説明

画像形成装置

【課題】現像剤量の検知対象となる現像剤が収容される画像形成ユニット以外の画像形成ユニットが装着されているか否かに関わらず現像剤量を正確に検知できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成ユニットの装着状態を検知する装着状態検知手段と、各装着状態に対応した現像剤量検知結果の補正値が記録されたテーブルとを備える。装着状態検知手段によって検知した装着状態情報に基づいてテーブルを参照し、現像剤量検知手段によって検知した現像剤量情報を補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体に形成された潜像の現像に使用される乾式粉体の現像剤が収容されている現像剤収容部を少なくとも有していて、装置本体に取り外し可能に装着される複数の画像形成ユニットを備え、記録媒体に対する画像形成を行う画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置には、像担持体として電子写真感光体を用いて画像形成を行う電子写真装置、静電記録誘電体を用いて画像形成を行う静電記録装置、磁気記録磁性体を用いて画像形成を行う磁気記録装置などが含まれる。
【0003】
装置本体に取り外し可能に装着される画像形成ユニットにはプロセスカートリッジ及び現像カートリッジが含まれる。プロセスカートリッジ及び現像カートリッジは画像形成装置の装置本体に取り外し可能に装着されて記録媒体に画像を形成する画像形成プロセスに寄与するものである。
【0004】
像担持体と現像手段とを一体的に有するプロセスカートリッジを一体型と称する。また、像担持体と、現像手段以外のプロセス手段とを一体的に有するプロセスカートリッジを分離型と称する。即ち、現像手段はプロセスカートリッジとは別の現像ユニットとし、この現像ユニットと対となって画像を形成するプロセスカートリッジを分離型と称する。
【0005】
現像カートリッジは、像担持体に現像剤を適用する現像剤担持体と、像担持体に形成された潜像を現像剤担持体によって現像するのに用いられる乾式粉体の現像剤を収容する現像剤収納部と、を有していて、装置本体に取り外し可能に装着するものである。現像カートリッジの場合は、像担持体は分離型のプロセスカートリッジに取り付けられている。或いは、装置本体あるいはカートリッジ支持部材に取り付けられている。
【0006】
プロセスカートリッジ或いは現像カートリッジが装置本体に着脱可能な画像形成装置にあっては、現像剤収容部の現像剤の残量を検知する現像剤量検知手段を具備させて、現像剤が消費された際にはカートリッジを新旧交換しなければならない。
【0007】
現像剤収容部の現像剤量検知方法には、現像剤近傍の電極に振動電圧を印加し、対向する電極の電気的な応答を検知する方法が従来から知られている。この検知方法では、検知用に印加される電圧以外の電圧が干渉することで精度が低下するという問題がある。
【0008】
その解決法として本出願人は先に特許文献1のような方法を提案している。この方法は、検知対象となる現像剤量検知手段に印加されるバイアス以外の画像形成手段に印加されるバイアスによる干渉量を補正するものである。この方法によれば、複数の画像形成手段を有する画像形成装置において、検知対象として選択された現像剤量検知手段の静電容量を検知する際に、装置の大型化やコストアップをすることがない。更に精度の良い現像剤量の検知が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−102084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記技術について検知精度のより一層の向上を図ったものである。その目的は、現像剤量の検知対象となる現像剤が収容される画像形成ユニット以外の画像形成ユニットが装着されているか否かに関わらず現像剤量を正確に検知することができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するための本発明に係る画像形成装置の代表的な構成は、像担持体に形成された潜像の現像に使用される乾式粉体の現像剤が収容されている現像剤収容部を少なくとも有していて、画像形成装置の装置本体に取り外し可能に装着される複数の画像形成ユニットを備え、記録媒体に対する画像形成を行う画像形成装置であって、前記現像剤収容部に収容されている現像剤に電界を印加する少なくとも1組の電極と、前記1組の電極の一方の電極に接続された振動電圧源と、前記現像剤収容部に収容される現像剤の量を前記1組の電極の他方の電極に誘起された電気的な信号によって検知する現像剤量検知手段と、前記複数の各々の画像形成ユニットが装着されているか否かを検知する装着状態検知手段と、制御手段と、を備えた画像形成装置において、前記制御手段は、前記複数の画像形成ユニットの装着状態に対応した現像剤検知結果の補正値が記録されたテーブルを備え、前記装着状態検知手段によって検知した前記複数の画像形成ユニットの装着状態情報に基づいて前記テーブルを参照して前記現像剤量検知手段によって検知した現像剤量情報を補正することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、現像剤量の検知対象となる現像剤が収容される画像形成ユニット以外の画像形成ユニットが装着されているか否かに関わらず現像剤量を正確に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例1の画像形成装置の概略構成図(縦断右側面図)
【図2】カートリッジの交換要領の説明図
【図3】図1における1つの画像形成ユニット部分の拡大図(画像形成動作時)
【図4】図1における1つの画像形成ユニット部分の拡大図(非画像形成時)
【図5】現像容器内のトナー量とトナー供給ローラ内のトナー量の関係図
【図6】制御回路部が実行する、トナー残量検知と補正動作を示すフローチャート
【図7】実施例2の画像形成装置における1つの画像形成ユニット部分の拡大図(画像形成動作時)
【図8】実施例2の画像形成装置における1つの画像形成ユニット部分の拡大図(非画像形成時)
【図9】カートリッジの交換要領の説明図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に図面を参照して、本発明の実施の形態を例示する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施形態に限定する趣旨のものではない。
【0015】
[実施例1]
(1)画像形成装置例の全体的な概略構成及び作像動作
図1は本発明に従う画像形成装置100の一例の概略構成図である。図3は図1における1つの画像形成ユニット部分の拡大図である。装置100は、複数の画像形成ユニット11(11y・11m・11c・11k)が取り外し可能(着脱可能)に装着される、4色フルカラーの電子写真プリンタである。装置100はパソコン・イメージリーダ・ファクシミリ装置等のホスト装置400から制御回路部(制御手段:CPU)200に入力する電気的な画像信号に基づいて記録媒体8に対するカラー画像形成を実行する。
【0016】
記録媒体8は、例えば、用紙、樹脂シート、ラベル等である。制御回路部200は操作部300やホスト装置400との間で各種の電気的情報の授受をすると共に、装置100の画像形成動作を記憶部(メモリ)に記憶させた所定の制御プログラムや参照テーブルに従って統括的に制御する。
【0017】
ここで、以下の説明において、装置100に関して、前側(正面側)とは、装置を開閉するための開閉部材であるドア71を配設した側である。後側とは、それとは反対側である。前後方向とは、装置100の後側から前側に向かう方向(前方向)と、その逆方向(後方向)である。左右とは、装置100を前側から見て左又は右である。左右方向とは、右から左に向かう方向(左方向)とその逆方向(右方向)である。装置本体100Aとは、カートリッジ11及び後述するカートリッジ支持部材(移動部材)としてのカートリッジトレイ60以外の画像形成装置部分である。
【0018】
装置本体100A内には、カートリッジ収納部100Bが設けられている。カートリッジ収納部100Bは、装置本体100A内の後側から前側にかけて、複数の画像形成ユニットとしての複数のプロセスカートリッジ11が配設されている。本実施例においては第1から第4の4つのカートリッジ11(11y・11m・11c・11k)がほぼ水平方向(横方向)に並べられて配設(インライン構成、タンデム型)されている。各カートリッジ11は装置本体100Aのカートリッジ収納部100Bに後述するように取り外し可能に装着されている。
【0019】
本実施例において、各カートリッジ11は一体型のプロセスカートリッジである。即ち、現像剤で現像される潜像が形成される像担持体としての電子写真感光体ドラム1と、ドラム1に作用するプロセス手段としての帯電手段2・現像手段4・クリーニング手段9と、が一体化されたカートリッジである。各カートリッジ11は現像剤収容部としての現像容器13に収容させた乾式粉体の現像剤12(12y・12m・12c・12k)の色が異なるだけで、互いに同様の構成である。
【0020】
本実施例において、帯電手段2は接触帯電ローラである。現像手段4は現像剤12として一成分非磁性トナーを用いた接触現像装置である。以下、現像剤12をトナーと記す。クリーニング手段9はクリーニング部材として弾性ブレード9aを用いたブレードクリーニング装置である。
【0021】
現像装置4は、トナー12を収容している現像剤収容部としての現像容器13、ドラム1に形成された潜像をトナー像として接触現像する現像剤担持体としての現像ローラ14を有する。また、現像ローラ14にトナーを供給(塗布)する現像剤供給部材としてのトナー供給ローラ15、現像ローラ14上のトナーの量を規制するトナー規制ブレード16を有する。
【0022】
ドラム1と帯電ローラ2とクリーニング装置9とが共通の枠体40に一体的に組み付けられて第1のユニット(クリーニングユニット、ドラムユニット)11Aとされている。このユニット11Aの枠体40に対して現像装置4が第2のユニット(現像ユニット)11Bとして揺動可能に組み付けられている。ユニット11Bはユニット11Aに対して揺動手段(不図示)により移動されて、現像ローラ14が図3のようにドラム1に当接した状態である、現像動作を行うための当接位置Aを取り得る。また、現像ローラ14が図4のようにドラム1から離れている状態である、離間位置Bを取り得る。
【0023】
カートリッジ11が装置本体100Aに装着されている状態において、ユニット11Bは装置100の画像形成動作時には当接位置Aに移動されて保持され、また、装置100の非画像形成時には離間位置Bに移動されて保持される。離間位置Bは装置100の非画像形成時に現像ローラ14とドラム1との摺擦によるトナーの劣化やドラム1の磨耗を防ぐために設けられた位置である他、後述するように現像容器13内のトナー量を検知するためにも利用される。
【0024】
第1のカートリッジ11yは、現像容器13にイエロー(y)色のトナー12yが収容されていて、ドラム1面にy色のトナー像を形成する。第2のカートリッジ11mは、現像容器13にマゼンタ(m)色のトナー12mが収容されていて、ドラム1面にm色のトナー像を形成する。第3のカートリッジ11cは、現像容器13にシアン(c)色のトナーTcが収容されていて、ドラム1面にc色のトナー像を形成する。第4のカートリッジ11kは、現像容器13にブラック(k)色のトナー12kが収容されていて、ドラム1面にk色のトナー像を形成する。
【0025】
カートリッジ収納部100Bの上方部には、露光装置としてのレーザースキャナユニット3が配設されている。ユニット3は、ホスト装置400から制御回路部200に入力する各色の画像情報に対応して変調したレーザー光Lを出力する。そのレーザー光Lが枠体40の上面側の露光窓40aを通して各カートリッジ11内に進入する。これにより、ドラム1の表面にレーザー走査露光がなされる。
【0026】
カートリッジ収納部100Bの下方部には中間転写ベルトユニット6が配置されている。このユニット6はエンドレスベルト6aを有する。ベルト6aは、最終の記録媒体(以下、用紙と記す)8に画像を形成するために、各カートリッジ11のドラム1と接触する中間転写体(中間転写ベルト:中間記録媒体)である。ベルト6aは、誘電体製で、可撓性を有する。ベルト6aの内側には、ベルト6aを張設して循環移動させる駆動ローラ6b・ターンローラ6c・テンションローラ6dが設けられている。
【0027】
駆動ローラ6bは装置本体100A内の前側に配設されている。ターンローラ6cとテンションローラ6dは装置本体100A内の後側に配設されている。各カートリッジ11のドラム1の下面はベルト6aの上行側ベルト部分の上面に接して1次転写ニップ部N1を形成している。ベルト6aの内側には、4個の1次転写ローラ5が配設されている。1次転写ローラ5は、ベルト6aの上行側ベルト部分を介して各カートリッジ11のドラム1に対向している。ターンローラ6cには、ベルト6aを介して2次転写ローラ7が当接して2次転写ニップ部N2を形成している。
【0028】
ユニット6の下方部には、用紙カセット30が配設されている。装置本体100A内の後側の上部には、定着装置10と、排出ローラ対31及び排出口32が配設されている。装置本体100Aの上面には排紙トレイ33が設けられている。
【0029】
カートリッジ収納部100Bに収容されている各カートリッジ11は、第1のユニット11Aが押圧手段(不図示)により装置本体100A側の位置決め部(不図示)に押し付けられて位置決め固定されている。また、各カートリッジ11の駆動入力部(不図示)に対して装置本体100A側の駆動出力部(不図示)が結合している。また、各カートリッジ11の各種電気接点aに対して装置本体100A側の対応する各種電気接点bが導通している。
【0030】
フルカラー画像を形成するための動作は次のとおりである。第1乃至第4の各カートリッジ11において、第2のユニット11Bは前記のように画像形成動作時には当接位置A(図3)に移動されて保持され、非画像形成時には離間位置B(図4)に移動されて保持される。ドラム1は矢印の反時計回りに所定の制御速度で回転駆動される。ベルト6aも矢印の時計回り(ドラム回転に順方向)にドラム1の速度に対応した速度で回転駆動される。スキャナユニット3も駆動される。
【0031】
この駆動に同期して、各カートリッジ11においてそれぞれ所定の制御タイミングで帯電ローラ2がドラム1の表面を所定の極性・電位に一様に帯電する。帯電ローラ2には電源部22から所定の帯電バイアスが印加される。ユニット3は各ドラム1の表面を各色の画像信号に応じて変調されたレーザー光Lで走査露光する。これにより、各ドラム1の表面に対応色の画像信号に応じた静電潜像が形成される。
【0032】
形成された静電潜像は対応色の現像装置4の現像ローラ14によりトナー像として現像される。現像ローラ14には制御回路部200によりスイッチSWが接点c側に切り替えられることで電源部50から所定の現像バイアスが印加される。また、各1次転写ローラ5には電源部35から所定の制御タイミングにて所定の1次転写バイアスが印加される。
【0033】
上記のような電子写真画像形成プロセス動作により、第1のカートリッジ11yのドラム1にはフルカラー画像のイエロー成分に対応するy色のトナー像が形成される。そして、そのトナー像が一次転写ニップ部N1においてベルト6a上に1次転写バイアスと1次転写圧により1次転写される。第2のカートリッジ11mのドラム1にはフルカラー画像のマゼンタ成分に対応するm色のトナー像が形成される。そして、そのトナー像が一次転写ニップ部N1において、ベルト6a上にすでに転写されているy色のトナー像に重畳されて1次転写バイアスと1次転写圧により1次転写される。
【0034】
また、第3のカートリッジ11cのドラム1にはフルカラー画像のシアン成分に対応するc色のトナー像が形成される。そして、そのトナー像が一次転写ニップ部N1において、ベルト6a上にすでに転写されているy色+m色のトナー像に重畳されて1次転写バイアスと1次転写圧により1次転写される。第4のカートリッジ11kのドラム1にはフルカラー画像のブラック成分に対応するk色のトナー像が形成される。そのトナー像が一次転写ニップ部N1において、ベルト6a上にすでに転写されているy色+m色+c色のトナー像に重畳されて1次転写バイアスと1次転写圧により1次転写される。
【0035】
かくして、ベルト6a上にy色+m色+c色+k色の4色フルカラーの未定着現像剤像が合成形成される。各カートリッジ11において、ベルト6aに対するトナー像の1次転写後のドラム1面に残留した転写残トナーはクリーニング装置9により除去され、ドラム1は再び帯電から始まる作像に供される。
【0036】
一方、所定の制御タイミングで給送ローラ36が駆動される。これにより、用紙カセット30に積載収納されている用紙8がローラ36と分離ローラ37との協働で1枚分離給送されて、搬送路38、レジストローラ39を通って2次転写ニップ部N2に導入される。2次転写ローラ7には電源部(不図示)から所定の制御タイミングにて所定の2次転写バイアスが印加される。これにより、用紙8が該ニップ部を挟持搬送されていく過程でベルト6a上の4色重畳のトナー像が用紙8の面に順次に2次転写バイアスと2次転写圧により一括2次転写される。
【0037】
用紙8はベルト6aの面から分離されて定着装置10へ導入され、定着ローラ(熱ローラ)と加圧ローラとの圧接部である定着ニップ部で挟持搬送されて加熱・加圧される。これにより、各色トナー像の混色及び用紙8への定着がなされる。そして、用紙8は定着装置10を出て、フルカラー画像形成物として排出ローラ対13・排出口32により排紙トレイ33上に排出される。
【0038】
用紙分離後のベルト6aの表面に残留した2次転写残トナーは、本実施例の場合は、例えば第1のカートリッジ11の1次転写ニップ部N1においてドラム1の表面に静電的に付着し、クリーニング装置9にて除去される。ベルト6aに対して専用のベルトクリーニング装置を配設してもよい。
【0039】
(2)現像装置4
本実施例において、現像装置4のトナー12は非磁性1成分の重合トナーであり、現像に際して負極性に帯電される負帯電請求項のトナーである。現像ローラ14は画像形成動作時には第2のユニット11Bが当接位置Aに移動されることでドラム1に接触してドラム1の回転に順方向に所定の速度で回転駆動される。ブレード16はその一端が現像ローラ14に当接している。供給ローラ15は現像ローラ14に接触して現像ローラ14と同方向に所定の速度で回転駆動される。従って、供給ローラ15は、現像ローラ14との当接部においてはお互いが逆方向の速度を持つような方向に回転する。
【0040】
現像ローラ14は、導電性支持体である外径φ6(mm)の芯金電極14aの周囲に、導電剤が配合された半導電性のシリコンゴム層14bが設けられている。更に、シリコンゴム層14bの表層にはウレタン樹脂と粗し粒子をコーティングしており、現像ローラ14全体の外径はφ12(mm)である。この現像ローラ14の抵抗は、以下の方法で測定したときに約10Ωの抵抗を示す。
【0041】
まず、現像ローラ14をφ30mmのアルミのドラムに対して、9.8Nの当接荷重で当接させた。このドラムを回転させることで、現像ローラ14を60rpmで従動回転させた。次にドラムをアースとして、現像ローラ14の芯金電極14aに−50Vの直流電圧を印加し、このときに流れた電流を測定することで現像ローラ14の抵抗を求めた。なお現像ローラ14のシリコンゴム層14bの長手方向の長さは約235mmである。
【0042】
供給ローラ15は、導電性支持体である外径φ5(mm)の芯金電極15aの周囲に、発泡ウレタン層15bが設けられている。発泡ウレタン層15bを含んだトナー供給ローラ15全体の外径はφ13(mm)である。トナー供給ローラ15と現像ローラ14の侵入量は1.2mmである。
【0043】
発泡ウレタン層15bには、この周囲に存在するトナー12の粉圧が作用し、さらに供給ローラ15が回転することで、トナー12が侵入する。トナー12を含んだ供給ローラ15は、現像ローラ14との当接部において現像ローラ14にトナー12を供給し、さらに摺擦することでトナー12に予備的な摩擦帯電電荷を与える。現像ローラ14に供給され電荷を持ったトナー12は、現像ローラ14に強固に付着し、ブレード16に突入する。
【0044】
ブレード16は厚さ80μmのSUSブレードであり、現像ローラ14の回転に逆らう向きに配置されている。このブレード16により、現像ローラ14上のトナー12は均一に規制される。また、ブレード16との摺擦によって所望の摩擦帯電電荷を得る。ブレード16を通過したトナー12はドラム1との当接部で現像に供され、現像されなかったトナー12はトナー供給ローラ15によって剥ぎ取られる。
【0045】
供給ローラ15内のトナーは、現像ローラ14に接触し始めるときに供給ローラ15が変形して一部が吐き出され、接触終了後再び接触し始めるまでの間に充填される。このように、供給ローラ15に対してトナー12は出入りしているが、供給ローラ15内のトナー量は現像容器13内のトナー量が変わらなければ、おおむね平衡状態に保たれる。
【0046】
(3)カートリッジ交換方式
各カートリッジ11は、画像形成に使用されるにつれて、それぞれ、現像装置4の現像容器41に収容されているトナー12が逐次に消費される。そこで、個々のカートリッジ11のトナー残量を検知する手段(現像剤量検知手段)を具備させて、制御回路部200において、検知残量値を、予め設定したカートリッジ寿命予告や寿命警告のための閾値と比較させる。そして、検知残量値が閾値よりも少ない残量値となったカートリッジについては、操作部300の表示部(不図示)或いはホスト装置400の表示部(不図示)に、そのカートリッジについての寿命予告あるいは寿命警告を表示させる。
【0047】
これにより使用者に、交換用のカートリッジの準備を促す、あるいはカートリッジの交換を促して、出力画像の品質を維持するようにしている。本実施例の装置100において、カートリッジ11の交換は、ユーザビリティ向上のために、カートリッジ支持部材としての引き出し式の移動部材60に乗せて、フロントアクセスにより交換する方式である。装置100の前面側には、装置本体100Aにカートリッジ11を挿入させる、及び装置本体100Aからカートリッジ11を取り出すために、カートリッジを通過させるための開口部70が設けられている。
【0048】
そして、この開口部70を閉じる閉鎖位置と、開口部70を開放する開放位置と、の間を移動可能な開閉部材としてのドア71が設けられている。本実施例においては、このドア71はドア下辺側の横軸(ヒンジ軸)71aを中心に立て起し回動させて、図1のように、開口部70を十分に閉じた閉鎖位置に移動させることができる。また、ドア71は、横軸71aを中心に手前側に倒し回動させて、図2のように、開口部70を十分に開放した開放位置に移動させることができる。ドア71の開閉移動は使用者の手動操作によりなされる。
【0049】
装置本体100Aの骨格となるメインフレームの左フレームの内側と右フレームの内側には左右一対のトレイ保持部材としてのレール部材80(図2)が配設されている。左右のレール部材はそれぞれが対向して設けられていて、装置本体100Aの前後方向を長手方向としている。カートリッジ11を乗せる引き出し式の移動部材60(カートリッジトレイ:以下トレイと記す)は枠型部材であり、前枠板と後枠板と左枠板と右枠板とが結合された矩形の大枠部を有する。そして、左右の枠板がそれぞれ左右のレール部材間に支持されている。
【0050】
そして、トレイ60はレール部材に案内されて図2の矢印Xの引き出し方向(装置本体の前方向)と、それとは逆の矢印Yの押し込み方向(装置本体の後方向)とにスライド移動可能である。トレイ60には、その大枠部内に後側から前側にかけて第1乃至第4のカートリッジ11y・11m・11c・11kがそれぞれ長手方向を左右方向にして取り外し可能に装着される4つの装着部60aが形成されている。
【0051】
各カートリッジ11はこのトレイ60にカートリッジの長手方向(ドラム軸線方向)がトレイ60の移動方向と交差する方向になるように並べて支持されている。トレイ60は個々のカートリッジ11をそれぞれ対応する装着部60aに真上に取り出し可能に支持している。また、個々のカートリッジ11をそれぞれ対応する装着部60aに真下に向かって移動させることによって支持する。
【0052】
図1のように閉鎖位置にあるドア71を図2のように開放位置に移動すると、開口部70が開放されてトレイ60の前枠板側が開口部70に露呈した状態になる。また、このドア71の開き移動動作に連動する連動機構(不図示)により、本実施例においては、トレイ60を支持している左右のレール部材80がガイド部材(不図示)に沿って前方と上方とに所定量移動する。このレール部材80の移動に連動して各カートリッジ11の駆動入力部に対する装置本体100A側の駆動出力部(不図示)の結合が解除された状態になる。
【0053】
また、各カートリッジ11の第1のユニット11Aを位置決め固定している加圧部材(不図示)の加圧が解除される。第2のユニット11Bは離間位置Bに保持されている。そして、各カートリッジ11を支持しているトレイ60がレール部材80と共に上方に移動する。これにより、各カートリッジ11が位置決め部(不図示)より浮き上がる。従って、各カートリッジ11のドラム1の下面がベルト6aの上面から離間して非接触状態になる。
【0054】
また、トレイ60を装置本体100Aに係止しているロック部材(不図示)のロック状態が解除される。この状態において、トレイ60は装置本体100A内の内側位置(第一位置:カートリッジ収納部100B)から装置本体100Aの外側の所定の引き出し位置(第二位置)に引き出し可能となる。
【0055】
そこで、使用者が、開口部70に露呈しているトレイ60の前枠板側に設けられている取手部60bに手指を掛けてトレイ60をレール部材80に対して前方向Xに水平にスライド移動させる。そして、図2のように、トレイ60を開口部70から装置本体100Aの外側の所定の引き出し位置まで十分に引き出す。これにより、トレイ60に保持されている第1乃至第4の4つのカートリッジ11y・11m・11c・11kの全体が開口部70を通過して装置本体100Aの外側に露出して、全カートリッジ11の上面が露出する。
【0056】
トレイ60は、所定の引き出し位置まで十分に引き出されると、ストッパー(不図示)によりそれ以上の引き出し移動が阻止される。また、トレイ60は、所定の引き出し位置まで水平に引き出されている状態がレール部材80により安定に保たれている。トレイ60が装置本体100Aの最も外側に引き出された際には、全てのカートリッジ11y・11m・11c・11kが装置本体100Aの外側に出る。従って、使用者が、トレイ60に対してカートリッジ11を交換する際に、交換作業が行い易い。
【0057】
トレイ60は、個々のカートリッジ11をそれぞれ対応する装着部60aに真上に取り出すことができるようにラフに支持している。また、トレイ60は、個々のカートリッジ11をそれぞれ対応する装着部60aに真下に向かって落とし込むことによって支持する。そこで、使用者は、交換すべき使用済みのカートリッジ11を、トレイ60から上方に持ち上げて抜き出す。そして、新しいカートリッジをトレイ60の装着部60aに対して上から嵌め込む。
【0058】
使用者は、トレイ60に対するカートリッジ11の新旧交換をしたら、今度は上記とは逆の手順で、引き出されているトレイ60を、トレイ60を押すことでレール部材80に対して後方向Yに水平にスライド移動させる。トレイ60は、装置本体100A内に所定の内側位置(押し込み位置)100Bまで十分に押し込まれると、ストッパー(不図示)によりそれ以上の押し込み移動が阻止される。そして、開放位置にあるドア71を閉鎖位置に移動する。このドア71の閉じ移動動作に連動する連動機構により、レール部材80が装置本体100A内をガイド部材に沿って後方と下方に所定量戻り移動する。
【0059】
このレール部材80の戻り移動に連動する連動機構により、加圧部材が各カートリッジ11の第1のユニット11Aを加圧する。各カートリッジ11は、加圧部材の加圧力によって、本体位置決め部に位置決め固定される。また、各カートリッジ11の駆動入力部に対する装置本体側の駆動出力部の結合がなされる。また、各カートリッジ11側の電気接点aに対する装置本体側の電気接点bの導通化がなされる。また、ロック部材によりトレイ60が装置本体100Aに対して係止される。
【0060】
これにより、各カートリッジ11の有するドラム1の下面がベルト6aの面に接触状態になって、各カートリッジ11が装置本体100A内における潜像形成位置に装着された図1に示す状態に復帰する。即ち、各カートリッジ11は、カートリッジ収納部100Bに収容される。そして、装置100は、画像形成動作が可能な状態になる。
【0061】
このように通常は、4つの装着部60a全てにカートリッジ11y・11m・11c・11kが装着されていて4色フルカラーの画像形成動作が可能である。しかし、イエロー、マゼンタ、シアンのいずれかのカートリッジ11y・11m・11cが仮に装着されていなくても、ブラックのカートリッジ11kのみでモノクロ印刷することもできる。これはイエロー、マゼンタ、シアンのいずれかカートリッジ11y・11m・11cが寿命を迎えた場合にも、ブラックのカートリッジ11kのみでも印刷を可能とすることで、ユーザビリティーを向上させる目的である。
【0062】
(4)現像剤量検知手段
本実施例において各カートリッジ11の現像容器13内のトナー残量を検知する現像剤量検知手段について説明する。具体的には、現像容器13内に収容されている現像剤(トナー)に電界を印加する少なくとも1組の電極を有する。その1組の電極の一方の電極に接続された振動電圧源を有する。そして、現像容器13内に収容される現像剤の量を前記1組の電極の他方の電極に誘起された電気的な信号によって検知する現像剤量検知手段を有する。
【0063】
本実施例においては、現像剤担持体である現像ローラ14と現像剤供給部材である供給ローラ15とを現像容器13内に収容されている現像剤(トナー)12に電界を印加する少なくとも1組の電極として兼用している。供給ローラ15を一方の電極としてこれに振動電圧減である交流電源17を接続している。そして、制御回路部200が、現像容器13内に収容される現像剤の量を他方の電極としての現像ローラ14に誘起された電気的な信号によって検知する現像剤量検知手段である。
【0064】
図5は本実施例の現像装置4の現像容器13にトナー12を充填し、トナー12を徐々に消費させながら、現像容器13内のトナー量と供給ローラ15内のトナー量を調べたものである。このとき発泡ウレタン層15bに含まれるトナー量は、図5に示すように現像容器13内のトナー量と相関していることが分かる。これは前述のように、供給ローラ15に対するトナー12の出入りに際してトナー12の粉圧が作用しており、この粉圧に対してトナー12の自重の影響が大きいためであると考えられる。
【0065】
トナー量を検知する際は、現像装置4である第2のユニッツト11Bを離間位置B(図4)に移動させて保持させる。即ち、他方の電極である現像ローラ14をドラム1から離間させた状態にする。現像ローラ14、トナー供給ローラ15の回転を停止させる。現像装置4をドラム1から離間させることで、後述のように交流電圧を印加しても、ドラム1にトナー12が転移したり、現像ローラ14とドラム1の間で打撃音が発生することがない。また、供給ローラ15の回転を停止することで、前述のようなトナー12の出し入れが停止され、トナー量を精度良く検知することができる。
【0066】
また、スイッチSWが接点d側に切り替えられる。これにより、現像ローラ14が電源部50側から電流計18側に回路切り替えされる。供給ローラ15の芯金電極15aには交流電源17から、周波数50kHz、Vpp=200Vの交流電圧が印加される。トナー12は空気とは異なる誘電率や抵抗を持つため、供給ローラ15に交流電圧を印加すると、発泡ウレタン層15bが含むトナー12とその周囲のトナー12の量に相関した電流が現像ローラ14に誘起される。電流計18はこの電流量を検知する。電流計18には検知電流量に応じた検知結果を出力する検出器19が接続されている。
【0067】
そして、検出器19から出力される検知結果が制御回路部200の現像剤量検知機能部に入力する。制御回路部200は入力する検知結果に基づいて現像容器13内のトナー量を演算により検知する。なお、供給ローラ15に対する交流電圧の印加電圧の条件、周波数50kHz、Vpp=200Vは、上記例に限定されるものではない。
【0068】
ここで下の表1に、カートリッジ11の4つの装着部60aの全てにカートリッジ11が装着されているときと、イエロー、マゼンタ、シアンのカートリッジのいずれかが装着されていないときの、ブラックのカートリッジ11kのトナー量検知結果に示す。この検知結果は検出器19を通じて得られた値であり、電流そのものではない。ここでは検出器19を介してアナログ/デジタル処理されたデジタル値を用い、その単位をdecと呼ぶことにする。この1decは静電容量で約8pFに相当している。
【0069】
このトナー量検知結果は個々のカートリッジ11が装着されているか否かで検知結果が変化する。特に隣接するシアンカートリッジ11cの影響が大きい。本実施例では、トナー12が満量の状態からトナーアウトまでに変化する検知結果の幅は22decであるが、シアンカートリッジ11cの有無で生じる8decはこれに比較して十分大きいことが分かる。
【0070】
【表1】

【0071】
前述のトナー量検知にあたっては、それぞれのカートリッジ11が装着されているか否かに関わらず、4つのカートリッジ11の装着部60aの全てに対して同時に検知用の電圧を印加している。すなわち、検知対象以外のカートリッジ11の物理的な有無だけでなく、背景技術で示したように、検知対象以外のカートリッジ11に検知用の電圧が印加されたか否かが、検知結果に対して電気的に影響を与えている可能性もある。
【0072】
即ち、周囲の影響が検知精度に影響を与える要因は、この電圧の干渉だけではない。振動電圧を印加する検知方法においては、電極周囲の誘電率や抵抗を検知するために、現像剤の量だけでなく、電極周囲の部材の有無や、相対的な位置関係も検知結果に影響を与える。本実施例のように、複数のカートリッジを備えたカラーの画像形成装置において、ユーザビリティー向上のために、有色(イエロー、マゼンタ、シアン)のカートリッジが寿命を迎えた場合にもブラックのカートリッジのみでも印刷が可能であるような構成がある。
【0073】
このような場合、有色のカートリッジを取り外した状態でブラックのカートリッジの現像剤量を検知すると、有色のカートリッジが装着されていたときの検知結果とは差異が生じる。このように、現像剤量の検知対象となる現像剤が収容される画像形成ユニット以外の画像形成ユニットが、装着されているか否かで、現像剤量の検知結果が異なる。
【0074】
そこで4つのカートリッジ11全てを装着した状態で、特定の装着部の接点を絶縁し、絶縁しなかったときと検知結果を比較した。その結果、絶縁したときとしなかったときの差は±1〜2dec程度しかなかった。つまり前述の8decの差のほとんどは電気的な影響ではなく、検知対象以外のカートリッジ11の物理的な有無で生じていることが分かる。これは、振動電圧を印加することで現像剤量を検知する検知方法において、電極から生じる電気力線が広範囲に広がっており、周囲の部材、特にドラム1やローラの芯金などの導電性部材の影響を強く受けているためと思われる。
【0075】
したがってこのままでは、カートリッジ11の装着状態が変化する場合に、ブラックカートリッジのトナー量を正確に検知することができない。本実施例ではイエロー、マゼンタ、シアンのいずれかが装着されていなくてもブラックは印刷可能であるから、イエロー、マゼンタ、シアンの装着状態に関係なく正確なトナー量が検知されなければならない。
【0076】
そこでまず、表1から全てのカートリッジ11が装着されているときのトナー量検知結果を基準として、様々なカートリッジ11の装着状態におけるトナー量検知結果との差分を求め、下の表2のようなテーブルを作成した。このテーブルは、各装着状態で、カートリッジ11全てが装着されている状態から、トナー量検知結果がどれだけ変化するかを示しており、後述のように検知結果の補正に用いられる。
【0077】
【表2】



【0078】
(5)装着状態検知手段
装着状態検知手段は、前記複数の各カートリッジ11が装置本体100Aに装着されているか否かを検知する手段である。本実施例においては、カートリッジ11の装着状態を検知するために、カートリッジ11が装着された所定の位置において、現像ローラ14とブレード16の間に直流電圧を印加する直流電源20を有する。カートリッジ11が装置本体100Aに装着されると、電気接点a・bによってブレード16は直流電源20に接続される。また、スイッチSWが接点d側に切り替えられる。これにより、現像ローラ14が電源部50側から電流計18側に回路切り替えされる。
【0079】
直流電源20からブレード16を介して現像ローラ14に直流電圧を印加すると、カートリッジ11が装着されていれば、現像ローラ14とブレード16の間に電流が流れる。これにより制御回路部200は電流計18を流れる電流を検出器19を介して検知できることで、カートリッジ11の装着を検知する。カートリッジ11が装着されていなければ電流計18に電流が流れない。これにより制御回路部200はカートリッジ11の非装着を検知する。即ち、制御回路部200は電流計18により個々のカートリッジ11の有無を検知することができる。
【0080】
このカートリッジ11の装着状態検知の際は、現像ローラ14を回転駆動させるとより大きな電流が得られ、装着の検知は容易となる。これは現像ローラ14とブレード16の間に挟まれたトナー12は抵抗層として働くが、現像ローラ14が回転駆動することでトナー12が転動し、ブレード16から現像ローラ14に電荷が移動するためであると考えられる。ここではブレード16に、現像ローラ14に対して−200Vの電圧を印加し、現像ローラ14を回転駆動してカートリッジ11の装着状態を検知した。
【0081】
当然、カートリッジ11の装着状態さえ検知できればよいから、このような電流を検知する方法に限られることはない。
【0082】
そして、前述のトナー量検知を行い、トナー量検知結果を得た。この検知結果に対し、前述表2のテーブルからカートリッジ11の装着状態に応じた検知結果の差分情報を参照し、この値を検知結果から差し引くことで、検知結果を補正した。この補正に適用した差分は、前述のように現装着状態と4つのカートリッジ11全てが装着された状態でのトナー量検知結果の差分である。当然、補正された検知結果は、全てのカートリッジ11が装着されているときと同じ結果を与える。
【0083】
即ち、制御手段である制御回路部200は、複数のカートリッジの装着状態に対応した現像剤検知結果の補正値が記録されたテーブル(表2)を備える。そして、装着状態検知手段によって検知した複数のカートリッジの装着状態情報に基づいて前記テーブルを参照して現像剤量検知手段によって検知した現像剤量情報を補正する。これにより、カートリッジ11の装着状態が様々に変化した場合にも、正確にトナー量を検知することができる。
【0084】
本実施例では、トナー量を検知する際に供給ローラ15を一方の電極として交流電圧を印加したが、現像容器13内に別途アンテナ電極を設け、アンテナ電極に交流電圧を印加してトナー量を検知しても良い。この場合においても、トナー量だけでなく、電極周囲の部材の有無や相対的な位置関係も検知結果に影響を与えるが、本実施例の補正方法を適用することで正確にトナー量を検知することができる。
【0085】
本実施例のトナー量検知と補正動作を、図6のフローチャートを参照して説明する。まず、画像形成装置はスタンバイ状態(ST(ステップ)1)に置かれる。画像形成に際して、前述のようにブレード16に−200Vの電圧を印加しながら現像ローラ14を回転駆動させ(ST2)、現像ローラ14に流れる電流を検知してカートリッジ11の装着状態を検知する(ST3)。
【0086】
全てのカートリッジ11が装着されている場合ST4を選択し、いずれかのカートリッジ11が装着されていない場合ST10を選択する。ST4の系列はフルカラーの画像形成を行い、トナー量検知結果の補正を行わない系列であり、ST10の系列はモノクロの画像形成を行い、トナー量検知結果の補正を行う系列である。
【0087】
画像形成前後にドラム1を予備的に回転させることを、それぞれ、装置100の前回転動作、後回転動作と呼ぶ。ST3のカートリッジ装着状態の検知を前回転動作中に行うのは、トナー量検知の補正だけでなく、画像形成動作をフルカラーにするか、モノクロにするかの判断も行うことができるからである。
【0088】
ST4に移行した場合、4つの現像装置4(第2のユニット11B)をそれぞれドラム1との当接位置Aに移動させ(ST4)、フルカラー画像形成を行う(ST5)。フルカラー画像形成終了後(ST6)は、現像装置4をドラム1からの離間位置Bに移動させ(ST7)、現像ローラ14、トナー供給ローラ15を停止させる(ST8)。そして、前述のように供給ローラ15に周波数50kHz、Vpp=200Vの交流電圧を印加し、現像ローラ14に接続した電流計18の情報を得る検出器19によってトナー量検知結果を得る(ST9)。この検知結果は必要に応じてユーザーに報知される(ST17)。
【0089】
ST10に移行した場合、ブラックの現像装置4のみをドラム1との当接位置Aに移動させ(ST10)、モノクロの画像形成を行う(ST11)。ブラックのみを当接Aさせるのは、装着されているイエロー、マゼンタ、あるいはシアンのトナー12をドラム1との摺擦で不用意に劣化させるのを防ぐためと、白部にかぶりと呼ばれるトナー12の転移を引き起こさないためである。
【0090】
モノクロ画像形成後(ST12)は、ST4の系列と同様に現像装置4をドラム1からの離間位置Bに移動させ(ST13)、現像ローラ14、供給ローラ15を停止させる(ST14)。そしてST4の系列と同様にトナー供給ローラ15に周波数50kHz、Vpp=200Vの交流電圧を印加し、現像ローラ14に接続した電流計18の情報を得る検出器19によってトナー量検知結果を得る(ST15)。
【0091】
このST10の系列ではイエロー、マゼンタ、シアンのいずれかのカートリッジ11が装着されていないので、その装着状態でのトナー量検知結果の補正値をテーブルから参照し、トナー量検知結果を補正する(ST16)。この検知結果は必要に応じてユーザーに報知される(ST17)。
【0092】
以上の動作を繰り返すことで、カートリッジ11の装着状態が様々に変化しても、正確にトナー量を検知することができる。
【0093】
本実施例ではトナー量検知と検知結果の補正を後回転動作中に行ったが、このタイミングに限定されることはなく、例えば前回転動作中などに行っても良い。また、トナー量検知を実施する間隔も、毎後回転動作中でなくとも、例えば所定枚数印字後などに行っても良い。
【0094】
以上のように、現像剤量の検知対象となる現像剤が収容される画像形成ユニット以外の画像形成ユニットが、装着されているか否かに関わらず現像剤量を正確に検知することができる。
【0095】
[実施例2]
図7乃至図9は第2の実施例の説明図である。本実施例においては、実施例1の画像形成装置100における第1乃至第4の一体型のプロセスカートリッジ11y・11m・11c・11kを分離型のプロセスカートリッジにしたものである。その他の装置構成は実施例1の画像形成装置100とほぼ同様の構成である。図7は図3に、図8は図4に、図9は図2に、それぞれ対応している。
【0096】
各カートリッジ11y・11m・11c・11kは、それぞれ独立した第1のユニット11Aと第2のユニット11Bの2つのユニットとして構成されている。本実施例において、第1のユニット11Aは、ドラム1と、帯電ローラ2と、クリーニング装置9とが一体として構成され、装置本体100Aに取り外し可能に装着されるユニット(以下、クリーニングユニットと記す)である。第2のユニット11Bは現像装置4であり、これを装置本体100Aに取り外し可能に装着する現像ユニットである。
【0097】
第2のユニット11Bである現像装置4が、現像剤収容部である現像容器13と、トナー12を担持してドラム1に供給する現像剤担持体としての現像ローラ14と、ドラム1にトナー12を供給する現像剤供給部材としての供給ローラ15と、を有する。
【0098】
クリーニングユニット11Aと現像装置4(11B)は、装置本体100Aに対して、それぞれ独立に着脱可能になっている。これは、トナー量やトナー12、現像ローラ14の劣化で決まる現像装置4の寿命と、ドラム1の磨耗や回収されたトナー量などで決まるクリーニングユニット11Aの寿命が異なるためである。現像装置4とクリーニングユニット11Aを独立に交換可能とすることで、それぞれのユニットを寿命まで使うことができ、資源の無駄使いを防いだり、コストを削減するメリットを産むことができる。
【0099】
前記実施例1では、イエロー、マゼンタ、シアンのカートリッジのいずれかが仮に装着されていなくても、ブラックのカートリッジ11kみでモノクロ印刷することもできた。これはイエロー、マゼンタ、シアンのカートリッジのいずれかが寿命を迎えた場合にも、ブラックのカートリッジのみでも印刷を可能とすることで、ユーザビリティーを向上させる目的であった。同様に本実施例2でも、ブラック以外のいずれかの現像装置4あるいはクリーニングユニット11Aが寿命を迎え、取り外されていた場合にも、ブラックのみでモノクロ印刷をすることができる。
【0100】
前記実施例1では、イエロー、マゼンタ、シアンのカートリッジ11がそれぞれ装着されているか否かでブラックのカートリッジのトナー量検知結果が変化した。本実施例2においては、イエロー、マゼンタ、シアンそれぞれの現像装置4あるいはクリーニングユニット11Aが装着されているか否かという装着状態が生じる。そして、各装着状態で、ブラックのトナー量検知結果は異なる値を与える。したがってこのままでは、それぞれの現像装置4あるいはクリーニングユニット11Aの装着状態が変化する場合に、ブラックのトナー量を正確に検知することができない。
【0101】
本実施例2ではイエロー、マゼンタ、シアンの現像装置4あるいはクリーニングユニット11Aいずれかが装着されていなくてもブラックは印刷可能であるから、これらの装着状態に関係なく正確なトナー量が検知されなければならない。
【0102】
そこでまず、全ての現像装置4とクリーニングユニット11Aが装着されているときのブラックのトナー量検知結果を基準として、各装着状態におけるブラックのトナー量検知結果との差分を求め、実施例1の表2と同様なテーブルを作成した。このテーブルは、各装着状態で、各現像装置4とクリーニングユニット11Aが全て装着されている状態から、トナー量検知結果がどれだけ変化するかを示しており、後述のように検知結果の補正に用いられる。
【0103】
次に、各現像装置4の装着状態を検知するために、現像装置4が装着された所定の位置において、現像ローラ14とトナーブレード16の間に直流電圧を印加する直流電源20と、このときに流れる電流を検知する電流計18を用意した。この現像装置4の装着状態検知は、実施例1に示したカートリッジ11の装着状態検知と同様の方法である。ブレード16に、現像ローラ14に対して−200Vの電圧を印加し、現像ローラ14を回転駆動したときに流れる電流によって現像装置4の有無を検知した。
【0104】
さらに、クリーニングユニット11Aの装着状態を検知するために、クリーニングユニット11Aが装着された所定の位置において、帯電ローラ2に直流電圧を印加する直流電源22と、このときに流れる電流を検知する電流計23を用意した。クリーニングユニット11Aが装着されると、接点a・bによって帯電ローラ2は直流電源22と接続される。この直流電源22は、装置100の画像形成動作時にドラム1を帯電するために使用される直流電源22と共通であり、帯電ローラ2に、ドラム1に対して−1000Vの電圧を印加する。
【0105】
電圧が印加された状態でドラム1を回転させると、帯電ローラ2とドラム1の間に放電が発生し、電流が流れる。クリーニングユニット11Aが装着されていなければ電流は流れないため、この電流を検知することでクリーニングユニット11Aの有無を検知することができる。
【0106】
このように、各現像装置4あるいはクリーニングユニット11Aに流れる電流を検知することで、これらの装着状態を検知することができる。ただし、各現像装置4あるいはクリーニングユニット11Aの装着状態さえ検知できればよいから、このような電流を検知する方法に限られることはない。
【0107】
そしてトナー量検知を行い、トナー量検知結果を得た。この検知結果に対し、前述のテーブルから各現像装置4あるいはクリーニングユニット11Aの装着状態に応じた検知結果の差分情報を参照し、この値を検知結果から差し引くことで検知結果を補正した。
【0108】
この補正に適用した差分は、前述のように現装着状態と全ての現像装置4とクリーニングユニット11Aが装着された状態でのトナー量検知結果の差分である。当然、補正された検知結果は、全ての現像装置4とクリーニングユニット11Aが装着されているときと同じ結果を与える。したがって、現像装置4とクリーニングユニット11Aの装着状態が様々に変化した場合にも、正確にトナー量を検知することができる。
【0109】
本実施例2においても、現像容器13内に別途アンテナ電極を設け、アンテナ電極に交流電圧を印加してトナー量を検知しても良い。この場合においても、トナー量だけでなく、電極周囲の部材の有無や相対的な位置関係も検知結果に影響を与えるが、本実施例の補正方法を適用することで正確にトナー量を検知することができる。
【0110】
本実施例のトナー量検知と補正動作の実施順序は、実施例1で示した図6のフローチャートと同様である。現像装置4とクリーニングユニット11Aの装着状態検知も、前回転動作中に行うと画像形成動作をフルカラーにするか、モノクロにするかの判断も行うことができるため都合が良い。本実施例ではトナー量検知と検知結果の補正を後回転動作中に行ったが、このタイミングに限定されることはなく、例えば前回転動作中などに行っても良い。また、トナー量検知を実施する間隔も、毎後回転動作中でなくとも、例えば所定枚数印字後などに行っても良い。
【0111】
以上のように、現像剤量の検知対象となる現像剤が収容される画像形成ユニット以外の画像形成ユニットが、装着されているか否かに関わらず現像剤量を正確に検知することができる。
【0112】
[その他の構成]
1)画像形成装置は電子写真画像形成装置に限られない。像担持体と、像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、潜像を乾式粉体現像剤で現像する現像手段と、を有する画像形成装置であればよい。潜像が形成される像担持体の代表例としては電子写真画像形成方式における感光体以外にも、静電記録画像形成方式における誘電体や磁気記録画像形成方式における磁性体などが挙げられる。
【0113】
画像形成装置には転写方式或いは直接方式の複写機、プリンタ、ファクシミリ装置、ワードプロセッサ、それ等の機能を兼ね備える複合機、ワークステーション等の出力機器が含まれる。転写方式は像担持体に形成された現像剤像を記録媒体(記録材)に転写して又は中間転写体を介して記録媒体に転写して記録媒体に画像を形成する方式である。直接方式は像担持体を直接記録媒体として画像を形成する方式である。また、画像形成装置には、記録媒体としての画像表示部材に画像を形成して表示部に表示する電子黒板装置などの画像表示装置(ディスプレイ装置)も含まれる。
【符号の説明】
【0114】
1・・像担持体、12・・現像剤、13・・現像剤収容部、100・・画像形成装置、100A・・装置本体、11y・11m・11c・11k・・複数の画像形成ユニット、8・・記録媒体、14・15・・1組の電極(現像剤担持体、現像剤供給部材)、17・・振動電圧源、18・19・200・・現像剤量検知手段、20・16・18・19・200・・装着状態検知手段、200・・制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体に形成された潜像の現像に使用される乾式粉体の現像剤が収容されている現像剤収容部を少なくとも有していて、画像形成装置の装置本体に取り外し可能に装着される複数の画像形成ユニットを備え、記録媒体に対する画像形成を行う画像形成装置であって、前記現像剤収容部に収容されている現像剤に電界を印加する少なくとも1組の電極と、前記1組の電極の一方の電極に接続された振動電圧源と、前記現像剤収容部に収容される現像剤の量を前記1組の電極の他方の電極に誘起された電気的な信号によって検知する現像剤量検知手段と、前記複数の各々の画像形成ユニットが装着されているか否かを検知する装着状態検知手段と、制御手段と、を備えた画像形成装置において、
前記制御手段は、前記複数の画像形成ユニットの装着状態に対応した現像剤検知結果の補正値が記録されたテーブルを備え、前記装着状態検知手段によって検知した前記複数の画像形成ユニットの装着状態情報に基づいて前記テーブルを参照して前記現像剤量検知手段によって検知した現像剤量情報を補正することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成ユニットが、少なくとも、前記像担持体と、前記潜像を前記現像剤により現像する現像手段と、が一体化されて前記装置本体に取り外し可能に装着される一体型のプロセスカートリッジであり、前記現像手段が、前記現像剤収容部と、現像剤を担持して前記像担持体に供給する現像剤担持体と、前記現像剤担持体に現像剤を供給する現像剤供給部材と、を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成ユニットが、前記像担持体を有し前記装置本体に取り外し可能に装着される第1のユニットと、前記像担持体に形成された潜像を前記現像剤により現像する現像手段を有し前記装置本体に取り外し可能に装着される第2のユニットと、から構成されている分離型のプロセスカートリッジであり、前記第2のユニットが、前記現像剤収容部と、現像剤を担持して前記像担持体に供給する現像剤担持体と、前記現像剤担持体に現像剤を供給する現像剤供給部材と、を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記現像剤担持体と前記現像剤供給部材とを前記現像剤収容部に収容されている現像剤に電界を印加する前記1組の電極に兼用させたことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−108174(P2012−108174A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−254624(P2010−254624)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】