説明

画像形成装置

【課題】色ずれ調整時に、初期調整位置から最も離れた色の露光走査線の影響を排除しつつ色ずれ調整を行うことで、常に初期調整位置に近い位置での色ずれ調整を可能とする。
【解決手段】露光走査線の色間のずれ量の調整時、制御部101は、検出手段107a,107bにより検出された各色に対する調整用パターンの主走査方向に直交する副走査方向のずれ量に基づき、各色に対応した露光走査線の主走査方向に対する傾き量を算出してその平均値を求め、求めた平均値に最も近い傾き量の色を基準として、その色の傾き量に対するその他の色の相対傾き量を算出し、算出した他の色の相対傾き量が許容値内に入るように、各色の露光走査線の傾き調整量を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、複合機、プリンタ装置などの画像形成装置に係り、より詳細には、感光体表面を走査する光ビームの露光走査線の各色間のずれ量を調整する調整機構を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般的に行われている露光走査線の傾きを含む色間のずれ量の調整は、基準とする色に対する相対的なずれ量を検知し、基準とする色の露光走査線に一致するように他の色のずれ量調整を行うようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、光源と、該光源から出射した光ビームを偏向する偏向手段と、前記光ビームを被走査面に走査して走査線(以下、露光走査線ともいう。)を形成するため少なくとも前記主走査方向に直交する方向にパワーを有する長尺形状の光学素子を有する走査結像手段と、前記光学素子に設けられた走査線傾き補正手段と、走査線形状(曲がり)を補正する走査線形状補正手段と、前記被走査面を形成する感光体と、を少なくとも有する画像形成のためのステーションを少なくとも2個有し、さらに該各ステーションにて形成された画像を重ね転写する転写ベルトと、該転写ベルト上の両端近傍に各ステーションに対応する検知用のトナー像を形成するトナー像形成手段を有するタンデム型の画像形成装置において、形成された前記検知用トナー像による、各ステーションに対応する走査線の光走査開始位置及び終了位置の副走査方向の相対的なずれ量の検出結果に基づき、前記転写ベルト上に重ね合わされた各ステーションに対応したトナー像間の、転写ベルトの搬送方向のずれ量が小さくなるように、前記転写ベルトに対する転写開始位置のずらし量を決定し、決定されたずらし量に基づいて転写開始位置をずらすずらし手段と、を備えた画像形成装置が記載されている。
【0004】
特許文献1記載の画像形成装置によれば、転写ベルトの検知用トナー像から各色の色ずれ量を検出し、その検出結果に基いて走査線の傾きを補正しているが、この場合、基準となる色ステーション(実施形態ではブラック(K)となっている。)に対して他のステーション(Y,M,C)を合わせるように補正している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−168240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
通常、感光体表面を走査する光ビームの露光走査線については、生産時(工場出荷時)に、各色に対応した光学レンズを動かして微調整することで、各色間のずれ量が予め調整されている。
【0007】
しかし、出荷後やその後の稼動によって、各色の露光走査線に微妙なずれが生じる場合があるため、装置の性能を維持するために、出荷後も一定期間ごとに露光走査線のずれ量の調整を行っている。この調整は、各色の光学レンズを動かして微調整することによって行っているが、その調整手法は、手動調整でもよいし、自動調整でもよい。
【0008】
この場合、何らかの原因で一つの色の露光走査線が最初の調整位置(初期生産時の調整位置:以下、初期調整位置ともいう。)から大きくずれることはあっても、全ての色の露光走査線が初期調整位置から大きくずれる可能性は極めて低くい。従って、一つの色の露光走査線が、何らかの原因で初期調整位置から大きくずれたとしても、他の色の露光走査線はほぼ初期調整位置の近傍に位置している場合が多い。
【0009】
このような場合において、上記した特許文献1記載の画像形成装置による走査線(露光走査線)の傾き補正を適用した場合、基準となる色ステーションを仮にブラック(K)とすると、そのブラック(K)の露光走査線が初期調整位置から大きくずれた場合には、他の色(Y,M,C)の露光走査線を、初期調整位置から大きくずれたブラック(K)の露光走査線に合わせることになるため、各色間の色ずれは解消されるものの、印刷される画像は正確な矩形状の(角が直角の)画像ではなく、若干斜めに歪んだ(傾斜した)画像となってしまうといった問題が発生する。
【0010】
つまり、調整の基準となるブラック(K)の露光走査線がどんどんずれた場合、ずれ量を調整するたびに、画像歪みが増大していく可能性があった。
【0011】
この問題は、色ずれを調整する基準となる露光走査線を、各色の中の一つの色の露光走査線に決めてしまうことにより発生する。逆に言えば、基準となる露光走査線を何れかの色に固定しなければ、色ずれ調整後の画像歪みといった二次的な問題は発生しない可能性が高い。さらに言えば、色ずれ調整時に、初期調整位置から最も離れた色の露光走査線の影響を極力排除して色ずれ調整ができれば、色ずれ調整後の画像歪みの問題もほとんど発生しないと言える。
【0012】
また、このような色ずれの発生は、上記したように、色ずれを調整するために、光学レンズを動かせるような構造としていることにも起因している。また、光学レンズだけでなく、光源から感光体表面までの光ビームの走査経路は長く、その間に配置されている反射ミラー等も微妙にずれる可能性があるため、これらの要因が相まって各色間の露光走査線の色ずれが発生する。
【0013】
このように、色ずれが発生する原因は、出荷後の稼動による振動や経年変化等によって、光学レンズや反射ミラー等が微妙にずれるためであるが、稼動による振動や経年変化等によってもほとんどずれない部材もある。
【0014】
画像形成装置は、各色に対応した複数の光源からの光ビームを偏光する偏光手段と、偏光された複数の光ビームをそれぞれに対応して設けられた感光体の表面に走査して主走査方向に露光走査線を形成する複数の光学レンズを有する光走査手段と、複数の光学レンズにそ00れぞれ設けられた走査線傾き調整手段と、走査によって感光体表面の主走査方向の両端部に形成された調整用パターンを転写体上に転写する転写手段と、転写された調整用パターンのずれ量を検出する検出手段とを備え、検出手段の検出結果に基づいて露光走査線の色間のずれ量を調整するようになっている。
【0015】
そてし、検出手段である検出センサは、光学走査ユニットのフレーム等にねじやビス等によって強固に固定されているため、転写体に対する検出センサの位置がずれることはほとんどない。この検出センサは、転写体である中間転写ベルトの搬送方向に直交する方向(上記の主走査方向)に沿って、画像形成領域外の両端部にそれぞれ配置されており、転写ベルトの画像形成領域外の両端部に形成された調整用パターンを検出するものである。
【0016】
この検出センサの搬送方向(以下、副走査方向ともいう。)の取り付け位置は、取り付け誤差等によって、生産段階で若干生じる場合があるが、上記したようにこれら検出センサはフレーム等に強固に固定されているため、この取り付け誤差が出荷後の稼動によって変化するということはほとんどない。
【0017】
一方、生産時の露光走査線の各色間のずれ量調整は、検出センサにより検出された各色に対する調整用パターンの副走査方向のずれ量に基づいて、各色に対応した露光走査線の主走査方向に対するずれ量を算出するようになっている。すなわち、露光走査線のずれ量の算出には、検出センサの副走査方向の物理的なずれ量が加味されることになる。そして、この検出センサの副走査方向の物理的なずれ量は出荷後もほとんど変化しないことに鑑みれば、この検出センサの副走査方向の物理的なずれ量を基準として各色に対応した露光走査線の主走査方向に対するずれ量を調整することで、各色の露光走査線をほぼ初期調整位置に調整することが可能である。すなわち、上記特許文献1記載の画像形成装置のように、いずれか一つの色の露光走査線を基準とする必要が無いことから、色ずれ調整後の画像歪みといった二次的な問題は発生しない。さらに言えば、色ずれ調整時に、初期調整位置から最も離れた色の露光走査線も、初期調整位置に近づけるように色ずれ調整を行うことができる。
【0018】
本発明はかかる実情に鑑みて創案されたものであり、その目的は、色ずれ調整時に、初期調整位置から最も離れた色の露光走査線の影響を排除しつつ色ずれ調整を行うことで、常に初期調整位置に近い位置での色ずれ調整を行うことのできる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決するため、本発明の画像形成装置は、各色に対応した複数の光源からの光ビームを偏光する偏光手段と、偏光された複数の光ビームをそれぞれに対応して設けられた感光体の表面に走査して主走査方向に露光走査線を形成する複数の光学レンズを有する光走査手段と、前記複数の光学レンズにそれぞれ設けられた走査線傾き調整手段と、前記走査によって前記感光体の表面の前記主走査方向の両端部に形成された調整用パターンを転写体上に転写する転写手段と、転写された前記調整用パターンのずれ量を検出する検出手段とを備え、前記検出手段の検出結果に基づいて前記露光走査線の色間のずれ量を調整する画像形成装置であって、前記露光走査線の色間のずれ量の調整時、前記検出手段により検出された各色に対する前記調整用パターンの前記主走査方向に直交する副走査方向のずれ量に基づき、各色に対応した前記露光走査線の前記主走査方向に対する傾き量を算出してその平均値を求め、求めた平均値に最も近い傾き量の色を基準として、その色の傾き量に対するその他の色の相対傾き量を算出する第1算出手段をさらに備え、前記第1算出手段によって算出された前記他の色の相対傾き量が許容値内に入るように前記走査線傾き調整手段の各色の傾き調整量を決定することを特徴としている。
【0020】
出荷時に調整された露光走査線の傾きは何らかの要因で変動する場合があるが、この場合でも全色の露光走査線の位置が一斉に変動することは確率的に稀であり、ある特定の色のみが突発的な要因で変動することが多い。従って、その他の色は変動せず比較的初期調整位置に近接した位置に留まっている可能性が高いと考えられる。従って、本発明のように、各色の主走査方向に対する傾き量の平均値に最も近い色を基準として、他の色の露光走査線の傾きをこの基準色の露光走査線に合わせるように調整することにより、大きく変動した色の露光走査線も、初期調整位置に近い色の露光走査線に合わせるように傾き調整されるため、全ての色の露光走査線を、初期生産時の調整状態に近い状態で維持することができる。
【0021】
すなわち、本発明の特徴は、各色の露光走査線の傾き量を算出した後、基準色を一つの色(例えばブラック(K))に固定せず、各色の傾き量の平均値にもっとも近い傾き量である色を基準色として、その他の色の傾きを調整する点にある。
【0022】
この場合、各色の傾きの平均値の算出は、各色に対応した前記露光走査線の前記主走査方向に対する傾き量から、最大値の傾き量を除いた残りの傾き量で算出するように構成してもよい。このように、最大値の傾き量を除いた残りの傾き量で平均値を算出することで、初期調整位置から大きく外れた色の傾き量を除外することができる。すなわち、初期調整位置に近いものだけが選択されることになるので、初期調整位置により近づけるように傾き調整を行うことができる。
【0023】
また、本発明によれば、前記走査線傾き調整手段は、前記光学レンズの前記主走査方向の一端部を回動支点として前記主走査方向の他端部側を回動する回動機構部を備えており、前記決定された傾き調整量だけ前記他端部側を回動するように、前記回動機構部が駆動されることによって、前記露光走査線の各色間の前記主走査方向に対する傾き量が調整される構成としている。このように、光学レンズの一端部を回動支点として他端部側を回動させることで、傾き調整を容易に行うことができる。
【0024】
また、本発明によれば、前記露光走査線の色間の傾き調整は、前記他の色の相対傾き量が前記許容値内に入るまで繰り返し行う構成としてもよい。最近の画像形成装置は調整機能についてもその精度が向上していることから、1回の調整で十分に許容値内に入るように調整することが可能であるが、何らかの要因で1回の調整では不十分であった場合には、繰り返し調整することで、他の色の相対傾き量が確実に許容値内に入るように調整することができる。
【0025】
また、本発明の画像形成装置は、各色に対応した複数の光源からの光ビームを偏光する偏光手段と、偏光された複数の光ビームをそれぞれに対応して設けられた感光体の表面に走査して主走査方向に露光走査線を形成する複数の光学レンズを有する光走査手段と、前記複数の光学レンズにそれぞれ設けられた走査線傾き調整手段と、前記走査によって前記感光体表面の前記主走査方向の両端部に形成された調整用パターンを転写体上に転写する転写手段と、転写された前記調整用パターンのずれ量を検出する検出手段とを備え、前記検出手段の検出結果に基づいて前記露光走査線の色間のずれ量を調整する画像形成装置であって、生産時に前記検出手段により検出された前記調整用パターンの前記主走査方向に直交する副走査方向のずれ量に基づいて前記露光走査線の前記主走査方向に対する傾き量を算出し、その傾き量を生産時基準の傾き量として予めメモリに記憶し、前記露光走査線の色間のずれ量調整時、前記検出手段により検出された各色に対する前記調整用パターンの前記副走査方向のずれ量に基づいて各色に対応した前記露光走査線の前記主走査方向に対する傾き量を算出する第1算出手段をさらに備え、前記第1算出手段によって算出された前記各色の傾き量が前記メモリに記憶されている前記生産時基準の傾き量の許容値内に入るように前記走査線傾き調整手段の各色の傾き調整量を決定することを特徴としている。
【0026】
上記したように、光学レンズは、元々、若干回動できるようにして装置内に配置されているため、露光走査線の傾きがずれる要因を元々含んでいるが、調整用パターンを検出する検出手段は、フレーム等に強固に固定されているため、取り付け位置(副走査方向の物理的なずれ量)が出荷後の稼動によって変化することはほとんどない。そして、露光走査線のずれ量の算出には、検出手段の副走査方向の物理的なずれ量が加味されることに鑑みれば、本発明のように、この検出手段の副走査方向の物理的なずれ量を基準として各色に対応した露光走査線の主走査方向に対するずれ量を調整することで、各色の露光走査線をほぼ初期調整位置に調整することが可能となる。すなわち、いずれか一つの色の露光走査線を基準とする必要が無いことから、色ずれ調整後の画像歪みといった二次的な問題は発生しない。さらに言えば、色ずれ調整時に、初期調整位置から最も離れた色の露光走査線も、初期調整位置に近づけるように色ずれ調整を行うことができる。
【0027】
また、本発明によれば、前記走査線傾き調整手段は、前記光学レンズの前記主走査方向の一端部を回動支点として前記主走査方向の他端部側を回動する回動機構部を備えており、前記決定された傾き調整量だけ前記他端部側を回動するように、前記回動機構部が駆動されることによって、前記露光走査線の各色間の前記主走査方向に対する傾き量が調整される構成としている。このように、光学レンズの一端部を回動支点として他端部側を回動させることで、傾き調整を容易に行うことができる。
【0028】
また、本発明によれば、前記露光走査線の色間の傾き調整は、前記各色の傾き量が前記生産時基準の傾き量の許容値内に入るまで繰り返し行う構成としてもよい。最近の画像形成装置は調整機能についてもその精度が向上していることから、1回の調整で十分に許容値内に入るように調整することが可能であるが、何らかの要因で1回の調整では不十分であった場合には、繰り返し調整することで、各色の傾き量が確実に生産時基準の傾き量の許容値内に入るように調整することができる。
【0029】
また、本発明によれば、前記走査線傾き調整手段は、ステッピングモータによって前記回動機構部を駆動することにより前記他端部側を回動する構成としてもよい。このように、ステッピングモータによる回動制御とすることで、傾き調整を自動化することができる。
【0030】
また、本発明の画像形成装置は、前記傾き調整後、前記検出手段により検出された各色に対応した前記調整用パターンに基づき、各色に対応した前記露光走査線の前記主走査方向及び前記副走査方向のずれ量を算出する第2算出手段をさらに備え、前記第2算出手段により算出された前記ずれ量を無くすように、各色の前記主走査方向及び前記副走査方向の印字タイミングを調整するように構成してもよい。
【0031】
傾き調整のために光学レンズを動かすことで、感光体表面の露光走査線の位置が、主走査方向と副走査方向にもずれる(すなわち、露光走査線の全体が主走査方向と副走査方向に若干平行移動してしまう)可能性がある。そのため、傾きだけ調整しても、色ずれが完全に解消されるとは限らない。そこで、本発明では、傾き調整後に、検出手段により再度調整用パターンを検出し、その検出結果に基づいて、各色に対応した露光走査線の主走査方向及び副走査方向のずれ量(平行移動量)を算出し、算出されたずれ量を無くすように、各色の主走査方向及び副走査方向の印字タイミングを調整するようにしている。すなわち、傾き調整は、光学レンズを動かすことによる物理的な調整であるのに対し、主走査方向及び副走査方向の調整は、その後の印字動作において、ずれ量だけ印字タイミングを遅らせる、もしくは早めることによって調整する。このように、主走査方向と副走査方向とのずれ量を印字タイミングで調整することで、光学レンズを主走査方向及び副走査方向に直接動かす必要がないことから、光学レンズの機構構造を簡単化することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明の画像形成装置によれば、各色の主走査方向に対する傾き量の平均値に最も近い色を基準として、他の色の露光走査線の傾きを調整するように構成したので、大きく変動した色の露光走査線も、初期調整位置に近い色の露光走査線に合わせるように傾き調整されるため、初期生産時の調整状態に近い状態を維持することができる。従って、色ずれ調整後の画像歪みといった二次的な問題は発生しない。
【0033】
また、本発明の画像形成装置によれば、転写体に転写された調整用パターンを検出する検出手段の副走査方向の物理的なずれ量を基準として各色に対応した露光走査線の主走査方向に対するずれ量を調整するように構成したので、各色の露光走査線をほぼ初期調整位置に調整することができる。従って、色ずれ調整後の画像歪みといった二次的な問題は発生しない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の画像形成装置の構成例を示す断面図である。
【図2】図1に示す露光ユニットを上面から見た筐体内部の要部を概略的に示す図である。
【図3】露光ユニットを側面から見た筐体内部の要部を、感光体と共に、概略的に示す図である。
【図4】上蓋を外した状態での露光ユニットの要部の斜視図である。
【図5】(a),(b),(e),(f)は、第2fθレンズを出射面側、前側、入射面側、及び後側から見た状態を示す図、(c),(d)は、当該レンズを互いに反対の側方から見た状態を示す図である。
【図6】レンズの第1突起側に対応する筐体のレンズ取付け部分の斜視図である。
【図7】レンズの第1突起側に対応する筐体のレンズ取付け部分の斜視図である。
【図8】レンズのゲート部側に対応する筐体のレンズ取付け部分の斜視図である。
【図9】レンズのゲート部側に対応する筐体のレンズ取付け部分の斜視図である。
【図10】筐体の後述の調整ねじ付近のレンズ取付け前の状態を示す斜視図である。
【図11】(a),(b),(c)は、レンズの傾き調整のための移動機構についての説明図である。
【図12】自動調整の場合の、筐体の調整ねじ付近のレンズ取付け前の状態を示す斜視図である。
【図13】自動調整の場合の、調整ねじ周辺の概略平面図である。
【図14】画像形成装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【図15】中間転写ベルトの近傍に配置された検出センサの状態を示す底面側から見た斜視図である。
【図16A】生産時(工場出荷時)の露光走査線のずれ量を調整する調整処理手順1を示すフローチャートである。
【図16B】生産時(工場出荷時)の露光走査線のずれ量を調整する調整処理手順1を示すフローチャートである。
【図17A】装置稼動後の通常使用時に一定期間毎に行われる露光走査線のずれ量を調整する調整処理手順1を示すフローチャートである。
【図17B】装置稼動後の通常使用時に一定期間毎に行われる露光走査線のずれ量を調整する調整処理手順1を示すフローチャートである。
【図18A】生産時(工場出荷時)の露光走査線のずれ量を調整する調整処理手順2を示すフローチャートである。
【図18B】生産時(工場出荷時)の露光走査線のずれ量を調整する調整処理手順2を示すフローチャートである。
【図19A】装置稼動後の通常使用時に一定期間毎に行われる露光走査線のずれ量を調整する調整処理手順2を示すフローチャートである。
【図19B】装置稼動後の通常使用時に一定期間毎に行われる露光走査線のずれ量を調整する調整処理手順2を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0036】
図1は、本発明の画像形成装置の構成例を示す断面図である。
【0037】
画像形成装置1は、外部から伝達された画像データ等に応じて、所定のシート(記録用紙)に対して多色及び単色の画像を形成するもので、装置本体2と、自動原稿処理装置3とにより構成されている。
【0038】
自動原稿処理装置3は、装置本体2の上部の原稿載置台4の上に自動で原稿を搬送する。また、自動原稿処理装置3は矢印M方向に回動自在に構成され、原稿載置台4の上を開放することにより原稿を手置きで置くことができるようになっている。
【0039】
装置本体2は、本発明に係る後述の露光ユニット5を有する。また、本画像形成装置において扱われる画像データは、ブラック(K),シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたものである。したがって、帯電器6、現像器7、感光体ドラム(以下、感光体という。)8、クリーナユニット9は、各色に応じた4種類の潜像を形成するようにそれぞれ4個ずつ設けられ、それぞれK,C,M,Yに設定されている。
【0040】
露光ユニット5は、帯電器6によって帯電された感光体8を入力された画像データ等に応じて光ビームで露光することにより、感光体8の表面に、画像データに応じた静電潜像を形成する機能を有する。露光ユニット5の構成は、後ほど具体的に説明する。
【0041】
帯電器6は、感光体8の表面を所定の電位に均一に帯電させるための帯電手段である。現像器7はそれぞれの感光体8表面に形成された静電潜像を4色(Y,M,C,K)のトナーにより顕像化するものである。また、クリーナユニット9は、現像・画像転写後における感光体8上の表面に残留したトナーを、除去・回収する。
【0042】
感光体8の上方に配置されている中間転写ベルトユニット10は、各感光体8に接触するように設けられている中間転写体である中間転写ベルト11に、感光体8に形成された各色のトナー像を順次的に重ねて転写することによって、カラーのトナー像(多色トナー像)を形成する機能を有している。中間転写ベルト11は、中間転写ベルト駆動ローラ12、中間転写ベルト従動ローラ13及び中間転写ローラ14により張架されて駆動される。感光体8から中間転写ベルト11へのトナー像の転写は、中間転写ベルト11の裏側に接触している中間転写ローラ14によって行われる。中間転写ローラ14には、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されている。
【0043】
上述のように、各感光体8表面で各色相に応じて顕像化された静電像は、中間転写ベルト11で積層される。積層された画像情報は、中間転写ベルト11の回転によって、用紙と中間転写ベルト11との接触位置に配置される転写ローラ15によって用紙上に転写される。このとき、中間転写ベルト11と転写ローラ15とは所定ニップで圧接されると共に、転写ローラ15にはトナーを用紙に転写させるための電圧が印加される(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)。また、上記のように、感光体8に接触することにより中間転写ベルト11に付着したトナー、もしくは転写ローラ15によって用紙上に転写が行われず中間転写ベルト11上に残存したトナーは、中間転写ベルトクリーニングユニット16によって除去・回収される。
【0044】
給紙カセット17は、画像形成に使用するシートを蓄積しておくためのトレイであり、装置本体2の露光ユニット5の下側に設けられている。また、手差し給紙カセット18にもシートを置くことができる。また、装置本体2の上方に設けられている排紙トレイ19は、印刷済みのシートをフェイスダウンで集積するためのトレイである。
【0045】
また、装置本体2には、給紙カセット17及び手差し給紙カセット18のシートを転写ローラ15や定着ユニット20を経由させて排紙トレイ19に送るための、略垂直形状の用紙搬送路Sが設けられている。給紙カセット17ないし手差し給紙カセット18から排紙トレイ19までの用紙搬送路Sの近傍には、ピックアップローラ21、複数の搬送ローラ22、レジストローラ23、転写ローラ15、定着ユニット20等が配されている。
【0046】
搬送ローラ22は、シートの搬送を促進・補助するための小型のローラであり、用紙搬送路Sに沿って複数設けられている。また、ピックアップローラ21は、給紙カセット17や手差し給紙カセット18の端部近傍に備えられ、給紙カセット17や手差し給紙カセット18からシートを1枚ずつピックアップして用紙搬送路Sに供給する。
【0047】
また、レジストローラ23は、用紙搬送路Sを搬送されているシートを一旦保持するものである。そして、感光体8表面のトナー像の先端とシートの先端とを合わせるタイミングでシートを転写ローラ15に搬送する機能を有している。
【0048】
定着ユニット20は、ヒートローラ24及び加圧ローラ25でトナーをシートに熱圧着することにより、シートに転写された多色トナー像を溶融・混合・圧接し、シートに対して熱定着させる機能を有している。また、定着ユニット20には、ヒートローラ24を外部から加熱するための外部加熱ベルト26が設けられている。定着ユニット20を通過することによって未定着トナーが熱で溶融・固着されたシートは、例えば、その下流側の用紙搬送路Sに配された搬送ローラ22を経て排紙トレイ19上に排出される。
【0049】
次に、露光ユニット5の構成例について、図2ないし図4を参照して詳細に説明する。図2及び図3はそれぞれ、図1の露光ユニット5を上面及び側面から見た筐体内部の要部を概略的に示す図である。図3では、感光体8とともに示している。図4は、上蓋を外した状態での露光ユニット5の要部の斜視図である。
【0050】
露光ユニット5は、ビーム出射手段(光源)としての図2の4つの半導体レーザ501から、回転方向に複数の反射面を有した回転多面鏡502に向かって照射される光ビーム(以後、入射ビームという)を上記反射面で反射し、反射して形成した光ビーム(以後、出射ビームという)により、図3の感光体8表面を走査する光走査装置である。
【0051】
半導体レーザ501から回転多面鏡502までの光路(以後、入射ビーム光路という)と、回転多面鏡502から感光体8表面までの光路(以後、出射ビーム光路という)には、種々の光学部品が配置されている。
【0052】
ここでは、入射ビーム光路に配置されている光学部品群を入射光学系、出射ビーム光路に配置されている光学部品群を出射光学系という。
【0053】
入射光学系は、半導体レーザ501から射出された入射ビームを回転多面鏡502に導く。入射ビーム光路には、4つの半導体レーザ501から回転多面鏡502に向う順に、4つのコリメートレンズ503、4つの第1反射ミラー504、シリンドリカルレンズ505、第2反射ミラー506が配列されており、これらコリメートレンズ503、第1反射ミラー504、シリンドリカルレンズ505、第2反射ミラー506、及び、回転多面鏡502によって偏光手段が構成されている。
【0054】
コリメートレンズ503はそれぞれ、対応する半導体レーザ501から射出された光ビームを平行ビームに変換する。第1反射ミラー504はそれぞれ、対応するコリメートレンズ503から出射されるビームを反射しシリンドリカルレンズ505に入射させる、シリンドリカルレンズ505は、入射した光ビームを感光体8に対して副走査方向に集束するために配されている。第2反射ミラー506は、シリンドリカルレンズ505から出射される4つのビームを反射し、回転多面鏡502に入射する。ここでは、シリンドリカルレンズ505は、副走査方向については、それぞれが平行光となって当該レンズ505に入射した光ビームを、回転多面鏡502の反射面の表面でほぼ収束させ、主走査方向については、入射した光ビームをそのまま平行光として出射して、回転多面鏡502の反射面に入射させる。以上のようにして、入射ビームは、回転多面鏡502の反射面の高さ方向中央域に照射される。
【0055】
一方、出射光学系は、回転多面鏡502の反射面により反射された出射ビームを回転多面鏡502から感光体8表面に導くと共に、感光体8表面を照射した際のビームスポットが、所定の大きさとなり、感光体8表面を等速度で走査するように作用する。
【0056】
出射ビーム光路には、回転多面鏡502から感光体8に向う順に、第1fθレンズ507、出射折り返しミラー508、第2fθレンズ509が配列されている。
【0057】
第1fθレンズ507は、主走査方向において、回転多面鏡502から出射した平行光の光ビームを、感光体8の表面で所定のビーム径となるように収束させ、副走査方向において、回転多面鏡502から出射した拡散光の光ビームを平行光に変換する。また、第1fθレンズ507は、回転多面鏡502の等角速度運動により主走査方向に等角速度で移動する光ビームを、感光体8表面の走査ライン上で等線速で移動するように変換する機能を有している。
【0058】
出射折り返しミラー508は、回転多面鏡502で分離され第1fθレンズ507を通過した光ビームを反射し、第2fθレンズ509に入射させる。第2fθレンズ509は、副走査方向について、平行光で入射する光ビームを感光体8上で所定のビーム径となるように収束させ、主走査方向については、第1fθレンズ507で収束光となった光ビームをそのまま感光体8上へ収束させる
以上のようにして、出射ビームは、第1fθレンズ507に向かって通過し、出射折り返しミラー508に反射され、第2fθレンズ509を通過して感光体8表面に露光走査線として導かれる。
【0059】
出射ビームは、回転多面鏡502の反射面における回転方向の位置により、異なる光路を通って感光体8表面に到達する。感光体8表面に到達した出射ビーム(露光走査線)は、感光体8の回転方向に直交する方向(主走査方向)に主走査ラインを定期的に走査する一方、感光体8の回転に伴い、感光体8上を回転方向(副走査方向)に一定期間間隔で異なる位置を光走査することになる。
【0060】
上記解決課題でも説明したように、通常、感光体8表面を走査する光ビームの露光走査線については、生産時(工場出荷時)に、各色に対応した第2fθレンズ(光学レンズ)509を動かして微調整することで、各色間のずれ量が予め調整されている。しかし、出荷後やその後の稼動によって、各色の露光走査線に微妙なずれが生じる場合があるため、装置の性能を維持するために、出荷後も一定期間ごとに露光走査線のずれ量(すなわち、傾き調整や主走査方向及び副走査方向の調整等)を行うようになっており、特に、傾き調整についてはその調整機構が第2fθレンズ509に設けられている。
【0061】
以下に、第2fθレンズ509と筐体510との取付け構造、及び、第2fθレンズ509の傾き調整機構(走査線傾き調整手段)について説明する。
【0062】
光学系を構成する第1fθレンズ507や第2fθレンズ509は、図4に示すように、筐体510内に収容されている。
【0063】
図5(a),(b),(e),(f)は、それぞれ、図3や図4の第2fθレンズを出射面側、前側、入射面側、及び後側から見た状態を示し、図5(c),(d)は、互いに反対の側方から見た状態を示している。
【0064】
第2fθレンズ(以下、単にレンズともいう。)509は、出射面側に突出する凸形状のレンズ面を有し、例えば、ポリカーボネートの樹脂から構成される。このレンズ509は、主走査方向に長い長尺レンズである。
【0065】
レンズ509は、その金型のゲートから当該金型へ溶かしたポリカーボネートを射出して成形されるため、レンズ509の長手方向(Y方向)の一端部には、そのゲートに対応してゲート部591が形成される。
【0066】
レンズ509には、その長手方向の、ゲート部591側の支持端部とは反対側のレンズ有効領域(レンズ機能の性能が保証される領域)外の支持端部(第1端部509A)の光入射面側に、第1突起592が一体的に形成される。第1突起592は、筐体510に対するレンズ509の位置決めの基準となると共に、レンズ509の回動軸となるものである。露光ユニット5では、第1突起592を軸にレンズ509を回動させ傾きを調整することにより、感光体8表面上の露光走査線の傾きを調整(補正)することができる。
【0067】
この第1突起592は、レンズ509の厚み方向(レンズ509に対するビームの入射方向或いは射出方向、Z方向)の光入射側に突出して、例えば、高さ3mm、直径3mmの円筒状に形成される。
【0068】
レンズ509の長手方向のレンズ有効領域外の端部の入射面側の平坦部には、1つの第1突起592の他に、第2突起593が一体的に形成されている。第2突起593は、第1突起592の突出方向に第1突起592の突出長さより短く突出している。この第2突起593は、筐体510に対するレンズ509の、厚み方向の位置決めを行うものである。第2突起593は、例えば、高さ0.3mm、直径2mmの円筒状に形成される。
【0069】
第2突起593は、第1突起592が形成された第1端部509Aの当該突起592の近傍に2つ、ゲート部591側のレンズ有効領域外の端部(第1端部509Aと反対側の第2端部509B)の入射面側の平坦部に1つ設けられる。第2突起593は、筐体510に対するレンズ509の取付けにおいて、レンズ509の厚み方向の位置決めのために3つが必要十分であり、これら3つの位置関係が二等辺三角形となるよう、第1端部509Aに2つ、第2端部509Bに1つを配置すると、取付け時の安定性が良い。また、その際、第1突起592側の2つの第2突起593を、当該第1突起592を間に挟んだ状態でレンズ509の幅方向に並ぶように設ければ、レンズ509の大きさを必要以上に大きくしなくてすむ。
【0070】
次に、レンズを搭載する筐体について、図6ないし図11を参照して説明する。図6及び図7は、図4に示す筐体510において、レンズ509の第1突起592側に対応するレンズ取付け部分の斜視図であり、図6はレンズを取付ける前の状態を示し、図7はレンズを取付けた後の状態を示している。また、図8及び図9は、図4に示す筐体510において、レンズ509のゲート部591側に対応するレンズ取付け部分の斜視図であり、図8はレンズを取付ける前の状態を示し、図9はレンズを取付けた後の状態を示している。また、図10は、筐体510の後述する調整ねじ付近のレンズ取付け前の状態を示す斜視図、図11は、レンズ509の傾き調整のための移動機構についての説明図であり、この例では傾き調整は手動操作となっている。
【0071】
筐体510は、例えば、樹脂材料で射出成形される。図6に示すように、レンズ509の第1端部509Aの取付け部分となる筐体510の側部(第1側部)511には、レンズ509の第1突起592が挿入され当該突起592を軸支する軸支部として機能する軸穴512が一体的に形成されている。この軸穴512は、筐体510の上下方向(Z方向)に延在しており、レンズ509は、上方向から、第1突起592を軸穴512に挿入するようにして取付けられる。
【0072】
また、軸穴512は、レンズ509の第1突起592を軸支するために、例えば、その直径が第1突起592の直径と略等しい円筒状に貫通した形状となっている。この円筒の直径は、本例では3mmであって、その公差は+0.05から0としている。なお、レンズ509の第1突起592の公差も−0.02から−0.07としている。
【0073】
また、筐体510の第1側部511には、レンズ509の厚み方向(Z方向)の位置決めのため、レンズ509の第1端部509Aの2つの第2突起593と各々接する2つの第1台座部513が一体的に形成されている。これら第1台座部513は、例えば、円筒状に形成され、その上面が、レンズ509の第1端部509AのZ方向基準面となる。第1台座部513を金型上で削っていくことで、その高さを微調整することができ、レンズ509のZ方向の位置を調整できる。
【0074】
また、レンズ509の第1端部509AがZ方向へ動いて第1突起592が軸穴512から抜けるのを防止するため、図7に示すように、第1端部509Aを上から押さえる板バネ514を設けている。この場合、筐体510に板バネ514固定用のネジ穴515を設けておき、板バネ514の一端部に設けられた孔514aをこのネジ穴515上に位置させ、板バネ514の他端部をレンズ509の第1端部509A上に位置させるように、筐体510上に板バネ514を配置する。そして、ネジ穴515に図示しないビスを取付けて固定して、板バネ514のバネ性を利用してレンズ509の第1端部509Aを押さえることで、第1突起592のZ方向への抜けを防止している。また、Z方向に対し板バネ514で弾性的にレンズ509を押さえているので、第1突起592がXY平面内で回動することを妨げないようにすることができる。なお、板バネ514は、SUS材等から形成されている。
【0075】
また、レンズ509の第2端部509B(レンズ509のゲート部591側)の取付け部分となる筐体510の側部516は、図9に示すように、レンズ509の第2端部509Bが、第1突起592を軸として回動可能に取付けられる部分である。この側部516、すなわち、Y方向に対して第1側部511と反対側の側部(第2側部)516には、レンズ509の厚み方向(Z方向)の位置決めのため、レンズ509の第2端部509Bの1つの第2突起593(図5参照)と接する第2台座部517が一体的に設けられている。第2台座部517は、その上面が、レンズ509の第2端部509BのZ方向基準面となる。第2台座部517を金型上で削っていくことで、その高さを微調整することができ、レンズ509の第2端部509BのZ方向の位置を調整できる。
【0076】
レンズ509の傾き調整の回動時には、この第2台座部517上をレンズ509の第2突起593が移動する。レンズ509は、第1突起592が筐体510の軸穴512に軸支されて回動するので、第1端部509Aより第2端部509B(第2台座部517側の部分)の方が大きく動く。これに対応するように、第2台座部517は、例えば、小判状に形成されている。
【0077】
また、レンズ509の第2端部509BがZ方向へ動くこと防止するため、図9に示すように、SUS等のバネ性のある板金材料などから形成される押え部材518が用いられる。この場合、筐体510には、押え部材518固定用のネジ穴519を設けておき、押え部材518に設けた孔518aがネジ穴519上に位置するように、押え部材518を配する。このとき、孔518aとは反対側に設けられた押え部518bが、レンズ509の第2端部509B上に位置するようにする。そして、ネジ穴519に図示しないビスを取付けて押え部材518を固定して、押え部材518のバネ性を利用してレンズ509の第2端部509Bを押さえることで、Z方向へ動くことを防止することができる。
【0078】
なお、レンズ509が回動したときに、押え部材518が動くことがないように、押え部材518に係合孔518cや係合凹部518dを設けておき、筐体510には、これら+と係合する突起520を設けておくことが好ましい。
【0079】
また、筐体510の第2側部516には、レンズ509の第2端部509Bを厚み方向(Z方向)と直交する平面(XY平面)内で移動させる移動機構(すなわち第2端部509Bを回動させる回動機構部)が設けられている。当該機構は、調整ねじ521と、カム部材522と、前述の押え部材518に一体的に形成された押圧(弾性)部518eと、から構成されている。
【0080】
調整ねじ521は、図10に示すように、その頭部521aが筐体510の外に露出し、ねじ山が形成された足部521bの先端部が筐体内に位置するように、筐体510に螺合挿通されて支持されている。
【0081】
カム部材522は、調整ねじ521の回動に連動して、レンズ509の第2端部509Bの一側の側辺(面)に当接して移動するものである。
【0082】
このカム部材522は、枠体状に形成された本体部522aが、X方向に延在して設けられた筐体510のガイド壁523によって、X方向に直交する両側から挟持される形でガイドされるように配置されており、これにより、ガイド壁523に沿ってX方向にのみ移動できるようになっている。また、本体部522a内を貫くようにして筐体510の底面から支柱が立設され、この支柱の上端部に、本体部522aの枠体上面に当接する円盤状の移動用接触片522bが設けられている。本体部522aは、この移動用接触片522bによって、Z方向への移動が規制(禁止)されるようになっている。
【0083】
また、カム部材522は、本体部522aの一側面が傾斜面からなるカム面522cに形成されており、このカム面522cが、調節ねじ521の足部521bの先端部と当接するようになっている。これにより、カム部材522は、Y方向のうちカム面522cの方向に動くように調節ねじ521を締め付けたときに、X方向のうちレンズ509の第2端部509Bの方向に動くようになっている(図10参照)。
【0084】
また、カム部材522には、本体部522aのX方向に対し、カム面522cとは反対側の面に操作片522dが設けられており、この操作片522dがレンズ509の第2端部509Bに当接するようになっている。
【0085】
一方、移動機構を構成する押え部材518の押圧部518eは、図9に示すように、カム部材522の操作片522dとは反対側から、レンズ509の第2端部509Bと当接しており、X方向のうちカム部材522へ向う方向の押圧力(付勢力)を第2端部509Bに与えるようになっている。この押圧力は第2端部509Bに常に作用しており、これにより、レンズ509の第2端部509Bは、カム部材522を調節ねじ521へ常に押付けるように作用している。
【0086】
これら調整ねじ521、カム部材522、及び押圧部518eから構成される移動機構では、例えば、図11(a)の状態から、調整ねじ521を回転させY方向のうちカム面522cの方向(図11(b)のA1方向)に移動させると、カム部材522が、調整ねじ521の足部521bの先端部により、X方向のうちレンズ509の第2端部509Bの方向(A2方向)に押出される。その結果、レンズ509の第2端部509Bが、押圧部518eからの押圧力に抗してA3方向に移動し、また、第1突起592が軸支されているので、レンズ509が第1突起592を軸に回動する。
【0087】
また、同機構では、図11(a)の状態から、調整ねじ521を回転させY方向のうちカム面522cから離間する方向(図11(c)のA4方向)に移動させると、レンズ509の第2端部509Bが、押圧部518eからの押圧力により、X方向のうち調整ねじ521の足部521bの接触端に向う方向(A5方向)にカム部材522を押出すとともに、X方向のうちカム部材522に向う方向(A6方向)に押出される。そして、第1突起592が軸支されているので、結果、レンズ509が第1突起592を軸に回動する。
【0088】
なお、同機構で実行可能なレンズ509の傾き調整幅(L1、L2)は、略1.5mmである。
【0089】
このように、本画像形成装置では、レンズ509の長手方向の一方の端部(第1端部509A)に設けた第1突起592を軸にレンズ509が回動可能であり、レンズ509の傾き調整時は、第2端部側だけ調整すればよいため、露光走査線の補正(傾き調整)が容易である。
【0090】
図8ないし図11に示した移動機構は、手動操作によって移動機構を動作させる手動調整の場合の構成例を示しているが、図12及び図13では、ステッピングモータを用いて移動機構を動作させる自動調整の場合を例示している。図12は、筐体510の調整ねじ付近のレンズ取付け前の状態を示す斜視図、図13は調整ねじ周辺の概略平面図である。
【0091】
すなわち、自動調整の場合には、図10及び図11に示した調整ねじ521の頭部521aが、図12及び図13に示すように、例えばピッチ面が平面になったかさ歯車521eの形状に形成されており、このかさ歯車521eと噛み合う平歯車またははすば歯車521fが、ステッピングモータ521gの回転軸に連結された構成となっている。これにより、ステッピングモータ521gの回転を制御することで、調整ねじ521の足部521bを所定ピッチで回転させることができるため、レンズ509をX方向に徐々に移動させることができる。
【0092】
図14は、画像形成装置1の制御系の構成を示すブロック図である。
【0093】
図14において、制御部101は、CPU等からなり、RAM102をワークエリアとして用いつつ、ROM103からプログラムを読み出して実行し、画像形成装置1を統括的に制御する。
【0094】
通信処理部104は、通信ネットワークを通じて、図示しない外部端末から画像データを受信し、この画像データをRAM102に入力して記憶する。
【0095】
画像処理部105は、ROM103内の画像処理用のプログラムを実行して、RAM102内の画像データを処理したり、自動原稿処理装置3によって原稿から読み取られた画像データを処理するものである。
【0096】
この画像処理部105によって画像処理された画像データは、図1の露光ユニット5に入力され、最終的にシートに転写されて印字出力される。
【0097】
この画像データの印字に際しては、制御部101により露光ユニット5、帯電器6、現像器7、感光体8、クリーナユニット9、中間転写ベルトユニット10、及び、定着ユニット20等が統括的に制御され、帯電器6による感光体8表面の帯電、露光ユニット5による感光体8表面への静電潜像の書き込み、現像器7による感光体8表面の静電潜像の現像、中間転写ベルトユニット10による感光体8表面からシートへのトナー像の転写、クリーナユニット9による感光体8表面のクリーニング、定着ユニット20によるシート上のトナー像の定着が行われる。また、制御部101によりシート搬送駆動部106が駆動制御されて、シートが給紙カセット17から排紙トレイ19まで搬送される。なお、このような画像データの印字に際しての一連の制御は、装置内の各部位に配置されている各種センサ107からの検出信号に基づいて行われている。
【0098】
この各種センサ107の中には、後述する生産時や出荷後に実施される露光走査線の傾き調整時に使用される2つの検出センサ107a,107bが含まれている。この検出センサ107a,107bは、図15に示すように、中間転写ベルト11の近傍であって、中間転写ベルト11の搬送方向(副走査方向)X1に直交する方向(主走査方向)Y1の両端部に配置されており、感光体8によって中間転写ベルト11の両端部に転写された調整用パターン11a,11bを読み込んで、後述するずれ量を検出するためのものである。
【0099】
次に、上記構成の画像形成装置1において、露光ユニット5による露光走査線の各色間のずれ量を調整する調整処理手順について、具体例1ないし具体例3に分けて説明する。ただし、ここでは、第2fθレンズ509の移動機構(回動機構部)は、図8ないし図11に示した手動操作による移動機構ではなく、図12及び図13に示した自動制御による移動機構であるとする。
【0100】
<具体例1>
(1−1)生産時(工場出荷時)の調整処理手順1の説明
図16A及び図16Bは、生産時(工場出荷時)の露光走査線のずれ量を調整する調整処理手順1を示すフローチャートである。以下、このフローチャートに従って生産時(工場出荷時)の露光走査線のずれ量の調整処理手順1について説明する。
【0101】
まず、工場において画像形成装置1の製造を完了すると、ブラック(K)のインクを用いてチェック用の画像を実際にシートに印刷して出力する(ステップS101)。
【0102】
このチェック用の画像は、例えば各角部が直角である正方形または長方形の画像を印刷する。ここで、チェック用の画像の色は、ブラック(K)ではなく、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)のいずれでもよいが、一般的にはブラック(K)を用いることから、具体例1においてもブラック(K)を用いるものとする。
【0103】
次に、このチェック用の画像に歪みがないかを目視もしくは画像スキャンによって確認する(ステップS102)。
【0104】
目視による確認では、透明の方眼紙を使用する。すなわち、透明な方眼紙を印刷画像の上に重ね合わせることで、印刷画像の各コーナー部が直角かどうかが確認できるので、そのときの方眼紙のメモリと印刷画像の輪郭線との差(ずれ量)を読み取ることで、傾き量が把握できる。
【0105】
一方、画像スキャンによる確認では、画像の印刷されたシートを自動原稿読取装置3の原稿載置台4にセットして画像を読み取り、読み取った画像の交点(各角部)の座標を求めることで、傾き量を算出することができる。ただし、自動原稿読取装置3についても、CCDやミラー等の歪みで画像の読み取りが歪む可能性があるが、自動原稿読取装置3の歪みについては製造段階で既に調整されているので、ここでは自動原稿読取装置3については歪みが無い(調整済みである)ことを前提としている。
【0106】
傾き量の算出は、例えば左上の角部(交点)の座標(X,Y)を基点として、その座標点から主走査方向(Y方向)に直線を引き、左下の角部(交点)の座標がその直線からX方向にどれだけ離れているかを求めることによって算出することができる。すなわち、ここでの傾き量とは、左上の角部の座標値と左下の角部の座標値との、主走査方向(Y)に直交する副走査方向(X)の距離差として求めることができる。この場合、その距離差はミクロン単位として得られるが、この画像形成装置1の解像度が例えば600dpi(1ドットが42ミクロン)であるとすると、この距離差をドットに変換して、ドット数として求めるようにしてもよい。例えば、距離差が420ミクロンであった場合には、傾き量は10ドットとなる。具体例1では、距離差をドットに変換してその後の処理を行うものとする。
【0107】
次に、このようにして算出した傾き量から、ブラック(K)の調整制御値を求めて入力する(ステップS103)。
【0108】
すなわち、調整制御値は、傾き10ドットに相当する分だけ第2fθレンズ509の第2端部509Bを移動させるために、この第2端部509Bを操作するカム部材522が同様の距離を移動するまで調整ねじ521が回転するように、その回転数に対応した駆動パルスの出力パルス数を調整制御値として入力する。
【0109】
制御部101は、この入力された調整制御値(駆動パルスの出力パルス数)に基づいてパルスモータ521gを駆動し、ブラック(K)に対応した第2fθレンズ509を10ドット分に対応する所定量回動させて傾き量を調整する。具体的には、感光体8表面に照射されるブラック(K)の露光走査線の傾き量を10ドット分調整する。これにより、ブラック(K)に対応した光学系によって感光体8から中間転写ベルト11上に形成される四角の画像は、四隅が直交した四角形または長方形となり、画像歪みが修正されることになる。
【0110】
以上で、4色のうちの1色(この例ではブラック(K))の露光走査線の傾きが調整されたので、次に、このブラック(K)を基準として他の3色のカラーレジスト調整を開始する(ステップS104)。
【0111】
まず、ブラック(K)に対応した光ビームの走査によって中間転写ベルト11上の主走査方向の両端部にブラック(K)の調整用パターン11a,11b(図15参照)を形成する(ステップS105)。
【0112】
次に、この調整用パターン11a,11bを、対応して設けられた2つの検出センサ107a,107bによってそれぞれ読み込み(ステップS106)、その読み込みタイミングによって、ブラック(K)の主走査方向Y1に対する傾き量を算出する(ステップS107)。
【0113】
具体的には、中間転写ベルト11の副走査方向X1の搬送速度は既知であるので、2つの検出センサ107a,107bによる読み込みタイミングの差(時間差)が分かれば、その時間差と中間転写ベルト11の搬送速度とから、2つの検出センサ107a,107bの副走査方向X1の距離差を求めることができる。本装置が例えば600dpiの解像度であった場合、画素のピッチは上記したように42ミクロンであるので、上記距離差を42ミクロンで割ることによって、ブラック(K)の主走査方向Y1に対する傾き量をドットに変換して算出することができる。
【0114】
次に、他の3色のうち例えばイエロー(Y)に対応した光ビームの走査によって中間転写ベルト11上の主走査方向の両端部にイエロー(Y)の調整用パターン11a,11b(図15参照)を形成する(ステップS108)。
【0115】
次に、この調整用パターン11a,11bを、対応して設けられた2つの検出センサ107a,107bによってそれぞれ読み込み(ステップS109)、その読み込みタイミングによって、イエロー(Y)の主走査方向に対する傾き量(上記のドット変換値)を算出する(ステップS110)。
【0116】
次に、ステップS107で算出したブラック(K)の傾き量(ドット変換値)とステップS110で算出したイエロー(Y)の傾き量(ドット変換値)とから、ブラック(K)に対するイエロー(Y)の相対傾き量である傾きずれ量ΔDを算出し(ステップS111)、その傾きずれ量ΔDが許容値内かどうかを判断する(ステップS112)。
【0117】
具体的には、上記したように、本実施形態では傾き量や傾きずれ量を画素の単位であるドットに変換して算出している。ここで、上記許容値が例えば2.0(ドット)に設定されているとすると、上記ステップS112では、ブラック(K)に対するイエロー(Y)の傾きずれ量ΔDが2.0ドット以内であるかどうかを判断している。この許容値の2.0ドットは、600dpiの解像度においてこの程度の色ずれは目視ではほとんど気にならない程度のずれ量として設定されたものである。
【0118】
その結果、例えば、ΔDが1.7ドットであった場合(ステップS112でYesと判断された場合)には、イエロー(Y)の傾き調整をすることなく、ステップS119へと処理を進める。
【0119】
一方、ΔDが例えば3.0ドットであった場合(ステップS112でNoと判断された場合)には、この傾きずれ量の3.0ドットから、イエロー(Y)の調整制御値を求める。すなわち、調整制御値は、傾き3.0ドットに相当する分だけイエロー(Y)に対応した第2fθレンズ509の第2端部509Bを移動させるために、この第2端部509Bを操作するカム部材522が同様の距離を移動するまで調整ねじ521が回転するように、その回転数に対応した駆動パルスの出力パルス数を調整制御値として入力する。制御部101は、この入力された調整制御値(駆動パルスの出力パルス数)に基づいてパルスモータ521gを駆動し、イエロー(Y)に対応した第2fθレンズ509を3.0ドット分に対応する所定量回動させて傾き量を調整する(ステップS113)。
【0120】
この傾き調整後、再度、イエロー(Y)に対応した光ビームの走査によって中間転写ベルト11上の主走査方向の両端部にイエロー(Y)の調整用パターン11a,11bを形成し(ステップS114)、この調整用パターン11a,11bを、対応して設けられた2つの検出センサ107a,107bによってそれぞれ再度読み込み(ステップS115)、その読み込みタイミングによって、イエロー(Y)の主走査方向に対する傾き量(上記のドット変換値)を再度算出する(ステップS116)。そして、ステップS107で算出したブラック(K)の傾き量(ドット変換値)とステップS116で算出したイエロー(Y)の傾き量(ドット変換値)とから、ブラック(K)に対するイエロー(Y)の傾きずれ量ΔDを再度算出し(ステップS117)、その傾きずれ量ΔDが許容値内かどうかを判断する(ステップS118)。その結果、ΔDが許容値内であった場合(ステップS118でYesと判断された場合)には、イエロー(Y)の傾き調整をすることなく、ステップS119へと処理を進める。一方、ΔDが許容値を超えている場合(ステップS118でNoと判断された場合)には、ステップS113に戻り、上記と同様にしてイエロー(Y)に対応した第2fθレンズ509を所定量回動させて傾きを調整する。
【0121】
すなわち、破線で囲ったステップS114〜ステップS118の処理は、ステップS108〜ステップS112の処理と同じである。このように、イエロー(Y)に対応した第2fθレンズ509の調整後に再度同様の処理を繰り返しているのは、読み込み誤差等の何らかの原因によって、1回の調整ではイエロー(Y)の傾き調整が許容値内に収束しない場合が考えられるからである。しかし、現在の技術では、1回の調整でほとんど許容値内に収束することに鑑みれば、破線で囲ったステップS114〜ステップS118の繰り返し処理は省略することも可能である。
【0122】
次のステップS119では、ブラック(K)を除く全ての色(Y,M,C)の傾き調整が終了しているか否かを判断する。この場合には、マゼンタ(M)とシアン(C)とがまだであるので(ステップS119でNoと判断されるので)、ステップS108へ戻り、引き続いてマゼンタ(M)とシアン(C)の傾き調整を行うことになる。
【0123】
このようにして全色の傾き調整を終了すると(ステップS119でYesと判断されると)、次に、制御部101は、ブラック(K)に対する他の色(Y,M,C)の主走査方向及び副走査方向のずれ量をそれぞれ算出する(ステップS120)。このずれ量も、ドットに変換した値として算出する。
【0124】
傾き調整のために光学レンズを動かすことで、感光体8表面の露光走査線の位置が、主走査方向と副走査方向にもずれる可能性がある。そのため、傾きだけ調整しても、色ずれが完全に解消されない可能性がある。そこで、本実施形態では、傾き調整後に、各色に対応した露光走査線の主走査方向及び副走査方向のずれも調整している。
【0125】
具体的には、ステップS120で算出した各色(Y,M,C)のずれ量が許容値(ここでは、一例として上記傾き調整と同じ2ドットとする。)内であるかどうかを判断し(ステップS121)、各色(Y,M,C)のずれ量が許容値内(2ドット内)であれば(ステップS121でYesと判断されれば)、そのまま何もせず処理を終了する。
【0126】
一方、ステップS120で算出した各色(Y,M,C)またはその中の任意の色のずれ量が許容値内でない場合(ステップS121でNoと判断された場合)には、ブラック(K)の露光走査線の位置に合わせるように、許容値内でない他の色(例えばY等)の露光走査線の主走査方向及び副走査方向のずれを調整する(ステップS122)。具体的には、算出されたずれ量を無くすように(ずれ量が零となるように)、イエロー(Y)の主走査方向及び副走査方向の印字タイミング(すなわち、印字の開始タイミング)を調整する。例えば、主走査方向に3.0ドットずれている場合には、主走査方向の印字をその3.0ドット分遅らせるように(若しくは早めるように)印字タイミングを調整する。同様に、副走査方向に例えば3.5ドットずれている場合には、副走査方向の印字をその3.5ドット分遅らせるように(若しくは早めるように)印字タイミングを調整する。
【0127】
すなわち、傾き調整は、光学レンズを動かすことによる物理的な調整であるのに対し、主走査方向及び副走査方向の調整は、その後の印字動作において、ずれ量だけ印字タイミングを遅らせる、若しくは早めることによって調整する。このように、主走査方向及び副走査方向のずれ量を印字タイミングで調整することで、光学レンズを主走査方向及び副走査方向に直接動かす必要がないことから、光学レンズの機構構造を簡単化することができる。
【0128】
このようにして印字タイミングを調整すると、次に制御部101は、実際にそのタイミングで、イエロー(Y)に対応した光ビームの走査によって中間転写ベルト11上の主走査方向の両端部にイエロー(Y)の調整用パターン11a,11bを再度形成する(ステップS123)。
【0129】
次に、このイエロー(Y)の調整用パターン11a,11bを、対応して設けられた2つの検出センサ107a,107bによってそれぞれ再度読み込み(ステップS124)、ブラック(K)に対するイエロー(Y)の主走査方向及び副走査方向のずれ量を再度算出する(ステップS125)。
【0130】
そして、算出したずれ量が許容値内であるかどうかを判断し(ステップS126)、ずれ量が許容値内であれば(ステップS126でYesと判断されれば)、そのまま何もせず処理を終了する。
【0131】
一方、ずれ量が許容値を超えている場合(ステップS126でNoと判断された場合)には、ステップS122に戻って、ブラック(K)の露光走査線の位置に合わせるように、イエロー(Y)の露光走査線の主走査方向及び副走査方向の印字タイミングを再調整し、その後のステップS123〜ステップS126の処理を、ステップS126の判断がYesになるまで繰り返す。
【0132】
このようにしてイエロー(Y)の主走査方向及び副走査方向のずれ量を調整後、ステップS121の判断で他にも許容値を超えている色がある場合(すなわち、残りのマゼンタ(M)、または、イエロー(Y)、またはその両方)には、その超えている色に対して上記ステップS122〜ステップS126の処理を実施する。
【0133】
これにより、ブラック(K)に対して他の全ての色(Y,M,C)の傾き調整、及び、主走査方向及び副走査方向のずれ調整を完了する。
【0134】
なお、ここで説明したステップS120〜ステップS126の処理は、従来から行われている周知の処理である。また、主走査方向及び副走査方向のずれ量の調整についても、ステップS122〜ステップS126の処理を繰り返しているのは、読み込み誤差等の何らかの原因によって、1回の調整ではずれ量が許容値内に収束しない場合が考えられるからである。しかし、現在の技術では、1回の調整でほとんど許容値内に収束することに鑑みれば、破線で囲ったステップS122〜ステップS26の繰り返し処理は省略することも可能である。
【0135】
以上により、生産時(工場出荷時)の各色の傾き調整処理、及び主走査方向及び副走査方向のずれ調整処理の説明を終了する。
【0136】
(1−2)装置稼動後の通常使用時に一定期間毎に行われる調整処理手順1の説明
図17A及び図17Bは、装置稼動後の通常使用時に一定期間毎に行われる露光走査線のずれ量を調整する調整処理手順1を示すフローチャートである。以下、このフローチャートに従って通常使用時の露光走査線のずれ量の調整処理手順1について説明する。
【0137】
通常使用時において、一定期間が経過すると、制御部101は、各色のカラーレジスト調整を開始する(ステップS201)。なお、色ずれ補正処理は、一定期間ではなく、例えば印刷枚数等(例えば、1000枚等)によって自動的に実施するようにしてもよい。
【0138】
まず、ブラック(K)に対応した光ビームの走査によって中間転写ベルト11上の主走査方向の両端部にブラック(K)の調整用パターン11a,11b(図15参照)を形成し(ステップS202)、次に、この調整用パターン11a,11bを、対応して設けられた2つの検出センサ107a,107bによってそれぞれ読み込み(ステップS203)、その読み込みタイミングによって、ブラック(K)の主走査方向Y1に対する傾き量を算出する(ステップS204)。
【0139】
次に、ステップS205からステップS202に戻って、今度はイエロー(Y)に対応した光ビームの走査によって中間転写ベルト11上の主走査方向の両端部にイエロー(Y)の調整用パターン11a,11bを形成し(ステップS202)、次に、この調整用パターン11a,11bを、対応して設けられた2つの検出センサ107a,107bによってそれぞれ読み込み(ステップS203)、その読み込みタイミングによって、イエロー(Y)の主走査方向に対する傾き量を算出する(ステップS204)。
【0140】
次に、ステップS205からステップS202に戻って、今度はマゼンタ(M)に対応した光ビームの走査によって中間転写ベルト11上の主走査方向の両端部にマゼンタ(M)の調整用パターン11a,11bを形成し(ステップS202)、次に、この調整用パターン11a,11bを、対応して設けられた2つの検出センサ107a,107bによってそれぞれ読み込み(ステップS203)、その読み込みタイミングによって、マゼンタ(M)の主走査方向に対する傾き量を算出する(ステップS204)。
【0141】
次に、ステップS205からステップS202に戻って、今度はシアン(C)に対応した光ビームの走査によって中間転写ベルト11上の主走査方向の両端部にシアン(C)の調整用パターン11a,11bを形成し(ステップS202)、次に、この調整用パターン11a,11bを、対応して設けられた2つの検出センサ107a,107bによってそれぞれ読み込み(ステップS203)、その読み込みタイミングによって、シアン(C)の主走査方向に対する傾き量を算出する(ステップS204)。
【0142】
以上により、全色の傾き量が算出されたので(ステップS205でYesと判断されるので)、制御部101は、次に、ステップS204で算出した各色の傾き量の平均値(以下、傾き平均値という。)を算出し(ステップS206)、その傾き平均値と各色の傾き量との差を算出して(ステップS207)、傾き平均値との差が最小である色の傾き量を傾き基準値として決定する(ステップS208)。
【0143】
ステップS208の処理を具体例を挙げて説明すると、各色の傾き量の算出の結果、ブラック(K)の傾き量が例えば9.8ドット、イエロー(Y)の傾き量が5.4ドット、マゼンタ(M)の傾き量が4.1ドット、シアン(C)の傾き量が2.3ドットであったとすると、傾き量の平均値は(9.8+5.2+4.5+2.3)÷4=5.45(≒5.5)となる。従って、傾き平均値(5.5)との差が最小である色はイエロー(Y)の傾き量(5.2)であるから、イエロー(Y)の傾き量(5.2)を傾き基準値として決定する。
【0144】
次に、制御部101は、傾き基準値(5.2)とステップS204で算出したブラック(K)の傾き量(9.8)とから、傾き基準値(5.2)に対するブラック(K)の相対傾き量である傾きずれ量ΔD(=4.6)を算出し(ステップS209)、その傾きずれ量ΔD(4.6)が許容値(2.0)内かどうかを判断する(ステップS210)。
【0145】
その結果、この例では、傾きずれ量ΔD(4.6)が許容値(2.0)を超えている(ステップS210でNoと判断される)ので、制御部101は、この傾きずれ量ΔD(4.6)から、ブラック(K)の調整制御値を求める。すなわち、調整制御値は、傾き4.6ドットに相当する分だけブラック(K)に対応した第2fθレンズ509の第2端部509Bを移動させるために、この第2端部509Bを操作するカム部材522が同様の距離を移動するまで調整ねじ521が回転するように、その回転数に対応した駆動パルスの出力パルス数を調整制御値として入力する。制御部101は、この入力された調整制御値(駆動パルスの出力パルス数)に基づいてパルスモータ521gを駆動し、ブラック(K)に対応した第2fθレンズ509を4.6ドット分に対応する所定量回動させて傾きを調整する(ステップS211)。
【0146】
この傾き調整後、再度、ブラック(K)に対応した光ビームの走査によって中間転写ベルト11上の主走査方向の両端部にブラック(K)の調整用パターン11a,11bを形成し(ステップS212)、この調整用パターン11a,11bを、対応して設けられた2つの検出センサ107a,107bによってそれぞれ再度読み込み(ステップS213)、その読み込みタイミングによって、ブラック(K)の主走査方向に対する傾き量を再度算出する(ステップS214)。そして、ステップS208で決定した傾き基準値(5.2)とステップS214で算出したブラック(K)の傾き量とから、傾き基準値(5.2)に対するブラック(K)の傾きずれ量ΔDを再度算出し(ステップS215)、その傾きずれ量ΔDが許容値内かどうかを判断する(ステップS216)。その結果、ΔDが許容値内であった場合(ステップS216でYesと判断された場合)には、ブラック(K)の傾き調整をすることなく、ステップS217へと処理を進める。一方、ΔDが許容値を超えている場合(ステップS216でNoと判断された場合)には、ステップS211に戻り、上記と同様にしてブラック(K)に対応した第2fθレンズ509を所定量回動させて傾き量を調整する。
【0147】
このように、ブラック(K)に対応した第2fθレンズ509の調整後に再度同様の処理を繰り返しているのは、読み込み誤差等の何らかの原因によって、1回の調整ではブラック(K)の傾き調整が許容値内に収束しない場合が考えられるからである。しかし、現在の技術では、1回の調整でほとんど許容値内に収束することに鑑みれば、破線で囲ったステップS212〜ステップS216の繰り返し処理は省略することも可能である。
【0148】
次のステップS217では、傾き基準値に決定された色(この例ではイエロー(Y))を除くすべての色(K,M,C)の傾き調整が終了しているか否かを判断する。この場合には、マゼンタ(M)とシアン(C)とがまだであるので(ステップS217でNoと判断されるので)、ステップS209に戻り、引き続いてマゼンタ(M)の傾き調整を行うことになる。
【0149】
すなわち、制御部101は、傾き基準値(5.2)とステップS204で算出したマゼンタ(M)の傾き量(4.1)とから、傾き基準値(5.2)に対するマゼンタ(M)の相対傾き量である傾きずれ量ΔD(=1.1)を算出し(ステップS209)、その傾きずれ量ΔD(1.1)が許容値(2.0)内かどうかを判断する(ステップS210)。
【0150】
その結果、この例では、傾きずれ量ΔD(1.1)が許容値(2.0)以内である(ステップS210でYesと判断される)ので、制御部101は、マゼンタ(M)の傾き調整をすることなく、ステップS217へと処理を進める。すなわち、マゼンタ(M)については、ステップS212〜ステップS216の処理は行われない。
【0151】
次のステップS217では、傾き基準値に決定された色(イエロー(Y))を除くすべての色(K,M,C)の傾き調整が終了しているか否かを判断する。この場合には、シアン(C)がまだであるので(ステップS217でNoと判断されるので)、ステップS209に戻り、引き続いてシアン(C)の傾き調整を行うことになる。
【0152】
すなわち、制御部101は、傾き基準値(5.2)とステップS204で算出したシアン(C)の傾き量(2.3)とから、傾き基準値(5.2)に対するシアン(C)の相対傾き量である傾きずれ量ΔD(=2.9)を算出し(ステップS209)、その傾きずれ量ΔD(=2.9)が許容値(2.0)内かどうかを判断する(ステップS210)。
【0153】
その結果、この例では、傾きずれ量ΔD(2.9)が許容値(2.0)を超えている(ステップS210でNoと判断される)ので、制御部101は、この傾きずれ量ΔD(2.9)から、シアン(C)の調整制御値を求める。すなわち、調整制御値は、傾き2.9ドットに相当する分だけシアン(C)に対応した第2fθレンズ509の第2端部509Bを移動させるために、この第2端部509Bを操作するカム部材522が同様の距離を移動するまで調整ねじ521が回転するように、その回転数に対応した駆動パルスの出力パルス数を調整制御値として入力する。制御部101は、この入力された調整制御値(駆動パルスの出力パルス数)に基づいてパルスモータ521gを駆動し、シアン(C)に対応した第2fθレンズ509を2.9ドット分に対応する所定量回動させて傾きを調整する(ステップS211)。
【0154】
この傾き調整後、再度、シアン(C)に対応した光ビームの走査によって中間転写ベルト11上の主走査方向の両端部にシアン(C)の調整用パターン11a,11bを形成し(ステップS212)、この調整用パターン11a,11bを、対応して設けられた2つの検出センサ107a,107bによってそれぞれ再度読み込み(ステップS213)、その読み込みタイミングによって、シアン(C)の主走査方向に対する傾き量を再度算出する(ステップS215)。そして、ステップS208で決定した傾き基準値(5.2)とステップS215で算出したシアン(C)の傾き量とから、傾き基準値(5.2)に対するシアン(C)の傾きずれ量ΔDを再度算出し(ステップS215)、その傾きずれ量ΔDが許容値内かどうかを判断する(ステップS216)。その結果、ΔDが許容値内であった場合(ステップS216でYesと判断された場合)には、シアン(C)の傾き調整をすることなく、ステップS217へと処理を進める。一方、ΔDが許容値を超えている場合(ステップS216でNoと判断された場合)には、ステップS211に戻り、上記と同様にしてシアン(C)に対応した第2fθレンズ509を所定量回動させて傾き量を調整する。
【0155】
次のステップS217では、傾き基準値に決定された色(イエロー(Y))を除くすべての色(K,M,C)の傾き調整が終了しているか否かを判断する。この場合には、全ての色の傾き調整が終了している(ステップS217でYesと判断される)ので、制御部101は、続いて、傾き基準値であるイエロー(Y)に対する他の色(B,M,C)の主走査方向及び副走査方向のずれ量をそれぞれ算出する(ステップS218)。このずれ量も、ドットに変換した値として算出する。
【0156】
具体的には、ステップS218で算出した各色(K,M,C)のずれ量が許容値(ここでは、一例として上記傾き調整と同じ2.0ドットとする。)内であるかどうかを判断し(ステップS219)、各色(K,M,C)のずれ量が許容値(2.0)内であれば(ステップS219でYesと判断されれば)、そのまま何もせず処理を終了する。
【0157】
一方、ステップS218で算出した各色(K,M,C)またはその中の任意の色のずれ量が許容値内でない場合(ステップS219でNoと判断された場合)には、傾き基準値であるイエロー(Y)の露光走査線の位置に合わせるように、許容値内でない他の色(例えばシアン(C)等)の露光走査線の主走査方向及び副走査方向のずれを調整する(ステップS220)。具体的には、算出されたずれ量を無くすように(ずれ量が零となるように)、シアン(C)の主走査方向及び副走査方向の印字タイミング(すなわち、印字の開始タイミング)を調整する。例えば、シアン(C)の露光走査線が主走査方向に3.0ドットずれている場合には、主走査方向の印字をその3.0ドット分遅らせるように(若しくは早めるように)印字タイミングを調整する。同様に、副走査方向に例えば3.5ドットずれている場合には、副走査方向の印字をその3.5ドット分遅らせるように(若しくは早めるように)印字タイミングを調整する。
【0158】
このようにして印字タイミングを調整すると、次に制御部101は、実際にそのタイミングで、シアン(C)に対応した光ビームの走査によって中間転写ベルト11上の主走査方向の両端部にシアン(C)の調整用パターン11a,11bを再度形成する(ステップS221)。
【0159】
次に、このシアン(C)の調整用パターン11a,11bを、対応して設けられた2つの検出センサ107a,107bによってそれぞれ再度読み込み(ステップS222)、傾き基準値であるイエロー(Y)に対するシアン(C)の主走査方向及び副走査方向のずれ量を再度算出する(ステップS223)。
【0160】
そして、算出したずれ量が許容値内であるかどうかを判断し(ステップS224)、ずれ量が許容値内であれば(ステップS224でYesと判断されれば)、そのまま何もせず処理を終了する。
【0161】
一方、ずれ量が許容値を超えている場合(ステップS224でNoと判断された場合)には、ステップS220に戻って、傾き基準値であるイエロー(Y)の露光走査線の位置に合わせるように、シアン(C)の露光走査線の主走査方向及び副走査方向の印字タイミングを再調整し、その後のステップS221〜ステップS224の処理を、ステップS224の判断がYesになるまで繰り返す。
【0162】
このようにしてシアン(C)の主走査方向及び副走査方向のずれ量を調整後、ステップS219の判断で他にも許容値を超えている色がある場合(すなわち、残りのブラック(K)、または、マゼンタ(M)、またはその両方)には、その超えている色に対して上記ステップS220〜ステップS224の処理を実施する。
【0163】
これにより、傾き基準値であるイエロー(Y)に対して他の全ての色(K,M,C)の傾き調整、及び、主走査方向及び副走査方向のずれ量の調整を完了する。
【0164】
なお、ここで説明したステップS218〜ステップS224の処理は、従来から行われている周知の処理である。また、主走査方向及び副走査方向のずれ量の調整についても、ステップS220〜ステップS224の処理を繰り返しているのは、読み込み誤差等の何らかの原因によって、1回の調整ではずれ量が許容値内に収束しない場合が考えられるからである。しかし、現在の技術では、1回の調整でほとんど許容値内に収束することに鑑みれば、破線で囲ったステップS221〜ステップS224の繰り返し処理は省略することも可能である。
【0165】
以上により、装置稼動後の通常使用時に一定期間毎に行われる露光走査線のずれ量(傾き量、及び主走査方向と副走査方向のずれ量)を調整する調整処理手順1の説明を終了する。
【0166】
具体例1によれば、各色の主走査方向に対する傾き量の平均値に最も近い色を基準として、他の色の露光走査線の傾きを調整するように構成したので、大きく変動した色の露光走査線も、初期調整位置に近い色の露光走査線に合わせるように傾き調整されるため、初期生産時の調整状態を維持することができる。従って、色ずれ調整後の画像歪みといった二次的な問題は発生しない。
【0167】
<具体例2>
上記具体例1では、各色の傾き量の平均値を求めるのに、全ての色の傾き量の平均値を求めている。しかし、上記解決課題でも説明したように、何らかの原因で一つの色の露光走査線が初期生産時の調整位置(初期調整位置)から大きくずれることはあっても、全ての色の露光走査線が初期調整位置から大きくずれる可能性は極めて低くい。従って、一つの色の露光走査線が、何らかの原因で初期調整位置から大きくずれたとしても、他の色の露光走査線はほぼ初期調整位置の近傍に位置している場合が多い。上記具体例1の例で言えば、ブラック(K)のみが初期調整位置から大きくずれており、その他の色(Y,M,C)については、初期調整位置の近傍に位置している可能性が高いと考えられる。従って、平均値を算出する場合に、このブラック(K)の傾き量を排除することで、より初期調整位置に近い色を傾き基準値として決定することができる。
【0168】
すなわち、具体例2では、図17のステップS206での平均値の算出に際し、ステップS205で算出した各色の傾き量から、最大値の傾き量をであるブラック(K)の9.8を除いた残りの傾き量で傾き量を平均値を算出するように構成する。具体的には、傾き量の平均値は(5.2+4.5+2.3)÷3=4.0となる。その結果、具体例2では、傾き平均値(4.0)との差が最小である色は、マゼンタ(M)の(4.1)であるから、マゼンタ(M)の傾き量(4.1)を傾き基準値として決定する。
【0169】
その後の処理は、図17で示した具体例1と同様であるので、ここではその後の処理の説明を省略する。
【0170】
このように、具体例2によれば、最大値の傾き量を除いた残りの傾き量で平均値を算出することで、初期調整位置から大きく外れた色の傾き量を排除することができ、初期調整位置に近いものだけが選択されることになるので、露光走査線の傾き調整の精度を上げることができる。すなわち、初期調整位置に近づけるように傾き調整を行うことができるものである。
【0171】
<具体例3>
(3−1)生産時(工場出荷時)の調整処理手順2の説明
図18A及び図18Bは、生産時(工場出荷時)の露光走査線のずれ量を調整する調整処理手順2を示すフローチャートである。ただし、図18に示す調整処理手順自体は、図16に示す調整処理手順と全く同じであり、違うところは、生産時の調整処理手順2において、その後の通常使用時のずれ量の調整処理に用いる傾き基準値を生産時基準の傾き量として予め決定し、メモリに保存しておく点のみである。
【0172】
上記解決課題でも説明したように、色ずれが発生する原因は、出荷後の稼動による振動や経年変化等によって、光学レンズや反射ミラー等が微妙にずれるためであるが、検出センサ107a,107bは、光学走査ユニットのフレーム等にねじやビス等によって強固に固定されているため、中間転写ベルト11に対する検出センサ107a,107bの位置がずれることはほとんどない。また、この検出センサ107a,107bの搬送方向(副走査方向)の取り付け位置は、取り付け誤差等によって、生産段階で若干生じる場合があるが、これら検出センサ107a,107bはフレーム等に強固に固定されているため、この取り付け誤差が出荷後の装置の稼動によって変化するということはほとんどない。
【0173】
一方、生産時の露光走査線の各色間のずれ量は、検出センサ107a,107bにより検出された各色に対する調整用パターンの副走査方向のずれ量に基づいて、各色に対応した露光走査線の主走査方向に対するずれ量を算出するようになっている。すなわち、露光走査線のずれ量の算出には、検出センサ107a,107bの副走査方向の物理的なずれ量が加味されることになる。そして、この検出センサ107a,107bの副走査方向の物理的なずれ量は出荷後もほとんど変化しないことに鑑みれば、この検出センサ107a,107bの副走査方向の物理的なずれ量を基準として各色に対応した露光走査線の主走査方向に対するずれ量を調整することで、各色の露光走査線をほぼ初期調整位置に調整することが可能である。本具体例3は、このような点に着目したものである。
【0174】
以下、図18A及び図18Bに示すフローチャートに従って生産時(工場出荷時)の露光走査線のずれ量の調整処理手順2を説明する。ただし、図18A及び図18Bに示すフローチャートは、具体例3のポイント部分を除いて図16A及び図16Bに示すフローチャートと同じであるので、図18A及び図18Bでは、図16A及び図16Bと同じ処理ステップに同じステップ番号を付している。
【0175】
すなわち、具体例3は、ステップS107とステップS108との間に、その後の通常使用時のずれ量の調整処理に用いる傾き基準値を決定してメモリに保存するステップS107A,ステップS107Bが追加されている点が、具体例1と異なっている。
【0176】
まず、工場において画像形成装置1の製造を完了すると、ブラック(K)のインクを用いてチェック用の画像を実際にシートに印刷して出力する(ステップS101)。
【0177】
このチェック用の画像は、例えば各角部が直角である正方形または長方形の画像を印刷する。ここで、チェック用の画像の色は、ブラック(K)ではなく、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)のいずれでもよいが、一般的にはブラック(K)を用いることから、具体例3においてもブラック(K)を用いる(基準色とする)ものとする。
【0178】
次に、このチェック用の画像に歪みがないかを目視もしくは画像スキャンによって確認する(ステップS102)。
【0179】
目視による確認では、透明の方眼紙を使用する。すなわち、透明な方眼紙を印刷画像の上に重ね合わせることで、印刷画像の各コーナー部が直角かどうかが確認できるので、そのときの方眼紙のメモリと印刷画像の輪郭線との差(ずれ量)を読み取ることで、傾き量が把握できる。
【0180】
一方、画像スキャンによる確認では、画像の印刷されたシートを自動原稿読取装置3の原稿載置台4にセットして画像を読み取り、読み取った画像の交点(各角部)の座標を求めることで、傾き量を算出することができる。ただし、自動原稿読取装置3についても、CCDやミラー等の歪みで画像の読み取りが歪む可能性があるが、自動原稿読取装置3の歪みについては製造段階で既に調整されているので、ここでは自動原稿読取装置3については歪みが無い(調整済みである)ことを前提としている。
【0181】
傾き量の算出は、例えば左上の角部(交点)の座標(X,Y)を基点として、その座標点から主走査方向(Y方向)に直線を引き、左下の角部(交点)の座標がその直線からX方向にどれだけ離れているかを求めることによって算出することができる。すなわち、ここでの傾き量とは、左上の角部の座標値と左下の角部の座標値との、主走査方向(Y)に直交する副走査方向(X)の距離差として求めることができる。この場合、その距離差はミクロン単位として得られるが、この画像形成装置1の解像度が例えば600dpi(1ドットが42ミクロン)であるとすると、この距離差をドットに変換して、ドット数として求めるようにしてもよい。例えば、距離差が420ミクロンであった場合には、傾き量は10ドットとなる。具体例3では、距離差をドットに変換してその後の処理を行うものとする。
【0182】
次に、このようにして算出した傾き量から、ブラック(K)の調整制御値を求めて入力する(ステップS103)。
【0183】
すなわち、調整制御値は、傾き10ドットに相当する分だけ第2fθレンズ509の第2端部509Bを移動させるために、この第2端部509Bを操作するカム部材522が同様の距離を移動するまで調整ねじ521が回転するように、その回転数に対応した駆動パルスの出力パルス数を調整制御値として入力する。
【0184】
制御部101は、この入力された調整制御値(駆動パルスの出力パルス数)に基づいてパルスモータ521gを駆動し、ブラック(K)に対応した第2fθレンズ509を10ドット分に対応する所定量回動させて傾き量を調整する。具体的には、感光体8表面に照射されるブラック(K)の露光走査線の傾き量を10ドット分調整する。これにより、ブラック(K)に対応した光学系によって感光体8から中間転写ベルト11上に形成される四角の画像は、四隅が直交した四角形または長方形となり、画像歪みが修正されることになる。
【0185】
以上で、4色のうちの1色(この例ではブラック(K))の露光走査線の傾きが調整されたので、次に、このブラック(K)を基準として他の3色のカラーレジスト調整を開始する(ステップS104)。
【0186】
まず、ブラック(K)に対応した光ビームの走査によって中間転写ベルト11上の主走査方向の両端部にブラック(K)の調整用パターン11a,11b(図15参照)を形成する(ステップS105)。
【0187】
次に、この調整用パターン11a,11bを、対応して設けられた2つの検出センサ107a,107bによってそれぞれ読み込み(ステップS106)、その読み込みタイミングによって、ブラック(K)の主走査方向Y1に対する傾き量を算出する(ステップS107)。
【0188】
具体的には、中間転写ベルト11の副走査方向X1の搬送速度は既知であるので、2つの検出センサ107a,107bによる読み込みタイミングの差(時間差)が分かれば、その時間差と中間転写ベルト11の搬送速度とから、2つの検出センサ107a,107bの副走査方向X1の距離差を求めることができる。本装置が例えば600dpiの解像度であった場合、画素のピッチは上記したように42ミクロンであるので、上記距離差を42ミクロンで割ることによって、ブラック(K)の主走査方向Y1に対する傾き量をドットに変換して算出することができる。
【0189】
また、この傾き量は、上記したように生産時の検出センサ107a,107bの取り付け誤差がその後の稼動によって変化することはほとんどないので、ここで求めたブラック(K)の傾き量も、ブラック(K)に対応した第2fθレンズ509が何らかの理由でずれない限り変化することはない。
【0190】
そこで、具体例3では、次のステップS107A,ステップS107Bにおいて、この算出したブラック(K)の傾き量を生産時基準の傾き量(傾き基準値)として予めメモリに記憶する。ここで、メモリとしては、図示は省略しているかフラッシュメモリ等の不揮発性メモリを用いるものとする。この不揮発性メモリは、制御部101に内蔵されていてもよいし、外部に接続されていてもよい。
【0191】
なお、具体例3では、ブラック(K)を基準色として生産時の調整を行っているが、この時点で反映されるのは検出センサ107a,107bの取り付け誤差だけであるので、他の色(Y,M,C)を基準色として調整しても理論上は同じ生産時基準の傾き量が得られることになる。具体例3では、このようにして得られた生産時基準の傾き量(傾き基準値)が例えば1.0(ドット)であったとする。
【0192】
この後、具体例1と同様に、ステップS108以降の処理を行って、生産時(工場出荷時)の各色の傾き調整処理、及び、主走査方向及び副走査方向のずれ量の調整処理を終了する。
【0193】
(3−2)装置稼動後の通常使用時に一定期間毎に行われる調整処理手順2の説明
図19A及び図19Bは、装置稼動後の通常使用時に一定期間毎に行われる露光走査線のずれ量を調整する調整処理手順2を示すフローチャートである。以下、このフローチャートに従って通常使用時の露光走査線のずれ量の調整処理手順2について説明する。
【0194】
通常使用時において、一定期間が経過すると、制御部101は、各色のカラーレジスト調整を開始する(ステップS301)。なお、色ずれ補正処理は、一定期間ではなく、例えば印刷枚数等(例えば、1000枚等)によって自動的に実施するようにしてもよい。
【0195】
まず、ブラック(K)に対応した光ビームの走査によって中間転写ベルト11上の主走査方向の両端部にブラック(K)の調整用パターン11a,11b(図15参照)を形成し(ステップS302)、次に、この調整用パターン11a,11bを、対応して設けられた2つの検出センサ107a,107bによってそれぞれ読み込み(ステップS303)、その読み込みタイミングによって、ブラック(K)の主走査方向Y1に対する傾き量を算出する(ステップS304)。ここで、算出された傾き量が例えば9.8(ドット)であったとする。
【0196】
次に、制御部101は、生産時にメモリに記憶しておいた生産時基準の傾き量(傾き基準値(1.0)とステップS304で算出したブラック(K)の傾き量(9.8)とから、傾き基準値(1.0)に対するブラック(K)の相対傾き量である傾きずれ量ΔD(=8.8)を算出し(ステップS305)、その傾きずれ量ΔD(8.8)が許容値(2.0)内かどうかを判断する(ステップS306)。ここで、許容値(2.0)は、具体例1と同様、予め設定されている値である。
【0197】
その結果、この例では、傾きずれ量ΔD(8.8)が許容値(2.0)を超えている(ステップS306でNoと判断される)ので、制御部101は、この傾きずれ量ΔD(8.8)から、ブラック(K)の調整制御値を求める。すなわち、調整制御値は、傾き8.8ドットに相当する分だけブラック(K)に対応した第2fθレンズ509の第2端部509Bを移動させるために、この第2端部509Bを操作するカム部材522が同様の距離を移動するまで調整ねじ521が回転するように、その回転数に対応した駆動パルスの出力パルス数を調整制御値として入力する。制御部101は、この入力された調整制御値(駆動パルスの出力パルス数)に基づいてパルスモータ521gを駆動し、ブラック(K)に対応した第2fθレンズ509を8.8ドット分に対応する所定量回動させて傾き量を調整する(ステップS307)。
【0198】
この傾き調整後、再度、ブラック(K)に対応した光ビームの走査によって中間転写ベルト11上の主走査方向の両端部にブラック(K)の調整用パターン11a,11bを形成し(ステップS308)、この調整用パターン11a,11bを、対応して設けられた2つの検出センサ107a,107bによってそれぞれ再度読み込み(ステップS309)、その読み込みタイミングによって、ブラック(K)の主走査方向に対する傾き量を再度算出する(ステップS310)。そして、メモリに記憶されている傾き基準値(1.0)とステップS311で算出したブラック(K)の傾き量とから、傾き基準値(1.0)に対するブラック(K)の傾きずれ量ΔDを再度算出し(ステップS311)、その傾きずれ量ΔDが許容値内かどうかを判断する(ステップS312)。その結果、ΔDが許容値内であった場合(ステップS312でYesと判断された場合)には、ブラック(K)の傾き調整をすることなく、ステップS313へと処理を進める。一方、ΔDが許容値を超えている場合(ステップS312でNoと判断された場合)には、ステップS307に戻り、上記と同様にしてブラック(K)に対応した第2fθレンズ509を所定量回動させて傾き量を調整する。
【0199】
このように、ブラック(K)に対応した第2fθレンズ509の調整後に再度同様の処理を繰り返しているのは、読み込み誤差等の何らかの原因によって、1回の調整ではブラック(K)の傾き調整が許容値内に収束しない場合が考えられるからである。しかし、現在の技術では、1回の調整でほとんど許容値内に収束することに鑑みれば、破線で囲ったステップS308〜ステップS312の繰り返し処理は省略することも可能である。
【0200】
次のステップS313では、全ての色の傾き調整が終了しているか否かを判断する。この場合には、イエロー(Y)とマゼンタ(M)とシアン(C)とがまだであるので(ステップS313でNoと判断されるので)、ステップS302に戻り、引き続いてイエロー(Y)の傾き調整を行うことになる。
【0201】
すなわち、制御部101は、次にイエロー(Y)に対応した光ビームの走査によって中間転写ベルト11上の主走査方向の両端部にイエロー(Y)の調整用パターン11a,11b(図15参照)を形成し(ステップS302)、次に、この調整用パターン11a,11bを、対応して設けられた2つの検出センサ107a,107bによってそれぞれ読み込み(ステップS303)、その読み込みタイミングによって、イエロー(Y)の主走査方向Y1に対する傾き量を算出する(ステップS304)。ここで、算出された傾き量が例えば5.4(ドット)であったとする。
【0202】
次に、制御部101は、生産時にメモリに記憶しておいた生産時基準の傾き量(傾き基準値(1.0))とステップS304で算出したイエロー(Y)の傾き量(5.4)とから、傾き基準値(1.0)に対するイエロー(Y)の相対傾き量である傾きずれ量ΔD(=4.4)を算出し(ステップS305)、その傾きずれ量ΔD(4.4)が許容値(2.0)内かどうかを判断する(ステップS306)。
【0203】
その結果、この例では、傾きずれ量ΔD(4.4)が許容値(2.0)を超えている(ステップS306でNoと判断される)ので、制御部101は、この傾きずれ量ΔD(4.4)から、イエロー(Y)の調整制御値を求める。すなわち、調整制御値は、傾き4.4ドットに相当する分だけイエロー(Y)に対応した第2fθレンズ509の第2端部509Bを移動させるために、この第2端部509Bを操作するカム部材522が同様の距離を移動するまで調整ねじ521が回転するように、その回転数に対応した駆動パルスの出力パルス数を調整制御値として入力する。制御部101は、この入力された調整制御値(駆動パルスの出力パルス数)に基づいてパルスモータ521gを駆動し、イエロー(Y)に対応した第2fθレンズ509を4.4ドット分に対応する所定量回動させて傾き量を調整する(ステップS307)。
【0204】
この傾き調整後、再度、イエロー(Y)に対応した光ビームの走査によって中間転写ベルト11上の主走査方向の両端部にイエロー(Y)の調整用パターン11a,11bを形成し(ステップS308)、この調整用パターン11a,11bを、対応して設けられた2つの検出センサ107a,107bによってそれぞれ再度読み込み(ステップS309)、その読み込みタイミングによって、イエロー(Y)の主走査方向に対する傾き量を再度算出する(ステップS310)。そして、メモリに記憶されている傾き基準値(1.0)とステップS310で算出したイエロー(Y)の傾き量とから、傾き基準値(1.0)に対するイエロー(Y)の傾きずれ量ΔDを再度算出し(ステップS311)、その傾きずれ量ΔDが許容値内かどうかを判断する(ステップS312)。その結果、ΔDが許容値内であった場合(ステップS312でYesと判断された場合)には、イエロー(Y)の傾き調整をすることなく、ステップS313へと処理を進める。一方、ΔDが許容値を超えている場合(ステップS312でNoと判断された場合)には、ステップS307に戻り、上記と同様にしてイエロー(Y)に対応した第2fθレンズ509を所定量回動させて傾き量を調整する。
【0205】
次のステップS313では、全ての色の傾き調整が終了しているか否かを判断する。この場合には、マゼンタ(M)とシアン(C)とがまだであるので(ステップS313でNoと判断されるので)、ステップS302に戻り、引き続いてマゼンタ(M)の傾き調整を行うことになる。
【0206】
すなわち、制御部101は、次にマゼンタ(M)に対応した光ビームの走査によって中間転写ベルト11上の主走査方向の両端部にマゼンタ(M)の調整用パターン11a,11b(図15参照)を形成し(ステップS302)、次に、この調整用パターン11a,11bを、対応して設けられた2つの検出センサ107a,107bによってそれぞれ読み込み(ステップS303)、その読み込みタイミングによって、マゼンタ(M)の主走査方向Y1に対する傾き量を算出する(ステップS304)。ここで、算出された傾き量が例えば4.1(ドット)であったとする。
【0207】
次に、制御部101は、生産時にメモリに記憶しておいた生産時基準の傾き量(傾き基準値(1.0)とステップS304で算出したマゼンタ(M)の傾き量(4.1)とから、傾き基準値(1.0)に対するマゼンタ(M)の相対傾き量である傾きずれ量ΔD(=3.1)を算出し(ステップS305)、その傾きずれ量ΔD(3.1)が許容値(2.0)内かどうかを判断する(ステップS306)。
【0208】
その結果、この例では、傾きずれ量ΔD(3.1)が許容値(2.0)を超えている(ステップS306でNoと判断される)ので、制御部101は、この傾きずれ量ΔD(4.4)から、マゼンタ(M)の調整制御値を求める。すなわち、調整制御値は、傾き3.1ドットに相当する分だけマゼンタ(M)に対応した第2fθレンズ509の第2端部509Bを移動させるために、この第2端部509Bを操作するカム部材522が同様の距離を移動するまで調整ねじ521が回転するように、その回転数に対応した駆動パルスの出力パルス数を調整制御値として入力する。制御部101は、この入力された調整制御値(駆動パルスの出力パルス数)に基づいてパルスモータ521gを駆動し、マゼンタ(M)に対応した第2fθレンズ509を3.1ドット分に対応する所定量回動させて傾き量を調整する(ステップS307)。
【0209】
この傾き調整後、再度、マゼンタ(M)に対応した光ビームの走査によって中間転写ベルト11上の主走査方向の両端部にマゼンタ(M)の調整用パターン11a,11bを形成し(ステップS308)、この調整用パターン11a,11bを、対応して設けられた2つの検出センサ107a,107bによってそれぞれ再度読み込み(ステップS309)、その読み込みタイミングによって、マゼンタ(M)の主走査方向に対する傾き量を再度算出する(ステップS310)。そして、メモリに記憶されている傾き基準値(1.0)とステップS310で算出したマゼンタ(M)の傾き量とから、傾き基準値(1.0)に対するマゼンタ(M)の傾きずれ量ΔDを再度算出し(ステップS311)、その傾きずれ量ΔDが許容値内かどうかを判断する(ステップS312)。その結果、ΔDが許容値内であった場合(ステップS312でYesと判断された場合)には、マゼンタ(M)の傾き調整をすることなく、ステップS313へと処理を進める。一方、ΔDが許容値を超えている場合(ステップS312でNoと判断された場合)には、上記と同様にしてマゼンタ(M)に対応した第2fθレンズ509を所定量回動させて傾き量を調整する(ステップS307)。
【0210】
次のステップS313では、全ての色の傾き調整が終了しているか否かを判断する。この場合には、シアン(C)がまだであるので(ステップS313でNoと判断されるので)、ステップS302に戻り、引き続いてシアン(C)の傾き調整を行うことになる。
【0211】
すなわち、制御部101は、次にシアン(C)に対応した光ビームの走査によって中間転写ベルト11上の主走査方向の両端部にシアン(C)の調整用パターン11a,11b(図15参照)を形成し(ステップS302)、次に、この調整用パターン11a,11bを、対応して設けられた2つの検出センサ107a,107bによってそれぞれ読み込み(ステップS303)、その読み込みタイミングによって、シアン(C)の主走査方向Y1に対する傾き量を算出する(ステップS304)。ここで、算出された傾き量が例えば2.3(ドット)であったとする。
【0212】
次に、制御部101は、生産時にメモリに記憶しておいた生産時基準の傾き量(傾き基準値(1.0)とステップS304で算出したシアン(C)の傾き量(2.3)とから、傾き基準値(1.0)に対するシアン(C)の相対傾き量である傾きずれ量ΔD(=1.3)を算出し(ステップS305)、その傾きずれ量ΔD(1.3)が許容値(2.0)内かどうかを判断する(ステップS306)。
【0213】
その結果、この場合には、傾きずれ量ΔD(1.3)が許容値(2.0)の範囲内である(ステップS306でYesと判断される)ので、制御部101は、シアン(C)については傾き調整を行うことなく、ステップS313へと処理を進める。
【0214】
次のステップS313では、全ての色の傾き調整が終了しているか否かを判断する。この場合には、全ての色の傾き調整が終了している(ステップS313でYesと判断される)ので、制御部101は、続いて、各色の主走査方向及び副走査方向のずれ量を調整する(ステップS314〜ステップS320)。ここで、具体例1では、傾き基準値であるイエロー(Y)に対して他の色(B,M,C)の主走査方向及び副走査方向のずれ量を合わせるように調整しているが、具体例3では、傾き基準値に対応する色が存在しない。そのため、具体例3では、任意の色を基準とすることも可能であるが、ステップS305で算出した傾きずれ量ΔDが最小値の色(すなわち、シアン(C))を、基準色として、他の色(K,Y,M)をこの基準色(C)に合わせるようにずれ量を調整すればよい。基準色を決定すれば、その後のステップS314〜ステップS320の処理は、具体例1のステップS218〜ステップS224の処理と同じであるので、ここでは説明を省略する。
【0215】
以上により、装置稼動後の通常使用時に一定期間毎に行われる露光走査線のずれ量(傾き量、及び主走査方向と副走査方向のずれ量)を調整する調整処理手順2の説明を終了する。
【0216】
具体例3によれば、中間転写ベルト11に転写された調整用パターン11a,11bを検出する検出センサ107a,107bの副走査方向の物理的なずれ量を基準として各色に対応した露光走査線の主走査方向に対するずれ量(傾き量)を調整するように構成したので、各色の露光走査線をほぼ生産時の調整位置に戻すように調整することができる。
【0217】
なお、上記具体例1〜3から明らかなように、請求項に記載の第1算出手段及び第2算出手段は制御部101によって実現されている。
【0218】
また、今回開示した実施形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。従って、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0219】
1 画像形成装置
2 装置本体
3 自動原稿処理装置
4 原稿載置台
5 露光ユニット
6 帯電器
7 現像器
8 感光体
9 クリーナユニット
10 中間転写ベルトユニット
11 中間転写ベルト
11a,11b 調整用パターン
101 制御部(第1算出手段,第2算出手段を含む)
102 RAM
103 ROM
104 通信処理部
105 画像処理部
106 シート搬送駆動部
107 各種センサ
107a,107b 検出センサ(検出手段)
501 半導体レーザ
502 回転多面鏡
503 コリメートレンズ
504 第1反射ミラー
505 シリンドリカルレンズ
506 第2反射ミラー
507 第1fθレンズ
508 出射折り返しミラー
509 第2fθレンズ
509A 第1端部
509B 第2端部
510 筐体
511 第1側部
512 軸穴
513 台座部
514 板バネ
514a 孔
515 ネジ穴
516 第2側部
517 台座部
518 押え部材
518a 孔
518b 押え部
518c 係合孔
518d 係合凹部
518e 押圧部
519 ネジ穴
520 突起
521 調整ねじ
522 カム部材
522a 本体部
522b 移動用接触片
522c カム面(傾斜面)
522d 操作片
523…ガイド壁
591 ゲート部
592 第1突起
593 第3突起。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各色に対応した複数の光源からの光ビームを偏光する偏光手段と、偏光された複数の光ビームをそれぞれに対応して設けられた感光体の表面に走査して主走査方向に露光走査線を形成する複数の光学レンズを有する光走査手段と、前記複数の光学レンズにそれぞれ設けられた走査線傾き調整手段と、前記走査によって前記感光体の表面の前記主走査方向の両端部に形成された調整用パターンを転写体上に転写する転写手段と、転写された前記調整用パターンのずれ量を検出する検出手段とを備え、前記検出手段の検出結果に基づいて前記露光走査線の色間のずれ量を調整する画像形成装置であって、
前記露光走査線の色間のずれ量の調整時、
前記検出手段により検出された各色に対する前記調整用パターンの前記主走査方向に直交する副走査方向のずれ量に基づき、各色に対応した前記露光走査線の前記主走査方向に対する傾き量を算出してその平均値を求め、求めた平均値に最も近い傾き量の色を基準として、その色の傾き量に対するその他の色の相対傾き量を算出する第1算出手段をさらに備え、
前記第1算出手段によって算出された前記他の色の相対傾き量が許容値内に入るように前記走査線傾き調整手段の各色の傾き調整量を決定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置であって、
前記第1算出手段は、各色に対応した前記露光走査線の前記主走査方向に対する傾き量から、最大値の傾き量を除いた残りの傾き量で平均値を算出することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の画像形成装置であって、
前記走査線傾き調整手段は、前記光学レンズの前記主走査方向の一端部を回動支点として前記主走査方向の他端部側を回動する回動機構部を備えており、前記決定された傾き調整量だけ前記他端部側を回動するように、前記回動機構部が駆動されることによって、前記露光走査線の各色間の前記主走査方向に対する傾き量が調整されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像形成装置であって、
前記露光走査線の色間の傾き調整は、前記他の色の相対傾き量が前記許容値内に入るまで繰り返し行われることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
各色に対応した複数の光源からの光ビームを偏光する偏光手段と、偏光された複数の光ビームをそれぞれに対応して設けられた感光体の表面に走査して主走査方向に露光走査線を形成する複数の光学レンズを有する光走査手段と、前記複数の光学レンズにそれぞれ設けられた走査線傾き調整手段と、前記走査によって前記感光体表面の前記主走査方向の両端部に形成された調整用パターンを転写体上に転写する転写手段と、転写された前記調整用パターンのずれ量を検出する検出手段とを備え、前記検出手段の検出結果に基づいて前記露光走査線の色間のずれ量を調整する画像形成装置であって、
生産時に前記検出手段により検出された前記調整用パターンの前記主走査方向に直交する副走査方向のずれ量に基づいて前記露光走査線の前記主走査方向に対する傾き量を算出し、その傾き量を生産時基準の傾き量として予めメモリに記憶し、
前記露光走査線の色間のずれ量調整時、
前記検出手段により検出された各色に対する前記調整用パターンの前記副走査方向のずれ量に基づいて各色に対応した前記露光走査線の前記主走査方向に対する傾き量を算出する第1算出手段をさらに備え、
前記第1算出手段によって算出された前記各色の傾き量が前記メモリに記憶されている前記生産時基準の傾き量の許容値内に入るように前記走査線傾き調整手段の各色の傾き調整量を決定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像形成装置であって、
前記走査線傾き調整手段は、前記光学レンズの前記主走査方向の一端部を回動支点として前記主走査方向の他端部側を回動する回動機構部を備えており、前記決定された傾き調整量だけ前記他端部側を回動するように、前記回動機構部が駆動されることによって、前記露光走査線の各色間の前記主走査方向に対する傾き量が調整されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像形成装置であって、
前記露光走査線の色間の傾き調整は、前記各色の傾き量が前記生産時基準の傾き量の許容値内に入るまで繰り返し行われることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項3、4、6または7に記載の画像形成装置であって、
前記走査線傾き調整手段は、ステッピングモータによって前記回動機構部を駆動することにより前記他端部側を回動することを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項3、4、6、7または8に記載の画像形成装置であって、
前記傾き調整後、前記検出手段により検出された各色に対応した前記調整用パターンに基づき、各色に対応した前記露光走査線の前記主走査方向及び前記副走査方向のずれ量を算出する第2算出手段をさらに備え、
前記第2算出手段により算出された前記ずれ量を無くすように、各色の前記主走査方向及び前記副走査方向の印字タイミングを調整することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19A】
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【図19B】
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【公開番号】特開2012−245641(P2012−245641A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117014(P2011−117014)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】