説明

画像処理装置および画像処理プログラム

【課題】3次元画像処理といった、複数の撮像部からそれぞれ生成される画像データを処理することのできる画像処理装置において、特定の画像処理に必要な複数の画像データをそれぞれ生成する複数の撮像部に対する各種設定を容易に行うことのできる画像処理装置を提供することである。また、そのような画像処理装置に向けられた画像処理プログラムを提供する。
【解決手段】接続される複数の撮像部をいくつかのグループに分けた上で、各グループに属する撮像部を一まとまりにして、必要な撮像条件を設定するためのユーザインターフェイスを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の撮像部を接続可能な画像処理装置およびそれに向けられた画像処理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の情報処理技術の進歩に伴って、FA(Factory Automation)分野においても、様々な画像処理技術が利用されている。たとえば、被測定物を撮像して得られた画像データに基づいて、当該被測定物上の欠陥や汚れの有無を検査したり、その大きさなどを計測したり、被測定物上の文字や図形などを認識したりする画像処理技術が広く実用化されている。このような画像処理技術は、従来の2次元(平面)画像に限られず、3次元(立体)画像を用いたものも実用化されている。
【0003】
たとえば、特開2009−58359号公報(特許文献1)には、3台以上のカメラを複数とおりに組み合わせた3次元計測と2次元計測とを合わせた処理のシーケンスを、容易に設定できるようにした画像処理装置が開示されている。
【0004】
このように、実際の製造現場などに適用される3次元画像処理においては、単一の処理装置に複数の撮像部を接続し、各撮像部によって生成される画像データに対して画像処理を行う場合が多い。典型的には、左右に配置された2つの撮像部からの画像データを用いたステレオ計測や、互いに所定距離だけ離れた位置に配置された2つの撮像部からの画像データを用いた3次元視覚システムなどが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−58359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のような3次元画像処理においては、複数の撮像部のそれぞれについて調整や設定が個別になされていた。なお、調整や設定の対象としては、明るさ、ピント、シャッタースピードなどの撮像に関する条件や、生成される画像データに対するフィルタリングの条件などが含まれる。
【0007】
3次元画像処理を高精度に行うためには、複数の撮像部によってそれぞれ生成される画像データの状態を互いにほぼ一致させるのが望ましい。そのための典型的な調整方法としては、3次元画像処理に使用する複数の画像データを互いに確認しながら、撮像条件などを決定する。
【0008】
しかしながら、従来の3次元画像処理においては、複数の撮像部を用いるにもかかわらず、2次元画像処理と同様に、各撮像部に対して個別に設定などを行っていた。
【0009】
そのため、3次元画像処理に利用する複数の画像データの状態を互いにほぼ一致させるための各種の条件(各撮像部における明るさ、ピント、シャッタースピードや、照明条件など)を適切に設定することは、熟練者でなければ、難しいという課題があった。
【0010】
そこで、この発明は、これらの問題を解決するためになされたものであり、その目的は、3次元画像処理といった、複数の撮像部からそれぞれ生成される画像データを処理することのできる画像処理装置において、特定の画像処理に必要な複数の画像データをそれぞれ生成する複数の撮像部に対する各種設定を容易に行うことのできる画像処理装置を提供することである。また、そのような画像処理装置に向けられた画像処理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明のある局面に係る画像処理装置は、各々が被測定物を撮像して画像データを生成する撮像部を複数接続可能なカメラインターフェイスと、表示部に接続され、当該表示部での表示を制御する表示制御部と、外部からの入力を受付ける入力インターフェイスと、複数の撮像部をグループ分けすることで得られるセットの組合せを複数生成するセット生成手段とを含む。ここで、各セットは、1つまたは複数の撮像部を一まとまりにしたグループである。本画像処理装置は、入力インターフェイスを介して、複数のセットの組合せのうちいずれか1つの選択を受付ける組合選択入力手段と、表示制御部に指令を与えることで、選択された組合せを構成するセットの単位で、当該セットに含まれる撮像部の各々についての撮像条件の設定/変更を受付けるための個別設定画面をそれぞれ表示部に表示する設定画面表示手段とを含む。
【0012】
好ましくは、本画像処理装置は、入力インターフェイスを介して、選択された組合せを構成するセットのうちいずれか1つの選択を受付けるセット選択入力手段と、表示制御部に指令を与えることで、選択されたセットに含まれる撮像部のそれぞれが生成する画像データを表示部に表示する画像データ表示手段とを含む。
【0013】
さらに好ましくは、セット選択入力手段は、表示制御部に指令を与えることで、セットを選択するための複数の選択受付領域を表示部に表示する手段と、組合選択入力手段による組合せの選択に応答して、複数の選択受付領域のそれぞれに対して、当該選択された組合せを構成するセットをそれぞれ割当てる手段とを含む。
【0014】
好ましくは、本画像処理装置は、複数の撮像部がそれぞれ生成する複数の画像データに対して、互いに独立して画像処理を行うための個別処理手段をさらに含む。設定画面表示手段は、複数の撮像部の別に、個別処理手段に対する設定値をそれぞれ受付ける。
【0015】
好ましくは、組合選択入力手段は、セット生成手段により生成された複数のセットの組合せを一覧表示する。
【0016】
好ましくは、本画像処理装置は、同一のセットに含まれる撮像部がそれぞれ生成する複数の画像データに対して、当該セットに対応付けて設定されている共通設定値に従って、画像処理を行うための共通処理手段をさらに含み、設定画面表示手段は、個別設定画面に加えて、共通設定値の設定/変更を受付けるための共通設定画面を表示部に表示する。
【0017】
この発明の別の局面に従えば、各々が被測定物を撮像して画像データを生成する撮像部を複数接続可能なカメラインターフェイスと、表示部に接続され、当該表示部での表示を制御する表示制御部と、外部からの入力を受付ける入力インターフェイスとを有するコンピュータで実行される画像処理プログラムを提供する。本画像処理プログラムは、コンピュータを、複数の撮像部をグループ分けすることで得られるセットの組合せを複数生成するセット生成手段として機能させる。ここで、各セットは、1つまたは複数の撮像部を一まとまりにしたグループである。本画像処理プログラムは、さらに、コンピュータを、入力インターフェイスを介して、複数のセットの組合せのうちいずれか1つの選択を受付ける組合選択入力手段と、表示制御部に指令を与えることで、選択された組合せを構成するセットの単位で、当該セットに含まれる撮像部の各々についての撮像条件の設定/変更を受付けるための個別設定画面をそれぞれ表示部に表示する設定画面表示手段として機能させる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、3次元画像処理といった、複数の撮像部からそれぞれ生成される画像データを処理することのできる画像処理装置において、特定の画像処理に必要な複数の画像データをそれぞれ生成する複数の撮像部に対する各種設定を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明の実施の形態に係る画像処理装置を含む3次元計測システム1の全体構成を示す概略図である。
【図2】この発明の実施の形態に係る画像処理装置の概略構成図である。
【図3】この発明の実施の形態に係る画像処理装置が提供する機能構造を示すブロック図である。
【図4】この発明の実施の形態に係る画像処理装置が提供する撮像条件の設定対象とするセットの組合せおよびセットを選択するためのユーザインターフェイス画面の一例を示す図である。
【図5】図4に示すユーザインターフェイス画面でのセットの割当処理を説明するための図である。
【図6】この発明の実施の形態に係る画像処理装置が提供する撮像条件の設定/変更を行うためのユーザインターフェイス画面の一例を示す図である。
【図7】この発明の実施の形態に係る画像処理装置が提供する撮像条件の設定/変更を行うためのユーザインターフェイス画面の一例を示す図である。
【図8】この発明の実施の形態に係る画像処理装置が提供する撮像条件の設定/変更を行うためのユーザインターフェイス画面の一例を示す図である。
【図9】この発明の実施の形態に係る画像処理装置が提供する撮像条件の設定対象とするセットの組合せおよびセットを選択するためのユーザインターフェイス画面の変形例を示す図である。
【図10】この発明の実施の形態に係る画像処理装置によって提供される処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
この発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0021】
<全体装置構成>
図1は、この発明の実施の形態に係る画像処理装置100を含む3次元計測システム1の全体構成を示す概略図である。
【0022】
図1を参照して、3次元計測システム1は、生産ラインなどに組み込まれ、被測定物2(以下「ワーク2」とも称す。)上の欠陥や汚れの有無を検査したり、その大きさなどを計測したり、その表面上の文字や図形などを認識したりする。以下では、ワーク2の撮像、およびその撮像によって得られた画像データを処理して何らかの結果を得ることを「計測処理」または「計測」とも総称する。
【0023】
一例として、図1においては、本実施の形態に係る3次元計測システム1を用いて、生産ライン上の自動車(または、その半製品)を計測する場合の構成を示す。
【0024】
図1に示す3次元計測システム1においては、生産ラインに沿って搬送される製造中の自動車(ワーク2)の上側に一対の撮像部8aおよび8bが配置されており、これらの撮像部8aおよび8bが自動車のボンネット周辺を撮像することで、その塗装面のキズなどを検査する。また、ワーク2の紙面右側に一対の撮像部8cおよび8dが配置されており、これらの撮像部8cおよび8dが自動車の側面を撮像することで、その塗装面のキズなどを検査する。
【0025】
このように、本実施の形態に係る3次元計測システム1は、複数の撮像部8a,8b,8c,8d(以下「撮像部8」とも総称する。)によってそれぞれ生成される画像データに対する計測処理が可能となっている。なお、図1には、最大で4つの撮像部8が画像処理装置100に接続可能である例を示すが、画像処理装置100に接続される撮像部8の数は、任意に決定することができる。
【0026】
すなわち、3次元計測システム1は、画像処理装置100を含み、この画像処理装置100に対して複数の撮像部8が接続可能になっている。撮像部8の各々は、被測定物(ワーク2)を撮像して画像データを生成する。これらの画像データは、画像処理装置100へそれぞれ独立に伝送される。そして、画像処理装置100は、各画像データに対して以下に示すような計測処理を行う。
【0027】
なお、3次元計測システム1は、それぞれの撮像部8の被写界に含まれるワーク2に対して光を照射する照明機構を含んでいてもよい。また、それぞれの撮像部8の撮像タイミングは、図示しないセンサなどによって制御される場合もある。この場合には、生産ラインを制御する図示しないPLC(Programmable Logic Controller)などと連携して、それぞれの撮像部8の撮像タイミングを示すトリガ信号が生成される場合もある。
【0028】
画像処理装置100は、ディスプレイ102などの表示部と、マウス104やキーボードなどの入力部と接続される。なお、画像処理装置100に対して各種入力を行うためのデバイスとして、入力部に代えて、あるいは、それに加えて、専用の操作装置(コンソール)を接続可能に構成してもよい。
【0029】
撮像部8の各々は、被写界にある被測定物を撮像して画像データを生成する。一例として、撮像部8は、レンズなどの光学系に加えて、CCD(Coupled Charged Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサといった、複数の画素に区画された撮像素子を含む。
【0030】
画像処理装置100は、典型的には、汎用的なアーキテクチャを有しているコンピュータを基本構造としており、予めインストールされたプログラムを実行することで、後述するような各種機能を提供する。このような汎用的なコンピュータを利用する場合には、本実施の形態に係る機能を提供するためのアプリケーションに加えて、コンピュータの基本的な機能を提供するためのOS(Operating System)がインストールされていてもよい。この場合には、本実施の形態に係るプログラムは、OSの一部として提供されるプログラムモジュールのうち、必要なモジュールを所定の順序および/またはタイミングで呼出して処理を実行するものであってもよい。すなわち、本実施の形態に係るプログラム自体は、上記のようなモジュールを含んでおらず、OSと協働して処理が実行される場合もある。したがって、本実施の形態に係るプログラムとしては、このような一部のモジュールを含まない形態であってもよい。
【0031】
さらに、本実施の形態に係るプログラムは、他のプログラムの一部に組み込まれて提供されるものであってもよい。その場合にも、プログラム自体には、上記のような組み合わせられる他のプログラムに含まれるモジュールを含んでおらず、当該他のプログラムと協働して処理が実行される。すなわち、本実施の形態に係るプログラムとしては、このような他のプログラムに組み込まれた形態であってもよい。
【0032】
なお、代替的に、プログラムの実行により提供される機能の一部もしくは全部を専用のハードウェア回路として実装してもよい。
【0033】
図2は、この発明の実施の形態に係る画像処理装置100の概略構成図である。図2を参照して、画像処理装置100は、演算処理部であるCPU(Central Processing Unit)110と、記憶部としてのメインメモリ112およびハードディスク114と、カメラインターフェイス116と、入力インターフェイス118と、表示コントローラ120と、PLCインターフェイス122と、通信インターフェイス124と、データリーダ/ライタ126とを含む。これらの各部は、バス128を介して、互いにデータ通信可能に接続される。
【0034】
CPU110は、ハードディスク114に格納されたプログラム(コード)をメインメモリ112に展開して、これらを所定順序で実行することで、各種の演算を実施する。メインメモリ112は、典型的には、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性の記憶装置であり、ハードディスク114から読み出されたプログラムに加えて、撮像部8によって取得された入力画像や、入力画像の処理結果を示すデータ、およびワークデータなどを保持する。また、ハードディスク114は、不揮発性の磁気記憶装置であり、CPU110で実行されるプログラムに加えて、各種設定値などが格納される。このハードディスク114にインストールされるプログラムは、後述するように、メモリカード106などに格納された状態で流通する。なお、ハードディスク114に加えて、あるいは、ハードディスク114に代えて、フラッシュメモリなどの半導体記憶装置を採用してもよい。
【0035】
カメラインターフェイス116は、コネクタ9a,9b,9c,9dをそれぞれ介して、複数の撮像部8と接続が可能であり(本実施の形態においては、最大4つ)、接続された撮像部8の各々とCPU110との間のデータ伝送を仲介する。より具体的には、カメラインターフェイス116は、最大4つの撮像部8a,8b,8c,8dからそれぞれ生成される画像データを一時的に蓄積するためのバッファ116a,116b,116c,116dを含む。カメラインターフェイス116は、バッファ116a〜116dの各々に少なくとも1コマ分の入力画像のデータが蓄積されると、その蓄積されたデータをメインメモリ112へ転送する。また、カメラインターフェイス116は、CPU110が発生した内部コマンドに従って、撮像部8に対して撮像指令を与える。
【0036】
入力インターフェイス118は、CPU110とマウス104、キーボード、タッチパネルなどの入力部との間のデータ伝送を仲介する。すなわち、入力インターフェイス118は、外部からの入力(ユーザが入力部を操作することで与えられる操作指令など)を受付ける。
【0037】
表示コントローラ120は、表示部の典型例であるディスプレイ102と接続され、ディスプレイ102での表示を制御する。すなわち、表示コントローラ120は、撮像部8により生成された画像データやCPU110による画像処理の結果などをユーザに表示する。
【0038】
PLCインターフェイス122は、CPU110と図示しないPLCとの間のデータ伝送を仲介する。より具体的には、PLCインターフェイス122は、PLCによって制御される生産ラインの状態に係る情報やワークに係る情報などをCPU110へ伝送する。
【0039】
通信インターフェイス124は、CPU110とコンソール(あるいは、パーソナルコンピュータやサーバ装置)などと間のデータ伝送を仲介する。通信インターフェイス124は、典型的には、イーサネット(登録商標)やUSB(Universal Serial Bus)などからなる。なお、後述するように、メモリカード106に格納されたプログラムを画像処理装置100にインストールする形態に代えて、通信インターフェイス124を介して、配信サーバなどからダウンロードしたプログラムを画像処理装置100にインストールしてもよい。
【0040】
データリーダ/ライタ126は、CPU110と記録媒体であるメモリカード106との間のデータ伝送を仲介する。すなわち、メモリカード106には、画像処理装置100で実行されるプログラムなどが格納された状態で流通し、データリーダ/ライタ126は、このメモリカード106からプログラムを読み出す。また、データリーダ/ライタ126は、CPU110の内部指令に応答して、撮像部8によって取得された入力画像および/または画像処理装置100における処理結果などをメモリカード106へ書き込む。なお、メモリカード106は、CF(Compact Flash)、SD(Secure Digital)などの汎用的な半導体記憶デバイスや、フレキシブルディスク(Flexible Disk)などの磁気記憶媒体や、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)などの光学記憶媒体等からなる。
【0041】
また、画像処理装置100には、必要に応じて、プリンタなどの他の出力装置が接続されてもよい。
【0042】
<概要>
本実施の形態に係る画像処理装置100は、接続される複数の撮像部8をいくつかのグループに分けた上で、各グループに属する撮像部8を一まとまりにして、必要な撮像条件を設定するためのユーザインターフェイスを提供する。後述するように、典型的な実施の形態においては、グループ分けによって、各々に1または複数の撮像部8が属する複数のセットを用意した上で、各セットの単位で、ユーザからの撮像条件の設定/変更を受付けるための個別設定画面を表示する。
【0043】
これにより、たとえば、ステレオ計測を行うために必要な一対の画像データを互いにほぼ等しい状態で取得することができる。
【0044】
<制御構造>
次に、上述の画像処理装置100における各種機能を提供するための制御構造について説明する。
【0045】
図3は、この発明の実施の形態に係る画像処理装置100が提供する機能構造を示すブロック図である。図3に示す各ブロックは、ハードディスク114に格納されたプログラム(コード)などをメインメモリ112に展開して、CPU110に実行させることで提供される。なお、図3に示すモジュールの一部もしくは全部がハードウェアに実装されているファームウェアによって提供される場合もある。あるいは、図3に示す制御構造の一部もしくは全部を専用ハードウェアおよび/または配線回路によって実現してもよい。
【0046】
図3を参照して、画像処理装置100は、その制御構造として、入力処理部211,212,213,214と、計測処理部220と、設定画面表示モジュール222と、セット生成モジュール224と、組合選択入力モジュール226と、セット選択入力モジュール228と、画像データ表示モジュール230とを含む。
【0047】
入力処理部211〜214は、それぞれ、バッファ116a〜116dと関連付けられており、対応するバッファを介して入力される画像データ1〜4に対して、それぞれ入力処理を実行する。典型的には、入力処理部211〜214は、後述する設定画面表示モジュール222からの設定値に従って、ノイズ除去やγ補正などの前処理を互いに独立して実行する。そして、入力処理部211〜214から出力された処理後の画像データは、計測処理部220へ送られる。したがって、この入力処理部211〜214は、複数の撮像部8がそれぞれ生成する複数の画像データ1〜4に対して、互いに独立して画像処理を行うための個別処理手段に相当する。
【0048】
計測処理部220は、入力処理部211〜214からそれぞれ与えられる処理後の画像データに対して、ワーク2に対する計測処理(欠陥や汚れの検査、大きさ計測、文字認識や図形認識など)に必要な画像処理を行う。この計測処理部220において実行される画像処理としては、フィルタ処理、ステレオ計測用の画像合成、階調値レベルを高めた画像を生成するためのHDR(High Dynamic Range)合成処理、サーチ処理などといった公知の処理が含まれる。
【0049】
ステレオ計測用の画像合成においては、同一のセットに指定された撮像部8からの入力画像に対して、共通の設定に係る処理が実行される。したがって、計測処理部220は、同一のセットに含まれる撮像部8がそれぞれ生成する複数の画像データに対して、当該セットに対応付けて設定されている共通設定値に従って、画像処理を行うための共通処理手段に相当する。
【0050】
セット生成モジュール224は、複数の撮像部8をグループ分けすることで得られるセットの組合せを複数生成する。すなわち、各グループ(セット)に1または複数の撮像部8が割当てられるように、複数の撮像部8を複数通りにグループ分けすることで、複数のセットの組合せを生成する。ここで、各セットは、1つまたは複数の撮像部8を一まとまりにしたグループである。
【0051】
なお、セット生成モジュール224は、セットの組合せを動的に生成してもよいが、予め固定的に決定されたセットの組合せを利用可能にしてもよい。
【0052】
後述するように、ディスプレイ102(図1)の表示領域の制約などもあるため、複数の撮像部8についてのすべての組合せではなく、その一部のみを生成してもよい。たとえば、4つの撮像部8a,8b,8c,8dのうち、3つ以下を選択すると、“撮像部8a”,“撮像部8a”,“撮像部8c”,“撮像部8a+撮像部8b”,“撮像部8a+撮像部8c”,“撮像部8a+撮像部8d”,…といった具合にセットを生成し得るが、これらのうち、相対的に使用頻度が高いと予想される組合せのみを生成してもよい。
【0053】
組合選択入力モジュール226は、セット生成モジュール224により生成された複数の組合せのうちいずれか1つの選択を受付ける。より具体的には、組合選択入力モジュール226は、図4などに示すように、セット生成モジュール224により生成された複数のセットの組合せを一覧表示するとともに、入力部などを介してユーザからの入力操作を受付ける。そして、セット生成モジュール224は、ユーザからの入力操作に従って、指定されたセットの組合せを選択する。
【0054】
セット選択入力モジュール228は、選択された組合せを構成するセットのうちいずれか1つの選択を受付ける。より具体的には、セット選択入力モジュール228は、入力部などを介してユーザからの入力操作を受付け、選択済のセットの組合せに含まれる複数のセットのうち、指定されたセットを選択する。
【0055】
より具体的には、セット選択入力モジュール228は、表示コントローラ120(図2)に指令を与えることで、セットを選択するための複数の選択受付領域(図4の符号320など)をディスプレイ102に表示する機能と、組合選択入力モジュール226による組合せの選択に応答して、当該複数の選択受付領域のそれぞれに対して、当該選択された組合せを構成するセットをそれぞれ割当てる機能とを提供する。すなわち、図4の符号320に表示される「セットA設定」,「セットB設定」,「セットC設定」,「セットD設定」のボタンと対応付けられる撮像部は、選択された組合せに含まれるセットに対応して動的に割当てられる。
【0056】
設定画面表示モジュール222は、表示コントローラ120(図2)に指令を与えることで、選択された組合せを構成するセットの単位で、当該セットに含まれる撮像部8の各々についての撮像条件の設定/変更を受付けるための個別設定画面をそれぞれディスプレイ102に表示する(図6および図7参照)。すなわち、設定画面表示モジュール222は、個別設定画面の各々に対して設定された内容を、対応する撮像部8にカメラ設定1〜4(撮像条件)として与える。このカメラ設定1〜4の各々は、各カメラの画像または画像状態を数値化した値であり、典型的には、ピント(の位置)、絞り量、照明輝度、シャッタースピード、ゲインなどを含む。撮像部8は、このカメラ設定1〜4に従って、各種の条件値が設定される。
【0057】
さらに、設定画面表示モジュール222は、複数の撮像部8の別に、入力処理部211〜214に対するそれぞれの設定値を受付ける。そして、設定画面表示モジュール222は、ユーザからの入力操作に従って、指定された設定値を入力処理部211〜214のうち対応するものへ与える。
【0058】
さらに、設定画面表示モジュール222は、個別設定画面に加えて、計測処理部220についての共通設定値の設定/変更を受付けるための共通設定画面をディスプレイ102に表示する(図6および図7参照)。
【0059】
画像データ表示モジュール230は、バッファ116a〜116dと関連付けられており、表示コントローラ120(図2)に指令を与えることで、選択されたセットに含まれる撮像部8のそれぞれが生成する画像データをディスプレイ102に表示する。すなわち、画像データ表示モジュール230は、ユーザが選択した組合せのうち、選択されたセットに含まれる撮像部8が生成する画像データを選択的に表示する。
【0060】
なお、画像データ表示モジュール230が入力処理部211,212,213,214からそれぞれ出力される処理後の画像データをディスプレイ102に表示するようにしてもよい。
【0061】
<ユーザインターフェイス>
(1.セットの組合せおよびセットについての表示/選択)
図4は、この発明の実施の形態に係る画像処理装置100が提供する撮像条件の設定対象とするセットの組合せおよびセットを選択するためのユーザインターフェイス画面300Aの一例を示す図である。図5は、図4に示すユーザインターフェイス画面300Aでのセットの割当処理を説明するための図である。
【0062】
なお、図4および後述する図6〜図9に示すユーザインターフェイス画面は、いずれも設定モードにおいて提供されるものである。そのため、設定モードにおいて設定された撮像条件に従って撮像部8が撮像を行うことで生成される画像データに対して計測処理を行うための稼動モードが別に設けられてもよい。
【0063】
図4を参照して、ユーザインターフェイス画面300は、カメラ選択ボタン302,304,306,308と、カメラセット設定ボタン310と、カメラセット選択ボタン312と、輝度一括設定ボタン314と、セット設定ボタン322,324,326,328とを含む。なお、ユーザインターフェイス画面300上には、ユーザによるマウス104(図1および図2)の操作に連動してカーソルCRSが移動表示される。
【0064】
カメラ選択ボタン302,304,306,308は、画像処理装置100に接続可能な複数の撮像部8に対して、撮像条件などを個別設定する際に、特定の撮像部を選択するために使用される。すなわち、カメラ選択ボタン302,304,306,308のいずれかが選択されると、それぞれ撮像部8a,8b,8c,8dが撮像条件の設定/変更対象とされる。
【0065】
カメラセット設定ボタン310は、複数の撮像部8を一まとまりとして扱う機能を有効化するために使用される。図4には、カメラセット設定ボタン310が選択された状態を示す。なお、カメラセット設定ボタン310が選択された場合に限って、その下段に表示されている、カメラセット選択ボタン312、輝度一括設定ボタン314、およびセット設定ボタン322,324,326,328などを有効化するようにしてもよい。
【0066】
カメラセット選択ボタン312は、画像処理装置100に接続可能な複数の撮像部8をグループ分けすることで得られるセットの組合せを選択するために使用される。このカメラセット選択ボタン312が選択されることで、セットの組合せの選択を促すポップアップ画面が表示されてもよい。
【0067】
輝度一括設定ボタン314は、いずれかのセットに含まれる撮像部8、または、接続されているすべての撮像部8に対して、輝度を設定するために使用される。この輝度一括設定ボタン314が選択されると、輝度値を設定するためのポップアップ画面が表示されてもよい。
【0068】
セット設定ボタン322,324,326,328は、後述するように、複数の撮像部8をグループ分けすることで得られるセットの組合せのうち、いずれか1つのセットの組合せが選択されると、その選択されたセットの組合せを構成するセットの各々を選択するために使用される。すなわち、「セットA設定」とのタイトルが付されたセット設定ボタン322は、選択されたセットの組合せにおいて、第1番目にグループ分けされている1または複数の撮像部8の選択に使用される。同様に、セット設定ボタン324,326,328は、選択されたセットの組合せにおいて、それぞれ第2,3,4番目にグループ分けされている1または複数の撮像部8の選択に使用される。
【0069】
なお、このセット設定ボタン322,324,326,328に対応付けられる撮像部8は、選択されたセットの組合せにおけるグループ分けに応じて、動的に決定される。この点については、後で詳述する。図4に示す例では、3つのセットのみを含むセットの組合せが選択された状態を示しており、この場合には、4番目のセットに対応するセット設定ボタン328は、選択不可能を表現するために、グレイアウトされている。
【0070】
ユーザインターフェイス画面300Aは、さらに、計測カメラ選択エリア330を含む。この計測カメラ選択エリア330内には、接続可能な撮像部8a,8b,8c,8dにそれぞれ対応付けて4つの列表示338が表示されている。一方、計測カメラ選択エリア330内には、セット生成モジュール224(図3)によって生成される複数のセットの組合せが各行に対応付けて視覚的に表わされる。より具体的には、計測カメラ選択エリア330は、5つの行表示331,332,333,334,335を含んでおり、各行表示では、対応するグループ分けが表現される。
【0071】
たとえば、行表示331は、第1番目のセットの組合せを表現している。すなわち、この第1番目のセットの組合せでは、カメラ0が第1番目のグループに属し、カメラ1が第2番目のグループに属し、カメラ2が第3番目のグループに属し、カメラ3が第4番目のグループに属する。なお、本明細書において「セット」または「グループ」との用語は、1つの撮像部のみを含むような場合も包含する概念である。
【0072】
同様に、行表示332は、第2番目のセットの組合せを表現している。この第2番目のセットの組合せでは、カメラ0およびカメラ1が第1番目のグループに属し、カメラ2が第2番目のグループに属し、カメラ3が第3番目のグループに属する。また、行表示333は、第3番目のセットの組合せを表現している。この第3番目のセットの組合せでは、カメラ0およびカメラ1が第1番目のグループに属し、カメラ2およびカメラ3が第2番目のグループに属する。
【0073】
上述のような複数のセットの組合せが一覧表示された状態で、ユーザは、計測項目に応じて、適切なセットの組合せを選択することとなる。たとえば、カメラ0およびカメラ1により生成される画像データをステレオ計測に用いるとともに、カメラ2およびカメラ3をそれぞれ独立した計測処理に用いるような場合には、計測項目としては、実質的に3つとなる。そこで、ユーザは、これらの計測項目に対応する2番目のセットの組合せ(行表示332)を選択する。すると、ユーザは、各計測項目の単位で、撮像条件の設定/変更を行うことができる。
【0074】
なお、計測カメラ選択エリア330においては、予め用意された複数の組合せのうちいずれか1つの選択、および、選択された組合せを構成するセットのうちいずれか1つの選択、を同時に受付けることが可能となっている。図4に示す例においては、カーソルCRS等によって行表示332の「セットA」の領域が選択された状態を示している。このように、ユーザが行表示332の「セットA」の領域を選択すると、行表示332に対応する第2番目のセットの組合せに対する選択、および、当該第2番目のセットを構成するセットのうち第1番目のセット(セットA)に対する選択がなされたと判断される。
【0075】
すると、選択中のセットの組合せおよびセットを示すために、行表示332の周囲が強調表示されるとともに、その中の「セットA」の領域が強調表示される。
【0076】
ユーザインターフェイス画面300Aは、さらに、接続されているそれぞれの撮像部8によって生成される画像データを同一画面内に表示するための領域350を含む。この領域350は、それぞれ撮像部8a,8b,8c,8dがそれぞれワーク2をそれぞれ撮像することで生成する画像データをレンダリングした表示画像352,354,356,358を含む。
【0077】
さらに、表示画像352,354,356,358のうち、選択中のセットの組合せおよびセットに対応する表示画像が強調表示される(図4に示す例では、表示画像352および354)。
【0078】
次に、図5を参照して、セット設定ボタン322,324,326,328に対するセットの割当て処理について説明する。計測カメラ選択エリア330において、いずれかのセットの組合せが選択されると、セット設定ボタン322,324,326,328に対して、選択されたセットの組合せを構成するそれぞれのセットを割当てる。
【0079】
たとえば、行表示331が選択されると、対応するセットの組合せ(第1番目の組合せ)が4つのセットA〜Dにより構成されているので、セットA〜Dがセット設定ボタン322,324,326,328にそれぞれ割当てられる。
【0080】
同様に、行表示332が選択されると、対応するセットの組合せ(第2番目の組合せ)が3つのセットA〜Cにより構成されているので、セットA〜Cがセット設定ボタン322,324,326にそれぞれ割当てられる。このとき、セット設定ボタン328には何らのセットも割当てられない。そのため、ユーザインターフェイス画面300Aにおいて、セット設定ボタン328は、非選択(グレイアウト)状態となる。
【0081】
また、行表示333が選択されると、対応するセットの組合せ(第3番目の組合せ)が2つのセットAおよびBにより構成されているので、セットAおよびBがセット設定ボタン322および324にそれぞれ割当てられる。このとき、セット設定ボタン326および328には何らのセットも割当てられない。そのため、ユーザインターフェイス画面300Aにおいて、セット設定ボタン326および328は、非選択(グレイアウト)状態となる。
【0082】
このように、本実施の形態に係る画像処理装置100においては、セットを選択するための複数の選択受付領域であるセット設定ボタン322,324,326,328がディスプレイ102に表示されるとともに、ユーザによるセットの組合せの選択に応答して、当該複数の選択受付領域のそれぞれに対して、当該選択された組合せを構成するセットをそれぞれ割当てる。
【0083】
(2.撮像条件の設定/変更)
次に、図4に示すユーザインターフェイス画面300Aにおいて、セット設定ボタン322,324,326,328のいずれかが選択された場合の動作(撮像条件の設定/変更)の一例について説明する。
【0084】
図6〜8は、この発明の実施の形態に係る画像処理装置100が提供する撮像条件の設定/変更を行うためのユーザインターフェイス画面の一例を示す図である。
【0085】
図4に示すユーザインターフェイス画面300Aにおいて、セット設定ボタン322が選択されると、選択されているセットの組合せを構成するセットのうち、対応するセット(第1番目のセット)に含まれる撮像部8(この例では、撮像部8aおよび8b)を一まとまりとして、撮像条件の設定/変更が可能となる。この場合には、図6に示すような、ユーザインターフェイス画面300Bが提供される。このユーザインターフェイス画面300Bにおいては、選択されたセットに含まれる撮像部8がそれぞれ生成する画像データをレンダリングした表示画像352および354が選択的にディスプレイ102に表示される。さらに、これらの表示画像352および354にそれぞれ対応付けて、2つのレンズ調整設定エリア360が並列的に表示される。
【0086】
レンズ調整設定エリア360の各々は、対応する撮像部8における撮像条件に含まれる項目の現在値を表示するとともに、その値の変更操作を受付けるためのダイアログである。より具体的には、レンズ調整設定エリア360は、「ズーム」、「フォーカス」、「アイリス」の3つの項目を含む。これらの項目は、それぞれ、撮像部8の被写界の大きさ、ピント、明るさなどの条件を設定するものである。
【0087】
これに対して、図4に示すユーザインターフェイス画面300Aにおいて、セット設定ボタン324が選択されると、選択されているセットの組合せを構成するセットのうち、対応するセット(第2番目のセット)に含まれる撮像部8(この例では、撮像部8c)に対して、撮像条件の設定/変更が可能となる。この場合には、図7に示すような、ユーザインターフェイス画面300Cが提供される。このユーザインターフェイス画面300Cにおいては、選択されたセットに含まれる撮像部8cが生成する画像データをレンダリングした表示画像356が選択的にディスプレイ102に表示される。さらに、これらの表示画像356に対応付けて、上述と同様のレンズ調整設定エリア360が表示される。
【0088】
また、図4に示すユーザインターフェイス画面300Aにおいて、セット設定ボタン326が選択された場合にも、図7に示すユーザインターフェイス画面300Cと同様のユーザインターフェイス画面が提供される。
【0089】
このように、選択された組合せを構成するセットの単位で、各セットに含まれる1または複数の撮像部8のそれぞれに対して撮像条件を設定/変更するための個別設定画面の典型例である、レンズ調整設定エリア360が表示される。したがって、ユーザは、同一の計測項目に使用される複数の撮像部8についての撮像条件を、その結果(表示画像352および354の表示内容)を互いに比較しながら、設定および変更することができる。そのため、3次元画像処理に不慣れなユーザであっても、適切な撮像条件を決定することができる。
【0090】
(3.共通の画像処理)
同時に、図6および図7に示すように、各セットの単位で、各撮像部8についての撮像条件を個別に設定するためのユーザインターフェイスが提供されるので、複数の撮像部8が画像処理装置100に接続されていても、撮像条件を設定/変更する先の撮像部8を取り違えるといった不具合を回避できる。
【0091】
なお、明示的に図示していないが、図3に示す入力処理部211,212,213,214の各々に対する処理条件(設定値)をそれぞれ受付けるための設定画面を、図6および図7に示すレンズ調整設定エリア360と同様に表示してもよい。この場合にも、設定画面を、対象の撮像部8が撮像した内容を示す表示画像352,354,356,358と対応付けた位置に表示することが好ましい。
【0092】
また、図6および図7に示すように、同一のユーザインターフェイス画面においては、同一のセットに含まれる複数の撮像部8がそれぞれ生成する画像データに対して、共通の画像処理を行うための共通設定値を入力することができる。一例として、ユーザインターフェイス画面300Bおよび300Cは、画像合成設定エリア370およびHDR画像設定エリア380を含む。
【0093】
本実施の形態に係る画像処理装置100は、図3に示す計測処理部220の典型例として、HDR合成処理および画像積分処理を提供する。なお、HDR合成処理は、同一の撮像部8によって生成される複数の画像データを合成することで、ダイナミックレンジを拡大する画像合成処理である。画像積分処理は、画像データを積分することにより、階調差の少ない画像データに対して、階調差をより大きくし、画像の内容を明瞭化するためのフィルタ処理である。
【0094】
これらの計測処理部220(図3)における計測処理は、各セットに対応付けて設定されている共通設定値に従って実行される。これは、少なくとも同一のセットに含まれる画像データの間では、入力処理部211,212,213,214(図3)から出力される時点で、互いに状態が一致するように処理されていると考えられるので、その後の計測処理においては、共通の処理を適用することができるとの技術思想に基づくものである。この共通設定値は、一例として、画像合成設定エリア370およびHDR画像設定エリア380において設定される。
【0095】
画像合成設定エリア370は、画像合成処理を行わないことを示す「なし」、HDR合成処理を有効化するための「HDR合成」、および、画像積分処理を有効化するための「画像積分」という、3つのラジオボタンを含む。ユーザがいずれかのラジオボタンを選択することで、対応する処理が実行(あるいは、バイパス)される。
【0096】
図6および図7には、「HDR合成」が選択された状態を示す。すなわち、「HDR合成」が選択されることで、HDR合成処理についての設定値を受付けるための共通設定画面に相当する、HDR画像設定エリア380が表示される。HDR画像設定エリア380は、HDR合成後の画像データについてのヒストグラム表示382と、明度範囲設定エリア384と、撮像枚数設定エリア386と、フィルタ設定エリア388とを含む。
【0097】
HDR画像設定エリア380には、HDR合成処理後の画像データに含まれる画素の明度(明るさ)についての度数分布が表示される。明度範囲設定エリア384は、HDR合成処理後の画像データをいずれの範囲の明度と対応付けるかの設定を受付ける。撮像枚数設定エリア386は、HDR合成処理に用いる撮像枚数の設定を受付ける。フィルタ設定エリア388は、コントラストを強調したいような場合に、フィルタ処理の単位となる最大マスクサイズの設定を受付ける。
【0098】
なお、図6のユーザインターフェイス画面300BのHDR画像設定エリア380において入力される共通設定値は、対応する1番目のセットに含まれる撮像部8(8aおよび8b)が生成する画像データに適用され、図7のユーザインターフェイス画面300CのHDR画像設定エリア380において入力される共通設定値は、対応する2番目のセットに含まれる撮像部8(8c)が生成する画像データに適用される。
【0099】
また、共通の画像処理の一例として、上述したような画像合成処理に加えて、図8のユーザインターフェイス画面300Dに示されるようなフィルタ処理を適用してもよい。具体的には、ユーザインターフェイス画面300Dは、表示切替設定エリア390と、フィルタ方式選択エリア392と、フィルタ種類選択エリア394とを含む。
【0100】
表示切替設定エリア390は、撮像部8がそれぞれ生成する画像データをリアルタイムで表示するか否かを切替えるために使用される。また、フィルタ方式選択エリア392は、「RGB方式」および「HSV方式」のいずれの表色系でフィルタリングをするかを設定するために使用される。
【0101】
さらに、フィルタ種類選択エリア394は、フィルタの種類を選択するために使用される。なお、フィルタ種類選択エリア394に表示されるフィルタ種類の候補は、フィルタ方式選択エリア392における選択内容に応じて変更される。
【0102】
このように、個別設定画面であるレンズ調整設定エリア360に加えて、共通設定値の設定/変更を受付けるための共通設定画面である画像合成設定エリア370およびHDR画像設定エリア380が同一の画面上に表示される。
【0103】
代替的に、すべての撮像部8がそれぞれ生成する画像データに対する画像処理について、一律に適用される共通設定値を受付けるようにしてもよい。
【0104】
(4.変形例)
図9は、この発明の実施の形態に係る画像処理装置100が提供する撮像条件の設定対象とするセットの組合せおよびセットを選択するためのユーザインターフェイス画面の変形例を示す図である。
【0105】
上述の図4に示すユーザインターフェイス画面300Aでは、計測カメラ選択エリア330のいずれかの領域をユーザが指定することで、セットの組合せ、および、組合せに含まれるセット、が同時に選択される。
【0106】
これに対して、図9に示すユーザインターフェイス画面300Eにおいては、計測カメラ選択エリア330内の行表示331〜335の各々に対応付けて、ラジオボタン336が表示される。ユーザがカーソルCRS等によってラジオボタン336のうちいずれかを選択すると、対応するセットの組合せが選択される。すると、セット設定ボタン322,324,326,328には、選択されたセットの組合せに含まれるそれぞれのセットが割当てられる。そのため、ユーザは、セット設定ボタン322,324,326,328を押下することで、目的とするセットを設定することができる。以下、上述と同様の操作を行うことで、必要な撮像条件などを設定/変更できる。
【0107】
<処理手順>
次に、上述の画像処理装置100における処理手順について説明する。
【0108】
図10は、この発明の実施の形態に係る画像処理装置100によって提供される処理手順を示すフローチャートである。なお、以下に示す各ステップは、典型的には、画像処理装置100のCPU110がプログラムを実行することで提供される。
【0109】
図10を参照して、画像処理装置100のCPU110は、設定モードの実行が指示されると、画像処理装置100に接続可能な複数の撮像部8をグループ分けすることで得られるセットの組合せを複数決定する(ステップS100)。また、CPU110は、画像処理装置100に接続されている撮像部8から、各撮像部8がワーク2を撮像することで生成される画像データを取得する(ステップS102)。そして、CPU110は、表示コントローラ120に対して内部コマンドを発することで、ステップS100において決定したセットの組合せに対応付けた計測カメラ選択エリア330、および、ステップS102において取得した画像データをレンダリングした表示画像352,354,356,358を含む、ユーザインターフェイス画面300A(図4)を表示する(ステップS104)。
【0110】
続いて、CPU110は、ステップS100において決定された複数のセットの組合せのうち、いずれか1つの組合せが選択されたか否かを判断する(ステップS106)。いずれの組合せも選択されていない場合(ステップS106においてNOの場合)、ステップS106以下の処理が繰返される。
【0111】
これに対して、いずれか1つの組合せが選択された場合(ステップS106においてYESの場合)には、CPU110は、選択されたセットの組合せにおけるグループ分けに応じて、ユーザインターフェイス画面300Aのセット設定ボタン322,324,326,328に対して撮像部8を動的に対応付ける(ステップS108)。
【0112】
さらに、CPU110は、選択されたセットの組合せを構成するセットのうち、いずれか1つのセットが選択されたか否かを判断する(ステップS110)。いずれのセットも選択されていない場合(ステップS110においてNOの場合)には、ステップS106以下の処理が繰返される。
【0113】
これに対して、いずれか1つのセットが選択された場合(ステップS110においてYESの場合)には、CPU110は、計測カメラ選択エリア330の表示領域および領域350の表示画像のうち、選択されたセットに対応するものを強調表示する(ステップS112)。
【0114】
なお、上述したように、図4に示すユーザインターフェイス画面300Aにおいては、複数の組合せについての選択、および、選択された組合せを構成するセットについての選択、が同時に行われるので、上述のステップS106およびS110が時間的に同時に“YES”となる場合もある。
【0115】
続いて、CPU110は、選択されているセットに含まれる撮像部8についての撮像条件の設定/変更が要求されたか否かを判断する(ステップS114)。撮像条件の設定/変更が要求されていなければ(ステップS114においてNOの場合)、ステップS106以下の処理が繰返される。
【0116】
これに対して、撮像条件の設定/変更が要求された場合(ステップS114においてYESの場合)、CPU110は、表示コントローラ120に対して内部コマンドを発することで、選択されているセットに含まれる撮像部8がそれぞれ生成する表示画像と、選択されているセットに対応する個別設定画面(レンズ調整設定エリア360)と、選択されているセットの組合せに関連付けられた共通設定画面(画像合成設定エリア370およびHDR画像設定エリア380)を含む、ユーザインターフェイス画面300Bまたは300C(図5または図6)を表示する(ステップS116)。
【0117】
続いて、CPU110は、個別設定画面(レンズ調整設定エリア360)に対して、何らかの設定操作がなされたか否かを判断する(ステップS118)。設定操作がなされた場合(ステップS118においてYESの場合)には、CPU110は、設定された内容に従って、対応する撮像部8における撮像設定を変更する(ステップS120)。
【0118】
続いて、CPU110は、共通設定画面(画像合成設定エリア370およびHDR画像設定エリア380)に対して、何らかの設定操作がなされたか否かを判断する(ステップS122)。設定操作がなされた場合(ステップS122においてYESの場合)には、CPU110は、設定された内容に従って、選択されている組合せに対応付けられている計測処理部220(図2)における共通設定値を変更する(ステップS124)。
【0119】
設定操作がなされていない場合(ステップS122においてNOの場合)には、CPU110は、終了が指示されたか否かを判断する(ステップS126)。終了が指示された場合(ステップS126においてYESの場合)には、処理は終了する。
【0120】
これに対して、終了が指示されていない場合(ステップS126においてNOの場合)には、CPU110は、選択されているセットの撮像部8により生成される画像データを再取得(更新)する(ステップS128)。そして、ステップS118以下の処理が繰返し実行される。
【0121】
<作用効果>
本実施の形態に係る画像処理装置によれば、3次元画像処理といった、複数の撮像部8からそれぞれ生成される画像データに対して計測処理を行うような場合に、必要な複数の画像データをそれぞれ生成する複数の撮像部8に対する各種設定を容易に行うことができる。
【0122】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0123】
1 3次元計測システム、2 被測定物(ワーク)、8 撮像部、8a,8b,8c,8d 撮像部、9a,9b,9c,9d コネクタ、100 画像処理装置、102 ディスプレイ、104 マウス、106 メモリカード、112 メインメモリ、114 ハードディスク、116 カメラインターフェイス、116a,116b,116c,116d バッファ、118 入力インターフェイス、120 表示コントローラ、122 インターフェイス、124 通信インターフェイス、126 データリーダ/ライタ、128 バス、211,212,213,214 入力処理部、220 計測処理部、222 設定画面表示モジュール、224 セット生成モジュール、226 組合選択入力モジュール、228 セット選択入力モジュール、230 画像データ表示モジュール、CRS カーソル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理装置であって、
各々が被測定物を撮像して画像データを生成する撮像部を複数接続可能なカメラインターフェイスと、
表示部に接続され、当該表示部での表示を制御する表示制御部と、
外部からの入力を受付ける入力インターフェイスと、
複数の前記撮像部をグループ分けすることで得られるセットの組合せを複数生成するセット生成手段とを備え、各セットは、1つまたは複数の前記撮像部を一まとまりにしたグループであり、
前記入力インターフェイスを介して、複数の前記セットの組合せのうちいずれか1つの選択を受付ける組合選択入力手段と、
前記表示制御部に指令を与えることで、選択された組合せを構成するセットの単位で、当該セットに含まれる撮像部の各々についての撮像条件の設定/変更を受付けるための個別設定画面をそれぞれ前記表示部に表示する設定画面表示手段とを備える、画像処理装置。
【請求項2】
前記入力インターフェイスを介して、前記選択された組合せを構成するセットのうちいずれか1つの選択を受付けるセット選択入力手段と、
前記表示制御部に指令を与えることで、選択されたセットに含まれる撮像部のそれぞれが生成する画像データを前記表示部に表示する画像データ表示手段とを備える、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記セット選択入力手段は、
前記表示制御部に指令を与えることで、セットを選択するための複数の選択受付領域を前記表示部に表示する手段と、
前記組合選択入力手段による組合せの選択に応答して、前記複数の選択受付領域のそれぞれに対して、当該選択された組合せを構成するセットをそれぞれ割当てる手段とを含む、請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記複数の撮像部がそれぞれ生成する複数の前記画像データに対して、互いに独立して画像処理を行うための個別処理手段をさらに備え、
前記設定画面表示手段は、前記複数の撮像部の別に、前記個別処理手段に対する設定値をそれぞれ受付ける、請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記組合選択入力手段は、前記セット生成手段により生成された前記複数のセットの組合せを一覧表示する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
同一のセットに含まれる撮像部がそれぞれ生成する複数の前記画像データに対して、当該セットに対応付けて設定されている共通設定値に従って、画像処理を行うための共通処理手段をさらに備え、
前記設定画面表示手段は、
前記個別設定画面に加えて、前記共通設定値の設定/変更を受付けるための共通設定画面を前記表示部に表示する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
各々が被測定物を撮像して画像データを生成する撮像部を複数接続可能なカメラインターフェイスと、表示部に接続され、当該表示部での表示を制御する表示制御部と、外部からの入力を受付ける入力インターフェイスとを有するコンピュータで実行される画像処理プログラムであって、前記画像処理プログラムは、前記コンピュータを、
複数の前記撮像部をグループ分けすることで得られるセットの組合せを複数生成するセット生成手段として機能させ、各セットは、1つまたは複数の前記撮像部を一まとまりにしたグループであり、さらに、
前記入力インターフェイスを介して、複数の前記セットの組合せのうちいずれか1つの選択を受付ける組合選択入力手段と、
前記表示制御部に指令を与えることで、選択された組合せを構成するセットの単位で、当該セットに含まれる撮像部の各々についての撮像条件の設定/変更を受付けるための個別設定画面をそれぞれ前記表示部に表示する設定画面表示手段として機能させる、画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図10】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−109507(P2011−109507A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−263832(P2009−263832)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.COMPACTFLASH
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】