現像剤担持体、現像装置及び画像形成装置
【課題】現像剤担持体表面層に誘起される表面電位を速やかに減少させ、現像剤担持体の表面の電位を安定化させることにより従来よりも高画質を実現でき、且つ、より小型にできる現像剤担持体、現像装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】トナークラウド現像に用いられる現像剤担持体としてのトナー担持ローラ31は絶縁性の表層を有し、表層の下側には、該表層に沿うように互いに絶縁された多数の電極41、42、43・・・を櫛歯状に備え、且つ該絶縁層中には該絶縁層の厚みとほぼ同じ粒径の導電粒子80を含有している。
【解決手段】トナークラウド現像に用いられる現像剤担持体としてのトナー担持ローラ31は絶縁性の表層を有し、表層の下側には、該表層に沿うように互いに絶縁された多数の電極41、42、43・・・を櫛歯状に備え、且つ該絶縁層中には該絶縁層の厚みとほぼ同じ粒径の導電粒子80を含有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像剤担持体、該現像剤担持体を有する現像装置、該現像装置を有する複写機、プリンタ、ファクシミリ、プロッタ、これらのうち少なくとも1つを備えた複合機等の画像形成装置に関する。
本発明は、上下方向(ローラの法線方向)の導電性と横方向(ローラの接線方向)の絶縁性を必要とするローラ(ベルト)に応用可能である。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に用いられる現像装置には、2成分現像方式や1成分現像方式などがある。2成分現像方式は、高速現像に非常に適しており、現在の中速や高速の画像形成装置の主流方式である。
この2成分現像方式では、高画質を狙うためには、潜像担持体(像担持体)上の静電潜像との接触部における現像剤の状態を非常に緻密にする必要がある。そのために、現在はキャリア粒子の小径化が進んでおり、商用レベルでは30μm程度のキャリアも使われ始めている。
1成分現像方式は、機構が小型軽量になることから、現在の低速の画像形成装置の主流方式である。この1成分現像方式では、現像剤担持体上にトナー薄層を形成するために、ブレードやローラなどのトナー規制部材を現像剤担持体上のトナーに当接させ、そのときに現像剤担持体やトナー規制部材とトナーとの摩擦によってトナーは帯電される。
現像剤担持体上に薄層に形成された帯電トナー層は、現像部に運ばれて潜像担持体上の静電潜像を現像する。ここでの現像方式には大きく分けて接触型と非接触型があり、前者は現像剤担持体と潜像担持体とが接触するものであり、後者は現像剤担持体と潜像担持体とが非接触であるものである。
【0003】
上記2成分現像方式と1成分現像方式との欠点を補い合うべく、特許文献1記載のものなどのように2成分現像方式と1成分現像方式とをハイブリッド化したハイブリッド化方式も幾つか提案されている。
高解像度の微小均一ドットを現像する方法としては、例えば特許文献2記載の方式がある。この方式は、上記ハイブリッド化方式に対して、現像部に高周波バイアスを印加したワイヤを設置することにより、現像部でのトナークラウド化を行い、高解像度のドット現像性を実現するものである。
特許文献3には、最も効率良く、且つ安定なトナークラウドを形成するために、回転ローラ上に電界カーテンを形成する方法が提案されている。
進行波電界による電界カーテンで現像剤を搬送する現像装置が特許文献6に記載され、現像剤担持体の周面上にほぼ1層のキャリアをほぼ均等に吸着する複数の磁極を有する現像装置が特許文献7に記載されている。特許文献8には、非磁性トナーを担持する現像剤担持体表面に、絶縁部を介して周期的な導電性電極パターンを設け、該電極に所定のバイアス電位を与えることで現像剤担持体表面近傍に電界勾配を発生せしめ、前記現像剤担持体上に前記非磁性トナーを付着搬送させる現像装置が記載されている。
【0004】
【特許文献1】平3−100575号公報
【特許文献2】平3−113474号公報
【特許文献3】平3−21967号公報
【特許文献4】特開2002−341656号公報
【特許文献5】特開2004−286837号公報
【特許文献6】特開2003−15419号公報
【特許文献7】特開平9−269661号公報
【特許文献8】特開2003−84560号公報
【特許文献9】特第3150229号公報
【特許文献10】特開2004−29114号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の2成分現像方式では、高画質化に対する要求が益々高まっており、必要とされる画素のドットサイズ自身が現状のキャリア粒子径と同等もしくはそれよりも小さい必要があるために、孤立ドットの再現性という意味では更にキャリア粒子を小さくする必要がある。
しかし、キャリア径を小さくしていくと、キャリア粒子の透磁率が低下するために、現像剤担持体からのキャリア離脱が生じやすくなり、離脱したキャリア粒子が潜像担持体に付着した場合には、キャリア付着そのものによる画像欠陥が生じるだけでなく、それを起点として潜像担持体に傷をつけてしまうなどいろいろな副作用が生じる。
このキャリア離脱を防止するために、材料面からキャリア粒子の透磁率を上げる試みや、現像剤担持体に内包されるマグネットの磁力を強くする試みが進められているが、低コスト化及び高画質化との兼ね合いの中で開発は困難を極めている。また、小型化の煽りを受けて、現像剤担持体は益々小径化の一途をたどっていることからも、キャリア離脱を完全に抑止できるような強力な磁場構成を有した現像剤担持体設計が困難となっている。
【0006】
2成分現像方式は、磁気ブラシと呼ばれる2成分現像剤の穂を静電潜像に対して擦り付けるようにしてトナー像を形成するプロセスであるために、どうしても穂の不均一性によって、孤立ドットの現像性にムラが生じやすい。現像剤担持体と潜像担持体との間に交番電界を形成することで画質の向上は可能であるが、現像剤の穂のムラといった根本的な画像ムラを完全に消滅させることは困難である。
また、潜像担持体上の現像されたトナー像を転写する工程や、転写後に潜像担持体上に残存するトナーをクリーニングする工程において、転写効率やクリーニング効率を向上させるためには、潜像担持体とトナーとの非静電的付着力を極力下げる必要がある。潜像担持体とトナーとの非静電的付着力を下げる方法としては、潜像担持体表面の摩擦係数を下げることが効果的であることが知られているが、この場合、2成分現像剤の穂が滑らかに現像部をすり抜けてしまうために現像効率やドット再現性が非常に悪くなってしまう。
【0007】
1成分現像方式は、トナー規制部材により薄層化された現像剤担持体上のトナー層は、現像剤担持体上に十分に圧接されてしまっているために、現像部での電場に対するトナー応答性が非常に悪い。よって、通常は高画質を得るために、現像剤担持体と潜像担持体との間に強力な交番電場を形成するのが主流であるが、この交番電場の形成をもってしても静電潜像に対して一定量のトナーを安定して現像することは困難であり、高解像度の微小ドットを均一に現像することは難しい。
また、この1成分現像方式は、現像剤担持体へのトナー薄層形成時にトナーに対して非常に大きなストレスをかけてしまうため、現像装置内を循環するトナーの劣化が非常に早い。トナーの劣化に連れて、現像剤担持体へのトナー薄層形成の工程でもムラなどが生じやすくなり、1成分現像方式は一般には高速や高耐久の画像形成装置としては向かない。
【0008】
ハイブリッド化方式では、現像装置そのものの大きさや部品点数は増えてしまうものの、幾つかの課題は克服される。しかし、現像部においてはやはり1成分現像方式と同様の問題がある。つまり高解像度の微小均一ドットを現像することには難が残る。
特許文献2記載の方式は、高安定且つ高画質な現像が実現できるものと考えられるが、現像装置の構成が複雑になる。
特許文献3記載の方法は、小型且つ高画質の現像を得るには非常に優れたものと解釈できるが、本発明者らが鋭意研究した結果、理想的な高画質を得るためには、形成する電界カーテンや現像などの条件を限定しなくてはならないことが判った。すなわち、適正な条件から外れた条件で作像を行ってしまうと、全く効果が得られないばかりか、返って粗悪な画質を提供してしまうことになる。
【0009】
ところで、潜像担持体に第一のトナー像が形成され、その上に順次に第二のトナー像、第三のトナー像を形成していくような作像プロセスにおいては、先に潜像担持体上に形成されているトナー像を乱さないような現像方式でなくてはいけない。非接触一成分現像方式や、特許文献2記載のトナークラウド現像方式を用いることで、潜像担持体上に順次に各色トナーを形成していくことは可能であるが、いずれの方式も、潜像担持体と現像剤担持体との間には交番電界が形成されてしまうために、潜像担持体上に先に形成されたトナー像からトナーの一部が引き剥がされて現像装置に入り込んでしまう。
これによって、潜像担持体上の画像が乱されてしまうばかりでなく、現像装置内のトナーが混色するという問題も生じてしまう。これらは高画質画像を得るには致命的であり、この問題を解決する方法としては潜像担持体と現像剤担持体との間には交番電場を形成しない方法で、クラウド現像を実現する必要がある。
【0010】
このようなクラウド現像を実現できる方法としては、先に挙げた特許文献3記載の方式などが有効と考えられるが、これに関しては先にも述べた通り、適当な条件の下で利用しないと全く効果が無い。
また、特許文献4記載の方式などの様に、トナー担持体の機械的な駆動を無くし、3相以上の交互電場によってトナーを静電的に搬送し現像する方法も有効と考えられる。しかし、この方法によれば、何かのきっかけで静電搬送できなくなったトナーを起点として、搬送基板上にトナーが堆積してしまい、結果として機能しなくなる問題を抱えてしまう。
このような問題を解決すべく、例えば特許文献5記載の方式のように固定搬送基板とその表面を移動するトナー担持体の組合せのような構造も提案されているが、機構が非常に複雑になってしまう。
また、特許文献9には感光体にバインダーにより導電性粒子を分散し感光体を帯電しやすくする旨の記載があるが、この場合、像担持体の表面電位が部分的に一定で無くなるため、ポテンシャルの差による現像剤の顕像にムラが生じやすくなってしまう。また、背面露光が必須になっているため、露光機構が複雑化し、小型化が困難になる。
導電粒子を帯電部材表面に分散し、接触時に抵抗制御するものに特許文献10記載のものがあるが、抵抗の変化のためには接触部に高い圧力が必要となり耐久性が問題となる。
【0011】
本発明は、現像剤担持体表面層に誘起される表面電位を速やかに減少させ、現像剤担持体の表面の電位を安定化させることにより従来技術よりも高画質を実現でき、且つ、より小型にできる現像剤担持体、現像装置及び画像形成装置を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明では、像担持体に非接触状態で対向して設けられる現像剤担持体において、絶縁性の表層を有し、且つ該絶縁層中に該絶縁層の厚みとほぼ同じ粒径の導電粒子を含有させたことを特徴とする。
【0013】
請求項2記載の発明では、現像装置において、請求項1記載の現像剤担持体を有することを特徴とする。
請求項3記載の発明では、請求項2記載の現像装置において、前記現像剤担持体の前記表層の下側には、該表層に沿うように互いに絶縁された多数の電極が設けられ、前記現像剤担持体の表面に担持されている所定極性に帯電したトナーをホッピングさせるためのホッピング電界を発生させるホッピング電界発生手段を有し、前記ホッピング電界発生手段は、前記多数の電極に周期的な電圧を印加することにより互いに近接する電極間の電界の向きが周期的に反転するように、前記ホッピング電界を発生させるものであり、前記現像剤担持体の表面に担持されているトナーを前記像担持体と対向する現像領域へ搬送して該像担持体上の潜像にトナーを付着させることにより該潜像を現像することを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の発明では、像担持体を均一に帯電させる帯電工程と、均一に帯電した前記像担持体上に静電潜像を形成する露光工程と、前記静電潜像を可視化して可視像を形成する現像工程と、をトナーの色ごとに複数回連続して繰返し、前記像担持体上に複数色のトナー像を重ね合せ形成した後に転写手段により上記複数色のトナー像を一括して記録媒体に転写し、定着工程を経て記録媒体上に画像を形成する画像形成装置において、前記現像工程が請求項2又は3記載の現像装置により行われることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、現像剤担持体表面に帯電粒子(トナー)の接触等によって誘起される表面電荷を速やかに電極に逃がすことができるので、現像剤担持体が絶縁性の表面層を有していても、現像剤担持体上の電位を安定させることができるため、安定した画像形成を行うことができる。
現像剤担持体上の電位を安定化させることができるため、多色の現像装置毎の表面電位を安定させることができる。
特に同一の感光体上で色重ねをするときは、トナー層の上から電位を形成し多色のトナー像を形成するので、現像ポテンシャルを安定させることが重要であるが、現像剤担持体の表面電位を安定させることができるので、現像バイアスの制御性が増し、カラー画像を安定させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図を参照して説明する。
まず、トナークラウド現像の原理(実験)について説明する。図1に示すように、ガラス基板1上にアルミニウムを蒸着することによって、p[μm]のピッチで移動方向に配列された複数の電極21、22、23・・・からなる電極バターン2を形成し、その上に保護層3として厚み約3[μm]、体積抵抗率約10^10[Ω・cm]の樹脂コートを施したものを形成してトナー担持体としての基板4を構成し、この基板4の上には、帯電させたトナー層5を形成する。
【0017】
このトナー層5は、基板4に対して図示しない2成分現像器によってベタ画像を薄層に現像することによって形成した。トナーはポリエステル系の粒径約6[μm]のものを使い、基板4上に薄層に形成された状態でのトナーの帯電量は約−22[μC/g]であった。この状態のトナー層5に対して、図2に示すように、奇数番目の電極21、23・・・の集合体である奇数番目電極群と、偶数番目の電極22・・・の集合体である偶数番目電極群との間に交流電源6から交流電圧を印加すると、トナー5は奇数番目電極群21、23・・・と偶数番目電極群22・・・を往復するような運動を行う。この様子を以下、フレアと呼ぶ。
【0018】
電極21、22、23・・・のピッチがそれぞれ50、100、200及び400[μm]である4種類の基板4を用いて、交流電源6から電極21、22、23・・・間に印加する交流電圧のプラス側ピーク値とマイナス側ピーク値との差分の絶対値であるVmax[V]を何点かに振りながら(変えながら)、フレアの活性度を高速度カメラで観察したところ、図3に示すような結果を得た。因みに、電極21、22、23・・・の幅と、電極21、22、23・・・の隣同士の距離は、電極21、22、23・・・のピッチの1/2となるようにした。
【0019】
ここで、フレアの活性度とは、基板4の表面に張り付いて動かないトナーの様子を観察することで約5段階の官能評価により求められたものである。図3から、Vmaxやpの値に関わらず、Vmax[V]/p[μm]によってフレアの活性度がほぼ一義的に得られることが確認できる。そして、Vmax[V]/p[μm]>1の時にフレアが活性化し始めて、Vmax[V]/p[μm]>3ではフレアが完全に活性化していることが分かる。
【0020】
また、基板4表面の電気的特性の影響を調べるために、基板4の表層3の体積抵抗率を何点か振って(変えて)、同様にフレア活性度を確認した。表層3に用いた材料はシリコーン系樹脂であり、そこに分散されるカーボン微粒子の量を変更することにより、10^7〜10^14[Ω・cm]の体積抵抗率の保護層(厚みは約5[μm])3を形成した。代表的なものとして、電極21、22、23・・・のピッチが50[μm]のものを使って、上述と同様の実験をしたところ、図4に示す結果を得た。
【0021】
この結果から、表層3の体積抵抗率が10^9〜10^12[Ω・cm]の範囲にあることが適正であることが確認できる。これは、体積抵抗率が非常に高い表層3を用いると、飛翔を繰り返すトナーと表層3との摩擦によって基板4の表面が帯電したままになってしまい、また、逆にあまりに表層3の導電性が高いと、電極21、22、23・・・間で電荷のリーク(ショート)が発生してしまうために、効率的なバイアス効果が得られなくなるからである。表層3は、基板4の表面に蓄積した電荷が電極群21、22、23・・・にうまく逃げられるように、適当な抵抗率(体積抵抗率で10^9〜10^12[Ω・cm]となっている必要がある。
【0022】
さらに、基板4の表面の摩擦帯電特性の影響を調べるために、表層3をシリコーン系樹脂及びフッ素系樹脂の2種類として上記と同様なフレア活性度観察を行った。表層3は、カーボン微粒子を微量分散させることにより、ポシリコーン系樹脂、フッ素系樹脂のいずれのコート層としても体積抵抗率を10^11〜10^12[Ω・cm]とした。交流電源6から電極21、22、23・・・に交番バイアスを印加してフレア活性度を観察すると、表層3がシリコーン系樹脂の場合は長時間フレア状態を維持していたが、表層3がフッ素系樹脂の場合は直ぐにフレアが消滅しトナーが基板4に張り付いたままとなってしまった。
【0023】
上記観察後に、基板4上のトナーの帯電量を測定したところ、表層3がシリコーン系樹脂の場合には基板4上のトナーの帯電量は初期に比べて若干の低下がみられただけであったが、表層3がフッ素系樹脂の場合には基板4上のトナーの帯電量はトナーの電荷がほとんど無くなっていた。試しに、帯電していないトナーをそれぞれの表層3の表面に擦り付けてみたところ、表層3がシリコーン系樹脂の場合にはトナーが正規の極性の摩擦電荷を得られたのに対し、表層3がフッ素系樹脂の場合にはほとんど摩擦電荷を得られないばかりか若干逆の極性となっていた。つまり、フレア現象は、トナーと基板4の表面とが無数回衝突するプロセスであるため、表層3の材料はトナーの電荷を奪ってしまうものではなく、トナーに正規の電荷を与えられる材質であることが好ましいことが理解できる。これは材料の摩擦帯電系列に習うものであり、表層3の材料としては、例えばガラス系のものや、2成分現像剤のキャリアコートに使用されている材料を用いることが好ましい。
【0024】
次に、図5に示すような系での実験結果について説明する。基板Aはアルミニウムからなる基板7の上に厚み約20[μm]の樹脂層(これは感光体を想定したもの)8を形成することで構成する。基板7は接地し、樹脂層8にはベタ画像相当の0.4[mg/cm^2]のトナー層9を形成する。このトナー層9は図示しない2成分現像器によって樹脂層8に対してベタ現像をすることで形成したものである。
【0025】
この基板Aに間隔d[μm]で対向するように基板Bを設置する。この基板Bは上記基板4と同様に構成され、表層3は以降の作業によってここに転移するトナーの量を光学的な測定装置(反射光濃度測定器)によって計測しやすいように白色のコート層とする。図3から、Vmax[V]/p[μm]=4であればいずれの条件でも安定なフレアを形成できるので、Vmax[V]/p[μm]=4となる4種の条件を用いて、基板Bへのトナー転移量の現像ギャップ(d[μm])依存性を調べると、図6に示すような結果が得られた。この結果から、感光体(基板A)上の画像を乱すことなく現像ができる条件は、ピッチ間距離pが現像ギャップdより小さいこと、すなわちp<dであることがわかる。
【0026】
これは、トナー担持体(基板B)上に形成される電界カーテンの影響が、潜像担持体(基板A)上の静電潜像電場やトナー像に対して及ばない条件であると考えることができる。このような条件のもとでは、例えば1200dpiや2400dpiの孤立ドットをスキャベンジなしで正確に現像できるばかりでなく、潜像担持体(基板A)上でのトナー像重ねのような作像プロセスを利用する際にも、先に潜像担持体上に形成されているトナー像を乱すこと無く、且つ、現像装置内のトナーの混色を招くことも無く、非常に高画質なトナー像重ねを実現することができる。
【0027】
図7は本発明の実施形態における現像剤担持体としてのトナー担持体の具体的構成を示す。
トナー担持体31は、回転ローラ形状に形成したもので、移動方向にp[μm]のピッチで配列されて空間周期的に配置された複数の電極41、42、43・・・からなる電極パターンにおける奇数番目の電極の集合体である奇数番目電極群を束ねた電極軸40Aと、偶数番目の電極の集合体である偶数番目電極群を束ねた電極軸40Bを回転軸として回転することができる。それぞれの電極軸40A、40Bには、図示しない電極ブラシ等によって交流電源からバイアス電位として交流電圧が印加される。
【0028】
トナー担持体31は、図8(a)に示すように、絶縁体であるアクリル樹脂の円筒51に軸穴52を設け、図8(b)に示すようにステンレス製の電極軸40A、40Bを円筒51の軸穴52に圧入して電極軸40A、40Bを奇数番目電極群41、43・・・、偶数番目電極群42、44・・・にそれぞれ接続する。次に、図9(a)〜(e)に示す各工程でパターン電極を形成する。図9はトナー担持ローラ31の表面を回転軸に沿った方向に見た図である。図9(a)に示す工程では、図8に示す工程よって得られたローラ51の表面を外周旋削によって平滑に仕上げる。図9(b)に示す工程では、溝のピッチが100[μm]、溝幅が50[μm]となるように溝53の切削を行う。図9(c)に示す工程では、溝切削を行ったローラ51に無電解ニッケル54のメッキを施し、図9(d)に示す工程では、無電解ニッケル54のメッキを施したローラ31の外周を旋削して不要な導体膜を取り除く。この時点で電極41、42、43・・・が溝53の部分に互いに絶縁して形成される。その後、ローラ51にシリコーン系樹脂をコーティングすることでローラ51の表面を平滑にし、同時に表層としての表面保護層(厚み約5[μm])55を形成してトナー担持ローラ31を製作した。図10は、トナー担持ローラ31を平面状に展開した状態を示す。
【0029】
図11、12に基づいて本発明の現像剤担持体をさらに詳細に説明する。
表面保護層55は、直径5μmの導電粒子80を3%混入したシリコーン系樹脂をコーティングして形成されている。
ローラ上の電極のライン幅は、10μmから100μm程度なので、電極の形成は、導電ペーストをスクリーン印刷法や、インクジェット法などで直接ローラ上に形成したり、可撓性フィルムに金属薄膜をフォトリソグラフ法でパターン形成したものをローラに貼り付けたりするものでもよい。
但し、表面に金属が露出しているとトナーの成分や空中の水分などと反応して断線、リークなどが発生しやすいため、ローラ表面に何らかの層を形成し保護することが必要になる。
表層(表面保護層55)の材料はトナーの電荷を奪ってしまうものではなく、トナーに正規の電荷を与えられる材質であることが好ましい。これは材料の摩擦帯電系列に倣うものであり、表面保護層55の材料としては、例えばガラス系のものや、2成分現像剤のキャリアコートに使用されている材料を用いることが好ましい。
【0030】
現像剤担持体表面はシリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、メラミン系樹脂などの有機系材料のほか、シリカ、チタン酸バリウム、酸化ジルコン等の無機系の材料が使用できるが、本例は、樹脂に粒子を混入してスプレー法やディッピング法など塗布することの可能な有機系の材料が適している。もちろん水ガラスなどのシリカ系の材料も使用できるが、焼成温度が高いため、使用する材料が限られてしまう。
本発明では、現像剤担持体表面層に表面層の厚みと同程度の粒子径を持った(ここでは5μm)導電粒子80を入れることによって導電性に異方性を持たせることができ、表面の電荷が電極側に逃がされるが、隣の電極に電荷が流れることが無いようにすることができる現像剤担持体を提供することを目的としており、その現像剤担持体を使った非接触現像方式の現像装置を提案するものである。
もちろん電極が無い場合、例えば導電性ローラ上に絶縁性の樹脂層を設けたような現像剤担持体においても、導電粒子を絶縁層中に分散しておくことは表面に誘起される電位を速やかに除去することに対して有効である。
【0031】
トナー担持ローラ31を有する現像装置(後述)では、ローラ上に櫛歯状に形成された複数の電極に、図示しないホッピング電界発生手段(図2で示した交流電源6に相当)によりホッピング電界を印加し、帯電したトナーをトナー担持ローラ31上から離間させトナークラウドを形成する。
クラウドの形成について説明する。図13及び図14に平面に展開したトナー担持ローラ31の表面の電極構成の模式図を示した。
電極A群及びB群、それぞれの電極に図12に示したようなホッピング電界を印加する。印加する電界は交互に電界をかける、もしくは片側電極のバイアスレベルを一定にして片側に交番電界をかける方法がある。
このようなローラ上に帯電したトナー粒子が供給されると、帯電しているトナー粒子は印加されている電界に応じて引力と斥力を交互に受けることにより、表面に浮き上がり、電界に拘束されたトナークラウドを形成する。
印加する電界は、ピークトゥピーク電圧100V〜500V、周波数100Hz〜5kHzの範囲が好適であり、本実施形態では、ピークトゥピーク電圧300V、周波数1kHzで行ったところ良好な画像が形成された。
奇数番目電極群41、43・・・及び偶数番目電極群42、44・・・のライン幅/ライン間隔(L/S)を40μm/40μmにした。このL/Sは、表面保護層55の厚みよりも十分に大きくなっていれば良い。更には含有させる導電粒子80の径の4倍以上あれば、横方向の絶縁性が十分に確保できる。
電極のピッチ(奇数番目電極群41、43・・・及び偶数番目電極群42、44・・・の繰り返し間隔)は、非接触現像を行ったときの感光体と現像剤担持体の距離よりも小さくなっていることが必要である。
【0032】
この現像装置は、表面の電位を確保することができることによって、低いバイアスの駆動が可能になる。そのため、ホッピング電界を弱くしてもトナーのクラウドが発生しトナーのダメージを小さくすることができる。また、消費電流も下げることができる。
導電粒子80を入れる量は樹脂成分の重量比(粒子成分/樹脂成分)で0.5%から10%好ましくは1.5%から3%が良い結果が得られている。
抵抗値は絶縁体と同等の10の12乗以上確保できるが、部分的に抵抗が下がる。
表面保護層55のアルキドメラミンに混入して塗布すると上下方向に導電性が確保できるとともに横方向の絶縁性が確保できる。
導電粒子80には、粒径5μmの積水化学製ミクロパールAU(商品名)を重量比で、1.5%混入した。
本実施形態では、現像剤担持体への適用例を示したが、表面層厚と同じ程度粒径をもった導電粒子を導入することで、帯電ローラ、転写ローラ等のように、表面層の抵抗が高いローラにも応用することができる。
【0033】
トナー担持ローラ31は、上記基板4と同様に、表面保護層55上に薄いトナー層が形成され、電極軸40A、40Bに図示しない交流電源から電極ブラシ等によってバイアス電位として交流電圧が印加されると、トナーは奇数番目電極群41、43・・・と偶数番目電極群42、44・・・を往復するような運動(フレア)を行う。交流電源から電極41、42、43・・・間に印加する交流電圧のプラス側ピーク値とマイナス側ピーク値との差分の絶対値をVmax[V]とし、Vmax[V]/p[μm]>1の時にフレアが活性化し始めて、Vmax[V]/p[μm]>3ではフレアが完全に活性化している。
また、トナー担持体31は、上記基板4と同様に、表面保護層55の体積抵抗率が10^9〜10^12[Ω・cm]の範囲にあることが適正であり、表面保護層55がシリコーン系樹脂である。表面保護層55の材料は、上述のように、トナーとの摩擦でトナーに正規の電荷を与えられる材質であることが好ましく、例えばガラス系のものや、2成分現像剤のキャリアコートに使用されている材料を用いることが好ましい。pは現像ギャップdより小さいこと、すなわちp<dに設定される。
【0034】
図15は本発明の一実施形態を示す。この実施形態は上記トナー担持ローラ31を利用した現像装置を有する画像形成装置である。トナー担持ローラ31に対しては、通常の2成分現像器56により2成分現像剤の穂が当接されている。具体的には、粒径50[μm]の磁性キャリア粉と粒径約6[μm]のポリエステルトナーを重量比で7〜8[wt%]混合させた2成分現像剤を、2成分現像器56の永久磁石を内包するマグネットスリーブ57によってトナー担持ローラ31まで搬送し、そこでトナーの一部がマグネットスリーブ57とトナー担持ローラ31との間に印加される直流バイアス電位によってトナー担持ローラ31に転移する。トナー担持ローラ31に転移したトナーは、トナー担持体31上でフレアを形成しながら、トナー担持体31が図示しない駆動部により回転駆動されることで潜像担持体58との対向部に搬送され、トナー担持ローラ31表面の平均電位と潜像担持体58電位との差によって潜像担持体58上の静電潜像に付着することで該静電潜像を現像してトナー像を形成する。なお、電極軸40A、40B間にはホッピング電界発生手段としての交流電源59から電極ブラシ等によってバイアス電位として交流電圧が印加され、奇数番目電極群41、43・・・と偶数番目電極群42・・・との間に時間周期的な電位差が形成される。
【0035】
現像に寄与しなかった不要なトナーは現像部から再びマグネットスリーブ57に戻ってくる。フレアが形成されているので、トナー担持ローラ31に対するトナーの付着力は非常に低く、トナー担持ローラ31によって現像部から戻ってきたトナーは、マグネットスリーブ57の回転に追随した2成分現像剤の穂によって容易に掻き取られたり馴らされたりする。これを繰り返すことによって、トナー担持ローラ31上には常にほぼ一定量のトナーフレアが形成されることになる。2成分現像器56は、容器60内の2成分現像剤63を攪拌しながら搬送して循環させ、マグネットスリーブ57がその2成分現像剤の一部をトナー担持ローラ31まで搬送すると共に現像部から現像に寄与しなかった不要なトナーを戻す。
【0036】
潜像担持体58としては、厚み13[μm]の有機感光体を使用し、1200dpiのレーザ書き込み系を利用して潜像を形成する場合について以下に説明する。感光体58は、図示しない駆動部により回転駆動されて帯電装置により一様に帯電され、露光手段としてのレーザ書き込み系により露光されて静電潜像が形成される。この場合、感光体58の帯電電位は−300Vとし、べた部での書き込み電位が−50Vとなるような条件で静電潜像を形成する。
【0037】
この静電潜像は、トナー担持体31上でフレアを形成するトナーにより現像されてトナー像となる。この時、帯電量が約−22[μC/g]で粒径が6[μm]であるトナーを使って、地汚れが無く、ベタ部の埋まりも良く、且つ1200dpiの1ドットが再現できるように条件を設定したところ、トナー担持体31と感光体58とのギャップは約500[μm]、トナー担持体31の奇数番目電極群と偶数番目電極群には、−400[V]と0[V]のそれぞれをピークに持つ各瞬間瞬間における平均電位が−200[V]の交流バイアスを、5[kHz]の周波数で交流電源59から印加することで実現した。
【0038】
トナー担持体31上のトナー像は給紙装置から給送されてきた記録紙等の記録媒体へ転写手段により転写され、その記録媒体は定着装置によりトナー像が定着されて外部へ排出される。
トナー担持ローラ31上に過剰なトナーが乗っていると、トナーの電荷によって電界カーテンがシールドされてしまいフレアが形成できなくなるので、トナー担持ローラ31上に乗っている単位面積当りのトナー量は0.2[mg/cm^2]となるように、マグネットスリーブ57とトナー担持ローラ31との間には電源から約200[V]の直流バイアスが印加されている。ちなみに、フレアによるトナーの拡散効果があるので、マグネットスリーブ57からトナー担持ローラ31へのトナー転移には多少のムラがあっても問題なく、マグネットスリーブ57とトナー担持ローラ31との間には上記直流バイアスにACバイアスを重畳するような工夫は特に必要なく、また、2成分現像剤の穂を厳格に均一にするような工夫も特に必要ない。
【0039】
一方、感光体58上のベタ画像として必要とされるトナー量が0.4[mg/cm^2]であることから、現像部でのトナー枯渇が生じないように、トナー担持ローラ31の移動速度は、感光体58の移動速度の2倍以上にする必要があり、ここでは感光体58の移動速度の2.5倍としている。トナー担持ローラ31の移動方向と感光体58の移動方向は、図15に示すように同じ向きでも良いが、逆向きでも良い。マグネットスリーブ57とトナー担持ローラ31の移動方向は、戻りトナーの掻き取り効果を得るために、図15のように逆向きであるのが好ましい。
以上の系によって、感光体58の線速300[mm/s]の元で、ベタ部の埋まり性、1200dpiドット再現性、に優れた地汚れの無い高画質現像を実現できることが確認された。
よって、本実施形態によれば、従来技術よりも高画質を実現でき、且つより小型にできる。
【0040】
図16は本発明の他の実施形態を示す。この実施形態では、図15に示す実施形態において、現像器56は、マグネットスリーブ57を省略して簡略化した構成とし、トナー担持ローラ31に対するトナー供給を2成分現像剤のカスケード現像現象によって行う。現像器56は単純なカスケードを利用してトナー担持ローラ31に薄いトナー層を形成するため、トナー担持ローラ31へのトナー転移率が図15に示す実施形態に比べて低下するが、その分トナー担持ローラ31の回転速度を高くすることにより、感光体58への現像速度に対応することができる。図16に示す実施形態のマグネットスリーブ57を省略した2成分現像器56及びトナー担持ローラ31からなる現像装置は、実質的に従来の2成分現像器と同サイズとなるため、図16に示す実施形態は小型で高画質の作像エンジンを構成することが可能である。
よって、本実施形態によれば、従来技術よりも高画質を実現でき、且つより小型にできる。
【0041】
図17は本発明の別の実施形態を示す。この実施形態は、図16に示す実施形態において、2成分現像器56の代りにトナーのみを有する1成分現像器64が用いられ、この1成分現像器64はトナー担持ローラ31に対してトナーを転位させてトナー担持ローラ31上に薄いトナー層を形成する。この場合、1成分現像器64は、容器65内のトナー66を循環パドル67で攪拌して循環させながらトナー担持ローラ31に供給し、トナー担持ローラ31上のトナーをトナー規制部材としてのメータリングブレード68により一定厚に規制して薄いトナー層とする。
【0042】
トナー担持ローラ31へのトナー供給安定性という意味では、図15に示す実施形態や図16に示す実施形態にやや劣る部分もあるが、それは条件を詰めれば解決できる問題であり、何よりも非常に小型軽量且つ高画質な現像装置を提供することができる。
よって、本実施形態によれば、従来技術よりも高画質を実現でき、且つより小型にできる。
【0043】
図18は本発明のさらに別の実施形態を示す。この実施形態は、図15に示す実施形態における2成分現像器56及びトナー担持ローラ31からなる現像装置と同じ現像装置を利用して構成され、感光体上に各色のトナー像を重ねて形成する画像形成装置の例である。この実施形態では、感光体としてのベルト状の有機感光体69は、図示しない2つのローラに掛け渡され、図示しない駆動部により回転駆動される。
【0044】
感光体69の左側には、複数色、例えばブラック、イエロー、シアン、マゼンタの画像をそれぞれ形成する複数の画像形成手段としての作像装置70K、70Y、70C、70Mが配列されている。感光体69は、まず、作像装置70Kにて帯電装置71Kにより一様に帯電されて図示しない露光手段としての書込装置により、ブラックの画像データで変調された光ビーム72Kによって露光されることで静電潜像が形成され、この静電潜像が上記図15に示す実施形態における2成分現像器56及びトナー担持ローラ31からなる現像装置と同じ構成の現像装置73Kにより現像されてブラックのトナー像となる。その後、感光体69は除電器74Kにより除電されて次の画像形成に備える。
【0045】
次いで、感光体69は、作像装置70Yにて帯電装置71Yにより一様に帯電されて図示しない露光手段としての書込装置により、イエローの画像データで変調された光ビーム72Yによって露光されることで静電潜像が形成され、この静電潜像が上記図15に示す実施形態における2成分現像器56及びトナー担持ローラ31からなる現像装置と同じ構成の現像装置73Yにより現像されて上記ブラックのトナー像と重なるイエローのトナー像となる。その後、感光体69は除電器74Yにより除電されて次の画像形成に備える。
【0046】
次に、感光体69は、作像装置70Cにて帯電装置71Cにより一様に帯電されて図示しない露光手段としての書込装置により、シアンの画像データで変調された光ビーム72Cによって露光されることで静電潜像が形成され、この静電潜像が上記図15に示す実施形態における2成分現像器56及びトナー担持ローラ31からなる現像装置と同じ構成の現像装置73Cにより現像されて上記ブラックのトナー像及び上記イエローのトナー像と重なるシアンのトナー像となる。その後、感光体69は除電器74Cにより除電されて次の画像形成に備える。
【0047】
次に、感光体69は、作像装置70Mにて帯電装置71Mにより一様に帯電されて図示しない露光手段としての書込装置により、マゼンタの画像データで変調された光ビーム72Mによって露光されることで静電潜像が形成され、この静電潜像が上記図15に示す実施形態における2成分現像器56及びトナー担持ローラ31からなる現像装置と同じ構成の現像装置73Mにより現像されて上記ブラックのトナー像、上記イエローのトナー像及び上記シアンのトナー像と重なるマゼンタのトナー像となることでフルカラー画像が形成される。
【0048】
一方、図示しない給紙装置から記録紙等の記録媒体が給送され、この記録媒体は電源から転写バイアスが印加される転写手段としての転写ローラ75により感光体69上のフルカラー画像が転写される。フルカラー画像が転写された記録媒体は、定着装置76によりフルカラー画像が定着され、外部へ排出される。感光体69は、フルカラー画像転写後にクリーニング手段としてのクリーナ77により残留トナー等が除去される。
なお、現像装置73K、73Y、73C、73Mは、図16の2成分現像器56及びトナー担持ローラ31からなる現像装置又は図17の1成分現像器64及びトナー担持ローラ31からなる現像装置を用いてもよい。
【0049】
この実施形態では、同一の感光体69上に4色分の書き込みを行うので、通常の4連タンデム方式と比較すると、原理的に位置ズレがほとんど発生せず、感光体上で色重ねができて位置ズレのない高画質のフルカラー画像を得ることができる。また、上記実施形態の現像装置を用いることにより、感光体69上に一度形成されたトナー像に対しては全く影響を与えることが無いので、スキャベンジや混色などの問題が一切無く、高画質な作像プロセスを長期的に渡り安定して行うことができる。
【0050】
図19に他の実施形態に係る多色画像形成装置の主要部を示す。
像担持体としてアルミ素管をベースとした剛体の有機感光体ドラム(以下「感光体ドラム」という)81を用いた。この感光体ドラム81の周囲には、図中12時方向から時計回りに、帯電装置101、露光装置(図示せず)、現像装置201、帯電装置102、現像装置202、帯電装置103、現像装置203、帯電装置104、現像装置204、転写前帯電装置82、転写装置83、クリーニング前帯電装置84、クリーニング装置85、の順に配設されている。
各々の現像装置は上述したトナー担持ローラ31を備えており、現像剤として負帯電トナーを現像領域(感光体と対向している領域)にある搬送量で運んでいる。
被転写体は転写紙で、図示しない給紙トレイより転写紙を感光体ドラム81と転写装置83との対向部に向けて給紙する給紙搬送装置(不図示)と、トナー像を転写された転写紙が感光体ドラム81から分離した後、トナーを転写紙に定着する定着装置(不図示)とを備えている。
【0051】
上記構成の多色画像形成装置において、矢印方向に回転する感光体ドラム81の表面は、帯電装置で一様に帯電された後、露光装置より画像情報に基づいて変調されたレーザ光線が感光体軸方向にスキャンされて照射され露光される。
これにより、感光体ドラム81上に静電潜像が形成される。感光体ドラム81上に形成された静電潜像は、現像装置201と対向する現像領域において、現像装置201により帯電したトナーを付着させることで現像され、1色目のトナー像となる。同一周回に順次、2色目、3色目、4色目と帯電・露光・現像を繰り返し転写は一度に行う。
感光体ドラム81には正帯電OPCを使用しており、2色目以降の帯電はDCスコロトロン帯電器で+のコロナ放電にしている。正コロナ放電は輝点が発生しにくく安定した放電が得られるため、感光体ドラム81の電位を安定させることができ、帯電電位の変動による画像のムラも小さくできる。
【0052】
帯電器には、DCスコロトロン帯電器のほか、ACコロトロン、ACスコロトロン帯電器でも良いし、ローラ帯電器でも良いが、先のトナー像を乱さないためには非接触帯電器が望ましい。
また、図19では便宜上、現像装置201から204まで順にYMCKの順にしたが、配色の順はほかの順番でもかまわない。
現像装置は、Φ60mmの感光体ドラム81に第一のトナー像が形成され、その上に順次に第二のトナー像、第三のトナー像を形成していくような作像プロセスにおいては、先に感光体ドラム上に形成されているトナー像を乱さないような現像方式である必要がある。
特に現像装置202、203、204は、非接触一成分現像方式や、特許文献1記載のトナークラウド現像方式を用いることで、感光体ドラム上に順次に各色トナーを形成していくことは可能であるが、いずれの方式も、感光体ドラムと現像剤担持体との間には交番電界が形成されてしまうために、感光体ドラム上に先に形成されたトナー像からトナーの一部が引き剥がされて現像装置に入り込んでしまう。
これによって、潜像担持体(感光体ドラム)上の画像が乱されてしまうばかりでなく、現像装置内のトナーが混色するという問題も生じてしまう。これらは高画質画像を得るには致命的であり、この問題を解決する方法としては感光体ドラムと現像剤担持体との間には交番電場を形成しない方法で、クラウド現像を実現する必要がある。
【0053】
現像装置201は前のトナー層が存在しないので、比較的使用頻度が高い黒トナーの現像器を例えば通常の磁気ブラシを使用した2成分現像装置または、交番電界を使った1成分現像装置にすることも可能である。
続いて、現像装置202の前に2色目の変調されたレーザ光線が感光体軸方向にスキャンされて照射され露光される。これにより、感光体ドラム上に2色目の静電潜像が形成される。
感光体ドラム上に形成された静電潜像は、現像装置202と対向する現像領域において、現像装置202により帯電したトナーを付着させることで現像され、2色目のトナー像となる。
このときに、2色目の現像領域の現像ニップを狭く形成する。こうすることによって、2色目現像量が過剰にならず適切な現像量が保たれる。
2色目の現像装置の方式は、1色目のトナー像を乱さないために非接触現像でトナー像を形成する。
以下3色目、4色目も同様に露光と現像を順次行い、現像はすでに形成されたトナー像を乱さないように非接触現像でトナー像を形成する。
各現像装置では、上述のようにローラ(トナー担持ローラ31)上に櫛歯状の複数の電極が形成され、それぞれの電極にホッピング電界を印加し、帯電したトナーを現像剤担持体上から離間させトナークラウドを形成する。
それぞれの電極に印加する電圧は図12に示したような交互に電界をかける、もしくは片側のバイアスレベルを一定にして片側に交番電界をかける方法がある。
ローラ上へのトナーは公知のスポンジローラからトナー供給したり場合によっては2成分現像剤を使用してキャリア粒子からトナーを供給したりしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に関する実験に用いた系を示す断面図である。
【図2】同系のフレア状態を示す断面図である。
【図3】同系の実験結果であるVmax[V]/p[μm]とフレア活性度との関係を示す特性図である。
【図4】同系の実験結果である表層の体積抵抗率とフレア活性度との関係を示す特性図である。
【図5】本発明に関する実験に用いた系を示す断面図である。
【図6】同系の実験結果である現像ギャップと基板A上の光学濃度増加分との関係を示す特性図である。
【図7】本発明の実施形態における現像剤担持体を示す斜視図である。
【図8】同現像剤担持体の製造工程の一部を示す断面図である。
【図9】同現像剤担持体の製造工程の他の一部を示す断面図である。
【図10】同現像剤担持体を平面状に展開した状態を示す展開図である。
【図11】同現像剤担持体の表層構成を説明するための斜視図(模式図)である。
【図12】同現像剤担持体に印加する電圧の波形図である。
【図13】同現像剤担持体の表層を平面状に展開した状態を示す展開図である。
【図14】図13のA−A線での断面図である。
【図15】本発明の画像形成装置の一実施形態を示す断面図である。
【図16】本発明の画像形成装置の他の実施形態を示す断面図である。
【図17】本発明の画像形成装置の別の実施形態を示す断面図である。
【図18】本発明の多色画像形成装置の実施形態を示す断面図である。
【図19】本発明の多色画像形成装置の他の実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0055】
31 現像剤担持体としてのトナー担持ローラ
41、42、43 電極
55 表層としての表面保護層
56、64、73、201、202、203、204 現像装置
58、69 像担持体
59 ホッピング電界発生手段
80 導電粒子
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像剤担持体、該現像剤担持体を有する現像装置、該現像装置を有する複写機、プリンタ、ファクシミリ、プロッタ、これらのうち少なくとも1つを備えた複合機等の画像形成装置に関する。
本発明は、上下方向(ローラの法線方向)の導電性と横方向(ローラの接線方向)の絶縁性を必要とするローラ(ベルト)に応用可能である。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に用いられる現像装置には、2成分現像方式や1成分現像方式などがある。2成分現像方式は、高速現像に非常に適しており、現在の中速や高速の画像形成装置の主流方式である。
この2成分現像方式では、高画質を狙うためには、潜像担持体(像担持体)上の静電潜像との接触部における現像剤の状態を非常に緻密にする必要がある。そのために、現在はキャリア粒子の小径化が進んでおり、商用レベルでは30μm程度のキャリアも使われ始めている。
1成分現像方式は、機構が小型軽量になることから、現在の低速の画像形成装置の主流方式である。この1成分現像方式では、現像剤担持体上にトナー薄層を形成するために、ブレードやローラなどのトナー規制部材を現像剤担持体上のトナーに当接させ、そのときに現像剤担持体やトナー規制部材とトナーとの摩擦によってトナーは帯電される。
現像剤担持体上に薄層に形成された帯電トナー層は、現像部に運ばれて潜像担持体上の静電潜像を現像する。ここでの現像方式には大きく分けて接触型と非接触型があり、前者は現像剤担持体と潜像担持体とが接触するものであり、後者は現像剤担持体と潜像担持体とが非接触であるものである。
【0003】
上記2成分現像方式と1成分現像方式との欠点を補い合うべく、特許文献1記載のものなどのように2成分現像方式と1成分現像方式とをハイブリッド化したハイブリッド化方式も幾つか提案されている。
高解像度の微小均一ドットを現像する方法としては、例えば特許文献2記載の方式がある。この方式は、上記ハイブリッド化方式に対して、現像部に高周波バイアスを印加したワイヤを設置することにより、現像部でのトナークラウド化を行い、高解像度のドット現像性を実現するものである。
特許文献3には、最も効率良く、且つ安定なトナークラウドを形成するために、回転ローラ上に電界カーテンを形成する方法が提案されている。
進行波電界による電界カーテンで現像剤を搬送する現像装置が特許文献6に記載され、現像剤担持体の周面上にほぼ1層のキャリアをほぼ均等に吸着する複数の磁極を有する現像装置が特許文献7に記載されている。特許文献8には、非磁性トナーを担持する現像剤担持体表面に、絶縁部を介して周期的な導電性電極パターンを設け、該電極に所定のバイアス電位を与えることで現像剤担持体表面近傍に電界勾配を発生せしめ、前記現像剤担持体上に前記非磁性トナーを付着搬送させる現像装置が記載されている。
【0004】
【特許文献1】平3−100575号公報
【特許文献2】平3−113474号公報
【特許文献3】平3−21967号公報
【特許文献4】特開2002−341656号公報
【特許文献5】特開2004−286837号公報
【特許文献6】特開2003−15419号公報
【特許文献7】特開平9−269661号公報
【特許文献8】特開2003−84560号公報
【特許文献9】特第3150229号公報
【特許文献10】特開2004−29114号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の2成分現像方式では、高画質化に対する要求が益々高まっており、必要とされる画素のドットサイズ自身が現状のキャリア粒子径と同等もしくはそれよりも小さい必要があるために、孤立ドットの再現性という意味では更にキャリア粒子を小さくする必要がある。
しかし、キャリア径を小さくしていくと、キャリア粒子の透磁率が低下するために、現像剤担持体からのキャリア離脱が生じやすくなり、離脱したキャリア粒子が潜像担持体に付着した場合には、キャリア付着そのものによる画像欠陥が生じるだけでなく、それを起点として潜像担持体に傷をつけてしまうなどいろいろな副作用が生じる。
このキャリア離脱を防止するために、材料面からキャリア粒子の透磁率を上げる試みや、現像剤担持体に内包されるマグネットの磁力を強くする試みが進められているが、低コスト化及び高画質化との兼ね合いの中で開発は困難を極めている。また、小型化の煽りを受けて、現像剤担持体は益々小径化の一途をたどっていることからも、キャリア離脱を完全に抑止できるような強力な磁場構成を有した現像剤担持体設計が困難となっている。
【0006】
2成分現像方式は、磁気ブラシと呼ばれる2成分現像剤の穂を静電潜像に対して擦り付けるようにしてトナー像を形成するプロセスであるために、どうしても穂の不均一性によって、孤立ドットの現像性にムラが生じやすい。現像剤担持体と潜像担持体との間に交番電界を形成することで画質の向上は可能であるが、現像剤の穂のムラといった根本的な画像ムラを完全に消滅させることは困難である。
また、潜像担持体上の現像されたトナー像を転写する工程や、転写後に潜像担持体上に残存するトナーをクリーニングする工程において、転写効率やクリーニング効率を向上させるためには、潜像担持体とトナーとの非静電的付着力を極力下げる必要がある。潜像担持体とトナーとの非静電的付着力を下げる方法としては、潜像担持体表面の摩擦係数を下げることが効果的であることが知られているが、この場合、2成分現像剤の穂が滑らかに現像部をすり抜けてしまうために現像効率やドット再現性が非常に悪くなってしまう。
【0007】
1成分現像方式は、トナー規制部材により薄層化された現像剤担持体上のトナー層は、現像剤担持体上に十分に圧接されてしまっているために、現像部での電場に対するトナー応答性が非常に悪い。よって、通常は高画質を得るために、現像剤担持体と潜像担持体との間に強力な交番電場を形成するのが主流であるが、この交番電場の形成をもってしても静電潜像に対して一定量のトナーを安定して現像することは困難であり、高解像度の微小ドットを均一に現像することは難しい。
また、この1成分現像方式は、現像剤担持体へのトナー薄層形成時にトナーに対して非常に大きなストレスをかけてしまうため、現像装置内を循環するトナーの劣化が非常に早い。トナーの劣化に連れて、現像剤担持体へのトナー薄層形成の工程でもムラなどが生じやすくなり、1成分現像方式は一般には高速や高耐久の画像形成装置としては向かない。
【0008】
ハイブリッド化方式では、現像装置そのものの大きさや部品点数は増えてしまうものの、幾つかの課題は克服される。しかし、現像部においてはやはり1成分現像方式と同様の問題がある。つまり高解像度の微小均一ドットを現像することには難が残る。
特許文献2記載の方式は、高安定且つ高画質な現像が実現できるものと考えられるが、現像装置の構成が複雑になる。
特許文献3記載の方法は、小型且つ高画質の現像を得るには非常に優れたものと解釈できるが、本発明者らが鋭意研究した結果、理想的な高画質を得るためには、形成する電界カーテンや現像などの条件を限定しなくてはならないことが判った。すなわち、適正な条件から外れた条件で作像を行ってしまうと、全く効果が得られないばかりか、返って粗悪な画質を提供してしまうことになる。
【0009】
ところで、潜像担持体に第一のトナー像が形成され、その上に順次に第二のトナー像、第三のトナー像を形成していくような作像プロセスにおいては、先に潜像担持体上に形成されているトナー像を乱さないような現像方式でなくてはいけない。非接触一成分現像方式や、特許文献2記載のトナークラウド現像方式を用いることで、潜像担持体上に順次に各色トナーを形成していくことは可能であるが、いずれの方式も、潜像担持体と現像剤担持体との間には交番電界が形成されてしまうために、潜像担持体上に先に形成されたトナー像からトナーの一部が引き剥がされて現像装置に入り込んでしまう。
これによって、潜像担持体上の画像が乱されてしまうばかりでなく、現像装置内のトナーが混色するという問題も生じてしまう。これらは高画質画像を得るには致命的であり、この問題を解決する方法としては潜像担持体と現像剤担持体との間には交番電場を形成しない方法で、クラウド現像を実現する必要がある。
【0010】
このようなクラウド現像を実現できる方法としては、先に挙げた特許文献3記載の方式などが有効と考えられるが、これに関しては先にも述べた通り、適当な条件の下で利用しないと全く効果が無い。
また、特許文献4記載の方式などの様に、トナー担持体の機械的な駆動を無くし、3相以上の交互電場によってトナーを静電的に搬送し現像する方法も有効と考えられる。しかし、この方法によれば、何かのきっかけで静電搬送できなくなったトナーを起点として、搬送基板上にトナーが堆積してしまい、結果として機能しなくなる問題を抱えてしまう。
このような問題を解決すべく、例えば特許文献5記載の方式のように固定搬送基板とその表面を移動するトナー担持体の組合せのような構造も提案されているが、機構が非常に複雑になってしまう。
また、特許文献9には感光体にバインダーにより導電性粒子を分散し感光体を帯電しやすくする旨の記載があるが、この場合、像担持体の表面電位が部分的に一定で無くなるため、ポテンシャルの差による現像剤の顕像にムラが生じやすくなってしまう。また、背面露光が必須になっているため、露光機構が複雑化し、小型化が困難になる。
導電粒子を帯電部材表面に分散し、接触時に抵抗制御するものに特許文献10記載のものがあるが、抵抗の変化のためには接触部に高い圧力が必要となり耐久性が問題となる。
【0011】
本発明は、現像剤担持体表面層に誘起される表面電位を速やかに減少させ、現像剤担持体の表面の電位を安定化させることにより従来技術よりも高画質を実現でき、且つ、より小型にできる現像剤担持体、現像装置及び画像形成装置を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明では、像担持体に非接触状態で対向して設けられる現像剤担持体において、絶縁性の表層を有し、且つ該絶縁層中に該絶縁層の厚みとほぼ同じ粒径の導電粒子を含有させたことを特徴とする。
【0013】
請求項2記載の発明では、現像装置において、請求項1記載の現像剤担持体を有することを特徴とする。
請求項3記載の発明では、請求項2記載の現像装置において、前記現像剤担持体の前記表層の下側には、該表層に沿うように互いに絶縁された多数の電極が設けられ、前記現像剤担持体の表面に担持されている所定極性に帯電したトナーをホッピングさせるためのホッピング電界を発生させるホッピング電界発生手段を有し、前記ホッピング電界発生手段は、前記多数の電極に周期的な電圧を印加することにより互いに近接する電極間の電界の向きが周期的に反転するように、前記ホッピング電界を発生させるものであり、前記現像剤担持体の表面に担持されているトナーを前記像担持体と対向する現像領域へ搬送して該像担持体上の潜像にトナーを付着させることにより該潜像を現像することを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の発明では、像担持体を均一に帯電させる帯電工程と、均一に帯電した前記像担持体上に静電潜像を形成する露光工程と、前記静電潜像を可視化して可視像を形成する現像工程と、をトナーの色ごとに複数回連続して繰返し、前記像担持体上に複数色のトナー像を重ね合せ形成した後に転写手段により上記複数色のトナー像を一括して記録媒体に転写し、定着工程を経て記録媒体上に画像を形成する画像形成装置において、前記現像工程が請求項2又は3記載の現像装置により行われることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、現像剤担持体表面に帯電粒子(トナー)の接触等によって誘起される表面電荷を速やかに電極に逃がすことができるので、現像剤担持体が絶縁性の表面層を有していても、現像剤担持体上の電位を安定させることができるため、安定した画像形成を行うことができる。
現像剤担持体上の電位を安定化させることができるため、多色の現像装置毎の表面電位を安定させることができる。
特に同一の感光体上で色重ねをするときは、トナー層の上から電位を形成し多色のトナー像を形成するので、現像ポテンシャルを安定させることが重要であるが、現像剤担持体の表面電位を安定させることができるので、現像バイアスの制御性が増し、カラー画像を安定させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図を参照して説明する。
まず、トナークラウド現像の原理(実験)について説明する。図1に示すように、ガラス基板1上にアルミニウムを蒸着することによって、p[μm]のピッチで移動方向に配列された複数の電極21、22、23・・・からなる電極バターン2を形成し、その上に保護層3として厚み約3[μm]、体積抵抗率約10^10[Ω・cm]の樹脂コートを施したものを形成してトナー担持体としての基板4を構成し、この基板4の上には、帯電させたトナー層5を形成する。
【0017】
このトナー層5は、基板4に対して図示しない2成分現像器によってベタ画像を薄層に現像することによって形成した。トナーはポリエステル系の粒径約6[μm]のものを使い、基板4上に薄層に形成された状態でのトナーの帯電量は約−22[μC/g]であった。この状態のトナー層5に対して、図2に示すように、奇数番目の電極21、23・・・の集合体である奇数番目電極群と、偶数番目の電極22・・・の集合体である偶数番目電極群との間に交流電源6から交流電圧を印加すると、トナー5は奇数番目電極群21、23・・・と偶数番目電極群22・・・を往復するような運動を行う。この様子を以下、フレアと呼ぶ。
【0018】
電極21、22、23・・・のピッチがそれぞれ50、100、200及び400[μm]である4種類の基板4を用いて、交流電源6から電極21、22、23・・・間に印加する交流電圧のプラス側ピーク値とマイナス側ピーク値との差分の絶対値であるVmax[V]を何点かに振りながら(変えながら)、フレアの活性度を高速度カメラで観察したところ、図3に示すような結果を得た。因みに、電極21、22、23・・・の幅と、電極21、22、23・・・の隣同士の距離は、電極21、22、23・・・のピッチの1/2となるようにした。
【0019】
ここで、フレアの活性度とは、基板4の表面に張り付いて動かないトナーの様子を観察することで約5段階の官能評価により求められたものである。図3から、Vmaxやpの値に関わらず、Vmax[V]/p[μm]によってフレアの活性度がほぼ一義的に得られることが確認できる。そして、Vmax[V]/p[μm]>1の時にフレアが活性化し始めて、Vmax[V]/p[μm]>3ではフレアが完全に活性化していることが分かる。
【0020】
また、基板4表面の電気的特性の影響を調べるために、基板4の表層3の体積抵抗率を何点か振って(変えて)、同様にフレア活性度を確認した。表層3に用いた材料はシリコーン系樹脂であり、そこに分散されるカーボン微粒子の量を変更することにより、10^7〜10^14[Ω・cm]の体積抵抗率の保護層(厚みは約5[μm])3を形成した。代表的なものとして、電極21、22、23・・・のピッチが50[μm]のものを使って、上述と同様の実験をしたところ、図4に示す結果を得た。
【0021】
この結果から、表層3の体積抵抗率が10^9〜10^12[Ω・cm]の範囲にあることが適正であることが確認できる。これは、体積抵抗率が非常に高い表層3を用いると、飛翔を繰り返すトナーと表層3との摩擦によって基板4の表面が帯電したままになってしまい、また、逆にあまりに表層3の導電性が高いと、電極21、22、23・・・間で電荷のリーク(ショート)が発生してしまうために、効率的なバイアス効果が得られなくなるからである。表層3は、基板4の表面に蓄積した電荷が電極群21、22、23・・・にうまく逃げられるように、適当な抵抗率(体積抵抗率で10^9〜10^12[Ω・cm]となっている必要がある。
【0022】
さらに、基板4の表面の摩擦帯電特性の影響を調べるために、表層3をシリコーン系樹脂及びフッ素系樹脂の2種類として上記と同様なフレア活性度観察を行った。表層3は、カーボン微粒子を微量分散させることにより、ポシリコーン系樹脂、フッ素系樹脂のいずれのコート層としても体積抵抗率を10^11〜10^12[Ω・cm]とした。交流電源6から電極21、22、23・・・に交番バイアスを印加してフレア活性度を観察すると、表層3がシリコーン系樹脂の場合は長時間フレア状態を維持していたが、表層3がフッ素系樹脂の場合は直ぐにフレアが消滅しトナーが基板4に張り付いたままとなってしまった。
【0023】
上記観察後に、基板4上のトナーの帯電量を測定したところ、表層3がシリコーン系樹脂の場合には基板4上のトナーの帯電量は初期に比べて若干の低下がみられただけであったが、表層3がフッ素系樹脂の場合には基板4上のトナーの帯電量はトナーの電荷がほとんど無くなっていた。試しに、帯電していないトナーをそれぞれの表層3の表面に擦り付けてみたところ、表層3がシリコーン系樹脂の場合にはトナーが正規の極性の摩擦電荷を得られたのに対し、表層3がフッ素系樹脂の場合にはほとんど摩擦電荷を得られないばかりか若干逆の極性となっていた。つまり、フレア現象は、トナーと基板4の表面とが無数回衝突するプロセスであるため、表層3の材料はトナーの電荷を奪ってしまうものではなく、トナーに正規の電荷を与えられる材質であることが好ましいことが理解できる。これは材料の摩擦帯電系列に習うものであり、表層3の材料としては、例えばガラス系のものや、2成分現像剤のキャリアコートに使用されている材料を用いることが好ましい。
【0024】
次に、図5に示すような系での実験結果について説明する。基板Aはアルミニウムからなる基板7の上に厚み約20[μm]の樹脂層(これは感光体を想定したもの)8を形成することで構成する。基板7は接地し、樹脂層8にはベタ画像相当の0.4[mg/cm^2]のトナー層9を形成する。このトナー層9は図示しない2成分現像器によって樹脂層8に対してベタ現像をすることで形成したものである。
【0025】
この基板Aに間隔d[μm]で対向するように基板Bを設置する。この基板Bは上記基板4と同様に構成され、表層3は以降の作業によってここに転移するトナーの量を光学的な測定装置(反射光濃度測定器)によって計測しやすいように白色のコート層とする。図3から、Vmax[V]/p[μm]=4であればいずれの条件でも安定なフレアを形成できるので、Vmax[V]/p[μm]=4となる4種の条件を用いて、基板Bへのトナー転移量の現像ギャップ(d[μm])依存性を調べると、図6に示すような結果が得られた。この結果から、感光体(基板A)上の画像を乱すことなく現像ができる条件は、ピッチ間距離pが現像ギャップdより小さいこと、すなわちp<dであることがわかる。
【0026】
これは、トナー担持体(基板B)上に形成される電界カーテンの影響が、潜像担持体(基板A)上の静電潜像電場やトナー像に対して及ばない条件であると考えることができる。このような条件のもとでは、例えば1200dpiや2400dpiの孤立ドットをスキャベンジなしで正確に現像できるばかりでなく、潜像担持体(基板A)上でのトナー像重ねのような作像プロセスを利用する際にも、先に潜像担持体上に形成されているトナー像を乱すこと無く、且つ、現像装置内のトナーの混色を招くことも無く、非常に高画質なトナー像重ねを実現することができる。
【0027】
図7は本発明の実施形態における現像剤担持体としてのトナー担持体の具体的構成を示す。
トナー担持体31は、回転ローラ形状に形成したもので、移動方向にp[μm]のピッチで配列されて空間周期的に配置された複数の電極41、42、43・・・からなる電極パターンにおける奇数番目の電極の集合体である奇数番目電極群を束ねた電極軸40Aと、偶数番目の電極の集合体である偶数番目電極群を束ねた電極軸40Bを回転軸として回転することができる。それぞれの電極軸40A、40Bには、図示しない電極ブラシ等によって交流電源からバイアス電位として交流電圧が印加される。
【0028】
トナー担持体31は、図8(a)に示すように、絶縁体であるアクリル樹脂の円筒51に軸穴52を設け、図8(b)に示すようにステンレス製の電極軸40A、40Bを円筒51の軸穴52に圧入して電極軸40A、40Bを奇数番目電極群41、43・・・、偶数番目電極群42、44・・・にそれぞれ接続する。次に、図9(a)〜(e)に示す各工程でパターン電極を形成する。図9はトナー担持ローラ31の表面を回転軸に沿った方向に見た図である。図9(a)に示す工程では、図8に示す工程よって得られたローラ51の表面を外周旋削によって平滑に仕上げる。図9(b)に示す工程では、溝のピッチが100[μm]、溝幅が50[μm]となるように溝53の切削を行う。図9(c)に示す工程では、溝切削を行ったローラ51に無電解ニッケル54のメッキを施し、図9(d)に示す工程では、無電解ニッケル54のメッキを施したローラ31の外周を旋削して不要な導体膜を取り除く。この時点で電極41、42、43・・・が溝53の部分に互いに絶縁して形成される。その後、ローラ51にシリコーン系樹脂をコーティングすることでローラ51の表面を平滑にし、同時に表層としての表面保護層(厚み約5[μm])55を形成してトナー担持ローラ31を製作した。図10は、トナー担持ローラ31を平面状に展開した状態を示す。
【0029】
図11、12に基づいて本発明の現像剤担持体をさらに詳細に説明する。
表面保護層55は、直径5μmの導電粒子80を3%混入したシリコーン系樹脂をコーティングして形成されている。
ローラ上の電極のライン幅は、10μmから100μm程度なので、電極の形成は、導電ペーストをスクリーン印刷法や、インクジェット法などで直接ローラ上に形成したり、可撓性フィルムに金属薄膜をフォトリソグラフ法でパターン形成したものをローラに貼り付けたりするものでもよい。
但し、表面に金属が露出しているとトナーの成分や空中の水分などと反応して断線、リークなどが発生しやすいため、ローラ表面に何らかの層を形成し保護することが必要になる。
表層(表面保護層55)の材料はトナーの電荷を奪ってしまうものではなく、トナーに正規の電荷を与えられる材質であることが好ましい。これは材料の摩擦帯電系列に倣うものであり、表面保護層55の材料としては、例えばガラス系のものや、2成分現像剤のキャリアコートに使用されている材料を用いることが好ましい。
【0030】
現像剤担持体表面はシリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、メラミン系樹脂などの有機系材料のほか、シリカ、チタン酸バリウム、酸化ジルコン等の無機系の材料が使用できるが、本例は、樹脂に粒子を混入してスプレー法やディッピング法など塗布することの可能な有機系の材料が適している。もちろん水ガラスなどのシリカ系の材料も使用できるが、焼成温度が高いため、使用する材料が限られてしまう。
本発明では、現像剤担持体表面層に表面層の厚みと同程度の粒子径を持った(ここでは5μm)導電粒子80を入れることによって導電性に異方性を持たせることができ、表面の電荷が電極側に逃がされるが、隣の電極に電荷が流れることが無いようにすることができる現像剤担持体を提供することを目的としており、その現像剤担持体を使った非接触現像方式の現像装置を提案するものである。
もちろん電極が無い場合、例えば導電性ローラ上に絶縁性の樹脂層を設けたような現像剤担持体においても、導電粒子を絶縁層中に分散しておくことは表面に誘起される電位を速やかに除去することに対して有効である。
【0031】
トナー担持ローラ31を有する現像装置(後述)では、ローラ上に櫛歯状に形成された複数の電極に、図示しないホッピング電界発生手段(図2で示した交流電源6に相当)によりホッピング電界を印加し、帯電したトナーをトナー担持ローラ31上から離間させトナークラウドを形成する。
クラウドの形成について説明する。図13及び図14に平面に展開したトナー担持ローラ31の表面の電極構成の模式図を示した。
電極A群及びB群、それぞれの電極に図12に示したようなホッピング電界を印加する。印加する電界は交互に電界をかける、もしくは片側電極のバイアスレベルを一定にして片側に交番電界をかける方法がある。
このようなローラ上に帯電したトナー粒子が供給されると、帯電しているトナー粒子は印加されている電界に応じて引力と斥力を交互に受けることにより、表面に浮き上がり、電界に拘束されたトナークラウドを形成する。
印加する電界は、ピークトゥピーク電圧100V〜500V、周波数100Hz〜5kHzの範囲が好適であり、本実施形態では、ピークトゥピーク電圧300V、周波数1kHzで行ったところ良好な画像が形成された。
奇数番目電極群41、43・・・及び偶数番目電極群42、44・・・のライン幅/ライン間隔(L/S)を40μm/40μmにした。このL/Sは、表面保護層55の厚みよりも十分に大きくなっていれば良い。更には含有させる導電粒子80の径の4倍以上あれば、横方向の絶縁性が十分に確保できる。
電極のピッチ(奇数番目電極群41、43・・・及び偶数番目電極群42、44・・・の繰り返し間隔)は、非接触現像を行ったときの感光体と現像剤担持体の距離よりも小さくなっていることが必要である。
【0032】
この現像装置は、表面の電位を確保することができることによって、低いバイアスの駆動が可能になる。そのため、ホッピング電界を弱くしてもトナーのクラウドが発生しトナーのダメージを小さくすることができる。また、消費電流も下げることができる。
導電粒子80を入れる量は樹脂成分の重量比(粒子成分/樹脂成分)で0.5%から10%好ましくは1.5%から3%が良い結果が得られている。
抵抗値は絶縁体と同等の10の12乗以上確保できるが、部分的に抵抗が下がる。
表面保護層55のアルキドメラミンに混入して塗布すると上下方向に導電性が確保できるとともに横方向の絶縁性が確保できる。
導電粒子80には、粒径5μmの積水化学製ミクロパールAU(商品名)を重量比で、1.5%混入した。
本実施形態では、現像剤担持体への適用例を示したが、表面層厚と同じ程度粒径をもった導電粒子を導入することで、帯電ローラ、転写ローラ等のように、表面層の抵抗が高いローラにも応用することができる。
【0033】
トナー担持ローラ31は、上記基板4と同様に、表面保護層55上に薄いトナー層が形成され、電極軸40A、40Bに図示しない交流電源から電極ブラシ等によってバイアス電位として交流電圧が印加されると、トナーは奇数番目電極群41、43・・・と偶数番目電極群42、44・・・を往復するような運動(フレア)を行う。交流電源から電極41、42、43・・・間に印加する交流電圧のプラス側ピーク値とマイナス側ピーク値との差分の絶対値をVmax[V]とし、Vmax[V]/p[μm]>1の時にフレアが活性化し始めて、Vmax[V]/p[μm]>3ではフレアが完全に活性化している。
また、トナー担持体31は、上記基板4と同様に、表面保護層55の体積抵抗率が10^9〜10^12[Ω・cm]の範囲にあることが適正であり、表面保護層55がシリコーン系樹脂である。表面保護層55の材料は、上述のように、トナーとの摩擦でトナーに正規の電荷を与えられる材質であることが好ましく、例えばガラス系のものや、2成分現像剤のキャリアコートに使用されている材料を用いることが好ましい。pは現像ギャップdより小さいこと、すなわちp<dに設定される。
【0034】
図15は本発明の一実施形態を示す。この実施形態は上記トナー担持ローラ31を利用した現像装置を有する画像形成装置である。トナー担持ローラ31に対しては、通常の2成分現像器56により2成分現像剤の穂が当接されている。具体的には、粒径50[μm]の磁性キャリア粉と粒径約6[μm]のポリエステルトナーを重量比で7〜8[wt%]混合させた2成分現像剤を、2成分現像器56の永久磁石を内包するマグネットスリーブ57によってトナー担持ローラ31まで搬送し、そこでトナーの一部がマグネットスリーブ57とトナー担持ローラ31との間に印加される直流バイアス電位によってトナー担持ローラ31に転移する。トナー担持ローラ31に転移したトナーは、トナー担持体31上でフレアを形成しながら、トナー担持体31が図示しない駆動部により回転駆動されることで潜像担持体58との対向部に搬送され、トナー担持ローラ31表面の平均電位と潜像担持体58電位との差によって潜像担持体58上の静電潜像に付着することで該静電潜像を現像してトナー像を形成する。なお、電極軸40A、40B間にはホッピング電界発生手段としての交流電源59から電極ブラシ等によってバイアス電位として交流電圧が印加され、奇数番目電極群41、43・・・と偶数番目電極群42・・・との間に時間周期的な電位差が形成される。
【0035】
現像に寄与しなかった不要なトナーは現像部から再びマグネットスリーブ57に戻ってくる。フレアが形成されているので、トナー担持ローラ31に対するトナーの付着力は非常に低く、トナー担持ローラ31によって現像部から戻ってきたトナーは、マグネットスリーブ57の回転に追随した2成分現像剤の穂によって容易に掻き取られたり馴らされたりする。これを繰り返すことによって、トナー担持ローラ31上には常にほぼ一定量のトナーフレアが形成されることになる。2成分現像器56は、容器60内の2成分現像剤63を攪拌しながら搬送して循環させ、マグネットスリーブ57がその2成分現像剤の一部をトナー担持ローラ31まで搬送すると共に現像部から現像に寄与しなかった不要なトナーを戻す。
【0036】
潜像担持体58としては、厚み13[μm]の有機感光体を使用し、1200dpiのレーザ書き込み系を利用して潜像を形成する場合について以下に説明する。感光体58は、図示しない駆動部により回転駆動されて帯電装置により一様に帯電され、露光手段としてのレーザ書き込み系により露光されて静電潜像が形成される。この場合、感光体58の帯電電位は−300Vとし、べた部での書き込み電位が−50Vとなるような条件で静電潜像を形成する。
【0037】
この静電潜像は、トナー担持体31上でフレアを形成するトナーにより現像されてトナー像となる。この時、帯電量が約−22[μC/g]で粒径が6[μm]であるトナーを使って、地汚れが無く、ベタ部の埋まりも良く、且つ1200dpiの1ドットが再現できるように条件を設定したところ、トナー担持体31と感光体58とのギャップは約500[μm]、トナー担持体31の奇数番目電極群と偶数番目電極群には、−400[V]と0[V]のそれぞれをピークに持つ各瞬間瞬間における平均電位が−200[V]の交流バイアスを、5[kHz]の周波数で交流電源59から印加することで実現した。
【0038】
トナー担持体31上のトナー像は給紙装置から給送されてきた記録紙等の記録媒体へ転写手段により転写され、その記録媒体は定着装置によりトナー像が定着されて外部へ排出される。
トナー担持ローラ31上に過剰なトナーが乗っていると、トナーの電荷によって電界カーテンがシールドされてしまいフレアが形成できなくなるので、トナー担持ローラ31上に乗っている単位面積当りのトナー量は0.2[mg/cm^2]となるように、マグネットスリーブ57とトナー担持ローラ31との間には電源から約200[V]の直流バイアスが印加されている。ちなみに、フレアによるトナーの拡散効果があるので、マグネットスリーブ57からトナー担持ローラ31へのトナー転移には多少のムラがあっても問題なく、マグネットスリーブ57とトナー担持ローラ31との間には上記直流バイアスにACバイアスを重畳するような工夫は特に必要なく、また、2成分現像剤の穂を厳格に均一にするような工夫も特に必要ない。
【0039】
一方、感光体58上のベタ画像として必要とされるトナー量が0.4[mg/cm^2]であることから、現像部でのトナー枯渇が生じないように、トナー担持ローラ31の移動速度は、感光体58の移動速度の2倍以上にする必要があり、ここでは感光体58の移動速度の2.5倍としている。トナー担持ローラ31の移動方向と感光体58の移動方向は、図15に示すように同じ向きでも良いが、逆向きでも良い。マグネットスリーブ57とトナー担持ローラ31の移動方向は、戻りトナーの掻き取り効果を得るために、図15のように逆向きであるのが好ましい。
以上の系によって、感光体58の線速300[mm/s]の元で、ベタ部の埋まり性、1200dpiドット再現性、に優れた地汚れの無い高画質現像を実現できることが確認された。
よって、本実施形態によれば、従来技術よりも高画質を実現でき、且つより小型にできる。
【0040】
図16は本発明の他の実施形態を示す。この実施形態では、図15に示す実施形態において、現像器56は、マグネットスリーブ57を省略して簡略化した構成とし、トナー担持ローラ31に対するトナー供給を2成分現像剤のカスケード現像現象によって行う。現像器56は単純なカスケードを利用してトナー担持ローラ31に薄いトナー層を形成するため、トナー担持ローラ31へのトナー転移率が図15に示す実施形態に比べて低下するが、その分トナー担持ローラ31の回転速度を高くすることにより、感光体58への現像速度に対応することができる。図16に示す実施形態のマグネットスリーブ57を省略した2成分現像器56及びトナー担持ローラ31からなる現像装置は、実質的に従来の2成分現像器と同サイズとなるため、図16に示す実施形態は小型で高画質の作像エンジンを構成することが可能である。
よって、本実施形態によれば、従来技術よりも高画質を実現でき、且つより小型にできる。
【0041】
図17は本発明の別の実施形態を示す。この実施形態は、図16に示す実施形態において、2成分現像器56の代りにトナーのみを有する1成分現像器64が用いられ、この1成分現像器64はトナー担持ローラ31に対してトナーを転位させてトナー担持ローラ31上に薄いトナー層を形成する。この場合、1成分現像器64は、容器65内のトナー66を循環パドル67で攪拌して循環させながらトナー担持ローラ31に供給し、トナー担持ローラ31上のトナーをトナー規制部材としてのメータリングブレード68により一定厚に規制して薄いトナー層とする。
【0042】
トナー担持ローラ31へのトナー供給安定性という意味では、図15に示す実施形態や図16に示す実施形態にやや劣る部分もあるが、それは条件を詰めれば解決できる問題であり、何よりも非常に小型軽量且つ高画質な現像装置を提供することができる。
よって、本実施形態によれば、従来技術よりも高画質を実現でき、且つより小型にできる。
【0043】
図18は本発明のさらに別の実施形態を示す。この実施形態は、図15に示す実施形態における2成分現像器56及びトナー担持ローラ31からなる現像装置と同じ現像装置を利用して構成され、感光体上に各色のトナー像を重ねて形成する画像形成装置の例である。この実施形態では、感光体としてのベルト状の有機感光体69は、図示しない2つのローラに掛け渡され、図示しない駆動部により回転駆動される。
【0044】
感光体69の左側には、複数色、例えばブラック、イエロー、シアン、マゼンタの画像をそれぞれ形成する複数の画像形成手段としての作像装置70K、70Y、70C、70Mが配列されている。感光体69は、まず、作像装置70Kにて帯電装置71Kにより一様に帯電されて図示しない露光手段としての書込装置により、ブラックの画像データで変調された光ビーム72Kによって露光されることで静電潜像が形成され、この静電潜像が上記図15に示す実施形態における2成分現像器56及びトナー担持ローラ31からなる現像装置と同じ構成の現像装置73Kにより現像されてブラックのトナー像となる。その後、感光体69は除電器74Kにより除電されて次の画像形成に備える。
【0045】
次いで、感光体69は、作像装置70Yにて帯電装置71Yにより一様に帯電されて図示しない露光手段としての書込装置により、イエローの画像データで変調された光ビーム72Yによって露光されることで静電潜像が形成され、この静電潜像が上記図15に示す実施形態における2成分現像器56及びトナー担持ローラ31からなる現像装置と同じ構成の現像装置73Yにより現像されて上記ブラックのトナー像と重なるイエローのトナー像となる。その後、感光体69は除電器74Yにより除電されて次の画像形成に備える。
【0046】
次に、感光体69は、作像装置70Cにて帯電装置71Cにより一様に帯電されて図示しない露光手段としての書込装置により、シアンの画像データで変調された光ビーム72Cによって露光されることで静電潜像が形成され、この静電潜像が上記図15に示す実施形態における2成分現像器56及びトナー担持ローラ31からなる現像装置と同じ構成の現像装置73Cにより現像されて上記ブラックのトナー像及び上記イエローのトナー像と重なるシアンのトナー像となる。その後、感光体69は除電器74Cにより除電されて次の画像形成に備える。
【0047】
次に、感光体69は、作像装置70Mにて帯電装置71Mにより一様に帯電されて図示しない露光手段としての書込装置により、マゼンタの画像データで変調された光ビーム72Mによって露光されることで静電潜像が形成され、この静電潜像が上記図15に示す実施形態における2成分現像器56及びトナー担持ローラ31からなる現像装置と同じ構成の現像装置73Mにより現像されて上記ブラックのトナー像、上記イエローのトナー像及び上記シアンのトナー像と重なるマゼンタのトナー像となることでフルカラー画像が形成される。
【0048】
一方、図示しない給紙装置から記録紙等の記録媒体が給送され、この記録媒体は電源から転写バイアスが印加される転写手段としての転写ローラ75により感光体69上のフルカラー画像が転写される。フルカラー画像が転写された記録媒体は、定着装置76によりフルカラー画像が定着され、外部へ排出される。感光体69は、フルカラー画像転写後にクリーニング手段としてのクリーナ77により残留トナー等が除去される。
なお、現像装置73K、73Y、73C、73Mは、図16の2成分現像器56及びトナー担持ローラ31からなる現像装置又は図17の1成分現像器64及びトナー担持ローラ31からなる現像装置を用いてもよい。
【0049】
この実施形態では、同一の感光体69上に4色分の書き込みを行うので、通常の4連タンデム方式と比較すると、原理的に位置ズレがほとんど発生せず、感光体上で色重ねができて位置ズレのない高画質のフルカラー画像を得ることができる。また、上記実施形態の現像装置を用いることにより、感光体69上に一度形成されたトナー像に対しては全く影響を与えることが無いので、スキャベンジや混色などの問題が一切無く、高画質な作像プロセスを長期的に渡り安定して行うことができる。
【0050】
図19に他の実施形態に係る多色画像形成装置の主要部を示す。
像担持体としてアルミ素管をベースとした剛体の有機感光体ドラム(以下「感光体ドラム」という)81を用いた。この感光体ドラム81の周囲には、図中12時方向から時計回りに、帯電装置101、露光装置(図示せず)、現像装置201、帯電装置102、現像装置202、帯電装置103、現像装置203、帯電装置104、現像装置204、転写前帯電装置82、転写装置83、クリーニング前帯電装置84、クリーニング装置85、の順に配設されている。
各々の現像装置は上述したトナー担持ローラ31を備えており、現像剤として負帯電トナーを現像領域(感光体と対向している領域)にある搬送量で運んでいる。
被転写体は転写紙で、図示しない給紙トレイより転写紙を感光体ドラム81と転写装置83との対向部に向けて給紙する給紙搬送装置(不図示)と、トナー像を転写された転写紙が感光体ドラム81から分離した後、トナーを転写紙に定着する定着装置(不図示)とを備えている。
【0051】
上記構成の多色画像形成装置において、矢印方向に回転する感光体ドラム81の表面は、帯電装置で一様に帯電された後、露光装置より画像情報に基づいて変調されたレーザ光線が感光体軸方向にスキャンされて照射され露光される。
これにより、感光体ドラム81上に静電潜像が形成される。感光体ドラム81上に形成された静電潜像は、現像装置201と対向する現像領域において、現像装置201により帯電したトナーを付着させることで現像され、1色目のトナー像となる。同一周回に順次、2色目、3色目、4色目と帯電・露光・現像を繰り返し転写は一度に行う。
感光体ドラム81には正帯電OPCを使用しており、2色目以降の帯電はDCスコロトロン帯電器で+のコロナ放電にしている。正コロナ放電は輝点が発生しにくく安定した放電が得られるため、感光体ドラム81の電位を安定させることができ、帯電電位の変動による画像のムラも小さくできる。
【0052】
帯電器には、DCスコロトロン帯電器のほか、ACコロトロン、ACスコロトロン帯電器でも良いし、ローラ帯電器でも良いが、先のトナー像を乱さないためには非接触帯電器が望ましい。
また、図19では便宜上、現像装置201から204まで順にYMCKの順にしたが、配色の順はほかの順番でもかまわない。
現像装置は、Φ60mmの感光体ドラム81に第一のトナー像が形成され、その上に順次に第二のトナー像、第三のトナー像を形成していくような作像プロセスにおいては、先に感光体ドラム上に形成されているトナー像を乱さないような現像方式である必要がある。
特に現像装置202、203、204は、非接触一成分現像方式や、特許文献1記載のトナークラウド現像方式を用いることで、感光体ドラム上に順次に各色トナーを形成していくことは可能であるが、いずれの方式も、感光体ドラムと現像剤担持体との間には交番電界が形成されてしまうために、感光体ドラム上に先に形成されたトナー像からトナーの一部が引き剥がされて現像装置に入り込んでしまう。
これによって、潜像担持体(感光体ドラム)上の画像が乱されてしまうばかりでなく、現像装置内のトナーが混色するという問題も生じてしまう。これらは高画質画像を得るには致命的であり、この問題を解決する方法としては感光体ドラムと現像剤担持体との間には交番電場を形成しない方法で、クラウド現像を実現する必要がある。
【0053】
現像装置201は前のトナー層が存在しないので、比較的使用頻度が高い黒トナーの現像器を例えば通常の磁気ブラシを使用した2成分現像装置または、交番電界を使った1成分現像装置にすることも可能である。
続いて、現像装置202の前に2色目の変調されたレーザ光線が感光体軸方向にスキャンされて照射され露光される。これにより、感光体ドラム上に2色目の静電潜像が形成される。
感光体ドラム上に形成された静電潜像は、現像装置202と対向する現像領域において、現像装置202により帯電したトナーを付着させることで現像され、2色目のトナー像となる。
このときに、2色目の現像領域の現像ニップを狭く形成する。こうすることによって、2色目現像量が過剰にならず適切な現像量が保たれる。
2色目の現像装置の方式は、1色目のトナー像を乱さないために非接触現像でトナー像を形成する。
以下3色目、4色目も同様に露光と現像を順次行い、現像はすでに形成されたトナー像を乱さないように非接触現像でトナー像を形成する。
各現像装置では、上述のようにローラ(トナー担持ローラ31)上に櫛歯状の複数の電極が形成され、それぞれの電極にホッピング電界を印加し、帯電したトナーを現像剤担持体上から離間させトナークラウドを形成する。
それぞれの電極に印加する電圧は図12に示したような交互に電界をかける、もしくは片側のバイアスレベルを一定にして片側に交番電界をかける方法がある。
ローラ上へのトナーは公知のスポンジローラからトナー供給したり場合によっては2成分現像剤を使用してキャリア粒子からトナーを供給したりしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に関する実験に用いた系を示す断面図である。
【図2】同系のフレア状態を示す断面図である。
【図3】同系の実験結果であるVmax[V]/p[μm]とフレア活性度との関係を示す特性図である。
【図4】同系の実験結果である表層の体積抵抗率とフレア活性度との関係を示す特性図である。
【図5】本発明に関する実験に用いた系を示す断面図である。
【図6】同系の実験結果である現像ギャップと基板A上の光学濃度増加分との関係を示す特性図である。
【図7】本発明の実施形態における現像剤担持体を示す斜視図である。
【図8】同現像剤担持体の製造工程の一部を示す断面図である。
【図9】同現像剤担持体の製造工程の他の一部を示す断面図である。
【図10】同現像剤担持体を平面状に展開した状態を示す展開図である。
【図11】同現像剤担持体の表層構成を説明するための斜視図(模式図)である。
【図12】同現像剤担持体に印加する電圧の波形図である。
【図13】同現像剤担持体の表層を平面状に展開した状態を示す展開図である。
【図14】図13のA−A線での断面図である。
【図15】本発明の画像形成装置の一実施形態を示す断面図である。
【図16】本発明の画像形成装置の他の実施形態を示す断面図である。
【図17】本発明の画像形成装置の別の実施形態を示す断面図である。
【図18】本発明の多色画像形成装置の実施形態を示す断面図である。
【図19】本発明の多色画像形成装置の他の実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0055】
31 現像剤担持体としてのトナー担持ローラ
41、42、43 電極
55 表層としての表面保護層
56、64、73、201、202、203、204 現像装置
58、69 像担持体
59 ホッピング電界発生手段
80 導電粒子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体に非接触状態で対向して設けられる現像剤担持体において、
絶縁性の表層を有し、且つ該絶縁層中に該絶縁層の厚みとほぼ同じ粒径の導電粒子を含有させたことを特徴とする現像剤担持体。
【請求項2】
請求項1記載の現像剤担持体を有する現像装置。
【請求項3】
請求項2記載の現像装置において、
前記現像剤担持体の前記表層の下側には、該表層に沿うように互いに絶縁された多数の電極が設けられ、
前記現像剤担持体の表面に担持されている所定極性に帯電したトナーをホッピングさせるためのホッピング電界を発生させるホッピング電界発生手段を有し、
前記ホッピング電界発生手段は、前記多数の電極に周期的な電圧を印加することにより互いに近接する電極間の電界の向きが周期的に反転するように、前記ホッピング電界を発生させるものであり、
前記現像剤担持体の表面に担持されているトナーを前記像担持体と対向する現像領域へ搬送して該像担持体上の潜像にトナーを付着させることにより該潜像を現像することを特徴とする現像装置。
【請求項4】
像担持体を均一に帯電させる帯電工程と、
均一に帯電した前記像担持体上に静電潜像を形成する露光工程と、
前記静電潜像を可視化して可視像を形成する現像工程と、
をトナーの色ごとに複数回連続して繰返し、前記像担持体上に複数色のトナー像を重ね合せ形成した後に転写手段により上記複数色のトナー像を一括して記録媒体に転写し、定着工程を経て記録媒体上に画像を形成する画像形成装置において、
前記現像工程が請求項2又は3記載の現像装置により行われることを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
像担持体に非接触状態で対向して設けられる現像剤担持体において、
絶縁性の表層を有し、且つ該絶縁層中に該絶縁層の厚みとほぼ同じ粒径の導電粒子を含有させたことを特徴とする現像剤担持体。
【請求項2】
請求項1記載の現像剤担持体を有する現像装置。
【請求項3】
請求項2記載の現像装置において、
前記現像剤担持体の前記表層の下側には、該表層に沿うように互いに絶縁された多数の電極が設けられ、
前記現像剤担持体の表面に担持されている所定極性に帯電したトナーをホッピングさせるためのホッピング電界を発生させるホッピング電界発生手段を有し、
前記ホッピング電界発生手段は、前記多数の電極に周期的な電圧を印加することにより互いに近接する電極間の電界の向きが周期的に反転するように、前記ホッピング電界を発生させるものであり、
前記現像剤担持体の表面に担持されているトナーを前記像担持体と対向する現像領域へ搬送して該像担持体上の潜像にトナーを付着させることにより該潜像を現像することを特徴とする現像装置。
【請求項4】
像担持体を均一に帯電させる帯電工程と、
均一に帯電した前記像担持体上に静電潜像を形成する露光工程と、
前記静電潜像を可視化して可視像を形成する現像工程と、
をトナーの色ごとに複数回連続して繰返し、前記像担持体上に複数色のトナー像を重ね合せ形成した後に転写手段により上記複数色のトナー像を一括して記録媒体に転写し、定着工程を経て記録媒体上に画像を形成する画像形成装置において、
前記現像工程が請求項2又は3記載の現像装置により行われることを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2010−20185(P2010−20185A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−181930(P2008−181930)
【出願日】平成20年7月11日(2008.7.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月11日(2008.7.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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