液滴吐出装置、並びに電気光学装置の製造方法、電気光学装置および電子機器
【課題】ミストをワークに付着させることなく、捨て吐出を行う。
【解決手段】ワークテーブル21の相対移動方向の前方に近接し且つ自身の上面71aがワークテーブル21に搭載されたワークWの上面Waより低い位置となるように配設されると共に、機能液滴吐出ヘッド17の描画動作直前の捨て吐出を受けるフラッシングユニット71と、機能液滴吐出ヘッド17を昇降させるヘッド昇降手段35と、機能液滴吐出ヘッド17、移動手段23およびヘッド昇降手段35を制御する制御手段と、をさらに備え、制御手段は、描画動作直前に、ヘッド昇降手段35により機能液滴吐出ヘッド17をそのノズル面38がワークWの上面Waより低い位置とした状態で、機能液滴吐出ヘッド17に捨て吐出を行わせる。
【解決手段】ワークテーブル21の相対移動方向の前方に近接し且つ自身の上面71aがワークテーブル21に搭載されたワークWの上面Waより低い位置となるように配設されると共に、機能液滴吐出ヘッド17の描画動作直前の捨て吐出を受けるフラッシングユニット71と、機能液滴吐出ヘッド17を昇降させるヘッド昇降手段35と、機能液滴吐出ヘッド17、移動手段23およびヘッド昇降手段35を制御する制御手段と、をさらに備え、制御手段は、描画動作直前に、ヘッド昇降手段35により機能液滴吐出ヘッド17をそのノズル面38がワークWの上面Waより低い位置とした状態で、機能液滴吐出ヘッド17に捨て吐出を行わせる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークテーブルに搭載されたワークに対し、インクジェット方式で機能液滴吐出ヘッドから機能液滴を吐出して描画動作を行う液滴吐出装置、並びに電気光学装置の製造方法、電気光学装置および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の液滴吐出装置において、機能液滴吐出ヘッドに対して相対移動するワークテーブルの前方に近接して配設されると共に、機能液滴吐出ヘッドの描画動作直前の捨て吐出(予備吐出)を受けるフラッシングユニット(描画前フラッシングユニット)を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この捨て吐出は、機能液滴吐出ヘッド内で増粘した機能液を描画直前に排出すべく、フラッシングユニットに対し機能液滴吐出ヘッドの各ノズルから多数発の機能液滴を吐出することで行われるものである。
【特許文献1】特開2006−76066号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような液滴吐出装置では、機能液滴(主滴)の捨て吐出に伴って、霧状に浮遊する微小の機能液滴(副滴)、すなわちミストが発生し、このミストが、ワーク(特に縁部上面)に付着してしまい、描画後のワークの品質を損なうという問題があった。この問題に対し、フラッシングユニットをワークテーブルから十分に離間して配設することで、ミストがワークに掛からないようにすることが考えるが、その場合には装置全体が大型化してしまう。また、1回の捨て吐出における吐出量(吐出発数)を少なくすることで、ミストの発生を抑えることも考えられるが、その場合には増粘した機能液の排出が不十分となってしまう。
【0004】
本発明は、ミストをワークに付着させることなく、捨て吐出を行うことができる液滴吐出装置、並びに電気光学装置の製造方法、電気光学装置および電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の液滴吐出装置は、インクジェット方式の機能液滴吐出ヘッドと、ワークを搭載するワークテーブルと、機能液滴吐出ヘッドに対しワークテーブルを相対移動させる移動手段と、を備え、機能液滴吐出ヘッドに対するワークテーブルの相対移動を行いながら、ワークテーブルに搭載されたワークに対し、機能液滴吐出ヘッドを駆動して描画動作を行う液滴吐出装置において、ワークテーブルの相対移動方向の前方に近接し且つ自身の上面がワークテーブルに搭載されたワークの上面より低い位置となるように配設されると共に、機能液滴吐出ヘッドの描画動作直前の捨て吐出を受けるフラッシングユニットと、機能液滴吐出ヘッドを昇降させるヘッド昇降手段と、機能液滴吐出ヘッド、移動手段およびヘッド昇降手段を制御する制御手段と、をさらに備え、制御手段は、描画動作直前に、ヘッド昇降手段により機能液滴吐出ヘッドをそのノズル面がワークの上面より低い位置とした状態で、機能液滴吐出ヘッドに捨て吐出を行わせることを特徴とする。
【0006】
この構成によれば、機能液滴吐出ヘッドのノズル面がワークの上面よりも低い状態で捨て吐出を行うことで、捨て吐出によりミストが発生したとしても、そのミストが上昇しない限り、ワークに付着することがない。このため、ミストをワークに付着させることなく、捨て吐出を行うことができる。
【0007】
この場合、ワークテーブルとフラッシングユニットとの間隙からエアーを吸引するエアー吸引口を、さらに備えたことが好ましい。
【0008】
この構成によれば、ワークテーブルとフラッシングユニットとの間隙に浮遊したミストが、ワークに付着する前に、エアー吸引口から吸引除去される。このため、ミストがワークに付着することをより確実に防止することができる。
【0009】
この場合、エアー吸引口は、ワークテーブルの相対移動方向の前方側面に形成されていることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、ワークテーブルとフラッシングユニットとの間にエアー吸引口を設けた場合に比べ、ワークテーブルとフラッシングユニットとをより近接して設けることができ、装置全体の小型化を図ることができる。
【0011】
この場合、制御手段は、捨て吐出と当該捨て吐出から描画動作への移行とを、機能液滴吐出ヘッドに対しワークテーブルを相対移動させながら行わせると共に、当該描画動作への移行時に機能液滴吐出ヘッドを上昇させることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、機能液滴吐出ヘッドに対しワークテーブルを相対移動させながら、捨て吐出および描画動作への移行を行うことで、描画動作に要する時間を短縮することができる。
【0013】
本発明の他の液滴吐出装置は、インクジェット方式の機能液滴吐出ヘッドと、ワークを搭載するワークテーブルと、機能液滴吐出ヘッドに対しワークテーブルを相対移動させる移動手段と、を備え、機能液滴吐出ヘッドに対するワークテーブルの相対移動を行いながら、ワークテーブルに搭載されたワークに対し、機能液滴吐出ヘッドを駆動して描画動作を行う液滴吐出装置において、ワークテーブルの相対移動方向の前方に近接して配設されると共に、機能液滴吐出ヘッドの描画動作直前の捨て吐出を受けるフラッシングユニットと、ワークテーブルとフラッシングユニットとの間隙からエアーを吸引するエアー吸引口と、をさらに備えたこと。
【0014】
この構成によれば、ワークテーブルとフラッシングユニットとの間隙に浮遊したミストが、ワークに付着する前に、エアー吸引口から吸引除去される。このため、ミストをワークに付着させることなく、捨て吐出を行うことができる。
【0015】
この場合、フラッシングユニットは、その上面がワークテーブルに搭載されたワークの上面と略面一になるように配設されていることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、捨て吐出後に機能液滴吐出ヘッドを昇降させずとも、機能液滴吐出ヘッドのノズル面とフラッシングユニットの上面との間隔(フラッシングギャップ)と、ノズル面とワーク上面との間隔(ワークギャップ)とが同一になる。通常、ワークギャップは、極力小さい値に設定されるため、ワークギャップと同等の小さいフラッシングギャップで捨て吐出を行うことになる。これにより、ミストがノズル面で抑えられ、周囲に浮遊することがない。したがって、ミストがフラッシングユニットに受けられやすくすることができる。
【0017】
この場合、機能液滴吐出ヘッドおよび移動手段を制御する制御手段を、さらに備え、制御手段は、捨て吐出と当該捨て吐出から描画動作への移行とを、機能液滴吐出ヘッドに対しワークテーブルを相対移動させながら行わせることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、機能液滴吐出ヘッドに対しワークテーブルを相対移動させながら、捨て吐出および描画動作への移行を行うことで、描画動作に要する時間を短縮することができる。
【0019】
これらの場合、移動手段は、機能液滴吐出ヘッドに対し、ワークテーブルを移動させ、フラッシングユニットは、ワークテーブルに支持されていることが好ましい。
【0020】
この構成によれば、移動手段によりワークテーブルと共にフラッシングユニットを移動させ、フラッシングユニットを機能液滴吐出ヘッドに臨ませることができる。このため、移動手段のほかに、機能液滴吐出ヘッドに対してフラッシングユニットを移動させるための手段を設ける必要がない。
【0021】
またこれらの場合、描画動作は、機能液滴吐出ヘッドに対するワークテーブルの相対的な往動および復動のそれぞれにおいて行われ、ワークテーブルの相対的な往動方向前方および復動方向前方には、フラッシングユニットが一対配設されていることが好ましい。
【0022】
この構成によれば、機能液滴吐出ヘッドに対するワークテーブルの相対的な往動および復動のそれぞれにおいて、フラッシングユニットに対する捨て吐出を行うことが可能となる。このため、描画動作を効率良く行うことができる。
【0023】
本発明の電気光学装置の製造方法は、上記した液滴吐出装置を用い、ワーク上に機能液による成膜部を形成することを特徴とする。
【0024】
また、本発明の電気光学装置は、上記した液滴吐出装置を用い、ワーク上に機能液による成膜部を形成したことを特徴とする。
【0025】
これらの構成によれば、ミストをワークに付着させることなく、捨て吐出を行うことができる液滴吐出装置を用いたことで、ワーク上に機能液による成膜部を適切に形成することができ、高品質な電気光学装置を製造することができる。なお、電気光学装置(フラットパネルディスプレイ:FPD)としては、カラーフィルタ、液晶表示装置、有機EL装置、PDP装置、電子放出装置等が考えられる。なお、電子放出装置は、いわゆるFED(Field Emission Display)やSED(Surface-conduction Electron-Emitter Display)装置を含む概念である。さらに、電気光学装置としては、金属配線形成、レンズ形成、レジスト形成および光拡散体形成等を包含する装置が考えられる。
【0026】
本発明の電子機器は、上記した電気光学装置の製造方法により製造した電気光学装置または上記した電気光学装置を、搭載したことを特徴とする。
【0027】
この場合、電子機器としては、いわゆるフラットパネルディスプレイを搭載した携帯電話、パーソナルコンピュータのほか、各種の電気製品がこれに該当する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。本実施形態に係る液滴吐出装置は、フラットパネルディスプレイの製造ラインに組み込まれており、例えば特殊なインクや発光性の樹脂液である機能液を導入した機能液滴吐出ヘッドを用い、液晶表示装置のカラーフィルタや有機EL装置の各画素となる発光素子等を形成(インクジェット法による印刷)するものである。
【0029】
図1に示すように、液滴吐出装置1は、機台2と、機台2に載置され、機能液滴吐出ヘッド17を搭載した描画装置3と、機台2上で描画装置3に添設されたメンテナンス装置4と、液滴吐出装置1の各部を制御する制御装置5(図2参照)とを備えている。
【0030】
描画装置3は、X軸方向に延在するX軸テーブル11と、X軸テーブル11に直交するY軸テーブル12と、Y軸テーブル12に移動自在に取り付けられたキャリッジ13とを有している。そして、キャリッジ13には、機能液滴吐出ヘッド17が搭載されている。なお、図1では、機能液滴吐出ヘッド17を単一のものとして示すが、その個数および配列は任意である。
【0031】
X軸テーブル11は、基板Wを搭載するセットテーブル21(ワークテーブル)と、セットテーブル21をスライド自在に支持するX軸スライダ22と、X軸スライダ22をX軸方向に移動させるモータ駆動のX軸移動機構23(移動手段、図2参照)とを有している。セットテーブル21は、図示しない真空源(例えば真空ポンプ)に連なる多数の吸着孔を上面に有する吸着テーブルで構成されており、載置された基板Wを吸着セットする。X軸移動機構23は、機能液滴吐出ヘッド17に対し、X軸スライダ22を介してセットテーブル21(基板W)をX軸方向に往復移動させる。なお、以下では、セットテーブル21の往復移動のうち、図1の下側から上側への移動を「往動」といい、上側から下側への移動を「復動」という。つまり、図1では、往動開始時(復動終了時)のセットテーブル21を実線で示し、復動開始時(往動終了時)のセットテーブル21を二点鎖線で示している。
【0032】
また、機能液滴吐出ヘッド17に対するセットテーブル21の往動方向前方および復動方向前方には、セットテーブル21に近接してフラッシングユニット71が一対設けられている。すなわち、一対のフラッシングユニット71が、セットテーブル21をX軸方向に挟むようにして、セットテーブルに支持されている(詳細は後述する)。さらに、セットテーブル21の往動方向の前方側面および復動方向の前方側面には、後述するエアー吸引口91が一対設けられている。
【0033】
Y軸テーブル12は、機台2上に立設した左右の支柱31に支持されており、X軸テーブル11とメンテナンス装置4とを跨ぐように延在している。Y軸テーブル12は、キャリッジ13をスライド自在に支持するY軸スライダ32と、Y軸スライダ32をY軸方向に移動させるモータ駆動のY軸移動機構33(図2参照)とを有している。Y軸移動機構33は、Y軸スライダ32を介してキャリッジ13(機能液滴吐出ヘッド17)をY軸方向に移動させる。すなわち、Y軸テーブル12は、機能液滴吐出ヘッド17をX軸テーブル11の直上部とメンテナンス装置4の各ユニット(後述する)との間で移動させ、また、後述する描画動作において機能液滴吐出ヘッド17を副走査させる。
【0034】
キャリッジ13は、上記のY軸スライダ32にスライド自在に支持されると共に、Z軸テーブル35(ヘッド昇降手段)を有している。Z軸テーブル35は、モータ駆動のヘッド昇降機構36を有し、搭載した機能液滴吐出ヘッド17を昇降させる。すなわち、後述する機能液滴吐出ヘッド17のノズル面38(図3参照)と、セットテーブル21に搭載された基板Wの上面(基板上面Wa、図3参照)との間隔(ワークギャップ)や、ノズル面38とフラッシングユニット71の上面(フラッシング上面71a、図3参照)との間隔(フラッシングギャップ)が、それぞれ所定の値になるように、機能液滴吐出ヘッド17を上下に微小移動させている。なお、ワークギャップは、機能液滴の飛行曲がり等を防止すべく、極力小さい値(数百μm以下)にすることが好ましい。また、フラッシングギャップも、捨て吐出により後述するミストM(図4参照)が発生した場合に、ミストMの浮遊を抑えるべく、極力小さい値にすることが好ましい。
【0035】
機能液滴吐出ヘッド17は、図示しない機能液パック等から機能液が供給され、インクジェット方式(例えば圧電素子駆動)で機能液を吐出するものである。そして、後述するヘッドドライバ61から駆動波形を印加することにより、各ノズル37から機能液が吐出される。
【0036】
メンテナンス装置4は、X軸テーブル11から遠い順に、吸引ユニット41と、ワイピングユニット42とを備えている。吸引ユニット41とワイピングユニット42とは、Y軸テーブル12による機能液滴吐出ヘッド17の移動軌跡上に設けられており、各ユニットに機能液滴吐出ヘッド17を臨ませることができるようになっている。
【0037】
吸引ユニット41は、機能液滴吐出ヘッド17のノズル面38を封止するヘッドキャップ46を有している。そして、ヘッドキャップ46を介して、機能液滴吐出ヘッド17内で増粘した機能液を吸引除去するためのクリーニング動作を行う場合や、新たに投入された機能液滴吐出ヘッド17に対して機能液の初期充填を行う場合に用いられる。また、ワイピングユニット42は、クリーニング動作等により機能液が付着して汚れたノズル面38を、ワイピングシート47を用いて拭き取るものである。
【0038】
図2を参照して、液滴吐出装置1全体の制御系について説明する。液滴吐出装置1の制御系は、基本的に、ユーザI/F部51と、駆動部52と、制御部53とを備えている。ユーザI/F部51は、オペレータが各種データを入力する操作パネル56と、各種情報を表示するモニター57とを有している。
【0039】
駆動部52は、ヘッドドライバ61と、モータ駆動ドライバ62と、モニタードライバ63とを有している。ヘッドドライバ61は、機能液滴吐出ヘッド17を吐出駆動制御する。モータ駆動ドライバ62は、X軸移動機構23、Y軸移動機構33およびヘッド昇降機構36の各駆動モータを制御する。モニタードライバ63は、モニター57に映像信号を出力する。
【0040】
制御部53は、制御装置5(例えばパソコン)で構成されており、CPU、メモリ、入出力インタフェース等を有している。制御部53は、取得した各種データを、予め記憶した制御プログラムに従って処理した後、駆動部52に各種の制御信号を出力することにより、液滴吐出装置1全体を制御している。
【0041】
このように構成された液滴吐出装置1は、制御装置5による制御を受けながら、メンテナンス装置4により機能液滴吐出ヘッド17のメンテナンス処理(機能維持・回復)を行うと共に、描画装置3により基板W(ワーク)上に機能液を吐出する描画動作を行う。すなわち、描画装置3は、X軸テーブル11により、機能液滴吐出ヘッド17に対してセットテーブル21(基板W)を往動(主走査)させると共に、これに同期して機能液滴吐出ヘッド17を駆動し、セットテーブル21の往動方向前方に配設されたフラッシングユニット71に対して捨て吐出(詳細は後述する)を行った後、基板Wに対して描画動作を行う。
【0042】
次に、キャリッジ13をY軸方向に移動させることにより、機能液滴吐出ヘッド17の副走査を行う。その後、機能液滴吐出ヘッド17に対してセットテーブル21を復動(主走査)させると共に、これに同期して機能液滴吐出ヘッド17を駆動し、セットテーブル21の往動方向前方に配設されたフラッシングユニット71に対して捨て吐出を行った後、基板Wに対して描画動作を行う。以下、主走査と副走査とを繰り返すことにより、基板W全体に所望の描画が行われる。
【0043】
なお、本実施形態では、機能液滴吐出ヘッド17に対するセットテーブル21の往動および復動のそれぞれにおいて、描画動作を行っているが、往動および復動のいずれか一方のみにおいて描画動作を行ってもよい。また、セットテーブル21を固定とし、これに対して機能液滴吐出ヘッド17をX軸方向に移動させながら、機能液滴吐出ヘッド17を駆動して描画動作を行ってもよい。
【0044】
次に、フラッシングユニット71およびエアー吸引口91について詳細に説明する。フラッシングユニット71は、機能液滴吐出ヘッド17からの捨て吐出を受けるものである。捨て吐出とは、機能液滴吐出ヘッド17内で増粘した機能液を、基板Wに対する描画動作の直前に排出すべく、セットテーブル21の移動方向前方に近接して配設されたフラッシングユニット71に対し、機能液滴吐出ヘッド17の各ノズル37から多数発の機能液滴を吐出するものである。
【0045】
図3に示すように、各フラッシングユニット71は、上面を開放したフラッシングボックス72と、フラッシングボックス72内に敷設された機能液吸収材73とを有している。各フラッシングボックス72は、図示しない支持部材を介して、セットテーブル21に支持されている。すなわち、フラッシングボックス72は、セットテーブル21のX軸方向の両外側に近接して設けられている。各フラッシングボックス72は、描画動作時における機能液滴吐出ヘッド17のY軸方向における移動範囲(副走査の範囲)に対応させて、長辺(Y軸方向)の長さが設定されている(図1参照)。
【0046】
フラッシングボックス72の縁部上面と、機能液吸収材73の上面とは、略面一になっている。そして、フラッシングユニット71は、そのフラッシング上面71a(フラッシングボックス72の縁部上面ないし機能液吸収材73の上面)が、セットテーブル21に搭載された基板Wの上面(基板上面Wa)より低い位置となるように配設されている。
【0047】
また、各フラッシングボックス72の底面には、機能液を排出するための排出口81が複数形成されている。各排出口81には、廃液チューブ82が接続されており、各排出口81から排出された機能液は廃液タンク83に回収されるようになっている。すなわち、廃液タンク83は、エゼクタ84に連通しており、フラッシングボックス72内に受けられた機能液が、廃液タンク83に向けて吸引除去されるようになっている。
【0048】
各エアー吸引口91は、図示しない真空源(例えば、セットテーブル21の往動に連なる上記の真空ポンプ)に連なっている。また、各エアー吸引口91は、フラッシングボックス72と同様に、描画動作時における機能液滴吐出ヘッド17のY軸方向における移動範囲に対応させて、長辺(Y軸方向)の長さが設定されている(図1参照)。そして、セットテーブル21とフラッシングユニット71との間隙からエアーを吸引するようになっている。なお、上述したように、各エアー吸引口91を、セットテーブル21の往動方向の前方側面(復動方向の前方側面)に設けたことで、セットテーブル21とフラッシングユニット71とを極力近接して設けることができ、装置全体の小型化を図ることができる。
【0049】
図4を参照して、機能液滴吐出ヘッド17による捨て吐出と、その捨て吐出から描画動作への移行とについて説明する。この液滴吐出装置1では、機能液滴(主滴D)の捨て吐出に伴って、霧状に浮遊する微小の機能液滴(副滴)、すなわちミストMが発生するが、このミストMが、基板W(特に縁部上面)に付着することを防止できるようになっている。なお、以下では、セットテーブル21の往動時を例にして説明するが、復動時にも同様にして捨て吐出および描画動作への移行が行われる。
【0050】
まず、制御装置5が、セットテーブル21の往動に先立って、Z軸テーブル35により、機能液滴吐出ヘッド17のノズル面38が基板上面Waより低い位置(フラッシング上面71aよりは高い位置)となるように、機能液滴吐出ヘッド17の高さ位置を微調整する(図4(a)参照)。このとき、上述したように、フラッシングギャップが、極力小さい値となるようにすることが好ましい。
【0051】
次に、制御装置5が、X軸移動機構23によりセットテーブル21を往動させると、セットテーブル21の往動方向前方に配設されたフラッシングユニット71が、機能液滴吐出ヘッド17に臨む。そして、制御装置5が、機能液滴吐出ヘッド17を駆動して、この移動していくフラッシングユニット71に対して捨て吐出を行わせる(図4(b)参照)。このとき、機能液滴吐出ヘッド17のノズル面38が基板上面Waよりも低い状態で捨て吐出を行うことで、捨て吐出によりミストMが発生したとしても、そのミストMが上昇しない限り、ミストMが移動してきた基板Wに付着することがない。このため、ミストMを基板Wに付着させることなく、捨て吐出を行うことができる。
【0052】
しかも、セットテーブル21とフラッシングユニット71との間隙に浮遊したミストMが、移動してきた基板Wに付着する前に、エアー吸引口91から吸引除去される。このため、ミストMが基板Wに付着することをより確実に防止することができる。
【0053】
捨て吐出の後、制御装置5が、引き続きセットテーブル21を往動させると共に、機能液滴吐出ヘッド17を所定のワークギャップとなるように上昇させ、描画動作へと移行する(図4(c)参照)。
【0054】
なお、セットテーブル21を一旦停止させてから捨て吐出を行ってもよい。もっとも、本実施形態のように、機能液滴吐出ヘッド17に対しセットテーブル21を移動させながら捨て吐出および描画動作への移行を行うことで、描画動作に要する時間を短縮することができる。
【0055】
図5は、フラッシングユニット71およびエアー吸引口91の変形例を示す図である。この変形例は、上記の実施形態と略同様の構成であるが、フラッシングユニット71は、フラッシング上面71aが基板上面Waと面一になるように配設されている。また、エアー吸引口91は、セットテーブル21とフラッシングユニット71との間に配設されている。また、エアー吸引口91は、図示しない支持部材により、セットテーブル21に支持されている。
【0056】
図6を参照して、変形例における機能液滴吐出ヘッド17の捨て吐出と、その捨て吐出から描画動作への移行とについて説明する。なお、ここでも、セットテーブル21の往動時を例にして説明するが、復動時にも同様にして捨て吐出および描画動作への移行が行われる。
【0057】
まず、制御装置5が、セットテーブル21の往動に先立って、Z軸テーブル35により、所定のワークギャップとなるように機能液滴吐出ヘッド17の高さ位置を微調整する(図6(a)参照)。このとき、フラッシング上面71aが基板上面Waと面一になっているため、フラッシングギャップが、所定のワークギャップと等しくなる。
【0058】
次に、制御装置5が、X軸移動機構23によりセットテーブル21を往動させると、セットテーブル21の往動方向前方に配設されたフラッシングユニット71が、機能液滴吐出ヘッド17に臨む。そして、制御装置5が、機能液滴吐出ヘッド17を駆動して、この移動していくフラッシングユニット71に対して捨て吐出を行わせる(図6(b)参照)。
このとき、セットテーブル21とフラッシングユニット71との間隙に浮遊したミストMが、移動してきた基板Wに付着する前に、エアー吸引口91から吸引除去される。このため、ミストMを基板Wに付着させることなく、捨て吐出を行うことができる。
【0059】
捨て吐出の後、制御装置5が、引き続きセットテーブル21を往動させ、描画動作へと移行する(図6(c)参照)。このように、変形例の液滴吐出装置1によれば、捨て吐出の際に、機能液滴吐出ヘッド17のノズル面38を基板上面Waよりも低くしておく必要がないので、捨て吐出後、機能液滴吐出ヘッド17を上昇させる必要がない。しかも、フラッシング上面71aが基板上面Waと面一になっているため、捨て吐出後に機能液滴吐出ヘッド17を昇降させずとも、フラッシングギャップとワークギャップとが同一になる。このため、ワークギャップと同等の小さいフラッシングギャップで捨て吐出を行うことになる。これにより、ミストMがノズル面38で抑えられ、周囲に浮遊することがない。したがって、ミストMがフラッシングユニット71に受けられやすくすることができる。
【0060】
次に、本実施形態の液滴吐出装置1を用いて製造される電気光学装置(フラットパネルディスプレイ)として、カラーフィルタ、液晶表示装置、有機EL装置、プラズマディスプレイ(PDP装置)、電子放出装置(FED装置、SED装置)、さらにこれら表示装置に形成されてなるアクティブマトリクス基板等を例に、これらの構造およびその製造方法について説明する。なお、アクティブマトリクス基板とは、薄膜トランジスタ、および薄膜トランジスタに電気的に接続するソース線、データ線が形成された基板をいう。
【0061】
まず、液晶表示装置や有機EL装置等に組み込まれるカラーフィルタの製造方法について説明する。図7は、カラーフィルタの製造工程を示すフローチャート、図8は、製造工程順に示した本実施形態のカラーフィルタ500(フィルタ基体500A)の模式断面図である。
まず、ブラックマトリクス形成工程(S101)では、図8(a)に示すように、基板(W)501上にブラックマトリクス502を形成する。ブラックマトリクス502は、金属クロム、金属クロムと酸化クロムの積層体、または樹脂ブラック等により形成される。金属薄膜からなるブラックマトリクス502を形成するには、スパッタ法や蒸着法等を用いることができる。また、樹脂薄膜からなるブラックマトリクス502を形成する場合には、グラビア印刷法、フォトレジスト法、熱転写法等を用いることができる。
【0062】
続いて、バンク形成工程(S102)において、ブラックマトリクス502上に重畳する状態でバンク503を形成する。即ち、まず図8(b)に示すように、基板501およびブラックマトリクス502を覆うようにネガ型の透明な感光性樹脂からなるレジスト層504を形成する。そして、その上面をマトリクスパターン形状に形成されたマスクフィルム505で被覆した状態で露光処理を行う。
さらに、図8(c)に示すように、レジスト層504の未露光部分をエッチング処理することによりレジスト層504をパターニングして、バンク503を形成する。なお、樹脂ブラックによりブラックマトリクスを形成する場合は、ブラックマトリクスとバンクとを兼用することが可能となる。
このバンク503とその下のブラックマトリクス502は、各画素領域507aを区画する区画壁部507bとなり、後の着色層形成工程において機能液滴吐出ヘッド17により着色層(成膜部)508R、508G、508Bを形成する際に機能液滴の着弾領域を規定する。
【0063】
以上のブラックマトリクス形成工程およびバンク形成工程を経ることにより、上記フィルタ基体500Aが得られる。
なお、本実施形態においては、バンク503の材料として、塗膜表面が疎液(疎水)性となる樹脂材料を用いている。そして、基板(ガラス基板)501の表面が親液(親水)性であるので、後述する着色層形成工程においてバンク503(区画壁部507b)に囲まれた各画素領域507a内への液滴の着弾位置のばらつきを自動補正できる。
【0064】
次に、着色層形成工程(S103)では、図8(d)に示すように、機能液滴吐出ヘッド17によって機能液滴を吐出して区画壁部507bで囲まれた各画素領域507a内に着弾させる。この場合、機能液滴吐出ヘッド17を用いて、R・G・Bの3色の機能液(フィルタ材料)を導入して、機能液滴の吐出を行う。なお、R・G・Bの3色の配列パターンとしては、ストライプ配列、モザイク配列およびデルタ配列等がある。
【0065】
その後、乾燥処理(加熱等の処理)を経て機能液を定着させ、3色の着色層508R、508G、508Bを形成する。着色層508R、508G、508Bを形成したならば、保護膜形成工程(S104)に移り、図8(e)に示すように、基板501、区画壁部507b、および着色層508R、508G、508Bの上面を覆うように保護膜509を形成する。
即ち、基板501の着色層508R、508G、508Bが形成されている面全体に保護膜用塗布液が吐出された後、乾燥処理を経て保護膜509が形成される。
そして、保護膜509を形成した後、カラーフィルタ500は、次工程の透明電極となるITO(Indium Tin Oxide)などの膜付け工程に移行する。
【0066】
図9は、上記のカラーフィルタ500を用いた液晶表示装置の一例としてのパッシブマトリックス型液晶装置(液晶装置)の概略構成を示す要部断面図である。この液晶装置520に、液晶駆動用IC、バックライト、支持体などの付帯要素を装着することによって、最終製品としての透過型液晶表示装置が得られる。なお、カラーフィルタ500は図8に示したものと同一であるので、対応する部位には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0067】
この液晶装置520は、カラーフィルタ500、ガラス基板等からなる対向基板521、および、これらの間に挟持されたSTN(Super Twisted Nematic)液晶組成物からなる液晶層522により概略構成されており、カラーフィルタ500を図中上側(観測者側)に配置している。
なお、図示していないが、対向基板521およびカラーフィルタ500の外面(液晶層522側とは反対側の面)には偏光板がそれぞれ配設され、また対向基板521側に位置する偏光板の外側には、バックライトが配設されている。
【0068】
カラーフィルタ500の保護膜509上(液晶層側)には、図9において左右方向に長尺な短冊状の第1電極523が所定の間隔で複数形成されており、この第1電極523のカラーフィルタ500側とは反対側の面を覆うように第1配向膜524が形成されている。
一方、対向基板521におけるカラーフィルタ500と対向する面には、カラーフィルタ500の第1電極523と直交する方向に長尺な短冊状の第2電極526が所定の間隔で複数形成され、この第2電極526の液晶層522側の面を覆うように第2配向膜527が形成されている。これらの第1電極523および第2電極526は、ITOなどの透明導電材料により形成されている。
【0069】
液晶層522内に設けられたスペーサ528は、液晶層522の厚さ(セルギャップ)を一定に保持するための部材である。また、シール材529は液晶層522内の液晶組成物が外部へ漏出するのを防止するための部材である。なお、第1電極523の一端部は引き回し配線523aとしてシール材529の外側まで延在している。
そして、第1電極523と第2電極526とが交差する部分が画素であり、この画素となる部分に、カラーフィルタ500の着色層508R、508G、508Bが位置するように構成されている。
【0070】
通常の製造工程では、カラーフィルタ500に、第1電極523のパターニングおよび第1配向膜524の塗布を行ってカラーフィルタ500側の部分を作成すると共に、これとは別に対向基板521に、第2電極526のパターニングおよび第2配向膜527の塗布を行って対向基板521側の部分を作成する。その後、対向基板521側の部分にスペーサ528およびシール材529を作り込み、この状態でカラーフィルタ500側の部分を貼り合わせる。次いで、シール材529の注入口から液晶層522を構成する液晶を注入し、注入口を閉止する。その後、両偏光板およびバックライトを積層する。
【0071】
実施形態の液滴吐出装置1は、例えば上記のセルギャップを構成するスペーサ材料(機能液)を塗布すると共に、対向基板521側の部分にカラーフィルタ500側の部分を貼り合わせる前に、シール材529で囲んだ領域に液晶(機能液)を均一に塗布することが可能である。また、上記のシール材529の印刷を、機能液滴吐出ヘッド17で行うことも可能である。さらに、第1・第2両配向膜524,527の塗布を機能液滴吐出ヘッド17で行うことも可能である。
【0072】
図10は、本実施形態において製造したカラーフィルタ500を用いた液晶装置の第2の例の概略構成を示す要部断面図である。
この液晶装置530が上記液晶装置520と大きく異なる点は、カラーフィルタ500を図中下側(観測者側とは反対側)に配置した点である。
この液晶装置530は、カラーフィルタ500とガラス基板等からなる対向基板531との間にSTN液晶からなる液晶層532が挟持されて概略構成されている。なお、図示していないが、対向基板531およびカラーフィルタ500の外面には偏光板等がそれぞれ配設されている。
【0073】
カラーフィルタ500の保護膜509上(液晶層532側)には、図中奥行き方向に長尺な短冊状の第1電極533が所定の間隔で複数形成されており、この第1電極533の液晶層532側の面を覆うように第1配向膜534が形成されている。
対向基板531のカラーフィルタ500と対向する面上には、カラーフィルタ500側の第1電極533と直交する方向に延在する複数の短冊状の第2電極536が所定の間隔で形成され、この第2電極536の液晶層532側の面を覆うように第2配向膜537が形成されている。
【0074】
液晶層532には、この液晶層532の厚さを一定に保持するためのスペーサ538と、液晶層532内の液晶組成物が外部へ漏出するのを防止するためのシール材539が設けられている。
そして、上記した液晶装置520と同様に、第1電極533と第2電極536との交差する部分が画素であり、この画素となる部位に、カラーフィルタ500の着色層508R、508G、508Bが位置するように構成されている。
【0075】
図11は、本発明を適用したカラーフィルタ500を用いて液晶装置を構成した第3の例を示したもので、透過型のTFT(Thin Film Transistor)型液晶装置の概略構成を示す分解斜視図である。
この液晶装置550は、カラーフィルタ500を図中上側(観測者側)に配置したものである。
【0076】
この液晶装置550は、カラーフィルタ500と、これに対向するように配置された対向基板551と、これらの間に挟持された図示しない液晶層と、カラーフィルタ500の上面側(観測者側)に配置された偏光板555と、対向基板551の下面側に配設された偏光板(図示せず)とにより概略構成されている。
カラーフィルタ500の保護膜509の表面(対向基板551側の面)には液晶駆動用の電極556が形成されている。この電極556は、ITO等の透明導電材料からなり、後述の画素電極560が形成される領域全体を覆う全面電極となっている。また、この電極556の画素電極560とは反対側の面を覆った状態で配向膜557が設けられている。
【0077】
対向基板551のカラーフィルタ500と対向する面には絶縁層558が形成されており、この絶縁層558上には、走査線561および信号線562が互いに直交する状態で形成されている。そして、これらの走査線561と信号線562とに囲まれた領域内には画素電極560が形成されている。なお、実際の液晶装置では、画素電極560上に配向膜が設けられるが、図示を省略している。
【0078】
また、画素電極560の切欠部と走査線561と信号線562とに囲まれた部分には、ソース電極、ドレイン電極、半導体、およびゲート電極とを具備する薄膜トランジスタ563が組み込まれて構成されている。そして、走査線561と信号線562に対する信号の印加によって薄膜トランジスタ563をオン・オフして画素電極560への通電制御を行うことができるように構成されている。
【0079】
なお、上記の各例の液晶装置520,530,550は、透過型の構成としたが、反射層あるいは半透過反射層を設けて、反射型の液晶装置あるいは半透過反射型の液晶装置とすることもできる。
【0080】
次に、図12は、有機EL装置の表示領域(以下、単に表示装置600と称する)の要部断面図である。
【0081】
この表示装置600は、基板(W)601上に、回路素子部602、発光素子部603および陰極604が積層された状態で概略構成されている。
この表示装置600においては、発光素子部603から基板601側に発した光が、回路素子部602および基板601を透過して観測者側に出射されると共に、発光素子部603から基板601の反対側に発した光が陰極604により反射された後、回路素子部602および基板601を透過して観測者側に出射されるようになっている。
【0082】
回路素子部602と基板601との間にはシリコン酸化膜からなる下地保護膜606が形成され、この下地保護膜606上(発光素子部603側)に多結晶シリコンからなる島状の半導体膜607が形成されている。この半導体膜607の左右の領域には、ソース領域607aおよびドレイン領域607bが高濃度陽イオン打ち込みによりそれぞれ形成されている。そして陽イオンが打ち込まれない中央部がチャネル領域607cとなっている。
【0083】
また、回路素子部602には、下地保護膜606および半導体膜607を覆う透明なゲート絶縁膜608が形成され、このゲート絶縁膜608上の半導体膜607のチャネル領域607cに対応する位置には、例えばAl、Mo、Ta、Ti、W等から構成されるゲート電極609が形成されている。このゲート電極609およびゲート絶縁膜608上には、透明な第1層間絶縁膜611aと第2層間絶縁膜611bが形成されている。また、第1、第2層間絶縁膜611a、611bを貫通して、半導体膜607のソース領域607a、ドレイン領域607bにそれぞれ連通するコンタクトホール612a,612bが形成されている。
【0084】
そして、第2層間絶縁膜611b上には、ITO等からなる透明な画素電極613が所定の形状にパターニングされて形成され、この画素電極613は、コンタクトホール612aを通じてソース領域607aに接続されている。
また、第1層間絶縁膜611a上には電源線614が配設されており、この電源線614は、コンタクトホール612bを通じてドレイン領域607bに接続されている。
【0085】
このように、回路素子部602には、各画素電極613に接続された駆動用の薄膜トランジスタ615がそれぞれ形成されている。
【0086】
上記発光素子部603は、複数の画素電極613上の各々に積層された機能層617と、各画素電極613および機能層617の間に備えられて各機能層617を区画するバンク部618とにより概略構成されている。
これら画素電極613、機能層617、および、機能層617上に配設された陰極604によって発光素子が構成されている。なお、画素電極613は、平面視略矩形状にパターニングされて形成されており、各画素電極613の間にバンク部618が形成されている。
【0087】
バンク部618は、例えばSiO、SiO2、TiO2等の無機材料により形成される無機物バンク層618a(第1バンク層)と、この無機物バンク層618a上に積層され、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等の耐熱性、耐溶媒性に優れたレジストにより形成される断面台形状の有機物バンク層618b(第2バンク層)とにより構成されている。このバンク部618の一部は、画素電極613の周縁部上に乗上げた状態で形成されている。
そして、各バンク部618の間には、画素電極613に対して上方に向けて次第に拡開した開口部619が形成されている。
【0088】
上記機能層617は、開口部619内において画素電極613上に積層状態で形成された正孔注入/輸送層617aと、この正孔注入/輸送層617a上に形成された発光層617bとにより構成されている。なお、この発光層617bに隣接してその他の機能を有する他の機能層をさらに形成しても良い。例えば、電子輸送層を形成することも可能である。
正孔注入/輸送層617aは、画素電極613側から正孔を輸送して発光層617bに注入する機能を有する。この正孔注入/輸送層617aは、正孔注入/輸送層形成材料を含む第1組成物(機能液)を吐出することで形成される。正孔注入/輸送層形成材料としては、公知の材料を用いる。
【0089】
発光層617bは、赤色(R)、緑色(G)、または青色(B)のいずれかに発光するもので、発光層形成材料(発光材料)を含む第2組成物(機能液)を吐出することで形成される。第2組成物の溶媒(非極性溶媒)としては、正孔注入/輸送層617aに対して不溶な公知の材料を用いることが好ましく、このような非極性溶媒を発光層617bの第2組成物に用いることにより、正孔注入/輸送層617aを再溶解させることなく発光層617bを形成することができる。
【0090】
そして、発光層617bでは、正孔注入/輸送層617aから注入された正孔と、陰極604から注入される電子が発光層で再結合して発光するように構成されている。
【0091】
陰極604は、発光素子部603の全面を覆う状態で形成されており、画素電極613と対になって機能層617に電流を流す役割を果たす。なお、この陰極604の上部には図示しない封止部材が配置される。
【0092】
次に、上記の表示装置600の製造工程を図13〜図21を参照して説明する。
この表示装置600は、図13に示すように、バンク部形成工程(S111)、表面処理工程(S112)、正孔注入/輸送層形成工程(S113)、発光層形成工程(S114)、および対向電極形成工程(S115)を経て製造される。なお、製造工程は例示するものに限られるものではなく必要に応じてその他の工程が除かれる場合、また追加される場合もある。
【0093】
まず、バンク部形成工程(S111)では、図14に示すように、第2層間絶縁膜611b上に無機物バンク層618aを形成する。この無機物バンク層618aは、形成位置に無機物膜を形成した後、この無機物膜をフォトリソグラフィ技術等によりパターニングすることにより形成される。このとき、無機物バンク層618aの一部は画素電極613の周縁部と重なるように形成される。
無機物バンク層618aを形成したならば、図15に示すように、無機物バンク層618a上に有機物バンク層618bを形成する。この有機物バンク層618bも無機物バンク層618aと同様にフォトリソグラフィ技術等によりパターニングして形成される。
このようにしてバンク部618が形成される。また、これに伴い、各バンク部618間には、画素電極613に対して上方に開口した開口部619が形成される。この開口部619は、画素領域を規定する。
【0094】
表面処理工程(S112)では、親液化処理および撥液化処理が行われる。親液化処理を施す領域は、無機物バンク層618aの第1積層部618aaおよび画素電極613の電極面613aであり、これらの領域は、例えば酸素を処理ガスとするプラズマ処理によって親液性に表面処理される。このプラズマ処理は、画素電極613であるITOの洗浄等も兼ねている。
また、撥液化処理は、有機物バンク層618bの壁面618sおよび有機物バンク層618bの上面618tに施され、例えば四フッ化メタンを処理ガスとするプラズマ処理によって表面がフッ化処理(撥液性に処理)される。
この表面処理工程を行うことにより、機能液滴吐出ヘッド17を用いて機能層617を形成する際に、機能液滴を画素領域に、より確実に着弾させることができ、また、画素領域に着弾した機能液滴が開口部619から溢れ出るのを防止することが可能となる。
【0095】
そして、以上の工程を経ることにより、表示装置基体600Aが得られる。この表示装置基体600Aは、図1に示した液滴吐出装置1のセットテーブル21に載置され、以下の正孔注入/輸送層形成工程(S113)および発光層形成工程(S114)が行われる。
【0096】
図16に示すように、正孔注入/輸送層形成工程(S113)では、機能液滴吐出ヘッド17から正孔注入/輸送層形成材料を含む第1組成物を画素領域である各開口部619内に吐出する。その後、図17に示すように、乾燥処理および熱処理を行い、第1組成物に含まれる極性溶媒を蒸発させ、画素電極(電極面613a)613上に正孔注入/輸送層617aを形成する。
【0097】
次に発光層形成工程(S114)について説明する。この発光層形成工程では、上述したように、正孔注入/輸送層617aの再溶解を防止するために、発光層形成の際に用いる第2組成物の溶媒として、正孔注入/輸送層617aに対して不溶な非極性溶媒を用いる。
しかしその一方で、正孔注入/輸送層617aは、非極性溶媒に対する親和性が低いため、非極性溶媒を含む第2組成物を正孔注入/輸送層617a上に吐出しても、正孔注入/輸送層617aと発光層617bとを密着させることができなくなるか、あるいは発光層617bを均一に塗布できない虞がある。
そこで、非極性溶媒並びに発光層形成材料に対する正孔注入/輸送層617aの表面の親和性を高めるために、発光層形成の前に表面処理(表面改質処理)を行うことが好ましい。この表面処理は、発光層形成の際に用いる第2組成物の非極性溶媒と同一溶媒またはこれに類する溶媒である表面改質材を、正孔注入/輸送層617a上に塗布し、これを乾燥させることにより行う。
このような処理を施すことで、正孔注入/輸送層617aの表面が非極性溶媒になじみやすくなり、この後の工程で、発光層形成材料を含む第2組成物を正孔注入/輸送層617aに均一に塗布することができる。
【0098】
そして次に、図18に示すように、各色のうちのいずれか(図18の例では青色(B))に対応する発光層形成材料を含有する第2組成物を機能液滴として画素領域(開口部619)内に所定量打ち込む。画素領域内に打ち込まれた第2組成物は、正孔注入/輸送層617a上に広がって開口部619内に満たされる。なお、万一、第2組成物が画素領域から外れてバンク部618の上面618t上に着弾した場合でも、この上面618tは、上述したように撥液処理が施されているので、第2組成物が開口部619内に転がり込み易くなっている。
【0099】
その後、乾燥工程等を行うことにより、吐出後の第2組成物を乾燥処理し、第2組成物に含まれる非極性溶媒を蒸発させ、図19に示すように、正孔注入/輸送層617a上に発光層617bが形成される。この図の場合、青色(B)に対応する発光層617bが形成されている。
【0100】
同様に、機能液滴吐出ヘッド17を用い、図20に示すように、上記した青色(B)に対応する発光層617bの場合と同様の工程を順次行い、他の色(赤色(R)および緑色(G))に対応する発光層617bを形成する。なお、発光層617bの形成順序は、例示した順序に限られるものではなく、どのような順番で形成しても良い。例えば、発光層形成材料に応じて形成する順番を決めることも可能である。また、R・G・Bの3色の配列パターンとしては、ストライプ配列、モザイク配列およびデルタ配列等がある。
【0101】
以上のようにして、画素電極613上に機能層617、即ち、正孔注入/輸送層617aおよび発光層617bが形成される。そして、対向電極形成工程(S115)に移行する。
【0102】
対向電極形成工程(S115)では、図21に示すように、発光層617bおよび有機物バンク層618bの全面に陰極604(対向電極)を、例えば蒸着法、スパッタ法、CVD法等によって形成する。この陰極604は、本実施形態においては、例えば、カルシウム層とアルミニウム層とが積層されて構成されている。
この陰極604の上部には、電極としてのAl膜、Ag膜や、その酸化防止のためのSiO2、SiN等の保護層が適宜設けられる。
【0103】
このようにして陰極604を形成した後、この陰極604の上部を封止部材により封止する封止処理や配線処理等のその他処理等を施すことにより、表示装置600が得られる。
【0104】
次に、図22は、プラズマ型表示装置(PDP装置:以下、単に表示装置700と称する)の要部分解斜視図である。なお、同図では表示装置700を、その一部を切り欠いた状態で示してある。
この表示装置700は、互いに対向して配置された第1基板701、第2基板702、およびこれらの間に形成される放電表示部703を含んで概略構成される。放電表示部703は、複数の放電室705により構成されている。これらの複数の放電室705のうち、赤色放電室705R、緑色放電室705G、青色放電室705Bの3つの放電室705が組になって1つの画素を構成するように配置されている。
【0105】
第1基板701の上面には所定の間隔で縞状にアドレス電極706が形成され、このアドレス電極706と第1基板701の上面とを覆うように誘電体層707が形成されている。誘電体層707上には、各アドレス電極706の間に位置し、且つ各アドレス電極706に沿うように隔壁708が立設されている。この隔壁708は、図示するようにアドレス電極706の幅方向両側に延在するものと、アドレス電極706と直交する方向に延設された図示しないものを含む。
そして、この隔壁708によって仕切られた領域が放電室705となっている。
【0106】
放電室705内には蛍光体709が配置されている。蛍光体709は、赤(R)、緑(G)、青(B)のいずれかの色の蛍光を発光するもので、赤色放電室705Rの底部には赤色蛍光体709Rが、緑色放電室705Gの底部には緑色蛍光体709Gが、青色放電室705Bの底部には青色蛍光体709Bが各々配置されている。
【0107】
第2基板702の図中下側の面には、上記アドレス電極706と直交する方向に複数の表示電極711が所定の間隔で縞状に形成されている。そして、これらを覆うように誘電体層712、およびMgOなどからなる保護膜713が形成されている。
第1基板701と第2基板702とは、アドレス電極706と表示電極711が互いに直交する状態で対向させて貼り合わされている。なお、上記アドレス電極706と表示電極711は図示しない交流電源に接続されている。
そして、各電極706,711に通電することにより、放電表示部703において蛍光体709が励起発光し、カラー表示が可能となる。
【0108】
本実施形態においては、上記アドレス電極706、表示電極711、および蛍光体709を、図1に示した液滴吐出装置1を用いて形成することができる。以下、第1基板701におけるアドレス電極706の形成工程を例示する。
この場合、第1基板701を液滴吐出装置1のセットテーブル21に載置された状態で以下の工程が行われる。
まず、機能液滴吐出ヘッド17により、導電膜配線形成用材料を含有する液体材料(機能液)を機能液滴としてアドレス電極形成領域に着弾させる。この液体材料は、導電膜配線形成用材料として、金属等の導電性微粒子を分散媒に分散したものである。この導電性微粒子としては、金、銀、銅、パラジウム、またはニッケル等を含有する金属微粒子や、導電性ポリマー等が用いられる。
【0109】
補充対象となるすべてのアドレス電極形成領域について液体材料の補充が終了したならば、吐出後の液体材料を乾燥処理し、液体材料に含まれる分散媒を蒸発させることによりアドレス電極706が形成される。
【0110】
ところで、上記においてはアドレス電極706の形成を例示したが、上記表示電極711および蛍光体709についても上記各工程を経ることにより形成することができる。
表示電極711の形成の場合、アドレス電極706の場合と同様に、導電膜配線形成用材料を含有する液体材料(機能液)を機能液滴として表示電極形成領域に着弾させる。
また、蛍光体709の形成の場合には、各色(R,G,B)に対応する蛍光材料を含んだ液体材料(機能液)を機能液滴吐出ヘッド17から液滴として吐出し、対応する色の放電室705内に着弾させる。
【0111】
次に、図23は、電子放出装置(FED装置あるいはSED装置ともいう:以下、単に表示装置800と称する)の要部断面図である。なお、同図では表示装置800を、その一部を断面として示してある。
この表示装置800は、互いに対向して配置された第1基板801、第2基板802、およびこれらの間に形成される電界放出表示部803を含んで概略構成される。電界放出表示部803は、マトリクス状に配置した複数の電子放出部805により構成されている。
【0112】
第1基板801の上面には、カソード電極806を構成する第1素子電極806aおよび第2素子電極806bが相互に直交するように形成されている。また、第1素子電極806aおよび第2素子電極806bで仕切られた部分には、ギャップ808を形成した導電性膜807が形成されている。すなわち、第1素子電極806a、第2素子電極806bおよび導電性膜807により複数の電子放出部805が構成されている。導電性膜807は、例えば酸化パラジウム(PdO)等で構成され、またギャップ808は、導電性膜807を成膜した後、フォーミング等で形成される。
【0113】
第2基板802の下面には、カソード電極806に対峙するアノード電極809が形成されている。アノード電極809の下面には、格子状のバンク部811が形成され、このバンク部811で囲まれた下向きの各開口部812に、電子放出部805に対応するように蛍光体813が配置されている。蛍光体813は、赤(R)、緑(G)、青(B)のいずれかの色の蛍光を発光するもので、各開口部812には、赤色蛍光体813R、緑色蛍光体813Gおよび青色蛍光体813Bが、上記した所定のパターンで配置されている。
【0114】
そして、このように構成した第1基板801と第2基板802とは、微小な間隙を存して貼り合わされている。この表示装置800では、導電性膜(ギャップ808)807を介して、陰極である第1素子電極806aまたは第2素子電極806bから飛び出す電子を、陽極であるアノード電極809に形成した蛍光体813に当てて励起発光し、カラー表示が可能となる。
【0115】
この場合も、他の実施形態と同様に、第1素子電極806a、第2素子電極806b、導電性膜807およびアノード電極809を、液滴吐出装置1を用いて形成することができると共に、各色の蛍光体813R,813G,813Bを、液滴吐出装置1を用いて形成することができる。
【0116】
第1素子電極806a、第2素子電極806bおよび導電性膜807は、図24(a)に示す平面形状を有しており、これらを成膜する場合には、図24(b)に示すように、予め第1素子電極806a、第2素子電極806bおよび導電性膜807を作り込む部分を残して、バンク部BBを形成(フォトリソグラフィ法)する。次に、バンク部BBにより構成された溝部分に、第1素子電極806aおよび第2素子電極806bを形成(液滴吐出装置1によるインクジェット法)し、その溶剤を乾燥させて成膜を行った後、導電性膜807を形成(液滴吐出装置1によるインクジェット法)する。そして、導電性膜807を成膜後、バンク部BBを取り除き(アッシング剥離処理)、上記のフォーミング処理に移行する。なお、上記の有機EL装置の場合と同様に、第1基板801および第2基板802に対する親液化処理や、バンク部811,BBに対する撥液化処理を行うことが、好ましい。
【0117】
また、他の電気光学装置としては、金属配線形成、レンズ形成、レジスト形成および光拡散体形成等の装置が考えられる。上記した液滴吐出装置1を各種の電気光学装置(デバイス)の製造に用いることにより、各種の電気光学装置を効率的に製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】本発明の一実施形態に係る液滴吐出装置の基本構成を模式的に示した図である。
【図2】液滴吐出装置の制御構成を示すブロック図である。
【図3】液滴吐出装置に備えられたフラッシングユニットおよびエアー吸引口廻りの構成を示す図である。
【図4】捨て吐出および描画動作への移行について説明する図である。
【図5】変形例に係る液滴吐出装置に備えられたフラッシングユニットおよびエアー吸引口廻りの構成を示す図である。
【図6】変形例に係る捨て吐出および描画動作への移行について説明する図である。
【図7】カラーフィルタ製造工程を説明するフローチャートである。
【図8】(a)〜(e)は、製造工程順に示したカラーフィルタの模式断面図である。
【図9】本発明を適用したカラーフィルタを用いた液晶装置の概略構成を示す要部断面図である。
【図10】本発明を適用したカラーフィルタを用いた第2の例の液晶装置の概略構成を示す要部断面図である。
【図11】本発明を適用したカラーフィルタを用いた第3の例の液晶装置の概略構成を示す要部断面図である。
【図12】有機EL装置である表示装置の要部断面図である。
【図13】有機EL装置である表示装置の製造工程を説明するフローチャートである。
【図14】無機物バンク層の形成を説明する工程図である。
【図15】有機物バンク層の形成を説明する工程図である。
【図16】正孔注入/輸送層を形成する過程を説明する工程図である。
【図17】正孔注入/輸送層が形成された状態を説明する工程図である。
【図18】青色の発光層を形成する過程を説明する工程図である。
【図19】青色の発光層が形成された状態を説明する工程図である。
【図20】各色の発光層が形成された状態を説明する工程図である。
【図21】陰極の形成を説明する工程図である。
【図22】プラズマ型表示装置(PDP装置)である表示装置の要部分解斜視図である。
【図23】電子放出装置(FED装置)である表示装置の要部断面図である。
【図24】表示装置の電子放出部廻りの平面図(a)およびその形成方法を示す平面図(b)である。
【符号の説明】
【0119】
1…液滴吐出装置 3…描画装置 17…機能液滴吐出ヘッド 21…セットテーブル 23…X軸移動機構 35…Z軸テーブル 38…ノズル面 71…フラッシングユニット 91…エアー吸引口
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークテーブルに搭載されたワークに対し、インクジェット方式で機能液滴吐出ヘッドから機能液滴を吐出して描画動作を行う液滴吐出装置、並びに電気光学装置の製造方法、電気光学装置および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の液滴吐出装置において、機能液滴吐出ヘッドに対して相対移動するワークテーブルの前方に近接して配設されると共に、機能液滴吐出ヘッドの描画動作直前の捨て吐出(予備吐出)を受けるフラッシングユニット(描画前フラッシングユニット)を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この捨て吐出は、機能液滴吐出ヘッド内で増粘した機能液を描画直前に排出すべく、フラッシングユニットに対し機能液滴吐出ヘッドの各ノズルから多数発の機能液滴を吐出することで行われるものである。
【特許文献1】特開2006−76066号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような液滴吐出装置では、機能液滴(主滴)の捨て吐出に伴って、霧状に浮遊する微小の機能液滴(副滴)、すなわちミストが発生し、このミストが、ワーク(特に縁部上面)に付着してしまい、描画後のワークの品質を損なうという問題があった。この問題に対し、フラッシングユニットをワークテーブルから十分に離間して配設することで、ミストがワークに掛からないようにすることが考えるが、その場合には装置全体が大型化してしまう。また、1回の捨て吐出における吐出量(吐出発数)を少なくすることで、ミストの発生を抑えることも考えられるが、その場合には増粘した機能液の排出が不十分となってしまう。
【0004】
本発明は、ミストをワークに付着させることなく、捨て吐出を行うことができる液滴吐出装置、並びに電気光学装置の製造方法、電気光学装置および電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の液滴吐出装置は、インクジェット方式の機能液滴吐出ヘッドと、ワークを搭載するワークテーブルと、機能液滴吐出ヘッドに対しワークテーブルを相対移動させる移動手段と、を備え、機能液滴吐出ヘッドに対するワークテーブルの相対移動を行いながら、ワークテーブルに搭載されたワークに対し、機能液滴吐出ヘッドを駆動して描画動作を行う液滴吐出装置において、ワークテーブルの相対移動方向の前方に近接し且つ自身の上面がワークテーブルに搭載されたワークの上面より低い位置となるように配設されると共に、機能液滴吐出ヘッドの描画動作直前の捨て吐出を受けるフラッシングユニットと、機能液滴吐出ヘッドを昇降させるヘッド昇降手段と、機能液滴吐出ヘッド、移動手段およびヘッド昇降手段を制御する制御手段と、をさらに備え、制御手段は、描画動作直前に、ヘッド昇降手段により機能液滴吐出ヘッドをそのノズル面がワークの上面より低い位置とした状態で、機能液滴吐出ヘッドに捨て吐出を行わせることを特徴とする。
【0006】
この構成によれば、機能液滴吐出ヘッドのノズル面がワークの上面よりも低い状態で捨て吐出を行うことで、捨て吐出によりミストが発生したとしても、そのミストが上昇しない限り、ワークに付着することがない。このため、ミストをワークに付着させることなく、捨て吐出を行うことができる。
【0007】
この場合、ワークテーブルとフラッシングユニットとの間隙からエアーを吸引するエアー吸引口を、さらに備えたことが好ましい。
【0008】
この構成によれば、ワークテーブルとフラッシングユニットとの間隙に浮遊したミストが、ワークに付着する前に、エアー吸引口から吸引除去される。このため、ミストがワークに付着することをより確実に防止することができる。
【0009】
この場合、エアー吸引口は、ワークテーブルの相対移動方向の前方側面に形成されていることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、ワークテーブルとフラッシングユニットとの間にエアー吸引口を設けた場合に比べ、ワークテーブルとフラッシングユニットとをより近接して設けることができ、装置全体の小型化を図ることができる。
【0011】
この場合、制御手段は、捨て吐出と当該捨て吐出から描画動作への移行とを、機能液滴吐出ヘッドに対しワークテーブルを相対移動させながら行わせると共に、当該描画動作への移行時に機能液滴吐出ヘッドを上昇させることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、機能液滴吐出ヘッドに対しワークテーブルを相対移動させながら、捨て吐出および描画動作への移行を行うことで、描画動作に要する時間を短縮することができる。
【0013】
本発明の他の液滴吐出装置は、インクジェット方式の機能液滴吐出ヘッドと、ワークを搭載するワークテーブルと、機能液滴吐出ヘッドに対しワークテーブルを相対移動させる移動手段と、を備え、機能液滴吐出ヘッドに対するワークテーブルの相対移動を行いながら、ワークテーブルに搭載されたワークに対し、機能液滴吐出ヘッドを駆動して描画動作を行う液滴吐出装置において、ワークテーブルの相対移動方向の前方に近接して配設されると共に、機能液滴吐出ヘッドの描画動作直前の捨て吐出を受けるフラッシングユニットと、ワークテーブルとフラッシングユニットとの間隙からエアーを吸引するエアー吸引口と、をさらに備えたこと。
【0014】
この構成によれば、ワークテーブルとフラッシングユニットとの間隙に浮遊したミストが、ワークに付着する前に、エアー吸引口から吸引除去される。このため、ミストをワークに付着させることなく、捨て吐出を行うことができる。
【0015】
この場合、フラッシングユニットは、その上面がワークテーブルに搭載されたワークの上面と略面一になるように配設されていることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、捨て吐出後に機能液滴吐出ヘッドを昇降させずとも、機能液滴吐出ヘッドのノズル面とフラッシングユニットの上面との間隔(フラッシングギャップ)と、ノズル面とワーク上面との間隔(ワークギャップ)とが同一になる。通常、ワークギャップは、極力小さい値に設定されるため、ワークギャップと同等の小さいフラッシングギャップで捨て吐出を行うことになる。これにより、ミストがノズル面で抑えられ、周囲に浮遊することがない。したがって、ミストがフラッシングユニットに受けられやすくすることができる。
【0017】
この場合、機能液滴吐出ヘッドおよび移動手段を制御する制御手段を、さらに備え、制御手段は、捨て吐出と当該捨て吐出から描画動作への移行とを、機能液滴吐出ヘッドに対しワークテーブルを相対移動させながら行わせることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、機能液滴吐出ヘッドに対しワークテーブルを相対移動させながら、捨て吐出および描画動作への移行を行うことで、描画動作に要する時間を短縮することができる。
【0019】
これらの場合、移動手段は、機能液滴吐出ヘッドに対し、ワークテーブルを移動させ、フラッシングユニットは、ワークテーブルに支持されていることが好ましい。
【0020】
この構成によれば、移動手段によりワークテーブルと共にフラッシングユニットを移動させ、フラッシングユニットを機能液滴吐出ヘッドに臨ませることができる。このため、移動手段のほかに、機能液滴吐出ヘッドに対してフラッシングユニットを移動させるための手段を設ける必要がない。
【0021】
またこれらの場合、描画動作は、機能液滴吐出ヘッドに対するワークテーブルの相対的な往動および復動のそれぞれにおいて行われ、ワークテーブルの相対的な往動方向前方および復動方向前方には、フラッシングユニットが一対配設されていることが好ましい。
【0022】
この構成によれば、機能液滴吐出ヘッドに対するワークテーブルの相対的な往動および復動のそれぞれにおいて、フラッシングユニットに対する捨て吐出を行うことが可能となる。このため、描画動作を効率良く行うことができる。
【0023】
本発明の電気光学装置の製造方法は、上記した液滴吐出装置を用い、ワーク上に機能液による成膜部を形成することを特徴とする。
【0024】
また、本発明の電気光学装置は、上記した液滴吐出装置を用い、ワーク上に機能液による成膜部を形成したことを特徴とする。
【0025】
これらの構成によれば、ミストをワークに付着させることなく、捨て吐出を行うことができる液滴吐出装置を用いたことで、ワーク上に機能液による成膜部を適切に形成することができ、高品質な電気光学装置を製造することができる。なお、電気光学装置(フラットパネルディスプレイ:FPD)としては、カラーフィルタ、液晶表示装置、有機EL装置、PDP装置、電子放出装置等が考えられる。なお、電子放出装置は、いわゆるFED(Field Emission Display)やSED(Surface-conduction Electron-Emitter Display)装置を含む概念である。さらに、電気光学装置としては、金属配線形成、レンズ形成、レジスト形成および光拡散体形成等を包含する装置が考えられる。
【0026】
本発明の電子機器は、上記した電気光学装置の製造方法により製造した電気光学装置または上記した電気光学装置を、搭載したことを特徴とする。
【0027】
この場合、電子機器としては、いわゆるフラットパネルディスプレイを搭載した携帯電話、パーソナルコンピュータのほか、各種の電気製品がこれに該当する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。本実施形態に係る液滴吐出装置は、フラットパネルディスプレイの製造ラインに組み込まれており、例えば特殊なインクや発光性の樹脂液である機能液を導入した機能液滴吐出ヘッドを用い、液晶表示装置のカラーフィルタや有機EL装置の各画素となる発光素子等を形成(インクジェット法による印刷)するものである。
【0029】
図1に示すように、液滴吐出装置1は、機台2と、機台2に載置され、機能液滴吐出ヘッド17を搭載した描画装置3と、機台2上で描画装置3に添設されたメンテナンス装置4と、液滴吐出装置1の各部を制御する制御装置5(図2参照)とを備えている。
【0030】
描画装置3は、X軸方向に延在するX軸テーブル11と、X軸テーブル11に直交するY軸テーブル12と、Y軸テーブル12に移動自在に取り付けられたキャリッジ13とを有している。そして、キャリッジ13には、機能液滴吐出ヘッド17が搭載されている。なお、図1では、機能液滴吐出ヘッド17を単一のものとして示すが、その個数および配列は任意である。
【0031】
X軸テーブル11は、基板Wを搭載するセットテーブル21(ワークテーブル)と、セットテーブル21をスライド自在に支持するX軸スライダ22と、X軸スライダ22をX軸方向に移動させるモータ駆動のX軸移動機構23(移動手段、図2参照)とを有している。セットテーブル21は、図示しない真空源(例えば真空ポンプ)に連なる多数の吸着孔を上面に有する吸着テーブルで構成されており、載置された基板Wを吸着セットする。X軸移動機構23は、機能液滴吐出ヘッド17に対し、X軸スライダ22を介してセットテーブル21(基板W)をX軸方向に往復移動させる。なお、以下では、セットテーブル21の往復移動のうち、図1の下側から上側への移動を「往動」といい、上側から下側への移動を「復動」という。つまり、図1では、往動開始時(復動終了時)のセットテーブル21を実線で示し、復動開始時(往動終了時)のセットテーブル21を二点鎖線で示している。
【0032】
また、機能液滴吐出ヘッド17に対するセットテーブル21の往動方向前方および復動方向前方には、セットテーブル21に近接してフラッシングユニット71が一対設けられている。すなわち、一対のフラッシングユニット71が、セットテーブル21をX軸方向に挟むようにして、セットテーブルに支持されている(詳細は後述する)。さらに、セットテーブル21の往動方向の前方側面および復動方向の前方側面には、後述するエアー吸引口91が一対設けられている。
【0033】
Y軸テーブル12は、機台2上に立設した左右の支柱31に支持されており、X軸テーブル11とメンテナンス装置4とを跨ぐように延在している。Y軸テーブル12は、キャリッジ13をスライド自在に支持するY軸スライダ32と、Y軸スライダ32をY軸方向に移動させるモータ駆動のY軸移動機構33(図2参照)とを有している。Y軸移動機構33は、Y軸スライダ32を介してキャリッジ13(機能液滴吐出ヘッド17)をY軸方向に移動させる。すなわち、Y軸テーブル12は、機能液滴吐出ヘッド17をX軸テーブル11の直上部とメンテナンス装置4の各ユニット(後述する)との間で移動させ、また、後述する描画動作において機能液滴吐出ヘッド17を副走査させる。
【0034】
キャリッジ13は、上記のY軸スライダ32にスライド自在に支持されると共に、Z軸テーブル35(ヘッド昇降手段)を有している。Z軸テーブル35は、モータ駆動のヘッド昇降機構36を有し、搭載した機能液滴吐出ヘッド17を昇降させる。すなわち、後述する機能液滴吐出ヘッド17のノズル面38(図3参照)と、セットテーブル21に搭載された基板Wの上面(基板上面Wa、図3参照)との間隔(ワークギャップ)や、ノズル面38とフラッシングユニット71の上面(フラッシング上面71a、図3参照)との間隔(フラッシングギャップ)が、それぞれ所定の値になるように、機能液滴吐出ヘッド17を上下に微小移動させている。なお、ワークギャップは、機能液滴の飛行曲がり等を防止すべく、極力小さい値(数百μm以下)にすることが好ましい。また、フラッシングギャップも、捨て吐出により後述するミストM(図4参照)が発生した場合に、ミストMの浮遊を抑えるべく、極力小さい値にすることが好ましい。
【0035】
機能液滴吐出ヘッド17は、図示しない機能液パック等から機能液が供給され、インクジェット方式(例えば圧電素子駆動)で機能液を吐出するものである。そして、後述するヘッドドライバ61から駆動波形を印加することにより、各ノズル37から機能液が吐出される。
【0036】
メンテナンス装置4は、X軸テーブル11から遠い順に、吸引ユニット41と、ワイピングユニット42とを備えている。吸引ユニット41とワイピングユニット42とは、Y軸テーブル12による機能液滴吐出ヘッド17の移動軌跡上に設けられており、各ユニットに機能液滴吐出ヘッド17を臨ませることができるようになっている。
【0037】
吸引ユニット41は、機能液滴吐出ヘッド17のノズル面38を封止するヘッドキャップ46を有している。そして、ヘッドキャップ46を介して、機能液滴吐出ヘッド17内で増粘した機能液を吸引除去するためのクリーニング動作を行う場合や、新たに投入された機能液滴吐出ヘッド17に対して機能液の初期充填を行う場合に用いられる。また、ワイピングユニット42は、クリーニング動作等により機能液が付着して汚れたノズル面38を、ワイピングシート47を用いて拭き取るものである。
【0038】
図2を参照して、液滴吐出装置1全体の制御系について説明する。液滴吐出装置1の制御系は、基本的に、ユーザI/F部51と、駆動部52と、制御部53とを備えている。ユーザI/F部51は、オペレータが各種データを入力する操作パネル56と、各種情報を表示するモニター57とを有している。
【0039】
駆動部52は、ヘッドドライバ61と、モータ駆動ドライバ62と、モニタードライバ63とを有している。ヘッドドライバ61は、機能液滴吐出ヘッド17を吐出駆動制御する。モータ駆動ドライバ62は、X軸移動機構23、Y軸移動機構33およびヘッド昇降機構36の各駆動モータを制御する。モニタードライバ63は、モニター57に映像信号を出力する。
【0040】
制御部53は、制御装置5(例えばパソコン)で構成されており、CPU、メモリ、入出力インタフェース等を有している。制御部53は、取得した各種データを、予め記憶した制御プログラムに従って処理した後、駆動部52に各種の制御信号を出力することにより、液滴吐出装置1全体を制御している。
【0041】
このように構成された液滴吐出装置1は、制御装置5による制御を受けながら、メンテナンス装置4により機能液滴吐出ヘッド17のメンテナンス処理(機能維持・回復)を行うと共に、描画装置3により基板W(ワーク)上に機能液を吐出する描画動作を行う。すなわち、描画装置3は、X軸テーブル11により、機能液滴吐出ヘッド17に対してセットテーブル21(基板W)を往動(主走査)させると共に、これに同期して機能液滴吐出ヘッド17を駆動し、セットテーブル21の往動方向前方に配設されたフラッシングユニット71に対して捨て吐出(詳細は後述する)を行った後、基板Wに対して描画動作を行う。
【0042】
次に、キャリッジ13をY軸方向に移動させることにより、機能液滴吐出ヘッド17の副走査を行う。その後、機能液滴吐出ヘッド17に対してセットテーブル21を復動(主走査)させると共に、これに同期して機能液滴吐出ヘッド17を駆動し、セットテーブル21の往動方向前方に配設されたフラッシングユニット71に対して捨て吐出を行った後、基板Wに対して描画動作を行う。以下、主走査と副走査とを繰り返すことにより、基板W全体に所望の描画が行われる。
【0043】
なお、本実施形態では、機能液滴吐出ヘッド17に対するセットテーブル21の往動および復動のそれぞれにおいて、描画動作を行っているが、往動および復動のいずれか一方のみにおいて描画動作を行ってもよい。また、セットテーブル21を固定とし、これに対して機能液滴吐出ヘッド17をX軸方向に移動させながら、機能液滴吐出ヘッド17を駆動して描画動作を行ってもよい。
【0044】
次に、フラッシングユニット71およびエアー吸引口91について詳細に説明する。フラッシングユニット71は、機能液滴吐出ヘッド17からの捨て吐出を受けるものである。捨て吐出とは、機能液滴吐出ヘッド17内で増粘した機能液を、基板Wに対する描画動作の直前に排出すべく、セットテーブル21の移動方向前方に近接して配設されたフラッシングユニット71に対し、機能液滴吐出ヘッド17の各ノズル37から多数発の機能液滴を吐出するものである。
【0045】
図3に示すように、各フラッシングユニット71は、上面を開放したフラッシングボックス72と、フラッシングボックス72内に敷設された機能液吸収材73とを有している。各フラッシングボックス72は、図示しない支持部材を介して、セットテーブル21に支持されている。すなわち、フラッシングボックス72は、セットテーブル21のX軸方向の両外側に近接して設けられている。各フラッシングボックス72は、描画動作時における機能液滴吐出ヘッド17のY軸方向における移動範囲(副走査の範囲)に対応させて、長辺(Y軸方向)の長さが設定されている(図1参照)。
【0046】
フラッシングボックス72の縁部上面と、機能液吸収材73の上面とは、略面一になっている。そして、フラッシングユニット71は、そのフラッシング上面71a(フラッシングボックス72の縁部上面ないし機能液吸収材73の上面)が、セットテーブル21に搭載された基板Wの上面(基板上面Wa)より低い位置となるように配設されている。
【0047】
また、各フラッシングボックス72の底面には、機能液を排出するための排出口81が複数形成されている。各排出口81には、廃液チューブ82が接続されており、各排出口81から排出された機能液は廃液タンク83に回収されるようになっている。すなわち、廃液タンク83は、エゼクタ84に連通しており、フラッシングボックス72内に受けられた機能液が、廃液タンク83に向けて吸引除去されるようになっている。
【0048】
各エアー吸引口91は、図示しない真空源(例えば、セットテーブル21の往動に連なる上記の真空ポンプ)に連なっている。また、各エアー吸引口91は、フラッシングボックス72と同様に、描画動作時における機能液滴吐出ヘッド17のY軸方向における移動範囲に対応させて、長辺(Y軸方向)の長さが設定されている(図1参照)。そして、セットテーブル21とフラッシングユニット71との間隙からエアーを吸引するようになっている。なお、上述したように、各エアー吸引口91を、セットテーブル21の往動方向の前方側面(復動方向の前方側面)に設けたことで、セットテーブル21とフラッシングユニット71とを極力近接して設けることができ、装置全体の小型化を図ることができる。
【0049】
図4を参照して、機能液滴吐出ヘッド17による捨て吐出と、その捨て吐出から描画動作への移行とについて説明する。この液滴吐出装置1では、機能液滴(主滴D)の捨て吐出に伴って、霧状に浮遊する微小の機能液滴(副滴)、すなわちミストMが発生するが、このミストMが、基板W(特に縁部上面)に付着することを防止できるようになっている。なお、以下では、セットテーブル21の往動時を例にして説明するが、復動時にも同様にして捨て吐出および描画動作への移行が行われる。
【0050】
まず、制御装置5が、セットテーブル21の往動に先立って、Z軸テーブル35により、機能液滴吐出ヘッド17のノズル面38が基板上面Waより低い位置(フラッシング上面71aよりは高い位置)となるように、機能液滴吐出ヘッド17の高さ位置を微調整する(図4(a)参照)。このとき、上述したように、フラッシングギャップが、極力小さい値となるようにすることが好ましい。
【0051】
次に、制御装置5が、X軸移動機構23によりセットテーブル21を往動させると、セットテーブル21の往動方向前方に配設されたフラッシングユニット71が、機能液滴吐出ヘッド17に臨む。そして、制御装置5が、機能液滴吐出ヘッド17を駆動して、この移動していくフラッシングユニット71に対して捨て吐出を行わせる(図4(b)参照)。このとき、機能液滴吐出ヘッド17のノズル面38が基板上面Waよりも低い状態で捨て吐出を行うことで、捨て吐出によりミストMが発生したとしても、そのミストMが上昇しない限り、ミストMが移動してきた基板Wに付着することがない。このため、ミストMを基板Wに付着させることなく、捨て吐出を行うことができる。
【0052】
しかも、セットテーブル21とフラッシングユニット71との間隙に浮遊したミストMが、移動してきた基板Wに付着する前に、エアー吸引口91から吸引除去される。このため、ミストMが基板Wに付着することをより確実に防止することができる。
【0053】
捨て吐出の後、制御装置5が、引き続きセットテーブル21を往動させると共に、機能液滴吐出ヘッド17を所定のワークギャップとなるように上昇させ、描画動作へと移行する(図4(c)参照)。
【0054】
なお、セットテーブル21を一旦停止させてから捨て吐出を行ってもよい。もっとも、本実施形態のように、機能液滴吐出ヘッド17に対しセットテーブル21を移動させながら捨て吐出および描画動作への移行を行うことで、描画動作に要する時間を短縮することができる。
【0055】
図5は、フラッシングユニット71およびエアー吸引口91の変形例を示す図である。この変形例は、上記の実施形態と略同様の構成であるが、フラッシングユニット71は、フラッシング上面71aが基板上面Waと面一になるように配設されている。また、エアー吸引口91は、セットテーブル21とフラッシングユニット71との間に配設されている。また、エアー吸引口91は、図示しない支持部材により、セットテーブル21に支持されている。
【0056】
図6を参照して、変形例における機能液滴吐出ヘッド17の捨て吐出と、その捨て吐出から描画動作への移行とについて説明する。なお、ここでも、セットテーブル21の往動時を例にして説明するが、復動時にも同様にして捨て吐出および描画動作への移行が行われる。
【0057】
まず、制御装置5が、セットテーブル21の往動に先立って、Z軸テーブル35により、所定のワークギャップとなるように機能液滴吐出ヘッド17の高さ位置を微調整する(図6(a)参照)。このとき、フラッシング上面71aが基板上面Waと面一になっているため、フラッシングギャップが、所定のワークギャップと等しくなる。
【0058】
次に、制御装置5が、X軸移動機構23によりセットテーブル21を往動させると、セットテーブル21の往動方向前方に配設されたフラッシングユニット71が、機能液滴吐出ヘッド17に臨む。そして、制御装置5が、機能液滴吐出ヘッド17を駆動して、この移動していくフラッシングユニット71に対して捨て吐出を行わせる(図6(b)参照)。
このとき、セットテーブル21とフラッシングユニット71との間隙に浮遊したミストMが、移動してきた基板Wに付着する前に、エアー吸引口91から吸引除去される。このため、ミストMを基板Wに付着させることなく、捨て吐出を行うことができる。
【0059】
捨て吐出の後、制御装置5が、引き続きセットテーブル21を往動させ、描画動作へと移行する(図6(c)参照)。このように、変形例の液滴吐出装置1によれば、捨て吐出の際に、機能液滴吐出ヘッド17のノズル面38を基板上面Waよりも低くしておく必要がないので、捨て吐出後、機能液滴吐出ヘッド17を上昇させる必要がない。しかも、フラッシング上面71aが基板上面Waと面一になっているため、捨て吐出後に機能液滴吐出ヘッド17を昇降させずとも、フラッシングギャップとワークギャップとが同一になる。このため、ワークギャップと同等の小さいフラッシングギャップで捨て吐出を行うことになる。これにより、ミストMがノズル面38で抑えられ、周囲に浮遊することがない。したがって、ミストMがフラッシングユニット71に受けられやすくすることができる。
【0060】
次に、本実施形態の液滴吐出装置1を用いて製造される電気光学装置(フラットパネルディスプレイ)として、カラーフィルタ、液晶表示装置、有機EL装置、プラズマディスプレイ(PDP装置)、電子放出装置(FED装置、SED装置)、さらにこれら表示装置に形成されてなるアクティブマトリクス基板等を例に、これらの構造およびその製造方法について説明する。なお、アクティブマトリクス基板とは、薄膜トランジスタ、および薄膜トランジスタに電気的に接続するソース線、データ線が形成された基板をいう。
【0061】
まず、液晶表示装置や有機EL装置等に組み込まれるカラーフィルタの製造方法について説明する。図7は、カラーフィルタの製造工程を示すフローチャート、図8は、製造工程順に示した本実施形態のカラーフィルタ500(フィルタ基体500A)の模式断面図である。
まず、ブラックマトリクス形成工程(S101)では、図8(a)に示すように、基板(W)501上にブラックマトリクス502を形成する。ブラックマトリクス502は、金属クロム、金属クロムと酸化クロムの積層体、または樹脂ブラック等により形成される。金属薄膜からなるブラックマトリクス502を形成するには、スパッタ法や蒸着法等を用いることができる。また、樹脂薄膜からなるブラックマトリクス502を形成する場合には、グラビア印刷法、フォトレジスト法、熱転写法等を用いることができる。
【0062】
続いて、バンク形成工程(S102)において、ブラックマトリクス502上に重畳する状態でバンク503を形成する。即ち、まず図8(b)に示すように、基板501およびブラックマトリクス502を覆うようにネガ型の透明な感光性樹脂からなるレジスト層504を形成する。そして、その上面をマトリクスパターン形状に形成されたマスクフィルム505で被覆した状態で露光処理を行う。
さらに、図8(c)に示すように、レジスト層504の未露光部分をエッチング処理することによりレジスト層504をパターニングして、バンク503を形成する。なお、樹脂ブラックによりブラックマトリクスを形成する場合は、ブラックマトリクスとバンクとを兼用することが可能となる。
このバンク503とその下のブラックマトリクス502は、各画素領域507aを区画する区画壁部507bとなり、後の着色層形成工程において機能液滴吐出ヘッド17により着色層(成膜部)508R、508G、508Bを形成する際に機能液滴の着弾領域を規定する。
【0063】
以上のブラックマトリクス形成工程およびバンク形成工程を経ることにより、上記フィルタ基体500Aが得られる。
なお、本実施形態においては、バンク503の材料として、塗膜表面が疎液(疎水)性となる樹脂材料を用いている。そして、基板(ガラス基板)501の表面が親液(親水)性であるので、後述する着色層形成工程においてバンク503(区画壁部507b)に囲まれた各画素領域507a内への液滴の着弾位置のばらつきを自動補正できる。
【0064】
次に、着色層形成工程(S103)では、図8(d)に示すように、機能液滴吐出ヘッド17によって機能液滴を吐出して区画壁部507bで囲まれた各画素領域507a内に着弾させる。この場合、機能液滴吐出ヘッド17を用いて、R・G・Bの3色の機能液(フィルタ材料)を導入して、機能液滴の吐出を行う。なお、R・G・Bの3色の配列パターンとしては、ストライプ配列、モザイク配列およびデルタ配列等がある。
【0065】
その後、乾燥処理(加熱等の処理)を経て機能液を定着させ、3色の着色層508R、508G、508Bを形成する。着色層508R、508G、508Bを形成したならば、保護膜形成工程(S104)に移り、図8(e)に示すように、基板501、区画壁部507b、および着色層508R、508G、508Bの上面を覆うように保護膜509を形成する。
即ち、基板501の着色層508R、508G、508Bが形成されている面全体に保護膜用塗布液が吐出された後、乾燥処理を経て保護膜509が形成される。
そして、保護膜509を形成した後、カラーフィルタ500は、次工程の透明電極となるITO(Indium Tin Oxide)などの膜付け工程に移行する。
【0066】
図9は、上記のカラーフィルタ500を用いた液晶表示装置の一例としてのパッシブマトリックス型液晶装置(液晶装置)の概略構成を示す要部断面図である。この液晶装置520に、液晶駆動用IC、バックライト、支持体などの付帯要素を装着することによって、最終製品としての透過型液晶表示装置が得られる。なお、カラーフィルタ500は図8に示したものと同一であるので、対応する部位には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0067】
この液晶装置520は、カラーフィルタ500、ガラス基板等からなる対向基板521、および、これらの間に挟持されたSTN(Super Twisted Nematic)液晶組成物からなる液晶層522により概略構成されており、カラーフィルタ500を図中上側(観測者側)に配置している。
なお、図示していないが、対向基板521およびカラーフィルタ500の外面(液晶層522側とは反対側の面)には偏光板がそれぞれ配設され、また対向基板521側に位置する偏光板の外側には、バックライトが配設されている。
【0068】
カラーフィルタ500の保護膜509上(液晶層側)には、図9において左右方向に長尺な短冊状の第1電極523が所定の間隔で複数形成されており、この第1電極523のカラーフィルタ500側とは反対側の面を覆うように第1配向膜524が形成されている。
一方、対向基板521におけるカラーフィルタ500と対向する面には、カラーフィルタ500の第1電極523と直交する方向に長尺な短冊状の第2電極526が所定の間隔で複数形成され、この第2電極526の液晶層522側の面を覆うように第2配向膜527が形成されている。これらの第1電極523および第2電極526は、ITOなどの透明導電材料により形成されている。
【0069】
液晶層522内に設けられたスペーサ528は、液晶層522の厚さ(セルギャップ)を一定に保持するための部材である。また、シール材529は液晶層522内の液晶組成物が外部へ漏出するのを防止するための部材である。なお、第1電極523の一端部は引き回し配線523aとしてシール材529の外側まで延在している。
そして、第1電極523と第2電極526とが交差する部分が画素であり、この画素となる部分に、カラーフィルタ500の着色層508R、508G、508Bが位置するように構成されている。
【0070】
通常の製造工程では、カラーフィルタ500に、第1電極523のパターニングおよび第1配向膜524の塗布を行ってカラーフィルタ500側の部分を作成すると共に、これとは別に対向基板521に、第2電極526のパターニングおよび第2配向膜527の塗布を行って対向基板521側の部分を作成する。その後、対向基板521側の部分にスペーサ528およびシール材529を作り込み、この状態でカラーフィルタ500側の部分を貼り合わせる。次いで、シール材529の注入口から液晶層522を構成する液晶を注入し、注入口を閉止する。その後、両偏光板およびバックライトを積層する。
【0071】
実施形態の液滴吐出装置1は、例えば上記のセルギャップを構成するスペーサ材料(機能液)を塗布すると共に、対向基板521側の部分にカラーフィルタ500側の部分を貼り合わせる前に、シール材529で囲んだ領域に液晶(機能液)を均一に塗布することが可能である。また、上記のシール材529の印刷を、機能液滴吐出ヘッド17で行うことも可能である。さらに、第1・第2両配向膜524,527の塗布を機能液滴吐出ヘッド17で行うことも可能である。
【0072】
図10は、本実施形態において製造したカラーフィルタ500を用いた液晶装置の第2の例の概略構成を示す要部断面図である。
この液晶装置530が上記液晶装置520と大きく異なる点は、カラーフィルタ500を図中下側(観測者側とは反対側)に配置した点である。
この液晶装置530は、カラーフィルタ500とガラス基板等からなる対向基板531との間にSTN液晶からなる液晶層532が挟持されて概略構成されている。なお、図示していないが、対向基板531およびカラーフィルタ500の外面には偏光板等がそれぞれ配設されている。
【0073】
カラーフィルタ500の保護膜509上(液晶層532側)には、図中奥行き方向に長尺な短冊状の第1電極533が所定の間隔で複数形成されており、この第1電極533の液晶層532側の面を覆うように第1配向膜534が形成されている。
対向基板531のカラーフィルタ500と対向する面上には、カラーフィルタ500側の第1電極533と直交する方向に延在する複数の短冊状の第2電極536が所定の間隔で形成され、この第2電極536の液晶層532側の面を覆うように第2配向膜537が形成されている。
【0074】
液晶層532には、この液晶層532の厚さを一定に保持するためのスペーサ538と、液晶層532内の液晶組成物が外部へ漏出するのを防止するためのシール材539が設けられている。
そして、上記した液晶装置520と同様に、第1電極533と第2電極536との交差する部分が画素であり、この画素となる部位に、カラーフィルタ500の着色層508R、508G、508Bが位置するように構成されている。
【0075】
図11は、本発明を適用したカラーフィルタ500を用いて液晶装置を構成した第3の例を示したもので、透過型のTFT(Thin Film Transistor)型液晶装置の概略構成を示す分解斜視図である。
この液晶装置550は、カラーフィルタ500を図中上側(観測者側)に配置したものである。
【0076】
この液晶装置550は、カラーフィルタ500と、これに対向するように配置された対向基板551と、これらの間に挟持された図示しない液晶層と、カラーフィルタ500の上面側(観測者側)に配置された偏光板555と、対向基板551の下面側に配設された偏光板(図示せず)とにより概略構成されている。
カラーフィルタ500の保護膜509の表面(対向基板551側の面)には液晶駆動用の電極556が形成されている。この電極556は、ITO等の透明導電材料からなり、後述の画素電極560が形成される領域全体を覆う全面電極となっている。また、この電極556の画素電極560とは反対側の面を覆った状態で配向膜557が設けられている。
【0077】
対向基板551のカラーフィルタ500と対向する面には絶縁層558が形成されており、この絶縁層558上には、走査線561および信号線562が互いに直交する状態で形成されている。そして、これらの走査線561と信号線562とに囲まれた領域内には画素電極560が形成されている。なお、実際の液晶装置では、画素電極560上に配向膜が設けられるが、図示を省略している。
【0078】
また、画素電極560の切欠部と走査線561と信号線562とに囲まれた部分には、ソース電極、ドレイン電極、半導体、およびゲート電極とを具備する薄膜トランジスタ563が組み込まれて構成されている。そして、走査線561と信号線562に対する信号の印加によって薄膜トランジスタ563をオン・オフして画素電極560への通電制御を行うことができるように構成されている。
【0079】
なお、上記の各例の液晶装置520,530,550は、透過型の構成としたが、反射層あるいは半透過反射層を設けて、反射型の液晶装置あるいは半透過反射型の液晶装置とすることもできる。
【0080】
次に、図12は、有機EL装置の表示領域(以下、単に表示装置600と称する)の要部断面図である。
【0081】
この表示装置600は、基板(W)601上に、回路素子部602、発光素子部603および陰極604が積層された状態で概略構成されている。
この表示装置600においては、発光素子部603から基板601側に発した光が、回路素子部602および基板601を透過して観測者側に出射されると共に、発光素子部603から基板601の反対側に発した光が陰極604により反射された後、回路素子部602および基板601を透過して観測者側に出射されるようになっている。
【0082】
回路素子部602と基板601との間にはシリコン酸化膜からなる下地保護膜606が形成され、この下地保護膜606上(発光素子部603側)に多結晶シリコンからなる島状の半導体膜607が形成されている。この半導体膜607の左右の領域には、ソース領域607aおよびドレイン領域607bが高濃度陽イオン打ち込みによりそれぞれ形成されている。そして陽イオンが打ち込まれない中央部がチャネル領域607cとなっている。
【0083】
また、回路素子部602には、下地保護膜606および半導体膜607を覆う透明なゲート絶縁膜608が形成され、このゲート絶縁膜608上の半導体膜607のチャネル領域607cに対応する位置には、例えばAl、Mo、Ta、Ti、W等から構成されるゲート電極609が形成されている。このゲート電極609およびゲート絶縁膜608上には、透明な第1層間絶縁膜611aと第2層間絶縁膜611bが形成されている。また、第1、第2層間絶縁膜611a、611bを貫通して、半導体膜607のソース領域607a、ドレイン領域607bにそれぞれ連通するコンタクトホール612a,612bが形成されている。
【0084】
そして、第2層間絶縁膜611b上には、ITO等からなる透明な画素電極613が所定の形状にパターニングされて形成され、この画素電極613は、コンタクトホール612aを通じてソース領域607aに接続されている。
また、第1層間絶縁膜611a上には電源線614が配設されており、この電源線614は、コンタクトホール612bを通じてドレイン領域607bに接続されている。
【0085】
このように、回路素子部602には、各画素電極613に接続された駆動用の薄膜トランジスタ615がそれぞれ形成されている。
【0086】
上記発光素子部603は、複数の画素電極613上の各々に積層された機能層617と、各画素電極613および機能層617の間に備えられて各機能層617を区画するバンク部618とにより概略構成されている。
これら画素電極613、機能層617、および、機能層617上に配設された陰極604によって発光素子が構成されている。なお、画素電極613は、平面視略矩形状にパターニングされて形成されており、各画素電極613の間にバンク部618が形成されている。
【0087】
バンク部618は、例えばSiO、SiO2、TiO2等の無機材料により形成される無機物バンク層618a(第1バンク層)と、この無機物バンク層618a上に積層され、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等の耐熱性、耐溶媒性に優れたレジストにより形成される断面台形状の有機物バンク層618b(第2バンク層)とにより構成されている。このバンク部618の一部は、画素電極613の周縁部上に乗上げた状態で形成されている。
そして、各バンク部618の間には、画素電極613に対して上方に向けて次第に拡開した開口部619が形成されている。
【0088】
上記機能層617は、開口部619内において画素電極613上に積層状態で形成された正孔注入/輸送層617aと、この正孔注入/輸送層617a上に形成された発光層617bとにより構成されている。なお、この発光層617bに隣接してその他の機能を有する他の機能層をさらに形成しても良い。例えば、電子輸送層を形成することも可能である。
正孔注入/輸送層617aは、画素電極613側から正孔を輸送して発光層617bに注入する機能を有する。この正孔注入/輸送層617aは、正孔注入/輸送層形成材料を含む第1組成物(機能液)を吐出することで形成される。正孔注入/輸送層形成材料としては、公知の材料を用いる。
【0089】
発光層617bは、赤色(R)、緑色(G)、または青色(B)のいずれかに発光するもので、発光層形成材料(発光材料)を含む第2組成物(機能液)を吐出することで形成される。第2組成物の溶媒(非極性溶媒)としては、正孔注入/輸送層617aに対して不溶な公知の材料を用いることが好ましく、このような非極性溶媒を発光層617bの第2組成物に用いることにより、正孔注入/輸送層617aを再溶解させることなく発光層617bを形成することができる。
【0090】
そして、発光層617bでは、正孔注入/輸送層617aから注入された正孔と、陰極604から注入される電子が発光層で再結合して発光するように構成されている。
【0091】
陰極604は、発光素子部603の全面を覆う状態で形成されており、画素電極613と対になって機能層617に電流を流す役割を果たす。なお、この陰極604の上部には図示しない封止部材が配置される。
【0092】
次に、上記の表示装置600の製造工程を図13〜図21を参照して説明する。
この表示装置600は、図13に示すように、バンク部形成工程(S111)、表面処理工程(S112)、正孔注入/輸送層形成工程(S113)、発光層形成工程(S114)、および対向電極形成工程(S115)を経て製造される。なお、製造工程は例示するものに限られるものではなく必要に応じてその他の工程が除かれる場合、また追加される場合もある。
【0093】
まず、バンク部形成工程(S111)では、図14に示すように、第2層間絶縁膜611b上に無機物バンク層618aを形成する。この無機物バンク層618aは、形成位置に無機物膜を形成した後、この無機物膜をフォトリソグラフィ技術等によりパターニングすることにより形成される。このとき、無機物バンク層618aの一部は画素電極613の周縁部と重なるように形成される。
無機物バンク層618aを形成したならば、図15に示すように、無機物バンク層618a上に有機物バンク層618bを形成する。この有機物バンク層618bも無機物バンク層618aと同様にフォトリソグラフィ技術等によりパターニングして形成される。
このようにしてバンク部618が形成される。また、これに伴い、各バンク部618間には、画素電極613に対して上方に開口した開口部619が形成される。この開口部619は、画素領域を規定する。
【0094】
表面処理工程(S112)では、親液化処理および撥液化処理が行われる。親液化処理を施す領域は、無機物バンク層618aの第1積層部618aaおよび画素電極613の電極面613aであり、これらの領域は、例えば酸素を処理ガスとするプラズマ処理によって親液性に表面処理される。このプラズマ処理は、画素電極613であるITOの洗浄等も兼ねている。
また、撥液化処理は、有機物バンク層618bの壁面618sおよび有機物バンク層618bの上面618tに施され、例えば四フッ化メタンを処理ガスとするプラズマ処理によって表面がフッ化処理(撥液性に処理)される。
この表面処理工程を行うことにより、機能液滴吐出ヘッド17を用いて機能層617を形成する際に、機能液滴を画素領域に、より確実に着弾させることができ、また、画素領域に着弾した機能液滴が開口部619から溢れ出るのを防止することが可能となる。
【0095】
そして、以上の工程を経ることにより、表示装置基体600Aが得られる。この表示装置基体600Aは、図1に示した液滴吐出装置1のセットテーブル21に載置され、以下の正孔注入/輸送層形成工程(S113)および発光層形成工程(S114)が行われる。
【0096】
図16に示すように、正孔注入/輸送層形成工程(S113)では、機能液滴吐出ヘッド17から正孔注入/輸送層形成材料を含む第1組成物を画素領域である各開口部619内に吐出する。その後、図17に示すように、乾燥処理および熱処理を行い、第1組成物に含まれる極性溶媒を蒸発させ、画素電極(電極面613a)613上に正孔注入/輸送層617aを形成する。
【0097】
次に発光層形成工程(S114)について説明する。この発光層形成工程では、上述したように、正孔注入/輸送層617aの再溶解を防止するために、発光層形成の際に用いる第2組成物の溶媒として、正孔注入/輸送層617aに対して不溶な非極性溶媒を用いる。
しかしその一方で、正孔注入/輸送層617aは、非極性溶媒に対する親和性が低いため、非極性溶媒を含む第2組成物を正孔注入/輸送層617a上に吐出しても、正孔注入/輸送層617aと発光層617bとを密着させることができなくなるか、あるいは発光層617bを均一に塗布できない虞がある。
そこで、非極性溶媒並びに発光層形成材料に対する正孔注入/輸送層617aの表面の親和性を高めるために、発光層形成の前に表面処理(表面改質処理)を行うことが好ましい。この表面処理は、発光層形成の際に用いる第2組成物の非極性溶媒と同一溶媒またはこれに類する溶媒である表面改質材を、正孔注入/輸送層617a上に塗布し、これを乾燥させることにより行う。
このような処理を施すことで、正孔注入/輸送層617aの表面が非極性溶媒になじみやすくなり、この後の工程で、発光層形成材料を含む第2組成物を正孔注入/輸送層617aに均一に塗布することができる。
【0098】
そして次に、図18に示すように、各色のうちのいずれか(図18の例では青色(B))に対応する発光層形成材料を含有する第2組成物を機能液滴として画素領域(開口部619)内に所定量打ち込む。画素領域内に打ち込まれた第2組成物は、正孔注入/輸送層617a上に広がって開口部619内に満たされる。なお、万一、第2組成物が画素領域から外れてバンク部618の上面618t上に着弾した場合でも、この上面618tは、上述したように撥液処理が施されているので、第2組成物が開口部619内に転がり込み易くなっている。
【0099】
その後、乾燥工程等を行うことにより、吐出後の第2組成物を乾燥処理し、第2組成物に含まれる非極性溶媒を蒸発させ、図19に示すように、正孔注入/輸送層617a上に発光層617bが形成される。この図の場合、青色(B)に対応する発光層617bが形成されている。
【0100】
同様に、機能液滴吐出ヘッド17を用い、図20に示すように、上記した青色(B)に対応する発光層617bの場合と同様の工程を順次行い、他の色(赤色(R)および緑色(G))に対応する発光層617bを形成する。なお、発光層617bの形成順序は、例示した順序に限られるものではなく、どのような順番で形成しても良い。例えば、発光層形成材料に応じて形成する順番を決めることも可能である。また、R・G・Bの3色の配列パターンとしては、ストライプ配列、モザイク配列およびデルタ配列等がある。
【0101】
以上のようにして、画素電極613上に機能層617、即ち、正孔注入/輸送層617aおよび発光層617bが形成される。そして、対向電極形成工程(S115)に移行する。
【0102】
対向電極形成工程(S115)では、図21に示すように、発光層617bおよび有機物バンク層618bの全面に陰極604(対向電極)を、例えば蒸着法、スパッタ法、CVD法等によって形成する。この陰極604は、本実施形態においては、例えば、カルシウム層とアルミニウム層とが積層されて構成されている。
この陰極604の上部には、電極としてのAl膜、Ag膜や、その酸化防止のためのSiO2、SiN等の保護層が適宜設けられる。
【0103】
このようにして陰極604を形成した後、この陰極604の上部を封止部材により封止する封止処理や配線処理等のその他処理等を施すことにより、表示装置600が得られる。
【0104】
次に、図22は、プラズマ型表示装置(PDP装置:以下、単に表示装置700と称する)の要部分解斜視図である。なお、同図では表示装置700を、その一部を切り欠いた状態で示してある。
この表示装置700は、互いに対向して配置された第1基板701、第2基板702、およびこれらの間に形成される放電表示部703を含んで概略構成される。放電表示部703は、複数の放電室705により構成されている。これらの複数の放電室705のうち、赤色放電室705R、緑色放電室705G、青色放電室705Bの3つの放電室705が組になって1つの画素を構成するように配置されている。
【0105】
第1基板701の上面には所定の間隔で縞状にアドレス電極706が形成され、このアドレス電極706と第1基板701の上面とを覆うように誘電体層707が形成されている。誘電体層707上には、各アドレス電極706の間に位置し、且つ各アドレス電極706に沿うように隔壁708が立設されている。この隔壁708は、図示するようにアドレス電極706の幅方向両側に延在するものと、アドレス電極706と直交する方向に延設された図示しないものを含む。
そして、この隔壁708によって仕切られた領域が放電室705となっている。
【0106】
放電室705内には蛍光体709が配置されている。蛍光体709は、赤(R)、緑(G)、青(B)のいずれかの色の蛍光を発光するもので、赤色放電室705Rの底部には赤色蛍光体709Rが、緑色放電室705Gの底部には緑色蛍光体709Gが、青色放電室705Bの底部には青色蛍光体709Bが各々配置されている。
【0107】
第2基板702の図中下側の面には、上記アドレス電極706と直交する方向に複数の表示電極711が所定の間隔で縞状に形成されている。そして、これらを覆うように誘電体層712、およびMgOなどからなる保護膜713が形成されている。
第1基板701と第2基板702とは、アドレス電極706と表示電極711が互いに直交する状態で対向させて貼り合わされている。なお、上記アドレス電極706と表示電極711は図示しない交流電源に接続されている。
そして、各電極706,711に通電することにより、放電表示部703において蛍光体709が励起発光し、カラー表示が可能となる。
【0108】
本実施形態においては、上記アドレス電極706、表示電極711、および蛍光体709を、図1に示した液滴吐出装置1を用いて形成することができる。以下、第1基板701におけるアドレス電極706の形成工程を例示する。
この場合、第1基板701を液滴吐出装置1のセットテーブル21に載置された状態で以下の工程が行われる。
まず、機能液滴吐出ヘッド17により、導電膜配線形成用材料を含有する液体材料(機能液)を機能液滴としてアドレス電極形成領域に着弾させる。この液体材料は、導電膜配線形成用材料として、金属等の導電性微粒子を分散媒に分散したものである。この導電性微粒子としては、金、銀、銅、パラジウム、またはニッケル等を含有する金属微粒子や、導電性ポリマー等が用いられる。
【0109】
補充対象となるすべてのアドレス電極形成領域について液体材料の補充が終了したならば、吐出後の液体材料を乾燥処理し、液体材料に含まれる分散媒を蒸発させることによりアドレス電極706が形成される。
【0110】
ところで、上記においてはアドレス電極706の形成を例示したが、上記表示電極711および蛍光体709についても上記各工程を経ることにより形成することができる。
表示電極711の形成の場合、アドレス電極706の場合と同様に、導電膜配線形成用材料を含有する液体材料(機能液)を機能液滴として表示電極形成領域に着弾させる。
また、蛍光体709の形成の場合には、各色(R,G,B)に対応する蛍光材料を含んだ液体材料(機能液)を機能液滴吐出ヘッド17から液滴として吐出し、対応する色の放電室705内に着弾させる。
【0111】
次に、図23は、電子放出装置(FED装置あるいはSED装置ともいう:以下、単に表示装置800と称する)の要部断面図である。なお、同図では表示装置800を、その一部を断面として示してある。
この表示装置800は、互いに対向して配置された第1基板801、第2基板802、およびこれらの間に形成される電界放出表示部803を含んで概略構成される。電界放出表示部803は、マトリクス状に配置した複数の電子放出部805により構成されている。
【0112】
第1基板801の上面には、カソード電極806を構成する第1素子電極806aおよび第2素子電極806bが相互に直交するように形成されている。また、第1素子電極806aおよび第2素子電極806bで仕切られた部分には、ギャップ808を形成した導電性膜807が形成されている。すなわち、第1素子電極806a、第2素子電極806bおよび導電性膜807により複数の電子放出部805が構成されている。導電性膜807は、例えば酸化パラジウム(PdO)等で構成され、またギャップ808は、導電性膜807を成膜した後、フォーミング等で形成される。
【0113】
第2基板802の下面には、カソード電極806に対峙するアノード電極809が形成されている。アノード電極809の下面には、格子状のバンク部811が形成され、このバンク部811で囲まれた下向きの各開口部812に、電子放出部805に対応するように蛍光体813が配置されている。蛍光体813は、赤(R)、緑(G)、青(B)のいずれかの色の蛍光を発光するもので、各開口部812には、赤色蛍光体813R、緑色蛍光体813Gおよび青色蛍光体813Bが、上記した所定のパターンで配置されている。
【0114】
そして、このように構成した第1基板801と第2基板802とは、微小な間隙を存して貼り合わされている。この表示装置800では、導電性膜(ギャップ808)807を介して、陰極である第1素子電極806aまたは第2素子電極806bから飛び出す電子を、陽極であるアノード電極809に形成した蛍光体813に当てて励起発光し、カラー表示が可能となる。
【0115】
この場合も、他の実施形態と同様に、第1素子電極806a、第2素子電極806b、導電性膜807およびアノード電極809を、液滴吐出装置1を用いて形成することができると共に、各色の蛍光体813R,813G,813Bを、液滴吐出装置1を用いて形成することができる。
【0116】
第1素子電極806a、第2素子電極806bおよび導電性膜807は、図24(a)に示す平面形状を有しており、これらを成膜する場合には、図24(b)に示すように、予め第1素子電極806a、第2素子電極806bおよび導電性膜807を作り込む部分を残して、バンク部BBを形成(フォトリソグラフィ法)する。次に、バンク部BBにより構成された溝部分に、第1素子電極806aおよび第2素子電極806bを形成(液滴吐出装置1によるインクジェット法)し、その溶剤を乾燥させて成膜を行った後、導電性膜807を形成(液滴吐出装置1によるインクジェット法)する。そして、導電性膜807を成膜後、バンク部BBを取り除き(アッシング剥離処理)、上記のフォーミング処理に移行する。なお、上記の有機EL装置の場合と同様に、第1基板801および第2基板802に対する親液化処理や、バンク部811,BBに対する撥液化処理を行うことが、好ましい。
【0117】
また、他の電気光学装置としては、金属配線形成、レンズ形成、レジスト形成および光拡散体形成等の装置が考えられる。上記した液滴吐出装置1を各種の電気光学装置(デバイス)の製造に用いることにより、各種の電気光学装置を効率的に製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】本発明の一実施形態に係る液滴吐出装置の基本構成を模式的に示した図である。
【図2】液滴吐出装置の制御構成を示すブロック図である。
【図3】液滴吐出装置に備えられたフラッシングユニットおよびエアー吸引口廻りの構成を示す図である。
【図4】捨て吐出および描画動作への移行について説明する図である。
【図5】変形例に係る液滴吐出装置に備えられたフラッシングユニットおよびエアー吸引口廻りの構成を示す図である。
【図6】変形例に係る捨て吐出および描画動作への移行について説明する図である。
【図7】カラーフィルタ製造工程を説明するフローチャートである。
【図8】(a)〜(e)は、製造工程順に示したカラーフィルタの模式断面図である。
【図9】本発明を適用したカラーフィルタを用いた液晶装置の概略構成を示す要部断面図である。
【図10】本発明を適用したカラーフィルタを用いた第2の例の液晶装置の概略構成を示す要部断面図である。
【図11】本発明を適用したカラーフィルタを用いた第3の例の液晶装置の概略構成を示す要部断面図である。
【図12】有機EL装置である表示装置の要部断面図である。
【図13】有機EL装置である表示装置の製造工程を説明するフローチャートである。
【図14】無機物バンク層の形成を説明する工程図である。
【図15】有機物バンク層の形成を説明する工程図である。
【図16】正孔注入/輸送層を形成する過程を説明する工程図である。
【図17】正孔注入/輸送層が形成された状態を説明する工程図である。
【図18】青色の発光層を形成する過程を説明する工程図である。
【図19】青色の発光層が形成された状態を説明する工程図である。
【図20】各色の発光層が形成された状態を説明する工程図である。
【図21】陰極の形成を説明する工程図である。
【図22】プラズマ型表示装置(PDP装置)である表示装置の要部分解斜視図である。
【図23】電子放出装置(FED装置)である表示装置の要部断面図である。
【図24】表示装置の電子放出部廻りの平面図(a)およびその形成方法を示す平面図(b)である。
【符号の説明】
【0119】
1…液滴吐出装置 3…描画装置 17…機能液滴吐出ヘッド 21…セットテーブル 23…X軸移動機構 35…Z軸テーブル 38…ノズル面 71…フラッシングユニット 91…エアー吸引口
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェット方式の機能液滴吐出ヘッドと、
ワークを搭載するワークテーブルと、
前記機能液滴吐出ヘッドに対し前記ワークテーブルを相対移動させる移動手段と、を備え、
前記機能液滴吐出ヘッドに対する前記ワークテーブルの相対移動を行いながら、前記ワークテーブルに搭載された前記ワークに対し、前記機能液滴吐出ヘッドを駆動して描画動作を行う液滴吐出装置において、
前記ワークテーブルの相対移動方向の前方に近接し且つ自身の上面が前記ワークテーブルに搭載された前記ワークの上面より低い位置となるように配設されると共に、前記機能液滴吐出ヘッドの前記描画動作直前の捨て吐出を受けるフラッシングユニットと、
前記機能液滴吐出ヘッドを昇降させるヘッド昇降手段と、
前記機能液滴吐出ヘッド、前記移動手段および前記ヘッド昇降手段を制御する制御手段と、をさらに備え、
前記制御手段は、前記描画動作直前に、前記ヘッド昇降手段により前記機能液滴吐出ヘッドをそのノズル面が前記ワークの上面より低い位置とした状態で、前記機能液滴吐出ヘッドに前記捨て吐出を行わせることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項2】
前記ワークテーブルと前記フラッシングユニットとの間隙からエアーを吸引するエアー吸引口を、さらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項3】
前記エアー吸引口は、前記ワークテーブルの相対移動方向の前方側面に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の液滴吐出装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記捨て吐出と当該捨て吐出から前記描画動作への移行とを、前記機能液滴吐出ヘッドに対し前記ワークテーブルを相対移動させながら行わせると共に、当該描画動作への移行時に前記機能液滴吐出ヘッドを上昇させることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の液滴吐出装置。
【請求項5】
インクジェット方式の機能液滴吐出ヘッドと、
ワークを搭載するワークテーブルと、
前記機能液滴吐出ヘッドに対し前記ワークテーブルを相対移動させる移動手段と、を備え、
前記機能液滴吐出ヘッドに対する前記ワークテーブルの相対移動を行いながら、前記ワークテーブルに搭載された前記ワークに対し、前記機能液滴吐出ヘッドを駆動して描画動作を行う液滴吐出装置において、
前記ワークテーブルの相対移動方向の前方に近接して配設されると共に、前記機能液滴吐出ヘッドの前記描画動作直前の捨て吐出を受けるフラッシングユニットと、
前記ワークテーブルと前記フラッシングユニットとの間隙からエアーを吸引するエアー吸引口と、
をさらに備えたことを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項6】
前記フラッシングユニットは、その上面が前記ワークテーブルに搭載された前記ワークの上面と略面一になるように配設されていることを特徴とする請求項5に記載の液滴吐出装置。
【請求項7】
前記機能液滴吐出ヘッドおよび前記移動手段を制御する制御手段を、さらに備え、
前記制御手段は、前記捨て吐出と当該捨て吐出から前記描画動作への移行とを、前記機能液滴吐出ヘッドに対し前記ワークテーブルを相対移動させながら行わせることを特徴とする請求項5または6に記載の液滴吐出装置。
【請求項8】
前記移動手段は、前記機能液滴吐出ヘッドに対し、前記ワークテーブルを移動させ、
前記フラッシングユニットは、前記ワークテーブルに支持されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の液滴吐出装置。
【請求項9】
前記描画動作は、前記機能液滴吐出ヘッドに対する前記ワークテーブルの相対的な往動および復動のそれぞれにおいて行われ、
前記ワークテーブルの相対的な往動方向前方および復動方向前方には、前記フラッシングユニットが一対配設されていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の液滴吐出装置。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかの液滴吐出装置を用い、前記ワーク上に機能液による成膜部を形成することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項11】
請求項1ないし9のいずれかの液滴吐出装置を用い、前記ワーク上に機能液による成膜部を形成したことを特徴とする電気光学装置。
【請求項12】
請求項10に記載の電気光学装置の製造方法により製造した電気光学装置または請求項11に記載の電気光学装置を、搭載したことを特徴とする電子機器。
【請求項1】
インクジェット方式の機能液滴吐出ヘッドと、
ワークを搭載するワークテーブルと、
前記機能液滴吐出ヘッドに対し前記ワークテーブルを相対移動させる移動手段と、を備え、
前記機能液滴吐出ヘッドに対する前記ワークテーブルの相対移動を行いながら、前記ワークテーブルに搭載された前記ワークに対し、前記機能液滴吐出ヘッドを駆動して描画動作を行う液滴吐出装置において、
前記ワークテーブルの相対移動方向の前方に近接し且つ自身の上面が前記ワークテーブルに搭載された前記ワークの上面より低い位置となるように配設されると共に、前記機能液滴吐出ヘッドの前記描画動作直前の捨て吐出を受けるフラッシングユニットと、
前記機能液滴吐出ヘッドを昇降させるヘッド昇降手段と、
前記機能液滴吐出ヘッド、前記移動手段および前記ヘッド昇降手段を制御する制御手段と、をさらに備え、
前記制御手段は、前記描画動作直前に、前記ヘッド昇降手段により前記機能液滴吐出ヘッドをそのノズル面が前記ワークの上面より低い位置とした状態で、前記機能液滴吐出ヘッドに前記捨て吐出を行わせることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項2】
前記ワークテーブルと前記フラッシングユニットとの間隙からエアーを吸引するエアー吸引口を、さらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項3】
前記エアー吸引口は、前記ワークテーブルの相対移動方向の前方側面に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の液滴吐出装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記捨て吐出と当該捨て吐出から前記描画動作への移行とを、前記機能液滴吐出ヘッドに対し前記ワークテーブルを相対移動させながら行わせると共に、当該描画動作への移行時に前記機能液滴吐出ヘッドを上昇させることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の液滴吐出装置。
【請求項5】
インクジェット方式の機能液滴吐出ヘッドと、
ワークを搭載するワークテーブルと、
前記機能液滴吐出ヘッドに対し前記ワークテーブルを相対移動させる移動手段と、を備え、
前記機能液滴吐出ヘッドに対する前記ワークテーブルの相対移動を行いながら、前記ワークテーブルに搭載された前記ワークに対し、前記機能液滴吐出ヘッドを駆動して描画動作を行う液滴吐出装置において、
前記ワークテーブルの相対移動方向の前方に近接して配設されると共に、前記機能液滴吐出ヘッドの前記描画動作直前の捨て吐出を受けるフラッシングユニットと、
前記ワークテーブルと前記フラッシングユニットとの間隙からエアーを吸引するエアー吸引口と、
をさらに備えたことを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項6】
前記フラッシングユニットは、その上面が前記ワークテーブルに搭載された前記ワークの上面と略面一になるように配設されていることを特徴とする請求項5に記載の液滴吐出装置。
【請求項7】
前記機能液滴吐出ヘッドおよび前記移動手段を制御する制御手段を、さらに備え、
前記制御手段は、前記捨て吐出と当該捨て吐出から前記描画動作への移行とを、前記機能液滴吐出ヘッドに対し前記ワークテーブルを相対移動させながら行わせることを特徴とする請求項5または6に記載の液滴吐出装置。
【請求項8】
前記移動手段は、前記機能液滴吐出ヘッドに対し、前記ワークテーブルを移動させ、
前記フラッシングユニットは、前記ワークテーブルに支持されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の液滴吐出装置。
【請求項9】
前記描画動作は、前記機能液滴吐出ヘッドに対する前記ワークテーブルの相対的な往動および復動のそれぞれにおいて行われ、
前記ワークテーブルの相対的な往動方向前方および復動方向前方には、前記フラッシングユニットが一対配設されていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の液滴吐出装置。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかの液滴吐出装置を用い、前記ワーク上に機能液による成膜部を形成することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項11】
請求項1ないし9のいずれかの液滴吐出装置を用い、前記ワーク上に機能液による成膜部を形成したことを特徴とする電気光学装置。
【請求項12】
請求項10に記載の電気光学装置の製造方法により製造した電気光学装置または請求項11に記載の電気光学装置を、搭載したことを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2008−80208(P2008−80208A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−261193(P2006−261193)
【出願日】平成18年9月26日(2006.9.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月26日(2006.9.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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