説明

液晶表示装置およびその駆動方法

【課題】液晶表示装置の周囲が明るい環境でも、薄暗い環境でも、その環境に合わせて画像表示を認識できる液晶表示装置を提供することを課題の一とする。或いは、外光を照明光源とする反射モードと、バックライトを用いる透過モードの両モードでの画像表示を可能とした液晶表示装置を提供することを課題の一とする。
【解決手段】液晶層を介して入射する光を反射して表示を行う領域(反射領域)と、バックライトからの光を透過して表示を行う領域(透過領域)とを設け、透過モードと反射モードの切り換えを行う。フルカラー画像の表示を行う場合、画素部が第1の領域及び第2の領域を少なくとも有し、第1の領域に、異なる色相を有する複数の光が、第1の輪番に従い順次供給されると共に、第2の領域にも異なる色相を有する複数の光が、第1の輪番とは異なる第2の輪番に従い、順次供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置及びその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置には大きく分けて透過型と反射型の二種類のタイプが知られている。
【0003】
透過型の液晶表示装置は、冷陰極蛍光ランプなどのバックライトを用い、液晶の光学変調作用を利用して、バックライトからの光が液晶を透過して液晶表示装置外部に出力される状態と、出力されない状態とを選択し、明と暗の表示を行わせ、さらにそれらを組み合わせることで、画像表示を行うものである。
【0004】
また、反射型の液晶表示装置は、液晶の光学変調作用を利用して、外光、即ち入射光が画素電極で反射して装置外部に出力される状態と、入射光が装置外部に出力されない状態とを選択し、明と暗の表示を行わせ、さらにそれらを組み合わせることで、画像表示を行うものである。
【0005】
また、液晶表示装置の表示方法として、カラーフィルタ方式及びフィールドシーケンシャル方式が知られている。フィールドシーケンシャル方式によって表示を行う液晶表示装置は、異なる色を呈する複数の光源(例えば、R(赤)、G(緑)、B(青))が設けられる。そして、当該異なる色を呈する複数の光源が順次発光し、且つ画素毎にそれぞれの色を呈する光の透過を制御することで所望の色を形成し、カラー表示を行っている。即ち、フィールドシーケンシャル方式は、特定色を呈する光毎に時間分割することで所望の色を形成する方式である。
【0006】
特許文献1では、フィールドシーケンシャル方式によって表示を行う液晶表示装置が開示されている。具体的には、各画素に、画像信号の入力を制御するトランジスタと、該画像信号を保持する信号保持容量と、該信号保持容量から表示画素容量への電荷の移動を制御するトランジスタとが設けられた液晶表示装置が開示されている。当該構成を有する液晶表示装置は、信号保持容量に対する画像信号の書き込みと、表示画素容量が保持する電荷に応じた表示とを並行して行うことが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−42405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
液晶表示装置の周囲が明るい環境でも、薄暗い環境でも、その環境に合わせて画像表示を認識できる液晶表示装置を提供することを課題の一とする。
【0009】
また、外光を照明光源とする反射モードと、バックライトを用いる透過モードの両モードでの画像表示を可能とした液晶表示装置を提供することを課題の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
液晶層を介して入射する光を反射して表示を行う領域(反射領域)と、バックライトからの光を透過して表示を行う領域(透過領域)とを設け、透過モードと反射モードの切り換えを行うことのできる液晶表示装置とする。反射モードの場合には、反射領域の第1の画素電極に接続された第1のトランジスタを駆動し、透過モードの場合には、透過領域の第2の画素電極に接続された第2のトランジスタを駆動する。これら2つのトランジスタを別々に動作させることによって、反射領域と透過領域の表示領域を独立して制御することができる。
【0011】
また、透過領域の表示においては、画素部全面において画像信号の書き込み及びバックライトの点灯を順次行うのではなく、画素部の特定の領域毎に画像信号の書き込み及びバックライトの点灯を順次行う新規のフィールドシーケンシャル方式を用いる。なお、バックライトの光源としては、冷陰極蛍光ランプよりも消費電力を低減でき、光の強弱を調節できる発光ダイオード(LED)を複数用いる。
【0012】
新規のフィールドシーケンシャル方式は、利用者の瞬きなど短時間の表示の遮りに起因して特定の表示情報が欠落することによって、当該利用者に視認される表示が本来の表示情報に基づく表示から変化(劣化)すること(カラーブレイク、色割れともいう)を低減することができる。
【0013】
本明細書で開示する本発明の一態様は、画素部、及び、画素部への画像信号の入力を制御する駆動回路が設けられたパネルと、バックライトを有し、そのバックライトが、異なる色相の光を発する複数の光源を有する。そして、フルカラー画像の表示を行う場合と、モノクロ画像の表示を行う場合とで、光源の駆動方法を切り換える。
【0014】
フルカラー画像の表示を行う場合は、新規のフィールドシーケンシャル方式を利用した透過モードとし、画素部を複数の領域に分割し、領域ごとに上記光源の点灯を制御する。具体的には、画素部は、第1の領域及び第2の領域を少なくとも有し、前記第1の領域に、異なる色相を有する複数の光が、第1の輪番に従い順次供給されると共に、前記第2の領域にも異なる色相を有する前記複数の光が、前記第1の輪番とは異なる第2の輪番に従い、順次供給される。
【0015】
モノクロ画像の表示を行う場合は、光源からの光の供給を停止して反射モードとし、画素部の反射領域全体、或いは領域ごとに、外部からの光を利用して静止画表示または動画表示を行う。
【0016】
さらに、本発明の一態様では、上記モノクロ画像が静止画である場合に、モノクロ画像が動画である場合よりも、その駆動周波数を低くする。そして、本発明の一態様では、駆動周波数を低くするために、液晶表示装置の画素部に、液晶素子と、当該液晶素子に与えられる電圧の保持を制御するための、オフ電流が極めて小さい絶縁ゲート電界効果型トランジスタ(以下、単にトランジスタとする)とを設ける。オフ電流の極めて小さいトランジスタを用いることで、液晶素子に与えられる電圧が保持される期間を長くすることができる。そのため、静止画のように、連続する幾つかのフレーム期間に渡って、画素部に同じ画像情報を有する画像信号が書き込まれる場合などは、駆動周波数を低くしても、言い換えると一定期間内における画像信号の書き込み回数を少なくしても、画像の表示を維持することができる。
【0017】
上記トランジスタは、シリコン半導体よりもバンドギャップが広く、真性キャリア密度がシリコン半導体よりも低い半導体材料を、チャネル形成領域に含むことを特徴とする。上述したような特性を有する半導体材料をチャネル形成領域に含むことで、オフ電流が極めて低いトランジスタを実現することができる。このような半導体材料としては、例えば、シリコンの約3倍程度の大きなバンドギャップを有する、酸化物半導体が挙げられる。上記構成を有するトランジスタを、液晶素子に与えられる電圧を保持するためのスイッチング素子として用いることで、通常のシリコンやゲルマニウムなどの半導体材料で形成されたトランジスタを用いた場合に比べて、液晶素子からの電荷のリークを防ぐことができる。
【0018】
上記画素部は、入力されるフルカラー画像信号の電圧に従って液晶層の透過率が制御される領域と、該領域と重なる液晶層への電圧の保持を制御する第1のトランジスタと、入力されるモノクロ画像信号の電圧に従って液晶層の反射率が制御される領域と、該領域と重なる液晶層への電圧の保持を制御する第2のトランジスタを有する。そして、第1及び第2のトランジスタは、そのチャネル形成領域に、例えば酸化物半導体などの、バンドギャップがシリコン半導体よりも広く、真性キャリア密度がシリコン半導体よりも低い半導体材料を含んでいる。
【0019】
なお、電子供与体(ドナー)となる水分または水素などの不純物が低減された後、酸素の添加により酸素欠損が低減された酸化物半導体(purified OS)は、i型(真性半導体)又はi型に限りなく近い。そのため、上記酸化物半導体を用いたトランジスタは、オフ電流が著しく低いという特性を有する。具体的に、酸化物半導体は、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectroscopy)による水素濃度の測定値が、5×1019/cm以下、好ましくは5×1018/cm以下、より好ましくは5×1017/cm以下、さらに好ましくは1×1016/cm以下とする。また、ホール効果測定により測定できる酸化物半導体膜のキャリア密度は、1×1014/cm未満、好ましくは1×1012/cm未満、さらに好ましくは1×1011/cm未満とする。また、酸化物半導体のバンドギャップは、2eV以上、好ましくは2.5eV以上、より好ましくは3eV以上である。水分または水素などの不純物濃度が十分に低減されて、酸素欠損が低減された酸化物半導体膜を用いることにより、トランジスタのオフ電流を下げることができる。
【0020】
ここで、酸化物半導体膜中の、水素濃度の分析について触れておく。酸化物半導体膜中及び導電膜中の水素濃度測定は、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectroscopy)で行う。SIMS分析は、その原理上、試料表面近傍や、材質が異なる膜との積層界面近傍のデータを正確に得ることが困難であることが知られている。そこで、膜中における水素濃度の厚さ方向の分布をSIMSで分析する場合、対象となる膜が存在する範囲において、値に極端な変動が無く、ほぼ一定の値が得られる領域における平均値を、水素濃度として採用する。また、測定の対象となる膜の厚さが小さい場合、隣接する膜内の水素濃度の影響を受けて、ほぼ一定の値が得られる領域を見いだせない場合がある。この場合、当該膜が存在する領域における、水素濃度の最大値または最小値を、当該膜中の水素濃度として採用する。さらに、当該膜が存在する領域において、最大値を有する山型のピーク、最小値を有する谷型のピークが存在しない場合、変曲点の値を水素濃度として採用する。
【0021】
具体的に、水分または水素などの不純物が低減され、なおかつ酸素の添加により酸素欠損が低減された酸化物半導体膜を活性層として用いたトランジスタのオフ電流が低いことは、いろいろな実験により証明できる。例えば、チャネル幅が1×10μmでチャネル長が10μmの素子であっても、ソース電極とドレイン電極間の電圧(ドレイン電圧)が1Vから10Vの範囲において、オフ電流(ゲート電極とソース電極間の電圧を0V以下としたときのドレイン電流)が、半導体パラメータアナライザの測定限界以下、すなわち1×10−13A以下という特性を得ることができる。この場合、オフ電流をトランジスタのチャネル幅で除した数値に相当するオフ電流密度は、100zA/μm以下であることが分かる。また、容量素子とトランジスタとを接続して、容量素子に流入または容量素子から流出する電荷を当該トランジスタで制御する回路を用いて、オフ電流密度の測定を行った。当該測定では、上記トランジスタに酸化物半導体膜をチャネル形成領域に用い、容量素子の単位時間あたりの電荷量の推移から当該トランジスタのオフ電流密度を測定した。その結果、トランジスタのソース電極とドレイン電極間の電圧が3Vの場合に、数十yA/μmという、さらに低いオフ電流密度が得られることが分かった。したがって、本発明の一態様に係る半導体装置では、酸化物半導体膜を活性層として用いたトランジスタのオフ電流密度を、ソース電極とドレイン電極間の電圧によっては、100yA/μm以下、好ましくは10yA/μm以下、更に好ましくは1yA/μm以下にすることができる。従って、酸化物半導体膜を活性層として用いたトランジスタは、オフ電流が、結晶性を有するシリコンを用いたトランジスタに比べて著しく低い。
【0022】
なお、酸化物半導体として、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、二元系金属の酸化物であるIn−Zn系酸化物、Sn−Zn系酸化物、Al−Zn系酸化物、Zn−Mg系酸化物、Sn−Mg系酸化物、In−Mg系酸化物、In−Ga系酸化物、三元系金属の酸化物であるIn−Ga−Zn系酸化物(IGZOとも表記する)、In−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Zn系酸化物、Sn−Ga−Zn系酸化物、Al−Ga−Zn系酸化物、Sn−Al−Zn系酸化物、In−Hf−Zn系酸化物、In−La−Zn系酸化物、In−Ce−Zn系酸化物、In−Pr−Zn系酸化物、In−Nd−Zn系酸化物、In−Sm−Zn系酸化物、In−Eu−Zn系酸化物、In−Gd−Zn系酸化物、In−Tb−Zn系酸化物、In−Dy−Zn系酸化物、In−Ho−Zn系酸化物、In−Er−Zn系酸化物、In−Tm−Zn系酸化物、In−Yb−Zn系酸化物、In−Lu−Zn系酸化物、四元系金属の酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn系酸化物、In−Hf−Ga−Zn系酸化物、In−Al−Ga−Zn系酸化物、In−Sn−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Hf−Zn系酸化物、In−Hf−Al−Zn系酸化物を用いることができる。
【0023】
なお、例えば、In−Ga−Zn系酸化物とは、InとGaとZnを有する酸化物という意味であり、InとGaとZnの比率は問わない。また、InとGaとZn以外の金属元素が入っていてもよい。
【0024】
また、酸化物半導体として、InMO(ZnO)(m>0、且つ、mは整数でない)で表記される材料を用いてもよい。なお、Mは、Ga、Fe、Mn及びCoから選ばれた一の金属元素または複数の金属元素を示す。また、酸化物半導体として、InSnO(ZnO)(n>0、且つ、nは整数)で表記される材料を用いてもよい。
【発明の効果】
【0025】
液晶表示装置の周囲が明るい環境でも、薄暗い環境でも、その環境に合わせて、外光を照明光源とする反射モードと、バックライトを用いる透過モードの両モードでの画像表示を可能とした液晶表示装置を実現できる。例えば、動画を表示する場合には透過モードとし、静止画を表示する場合には反射モードする。
【0026】
オフ電流の極めて小さいトランジスタを用い、液晶素子に与えられる電圧が保持される期間を長くすることができ、例えば、静止画を表示する際の駆動周波数を、動画を表示する際の駆動周波数よりも低くすることができる。そのため、静止画の表示における消費電力を低減した液晶表示装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】液晶表示装置の構成を示すブロック図。
【図2】パネルと画素の構成を示す図。
【図3】液晶表示装置とバックライトの動作を模式的に示した図。
【図4】各領域に供給される光の色相の一例を、模式的に示す図。
【図5】各領域に供給される光の消灯の一例を、模式的に示す図。
【図6】走査線駆動回路の構成を示す図。
【図7】第xのパルス出力回路20_xを、模式的に示した図。
【図8】パルス出力回路の構成と、そのタイミングチャートを示す図。
【図9】走査線駆動回路のタイミングチャートを示す図。
【図10】走査線駆動回路のタイミングチャートを示す図。
【図11】信号線駆動回路の構成を示す図。
【図12】信号線に供給される画像信号(DATA)のタイミングの一例を示す図。
【図13】選択信号の走査のタイミングと、バックライトの点灯のタイミングとを示す図。
【図14】選択信号の走査のタイミングと、バックライトの消灯のタイミングとを示す図。
【図15】パネルの構成を示す図。
【図16】走査線駆動回路の構成を示す図。
【図17】走査線駆動回路のタイミングチャートを示す図。
【図18】信号線駆動回路の構成を示す図。
【図19】パルス出力回路の構成を示す図。
【図20】パルス出力回路の構成を示す図。
【図21】トランジスタの作製方法を示す断面図。
【図22】トランジスタの断面図。
【図23】液晶表示装置の作製方法を示す断面図。
【図24】画素の上面図の一例。
【図25】画素の断面図。
【図26】液晶表示装置の上面図及び断面図。
【図27】液晶表示装置の構成を示す上面図及び断面図。
【図28】電子機器の図。
【図29】トランジスタの構成を説明する図。
【図30】Vthの定義を示す図。
【図31】光負バイアス試験結果を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、その形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。また、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0029】
(実施の形態1)
本実施の形態では、静止画モードと動画モードを有する液晶表示装置について図1を用いて説明する。なお、本明細書において、表示装置が表示装置に入力する画像信号を静止画と判断しておこなう動作を静止画モード、動画と判断して行う動作を動画モードというものとする。
【0030】
本実施の形態の液晶表示装置400は、複数の画像メモリ401と、画像データ選択回路402と、セレクタ403と、CPU404と、コントローラ405と、パネル406と、バックライト407と、バックライト制御回路408とを有する。
【0031】
複数の画像メモリ401には、液晶表示装置400に入力された、フルカラー画像に対応する画像データ(フルカラー画像データ410)が記憶される。上記フルカラー画像データ410には、複数の色相にそれぞれ対応する画像データが含まれている。複数の各画像メモリ401には、各色相に対応する画像データがそれぞれ記憶されている。
【0032】
画像メモリ401は、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)等の記憶回路を用いることができる。
【0033】
画像データ選択回路402は、コントローラ405からの命令に従って複数の画像メモリ401に記憶されている、各色相に対応するフルカラー画像データを読み出し、セレクタ403に送る。
【0034】
また、液晶表示装置400には、モノクロ画像に対応する画像データ(モノクロ画像データ411)も入力される。入力されたモノクロ画像データ411は、セレクタ403に入力される。
【0035】
なお、異なる色相の色を呈する光源を複数用い、各色の階調により表示される画像をフルカラー画像とする。また、光源を消灯し、反射電極により表示される画像をモノクロ画像とする。
【0036】
また、本実施の形態では、モノクロ画像データ411が直接セレクタ403に入力される構成を示しているが、本発明はこの構成に限定されない。フルカラー画像データ410と同様に、モノクロ画像データ411も、画像メモリ401において一旦記憶し、画像データ選択回路402において読み出すようにしても良い。この場合、セレクタ403が画像データ選択回路402に含まれる構成となる。
【0037】
また、モノクロ画像データ411は、フルカラー画像データ410を液晶表示装置400において合成することで、作製されていても良い。
【0038】
CPU404は、フルカラー画像の表示を行う場合と、モノクロ画像の表示を行う場合とで、セレクタ403とコントローラ405の動作が切り替わるように制御する。
【0039】
具体的に、フルカラー画像の表示を行う場合、セレクタ403は、CPU404からの命令に従って、入力されたフルカラー画像データ410を選択し、パネル406に供給する。また、コントローラ405は、CPU404からの命令に従って、フルカラー画像データ410に同期した駆動信号またはフルカラー画像の表示を行う際に用いられる電源電位を、パネル406に供給する。
【0040】
或いは、モノクロ画像の表示を行う場合、セレクタ403は、CPU404からの命令に従って、入力されたモノクロ画像データ411を選択し、パネル406に供給する。また、コントローラ405は、CPU404からの命令に従って、モノクロ画像データ411に同期した駆動信号またはモノクロ画像の表示を行う際に用いられる電源電位を、パネル406に供給する。
【0041】
パネル406は、各画素に液晶素子を有する画素部412と、第1の走査線駆動回路414a、第1の信号線駆動回路413a、第2の走査線駆動回路414b、第2の信号線駆動回路413bなどの駆動回路とを有する。セレクタ403からのフルカラー画像データ410またはモノクロ画像データ411は、第1の信号線駆動回路413aまたは第2の信号線駆動回路413bに与えられる。また、コントローラ405からの駆動信号または電源電位は、第1の走査線駆動回路414a、第1の信号線駆動回路413a、第2の走査線駆動回路414b、または第2の信号線駆動回路413bに与えられる。
【0042】
なお、駆動信号には、第1の信号線駆動回路413aまたは第2の信号線駆動回路413bの動作を制御する信号線駆動回路用スタートパルス信号(SSP1、SSP2)、信号線駆動回路用クロック信号(SCK1、SCK2)、第1の走査線駆動回路414aまたは第2の走査線駆動回路414bの動作を制御する走査線駆動回路用スタートパルス信号(GSP)、走査線駆動回路用クロック信号(GCK)などが含まれる。
【0043】
バックライト407には、色相の異なる光を発する複数の光源が配置されている。コントローラ405は、バックライト制御回路408を介してバックライト407が有する光源の駆動を制御する。
【0044】
なお、フルカラー画像の表示とモノクロ画像の表示の切り替えは、人為的に行うことができる。この場合、入力装置420を液晶表示装置400に設け、入力装置420からの信号に従って、CPU404が上記切り替えを制御するようにすれば良い。例えば、使用者が液晶表示装置400に設けられたスイッチ等によって、フルカラー画像の表示とモノクロ画像の表示の切り替えを制御する。
【0045】
また、本実施の形態で例示される液晶表示装置400は、測光回路421を有していても良い。測光回路421は液晶表示装置400が使用されている環境の明るさを測定する回路である。そして、測光回路421において検知された明るさに従って、CPU404がフルカラー画像の表示とモノクロ画像の表示の切り替えを制御しても良い。
【0046】
例えば、本実施の形態で例示される液晶表示装置400を薄暗い環境で利用する場合、測光回路421からの信号に従って、CPU404がフルカラー画像の表示を選択し、明るい環境で利用する場合、測光回路421からの信号に従って、CPU404がモノクロ画像の表示を選択しても良い。なお、測光回路421にあらかじめ閾値を設定し、使用環境の明るさが閾値を下回ると、バックライトが点灯するように設定してもよい。
【0047】
次いで、本発明の一態様に係る液晶表示装置の、パネルの具体的な構成について、一例を挙げて説明する。
【0048】
図2(A)は、液晶表示装置の構成例を示す図である。図2(A)に示す液晶表示装置は、画素部10と、第1の走査線駆動回路11aと、第2の走査線駆動回路11bと、第1の信号線駆動回路12aと、第2の信号線駆動回路12bとを有する。本発明の一態様では、画素部10が複数の領域に分割されている。具体的に、図2(A)では、画素部10が、3つの領域(領域101〜領域103)に分割されている場合を例示している。そして、各領域は、マトリクス状に配設された複数の画素15を有する。
【0049】
また、画素部10には、第1の走査線駆動回路11aによって電位が制御されるm本の走査線GLaと、第1の信号線駆動回路12aによって電位が制御されるn本の信号線SLaとが設けられている。そして、m本の走査線GLaは、画素部10が有する領域の数に合わせて、複数のグループに分割されている。例えば、図2(A)の場合、画素部10が3つの領域に分割されているので、m本の走査線GLaも3つのグループに分割されている。そして、各グループに属する走査線GLaは、当該グループに対応する領域が有する複数の画素15に、接続されている。具体的に、各走査線GLaは、各領域においてマトリクス状に配設された複数の画素15のうち、いずれかの行に配設されたn個の画素15に接続される。
【0050】
また、各信号線SLaは、上記領域に係わらず、画素部10においてm行n列に配設された複数の画素15のうち、いずれかの列に配設されたm個の画素15に接続される。
【0051】
図2(B)は、図2(A)に示す液晶表示装置が有する画素15の回路図の一例を示す図である。
【0052】
また、画素15は、画素電極が光を透過する透過領域と、反射電極が液晶層を介して入射する光を反射する反射領域に大別される。透過領域は、第1の画素トランジスタ16a、第1の液晶素子18a、第1の容量素子17aを有する。第1の画素トランジスタ16aはゲートが第1の走査線GLaに接続され、ソース又はドレインの一方となる第1端子が第1の信号線SLaに接続され、ソース又はドレインの他方となる第2端子が、第1の液晶素子18aの一方の電極及び第1の容量素子17aの第1の電極に接続される。なお第1の液晶素子18aの他方の電極は、共通電極に接続されている。なお第1の容量素子17aの第2の電極は、容量線に接続される。
【0053】
また、反射領域は、第2の画素トランジスタ16b、第2の液晶素子18b、第2の容量素子17bを有する。第2の画素トランジスタ16bはゲートが第2の走査線GLbに接続され、ソース又はドレインの一方となる第1端子が第2の信号線SLbに接続され、ソース又はドレインの他方となる第2端子が、第2の液晶素子18bの一方の電極及び第2の容量素子17bの第1の電極に接続される。なお第2の液晶素子18bの他方の電極は、共通電極に接続されている。なお第2の容量素子17bの第2の電極は、容量線に接続される。
【0054】
なお、図2において、第1の走査線GLa及び第2の走査線GLbは、第1の走査線駆動回路11a及び第2の走査線駆動回路11bにより別々に駆動される。また第1の信号線SLa及び第2の信号線SLbは、第1の信号線駆動回路12a及び第2の信号線駆動回路12bにより、別々の画像信号が供給される。そして透過領域の第1の液晶素子18a及び反射領域の第2の液晶素子18bでは、異なる画像信号に基づいた階調の制御がなされることとなる。
【0055】
なお、第1の画素トランジスタ16a及び第2の画素トランジスタ16bは、酸化物半導体層を有するトランジスタで構成することが好ましい。第2の画素トランジスタ16bとしてオフ電流の極めて小さいトランジスタを用いることで、第2の液晶素子18bに与えられる電圧が保持される期間を長く確保することができる。そのため、静止画のように、連続する幾つかのフレーム期間に渡って、画素部10に同じ画像情報を有する画像信号が書き込まれる場合などは、駆動周波数を低くする、言い換えると一定期間内における画素部10への画像信号の書き込み回数を少なくしても、画像の表示を維持することができる。例えば、上述したような、高純度化され、なおかつ酸素欠損が低減された酸化物半導体膜を活性層として用いたトランジスタを第2の画素トランジスタ16bに用いることで、画像信号の書き込みの間隔を10秒以上、好ましくは30秒以上、さらに好ましくは1分以上にすることができる。そして、画像信号が書き込まれる間隔を長くすればするほど、より消費電力を低減することができる。
【0056】
また、複数回の画像信号の書き込みによる画像を視認する際、複数回にわたって切り替わる画像を人間の目は視認することとなる。そのため、人間の目には疲労として現れることもあり得る。本実施の形態で説明したように、画像信号の書き込み回数を削減する構成とすることで、目の疲労を減らすといった効果もある。
【0057】
また、画像信号の電位をより長い期間に渡って保持することができるため、画像信号の電位を保持するために、第2の液晶素子18bに第2の容量素子17bを接続しなくても、表示される画質が低下するのを防ぐことができる。
【0058】
シリコン半導体よりもバンドギャップが広く、真性キャリア密度がシリコン半導体よりも低い半導体であれば、第1の画素トランジスタ16a及び第2の画素トランジスタ16bは、酸化物半導体層を有するトランジスタに限定されず、炭化珪素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)などの化合物半導体を有するトランジスタで構成してもよい。
【0059】
また、第1の液晶素子18a、及び第2の液晶素子18bは、それぞれ画素電極と、対向電極と、画素電極と対向電極間の電圧が印加される液晶を含んだ液晶層とを有している。
【0060】
液晶層に用いられる液晶材料の一例としては、ネマチック液晶、コレステリック液晶、スメクチック液晶、ディスコチック液晶、サーモトロピック液晶、リオトロピック液晶、低分子液晶、高分子分散型液晶(PDLC)、強誘電液晶、反強誘電液晶、主鎖型液晶、側鎖型高分子液晶、バナナ型液晶などを挙げることができる。
【0061】
また、配向膜を用いないブルー相を示す液晶を用いてもよい。ブルー相は液晶相の一つであり、コレステリック液晶を昇温していくと、コレステリック相から等方相へ転移する直前に発現する相である。ブルー相は狭い温度範囲でしか発現しないため、カイラル剤や紫外線硬化樹脂を添加して温度範囲を改善する。ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物は、応答速度が10μsec.以上100μsec.以下と短く、光学的等方性であるため配向処理が不要であり、視野角依存性が小さいため好ましい。
【0062】
また液晶の駆動方法としては、TN(Twisted Nematic)モード、STN(Super Twisted Nematic)モード、VA(Vertical Alignment)モード、MVA(Multi−domain Vertical Alignment)モード、IPS(In−Plane Switching)モード、OCB(Optically Compensated Birefringence)モード、ECB(Electrically Controlled Birefringence)モード、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)モード、AFLC(AntiFerroelectric Liquid Crystal)モード、PDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)モード、PNLC(Polymer Network Liquid Crystal)モード、ゲストホストモードなどを適用することが可能である。
【0063】
画素15は、必要に応じて、トランジスタ、ダイオード、抵抗素子、容量素子、インダクタンスなどのその他の回路素子を、さらに有していても良い。
【0064】
また、画像信号の電位の極性を、対向電極の電位を基準として反転させる反転駆動を行うことで、焼き付きと呼ばれる液晶の劣化を防ぐことができる。しかし、反転駆動を行うと、画像信号の極性が変化する際に信号線に与えられる電位の変化が大きくなるため、第2の画素トランジスタ16bのソース電極とドレイン電極の電位差が大きくなる。よって、第2の画素トランジスタ16bは、閾値電圧がシフトするなどの特性劣化が生じやすい。また、第2の液晶素子18bに保持されている電圧を維持するために、ソース電極とドレイン電極の電位差が大きくても、オフ電流が低いことが要求される。本実施の形態では、第2の画素トランジスタ16bに、酸化物半導体などの半導体を用いているので、第2の画素トランジスタ16bの耐圧性を高め、オフ電流を著しく低くすることができる。よって、シリコンやゲルマニウムなどの半導体材料で形成されたトランジスタを用いた場合に比べて、第2の画素トランジスタ16bの劣化を防ぎ、第2の液晶素子18bに保持されている電圧を維持することができる。
【0065】
次いで、パネルの動作の一例について、バックライトの動作とともに説明する。図3は、液晶表示装置とバックライトの動作を模式的に示した図である。図3に示すように、本発明の一態様に係る液晶表示装置の動作は、フルカラー画像を表示する期間(フルカラー画像表示期間301)と、モノクロ画像の動画を表示する期間(モノクロ動画表示期間302)と、モノクロ画像の静止画を表示する期間(モノクロ静止画表示期間303)とに大別される。
【0066】
フルカラー画像表示期間301では、複数のサブフレーム期間により1フレーム期間が構成されている。そして、サブフレーム期間ごとに画素部への画像信号の書き込みが行われている。そして、走査線駆動回路や信号線駆動回路などの駆動回路には、画像の表示を行っている間において、連続して駆動信号が供給されている。よって、フルカラー画像表示期間301では、駆動回路は動作している状態にある。また、フルカラー画像表示期間301では、バックライトにより画素部に供給される光の色相が、サブフレーム期間ごとに切り換わる。そして、各色相に対応した画像信号を画素部へ順に書き込んでいき、1フレーム期間内に全ての色相に対応した画像信号を書き込むことで1画像が形成される。そのため、フルカラー画像表示期間301では、1フレーム期間における画素部への画像信号の書き込み回数は複数回であり、その数はバックライトから供給される光の色相の数により決まる。
【0067】
モノクロ動画表示期間302では、フルカラー画像表示期間301と同様に、1フレーム期間ごとに画素部への画像信号の書き込みが行われている。そして、走査線駆動回路や信号線駆動回路などの駆動回路には、画像の表示を行っている間において、連続して駆動信号が供給されている。よって、モノクロ動画表示期間302では、駆動回路は動作している状態にある。また、モノクロ動画表示期間302では、バックライトにより画素部に供給される光の色相が、フレーム期間ごとに切り換わることがなく、一の色相の光が連続して画素部に供給される。そして、1フレーム期間内に、その一の色相に対応した画像信号を画素部へ順に書き込むことで、1画像が形成される。そのため、モノクロ動画表示期間302では、1フレーム期間における画素部への画像信号の書き込み回数は1回となる。
【0068】
モノクロ静止画表示期間303では、フルカラー画像表示期間301と同様に、1フレーム期間ごとに画素部への画像信号の書き込みが行われている。しかし、フルカラー画像表示期間301やモノクロ動画表示期間302とは異なり、画素部への画像信号の書き込み時に駆動回路に駆動信号が供給され、書き込みが終了した後は駆動回路への駆動信号の供給が停止する。よって、モノクロ静止画表示期間303では、画像信号の書き込み時以外は駆動回路が非動作の状態にある。また、モノクロ静止画表示期間303では、バックライトは消灯させている。そして、1フレーム期間内に画像信号を画素部へ順に書き込むことで、1画像が形成される。そのため、モノクロ静止画表示期間303では、1フレーム期間における画素部への画像信号の書き込み回数は1回となる。
【0069】
なお、モノクロ動画表示期間302では、フリッカ等の画像のちらつきが視認されるのを防ぐために、1秒間に60フレーム期間以上設けることが望ましい。モノクロ静止画表示期間303では、1フレーム期間を極端に長く、例えば1分以上とすることができる。1フレーム期間を長くすることで、駆動回路が非動作の期間を長くすることができるので、液晶表示装置の消費電力を低減させることができる。
【0070】
また、本発明の一態様に係る液晶表示装置は、カラーフィルタを用いる必要がない。よって、カラーフィルタを用いた液晶表示装置に比べて、コストを低減できる。
【0071】
なお、フルカラー画像表示期間301では、1フレーム期間において、画素部の各領域に色相の異なる複数の光を順次供給する。図4に、各領域に供給される光の色相の一例を、模式的に示す。なお、図4では、図2(A)に示したように、画素部が3つの領域に分割されている場合を例示している。さらに、図4では、画素部に、バックライトから赤(R)の光、青(B)の光、緑(G)の光が供給される場合を例示している。
【0072】
まず、図4(A)に、最初のサブフレーム期間において、領域101に赤(R)の光、領域102に緑(G)の光、領域103に青(B)の光が、それぞれ供給されている様子を示す。そして、図4(B)に、次のサブフレーム期間において、領域101に緑(G)の光、領域102に青(B)の光、領域103に赤(R)の光が、それぞれ供給されている様子を示す。そして、図4(C)に、さらに次のサブフレーム期間において、領域101に青(B)の光、領域102に赤(R)の光、領域103に緑(G)の光が、それぞれ供給されている様子を示す。
【0073】
そして、上記全てのサブフレーム期間が終了することで、1フレーム期間が終了する。1フレーム期間において、各領域に供給される光の色相が一巡することで、フルカラーの画像を表示することができる。なお、各領域に着目すると、領域101では、供給される光の色相が、赤(R)、緑(G)、青(B)の順に変化している。また、領域102では、供給される光の色相が、緑(G)、青(B)、赤(R)の順に変化している。また、領域103では、供給される光の色相が、青(B)、赤(R)、緑(G)の順に変化している。よって、各領域には、異なる色相を有する複数の光が、互いに異なる輪番に従い順次供給されていることが分かる。
【0074】
なお、図4では、各サブフレーム期間において、一の領域に対し一の色相の光だけが供給されている例を示しているが、本発明の一態様はこの構成に限定されない。例えば、各領域内において、画像信号の書き込みが終了した部分から順に供給される光の色相を切り換えていくようにしても良い。この場合、各色相の光が供給される照射領域と、画素部が分割されることで形成される領域とは必ずしも一致しない。
【0075】
また、モノクロ動画表示期間302及びモノクロ静止画表示期間303では、異なる色相を有する複数の光は全て消灯する。図5に、各領域における光の消灯の一例を、模式的に示す。なお、図5では、図2(A)に示したように画素部を3つの領域に分割した場合を例に挙げている。図5に示すように領域101、領域102、及び領域103ではバックライトは全て消灯している。
【0076】
<第1の走査線駆動回路11aの構成例>図6は、図2(A)に示す第1の走査線駆動回路11aの構成例を示す図である。図6に示す第1の走査線駆動回路11aは、第1のパルス出力回路20_1乃至第mのパルス出力回路20_mを有している。第1のパルス出力回路20_1乃至第mのパルス出力回路20_mから出力される選択信号は、それぞれm本の第1の走査線GLa(走査線GLa1乃至走査線GLam)に供給される。
【0077】
また、第1の走査線駆動回路11aには、第1の走査線駆動回路用第1クロック信号(GCK1)乃至第1の走査線駆動回路用第4クロック信号(GCK4)と、第1のパルス幅制御信号(PWC1)乃至第6のパルス幅制御信号(PWC6)と、走査線駆動回路用スタートパルス信号(GSP)とが、駆動信号として供給されている。
【0078】
なお、図6では、第1のパルス出力回路20_1乃至第kのパルス出力回路20_k(kは、m/2未満の4の倍数)が、領域101に配設された走査線GLa1乃至走査線GLakに接続されている場合を例示している。また、図6では、第k+1のパルス出力回路20_k+1乃至第2kのパルス出力回路20_2kが、領域102に配設された走査線GLak+1乃至走査線GLa2kに接続されている場合を例示している。また、図6では、第2k+1のパルス出力回路20_2k+1乃至第mのパルス出力回路20_mが領域103に配設された走査線GLa2k+1乃至走査線GLamに接続されている場合を例示している。
【0079】
第1のパルス出力回路20_1乃至第mのパルス出力回路20_mは、第1のパルス出力回路20_1に入力される走査線駆動回路用スタートパルス信号(GSP)に従って動作を開始し、パルスが順次シフトした選択信号を出力する。
【0080】
第1のパルス出力回路20_1乃至第mのパルス出力回路20_mには、同一の構成を有する回路を適用することができる。第1のパルス出力回路20_1乃至第mのパルス出力回路20_mの具体的な接続関係について、図7を参照して説明する。
【0081】
図7は、第xのパルス出力回路20_x(xは、m以下の自然数)を、模式的に示した図である。第1のパルス出力回路20_1乃至第mのパルス出力回路20_mのそれぞれは、端子21乃至端子27を有する。なお、端子21乃至端子24及び端子26は入力端子であり、端子25及び端子27は出力端子である。
【0082】
まず、端子21について述べる。第1のパルス出力回路20_1の端子21は、第1の走査線駆動回路用スタートパルス信号(GSP)を供給する配線に接続され、第2のパルス出力回路20_2乃至第mのパルス出力回路20_mの端子21は、前段のパルス出力回路の端子27に接続される。
【0083】
次いで、端子22について述べる。第(4a−3)のパルス出力回路20_(4a−3)(aは、m/4以下の自然数)の端子22は、第1の走査線駆動回路用第1クロック信号(GCK1)を供給する配線に接続され、第(4a−2)のパルス出力回路20_(4a−2)の端子22は、第1の走査線駆動回路用第2クロック信号(GCK2)を供給する配線に接続され、第(4a−1)のパルス出力回路20_(4a−1)の端子22は、第1の走査線駆動回路用第3クロック信号(GCK3)を供給する配線に接続され、第4aのパルス出力回路20_4aの端子22は、第1の走査線駆動回路用第4クロック信号(GCK4)を供給する配線に接続される。
【0084】
次いで、端子23について述べる。第(4a−3)のパルス出力回路20_(4a−3)の端子23は、第1の走査線駆動回路用第2クロック信号(GCK2)を供給する配線に接続され、第(4a−2)のパルス出力回路20_(4a−2)の端子23は、第1の走査線駆動回路用第3クロック信号(GCK3)を供給する配線に接続され、第(4a−1)のパルス出力回路20_(4a−1)の端子23は、第1の走査線駆動回路用第4クロック信号(GCK4)を供給する配線に接続され、第4aのパルス出力回路20_4aの端子23は、第1の走査線駆動回路用第1クロック信号(GCK1)を供給する配線に接続される。
【0085】
次いで、端子24について述べる。第(2b−1)のパルス出力回路20_(2b−1)(bは、k/2以下の自然数)の端子24は、第1のパルス幅制御信号(PWC1)を供給する配線に接続され、第2bのパルス出力回路20_2bの端子24は、第4のパルス幅制御信号(PWC4)を供給する配線に接続され、第(2c−1)のパルス出力回路20_(2c−1)(cは、(k/2+1)以上k以下の自然数)の端子24は、第2のパルス幅制御信号(PWC2)を供給する配線に接続され、第2cのパルス出力回路20_2cの端子24は、第5のパルス幅制御信号(PWC5)を供給する配線に接続され、第(2d−1)のパルス出力回路20_(2d−1)(dは、(k+1)以上m/2以下の自然数)の端子24は、第3のパルス幅制御信号(PWC3)を供給する配線に接続され、第2dのパルス出力回路20_2dの端子24は、第6のパルス幅制御信号(PWC6)を供給する配線に接続される。
【0086】
次いで、端子25について述べる。第xのパルス出力回路20_xの端子25は、x行目に配設された走査線GLxに接続される。
【0087】
次いで、端子26について述べる。第yのパルス出力回路20_y(yは、m−1以下の自然数)の端子26は、第(y+1)のパルス出力回路20_(y+1)の端子27に接続され、第mのパルス出力回路20_mの端子26は、第mのパルス出力回路用ストップ信号(STP)を供給する配線に接続される。なお、第mのパルス出力回路用ストップ信号(STP)は、第(m+1)のパルス出力回路20_(m+1)が設けられている場合に、第(m+1)のパルス出力回路20_(m+1)の端子27から出力される信号に相当する。具体的に、これらの信号は、実際にダミー回路として第(m+1)のパルス出力回路20_(m+1)を設けること、又は外部から当該信号を直接入力することなどによって、第mのパルス出力回路20_mに供給することができる。
【0088】
各パルス出力回路の端子27の接続関係は既出である。そのため、ここでは前述の説明を援用することとする。
【0089】
<パルス出力回路の構成例1>
次いで、図8(A)に、図7に示す第xのパルス出力回路20_xの、具体的な構成の一例を示す。図8(A)に示すパルス出力回路は、トランジスタ31乃至トランジスタ39を有する。
【0090】
トランジスタ31は、そのゲート電極が端子21に接続されている。また、トランジスタ31は、その第1端子が高電源電位(Vdd)の与えられているノードに接続され、その第2端子がトランジスタ33のゲート電極及びトランジスタ38のゲート電極に接続されている。
【0091】
トランジスタ32は、そのゲート電極がトランジスタ34のゲート電極及びトランジスタ39のゲート電極に接続されている。トランジスタ32は、その第1端子が低電源電位(Vss)の与えられているノードに接続され、その第2端子がトランジスタ33のゲート電極及びトランジスタ38のゲート電極に接続されている。
【0092】
トランジスタ33は、その第1端子が端子22に接続され、その第2端子が端子27に接続されている。
【0093】
トランジスタ34は、その第1端子が低電源電位(Vss)の与えられているノードに接続され、その第2端子が端子27に接続されている。
【0094】
トランジスタ35は、そのゲート電極が端子21に接続されている。また、トランジスタ35は、その第1端子が低電源電位(Vss)の与えられているノードに接続され、その第2端子がトランジスタ34のゲート電極及びトランジスタ39のゲート電極に接続されている。
【0095】
トランジスタ36は、そのゲート電極が端子26に接続されている。また、トランジスタ36は、その第1端子が高電源電位(Vdd)の与えられているノードに接続され、その第2端子がトランジスタ34のゲート電極及びトランジスタ39のゲート電極に接続されている。なお、トランジスタ36の第1端子が、低電源電位(Vss)よりも高電位であり且つ高電源電位(Vdd)よりも低電位である電源電位(Vcc)の与えられているノードに接続される構成とすることもできる。
【0096】
トランジスタ37は、そのゲート電極が端子23に接続されている。また、トランジスタ37は、その第1端子が高電源電位(Vdd)の与えられているノードに接続され、その第2端子がトランジスタ34のゲート電極及びトランジスタ39のゲート電極に接続されている。なお、トランジスタ37の第1端子が、電源電位(Vcc)の与えられているノードに接続される構成とすることもできる。
【0097】
トランジスタ38は、その第1端子が端子24に接続され、その第2端子が端子25に接続されている。
【0098】
トランジスタ39は、その第1端子が低電源電位(Vss)の与えられているノードに接続され、その第2端子が端子25に接続されている。
【0099】
次いで、図8(B)に、図8(A)に示したパルス出力回路のタイミングチャートの一例を示す。なお、図8(B)に示す期間t1乃至期間t7は、同じ長さの期間を示している。そして、上記期間t1乃至期間t7は、第1の走査線駆動回路用第1クロック信号(GCK1)乃至第1の走査線駆動回路用第4クロック信号(GCK4)のパルス幅の1/3にそれぞれ相当し、第1のパルス幅制御信号(PWC1)乃至第6のパルス幅制御信号(PWC6)のパルス幅の1/2にそれぞれ相当する。
【0100】
図8(A)に示したパルス出力回路は、期間t1及び期間t2において、端子21に入力される電位がハイレベル、端子22、端子23、端子24及び端子26に入力される電位がローレベルとなるため、端子25からローレベルの電位、端子27からローレベルの電位が出力される。
【0101】
次いで、期間t3において、端子21及び端子24に入力される電位がハイレベル、端子22、端子23及び端子26に入力される電位がローレベルとなるため、端子25からハイレベルの電位、端子27からローレベルの電位が出力される。
【0102】
次いで、期間t4において、端子22及び端子24に入力される電位がハイレベル、端子21、端子23及び端子26に入力される電位がローレベルとなるため、端子25からハイレベルの電位、端子27からハイレベルの電位が出力される。
【0103】
次いで、期間t5及び期間t6において、端子22に入力される電位がハイレベル、端子21、端子23、端子24及び端子26に入力される電位がローレベルとなるため、端子25からローレベルの電位、端子27からハイレベルの電位が出力される。
【0104】
次いで、期間t7において、端子23及び端子26に入力される電位がハイレベル、端子21、端子22、及び端子24に入力される電位がローレベルの期間において、端子25からローレベルの電位、端子27からローレベルの電位が出力される。
【0105】
次いで、図8(C)に、図8(A)に示したパルス出力回路のタイミングチャートの、別の一例を示す。なお、図8(C)に示す期間t1乃至期間t7は、同じ長さの期間を示している。そして、上記期間t1乃至期間t7は、第1の走査線駆動回路用第1クロック信号(GCK1)乃至第1の走査線駆動回路用第4クロック信号(GCK4)のパルス幅の1/3にそれぞれ相当し、第1のパルス幅制御信号(PWC1)乃至第6のパルス幅制御信号(PWC6)のパルス幅の1/3にそれぞれ相当する。
【0106】
図8(A)に示したパルス出力回路は、期間t1乃至期間t3において、端子21に入力される電位がハイレベル、端子22、端子23、端子24及び端子26に入力される電位がローレベルとなるため、端子25からローレベルの電位、端子27からローレベルの電位が出力される。
【0107】
次いで、期間t4乃至期間t6において、端子22及び端子24に入力される電位がハイレベル、端子21、端子23及び端子26に入力される電位がローレベルの期間となるため、端子25からハイレベルの電位、端子27からハイレベルの電位が出力される。
【0108】
<フルカラー画像表示期間301における第1の走査線駆動回路の動作例>次いで、図6、図7、図8(A)を用いて説明した第1の走査線駆動回路11aを例に挙げて、図3において示したフルカラー画像表示期間301における、第1の走査線駆動回路11aの動作について説明する。
【0109】
図9に、フルカラー画像表示期間301における、第1の走査線駆動回路11aのタイミングチャートの一例を示す。図9では、サブフレーム期間SF1、サブフレーム期間SF2、サブフレーム期間SF3が、1フレーム期間に設けられている場合を例示している。そして、サブフレーム期間SF1のタイミングチャートを、図9に代表例として示している。ただし、図9では、m=3kの場合を例示している。
【0110】
図9では、走査線GLa1乃至走査線GLakは、領域101の画素に接続され、走査線GLak+1乃至走査線GLa2kは、領域102の画素に接続され、走査線GLa2k+1乃至走査線GLa3kは、領域103の画素に接続されている場合のタイミングチャートを例示する。
【0111】
第1の走査線駆動回路用第1クロック信号(GCK1)は、周期的にハイレベルの電位(高電源電位(Vdd))とローレベルの電位(低電源電位(Vss))を繰り返す、デューティー比が1/4の信号である。また、第1の走査線駆動回路用第2クロック信号(GCK2)は、第1の走査線駆動回路用第1クロック信号(GCK1)から1/4周期分位相が遅れた信号であり、第1の走査線駆動回路用第3クロック信号(GCK3)は、第1の走査線駆動回路用第1クロック信号(GCK1)から1/2周期位相が遅れた信号であり、第1の走査線駆動回路用第4クロック信号(GCK4)は、第1の走査線駆動回路用第1クロック信号(GCK1)から3/4周期位相が遅れた信号である。
【0112】
第1のパルス幅制御信号(PWC1)は、周期的にハイレベルの電位(高電源電位(Vdd))とローレベルの電位(低電源電位(Vss))を繰り返す、デューティー比が1/3の信号である。また、第2のパルス幅制御信号(PWC2)は、第1のパルス幅制御信号(PWC1)から1/6周期位相が遅れた信号であり、第3のパルス幅制御信号(PWC3)は、第1のパルス幅制御信号(PWC1)から1/3周期位相が遅れた信号であり、第4のパルス幅制御信号(PWC4)は、第1のパルス幅制御信号(PWC1)から1/2周期位相が遅れた信号であり、第5のパルス幅制御信号(PWC5)は、第1のパルス幅制御信号(PWC1)から2/3周期位相が遅れた信号であり、第6のパルス幅制御信号(PWC6)は、第1のパルス幅制御信号(PWC1)から5/6周期位相が遅れた信号である。
【0113】
そして、図9では、第1の走査線駆動回路用第1クロック信号(GCK1)乃至第1の走査線駆動回路用第4クロック信号(GCK4)のパルス幅と第1のパルス幅制御信号(PWC1)乃至第6のパルス幅制御信号(PWC6)のパルス幅の比は、3:2とする。
【0114】
各サブフレーム期間SFは、走査線駆動回路用スタートパルス信号(GSP)のパルスが有する電位の立ち下がりに従って開始する。走査線駆動回路用スタートパルス信号(GSP)のパルス幅は、第1の走査線駆動回路用第1クロック信号(GCK1)乃至第1の走査線駆動回路用第4クロック信号(GCK4)と同程度である。そして、走査線駆動回路用スタートパルス信号(GSP)のパルスが有する電位の立ち下がりと、第1の走査線駆動回路用第1クロック信号(GCK1)のパルスが有する電位の立ち上がりが、同期している。また、走査線駆動回路用スタートパルス信号(GSP)のパルスが有する電位の立ち下がりは、第1のパルス幅制御信号(PWC1)のパルスが有する電位の立ち上がりから、第1のパルス幅制御信号(PWC1)の1/6周期分遅れたタイミングで出現する。
【0115】
そして、上記信号により、図8(A)に示したパルス出力回路は、図8(B)に示したタイミングチャートに従って動作する。よって、図9に示すように、領域101に対応する走査線GLa1乃至走査線GLakには、パルスの順次シフトした選択信号が与えられる。なおかつ、走査線GLa1乃至走査線GLakに与えられる選択信号のパルスは、パルス幅の2分の3に相当する期間、位相が遅れるようにシフトしている。なお、走査線GLa1乃至走査線GLakに与えられる選択信号のパルス幅は、第1のパルス幅制御信号(PWC1)乃至第6のパルス幅制御信号(PWC6)のパルス幅と同程度である。
【0116】
また、領域101の場合と同様に、領域102に対応する走査線GLak+1乃至走査線GLa2kには、パルスの順次シフトした選択信号が与えられる。なおかつ、走査線GLak+1乃至走査線GLa2kに与えられる選択信号のパルスは、パルス幅の2分の3に相当する期間、位相が遅れるようにシフトしている。なお、走査線GLak+1乃至走査線GLa2kに与えられる選択信号のパルス幅は、第1のパルス幅制御信号(PWC1)乃至第6のパルス幅制御信号(PWC6)のパルス幅と同程度である。
【0117】
また、領域101の場合と同様に、領域103に対応する走査線GLa2k+1乃至走査線GLa3kには、パルスの順次シフトした選択信号が与えられる。なおかつ、走査線GLa2k+1乃至走査線GLa3kに与えられる選択信号のパルスは、パルス幅の2分の3に相当する期間、位相が遅れるようにシフトしている。なお、走査線GLa2k+1乃至走査線GLa3kに与えられる選択信号のパルス幅は、第1のパルス幅制御信号(PWC1)乃至第6のパルス幅制御信号(PWC6)のパルス幅と同程度である。
【0118】
そして、走査線GLa1、走査線GLak+1、走査線GLa2k+1に与えられる選択信号のパルスは、パルス幅の2分の1に相当する期間、位相が遅れるように順次シフトしている。
【0119】
<モノクロ静止画表示期間303における第2の走査線駆動回路の動作例>
次いで、第2の走査線駆動回路11bを例に挙げて、図3において示したモノクロ静止画表示期間303における、第2の走査線駆動回路11bの動作について説明する。
【0120】
図10に、モノクロ静止画表示期間303における、第2の走査線駆動回路11bのタイミングチャートの一例を示す。図10では、画像信号の画素への書き込みを行う書き込み期間と、上記画像信号の保持を行う保持期間とが、1フレーム期間に設けられている場合を例示している。
【0121】
第2の走査線駆動回路用第1クロック信号(GCK1)乃至第2の走査線駆動回路用第4クロック信号(GCK4)には、図9の場合と同様の信号を用いることができる。
【0122】
第1のパルス幅制御信号(PWC1)、第4のパルス幅制御信号(PWC4)は、書き込み期間における最初の1/3の期間において、周期的にハイレベルの電位(高電源電位(Vdd))とローレベルの電位(低電源電位(Vss))を繰り返す、デューティー比が1/2の信号であり、なおかつ、それ以外の期間はローレベルの電位を有する信号である。そして、第4のパルス幅制御信号(PWC4)は、第1のパルス幅制御信号(PWC1)から1/2周期位相が遅れた信号である。
【0123】
また、第2のパルス幅制御信号(PWC2)、第5のパルス幅制御信号(PWC5)は、書き込み期間における真ん中の1/3の期間において、周期的にハイレベルの電位(高電源電位(Vdd))とローレベルの電位(低電源電位(Vss))を繰り返す、デューティー比が1/2の信号であり、なおかつ、それ以外の期間はローレベルの電位を有する信号である。そして、第5のパルス幅制御信号(PWC5)は、第2のパルス幅制御信号(PWC2)から1/2周期位相が遅れた信号である。
【0124】
また、第3のパルス幅制御信号(PWC3)、第6のパルス幅制御信号(PWC6)は、書き込み期間における最後の1/3の期間において、周期的にハイレベルの電位(高電源電位(Vdd))とローレベルの電位(低電源電位(Vss))を繰り返す、デューティー比が1/2の信号であり、なおかつ、それ以外の期間はローレベルの電位を有する信号である。そして、第6のパルス幅制御信号(PWC6)は、第3のパルス幅制御信号(PWC3)から1/2周期位相が遅れた信号である。
【0125】
そして、図10では、第2の走査線駆動回路用第1クロック信号(GCK1)乃至第2の走査線駆動回路用第4クロック信号(GCK4)のパルス幅と第1のパルス幅制御信号(PWC1)乃至第6のパルス幅制御信号(PWC6)のパルス幅の比は、1:1とする。
【0126】
フレーム期間Fは、走査線駆動回路用スタートパルス信号(GSP)のパルスが有する電位の立ち下がりに従って開始する。走査線駆動回路用スタートパルス信号(GSP)のパルス幅は、第2の走査線駆動回路用第1クロック信号(GCK1)乃至第2の走査線駆動回路用第4クロック信号(GCK4)と同程度である。そして、走査線駆動回路用スタートパルス信号(GSP)のパルスが有する電位の立ち下がりと、第2の走査線駆動回路用第1クロック信号(GCK1)のパルスが有する電位の立ち上がりが、同期している。また、走査線駆動回路用スタートパルス信号(GSP)のパルスが有する電位の立ち下がりと、第1のパルス幅制御信号(PWC1)のパルスが有する電位の立ち上がりとが、同期している。
【0127】
そして、上記信号により、図8(A)に示したパルス出力回路は、図8(C)に示したタイミングチャートに従って動作する。よって、図10に示すように、領域101に対応する走査線GLb1乃至走査線GLbkには、パルスの順次シフトした選択信号が与えられる。なおかつ、走査線GLb1乃至走査線GLbkに与えられる選択信号のパルスは、パルス幅に相当する期間、位相が遅れるようにシフトしている。なお、走査線GLb1乃至走査線GLbkに与えられる選択信号のパルス幅は、第1のパルス幅制御信号(PWC1)乃至第6のパルス幅制御信号(PWC6)のパルス幅と同程度である。
【0128】
また、領域101に対応する走査線GLb1乃至走査線GLbkの全てにパルスの順次シフトした選択信号が与えられると、次いで、領域102に対応する走査線GLbk+1乃至走査線GLb2kにも、パルスの順次シフトした選択信号が与えられる。なおかつ、走査線GLbjk+1乃至走査線GLb2kに与えられる選択信号のパルスは、パルス幅に相当する期間、位相が遅れるようにシフトしている。なお、走査線GLbk+1乃至走査線GLb2kに与えられる選択信号のパルス幅は、第1のパルス幅制御信号(PWC1)乃至第6のパルス幅制御信号(PWC6)のパルス幅と同程度である。
【0129】
また、領域102に対応する走査線GLbk+1乃至走査線GLb2kの全てにパルスの順次シフトした選択信号が与えられると、次いで、領域103に対応する走査線GL2bk+1乃至走査線GLb3kにも、パルスの順次シフトした選択信号が与えられる。なおかつ、走査線GLb2k+1乃至走査線GLb3kに与えられる選択信号のパルスは、パルス幅に相当する期間、位相が遅れるようにシフトしている。なお、走査線GLb2k+1乃至走査線GLb3kに与えられる選択信号のパルス幅は、第1のパルス幅制御信号(PWC1)乃至第6のパルス幅制御信号(PWC6)のパルス幅と同程度である。
【0130】
次いで、保持期間では、第2の走査線駆動回路11bへの駆動信号または電源電位の供給を停止する。具体的には、まず、走査線駆動回路用スタートパルス信号(GSP)の供給を停止することで、第2の走査線駆動回路11bにおけるパルス出力回路からの選択信号の出力を停止し、第2の走査線駆動回路11bに接続された全ての走査線におけるパルスによる選択を終了させる。その後、第2の走査線駆動回路11bへの電源電位Vddの供給を停止する。なお、入力又は供給の停止とは、例えば信号又は電位が入力されていた配線を浮遊状態にすること、或いは、信号又は電位が入力されていた配線に、ローレベルの電位を与えることを意味する。上記方法により、動作を停止する際に、第2の走査線駆動回路11bが誤動作するのを防ぐことができる。さらに、上記構成に加えて、第2の走査線駆動回路用第1クロック信号(GCK1)乃至第2の走査線駆動回路用第4クロック信号(GCK4)、第1のパルス幅制御信号(PWC1)乃至第6のパルス幅制御信号(PWC6)の第2の走査線駆動回路11bへの供給を停止しても良い。
【0131】
第2の走査線駆動回路11bへの駆動信号または電源電位の供給を停止することで、走査線GLb1乃至走査線GLbkと、走査線GLbk+1乃至走査線GLb2kと、走査線GLb2k+1乃至走査線GLb3kとには、ローレベルの電位が与えられる。
【0132】
なお、モノクロ動画表示期間302については、書き込み期間における第2の走査線駆動回路11bの動作がモノクロ静止画表示期間303と同じである。
【0133】
<第1の信号線駆動回路12a>
図11(A)は、図2(A)に示す液晶表示装置が有する第1の信号線駆動回路12aの構成例を示す図である。第1の信号線駆動回路12aは、第1の出力端子乃至第nの出力端子を有するシフトレジスタ120aと、画像信号(DATA)の信号線SLa1乃至信号線SLanへの供給を制御するスイッチング素子群123aとを有する。
【0134】
具体的に、スイッチング素子群123aは、トランジスタ121_1乃至トランジスタ121_nを有している。トランジスタ121_1乃至トランジスタ121_nは、その第1端子が、画像信号(DATA)を供給する配線に接続されており、その第2端子が信号線SLa1乃至信号線SLanのそれぞれに接続されている。トランジスタ121_1乃至トランジスタ121_nのゲート電極は、第1の出力端子乃至第nの出力端子にそれぞれ接続されている。
【0135】
なお、シフトレジスタ120aは、信号線駆動回路用スタートパルス信号(SSP1)と、信号線駆動回路用クロック信号(SCK1)などの駆動信号に従って動作を行い、パルスが順次シフトした信号を第1の出力端子乃至第nの出力端子から出力する。上記信号がゲート電極に入力されることで、トランジスタ121_1乃至トランジスタ121_nは、順次オンとなる。
【0136】
図12(A)は、フルカラー画像表示期間301における、信号線に供給される画像信号(DATA)のタイミングの一例を示す図である。図11(A)に示す第1の信号線駆動回路12aでは、図12(A)に示すように、2つの走査線に入力される選択信号のパルスが重なっている期間において、パルスが先に出現した走査線に対応する画像信号(DATA)がサンプリングされて、各信号線に入力される。具体的には、走査線GLa1に入力される選択信号のパルスと、走査線GLak+1に入力される選択信号のパルスとが、パルス幅の1/2に相当する期間t4において重なっている。なお、走査線GLa1と走査線GLak+1とでは、パルスが先に出現しているのは走査線GLa1である。そして、上記パルスが重なっている期間において、画像信号(DATA)のうち、走査線GLa1に対応する画像信号(data1)がサンプリングされ、信号線SLa1乃至信号線SLanに入力される。
【0137】
同様に、期間t5において、走査線GLak+1に対応する画像信号(datak+1)がサンプリングされ、信号線SLa1乃至信号線SLanに入力される。期間t6において、走査線GLa2k+1に対応する画像信号(data2k+1)がサンプリングされ、信号線SLa1乃至信号線SLanに入力される。期間t7において、走査線GLa2に対応する画像信号(data2)がサンプリングされ、信号線SLa1乃至信号線SLanに入力される。そして、期間t8以降においても、同様の動作が繰り返されることで、画素部に画像信号(DATA)が書き込まれる。
【0138】
すなわち、信号線SLa1乃至信号線SLanへの画像信号の入力は、走査線GLas(sは、k未満の自然数)に接続された画素、次いで、走査線GLak+sに接続された画素、次いで、走査線GLa2k+sに接続された画素、次いで、走査線GLas+1に接続された画素、という順序で行われる。
【0139】
図12(B)は、モノクロ動画表示期間302及びモノクロ静止画表示期間303が有する書き込み期間における、信号線に供給される画像信号(DATA)のタイミングの一例を示す図である。
【0140】
<第2の信号線駆動回路12b>
図11(B)は、図2(A)に示す液晶表示装置が有する第2の信号線駆動回路12bの構成例を示す図である。第2の信号線駆動回路12bは、第1の出力端子乃至第nの出力端子を有するシフトレジスタ120bと、画像信号(DATA)の信号線SLb1乃至信号線SLbnへの供給を制御するスイッチング素子群123bとを有する。
【0141】
具体的に、スイッチング素子群123bは、n個のトランジスタを有している。それぞれのトランジスタは、その第1端子が、画像信号(DATA)を供給する配線に接続されており、その第2端子が信号線SLb1乃至信号線SLbnのそれぞれに接続されている。また、トランジスタのゲート電極は、第1の出力端子乃至第nの出力端子にそれぞれ接続されている。
【0142】
なお、シフトレジスタ120bは、信号線駆動回路用スタートパルス信号(SSP2)と、信号線駆動回路用クロック信号(SCK2)などの駆動信号に従って動作を行い、パルスが順次シフトした信号を第1の出力端子乃至第nの出力端子から出力する。上記信号がゲート電極に入力されることで、n個のトランジスタは、順次オンとなる。
【0143】
図11(B)に示す第2の信号線駆動回路12bでは、図12(B)に示すように、各走査線に入力される選択信号のパルスが出現している期間において、当該走査線に対応する画像信号(DATA)がサンプリングされて、各信号線に入力される。具体的には、走査線GLb1に入力される選択信号のパルスが出現している期間において、画像信号(DATA)のうち、走査線GLb1に対応する画像信号(data1)がサンプリングされ、信号線SLb1乃至信号線SLbnに入力される。
【0144】
同様に、以下、走査線GLb1以降の各走査線においても同様の動作が繰り返されることで、画素部に画像信号(DATA)が書き込まれる。
【0145】
なお、モノクロ静止画表示期間303が有する保持期間では、シフトレジスタ120bへの信号線駆動回路用スタートパルス信号(SSP2)の供給と、画像信号(DATA)の、第2の信号線駆動回路12bへの供給を停止する。具体的には、まず、信号線駆動回路用スタートパルス信号(SSP2)の供給を停止することで、第2の信号線駆動回路12bにおける画像信号のサンプリングを停止させる。その後、第2の信号線駆動回路12bへの画像信号の供給と、電源電位の供給とを停止する。上記方法により、動作を停止する際に、第2の信号線駆動回路12bが誤動作するのを防ぐことができる。さらに、上記構成に加えて、第2の信号線駆動回路12bへの、信号線駆動回路用クロック信号(SCK2)の供給を停止しても良い。
【0146】
<液晶表示装置の動作例>
図13は、フルカラー画像表示期間301における、上述した液晶表示装置における選択信号の走査のタイミングと、バックライトの点灯のタイミングとを示す図である。なお、図13において縦軸は画素部における行を表し、横軸は時間を表している。
【0147】
図13に示すように、本実施の形態で示した液晶表示装置では、フルカラー画像表示期間301において、走査線GLa1に対して選択信号を供給した後にk行分先の走査線GLak+1に対して選択信号を供給するような駆動方法を用いることが可能である。そのため、同一のサブフレーム期間SFにおいて、走査線GLa1に接続されたn個の画素から走査線GLakに接続されたn個の画素を順次選択し、且つ、走査線GLak+1に接続されたn個の画素から走査線GLa2kに接続されたn個の画素を順次選択し、且つ、走査線GLa2k+1に接続されたn個の画素から走査線GLa3kに接続されたn個の画素を順次選択することで、各画素に画像信号を入力することが可能である。
【0148】
具体的に、図13では、第1のサブフレーム期間SF1において、走査線GLa1から走査線GLakに接続された画素に赤(R)に対応する画像信号を書き込んだ後、当該走査線に接続された画素に、赤(R)の光を供給する。上記構成により、走査線GLa1から走査線GLakに対応する画素部の領域101において、赤(R)に対応する画像を表示することができる。
【0149】
また、第1のサブフレーム期間SF1において、走査線GLak+1から走査線GLa2kに接続された画素に緑(G)に対応する画像信号を書き込んだ後、当該走査線に接続された画素に、緑(G)の光を供給する。上記構成により、走査線GLak+1から走査線GLa2kに対応する画素部の領域102において、緑(G)に対応する画像を表示することができる。
【0150】
また、第1のサブフレーム期間SF1において、走査線GLa2k+1から走査線GLa3kに接続された画素に青(B)に対応する画像信号を書き込んだ後、当該走査線に接続された画素に、青(B)の光を供給する。上記構成により、走査線GLa2k+1から走査線GLa3kに対応する画素部の領域103において、青(B)に対応する画像を表示することができる。
【0151】
次いで、第2のサブフレーム期間SF2及び第3のサブフレーム期間SF3においても、第1のサブフレーム期間SF1と同様の動作を繰り返す。ただし、第2のサブフレーム期間SF2では、走査線GLa1から走査線GLakに対応する画素部の領域101において、青(B)に対応する画像を表示し、走査線GLak+1から走査線GLa2kに対応する画素部の領域102において、赤(R)に対応する画像を表示し、走査線GLa2k+1から走査線GLa3kに対応する画素部の領域103において、緑(G)に対応する画像を表示する。また、第3のサブフレーム期間SF3では、走査線GLa1から走査線GLakに対応する画素部の領域101において、緑(G)に対応する画像を表示し、走査線GLak+1から走査線GLa2kに対応する画素部の領域102において、青(B)に対応する画像を表示し、走査線GLa2k+1から走査線GLa3kに対応する画素部の領域103において、赤(R)に対応する画像を表示する。
【0152】
そして、走査線GLaの全てにおいて第1のサブフレーム期間SF1乃至第3のサブフレーム期間SF3が終了する、すなわち1フレーム期間が終了することで、フルカラーの画像を画素部に表示することができる。
【0153】
なお、本発明の一態様では、各領域をさらに分割し、その分割された領域において画像信号の書き込みが終了した時点で、バックライトの点灯を順次開始するようにしても良い。例えば、領域101のうち、走査線GLa1から走査線GLah(hはk/4以下の自然数とする)に接続された画素に赤(R)に対応する画像信号を書き込んだ後、走査線GLah+1から走査線GLa2hに接続された画素に赤(R)に対応する画像信号を書き込むのと並行して、走査線GLa1から走査線GLahに接続された画素に赤(R)の光を供給するようにしても良い。
【0154】
また、図14は、モノクロ静止画表示期間303における、上述した液晶表示装置における選択信号の走査のタイミングと、バックライトの消灯のタイミングとを示す図である。なお、図14において縦軸は画素部における行を表し、横軸は時間を表している。
【0155】
図14に示すように、本実施の形態で示した液晶表示装置では、モノクロ静止画表示期間303において、走査線GLb1乃至走査線GLb3kに対して順次選択信号を供給する。
【0156】
具体的に、図14では、例えば、領域101のうち、走査線GLb1から走査線GLbhに接続された画素に画像信号を書き込んだ後、走査線GLbh+1から走査線GLb2hに接続された画素に画像信号を書き込むのと並行して、走査線GLb1から走査線GLbhに接続された画素への光源からの光の供給を停止する。その結果、外光を利用して、モノクロの画像を画素部に表示することができる。
【0157】
なお、モノクロ動画表示期間302の場合は、走査線GLb1乃至走査線GLb3kに接続された画素において上記動作が行われた後、再度同じ動作を繰り返し、モノクロの画像を連続して画素部に表示すれば良い。
【0158】
<パルス出力回路の構成例2>
また、図19(A)に、パルス出力回路の別の構成例を示す。図19(A)に示すパルス出力回路は、図8(A)に示したパルス出力回路にトランジスタ50を付加した構成を有する。トランジスタ50は、その第1端子が高電源電位の与えられているノードに接続され、その第2端子がトランジスタ32のゲート電極、トランジスタ34のゲート電極、及びトランジスタ39のゲート電極に接続されている。またトランジスタ50は、そのゲート電極がリセット端子(Reset)に接続されている。
【0159】
なお、当該リセット端子には、画素部においてバックライトの色相の切り替えが一巡した後の期間において、ハイレベルの電位が入力され、その他の期間においてはローレベルの電位が入力される。なお、トランジスタ50は、ハイレベルの電位が入力されることでオン状態となるトランジスタである。これにより、バックライトの点灯が行われた後の期間において、各ノードの電位を初期化することができるので、誤動作を防止することが可能となる。
【0160】
なお、当該初期化を行う場合には、画素部に1枚の画像が形成される期間どうしの間に初期化期間を設ける必要がある。また、画素部に1画像を形成した後にバックライトを消灯する場合、消灯する期間において当該初期化を行うことが可能である。
【0161】
また、図19(B)に、パルス出力回路の別の構成例を示す。図19(B)に示すパルス出力回路は、図8(A)に示したパルス出力回路にトランジスタ51を付加した構成を有する。トランジスタ51は、その第1端子がトランジスタ31の第2端子及びトランジスタ32の第2端子に接続され、その第2端子がトランジスタ33のゲート電極及びトランジスタ38のゲート電極に接続されている。また、トランジスタ51は、そのゲート電極が高電源電位の与えられているノードに接続されている。
【0162】
なお、トランジスタ51は、図8(B)及び図8(C)に示した期間t1乃至期間t6において、オフとなる。そのため、トランジスタ51を付加した構成とすることで、期間t1乃至期間t6において、トランジスタ33のゲート電極及びトランジスタ38のゲート電極と、トランジスタ31の第2端子及びトランジスタ32の第2端子との接続を遮断することが可能となる。これにより、期間t1乃至期間t6に含まれる期間において、当該パルス出力回路で行われるブートストラップ動作時の負荷を低減することが可能である。
【0163】
また、図20(A)に、パルス出力回路の別の構成例を示す。図20(A)に示すパルス出力回路は、図19(B)に示したパルス出力回路にトランジスタ52を付加した構成を有する。トランジスタ52は、その第1端子がトランジスタ33のゲート電極及びトランジスタ51の第2端子に接続され、その第2端子がトランジスタ38のゲート電極に接続されている。また、トランジスタ52は、そのゲート電極が、高電源電位の与えられているノードに接続されている。
【0164】
トランジスタ52を設けることによって、当該パルス出力回路で行われるブートストラップ動作時の負荷を低減することが可能である。特に、当該パルス出力回路がトランジスタ33のソース電極とゲート電極の容量結合のみによって、トランジスタ33のゲート電極に接続されているノードの電位を上昇させる場合、当該負荷を低減する効果が大きい。
【0165】
また、図20(B)に、パルス出力回路の別の構成例を示す。図20(B)に示すパルス出力回路は、図20(A)に示したパルス出力回路からトランジスタ51を削除し、トランジスタ53を付加した構成を有する。トランジスタ53は、その第1端子がトランジスタ31の第2端子、トランジスタ32の第2端子、及びトランジスタ52の第1端子に接続され、その第2端子がトランジスタ33のゲート電極に接続されている。また、トランジスタ53は、そのゲート電極が高電源電位の与えられているノードに接続されている。
【0166】
トランジスタ53を設けることによって、当該パルス出力回路で行われるブートストラップ動作時の負荷を低減することが可能である。また、当該パルス出力回路に生じる不正パルスが、トランジスタ33及びトランジスタ38のスイッチングに与える影響を軽減することが可能である。
【0167】
本実施の形態で示したように、本発明の一態様に係る液晶表示装置は、画素部を複数の領域に分割し、領域ごとに異なる色相の光を順次供給することで、カラー画像の表示を行う。よって、特定の時刻に着目すると、隣接する領域に供給される光の色相を、互いに異ならせることができる。よって、各色の画像が合成されずに個別に視認されるのを防ぐことができ、動画の表示を行う際に起きやすかったカラーブレイクの発生を防ぐことができる。
【0168】
なお、異なる色相を有する複数の光源を用いてカラー画像の表示を行う場合、単色の光源とカラーフィルタを組み合わせる場合とは異なり、上記複数の光源を順次切り換えて発光させる必要がある。そして、上記光源の切り換えが行われる周波数は、単色の光源を用いた場合のフレーム周波数よりも高い値に設定する必要がある。例えば、単色の光源を用いた場合のフレーム周波数を60Hzとすると、赤、緑、青の各色に対応する光源を用いてフィールドシーケンシャル方式の駆動を行う場合、光源の切り替えを行う周波数は、約3倍の180Hzとなる。よって、駆動回路も上記光源の周波数に合わせて動作させるので、非常に高い周波数で動作を行うことになる。従って、駆動回路における消費電力が、単色の光源とカラーフィルタを組み合わせる場合に比べて高くなりやすい。
【0169】
しかし、本発明の一態様では、オフ電流の極めて小さいトランジスタを用いることで、液晶素子に与えられる電圧が保持される期間を長くすることができる。そのため、静止画を表示する際の駆動周波数を、動画を表示する際の駆動周波数よりも低くすることができる。そのため、消費電力を低減することができる液晶表示装置を実現することができる。
【0170】
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1とパネルの構成が異なる、本発明の一態様に係る液晶表示装置の一例について説明する。
【0171】
図15は、液晶表示装置の構成例を示す図である。図15に示す液晶表示装置は、画素部60と、走査線駆動回路61a、61bと、信号線駆動回路62a、62bとを有する。本発明の一態様では、画素部60が複数の領域に分割されている。具体的に、図15では、画素部60が、3つの領域(領域601〜領域603)に分割されている場合を例示している。そして、各領域は、マトリクス状に配設された複数の画素615を有する。
【0172】
また、画素部60には、走査線駆動回路61aによって電位が制御されるm本の走査線GLaと、信号線駆動回路62aによって電位が制御される3×n本の信号線SLとが設けられている。そして、m本の走査線GLaは、画素部60が有する領域の数に合わせて、複数のグループに分割されている。例えば、図15の場合、画素部60が3つの領域に分割されているので、m本の走査線GLaも3つのグループに分割されている。そして、各グループに属する走査線GLaは、当該グループに対応する領域が有する複数の画素615に、接続されている。具体的に、各走査線GLaは、各領域においてマトリクス状に配設された複数の画素615のうち、いずれかの行に配設されたn個の画素615に接続される。
【0173】
また、信号線SLも、画素部60が有する領域の数に合わせて、複数のグループに分割されている。例えば、図15の場合、画素部60が3つの領域に分割されているので、3×n本の信号線SLも3つのグループに分割されている。そして、各グループに属する信号線SLは、当該グループに対応する領域が有する複数の画素615に、接続されている。
【0174】
具体的に、図15では、3×n本の信号線SLが、n本の信号線SLaと、n本の信号線SLcと、n本の信号線SLdとで構成されている場合を例示している。そして、図15では、n本の信号線SLaが、領域601においてマトリクス状に配設された複数の画素615のうち、いずれかの列に配設された画素615に接続されている場合を例示している。また、図15では、n本の信号線SLcが、領域602においてマトリクス状に配設された複数の画素615のうち、いずれかの列に配設された画素615に接続されている場合を例示している。また、図15では、n本の信号線SLdが、領域603においてマトリクス状に配設された複数の画素615のうち、いずれかの列に配設された画素615に接続されている場合を例示している。
【0175】
<走査線駆動回路61a及び走査線駆動回路61bの構成例>
図16(A)は、図15に示す液晶表示装置が有する、走査線駆動回路61aの構成例を示す図である。図16(A)に示す走査線駆動回路61aは、k個の出力端子を有するシフトレジスタ611〜613を有する。なお、シフトレジスタ611が有する出力端子のそれぞれは、領域601に配設されたk本の走査線GLaのいずれかに接続され、シフトレジスタ612が有する出力端子のそれぞれは、領域602に配設されたk本の走査線GLaのいずれかに接続され、シフトレジスタ613が有する出力端子のそれぞれは、領域603に配設されたk本の走査線GLaのいずれかに接続される。すなわち、シフトレジスタ611は、領域601において選択信号を走査するシフトレジスタであり、シフトレジスタ612は、領域602において選択信号を走査するシフトレジスタであり、シフトレジスタ613は、領域603において選択信号を走査するシフトレジスタである。
【0176】
具体的に、シフトレジスタ611は、走査線駆動回路用スタートパルス信号(GSP)のパルスが入力されると、上記パルスに従って、走査線GLa1乃至走査線GLakに、順次パルスが1/2周期毎にシフトする選択信号を供給する。シフトレジスタ612は、走査線駆動回路用スタートパルス信号(GSP)のパルスが入力されると、上記パルスに従って、走査線GLak+1乃至走査線GLa2kに、順次パルスが1/2周期毎にシフトする選択信号を供給する。シフトレジスタ613は、走査線駆動回路用スタートパルス信号(GSP)のパルスが入力されると、上記パルスに従って、走査線GLa2k+1乃至走査線GLa3kに、順次パルスが1/2周期毎にシフトする選択信号を供給する。
【0177】
上述した走査線駆動回路61aのフルカラー画像表示期間301の動作例について、図17(A)を参照して説明する。
【0178】
なお、図17(A)では、走査線駆動回路用クロック信号(GCK)、走査線GLa1乃至走査線GLakに入力される選択信号、走査線GLak+1乃至走査線GLa2kに入力される選択信号、走査線GLa2k+1乃至走査線GLa3kに入力される選択信号の、タイミングチャートを示している。
【0179】
まず、フルカラー画像表示期間301における走査線駆動回路61aの動作について説明する。フルカラー画像表示期間301では、走査線駆動回路用スタートパルス信号(GSP)のパルスに従って、第1のサブフレーム期間SF1が開始する。第1のサブフレーム期間SF1では、走査線GLa1乃至走査線GLakに、順次パルスが1/2周期毎にシフトする選択信号が供給される。また、走査線GLak+1乃至走査線GLa2kにも、順次パルスが1/2周期毎にシフトする選択信号が供給される。また、走査線GLa2k+1乃至走査線GLa3kにも、順次パルスが1/2周期毎にシフトする選択信号が供給される。
【0180】
そして、再び走査線駆動回路用スタートパルス信号(GSP)のパルスが走査線駆動回路61aに入力されると、上記パルスに従って、第2のサブフレーム期間SF2が開始する。第2のサブフレーム期間SF2では、第1のサブフレーム期間SF1と同様に、走査線GLa1乃至走査線GLak、走査線GLak+1乃至走査線GLa2k、走査線GLa2k+1乃至走査線GLa3kに、順次パルスのシフトした選択信号が入力される。
【0181】
そして、再び走査線駆動回路用スタートパルス信号(GSP)のパルスが走査線駆動回路61aに入力されると、上記パルスに従って、第3のサブフレーム期間SF3が開始する。第3のサブフレーム期間SF3では、第1のサブフレーム期間SF1と同様に、走査線GLa1乃至走査線GLak、走査線GLak+1乃至走査線GLa2k、走査線GLa2k+1乃至走査線GLa3kに、順次パルスのシフトした選択信号が入力される。
【0182】
第1のサブフレーム期間SF1乃至第3のサブフレーム期間SF3が終了することで1フレーム期間が終了し、画素部に画像が表示される。
【0183】
次いで、モノクロ静止画表示期間303における走査線駆動回路61bの動作について説明する。モノクロ静止画表示期間303では、画像信号の書き込み期間において、フルカラー画像表示期間301における各サブフレーム期間と同様の動作が走査線駆動回路61bで行われる。
【0184】
図16(B)に示す走査線駆動回路61bは、3k個の出力端子を有するシフトレジスタ614を有する。なお、シフトレジスタ614が有する出力端子のそれぞれは、領域601に配設されたk本の走査線GLbと、領域602に配設されたk本の走査線GLbと、領域603に配設されたk本の走査線GLbのいずれかに接続される。
【0185】
具体的に、シフトレジスタ614は、走査線駆動回路用スタートパルス信号(GSP)のパルスが入力されると、上記パルスに従って動作を開始し、パルスが順次シフトした選択信号を出力する。
【0186】
次いで、保持期間では、走査線駆動回路61bへの駆動信号及び電源電位の供給を停止する。具体的には、まず、走査線駆動回路用スタートパルス信号(GSP)の供給を停止することで、走査線駆動回路61bからの選択信号の出力を停止し、走査線GLbの全てにおけるパルスによる選択を終了させる。その後、走査線駆動回路61bへの電源電位の供給を停止する。上記方法により、走査線駆動回路61bの動作を停止する際に、走査線駆動回路61bが誤動作するのを防ぐことができる。さらに、上記構成に加えて、第2の走査線駆動回路用第1クロック信号(GCK1)乃至第2の走査線駆動回路用第4クロック信号(GCK4)の走査線駆動回路61bへの供給を停止しても良い。
【0187】
走査線駆動回路61bへの駆動信号または電源電位の供給を停止することで、走査線GLb1乃至走査線GLbkと、走査線GLbk+1乃至走査線GLb2kと、走査線GLb2k+1乃至走査線GLb3kとには、ローレベルの電位が与えられる。
【0188】
なお、モノクロ動画表示期間302については、書き込み期間における走査線駆動回路61bの動作がモノクロ静止画表示期間303と同じである。
【0189】
本発明の一態様では、オフ電流の極めて小さいトランジスタを画素に用いることで、液晶素子に与えられる電圧が保持される期間を長くすることができる。そのため、モノクロ静止画表示期間303では、図17(B)に示す保持期間を長く確保することができ、フルカラー画像表示期間301よりも、走査線駆動回路61bの駆動周波数を低くすることができる。そのため、消費電力を低減することができる液晶表示装置を実現することができる。
【0190】
<信号線駆動回路62aの構成例>
図18(A)は、図15に示す信号線駆動回路62aの構成例を示す図である。図18(A)に示す信号線駆動回路62aは、第1の出力端子乃至第nの出力端子を有するシフトレジスタ620aと、領域601に対応する画像信号(DATA1)、領域602に対応する画像信号(DATA2)、領域603に対応する画像信号(DATA3)の、信号線SLa、信号線SLc、及び信号線SLdへの供給を制御するスイッチング素子群623とを有する。
【0191】
具体的に、スイッチング素子群623は、トランジスタ65a1乃至トランジスタ65anと、トランジスタ65c1乃至トランジスタ65cnと、トランジスタ65d1乃至トランジスタ65dnとを有している。
【0192】
トランジスタ65a1乃至トランジスタ65anは、その第1端子が、画像信号(DATA1)を供給する配線に接続されており、その第2端子が信号線SLa1乃至信号線SLanのそれぞれに接続されている。トランジスタ65a1乃至トランジスタ65anのゲート電極は、シフトレジスタ620aの第1の出力端子乃至第nの出力端子にそれぞれ接続されている。
【0193】
トランジスタ65c1乃至トランジスタ65cnは、その第1端子が、画像信号(DATA2)を供給する配線に接続されており、その第2端子が信号線SLc1乃至信号線SLcnのそれぞれに接続されている。トランジスタ65c1乃至トランジスタ65cnのゲート電極は、シフトレジスタ620aの第1の出力端子乃至第nの出力端子にそれぞれ接続されている。
【0194】
トランジスタ65d1乃至トランジスタ65dnは、その第1端子が、画像信号(DATA3)を供給する配線に接続されており、その第2端子が信号線SLd1乃至信号線SLdnのそれぞれに接続されている。トランジスタ65d1乃至トランジスタ65dnのゲート電極は、シフトレジスタ620aの第1の出力端子乃至第nの出力端子にそれぞれ接続されている。
【0195】
なお、シフトレジスタ620aは、信号線駆動回路用スタートパルス信号(SSP1)と、信号線駆動回路用クロック信号(SCK1)などの駆動信号に従って動作を行い、パルスが順次シフトした信号を第1の出力端子乃至第nの出力端子から出力する。上記信号がゲート電極に入力されることで、トランジスタ65a1乃至トランジスタ65anと、トランジスタ65c1乃至トランジスタ65cnと、トランジスタ65d1乃至トランジスタ65dnは、順次オンとなる。そして、信号線SLa1乃至信号線SLanに画像信号(DATA1)が入力され、信号線SLc1乃至信号線SLcnに画像信号(DATA2)が入力され、信号線SLd1乃至信号線SLdnに画像信号(DATA3)が入力され、画像が表示される。
【0196】
<信号線駆動回路62bの構成例>
図18(B)は、図15に示す液晶表示装置が有する信号線駆動回路62bの構成例を示す図である。信号線駆動回路62bは、第1の出力端子乃至第nの出力端子を有するシフトレジスタ620bと、画像信号(DATA)の信号線SLb1乃至信号線SLbnへの供給を制御するスイッチング素子群624とを有する。
【0197】
スイッチング素子群624は、トランジスタ65b1乃至トランジスタ65bnを有している。トランジスタ65b1乃至トランジスタ65bnは、その第1端子が、画像信号(DATA4)を供給する配線に接続されており、その第2端子が信号線SLb1乃至信号線SLbnのそれぞれに接続されている。トランジスタ65b1乃至トランジスタ65bnのゲート電極は、第1の出力端子乃至第nの出力端子にそれぞれ接続されている。
【0198】
なお、シフトレジスタ620bは、信号線駆動回路用スタートパルス信号(SSP2)と、信号線駆動回路用クロック信号(SCK2)などの駆動信号に従って動作を行い、パルスが順次シフトした信号を第1の出力端子乃至第nの出力端子から出力する。上記信号がゲート電極に入力されることで、トランジスタ65b1乃至トランジスタ65bnは、順次オンとなる。
【0199】
なお、モノクロ静止画表示期間303が有する保持期間では、シフトレジスタ620bへの信号線駆動回路用スタートパルス信号(SSP2)の供給と、画像信号(DATA4)の、信号線駆動回路62bへの供給を停止する。具体的には、まず、信号線駆動回路用スタートパルス信号(SSP2)の供給を停止することで、信号線駆動回路62bにおける画像信号のサンプリングを停止させる。その後、信号線駆動回路62bへの画像信号の供給と、電源電位の供給とを停止する。上記方法により、動作を停止する際に、信号線駆動回路62bが誤動作するのを防ぐことができる。さらに、上記構成に加えて、信号線駆動回路62bへの、信号線駆動回路用クロック信号(SCK2)の供給を停止しても良い。
【0200】
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0201】
(実施の形態3)
本実施の形態では、酸化物半導体を用いたトランジスタの作製方法について説明する。
【0202】
まず、図21(A)に示すように、基板700の絶縁表面上に、絶縁膜701を形成し、絶縁膜701上にゲート電極702を形成する。
【0203】
基板700として使用することができる基板は透光性を有していれば良く、その他には特に大きな制限はないが、少なくとも、後の加熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有していることが必要となる。例えば、基板700には、フュージョン法やフロート法で作製されるガラス基板、石英基板、セラミック基板等を用いることができる。ガラス基板としては、後の加熱処理の温度が高い場合には、歪み点が730℃以上のものを用いると良い。プラスチック等の可撓性を有する合成樹脂からなる基板は、一般的に上記基板と比較して耐熱温度が低い傾向にあるが、作製工程における処理温度に耐え得るのであれば用いることが可能である。
【0204】
絶縁膜701は、後の作製工程における加熱処理の温度に耐えうる材料を用いる。具体的に、絶縁膜701として、酸化珪素、窒化珪素、窒化酸化珪素、酸化窒化珪素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ガリウムなどを用いるのが望ましい。
【0205】
なお、本明細書において酸化窒化物とは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多い物質であり、また、窒化酸化物とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い物質を意味する。
【0206】
ゲート電極702の材料は、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングステン、ネオジム、スカンジウム等の金属材料、これら金属材料を主成分とする合金材料を用いた導電膜、或いはこれら金属の窒化物を、単層で又は積層で用いることができる。なお、後の工程において行われる加熱処理の温度に耐えうるのであれば、上記金属材料としてアルミニウム、銅を用いることもできる。アルミニウムまたは銅は、耐熱性や腐食性の問題を回避するために、高融点金属材料と組み合わせて用いると良い。高融点金属材料としては、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングステン、ネオジム、スカンジウム等を用いることができる。
【0207】
ゲート電極702の膜厚は、10nm〜400nm、好ましくは100nm〜200nmとする。本実施の形態では、タングステンターゲットを用いたスパッタ法により150nmのゲート電極用の導電膜を形成した後、該導電膜をエッチングにより所望の形状に加工(パターニング)することで、ゲート電極702を形成する。なお、形成されたゲート電極の端部がテーパー形状であると、上に積層するゲート絶縁膜の被覆性が向上するため好ましい。なお、レジストマスクをインクジェット法で形成してもよい。レジストマスクをインクジェット法で形成するとフォトマスクを使用しないため、製造コストを低減できる。
【0208】
次いで、図21(B)に示すように、ゲート電極702上にゲート絶縁膜703を形成した後、ゲート絶縁膜703上においてゲート電極702と重なる位置に、島状の酸化物半導体膜704を形成する。
【0209】
ゲート絶縁膜703は、プラズマCVD法又はスパッタリング法等を用いて、酸化珪素膜、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、酸化アルミニウム膜、窒化アルミニウム膜、酸化窒化アルミニウム膜、窒化酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜または酸化タンタル膜、酸化ガリウム膜を単層で又は積層させて形成することができる。ゲート絶縁膜703は、水分や、水素、酸素などの不純物を極力含まないことが望ましい。スパッタリング法により酸化珪素膜を成膜する場合には、ターゲットとしてシリコンターゲット又は石英ターゲットを用い、スパッタガスとして酸素又は、酸素及びアルゴンの混合ガスを用いる。
【0210】
不純物を除去することにより高純度化された酸化物半導体は界面準位、界面電荷に対して極めて敏感であるため、高純度化された酸化物半導体とゲート絶縁膜703との界面は重要である。そのため高純度化された酸化物半導体に接するゲート絶縁膜(GI)は、高品質化が要求される。
【0211】
例えば、μ波(周波数2.45GHz)を用いた高密度プラズマCVDは、緻密で絶縁耐圧の高い高品質な絶縁膜を形成できるので好ましい。高純度化された酸化物半導体と高品質ゲート絶縁膜とが密接することにより、界面準位を低減して界面特性を良好なものとすることができるからである。
【0212】
もちろん、ゲート絶縁膜703として良質な絶縁膜を形成できるものであれば、スパッタリング法やプラズマCVD法など他の成膜方法を適用することができる。いずれにしても、ゲート絶縁膜としての膜質が良好であることは勿論のこと、ゲート絶縁膜と酸化物半導体との界面準位を低減し、良好な界面を形成できるものであれば良い。
【0213】
本実施の形態では、スパッタ法で形成された膜厚50nmの窒化珪素膜上に、スパッタ法で形成された膜厚100nmの酸化アルミニウム膜を積層させた構造を有する、ゲート絶縁膜703を形成する。ゲート絶縁膜703の膜厚は、トランジスタに要求される特性によって適宜設定すればよく350nm乃至400nm程度でもよい。
【0214】
なお、ゲート絶縁膜703は後に形成される酸化物半導体と接する。酸化物半導体は、水素が含有されると特性に悪影響を及ぼすので、ゲート絶縁膜703は水素、水酸基および水分が含まれないことが望ましい。ゲート絶縁膜703に水素、水酸基及び水分がなるべく含まれないようにするためには、成膜の前処理として、スパッタリング装置の予備加熱室でゲート電極702が形成された基板700を予備加熱し、基板700に吸着した水分または水素などの不純物を脱離し排気することが好ましい。なお、予備加熱の温度は、100℃以上400℃以下、好ましくは150℃以上300℃以下である。なお、予備加熱室に設ける排気手段はクライオポンプが好ましい。なお、この予備加熱の処理は省略することもできる。
【0215】
島状の酸化物半導体膜は、ゲート絶縁膜703上に形成した酸化物半導体膜を所望の形状に加工することで、形成することができる。上記酸化物半導体膜の膜厚は、2nm以上200nm以下、好ましくは3nm以上50nm以下、さらに好ましくは3nm以上20nm以下とする。酸化物半導体膜は、酸化物半導体をターゲットとして用い、スパッタ法により成膜する。また、酸化物半導体膜は、希ガス(例えばアルゴン)雰囲気下、酸素雰囲気下、又は希ガス(例えばアルゴン)及び酸素混合雰囲気下においてスパッタ法により形成することができる。
【0216】
本実施の形態では、酸化物半導体膜として、In(インジウム)、Ga(ガリウム)、及びZn(亜鉛)を含む酸化物半導体用ターゲットを用いたスパッタ法により得られる膜厚30nmのIn−Ga−Zn−O系酸化物半導体の薄膜を、酸化物半導体膜として用いる。上記ターゲットとして、例えば、モル数比がIn:Ga:ZnO=1:1:2、In:Ga:ZnO=1:1:1、またはIn:Ga:ZnO=1:1:4であるターゲットを用いることができる。また、In、Ga、及びZnを含むターゲットの充填率は90%以上100%以下、好ましくは95%以上100%未満である。
【0217】
本実施の形態では、減圧状態に保持された処理室内に基板を保持し、処理室内の残留水分を除去しつつ水素及び水分が除去されたスパッタガスを導入し、上記ターゲットを用いて基板700上に酸化物半導体膜を成膜する。成膜時に、基板温度を100℃以上600℃以下、好ましくは200℃以上400℃以下としても良い。基板を加熱しながら成膜することにより、成膜した酸化物半導体膜に含まれる不純物濃度を低減することができる。また、スパッタリングによる損傷が軽減される。処理室内の残留水分を除去するためには、吸着型の真空ポンプを用いることが好ましい。例えば、クライオポンプ、イオンポンプ、チタンサブリメーションポンプを用いることが好ましい。また、排気手段としては、ターボポンプにコールドトラップを加えたものであってもよい。クライオポンプを用いて処理室を排気すると、例えば、水素原子、水(HO)など水素原子を含む化合物(より好ましくは炭素原子を含む化合物も)等が排気されるため、当該処理室で成膜した酸化物半導体膜に含まれる不純物の濃度を低減できる。
【0218】
成膜条件の一例としては、基板とターゲットの間との距離を100mm、圧力0.6Pa、直流(DC)電源0.5kW、酸素(酸素流量比率100%)雰囲気下の条件が適用される。なお、パルス直流(DC)電源を用いると、成膜時に発生する塵埃が軽減でき、膜厚分布も均一となるために好ましい。
【0219】
なお、酸化物半導体膜に水素、水酸基及び水分がなるべく含まれないようにするために、成膜の前処理として、スパッタリング装置の予備加熱室でゲート絶縁膜703までが形成された基板700を予備加熱し、基板700に吸着した水分または水素などの不純物を脱離し排気することが好ましい。なお、予備加熱の温度は、100℃以上400℃以下、好ましくは150℃以上300℃以下である。また、予備加熱室に設ける排気手段はクライオポンプが好ましい。なお、この予備加熱の処理は省略することもできる。また、この予備加熱は、後に行われる絶縁膜707の成膜前に、導電膜705、導電膜706まで形成した基板700にも同様に行ってもよい。
【0220】
なお、島状の酸化物半導体膜704を形成するためのエッチングは、ドライエッチングでもウェットエッチングでもよく、両方を用いてもよい。ドライエッチングに用いるエッチングガスとしては、塩素を含むガス(塩素系ガス、例えば塩素(Cl)、三塩化硼素(BCl)、四塩化珪素(SiCl)、四塩化炭素(CCl)など)が好ましい。また、フッ素を含むガス(フッ素系ガス、例えば四弗化炭素(CF)、六弗化硫黄(SF)、三弗化窒素(NF)、トリフルオロメタン(CHF)など)、臭化水素(HBr)、酸素(O)、これらのガスにヘリウム(He)やアルゴン(Ar)などの希ガスを添加したガス、などを用いることができる。
【0221】
ドライエッチング法としては、平行平板型RIE(Reactive Ion Etching)法や、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法を用いることができる。所望の加工形状にエッチングできるように、エッチング条件(コイル型の電極に印加される電力量、基板側の電極に印加される電力量、基板側の電極温度等)を適宜調節する。
【0222】
ウェットエッチングに用いるエッチング液として、ITO−07N(関東化学社製)を用いてもよい。
【0223】
島状の酸化物半導体膜704を形成するためのレジストマスクをインクジェット法で形成してもよい。レジストマスクをインクジェット法で形成するとフォトマスクを使用しないため、製造コストを低減できる。
【0224】
なお、スパッタ等で成膜された酸化物半導体膜中には、不純物としての水分または水素(水酸基を含む)が多量に含まれていることがある。水分または水素はドナー準位を形成しやすいため、酸化物半導体にとっては不純物である。そこで、本発明の一態様では、酸化物半導体膜中の水分または水素などの不純物を低減(脱水化または脱水素化)するために、島状の酸化物半導体膜704に対して、減圧雰囲気下、窒素や希ガスなどの不活性ガス雰囲気下、酸素ガス雰囲気下、または超乾燥エア(CRDS(キャビティリングダウンレーザー分光法)方式の露点計を用いて測定した場合の水分量が20ppm(露点換算で−55℃)以下、好ましくは1ppm以下、好ましくは10ppb以下の空気)雰囲気下で、島状の酸化物半導体膜704に加熱処理を施す。
【0225】
島状の酸化物半導体膜704に加熱処理を施すことで、島状の酸化物半導体膜704中の水分または水素を脱離させることができる。具体的には、250℃以上750℃以下、好ましくは400℃以上基板の歪み点未満の温度で加熱処理を行えば良い。例えば、500℃、3分間以上6分間以下程度で行えばよい。加熱処理にRTA法を用いれば、短時間に脱水化または脱水素化が行えるため、ガラス基板の歪点を超える温度でも処理することができる。
【0226】
本実施の形態では、加熱処理装置の一つである電気炉を用いる。
【0227】
なお、加熱処理装置は電気炉に限られず、抵抗発熱体などの発熱体からの熱伝導または熱輻射によって、被処理物を加熱する装置を備えていてもよい。例えば、GRTA(Gas Rapid Thermal Anneal)装置、LRTA(Lamp Rapid Thermal Anneal)装置等のRTA(Rapid Thermal Anneal)装置を用いることができる。LRTA装置は、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、高圧水銀ランプなどのランプから発する光(電磁波)の輻射により、被処理物を加熱する装置である。GRTA装置は、高温のガスを用いて加熱処理を行う装置である。気体には、アルゴンなどの希ガス、または窒素のような、加熱処理によって被処理物と反応しない不活性気体が用いられる。
【0228】
なお、加熱処理においては、窒素、またはヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスに、水分または水素などが含まれないことが好ましい。または、加熱処理装置に導入する窒素、またはヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスの純度を、6N(99.9999%)以上、好ましくは7N(99.99999%)以上、(即ち不純物濃度を1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下)とすることが好ましい。
【0229】
以上の工程により、島状の酸化物半導体膜704中の水素の濃度を低減し、高純度化することができる。それにより酸化物半導体膜の安定化を図ることができる。また、ガラス転移温度以下の加熱処理で、水素に起因するキャリア密度が少なく、バンドギャップの広い酸化物半導体膜を形成することができる。このため、大面積基板を用いてトランジスタを作製することができ、量産性を高めることができる。上記加熱処理は、酸化物半導体膜の成膜以降であれば、いつでも行うことができる。
【0230】
なお、酸化物半導体膜を加熱する場合、酸化物半導体膜の材料や加熱条件にもよるが、その表面に板状結晶が形成されることがある。板状結晶は、酸化物半導体膜の表面に対して略垂直にc軸配向した単結晶体であることが好ましい。なお、酸化物半導体膜と接するゲート絶縁膜703の表面に凹凸がある場合、板状結晶は多結晶体となる。したがって、ゲート絶縁膜703表面は可能な限り平坦であることが望まれる。
【0231】
次いで、図21(C)に示すように、ソース電極、ドレイン電極として機能する導電膜705、導電膜706と、上記導電膜705、導電膜706、及び島状の酸化物半導体膜704上に、絶縁膜707を形成する。
【0232】
導電膜705、導電膜706は、島状の酸化物半導体膜704を覆うように、スパッタ法や真空蒸着法で導電膜を形成したあと、エッチング等により該導電膜をパターニングすることで、形成することができる。
【0233】
導電膜705及び導電膜706は、島状の酸化物半導体膜704に接している。導電膜705、導電膜706となる導電膜の材料としては、アルミニウム、クロム、銅、タンタル、チタン、モリブデン、タングステンからから選ばれた元素、または上述した元素を成分とする合金か、上述した元素を組み合わせた合金膜等が挙げられる。また、アルミニウム、銅などの金属膜の下側もしくは上側にクロム、タンタル、チタン、モリブデン、タングステンなどの高融点金属膜を積層させた構成としても良い。また、アルミニウムまたは銅は、耐熱性や腐食性の問題を回避するために、高融点金属材料と組み合わせて用いると良い。高融点金属材料としては、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングステン、ネオジム、スカンジウム、イットリウム等を用いることができる。
【0234】
また、導電膜は、単層構造でも、2層以上の積層構造としてもよい。例えば、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する2層構造、チタン膜と、そのチタン膜上に重ねてアルミニウム膜を積層し、さらにその上にチタン膜を成膜する3層構造などが挙げられる。
【0235】
また、導電膜705、導電膜706となる導電膜としては、導電性の金属酸化物で形成しても良い。導電性の金属酸化物としては酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム酸化スズ合金、酸化インジウム酸化亜鉛合金または前記金属酸化物材料にシリコン若しくは酸化シリコンを含ませたものを用いることができる。
【0236】
導電膜形成後に加熱処理を行う場合には、この加熱処理に耐える耐熱性を導電膜に持たせることが好ましい。
【0237】
なお、導電膜のエッチングの際に、島状の酸化物半導体膜704がなるべく除去されないようにそれぞれの材料及びエッチング条件を適宜調節する。エッチング条件によっては、島状の酸化物半導体膜704の露出した部分が一部エッチングされることで、溝部(凹部)が形成されることもある。
【0238】
本実施の形態では、導電膜にチタン膜を用いる。そのため、アンモニアと過酸化水素水を含む溶液(過水アンモニウム)を用いて、選択的に導電膜をウェットエッチングすることができるが、島状の酸化物半導体膜704も一部エッチングされる。過水アンモニウムを含む溶液は、具体的には、過酸化水素水と、純水と、水酸化アンモニウムを、体積比2:1:1で混合した水溶液を用いる。或いは、塩素(Cl)、塩化硼素(BCl)などを含むガスを用いて、導電膜をドライエッチングしても良い。
【0239】
なお、フォトリソグラフィ工程で用いるフォトマスク数及び工程数を削減するため、透過した光に多段階の強度をもたせる多階調マスクによって形成されたレジストマスクを用いてエッチング工程を行ってもよい。多階調マスクを用いて形成したレジストマスクは複数の膜厚を有する形状となり、エッチングを行うことでさらに形状を変形することができるため、異なるパターンに加工する複数のエッチング工程に用いることができる。よって、一枚の多階調マスクによって、少なくとも二種類以上の異なるパターンに対応するレジストマスクを形成することができる。よって露光マスク数を削減することができ、対応するフォトリソグラフィ工程も削減できるため、工程の簡略化が可能となる。
【0240】
なお、絶縁膜707を形成する前に、NO、N、またはArなどのガスを用いたプラズマ処理を島状の酸化物半導体膜704に対して行う。このプラズマ処理によって露出している島状の酸化物半導体膜704の表面に付着した吸着水などを除去する。また、酸素とアルゴンの混合ガスを用いてプラズマ処理を行ってもよい。
【0241】
絶縁膜707は、水分や、水素などの不純物を極力含まないことが望ましく、単層の絶縁膜であっても良いし、積層された複数の絶縁膜で構成されていても良い。絶縁膜707に水素が含まれると、その水素が酸化物半導体膜へ侵入し、又は水素が酸化物半導体膜中の酸素を引き抜き、島状の酸化物半導体膜704のバックチャネル部が低抵抗化(n型化)してしまい、寄生チャネルが形成されるおそれがある。よって、絶縁膜707はできるだけ水素を含まない膜になるように、成膜方法に水素を用いないことが重要である。上記絶縁膜707には、バリア性の高い材料を用いるのが望ましい。例えば、バリア性の高い絶縁膜として、窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、窒化アルミニウム膜、窒化酸化アルミニウム膜、酸化アルミニウム膜、または酸化ガリウム膜などを用いることができる。バリア性の高い絶縁膜を用いることで、島状の酸化物半導体膜704内、ゲート絶縁膜703内、或いは、島状の酸化物半導体膜704と他の絶縁膜の界面とその近傍に、水分または水素などの不純物が入り込むのを防ぐことができる。
【0242】
本実施の形態では、スパッタ法で形成された膜厚200nmの酸化ガリウム膜上に、スパッタ法で形成された膜厚100nmの酸化アルミニウム膜を積層させた構造を有する、絶縁膜707を形成する。成膜時の基板温度は、室温以上300℃以下とすればよく、本実施の形態では100℃とする。絶縁膜707は酸素を多く含有していることが好ましく、化学量論的組成比を超える程度、好ましくは、化学量論的組成比の1倍を超えて2倍まで(1倍より大きく2倍未満)酸素を含有していることが好ましい。このように絶縁膜707が過剰な酸素を有することにより、島状の酸化物半導体膜704の界面に酸素を供給し、酸素の欠損を低減することができる。
【0243】
なお、絶縁膜707を形成した後に、加熱処理を施しても良い。加熱処理は、窒素、超乾燥空気、または希ガス(アルゴン、ヘリウムなど)の雰囲気下において、好ましくは200℃以上400℃以下、例えば250℃以上350℃以下で行う。上記ガスは、水の含有量が20ppm以下、好ましくは1ppm以下、好ましくは10ppb以下であることが望ましい。本実施の形態では、例えば、窒素雰囲気下で250℃、1時間の加熱処理を行う。或いは、導電膜705、導電膜706を形成する前に、水分または水素を低減させるための酸化物半導体膜に対して行った先の加熱処理と同様に、高温短時間のRTA処理を行っても良い。酸素を含む絶縁膜707が設けられた後に加熱処理が施されることによって、先の加熱処理により、島状の酸化物半導体膜704に酸素欠損が発生していたとしても、絶縁膜707から島状の酸化物半導体膜704に酸素が供与される。そして、島状の酸化物半導体膜704に酸素が供与されることで、島状の酸化物半導体膜704において、ドナーとなる酸素欠損を低減し、化学量論的組成比を満たすことが可能である。島状の酸化物半導体膜704には、化学量論的組成比を超える量の酸素が含まれていることが好ましい。その結果、島状の酸化物半導体膜704をi型に近づけることができ、酸素欠損によるトランジスタの電気特性のばらつきを軽減し、電気特性の向上を実現することができる。この加熱処理を行うタイミングは、絶縁膜707の形成後であれば特に限定されず、他の工程、例えば樹脂膜形成時の加熱処理や、透光性を有する導電膜を低抵抗化させるための加熱処理と兼ねることで、工程数を増やすことなく、島状の酸化物半導体膜704をi型に近づけることができる。
【0244】
また、酸素雰囲気下で島状の酸化物半導体膜704に加熱処理を施すことで、酸化物半導体に酸素を添加し、島状の酸化物半導体膜704中においてドナーとなる酸素欠損を低減させても良い。加熱処理の温度は、例えば100℃以上350℃未満、好ましくは150℃以上250℃未満で行う。上記酸素雰囲気下の加熱処理に用いられる酸素ガスには、水、水素などが含まれないことが好ましい。または、加熱処理装置に導入する酸素ガスの純度を、6N(99.9999%)以上、好ましくは7N(99.99999%)以上、(即ち酸素中の不純物濃度を1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下)とすることが好ましい。
【0245】
或いは、イオン注入法またはイオンドーピング法などを用いて、島状の酸化物半導体膜704に酸素を添加することで、ドナーとなる酸素欠損を低減させても良い。例えば、2.45GHzのマイクロ波でプラズマ化した酸素を島状の酸化物半導体膜704に添加すれば良い。
【0246】
なお、絶縁膜707上に導電膜を形成した後、該導電膜をパターニングすることで、島状の酸化物半導体膜704と重なる位置にバックゲート電極を形成しても良い。バックゲート電極を形成した場合は、バックゲート電極を覆うように絶縁膜を形成するのが望ましい。バックゲート電極は、ゲート電極702、或いは導電膜705、導電膜706と同様の材料、構造を用いて形成することが可能である。
【0247】
バックゲート電極の膜厚は、10nm〜400nm、好ましくは100nm〜200nmとする。例えば、チタン膜、アルミニウム膜、チタン膜が積層された構造を有する導電膜を形成した後、フォトリソグラフィ法などによりレジストマスクを形成し、エッチングにより不要な部分を除去して、該導電膜を所望の形状に加工(パターニング)することで、バックゲート電極を形成すると良い。バックゲート電極は遮光膜として機能させることによってトランジスタの光劣化、例えば光負バイアス劣化を低減でき、信頼性を向上できる。
【0248】
以上の工程により、トランジスタ708が形成される。
【0249】
トランジスタ708は、ゲート電極702と、ゲート電極702上のゲート絶縁膜703と、ゲート絶縁膜703上においてゲート電極702と重なっている島状の酸化物半導体膜704と、島状の酸化物半導体膜704上に形成された一対の導電膜705または導電膜706とを有する。さらに、トランジスタ708は、絶縁膜707を、その構成要素に含めても良い。図21(C)に示すトランジスタ708は、導電膜705と導電膜706の間において、島状の酸化物半導体膜704の一部がエッチングされたチャネルエッチ構造である。
【0250】
なお、トランジスタ708はシングルゲート構造のトランジスタを用いて説明したが、必要に応じて、電気的に接続された複数のゲート電極702を有することで、チャネル形成領域を複数有する、マルチゲート構造のトランジスタも形成することができる。
【0251】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0252】
(実施の形態4)
本実施の形態では、トランジスタの構成例について説明する。なお、上記実施の形態と同一部分又は同様な機能を有する部分、及び工程は、上記実施の形態と同様に行うことができ、本実施の形態での繰り返しの説明は省略する。なお、同じ箇所の詳細な説明も省略する。
【0253】
図22(A)に示すトランジスタ2450は、基板2400上にゲート電極2401が形成され、ゲート電極2401上にゲート絶縁膜2402が形成され、ゲート絶縁膜2402上に酸化物半導体膜2403が形成され、酸化物半導体膜2403上に、ソース電極2405a、及びドレイン電極2405bが形成されている。また、酸化物半導体膜2403、ソース電極2405a、及びドレイン電極2405b上に絶縁膜2407が形成されている。また、絶縁膜2407上に保護絶縁膜2409を形成してもよい。トランジスタ2450は、ボトムゲート構造のトランジスタの一つであり、逆スタガ型トランジスタの一つでもある。
【0254】
図22(B)に示すトランジスタ2460は、基板2400上にゲート電極2401が形成され、ゲート電極2401上にゲート絶縁膜2402が形成され、ゲート絶縁膜2402上に酸化物半導体膜2403が形成され、酸化物半導体膜2403上にチャネル保護層2406が形成され、チャネル保護層2406及び酸化物半導体膜2403上に、ソース電極2405a、及びドレイン電極2405bが形成されている。また、ソース電極2405a、及びドレイン電極2405b上に保護絶縁膜2409を形成してもよい。トランジスタ2460は、チャネル保護型(チャネルストップ型ともいう)と呼ばれるボトムゲート構造のトランジスタの一つであり、逆スタガ型トランジスタの一つでもある。チャネル保護層2406は、他の絶縁膜と同様の材料及び方法を用いて形成することができる。
【0255】
図22(C)に示すトランジスタ2470は、基板2400上に下地膜2436が形成され、下地膜2436上に酸化物半導体膜2403が形成され、酸化物半導体膜2403、及び下地膜2436上に、ソース電極2405a、及びドレイン電極2405bが形成され、酸化物半導体膜2403、ソース電極2405a、及びドレイン電極2405b上にゲート絶縁膜2402が形成され、ゲート絶縁膜2402上にゲート電極2401が形成されている。また、ゲート電極2401上に保護絶縁膜2409を形成してもよい。トランジスタ2470は、トップゲート構造のトランジスタの一つである。
【0256】
図22(D)に示すトランジスタ2480は、基板2400上に、第1のゲート電極2411が形成され、第1のゲート電極2411上に第1のゲート絶縁膜2413が形成され、第1のゲート絶縁膜2413上に酸化物半導体膜2403が形成され、酸化物半導体膜2403、及び第1のゲート絶縁膜2413上に、ソース電極2405a、及びドレイン電極2405bが形成されている。また、酸化物半導体膜2403、ソース電極2405a、及びドレイン電極2405b上に第2のゲート絶縁膜2414が形成され、第2のゲート絶縁膜2414上に第2のゲート電極2412が形成されている。また、第2のゲート電極2412上に保護絶縁膜2409を形成してもよい。
【0257】
トランジスタ2480は、トランジスタ2450とトランジスタ2470を併せた構造を有している。第1のゲート電極2411と第2のゲート電極2412を電気的に接続して一つのゲート電極として機能させることができる。また、第1のゲート電極2411と第2のゲート電極2412のうち、どちらか一方を単にゲート電極と呼び、他方をバックゲート電極と呼ぶことがある。
【0258】
バックゲート電極の電位を変化させることで、トランジスタのしきい値電圧を変化させることができる。バックゲート電極は、酸化物半導体膜2403のチャネル形成領域と重なるように形成する。バックゲート電極は、電気的に絶縁しているフローティングの状態であっても良いし、電位が与えられる状態であっても良い。後者の場合、バックゲート電極には、ゲート電極と同じ高さの電位が与えられていても良いし、グラウンドなどの固定電位が与えられていても良い。バックゲート電極に与える電位の高さを制御することで、トランジスタ2480の閾値電圧を制御することができる。
【0259】
また、バックゲート電極により酸化物半導体膜2403を覆うことで、バックゲート電極側から酸化物半導体膜2403に光が入射するのを防ぐことができる。よって、酸化物半導体膜2403の光劣化を防ぎ、トランジスタの閾値電圧がシフトするなどの特性の劣化が引き起こされるのを防ぐことができる。
【0260】
酸化物半導体膜2403に接する絶縁膜(本実施の形態においては、ゲート絶縁膜2402、絶縁膜2407、チャネル保護層2406、下地膜2436、第1のゲート絶縁膜2413、第2のゲート絶縁膜2414が相当する。)は、第13族元素および酸素を含む絶縁材料を用いることが好ましい。酸化物半導体材料には第13族元素を含むものが多く、第13族元素を含む絶縁材料は酸化物半導体との相性が良く、これを酸化物半導体膜に接する絶縁膜に用いることで、酸化物半導体膜との界面の状態を良好に保つことができる。
【0261】
第13族元素を含む絶縁材料とは、絶縁材料に一または複数の第13族元素を含むことを意味する。第13族元素を含む絶縁材料としては、例えば、酸化ガリウム、酸化アルミニウム、酸化アルミニウムガリウム、酸化ガリウムアルミニウムなどがある。ここで、酸化アルミニウムガリウムとは、ガリウムの含有量(原子%)よりアルミニウムの含有量(原子%)が多いものを示し、酸化ガリウムアルミニウムとは、ガリウムの含有量(原子%)がアルミニウムの含有量(原子%)より多いものを示す。
【0262】
例えば、ガリウムを含有する酸化物半導体膜に接して絶縁膜を形成する場合に、絶縁膜に酸化ガリウムを含む材料を用いることで酸化物半導体膜と絶縁膜の界面特性を良好に保つことができる。例えば、酸化物半導体膜と酸化ガリウムを含む絶縁膜とを接して設けることにより、酸化物半導体膜と絶縁膜の界面における水素のパイルアップを低減することができる。なお、絶縁膜に酸化物半導体膜の成分元素と同じ族の元素を用いる場合には、同様の効果を得ることが可能である。例えば、酸化アルミニウムを含む材料を用いて絶縁膜を形成することも有効である。なお、酸化アルミニウムは、水を透過させにくいという特性を有しているため、当該材料を用いることは、酸化物半導体膜への水の侵入防止という点においても好ましい。
【0263】
また、酸化物半導体膜2403に接する絶縁膜は、酸素雰囲気下による熱処理や、酸素ドープなどにより、絶縁材料を化学量論的組成比より酸素が多い状態とすることが好ましい。酸素ドープとは、酸素をバルクに添加することをいう。なお、当該バルクの用語は、酸素を薄膜表面のみでなく薄膜内部に添加することを明確にする趣旨で用いている。また、酸素ドープには、プラズマ化した酸素をバルクに添加する酸素プラズマドープが含まれる。また、酸素ドープは、イオン注入法またはイオンドーピング法を用いて行ってもよい。
【0264】
例えば、酸化物半導体膜2403に接する絶縁膜として酸化ガリウムを用いた場合、酸素雰囲気下による熱処理や、酸素ドープを行うことにより、酸化ガリウムの組成をGa(X=3+α、0<α<1)とすることができる。
【0265】
また、酸化物半導体膜2403に接する絶縁膜として酸化アルミニウムを用いた場合、酸素雰囲気下による熱処理や、酸素ドープを行うことにより、酸化アルミニウムの組成をAl(X=3+α、0<α<1)とすることができる。
【0266】
また、酸化物半導体膜2403に接する絶縁膜として酸化ガリウムアルミニウム(酸化アルミニウムガリウム)を用いた場合、酸素雰囲気下による熱処理や、酸素ドープを行うことにより、酸化ガリウムアルミニウム(酸化アルミニウムガリウム)の組成をGaAl2−X3+α(0<X<2、0<α<1)とすることができる。
【0267】
酸素ドープ処理を行うことにより、化学量論的組成比より酸素が多い領域を有する絶縁膜を形成することができる。このような領域を備える絶縁膜と酸化物半導体膜が接することにより、絶縁膜中の過剰な酸素が酸化物半導体膜に供給され、酸化物半導体膜中、または酸化物半導体膜と絶縁膜の界面における酸素欠損を低減し、酸化物半導体膜をI型化またはI型に限りなく近い酸化物半導体とすることができる。
【0268】
なお、化学量論的組成比より酸素が多い領域を有する絶縁膜は、酸化物半導体膜2403に接する絶縁膜のうち、上層に位置する絶縁膜または下層に位置する絶縁膜のうち、どちらか一方のみに用いても良いが、両方の絶縁膜に用いる方が好ましい。化学量論的組成比より酸素が多い領域を有する絶縁膜を、酸化物半導体膜2403に接する絶縁膜の、上層及び下層に位置する絶縁膜に用い、酸化物半導体膜2403を挟む構成とすることで、上記効果をより高めることができる。
【0269】
また、酸化物半導体膜2403の上層または下層に用いる絶縁膜は、上層と下層で同じ構成元素を有する絶縁膜としても良いし、異なる構成元素を有する絶縁膜としても良い。例えば、上層と下層とも、組成がGa(X=3+α、0<α<1)の酸化ガリウムとしても良いし、上層と下層の一方を組成がGa(X=3+α、0<α<1)の酸化ガリウムとし、他方を組成がAl(X=3+α、0<α<1)の酸化アルミニウムとしても良い。
【0270】
また、酸化物半導体膜2403に接する絶縁膜は、化学量論的組成比より酸素が多い領域を有する絶縁膜の積層としても良い。例えば、酸化物半導体膜2403の上層に組成がGa(X=3+α、0<α<1)の酸化ガリウムを形成し、その上に組成がGaAl2−X3+α(0<X<2、0<α<1)の酸化ガリウムアルミニウム(酸化アルミニウムガリウム)を形成してもよい。なお、酸化物半導体膜2403の下層を、化学量論的組成比より酸素が多い領域を有する絶縁膜の積層としても良いし、酸化物半導体膜2403の上層及び下層の両方を、化学量論的組成比より酸素が多い領域を有する絶縁膜の積層としても良い。
【0271】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0272】
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る液晶表示装置において用いられる、基板の一形態について、図23を用いて説明する。
【0273】
まず、基板6200上に、剥離層6201を介して、被剥離層6116を形成する(図23(A)参照)。
【0274】
基板6200としては、石英基板、サファイア基板、セラミック基板や、ガラス基板、金属基板などを用いることができる。なお、これら基板は、可撓性を明確に表さない程度に厚みのあるものを使用することで、精度良くトランジスタなどの素子を形成することができる。可撓性を明確に表さない程度とは、通常液晶ディスプレイを作製する際に使用されているガラス基板の弾性率程度、もしくはより弾性率が大きいことを意味する。
【0275】
剥離層6201は、スパッタリング法やプラズマCVD法、塗布法、印刷法等により、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、珪素(Si)から選択された元素、又は元素を主成分とする合金材料、又は元素を主成分とする化合物材料からなる層を、単層又は積層して形成する。
【0276】
剥離層6201が単層構造の場合、好ましくは、タングステン層、モリブデン層、又はタングステンとモリブデンの混合物を含む層を形成する。又は、タングステンの酸化物若しくは酸化窒化物を含む層、モリブデンの酸化物若しくは酸化窒化物を含む層、又はタングステンとモリブデンの混合物の酸化物若しくは酸化窒化物を含む層を形成する。なお、タングステンとモリブデンの混合物とは、例えば、タングステンとモリブデンの合金に相当する。
【0277】
剥離層6201が積層構造の場合、好ましくは、1層目として金属層を形成し、2層目として金属酸化物層を形成する。代表的には1層目としてタングステン層、モリブデン層、又はタングステンとモリブデンの混合物を含む層を形成し、2層目として、タングステン、モリブデン又はタングステンとモリブデンの混合物の酸化物、窒化物、酸化窒化物又は窒化酸化物を形成すると良い。2層目の金属酸化物層の形成は、1層目の金属層上に、酸化物層(例えば酸化シリコンなどの絶縁層として利用できるもの)を形成することで金属層表面に当該金属の酸化物が形成されることを応用しても良い。
【0278】
被剥離層6116としては、トランジスタや層間絶縁膜、配線、画素電極及び場合に応じて対向電極や、遮光膜、配向膜など、素子基板として必要な要素が含まれる。これらは、剥離層6201上に、通常通り作製することができる。これらの材料、作製方法及び構造などに関しては上記実施の形態において示したものと同様であるため、説明を省略する。このように、トランジスタや電極は公知の材料や方法を用いて精度良く作製することができる。
【0279】
次いで、剥離用接着剤6203を用いて被剥離層6116を仮支持基板6202に接着した後、被剥離層6116を基板6200の剥離層6201から剥離して転置する(図23(B)参照)。これにより被剥離層6116は、仮支持基板側に設けられる。なお、本明細書において、基板から仮支持基板に剥離層を転置する工程を転置工程という。
【0280】
仮支持基板6202は、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、セラミック基板、金属基板などを用いることができる。また、以降の処理温度に耐えうる耐熱性を有するプラスチック基板を用いても良い。
【0281】
また、ここで用いる剥離用接着剤6203は、水や溶媒に可溶なものや、紫外線などの照射により可塑化させることが可能であるような、必要時に仮支持基板6202と被剥離層6116とを分離することが可能な接着剤を用いる。
【0282】
なお、仮支持基板6202への転置工程は、様々な方法を適宜用いることができる。例えば、剥離層6201として、被剥離層6116と接する側に金属酸化膜を含む膜を形成した場合は、当該金属酸化膜を結晶化させることにより脆弱化して、被剥離層6116を基板6200から剥離することができる。また、基板6200と被剥離層6116の間に、剥離層6201として水素を含む非晶質珪素膜を形成した場合は、レーザ光の照射またはエッチングにより当該水素を含む非晶質珪素膜を除去して、被剥離層6116を基板6200から剥離することができる。また、剥離層6201として窒素、酸素や水素等を含む膜(例えば、水素を含む非晶質珪素膜、水素含有合金膜、酸素含有合金膜など)を用いた場合には、剥離層6201にレーザ光を照射して剥離層6201内に含有する窒素、酸素や水素をガスとして放出させ、被剥離層6116と基板6200との分離を促進することができる。他の方法として、剥離層6201と被剥離層6116との界面に液体を浸透させて基板6200から被剥離層6116を剥離してもよい。剥離層6201をタングステンで形成し、アンモニア水と過酸化水素水の混合溶液により剥離層6201をエッチングしながら剥離を行う方法もある。
【0283】
また、上記剥離方法を複数組み合わせることでより容易に転置工程を行うことができる。レーザ光の照射、ガスや溶液などによる剥離層へのエッチング、鋭いナイフやメスなどによる機械的な除去を部分的に行い、剥離層と被剥離層とを剥離しやすい状態にしてから、物理的な力(機械等による)によって剥離を行う工程などがこれに当たる。剥離層6201を金属と金属酸化物との積層構造により形成した場合、レーザ光の照射によって形成される溝や鋭いナイフやメスなどによる傷などをきっかけとして、剥離層から物理的に引き剥がすことも容易となる。
【0284】
また、これら剥離を行う際に水などの液体をかけながら行ってもよい。
【0285】
被剥離層6116を基板6200から分離する方法としては、他に、被剥離層6116が形成された基板6200を、機械的に研磨などを行って除去する方法や、溶液やNF、BrF、ClF等のフッ化ハロゲンガスによるエッチングで除去する方法等も用いることができる。この場合は、剥離層6201を設けなくとも良い。
【0286】
続いて、基板6200から剥離され、露出した剥離層6201、若しくは被剥離層6116表面に剥離用接着剤6203とは異なる接着剤による第1の接着剤層6111を用いて転置基板6110を接着する(図23(C)参照)。
【0287】
第1の接着剤層6111の材料としては、紫外線硬化型接着剤など光硬化型の接着剤、反応硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、または嫌気型接着剤など各種硬化型接着剤を用いることができる。
【0288】
転置基板6110としては、じん性が大きい各種基板を用い、例えば、有機樹脂のフィルムや金属基板などを好適に使用することができる。じん性の大きい基板は耐衝撃性に優れ、破損し難い基板である。有機樹脂のフィルムは軽量であり、また、金属基板も薄いものは軽量であることから、通常のガラス基板を使用する場合と比較して、大幅な軽量化が可能となる。このような基板を用いることによって、軽く、破損しにくい液晶表示装置を作製することができるようになる。
【0289】
透過型もしくは半透過型の液晶表示装置の場合には、転置基板6110としては、じん性が大きく且つ可視光に対する透光性を有する基板を用いれば良い。このような基板を構成する材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルニトリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリエーテルスルフォン樹脂(PES)、ポリアミド樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等などが挙げられる。これら有機樹脂からなる基板は、じん性が大きいことから、耐衝撃性にも優れ、破損しにくい基板である。また、これら有機樹脂のフィルムは軽量であることから、通常のガラス基板と比較して、非常に軽量化された液晶表示装置を作製することが可能となる。また、この場合、転置基板6110は、少なくとも各画素の光が透過する領域と重なる部分に開口が設けられた金属板6206をさらに備えることが好ましい構成である。この構成とすることによって、寸法変化を抑制しながらじん性が大きく、耐衝撃性が高く破損しにくい転置基板6110を構成できる。さらに、金属板6206の厚さを薄くすることで、従来のガラス基板よりも軽い転置基板6110を構成できる。このような基板を用いることによって、軽く、破損しにくい液晶表示装置を作製することができるようになる。(図23(D)参照)。
【0290】
その後、被剥離層6116から仮支持基板6202を分離する。剥離用接着剤6203は必要時に仮支持基板6202と被剥離層6116とを分離することが可能な材料で形成されているので、当該材料に合った方法により仮支持基板6202を分離すれば良い。なお、バックライトは図面矢印のように照射される(図23(E)参照)。
【0291】
以上により、トランジスタから画素電極までが形成された被剥離層6116(必要に応じて対向電極、遮光膜、配向膜などが設けられていても良い)を転置基板6110上に作製することができ、軽量かつ耐衝撃性の高い素子基板を作製することができる。
【0292】
<変形例>
上述した構成を有する液晶表示装置は、本発明の一態様であり、上述した構成を有する液晶表示装置と異なる構成を備える以下の液晶表示装置も、本発明に含まれる。上述の転置工程(図23(B))の後、転置基板6110を貼り付ける前に、露出した剥離層6201、若しくは被剥離層6116表面に、金属板6206を貼り付けても良い(図23(C’)参照)。この場合、金属板6206からの汚染物質が、被剥離層6116におけるトランジスタの特性に悪影響を及ぼすことを防ぐため、バリア層6207を間に設けると良い。バリア層6207を設ける場合は、露出した剥離層6201、若しくは被剥離層6116表面にバリア層6207を設けてから、金属板6206を貼り付ければ良い。バリア層6207は無機材料や有機材料などにより形成すれば良く、代表的には窒化シリコンなどが挙げられるが、トランジスタの汚染を防止することができれば、これらに限られることはない。バリア層は透光性を有する材料で形成するか、もしくは透光性を有する程度に薄い膜とするなど、少なくとも可視光に対する透光性を有するように作製する。なお、金属板6206は、剥離用接着剤6203とは異なる接着剤を用いて第2の接着剤層(図示せず)を形成し、接着すればよい。
【0293】
この後、第1の接着剤層6111を金属板6206表面に形成し、転置基板6110を貼り付け(図23(D’))、被剥離層6116から仮支持基板6202を分離する(図23(E’))ことにより、軽量且つ耐衝撃性の高い素子基板を作製することができる。なお、バックライトは図面矢印のように照射される。
【0294】
このように作製した軽量かつ耐衝撃性の高い素子基板と、対向基板とを液晶層を間に挟持させてシール材で固着することによって、軽量かつ耐衝撃性の高い液晶表示装置を作製することができる。対向基板としては、じん性が大きく、可視光に対する透光性を有する基板(転置基板6110に用いることが可能なプラスチック基板と同様のもの)を用いることができる。必要に応じてこれに偏光板、遮光膜や対向電極及び配向膜が設けられていても良い。液晶層を形成する方法としては、従来同様ディスペンサ法や注入法などを適用することができる。
【0295】
以上のように作製された軽量かつ耐衝撃性の高い液晶表示装置は、トランジスタなどの微細な素子の作製を、寸法安定性が比較的良好なガラス基板上などで行うことができ、また、従来どおりの作製方法の適用が可能であることから、微細な素子であっても精度良く形成することができる。このため、耐衝撃性を有しながらも、高精細で高品質な画像を提供でき、且つ軽量な液晶表示装置を提供することが可能となる。
【0296】
さらに、上記のように作製した液晶表示装置は、可撓性を有せしめることも可能である。
【0297】
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0298】
(実施の形態6)
図24に、画素の上面図を一例として示す。また、図24の鎖線A1―A2における断面を図25(A)に示す。図24の鎖線B1−B2における断面を図25(B)に示す。
【0299】
図24及び図25において、図2(B)と共通の箇所には同じ符号を用いて説明する。図25(A)に示す画素は、走査線GLaとして機能する導電膜501と、信号線SLaとして機能する導電膜502と、配線COMとして機能する導電膜503と、第1の画素トランジスタ16aの第2端子として機能する導電膜504とを有している。導電膜501は、図2(B)に示した第1の画素トランジスタ16aのゲート電極としても機能する。また、導電膜502は、第1の画素トランジスタ16aの第1端子としても機能する。
【0300】
導電膜501、導電膜503は、絶縁表面を有する基板500上に形成された一の導電膜を所望の形状に加工することで形成することができる。導電膜501、導電膜503上にはゲート絶縁膜506が形成されている。さらに、導電膜502、導電膜504は、ゲート絶縁膜506上に形成された一の導電膜を所望の形状に加工することで形成することができる。
【0301】
また、第1の画素トランジスタ16aの活性層507は、導電膜501と重なる位置においてゲート絶縁膜506上に形成されている。そして、図25(A)に示すように、活性層507は、ゲート電極として機能する導電膜501に重なる構成を用いることが望ましい。上記構成を採用することで、基板500側から入射した光により活性層507中の酸化物半導体が劣化するのを防ぎ、よって、第1の画素トランジスタ16aの閾値電圧がシフトするなどの特性の劣化が引き起こされるのを防ぐことができる。
【0302】
さらに、図25(A)に示す画素は、活性層507、導電膜502、導電膜504を覆うように、絶縁膜512と、絶縁膜513とが順に形成されている。そして、絶縁膜513上には透過領域に位置する画素電極505が形成されており、絶縁膜512及び絶縁膜513に形成されたコンタクトホールを介して、導電膜504と画素電極505とが接続されている。
【0303】
なお、配線COMとして機能する導電膜503と、導電膜504とが、ゲート絶縁膜506を間に挟んで重なり合っている部分が、第1の容量素子17aとして機能する。
【0304】
また、本実施の形態では、導電膜501とゲート絶縁膜506の間に絶縁膜508が形成されている。絶縁膜508は、導電膜501と導電膜502の間に設けられているので、導電膜501と導電膜502の間に生じる寄生容量を絶縁膜508により小さく抑えることができる。
【0305】
また、本実施の形態では、導電膜503とゲート絶縁膜506の間に絶縁膜509が形成されている。そして、絶縁膜509と重なる位置において、画素電極505上にスペーサ510が形成されている。
【0306】
基板514には対向電極515が形成されており、画素電極505と対向電極515の間には液晶を含む液晶層516が設けられている。画素電極505と、対向電極515と、液晶層516とが重なる部分に第1の液晶素子18aが形成される。
【0307】
画素電極505と対向電極515には、例えば、酸化珪素を含む酸化インジウムスズ(ITSO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、ガリウムを添加した酸化亜鉛(GZO)などの透光性を有する導電材料を用いることができる。
【0308】
なお、画素電極505と液晶層516の間、または対向電極515と液晶層516の間に、配向膜を適宜設けても良い。配向膜は、ポリイミド、ポリビニルアルコールなどの有機樹脂を用いて形成することができ、その表面には、ラビングなどの、液晶分子を一定方向に配列させるための配向処理が施されている。ラビングは、配向膜に接するように、ナイロンなどの布を巻いたローラーを回転させて、上記配向膜の表面を一定方向に擦ることで、行うことができる。なお、酸化珪素などの無機材料を用い、配向処理を施すことなく、蒸着法で配向特性を有する配向膜を直接形成することも可能である。
【0309】
また、液晶層516を形成するために行われる液晶の注入は、ディスペンサ式(滴下式)を用いても良いし、ディップ式(汲み上げ式)を用いていても良い。
【0310】
なお、基板514上には、画素間における液晶の配向の乱れに起因するディスクリネーションが視認されるのを防ぐため、或いは、拡散した光が隣接する複数の画素に入射するのを防ぐために、光を遮蔽することができる遮光膜517が設けられている。遮光膜517には、カーボンブラック、二酸化チタンよりも酸化数が小さい低次酸化チタンなどの黒色顔料を含む有機樹脂を用いることができる。または、クロムを用いた膜で、遮光膜517を形成することも可能である。
【0311】
また、遮光膜517を第1の画素トランジスタ16aの活性層507と重なるように設けることで、基板514側から入射した光により活性層507中の酸化物半導体が劣化するのを防ぎ、よって、第1の画素トランジスタ16aの閾値電圧がシフトするなどの特性の劣化が引き起こされるのを防ぐことができる。また、第1の画素トランジスタ16aの活性層507と重なるように、隣りの画素の反射電極を配置することで遮光を行ってもよく、その場合、基板514と基板500の貼り合わせの位置精度のマージンを設けることなく、且つ、工程数を増やすことなく活性層の遮光を行うことができる。
【0312】
図24の画素構造を有する液晶表示装置は、図25(A)に示した透過領域の他に、図25(B)に示す、反射電極525である画素電極が配置された反射領域も有する。
【0313】
また、絶縁膜513の表面を選択的にエッチング加工を行い、絶縁膜513の表面を凹凸形状とすることで反射電極525に凹凸形状を形成する構成としてもよい。反射電極525表面に凹凸を有すると、入射した外光を乱反射させ、より良好な表示を行うことができる。よって、表示における視認性が向上する。
【0314】
図25(B)に示す画素は、走査線GLbとして機能する導電膜521と、信号線SLbとして機能する導電膜522と、配線COMとして機能する導電膜523と、第2の画素トランジスタ16bの第2端子として機能する導電膜524とを有している。導電膜521は、図2(B)に示した第2の画素トランジスタ16bのゲート電極としても機能する。また、導電膜522は、第2の画素トランジスタ16bの第1端子としても機能する。
【0315】
なお、配線COMとして機能する導電膜523と、導電膜524とが、ゲート絶縁膜506を間に挟んで重なり合っている部分が、第2の容量素子17bとして機能する。
【0316】
また、反射電極525を第2の画素トランジスタ16bの活性層527と重なるように設けることで、基板514側から入射した迷光が当たって活性層527中の酸化物半導体が劣化するのを防ぎ、よって、第2の画素トランジスタ16bの閾値電圧がシフトするなどの特性の劣化が引き起こされるのを防ぐことができる。
【0317】
なお、駆動回路をパネルに形成する場合、駆動回路に用いられるトランジスタにも、ゲート電極或いは遮光膜による遮光を行うことで、トランジスタの閾値電圧がシフトするなどの特性の劣化が引き起こされるのを防ぐことができる。
【0318】
なお、図25(A)、図25(B)では、画素電極505(或いは反射電極525)と対向電極515が液晶層516を介して重なる構造を液晶表示装置の透過領域(反射領域)に位置する第1の液晶素子18a或いは第2の液晶素子18bを例に挙げて説明したが、本発明の一態様に係る液晶表示装置はこの構成に限定されない。IPS型の液晶素子やブルー相を用いた液晶素子のように、画素電極と対向電極とが同一基板上に形成されていても良い。
【0319】
また、図24及び図25と画素構成が一部異なる例を図27に示す。図27(B)においては、画素電極505を作製した直後の断面図を示す。
【0320】
また、画素の上面図である図27(A)の鎖線C1―C2における断面を図27(B)に示す。なお、図27(A)及び図27(B)において、図24及び図25と共通の箇所には同じ符号を用いて説明する。
【0321】
図27(A)の画素構成は、活性層507への光の入射をより確実に防ぐために、隣りの画素の反射電極526を第1の画素トランジスタ16aの活性層507と重なるように配置することで遮光を行う例である。
【0322】
隣りの画素の反射電極526を第1の画素トランジスタ16aの活性層507と重なるように配置することで、迷光が当たって活性層507中の酸化物半導体が劣化するのを防ぎ、よって、第1の画素トランジスタ16aの閾値電圧がシフトするなどの特性の劣化が引き起こされるのを防ぐことができる。また、反射電極525に電気的に接続されている第2の画素トランジスタ16bは、反射電極525と導電膜521で活性層527が挟まれることにより遮光される。この構造により第2の画素トランジスタ16bの活性層527に迷光が当たってしきい値電圧のシフトによる特性劣化を防ぐことができる。
【0323】
また、図27(B)に示すように、反射電極526及び反射電極525は、絶縁膜512上に設けており、反射電極526及び反射電極525を覆って平坦化絶縁膜を用いた絶縁膜513が設けられている。そして絶縁膜513上に画素電極505が設けられている積層構造となっている。従って、図27(A)に示すように画素電極505と反射電極525は、絶縁膜513を介して一部重ねることができ、透過領域の面積が拡大するため、図24に示す画素構成よりも高い開口率としている。
【0324】
また、図27(B)に示すように、凹凸のある絶縁膜512上に反射電極526が形成され、反射電極526の表面に凹凸形状を形成することができる。反射電極526表面に凹凸を有すると、入射した外光を乱反射させ、より良好な表示を行うことができる。よって、表示における視認性が向上する。
【0325】
次いで、本発明の一態様に係る液晶表示装置について、図26を用いて説明する。図26(A)は、基板4001と対向基板4006とをシール材4005によって接着させたパネルの上面図であり、図26(B)は、図26(A)の破線A−A’における断面図に相当する。
【0326】
基板4001上に設けられた画素部4002と、走査線駆動回路4004とを囲むように、シール材4005が設けられている。また、画素部4002、走査線駆動回路4004の上に対向基板4006が設けられている。よって、画素部4002と走査線駆動回路4004は、基板4001とシール材4005と対向基板4006とによって、液晶4007と共に封止されている。
【0327】
また、基板4001上のシール材4005によって囲まれている領域とは異なる領域に、信号線駆動回路4003が形成された基板4021が、実装されている。図26(B)では、信号線駆動回路4003に含まれるトランジスタ4009を例示している。
【0328】
また、基板4001上に設けられた画素部4002、走査線駆動回路4004は、トランジスタを複数有している。図26(B)では、画素部4002に含まれるトランジスタ4010a、トランジスタ4010b、トランジスタ4022を例示している。トランジスタ4010a、トランジスタ4010b、トランジスタ4022は、酸化物半導体をチャネル形成領域に含んでいる。そして、対向基板4006に形成されている遮光膜4040は、トランジスタ4022のチャネル形成領域と重なっている。トランジスタ4022を遮光することで、酸化物半導体の光による劣化を防ぎ、トランジスタ4022の閾値電圧がシフトするなどの特性の劣化を防ぐことができる。
【0329】
また、金属材料からなる引き回し配線4014と同じ工程で遮光用金属膜4013は、トランジスタ4010aのチャネル形成領域と重なっている。遮光用金属膜4013によりトランジスタ4010aを遮光することで、酸化物半導体の光による劣化を防ぎ、トランジスタ4010aの閾値電圧がシフトするなどの特性の劣化を防ぐことができる。また、遮光用金属膜4013は、フローティング状態の電極であってもよいし、トランジスタ4010aの酸化物半導体と電気的に接続する電極であってもよいし、トランジスタ4010aのゲート電極と電気的に接続する電極であってもよい。
【0330】
また、工程数が増加するが、遮光用金属膜4013に代えて、インクジェット法などを用いて、カーボンブラックなどの黒色顔料を含む遮光樹脂膜をトランジスタ4010aのチャネル形成領域と重なる位置に形成して遮光してもよい。
【0331】
また、透光性を有する導電膜からなる画素電極4030aは、トランジスタ4010aと電気的に接続されている。そして、対向電極4031は、対向基板4006に形成されている。画素電極4030aと対向電極4031と液晶4007とが重なっている部分が、透過領域の液晶素子4011aに相当する。
【0332】
また、反射電極である画素電極4030bは、トランジスタ4010bと電気的に接続されている。画素電極4030bと対向電極4031と液晶4007とが重なっている部分が、反射領域の液晶素子4011bに相当する。反射電極である画素電極4030bは、トランジスタ4010bのチャネル形成領域と重なっている。トランジスタ4010bを遮光することで、酸化物半導体の光による劣化を防ぎ、トランジスタ4010bの閾値電圧がシフトするなどの特性の劣化を防ぐことができる。
【0333】
また、スペーサ4035が、画素電極4030a、4030bと対向電極4031との間の距離(セルギャップ)を制御するために設けられている。なお、図26(B)では、スペーサ4035が、絶縁膜をパターニングすることで形成されている場合を例示しているが、球状スペーサを用いていても良い。
【0334】
また、信号線駆動回路4003、走査線駆動回路4004、画素部4002に与えられる各種信号及び電位は、引き回し配線4014及び4015を介して、接続端子4016から供給されている。接続端子4016は、FPC4018が有する端子と、異方性導電膜4019を介して電気的に接続されている。
【0335】
なお、基板4001、対向基板4006、基板4021には、ガラス、セラミックス、プラスチックを用いることができる。プラスチックには、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)板、PVF(ポリビニルフルオライド)フィルム、ポリエステルフィルムまたはアクリル樹脂フィルムなどが含まれる。また、アルミニウムホイルをPVFフィルムで挟んだ構造のシートを用いることもできる。
【0336】
但し、液晶素子4011からの光の取り出し方向に位置する基板には、ガラス板、プラスチック、ポリエステルフィルムまたはアクリルフィルムのような透光性を有する材料を用いる。
【0337】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0338】
(実施の形態7)
本実施の形態では、他の実施の形態に示した作製方法を用いてトランジスタ951、及びバックゲート電極を有するトランジスタ952の2種類のトランジスタを作製し、光負バイアス試験前後でのしきい値電圧(Vth)変化量を評価した結果を示す。
【0339】
まず、図29(A)を用いてトランジスタ951の積層構成及び作製方法について説明する。基板900上に、下地膜936として、CVD法により窒化シリコン膜(厚さ200nm)と酸化窒化シリコン膜(厚さ400nm)の積層膜を形成した。次に、下地膜936上に、スパッタ法により窒化タンタル膜(厚さ30nm)と、タングステン膜(厚さ100nm)の積層膜を成膜し、選択的にエッチングしてゲート電極901を形成した。
【0340】
次に、ゲート電極901上に、ゲート絶縁膜902として、高密度プラズマCVD法により酸化窒化シリコン膜(厚さ30nm)を形成した。
【0341】
次に、ゲート絶縁膜902上に、スパッタ法によりIn−Ga−Zn−O系酸化物半導体ターゲットを用いて、酸化物半導体膜(厚さ30nm)を形成した。続いて、酸化物半導体膜を選択的にエッチングし、島状の酸化物半導体膜903を形成した。
【0342】
次に、窒素雰囲気下、450℃で60分間の第1の加熱処理を行った。
【0343】
次に、酸化物半導体膜903上にチタン膜(厚さ100nm)、アルミニウム膜(厚さ200nm)、及びチタン膜(厚さ100nm)の積層膜をスパッタ法により成膜し、選択的にエッチングしてソース電極905a及びドレイン電極905bを形成した。
【0344】
次に、酸化物半導体膜903の一部に接し、ソース電極905a及びドレイン電極905b上に、絶縁膜907としてスパッタ法により酸化シリコン膜を形成した。
【0345】
次に、窒素雰囲気下、250℃で60分間の第2の加熱処理を行った。
【0346】
次に、絶縁膜907上に絶縁膜908として、ポリイミド樹脂層(厚さ2.0μm)を形成した。
【0347】
次に、窒素雰囲気下、250℃で60分間の第3の加熱処理を行った。
【0348】
図29(B)に示すトランジスタ952は、トランジスタ951と同様に作製することができる。なお、トランジスタ951とは、絶縁膜907と絶縁膜908の間にバックゲート電極912が形成されている点が異なる。バックゲート電極912は、絶縁膜907上に、チタン膜(厚さ100nm)、アルミニウム膜(厚さ200nm)、及びチタン膜(厚さ100nm)の積層膜をスパッタ法により成膜し、選択的にエッチングすることで形成した。バックゲート電極912は、ソース電極905aと電気的に接続した。
【0349】
また、トランジスタ951及びトランジスタ952とも、チャネル長は3μm、チャネル幅は20μmとした。
【0350】
続いて、本実施の形態で作製したトランジスタ951及びトランジスタ952に対して行った光負バイアス試験について説明する。
【0351】
光負バイアス試験は加速試験の一種であり、光が照射されている環境下におけるトランジスタの特性変化を、短時間で評価することができる。特に、光負バイアス試験におけるトランジスタのVthの変化量は、信頼性を調べるための重要な指標となる。光負バイアス試験において、Vthの変化量が少ないほど、信頼性が高いトランジスタであるといえる。光負バイアス試験の前後におけるVthの変化量は、1V以下が好ましく、0.5V以下がさらに好ましい。
【0352】
具体的には、光負バイアス試験は、トランジスタが形成されている基板の温度(基板温度)を一定に維持し、トランジスタのソース電極及びドレイン電極を同電位とし、光を照射しながら、ゲート電極にソース電極及びドレイン電極よりも低い電位を一定時間印加することで行う。
【0353】
光負バイアス試験のストレス強度は、光照射条件、基板温度、ゲート絶縁膜に加えられる電界強度、電界印加時間により決定することができる。ゲート絶縁膜に加えられる電界強度は、ゲート電極と、ソース電極及びドレイン電極の電位差をゲート絶縁膜の厚さで除して決定される。例えば、厚さが100nmのゲート絶縁膜に印加する電界強度を2MV/cmとしたい場合は、電位差を20Vとすればよい。
【0354】
なお、光が照射されている環境下において、ソース電極及びドレイン電極の電位よりも高い電位をゲート電極に印加して行う試験を光正バイアス試験というが、光正バイアス試験よりも、光負バイアス試験の方が、トランジスタの特性変動が起きやすいため、本実施の形態では光負バイアス試験にて評価している。
【0355】
本実施の形態における光負バイアス試験は、基板温度を室温(25℃)とし、ゲート絶縁膜902に印加する電界強度を2MV/cmとし、光照射及び電界印加時間を1時間として行った。また、光照射の条件は、朝日分光社キセノン光源「MAX−302」を用いて、ピーク波長400nm(半値幅10nm)、放射照度326μW/cmとした。
【0356】
光負バイアス試験に先立ち、まず、試験対象となるトランジスタの初期特性を測定した。本実施の形態では、基板温度を室温(25℃)とし、ソース電極とドレイン電極間の電圧(以下、ドレイン電圧またはVdという)を3Vとし、ソース電極とゲート電極間の電圧(以下、ゲート電圧またはVgという)を−5V〜+5Vまで変化させた時の、ソース電極とドレイン電極間に流れる電流(以下、ドレイン電流またはIdという)の変化特性、すなわちVg−Id特性を測定した。
【0357】
次に、絶縁膜908側から光照射を開始し、トランジスタのソース電極及びドレイン電極の電位を0Vとし、トランジスタのゲート絶縁膜902へ印加される電界強度が2MV/cmとなるようにゲート電極901に負の電圧を印加した。ここでは、トランジスタのゲート絶縁膜902の厚さが30nmであるため、ゲート電極901に−6Vを印加し、そのまま1時間保持した。ここでは印加時間を1時間としたが、目的に応じて適宜時間を変更してもよい。
【0358】
次に、電圧の印加を終了し、光を照射したまま、初期特性の測定と同じ条件でVg−Id特性を測定し、光負バイアス試験後のVg−Id特性を得た。
【0359】
ここで、本実施の形態におけるVthの定義について図30を例示して説明しておく。図30の横軸はゲート電圧をリニアスケールで示しており、縦軸はドレイン電流の平方根(以下、√Idともいう)をリニアスケールで示している。曲線921は、Vg−Id特性におけるIdの値を平方根で表した曲線(以下、√Id曲線ともいう)である。
【0360】
まず、測定したVg−Id曲線から√Id曲線(曲線921)を求める。次に、√Id曲線上の、√Id曲線の微分値が最大になる点の接線924を求める。次に、接線924を延伸し、接線924上でIdが0Aとなる時のVg、すなわち接線924のゲート電圧軸切片925の値をVthとして定義する。
【0361】
図31に、光負バイアス試験前後におけるトランジスタ951及びトランジスタ952のVg−Id特性を示す。図31(A)及び図31(B)とも、横軸はゲート電圧(Vg)で、縦軸はゲート電圧に対するドレイン電流(Id)を対数目盛で示している。
【0362】
図31(A)は、光負バイアス試験前後におけるトランジスタ951のVg−Id特性を示している。初期特性931は、光負バイアス試験前のトランジスタ951のVg−Id特性であり、試験後特性932は、光負バイアス試験後のトランジスタ951のVg−Id特性である。初期特性931のVthは、1.01Vであり、試験後特性932のVthは、0.44Vであった。
【0363】
図31(B)は、光負バイアス試験前後におけるトランジスタ952のVg−Id特性を示している。また、図31(C)は、図31(B)中の部位945を拡大した図である。初期特性941は、光負バイアス試験前のトランジスタ952のVg−Id特性であり、試験後特性942は、光負バイアス試験後のトランジスタ952のVg−Id特性である。初期特性941のVthは、1.16Vであり、試験後特性942のVthは、1.10Vであった。なお、トランジスタ952のバックゲート電極912はソース電極905aと電気的に接続されているため、バックゲート電極912とソース電極905aの電位は同電位となる。
【0364】
図31(A)において、試験後特性932は、初期特性931に比べてVthがマイナス方向に0.57V変化しており、図31(B)において、試験後特性942は、初期特性941に比べてVthがマイナス方向に0.06V変化している。トランジスタ951及びトランジスタ952とも、Vthの変化量は1V以下であり、信頼性が高いトランジスタであることが確認できる。また、バックゲート電極912を設けたトランジスタ952は、Vthの変化量が0.1V以下であり、トランジスタ951よりもさらに信頼性の高いトランジスタであることが確認できる。
【実施例1】
【0365】
本発明の一態様に係る液晶表示装置を用いることで、高画質である画像の表示を行うことができる電子機器を提供することが可能である。或いは、本発明の一態様に係る液晶表示装置を用いることで、低消費電力の電子機器を提供することが可能である。特に電力の供給を常時受けることが困難な携帯用の電子機器の場合、本発明の一態様に係る液晶表示装置をその構成要素に追加することにより、連続使用時間が長くなるといったメリットも得られる。
【0366】
本発明の一態様に係る液晶表示装置は、表示装置、ノート型パーソナルコンピュータ、記録媒体を備えた画像再生装置(代表的にはDVD:Digital Versatile Disc等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを有する装置)に用いることができる。その他に、本発明の一態様に係る液晶表示装置を用いることができる電子機器として、携帯電話、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、電子書籍、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、デジタルオーディオプレイヤー等)、複写機、ファクシミリ、プリンター、プリンター複合機、現金自動預け入れ払い機(ATM)、自動販売機などが挙げられる。これら電子機器の具体例を図28に示す。
【0367】
図28(A)は電子書籍であり、筐体7001、表示部7002等を有する。本発明の一態様に係る液晶表示装置は、表示部7002に用いることができる。表示部7002に本発明の一態様に係る液晶表示装置を用いることで、高画質である画像の表示が可能な電子書籍、或いは、低消費電力の電子書籍を提供することができる。また、可撓性を有する基板でパネルを作製し、なおかつタッチパネルにも可撓性を持たせることで、液晶表示装置に可撓性を持たせることができるので、フレキシブルかつ軽くて使い勝手の良い電子書籍を提供することができる。
【0368】
図28(B)は表示装置であり、筐体7011、表示部7012、支持台7013等を有する。本発明の一態様に係る液晶表示装置は、表示部7012に用いることができる。表示部7012に本発明の一態様に係る液晶表示装置を用いることで、高画質である画像の表示が可能な表示装置、或いは、低消費電力の表示装置を提供することができる。なお、表示装置には、パーソナルコンピュータ用、TV放送受信用、広告表示用などの全ての情報表示用表示装置が含まれる。
【0369】
図28(C)は現金自動預け入れ払い機であり、筐体7021、表示部7022、硬貨投入口7023、紙幣投入口7024、カード投入口7025、通帳投入口7026等を有する。本発明の一態様に係る液晶表示装置は、表示部7022に用いることができる。表示部7022に本発明の一態様に係る液晶表示装置を用いることで、高画質である画像の表示が可能な現金自動預け入れ払い機、或いは、低消費電力の現金自動預け入れ払い機を提供することができる。
【0370】
図28(D)は携帯型ゲーム機であり、筐体7031、筐体7032、表示部7033、表示部7034、マイクロホン7035、スピーカー7036、操作キー7037、スタイラス7038等を有する。本発明の一態様に係る液晶表示装置は、表示部7033、表示部7034に用いることができる。表示部7033、表示部7034に本発明の一態様に係る液晶表示装置を用いることで、高画質である画像の表示が可能な携帯型ゲーム機、或いは、低消費電力の携帯型ゲーム機を提供することができる。なお、図28(D)に示した携帯型ゲーム機は、2つの表示部7033と表示部7034とを有しているが、携帯型ゲーム機が有する表示部の数は、これに限定されない。
【0371】
図28(E)は携帯電話であり、筐体7041、表示部7042、音声入力部7043、音声出力部7044、操作キー7045、受光部7046等を有する。受光部7046において受信した光を電気信号に変換することで、外部の画像を取り込むことができる。本発明の一態様に係る液晶表示装置は、表示部7042に用いることができる。表示部7042に本発明の一態様に係る液晶表示装置を用いることで、高画質である画像の表示が可能な携帯電話、或いは、低消費電力の携帯電話を提供することができる。
【0372】
図28(F)は携帯情報端末であり、筐体7051、表示部7052、操作キー7053等を有する。図28(F)に示す携帯情報端末は、モデムが筐体7051に内蔵されていても良い。本発明の一態様に係る液晶表示装置は、表示部7052に用いることができる。表示部7052に本発明の一態様に係る液晶表示装置を用いることで、高画質である画像の表示が可能な携帯情報端末、或いは、低消費電力の携帯情報端末を提供することができる。
【0373】
本実施例は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0374】
10 画素部
11a、11b 走査線駆動回路
12a、12b 信号線駆動回路
15 画素
16a、16b トランジスタ
17a、17b 容量素子
18a、18b 液晶素子
20 パルス出力回路
100 液晶表示装置
101 領域
102 領域
103 領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる色相の光を発する複数の光源と、画素部とを有し、
前記画素部は、透光性を有する第1の画素電極と、該第1の画素電極の隣りに配置され、反射電極である第2の画素電極とを有し、
前記第1の画素電極は第1のトランジスタと電気的に接続し、
前記第2の画素電極は第2のトランジスタと電気的に接続し、
前記画素部を複数の領域に分割し、該複数の領域ごとに、異なる色相の光を発する複数の光源の点灯を制御して、前記第1の画素電極と重なる液晶層の第1領域に電圧を印加してカラー表示を行い、
複数の光源の消灯する期間に前記第2のトランジスタを駆動して、前記第2の画素電極と重なる液晶層の第2領域に電圧を印加して静止画表示を行うことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
請求項1において、前記画素部は、第1の領域及び第2の領域を少なくとも有し、前記第1の領域に、異なる色相を有する複数の光が、第1の輪番に従い順次供給されると共に、前記第2の領域にも異なる色相を有する前記複数の光が、前記第1の輪番とは異なる第2の輪番に従い、順次供給されることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタは、酸化物半導体を含むことを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2012−32809(P2012−32809A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−147025(P2011−147025)
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】