説明

液晶表示装置

【課題】薄膜トランジスタへの外部光の入射を遮光できるとともに、画素の開口率の向上を図った液晶表示装置を提供する。
【解決手段】表示装置の画素領域における薄膜トランジスタTFTはゲート電極GTと前記ゲート電極GTの上方に配置した半導体層ASと、前記半導体層ASの上層に配置したドレイン電極DTおよびソース電極を有し、前記半導体層ASは、ドレイン信号線DLの延在方向においてゲート電極GTの形成領域からはみ出して形成される延在部を有し、前記ゲート電極GTは、ゲート信号線の延在方向において前記半導体形成領域からはみ出して形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶表示装置に係り、特に、マトリックス状に配置される各画素に薄膜トランジスタを備える液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆるアクティブ・マトリックス型の液晶表示装置は、液晶を挟持する一対の基板のうち一方の基板(第1基板)の液晶側の面に、x方向に延在しy方向に並設されるゲート信号線と、y方向に延在しx方向に並設されるドレイン信号線とが形成され、隣接する一対のゲート信号線と隣接する一対のドレイン信号線とで囲まれた領域を画素領域としている。
【0003】
そして、各画素領域には、少なくとも、ゲート信号線からの信号(走査信号)によって制御される薄膜トランジスタと、この薄膜トランジスタを通してドレイン信号線からの信号(映像信号)が供給される画素電極とを備えている。
【0004】
また、液晶表示装置は、各画素領域において前記画素電極と対向電極との間に電界を生じせしめて、当該画素の光透過率を制御させるように構成されているため、たとえば第1基板の液晶と反対の面側にバックライトを備えるのが通常となっている。
【0005】
この場合、薄膜トランジスタは、バックライトからの光が前記薄膜トランジスタの半導体層に照射された場合、フォトコン(光導電現象)が発生し、特性が変化してしまう。このため、薄膜トランジスタにおいて、ゲート電極を半導体層よりも下層に形成するいわゆるボトムゲート構造とするとともに、ゲート電極を充分に大きく形成することによって、バックライトからの光をゲート電極によって遮光する構造のものが知られている。このような構成は、たとえば下記特許文献1に開示がなされている。なお、特許文献1に示す薄膜トランジスタのゲート電極は、ゲート信号線の一部を画素領域側に突出させた突出部によって構成したものとなっている。
【0006】
また、本願発明に関連する文献としてはたとえば下記特許文献2がある。特許文献2に示す薄膜トランジスタはやはりボトムゲート構造となっており、ゲート信号線の形成領域内に島状からなる薄膜トランジスタの半導体層を形成したものとなっている。このようにした場合であっても、バックライトからの光は、ゲート信号線によって遮光され半導体層への入射を回避できるようになる。また、特許文献2には、ゲート信号線とドレイン信号線との交差部に、層間絶縁膜の他に、薄膜トランジスタの前記半導体層の形成の際に同時に形成される半導体層をも介在させた構成が開示されている。この半導体層は、ゲート信号線よりも上層に形成されるドレイン信号線の段差による段切れを防止したもので、ドレイン信号線の走行方向に沿ってゲート信号線の形成領域からはみ出して形成される。この場合、薄膜トランジスタの半導体層と段切れ防止のための半導体層は物理的に分断されて形成されたものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−116062号公報
【特許文献2】特開2009−80376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
液晶表示装置において、その薄膜トランジスタのゲート電極をゲート信号線の一部を画素領域側に突出させた突出部によって構成する場合、前記画素トランジスタのサイズは小さく形成することが望まれる。これは、薄膜トランジスタは、ゲート信号線に重畳させることなく、前記ゲート信号線に近接した領域に形成せざるを得ず、実質的な画素領域を狭め、画素の開口率を低下させてしまうことになるからである。
【0009】
また、薄膜トランジスタをボトムゲート構造とする場合、薄膜トランジスタの半導体層の形成の際に、ゲート信号線とドレイン信号線との交差部に、層間絶縁膜の他に半導体層をも介在させ、この半導体層によって、ゲート信号線よりも上層に形成されるドレイン信号線の段差による段切れを防止することが望まれる。このようにすることによって、製造工数の増大を及ぼすことなく、比較的幅の小さなドレイン信号線の段切れを信頼性よく防止できるからである。 この場合、前記特許文献2に示すように薄膜トランジスタの半導体層と段切れ防止のための半導体層を物理的に分断されたままとした場合、画素領域内における薄膜トランジスタの占める面積が大きくなってしまう。
【0010】
そこで、本発明者等は、薄膜トランジスタの半導体層と段切れ防止のための半導体層を物理的に接続させた一体のものとして形成し、半導体層自体に占める面積を小さくして、薄膜トランジスタの小型化を試みた。しかし、段切れ防止のための半導体層に、バックライトからの光が入射するようになり、ここで生じたフォトコンが薄膜トランジスタの半導体層にまで至って、薄膜トランジスタの特性が変化してしまうという不都合が生じた。
【0011】
本発明の目的は、薄膜トランジスタへの外部光の入射を遮光できるとともに、画素の開口率の向上を図った液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の液晶表示装置は、その薄膜トランジスタのゲート電極を、段切れ防止用の半導体層に及ぶまで被うよう大きく形成するようにしたものである。
【0013】
本発明の構成は、たとえば、以下のようなものとすることができる。
【0014】
(1)本発明の液晶表示装置は、液晶を挟持して対向配置される第1基板と、第2基板を有し、
前記第1基板の前記液晶側の面に、隣接する一対のゲート信号線と隣接する一対のドレイン信号線とで囲まれた領域を画素領域とし、
この画素領域に、前記ゲート信号線に電気的に接続されたゲート電極と、このゲート電極を被って形成されるゲート絶縁膜と、このゲート絶縁膜上において前記ゲート電極の形成領域内に重畳して形成される半導体層と、前記ドレイン信号線と電気的に接続されるドレイン電極と、画素電極と電気的に接続されるソース電極とを有する薄膜トランジスタを備える液晶表示装置であって、
前記ゲート電極は、前記ゲート信号線の前記ドレイン信号線の交差部を含む箇所において前記ドレイン信号線の幅よりも大きな幅で突出する突出部によって形成され、
前記ドレイン電極は前記半導体層上に走行するドレイン信号線の一部によって形成され、前記ソース電極は前記半導体層上において前記ドレイン信号線と離間して配置されることにより形成され、
前記半導体層は、この半導体層上に走行するドレイン信号線のそれぞれの走行方向に沿ってゲート電極およびゲート信号線の形成領域からはみ出して形成される延在部を有して形成され、
前記ゲート電極の前記ドレイン電極が形成される側の辺は、平面的に視た場合、前記半導体層よりも外側へはみ出して形成されていることを特徴とする。
【0015】
(2)本発明の液晶表示装置は、(1)において、前記半導体層の延在部の先端部は、先端に向かうにしたがい幅が小さく形成されていることを特徴とする。
【0016】
(3)本発明の液晶表示装置は、(1)において、前記半導体層は、その外輪郭が、前記延在部を除いて、前記ゲート電極との外輪郭から距離を隔てて形成されていることを特徴とする。
【0017】
(4)本発明の液晶表示装置は、(1)において、半導体層は、非晶質半導体層で構成されていることを特徴とする。
【0018】
(5)本発明の液晶表示装置は、(1)において、前記第1基板の前記画素領域に画素電極との間に電界を生じさせる対向電極を備え、
前記画素電極と対向電極のうちの一方の電極は、画素領域に形成された面状電極からなり、前記画素電極と対向電極のうちの他方の電極は、前記面状電極の上層に形成された絶縁膜を介して複数の線状電極からなることを特徴とする。
【0019】
(6)本発明の液晶表示装置は、(5)において、前記画素電極、対向電極と透光性導電膜によって形成されていることを特徴とする。
【0020】
(7)本発明の液晶表示装置は、(1)において、第1基板の液晶と反対の面側にはバックライトが配置されることを特徴とする。
【0021】
(8)本発明の液晶表示装置は、液晶を挟持して対向配置される第1基板と、第2基板有し、前記第1基板の前記液晶側の面に、隣接する一対のゲート信号線と隣接する一対のドレイン信号線とで囲まれた画素領域を備える液晶表示装置であって、前記画素領域に、前記ゲート信号線に電気的に接続されたゲート電極と、このゲート電極を被って形成されるゲート絶縁膜と、このゲート絶縁膜上において前記ゲート電極の形成領域内に重畳して形成される半導体層と、前記ドレイン信号線と電気的に接続されるドレイン電極と、画素電極と電気的に接続されるソース電極とを含む薄膜トランジスタを有し、前記ゲート電極は、前記ゲート信号線の前記ドレイン信号線の交差部を含む箇所において前記ドレイン信号線の幅よりも大きな幅で突出する突出部によって形成され、前記ドレイン電極は前記半導体層上に配置したドレイン信号線の一部によって形成され、前記ソース電極は前記半導体層上において前記ドレイン信号線と離間して配置されることにより形成され、前記半導体層は、前記ドレイン信号線の延在方向においてゲート電極よりも大きく、前記ゲート信号線の延在方向においてゲート電極よりも小さく形成されていることを特徴とする。
【0022】
なお、上記した構成はあくまで一例であり、本発明は、技術思想を逸脱しない範囲内で適宜変更が可能である。また、上記した構成以外の本発明の構成の例は、本願明細書全体の記載または図面から明らかにされる。
【発明の効果】
【0023】
上述のように構成した液晶表示装置は、薄膜トランジスタの外部光の入射を遮光できるとともに、画素の開口率の向上を図ることができるようになる。
【0024】
本発明のその他の効果については、明細書全体の記載から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1A】本発明の液晶表示装置の実施例1を示す要部平面図で、画素に形成された薄膜トランジスタを示している。
【図1B】図1Aの薄膜トランジスタの拡大図である。
【図2】本発明の液晶表示装置の実施例1を示す概略平面図である。
【図3】本発明の液晶表示装置の実施例1の画素を示す平面図である。
【図4】図3のIV−IV線における断面図である。
【図5】図3のV−V線における断面図である。
【図6】本発明の構成の効果を明確にするための対応比較図である。
【図7】図6のVII−VII線における断面図である。
【図8】本発明の構成の効果を明確にするための対応比較図である。
【図9】図6のIX−IX線における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施例を図面を参照しながら説明する。なお、各図および各実施例において、同一または類似の構成要素には同じ符号を付し、説明を省略する。
【実施例1】
【0027】
〈全体の構成〉
図2は、本発明の液晶表示装置の実施例1の概略を示す平面図である。図2において、液晶(図示せず)を挟持して対向配置される第1基板SUB1、第2基板SUB2がある。第2基板SUB2は観察者側に配置されるようになっている。第1基板SUB1の背面にはバックライト(図示しない)が配置されるようになっている。第2基板SUB2は、第1基板SUB1よりも若干小さな面積となっており、第1基板SUB1の図中下側の辺部SDを露出させるようになっている。第1基板SUB1の図中下側の辺部SDには半導体装置(チップ)SECが搭載されている。この半導体装置SECは後述の表示領域ARにおける各画素を駆動する制御回路となっている。第2基板SUB2の周辺には、第1基板SUB1との固着を図るシール材SLが形成され、このシール材SLは液晶を封止させる機能をも有している。
【0028】
シール材SLで囲まれた領域は表示領域ARとなっている。第1基板SUB1の前記表示領域ARにおける液晶側の面には、図中x方向に延在しy方向に並設されるゲート信号線GL、および図中y方向に延在しx方向に並設されるドレイン信号線DLが形成されている。隣接する一対のゲート信号線GLと隣接する一対のドレイン信号線DLとで囲まれる領域は画素領域を構成するようになっている。これにより、表示領域ARにはマトリックス状に配置された多数の画素を有するようになっている。
【0029】
各画素領域には、図中の点線楕円枠内の等価回路図である図Aに示すように、ゲート信号線GLからの信号(走査信号)によってオンされる薄膜トランジスタTFTと、この薄膜トランジスタTFTを通してドレイン信号線DLからの信号(映像信号)が供給される画素電極PXと、この画素電極PXとの間に電界を生じさせる対向電極CTとが形成されている。前記電界は第1基板SUB1の面に平行な成分を有し、液晶の分子は第1基板SUB1の面に水平な状態のままで配向状態が変化するようになっている。この種の液晶表示装置はたとえばIPS(In Plane Switching)方式と称される。なお、対向電極CTはたとえばゲート信号線GLに平行して走行するコモン信号線CLを介して映像信号に対して基準となる基準信号が供給されるようになっている。
【0030】
なお、ゲート信号線GL、ドレイン信号線DL、およびコモン信号線CLは、それぞれ図示しない引き出し線によって前記半導体装置SECに接続され、ゲート信号線GLには走査信号、ドレイン信号線DLには映像信号、コモン信号線CLには基準信号が供給されるようになっている。
【0031】
〈画素の構成〉
図3は、第1基板SUB1の液晶側の面に形成された画素の構成を示す図で、図2の図Aにおける部分の平面図を示している。なお、図4は、図3のIV−IVにおける断面図、図5は図3のV−V線における断面図を示している。
【0032】
図3において、第1基板SUB1(図4、図5参照)の液晶側の面に、図中x方向に延在されy方向に並設されるゲート信号線GLが形成されている。これらゲート信号線GLは後述のドレイン信号線DLとで囲まれる矩形状の領域を画素領域として構成するようになっている。ここで、ゲート信号線GLには、当該画素領域側に突出する突出部によって形成されるゲート電極GTが設けられている。このゲート電極GTは、後述の薄膜トランジスタTFTのゲート電極となるものである。ゲート電極GTは、ドレイン信号線DLとの交差部を含む箇所においてドレイン信号線DLの幅よりも大きな幅を有して形成されている。ゲート電極GTはドレイン信号線DLに対して図中右側(当該画素領域側)にずれて形成されている。これにより、ゲート電極GTにおいて、ドレイン信号線DLが重ねられる部分よりも図中左側のドレイン信号線DLから露出された部分の方が面積的に大きくなっている。このようにした理由は、後述の説明から明らかとなるように、ドレイン信号線DLから露出された部分において、薄膜トランジスタTFTのチャネル領域、ソース電極を形成するようになっているからである。
【0033】
ゲート電極は、ゲート信号線GLの延在方向に幅GGWを有し、ドレイン信号線の延在方向に長さGDWを有している。なお、ゲート電極の領域で薄膜トランジスタ機能に直接的に関与する領域はチャネル領域CHDと重なる領域である。このようにゲート信号線GL(ゲート電極GT)が形成された第1基板SUB1の表面には、前記ゲート信号線GLをも被って絶縁膜GI(図4、図5参照)が形成されている。この絶縁膜GIは薄膜トランジスタTFTの形成領域においてゲート絶縁膜として機能するようになっている。
【0034】
図1A、図1Bに示すように、絶縁膜GIの表面の薄膜トランジスタTFTの形成領域にたとえばアモルファスSiからなる半導体層ASが島状に形成されている。半導体層ASはドレイン信号線の延在方向に長さASDWを有し、ゲート信号線の延在方向に幅ASGWを有している。この半導体層ASは、前記ゲート電極GTの形成領域内、さらには、後述のドレイン信号線の走行方向に沿ってゲート電極GTおよびゲート信号線GLからはみ出して形成される延在部EXを有して形成されている。そして、半導体層ASは、その外輪郭が、前記延在部EXを除いて、ゲート電極GTとの該輪郭から距離Wを隔てて形成されている。即ち、半導体層ASは一つの画素において、ドレイン信号線の断線を抑制するための部位とチャネル領域CHDを構成する部位とが一体的に形成される。半導体層ASの長さASDWはゲート電極の長さGDWより大きく(ASDW>GDW)、半導体層の幅ASGWはゲート電極の幅GGWより小さい(ASGW<GGW)。さらに半導体層はゲート電極とドレイン信号線の交差する領域において、ドレイン線の幅よりも大きい幅で形成されているため、ゲート電極及び半導体層の上層に形成されるドレイン層に段差が生じない。よって、ドレイン層の断線を防止できる。また、半導体層ASの延在部EXの先端部は、先端に向かうにしたがい幅が小さくなるように楔状に形成されている。このようなパターンからなる半導体層ASは、薄膜トランジスタTFTの半導体層と、ドレイン信号線DLの段差による段切れを防止する半導体層とを、互いに接続させて一体的に形成したことにある。
【0035】
前記薄膜トランジスタTFTは、前記半導体層ASの表面に、互いに対向配置されたドレイン電極DT、ソース電極STが形成されることにより、逆スタガ構造のMIS(Metal Insulator Semiconductor)型トランジスタが構成されるようになる。この場合、図中y方向に延在しx方向に並設されるドレイン信号線DLが形成され、前記ドレイン電極DTは、前記ドレイン信号線DLのうち前記半導体層AS上を走行する部分によって形成されるようになっている。すなわち、ドレイン電極DTは、ドレイン信号線DLからの延在部によって形成されることなく、直線状に走行するドレイン信号線DLの一部によって形成されるようになっている。なお、ドレイン信号線DLは、半導体層ASの前記延在部EXに重ねられて形成され、これにより、ドレイン信号線DLの段差による段切れを信頼性よく回避できる構成となっている。
【0036】
また、ドレイン信号線DLの形成の際に、薄膜トランジスタTFTのソース電極STが形成され、このソース電極STは半導体層ASの形成領域を超えて画素領域側に延在するパッド部PDを具備して構成されている。このパッド部PDは後述の画素電極PXと電気的に接続される部分として構成される。
【0037】
前記基板SUB1の表面にはドレイン信号線DL等をも被って保護膜PAS(図4、図5参照)が形成されている。この保護膜PASは薄膜トランジスタTFTの液晶との直接の接触を回避し、前記薄膜トランジスタTFTの特性劣化を防止するようになっている。この保護膜PASは、たとえば二層構造からなり、無機絶縁膜からなる保護膜PAS1および有機絶縁膜からなる保護膜PAS2の順次積層体によって構成されている。
【0038】
そして、保護膜PAS2の表面であって隣接する一対のゲート信号線CLの間に、該ゲート信号線CLの走行方向に沿って形成される対向電極CTが形成されている。この対向電極CTは図中x方向に並設される各画素領域に共通に形成され、図2に示したコモン信号線CLを兼ねた構成となっている。この対向電極CTは、たとえばITO(Indium Tin Oxide)からなる透光性導電膜から構成されている。
【0039】
なお、対向電極CTは、たとえば前記バッド部PDを被うのを回避して形成されている。これは、前記バッド部PDを後述の画素電極PXと後述のスルーホールTHを通して電気的接続を図る際に、前記対向電極CTと画素電極PXとの短絡を回避させるためである。
【0040】
第1基板SUB1の表面には、対向電極CTをも被って無機絶縁膜からなる絶縁膜IN(図4、図5参照)が形成され、この絶縁膜INの上面には各画素領域に画素電極PXが形成されている。絶縁膜INは画素電極PXと前記対向電極CTとの絶縁を図る層間絶縁膜としての機能を有する。画素電極PXは、たとえば図中y方向に延在されx方向に並設された複数(図ではたとえば3個)の線状の電極からなり、これら各電極は、前記薄膜トランジスタTFT側の端部において互いに接続された接続部JNを備えている。画素電極PXは、たとえばITO(Indium Tin Oxide)からなる透光性導電膜から構成されている。画素電極PXの接続部JNの一部は、絶縁膜INおよび絶縁膜PASに形成されたスルーホールTHを通して前記薄膜トランジスタTFTのソース電極ST(正確にはパッド部PD)に電気的に接続されるようになっている。
【0041】
〈効果〉
このように構成された液晶表示装置において、前記薄膜トランジスタTFTおよびその近傍の構成における拡大図を図1Aに、薄膜トランジスタTFT形成部の拡大図を図1Bに示す。図1A,図1Bに示す薄膜トランジスタTFTの特徴的な構成は、まず、薄膜トランジスタの半導体層ASと段切れ防止のための半導体層ASが物理的に一体化された構成となっているとともに、薄膜トランジスタのドレイン電極DTは、半導体層AS上において直線状に走行するドレイン信号線DLの一部によって形成されていることにある。薄膜トランジスタTFTのチャネル領域は、ドレイン信号線DLとソース電極STの間の図中符号CHDで示す領域となる。このように構成される薄膜トランジスタTFTはドレイン信号線DL側に近接させて形成することができ、画素領域内における薄膜トランジスタTFTの占める面積を小さくできる。したがって、画素の開口率を向上させることができる。
【0042】
そして、ゲート電極GTの形成領域内に形成される半導体層ASは、ドレイン信号線DLの走行方向に沿ってゲート電極GTの形成領域からはみ出す延在部EXを除き、その外輪郭がゲート電極Gおよびゲート信号線GLの外輪郭よりも内側に位置づけられて形成されている。これにより、特に、ゲート電極GTのドレイン信号線DL(ドレイン電極DT)が形成される側の辺は、平面的に視た場合、半導体層ASよりも外側へはみ出して形成されるようになっている。このため、バックライトからの光は前記ゲート電極GTによって遮光され、半導体層ASに光の入射によるフォトコンの発生を防止できるようになる。なお、半導体層ASはドレイン信号線DLの形成領域においてゲート電極GTからはみ出る部分(延在部EX)を有するが、この部分はチャネル領域CHDから比較的大きく離間されていることから、たとえこの部分にフォトコンが発生することがあっても、チャネル領域CHDにまで達することは希となり、薄膜トランジスタTFTの特性を変化させるまでには至らないものとなる。
【0043】
ここで、図1に示した薄膜トランジスタを、たとえば図6に示す薄膜トランジスタTFTと比較する。図6は、薄膜トランジスタTFTの半導体層(図中AStfで示す)と段切れ防止のための半導体層(図中ASlvで示す)を物理的に分断された構成となっている。この点に関しては前記特許文献2に記載された技術と同様である。図6に示す薄膜トランジスタTFTは、段切れ防止の半導体層ASlvの形成領域と異なる他の領域に形成されていることになり、ドレイン電極DTが接続されるドレイン信号線DLから比較的大きく離れた位置に配置されることになる。ゲート信号線GLの突出部で構成される薄膜トランジスタTFTのゲート電極GTは、薄膜トランジスタTFTを遮光するため、薄膜トランジスタTFTの半導体層AStfを充分に被った大きさで形成されているが、段切れ防止の半導体層ASlvに対してはその対策はなされていない。すなわち、ゲート電極GTのドレイン信号線DL側の辺は、平面的に視た場合、段切れ防止の半導体層ASlvの形成領域内に位置づけられ、前記半導体層SAlvはゲート電極GTからはみ出した部分を有している。段切れの半導体層ASlvは薄膜トランジスタTFTの半導体層AStfと電気的な接続がなされていないことから、フォトコンの対策を不要とするからである。なお、図7は、図6のVII−VII線における断面図を示している。
【0044】
図8は、図6に示した構成において、薄膜トランジスタの半導体層ASと段切れ防止のための半導体層ASを物理的に接続させた構成とするとともに、薄膜トランジスタTFTのドレイン電極DTを前記半導体層上のドレイン信号線の一部によって構成したものである。このようにした場合、段切れ防止のための半導体層ASも薄膜トランジスタTFTの半導体層ASを兼ねた構成とでき、薄膜トランジスタTFTはドレイン信号線DL(ドレイン電極DT)から近接した位置に配置できることになる。この場合、段切れ防止を兼ねる半導体層ASはゲート電極GTからはみ出した部分を有しており、ここの部分においてバックライトからの光によって発生したフォトコンは、薄膜トランジスタTFTに影響を与えることとなってしまう。なお、図9は、図8のIX−IX線における断面図を示している。
【実施例2】
【0045】
上述した液晶表示装置は、IPS(In Plane Switching)方式と称される液晶表示装置について説明したものである。しかし、これに限らず、TN(Twisted Nematic)あるいはVA(Vertical Alignment)と称される各方式における液晶表示装置にも適用できる。いずれの方式における液晶表示装置においても同様の課題があるからである。
【0046】
本発明は、表示装置の画素領域における薄膜トランジスタはゲート電極とゲート電極の上方に配置した半導体層と、半導体層の上層に配置したドレイン電極およびソース電極を有し、半導体層がドレイン信号線の延在方向においてゲート電極の形成領域からはみ出して形成される延在部を有し、ゲート電極がゲート信号線の延在方向において半導体形成領域からはみ出して形成されている。
【0047】
図4に示すように、ゲート電極形成部の断面図をみると、ゲート電極上に半導体層ASとドレイン電極とソース電極とが積層されている。半導体層はゲート電極からはみ出すことなく形成されている。これにより、断線防止部とチャネル部とが一体的に形成された半導体層を形成しても、ホトコンの影響を小さくすることができる。
【0048】
以上、本発明を実施例を用いて説明してきたが、これまでの各実施例で説明した構成はあくまで一例であり、本発明は、技術思想を逸脱しない範囲内で適宜変更が可能である。また、それぞれの実施例で説明した構成は、互いに矛盾しない限り、組み合わせて用いてもよい。
【符号の説明】
【0049】
SUB1……第1基板、SUB2……第2基板、SEC……半導体装置(チップ)、AR……表示領域、SL……シール材、GL……ゲート信号線、DL……ドレイン信号線、TFT……薄膜トランジスタ、DT……ドレイン電極、ST……ソース電極、PD……パッド部、AS……半導体層、AStf……薄膜トランジスタの半導体層、ASlv……段切れ防止のための半導体層、EX……延在部(半導体層の)、PX……画素電極、CT……画素電極、CL……コモン信号線、GI、IN……絶縁膜、PAS……保護膜、PAS1……無機絶縁膜、PAS2……有機絶縁膜、TH……スルーホール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶を挟持して対向配置される第1基板と、第2基板を有し、
前記第1基板の前記液晶側の面に、隣接する一対のゲート信号線と隣接する一対のドレイン信号線とで囲まれた領域を画素領域とし、
この画素領域に、前記ゲート信号線に電気的に接続されたゲート電極と、このゲート電極を被って形成されるゲート絶縁膜と、このゲート絶縁膜上において前記ゲート電極の形成領域内に重畳して形成される半導体層と、前記ドレイン信号線と電気的に接続されるドレイン電極と、画素電極と電気的に接続されるソース電極とを有する薄膜トランジスタを備える液晶表示装置であって、
前記ゲート電極は、前記ゲート信号線の前記ドレイン信号線の交差部を含む箇所において前記ドレイン信号線の幅よりも大きな幅で突出する突出部によって形成され、
前記ドレイン電極は前記半導体層上に走行する前記ドレイン信号線の一部によって形成され、前記ソース電極は前記半導体層上において前記ドレイン信号線と離間して配置されることにより形成され、
前記半導体層は、この半導体層上に走行する前記ドレイン信号線のそれぞれの走行方向に沿って前記ゲート電極および前記ゲート信号線の形成領域からはみ出して形成される延在部を有して形成され、
前記ゲート電極の前記ドレイン電極が形成される側の辺は、平面的に視た場合、前記半導体層よりも外側へはみ出して形成されていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記半導体層の延在部の先端部は、先端に向かうにしたがい幅が小さく形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記半導体層は、その外輪郭が、前記延在部を除いて、前記ゲート電極との外輪郭から距離を隔てて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
半導体層は、非晶質半導体層で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記第1基板の前記画素領域に画素電極との間に電界を生じさせる対向電極を備え、
前記画素電極と対向電極のうちの一方の電極は、画素領域に形成された面状電極からなり、前記画素電極と対向電極のうちの他方の電極は、前記面状電極の上層に形成された絶縁膜を介して複数の線状電極からなることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記画素電極、対向電極と透光性導電膜によって形成されていることを特徴とする請求項5に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
第1基板の液晶と反対の面側にはバックライトが配置されることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
液晶を挟持して対向配置される第1基板と、第2基板有し、前記第1基板の前記液晶側の面に、隣接する一対のゲート信号線と隣接する一対のドレイン信号線とで囲まれた画素領域を備える液晶表示装置であって、
前記画素領域に、前記ゲート信号線に電気的に接続されたゲート電極と、このゲート電極を被って形成されるゲート絶縁膜と、このゲート絶縁膜上において前記ゲート電極の形成領域内に重畳して形成される半導体層と、前記ドレイン信号線と電気的に接続されるドレイン電極と、画素電極と電気的に接続されるソース電極とを含む薄膜トランジスタを有し、
前記ゲート電極は、前記ゲート信号線の前記ドレイン信号線の交差部を含む箇所において前記ドレイン信号線の幅よりも大きな幅で突出する突出部によって形成され、
前記ドレイン電極は前記半導体層上に配置したドレイン信号線の一部によって形成され、
前記ソース電極は前記半導体層上において前記ドレイン信号線と離間して配置されることにより形成され、
前記半導体層は、前記ドレイン信号線の延在方向においてゲート電極よりも大きく、前記ゲート信号線の延在方向においてゲート電極よりも小さく形成されていることを特徴とする液晶表示装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−118252(P2011−118252A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−277165(P2009−277165)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【出願人】(506087819)パナソニック液晶ディスプレイ株式会社 (443)
【Fターム(参考)】