説明

画像形成装置

【課題】複数の色の現像剤が混色した回収現像剤を再利用することができるカラー画像形成装置を提供することを課題とする。
【解決手段】クリーニング装置4により像担持体1上から除去された残留トナーを一箇所に回収し、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの現像装置4とは別に、独立したリサイクルトナー専用現像装置3Rに供給するトナー回収、及び供給手段を設けて、リサイクルトナー専用現像装置3R内の現像剤の現像剤特性検知手段と、該トナーの色を検知する色検知手段と、該色検知手段による検知結果に基づいて、各ユニットで現像する画像パターンを生成する画像パターン生成処理部とを備えることを特徴とする画像形成装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に係り、詳しくは像担持体または中間転写体からクリーニング装置で回収したトナーを回収してリサイクルする乾式二成分現像方式のカラー画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置においては、あらかじめ一様に帯電された潜像担持体上に光学的な画像情報を形成することによって得た静電潜像を、現像装置からのトナーによって可視化し、この可視像を中間転写体上に、あるいは転写紙上に転写、定着することによって画像形成を行っている。
カラー画像形成装置では、4色のトナー像を像担持体上に形成し、これを中間転写体上に、あるいは転写ベルト(転写材搬送体)で搬送される転写材(記録材)上に重ねることにより、最終的に転写材上にフルカラー画像を形成する。
この画像形成装置には、(1)4色のトナー像の形成を一つあるいは二つの像担持体で順番に行うものと、(2)4色の各色について像担持体と、像担持体上にトナー像を形成する現像装置と、像担持体上のトナーをクリーニングするクリーニング装置とを設けたものとがある。後者のカラー画像形成装置は通常、中間転写体あるいは転写ベルトに対して、その走行方向に沿って直線上に各色を配置した、いわゆるタンデム方式のものである。タンデム方式は、4色のトナー像形成を同時に行えるため、高速化に優れている。
【0003】
ところで、カラー画像形成装置では、白黒のものと比べて使用するトナーの色数が多く、しかも写真原稿の場合のように画像面積率の大きい原稿が出力されることが多いため、省資源・省スペースおよびランニングコスト低減等の点から、トナーのリサイクルが重要な課題となっている。
トナーのリサイクルについて述べると、上記のような電子写真方式のカラー画像形成装置においては、各色に対応する像担持体上のトナー像が直接または間接的に転写材上に重複転写されてカラー画像が形成されるが、各像担持体ではこれに担持されたトナー(トナー像)の一部が転写材に転写されず、像担持体上に残ることが避けられない。この残ったトナーは、各像担持体に備えられたクリーニング手段によって除去・回収される。
【0004】
しかし実際には、このトナーのリサイクルに関していくつかの問題点が生じている。その一つは、上流側の色が下流側の色のプロセスに混入して生じる混色の問題である。
トナーの色の数だけ像担持体を設けたタンデム方式の場合、各クリーニング手段では像担持体に対応した色のトナーをクリーニングするので、回収したトナーをその色の現像装置にリサイクルして画像形成に再使用することは容易である。さらに、各色の画像形成システムが互いに独立しているため、タンデム方式では理想的には混色が起こらないはずであるが、現実にはこの混色は避けられない状況となっている。この混色は、像担持体から転写材への各色のトナー像の転写工程で生じる。
【0005】
上述の混色が起こる過程を、実施例に基づいて説明する。
タンデム方式において、転写ベルトで搬送される転写材上に、各色の像担持体からトナー像を重複転写して転写材上にカラー画像を形成する場合を例にとると、2色目以降の像担持体上のトナー(トナー像)を転写材へ転写するとき、転写材上には転写材移動方向上流側で転写された色のトナーが載った状態となっている。この転写材上の上流色トナーが、下流色の転写時に転写材から像担持体へ逆転写し、この逆転写されたトナーが下流色のクリーニングで回収され、下流色のクリーニング手段で回収されたトナーには上流色が混入し、(例えば、1色目のトナーが2色目の像担持体に逆転写し、1色目のトナーが2色目のクリーニング手段で回収される)混色が生じる。
このように、従来のカラー画像形成装置では、各色の像担持体からトナーを回収し、この回収トナーをそのまま回収元の像担持体に対応する現像手段にリサイクルすると、作像時間の経過とともに、現像手段中のトナーの色相が混色のない状態から次第に大きく変化してしまうという問題が生じる。
【0006】
従来技術においては、混色が生じたトナーの場合、これを全てブラックトナーに混ぜて再使用したり、あるいは廃トナーとして廃棄したりしていた。しかし、混色トナーの全てをブラックトナーに混ぜると、実際に消費されるトナー量と現像手段へのトナー供給量とのバランスをとるのが困難となる。画像形成の際、例えば写真画像を原稿とした場合など、作像する画像の種類によっては、黒色の割合が少ないものが用いられる場合も多く、混色したリサイクルトナー(クリーニング回収トナー)の供給量が、消費するトナー量より多くなる逆転現象が生じる可能性もある。
また、混色を防止するための手段として、例えば特許文献1に記載の発明では、各色の像担持体上でクリーニングして回収したリサイクルトナーをその色の現像装置に再供給する際、現像剤の混色率を反射率測定器で検知し、新規トナーと混色リサイクルトナーの供給量比率を前記混色率に応じて設定することが提案されている。また、特許文献2に記載の発明では、各色の残留トナーを一箇所に回収して攪拌混合し、黒色現像装置に供給する構成が提案されている。
【0007】
一方、特許文献3に記載の発明では、逆転写の原因となるトナーの逆帯電を防止するために、転写前の地肌電位を除電する方法がとられている。
また、特許文献4ないし5に記載の発明では、クリーニングで回収されたトナーに伴う問題点としてトナー凝集やトナー帯電特性の低下を挙げるとともに、リサイクルトナーの供給比率を決めることでプロセス条件を適正化する発明を開示している。
【0008】
【特許文献1】特開2003−14911号公報
【特許文献2】特開2000−35703号公報
【特許文献3】特開平10−293432号公報
【特許文献4】特開平8−63067号公報
【特許文献5】特開2000−267366号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1では、混色リサイクルされたトナーと純正色トナーとの設定比率によっては回収した混色リサイクルトナーの使用可能な量が限定され、供給速度が回収速度に追いつかないという事態が考えられ、混色リサイクルトナーを有効活用できない可能性がある。また、特許文献2では、長期にわたってトナーの消費量が各色毎に異なるような場合に、ブラック現像装置中のトナーの黒色度が低下してしまうという問題が依然として解決されていない。
また一方、特許文献3では、転写前のトナー像が飛散しないように除電の程度を調節しているが、実際には光照射による除電では急激に電位を減少させるので、画像部のトナーは周辺に移動し、像がぼけてしまう。しかし逆に、除電が少ないと放電が生じ、逆転写による混色は防止できないことから、この方法によって混色を完全に防止することは困難である。
また、特許文献4ないし5に記載の発明は、トナーの混色状態に着目してこれを検知し、または予測することによりリサイクルトナーを適正に使いこなすようにしたものでない。
【0010】
そこで本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、カラー画像の画像形成プロセスにおいて、複数の色の現像剤が混色した回収現像剤を再利用することができるカラー画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための手段である本発明の特徴を以下に挙げる。
1.本発明の画像形成装置は、少なくとも1つの像担持体上に潜像を形成するための潜像形成装置と、像担持体上の潜像を顕像化するための乾式現像剤が収容される複数の現像装置と、現像装置により顕像化された像担持体上のトナー像を被転写体に転写する転写装置と、転写後の像担持体上に残留した残留トナーを除去するクリーニング装置とを備えた画像形成装置であって、前記クリーニング装置により像担持体上から除去された残留トナーを一箇所に回収し、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの現像装置とは別に、独立したリサイクルトナー専用現像装置に供給するトナー回収、及び供給手段を設けて、リサイクルトナー専用現像装置内の現像剤の現像剤特性検知手段と、該トナーの色を検知する色検知手段と、該色検知手段による検知結果に基づいて、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックおよびリサイクルトナーの各ユニットで現像する画像パターンを生成する画像パターン生成処理部とを備えることを特徴とする。
2.また、本発明の画像形成装置は、1.に記載の発明において、前記画像パターン生成処理部は、同一画素におけるトナーの総量が、一定量以下になるように総量規制を行う画像パターン生成処理を行うことを特徴とする。
3. また、本発明の画像形成装置は、1.又は2.に記載の発明において、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各現像装置のトナーと、リサイクルトナー専用現像装置内のトナーの使用条件をユーザーに選択させる画像形成モードを備えることを特徴とする。
4.また、本発明の画像形成装置は、3.に記載の発明において、前記画像形成モードは、
リサイクルトナー専用現像装置で画像形成を行わず、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラ
ックの各現像装置のみで画像形成を行うモードを備えることを特徴とする。
5.また、本発明の画像形成装置は、3.に記載の発明おいて、前記画像形成モードは、リサイクルトナー専用現像装置のトナーを優先的に使用し、純正色トナーの消費量が少なくなるように、各色の画像パターンのデータ生成処理を行うモードを備えることを特徴とする。
6.また、本発明の画像形成装置は、3.に記載の発明において、前記画像形成モードは、リサイクルトナー専用現像装置のトナーのみで画像形成を行うモードを備えることを特徴とする。
7.また、本発明の画像形成装置は、1.ないし6.に記載の発明において、前期画像形成装置は、乾式二成分現像方式の画像形成装置であって、前記現像剤特性検知手段により検知されたリサイクルトナー専用現像装置内のトナーのトナー濃度が規定のトナー濃度未満の場合には、リサイクルトナー専用現像装置を使用しないことを特徴とする。
8.また、本発明の画像形成装置は、7.に記載の発明において、6.に記載のモードが選択されたときにはブラックトナーで現像することを特徴とする。
9.また、本発明の画像形成装置は、1.ないし8.に記載の発明において、少なくとも像担持体を有する画像形成ユニットを複数備えたタンデム方式であり、リサイクルトナー専用の画像形成ユニットを最下流に配置することを特徴とする。
10.また、本発明の画像形成装置は、1.ないし9.に記載の発明において、非画像形
成プロセス時にリサイクルトナー専用現像装置以外の現像装置を動作させずに画像形成装
置を作動させ、正規帯電トナーが現像しない方向に現像電界が発生するように、現像バイ
アスを印加し、このとき、中間転写体に付着したトナーを中間転写体に備えられたクリー
ニング手段によって回収し、該トナーを廃トナーとして廃棄するモードを備えることを特
徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、上記解決するための手段によって、カラー画像の画像形成プロセスにおいて、各色の潜像坦時体からクリーニング装置によって回収される混色トナーを再利用することにより、省資源化や、コスト低減に寄与することができる画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る画像形成装置の一実施形態を示す概略構成図である。なお、図1では、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4つの画像形成ユニットが中間転写ベルトに沿って直列に配置されたタンデム方式のカラー画像形成装置(カラーデジタル複合機)を示すが、本発明の実施例においてはこの画像形成装置を改造し、5つのユニットが直列に配置されるようにした。
それぞれの画像形成ユニットは、感光体ドラム1、帯電装置2、レーザにより潜像を形成する露光装置5、トナーを潜像に供給してトナー像を形成する現像装置3、クリーニング装置4を備えている。なお、本実施例で用いたクリーニング装置4はブレードタイプのものを用いたが、本発明はこれに限定するものではなく、ファーブラシローラ、磁気ブラシクリーニング方式であっても良い。また、露光装置5についてもレーザ方式に限定するものではなく、LED方式などの方式であっても良い。
スキャナで読み取られた原稿、ファクシミリなどの受信データ、またはコンピュータから送信されるカラー画像情報は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック(以下、CMYKと略する)の各色に色分解され、各色の版のデータが形成され、各色の画像形成ユニットの露光装置5に送られる。露光装置5によって均一に帯電された感光体1は、露光装置5から、画像部を露光され、現像装置3によってトナー像が作られる。感光体1上に作られたトナー像は、タイミングを合わせて中間転写ベルト6に転写され、色重ねされたトナー象が形成される。そして2次転写部で転写材に転写され、最後に定着装置7により定着され、カラー画像が形成される。
【0014】
図2に、タンデム方式の作像部分の拡大図を示す。以下、これに基づいて、混色ユニット装備、色変換処理、タンデム最下流配置について詳細に説明する。
転写材進行方向に対してイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、リサイクル混色ユニットの順に画像形成ユニットを直列に配置した。即ち、リサイクルトナー専用画像形成ユニットは最下流とした。
CMYK、混色リサイクル色の各色の感光体1にはクリーニングブレード8が当接しており、転写材に転写されなかった残留トナーがクリーニングブレード8で回収される。回収されたリサイクルトナーは、スプリングコイルなどによってリサイクルトナー専用現像器3Rの手前に配置された、回収部・攪拌部に搬送される。
CMYKユニットから回収されるそれぞれの色のトナーが前記回収部・攪拌部まで独自の搬送経路で搬送されるようにしても良いし、図に示すようにメインの搬送経路を一つにして、各色のユニットから回収されたトナーをそれぞれのユニットの近傍でメイン搬送路に合流させ、混色した状態で回収・攪拌部に搬送されるようにしても良い。
次に、リサイクルトナーの回収部・攪拌部について説明する。回収部・攪拌部ではCMYKおよびリサイクルトナー専用画像形成ユニットの感光体1Rから回収されたトナーが一箇所に集められ、攪拌することでCMYKの4色のトナーが均一に分散される。本実施例では、スクリューつきのパドルを用いて攪拌した。そして、均一分散されたトナーは、リサイクル現像装置3R内のトナー濃度センサ(Pセンサ)の検出結果に基づくトナー補給命令に応じて、リサイクル現像装置3Rに補給される。
【0015】
次に、リサイクルトナー専用現像装置3Rに回収された混色トナーの状態を検知、または推定して、カラー画像情報をCMYKおよびリサイクルトナー専用現像装置3R内のトナーの色に分解する方法について説明する。
図4ないし図6は、UCR(下色除去)処理プロセスの概略図である。
図4のようなシアン、マゼンタ、イエローの3原色で表される色の画像を形成するときに、ブラックを含めた4色に色分解するUCR(下色除去)処理プロセスについて説明する。
シアン、マゼンタ、イエローを等量ずつ混ぜると黒色になるため、図5に示すようにCMYを等量ずつカットし、その分をブラックで補うことにより、図6に示すようにトナーの総量を低減させることが可能である。なお、UCR処理を行う比率は画像の種類により変える場合がある。
【0016】
次に、CMYKに分解された色情報を元にして、さらに混色リサイクル色トナーの色を含めて5色に色分解する手法について説明する。
図7に、本発明におけるプロセスのフローチャートを示す。UCR変換処理後のCMYKのうち、シアン、マゼンタ、イエローの3原色の中で最も使用量が少ない色を基準色とする。次に、この基準色を、リサイクルトナー専用現像装置3R内のトナーに含まれる基準色トナーで置換した場合に、基準色以外のトナーで不都合なく色が生成できるかを判断する。つまり、リサイクルトナー専用現像装置3R内のトナーの混色比率(C:M:Y)と、元データのCMY比率を比較して、混色トナーの分量に関し、基準色トナーをリサイクルトナー専用現像装置3R内の同色トナーで置換するだけの分量を使用しても、リサイクルトナー専用現像装置3R内のトナーの、基準色以外のトナー量が、元データのトナー量を超えないかどうかを判定する。
図8ないし図9に、図7に示すフローチャートに基づく変換処理のプロセスを示す。
基準色をリサイクルトナーで置換したとき、リサイクルトナーにおける基準色以外の色が、元データの量より少ない場合、図8に示すように変換処理を実行する。即ち、基準色トナーを混色リサイクルトナー専用現像装置3R中の同色トナーで置換するように、リサイクルトナー専用現像装置3R内のトナーの使用比率が決定され、それに応じて、純正色の使用量が削減される。なお、図8ないし図9の例では基準色(この例ではイエロー)を100%置換することとしているが、本発明は、この比率を100%に限定するものではない。
一方、基準色をリサイクルトナーで置換すると、基準色以外の色において、元データの量より多くなる色が出てきた場合は、図7のフローチャートに示すように、この多い色を新たな基準色として、再度、前述した判定を行い、適合するまでこのプロセスを繰り返す。
この場合の実施例を図9により説明する。初めの基準色(イエロー)をリサイクルトナー専用現像装置3Rのトナーで置換すると、シアンが、元データの量を超えてしまう。従って、次にシアンを新たな基準色とし、シアンをリサイクルトナー専用現像装置3R内のトナーで置換できるかを判定する。この場合、基準色以外のすべての色において、元データのトナーの使用量より、リサイクルトナー専用現像装置3R内のトナー量の方が少なくなっているので、置換可能となる。従って、この条件で、図7に示すフローチャートに基づく変換処理が実行され、CMYおよびリサイクル専用画像形成ユニットの色の版データが生成される。
【0017】
次に、前記変換処理を実行するために必要なリサイクルトナー専用現像装置3R内のトナーの色検知手段について説明する。
本実施例では、感光体1上にリサイクルユニット色のパッチを現像し、そのパッチを色センサで読み取る機構とした。このような機構にすることによって、リサイクル混色ユニットに供給されるCMYKのリサイクルトナーの帯電量が異なることにより、現像能力が異なるトナーが混在している場合でも、正確な色を検知することができる。色センサで検知された色からCMYの混色比率が推定される。
また、別の色検知手段としては、過去の画像形成データの履歴情報から感光体1上の残留トナー量、およびそこから回収される回収トナー量を推定し、CMYKの回収比率から、リサイクルトナー専用現像装置3R内のトナーの混色比率を推定する手法であっても構わない。
上記のように、リサイクルトナー専用現像装置3Rで現像されるトナーの色を検知し、リサイクルトナー専用現像装置3Rで現像する画像パターン生成処理部に該検知色の情報を送り、その情報を元にリサイクルトナー専用現像装置3Rのトナーの色を含むカラーデータを生成することにより、長期にわたる使用によりトナーの消費量が偏って、リサイクルトナーの色が変化した場合にも、画像の色味が正確に再現されるという優れた効果を得ることができる。
なお、ここでは便宜上、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色の単色ユニットがある構成をあげたが、その他の単色ユニットが加わった多色システムであっても構わない。
【0018】
以上に述べた機構を有するカラー画像形成装置を用いて、画像形成を行った。リサイクルトナー専用現像装置3Rには、予めシアン20%、マゼンタ50%、イエロー30%、ブラック0%で混色させ、トナー濃度を5wt%とした現像剤をリサイクル現像ユニットに投入した。また、基準色をリサイクルトナー専用現像装置3R内のトナーに置換する比率は、80%とした。
上述の条件を初期条件として風景、人物、カタログそれぞれの原稿の複写を行った。具体的には、各原稿について複写を1000枚ずつ行い、100枚ごとに色味を目視評価した結果、すべて許容範囲内の良好な画像形成を行うことができた。
なお、別の実施形態として、図3に示すような、一つの感光体ドラムのまわりに、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックおよびリサイクル現像ユニットを配置したカラー画像形成装置であっても良い。
また、ここでは乾式二成分現像剤を用いたが、本発明で用いる現像剤としては、乾式一成分現像剤であっても、湿式現像剤であってもよい。
【0019】
ところで、カラーデータ生成処理において、ブラックトナーの代わりに混色トナーを多用すると、1つの画素へのトナーの付着量が多くなり、従来のCMYKのシステムでのトナー総量規制以上のトナーがつくことが起こり得る。過度のトナーの重なりは、転写時のチリ、定着不良を引き起こし、画像品質の観点から望ましくない。
そこで本発明では、リサイクル混色トナーを含む各ユニット色の使用比率計算部に、トナー総量規制部を追加した。
具体的には、リサイクルトナーの混色比率に関しては、CMYの混色比率は求めることができるが、ブラックの含有比率は不明であるため、本発明では、検知された色から考えられる1画素あたりの最大のトナー量を求めることとした。即ち、ある色を作成する際、ブラックを一切使わずにCMYを混ぜたときの組み合わせがトナー量として最大となることから、CMYに色分解したときのトナー比率を求め、このデータと、純正CMYK各ユニットを用いた通常のUCR処理を組み合わせて使用することにより、色重ね時のトナー総量を一定値以下に制御することが可能となった。
このように、画像変換処理アルゴリズムの中に、混色リサイクルトナーを含む総量規制値を設けて総量規制が行われるようにすることで、付着量が多すぎることによる定着不良、及びトナー層が厚すぎることによる重ねチリを低減させることができる。
【0020】
また本発明では、ユーザーが、画像形成装置の表示パネルまたはコンピュータのプリンタドライバにより、リサイクルトナー専用現像装置3Rの使用条件を、いくつかのモードから選択することが可能な構成となっている。
例えば、リサイクルトナー専用現像装置で画像形成を行わず、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各現像装置のみで画像形成を行うモードを選択すると、リサイクルトナー専用画像形成ユニットは非動作として、CMYKの純正色ユニットのみで画像形成を行う。これはいわゆる「高画質カラーモード」であり、ユーザーがこのモードを選択した場合、純正色の現像ユニットのみで画像形成を行うため、高画質な画像を得ることができる。
なお、この「高画質カラーモード」選択時においても、この間に各色の感光体1のクリーニングブレード8で回収されたリサイクルトナーは回収・攪拌部に搬送、攪拌され、トナー濃度センサ(Pセンサ)の検知結果に基づいて、非通紙時に適宜供給される。供給時には、リサイクルユニット内の攪拌部、現像ローラを回転させ、リサイクルトナーを均一に分散させる。このような動作を、この「高画質カラーモード」においても実行することにより、リサイクルトナーの回収・攪拌部にトナーが大量に滞留することを回避し、また、次にリサイクルトナーを使用するモードが選択された際、そのモードの実行を円滑に進めることができる。また、リサイクルユニット内のトナーの色が急激に変化することが避けられるため、カラー制御がしやすく安定した色味を出すことが可能な構成となっている。
【0021】
また、本発明では、リサイクルトナー専用現像装置3Rのトナーを優先的に使用し、純正色トナーの消費量が少なくなるように各色の画像パターンのデータ生成処理を行うモードを選択することも可能である。これは、いわゆる「エコカラーモード」であり、このモードが選択された際は、CMYの元データからリサイクルユニット色を含むカラーデータに色変換する処理において、変換比率を100%にし、純正色のCMYの使用量を最小限に抑える。即ち、CMYの純正色のうち2色のみを使用し、残りはリサイクルユニット色と純正ブラックによって、画像形成を行うこととする。このように、リサイクルトナーを最大限に活用することによって、純正色トナーの消費量を抑えることができ、さらにこの混色リサイクルトナーを用いても画像の色味を保つことができるという優れた効果を奏するものである。
なお、画質、速度に対して特に要求がない場合は、前記条件からさらに総量規制も撤廃し、これにより付着量が多くなった場合には、定着条件(温度、速度等)を変化させて、充分に定着できるようにしても良い。しかし実際には、省エネルギーの点を考慮し、温度を上昇させるより、速度を落として通紙する方が好ましい。
またさらに、本発明では、リサイクルトナー専用現像装置3Rのトナーのみで画像形成を行うモードを選択することも可能である。本モードによれば、リサイクル色トナーのみの単色で画像形成することにより、純正色トナーの消費をゼロに抑えることができるため、省資源化の効果を得ることができる。また、本モードにおいては、リサイクルユニット色のみで画像形成を行うため、色味を制御しない分カラー処理部、作像部において、ともに高速化が可能である。さらに、トナー総量が4色重ねの場合より少ないため、定着温度を低くしたり、あるいはプロセス線速を高速化したりすることが可能である。
ただし、本モードにおいては、転写材一枚の中で色味が変化する画像が形成される可能性もあり、そのような事態を避けるため、このモードでのリサイクル現像装置3Rへのトナー供給は、画像形成中は行わず、非通紙時に行うこととしても良い。
また、このモードは、従来廃棄していたリサイクルトナーの有効利用することを目的としているため、本モードが選択された際には、カウンター料金を徴収しないなどの、サービスの一環とすることとしても良い。
このように、ユーザーが自由に選択することが可能な複数のモードを備えることにより、リサイクルトナー現像装置3Rの使用、及び該現像装置3Rで現像する網点の生成に関する画像処理を行うかどうかを選択することが可能な構成となっている。これにより、画質、処理速度、用途といったユーザーの要求に柔軟に対応することができ、また、高画質画像形成とリサイクルトナーの高効率使用の両方を、選択可能に実現できる画像形成装置を得ることができるものである。
【0022】
また、回収されるリサイクルトナー量が少ない場合やリサイクルトナーの消費量が多い場合には、リサイクルトナーのトナー濃度が低くなり、これにより画像濃度が低下する事態が生じる。このような状況を避けるため、本発明は、現像剤特性検知手段により検知されるリサイクルトナー専用現像装置3R内のトナー濃度が規定のトナー濃度未満の場合には、純正色の現像装置のみで作像し、リサイクルトナー現像装置3Rにトナーが充分供給されるまで、リサイクルトナー専用現像装置3Rを使用しないこととする機構も備えている。
なお、上述の、リサイクルトナー専用現像装置3Rのトナーのみで画像形成を行うモードの場合は、ブラックトナーで現像を行うこととする。
これにより、リサイクルトナーを使用するモードを選択した場合に画像濃度低下が起こることを防ぎ、安定な作像が可能な画像形成装置を提供することができる。
【0023】
本発明の画像形成装置を用い、リサイクル現像ユニットにはキャリアのみを入れた状態で、基準色をリサイクルトナー専用現像装置3R内のトナーに置換する比率を80%として画像形成を行い、その性能評価を行った。
なお、ここでは、リサイクルユニットの規定のトナー濃度を3wt%とし、3wt%未満の場合にはリサイクルトナー専用現像装置3Rを用いた画像形成を行わないようにした。画像形成を開始すると、各感光体1上から回収された混色トナーが非通紙時にリサイクル現像装置3Rに供給され、トナー濃度が徐々に上昇し、3wt%以上になった時点で初めてリサイクルトナー専用現像装置3Rのデータ生成処理を行い、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、及びリサイクル色の5つの作像ユニットを用いてカラー画像形成を行った。
その結果、長期にわたり、地かぶり、キャリア付着がない、良好な画像を得ることができた。
一方、リサイクルユニットの規定のトナー濃度を2wt%とし、トナー濃度2wt%から動作させた場合、濃度が薄く安定せず、キャリア付着などの不具合が発生した。
本実施例により、本発明の画像形成装置は、リサイクルトナー専用現像装置3R内のトナー濃度が低下しても、上述の手段によって良好な画像を得ることが可能であることが確認された。
【0024】
なお、本発明では、複数色の画像形成ユニットを直列に配したタンデム方式の画像形成装置においては、前記リサイクルトナー専用画像形成ユニットを最下流におくこととする。
このような構成とすることにより、前記リサイクルトナー専用現像装置3R内の混色トナーが他の色のユニットに接触する機会が減るため、これよりも上流の純正色(CMYK)の感光体1に逆転写することがなく、トナーフィルミングなどの不具合が生じにくいという利点がある。
また、純正色トナーよりもリサイクルトナー専用現像装置3R内のトナーの方が、比較的トナーの経時劣化の影響が大きく、付着力が大きくなっているという懸念がある。このような付着力の大きいトナーが、中間転写体に直に転写されると、2次転写時に転写率が悪化するという不具合が起こる。このため、リサイクルトナーを中間転写体に転写するときは、他の色のトナー上に重ねて転写される順番とする方が好ましく、この点からも、前記リサイクルトナー専用画像形成ユニットを最下流におくことが好ましい。
【0025】
また、本発明では、マシンの立ち上げ動作時、紙間などの非通紙時に、一定の周期でいわゆるメンテナンスモードを実行する。このメンテナンスモードにおいては、リサイクルトナー専用現像装置3R以外の現像装置を動作させずに画像形成装置を駆動させ、通常現像時とは逆方向の電界を印加することによって、リサイクルユニット内に混入している逆帯電トナーを中間転写体6に付着させる。中間転写体6に付着した逆帯電トナーは、中間転写体6上の残留トナーを回収するクリーニング手段によって除去され、最終廃棄トナーとして、1箇所に蓄えられる。
この一連の動作により、リサイクルトナー専用現像装置3R使用時でも、地かぶりなどの画像欠陥を未然に防止することが可能であり、長期にわたって高画質な画像を得ることができる。
【0026】
本発明のタンデム方式のカラー画像形成装置を用いて、100枚通紙ごとに、上述のメンテナンスモードを実行した。
メンテナンスモードは、リサイクルトナー専用現像装置3Rのみを動作させ、正規帯電トナーが現像しない方向に現像電界が発生するように、現像バイアスを印加することにより、動作させた。その結果、逆帯電トナーが感光体1に現像される。この逆帯電トナーは、正常の現像とは逆の方向の電界に反応するので、高画質を阻害する要因となる。
本モードは、これら現像に悪影響を及ぼすトナーを定期的に除去するため、リサイクル現像ユニット内に、逆帯電トナーが蓄積されず、長期にわたって高画質な画像を得ることを可能とするものである。該逆帯電トナーは、感光体1から、中間転写ベルト6に転写され、中間転写ベルト6上に設けられたクリーニング装置により回収され、廃トナー容器に収容される。この収容されたトナーは、自身の帯電極性が現像とは逆極性になってしまっており、現像には不適格なトナーであるため、廃トナーとして廃棄する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】タンデム方式の作像部分の拡大図を示す。
【図3】一つの感光体ドラムのまわりに、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックおよびリサイクル現像ユニットを配置したカラー画像形成装置である。
【図4】UCR(下色除去)処理プロセスの概略図である。
【図5】UCR(下色除去)処理プロセスの概略図である。
【図6】UCR(下色除去)処理プロセスの概略図である。
【図7】本発明におけるプロセスのフローチャートを示す。
【図8】図7に示すフローチャートに基づく、変換処理のプロセスを示す。
【図9】図7に示すフローチャートに基づく、変換処理のプロセスを示す。
【符号の説明】
【0028】
1a、1b、1c、1d、1R 像担持体(感光体)
2 帯電装置
3 現像装置
3R リサイクルトナー専用現像装置
4 クリーニング装置
5 露光装置
6 中間転写ベルト
7 定着装置
8 クリーニングブレード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの像担持体上に潜像を形成するための潜像形成装置と、
像担持体上の潜像を顕像化するための乾式現像剤が収容される複数の現像装置と、
現像装置により顕像化された像担持体上のトナー像を転写材に転写する転写装置と、
転写後の像担持体上に残留した残留トナーを除去するクリーニング装置と を備えた画像形成装置において、
前記クリーニング装置により像担持体上から除去された残留トナーを一箇所に回収し、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの現像装置とは別に、独立したリサイクルトナー専用現像装置に供給するトナー回収、及び供給手段を設けて、
リサイクルトナー専用現像装置内の現像剤の現像剤特性検知手段と、該トナーの色を検知する色検知手段と、該色検知手段による検知結果に基づいて、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックおよびリサイクルトナーの各ユニットで現像する画像パターンを生成する画像パターン生成処理部とを備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記画像パターン生成処理部は、
同一画素におけるトナーの総量が、一定量以下になるように総量規制を行う画像パターン生成処理を行う
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像形成装置において、
前記画像形成装置は、
シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各現像装置のトナーと、リサイクルトナー専用現像装置内のトナーの使用条件をユーザーに選択させる画像形成モードを備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像形成装置において、
前記画像形成モードは、
リサイクルトナー専用現像装置で画像形成を行わず、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各現像装置のみで画像形成を行うモードを備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項3に記載の画像形成装置において、
前記画像形成モードは、
リサイクルトナー専用現像装置のトナーを優先的に使用し、純正色トナーの消費量が少なくなるように、各色の画像パターンのデータ生成処理を行うモードを備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項3記載の画像形成装置において、
前記画像形成モードは、
リサイクルトナー専用現像装置のトナーのみで画像形成を行うモードを備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1ないし6に記載の画像形成装置において、
前記画像形成装置は、乾式二成分現像方式の画像形成装置であって、
前記現像剤特性検知手段により検知されたリサイクルトナー専用現像装置内のトナーのトナー濃度が規定のトナー濃度未満の場合には、リサイクルトナー専用現像装置を使用しない
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項7に記載の画像形成装置において、
請求項6に記載のモードが選択されたときにはブラックトナーで現像する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1ないし8に記載の画像形成装置において、
前記画像形成装置は、
少なくとも像担持体を有する画像形成ユニットを複数備えたタンデム方式であり、
リサイクルトナー専用の画像形成ユニットを最下流に配置する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項1ないし9に記載の画像形成装置において、
非画像形成プロセス時にリサイクルトナー専用現像装置以外の現像装置を動作させずに画像形成装置を作動させ、正規帯電トナーが現像しない方向に現像電界が発生するように、現像バイアスを印加し、このとき、中間転写体に付着したトナーを中間転写体に備えられたクリーニング手段によって回収し、該トナーを廃トナーとして廃棄する
モードを備える
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−30519(P2006−30519A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−208316(P2004−208316)
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】