説明

測位装置および推定装置

【課題】処理量を低減しながら、車両位置の補正精度を高くしたい。
【解決手段】ナビゲーションシステムは、車両に搭載されている。第1位置取得部40は、車両の内部において、車両位置を測位する。第2位置取得部44は、車両の外部での特定の位置に設置された撮像装置が撮像した画像から導出された車両位置を取得する。補正部48は、第2位置取得部44において取得した車両位置によって、第1位置取得部40において測位した車両位置を補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測位技術に関し、特に測位した車両位置を補正する測位装置および推定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ナビゲーション装置は、GPS衛星からの信号を受信し、受信した信号をもとに車両の位置を特定する。また、方位センサや走行距離センサからの信号をもとに、車両の位置が補正される。さらに、車両に撮像装置が設置され、撮像装置によって撮像した周囲の映像を使用することによって、車両の位置を補正する技術が提案されている。この技術では、映像の中から特定の建物が抽出され、予め記憶した建物の位置情報を使用しながら、抽出した建物の位置が特定される。また、特定した位置によって、車両の位置が補正される(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−316025号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
測位した位置を補正するために、GPS衛星からの信号とは別の情報を使用することは好ましいが、車両に設置された撮像装置で映像を撮像し続けると、処理量の総和が大きくなってしまう。また、補正の精度を高くするためには、建物の位置情報のデータベースが詳細である方が望ましい。しかしながら、データベースのサイズが大きくなると、それを記憶するための記憶装置に対して、記憶容量の増加が要求される。さらに、データベースのサイズが大きくなると、検索処理の期間が長くなるので、ユーザの利便性が悪化する。
【0004】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、処理量を低減しながら、車両位置の補正精度を高くする技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の測位装置は、車両に搭載された測位装置であって、車両の内部において、車両位置を測位する測位部と、車両の外部での特定の位置に設置された撮像装置が撮像した画像から導出された車両位置を取得する取得部と、取得部において取得した車両位置によって、測位部において測位した車両位置を補正する補正部と、を備える。
【0006】
本発明の別の態様は、推定装置である。この装置は、車両の外部での特定の位置に設置された撮像装置から、当該撮像装置によって撮像された車両の画像を受けつける受付部と、受付部において受けつけた画像をもとに、車両位置を推定する推定部と、推定部において推定した車両位置を車両へ出力する出力部と、を備える。
【0007】
本発明のさらに別の態様は、測位システムである。この測位システムは、車両に搭載された測位装置と、車両の外部での特定の位置に設置され、かつ車両の画像を撮像する撮像装置と、撮像装置によって撮像された画像をもとに、車両位置を推定する推定装置とを備える。測位装置は、推定装置によって推定された車両位置によって、車両の内部において測位した車両位置を補正する。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、処理量を低減しながら、車両位置の補正精度を高くできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明を具体的に説明する前に、概要を述べる。本発明の実施例は、自動車等の車両に搭載されたナビゲーション装置、基地局装置、撮像装置、地図画像サーバ、位置推定サーバを含むナビゲーションシステムに関する。基地局装置は、一端において無線ネットワークにてナビゲーション装置に接続され、他端において有線ネットワークにて撮像装置、地図画像サーバ、位置推定サーバに接続されている。撮像装置は、道路周辺のさまざまな位置に複数設置されており、道路を通行する車両の映像を撮像する。ここで、複数の撮像装置のそれぞれが配置された位置は既知であり、位置推定サーバは、そのような情報(以下、「設置情報」という)を予め記憶している。各撮像装置は、撮像した映像を定期的に位置推定サーバへ出力する。その際、撮像装置は、映像を撮像した撮像装置に関する情報を映像に付加する。そのため、位置推定サーバは、送信元と映像とを対応づけながら周期的に取得する。
【0011】
ナビゲーション装置は、GPS(Global Positioning System)衛星からの信号を受信することによって、車両位置を測位する。また、ナビゲーション装置は、基地局装置を介して、測位した車両位置を位置推定サーバに出力する。その際、当該車両のナンバープレートに記載された情報(以下、「ナンバプレート情報」という)も出力する。位置推定サーバは、車両位置をもとに、車両が撮像されている映像を抽出する。その際、位置推定サーバは、ナンバプレート情報をもとに、車両を探索する。また、位置推定サーバは、映像に撮像された車両の位置と、映像を撮像した撮像装置の位置とをもとに、車両位置を取得する。位置推定サーバは、撮像がなされた時刻とともに、車両位置をナビゲーション装置へ送信する。ナビゲーション装置は、位置推定サーバからの車両位置をもとに、測位した車両位置を補正する。
【0012】
ナビゲーション装置は、車両位置が含まれるような地図画像の送信を地図画像サーバに要求する。地図画像とは、電子化された地図データである。その結果、ナビゲーション装置は、基地局装置と通信することによって、基地局装置に接続された地図画像サーバから地図画像を取得する。ここでは、地図画像が画像として示されている場合、地図画像がデータ形式にて示されている場合とを区別せずに、「地図画像」という用語を使用する。ナビゲーション装置は、地図画像をディスプレイに表示するが、その際、補正した車両位置を地図画像上に示す。
【0013】
図1は、本発明の実施例に係るナビゲーションシステム100の構成を示す。ナビゲーションシステム100は、ナビゲーション装置10、基地局装置12、ネットワーク14、地図画像サーバ16、車両18、撮像装置70、位置推定サーバ72を含む。また、ナビゲーション装置10は、GPS用アンテナ20、通信用アンテナ22を含む。
【0014】
ナビゲーション装置10は、車両18に搭載されている。ここで、車両18は、例えば、自動車である。ナビゲーション装置10は、GPS用アンテナ20において、図示しないGPS衛星からの信号を受信する。ナビゲーション装置10は、受信した信号をもとに、車両18の位置を測位する。また、ナビゲーション装置10は、通信用アンテナ22を備えており、無線通信システムの端末装置の機能を有する。ここで、無線通信システムには、例えば、IEEE802.11n等に準拠した無線LAN(Local Area Network)システムやIEEE802.16等に準拠した無線MAN(Metropolitan Area Network)システムが使用される。ナビゲーション装置10は、無線ネットワークを介して基地局装置12に接続される。
【0015】
基地局装置12は、一端において、ナビゲーション装置10を接続し、他端において、ネットワーク14を接続する。ネットワーク14は、例えば、IP(Internet Protocol)ネットワークにて構成される。また、ネットワーク14は、撮像装置70および位置推定サーバ72を接続している。撮像装置70は、車両18の外部での特定の位置、例えば道路に沿って設置されている。図1では、ひとつの撮像装置70が示されているが、ナビゲーションシステム100には、複数の撮像装置70が含まれる。ここで、複数の撮像装置70のそれぞれが設置された位置は既知であり、それらの位置は、位置推定サーバ72において管理されている。
【0016】
撮像装置70は、カメラに相当し、車両18の画像を撮像する。ここでは、撮像装置70によって撮像された画像を「映像」という。映像は、動画像であってもよく、静止画像であってもよいが、ここでは、静止画像であるとする。また、映像が画像として示されている場合、映像がデータ形式にて示されている場合とを区別せずに、「映像」という用語を使用する。撮像装置70は、映像を定期的に撮像し、ネットワーク14を介して位置推定サーバ72へ送信する。その際、撮像時刻に関する情報も送信される。
【0017】
位置推定サーバ72は、ネットワーク14を介して撮像装置70から映像を受信する。位置推定サーバ72は、受信した映像を撮像時刻とともに記憶する。位置推定サーバ72は、ネットワーク14、基地局装置12を介して、ナビゲーション装置10から車両位置の推定を要求される。位置推定サーバ72は、ナンバプレート情報をもとに、ナビゲーション装置10を搭載した車両18が撮像された映像を特定する。また、位置推定サーバ72は、映像を撮像した撮像装置70が配置された位置と、映像中の車両18の位置とをもとに、車両18の位置を推定する。位置推定サーバ72は、ネットワーク14、基地局装置12を介して、ナビゲーション装置10へ車両位置を送信する。
【0018】
また、ネットワーク14は、地図画像サーバ16も接続している。地図画像サーバ16は、地図画像を記憶する。ここで、地図画像は、複数種類の縮尺に対応するように予め用意されている。また、各縮尺において、地図画像は、緯度と経度とを変えながら複数存在する。例えば、ひとつの地図画像は、四角形の形状を有しており、四角形の左上が「始点」と規定され、右下を「終点」と規定されている。ここで、始点と終点とを変えられた複数の地図画像が規定されている。つまり、複数種類の縮尺のそれぞれに対して、複数の地図画像が含まれている。以下では、複数の地図画像のそれぞれと、複数の地図画像の集合とを区別せずに「地図画像」という。
【0019】
ナビゲーション装置10は、位置推定サーバ72から車両位置を受信する。ナビゲーション装置10は、受信した車両位置によって、車両18の内部において測位した車両位置を補正する。ナビゲーション装置10は、基地局装置12を介して地図画像サーバ16へ、補正した車両18の位置が含まれるような地図画像の送信を要求する。地図画像サーバ16は、記憶した複数の地図画像の中から、該当する地図画像を抽出し、抽出した地図画像をナビゲーション装置10へ送信する。ナビゲーション装置10は、受信した地図画像をディスプレイに表示するとともに、車両18の位置も表示することによって、ナビゲーション処理を実行する。
【0020】
図2は、ナビゲーション装置10の構成を示す。ナビゲーション装置10は、GPS用アンテナ20、通信用アンテナ22、GPS受信部24、通信部26、ナビゲーション処理部28、ルート探索処理部30、第1記憶部32、操作入力部34、音声出力部36、ディスプレイ38、制御部60を含む。また、ナビゲーション処理部28は、第1位置取得部40、地図画像取得部42、第2位置取得部44、第2記憶部46、補正部48、合成部50を含み、補正部48は、特定部52、抽出部54、導出部56、実行部58を含む。
【0021】
GPS受信部24は、GPS用アンテナ20を介して、図示しないGPS衛星からの信号を受信する。また、GPS受信部24は、受信した信号を第1位置取得部40へ出力する。第1位置取得部40は、GPS受信部24からの信号を受けつけ、GPSによる測位を実行することによって、図示しない車両18の内部において、図示しない車両18の位置(以下、「車両位置」という)を取得する。なお、GPSによる測位には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。また、車両位置は、緯度と経度によって示される。GPS受信部24、第1位置取得部40は、以上の処理を適宜実行することによって、車両位置は繰り返し取得される。第1位置取得部40は、車両位置の情報を第2位置取得部44、第2記憶部46、補正部48へ出力する。その際、推定した時刻も付加される。
【0022】
第2位置取得部44は、地図画像取得部42から、測位した車両位置を受けつけ、測位した車両位置をもとに、当該車両18の車両位置の推定を図示しない位置推定サーバ72へ要求するための要求信号(以下、「第1要求信号」という)を生成する。この第1要求信号の生成は、映像を撮像すべき少なくともひとつの撮像装置70を指定し、少なくともひとつの位置推定サーバ72へ映像の撮像を要求することに相当する。第2位置取得部44は、地図画像取得部42において測位した車両位置とナンバプレート情報とを第1要求信号に含める。第2位置取得部44は、第1要求信号を通信部26へ出力する。
【0023】
通信部26は、前述の無線通信システムでの端末装置に相当し、無線通信システムに対応した処理を実行する。ここで、IEEE802.11a規格やIEEE802.16規格のようなOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調方式、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiplexing Access)が採用された無線通信システムに対応する場合、通信部26は、受信処理としてFFT(Fast Fourier Transform)を実行し、送信処理としてIFFTを実行する。また、IEEE802.11b規格のようなスペクトル拡散方式が採用された無線通信システムに対応する場合、通信部26は、受信処理として逆拡散を実行し、送信処理として拡散を実行する。さらに、IEEE802.11nのようなMIMO(Multiple Input Multiple Output)方式が採用された無線通信システムに対応する場合、通信部26は、受信処理としてアダプティブアレイ信号処理を実行し、送信処理として複数のストリームへの分散処理を実行する。
【0024】
図3(a)−(b)は、通信部26における通信に使用されるデータの構造を示す。図3(a)は、第1要求信号のフォーマットを示す。「位置情報送信要求」が、位置推定サーバ72に対して車両位置の推定を要求する旨を示す。「測位位置情報」が、第1位置取得部40において測位した車両位置を示し、「ナンバプレート情報」が、前述のナンバプレート情報に相当する。図2に戻る。通信部26は、第1要求信号の送信後、ネットワーク14を介して位置推定サーバ72からの応答信号(以下、「第1応答信号」という)を受信する。
【0025】
図3(b)は、第1応答信号のフォーマットを示す。「撮像時刻」は、撮像装置70において映像の撮像がなされた時刻であり、当該映像は位置推定サーバ72において車両位置の推定に使用されている。「推定位置情報」は、位置推定サーバ72において推定された車両位置を示す。そのため、撮像時刻は、車両位置に付加された情報といえる。図2に戻る。通信部26は、受信した第1応答信号を第2位置取得部44へ出力する。その結果、第2位置取得部44は、車両18の外部での特定の位置に設置された撮像装置70が撮像した映像から推定された車両位置を取得する。第2位置取得部44は、取得した第1応答信号を補正部48へ出力する。
【0026】
第2記憶部46は、第1位置取得部40から、車両位置の情報を受けつける。第2記憶部46は、車両位置の情報と時刻とを対応づけながら記憶する。図4は、第2記憶部46に記憶された測位位置情報のデータ構造を示す。図示のごとく、時刻欄200と測位位置情報欄202とが含まれる。「時刻」は、第1位置取得部40において車両位置の推定がなされた時刻を示し、「測位位置情報」は、第1位置取得部40において推定された車両位置を示す。図2に戻る。
【0027】
抽出部54は、第2位置取得部44から第1応答信号を受けつける。抽出部54は、第1応答信号から、撮像時刻に関する情報を抽出する。抽出部54は、抽出した撮像時刻に関する情報を特定部52へ出力し、推定された車両位置を導出部56へ出力する。特定部52は、抽出部54から撮像時刻に関する情報を受けつける。特定部52は、第2記憶部46に記憶されたデータを参照することによって、撮像時刻に最も近い時刻を図4の時刻欄200から選択する。また、特定部52は、選択した時刻に対応した車両位置を測位位置情報欄202から選択する。つまり、特定部52は、抽出部54において抽出した撮像時刻に対応した車両位置であって、かつ第1位置取得部40において過去に測位した車両位置を特定する。特定部52は、選択した車両位置を導出部56へ出力する。
【0028】
導出部56は、特定部52から車両位置(以下、「第1車両位置」という)を受けつけるとともに、抽出部54からも車両位置(以下、「第2車両位置」という)を受けつける。導出部56は、第1車両位置と第2車両位置との差異をもとに、補正量を導出する。具体的に説明すると、導出部56は、ベクトル演算によって、第2車両位置から第1車両位置を減算する。減算結果が、補正量に相当する。導出部56は、補正量を実行部58へ出力する。
【0029】
実行部58は、導出部56から補正量を受けつけるとともに、第1位置取得部40から車両位置を受けつける。また、実行部58は、補正量をもとに、車両位置を補正する。具体的に説明すると、ベクトル演算によって、補正量と車両位置とを加算する。これは、第2位置取得部44において取得した車両位置によって、第1位置取得部40において測位した車両位置を補正することに相当する。実行部58は、補正した車両位置を地図画像取得部42および合成部50へ出力する。
【0030】
地図画像取得部42は、補正部48から車両位置の情報を受けつける。地図画像取得部42は、車両位置が含まれた地図画像の送信を図示しない地図画像サーバ16へ要求するために要求信号(以下、「第2要求信号」という)を生成する。その際、地図画像取得部42は、縮尺に関する情報も要求信号に含める。初期の段階において、縮尺は、所定の値に設定されればよい。地図画像取得部42は、第2要求信号を通信部26へ出力する。
【0031】
通信部26は、第2要求信号の最終的な宛先を地図画像サーバ16に設定し、第2要求信号を基地局装置12へ送信する。図5(a)−(b)は、通信部26における通信に使用される別のデータの構造を示す。図5(a)は、第2要求信号のフォーマットを示す。「緯度、経度」が車両位置の緯度と経度に相当し、「縮尺」が縮尺の値に相当する。図2に戻る。通信部26は、第2要求信号の送信後、ネットワーク14を介して地図画像サーバ16からの応答信号(以下、「第2応答信号」という)を受信する。
【0032】
図5(b)は、第2応答信号のフォーマットを示す。「始点 緯度、経度」が、地図画像の始点に対する緯度と経度に相当し、「終点 緯度、経度」が、地図画像の終点に対する緯度と経度に相当する。また、「地図画像データ」は、始点および終点にて特定される地図画像のデータ(以下、単に「地図画像」という)に相当する。図2に戻る。通信部26は、受けつけた第2応答信号を地図画像取得部42へ出力する。その結果、地図画像取得部42は、車両位置が含まれた地図画像を取得する。
【0033】
合成部50は、補正部48から車両位置を受けつけ、地図画像取得部42から地図画像を受けつける。合成部50は、地図画像上において、車両位置に対応する部分を特定する。合成部50は、特定した部分にマークを付加することによって、合成画像を生成する。合成部50は、合成画像をディスプレイ38へ出力する。ディスプレイ38は、合成部50から受けつけた合成画像を表示する。
【0034】
第1記憶部32は、地図画像取得部42において取得した地図画像を記憶する。その際、地図画像取得部42は、第1記憶部32に記憶させた地図画像に関する情報、例えば、始点や終点の緯度および経度、縮尺を管理する。また、地図画像取得部42は、補正部48から車両位置の情報を受けつけたとき、車両位置が含まれた地図画像を第1記憶部32に記憶させているかを確認する。記憶させている場合、地図画像取得部42は、通信部26へ第2要求信号を出力せずに、第1記憶部32から地図画像を抽出する。また、第1記憶部32は、記憶した各地図画像に対して、最後に使用した時刻を管理する。最後に使用した時刻がしきい値よりも前になった場合、第1記憶部32は、これに対応した地図画像を削除する。
【0035】
操作入力部34は、ボタン等によって構成されており、ユーザからの指示を受けつける。操作入力部34は、受けつけた指示をナビゲーション処理部28へ出力する。音声出力部36は、スピーカ等によって構成されており、ナビゲーション処理部28からの音声信号を受けつける。音声出力部36は、音声信号を出力する。ルート探索処理部30は、操作入力部34を介してユーザから受けつけた宛先までのルートを探索する。ルートを探索する際に、ルート探索処理部30は、ナビゲーション処理部28、通信部26を介して、地図画像を取得する。制御部60は、ナビゲーション装置10全体の動作を制御する。
【0036】
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされた通信機能のあるプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0037】
図6は、位置推定サーバ72の構成を示す。位置推定サーバ72は、IF部80、受付部82、推定部84、出力部86、記憶部88を含む。IF部80は、図示しないネットワーク14に接続される。また、IF部80は、IPネットワークに対応し、ネットワーク14からの信号を受信するとともに、ネットワーク14へ信号を送信する。また、IF部80は、受信した信号を受付部82へ出力する。受付部82は、IF部80を介して、図示しない撮像装置70によって撮像された映像を受けつける。映像には、当該映像を撮像した撮像装置70に関する情報、当該映像の撮像時刻が付加されている。受付部82は、受けつけた映像と、それに付加された情報とを記憶部88に記憶させる。また、受付部82は、IF部80を介して図示しないナビゲーション装置10から、前述の第1要求信号を受けつける。受付部82は、受けつけた第1要求信号を推定部84へ出力する。
【0038】
記憶部88は、撮像装置70、撮像時刻、映像を対応づけて記憶する。さらに、記憶部88は、各撮像装置70を設置した位置に関する情報を予め記憶する。図7は、記憶部88に記憶された撮像装置に関するデータの構造を示す。図示のごとく、撮像装置番号欄204、設置位置欄206が含まれる。撮像装置番号欄204には、複数の撮像装置70のそれぞれを識別するための番号が含まれている。また、設置位置欄206は、各撮像装置70が設置された位置を示す。また、位置は、例えば、緯度と経度によって示される。図6に戻る。
【0039】
推定部84は、受付部82から第1要求信号を受けつける。推定部84は、第1要求信号から、車両位置とナンバプレート情報とを抽出する。また、推定部84は、記憶部88に記憶された撮像装置に関するデータを参照しながら、抽出した車両位置の近傍に配置された撮像装置70を選択する。例えば、車両位置を中心とした半径500m以内に配置される撮像装置70が選択される。このような条件を満足する撮像装置70が複数存在する場合、記憶部88は、それらのすべてを選択する。また、推定部84は、選択した撮像装置70からの映像を記憶部88から抽出する。選択した撮像装置70が複数存在する場合、抽出した映像も複数存在する。
【0040】
推定部84は、選択した映像の中に、第1要求信号の送信元になるナビゲーション装置10を搭載した車両18が含まれているかを確認する。例えば、推定部84は、ナンバプレート情報が映像に含まれているかを確認する。その際、推定部84は、画像からの文字認識技術を使用するが、これには公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。以上の処理によって、推定部84は、ナンバプレート情報が検出された映像を選択する。さらに、推定部84は、選択した映像の中におけるナンバプレートの位置を予測することによって、ナンバプレートの位置が撮像装置70からどれくらい離れているかを推定する。この処理を説明するために、図8を使用する。
【0041】
図8は、推定部84において使用される映像を示す。図示のごとく、道路が標示されている。また、一例として、ポイント「P1」からポイント「P4」までが道路上に定義されている。また、ポイント「P1」からポイント「P4」のそれぞれに対する位置は既知であり、撮像装置70からの緯度および経度方向へのずれ量が推定部84に記憶されている。推定部84は、映像上のポイント「P1」からポイント「P4」の位置と、映像上のナンバプレートの位置とをもとに、撮像装置70からのナンバプレートの緯度および経度方向へのずれ量を推定する。その際、例えば、内挿補間や外挿補間が使用される。
【0042】
図6に戻る。推定部84は、撮像装置70の位置とずれ量とをもとに、ナンバプレートの位置、つまり車両位置を推定する。つまり、推定部84は、映像をもとに車両位置を推定する。推定部84は、推定した車両位置を出力部86へ出力し、出力部86は、IF部80を介して、推定した車両位置を図示しないナビゲーション装置10へ出力する。
【0043】
以上の構成によるナビゲーション装置10の動作を説明する。図9は、ナビゲーションシステム100における位置の補正手順を示すシーケンス図である。ナビゲーション装置10は、車両位置を測位する(S10)。撮像装置70は、映像を撮像し(S12)、映像データを位置推定サーバ72へ送信する(S14)。位置推定サーバ72は、映像を記憶する(S16)。ナビゲーション装置10は、位置情報送信要求を位置推定サーバ72へ送信する(S18)。位置推定サーバ72は、記憶した映像をもとに、車両位置を推定する(S20)。位置推定サーバ72は、推定した車両位置をナビゲーション装置10へ送信する(S22)。ナビゲーション装置10は、受信した車両位置をもとに、補正量を導出する(S24)。ナビゲーション装置10は、補正量によって、測位した車両位置を補正する(S26)。
【0044】
本発明の実施例によれば、車両の外部において推定した車両位置によって、車両の内部において測位した車両位置を補正するので、異なった基準にもとづく車両位置を補正に使用することによって、補正精度を向上できる。また、外部において推定した車両位置を受けつけるので、処理量を低減できる。また、撮像装置が撮像した映像を使用するので、GPSの測位の精度が悪化する区域でも、車両位置を推定できる。また、測位した位置情報をもとに、撮像装置の候補を限定するので、検索すべき映像の量を低減できる。また、検索すべき映像の量が低減されるので、位置推定サーバでの処理量を低減できる。第1車両位置と第2車両位置とから補正量を導出し、補正量によって最新の車両位置を補正するので、補正精度を向上できる。
【0045】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0046】
本発明の実施例において、位置推定サーバ72が車両位置を推定する。しかしながらこれに限らず例えば、撮像装置70が映像を撮像するとともに、当該映像をもとに車両位置を推定してもよい。あるいは、撮像装置70によって撮像された映像が、ナビゲーション装置10へ送信され、ナビゲーション装置10が映像をもとに車両位置を推定してもよい。これらの場合、位置推定サーバ72のうちの対応する処理が、撮像装置70あるいはナビゲーション装置10にてなされる。本変形例によれば、ナビゲーションシステム100の設計の自由度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施例に係るナビゲーションシステムの構成を示す図である。
【図2】図1のナビゲーション装置の構成を示す図である。
【図3】図3(a)−(b)は、図2の通信部における通信に使用されるデータの構造を示す図である。
【図4】図2の第2記憶部に記憶された測位位置情報のデータ構造を示す図である。
【図5】図5(a)−(b)は、図2の通信部における通信に使用される別のデータの構造を示す図である。
【図6】図1の位置推定サーバの構成を示す図である。
【図7】図6の記憶部に記憶された撮像装置に関するデータの構造を示す図である。
【図8】図6の推定部において使用される映像を示す図である。
【図9】図1のナビゲーションシステムにおける位置の補正手順を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0048】
10 ナビゲーション装置、 12 基地局装置、 14 ネットワーク、 16 地図画像サーバ、 18 車両、 20 GPS用アンテナ、 22 通信用アンテナ、 70 撮像装置、 72 位置推定サーバ、 24 GPS受信部、 26 通信部、 28 ナビゲーション処理部、 30 ルート探索処理部、 32 第1記憶部、 34 操作入力部、 36 音声出力部、 38 ディスプレイ、 40 第1位置取得部、 42 地図画像取得部、 44 第2位置取得部、 46 第2記憶部、 48 補正部、 50 合成部、 52 特定部、 54 抽出部、 56 導出部、 58 実行部、 60 制御部、 100 ナビゲーションシステム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された測位装置であって、
前記車両の内部において、車両位置を測位する測位部と、
前記車両の外部での特定の位置に設置された撮像装置が撮像した画像から導出された車両位置を取得する取得部と、
前記取得部において取得した車両位置によって、前記測位部において測位した車両位置を補正する補正部と、
を備えることを特徴とする測位装置。
【請求項2】
前記測位部において測位した車両位置をもとに、画像を撮像すべき少なくともひとつの撮像装置を指定する指定部と、
前記指定部において指定した少なくともひとつの撮像装置へ画像の撮像を要求する要求部とをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の測位装置。
【請求項3】
前記補正部は、
前記取得部において取得した車両位置に付加された情報であって、かつ画像の撮像時刻に関する情報を抽出する抽出部と、
前記抽出部において抽出した情報での撮像時刻に対応した車両位置であって、かつ前記測位部において過去に測位した車両位置を特定する特定部と、
前記特定部において特定した車両位置と、前記取得部において取得した車両位置との差異をもとに、補正量を導出する導出部と、
前記導出部において導出した補正量によって、前記測位部において測位した車両位置を補正する実行部とをさらに備える請求項1または2に記載の測位装置。
【請求項4】
車両の外部での特定の位置に設置された撮像装置から、当該撮像装置によって撮像された前記車両の画像を受けつける受付部と、
前記受付部において受けつけた画像をもとに、車両位置を推定する推定部と、
前記推定部において推定した車両位置を前記車両に搭載された無線装置へ出力する出力部と、
を備えることを特徴とする推定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−229113(P2009−229113A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−71784(P2008−71784)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】