説明

画像形成装置及び画像形成システム

【課題】高温検知時の画像形成動作をユーザの事情に応じた適切な動作にする。
【解決手段】動作モードとして、連続画像形成動作モードと、温度上昇対策動作が異なる複数の温度上昇対策動作モードを実行可能な電子写真方式の画像形成装置であり、温度センサ17によって機内の温度を検知し、その検知温度が所定温度以上になると、操作表示部202のタッチパネル式オペレーションパネルに、上記複数の温度上昇対策動作モードのいずれかを選択するための案内を表示し、外部操作による選択入力を可能にする。そして、制御部200が印刷命令を受けると、常時は連続画像形成動作モードで印刷を実行し、温度センサ17によって検知された温度が温度上昇対策が必要な温度範囲にあるときには、上記選択入力によって温度上昇対策動作モードが選択された場合、その選択された温度上昇対策動作モードで印刷を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成動作を連続して実行可能な複写機、プリンタ、ファクシミリ装置などの画像形成装置、およびその画像形成装置に印刷命令を出すパーソナルコンピュータ等のホスト装置とを備えた画像形成システム関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置において長時間の大量連続通紙を行う場合、作像ユニットが長時間駆動され続けるため、画像形成装置内の温度や画像形成装置内の部品の温度が上昇する。過度に温度上昇した場合、トナー補給部分や現像器内で凝集体が発生し、黒ポチ等の異常画像を引き起こすことがある。
【0003】
この問題を解決するため、例えば、特許文献1には、現像装置の現像ローラを駆動する現像モータの温度が過度に上昇しないように、画像形成装置を適切に制御する手段が開示されている。すなわち、画像形成装置の動作モードに基づいて現像モータ変動温度を算出し、定着サーミスタの温度変化に基づいて電源がオフにされている電源オフ時間を推定する。そして、その電源オフ時間に基づいて現像モータ変動温度を補正し、その補正した現像モータ変動温度に環境温度を加算して、現像モータ推定温度を算出する。その上記推定した現像モータ温度が100℃以上になると、80℃未満になるまで、画像形成処理を間欠的に行うようにして、現像モータの温度を低下させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、間欠動作によって現像モータの温度上昇を防止するようにした画像形成装置では、間欠動作の間隔を長くすると、温度上昇防止効果が高くなるため、1回の間欠動作あたりのプリント可能な枚数が多くなる。そのため、プリントすべき枚数が多い場合には、時間あたりの作像枚数が多くなるが、残り枚数が少ないユーザも長時間待たせる可能性があった。また、画像形成装置が数分〜十数分停止するため、ユーザがプリントが終了したものと勘違いしてしまったり、故障したのではないかと思ってしまう恐れがあった。
【0005】
一方、間欠動作の間隔を短かくすると、温度上昇防止効果が少なくなるため、1回の間欠動作あたりのプリント可能な枚数が少なくなる。そのため、プリントすべき枚数が多い場合には、時間あたりの作像枚数が少なくなってしまうというデメリットがあるが、残り枚数が少ないユーザにとっては、すぐにプリント結果を得られるという利点がある。また、画像形成装置の停止時間も数秒であるため、ユーザがプリント終了や故障と勘違いすることはない。
このように、間欠動作の間隔の長短によって、それぞれメリットとデメリットがあり、適切な動作がユーザの事情によって異なるため、間欠動作の間隔を一意的に決めることができないという問題があった。
【0006】
この発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、高温検知時の画像形成装置の動作について、ユーザの事情に応じた適切な動作を可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は上記の目的を達成するため、電子写真方式の画像形成装置において、動作モードとして、連続画像形成動作モードと、温度上昇対策が必要な場合の温度上昇対策動作が異なる複数の温度上昇対策動作モードを実行可能にした。
そして、機内の温度を検知する温度検知手段と、その温度検知手段によって検知される温度が予め設定した所定温度以上になると、上記複数の温度上昇対策動作モードのいずれかを選択するように表示又は音声で案内し、外部操作による選択入力を可能にする案内入力手段と、制御手段とを備えている。
【0008】
その制御手段は、印刷命令を受けると、常時は上記連続画像形成動作モードで印刷を実行し、上記温度検知手段によって検知された温度が上記温度上昇対策が必要な温度範囲にあるときには、上記案内入力手段によって温度上昇対策動作モードが選択された場合、その選択された温度上昇対策動作モードで印刷を実行する。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、画像形成装置における温度上昇防止動作実行時に、動作モードの設定に関する案内を表示して、適切な動作モードをユーザが選択できるようにしたので、ユーザの事情に応じた適切な動作モードを設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明による画像形成装置の一実施形態の全体構成を示す概略図である。
【図2】図1におけるイエロー画像形成ユニットの構成例を示す概略構成図である。
【図3】図1におけるイエロー画像形成ユニットの外観を示す斜視図である。
【図4】この発明による画像形成装置の制御系の一例を示すブロック図である。
【図5】この発明の第1実施例による動作モードS1と動作モードS2によるプリント枚数とプリント時間との関係を示す線図である。
【図6】同じく動作モードS1、動作モードS2及び動作モードS3によるプリント枚数と現像ユニットの温度との関係を示す線図である。
【図7】同じく印刷時の経過時間と温度センサによる検知温度との関係を示す線図である。
【0011】
【図8】図4に示した制御部200によるこの発明の第1実施例の動作モード移行に関する制御処理の内容を示す図である。
【図9】第一の間欠印刷動作モードで動作中に図4に示した操作表示部202に表示する動作モード選択用表示の一例を示す図である。
【図10】図4に示した制御部200によるこの発明の第1実施例の制御処理動作のメインルーチンを示すフロー図である。
【図11】図10におけるステップ3の「温度上昇対策動作」のサブルーチンの詳細を示すフロー図である。
【0012】
【図12】図4に示した制御部200によるこの発明の第2実施例の動作モード移行に関する制御処理の内容を示す図である。
【図13】この発明の第2実施例の制御処理において「温度上昇対策動作」に移行したときに図4の操作表示部202に表示する動作モード選択用表示の一例を示す図である。
【図14】図4に示した制御部200によるこの発明の第2実施例の制御処理動作のメインルーチンを示すフロー図である。
【図15】図14におけるステップ33の「温度上昇対策動作」のサブルーチンの詳細を示すフロー図である。
【図16】図15におけるステップ43の「パフォーマンス重視の温度上昇対策動作」のサブルーチンの詳細を示すフロー図である。
【図17】図15におけるステップ45の「マシン保護の温度上昇対策動作」のサブルーチンの詳細を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1はこの発明による画像形成装置の一実施形態の全体構成を示す概略図、図2はその画像形成ユニット中のイエロー画像形成ユニット1Yの構成例を示す概略構成図、図3はその外観を示す斜視図である。
【0014】
図1に示す電子写真方式の画像形成装置は、タンデム型の中間転写方式のカラープリンタであり、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック(以下、Y、C、M、Kと記す)のトナー像を形成するための4つの画像形成ユニット1Y,1C,1M,1Kを、転写ユニット40の下面側の長手方向に沿って所定間隔で配設している。
これらの各画像形成ユニット1Y,1C,1M,1Kは、画像を形成する画像形成物質として互いに異なる色のYトナー,Cトナー,Mトナー,Kトナーを用いるが、それ以外は同じ構成になっている。
【0015】
そこで、Yトナー像を生成するための画像形成ユニット1Yを例に、その構成を図2及び図3によって簡単に説明する。
画像形成ユニット1Yは、図2に示すように、潜像担持体としてのドラム状の感光体3Yを有する感光体ユニット2Yと、感光体3Y上の潜像を現像する現像装置である現像ユニット7Yとを有している。その感光体ユニット2Yと現像ユニット7Yは、図3に示すように画像形成ユニット1Yとして一体的に構成され、画像形成装置本体に対して着脱可能である。但し、画像形成装置本体から取り外した状態では、現像ユニット7Yを感光体ユニット2Yに対して着脱することができる。その感光体ユニット2Yと現像ユニット7Yの詳細については後述する。
【0016】
図1において、画像形成ユニット1Y,1C,1M,1Kの下方には、画像書込手段である光書込ユニット20が配設されている。光書込ユニット20は、画像情報に基づいてレーザ光Lを、各画像形成ユニット1Y,1C,1M,1Kの感光体3Y,3C,3M,3Kの均一に帯電された表面に照射する。それにより、感光体3Y,3C,3M,3Kの表面にY,C,M,Kの画像情報に応じた静電潜像が形成される。
【0017】
なお、光書込ユニット20は、レーザ光源から発したレーザ光Lを、モータによって回転駆動されるポリゴンミラー21によって偏向走査させながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体3Y,3C,3M,3Kに照射する。このような構成のものに代えて、LEDアレイによる光走査を行う光書込ユニットを採用することもできる。
【0018】
光書込ユニット20の下方には、記録媒体としての記録紙Pを供給する第1給紙カセット31及び第2給紙カセット32が鉛直方向に重なるように配設されている。これらの給紙カセット内には、それぞれ、記録紙Pが複数枚重ねられた記録紙束の状態で収容されており、一番上の記録紙Pには、第1給紙ローラ31a、第2給紙ローラ32aがそれぞれ当接している。第1給紙ローラ31aが図示していない駆動手段によって図1において反時計回りに回転駆動されると、第1給紙カセット31内の一番上の記録紙Pが右方へ送り出されて、垂直方向に延びる給紙路33に向けて給紙される。
【0019】
また、第2給紙ローラ32aが図示していない駆動手段によって反時計回りに回転駆動されると、第2給紙カセット32内の一番上の記録紙Pが、給紙路33に向けて給紙される。給紙路33内には、複数の搬送ローラ対34が配設されており、給紙路33に送り込まれた記録紙Pは、これらの搬送ローラ対34のローラ間に挟み込まれながら、給紙路33内を図1における下側から上側に向けて搬送される。
【0020】
給紙路33の末端には、レジストローラ対35が配設されている。レジストローラ対35は、搬送ローラ対34によって搬送されてくる記録紙Pをローラ間に挟み込むとすぐに、両ローラの回転を一旦停止させる。そして、記録紙Pを適切なタイミングで後述する二次転写ニップへ向けて送り出す。
【0021】
各画像形成ユニット1Y,1C,1M,1Kの上方には、転写ユニット40が配設されている。その転写ユニット40は、駆動ローラ47、二次転写バックアップローラ46、補助ローラ48及びテンションローラ49によって、中間転写体である中間転写ベルト41を張り渡し、それを反時計回りに周回移動させる。
この転写ユニット40はさらに、ベルトクリーニングユニット42、第1ブラケット43及び第2ブラケット44などを備えている。そして、第1ブラケット43には3つの一次転写ローラ45Y,45C,45Mを備えており、第2ブラケット44には一次転写ローラ45Kを備えている。
【0022】
一次転写ローラ45Y,45C,45M,45Kは、周回移動する中間転写ベルト41を各感光体3Y,3C,3M,3Kとの間にそれぞれ挟み込んで一次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト41の裏面(ループ内周面)にトナーとは逆極性(例えばプラス)の転写バイアスを印加する。中間転写ベルト41は、その移動に伴ってY,C,M,K各色用の一次転写ニップを順次通過していく過程で、そのおもて面に感光体3Y,3C,3M,3K上のYトナー像,Cトナー像,Mトナー像,Kトナー像が重ね合わせられるように一次転写される。これにより、中間転写ベルト41上に4色重ね合わせトナー像(以下「4色トナー像」という)が形成される。
なお、モノクロ印刷を行う場合には、第1ブラケット43を後退させて、一次転写ローラ45Y,45C,45Mを中間転写ベルト41から引き離す。
【0023】
二次転写バックアップローラ46は、中間転写ベルト41のループ外側に配設された二次転写ローラ50との間に中間転写ベルト41を挟み込んで二次転写ニップを形成している。
そして、レジストローラ対35がローラ間に挟み込んだ記録紙Pを、中間転写ベルト41上の4色トナー像の形成に同期するタイミングで、二次転写ニップに向けて送り出す。中間転写ベルト41上の4色トナー像は、二次転写バイアスが印加される二次転写ローラ50と二次転写バックアップローラ46との間に形成される二次転写電界や、ニップ圧により、二次転写ニップ内で記録紙Pに一括して二次転写される。そして、記録紙Pの白色と相まって、フルカラートナー像となる。
【0024】
二次転写ニップを通過しても記録紙Pに転写されずに中間転写ベルト41に残った転写残トナーは、ベルトクリーニングユニット42によってクリーニングされる。なお、ベルトクリーニングユニット42は、クリーニングブレード42aを中間転写ベルト41のおもて面に当接させて、ベルト上の転写残トナーを掻き取って除去する。
【0025】
二次転写ニップの図中上方には、記録紙P上のトナー像を定着させる定着手段である定着ユニット60が配設されている。この定着ユニット60は、ハロゲンヒータなどの発熱源を内蔵する加圧加熱ローラ61と、定着ベルトユニット62を備えている。定着ベルトユニット62は、定着ベルト64、ハロゲンヒータなどの発熱源63aを内蔵する加熱ローラ63、テンションローラ65及び駆動ローラ66などからなる。
【0026】
そして、定着ベルト64を加熱ローラ63とテンションローラ65及び駆動ローラ66によって張り渡して、図中反時計回り方向に周回移動させる。この移動の過程で、定着ベルト64は加熱ローラ63によって裏面側から加熱される。このようにして加熱された定着ベルト64の加熱ローラ63掛け回し箇所には、図中時計回り方向に回転駆動される加圧加熱ローラ61がおもて面側から当接している。これにより、加圧加熱ローラ61と定着ベルト64とが当接する定着ニップが形成される。
【0027】
定着ベルト64のループ外側には、図示していない温度センサが定着ベルト64のおもて面と所定の間隙を介して対向するように配設されており、定着ニップに進入する直前の定着ベルト64の表面温度を検知する。この検知結果は、図示していない定着電源回路に送られる。定着電源回路は、温度センサによる検知結果に基づいて、加熱ローラ63内の発熱源63a及び加圧加熱ローラ61内の発熱源(図示は省略)に対する電源の供給をオン・オフ制御する。これにより、定着ベルト64の表面温度が例えば約140℃に維持される。
【0028】
二次転写ニップを通過した記録紙Pは、中間転写ベルト41から分離した後、定着ユニット60内に送られる。そして、定着ユニット60内の定着ニップに挟まれながら図中下側から上側に向けて搬送される過程で、定着ベルト64及び加圧加熱ローラ61によって加熱及び加圧されることにより、フルカラートナー像が記録紙Pに定着される。
このようにして定着処理が施された記録紙Pは、排紙ローラ対67のローラ間を経た後、機外へと排出される。画像形成装置本体の筺体の上面には、スタック部68が形成されており、排紙ローラ対67によって機外に排出された記録紙Pは、このスタック部68に順次スタックされる。
【0029】
なお、画像形成装置本体内の転写ユニット40の上方には、Yトナー,Cトナー,Mトナー,Kトナーを収容した4個のトナーカートリッジ100Y,100C,100M,100Kが配設されている。トナーカートリッジ100Y,100C,100M,100K内の各色のトナーは、画像形成ユニット1Y,1C,1M,1Kの現像ユニット7Y,7C,7M,7Kにそれぞれ適宜供給される。これらのトナーカートリッジ100Y,100C,100M,100Kは、画像形成ユニット1Y,1C,1M,1Kとは独立して画像形成装置本体に脱着可能である。
【0030】
画像形成ユニット1Y,1C,1M,1Kは、使用するトナーの色が異なるだけで、その構造は同じである。そこで、その構造の詳細を画像形成ユニット1Yを例に、図2及び図3によって説明する。
図2に示すように、画像形成ユニット1Yは、感光体ユニット2Yと現像ユニット7Yによって構成されている。
【0031】
感光体ユニット2Yは、感光体3Y、ドラムクリーニング装置4Y、図示していない除電装置、および感光体3Yの表面を帯電する帯電装置5Yなどを有している。感光体3Yは、図示していない駆動手段によって図中時計回り方向に回転駆動される。
帯電装置5Yは、帯電バイアスが印加される帯電ローラ6Yを感光体3Yの表面に近接して備えており、その帯電ローラ6Yを反時計回りに回転駆動することによって感光体3Yの表面を一様帯電させる。
【0032】
なお、帯電装置として、帯電ローラの代わりに帯電ブラシを感光体に当接させるものを用いてもよい。また、スコロトロンチャージャのように、チャージャ方式によって感光体を帯電させるものを用いてもよい。
帯電装置5Yによって一様帯電された感光体3Yの表面は、光書込ユニット20から発せられるレーザ光Lによって露光走査されてY用の静電潜像を担持する。
【0033】
現像ユニット7Yは、第1搬送スクリュー8Yが配設された第1剤収容部9Yと、透磁率センサ等からなるトナー濃度センサ10Y、第2搬送スクリュー11Y、現像ローラ12Y、現像剤規制部材としてのドクタブレード13Yなどが配設された第2剤収容部14Yとを備えている。
これら第1、第2剤収容部9Y,14Y内には、磁性キャリアとマイナス帯電性のYトナーを有するY現像剤(図示せず)が収容される。第1搬送スクリュー8Yは、図示していない駆動手段によって回転駆動され、第1剤収容部9Y内のY現像剤を紙面に垂直な方向における手前側から奥側へと搬送する。そして、第1剤収容部9Yと第2剤収容部14Yとの間の仕切壁に設けられた図示していない連通口を経て、第2剤収容部14Y内にY現像剤を進入させる。
【0034】
第2剤収容部14Y内の第2搬送スクリュー11Yは回転駆動され、Y現像剤を図中奥側から手前側へと搬送する。搬送途中のY現像剤は、第2剤収容部14Yの底部に固定されたトナー濃度センサ10Yによってそのトナー濃度が検知される。第2搬送スクリュー11Yの上方には、現像ローラ12Yが第2搬送スクリュー11Yと平行に配設されている。その現像ローラ12Yは、図中反時計回り方向に回転駆動される非磁性パイプから成る現像スリーブ15Y内にマグネットローラ16Yを内蔵している。
【0035】
第2搬送スクリュー11Yによって搬送されるY現像剤の一部は、そのマグネットローラ16Yの磁力によって現像スリーブ15Yの表面に汲み上げられる。そして、現像剤担持体としての現像スリーブ15Yと所定の間隙を保持するように配設されたドクタブレード13Yによってその層厚が規制された後、感光体3Yと対向する現像領域まで搬送され、感光体3Y上のY用静電潜像にYトナーを付着させる。この付着により、感光体3Y上にYトナー像が形成される。
現像によってYトナーを消費したY現像剤は、現像スリーブ15Yの回転に伴って第2搬送スクリュー11Y上に戻される。そして、図中手前端まで搬送されると、図示していない連通口を経て第1剤収容部9Y内へ戻る。
【0036】
トナー濃度センサ10YによるY現像剤の透磁率の検知結果は、電圧信号として図示していない制御部に送られる。Y現像剤の透磁率は、Y現像剤のYトナー濃度と相関を示すため、トナー濃度センサ10YはYトナー濃度に応じた値の電圧を出力することになる。
制御部は記憶手段としてのRAM等のメモリを備えており、そこにトナー濃度センサ10Yからの出力電圧の目標値であるY用Vtrefや、他の現像ユニットに搭載された各トナー濃度センサからの出力電圧の目標値であるC用Vtref、M用Vtref、K用Vtrefのデータを格納している。
【0037】
Y用現像ユニット7Yについては、トナー濃度センサ10Yからの出力電圧の値とY用Vtrefを比較し、後述するY用トナー供給装置を、その比較結果に応じた時間だけ駆動させる。その駆動により、Yトナー濃度を低下させたY現像剤に対して第1剤収容部9Yにおいて適量のYトナーが供給される。それによって、第2剤収容部14Y内のYトナー濃度が所定の範囲内に維持される。他色用の画像形成ユニット(1C,1M,1K)内における現像剤についても、同様なトナー供給制御が実施される。
【0038】
感光体3Y上に形成されたYトナー像は、中間転写ベルト41に中間転写される。ドラムクリーニング装置4Yが、中間転写工程を経た後の感光体3Y表面に残留したトナーを除去する。クリーニング処理が施された感光体3Yの表面は、図示していない除電装置によって除電される。その除電により、感光体3Yの表面が初期化されて次の画像形成に備えられる。
図1における他色用の画像形成ユニット1C,1M,1Kにおいても、同様に感光体3C,3M,3K上にCトナー像,Mトナー像,Kトナー像が形成されて、中間転写ベルト41上に中間転写される。
【0039】
また、この画像形成ユニット1Yには、温度検知手段のセンサ部である温度センサ17Yが、現像ユニット7Y内あるいは画像形成装置本体内の現像ユニット7Y近傍の位置、すなわち現像ユニット7Y内の温度との相関が高い検知温度となる位置に設置されている。図2及び図3に示す例では、現像ユニット7Yの長手方向中央部の外部上面に温度センサ17Yを設置している。
【0040】
この温度センサ17Yは、現像スリーブ15Yの温度に対応して変化する現像装置の内部又は周辺の温度を検知する。他色用の画像形成ユニット1C,1M,1Kの現像ユニットにも、同様にそれぞれ温度センサが設置されている。しかし、温度センサを全ての現像装置内に設けることは必須ではなく、画像形成装置本体内の温度を検知するのに適切な位置に1個又は複数個設けてもよい。
【0041】
なお、上述した画像形成ユニット1Yの構成は他の各画像形成ユニット1C,1M,1Kにも共通であるから、以後の説明においては、図1にも示した感光体3Y,3C,3M,3Kを除いて、各画像形成ユニット1Y,1C,1M,1Kを構成する各部の符号として、図2に示した各部の符号から「Y」を削除した数字のみの符号を使用する。
【0042】
図4は、この発明による画像形成装置の制御系の一例を示すブロック図である。
図4において、制御手段である制御部200は、CPU、ROM、RAMなどで構成されたマイクロコンピュータを備えており、記憶部201、操作表示部202、温度検知インターフェース部であるI/Oボード203と接続されている。
さらに、この制御部200は、紙搬送駆動モータドライバ204、現像駆動モータドライバ206、感光体駆動モータドライバ208、転写駆動モータドライバ210、定着駆動モータドライバ212、定着ヒータドライバ214にも接続されている。
【0043】
I/Oボード203は、制御部200からの指示によって、温度センサ17を動作させ、その温度センサ17の温度検知信号(検知電圧)をデジタル信号に変換して制御部200に入力させる。これらによって、機内の温度を検知する温度検知手段を構成している。
この温度センサ17は、この実施例では図2及び図3に示したイエロー用の画像形成ユニット1Yの現像ユニット7Yに設けられた温度センサ17Yと、他の色用の画像形成ユニット1C,1M,1Kの現像ユニットにそれぞれ設けられた3個の温度センサとを含んでいる。
【0044】
そして、例えばモノクロモードの場合は、ブラック用画像形成ユニット1Kの温度センサのみを使用し、フルカラーモードの場合は、すべての画像形成ユニット1Y,1C,1M,1Kの4個の温度センサを使用して、例えばその各温度検知信号の平均値を検知温度の情報として、デジタル信号に変換して制御部200に入力させる。あるいは、各温度センサの温度検知信号をそれぞれデジタル信号に変換して制御部200に入力させ、制御部200側でそれらの平均を演算するなどして、検知温度の入力情報とするようにしてもよい。また、画像形成装置本体内に配置した1個又は複数個の温度センサによる温度検知信号を、デジタル信号に変換して制御部200に入力させるようにしてもよい。
【0045】
現像駆動モータドライバ206は、制御部200からの指示に基づいて、各画像形成ユニット1Y,1C,1M,1Kの各現像ユニット7内の現像ローラ12(図2参照)を回転させる各現像駆動モータ207への給電を制御し、各現像ローラ12の現像スリーブ15を所定の回転速度で回転させたり、その回転を停止させたりする。
【0046】
紙搬送駆動モータドライバ204は、図1に示した搬送ローラ対34等の紙搬送に関係するローラを回転駆動する紙搬送駆動モータ205を、制御部200からの指示に基づいて駆動制御する。
感光体駆動モータドライバ208は、図1に示した感光体3Y,3C,3M,3Kをそれぞれ回転駆動する各感光体駆動モータ209を、制御部200からの指示に基づいて駆動制御する。
【0047】
転写駆動モータドライバ210は、図1に示した中間転写ベルト41を周回移動させる駆動ローラ47を回転させる転写駆動モータ211を、制御部200からの指示に基づいて駆動制御する。
定着駆動モータドライバ212は、図1に示した定着ユニッット60内の駆動ローラ66を回転駆動する定着駆動モータ213を、制御部200からの指示に基づいて駆動制御する。
定着ヒータドライバ214は、図1に示した定着ユニッット60内の加熱ローラ63の発熱源63a及び加圧加熱ローラ61内の発熱源に相当する定着ヒータ215への給電を、制御部200からの指示に基づいてオン・オフ制御する。
【0048】
記憶部201は、例えば半導体メモリ、あるいは磁気ディスクや光ディスクなどの記憶媒体を使用する記憶装置等であり、温度センサ17で検知された検知温度のデータを記憶したり、後述する閾値温度T1,T2などの各種制御条件の設定データを記憶したりする。この記憶部201内のデータは、制御部200から書き込んだり読みだしたりすることができる。また、この記憶部201の代わりに制御部200内のメモリを使用してもよい。
【0049】
操作表示部202は、画像形成装置本体に外部から見易く操作し易い部分に設けられており、ユーザが操作可能な各種スイッチやボタンと、液晶表示パネル上にタッチパネルを重ね合わせたタッチパネル式オペレーションパネル等で構成されている。制御部200がこの操作表示部202のタッチパネル式オペレーションパネルに各種の情報を表示することでき、ユーザがその表示を見て入力操作し、動作モードの選択や各種データの設定などを行って、制御部200に入力させることができる。これが、動作モードの選択入力を可能にする案内入力手の段機能を果す。
【0050】
この画像形成装置が、パーソナルコンピュータ等のホスト装置から送信される印刷命令により、その印刷ジョブを印刷するように構成した画像形成システムの場合には、この操作表示部202と共にあるいはそれに代えて、そのホスト装置のディスプレイとキーボードやポインティングデバイス等を使用して、案内入力手段の機能を果すこともできる。その場合は、この画像形成装置の制御部200が、通信手段を介してホスト装置のディスプレイに必要な情報を表示し、ユーザがホスト装置のキーボードやポインティングデバイス等を使用して、動作モードの選択や各種データの設定などを行って、この画像形成装置の制御部200へ送ることができる。
【0051】
制御部200は、所定の制御プログラムを読み込んで実行することにより、上述した各部の制御を行うとともに、以下に説明するこの発明の実施例による動作モードの変更に関する各種制御及び処理を実行する。
【0052】
〔第1実施例〕
この発明による画像形成装置の第1実施例は、画像形成時の動作モードとして、通常の連続印刷動作モードの他に、温度上昇対策動作として2種類の異なる間欠印刷動作モードで動作することができる。
以下の説明では、その第一の間欠印刷動作モードを動作モードS1と、第二の間欠印刷動作モードを動作モードS2と称し、通常の連続印刷動作モードを動作モードS3と称する。
【0053】
間欠印刷動作モードは、連続印刷ページ数を制限して停止時間を設け、間欠的に印刷動作をするモードである。この実施例では、動作モードS1は、機内温度上昇時に例えば3枚プリント(印刷)して3秒停止する間隔の短い間欠印刷の動作モードであり、動作モードS2は、機内温度上昇時に例えば60枚プリントして3分停止する間隔の長い間欠印刷の動作モードである。動作モードS3は、機内温度が平常時(所定温度未満の場合)に連続してプリントする連続印刷動作モードである。
【0054】
したがって、この第1実施例における各動作モードは次のようになる。
動作モードS1:間隔の短い間欠印刷動作(例:3枚プリントして3秒停止)
動作モードS2:間隔の長い間欠印刷動作(例:60枚プリントして3分停止)
動作モードS3:連続印刷動作
【0055】
図5は、動作モードS1と動作モードS2によるプリント枚数とプリント時間との関係を示す線図である。また、図6は動作モードS1、動作モードS2及び動作モードS3によるプリント枚数と現像ユニットの温度との関係を示す線図である。
この第1実施例における動作モードS1と動作モードS2の相違について、図5及び図6によって説明する。
【0056】
図5に示すように、動作モードS1では、間欠動作の間隔が短いため温度上昇防止効果が少ないため、1回の間欠動作あたりのプリント可能な枚数は少なくなるが、プリント残り枚数が少ないユーザにとっては、すぐにプリント結果を得られるという利点がある。一方、動作モードS2では、間欠動作の間隔が長いため、プリント残り枚数が少ないユーザも長時間待たせてしまう場合があるが、間欠動作の間隔を長くすることによって温度上昇防止効果が高くなり、1回の間欠動作あたりのプリント可能な枚数が多くなるという利点がある。
【0057】
周囲の環境が高温であるような場合に、機内温度が図6に示す所定温度T1を超えても動作モードS3で連続印刷を行うと、画像形成装置の機内温度が上昇し続けて故障が発生する温度Tbを超えてしまうことになる。しかし、機内温度が図6に示す温度T1になった時点から、動作モードS1又は動作モードS2で間欠印刷を行うようにすると、その後温度T1を大きく越えることはなくなり、まして故障が発生する温度Tbにまで温度上昇するような恐れはなくなる。
【0058】
図7は印刷時の経過時間と温度センサによる検知温度との関係を示す線図である。
この第1実施例では図7に示すように、動作モードS3による連続印刷により、温度センサによる検知温度T(℃)が、時点Aで第1の閾値温度T1になった時に、動作モードS1又はS2による間欠印刷動作に移行する。
【0059】
それにより、印刷要求が多ページの連続印刷であったとしても、連続印刷最大ページ数をNmax(動作モードS1では3ページ、動作モードS2では60ページ)に制限した間欠印刷動作を繰り返す。こうすることによって、総印刷ページ数に対する感光体、現像、転写、定着、搬送等の各モータ及び定着ヒータの停止時間が増加し、温度をそれ以上上昇させず、むしろ低下させることが可能になる。
【0060】
そのため、図7に示した例では時点Bで、検知温度Tが連続画像形成(連続印刷)動作モードに復帰可能な設定温度である第2の閾値温度T2(T2<T1)未満に低下したので、間欠印刷動作を解除して、再び制限無しの連続印刷に移行する。また、間欠印刷動作時の各種モータ及びヒータの停止から再始動までの停止時間U(動作モードS1では3秒、動作モードS2では3分)を設定することにより、画像形成装置の温度をさらに制御することが可能になる。
【0061】
図8は、図4に示した制御部200によるこの発明の第1実施例の動作モード移行に関する制御処理の内容を示す図である。これは、条件として、現在の動作モードが前述したS1〜S3のいずれであるかと、現在温度である検知温度Tと上述した第1、第2の閾値温度T1,T2との比較結果と、動作モードS1で動作中に図4の操作表示部202に図9に示す動作モード選択用表示をしたときの操作入力が、YESかNOか無(何も入力されない)のいずれであるか、の組合せに応じた動作モードの移行あるいは移行しない処理の内容を示している。
【0062】
図4の制御部200による、この図8に示す制御処理の流れを図10及び図11のフロー図によって説明する。
図10はその制御処理のメインルーチンを示すフロー図であり、図11は図10におけるステップ3「温度上昇対策動作」のサブルーチンの詳細を示すフロー図である。これらの図中において、「ステップ」を「S」と略記している。
【0063】
制御部200は、印刷命令を受けると図10に示す処理を開始し、ステップ1で温度センサ17の温度検知信号に基づいて、機内の温度として画像形成装置本体内の現像ユニット7の近傍の温度T[℃]を検知する。そして、ステップ2で、この検知温度Tを、予め設定されて記憶部201等に記憶されている所定温度である第1の閾値温度T1[℃]と比較し、検知温度Tが第1の閾値温度T1以上(T≧T1)か否かを判断する。第1の閾値温度T1は、周囲の環境が高温である場合でも画像形成装置が故障することなく動作するために、安全を見た高温限界の温度(図6に破線で示した故障が発生する温度Tbより低い温度)に設定する。
【0064】
このステップ2で、T≧T1ではないと判断した場合にはステップ4へ移行して、通常の動作モードS3で連続画像形成(連続印刷)動作を開始する。そして、ステップ5で印刷の終了と判断するまではステップ1へ戻り、ステップ1で検出した温度がステップ2でT≧T1であると判断するまでは、動作モードS3で連続画像形成動作を継続する。実際の連続画像形成の制御は、別のルーチンで並行して行う。
ステップ5で印刷が終了したと判断すれば、このフロー図の処理を終了する。
【0065】
ステップ2でT≧T1であると判断した場合は、ステップ3の「温度上昇対策動作」のサブルーチンへ移行する。
このサブルーチンでは、図11に示すように、まずステップ11で第一の間欠印刷動作モード(動作モードS1)で画像形成動作、すなわち間隔の短い間欠印刷動作を開始して、ステップ12へ移行する。以後、第一の間欠印刷動作モードでの画像形成の制御は、別のルーチンで並行して行う。
【0066】
ステップ12では、図4の操作表示部202のタッチパネル式オペレーションパネルに、図9に示した動作モード選択用の表示を行う。それによって、ユーザに画像形成装置が高温を検知して間欠動作中であることを知らせると共に、マシン冷却のために一時的な動作停止(動作停止モード)を奨めること、プリント枚数が多い場合には「動作停止モード」を実行した方がプリント時間を短縮できる場合があること、「動作停止モード」では数分間マシンが停止し、冷却後に自動でプリントが継続されることも知らせる。
【0067】
そして、「動作停止モード」へ移行するかどうかを、「YES」又は「NO」のタッチボタンへのタッチ操作によって選択可能であることを案内する。この「動作停止モード」とは、間隔の長い間欠印刷を行う第二の間欠印刷動作モード(動作モードS2)を、分かり易く示している。このような表示による案内(ガイダンス)と共に、あるいはそれに代えて、音声のアナウンスによってこれらの案内を行ってもよい。
【0068】
次いで、ステップ13では、図9に示したオペレーションパネルの表示上の「YES」のタッチボタンがタッチ操作(「YES」タッチ)されたかどうかを判断する。
そして、「YES」がタッチされたと判断するとステップ14へ移行し、第二の間欠印刷動作モード(動作モードS2)での画像形成、すなわち間隔の長い間欠印刷動作をする。以後、第二の間欠印刷動作モードでの画像形成の制御は、別のルーチンで並行して行う。
【0069】
その後、ステップ15で画像形成が終了したか否かを判断し、終了したと判断すれば、このフロー図の処理を終了する。しかし、画像形成が終了していない場合には、ステップ16で温度センサ17の温度検知信号に基づいて再度温度検知を行って、ステップ17でその検知温度Tを、記憶部201等に記憶している予め設定された設定温度である第2の閾値温度T2(T1>T2)と比較し、検知温度Tが第2の閾値温度T2未満(T2>T)か否かを判断する。
【0070】
第2の閾値温度T2は、画像形成装置の温度上昇が十分に抑えられ、連続画像形成に復帰してもよい温度に設定される。
ステップ17でT2>Tであると判断すると、図10のメインルーチンへリターンして、ステップ4へ進んで動作モードS3による連続画像形成(連続印刷)に移行する。そして、ステップ5で印刷が終了したと判断するまで、ステップ1〜5の処理を繰り返す。ステップ5で印刷が終了したと判断すれば、このフロー図の処理を終了する。
【0071】
図11のステップ17で、T2>Tではない(検知温度Tが第2の閾値温度T2以上)と判断した場合はステップ14へ戻り、検知温度Tが第2の閾値温度T2未満(T2>T)になるまで、ステップ14〜17の処理を繰り返し、第二の間欠印刷動作モード(動作モードS2)での画像形成(間隔の長い間欠印刷)動作を継続する。
【0072】
一方、ステップ13で図9に示したタッチパネルの表示における「YES」のタッチボタンがタッチ操作(「YES」タッチ)されなかった(「NO」のタッチボタンがタッチ操作されるか、何もタッチ操作されなかった)と判断した場合には、ステップ18で画像形成が終了したか否かを判断する。そして、終了したと判断すれば、このフロー図の処理を終了する。しかし、画像形成が終了していない場合には、ステップ19で温度センサ17の温度検知信号に基づいて再度温度検知を行って、ステップ20で第2の閾値温度T2と比較し、検知温度Tが第2の閾値温度T2未満(T2>T)か否かを判断する。
【0073】
ステップ20でT2>Tであると判断すると、図10のメインルーチンへリターンして、ステップ4へ進んで動作モードS3による連続画像形成(連続印刷)に移行する。そして、ステップ5で印刷が終了したと判断するまで、ステップ1〜5の処理を繰り返す。ステップ5で印刷が終了したと判断すれば、このフロー図の処理を終了する。
【0074】
図11のステップ20で、T2>Tではない(検知温度Tが第2の閾値温度T2以上)と判断した場合はステップ11へ戻り、ステップ13で「YESタッチ」と判断するか、ステップS18で終了と判断するか、ステップ20でT2>Tであると判断するまで、ステップ11〜13、18〜20の処理を繰り返す。その間は、第一の間欠印刷動作モード(動作モードS1)での画像形成(間隔の短い間欠印刷)動作を継続する。
【0075】
この実施例では、検知温度Tが所定温度である第1の閾値温度T1以上になってから、設定温度である第2の閾値温度T2未満に下がるまでが、温度上昇対策が必要な温度範囲である。
また、この実施例では、第一の間欠印刷動作モード(動作モードS1)で動作中は常に図9に示した案内(ガイダンス)表示をしており、ユーザはいつでも「動作停止モード」すなわち第二の間欠印刷動作モード(動作モードS2)を選択できるようにしている。しかし、第一の間欠印刷動作モードで間隔の短い間欠印刷動作を開始してから、一定時間だけ図9に示した案内表示をして、第二の間欠印刷動作モードへの移行を選択できるようにしてもよい。
【0076】
第1、第2の閾値温度T1,T2は、図4の記憶部201又は制御部200内のメモリに予めデフォルト値が記憶されているが、ユーザが操作表示部202を閾値温度設定モードにして、各温度を入力して任意に設定することもできる。それによって、記憶部201又は制御部200内のメモリに記憶している閾値温度T1及び閾値温度T2の値が、入力された設定温度に変更される。
このように、第1、第2の閾値温度T1,T2を任意に設定することができるので、画像形成装置の実際の使用環境や使われ方に合わせて最適に設定できる。
【0077】
また、第一の間欠印刷動作モード(動作モードS1)及び第二の間欠印刷動作モード(動作モードS2)における、前述した「連続印刷最大ページ数:Nmax」と「マシン停止時間:U」も、図4に示した操作表示部202を操作して、ユーザが使用環境に合わせて自由に設定することができる。この間欠印刷ごとの連続印刷最大ページ数と停止時間の設定値も、図4の記憶部201又は制御部200内のメモリに記憶されている。
【0078】
〔第2実施例〕
上述した第1実施例では、温度上昇対策動作として2種類の間欠印刷動作を用いて画像形成装置の温度上昇を抑えるようにしたが、他の温度上昇対策動作として、低速印刷モード及びエコモードがある。
低速印刷モードは高画質モードとも呼ばれる。電子写真方式の画像形成装置では、一般に600dpiの書込モードと1200dpiの書込モードを持っている。高解像度である1200dpiの書込モードでは、書き込みが細かくなる代わりに転写紙の搬送速度を低速にする場合が多い。
【0079】
この1200dpiの書込モードでは、転写紙の搬送速度が低速になるため、600dpiの書込モードの場合よりも低い定着温度で定着することが可能になる。したがって、定着器の熱による画像形成装置の温度上昇が少なくなり、温度上昇防止効果が得られる。そこで、このような低速印刷モードに切り替えることによっても、温度上昇対策をすることができる。
【0080】
エコモードは、低付着量モードもしくはトナーセーブモードとも呼ばれる。近年、環境意識の高まりから、画質を問わない場合には、トナーの付着量を低減して画像濃度を薄くし、その代わりにトナー消費量を抑えて印刷するエコモードが使用されるようになってきている。この場合は、トナー付着量を下げるため、通常よりも低い定着温度で定着することが可能になる。したがって、定着器の熱によるマシンの温度上昇が少なくなり、温度上昇防止効果が得られる。そこで、このようなエコモードに切り替えることによって温度上昇対策をしてもよい。
【0081】
そこで、この発明の第2実施例では、温度上昇対策動作モードとして、「パフォーマンス重視」の温度上昇対策動作と「マシン保護」の温度上昇対策動作を選択できるようにした。
「パフォーマンス重視」の温度上昇対策動作は、機内温度上昇時に、上述した低速印刷モードで画像形成を行う動作モードであり、この第2実施例の動作モードS1とする。
【0082】
「マシン保護」の温度上昇対策動作は、機内温度上昇時に、上述した低速印刷モードと上述したエコモードと第1実施例の第二の間欠印刷動作と同じ間隔の長い間欠印刷動作モードを同時に行う動作モードであり、この第2実施例の動作モードS2とする。
通常の連続画像形成(連続して印刷する)する連続印刷動作モードは、この第2実施例でも動作モードS3とする。
【0083】
したがって、この第2実施例における各動作モードは次のようになる。
動作モードS1:低速印刷モード
動作モードS2:低速印刷モード+エコモード+間欠印刷動作(例:60枚プリントして3分停止)モード
動作モードS3:連続印刷動作モード
【0084】
図12は、図4に示した制御部200によるこの発明の第2実施例の動作モード移行に関する制御処理の内容を示す図である。
図13は、その制御処理において「温度上昇対策動作」に移行したときに、図4の操作表示部202のタッチパネル式オペレーションパネルに表示する動作モード選択用表示の一例を示す図である。この表示では、「パフォーマンス重視モード」と「マシン保護モード」について説明するとともに、マシンが高温になっているため、「パフォーマンス重視」又は「マシン保護」のタッチボタンのタッチ操作によって、いずれかの制御方法すなわち動作モードを選択することを促す案内をする。
【0085】
図12における条件は、現在の動作モード(図12ではスペースの関係で「現モード」となっている)が前述した動作モードS1〜S3のいずれであるか、プリント命令時の温度(検知温度T)が後述する所定温度T0以上か否か、現在温度(検知温度T)と後述する閾値温度T1,T2,T1′,T2′との比較結果、デフォルトモードが「パフォーマンス重視」(図12ではスペースの関係で「パフォーマンス」となっている)か「マシン保護」か、図13に示したモード選択用表示からの操作入力が「パフォーマンス重視」か「マシン保護」か「無(何も入力されない)」のいずれであるかである。
これらの条件の組み合わせに応じた、動作モードの移行あるいは移行しない処理の内容を示している。
【0086】
画像形成装置の動作環境としては、できる限り常温(20〜25℃)の環境で使うことが望ましく、壊れない限りギリギリの温度で使用を続けることは、装置の寿命を縮めることになる。そのため、装置の寿命という観点では、高温検知時にはできるかぎり冷却効果を高くするため、上述した低速印刷モード、エコモード、および間欠印刷動作モードの3つのモードを併用するのが望ましい。
しかしながら、低速印刷モードと間欠印刷動作モードには、印刷(プリント)が遅くなるというデメリットがある。また、エコモードには印刷画像が薄くなるというデメリットがある。そのため、温度上昇対策動作として安易に冷却効果のみで動作モードを決めることができない。
【0087】
そこで、高温を検知した場合でも、画質を優先した「パフォーマンス重視」で印刷を実行する(例えば、低速印刷モードのみ)か、寿命を優先した「マシン保護」で印刷を実行する(上述した3つのモードを全て実行する)かについての情報を、ユーザに提供して、ユーザが選択できるようにした。
それによって、高品質な印刷物が欲しい場合には、寿命よりも画質(パフォーマンス)を重視し、画質を落とし、且つ多少時間がかかってもよい場合には、マシン保護を優先した動作モードを選択することができる。
【0088】
このような、この発明の第2実施例における制御部200による制御処理を図14から図17によって説明する。
図14は、この第2実施例における図4に示した制御部200による制御処理のメインルーチンを示すフロー図であり、図15は、図14におけるステップ33「温度上昇対策動作」のサブルーチンの詳細を示すフロー図である。
【0089】
さらに、図16は、図15におけるステップ43「パフォーマンス重視の温度上昇対策動作」のサブルーチンの詳細を示すフロー図であり、図17は、図15におけるステップ45「マシン保護の温度上昇対策動作」のサブルーチンを示すフロー図である。
これらの図中においても、「ステップ」を「S」と略記している。
【0090】
制御部200は、印刷命令を受けると図14に示すメインルーチンの処理を開始する。そして、まずステップ31で、温度センサ17の検知信号に基づいて、現在の画像形成装置本体内の現像ユニット7の近傍の温度T[℃]を検知する。
そして、その検知温度Tをステップ32で、記憶部201又は制御部200内のメモリに記憶されている予め設定された所定温度T0[℃]と比較し、検知温度Tが所定温度T0以上(T≧T0)か否かを判断する。
【0091】
この所定温度T0は、印刷開始前に温度上昇対策動作に入って、図4の操作表示部202のオペレーションパネルに図13に示した動作モード選択用の表示を行うか否かを判断するための温度である。そして、この所定温度T0は、後述する閾値温度T2及びT2′より低い(T2>T2′>T0)温度に設定される。
【0092】
ステップ32でT≧T0ではないと判断した場合は、ステップ34へ移行して、連続画像形成の動作(動作モードS3による連続印刷動作)を開始する。そして、ステップ35で印刷の終了と判断するまではステップ31へ戻り、ステップ31で検知した温度がステップ32でT≧T0であると判断するまでは、動作モードS3で連続画像形成動作を継続する。実際の連続画像形成動作の制御は、別のルーチンで並行して行う。ステップ35で印刷が終了したと判断すれば、このフロー図の処理を終了する。
【0093】
ステップ32でT≧T0であると判断した場合は、画像形成装置の機内温度の上昇を抑えるためにステップ33の温度上昇対策動作へと移行する。
この温度上昇対策動作のサブルーチンでは、図15〜図17に示す処理を行う。まず、図15のステップ41で、図4の操作表示部202の動作モードの選択入力を可能にする案内入力手段であるタッチパネル式オペレーションパネルに、図13に示した動作モード選択入力用案内を表示する。
【0094】
この表示によって、ユーザにマシンが高温になっていることを知らせ、制御方法の選択を促す。そのため、「パフォーマンス重視モード」と「マシン保護モード」について説明するとともに、そのいずれかのモードを「パフォーマンス重視」または「マシン保護」のタッチボタンのタッチ操作によって選択することを促す案内をする。
【0095】
そして、ステップ42で「パフォーマンス重視」がタッチされたか否かを判断し、それがタッチされていなければステップ44で「マシン保護」がタッチされたか否かを判断する。
「パフォーマンス重視」がタッチされた場合は、ステップ43の「パフォーマンス重視の温度上昇対策動作」のサブルーチンへ移行する。また、「マシン保護」がタッチされた場合は、ステップ45の「マシン保護の温度上昇対策動作」のサブルーチンへ移行する。
【0096】
いずれのタッチボタンもタッチされなかった場合は、ステップ46へ進んで、ステップ41で動作モード選択用表示をしてから所定時間経過したか否かを判断する。そして、所定時間経過するまでは、ステップ42,44及び46の判断を繰り返して、「パフォーマンス重視」又は「マシン保護」がタッチされるのを待ち、その間にいずれかがタッチされれば、ステップ43又は45の温度上昇対策動作のサブルーチンへ移行する。
【0097】
しかし、「パフォーマンス重視」又は「マシン保護」のいずれもタッチされずに所定時間経過すると、ステップ46からステップ47へ移行して、デフォルトモードが「パフォーマンス重視」に設定されているか否かを判断する。デフォルトモードが「パフォーマンス重視」に設定されている場合は、ステップ43の「パフォーマンス重視の温度上昇対策動作」のサブルーチンへ移行する。デフォルトモードが「パフォーマンス重視」に設定されていない場合は、デフォルトモードは「マシン保護」に設定されているはずであるからステップ45の「マシン保護の温度上昇対策動作」のサブルーチンへ移行する。
【0098】
このデフォルトモードは、予め設定されて記憶部201又は制御部200内のメモリに記憶されているが、ユーザが操作表示部202から「パフォーマンス重視」又は「マシン保護」のいずれかを選択して設定を変更することもできる。
【0099】
「パフォーマンス重視の温度上昇対策動作」のサブルーチンでは、図16に示すように、まず、ステップ51で連続画像形成動作(動作モードS3による連続印刷動作)を開始して、ステップ52で画像形成が終了したと判断するまではステップ53へ進んで温度センサ17からの検知信号に基づいて現在の機内温度を検知する。そして、その検知温度Tをステップ54で閾値温度T1と比較し、検知温度Tが閾値温度T1以上か否かを判断する。
【0100】
この閾値温度T1は、予め設定した、継続的に連続画像形成を行うと現像ユニットに異常がでる可能性があるが、画像形成装置が回復不能な故障をしないレベルの温度に設定されて、記憶部201又は制御部200内のメモリに記憶されている。
【0101】
ステップ54でT≧T1ではないと判断した場合は、ステップ51へ戻って、ステップ52で画像形成が終了したと判断するか、ステップ54でT≧T1になったと判断するまでは、連続画像形成の動作を継続する。
ステップ54でT≧T1であると判断すると、ステップ55へ移行して、低速印刷モード(動作モードS1)で画像形成動作を開始し、ステップ56で画像形成が終了したか否かを判断する。画像形成が終了していないと判断した場合は、ステップ57へ進んで温度センサ17からの検知信号に基づいて現在の機内温度を検知する。
【0102】
そして、その検知温度Tをステップ58で閾値温度T2と比較して、検知温度Tが閾値温度T2より低い(T2>T)か否かを判断する。この閾値温度T2は、機内の温度が充分低下して連続画像形成動作に復帰してもよいことを判断するための温度に設定されて、記憶部201又は制御部200内のメモリに記憶されている。
【0103】
ステップ58でT2>Tでないと判断した場合には、ステップ55へ戻って、ステップ56で画像形成が終了したと判断するか、ステップ58でT2>Tになったと判断するまでは、低速印刷モードでの画像形成動作を継続する。
ステップ58でT2>Tであると判断すると、図15のステップ43のサブルーチンを終了して図14のメインルーチンへリターンし、ステップ34で連続画像形成の動作(動作モードS3)に移行する。
図16のステップ52又はステップ56で、画像形成が終了したと判断すると処理を終了する。
【0104】
図15における「マシン保護の温度上昇対策動作」のサブルーチンでは、図17に示すように、まず、ステップ61で連続画像形成動作(動作モードS3による連続印刷動作)を開始して、ステップ62で画像形成が終了したと判断するまではステップ63へ進んで温度センサ17からの検知信号に基づいて現在の機内温度を検知する。そして、その検知温度Tをステップ64で閾値温度T1′と比較し、検知温度Tが閾値温度T1′以上か否かを判断する。
【0105】
この閾値温度T1′は、連続画像形成を行っても現像ユニット7を含む画像形成装置に異常がでないレベルの温度で、閾値温度T1より低い温度(T1>T1′)に予め設定されて、記憶部201又は制御部200内のメモリに記憶されている。
【0106】
ステップ64でT≧T1′ではないと判断した場合はステップ61へ戻って、ステップ62で画像形成が終了したと判断するか、ステップ64でT≧T1′になったと判断するまでは、連続画像形成の動作を継続する。
ステップ64でT≧T1′であると判断するとステップ65へ移行して、動作モードS2の「低速印刷モード+エコモード+間欠印刷モード(低速印刷・エコ・間欠印刷モード)」で画像形成動作を開始し、ステップ66で画像形成が終了したか否かを判断する。画像形成が終了していないと判断した場合は、ステップ67へ進んで温度センサ17からの検知信号に基づいて現在の機内温度を検知する。
【0107】
そして、その検知温度Tをステップ68で閾値温度T2′と比較して、検知温度Tが閾値温度T2′より低い(T2′>T)か否かを判断する。
この閾値温度T2′は、機内の温度が充分低下して連続画像形成動作に復帰してもよいことを判断するための温度で、温度閾値T2より低い温度(T2>T2′)に設定されて、記憶部201又は制御部200内のメモリに記憶されている。
【0108】
ステップ68でT2′>Tでないと判断した場合には、ステップ65へ戻って、ステップ66で画像形成が終了したと判断するか、ステップ68でT2′>Tになったと判断するまでは、動作モードS2の「低速印刷モード+エコモード+間欠印刷モード」での画像形成動作を継続する。
【0109】
ステップ68でT2′>Tであると判断すると、図15のステップ45のサブルーチンを終了して図14のメインルーチンへリターンし、ステップ34で連続画像形成の動作(動作モードS3)に移行する。
図17のステップ62又はステップ66で、画像形成が終了したと判断すると処理を終了する。
【0110】
この第2実施例では、「パフォーマンス重視の温度上昇対策動作」においては、検知温度Tが閾値温度T1になってから閾値温度T2未満に下がるまでが、温度上昇対策が必要な温度範囲である。また、「マシン保護の温度上昇対策動作」においては、検知温度Tが閾値温度T1′になってから閾値温度T2′未満に下がるまでが、温度上昇対策が必要な温度範囲である。
上述した各実施例において、検知温度Tと所定温度T0又は各閾値温度T1,T2等との比較条件に、等しい場合(=)を含むかどうかはいずれでもよく、例えばT≧T0をT>T0に、T2>TをT2≧Tのように変えてもよい。
【0111】
この第2実施例では、パフォーマンス重視の温度上昇対策において「低速モード」を用いたが、代わりに「エコモード」(トナーの付着量を低減して画像を薄くし、トナー消費量を抑えて印刷するモードで、「低付着量モード」もしくは「トナーセーブモード」とも云う)、あるいは第1実施例における動作モードS1又はS2と同様な間欠印刷動作モードを用いてもよい。
【0112】
また、マシン保護の温度上昇対策において、低速印刷モード及びエコモードと共に用いる「間欠印刷モード」は第1実施例における第二の間欠印刷動作モードと同様な間隔の長い間欠印刷動作モードを用いたが、第一の間欠印刷動作モードと同様な間隔の短い間欠印刷動作モードを用いてもよい。
【0113】
さらに、この実施例ではマシン保護の温度上昇対策において、低速印刷モードとエコモードと間欠印刷動作モードの3つの動作モードを同時に実行するモードを用いたが、これらのうちの2つの動作モードを同時に実行するようにしてもよい。
また、図13に示した動作モード選択用の表示は、その内容を音声でアナウンスしてもよい。
【0114】
さらに、この発明による画像形成装置と、その画像形成装置に印刷命令(印刷ジョブと一緒でもよい)を出すパーソナルコンピュータ等ホスト装置とを備えた画像形成システムにおいては、上述した案内入力手段が、そのホスト装置のディスプレイに、印刷命令を出した記画像形成装置が高温になっていること及び複数の温度上昇対策動作モードの説明と、その複数の温度上昇対策動作モードのいずれかを選択させるためのボタンを表示し、そのホスト装置のキーボードやポインティングデバイス等の汎用入力装置によって、前述した動作モードの選択を可能にすることができる。
それによってユーザがその案内に気付き易く、また手元の汎用入力装置で容易に動作モードを選択できる。
【0115】
この発明によれば、画像形成装置が印刷命令を受けたとき及び画像形成動作中に、温度検知手段である温度センサ17によって機内温度を検知し、その検知温度が予め設定した所定温度以上になると、温度上昇対策動作モードで印刷を実行する。しかし、その温度上昇対策動作モードへ移行する際に、案内入力手段によって、温度上昇対策動作が異なる複数の温度上昇対策動作モードのいずれかを選択するように案内し、外部操作による選択入力を可能にした。
【0116】
それによって、ユーザがその複数の温度上昇対策動作モードのうち、事情に応じた適切な動作モードを任意に選択することができる。
したがって、ユーザの事情に応じた適切な動作モードで温度上昇対策動作を実行することができ、機内の温度上昇を抑えて現像剤の溶融や故障の発生などを未然に防ぎながら、ユーザの要求にもある程度応じることができる。
【0117】
この発明による画像形成装置は、図1に示したタンデム型の中間転写方式のカラープリンタに限らない。その他の中間転写方式又は直接転写方式のカラープリンタ、モノクロのプリンタ、それらのいずれかに画像読取部を備えた複写機、ファクシミリ装置、それらの機能を組み合わせたデジタル複合機等の各種の画像形成装置にも、この発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0118】
1Y,1C,1M,1K:画像形成ユニット 2Y:感光体ユニット
3Y,3C,3M,3K:感光体 4Y:ドラムクリーニング装置
5Y:帯電装置 6Y:帯電ローラ 7Y:現像ユニット
8Y:第1搬送スクリュー 9Y:第1剤収容部 10Y:トナー濃度センサ
11Y:第2搬送スクリュー 12Y:現像ローラ 15Y:現像スリーブ
16Y:マグネットローラ 17Y,17:温度センサ 20:光書込ユニット
21:ポリゴンミラー 31:第1給紙カセット 31a:第1給紙ローラ
32:第2給紙カセット 32a:第2給紙ローラ 33:給紙路
34:搬送ローラ対 35:レジストローラ対 40:転写ユニット
【0119】
41:中間転写ベルト 42:ベルトクリーニングユニット
43:第1ブラケット 44:第2ブラケット
45Y,45C,45M,45K:一次転写ローラ
46:二次転写バックアップローラ 47:駆動ローラ 48:補助ローラ
49:テンションローラ 50:二次転写ローラ 60:定着ユニット
61:加圧加熱ローラ 62:定着ベルトユニット 63:加熱ローラ
63a:発熱源 64:定着ベルト 65:テンションローラ
66:駆動ローラ 67排紙ローラ対 68:スタック部
【0120】
100Y,100C,100M,100K:トナーカートリッジ
200:制御部 201:記憶部 202:操作表示部
203:I/Oボード 204:紙搬送駆動モータドライバ
205:紙搬送駆動モータ 206:現像駆動モータドライバ
207:現像駆動モータ 208:感光体駆動モータドライバ
209:感光体駆動モータ 210:転写駆動モータドライバ
211:転写駆動モータ 212:定着駆動モータドライバ
213:定着駆動モータ 214:定着ヒータドライバ 215:定着ヒータ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0121】
【特許文献1】特開2010−134407号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子写真方式の画像形成装置において、
動作モードとして、連続画像形成動作モードと、温度上昇対策が必要な場合の温度上昇対策動作が異なる複数の温度上昇対策動作モードを実行可能であり、
機内の温度を検知する温度検知手段と、
該温度検知手段によって検知される温度が、予め設定した所定温度以上になると、前記複数の温度上昇対策動作モードのいずれかを選択するように表示又は音声で案内し、外部操作による選択入力を可能にする案内入力手段と、
印刷命令を受けると、常時は前記連続画像形成動作モードで印刷を実行し、前記温度検知手段によって検知された温度が前記温度上昇対策が必要な温度範囲にあるときには、前記案内入力手段によって温度上昇対策動作モードが選択された場合、その選択された温度上昇対策動作モードで印刷を実行する制御手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記複数の温度上昇対策動作モードが、第一の間欠印刷動作モードと第二の間欠印刷動作モードであり、第一の間欠印刷動作モードより第二の間欠印刷動作モードの方が1回に連続印刷可能なページ数が多く、その後の停止時間が長いことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置において、
前記制御手段は、印刷命令を受けると前記温度検知手段によって機内温度を検知し、
その検知温度(T)が前記所定温度である第1の閾値温度(T1)未満であれば前記連続画像形成動作モードで印刷動作を開始し、第1の閾値温度(T1)以上であると、前記第一の間欠印刷動作モードで印刷動作を開始するとともに、前記案内入力手段によって前記動作モードの選択入力を可能にする案内をし、
その後、前記第二の間欠印刷動作モードへの移行が選択された場合にだけ該第二の間欠印刷動作モードの印刷動作に移行し、
該第二の間欠印刷動作モード又は前記第一の間欠印刷動作モードで印刷動作中に、前記温度検知手段による検知温度(T)が前記連続画像形成動作モードに復帰可能な設定温度である第2の閾値温度(T2)未満になったときに、前記連続画像形成動作モードの印刷動作に移行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記複数の温度上昇対策動作モードが、パフォーマンス重視の温度上昇対策動作モードとマシン保護の温度上昇対策動作モードであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像形成装置において、
前記制御手段は、印刷命令を受けると前記温度検知手段によって機内温度を検知し、
その検知温度(T)が前記所定温度(T0)未満であれば前記連続画像形成動作モードで印刷動作を開始し、所定温度(T0)以上であると、前記案内入力手段によって前記動作モードの選択入力を可能にする案内をし、
その後、前記パフォーマンス重視が選択された場合には前記パフォーマンス重視の温度上昇対策動作モードに移行し、前記マシン保護が選択された場合には前記マシン保護の温度上昇対策動作モードに移行し、いずれも選択されなかった場合には予め設定されているデフォルトモードに応じて前記パフォーマンス重視の温度上昇対策動作モード又は前記マシン保護の温度上昇対策動作モードに移行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記パフォーマンス重視の温度上昇対策動作モードでは、前記温度検知手段によって検知された温度が前記温度上昇対策が必要な温度範囲にあるときに、印刷速度を低減する低速印刷モード、トナーの付着量を低減して印刷するエコモード、または連続印刷ページ数を制限して停止時間を設ける間欠印刷動作モードのいずれかを実行し、
前記マシン保護の温度上昇対策動作モードでは、前記温度検知手段によって検知された温度が前記温度上昇対策が必要な温度範囲にあるときに、前記低速印刷モード、前記エコモード、および前記間欠印刷動作モードのうち、2つ以上の動作モードを同時に実行することを特徴とする請求項4又は5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記案内入力手段は、操作表示部のタッチパネル式オペレーションパネルに、画像形成装置が高温になっていること及び複数の温度上昇対策動作モードの説明と、その複数の温度上昇対策動作モードのいずれかを選択させるためのボタンを表示し、該ボタンのいずれかがタッチされることによって温度上昇対策動作モードが選択される手段であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記温度検知手段の温度センサを、現像装置内あるいは画像形成装置本体内の現像装置の近傍に設けたことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の画像形成装置と、該画像形成装置に印刷命令出すホスト装置とを備えた画像形成システムであって、
前記案内入力手段が、前記ホスト装置のディスプレイに、前記画像形成装置が高温になっていること及び複数の温度上昇対策動作モードの説明と、その複数の温度上昇対策動作モードのいずれかを選択させるためのボタンを表示し、前記ホスト装置のキーボードやポインティングデバイス等の汎用入力装置によって、前記動作モードの選択を可能にする手段であることを特徴とする画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−44966(P2013−44966A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183052(P2011−183052)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】