説明

流体制御弁およびその製造方法

【課題】 弾性スプリング5のセット荷重を低減することで、バタフライバルブ3または弾性スプリング5の摺動摩耗を低減してシール性能および耐久性を向上することを課題とする。
【解決手段】 バルブハウジング1に弾性スプリング5を組み付けた後、つまりバルブハウジング1の圧入部25に弾性スプリング5の外周部を圧入固定した後に、バルブシャフト2の軸方向部43の平面部45にバタフライバルブ3を仮組み付けした状態(仮固定状態)で、弾性スプリング5自身の弾性力を利用して弾性スプリング平面方向へのバルブ位置調整を実施することで、弾性スプリング5の中心にバタフライバルブ3の中心軸を一致させることができる。したがって、弾性スプリング5のセット荷重を低減することができるので、シール性能および耐久性を向上できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャフトの回転軸線(回転軸)がバルブの外周面とシートリングとのシール位置より偏心した流体制御弁およびその製造方法に関するもので、特に内燃機関より流出した排気ガスを制御する排気ガス制御弁およびその製造方法に係わる。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
従来より、図7に示したように、シャフト101の回転軸線(回転軸)に対してバルブ102の外周シール面103とシートリング104のバルブシート部105とのシール位置が偏心した偏心型バタフライ弁が公知である(例えば、特許文献1参照)。
この偏心型バタフライ弁は、シャフト101に支持固定されるバルブ102と、このバルブ102を全閉した際にバルブ102の外周シール面103に密着する金属製のシートリング104と、このシートリング104のバックアップ効果を有する平板状のプレート107とを備えている。
ここで、シートリング104は、中空のOリング状にカールされたバルブシート部105、およびこのバルブシート部105のシャフト101からバルブ102とシートリング104との接点より遠くなる側の一端を平板状に延長した平板部106を有している。シートリング104の平板部106は、複数のプレート107と一緒に、ハウジング108(またはガスケット109)とシートリングリテーナ110との間に挟み込まれて固定されている。
【0003】
また、図8に示したように、ハウジング111の内周部とバルブ112の外周部との間に、合成ゴム等の弾性材料からなる円環状のシートリング114が装着されて、バルブ112を支持固定するシャフトの回転軸線(回転軸)に対してバルブ112の外周シール面113とシートリング114のバルブシート部115とが圧接するシール部の位置が偏心している偏心型バタフライ弁が公知である(例えば、特許文献2参照)。
ハウジング111およびバルブ112は、ステンレス鋼等の剛性材料により形成されている。ハウジング111の内周部、つまりバルブ112の全閉時にバルブ112の外周シール面113に接触する位置には、シートリング114を嵌め込むための円環状の内周溝116が設けられている。シートリング114には、その半径方向の内径側に突出した断面山形のバルブシート部115が円周方向に連続して形成されている。
【0004】
[従来の技術の不具合]
ところが、特許文献1に記載の偏心バタフライ弁においては、シートリング104の初期弾性力を確保するためにバルブ102とシートリング104との位置ズレを考慮して、バルブ102の外周シール面103とシートリング104のバルブシート部105との間のシールを確保できる締め代の設定が必要となる。このようにバルブ102の全閉時にバルブ102の当接面に対するバルブシート部105の締め代を設定すると、シートリング104のセット荷重が大きくなってしまう。このとき、バルブ102を開閉動作させると、バルブ102の外周シール面103とシートリング104のバルブシート部105とが摺動し、バルブシート部105の摩耗量が増えるという問題が生じる。
【0005】
また、金属製のシートリング104は、合成ゴム製のシートリングと比べてバネ定数が高く、流体流路の中心軸線方向(流体の流れ方向)へのバルブ102とバルブシート部105との当接位置の位置ズレまたは流体流路の中心軸線方向に対して垂直な径方向へのバルブ102とバルブシート部105との当接位置の位置ズレにより、シートリング104のセット荷重が変化する。
そして、シートリング104のセット荷重が大きくなると、バルブ102の開閉動作時におけるバルブ102の外周シール面103とシートリング104のバルブシート部105との摺動摩耗が増加するため、バルブ102またはシートリング104の耐久性に大きく影響するという問題が生じる。
【0006】
また、金属製のシートリング104は、摩擦係数が大きいため、バルブ102を開閉動作時にバルブ102とシートリング104のバルブシート部105とが摺動することで、バルブ102またはシートリング104のバルブシート部105が摩耗するという問題が生じる。また、寸法誤差、組み付けばらつき等によりバルブ102とシートリング104のバルブシート部105との間に真円ズレが生じた場合、バルブ102の全閉時にバルブ102の外周シール面103とシートリング104のバルブシート部105との間に形成される隙間から流体洩れが発生する可能性がある。
【0007】
また、特許文献2に記載の偏心型バタフライ弁においては、合成ゴム等の弾性材料の弾性力の耐久劣化により、バルブ112の外周シール面113とシートリング114のバルブシート部115との間のシール性能および耐久性が低下するという問題が生じる。
合成ゴム等の弾性材料は、その圧縮を元に戻そうとする圧力でシール性能を発揮するが、長期間使用すると一部が永久変形(歪み)してシール性能が低下するという不具合があり、経時変化に対して、バルブ112の外周シール面113とシートリング114のバルブシート部115との間のシール力を一定に保つことが困難であるという問題がある。
【0008】
また、偏心型バタフライ弁の内部を高温の排気ガス(内燃機関の排気ガス)が流通する場合、このような偏心型バタフライ弁のシートリング114として使用可能な合成ゴム等の弾性材料が限られていることから、耐熱性、耐摺動性および耐摩耗性に優れた合成ゴム等の弾性材料が少ない。一般的に合成ゴム等の弾性材料は、柔らかく摩耗し易い。
特に、自動車の空気量制御においては、作動回数や使用環境温度を満足することが可能な合成ゴム等の弾性材料の選定が非常に困難であるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−021047号公報
【特許文献2】特開2003−056722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、シートリングのセット荷重を低減することで、バルブまたはシートリングの摺動摩耗を低減してシール性能および耐久性を向上することのできる流体制御弁およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1および請求項13に記載の発明によれば、シャフトの回転軸線方向に対して垂直な中心軸を中心とする円形状の外周面が球面の一部で構成されたバルブ(例えばバタフライ型バルブ)をシャフトに固定している。また、シャフトの回転軸線が、バルブの外周面とシートリングとのシール位置から偏心している。また、バルブの全閉時に弾性力を持ってバルブの外周面とシートリングとの間をシールする構造(流体制御弁のシール構造)を備えている。
そして、バルブは、シートリングの中心から円形状または放射状に拡がるシートリング平面方向へのバルブ位置調整が可能な仮固定手段を用いて、シャフトに仮組み付けするように構成されている。あるいはシートリングの中心から円形状または放射状に拡がるシートリング平面方向へのバルブ位置調整が可能な仮固定手段を用いて、シャフトにバルブを仮組み付けする工程を備えている。
【0012】
これによって、シャフトにバルブを仮組み付けした際に、シートリング平面方向へのバルブ位置調整(シートリングの中心に対するバルブの調整組み付け)を実施できるので、シートリングの中心にバルブの中心軸を一致させることができる。
ここで、シートリングの中心に対するバルブの調整組み付けが無い場合には、寸法誤差、組み付けばらつきを考慮して締め代が確保できる大きなセット荷重をシートリングに与えないと、十分なシール性能を維持することができなかった。
したがって、シートリングの中心に対するバルブの調整組み付けを実施できるので、シートリングのセット荷重を低減することができる。これにより、バルブまたはシートリングの摺動摩耗を低減することができるので、バルブの全閉時におけるバルブの外周面とシートリングとの間のシール性能を向上できる。
また、シートリングの中心に対するバルブの調整組み付けを実施できるので、シートリングの中心に対してバルブの中心軸が位置ズレすることはない。これにより、シートリングのセット荷重が変化しないので、バルブまたはシートリングの耐久性を向上できる。
【0013】
請求項2および請求項15に記載の発明によれば、仮固定手段は、シャフトとバルブとを締結する締結手段と、この締結手段が余裕を持って貫通する貫通孔と、締結手段が捩じ込まれるネジ孔とを備えている。そして、貫通孔は、バルブまたはシャフトのうちのいずれか一方に設けられている。また、ネジ孔は、バルブまたはシャフトのうちのいずれか他方に設けられている。
なお、締結手段の軸部(例えばスクリューのネジ軸部)の外径よりも僅かに大きい内径を有する貫通孔を採用しても良い。また、貫通孔の形状が、シャフトの回転軸線方向に平行な方向に長軸を有する楕円孔形状である場合、あるいはシャフトの回転軸線方向に平行な方向に長軸を有する長円孔形状である場合には、シャフトにバルブを仮組み付けした状態(仮固定状態)で、シートリング平面方向への位置調整が可能となる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、シートリングは、バルブの全閉時にバルブの外周面に密着する方向に弾性力を発生する弾性スプリングを有している。
請求項4に記載の発明によれば、弾性スプリングは、その外周部がハウジングに固定されている。シートリング平面方向へのバルブ位置調整は、ハウジングにシートリングを固定した後に実施される。
請求項5に記載の発明によれば、弾性スプリングは、金属材料により形成されている。これにより、シートリングをゴム材料で製作した場合に比べて、作動回数や使用環境温度等による弾性力の耐久劣化を抑制できるので、シール性能および耐久性の低下を抑えることができる。
請求項6に記載の発明によれば、弾性スプリングは、シャフトにバルブを仮組み付けした状態(仮固定状態)でシャフトを回転させてバルブの外周面が(弾性スプリングに)密着した際に、(弾性スプリング)自身の弾性力を利用してシートリングの中心とバルブの中心軸とを一致させるセンタリング機能を有している。
【0015】
請求項7に記載の発明によれば、シートリングは、バルブの全閉時にバルブの外周面が密着する筒状のノズル、およびこのノズルを弾性力を持って保持する弾性保持部材を有している。
これによって、バルブが全閉した際には、弾性保持部材により(常時)弾性保持されたノズル(のバルブシート部)がバルブの外周面に密着するので、バルブの外周面とノズル(のバルブシート部)との間に高いシール性能を保つことができる。つまり弾性保持部材がノズルを弾性保持することにより、バルブの全閉時におけるバルブの外周面とノズル(のバルブシート部)との間の密着シール性を向上できる。また、弾性保持部材によりノズルが弾性保持されているので、バルブの開弁時におけるバルブとノズルとの摺動抵抗を低減することができる。
したがって、バルブの全閉時におけるバルブの外周面とノズル(のバルブシート部)との間の密着シール性の向上とバルブの開弁時におけるバルブとノズルとの摺動トルクの低減との両立を図ることができる。
【0016】
請求項8に記載の発明によれば、ノズルは、弾性保持部材を介して、ハウジングに弾性保持されている。
請求項9に記載の発明によれば、ノズルは、金属材料(または樹脂材料)により形成されている。
請求項10に記載の発明によれば、シートリングは、シャフトにバルブを仮組み付けした状態(仮固定状態)でシャフトを回転させてバルブの外周面がノズル(のバルブシート部)に密着した際に、弾性保持部材の弾性力を利用してノズルの中心とバルブの中心軸とを一致させるセンタリング機能を有している。
請求項11に記載の発明によれば、弾性保持部材は、ノズルに対して、ノズルをバルブに押し付ける方向に弾性力を発生するワッシャを有している。このワッシャは、金属材料により形成されている。
請求項12に記載の発明によれば、弾性保持部材は、ノズルに対して、ノズルをバルブに押し付ける方向に弾性力を発生するリップシールを有している。このリップシールは、ゴム材料により形成されている。
請求項14に記載の発明によれば、上記の工程は、ハウジングにシートリングを組み付けた後に実施される。
すなわち、ハウジングにシートリングを組み付けた後に、シートリングの中心から円形状または放射状に拡がるシートリング平面方向へのバルブ位置調整が可能な仮固定手段を用いて、シャフトにバルブを仮組み付けする工程を備えている。
【0017】
請求項16に記載の発明によれば、シャフトの回転軸線方向に対して垂直な中心軸を中心とする円形状の外周面が球面の一部で構成されたバルブ(例えばバタフライ型バルブ)をシャフトに固定している。また、シャフトの回転軸線が、バルブの外周面とシートリングとのシール位置から偏心している。また、バルブの全閉時に弾性力を持ってバルブの外周面とシートリングとの間をシールする構造(流体制御弁のシール構造)を備えている。 そして、シートリングは、バルブの全閉時にバルブの外周面に密着する方向に弾性力を発生する弾性スプリングを有している。その弾性スプリングは、その周方向の一部にスリットを有している。このスリットは、弾性スプリングの周方向の一部を(流体流路を流通する流体の流れ方向に)切り欠くことで形成される。
【0018】
これによって、弾性スプリングのバネ定数を下げることができるので、仮に弾性スプリングの中心に対してバルブの中心軸が位置ズレしている場合であっても、弾性スプリングのセット荷重が増えるのを抑制できる。あるいは弾性スプリングのセット荷重を低減することができるので、バルブまたはシートリングの摺動摩耗を低減することができる。したがって、シール性能および耐久性を向上できる。
ここで、弾性スプリングの内周部に、バルブの全閉時にバルブの外周面が密着する筒状のバルブシート部、あるいはバルブの全閉時にバルブの外周面に弾性接触する筒状の弾性接触部(弾性保持部)を設けても良い。なお、上記のスリットを、バルブシート部または弾性接触部(弾性保持部)の周方向に所定の間隔(例えば等間隔)で複数設けても良い。
【0019】
請求項17に記載の発明によれば、弾性スプリングは、その外周部がハウジングに固定されている。
請求項18に記載の発明によれば、弾性スプリングは、金属材料により形成されている。これにより、シートリングをゴム材料で製作した場合に比べて、作動回数や使用環境温度等による弾性力の耐久劣化を抑制できるので、シール性能および耐久性の低下を抑えることができる。
請求項19に記載の発明によれば、シートリングは、バルブの全閉時にバルブの外周面に密着する方向に弾性力を発生する弾性スプリング、およびバルブの外周面(例えば外周面全周)と弾性スプリング(の内周部)との間をシールする弾性シール部材を有している。
【0020】
請求項20に記載の発明によれば、弾性シール部材は、弾性変形することが可能な樹脂材料またはゴム材料により形成されている。
また、バルブの外周面と弾性スプリング(の内周部)との間に、弾性変形することが可能な弾性シール部材が介在しているので、寸法誤差、組み付けばらつき等によりバルブと弾性スプリングとの間に真円ズレが生じた場合であっても、その真円ズレのような変形を弾性シール部材が吸収できる。これにより、バルブの全閉時における流体洩れの発生を防止できる。
また、仮にバルブの外周面と弾性スプリングとの間をシールする弾性シール部材の弾性力が耐久劣化した場合であっても、弾性スプリングの保持力によりシール力を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】EGRガス流量制御弁(EGRV)を示した概略図である(実施例1)。
【図2】EGRの主要部を拡大した断面図である(実施例1)。
【図3】EGRの主要部を拡大した断面図である(実施例1)。
【図4】EGRの主要部を示した断面図である(実施例2)。
【図5】(a)はEGRVを示した断面図で、(b)はEGRの主要部を拡大した断面図である(実施例3)。
【図6】(a)、(b)はEGRの主要部を示した断面図、正面図である(実施例3)。
【図7】偏心型バタフライ弁の主要部を示した断面図である(従来の技術)。
【図8】偏心型バタフライ弁の主要部を拡大した断面図である(従来の技術)。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
本発明は、シートリングのセット荷重を低減することで、バルブまたはシートリングの摺動摩耗を低減してシール性能および耐久性を向上するという目的を、シートリングの中心から円形状または放射状に拡がるシートリング平面方向へのバルブ位置調整(シートリングの中心とバルブの中心軸とを一致させるセンタリング)が可能な仮固定手段を用いて、シャフトにバルブを仮組み付けするように構成したことで実現した。あるいはシートリングの中心から円形状または放射状に拡がるシートリング平面方向へのバルブ位置調整(シートリングの中心とバルブの中心軸とを一致させるセンタリング)が可能な仮固定手段を用いて、シャフトにバルブを仮組み付けする工程を備えたことで実現した。あるいはシートリングは、バルブの全閉時にバルブの外周面に密着する方向に弾性力を発生する弾性スプリングを有し、その弾性スプリングの周方向の一部を切り欠いたスリットを有することで実現した。
【実施例1】
【0023】
[実施例1の構成]
図1ないし図4は本発明の実施例1を示したもので、図1はEGRガス流量制御弁(EGRV)を示した図で、図2および図3はEGRVの主要部を示した図である。
【0024】
本実施例の内燃機関の排気ガス還流装置は、例えばディーゼルエンジン等の内燃機関(エンジン)に使用されるもので、エンジンの各気筒毎の燃焼室より流出した排気ガス(内燃機関の排気ガス)の一部であるEGRガスを、エキゾーストマニホールドまたはエキゾーストダクト等の排気管から、インテークマニホールドまたはインテークダクト等の吸気管に再循環させるEGRシステム(内燃機関のEGR装置)である。
吸気管の内部には、エンジンの各気筒毎の燃焼室および吸気ポートに連通する吸気通路が形成されている。また、排気管の内部には、エンジンの各気筒毎の燃焼室および排気ポートに連通する吸気通路が形成されている。
【0025】
EGRシステムは、自動車等の車両のエンジンルームに搭載されている。このEGRシステムは、排気管内に形成される排気通路から吸気管内に形成される吸気通路へEGRガスを還流させる排気ガス還流管を備えている。この排気ガス還流管の途中には、排気ガス(EGRガス)の流量を制御する排気ガス流量制御弁(EGRガス流量制御弁:以下EGRVと呼ぶ)のバルブハウジング1が設置されている。
本実施例のEGRVは、バタフライバルブ3の外周面と弾性スプリング(シートリング)5の内周面とのシール位置を、バルブシャフト2の回転軸線(回転軸)から所定の距離分だけEGRガス流方向の下流側(または上流側)に偏心させて設けると共に、バタフライバルブ3の全閉時に弾性スプリング5自身の弾性力を持ってバタフライバルブ3の外周面と弾性スプリング5の内周面との間を密着シールする構造を備えた排気ガス制御弁(流体制御弁)である。
【0026】
EGRVは、内部をEGRガスが流通するバルブハウジング1と、このバルブハウジング1に組み付けられるバルブシャフト(EGRVの弁軸)2と、このバルブシャフト2に固定されるバタフライバルブ(EGRVの弁体)3と、バルブシャフト2とバタフライバルブ3とを締結固定(締め付け固定)するスクリュー4と、バタフライバルブ3が全閉した際にバタフライバルブ3の外周面が密着する弾性スプリング5と、バタフライバルブ3を開弁作動方向(または閉弁作動方向)に駆動する電動アクチュエータと、バタフライバルブ3の回転角度(バルブ開度)を検出するバルブ開度センサとを備えている。
【0027】
バルブハウジング1は、例えば耐熱アルミニウム合金のダイカストまたはアルミニウム合金系の鋳物、あるいは耐熱性に優れる耐熱性材料(例えば鉄系の鋳物、鋳鉄)によって所定の形状に形成されている。このバルブハウジング1は、断面円形状の排気ガス還流路11〜13の内部にバタフライバルブ3を全閉位置から全開位置に至るまで回転方向に開閉自在(回転自在)に保持する装置であり、この前後に配される両方の排気ガス還流管(あるいは排気管または吸気管)に締結ボルトを用いて締結固定(締め付け固定)されている。そして、バルブハウジング1の内部空間には、バタフライバルブ3および弾性スプリング5が配設されている。
【0028】
そして、バルブハウジング1の内部には、排気管から吸気管へEGRガスを還流させる排気ガス還流路11〜13が形成されている。なお、排気ガス還流路12は、流体流路の一部を構成すると共に、排気ガス還流路11と排気ガス還流路13とを連通する連通路(開口部)であって、弾性スプリング5の内部に形成される。
ここで、本実施例では、バルブハウジング1の内部において排気ガス還流路11から排気ガス還流路12を経由して排気ガス還流路13に向けてEGRガスが流れるように構成しているが、バルブハウジング1の内部において排気ガス還流路13から排気ガス還流路12を経由して排気ガス還流路11に向けてEGRガスが流れるように構成しても良い。
【0029】
バルブハウジング1は、バルブシャフト2が挿入される2つの第1、第2貫通孔14、15を有している。
バルブハウジング1は、内部にバルブシャフト2が挿入される第1、第2貫通孔14、15を有している。これらの第1、第2貫通孔14、15は、バルブハウジング1の外壁部(ブロック)をバルブシャフト2の回転軸線方向に貫通している。なお、バルブハウジング1に形成される第1貫通孔14の開口部(図1において図示下方側で開口した開口部)は、プラグ16により気密的に塞がれている。
バルブハウジング1の第1貫通孔14の孔壁面には、バルブシャフト2を回転自在に軸支する軸受け部材(ブッシング17等)が嵌合保持されている。また、バルブハウジング1の第2貫通孔15の孔壁面には、バルブシャフト2を回転自在に軸支する軸受け部材(オイルシール18およびボールベアリング20等)が嵌合保持されている。
【0030】
そして、バルブハウジング1の第1、第2貫通孔14、15よりもEGRガス流方向の上流側には、排気通路側の排気ガス還流管(あるいはエンジンの排気管の分岐部、特にエキゾーストマニホールドの分岐部)に取り付けられる第1結合面が設けられている。この第1結合面上では、排気通路から排気ガス還流路11〜13内に向けてEGRガスを導入するための入口ポートが開口している。
また、バルブハウジング1の第1、第2貫通孔14、15よりもEGRガス流方向の下流側には、吸気通路側の排気ガス還流管(あるいはエンジンの吸気管の合流部、特にインテークマニホールドの合流部)に取り付けられる第2結合面が設けられている。この第2結合面上では、排気ガス還流路11〜13から吸気通路内に向けてEGRガスを導出するための出口ポートが開口している。
【0031】
バルブハウジング1は、内部に排気ガス還流路(第1流体流路)11が形成された円筒状のEGRガスパイプ部(第1パイプ部)21、および内部に排気ガス還流路(第2、第3流体流路)12、13が形成された円筒状のEGRガスパイプ部(第2パイプ部)22を有している。なお、第1パイプ部21は、第2パイプ部22よりも流路径(開口面積)が小さくなっている。これにより、2つの第1、第2パイプ部21、22間には、円環状の段差23が設けられている。
また、バルブハウジング1の第2パイプ部22の流路壁面には、弾性スプリング5の外周部が圧入固定される円筒状の圧入部(圧入面)25が設けられている。
また、バルブハウジング1は、合成樹脂製のセンサカバー26との間に、バタフライバルブ3を閉弁作動方向(または開弁作動方向)に付勢するコイルスプリング(バルブ付勢手段)27および歯車減速機構(モータギヤ、中間減速ギヤ、最終減速ギヤ28等)を収容する空間(アクチュエータ収容空間)を有している。
【0032】
本実施例の電動アクチュエータは、電力の供給を受けて駆動力を発生するモータ、およびこのモータの駆動力をバルブシャフト2に伝達する動力伝達機構等を有している。
ここで、EGRVのバタフライバルブ3を駆動するモータは、ECUによって電子制御されるモータ駆動回路を介して、自動車等の車両に搭載されたバッテリに電気的に接続されている。
動力伝達機構は、モータの回転速度を所定の減速比となるように例えば2段減速すると共に、モータの駆動力(モータトルク)を増大させてバルブシャフト2を駆動する歯車減速機構によって構成されている。この歯車減速機構は、モータのモータシャフト(出力軸)に固定されたモータギヤ、このモータギヤに噛み合う中間減速ギヤ、およびこの中間減速ギヤに噛み合う最終減速ギヤ28を有している。
【0033】
最終減速ギヤ28は、合成樹脂により形成されている。この最終減速ギヤ28の内周部には、金属材料よりなるバルブギヤプレート29がインサート成形されている。また、最終減速ギヤ28の円周方向の一部には、円弧状の外周部が形成されている。この外周部の外周面には、中間減速ギヤと噛み合う複数の凸状歯(ギヤ部)30が形成されている。
また、最終減速ギヤ28の外周部の円周方向の一端部には、全閉側ストッパ部が設けられている。この全閉側ストッパ部は、バタフライバルブ3が全閉位置を越えて閉弁作動方向に回転動作した際に、バルブハウジング1に一体的に形成されたブロック状の全閉側ストッパに捩じ込まれる全閉側ストッパ部材(最大全閉開度調整用スクリュー)に機械的に係止される。これにより、最終減速ギヤ28の全閉側ストッパ部が全閉側ストッパまたは全閉側ストッパ部材に当接した際に、バルブシャフト2、バタフライバルブ3および最終減速ギヤ28等の可動部材(回転部材)のこれ以上の閉弁作動方向への回転動作が規制される。
【0034】
また、最終減速ギヤ28の外周部の円周方向の他端部には、全開側ストッパ部が設けられている。この全開側ストッパ部は、バタフライバルブ3が全開位置を越えて開弁作動方向に回転動作した際に、バルブハウジング1に一体的に形成されたブロック状の全開側ストッパに捩じ込まれる全開側ストッパ部材(最大全開開度調整用スクリュー)に機械的に係止される。これにより、最終減速ギヤ28の全開側ストッパ部が全開側ストッパまたは全開側ストッパ部材に当接した際に、バルブシャフト2、バタフライバルブ3および最終減速ギヤ28等の可動部材(回転部材)のこれ以上の開弁作動方向への回転動作が規制される。
また、バルブハウジング1および最終減速ギヤ28には、コイルスプリング27が巻装されるスプリング内径ガイドが形成されている。なお、コイルスプリング27の回転軸線方向の一端部は、バルブハウジング1のスプリングフックに係止されており、また、コイルスプリング27の回転軸線方向の他端部は、最終減速ギヤ28のスプリングフックに係止されている。
【0035】
ここで、バルブシャフト2を介して、バタフライバルブ3を駆動するモータは、ECUによって通電制御(駆動)されるように構成されている。このECUには、制御処理、演算処理を行うCPU、各種プログラムまたは制御ロジックおよび各種データを保存する記憶装置(ROMやRAM等のメモリ)、入力回路(入力部)、出力回路(出力部)、電源回路、タイマー等の機能を含んで構成される周知の構造のマイクロコンピュータが設けられている。
また、ECUは、イグニッションスイッチがオン(IG・ON)されると、メモリ内に格納された制御プログラムまたは制御ロジックに基づいて、エンジン制御(例えばエンジンの運転状況に対応してEGRVのバルブ開度を制御するEGR制御)を実行するように構成されている。
【0036】
また、ECUは、イグニッションスイッチがオフ(IG・OFF)されると、メモリ内に格納された制御プログラムまたは制御ロジックに基づくエンジン制御が強制的に終了されるように構成されている。
なお、エンジン停止時に、EGRVのモータの駆動力またはコイルスプリング27等の付勢力を利用して、バタフライバルブ3が全閉位置より僅かに開弁作動方向に開弁した中間開度の状態(中間位置)に保持された状態で停止するようにしても良い。
このマイクロコンピュータには、クランク角度センサ、アクセル開度センサ、バルブ開度センサ、エアフロメータ、吸気温度センサおよび冷却水温度センサ等が接続されている。そして、各種センサからのセンサ信号は、A/D変換器でA/D変換された後に、ECUに内蔵されたマイクロコンピュータに入力されるように構成されている。
【0037】
バルブ開度センサは、長期間磁力を安定して発生し続ける永久磁石よりなる2つのマグネット31と、これらのマグネット31より放出される磁束を検出する非接触式の磁気検出素子を有するホールIC32と、マグネット31より出た磁束をホールIC32に集中させるための分割型のステータコア(磁性体)33とを備え、マグネット31の回転角度に対するホールIC32の出力変化特性を利用してバタフライバルブ3の回転角度(EGRVのバルブ開度)を検出する非接触式の回転角度検出装置である。すなわち、バルブ開度センサは、分割型のステータコア33の対向部間に形成される磁束検出ギャップ、つまりホールIC32を通過する磁束密度の変化に基づいてEGRVのバルブ開度を検出する。
【0038】
2つのマグネット31は、バルブシャフト2の回転軸線方向の他端部、特に最終減速ギヤ28の内周部に固定されている。なお、マグネット31の代わりに、電力の供給を受けると磁力を発生する電磁石を用いても良い。
ホールIC32は、センサカバー26にモールド成形された分割型のステータコア33の対向部間に形成される磁束検出ギャップに設置されている。なお、ホールIC32の代わりに、ホール素子単体、磁気抵抗素子等の非接触式の磁気検出素子を用いても良い。
センサカバー26は、バルブハウジング1の外側の開口部を覆うとともに、モータのコイル端末線やホールIC32のセンサリード線に電気的に接続する複数のターミナルを保持するコネクタハウジングを形成している。
【0039】
本実施例のバルブシャフト2は、耐熱性に優れる耐熱性材料(例えばステンレス鋼または耐熱鋼等)によって形成されており、バルブハウジング1に設けられた2つの第1、第2貫通孔14、15の内部に回転自在または摺動自在に収容されている。このバルブシャフト2は、その回転軸線方向に垂直な断面が円形状に形成された円形断面シャフト(円形金属シャフト)である。また、バルブシャフト2は、その回転軸線方向に真っ直ぐに延びる回転軸である。
また、バルブシャフト2の回転軸線方向の一端部(図示上端部)には、断面円形状の第1摺動部(径小部)41が設けられている。また、バルブシャフト2の回転軸線方向の他端部(図示下端部)には、第1摺動部41よりも外径が大きい断面円形状の第2摺動部(径大部:バルブシャフト2の中で最も外径が大きい最大径部)42が設けられている。
そして、バルブシャフト2の第1摺動部41は、ブッシング17を介して、バルブハウジング1の第1貫通孔14の孔壁面に回転自在に軸支されている。また、バルブシャフト2の第2摺動部42は、オイルシール18およびボールベアリング20を介して、バルブハウジング1の第2貫通孔15の孔壁面に回転自在に軸支されている。
【0040】
そして、第1摺動部41と第2摺動部42との間には、断面部分円形状の軸方向部43が設けられている。この軸方向部43には、バルブシャフト2の円周方向の一部が平面カットされた平面部(平面カット部、バルブ取付部)45が設けられている。ここで、バルブシャフト2の平面部45は、軸方向部43の最大外径部よりも回転軸線側に所定の窪み量分だけ引っ込んだ位置で、バルブシャフト2の回転軸線方向に平行な平面を有している。
そして、第1摺動部41と平面部45との間には、第1摺動部41と平面部45とを滑らかに繋ぐ部分円環状の段差が形成されている。また、第2摺動部42と平面部45との間には、第2摺動部42と平面部45とを滑らかに繋ぐ部分円環状の段差が形成されている。
【0041】
また、バルブシャフト2の軸方向部43の平面部45には、複数のスクリュー4を用いてバタフライバルブ3が締結固定(締め付け固定)されている。このため、軸方向部43には、各スクリュー4のネジ軸部が捩じ込まれる複数のネジ孔46が形成されている。これらのネジ孔46は、バルブシャフト2の軸方向部43の平面(平面部45)と曲面(バルブシャフト2の中心軸線を中心とする曲率半径を有する円弧状の凸曲面)とを連通するようにバルブシャフト2の軸方向部43をその直径方向に貫通している。
また、第2摺動部42よりも回転軸線方向の一端側(センサカバー側)には、最終減速ギヤ28の内周部にインサート成形されたバルブギヤプレート29をかしめ等の固定手段によって固定するためのかしめ固定部47が一体的に形成されている。つまり、バルブシャフト2には、最終減速ギヤ28が組み付けられている。
【0042】
バタフライバルブ3は、耐熱性に優れる耐熱性材料(例えばステンレス鋼または耐熱鋼等)によって円板形状に形成されている。このバタフライバルブ3は、バルブハウジング1および弾性スプリング5に対して相対回転して排気ガス還流路11〜13を開閉する回転型バルブである。また、バタフライバルブ3は、バルブハウジング1の内部空間に開閉自在(回転自在)に収容されている。
また、バタフライバルブ3は、バルブシャフト2の回転軸線に対してバルブ中心が偏心した回転型のバルブである。また、バタフライバルブ3は、その外形形状が弾性スプリング5の内部空間(排気ガス還流路12)の形状に対応した真円形状となっている。
【0043】
また、バタフライバルブ3は、エンジン運転時に、エンジン制御ユニット(エンジン制御装置:以下ECUと言う)からの制御信号に基づいて、排気ガス還流路11〜13を全閉する全閉位置から、排気ガス還流路11〜13を全開する全開位置に至るまでのバルブ作動範囲で回転動作されることで、排気ガス還流路11〜13、特に排気ガス還流路12の開口面積(排気ガス流通面積)を変更してEGR量を可変制御する。
なお、バタフライバルブ3の全閉時には、排気ガス還流路11〜13を閉鎖(全閉)する全閉位置(全閉開度の状態)に設定される。また、バタフライバルブ3の全開時には、排気ガス還流路11〜13を全開する全開位置(全開開度の状態)に設定される。また、バタフライバルブ3は、エンジン運転状況に応じて全閉位置と全開位置との中間の中間開度に設定される。
【0044】
バタフライバルブ3は、バルブシャフト2の回転軸線方向に対して垂直な中心軸を中心とする真円形状の外周面を有している。このバタフライバルブ3は、外周面が球面の一部で構成された真円形状のバルブプレート51、およびこのバルブプレート51の中央部からバルブシャフト2の平面部45側に向けて突出するバルブ凸部(突出部)52を有し、バルブシャフト2の平面部45の中央部(排気ガス還流路11中に配設されている部分:バルブ取付部)に複数のスクリュー4を用いて締結固定されている。
バルブプレート51の外周面には、バルブ周方向に延びる外周シール面(当接面)53が形成されている。この外周シール面53は、球面の一部で構成されている。また、バルブ凸部52の頂面(バタフライバルブ3の上流側端面、平面)は、バルブシャフト2の平面部45の中央部に当接している。
なお、バタフライバルブ3の中央部は、バルブプレート51の外周部(円環状の薄肉部)のEGRガス流方向の寸法よりも厚い板厚(肉厚)を有する厚肉部を構成している。
【0045】
ここで、バタフライバルブ3の全閉位置とは、図1に示したように、バタフライバルブ3の外周面(外周シール面)53と弾性スプリング5の内周面(内周シート面)54との間の隙間が最小となる位置で、且つ排気ガス還流路11〜13の内部を流れるEGRガスのEGR量(EGRガス洩れ量)が最小となる全閉開度(θ=0°)のことである。
また、バタフライバルブ3の全開位置とは、バタフライバルブ3の外周シール面53と弾性スプリング5の内周シート面54との間の隙間が最大となる位置で、且つ排気ガス還流路11〜13の内部を流れるEGRガスのEGR量が最大となる全開開度(θ=70〜90°)のことである。
【0046】
バタフライバルブ3の外周シール面53は、図1ないし図3に示したように、バタフライバルブ3により排気ガス還流路11〜13を全閉した際に弾性スプリング5の内周シート面54に密着する。そして、バタフライバルブ3の外周シール面53と弾性スプリング5の内周シート面54とが密着すると、バルブハウジング1内に形成される排気ガス還流路11〜13が閉鎖される。また、バタフライバルブ3の外周シール面53が弾性スプリング5の内周シート面54から離脱すると、排気ガス還流路11〜13が開放される。
また、バタフライバルブ3は、弾性スプリング5の中心から真円形状(または放射状)に拡がるシートリング平面方向へのバルブ位置調整が可能な仮固定手段を用いて、バルブシャフト2の平面部45に仮組み付けできるように構成されている。
【0047】
バタフライバルブ3の板厚方向の一端面(バタフライバルブ3の全閉時にEGRガス流方向の上流側に位置する端面)には、バルブシャフト2の外周部に形成された平面部45にスクリュー4を用いて締結固定される円形状の上流側端面が形成されている。また、バタフライバルブ3の板厚方向の他端面(バタフライバルブ3の全閉時にEGRガス流方向の下流側に位置する端面)には、上流側端面よりも外径が小さい円形状の下流側端面が形成されている。なお、バタフライバルブ3の上流側端面および下流側端面は、バルブシャフト2の回転軸線方向に平行な円形状の平面である。
また、バタフライバルブ3の中央部には、スクリュー4が余裕を持って貫通(挿通)する複数の貫通孔(挿通孔)56が形成されている。これらの貫通孔56は、バタフライバルブ3の上流側端面と下流側端面とを連通するようにバタフライバルブ3の中央部をその板厚方向に貫通している。なお、複数の貫通孔56として、スクリュー4のネジ軸部の外径よりも僅かに大きい内径を有する円孔形状の貫通孔を採用しても良い。
【0048】
ここで、例えば貫通孔56の形状を、バルブシャフト2の回転軸線方向に平行な方向に長軸(または短軸)を有する楕円孔形状としても良い。この場合には、バルブシャフト2の平面部45にバタフライバルブ3を仮組み付けした状態(仮固定状態)で、シートリング平面方向へのバルブ位置調整が可能となる。また、貫通孔56の形状を、バルブシャフト2の回転軸線方向に平行な方向に長軸(または短軸)を有する長円孔形状としても良い。この場合には、バルブシャフト2の平面部45にバタフライバルブ3を仮組み付けした状態(仮固定状態)で、シートリング平面方向へのバルブ位置調整が可能となる。
なお、バルブシャフト2とバタフライバルブ3とを締結(仮組み付け)する複数のスクリュー4と、バルブシャフト2の軸方向部43の平面部45に形成される複数のネジ孔46と、バタフライバルブ3の中央部に形成される複数の貫通孔56とによって仮固定手段を構成する。
【0049】
複数のスクリュー4は、工具が係合するネジ頭部、およびネジが形成されたネジ軸部を有している。これらのスクリュー4の各ネジ頭部には、バタフライバルブ3のバルブプレート51の下流側端面(軸力受け面)に接触する座面(軸力付与面)が形成されている。 また、複数のスクリュー4は、バルブシャフト2の軸方向部43の平面部45にバタフライバルブ3を仮組み付けする時に、各ネジ軸部がバタフライバルブ3の中央部の貫通孔56を挿通し、且つ各ネジ軸部に形成されたネジがバルブシャフト2の軸方向部43のネジ孔46に螺合して、バルブシャフト2とバタフライバルブ3とを締結(仮締め付け)する締結手段(仮組み付け手段)を構成する。
また、複数のスクリュー4は、バルブシャフト2の軸方向部43の平面部45にバタフライバルブ3を本組み付けする時に、各ネジ軸部に形成されたネジがバルブシャフト2の軸方向部43のネジ孔46に螺合して、バルブシャフト2とバタフライバルブ3とを締結(本締め付け)する締結手段(本組み付け手段)を構成する。なお、バタフライバルブ3の中央部に形成された貫通孔56は、複数のスクリュー4の各ネジ軸部の外径よりも僅かに大きい内径を有している。
【0050】
弾性スプリング5は、金属材料により形成されている。具体的には、例えばステンレス鋼またはバネ鋼等の金属円環板(金属薄板)をプレス成形することによりメタルシートリングが形成されている。この弾性スプリング5の内部には、エンジンの各気筒毎の燃焼室に連通すると共に、排気ガス還流路11と排気ガス還流路13とを連通する排気ガス還流路12が形成されている。つまり弾性スプリング5は、流体流路の一部を構成する排気ガス還流路12の周囲を円周方向に取り囲むように設置されて、少なくとも内周部(内周面)が球面の一部で構成されたノズルである。
そして、弾性スプリング5は、EGRガス流方向の上流端から下流端に向けて縮径筒状に形成されている。また、弾性スプリング5は、EGRガス流方向の下流端から上流端に向けて拡径筒状に形成されている。
【0051】
弾性スプリング5は、バタフライバルブ3を全閉した際にバタフライバルブ3の外周シール面53に密着する方向に弾性力を発生する二重円筒状の板スプリングである。
弾性スプリング5の外周部には、バルブハウジング1の流路壁面に固定される円錐台筒状(円筒状)の嵌合部61が設けられている。この嵌合部61の外周面には、バルブハウジング1の圧入部25に圧入固定される圧入面が形成されている。つまり弾性スプリング5の外周部(嵌合部61)は、バルブハウジング1の圧入部25に圧入固定されている。 弾性スプリング5の内周部には、バタフライバルブ3の全閉時に、バタフライバルブ3を径方向(排気ガス還流路12の中心軸線を中心にした半径方向、放射方向)に弾性保持(フローティング支持)すると共に、バタフライバルブ3の全閉時にバタフライバルブ3の外周シール面53に弾性接触する円錐台筒状の弾性保持部(弾性接触部、バルブシート部)62が設けられている。
そして、嵌合部61と弾性保持部62との間には、嵌合部61と弾性保持部62とを繋ぐ円環状の連結部63が設けられている。
【0052】
弾性保持部62は、連結部63の端部(排気ガス還流路12の中心軸線側端部)をEGRガス流方向の下流側に折り曲げることで形成されている。連結部63は、嵌合部61の端部(上流側端部)を排気ガス還流路12の中心軸線側に折り曲げることで形成されている。そして、弾性保持部62の内周面には、バタフライバルブ3の全閉時に、バタフライバルブ3の外周シール面53が密着する内周シート面(バルブシート面、内周面)54が形成されている。
そして、弾性スプリング5は、バタフライバルブ3の全閉時に、バルブハウジング1の流路壁面(圧入部25)とバタフライバルブ3の外周シール面53との間に挟み込まれることで、弾性保持部62に一定の圧縮(変形)が与えられる。
【0053】
内周シート面54のEGRガス流方向の上流側端に形成される第1開口部(排気ガス還流路12の入口部)は、バタフライバルブ3の上流側端面の外周部が隙間なく密着することが可能な開口面積を有している。また、内周シート面54のEGRガス流方向の下流側端に形成される第2開口部(排気ガス還流路12の出口部)は、バタフライバルブ3の下流側端面の外周部が隙間なく密着することが可能で、且つ第1開口部よりも小さい開口面積を有している。
なお、内周シート面54は、バタフライバルブ3の外周シール面53の球面形状に対応するように凹曲面形状に形成されている。
また、内周シート面54の第1、第2開口部を含む弾性保持部62の内部空間(排気ガス還流路12)は、断面形状が真円形状となっている。
弾性スプリング5は、バルブシャフト2の軸方向部43の平面部45にバタフライバルブ3を仮組み付けした状態(仮固定状態)でバルブシャフト2を回転させてバタフライバルブ3の外周シール面53が内周シート面54に密着した際に、弾性スプリング5自身の弾性力を利用して弾性スプリング5の中心とバタフライバルブ3の中心軸とを一致させるセンタリング機能を有している。
【0054】
[実施例1の製造方法]
次に、本実施例のEGRシステムに組み込まれるEGRVの製造方法、特にバルブシャフト2および弾性スプリング5に対するバタフライバルブ3の組付方法を図1ないし図3に基づいて簡単に説明する。
【0055】
先ず、弾性スプリング5を、バルブハウジング1の第2パイプ部22の開口部(バルブハウジング1の出口ポート)から、弾性スプリング5の連結部63がバルブハウジング1の段差23に当接する位置まで挿入し、バルブハウジング1の流路壁面(第2パイプ部22の内周)に弾性スプリング5を組み付ける(第1組付工程)。このとき、弾性スプリング5の嵌合部61がバルブハウジング1の圧入部25に圧入固定される。これにより、弾性スプリング5は、バルブハウジング1の所定の位置に嵌合保持される。
次に、ブッシング17を、バルブハウジング1の第1貫通孔14の開口部から、第1貫通孔14の途中に形成される段差に当接する位置または段差近傍の位置まで挿入し、バルブハウジング1の第1貫通孔14の孔壁面にブッシング17を組み付ける(第2組付工程)。このとき、ブッシング17の外周部が第1貫通孔14の孔壁面に圧入固定される。これにより、ブッシング17は、バルブハウジング1の第1貫通孔14の所定の位置に嵌合保持される。
【0056】
次に、オイルシール18を、バルブハウジング1の第2貫通孔15の開口部から、第2貫通孔15の途中に形成される通路側段差(流路側段差)に当接する位置または通路側段差近傍の位置まで挿入し、バルブハウジング1の第2貫通孔15の孔壁面にオイルシール18を組み付ける(第3組付工程)。このとき、オイルシール18の外周部が第2貫通孔15の孔壁面に圧入固定される。これにより、オイルシール18は、バルブハウジング1の第2貫通孔15の所定の位置に嵌合保持される。
次に、ボールベアリング20を、バルブハウジング1の第2貫通孔15の開口部から、第2貫通孔15の開口部側段差(センサカバー側段差)に当接する位置または開口部側段差近傍の位置まで挿入し、バルブハウジング1の第2貫通孔15の孔壁面にボールベアリング20を組み付ける(第4組付工程)。このとき、ボールベアリング20の外輪が第2貫通孔15の孔壁面に圧入固定される。これにより、ボールベアリング20は、バルブハウジング1の第2貫通孔15の所定の位置に嵌合保持される。
なお、バルブハウジング1にバルブシャフト2を組み付ける前に、ボールベアリング20の内輪を、バルブシャフト2の第2摺動部42の外周に組み付ける(圧入固定する)ようにしても良い。
【0057】
次に、バルブハウジング1にバルブシャフト2を組み付ける(第5組付工程)。具体的には、バルブシャフト2を、バルブハウジング1の第1貫通孔14の開口部から、ブッシング17の内部、排気ガス還流路11、オイルシール18の内部、ボールベアリング20の内輪の順に差し込み、かしめ固定部47がボールベアリング20の端面(センサカバー側の端面)より突き出せる。このとき、バルブシャフト2の2つの第1、第2摺動部41、42と軸方向部43の平面部45との間に形成される円弧状の稜線が、バルブハウジング1の第1パイプ部21の流路壁面(2つの第1、第2貫通孔14、15の開口周縁部)と略一致する位置でバルブシャフト2が保持される。
なお、バルブハウジング1に組み付ける前にバルブシャフト2の外周にボールベアリング20を嵌合保持している場合には、バルブシャフト2を、バルブハウジング1の第2貫通孔15の開口部から、オイルシール18の内部、排気ガス還流路11、ブッシング17の内部の順に差し込む。このとき、ボールベアリング20の外輪が、第2貫通孔15の開口部側段差(センサカバー側段差)に当接する位置で係止される。
これにより、バルブシャフト2は、バルブハウジング1のシャフト収容孔(排気ガス還流路11、2つの第1、第2貫通孔14、15)の回転軸線方向の位置決めがなされ、つまりバルブハウジング1の内部における所定の位置にバルブシャフト2が組み付けられる。このとき、バルブシャフト2の軸方向部43の平面部45の中心位置が、排気ガス還流路11〜13の略中心軸線上に配置される。
ここで、第1組付工程よりも先に第2〜第4組付工程を実施しても良い。また、第1組付工程よりも先に第2〜第5組付工程を実施しても良い。
【0058】
次に、バルブハウジング1に対するバルブシャフト2および弾性スプリング5の組み付けが終了した後に、バルブシャフト2の回転位置を全開位置(平面部45の平面方向がEGRガス流方向に平行な方向)またはその近傍に合わせる。
そして、バルブシャフト2にバタフライバルブ3を複数のスクリュー4を用いて締結(仮締め付け)する(仮締め工程、第6組付工程)。このとき、バルブシャフト2の軸方向部43の平面部45に、バタフライバルブ3の上流側端面を接触させて、バルブシャフト2の軸方向部43のネジ孔46とバタフライバルブ3の中央部の貫通孔56とを合致させる。
そして、複数のスクリュー4の各ネジ軸部を、バタフライバルブ3の中央部の貫通孔56を挿通し、各ネジ軸部に形成されたネジをバルブシャフト2の軸方向部43のネジ孔46に螺合させる。例えば複数のスクリュー4の各ネジ軸部をバルブシャフト2のネジ孔46の軸線方向の途中までネジ孔46に捩じ込む。これにより、バルブシャフト2とバタフライバルブ3とが締結(仮締め付け)される。
この仮締め付け作業により、バタフライバルブ3が、複数のスクリュー4の各ネジ軸部に対してネジ軸部の軸線方向に、軸方向部43の平面部45とバタフライバルブ3の上流側端面との隙間分またはバタフライバルブ3の下流側端面と複数のスクリュー4の各ネジ頭部の座面との隙間分だけ移動可能となるように仮組み付けされる。また、バタフライバルブ3が複数のスクリュー4の各ネジ軸部に対してネジ軸部の径方向(弾性スプリング平面方向)に、バタフライバルブ3の中央部の貫通孔56の孔壁面と複数のスクリュー4の各ネジ軸部の外周面との隙間分だけ移動可能となるように仮組み付けされる。
【0059】
次に、バルブシャフト2の軸方向部43の平面部45に対するバタフライバルブ3の仮組み付けが終了した後に、バルブシャフト2を回転させて、バタフライバルブ3を全閉位置(図1参照)に合わせる。つまりバタフライバルブ3の外周シール面53を、弾性スプリング5の内周シート面54に密着させる。
このとき、バタフライバルブ3がバルブシャフト2の軸方向部43の平面部45に対して自由度(弾性スプリング平面方向に移動可能)があるので、フリー状態(同軸をあわす調芯(調整)ができる)となり、バタフライバルブ3の中心軸と弾性スプリング5の中心とを一致させることができる。つまりバタフライバルブ3は、弾性スプリング5の弾性力により自律的に弾性スプリング平面方向に位置調整される。
これにより、弾性スプリング5の外周部(嵌合部61)をバルブハウジング1の流路壁面(圧入部25)に圧入固定した後に、弾性スプリング5の弾性力を利用して弾性スプリング平面方向へのバルブ位置調整、つまりバタフライバルブ3の中心軸と弾性スプリング5の中心とを一致させるセンタリングを実施できる。
【0060】
次に、バルブシャフト2にバタフライバルブ3を複数のスクリュー4を用いて締結(本締め付け)する(本締め工程、第7組付工程)。このとき、複数のスクリュー4の各ネジ軸部を、バタフライバルブ3の中央部の貫通孔56を挿通し、各ネジ軸部に形成されたネジをバルブシャフト2の軸方向部43のネジ孔46に螺合させる。例えば複数のスクリュー4の各ネジ軸部をバルブシャフト2の凸曲面(または上流側端面)まで捩じ込む。これにより、軸方向部43の平面部45と複数のスクリュー4の各ネジ頭部の座面との間に、バタフライバルブ3が挟み込まれるため、バルブシャフト2とバタフライバルブ3とが締結(本締め付け)される。
【0061】
[実施例1の作用]
次に、本実施例のEGRシステムに組み込まれるEGRVの作用を図1ないし図3に基づいて簡単に説明する。
【0062】
EGRVのバタフライバルブ3を開弁作動方向に駆動する場合には、先ずECUがエンジンの運転状況(運転状態)に対応して設定される制御目標値(目標開度)を演算する。そして、モータに電力を供給し、モータのモータシャフトを開弁作動方向に回転させる。これにより、モータの駆動力(モータトルク)が、モータギヤ、中間減速ギヤおよび最終減速ギヤ28に伝達される。そして、最終減速ギヤ28からモータの駆動力が伝達されたバルブシャフト2が、最終減速ギヤ28の回転に伴って所定の回転角度だけ開弁作動方向に回転する。
このとき、バルブシャフト2の平面部45の中央部に締結固定されたバタフライバルブ3は、バルブシャフト2の回転軸線を中心にした回転運動を行う。これにより、バタフライバルブ3が、弾性スプリング5の内周シート面54から離脱(離座)し、排気ガス還流路11〜13、特に排気ガス還流路(流路孔)12が開放される。
したがって、バタフライバルブ3は、制御目標値に相当するバルブ開度に開弁制御される。これにより、エンジンの各気筒毎の燃焼室より流出した排気ガスの一部であるEGRガスが、排気管内に形成される排気通路から、EGRV内に形成される排気ガス還流路11〜13を経て吸気管内に形成される吸気通路に再循環される。すなわち、EGRガスがエンジンの各気筒毎の吸気ポートおよび燃焼室に供給される吸入空気(エアクリーナで濾過された清浄な空気)に混入される。
【0063】
一方、EGRVのバタフライバルブ3を全閉作動させる場合には、モータへの電力の供給を停止する、あるいはモータへの電力の供給を制限する。これにより、コイルスプリング27の付勢力(スプリング荷重)によって、バタフライバルブ3が全閉位置に戻される。このとき、バタフライバルブ3は、バルブシャフト2の回転軸線を中心にした回転運動を行い、バタフライバルブ3の外周シール面53が弾性スプリング5の内周シート面54に密着する。これにより、バタフライバルブ3が弾性スプリング5の弾性保持部62に弾性力を持って保持(弾性保持)される。
したがって、バタフライバルブ3の外周シール面53と弾性スプリング5の内周シート面54との間が完全に密着シールされる。これにより、バタフライバルブ3が全閉した際(バタフライバルブ3の全閉時)におけるEGRガスの洩れが確実に抑止されるため、EGRガスが吸入空気に混入しなくなる。
【0064】
[実施例1の効果]
以上のように、本実施例のEGRシステムに組み込まれるEGRVにおいては、バルブハウジング1に弾性スプリング5を組み付けた後、つまりバルブハウジング1の流路壁面(圧入部25)に弾性スプリング5の外周部(嵌合部61)を圧入固定した後に、バルブシャフト2の軸方向部43の平面部45にバタフライバルブ3を仮組み付けした状態で、弾性スプリング5自身の弾性力を利用して弾性スプリング平面方向へのバルブ位置調整(弾性スプリング5の中心に対するバタフライバルブ3の調整組み付け)を実施することで、弾性スプリング5の中心にバタフライバルブ3の中心軸(外周シール面(球面の一部)53のセンター)を一致させることができる。
【0065】
ここで、弾性スプリング5の中心に対するバタフライバルブ3の調整組み付けが無い場合には、寸法誤差、組み付けばらつきを考慮して締め代が確保できる大きなセット荷重を弾性スプリング5に与えないと、十分なシール性能を維持することができなかった。
したがって、弾性スプリング5の中心に対するバタフライバルブ3の調整組み付けを実施できるので、弾性スプリング5のセット荷重を調整組み付けが無い場合と比べて低減することができる。これにより、バタフライバルブ3または弾性スプリング5の摺動摩耗を低減することができるので、バタフライバルブ3の全閉時におけるバタフライバルブ3の外周シール面53と弾性スプリング5の内周シート面54との間のシール性能を向上できる。
また、弾性スプリング5の中心に対するバタフライバルブ3の調整組み付けを実施できるので、弾性スプリング5の中心に対してバタフライバルブ3の中心軸(外周シール面(球面の一部)53のセンター)が位置ズレすることはない。これにより、弾性スプリング5のセット荷重が変化しないので、バタフライバルブ3または弾性スプリング5の耐久性を向上できる。
【0066】
ここで、合成ゴムや天然ゴム等の弾性材料は、その圧縮を元に戻そうとする圧力でシール性能を発揮するが、長期間使用すると一部が永久変形(歪み)してシール性能が低下するという不具合がある。なお、圧縮永久歪みとは、圧縮変形を起こさせる力を完全に取り除いた後も、残存する変形のことである。
そこで、バタフライバルブ3の全閉時にバタフライバルブ3の外周シール面53が密着する弾性スプリング5を金属材料(例えばステンレス鋼またはバネ鋼等の金属円環板(板ばね))とすることで、弾性スプリング5をゴム材料で製作した場合に比べて、作動回数や使用環境温度等による弾性力の耐久劣化を抑制できるので、シール性能および耐久性の低下を抑えることができる。すなわち、弾性スプリング5を金属材料とすることで、経時変化に対して、バタフライバルブ3の外周シール面53と弾性スプリング5の内周シート面54との間の密着シール力を長期間一定に保つことが容易となる。
【実施例2】
【0067】
図4は本発明の実施例2を示したもので、EGRガス流量制御弁(EGRV)の主要部を示した図である。
【0068】
本実施例のEGRVは、バタフライバルブ3の外周面とシートリングの内周面とのシール位置を、バルブシャフト2の回転軸線から所定の距離分だけEGRガス流方向の下流側(または上流側)に偏心させて設けると共に、バタフライバルブ3の全閉時に弾性スプリング5自身の弾性力を持ってバタフライバルブ3の外周シール面53とシートリングのバルブシート面55との間を密着シールする構造を備えた排気ガス制御弁(流体制御弁)である。
【0069】
EGRVは、内部をEGRガスが流通するバルブハウジング1と、このバルブハウジング1に組み付けられるバルブシャフト2と、このバルブシャフト2に固定されるバタフライバルブ3と、バルブシャフト2とバタフライバルブ3とを締結固定(締め付け固定)するスクリュー4と、バタフライバルブ3が全閉した際にバタフライバルブ3の外周面が密着するシートリングと、バタフライバルブ3を開弁作動方向(または閉弁作動方向)に駆動する電動アクチュエータと、バタフライバルブ3の回転角度(バルブ開度)を検出するバルブ開度センサとを備えている。
【0070】
ここで、本実施例のシートリングは、バタフライバルブ3の全閉時にバタフライバルブ3の外周シール面53が密着するノズル7、およびこのノズル7を弾性力を持って保持する弾性保持部材を有している。また、本実施例の弾性保持部材は、ノズル7に対して、ノズル7をバタフライバルブ3の外周シール面53に押し付ける方向に弾性力を発生するリップシール8、ノズル7に対して、ノズル7をバタフライバルブ3の外周シール面53に押し付ける方向に弾性力を発生するウェーブワッシャ9、およびウェーブワッシャ9の抜け止めを行うためのCリングやスナップリング等の固定リング10等によって構成されている。
【0071】
バルブハウジング1は、内部に排気ガス還流路11、12が形成された円筒状の第1パイプ部21、および内部に排気ガス還流路13が形成された円筒状の第2パイプ部22を有している。また、2つの第1、第2パイプ部21、22間には、円環状の段差23が設けられている。
第1パイプ部21の流路壁面には、リップシール8の外周部を弾性保持する円筒状の保持部(取付部)71、および固定リング10を圧入固定する円筒状の圧入部72が設けられている。
また、バルブハウジング1の外壁部(アクチュエータケース73)には、ブロック状の全閉側ストッパまたはブロック状の全開側ストッパが設けられている。そして、全閉側ストッパまたは全開側ストッパには、全閉側ストッパ部材(最大全閉開度調整用スクリュー)または全開側ストッパ部材(最大全開開度調整用スクリュー)74が捩じ込まれている。
【0072】
本実施例のバルブシャフト2の回転軸線方向の一端面には、バルブハウジング1の内部にバルブシャフト2を組み付ける際に使用する治具のマイナスビットが嵌入するビット嵌合溝49が形成されている。また、マイナスビットを有する治具は、シートリング平面方向(ノズル平面方向)へのバルブ位置調整(ノズル7の中心に対するバタフライバルブ3の調整組み付け)時に、バルブシャフト2を全開位置から全閉位置に向けて回転させる際にも使用される。なお、このビット嵌合溝49は、マイナス溝である。
バルブシャフト2の第1摺動部41は、ベアリング19を介して、バルブハウジング1の第1貫通孔14の孔壁面に回転自在に軸支されている。また、バルブシャフト2の第2摺動部42は、ボールベアリング20を介して、バルブハウジング1の第2貫通孔15の孔壁面に回転自在に軸支されている。そして、バルブシャフト2の第1、第2摺動部41、42間に設けられる軸方向部43には、バルブシャフト2の円周方向の一部が平面カットされた2つの平面部(平面カット部)75、76が設けられている。なお、平面部75は、バタフライバルブ3を締結固定するためのバルブ取付部となる。
そして、バルブシャフト2の軸方向部43には、スクリュー4のネジ軸部が余裕を持って貫通(挿通)する複数の貫通孔(挿通孔)57が形成されている。これらの貫通孔57は、バルブシャフト2の2つの平面部75、76を連通するようにバルブシャフト2の軸方向部43をその直径方向に貫通している。
【0073】
バタフライバルブ3は、耐熱性に優れる耐熱性材料(例えばステンレス鋼または耐熱鋼等)によって円板形状に形成されている。このバタフライバルブ3は、その外形形状が、ノズル7の内部空間(排気ガス還流路12)の形状に対応した真円形状となっている。また、バタフライバルブ3は、バルブシャフト2の軸方向部43の平面部75にスクリュー4を用いて締結固定(締め付け固定)されている。このため、バタフライバルブ3の中央部には、各スクリュー4のネジ軸部が捩じ込まれる複数のネジ孔58が形成されている。これらのネジ孔58は、バタフライバルブ3の上流側端面と下流側端面とを連通するようにバタフライバルブ3の中央部をその板厚方向に貫通している。
【0074】
ノズル7は、耐熱性、耐摩耗性に優れるステンレス鋼または耐熱鋼または合成樹脂(全芳香族ポリイミド樹脂)またはカーボン入りの4フッ化エチレン樹脂(PTFE)等によって円筒形状に形成されている。このノズル7の内部には、エンジンの各気筒毎の燃焼室に連通すると共に、排気ガス還流路11と排気ガス還流路13とを連通する排気ガス還流路12が形成されている。つまりノズル7は、流体流路の一部を構成する排気ガス還流路12の周囲を円周方向に取り囲むように設置されている。
ノズル7は、バルブハウジング1の内部において、排気ガス還流路11〜13を流通するEGRガス流方向の上流側および下流側に移動可能に設置されている。また、ノズル7の内周部には、バタフライバルブ3を全閉した際に、バタフライバルブ3の外周シール面53が密着するバルブシート面55が設けられている。
ノズル7は、合成ゴム製のリップシール8および金属製のウェーブワッシャ9を介して、バルブハウジング1にEGRガス流方向および半径方向に弾性保持(フローティング支持)されている。また、ノズル7の外周部には、リップシール8を収容する円環状の外周溝(円周方向溝)77が設けられている。また、ノズル7のシャフト側に対して反対側の端面には、ウェーブワッシャ9を保持する円環状の嵌合凸部78が設けられている。
【0075】
リップシール8は、耐熱性、耐摩耗性に優れるフッ素ゴムまたはニトリルゴム(NBR)等の合成ゴム材料によって二重円筒形状に形成されている。このリップシール8は、ノズル7に対して、ノズル7のバルブシート面55をバタフライバルブ3の外周シール面53に押し当てる方向(径方向の内側)に弾性力(弾性反発力)を発生する第1弾性保持部材である。
リップシール8の外周部には、バルブハウジング1の保持部71に圧入される円筒状のゴムリップ81が設けられている。このゴムリップ81は、バルブハウジング1の保持部71に弾性接触する。
リップシール8の内周部には、ノズル7を径方向(排気ガス還流路12の中心軸線を中心にした半径方向、放射方向)に弾性保持(フローティング支持)する円筒状のゴムリップ(弾性保持部)82が設けられている。このゴムリップ82は、ノズル7の外周面に弾性接触する。
ゴムリップ81、82間には、ゴムリップ81、82のバルブシャフト側端部同士を繋ぐ円環状の連結部83が設けられている。
そして、リップシール8は、バルブハウジング1の保持部71とノズル7の外周部との間に挟み込まれることで、ゴムリップ81、82に一定の圧縮(変形)を与えられた状態で使用される。
【0076】
ウェーブワッシャ9は、金属材料により形成されている。具体的には、例えばステンレス鋼またはバネ鋼等の金属円環板(金属薄板)をプレス成形することによりウェーブワッシャ9が形成されている。このウェーブワッシャ9は、バルブシャフト2の回転軸線方向に対して垂直なEGRガス流方向への弾性変形が可能で、且つ円周方向に波形成形された円環状の弾性体である。また、ウェーブワッシャ9は、ノズル7の上流側端面(第1摺動部41側に対して逆側の端面)と固定リング10との間に(EGRガス流方向に圧縮された状態で)挟み込まれている。
また、ウェーブワッシャ9は、ノズル7に対して、ノズル7のバルブシート面55をバタフライバルブ3の外周シール面53に押し当てる方向(EGRガス流方向)に弾性力(与圧、弾性反発力)を発生する第2弾性保持部材である。つまり、ウェーブワッシャ9は、それ全体が、ノズル7をEGRガス流方向に弾性保持(フローティング支持)する弾性保持部を構成する。
固定リング10は、バルブハウジング1の流路壁面に形成される圧入部72に圧入されて嵌合保持されている。この固定リング10は、ノズル7からウェーブワッシャ9が離脱(抜ける)のを防止する。
【0077】
そして、本実施例のEGRVの製造方法(組付方法)においては、実施例1と同様に、ノズル7の中心から真円形状(または放射状)に拡がるノズル平面方向へのバルブ位置調整(バタフライバルブ3の中心軸とノズル7の中心とを一致させるセンタリング)が可能な仮固定手段を用いて、バルブシャフト2の軸方向部43の平面部75にバタフライバルブ3を仮組み付けする工程を備えている。
なお、バルブシャフト2とバタフライバルブ3とを締結(仮組み付け)する複数のスクリュー4と、バルブシャフト2の軸方向部43に形成される複数の貫通孔57と、バタフライバルブ3の中央部に形成される複数のネジ孔58とによって仮固定手段を構成する。 また、図4に示した矢印は、バルブハウジング1に対するバルブシャフト2の組み付け作業において、バルブハウジング1に設けられた第1、第2貫通孔14、15に対するバルブシャフト2の挿入方向を示す。そして、バルブハウジング1に対するバルブシャフト2の組み付けが終了してから、バルブシャフト2に対するバタフライバルブ3の組み付け作業が開始される。
【0078】
ここで、バルブシャフト2の軸方向部43にバタフライバルブ3を複数のスクリュー4を用いて締結(仮締め付け)する(仮締め工程)際には、先ずバルブシャフト2の回転位置を全開位置(平面部75、76の平面方向がEGRガス流方向に平行な方向)またはその近傍に合わせる。次に、バルブシャフト2の軸方向部43の平面部75に、バタフライバルブ3の下流側端面を接触させて、バルブシャフト2の軸方向部43の貫通孔57とバタフライバルブ3の中央部のネジ孔58とを合致させる。
そして、複数のスクリュー4の各ネジ軸部を、バルブシャフト2の軸方向部43の貫通孔57を挿通し、各ネジ軸部に形成されたネジをバタフライバルブ3の中央部のネジ孔58に螺合させる。例えば複数のスクリュー4の各ネジ軸部をバタフライバルブ3のネジ孔58の軸線方向の途中までネジ孔58に捩じ込む。これにより、バルブシャフト2とバタフライバルブ3とが締結(仮締め付け)される。
【0079】
この仮締め付け作業により、バタフライバルブ3および複数のスクリュー4が、バルブシャフト2の軸方向部43の各貫通孔57の中心軸線(バルブシャフト2の回転軸線に対して垂直な貫通孔57の中心軸線)に対して各貫通孔57の中心軸線方向に、軸方向部43の平面部75とバタフライバルブ3の下流側端面との隙間分または軸方向部43の平面部76と複数のスクリュー4の各ネジ頭部の座面との隙間分だけ移動可能となるように仮組み付けされる。また、バタフライバルブ3および複数のスクリュー4が、バルブシャフト2の軸方向部43の各貫通孔57の中心軸線に対して垂直な径方向(シートリング平面方向(ノズル平面方向))に、バルブシャフト2の軸方向部43の貫通孔57の孔壁面と複数のスクリュー4の各ネジ軸部の外周面との隙間分だけ移動可能となるように仮組み付けされる。
【0080】
次に、バルブシャフト2の軸方向部43の平面部75に対するバタフライバルブ3の仮組み付けが終了した後に、バルブシャフト2を回転させて、バタフライバルブ3を全閉位置(図4参照)に合わせる。つまりバタフライバルブ3の外周シール面53を、ノズル7のバルブシート面55に密着させる。
このとき、バタフライバルブ3がバルブシャフト2の軸方向部43の平面部75に対して自由度(シートリング平面方向(ノズル平面方向)に移動可能)があるので、フリー状態となり、バタフライバルブ3の中心軸とシートリング(ノズル7等)の中心とを一致させることができる。つまりバタフライバルブ3は、リップシール8の弾性力およびウェーブワッシャ9の弾性力(与圧)により自律的にシートリング平面方向(ノズル平面方向)に位置調整される。
これにより、バルブハウジング1にシートリング(ノズル7、リップシール8、ウェーブワッシャ9および固定リング10)を組み付けた後、つまりバルブハウジング1の内部にノズル7を弾性支持(フローティング支持)した後に、リップシール8の弾性力およびウェーブワッシャ9の弾性力(与圧)を利用してシートリング平面方向(ノズル平面方向)へのバルブ位置調整、つまりバタフライバルブ3の中心軸とシートリング(ノズル7等)の中心とを一致させるセンタリングを実施できる。
【0081】
以上のように、本実施例のEGRシステムに組み込まれるEGRVにおいては、バルブハウジング1にシートリング(ノズル7、リップシール8、ウェーブワッシャ9および固定リング10)を組み付けた後に、バルブシャフト2の軸方向部43の平面部75にバタフライバルブ3を複数のスクリュー4を用いて仮組み付けした状態で、リップシール8の弾性力およびウェーブワッシャ9の弾性力(与圧)を利用してシートリング平面方向(ノズル平面方向)へのバルブ位置調整(ノズル7の中心に対するバタフライバルブ3の調整組み付け)を実施できる。これにより、シートリング(ノズル7等)の中心にバタフライバルブ3の中心軸(外周シール面(球面の一部)53のセンター)を一致させることができる。
【0082】
したがって、シートリング(ノズル7等)の中心に対するバタフライバルブ3の調整組み付けを実施できるので、リップシール8、ウェーブワッシャ9のセット荷重を調整組み付けが無い場合と比べて低減することができる。これにより、バタフライバルブ3またはノズル7の摺動摩耗を低減することができるので、バタフライバルブ3の全閉時におけるバタフライバルブ3の外周シール面53とノズル7のバルブシート面55との間のシール性能を向上できる。
また、シートリング(ノズル7等)の中心に対するバタフライバルブ3の調整組み付けを実施できるので、シートリング(ノズル7等)の中心に対してバタフライバルブ3の中心軸(外周シール面(球面の一部)53のセンター)が位置ズレすることはない。これにより、リップシール8、ウェーブワッシャ9のセット荷重が変化しないので、バタフライバルブ3またはシートリング(ノズル7等)の耐久性を向上できる。
【0083】
また、ハウジング1の流路壁面(第1パイプ部21の保持部71)とノズル7の外周面(外周溝77の溝底面)との間をリップシール8のゴムリップ81、82および連結部83によりシールしている。これにより、EGRVを長期間使用して仮にリップシール8のゴム弾性力(弾性反発力)が劣化してもリップ形状のセルフシール効果によって、バルブハウジング1の流路壁面とノズル7の外周面との間のシール性能を確保できる。
また、リップシール8およびウェーブワッシャ9が、ノズル7のバルブシート面55をバタフライバルブ3の外周シール面53に押し当てる方向に付勢しているので、バタフライバルブ3が全閉した際に、ノズル7のバルブシート面55がバタフライバルブ3の外周シール面53に密着する。これにより、バタフライバルブ3の外周シール面53とノズル7のバルブシート面55との間に高いシール性能を保つことができる。つまりリップシール8の弾性力およびウェーブワッシャ9の弾性力によってノズル7をバルブハウジング1の内部で弾性保持することにより、バタフライバルブ3の全閉時におけるバタフライバルブ3の外周シール面53とノズル7のバルブシート面55との密着シール性を向上できる。
【実施例3】
【0084】
図5および図6は本発明の実施例3を示したもので、図5(a)はEGRガス流量制御弁(EGRV)を示した図で、図5(b)はEGRVの主要部を示した図で、図6(a)、(b)はEGRVの主要部を示した図である。
【0085】
本実施例のEGRVは、バタフライバルブ3の外周面とシートリングの内周面とのシール位置を、バルブシャフト2の回転軸線から所定の距離分だけEGRガス流方向の下流側(または上流側)に偏心させて設けると共に、バタフライバルブ3の全閉時に弾性スプリング5の弾性力および弾性シール部材の弾性力を持ってバタフライバルブ3の外周シール面53とシートリングの内周シート面54との間を密着シールする構造を備えた排気ガス制御弁(流体制御弁)である。
【0086】
EGRVは、内部をEGRガスが流通するバルブハウジング1と、このバルブハウジング1に組み付けられるバルブシャフト2と、このバルブシャフト2に固定されるバタフライバルブ3と、このバタフライバルブ3が全閉した際にバタフライバルブ3の外周面が密着するシートリングと、バタフライバルブ3を開弁作動方向(または閉弁作動方向)に駆動する電動アクチュエータと、バタフライバルブ3の回転角度(バルブ開度)を検出するバルブ開度センサとを備えている。ここで、本実施例のシートリングは、バタフライバルブ3が全閉した際にバタフライバルブ3の外周シール面53に密着する方向に弾性力を発生する弾性スプリング5、およびバタフライバルブ3の外周シール面53と弾性スプリング5の内周シート面54との間をシールする弾性シール部材6を有している。
【0087】
バルブハウジング1は、実施例1と同様に、例えば耐熱アルミニウム合金のダイカストまたはアルミニウム合金系の鋳物、あるいは耐熱性に優れる耐熱性材料(例えば鉄系の鋳物、鋳鉄)によって所定の形状に形成されている。このバルブハウジング1は、バルブシャフト2が挿入される2つの第1、第2貫通孔14、15を有している。また、バルブハウジング1は、内部に排気ガス還流路11が形成された円筒状の第1パイプ部21、および内部に排気ガス還流路12、13が形成された円筒状の第2パイプ部22を有している。そして、2つの第1、第2パイプ部21、22間には、弾性シール部材6が組み付けられる円環状の段差23が設けられている。また、バルブハウジング1の第2パイプ部22の流路壁面には、弾性スプリング5の外周部が圧入固定される円筒状の圧入部(圧入面)25が設けられている。
【0088】
本実施例のバルブシャフト2は、実施例1と同様に、耐熱性に優れる耐熱性材料(例えばステンレス鋼または耐熱鋼等)によって形成されており、バルブハウジング1に設けられた2つの第1、第2貫通孔14、15の内部に回転自在または摺動自在に収容されている。
バタフライバルブ3は、実施例1と同様に、耐熱性に優れる耐熱性材料(例えばステンレス鋼または耐熱鋼等)によって円板形状に形成されている。このバタフライバルブ3は、外周面が球面の一部で構成された真円形状のバルブプレート51、およびこのバルブプレート51の中央部からバルブシャフト2の平面部45側に向けて突出するバルブ凸部(突出部)52を有し、バルブシャフト2の平面部45の中央部(排気ガス還流路11中に配設されている部分:バルブ取付部)にレーザー溶接等の溶接手段を用いて取り付けられている。
【0089】
バルブプレート51の外周面には、バルブ周方向に延びる外周シール面53が形成されている。また、バルブ凸部52の頂面(バタフライバルブ3の上流側端面、平面)は、バルブシャフト2の平面部45の中央部に当接している。
ここで、本実施例では、バルブシャフト2の外周部に形成された平面部(平面カット部)45とバタフライバルブ2のバルブ凸部52の頂面(バタフライバルブ3の上流側端面)との接合箇所を、レーザー溶接しているが、バルブシャフト2の外周部に形成された平面部(平面カット部)45とバタフライバルブ3の上流側端面との接合箇所を、ティグ溶接、ミグ溶接、電子ビーム溶接、アーク溶接しても良い。
【0090】
弾性スプリング5は、実施例1と同様に、金属材料により形成されている。具体的には、例えばステンレス鋼またはバネ鋼等の金属円環板(金属薄板)をプレス成形することによりメタルシートリングが形成されている。この弾性スプリング5の外周部には、バルブハウジング1の流路壁面(圧入部25)に圧入固定される嵌合部61が設けられている。 弾性スプリング5の内周部には、バタフライバルブ3の全閉時に、弾性シール部材6を介して、バタフライバルブ3を径方向(排気ガス還流路12の中心軸線を中心にした半径方向、放射方向)に弾性保持(フローティング支持)すると共に、バタフライバルブ3の全閉時に、弾性シール部材6を介して、バタフライバルブ3の外周シール面53に弾性接触する円錐台筒状の弾性保持部(弾性接触部、バルブシート部)62が設けられている。
【0091】
弾性スプリング5の弾性保持部62の円周方向(少なくとも弾性保持部62の先端側の円周方向)には、図6に示したように、交互に等間隔で複数個(例えば6個)のスリット64および複数個(例えば6個)の弾性保持片65が設けられている。これらのスリット64および弾性保持片65は、弾性保持部62およびスリット64の先端から排気ガス還流路12を流通するEGRガス流方向の上流側(または下流側)に向けて(EGRガス流方向に対して傾斜して)延びるように設けられる。また、複数のスリット64は、弾性スプリング5の弾性保持部62の円周方向の一部を所定の間隔(例えば等間隔)でEGRガス流方向に切り欠くことで形成される。これらのスリット64および弾性保持片65は、弾性スプリング5のバネ定数を下げることができる。
そして、嵌合部61と弾性保持部62との間には、嵌合部61の段差側端部と複数の弾性保持片65とを繋ぐ複数の連結片66が設けられている。これらの連結片66は、外周部(嵌合部61)から内周部(弾性保持片65)に向けて円周方向の幅が漸減するように形成されている。なお、複数の連結片66の代わりに、実施例1と同様な円環状の連結部63を設けても良い。
【0092】
弾性シール部材6は、例えば4フッ化エチレン樹脂(PTFE)等の合成樹脂材料または耐熱性に優れるフッ素ゴムまたはニトリルゴム(NBR)等の合成ゴム材料により形成されている。この弾性シール部材6の外周部には、バルブハウジング1の段差23と弾性スプリング5の連結部63との間に挟み込まれる円環状のフランジ91が設けられている。
弾性シール部材6の内周部には、バタフライバルブ3のバルブプレート51の外周シール面53と弾性スプリング5の弾性保持部62(弾性保持片65)の内周シート面54との間に挟み込まれる円錐台筒状の弾性シール部92が設けられている。
弾性シール部92は、バタフライバルブ3のバルブプレート51の外周シール面53と弾性スプリング5の弾性保持部62(弾性保持片65)の内周シート面54との間をシールする。
【0093】
以上のように、本実施例のEGRシステムに組み込まれるEGRVにおいては、弾性スプリング5の弾性保持部62の円周方向に複数個(例えば6個)のスリット64および複数個(例えば6個)の弾性保持片65を交互に等間隔で設けている。
これによって、弾性スプリング5のバネ定数を下げることができるので、仮に弾性スプリング5の中心に対してバタフライバルブ3の中心軸が位置ズレた状態で、バルブハウジング1の内部にバタフライバルブ3が組み付けられている場合であっても、弾性スプリング5のセット荷重が増えるのを抑制できる。あるいは弾性スプリング5のセット荷重を低減することができるので、バタフライバルブ3またはシートリング(特に弾性スプリング5)の摺動摩耗を低減することができる。したがって、シール性能および耐久性を向上できる。
【0094】
また、バタフライバルブ3の全閉時にバタフライバルブ3の外周シール面53が密着する弾性スプリング5を金属材料(例えばステンレス鋼またはバネ鋼等の金属円環板(板ばね))とすることで、弾性スプリング5をゴム材料で製作した場合に比べて、作動回数や使用環境温度等による弾性力の耐久劣化を抑制できるので、シール性能および耐久性の低下を抑えることができる。すなわち、弾性スプリング5を金属材料とすることで、経時変化に対して、バタフライバルブ3の外周シール面53と弾性スプリング5の内周シート面54との間の密着シール力を長期間一定に保つことが容易となる。
【0095】
また、バタフライバルブ3のバルブプレート51の外周シール面53と弾性スプリング5の弾性保持部62の内周シート面54との間に、少なくとも弾性保持片65の板厚方向に弾性変形することが可能な弾性シール部材6が介在しているので、寸法誤差、組み付けばらつき等によりバタフライバルブ3の外周シール面53と弾性スプリング5の内周シート面54との間に真円ズレが生じた場合であっても、その真円ズレのような変形を弾性シール部材6の弾性シール部92が吸収できる。これにより、バタフライバルブ3の全閉時におけるEGRガス洩れの発生を防止できる。
また、仮にバタフライバルブ3の外周シール面53と弾性スプリング5の内周シート面54との間をシールする弾性シール部材6の弾性シール部92の弾性力が耐久劣化した場合であっても、弾性スプリング5の弾性保持片65の保持力により外周シール面53と内周シート面54との間のシール力を確保できる。
【0096】
[変形例]
本実施例では、バルブシャフト2を介してバタフライバルブ3を駆動する電動アクチュエータ(バルブ駆動装置)を、モータと動力伝達機構(例えば歯車減速機構等)とを備えた電動アクチュエータによって構成したが、シャフトを介してバルブを駆動する電動アクチュエータを、電磁式または電動式負圧制御弁を備えた負圧作動式アクチュエータや、コイルを含む電磁石を備えた電磁アクチュエータによって構成しても良い。
また、EGRVのバタフライバルブ3を閉弁方向または開弁方向に付勢するコイルスプリング(バルブ付勢手段)を設置しなくても良い。この場合には、部品点数や組付工数を削減できる。また、本実施例では、内部に流体通路が形成されたハウジングを、EGRガスパイプの途中に接続したバルブハウジング1によって構成しているが、ハウジングを、吸気管の一部または排気管の一部を成すハウジングによって構成しても良い。
【0097】
本実施例では、本発明の流体制御弁を、排気ガス(EGRガス、流体)の流量を制御するEGRVに適用しているが、本発明の流体制御弁を、排気ガスの温度を制御する排気ガス制御弁に適用しても良い。また、本発明の流体制御弁を、内燃機関の燃焼室内に吸入される吸入空気量を制御するスロットルバルブ等の空気量制御弁、内燃機関の燃焼室内より排出される排気ガスの流量を制御する排気ガス流量制御弁、スロットルバルブをバイパスする吸入空気量を制御するアイドル回転速度制御弁等の空気流量制御弁に適用しても良い。
また、本実施例では、本発明の流体制御弁を、EGRV等の流体流量制御弁に適用しているが、このような流体流量制御弁に限定する必要はなく、流体通路開閉弁、流体通路切替弁、流体圧力制御弁に適用しても良い。また、本発明の流体制御弁を、タンブル流制御弁やスワール流制御弁等の吸気流制御弁、吸気通路の通路長や通路断面積を変更する吸気可変弁等に適用しても良い。また、自動車等の車両に搭載される内燃機関(例えば走行用エンジン)として、ディーゼルエンジンだけでなく、ガソリンエンジンを用いても良い。
【0098】
本実施例(実施例1)では、シートリングを構成する弾性スプリング5の弾性保持部62を円錐台筒状(または円筒状)に形成しているが、シートリングを構成する弾性スプリング5の弾性保持部62の円周方向(少なくとも弾性保持部62の先端側の円周方向)に、実施例3のように、交互に所定の間隔(例えば等間隔)で複数のスリット64および複数の弾性保持片65を設けても良い。
本実施例(実施例3)では、バルブシャフト2の軸方向部43の平面部45の中央部にレーザー溶接等の溶接手段を用いてバタフライバルブ3を組み付けているが、バルブシャフト2の軸方向部43の平面部45の中央部に、実施例1及び2に示したように、スクリュー4等の仮固定手段を用いてバタフライバルブ3を締結(仮締め付け)しても良い。
【符号の説明】
【0099】
1 バルブハウジング
2 バルブシャフト(EGRVの弁軸)
3 バタフライバルブ(EGRVの弁体)
4 スクリュー(仮固定手段、締結手段)
5 弾性スプリング(シートリング)
6 弾性シール部材(シートリング)
7 ノズル(シートリング)
8 リップシール(シートリング、第1弾性保持部材)
9 ウェーブワッシャ(シートリング、第2弾性保持部材)
10 固定リング(シートリング)
11 排気ガス還流路(流体流路)
12 排気ガス還流路(流体流路の一部を構成する連通路)
13 排気ガス還流路(流体流路)
41 バルブシャフトの第1摺動部
42 バルブシャフトの第2摺動部
43 バルブシャフトの軸方向部
45 バルブシャフトの平面部(バルブ取付部)
46 バルブシャフトのネジ孔(仮固定手段)
53 バタフライバルブの外周シール面(当接面、外周面)
54 弾性スプリングの内周シート面(バルブシート部、バルブシート面、内周面)
55 弾性スプリングのバルブシート面(バルブシート部)
56 バタフライバルブの貫通孔(仮固定手段)
57 バルブシャフトの貫通孔(仮固定手段)
58 バタフライバルブのネジ孔(仮固定手段)
62 弾性スプリングの弾性保持部(バルブシート部)
64 弾性スプリングのスリット
65 弾性スプリングの弾性保持片
75 バルブシャフトの平面部(バルブ取付部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)内部に流体流路が形成されたハウジングと、
(b)このハウジングに回転自在に支持されたシャフトと、
(c)このシャフトに固定されて、前記シャフトの回転軸線方向に対して垂直な中心軸を中心とする円形状の外周面が球面の一部で構成されたバルブと、
(d)前記ハウジングに組み付けられて、前記バルブの全閉時に前記バルブの外周面が密着するシートリングと
を備え、
前記バルブの外周面と前記シートリングとのシール位置を前記シャフトの回転軸線から偏心させて設けると共に、前記バルブの全閉時に弾性力を持って前記バルブの外周面と前記シートリングとの間をシールする流体制御弁において、
前記バルブは、前記シートリングの中心から円形状または放射状に拡がるシートリング平面方向へのバルブ位置調整が可能な仮固定手段を用いて、前記シャフトに仮組み付けするように構成されていることを特徴とする流体制御弁。
【請求項2】
請求項1に記載の流体制御弁において、
前記仮固定手段は、前記シャフトと前記バルブとを締結する締結手段と、この締結手段が余裕を持って貫通する貫通孔と、前記締結手段が捩じ込まれるネジ孔とを備え、
前記貫通孔は、前記バルブまたは前記シャフトのうちのいずれか一方に設けられ、
前記ネジ孔は、前記バルブまたは前記シャフトのうちのいずれか他方に設けられていることを特徴とする流体制御弁。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の流体制御弁において、
前記シートリングは、前記バルブの全閉時に前記バルブの外周面に密着する方向に弾性力を発生する弾性スプリングを有していることを特徴とする流体制御弁。
【請求項4】
請求項3に記載の流体制御弁において、
前記弾性スプリングは、その外周部が前記ハウジングに固定されていることを特徴とする流体制御弁。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の流体制御弁において、
前記弾性スプリングは、金属材料により形成されていることを特徴とする流体制御弁。
【請求項6】
請求項5に記載の流体制御弁において、
前記弾性スプリングは、前記シャフトに前記バルブを仮組み付けした状態で前記シャフトを回転させて前記バルブの外周面が密着した際に、自身の弾性力を利用して前記シートリングの中心と前記バルブの中心軸とを一致させるセンタリング機能を有していることを特徴とする流体制御弁。
【請求項7】
請求項1または請求項2に記載の流体制御弁において、
前記シートリングは、前記バルブの全閉時に前記バルブの外周面が密着する筒状のノズル、およびこのノズルを弾性力を持って保持する弾性保持部材を有していることを特徴とする流体制御弁。
【請求項8】
請求項7に記載の流体制御弁において、
前記ノズルは、前記弾性保持部材を介して、前記ハウジングに弾性保持されていることを特徴とする流体制御弁。
【請求項9】
請求項8または請求項9に記載の流体制御弁において、
前記ノズルは、金属材料により形成されていることを特徴とする流体制御弁。
【請求項10】
請求項8ないし請求項9のうちのいずれか1つに記載の流体制御弁において、
前記シートリングは、前記シャフトに前記バルブを仮組み付けした状態で前記シャフトを回転させて前記バルブの外周面が前記ノズルに密着した際に、前記弾性保持部材の弾性力を利用して前記ノズルの中心と前記バルブの中心軸とを一致させるセンタリング機能を有していることを特徴とする流体制御弁。
【請求項11】
請求項8ないし請求項10のうちのいずれか1つに記載の流体制御弁において、
前記弾性保持部材は、前記ノズルに対して、前記ノズルを前記バルブの外周面に押し付ける方向に弾性力を発生するワッシャを有し、
前記ワッシャは、金属材料により形成されていることを特徴とする流体制御弁。
【請求項12】
請求項8ないし請求項11のうちのいずれか1つに記載の流体制御弁において、
前記弾性保持部材は、前記ノズルに対して、前記ノズルを前記バルブの外周面に押し付ける方向に弾性力を発生するリップシールを有し、
前記リップシールは、ゴム材料により形成されていることを特徴とする流体制御弁。
【請求項13】
(a)内部に流体流路が形成されたハウジングと、
(b)このハウジングに回転自在に支持されたシャフトと、
(c)このシャフトに固定されて、前記シャフトの回転軸線方向に対して垂直な中心軸を中心とする円形状の外周面が球面の一部で構成されたバルブと、
(d)前記ハウジングに組み付けられて、前記バルブの全閉時に前記バルブの外周面が密着するシートリングと
を備え、
前記バルブの外周面と前記シートリングとのシール位置を前記シャフトの回転軸線から偏心させて設けると共に、前記バルブの全閉時に弾性力を持って前記バルブの外周面と前記シートリングとの間をシールする流体制御弁の製造方法において、
前記シートリングの中心から円形状または放射状に拡がるシートリング平面方向へのバルブ位置調整が可能な仮固定手段を用いて、前記シャフトに前記バルブを仮組み付けする工程を備えたことを特徴とする流体制御弁の製造方法。
【請求項14】
請求項13に記載の流体制御弁の製造方法において、
前記工程は、前記ハウジングに前記シートリングを組み付けた後に実施されることを特徴とする流体制御弁の製造方法。
【請求項15】
請求項13または請求項14に記載の流体制御弁の製造方法において、
前記仮固定手段は、前記シャフトと前記バルブとを締結する締結手段と、この締結手段が余裕を持って貫通する貫通孔と、前記締結手段が捩じ込まれるネジ孔とを備え、
前記貫通孔は、前記バルブまたは前記シャフトのうちのいずれか一方に設けられ、
前記ネジ孔は、前記バルブまたは前記シャフトのうちのいずれか他方に設けられていることを特徴とする流体制御弁の製造方法。
【請求項16】
(a)内部に流体流路が形成されたハウジングと、
(b)このハウジングに回転自在に支持されたシャフトと、
(c)このシャフトに固定されて、前記シャフトの回転軸線方向に対して垂直な中心軸を中心とする円形状の外周面が球面の一部で構成されたバルブと、
(d)前記ハウジングに組み付けられて、前記バルブの全閉時に前記バルブの外周面が密着するシートリングと
を備え、
前記バルブの外周面と前記シートリングとのシール位置を前記シャフトの回転軸線から偏心させて設けると共に、前記バルブの全閉時に弾性力を持って前記バルブの外周面と前記シートリングとの間をシールする流体制御弁において、
前記シートリングは、前記バルブの全閉時に前記バルブの外周面に密着する方向に弾性力を発生する弾性スプリングを有し、
前記弾性スプリングは、その周方向の一部にスリットを有していることを特徴とする流体制御弁。
【請求項17】
請求項16に記載の流体制御弁において、
前記弾性スプリングは、その外周部が前記ハウジングに固定されていることを特徴とする流体制御弁。
【請求項18】
請求項16または請求項17に記載の流体制御弁において、
前記弾性スプリングは、金属材料により形成されていることを特徴とする流体制御弁。
【請求項19】
請求項16ないし請求項18のうちのいずれか1つに記載の流体制御弁において、
前記シートリングは、前記バルブの外周面と前記弾性スプリングとの間をシールする弾性シール部材を有していることを特徴とする流体制御弁。
【請求項20】
請求項19に記載の流体制御弁において、
前記弾性シール部材は、樹脂材料またはゴム材料により形成されていることを特徴とする流体制御弁。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−58536(P2011−58536A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−207246(P2009−207246)
【出願日】平成21年9月8日(2009.9.8)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】