説明

現像装置および画像形成装置

【課題】現像器における端部周面シール部材の繊維が倒れて現像剤のシール性能が低下するのを防ぎ、シール性能の低下を回復する。
【解決手段】現像剤を担持する現像剤担持体52と、現像剤担持体52上の現像剤量を規制する規制部材54と、現像剤担持体52の回転軸の方向で規制部材54の両側の端部周面に摺接する端部周面シール部材55と、端部周面シール部材55が摺接するシール部から現像剤や異物を回収する回収手段59と、現像剤担持体52を現像駆動方向に対して逆方向に回転させるリフレッシュ運転の制御手段とを備え、現像剤担持体52は、少なくとも現像駆動方向に対して現像剤が内側に移動する方向の傾斜溝が現像剤担持体52の端部周面に設けられ、制御手段によりリフレッシュ運転を行い現像剤担持体52を現像駆動方向に対して逆方向に回転させて回収手段59でシール部から現像剤や異物を回収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潜像担持体の表面に形成された静電潜像を現像する現像装置および記録媒体に画像形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
潜像担持体の表面に画像データに基づく静電潜像を露光形成する電子写真記録方式の画像形成装置では、その静電潜像を現像装置により現像して記録用紙などの記録媒体に転写し画像形成する。この現像装置には、現像室に静電潜像を現像するための現像剤を担持する現像剤担持体を潜像担持体に対向配置し、その現像剤担持体の周囲に沿って現像剤を供給する現像剤供給部材と、現像剤担持体に供給された現像剤層を一定の層厚に規制する規制部材などが配置されている。そして、現像剤担持体の周面両端部には、規制部材によって現像剤担持体上の現像剤が規制され均されるときに、端部側へ押されていく現像剤が外部へ飛散しないように端部周面シール部材が設けられている。
【0003】
この端部周面シール部材は、いつも同じ部位が現像ローラの周面と摩擦接触すると、接触部位が擦り切れて溝状に磨り減り、或いは集中的に変形して溝状に窪み、シール機能が低下する。そこで、先端側を自由端とすることにより、現像ローラの両端周面に摩擦当接する部位の変化により端部周面シール部材の同じ部位だけが摩擦で磨り減って溝状に変形してしまうことを回避する提案がなされている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−270942号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の装置では、金属製の現像ローラの無垢面が端部周面シール部材に圧接するため、シール効果を長時間維持できないという問題がある。すなわち、例えば圧縮されたテフロン繊維を端部周面シール部材として用いると、初期の段階では、起毛して鏡面の金属ローラと接触しているため、現像剤の侵入を防止でき、所望のシール性能が確保できる。ところが、使用と共に端部周面シール部材が鏡面の金属ローラと摺擦することで起毛していたテフロン繊維がヘタリ(倒れ)現像剤のシール性能が著しく低下してしまう。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するものであって、端部周面シール部材の繊維が倒れて現像剤のシール性能が低下するのを防ぎ、繊維が倒れた端部周面シール部材のシール性能を高め、シール性能の低下を回復できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る現像装置および画像形成装置は、現像剤を担持する現像剤担持体と、前記現像剤担持体上の現像剤量を規制する規制部材と、前記現像剤担持体の回転軸の方向で前記規制部材の両側の端部周面に摺接する端部周面シール部材と、前記端部周面シール部材が摺接するシール部から現像剤や異物を回収する回収手段と、前記現像剤担持体を現像駆動方向に対して逆方向に回転させるリフレッシュ運転の制御手段とを備え、前記現像剤担持体は、少なくとも前記現像駆動方向に対して現像剤が内側に移動する方向の傾斜溝が前記現像剤担持体の端部周面に設けられ、制御手段により前記リフレッシュ運転を行い前記現像剤担持体を現像駆動方向に対して逆方向に回転させて前記回収手段で前記シール部から現像剤や異物を回収することを特徴とする。
【0007】
また、前記傾斜溝は、端部周面シール部材の外側まで形成され、前記回収手段は、前記外側まで形成された傾斜溝から現像剤や異物を回収し、前記傾斜溝は、周方向に外側で連
通する縦溝を有し、前記縦溝は、前記傾斜溝より深く、前記傾斜溝は、前記現像剤担持体の回転軸の方向の内側より外側の断面積が大きくなるように形成され、前記傾斜溝は、現像駆動方向に対して前方の立ち下がり角が後方の立ち下がり角より大きく、前記傾斜溝は、転造加工され現像駆動方向に対して前方の立ち下がり部にバリが形成されてい。
【0008】
本発明によれば、端部周面シール部材が摺接する現像剤担持体の端部周面の傾斜溝が現像剤を内側に移動させる傾斜を持っているので、シール部に侵入した現像剤等が画像領域側(内部)に戻され、外部に飛散するのを防ぐことができる。現像剤担持体を逆方向に駆動することで、傾斜溝のエッジでシール部材を起毛してリフレッシュするので、シール性能を向上させることができる。また傾斜溝の形状が現像駆動方向の前方で立ち下がる谷角を後方で立ち下がる谷角より大きくし、前方で立ち下がるエッジにバリを設けることで、シール部材を起毛してリフレッシュ効果を高めることができる。同時に、シール部材に付着した現像剤や異物を掻き落としクリーニングすることができる。シール部の領域より広く外側まで傾斜溝を設けることで、傾斜溝に回収した現像剤や異物を外部に排出することができる。したがって、異物が画像領域(印字部)に逆に侵入することで発生する印字不良を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る現像装置の実施形態を示す図である。
【図2】現像剤担持体の端部周面の傾斜溝の実施例および傾斜溝の縁に形成されるバリを説明する図である。
【図3】現像剤担持体の端部周面の傾斜溝の他の実施例を示す図である。
【図4】傾斜溝の幅が変化する傾斜溝形状の他の実施例を示す図である。
【図5】傾斜溝の深さが変化する傾斜溝形状の他の実施例を示す図である。
【図6】転造装置の概要を説明する図である。
【図7】端部周面シール部材のリフレッシュ運転の制御を説明する図である。
【図8】本発明の現像装置を備えた画像形成装置の実施形態を示す図である。
【図9】図7のイエロー画像形成ステーションを拡大した図である。
【図10】図7の画像形成装置に搭載された現像ユニットの1実施例を示す図である。
【図11】現像ユニットの他の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。図1は本発明に係る現像装置の実施形態を説明する図であり、図1(A)は上面図、図1(B)正面斜視図、図1(C)は正面図、図1(D)はA−A断面図である。図中、52は現像剤担持体(現像ローラー)、52bは傾斜溝、53は現像剤供給部材、54は規制部材(規制ブレード)、55は端部周面シール部材、59は回収ボックスを示す。
【0011】
本実施形態の現像装置50は、図1に示すように現像剤(トナー)を担持する現像剤担持体52と、現像剤担持体52に現像剤を供給する現像剤供給部材53と、現像剤担持体52上の現像剤量、層厚を規制する規制部材54と、現像剤担持体52の端部周面に摺接して現像剤をシールする端部周面シール部材55と、それらの外側に端部周面シール部材55が摺接する現像剤担持体52の両端部から現像剤や異物を回収する回収ボックス59とを備える。画像形成装置では、この現像装置を搭載して後述するように潜像担持体(図示せず)にこの現像剤担持体52が対向配置され潜像担持体上の静電潜像が非磁性1成分ACジャンピング現像方式により現像される。
【0012】
現像剤担持体52は、金属ローラーからなる現像ローラーであり、少なくとも端部周面シール部材55が摺接する周面およびその外側まで傾斜溝52bが設けられる。傾斜溝5
2bは、現像剤担持体52の現像駆動方向に対して前方が一定の角度で外側へ傾斜し、後方が画像領域52a側へ傾斜するように形成された溝である。したがって、現像剤担持体52の右側端部に設けられた傾斜溝52bは、現像剤担持体52の左側端部に設けられた傾斜溝52bと傾斜角、形状は対称になっている。また、現像剤担持体52は、現像駆動により所定の方向に回転駆動され、リフレッシュ運転により現像駆動とは反対の方向に逆転可能に構成されている。リフレッシュ運転のタイミングは、現像剤担持体52の回転数条件、環境条件、現像剤補給条件などにより判定される。
【0013】
端部周面シール部材55は、規制部材54によって現像剤担持体52上の現像剤が規制され均されるときに、端部側へ押されていく現像剤が外部へ飛散しないようにシールするものである。そのため、端部周面シール部材55は、規制部材54の両外側に接し、現像剤担持体52の回転軸52cの方向の両端部周面に設けられる。また、回収ボックス59は、端部周面シール部材55の外側で、端部周面シール部材55の摺接面に付着した現像剤や異物を掻き落として回収するものとしてに設けられる。
【0014】
端部周面シール部材55には、例えば太さ20μmのテフロン繊維を圧縮したシール材とし、弾性を持たせて現像剤担持体52に圧接させる。このようなシール部材としては、羊毛、兎毛、レーヨン、ポリエステル、四フッ化エチレン(フッ素繊維)、パラ系アラミド、メタ系アラミド、ナイロン、アクリル、ポリプロピレンなどの材料がある。太さは1、2、6、10、30デニールの糸繊度、8〜61μmの糸直径の繊維が用いられる。また、織り方は、パイル織り、静電植毛、フェルトなどのものである。
【0015】
端部周面シール部材55は、繊維が起毛して金属ローラからなる現像剤担持体52に圧接して摺接することにより、その摺接面に現像剤が侵入してくるのを防止し、さらにその外側に現像剤が飛散するのを防止している。しかし、現像剤担持体52として鏡面の金属ローラの周面に端部周面シール部材55が圧接していると、端部周面シール部材55の起毛されている繊維は、現像剤担持体52の停止時だけでなく現像駆動時も押し倒されたままになる。そのため、起毛されていた繊維が徐々にヘタリを生じて起毛力を失いシール性能が低下してくる。そこで、本実施形態の現像装置では、端部周面シール部材55の摺接する現像剤担持体52の周面に傾斜溝52bを設けることにより、起毛力を回復させ持続させてシール性能を高め、シール部材の長寿命化を実現している。
【0016】
すなわち、傾斜溝52bは、現像剤担持体52の現像駆動方向に対して一定の角度で傾斜して形成されているため、現像剤担持体52が現像駆動されると、端部周面シール部材55は、周期的に傾斜溝52bの上を通過する。端部周面シール部材55は、傾斜溝52bの上を通過するたびに、鏡面の金属ローラの周面との圧接から繰り返し周期的に開放される。このことにより、現像剤担持体52に摺接して倒れていた端部周面シール部材55の繊維は、周期的に繰り返し傾斜溝52bの上で起毛して起毛力を回復し、繊維の倒れ(ヘタリ)の進行を遅れさせることができる。したがって、シール性能を高めてその低下を防止し寿命を延ばすことができる。
【0017】
さらに、傾斜溝52bは、現像剤担持体52の現像駆動方向に対して一定の角度αで内側(画像領域52a側)へ傾斜して形成されている。そのため、現像剤担持体52が現像駆動されているとき、現像剤が端部周面シール部材55の摺接面に侵入してきても、傾斜溝52bにおいて画像領域52a側へ分力が作用するので、現像剤が外部へ飛散するのを防ぐことができる。また、現像剤担持体52は、逆転可能に構成され、リフレッシュ運転により現像駆動方向と逆の方向に駆動される。長時間の使用に伴い徐々に繊維が倒れて起毛力が回復しにくくなってきたとき、現像剤担持体52を逆転させてリフレッシュ運転を行う。リフレッシュ運転の制御では、現像剤担持体52を現像駆動方向とは逆方向に駆動して一定時間逆転させ、さらには小刻みに正転と逆転とを繰り返す駆動を行ったり、間欠
駆動を行う。
【0018】
このことにより、端部周面シール部材55の繊維は、傾斜溝52bの後端の縁(立ち下がり上端部)で現像駆動により倒された方向とは逆方向に起毛される。しかも、端部周面シール部材55は、傾斜溝52bの上を通過する際に、圧接状態が開放されるので、より効果的に繊維の起毛を行うことができる。さらに、端部周面シール部材55の摺接面に劣化した現像剤や異物が侵入し付着しても、これらは、現像剤担持体52を逆転させることにより、剥離させクリーニングし外部に排出させ回収することができる。
【0019】
端部周面シール部材55の摺接面に付着した現像剤や異物は、現像剤担持体52を逆方向に回転させると、まず、傾斜溝52bの後端の縁(立ち下がり上端部)で掻き落とされる。このとき同時に、端部周面シール部材55の倒れた繊維が起毛される。さらに、現像剤担持体52が逆方向に駆動された場合、傾斜溝52bは、現像駆動時とは逆に外側に傾斜するので、傾斜溝52bに掻き落とされた現像剤や異物には、外側に分力が作用する。したがって、リフレッシュ(クリーニング)運転として、現像剤担持体52を逆方向に回転させることにより、異物を傾斜溝52bから排出して端部周面シール部材55をクリーニングすると共に、起毛してリフレッシュすることができる。本実施形態によれば、摺接面に付着した現像剤や異物を掻き落とし回収するクリーニング効果に着目すれば、端部周面シール部材55は、繊維を起毛させて摺接するものでなくてもよい。
【0020】
現像剤の流動性は、新しい現像剤の状態から少なくとも一度ニップを通過すると、急激に低下するが、その後ニップ通過回数が増加してもニップ通過現像剤の流動性の低下は小さい。これは、少なくとも一度ニップを通過する際に現像剤に加えられる機械的ストレスによって、現像剤母粒子に外添された疎水性シリカ等の外添剤が、現像剤母粒子に埋め込まれることや現像剤の破砕により小粒径現像剤が増大することによる。
【0021】
流動性の低下した現像剤が相互に凝集すると凝集塊が発生し、出力画像の劣化の原因となる。また、小粒径現像剤は、その帯電量が過剰に大きくなり易く、さらに、潜像担持体への鏡像力が強く働くため、非画像部への付着(カブリや規制通過モレ)として観察される。このように、現像剤の流動性が低下すると、現像装置内での現像剤の摩擦帯電が不充分となり、所望の帯電極性とは逆極性の現像剤が生じる。この逆極性の現像剤は、やはり、画像のカブリとして観察される。
【0022】
このように新しい現像剤は、流動性が高いので、特に現像剤カートリッジの交換などで新しい現像剤が補給されたときには、シール性能を高めることが必要になる。したがって、上記のように新しい現像剤が補給されたとき端部周面シール部材55のリフレッシュ運転を行うことは、外部への現像剤の飛散を防止するためには有効である。リフレッシュ運転は、それだけでなく、さらに、端部周面シール部材55に付着した現像剤(劣化した現像剤)や異物のクリーニングを行い、回収ボックス59に回収することもできる。
【0023】
図2は現像剤担持体の端部周面の傾斜溝の実施例および傾斜溝の縁に形成されるバリを説明する図、図3は現像剤担持体の端部周面の傾斜溝の他の実施例を示す図、図4は傾斜溝の幅が変化する傾斜溝形状の他の実施例を示す図、図5は傾斜溝の深さが変化する傾斜溝形状の他の実施例を示す図、図6は転造装置の概要を説明する図であり、52は現像剤担持体、52aは画像領域、52a1は周面部、52a2はバリ、52bは傾斜溝、52b1は後方壁部、52b2は前方壁部、52b3は回収縦溝、52cは回転軸、59は回収ボックス、59aは掻き落とし部材、αは傾斜角、θ1 、θ2 は谷角、w1は拡張領域を示す。
【0024】
傾斜溝52bの領域は、例えば図2(A)に示すように端部周面シール部材55の領域
より拡張領域w1の分だけ広く、端部周面シール部材55の摺接面より軸方向外側の領域まで設けられている。傾斜溝52bは、現像剤担持体52の現像駆動方向に対して前方が一定の角度αで外側へ傾斜し、後方が画像領域52a側(内側)へ傾斜している。そのため、現像剤は、現像剤担持体52の現像駆動時に端部周面シール部材55の摺接面に侵入しても傾斜溝52bにおいて内側へ移動させる方向の分力が作用する。したがって、現像剤が外部へ飛散するのを防ぐことができる。なお、傾斜溝52bは、例えば1本の螺旋状溝で形成してもよいし、正負の2本の螺旋状溝で形成してもよい。
【0025】
そして、リフレッシュ運転の制御として、現像剤担持体52を現像駆動方向とは逆方向に駆動すると、端部周面シール部材55の摺接面に侵入し付着していた現像剤や異物は、傾斜溝52bの前方壁部52b2が後端となるその縁(立ち下がり部)で掻き落とされる。このとき同時に、前方壁部52b2の縁で端部周面シール部材55の倒れた繊維が起毛される。さらに、傾斜溝52bは、後方が現像駆動時とは逆に軸方向外側に角度αだけ傾斜するので、傾斜溝52bに掻き落とされた現像剤や異物には、外側に移動させる分力が作用する。したがって、現像剤や異物は、傾斜溝52bから排出され、回収ボックス59に回収される。
【0026】
リフレッシュ運転による端部周面シール部材55に付着した現像剤や異物の掻き落とし、繊維の起毛を、より確実に行うための傾斜溝52bの実施形態を図2(B)に示している。傾斜溝52bは、図2(B)に示すように前方と後方で異なる立ち下がり角(谷角)にしている。現像剤担持体52の現像駆動方向に対して後方壁部52b1の谷角θ1 に対し、前方壁部52b2の谷角θ2 は、大きくなっている。これら谷角θ1 、θ2 は、図2(B)に示すように周面部52a1から立ち下がる傾斜溝52bの角度である。前方壁部52b2は、現像剤担持体52を現像駆動方向とは逆方向に駆動すると、傾斜溝52bの後端の縁になる。したがって、ここの谷角θ2 を大きくすると、端部周面シール部材55の摺接面に侵入し付着していた現像剤や異物の掻き落とし効果、繊維の起毛効果を高めることができる。さらに、現像駆動方向の後方を向く2辺の立ち下がり部(後端の縁)に周面部52cの面に沿って鍔状に延びるバリ52a2を設けている。バリ52a2は、現像剤担持体52を現像駆動方向に対して逆方向に回転させたとき、倒れている端部周面シール部材55の繊維を起毛させ作用を高めることができる。
【0027】
現像剤担持体52の端部をシールして端部から現像剤が外部に飛散するのを防ぐ場合、現像剤担持体52の端部周面は、鏡面にすることにより現像剤の侵入を防ぐのが従来の構成であった。現像剤担持体52の端部周面を鏡面ではなく溝を設けることは、シール性能を劣化させると考えられるのが一般的である。しかし、本実施形態では、現像剤担持体52の端部周面に傾斜溝52bを敢えて設けることにより、シール性能の低下を防ぎ、リフレッシュによるシールの長寿命化、シール部に侵入し付着した異物の除去を可能にしている。そのため、シール部に侵入した現像剤や異物に対し、現像駆動時は画像領域52a側に、リフレッシュ運転による反転駆動時は外側に分力が作用する角度の傾斜溝52bを設け、シール部材の起毛と異物等の掻き落とし効果を持たせている。さらに本実施形態のように、バリを設けたり大きい谷角にすると、より高いシール部材の起毛と異物等の掻き落とし効果を実現できる。
【0028】
さらに、端部周面シール部材55の摺接面に侵入し付着した現像剤や異物の回収を円滑に行うための実施例を説明する。図3に示す実施例は、現像剤担持体52の傾斜溝52bの外側を連結する周方向に縦溝52b3を設け、傾斜溝52bから排出された現像剤や異物を円滑に回収できるようにしている。異物等の回収では、傾斜溝52bの深さより縦溝52b3を深くすると、より円滑に縦溝52b3へ移動させることができる。掻き落とし部材59aは、リフレッシュ運転により、端部周面シール部材55から掻き落とした現像剤や異物を傾斜溝52bの外側に排出させ縦溝52b3にまとめて回収ボックス59に掻
き落とすものである。また、縦溝52b3は、端部周面シール部材55の摺接面に設けるようにしてもよい。
【0029】
傾斜溝52bの深さは、画像領域にも傾斜溝が設けられている場合、画像領域の傾斜溝の深さより深くすることで、シール部に侵入した現像剤が固着しにくくなりシール性能の低下を低減できる。また、シール部材の繊維太さより深くする、例えば1.5倍以上にすることで、リフレッシュ運転により逆転したときの繊維の起毛が確実になりリフレッシュ効果を高めることができる。また、傾斜溝52bの底部の幅をシール部材の繊維太さより広くすることで、繊維が確実に溝部に入り込み繊維の起毛が確実になりリフレッシュ効果を高めることができる。
【0030】
また、傾斜溝52bの形状として、図4に示すように外側へ向けて幅が広がるように変化する形状にしたり、図5に示すように外側へ向けて深さが深くなるように変化する形状にしてもよい。傾斜溝52bの形状としてこのようにして外側の断面積を大きくすると、端部周面シール部材55から掻き落とされた現像剤や異物は、傾斜溝52bの形状の幅の広がりや形状の深さの深まりにより傾斜溝52bの外側への移動がしやすくなる。したがって、その外側で異物等が円滑に回収ボックス59へ回収される。
【0031】
図6は転造装置の概要を説明する図であり、52は現像剤担持体、200は転造装置、201、202は転造ダイス、203はガイド部材を示す。本実施形態に係る現像剤担持体52の傾斜溝52bは、例えば転造加工やブラスト加工、切削加工により形成することができる。転造加工に用いる転造装置の概要を示したのが図6である。この転造装置200は、現像剤担持体52に傾斜角α1 の第1傾斜溝52b1を形成するための軸方向及び周方向に傾斜した傾斜刃を有する第1の転造ダイス201と、現像剤担持体52に傾斜角α2 の第2傾斜溝52b2を形成するため軸方向及び周方向に傾斜した傾斜刃を有する第2の転造ダイス202と、第1の転造ダイス201と第2の転造ダイス202の下部に配置されたガイド部材203を備えている。
【0032】
転造装置200は、対向する位置に配置され矢印のように時計方向に回転している第1の転造ダイス201及び第2の転造ダイス202とガイド部材203との間に、ワーク(ここでは、未加工の現像剤担持体52)を搬送し転造加工する。転造加工時、第1の転造ダイス201と第2の転造ダイス202をワークに押圧し加工圧を付与する。ワークは、第1の転造ダイス201、第2の転造ダイス202の回転方向と逆の反時計方向に回転させて転造加工する。第1の転造ダイス201と第2の転造ダイス202を反時計方向に回転し、ワークを時計方向に回転して転造加工しても良い。ここで第1の転造ダイス201又は第2の転造ダイス202のいずれか一方に刃無し転造ダイスを使用して転造加工することにより、例えば図2に示した傾斜溝52bが形成される。また、双方に傾斜刃を有する転造ダイスを使用して転造加工することにより、交差する傾斜角α1 、α2 の2通りの傾斜溝52bを有する載頭4角錐台形状の凸部が形成される。
【0033】
載頭4角錐台形状の凸部の形状は、傾斜角α1 、α2 が45°でかつそれらのピッチが互いに同じに設定された場合には正方形状を呈し、傾斜角α1 、α2 が45°以外の角度でかつそれらのピッチが互いに同じに設定された場合には菱形状を呈する。また、4角形の凸部の形状は、傾斜角α1 、α2 が45°でかつそれらのピッチが互いに異なるように設定された場合には長方形状を呈し、傾斜角α1 、α2 が45°以外の角度でかつそれらのピッチが互いに異なるように設定された場合には平行四辺形状を呈する。
【0034】
転造加工において、第1の転造ダイス201の第1傾斜刃と第2の転造ダイス202の第2傾斜刃は、ワークを積極的に切削するものではなく、押圧力によりワークを押し潰して窪みを形成するように作用するものである。そのため、転造加工後に形成される第1傾
斜溝52b1と第2傾斜溝52b2に囲まれた載頭4角錐台形状の凸部の稜部には盛り上がり部が形成される。ワークの転造加工時の回転方向の下流側(回転方向の後方側)に位置する2辺の稜部に形成される盛り上がり部は、ガイド部材203により押し潰されて、稜部から外側(凸部の稜線からワークの転造加工時の回転方向の下流側の溝部側)に突き出したバリ52a2が形成される。盛り上がり部は、回転方向の上流側(回転方向の前方側)の稜部にも形成されるが、上流側の盛り上がり部は、凸部の上面で押し潰されるので、稜部の外側に突き出すことはない。
【0035】
次に、端部周面シール部材55のリフレッシュ運転の制御について説明する。図7は端部周面シール部材のリフレッシュ運転の制御を説明する図である。本実施形態の端部周面シール部材55のリフレッシュ運転の制御は、図7に示すようにまず、リフレッシュ運転を行うタイミングを判定するための計測情報、例えば現像剤担持体の回転数を格納するメモリを初期化する(ステップS11)。
【0036】
しかる後、現像剤担持体52の回転数を計測し(ステップS12)、そのときの外気温度を計測し(ステップS13)、さらに湿度を計測する(ステップS14)。例えば気温の高い時や湿度の高い時は、これらが低い時と比較すると、端部周面シール部材55のシール性能の低下が進みやすい。そこで、これらの環境条件による環境係数を選択し(ステップS15)、計測した現像剤担持体52の回転数をこの環境係数で補正する(ステップS16)。そして、この補正した回転数をリフレッシュ運転を行うタイミングを判定するための計測情報として積算し(ステップS17)、積算値が所定値Nに達したか否かを判定する(ステップS18)。現像剤担持体52の回転数の積算に代えて、現像駆動時間を積算してもよい。
【0037】
ステップS18でまだ積算値が所定値Nに達していないと判定された場合には、新しい現像剤に交換されたか否かを判定して(ステップS19)、カートリッジの交換など新しい現像剤との交換がされていなければステップS12に戻り同様の処理を繰り返し行う。しかし、ステップS18で積算値が所定値Nに達したと判定された場合やステップS19で新しい現像剤に交換されたと判定された場合には、現像剤担持体52を逆転させてリフレッシュ運転を行い(ステップS20)、メモリをリセットした後(ステップS21)、ステップS12に戻り同様の処理を繰り返し行う。
【0038】
以上のようにリフレッシュ運転のタイミングは、現像剤担持体52の回転数や温度(外気温)、湿度など現像剤担持体52の回転数条件、環境条件、現像剤補給条件などにより判定される。リフレッシュ運転のタイミングは、基本的に、端部周面シール部材55の繊維のヘタリ、現像剤の侵入、異物の付着の進行度により判定するので、例えばジョブ数、印字枚数、カートリッジの交換だけでなく、現像駆動の休止期間を判定して、休止時間が長い場合には、早めにリフレッシュ運転を行った方がよい。また、現像駆動時間と休止時間との比率により判定してもよいし、印字の連続枚数が多いときリフレッシュ運転を行うように判定してもよい。
【0039】
図8は本発明の現像装置を備えた画像形成装置の実施形態を示す図であり、図9は図8のイエロー画像形成ステーションを拡大した図である。図8に示すように、画像形成装置10は、4つの画像形成ステーション15(Y、M、C、K)、中間転写ベルト70、二次転写ユニット80を有し、さらに、定着ユニット90、ユーザへの報知手段をなし液晶パネルからなる表示ユニット95、及び、これらのユニット等を制御し画像形成装置としての動作を司る制御ユニット100を有している。
【0040】
画像形成ステーション15(Y、M、C、K)は、それぞれ、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の現像剤で画像を形成する機能を有している。
各色の現像剤の画像形成ステーション15(Y、M、C、K)の構成は同様であるので、以下、画像形成ステーション15Yについて説明する。
【0041】
画像形成ステーション15Yは、図9に示すように、潜像担持体の一例としての感光体20Yの回転方向に沿って、帯電ユニット30Y、露光ユニット40Y、現像ユニット50Y、一次転写部B1、感光体クリーニングユニット75Yを有している。
【0042】
感光体20Yは、円筒状の基材とその外周面に形成された感光層を有し、中心軸を中心に回転可能であり、本実施の形態においては、矢印で示すように時計回りに回転する。
【0043】
帯電ユニット30Yは、感光体20Yを帯電するための装置である。露光ユニット40Yは、帯電された感光体20Y上にレーザを照射することによって感光体20Y上に潜像を形成する。露光ユニット40Yは、半導体レーザ、ポリゴンミラー、F−θレンズ等を有しており、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ等の不図示のホストコンピュータから入力された画像信号に基づいて、変調されたレーザを帯電された感光体20Y上に照射する。
【0044】
現像ユニット50Yは、感光体20Y上に形成された潜像を、イエロー(Y)の現像剤を用いて現像するための装置であり、図1に示した現像装置である。現像ユニット50Yは、交換可能な後述する現像剤カートリッジから現像剤が供給される現像室51Y内に現像剤担持体としての現像剤担持体52Y、現像剤供給部材としての現像剤供給部材53Yが配置され、現像剤担持体52Yには、規制部材としての規制ブレード54Yが当接し現像剤担持体52Y上の現像剤を薄層化する。
【0045】
一次転写部B1は、感光体20Yに形成されたイエロー現像剤像を中間転写ベルト70に転写するところである。各一次転写部B1、B2、B3、B4で4色の現像剤が順次重ねて転写された場合には、中間転写ベルト70にフルカラー現像剤像が形成される。
【0046】
中間転写ベルト70は、ベルト駆動ローラー71a、従動ローラー71bに張架されたエンドレスのベルトであり、感光体20(Y、M、C、K)と当接しながら回転駆動される。
【0047】
二次転写ユニット80は、中間転写ベルト70上に形成された単色現像剤像やフルカラー現像剤像を紙、フィルム、布等の転写材に転写するための装置である。定着ユニット90は、定着ローラー90aと加圧ローラー90bにより構成され、転写材上に転写された単色現像剤像やフルカラー現像剤像を転写材に融着させて永久像とするための装置である。
【0048】
感光体クリーニングユニット75Yは、感光体20Yの表面に当接されたゴム製の感光体クリーニングブレード76Yを有し、一次転写部B1で中間転写ベルト70上に現像剤像が転写された後に、感光体20Y上に残存する現像剤を感光体クリーニングブレード76Yにより掻き落として除去するための装置である。
【0049】
次に、このように構成された画像形成装置10の動作について説明する。まず、不図示のホストコンピュータからの画像信号及び制御信号がインターフェイスを介して画像形成装置のメインコントローラーに入力されると、このメインコントローラーからの指令に基づくユニットコントローラーの制御により感光体20Y、現像ユニット50Yに備えられた現像剤担持体52Y、現像剤供給部材53Y、及び、中間転写ベルト70等が回転する。感光体20Yは、回転しながら、帯電位置において帯電ユニット30Yにより順次帯電される。
【0050】
感光体20Yの帯電された領域は、感光体20Yの回転に伴って露光位置に至り、露光ユニット40Yによって、イエローYの画像情報に応じた潜像が該領域に形成される。感光体20Y上に形成された潜像は、感光体20Yの回転に伴って現像位置に至り、現像ユニット50Yによって現像される。これにより、感光体20Y上に現像剤像が形成される。
【0051】
感光体20Y上に形成された現像剤像は、感光体20Yの回転に伴って一次転写部B1位置に至り、一次転写ユニットによって、中間転写ベルト70に転写される。この際、一次転写ユニットには、現像剤の帯電極性とは逆の極性の一次転写電圧が印加される。この結果、各感光体20(Y、M、C、K)上に形成された4色の現像剤像は、中間転写ベルト70に重なり合って転写され、中間転写ベルト70上にはフルカラー現像剤像が形成される。
【0052】
中間転写ベルト70は、モータ等のベルト駆動手段からの駆動力がベルト駆動ローラー71aを介して伝達されることによって駆動される。中間転写ベルト70上に形成されたフルカラー現像剤像は、二次転写ユニット80によって紙等の転写材に転写される。このような転写材は、給紙トレイから、給紙ローラー94a、レジストローラー94bを介して二次転写ユニット80へ搬送される。
【0053】
転写材に転写されたフルカラー液体現像剤像は、定着ユニット90によって加熱加圧されて転写材に融着される。定着ユニット90の通過後、排紙ローラー94cにより排紙される。
【0054】
一方、感光体20(Y、M、C、K)は一次転写部B1、B2、B3、B4位置を経過した後に、除電ユニット(図示せず)によって除電され、さらに、感光体クリーニングユニット75(Y、M、C、K)に支持された感光体クリーニングブレード76(Y、M、C、K)によって、その表面に付着している現像剤が掻き落とされ、次の潜像を形成するための帯電に備える。掻き落とされた現像剤は、感光体クリーニングユニット75(Y、M、C、K)が備える残存現像剤回収部に回収される。
【0055】
二次転写後の中間転写ベルト70の従動ローラー71b側に中間転写ベルトクリーニング装置(図示せず)が設置され、二次転写後の中間転写ベルト70をクリーニングする。なお、中間転写ベルトを用いた中間転写方式の実施例に基づいて説明してきたが、直接転写式の画像形成装置であっても良い。
【0056】
図10は図8に示す画像形成装置に搭載された現像ユニットの1実施例を示す図、図11は現像ユニットの他の実施例を示す図である。これらの現像ユニット50Yにおいては、画像の画占率が低い等の理由により長時間の現像駆動が行われた後に現像室51Y内の現像剤量がエンド状態を迎えた場合、現像剤カートリッジ56Yを交換し、新品現像剤を現像室51Y内に供給し現像を開始すると画像の劣化が発生する。これは、現像室51Y内の残留現像剤が劣化し、劣化した残留現像剤と新品現像剤が混合されて現像に用いられることにより発生する。
【0057】
現像剤の劣化としては、例えば、現像剤に外添された疎水性シリカ等の外添剤が、現像剤に加えられる機械的ストレスにより次第に現像剤に埋め込まれたりすることによる現像剤の流動性の低下、現像剤の破砕による小粒径現像剤の増大、あるいは、現像時の現像剤の帯電量が現像剤の粒子径に比例するため、現像剤の粒子径により選択的に現像が行われることによる現像装置内への小粒径現像剤の蓄積、さらに、それらの小粒径現像剤による流動性の低下、流動性の低下した現像剤が相互に凝集することによる凝集塊の発生などで
あり、これらは、画像の劣化の原因となる。
【0058】
小粒径現像剤は、その帯電量が過剰に大きくなり易く、さらに、潜像担持体への鏡像力が強く働く。そのため、画像においては、非画像部への付着(いわゆる、画像のカブリ)として観察される。また、小粒径現像剤は飛散し易く、現像装置の開口部等から飛散し、画像形成装置の内部汚染を引き起こす。
【0059】
また、現像剤の流動性が低下すると、現像装置内での現像剤の摩擦帯電が不充分となり、所望の帯電極性とは逆極性の現像剤が生じる。この逆極性の現像剤は、やはり、画像のカブリとして観察される。また、劣化して帯電不足となった現像剤は現像担持体上に担持されにくくなる。そのため、現像装置の規制ブレードやシール部等の開口部からの規制通過モレとなり、現像ユニット交換時にユーザーの手を汚したり、画像形成装置の内部汚染を引き起こす。
【0060】
また、流動性の低下した現像剤やそれらの凝集塊は、現像担持体52Yと規制ブレード54Yの接触部を円滑に通過することができないため、その帯電が不足して、画像のカブリを生じさせたりする。さらに、凝集塊は、現像担持体52Yと規制ブレード54Yの接触部における機械的力及び摩擦熱により、現像担持体52Yあるいは規制ブレード54Yの表面に現像剤が融着(いわゆる、フィルミング)したり、凝集塊が極端に大きな場合には、そのまま接触部に詰まってしまう。その結果、フィルミング等が発生した接触部では、現像担持体52Y上に現像剤層が形成されず、そこに対応する画像は白いスジ(画像抜け)として観察される。
【0061】
現像ユニット50Yは、交換可能な現像剤カートリッジ56Yと、現像剤カートリッジ56Yと現像室51Yを結ぶ第1搬送路57Yと、現像室51Yと現像剤カートリッジ56Yを結ぶ第2搬送路58Yを備えている。図10に示される現像ユニット50Yは、第1搬送路57Yと第2搬送路58Yは、それぞれ1つであるが、図11に示される現像ユニット50Yは、第1搬送路57Yを現像室51Yの中央に連結し、第2搬送路58Yを現像室51Yの両端に連結し、第2の搬送路58Yを2つとしている。
【0062】
第1搬送路57Yの一端は、現像室51Yの重力方向の上方に連結され、現像剤カートリッジ56Yから現像剤を現像室51Yに搬送する。現像剤カートリッジ56Yから第1搬送路57Yを経た新品現像剤の現像室51Yへの供給は、現像剤カートリッジ56Yに内蔵されたスクリューコンベア等の第1搬送手段(図示せず)の駆動により実施される。第1搬送手段の駆動はオン・オフ制御される。
【0063】
第2搬送路58Yの一端は、現像室51Yの重力方向の下方に連結され、現像室51Yから劣化現像剤を現像剤カートリッジ56Yに搬送する。現像室51Yの下方から現像剤カートリッジ56Yへの現像剤の搬送は、現像室51Yの底部に配置したスクリューコンベア等の第2搬送手段( 図示せず) の駆動により実施される。第2搬送手段の駆動は、第1搬送手段の駆動と別駆動でオン・オフ制御される。
【0064】
これらの実施例では、第1搬送路57Yの第1搬送手段を駆動し、現像剤を現像室51Yに供給し、現像室51Yの底部に配置した第2搬送路58Yの第2搬送手段を駆動し、現像室51Y 内の現像剤を現像剤カートリッジ56Yに搬送する現像剤循環を実施する。現像室51Yに設置した圧電素子等の現像剤エンドセンサ(図示せず)からの現像剤エンドの信号が有効になるか、または、現像剤の劣化度を検知するセンサ等の現像剤劣化検出手段からの信号が所定値に達すると、現像剤カートリッジ56Yの交換のタイミングとなる。
【0065】
現像室51Y内の現像剤供給部材53Yは、軟質の弾性多孔体からなり、現像剤供給部材53Yの材質としては、ポリウレタン発泡体またはシリコーン発泡体が用いられている。現像剤供給部材53Yには、硬度が低くて現像剤に対するストレスが低く、圧縮永久歪みが小さく、かつ表面の耐摩耗性が高いといった物性が要求されるため、これらの物性を併有する前述のポリウレタン発泡体の採用が殊に好適である。
【0066】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば上記実施形態では、4色の現像剤で画像を形成するフルカラーの画像形成装置で説明したが、白黒やモノカラーの画像形成装置であっても同様に適用可能である。
【符号の説明】
【0067】
10…画像形成装置、15…画像形成ステーション、20…感光体(潜像担持体)、30…帯電器、40…露光ユニット、50…現像ユニット(現像装置)、51…現像室、52…現像剤担持体(現像ローラー)、52a…画像領域、52a1…周面部、52a2…バリ、52b…傾斜溝、52b1…後方壁部、52b2…前方壁部、52b3…回収縦溝、52c…回転軸、53…現像剤供給部材(トナー供給ローラー)、54…規制ブレード、55…端部周面シール部材、56…現像剤カートリッジ、57…第1搬送路、58…第2搬送路、59…回収ボックス、59a…掻き落とし部材、70…中間転写ベルト(中間転写部材)、75…感光体クリーニングユニット(潜像担持体クリーニングユニット)、80…二次転写ユニット、90…定着ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を担持する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体上の現像剤量を規制する規制部材と、
前記現像剤担持体の回転軸の方向で前記規制部材の両側の端部周面に摺接する端部周面シール部材と、
前記端部周面シール部材が摺接するシール部から現像剤や異物を回収する回収手段と、
前記現像剤担持体を現像駆動方向に対して逆方向に回転させるリフレッシュ運転の制御手段と
を備え、前記現像剤担持体は、少なくとも前記現像駆動方向に対して現像剤が内側に移動する方向の傾斜溝が前記現像剤担持体の端部周面に設けられ、制御手段により前記リフレッシュ運転を行い前記現像剤担持体を現像駆動方向に対して逆方向に回転させて前記回収手段で前記シール部から現像剤や異物を回収することを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記傾斜溝は、端部周面シール部材の外側まで形成され、前記回収手段は、前記外側まで形成された傾斜溝から現像剤や異物を回収する請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記傾斜溝は、周方向に外側で連通する縦溝を有する請求項1乃至2のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項4】
前記縦溝は、前記傾斜溝より深い請求項3に記載の現像装置。
【請求項5】
前記傾斜溝は、前記現像剤担持体の回転軸の方向の内側より外側の断面積が大きくなるように形成されている請求項1乃至4のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項6】
前記傾斜溝は、現像駆動方向に対して前方の立ち下がり角が後方の立ち下がり角より大きい請求項1乃至4のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項7】
前記傾斜溝は、転造加工され現像駆動方向に対して前方の立ち下がり部にバリが形成されている請求項1乃至6のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1つに記載の現像装置を搭載したことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−217471(P2010−217471A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−63894(P2009−63894)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】