炭素を含むナノワイヤ構造
本発明は、ナノワイヤ構造およびかかる構造を含む相互接続型ナノワイヤネットワーク、ならびにその作製方法に関する。ナノワイヤ構造は、ナノワイヤコア、炭素主体層を備え、さらなる実施形態では炭素主体構造を、例えば、ナノワイヤコア上に形成され、該ネットワーク内のナノワイヤ構造を相互接続するグラフェンからなるナノグラファイト板を備える。該ネットワークは、膜または粒子に形成され得る多孔質構造である。ナノワイヤ構造およびこれを用いて形成されるネットワークは、触媒および電極適用用途、例えば燃料電池、ならびに電界放出デバイス、担持体基材およびクロマトグラフィー適用用途に有用である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、種々のナノワイヤ構造およびかかる構造を含む相互接続型ナノワイヤネットワークに関する。本発明はまた、燃料電池において電界放出部材として、および他の適用用途、例えば、クロマトグラフィー材料などとしての、このようなナノワイヤ構造および相互接続型ナノワイヤネットワークの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
ナノ材料、特に、ナノワイヤは、電子デバイスの完全に新規な作製を助長する可能性を有する。例えば、ある特定の場合では、個々のアセンブリを必要とする個々の部材としてよりもバルク材料としてのこのような材料の特異で興味深い特性を利用するナノ材料の使用が提案されている。例えば、非特許文献1には、剛性の半導体ウェハの代わりにバルク加工処理された配向半導体ナノワイヤの膜または層が用いられた大面積の電子基板、例えば、ディスプレイ、アンテナなどにおける使用のためのナノワイヤ主体型のトランジスタが記載されている。その結果、単結晶ウェハ基板と同様の性能を示す電子基板がもたらされ、これは、性能がより不充分なアモルファス半導体を製造するために使用されるものよりも高価でない従来プロセスを用いて製造され得、また、これは、種々の構成体(例えば、柔軟性および/または成形材料など)に対してより従順(amenable)である。
【0003】
グラフェン層は、シートとして形成された単層の炭素原子の層であるが、これは、電気化学的セルにおける適用用途、ならびに柔軟性で強い基板およびコーティングとしての適用用途が見出されている。例えば、特許文献1、特許文献2および特許文献3を参照のこと。また、ロール型または折り畳み層のグラフェンにより、カーボンナノチューブなどが形成され得、例えば、特許文献4、特許文献5および特許文献6を参照のこと。
【0004】
燃料電池は、燃料、例えば、水素とメタノールなどの化学的エネルギーを直接、電気エネルギーに変換するデバイスである。燃料電池の基本的な物理的構造または構成ブロックは、電解質層が多孔質のアノードおよびカソードのいずれかの側面と接触してなる。燃料電池の模式図を、該電池を通る反応体/生成物ガスおよびイオン伝導フローの方向とともに、図6に示す。図6に示す典型的な燃料電池において、燃料(例えば、メタノールまたは水素)はアノード触媒に供給され、アノード触媒により燃料分子がプロトン(メタノール型燃料電池用の二酸化炭素)に変換され、これがプロトン交換膜を通過して電池のカソード側に移る。カソード触媒では、プロトン(例えば、電子のない水素原子)が酸素イオンと反応して水が形成される。アノードからカソード側まで導電性ワイヤで接続することにより、アノード側の燃料の水素またはメタノールから離脱した電子がカソード側へと移動し得、酸素と結合して酸素イオンを形成し、したがって電気が発生する。アノードでの水素またはメタノール燃料の電気化学的酸化とカソードでの酸素の還元によって作動する燃料電池は、その高い変換効率、低公害、軽量および高いエネルギー密度のため、魅力的な電源である。
【0005】
例えば、直接メタノール型燃料電池(DMFC)では、液体のメタノール(CH3OH)がアノードで水の存在下にて酸化されてCO2、水素イオンおよび電子が生成し、電子は、燃料電池の電気的出力として外部回路を通って移動する。水素イオンは、電解質を通って移動し、アノードで空気中の酸素および外部回路からの電子と反応して水が形成され、回路が完成する。
【0006】
アノード反応:CH3OH + H2O → CO2 + 6H+ + 6e−
カソード反応:3/2O2 + 6H+ + 6e−→ 3H2O
セル全体の反応:CH3OH + 3/2O2 → CO2 + 2H2O
1990年代初期に最初に開発されたDMFCは、その低い効率および出力密度、ならびに他の問題のため、容認されなかった。触媒の改善および他の最近の開発により、出力密度が20倍増大し、その効率は、最終的に40%に達し得る。このようなセルは、約50℃〜120℃の温度範囲で試験されている。この低い作動温度および燃料改質装置が必要とされないことにより、DMFCは、非常に小型から中型の適用用途、例えば、携帯電話、ラップトップコンピュータ、カメラおよび他の消費財などから自動車用発電装置までの優れた候補となっている。DMFCの欠点の1つは、水素イオンおよび二酸化炭素へのメタノールの低温酸化には、より多くの活性触媒が必要とされることであり、これは、典型的には大量の高価な白金(および/またはルテニウム)触媒が必要とされることを意味する。
【0007】
DMFCでは、典型的には、その高い一酸化炭素(CO)許容性および反応性のため、触媒成分としてルテニウム(Ru)の使用が必要とされる。Ruは水を解離して酸化種を生成させ、これにより、メタノールから生成されるCOのCO2への酸化が助長される。いくつかの既存のDMFCでは、その粒子の大きな表面積対体積比(surface area to volume ratio)のため、ナノメートルサイズのバイメタルPt:Ru粒子が電解酸化触媒として使用される。Pt/Ruナノ粒子は、典型的には、充填粒子複合触媒構造が得られるように炭素担持体(例えば、カーボンブラック、フラーレン煤煙(soot)または脱硫カーボンブラック)上に提供される。Pt:Ru炭素充填粒子複合体を作製するための最も一般に使用される手法は、白金およびルテニウムの塩化物を含有する溶液中への炭素担持体の含浸およびその後の熱的還元である。
【0008】
多孔質電極領域では、燃料電池の反応体、電解質、活性Pt:Ruナノ粒子および炭素担持体間に、多相界面または接触が確立される。この界面の性質は、燃料電池の電気化学的性能において重要な役割を果たす。充填粒子複合体内では、他の触媒粒子部位は反応体に到達可能でないか、あるいは炭素担持体ネットワーク(電子経路)および/または電解質(プロトン経路)に接続されないかのいずれかであるため、一部の触媒粒子部位しか利用されないことが知られている。実際、現在の充填粒子複合体では、触媒粒子の約20〜30%しか利用されない。したがって、充填粒子複合体構造を利用したほとんどのDMFCは、非常に非効率的である。
【0009】
また、アノードおよび/またはカソードに対する接続性は、現在の充填粒子複合体構造では、粒子間の不充分な接触および/または密に充填した粒子間での燃料電池の反応体の迂遠な(tortuous)拡散経路のため、現状では制限される。電解質または担持体マトリックスの密度を増大させると、接続性は増大するが、また触媒部位へのメタノール拡散が減少する。したがって、合理的なコストで燃料電池の動作の効率を最大限にするためには、多孔質電極構造内の電極、電解質および気相間で微妙なバランスが維持されなければならない。燃料電池技術の開発における最近の取り組みのほとんどは、より高くより安定な電気化学的性能を得ると同時にコストを削減する目的で、電極構造および電解質相を洗練および改善すると同時にセル構成要素の厚さを小さくすることに注力されてきた。商業的に実現可能なDMFCを開発するためには、触媒の電極触媒活性が改善されなければならない。
【特許文献1】米国特許第5,677,082号明細書
【特許文献2】米国特許第6,303,266号明細書
【特許文献3】米国特許第6,479,030号明細書
【特許文献4】米国特許第6,582,673号明細書
【特許文献5】米国特許第6,749,827号明細書
【特許文献6】米国特許第6,756,026号明細書
【非特許文献1】Duanら、Nature 425:274−278(2003年9月)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ナノワイヤ、例えば半導体ナノワイヤとグラフェン層を合わせた構造は、これまでに開示されていなかった。また、炭素で構成された、または炭素主体(−based)層で被覆されたナノワイヤもまた、これまでに開示されていなかった。本明細書に開示されたナノワイヤを主体とする構造およびネットワークは、基板および担持体から膜および濾過に及ぶ種々の適用用途におけるその使用を可能にする特異な性質および特性を有する。本発明はまた、大きな表面積、高い構造安定性および連続体構造を有する高度に多孔性の材料をもたらす本文中に記載する種々の構造を備えるナノワイヤ複合膜電極触媒担持体アセンブリを提供する。該複合構造は、触媒利用、触媒到達可能性および電気的およびイオン的接続性を最大限にし、それにより、低コストで燃料電池の全体としての効率を改善するために電解質ネットワークと相互貫入させた高度に相互接続されたナノワイヤ担持型触媒構造などとして提供される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(発明の概要)
本発明は、ナノワイヤ構造および相互接続型ナノワイヤネットワークを提供する。このような構造およびネットワークは、種々の触媒および電池適用用途における膜および担持体、医療用デバイスにおける大表面積電極、ならびにクロマトグラフィーにおける使用のための粒子として特に有用である。
【0012】
一実施形態において、本発明は、炭素主体層を備えるナノワイヤを提供する。好適には、炭素主体層は、非結晶性で実質的に底面炭素がない。一実施形態において、ナノワイヤは、SiおよびBなどの半導体材料を含むものであり得るコアを備える。さらなる実施形態において、コアは、炭化物(例えば、SiC)などの炭素を含むものであり得るか、または炭素のみからなるもの(すなわち、純粋な炭素ナノワイヤ)であり得る。他の実施形態において、炭素主体層は炭化物、例えばSiCである。一般的に、ナノワイヤ上の炭素主体層は約1nmより大きい厚さであるが、より薄い層もまた作製され得る。
【0013】
別の実施形態において、本発明は、コア、界面炭化物層および該界面炭化物層上に形成される炭素主体構造を備えるナノワイヤ構造を提供する。界面炭化物層上に形成され得る炭素主体構造の例としては、ナノワイヤおよびナノグラファイト板が挙げられる。好適には、ナノワイヤコアは、半導体材料、例えば、Si、BもしくはSiCおよび/または高度にドープされた半導体材料などで作製されたものである。コアを形成するために使用され得るさらなる材料としては、限定されないが、無機系酸化物、無機系炭化物および無機系窒化物、ならびにカーボンナノチューブおよびカーボンナノフィブリルが挙げられる。ナノグラファイト板は、好適には、界面炭化物層および互いに結合された多層のグラフェンで構成されたものである。
【0014】
本発明はまた、かかるナノワイヤ構造の製造方法を提供する。一実施形態は、ナノワイヤコアを加熱すること、および該該ナノワイヤコアを1種類以上の炭素含有ガスと接触させ、該ナノワイヤ上に炭素主体層コアを形成させることを含む。一般的に、炭素主体層が形成される温度は約600℃より高い。該製造方法に使用され得る好適な炭素含有ガスとしては、限定されないが、一酸化炭素、メタン、エタン、プロパン、ブタン、エチレンおよびプロピレンが挙げられる。また、該ガス混合物は、希ガスまたは他の非汚染性のガスを含むものであってもよい。他の実施形態では、炭化物層およびナノグラファイト形成プロセスを制御するために水素を含め得る。
【0015】
本発明はまた、ナノワイヤコアを加熱すること;該ナノワイヤコアを1種類以上の炭素含有ガスと接触させ、該ナノワイヤコア上に界面炭化物層を形成させること;および少なくとも1つの炭素主体構造を該界面炭化物層上に形成させることを含む、ナノワイヤ構造の製造方法を含む。一般的に、界面炭化物層および炭素主体構造(例えば、ナノワイヤおよび/またはナノグラファイト板)が形成される温度は約600℃より高い。該製造方法に使用され得る好適な炭素含有ガスとしては、限定されないが、メタン、エタン、プロパン、ブタン、エチレンおよびプロピレンが挙げられる。また、該ガス混合物は、希ガスまたは他の非汚染性のガスを含むものであってもよい。他の実施形態では、炭化物層および炭素主体構造形成プロセスを制御するために水素を含め得る。
【0016】
相互接続型ナノワイヤネットワークの製造方法もまた提供される。例示的な方法は、複数のナノワイヤコアを液体中に分散させること;該ナノワイヤコアを濾過し、ナノワイヤマットを形成させること;該ナノワイヤマットを加熱すること;該ナノワイヤマットを1種類以上の炭素含有ガスと接触させ、該ナノワイヤコア上に界面炭化物層を形成させること、およびナノグラファイト板を該界面炭化物層上に形成させ、該ナノグラファイト板が該ナノワイヤコアを相互接続するようにすることを含む。
【0017】
別の実施形態において、本発明は、例えば、ナノグラファイト板により接続される複数のナノワイヤ構造を備える相互接続型ナノワイヤネットワークを提供する。ナノワイヤネットワークは、好適には、メソポーラスの膜または粒子を形成するものである。ナノワイヤ構造および相互接続型ナノワイヤネットワークは、触媒、燃料電池、医療用デバイス用の大表面積電極、センサー、担持体基材ならびにクロマトグラフィーおよび濾過用の媒体などの分野において適用用途を有する。
【0018】
別の実施形態において、本発明は、ナノ構造型構成要素、特に、1つ以上の電極の膜電極アセンブリを有するプロトン交換膜燃料電池を提供する。ナノ構造型燃料電池は、従来の燃料電池よりも高い電極での触媒性金属利用率、高い出力密度(kW/容積およびkW/質量)ならびに低コストを有する。ナノ構造型燃料電池は、固定式および可動式の適用用途に対してだけでなく、マイクロ電子機器、例えば、ラップトップコンピュータ、携帯電話、カメラおよび他の電子デバイス用の小型電源装置としての使用に対しても魅力的である。
【0019】
本発明のさらなる実施形態によれば、燃料電池の膜電極アセンブリにおける使用のためのナノワイヤ(例えば、無機ナノワイヤ)が開示され、これは、一般的に、ナノワイヤの表面上に堆積された金属触媒を備える。金属触媒は、薄膜としてナノワイヤの表面上に、または触媒粒子の層として、例えば、ナノワイヤの表面を標準的な表面化学反応基で官能性付与することにより堆積され得る。好適な金属触媒としては、限定されないが、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、金(Au)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、マンガン(Mn)、テクネチウム(Tc)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、銅(Cu)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、アルミニウム(Al)ならびにその組合せおよび合金(例えば、バイメタルPt:Ruナノ粒子など)の1種類以上が挙げられる。ナノワイヤは、該ワイヤの表面積対体積比を増大させて燃料電池の触媒効率が最大限となるように、分岐構造(例えば、側方小節(side nodule))を含むものであってもよい。ナノワイヤは、金属の導電性半導体性の炭化物、窒化物または酸化物材料、例えば、RuO2、SiC、GaN、TiO2、SnO2、WCx、MoCx、ZrC、WNx、MoNxなどで作製されたものであり得る。ナノワイヤは、ナノワイヤがさまざまな異なる燃料電池の反応体と適合性となるように弱酸中での分解に抵抗性である材料で作製されたものであることが好ましい。
【0020】
本発明のナノワイヤは、金属触媒粒子に結合する少なくとも第1の官能基または化学的結合部分、例えば、硝酸基、カルボン酸基、ヒドロキシル基、アミン基、スルホン酸基などで誘導体化されたものであってもよく、または他の堆積法、例えば、電着、原子層堆積、プラズマスパッタリングなどを用いて触媒を薄膜として堆積させてもよい。ナノワイヤはまた、ナノワイヤ上に直接堆積され得る薄いプロトン伝導性ポリマーコーティング(例えば、NAFION(登録商標)または他のスルホン化ポリマー)に差示的に結合する官能基で誘導体化されたものであってもよい。例えば、ナノワイヤは、既知の標準的な化学反応を用い、スルホン化炭化水素、フルオロカーボンまたは分枝炭化水素鎖で官能性付与され得る。あるいはまた、化学的結合部分を介してナノワイヤにイオノマーを結合させる代わりに、ナノワイヤを、プロトン伝導性となるように官能性付与してもよい。例えば、ナノワイヤは、よく知られた官能性付与化学反応を用い、過フッ素化スルホン化炭化水素などの表面コーティングにより官能性付与され得る。
【0021】
このようにして、ナノワイヤ触媒担持体とポリマーシェルとの間の密着関係により、全部でないにしても大部分の金属触媒粒子が3相接触点に存在することが確実になる(例えば、その結果、触媒粒子が燃料電池の反応体、電解質およびナノワイヤコアに到達可能となり、電子およびプロトンの伝導が効率的になる)。ナノワイヤ表面化学反応基の制御は、ナノワイヤ複合構造内のポリマーの濡れ性を制御するために使用され得、触媒粒子が触媒作用のために露出され、到達可能となることが確実になる。
【0022】
本発明の別の実施形態によれば、一般的に各々がその上面に堆積された金属触媒を有するナノワイヤの相互接続されたマットまたはネットワークを含む燃料電池の膜電極アセンブリ用のナノ構造型触媒担持体が提供される。触媒金属は、本明細書に記載の任意の触媒金属、ならびに当業者に知られたもの(例えば、白金など)を含むものであり得る。触媒金属は、白金とルテニウムなどの金属の組合せを含むものであってもよい。代表的な一実施形態において、触媒金属は、約50nm未満、例えば約10nm未満、例えば約5nm未満、例えば約1〜5nmの直径を有するナノ粒子を含む。この実施形態では、ナノワイヤのネットワーク内の各ナノワイヤは、典型的には、ナノワイヤネットワーク内の少なくとも1つまたはそれ以上の他のナノワイヤに物理的および/または電気的に接続され、ナノワイヤの高度に相互接続ネットワークが形成される。他の実施形態において、ナノワイヤは、アノード/カソード双極極板とプロトン交換膜との間にナノワイヤ平行なアレイ状に実質的に整列され得るか、またはナノワイヤはランダムに配向され得る。ナノワイヤは、各々が第1の触媒コロイドコーティングおよび/または第2の薄いプロトン伝導性ポリマーコーティング(例えば、NAFION(登録商標))でコートされていてもよい。膜電極アセンブリは、直接メタノール型燃料電池、水素燃料電池、または当業者に知られた任意の他の燃料電池における構成要素であり得る。
【0023】
燃料電池は、プロトン交換膜、アノード電極、カソード電極、ならびに第1および第2の双極極板を設け、アノード電極およびカソード電極の少なくとも一方が触媒担持型ナノワイヤの相互接続ネットワークを含むようにすることにより形成される。ナノワイヤネットワークの卓越した伝導性のため、燃料電池には、従来の燃料電池の場合のような、プロトン交換膜と第1および第2の双極極板との間のガス拡散層が必要とされないことがあり得る。一実施形態において、ナノワイヤは、燃料電池の双極極板および/またはプロトン交換膜の1つ以上の上面に、直接合成され得る。また、ナノワイヤは、別個の成長基板上で成長させ、該基板から回収し、次いで移し(例えば、相互接続型ワイヤの多孔質シートとして)、燃料電池構造内に組み込んでもよい(例えば、燃料電池の構成要素の1つ以上、例えば、双極極板および/またはプロトン交換膜の1つ以上の上面に堆積させる)。双極極板(1つまたは複数)および/またはプロトン交換膜上にてインサイチュで成長させる場合、ナノワイヤは、双極極板(1つまたは複数)もしくはプロトン交換膜の表面に対して実質的に垂直また法線方向に配向され得るか、またはランダムに配向され得る。
【0024】
ナノワイヤネットワーク内のナノワイヤは、該ネットワーク内の1つ以上の他のワイヤに優先的に物理的および/または電気的に接続されて開放型の高度に分岐した多孔質、相互絡合型構造が形成され、これは、反応体および廃物拡散に対する拡散抵抗性が全体的に低く、高い構造安定性および高い触媒効率が確保される電子に対する高い電気的伝導性を有し、したがって高い出力密度および低い総コストがもたらされる。ナノワイヤの多重電気的伝導性により、例えば、1つのワイヤが系内で破断または損傷した場合、該ワイヤに沿ったすべての点は依然として異なる経路に沿って(例えば、ネットワーク内の他のナノワイヤを介して)アノード(またはカソード)電極に接続されることが確保される。これにより、以前の充填粒子複合体構造と比べると、相当改善された電気的伝導性および安定性が提供される。触媒は、原料の燃料に高度に到達可能で電子およびプロトンをもたらすとともに、電子が、ナノワイヤを介して双極極板に直接伝導され、プロトンが、ポリマーを介して膜に直接輸送され得る。
【0025】
ナノワイヤネットワーク内のナノワイヤは、ナノワイヤネットワークの伝導性および構造安定性が増大するように、本明細書においてさらに記載されている種々の架橋または焼結方法を用いて、かかるナノワイヤが他のナノワイヤと接触または近接する点で互いに架橋または融合させてもよい。別の実施形態では、同じ架橋または焼結ストラテジーを用い、ナノワイヤとかかるナノワイヤと接触または近接している触媒材料との間の電気的または構造的伝導性を改善し得る。
【0026】
ナノワイヤネットワークは、該ネットワーク内にナノワイヤ間に複数の細孔を画定し、該複数の細孔は、優先的に、約10μm未満、例えば約5μm未満、例えば約1μm未満、例えば約0.2μm未満、例えば0.02μm未満、例えば約0.002μm〜0.02μm、例えば約0.005〜0.01μmの有効孔径を有する。分岐型ナノワイヤ構造の全体としての多孔度は、約30%より大きい、例えば約30%〜95%、例えば約40%〜60%であり得る。ナノワイヤは、分岐型ナノワイヤネットワークにおいて該ナノワイヤと相互貫入された連続ネットワークを形成し、プロトン(例えば、H+)輸送のための充分な接触点をもたらす多孔質ポリマーマトリックス電解質材料、例えば、パーフルオロスルホン酸/PTFEコポリマー(例えば、NAFION(登録商標))中に分散されている。
【0027】
本発明の別の実施形態において、一般的に、(a)クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、マンガン(Mn)、テクネチウム(Tc)、レニウム(Re)、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、アルミニウム(Al)およびその組合せの1種類以上を含む群から選択される触媒金属を複数の無機ナノワイヤと会合させ、触媒金属と会合した複数の無機ナノワイヤを形成すること、ならびに(b)触媒金属と会合した複数の無機ナノワイヤを備える膜電極形成させることを含む、燃料電池の膜電極の作製方法を開示する。
【0028】
該複数の無機ナノワイヤは、触媒金属に結合する少なくとも第1の官能基、例えば、硝酸基、カルボン酸基、ヒドロキシル基、アミン基、スルホン酸基などで誘導体化されたものであってもよい。また、会合は、化学気相蒸着、電着、物理気相蒸着、溶液含浸および析出、コロイド粒子の吸収および堆積、原子層堆積ならびにその組合せを含む群から選択されるさまざまな方法によって行なわれ得る。例えば、会合は、触媒金属前駆体(例えば、クロロ白金酸など)の化学蒸着または溶液中での前駆体塩のPtの電着によって行なわれ得る。触媒金属前駆体は、触媒金属前駆体を金属の還元に供することにより触媒的に活性な金属に変換され得、ここで、金属の還元は、水素の還元、化学的還元、電気化学的還元およびその組合せを含む群から選択される方法によって行なわれる。触媒的に活性な金属は、ナノワイヤの表面上の金属ナノ粒子の形態であり得る。該形成はプロトン交換膜上または双極極板の1つ以上の上面で、例えば、噴霧/ブラシ塗装、溶液コーティング、流延、電析、ナノワイヤの流動性懸濁液の濾過、ならびにその組合せを含む群から選択される方法によって行なわれ得る。また、ナノワイヤは、燃料電池の構成要素の1つ以上、例えば、双極極板および/またはプロトン交換膜の1つ以上の上面で直接成長させてもよい。該方法は、イオノマー樹脂(例えば、パーフルオロスルホン酸/PTFEコポリマー、例えばNAFION(登録商標))を、触媒金属と会合した該複数の無機ナノワイヤと混合することをさらに含むものであり得る。該複数の無機ナノワイヤは、イオノマー樹脂に結合する少なくとも第2の官能基(例えば、スルホン化炭化水素基)で誘導体化されたものであってもよい。
【0029】
本発明の別の実施形態において、一般的に、ナノワイヤを成長基板上に形成させること;該ナノワイヤを該成長基板から流動性懸濁液中に移すこと;1種類以上の触媒金属を該ナノワイヤ上に堆積させ、ナノワイヤ担持型触媒を形成すること;該ナノワイヤの該流動性懸濁液を濾過し、相互接続型ナノワイヤの多孔質シートを作出すること;該ナノワイヤのネットワークにイオノマー樹脂を浸透させること;および該相互接続型ナノワイヤのシートをプロトン交換膜と合わせ、膜電極アセンブリ(MEA)を形成することを含む、燃料電池の膜電極アセンブリの作製方法を開示する。ホットプレス法を用いてアノード電極およびカソード電極両方の電解質をプロトン交換膜と融合させ、アノード電極からカソード電極への効率的なプロトン輸送のための連続電解質相を形成し得る。1種類以上の触媒金属を堆積させる工程は、例えば、白金、金、ルテニウムおよび他の金属ならびにその組合せを含む群から選択される金属を堆積させることを含むものであり得る。該方法は、第1および第2の双極極板を一緒に合わせ、プロトン交換膜燃料電池を形成することにより形成されたMEAを利用するプロトン交換膜燃料電池を形成させることをさらに含むものであり得る。
【0030】
別の実施形態において、本発明は、1つ以上のチャネル(channel)、該チャネル内に配設された1つ以上のナノワイヤ、および該1つ以上のナノワイヤの表面上に堆積された1種類以上の金属触媒を有する第1の表面を有する無機担持体ウェハを備える燃料電池電極を提供する。好適な実施形態において、無機担持体ウェハは約5mm以下程度の厚さのSiウェハである。さらなる実施形態において、ウェハは、第1の表面と反対側に1つ以上のチャネルを備える第2の表面、該第2の表面のチャネル内に配設された1つ以上のナノワイヤ、およびナノワイヤの表面上に堆積された1種類以上の金属触媒を有する。好適には、ウェハおよびナノワイヤの表面は浸炭されている。燃料電池電極に有用な金属触媒の例としては、本文中に記載するもの、例えば、Pt、Au、Pd、Ru、Re、Rh、Os、Ir、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、V、Cr、Mo、Wならびにその合金および混合物が挙げられる。好適には、金属触媒は、約1nm〜10nmの直径を有するナノ粒子である。
【0031】
本発明はまた、第1の燃料電池電極、プロトン交換膜および第2の燃料電池電極を備える膜電極アセンブリを提供する。好適な実施形態において、第1の燃料電池電極の第1の表面は、アニオン金属触媒(例えば、PtRu)を有するナノワイヤを備えており、第2の燃料電池電極の第2の表面は、カチオン金属触媒(例えば、Pt)を有するナノワイヤを備えている。本発明における使用に好適なプロトン交換膜としては、スルホン化テトラフルオロ(fluor)エチレンコポリマーが挙げられる。
【0032】
本発明はまた、第1の表面および第2の表面を有する半導体ウェハを準備すること、1つ以上のチャネルを第1の表面および第2の表面上にエッチングすること、1つ以上のナノワイヤを該第1および第2の表面内のチャネル内に配設すること、該ナノワイヤと該第1および第2の表面を1種類以上の炭素含有ガスと接触させ、炭素主体層を該ナノワイヤと該第1および第2の表面上に形成すること、ならびに1種類以上の金属触媒を該ナノワイヤ上に堆積させることを含む、燃料電池電極の作製方法を提供する。好適なエッチング方法としては、NaOHエッチングが挙げられる。一般的に、ナノ粒子触媒はナノワイヤ上に堆積され、カソードおよびアノードのナノワイヤが作製される。
【0033】
さらなる実施形態において、本発明は、コア、界面炭化物層および該界面炭化物層上に形成される炭素主体構造を有するナノワイヤ構造を備える電界放出部材を提供する。好適には、コアは、半導体材料、例えば、Si、B、SiCまたはGaNなどを含む。さらなる実施形態において、コアは、SiO2、Al2O3、TiO2、SnO2、ZrO2、HfO2およびTa2O5を含む群から選択される無機系酸化物;TiC、ZrC、HfC、NbC、WC、W2C、MoCおよびMo2Cを含む群から選択される無機系炭化物;またはTiN、ZrN、HfN、WN、MoNおよびBNを含む群から選択される無機系窒化物を含む。界面炭化物層は、好適には、SiC、TiC、ZrC、HfC、NbC、WC、Mo2Cおよびその混合物を含む群から選択される。炭素主体構造は、一般的に、コアから約1nm〜約100nmの距離離れたところまで延びている少なくとも1つのナノグラファイト板であり、コアの長軸に対して約0°〜約90°の角度で配向される。
【0034】
さらなる実施形態において、本発明は、ナノワイヤと会合した1種類以上の触媒金属を含む、1つ以上のナノワイヤの作製方法を提供する。例示的な実施形態では、1つ以上のナノワイヤが溶液中に分散され、次いで1種類以上の触媒金属が添加される(例えば、1種類以上の触媒金属ナノ粒子を含む溶液)。次いで、該溶液を還流(例えば、沸騰まで、例えば約10〜60分間加熱)し、それにより、触媒金属が、ナノワイヤと会合した状態になる。該溶液は、次いで濾過して固形ナノワイヤの分散液が作製され得、次いで、最後に乾燥され得る。
【0035】
本発明はまた、燃料電池膜電極アセンブリの作製方法を提供する。まず、ガス拡散層を設ける。次いで、触媒金属会合型ナノワイヤの第1の組成物(例えば、溶液)をガス拡散層に隣接して配設する。好適には、触媒金属会合型ナノワイヤの溶液は、1種類以上のイオノマーもまた含むものである。次いで、膜層(例えば、プロトン伝導性ポリマー)を該第1の触媒金属会合型ナノワイヤ組成物に隣接して配設し、最後に、触媒金属会合型ナノワイヤの第2の組成物(例えば、好適には、1種類以上のイオノマーもまた含む溶液)を膜層に隣接して配設する。好適には、第1の組成物は、アノード触媒金属会合型ナノワイヤを含むものであり、第2の組成物は、カソード触媒金属会合型ナノワイヤを含むものである。さらなる実施形態において、触媒金属会合型ナノワイヤの第1の組成物を配設する前に、ガス拡散層の少なくとも縁部を被覆するためのマスキング層をガス拡散層に隣接して配設する。マスキング層は、次いで、第1の組成物の配設後で膜層の配設前に除去される。さらなる実施形態では、触媒金属会合型ナノワイヤの第2の組成物の配設前に、膜層の少なくとも縁部を被覆するためのマスキング層が膜層上に配設される。好適には、ナノワイヤ組成物は溶液から噴霧される。本発明はまた、本文中に開示する方法に従って作製される膜電極アセンブリを提供する。
【0036】
なおさらなる実施形態において、本発明は、燃料電池電極積層体の作製方法を提供する。まず、第1の端板を設け、ガスケットを該端板に隣接して配設する。次いで、本発明の膜電極アセンブリ(MEA)を、該ガスケットに隣接して配設する。次いで、ガス拡散層を該MEAに隣接して配設した後、別のガスケットを該ガス拡散層に隣接して配設する。最後に、端板を該第2のガスケットに隣接して配設する。
【0037】
さらなる実施形態において、本発明のMEA作製方法は、燃料電池電極積層体を作製する際、さらなるMEA層(2、3、4、5、6つなど、n番目までのMEA)を組み立てる(assemble)ことをさらに含むものであり得る。例えば、第2のガスケットの配設後で最後の端板の配設前において、双極極板を第2のガスケットに隣接して配設する。次いで、別のガスケットを該双極極板に隣接して配設し、第2のMEAを該ガスケットに隣接して配設する。この後、さらなるガス拡散層を該MEAに隣接して配設する。次いで、最後に、さらなるガスケットを該ガス拡散層に隣接して配設する。次いで、これらの工程は、端板を配設する前のn番目、すなわち、最後の膜電極アセンブリが配設されるまで反復され得る。
【0038】
本発明はまた、コア、界面炭化物層および該界面炭化物層上に形成される炭素主体構造、ならびにカーボンブラックを備える1つ以上のナノワイヤを含む導電性複合材料を提供する。さらなる一実施形態は、コア、界面炭化物層および該界面炭化物層上に形成される炭素主体構造、ならびにカーボンブラックを備える1つ以上のナノワイヤを含む多孔質触媒担持体を提供する。なおさらなる実施形態は、コア、界面炭化物層および該界面炭化物層上に形成される炭素主体構造、カーボンブラックならびにナノワイヤおよび該カーボンブラックと会合した1種類以上の触媒金属を備える1つ以上のナノワイヤを含む触媒を提供する。
【0039】
本発明のさらなる実施形態、特徴および利点、ならびに本発明の種々の実施形態の構造および動作を、添付の図面を参照しながら、以下により詳細に記載する。
【0040】
本発明を添付の図面に関して説明する。図において、同様の参照番号は同一または機能的に類似する部材を示す。部材が最初に表示された図は、対応する参照番号の一番左側に示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
(発明の詳細な説明)
本明細書に示し、記載する特定の実施は、本発明の一例であり、他の様式で(otherwise)本発明の範囲をなんら制限することは意図されないことを認識されたい。実際、簡潔のため、従来の電子機器、製造、半導体デバイスおよびナノワイヤ(NW)、ナノロッド、ナノチューブおよびナノリボン技術ならびに該系(および該系の構成要素の個々の作動構成要素)の他の機能的態様は、本明細書に詳細に記載されていないことがあり得る。さらにまた、簡潔にする目的のため、本発明では、ナノワイヤに関すると本明細書において頻繁に記載するが、他の同様の構造もまた本明細書において包含される。
【0042】
ナノワイヤが頻繁に言及されるが、本明細書に記載の技術はまた、他のナノ構造、例えばナノロッド、ナノチューブ、ナノテトラポッド、ナノリボンおよび/またはその組合せにも適用可能であることを認識されたい。さらに、本明細書に記載の製造技術は、炭素主体層(例えば、非底面炭素などの非結晶性の炭素、ならびに結晶性のナノグラファイトコーティング)を、広範な材料、例えば、限定されないが、従来の繊維および繊維構造;平坦、湾曲および不規則な表面;ならびに金属、半導体、セラミック発泡体、網状金属およびセラミックなどの種々の材料の表面上に作出するために使用され得ることを認識されたい。さらに、該技術は、触媒、エネルギー貯蔵および変換、分離、医療用デバイス用の電極、保護表面としての適用、または任意の他の適用用途に適したものであり得る。
【0043】
本明細書で用いる場合、「アスペクト比」は、ナノ構造の第1の軸の長さを、該ナノ構造の第2および第3の軸の長さの平均で除算したものであり、このとき、第2および第3の軸は、その長さが互いに最もほぼ同じである2つの軸である。例えば、完全なロッドのアスペクト比は、その長軸の長さを、該長軸に垂直な(法線方向の)断面の直径で除算したものであり得る。
【0044】
用語「ヘテロ構造」は、ナノ構造に関して用いる場合、少なくとも2つの異なるおよび/または識別可能な材料の型を特徴とするナノ構造をいう。典型的には、ナノ構造の第1の領域は第1の型の材料を含み、一方でナノ構造の第2の領域は第2の型の材料を含む。別の実施形態において、ナノ構造は、第1の材料のコアと、第2(または第3など)の材料の少なくとも1つのシェルとを備え、このとき、該異なる型の材料は、例えば、ナノワイヤの長軸、分岐型ナノ結晶の突起部(arm)の長軸、またはナノ結晶の中心の周りに放射状に分布される。シェルは、シェルとみなされる隣接する材料を完全に被覆している必要はないか、またはナノ構造がヘテロ構造であるとみなされる必要はない。例えば、小島状の第2の材料で被覆された第1の材料のコアを特徴とするナノ結晶はヘテロ構造である。他の実施形態において、該異なる型の材料はナノ構造内の異なる位置に分布される。例えば、該型の材料は、ナノワイヤの主(長)軸に沿って、または分岐型ナノ結晶の長軸もしくは突起部に沿って分布され得る。ヘテロ構造内の異なる領域は完全に異なる材料を含むものであり得るか、または該異なる領域はベース材料を含むものであり得る。
【0045】
本明細書で用いる場合、「ナノ構造」は、約500nm未満、例えば約200nm未満、約100nm未満、約50nm未満、あるいはさらに約20nm未満の寸法を有する少なくとも1つの領域または特性寸法を有する構造である。典型的には、該領域または特性寸法は該構造の最小軸に沿ったものである。かかる構造の例としては、ナノワイヤ、ナノロッド、ナノチューブ、分岐型ナノ結晶、ナノテトラポッド、トライポッド、バイポッド(bipod)、ナノ結晶、ナノドット、量子ドット、ナノ粒子、分岐型テトラポッド(例えば、無機系デンドリマー)などが挙げられる。ナノ構造は、材料特性において実質的に均質であり得るか、または他の実施形態では、不均質であり得る(例えば、ヘテロ構造)。ナノ構造は、例えば、実質的に結晶性、実質的に単結晶性、多結晶性、アモルファスまたはその組合せであり得る。一態様において、ナノ構造の3次元の1つは、約500nm未満、例えば約200nm未満、約100nm未満、約50nm未満、あるいはさらに約20nm未満の寸法を有する。
【0046】
本明細書で用いる場合、用語「ナノワイヤ」は、一般的に、500nm未満、好ましくは100nm未満である少なくとも1つの断面寸法を含み、10より大きい、好ましくは50より大きい、より好ましくは100より大きいアスペクト比(長さ:幅)を有する任意の細長い導電性または半導体材料(あるいは本明細書に記載の他の材料)をいう。
【0047】
本発明のナノワイヤは、材料特性において実質的に均質であり得るか、または他の実施形態では、不均質であり得る(例えば、ナノワイヤヘテロ構造)。ナノワイヤは、本質的に任意の簡便な1種類または複数種の材料から製作され得、例えば、実質的に結晶性、実質的に単結晶性、多結晶性、アモルファスまたはその組合せであり得る。ナノワイヤは、種々の直径を有するものであり得るか、または実質的に均一な直径、すなわち、変動性が最大の領域および少なくとも5nm(例えば、少なくとも10nm、少なくとも20nmまたは少なくとも50nm)の長さ寸法に対して約20%未満(例えば、約10%未満、約5%未満または約1%未満)の分散を示す直径を有するものであり得る。典型的には、該直径は、ナノワイヤの末端から離れて(例えば、ナノワイヤの中心部の20%、40%、50%または80%で)評価される。ナノワイヤは、一直線状であり得るか、または例えば、その長軸の全長またはその一部分が湾曲もしくは屈曲したものであり得る。他の実施形態において、ナノワイヤまたはその一部分は、2次元または3次元の量子閉じ込めを示し得る。
【0048】
かかるナノワイヤの例としては、国際特許出願公開公報WO02/17362、WO02/48701およびWO 01/03208に記載のような半導体ナノワイヤ、カーボンナノチューブ、ならびに同様の寸法の他の細長い導電性または半導体構造が挙げられ、これらは、引用により本明細書に組み込まれる。
【0049】
本明細書で用いる場合、用語「ナノロッド」は、一般的に、ナノワイヤと類似するが、ナノワイヤのものより小さいアスペクト比(長さ:幅)を有する任意の細長い導電性または半導体材料(あるいは本明細書に記載の他の材料)をいう。2つ以上のナノロッドがその縦軸に沿って互いに連結されて連結されたナノロッドが電極間全体に広がっていることがあり得ることに注意されたい。あるいはまた、2つ以上のナノロッドは、その縦軸に沿って実質的に整列されているが互いに連結されてはおらず、その結果、該2つ以上のナノロッドの末端間に小間隙が存在するようになっていてもよい。この場合、電子は、1つのナノロッドから別のものへのホッピングによって小間隙を通り抜け、1つのナノロッドから別のものに流動し得る。2つ以上のナノロッドは実質的に整列されたものであり得、その結果、電子が電極間を移動し得る経路が形成される。
【0050】
ナノワイヤ、ナノロッド、ナノチューブおよびナノリボンには、広範な型の材料、例えば、Si、Ge、Sn、Se、Te、B、C(ダイヤモンドを含む)、P、B−C、B−P(BP6)、B−Si、Si−C、Si−Ge、Si−SnおよびGe−Sn、SiC、BN、BP、BAs、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、BeS、BeSe、BeTe、MgS、MgSe、GeS、GeSe、GeTe、SnS、SnSe、SnTe、PbO、PbS、PbSe、PbTe、CuF、CuCl、CuBr、CuI、AgF、AgCl、AgBr、AgI、BeSiN2、CaCN2、ZnGeP2、CdSnAs2、ZnSnSb2、CuGeP3、CuSi2P3、(Cu、Ag)(Al、Ga、In、Tl、Fe)(S、Se、Te)2、Si3N4、Ge3N4、Al2O3、(Al、Ga、In)2(S、Se、Te)3、Al2COから選択される半導体材料、ならびに2種類以上のかかる半導体の適切な組合せが使用され得る。
【0051】
ナノワイヤはまた、金、ニッケル、パラジウム、イリジウム(iradium)、コバルト、クロム、アルミニウム、チタン、スズなどの金属、金属合金、ポリマー、導電性ポリマー、セラミックおよび/またはその組合せなどの他の材料から形成され得る。他の現在既知または後に開発される導電性または半導体材料が使用され得る。
【0052】
本発明のナノワイヤはまた、有機系ポリマー、セラミック、無機系半導体(例えば、炭化物および窒化物および酸化物(例えば、TiO2もしくはZnO)など)、カーボンナノチューブ、生物学的に誘導された化合物(例えば、繊維状タンパク質など)で構成されたものであり得る。例えば、特定のある実施形態において、半導体ナノワイヤなどの無機ナノワイヤが使用される。半導体ナノワイヤは、いくつかの第IV族、第III〜V族もしくは第II〜VI族半導体またはその酸化物で構成されたものであり得る。一実施形態において、ナノワイヤは、金属の導電性、半導体性の炭化物、窒化物または酸化物材料、例えば、RuO2、SiC、GaN、TiO2、SnO2、WCx、MoCx、ZrC、WNx、MoNxなどを含むものであり得る。本文中に記載している下付き文字「x」は、化学式において使用される場合、正の整数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10など)を示す。ナノワイヤは、ナノワイヤがさまざまな異なる燃料電池の反応体と適合性となるように弱酸中での分解に抵抗性である材料で作製されていることが好適である。本発明によるナノワイヤは、カーボンナノチューブを明白に除外するものであり得、特定のある実施形態では、「ホイスカ(whisker)」または「ナノホイスカ」、特に、100nmより大きい、もしくは約200nmより大きい直径を有するホイスカを除外するものであり得る。
【0053】
他の態様において、半導体は、周期表の第III族由来のp型ドーパント;周期表の第V族由来のn型ドーパント;B、AlおよびInからなる群より選択されるp型ドーパント;P、AsおよびSbからなる群より選択されるn型ドーパント;周期表の第II族由来のp型ドーパント;Mg、Zn、CdおよびHgからなる群より選択されるp型ドーパント;周期表の第IV族由来のp型ドーパント;CおよびSiからなる群より選択されるp型ドーパント;またはSi、Ge、Sn、S、SeおよびTeからなる群より選択されるn型ドーパントからなる群からのドーパントを含むものであり得る。他の現在既知または後に開発されるドーパント材料が使用され得る。
【0054】
さらに、ナノワイヤまたはナノリボンは、カーボンナノチューブ、または導電性もしくは半導体有機系ポリマー材料(例えば、ペンタセンおよび遷移金属酸化物)で形成されたナノチューブを含むものであり得る。
【0055】
本明細書においてなされる空間的記載(例えば、「上方」、「下方」、「上」、「下」、「上面」、「底面」など)は例示の目的のために過ぎないこと、および本発明のデバイスは、任意の向きまたは様式で空間的に配列され得ることは理解されよう。
【0056】
ナノ材料は、多種多様な異なる方法で作製されている。例えば、溶液系、界面活性剤媒介系結晶成長が、球形の無機系ナノ材料、例えば、量子ドットならびに細長いナノ材料(例えば、ナノロッドおよびナノテトラポッド)の作製について報告されている。他の方法、例えば、気相法もまたナノ材料の作製に使用されている。例えば、報告によると、シリコンナノ結晶がシランガスのレーザー熱分解によって作製されている。
【0057】
他の方法では、基板系合成方法、例えば、Greeneら(“Low−temperature wafer scale production of ZnO nanowires arrays,” L.Greene、M.Law、J.Goldberger、F.Kim、J.Johnson、Y.Zhang、R.Saykally、P.Yang、Angew.Chem.Int.第42版、3031−3034、2003)に記載されたものなどのZnOナノワイヤを作製するための低温合成方法、ならびに触媒性金粒子(例えば、加熱されると粒子を形成するコロイドまたは薄膜のいずれかとして堆積させたもの)を用いる高温VLS方法が使用される。ナノワイヤが作製されるかかるVLS方法は、例えば、国際特許出願公開公報WO 02/017362(その全開示は、引用によりその全体があらゆる目的のために本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0058】
種々の材料に適合され得る任意のいくつかの簡便な方法によって、ナノ構造が製作され得、その大きさが制御され得る。例えば、種々の組成物のナノ結晶の合成は、例えば、Pengら(2000)「Shape Control of CdSe Nanocrystals」Nature 404、59−61;Puntesら(2001)「Colloidal nanocrystal shape and size control:The case of cobalt」Science 291,2115−2117;Alivisatosらに対するUSPN6,306,736(2001年10月23日)、発明の名称「Process for forming shaped group III−V semiconductor nanocrystals,and product formed using process」;Alivisatosらに対するUSPN6,225,198(2001年5月1日)、発明の名称「Process for forming shaped group II−VI semiconductor nanocrystals,and product formed using process」;Alivisatosらに対するUSPN5,505,928(1996年4月9日)、発明の名称「Preparation of III−V semiconductor nanocrystals」;Alivisatosらに対するUSPN5,751,018(1998年5月12日)、発明の名称「Semiconductor nanocrystals covalently bound to solid inorganic surfaces using self−assembled monolayers」;Gallagherらに対するUSPN6,048,616(2000年4月11日)、発明の名称「Encapsulated quantum sized doped semiconductor particles and method of manufacturing same」;およびWeissらに対するUSPN5,990,479(1999年11月23日)、発明の名称「Organo luminescent semiconductor nanocrystal probes for biological applications and process for making and using such probes」に記載されている。
【0059】
種々のアスペクト比を有するナノワイヤ、例えば、制御された直径を有するナノワイヤの成長は、例えば、Gudiksenら(2000)「Diameter−selective synthesis of semiconductor nanowires」J.Am.Chem.Soc.122、8801−8802;Cuiら(2001)「Diameter−controlled synthesis of single−crystal silicon nanowires」Appl.Phys.Lett.78、2214−2216;Gudiksenら(2001)「Synthetic control of the diameter and length of single crystal semiconductor nanowires」J.Phys.Chem.B 105,4062−4064;Moralesら(1998)「A laser ablation method for the synthesis of crystalline semiconductor nanowires」Science 279、208−211;Duanら(2000)「General synthesis of compound semiconductor nanowires」Adv.Mater.12、298−302;Cuiら(2000)「Doping and electrical transport in silicon nanowires」J.Phys.Chem.B 104、5213−5216;Pengら(2000)「Shape control of CdSe nanocrystals」Nature 404、59−61;Puntesら(2001)「Colloidal nanocrystal shape and size control:The case of cobalt」Science 291、2115−2117;Alivisatosらに対するUSPN6,306,736(2001年10月23日)、発明の名称「Process for forming shaped group III−V semiconductor nanocrystals,and product formed using process」;Alivisatosらに対するUSPN6,225,198(2001年5月1日)、発明の名称「Process for forming shaped group II−VI semiconductor nanocrystals,and product formed using process」;Lieberらに対するUSPN6,036,774(2000年3月14日)、発明の名称「Method of producing metal oxide nanorods」;Lieberらに対するUSPN5,897,945(1999年4月27日)、発明の名称「Metal oxide nanorods」;Lieberらに対するUSPN5,997,832(1999年12月7日)「Preparation of carbide nanorods」;Urbauら(2002)「Synthesis of single−crystalline perovskite nanowires composed of barium titanate and strontium titanate」J.Am.Chem.Soc、124、1186;ならびにYunら(2002)「Ferroelectric Properties of Individual Barium Titanate Nanowires Investigated by Scanned Probe Microscopy」Nanoletters 2、447に記載されている。
【0060】
特定のある実施形態において、本発明のナノワイヤは、このような細長い構造を基板表面上で成長または合成させることにより作製される。一例として、公開された米国特許出願第US−2003−0089899−A1号には、気相エピタキシーを用いて、固相基板に付着された金コロイドから半導体ナノワイヤの均一な集団を成長させる方法が開示されている。Greeneら(“Low−temperature wafer scale production of ZnO nanowires arrays”、L.Greene、M.Law、J.Goldberger、F.Kim、J.Johnson、Y.Zhang、R.Saykally、P.Yang、Angew.Chem.Int.第42版、3031−3034、2003)には、溶液系の低温ワイヤ成長プロセスを用いたナノワイヤ合成の代替的な方法が開示されている。他の細長いナノ材料を合成するのに、さまざまな他の方法、例えば、短いナノ材料を作製するための米国特許第5,505,928号、同第6,225,198号および同第6,306,736号に開示された界面活性剤系の合成方法、およびカーボンナノチューブをのための既知の方法(例えば、Daiらに対するUS−2002/0179434を参照)、ならびに成長基板の使用なしでナノワイヤを成長させるための方法(例えば、MoralesおよびLieber、Science、V.279、p.208(1998年1月9日)を参照)が使用される。本明細書に記載のように、このような任意のまたはあらゆる種々の材料が、本発明における使用のためのナノワイヤの作製に使用され得る。一部のある適用用途では、多種多様な第III〜V族、II〜VIおよび第IV族半導体が、作製される基板または物品の最終の適用用途に応じて利用され得る。一般に、かかる半導体ナノワイヤは、例えば、上記の本明細書に組み込まれるUS−2003−0089899−A1に記載されている。
【0061】
分岐型ナノワイヤ(例えば、ナノテトラポッド、トライポッド、バイポッドおよび分岐型テトラポッド)の成長は、例えば、Junら(2001)「Controlled synthesis of multi−armed CdS nanorod architectures using monosurfactant system」J.Am.Chem.Soc.123,5150−5151、およびMannaら(2000)「Synthesis of Soluble and Processable Rod−,Arrow−,Teardrop−,and Tetrapod−Shaped CdSe Nanocrvstals」J.Am.Chem.Soc.122,12700−12706に記載されている。
【0062】
ナノ粒子の合成は、例えば、Clark Jr.らに対するUSPN5,690,807(1997年11月25日)、発明の名称「Method for producing semiconductor particles」;El−Shallらに対するUSPN6,136,156(2000年10月24日)、発明の名称「Nanoparticles of silicon oxide alloys」;Yingらに対するUSPN6,413,489(2002年7月2日)、発明の名称「Synthesis of nanometer−sized particles by reverse micelle mediated techniques」;およびLiuら(2001)「Sol−Gel Synthesis of Free−Standing Ferroelectric Lead Zirconate Titanate Nanoparticles」J.Am.Chem.Soc.123、4344に記載されている。ナノ粒子の合成はまた、得られるナノ構造が約1.5未満のアスペクト比を有するナノ結晶、ナノワイヤ、および分岐型ナノワイヤの成長に関して上記で引用した文献にも記載されている。
【0063】
コア−シェルナノ構造であるヘテロ構造、すなわちナノ結晶とナノワイヤ(例えば、ナノロッド)のコア−シェルヘテロ構造の合成は、例えば、Pengら(1997)「Epitaxial growth of highly luminescent CdSe/CdS core/shell nanocrystals with photostability and electronic accessibility」J.Am.Chem.Soc.119、7019−7029;Dabbousiら(1997)「(CdSe)ZnS core−shell quantum dots:Synthesis and characterization of a size series of highly luminescent nanocrysallites」J.Phys.Chem.B 101、9463−9475;Mannaら(2002)「Epitaxial growth and photochemical annealing of graded CdS/ZnS shells on colloidal CdSe nanorods」J.Am.Chem.Soc.124、7136−7145;およびCaoら(2000)「Growth and properties of semiconductor core/shell nanocrystals with JnAs cores」J.Am.Chem.Soc.122、9692−9702に記載されている。同様のアプローチが、他のコア−シェルナノ構造の成長に適用され得る。
【0064】
異なる材料がナノワイヤの長軸に沿って異なる位置に分布されたナノワイヤヘテロ構造の成長は、例えば、Gudiksenら(2002)「Growth of nanowire superlattice structures for nanoscale photonics and electronics」Nature 415、617−620;Bjorkら(2002)「One−dimensional steeplechase for electrons realized」Nano Letters 2、86−90;Wuら(2002)「Block−by−block growth of single−crystalline Si/SiGe superlattice nanowires」Nano Letters 2、83−86;およびEmpedoclesに対する米国特許出願第60/370,095号(2002年4月2日)、発明の名称「Nanowire heterostructures for encoding information」に記載されている。同様のアプローチが、他のヘテロ構造の成長に適用され得る。
【0065】
本明細書および共同譲渡された米国特許仮出願第60/738,100号(2005年11月21日出願)(その全内容は、引用により本明細書に組み込まれる)の本文中に記載のように、多数のシェルを有するナノワイヤ構造、例えば、導電性内側コアワイヤ(これは、ドープされたものであってもそうでなくてもよい)(例えば、電子輸送に必要な導電性を付与するため)および触媒(および/またはポリマー電解質)の結合に適した表面を提供する1つ以上の外側シェル層などもまた製作され得る。例えば、一実施形態において、最も外側のシェル層が炭化ケイ素に変換されて、触媒(および/またはポリマー電解質)を結合するための表面(SiC)および必要な導電性を付与するための導電性カーボンナノチューブコアを提供する多層(multi−layer/multi−walled)カーボンナノチューブ(MWNT)が形成され得る。択一的な実施形態において、コアは、重度にドープされた材料、例えば、ドープシリコンからなるものであり得、炭化物、窒化物などのシェル材料(例えば、SiC)が、次いで該コア上に形成され得る。コア材料としてのシリコンの使用は、シリコンナノワイヤの製作のための広範な経験および既知の基盤を利用する。炭化物シェル、例えば、SiC、WC、MoCまたは混合炭化物(例えば、WSiC)などがコア材料周囲に、制御された表面反応を用いて形成され得る。SiC、WCおよびMoCは、その導電性および化学的安定性が高いことが知られている。また、このような材料は、メタノール酸化に対し、Ptなどの貴金属のものと同様の触媒特性を有することが示されており、したがって、ナノワイヤの鳥の巣MEAにおいてさらなる性能の増大がもたらされ得る。シェルの前駆体材料は、コアナノワイヤ表面(例えば、シリコン)上に例えば原子層堆積(ALD)によって堆積させれ、次いで、高温炭素熱還元によって炭化物に変換され得る。
【0066】
図1Aは、本発明の一実施形態によるナノワイヤ構造100の透過型電子顕微鏡写真(TEM)を示す。ナノワイヤ構造100は、コア102、炭素主体層104を備え、好適な実施形態では、炭素主体層上に形成され、コアから延びている炭素主体構造106を備える。用語「コア」および「ナノワイヤコア」は、本明細書では互換的に用いる。好適には、コア102は、半導体材料、例えば限定されないが、本文中に開示する半導体を含む。例えば、コア102は、Si、B、SiCまたはGaNを含むものであり得る。好適には、半導体コアは、高度にドープされている。他の実施形態において、コア102は、無機系酸化物、無機系炭化物または無機系窒化物を含むものであり得る。好適な無機系酸化物としては、限定されないが、SiO2、Al2O3、TiO2、SnO2、ZrO2、HfO2およびTa2O5が挙げられる。好適な無機系炭化物としては、限定されないが、TiC、ZrC、HfC、NbC、WC、W2C、MoCおよびMo2Cが挙げられる。好適な無機系窒化物としては、限定されないが、TiN、ZrN、HfN、WN、MoNおよびBNが挙げられる。コア102はまた、カーボンナノファイバー、例えば、カーボンナノチューブまたはカーボンナノフィブリルを含むものであり得る。
【0067】
他の実施形態において、コア102は、炭素を含むもの、本質的に炭素からなるもの、または炭素からなるもの(すなわち炭素のみからなるもの)であり得る。コア102が炭素のみからなる実施形態では、ナノワイヤ構造100は純粋に炭素主体ナノワイヤを表し、この場合、コア102は炭素であり、炭素主体層104は、アモルファスおよび/または結晶性いずれかの形態の炭素(例えば、グラフェン層またはシートの形態の底面炭素)である。しかしながら、かかる実施形態は、コア102は中空ではなく炭素主体であるため、カーボンナノチューブとは異なる。コア102が炭素を含むもの、または本質的に炭素からなるものである実施形態では、コア102はまた、さらなる材料、例えば、本明細書に記載の半導体、金属ならびに他の材料などをさらに含むものであり得る。別の実施形態において、コア102は、炭化物、すなわち、炭素と本明細書に記載のさらなる材料との混合物を含むものであり得る。例えば、コア102は、無機系炭化物、例えば、SiC、TiC、ZrC、HfC、NbC、WC、W2C、MoCおよびMo2Cなどを含むものであり得る。他の実施形態において、コア102は、実質的に炭素がない、すなわち、約0.5%未満、例えば約0.25%未満、約0.1%未満の炭素を含有するか、または好適には、炭素を全く含有しない。
【0068】
ナノワイヤ構造100のコア102は、当該技術分野で知られた任意の適当な方法を用いて作製され得る。例えば、コア102は、化学気相蒸着および関連方法、例えば、Panら、「Systems and Methods for Nanowire Growth and Harvesting」、米国特許出願第11/117,703号(2005年4月29日出願)、およびRomanoら、「Methods for Nanowire Growth」、米国特許出願第11/117,702号(2005年4月29日出願)(その各々は、引用により本明細書に組み込まれる)に開示されたものを用いて、あるいは、本明細書に記載した他の特許、特許出願および引用文献に開示されたようにして、金属核生成粒子から作製され得る。一般に、コア102は、適当な基板材料上、例えば、Siまたは他の半導体材料上で成長させる。好適な実施形態では、コア102は、約10nm〜約100nmの直径である金属核生成粒子から作製される。例えば、コア102は、約20nmの直径であり、基板表面上に約80粒子/μm2〜約400粒子/μm2の粒子密度で堆積された核生成粒子から、または約10nmの直径であり、基板上に約4粒子/μm2〜約40粒子/μm2の粒子密度で堆積された核生成粒子から作製され得る。約20nmの直径の核生成粒子が使用される場合(例えば、20nmの金ナノ粒子)、約27nmの平均直径を有する実質的に純粋なナノワイヤが作製される。約10nmの直径の核生成粒子の使用により、約15nmの平均直径を有するナノワイヤがもたらされる。10nmの核生成粒子からのナノワイヤの成長に好適な条件は、当業者によって容易に決定される。例示的な条件としては、20〜40立方センチメートル毎秒(seem)(例えば約40seem)のSiH4流、50/350、200/200および400/0seem(例えば約50/350)でのH2/He流、ならびに約15、30および45トール(例えば約15トール)の全圧が挙げられる。
【0069】
炭素主体層104および炭素主体構造106(存在する場合)の形成は、コア102が依然として基板材料に結合されている状態でに行なわれ得るか、またはコア102は、本明細書に記載のような後の加工処理のために基板材料から除去され得る。好適には、コア102は、約50nmより長く約1μm未満の長さを有する。好適なかかる実施形態では、コア102は数百nmの長さを有する。また、コア102は、少なくとも約1nm〜約1μm未満の断面直径である。好適には、コア102は約数nm〜100nm台であるが、一般的には約500nm未満の直径を有する。
【0070】
本明細書で用いる場合、用語「炭素主体層」104は、コア102を部分的に囲むか、または完全に囲むかのいずれかである炭素含有材料の層、コーティングまたは他の同様の構造をいう。炭素主体層104は、コア102上の材料の島もしくは一区画の形態であり得るか、または実質的に均一な層の状態でコア102を完全に被覆および囲むものであり得る。炭素主体層104は、任意の形態、例えば、実質的に結晶性、実質的に単結晶性、多結晶性、アモルファス(すなわち、非結晶性)またはその組合せの炭素を含むものであり得る。一実施形態において、炭素主体層104は、実質的に非結晶性またはアモルファスである。本明細書で用いる場合、非結晶性およびアモルファスという用語は、明確な結晶性構造を欠き、代わりに炭素原子のランダムな配列を有する炭素をいう。他の実施形態において、アモルファスな非結晶性の炭素主体層104は、実質的に底面炭素がない。すなわち、炭素主体層104は、約0.5%未満、例えば約0.25%未満、約0.1%未満の底面炭素を含有するか、または好適には、底面炭素を全く含有しない。底面炭素は、グラフェンシートおよび/またはグラファイト層に見られる特徴的な結合状態の結晶性構造である炭素をいう。
【0071】
一実施形態において、炭素主体層104は界面炭化物層である。用語「界面炭化物層」は、コア102の界面に形成された炭化物であって、その表面が周囲環境に対して露出しているものをいう。界面炭化物層は、任意の適当な炭化物、例えば、限定されないが、SiC、TiC、ZrC、HfC、NbC、WC、Mo2Cおよびその混合物などを含むものであってもよい。コア102の表面上の界面炭化物層は、任意の厚さのものであり得る。一部のある実施形態において、コア102および炭素主体層104はともに、完全に炭化物で構成されている。他の実施形態において、炭素主体層104は、約1nmより大きい厚さ、例えば約1nm〜約500nmの厚さである(すなわち、ナノワイヤ構造100の全体の厚さが炭化物であり得る)。他の実施形態において、炭素主体層104は、数オングストローム(Å)程度から10Å台の厚さであり、ナノワイヤ構造100の残余厚さを構成するコア102を囲んでいる。
【0072】
炭素主体層104はコア102上に、コア102を1種類以上の炭素含有ガスまたはガス混合物と高温で接触させることにより形成される。炭素含有ガスがコア102と接触すると、炭素が該ガス相から析出し、炭素主体層104が、コア102と周囲環境との界面に形成される。一実施形態において、コア102が半導体または同様の材料である場合、炭素主体層104は、コア102上に形成された炭化物層の形態である。炭素含有ガスは、数種類の構成要素の場合を含むガス混合物の形態であり得る。別の実施形態において、炭素主体ガスに加え、このガス混合物はまた、ガス混合物の分圧を維持するため、ならびに炭化物およびナノグラファイト形成を制御するために、1種類以上の希ガス、または水素などの他のガスを含むものであってもよい。このようなさらなるガスにより、コア102との接触前に析出する炭素構成要素の量を制限することが補助される。しかしながら、かかるガスは、炭素主体層104を汚染あるいはその形成を干渉せず、またすべきではない。該混合物における使用のために好適な炭素主体ガスとしては、限定されないが、一酸化炭素、メタン、エタン、プロパン、ブタン、エチレン、プロピレンならびにその種々の誘導体および混合物が挙げられる。コア102と炭素含有ガス混合物との接触は、当業者によって決定される任意の適当な温度で行なわれ得る。一般に、該温度は、約400℃〜約1500℃、またはより好適には約600℃〜約1300℃の範囲である。他の実施形態において、炭素主体層104が形成されるにつれて、炭素は、ナノワイヤ構造100の中心に向かって移動し始め、コア102を含む構造全体に浸透する。したがって、かかる実施形態では、ナノワイヤ構造100全体が、実質的に全体的に炭素主体、例えば炭化物であり得、さらなる実施形態では、完全に全体的に炭素であり得る。一実施形態において、本発明は、カーボンナノチューブではなく(すなわちコア(または中空の中心)に巻き付けた底面炭素を含まない)、例えば、半導体材料または炭化物を含むコア上のアモルファスで実質的に非結晶性の炭素層状態を含む実質的に炭素主体ナノワイヤ構造を提供する。
【0073】
さらなる炭素が炭素主体層104(好適には、界面炭化物層)上に析出するにつれて、炭素主体構造106は、炭素主体層104上に形成され始め、該層に化学的に結合されることがあり得る。他の実施形態において、炭素主体構造106は、炭素主体層104から延びているアモルファス炭素繊維またはナノワイヤである。このような炭素ナノワイヤは、例えば、SiCなどの炭化物、または本明細書に記載もしくは当該技術分野で知られた任意の好適な炭化物の形態の炭素を含むものであり得る。他の実施形態において、ナノワイヤは、本質的に炭素からなるものであり得、またはさらなる実施形態では、炭素のみからなるものであり得る。かかる実施形態では、炭素主体構造は、実質的に底面炭素がない。
【0074】
他の実施形態において、炭素主体構造106は、炭素主体層104(好適には、界面炭化物層)上に形成され、該層に、炭素結晶のa−b格子縁部によって化学的に結合されたナノグラファイト板であり得る。一実施形態において、ナノワイヤおよびナノグラファイト板の両方が同時に、ナノワイヤ構造100の一部として形成され得る。a−b格子縁部という用語は、ナノグラファイト板の形態である炭素主体構造106の平面の寸法(すなわち、該板の平面寸法)をいう。一実施形態において、この形成および結合は、炭素主体層104が形成されるのと同じ温度で行われ得る。他の実施形態において、炭素主体層104は、約400℃〜約800℃の温度で形成され得、次いで、該温度は、炭素主体構造106が形成されるように、例えば約800℃〜約1300℃の温度に上昇され得る。
【0075】
かならずしもそうではないが、一般的に、ナノグラファイト板が高度に結晶化した独立したグラフェンのシートまたは層である。グラフェン層は、一般的に、相互接続されておらず(すなわち、グラファイトの場合のように、該層の平面に対して法線方向の結合によって接続されたものでない)、炭素主体層104(好適には、界面炭化物層)の平面から成長し、グラフェンのa−b縁部によって炭素主体層104および互いに結合されている。しかしながら、他の実施形態では、グラフェン層は、グラファイトの構造の場合のように、相互接続されていることがあり得る。好適にはナノグラファイト板は、約100未満のグラフェンシート、より好適には約2〜15のグラフェンを含むものである。a−b面(すなわち、グラフェン層の平面)におけるナノグラファイト板の寸法は任意の大きさであり得るが、一般的に、10ナノメートル台〜100ナノメートル台程度である。好適にはナノグラファイト板は、a−b面前面において約100nm未満である。
【0076】
炭素主体構造106(例えば、ナノワイヤおよび/またはナノグラファイト板)は、一般的に、コア102および炭素主体層104から約1nm〜約500nm、好適には数nm〜10nm台程度、またはさらに数百nmの距離離れたところまで延びている。炭素主体構造106は、コア102の長軸(すなわち、ナノワイヤの長軸)に対して0°〜90°の任意の角度で配向され得る。好適には、炭素主体構造106は、コア102の軸に対して法線方向に約45°〜約90°の角度である。図1Bは、炭素主体層104およびコア102から延びている炭素主体構造106(ナノグラファイト板の形態)の高倍率のTEMを示す。ナノグラファイト板の多層のグラフェンシートが見られ得る。
【0077】
図2は、コア102、炭素主体層104(界面炭化物層の形態)および炭素主体構造106(ナノグラファイト板の形態)を備える代表的なナノワイヤ構造100のX線回折パターンを示す。このx線解析に用いたナノワイヤ構造は、酸化タングステン(WO3)コートシリコンナノワイヤを用いて作製し、メタン含有ガス(例示的な作製の実施例のセクション参照)と接触させた。グラファイト(C)、シリコン(Si)、炭化ケイ素(SiC)および炭化タングステン(WC)の存在は、シリコンコア、炭化ケイ素界面層およびグラファイト(グラフェン)ナノグラファイト板(1つまたは複数)の存在を示す回折ピークにおいて検出される。
【0078】
別の実施形態において、図3Aおよび3Bに示すように、本発明は、ナノグラファイト板の形態で、種々のナノワイヤコアに結合された炭素主体構造106によりナノワイヤ構造100が接続された複数のナノワイヤ構造100を含む相互接続型ナノワイヤネットワーク300を提供する。複数のコア102を炭素含有ガスと、炭素主体層104(例えば、界面炭化物層)および炭素主体構造106がナノグラファイト板として形成されるのに好都合な条件(例えば、高温)下で接触させると、相互接続型ナノワイヤネットワーク300が形成される。炭素主体構造106はナノグラファイト板の形態で作製されるため、グラフェンは、重複するまで、または多くの場合、隣接する炭素主体層104(例えば、界面炭化物層)および/またはナノグラファイト板の形態(firm)の他の炭素主体構造106と相互接続および/または結合するまで、隣接するコア102から離れてa−b方向に延びる。得られる相互接続型ナノワイヤネットワーク300は、走査型電子顕微鏡写真(SEM)(図3A)および高倍率のSEM(図3B)に示されるように、ナノワイヤおよび相互接続ナノグラファイト板の高密度に充填された配列を有する。この高密度に充填されたナノワイヤ構造は、相互接続ナノグラファイト板とともにまたはそれらなしで、本文中では「鳥の巣(bird’s nest)」構造とも称する。この配列は、ナノワイヤとナノグラファイト板間の細孔径が好適にはメソ孔である多孔質構造の形態をとる。本明細書で用いる場合、用語「メソ孔」は、ミクロ孔(ミクロ孔は約2nm未満の直径と規定する)よりも大きいが、マクロ孔(マクロ孔は約50nmより大きい直径と規定する)よりも小さく、したがって、約2nmより大きく約50nm未満の範囲の直径の孔径を有する細孔をいう。好適には、相互接続型ナノワイヤネットワーク300は、実質的にミクロ孔がない、すなわち、約0.1%未満の細孔がミクロ孔(すなわち、約2nm未満の直径)である。
【0079】
相互接続型ナノワイヤネットワーク300によって形成されるメソポーラス材料は、膜、粒子または他の同様の多孔質構造の形態をとり得る。膜の形態では、メソポーラス材料は、一般的に、適切な大きさに切断および成形された適当な容積のネットワークを含む相互接続型ナノワイヤネットワーク300の層である。該膜は、最終の適用用途に応じて出発材料の量ならびに反応の温度および時間(当業者によって容易に決定され得る)を変更することにより、任意の全厚で作製され得る。一般的に、メソポーラス材料の厚さは、10ナノメートル台〜100ナノメートル台程度から、最終の所望される適用用途に応じて数ミクロン、さらにミリメートルまでである。
【0080】
メソポーラス材料の粒子の作出は、相互接続型ナノワイヤ構造300を、各々がメソポーラス材料ネットワークを含む小片に粉砕、切断あるいは破断することにより行なわれ得る。相互接続型ナノワイヤ構造300を粉砕、切断あるいは破断するための手法およびデバイスは、当業者によく知られており、容易に利用可能である(例えば、乳鉢および乳棒、回転式粉砕機、タンブラーなど)。このような粒子は、次いで、最終の所望される適用用途に応じて一定の大きさだけの粒子が使用されるように、適切に濾過または選択され得る。
【0081】
別の実施形態において、図1Aに関する図4のフローチャート400に示すように、本発明はまた、ナノワイヤ構造100の製造方法を提供する。図4の工程402では、ナノワイヤコア102を加熱する。図4の工程404では、ナノワイヤコア102を1種類以上の炭素含有ガスと接触させ、炭素主体層104(例えば、界面炭化物層)をナノワイヤコア102上に形成させる。本発明の製造方法はまた、少なくとも1つの炭素主体構造106(例えば、ナノワイヤおよび/またはナノグラファイト板)が炭素主体層104上に形成される図4の工程406をさらに含み得る。
【0082】
加熱工程402は、一般的に、コア102を約400℃より高い、より好適には約600℃より高い、最も好適には約600℃〜約1300℃の温度まで加熱することを含む。本文中に記載するように、接触工程404は、コア102を炭素含有ガス、例えば、一酸化炭素、メタン、エタン、プロパン、ブタン、エチレンまたはプロピレンなどと接触させることを含む。図4の工程410に示すように、ナノワイヤコア102はまた、該プロセスにおいてあまりに早く炭素がガス相から析出するのを抑制するために該ガス混合物の分圧を維持するのを補助する希ガスまたは類似するガス(例えば、He、Ne、Ar、Kr、Xe、H2など)と接触させてもよい。
【0083】
フローチャート400はまた、加熱工程402の際に用いられる第1の温度に加えて第2の温度までナノワイヤコア102を加熱する任意選択の工程408を含み得る。任意選択の加熱工程408では、コア102上に形成されたナノワイヤコア102および炭素主体層104が、炭素主体構造106(例えば、ナノグラファイト板および/またはナノワイヤ)の形成を可能にするか、または場合によっては増強するより高い第2の温度まで加熱され得る。この第2の加熱工程408では、好適には、コア102および炭素主体層104の温度が約800℃より高く、より好適には約1000℃より高く、例えば約1200〜1300℃まで上昇される。
【0084】
図4のフローチャート400はまた、加熱工程402の前に、前駆体コーティングをナノワイヤコア102上に形成させる工程412をさらに含み得る。ナノワイヤコア102上に形成され得る前駆体コーティングの例としては、酸化物、例えば限定されないが、TiO2、ZrO2、HfO2、Nb2O3、Ta2O5、MoO3およびWO3が挙げられる。
【0085】
本発明の別の実施形態において、図1および3Aに関する図5のフローチャート500に示すように、本発明はまた、相互接続型ナノワイヤネットワーク300(または鳥の巣構造)の製造方法を提供する。図5の工程502では、複数のナノワイヤコア102が液体中に分散される。コアと相互作用しない任意の適当な液体、例えば、水または種々のアルコールが使用され得る。工程504では、ナノワイヤコア102が、例えば、分散されたナノワイヤコアを濾過漏斗または同様のデバイスに配置して通して該液体をナノワイヤコアから除去することにより濾過され、それにより、ナノワイヤマット(図示せず)が形成される。次いで、ナノワイヤマットは乾燥され得る。分散502工程および濾過504工程により、ナノワイヤコア102のランダム化が補助され、炭素主体構造106、好適にはナノグラファイト板の作製の前にナノワイヤコア102の分散されたランダム配列を作出することによる相互接続ネットワーク300の作製が補助される。この分散および濾過は、相互接続型ナノワイヤネットワーク300を含む膜構造を作製する場合、特に有用である。本明細書で用いる場合、用語「ナノワイヤマット」は、ナノワイヤがランダム化されるように濾過された複数のナノワイヤ(すなわち、1つより多い)をいう。例えば、ナノワイヤワイヤマットは、実質的に平面構造に置かれるかまたは配設され、次いで相互接続型ナノワイヤネットワーク300を形成するために使用され得るランダムに配向された複数のナノワイヤを含むものである。図5の工程506では、ナノワイヤマットが次いで加熱される。図5の工程508では、ナノワイヤマットを炭素含有ガスと接触させ、コア102上に炭素主体層104、好適には界面炭化物層が形成される。図4の工程510では、炭素主体構造106、好適にはナノグラファイト板が該界面炭化物層上に形成され、その結果、該板がナノワイヤコア102を相互接続し、相互接続型ナノワイヤネットワーク300が作製される。
【0086】
加熱工程506は、一般的に、該ナノワイヤマットを約400℃より高い、より好適には約600℃より高い、最も好適には約600℃〜約1300℃の温度まで加熱することを含む。本文中に記載するように、接触工程508は、ナノワイヤマットを炭素含有ガス、例えば、一酸化炭素、メタン、エタン、プロパン、ブタン、エチレンまたはプロピレンなどと接触させることを含む。図5の工程514に示すように、ナノワイヤマットはまた、希ガスまたは類似するガス(例えば、H、He、Ne、Ar、Kr、Xe、H2など)と接触させてもよい。
【0087】
フローチャート500はまた、加熱工程506の際に用いられる第1の温度に加えて第2の温度まで該ナノワイヤマットを加熱する任意選択の工程512を含み得る。任意選択の加熱工程512では、コア102上に形成されたナノワイヤマットおよび炭素主体層104が、ナノグラファイト板(またはナノワイヤ)の形成を可能にするか、または場合によっては増強するより高い第2の温度まで加熱され得る。この第2の加熱工程512では、好適には、該マット、コアおよび界面炭化物層の温度が、約800℃より高く、より好適には約1000℃より高く、例えば約1200〜1300℃まで上昇される。
【0088】
図5のフローチャート500はまた、加熱工程506の前、好適には分散工程502の前に、前駆体コーティングをナノワイヤコア102上に形成させる工程516をさらに含み得る。ナノワイヤコア上に作製され得る前駆体コーティングの例としては、酸化物、例えば限定されないが、TiO2、ZrO2、HfO2、Nb2O3、Ta2O5、MoO3およびWO3が挙げられる。
ナノワイヤ構造および相互接続型ナノワイヤネットワークの適用用途
自立構造の(free standing)ナノワイヤ構造100および相互接続型ナノワイヤネットワーク300の形成を上記において詳細に説明したが、かかるナノワイヤおよびネットワークはまた、担持体表面上にも形成され得ることは、当業者に容易に自明となろう。例えば、ナノワイヤおよびネットワークは、従来の繊維ネットワーク、平坦もしくは不規則な表面または発泡体構造の表面上に形成され得る。
燃料適用用途
本発明のナノワイヤ構造および相互接続型ナノワイヤネットワークはまた、種々の燃料電池の適用用途および立体構造においても使用され得る。例えば、ナノワイヤまたは相互接続型ナノワイヤネットワークおよび該ナノワイヤの表面/ネットワーク上に分散された活性触媒性ナノ粒子を含む触媒が作製され得る。例示的な触媒性ナノ粒子としては、限定されないが、Pt、Pd、Ru、Rh、Re、No、Fe、Co、Ag、Au、Cu、ZnおよびSn、ならびにかかる元素の2種類以上を含む金属合金ナノ粒子が挙げられる。このような触媒は、燃料電池カソードとして使用され得、例えば、ナノワイヤまたは相互接続型ナノワイヤネットワークおよび約2nm〜約10nm、もしくはより好適には約3nm〜約5nmの直径を有する触媒性Ptナノ粒子を含むカソードが作製され得る。該触媒はまた、例えば、約2nm〜約10nm、またはより好適には約3nm〜約5nm程度の直径を有する触媒性Pt−Ruナノ粒子を用いることにより、燃料電池アノードとしても使用され得る。例示的なアノード触媒では、Pt−RUナノ粒子は、約0.1〜約20、またはより好適には約1〜約3のPt:Ru原子比を有する。
【0089】
本発明はまた、本明細書に記載のカソード触媒およびアノード触媒、ならびにまた膜(例えば、NAFION(登録商標)膜、DuPont、Wilmington、DE)も備える膜電極アセンブリ(MEA)を提供する。かかるMEAは、当該技術分野でよく知られた方法、例えば、米国特許第6,933,033号;同第6,926,985号;および同第6,875,537号(その各々の開示は、引用によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載のものなどを用いて構築され得る。例示的な実施形態において、膜は、カソード触媒を有する一方の側面上およびアノード触媒を有する他方の側面上に配設される。かかるMEA、ならびにガス拡散層(例えば、炭素繊維クロス)、双極極板および端板(例えば、機械加工グラファイトまたは成型導電性ポリマー複合材料)を備える燃料電池もまた構築され得、当該技術分野でよく知られている。本明細書に開示されたナノワイヤおよび相互接続型ナノワイヤネットワークを用いて構築され得る例示的な燃料電池としては、交換促進(proexchange)膜燃料電池(PEMF)および直接メタノール型燃料電池(DMFC)が挙げられる。ナノワイヤおよび相互接続型ナノワイヤネットワークはまた、例えば、リチウム電池および電気化学的キャパシタにおける使用のためのアノードおよびカソードを作製するために使用され得る。かかる電池およびキャパシタの構成要素および構築は、当該技術分野でよく知られている。
【0090】
本発明の一実施形態において、本発明のアノード(および/またはカソード)電極のナノワイヤ部分は、成長基板上で合成され、次いで、燃料電池の膜電極アセンブリ構造内に移され、組み込まれ得る。例えば、特定のある態様では、無機系半導体または半導体酸化物ナノワイヤを成長基板の表面上で、本明細書に記載および当該技術分野で知られたコロイド状触媒に基づくVLS合成法を用いて成長させる。この合成手法によれば、コロイド状触媒(例えば、金、白金などの粒子)を基板の所望の表面上に堆積させる。コロイド状触媒を含む基板を、次いで、基板表面に結合されたナノワイヤが作製される合成プロセスに供する。他の合成方法としては、基板表面上に堆積させた触媒薄膜(例えば、50nm以下)の使用が挙げられる。次いで、VLSプロセスの熱により膜が融解し、ナノワイヤを構成する触媒の小滴が形成される。典型的には、この後者の方法は、繊維の直径の均一性が、最終の適用用途に対してあまり決定的でない場合に使用され得る。典型的には、成長触媒は、金属、例えば、金または白金を含むものであり、基板表面上に電解めっきもしくは蒸着され得るか、または任意のいくつかの他のよく知られた金属堆積手法、例えば、スパッタリングなどにおいて堆積され得る。コロイド堆積の場合では、コロイドは、典型的には、まず基板表面をコロイドが該表面に付着するように処理することにより堆積させる。かかる処理としては、先に詳細に記載したもの、すなわち、ポリリシン処理などが挙げられる。表面処理された基板を、次いで、コロイドの懸濁液中に浸漬する。
【0091】
ナノワイヤを成長させた後、ナノワイヤは、次いで、その合成位置から回収される。自立構造のナノワイヤは、次いで、例えば、噴霧/ブラシ塗装、溶液コーティング、流延、電析、ナノワイヤの流動性懸濁液の濾過およびその組合せによって、燃料電池の構成要素、例えば、双極極板(1つもしくは複数)またはプロトン交換膜などの関連表面内に導入されるか、または該表面上に堆積される。例えば、かかる堆積は、単に、対象の構成要素(例えば、双極極板またはプロトン交換膜の1つ以上)をかかるナノワイヤの懸濁液中に浸漬することを伴うものであってもよく、該構成要素の全部または一部を前処理し、表面または一部の表面をワイヤ結合のために官能性付与することをさらに伴うものであってもよい。本明細書に記載のように、ナノワイヤはまた、溶液(例えば、メタノールまたは水)中に導入、濾過(例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜にて真空濾過)して緻密な相互絡合型マットまたは「鳥の巣構造」とし、乾燥および洗浄後にフィルターから取り出し、次いで、高温熱処理(例えば、アニール)してもよい。得られたナノワイヤの多孔質シートは(ナノグラファイト板と相互接続されたもの、そうでないもの(note)いずれも)、次いで、燃料電池の膜電極アセンブリ内に組み込まれ得る。例えば、米国特許出願公開公報第20050066883号(2005年3月31日公開)、および米国特許第6,962,823号(その全開示は、引用によりその全体があらゆる目的のために本明細書に組み込まれる)に記載されているようなさまざまな他の堆積方法もまた使用され得る。また、ナノワイヤは、燃料電池の構成要素の1つ以上、例えば、双極極板および/またはプロトン交換膜の1つ以上の上面で直接成長させてもよい。
【0092】
典型的には、図6に示すように、燃料電池600は、一般的に、アノード電極602、カソード電極604およびプロトン交換膜(PEM)606を備える。このような3つの構成要素のアセンブリは、一般的に、膜電極アセンブリ(MEA)と称される。前述のように、メタノールが燃料として使用される場合では、液体のメタノール(CH3OH)がアノード602で水の存在下にて酸化されて、CO2、水素イオンおよび電子が生成し、電子は、燃料電池の電気的出力として外部回路608を通って移動する。水素イオンは、電解質膜606を通って移動し、空気中の酸素および外部回路608からの電子と反応してカソードで水が形成され、回路が完成する。アノード電極およびカソード電極602,604は各々、それぞれの双極極板610,612に接触する。双極極板610,612は、典型的には、その表面内に、燃料およびオキシダントをそのそれぞれの触媒電極に分布させ、廃棄物、例えば水およびCO2を排出させるチャネルおよび/または溝を有し、また、熱伝達のためのコンジット(conduit)も含むことがあり得る。典型的には、双極極板は高度に導電性であり、グラファイト、金属、導電性ポリマーならびにその合金および複合材料で作製されたものであり得る。ステンレス鋼、アルミニウム合金、炭素および複合材料などの材料(コーティングありまたはなし)は、PEM燃料電池の双極端板に対する良好で実施可能な選択肢である。双極極板はまた、その複合構造内に組み込まれた高度に導電性または半導体性のナノワイヤ(例えば、金属、導電性ポリマーなど)を含む複合材料から形成され得る。燃料電池の構成要素の形状および大きさは、具体的な設計に応じて、広範囲で種々であり得る。
【0093】
本発明の一実施形態では、ナノワイヤを双極極板の1つ以上の上面に堆積(例えば、成長)させ、内部を通過するメタノール(または他の燃料電池のガスもしくは液体反応体)および廃棄生成物に対して低い流動抵抗を有する大表面積電極板を提供し得る。大表面積を有するナノワイヤ構造、ならびに種々の大表面積適用用途におけるかかるナノワイヤおよびナノワイヤ構造の使用のより完全な記載は、米国特許出願第10/792,402号、発明の名称「Nanofiber Surfaces for use in Enhanced Surface Area Applications 」(2004年3月2日出願)(その全内容は、引用により本明細書に組み込まれる)に示されている。
【0094】
現在、最も一般に使用されている電極触媒は、図7Aのアノード602の拡大図に示すような、電解質膜706中に分散された炭素粒子704(例えば、カーボンブラックで作製)上に担持されたPtまたはPt:Ru粒子702である。プロトン交換膜燃料電池(PEMFC)の商品化における課題の1つは、触媒として使用される貴金属(例えば、PtまたはRu)の高いコストである。Ptの利用効率を増大させることによりPEMFCに使用されるPtの量を低減することは、過去10年間において主な懸案事項の1つであった。Pt触媒を有効に利用するためには、Ptは、反応体ガス(または反応体の溶液もしくは液体)、電解質(例えば、プロトン伝導膜)および炭素粒子(例えば、電子伝導性部材)と同時接触を有するものであるのがよい。図7Bに示すように、燃料電池における有効な電極には、触媒層において、反応体ガス/液体、活性金属粒子、炭素担持体702,704および電解質706間の4相接触708が必要とされる。好ましい触媒層により、反応体ガス(例えば、メタノール、MeOH:H2O、水素および/または酸素)、溶液または液体の容易な輸送、電子と外部回路間およびプロトンとプロトン交換膜間の容易な輸送が可能になる。
【0095】
炭素粒子は電子を伝導し、パーフルオロスルホネートイオノマー(例えば、NAFION(登録商標))はプロトンを伝導する。前述のように、図7A〜Bに示すような従来の充填粒子複合体系では、外部回路および/またはPEMから独立した有意な部分のPt(またはPt:Ru)が存在、Pt利用が低くなる。例えば、現在の充填粒子複合体では、触媒粒子の約20〜30%しか利用されない。一部の触媒部位に到達可能でないことは、例えば、プロトン輸送のために必要な可溶化パーフルオロスルホネートイオノマー(例えば、NAFION(登録商標))の添加は、触媒層内の炭素粒子を洗い流すか、または隔離する傾向にあり、不充分な電子輸送がもたらされるという事実のためであり得る。したがって、充填粒子複合体構造を利用したほとんどのDMFCは、非常に非効率的である。
【0096】
その特異な構造的、機械的および電気的特性のため、本出願の発明者らは、ナノワイヤが、触媒担持体および電子伝導媒体としてPEMFCにおける従来の炭素粒子と置き換えてMEAを作製するために使用され得ることを見出した。ナノワイヤ、例えば、SiCまたはGaNなどのナノワイヤ上への表面官能基の生成は、比較的容易であるため、Ptおよび/またはPt:Ruなどの触媒ナノ粒子(ならびにプロトン伝導性ポリマー(例えば、NAFION(登録商標)))は、ナノワイヤ上に、例えば粒子の凝集なく容易に堆積され得る。各触媒粒子は、次いで、ナノワイヤコアを介してアノード(およびカソード)に直接接続される。相互接続型ナノワイヤの多重電気的伝導性により、Ptから電子伝導層への電子の経路が確保される。ナノワイヤの使用およびその結果の電子の経路の道が保証されることによって、プロトン伝導媒体(例えば、NAFION(登録商標))により電極層内の炭素粒子が隔離される従来のPEMFCストラテジーに伴う前述の問題が排除される。炭素粒子担持電極層の隔離が排除されることにより、Ptの利用率が改善される。
【0097】
次に、図8Aに関して示されるように、アノード双極電極板802、カソード双極電極板804、プロトン交換膜806、アノード電極808、カソード電極810、ならびに燃料電池の一方側のアノード電極808およびカソード電極810と、他方側のプロトン交換膜806との間に位置するナノワイヤ812の相互接続ネットワークを含むナノワイヤ主体型燃料電池を示す。一般的に、図8Aに示すような燃料電池またはMEAを複数合わせ、例えば図8Bに示すような、別々のアノード電極808,820と、それぞれのプロトン交換膜806および806’によってそれぞれ隔離されたカソード電極810,822とを有する燃料電池積層体が形成され得る。該積層体内のセルは、双極極板802,804,818および824のため直列に接続され、その結果、個々の燃料電池の電圧は相加される。
【0098】
図8A、9Aおよび図10のSEM画像に示すように、ナノワイヤネットワーク812内のナノワイヤ816は各々、該ネットワーク内の1つ以上の他のワイヤに物理的および/または電気的に接続されて開放型の高度に分岐した多孔質、相互絡合型構造が形成され、これは、反応体および廃物拡散に対する拡散抵抗性が全体的に低く、高い構造安定性および高い触媒効率が確保される電子に対する高い電気的伝導性を有し、したがって高い出力密度および低い総コストがもたらされる。2つのワイヤが互いに(または触媒粒子と)実際には直接物理的に接触していない場合であっても、ある程度短い間隔離れているとき、これらが依然として電荷を移動させ得る(例えば、電気的接触状態であり得る)ことが考えられ得ることに注意するのは重要である。優先的には、各ナノワイヤは、そのネットワーク内の少なくとも1つまたはそれ以上の他のナノワイヤに物理的および/または電気的に接続されている。ナノワイヤの多重伝導性により、例えば、1つのワイヤが系内で破断または損傷した場合、該ワイヤに沿ったすべての点は依然として異なる経路に沿って(例えば、ネットワーク内の他のナノワイヤを介して)アノード(またはカソード)電極に接続されることが確保される。これにより、以前の充填粒子複合体構造と比べると、相当改善された電気的伝導性および安定性が提供される。該ワイヤは、アノード(およびカソード)双極極板とプロトン交換膜との間に全体(または一部)に広がっていることがあり得る。該ワイヤが双極極板と膜間全体に広がっていない場合、該ワイヤは、双極極板から膜に向かって広がっているが膜に達していない状態であり得、ポリマー電解質は、膜から双極極板に向かって広がっているが双極極板に達していない状態であり得(しかし、その逆ではない)、電子がアノードに効率的に伝達され、プロトンがカソードに向かって伝達されることが確保される。
【0099】
ナノワイヤネットワーク内のナノワイヤは、任意選択で分岐構造を有するものであり得、図11および図12のSEM画像に示すようなナノワイヤの側面から延びている複数の小節1100を含む。ナノワイヤコアの両側面上の小節1100により、ナノワイヤネットワークの伝導度または多孔度に実質的に影響を及ぼすことなく、触媒作用に利用可能な表面積がさらに増大され得る。
【0100】
ナノワイヤ816は、分岐型ナノワイヤネットワーク内のナノワイヤの表面をコートしてプロトン(例えば、H+)輸送のために充分な接触点を提供するポリマー電解質材料815中に分散されている(例えば、図9A参照)。ポリマー電解質は、さまざまなポリマー、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリ(エチレンスクシネート)、ポリ(β−プロピオラクトン)、およびスルホン化フルオロポリマー(例えば、NAFION(登録商標)(DuPont Chemicals、Wilmingtonから市販)など)で作製されたものであり得る。好適なカチオン交換膜は、例えば、米国特許第5,399,184号(その開示は引用により本明細書に組み込まれる)に記載されている。あるいはまた、プロトン伝導性膜は、多孔質微構造を有する発泡膜であり得、この場合、イオン交換材料が該膜に含浸し、膜の内容積に有効に充填される。米国特許第5,635,041号(引用により本明細書に組み込まれる)には、発泡ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から形成されたかかる膜が記載されている。発泡PTFE膜は、小繊維によって相互接続された節の微構造を有する。同様の構造が、米国特許第4,849,311号(その開示は引用により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0101】
相互接続型ナノワイヤネットワークの多孔質構造は、ナノワイヤ816上に堆積された触媒(例えば、触媒粒子814)への燃料電池の反応体の開放型(非迂遠な)拡散経路を提供する。相互接続型ナノワイヤ間の空隙の空間により高度に多孔性の構造が形成される。有効孔径は、一般的に、ナノワイヤ集団の密度および電解質層の厚さ、ならびにある程度、使用されるナノワイヤの幅に依存する。このようなパラメータはすべて、所望の有効多孔度を有するナノワイヤネットワークを得るために容易に変更される。例えば、好ましいナノワイヤネットワークは、充分な電気的導電性および機械的強度を維持したまま、反応体の均一な流動をもたらすのに充分な多孔度を有する。また、ナノワイヤネットワークの多孔性により、気泡内の水の管理がもたらされる。分岐型ナノワイヤネットワークは、好ましくは、水の凝縮(これは、該ネットワークの細孔を閉塞し、蒸気輸送を妨げ得る)のための部位を提供することなく、燃料ガスおよび水蒸気がその内部を通過するのに充分に多孔質である。平均孔径は、一般的に、約0.002ミクロン〜約10.0ミクロン、例えば約1μm未満、例えば約0.2μm未満、例えば約0.02μm未満、例えば約0.002μm〜0.02μm、例えば約0.005〜0.01μmの範囲である。分岐型ナノワイヤ構造の総多孔度は、約30%〜95%、例えば、例えば約40%〜60%に容易に制御され得るが、アノード電極およびカソード電極への電気的伝導性は依然として確保される。
【0102】
相互接続型ナノワイヤネットワーク812を構成するナノワイヤ816は、任意選択で、種々のワイヤが互いに接触してより安定で頑強で潜在的に剛性の膜電極アセンブリがもたらされる点で融合または架橋させてもよい。ナノワイヤはまた、下層のナノワイヤを架橋させるため、化学的架橋を形成し得る表面化学反応基を含むものであってもよい。例えば、ナノワイヤは、その交差点(cross−point)に少量の導電性または半導体材料を堆積させることにより互いに架橋または融合させ得る。例えば、SiCナノワイヤ(または、例えば、SiCシェル層を有するカーボンナノチューブナノワイヤ)は、その交差点にアモルファスまたは多結晶性のSiCを堆積させることにより架橋され得る。図13は、その交差点でのポリシリコンの堆積を用いて互いに融合された複数のシリコンナノワイヤを示すSEM顕微鏡写真である。当業者には、他の金属、半金属、半導体および半導体酸化物を用いてもこのような交差点での架橋が行なわれ得ることが認識されよう。
【0103】
本発明の別の態様において、図9Bに関して示すように、ナノワイヤ816’は、該整列されたワイヤ間の自由空間同士の間に散在した電解質815’を有する整列されたワイヤの平行なアレイとして提供され得る。本発明のこの特別な実施において、ナノワイヤの平行なアレイは、好ましくは、インサイチュで、例えば、双極電極板(1つまたは複数)802および/または804(および/またはプロトン交換膜806)の表面上で合成させる。図8A、9Aおよび10に示し、上記に記載のワイヤ816のランダムに配向された相互接続ネットワーク812もまた、インサイチュで直接、双極極板802,804(および/またはプロトン交換膜)上に、本明細書に記載の手法を用いて成長させ得ることは理解されよう。例えば、無機系半導体または半導体酸化物ナノワイヤを、直接電極板の表面上で、本明細書に記載のコロイド状触媒系VLS合成法を用いて成長させ得る。この合成手法により、コロイド状触媒が双極極板の所望の表面上に堆積される。コロイド状触媒を含む双極極板を、次いで、該極板表面に結合されたナノワイヤが作製される合成プロセスに供する。他の合成方法としては、双極極板の表面上に堆積させた触媒薄膜(例えば、50nm以下)の使用が挙げられる。次いで、VLSプロセスの熱により膜が融解し、ナノワイヤを構成する触媒の小滴が形成される。典型的には、この後者の方法は、ワイヤの直径の均一性が、最終の適用用途に対してあまり決定的でない場合に使用され得る。典型的には、触媒は、金属、例えば、金または白金を含むものであり、電極板の表面上に電解めっきもしくは蒸着され得るか、または任意のいくつかの他のよく知られた金属堆積手法、例えば、スパッタリングなどにおいて堆積され得る。コロイド堆積の場合では、コロイドは、典型的には、まず電極板の表面をコロイドが該表面に付着するように処理することにより堆積させる。表面処理された電極板を、次いで、コロイドの懸濁液中に浸漬する。
【0104】
本発明の別の態様において、アノード電極808(およびカソード電極810)は、任意のさまざまな固形または半固形材料、例えば、有機材料(例えば、導電性ポリマー、炭素シートなど)、無機系材料(例えば、半導体、金などの金属、半金属)、ならびにこれらのいずれかまたはすべての複合材料で作製された導電性のグリッドまたはメッシュを含むものであってもよく、その上面にはナノワイヤ816が結合され得るが、内部全体には孔が存在する。かかるメッシュにより、容易に入手可能な商業的形式で、充分規定されたスクリーン/細孔およびワイヤサイズを有する比較的一様な表面が提供される。多種多様な金属メッシュが、さまざまなかかるスクリーン/細孔およびワイヤサイズで容易に市販品として入手可能である。あるいはまた、金属基板は、有孔板、例えば、全体に複数の孔が形成された充実金属シートとして提供され得る。金属板内への複数の孔の形成は、任意のいくつかの手段によって行なわれ得る。例えば、比較的小さい孔(例えば、100μm未満の直径)は、リソグラフィー、好ましくはフォトリソグラフィー手法を用いて形成され得る。同様に、かかる孔は、レーザー系手法、例えば、アブレーション、レーザードリリングなどを用いて形成され得る。大きな孔(例えば、50μmより大きく100μmまで)では、より従来型の金属加工手法、例えば、スタンピング、ドリリングなどが使用され得る。形成されると、本明細書に開示された方法によって上面に形成または堆積させたナノワイヤを有する金属グリッドまたはメッシュは、プロトン交換膜、双極極板(1つもしくは複数)上に堆積させ得るか、または1つ以上の電極層内に包埋させ得、効率的な触媒作用のための大表面積ナノワイヤ触媒担持体が結合された多孔質ネットワークが得られる。上面に堆積されたナノワイヤを有し、本発明において使用され得るさまざまなグリッドまたはメッシュの他の例は、米国特許出願第10/941,746号、発明の名称「Porous Substrates、Articles、Systems and Compositions Comprising Nanofibers and Methods of Their Use and Production」(2004年9月15日に出願)(その全開示は、引用により本明細書に組み込まれる)に充分に開示されている。
【0105】
したがって、本明細書に記載の任意の方法によって形成されるナノワイヤネットワークは、例えばナノワイヤ上にコートまたは堆積され得るその後の金属(例えば、白金、ルテニウム、金または他の金属)触媒のための担持体として使用される。例えば、図14を参照。燃料電池用に適切な触媒は、一般的に、選択された反応体に依存する。例えば、金属触媒(また、本文中では触媒金属ともいう)は、限定されないが、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、金(Au)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、マンガン(Mn)、テクネチウム(Tc)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、銅(Cu)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、アルミニウム(Al)ならびにその組合せおよび合金(例えば、バイメタルPt:Ruナノ粒子など)の1種類以上を含む群から選択され得る。水素またはメタノール燃料の酸化に好適な触媒材料としては、具体的には、例えば、Pd、Pt、Ru、Rhおよびその合金などの金属が挙げられる。
【0106】
図15Aは、約1.61±0.31nmの平均直径を有し、本発明に従って作製された白金(Pt)ナノ粒子の透過型電子顕微鏡写真(TEM)を示す。図15Bは、このナノ粒子のX線回折パターンを示す。X線回折は、2θ目盛上の45°の値で特性ピークを示し、ナノ粒子が結晶化白金金属であることを示す。
【0107】
図16Aは、約1.66±0.33nmの平均直径を有し、本発明に従って作製された白金−ルテニウム(Pt−Ru)合金ナノ粒子のTEMを示す。図16BのX線回折は、2θ目盛上の45°の値でピークを示し、ナノ粒子が結晶化Pt−Ru合金であることを示す。
【0108】
金属触媒は、薄膜(例えば、約10オングストローム未満の厚さ)(または一連の触媒粒子)として、さまざまな触媒堆積手法、例えば、化学気相蒸着、電着(例えば、電解めっきまたは無電解化学的めっき)、物理気相蒸着、溶液含浸および析出、コロイド粒子の吸収および堆積、原子層堆積、ならびにその組合せを用いて、ナノワイヤ表面上に堆積、あるいは該表面と会合させ得る。本明細書に記載の方法によってコートされる触媒金属の量は、触媒金属およびナノワイヤ材料の総量に対して、好ましくは重量基準で約0.5%〜85%、好適には約10%〜85%、より好適には約20〜40重量%の範囲である。
【0109】
あるいはまた、一実施形態において、図8Aおよび9A〜Bに関して示すように、触媒は、ナノワイヤ表面上に、複数のナノメートルサイズの金属触媒粒子814(例えば、約1〜50nmの直径、例えば約10nm未満の直径、例えば約1〜5nmの直径)を溶液状で堆積させ得る。ナノワイヤの外面を1つ以上の官能性リンカー部分(例えば、化学的に反応性の基)、例えば、1つ以上のカルボン酸基、硝酸基、ヒドロキシル基、アミン基、スルホン酸基などで誘導体化することにより、ナノ粒子がナノワイヤの表面に結合する。触媒粒子(または膜)は該ワイヤに、均一または非均一のいずれかで結合され得る。触媒粒子は、球形、半球形または非球形であり得る。触媒粒子は、ナノワイヤの表面上で島を形成していてもよく、ナノワイヤの表面で連続コーティング、例えば、コアシェル配列、またはナノワイヤの長さに沿って縞もしくは環状などを形成していてもよい。触媒粒子は、ナノワイヤネットワークが燃料電池のMEAに組み込まれる/堆積させる前または後にナノワイヤ表面に結合され得る。一実施形態において、触媒粒子は、約50%未満、例えば約30%未満、例えば約20%未満の均一な粒径分布を有する触媒粒子の集団から選択され得る。
【0110】
図17は、カーボンブラック−Cabot VULCAN(登録商標)XC72の表面上に担持されたPt−Ru合金ナノ粒子の2つのTEM画像(110,000倍の倍率(左画像)および67,044倍の倍率(右画像))を示し、凝集が観察され得ることなく、カーボンブラック表面上でのナノ粒子の均一な分布を示す。カーボンブラック上に堆積された量対表面に添加された合金の量の測定により、Pt−Ru合金の約24.3%の負荷効率が示された。
【0111】
図18は、本発明に従って作製された炭素担持Pt−Ru触媒で記録したX線回折パターン(上側曲線)を、市販のPt−Ru触媒(下側曲線)と比較して示す。本発明の触媒の方が相対強度が低く2θの位置が大きいこと(すなわち、市販の触媒が40°付近に対して45°付近)は、製作されたナノ粒子の直径がより小さいことによるものであった。
【0112】
図19は、本発明の方法によって作製し、Siナノワイヤ上に堆積させたPtナノ粒子のTEMを示す。
【0113】
図20は、ナノグラファイトコートSiナノワイヤの表面上のPt−Ruナノ粒子の堆積のTEM画像を示す(110,000倍の倍率(左画像)および330,000倍の倍率(右画像))。ナノワイヤを炭素でコートする際、上記のカーボンブラック上にナノ粒子を堆積させるために使用される堆積方法を用いた。図20のTEM画像は、1.67nmのPt−Ruナノ粒子がナノグラファイトコートナノワイヤ上に高密度で堆積された均一な堆積を示す。ナノワイヤ上に堆積されたナノ粒子の数を開始時の数と比較すると、約20%より高い堆積効率が示された。
【0114】
化学的リンカー分子を用いて触媒をナノワイヤに結合させる場合、化学的リンカーは、触媒とワイヤ間の電気的接続を促進するように選択され得るか、または化学的リンカーは、電気的接続を促進するために後で除去され得るものである。例えば、加熱、真空、化学薬品またはその組合せを、任意選択でナノワイヤに適用し、リンカー分子の除去を引き起こして触媒を該ワイヤと直接物理的接触させ、触媒粒子とナノワイヤ間に強固な(solid)電気的接続を形成させ得る。また、該構造は、触媒と該ワイヤ間の電気的接触を改善するために、これらを加熱して両者間の界面をアニールしてもよい。適切な温度および加熱条件は、当業者によく知られている。
【0115】
本発明はまた、ナノワイヤと会合した1種類以上の触媒金属を含む1つ以上のナノワイヤの作製方法を提供する。かかる方法の例示的な一実施形態を、図21のフローチャート2100に示す。好適には、図21に示すように、工程2102において、1つ以上のナノワイヤが溶液中に分散される。工程2104では、次いで、1種類以上の触媒金属が該溶液に添加され、工程2106では、該溶液を還流し、それにより、触媒金属がナノワイヤと会合した状態になる。好適には、触媒金属(meal)は、1種類以上の触媒金属ナノ粒子を含む溶液として添加される。本文中に記載するように、例示的な触媒金属としては、限定されないが、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、マンガン(Mn)、テクネチウム(Tc)、レニウム(Re)、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、アルミニウム(Al)およびその組合せが挙げられる。好適には、PtまたはPtRuが触媒金属として使用される。
【0116】
任意の適当な溶液がナノワイヤの分散に使用され得、次いで、その後に還流される。例示的な溶液としては、有機溶媒、例えば、エチレングリコール、ならびにアルコールおよび水系溶液などが挙げられる。
【0117】
本明細書で用いる場合、「還流すること」は、ナノワイヤ溶液に、これを沸騰させることにより揮発性の液体を該溶液から追い出し、触媒金属会合型ナノワイヤが、該ナノワイヤ溶液を加熱した容器内に残留するように熱を加えること(加熱すること)を意味する。例えば、還流することは、ナノワイヤ溶液を約10分間〜約100分間、好適には、約20、30、40、50、60、70、80または90分間、該溶液が沸騰する温度で加熱することを含み得る。典型的には、ナノワイヤの溶液は、約70℃〜約200℃、例えば約90℃、100℃、110℃、120℃、130℃、140℃、150℃、170℃または約190℃で沸騰する。
【0118】
本文中に記載するように、例示的な実施形態において、ナノワイヤは、該触媒金属に結合する少なくとも第1の官能基、例えば、硝酸、カルボン酸基、ヒドロキシル基、アミン基およびスルホン酸基で誘導体化される。
【0119】
ナノワイヤ溶液の還流後、図21に示すように、工程2108では、触媒金属会合型ナノワイヤを濾過して会合触媒金属を有する固形ナノワイヤの分散液を作製し、次いで、工程2110で乾燥させる。
【0120】
好適には、本発明の還流方法に用いられるナノワイヤは、本文中に記載する種々のナノワイヤ構造およびネットワークである。
【0121】
導電性の触媒粒子に加え、本発明に有用なナノワイヤ複合構造の物性を改変するために充填剤が使用され得る。適切な充填剤としては、例えば、シリカ(SiO2)、粉末ポリテトラフルオロエチレンおよびフッ化黒鉛(CFn)が挙げられる。該ポリマー膜は、好ましくは約20重量パーセントまでの充填剤、より好ましくは約2〜約10重量パーセントの充填剤を含むものであり得る。充填剤は、一般的に粒子の形態である。
【0122】
触媒の堆積後、プロトン伝導性ポリマー(例えば、NAFION(登録商標)など)が任意選択で、触媒粒子部位間のナノワイヤ表面上に、ナノワイヤの表面を、例えば電解質に優先的に結合するか、または一定したおよび/または制御された湿性(wetting)を促進する第2の官能基(触媒官能基(使用される場合)と異なる)で官能性付与することにより堆積され得る。該ポリマーは、ナノワイヤの表面上で連続膜または不連続膜のいずれであってもよい。例えば、ポリマー電解質は、ワイヤの表面上で均一な湿性状態であってもよく、ワイヤの長さに沿って点接触を形成したものであってもよい。ナノワイヤは、スルホン化炭化水素分子、フルオロカーボン分子、両方の型の分子の短鎖ポリマー、またはシラン化学反応基を介してナノワイヤ表面に結合され得る分枝炭化水素鎖で官能性付与され得る。当業者は、数多くの官能性付与基および官能性付与手法を熟知しており、これらが任意選択で本明細書において使用される(例えば、分離カラムの構築、バイオアッセイなどに使用されるのと同様のもの)。あるいはまた、化学的結合部分を介してナノワイヤにイオノマーを結合させる代わりに、ナノワイヤを、プロトン伝導性となるように直接官能性付与してもよい。例えば、ナノワイヤは、よく知られた官能性付与化学反応を用い、過フッ素化スルホン化炭化水素などの表面コーティングにより官能性付与され得る。
【0123】
例えば、関連部分および他の化学反応、ならびにその構築/使用方法に関する詳細は、例えば、Hermanson Bioconjugate Techniques Academic Press(1996)、Kirk−Othmer Concise Encyclopedia of Chemical Technology(1999)第4版、Graysonら(編)John Wiley & Sons、Inc.、New YorkおよびKirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology 第4版(1998および2000)、Graysonら(編)Wiley Merscience(印刷版)/John Wiley & Sons、Inc.(電子形式)を見るとよい。さらなる関連情報は、CRC Handbook of Chemistry and Physics(2003)第83版、CRC Pressを見るとよい。導電性コーティングおよび他のコーティング(これも、プラズマ法などによってナノワイヤ表面上に組み込まれ得る)に関する詳細は、H.S.Nalwa(編)、Handbook of Organic Conductive Molecules and Polymers、John Wiley & Sons 1997を見るとよい。また、「ORGANIC SPECIES THAT FACILITATE CHARGE TRANSFER TO/FROM NANOCRYST ALS」、米国特許第6,949,206号も参照のこと。例えば、官能性付与された表面へのさらなる部分のカップリングに関する有機化学反応基に関する詳細は、例えば、Greene(1981)Protective Groups in Organic Synthesis、John Wiley and Sons、New York、ならびにSchmidt(1996)Organic Chemistry Mosby、St Louis、MO、ならびにMarch’s Advanced Organic Chemistry Reactions、Mechanisms and Structure、第5版(2000)SmithおよびMarch、Wiley Interscience New York ISBN 0−471−58589−0、ならびに米国特許出願公開公報第20050181195号(2005年8月18日公開)を見るとよい。当業者は、多くの他の関連参考文献および本明細書における表面の官能性付与に従う(amenable)手法を熟知している。
【0124】
ポリマー電解質コーティングは、例えば、シラン基を介して直接ナノワイヤの表面に連結され得るか、またはリンカー結合基もしくはリンカー剤(例えば、置換シラン、ジアセチレン、アクリレート、アクリルアミド、ビニル、スチリル、酸化ケイ素、酸化ホウ素、酸化リン、N−(3−アミノプロピル)3−メルカプト−ベンズアミド、3−アミノプロピル−トリメトキシシラン、3−メルカプトプロピル−トリメトキシシラン、3−マレイミドプロピル−トリメトキシシラン、3−ヒドラジドプロピル−トリメトキシシラン、トリクロロ−パーフルオロオクチルシラン、ヒドロキシスクシンイミド、マレイミド、ハロアセチル、ヒドラジン、エチルジエチルアミノプロピルカルボジイミドなど)との連結化学反応(誘導体化)に関与する他の適切な化学的反応性基を介して連結され得る。他の表面官能性化学反応基(当業者(one or ordinary skill in the art)にはわかるであろうものなど)が使用され得る。
【0125】
また、可溶化パーフルオロスルホネートイオノマー(例えば、NAFION(登録商標))は、ナノワイヤ間の間隙内に配置され得る。ナノワイヤ複合構造(例えば、実施例のセクションに記載の方法によって作製された、例えば、相互接続型ナノワイヤの多孔質シートとして)は、インサイチュで双極極板および/またはプロトン交換膜の一方の上面に成長させない場合は、次いで、プロトン交換膜のいずれかの側面上の双極極板間に配置され得、該アセンブリをホットプレスし、本発明による完成された膜−電極アセンブリ燃料電池を形成する。プレス温度は、プロトン交換膜が、その温度範囲で、例えばNAFION(登録商標)では125℃で軟化するように決定される。圧力レベルは約200kgf/cm2である。燃料/酸素をアノード/カソード電極808,810の表面に効率的に分布させるため、従来の燃料電池において、燃料電池の一方側のアノード電極および双極極板と、他方側のカソード電極および双極極板との間に、典型的にはガス拡散層が必要とされる(図8参照)。典型的には、炭素繊維クロスがガス拡散層として使用される。本発明の相互接続ナノワイヤ複合膜電極触媒担持体アセンブリでは、ナノワイヤ主体型電極の卓越した構造のため、このガス拡散層は排除され得る。
【0126】
さらなる実施形態において、本発明は、コア、界面炭化物層および該界面炭化物層上に形成される炭素主体構造、ならびにカーボンブラックを備える1つ以上のナノワイヤを含む導電性複合材料を提供する。本文中に記載しているように、カーボンブラックは、石油製品の不完全燃焼により生成される材料をいう。カーボンブラックは、極めて大きな表面積対体積比を有するアモルファス炭素の形態である。本発明はまた、コア、界面炭化物層および該界面炭化物層上に形成される炭素主体構造、ならびにカーボンブラックを備える1つ以上のナノワイヤを含む多孔質触媒担持体を提供する。
【0127】
本文中に記載するように、好適には、炭素主体構造は、該界面炭化物層上に形成される少なくとも1つのナノグラファイト板を備える。導電性複合材料および多孔質触媒担持体における使用のための例示的なコアは、半導体材料、例えば、Si、B、SiCまたはGaNなどを含む。
【0128】
さらなる実施形態において、コアは、SiO2、Al2O3、TiO2、SnO2、ZrO2、HfO2およびTa2O5からなる群より選択される無機系酸化物;TiC、ZrC、HfC、NbC、WC、W2C、MoCおよびMo2Cからなる群より選択される無機系炭化物;またはTiN、ZrN、HfN、WN、MoNおよびBNからなる群より選択される無機系窒化物を含む。界面炭化物層の例としては、限定されないが、SiC、TiC、ZrC、HfC、NbC、WC、Mo2Cおよびその混合物が挙げられる。好適には、導電性複合材料における使用のためのナノワイヤは、約500nm未満の断面直径および約50nmより長い長さを有するコアを含む。
【0129】
本文中に記載するように、好適には、ナノワイヤは、コアから約1nm〜約100nmの距離離れたところまで延びており、少なくとも2〜15のグラフェン層を備え、コアの長軸に対して約0°〜約90°の角度で配向される少なくとも1つのナノグラファイト板を含む。
【0130】
好適には、本発明の多孔質触媒担持体は、約10μm未満、例えば約5μm未満、例えば約1μm未満、例えば約0.2μm未満、例えば、0.02μm未満、例えば約0.002μm〜0.02μm、例えば約0.005〜0.01μmの孔径分離れた1つ以上のナノワイヤを含む。多孔質触媒担持体の全体としての多孔度は、は、約30%より大きい、例えば約30%〜95%、例えば約40%〜60%であり得る。
【0131】
さらなる実施形態において、本発明は、コア、界面炭化物層および該界面炭化物層上に形成される炭素主体構造、カーボンブラック、ならびにナノワイヤおよび該カーボンブラックと会合した1種類以上の触媒金属(すなわち、該ナノワイヤと該カーボンブラックが触媒の複合担持体を提供する)を備える1つ以上のナノワイヤを含む触媒を提供する。本文中に記載するように、好適には、炭素主体構造は、該界面炭化物層上に形成される少なくとも1つのナノグラファイト板を備える。ナノワイヤコア、界面炭化物層、触媒金属およびナノグラファイト板の例示的な組成物および特性は本文中に開示しており、本発明の触媒に使用され得る。
シリコン台を基部とするマイクロ燃料電池
別の実施形態において、本発明は、本文中に記載するナノワイヤ、鳥の巣構造および相互接続型ナノワイヤネットワークを用いた、半導体ウェハ台(例えば、Si)を基部とするマイクロ燃料電池を提供する。該実施形態によれば、触媒ナノ粒子を有するナノグラファイトコートナノワイヤで構成された双極極板を備える一体型構造が、無機系担持体ウェハ、例えば半導体ウェハ上に作製される。例えば、図22に示すように、無機担持体ウェハまたは半導体ウェハ2202(例えば、高度にドープされたシリコンウェハ)を、適当なエッチャント、例えばNaOHを用いてエッチングし、工程2210では、それにより、1つ以上のチャネル2204が該ウェハの第1の表面上に作製される。本明細書で用いる場合、チャネルという用語は、溝(grove)、切り欠き、陥凹部、凹部または半導体ウェハの材料内に空隙をもたらす他の同様の構造を意味する。半導体ウェハは、約1mm厚、例えば、1mm厚のドープされたSiウェハであり得る。他の厚さおよび半導体ウェハ組成物もまた利用され得、これは当業者は自明であろう。エッチングされる半導体ウェハの表面は、一般的に、最も広い表面積を有する部分、すなわちウェハ全面である。図22に示すように、チャネル2204は、好適には、半導体ウェハの表面内に、蛇行状または他の適当な構成が作製されるようにエッチングされる。任意の数(すなわち、1、5、10、15、20など)または向きのチャネルがウェハ内に作製され得る。一般的に、チャネル2204は、数ミクロン〜数ミリメートル幅および数ミクロン〜数ミリメートル深さの程度のものである。チャネル2204は、図22では均一な構造で示されているが、該チャネルは、任意の適用用途に特異的な適当な形状または配列が採用され得る。半導体ウェハ2202の両面(すなわち、ウェハの互いに反対側である最も広い表面)をエッチングすることにより、ウェハ2202の両側にチャネル2204を含む構造が作製され、それにより、双極極板の前駆体が作製される。
【0132】
工程2212では、次いで、ナノワイヤ2206を、エッチングプロセスによってもたらされたチャネル2204内に配設する。ナノワイヤ2206はチャネル2204内に、該チャネル内でのナノワイヤの成長か、またはチャネル外で成長させたナノワイヤを成長基板から回収し、次いでチャネル内に堆積させ得るかのいずれかによって配設され得る。任意の適当なナノワイヤ成長プロセス、例えば、本明細書に記載もしくは当該技術分野で知られたものなどを用いてナノワイヤを成長させる。例えば、金属触媒ナノ粒子(例えば、Auナノ粒子)をチャネル2204内に堆積させ得、次いで、VLS成長プロセスまたは本明細書に記載もしくは当該技術分野で知られた他の適当なプロセスを用いて、Siナノワイヤを成長させ得る。好適には、ナノワイヤ2206はチャネル内に、ナノワイヤの末端部がチャネル2204の全面(すなわち、チャネルの側面(1つまたは複数)および底面(そのように構成されている場合))に接触するように配設される。ナノワイヤ2206をチャネル2204内に配設した後、半導体ウェハ2202の表面とナノワイヤ2206を工程2214において炭素含有ガスとと接触させ(浸炭)、それにより、ウェハ2202の表面が炭化ケイ素2208(例えば、SiC)に変換され、また、ナノワイヤが炭化物層(例えば、炭化ケイ素)でコーティングされる。炭素含有ガスと接触させる方法としては、本明細書に記載のもの、ならびに当該技術分野で知られた他のものが挙げられる。ナノワイヤの表面上への炭素のさらなる堆積により、本明細書に記載のグラフェン層またはシートの成長がもたらされる。他の実施形態では、チャネル外で成長させ、回収したナノワイヤを、まず浸炭し、次いで、半導体ウェハ内に形成されたチャネル内に堆積させ得る。一般的に、ウェハもまた、ナノワイヤ堆積前に浸炭されているが、これは、ナノワイヤ堆積の後に行ってもよい。
【0133】
工程2216では、金属触媒2219(例えば、金属触媒ナノ粒子)をナノワイヤの表面2206上に堆積させる。好適な実施形態において、ウェハ2202の一方の表面は、アノードナノ粒子(例えば、Pt)が堆積されたナノワイヤを含み、反対側の表面は、カソードナノ粒子(例えば、Pt−Ru)が堆積されたナノワイヤを含む。工程2216はまた、ナノグラファイトコートナノワイヤ表面上への電解質組み込みをさらに含み得る。得られる構造は、したがって、双極ウェハ2218であり、これは、次にMEAおよび燃料電池に一体化され得る。
【0134】
工程2222では、双極ウェハ2218をプロトン交換膜と合わせ、直接メタノール型燃料電池に使用され得る膜電極アセンブリを作製する。一実施形態において、双極ウェハ2218のアノード表面(すなわち、アノード触媒を有するナノワイヤを含むウェハの表面)は、プロトン交換膜(例えば、NAFION(登録商標)などのスルホン化テトラフルオロエチレンコポリマー)に対向して配設される。次いで、第2の双極ウェハ2218を、該膜に対向して配設し、そのカソード表面(すなわち、カソード触媒を有するナノワイヤを含むウェハの表面)は、第1のウェハのアノード表面と対向しており、膜電極アセンブリが作製される。このプロセスは、必要なだけ多数回反復され得、ウェハおよび膜を互いに対向するように配設し、電極アセンブリを作製する。さらなる実施形態では、板(例えば、グラファイト、金属、半導体または他の材料)をアセンブリの末端上に配置し、それにより、密閉型のアセンブリが作製され得る。本明細書に記載の電極アセンブリは、次いで、マイクロ燃料電池、例えば直接メタノール型燃料電池2109に使用され得る。
【0135】
本発明の別の実施形態では、半導体ウェハ2202(例えば、Siウェハ)を本明細書に記載のようにして工程2210でエッチングし、ウェハ、好適にはウェハの両側面/両面に一連のチャネル2204を作製し得る。次いで、ウェハを工程2214’で浸炭し、それにより、該ウェハ(例えば、SiC)上に炭化物コーティングを作製し得る。工程2220では、このような導電性炭化物/グラファイトコートウェハ(例えば、SiC)を、次いで、従来の方法によって作製された膜電極アセンブリ(MEA)と合わせ、マイクロ燃料電池、例えば直接メタノール型燃料電池2209を作製し得る。
【0136】
また、燃料電池膜電極アセンブリを作製するためのさらなる方法も提供される。例示的な一実施形態を図23のフローチャート2300に示し、図24に関して、本発明の一実施形態による膜電極アセンブリ2400を示す。図23に示すように、工程3202ではガス拡散層2402を設ける。ガス拡散層としての使用に適した材料の例としては、限定されないが、TEFLON(登録商標)(DuPont)処理表面、例えば、TEFLON(登録商標)処理されたカーボン紙または織布クロス(例えば、カーボンクロス)が挙げられる。工程2304では、触媒金属会合型ナノワイヤの第1の組成物2404を、ガス拡散層2402に隣接して配設する。本明細書で用いる場合、用語「配設」および「隣接して配設」は、構成要素が互いに隣接して配列され、その結果、該構成要素が、膜電極アセンブリとしての機能を果たすように互いに相互作用し得ることを意図して使用する。構成要素を互いに隣接して配設することには、重層、塗布、噴霧、コーティング、流延または任意の種々の構成要素の他の形態の適用が含まれる。
【0137】
図23の工程2306では、次いで、膜層2406を該第1の触媒金属会合型ナノワイヤ組成物2404に隣接して配設する。好適には、膜層2406は、プロトン伝導性ポリマー、例えば、NAFION(登録商標)または他のスルホン化ポリマーを含む。次いで、図23の工程2308では、触媒金属会合型ナノワイヤの第2の組成物2408を膜層2406に隣接して配設する。
【0138】
好適な実施形態において、触媒金属会合型ナノワイヤの第1および第2の組成物(2404,2408)は、触媒会合型ナノワイヤの溶液、例えば、ナノワイヤインク溶液を含む。本発明のナノワイヤ溶液はまた、1種類以上のさらなる構成要素、例えば、界面活性剤またはポリマー(例えば、ナノワイヤの分散を補助するため)および/またはイオノマー、例えばNAFION(登録商標)などをさらに含むものであり得る。好適には、種々のナノワイヤ溶液中のナノワイヤの濃度は、容量基準で約0.01%〜約50%、例えば容量基準で約0.1%〜約20%である。好適には、触媒金属会合型ナノワイヤの第1および第2の組成物は、1種類以上のイオノマー、例えばNAFION(登録商標)などもまたさらに含むナノワイヤ溶液である。
【0139】
本発明の方法における使用のための例示的な触媒会合型ナノワイヤとしては、本文中に記載するものが挙げられる。好適には、触媒金属会合型ナノワイヤの第1の組成物は、アノード触媒金属会合型ナノワイヤの溶液を構成し、触媒金属会合型ナノワイヤの第2の組成物は、カソード触媒金属会合型ナノワイヤの溶液を構成するが、該2つの層の順序は逆であってもよい。任意の触媒金属会合型ナノワイヤ配設方法が使用され得るが、好適には、ナノワイヤは、ナノワイヤの溶液を種々の表面上に噴霧することにより配設される。ナノワイヤを種々の表面上に噴霧するための方法は、当該技術分野でよく知られており、例えば、米国特許第7,135,728号(その開示は引用により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。好適には、その噴霧方法では、溶液中でのナノワイヤの凝集を抑制するための超音波浴、表面にナノワイヤ溶液を送達するためのコンピュータ制御スプレーノズルが使用される。さらなる実施形態において、本発明の噴霧方法は、多層のナノワイヤが最終MEAにおいて作出されるように、多層のナノワイヤ(および1種類以上のイオノマー)を噴霧することを含む。
【0140】
さらなる実施形態では、図23のフローチャート2300に示すように、本発明の膜電極アセンブリ作製方法は、工程2310において、触媒金属会合型ナノワイヤの第1の組成物(例えば、イオノマーを含むナノワイヤ溶液)2404を工程2304で配設する前に、ガス拡散層の少なくとも縁部を被覆するためのマスキング層(例えば、金属膜またはホイル)をガス拡散層2402に隣接して配設することをさらに含む。マスキング層は図24に示されていないが、好適には、該マスキング層は、ガス拡散層2402の縁部は被覆するが、ガス拡散層2402の中心に開放された非マスクセクションが残るように作製される。図24に示すように、触媒金属会合型ナノワイヤを含む第1の組成物(例えば、イオノマーを含むナノワイヤ溶液)を配設することにより、ガス拡散層の中心はナノワイヤ組成物によって被覆されているが、ガス拡散層2402の外側縁部は被覆されていないアセンブリがもたらされる。次いで、第1の組成物を配設した後であって、工程2306での膜層2406の配設の前に、マスキング層が工程2312において除去される。したがって、膜層2406を第1の触媒金属含有ナノワイヤ組成物/層2404に隣接して配設した場合、膜層2406は、ナノワイヤだけでなく、ガス拡散層2402の縁部にも隣接して配置される。
【0141】
さらなる実施形態では、図23のフローチャート2300に示すように、工程2514において、工程2308で触媒金属会合型ナノワイヤの第2の組成物の配設2408を配設する前に、膜層の少なくとも縁部を被覆するためのマスキング層を膜層2406に隣接して配設する。このさらなるマスキング層は図24に示されていないが、好適には、該マスキング層は、膜層2406の縁部は被覆するが、膜層2406の中心に開放された非マスクセクションが残るように作製される。図24に示すように、触媒金属会合型ナノワイヤを含む第2の組成物(例えば、イオノマーを含むナノワイヤ溶液)2408を配設することにより、膜層2406の中心はナノワイヤによって被覆されているが、膜層2406の外側縁部は被覆されていないアセンブリがもたらされる。
【0142】
本発明の方法によって作製される膜電極アセンブリは、種々の燃料電池電極の作製、例えば、燃料電池電極積層体の作製に利用され得る。本発明の方法、好適にはナノワイヤ噴霧法は、4層膜電極アセンブリを作製するための迅速で容易な製造方法を提供する。
【0143】
なおさらなる実施形態において、本発明は、本文中に開示する膜電極アセンブリを用いた燃料電池電極積層体2500の作製方法を提供する。例示的な実施形態において、図25に関して図26A〜26Bに示すように、フローチャート2600は、燃料電池電極積層体の作製方法を提供する。図26Aの工程2602では、第1の端板2502を設ける。本文中に記載しているように、端板は、機械加工グラファイトまたは成型導電性ポリマー複合材料および他の同様の材料を含む。工程2604では、ガスケット2504を、端板2502に隣接して配設する。好適には、ガスケット2504は、燃料電池積層体の端板2502とさらなる構成要素間にシール部を作出し得る材料を含むものである。図25に示すように、ガスケット2504は、好適には、膜電極アセンブリ2400の付加に適合した開口部を有する。ガスケットとしての使用のための例示的な材料としては、限定されないが、種々のポリマーおよびゴム、例えば、シリコン、MYLAR(登録商標)(DuPont)積層体、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴムなどが挙げられる。
【0144】
図26Aの工程2606では、膜電極アセンブリ2400をガスケットに隣接して配設する。本発明の4層膜電極アセンブリ(MEA)(2400)は、好適には、本発明の燃料電池電極積層体において使用されるが、本文中に開示、あるいは当該技術分野で知られた他の膜電極アセンブリもまた使用され得る。MEAの配設後、次いで、工程2608でガス拡散層2506をMEAに隣接して配設する。工程2610では、次いで、さらなるガスケット2504をガス拡散層2506に隣接して配設する。最後に、工程2612で、端板2502をガスケット2504に隣接して配設し、完成された燃料電池電極積層体2500を作出する。燃料電池積層体は、次いで、さらなる加工処理のために互いにクランプで固定され得る。次いで、本文中に開示および当該技術分野で知られたさらなる構成要素を追加することにより、作動燃料電池が得られ得る。
【0145】
さらなる実施形態において、図26Aおよび26Bに示すように、本発明の方法は、燃料電池電極積層体2500を作製する際、さらなるMEA層(例えば、2、3、4、5、6つなど、n番目までのMEA)を組み立てることをさらに含むものであり得る。すなわち、n番目までまたは最後の採集のMEA層までの任意の数のMEA層が燃料電池電極積層体において作製され得る。例えば、工程2610で第2のガスケット2504の配設後、工程2612で第2の端板の配設前では、工程2616において双極極板2510を、第2のガスケット2504に隣接して配設する。端板2502および双極極板(1つまたは複数)2510の両方は、好適で典型的には、その表面内に、燃料およびオキシダントをそのそれぞれの触媒電極に分布させ、廃棄物、例えば水およびCO2を排出させるチャネルおよび/または溝を有し、また、熱伝達のためのコンジットも含むことがあり得る。典型的には、双極極板および端板は高度に導電性であり、グラファイト、金属、導電性ポリマーならびにその合金および複合材料で作製されたものであり得る。ステンレス鋼、アルミニウム合金、炭素および複合材料などの材料(コーティングありまたはなし)は、燃料電池の双極端板に対する良好で実施可能な選択肢である。双極極板および端板はまた、その複合構造内に組み込まれた高度に導電性または半導体性のナノワイヤ(例えば、金属、導電性ポリマーなど)を含む複合材料から形成され得る。双極極板は好適には、チャネルおよび/または溝を両面に備えるが、端板は、典型的にはチャネルおよび/または溝を、燃料電池の構成要素(すなわち、内面)と接触している表面のみに備え、外面はかかるチャネルまたは溝を備えていない。
【0146】
図26Bの工程2618では、さらなるガスケット2504を、双極極板2510に隣接して配設する。工程2620では、次いで、第2のMEA2400を、ガスケット2504(すなわち、図25に示すような第3のガスケット)に隣接して配設する。この後、工程2622において、さらなるガス拡散層2606をMEA2400に隣接して配設する。工程2624では、次いで、さらなるガスケット2504(すなわち、4つめ)をガス拡散層2506に隣接して配設する。
【0147】
図26Bに示すように、工程2626では、次いで工程2616から2624までを、n番目、すなわち、最後の膜電極アセンブリ(2400)が配設されるまで反復する。図26Bの種々の工程を反復することにより、双極極板2510、ガスケット2504、MEA2400、ガス拡散層2506およびガスケット2504の反復層が、所望の数のMEA(n番目のMEAまで)が互いに積層され、燃料電池電極積層体が形成されるまで繰り返される。いったん、工程2626において工程2616〜2624を反復するのではなく、最終のMEAが使用されたら、図26Aの工程2612において、端板2502を最終のガスケット2504に隣接して配設する。したがって、本発明は、種々の燃料電池の構成要素を、最終の所望の燃料電池積層体が得られるまで反復して配設/重層/積層するための方法を提供する。
【0148】
最終の燃料電池積層体は、次いで互いにクランプで固定され得、燃料に適当な電解質、例えばエチレングリコール溶液を含浸させ得る。次いで、本文中に開示および当該技術分野で知られたさらなる構成要素を追加することにより、作動燃料電池が得られ得る。
クロマトグラフィー媒体
相互接続型ナノワイヤネットワークから調製された粒子は、クロマトグラフィー媒体を作出するために使用され得る。例えば、該粒子は、サイズ排除カラムにおいて、メソポーラス微粒状をカラム内に充填し、次いで、分離すべき適切な大きさの大小の物体(article)を含有する溶液を添加することにより使用され得る。細孔の大きさに基づき、一定の小径の物体が該粒子(およびカラム)によって保持される一方、一定の大径の物体は充填カラムを通過する。かかるカラムは、分離および試料清浄化のため、または分析装置、例えば、クロマトグラフ、蛍光測定装置(fluorimeter)などと組み合わせて使用され得る。
【0149】
相互接続型ナノワイヤネットワークはまた、生体分子のマトリックス支援レーザー脱離イオン化法(MALDI)飛行時間型質量分析解析のための試料台または基板として、ならびに表面コーティングまたは他の生物学的適用用途のための骨格としても有用である。
【0150】
相互接続型ナノワイヤネットワークはまた、例えば、医療用デバイス用の大表面積電極としても有用である。大きな表面積に加え、ナノワイヤネットワークは、長期安定性、生体適合性および長期間にわたる低分極などの好都合な特性を提供する。
電界放出デバイス
電界放出デバイスは、電子の移動を利用するデバイスである。典型的な電界放出デバイスは、少なくともカソード、エミッターチップ、およびカソードと離れて配置されたアノードを含む(例えば、米国特許第7,009,331号、同第6,976,897号および同第6,911,767号;および米国特許出願公開公報第2006/0066217号(その各々の開示は、引用によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照のこと)。電圧がカソードとアノード間に印加され、電子がエミッターチップから放出される。電子は、カソードからアノードへの方向に移動する。このようなデバイスは、さまざまな適用用途、例えば、限定されないが、マイクロ波真空管デバイス(例えば、X線管)、電力増幅器、イオンガン、高エネルギー加速器、自由電子レーザー、および電子顕微鏡、特に、フラットパネルディスプレイにおいて使用され得る。フラットパネルディスプレイは、従来のブラウン管の代替品として使用され得る。したがって、これらは、テレビおよびコンピュータモニターにおける適用用途を有する。
【0151】
従来のエミッターチップは、モリブデンなどの金属、またはシリコンなどの半導体で作製されている。金属エミッターチップの使用に伴う懸念の1つは、放出に必要とされる制御電圧が比較的高い、例えば100V前後であることである。さらに、このようなエミッターチップは均一性を欠き、ピクセル間に不均一な電流密度をもたらす。
【0152】
最近では、炭素材料がエミッターチップとして使用されている。ダイヤモンドは、その水素末端表面に対して負または低い電子親和性を有する。カーボンナノチューブ(カーボンフィブリルとしても知られている)もまた、エミッターチップ技術における使用が検討されている。
【0153】
本発明の別の実施形態において、本明細書に記載のナノワイヤ構造および相互接続型ナノワイヤネットワークは、フィールドエミッタおよび電界放出デバイスとして使用され得る。本発明による例示的な電界放出部材としては、限定されないが、1つ以上の垂直に配向された耐熱金属コートナノワイヤ、1つ以上の垂直に配向されたカーボンコートナノワイヤ(例えば、SiCでコートされたSiナノワイヤ)、グラフェン層で被覆された複数のランダムに配向されたナノワイヤ(例えば、SiCとグラフェン層でコートされたSiナノワイヤ)およびグラフェン層で被覆されたナノワイヤ片、ならびにその異型の組合せが挙げられる。本明細書で用いる場合、電界放出部材、フィールドエミッタおよび電界放出部材という用語は互換的に使用され、その表面からの電子の放出を可能にする構造をいう。
【0154】
好適な実施形態において、フィールドエミッタおよび電界放出デバイスは、SiCおよびグラフェン層でコートされたSiナノワイヤを含む。図27に示すように、このような鳥の巣構成の「有棘(barbed)」ナノワイヤは、ワイヤの向きとは無関係に、炭素グラフェン層がナノワイヤから外方および上方に延びるため、テトラポッドとよく似た構造を含む。グラフェン薄層は良好な電子放出体であり、ナノワイヤ部材のあらゆる側面から延びるいくつかのこのようなグラフェン「棘」の存在により、高レベルの電子伝達が確保される。
【0155】
基板(例えば、ガラス板)を複数の本発明のナノワイヤ構造(例えば、鳥の巣構成)でコーティングすることにより、SiCおよびグラフェン層でコートされたSiナノワイヤにより、一連の高度に均一な長いエミッション部材が形成された高度に均一なエミッタ部材が作製され得る。
【0156】
別の実施形態において、耐熱金属コートナノワイヤもまた、エミッタ部材としての機能を果たし得る。例えば、Moコートナノワイヤ(例えば、Siナノワイヤ)。エミッタ部材として機能を果たすことが可能となるように、他の金属コーティングもまたナノワイヤに適用され得る。
【0157】
関連分野の当業者には、本明細書に記載の方法および適用用途に対して他の適当な修正および適合が、本発明またはその任意の実施形態の範囲から逸脱することなくなされ得ることは容易に自明となろう。ここに、本発明について詳細に記載したが、これは、以下の実施例を参照することにより明確に理解されよう。実施例は、単なる例示の目的のために含めるのであって、本発明を限定することを意図しない。
【実施例】
【0158】
(実施例1:ナノワイヤ構造の作製)
WO3でコートされたシリコンナノワイヤを650℃で30分間加熱した後、1250℃で6分間、Ar(430cc/分)、H2(130cc/分)およびCH4含有Ar(228cc/分)を含む流動ガス混合物の存在下で加熱した。作製物を冷却した後、相互接続型ナノワイヤ構造100を含む相互接続型ナノワイヤネットワーク300が形成された。ナノワイヤ構造100は、Siナノワイヤコア102、炭素主体層104(SiC/WC界面炭化物層)およびナノワイヤ構造100を接続する炭素主体構造106(グラフェンナノグラファイト板)を備える。
【0159】
(実施例2:ナノワイヤ上へのナノ粒子の堆積)
およそ10mgのSiナノワイヤをエタノール中に超音波処理によって分散させ、ナノワイヤ懸濁液を形成した。相互接続型ナノワイヤネットワークを、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜でのナノワイヤ懸濁液の真空濾過および真空乾燥によって作製し、次いで、2ccの0.1%ポリリシン溶液をフィルター漏斗に添加し、ポリリシンをナノワイヤの表面上に吸収させた。5分後、漏斗内のすべての液体を真空除去し、ナノワイヤネットワークをPVDF膜から分離した。炉内にて100℃で15分間乾燥した後、ナノワイヤネットワークを10ccのAuコロイド溶液(10nmコロイド)中に沈め、20分間浸漬してAuナノ粒子をナノワイヤの表面上に吸収させた。最後に、ナノワイヤネットワークをAuコロイド溶液から取り出し、イソプロピルアルコール(IPA)でリンス処理し、100℃で乾燥して、金ナノ粒子でコートされたナノワイヤネットワークを得た。図14は、相互接続型ナノワイヤのネットワーク上に堆積されたAu触媒ナノ粒子のSEM画像を示す。
【0160】
(実施例3:高密度充填ナノワイヤの製作)
ナノワイヤの充填密度を増大するための方法を検討するため、60nmシリコンナノワイヤの「鳥の巣」構造を、種々の手法を用いて作製した。その方法の結果を以下の表1に示す。
【0161】
【表1】
60nmナノワイヤの分散液を濾過することによってもたらされた充填密度は6%であった。濾過前に分散液を高速剪断混合機で攪拌すると、充填密度は改善されなかった。濾過前に界面活性剤(Triton X−100)をナノワイヤ分散液に添加することにより、30%より高い充填密度の増加が認められた。充填密度における有意な増加は、ナノワイヤへの一軸加圧適用後に観察された。ペレットダイ内で磨砕後、40 KPSIでのナノワイヤのダイ加圧によって作製した薄いナノワイヤペレットでは、46.6%の充填密度が測定された。走査電子顕微鏡検査により、この試料のナノワイヤは、磨砕および/または加圧の結果、短いことが示された。
【0162】
(実施例4:燃料電池の性能特性評価)
種々の性能の特性評価実験の結果を本明細書に示す。これらの結果は、直接メタノール型燃料電池などの燃料電池適用用途において、相互接続型および非相互接続型両方の本発明のナノワイヤネットワーク(すなわち、鳥の巣構造)を使用することによって、有意な性能の改善がもたらされたことを示す。
【0163】
新規な触媒粒子材料と鳥の巣構造の特異な構造的特性の組合せにより、市販のカーボンブラック触媒と比べて、メタノール酸化活性においてほぼ3倍の増加が観察された。また、カーボンブラックと比べて、O2還元に関して動的電流の51%の増加が測定され、鳥の巣構造上の本発明者らの特異な高度に結晶性のナノグラファイト表面コーティングに由来する触媒効率に対する担持体の相互作用の強い影響を示す。メタノールに関しては、鳥の巣構造によりカーボンブラックと比べて拡散効率の2.5倍の増加が測定され、これにより、拡散効率に影響を及ぼすことなく、触媒層においてNAFION(登録商標)の2.5倍まで高い負荷が可能となるはずである。このことは、鳥の巣膜電極アセンブリにおけるプロトン導電性をカーボンブラックと比べて、2.5倍まで増大させる潜在性を有する。
【0164】
本発明のナノワイヤ構造の到達可能性/拡散特性を調べるため、酸素還元活性を測定した。図28は、Pt回転円盤電極(Pt RDE)、Pt−RDE(C/Pt RDE)上の炭素層、およびPt−RDE(NW/Pt RDE)上に配置された炭化Siナノワイヤ層(すなわち、SiCナノワイヤ)を比較する電流対電位のプロットを示す。SiCナノワイヤ層により、炭素層と比べ(Pt−RDEと比べたプロトン到達可能性46%)、Pt電極への到達の増大がもたらされ(Pt−RDEと比べたプロトン到達可能性86%)、図28に示すように、0.3Vの電位で、炭素層と比べて61%に対してわずか48%に電流の減少がもたらされる。
【0165】
図29は、現在市販のカーボンブラック上の触媒材料(ElectroChem Inc.、Woburn、MAで製造)、および本発明のカーボンブラック担持体上の触媒材料を比較したメタノール酸化の代表的な性能曲線を示す。このデータは、新規な触媒材料単独由来のものと比べて、ほぼ65%触媒活性の増大を示す。
【0166】
本発明の触媒粒子の触媒効率における固有の増大に加え、このような粒子とナノグラファイトナノワイヤの特異な表面との相互作用による改善された触媒活性もまた観察された。電気化学的半電池におけるナノワイヤ鳥の巣構造での酸素の還元(図30)に関するKotecky−Levich解析により、鳥の巣構造では、同じ触媒粒子で作製されたカーボンブラックと比べて0.6Vでの動的電流において51%の増加が示された。反応速度のこの増加は、ナノグラファイト担持体材料との相互作用によってもたらされる触媒効率の増大によって説明され得る。
【0167】
本発明の鳥の巣MEAの3相接触表面積の測定は、市販のカーボンブラックMEA(ElectroChem Inc.)ではわずか432cm2/mgであるのに比べて、676cm2/mgの3相接触密度を示す。これは、このような予備的な鳥の巣構造における3相接触密度の56%の増加を表す。3相接触の直接測定により、カーボンブラックMEAについて合計758cm2/mg、市販のカーボンブラックに対して75%の増加が示された。2種類の触媒粒子間の平均粒径の差を補正すると、「含浸」法によって形成された市販のカーボンブラック触媒と比べ、本発明の触媒粒子を用いて、平均で21%多くの触媒粒子がカーボンブラックの3相接触に利用可能である。
【0168】
図31は、鳥の巣ナノワイヤ触媒、市販のカーボンブラック触媒および本発明のPtRuアノード触媒材料を用いて形成されたカーボンブラック触媒に関して、20分間にわたる電気化学的半電池におけるメタノール酸化活性を示す。このプロットは、鳥の巣構造について、カーボンブラック上の同一の触媒材料と比較した場合であっても、この期間での安定性の改善を明白に示す。これは、20分間という短期間であっても安定性に対する純粋な構造的効果の証拠になると思われる。
【0169】
充填粒子カーボンブラックの多孔質の性質とは対照的に、本発明による鳥の巣構造におけるナノワイヤの本質的に開放型の非迂遠なネットワークにより、触媒部位内外への燃料および廃物の効率的な拡散が可能になる。鳥の巣構造の拡散特性の理論的なモデル設計により、この型のネットワークを介した溶液の拡散は、バルク溶液中での拡散とほぼ同じであることが示される。この効果の証拠として、同じ触媒材料を用いた鳥の巣とカーボンブラック担持体構造間での電気化学的半電池での測定におけるメタノール酸化について、触媒活性の有意な増大が観察された。
【0170】
図32および以下の表2は、市販のカーボンブラック触媒に加えて、これらの2つの構造の相対活性を示し、活性の改善に対する鳥の巣構造の純粋な構造的影響を示す。全体として、本発明の鳥の巣触媒層は、このような半電池での測定において、現在市販のカーボンブラック触媒と比べると、メタノール酸化に関してほぼ3倍高い活性を有する。これは、触媒活性の増大と拡散効果の組合せの結果である。
【0171】
【表2】
PtRuアノード触媒のメタノール酸化活性の結果を以下の表3に示す。
【0172】
【表3−1】
【0173】
【表3−2】
a:水素酸化領域におけるサイクリックボルタモグラムの電流積分;b:0.6Vでの線形電位スキャンデータに対して;c:20分間の0.6Vでの一定分極後に記録されたデータに対して。
【0174】
酸素還元活性もまた、市販の炭素担持体上の白金触媒(ElectroChem Inc.、Woburn、MAで製造)、本発明の炭素担持体上の白金触媒、および本発明のSiCナノワイヤ上の白金触媒を用いて測定した。図33は、このような3種類のPt触媒担持体を比較する電流対電位のプロットを示す。以下の表4にまとめた解析の結果は、ナノワイヤ担持アノードPt触媒について電流が高く、従来の炭素担持体と比べて18%の改善がもたらされたことを示す。
【0175】
【表4】
a:水素酸化領域におけるサイクリックボルタモグラムの電流積分;b:3600RPMでの酸素飽和溶液における線形電位スキャン、0.6Vでのデータ、c:Koutecky−Levich式に基づく解析、0.6Vの場合と比較;d:Koutecky−Levich式に基づく解析、すべての触媒について伝達された電子の数は同一と仮定
鳥の巣ナノワイヤおよびカーボンブラック構造を介したO2の拡散効率の直接測定により、鳥の巣担持体の平均有効細孔長さは、1.1nmであると測定された。一方、カーボンブラックでは2.8nmであり、これは、この構造に固有な開放型で非迂遠な拡散経路のため、鳥の巣構造を介した拡散効率の2.5倍の増加を示す。
【0176】
(実施例5:ナノワイヤ電極の分散の改善)
白金触媒負荷、NAFION(登録商標)被覆率および燃料電池性能を、1)ECCMEA#1:市販の触媒ナノ粒子および炭素担持体(ElectroChem、Inc.、Woburn、MAで製造);2)NSCMEA#1:本発明に従って作製し、炭素担持体上に配設した白金触媒;および3)NWMEA#13および#16:本発明に従って作製し、SiCナノワイヤ上に配設した白金触媒の2つの試料を備える電極について特性評価した。Pt負荷およびNAFION(登録商標)被覆率の結果を以下の表5に示す。
【0177】
【表5】
図34Aおよび34Bは上記の電極の性能を示し、それぞれ、ECCMEA#1、NWMEA#13およびNWMEA#16電極のIR補正電位対電流密度、および到達可能性の低下(3〜5mA/cm2でフィルタリング)を示す。この2つのナノワイヤ担持型電極では、燃料電池性能、ならびに到達可能性の低下が実質的に同一であることに注意されたい。
【0178】
Nanosys提示(presentation)の図35および36は、炭素担持体上に配設した本発明のPt触媒性ナノ粒子で作製した電極(NSCMEA#2)および本発明のSiCナノワイヤ上の配設した本発明の触媒性Ptナノ粒子(NWMEA#16)でのO2分圧の変動の結果を示す。また、結果を以下の表にも示す。図35は、2つの異なるO2圧(20%および5%)での電極のIR補正電位特性を示す。図36は、ある範囲の電流密度での同じ2つの試料での電位の変動(V)を示す。これらの測定の結果は、以下の表6に認められるように、ナノワイヤ担持体を用いたO2拡散性は、従来の炭素担持体と等しいか、さらに良好なようであることを示す。
【0179】
【表6】
(実施例6:鳥の巣電極の特性評価)
以下の手順に従って、Pt触媒ナノ粒子を有する「鳥の巣」ナノワイヤ担持体を作製した。本発明に従って作製したSiナノワイヤは、ナノワイヤが重なる「鳥の巣」構造が形成されるようにランダムな様式で堆積した。ナノワイヤの表面上に炭化物層を形成させるため、次いで、ナノワイヤ構造を炭素含有ガス(例えば、CH4)と接触させた後、SiCナノワイヤの表面上にグラフェンシートを形成させた。本発明のPt触媒ナノ粒子を、次いで、グラファイトコートSiCナノワイヤ上に堆積させた。最後に、触媒ナノ粒子/SiCナノワイヤ鳥の巣構造に、プロトン伝導体NAFION(登録商標)を含浸させるか、または手塗りを行なった。得られた電極を、SiCナノワイヤ上にほぼ11%(wt%)のPt負荷およびほぼ0.15mg−Pt/cm2の電極を用いて特性評価した。
【0180】
図37は、4種類の電極でのIR補正電位対電流密度測定値を示す。ECCMEA#1:炭素基板上のElectrochem(登録商標)Pt触媒;NWMEA#13:本発明に従って作製し、NAFION(登録商標)を手塗りしたSiCナノワイヤ鳥の巣上のPt触媒;NWMEA#14および#15:本発明に従って作製し、NAFION(登録商標)を含浸させたSiCナノワイヤ鳥の巣上のPt触媒。また、特性評価の結果は、以下の表7にも示す(NSCMEA#1は、本発明に従って作製した、炭素基板上のPt触媒を表す)。
【0181】
【表7】
(実施例7:触媒金属会合型ナノワイヤの作製のための還流)
290mgの本発明のナノワイヤ構造を、20mLのエチレングリコール中に分散する。次いで、この分散液に51mLのPt:Ruコロイド溶液(3mg金属/mL)を添加する。次いで、この溶液を60分間還流する。
【0182】
次いでこの溶液を室温まで冷却し、該溶液が約4.0のpHに達するまで2M硝酸を滴下する。次いで、この溶液を室温で約4時間攪拌した後、該溶液約1.0のpHに達するまで2M硝酸を滴下する。次いで、この溶液を約1時間攪拌する。
【0183】
次いで、該溶液を濾過し、脱イオン水で3回洗浄する。得られたナノワイヤケークを、次いで、脱イオン水中に分散し、濾過し、次いで再度洗浄する。得られたナノワイヤケークを、次いで、120℃で真空下、一晩乾燥させる。得られた触媒会合型ナノワイヤは、次いで、種々の基板への適用もしくは他の用途のための溶媒中に分散され得るか、またはその乾燥状態で利用され得る。図38は、本発明の方法に従って作製された触媒金属会合型ナノワイヤの透過型電子顕微鏡写真(2つの倍率)を示す。
【0184】
本発明の例示的な実施形態を示した。本発明は、これらの実施例に限定されない。これらの実施例は、本明細書において例示の目的のために提示し、限定するためではない。択一例(本明細書に記載の均等物、拡張例、変形例、誘導型などを含む)は、関連分野(1つまたは複数)の当業者には、本明細書に記載の教示に基づいて自明となろう。かかる択一例は、本発明の範囲および精神に含まれる。
【0185】
本出願書類に挙げたすべての刊行物、特許および特許出願は、本発明が属する分野の当業者の技術水準を示し、引用により組み込まれると表示した個々の刊行物、特許または特許出願が、あたかも具体的に個々に示されているのと同程度に、引用によって本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0186】
【図1A】図1Aは、本発明の一実施形態によるナノワイヤ構造の透過型電子顕微鏡写真である。
【図1B】図1Bは、本発明の一実施形態によるナノワイヤ構造の高倍率の透過型電子顕微鏡写真である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態によるナノワイヤ構造のx線回折パターンである。
【図3】図3Aは、本発明の一実施形態による相互接続型ナノワイヤネットワークの走査型電子顕微鏡写真である。図3Bは、本発明の一実施形態による相互接続型ナノワイヤネットワークの高倍率走査型電子顕微鏡写真である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態によるナノワイヤ構造の製造方法を示すフローチャートを示す。
【図5】図5は、本発明の一実施形態による相互接続型ナノワイヤネットワークの製造方法を示すフローチャートを示す。
【図6】図6は、アノードおよびカソード電極における例示的な反応を示す従来の電気化学的燃料電池の模式図である。
【図7】図7Aは、炭素粒子担持体上に提供されたPt/Ruナノ粒子を備えた従来の充填粒子複合触媒構造の詳細を示す図6の燃料電池のアノード電極部分の拡大図である。図7Bは、気相反応体、電解質および電極触媒構造間の例示的な3相接触(three−phase contact)を示す図7Aの充填粒子複合触媒構造の拡大図である。
【図8】図8Aは、本発明の教示に従って作製されたナノワイヤ主体型電気化学的燃料電池の模式図である。図8Bは、本発明の教示に従って作製されたナノワイヤ主体型電気化学的燃料電池積層体の模式図である。
【図9A】図9Aは、図8Aの燃料電池のプロトン交換膜とアノード電極の間の接合部に広がる触媒担持型ナノワイヤの相互接続ネットワークの一実施形態の詳細を示す図8Aの燃料電池のアノード電極部分の拡大図である。
【図9B】図9Bは、図8Aの燃料電池のプロトン交換膜とアノード電極の間の接合部に広がる触媒担持型ナノワイヤの平行なアレイの詳細を示す燃料電池のナノワイヤ主体型アノード部分の択一的な実施形態の拡大図である。
【図10】図10は、本発明の教示に従って作製された燃料電池のアノード(および/またはカソード)電極における触媒担持体として使用されたナノワイヤの相互接続ネットワークのSEM画像である。
【図11】図11は、本発明の方法の実施において使用され得る分岐型ナノワイヤ構造の模式図である。
【図12】図12は、ナノワイヤの側面から延びる微小な小節を有する複数の分岐型ナノワイヤを含む分岐型ナノワイヤネットワークのSEM画像である。
【図13】図13は、本発明の特定のある態様において使用される相互接続性ナノワイヤネットワークが作出された架橋または融合されたナノワイヤの高倍率のSEM画像である。
【図14】図14は、相互接続型ナノワイヤのネットワーク上に堆積されたAu触媒粒子を示すSEM画像である。
【図15】図15Aは、本発明の一実施形態による平均直径1.61±0.31nmのPtナノ粒子のTEMを示す。図15Bは、このようなPtナノ粒子のX線回折パターンを示す。
【図16A】図16Aは、本発明の一実施形態によるPt−Ru合金ナノ粒子(1.66±0.33nm)のTEMを示す。
【図16B】図16Bは、このようなPt−Ru合金ナノ粒子のX線回折パターンを示す。
【図17】図17は、カーボンブラックCabot VULCAN(登録商標)XC72の表面上に担持されたPt−Ru合金ナノ粒子の2つの異なる倍率でのTEM画像を示す。
【図18】図18は、本発明の炭素担持Pt−Ru触媒(上側曲線)および市販のPt−Ru触媒(下側曲線)から記録されたX線回折パターンを示す。
【図19】図19は、本発明の一実施形態によるナノワイヤ上に堆積されたPtナノ粒子のTEM画像を示す。
【図20】図20は、ナノグラファイトコートナノワイヤの表面上に堆積された1.67nmのPt−Ru(1:1)ナノ粒子の2つの異なる倍率でのTEM画像を示す。
【図21】図21は、本発明の一実施形態による還流を用いた触媒金属会合型ナノワイヤの作製方法を示す。
【図22】図22は、本発明の一実施形態による無機ウェハを用いたマイクロ燃料電池の作製方法を示す。
【図23】図23は、本発明の一実施形態による燃料電池の膜電極アセンブリの作製方法を示す。
【図24】図24は、本発明の一実施形態による例示的な4層膜電極アセンブリを示す。
【図25】図25は、本発明の一実施形態による例示的な燃料電池電極積層体を示す。
【図26A】図26Aは、本発明の一実施形態による燃料電池電極積層体の作製方法を示す。
【図26B】図26Bは、本発明の一実施形態によるさらなる燃料電池電極積層体の作製方法を示す。
【図27】図27は、本発明の一実施形態によるエミッタ部材としての使用のためのグラファイトコートナノワイヤのTEMを示す。
【図28】図28は、3種類の触媒電極の酸素還元活性を比較する電流対電位のプロットを示す。
【図29】図29は、市販のカーボンブラック触媒と本発明の一実施形態に従って作製された触媒材料のメタノール酸化活性を比較する電流対電位のプロットを示す。
【図30】図30は、本発明に従って作製された鳥の巣触媒、市販のカーボンブラック触媒、および本発明に従って作製された炭素系触媒での酸素の還元のターフェルプロットを示す。
【図31】図31は、市販のカーボンブラック触媒および本発明に従って作製された炭素系触媒と比較した本発明の鳥の巣触媒構造のメタノール酸化活性を示す。
【図32】図32は、鳥の巣担持体および炭素担持体、ならびに市販のカーボンブラック触媒での本発明の触媒材料のメタノール酸化活性を示す。
【図33】図33は、本発明の一実施形態による、炭素担持体およびナノワイヤ担持体における市販のPt触媒(Electrochem Carbon)および本発明のPt触媒の酸素還元活性を示す電流対電位のプロットを示す。
【図34】図34Aは、市販の膜電極アセンブリ(ECCMEA)および本発明の一実施形態による2種類のナノワイヤ担持型膜電極アセンブリの燃料電池性能を示すIR補正電位対電流密度を示す。図34Bは、到達可能性の低下を示し、同じアセンブリに対して30mA/cm2でフィットした。
【図35】図35は、炭素担持体およびナノワイヤ担持体上の本発明の白金触媒の性能に対する酸素分圧の効果を比較するIR補正電位対電流密度を示す。
【図36】図36は、炭素担持体およびナノワイヤ担持体上の本発明の白金触媒の性能に対する酸素圧の変動の効果を示す電流密度に伴う電位の変動を示す。
【図37】図37は、炭素担持体およびナノワイヤ担持体における市販のPt触媒と本発明のPt触媒を比較するIR補正電位対電流密度を示す、燃料電池性能特性の結果を示す。
【図38】図38は、本発明の還流方法によって作製された触媒会合型ナノワイヤを示す。
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、種々のナノワイヤ構造およびかかる構造を含む相互接続型ナノワイヤネットワークに関する。本発明はまた、燃料電池において電界放出部材として、および他の適用用途、例えば、クロマトグラフィー材料などとしての、このようなナノワイヤ構造および相互接続型ナノワイヤネットワークの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
ナノ材料、特に、ナノワイヤは、電子デバイスの完全に新規な作製を助長する可能性を有する。例えば、ある特定の場合では、個々のアセンブリを必要とする個々の部材としてよりもバルク材料としてのこのような材料の特異で興味深い特性を利用するナノ材料の使用が提案されている。例えば、非特許文献1には、剛性の半導体ウェハの代わりにバルク加工処理された配向半導体ナノワイヤの膜または層が用いられた大面積の電子基板、例えば、ディスプレイ、アンテナなどにおける使用のためのナノワイヤ主体型のトランジスタが記載されている。その結果、単結晶ウェハ基板と同様の性能を示す電子基板がもたらされ、これは、性能がより不充分なアモルファス半導体を製造するために使用されるものよりも高価でない従来プロセスを用いて製造され得、また、これは、種々の構成体(例えば、柔軟性および/または成形材料など)に対してより従順(amenable)である。
【0003】
グラフェン層は、シートとして形成された単層の炭素原子の層であるが、これは、電気化学的セルにおける適用用途、ならびに柔軟性で強い基板およびコーティングとしての適用用途が見出されている。例えば、特許文献1、特許文献2および特許文献3を参照のこと。また、ロール型または折り畳み層のグラフェンにより、カーボンナノチューブなどが形成され得、例えば、特許文献4、特許文献5および特許文献6を参照のこと。
【0004】
燃料電池は、燃料、例えば、水素とメタノールなどの化学的エネルギーを直接、電気エネルギーに変換するデバイスである。燃料電池の基本的な物理的構造または構成ブロックは、電解質層が多孔質のアノードおよびカソードのいずれかの側面と接触してなる。燃料電池の模式図を、該電池を通る反応体/生成物ガスおよびイオン伝導フローの方向とともに、図6に示す。図6に示す典型的な燃料電池において、燃料(例えば、メタノールまたは水素)はアノード触媒に供給され、アノード触媒により燃料分子がプロトン(メタノール型燃料電池用の二酸化炭素)に変換され、これがプロトン交換膜を通過して電池のカソード側に移る。カソード触媒では、プロトン(例えば、電子のない水素原子)が酸素イオンと反応して水が形成される。アノードからカソード側まで導電性ワイヤで接続することにより、アノード側の燃料の水素またはメタノールから離脱した電子がカソード側へと移動し得、酸素と結合して酸素イオンを形成し、したがって電気が発生する。アノードでの水素またはメタノール燃料の電気化学的酸化とカソードでの酸素の還元によって作動する燃料電池は、その高い変換効率、低公害、軽量および高いエネルギー密度のため、魅力的な電源である。
【0005】
例えば、直接メタノール型燃料電池(DMFC)では、液体のメタノール(CH3OH)がアノードで水の存在下にて酸化されてCO2、水素イオンおよび電子が生成し、電子は、燃料電池の電気的出力として外部回路を通って移動する。水素イオンは、電解質を通って移動し、アノードで空気中の酸素および外部回路からの電子と反応して水が形成され、回路が完成する。
【0006】
アノード反応:CH3OH + H2O → CO2 + 6H+ + 6e−
カソード反応:3/2O2 + 6H+ + 6e−→ 3H2O
セル全体の反応:CH3OH + 3/2O2 → CO2 + 2H2O
1990年代初期に最初に開発されたDMFCは、その低い効率および出力密度、ならびに他の問題のため、容認されなかった。触媒の改善および他の最近の開発により、出力密度が20倍増大し、その効率は、最終的に40%に達し得る。このようなセルは、約50℃〜120℃の温度範囲で試験されている。この低い作動温度および燃料改質装置が必要とされないことにより、DMFCは、非常に小型から中型の適用用途、例えば、携帯電話、ラップトップコンピュータ、カメラおよび他の消費財などから自動車用発電装置までの優れた候補となっている。DMFCの欠点の1つは、水素イオンおよび二酸化炭素へのメタノールの低温酸化には、より多くの活性触媒が必要とされることであり、これは、典型的には大量の高価な白金(および/またはルテニウム)触媒が必要とされることを意味する。
【0007】
DMFCでは、典型的には、その高い一酸化炭素(CO)許容性および反応性のため、触媒成分としてルテニウム(Ru)の使用が必要とされる。Ruは水を解離して酸化種を生成させ、これにより、メタノールから生成されるCOのCO2への酸化が助長される。いくつかの既存のDMFCでは、その粒子の大きな表面積対体積比(surface area to volume ratio)のため、ナノメートルサイズのバイメタルPt:Ru粒子が電解酸化触媒として使用される。Pt/Ruナノ粒子は、典型的には、充填粒子複合触媒構造が得られるように炭素担持体(例えば、カーボンブラック、フラーレン煤煙(soot)または脱硫カーボンブラック)上に提供される。Pt:Ru炭素充填粒子複合体を作製するための最も一般に使用される手法は、白金およびルテニウムの塩化物を含有する溶液中への炭素担持体の含浸およびその後の熱的還元である。
【0008】
多孔質電極領域では、燃料電池の反応体、電解質、活性Pt:Ruナノ粒子および炭素担持体間に、多相界面または接触が確立される。この界面の性質は、燃料電池の電気化学的性能において重要な役割を果たす。充填粒子複合体内では、他の触媒粒子部位は反応体に到達可能でないか、あるいは炭素担持体ネットワーク(電子経路)および/または電解質(プロトン経路)に接続されないかのいずれかであるため、一部の触媒粒子部位しか利用されないことが知られている。実際、現在の充填粒子複合体では、触媒粒子の約20〜30%しか利用されない。したがって、充填粒子複合体構造を利用したほとんどのDMFCは、非常に非効率的である。
【0009】
また、アノードおよび/またはカソードに対する接続性は、現在の充填粒子複合体構造では、粒子間の不充分な接触および/または密に充填した粒子間での燃料電池の反応体の迂遠な(tortuous)拡散経路のため、現状では制限される。電解質または担持体マトリックスの密度を増大させると、接続性は増大するが、また触媒部位へのメタノール拡散が減少する。したがって、合理的なコストで燃料電池の動作の効率を最大限にするためには、多孔質電極構造内の電極、電解質および気相間で微妙なバランスが維持されなければならない。燃料電池技術の開発における最近の取り組みのほとんどは、より高くより安定な電気化学的性能を得ると同時にコストを削減する目的で、電極構造および電解質相を洗練および改善すると同時にセル構成要素の厚さを小さくすることに注力されてきた。商業的に実現可能なDMFCを開発するためには、触媒の電極触媒活性が改善されなければならない。
【特許文献1】米国特許第5,677,082号明細書
【特許文献2】米国特許第6,303,266号明細書
【特許文献3】米国特許第6,479,030号明細書
【特許文献4】米国特許第6,582,673号明細書
【特許文献5】米国特許第6,749,827号明細書
【特許文献6】米国特許第6,756,026号明細書
【非特許文献1】Duanら、Nature 425:274−278(2003年9月)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ナノワイヤ、例えば半導体ナノワイヤとグラフェン層を合わせた構造は、これまでに開示されていなかった。また、炭素で構成された、または炭素主体(−based)層で被覆されたナノワイヤもまた、これまでに開示されていなかった。本明細書に開示されたナノワイヤを主体とする構造およびネットワークは、基板および担持体から膜および濾過に及ぶ種々の適用用途におけるその使用を可能にする特異な性質および特性を有する。本発明はまた、大きな表面積、高い構造安定性および連続体構造を有する高度に多孔性の材料をもたらす本文中に記載する種々の構造を備えるナノワイヤ複合膜電極触媒担持体アセンブリを提供する。該複合構造は、触媒利用、触媒到達可能性および電気的およびイオン的接続性を最大限にし、それにより、低コストで燃料電池の全体としての効率を改善するために電解質ネットワークと相互貫入させた高度に相互接続されたナノワイヤ担持型触媒構造などとして提供される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(発明の概要)
本発明は、ナノワイヤ構造および相互接続型ナノワイヤネットワークを提供する。このような構造およびネットワークは、種々の触媒および電池適用用途における膜および担持体、医療用デバイスにおける大表面積電極、ならびにクロマトグラフィーにおける使用のための粒子として特に有用である。
【0012】
一実施形態において、本発明は、炭素主体層を備えるナノワイヤを提供する。好適には、炭素主体層は、非結晶性で実質的に底面炭素がない。一実施形態において、ナノワイヤは、SiおよびBなどの半導体材料を含むものであり得るコアを備える。さらなる実施形態において、コアは、炭化物(例えば、SiC)などの炭素を含むものであり得るか、または炭素のみからなるもの(すなわち、純粋な炭素ナノワイヤ)であり得る。他の実施形態において、炭素主体層は炭化物、例えばSiCである。一般的に、ナノワイヤ上の炭素主体層は約1nmより大きい厚さであるが、より薄い層もまた作製され得る。
【0013】
別の実施形態において、本発明は、コア、界面炭化物層および該界面炭化物層上に形成される炭素主体構造を備えるナノワイヤ構造を提供する。界面炭化物層上に形成され得る炭素主体構造の例としては、ナノワイヤおよびナノグラファイト板が挙げられる。好適には、ナノワイヤコアは、半導体材料、例えば、Si、BもしくはSiCおよび/または高度にドープされた半導体材料などで作製されたものである。コアを形成するために使用され得るさらなる材料としては、限定されないが、無機系酸化物、無機系炭化物および無機系窒化物、ならびにカーボンナノチューブおよびカーボンナノフィブリルが挙げられる。ナノグラファイト板は、好適には、界面炭化物層および互いに結合された多層のグラフェンで構成されたものである。
【0014】
本発明はまた、かかるナノワイヤ構造の製造方法を提供する。一実施形態は、ナノワイヤコアを加熱すること、および該該ナノワイヤコアを1種類以上の炭素含有ガスと接触させ、該ナノワイヤ上に炭素主体層コアを形成させることを含む。一般的に、炭素主体層が形成される温度は約600℃より高い。該製造方法に使用され得る好適な炭素含有ガスとしては、限定されないが、一酸化炭素、メタン、エタン、プロパン、ブタン、エチレンおよびプロピレンが挙げられる。また、該ガス混合物は、希ガスまたは他の非汚染性のガスを含むものであってもよい。他の実施形態では、炭化物層およびナノグラファイト形成プロセスを制御するために水素を含め得る。
【0015】
本発明はまた、ナノワイヤコアを加熱すること;該ナノワイヤコアを1種類以上の炭素含有ガスと接触させ、該ナノワイヤコア上に界面炭化物層を形成させること;および少なくとも1つの炭素主体構造を該界面炭化物層上に形成させることを含む、ナノワイヤ構造の製造方法を含む。一般的に、界面炭化物層および炭素主体構造(例えば、ナノワイヤおよび/またはナノグラファイト板)が形成される温度は約600℃より高い。該製造方法に使用され得る好適な炭素含有ガスとしては、限定されないが、メタン、エタン、プロパン、ブタン、エチレンおよびプロピレンが挙げられる。また、該ガス混合物は、希ガスまたは他の非汚染性のガスを含むものであってもよい。他の実施形態では、炭化物層および炭素主体構造形成プロセスを制御するために水素を含め得る。
【0016】
相互接続型ナノワイヤネットワークの製造方法もまた提供される。例示的な方法は、複数のナノワイヤコアを液体中に分散させること;該ナノワイヤコアを濾過し、ナノワイヤマットを形成させること;該ナノワイヤマットを加熱すること;該ナノワイヤマットを1種類以上の炭素含有ガスと接触させ、該ナノワイヤコア上に界面炭化物層を形成させること、およびナノグラファイト板を該界面炭化物層上に形成させ、該ナノグラファイト板が該ナノワイヤコアを相互接続するようにすることを含む。
【0017】
別の実施形態において、本発明は、例えば、ナノグラファイト板により接続される複数のナノワイヤ構造を備える相互接続型ナノワイヤネットワークを提供する。ナノワイヤネットワークは、好適には、メソポーラスの膜または粒子を形成するものである。ナノワイヤ構造および相互接続型ナノワイヤネットワークは、触媒、燃料電池、医療用デバイス用の大表面積電極、センサー、担持体基材ならびにクロマトグラフィーおよび濾過用の媒体などの分野において適用用途を有する。
【0018】
別の実施形態において、本発明は、ナノ構造型構成要素、特に、1つ以上の電極の膜電極アセンブリを有するプロトン交換膜燃料電池を提供する。ナノ構造型燃料電池は、従来の燃料電池よりも高い電極での触媒性金属利用率、高い出力密度(kW/容積およびkW/質量)ならびに低コストを有する。ナノ構造型燃料電池は、固定式および可動式の適用用途に対してだけでなく、マイクロ電子機器、例えば、ラップトップコンピュータ、携帯電話、カメラおよび他の電子デバイス用の小型電源装置としての使用に対しても魅力的である。
【0019】
本発明のさらなる実施形態によれば、燃料電池の膜電極アセンブリにおける使用のためのナノワイヤ(例えば、無機ナノワイヤ)が開示され、これは、一般的に、ナノワイヤの表面上に堆積された金属触媒を備える。金属触媒は、薄膜としてナノワイヤの表面上に、または触媒粒子の層として、例えば、ナノワイヤの表面を標準的な表面化学反応基で官能性付与することにより堆積され得る。好適な金属触媒としては、限定されないが、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、金(Au)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、マンガン(Mn)、テクネチウム(Tc)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、銅(Cu)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、アルミニウム(Al)ならびにその組合せおよび合金(例えば、バイメタルPt:Ruナノ粒子など)の1種類以上が挙げられる。ナノワイヤは、該ワイヤの表面積対体積比を増大させて燃料電池の触媒効率が最大限となるように、分岐構造(例えば、側方小節(side nodule))を含むものであってもよい。ナノワイヤは、金属の導電性半導体性の炭化物、窒化物または酸化物材料、例えば、RuO2、SiC、GaN、TiO2、SnO2、WCx、MoCx、ZrC、WNx、MoNxなどで作製されたものであり得る。ナノワイヤは、ナノワイヤがさまざまな異なる燃料電池の反応体と適合性となるように弱酸中での分解に抵抗性である材料で作製されたものであることが好ましい。
【0020】
本発明のナノワイヤは、金属触媒粒子に結合する少なくとも第1の官能基または化学的結合部分、例えば、硝酸基、カルボン酸基、ヒドロキシル基、アミン基、スルホン酸基などで誘導体化されたものであってもよく、または他の堆積法、例えば、電着、原子層堆積、プラズマスパッタリングなどを用いて触媒を薄膜として堆積させてもよい。ナノワイヤはまた、ナノワイヤ上に直接堆積され得る薄いプロトン伝導性ポリマーコーティング(例えば、NAFION(登録商標)または他のスルホン化ポリマー)に差示的に結合する官能基で誘導体化されたものであってもよい。例えば、ナノワイヤは、既知の標準的な化学反応を用い、スルホン化炭化水素、フルオロカーボンまたは分枝炭化水素鎖で官能性付与され得る。あるいはまた、化学的結合部分を介してナノワイヤにイオノマーを結合させる代わりに、ナノワイヤを、プロトン伝導性となるように官能性付与してもよい。例えば、ナノワイヤは、よく知られた官能性付与化学反応を用い、過フッ素化スルホン化炭化水素などの表面コーティングにより官能性付与され得る。
【0021】
このようにして、ナノワイヤ触媒担持体とポリマーシェルとの間の密着関係により、全部でないにしても大部分の金属触媒粒子が3相接触点に存在することが確実になる(例えば、その結果、触媒粒子が燃料電池の反応体、電解質およびナノワイヤコアに到達可能となり、電子およびプロトンの伝導が効率的になる)。ナノワイヤ表面化学反応基の制御は、ナノワイヤ複合構造内のポリマーの濡れ性を制御するために使用され得、触媒粒子が触媒作用のために露出され、到達可能となることが確実になる。
【0022】
本発明の別の実施形態によれば、一般的に各々がその上面に堆積された金属触媒を有するナノワイヤの相互接続されたマットまたはネットワークを含む燃料電池の膜電極アセンブリ用のナノ構造型触媒担持体が提供される。触媒金属は、本明細書に記載の任意の触媒金属、ならびに当業者に知られたもの(例えば、白金など)を含むものであり得る。触媒金属は、白金とルテニウムなどの金属の組合せを含むものであってもよい。代表的な一実施形態において、触媒金属は、約50nm未満、例えば約10nm未満、例えば約5nm未満、例えば約1〜5nmの直径を有するナノ粒子を含む。この実施形態では、ナノワイヤのネットワーク内の各ナノワイヤは、典型的には、ナノワイヤネットワーク内の少なくとも1つまたはそれ以上の他のナノワイヤに物理的および/または電気的に接続され、ナノワイヤの高度に相互接続ネットワークが形成される。他の実施形態において、ナノワイヤは、アノード/カソード双極極板とプロトン交換膜との間にナノワイヤ平行なアレイ状に実質的に整列され得るか、またはナノワイヤはランダムに配向され得る。ナノワイヤは、各々が第1の触媒コロイドコーティングおよび/または第2の薄いプロトン伝導性ポリマーコーティング(例えば、NAFION(登録商標))でコートされていてもよい。膜電極アセンブリは、直接メタノール型燃料電池、水素燃料電池、または当業者に知られた任意の他の燃料電池における構成要素であり得る。
【0023】
燃料電池は、プロトン交換膜、アノード電極、カソード電極、ならびに第1および第2の双極極板を設け、アノード電極およびカソード電極の少なくとも一方が触媒担持型ナノワイヤの相互接続ネットワークを含むようにすることにより形成される。ナノワイヤネットワークの卓越した伝導性のため、燃料電池には、従来の燃料電池の場合のような、プロトン交換膜と第1および第2の双極極板との間のガス拡散層が必要とされないことがあり得る。一実施形態において、ナノワイヤは、燃料電池の双極極板および/またはプロトン交換膜の1つ以上の上面に、直接合成され得る。また、ナノワイヤは、別個の成長基板上で成長させ、該基板から回収し、次いで移し(例えば、相互接続型ワイヤの多孔質シートとして)、燃料電池構造内に組み込んでもよい(例えば、燃料電池の構成要素の1つ以上、例えば、双極極板および/またはプロトン交換膜の1つ以上の上面に堆積させる)。双極極板(1つまたは複数)および/またはプロトン交換膜上にてインサイチュで成長させる場合、ナノワイヤは、双極極板(1つまたは複数)もしくはプロトン交換膜の表面に対して実質的に垂直また法線方向に配向され得るか、またはランダムに配向され得る。
【0024】
ナノワイヤネットワーク内のナノワイヤは、該ネットワーク内の1つ以上の他のワイヤに優先的に物理的および/または電気的に接続されて開放型の高度に分岐した多孔質、相互絡合型構造が形成され、これは、反応体および廃物拡散に対する拡散抵抗性が全体的に低く、高い構造安定性および高い触媒効率が確保される電子に対する高い電気的伝導性を有し、したがって高い出力密度および低い総コストがもたらされる。ナノワイヤの多重電気的伝導性により、例えば、1つのワイヤが系内で破断または損傷した場合、該ワイヤに沿ったすべての点は依然として異なる経路に沿って(例えば、ネットワーク内の他のナノワイヤを介して)アノード(またはカソード)電極に接続されることが確保される。これにより、以前の充填粒子複合体構造と比べると、相当改善された電気的伝導性および安定性が提供される。触媒は、原料の燃料に高度に到達可能で電子およびプロトンをもたらすとともに、電子が、ナノワイヤを介して双極極板に直接伝導され、プロトンが、ポリマーを介して膜に直接輸送され得る。
【0025】
ナノワイヤネットワーク内のナノワイヤは、ナノワイヤネットワークの伝導性および構造安定性が増大するように、本明細書においてさらに記載されている種々の架橋または焼結方法を用いて、かかるナノワイヤが他のナノワイヤと接触または近接する点で互いに架橋または融合させてもよい。別の実施形態では、同じ架橋または焼結ストラテジーを用い、ナノワイヤとかかるナノワイヤと接触または近接している触媒材料との間の電気的または構造的伝導性を改善し得る。
【0026】
ナノワイヤネットワークは、該ネットワーク内にナノワイヤ間に複数の細孔を画定し、該複数の細孔は、優先的に、約10μm未満、例えば約5μm未満、例えば約1μm未満、例えば約0.2μm未満、例えば0.02μm未満、例えば約0.002μm〜0.02μm、例えば約0.005〜0.01μmの有効孔径を有する。分岐型ナノワイヤ構造の全体としての多孔度は、約30%より大きい、例えば約30%〜95%、例えば約40%〜60%であり得る。ナノワイヤは、分岐型ナノワイヤネットワークにおいて該ナノワイヤと相互貫入された連続ネットワークを形成し、プロトン(例えば、H+)輸送のための充分な接触点をもたらす多孔質ポリマーマトリックス電解質材料、例えば、パーフルオロスルホン酸/PTFEコポリマー(例えば、NAFION(登録商標))中に分散されている。
【0027】
本発明の別の実施形態において、一般的に、(a)クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、マンガン(Mn)、テクネチウム(Tc)、レニウム(Re)、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、アルミニウム(Al)およびその組合せの1種類以上を含む群から選択される触媒金属を複数の無機ナノワイヤと会合させ、触媒金属と会合した複数の無機ナノワイヤを形成すること、ならびに(b)触媒金属と会合した複数の無機ナノワイヤを備える膜電極形成させることを含む、燃料電池の膜電極の作製方法を開示する。
【0028】
該複数の無機ナノワイヤは、触媒金属に結合する少なくとも第1の官能基、例えば、硝酸基、カルボン酸基、ヒドロキシル基、アミン基、スルホン酸基などで誘導体化されたものであってもよい。また、会合は、化学気相蒸着、電着、物理気相蒸着、溶液含浸および析出、コロイド粒子の吸収および堆積、原子層堆積ならびにその組合せを含む群から選択されるさまざまな方法によって行なわれ得る。例えば、会合は、触媒金属前駆体(例えば、クロロ白金酸など)の化学蒸着または溶液中での前駆体塩のPtの電着によって行なわれ得る。触媒金属前駆体は、触媒金属前駆体を金属の還元に供することにより触媒的に活性な金属に変換され得、ここで、金属の還元は、水素の還元、化学的還元、電気化学的還元およびその組合せを含む群から選択される方法によって行なわれる。触媒的に活性な金属は、ナノワイヤの表面上の金属ナノ粒子の形態であり得る。該形成はプロトン交換膜上または双極極板の1つ以上の上面で、例えば、噴霧/ブラシ塗装、溶液コーティング、流延、電析、ナノワイヤの流動性懸濁液の濾過、ならびにその組合せを含む群から選択される方法によって行なわれ得る。また、ナノワイヤは、燃料電池の構成要素の1つ以上、例えば、双極極板および/またはプロトン交換膜の1つ以上の上面で直接成長させてもよい。該方法は、イオノマー樹脂(例えば、パーフルオロスルホン酸/PTFEコポリマー、例えばNAFION(登録商標))を、触媒金属と会合した該複数の無機ナノワイヤと混合することをさらに含むものであり得る。該複数の無機ナノワイヤは、イオノマー樹脂に結合する少なくとも第2の官能基(例えば、スルホン化炭化水素基)で誘導体化されたものであってもよい。
【0029】
本発明の別の実施形態において、一般的に、ナノワイヤを成長基板上に形成させること;該ナノワイヤを該成長基板から流動性懸濁液中に移すこと;1種類以上の触媒金属を該ナノワイヤ上に堆積させ、ナノワイヤ担持型触媒を形成すること;該ナノワイヤの該流動性懸濁液を濾過し、相互接続型ナノワイヤの多孔質シートを作出すること;該ナノワイヤのネットワークにイオノマー樹脂を浸透させること;および該相互接続型ナノワイヤのシートをプロトン交換膜と合わせ、膜電極アセンブリ(MEA)を形成することを含む、燃料電池の膜電極アセンブリの作製方法を開示する。ホットプレス法を用いてアノード電極およびカソード電極両方の電解質をプロトン交換膜と融合させ、アノード電極からカソード電極への効率的なプロトン輸送のための連続電解質相を形成し得る。1種類以上の触媒金属を堆積させる工程は、例えば、白金、金、ルテニウムおよび他の金属ならびにその組合せを含む群から選択される金属を堆積させることを含むものであり得る。該方法は、第1および第2の双極極板を一緒に合わせ、プロトン交換膜燃料電池を形成することにより形成されたMEAを利用するプロトン交換膜燃料電池を形成させることをさらに含むものであり得る。
【0030】
別の実施形態において、本発明は、1つ以上のチャネル(channel)、該チャネル内に配設された1つ以上のナノワイヤ、および該1つ以上のナノワイヤの表面上に堆積された1種類以上の金属触媒を有する第1の表面を有する無機担持体ウェハを備える燃料電池電極を提供する。好適な実施形態において、無機担持体ウェハは約5mm以下程度の厚さのSiウェハである。さらなる実施形態において、ウェハは、第1の表面と反対側に1つ以上のチャネルを備える第2の表面、該第2の表面のチャネル内に配設された1つ以上のナノワイヤ、およびナノワイヤの表面上に堆積された1種類以上の金属触媒を有する。好適には、ウェハおよびナノワイヤの表面は浸炭されている。燃料電池電極に有用な金属触媒の例としては、本文中に記載するもの、例えば、Pt、Au、Pd、Ru、Re、Rh、Os、Ir、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、V、Cr、Mo、Wならびにその合金および混合物が挙げられる。好適には、金属触媒は、約1nm〜10nmの直径を有するナノ粒子である。
【0031】
本発明はまた、第1の燃料電池電極、プロトン交換膜および第2の燃料電池電極を備える膜電極アセンブリを提供する。好適な実施形態において、第1の燃料電池電極の第1の表面は、アニオン金属触媒(例えば、PtRu)を有するナノワイヤを備えており、第2の燃料電池電極の第2の表面は、カチオン金属触媒(例えば、Pt)を有するナノワイヤを備えている。本発明における使用に好適なプロトン交換膜としては、スルホン化テトラフルオロ(fluor)エチレンコポリマーが挙げられる。
【0032】
本発明はまた、第1の表面および第2の表面を有する半導体ウェハを準備すること、1つ以上のチャネルを第1の表面および第2の表面上にエッチングすること、1つ以上のナノワイヤを該第1および第2の表面内のチャネル内に配設すること、該ナノワイヤと該第1および第2の表面を1種類以上の炭素含有ガスと接触させ、炭素主体層を該ナノワイヤと該第1および第2の表面上に形成すること、ならびに1種類以上の金属触媒を該ナノワイヤ上に堆積させることを含む、燃料電池電極の作製方法を提供する。好適なエッチング方法としては、NaOHエッチングが挙げられる。一般的に、ナノ粒子触媒はナノワイヤ上に堆積され、カソードおよびアノードのナノワイヤが作製される。
【0033】
さらなる実施形態において、本発明は、コア、界面炭化物層および該界面炭化物層上に形成される炭素主体構造を有するナノワイヤ構造を備える電界放出部材を提供する。好適には、コアは、半導体材料、例えば、Si、B、SiCまたはGaNなどを含む。さらなる実施形態において、コアは、SiO2、Al2O3、TiO2、SnO2、ZrO2、HfO2およびTa2O5を含む群から選択される無機系酸化物;TiC、ZrC、HfC、NbC、WC、W2C、MoCおよびMo2Cを含む群から選択される無機系炭化物;またはTiN、ZrN、HfN、WN、MoNおよびBNを含む群から選択される無機系窒化物を含む。界面炭化物層は、好適には、SiC、TiC、ZrC、HfC、NbC、WC、Mo2Cおよびその混合物を含む群から選択される。炭素主体構造は、一般的に、コアから約1nm〜約100nmの距離離れたところまで延びている少なくとも1つのナノグラファイト板であり、コアの長軸に対して約0°〜約90°の角度で配向される。
【0034】
さらなる実施形態において、本発明は、ナノワイヤと会合した1種類以上の触媒金属を含む、1つ以上のナノワイヤの作製方法を提供する。例示的な実施形態では、1つ以上のナノワイヤが溶液中に分散され、次いで1種類以上の触媒金属が添加される(例えば、1種類以上の触媒金属ナノ粒子を含む溶液)。次いで、該溶液を還流(例えば、沸騰まで、例えば約10〜60分間加熱)し、それにより、触媒金属が、ナノワイヤと会合した状態になる。該溶液は、次いで濾過して固形ナノワイヤの分散液が作製され得、次いで、最後に乾燥され得る。
【0035】
本発明はまた、燃料電池膜電極アセンブリの作製方法を提供する。まず、ガス拡散層を設ける。次いで、触媒金属会合型ナノワイヤの第1の組成物(例えば、溶液)をガス拡散層に隣接して配設する。好適には、触媒金属会合型ナノワイヤの溶液は、1種類以上のイオノマーもまた含むものである。次いで、膜層(例えば、プロトン伝導性ポリマー)を該第1の触媒金属会合型ナノワイヤ組成物に隣接して配設し、最後に、触媒金属会合型ナノワイヤの第2の組成物(例えば、好適には、1種類以上のイオノマーもまた含む溶液)を膜層に隣接して配設する。好適には、第1の組成物は、アノード触媒金属会合型ナノワイヤを含むものであり、第2の組成物は、カソード触媒金属会合型ナノワイヤを含むものである。さらなる実施形態において、触媒金属会合型ナノワイヤの第1の組成物を配設する前に、ガス拡散層の少なくとも縁部を被覆するためのマスキング層をガス拡散層に隣接して配設する。マスキング層は、次いで、第1の組成物の配設後で膜層の配設前に除去される。さらなる実施形態では、触媒金属会合型ナノワイヤの第2の組成物の配設前に、膜層の少なくとも縁部を被覆するためのマスキング層が膜層上に配設される。好適には、ナノワイヤ組成物は溶液から噴霧される。本発明はまた、本文中に開示する方法に従って作製される膜電極アセンブリを提供する。
【0036】
なおさらなる実施形態において、本発明は、燃料電池電極積層体の作製方法を提供する。まず、第1の端板を設け、ガスケットを該端板に隣接して配設する。次いで、本発明の膜電極アセンブリ(MEA)を、該ガスケットに隣接して配設する。次いで、ガス拡散層を該MEAに隣接して配設した後、別のガスケットを該ガス拡散層に隣接して配設する。最後に、端板を該第2のガスケットに隣接して配設する。
【0037】
さらなる実施形態において、本発明のMEA作製方法は、燃料電池電極積層体を作製する際、さらなるMEA層(2、3、4、5、6つなど、n番目までのMEA)を組み立てる(assemble)ことをさらに含むものであり得る。例えば、第2のガスケットの配設後で最後の端板の配設前において、双極極板を第2のガスケットに隣接して配設する。次いで、別のガスケットを該双極極板に隣接して配設し、第2のMEAを該ガスケットに隣接して配設する。この後、さらなるガス拡散層を該MEAに隣接して配設する。次いで、最後に、さらなるガスケットを該ガス拡散層に隣接して配設する。次いで、これらの工程は、端板を配設する前のn番目、すなわち、最後の膜電極アセンブリが配設されるまで反復され得る。
【0038】
本発明はまた、コア、界面炭化物層および該界面炭化物層上に形成される炭素主体構造、ならびにカーボンブラックを備える1つ以上のナノワイヤを含む導電性複合材料を提供する。さらなる一実施形態は、コア、界面炭化物層および該界面炭化物層上に形成される炭素主体構造、ならびにカーボンブラックを備える1つ以上のナノワイヤを含む多孔質触媒担持体を提供する。なおさらなる実施形態は、コア、界面炭化物層および該界面炭化物層上に形成される炭素主体構造、カーボンブラックならびにナノワイヤおよび該カーボンブラックと会合した1種類以上の触媒金属を備える1つ以上のナノワイヤを含む触媒を提供する。
【0039】
本発明のさらなる実施形態、特徴および利点、ならびに本発明の種々の実施形態の構造および動作を、添付の図面を参照しながら、以下により詳細に記載する。
【0040】
本発明を添付の図面に関して説明する。図において、同様の参照番号は同一または機能的に類似する部材を示す。部材が最初に表示された図は、対応する参照番号の一番左側に示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
(発明の詳細な説明)
本明細書に示し、記載する特定の実施は、本発明の一例であり、他の様式で(otherwise)本発明の範囲をなんら制限することは意図されないことを認識されたい。実際、簡潔のため、従来の電子機器、製造、半導体デバイスおよびナノワイヤ(NW)、ナノロッド、ナノチューブおよびナノリボン技術ならびに該系(および該系の構成要素の個々の作動構成要素)の他の機能的態様は、本明細書に詳細に記載されていないことがあり得る。さらにまた、簡潔にする目的のため、本発明では、ナノワイヤに関すると本明細書において頻繁に記載するが、他の同様の構造もまた本明細書において包含される。
【0042】
ナノワイヤが頻繁に言及されるが、本明細書に記載の技術はまた、他のナノ構造、例えばナノロッド、ナノチューブ、ナノテトラポッド、ナノリボンおよび/またはその組合せにも適用可能であることを認識されたい。さらに、本明細書に記載の製造技術は、炭素主体層(例えば、非底面炭素などの非結晶性の炭素、ならびに結晶性のナノグラファイトコーティング)を、広範な材料、例えば、限定されないが、従来の繊維および繊維構造;平坦、湾曲および不規則な表面;ならびに金属、半導体、セラミック発泡体、網状金属およびセラミックなどの種々の材料の表面上に作出するために使用され得ることを認識されたい。さらに、該技術は、触媒、エネルギー貯蔵および変換、分離、医療用デバイス用の電極、保護表面としての適用、または任意の他の適用用途に適したものであり得る。
【0043】
本明細書で用いる場合、「アスペクト比」は、ナノ構造の第1の軸の長さを、該ナノ構造の第2および第3の軸の長さの平均で除算したものであり、このとき、第2および第3の軸は、その長さが互いに最もほぼ同じである2つの軸である。例えば、完全なロッドのアスペクト比は、その長軸の長さを、該長軸に垂直な(法線方向の)断面の直径で除算したものであり得る。
【0044】
用語「ヘテロ構造」は、ナノ構造に関して用いる場合、少なくとも2つの異なるおよび/または識別可能な材料の型を特徴とするナノ構造をいう。典型的には、ナノ構造の第1の領域は第1の型の材料を含み、一方でナノ構造の第2の領域は第2の型の材料を含む。別の実施形態において、ナノ構造は、第1の材料のコアと、第2(または第3など)の材料の少なくとも1つのシェルとを備え、このとき、該異なる型の材料は、例えば、ナノワイヤの長軸、分岐型ナノ結晶の突起部(arm)の長軸、またはナノ結晶の中心の周りに放射状に分布される。シェルは、シェルとみなされる隣接する材料を完全に被覆している必要はないか、またはナノ構造がヘテロ構造であるとみなされる必要はない。例えば、小島状の第2の材料で被覆された第1の材料のコアを特徴とするナノ結晶はヘテロ構造である。他の実施形態において、該異なる型の材料はナノ構造内の異なる位置に分布される。例えば、該型の材料は、ナノワイヤの主(長)軸に沿って、または分岐型ナノ結晶の長軸もしくは突起部に沿って分布され得る。ヘテロ構造内の異なる領域は完全に異なる材料を含むものであり得るか、または該異なる領域はベース材料を含むものであり得る。
【0045】
本明細書で用いる場合、「ナノ構造」は、約500nm未満、例えば約200nm未満、約100nm未満、約50nm未満、あるいはさらに約20nm未満の寸法を有する少なくとも1つの領域または特性寸法を有する構造である。典型的には、該領域または特性寸法は該構造の最小軸に沿ったものである。かかる構造の例としては、ナノワイヤ、ナノロッド、ナノチューブ、分岐型ナノ結晶、ナノテトラポッド、トライポッド、バイポッド(bipod)、ナノ結晶、ナノドット、量子ドット、ナノ粒子、分岐型テトラポッド(例えば、無機系デンドリマー)などが挙げられる。ナノ構造は、材料特性において実質的に均質であり得るか、または他の実施形態では、不均質であり得る(例えば、ヘテロ構造)。ナノ構造は、例えば、実質的に結晶性、実質的に単結晶性、多結晶性、アモルファスまたはその組合せであり得る。一態様において、ナノ構造の3次元の1つは、約500nm未満、例えば約200nm未満、約100nm未満、約50nm未満、あるいはさらに約20nm未満の寸法を有する。
【0046】
本明細書で用いる場合、用語「ナノワイヤ」は、一般的に、500nm未満、好ましくは100nm未満である少なくとも1つの断面寸法を含み、10より大きい、好ましくは50より大きい、より好ましくは100より大きいアスペクト比(長さ:幅)を有する任意の細長い導電性または半導体材料(あるいは本明細書に記載の他の材料)をいう。
【0047】
本発明のナノワイヤは、材料特性において実質的に均質であり得るか、または他の実施形態では、不均質であり得る(例えば、ナノワイヤヘテロ構造)。ナノワイヤは、本質的に任意の簡便な1種類または複数種の材料から製作され得、例えば、実質的に結晶性、実質的に単結晶性、多結晶性、アモルファスまたはその組合せであり得る。ナノワイヤは、種々の直径を有するものであり得るか、または実質的に均一な直径、すなわち、変動性が最大の領域および少なくとも5nm(例えば、少なくとも10nm、少なくとも20nmまたは少なくとも50nm)の長さ寸法に対して約20%未満(例えば、約10%未満、約5%未満または約1%未満)の分散を示す直径を有するものであり得る。典型的には、該直径は、ナノワイヤの末端から離れて(例えば、ナノワイヤの中心部の20%、40%、50%または80%で)評価される。ナノワイヤは、一直線状であり得るか、または例えば、その長軸の全長またはその一部分が湾曲もしくは屈曲したものであり得る。他の実施形態において、ナノワイヤまたはその一部分は、2次元または3次元の量子閉じ込めを示し得る。
【0048】
かかるナノワイヤの例としては、国際特許出願公開公報WO02/17362、WO02/48701およびWO 01/03208に記載のような半導体ナノワイヤ、カーボンナノチューブ、ならびに同様の寸法の他の細長い導電性または半導体構造が挙げられ、これらは、引用により本明細書に組み込まれる。
【0049】
本明細書で用いる場合、用語「ナノロッド」は、一般的に、ナノワイヤと類似するが、ナノワイヤのものより小さいアスペクト比(長さ:幅)を有する任意の細長い導電性または半導体材料(あるいは本明細書に記載の他の材料)をいう。2つ以上のナノロッドがその縦軸に沿って互いに連結されて連結されたナノロッドが電極間全体に広がっていることがあり得ることに注意されたい。あるいはまた、2つ以上のナノロッドは、その縦軸に沿って実質的に整列されているが互いに連結されてはおらず、その結果、該2つ以上のナノロッドの末端間に小間隙が存在するようになっていてもよい。この場合、電子は、1つのナノロッドから別のものへのホッピングによって小間隙を通り抜け、1つのナノロッドから別のものに流動し得る。2つ以上のナノロッドは実質的に整列されたものであり得、その結果、電子が電極間を移動し得る経路が形成される。
【0050】
ナノワイヤ、ナノロッド、ナノチューブおよびナノリボンには、広範な型の材料、例えば、Si、Ge、Sn、Se、Te、B、C(ダイヤモンドを含む)、P、B−C、B−P(BP6)、B−Si、Si−C、Si−Ge、Si−SnおよびGe−Sn、SiC、BN、BP、BAs、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、BeS、BeSe、BeTe、MgS、MgSe、GeS、GeSe、GeTe、SnS、SnSe、SnTe、PbO、PbS、PbSe、PbTe、CuF、CuCl、CuBr、CuI、AgF、AgCl、AgBr、AgI、BeSiN2、CaCN2、ZnGeP2、CdSnAs2、ZnSnSb2、CuGeP3、CuSi2P3、(Cu、Ag)(Al、Ga、In、Tl、Fe)(S、Se、Te)2、Si3N4、Ge3N4、Al2O3、(Al、Ga、In)2(S、Se、Te)3、Al2COから選択される半導体材料、ならびに2種類以上のかかる半導体の適切な組合せが使用され得る。
【0051】
ナノワイヤはまた、金、ニッケル、パラジウム、イリジウム(iradium)、コバルト、クロム、アルミニウム、チタン、スズなどの金属、金属合金、ポリマー、導電性ポリマー、セラミックおよび/またはその組合せなどの他の材料から形成され得る。他の現在既知または後に開発される導電性または半導体材料が使用され得る。
【0052】
本発明のナノワイヤはまた、有機系ポリマー、セラミック、無機系半導体(例えば、炭化物および窒化物および酸化物(例えば、TiO2もしくはZnO)など)、カーボンナノチューブ、生物学的に誘導された化合物(例えば、繊維状タンパク質など)で構成されたものであり得る。例えば、特定のある実施形態において、半導体ナノワイヤなどの無機ナノワイヤが使用される。半導体ナノワイヤは、いくつかの第IV族、第III〜V族もしくは第II〜VI族半導体またはその酸化物で構成されたものであり得る。一実施形態において、ナノワイヤは、金属の導電性、半導体性の炭化物、窒化物または酸化物材料、例えば、RuO2、SiC、GaN、TiO2、SnO2、WCx、MoCx、ZrC、WNx、MoNxなどを含むものであり得る。本文中に記載している下付き文字「x」は、化学式において使用される場合、正の整数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10など)を示す。ナノワイヤは、ナノワイヤがさまざまな異なる燃料電池の反応体と適合性となるように弱酸中での分解に抵抗性である材料で作製されていることが好適である。本発明によるナノワイヤは、カーボンナノチューブを明白に除外するものであり得、特定のある実施形態では、「ホイスカ(whisker)」または「ナノホイスカ」、特に、100nmより大きい、もしくは約200nmより大きい直径を有するホイスカを除外するものであり得る。
【0053】
他の態様において、半導体は、周期表の第III族由来のp型ドーパント;周期表の第V族由来のn型ドーパント;B、AlおよびInからなる群より選択されるp型ドーパント;P、AsおよびSbからなる群より選択されるn型ドーパント;周期表の第II族由来のp型ドーパント;Mg、Zn、CdおよびHgからなる群より選択されるp型ドーパント;周期表の第IV族由来のp型ドーパント;CおよびSiからなる群より選択されるp型ドーパント;またはSi、Ge、Sn、S、SeおよびTeからなる群より選択されるn型ドーパントからなる群からのドーパントを含むものであり得る。他の現在既知または後に開発されるドーパント材料が使用され得る。
【0054】
さらに、ナノワイヤまたはナノリボンは、カーボンナノチューブ、または導電性もしくは半導体有機系ポリマー材料(例えば、ペンタセンおよび遷移金属酸化物)で形成されたナノチューブを含むものであり得る。
【0055】
本明細書においてなされる空間的記載(例えば、「上方」、「下方」、「上」、「下」、「上面」、「底面」など)は例示の目的のために過ぎないこと、および本発明のデバイスは、任意の向きまたは様式で空間的に配列され得ることは理解されよう。
【0056】
ナノ材料は、多種多様な異なる方法で作製されている。例えば、溶液系、界面活性剤媒介系結晶成長が、球形の無機系ナノ材料、例えば、量子ドットならびに細長いナノ材料(例えば、ナノロッドおよびナノテトラポッド)の作製について報告されている。他の方法、例えば、気相法もまたナノ材料の作製に使用されている。例えば、報告によると、シリコンナノ結晶がシランガスのレーザー熱分解によって作製されている。
【0057】
他の方法では、基板系合成方法、例えば、Greeneら(“Low−temperature wafer scale production of ZnO nanowires arrays,” L.Greene、M.Law、J.Goldberger、F.Kim、J.Johnson、Y.Zhang、R.Saykally、P.Yang、Angew.Chem.Int.第42版、3031−3034、2003)に記載されたものなどのZnOナノワイヤを作製するための低温合成方法、ならびに触媒性金粒子(例えば、加熱されると粒子を形成するコロイドまたは薄膜のいずれかとして堆積させたもの)を用いる高温VLS方法が使用される。ナノワイヤが作製されるかかるVLS方法は、例えば、国際特許出願公開公報WO 02/017362(その全開示は、引用によりその全体があらゆる目的のために本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0058】
種々の材料に適合され得る任意のいくつかの簡便な方法によって、ナノ構造が製作され得、その大きさが制御され得る。例えば、種々の組成物のナノ結晶の合成は、例えば、Pengら(2000)「Shape Control of CdSe Nanocrystals」Nature 404、59−61;Puntesら(2001)「Colloidal nanocrystal shape and size control:The case of cobalt」Science 291,2115−2117;Alivisatosらに対するUSPN6,306,736(2001年10月23日)、発明の名称「Process for forming shaped group III−V semiconductor nanocrystals,and product formed using process」;Alivisatosらに対するUSPN6,225,198(2001年5月1日)、発明の名称「Process for forming shaped group II−VI semiconductor nanocrystals,and product formed using process」;Alivisatosらに対するUSPN5,505,928(1996年4月9日)、発明の名称「Preparation of III−V semiconductor nanocrystals」;Alivisatosらに対するUSPN5,751,018(1998年5月12日)、発明の名称「Semiconductor nanocrystals covalently bound to solid inorganic surfaces using self−assembled monolayers」;Gallagherらに対するUSPN6,048,616(2000年4月11日)、発明の名称「Encapsulated quantum sized doped semiconductor particles and method of manufacturing same」;およびWeissらに対するUSPN5,990,479(1999年11月23日)、発明の名称「Organo luminescent semiconductor nanocrystal probes for biological applications and process for making and using such probes」に記載されている。
【0059】
種々のアスペクト比を有するナノワイヤ、例えば、制御された直径を有するナノワイヤの成長は、例えば、Gudiksenら(2000)「Diameter−selective synthesis of semiconductor nanowires」J.Am.Chem.Soc.122、8801−8802;Cuiら(2001)「Diameter−controlled synthesis of single−crystal silicon nanowires」Appl.Phys.Lett.78、2214−2216;Gudiksenら(2001)「Synthetic control of the diameter and length of single crystal semiconductor nanowires」J.Phys.Chem.B 105,4062−4064;Moralesら(1998)「A laser ablation method for the synthesis of crystalline semiconductor nanowires」Science 279、208−211;Duanら(2000)「General synthesis of compound semiconductor nanowires」Adv.Mater.12、298−302;Cuiら(2000)「Doping and electrical transport in silicon nanowires」J.Phys.Chem.B 104、5213−5216;Pengら(2000)「Shape control of CdSe nanocrystals」Nature 404、59−61;Puntesら(2001)「Colloidal nanocrystal shape and size control:The case of cobalt」Science 291、2115−2117;Alivisatosらに対するUSPN6,306,736(2001年10月23日)、発明の名称「Process for forming shaped group III−V semiconductor nanocrystals,and product formed using process」;Alivisatosらに対するUSPN6,225,198(2001年5月1日)、発明の名称「Process for forming shaped group II−VI semiconductor nanocrystals,and product formed using process」;Lieberらに対するUSPN6,036,774(2000年3月14日)、発明の名称「Method of producing metal oxide nanorods」;Lieberらに対するUSPN5,897,945(1999年4月27日)、発明の名称「Metal oxide nanorods」;Lieberらに対するUSPN5,997,832(1999年12月7日)「Preparation of carbide nanorods」;Urbauら(2002)「Synthesis of single−crystalline perovskite nanowires composed of barium titanate and strontium titanate」J.Am.Chem.Soc、124、1186;ならびにYunら(2002)「Ferroelectric Properties of Individual Barium Titanate Nanowires Investigated by Scanned Probe Microscopy」Nanoletters 2、447に記載されている。
【0060】
特定のある実施形態において、本発明のナノワイヤは、このような細長い構造を基板表面上で成長または合成させることにより作製される。一例として、公開された米国特許出願第US−2003−0089899−A1号には、気相エピタキシーを用いて、固相基板に付着された金コロイドから半導体ナノワイヤの均一な集団を成長させる方法が開示されている。Greeneら(“Low−temperature wafer scale production of ZnO nanowires arrays”、L.Greene、M.Law、J.Goldberger、F.Kim、J.Johnson、Y.Zhang、R.Saykally、P.Yang、Angew.Chem.Int.第42版、3031−3034、2003)には、溶液系の低温ワイヤ成長プロセスを用いたナノワイヤ合成の代替的な方法が開示されている。他の細長いナノ材料を合成するのに、さまざまな他の方法、例えば、短いナノ材料を作製するための米国特許第5,505,928号、同第6,225,198号および同第6,306,736号に開示された界面活性剤系の合成方法、およびカーボンナノチューブをのための既知の方法(例えば、Daiらに対するUS−2002/0179434を参照)、ならびに成長基板の使用なしでナノワイヤを成長させるための方法(例えば、MoralesおよびLieber、Science、V.279、p.208(1998年1月9日)を参照)が使用される。本明細書に記載のように、このような任意のまたはあらゆる種々の材料が、本発明における使用のためのナノワイヤの作製に使用され得る。一部のある適用用途では、多種多様な第III〜V族、II〜VIおよび第IV族半導体が、作製される基板または物品の最終の適用用途に応じて利用され得る。一般に、かかる半導体ナノワイヤは、例えば、上記の本明細書に組み込まれるUS−2003−0089899−A1に記載されている。
【0061】
分岐型ナノワイヤ(例えば、ナノテトラポッド、トライポッド、バイポッドおよび分岐型テトラポッド)の成長は、例えば、Junら(2001)「Controlled synthesis of multi−armed CdS nanorod architectures using monosurfactant system」J.Am.Chem.Soc.123,5150−5151、およびMannaら(2000)「Synthesis of Soluble and Processable Rod−,Arrow−,Teardrop−,and Tetrapod−Shaped CdSe Nanocrvstals」J.Am.Chem.Soc.122,12700−12706に記載されている。
【0062】
ナノ粒子の合成は、例えば、Clark Jr.らに対するUSPN5,690,807(1997年11月25日)、発明の名称「Method for producing semiconductor particles」;El−Shallらに対するUSPN6,136,156(2000年10月24日)、発明の名称「Nanoparticles of silicon oxide alloys」;Yingらに対するUSPN6,413,489(2002年7月2日)、発明の名称「Synthesis of nanometer−sized particles by reverse micelle mediated techniques」;およびLiuら(2001)「Sol−Gel Synthesis of Free−Standing Ferroelectric Lead Zirconate Titanate Nanoparticles」J.Am.Chem.Soc.123、4344に記載されている。ナノ粒子の合成はまた、得られるナノ構造が約1.5未満のアスペクト比を有するナノ結晶、ナノワイヤ、および分岐型ナノワイヤの成長に関して上記で引用した文献にも記載されている。
【0063】
コア−シェルナノ構造であるヘテロ構造、すなわちナノ結晶とナノワイヤ(例えば、ナノロッド)のコア−シェルヘテロ構造の合成は、例えば、Pengら(1997)「Epitaxial growth of highly luminescent CdSe/CdS core/shell nanocrystals with photostability and electronic accessibility」J.Am.Chem.Soc.119、7019−7029;Dabbousiら(1997)「(CdSe)ZnS core−shell quantum dots:Synthesis and characterization of a size series of highly luminescent nanocrysallites」J.Phys.Chem.B 101、9463−9475;Mannaら(2002)「Epitaxial growth and photochemical annealing of graded CdS/ZnS shells on colloidal CdSe nanorods」J.Am.Chem.Soc.124、7136−7145;およびCaoら(2000)「Growth and properties of semiconductor core/shell nanocrystals with JnAs cores」J.Am.Chem.Soc.122、9692−9702に記載されている。同様のアプローチが、他のコア−シェルナノ構造の成長に適用され得る。
【0064】
異なる材料がナノワイヤの長軸に沿って異なる位置に分布されたナノワイヤヘテロ構造の成長は、例えば、Gudiksenら(2002)「Growth of nanowire superlattice structures for nanoscale photonics and electronics」Nature 415、617−620;Bjorkら(2002)「One−dimensional steeplechase for electrons realized」Nano Letters 2、86−90;Wuら(2002)「Block−by−block growth of single−crystalline Si/SiGe superlattice nanowires」Nano Letters 2、83−86;およびEmpedoclesに対する米国特許出願第60/370,095号(2002年4月2日)、発明の名称「Nanowire heterostructures for encoding information」に記載されている。同様のアプローチが、他のヘテロ構造の成長に適用され得る。
【0065】
本明細書および共同譲渡された米国特許仮出願第60/738,100号(2005年11月21日出願)(その全内容は、引用により本明細書に組み込まれる)の本文中に記載のように、多数のシェルを有するナノワイヤ構造、例えば、導電性内側コアワイヤ(これは、ドープされたものであってもそうでなくてもよい)(例えば、電子輸送に必要な導電性を付与するため)および触媒(および/またはポリマー電解質)の結合に適した表面を提供する1つ以上の外側シェル層などもまた製作され得る。例えば、一実施形態において、最も外側のシェル層が炭化ケイ素に変換されて、触媒(および/またはポリマー電解質)を結合するための表面(SiC)および必要な導電性を付与するための導電性カーボンナノチューブコアを提供する多層(multi−layer/multi−walled)カーボンナノチューブ(MWNT)が形成され得る。択一的な実施形態において、コアは、重度にドープされた材料、例えば、ドープシリコンからなるものであり得、炭化物、窒化物などのシェル材料(例えば、SiC)が、次いで該コア上に形成され得る。コア材料としてのシリコンの使用は、シリコンナノワイヤの製作のための広範な経験および既知の基盤を利用する。炭化物シェル、例えば、SiC、WC、MoCまたは混合炭化物(例えば、WSiC)などがコア材料周囲に、制御された表面反応を用いて形成され得る。SiC、WCおよびMoCは、その導電性および化学的安定性が高いことが知られている。また、このような材料は、メタノール酸化に対し、Ptなどの貴金属のものと同様の触媒特性を有することが示されており、したがって、ナノワイヤの鳥の巣MEAにおいてさらなる性能の増大がもたらされ得る。シェルの前駆体材料は、コアナノワイヤ表面(例えば、シリコン)上に例えば原子層堆積(ALD)によって堆積させれ、次いで、高温炭素熱還元によって炭化物に変換され得る。
【0066】
図1Aは、本発明の一実施形態によるナノワイヤ構造100の透過型電子顕微鏡写真(TEM)を示す。ナノワイヤ構造100は、コア102、炭素主体層104を備え、好適な実施形態では、炭素主体層上に形成され、コアから延びている炭素主体構造106を備える。用語「コア」および「ナノワイヤコア」は、本明細書では互換的に用いる。好適には、コア102は、半導体材料、例えば限定されないが、本文中に開示する半導体を含む。例えば、コア102は、Si、B、SiCまたはGaNを含むものであり得る。好適には、半導体コアは、高度にドープされている。他の実施形態において、コア102は、無機系酸化物、無機系炭化物または無機系窒化物を含むものであり得る。好適な無機系酸化物としては、限定されないが、SiO2、Al2O3、TiO2、SnO2、ZrO2、HfO2およびTa2O5が挙げられる。好適な無機系炭化物としては、限定されないが、TiC、ZrC、HfC、NbC、WC、W2C、MoCおよびMo2Cが挙げられる。好適な無機系窒化物としては、限定されないが、TiN、ZrN、HfN、WN、MoNおよびBNが挙げられる。コア102はまた、カーボンナノファイバー、例えば、カーボンナノチューブまたはカーボンナノフィブリルを含むものであり得る。
【0067】
他の実施形態において、コア102は、炭素を含むもの、本質的に炭素からなるもの、または炭素からなるもの(すなわち炭素のみからなるもの)であり得る。コア102が炭素のみからなる実施形態では、ナノワイヤ構造100は純粋に炭素主体ナノワイヤを表し、この場合、コア102は炭素であり、炭素主体層104は、アモルファスおよび/または結晶性いずれかの形態の炭素(例えば、グラフェン層またはシートの形態の底面炭素)である。しかしながら、かかる実施形態は、コア102は中空ではなく炭素主体であるため、カーボンナノチューブとは異なる。コア102が炭素を含むもの、または本質的に炭素からなるものである実施形態では、コア102はまた、さらなる材料、例えば、本明細書に記載の半導体、金属ならびに他の材料などをさらに含むものであり得る。別の実施形態において、コア102は、炭化物、すなわち、炭素と本明細書に記載のさらなる材料との混合物を含むものであり得る。例えば、コア102は、無機系炭化物、例えば、SiC、TiC、ZrC、HfC、NbC、WC、W2C、MoCおよびMo2Cなどを含むものであり得る。他の実施形態において、コア102は、実質的に炭素がない、すなわち、約0.5%未満、例えば約0.25%未満、約0.1%未満の炭素を含有するか、または好適には、炭素を全く含有しない。
【0068】
ナノワイヤ構造100のコア102は、当該技術分野で知られた任意の適当な方法を用いて作製され得る。例えば、コア102は、化学気相蒸着および関連方法、例えば、Panら、「Systems and Methods for Nanowire Growth and Harvesting」、米国特許出願第11/117,703号(2005年4月29日出願)、およびRomanoら、「Methods for Nanowire Growth」、米国特許出願第11/117,702号(2005年4月29日出願)(その各々は、引用により本明細書に組み込まれる)に開示されたものを用いて、あるいは、本明細書に記載した他の特許、特許出願および引用文献に開示されたようにして、金属核生成粒子から作製され得る。一般に、コア102は、適当な基板材料上、例えば、Siまたは他の半導体材料上で成長させる。好適な実施形態では、コア102は、約10nm〜約100nmの直径である金属核生成粒子から作製される。例えば、コア102は、約20nmの直径であり、基板表面上に約80粒子/μm2〜約400粒子/μm2の粒子密度で堆積された核生成粒子から、または約10nmの直径であり、基板上に約4粒子/μm2〜約40粒子/μm2の粒子密度で堆積された核生成粒子から作製され得る。約20nmの直径の核生成粒子が使用される場合(例えば、20nmの金ナノ粒子)、約27nmの平均直径を有する実質的に純粋なナノワイヤが作製される。約10nmの直径の核生成粒子の使用により、約15nmの平均直径を有するナノワイヤがもたらされる。10nmの核生成粒子からのナノワイヤの成長に好適な条件は、当業者によって容易に決定される。例示的な条件としては、20〜40立方センチメートル毎秒(seem)(例えば約40seem)のSiH4流、50/350、200/200および400/0seem(例えば約50/350)でのH2/He流、ならびに約15、30および45トール(例えば約15トール)の全圧が挙げられる。
【0069】
炭素主体層104および炭素主体構造106(存在する場合)の形成は、コア102が依然として基板材料に結合されている状態でに行なわれ得るか、またはコア102は、本明細書に記載のような後の加工処理のために基板材料から除去され得る。好適には、コア102は、約50nmより長く約1μm未満の長さを有する。好適なかかる実施形態では、コア102は数百nmの長さを有する。また、コア102は、少なくとも約1nm〜約1μm未満の断面直径である。好適には、コア102は約数nm〜100nm台であるが、一般的には約500nm未満の直径を有する。
【0070】
本明細書で用いる場合、用語「炭素主体層」104は、コア102を部分的に囲むか、または完全に囲むかのいずれかである炭素含有材料の層、コーティングまたは他の同様の構造をいう。炭素主体層104は、コア102上の材料の島もしくは一区画の形態であり得るか、または実質的に均一な層の状態でコア102を完全に被覆および囲むものであり得る。炭素主体層104は、任意の形態、例えば、実質的に結晶性、実質的に単結晶性、多結晶性、アモルファス(すなわち、非結晶性)またはその組合せの炭素を含むものであり得る。一実施形態において、炭素主体層104は、実質的に非結晶性またはアモルファスである。本明細書で用いる場合、非結晶性およびアモルファスという用語は、明確な結晶性構造を欠き、代わりに炭素原子のランダムな配列を有する炭素をいう。他の実施形態において、アモルファスな非結晶性の炭素主体層104は、実質的に底面炭素がない。すなわち、炭素主体層104は、約0.5%未満、例えば約0.25%未満、約0.1%未満の底面炭素を含有するか、または好適には、底面炭素を全く含有しない。底面炭素は、グラフェンシートおよび/またはグラファイト層に見られる特徴的な結合状態の結晶性構造である炭素をいう。
【0071】
一実施形態において、炭素主体層104は界面炭化物層である。用語「界面炭化物層」は、コア102の界面に形成された炭化物であって、その表面が周囲環境に対して露出しているものをいう。界面炭化物層は、任意の適当な炭化物、例えば、限定されないが、SiC、TiC、ZrC、HfC、NbC、WC、Mo2Cおよびその混合物などを含むものであってもよい。コア102の表面上の界面炭化物層は、任意の厚さのものであり得る。一部のある実施形態において、コア102および炭素主体層104はともに、完全に炭化物で構成されている。他の実施形態において、炭素主体層104は、約1nmより大きい厚さ、例えば約1nm〜約500nmの厚さである(すなわち、ナノワイヤ構造100の全体の厚さが炭化物であり得る)。他の実施形態において、炭素主体層104は、数オングストローム(Å)程度から10Å台の厚さであり、ナノワイヤ構造100の残余厚さを構成するコア102を囲んでいる。
【0072】
炭素主体層104はコア102上に、コア102を1種類以上の炭素含有ガスまたはガス混合物と高温で接触させることにより形成される。炭素含有ガスがコア102と接触すると、炭素が該ガス相から析出し、炭素主体層104が、コア102と周囲環境との界面に形成される。一実施形態において、コア102が半導体または同様の材料である場合、炭素主体層104は、コア102上に形成された炭化物層の形態である。炭素含有ガスは、数種類の構成要素の場合を含むガス混合物の形態であり得る。別の実施形態において、炭素主体ガスに加え、このガス混合物はまた、ガス混合物の分圧を維持するため、ならびに炭化物およびナノグラファイト形成を制御するために、1種類以上の希ガス、または水素などの他のガスを含むものであってもよい。このようなさらなるガスにより、コア102との接触前に析出する炭素構成要素の量を制限することが補助される。しかしながら、かかるガスは、炭素主体層104を汚染あるいはその形成を干渉せず、またすべきではない。該混合物における使用のために好適な炭素主体ガスとしては、限定されないが、一酸化炭素、メタン、エタン、プロパン、ブタン、エチレン、プロピレンならびにその種々の誘導体および混合物が挙げられる。コア102と炭素含有ガス混合物との接触は、当業者によって決定される任意の適当な温度で行なわれ得る。一般に、該温度は、約400℃〜約1500℃、またはより好適には約600℃〜約1300℃の範囲である。他の実施形態において、炭素主体層104が形成されるにつれて、炭素は、ナノワイヤ構造100の中心に向かって移動し始め、コア102を含む構造全体に浸透する。したがって、かかる実施形態では、ナノワイヤ構造100全体が、実質的に全体的に炭素主体、例えば炭化物であり得、さらなる実施形態では、完全に全体的に炭素であり得る。一実施形態において、本発明は、カーボンナノチューブではなく(すなわちコア(または中空の中心)に巻き付けた底面炭素を含まない)、例えば、半導体材料または炭化物を含むコア上のアモルファスで実質的に非結晶性の炭素層状態を含む実質的に炭素主体ナノワイヤ構造を提供する。
【0073】
さらなる炭素が炭素主体層104(好適には、界面炭化物層)上に析出するにつれて、炭素主体構造106は、炭素主体層104上に形成され始め、該層に化学的に結合されることがあり得る。他の実施形態において、炭素主体構造106は、炭素主体層104から延びているアモルファス炭素繊維またはナノワイヤである。このような炭素ナノワイヤは、例えば、SiCなどの炭化物、または本明細書に記載もしくは当該技術分野で知られた任意の好適な炭化物の形態の炭素を含むものであり得る。他の実施形態において、ナノワイヤは、本質的に炭素からなるものであり得、またはさらなる実施形態では、炭素のみからなるものであり得る。かかる実施形態では、炭素主体構造は、実質的に底面炭素がない。
【0074】
他の実施形態において、炭素主体構造106は、炭素主体層104(好適には、界面炭化物層)上に形成され、該層に、炭素結晶のa−b格子縁部によって化学的に結合されたナノグラファイト板であり得る。一実施形態において、ナノワイヤおよびナノグラファイト板の両方が同時に、ナノワイヤ構造100の一部として形成され得る。a−b格子縁部という用語は、ナノグラファイト板の形態である炭素主体構造106の平面の寸法(すなわち、該板の平面寸法)をいう。一実施形態において、この形成および結合は、炭素主体層104が形成されるのと同じ温度で行われ得る。他の実施形態において、炭素主体層104は、約400℃〜約800℃の温度で形成され得、次いで、該温度は、炭素主体構造106が形成されるように、例えば約800℃〜約1300℃の温度に上昇され得る。
【0075】
かならずしもそうではないが、一般的に、ナノグラファイト板が高度に結晶化した独立したグラフェンのシートまたは層である。グラフェン層は、一般的に、相互接続されておらず(すなわち、グラファイトの場合のように、該層の平面に対して法線方向の結合によって接続されたものでない)、炭素主体層104(好適には、界面炭化物層)の平面から成長し、グラフェンのa−b縁部によって炭素主体層104および互いに結合されている。しかしながら、他の実施形態では、グラフェン層は、グラファイトの構造の場合のように、相互接続されていることがあり得る。好適にはナノグラファイト板は、約100未満のグラフェンシート、より好適には約2〜15のグラフェンを含むものである。a−b面(すなわち、グラフェン層の平面)におけるナノグラファイト板の寸法は任意の大きさであり得るが、一般的に、10ナノメートル台〜100ナノメートル台程度である。好適にはナノグラファイト板は、a−b面前面において約100nm未満である。
【0076】
炭素主体構造106(例えば、ナノワイヤおよび/またはナノグラファイト板)は、一般的に、コア102および炭素主体層104から約1nm〜約500nm、好適には数nm〜10nm台程度、またはさらに数百nmの距離離れたところまで延びている。炭素主体構造106は、コア102の長軸(すなわち、ナノワイヤの長軸)に対して0°〜90°の任意の角度で配向され得る。好適には、炭素主体構造106は、コア102の軸に対して法線方向に約45°〜約90°の角度である。図1Bは、炭素主体層104およびコア102から延びている炭素主体構造106(ナノグラファイト板の形態)の高倍率のTEMを示す。ナノグラファイト板の多層のグラフェンシートが見られ得る。
【0077】
図2は、コア102、炭素主体層104(界面炭化物層の形態)および炭素主体構造106(ナノグラファイト板の形態)を備える代表的なナノワイヤ構造100のX線回折パターンを示す。このx線解析に用いたナノワイヤ構造は、酸化タングステン(WO3)コートシリコンナノワイヤを用いて作製し、メタン含有ガス(例示的な作製の実施例のセクション参照)と接触させた。グラファイト(C)、シリコン(Si)、炭化ケイ素(SiC)および炭化タングステン(WC)の存在は、シリコンコア、炭化ケイ素界面層およびグラファイト(グラフェン)ナノグラファイト板(1つまたは複数)の存在を示す回折ピークにおいて検出される。
【0078】
別の実施形態において、図3Aおよび3Bに示すように、本発明は、ナノグラファイト板の形態で、種々のナノワイヤコアに結合された炭素主体構造106によりナノワイヤ構造100が接続された複数のナノワイヤ構造100を含む相互接続型ナノワイヤネットワーク300を提供する。複数のコア102を炭素含有ガスと、炭素主体層104(例えば、界面炭化物層)および炭素主体構造106がナノグラファイト板として形成されるのに好都合な条件(例えば、高温)下で接触させると、相互接続型ナノワイヤネットワーク300が形成される。炭素主体構造106はナノグラファイト板の形態で作製されるため、グラフェンは、重複するまで、または多くの場合、隣接する炭素主体層104(例えば、界面炭化物層)および/またはナノグラファイト板の形態(firm)の他の炭素主体構造106と相互接続および/または結合するまで、隣接するコア102から離れてa−b方向に延びる。得られる相互接続型ナノワイヤネットワーク300は、走査型電子顕微鏡写真(SEM)(図3A)および高倍率のSEM(図3B)に示されるように、ナノワイヤおよび相互接続ナノグラファイト板の高密度に充填された配列を有する。この高密度に充填されたナノワイヤ構造は、相互接続ナノグラファイト板とともにまたはそれらなしで、本文中では「鳥の巣(bird’s nest)」構造とも称する。この配列は、ナノワイヤとナノグラファイト板間の細孔径が好適にはメソ孔である多孔質構造の形態をとる。本明細書で用いる場合、用語「メソ孔」は、ミクロ孔(ミクロ孔は約2nm未満の直径と規定する)よりも大きいが、マクロ孔(マクロ孔は約50nmより大きい直径と規定する)よりも小さく、したがって、約2nmより大きく約50nm未満の範囲の直径の孔径を有する細孔をいう。好適には、相互接続型ナノワイヤネットワーク300は、実質的にミクロ孔がない、すなわち、約0.1%未満の細孔がミクロ孔(すなわち、約2nm未満の直径)である。
【0079】
相互接続型ナノワイヤネットワーク300によって形成されるメソポーラス材料は、膜、粒子または他の同様の多孔質構造の形態をとり得る。膜の形態では、メソポーラス材料は、一般的に、適切な大きさに切断および成形された適当な容積のネットワークを含む相互接続型ナノワイヤネットワーク300の層である。該膜は、最終の適用用途に応じて出発材料の量ならびに反応の温度および時間(当業者によって容易に決定され得る)を変更することにより、任意の全厚で作製され得る。一般的に、メソポーラス材料の厚さは、10ナノメートル台〜100ナノメートル台程度から、最終の所望される適用用途に応じて数ミクロン、さらにミリメートルまでである。
【0080】
メソポーラス材料の粒子の作出は、相互接続型ナノワイヤ構造300を、各々がメソポーラス材料ネットワークを含む小片に粉砕、切断あるいは破断することにより行なわれ得る。相互接続型ナノワイヤ構造300を粉砕、切断あるいは破断するための手法およびデバイスは、当業者によく知られており、容易に利用可能である(例えば、乳鉢および乳棒、回転式粉砕機、タンブラーなど)。このような粒子は、次いで、最終の所望される適用用途に応じて一定の大きさだけの粒子が使用されるように、適切に濾過または選択され得る。
【0081】
別の実施形態において、図1Aに関する図4のフローチャート400に示すように、本発明はまた、ナノワイヤ構造100の製造方法を提供する。図4の工程402では、ナノワイヤコア102を加熱する。図4の工程404では、ナノワイヤコア102を1種類以上の炭素含有ガスと接触させ、炭素主体層104(例えば、界面炭化物層)をナノワイヤコア102上に形成させる。本発明の製造方法はまた、少なくとも1つの炭素主体構造106(例えば、ナノワイヤおよび/またはナノグラファイト板)が炭素主体層104上に形成される図4の工程406をさらに含み得る。
【0082】
加熱工程402は、一般的に、コア102を約400℃より高い、より好適には約600℃より高い、最も好適には約600℃〜約1300℃の温度まで加熱することを含む。本文中に記載するように、接触工程404は、コア102を炭素含有ガス、例えば、一酸化炭素、メタン、エタン、プロパン、ブタン、エチレンまたはプロピレンなどと接触させることを含む。図4の工程410に示すように、ナノワイヤコア102はまた、該プロセスにおいてあまりに早く炭素がガス相から析出するのを抑制するために該ガス混合物の分圧を維持するのを補助する希ガスまたは類似するガス(例えば、He、Ne、Ar、Kr、Xe、H2など)と接触させてもよい。
【0083】
フローチャート400はまた、加熱工程402の際に用いられる第1の温度に加えて第2の温度までナノワイヤコア102を加熱する任意選択の工程408を含み得る。任意選択の加熱工程408では、コア102上に形成されたナノワイヤコア102および炭素主体層104が、炭素主体構造106(例えば、ナノグラファイト板および/またはナノワイヤ)の形成を可能にするか、または場合によっては増強するより高い第2の温度まで加熱され得る。この第2の加熱工程408では、好適には、コア102および炭素主体層104の温度が約800℃より高く、より好適には約1000℃より高く、例えば約1200〜1300℃まで上昇される。
【0084】
図4のフローチャート400はまた、加熱工程402の前に、前駆体コーティングをナノワイヤコア102上に形成させる工程412をさらに含み得る。ナノワイヤコア102上に形成され得る前駆体コーティングの例としては、酸化物、例えば限定されないが、TiO2、ZrO2、HfO2、Nb2O3、Ta2O5、MoO3およびWO3が挙げられる。
【0085】
本発明の別の実施形態において、図1および3Aに関する図5のフローチャート500に示すように、本発明はまた、相互接続型ナノワイヤネットワーク300(または鳥の巣構造)の製造方法を提供する。図5の工程502では、複数のナノワイヤコア102が液体中に分散される。コアと相互作用しない任意の適当な液体、例えば、水または種々のアルコールが使用され得る。工程504では、ナノワイヤコア102が、例えば、分散されたナノワイヤコアを濾過漏斗または同様のデバイスに配置して通して該液体をナノワイヤコアから除去することにより濾過され、それにより、ナノワイヤマット(図示せず)が形成される。次いで、ナノワイヤマットは乾燥され得る。分散502工程および濾過504工程により、ナノワイヤコア102のランダム化が補助され、炭素主体構造106、好適にはナノグラファイト板の作製の前にナノワイヤコア102の分散されたランダム配列を作出することによる相互接続ネットワーク300の作製が補助される。この分散および濾過は、相互接続型ナノワイヤネットワーク300を含む膜構造を作製する場合、特に有用である。本明細書で用いる場合、用語「ナノワイヤマット」は、ナノワイヤがランダム化されるように濾過された複数のナノワイヤ(すなわち、1つより多い)をいう。例えば、ナノワイヤワイヤマットは、実質的に平面構造に置かれるかまたは配設され、次いで相互接続型ナノワイヤネットワーク300を形成するために使用され得るランダムに配向された複数のナノワイヤを含むものである。図5の工程506では、ナノワイヤマットが次いで加熱される。図5の工程508では、ナノワイヤマットを炭素含有ガスと接触させ、コア102上に炭素主体層104、好適には界面炭化物層が形成される。図4の工程510では、炭素主体構造106、好適にはナノグラファイト板が該界面炭化物層上に形成され、その結果、該板がナノワイヤコア102を相互接続し、相互接続型ナノワイヤネットワーク300が作製される。
【0086】
加熱工程506は、一般的に、該ナノワイヤマットを約400℃より高い、より好適には約600℃より高い、最も好適には約600℃〜約1300℃の温度まで加熱することを含む。本文中に記載するように、接触工程508は、ナノワイヤマットを炭素含有ガス、例えば、一酸化炭素、メタン、エタン、プロパン、ブタン、エチレンまたはプロピレンなどと接触させることを含む。図5の工程514に示すように、ナノワイヤマットはまた、希ガスまたは類似するガス(例えば、H、He、Ne、Ar、Kr、Xe、H2など)と接触させてもよい。
【0087】
フローチャート500はまた、加熱工程506の際に用いられる第1の温度に加えて第2の温度まで該ナノワイヤマットを加熱する任意選択の工程512を含み得る。任意選択の加熱工程512では、コア102上に形成されたナノワイヤマットおよび炭素主体層104が、ナノグラファイト板(またはナノワイヤ)の形成を可能にするか、または場合によっては増強するより高い第2の温度まで加熱され得る。この第2の加熱工程512では、好適には、該マット、コアおよび界面炭化物層の温度が、約800℃より高く、より好適には約1000℃より高く、例えば約1200〜1300℃まで上昇される。
【0088】
図5のフローチャート500はまた、加熱工程506の前、好適には分散工程502の前に、前駆体コーティングをナノワイヤコア102上に形成させる工程516をさらに含み得る。ナノワイヤコア上に作製され得る前駆体コーティングの例としては、酸化物、例えば限定されないが、TiO2、ZrO2、HfO2、Nb2O3、Ta2O5、MoO3およびWO3が挙げられる。
ナノワイヤ構造および相互接続型ナノワイヤネットワークの適用用途
自立構造の(free standing)ナノワイヤ構造100および相互接続型ナノワイヤネットワーク300の形成を上記において詳細に説明したが、かかるナノワイヤおよびネットワークはまた、担持体表面上にも形成され得ることは、当業者に容易に自明となろう。例えば、ナノワイヤおよびネットワークは、従来の繊維ネットワーク、平坦もしくは不規則な表面または発泡体構造の表面上に形成され得る。
燃料適用用途
本発明のナノワイヤ構造および相互接続型ナノワイヤネットワークはまた、種々の燃料電池の適用用途および立体構造においても使用され得る。例えば、ナノワイヤまたは相互接続型ナノワイヤネットワークおよび該ナノワイヤの表面/ネットワーク上に分散された活性触媒性ナノ粒子を含む触媒が作製され得る。例示的な触媒性ナノ粒子としては、限定されないが、Pt、Pd、Ru、Rh、Re、No、Fe、Co、Ag、Au、Cu、ZnおよびSn、ならびにかかる元素の2種類以上を含む金属合金ナノ粒子が挙げられる。このような触媒は、燃料電池カソードとして使用され得、例えば、ナノワイヤまたは相互接続型ナノワイヤネットワークおよび約2nm〜約10nm、もしくはより好適には約3nm〜約5nmの直径を有する触媒性Ptナノ粒子を含むカソードが作製され得る。該触媒はまた、例えば、約2nm〜約10nm、またはより好適には約3nm〜約5nm程度の直径を有する触媒性Pt−Ruナノ粒子を用いることにより、燃料電池アノードとしても使用され得る。例示的なアノード触媒では、Pt−RUナノ粒子は、約0.1〜約20、またはより好適には約1〜約3のPt:Ru原子比を有する。
【0089】
本発明はまた、本明細書に記載のカソード触媒およびアノード触媒、ならびにまた膜(例えば、NAFION(登録商標)膜、DuPont、Wilmington、DE)も備える膜電極アセンブリ(MEA)を提供する。かかるMEAは、当該技術分野でよく知られた方法、例えば、米国特許第6,933,033号;同第6,926,985号;および同第6,875,537号(その各々の開示は、引用によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載のものなどを用いて構築され得る。例示的な実施形態において、膜は、カソード触媒を有する一方の側面上およびアノード触媒を有する他方の側面上に配設される。かかるMEA、ならびにガス拡散層(例えば、炭素繊維クロス)、双極極板および端板(例えば、機械加工グラファイトまたは成型導電性ポリマー複合材料)を備える燃料電池もまた構築され得、当該技術分野でよく知られている。本明細書に開示されたナノワイヤおよび相互接続型ナノワイヤネットワークを用いて構築され得る例示的な燃料電池としては、交換促進(proexchange)膜燃料電池(PEMF)および直接メタノール型燃料電池(DMFC)が挙げられる。ナノワイヤおよび相互接続型ナノワイヤネットワークはまた、例えば、リチウム電池および電気化学的キャパシタにおける使用のためのアノードおよびカソードを作製するために使用され得る。かかる電池およびキャパシタの構成要素および構築は、当該技術分野でよく知られている。
【0090】
本発明の一実施形態において、本発明のアノード(および/またはカソード)電極のナノワイヤ部分は、成長基板上で合成され、次いで、燃料電池の膜電極アセンブリ構造内に移され、組み込まれ得る。例えば、特定のある態様では、無機系半導体または半導体酸化物ナノワイヤを成長基板の表面上で、本明細書に記載および当該技術分野で知られたコロイド状触媒に基づくVLS合成法を用いて成長させる。この合成手法によれば、コロイド状触媒(例えば、金、白金などの粒子)を基板の所望の表面上に堆積させる。コロイド状触媒を含む基板を、次いで、基板表面に結合されたナノワイヤが作製される合成プロセスに供する。他の合成方法としては、基板表面上に堆積させた触媒薄膜(例えば、50nm以下)の使用が挙げられる。次いで、VLSプロセスの熱により膜が融解し、ナノワイヤを構成する触媒の小滴が形成される。典型的には、この後者の方法は、繊維の直径の均一性が、最終の適用用途に対してあまり決定的でない場合に使用され得る。典型的には、成長触媒は、金属、例えば、金または白金を含むものであり、基板表面上に電解めっきもしくは蒸着され得るか、または任意のいくつかの他のよく知られた金属堆積手法、例えば、スパッタリングなどにおいて堆積され得る。コロイド堆積の場合では、コロイドは、典型的には、まず基板表面をコロイドが該表面に付着するように処理することにより堆積させる。かかる処理としては、先に詳細に記載したもの、すなわち、ポリリシン処理などが挙げられる。表面処理された基板を、次いで、コロイドの懸濁液中に浸漬する。
【0091】
ナノワイヤを成長させた後、ナノワイヤは、次いで、その合成位置から回収される。自立構造のナノワイヤは、次いで、例えば、噴霧/ブラシ塗装、溶液コーティング、流延、電析、ナノワイヤの流動性懸濁液の濾過およびその組合せによって、燃料電池の構成要素、例えば、双極極板(1つもしくは複数)またはプロトン交換膜などの関連表面内に導入されるか、または該表面上に堆積される。例えば、かかる堆積は、単に、対象の構成要素(例えば、双極極板またはプロトン交換膜の1つ以上)をかかるナノワイヤの懸濁液中に浸漬することを伴うものであってもよく、該構成要素の全部または一部を前処理し、表面または一部の表面をワイヤ結合のために官能性付与することをさらに伴うものであってもよい。本明細書に記載のように、ナノワイヤはまた、溶液(例えば、メタノールまたは水)中に導入、濾過(例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜にて真空濾過)して緻密な相互絡合型マットまたは「鳥の巣構造」とし、乾燥および洗浄後にフィルターから取り出し、次いで、高温熱処理(例えば、アニール)してもよい。得られたナノワイヤの多孔質シートは(ナノグラファイト板と相互接続されたもの、そうでないもの(note)いずれも)、次いで、燃料電池の膜電極アセンブリ内に組み込まれ得る。例えば、米国特許出願公開公報第20050066883号(2005年3月31日公開)、および米国特許第6,962,823号(その全開示は、引用によりその全体があらゆる目的のために本明細書に組み込まれる)に記載されているようなさまざまな他の堆積方法もまた使用され得る。また、ナノワイヤは、燃料電池の構成要素の1つ以上、例えば、双極極板および/またはプロトン交換膜の1つ以上の上面で直接成長させてもよい。
【0092】
典型的には、図6に示すように、燃料電池600は、一般的に、アノード電極602、カソード電極604およびプロトン交換膜(PEM)606を備える。このような3つの構成要素のアセンブリは、一般的に、膜電極アセンブリ(MEA)と称される。前述のように、メタノールが燃料として使用される場合では、液体のメタノール(CH3OH)がアノード602で水の存在下にて酸化されて、CO2、水素イオンおよび電子が生成し、電子は、燃料電池の電気的出力として外部回路608を通って移動する。水素イオンは、電解質膜606を通って移動し、空気中の酸素および外部回路608からの電子と反応してカソードで水が形成され、回路が完成する。アノード電極およびカソード電極602,604は各々、それぞれの双極極板610,612に接触する。双極極板610,612は、典型的には、その表面内に、燃料およびオキシダントをそのそれぞれの触媒電極に分布させ、廃棄物、例えば水およびCO2を排出させるチャネルおよび/または溝を有し、また、熱伝達のためのコンジット(conduit)も含むことがあり得る。典型的には、双極極板は高度に導電性であり、グラファイト、金属、導電性ポリマーならびにその合金および複合材料で作製されたものであり得る。ステンレス鋼、アルミニウム合金、炭素および複合材料などの材料(コーティングありまたはなし)は、PEM燃料電池の双極端板に対する良好で実施可能な選択肢である。双極極板はまた、その複合構造内に組み込まれた高度に導電性または半導体性のナノワイヤ(例えば、金属、導電性ポリマーなど)を含む複合材料から形成され得る。燃料電池の構成要素の形状および大きさは、具体的な設計に応じて、広範囲で種々であり得る。
【0093】
本発明の一実施形態では、ナノワイヤを双極極板の1つ以上の上面に堆積(例えば、成長)させ、内部を通過するメタノール(または他の燃料電池のガスもしくは液体反応体)および廃棄生成物に対して低い流動抵抗を有する大表面積電極板を提供し得る。大表面積を有するナノワイヤ構造、ならびに種々の大表面積適用用途におけるかかるナノワイヤおよびナノワイヤ構造の使用のより完全な記載は、米国特許出願第10/792,402号、発明の名称「Nanofiber Surfaces for use in Enhanced Surface Area Applications 」(2004年3月2日出願)(その全内容は、引用により本明細書に組み込まれる)に示されている。
【0094】
現在、最も一般に使用されている電極触媒は、図7Aのアノード602の拡大図に示すような、電解質膜706中に分散された炭素粒子704(例えば、カーボンブラックで作製)上に担持されたPtまたはPt:Ru粒子702である。プロトン交換膜燃料電池(PEMFC)の商品化における課題の1つは、触媒として使用される貴金属(例えば、PtまたはRu)の高いコストである。Ptの利用効率を増大させることによりPEMFCに使用されるPtの量を低減することは、過去10年間において主な懸案事項の1つであった。Pt触媒を有効に利用するためには、Ptは、反応体ガス(または反応体の溶液もしくは液体)、電解質(例えば、プロトン伝導膜)および炭素粒子(例えば、電子伝導性部材)と同時接触を有するものであるのがよい。図7Bに示すように、燃料電池における有効な電極には、触媒層において、反応体ガス/液体、活性金属粒子、炭素担持体702,704および電解質706間の4相接触708が必要とされる。好ましい触媒層により、反応体ガス(例えば、メタノール、MeOH:H2O、水素および/または酸素)、溶液または液体の容易な輸送、電子と外部回路間およびプロトンとプロトン交換膜間の容易な輸送が可能になる。
【0095】
炭素粒子は電子を伝導し、パーフルオロスルホネートイオノマー(例えば、NAFION(登録商標))はプロトンを伝導する。前述のように、図7A〜Bに示すような従来の充填粒子複合体系では、外部回路および/またはPEMから独立した有意な部分のPt(またはPt:Ru)が存在、Pt利用が低くなる。例えば、現在の充填粒子複合体では、触媒粒子の約20〜30%しか利用されない。一部の触媒部位に到達可能でないことは、例えば、プロトン輸送のために必要な可溶化パーフルオロスルホネートイオノマー(例えば、NAFION(登録商標))の添加は、触媒層内の炭素粒子を洗い流すか、または隔離する傾向にあり、不充分な電子輸送がもたらされるという事実のためであり得る。したがって、充填粒子複合体構造を利用したほとんどのDMFCは、非常に非効率的である。
【0096】
その特異な構造的、機械的および電気的特性のため、本出願の発明者らは、ナノワイヤが、触媒担持体および電子伝導媒体としてPEMFCにおける従来の炭素粒子と置き換えてMEAを作製するために使用され得ることを見出した。ナノワイヤ、例えば、SiCまたはGaNなどのナノワイヤ上への表面官能基の生成は、比較的容易であるため、Ptおよび/またはPt:Ruなどの触媒ナノ粒子(ならびにプロトン伝導性ポリマー(例えば、NAFION(登録商標)))は、ナノワイヤ上に、例えば粒子の凝集なく容易に堆積され得る。各触媒粒子は、次いで、ナノワイヤコアを介してアノード(およびカソード)に直接接続される。相互接続型ナノワイヤの多重電気的伝導性により、Ptから電子伝導層への電子の経路が確保される。ナノワイヤの使用およびその結果の電子の経路の道が保証されることによって、プロトン伝導媒体(例えば、NAFION(登録商標))により電極層内の炭素粒子が隔離される従来のPEMFCストラテジーに伴う前述の問題が排除される。炭素粒子担持電極層の隔離が排除されることにより、Ptの利用率が改善される。
【0097】
次に、図8Aに関して示されるように、アノード双極電極板802、カソード双極電極板804、プロトン交換膜806、アノード電極808、カソード電極810、ならびに燃料電池の一方側のアノード電極808およびカソード電極810と、他方側のプロトン交換膜806との間に位置するナノワイヤ812の相互接続ネットワークを含むナノワイヤ主体型燃料電池を示す。一般的に、図8Aに示すような燃料電池またはMEAを複数合わせ、例えば図8Bに示すような、別々のアノード電極808,820と、それぞれのプロトン交換膜806および806’によってそれぞれ隔離されたカソード電極810,822とを有する燃料電池積層体が形成され得る。該積層体内のセルは、双極極板802,804,818および824のため直列に接続され、その結果、個々の燃料電池の電圧は相加される。
【0098】
図8A、9Aおよび図10のSEM画像に示すように、ナノワイヤネットワーク812内のナノワイヤ816は各々、該ネットワーク内の1つ以上の他のワイヤに物理的および/または電気的に接続されて開放型の高度に分岐した多孔質、相互絡合型構造が形成され、これは、反応体および廃物拡散に対する拡散抵抗性が全体的に低く、高い構造安定性および高い触媒効率が確保される電子に対する高い電気的伝導性を有し、したがって高い出力密度および低い総コストがもたらされる。2つのワイヤが互いに(または触媒粒子と)実際には直接物理的に接触していない場合であっても、ある程度短い間隔離れているとき、これらが依然として電荷を移動させ得る(例えば、電気的接触状態であり得る)ことが考えられ得ることに注意するのは重要である。優先的には、各ナノワイヤは、そのネットワーク内の少なくとも1つまたはそれ以上の他のナノワイヤに物理的および/または電気的に接続されている。ナノワイヤの多重伝導性により、例えば、1つのワイヤが系内で破断または損傷した場合、該ワイヤに沿ったすべての点は依然として異なる経路に沿って(例えば、ネットワーク内の他のナノワイヤを介して)アノード(またはカソード)電極に接続されることが確保される。これにより、以前の充填粒子複合体構造と比べると、相当改善された電気的伝導性および安定性が提供される。該ワイヤは、アノード(およびカソード)双極極板とプロトン交換膜との間に全体(または一部)に広がっていることがあり得る。該ワイヤが双極極板と膜間全体に広がっていない場合、該ワイヤは、双極極板から膜に向かって広がっているが膜に達していない状態であり得、ポリマー電解質は、膜から双極極板に向かって広がっているが双極極板に達していない状態であり得(しかし、その逆ではない)、電子がアノードに効率的に伝達され、プロトンがカソードに向かって伝達されることが確保される。
【0099】
ナノワイヤネットワーク内のナノワイヤは、任意選択で分岐構造を有するものであり得、図11および図12のSEM画像に示すようなナノワイヤの側面から延びている複数の小節1100を含む。ナノワイヤコアの両側面上の小節1100により、ナノワイヤネットワークの伝導度または多孔度に実質的に影響を及ぼすことなく、触媒作用に利用可能な表面積がさらに増大され得る。
【0100】
ナノワイヤ816は、分岐型ナノワイヤネットワーク内のナノワイヤの表面をコートしてプロトン(例えば、H+)輸送のために充分な接触点を提供するポリマー電解質材料815中に分散されている(例えば、図9A参照)。ポリマー電解質は、さまざまなポリマー、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリ(エチレンスクシネート)、ポリ(β−プロピオラクトン)、およびスルホン化フルオロポリマー(例えば、NAFION(登録商標)(DuPont Chemicals、Wilmingtonから市販)など)で作製されたものであり得る。好適なカチオン交換膜は、例えば、米国特許第5,399,184号(その開示は引用により本明細書に組み込まれる)に記載されている。あるいはまた、プロトン伝導性膜は、多孔質微構造を有する発泡膜であり得、この場合、イオン交換材料が該膜に含浸し、膜の内容積に有効に充填される。米国特許第5,635,041号(引用により本明細書に組み込まれる)には、発泡ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から形成されたかかる膜が記載されている。発泡PTFE膜は、小繊維によって相互接続された節の微構造を有する。同様の構造が、米国特許第4,849,311号(その開示は引用により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0101】
相互接続型ナノワイヤネットワークの多孔質構造は、ナノワイヤ816上に堆積された触媒(例えば、触媒粒子814)への燃料電池の反応体の開放型(非迂遠な)拡散経路を提供する。相互接続型ナノワイヤ間の空隙の空間により高度に多孔性の構造が形成される。有効孔径は、一般的に、ナノワイヤ集団の密度および電解質層の厚さ、ならびにある程度、使用されるナノワイヤの幅に依存する。このようなパラメータはすべて、所望の有効多孔度を有するナノワイヤネットワークを得るために容易に変更される。例えば、好ましいナノワイヤネットワークは、充分な電気的導電性および機械的強度を維持したまま、反応体の均一な流動をもたらすのに充分な多孔度を有する。また、ナノワイヤネットワークの多孔性により、気泡内の水の管理がもたらされる。分岐型ナノワイヤネットワークは、好ましくは、水の凝縮(これは、該ネットワークの細孔を閉塞し、蒸気輸送を妨げ得る)のための部位を提供することなく、燃料ガスおよび水蒸気がその内部を通過するのに充分に多孔質である。平均孔径は、一般的に、約0.002ミクロン〜約10.0ミクロン、例えば約1μm未満、例えば約0.2μm未満、例えば約0.02μm未満、例えば約0.002μm〜0.02μm、例えば約0.005〜0.01μmの範囲である。分岐型ナノワイヤ構造の総多孔度は、約30%〜95%、例えば、例えば約40%〜60%に容易に制御され得るが、アノード電極およびカソード電極への電気的伝導性は依然として確保される。
【0102】
相互接続型ナノワイヤネットワーク812を構成するナノワイヤ816は、任意選択で、種々のワイヤが互いに接触してより安定で頑強で潜在的に剛性の膜電極アセンブリがもたらされる点で融合または架橋させてもよい。ナノワイヤはまた、下層のナノワイヤを架橋させるため、化学的架橋を形成し得る表面化学反応基を含むものであってもよい。例えば、ナノワイヤは、その交差点(cross−point)に少量の導電性または半導体材料を堆積させることにより互いに架橋または融合させ得る。例えば、SiCナノワイヤ(または、例えば、SiCシェル層を有するカーボンナノチューブナノワイヤ)は、その交差点にアモルファスまたは多結晶性のSiCを堆積させることにより架橋され得る。図13は、その交差点でのポリシリコンの堆積を用いて互いに融合された複数のシリコンナノワイヤを示すSEM顕微鏡写真である。当業者には、他の金属、半金属、半導体および半導体酸化物を用いてもこのような交差点での架橋が行なわれ得ることが認識されよう。
【0103】
本発明の別の態様において、図9Bに関して示すように、ナノワイヤ816’は、該整列されたワイヤ間の自由空間同士の間に散在した電解質815’を有する整列されたワイヤの平行なアレイとして提供され得る。本発明のこの特別な実施において、ナノワイヤの平行なアレイは、好ましくは、インサイチュで、例えば、双極電極板(1つまたは複数)802および/または804(および/またはプロトン交換膜806)の表面上で合成させる。図8A、9Aおよび10に示し、上記に記載のワイヤ816のランダムに配向された相互接続ネットワーク812もまた、インサイチュで直接、双極極板802,804(および/またはプロトン交換膜)上に、本明細書に記載の手法を用いて成長させ得ることは理解されよう。例えば、無機系半導体または半導体酸化物ナノワイヤを、直接電極板の表面上で、本明細書に記載のコロイド状触媒系VLS合成法を用いて成長させ得る。この合成手法により、コロイド状触媒が双極極板の所望の表面上に堆積される。コロイド状触媒を含む双極極板を、次いで、該極板表面に結合されたナノワイヤが作製される合成プロセスに供する。他の合成方法としては、双極極板の表面上に堆積させた触媒薄膜(例えば、50nm以下)の使用が挙げられる。次いで、VLSプロセスの熱により膜が融解し、ナノワイヤを構成する触媒の小滴が形成される。典型的には、この後者の方法は、ワイヤの直径の均一性が、最終の適用用途に対してあまり決定的でない場合に使用され得る。典型的には、触媒は、金属、例えば、金または白金を含むものであり、電極板の表面上に電解めっきもしくは蒸着され得るか、または任意のいくつかの他のよく知られた金属堆積手法、例えば、スパッタリングなどにおいて堆積され得る。コロイド堆積の場合では、コロイドは、典型的には、まず電極板の表面をコロイドが該表面に付着するように処理することにより堆積させる。表面処理された電極板を、次いで、コロイドの懸濁液中に浸漬する。
【0104】
本発明の別の態様において、アノード電極808(およびカソード電極810)は、任意のさまざまな固形または半固形材料、例えば、有機材料(例えば、導電性ポリマー、炭素シートなど)、無機系材料(例えば、半導体、金などの金属、半金属)、ならびにこれらのいずれかまたはすべての複合材料で作製された導電性のグリッドまたはメッシュを含むものであってもよく、その上面にはナノワイヤ816が結合され得るが、内部全体には孔が存在する。かかるメッシュにより、容易に入手可能な商業的形式で、充分規定されたスクリーン/細孔およびワイヤサイズを有する比較的一様な表面が提供される。多種多様な金属メッシュが、さまざまなかかるスクリーン/細孔およびワイヤサイズで容易に市販品として入手可能である。あるいはまた、金属基板は、有孔板、例えば、全体に複数の孔が形成された充実金属シートとして提供され得る。金属板内への複数の孔の形成は、任意のいくつかの手段によって行なわれ得る。例えば、比較的小さい孔(例えば、100μm未満の直径)は、リソグラフィー、好ましくはフォトリソグラフィー手法を用いて形成され得る。同様に、かかる孔は、レーザー系手法、例えば、アブレーション、レーザードリリングなどを用いて形成され得る。大きな孔(例えば、50μmより大きく100μmまで)では、より従来型の金属加工手法、例えば、スタンピング、ドリリングなどが使用され得る。形成されると、本明細書に開示された方法によって上面に形成または堆積させたナノワイヤを有する金属グリッドまたはメッシュは、プロトン交換膜、双極極板(1つもしくは複数)上に堆積させ得るか、または1つ以上の電極層内に包埋させ得、効率的な触媒作用のための大表面積ナノワイヤ触媒担持体が結合された多孔質ネットワークが得られる。上面に堆積されたナノワイヤを有し、本発明において使用され得るさまざまなグリッドまたはメッシュの他の例は、米国特許出願第10/941,746号、発明の名称「Porous Substrates、Articles、Systems and Compositions Comprising Nanofibers and Methods of Their Use and Production」(2004年9月15日に出願)(その全開示は、引用により本明細書に組み込まれる)に充分に開示されている。
【0105】
したがって、本明細書に記載の任意の方法によって形成されるナノワイヤネットワークは、例えばナノワイヤ上にコートまたは堆積され得るその後の金属(例えば、白金、ルテニウム、金または他の金属)触媒のための担持体として使用される。例えば、図14を参照。燃料電池用に適切な触媒は、一般的に、選択された反応体に依存する。例えば、金属触媒(また、本文中では触媒金属ともいう)は、限定されないが、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、金(Au)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、マンガン(Mn)、テクネチウム(Tc)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、銅(Cu)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、アルミニウム(Al)ならびにその組合せおよび合金(例えば、バイメタルPt:Ruナノ粒子など)の1種類以上を含む群から選択され得る。水素またはメタノール燃料の酸化に好適な触媒材料としては、具体的には、例えば、Pd、Pt、Ru、Rhおよびその合金などの金属が挙げられる。
【0106】
図15Aは、約1.61±0.31nmの平均直径を有し、本発明に従って作製された白金(Pt)ナノ粒子の透過型電子顕微鏡写真(TEM)を示す。図15Bは、このナノ粒子のX線回折パターンを示す。X線回折は、2θ目盛上の45°の値で特性ピークを示し、ナノ粒子が結晶化白金金属であることを示す。
【0107】
図16Aは、約1.66±0.33nmの平均直径を有し、本発明に従って作製された白金−ルテニウム(Pt−Ru)合金ナノ粒子のTEMを示す。図16BのX線回折は、2θ目盛上の45°の値でピークを示し、ナノ粒子が結晶化Pt−Ru合金であることを示す。
【0108】
金属触媒は、薄膜(例えば、約10オングストローム未満の厚さ)(または一連の触媒粒子)として、さまざまな触媒堆積手法、例えば、化学気相蒸着、電着(例えば、電解めっきまたは無電解化学的めっき)、物理気相蒸着、溶液含浸および析出、コロイド粒子の吸収および堆積、原子層堆積、ならびにその組合せを用いて、ナノワイヤ表面上に堆積、あるいは該表面と会合させ得る。本明細書に記載の方法によってコートされる触媒金属の量は、触媒金属およびナノワイヤ材料の総量に対して、好ましくは重量基準で約0.5%〜85%、好適には約10%〜85%、より好適には約20〜40重量%の範囲である。
【0109】
あるいはまた、一実施形態において、図8Aおよび9A〜Bに関して示すように、触媒は、ナノワイヤ表面上に、複数のナノメートルサイズの金属触媒粒子814(例えば、約1〜50nmの直径、例えば約10nm未満の直径、例えば約1〜5nmの直径)を溶液状で堆積させ得る。ナノワイヤの外面を1つ以上の官能性リンカー部分(例えば、化学的に反応性の基)、例えば、1つ以上のカルボン酸基、硝酸基、ヒドロキシル基、アミン基、スルホン酸基などで誘導体化することにより、ナノ粒子がナノワイヤの表面に結合する。触媒粒子(または膜)は該ワイヤに、均一または非均一のいずれかで結合され得る。触媒粒子は、球形、半球形または非球形であり得る。触媒粒子は、ナノワイヤの表面上で島を形成していてもよく、ナノワイヤの表面で連続コーティング、例えば、コアシェル配列、またはナノワイヤの長さに沿って縞もしくは環状などを形成していてもよい。触媒粒子は、ナノワイヤネットワークが燃料電池のMEAに組み込まれる/堆積させる前または後にナノワイヤ表面に結合され得る。一実施形態において、触媒粒子は、約50%未満、例えば約30%未満、例えば約20%未満の均一な粒径分布を有する触媒粒子の集団から選択され得る。
【0110】
図17は、カーボンブラック−Cabot VULCAN(登録商標)XC72の表面上に担持されたPt−Ru合金ナノ粒子の2つのTEM画像(110,000倍の倍率(左画像)および67,044倍の倍率(右画像))を示し、凝集が観察され得ることなく、カーボンブラック表面上でのナノ粒子の均一な分布を示す。カーボンブラック上に堆積された量対表面に添加された合金の量の測定により、Pt−Ru合金の約24.3%の負荷効率が示された。
【0111】
図18は、本発明に従って作製された炭素担持Pt−Ru触媒で記録したX線回折パターン(上側曲線)を、市販のPt−Ru触媒(下側曲線)と比較して示す。本発明の触媒の方が相対強度が低く2θの位置が大きいこと(すなわち、市販の触媒が40°付近に対して45°付近)は、製作されたナノ粒子の直径がより小さいことによるものであった。
【0112】
図19は、本発明の方法によって作製し、Siナノワイヤ上に堆積させたPtナノ粒子のTEMを示す。
【0113】
図20は、ナノグラファイトコートSiナノワイヤの表面上のPt−Ruナノ粒子の堆積のTEM画像を示す(110,000倍の倍率(左画像)および330,000倍の倍率(右画像))。ナノワイヤを炭素でコートする際、上記のカーボンブラック上にナノ粒子を堆積させるために使用される堆積方法を用いた。図20のTEM画像は、1.67nmのPt−Ruナノ粒子がナノグラファイトコートナノワイヤ上に高密度で堆積された均一な堆積を示す。ナノワイヤ上に堆積されたナノ粒子の数を開始時の数と比較すると、約20%より高い堆積効率が示された。
【0114】
化学的リンカー分子を用いて触媒をナノワイヤに結合させる場合、化学的リンカーは、触媒とワイヤ間の電気的接続を促進するように選択され得るか、または化学的リンカーは、電気的接続を促進するために後で除去され得るものである。例えば、加熱、真空、化学薬品またはその組合せを、任意選択でナノワイヤに適用し、リンカー分子の除去を引き起こして触媒を該ワイヤと直接物理的接触させ、触媒粒子とナノワイヤ間に強固な(solid)電気的接続を形成させ得る。また、該構造は、触媒と該ワイヤ間の電気的接触を改善するために、これらを加熱して両者間の界面をアニールしてもよい。適切な温度および加熱条件は、当業者によく知られている。
【0115】
本発明はまた、ナノワイヤと会合した1種類以上の触媒金属を含む1つ以上のナノワイヤの作製方法を提供する。かかる方法の例示的な一実施形態を、図21のフローチャート2100に示す。好適には、図21に示すように、工程2102において、1つ以上のナノワイヤが溶液中に分散される。工程2104では、次いで、1種類以上の触媒金属が該溶液に添加され、工程2106では、該溶液を還流し、それにより、触媒金属がナノワイヤと会合した状態になる。好適には、触媒金属(meal)は、1種類以上の触媒金属ナノ粒子を含む溶液として添加される。本文中に記載するように、例示的な触媒金属としては、限定されないが、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、マンガン(Mn)、テクネチウム(Tc)、レニウム(Re)、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、アルミニウム(Al)およびその組合せが挙げられる。好適には、PtまたはPtRuが触媒金属として使用される。
【0116】
任意の適当な溶液がナノワイヤの分散に使用され得、次いで、その後に還流される。例示的な溶液としては、有機溶媒、例えば、エチレングリコール、ならびにアルコールおよび水系溶液などが挙げられる。
【0117】
本明細書で用いる場合、「還流すること」は、ナノワイヤ溶液に、これを沸騰させることにより揮発性の液体を該溶液から追い出し、触媒金属会合型ナノワイヤが、該ナノワイヤ溶液を加熱した容器内に残留するように熱を加えること(加熱すること)を意味する。例えば、還流することは、ナノワイヤ溶液を約10分間〜約100分間、好適には、約20、30、40、50、60、70、80または90分間、該溶液が沸騰する温度で加熱することを含み得る。典型的には、ナノワイヤの溶液は、約70℃〜約200℃、例えば約90℃、100℃、110℃、120℃、130℃、140℃、150℃、170℃または約190℃で沸騰する。
【0118】
本文中に記載するように、例示的な実施形態において、ナノワイヤは、該触媒金属に結合する少なくとも第1の官能基、例えば、硝酸、カルボン酸基、ヒドロキシル基、アミン基およびスルホン酸基で誘導体化される。
【0119】
ナノワイヤ溶液の還流後、図21に示すように、工程2108では、触媒金属会合型ナノワイヤを濾過して会合触媒金属を有する固形ナノワイヤの分散液を作製し、次いで、工程2110で乾燥させる。
【0120】
好適には、本発明の還流方法に用いられるナノワイヤは、本文中に記載する種々のナノワイヤ構造およびネットワークである。
【0121】
導電性の触媒粒子に加え、本発明に有用なナノワイヤ複合構造の物性を改変するために充填剤が使用され得る。適切な充填剤としては、例えば、シリカ(SiO2)、粉末ポリテトラフルオロエチレンおよびフッ化黒鉛(CFn)が挙げられる。該ポリマー膜は、好ましくは約20重量パーセントまでの充填剤、より好ましくは約2〜約10重量パーセントの充填剤を含むものであり得る。充填剤は、一般的に粒子の形態である。
【0122】
触媒の堆積後、プロトン伝導性ポリマー(例えば、NAFION(登録商標)など)が任意選択で、触媒粒子部位間のナノワイヤ表面上に、ナノワイヤの表面を、例えば電解質に優先的に結合するか、または一定したおよび/または制御された湿性(wetting)を促進する第2の官能基(触媒官能基(使用される場合)と異なる)で官能性付与することにより堆積され得る。該ポリマーは、ナノワイヤの表面上で連続膜または不連続膜のいずれであってもよい。例えば、ポリマー電解質は、ワイヤの表面上で均一な湿性状態であってもよく、ワイヤの長さに沿って点接触を形成したものであってもよい。ナノワイヤは、スルホン化炭化水素分子、フルオロカーボン分子、両方の型の分子の短鎖ポリマー、またはシラン化学反応基を介してナノワイヤ表面に結合され得る分枝炭化水素鎖で官能性付与され得る。当業者は、数多くの官能性付与基および官能性付与手法を熟知しており、これらが任意選択で本明細書において使用される(例えば、分離カラムの構築、バイオアッセイなどに使用されるのと同様のもの)。あるいはまた、化学的結合部分を介してナノワイヤにイオノマーを結合させる代わりに、ナノワイヤを、プロトン伝導性となるように直接官能性付与してもよい。例えば、ナノワイヤは、よく知られた官能性付与化学反応を用い、過フッ素化スルホン化炭化水素などの表面コーティングにより官能性付与され得る。
【0123】
例えば、関連部分および他の化学反応、ならびにその構築/使用方法に関する詳細は、例えば、Hermanson Bioconjugate Techniques Academic Press(1996)、Kirk−Othmer Concise Encyclopedia of Chemical Technology(1999)第4版、Graysonら(編)John Wiley & Sons、Inc.、New YorkおよびKirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology 第4版(1998および2000)、Graysonら(編)Wiley Merscience(印刷版)/John Wiley & Sons、Inc.(電子形式)を見るとよい。さらなる関連情報は、CRC Handbook of Chemistry and Physics(2003)第83版、CRC Pressを見るとよい。導電性コーティングおよび他のコーティング(これも、プラズマ法などによってナノワイヤ表面上に組み込まれ得る)に関する詳細は、H.S.Nalwa(編)、Handbook of Organic Conductive Molecules and Polymers、John Wiley & Sons 1997を見るとよい。また、「ORGANIC SPECIES THAT FACILITATE CHARGE TRANSFER TO/FROM NANOCRYST ALS」、米国特許第6,949,206号も参照のこと。例えば、官能性付与された表面へのさらなる部分のカップリングに関する有機化学反応基に関する詳細は、例えば、Greene(1981)Protective Groups in Organic Synthesis、John Wiley and Sons、New York、ならびにSchmidt(1996)Organic Chemistry Mosby、St Louis、MO、ならびにMarch’s Advanced Organic Chemistry Reactions、Mechanisms and Structure、第5版(2000)SmithおよびMarch、Wiley Interscience New York ISBN 0−471−58589−0、ならびに米国特許出願公開公報第20050181195号(2005年8月18日公開)を見るとよい。当業者は、多くの他の関連参考文献および本明細書における表面の官能性付与に従う(amenable)手法を熟知している。
【0124】
ポリマー電解質コーティングは、例えば、シラン基を介して直接ナノワイヤの表面に連結され得るか、またはリンカー結合基もしくはリンカー剤(例えば、置換シラン、ジアセチレン、アクリレート、アクリルアミド、ビニル、スチリル、酸化ケイ素、酸化ホウ素、酸化リン、N−(3−アミノプロピル)3−メルカプト−ベンズアミド、3−アミノプロピル−トリメトキシシラン、3−メルカプトプロピル−トリメトキシシラン、3−マレイミドプロピル−トリメトキシシラン、3−ヒドラジドプロピル−トリメトキシシラン、トリクロロ−パーフルオロオクチルシラン、ヒドロキシスクシンイミド、マレイミド、ハロアセチル、ヒドラジン、エチルジエチルアミノプロピルカルボジイミドなど)との連結化学反応(誘導体化)に関与する他の適切な化学的反応性基を介して連結され得る。他の表面官能性化学反応基(当業者(one or ordinary skill in the art)にはわかるであろうものなど)が使用され得る。
【0125】
また、可溶化パーフルオロスルホネートイオノマー(例えば、NAFION(登録商標))は、ナノワイヤ間の間隙内に配置され得る。ナノワイヤ複合構造(例えば、実施例のセクションに記載の方法によって作製された、例えば、相互接続型ナノワイヤの多孔質シートとして)は、インサイチュで双極極板および/またはプロトン交換膜の一方の上面に成長させない場合は、次いで、プロトン交換膜のいずれかの側面上の双極極板間に配置され得、該アセンブリをホットプレスし、本発明による完成された膜−電極アセンブリ燃料電池を形成する。プレス温度は、プロトン交換膜が、その温度範囲で、例えばNAFION(登録商標)では125℃で軟化するように決定される。圧力レベルは約200kgf/cm2である。燃料/酸素をアノード/カソード電極808,810の表面に効率的に分布させるため、従来の燃料電池において、燃料電池の一方側のアノード電極および双極極板と、他方側のカソード電極および双極極板との間に、典型的にはガス拡散層が必要とされる(図8参照)。典型的には、炭素繊維クロスがガス拡散層として使用される。本発明の相互接続ナノワイヤ複合膜電極触媒担持体アセンブリでは、ナノワイヤ主体型電極の卓越した構造のため、このガス拡散層は排除され得る。
【0126】
さらなる実施形態において、本発明は、コア、界面炭化物層および該界面炭化物層上に形成される炭素主体構造、ならびにカーボンブラックを備える1つ以上のナノワイヤを含む導電性複合材料を提供する。本文中に記載しているように、カーボンブラックは、石油製品の不完全燃焼により生成される材料をいう。カーボンブラックは、極めて大きな表面積対体積比を有するアモルファス炭素の形態である。本発明はまた、コア、界面炭化物層および該界面炭化物層上に形成される炭素主体構造、ならびにカーボンブラックを備える1つ以上のナノワイヤを含む多孔質触媒担持体を提供する。
【0127】
本文中に記載するように、好適には、炭素主体構造は、該界面炭化物層上に形成される少なくとも1つのナノグラファイト板を備える。導電性複合材料および多孔質触媒担持体における使用のための例示的なコアは、半導体材料、例えば、Si、B、SiCまたはGaNなどを含む。
【0128】
さらなる実施形態において、コアは、SiO2、Al2O3、TiO2、SnO2、ZrO2、HfO2およびTa2O5からなる群より選択される無機系酸化物;TiC、ZrC、HfC、NbC、WC、W2C、MoCおよびMo2Cからなる群より選択される無機系炭化物;またはTiN、ZrN、HfN、WN、MoNおよびBNからなる群より選択される無機系窒化物を含む。界面炭化物層の例としては、限定されないが、SiC、TiC、ZrC、HfC、NbC、WC、Mo2Cおよびその混合物が挙げられる。好適には、導電性複合材料における使用のためのナノワイヤは、約500nm未満の断面直径および約50nmより長い長さを有するコアを含む。
【0129】
本文中に記載するように、好適には、ナノワイヤは、コアから約1nm〜約100nmの距離離れたところまで延びており、少なくとも2〜15のグラフェン層を備え、コアの長軸に対して約0°〜約90°の角度で配向される少なくとも1つのナノグラファイト板を含む。
【0130】
好適には、本発明の多孔質触媒担持体は、約10μm未満、例えば約5μm未満、例えば約1μm未満、例えば約0.2μm未満、例えば、0.02μm未満、例えば約0.002μm〜0.02μm、例えば約0.005〜0.01μmの孔径分離れた1つ以上のナノワイヤを含む。多孔質触媒担持体の全体としての多孔度は、は、約30%より大きい、例えば約30%〜95%、例えば約40%〜60%であり得る。
【0131】
さらなる実施形態において、本発明は、コア、界面炭化物層および該界面炭化物層上に形成される炭素主体構造、カーボンブラック、ならびにナノワイヤおよび該カーボンブラックと会合した1種類以上の触媒金属(すなわち、該ナノワイヤと該カーボンブラックが触媒の複合担持体を提供する)を備える1つ以上のナノワイヤを含む触媒を提供する。本文中に記載するように、好適には、炭素主体構造は、該界面炭化物層上に形成される少なくとも1つのナノグラファイト板を備える。ナノワイヤコア、界面炭化物層、触媒金属およびナノグラファイト板の例示的な組成物および特性は本文中に開示しており、本発明の触媒に使用され得る。
シリコン台を基部とするマイクロ燃料電池
別の実施形態において、本発明は、本文中に記載するナノワイヤ、鳥の巣構造および相互接続型ナノワイヤネットワークを用いた、半導体ウェハ台(例えば、Si)を基部とするマイクロ燃料電池を提供する。該実施形態によれば、触媒ナノ粒子を有するナノグラファイトコートナノワイヤで構成された双極極板を備える一体型構造が、無機系担持体ウェハ、例えば半導体ウェハ上に作製される。例えば、図22に示すように、無機担持体ウェハまたは半導体ウェハ2202(例えば、高度にドープされたシリコンウェハ)を、適当なエッチャント、例えばNaOHを用いてエッチングし、工程2210では、それにより、1つ以上のチャネル2204が該ウェハの第1の表面上に作製される。本明細書で用いる場合、チャネルという用語は、溝(grove)、切り欠き、陥凹部、凹部または半導体ウェハの材料内に空隙をもたらす他の同様の構造を意味する。半導体ウェハは、約1mm厚、例えば、1mm厚のドープされたSiウェハであり得る。他の厚さおよび半導体ウェハ組成物もまた利用され得、これは当業者は自明であろう。エッチングされる半導体ウェハの表面は、一般的に、最も広い表面積を有する部分、すなわちウェハ全面である。図22に示すように、チャネル2204は、好適には、半導体ウェハの表面内に、蛇行状または他の適当な構成が作製されるようにエッチングされる。任意の数(すなわち、1、5、10、15、20など)または向きのチャネルがウェハ内に作製され得る。一般的に、チャネル2204は、数ミクロン〜数ミリメートル幅および数ミクロン〜数ミリメートル深さの程度のものである。チャネル2204は、図22では均一な構造で示されているが、該チャネルは、任意の適用用途に特異的な適当な形状または配列が採用され得る。半導体ウェハ2202の両面(すなわち、ウェハの互いに反対側である最も広い表面)をエッチングすることにより、ウェハ2202の両側にチャネル2204を含む構造が作製され、それにより、双極極板の前駆体が作製される。
【0132】
工程2212では、次いで、ナノワイヤ2206を、エッチングプロセスによってもたらされたチャネル2204内に配設する。ナノワイヤ2206はチャネル2204内に、該チャネル内でのナノワイヤの成長か、またはチャネル外で成長させたナノワイヤを成長基板から回収し、次いでチャネル内に堆積させ得るかのいずれかによって配設され得る。任意の適当なナノワイヤ成長プロセス、例えば、本明細書に記載もしくは当該技術分野で知られたものなどを用いてナノワイヤを成長させる。例えば、金属触媒ナノ粒子(例えば、Auナノ粒子)をチャネル2204内に堆積させ得、次いで、VLS成長プロセスまたは本明細書に記載もしくは当該技術分野で知られた他の適当なプロセスを用いて、Siナノワイヤを成長させ得る。好適には、ナノワイヤ2206はチャネル内に、ナノワイヤの末端部がチャネル2204の全面(すなわち、チャネルの側面(1つまたは複数)および底面(そのように構成されている場合))に接触するように配設される。ナノワイヤ2206をチャネル2204内に配設した後、半導体ウェハ2202の表面とナノワイヤ2206を工程2214において炭素含有ガスとと接触させ(浸炭)、それにより、ウェハ2202の表面が炭化ケイ素2208(例えば、SiC)に変換され、また、ナノワイヤが炭化物層(例えば、炭化ケイ素)でコーティングされる。炭素含有ガスと接触させる方法としては、本明細書に記載のもの、ならびに当該技術分野で知られた他のものが挙げられる。ナノワイヤの表面上への炭素のさらなる堆積により、本明細書に記載のグラフェン層またはシートの成長がもたらされる。他の実施形態では、チャネル外で成長させ、回収したナノワイヤを、まず浸炭し、次いで、半導体ウェハ内に形成されたチャネル内に堆積させ得る。一般的に、ウェハもまた、ナノワイヤ堆積前に浸炭されているが、これは、ナノワイヤ堆積の後に行ってもよい。
【0133】
工程2216では、金属触媒2219(例えば、金属触媒ナノ粒子)をナノワイヤの表面2206上に堆積させる。好適な実施形態において、ウェハ2202の一方の表面は、アノードナノ粒子(例えば、Pt)が堆積されたナノワイヤを含み、反対側の表面は、カソードナノ粒子(例えば、Pt−Ru)が堆積されたナノワイヤを含む。工程2216はまた、ナノグラファイトコートナノワイヤ表面上への電解質組み込みをさらに含み得る。得られる構造は、したがって、双極ウェハ2218であり、これは、次にMEAおよび燃料電池に一体化され得る。
【0134】
工程2222では、双極ウェハ2218をプロトン交換膜と合わせ、直接メタノール型燃料電池に使用され得る膜電極アセンブリを作製する。一実施形態において、双極ウェハ2218のアノード表面(すなわち、アノード触媒を有するナノワイヤを含むウェハの表面)は、プロトン交換膜(例えば、NAFION(登録商標)などのスルホン化テトラフルオロエチレンコポリマー)に対向して配設される。次いで、第2の双極ウェハ2218を、該膜に対向して配設し、そのカソード表面(すなわち、カソード触媒を有するナノワイヤを含むウェハの表面)は、第1のウェハのアノード表面と対向しており、膜電極アセンブリが作製される。このプロセスは、必要なだけ多数回反復され得、ウェハおよび膜を互いに対向するように配設し、電極アセンブリを作製する。さらなる実施形態では、板(例えば、グラファイト、金属、半導体または他の材料)をアセンブリの末端上に配置し、それにより、密閉型のアセンブリが作製され得る。本明細書に記載の電極アセンブリは、次いで、マイクロ燃料電池、例えば直接メタノール型燃料電池2109に使用され得る。
【0135】
本発明の別の実施形態では、半導体ウェハ2202(例えば、Siウェハ)を本明細書に記載のようにして工程2210でエッチングし、ウェハ、好適にはウェハの両側面/両面に一連のチャネル2204を作製し得る。次いで、ウェハを工程2214’で浸炭し、それにより、該ウェハ(例えば、SiC)上に炭化物コーティングを作製し得る。工程2220では、このような導電性炭化物/グラファイトコートウェハ(例えば、SiC)を、次いで、従来の方法によって作製された膜電極アセンブリ(MEA)と合わせ、マイクロ燃料電池、例えば直接メタノール型燃料電池2209を作製し得る。
【0136】
また、燃料電池膜電極アセンブリを作製するためのさらなる方法も提供される。例示的な一実施形態を図23のフローチャート2300に示し、図24に関して、本発明の一実施形態による膜電極アセンブリ2400を示す。図23に示すように、工程3202ではガス拡散層2402を設ける。ガス拡散層としての使用に適した材料の例としては、限定されないが、TEFLON(登録商標)(DuPont)処理表面、例えば、TEFLON(登録商標)処理されたカーボン紙または織布クロス(例えば、カーボンクロス)が挙げられる。工程2304では、触媒金属会合型ナノワイヤの第1の組成物2404を、ガス拡散層2402に隣接して配設する。本明細書で用いる場合、用語「配設」および「隣接して配設」は、構成要素が互いに隣接して配列され、その結果、該構成要素が、膜電極アセンブリとしての機能を果たすように互いに相互作用し得ることを意図して使用する。構成要素を互いに隣接して配設することには、重層、塗布、噴霧、コーティング、流延または任意の種々の構成要素の他の形態の適用が含まれる。
【0137】
図23の工程2306では、次いで、膜層2406を該第1の触媒金属会合型ナノワイヤ組成物2404に隣接して配設する。好適には、膜層2406は、プロトン伝導性ポリマー、例えば、NAFION(登録商標)または他のスルホン化ポリマーを含む。次いで、図23の工程2308では、触媒金属会合型ナノワイヤの第2の組成物2408を膜層2406に隣接して配設する。
【0138】
好適な実施形態において、触媒金属会合型ナノワイヤの第1および第2の組成物(2404,2408)は、触媒会合型ナノワイヤの溶液、例えば、ナノワイヤインク溶液を含む。本発明のナノワイヤ溶液はまた、1種類以上のさらなる構成要素、例えば、界面活性剤またはポリマー(例えば、ナノワイヤの分散を補助するため)および/またはイオノマー、例えばNAFION(登録商標)などをさらに含むものであり得る。好適には、種々のナノワイヤ溶液中のナノワイヤの濃度は、容量基準で約0.01%〜約50%、例えば容量基準で約0.1%〜約20%である。好適には、触媒金属会合型ナノワイヤの第1および第2の組成物は、1種類以上のイオノマー、例えばNAFION(登録商標)などもまたさらに含むナノワイヤ溶液である。
【0139】
本発明の方法における使用のための例示的な触媒会合型ナノワイヤとしては、本文中に記載するものが挙げられる。好適には、触媒金属会合型ナノワイヤの第1の組成物は、アノード触媒金属会合型ナノワイヤの溶液を構成し、触媒金属会合型ナノワイヤの第2の組成物は、カソード触媒金属会合型ナノワイヤの溶液を構成するが、該2つの層の順序は逆であってもよい。任意の触媒金属会合型ナノワイヤ配設方法が使用され得るが、好適には、ナノワイヤは、ナノワイヤの溶液を種々の表面上に噴霧することにより配設される。ナノワイヤを種々の表面上に噴霧するための方法は、当該技術分野でよく知られており、例えば、米国特許第7,135,728号(その開示は引用により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。好適には、その噴霧方法では、溶液中でのナノワイヤの凝集を抑制するための超音波浴、表面にナノワイヤ溶液を送達するためのコンピュータ制御スプレーノズルが使用される。さらなる実施形態において、本発明の噴霧方法は、多層のナノワイヤが最終MEAにおいて作出されるように、多層のナノワイヤ(および1種類以上のイオノマー)を噴霧することを含む。
【0140】
さらなる実施形態では、図23のフローチャート2300に示すように、本発明の膜電極アセンブリ作製方法は、工程2310において、触媒金属会合型ナノワイヤの第1の組成物(例えば、イオノマーを含むナノワイヤ溶液)2404を工程2304で配設する前に、ガス拡散層の少なくとも縁部を被覆するためのマスキング層(例えば、金属膜またはホイル)をガス拡散層2402に隣接して配設することをさらに含む。マスキング層は図24に示されていないが、好適には、該マスキング層は、ガス拡散層2402の縁部は被覆するが、ガス拡散層2402の中心に開放された非マスクセクションが残るように作製される。図24に示すように、触媒金属会合型ナノワイヤを含む第1の組成物(例えば、イオノマーを含むナノワイヤ溶液)を配設することにより、ガス拡散層の中心はナノワイヤ組成物によって被覆されているが、ガス拡散層2402の外側縁部は被覆されていないアセンブリがもたらされる。次いで、第1の組成物を配設した後であって、工程2306での膜層2406の配設の前に、マスキング層が工程2312において除去される。したがって、膜層2406を第1の触媒金属含有ナノワイヤ組成物/層2404に隣接して配設した場合、膜層2406は、ナノワイヤだけでなく、ガス拡散層2402の縁部にも隣接して配置される。
【0141】
さらなる実施形態では、図23のフローチャート2300に示すように、工程2514において、工程2308で触媒金属会合型ナノワイヤの第2の組成物の配設2408を配設する前に、膜層の少なくとも縁部を被覆するためのマスキング層を膜層2406に隣接して配設する。このさらなるマスキング層は図24に示されていないが、好適には、該マスキング層は、膜層2406の縁部は被覆するが、膜層2406の中心に開放された非マスクセクションが残るように作製される。図24に示すように、触媒金属会合型ナノワイヤを含む第2の組成物(例えば、イオノマーを含むナノワイヤ溶液)2408を配設することにより、膜層2406の中心はナノワイヤによって被覆されているが、膜層2406の外側縁部は被覆されていないアセンブリがもたらされる。
【0142】
本発明の方法によって作製される膜電極アセンブリは、種々の燃料電池電極の作製、例えば、燃料電池電極積層体の作製に利用され得る。本発明の方法、好適にはナノワイヤ噴霧法は、4層膜電極アセンブリを作製するための迅速で容易な製造方法を提供する。
【0143】
なおさらなる実施形態において、本発明は、本文中に開示する膜電極アセンブリを用いた燃料電池電極積層体2500の作製方法を提供する。例示的な実施形態において、図25に関して図26A〜26Bに示すように、フローチャート2600は、燃料電池電極積層体の作製方法を提供する。図26Aの工程2602では、第1の端板2502を設ける。本文中に記載しているように、端板は、機械加工グラファイトまたは成型導電性ポリマー複合材料および他の同様の材料を含む。工程2604では、ガスケット2504を、端板2502に隣接して配設する。好適には、ガスケット2504は、燃料電池積層体の端板2502とさらなる構成要素間にシール部を作出し得る材料を含むものである。図25に示すように、ガスケット2504は、好適には、膜電極アセンブリ2400の付加に適合した開口部を有する。ガスケットとしての使用のための例示的な材料としては、限定されないが、種々のポリマーおよびゴム、例えば、シリコン、MYLAR(登録商標)(DuPont)積層体、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴムなどが挙げられる。
【0144】
図26Aの工程2606では、膜電極アセンブリ2400をガスケットに隣接して配設する。本発明の4層膜電極アセンブリ(MEA)(2400)は、好適には、本発明の燃料電池電極積層体において使用されるが、本文中に開示、あるいは当該技術分野で知られた他の膜電極アセンブリもまた使用され得る。MEAの配設後、次いで、工程2608でガス拡散層2506をMEAに隣接して配設する。工程2610では、次いで、さらなるガスケット2504をガス拡散層2506に隣接して配設する。最後に、工程2612で、端板2502をガスケット2504に隣接して配設し、完成された燃料電池電極積層体2500を作出する。燃料電池積層体は、次いで、さらなる加工処理のために互いにクランプで固定され得る。次いで、本文中に開示および当該技術分野で知られたさらなる構成要素を追加することにより、作動燃料電池が得られ得る。
【0145】
さらなる実施形態において、図26Aおよび26Bに示すように、本発明の方法は、燃料電池電極積層体2500を作製する際、さらなるMEA層(例えば、2、3、4、5、6つなど、n番目までのMEA)を組み立てることをさらに含むものであり得る。すなわち、n番目までまたは最後の採集のMEA層までの任意の数のMEA層が燃料電池電極積層体において作製され得る。例えば、工程2610で第2のガスケット2504の配設後、工程2612で第2の端板の配設前では、工程2616において双極極板2510を、第2のガスケット2504に隣接して配設する。端板2502および双極極板(1つまたは複数)2510の両方は、好適で典型的には、その表面内に、燃料およびオキシダントをそのそれぞれの触媒電極に分布させ、廃棄物、例えば水およびCO2を排出させるチャネルおよび/または溝を有し、また、熱伝達のためのコンジットも含むことがあり得る。典型的には、双極極板および端板は高度に導電性であり、グラファイト、金属、導電性ポリマーならびにその合金および複合材料で作製されたものであり得る。ステンレス鋼、アルミニウム合金、炭素および複合材料などの材料(コーティングありまたはなし)は、燃料電池の双極端板に対する良好で実施可能な選択肢である。双極極板および端板はまた、その複合構造内に組み込まれた高度に導電性または半導体性のナノワイヤ(例えば、金属、導電性ポリマーなど)を含む複合材料から形成され得る。双極極板は好適には、チャネルおよび/または溝を両面に備えるが、端板は、典型的にはチャネルおよび/または溝を、燃料電池の構成要素(すなわち、内面)と接触している表面のみに備え、外面はかかるチャネルまたは溝を備えていない。
【0146】
図26Bの工程2618では、さらなるガスケット2504を、双極極板2510に隣接して配設する。工程2620では、次いで、第2のMEA2400を、ガスケット2504(すなわち、図25に示すような第3のガスケット)に隣接して配設する。この後、工程2622において、さらなるガス拡散層2606をMEA2400に隣接して配設する。工程2624では、次いで、さらなるガスケット2504(すなわち、4つめ)をガス拡散層2506に隣接して配設する。
【0147】
図26Bに示すように、工程2626では、次いで工程2616から2624までを、n番目、すなわち、最後の膜電極アセンブリ(2400)が配設されるまで反復する。図26Bの種々の工程を反復することにより、双極極板2510、ガスケット2504、MEA2400、ガス拡散層2506およびガスケット2504の反復層が、所望の数のMEA(n番目のMEAまで)が互いに積層され、燃料電池電極積層体が形成されるまで繰り返される。いったん、工程2626において工程2616〜2624を反復するのではなく、最終のMEAが使用されたら、図26Aの工程2612において、端板2502を最終のガスケット2504に隣接して配設する。したがって、本発明は、種々の燃料電池の構成要素を、最終の所望の燃料電池積層体が得られるまで反復して配設/重層/積層するための方法を提供する。
【0148】
最終の燃料電池積層体は、次いで互いにクランプで固定され得、燃料に適当な電解質、例えばエチレングリコール溶液を含浸させ得る。次いで、本文中に開示および当該技術分野で知られたさらなる構成要素を追加することにより、作動燃料電池が得られ得る。
クロマトグラフィー媒体
相互接続型ナノワイヤネットワークから調製された粒子は、クロマトグラフィー媒体を作出するために使用され得る。例えば、該粒子は、サイズ排除カラムにおいて、メソポーラス微粒状をカラム内に充填し、次いで、分離すべき適切な大きさの大小の物体(article)を含有する溶液を添加することにより使用され得る。細孔の大きさに基づき、一定の小径の物体が該粒子(およびカラム)によって保持される一方、一定の大径の物体は充填カラムを通過する。かかるカラムは、分離および試料清浄化のため、または分析装置、例えば、クロマトグラフ、蛍光測定装置(fluorimeter)などと組み合わせて使用され得る。
【0149】
相互接続型ナノワイヤネットワークはまた、生体分子のマトリックス支援レーザー脱離イオン化法(MALDI)飛行時間型質量分析解析のための試料台または基板として、ならびに表面コーティングまたは他の生物学的適用用途のための骨格としても有用である。
【0150】
相互接続型ナノワイヤネットワークはまた、例えば、医療用デバイス用の大表面積電極としても有用である。大きな表面積に加え、ナノワイヤネットワークは、長期安定性、生体適合性および長期間にわたる低分極などの好都合な特性を提供する。
電界放出デバイス
電界放出デバイスは、電子の移動を利用するデバイスである。典型的な電界放出デバイスは、少なくともカソード、エミッターチップ、およびカソードと離れて配置されたアノードを含む(例えば、米国特許第7,009,331号、同第6,976,897号および同第6,911,767号;および米国特許出願公開公報第2006/0066217号(その各々の開示は、引用によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照のこと)。電圧がカソードとアノード間に印加され、電子がエミッターチップから放出される。電子は、カソードからアノードへの方向に移動する。このようなデバイスは、さまざまな適用用途、例えば、限定されないが、マイクロ波真空管デバイス(例えば、X線管)、電力増幅器、イオンガン、高エネルギー加速器、自由電子レーザー、および電子顕微鏡、特に、フラットパネルディスプレイにおいて使用され得る。フラットパネルディスプレイは、従来のブラウン管の代替品として使用され得る。したがって、これらは、テレビおよびコンピュータモニターにおける適用用途を有する。
【0151】
従来のエミッターチップは、モリブデンなどの金属、またはシリコンなどの半導体で作製されている。金属エミッターチップの使用に伴う懸念の1つは、放出に必要とされる制御電圧が比較的高い、例えば100V前後であることである。さらに、このようなエミッターチップは均一性を欠き、ピクセル間に不均一な電流密度をもたらす。
【0152】
最近では、炭素材料がエミッターチップとして使用されている。ダイヤモンドは、その水素末端表面に対して負または低い電子親和性を有する。カーボンナノチューブ(カーボンフィブリルとしても知られている)もまた、エミッターチップ技術における使用が検討されている。
【0153】
本発明の別の実施形態において、本明細書に記載のナノワイヤ構造および相互接続型ナノワイヤネットワークは、フィールドエミッタおよび電界放出デバイスとして使用され得る。本発明による例示的な電界放出部材としては、限定されないが、1つ以上の垂直に配向された耐熱金属コートナノワイヤ、1つ以上の垂直に配向されたカーボンコートナノワイヤ(例えば、SiCでコートされたSiナノワイヤ)、グラフェン層で被覆された複数のランダムに配向されたナノワイヤ(例えば、SiCとグラフェン層でコートされたSiナノワイヤ)およびグラフェン層で被覆されたナノワイヤ片、ならびにその異型の組合せが挙げられる。本明細書で用いる場合、電界放出部材、フィールドエミッタおよび電界放出部材という用語は互換的に使用され、その表面からの電子の放出を可能にする構造をいう。
【0154】
好適な実施形態において、フィールドエミッタおよび電界放出デバイスは、SiCおよびグラフェン層でコートされたSiナノワイヤを含む。図27に示すように、このような鳥の巣構成の「有棘(barbed)」ナノワイヤは、ワイヤの向きとは無関係に、炭素グラフェン層がナノワイヤから外方および上方に延びるため、テトラポッドとよく似た構造を含む。グラフェン薄層は良好な電子放出体であり、ナノワイヤ部材のあらゆる側面から延びるいくつかのこのようなグラフェン「棘」の存在により、高レベルの電子伝達が確保される。
【0155】
基板(例えば、ガラス板)を複数の本発明のナノワイヤ構造(例えば、鳥の巣構成)でコーティングすることにより、SiCおよびグラフェン層でコートされたSiナノワイヤにより、一連の高度に均一な長いエミッション部材が形成された高度に均一なエミッタ部材が作製され得る。
【0156】
別の実施形態において、耐熱金属コートナノワイヤもまた、エミッタ部材としての機能を果たし得る。例えば、Moコートナノワイヤ(例えば、Siナノワイヤ)。エミッタ部材として機能を果たすことが可能となるように、他の金属コーティングもまたナノワイヤに適用され得る。
【0157】
関連分野の当業者には、本明細書に記載の方法および適用用途に対して他の適当な修正および適合が、本発明またはその任意の実施形態の範囲から逸脱することなくなされ得ることは容易に自明となろう。ここに、本発明について詳細に記載したが、これは、以下の実施例を参照することにより明確に理解されよう。実施例は、単なる例示の目的のために含めるのであって、本発明を限定することを意図しない。
【実施例】
【0158】
(実施例1:ナノワイヤ構造の作製)
WO3でコートされたシリコンナノワイヤを650℃で30分間加熱した後、1250℃で6分間、Ar(430cc/分)、H2(130cc/分)およびCH4含有Ar(228cc/分)を含む流動ガス混合物の存在下で加熱した。作製物を冷却した後、相互接続型ナノワイヤ構造100を含む相互接続型ナノワイヤネットワーク300が形成された。ナノワイヤ構造100は、Siナノワイヤコア102、炭素主体層104(SiC/WC界面炭化物層)およびナノワイヤ構造100を接続する炭素主体構造106(グラフェンナノグラファイト板)を備える。
【0159】
(実施例2:ナノワイヤ上へのナノ粒子の堆積)
およそ10mgのSiナノワイヤをエタノール中に超音波処理によって分散させ、ナノワイヤ懸濁液を形成した。相互接続型ナノワイヤネットワークを、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜でのナノワイヤ懸濁液の真空濾過および真空乾燥によって作製し、次いで、2ccの0.1%ポリリシン溶液をフィルター漏斗に添加し、ポリリシンをナノワイヤの表面上に吸収させた。5分後、漏斗内のすべての液体を真空除去し、ナノワイヤネットワークをPVDF膜から分離した。炉内にて100℃で15分間乾燥した後、ナノワイヤネットワークを10ccのAuコロイド溶液(10nmコロイド)中に沈め、20分間浸漬してAuナノ粒子をナノワイヤの表面上に吸収させた。最後に、ナノワイヤネットワークをAuコロイド溶液から取り出し、イソプロピルアルコール(IPA)でリンス処理し、100℃で乾燥して、金ナノ粒子でコートされたナノワイヤネットワークを得た。図14は、相互接続型ナノワイヤのネットワーク上に堆積されたAu触媒ナノ粒子のSEM画像を示す。
【0160】
(実施例3:高密度充填ナノワイヤの製作)
ナノワイヤの充填密度を増大するための方法を検討するため、60nmシリコンナノワイヤの「鳥の巣」構造を、種々の手法を用いて作製した。その方法の結果を以下の表1に示す。
【0161】
【表1】
60nmナノワイヤの分散液を濾過することによってもたらされた充填密度は6%であった。濾過前に分散液を高速剪断混合機で攪拌すると、充填密度は改善されなかった。濾過前に界面活性剤(Triton X−100)をナノワイヤ分散液に添加することにより、30%より高い充填密度の増加が認められた。充填密度における有意な増加は、ナノワイヤへの一軸加圧適用後に観察された。ペレットダイ内で磨砕後、40 KPSIでのナノワイヤのダイ加圧によって作製した薄いナノワイヤペレットでは、46.6%の充填密度が測定された。走査電子顕微鏡検査により、この試料のナノワイヤは、磨砕および/または加圧の結果、短いことが示された。
【0162】
(実施例4:燃料電池の性能特性評価)
種々の性能の特性評価実験の結果を本明細書に示す。これらの結果は、直接メタノール型燃料電池などの燃料電池適用用途において、相互接続型および非相互接続型両方の本発明のナノワイヤネットワーク(すなわち、鳥の巣構造)を使用することによって、有意な性能の改善がもたらされたことを示す。
【0163】
新規な触媒粒子材料と鳥の巣構造の特異な構造的特性の組合せにより、市販のカーボンブラック触媒と比べて、メタノール酸化活性においてほぼ3倍の増加が観察された。また、カーボンブラックと比べて、O2還元に関して動的電流の51%の増加が測定され、鳥の巣構造上の本発明者らの特異な高度に結晶性のナノグラファイト表面コーティングに由来する触媒効率に対する担持体の相互作用の強い影響を示す。メタノールに関しては、鳥の巣構造によりカーボンブラックと比べて拡散効率の2.5倍の増加が測定され、これにより、拡散効率に影響を及ぼすことなく、触媒層においてNAFION(登録商標)の2.5倍まで高い負荷が可能となるはずである。このことは、鳥の巣膜電極アセンブリにおけるプロトン導電性をカーボンブラックと比べて、2.5倍まで増大させる潜在性を有する。
【0164】
本発明のナノワイヤ構造の到達可能性/拡散特性を調べるため、酸素還元活性を測定した。図28は、Pt回転円盤電極(Pt RDE)、Pt−RDE(C/Pt RDE)上の炭素層、およびPt−RDE(NW/Pt RDE)上に配置された炭化Siナノワイヤ層(すなわち、SiCナノワイヤ)を比較する電流対電位のプロットを示す。SiCナノワイヤ層により、炭素層と比べ(Pt−RDEと比べたプロトン到達可能性46%)、Pt電極への到達の増大がもたらされ(Pt−RDEと比べたプロトン到達可能性86%)、図28に示すように、0.3Vの電位で、炭素層と比べて61%に対してわずか48%に電流の減少がもたらされる。
【0165】
図29は、現在市販のカーボンブラック上の触媒材料(ElectroChem Inc.、Woburn、MAで製造)、および本発明のカーボンブラック担持体上の触媒材料を比較したメタノール酸化の代表的な性能曲線を示す。このデータは、新規な触媒材料単独由来のものと比べて、ほぼ65%触媒活性の増大を示す。
【0166】
本発明の触媒粒子の触媒効率における固有の増大に加え、このような粒子とナノグラファイトナノワイヤの特異な表面との相互作用による改善された触媒活性もまた観察された。電気化学的半電池におけるナノワイヤ鳥の巣構造での酸素の還元(図30)に関するKotecky−Levich解析により、鳥の巣構造では、同じ触媒粒子で作製されたカーボンブラックと比べて0.6Vでの動的電流において51%の増加が示された。反応速度のこの増加は、ナノグラファイト担持体材料との相互作用によってもたらされる触媒効率の増大によって説明され得る。
【0167】
本発明の鳥の巣MEAの3相接触表面積の測定は、市販のカーボンブラックMEA(ElectroChem Inc.)ではわずか432cm2/mgであるのに比べて、676cm2/mgの3相接触密度を示す。これは、このような予備的な鳥の巣構造における3相接触密度の56%の増加を表す。3相接触の直接測定により、カーボンブラックMEAについて合計758cm2/mg、市販のカーボンブラックに対して75%の増加が示された。2種類の触媒粒子間の平均粒径の差を補正すると、「含浸」法によって形成された市販のカーボンブラック触媒と比べ、本発明の触媒粒子を用いて、平均で21%多くの触媒粒子がカーボンブラックの3相接触に利用可能である。
【0168】
図31は、鳥の巣ナノワイヤ触媒、市販のカーボンブラック触媒および本発明のPtRuアノード触媒材料を用いて形成されたカーボンブラック触媒に関して、20分間にわたる電気化学的半電池におけるメタノール酸化活性を示す。このプロットは、鳥の巣構造について、カーボンブラック上の同一の触媒材料と比較した場合であっても、この期間での安定性の改善を明白に示す。これは、20分間という短期間であっても安定性に対する純粋な構造的効果の証拠になると思われる。
【0169】
充填粒子カーボンブラックの多孔質の性質とは対照的に、本発明による鳥の巣構造におけるナノワイヤの本質的に開放型の非迂遠なネットワークにより、触媒部位内外への燃料および廃物の効率的な拡散が可能になる。鳥の巣構造の拡散特性の理論的なモデル設計により、この型のネットワークを介した溶液の拡散は、バルク溶液中での拡散とほぼ同じであることが示される。この効果の証拠として、同じ触媒材料を用いた鳥の巣とカーボンブラック担持体構造間での電気化学的半電池での測定におけるメタノール酸化について、触媒活性の有意な増大が観察された。
【0170】
図32および以下の表2は、市販のカーボンブラック触媒に加えて、これらの2つの構造の相対活性を示し、活性の改善に対する鳥の巣構造の純粋な構造的影響を示す。全体として、本発明の鳥の巣触媒層は、このような半電池での測定において、現在市販のカーボンブラック触媒と比べると、メタノール酸化に関してほぼ3倍高い活性を有する。これは、触媒活性の増大と拡散効果の組合せの結果である。
【0171】
【表2】
PtRuアノード触媒のメタノール酸化活性の結果を以下の表3に示す。
【0172】
【表3−1】
【0173】
【表3−2】
a:水素酸化領域におけるサイクリックボルタモグラムの電流積分;b:0.6Vでの線形電位スキャンデータに対して;c:20分間の0.6Vでの一定分極後に記録されたデータに対して。
【0174】
酸素還元活性もまた、市販の炭素担持体上の白金触媒(ElectroChem Inc.、Woburn、MAで製造)、本発明の炭素担持体上の白金触媒、および本発明のSiCナノワイヤ上の白金触媒を用いて測定した。図33は、このような3種類のPt触媒担持体を比較する電流対電位のプロットを示す。以下の表4にまとめた解析の結果は、ナノワイヤ担持アノードPt触媒について電流が高く、従来の炭素担持体と比べて18%の改善がもたらされたことを示す。
【0175】
【表4】
a:水素酸化領域におけるサイクリックボルタモグラムの電流積分;b:3600RPMでの酸素飽和溶液における線形電位スキャン、0.6Vでのデータ、c:Koutecky−Levich式に基づく解析、0.6Vの場合と比較;d:Koutecky−Levich式に基づく解析、すべての触媒について伝達された電子の数は同一と仮定
鳥の巣ナノワイヤおよびカーボンブラック構造を介したO2の拡散効率の直接測定により、鳥の巣担持体の平均有効細孔長さは、1.1nmであると測定された。一方、カーボンブラックでは2.8nmであり、これは、この構造に固有な開放型で非迂遠な拡散経路のため、鳥の巣構造を介した拡散効率の2.5倍の増加を示す。
【0176】
(実施例5:ナノワイヤ電極の分散の改善)
白金触媒負荷、NAFION(登録商標)被覆率および燃料電池性能を、1)ECCMEA#1:市販の触媒ナノ粒子および炭素担持体(ElectroChem、Inc.、Woburn、MAで製造);2)NSCMEA#1:本発明に従って作製し、炭素担持体上に配設した白金触媒;および3)NWMEA#13および#16:本発明に従って作製し、SiCナノワイヤ上に配設した白金触媒の2つの試料を備える電極について特性評価した。Pt負荷およびNAFION(登録商標)被覆率の結果を以下の表5に示す。
【0177】
【表5】
図34Aおよび34Bは上記の電極の性能を示し、それぞれ、ECCMEA#1、NWMEA#13およびNWMEA#16電極のIR補正電位対電流密度、および到達可能性の低下(3〜5mA/cm2でフィルタリング)を示す。この2つのナノワイヤ担持型電極では、燃料電池性能、ならびに到達可能性の低下が実質的に同一であることに注意されたい。
【0178】
Nanosys提示(presentation)の図35および36は、炭素担持体上に配設した本発明のPt触媒性ナノ粒子で作製した電極(NSCMEA#2)および本発明のSiCナノワイヤ上の配設した本発明の触媒性Ptナノ粒子(NWMEA#16)でのO2分圧の変動の結果を示す。また、結果を以下の表にも示す。図35は、2つの異なるO2圧(20%および5%)での電極のIR補正電位特性を示す。図36は、ある範囲の電流密度での同じ2つの試料での電位の変動(V)を示す。これらの測定の結果は、以下の表6に認められるように、ナノワイヤ担持体を用いたO2拡散性は、従来の炭素担持体と等しいか、さらに良好なようであることを示す。
【0179】
【表6】
(実施例6:鳥の巣電極の特性評価)
以下の手順に従って、Pt触媒ナノ粒子を有する「鳥の巣」ナノワイヤ担持体を作製した。本発明に従って作製したSiナノワイヤは、ナノワイヤが重なる「鳥の巣」構造が形成されるようにランダムな様式で堆積した。ナノワイヤの表面上に炭化物層を形成させるため、次いで、ナノワイヤ構造を炭素含有ガス(例えば、CH4)と接触させた後、SiCナノワイヤの表面上にグラフェンシートを形成させた。本発明のPt触媒ナノ粒子を、次いで、グラファイトコートSiCナノワイヤ上に堆積させた。最後に、触媒ナノ粒子/SiCナノワイヤ鳥の巣構造に、プロトン伝導体NAFION(登録商標)を含浸させるか、または手塗りを行なった。得られた電極を、SiCナノワイヤ上にほぼ11%(wt%)のPt負荷およびほぼ0.15mg−Pt/cm2の電極を用いて特性評価した。
【0180】
図37は、4種類の電極でのIR補正電位対電流密度測定値を示す。ECCMEA#1:炭素基板上のElectrochem(登録商標)Pt触媒;NWMEA#13:本発明に従って作製し、NAFION(登録商標)を手塗りしたSiCナノワイヤ鳥の巣上のPt触媒;NWMEA#14および#15:本発明に従って作製し、NAFION(登録商標)を含浸させたSiCナノワイヤ鳥の巣上のPt触媒。また、特性評価の結果は、以下の表7にも示す(NSCMEA#1は、本発明に従って作製した、炭素基板上のPt触媒を表す)。
【0181】
【表7】
(実施例7:触媒金属会合型ナノワイヤの作製のための還流)
290mgの本発明のナノワイヤ構造を、20mLのエチレングリコール中に分散する。次いで、この分散液に51mLのPt:Ruコロイド溶液(3mg金属/mL)を添加する。次いで、この溶液を60分間還流する。
【0182】
次いでこの溶液を室温まで冷却し、該溶液が約4.0のpHに達するまで2M硝酸を滴下する。次いで、この溶液を室温で約4時間攪拌した後、該溶液約1.0のpHに達するまで2M硝酸を滴下する。次いで、この溶液を約1時間攪拌する。
【0183】
次いで、該溶液を濾過し、脱イオン水で3回洗浄する。得られたナノワイヤケークを、次いで、脱イオン水中に分散し、濾過し、次いで再度洗浄する。得られたナノワイヤケークを、次いで、120℃で真空下、一晩乾燥させる。得られた触媒会合型ナノワイヤは、次いで、種々の基板への適用もしくは他の用途のための溶媒中に分散され得るか、またはその乾燥状態で利用され得る。図38は、本発明の方法に従って作製された触媒金属会合型ナノワイヤの透過型電子顕微鏡写真(2つの倍率)を示す。
【0184】
本発明の例示的な実施形態を示した。本発明は、これらの実施例に限定されない。これらの実施例は、本明細書において例示の目的のために提示し、限定するためではない。択一例(本明細書に記載の均等物、拡張例、変形例、誘導型などを含む)は、関連分野(1つまたは複数)の当業者には、本明細書に記載の教示に基づいて自明となろう。かかる択一例は、本発明の範囲および精神に含まれる。
【0185】
本出願書類に挙げたすべての刊行物、特許および特許出願は、本発明が属する分野の当業者の技術水準を示し、引用により組み込まれると表示した個々の刊行物、特許または特許出願が、あたかも具体的に個々に示されているのと同程度に、引用によって本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0186】
【図1A】図1Aは、本発明の一実施形態によるナノワイヤ構造の透過型電子顕微鏡写真である。
【図1B】図1Bは、本発明の一実施形態によるナノワイヤ構造の高倍率の透過型電子顕微鏡写真である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態によるナノワイヤ構造のx線回折パターンである。
【図3】図3Aは、本発明の一実施形態による相互接続型ナノワイヤネットワークの走査型電子顕微鏡写真である。図3Bは、本発明の一実施形態による相互接続型ナノワイヤネットワークの高倍率走査型電子顕微鏡写真である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態によるナノワイヤ構造の製造方法を示すフローチャートを示す。
【図5】図5は、本発明の一実施形態による相互接続型ナノワイヤネットワークの製造方法を示すフローチャートを示す。
【図6】図6は、アノードおよびカソード電極における例示的な反応を示す従来の電気化学的燃料電池の模式図である。
【図7】図7Aは、炭素粒子担持体上に提供されたPt/Ruナノ粒子を備えた従来の充填粒子複合触媒構造の詳細を示す図6の燃料電池のアノード電極部分の拡大図である。図7Bは、気相反応体、電解質および電極触媒構造間の例示的な3相接触(three−phase contact)を示す図7Aの充填粒子複合触媒構造の拡大図である。
【図8】図8Aは、本発明の教示に従って作製されたナノワイヤ主体型電気化学的燃料電池の模式図である。図8Bは、本発明の教示に従って作製されたナノワイヤ主体型電気化学的燃料電池積層体の模式図である。
【図9A】図9Aは、図8Aの燃料電池のプロトン交換膜とアノード電極の間の接合部に広がる触媒担持型ナノワイヤの相互接続ネットワークの一実施形態の詳細を示す図8Aの燃料電池のアノード電極部分の拡大図である。
【図9B】図9Bは、図8Aの燃料電池のプロトン交換膜とアノード電極の間の接合部に広がる触媒担持型ナノワイヤの平行なアレイの詳細を示す燃料電池のナノワイヤ主体型アノード部分の択一的な実施形態の拡大図である。
【図10】図10は、本発明の教示に従って作製された燃料電池のアノード(および/またはカソード)電極における触媒担持体として使用されたナノワイヤの相互接続ネットワークのSEM画像である。
【図11】図11は、本発明の方法の実施において使用され得る分岐型ナノワイヤ構造の模式図である。
【図12】図12は、ナノワイヤの側面から延びる微小な小節を有する複数の分岐型ナノワイヤを含む分岐型ナノワイヤネットワークのSEM画像である。
【図13】図13は、本発明の特定のある態様において使用される相互接続性ナノワイヤネットワークが作出された架橋または融合されたナノワイヤの高倍率のSEM画像である。
【図14】図14は、相互接続型ナノワイヤのネットワーク上に堆積されたAu触媒粒子を示すSEM画像である。
【図15】図15Aは、本発明の一実施形態による平均直径1.61±0.31nmのPtナノ粒子のTEMを示す。図15Bは、このようなPtナノ粒子のX線回折パターンを示す。
【図16A】図16Aは、本発明の一実施形態によるPt−Ru合金ナノ粒子(1.66±0.33nm)のTEMを示す。
【図16B】図16Bは、このようなPt−Ru合金ナノ粒子のX線回折パターンを示す。
【図17】図17は、カーボンブラックCabot VULCAN(登録商標)XC72の表面上に担持されたPt−Ru合金ナノ粒子の2つの異なる倍率でのTEM画像を示す。
【図18】図18は、本発明の炭素担持Pt−Ru触媒(上側曲線)および市販のPt−Ru触媒(下側曲線)から記録されたX線回折パターンを示す。
【図19】図19は、本発明の一実施形態によるナノワイヤ上に堆積されたPtナノ粒子のTEM画像を示す。
【図20】図20は、ナノグラファイトコートナノワイヤの表面上に堆積された1.67nmのPt−Ru(1:1)ナノ粒子の2つの異なる倍率でのTEM画像を示す。
【図21】図21は、本発明の一実施形態による還流を用いた触媒金属会合型ナノワイヤの作製方法を示す。
【図22】図22は、本発明の一実施形態による無機ウェハを用いたマイクロ燃料電池の作製方法を示す。
【図23】図23は、本発明の一実施形態による燃料電池の膜電極アセンブリの作製方法を示す。
【図24】図24は、本発明の一実施形態による例示的な4層膜電極アセンブリを示す。
【図25】図25は、本発明の一実施形態による例示的な燃料電池電極積層体を示す。
【図26A】図26Aは、本発明の一実施形態による燃料電池電極積層体の作製方法を示す。
【図26B】図26Bは、本発明の一実施形態によるさらなる燃料電池電極積層体の作製方法を示す。
【図27】図27は、本発明の一実施形態によるエミッタ部材としての使用のためのグラファイトコートナノワイヤのTEMを示す。
【図28】図28は、3種類の触媒電極の酸素還元活性を比較する電流対電位のプロットを示す。
【図29】図29は、市販のカーボンブラック触媒と本発明の一実施形態に従って作製された触媒材料のメタノール酸化活性を比較する電流対電位のプロットを示す。
【図30】図30は、本発明に従って作製された鳥の巣触媒、市販のカーボンブラック触媒、および本発明に従って作製された炭素系触媒での酸素の還元のターフェルプロットを示す。
【図31】図31は、市販のカーボンブラック触媒および本発明に従って作製された炭素系触媒と比較した本発明の鳥の巣触媒構造のメタノール酸化活性を示す。
【図32】図32は、鳥の巣担持体および炭素担持体、ならびに市販のカーボンブラック触媒での本発明の触媒材料のメタノール酸化活性を示す。
【図33】図33は、本発明の一実施形態による、炭素担持体およびナノワイヤ担持体における市販のPt触媒(Electrochem Carbon)および本発明のPt触媒の酸素還元活性を示す電流対電位のプロットを示す。
【図34】図34Aは、市販の膜電極アセンブリ(ECCMEA)および本発明の一実施形態による2種類のナノワイヤ担持型膜電極アセンブリの燃料電池性能を示すIR補正電位対電流密度を示す。図34Bは、到達可能性の低下を示し、同じアセンブリに対して30mA/cm2でフィットした。
【図35】図35は、炭素担持体およびナノワイヤ担持体上の本発明の白金触媒の性能に対する酸素分圧の効果を比較するIR補正電位対電流密度を示す。
【図36】図36は、炭素担持体およびナノワイヤ担持体上の本発明の白金触媒の性能に対する酸素圧の変動の効果を示す電流密度に伴う電位の変動を示す。
【図37】図37は、炭素担持体およびナノワイヤ担持体における市販のPt触媒と本発明のPt触媒を比較するIR補正電位対電流密度を示す、燃料電池性能特性の結果を示す。
【図38】図38は、本発明の還流方法によって作製された触媒会合型ナノワイヤを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素主体層を備えるナノワイヤ。
【請求項2】
前記炭素主体層は実質的に底面炭素がない、請求項1に記載のナノワイヤ。
【請求項3】
コアをさらに備える、請求項1に記載のナノワイヤ。
【請求項4】
前記コアが半導体材料を含む、請求項1に記載のナノワイヤ。
【請求項5】
前記半導体材料が、Si、B、SiCおよびGaNからなる群より選択される、請求項4に記載のナノワイヤ。
【請求項6】
前記半導体材料が高度にドープされている、請求項4に記載のナノワイヤ。
【請求項7】
前記コアおよび/または前記炭素主体層が炭素を含む、請求項3に記載のナノワイヤ。
【請求項8】
前記コアおよび/または前記炭素主体層が本質的に炭素からなる、請求項3に記載のナノワイヤ。
【請求項9】
前記コアおよび/または前記炭素主体層が炭素からなる、請求項3に記載のナノワイヤ。
【請求項10】
前記コアが炭化物を含む、請求項3に記載のナノワイヤ。
【請求項11】
前記コアがSiCを含む、請求項10に記載のナノワイヤ。
【請求項12】
前記コアがSiであり、前記炭素主体層がSiCである、請求項3に記載のナノワイヤ。
【請求項13】
前記コアがSiCであり、前記炭素主体層が炭素である、請求項3に記載のナノワイヤ。
【請求項14】
前記炭素主体層が約1nm〜約500nmの厚さである、請求項1に記載のナノワイヤ。
【請求項15】
コア、界面炭化物層および該界面炭化物層上に形成される炭素主体構造を備えるナノワイヤ構造。
【請求項16】
前記炭素主体構造が、前記界面炭化物層上に形成される少なくとも1つのナノグラファイト板を含む、請求項15に記載のナノワイヤ構造。
【請求項17】
前記コアが半導体材料を含む、請求項15に記載のナノワイヤ構造。
【請求項18】
前記半導体材料が、Si、B、SiCおよびGaNからなる群より選択される、請求項17に記載のナノワイヤ構造。
【請求項19】
前記コアが、SiO2、Al2O3、TiO2、SnO2、ZrO2、HfO2およびTa2O5からなる群より選択される無機系酸化物;TiC、ZrC、HfC、NbC、WC、W2C、MoCおよびMo2Cからなる群より選択される無機系炭化物;またはTiN、ZrN、HfN、WN、MoNおよびBNからなる群より選択される無機系窒化物を含む、請求項17に記載のナノワイヤ構造。
【請求項20】
前記界面炭化物層が、SiC、TiC、ZrC、HfC、NbC、WC、Mo2Cおよびその混合物からなる群より選択される、請求項15に記載のナノワイヤ構造。
【請求項21】
前記コアが、約500nm未満の断面直径および約50nmより長い長さを有する、請求項15に記載のナノワイヤ構造。
【請求項22】
前記少なくとも1つのナノグラファイト板が、前記コアから約1nm〜約100nmの距離離れたところまで延びており、少なくとも2〜15のグラフェン層を備え、該コアの長軸に対して約0°〜約90°の角度で配向される、請求項16に記載のナノワイヤ構造。
【請求項23】
1つ以上の請求項15に記載のナノワイヤ構造を含む溶液。
【請求項24】
界面活性剤、ポリマーおよび/またはイオノマーの1種類以上をさらに含む、請求項23に記載の溶液。
【請求項25】
前記ナノワイヤ構造が、容積基準で前記溶液の約0.1%〜約20%を構成する、請求項23に記載の溶液。
【請求項26】
(a)ナノワイヤコアを加熱すること;および
(b)該ナノワイヤコアを1種類以上の炭素含有ガスと接触させ、該ナノワイヤ上に炭素主体層コアを形成させること
を含む、ナノワイヤの製造方法。
【請求項27】
前記加熱が約600℃より高い温度までである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記接触工程が、一酸化炭素、メタン、エタン、プロパン、ブタン、エチレンまたはプロピレンを含むガスと接触させることを含み、任意選択で、He、Ne、Ar、Kr、XeまたはH2を含むガスと接触させることをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記加熱工程前に該ナノワイヤコア上に、TiO2、ZrO2、HfO2、Nb2O3、Ta2O5、MoO3およびWO3からなる群より選択される前駆体コーティングを形成させることをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
(a)ナノワイヤコアを加熱すること;
(b)該ナノワイヤコアを1種類以上の炭素含有ガスと接触させ、該ナノワイヤコア上に界面炭化物層を形成させること;および
(c)少なくとも1つの炭素主体構造を該界面炭化物層上に形成させること
を含む、ナノワイヤ構造の製造方法。
【請求項31】
前記形成させることが、少なくとも1つのナノワイヤを該界面炭化物層上に形成させることを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記形成させることが、少なくとも1つのナノグラファイト板を該界面炭化物層上に形成させることを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記加熱が約600℃より高い温度までである、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記接触工程が、前記ナノワイヤコアを約1000℃より高い第2の温度まで加熱し、前記少なくとも1つの炭素主体構造を形成させることをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記接触させることが一酸化炭素、メタン、エタン、プロパン、ブタン、エチレンまたはプロピレンを含むガスと接触させることを含み、任意選択で、He、Ne、Ar、Kr、XeまたはH2を含むガスと接触させることをさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項36】
前記加熱前に該ナノワイヤコア上に、TiO2、ZrO2、HfO2、Nb2O3、Ta2O5、MoO3およびWO3からなる群より選択される前駆体コーティングを形成させることをさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項37】
複数の請求項16に記載のナノワイヤ構造を備え、該ナノワイヤ構造が前記ナノグラファイト板により接続される相互接続型ナノワイヤネットワーク。
【請求項38】
メソポーラス膜または粒子を形成する、請求項37に記載の相互接続型ナノワイヤネットワーク。
【請求項39】
請求項37に記載の相互接続型ナノワイヤ構造および該相互接続型ナノワイヤ構造の表面上に分散された活性触媒性ナノ粒子を含む触媒。
【請求項40】
請求項39に記載の触媒を含む膜電極アセンブリ。
【請求項41】
請求項40に記載の膜電極アセンブリを備える燃料電池。
【請求項42】
請求項37に記載の相互接続型ナノワイヤ構造を含むアノード、カソード、セパレータおよびリチウム電解質を備えるリチウム電池。
【請求項43】
請求項37に記載の相互接続型ナノワイヤ構造を含む2つの電極、セパレータおよび電解質を備える電気化学的キャパシタ。
【請求項44】
請求項38に記載の複数の粒子を含むクロマトグラフィー媒体。
【請求項45】
請求項37に記載の相互接続型ナノワイヤ構造を含む大表面積電極。
【請求項46】
(a)複数のナノワイヤコアを液体中に分散させること;
(b)該ナノワイヤコアを濾過し、ナノワイヤマットを作出すること;
(c)該ナノワイヤマットを加熱すること;
(d)該ナノワイヤマットを1種類以上の炭素含有ガスと接触させ、該ナノワイヤコア上に界面炭化物層を形成させること、および
(e)ナノグラファイト板を該界面炭化物層上に形成させ、該ナノグラファイト板が該ナノワイヤコアを相互接続するようにすること
を含む、相互接続型ナノワイヤネットワークの製造方法。
【請求項47】
前記加熱が約600℃より高い温度までである、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記接触させることが、該ナノワイヤマットを約1000℃より高い第2の温度まで加熱し、前記ナノグラファイト板を形成することをさらに含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記接触させることが、一酸化炭素、メタン、エタン、プロパン、ブタン、エチレンまたはプロピレンを含むガスと接触させることを含み、任意選択で、He、Ne、Ar、Kr、XeまたはH2を含むガスと接触させることをさらに含む、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
前記加熱工程前に前記ナノワイヤコア上にTiO2、ZrO2、HfO2、Nb2O3、Ta2O5、MoO3およびWO3からなる群より選択される、前駆体コーティングを形成させることをさらに含む、請求項46に記載の方法。
【請求項51】
ナノワイヤの表面上に堆積された金属触媒を含む無機ナノワイヤ。
【請求項52】
前記金属触媒が、Pt、Au、Pd、Ru、Re、Rh、Os、Ir、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、V、Cr、Mo、Wおよびその合金または混合物の1種類以上を含む群から選択される約1〜10nmの直径を有するナノメートルサイズの触媒粒子を含む、請求項51に記載の無機ナノワイヤ。
【請求項53】
前記ナノワイヤが分岐構造である、請求項51に記載の無機ナノワイヤ。
【請求項54】
前記金属触媒が前記ナノワイヤ上に、化学気相蒸着、電着、無電解化学的めっき、物理気相蒸着、溶液含浸および析出、コロイド粒子の吸収および脱着、化学的リンカーを介した結合、原子層堆積、ならびにその組合せを含む群から選択されるプロセスを用いることにより堆積される、請求項51に記載の無機ナノワイヤ。
【請求項55】
1つ以上の請求項51に記載の無機ナノワイヤを含む溶液。
【請求項56】
プロトン交換膜の表面上に堆積された請求項51に記載の無機ナノワイヤを備える燃料電池。
【請求項57】
請求項51に記載の無機ナノワイヤを備える燃料電池であって、該ナノワイヤは、該燃料電池の1つ以上の双極極板の表面上に堆積されている、燃料電池。
【請求項58】
前記燃料電池の1つ以上の双極性極上で直接成長させた請求項51に記載の無機ナノワイヤを備える燃料電池。
【請求項59】
前記燃料電池のプロトン交換膜上で直接成長させた請求項51に記載の無機ナノワイヤを備える燃料電池。
【請求項60】
各々がその上面に堆積された金属触媒を有する無機ナノワイヤのネットワークを含む燃料電池の膜電極アセンブリ用のナノ構造型触媒担持体。
【請求項61】
前記触媒金属が、Pt、Au、Pd、Ru、Re、Rh、Os、Ir、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、V、Cr、Mo、Wおよびその合金または混合物の1種類以上を含む、請求項60に記載のナノ構造型触媒担持体。
【請求項62】
前記触媒金属が、約10nm未満または約5nm未満の直径を有するナノ粒子を含む、請求項60に記載のナノ構造型触媒担持体。
【請求項63】
前記ナノワイヤのネットワーク内の各ナノワイヤが、該ナノワイヤネットワーク内の少なくとも1つまたはそれ以上の他のナノワイヤおよび/または双極極板に物理的に接続されている、請求項60に記載のナノ構造型触媒担持体。
【請求項64】
前記ナノワイヤが、RuO2、SiC、GaN、TiO2、SnO2、WCx、MoCx、ZrC、WNxおよびMoNxナノワイヤを含む群から選択される、請求項60に記載のナノ構造型触媒担持体。
【請求項65】
前記ナノワイヤネットワーク内のナノワイヤが、各々、少なくとも第1の化学的結合部分で官能性付与されている、請求項60に記載のナノ構造型触媒担持体。
【請求項66】
前記ナノワイヤと接触しているプロトン伝導性ポリマーをさらに含む、請求項60に記載のナノ構造型触媒担持体。
【請求項67】
前記膜電極アセンブリが、直接メタノール型燃料電池(DMFC)の構成要素である、請求項60に記載のナノ構造型触媒担持体。
【請求項68】
堆積された触媒金属の量が、触媒金属およびナノワイヤ材料の総量に対して重量基準で約0.5%〜85%または約20%〜約40%である、請求項60に記載のナノ構造型触媒担持体。
【請求項69】
前記複数のナノワイヤが、第IV族、第II〜VI族、第III〜V族半導体ならびにその合金および混合物から選択される半導体材料を含む、請求項60に記載のナノ構造型触媒担持体。
【請求項70】
プロトン交換膜、アノード電極およびカソード電極を備える膜電極アセンブリであって、該アノード電極および該カソード電極の少なくとも1つ以上がナノワイヤの相互接続ネットワークを含む膜電極アセンブリ。
【請求項71】
前記ナノワイヤの各々が、その上面に堆積された金属触媒を有する、請求項70に記載の膜電極アセンブリ。
【請求項72】
前記触媒金属が、Pt、Au、Pd、Ru、Re、Rh、Os、Ir、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、V、Cr、Mo、Wおよびその合金または混合物の1種類以上を含む、請求項71に記載の膜電極アセンブリ。
【請求項73】
前記触媒金属が、約1〜10nmの直径を有するナノ粒子を含む、請求項71に記載の膜電極アセンブリ。
【請求項74】
前記ナノワイヤのネットワーク内の各ナノワイヤが該ナノワイヤネットワーク内の少なくとも1つの他のナノワイヤと接触しており、該ナノワイヤネットワーク内の1つ以上の他のナノワイヤに電気的に接続されている、請求項70に記載の膜電極アセンブリ。
【請求項75】
少なくとも1つ以上の前記ナノワイヤネットワーク内のナノワイヤが分岐構造を有する、請求項70に記載の膜電極アセンブリ。
【請求項76】
前記ナノワイヤネットワーク内の前記ナノワイヤが、各々、金属触媒に結合する第1の化学的結合部分で官能性付与されている、請求項71に記載の膜電極アセンブリ。
【請求項77】
前記ナノワイヤネットワーク内の前記ナノワイヤが、各々、プロトン伝導性ポリマーコーティングナノワイヤに結合する化学的結合部分で官能性付与されている、請求項70に記載の膜電極アセンブリ。
【請求項78】
前記プロトン伝導性ポリマーコーティングがスルホン化ポリマーを含む、請求項77に記載の膜電極アセンブリ。
【請求項79】
請求項70に記載の膜電極アセンブリを備える燃料電池。
【請求項80】
請求項70に記載の膜電極アセンブリを備える、直接メタノール型燃料電池。
【請求項81】
請求項70に記載の膜電極アセンブリを備える水素燃料電池。
【請求項82】
(a)クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、マンガン(Mn)、テクネチウム(Tc)、レニウム(Re)、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、アルミニウム(Al)およびその組合せの1種類以上を含む群から選択される触媒金属を、複数の無機ナノワイヤと会合させ、触媒金属と会合した複数の無機ナノワイヤを形成させること、および(b)触媒金属と会合した該複数の無機ナノワイヤを備える膜電極アセンブリを形成させることを含む、燃料電池膜電極アセンブリの作製方法。
【請求項83】
前記膜電極を形成する前に、前記ナノワイヤを会合触媒金属とアニールすることをさらに含む、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記会合させることが、触媒金属前駆体を化学的に堆積させることを含む、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記複数のナノワイヤを、該ナノワイヤが該ナノワイヤの他のものと接触または近接する点で一緒に架橋することをさらに含む、請求項82に記載の方法。
【請求項86】
前記形成させることが、噴霧/ブラシ塗装、溶液コーティング、流延、電析、ナノワイヤの流動性懸濁液の濾過、ならびにその組合せを含む群から選択される方法によって形成させることを含む、請求項82に記載の方法。
【請求項87】
パーフルオロスルホン酸/PTFEコポリマーを含むイオノマー樹脂を、触媒金属と会合した該複数の無機ナノワイヤと混合することをさらに含む、請求項82に記載の方法。
【請求項88】
ナノワイヤを成長基板上に形成させること;該ナノワイヤを該成長基板から流動性懸濁液中に移すこと;1種類以上の触媒金属を該ナノワイヤ上に堆積させ、ナノワイヤ担持型触媒を形成すること;ナノワイヤの該流動性懸濁液を濾過し、相互接続型ナノワイヤの多孔質シートを作出すること;該相互接続型ナノワイヤのシートにイオノマーを浸透させること;および該相互接続型ナノワイヤのシートをポリマー膜と合わせ、膜電極アセンブリを形成することを含む、燃料電池用の膜電極アセンブリの作製方法。
【請求項89】
前記1種類以上の触媒金属粒子を堆積させることが、Pt、Au、Pd、Ru、Re、Rh、Os、Ir、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、V、Cr、Mo、Wおよびその合金または混合物を含む群から選択される金属を堆積させることを含む、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記堆積させることが、電着プロセスを含む、請求項88に記載の方法。
【請求項91】
第1および第2の双極極板を前記ポリマー膜のいずれかの側面上に付加すること;ならびに該双極極板を密閉し、プロトン交換膜燃料電池を形成することを含む、形成された電極を利用するプロトン交換膜燃料電池を形成することをさらに含む、請求項88に記載の方法。
【請求項92】
前記金属触媒を前記ナノワイヤ上に前記堆積させることの前に、一酸化窒素/硝酸基、カルボン酸基、ヒドロキシル基、アミン基およびスルホン酸基の1つ以上を含む第1の官能基でナノワイヤを誘導体化することをさらに含む、請求項88に記載の方法。
【請求項93】
イオノマーをナノワイヤに結合させる短鎖炭化水素、フルオロカーボンおよび分枝炭化水素鎖を含む群から選択される官能基でナノワイヤを誘導体化することをさらに含む、請求項88に記載の方法。
【請求項94】
前記ナノワイヤの形成が、RuO2、SiC、GaN、TiO2、SnO2、WCx、MoCx、ZrC、WNxおよびMoNxナノワイヤを含む群から選択されるナノワイヤの形成を含む、請求項88に記載の方法。
【請求項95】
前記濾過が、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜上でのナノワイヤ流動性懸濁液の真空濾過を含む、請求項88に記載の方法。
【請求項96】
前記堆積が前記濾過前に行なわれる、請求項88に記載の方法。
【請求項97】
前記堆積が前記濾過後に行なわれる、請求項88に記載の方法。
【請求項98】
上面に堆積された複数の無機ナノワイヤを備える燃料電池用の双極極板。
【請求項99】
カーボンナノチューブまたはシリコンナノワイヤのコアおよび該コアの周囲に配設された1つ以上のシェル層を備える燃料電池における使用のためのナノワイヤであって、最も外側のシェル層が、その上面に堆積された触媒金属を有する炭化ケイ素(SiC)を含むナノワイヤ。
【請求項100】
前記SiCシェル層が、過フッ素化スルホン化炭化水素分子を含むプロトン伝導コーティングで官能性付与されている、請求項99に記載のナノワイヤ。
【請求項101】
1つ以上のチャネルを含む第1の表面を有する無機担持体ウェハ;
該チャネル内に配設された1つ以上のナノワイヤ;および
該ナノワイヤの表面上に堆積された1種類以上の金属触媒
を備える燃料電池電極。
【請求項102】
前記無機担持体ウェハがSiウェハである、請求項101に記載の燃料電池電極。
【請求項103】
前記ウェハが、第1の表面と反対側に1つ以上のチャネルを備える第2の表面、該第2の表面のチャネル内に配設された1つ以上のナノワイヤ、および該ナノワイヤの表面上に堆積された1種類以上の金属触媒を有する、請求項101に記載の燃料電池電極。
【請求項104】
前記第1の表面および/または前記ナノワイヤが浸炭されている、請求項101に記載の燃料電池電極。
【請求項105】
前記第1の表面、前記第2の表面および前記ナノワイヤが浸炭されている、請求項103に記載の燃料電池電極。
【請求項106】
前記金属触媒が、約1nm〜10nmであり、Pt、Au、Pd、Ru、Re、Rh、Os、Ir、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、V、Cr、Mo、Wならびにその合金および混合物からなる群より選択される、請求項101に記載の燃料電池電極。
【請求項107】
前記ナノワイヤが、RuO2、SiC、GaN、TiO2、SnO2、WCx、MoCx、ZrC、WNxおよびMoNxナノワイヤからなる群より選択される、請求項101に記載の燃料電池電極。
【請求項108】
請求項101に記載の第1の燃料電池電極、プロトン交換膜、および請求項101に記載の第2の燃料電池電極を備える膜電極アセンブリ。
【請求項109】
前記プロトン交換膜が、前記第1の燃料電池電極の第1の表面と前記第2の燃料電池電極の第2の表面の間にサンドイッチされている、請求項108に記載の膜電極アセンブリ。
【請求項110】
前記第1の燃料電池電極の第1の表面が、アノード金属触媒を有するナノワイヤを含み、前記第2の燃料電池電極の第2の表面が、カソード金属触媒を有するナノワイヤを含む、請求項109に記載の膜電極アセンブリ。
【請求項111】
アニオン金属触媒がPtRuであり、カチオン金属触媒がPtであり、前記金属触媒が約1nm〜10nmの直径を有する粒子を含む、請求項110に記載の膜電極アセンブリ。
【請求項112】
前記ナノワイヤがSiCを含む、請求項107に記載の膜電極アセンブリ。
【請求項113】
前記プロトン交換膜が、スルホン化テトラフルオロエチレンコポリマーを含む、請求項108に記載の膜電極アセンブリ。
【請求項114】
請求項109に記載の膜電極アセンブリを備える直接メタノール型燃料電池。
【請求項115】
第1の表面および第2の表面を有する半導体ウェハを準備すること;
1つ以上のチャネルを該第1の表面および第2の表面上に形成させること;
1つ以上のナノワイヤを該第1および第2の表面内のチャネル内に配設すること;
該ナノワイヤと該第1および第2の表面を1種類以上の炭素含有ガスと接触させ、炭素主体層を該ナノワイヤと該第1および第2の表面上に形成すること;ならびに
1種類以上の金属触媒を該ナノワイヤ上に配設すること
を含む、燃料電池電極の作製方法。
【請求項116】
前記1つ以上のチャネルの形成がエッチングを含む、請求項115に記載の方法。
【請求項117】
前記エッチングがNaOHでのエッチングを含む、請求項116に記載の方法。
【請求項118】
前記1つ以上のナノワイヤの配設が、前記チャネル内でのナノワイヤの成長を含む、請求項115に記載の方法。
【請求項119】
前記ナノワイヤ上への1種類以上の金属触媒の前記配設が、前記第1の表面上のナノワイヤ上への1つ以上のPtナノ粒子の堆積、および前記第2の表面上のナノワイヤ上へのPtRuナノ粒子の堆積を含む、請求項115に記載の方法。
【請求項120】
請求項115に記載の方法によって作製される燃料電池電極。
【請求項121】
コア、界面炭化物層および該界面炭化物層上に形成される炭素主体構造を備えるナノワイヤ構造を含む電界放出部材。
【請求項122】
前記コアが、約500nm未満の断面直径および約10nmより長い長さを有し、半導体材料を含む、請求項121に記載の電界放出部材。
【請求項123】
前記半導体材料が、Si、BおよびSiCからなる群より選択される、請求項122に記載の電界放出部材。
【請求項124】
前記コアが、SiO2、Al2O3、TiO2、SnO2、ZrO2、HfO2およびTa2O5からなる群より選択される無機系酸化物;TiC、ZrC、HfC、NbC、WC、W2C、MoCおよびMo2Cからなる群より選択される無機系炭化物;またはTiN、ZrN、HfN、WN、MoNおよびBNからなる群より選択される無機系窒化物を含む、請求項121に記載の電界放出部材。
【請求項125】
前記界面炭化物層が、SiC、TiC、ZrC、HfC、NbC、WC、Mo2Cおよびその混合物からなる群より選択される、請求項121に記載の電界放出部材。
【請求項126】
前記炭素主体構造が、少なくとも1つのナノグラファイト板であり、該ナノグラファイト板は、前記コアから約1nm〜約100nmの距離離れたところまで延びており、少なくとも2〜15のグラフェン層を備え、該コアの長軸に対して約0°〜約90°の角度で配向される、請求項121に記載の電界放出部材。
【請求項127】
(a)1つ以上のナノワイヤを溶液中に分散させること;
(b)1種類以上の触媒金属を該溶液中に添加すること;および
(c)該溶液を還流し、それにより、該触媒金属を該ナノワイヤと会合した状態にすること
を含む、ナノワイヤと会合した1種類以上の触媒金属を含む1つ以上のナノワイヤの作製方法。
【請求項128】
前記添加が、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、マンガン(Mn)、テクネチウム(Tc)、レニウム(Re)、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、アルミニウム(Al)およびその組合せの1種類以上を含む群から選択される触媒金属の添加を含む、請求項127に記載の方法。
【請求項129】
前記分散が、エチレングリコールを含む溶液中への分散を含む、請求項127に記載の方法。
【請求項130】
前記還流が、沸騰するまでの前記溶液の加熱を含む、請求項127に記載の方法。
【請求項131】
前記分散が、前記触媒金属に結合する少なくとも第1の官能基で誘導体化されたナノワイヤを分散させることを含む、請求項127に記載の方法。
【請求項132】
前記誘導体化されたナノワイヤの分散が、前記第1の官能基が硝酸、カルボン酸基、ヒドロキシル基、アミン基、およびスルホン酸基から選択される基を含むナノワイヤを分散させることを含む、請求項131に記載の方法。
【請求項133】
(d)前記還流された溶液を濾過し、会合触媒金属を有する固形ナノワイヤの分散液を生成させること;および
(e)該固形ナノワイヤの分散液を乾燥すること
をさらに含む、請求項127に記載の方法。
【請求項134】
前記添加が、白金、または白金とルテニウムを含む触媒金属の添加を含む、請求項127に記載の方法。
【請求項135】
前記分散が、ネットワーク内の2つ以上のナノワイヤが互いに物理的および/または電気的に連結されているナノワイヤの相互接続ネットワークを分散させることを含む、請求項127に記載の方法。
【請求項136】
前記複数のナノワイヤを、該ナノワイヤが該ナノワイヤの他のものと接触または近接する点で一緒に架橋することをさらに含む、請求項127に記載の方法。
【請求項137】
前記添加が、触媒金属ナノ粒子の添加を含む、請求項127に記載の方法。
【請求項138】
(a)ガス拡散層を設けること;
(b)触媒金属会合型ナノワイヤの第1の組成物を該ガス拡散層に隣接して配設すること;
(c)膜層を、該第1の触媒金属会合型ナノワイヤ組成物に隣接して配設すること;および
(d)触媒金属会合型ナノワイヤの第2の組成物を該膜層に隣接して配設すること
を含む、燃料電池膜電極アセンブリの作製方法。
【請求項139】
触媒金属会合型ナノワイヤの第1および第2の組成物の前記配設が、触媒会合型ナノワイヤの溶液の配設を含む、請求項138に記載の方法。
【請求項140】
第1および第2の溶液の前記配設が、触媒会合型ナノワイヤと1種類以上のイオノマーの溶液の配設を含む、請求項139に記載の方法。
【請求項141】
触媒金属会合型ナノワイヤの第1の組成物の前記配設前に、ガス拡散層の少なくとも縁部を被覆するためのマスキング層を該ガス拡散層に隣接して配設すること;および
前記第1の組成物の前記配設後で前記膜層の前記配設前に該マスキング層を除去することをさらに含む、請求項138に記載の方法。
【請求項142】
前記触媒金属会合型ナノワイヤの第2の組成物の前記配設の前に、前記膜層の少なくとも縁部を被覆するためのマスキング層を該膜層上に配設することをさらに含む、請求項138に記載の方法。
【請求項143】
触媒金属会合型ナノワイヤの第1の組成物の前記配設が、アノード触媒会合型ナノワイヤの溶液の配設を含む、請求項138に記載の方法。
【請求項144】
触媒金属会合型ナノワイヤの第2の組成物の前記配設が、カソード触媒会合型ナノワイヤの溶液の配設を含む、請求項141に記載の方法。
【請求項145】
触媒金属会合型ナノワイヤの第1の組成物の前記配設および触媒金属会合型ナノワイヤの第2の組成物の前記配設が、前記ナノワイヤと1種類以上のイオノマーの溶液の噴霧を含む、請求項138に記載の方法。
【請求項146】
前記噴霧が、前記ナノワイヤと1種類以上のイオノマーの多層の噴霧を含む、請求項145に記載の方法。
【請求項147】
膜層の前記配設が該膜層の噴霧を含む、請求項138に記載の方法。
【請求項148】
膜層の前記配設が、プロトン伝導性ポリマー層の配設を含む、請求項138に記載の方法。
【請求項149】
請求項138に記載の方法によって作製される膜電極アセンブリ。
【請求項150】
請求項149に記載の膜電極アセンブリを備える燃料電池。
【請求項151】
(a)第1の端板を設けること;
(b)第1のガスケットを該端板に隣接して配設すること;
(c)請求項149に記載の膜電極アセンブリを該第1のガスケットに隣接して配設すること;
(d)ガス拡散層を該膜電極アセンブリに隣接して配設すること;
(e)第2のガスケットを該ガス拡散層に隣接して配設すること;および
(f)第2の端板を該第2のガスケットに隣接して配設すること
を含む、燃料電池電極積層体の作製方法。
【請求項152】
第2のガスケットを、(e)ガス拡散層の一部に隣接して前記配設した後で(f)前記第2の端板の一部に前記配設する前に、
(i)第1の双極極板を該第2のガスケットに隣接して配設すること;
(ii)第3のガスケットを該双極極板に隣接して配設すること;
(iii)請求項149に記載の第2の膜電極アセンブリを該第3のガスケットに隣接して配設すること;
(iv)第2のガス拡散層を該第2の膜電極アセンブリに隣接して配設すること;
(v)第4のガスケットを該第2のガス拡散層に隣接して配設すること;および
要素(i)〜(v)を、n番目の膜電極アセンブリが配設されるまで反復すること
をさらに含む、第2〜n番目までの膜電極アセンブリのための請求項151に記載の方法。
【請求項153】
コア、界面炭化物層および該界面炭化物層上に形成される炭素主体構造、ならびにカーボンブラックを備える1つ以上のナノワイヤを含む導電性複合材料。
【請求項154】
前記炭素主体構造が、前記界面炭化物層上に形成される少なくとも1つのナノグラファイト板を含む、請求項153に記載の導電性複合材料。
【請求項155】
前記コアが半導体材料を含む、請求項153に記載の導電性複合材料。
【請求項156】
前記半導体材料が、Si、B、SiCおよびGaNからなる群より選択される、請求項155に記載の導電性複合材料。
【請求項157】
前記コアが、SiO2、Al2O3、TiO2、SnO2、ZrO2、HfO2およびTa2O5からなる群より選択される無機系酸化物;TiC、ZrC、HfC、NbC、WC、W2C、MoCおよびMo2Cからなる群より選択される無機系炭化物;またはTiN、ZrN、HfN、WN、MoNおよびBNからなる群より選択される無機系窒化物を含む、請求項153に記載の導電性複合材料。
【請求項158】
前記界面炭化物層が、SiC、TiC、ZrC、HfC、NbC、WC、Mo2Cおよびその混合物からなる群より選択される、請求項153に記載の導電性複合材料。
【請求項159】
前記コアが、約500nm未満の断面直径および約50nmより長い長さを有する、請求項153に記載の導電性複合材料。
【請求項160】
前記少なくとも1つのナノグラファイト板が、前記コアから約1nm〜約100nmの距離離れたところまで延びており、少なくとも2〜15のグラフェン層を備え、該コアの長軸に対して約0°〜約90°の角度で配向される、請求項154に記載の導電性複合材料。
【請求項161】
コア、界面炭化物層および該界面炭化物層上に形成される炭素主体構造、ならびにカーボンブラックを備える1つ以上のナノワイヤを含む多孔質触媒担持体。
【請求項162】
前記炭素主体構造が、該界面炭化物層上に形成される少なくとも1つのナノグラファイト板を含む、請求項161に記載の多孔質触媒担持体。
【請求項163】
前記コアが半導体材料を含む、請求項161に記載の多孔質触媒担持体。
【請求項164】
前記半導体材料が、Si、B、SiCおよびGaNからなる群より選択される、請求項163に記載の多孔質触媒担持体。
【請求項165】
前記コアが、SiO2、Al2O3、TiO2、SnO2、ZrO2、HfO2およびTa2O5からなる群より選択される無機系酸化物;TiC、ZrC、HfC、NbC、WC、W2C、MoCおよびMo2Cからなる群より選択される無機系炭化物;またはTiN、ZrN、HfN、WN、MoNおよびBNからなる群より選択される無機系窒化物を含む、請求項161に記載の多孔質触媒担持体。
【請求項166】
前記界面炭化物層が、SiC、TiC、ZrC、HfC、NbC、WC、Mo2Cおよびその混合物からなる群より選択される、請求項161に記載の多孔質触媒担持体。
【請求項167】
前記コアが、約500nm未満の断面直径および約50nmより長い長さを有する、請求項161に記載の多孔質触媒担持体。
【請求項168】
前記少なくとも1つのナノグラファイト板が、前記コアから約1nm〜約100nmの距離離れたところまで延びており、少なくとも2〜15のグラフェン層を備え、該コアの長軸に対して約0°〜約90°の角度で配向される、請求項162に記載の多孔質触媒担持体。
【請求項169】
前記1つ以上のナノワイヤが、約10μm未満の孔径によって分離されている、請求項161に記載の多孔質触媒担持体。
【請求項170】
コア、界面炭化物層および該界面炭化物層上に形成される炭素主体構造、カーボンブラック、ならびにナノワイヤおよび該カーボンブラックと会合した1種類以上の触媒金属を備える1つ以上のナノワイヤを含む触媒。
【請求項171】
前記炭素主体構造が、該界面炭化物層上に形成される少なくとも1つのナノグラファイト板を含む、請求項170に記載の触媒。
【請求項172】
前記コアが半導体材料を含む、請求項170に記載の触媒。
【請求項173】
前記半導体材料が、Si、B、SiCおよびGaNからなる群より選択される、請求項171に記載の触媒。
【請求項174】
前記コアが、SiO2、Al2O3、TiO2、SnO2、ZrO2、HfO2およびTa2O5からなる群より選択される無機系酸化物;TiC、ZrC、HfC、NbC、WC、W2C、MoCおよびMo2Cからなる群より選択される無機系炭化物;またはTiN、ZrN、HfN、WN、MoNおよびBNからなる群より選択される無機系窒化物を含む、請求項170に記載の触媒。
【請求項175】
前記界面炭化物層が、SiC、TiC、ZrC、HfC、NbC、WC、Mo2Cおよびその混合物からなる群より選択される、請求項170に記載の触媒。
【請求項176】
前記コアが、約500nm未満の断面直径および約50nmより長い長さを有する、請求項170に記載の触媒。
【請求項177】
前記少なくとも1つのナノグラファイト板が、前記コアから約1nm〜約100nmの距離離れたところまで延びており、少なくとも2〜15のグラフェン層を備え、該コアの長軸に対して約0°〜約90°の角度で配向される、請求項172に記載の触媒。
【請求項178】
前記触媒金属が、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、マンガン(Mn)、テクネチウム(Tc)、レニウム(Re)、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、アルミニウム(Al)およびその組合せの1種類以上を含む群から選択される、請求項170に記載の触媒。
【請求項1】
炭素主体層を備えるナノワイヤ。
【請求項2】
前記炭素主体層は実質的に底面炭素がない、請求項1に記載のナノワイヤ。
【請求項3】
コアをさらに備える、請求項1に記載のナノワイヤ。
【請求項4】
前記コアが半導体材料を含む、請求項1に記載のナノワイヤ。
【請求項5】
前記半導体材料が、Si、B、SiCおよびGaNからなる群より選択される、請求項4に記載のナノワイヤ。
【請求項6】
前記半導体材料が高度にドープされている、請求項4に記載のナノワイヤ。
【請求項7】
前記コアおよび/または前記炭素主体層が炭素を含む、請求項3に記載のナノワイヤ。
【請求項8】
前記コアおよび/または前記炭素主体層が本質的に炭素からなる、請求項3に記載のナノワイヤ。
【請求項9】
前記コアおよび/または前記炭素主体層が炭素からなる、請求項3に記載のナノワイヤ。
【請求項10】
前記コアが炭化物を含む、請求項3に記載のナノワイヤ。
【請求項11】
前記コアがSiCを含む、請求項10に記載のナノワイヤ。
【請求項12】
前記コアがSiであり、前記炭素主体層がSiCである、請求項3に記載のナノワイヤ。
【請求項13】
前記コアがSiCであり、前記炭素主体層が炭素である、請求項3に記載のナノワイヤ。
【請求項14】
前記炭素主体層が約1nm〜約500nmの厚さである、請求項1に記載のナノワイヤ。
【請求項15】
コア、界面炭化物層および該界面炭化物層上に形成される炭素主体構造を備えるナノワイヤ構造。
【請求項16】
前記炭素主体構造が、前記界面炭化物層上に形成される少なくとも1つのナノグラファイト板を含む、請求項15に記載のナノワイヤ構造。
【請求項17】
前記コアが半導体材料を含む、請求項15に記載のナノワイヤ構造。
【請求項18】
前記半導体材料が、Si、B、SiCおよびGaNからなる群より選択される、請求項17に記載のナノワイヤ構造。
【請求項19】
前記コアが、SiO2、Al2O3、TiO2、SnO2、ZrO2、HfO2およびTa2O5からなる群より選択される無機系酸化物;TiC、ZrC、HfC、NbC、WC、W2C、MoCおよびMo2Cからなる群より選択される無機系炭化物;またはTiN、ZrN、HfN、WN、MoNおよびBNからなる群より選択される無機系窒化物を含む、請求項17に記載のナノワイヤ構造。
【請求項20】
前記界面炭化物層が、SiC、TiC、ZrC、HfC、NbC、WC、Mo2Cおよびその混合物からなる群より選択される、請求項15に記載のナノワイヤ構造。
【請求項21】
前記コアが、約500nm未満の断面直径および約50nmより長い長さを有する、請求項15に記載のナノワイヤ構造。
【請求項22】
前記少なくとも1つのナノグラファイト板が、前記コアから約1nm〜約100nmの距離離れたところまで延びており、少なくとも2〜15のグラフェン層を備え、該コアの長軸に対して約0°〜約90°の角度で配向される、請求項16に記載のナノワイヤ構造。
【請求項23】
1つ以上の請求項15に記載のナノワイヤ構造を含む溶液。
【請求項24】
界面活性剤、ポリマーおよび/またはイオノマーの1種類以上をさらに含む、請求項23に記載の溶液。
【請求項25】
前記ナノワイヤ構造が、容積基準で前記溶液の約0.1%〜約20%を構成する、請求項23に記載の溶液。
【請求項26】
(a)ナノワイヤコアを加熱すること;および
(b)該ナノワイヤコアを1種類以上の炭素含有ガスと接触させ、該ナノワイヤ上に炭素主体層コアを形成させること
を含む、ナノワイヤの製造方法。
【請求項27】
前記加熱が約600℃より高い温度までである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記接触工程が、一酸化炭素、メタン、エタン、プロパン、ブタン、エチレンまたはプロピレンを含むガスと接触させることを含み、任意選択で、He、Ne、Ar、Kr、XeまたはH2を含むガスと接触させることをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記加熱工程前に該ナノワイヤコア上に、TiO2、ZrO2、HfO2、Nb2O3、Ta2O5、MoO3およびWO3からなる群より選択される前駆体コーティングを形成させることをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
(a)ナノワイヤコアを加熱すること;
(b)該ナノワイヤコアを1種類以上の炭素含有ガスと接触させ、該ナノワイヤコア上に界面炭化物層を形成させること;および
(c)少なくとも1つの炭素主体構造を該界面炭化物層上に形成させること
を含む、ナノワイヤ構造の製造方法。
【請求項31】
前記形成させることが、少なくとも1つのナノワイヤを該界面炭化物層上に形成させることを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記形成させることが、少なくとも1つのナノグラファイト板を該界面炭化物層上に形成させることを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記加熱が約600℃より高い温度までである、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記接触工程が、前記ナノワイヤコアを約1000℃より高い第2の温度まで加熱し、前記少なくとも1つの炭素主体構造を形成させることをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記接触させることが一酸化炭素、メタン、エタン、プロパン、ブタン、エチレンまたはプロピレンを含むガスと接触させることを含み、任意選択で、He、Ne、Ar、Kr、XeまたはH2を含むガスと接触させることをさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項36】
前記加熱前に該ナノワイヤコア上に、TiO2、ZrO2、HfO2、Nb2O3、Ta2O5、MoO3およびWO3からなる群より選択される前駆体コーティングを形成させることをさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項37】
複数の請求項16に記載のナノワイヤ構造を備え、該ナノワイヤ構造が前記ナノグラファイト板により接続される相互接続型ナノワイヤネットワーク。
【請求項38】
メソポーラス膜または粒子を形成する、請求項37に記載の相互接続型ナノワイヤネットワーク。
【請求項39】
請求項37に記載の相互接続型ナノワイヤ構造および該相互接続型ナノワイヤ構造の表面上に分散された活性触媒性ナノ粒子を含む触媒。
【請求項40】
請求項39に記載の触媒を含む膜電極アセンブリ。
【請求項41】
請求項40に記載の膜電極アセンブリを備える燃料電池。
【請求項42】
請求項37に記載の相互接続型ナノワイヤ構造を含むアノード、カソード、セパレータおよびリチウム電解質を備えるリチウム電池。
【請求項43】
請求項37に記載の相互接続型ナノワイヤ構造を含む2つの電極、セパレータおよび電解質を備える電気化学的キャパシタ。
【請求項44】
請求項38に記載の複数の粒子を含むクロマトグラフィー媒体。
【請求項45】
請求項37に記載の相互接続型ナノワイヤ構造を含む大表面積電極。
【請求項46】
(a)複数のナノワイヤコアを液体中に分散させること;
(b)該ナノワイヤコアを濾過し、ナノワイヤマットを作出すること;
(c)該ナノワイヤマットを加熱すること;
(d)該ナノワイヤマットを1種類以上の炭素含有ガスと接触させ、該ナノワイヤコア上に界面炭化物層を形成させること、および
(e)ナノグラファイト板を該界面炭化物層上に形成させ、該ナノグラファイト板が該ナノワイヤコアを相互接続するようにすること
を含む、相互接続型ナノワイヤネットワークの製造方法。
【請求項47】
前記加熱が約600℃より高い温度までである、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記接触させることが、該ナノワイヤマットを約1000℃より高い第2の温度まで加熱し、前記ナノグラファイト板を形成することをさらに含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記接触させることが、一酸化炭素、メタン、エタン、プロパン、ブタン、エチレンまたはプロピレンを含むガスと接触させることを含み、任意選択で、He、Ne、Ar、Kr、XeまたはH2を含むガスと接触させることをさらに含む、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
前記加熱工程前に前記ナノワイヤコア上にTiO2、ZrO2、HfO2、Nb2O3、Ta2O5、MoO3およびWO3からなる群より選択される、前駆体コーティングを形成させることをさらに含む、請求項46に記載の方法。
【請求項51】
ナノワイヤの表面上に堆積された金属触媒を含む無機ナノワイヤ。
【請求項52】
前記金属触媒が、Pt、Au、Pd、Ru、Re、Rh、Os、Ir、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、V、Cr、Mo、Wおよびその合金または混合物の1種類以上を含む群から選択される約1〜10nmの直径を有するナノメートルサイズの触媒粒子を含む、請求項51に記載の無機ナノワイヤ。
【請求項53】
前記ナノワイヤが分岐構造である、請求項51に記載の無機ナノワイヤ。
【請求項54】
前記金属触媒が前記ナノワイヤ上に、化学気相蒸着、電着、無電解化学的めっき、物理気相蒸着、溶液含浸および析出、コロイド粒子の吸収および脱着、化学的リンカーを介した結合、原子層堆積、ならびにその組合せを含む群から選択されるプロセスを用いることにより堆積される、請求項51に記載の無機ナノワイヤ。
【請求項55】
1つ以上の請求項51に記載の無機ナノワイヤを含む溶液。
【請求項56】
プロトン交換膜の表面上に堆積された請求項51に記載の無機ナノワイヤを備える燃料電池。
【請求項57】
請求項51に記載の無機ナノワイヤを備える燃料電池であって、該ナノワイヤは、該燃料電池の1つ以上の双極極板の表面上に堆積されている、燃料電池。
【請求項58】
前記燃料電池の1つ以上の双極性極上で直接成長させた請求項51に記載の無機ナノワイヤを備える燃料電池。
【請求項59】
前記燃料電池のプロトン交換膜上で直接成長させた請求項51に記載の無機ナノワイヤを備える燃料電池。
【請求項60】
各々がその上面に堆積された金属触媒を有する無機ナノワイヤのネットワークを含む燃料電池の膜電極アセンブリ用のナノ構造型触媒担持体。
【請求項61】
前記触媒金属が、Pt、Au、Pd、Ru、Re、Rh、Os、Ir、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、V、Cr、Mo、Wおよびその合金または混合物の1種類以上を含む、請求項60に記載のナノ構造型触媒担持体。
【請求項62】
前記触媒金属が、約10nm未満または約5nm未満の直径を有するナノ粒子を含む、請求項60に記載のナノ構造型触媒担持体。
【請求項63】
前記ナノワイヤのネットワーク内の各ナノワイヤが、該ナノワイヤネットワーク内の少なくとも1つまたはそれ以上の他のナノワイヤおよび/または双極極板に物理的に接続されている、請求項60に記載のナノ構造型触媒担持体。
【請求項64】
前記ナノワイヤが、RuO2、SiC、GaN、TiO2、SnO2、WCx、MoCx、ZrC、WNxおよびMoNxナノワイヤを含む群から選択される、請求項60に記載のナノ構造型触媒担持体。
【請求項65】
前記ナノワイヤネットワーク内のナノワイヤが、各々、少なくとも第1の化学的結合部分で官能性付与されている、請求項60に記載のナノ構造型触媒担持体。
【請求項66】
前記ナノワイヤと接触しているプロトン伝導性ポリマーをさらに含む、請求項60に記載のナノ構造型触媒担持体。
【請求項67】
前記膜電極アセンブリが、直接メタノール型燃料電池(DMFC)の構成要素である、請求項60に記載のナノ構造型触媒担持体。
【請求項68】
堆積された触媒金属の量が、触媒金属およびナノワイヤ材料の総量に対して重量基準で約0.5%〜85%または約20%〜約40%である、請求項60に記載のナノ構造型触媒担持体。
【請求項69】
前記複数のナノワイヤが、第IV族、第II〜VI族、第III〜V族半導体ならびにその合金および混合物から選択される半導体材料を含む、請求項60に記載のナノ構造型触媒担持体。
【請求項70】
プロトン交換膜、アノード電極およびカソード電極を備える膜電極アセンブリであって、該アノード電極および該カソード電極の少なくとも1つ以上がナノワイヤの相互接続ネットワークを含む膜電極アセンブリ。
【請求項71】
前記ナノワイヤの各々が、その上面に堆積された金属触媒を有する、請求項70に記載の膜電極アセンブリ。
【請求項72】
前記触媒金属が、Pt、Au、Pd、Ru、Re、Rh、Os、Ir、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、V、Cr、Mo、Wおよびその合金または混合物の1種類以上を含む、請求項71に記載の膜電極アセンブリ。
【請求項73】
前記触媒金属が、約1〜10nmの直径を有するナノ粒子を含む、請求項71に記載の膜電極アセンブリ。
【請求項74】
前記ナノワイヤのネットワーク内の各ナノワイヤが該ナノワイヤネットワーク内の少なくとも1つの他のナノワイヤと接触しており、該ナノワイヤネットワーク内の1つ以上の他のナノワイヤに電気的に接続されている、請求項70に記載の膜電極アセンブリ。
【請求項75】
少なくとも1つ以上の前記ナノワイヤネットワーク内のナノワイヤが分岐構造を有する、請求項70に記載の膜電極アセンブリ。
【請求項76】
前記ナノワイヤネットワーク内の前記ナノワイヤが、各々、金属触媒に結合する第1の化学的結合部分で官能性付与されている、請求項71に記載の膜電極アセンブリ。
【請求項77】
前記ナノワイヤネットワーク内の前記ナノワイヤが、各々、プロトン伝導性ポリマーコーティングナノワイヤに結合する化学的結合部分で官能性付与されている、請求項70に記載の膜電極アセンブリ。
【請求項78】
前記プロトン伝導性ポリマーコーティングがスルホン化ポリマーを含む、請求項77に記載の膜電極アセンブリ。
【請求項79】
請求項70に記載の膜電極アセンブリを備える燃料電池。
【請求項80】
請求項70に記載の膜電極アセンブリを備える、直接メタノール型燃料電池。
【請求項81】
請求項70に記載の膜電極アセンブリを備える水素燃料電池。
【請求項82】
(a)クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、マンガン(Mn)、テクネチウム(Tc)、レニウム(Re)、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、アルミニウム(Al)およびその組合せの1種類以上を含む群から選択される触媒金属を、複数の無機ナノワイヤと会合させ、触媒金属と会合した複数の無機ナノワイヤを形成させること、および(b)触媒金属と会合した該複数の無機ナノワイヤを備える膜電極アセンブリを形成させることを含む、燃料電池膜電極アセンブリの作製方法。
【請求項83】
前記膜電極を形成する前に、前記ナノワイヤを会合触媒金属とアニールすることをさらに含む、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記会合させることが、触媒金属前駆体を化学的に堆積させることを含む、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記複数のナノワイヤを、該ナノワイヤが該ナノワイヤの他のものと接触または近接する点で一緒に架橋することをさらに含む、請求項82に記載の方法。
【請求項86】
前記形成させることが、噴霧/ブラシ塗装、溶液コーティング、流延、電析、ナノワイヤの流動性懸濁液の濾過、ならびにその組合せを含む群から選択される方法によって形成させることを含む、請求項82に記載の方法。
【請求項87】
パーフルオロスルホン酸/PTFEコポリマーを含むイオノマー樹脂を、触媒金属と会合した該複数の無機ナノワイヤと混合することをさらに含む、請求項82に記載の方法。
【請求項88】
ナノワイヤを成長基板上に形成させること;該ナノワイヤを該成長基板から流動性懸濁液中に移すこと;1種類以上の触媒金属を該ナノワイヤ上に堆積させ、ナノワイヤ担持型触媒を形成すること;ナノワイヤの該流動性懸濁液を濾過し、相互接続型ナノワイヤの多孔質シートを作出すること;該相互接続型ナノワイヤのシートにイオノマーを浸透させること;および該相互接続型ナノワイヤのシートをポリマー膜と合わせ、膜電極アセンブリを形成することを含む、燃料電池用の膜電極アセンブリの作製方法。
【請求項89】
前記1種類以上の触媒金属粒子を堆積させることが、Pt、Au、Pd、Ru、Re、Rh、Os、Ir、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、V、Cr、Mo、Wおよびその合金または混合物を含む群から選択される金属を堆積させることを含む、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記堆積させることが、電着プロセスを含む、請求項88に記載の方法。
【請求項91】
第1および第2の双極極板を前記ポリマー膜のいずれかの側面上に付加すること;ならびに該双極極板を密閉し、プロトン交換膜燃料電池を形成することを含む、形成された電極を利用するプロトン交換膜燃料電池を形成することをさらに含む、請求項88に記載の方法。
【請求項92】
前記金属触媒を前記ナノワイヤ上に前記堆積させることの前に、一酸化窒素/硝酸基、カルボン酸基、ヒドロキシル基、アミン基およびスルホン酸基の1つ以上を含む第1の官能基でナノワイヤを誘導体化することをさらに含む、請求項88に記載の方法。
【請求項93】
イオノマーをナノワイヤに結合させる短鎖炭化水素、フルオロカーボンおよび分枝炭化水素鎖を含む群から選択される官能基でナノワイヤを誘導体化することをさらに含む、請求項88に記載の方法。
【請求項94】
前記ナノワイヤの形成が、RuO2、SiC、GaN、TiO2、SnO2、WCx、MoCx、ZrC、WNxおよびMoNxナノワイヤを含む群から選択されるナノワイヤの形成を含む、請求項88に記載の方法。
【請求項95】
前記濾過が、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜上でのナノワイヤ流動性懸濁液の真空濾過を含む、請求項88に記載の方法。
【請求項96】
前記堆積が前記濾過前に行なわれる、請求項88に記載の方法。
【請求項97】
前記堆積が前記濾過後に行なわれる、請求項88に記載の方法。
【請求項98】
上面に堆積された複数の無機ナノワイヤを備える燃料電池用の双極極板。
【請求項99】
カーボンナノチューブまたはシリコンナノワイヤのコアおよび該コアの周囲に配設された1つ以上のシェル層を備える燃料電池における使用のためのナノワイヤであって、最も外側のシェル層が、その上面に堆積された触媒金属を有する炭化ケイ素(SiC)を含むナノワイヤ。
【請求項100】
前記SiCシェル層が、過フッ素化スルホン化炭化水素分子を含むプロトン伝導コーティングで官能性付与されている、請求項99に記載のナノワイヤ。
【請求項101】
1つ以上のチャネルを含む第1の表面を有する無機担持体ウェハ;
該チャネル内に配設された1つ以上のナノワイヤ;および
該ナノワイヤの表面上に堆積された1種類以上の金属触媒
を備える燃料電池電極。
【請求項102】
前記無機担持体ウェハがSiウェハである、請求項101に記載の燃料電池電極。
【請求項103】
前記ウェハが、第1の表面と反対側に1つ以上のチャネルを備える第2の表面、該第2の表面のチャネル内に配設された1つ以上のナノワイヤ、および該ナノワイヤの表面上に堆積された1種類以上の金属触媒を有する、請求項101に記載の燃料電池電極。
【請求項104】
前記第1の表面および/または前記ナノワイヤが浸炭されている、請求項101に記載の燃料電池電極。
【請求項105】
前記第1の表面、前記第2の表面および前記ナノワイヤが浸炭されている、請求項103に記載の燃料電池電極。
【請求項106】
前記金属触媒が、約1nm〜10nmであり、Pt、Au、Pd、Ru、Re、Rh、Os、Ir、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、V、Cr、Mo、Wならびにその合金および混合物からなる群より選択される、請求項101に記載の燃料電池電極。
【請求項107】
前記ナノワイヤが、RuO2、SiC、GaN、TiO2、SnO2、WCx、MoCx、ZrC、WNxおよびMoNxナノワイヤからなる群より選択される、請求項101に記載の燃料電池電極。
【請求項108】
請求項101に記載の第1の燃料電池電極、プロトン交換膜、および請求項101に記載の第2の燃料電池電極を備える膜電極アセンブリ。
【請求項109】
前記プロトン交換膜が、前記第1の燃料電池電極の第1の表面と前記第2の燃料電池電極の第2の表面の間にサンドイッチされている、請求項108に記載の膜電極アセンブリ。
【請求項110】
前記第1の燃料電池電極の第1の表面が、アノード金属触媒を有するナノワイヤを含み、前記第2の燃料電池電極の第2の表面が、カソード金属触媒を有するナノワイヤを含む、請求項109に記載の膜電極アセンブリ。
【請求項111】
アニオン金属触媒がPtRuであり、カチオン金属触媒がPtであり、前記金属触媒が約1nm〜10nmの直径を有する粒子を含む、請求項110に記載の膜電極アセンブリ。
【請求項112】
前記ナノワイヤがSiCを含む、請求項107に記載の膜電極アセンブリ。
【請求項113】
前記プロトン交換膜が、スルホン化テトラフルオロエチレンコポリマーを含む、請求項108に記載の膜電極アセンブリ。
【請求項114】
請求項109に記載の膜電極アセンブリを備える直接メタノール型燃料電池。
【請求項115】
第1の表面および第2の表面を有する半導体ウェハを準備すること;
1つ以上のチャネルを該第1の表面および第2の表面上に形成させること;
1つ以上のナノワイヤを該第1および第2の表面内のチャネル内に配設すること;
該ナノワイヤと該第1および第2の表面を1種類以上の炭素含有ガスと接触させ、炭素主体層を該ナノワイヤと該第1および第2の表面上に形成すること;ならびに
1種類以上の金属触媒を該ナノワイヤ上に配設すること
を含む、燃料電池電極の作製方法。
【請求項116】
前記1つ以上のチャネルの形成がエッチングを含む、請求項115に記載の方法。
【請求項117】
前記エッチングがNaOHでのエッチングを含む、請求項116に記載の方法。
【請求項118】
前記1つ以上のナノワイヤの配設が、前記チャネル内でのナノワイヤの成長を含む、請求項115に記載の方法。
【請求項119】
前記ナノワイヤ上への1種類以上の金属触媒の前記配設が、前記第1の表面上のナノワイヤ上への1つ以上のPtナノ粒子の堆積、および前記第2の表面上のナノワイヤ上へのPtRuナノ粒子の堆積を含む、請求項115に記載の方法。
【請求項120】
請求項115に記載の方法によって作製される燃料電池電極。
【請求項121】
コア、界面炭化物層および該界面炭化物層上に形成される炭素主体構造を備えるナノワイヤ構造を含む電界放出部材。
【請求項122】
前記コアが、約500nm未満の断面直径および約10nmより長い長さを有し、半導体材料を含む、請求項121に記載の電界放出部材。
【請求項123】
前記半導体材料が、Si、BおよびSiCからなる群より選択される、請求項122に記載の電界放出部材。
【請求項124】
前記コアが、SiO2、Al2O3、TiO2、SnO2、ZrO2、HfO2およびTa2O5からなる群より選択される無機系酸化物;TiC、ZrC、HfC、NbC、WC、W2C、MoCおよびMo2Cからなる群より選択される無機系炭化物;またはTiN、ZrN、HfN、WN、MoNおよびBNからなる群より選択される無機系窒化物を含む、請求項121に記載の電界放出部材。
【請求項125】
前記界面炭化物層が、SiC、TiC、ZrC、HfC、NbC、WC、Mo2Cおよびその混合物からなる群より選択される、請求項121に記載の電界放出部材。
【請求項126】
前記炭素主体構造が、少なくとも1つのナノグラファイト板であり、該ナノグラファイト板は、前記コアから約1nm〜約100nmの距離離れたところまで延びており、少なくとも2〜15のグラフェン層を備え、該コアの長軸に対して約0°〜約90°の角度で配向される、請求項121に記載の電界放出部材。
【請求項127】
(a)1つ以上のナノワイヤを溶液中に分散させること;
(b)1種類以上の触媒金属を該溶液中に添加すること;および
(c)該溶液を還流し、それにより、該触媒金属を該ナノワイヤと会合した状態にすること
を含む、ナノワイヤと会合した1種類以上の触媒金属を含む1つ以上のナノワイヤの作製方法。
【請求項128】
前記添加が、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、マンガン(Mn)、テクネチウム(Tc)、レニウム(Re)、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、アルミニウム(Al)およびその組合せの1種類以上を含む群から選択される触媒金属の添加を含む、請求項127に記載の方法。
【請求項129】
前記分散が、エチレングリコールを含む溶液中への分散を含む、請求項127に記載の方法。
【請求項130】
前記還流が、沸騰するまでの前記溶液の加熱を含む、請求項127に記載の方法。
【請求項131】
前記分散が、前記触媒金属に結合する少なくとも第1の官能基で誘導体化されたナノワイヤを分散させることを含む、請求項127に記載の方法。
【請求項132】
前記誘導体化されたナノワイヤの分散が、前記第1の官能基が硝酸、カルボン酸基、ヒドロキシル基、アミン基、およびスルホン酸基から選択される基を含むナノワイヤを分散させることを含む、請求項131に記載の方法。
【請求項133】
(d)前記還流された溶液を濾過し、会合触媒金属を有する固形ナノワイヤの分散液を生成させること;および
(e)該固形ナノワイヤの分散液を乾燥すること
をさらに含む、請求項127に記載の方法。
【請求項134】
前記添加が、白金、または白金とルテニウムを含む触媒金属の添加を含む、請求項127に記載の方法。
【請求項135】
前記分散が、ネットワーク内の2つ以上のナノワイヤが互いに物理的および/または電気的に連結されているナノワイヤの相互接続ネットワークを分散させることを含む、請求項127に記載の方法。
【請求項136】
前記複数のナノワイヤを、該ナノワイヤが該ナノワイヤの他のものと接触または近接する点で一緒に架橋することをさらに含む、請求項127に記載の方法。
【請求項137】
前記添加が、触媒金属ナノ粒子の添加を含む、請求項127に記載の方法。
【請求項138】
(a)ガス拡散層を設けること;
(b)触媒金属会合型ナノワイヤの第1の組成物を該ガス拡散層に隣接して配設すること;
(c)膜層を、該第1の触媒金属会合型ナノワイヤ組成物に隣接して配設すること;および
(d)触媒金属会合型ナノワイヤの第2の組成物を該膜層に隣接して配設すること
を含む、燃料電池膜電極アセンブリの作製方法。
【請求項139】
触媒金属会合型ナノワイヤの第1および第2の組成物の前記配設が、触媒会合型ナノワイヤの溶液の配設を含む、請求項138に記載の方法。
【請求項140】
第1および第2の溶液の前記配設が、触媒会合型ナノワイヤと1種類以上のイオノマーの溶液の配設を含む、請求項139に記載の方法。
【請求項141】
触媒金属会合型ナノワイヤの第1の組成物の前記配設前に、ガス拡散層の少なくとも縁部を被覆するためのマスキング層を該ガス拡散層に隣接して配設すること;および
前記第1の組成物の前記配設後で前記膜層の前記配設前に該マスキング層を除去することをさらに含む、請求項138に記載の方法。
【請求項142】
前記触媒金属会合型ナノワイヤの第2の組成物の前記配設の前に、前記膜層の少なくとも縁部を被覆するためのマスキング層を該膜層上に配設することをさらに含む、請求項138に記載の方法。
【請求項143】
触媒金属会合型ナノワイヤの第1の組成物の前記配設が、アノード触媒会合型ナノワイヤの溶液の配設を含む、請求項138に記載の方法。
【請求項144】
触媒金属会合型ナノワイヤの第2の組成物の前記配設が、カソード触媒会合型ナノワイヤの溶液の配設を含む、請求項141に記載の方法。
【請求項145】
触媒金属会合型ナノワイヤの第1の組成物の前記配設および触媒金属会合型ナノワイヤの第2の組成物の前記配設が、前記ナノワイヤと1種類以上のイオノマーの溶液の噴霧を含む、請求項138に記載の方法。
【請求項146】
前記噴霧が、前記ナノワイヤと1種類以上のイオノマーの多層の噴霧を含む、請求項145に記載の方法。
【請求項147】
膜層の前記配設が該膜層の噴霧を含む、請求項138に記載の方法。
【請求項148】
膜層の前記配設が、プロトン伝導性ポリマー層の配設を含む、請求項138に記載の方法。
【請求項149】
請求項138に記載の方法によって作製される膜電極アセンブリ。
【請求項150】
請求項149に記載の膜電極アセンブリを備える燃料電池。
【請求項151】
(a)第1の端板を設けること;
(b)第1のガスケットを該端板に隣接して配設すること;
(c)請求項149に記載の膜電極アセンブリを該第1のガスケットに隣接して配設すること;
(d)ガス拡散層を該膜電極アセンブリに隣接して配設すること;
(e)第2のガスケットを該ガス拡散層に隣接して配設すること;および
(f)第2の端板を該第2のガスケットに隣接して配設すること
を含む、燃料電池電極積層体の作製方法。
【請求項152】
第2のガスケットを、(e)ガス拡散層の一部に隣接して前記配設した後で(f)前記第2の端板の一部に前記配設する前に、
(i)第1の双極極板を該第2のガスケットに隣接して配設すること;
(ii)第3のガスケットを該双極極板に隣接して配設すること;
(iii)請求項149に記載の第2の膜電極アセンブリを該第3のガスケットに隣接して配設すること;
(iv)第2のガス拡散層を該第2の膜電極アセンブリに隣接して配設すること;
(v)第4のガスケットを該第2のガス拡散層に隣接して配設すること;および
要素(i)〜(v)を、n番目の膜電極アセンブリが配設されるまで反復すること
をさらに含む、第2〜n番目までの膜電極アセンブリのための請求項151に記載の方法。
【請求項153】
コア、界面炭化物層および該界面炭化物層上に形成される炭素主体構造、ならびにカーボンブラックを備える1つ以上のナノワイヤを含む導電性複合材料。
【請求項154】
前記炭素主体構造が、前記界面炭化物層上に形成される少なくとも1つのナノグラファイト板を含む、請求項153に記載の導電性複合材料。
【請求項155】
前記コアが半導体材料を含む、請求項153に記載の導電性複合材料。
【請求項156】
前記半導体材料が、Si、B、SiCおよびGaNからなる群より選択される、請求項155に記載の導電性複合材料。
【請求項157】
前記コアが、SiO2、Al2O3、TiO2、SnO2、ZrO2、HfO2およびTa2O5からなる群より選択される無機系酸化物;TiC、ZrC、HfC、NbC、WC、W2C、MoCおよびMo2Cからなる群より選択される無機系炭化物;またはTiN、ZrN、HfN、WN、MoNおよびBNからなる群より選択される無機系窒化物を含む、請求項153に記載の導電性複合材料。
【請求項158】
前記界面炭化物層が、SiC、TiC、ZrC、HfC、NbC、WC、Mo2Cおよびその混合物からなる群より選択される、請求項153に記載の導電性複合材料。
【請求項159】
前記コアが、約500nm未満の断面直径および約50nmより長い長さを有する、請求項153に記載の導電性複合材料。
【請求項160】
前記少なくとも1つのナノグラファイト板が、前記コアから約1nm〜約100nmの距離離れたところまで延びており、少なくとも2〜15のグラフェン層を備え、該コアの長軸に対して約0°〜約90°の角度で配向される、請求項154に記載の導電性複合材料。
【請求項161】
コア、界面炭化物層および該界面炭化物層上に形成される炭素主体構造、ならびにカーボンブラックを備える1つ以上のナノワイヤを含む多孔質触媒担持体。
【請求項162】
前記炭素主体構造が、該界面炭化物層上に形成される少なくとも1つのナノグラファイト板を含む、請求項161に記載の多孔質触媒担持体。
【請求項163】
前記コアが半導体材料を含む、請求項161に記載の多孔質触媒担持体。
【請求項164】
前記半導体材料が、Si、B、SiCおよびGaNからなる群より選択される、請求項163に記載の多孔質触媒担持体。
【請求項165】
前記コアが、SiO2、Al2O3、TiO2、SnO2、ZrO2、HfO2およびTa2O5からなる群より選択される無機系酸化物;TiC、ZrC、HfC、NbC、WC、W2C、MoCおよびMo2Cからなる群より選択される無機系炭化物;またはTiN、ZrN、HfN、WN、MoNおよびBNからなる群より選択される無機系窒化物を含む、請求項161に記載の多孔質触媒担持体。
【請求項166】
前記界面炭化物層が、SiC、TiC、ZrC、HfC、NbC、WC、Mo2Cおよびその混合物からなる群より選択される、請求項161に記載の多孔質触媒担持体。
【請求項167】
前記コアが、約500nm未満の断面直径および約50nmより長い長さを有する、請求項161に記載の多孔質触媒担持体。
【請求項168】
前記少なくとも1つのナノグラファイト板が、前記コアから約1nm〜約100nmの距離離れたところまで延びており、少なくとも2〜15のグラフェン層を備え、該コアの長軸に対して約0°〜約90°の角度で配向される、請求項162に記載の多孔質触媒担持体。
【請求項169】
前記1つ以上のナノワイヤが、約10μm未満の孔径によって分離されている、請求項161に記載の多孔質触媒担持体。
【請求項170】
コア、界面炭化物層および該界面炭化物層上に形成される炭素主体構造、カーボンブラック、ならびにナノワイヤおよび該カーボンブラックと会合した1種類以上の触媒金属を備える1つ以上のナノワイヤを含む触媒。
【請求項171】
前記炭素主体構造が、該界面炭化物層上に形成される少なくとも1つのナノグラファイト板を含む、請求項170に記載の触媒。
【請求項172】
前記コアが半導体材料を含む、請求項170に記載の触媒。
【請求項173】
前記半導体材料が、Si、B、SiCおよびGaNからなる群より選択される、請求項171に記載の触媒。
【請求項174】
前記コアが、SiO2、Al2O3、TiO2、SnO2、ZrO2、HfO2およびTa2O5からなる群より選択される無機系酸化物;TiC、ZrC、HfC、NbC、WC、W2C、MoCおよびMo2Cからなる群より選択される無機系炭化物;またはTiN、ZrN、HfN、WN、MoNおよびBNからなる群より選択される無機系窒化物を含む、請求項170に記載の触媒。
【請求項175】
前記界面炭化物層が、SiC、TiC、ZrC、HfC、NbC、WC、Mo2Cおよびその混合物からなる群より選択される、請求項170に記載の触媒。
【請求項176】
前記コアが、約500nm未満の断面直径および約50nmより長い長さを有する、請求項170に記載の触媒。
【請求項177】
前記少なくとも1つのナノグラファイト板が、前記コアから約1nm〜約100nmの距離離れたところまで延びており、少なくとも2〜15のグラフェン層を備え、該コアの長軸に対して約0°〜約90°の角度で配向される、請求項172に記載の触媒。
【請求項178】
前記触媒金属が、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、マンガン(Mn)、テクネチウム(Tc)、レニウム(Re)、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、アルミニウム(Al)およびその組合せの1種類以上を含む群から選択される、請求項170に記載の触媒。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26A】
【図26B】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図1B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26A】
【図26B】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【公表番号】特表2009−524567(P2009−524567A)
【公表日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−541404(P2008−541404)
【出願日】平成18年11月20日(2006.11.20)
【国際出願番号】PCT/US2006/044883
【国際公開番号】WO2007/061945
【国際公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(504327085)ナノシス・インコーポレイテッド (24)
【氏名又は名称原語表記】Nanosys, Inc.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月20日(2006.11.20)
【国際出願番号】PCT/US2006/044883
【国際公開番号】WO2007/061945
【国際公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(504327085)ナノシス・インコーポレイテッド (24)
【氏名又は名称原語表記】Nanosys, Inc.
【Fターム(参考)】
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