説明

消耗品収納容器、画像形成装置、プロセスカートリッジ及びサービス管理システム

【課題】 大掛かりな機構部品構成を設けることなく、現像剤収納容器の開口部をシールしているシール部材が開封されたか否かを低コストで正確に検知でき、かつ低コストを維持したまま、顧客へのきめ細かなサービス手段を付加した現像剤収納容器等を提供すること。
【解決手段】 トナー41など消耗品を収納する消耗品収納容器2であって、消耗品を供給する開口部と、該開口部をシールして剥離可能に貼り付けられたシール部材46とを有し、前記シール部材には個体識別情報記憶手段が取り付けられ、この個体識別情報記憶手段がシール開封後に読み取り可能な位置となるように前記シール部材を位置決め保持する手段が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、消耗品収納容器、画像形成装置、プロセスカートリッジ及びサービス管理システムに関し、特に大掛かりな機構部品構成を設けることなく、消耗品収納容器の開口部をシールしているシール部材が開封されたか否かを低コストで正確に検知でき、かつ低コストを維持したまま、顧客へきめ細かなサービスを提供することができる技術に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、プリンタ等の電子写真装置のような画像形成装置では、トナーなど消耗品を収納する消耗品収納容器が設けられる。この消耗品収納容器は、消耗品を現像部へ供給(排出)するための開口部が設けられるが、消耗品収納容器に消耗品を入れた状態で消耗品収納容器を運搬するとき消耗品が漏れないように開口部はシール部材で覆われる。そして、前記シール部材は、消耗品収納容器が画像形成装置本体に設置されるとき使用者が開封するようになっていた。消耗品収納容器は、別途設ける現像剤容器と一体化された現像装置であってもよい。また、消耗品収納容器及び現像剤容器を備える現像装置は、像担持体である感光体を備えた、画像形成装置に着脱可能なプロセスカートリッジであってもよい。このようなプロセスカートリッジが新品の状態で、消耗品収納容器から現像剤容器へ消耗品を供給する開口部が前記シール部材で覆われており、プロセスカートリッジを画像形成装置へ装着するときシール部材を開封することは既に知られている(例えば、特許文献1の段落0033、図1参照)。
【0003】
しかし、今までのプロセスカートリッジは、シール部材を開封せずに消耗品収納容器を画像形成装置へ装着すると画像形成ができなくなるので、シール部材が開封されたかどうかを低コストで、かつ正確に検知する方法が望まれていた。具体的には、シール部材を使用者が開封する際、消耗品収納容器を画像形成装置に装着した後、画像形成装置で自動的に開封するという大掛かりな機構部品構成が必要で、コストがかかる割にはシール部材が開封されたか否かの検知のみの機能しかないという問題があった。したがって、シール部材が開封されたか否かを正確に検知できるとともに、低コスト維持で顧客へのきめ細かなサービスを提供するための手段を有することが望まれていた。
【0004】
ところで、特許文献2のような技術も既に提案されている。ここには、シール部材を自動的に開封する場合に適したシール部材の開封検知を行なうこと、低コストで正確なシール部材の開封検知を行なうこと、開口部がシールされている現像剤収納容器が新品かどうかを検知することを目的として、現像剤を収納する現像剤収納容器であって、画像形成装置本体に着脱可能な現像剤収納容器の開口部をシールするシール部材において、前記開口部をシールするシールベースと、前記シールベースが開封される力を受ける力受け部と、前記シールベースが開封される開封動作によって切断される切断可能な導電部と、を有し、前記切断可能な導電部が切断されたかどうかを前記画像形成装置本体で検知するために、前記導電部は、前記画像形成装置本体の接点部と電気的に接続可能な接点部を備えたシール部材が開示され、さらに前記シール部材で開口部をシールされた現像剤収納容器、この現像剤収納容器を備える現像装置、プロセスカートリッジ、及び現像剤収納容器が着脱可能な画像形成装置が開示されている(特許文献2の段落0005〜0009参照)。
【0005】
しかし、特許文献2の技術においても、低コストを維持したまま、顧客へきめ細かなサービスを提供し、サービス提供の向上を実現することまではできていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこでこの発明は、前記従来のものがもつ問題点を解決し、大掛かりな機構部品構成を設けることなく、消耗品収納容器の開口部をシールしているシール部材が開封されたか否かを低コストで正確に検知でき、かつ低コストを維持したまま、顧客へのきめ細かなサービス手段を付加した消耗品収納容器、画像形成装置、プロセスカートリッジ及びサービス管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、消耗品を収納する消耗品収納容器であって、消耗品を供給する開口部と、該開口部をシールして剥離可能に貼り付けられたシール部材とを有し、前記シール部材には個体識別情報記憶手段が取り付けられ、この個体識別情報記憶手段がシール開封後に読み取り可能な位置となるように前記シール部材を位置決め保持する手段が設けられていることを特徴とする。請求項2に記載の発明は、請求項1記載の消耗品収納容器において、個体識別情報記憶手段は、IC又はバーコードであることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2記載の消耗品収納容器において、シール部材を位置決め保持する手段は、消耗品収納容器の外壁に設けた位置決めボスと、この位置決めボスに嵌合するシール部材に設けた位置決め穴と、シール部材を消耗品収納容器の外壁に接着する部材とを有することを特徴とする。請求項4に記載の発明は、請求項1又は2記載の消耗品収納容器において、シール部材を位置決め保持する手段は、消耗品収納容器の外壁にシール部材の厚さ程度の隙間を形成して複数個、所定間隔で設けられた保持片であることを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の消耗品収納容器と、少なくとも現像ローラとを備えたことを特徴とする現像装置である。
【0010】
請求項6に記載の発明は、潜像を担持する像担持体と、像担持体に担持された潜像を現像する現像手段とを備えた画像形成装置において、前記現像手段として、請求項5に記載の現像装置を備え、かつ消耗品収納容器のシール開封後にシール部材に有る個体識別情報記憶手段の情報を読み取る個体識別情報読取手段を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の画像形成装置において、個体識別情報記憶手段は、消耗品収納容器の開口部以外の箇所に貼り付けられたシール部材に取り付けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項8に記載の発明は、請求項5に記載の現像装置と、感光体、帯電手段及びクリーニング手段のうちの少なくとも1つの手段とを一体に支持し、画像形成装置本体に着脱自在に取り付けられていることを特徴とするプロセスカートリッジである。
【0013】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載のプロセスカートリッジを備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【0014】
請求項10に記載の発明は、請求項6又は7、あるいは請求項9に記載の画像形成装置と、この画像形成装置から読み取った個体識別情報を送信するための個体識別情報送信手段と、この個体識別情報送信手段から個体識別情報を受信するための個体識別情報受信手段とを備え、前記個体識別情報を元に保守サービス部門や保守サービスを提供するためのサービスステーションにおいて消耗品の在庫管理を行なうことを特徴とするサービス管理システムである。
【発明の効果】
【0015】
この発明は、前記のようであって、請求項1ないし4に記載の発明によれば、消耗品を供給する開口部と、該開口部をシールして剥離可能に貼り付けられたシール部材とを有し、前記シール部材には個体識別情報記憶手段が取り付けられ、この個体識別情報記憶手段がシール開封後に読み取り可能な位置となるように前記シール部材を位置決め保持する手段が設けられているので、従来、シール部材は開封後に捨てられていたが、捨てられないで消耗品収納容器に残り、しかも、そのシール部材には個体識別情報記憶手段が取り付けられているので、トレーサビリティーが確保でき、ひいては顧客へのサービス性向上が図れる。また、シール部材には個体識別情報記憶手段が取り付けられているので、消耗品収納容器のリユース時、情報を活用でき生産時の品質向上が図れて便利である。また、大掛かりな機構部品構成を設けることなく、消耗品収納容器の開口部をシールしているシール部材が開封されたか否かを低コストで正確に検知でき、かつ低コストを維持したまま、顧客へきめ細かなサービスを提供することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1ないし4のいずれかに記載の消耗品収納容器からシール部材を引き剥がすことにより開口部を経て消耗品を現像ローラのある側に供給することが可能な現像装置を提供することができる。請求項6,7に記載の発明によれば、個体識別情報読取手段でシール部材に取り付けられている個体識別情報記憶手段の情報を読み取ることができ、これにより安価な部品構成で装着された消耗品収納容器に合ったきめ細やかな画像品質制御や、情報を利用した寿命管理が可能となる。請求項8に記載の発明によれば、個体識別情報記憶手段が付加されたプロセスカートリッジを提供することができる。請求項9に記載の発明によれば、プロセスカートリッジを備えたものにおいても消耗品収納容器に合ったきめ細やかな画像品質制御や、情報を利用した寿命管理が可能となる。
【0017】
請求項10に記載の発明によれば、個々の商品を実際の市場状況に応じて把握・管理が可能となるため、顧客へのきめ細かなサービスを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の一実施の形態に係る電子写真画像形成装置を示す、プロセスカートリッジを画像形成装置本体に装着した状態の概略図である。
【図2】同上に用いられるプロセスカートリッジの構成を、トナーカートリッジに消耗品であるトナーを収納した状態で示す概略断面図である。
【図3】同上に用いられるプロセスカートリッジの構成を、トナーを収納しない空の状態で示す概略断面図である。
【図4】同上のシール部材と開口部の関係を示し、(A)は正面図、(B)は平断面図である。
【図5】同上の引き出されたシール部材をプロセスカートリッジの外壁に位置決め保持する一例を示し、(A)は平断面図、(B)は正面図である。
【図6】同上の個体識別情報記憶手段としてシール部材にICを設けた例を示す図面である。
【図7】同上の引き出されたシール部材をプロセスカートリッジの外壁に位置決め保持する他例を示し、(A)は平断面図、(B)は正面図である。
【図8】同上に用いられるプロセスカートリッジからシール部材を引き出す様子を示す斜視図である。
【図9】同上の引き出されたシール部材をプロセスカートリッジの外壁に位置決め保持する様子を示す斜視図である。
【図10】シール部材を保持後のICが固体識別情報読取手段と対応する位置となることを説明する図面である。
【図11】同上の個体識別情報記憶手段としてシール部材にバーコードを設けた例を示す図面である。
【図12】シール部材を保持後のバーコードが固体識別情報読取手段と対応する位置となることを説明する図面である。
【図13】サービス管理システムを説明する図面である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
この発明は、複写機、プリンタ等に用いる消耗品収納容器の消耗品供給のための開口部をシールするシール部材を持つ消耗品収納容器において、以下の特徴を有するものである。すなわち、要約すれば、消耗品収納容器の消耗品供給のための開口部をシールするシール部材に、個体識別情報を付加し、その個体識別情報が載っている前記シール部材は、前記消耗品供給口である開口部のシール開封後も前記消耗品収納容器から分離して外されることなく前記消耗品収納容器の所定の位置に保持する手段を有することが特徴になっているもので、以下に、図面を参照し、この発明の一実施の形態に係る電子写真画像形成装置について、説明する。
【0020】
まず、この発明の適用される電子写真複写装置、静電記録装置、レーザービームプリンタ等の電子写真画像形成装置及び電子写真画像形成装置に装着される消耗品収納容器(プロセスカートリッジ)を図1及び図2,3に基づいて説明する。
【0021】
<画像形成装置の構成>
図1に示す画像形成装置は、その装置本体1の内部に図示しない開閉部材を開けてプロセスカートリッジ2を着脱可能に装着させることが可能になっている。プロセスカートリッジ2の図1上方には光学手段3が配設されている。装置本体1の右方向には、マルチトレイ4及びその左方向に給紙ローラ5がそれぞれ配設されている。また、プロセスカートリッジ2の下方には転写ローラ6が配設され、転写ローラ6の左方向には定着手段7が配設され、定着手段7の上方には排紙トレイ8、及び排紙ローラ9が配設されている。さらに、図1に示す画像形成装置は、カセット給紙も可能であり、図1の下方にカセット給紙を行なうためのトレイ(給紙カセット)11と、給紙ローラ12が配設されている。
【0022】
15は個体識別情報読取手段で、この個体識別情報読取手段15は、プロセスカートリッジ2近傍に配置され、プロセスカートリッジ2の個体識別情報を読み取り可能になっている。具体的には、後述のように、引き出し後、プロセスカートリッジ2の外壁に保持されるシール部材に取り付けられている個体識別情報記憶手段であるICやバーコードに記憶されている個体識別情報を読み取る。また、16は個体識別情報送信手段で、この個体識別情報送信手段16は、個体識別情報読取手段15に接続されており、読み取り情報を元に必要な情報を画像形成装置外に送信するようになっている。これら送信等の動作については後述する。また、17はプリントポスト、18は両面ユニットを示す。
【0023】
プロセスカートリッジ2は、図2,3に示すように、回転駆動される像担持体としての感光体ドラム21、現像手段としての現像装置22等を一体に組み込んで、ユニットとして構成されている。感光体ドラム21の周囲には帯電手段としての帯電ローラ24、クリーニング手段としての帯電ローラ用クリーニングブレード25、及び感光ドラム21用クリーニングブレード26、分離爪27等が配設されている。28は消耗品回収ローラ、29はハクシャ、30は感光体ドラムシャッタ、31は消耗品収納容器を示す。
【0024】
現像装置22は、現像剤担持体として現像ローラ33、撹拌ローラ34等を収納した現像ケース35ほかに現像剤容器36及びトナーカートリッジ37を有し、後述するように現像剤容器36と現像ケース35は連通可能とされ、トナーカートリッジ37と現像ケース35は連通可能とされている。41は消耗品であるトナー、42はアジテータ、43はプロセスカートリッジ2の外壁に設けられた位置決め用ボスを示す。
【0025】
<画像形成装置の動作>
次に、画像形成装置の動作を図1及び図2,3に基づいて簡単に説明する。プロセスカートリッジ2の内部に設けられた感光体ドラム21の表面が、帯電ローラ24によって、一様に帯電され、光学手段3から、原稿像に対応するようにレーザーが感光体ドラム21の表面に照射されると、該感光体ドラムの表面に静電潜像が形成される。そして、この感光体ドラム21上の静電潜像は現像装置22の現像ローラ33によって搬送される現像剤としてのトナーを用いて現像されて、トナー像として顕像化される。
【0026】
一方、給紙は、前述したようにマルチトレイ4と、給紙カセット11のいずれからでも行なうことができ、転写紙のような記録媒体は、それぞれ給紙ローラ5,12によって、1枚ずつ取り出され、該取り出された記録媒体は、感光体ドラム21と転写ローラ6の間を通過する。そして、感光体ドラム21上のトナー像が記録媒体上に転写される。而して、トナーが転写された記録媒体は、定着手段7まで搬送され、該定着手段によって、熱と圧力によってトナー像の定着を受けた後、排紙ローラ9によって画像形成装置外へ排出されて、排紙トレイ8上に積載される。
【0027】
以上のような過程で画像形成毎にトナーが消耗していくわけであるが、そのトナーは消耗品収納容器としてのプロセスカートリッジ2内に収納されている。
【0028】
<シール機構>
プロセスカートリッジ2内のトナーは、具体的には図2に示すようにトナーカートリッジ37に収納されている。トナーカートリッジ37の左側で現像ローラ33が収容された現像ケース35との境目にある隔壁には横長方形状の開口部45(図4参照)が形成され、該開口部は出荷時シール部材46でシールされ閉ざされている。つまり、図4(A)から明らかなように開口部45にはシール部材46が外周部分を糊代として貼り付けられている。これは、プロセスカートリッジ2の輸送中、トナーカートリッジ37内からトナーが漏れ出してマシン内部の汚れが起きないようにするためである。
【0029】
シール部材46は、一端がトナーカートリッジ37の外壁に通常の力では分離不可能に固定部材47によって固定されたうえ、開口部45を全て覆い、さらにその長さ方向中間部から図5(B)のように重ね合わせ状に折り曲げられており、図8のようにその他端部が引き出し可能にプロセスカートリッジ2の外に突出している。そして、図8のように他端を指で摘んで矢印のように引き出すと、シール部材46が徐々に剥がれていき、開口部45が開放される。開口部45が開放されると、トナーカートリッジ37と現像ケース35が連通し、トナーカートリッジ37の内部に収納したトナーが現像ケース35に供給されて、作像が可能となる。
【0030】
また、図2のプロセスカートリッジ2においては、キャリアとトナーからなる二成分現像剤も現像剤容器36の中に収納されており、トナーカートリッジ37と同様にその境目はシール部材48でシールされている。このシール部材48の場合も、引き剥がすことにより現像剤容器36と現像ケース35が連通し、現像剤容器36の内部に収納した現像剤が現像ケース35に供給可能となっている。
【0031】
(第1実施例)
シール部材46の材質としてはPP(プリプロピレン)やPE(ポリエチレン)を用いたヒートシールフィルムなどが望ましい。また、厚さは、70ミクロン〜140ミクロンが望ましい。このようなシール部材46は貼り付け用接着として熱エネルギーを外周部に使用する。こうすると引き剥がす際、破れにくくきれいに開口部45からシール部材46を取り外すことができる。シール部材46には図6に示すような個体識別情報記憶手段としてIC51が取り付けられている。この種のIC51は近年広く利用可能となったもので、微細であるが、内部にトナーロット、プロセスカートリッジ各部品のロット番号、製造日など種々の個体識別情報を記憶させておくことができる。IC51はメーカー各社で取り扱っているが、具体的なものとしては三菱社製RFID(Radio Frequency Identification)などがある。
【0032】
シール部材46には、プロセスカートリッジ2の外壁に設けられた前記位置決め用ボス43に嵌合する位置決め穴53が設けられている。この位置決め穴53及び位置決め用ボス43はシール部材46を引き剥がしてプロセスカートリッジ2の外壁に保持するときにその位置決めを行ない、かつ接着部材54とともにシール部材46を保持する位置決め保持手段を構成する。シール部材46は、前記のように一端がプロセスカートリッジ2の外壁に固定部材47で固定されており、シール部材46を引き出すと、あるところで動かなくなる。そこで、このような状態になったところで、図5,9のようにシール部材46に明けた位置決め穴53を位置決めボス43に嵌合し、かつ接着部材54を介してプロセスカートリッジ2の外壁に取り付ける。すると、シール部材46上のIC51と画像形成装置内の個体識別情報読取手段15とが図10のように無線通信可能な距離となり、IC51に記憶されている個体識別情報は、個体識別情報読取手段15で読み取り可能となる。接着部材54はシール部材46の裏面に接着剤のようにして設けておいてもよいし、あるいは別途用意しておいてもよい。
【0033】
個体識別情報読取手段15は、IC51と無線通信可能な装置を持っており、個体識別情報読取手段15で読み取られたIC51に記憶されている個体識別情報は、装置本体1に設けた個体識別情報送信手段16(図1参照)へ送られ、そこから図13のようにネットを経由して画像形成装置等のマシンメンテナンスを行なうサービス部門のサーバー61や各サービスステーション63に接続している個体識別情報受信手段65へ送信される。個体識別情報送信手段16及び個体識別情報受信手段65は共にコンピュータネットワークで使用される信号の送受信手段で実現できる。
【0034】
前記のような構成により、各サービスステーションでは個体識別情報受信手段65で受信した情報を得ることによって自分の担当領域における画像形成装置にどのようなロット、部品のプロセスカートリッジが使用されているか、その使用量はどのくらいかを確認することができる。そのため、自分の担当領域において、いつ、どのくらいのプロセスカートリッジ2が消耗品寿命を迎えるかが把握できる。したがって、必要なプロセスカートリッジ2の在庫を常に確保することができ、適切なメンテナンスを通じてきめ細かなサービス提供ができる。
【0035】
図7は、シール部材46の位置決め保持手段の別の例を示すもので、この例ではプロセスカートリッジ2の外壁にシール部材46の長手方向に沿うように複数個の保持片67を取り付けている。この保持片67は方形の本体片67aと底片67bとからL形に形成され、底片67bによってシール部材46の厚さ程度の隙間を形成してプロセスカートリッジ2の外壁に固定されている。シール部材46をこのような保持片67によって保持してもよい。
【0036】
(第2実施例)
第2実施例は、図11に示すように個体識別情報記憶手段としてシール部材46に印刷したバーコード52を用いたものである。バーコード52は、IC51に比べて個体識別情報の量は限られるが、低コストで情報を取り扱うことができる。この場合は、図12のように個体識別情報読取手段としてのバーコードリーダ56を装置本体1内の所定位置に設置し、位置決めボス43によりプロセスカートリッジ2上の所定位置にきたバーコード52をプロセスカートリッジ2の装着動作とともに読み取る。プロセスカートリッジ2の装着時にはマシンカバーをオープンするから、そのオープン検知を利用して、バーコードリーダ56の発光等をオンすれば読み取りを行なうことができる。その他は第1実施例と同様である。
【0037】
(第3実施例)
第3実施例は、個体識別情報読取手段がマシン内に無い場合の例である。プロセスカートリッジは、近年、環境への配慮のためリサイクルされるようになってきている。このようなとき、IC51又はバーコード52にてプロセスカートリッジ2の製造日等の個体識別情報がわかると使用量が大よそ把握でき、再使用可能か別部品に変えるかの判断を容易に行なうことができる。そのため、このような場合も有用である。
【0038】
前記の実施の形態は、好ましい一例を示したにすぎず、この発明は特許請求の範囲に記載した範囲内において、さらに異なる適宜の実施の形態をも含むものである。例えば、消耗品の例としてトナーを挙げたが、これに限るものではなく、トナーとキャリアからなる2成分現像剤についても同様である。また、前記の実施の形態においては、現像剤容器36のシール部材48については詳細な説明を省略したが、このシール部材48にも固体識別情報記憶手段を設けて、前記実施の形態と同様な用い方を行なってもよいものである。
【符号の説明】
【0039】
1 画像形成装置本体
2 プロセスカートリッジ
3 光学手段
15,56 個体識別情報読取手段
16 個体識別情報送信手段
21 感光体ドラム(像担持体)
22 現像装置
24 帯電ローラ(帯電手段)
33 現像ローラ
36 現像剤容器
37 トナーカートリッジ
43 位置決めボス
45 開口部
46,48 シール部材
51 IC(個体識別情報記憶手段)
52 バーコード(個体識別情報記憶手段)
53 位置決め穴
54 接着部材
61 サーバー
63 サービスステーション
65 個体識別情報受信手段
67 保持片
【先行技術文献】
【特許文献】
【0040】
【特許文献1】特開2006−178280号公報
【特許文献2】特許第3083091号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
消耗品を収納する消耗品収納容器であって、消耗品を供給する開口部と、該開口部をシールして剥離可能に貼り付けられたシール部材とを有し、前記シール部材には個体識別情報記憶手段が取り付けられ、この個体識別情報記憶手段がシール開封後に読み取り可能な位置となるように前記シール部材を位置決め保持する手段が設けられていることを特徴とする消耗品収納容器。
【請求項2】
請求項1記載の消耗品収納容器において、個体識別情報記憶手段は、IC又はバーコードであることを特徴とする消耗品収納容器。
【請求項3】
請求項1又は2記載の消耗品収納容器において、シール部材を位置決め保持する手段は、消耗品収納容器の外壁に設けた位置決めボスと、この位置決めボスに嵌合するシール部材に設けた位置決め穴と、シール部材を消耗品収納容器の外壁に接着する部材とを有することを特徴とする消耗品収納容器。
【請求項4】
請求項1又は2記載の消耗品収納容器において、シール部材を位置決め保持する手段は、消耗品収納容器の外壁にシール部材の厚さ程度の隙間を形成して複数個、所定間隔で設けられた保持片であることを特徴とする消耗品収納容器。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の消耗品収納容器と、少なくとも現像ローラとを備えたことを特徴とする現像装置。
【請求項6】
潜像を担持する像担持体と、像担持体に担持された潜像を現像する現像手段とを備えた画像形成装置において、前記現像手段として、請求項5に記載の現像装置を備え、かつ消耗品収納容器のシール開封後にシール部材に有る個体識別情報記憶手段の情報を読み取る個体識別情報読取手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像形成装置において、個体識別情報記憶手段は、消耗品収納容器の開口部以外の箇所に貼り付けられたシール部材に取り付けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項5に記載の現像装置と、感光体、帯電手段及びクリーニング手段のうちの少なくとも1つの手段とを一体に支持し、画像形成装置本体に着脱自在に取り付けられていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項9】
請求項8に記載のプロセスカートリッジを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項6又は7、あるいは請求項9に記載の画像形成装置と、この画像形成装置から読み取った個体識別情報を送信するための個体識別情報送信手段と、この個体識別情報送信手段から個体識別情報を受信するための個体識別情報受信手段とを備え、前記個体識別情報を元に保守サービス部門や保守サービスを提供するためのサービスステーションにおいて消耗品の在庫管理を行なうことを特徴とするサービス管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−180358(P2011−180358A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−44199(P2010−44199)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】