説明

測定装置

【課題】測定作業に要する人手を削減し、かつ車道を走行する車両等に注意を払うことなく測定を行うことを可能とする測定装置を提供する。
【解決手段】車両1に備えられ、車両の上方に存在する被測定物までの地上高を測定する測定装置であって、距離センサ部10は、車両の上方に存在する被測定物に対して測定を行い被測定物までの距離を出力する。GPS部12は、時刻情報と車両1の位置情報を検出する。制御部13は、距離センサにより距離が出力された場合、距離に基づいて被測定物の地上からの高度を示す地上高値を算出し、GPS部12から時刻情報と位置情報を取得し、地上高値と時刻情報と位置情報とを対応付けて記憶部14に記録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、電線や通信線等の架空ケーブルの地上高を測定する測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電線や通信線等の架空ケーブルは、法令により地上高が定められている。この法令順守のため、架空ケーブルの地上高を測定する点検作業が通信事業者等にて行われている。従来、このような点検作業は、点検作業を行う人が、例えば、非特許文献1に示されるような伸縮式の測定棹やレーザ測距計、超音波測距計等を利用し、図7に示すように、徒歩により、架空ケーブルの地上高を1箇所ずつ測定し、測定した地上高の値を地図に記録していく点検作業が行われていた。
【非特許文献1】ムラテックKDS株式会社、”デジタル表示ポール式測定棒”、[online]、[平成19年10月5日検索]、<URL:http://www.kdsjpn.co.jp/products/digital.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、測定棹を用いて人が徒歩により架空ケーブルの地上高を測定して記録を行う測定作業は、広い範囲を日々行う必要があることから、多くの人手と時間を要するため効率が悪いという問題がある。
また、車道を跨る架空ケーブルを測定する場合、架空ケーブルの直下で測定を行わなければならないため、車道を走行する車両に注意を払いながら作業を行わなければならないという問題がある。
【0004】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、測定作業に要する人手を削減し、かつ車道を走行する車両等に注意を払うことなく測定を行うことを可能とする測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題を解決するために、本発明は、車両に備えられ、前記車両の上方に存在する被測定物までの地上高を測定する測定装置であって、前記車両の上方に存在する被測定物に対して測定を行い前記被測定物までの距離を出力する距離センサと、時刻情報を出力する時刻情報出力手段と、前記車両の位置情報を検出する位置情報検出手段と、前記距離センサにより距離が出力された場合、前記距離に基づいて前記被測定物の地上からの高度を示す地上高値を算出し、前記時刻情報出力手段から時刻情報を取得し、前記位置情報検出手段から位置情報を取得し、前記地上高値と前記時刻情報と前記位置情報とを対応付けて記憶手段に記録する制御手段と、を備えたことを特徴とする測定装置である。
【0006】
また、本発明は、上記に記載の発明において、前記制御手段に接続される出力手段を備え、前記制御手段は、前記算出した地上高値が、予め定められる地上高閾値未満であると判定した場合、前記出力手段に警告情報を出力させることを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、上記に記載の発明において、前記制御手段に接続される出力手段と、前記制御手段に接続され、前記車両の速度を測定する速度センサとを備え、前記制御手段は、前記速度センサが測定した速度値が、予め定められる速度閾値以上と判定した場合、前記出力手段に警告情報を出力させることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、上記に記載の発明において、前記制御手段に接続され、前記車両の上方を撮像する撮像手段を備え、前記制御手段は、前記撮像手段が撮像した前記車両の上方の画像情報を前記記憶手段に記録することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上記に記載の発明において、前記制御手段に接続され、前記車両の進行方向に対して下方を測定するように前記車両の底面に設けられ、地上までの距離である車高値を測定する車高センサを備え、前記制御手段は、前記距離センサにより距離が出力された場合、前記車高センサから車高値を取得し、前記距離センサが出力した距離と、前記車高値と、前記距離センサが測定する際の始点から前記車高センサが測定する際の始点までの長さである予め定められる車高幅値とに基づいて前記地上高値を算出することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記に記載の発明において、前記制御手段に接続され、地上面に対する前記車両の傾きを測定する角度センサを備え、前記制御手段は、前記距離センサが出力した距離に基づいて前記被測定物の地上からの高度を示す地上高値を算出する際に、前記角度センサが測定した傾き値を含めて、前記被測定物の地上高値を算出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、測定装置は、車両の上方に存在する被測定物に対して測定を行い被測定物までの距離を出力する距離センサと、時刻情報を出力する時刻情報出力手段と、車両の位置情報を検出する位置情報検出手段と、距離センサにより距離が出力された場合、距離に基づいて被測定物の地上からの高度を示す地上高値を算出し、時刻情報出力手段から時刻情報を取得し、位置情報検出手段から位置情報を取得し、地上高値と時刻情報と位置情報とを対応付けて記憶手段に記録する制御手段と、を備える構成とした。
この構成により、車両を走行させることで、被測定物までの距離を測定し、測定した距離から被測定物の地上高値を算出することができ、算出した地上高値に、取得した時刻情報、位置情報を対応させて記憶手段に記憶させることが可能となる。それにより、多くの人手を必要としていた測定作業を、車両を走行させることで、実施することが可能となり、記憶手段に記憶されている情報を用いて点検を行うことが可能となる。また、車両として車道を通行可能な自動車等を用いることで、車道を走行する車両等に注意を払うことなく測定作業を行うことが可能となる。
【0012】
また、この発明によれば、測定装置において、制御手段に接続される出力手段を備え、制御手段は、算出した地上高値が、予め定められる地上高閾値未満であると判定した場合、出力手段に警告情報を出力させる構成とした。
この構成により、地上高値が、予め定められる地上高閾値未満であると判定した場合、出力手段に警告情報を出力させることができ、これにより、地上高が不足している被測定物の位置を作業者に知らせることが可能となる。
【0013】
また、この発明によれば、測定装置において、制御手段に接続される出力手段と、制御手段に接続され、車両の速度を測定する速度センサとを備え、制御手段は、速度センサが測定した速度値が、予め定められる速度閾値以上と判定した場合、出力手段に警告情報を出力させる構成とした。
この構成により、速度センサが測定した速度値が、予め定められる速度閾値以上と判定した場合、出力手段に警告情報を出力させることが可能となり、例えば、距離センサが、超音波センサのように、車両の速度が測定値に影響するセンサの場合には、正確な測定が行えない速度であることを作業者に知らせて、速度を低下させることが可能となる。
【0014】
また、この発明によれば、測定装置において、制御手段に接続され、車両の上方を撮像する撮像手段を備え、制御手段は、撮像手段が撮像した前記車両の上方の画像情報を記憶手段に記録する構成とした。
この構成により、距離センサが測定する車両の上方の画像情報を記憶手段に記憶させることが可能となるため、測定中あるいは測定後に、距離を測定した被測定物がどのようなものであるか目視により確認することが可能となる。そのため、例えば、対象としている被測定物が架空ケーブルの場合に、架空ケーブル以外の信号機などを測定してしまった場合、信号機による距離、位置、時刻を含む測定情報を対象外として、架空ケーブルの測定情報のみを選別することが可能となる。
【0015】
また、この発明によれば、測定装置において、制御手段に接続され、車両の進行方向に対して下方を測定するように車両の底面に設けられ、地上までの距離である車高値を測定する車高センサを備え、制御手段は、距離センサにより距離が出力された場合、車高センサから車高値を取得し、距離センサが出力した距離と、車高値と、距離センサが測定する際の始点から車高センサが測定する際の始点までの長さである予め定められる車高幅値とに基づいて地上高値を算出する構成とした。
この構成により、車高センサから車高値を取得し、距離センサが出力した距離と、車高値と、車両の進行方向に対して車両上方の垂直方向の距離センサの始点から車両の底面までの車高幅を示す予め定められる車高幅値とに基づいて前記地上高値を算出することが可能となる。
それにより、車両が移動する途中で変化する車高を考慮した被測定物の地上高値を算出することが可能となる。
【0016】
また、この発明によれば、測定装置において、制御手段に接続され、地上面に対する前記車両の傾きを測定する角度センサを備え、制御手段は、距離センサが出力した距離に基づいて被測定物の地上からの高度を示す地上高値を算出する際に、角度センサが測定した傾き値を含めて、被測定物の地上高値を算出する構成とした。
この構成により、地上高値を算出する際に、角度センサが測定した傾き値に基づいて、被測定物の地上高値を算出することが可能となり、これにより、実際の車道における坂道等の変化を考慮した地上高値を算出することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0018】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態による測定装置を備えた車両1を示す概略ブロック図である。測定装置は、距離センサ部10、電源部11、GPS(Global Positioning System)部12、制御部13、記憶部14、操作部15、を備えている。
【0019】
車両1は、例えば、自動車や手押し車であってもよく、被測定物100の地上高を測定する作業を行う人の運転や操作により走行されるものである。
【0020】
距離センサ部10は、車両1の上方に存在する被測定物100までの距離を測定する。被測定物100は、例えば、電線や通信線などの架空ケーブル等である。距離センサ部10は、例えば、レーザ測距装置や、超音波測距装置等を備えており、一定間隔で、車両1の上方に一定の指向範囲でレーザや超音波等を送信し、被測定物100からの反射波を測定し、測定した反射波の到達時刻から被測定物100までの距離情報を算出して出力する。
【0021】
GPS部12は、全地球測位システムによる受信側装置を備えており、全地球測位システムの衛星装置からの電波により、受信側装置が存在する経度と緯度とを含んだ位置情報と、日時を含む時刻情報とを出力する。なお、時刻情報は、電波に含まれているものではなく、GPS部12に時計等を備え、当該時計から日時を含む時刻情報を出力するようにしてもよい。
【0022】
操作部15は、例えば、キーボードやマウス等が接続され、作業者の操作を受けて、操作に基づく信号を制御部13に入力する。電源部11は、例えば、バッテリであり、制御部13に電力を供給するとともに、制御部13に接続される各機能部に電力を供給する。
【0023】
制御部13は、操作部15からの入力を受けて、測定の開始、停止を行う。また、制御部13は、距離センサ部10から出力される距離情報と、距離センサ部10から距離情報が出力された場合、GPS部12から位置情報と時刻情報とを取得する。また、制御部13は、操作部15から測定開始前に入力される距離センサ部10の測定の始点から地上までの距離(符号Aで示される距離)である加算値Aを、距離センサ部10から出力される距離情報に加算して、被測定物100の地上高値を算出し、算出した地上高値と位置情報と時刻情報とを対応付けて記憶部14に記録する。
【0024】
図2は、第1実施形態に係る測定装置の測定時の動作を示したフローチャートである。
まず最初に、操作部15が作業者の操作を受けて、測定の開始指示を制御部13に入力する。制御部13は、距離センサ部10に測定を開始させる。そして、車両1の走行を開始させ、距離センサ部10が、例えば一定間隔で、被測定物100までの距離を測定し、制御部13に距離情報として出力する。制御部13は、距離センサ部10が出力した距離情報に、予め内部に記憶している加算値Aを加算して、被測定物100の地上高値を算出する(ステップSa1)。次に、制御部13は、距離センサ部10が距離情報が出力した際に、GPS部12から位置情報と時刻情報とを取得する(ステップSa2)。そして、制御部13は、算出した地上高値と位置情報と時刻情報とを対応付けて記憶部14に記録する(ステップSa3)。
【0025】
上記の第1実施形態の構成により、車両1を走行させることで、被測定物100までの距離を測定し、測定した距離から地上高値を算出することができ、算出した地上高値に、GPS部12から取得した位置情報、時刻情報を対応させて記憶部14に記録することが可能となる。それにより、多くの人手を必要としていた測定作業を、車両を走行させることで、実施することが可能となり、記憶部14に記憶されている情報を用いて点検を行うことが可能となる。また、車両として車道を通行可能な自動車等を用いることで、車道を走行する車両等に注意を払うことなく測定作業を行うことが可能となる。
【0026】
また、車両1として、被測定物100の測定のみを目的とせず、被測定物100の測定以外の修理作業等を目的とする車両として、当該車両1に測定装置を備えることで、修理作業等を行いつつ測定を行うことが可能となる。
【0027】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る測定装置について図面を参照して説明する。
図3は、第2実施形態に係る測定装置を備えた車両1aを示す概略ブロック図である。
【0028】
図3において第1実施形態に係る測定装置と同じ構成については同じ符号を付し、以下、異なる構成について説明する。
【0029】
第2実施形態に係る測定装置は、表示部16、音声出力部17、角度センサ部18、速度センサ部19、車高センサ部20、撮像部21を備えており、第1実施形態の制御部13に代えて制御部13aを備えており、記憶部14に代えて記憶部14aを備えている。
【0030】
表示部16は、例えば、後述する図5に示す画面を表示する。音声出力部17は、制御部13aから入力される情報に基づいて、警告音(ブザー)を報知する。なお、音声出力部17の代わりに警告ランプ等を備えるようにしてもよい。角度センサ部18は、車両の水平面に対する傾き角度を測定して、制御部13aに出力する。速度センサ部19は、車両1aの速度を測定して制御部13aに出力する。
【0031】
車高センサ部20は、車両1aの底面に設置され、例えば、レーザ測距装置や、超音波測距装置等を備えており、一定間隔で地上面までの距離を測定し、制御部13aに出力する。
【0032】
撮像部21は、例えば、デジタルカメラであり、距離センサ部10が測定する車両1aの上方に撮像面が向けられており、距離センサ部10が測定を行った際に、制御部13aからの指示入力により静止画の画像情報を撮像する。また、撮像部21は、例えば、ビデオカメラであり、制御部13aによる測定が行われている間、連続した動画の画像情報を撮像する。また、撮像部21は、撮像した画像情報を制御部13aに出力し、画像情報が静止画の場合には、制御部13aが算出した地上高値に対応付けて当該静止画のデータを記憶部14aに記録し、画像情報が動画の場合には、動画の時刻情報を検索キーとして当該動画のデータを記憶部14aに記録する。
【0033】
以下、第2実施形態における測定装置の制御動作について説明する。
【0034】
(速度センサ部を利用した制御)
距離センサ部10に備えられるセンサが、例えば、超音波測距装置の場合、車両1aの速度が一定速度以上になると、超音波を送信して反射波を受信するまでの時間の間の車両1aの移動距離が、測距において無視できない値となり、被測定物100の距離を正確に測定できない場合がある。そのため、車両1aの速度が一定速度以上になった場合、車両1aを減速させるように車両1aの運転者に知らせる必要がある。そのため、制御部13aは、内部に、前記の一定速度を速度閾値として記憶しており、速度センサ部19が測定する速度が速度閾値以上か否かを判定し、速度閾値以上となった場合、音声出力部17に警告音を報知させる。
これにより、車両1aの運転者に、速度が被測定物100の距離を正確に測定できない一定速度以上になっていることを知らせることができ、速度を低下させることができ、正確な被測定物100の距離の測距を行うことが可能となる。
【0035】
(車高センサ部を利用した制御)
まず、第2実施形態に係る制御部13aに、図4に示す、距離センサ部10の測定の始点から車高センサ部20の測定の始点までの距離(符号αで示される車高幅の長さ)を予め内部の記憶領域に記憶させておく。距離センサ部10が被測定物100までの距離(符号γで示される長さ)を測定して出力した場合、車高センサ部20が測定した地上面までの距離(符号βで示される長さ)を取得し、符号α、β、γで示される長さを加算し、被測定物100の地上高値(符号δで示される長さ)を算出する。そして、制御部13aは、算出した地上高値とGPS部12から取得した位置情報と時刻情報を対応付けて記憶部14aに記録する。
【0036】
また、制御部13aは、法令により定められる地上値を地上高閾値として予め記憶しており、算出した地上高値が当該地上高閾値未満であるか否かを判定し、算出した地上高値が当該地上高閾値未満である場合、音声出力部17に、警告音を報知させる。
【0037】
なお、前述した速度が速度閾値以上となった場合に報知する音と、地上高閾値未満となった場合に報知する音を別の音にしてもよい。これにより、運転者及び作業者に対して、警告の原因となった理由を音の違いにより知らせることが可能となる。
【0038】
また、制御部13aは、地上高値が地上高閾値未満と判定した場合や、車両1aの速度が速度閾値以上と判定した場合、その際に記憶部14aに記録する時刻情報、位置情報、地上高値等の情報に対応付けて、その判定結果、すなわち算出した地上高値が当該地上高閾値未満であることを示す情報や、速度閾値以上で測定が行われたことを示す情報を記憶部14aに記録するようにしてもよい。
【0039】
また、図4に示す配置において、距離センサ部10の測定方向の中心軸と、車高センサ部20の測定方向の中心軸とを一致させるように配置することで、より正確な被測定物100の地上高値を算出することが可能となる。
【0040】
この構成により、車両1aのサスペンション等の伸縮により変化する距離センサ部10の測定の始点の地上面からの距離の変化を考慮して、被測定物100の地上高値を算出することが可能となる。通常、法令で定められる架空ケーブルの地上高は、数メータ単位であることから、数センチの変化が法令で定められた地上高であるか否かの判定に影響する場合があり、当該構成により、正確な地上高値に従って点検を行うことが可能となる。
【0041】
また、地上高値が地上高閾値未満の場合に、音声出力部17に警告音を報知させることができるため、例えば、車両1aを停止させて、その場で、車両1aの上方の被測定物100を目視により確認し、被測定物100の地上高を高くする対処等を行うことが可能となる。また、当該被測定物100が、架空ケーブル等ではなく、信号機や木の枝の場合には、測定対象とはならないため、操作部15を操作して、測定対象でない旨、あるいは具体的な信号機や木の枝等の情報を時刻情報、位置情報、地上高値等の情報に対応付けて記録しておくことも可能となる。
【0042】
(表示部を利用した制御)
制御部13aは、内部に地図情報を記憶しており、指定された一定範囲の地図情報を表示部16に出力する。また、制御部13aは、記憶部14aに記録する際に、記録を行う地上高値、位置情報、時刻情報等の情報を表示部16に出力する。図5は、表示部16に表示される情報の一例を示した図である。
【0043】
図5において、地図表示領域31には、制御部13aから入力される一定範囲の地図情報が車両1aの現在位置を中心にスクロールして表示されるとともに、その際に制御部13aから入力される位置情報に基づいて、車両1aの現在位置(すなわち、GPS部12の現在位置)を示す符号31aで示される十字マークが表示される。また、既に測定が行われた箇所には、測定の履歴を示す情報として符号31bで示される白丸のマークが表示される。また、既に測定が行われた箇所であって、制御部13aにより、前述した地上閾値未満の地上高値であると判定された箇所については、符号31cで示される黒丸のマークが表示される。なお、当該黒丸のマークは視認性向上のため、赤等の色としてもよい。
【0044】
表示欄32には、制御部13aがGPS部12から取得する時刻情報が表示され、表示欄33と表示欄34には、制御部13aから入力される位置情報に含まれる経度と緯度がそれぞれ表示される。表示欄35には、制御部13aにより算出され入力される被測定物100の地上高値が表示される。すなわち、表示欄32、33、34、35に表示される情報は前述した符号31aで示される十字マークの箇所に対応した情報が表示されることになる。
【0045】
入力欄36は、作業者が操作部15を操作(たとえば、図5に示すPAUSEボタン37を押下する操作)を行った際に選択され、作業者が操作部15を操作して入力された情報が表示される。そして、当該入力された情報は、その際に表示欄32、33、34、35に表示される時刻情報と位置情報と地上高値とに対応付けられて制御部13aにより記憶部14aに記憶される。例えば、地上高値が地上高閾値未満となっていた場合に、撮像部21により撮像された画像情報を参照したり、前述したように車両1aを停止させて目視により確認したりした場合に、それが、測定対象以外の物、例えば、信号機や木の枝等であった場合には、測定対象でない旨、あるいは具体的な信号機や木の枝等の情報を入力するようにしてもよい。
【0046】
また、表示部16には、測定中の情報だけでなく、測定の終了後に、作業者が操作部15を操作することにより、制御部13aにより記憶部14aに記憶されている情報を順次読み出させて、表示部16に連続して測定経過を表示させるようにしてもよい。これにより、情報の取得後に、測定経過を再生して、被測定物100の点検を行うことができる。
【0047】
(角度センサ部を利用した制御)
車両1aが走行する車道は、平坦ではなく、坂道等も存在する。坂道の傾斜角が大きい場合、図6に示すように測定装置で算出した地上高値は、被測定物100に対する鉛直方向の地上高値に対して誤差を生じることになる。この誤差を考慮する場合、制御部13aは、図4を参照して説明した地上高値δを算出した際に、角度センサ部18から、角度情報θを取得し、出力する地上高値χとして、δ/cosθを算出することで、被測定物100の鉛直方向の地上高値を算出することが可能となる。
この構成により、例え、坂道等が存在している場合であっても、被測定物100の鉛直方向での地上高値を算出することができるため、前述した地上高閾値に基づく判定を正確に行うことが可能となる。
【0048】
また、本発明に記載の距離センサは、前述した距離センサ部10に対応し、記憶手段は、記憶部14、14aに対応する。また、本発明に記載の時刻情報出力手段及び位置情報検出手段は、GPS部12に対応する。また、本発明に記載の制御手段は、制御部13、13aに対応する。また、本発明に記載の出力手段は、表示部16及び音声出力部17に対応し、撮像手段は、撮像部21に対応し、車高センサは、車高センサ部20に対応し、速度センサは、速度センサ部19に対応し、角度センサは、角度センサ部18に対応する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】第1実施形態による測定装置を備えた車両を示すブロック図である。
【図2】同実施形態の測定装置の動作を示したフローチャートである。
【図3】第2実施形態による測定装置を備えた車両を示すブロック図である。
【図4】同実施形態の車高センサ部による測定結果を用いた被測定物までの地上高値の算出を説明するための図である。
【図5】同実施形態の表示部に表示される画像を示した図である。
【図6】同実施形態の角度センサ部を利用した被測定物までの地上高値の算出を説明するための図である。
【図7】従来における架空ケーブルの測定手段を示した図である。
【符号の説明】
【0050】
1 車両
10 距離センサ部
11 電源部
12 GPS部
13 制御部
14 記憶部
15 操作部
100 被測定物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に備えられ、前記車両の上方に存在する被測定物までの地上高を測定する測定装置であって、
前記車両の上方に存在する被測定物に対して測定を行い前記被測定物までの距離を出力する距離センサと、
時刻情報を出力する時刻情報出力手段と、
前記車両の位置情報を検出する位置情報検出手段と、
前記距離センサにより距離が出力された場合、前記距離に基づいて前記被測定物の地上からの高度を示す地上高値を算出し、前記時刻情報出力手段から時刻情報を取得し、前記位置情報検出手段から位置情報を取得し、前記地上高値と前記時刻情報と前記位置情報とを対応付けて記憶手段に記録する制御手段と、
を備えたことを特徴とする測定装置。
【請求項2】
前記制御手段に接続される出力手段を備え、
前記制御手段は、
前記算出した地上高値が、予め定められる地上高閾値未満であると判定した場合、前記出力手段に警告情報を出力させる
ことを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記制御手段に接続される出力手段と、
前記制御手段に接続され、前記車両の速度を測定する速度センサとを備え、
前記制御手段は、
前記速度センサが測定した速度値が、予め定められる速度閾値以上と判定した場合、前記出力手段に警告情報を出力させる
ことを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
【請求項4】
前記制御手段に接続され、前記車両の上方を撮像する撮像手段を備え、
前記制御手段は、
前記撮像手段が撮像した前記車両の上方の画像情報を前記記憶手段に記録する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の測定装置。
【請求項5】
前記制御手段に接続され、前記車両の進行方向に対して下方を測定するように前記車両の底面に設けられ、地上までの距離である車高値を測定する車高センサを備え、
前記制御手段は、
前記距離センサにより距離が出力された場合、前記車高センサから車高値を取得し、前記距離センサが出力した距離と、前記車高値と、前記距離センサが測定する際の始点から前記車高センサが測定する際の始点までの長さである予め定められる車高幅値とに基づいて前記地上高値を算出する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の測定装置。
【請求項6】
前記制御手段に接続され、地上面に対する前記車両の傾きを測定する角度センサを備え、
前記制御手段は、
前記距離センサが出力した距離に基づいて前記被測定物の地上からの高度を示す地上高値を算出する際に、前記角度センサが測定した傾き値を含めて、前記被測定物の地上高値を算出する
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載の測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−103536(P2009−103536A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−274455(P2007−274455)
【出願日】平成19年10月22日(2007.10.22)
【出願人】(399040405)東日本電信電話株式会社 (286)
【Fターム(参考)】