説明

画像形成装置

【課題】経時にわたり記録材の安定した分離性を得ることのでき、かつ、記録材の先端領域にも画像を形成する場合にトナー散りや転写不良の影響を受ける画像部分を少なくすることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】一様帯電させた感光体ドラム表面を除電手段であるPTLで除電し、PTL除電後の感光体ドラム表面電位を電位センサで検知する。電位センサの検知結果が、200V未満の場合は、PTL駆動電圧、先端転写電流を変更せずに終了する。一方、電位センサ30の検知結果が、200V以上の場合は、電位センサの検知結果が、200V未満となるようにPTLの駆動電圧を制御する。PTLの駆動電圧制御を行っても、電位センサの検知結果が、200V未満とならなかったときは、先端転写バイアスを5[μA]に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置は、帯電手段により一様帯電された潜像担持体表面の画像に対応する部分の帯電電位を静電潜像形成手段により落として静電潜像を形成し、その静電潜像部分に潜像担持体の帯電極性と同極性に帯電したトナーを現像手段にて付着させて、トナー像化する所謂ネガ・ポジ方式で画像を形成する方法がある。また、帯電手段により一様帯電された潜像担持体表面の画像に対応しない部分の帯電電位を静電潜像形成手段により落として静電潜像を形成し、その静電潜像部分に潜像担持体の帯電極性と逆極性に帯電したトナーを現像手段にて付着させて、トナー像化する所謂ポジ・ポジ方式で画像を形成する方法がある。
上記ネガ・ポジ方式またはポジ・ポジ方式によってトナー像化されたトナー像は、記録材搬送部材により静電吸着されて搬送されてきた記録材が、潜像担持体表面と対向する対向領域(転写領域)を通過する際、転写バイアス印加手段からトナーの帯電極性とは逆極性の転写バイアスが印加され記録材上に潜像担持体上のトナー像が転写される。その後、トナー像が転写された記録材は、例えば定着手段により定着処理が施された後、機外に排出される。
【0003】
このような画像形成装置においては、従来から、転写領域を通過した記録材部分が潜像担持体表面に吸着してジャムが発生するという不具合を解決することが重要な課題となっている。すなわち、転写領域を通過した記録材部分は、転写バイアスにより充電されて又は誘電分極して、その表面(トナー像が転写された面)が転写領域を通過した潜像担持体部分と逆極性となる。そのため、転写領域を通過した記録材部分は、これと一緒に転写領域を通過した潜像担持体に静電吸着し、潜像担持体の曲率に対応した方向へと搬送される。このとき、記録材自体のコシによる復元力が潜像担持体部分との静電吸着力に勝ることで、記録材は潜像担持体表面から分離し、その後適切に定着手段等へと搬送される。しかし、記録材自体のコシによる復元力よりも大きな静電吸着力が潜像担持体表面と記録材との間で発生していると、記録材は潜像担持体表面から分離できず、ジャムが発生する。
【0004】
そこで、分離爪を設けて上記課題を解決する手法が実用化されている。この手法は、潜像担持体表面移動方向における転写領域の下流側で、分離爪の先端を潜像担持体表面に当接させておくというものである。この手法によれば、転写後の潜像担持体表面に静電吸着した記録材の先端が分離爪の先端に引っ掛かって、記録材が強制的に潜像担持体表面から剥がされ、記録材は適切な記録材搬送経路に戻ることができる。
しかし、分離爪の先端が潜像担持体表面に当接している関係で、その先端には転写残トナーが付着する。よって、分離爪の先端で記録材を剥がす際に、転写残トナーがその記録材先端に付着して記録材先端を汚したり、画像上にスジが生じたりする。また、記録材後端が分離爪の先端で剥がされると、潜像担持体表面の吸着力を失って、記録材の後端が記録材搬送部材側へ急激に移動する。その結果、記録材後端に付着したトナーが散って、記録材後端の画像に画像ブレが生じる。特に、A3紙の場合に、このような記録材後端の画像に画像ブレが生じていた。
さらに、分離爪が変形したり磨耗したりすると、記録材の先端を分離爪の先端に引っ掛かけて分離することができなくなり、分離爪部でのジャムが発生したり、潜像担持体表面に吸着した記録材が分離爪をすり抜けてクリーニング部まで入り込んでしまうという不具合も発生してしまう。
【0005】
特許文献1には、記録材搬送部材の表面抵抗率を10[Ω/□]以上にすることで、記録材搬送部材の表面層に多くの電荷を留めることができ、記録材搬送部材が記録材を静電吸着する力を潜像担持体が記録材を静電吸着する力よりも大きくすることができる。従って、記録材搬送部材に吸着して記録材が搬送されることになり、潜像担持体からの記録材の分離を分離爪に依存する必要がなく、分離爪で分離することによって発生する上述の不具合を回避することができる。
しかし、本発明者らの研究の結果、潜像担持体表面の非画像形成領域にトナーが付着する所謂地汚れがほとんどない装置の場合、記録材搬送部材の表面抵抗率を規定しただけでは、潜像担持体からの記録材を良好に分離させることができないことがわかった。これは、潜像担持体表面の地汚れが多い場合は、潜像担持体表面に地汚れとして付着したトナーが、記録材が潜像担持体表面に吸着するのを妨げる働きをしているため、記録材搬送部材の表面層の電荷によって記録材を記録材搬送部材に吸着させて搬送することが可能であった。ところが、潜像担持体表面に地汚れがほとんどない場合は、記録材の潜像担持体への吸着力が大きいため、記録材搬送部材の表面層の電荷によって記録材を記録材搬送部材に吸着させることができなくなり、記録材を潜像担持体表面から分離させることができないのである。
【0006】
また、記録材が潜像担持体表面から分離しないという課題を解決する別の手法として、例えば特許文献2に記載された画像形成装置が知られている。この画像形成装置には、転写領域で記録材と対向することになる潜像担持体の表面部分全体に対し、現像手段による現像後転写前に、潜像担持体表面の帯電電位を落とすように除電処理を施す転写前露光装置(転写前除電手段)が設けられている。この画像形成装置によれば、転写前露光装置によって潜像担持体を転写前に予め除電しておくことで、記録材全体について転写領域通過後の潜像担持体に対する静電吸着力を弱めることができる。よって、転写領域通過後の潜像担持体に対する記録材の分離性(以下、単に「分離性」という。)が向上し、上記不具合を軽減することができる。
しかし、この画像形成装置においては、転写前露光装置で除電する領域が、記録材と対向することになる潜像担持体の表面部分全体であるため、潜像担持体の光疲労が早くなり、潜像担持体が早期に劣化してしまう。
また、ネガ・ポジ現像の場合は、静電潜像部分に付着したトナーは、トナーと同極性に帯電した非静電潜像部分と潜像部分との間の電界によって潜像担持体面に沿う方向への移動が規制されている。しかし、記録材と対向することになる潜像担持体の表面部分全体を除電する結果、静電潜像部分に隣接するすべての非静電潜像部分の帯電電位が一律に下がる。そのため、非静電潜像部分と潜像部分との間の電界が弱まり、同極性のトナー同士が互いに反発し合う力の方が大きくなってしまう。その結果、転写前に潜像担持体表面上でトナーが散ってしまい、最終画像にニジミという形で画質劣化が発生する。
【0007】
そこで、本出願人は、特許文献3において、記録材の先端領域に対応する潜像担持体表面部分のみ静電吸着力を低下させて高い分離性を実現する画像形成装置を提案した。この画像形成装置では、記録材の先端領域(記録材先端から2〜3[mm]程度)に対応する潜像担持体表面部分だけを除電する。これにより、記録材の先端領域に対応する潜像担持体表面部分の非静電潜像部分の帯電電位が除電により低くなる結果、潜像担持体表面に対する記録材の先端領域の静電吸着力が低下する。記録材の先端領域さえ潜像担持体表面から分離できれば、コシの弱い記録材であってもジャムを防止できる。したがって、上記特許文献3の画像形成装置によれば、転写前露光装置で除電される領域を、上記特許文献2に比べて少なくできるので、潜像担持体の光疲労を抑えることができ、潜像担持体の劣化を抑制できる。
また、ネガ・ポジ方式を採用した画像形成装置の場合は、記録材の先端領域よりも後端側の記録材部分(記録材のほぼ全面)に対応する潜像担持体表面部分の非静電潜像部分の帯電電位が下がることがない。よって、記録材の先端領域よりも後端側の記録材部分に対応する潜像担持体表面部分の静電潜像部分に付着したトナーが散ることはない。すなわち、記録材のほぼ全面に対応する潜像担持体表面部分でトナー散りを防止でき、画質劣化はほとんど生じない。
【0008】
更に、この画像形成装置においては、転写バイアスの値を、潜像担持体の記録材の先端領域に対応する表面部分が転写領域に存在するときにのみ、像担持体の記録材の先端領域以外の部分に対応する表面部分が転写領域に存在するときの転写バイアスの値よりも低くする。これにより、記録材の先端領域への充電量が少なくなり又はなくなる結果、潜像担持体表面に対する記録材の先端領域の静電吸着力は更に低下する。従って、潜像担持体表面に対する記録材の先端領域の静電吸着力を更に大きく低下させることができ、コシの弱い記録材について、更に安定した分離性を得ることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、経時にわたり、記録材について、安定した分離性を得ることができないことがわかった。
そこで、本発明者らは、鋭意研究した結果、経時使用で潜像担持体が劣化して露光によって帯電電位を十分に落とすことができなってしまうことが原因であることを見出した。すなわち、経時使用で潜像担持体が劣化して露光によって帯電電位を十分に落とすことができなくなると、経時にわたり転写前露光装置によって記録材の先端領域(記録材先端から2〜3[mm]程度)に対応する潜像担持体表面部分を十分に除電することができなくなる。また、一般的な画像形成装置は、プロセスコントロールなどの画像調整処理を行って、露光によって帯電電位を十分に落とすことができなくなった場合には、良好な画像を維持するために感光体表面の帯電電位を上げるため、転写前露光装置によって記録材の先端領域(記録材先端から2〜3[mm]程度)に対応する潜像担持体表面部分を更に十分に除電することができなくなってしまう。その結果、記録材の先端が潜像担持体から分離し難くなり、安定した分離性を得ることができなくなってしまうのである。
そこで、経時使用で潜像担持体が劣化しときでも露光によって帯電電位を十分に落とせるよう、潜像担持体への照射光量を予め上げておくことも考えられる。
【0010】
しかし、使用初期から照射光量が高いと、潜像担持体表面が早期に劣化してしまうという不具合が生じてしまう。また、最近の画像形成装置では、上述した記録材の先端領域にも画像を形成することが要求されている。上記のように潜像担持体への照射光量を予め上げておくと、使用初期において、潜像担持体表面に強い光が照射されるため、早期に潜像担持体が劣化してしまう。また、ネガ・ポジ方式を採用した画像形成装置においては、潜像担持体の記録材の先端領域に対応する部分が除電されすぎてしまい、記録材の先端領域についても画像が形成されていた場合に、トナー散りが発生しやすく、記録材の先端領域に形成される画像部分が滲んでしまうおそれがある。
【0011】
また、潜像担持体の上記表面部分が転写領域に存在するときに印加される転写バイアス(先端転写バイアス)の値を低くして、記録材の安定した分離性を得るようにした装置においても、潜像担持体が劣化して露光によって帯電電位を十分に落とすことができなくなると、プロセスコントロールによって感光体表面の帯電電位が上がるため、記録材の安定した分離性が得られなくなってしまう。
そこで、経時使用で感光体表面の帯電電位が上がっても、記録材の安定した分離性が得られるように、先端転写バイアスの値を予め低くすることも考えられるが、先端転写バイアスの値が低くなりすぎると、記録材の先端領域に画像が形成された際、使用初期において、記録材の先端領域に形成される画像部分が記録材に良好に転写することができなくなってしまう。
【0012】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、経時にわたり記録材の安定した分離性を得ることのでき、かつ、記録材の先端領域にも画像を形成する場合にトナー散りや転写不良の影響を受ける画像部分を少なくすることができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、表面移動する潜像担持体と、該潜像担持体の表面を一様に帯電する帯電手段と、該潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該潜像担持体表面上の静電潜像に帯電したトナーを付着させてトナー像化するための現像を行う現像手段と、該潜像担持体と該潜像担持体から該トナー像が転写される記録材との対向領域に転写バイアスを印加する転写バイアス印加手段と、上記対向領域で上記記録材の先端領域と対向することになる上記潜像担持体の表面部分であって上記現像手段による現像後の表面部分に対し、露光することにより帯電電位を落とすように除電処理を施す転写前除電手段とを有する画像形成装置において、上記潜像担持体表面の電位を検出する表面電位検出手段と、該表面電位検出手段の検出結果に基づいて、転写前除電手段の露光量を制御する露光量制御手段とを有することを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、上記静電潜像形成手段は、上記潜像担持体の画像に対応する表面部分の帯電電位を落として静電潜像を形成するものであり、上記現像手段は、該潜像担持体表面上の静電潜像に上記帯電電位と同極性に帯電したトナーを付着させてトナー像化するものであることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2の画像形成装置において、該記録材の先端が該対向領域に進入する前までに先端転写バイアスを印加させ、その後、該記録材の該先端領域の後端側が該対向領域に進入する前までに該先端転写バイアスよりも高い通常転写バイアスを印加させるように、上記転写バイアス印加手段を制御する制御手段を有することを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項3の画像形成装置において、上記制御手段は、該表面電位検出手段の検出結果に基づいて、先端転写バイアスを制御することを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、表面移動する潜像担持体と、該潜像担持体の表面を一様に帯電する帯電手段と、該潜像担持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該潜像担持体表面上の静電潜像に帯電したトナーを付着させてトナー像化するための現像を行う現像手段と、該潜像担持体と該潜像担持体から該トナー像が転写される記録材との対向領域に転写バイアスを印加する転写バイアス印加手段と、該記録材の先端が該対向領域に進入する前までに先端転写バイアスを印加させ、その後、該記録材の該先端領域の後端側が該対向領域に進入する前までに該先端転写バイアスよりも高い通常転写バイアスを印加させるように、上記転写バイアス印加手段を制御する制御手段とを有する画像形成装置において、上記潜像担持体表面の電位を検出する表面電位検出手段を有し、上記制御手段は、該表面電位検出手段の検出結果に基づいて、先端転写バイアスを制御することを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項5の画像形成装置において、上記静電潜像形成手段は、上記潜像担持体の画像に対応する表面部分の帯電電位を落として静電潜像を形成するものであり、上記現像手段は、該潜像担持体表面上の静電潜像に上記帯電電位と同極性に帯電したトナーを付着させてトナー像化するものであることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項5または6の画像形成装置において、上記対向領域で上記記録材の先端領域と対向することになる上記潜像担持体の表面部分であって上記現像手段による現像後の表面部分に対し、帯電電位を落とすように除電処理を施す転写前除電手段を有することを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項1、2、3、4または7いずれかの画像形成装置において、上記潜像担持体表面に所定の潜像パターンを形成し、該潜像パターンの表面電位を上記表面電位検出手段で検知して、その検知結果に基づいて潜像担持体表面の狙いの未露光部電位を補正し、この補正された狙いの未露光部電位となるように作像条件である帯電手段の帯電バイアスを決定する作像条件決定制御手段を備え、上記露光量制御手段は、上記表面電位検出手段が検知した該潜像担持体表面の未露光部電位に基づいて転写前除電手段の露光量を制御することを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項項1、2、3、4または7いずれかの画像形成装置において、上記露光量制御手段は、上記表面電位検出手段が検知した該潜像担持体表面の露光部電位に基づいて、転写前除電手段の露光量を制御することを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項4乃至7いずれかの画像形成装置において、上記制御手段は、上記表面電位検出手段が検知した該潜像担持体表面の未露光部電位に基づいて先端転写バイアスを制御することを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項4乃至7いずれかの画像形成装置において、上記潜像担持体表面に所定の潜像パターンを形成し、該潜像パターンの表面電位を上記表面電位検出手段で検知して、その検知結果に基づいて潜像担持体表面の狙いの未露光部電位を補正し、この補正された狙いの未露光部電位となるように作像条件である帯電手段の帯電バイアスを決定する作像条件決定制御手段を備え、上記制御手段は、上記表面電位検出手段が検知した該潜像担持体表面の露光部電位に基づいて、先端転写バイアスを制御することを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項9または11の画像形成装置において、上記表面電位検出手段が検知する該潜像担持体表面の露光部電位が、中間調画像に対応する露光部電位であることを特徴とするものである。
また、請求項13の発明は、請求項9または11の画像形成装置において、上記表面電位検出手段が検知する該潜像担持体表面の露光部電位が、ベタ画像に対応する露光部電位であることを特徴とするものである。
また、請求項14の発明は、請求項1、2、3、4、7、8または9いずれかの画像形成装置において、上記表面電位検出手段は、上記転写前除電手段による除電後、転写前の潜像担持体表面電位を検知するよう構成したことを特徴とするものである。
また、請求項15の発明は、請求項1乃至13いずれかの画像形成装置において、上記表面電位検出手段は、転写後、一様帯電前の上記潜像担持体表面の潜像担持体表面電位を検知するよう構成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、表面電位検知手段を設けて、潜像担持体の表面電位を検知することで、潜像担持体の経時劣化によって潜像担持体表面の帯電電位が上昇していることを把握することができる。よって、転写前除電手段の露光量を表面電位検知手段の検知結果に基づいて制御することで、表面電位検知手段で潜像担持体表面の帯電電位が上昇していた場合には、露光量を上げるように転写前除電手段を制御することが可能となる。このように制御すれば、潜像担持体の経時劣化によって潜像担持体表面の帯電電位が上昇した場合でも、記録材と対向する対向領域で記録材の先端領域と対向することになる潜像担持体の表面部分を良好に除電することができ、安定した記録材の分離性を得ることができる。
一方、使用初期で潜像担持体の表面電位がまだ上昇していない場合は、潜像担持体表面の帯電電位が上昇していた場合よりも少ない露光量でも、記録材と対向する対向領域で記録材の先端領域と対向することになる潜像担持体の表面部分を良好に除電することができ、安定した記録材の分離性を得ることができる。よって、表面検知手段が、潜像担持体の表面電位の上昇を検知していない場合は、潜像担持体表面の帯電電位が上昇していた場合よりも少ない露光量となるように転写前除電手段を制御することによって、潜像担持体表面の劣化を抑制しつつ、記録材と対向する対向領域で記録材の先端領域と対向することになる潜像担持体の表面部分を良好に除電することができる。
また、表面電位検知手段を用いることで、記録材と対向する対向領域で記録材の先端領域と対向することになる潜像担持体の表面部分に潜像が形成されているか否かも検知することが可能となる。これにより、ネガ・ポジ方式を採用している装置においては、表面電位検知手段の検知の結果、表面部分に潜像が形成されている場合、露光量を下げるように制御すれば、記録材先端部分の画像の滲みを抑制することが可能となる。一方、表面電位検知手段の検知の結果、表面部分に潜像が形成されていない場合は、露光量を上げるように制御すれば、記録材と対向する対向領域で記録材の先端領域と対向することになる潜像担持体の表面部分を十分に除電することができ、良好な分離性を得ることができる。
【0015】
また、請求項5の発明も、表面電位検知手段を設けているので、潜像担持体の表面電位を検知することで、潜像担持体の経時劣化によって潜像担持体表面の帯電電位が上昇していることを把握することができる。よって、先端転写バイアスを表面電位検知手段の検知結果に基づいて制御することで、表面電位検知手段で潜像担持体表面の帯電電位が上昇していた場合には、先端転写バイアスを下げるように転写前除電手段を制御することが可能となる。このように制御すれば、記録材の先端領域への充電量をより少なくすることができ、潜像担持体表面に対する記録材の先端領域の静電吸着力を低下させることができ、潜像担持体表面の帯電電位が上昇していても、安定した記録材の分離性を得ることができる。
また、表面電位検知手段を用いることで、記録材と対向する対向領域で記録材の先端領域と対向することになる潜像担持体の表面部分に潜像が形成されているか否かも検知することが可能となる。これにより、表面電位検知手段の検知の結果、表面部分に潜像が形成されている場合は、先端転写バイアスを上げるように制御すれば、記録材先端部分の画像を良好に転写することが可能となる。一方、表面電位検知手段の検知の結果、表面部分に潜像が形成されていない場合は、先端転写バイアスを下げるように制御すれば、記録材の先端領域への充電量をより少なくすることができ、良好な分離性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態に係るプリンタ模式的に表した説明図。
【図2】同プリンタが備える搬送ベルトの断面図。
【図3】同プリンタが備えるPTLの断面図。
【図4】電位センサの配置位置について説明する図。
【図5】プロセスコントールの制御フロー図。
【図6】PTL露光後の記録材の先端領域と対向することになる感光体ドラムの表面部分の電位と爪分離率との関係を、初期時と経時とで調べたグラフ。
【図7】PTL除電後の感光体帯電電位とPTL駆動電圧(露光量)との関係を初期時と経時とで調べたグラフ。
【図8】電位センサ30の検知結果に基づいて、PTLの露光量・転写ローラの先端転写電流量を決定する制御フロー図。
【図9】記録材を縦搬送する画像形成装置の一例を示す要部構成図。
【図10】直接転写方式のタンデム型カラー画像形成装置の一例を示す概略図。
【図11】カラー画像形成装置の一例を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置としてのプリンタを模式的に表した説明図である。このプリンタ1は、1つの潜像担持体としての感光体ドラムを備えたネガポジ現像を行う直接転写方式で電子写真方式のモノクロ画像形成装置である。なお、ネガポジ現像を行う直接転写方式で電子写真方式の画像形成装置であれば、例えば4つの潜像担持体としての感光体ドラムを備えたタンデム型画像形成装置などのカラー画像形成装置であっても本発明を適用することができる。
【0018】
本プリンタ1は、潜像担持体としての感光体ドラム2を備えている。この感光体ドラム2としては、導電性支持体を50〜400[℃]に加熱し、この導電性支持体上に真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、熱CVD法、光CVD法、プラズマCVD法等の成膜法によりa−Siからなる光導電層を形成したアモルファスシリコン感光体(a−Si系感光体)を用いることができる。特に、プラズマCVD法、すなわち、原料ガスを直流または高周波あるいはマイクロ波グロー放電によって分解し、上記導電性支持体上にa−Si堆積膜を形成する方法が好ましい。本実施形態では、感光体ドラム2の径は100[mm]としているが、これに限られない。特に、この径よりも小さい例えば径が80[mm]の感光体ドラム2であれば、より高い分離性が得られる点で有利である。
【0019】
上記感光体ドラム2の周囲には、感光体ドラム表面を一様に帯電する帯電手段としての帯電器3が設けられている。この帯電器3は、感光体ドラム表面をマイナス極性の所定電位に帯電する帯電チャージャである。本実施形態では非接触帯電方式の帯電手段を用いているが、例えば感光体ドラム表面に連れ回り回転する帯電ローラを接触させて感光体ドラム表面を一様に帯電する接触方式の帯電手段であってもよい。
【0020】
また、感光体ドラム2の鉛直方向上方には、静電潜像形成手段としての図示しない露光装置が設けられている。この露光装置は、感光体ドラム2に対して画像情報に応じた光4を照射して、画像に対応する感光体ドラム表面部分の帯電電位を落として静電潜像を形成する。この露光装置としては、レーザーダイオードを用いたレーザービームスキャナなどを用いることができる。
【0021】
また、感光体ドラム2の周囲には、その表面に形成された静電潜像を現像する現像手段としての現像器が設けられている。本実施形態では、上記帯電電位と同極性すなわちマイナス極性に帯電したトナーを含む二成分現像剤を用い、二成分非磁性接触現像を行う現像器を採用している。具体的には、現像器の現像剤担持体としての現像ローラ5に、高圧電源5aから所定の現像バイアスを印加することにより、その現像ローラ5上に担持された現像剤中のトナーを感光体ドラム2上の静電潜像に移動させ、その静電潜像にトナーを付着させる。これにより、感光体ドラム2上に静電潜像に対応したトナー像が形成される。
【0022】
また、感光体ドラム2の鉛直方向下方には、搬送ベルトユニットが設けられている。この搬送ベルトユニットは、記録材搬送部材としての搬送ベルト12を備えている。この搬送ベルト12は、2つの支持ローラ13,14に掛け渡されており、感光体ドラム2との対向領域でこれと接触して転写ニップが形成されている。搬送ベルト12は、図中矢印の方向に表面移動することにより、レジストローラ対17から送り出された記録材を表面に静電吸着し、その記録材が転写ニップを通過するように搬送する。また、転写ニップの記録材搬送方向下流側に近接した搬送ベルト部分の裏面には、定電流制御電源回路105に接続された転写バイアス印加手段としての転写ローラ15が接触している。この転写ローラ15に転写バイアスが印加されると、搬送ベルト12を介して転写ニップに転写電流が供給される。これにより、感光体ドラム2上のトナー像は記録材上に転写される。また、搬送ベルトユニットには、搬送ベルト12の表面に付着したトナー等の付着物を除去するためのクリーニング部材として、ベルトクリーニングブレード16が設けられている。
転写バイアス印加手段として転写ローラ15を用いているが、転写チャージャを用いることもできる。
【0023】
図2は、上記搬送ベルト12の断面図である。この搬送ベルト12は、基層12aの上に表面被覆層12bをコーティングした二層構造の環状ベルトである。もちろん、単層構造の環状ベルトであってもよいし、2層以上の環状ベルトであってもよい。
搬送ベルトは、体積抵抗率が1×10〜1×1011[Ω・cm]、表面層の表面抵抗率が1×10〜1×1012[Ω・□]、基層の表面抵抗率が1×10〜1×1011[Ω・□]の範囲のものを好適に用いることができる(これらの値はJISK6911により、DC100V印加において測定された値である。)但し、記録材の分離性を確保するために、例えば、表層の膜厚を厚くするなどにより、表面層の表面抵抗率を14乗程度までに上げたものも好適に使用することができる。
なお、これらは好適な例であり、搬送ベルトの体積抵抗率が1×10〜1×10[Ω・cm]の低抵抗のものや、体積抵抗率が1×1014以上の高抵抗のものを用いても構わない。
【0024】
基層12aは一般にベルトの強度を維持するための素材を用い、通常は表面層より厚く形成される。基層12aは、適度に伸張させて使用することのできる弾性ベルトが好ましい。また、環境変化や経時による抵抗変化が少ないものがよい。基層12aの材料としては、クロロプレンゴム、EPDMゴム、ソロコーンゴム等のゴム材料あるいはそれらのブレンド材を好適に用いることができる。また、必要に応じてカーボンや酸化亜鉛などの導電剤などをブレンドして抵抗値を制御する。また、イオン系の材料をゴムに分散させて抵抗を制御してもよい。あるいは、導電剤、イオン系の材料を任意の割合で混合してもよい。また、基層として、PVDF、PIなどの樹脂ベルトを用いてもよい。
【0025】
表面被覆層12bを形成する理由はクリ−ニング性を維持するためである。搬送ベルト表面のクリーニングはクリーニングブレードを使用して行われる。そのため、経時や高温高湿環境での摺擦抵抗(μ)の増加により、ブレ−ド捲れが生じ、クリーニング不良が生じるおそれがある。そのため、μの低い材料で表面被覆層12bを形成してクリーニング性を維持するのである。また、表面被覆層12bには、基層12aの伸びに追随する伸びのよい材料であることもクリ−ニング性確保するための必要不可欠である。
このように搬送ベルトの表面被覆層12bには、伸びがよく、μが低い材料という相反する特性を備えた材料を選択する必要があり、ポリフッ化ビニリデン、四フッ化エチレンなどのフッ素系の樹脂材料などが好適である。具体的には、日本アチソンから市販されているエムラロン345を主剤として、それに若干修正を加えた塗布剤を基層に塗布することで、表面被覆層12bを形成している。なお、表面被覆層の抵抗は紙の搬送性(紙をベルトに静電吸着させる)を重視しているために、前述の値にしている。また、表面被覆層の膜厚を、数[μm]〜10[μm]程度の厚さにすることで、前述のコ−ト層の表面抵抗率を確保することができる。
【0026】
また、感光体ドラム2の周囲には、転写後の感光体ドラム2上に残留した転写残トナーを除去するためのクリーニング手段としてのクリーニング装置7が設けられている。このクリーニング装置7は、感光体ドラム2に対峙する開口部を備えたユニット7A内に、感光体ドラム2の表面に当接するクリーニングブラシ8が設けられている。また、ユニット7A内には、クリーニングブラシ8に対して感光体ドラム2の表面移動方向下流側で、感光体ドラム2の表面に当接するウレタン製のクリーニングブレード9も設けられている。更に、このユニット7Aには、感光体ドラム2から回収されたトナーをリサイクルトナーとして再使用するための搬送パイプ10に向けて送り込むための回収コイル11、感光体ドラム2の表面移動方向上流側におけるユニット7Aの開口部縁部を封止するシール7C、ユニット7A内の圧力抜き部7Bなども設けられている。
【0027】
また、感光体ドラム2の周囲には、転写ニップを通過した後の記録材の先端が感光体ドラム2の表面に静電吸着したままのときに、これを感光体ドラム2の表面から強制的に剥がす分離爪18が設けられている。この分離爪18は、転写ニップに対して感光体ドラム表面移動方向下流側近傍に位置し、その先端が感光体ドラム2の表面に接触するように配置されている。本実施形態においては、後述するように、ほとんどの場合、記録材の先端が分離爪18に到達する前に感光体ドラム2の表面から分離できるので、この分離爪18は、記録材を感光体ドラム2の表面から分離させる最終手段として設けられている。
【0028】
また、感光体ドラム2の周囲には、転写ニップで記録材の先端領域と対向することになる感光体ドラム2の表面部分であって上記現像器による現像後の表面部分に対し、非静電潜像部分の帯電電位を落とすように除電処理を施す転写前除電手段としての転写前露光装置(PTL)20が設けられている。このPTL20は、現像器と転写ニップとの間で感光体ドラム2の表面と対向する位置に配置されている。本実施形態において、PTL20の露光量は、感光体ドラム2の非静電潜像部分の帯電電位を−250[V]以下にまで落とすことができるように設定されている。
【0029】
また、本プリンタ1には、図2に示すように制御手段としての制御部100が設けられている。この制御部100は、上記レジストローラ対17を駆動するレジストモータMの始動状態を検知するスタートセンサ101に接続されており、スタートセンサ101からの信号を受信することで記録材の送り込み開始タイミングを把握することができる。また、制御部100は、画像形成モードや記録材のサイズ選択などを行うための操作パネル102、プリンタ内部の温度及び湿度を検知する環境条件検知センサ103などにも接続されており、これらの操作パネル102や環境条件検知センサ103からの信号を受信する。また、制御部100は、定電流制御電源回路105にも接続されており、その回路の制御電流値Idを設定したり、定電流制御電源回路105の出力電圧値を検知したり、転写バイアスの切り換え制御を行ったりすることができる。また、制御部100は、レジストモータMにも接続されており、レジストローラ対17による記録材の送り出し開始タイミングを制御する。また、制御部100は、PTL20にも接続されており、PTL20の露光タイミングをON/OFF制御したり、露光量を制御したりする。また、制御部100は、電源ON時などに良好な画像が形成されるように帯電バイアス、現像バイアス、露光量などの作像条件を決定する制御を行う。
【0030】
図3は、PTL20とその周囲の構成とを示す概略構成図である。
PTL20は、転写ニップに向けて繰り出された記録材をガイドするアルミニウムなどの光反射率の高い材料を用いた成形部材で構成された転写材入り口ガイド部材20Aと、転写材入り口ガイド部材20A内に装填された耐熱性材料の成形部材で構成されたカバー部材20Bと、カバー部材20B内に配置されているLEDアレイにより構成された転写前露光部材20Cとを備えている。
カバー部材20Bには、感光体ドラム2に対向する位置に開口部20B1が形成されており、内部に収容されている転写前露光部材20Cからの光を感光体ドラム2に向けて出射できるようになっている。
【0031】
カバー部材20Bにおける転写前露光部材20Cからの光出射側、つまり、開口部には、防塵部材21が設けられている。なお、開口部には、現像装置側の周縁部に現像装置側への漏光を防止するための庇部材20Dが設けられている。防塵部材21は、透明な樹脂若しくはガラス等を用いた光透過率が50%以上のフィルム片で構成され、感光体ドラム2側からのトナーや紙粉などの異物がカバー部材20B内に進入するのを防止している。
【0032】
以上のような構成においては、光反射率の高い材質を用いた転写材入り口ガイド部材20Aに転写前露光部材20Cが装備されていることにより、転写材の搬送を阻害することなく感光体ドラム2に対する最接近位置に規定された状態で転写前露光を行うことができる。特に、転写材入り口ガイド部材20Aとして成形部材が用いられているので、感光体ドラム2との接近位置を正確に維持することができ、感光体ドラム2の表面電位を200[V]以下に設定するに必要な露光量を確保して転写材の先端が感光体ドラム2の表面に付着するのを防止することができる。
【0033】
また、上述では、転写前露光部材20CをLEDアレイで構成しているが、一つのLEDと、ポリゴンミラーとポリゴンモータとからなるポリゴンスキャナとで転写前露光部材20Cを構成し、潜像形成手段である図示しない露光装置と同様な方式で、感光体ドラム表面を除電するようにしてもよい。また、一つの感光体ドラムの周りに帯電器と露光装置と現像装置とからなるユニットを2つ以上配置してあるようなカラー画像形成装置のように、2つ以上の露光装置が感光体ドラムの周りに配置してある装置においては、いずれかの露光装置を感光体表面の帯電電位を除電するPTLとして機能させることができる。
【0034】
本実施形態のPTL20は、転写ニップで記録材の先端領域と対向することになる感光体ドラムの表面部分のみを除電するようにPTL20を制御している。
転写ニップで記録材と対向することになる感光体ドラムの表面部分全体に対して除電を行うと、トナー像に隣接する未露光部の電位も下がってしまい、露光部に付着したトナーの感光体ドラム方向への動きを規制する力が弱まる。その結果、同極性のトナー同士が互いに反発し合い、転写前に感光体ドラム表面上でトナーが散ってしまい、最終画像にニジミという形で画質劣化が発生する。また、記録材の先端が感光体ドラム表面から分離できれば、記録材の先端よりも後の部分が感光体ドラムと吸着してジャムなどが起こることがない。このため、本実施形態においては、記録材の先端部に対応する感光体ドラムの部分のみ除電して、なるべく画像に影響を与えないようにするとともに、記録材を感光体ドラムから良好に分離できるようにしている。
【0035】
次に、PTL20における露光のON/OFF制御について説明する。
本実施形態においては、レジストモータMの駆動ON信号をトリガーにしてPTLの露光タイミングを制御している。例えば、プロセス線速が362[mm/sec]の場合では、制御部100は、レジストモータMの駆動ON信号と同時にPTL20の転写前露光部材20CのLEDアレイを点灯させて、感光体ドラム表面を露光して除電する。そして、108.4[msec]後にLEDアレイを消灯するよう制御する。また、プロセス線速が270[mm/sec]の場合は、139.3[msec]後にLEDアレイを消灯するよう制御する。また、上述では、レジストモータMの駆動ON信号と同時にPTL20のLEDアレイを点灯させているが、レジストモータMの駆動開始してから所定時間経過後にPTL20のLEDアレイを点灯させるよう制御してもよい。また、図示しない露光装置への書き込み信号を基準として、PTL20の露光タイミングを制御してもよい。
また、PTL20における露光のOFFのタイミングにおける異常画像(ニジミ)と爪分離性とはトレードオフの関係にある。すなわち、PTL20における露光のOFFのタイミングが早いと、異常画像(ニジミ)についての抑制効果は高くなるが、記録材先端の分離性が悪くなり、爪分離率が高くなる。一方、PTL20における露光のOFFのタイミングを遅くすると、記録材先端の分離性がよくなり爪分離率が低くなるが、異常画像(ニジミ)が生じるリスクが高くなる。このため、PTL20における露光のOFFのタイミングは、異常画像と爪分離性との双方が最適となるように設定する必要がある。しかしながら、装置によってばらつきがあるため、PTL20における露光OFFのタイミングを、装置毎に設定できるようにしてもよい。また、記録材の表面に画像を形成するときと、裏面に画像を形成するときとでPTL20における露光のOFFのタイミング異ならせてもよい。
【0036】
さらに、本実施形態においては、記録材の先端領域が転写ニップを通過するときに印加される転写バイアス(以下、先端転写バイアス)の値を、通常の転写バイアスよりも低くする。これにより、記録材の先端領域への充電量が少なくなり又はなくなる結果、感光体表面に対する記録材の先端領域の静電吸着力は更に低下する。従って、感光体ドラム表面に対する記録材の先端領域の静電吸着力を更に大きく低下させることができ、更に安定した分離性が得られるようにしている。
【0037】
以下に、転写バイアスの制御について説明する。
本実施形態においては、記録材の先端が転写ニップに進入してからニップの中心に到達するまでの間は、先端転写バイアスを転写ローラ15に印加し、記録材の先端が転写ニップの中心に到達したら、通常の転写バイアスに切り替える制御をしている。
先端転写バイアスから通常の転写バイアスに切り替えるタイミングは、レジストモータMの駆動ON信号をトリガーにして制御する。一例を示すと、転写ニップ幅が8[mm]、レジストローラから転写ニップまでの距離が61[mm]、プロセス線速が362[mm/sec]の装置構成においては、レジストモータMが駆動を開始してから183[msec]後に先端転写バイアスから通常の転写バイアスに切り替える。これにより、記録材の先端がニップに入り、ニップ中央(4[mm])に到達した時点で、先端転写バイアスから通常の転写バイアスに切替えられる。なお、先端転写バイアスの印加のタイミングは、一般的な画像形成装置における印加タイミングと同じである。
なお、本実施形態においては、先端転写バイアスは、15[μA]、転写バイアスは、プロセス線速が362[mm/sec]の装置構成においては、65[μA]、プロセス線速が270[mm/sec]の装置構成においては、50[μA]に設定している。先端転写バイアスが、15[μA]以下であれば、爪分離がなく良好な転写搬送性が得られる。なお、先端転写バイアス、転写バイアスは、感光体ドラム2へ流入する電流(Iout)であり、感光体ドラム2へ流入する電流が、先端転写バイアス、転写バイアスとなるように定電流制御電源回路105の制御電流値Idを制御する、所謂差分定電流制御を行っている。
【0038】
また、転写バイアスを電荷密度で規定した場合は、以下のようになる。
感光体ドラム2へ流入する電流(先端転写バイアス)をIout、転写ベルトの線速(プロセス線速)をV、転写ローラ15の幅(主走査方向長さ)をLRとすると、転写バイアス電荷密度は、次の式で表すことができる。
転写バイアス電荷密度=Iout/(V・LR)
プロセス線速V=362[mm/sec]、転写ローラ15の幅LR=310[mm]のときは、先端転写バイアス電荷密度は、2.0×10−8[c/cm]以下であれば、爪分離がなく良好な転写搬送性が得られる。
【0039】
また、本実施形態においては、感光体ドラム2の表面電位を検知する表面電位検知手段たる電位センサ30が設けられている。電位センサ30の配置位置は、図4に示すA、B、Cの位置に配置することができる。すなわち、図示しない露光装置からの光4が照射される露光位置よりも感光体ドラム移動方向下流側で、現像位置よりも上流側のAの位置に電位センサ30を配置することができる。また、クリーニング装置7のクリーニング位置より感光体ドラム移動方向下流側で帯電位置よりも感光体ドラム移動方向上流側のBの位置に電位センサ30を配置することができる。さらに、PTL20による感光体表面除電位置よりも感光体ドラム移動方向下流側で転写ニップよりも感光体ドラム移動方向上流側のCの位置に電位センサ30を配置することができる。なお、これは一例であり、これ以外の位置に電位センサ30を配置してもよい。
後述するプロセスコントロール時に感光体ドラム2の表面電位を検知するための好適な位置は、Aである。また、後述するPTL20の露光量や先端転写バイアスを制御するための感光体表面電位を検知するための好適な位置は、Cである。
【0040】
電位センサ30として、自ら校正を行うことのできるフィードバック型、自ら校正を行う機能のないノンフィードバック型を用いることができる。ノンフィードバック型の電位センサ30を用いた場合は、所定のタイミングで電位センサ30の校正を行う必要がある。校正を行うタイミングはいつでも構わないが、本実施形態では、後述するプロセスコントロール実行時に行う。校正方法は、感光体に100[V]、800[V]の電圧を印加して、校正を行う。なお、感光体に200[V]、700[V]の電圧を印加して、校正を行ってもよい。
【0041】
次に、作像条件決定する制御であるプロセスコントロールについて、説明する。
図5は、プロセスコントロールの制御フロー図である。なお、同図におけるVGは、帯電バイアス、VDは、未露光部電位、VLは、露光部電位、VBは、現像バイアス、VHは、中間調電位を示している。
まず、図5に示すように、作像条件決定制御手段である制御部100は、電源がONされると、制御部100のCPUが立ち上がり、定着ヒータON、ポリゴンモータONにするとともに、電位センサ30の校正を行う。そして、ポリゴンモータロック検知したら、メインモータ動作を開始して所定時間(400[msec])経過したら、前回の帯電バイアスVGで感光体ドラム表面を一様帯電する(S1〜S3)。次に、電位センサ30で感光体表面の未露光部電位VDを検知して(S4)、未露光部電位VDが、−800±10(V)であるか否かをチェックする(S5)。未露光部電位VDが、−800±10(V)でなかった場合(S5のNO)は、失敗が1回目であるか否かをチェックして、1回目であるならば(S6のYES)、前回の帯電バイアスVGに−(VD+800)[V]を加えて(S7)、S4、S5の処理を再度行う。
このように、潜像パターンを作成する前に、感光体表面の未露光部電位VDを検知して、潜像パターンを作像するための帯電バイアスVGを調整することによって、感光体ドラム2の経時劣化、環境変化の中でも同一の未露光部電位VDで潜像パターンを作像することができ、精度のよい作像条件を決定することができる。
【0042】
未露光部電位VDが、−800±10(V)である場合(S5のYES)や、失敗が2回目である場合(S6のNO)は、現像バイアスVBを決定する処理を実行する。すなわち、潜像パターン(VLパターン)を作像して、潜像パターンの電位(露光部電位VL)を電位センサ30で検知する(S8)。電位センサ30で検知した露光部電位VLと狙いの露光部電位(−130[V])との差分値ΔVLを計算する(S9)。次に、差分値ΔVLに基づいて、狙いの未露光部電位VD、狙いの中間調電位VHを決定するとともに、作像条件である現像バイアスVBを決定する(S10〜S11)。このようにして現像バイアスVBを決定することで、感光体の経時劣化や環境変化によって生じた露光部電位の変動(ΔVL)に応じた現像バイアスにすることができ、前回と同じ現像ポテンシャルで現像を行うことができる。
【0043】
このようにして、現像バイアスVBが決定したら、次は、露光部電位の変動(ΔVL)に応じた帯電バイアスVGを決定する処理を実行する。
まず、制御部は、電位センサ30で未露光部電位VDを検知して、未露光部電位VDが、狙いの未露光部電位(−800+ΔVL)±10(V)に入っているか否かをチェックする(S13)。検知した未露光部電位VDが、狙いの未露光部電位(−800+ΔVL)±10(V)に入っていなかった場合(S13のNO)は、狙いの未露光部電位(−800+ΔVL)と検知した未露光部電位との差分値を、潜像パターン(VLパターン)作成時の帯電バイアスVGに加え(S15)て、再度、S12、S13の処理を行う。5回やっても、検知した未露光部電位VDが狙いの露光部電位(−800+ΔVL)±10(V)に入らなかった場合(S14のYES)は、異常処理としてプロセスコントロールを終了する(S16)。
一方、検知した未露光部電位VDが狙いの露光部電位(−800+ΔVL)±10(V)に入った場合(S13のYES)は、このときの帯電バイアスVGに決定する(S17)。
このようにして、帯電バイアスVGを決定することによって、帯電バイアスVGによって形成される未露光部電位VDが、露光部電位の変動(ΔVL)に応じた未露光部電位とすることができ、地肌ポテンシャルおよび露光部電位と未露光部電位との電位差を前回と同じにすることができる。
【0044】
このように、帯電バイアスVGが決定されたら、次は、レーザーダイオード(LD)の光量(露光量)を決定する。
まず、制御部100は、S17で決定した帯電バイアスVGで感光体ドラムを一様帯電した後、前回の露光量データに基づいて、中間調潜像パターン(VHパターン)を作成する(S18)。次に、中間調潜像パターン(VHパターン)を電位センサ30で検知することで中間調電位VHを検知する(S19)。検知した中間調電位が狙いの中間調電位(−300+ΔVL)±20[V]でない場合(S20のNO)は、露光量を調整(S22)して、再度、S18〜S20の処理を行う。
一方、検知した中間調電位が狙いの中間調電位(−300+ΔVL)±20[V]に入った場合(S20のYES)は、そのときの、LDの光量(露光量)に決定する(S23)。また、LD光量が最大値の場合はLD光量最大値をLDの光量(露光量)に決定し、同様にLD光量が最小値の場合もLD光量最小値をLDの光量(露光量)に決定する(S21のYES、S23)。
このようにして、LD光量を決定することによって、露光部電位の変動(ΔVL)に応じた中間調電位とすることができ、ハーフトーン画像の再現性を維持することができる。なお、この制御においては、検知した中間調電位が狙いの中間調電位(−300+ΔVL)±20[V]に入るまで、S18〜S20の処理を行っているが、所定回数入らなかった場合は、処理を終了するようにしてもよい。
【0045】
次に、本実施形態の特徴点について説明する。
本実施形態の感光体ドラム2は、アモルファスシリコン感光体(a−Si系感光体)や表層に酸化アルミナなどの粒子を含有させて長寿命化させている。しかしながら、このような長寿命化した感光体ドラム2においては、感光体ドラム表面が同じ電位であっても、経時で劣化した感光体ドラム2の方が、劣化していない感光体ドラムよりも分離性が悪くなることが確認された。
図6は、PTL露光後の記録材の先端領域と対向することになる感光体ドラム2の表面部分の電位と爪分離率との関係を、初期時と経時(900Kラン後)とで調べたグラフである。なお、この図6においては、PTL20の駆動電圧を16[V]、先端転写バイアス(先端転写電流)を15[μA]とした。なお、爪分離率は、次のようにして求めた。初期時及び経時(900Kラン後)に、一定枚数を通紙する。次いで、通紙した画像に爪分離によって発生する特有の跡があるか否かを目視で確認する。そして、爪分離が発生した枚数をカウントし、(爪分離発生枚数/総通紙枚数)×100[%]で求める。
このように、PTL露光後の電位が同じ場合でも、経時(900Kラン後)の方が、分離性が悪化し、爪分離率が高いことがわかる。
但し、図6からわかるように、経時劣化した感光体ドラムであってもPTL露光後の電位が−200[V]以下にすれば、経時劣化した感光体ドラム2であっても爪分離性を0[%]にすることができる。
【0046】
このため、爪分離が確実に起きないように、PTL20の露光量を多くして、感光体ドラム表面を例えば、−50[V]程度にまで除電することが考えられる。しかし、露光量を多くすると、感光体ドラムの光劣化を促進させてしまい、感光体ドラム2の寿命が短くなってしまう。また、転写ニップで記録材の先端領域と対向することになる感光体ドラム2の表面部分にトナー像が形成されている場合、この部分の帯電電位を落としすぎると、記録材先端部分の画像のニジミがひどくなる。このため、PTL20の露光量は、なるべく抑えることが必要である。よって、本実施形態においては、PTL除電後の感光体ドラム表面が−150〜−200[V]となるようようなPTLの露光量(PTL駆動電圧)を設定していた。
【0047】
しかし、感光体ドラム2が経時劣化すると露光による除電効果も低下してしまい、露光部電位や、PTL除電後の帯電電位が上昇してしまうことが判明した。
図7は、PTL除電後の感光体帯電電位とPTL駆動電圧(露光量)との関係を初期時と経時(900Kラン後)とで調べたグラフである。なお、図7は、未露光部をPTL20で除電したときの値である。図7に示すように、PTL20の除電を行っていない(PTL駆動電圧が0[V]のとき)にも係わらず、経時使用における感光体ドラム2の帯電電位の値が大きいのは、次の理由からである。本実施形態においては、上述したようなプロセスコントールを行っているため、感光体ドラム2の経時劣化により露光による除電効果が低下して露光部電位VLの上昇した分(ΔVL)だけ、未露光部電位VDが高くなるためである。
図からわかるように、経時劣化した感光体ドラム2においては、PTL除電後の帯電電位を−200[V]以下にするためには、PTL駆動電圧(露光量)をアップさせる必要があることがわかる。
このように、感光体ドラム2が経時劣化すると露光による除電効果が低下するため、PTLの除電効果が弱まる。さらに、プロセスコントロールを行って、露光部電位VLの上昇した分(ΔVL)だけ、未露光部電位VDや中間調電位VHも高くなるため、初期時と同じ駆動電圧では、感光体ドラム表面を約200[V]以下に除電することができなくなってしまう。これにより、経時で爪分離率を0[%]にすることができなかった。
【0048】
例えば、使用初期時において、感光体ドラム上の未露光部電位をPTL20で除電したときの感光体ドラム表面の電位が−160[V]程度であるとする。そして、感光体ドラム2が劣化して、露光部電位が初期時に比べて−50[V]上昇したとする。すると、プロセスコントールによって未露光部電位VDは、−50[V]上昇する。また、PTL20の露光後の電位も初期時に比べて−50[V]以上上昇する。その結果、感光体経時劣化時における感光体ドラム上の未露光部電位をPTL20で除電したときの感光体ドラム表面の電位が−260[V]となり、爪分離が発生するおそれが生じる。
そこで、このような、露光による除電効果の低下も加味して、PTL20の露光量を設定することも考えられる。しかし、これでは、初期時からPTLの露光量が多いため、感光体ドラム2の光劣化を促進させてしまい、感光体ドラム2の寿命が短くなってしまう。
【0049】
なお、上述では、直径が100[mm]の感光体ドラム2を用いているが、高い分離性が得られる直径が80[mm]の感光体ドラム2でも経時で劣化すると、爪分離が発生した。また、直径が60[mm]の感光体ドラム2でも経時で劣化すると、爪分離が確認された。
【0050】
このため、本実施形態においては、感光体ドラム表面の電位を電位センサ30で検知して、その検知結果に基づいて、PTL20の露光量や転写ローラ15の先端転写電流量を制御して、PTLの露光量をなるべく抑えて、感光体ドラム2の寿命が短くなるのを抑制している。以下に、具体的に説明する。
図8は、電位センサ30の検知結果に基づいて、PTL20の露光量・転写ローラ15の先端転写電流量を決定する制御フロー図である。
露光量・転写ローラ15の先端転写電流量の決定処理は、プロセスコントロール時またはジョブ毎に行う。また、プロセスコントロール時、ジョブ毎の双方を併用することもできる。
まず、プロセスコントロールによって決定された帯電バイアスVGで感光体ドラム表面を一様帯電させる。次に、この一様帯電させた感光体ドラム表面を除電手段であるPTL20で露光して除電する(S31〜S32)。次に、PTL20除電後の感光体ドラム表面電位を電位センサ30で検知する(S33)。電位センサ30が、図4のCの位置に配置されている場合は、そののまま、PTL20除電後の感光体ドラム表面電位を電位センサ30で検知することができる。図4のAの位置やBの位置に電位センサ30を配置した場合は、紙搬送ベルトを感光体ドラム2から離間させてPTL20除電後の感光体ドラム表面電位を検知する。また、図4のAの位置に電位センサ30を配置した場合は、帯電手段が帯電ローラであり、感光体ドラム2と当接する構成の場合は、帯電ローラも離間させて、PTL20除電後の感光体ドラム表面電位を検知する。
【0051】
電位センサ30でPTL20除電後の感光体ドラム表面電位を検知したら、制御部100は、電位センサ30の検知結果が、200[V]未満か否かをチェックする。未満の場合(S34のYES)は、感光体ドラム2を良好に除電できているので、このときのPTL駆動電圧に設定するとともに、先端転写電流を15[μA]に設定して終了する。
一方、電位センサ30の検知結果が、200[V]以上の場合(S34のNO)は、PTL20の駆動電圧を所定量上昇させて、再度、S32以降の処理を実行する。また、3回S32以降のフロー(入力電圧可変フロー)行っても、電位センサ30の検知結果が、200[V]未満とならなかった場合は、このときのPTL駆動電圧に設定するとともに、先端転写バイアスを5[μA]に設定して終了する。
【0052】
このように、電位センサ30でPTL除電後の感光体表面電位を検知して、PTL駆動電圧、先端転写バイアスを調整することによって、経時にわたり良好な分離性を得ることができる。また、感光体の使用初期時においては、露光量を抑えることができ、感光体ドラムの光劣化を抑制できる。しかも、電位センサ30でPTL除電後の感光体ドラム表面電位を検知することによって、感光体ドラム2の経時劣化による露光による除電効果の低下だけではなく、PTL20の経時使用によるPTL20の除電機能の低下も知ることができる。以下に、具体的に説明する。
表1は、新品の防塵部材21(透明フィルム)をカバー部材20Bの開口部に取り付けたときと、500Kラン後の防塵部材21(透明フィルム)をカバー部材20Bの開口部に取り付けたときと、650Kラン後の防塵部材21(透明フィルム)をカバー部材20Bの開口部に取り付けたときとにおける感光体表面の除電後電位を示したものである。
【0053】
【表1】

【0054】
表1に示すように、経時使用によりPTL20の防塵部材21にトナーが付着して汚れてくると、PTL20の除電機能が低下することがわかる。
よって、電位センサ30でPTL除電後の感光体表面電位を検知することで、感光体ドラム2の経時劣化による露光による除電効果の低下だけではなく、PTL20の経時使用によるPTL20の除電機能の低下も知ることができ、経時にわたり感光体ドラム表面の除電後電位を200[V]以下に維持することができる。
【0055】
また、これに限らず、例えば、PTL20除電後の感光体ドラム表面電位が低すぎる場合は、露光量が多いので、PTL駆動電圧を下げて、露光量を下げるよう制御してもよい。また、狙いの除電後帯電電位を設定しておき、その狙いの除電後帯電電位±10[V]に入るように、PTL駆動電圧を調整して、PTL駆動電圧を決定してもよい。
【0056】
また、上述では、PTL除電後の感光体ドラム表面電位を見ているが、感光体表面電位の上昇の度合いがわかればよい。よって、例えば、プロセスコントロール時の潜像パターンを電位センサ30で検知したときの露光部電位VLや、電位センサ30で検知した露光部電位VLと狙いの露光部電位との差分値ΔVL、帯電バイアスVG決定時の電位センサ30で検知した未露光部電位VD、LD光量決定時の電位センサ30で検知した中間調電位VHなどを用いて、PTL20の露光後の感光体ドラムの帯電電位を推定して、PTL20の露光量・転写ローラの先端転写電流量を決定してもよい。この場合、表1に示した防塵部材の汚れによるPTLの除電機能の低下を加味して、PTL20の露光後の感光体ドラムの帯電電位を推定するのが好ましい。
【0057】
さらに、PTL20で感光体ドラムを除電し、先端転写バイアスを印加した後の感光体ドラムの表面電位を電位センサ30で検知してもよい。記録材の吸着は、転写ニップ通過後の感光体ドラム2の帯電電位が高いことで起こるので、感光体ドラムを除電し、先端転写バイアスを印加した後の感光体ドラム2の表面電位を電位センサ30で検知することで、転写ニップ通過後の感光体ドラム2の帯電電位を検知することができ、より精度の高いPTLの露光量調整が可能となる。この場合も、先端転写バイアスを印加した後の感光体ドラムの表面電位が所定値よりも高ければ、PTL駆動電圧を上げて、露光量をアップさせて、先端転写バイアスを印加した後の感光体ドラムの表面電位を下げるようにしてもよい。また、電位センサ30で検知する先端転写バイアスを印加した後の感光体ドラム2の表面電位は、露光部電位でも、未露光部電位でもどちらでもよい。
【0058】
また、PTL駆動電圧は、変更せずに、PTL20除電後の感光体ドラム表面電位に基づいて、先端転写バイアスのみを変更するようにしてもよい。この場合は、PTL20除電後の感光体ドラム表面電位と先端転写バイアスとを関連させたLUT(ルックアップテーブル)を設けておき、電位センサの検知結果とLUTとから、先端転写バイアスを決定する。
【0059】
次に、検証実験について説明する。
下記に示す表2は、PTL駆動電圧を電位センサ30の検知結果に基づき変化させなかったときの各紙種における使用初期と経時(900Kラン後)とにおける爪分離率を示したものである。なお、表2におけるPTL駆動電圧は、17[V]である。爪分離率は、次のようにして求めた。初期時及び経時(900Kラン後)に、一定枚数を通紙する。次いで、通紙した画像に爪分離によって発生する特有の跡があるか否かを目視で確認する。そして、爪分離が発生した枚数をカウントし、(爪分離発生枚数/総通紙枚数)×100[%]で求める。
下記の表3は、図8に示す制御フローに示すようにPTL駆動電圧を電位センサの検知結果に基づき変化させたときの各紙種における使用初期と経時(900Kラン後)とにおける爪分離率を示したものである。なお、表3におけるPTL駆動電圧は、初期時は17[V]であったが、900Kラン後のPTL駆動電圧は、20[V]になっていた。また、検証実験においては、爪分離跡の発生しやすい方向に紙をセットして行った。また、検証実験に用いた紙種も爪分離が発生しやすい紙を選んだ。また、下記表2、3は、未調湿の紙、N/N(23℃/50%RH)環境下で8時間以上放置した紙(N/N環境調湿)、H/H(27℃/90%RH)環境下で8時間以上放置した紙(H/H環境調湿)、をそれぞれ用いて実験したトータルの結果である。
【0060】
【表2】

【表3】

【0061】
表2、表3からわかるように、PTL駆動電圧を経時変化させなかった場合においては、900Kラン後、いずれの紙種においても爪分離が発生していた。一方、図8に示す制御フローに示すようにPTL駆動電圧を電位センサの検知結果に基づき変化させた表3においては、経時にわたり、感光体の除電後電位を200[V]以下にしているので、900Kラン後に、いずれの紙種においても爪分離が発生しなかった。
【0062】
さらに、H/H環境(27℃/90%RH環境)で、トータル3000枚程度通紙して、経時での900Kランさせた後の感光体を搭載した画像形成装置に対して、図8に示す制御フローに示すようにPTL駆動電圧を電位センサの検知結果に基づき変化させるよう制御して調湿試験を行った。この場合も、いずれの紙種においても爪分離が発生しなかった。なお、調湿試験とは、十分に水分を含んだ記録材(H/H環境調湿された紙)を用いて行う検証試験である。
【0063】
また、本実施形態においては、感光体表面の記録材先端領域に対応する部分をPTLで徐電し、かつ、記録材先端領域に印加する転写バイアスを弱めて、分離性を高めているが、装置の構成などによっては、いずれか一方のみでもよい。PTLを設けずに、先端バイアスのみで記録材先端領域の感光体に対する分離性を高めるように構成した場合は、感光体表面電位(例えば、露光部電位)を検知して、感光体の経時劣化によって露光部電位が高くなっている場合は、先端転写バイアスの転写電流を小さくする。これにより、記録材先端領域の電荷充填量がさらに減り、感光体表面の帯電電位が上昇しても、記録材先端領域を感光体表面から良好に分離させることができる。
【0064】
また、本発明は、図9に示すような記録材を縦搬送するような画像形成装置においても適用することができる。また、図10に示すような直接転写方式のタンデム型画像形成装置にも適用することができる。この場合は、Y,M,C,Kの各画像形成ユニット1Y,M,C,KごとにPTLと電位センサとを設けて、本発明の制御を行う。これにより、経時にわたりいずれの各画像形成ユニット1Y,M,C,Kの感光体の記録材に対する分離性を維持することができる。
また、図11に示すようなカラー画像形成装置にも適用することができる。この図11に示す画像形成装置は、第1画像形成ユニット10は、K色のトナー像のみを形成し、第2画像形成ユニット20は、感光体21の周辺にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色のトナー像を形成するための帯電装置26と現像器22とが3組が配置した構成としている。このような装置においても、第1画像形成ユニット、第2画像形成ユニットに本発明を適用することによって、K色の感光体11における記録材の分離性およびカラー感光体21における記録材の分離性を経時に亘って維持することができる。さらに、第2画像形成ユニットにおいては、下流側のLc光やLM光を、感光体表面の記録材先端部分を除電する転写前除電装置として用いることも可能である。
【0065】
なお、上述では、帯電器により一様帯電された感光体ドラム表面の画像に対応する部分の帯電電位を露光装置により落として静電潜像を形成し、その静電潜像部分に感光体ドラムの帯電極性と同極性に帯電したトナーを現像装置にて付着させて、トナー像化する所謂ネガ・ポジ方式で画像を形成する方法について説明したが、ポジ・ポジ方式で画像を形成する方法にも適用することができる。ポジ・ポジ方式は、帯電器により一様帯電された感光体ドラム表面の画像に対応しない部分の帯電電位を露光装置により落として静電潜像を形成し、その静電潜像部分に感光体ドラムの帯電極性と逆極性に帯電したトナーを現像装置にて付着させて、トナー像化する方法である。
このポジ・ポジ方式においては、画像が形成される部分が未露光部となり、画像が形成されない部分が未露光部となる。このポジ・ポジ方式の場合は、感光体ドラムの記録材の先端部に対応する部分に画像が形成されないときは、露光装置で露光されて除電されているので、あまり問題とはならないが、記録紙の先端にまで画像が形成される場合は、感光体ドラムの記録材の先端部に対応する部分が未露光部となるので、感光体ドラムの記録材の先端部に対応する部分をPTLで除電する必要がある。そして、このポジ・ポジ方式においても感光体が劣化して露光後の電位が上昇すると、プロセスコントロールを行って未露光部の電位が上昇するので、記録紙の先端にまで画像が形成される場合において、記録材の感光体からの分離性が悪化する。よって、ポジ・ポジ方式の場合においても、本発明を適用することで、記録紙の先端にまで画像が形成される場合において、経時にわたり記録材の感光体からの分離性を維持することができる。
【0066】
以上、本実施形態の画像形成装置によれば、潜像担持体である感光体ドラム表面の電位を検出する表面電位検出手段たる電位センサを設け、露光量制御手段である制御部100は、電位センサの検出結果に基づいて、転写前除電手段であるPTLの露光量を制御する。これにより、電位センサによって、PTLで除電後の感光体表面の帯電電位を検知することができ、経時劣化により感光体ドラムの露光によって除電されてにくくなったり、PTLの感光体表面の除電能力が低下したりして、PTLで除電後の感光体表面の帯電電位上がり、爪分離率が0[%]に維持することのできない帯電電位になっているかどうかを検知することができる。そして、電位センサの検知結果によって爪分離率が0[%]に維持することのできる帯電電位となるように、PTLの露光量を調整することによって、経時にわたり記録材の感光体に対する分離性を維持することができる。
【0067】
また、制御手段である制御部100は、記録材の先端が対向領域である転写ニップに進入する前までに先端転写バイアスを印加させ、その後、記録材の先端領域の後端側が転写ニップに進入する前までに先端転写バイアスよりも高い通常転写バイアスを印加させるように、転写バイアスを制御している。これにより、記録材先端領域への充電量が少なくなり、感光体表面に対する記録材の先端領域の静電吸着力を更に低下させることができる。従って、更に安定した分離性を得ることができる。
【0068】
また、制御部100は、電位センサの検出結果に基づいて、先端転写バイアスを制御することによって、電位センサで、PTL除電後の感光体表面が高い場合、先端転写バイアスを弱めて、記録材先端領域の電荷充填量をさらにすくなくすることができ、更に安定した分離性を得ることができる。
【0069】
また、電位センサは、PTLによる除電後、転写前の感光体ドラム表面電位を検知することによって、PTL除電後の感光体表面電位を検知することができ、感光体の経時劣化による除電後の帯電電位の変動のみならず、PTLの経時使用による除電能力低下による除電後の帯電電位の変動をも検知することができ、PTLの露光量制御や先端転写バイアスの制御を精度よく行うことができる。
【0070】
また、制御部100は、電位センサが検知した感光体表面の未露光部電位に基づいて先端転写バイアスを制御してもよい。未露光部電位が上昇していれば、記録材の先端が感光体表面に吸着しやすいので、先端転写バイアスを弱めて、記録材先端領域の電荷充填量をさらにすくなくすることができる。
【0071】
また、作像条件決定制御手段である制御部は、感光体表面に所定の潜像パターンを形成し、潜像パターンの表面電位(露光部電位)を電位センサで検知して、その検知結果に基づいて感光体表面の狙いの未露光部電位を補正し、この補正された狙いの未露光部電位となるように作像条件である帯電手段たる帯電器の帯電バイアスを決定している。このようにして帯電バイアスを決定しているので、この帯電バイアスで帯電された未露光部電位は、電位センサで検知された露光部電位に基づいて補正された電位となっている。すなわち、感光体の経時劣化によって、露光部電位が上昇した場合は、それに基づいて未露光部電位も変化している。よって、電位センサで未露光部電位を検知すれば、感光体の経時劣化したときの露光時の除電量を推測することが可能である。その結果、感光体の経時劣化時において、PTLで露光して感光体表面を除電したときの感光体表面の帯電電位を推測することができる。従って、上述のような作像条件決定制御を行っている場合においては、未露光部電位に基づいて、PTLの露光量を制御してもよい。電位センサが検知した未露光部電位から、PTLで露光して感光体表面を除電したときの感光体表面の帯電電位を推測することができるので、感光体の経時劣化時において、PTLで露光して感光体表面を除電したときの感光体表面の帯電電位を爪分離率が0[%]となる帯電電位となるようにPTLの露光量を調整することができる。
【0072】
また、作像条件決定制御手段である制御部は、感光体表面に所定の潜像パターンを形成し、潜像パターンの表面電位(露光部電位)を電位センサで検知して、その検知結果に基づいて感光体表面の狙いの未露光部電位を補正し、この補正された狙いの未露光部電位となるように作像条件である帯電手段たる帯電器の帯電バイアスを決定している。このようにして帯電バイアスを決定しているので、この帯電バイアスで帯電された未露光部電位は、電位センサで検知された露光部電位に基づいて補正された電位となっている。よって、電位センサで露光部電位を検知すれば、未露光部電位の変化を推測することができる。従って、上述のような作像条件決定制御を行っている場合においては、露光部電位に基づいて、先端転写バイアスを制御してもよい。電位センサが検知した露光部電位から、未露光部電位を推測することができるので、記録材先端領域の電荷充填量を感光体表面に吸着しないような充電量となるような先端転写バイアスに調整することができる。
【0073】
また、制御部は、電位センサが検知した感光体表面の露光部電位に基づいてPTLの露光量を制御してもよい。これにより、PTLで感光体表面を露光したときの感光体表面の帯電電位がわかる。よって、PTLで露光して感光体表面を除電したときの感光体表面の帯電電位を爪分離率が0[%]となる帯電電位となるようにPTLの露光量を調整することができる。
【0074】
また、電位センサが検知する露光部電位は、ベタ画像に対応する露光部電位でも、中間調画像に対応する露光部電位であってもよい。
【0075】
また、電位センサは、転写後、一様帯電前の感光体表面の電位検知してもよい。転写後の電位を電位センサで検知することによって、転写後の感光体表面の帯電電位を知ることができる。転写後の帯電電位が高ければ、記録材の先端が感光体に吸着しやすいことがわかる。よって、転写後の電位を電位センサで検知して転写後の帯電電位が高ければ、先端転写バイアスを弱めたり、PTLの露光量を多くしたりして、記録材の先端が吸着しない、先端転写バイアスや露光量に調整することができる。
【符号の説明】
【0076】
1 プリンタ
2 感光体ドラム
3 帯電器
5 現像ローラ
7 クリーニング装置
12 搬送ベルト
13,14 支持ローラ
15 転写ローラ
16 ベルトクリーニングブレード
17 レジストローラ対
18 分離爪
100 制御部
105 定電流制御電源回路
106 電流検知部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0077】
【特許文献1】特開平10−213974号公報
【特許文献2】特開2002−268498号公報
【特許文献3】特開2005−202351号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面移動する潜像担持体と、
該潜像担持体の表面を一様に帯電する帯電手段と、
該潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
該潜像担持体表面上の静電潜像に帯電したトナーを付着させてトナー像化するための現像を行う現像手段と、
該潜像担持体と該潜像担持体から該トナー像が転写される記録材との対向領域に転写バイアスを印加する転写バイアス印加手段と、
上記対向領域で上記記録材の先端領域と対向することになる上記潜像担持体の表面部分であって上記現像手段による現像後の表面部分に対し、露光することにより帯電電位を落とすように除電処理を施す転写前除電手段とを有する画像形成装置において、
上記潜像担持体表面の電位を検出する表面電位検出手段と、
該表面電位検出手段の検出結果に基づいて、転写前除電手段の露光量を制御する露光量制御手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、
上記静電潜像形成手段は、上記潜像担持体の画像に対応する表面部分の帯電電位を落として静電潜像を形成するものであり、
上記現像手段は、該潜像担持体表面上の静電潜像に上記帯電電位と同極性に帯電したトナーを付着させてトナー像化するものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2の画像形成装置において、
該記録材の先端が該対向領域に進入する前までに先端転写バイアスを印加させ、その後、該記録材の該先端領域の後端側が該対向領域に進入する前までに該先端転写バイアスよりも高い通常転写バイアスを印加させるように、上記転写バイアス印加手段を制御する制御手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3の画像形成装置において、
上記制御手段は、該表面電位検出手段の検出結果に基づいて、先端転写バイアスを制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
表面移動する潜像担持体と、
該潜像担持体の表面を一様に帯電する帯電手段と、
該潜像担持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
該潜像担持体表面上の静電潜像に帯電したトナーを付着させてトナー像化するための現像を行う現像手段と、
該潜像担持体と該潜像担持体から該トナー像が転写される記録材との対向領域に転写バイアスを印加する転写バイアス印加手段と、
該記録材の先端が該対向領域に進入する前までに先端転写バイアスを印加させ、その後、該記録材の該先端領域の後端側が該対向領域に進入する前までに該先端転写バイアスよりも高い通常転写バイアスを印加させるように、上記転写バイアス印加手段を制御する制御手段とを有する画像形成装置において、
上記潜像担持体表面の電位を検出する表面電位検出手段を有し、
上記制御手段は、該表面電位検出手段の検出結果に基づいて、先端転写バイアスを制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5の画像形成装置において、
上記静電潜像形成手段は、上記潜像担持体の画像に対応する表面部分の帯電電位を落として静電潜像を形成するものであり、
上記現像手段は、該潜像担持体表面上の静電潜像に上記帯電電位と同極性に帯電したトナーを付着させてトナー像化するものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項5または6の画像形成装置において、
上記対向領域で上記記録材の先端領域と対向することになる上記潜像担持体の表面部分であって上記現像手段による現像後の表面部分に対し、帯電電位を落とすように除電処理を施す転写前除電手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1、2、3、4または7いずれかの画像形成装置において、
上記潜像担持体表面に所定の潜像パターンを形成し、該潜像パターンの表面電位を上記表面電位検出手段で検知して、その検知結果に基づいて潜像担持体表面の狙いの未露光部電位を補正し、この補正された狙いの未露光部電位となるように作像条件である帯電手段の帯電バイアスを決定する作像条件決定制御手段を備え、
上記露光量制御手段は、上記表面電位検出手段が検知した該潜像担持体表面の未露光部電位に基づいて転写前除電手段の露光量を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項項1、2、3、4または7いずれかの画像形成装置において、
上記露光量制御手段は、上記表面電位検出手段が検知した該潜像担持体表面の露光部電位に基づいて、転写前除電手段の露光量を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項4乃至7いずれかの画像形成装置において、
上記制御手段は、上記表面電位検出手段が検知した該潜像担持体表面の未露光部電位に基づいて先端転写バイアスを制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項4乃至7いずれかの画像形成装置において、
上記潜像担持体表面に所定の潜像パターンを形成し、該潜像パターンの表面電位を上記表面電位検出手段で検知して、その検知結果に基づいて潜像担持体表面の狙いの未露光部電位を補正し、この補正された狙いの未露光部電位となるように作像条件である帯電手段の帯電バイアスを決定する作像条件決定制御手段を備え、
上記制御手段は、上記表面電位検出手段が検知した該潜像担持体表面の露光部電位に基づいて、先端転写バイアスを制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項9または11の画像形成装置において、
上記表面電位検出手段が検知する該潜像担持体表面の露光部電位が、中間調画像に対応する露光部電位であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項9または11の画像形成装置において、
上記表面電位検出手段が検知する該潜像担持体表面の露光部電位が、ベタ画像に対応する露光部電位であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
請求項1、2、3、4、7、8または9いずれかの画像形成装置において、
上記表面電位検出手段は、上記転写前除電手段による除電後、転写前の潜像担持体表面電位を検知するよう構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項15】
請求項1乃至13いずれかの画像形成装置において、
上記表面電位検出手段は、転写後、一様帯電前の上記潜像担持体表面の潜像担持体表面電位を検知するよう構成したことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−39468(P2010−39468A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−79786(P2009−79786)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】