画像形成装置およびシステム
【課題】 属性情報の各ビットをマスクすると、特殊トナーの描画パターンの情報が消去され、特殊トナーの印刷ができなくなってしまうという課題がある。
【解決手段】 特殊トナーの情報をダウンサンプリング処理により、特色トナーの情報を保持したまま属性情報の圧縮率を上げることが可能になり、基本4色と特殊トナーの印刷を行うことができる割合を向上させる。
また、特殊トナーの情報が消去される場合は、2段階印刷に移行することで確実に特殊トナーの印刷を行う。
【解決手段】 特殊トナーの情報をダウンサンプリング処理により、特色トナーの情報を保持したまま属性情報の圧縮率を上げることが可能になり、基本4色と特殊トナーの印刷を行うことができる割合を向上させる。
また、特殊トナーの情報が消去される場合は、2段階印刷に移行することで確実に特殊トナーの印刷を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明トナーを使用した印刷出力をする際に、その視覚的効果の選択を実現するために発生する多くの複雑な設定を自動的に行うための画像処理の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルプリンティング技術はオンデマンド印刷市場や少部数の文書印刷市場において、近年確実にその利用価値を高めつつある。特に電子写真技術を用いたフルカラープリンティングは生産性や印刷コスト、メンテナンスの容易性などの面で他のプリンティング技術よりも優位な位置にあり、急速にその市場を広めつつある。その中で、特に従来のCMYBK、基本4色のトナーを用いた電子写真印刷によるフルカラー印刷だけではなく、さらに特殊なトナーを用いた多色の印刷方式も注目を集めており、オンデマンド性、即時性の高い特殊印刷市場も視野に入ってきている。特殊トナーの例として、印刷物の表面の凸凹を吸収し、高光沢性を実現できる透明トナーやハイライト部のざらつきを押さえることができる淡トナー等が挙げられる。特殊トナーを使用することで通常のデジタル印刷とは異なる新たな付加価値が得られるようになり、デジタルプリンティングの世界をさらに拡大していくことが可能になる。以上のような背景から特殊トナーを実装したカラー複合機(以後、MFP)が市場に投入されている。
【0003】
MFPでは、画像データと、画像データの各画素に対応する属性情報をメモリに保持し、画像データに対して、属性情報に応じた画像処理を施し、印刷を行う。MFPにおいて特殊トナーを実装するため、特殊トナーの印刷データを2値の描画パターンに展開し、属性情報に合成する。画像データに対して属性情報に応じて色変換やスクリーン処理等の画像処理を施し、CMYBkの基本4色のトナーの描画パターンを生成する。属性情報から合成した特殊トナーの描画パターンを取り出し、基本4色の描画パターンと特殊トナーの描画パターンを印刷エンジンへ送り、印刷を行う。
【0004】
画像データおよび属性情報を保持するためのメモリには、各々所定のメモリ量の制限が設けられている。そのため、画像データは非可逆圧縮により容量が所定のメモリ量以下になるよう圧縮を行う。一方、属性情報はビットの欠損を防ぐために、可逆圧縮による圧縮を行うため、所定のメモリ量を超えてしまう場合がある。超えた場合の処理として、特許文献1においては、属性情報の各ビットをマスク(特定の値に置き換え)して圧縮率上げることで、所定のメモリ量以下にして格納する手段が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−086649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特殊トナーの描画パターンを属性情報に合成して保持するため、属性情報の各ビットをマスクすると、特殊トナーの描画パターンの情報が消去され、特殊トナーの印刷ができなくなってしまうという課題がある。
【0007】
特殊トナーの情報を保持するために、特殊トナーの描画パターンをダウンサンプリングすることで、圧縮率を上げる手段が考えられる。しかし、一律にダウンサンプリングを行うと、特殊トナーを画像の修飾(光沢等)に用いる場合は、特殊トナーの描画パターンと画像にずれが発生し、修飾の効果が低下し、画像が劣化してしまうという課題が発生してしまう。
【0008】
特殊トナーの一つである透明トナーによる画像の修飾は、画像データ(図32)に透明トナーデータ(図33)を上書きすることで、光沢のある画像の印刷結果(図34)を得ることができる。
【0009】
ダウンサンプリングした透明トナーデータ(図35)の場合は、画像データ(図32)とのずれが発生して、印刷結果(図36)の画像が劣化してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明に係る画像形成装置は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの基本4色の他に特色トナーを用いて印刷することが可能な画像形成装置において、画像データと前記画像データの各画素に対する属性情報を持ち、前記画像データをメモリに格納する手段と、特色の情報を前記属性情報の各画素に合成する合成手段と、前記合成手段により合成した属性情報を圧縮する圧縮手段と、前記圧縮手段により圧縮した属性情報のデータ量が所定のメモリ量を超える場合に、前記特色の情報の形状と前記画像データを構成する要素の形状が一致する領域と一致しない領域を判定する領域判定手段と、前記領域判定手段により形状が一致する領域と一致しない領域のそれぞれに前記特色の情報のダウンサンプリング率を決定する決定手段と、前記決定手段により決定したダウンサンプリング率で前記特色の情報をダウンサンプリングするダウンダンプリング手段と、前記ダウンダンプリング手段によりダウンサンプリングした特色の情報を前記属性情報に再合成する再合成手段と、前記再合成手段により再合成した属性情報を再圧縮する再圧縮手段と、前記圧縮手段もしくは前記再圧縮手段により圧縮した属性情報のデータ量が所定のメモリ量以下である場合に、前記圧縮した属性情報をメモリに格納する手段とを備え、前記メモリに格納した画像データに対して前記属性情報に応じた画像処理を施し、基本4色および特色の画像を形成し、印刷を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によって、属性情報の容量を所定のメモリ量以下にするために、特殊トナーの情報をダウンサンプリングすることで属性情報の圧縮率を上げつつ、画像を修飾する特殊トナーの情報についてはダウンサンプリング率を小さくすることで、画像とのずれによる特殊トナー印刷の画質の低下を抑えることが可能になる。
【0012】
また、特色トナーの情報を保持したまま属性情報の容量を所定のメモリ量以下にできない場合でも、2段階印刷手段に移行することで、確実に特殊トナーの印刷を行うことと可能にし、画像を修飾する特殊トナーの情報は第1段階の印刷において印刷を行うことで、2段階印刷による画像とのずれによる特殊トナーの印刷の画質の低下を抑えることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に関する画像処理システムを示すブロック図。
【図2】本発明にかかるMFPを示すブロック図。
【図3】ローカルPC102の構成を示す図。
【図4】データ処理装置211の構成を示す図。
【図5】PDL処理部401の構成を示す図。
【図6】スキャナ画像処理部402の構成を示す図。
【図7】クリア画像処理部406の構成を示す図。
【図8】画像処理部408の構成を示す図。
【図9】クリア印刷処理の流れを示すフローチャート。
【図10】PDL処理の流れを示すフローチャート。
【図11】アプリケーションで作成されたデータを示す図。
【図12】画像データを示す図。
【図13】属性の信号を示す図。
【図14】属性情報を示す図。
【図15】記憶装置405の構成を示した図。
【図16】クリア画像を示した図。
【図17】クリアフォーム登録処理の流れを示すフローチャート。
【図18】クリア合成処理の流れを示すフローチャート。
【図19】クリア情報を含む属性信号を示す図。
【図20】画像データを示す図。
【図21】クリア情報を示す図。
【図22】クリア印刷結果を示す図。
【図23】圧縮処理部404の流れを示すフローチャート。
【図24】ダウンサンプリング処理S2304の流れを示すフローチャート。
【図25】1200dpiで登録したクリアフォームの一部を示す図。
【図26】600dpiにダウンサンプリングしたクリアフォームの一部を示す図。
【図27】300dpiにダウンサンプリングしたクリアフォームの一部を示す図。
【図28】クリア印刷の流れを示すフローチャート。
【図29】2段階印刷の流れを示すフローチャート。
【図30】クリア印刷処理のデータの流れを示す概念図。
【図31】2段階印刷のデータの流れを示す概念図。
【図32】画像データ。
【図33】透明トナーデータ。
【図34】印刷結果。
【図35】ダウンサンプリングした透明トナーデータ。
【図36】画像のずれが発生した印刷結果。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。
なお、本実施形態では、特殊トナーとして印刷物の高光沢性を実現できるクリア(透明)トナーを用いた形態について説明する。
【0015】
<実施形態1>
図1は、本発明に係る画像形成装置示すブロック図である。
【0016】
オフィス10内に構築されたLAN104には、記録装置としてマルチファンクション複合機(以下、MFPという。)101、103、およびローカルPC102が接続されている。MFP101、103は、原稿画像から読み取った入力画像に対する画像処理を行う。そして、その画像処理の結果を原稿画像を読み取ったMFPが印刷する。
【0017】
また、MFP101で読み取った原稿画像に対して画像処理を行ってから、MFP103が印刷することも可能である。さらには、ローカルPC102から送信されるPage Discription Language(以下PDLという。)言語を解釈してMFP101、103が印刷することもできる。
【0018】
[MFP]
図2は、MFPを示す図である。図2において、イメージスキャナー(画像読み取り部)201は、原稿画像を読み取り、デジタル信号処理を行う。また、プリンタ部202は、イメージスキャナー201によって読み取られた原稿画像に対応した画像を用紙にフルカラーで印刷する。
【0019】
イメージスキャナー201は、鏡面圧板200を含み、原稿台ガラス(以下、プラテンという。)203上の原稿204は、ランプ205で照射され、ミラー206、207、208に導かれる。そして、照射された光は、レンズ209によって、3ラインの固体撮像素子センサ(以下、CCDという。)210上に像を結び、フルカラー情報としてのレッド(R),グリーン(G),ブルー(B)の3つの画像信号がデータ処理装置211に送られる。なお、ランプ205、ミラー206は、速度vで、ミラー207、208は、速度1/2vでラインセンサの電気的走査(主走査)方向に対して垂直方向に機械的に動くことによって、原稿全面を走査(副走査)する。ここで、原稿204は、主走査および副走査ともに600dpi(dots/inch)の解像度で読みとられる。読み取られた画像信号は原稿1ページ分の単位で画像データとしてデータ処理装置211の内部のデータ記憶部に記憶される。
【0020】
データ処理装置211は、内部に記憶された画像データを画素単位で電気的に処理し、マゼンタ(M),シアン(C),イエロー(Y),ブラック(Bk)の各成分に分解し、プリンタ部202に送る。また、データ処理装置211の内部で、クリア画像データ(CL)を画素単位で生成し、同じくプリンタ部202へ送出する。
【0021】
送出されたM、C、Y、Bk、CLの画像信号がレーザードライバー212に送られる。レーザードライバー212は、送られてきた画像信号に応じ、半導体レーザー213を変調駆動する。レーザー光は、ポリゴンミラー214、f−θレンズ215、ミラー216を介し、感光ドラム217上を走査する。ここで、読取と同様に主走査および副走査ともに600dpi(dots/inch)の解像度で書込まれる。
【0022】
回転現像器218は、マゼンタ現像部219、シアン現像部220、イエロ現像部221、ブラック現像部222、クリア(透明)現像部223を含む。そして、5つの現像部219〜223が交互に感光ドラム217に接し、感光ドラム上に形成された静電現像を各色のトナーで現像する。
【0023】
転写ドラム224は、用紙カセット225または用紙カセット226より供給される用紙をこの転写ドラム224に巻き付け、感光ドラム上に現像された像を用紙に転写する。
【0024】
この様にして、CMYBkおよびクリア(透明)の5色が順次転写された後に、用紙は、定着ユニット227を通過して、トナーが用紙に定着された後に排紙される。
【0025】
[ローカルPC]
図3は、ローカルPC102の構成を示す図である。
【0026】
ユーザは、アプリケーション301で作成したデータを印刷する場合、プリンタドライバUI部302は、印刷の指示をプリンタドライバ303に送信する。印刷の指示を受けたプリンタドライバ1803は、アプリケーション301のデータからPDLデータを作成する。送信部304は、作成されたPDLデータをMFP101に送信する。
【0027】
[データ処理装置211]
図4は、MFPに搭載されているデータ処理装置211の構成を示す図であり、PDL処理部401、スキャナ画像処理部402、圧縮処理部404、データ記憶部405、クリア画像処理部406、UI部407、画像処理部408、印刷制御部409、クリア合成部410で構成されている。
【0028】
図5は、図4のPDL処理部401の構成を示す図であり、受信部501、PDL解析部502、画像データ生成部503、属性情報生成部504、送信部505で構成されている。
【0029】
図6は、図4のスキャナ画像処理部402の構成を示す図であり、受信部601、スキャン色処理部602、像域判定部603、属性情報生成部604、送信部605で構成されている。
【0030】
図7は、図4のクリア画像処理部406の構成を示す図であり、受信部701、グレースケール化処理部702、2値化処理部703、送信部704で構成される。
【0031】
図8は、図4の画像処理部408の構成を示す図であり、データ解凍部801、印刷色変換部802、クリアトナー処理部803、画像生成部804、送信部805で構成される。
【0032】
[クリア印刷処理]
図9は、データ処理装置211が行うクリア印刷処理の流れを示すフローチャートである。
【0033】
図30はクリア印刷処理のデータの流れを示す図である。
【0034】
まず、PDL処理部401が、ローカルPC102やMFP101、103から送信されるPDLデータを受け取り、PDLデータを解析して、1ページ単位で画像データ3001と属性情報3002を生成する(ステップS901)。次に、クリア合成部410が、記憶装置405に登録しているクリアフォーム(クリア情報)3003と属性情報を合成して、クリア情報を含む属性情報3004を生成する(ステップS902)。次に、圧縮処理部404が、画像データと属性情報を各規定のメモリ量以下の容量になるよう圧縮して記憶装置に記憶する(ステップS903)。次に、画像処理部408が、色変換やハーフトーン処理等の画像処理を行う(ステップ904)。画像処理部408では、解凍部801で記憶装置405に記録された画像データと画像データに対応する属性情報を取り出し解凍する。色処理部502は画像データの色信号を属性情報に応じてCMYBk信号に変換する。クリアトナー処理部803は属性情報からクリア情報からクリアデータを生成し、送信部805にて、印刷制御部409に送る。画像形成処理部804は、色変換された画像データに対して属性情報に応じてハーフトーン処理を施し、プリンタ部202の出力階調に合った印刷画像データを生成する。生成された印刷画像データは、送信部805にて、印刷制御部409に送られる。印刷制御部409は、印刷画像データおよびクリアデータをプリンタ部202に送信する(ステップS905)。プリンタ部202はCMYBkトナーおよびクリアトナーによる印刷を行い、印刷物3005を出力する。
【0035】
なお、スキャン画像については、スキャン色処理部602が、スキャン画像に対して、下地処理、色処理を行い画像データを生成し、像域判定部603が、文字やカラー/モノクロの像域判定を行い、属性情報生成部604が、像域の判定結果に基づいて、属性情報を生成する。
【0036】
[PDL処理]
図10は、PDL処理部401が行うPDL処理の流れを示すフローチャートである。
【0037】
図11はアプリケーションで作成されたデータを示した図である。データは、文字1101、図形1102、図形1103の各要素で構成されており、ローカルPC102のUIより印刷が指示されると、ローカルPC102は、PDLデータに変換し、MFP101に送る。なお、図11はデータの一例を示したものであり、文字、図形に限定されるものではない。
【0038】
まず、PDL解析部502が、文字、図形、イメージの各要素や、色指定、その他制御命令からなるPDLデータを解析する(ステップ1001)。次に、画像データ生成部503が、PDLデータの解析内容に沿ってレンダリングし、各ページ単位で、RGB等の色信号からなる画像データを生成する(ステップ1002)。図12は画像データを示す図であり、図11の各要素からなるデータは各画素の色信号で構成される。次に、属性情報生成部504が、PDLデータの解析内容と画像データより画像データに対応する属性情報を生成する(ステップS1003)。図13は属性の信号を示した図である。属性の信号は対応する画素の属性を示すものであり、例えば、bit0は図形か否かを示し、「1」なら図形を示す画素、「0」なら図形でない画素であることを示す。bit1は文字かイメージか、bit2は有彩色か無彩色かを示す。このように属性の信号を構成する各bitは対応する画素の属性をbit値で表され、記憶される。図14は属性情報を示す図であり、図12の画像データの各画素に対応する属性の信号で構成される。
【0039】
[記憶装置]
図15は、記憶装置405の構成を示した図である。
【0040】
記憶装置405は、画像データ記憶領域1501、属性情報記憶領域1502、クリアフォーム登録領域1503で構成される。
【0041】
画像データ記憶領域1501は、PDL処理部401の画像データ生成部503やスキャナ画像処理部402のスキャン色処理部602が生成する画像データが記憶される領域である。属性情報記憶領域1502は、PDL処理部401の属性情報生成部504やスキャナー画像処理部402の属性情報生成部604が生成する属性情報が記録される領域である。クリアフォーム登録領域は、後述するクリアフォーム登録処理が生成するクリアフォームを登録する領域である。
【0042】
各々の領域に記憶、登録できるデータのメモリ量には制限があり、記憶装置405は各データ(画像データ、属性情報、クリアフォーム)に対して、圧縮処理を行い、データ量を制限のメモリ量以下にして記憶する。
【0043】
[クリアフォーム登録]
クリア印刷は、クリア画像処理部406で登録されるクリアフォーム画像データをクリア情報として使用する。
【0044】
図16はクリア画像を示した図である。
【0045】
図17は、クリアフォーム登録処理の流れを示すフローチャートである。
ローカルPC102は、ドライバUI画面(不図示)からクリアフォーム画像登録を指示されると、クリア用データ1601を、PDLデータに変換して、PDL処理部901へ送信する。
【0046】
まず、PDL処理部901が、PDLデータを受信し、前述したPDL処理により、画像データを生成する(ステップS1701)。生成した画像データをクリア画像処理部406が受取り(ステップS1702)、グレースケール処理部702が画像データをグレースケールのデータに変換する。変換の方法の例として、RGBで入力された場合には、YUV信号に変換し、Y信号のみをグレースケール信号として使用するケースを挙げるが、この限りではない。次に、2値化処理部703が、グレースケールに変換された画像データを、2値画像データに変換する(ステップS1704)。変換の方法の例として、閾値を設定し、その閾値よりグレースケール信号値が大きい場合には1、小さい場合には0となり、2値画像データを生成する。送信部805は、記憶装置405に2値画像データを送信し、記憶装置405のクリアフォーム登録領域1503に、クリアフォームとして登録する(ステップS1705)。
【0047】
[クリア合成処理]
図18はクリア合成部410によるクリア合成処理の流れを示すフローチャートである。
【0048】
クリア合成部410は、まず、PDL処理部401の属性情報生成部504が生成した属性情報を受信し(ステップS1801)、記憶装置405のクリアフォーム登録領域1503に登録されているクリアフォームを獲得する(ステップS1802)。受信した属性情報にクリアフォームの情報を合成することで、クリア情報を含む属性情報を生成する(ステップS1803)。例えば、属性情報が図13に示す属性の構成である場合、クリアの属性はbit6で表される。合成処理は、同一画素位置の属性情報の属性信号(8bit)とクリアフォームの値を取り出し、属性情報のbit6にクリアフォームの値が「0」であれば、「0」を、「1」であれば「1」を書き込む。すべての画素について属性情報の属性信号にクリアフォームの値を書き込むことでクリア情報を含む属性情報を生成する。
【0049】
図19はクリア情報を含む属性信号を示した図である。
【0050】
図14の属性情報に、クリアフォームとして登録された図16のデータを合成すると図19のクリア情報を含む属性情報が生成される。
【0051】
[クリア印刷の用途]
クリア印刷には、画像データを構成する文字や図形の要素にクリアトナーを上書きして光沢を出すことで要素を修飾する効果を得る用途と、クリアトナーを透かし文字やスタンプのようにクリアトナー自体を画像として印刷する用途がある。
【0052】
図20は画像データ、図21はクリア情報の一例を示した図である。
【0053】
図21のクリアデータ2101は、修飾を目的とするクリアデータであり、図20の画像データを構成する要素の中の文字2001と同一の位置に同一の形状で構成される。画像データの文字2001にクリアトナーを上書きすることで、文字2001に光沢を出し、文字を修飾する効果を得ることでできる。
【0054】
図21のクリアデータ2102は、画像(文字)として図20の画像データの下地領域に構成することで、一見では判別しにくい透かし文字の効果を得ることができる。
【0055】
図22は、図20の画像データと図21のクリア情報によりクリア印刷を行った結果を示したものである。文字2001は修飾用のクリアデータ2101がクリアトナーで上書きされ修飾文字2201として、画像用のクリアデータ2102はクリアトナーによる透かし文字2202として印刷される。
【0056】
[圧縮処理]
画像データ生成部503で生成される画像データや、クリア合成処理401で生成されるクリア情報を含む属性情報は、それぞれ、記憶装置405の画像データ記憶領域1501、属性情報記憶領域1502に記憶される。各領域には記録できるデータのメモリ量に制限があり、画像データおよび属性情報は圧縮処理部404において圧縮処理を行い、データ量を制限のメモリ量以下にして記憶される。
【0057】
画像データは、視覚的に劣化が少なく、かつ高圧縮が可能な非可逆圧縮のJPEG圧縮により圧縮を行い、データ量を制限のメモリ以下にして、画像データ記憶領域1501に記憶される。
【0058】
属性情報は、各bitがそれぞれの属性を表しており、属性の損失を防ぐために可逆圧縮による圧縮を行う。
【0059】
図23は圧縮処理部404の流れを示すフローチャートである。
【0060】
圧縮処理部404による属性情報の圧縮処理は、まず、クリア合成部410が生成したクリア情報を含む属性情報を獲得し(ステップS2301)、属性情報を可逆圧縮であるPackbit圧縮によりデータ圧縮を行う(ステップS2302)。次に、圧縮した属性情報のデータ量が属性情報記憶領域1502の制限である所定のメモリ量以下である否かを判別する(ステップS2303)。所定のメモリ量を超えている場合は、所定のメモリ量以下になるようにクリア情報のダウンサンプリング処理を行い(ステップS2304)、圧縮された属性情報を属性情報記録領域1502に記録する(ステップS2305)。
【0061】
一方、ステップS2303において、所定のメモリ量以下である場合は、圧縮された属性情報を属性情報記録領域1502に記録する(ステップS2305)。
【0062】
[ダウンサンプリング処理]
図24は、圧縮処理部404のダウンサンプリング処理S2304の流れを示すフローチャートである。ダウンサンプリング処理では、属性情報の可逆圧縮の圧縮率を高めるようクリアフォームを再構築する。クリアフォームの再構築は、例えば、Packbits圧縮では、同じデータが連続するほど、圧縮率が高くなる特性をもつため、クリアフォームのデータ解像度を低い解像度にするダウンサンプリングを行う。
【0063】
クリア情報のダウンサンプリング処理は、まず、PDL処理部401の属性情報生成部504が生成した属性情報を受信し(ステップS2401)、記憶装置405のクリアフォーム登録領域1503に登録したクリアフォームを獲得する(ステップS2402)。
【0064】
次に、クリアフォームにおけるクリア情報の形状と画像データを構成する要素の形状が一致するクリア領域と、一致しないクリア領域の判定を行う(ステップS2403)。一致不一致の判定は、属性信号(図13)のクリア情報を表すbit6のクリア属性と、画像データの要素を表すbit1の文字/写真属性およびbit0の図形属性により行う。例えば、図21のクリアデータ2101は、図20の画像データの文字2001と同一位置に構成されており、形状が一致するクリア領域と判定する。図21のクリアデータ2102は、図20の画像データのいずれの要素とも一致しないため不一致のクリア領域と判定する。ここで、形状が一致するクリア領域は画像を修飾するために修飾用クリアデータであり、不一致のクリア領域は透かし文字等の画像用のクリアデータであると判別できる。
【0065】
次に、画像データを構成する要素の形状が一致するクリア領域と一致しないクリア領域に対して、それぞれダウンサンプリング率を決定する(ステップS2404)。形状が一致するクリア領域は、クリア情報の形状と画像データの要素の形状とのずれが極力抑えられるように小さいダウンダンプリング率を設定し、形状が不一致の領域には属性情報の圧縮率を上げるように大きいダウンダンプリング率を設定する。
【0066】
例えば、クリアフォームが画像データと同じ解像度の1200dpiで生成されている場合は、形状が一致するクリア領域のダウンサンプリング率は1/2(解像度600dpi)に設定し、形状が不一致のクリア領域のダウンサンプリング率は1/4(解像度300dpi)に設定する。
【0067】
次に、決定したダウンサンプリング率に応じて、形状が一致するクリア領域、不一致のクリア領域をダウンサンプリングする(ステップS2405)
例えば、図25は画像データと同じ解像度の1200dpiで生成し登録したクリアフォームの一部(クリアデータ)を示している。
【0068】
ダウンダンプリング率が1/2(解像度600dpi)の形状が一致するクリア領域は図25のクリアデータの水平方向の解像度を600dpiにダウンサンプリングし、600dpiのデータを単純に2倍することにより元の解像度1200dpiのデータ(図26)にする。
【0069】
ダウンダンプリング率が1/4(解像度300dpi)の形状が不一致のクリア領域は図25のクリアデータの水平方向の解像度を300dpiにダウンサンプリングし、300dpiのデータを単純に4倍することにより元の解像度1200dpiのデータ(図27)にする。
【0070】
データを単純に2倍、4倍にすることで、同一のデータが連続する割合が増加し、Packbits圧縮による圧縮率を高くすることができる。
【0071】
次に、ダウンサンプリングしたクリアフォームと属性情報をクリア合成部410と同じく再合成し(ステップS2406)、再構築したクリア情報を含む属性情報を圧縮し(ステップS2407)、圧縮した属性情報のデータ量が属性情報記憶領域1502の制限である所定のメモリ量以下である否かを判別する(ステップS2408)。所定のメモリ量以下であれば、属性情報にクリア情報が保持されているかを示すクリア保持フラグをON(保持している)にして(ステップS2409)、クリア情報のダウンサンプリング処理を終了する。
【0072】
一方、ステップS2408で、所定のメモリ量を超えている場合は、属性情報からクリア情報を削除して再圧縮を行い(ステップS2410)、クリア保持フラグをOFF(保持していない)にして(ステップS2411)、属性情報の変更処理を終了する。
【0073】
以上述べたように、属性情報のデータ量を所定のメモリ量以下にするために、クリア情報をダウンサンプリングすることで、クリア情報を保持したまま属性情報の圧縮率を上げることが可能になり、基本4色とクリアトナーの印刷を行うことができる割合を向上することができる。また、画像を修飾するクリア情報についてはダウンサンプリング率を小さくすることで、画質の低下を抑えることが可能になる。
【0074】
<実施形態2>
実施形態1では、属性情報のデータ量を所定のメモリ量以下にするために、クリア情報をダウンサンプリングすることを特徴としたが、実施形態2では、ダウンサンプリング処理を実施後、属性情報のデータ量が所定のメモリ量を超える場合のクリア印刷処理の形態について説明する。
【0075】
[クリア印刷処理2]
図28は、データ処理装置211が行うクリア印刷処理の流れを示すフローチャートである。
【0076】
まず、PDL処理部401が、ローカルPC102やMFP101、103から送信されるPDLデータを受け取り、PDLデータを解析して、1ページ単位で画像データと属性情報を生成する(ステップS2801)。次に、クリア合成部410が、記憶装置405に登録しているクリアフォーム(クリア情報)と属性情報を合成して、クリア情報を含む属性情報を生成する(ステップS2802)。次に、圧縮処理部404が、画像データと属性情報を各規定のメモリ量以下の容量になるよう圧縮して記憶装置に記憶する(ステップS2803)。
【0077】
次に圧縮処理部404のダウンサンプリング処理S2304が設定したクリア保持フラグが「ON」か「OFF」かを判断する(ステップ2804)。クリア保持フラグの「ON」は属性情報変更処理がクリア情報を保持した属性情報を属性情報記憶領域1502に記憶していることを示し、「OFF」はクリア情報を消去した属性情報を属性情報記憶領域1502に記憶していることを示す。
【0078】
ステップS2804において、クリア保持フラグが「ON」の場合は、
記憶装置405に記録した画像データ3001とクリア情報を含む属性情報3004を獲得して画像処理を施すことで、基本4色の印刷画像データおよびクリアデータを生成する(ステップS2805)。生成した基本4色の印刷画像データおよびクリアデータを印刷制御部409が、プリンタ部202に送信する(ステップS2806)。プリンタ部202はCMYBkトナーおよびクリアトナーによる印刷を行い、印刷物3005を出力する。
【0079】
一方、ステップS2804においてクリア保持フラグが「OFF」の場合は、2段階印刷処理(ステップS2807)を行う。
【0080】
[2段階印刷処理]
図29は2段階印刷処理S2807の流れを示すフローチャートである。
【0081】
図31は2段階印刷処理のデータの流れを示す図である。
【0082】
2段階印刷処理は、まず、ステップS2403と同様にクリアフォーム3103におけるクリア情報の形状と画像データを構成する要素の形状が一致するクリア領域と、一致しないクリア領域の判定を行う(ステップS2901)。クリアフォーム3103を一致するクリア領域1(3104)と不一致のクリア領域2(3105)に分割する(ステップS2902)。
【0083】
次に、属性情報3102とクリア領域1のクリアデータ(3104)を合成してクリア領域1のクリアデータを含む属性情報を生成し(ステップS2903)、生成した属性情報を圧縮処理する(S2904)。
【0084】
記憶装置405に記録した画像データ3101とクリア領域1のクリアデータ(3104)を含む属性情報から画像処理を施し、基本4色とクリア領域1のクリアデータの印刷画像データを生成する(ステップS2905)。生成した基本4色とクリア領域1のクリアデータの印刷画像データを印刷制御部409は、プリンタ部202に送信し、CMYBkトナーの基本4色とクリアトナーによる印刷を行い、印刷物3106を出力する(ステップS2906)。
【0085】
次に、印刷物3106を再度、MFP101の用紙カセット225または用紙カセット226の給紙段にセットする(ステップS2907)。次に、クリア領域2のクリアデータ3105を獲得し(ステップS2908)、クリア領域2のクリアデータ3105を画像データとしてプリンタ部202に送信する。プリンタ部202では印刷物3106上にクリアトナーのみの印刷を行い、印刷物3107を出力する(ステップS2909)。
【0086】
以上、述べたように属性情報の容量を所定のメモリ量以下にできない場合でも、2段階印刷処理を行うことで、確実にクリア印刷を可能にし、画像を修飾するクリアの情報は第1段階の印刷において印刷を行うことで、2段階印刷による画像とのずれによるクリア印刷の画質の低下を抑えることが可能になる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明トナーを使用した印刷出力をする際に、その視覚的効果の選択を実現するために発生する多くの複雑な設定を自動的に行うための画像処理の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルプリンティング技術はオンデマンド印刷市場や少部数の文書印刷市場において、近年確実にその利用価値を高めつつある。特に電子写真技術を用いたフルカラープリンティングは生産性や印刷コスト、メンテナンスの容易性などの面で他のプリンティング技術よりも優位な位置にあり、急速にその市場を広めつつある。その中で、特に従来のCMYBK、基本4色のトナーを用いた電子写真印刷によるフルカラー印刷だけではなく、さらに特殊なトナーを用いた多色の印刷方式も注目を集めており、オンデマンド性、即時性の高い特殊印刷市場も視野に入ってきている。特殊トナーの例として、印刷物の表面の凸凹を吸収し、高光沢性を実現できる透明トナーやハイライト部のざらつきを押さえることができる淡トナー等が挙げられる。特殊トナーを使用することで通常のデジタル印刷とは異なる新たな付加価値が得られるようになり、デジタルプリンティングの世界をさらに拡大していくことが可能になる。以上のような背景から特殊トナーを実装したカラー複合機(以後、MFP)が市場に投入されている。
【0003】
MFPでは、画像データと、画像データの各画素に対応する属性情報をメモリに保持し、画像データに対して、属性情報に応じた画像処理を施し、印刷を行う。MFPにおいて特殊トナーを実装するため、特殊トナーの印刷データを2値の描画パターンに展開し、属性情報に合成する。画像データに対して属性情報に応じて色変換やスクリーン処理等の画像処理を施し、CMYBkの基本4色のトナーの描画パターンを生成する。属性情報から合成した特殊トナーの描画パターンを取り出し、基本4色の描画パターンと特殊トナーの描画パターンを印刷エンジンへ送り、印刷を行う。
【0004】
画像データおよび属性情報を保持するためのメモリには、各々所定のメモリ量の制限が設けられている。そのため、画像データは非可逆圧縮により容量が所定のメモリ量以下になるよう圧縮を行う。一方、属性情報はビットの欠損を防ぐために、可逆圧縮による圧縮を行うため、所定のメモリ量を超えてしまう場合がある。超えた場合の処理として、特許文献1においては、属性情報の各ビットをマスク(特定の値に置き換え)して圧縮率上げることで、所定のメモリ量以下にして格納する手段が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−086649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特殊トナーの描画パターンを属性情報に合成して保持するため、属性情報の各ビットをマスクすると、特殊トナーの描画パターンの情報が消去され、特殊トナーの印刷ができなくなってしまうという課題がある。
【0007】
特殊トナーの情報を保持するために、特殊トナーの描画パターンをダウンサンプリングすることで、圧縮率を上げる手段が考えられる。しかし、一律にダウンサンプリングを行うと、特殊トナーを画像の修飾(光沢等)に用いる場合は、特殊トナーの描画パターンと画像にずれが発生し、修飾の効果が低下し、画像が劣化してしまうという課題が発生してしまう。
【0008】
特殊トナーの一つである透明トナーによる画像の修飾は、画像データ(図32)に透明トナーデータ(図33)を上書きすることで、光沢のある画像の印刷結果(図34)を得ることができる。
【0009】
ダウンサンプリングした透明トナーデータ(図35)の場合は、画像データ(図32)とのずれが発生して、印刷結果(図36)の画像が劣化してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明に係る画像形成装置は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの基本4色の他に特色トナーを用いて印刷することが可能な画像形成装置において、画像データと前記画像データの各画素に対する属性情報を持ち、前記画像データをメモリに格納する手段と、特色の情報を前記属性情報の各画素に合成する合成手段と、前記合成手段により合成した属性情報を圧縮する圧縮手段と、前記圧縮手段により圧縮した属性情報のデータ量が所定のメモリ量を超える場合に、前記特色の情報の形状と前記画像データを構成する要素の形状が一致する領域と一致しない領域を判定する領域判定手段と、前記領域判定手段により形状が一致する領域と一致しない領域のそれぞれに前記特色の情報のダウンサンプリング率を決定する決定手段と、前記決定手段により決定したダウンサンプリング率で前記特色の情報をダウンサンプリングするダウンダンプリング手段と、前記ダウンダンプリング手段によりダウンサンプリングした特色の情報を前記属性情報に再合成する再合成手段と、前記再合成手段により再合成した属性情報を再圧縮する再圧縮手段と、前記圧縮手段もしくは前記再圧縮手段により圧縮した属性情報のデータ量が所定のメモリ量以下である場合に、前記圧縮した属性情報をメモリに格納する手段とを備え、前記メモリに格納した画像データに対して前記属性情報に応じた画像処理を施し、基本4色および特色の画像を形成し、印刷を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によって、属性情報の容量を所定のメモリ量以下にするために、特殊トナーの情報をダウンサンプリングすることで属性情報の圧縮率を上げつつ、画像を修飾する特殊トナーの情報についてはダウンサンプリング率を小さくすることで、画像とのずれによる特殊トナー印刷の画質の低下を抑えることが可能になる。
【0012】
また、特色トナーの情報を保持したまま属性情報の容量を所定のメモリ量以下にできない場合でも、2段階印刷手段に移行することで、確実に特殊トナーの印刷を行うことと可能にし、画像を修飾する特殊トナーの情報は第1段階の印刷において印刷を行うことで、2段階印刷による画像とのずれによる特殊トナーの印刷の画質の低下を抑えることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に関する画像処理システムを示すブロック図。
【図2】本発明にかかるMFPを示すブロック図。
【図3】ローカルPC102の構成を示す図。
【図4】データ処理装置211の構成を示す図。
【図5】PDL処理部401の構成を示す図。
【図6】スキャナ画像処理部402の構成を示す図。
【図7】クリア画像処理部406の構成を示す図。
【図8】画像処理部408の構成を示す図。
【図9】クリア印刷処理の流れを示すフローチャート。
【図10】PDL処理の流れを示すフローチャート。
【図11】アプリケーションで作成されたデータを示す図。
【図12】画像データを示す図。
【図13】属性の信号を示す図。
【図14】属性情報を示す図。
【図15】記憶装置405の構成を示した図。
【図16】クリア画像を示した図。
【図17】クリアフォーム登録処理の流れを示すフローチャート。
【図18】クリア合成処理の流れを示すフローチャート。
【図19】クリア情報を含む属性信号を示す図。
【図20】画像データを示す図。
【図21】クリア情報を示す図。
【図22】クリア印刷結果を示す図。
【図23】圧縮処理部404の流れを示すフローチャート。
【図24】ダウンサンプリング処理S2304の流れを示すフローチャート。
【図25】1200dpiで登録したクリアフォームの一部を示す図。
【図26】600dpiにダウンサンプリングしたクリアフォームの一部を示す図。
【図27】300dpiにダウンサンプリングしたクリアフォームの一部を示す図。
【図28】クリア印刷の流れを示すフローチャート。
【図29】2段階印刷の流れを示すフローチャート。
【図30】クリア印刷処理のデータの流れを示す概念図。
【図31】2段階印刷のデータの流れを示す概念図。
【図32】画像データ。
【図33】透明トナーデータ。
【図34】印刷結果。
【図35】ダウンサンプリングした透明トナーデータ。
【図36】画像のずれが発生した印刷結果。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。
なお、本実施形態では、特殊トナーとして印刷物の高光沢性を実現できるクリア(透明)トナーを用いた形態について説明する。
【0015】
<実施形態1>
図1は、本発明に係る画像形成装置示すブロック図である。
【0016】
オフィス10内に構築されたLAN104には、記録装置としてマルチファンクション複合機(以下、MFPという。)101、103、およびローカルPC102が接続されている。MFP101、103は、原稿画像から読み取った入力画像に対する画像処理を行う。そして、その画像処理の結果を原稿画像を読み取ったMFPが印刷する。
【0017】
また、MFP101で読み取った原稿画像に対して画像処理を行ってから、MFP103が印刷することも可能である。さらには、ローカルPC102から送信されるPage Discription Language(以下PDLという。)言語を解釈してMFP101、103が印刷することもできる。
【0018】
[MFP]
図2は、MFPを示す図である。図2において、イメージスキャナー(画像読み取り部)201は、原稿画像を読み取り、デジタル信号処理を行う。また、プリンタ部202は、イメージスキャナー201によって読み取られた原稿画像に対応した画像を用紙にフルカラーで印刷する。
【0019】
イメージスキャナー201は、鏡面圧板200を含み、原稿台ガラス(以下、プラテンという。)203上の原稿204は、ランプ205で照射され、ミラー206、207、208に導かれる。そして、照射された光は、レンズ209によって、3ラインの固体撮像素子センサ(以下、CCDという。)210上に像を結び、フルカラー情報としてのレッド(R),グリーン(G),ブルー(B)の3つの画像信号がデータ処理装置211に送られる。なお、ランプ205、ミラー206は、速度vで、ミラー207、208は、速度1/2vでラインセンサの電気的走査(主走査)方向に対して垂直方向に機械的に動くことによって、原稿全面を走査(副走査)する。ここで、原稿204は、主走査および副走査ともに600dpi(dots/inch)の解像度で読みとられる。読み取られた画像信号は原稿1ページ分の単位で画像データとしてデータ処理装置211の内部のデータ記憶部に記憶される。
【0020】
データ処理装置211は、内部に記憶された画像データを画素単位で電気的に処理し、マゼンタ(M),シアン(C),イエロー(Y),ブラック(Bk)の各成分に分解し、プリンタ部202に送る。また、データ処理装置211の内部で、クリア画像データ(CL)を画素単位で生成し、同じくプリンタ部202へ送出する。
【0021】
送出されたM、C、Y、Bk、CLの画像信号がレーザードライバー212に送られる。レーザードライバー212は、送られてきた画像信号に応じ、半導体レーザー213を変調駆動する。レーザー光は、ポリゴンミラー214、f−θレンズ215、ミラー216を介し、感光ドラム217上を走査する。ここで、読取と同様に主走査および副走査ともに600dpi(dots/inch)の解像度で書込まれる。
【0022】
回転現像器218は、マゼンタ現像部219、シアン現像部220、イエロ現像部221、ブラック現像部222、クリア(透明)現像部223を含む。そして、5つの現像部219〜223が交互に感光ドラム217に接し、感光ドラム上に形成された静電現像を各色のトナーで現像する。
【0023】
転写ドラム224は、用紙カセット225または用紙カセット226より供給される用紙をこの転写ドラム224に巻き付け、感光ドラム上に現像された像を用紙に転写する。
【0024】
この様にして、CMYBkおよびクリア(透明)の5色が順次転写された後に、用紙は、定着ユニット227を通過して、トナーが用紙に定着された後に排紙される。
【0025】
[ローカルPC]
図3は、ローカルPC102の構成を示す図である。
【0026】
ユーザは、アプリケーション301で作成したデータを印刷する場合、プリンタドライバUI部302は、印刷の指示をプリンタドライバ303に送信する。印刷の指示を受けたプリンタドライバ1803は、アプリケーション301のデータからPDLデータを作成する。送信部304は、作成されたPDLデータをMFP101に送信する。
【0027】
[データ処理装置211]
図4は、MFPに搭載されているデータ処理装置211の構成を示す図であり、PDL処理部401、スキャナ画像処理部402、圧縮処理部404、データ記憶部405、クリア画像処理部406、UI部407、画像処理部408、印刷制御部409、クリア合成部410で構成されている。
【0028】
図5は、図4のPDL処理部401の構成を示す図であり、受信部501、PDL解析部502、画像データ生成部503、属性情報生成部504、送信部505で構成されている。
【0029】
図6は、図4のスキャナ画像処理部402の構成を示す図であり、受信部601、スキャン色処理部602、像域判定部603、属性情報生成部604、送信部605で構成されている。
【0030】
図7は、図4のクリア画像処理部406の構成を示す図であり、受信部701、グレースケール化処理部702、2値化処理部703、送信部704で構成される。
【0031】
図8は、図4の画像処理部408の構成を示す図であり、データ解凍部801、印刷色変換部802、クリアトナー処理部803、画像生成部804、送信部805で構成される。
【0032】
[クリア印刷処理]
図9は、データ処理装置211が行うクリア印刷処理の流れを示すフローチャートである。
【0033】
図30はクリア印刷処理のデータの流れを示す図である。
【0034】
まず、PDL処理部401が、ローカルPC102やMFP101、103から送信されるPDLデータを受け取り、PDLデータを解析して、1ページ単位で画像データ3001と属性情報3002を生成する(ステップS901)。次に、クリア合成部410が、記憶装置405に登録しているクリアフォーム(クリア情報)3003と属性情報を合成して、クリア情報を含む属性情報3004を生成する(ステップS902)。次に、圧縮処理部404が、画像データと属性情報を各規定のメモリ量以下の容量になるよう圧縮して記憶装置に記憶する(ステップS903)。次に、画像処理部408が、色変換やハーフトーン処理等の画像処理を行う(ステップ904)。画像処理部408では、解凍部801で記憶装置405に記録された画像データと画像データに対応する属性情報を取り出し解凍する。色処理部502は画像データの色信号を属性情報に応じてCMYBk信号に変換する。クリアトナー処理部803は属性情報からクリア情報からクリアデータを生成し、送信部805にて、印刷制御部409に送る。画像形成処理部804は、色変換された画像データに対して属性情報に応じてハーフトーン処理を施し、プリンタ部202の出力階調に合った印刷画像データを生成する。生成された印刷画像データは、送信部805にて、印刷制御部409に送られる。印刷制御部409は、印刷画像データおよびクリアデータをプリンタ部202に送信する(ステップS905)。プリンタ部202はCMYBkトナーおよびクリアトナーによる印刷を行い、印刷物3005を出力する。
【0035】
なお、スキャン画像については、スキャン色処理部602が、スキャン画像に対して、下地処理、色処理を行い画像データを生成し、像域判定部603が、文字やカラー/モノクロの像域判定を行い、属性情報生成部604が、像域の判定結果に基づいて、属性情報を生成する。
【0036】
[PDL処理]
図10は、PDL処理部401が行うPDL処理の流れを示すフローチャートである。
【0037】
図11はアプリケーションで作成されたデータを示した図である。データは、文字1101、図形1102、図形1103の各要素で構成されており、ローカルPC102のUIより印刷が指示されると、ローカルPC102は、PDLデータに変換し、MFP101に送る。なお、図11はデータの一例を示したものであり、文字、図形に限定されるものではない。
【0038】
まず、PDL解析部502が、文字、図形、イメージの各要素や、色指定、その他制御命令からなるPDLデータを解析する(ステップ1001)。次に、画像データ生成部503が、PDLデータの解析内容に沿ってレンダリングし、各ページ単位で、RGB等の色信号からなる画像データを生成する(ステップ1002)。図12は画像データを示す図であり、図11の各要素からなるデータは各画素の色信号で構成される。次に、属性情報生成部504が、PDLデータの解析内容と画像データより画像データに対応する属性情報を生成する(ステップS1003)。図13は属性の信号を示した図である。属性の信号は対応する画素の属性を示すものであり、例えば、bit0は図形か否かを示し、「1」なら図形を示す画素、「0」なら図形でない画素であることを示す。bit1は文字かイメージか、bit2は有彩色か無彩色かを示す。このように属性の信号を構成する各bitは対応する画素の属性をbit値で表され、記憶される。図14は属性情報を示す図であり、図12の画像データの各画素に対応する属性の信号で構成される。
【0039】
[記憶装置]
図15は、記憶装置405の構成を示した図である。
【0040】
記憶装置405は、画像データ記憶領域1501、属性情報記憶領域1502、クリアフォーム登録領域1503で構成される。
【0041】
画像データ記憶領域1501は、PDL処理部401の画像データ生成部503やスキャナ画像処理部402のスキャン色処理部602が生成する画像データが記憶される領域である。属性情報記憶領域1502は、PDL処理部401の属性情報生成部504やスキャナー画像処理部402の属性情報生成部604が生成する属性情報が記録される領域である。クリアフォーム登録領域は、後述するクリアフォーム登録処理が生成するクリアフォームを登録する領域である。
【0042】
各々の領域に記憶、登録できるデータのメモリ量には制限があり、記憶装置405は各データ(画像データ、属性情報、クリアフォーム)に対して、圧縮処理を行い、データ量を制限のメモリ量以下にして記憶する。
【0043】
[クリアフォーム登録]
クリア印刷は、クリア画像処理部406で登録されるクリアフォーム画像データをクリア情報として使用する。
【0044】
図16はクリア画像を示した図である。
【0045】
図17は、クリアフォーム登録処理の流れを示すフローチャートである。
ローカルPC102は、ドライバUI画面(不図示)からクリアフォーム画像登録を指示されると、クリア用データ1601を、PDLデータに変換して、PDL処理部901へ送信する。
【0046】
まず、PDL処理部901が、PDLデータを受信し、前述したPDL処理により、画像データを生成する(ステップS1701)。生成した画像データをクリア画像処理部406が受取り(ステップS1702)、グレースケール処理部702が画像データをグレースケールのデータに変換する。変換の方法の例として、RGBで入力された場合には、YUV信号に変換し、Y信号のみをグレースケール信号として使用するケースを挙げるが、この限りではない。次に、2値化処理部703が、グレースケールに変換された画像データを、2値画像データに変換する(ステップS1704)。変換の方法の例として、閾値を設定し、その閾値よりグレースケール信号値が大きい場合には1、小さい場合には0となり、2値画像データを生成する。送信部805は、記憶装置405に2値画像データを送信し、記憶装置405のクリアフォーム登録領域1503に、クリアフォームとして登録する(ステップS1705)。
【0047】
[クリア合成処理]
図18はクリア合成部410によるクリア合成処理の流れを示すフローチャートである。
【0048】
クリア合成部410は、まず、PDL処理部401の属性情報生成部504が生成した属性情報を受信し(ステップS1801)、記憶装置405のクリアフォーム登録領域1503に登録されているクリアフォームを獲得する(ステップS1802)。受信した属性情報にクリアフォームの情報を合成することで、クリア情報を含む属性情報を生成する(ステップS1803)。例えば、属性情報が図13に示す属性の構成である場合、クリアの属性はbit6で表される。合成処理は、同一画素位置の属性情報の属性信号(8bit)とクリアフォームの値を取り出し、属性情報のbit6にクリアフォームの値が「0」であれば、「0」を、「1」であれば「1」を書き込む。すべての画素について属性情報の属性信号にクリアフォームの値を書き込むことでクリア情報を含む属性情報を生成する。
【0049】
図19はクリア情報を含む属性信号を示した図である。
【0050】
図14の属性情報に、クリアフォームとして登録された図16のデータを合成すると図19のクリア情報を含む属性情報が生成される。
【0051】
[クリア印刷の用途]
クリア印刷には、画像データを構成する文字や図形の要素にクリアトナーを上書きして光沢を出すことで要素を修飾する効果を得る用途と、クリアトナーを透かし文字やスタンプのようにクリアトナー自体を画像として印刷する用途がある。
【0052】
図20は画像データ、図21はクリア情報の一例を示した図である。
【0053】
図21のクリアデータ2101は、修飾を目的とするクリアデータであり、図20の画像データを構成する要素の中の文字2001と同一の位置に同一の形状で構成される。画像データの文字2001にクリアトナーを上書きすることで、文字2001に光沢を出し、文字を修飾する効果を得ることでできる。
【0054】
図21のクリアデータ2102は、画像(文字)として図20の画像データの下地領域に構成することで、一見では判別しにくい透かし文字の効果を得ることができる。
【0055】
図22は、図20の画像データと図21のクリア情報によりクリア印刷を行った結果を示したものである。文字2001は修飾用のクリアデータ2101がクリアトナーで上書きされ修飾文字2201として、画像用のクリアデータ2102はクリアトナーによる透かし文字2202として印刷される。
【0056】
[圧縮処理]
画像データ生成部503で生成される画像データや、クリア合成処理401で生成されるクリア情報を含む属性情報は、それぞれ、記憶装置405の画像データ記憶領域1501、属性情報記憶領域1502に記憶される。各領域には記録できるデータのメモリ量に制限があり、画像データおよび属性情報は圧縮処理部404において圧縮処理を行い、データ量を制限のメモリ量以下にして記憶される。
【0057】
画像データは、視覚的に劣化が少なく、かつ高圧縮が可能な非可逆圧縮のJPEG圧縮により圧縮を行い、データ量を制限のメモリ以下にして、画像データ記憶領域1501に記憶される。
【0058】
属性情報は、各bitがそれぞれの属性を表しており、属性の損失を防ぐために可逆圧縮による圧縮を行う。
【0059】
図23は圧縮処理部404の流れを示すフローチャートである。
【0060】
圧縮処理部404による属性情報の圧縮処理は、まず、クリア合成部410が生成したクリア情報を含む属性情報を獲得し(ステップS2301)、属性情報を可逆圧縮であるPackbit圧縮によりデータ圧縮を行う(ステップS2302)。次に、圧縮した属性情報のデータ量が属性情報記憶領域1502の制限である所定のメモリ量以下である否かを判別する(ステップS2303)。所定のメモリ量を超えている場合は、所定のメモリ量以下になるようにクリア情報のダウンサンプリング処理を行い(ステップS2304)、圧縮された属性情報を属性情報記録領域1502に記録する(ステップS2305)。
【0061】
一方、ステップS2303において、所定のメモリ量以下である場合は、圧縮された属性情報を属性情報記録領域1502に記録する(ステップS2305)。
【0062】
[ダウンサンプリング処理]
図24は、圧縮処理部404のダウンサンプリング処理S2304の流れを示すフローチャートである。ダウンサンプリング処理では、属性情報の可逆圧縮の圧縮率を高めるようクリアフォームを再構築する。クリアフォームの再構築は、例えば、Packbits圧縮では、同じデータが連続するほど、圧縮率が高くなる特性をもつため、クリアフォームのデータ解像度を低い解像度にするダウンサンプリングを行う。
【0063】
クリア情報のダウンサンプリング処理は、まず、PDL処理部401の属性情報生成部504が生成した属性情報を受信し(ステップS2401)、記憶装置405のクリアフォーム登録領域1503に登録したクリアフォームを獲得する(ステップS2402)。
【0064】
次に、クリアフォームにおけるクリア情報の形状と画像データを構成する要素の形状が一致するクリア領域と、一致しないクリア領域の判定を行う(ステップS2403)。一致不一致の判定は、属性信号(図13)のクリア情報を表すbit6のクリア属性と、画像データの要素を表すbit1の文字/写真属性およびbit0の図形属性により行う。例えば、図21のクリアデータ2101は、図20の画像データの文字2001と同一位置に構成されており、形状が一致するクリア領域と判定する。図21のクリアデータ2102は、図20の画像データのいずれの要素とも一致しないため不一致のクリア領域と判定する。ここで、形状が一致するクリア領域は画像を修飾するために修飾用クリアデータであり、不一致のクリア領域は透かし文字等の画像用のクリアデータであると判別できる。
【0065】
次に、画像データを構成する要素の形状が一致するクリア領域と一致しないクリア領域に対して、それぞれダウンサンプリング率を決定する(ステップS2404)。形状が一致するクリア領域は、クリア情報の形状と画像データの要素の形状とのずれが極力抑えられるように小さいダウンダンプリング率を設定し、形状が不一致の領域には属性情報の圧縮率を上げるように大きいダウンダンプリング率を設定する。
【0066】
例えば、クリアフォームが画像データと同じ解像度の1200dpiで生成されている場合は、形状が一致するクリア領域のダウンサンプリング率は1/2(解像度600dpi)に設定し、形状が不一致のクリア領域のダウンサンプリング率は1/4(解像度300dpi)に設定する。
【0067】
次に、決定したダウンサンプリング率に応じて、形状が一致するクリア領域、不一致のクリア領域をダウンサンプリングする(ステップS2405)
例えば、図25は画像データと同じ解像度の1200dpiで生成し登録したクリアフォームの一部(クリアデータ)を示している。
【0068】
ダウンダンプリング率が1/2(解像度600dpi)の形状が一致するクリア領域は図25のクリアデータの水平方向の解像度を600dpiにダウンサンプリングし、600dpiのデータを単純に2倍することにより元の解像度1200dpiのデータ(図26)にする。
【0069】
ダウンダンプリング率が1/4(解像度300dpi)の形状が不一致のクリア領域は図25のクリアデータの水平方向の解像度を300dpiにダウンサンプリングし、300dpiのデータを単純に4倍することにより元の解像度1200dpiのデータ(図27)にする。
【0070】
データを単純に2倍、4倍にすることで、同一のデータが連続する割合が増加し、Packbits圧縮による圧縮率を高くすることができる。
【0071】
次に、ダウンサンプリングしたクリアフォームと属性情報をクリア合成部410と同じく再合成し(ステップS2406)、再構築したクリア情報を含む属性情報を圧縮し(ステップS2407)、圧縮した属性情報のデータ量が属性情報記憶領域1502の制限である所定のメモリ量以下である否かを判別する(ステップS2408)。所定のメモリ量以下であれば、属性情報にクリア情報が保持されているかを示すクリア保持フラグをON(保持している)にして(ステップS2409)、クリア情報のダウンサンプリング処理を終了する。
【0072】
一方、ステップS2408で、所定のメモリ量を超えている場合は、属性情報からクリア情報を削除して再圧縮を行い(ステップS2410)、クリア保持フラグをOFF(保持していない)にして(ステップS2411)、属性情報の変更処理を終了する。
【0073】
以上述べたように、属性情報のデータ量を所定のメモリ量以下にするために、クリア情報をダウンサンプリングすることで、クリア情報を保持したまま属性情報の圧縮率を上げることが可能になり、基本4色とクリアトナーの印刷を行うことができる割合を向上することができる。また、画像を修飾するクリア情報についてはダウンサンプリング率を小さくすることで、画質の低下を抑えることが可能になる。
【0074】
<実施形態2>
実施形態1では、属性情報のデータ量を所定のメモリ量以下にするために、クリア情報をダウンサンプリングすることを特徴としたが、実施形態2では、ダウンサンプリング処理を実施後、属性情報のデータ量が所定のメモリ量を超える場合のクリア印刷処理の形態について説明する。
【0075】
[クリア印刷処理2]
図28は、データ処理装置211が行うクリア印刷処理の流れを示すフローチャートである。
【0076】
まず、PDL処理部401が、ローカルPC102やMFP101、103から送信されるPDLデータを受け取り、PDLデータを解析して、1ページ単位で画像データと属性情報を生成する(ステップS2801)。次に、クリア合成部410が、記憶装置405に登録しているクリアフォーム(クリア情報)と属性情報を合成して、クリア情報を含む属性情報を生成する(ステップS2802)。次に、圧縮処理部404が、画像データと属性情報を各規定のメモリ量以下の容量になるよう圧縮して記憶装置に記憶する(ステップS2803)。
【0077】
次に圧縮処理部404のダウンサンプリング処理S2304が設定したクリア保持フラグが「ON」か「OFF」かを判断する(ステップ2804)。クリア保持フラグの「ON」は属性情報変更処理がクリア情報を保持した属性情報を属性情報記憶領域1502に記憶していることを示し、「OFF」はクリア情報を消去した属性情報を属性情報記憶領域1502に記憶していることを示す。
【0078】
ステップS2804において、クリア保持フラグが「ON」の場合は、
記憶装置405に記録した画像データ3001とクリア情報を含む属性情報3004を獲得して画像処理を施すことで、基本4色の印刷画像データおよびクリアデータを生成する(ステップS2805)。生成した基本4色の印刷画像データおよびクリアデータを印刷制御部409が、プリンタ部202に送信する(ステップS2806)。プリンタ部202はCMYBkトナーおよびクリアトナーによる印刷を行い、印刷物3005を出力する。
【0079】
一方、ステップS2804においてクリア保持フラグが「OFF」の場合は、2段階印刷処理(ステップS2807)を行う。
【0080】
[2段階印刷処理]
図29は2段階印刷処理S2807の流れを示すフローチャートである。
【0081】
図31は2段階印刷処理のデータの流れを示す図である。
【0082】
2段階印刷処理は、まず、ステップS2403と同様にクリアフォーム3103におけるクリア情報の形状と画像データを構成する要素の形状が一致するクリア領域と、一致しないクリア領域の判定を行う(ステップS2901)。クリアフォーム3103を一致するクリア領域1(3104)と不一致のクリア領域2(3105)に分割する(ステップS2902)。
【0083】
次に、属性情報3102とクリア領域1のクリアデータ(3104)を合成してクリア領域1のクリアデータを含む属性情報を生成し(ステップS2903)、生成した属性情報を圧縮処理する(S2904)。
【0084】
記憶装置405に記録した画像データ3101とクリア領域1のクリアデータ(3104)を含む属性情報から画像処理を施し、基本4色とクリア領域1のクリアデータの印刷画像データを生成する(ステップS2905)。生成した基本4色とクリア領域1のクリアデータの印刷画像データを印刷制御部409は、プリンタ部202に送信し、CMYBkトナーの基本4色とクリアトナーによる印刷を行い、印刷物3106を出力する(ステップS2906)。
【0085】
次に、印刷物3106を再度、MFP101の用紙カセット225または用紙カセット226の給紙段にセットする(ステップS2907)。次に、クリア領域2のクリアデータ3105を獲得し(ステップS2908)、クリア領域2のクリアデータ3105を画像データとしてプリンタ部202に送信する。プリンタ部202では印刷物3106上にクリアトナーのみの印刷を行い、印刷物3107を出力する(ステップS2909)。
【0086】
以上、述べたように属性情報の容量を所定のメモリ量以下にできない場合でも、2段階印刷処理を行うことで、確実にクリア印刷を可能にし、画像を修飾するクリアの情報は第1段階の印刷において印刷を行うことで、2段階印刷による画像とのずれによるクリア印刷の画質の低下を抑えることが可能になる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの基本4色の他に特色トナーを用いて印刷することが可能な画像形成装置において、
画像データと前記画像データの各画素に対する属性情報を持ち、
前記画像データをメモリに格納する手段(405)と、
特色の情報を前記属性情報の各画素に合成する合成手段(410)と、
前記合成手段により合成した属性情報を圧縮する圧縮手段(404)と、
前記圧縮手段により圧縮した属性情報のデータ量が所定のメモリ量を超える場合に、
前記特色の情報の形状と前記画像データを構成する要素の形状が一致する領域と一致しない領域を判定する領域判定手段(S2403)と、
前記領域判定手段により形状が一致する領域と一致しない領域のそれぞれに前記特色の情報のダウンサンプリング率を決定する決定手段(S2404)と、
前記決定手段により決定したダウンサンプリング率で前記特色の情報をダウンサンプリングするダウンダンプリング手段(S2405)と、
前記ダウンダンプリング手段によりダウンサンプリングした特色の情報を前記属性情報に再合成する再合成手段(S2406)と、
前記再合成手段により再合成した属性情報を再圧縮する再圧縮手段(S2407)と、
前記圧縮手段もしくは前記再圧縮手段により圧縮した属性情報のデータ量が所定のメモリ量以下である場合に、前記圧縮した属性情報をメモリに格納する手段(S2305))とを備え、
前記メモリに格納した画像データに対して前記属性情報に応じた画像処理を施し、基本4色および特色の画像を形成し、印刷を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記決定手段は、前記画像データを構成する要素の形状と一致する領域の特色の情報のダウンサンプリング率を、前記画像データを構成する要素の形状と一致しない領域の特色の情報のダウンサンプリング率より小さくすることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記再圧縮手段により圧縮した属性情報のデータ量が所定のメモリ量を超える場合に、
前記特色の情報を前記画像データを構成する要素の形状と一致する第1の領域と、前記画像データを構成する要素の形状と一致しない第2の領域に分割する分割手段(S2902)と、
前記第1の領域の特色の情報と前記属性情報を合成する第2の合成手段(S2903)と、
前記第2の合成手段により合成した属性情報を圧縮する第2の圧縮手段(S2904)と、
前記第2の圧縮手段により圧縮した属性情報をメモリに格納する手段(S2305)と
前記メモリに格納した画像データに対して前記属性情報に応じた画像処理を施し基本4色と特色の画像を形成し印刷を行う第1の印刷手段(S2906)と、
前記第2の領域の特色の情報に基づいて特色のみを前記第1の印刷手段が印刷した印刷物の上に印刷を行う第2の印刷手段とにより印刷を行う2段階印刷手段(S2909)を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項1】
シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの基本4色の他に特色トナーを用いて印刷することが可能な画像形成装置において、
画像データと前記画像データの各画素に対する属性情報を持ち、
前記画像データをメモリに格納する手段(405)と、
特色の情報を前記属性情報の各画素に合成する合成手段(410)と、
前記合成手段により合成した属性情報を圧縮する圧縮手段(404)と、
前記圧縮手段により圧縮した属性情報のデータ量が所定のメモリ量を超える場合に、
前記特色の情報の形状と前記画像データを構成する要素の形状が一致する領域と一致しない領域を判定する領域判定手段(S2403)と、
前記領域判定手段により形状が一致する領域と一致しない領域のそれぞれに前記特色の情報のダウンサンプリング率を決定する決定手段(S2404)と、
前記決定手段により決定したダウンサンプリング率で前記特色の情報をダウンサンプリングするダウンダンプリング手段(S2405)と、
前記ダウンダンプリング手段によりダウンサンプリングした特色の情報を前記属性情報に再合成する再合成手段(S2406)と、
前記再合成手段により再合成した属性情報を再圧縮する再圧縮手段(S2407)と、
前記圧縮手段もしくは前記再圧縮手段により圧縮した属性情報のデータ量が所定のメモリ量以下である場合に、前記圧縮した属性情報をメモリに格納する手段(S2305))とを備え、
前記メモリに格納した画像データに対して前記属性情報に応じた画像処理を施し、基本4色および特色の画像を形成し、印刷を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記決定手段は、前記画像データを構成する要素の形状と一致する領域の特色の情報のダウンサンプリング率を、前記画像データを構成する要素の形状と一致しない領域の特色の情報のダウンサンプリング率より小さくすることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記再圧縮手段により圧縮した属性情報のデータ量が所定のメモリ量を超える場合に、
前記特色の情報を前記画像データを構成する要素の形状と一致する第1の領域と、前記画像データを構成する要素の形状と一致しない第2の領域に分割する分割手段(S2902)と、
前記第1の領域の特色の情報と前記属性情報を合成する第2の合成手段(S2903)と、
前記第2の合成手段により合成した属性情報を圧縮する第2の圧縮手段(S2904)と、
前記第2の圧縮手段により圧縮した属性情報をメモリに格納する手段(S2305)と
前記メモリに格納した画像データに対して前記属性情報に応じた画像処理を施し基本4色と特色の画像を形成し印刷を行う第1の印刷手段(S2906)と、
前記第2の領域の特色の情報に基づいて特色のみを前記第1の印刷手段が印刷した印刷物の上に印刷を行う第2の印刷手段とにより印刷を行う2段階印刷手段(S2909)を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図2】
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【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【公開番号】特開2011−81278(P2011−81278A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−234758(P2009−234758)
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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