説明

液晶表示装置

【課題】 液晶表示装置の使用中に導通不良が生じた場合、ICのラッチアップや破壊等が引き起こされる。このような導通不良が生じた場合にこれを直ちに検出し、この検出結果をもとに信号や電源供給を停止させることが可能な液晶表示装置を提供する。
【解決手段】 液晶表示装置Lのガラス基板1aに断線検出用配線21,24A,24Bを形成し、フレキシブル配線基板12に断線検出用配線22A,22Bを形成し、コントロール基板10に断線検出用配線23A,23Bを形成し、これらを直列に接続して断線検出ループ25を形成し、コントロール基板10に形成された導通確認回路15において断線検出ループ25の導通もしくはインピーダンスの変化を検出する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特にフレキシブル配線基板を使用した液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、液晶表示装置の製造においては、いわゆるセル工程に続くモジュール化工程において、液晶表示パネルに対してこれを駆動するための半導体素子が実装されるとともに、この半導体素子に伝送信号又は電源を供給する配線基板が配設される。半導体素子の実装方式には、種々のものがあり、例えば、配線パターンが形成されたフィルム状の配線基板に半導体素子(ICチップやLSIチップ)を実装するTCP(tape carrier package)実装や、ガラス基板上の電極端子に直接半導体素子に接続するCOG(chip on glass)実装がある。TCP(tapecarrier package)実装構造には、ベース基材を折り曲げる折り曲げ構造と、ベース基材を折り曲げない開き構造があるが、いずれもTAB(Tape Automated Bonding)によって実装される。
【0003】COG実装では、液晶表示パネルLCDの対向する基板の一方の基板が他方の基板よりも大きく、この対向する上方側の基板(他方の基板)と下方側の基板(一方の基板)を重ね合わせると、一部張り出した下方側の基板の外周部に半導体素子の実装領域が形成され、この実装領域に、ペースト状若しくはフィルム状の接着剤を介して半導体素子が実装される。配線基板は、プラスチック製のフレキシブル配線基板(flexible printed circuit)が用いられ、半導体素子に伝送信号や電源を供給するパターン配線が形成されているが、COG実装等では、液晶を狭持する一対の基板のうち、一方の基板の外周端縁に直接配設される。配線基板は、液晶表示装置の小型化・薄型化の実装スペースの縮小化に伴い、フレキシブル配線基板のような可撓性基板が用いられることが多くなっている。
【0004】半導体素子も配線基板も、各々ペースト状若しくはフィルム状の接着剤を介して一方の基板に実装される。ペースト状若しくはフィルム状の接着剤は、COG構造における高密度実装の観点から異方性導電膜(Anisotropic Conductive Film:ACF)が多く使用されている。異方性導電膜は、絶縁性を有する接着剤中に導電性粒子が分散され厚み方向(接続方向)に導電性を有し、面方向(横方向)に絶縁性を有するもので、半導体素子や配線基板の端子(接続端子、導電端子、端子パターンとも呼ばれる)のファインピッチ化の要請に対応させるために好適なものである。
【0005】図5乃至図6は、従来の液晶表示装置におけるCOG実装方式の例を示す。図6に示す例は、信号電極4と走査電極5とがマトリックス状に形成された液晶表示パネルLと、信号電極4を駆動する信号電極駆動IC6と、走査電極5を駆動する走査電極駆動IC7と、信号電極駆動IC6と走査電極駆動IC7に電源と信号を伝達するフレキシブル配線基板12とがガラス基板1a上にそれぞれ設置され構成されている。信号電極駆動IC6と走査電極駆動IC7およびフレキシブル配線基板12は、ガラス基板1aの周縁部に配置されており、フレキシブル配線基板12と、信号電極駆動用IC6または走査電極駆動用IC7とは、信号配線群2および電源配線3で接続されている。信号電極駆動用IC6と走査電極駆動用IC7に電源や信号を供給するコントロール基板10は、フレキシブル配線基板12の片方にACF等を使用して接続されている。信号電極駆動用IC6に供給された信号は、信号電極駆動用IC6の内部で信号処理され信号電極4を駆動し、走査電極駆動用IC7に供給された信号は、走査電極駆動用IC7の内部で信号処理され走査電極5を駆動し、これにより液晶表示装置の液晶表示パネルLの表示領域上に文字または画像などが表示される。
【0006】フレキシブル配線基板12は、図5(a)に示すように、ポリイミド等の樹脂によるベースフィルム12cと、ベースフィルム12cの上に所定の形状に形成された金属層12bと、金属層12bを被覆するカバーフィルム12aとで多層に形成されており、図5(b)に示すように、金属層12bは駆動用配線として、信号伝達に必要な本数が所定の間隔及び幅で形成されている。
【0007】このような液晶表示装置を組み立てる場合には、図5(c)に示すように、狭額縁にするためにコントロール基板10はガラス基板1aの裏側に位置するように配置される。すなわち、フレキシブル配線基板12は、ガラス基板1aとコントロール基板10とを抱え込んだ格好で、断面が半径rの曲線を描くように曲げられる。コントロール基板10等を格納するスペースが十分にある場合には曲げの半径rを大きくすることができるが、装置の小型化等に伴って格納スペースを狭くする場合は、小さな半径rで曲げられる場合もある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来の液晶表示装置では、フレキシブル配線基板12を折り曲げる際、カバーフィルム12aと金属層12bの境界部B1,B2に折り曲げやねじりの応力が集中し易い。そのため、カバーフィルム12aやベースフィルム12cが破れ、最終的に金属層12bも疲労を起こして切断され、導通不良を起こしてしまう問題を有していた。特に、コントロール基板10等を格納するスペースを狭くするために小さな半径rで曲げられる場合には、その傾向が顕著であった。また、導通不良の他の原因としては、液晶表示パネルLの一方の基板1aとフレキシブル配線基板12とコントロール基板10の三基板をACF等の接着剤を介して各々熱圧着接続する際に、加熱によって基板に反りが生じて接続強度が不十分となり、通常想定される振動等によっても接続部がはがれ、導通不良を起こしたり、接続部のはがれから湿気が入り込み、金属層12bや他の配線が腐食を起こしたりすること等が考えられる。導通不良状態としては、複数の配線のいくつかが完全に切断される場合と、装置の向きや温度状態等によって導通はするが切断直前の状態(亀裂が入った状態等)の場合もある。そして、これら信号や電源供給の一部の配線が切断(断線)したり、インピーダンスが高くなったりした場合、これらの導通不良によって、液晶表示装置の信号電極駆動用IC6や走査電極駆動IC7等が破壊に至る場合も考えられ、できるだけ早急に信号や電源の供給を停止させる必要がある。
【0009】しかしながら、従来の導通検査は、液晶表示パネルLの一方の基板1aにフレキシブル配線基板12を接続した状態でこれら両者の導通状態を検査したり、フレキシブル配線基板12にコントロール基板10を接続した状態でこれら三者間の導通状態を検査したりする。このような導通検査は、一般に製品出荷前の検査工程において行われ、製品出荷後に起こる異常取扱いや経時的劣化等、事後的要因による導通不良には対応することができない問題を有していた。特に、製品使用中に導通不良が起こった場合、これによって引き起こされるIC等の破壊がさらに危険な状態(発火等)を引き起こすこともある。
【0010】そこで本発明の目的は、フレキシブル配線基板の折り曲げやねじり等により導通不良が生じた場合にこれを検出することができ、この検出結果により液晶表示パネルへの伝送信号又は電源の供給を直ちに停止させることが可能な液晶表示装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載のフレキシブル配線基板は、液晶層を一対の基板により挟持する液晶表示パネルと、液晶表示パネルの一方の基板に接続されるフレキシブル配線基板と、フレキシブル配線基板に接続されるコントロール基板とを備え、液晶表示パネルの一方の基板とフレキシブル配線基板とコントロール基板上にはそれぞれ駆動用配線が形成され、コントロール基板からそれぞれの駆動用配線を介して液晶表示パネルに伝送信号又は電源を供給する液晶表示装置において、液晶表示パネルの一方の基板に第1の断線検出用配線が形成され、フレキシブル配線基板に第1の断線検出用配線と接続する第2の断線検出用配線が形成され、コントロール基板に第2の断線検出用配線と接続する第3の断線検出用配線と導通確認回路とが形成され、これら第1と第2と第3の断線検出用配線及び導通確認回路が閉回路として構成されていることを特徴とする。
【0012】本発明によれば、第1と第2と第3の断線検出用配線と導通確認回路が閉回路として構成されているため、例えばこの閉回路のインピーダンスに関連させた電圧や、閉回路に定電流を流してその電流量を導通確認回路において検出する。フレキシブル配線基板の折り曲げやねじり等によって第1、第2もしくは第3のいずれかの断線検出用配線等において導通不良が生じると、電圧もしくは電流が異常値となるため、導通確認回路において導通不良を直ちに検出することができる。
【0013】本発明の請求項2記載の液晶表示装置は、請求項1記載の発明を前提として、前記断線検出用配線は、この断線検出用配線が形成されている基板に形成された駆動用配線とそれぞれ同じ材料で形成されていることを特徴とする。
【0014】この発明によれば、断線検出用配線と駆動用配線とがそれぞれの基板において同じ材料で形成されているため、それぞれの基板が接着剤で接続固定されている場合に、断線検出用配線及び駆動用配線の接着強度がそれぞれ同等となり、接着面における接着強度の均一化を図ることが出来る。
【0015】本発明の請求項3記載の液晶表示装置は、請求項1又は請求項2記載の発明を前提として、前記フレキシブル配線基板の駆動用配線が中央に配線され、この中央の駆動用配線の左右に前記第2の断線検出用配線が各々形成されていることを特徴とする。
【0016】ねじりや振動等によりフレキシブル配線基板に応力が加えられた場合、フレキシブル配線基板の中央よりも両端により多く応力がかかることとなる。本発明によれば、第2の断線検出用配線が駆動用配線の左右に形成されているため、断線検出用配線により多くの応力がかかることとなる。したがって、駆動用配線が導通不良となる前に断線検出用配線が導通不良となって検出されるため、駆動用配線の断線による信号電極駆動用ICや操作電極駆動用IC等の破壊を未然に防ぐことができる。
【0017】本発明の請求項4記載の液晶表示装置は、請求項1乃至請求項3記載の発明を前提として、前記導通確認回路は、第1と第2と第3の断線検出用配線の導通不良状態を検出したときに検出信号を生成し、その検出信号により液晶表示パネルへの伝送信号の供給又は電源の駆動を停止させるか、又は、外部に警報を発することを特徴とする。
【0018】本発明によれば、前記導通確認回路は導通不良状態を示す検出信号を生成するため、この検出信号をもとに液晶表示パネルへの伝送信号又は電源の供給を早急に停止させることができ、液晶表示装置の各信号電極駆動用ICや走査電極駆動IC等が破壊される事態を未然に防止することができる。また、この検出信号をもとにLEDやブザー等、あるいは通信回線を用いて外部に警報を発することができる。
【0019】本発明の請求項5記載の液晶表示装置は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の発明を前提として、前記フレキシブル配線基板に形成された第2の断線検出用配線は、フレキシブル配線基板に形成された駆動用配線よりも幅が狭く形成されるか又は薄く形成されていることを特徴とする。
【0020】本発明によれば、フレキシブル配線基板の折り曲げやねじり等によりフレキシブル配線基板に応力がかけられた場合、駆動用配線よりも幅が狭く形成されるか又は薄く形成されている第2の断線検出用配線が駆動用配線よりも先に損傷する確率が高いため、駆動用配線が損傷する前に第2の断線検出用配線が損傷して導通不良状態を検出することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の表示装置を具体的な実施の形態に基づいて説明する。
【0022】(第1の実施の形態)本実施の形態の液晶表示装置は、図6に示すように、液晶層を一対のガラス基板1a,1bにより挟持する液晶表示パネルLと、液晶表示パネルLの一方の基板1aに接続されるフレキシブル配線基板12と、フレキシブル配線基板12に接続されるコントロール基板(「プリント配線基板」とも呼ばれる)10とを備えている。
【0023】液晶表示パネルLは、アクティブマトリクス型であり、信号電極4と走査電極5とがマトリックス状に形成され、信号電極4及び走査電極5はそれぞれ信号電極駆動IC6及び走査電極駆動IC7によって駆動される。ガラス基板1aは、ガラス基板1bよりも大きく形成され、このため両基板1a,1bを重ね合わせると、ガラス基板1aの外周縁部にて一部張り出した部分に信号電極駆動IC6や走査電極駆動IC7の実装領域1cが形成される。信号電極駆動IC6や走査電極駆動IC7には、金(Au)などを材質とする複数の電極突起(バンプ)が形成され、ガラス基板1aに形成された電極と接続される。信号電極駆動用IC6と走査電極駆動用IC7への電源や信号の供給は、コントロール基板10及びフレキシブル配線基板12を介して行われる。コントロール基板10及びフレキシブル配線基板12及びガラス基板1aには、電源や信号を供給するための駆動用配線2a,2b,2cが形成され、実装領域1cの外周にフレキシブル配線基板12を接続し、フレキシブル配線基板12の液晶表示パネルL側とは反対側には、コントロール基板10が連結接続される。接続は、ACFを用いた熱圧着接続による。フレキシブル配線基板12は接続後、図3(a)に示すように、断面U字状に折り曲げられるが、図3(b)に示すように断面L字状に折り曲げたり、図3(c)に示すようにコントロール基板10に設けられたコネクタ13に接続したりすることもある。
【0024】液晶表示パネルLの一方の基板1aには、図1に示すように、第1の断線検出用配線21が形成されている。すなわち、ガラス基板1aは上記配線層や絶縁層等からなる複数層を有するもので、この複数層の一層に金属層を設け、第1の断線検出用配線21が形成されている。この第1の断線検出用配線21は、左右両端の駆動用配線24A,24Bと接続される。
【0025】フレキシブル配線基板12は、信号電極駆動IC6や走査電極駆動IC7に伝送信号や電源を供給するもので、図2(a),(b)に示すように、ベースフィルム12cと、ベースフィルム12c上に被覆される導電端子としての金属層12bと、金属層12bを被覆するカバーフィルム12aとからなる多層に形成されている。カバーフィルム12aとベースフィルム12cは、例えば、ポリイミド等の樹脂でフィルム状に形成されている。本実施の形態のフレキシブル配線基板12は、金属層12bの前後両端部分を残してカバーフィルム12aで被覆されている。
【0026】そして、複数の金属層12bのうち、左右両端の金属層は、第2の断線検出用配線22A,22Bとして使用され、第1の断線検出用配線21と接続されている駆動用配線24A,24Bと接続される。第2の断線検出用配線24A,24Bの間に位置する中央部分の金属層12bは、信号電極駆動IC6や走査電極駆動IC7に伝送信号や電源を供給する駆動用配線2bとして使用される。
【0027】コントロール基板10は、液晶表示パネルLの信号電極駆動IC6と走査電極駆動IC7に電源や信号を供給する駆動回路を配置したもので、液晶表示パネルLに電源や信号を供給する駆動用配線2cが形成され、この駆動用配線2cの左右両端に断線検出用配線23A,23Bを形成する。断線検出用配線23A,23Bは、駆動用配線2cと同じ材料で形成され、同様に、フレキシブル配線基板12やガラス基板1aに形成された断線検出用配線21、23A,23B,24A,24Bは、それぞれの基板に形成された駆動用配線2a,2bと同じ材料で形成される。コントロール基板10とフレキシブル配線基板12とガラス基板1aにそれぞれ設けられた接続部は、ACFを用いて熱圧着され、各配線の材料は各基板において統一されているため、接続部における接着力は偏ることなく均一となる。ACFにより、それぞれの駆動用配線2a,2b,2c及び断線検出用配線22A,22B,23A,23B,24A,24Bが適宜電気的に導通され、断線検出用配線23A,22A,24A,21,24B,22B,23Bが電気的に導通し、断線検出ループ25を形成する(すなわち直列接続とする)。また、コントロール基板10上には、断線検出ループ25が導通しているかを確認する導通確認回路15を設けている。
【0028】本実施の形態の導通確認回路15は、図4(a)に示すように、フォトカプラFを使用した回路である。フォトカプラFの入力端子には電源VA及び断線検出ループ25の端部である断線検出用配線23Aが接続される。断線検出ループ25の他端である断線検出用配線23Bは抵抗RAを介して接地される。フォトカプラFの出力端子には、別の電源VB及び抵抗RBが接続され、抵抗RBの他端は接地される。断線検出ループ25が正常に導通している場合、フォトカプラFに内蔵された発光ダイオードに電流が流れ、フォトカプラFに内蔵されたフォトトランジスタがON状態となり、フォトトランジスタの出力端子(エミッタ出力)の電圧が上がる(具体的には、電源VBの電位からフォトトランジスタのオン抵抗及びオン電流による電圧降下分を差し引いた電圧であり、この電圧をハイ電圧と呼ぶ)。このフォトカプラF(フォトトランジスタ)の出力信号は警報信号ALMとして、信号電極駆動IC6及び走査電極駆動IC7の電源回路に入力される。警報信号ALMがハイ電圧であるとき、電源回路は通常動作され、電源を供給する。断線検出ループ25に導通不良が発生し、フォトカプラFに内蔵された発光ダイオードに電流が流れなくなると、フォトトランジスタがOFF状態となり、出力端子すなわち警報信号ALMの電圧が下がる(ロー電圧と呼ぶ)。警報信号ALMがロー電圧であることを電源回路が検出すると、電源供給が停止される。電源回路における電源供給の開始(供給の維持)及び電源供給の停止動作は、通常の電源用半導体素子に組み込まれている機能である。すなわち、導通が確認されている場合には、正常動作として、そのままの表示を継続する。しかし、断線が確認された場合には、異常信号である警報信号ALMをロー出力し、電極駆動用IC6と走査電極駆動用IC7に電源を供給する電源回路に対して動作停止を指示する。これにより、電極駆動用IC6や走査電極駆動用IC7においてラッチアップや破壊に至ることを素早く防ぐことができる。
【0029】導通確認回路15としては、図4(b)に示すように、断線検出ループ25の完全な断線ではなく腐食等によるインピーダンスの上昇などの導通不良をも検出する方法であっても良い。図4(b)は、オペアンプOPを用いた反転増幅回路を利用した回路である。オペアンプOPの負の入力端子は抵抗RD,RCを介して電源VAに接続されている。また、抵抗RDと抵抗RCの接続部に断線検出ループ25の端部である断線検出用配線23Aが接続され、他端である断線検出用配線23Bは接地されている。オペアンプOPのフィードバック抵抗として抵抗REが、負の入力端子及び出力端子の間に配される。オペアンプOPの正の入力端子は基準電圧VCに接続され、出力端子による出力信号は警報信号ALMとする。断線検出ループ25が正常な導通状態である場合は、オペアンプOPの出力がハイ出力となり、断線検出ループ25が断線状態である場合は、オペアンプOPの出力はロー出力となる。ここで、断線検出ループ25が導通不良となり、断線検出用配線23Aと断線検出用配線23B間のインピーダンスが徐々に高くなった場合、負の入力端子への入力電圧が徐々に上がる。すなわち、断線検出用配線23Aと断線検出用配線23Bとの間に抵抗分が発生し、その抵抗分と抵抗RCとの抵抗分割により断線検出用回線23Aの電圧が上昇するためである。また、基準電圧VCの電位を適宜定めることにより、断線検出用配線23Aと断線検出用配線23Bとの間のインピーダンスがどの程度上昇したかにより、すなわち導通不良がどの程度起こった場合に警報信号ALMをロー出力とさせるかを設定することができる。警報信号ALMは、図4(a)に示す導通確認回路15の場合と同様、電源回路に入力すれば、警報信号ALMの状態に応じて電源の供給もしくは停止が行われる。
【0030】フレキシブル配線基板12の接続部に折り曲げやねじり等の応力がかけられた場合、接続部のはがれ等の導通不良を最初に起こし得る部分は、フレキシブル配線基板12の左右端部(図1における左右端部)である。本実施の形態において、断線検出用配線22A,22B,23A,23B,24A,24Bは左右端部に形成されているため、応力による導通不良はこれらに起こる確率が高い。したがって、図4(a),(b)のいずれに示された導通確認回路15においても、駆動用配線2a,2b,2cが導通不良を起こす前に電源停止等の処置を直ちに行うことができる。また、各配線の材料は各基板において統一されているため、ACFによる接着力は接続部において偏りがない。これにより、接着不良が防止されるだけでなく、接続部のはがれが起きる要因を、折り曲げやねじり等による応力であることにほぼ限定することができる。
【0031】また、図4(a),(b)に示した導通確認回路15の構成例は、基本構成を模式的に表したものであり、抵抗の数量や位置を変更したり、この基本構成をもとにフォトカプラFやオペアンプOP等の保護回路や安全回路等の機能を持たせたりすることは、必要に応じて任意である。さらに、警報信号ALMを用いて警報発生を示すLEDの点灯やブザー、あるいは通信回線を用いて第3者(保守者等)に警報発生を知らせるようにすることも可能である。
【0032】(第2の実施の形態)本実施の形態は、基本的構成は第1の実施の形態と同様であるが、図2(c)に示すように、フレキシブル配線基板12の第2の断線検出用配線22A,22Bの金属層を駆動用配線の金属層2bよりも薄く形成されている点に特徴を有する。これは、上記フレキシブル配線基板12を折り曲げて使用し、折り曲げやねじり応力による導通不良が起こるときに、駆動用配線2a,2b,2cよりも第2の断線検出用配線22A,22Bが先に切断するように強度を意図的に低くするものである。ここで、第2の断線検出用配線22A,22Bの金属層12bのカバーフィルム12aから露出する境界部B1,B2近傍においてその幅を駆動用配線2bの幅よりも狭く形成されるか又は薄く形成されているようにしても良い。上記フレキシブル配線基板12を折り曲げて使用するときに、上記境界部B1,B2近傍が最も破断し易いからである。また、接続部における第2の断線検出用配線22A,22Bの幅を駆動用配線2bの幅と同一とすることにより、接続部の接着強度を均一にすることができる。
【0033】以上、第1及び第2の実施の形態においては、各基板において駆動用配線2a,2b,2cとは別に断線検出用配線22A,22B,23A,23B,24A,24Bが形成されているが、これに限らず、駆動用配線2a,2b,2cの両端部の配線を断線検出用配線22A,22B,23A,23B,24A,24Bとして利用しても良い。このとき、断線検出用配線22A,22B,23A,23B,24A,24Bを電源供給の一部やその他の信号供給の一部として兼用させてもよい。このときは、導通確認回路15に接続して形成される閉回路が所望の動作を行うよう、注意が必要である。また、特にフレキシブル配線基板12の接続部の形状が凹凸形状等、接続部にかかる応力が駆動用配線の左右両脇とは限らない場合に、接続部にかかる応力がもっともかかりやすい部分に断線検出用配線22A,22Bを形成したものも本発明に含まれる。また、上記実施の形態においては、アクティブマトリックス型液晶表示パネルLへの実装を例に説明したが、本発明は単純マトリックス型液晶表示パネルや、その他の方式を用いた液晶表示装置の実装の場合にも適用可能である。また、フレキシブル配線基板がTCPフィルムによる実装の場合でも適用可能である。
【0034】
【発明の効果】本発明の液晶表示装置によれば、液晶表示パネルの一方の基板に第1の断線検出用配線が形成され、フレキシブル配線基板に第1の断線検出用配線と接続する第2の断線検出用配線が形成され、コントロール基板に第2の断線検出用配線と接続する第3の断線検出用配線と導通確認回路とが形成され、これら第1と第2と第3の断線検出用配線及び導通確認回路が閉回路として構成されている。したがって、例えばこの閉回路のインピーダンスに関連させた電圧や、閉回路に定電流を流してその電流量を導通確認回路において検出することにより、フレキシブル配線基板の折り曲げやねじり等によって第1、第2もしくは第3のいずれかの断線検出用配線等において導通不良が生じた場合において、電圧もしくは電流が異常値となるため、導通確認回路において導通不良を直ちに検出することができる。この導通不良の検出により、電源供給や信号供給を直ちに停止させることが可能となり、駆動用配線の導通不良による信号電極駆動ICや走査電極導ICのラッチアップや破壊等の不具合を防止することができる。また、断線検出用配線を駆動用配線の左右に形成したり、断線検出用配線を駆動用配線より狭くもしくは薄く形成したりすることにより、駆動用配線が導通不良となる前に断線検出用配線が導通不良となり、これを直ちに検出することができる。このような断線検出用配線及び導通確認回路を設けることにより、動作中(使用中)における導通不良から引き起こされるIC等の破壊やさらに危険な状態(発火等)が引き起こされることが防止され、安全度の高い液晶表示装置が得られる。
【0035】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における液晶表示装置の基板接続部の構成図
【図2】(a),(b) 本発明の第1の実施の形態におけるフレキシブル配線基板の構成図、(c) 本発明の第2の実施の形態におけるフレキシブル配線基板の構成図
【図3】フレキシブル配線基板の他の実装構成例を示す図
【図4】本発明の導通確認回路の構成図
【図5】従来のフレキシブル配線基板の構成図
【図6】液晶表示装置の構成展開図
【符号の説明】
1a、1b ガラス基板
1c 実装領域
2a,2b,2c 駆動用配線
4 信号電極
5 走査電極
6 信号電極駆動IC
7 走査電極駆動IC
10 コントロール基板
12 フレキシブル配線基板
12a カバーフィルム
12b 金属層
12c ベースフィルム
13 コネクタ
15 導通確認回路
21,24A,24B 第1の断線検出用配線
22A,22B 第2の断線検出用配線
23A,23B 第3の断線検出用配線
25 断線検出ループ
r 曲げの半径
B1,B2 境界部
F フォトカプラ
OP オペアンプ
L 液晶表示パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】 液晶層を一対の基板により挟持する液晶表示パネルと、液晶表示パネルの一方の基板に接続されるフレキシブル配線基板と、フレキシブル配線基板に接続されるコントロール基板とを備え、液晶表示パネルの一方の基板とフレキシブル配線基板とコントロール基板上にはそれぞれ駆動用配線が形成され、コントロール基板からそれぞれの駆動用配線を介して液晶表示パネルに伝送信号又は電源を供給する液晶表示装置において、液晶表示パネルの一方の基板に第1の断線検出用配線が形成され、フレキシブル配線基板に第1の断線検出用配線と接続する第2の断線検出用配線が形成され、コントロール基板に第2の断線検出用配線と接続する第3の断線検出用配線と導通確認回路とが形成され、これら第1と第2と第3の断線検出用配線及び導通確認回路が閉回路として構成されていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】 前記断線検出用配線は、この断線検出用配線が形成されている基板に形成された駆動用配線とそれぞれ同じ材料で形成されていることを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項3】 前記フレキシブル配線基板の駆動用配線が中央に配線され、この中央の駆動用配線の左右に前記第2の断線検出用配線が各々形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の液晶表示装置。
【請求項4】 前記導通確認回路は、第1と第2と第3の断線検出用配線の導通不良状態を検出したときに検出信号を生成し、その検出信号により液晶表示パネルへの伝送信号の供給又は電源の駆動を停止させるか、又は、外部に警報を発することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項5】 前記フレキシブル配線基板に形成された第2の断線検出用配線は、フレキシブル配線基板に形成された駆動用配線よりも幅が狭く形成されるか又は薄く形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図6】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2003−262884(P2003−262884A)
【公開日】平成15年9月19日(2003.9.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−62942(P2002−62942)
【出願日】平成14年3月8日(2002.3.8)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】