛けられた状態となり、縦方向に起立状態で保持される。そのため、ウエハ1を縦方向に起立するための保持手段を設ける必要がないことから、洗浄装置11の構成の簡素化を図ることが可能であり、洗浄槽23ひいては洗浄装置11全体の省スペース化を実現できる。
【0123】
洗浄槽23に配される超音波振動装置25において、超音波振動子51及び振動板51aと、洗浄槽23の一部を構成する石英板53とは、1°乃至5°傾いた関係で対向しているため、洗浄装置11(洗浄槽23)間の製品誤差や、組付誤差によって生じる超音波の音圧のむら(定在波のむら)を、振動板51a等と、石英板53との間で超音波の乱反射が起こることを利用して緩和することが可能である。また、振動板51a等と石英版53は、上方に移行するに従い、互いの距離が離間するため、洗浄液・リンス液の液面上方の空間に超音波振動を逃がすことが可能となり、超音波振動を逃がす空間の存在しない洗浄槽下部に超音波振動がこもることにより音圧のむらが発生することをより確実に防止し、超音波振動を十分に確保することが可能である。
【0124】
洗浄及びリンス工程中、常温の窒素ガスが洗浄槽23内に導かれることで、洗浄槽23内の酸素(O)濃度を低下し、ウエハ1が酸化することによって生じるウォーターマークの発生を防止することが可能である。
【0125】
不活性ガス供給口58が洗浄槽23の上端部に配されることから、洗浄槽23の上端部からオーバーフロー槽26側への常温の窒素ガスの流れができるため、薬液(洗浄液)から生じた蒸気に、有機溶剤ベーパー供給口56及び高温不活性ガス供給口57がさらされることを抑制する可能である。同様の理由から、オーバーフロー槽26の上部空間に薬液(洗浄液)から生じた蒸気が滞留してしまうことが防止される。
【0126】
液切れの良い受け部材73bを使用することで、洗浄液・リンス液の排出時の液膜が通過した後でも水膜の発生及び破膜による洗浄液・リンス液の飛散が防止され、ウォーターマークの発生が防止されるものである。
【0127】
[B]第2の実施の形態(図14乃至図17)
本発明の第2実施形態について、図14乃至図17を参照しつつ説明する。図14は、本発明の第2実施形態に係る洗浄装置の待機状態を、斜め正面側から目視して示す斜視図、図15は、図14の洗浄装置における隙間形成手段を示す一部破断後方斜視図、図16は、図14の洗浄装置における正面壁及び隙間形成手段の対応関係を示す一部破断後方斜視図、図17は、図14の洗浄装置において正面壁の離間状態において、隙間形成手段を後進させた一部拡大断面図である。この第2実施形態において、第1実施形態と同様な部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0128】
第2実施形態の洗浄装置95では、第1の実施の形態において、正面壁28の内側に植設されたピン71が存在せず、図16に示すように、正面壁28の内側に正面壁28を厚み方向に貫通する挿通孔96eが形成されており、挿通孔96eを介して、隙間形成部材としてのピン96aが突出可能な構成としている。正面壁28内側表面からのピン96の先端部の位置決めが可能であることにより、洗浄槽23内におけるウエハ1の位置の調整を行うことが可能となり、ウエハ1の表面2と裏面3の何れかを重点的に洗浄・リンスしたい場合に、洗浄・リンスしたいウエハ面側の空間を幅広に採ることにより、洗浄液の流れを活発化させ、洗浄効果を高めることができる。特に、粘性を持った洗浄液については、重点的に洗浄したいウエハ面側の洗浄空間を幅広に採ることによって、粘性の高い洗浄液でも洗浄効果を確実に上げることが出来る。
【0129】
即ち、洗浄槽23は、一側壁としての正面壁28と、この正面壁28以外の装置躯体29とが当接して構成される。図16及び図17に示すように、正面壁28の内側でウエハ1が立て掛けられた場合のウエハ1の周縁部より内側の箇所に正面壁28を厚み方向に貫通する挿通孔96eが形成されている。この挿通孔96eは、ウエハ1の周縁部内側に沿って略等間隔に複数箇所、例えば12箇所形成される。また、図16に示すように、ウエハ1が正面壁28に立て掛けられた場合のウエハ1の周縁部の下部に対応する箇所に、第1実施形態で説明した左右受け部材73cが設置される。この左右受け部材73cは、ウエハ1の周縁部下部に沿って複数個、例えば4個設けられ、ウエハ1周縁の下端部を菱形形状の上端部により点接触状態で支持するため、ウエハ1への汚染等が抑制される。また、中央受け部材73aの下部も先細り形状に形成されているため、良好な液切れが実現されるさらに、ピン96aの先端部の位置が変更された場合であっても、左右受け部材73cの上端部はピン96aが進退する方向と同一方向に対して厚みを有して構成されているため、何れの位置にピン96aが移動しても、ウエハ1の下端部を支持可能である。
【0130】
隙間形成手段96は、本実施形態において、図16に示すように、円形状のウエハ1の上方と下方に対応するべく、上下2つの隙間形成手段によって構成されているものであって、上方の隙間形成手段を第1隙間形成手段97と称し、下方の隙間形成手段を第2隙間形成手段98と称する。各々の第1隙間形成手段及び第2隙間形成手段は、各々別個独立した動作が可能な構成となっており、位置決めの自由度が高い構成となっている。また、本実施の形態にいては、隙間形成手段を2つに分けたが、必要に応じて隙間形成手段を単体でのみ備える構成や、各々のピン96aに対応させて個別に構成したもの等、様々な組合せが挙げられる。
【0131】
第1隙間形成手段97及び第2隙間形成手段98は、各々、隙間形成部材たるピン96aと、ピン96aを進退させる隙間形成部材用シリンダ96d(隙間形成部材摺動手段)と、正面壁28に形成され、隙間形成部材たるピン96aが挿通される挿通孔96eによって構成されるものである。詳しくは、図16に示すように、正面壁28の両側にはサイド板79が設置され、このサイド板79に取付プレート99を介して隙間形成部材用シリンダ96dが配置される。この隙間形成部材用シリンダ96dのロッド96d1の先端に横長矩形状の支持プレート96cが取り付けられる。支持プレート96cにおいて、隙間形成部材用シリンダ96dが配された面と対の面の左右両端部に共架された弧状の支持ガード96bに隙間形成部材としてのピン96aが植設されている。前記弧状の支持ガード96bは、正面壁28の内側に形成された挿通孔96eに沿うように円形状に配されるものであって、支持ガード96bに植設されるピン96aは、支持ガード96上で正面壁28に形成された挿通孔96eに挿通可能な位置に挿通孔96eと同数配される。本実施の形態においては、挿通孔96eが正面壁28の内側に12箇所形成されたことにともない、支持ガード96b上に12箇所植設される。
【0132】
図17に示すように、隙間形成部材用シリンダ96は、ロッド96d1の進退動作によって隙間形成部材たるピン96aを、装置躯体20の開口29aの軸方向29Rに沿って相対移動可能とする。この隙間形成部材用シリンダ96dによる隙間形成部材たるピン71の移動量(ストローク)は例えば3mmである。この場合、隙間形成部材用シリンダ96のロッド96d1の前進又は後進動作によって、ピン96aが正面壁28内側の挿通孔96eより突出された状態で、そのピン96aの先端部の位置決めが可能である。
【0133】
その他の構成については、前記第1の実施の形態と同様に構成されることから、この第2の実施の形態においても、第1の実施の形態の効果を奏するのみならず、次の効果を奏する。
【0134】
正面壁28内側表面からのピン96の先端部の位置決めが可能であることにより、洗浄槽23内におけるウエハ1の位置の調整を行うことが可能となり、ウエハ1の表面2と裏面3の何れかを重点的に洗浄・リンスしたい場合に、ピン96aを進退させることにより、洗浄・リンスしたいウエハ面側の空間を幅広に採り、洗浄液・リンス液の流れを活発化させ、洗浄効果を高めることができる。特に、粘性を持った洗浄液については、重点的に洗浄したいウエハ面側の洗浄空間を幅広に採ることによって、粘性の高い洗浄液でも洗浄効果を確実に上げることが出来る。
【0135】
本発明について上記実施形態を参照しつつ説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、改良の目的または本発明の思想の範囲内において改良または変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】本発明の第1実施形態に係る洗浄装置の待機状態を、斜め正面側から目視して示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る洗浄装置の待機状態を、斜め背面側から目視して示す斜視図である。
【図3】図1の洗浄装置のウエハ搬入出状態を示す正面図である。
【図4】図3のIV矢視図である。
【図5】図1の洗浄装置にウエハを受け渡した状態を示す側面図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る洗浄装置のウエハセット状態を、斜め正面側から目視して示す斜視図である。
【図7】図6の洗浄装置のウエハセット状態を示す正面図である。
【図8】図6の洗浄装置のウエハセット状態を示す側面図(図7のVIII矢視図)である。
【図9】図1(図6状態)の洗浄装置の原理を説明するための概略構成を示す断面図である。
【図10】受け部材によるウエハの支持状態を示す図であって、(a)は正面図、(b)は(a)図中内の一点鎖線による矩形枠部内の拡大斜視図、(c)は同矩形枠部内の拡大右側面図である。
【図11】受け部材によるウエハの支持状態の一例を示す正面図である。
【図12】図1の洗浄装置における動作の一部を示すフローチャートである。
【図13】図1の洗浄装置における動作の残部を示すフローチャートである。
【図14】本発明の第2実施形態に係る洗浄装置の待機状態を、斜め正面側から目視して示す斜視図である。
【図15】図14の洗浄装置における隙間形成手段を示す一部破断後方斜視図である。
【図16】図14の洗浄装置における正面壁及び隙間形成手段の対応関係を示す一部破断後方斜視図である。
【図17】図14の洗浄装置において正面壁の離間状態において、隙間形成手段を後進させた一部拡大断面図である。
【図18】従来のスピン方式洗浄装置を示す概略断面図である。
【図19】従来のディップ方式洗浄装置を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0137】
1 ウエハ(被処理物)
2 表面
3 裏面
11 洗浄装置(乾燥装置)
15 搬送用ロボット
15a ハンド部
23 洗浄槽
25 超音波振動装置
26 オーバーフロー槽
26a 第1オーバーフロー槽
26a1 排液口
26a2 排気口
26b 第2オーバーフロー槽
26b1 排液口
26b2 排気口
27 乾燥用流体供給部
28 正面壁(一側壁)
29 装置躯体
29a 開口
32 シール部材
33 水平プレート(正面壁側)
34 スライダ
35 ベースプレート部
36 水平プレート(装置躯体側)
37 レール
38 貫通孔
40 支持シャフト
41 シャフトベース
42 スライドシリンダ
45 ウエハ確認センサ
45a 発光部
45b 受光部
49 洗浄槽給液口(洗浄用流体供給部)
49a 整流板
51 超音波振動子
51a 振動板
52 間接槽
53 石英板
54 間接槽給排液口
55 間接槽オーバーフロー口
56 有機溶剤ベーパー供給口
57 高温不活性ガス供給口(乾燥用ガス供給部)
58 不活性ガス供給口(酸素濃度低下用ガス供給部)
62 ガス排気口
64 ガス排気口
65 排液口
71 ピン(隙間形成部材)
73 受け部材
73a 中央受け部材
73b 側方受け部材
73b1 本体部
73b2 支持片
73b3 固定部
73c 左右受け部材
79 サイド板
80 ドレンパン
80a 排液口
82 底板
85 接続口(上部)
86 接続口(下部)
87 パイプ
87a 継手
89 液面検出センサー
95 洗浄装置
96 隙間形成手段
96a ピン(隙間形成部材)
96b 支持ガード
96c 支持プレート
96d 隙間形成部材用シリンダ(隙間形成部材摺動手段)
96d1 ロッド
96e 挿通孔
97 第1隙間形成手段
98 第2隙間形成手段
99 取付プレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄槽内の洗浄用流体により、前記洗浄槽に配設された板状の被処理物を洗浄及び/又はリンスする洗浄装置であって、
前記洗浄槽は、一側壁と装置躯体が当接することによって扁平ボックス状に構成されて内部空間が密閉され、
前記一側壁は、前記洗浄槽において被処理物の表面又は裏面が臨む面であり、かつ、洗浄槽内に臨む面に隙間形成部材を配してなり、
前記被処理物は、前記隙間形成部材に接触しつつ起立した状態で保持され、洗浄槽の一側壁と、一側壁に対向する側壁との間で両側壁から離間した位置で洗浄されること
を特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
前記洗浄槽を構成する一側壁は、水平面に対し、前記一側壁よりも前記一側壁に対向する他の側壁の方が高くなるように傾斜していることを特徴とする請求項1記載の洗浄装置。
【請求項3】
前記被処理物は、洗浄槽の一側壁と、一側壁に対向する他の側壁との間で両側壁から同程度離間した位置で洗浄されることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記洗浄槽は、被処理物より下方に洗浄用流体供給部を配し、
被処理物の表面及び裏面の各々の面が対向する両側壁であって、両側壁において被洗浄物の上端部より上方の箇所にオーバーフロー槽を配することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の洗浄装置。
【請求項5】
前記洗浄槽は、洗浄及び/又はリンス時においては、洗浄用流体の液面より上方の空間に絶えず不活性ガスを供給し続けることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか記載の洗浄装置。
【請求項6】
前記洗浄槽は、洗浄及び/又はリンス時において、前記洗浄槽の上端部に配された不活性ガス供給口から洗浄用流体の液面より上方の空間に絶えず不活性ガスを供給し続け、前記オーバーフロー槽の上部より排気されることを特徴とする請求項4記載の洗浄装置。
【請求項7】
前記洗浄槽は、前記一側壁と対向する他の側壁に超音波振動装置を備え、当該超音波振動装置は、当該他の側壁に連続して間接槽が配され、間接槽を介して振動板が配されているものであって、振動板と他の側壁とは、1°乃至5°傾いた関係で対向していることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載の洗浄装置。
【請求項8】
前記振動板と前記他の側壁とは、上方に移行するに従い、互いの距離が離間することを特徴とする請求項7記載の洗浄装置。
【請求項9】
前記隙間形成手段は、前記一側壁に形成された挿通孔と、挿通孔内に挿通される隙間形成部材と、前記隙間形成部材を摺動させる隙間形成部材摺動手段からなることを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れかに記載の洗浄装置。
【請求項10】
前記隙間形成部材は、前記挿通孔から、洗浄槽内部に対して突出して被処理物に接触することを特徴とする請求項9に記載の洗浄装置。
【請求項11】
乾燥内の乾燥用流体により、前記乾燥槽に配設された板状の被処理物を乾燥する乾燥装置であって、
前記乾燥槽は、一側壁と装置躯体が当接することによって扁平ボックス状に構成されて、内部空間が密閉され、
前記一側壁は、前記乾燥槽において被処理物の表面又は裏面が臨む面であり、かつ、乾燥槽内に臨む面に隙間形成部材を配してなり、
前記被処理物は、前記隙間形成部材に接触しつつ起立した状態で保持され、乾燥槽の一側壁と、一側壁に対向する側壁との間で両側壁から離間した位置で乾燥されること
を特徴とする乾燥装置。
【請求項12】
前記乾燥槽を構成する一側壁は、水平面に対し、前記一側壁よりも前記一側壁に対向する他の側壁の方が高くなるように傾斜していることを特徴とする請求項11記載の乾燥装置。
【請求項13】
前記被処理物は、乾燥槽の一側壁と、一側壁に対向する他の側壁との間で両側壁から同程度離間した位置で乾燥されることを特徴とする請求項11又は請求項12記載の乾燥装置。
【請求項14】
前記隙間形成手段は、前記一側壁に形成された挿通孔と、挿通孔内に挿通される隙間形成部材と、前記隙間形成部材を摺動させる隙間形成部材摺動手段からなることを特徴とすることを特徴とする請求項11乃至請求項13の何れかに記載の乾燥装置。
【請求項15】
前記隙間形成部材は、前記挿通孔から、乾燥槽内部に対して突出して被処理物に接触することを特徴とする請求項14に記載の乾燥装置。
【請求項16】
円板状の被処理物の周縁部分を保持することにより、当該被処理物を起立した状態で保持する受け部材であって、
板状に構成された本体部を備え、
前記本体部は一辺が被処理物の周縁部に沿うように配され、
前記一辺からは少なくとも2つの支持片が被処理物側に対して突出し、
一の支持片は前記本体部の表側から突出し、隣り合う他の支持片は前記本体部の裏側から突出し、
前記一辺の最下部における被処理物の円周接線と、当該円周接線に接する本体部下方側の他の一辺の向き合う角度は、110°≦ω≦140°であること
を特徴とする受け部材。
【請求項17】
少なくとも2つの前記支持片は、前記本体部の一辺の異なる箇所から互い違いの関係で突出していることを特徴とする請求項16に記載の受け部材。
【請求項18】
前記被処理物の周縁部が前記本体部から離間した状態で保持されることを特徴とする請求項16又は請求項17に記載の受け部材。
【請求項19】
互い違いで対向する前記支持片の内側は、前記本体部に近づくに連れて漸次幅狭となるように構成され、対向する前記支持片の内側の距離は、最終的に被処理物の厚さよりも小となることを特徴とする請求項16乃至請求項18の何れかに記載の受け部材。
【請求項20】
前記本体部は、固定部を介して壁面に固定されることを特徴とする請求項16乃至請求項19の何れかに記載の受け部材。
【請求項21】
前記本体部において被処理物の周縁部に沿うように配される一辺は、被処理物の周縁部の曲率と同程度の曲率で逆R状に構成され、かつ、被処理物の周縁部から離間するものの最大限近接して配されることを特徴とする請求項16乃至請求項20の何れかに記載の受け部材。
【請求項22】
前記本体部は、三角形状に構成されることを特徴とする請求項16乃至請求項21の何れかに記載の受け部材。
【請求項23】
前記受け部材は、疎水性素材によって構成されていることを特徴とする請求項16乃至請求項22の何れかに記載の受け部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2009−141021(P2009−141021A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−314018(P2007−314018)
【出願日】平成19年12月4日(2007.12.4)
【出願人】(000124959)株式会社カイジョー (83)
【Fターム(参考)】