説明

画像形成装置およびチケット管理システム

【課題】偽造複製をより一層しにくくする。
【解決手段】画像形成装置1に、用紙に予め埋め込まれた第1識別情報SJ1を読み取る検出解析部17と、画像データGDに第1識別情報SJ1とは異なる第2識別情報SJ2をバーコード、QRコードまたは地紋パターンとして付加する付加部11と、第2識別情報SJ2が付加された画像データGDを、第1識別情報SJ1が予め埋め込まれた用紙に印刷することによってチケットを作成する印刷部10hと、を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MFP等の画像形成装置およびチケット管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成を行う画像形成装置、例えば、複写機、プリンタ、ファクシミリのほか、複合機またはMFP(Multi Function Peripherals)と呼称される多機能機等が会社等のオフィス内で使用されている。画像形成装置の性能の向上と並行して付加機能の開発が絶え間なく続けられており、既に様々な付加機能が提案されている。
【0003】
例えば、チケット等の偽造を防止するための画像偽造防止機能を備えたデジタル複写機が提案されている(特許文献1)。
【0004】
特許文献1に記載のデジタル複写機によると、記録紙(コピー用紙)上にID(識別)チップを埋め込み、かつ、このIDチップ内の情報に対応する情報をバーコード等のパターンとして記録紙に形成することによって、オリジナル出力であるか偽造出力であるかを判別することができる。すなわち、IDチップが埋め込まれかつバーコード等のパターンが形成されたオリジナル出力をIDコード付き記録紙にコピーしたとしても、IDコードとバーコードとの対応が1対1で取れなくなるので、偽造出力であることが分かる。このように、チケットのように偽造されてしまったら困る印刷物についても、偽造され難いようにしてプリントアウトすることが可能である。
【特許文献1】特開2004−198516号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の方法では、IDチップが埋め込まれた記録紙を何らかの方法によって入手することができれば、偽造のための複製を行うことができる場合があり、偽造防止のための有効な方法とは言い難い。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑み、偽造複製をより一層しにくくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態に係る画像形成装置は、用紙に予め埋め込まれた第1識別情報を読み取る読み取り手段と、画像データに前記第1識別情報とは異なる第2識別情報を付加する付加手段と、前記第2識別情報が付加された画像データを、前記第1識別情報が予め埋め込まれた前記用紙に印刷することによってチケットを作成する印刷手段と、を有する。
【0008】
好ましくは、前記第1識別情報を、前記用紙に予め埋設されたICチップから読み取る。
【0009】
または、前記第1識別情報を、前記用紙に予め形成された地紋パターンから取得する。
【0010】
または、前記第2識別情報を、バーコード、QRコード、または地紋パターンとして付加する。
【0011】
または、画像形成装置は、識別情報の照合を行うサーバに前記第1識別情報および前記第2識別情報を送信するよう通信手段を制御する通信制御手段と、用紙搬送系における紙詰まりであるジャムを検出するジャム検出手段と、を有し、前記通信制御手段は、前記用紙への印刷中に前記ジャム検出手段によって前記ジャムが検出された場合には、前記第1識別情報および前記第2識別情報を前記サーバに送信しないよう前記通信手段を制御する。
【0012】
なお、チケットには、映画チケット、乗車チケット、乗船チケット、航空チケット、コンサートチケット等の各種チケット(各種有価証券)や紙幣、金券などが含まれる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、偽造複製をより一層しにくくすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は画像形成装置1のハードウェア構成の例を示す図、図2はチケット管理システムTSの全体的な構成の例を示す図、図3はチケットTKの例を示す図、図4は識別情報テーブルSJTの例を示す図である。
【0015】
画像形成装置1は、コピー、スキャナ、ファックス、ネットワークプリンティング、およびドキュメントサーバ等の様々な機能を集約した処理装置であり、複合機またはMFP(Multi Function Peripherals)等と呼ばれる。
【0016】
画像形成装置1は、図1に示すように、CPU10a、RAM10b、ROM10c、ハードディスク10d、制御用回路10e、操作パネル10f、LANインタフェース10g、印刷部(エンジン)10h、スキャナ10i、およびFAXモデム10j等によって構成される。
【0017】
制御用回路10eは、ハードディスク10d、操作パネル10f、LANインタフェース10g、印刷部10h、スキャナ10i、およびFAXモデム10j等を制御するための回路である。
【0018】
スキャナ10iは、原稿に描かれている文章、数式、記号、写真、図表、またはイラスト等のコンテンツの画像を光学的に読み取って画像データを生成する。
【0019】
印刷部10hは、スキャナ10iによって得られた画像データに基づく画像を用紙に印刷する。
【0020】
LANインタフェース10gは、他の画像形成装置等と通信を行うためのNIC(Network Interface Card)であって、画像形成装置1とハブまたはルータとを接続するために用いられる。
【0021】
FAXモデム10jは、他の画像形成装置またはFAX端末等とファックスプロトコルによる通信を行う装置である。
【0022】
操作パネル10fは、タッチパネル式の液晶ディスプレイから構成される後述の表示部HZおよびテンキー等から構成される図示しない操作部によって構成される。表示部HZには、ユーザに対してメッセージまたは指示を与えるための画面、ユーザが所望する処理の種類および処理条件を入力するための画面、およびCPU10a等で実行された処理の結果を示す画面等が表示される。
【0023】
ユーザは、上記の画面を見ながら表示部HZまたは操作部を操作することによって、画像形成装置1に対して、処理の実行開始または中断等の指令を与え、データの宛先、印刷条件、またはスキャン条件等の処理条件を指定し、その他種々の事項を指定することができる。つまり、操作パネル10fは、画像形成装置1を操作するユーザのためのユーザインタフェースの役割を果たしている。
【0024】
チケット管理システムTSは、図2に示すように、画像形成装置1、サーバ2、チケット読取装置3、および通信回線TC等によって構成される。通信回線TCとして、LAN、インターネット、公衆回線、または専用線等が用いられる。画像形成装置1、サーバ2およびチケット読取装置3は、それぞれ通信回線TCを介して互いに接続されている。
【0025】
画像形成装置1は、主な機能的構成として、付加部11、生成部12、管理制御部13、および画像データ記憶部16等を含む。上記のCPU10aがRAM10bまたはROM10cに格納されているプログラムを実行することによって、付加部11、生成部12、管理制御部13、および画像データ記憶部16の全部またはその一部が機能的に実現されている。このようなプログラムは、当該プログラムが記録されたCD−ROM等の可搬型の記録媒体からインストールすることが可能である。また、ネットワークを介してサーバからプログラムをダウンロードすることも可能である。
【0026】
また、付加部11、生成部12、管理制御部13、および画像データ記憶部16の全体または一部が、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などとしてLSI化され、ファームウェアまたはハードウェアによって実現されることもある。
【0027】
ジャム検出部14は、用紙搬送経路に設けられる複数のセンサによって構成され、用紙の検出を行うことによって用紙搬送経路における紙詰まり(以下、「ジャム」と称する)を検出する。画像データ記憶部16は、チケットの作成に用いる画像データGD等を記憶する。
【0028】
本実施形態では、所定の識別情報が予め付加された用紙に当該識別情報とは異なる識別情報を付加してチケットを作成する。すなわち、作成されたチケットには互いに異なる2つの識別情報が付加されている。以下、このようなチケットを作成する方法および作成されたチケットを管理する方法について詳細に説明する。
【0029】
検出解析部17は、用紙に予め付加された第1識別情報SJ1を検出する。第1識別情報SJ1は各用紙ごとに異なるが、同じものがあってもよい。
【0030】
また、第1識別情報SJ1は、用紙に予め埋設されたICチップに記憶しておいてもよいし、バーコード、QRコード(登録商標)、または地紋パターンとして付加しておいてもよい。
【0031】
なお、検出解析部17には、バーコードやQRコード(登録商標)から第1識別情報SJ1を読み取る手段、地紋パターンを検出し解析することによって第1識別情報SJ1を取得する手段、およびICチップから第1識別情報SJ1を検知する手段が含まれる。検出解析部17は、例えばバーコードリーダ、QRコードリーダ、スキャナ、RFタグリーダ、地紋解析装置、および情報処理装置等の組み合わせによって構成される。また、ICチップは微小チップであるので、用紙のどの部分に埋め込まれているかについては通常知ることはできない。
【0032】
生成部12は、ユーザによる操作パネル10fの操作によって指定された、第1識別情報SJ1とは異なる第2識別情報SJ2を生成する。第2識別情報SJ2は、バーコード、QRコード(登録商標)、または地紋パターンとして生成される。なお、第2識別情報SJ2の指定の際に、検出された第1識別情報SJ1が操作パネル10fに表示されるので、ユーザは第1識別情報SJ1とは異なる第2識別情報SJ2を指定することができる。
【0033】
付加部11は、画像データ記憶部16に記憶されている画像データGDに第2識別情報SJ2を付加する。印刷部10hは、第2識別情報SJ2が付加された画像データGDを、第1識別情報SJ1が予め埋め込まれた用紙に印刷することによってチケットを作成する。
【0034】
ここで、作成されたチケットTKは、図3(A)に示すように、第1識別情報SJ1が記憶されたICチップITが埋設され、第2識別情報SJ2がバーコードBCとして画像の中に付加されたものであってもよい。
【0035】
また、作成されたチケットTKは、図3(B)に示すように、第1識別情報SJ1が地紋パターンZP1として埋め込まれ、第2識別情報SJ2が地紋パターンZP2として画像の中に付加されたものであってもよい。
【0036】
管理制御部13は、チケットTKの作成に用いられた第1識別情報SJ1および第2識別情報SJ2の組みをサーバ2に送信するよう通信部15を制御する。
【0037】
サーバ2は、主として、通信部21、情報管理部22および識別情報記憶部23を有する。
【0038】
情報管理部22は、図4に示すように、通信部21を介して受信した第1識別情報SJ1および第2識別情報SJ2を対にして識別情報記憶部23の識別情報テーブルSJTに記憶させる。
【0039】
チケット読取装置3は、主として、検出解析部31、制御部32、通信部33および可否決定部34を有する。
【0040】
このようなチケット読取装置3は、図3で示したようにチケットTKが乗船チケットである場合には乗船場に設置され、例えば映画チケットである場合には映画館に設置され、読み取った第1識別情報SJ1および第2識別情報SJ2の組みをサーバ2に問い合わせることによって、チケットTKの受付を行うか拒否するかを決定する。
【0041】
検出解析部31は、上述した検出解析部17と同じ手段(機能)を有するものであり、チケットTKから第1識別情報SJ1および第2識別情報SJ2を取得する。
【0042】
制御部32は、検出解析部31によって取得された第1識別情報SJ1および第2識別情報SJ2をサーバ2に送信するよう通信部33を制御する。
【0043】
サーバ2の情報管理部22は、チケット読取装置3から受信した上記第1識別情報SJ1および第2識別情報SJ2の組みと同じ組みが識別情報記憶部23に記憶されているか否かを判断する、すなわち照合処理を行う。そして、情報管理部22は、識別情報の照合結果をチケット読取装置3に送信するよう通信部21を制御する。
【0044】
チケット読取装置3の可否決定部34は、サーバ2から受信した照合結果に基づいてチケットTKの受付を行うか拒否するかを決定する。可否決定部34によってチケットTKの受付が行われた場合には、チケットTKを所有するユーザは例えば乗船することができる。
【0045】
ここで、チケットTKの作成の際にジャム検出部14によって用紙搬送経路のジャムが検出された場合には、管理制御部13は、第1識別情報SJ1および第2識別情報SJ2をサーバ2に送信しないよう通信部15を制御する。この場合、チケットTKの印刷が正常に終了しなかった旨が表示部HZに表示される。
【0046】
図5は画像形成装置1における全体的な処理の流れの例を説明するフローチャート、図6は全体制御処理の流れの例を説明するフローチャート、図7および図8は操作パネル制御処理の流れの例を説明するフローチャート、図9は再印刷指定画面の例を示す図、図10は印刷制御処理の流れの例を説明するフローチャート、図11は受信制御処理の流れの例を説明するフローチャート、図12はサーバ2との通信の制御処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【0047】
全体処理では、図5に示すように、まず、画像形成装置1の電源投入後にハードウェアの初期化、変数の初期化を行う(#100)。そして、タイマを設定し、所定時間ごとに本処理(メインルーチン)が実行されるようにする(#200)。以降、後で説明するが、全体制御処理(#300)、操作パネル制御処理(#400)、読み取り制御処理(#500)、印刷制御処理(#600)、受信制御処理(#700)、およびサーバ2との通信の制御処理(#800)が行われる。その後、タイマが終了していれば(#900でYes)、#200〜#900の処理を再び繰り返す。
【0048】
全体制御では、図6に示すように、まず、操作パネル10fからのスタート要求の有無を判断し、スタート要求があれば(#301でYes)、ジョブの種類を判断する(#302)。ジョブがボックス印刷(ボックスに記憶されているデータの印刷)であれば(#303でYes)、ジョブがチケットTKを作成するためのチケット印刷か否かを判断する(#304)。ジョブがチケット印刷であれば(#304でYes)、チケット印刷要求を出力した後(#305)、印刷要求を行う、つまり後述の印刷制御処理を開始するためのスタート要求を行う(#306)。一方、ジョブがその他のジョブであれば(#303でNo)、その他のスタート処理を行う(#307)。
【0049】
操作パネル制御では、図7および図8に示すように、まず、操作パネル10fのモード選択キーの操作があったか否かを判断する(#401)。その操作(#401でYes)によってチケット印刷モードが選択された場合には(#402でYes)、チケット印刷モードを設定する(#403)。一方、その他のモードが選択された場合には(#402でNo)、その他のモード設定を行う(#404)。
【0050】
これに対して、モード選択キーの操作がない場合には(#401でNo)、再印刷指示があるか否かを判断する(#405)。再印刷指示がある場合には(#405でYes)、再印刷警告の画面を消去する(#406)。一方、再印刷指示がなければ(#405でNo)、再印刷警告の画面を表示してから所定時間が経過したか否かを判断する(#407)。
【0051】
所定時間が経過していれば(#407でYes)、再印刷を行うべきジョブを破棄した後(#408)、再印刷警告の画面を消去する(#409)。一方、所定時間が経過していなければ(#407でNo)、ユーザの入力がパスワード入力であるか否かを判断する(図8の#410)。パスワード入力である場合には(#410でYes)、数文字で入力されるパスワードを記憶しておくパスワード入力処理を行う(#411)。
【0052】
一方、パスワード入力でない場合には(#410でNo)、パスワード入力が完了したか否かを判断する。パスワード入力が完了した場合には(#412でYes)、ボックスに該当する文書データがあるか否かを判断する(#413)。該当の文書データがある場合には(#413でYes)、当該文書データの印刷を要求するスタート要求を行う(#414)。一方、該当の文書データがない場合には(#413でNo)、入力されたパスワードを破棄する(#415)。
【0053】
これに対して、パスワード入力が完了していなければ(#412でNo)、その他の入力の有無を判断する(#416)。その他の入力があれば(#416でYes)、その他の入力処理を行う(#417)。一方、その他の入力がなければ(#416でNo)、表示要求があるか否かを判断する(#418)。
【0054】
表示要求があれば(#418)、その表示要求が再印刷警告の表示要求であるか否かを判断する(#419)。表示要求が再印刷警告の表示要求であれば(#419でYes)、図9に示すような再印刷警告の画面を表示することによって(#420)、ユーザに再印刷(ジャム補正)を行うか否かについての判断を促す。一方、再印刷警告の表示要求でなければ(#419でNo)、その他の表示処理を行う(#421)。
【0055】
印刷制御では、図10に示すように、まず、上述の全体制御処理からのスタート要求があれば(#601でYes)、指定された文書データを読み出す(#602)。そして、チケット印刷モードが設定されている場合には(#603でYes)、チケット印刷用の用紙を選択した後(#604)、ユーザによって指定された第2識別情報SJ2を付加して(#605)、印刷する(#606)。一方、チケット印刷モードが設定されていない場合には(#603でNo)、その他の用紙を選択して(#607)、印刷する(#606)。
【0056】
これに対して、スタート要求がなければ(#601でNo)、印刷部10hからチケットTKに付加した第1識別情報SJ1および第2識別情報SJ2を受信しているか否かを判断する(#608)。第1識別情報SJ1および第2識別情報SJ2を受信していれば(#608でYes)、これらを記憶しておく(#609)。
【0057】
一方、第1識別情報SJ1および第2識別情報SJ2を受信していなければ(#608でNo)、印刷が完了したか否かを判断する(#610)。印刷が完了していれば(#610でYes)、第1識別情報SJ1および第2識別情報SJ2のサーバ2への送信を要求しておく(#611)。
【0058】
これに対して、印刷が完了していなければ(#610でNo)、用紙搬送経路におけるジャム発生の有無をチェックする(#612)。ジャムが発生した場合には(#612でYes)、印刷処理を停止する(#613)。一方、ジャムが発生していなければ(#612でNo)、ジャムが解消したことを条件に(#614でYes)、印刷処理を再開する(#615)。
【0059】
受信制御では、図11に示すように、まず、受信データがあれば(#701でYes)、受信データを解析することによってパスワードの有無を判断する(#702)。パスワードが存在していれば(#702でYes)、当該パスワードを、ボックスに保存する文書データを管理するための情報として設定する(#704)。それにより、ボックスに保存された文書データを読み出さなくても、パスワードの照合処理が可能となる。その後、受信データをボックスに保存する(#703)。
【0060】
通信制御では、図12に示すように、まず、第1識別情報SJ1および第2識別情報SJ2の送信要求の有無が判断される(#801)。送信要求があれば(#801でYes)、第1識別情報SJ1および第2識別情報SJ2をサーバ2に送信する(#802)。一方、送信要求がなければ(#801でNo)、第1識別情報SJ1および第2識別情報SJ2の削除要求の有無を判断する(#803)。削除要求があれば(#803でYes)、管理制御部13は第1識別情報SJ1および第2識別情報SJ2を指定してサーバ2に削除要求を送信する(#804)。
【0061】
図13はサーバ2で実行される識別情報の管理処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【0062】
サーバ2は一般に用いられるパーソナルコンピュータまたはEWS(エンジニアリングワークステーション)等のよく知られたコンピュータであり、そのアプリケーションとして識別情報の管理処理を行うための機能が動作する。
【0063】
図13に示すように、まず、受信データの有無を判断する(#1000)。受信データがあれば(#1000でYes)、画像形成装置1から送信されてきた要求が登録要求であるか否かを判断する(#1001)。登録要求であれば(#1001でYes)、第1識別情報SJ1および第2識別情報SJ2を対にして記憶しておく(#1002)。なお、第1識別情報SJ1および第2識別情報SJ2を新しく登録する場合には、これらは識別情報テーブルSJT(図4)の末尾に追加される。
【0064】
一方、登録要求でなければ(#1001でNo)、削除要求であるか否かを判断する(#1003)。削除要求であれば(#1003でYes)、第1識別情報SJ1および第2識別情報SJ2を識別情報テーブルSJTから削除する(#1004)。つまり、削除要求の対象である第1識別情報SJ1および第2識別情報SJ2の組み合わせと一致するものがあるか否かを識別情報テーブルSJTにおいて検索し、一致したものがあれば削除する。
【0065】
一方、削除要求でなければ(#1003でNo)、照合要求であるか否かを判断する(#1005)。照合要求でなければ(#1005でNo)、その他の受信処理を行い(#1006)、受信データの有無を再び判断する(#1000)。
【0066】
これに対して、照合要求であれば(#1005でYes)、受信した第1識別情報SJ1および第2識別情報SJ2と一致する識別情報が識別情報テーブルSJTに存在するか否かを判断するための照合処理を行う(#1007)。一致するものがあれば(#1008でYes)、第1識別情報SJ1および第2識別情報SJ2が正当なものであること、つまり、チケットTKが正当なものであることを送信する(#1009)。一方、一致するものがなければ(#1008でNo)、第1識別情報SJ1および第2識別情報SJ2が不正なものであること、つまり、チケットTKが不正なものであることを送信する(#1010)。
【0067】
図14はチケット読取装置3における全体的な処理の流れの例を説明するフローチャート、図15は読み取り制御処理の流れの例を説明するフローチャート、図16は送信制御処理の流れの例を説明するフローチャート、図17は受信制御処理の流れの例を説明するフローチャート、図18はチケット受付制御処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【0068】
全体処理では、図14に示すように、まず、画像形成装置1の電源投入後にハードウェアの初期化、変数の初期化を行う(#1100)。そして、タイマを設定し、所定時間ごとに本処理(メインルーチン)が実行されるようにする(#1200)。以降、後で説明するが、読み取り制御処理(#1300)、送信制御処理(#1400)、受信制御処理(#1500)、およびチケット受付制御処理(#1600)が行われる。その後、タイマが終了していれば(#1700でYes)、#1200〜#1600の処理を再び繰り返す。
【0069】
読み取り制御では、図15に示すように、チケットTKの有無を判断し、チケットTKがあれば(#1301でYes)、チケットTKの用紙に含まれる第1識別情報SJ1を読み取って記憶し(#1302)、チケットTKの画像に含まれる第2識別情報SJ2を読み取って記憶し(#1303)、またその他の情報を読み取って記憶しておく(#1304)。次いで、第1識別情報SJ1および第2識別情報SJ2の照合要求の送信を要求しておく(#1305)。
【0070】
送信制御処理では、図16に示すように、上記の送信要求があれば(#1401でYes)、サーバ2に照合をさせるために第1識別情報SJ1および第2識別情報SJ2を対にして送信する(#1402)。
【0071】
受信制御処理では、図17に示すように、受信データ(サーバ2からの照合結果通知)の有無を判断し、受信データがあれば(#1501でYes)、照合結果が正当であったか否かを判断する(#1502)。正当であれば(#1502でYes)、チケットTKが正当なものであることを設定しておく(#1503)。一方、チケットTKが不正なものであれば(#1502でNo)、チケットTKが不正なものであることを設定しておく(#1504)。
【0072】
チケット受付制御処理では、図18に示すように、まず、チケットTKが正当であったか否かの設定が完了しているか否かを判断する(#1601)。設定が完了していれば(#1601でYes)、チケットTKが正当なものであるか否かを判断する(#1602)。チケットTKが正当なものであれば(#1602でYes)、チケットTKの受付処理および#1304で読み取ったその他の情報からその他の受付処理を行う(#1603)。一方、チケットTKが不正なものであれば(#1602でNo)、チケットTKの受付を拒否する(#1604)。
【0073】
[本実施形態における効果]
本実施形態では、第1識別情報SJ1が付加された用紙に、当該第1識別情報SJ1と異なる第2識別情報SJ2を付加してチケットTKを作成(発行)することによって、第1識別情報SJ1が付加された用紙が不正な方法で入手されても、チケットTKを不正に発行することを防止することができる。すなわち、本実施形態では、第1識別情報SJ1および第2識別情報SJ2を、組みにして(対にして)管理しているので、チケットTKの不正な発行を行うことが著しく難しい。つまり、第1識別情報SJ1および第2識別情報SJ2の組みが照合されたときにはじめてチケットTKの発行が許可される。
【0074】
したがって、本実施形態に係るチケット管理システムTSおよび画像形成装置1によると、偽造複製をより一層しにくくすることが可能となる。
【0075】
[他の実施形態]
上記実施形態(図10)では、印刷処理が正常に完了(成功)した場合にのみ第1識別情報SJ1および第2識別情報SJ2をサーバ2に送信したが、他の実施形態として、印刷処理が正常に完了した場合だけでなく、ジャムの発生により印刷処理が完了(成功)しなくても、第1識別情報SJ1および第2識別情報SJ2をサーバ2に送信してもよい。以下、フローチャートを用いて説明する。
【0076】
図19は印刷制御処理の流れの他の例を説明するフローチャートである。なお、図19においても上で述べた図10の#601〜#612の処理は同様に行われるのでこの部分についての説明は省略し、#612の処理より異なる部分についてのみ説明を行う。
【0077】
図19に示すように、ジャム発生の有無をチェックする(#612)。ジャムが発生した場合には(#612でYes)、印刷処理を停止し(#621)、さらに第1識別情報SJ1および第2識別情報SJ2の送信を要求しておく(#622)。
【0078】
一方、ジャムが発生していなければ(#612でNo)、ジャムが解消(ジャム補正、つまり再印刷)されたか否かを確認する(#623)。ジャムが解消されると(#623でYes)、第1識別情報SJ1および第2識別情報SJ2の削除を要求しておき(#624)、印刷処理を再開する(#625)。これに対して、ジャムが解消されない場合(再印刷をしない場合)には(#623でNo)、ジョブ破棄の要求がある場合に(#626でYes)、印刷処理を破棄する(#627)。
【0079】
つまり、再印刷を行う場合には第1識別情報SJ1および第2識別情報SJ2は更新される。この場合、サーバ2に送信された第1識別情報SJ1および第2識別情報SJ2の組みを削除する要求をサーバ2に行う。すると、付加部11は更新された第2識別情報SJ2を画像データGDに付加する。
【0080】
そして、印刷部10hは、更新された第2識別情報SJ2が付加された画像データGDを、更新された第1識別情報SJ1が予め埋め込まれた用紙に印刷することによってチケットTKを作成する。また、管理制御部13は、更新された第1識別情報SJ1および更新された第2識別情報SJ2の組みをサーバ2に送信する。
【0081】
このような方法によって、ジャムが発生したがチケットTKが惰性で排出されてしまったときにも当該チケットTKを使用可能にすることができる。但し、再印刷が指示された場合には、前回(ジャム発生時)の第1識別情報SJ1および第2識別情報SJ2をサーバ2から削除し、ジャム発生時のチケットTKを使用不可とする。これにより、更新された第1識別情報SJ1および第2識別情報SJ2を有する再印刷されたチケットTKのみを使用可能とすることができ、重複使用を防止できる。
【0082】
また、サーバ2の機能とチケット読取装置3の機能とを画像形成装置1に設け、画像形成装置1のみによってチケット管理システムTSを構成してもよいし、サーバ2の機能を画像形成装置1に設け、当該画像形成装置1およびチケット読取装置3によってチケット管理システムTSを構成してもよいし、チケット読取装置3の機能を画像形成装置1に設け、当該画像形成装置1およびサーバ2によってチケット管理システムTSを構成してもよいし、サーバ2とチケット読取装置3とを一体的に構成し、これと画像形成装置1とによってチケット管理システムTSを構成してもよい。さらに、各装置の一部の構成部を他の装置に設けるようにしてもよい。
【0083】
また、チケットには、映画チケット、乗車チケット、乗船チケット、航空チケット、コンサートチケット等の各種チケット(各種有価証券)や紙幣、金券などが含まれる。
【0084】
その他、画像形成装置1およびチケット管理システムTSの全体または各部の構成、処理内容、処理順序等は、本発明の趣旨に沿って適宜変更することが可能であり、この場合にも上記の特有かつ格別の効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】画像形成装置のハードウェア構成の例を示す図である。
【図2】チケット管理システムの全体的な構成の例を示す図である。
【図3】チケットの例を示す図である。
【図4】識別情報テーブルの例を示す図である。
【図5】画像形成装置における全体的な処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図6】全体制御処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図7】操作パネル制御処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図8】操作パネル制御処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図9】再印刷指定画面の例を示す図である。
【図10】印刷制御処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図11】受信制御処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図12】サーバとの通信の制御処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図13】サーバで実行される識別情報の管理処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図14】チケット読取装置における全体的な処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図15】読み取り制御処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図16】送信制御処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図17】受信制御処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図18】チケット受付制御処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図19】印刷制御処理の流れの他の例を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0086】
1 画像形成装置
2 サーバ
3 チケット読取装置
10f 操作パネル(選択手段)
10h 印刷部(印刷手段)
11 付加部(付加手段)
13 管理制御部(通信制御手段、要求手段)
14 ジャム検出部(ジャム検出手段)
15 通信部(通信手段)
17 検出解析部(読み取り手段)
22 情報管理部(照合手段)
23 識別情報記憶部(識別情報記憶手段)
HZ 表示部(表示手段)
SJ1 第1識別情報
SJ2 第2識別情報
TS チケット管理システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に予め埋め込まれた第1識別情報を読み取る読み取り手段と、
画像データに前記第1識別情報とは異なる第2識別情報を付加する付加手段と、
前記第2識別情報が付加された画像データを、前記第1識別情報が予め埋め込まれた前記用紙に印刷することによってチケットを作成する印刷手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1識別情報を、前記用紙に予め埋設されたICチップから読み取る、
請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1識別情報を、前記用紙に予め形成された地紋パターンから取得する、
請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第2識別情報を、バーコード、QRコード、または地紋パターンとして付加する、
請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
識別情報の照合を行うサーバに前記第1識別情報および前記第2識別情報を送信するよう通信手段を制御する通信制御手段と、
用紙搬送系における紙詰まりであるジャムを検出するジャム検出手段と、を有し、
前記通信制御手段は、前記用紙への印刷中に前記ジャム検出手段によって前記ジャムが検出された場合には、前記第1識別情報および前記第2識別情報を前記サーバに送信しないよう前記通信手段を制御する、
請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記ジャムが検出された場合に、前記チケットの作成が正常に終了しなかった旨を表示する表示手段を有する、
請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1識別情報および前記第2識別情報を前記サーバに送信するよう通信手段を制御する通信制御手段と、
用紙搬送系における紙詰まりであるジャムを検出するジャム検出手段と、
前記用紙への印刷中に前記ジャム検出手段によって前記ジャムが検出された場合に、再印刷を行うか否かをユーザに選択させる選択手段と、を有し、
前記通信制御手段は、前記用紙への印刷中に前記ジャム検出手段によって前記ジャムが検出された場合に、前記第1識別情報および前記第2識別情報を前記サーバに送信するよう前記通信手段を制御し、
前記選択手段によって前記再印刷を行わないことが選択された場合には、前記チケットの作成に係るジョブを破棄する、
請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記選択手段によって前記再印刷を行うことが選択された場合に前記サーバに送信された前記第1識別情報および前記第2識別情報を削除する要求を当該サーバに行う、要求手段を有し、
前記選択手段によって前記再印刷を行うことが選択された場合に、
前記付加手段は、前記画像データに前記第2識別情報とは異なる更新された第2識別情報を付加し、
前記印刷手段は、前記更新された第2識別情報が付加された画像データを、前記第1識別情報とは異なる更新された第1識別情報が予め埋め込まれた用紙に印刷することによってチケットを作成し、
前記通信制御手段は、前記更新された第1識別情報および前記更新された第2識別情報を前記サーバに送信するよう前記通信手段を制御する、
請求項7記載の画像形成装置。
【請求項9】
用紙に予め埋め込まれた第1識別情報を読み取る読み取り手段と、
画像データに前記第1識別情報とは異なる第2識別情報を付加する付加手段と、
前記第2識別情報が付加された画像データを、前記第1識別情報が予め埋め込まれた前記用紙に印刷することによってチケットを作成する印刷手段と、
前記第1識別情報および前記第2識別情報の組みを記憶する識別情報記憶手段と、
前記チケットにおける前記第1識別情報および前記第2識別情報の組みを読み取るチケット読取装置と、
前記識別情報記憶手段に記憶されている前記第1識別情報および前記第2識別情報の組みと、前記チケット読取装置によって読み取られた前記第1識別情報および前記第2識別情報の組みとがそれぞれ一致するか否かを判断する照合手段と、を有し、
前記チケット読取装置は、前記照合手段によって一致すると判断された場合に前記チケットを受け付け、前記照合手段によって一致しないと判断された場合に前記チケットの受付を拒否する、
ことを特徴とするチケット管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2009−298106(P2009−298106A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−157870(P2008−157870)
【出願日】平成20年6月17日(2008.6.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】