説明

画像形成装置

【課題】タンデム方式の画像形成装置において、現像ロールからのトナークラウドによるベルト表面の汚れを抑止する。
【解決手段】中間転写ベルト14に対して垂直であって第1の像形成ユニット48aにおける現像ロール74aの第2の像形成ユニット48b側端を通る直線をLとすれば、この直線Lよりも第1の像形成ユニット48a側であって第1の像形成ユニット48aの現像ロール74aと中間転写ベルト14との間に第2の像形成ユニット48bの一部である清掃装置60bの端部が入り込んでおり、飛散抑止部80を構成している。この飛散抑止部80によりトナークラウドが中間転写ベルト14まで飛散するのを抑止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、ファクシミリ、複写機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置の方式の一つとしてタンデム方式が知られている。このタンデム方式は、ベルトの周囲に例えば4つの像形成ユニットを並列配置し、カラー画像を形成するようにしたものである。このタンデム方式は、高い生産性を得ることができる一方、4つの像形成ユニットを並べるため、装置が大型化する。
【0003】
そのため、例えば特許文献1及び2に記載された発明は、タンデム方式の画像形成装置において、1つの像形成ユニットのうち、清掃装置を他の像形成ユニットの現像装置と上下に重ね、装置の小型化を図っている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−148892号公報
【特許文献2】特開2004−162807号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記2つの従来例においては、現像装置を構成する現像ロールとベルトとの距離が近接しており、現像ロールから発生するクラウド状となったトナー(以下、トナークラウドという)によりベルト表面が汚れ、画像品質を低下させるおそれがあった。
【0006】
本発明の目的は、タンデム方式の画像形成装置において、現像ロールからのトナークラウドによるベルト表面の汚れを抑止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の特徴とするところは、ベルトと、このベルトに沿って並列配置された複数の像形成ユニットとを有し、それぞれの像形成ユニットは少なくとも現像ロールを有し、前記ベルトに対して垂直であって1つの像形成ユニットにおける現像ロールの他の像形成ユニット側端を通る直線よりも1つの像形成ユニット側であって前記1つの像形成ユニットの現像ロールと前記ベルトとの間に他の像形成ユニットの一部が入り込んでいる画像形成装置にある。
【0008】
好適には、前記像形成ユニットはそれぞれベルトに対峙して配置された感光体をさらに有し、前記現像ロールのベルトに最も近い部分が、前記感光体の半径以上前記ベルトから離れている。
【0009】
また、好適には、それぞれの像形成ユニットは感光体上のトナーを清掃する清掃装置を有し、前記直線よりも1つの像形成ユニット側に入り込んでいる部分が前記清掃装置の少なくとも一部である。
【0010】
また、好適には、前記ベルトは、水平方向に対して斜めに配置されている。
【0011】
本発明の第2の特徴とするところは、ベルトと、このベルトに沿って並列配置された複数の像形成ユニットとを有し、それぞれの像形成ユニットは少なくとも現像ロールを有し、1つの像形成ユニットの現像ロールから発生するトナークラウドの前記ベルト側への飛散を抑止する飛散抑止部が他の像形成ユニットに設けられている画像形成装置にある。
【0012】
好適には、前記飛散抑止部は、前記ベルトに対して垂直であって1つの像形成ユニットにおける現像ロールの他の像形成ユニット側端を通る直線よりも1つの像形成ユニット側であって前記1つの像形成ユニットの現像ロールと前記ベルトとの間に入り込むように設けられている。
【0013】
また、好適には、それぞれの像形成ユニットは感光体上のトナーを清掃する清掃装置を有し、前記飛散抑止部は、他の像形成ユニットの清掃装置に設けられている。
【0014】
なお、上記ベルトは中間転写ベルトであってもよいし、シートを搬送する搬送ベルトであってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1において、本発明の実施形態に係る画像形成装置10が示されている。この画像形成装置10は、画像形成装置本体12を有し、この画像形成装置本体12内に中間転写ベルト14が配置されている。この中間転写ベルト14に対して例えば4つの像形成手段16が並列配置されており、画像形成装置10はいわゆるタンデム方式となっている。像形成手段16は、それぞれイエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの各色のトナー像を中間ベルト14上に形成する。
【0016】
画像形成装置本体12の下部にはシート供給装置18が設けられている。シート供給装置18は、シートが積載されるシート供給カセット20と、このシート供給カセット20に積載されたシートをピックするピックアップロール22と、シートを捌きながら送り出すフィードロール24及びリタードロール26とを有する。シート供給カセット20は、図中手前方向に引き出すことができるように画像形成装置本体12に対して着脱自在に設けられており、普通紙、OHPシート等の被転写体としてのシートが積載収納されている。
【0017】
画像形成装置本体12の一端付近(図中左端付近)には、シート供給路28がほぼ鉛直方向に沿って設けられている。このシート供給路28には、搬送ロール29、レジストロール30、2次転写ロール32、定着装置34及び排出ロール36が設けれている。レジストロール30は、シート供給路28へ送り出されたシートを一次停止させ、タイミングをとって2次転写ロール32へ送る。定着装置34は、加熱ロール34aと加圧ロール34bとからなり、加熱ロール34aと加圧ロール34bとの間を通過するシートに熱と圧力を加えることによりシートにトナー像を定着するようになっている。
【0018】
画像形成装置本体12の上部には、排出トレイ部38が設けられている。前述した排出ロール36により排出トレイ部38へトナー像が定着されたシートが排出され、この排出トレイ部38に積層される。したがって、シート供給カセット20のシートは、順次C字状のパスを通って排出トレイ部38に排出される。
【0019】
画像形成装置本体12の他端側(図中右端側)には、例えば4つのトナーボトル40が設けられている。該トナーボトル40は、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの各トナーが収容され、図示しないトナー供給路を介して像形成手段16にトナーを供給するようになっている。
【0020】
中間転写ベルト14は、複数の搬送ロール42に支持され、前述した像形成手段16が設けられているベルト面は、水平方向に対して斜めになっている。搬送ロール42の一つが2次転写ロール32のバックアップロールを構成している。また、中間転写ベルト14の上端近傍には、中間ベルト用清掃装置44が配置され、搬送ロール42の他の一つが該清掃装置44のバックアップロールを構成している。さらに中間転写ベルト14の上部には、テンションロール46が配置され、このテンションロール46により中間転写ベルト14に対して適度なテンションを与えている。
【0021】
像形成手段16は、中間転写ベルト14の一面に設けられた像形成ユニット48と、中間転写ベルト14の裏面に設けられた一次転写ロール50とから構成されている。像形成ユニット48は、画像形成装置本体12に対して着脱自在であり、一度下方に移動させた後、図中手前方向に引き出すことができるようになっている。
【0022】
図2において、像形成手段16の詳細が示されている。像形成ユニット48は、中間転写ベルト14に対峙する感光体52と、この感光体52を帯電させる、例えばロールから構成された帯電装置54と、例えばLED(light emitting diode:発光ダイオード)から構成され、感光体52上に潜像を形成する露光装置56と、この露光装置56により形成された感光体52上の潜像をトナーにより現像する現像装置58と、転写後に感光体52上に残ったトナーを清掃する清掃装置60とを有する。この実施形態においては、像形成ユニット48は、分離可能な感光体ユニット62と現像ユニット64とが結合されて構成されている。感光体ユニット62は、第1の筐体66に感光体52、帯電装置54、露光装置56及び清掃装置60が収容されている。現像ユニット64は、第2の筐体68に現像装置58が収容されている。そして、第1の筐体66と第2の筐体68とが分離可能に結合されて像形成ユニット48が構成されている。
【0023】
現像装置58は例えば2成分方式であり、トナーとキャリアからなる現像剤が用いられ、例えば水平方向に平行に配置された2本のオーガ70,72と、排出側オーガ72の斜め上部に配置された現像ロール74と有し、現像剤をオーガ70,72により攪拌して現像ロール74に供給する。現像ロール74では、キャリアによる磁気ブラシが形成され、この磁気ブラシによりキャリアに付着したトナーを搬送し、感光体52上の潜像をトナーにより現像する。この実施形態のように、2成分方式の現像装置58にあって、オーガ70,72より上方に現像ロール74が配置されているので、現像剤が溜まるのを防止し、現像剤を均一に攪拌することができ、現像性能を維持することができる。
【0024】
清掃装置60は、例えばブレードからなるトナー掻き落とし部76と、このトナー掻き落とし部76で掻き落とされたトナーを回収する回収部78とから構成されている。
【0025】
上記構成において、中間転写ベルト14と感光体52とが同期して互いに反対方向に回転し、帯電装置54により感光体52の表面が帯電され、露光装置56により潜像が形成される。この露光装置56により形成された感光体52上の潜像は現像装置58により現像される。この現像装置58により現像されたトナー像は一次転写ロール50により中間転写ベルト14に転写される。各像形成手段16で形成された各色のトナー像は中間転写ベルト14が移動するのに伴って重ねられる。
【0026】
一方、シート供給装置18のシート供給カセット20に積層されたシートは、ピックアップロール22、フィードロール24、リタードロール26等により一枚ずつシート供給路28へ送り出される。このシート供給路28に送り出されたシートはレジストロール30に当接し、一時停止され、タイミングをとって2次転写ロール32へ送る。そして、この2次転写ロール32により中間転写ベルト14のトナー像がシートに転写される。トナー像が転写されたシートはさらに定着装置34に送られ、熱と圧力によりシートにトナー像が定着される。この定着装置34によりトナー像が定着されたシートは、排出ロール36により排出トレイ部38に排出される。
【0027】
前述した現像ユニット64においては、現像ユニット64内の圧力により現像ロール74と感光体52との間からトナークラウドが発生し、中間転写ベルト14表面を汚すおそれがある。特に感光体52と現像ロール64とを同方向に回転させる方式では、トナー詰り等を防止できるために現像品質上有利であるが、トナークラウドが中間転写ベルト14方向へ向けて飛散してしまう。これを防止するために、感光体52と現像ロール74との間にシール材を設けることが考えられるが、これでは感光体52上のトナー像に影響を与え、画像劣化を起こすおそれがある。
【0028】
そこで、この実施形態においては、像形成手段16の構造と複数の像形成手段16間の位置関係によりトナークラウドの中間転写ベルト14表面への飛散を抑止するようにしている。
【0029】
図3において、複数の像形成手段16間の位置関係が示されている。図3においては、第1の像形成手段16aの各構成部品には数字の後にaを、第1の像形成手段16aの隣り上方に配置された第2の像形成手段16bの各構成部品には数字の後にbを付けてある。中間転写ベルト14に対して垂直であって第1の像形成ユニット48aにおける現像ロール74aの第2の像形成ユニット48b側端を通る直線をLとすれば、この直線Lよりも第1の像形成ユニット48a側であって第1の像形成ユニット48aの現像ロール74aと中間転写ベルト14との間に第2の像形成ユニット48bの一部である清掃装置60bの端部が入り込んでおり、飛散抑止部80を構成している。したがって、現像ロール74aから中間転写ベルト14へ向けて飛散しようとするトナークラウドは飛散抑止部80が障壁となり、中間転写ベルト14へ到達するのを抑止することができる。
なお、この実施形態においては、清掃装置60bの端部を飛散抑止部80として構成したが、他の実施形態として、第2の像形成ユニット48bに積極的に飛散抑止部を形成するようにしてもよい。
【0030】
また、第1の像形成ユニット48aにおいて、感光体52aの半径をAとし、中間転写ベルト14と現像ロール74aの中間転写ベルト14に最も近い部分の距離をBとすれば、A<Bとなるように設定されている。即ち、感光体52aの半径よりも現像ロール74aを中間転写ベルト14から離すことにより、トナークラウドが中間転写ベルト14の表面まで到達する可能性を少なくしている。
【0031】
また、第1の像形成ユニット48aの現像装置58aの水平方向幅内に第2の像形成ユニット48bの感光体ユニット62bの水平方向幅が入るように、現像装置58aの鉛直方向上部に感光体ユニット62bが重ねられている。したがって、第1の像形成ユニット48aの鉛直方向上部に第2の像形成ユニット48bの感光体52b、帯電装置54b、露光装置56b及び清掃装置6手段16abが重ねられているので、この重ねられたサイズ分だけコンパクトになっている。
なお、第1の像形成ユニット48a及び第2の像形成ユニット48bの構造及び位置関係について説明したが、他の像形成ユニットも同様の構造及び位置関係を有する。
【産業上の利用可能性】
【0032】
以上述べたように、本発明は、トナークラウドが中間転写ベルトへ飛散するのを抑止する必要があるタンデム式の画像形成装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置を示す側面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置に用いられた像形成手段を示す側面図である。
【図3】本発明の実施形態における画像形成装置に用いられた像形成手段の位置関係を示す側面図である。
【符号の説明】
【0034】
10 画像形成装置
12 画像形成装置本体
14 中間転写ベルト
16 像形成手段
48 像形成ユニット
50 一次転写ロール
52 感光体
54 帯電装置
56 露光装置
58 現像装置
60 清掃装置
62 感光体ユニット
64 現像ユニット
80 飛散抑止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルトと、このベルトに沿って並列配置された複数の像形成ユニットとを有し、それぞれの像形成ユニットは少なくとも現像ロールを有し、前記ベルトに対して垂直であって1つの像形成ユニットにおける現像ロールの他の像形成ユニット側端を通る直線よりも1つの像形成ユニット側であって前記1つの像形成ユニットの現像ロールと前記ベルトとの間に他の像形成ユニットの一部が入り込んでいる画像形成装置。
【請求項2】
前記像形成ユニットはそれぞれベルトに対峙して配置された感光体をさらに有し、前記現像ロールのベルトに最も近い部分が、前記感光体の半径以上前記ベルトから離れている請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
それぞれの像形成ユニットは感光体上のトナーを清掃する清掃装置を有し、前記直線よりも1つの像形成ユニット側に入り込んでいる部分が前記清掃装置の少なくとも一部である請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ベルトは、水平方向に対して斜めに配置されている請求項1乃至3いずれか記載の画像形成装置。
【請求項5】
ベルトと、このベルトに沿って並列配置された複数の像形成ユニットとを有し、それぞれの像形成ユニットは少なくとも現像ロールを有し、1つの像形成ユニットの現像ロールから発生するトナークラウドの前記ベルト側への飛散を抑止する飛散抑止部が他の像形成ユニットに設けられている画像形成装置。
【請求項6】
前記飛散抑止部は、前記ベルトに対して垂直であって1つの像形成ユニットにおける現像ロールの他の像形成ユニット側端を通る直線よりも1つの像形成ユニット側であって前記1つの像形成ユニットの現像ロールと前記ベルトとの間に入り込むように設けられている請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
それぞれの像形成ユニットは感光体上のトナーを清掃する清掃装置を有し、前記飛散抑止部は、他の像形成ユニットの清掃装置に設けられている請求項5又は6記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−163741(P2007−163741A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−358818(P2005−358818)
【出願日】平成17年12月13日(2005.12.13)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】