説明

画像形成装置

【課題】
駆動装置により搬送される感光体ベルトと、該感光体ベルト上にトナー画像を形成する現像手段と、該感光体ベルト上のトナー画像が転写される中間転写手段と、トナー画像を用紙に転写するため用紙を該中間転写手段に押し付ける転写ローラとを有する画像形成装置を小型でありかつ、低価格で提供する。
【解決手段】
用紙は所定の大きさにあらかじめカットされたシート状形態をなし、前記感光体ベルトの周長は前記用紙の搬送方向長さよりも短いことを特徴とする。また、感光体ベルトの搬送方向の周長は、中間転写ベルトの搬送方向の周長より短いことを特徴とする。さらに、前記感光体ベルトの搬送方向の周長は、前記中間転写ベルトの搬送方向の周長より短いことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動装置により搬送される感光体ベルトと、該感光体ベルト上にトナー画像を形成する現像手段と、該感光体ベルト上のトナー画像が転写される中間転写手段と、トナー画像を用紙に転写するため用紙を該中間転写手段に押し付ける転写ローラとを有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
駆動装置により搬送される感光体ベルトと、該感光体ベルト上にトナー画像を形成する現像手段と、該感光体ベルト上のトナー画像が転写される中間転写手段と、トナー画像を用紙に転写するため用紙を該中間転写手段に押し付ける転写ローラとを有する画像形成装置に関しては、同一径のローラで掛け回される中間転写ベルトを有する装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−330358号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の従来技術では、感光体ベルトならびに中間転写ベルト共に用紙の長さよりも長い周長を必要としており,装置の小型化および低コスト化の障害となっている。
なお、従来から用いられている感光体ドラムを用いた技術は一般的なものとして広く知られているが,この技術を用いてフルカラー画像を得るためには、色毎に現像位置が異なるために、現像手段に対応する現像器の構造を色毎に変えなければならず、部品の共用性の観点から低コスト化の障害となっている。
【0005】
本発明の目的は、小型で安価な画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
駆動装置により搬送される感光体ベルトと、該感光体ベルト上にトナー画像を形成する現像手段と、該感光体ベルト上のトナー画像がその表面に転写される中間転写ベルトと、トナー画像を用紙に転写するため用紙を該中間転写手段に押し付ける転写ローラとを有する画像形成装置において、用紙は所定の大きさにあらかじめカットされたシート状形態をなし、前記感光体ベルトの周長は前記用紙の搬送方向長さよりも短いことを特徴とする。また、前記感光体ベルトの搬送方向の周長は、前記中間転写ベルトの搬送方向の周長より短いことを特徴とする。さらに、前記感光体ベルトの搬送方向の周長は、前記中間転写ベルトの搬送方向の周長より短いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、用紙長さよりも短い周長のシームレスの感光体ベルトを用いているため、感光体のシーム部の機械的・電気的不連続性に基因した画質劣化を伴わずに装置の小型・低価格化を実現できる。
【0008】
また、中間転写ベルトを従動搬送することで、中間転写ベルトの駆動機構ならびに駆動制御系が不要となり,装置の小型・低価格化を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下本発明を、実施例により説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は、本発明の実施例に係る画像形成装置1の側面図である。この装置は、中間転写ベルト2を4回転させ、4色の画像をかさね合わせてカラー画像を形成可能なカラーレーザプリンタである。
【0011】
以下に装置1内に配置される各ユニットについて説明する。
【0012】
感光体ベルト3は、駆動モータ(図示せず)からモータ駆動系(図示せず)を介して駆動される駆動ローラ4で矢印a方向に搬送される。中間転写ベルト2は、感光体ベルト3と接触するニップ部nの搬送力により従動搬送される。
【0013】
感光体ベルト3は、継ぎ目の無い無端状シームレスベルトであり、電鋳加工法により形成されたニッケルシームレスベルト上に感光層を形成したものなどが用いられる。
【0014】
中間転写ベルト2は、ポリカーボネイド、ポリエチレン・テレフタレート、ポリイミド等樹脂のシームレスベルトであり、トナーの転写を行うために半導電体に加工され、10〜1011Ω・cmの体積抵抗をもつ。その厚さは0.075〜0.15mmである。
【0015】
中間転写ベルト2は、感光体側ローラ7と転写側ローラ22に掛け渡され、感光体ベルト3は中間転写ベルト2を介して感光体側ローラ7に巻き付けられる。
【0016】
感光体側ローラ7は大径とし、感光体ベルト3とのニップ幅を少なくとも20mm以上にし、転写側ローラ22は感光体側ローラ7に対し小径とする。
【0017】
中間転写ベルトテンションローラ23は、中間転写ベルト2の張力付与手段であり、ばね等により中間転写ベルト2を押して張力を与える。
【0018】
駆動モータはモータドライバ(図示せず)により一定回転数を維持するように制御される。中間転写ベルト2は表面にマーカが貼り付けられ、センサ21がその通過を検知する。その信号を演算手段(図示せず)が読み取り、中間転写ベルト2が一定周期で搬送されるように、モータドライバに指示をあたえる。
【0019】
画像形成手段である現像ユニット15は、トナーを貯えるとともに、現像ローラ19上にトナーを薄層形成する。感光体ベルト3上にトナー画像を形成する際は、リトラクト手段16を矢印d方向に回転させて現像ユニット15をe方向に進め、現像ローラ19を感光体ベルト3に接触させる。画像形成後は、さらにリトラクト手段16を矢印d方向に回転させ、現像ユニット15を離脱させる。
【0020】
消去手段であるファーブラシ18は、図示されないリトラクト手段により、中間転写ベルト2上の画像が用紙に転写された後、中間転写ベルト2に接触し残トナーを除去し、その後離脱する。
【0021】
転写手段である転写ローラ13は、図示しないリトラクト手段により転写プロセスで用紙を中間転写ベルト2に押し付け、用紙が転写ローラ13を通過した後、離脱する。
【0022】
用紙を蓄積する用紙カセット10は、装置下方で装置設置面に略水平に配置される。
【0023】
用紙搬送経路c上には、用紙カセット10、ピックアップローラ11、レジストローラ12、転写ローラ13、定着器14が配置される。
【0024】
定着器14は加熱される2本のローラまたはベルトからなり、用紙に熱と圧力を加えてトナー画像を溶融し、用紙表面に定着させる。
【0025】
次に、画像を形成するプロセスについて説明する。
【0026】
画像を形成する場合は、帯電ローラ20で感光体ベルト3の感光層を帯電させ、LED光学ユニット17から画像に応じたレーザ光を感光層にあて、静電潜像を形成する。 そして、現像ユニット15のトナーが付着している現像ローラ19を回転させながら感光体ベルト3に接触させ、静電潜像に応じたトナー層を感光体ベルト3上に形成する。
【0027】
本実施例においては、均一なトナー画像を形成するために現像ローラ19の回転方向は矢印g方向(感光体ベルト3と同一方向)で、ローラ周速を感光体ベルト3より速くしている。
【0028】
感光体ベルト3上のトナー層は、一旦中間転写ベルト2上に転写される。カラーレーザプリンタでは、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの4色の現像ユニット151、152、153、154を有し、感光体ベルト3上に1色づつ形成した画像を中間転写ベルト2上に重ね、カラー画像を形成する。
【0029】
画像転写後の感光体ベルト3上に残った残留画像は、クリーニングブレード24により掻き落とされる。
【0030】
用紙カセット10に収められる用紙は、ピックアップローラ11により1枚づつ繰り出され、レジストローラ12でスキューを補正される。そして、用紙先端が転写ローラ13と中間転写ベルト2間に達する直前に、図示しないリトラクト手段が転写ローラ13を中間転写ベルト2に押し当て、用紙を中間転写ベルト2に押しつける。このとき、転写ローラ13に高電圧を付与し、中間転写ベルト2上のトナー画像を用紙に転写する。
【0031】
その後、用紙は定着器14に達し、用紙上のトナー画像が定着器14で熱と圧力により定着される。
【0032】
画像転写後の中間転写ベルト2上に残った残留画像は、ファーブラシ18を中間転写ベルト2に接触させ、ファーブラシ18を回転させて取り除く。画像消去能力の向上のため、本実施例ではファーブラシ18の回転方向を中間転写ベルト2の回転方向と逆の矢印f方向にしている。
【0033】
本実施例においては、感光体ベルト3は中間転写ベルト2および用紙カセット10に収容される用紙の搬送方向長さより短く構成されている。つまり、本実施例においては、用紙一枚の画像を形成する際に、感光体ベルト3は1回転以上することになる。例えば,JISA4サイズの用紙縦送り(用紙長さ297mm)に対して,感光体ベルト周長283mm、中間転写ベルト周長377mmがとりうる。
【0034】
本実施例においては、センサ27が感光体ベルト3上に形成されたマーカ(図示せず)の通過時刻を検知し、静電潜像の書込みタイミングを制御して用紙一枚分の画像を中間転写ベルト上に形成する。なお、センサ21により、中間転写ベルト2の移動量を検知することで静電潜像の書込みタイミングを決定することで、センサ27を用いないシステムを構築することもできる。
【0035】
なお、25および26は、コントロール基板や電源ユニット等の電装ユニットである。
【0036】
次に本実施例の効果について説明する。
【0037】
感光体ベルト3の周長を、中間転写ベルト2および用紙長さよりも短くすることで、装置コストを低減すると共に装置サイズを小さくすることができる。その上で、各色ともほぼ同構成の現像器を用いることができるので、部品の共用化による低価格化を図ることができる。
【0038】
また、中間転写ベルト2を従動搬送することで、その駆動系が不要になり構成が簡略化される。また、駆動系は駆動ローラの偏芯等により周期的な速度変動を有する。そのような変動を感光体ベルト4と中間転写ベルト2の異なる駆動系で同一にあわせることは不可能であり、感光体ベルト4と中間転写ベルト2の間に速度差が生じる。その速度差は、感光体ベルト4から中間転写ベルト2に画像を転写する際の色重ねずれになる。従動搬送はこのような影響がなく、色重ねずれない高画質画像が得られる。
【0039】
また、速度変動が少ない安定した従動搬送を行うには、感光体ベルト4と中間転写ベルト2の駆動力を十分とる必要がある。駆動力は、感光体ベルト4と中間転写ベルト2間の静電吸着力による駆動力と、感光体ベルト4の張力により感光体ベルト4が中間転写ベルト2を押す力による駆動力の和になる。それぞれは、感光体ベルト4と中間転写ベルト2のニップ幅に比例する。このため、適正な駆動力を得るにはニップ幅を広くとる必要があり、すくなくとも20mm以上、望ましくは25mm以上である。
【0040】
次に、中間転写ベルト2を挟んで感光体ベルト4が巻かれて回転する感光体側ローラ7と、中間転写ベルト2を挟んで用紙が押し付けられる転写側ローラ22を有し、二本のローラに掛け回す。これにより、転写側の曲率を小さくすることが可能になり、用紙自身の剛性で中間転写ベルト2から剥離することが可能になる。よって、除電手段とそれを動作させる高電圧電源等が不要になり、あるいは除電手段を付加する場合でも、簡略な除電ブラシ等で用紙の剥離が可能になり、構成が簡略化される。
【0041】
また、より剥離性を向上させるため転写側ローラ22を小径にする場合、ローラ22に沿ったクリープ変形が発生する。この変形による感光体ベルト4と中間転写ベルト2のニップ部nにおける感光体ベルト4と中間転写ベルト2、及び中間転写ベルト2と感光体側ローラ7の間のギャップ変動は、転写状態を変動させ画像劣化につながる。感光体側ローラ7に中間転写ベルト2を挟んで感光体ベルト4を巻き付ける構成にすることで、中間転写ベルト2が感光体ベルト4に向かって凸状に変形している状態を、感光体ベルト4が感光体側ローラ7に向かって凹状に抑えるため、感光体ベルト44と中間転写ベルト2、及び中間転写ベルト2と感光体側ローラ7が確実に接触し、画質の劣化が無い。
【0042】
さらに、転写側ローラ22の径d2に対し、感光体側ローラ7の径d1を大きくすると、ニップ部nで感光体側ローラ7に巻きかけられる感光体ベルト4のクリープ変形少なくなるため、現像器15と感光体ベルト4間のギャップの変動が発生することがなく、高画質画像が得られる。
【0043】
さらに、中間転写ベルト2のクリープ変形も感光体側ローラ7では少ないため、感光体ベルト4と中間転写ベルト2、及び中間転写ベルト2と感光体側ローラ7が確実に接触し、画質の劣化が無い。また、中間転写ベルト2を安定に従動搬送するためのニップ幅を容易に確保可能になる。
【0044】
この場合、転写側ローラ22は、剥離性とクリープ変形を考慮すると、直径20〜30mmが好ましい。また、感光体側ローラ7は、クリープ変形が少なく、ニップ幅nが確保できるよう直径40mm以上が望ましく、軸間を詰め装置1の設置面積を低減するには100mm以上が好ましい。
【0045】
次に、中間転写ベルト2に張力を与える手段を設けることで、クリープ変形が発生した場合でも、感光体ベルト4と中間転写ベルト2のニップ部nで、中間転写ベルト2の変形を低減させ、ギャップ変動による画像劣化が無い。
【0046】
また、転写側ローラ22を、感光体側ローラ7の装置設置面水平方向反感光体側の投影面内に配置することで、中間転写ベルトユニット30を装置設置面反感光体側水平方向jに容易に着脱可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の画像形成装置を示す図である。(実施例1)
【符号の説明】
【0048】
1…画像形成装置、2…中間転写ベルト、3…感光体ベルト、4…駆動ローラ、7…感光体側ローラ、10…用紙カセット、11…ピックアップローラ、12…レジストローラ、13…転写ローラ、14…定着器、15…現像ユニット、16…リトラクト手段、17…LED光学系、18…ファーブラシ、19…現像ローラ、20…帯電ローラ、21…センサ、22…転写側ローラ、23…中間転写ベルトテンションローラ、24…クリーニングブレード、25、26…電装ユニット、27…センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動装置により搬送される感光体ベルトと、該感光体ベルト上にトナー画像を形成する現像手段と、該感光体ベルト上のトナー画像がその表面に転写される中間転写ベルトと、トナー画像を用紙に転写するため用紙を該中間転写手段に押し付ける転写ローラとを有する画像形成装置において、用紙は所定の大きさにあらかじめカットされたシート状形態をなし、該感光体ベルトの周長は前記用紙の搬送方向長さよりも短いことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記現像手段は複数であり、前記中間転写ベルトは1頁の画像形成時に前記感光体ベルト上のトナー画像を複数回その表面に重ねて転写することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記感光体ベルトの搬送方向の周長は、前記中間転写ベルトの搬送方向の周長より短いことを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記感光体ベルトの搬送方向の周長は、前記中間転写ベルトの搬送方向の周長より短いことを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記感光体ローラ径をd1とし、前記転写ローラ径をd2とすると、d1>d2であることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記感光体ローラは直径40mm以上で、好ましくは100mm以上であることを特徴とする請求項4または5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記中間転写ベルトに張力を付与する手段を有することを特徴とする請求項1または4記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記転写ローラは、前記感光体ローラの水平方向反感光体側の投影面内に配置されることを特徴とする請求項1、4、5の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記感光体ベルトのユニットは上方に着脱可能であり、前記中間転写ベルトのユニットは水平方向かつ反感光体ベルト方向に着脱可能であることを特徴とする請求項1乃至4、及び7の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記感光体ベルトは周方向に接合部を有しないシームレスベルトであることを特徴とする請求項1乃至4及び9の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記感光体ベルトは少なくとも2本の回動可能なローラに巻き掛けられて前記複数の現像手段と対抗する側に垂直方向に現像平面を形成し、前記複数の現像手段はこの平面に対向して垂直方向に積層状態で配置されるとともに、個別に前記感光体ベルトの現像平面に垂直方向に着脱可能であることを特徴とする請求項1、3、4、9、及び10の何れかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【公開番号】特開2006−215355(P2006−215355A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−29195(P2005−29195)
【出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
【出願人】(302057199)リコープリンティングシステムズ株式会社 (1,130)
【Fターム(参考)】