画像照射システムおよび画像照射方法
【課題】HUD上のPOI情報表示の視認性を向上させる画像照射システムおよび画像照射方法を提供する。
【解決手段】画像照射システムが、車両の運転者を撮像する撮像部と、撮像された画像から運転者の単眼位置を算出する第1の算出部と、車両位置を算出する第2の算出部と、車両走行方向を算出する方向算出部と、複数の対象物とこれら対象物の位置を表す位置情報とを記憶する記憶部と、算出された車両位置と算出された走行方向と記憶された対象物の位置情報との関係から、走行方向に存在する1以上の対象物を選択する第1の選択部と、選択された対象物の第1の画像を含む第2の画像を生成する画像生成部と、算出された単眼位置に基づいて生成された第2の画像の投影位置を決定する決定部と、生成された第2の画像を決定された投影位置に照射する照射部と、を具備する。
【解決手段】画像照射システムが、車両の運転者を撮像する撮像部と、撮像された画像から運転者の単眼位置を算出する第1の算出部と、車両位置を算出する第2の算出部と、車両走行方向を算出する方向算出部と、複数の対象物とこれら対象物の位置を表す位置情報とを記憶する記憶部と、算出された車両位置と算出された走行方向と記憶された対象物の位置情報との関係から、走行方向に存在する1以上の対象物を選択する第1の選択部と、選択された対象物の第1の画像を含む第2の画像を生成する画像生成部と、算出された単眼位置に基づいて生成された第2の画像の投影位置を決定する決定部と、生成された第2の画像を決定された投影位置に照射する照射部と、を具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーションシステムの表示対象物の位置を表すPOI(Point of Interest)情報を車両のウィンドシールドガラス(以下、「フロントガラス」という)上に表示提供する、いわゆるHUD(Head Up Display)などの画像照射システムおよび画像照射方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のナビゲーションシステムでは、GPS(Global Positioning System)などから位置情報を取得する。この取得した位置情報に基づいて、現在表示されている地図上の店補などを表すPOI情報が、アイコンやその他の絵記号の形式で表示されている。
このPOI情報の表示では、複数の表示が重なる場合、車両に距離が近いPOI情報を優先して重ね書き表示する技術が開示されている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−139931号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前述の技術では、運転者が視認する実際の風景(以下、「実景」という)とは別の、二次元地図画面または同地図を俯瞰するように座標変換した地図画面への表示を前提としているため、POI情報の表示が煩雑になり、HUDに表示した場合の視認性が劣化する。
上記に鑑み、本発明は、HUD上で表示されるPOI情報の視認性を向上させる画像照射システムおよび画像照射方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様に係る画像照射システムは、車両の運転者を撮像する撮像部と、前記撮像された画像から前記運転者の単眼位置を算出する第1の算出部と、前記車両位置を算出する第2の算出部と、前記車両の走行方向を算出する方向算出部と、複数の対象物と、これら複数の対象物の位置を表す位置情報と、を記憶する記憶部と、前記算出された車両位置と、前記算出された車両の走行方向と、前記記憶された対象物の位置情報との関係から、この走行方向に存在する1以上の対象物を選択する第1の選択部と、前記選択された対象物の第1の画像を含む第2の画像を生成する画像生成部と、前記算出された単眼位置に基づいて、前記生成された第2の画像の投影位置を決定する決定部と、前記生成された第2の画像を、前記決定された投影位置に照射する照射部と、を具備する。
【0005】
本発明の一態様に係る画像照射方法は、車両の運転者を撮像するステップと、前記撮像された画像から前記運転者の単眼位置を算出するステップと、前記車両位置を算出するステップと、前記車両の走行方向を算出するステップと、複数の対象物と、これら複数の対象物の位置を表す位置情報と、を記憶するステップと、前記算出された車両位置と、前記算出された車両の走行方向と、前記記憶された対象物の位置情報との関係から、この走行方向に存在する1以上の対象物を選択するステップと、前記選択された対象物の第1の画像を含む第2の画像を生成するステップと、前記算出された単眼位置に基づいて、前記生成された第2の画像の投影位置を決定するステップと、前記生成された第2の画像を、前記決定された投影位置に照射するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、HUD上で表示されるPOI情報の視認性を向上させる画像照射システムおよび画像照射方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る画像照射システム1の構成図である。この画像照射システム1は、撮像装置10、中央演算処理装置20、記憶装置30、照射装置40およびGPS受信機60を具備する。この画像照射システム1は、ナビゲーションシステムを有する車両に装備される。
以下、各構成について詳細に説明する。
【0008】
(撮像装置10)
撮像装置10は、例えば車両のインストルメントパネルに設置されたカメラ101を具備する。カメラ101は、運転者50の略正面に設置され、予め決められた時間間隔でこの運転者50の顔を撮像する。カメラ101は、撮像した運転者50の画像を中央演算処理装置20へ入力する。このカメラ101は、車両の運転者を撮像する撮像部として機能する。
【0009】
中央演算処理装置20は、画像信号生成部201、位置算出部202、投影位置決定部203、駆動制御部204、位置算出部205を具備する。
【0010】
位置算出部202は、カメラ101から得られる画像毎に運転者50の単眼501を算出する。この位置算出部202は、算出した単眼501の画像上の画素位置から車両の走行方向に対して垂直な平面(以下、YZ面と称する)上での位置を算出する。この位置算出部202は、撮像された画像から運転者の単眼位置を算出する第1の算出部として機能する。
【0011】
図2は、単眼501のYZ面上での位置を算出する方法についての説明図である。ここで、図2のY軸は、路面に対して水平方向、Z軸は路面に対して垂直方向を表す。図2に示すように、カメラ101のY軸方向の画角をθ1、カメラ101と単眼501との垂直距離をL1、カメラ101のY軸方向の画素数をn、単位画素当たりのY軸上の距離をΔYとすると、次の(1)式が成り立つ。
ΔY=(2×L1×tan(θ1/2))/n…(1)
【0012】
位置算出部202は、この(1)式を用いてYZ面での単眼501の位置を算出する。具体的には、YZ面でのゼロ点を決めておき、このゼロ点と単眼501の位置との間の画素数を計算する。次に、計算した画素数を(1)式に乗算する。カメラ101のY軸方向の画角をθ1と、カメラ101と単眼501との垂直距離L1は、予め測定できる。このため、単眼501の画像上の位置からYZ面における単眼501の位置を算出できる。
【0013】
なお、この実施形態では、運転者50の単眼501は、Y軸方向にのみ移動することを前提としている。Z軸方向の照射位置は、運転者50が視認しやすい高さとなるように体格や運転姿勢に合わせて予め手動により調整している。この機構は図示しないが、HUDの一般的な調整方法である。
【0014】
投影位置決定部203は、位置算出部202で算出された単眼501の位置から画像を投影する位置を決定する。この投影位置決定部203は、現在の時刻T1で算出した単眼501の位置X1と、前回の時刻T0で算出した単眼501の位置X0との差分ΔXを求め、この差分ΔXから、光束の投影位置の目標値(X1+ΔX1)を決定する。ここで、単眼501の位置が移動した場合、時刻T0からT1において、単眼501が移動した方向に時刻T1以降も移動すると予測して、移動方向に算出位置T1よりも距離ΔX1だけ先の位置に光束の投影位置の目標値(X1+ΔX1)を決定する。この投影位置決定部203は、単眼位置に基づいて、生成された対象物の第1の画像を含む第2の画像の投影位置を決定する決定部として機能する。
【0015】
駆動制御部204は、投影位置決定部203で決定された投影位置へ第2の画像が照射されるよう駆動部406へ制御信号を出力する。
【0016】
ここで、カメラで撮像した画像から単眼501の投影位置を算出して、この投影位置へ画像が照射されるまでには一定の時間がかかる。このため、単眼501が移動している場合、画像を投影した位置と実際の単眼501の投影位置との間に差が生じる可能性がある。そこで、単眼501が移動している場合、位置算出部202で算出された位置よりも単眼501の移動方向に任意の距離だけ進んだ位置へ画像を投影する。このようにすれば、単眼501の位置が移動している場合でも、画像を投影した位置と実際の単眼501の投影位置との誤差を低減できる。
【0017】
むろん、位置算出部202で算出された位置を、単眼501の位置として画像を投影しても良い。また、移動距離に閾値を設ける。そして、車両の移動距離がこの閾値以下の場合には、位置算出部202で算出された位置を、単眼501の位置とする。また、車両の移動距離がこの閾値より大きい場合には、位置算出部202で算出された位置よりも単眼501の移動方向に任意の距離だけ進んだ位置を単眼501の位置としても良い。
【0018】
位置算出部205は、GPSで受信された位置信号を取り込む。位置算出部205は、GPSから得られた位置信号毎に車両位置を算出する。この位置算出部205は、算出した車両位置の経時的変化から、現在の車両の走行方向を算出する。この位置算出部205は、車両位置を算出する第2の算出部として機能する。なお、トンネルや地下駐車場などのGPSを使用できない環境では、これらの進入時の走行方向と速度を初期値とし、図示しないジャイロセンサや加速度センサの情報、あるいはステアリングホイールの回転角(舵角)や車速パルスなどを援用して算出する。また車両が装備するナビゲーションシステムに案内経路が設定されている場合には、車両が案内経路上にあると推定して走行方向を予測算出しても良い。
【0019】
画像信号生成部201は、車両位置と、記憶装置30に記憶されたPOI情報との関係から、単眼501の位置で認識される対象物を含む画面の画像信号を生成する。画像信号生成部201は、車両位置、走行方向およびPOI情報に基づいて、予め設定された所定範囲、例えば車両位置と走行方向とから、走行中の道路を判別する。次に、この道路情報とPOI情報とから道路近郊(道路の道沿い)に存在する対象物を判別する。そして、判別した道路情報とPOI情報との関係から、道路沿いに存在する対象物を含む画面の画像信号を生成する。
【0020】
図3は、第1の実施形態で対象物の画像を表示する画像表示領域を設定する方法についての説明図である。
ここでは、この実施形態に係る画像照射システム1を搭載する車両の場合について説明する。この車両Cは、ナビゲーションシステムを装備する。このナビゲーションシステムでは、地図を表す地図データを有し、位置算出部205から得られた車両位置と走行方向とに対して、この地図データが示す現在位置の周辺の地図Tとのマップマッチング処理などの処理を施す。この処理では、図3に示すように、現在の車両位置として最も確かと判断される座標と、現在の走行方向として最も確かと判断される方向とを、それぞれ車両位置(基準位置)O、走行方向Dとして決定する。なお、基準位置Oは運転者50位置あるいは簡易には車両中心部とする。
【0021】
次に、例えば、この基準位置Oと車両Cのフロントガラス408の左右端面を繋いだ線S1,S2のなす角αを運転者の視野角とみなす。また、POI情報の画像を表示する上限距離をRとし、この視野角αと長さRの線S1,S2とからなる扇形状の領域AをPOI情報の画像表示領域Aとする。この画像表示領域Aは、3次元空間からなる。すなわち、上限距離Rでの地上からの上限高さHを設定し、その上限高さHと基準位置Oとを結んだ空間領域が画像表示領域Aとなる。画像信号生成部201は、この画像表示領域A内に存在するPOI情報を表示対象として選択する。画像信号生成部201は、車両位置と、走行方向と、記憶装置30に記憶された対象物の位置情報の関係から、この走行方向に存在する1以上の対象物を選択する第1の選択部として機能する。
【0022】
また、画像信号生成部201は、表示の対象物の位置と位置算出部202で算出された単眼501の位置との間に仮想スクリーンを設定する。
次に、画像信号生成部201は、この対象物の位置と単眼501の位置とを結ぶ線を引き、この線と仮想スクリーンとの交点に表される対象物のPOI情報の画像信号が結像するようHUD虚像を画像生成する。画像信号生成部201は、この生成した画像信号を照射装置40へ供給する。この画像信号生成部201は、後述する光束生成装置401とともに、車両位置での対象物の画像(第1の画像)を含む画像(第2の画像)を生成する画像生成部として機能する。
【0023】
図4は、画像信号生成部201の構成を表すブロック図である。このブロック図は、画像信号の生成を実現するための図である。図4に示すように、画像信号生成部201は、画像書換部201a、切替部201b、遅延部201c、フレームメモリ201d,201e、比較部201f、供給部201gを備える。
【0024】
画像書換部201aは、一定の間隔でフレームメモリ201d,201eに記憶された画像を、次に選択された第2の画像に連続的に書き換える。
切替部201bは、フレームメモリ201dと201eとを切り替えて、画像書換部201aと接続させる。これにより、画像書換部201aは、フレームメモリ201d,201eの画像書き換えが可能となる。
【0025】
遅延部201cは、選択された第2の画像の書き込みを一定間隔、例えば次の画像書き込みの時間まで、遅延させる。この結果、フレームメモリ201dには、今回選択された第2の画像が書き込まれ、フレームメモリ201eには、前回選択された第2の画像が書き込まれる。画像書換部201a、切替部201b、遅延部201c、フレームメモリ201d,201eは、第2の画像を連続的に生成する生成部として機能する。
【0026】
比較部201fは、フレームメモリ201d,201eに記憶されている第2の画像をスキャンし、両方の第2の画像を比較して、画像の変化状態を比較する。この比較結果に基づいて、いずれか一方の第2の画像を選択する。比較部201fは、連続的に生成される第2の画像の変化状態に基づいて、連続的に生成される第2の画像を選択する選択部として機能する。
供給部201gは、比較部201fで選択された第2の画像に基づいて、画像信号を照射装置40の光束生成装置401へ供給する。
【0027】
すなわち、画像信号生成部201は、両方のフレームメモリ201d,201e内の第2の画像の変化状態、例えば1つの対象物の画像を表示して運転者がそれを認識するのに必要な表示時間を経過せずにフレームメモリの変化が発生したか否か比較する。この比較の結果、運転者が視認できない短い所定の時間に画像の変化が発生した場合、フレームメモリ201eに記憶されている第2の画像(前回の画像)を選択する。具体的には、車両の移動、例えば走行中にある対象物が建物等の影に隠れたり、現れたりする場合がある。この場合、対象物の画像表示が反復変化(チャタリング)することがある。
【0028】
この場合、フレームメモリ201e内の画像(前回供給した画像と同じ画像)を選択して、照射装置40へ供給する。この結果、車両の移動に伴う画像のチャタリング表示を防止することができ、HUD上のPOI情報表示の視認性を向上できる。
【0029】
(記憶装置30)
記憶装置30には、道路情報を含む地図情報の他に、地図上に配置される対象物、たとえば店舗、ホテル、公園、行楽地などの情報がPOI情報として記憶されている。この対象物のPOI情報とは、アイコンやその他の絵記号の画像、施設名称、分類(施設のジャンル)、住所、電話番号、営業時間などの詳細情報、座標や接道情報などで構成されている。記憶装置30としては、半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスクなどが使用できる。
【0030】
(照射装置40)
照射装置40は、光束生成装置401、投影レンズ402、投影範囲制御部403、投影位置制御部404、画像拡大部405、駆動部406、反射部材407を具備する。この照射装置40は、生成された対象物の第1の画像を含む画面の第2の画像を、決定された投影位置に照射する照射部として機能する。
【0031】
光束生成装置401は、画像信号生成部から得られた画像信号から運転者50の単眼501に投影する第2の画像を生成する。光束生成装置401としては、液晶パネル、マイクロミラーを用いたデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)パネルなどを使用でき、その光源として発光ダイオード(LED)や高輝度放電(HID)ランプなどが使用できる。
【0032】
投影範囲制御部403は、光束生成装置401で生成された画像の投影範囲を制御する。投影された画像の幅は、6cm程度に制御することが望ましい。成人の両眼の間隔は約6センチ程度である。投影される画像の幅を6cm程度に制御することで、画像が両眼に投影されることを効果的に防止できる。投影範囲制御部403として、開口板(いわゆるアパーチャ)などを使用できる。
【0033】
投影位置制御部404は、水平方向および垂直方向に回転可能なステージと、このステージに設置されたミラーとを具備する。投影位置制御部404は、ステージの回転によりミラーの角度を制御して、光束生成装置401で生成された第2の画像の投影位置を制御する。
【0034】
駆動部406は、投影位置制御部404が具備するステージを駆動するモータである。駆動部406は、駆動制御部204からの制御信号に応じてモータを駆動し、投影位置制御部404のステージを回転動作させる。
【0035】
図5は、投影位置制御部404のミラーの角度と画像の投影位置との関係を表した図である。図5に示すように、ミラーの角度と画像の投影位置は一対一に対応する関係となる。駆動制御部204は、この対応関係に基づいて、運転者50の単眼501へ画像を投影するために必要なミラーの角度を算出して制御信号を駆動部406へ出力する。
【0036】
画像拡大部405は、投影位置制御部404からの画像の投影サイズを拡大する。反射部材(コンバイナ)407は、画像拡大部405で拡大された画像を反射する。
反射部材407は、車両のフロントガラス408に一体形成された半透明性の部材である。運転者50は、この反射部材407を介して前方の風景が認識できる。なお、画像を投影する単眼501は、運転者50の右目または左目のどちらでも良い。
【0037】
画像を単眼だけに投影することにより、両眼視による二重映りが発生しないため、従来の両眼視HUDに比べてより明瞭な画像を視認でき、POI情報など多くの情報を認識できるようになる。
【0038】
図6は、第1の実施形態で運転者50に認識される風景および画像の重畳図である。運転者50には、単眼501に照射されたPOI情報の個々のアイコン601,601a〜601c,602,602a,603,603a(第1の画像)を配置した画面の第2の画像が、実際の風景に重畳して視認される。これらのアイコン601,601a〜601c,602,602a,603,603aは、運転者50以外の同乗者や車外の人には認識されない。
【0039】
(GPS受信機60)
GPS受信機60は、人口衛星などに装備されたGPSから位置信号を受信する。この位置信号は、受信毎に位置算出部205へ入力される。
【0040】
(画像生成動作)
次に、この画像照射システム1による画像生成動作について説明する。
図7は、第1の実施形態に係る画像照射システム1による画像生成動作を説明するフローチャートである。
【0041】
初めに、カメラ101は、運転者50の顔を撮像し(ステップS11)、撮像した画像を位置算出部202へ供給する。
【0042】
次に、位置算出部202は、カメラ101から得られた画像から運転者50の単眼501を検出する。次に、位置算出部202は、検出した単眼501の画像上の画素位置からYZ面での単眼501の位置を算出する(ステップS12)。
【0043】
次に、GPS受信機60は、GPSから位置信号を受信する(ステップS13)。次に、位置算出部205は、この受信毎に車両の位置を算出する(ステップS14)。
【0044】
次に、画像信号生成部201は、位置算出部202で算出された単眼501の位置と、記憶装置30に記憶された対象物のPOI情報との対応関係から、対象物のアイコンを含んだ第1の画面の画像信号を生成する(ステップS15)。画像信号生成部201は、生成した第2の画面の画像信号を照射装置40へ供給する。
【0045】
次に、照射装置40は、画像信号生成部201から得られた画像信号から第2の画像を生成して単眼501へ照射する(ステップS16)。
【0046】
以上のように、第1の実施形態に係る画像照射システム1では、車両位置と、POI情報との関係から、車両位置近郊の対象物のアイコン画像を含む画面の画像を生成し、単眼501に照射する。この結果、対象物のアイコン画像が実景上に存在するように投影でき、HUD上のPOI情報表示の視認性を向上できる。
【0047】
また、単眼501の移動距離を考慮して画像の投影位置を決定するので、画像を投影した位置と実際の単眼501の投影位置との誤差を低減して、正確な位置に画像を投影できる。
【0048】
また、連続的に生成される第2の画像の変化状態に基づいて、前回選択した第2の画像を再び選択する。この結果、チャタリング表示を防止することができ、HUD上のPOI情報表示の視認性を向上できる。
【0049】
なお、第1の実施形態では、車両位置の近郊(図3に示す画像表示領域A内)に存在する全ての対象物が表示の対象となる。
そこで、車両位置から走行方向を算出する。具体的には、位置算出部205は、算出した車両位置の経時的変化に基づいて、現在の車両の走行方向を算出する。なお、車両がナビゲーションシステムを備えている場合、設定された目的地の誘導経路の情報や目的地方位の情報を有するので、この誘導経路の情報や目的地方位の情報から車両の走行方向を算出することも可能である。この位置算出部205は、上述した第2の算出部として機能するとともに、車両位置に基づいて、この車両の走行方向を算出する方向算出部として機能する。
【0050】
画像信号生成部201は、車両位置と対象物との距離の上限値が予め設定される。画像信号生成部201は、車両位置と、車両の走行方向と、記憶装置30に記憶されたPOI情報との関係から、単眼501の位置で認識される車両前方の対象物を含む画面の画像信号を生成する。画像信号生成部201は、車両位置、車両の走行方向およびPOI情報に基づいて、上限値の範囲で、走行中の道路の道沿いに存在する対象物を含む画面の画像信号を生成する。
【0051】
なお、この画像信号生成部201は、走行方向前方の道路両側に存在する対象物を、画像信号の生成対象として選択しても良いし、また車両の進入し易さを考慮して走行方向前方の道路左側に存在する識別対象を画像信号の生成対象として選択しても良い。
【0052】
記憶装置30は、上述した情報の他に、距離の上限値の情報、車両の走行方向の情報、目的地の位置情報、目的地の誘導経路の情報、目的地方位の情報などを記憶可能とする。
【0053】
以上のように、この実施形態に係る画像照射システムでは、車両位置と、走行方向と、POI情報との関係から、走行方向に存在する対象物の画像を含む画面の画像を単眼501に照射する。この結果、走行方向前方の道路の道沿いに存在する対象物が実景上に投影されたように表示でき、さらにHUD上のPOI情報表示の視認性を向上できる。
【0054】
また、車両が既に装備するナビゲーションシステムを用いて、車両の走行方向を算出することも可能である。この結果、誘導経路の沿道に存在する対象物を優先して表示でき、HUD上のPOI情報表示の視認性を向上できる。また、既存のナビゲーションシステムを用いて走行方向を算出するので、製作コストを低減できる。
【0055】
(変形例1)
図8は、第1の実施形態の変形例1で運転者50に認識される風景および画像の重畳図である。なお、システム構成は、第1の実施形態の構成と同様である。第1の実施形態のように、表示範囲を設定しても、例えば都市部の繁華街などでは、POI情報が集中して多数存在する場合がある。この結果、風景と重畳して選択される対象物の画像の数が多くなって、表示が煩雑になる可能性がある。
【0056】
そこで、この第1の実施形態の変形例1に係る画像照射システムでは、画像信号生成部201で選択される対象物の画像の数を予め所定数(例えば3個)に設定する。画像信号生成部201は、画像表示領域に存在する、例えば3つのPOI情報を選択して、単眼501の位置で認識される対象物を含む画面の画像信号を生成する。画像信号生成部201は、この生成した画像信号を照射装置40へ入力する。
【0057】
照射装置40は、画像信号生成部201から得られた画像信号から画像を生成して単眼501へ照射する。これにより、図8に示すように、3個のアイコン601a〜601cの画像が風景に重畳されて表示される。
【0058】
なお、選択する対象物の画像の数の設定は、デフォルト値として設定することも、運転者50が入力部70を用いて任意に設定することも可能である。
【0059】
また、画像信号生成部201は、表示する対象物の選択において、位置算出部205で算出された車両位置と、対象物のPOI情報とに基づいて、この車両と対象物の距離を算出する。次に、この算出した距離に基づいて、近い距離に存在する対象物を優先して選択する。この画像信号生成部201は、算出した距離に基づいて、選択された対象物をさらに選択する第2の選択部として機能する。
【0060】
以上のように、変形例1に係る画像照射システムでは、生成および投影する対象物の画像の数を所定数に制限する。この結果、対象物の表示が煩雑でなくなり、さらにHUD上のPOI情報表示の視認性を向上できる。
【0061】
また、車両位置との距離が近い対象物を優先して選択するので、運転者の身近に存在する対象物から順番に情報を得ることができ、さらにHUD上のPOI情報表示の視認性を向上できる。
【0062】
(変形例2)
図9は、第1の実施形態の変形例2で運転者50に認識される風景および画像の重畳図である。なお、システム構成は、第1の実施形態の構成と同様である。例えば、選択される対象物の数を設定しても、距離の近い複数のPOI情報が存在すると、対象物の表示が重なり合って、対象物が認識しづらくなる可能性がある。
【0063】
そこで、変形例2では、複数の対象物の表示状態に基づいて、表示する対象物の画像の数を制限する。具体的には、図8のように、表示される複数のアイコン601a〜601cが重なり合って表示される場合に、重畳状態が生じないように、アイコンの画像の数を制限する。すなわち、この変形例2では、重なり合うアイコンを間引く処理を行う。
【0064】
(画像信号生成動作)
次に、変形例2に係る画像信号生成部201による画像信号生成動作について説明する。
図10は、変形例2に係る画像信号生成部201による画像信号生成動作を説明するフローチャートである。
【0065】
初めに、画像信号生成部201は、車両位置と、車両の走行方向と、記憶装置30からの対象物のPOI情報との関係から、優先度の高いPOI情報の表示候補を一つ選択する(ステップS21)。ここでは、第2の実施形態で示したように、車両位置と近い位置に存在する、例えば図9に示したアイコン601aで表されるPOI情報を選択する。
【0066】
次に、この選択されたPOI情報(アイコン601a)が、表示された時に、既に表示されたPOI情報の影になっているか否か判断する(ステップS22)。ここでは、最初の表示候補なので、影にはならない。したがって、画像信号生成部201は、この表示候補であるPOI情報(アイコン601a)を表示対象として選択する(ステップS23)。
【0067】
次に、画像信号生成部201は、表示数が設定値(例えば3つ)か否か判断する(ステップS25)。ここでは、最初の表示なので、次に、優先度が高い対象物(アイコン601bのPOI情報)を表示候補とする。このアイコン601bは、既に選択されているアイコン601aの影になる。この結果、画像信号生成部201は、アイコン601bを非表示とする(ステップS24)。
【0068】
次に、画像信号生成部201は、優先度が高い対象物(アイコン601cのPOI情報)を表示候補とする。このアイコン601cは、既に選択されているアイコン601aの影にならない。この結果、画像信号生成部201は、アイコン601cを表示対象として選択する(ステップS23)。また、その次に優先度が高い表示候補(アイコン602aのPOI情報)も同様に、表示対象として選択する。
【0069】
次に、画像信号生成部201は、表示数が設定値(例えば3つ)に達したのを判断し(ステップS25)、この選択したアイコン601a,601c,602aを含む第2の画像に基づいて、画像信号を生成する(ステップS26)。
【0070】
以上のように、変形例2に係る画像照射システムでは、対象物の画像の重畳状態に基づいて、表示する画像の数を制限する。この結果、対象物の画像の重畳がなくなって、対象物の認識が容易になり、HUD上のPOI情報表示の視認性を向上できる。
【0071】
また、選択される対象物の数の制限と、生成される第2の画像での重畳状態の制限とを併用することで、さらに対象物の認識が容易となり、さらにHUD上のPOI情報表示の視認性を向上できる。
【0072】
(変形例3)
図11は、第1の実施形態の変形例3で運転者50に認識される風景および画像の重畳図である。なお、システム構成は、第1の実施形態の構成と同様である。例えば、車両と対象物との距離が異なる複数のアイコンが選択されても、同じ大きさのアイコン表示では遠近の判別が困難な場合がある。
【0073】
そこで、変形例3では、車両と対象物との距離の大きさに基づいて、仮想スクリーンに表される対象物の画像の大きさを変更する。具体的には、図11に示すように、車両と近い距離に存在する対象物は、アイコン表示を大きくし、車両から遠い距離に存在する対象物は、アイコン表示を小さくする。
【0074】
(画像信号生成動作)
次に、変形例3に係る画像信号生成部201による画像信号生成動作について説明する。
図12は、変形例3に係る画像信号生成部201による画像信号生成動作を説明するフローチャートである。
【0075】
この動作では、ステップS32で、影になっていない対象物(アイコン601a)の場合、画像信号生成部201は、車両とこの表示候補である対象物(アイコン601a)との距離を算出する(ステップS33)。
【0076】
次に、算出した距離が予め設定した閾値(距離)より大きいか否か判断する(ステップS34)。ここで、算出した距離が閾値以下の場合、画像信号生成部201は、この表示候補である対象物(アイコン601a)の画像を大きく表示するための画像信号を生成し、照射装置40による大きいアイコン601aの画像表示を可能にする(ステップS35)。
【0077】
また、算出した距離が閾値より大きい場合、画像信号生成部201は、この表示候補である対象物(アイコン602a)を小さく表示するための画像信号を生成し、照射装置40による小さいアイコン602aの画像表示を可能にする(ステップS36)。
【0078】
以上のように、変形例3に係る画像照射システムでは、車両位置と対象物の位置との距離の大きさに基づいて、生成する第2の画像上でのアイコンの大きさを変更する。すなわち、車両位置と対象物の位置との距離が小さい場合、アイコンの画像を大きくし、距離が大きい場合、アイコンの画像を小さくする。この結果、対象物の表示に遠近感を出すことができ、さらにHUD上のPOI情報表示の視認性を向上できる。
【0079】
また、閾値としての距離を複数設定し、車両と対象物との距離が小さくなるのに応じて、段階的にアイコン表示を大きく変化させることも可能である。この結果、対象物の表示にさらに遠近感を生じることが可能となる。
【0080】
また、変形例3では、記憶装置30にPOI情報に対応して、このPOI情報に関係する関係情報を記憶しておく。この関連情報としては、例えば対象物の名称、住所、営業時間、電話番号、駐車台数、店舗ジャンルおよび表示位置などの対象物を特定するための情報である。
【0081】
画像信号生成部201は、対象物とこの対象物に関係した関係情報とを有する第1の画像を含む第2の画像に基づく、画像信号を生成する。
照射装置40は、図11に示すように、画像信号生成部201から供給された画像信号から対象物(例えば、飲食店を表すアイコン601c)の画像と、このアイコン601cに関係した関係情報601d(例えば、店名と営業時間と駐車可能台数の関係情報を表す「Rレストラン:10:00〜22:00/P10」)の画像とを含む画面の画像を生成する。
【0082】
次に、第1の画像を含む第2の画像を単眼501へ照射して、アイコン602aおよびその関係情報の投影表示を行う。なお、関連情報の表示は、運転者50の視界の下方または上方などの視界を妨げない領域に行われるように、記憶装置30に記憶される関係情報の位置情報を設定する。また、この関係情報の表示は、例えば対象物の優先度の高い順、例えば車両との距離が近い順に行う。
【0083】
以上のように、この変形例3では、対象物とともに、この対象物に関係した関係情報を表示する。この結果、運転者50は対象物に関係した詳細な情報を入手することができ、さらにHUD上のPOI情報表示の視認性を向上できる。
【0084】
(第2の実施形態)
図13は、第2の実施形態に係る画像照射システム2の構成図である。この画像照射システム2では、カメラ101が赤外線カメラで、赤外線光源102,103がインストルメントパネルに設置される。また、中央演算処理装置20aは、このカメラ101から得られる画像に基づいて、単眼501の視線方向を検出する視線方向検出部206を具備する。上述した点が第1の実施形態に係る画像照射システム1と異なる。
【0085】
赤外線光源102は、カメラ101の光軸上に配置され、赤外線光源103は、この光軸上以外の位置に配置される。赤外線光源102,103は、運転者50の頭部の位置に赤外線を照射する。
【0086】
カメラ101は、赤外線光源102,103の照射によって反射された単眼501の角膜反射像と網膜反射像とが重畳された画像を撮像する。視線方向検出部206は、この撮像された画像を画像処理し、角膜反射像と網膜反射像とを検出する。次に、この角膜反射像と網膜反射像との関係位置から運転者50の視線方向を検出する。
【0087】
ここでは、例えば角膜反射像と網膜反射像とのずれを検出し、このずれが基準角度(例えば、ずれがない0度)の位置から右または左にずれた角度を求め、運転者50の視線方向を検出する。視線方向検出部206は、算出された単眼位置に基づいて、この単眼の視線方向を検出する方向検出部として機能する。
【0088】
図14は、第2の実施形態で対象物の画像を表示する画像表示領域を設定する方法についての説明図である。
ここでは、第1の実施形態で説明した画像表示領域の設定方法を用いるものとする。まず、図3に示した車両位置Oを基準とした画像表示領域Aを設定する。次に、図14に示すように、位置算出部202で算出された運転者50の単眼501の単眼位置をこの基準位置として、画像表示領域A1を設定する。この設定では、車両位置と単眼位置は算出されているので、画像表示領域Aを座標変換して、この画像表示領域Aと相似の画像表示領域A1を設定する。
【0089】
次に、算出された単眼の視線方向を示す線D1を中心線とした所定の視野角βを設定する。そして、この視野角βと長さRの線とからなる扇型形状の領域BをPOI情報の画像表示領域Bとする。この画像表示領域Bは、画像表示領域Aと同様、3次元空間からなる。なお、設定方法は、画像表示領域Aと同様なので、説明を省略する。画像信号生成部201は、この画像表示領域B内に存在するPOI情報を表示対象として選択する。
【0090】
画像信号生成部201は、第1の選択部として機能するとともに、検出された運転者50の視線方向に存在するPOI情報を優先的に選択して、このPOI情報に対応する画像信号を生成する。なお、この第2の実施形態および以降の実施形態でも、表示される画像数の制限および間引き処理を行うことが好ましい。
【0091】
照射装置40は、画像信号生成部201から得られた画像信号から画像を生成して単眼501へ照射する。これにより、視線方向に存在するアイコンの画像が風景に重畳されて表示される。なお、この第2の実施形態および以降の実施形態でも、連続的に生成される第2の画像の変化状態に基づいて、前回選択した第2の画像を再び選択して、画像表示を一定に保つことが好ましい。
【0092】
(画像生成動作)
次に、この画像照射システム2による画像生成動作について説明する。
図15は、第2の実施形態に係る画像照射システム2による画像生成動作を説明するフローチャートである。
【0093】
この動作では、ステップS41,S42で運転者50の顔の撮影、単眼位置算出の次に、視線方向検出部206がカメラ101の画像を処理して、角膜反射像と網膜反射像の位置関係から運転者50の視線方向を検出する(ステップS43)。
【0094】
その後、画像信号生成部201が、車両位置と、車両の走行方向と、運転者50の視線方向と、記憶装置30に記憶されたPOI情報との関係から、視線方向に存在する対象物を優先的に選択する。そして、この選択した対象物を含む画面の画像信号を生成する(ステップS46)。
【0095】
照射装置40は、画像信号生成部201から得られた画像信号から画像を生成して単眼501へ照射する(ステップS47)。
【0096】
以上のように、第2の実施形態に係る画像照射システム2では、運転者50の視線方向を検出し、この視線方向に存在する対象物を優先して選択し、この選択した対象物を含む画面の画像を生成する。この結果、運転者50の望む方向に存在する対象物を表示でき、HUD上のPOI情報表示の視認性を向上できる。
【0097】
(第3の実施形態)
図16は、第3の実施形態に係る画像照射システム3の構成図である。この画像照射システム1では、撮像装置10が、カメラ101の他に、例えば車両のインストルメントパネルに設置されたカメラ104,105を具備する。中央演算処理装置20bは、手差し方向検出部207を具備する。上述した点が、第1の実施形態に係る画像照射システムと異なる。
【0098】
このカメラ104,105は、運転者50の略正面で、かつ左右対称に設置され、予め決められた時間間隔でこの運転者50の手を撮像する。このカメラ104,105は、空間中の同一位置に存在する手の左画像および右画像を撮像する。カメラ104,105は、撮像した手の画像を中央演算処理装置20へ入力する。このカメラ104,105は、特定部位を撮像する撮像部として機能する。
【0099】
手差し方向検出部207は、カメラ104,105から得られる手の左画像と右画像に対して、いわゆるステレオ画像処理技術を用いて画像処理を行う。手差し方向検出部207は、カメラ104,105から得られる手の左画像上および右画像上の画像処理によって手の形状認識情報および三角測量によって手の位置情報を得る。
【0100】
具体的には、手差し方向検出部207は、この左画像上および右画像上の各投影点を対応付け、伸ばされた指、例えば第2指(人差し指)の形状認識情報と位置情報を得る。特に、形状認識された人差し指の指先と付け根との位置情報を得る。次に、この2点の3次元の位置情報の関係から指差し方向を検出する。この手差し方向検出部207は、特定部位の位置を算出する部位算出部として機能する。さらに、手差し方向検出部207は、特定部位の位置に基づいて、特定部位の示す方向を算出する方向算出部として機能する。
【0101】
画像信号生成部201は、この検出された運転者50の指差し方向の直線上に存在する対象物を優先して選択し、この対象物を含む画面の画像信号を生成する。なお、第3の実施形態では、図14に示した第2の実施形態と同様に、指差し方向を示す線を中心線とした所定の角度βを設定する。この角度βと長さRの2線とからなる扇型形状の領域をPOI情報の画像表示領域とする。
【0102】
画像信号生成部201は、第1の選択部として機能するとともに、算出された特定部位の示す方向に存在する対象物を優先して選択し、この選択した対象物の第1の画像を含む第2の画像を生成する。
【0103】
(画像生成動作)
次に、この画像照射システム3による画像生成動作について説明する。
図17は、第3の実施形態に係る画像照射システム3による画像生成動作を説明するフローチャートである。
【0104】
この動作では、ステップS51で、カメラ101で運転者50の顔を撮像するとともに、カメラ104,105で運転者50の指を撮像する。
【0105】
その後、指差し方向検出部207が、撮像された手の左画像と右画像を画像処理して、例えば人差し指の指先と付け根との位置情報を得る。さらに、この指先と付け根の2点の位置情報から、運転者50の指差し方向を検出する(ステップS53)。
【0106】
その後、画像信号生成部201が、車両位置と、車両の走行方向と、運転者50の指差し方向と、記憶装置30に記憶されたPOI情報との関係から、指差し方向の直線上に存在する対象物を優先して選択する。そして、この選択した対象物を含む画面の画像信号を生成する(ステップS56)。
【0107】
照射装置40は、画像信号生成部201から得られた画像信号から対象物の画像を含む画面の画像を生成して単眼501へ照射する(ステップS57)。
【0108】
以上のように、第3の実施形態に係る画像照射システム3では、運転者50が指差した指差し方向を検出し、この指差し方向の直線上に存在する対象物を優先して生成する。この結果、運転者50の望む方向に存在する対象物を表示でき、さらにHUD上のPOI情報表示の視認性を向上できる。
【0109】
なお、運転者50が任意の位置を示す特定部位としては、上記指に限らず、種々考えられる。例えば顔の向いた方向などが考えられる。この場合も、顔を撮像する2台のカメラを用いれば、顔の向いた方向を検出することが可能となる。そして、この顔の向いた方向の直線上に存在する対象物を優先して生成することで、運転者50の望む方向に存在する対象物を表示することが可能となる。
【0110】
(第4の実施形態)
図18は、第4の実施形態に係る画像照射システム4の構成図である。この画像照射システム4では、車両の移動速度を測定する車速センサ80が設置され、中央演算処理装置20cに接続される。また、中央演算処理装置20cは、この車速センサ80からセンサ信号を得る移動速度検出部208を具備する。上述した点が第1の実施形態に係る画像照射システム1と異なる。なお、車速センサ80は加速度センサなどに限らず、車両が持つ車速パルスを応用しても良い。
【0111】
車速センサ80は、所定間隔で測定したセンサ信号を移動速度検出部208へ入力する。移動速度検出部208は、車速センサ80から得られたセンサ信号に基づいて、現時点の車両の移動速度を検出する。検出された移動速度は、記憶装置30に記憶される。この車速センサ80は、車両の移動速度を検出する車速検出部として機能する。
【0112】
図19は、第4の実施形態で運転者50に認識される風景および画像の重畳図である。画像信号生成部201は、車両の走行方向に基づいて、単眼501の位置で認識される対象物を含む画面の画像信号を生成する。
【0113】
具体的には、第4の実施形態では、車両と対象物との距離の上限値に基づく領域と閾値、および移動速度の閾値を予め設定しておく。この領域とは、例えば図3に示した画像表示領域Aにおいて、上限距離Rと、この上限距離Rより短い所定距離と、上限高さとから予め設定された3次元の空間領域である。
【0114】
記憶装置30は、これら設定された値の情報を記憶する。画像信号生成部201は、移動速度がこの閾値より速い場合、上限値に近い対象物(POI情報)を選択する。すなわち、画像信号生成部201は、図19に示すように、車両位置との距離がこの上限値に近い対象物を順番に選択する。次に、この選択した対象物に対応したアイコン602,602a,603を含む画面の画像信号を生成する。また、移動速度がこの閾値以下の場合、車両位置に近い距離の対象物を選択し、上記と同様に、画像信号を生成する。
【0115】
車両の移動速度が遅いときには、選択表示する対象物との距離の閾値を小さく規定し、近くのPOI情報がより多く表示されるように設定する。逆に移動速度が速いほど、選択表示する対象物との距離閾値を大きく設定し、より遠くのPOI情報を優先表示させる。これにより運転者は速い速度で移動中に目的のPOI情報を認識したとしても、十分安全な余裕のある距離をもって対処できる。
【0116】
(画像生成動作)
次に、この画像照射システム1による画像生成動作について説明する。
図20は、第4の実施形態に係る画像照射システム4による画像生成動作を説明するフローチャートである。
【0117】
この動作では、ステップS62で単眼位置算出の次に、車速センサ80からセンサ信号が入力する(ステップS63)。移動速度検出部208は、得られたセンサ信号に基づいて、車両の移動速度を検出する(ステップS64)。
【0118】
その後、画像信号生成部201が、車両位置と、車両の走行方向と、移動速度と、記憶装置30に記憶されたPOI情報との関係から、走行方向に存在する対象物を選択する。そして、この選択した対象物を含む画面の画像信号を生成する(ステップS67)。
【0119】
照射装置40は、画像信号生成部201から得られた画像信号から対象物の画像を含む画面の画像を生成して単眼501へ照射する(ステップS68)。
【0120】
(画像信号生成動作)
次に、第4の実施形態に係る画像信号生成部201による画像信号生成動作について説明する。
図21は、第4の実施形態に係る画像信号生成部201による画像信号生成動作を説明するフローチャートである。
この動作では、移動速度検出部208で検出された移動速度の情報が画像信号生成部201へ入力される(ステップS71)。
【0121】
次に、画像信号生成部201は、この移動速度が予め設定された閾値よりも小さいか否か判断する(ステップS72)。ここで、移動速度が閾値以上の場合、予め設定された距離の上限値に近いPOI情報の表示候補を一つ選択する(ステップS73)。ここでは、例えば図19に示したアイコン603で表されるPOI情報を選択する。
【0122】
次に、この選択したPOI情報(アイコン603)が、表示された時に、既に表示されたPOI情報の影になっているか否か判断する(ステップS74)。ここでは、最初の表示候補なので、影にはならない。したがって、画像信号生成部201は、この表示候補であるPOI情報(アイコン603)を表示対象として選択する(ステップS75)。
【0123】
次に、画像信号生成部201は、表示数が設定値(例えば3つ)か否か判断する(ステップS76)。ここでは、最初の表示対象なので、次に、優先度が高い表示候補(アイコン602aのPOI情報)を選択する。このアイコン602aは、既に選択されているアイコン603の影にならないので、画像信号生成部201は、アイコン602aを表示対象として選択する。また、その次の表示候補(アイコン602のPOI情報)も上記同様に、表示対象として選択する。なお、表示候補のアイコンが既に選択されているアイコンの影になる場合、その対象物は非表示となる(ステップS76)。
【0124】
また、ステップS72において、移動速度が閾値よりも小さい場合、車両位置に近い表示候補を選択する(ステップS78)。次に、上記同様、この表示候補の対象物が、既に選択されたアイコンの影になるか否か判断して表示対象を選択する。
【0125】
次に、画像信号生成部201は、表示数が設定値(例えば3つ)に達したのを判断し(ステップS77)、この選択したアイコン602,602a,603を含む画面の画像信号を生成する(ステップS79)。
【0126】
以上のように、第4の実施形態に係る画像照射システム4では、移動速度が閾値より大きい場合、上限値に近い対象物の画像を表示し、移動速度が閾値以下の場合、車両に近い対象物の画像を表示する。この結果、対象物の画像が短時間で消されるのを防止でき、さらにHUD上のPOI情報表示の視認性を向上できる。
【0127】
(その他の実施形態)
本発明の実施形態は上記の実施形態に限られず拡張、変更可能であり、拡張、変更した実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。これら実施形態1〜4を適宜組み合わせて画像照射システムを構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】第1の実施形態に係る画像照射システムの構成図である。
【図2】YZ面上の位置を算出する方法についての説明図である。
【図3】第1の実施形態で対象物の画像を表示する画像表示領域を設定する方法についての説明図である。
【図4】画像信号生成部の構成を表すブロック図である。
【図5】ミラーの角度と画像の投影位置との関係を表した図である。
【図6】第1の実施形態で運転者に認識される風景および画像の重畳図である。
【図7】第1の実施形態に係る画像照射システムによる画像生成動作を説明するフローチャートである。
【図8】第1の実施形態の変形例1で運転者に認識される風景および画像の重畳図である。
【図9】第1の実施形態の変形例2で運転者に認識される風景および画像の重畳図である。
【図10】変形例2に係る画像信号生成部による画像信号生成動作を説明するフローチャートである。
【図11】第1の実施形態の変形例3で運転者に認識される風景および画像の重畳図である。
【図12】変形例3に係る画像信号生成部による画像信号生成動作を説明するフローチャートである。
【図13】第2の実施形態に係る画像照射システムの構成図である。
【図14】第2の実施形態で対象物の画像を表示する画像表示領域を設定する方法についての説明図である。
【図15】第2の実施形態に係る画像照射システムによる画像生成動作を説明するフローチャートである。
【図16】第3の実施形態に係る画像照射システムの構成図である。
【図17】第3の実施形態に係る画像照射システムによる画像生成動作を説明するフローチャートである。
【図18】第4の実施形態に係る画像照射システムの構成図である。
【図19】第4の実施形態で運転者に認識される風景および画像の重畳図である。
【図20】第4の実施形態に係る画像照射システムによる画像生成動作を説明するフローチャートである。
【図21】第4の実施形態に係る画像信号生成部による画像信号生成動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0129】
1〜4…画像照射システム、10…撮像装置、20,20a〜20c…中央演算処理装置、30…記憶装置、40…照射装置、50…運転者、60…GPS受信機、70…入力部、80…車速センサ、101,104,105…カメラ、102,103…赤外線光源、201…画像信号生成部、202…位置算出部、203…投影位置決定部、204…駆動制御部、205…位置算出部、206…視線方向検出部、207…手差し方向検出部、208…移動速度検出部、401…光束生成装置、402…投影レンズ、403…投影範囲制御部、404…投影位置制御部、405…画像拡大部、406…駆動部、407…反射部材、408…フロントガラス、501…単眼、601,601a〜601c,602,602a,603,603a…アイコン、601d…関係情報
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーションシステムの表示対象物の位置を表すPOI(Point of Interest)情報を車両のウィンドシールドガラス(以下、「フロントガラス」という)上に表示提供する、いわゆるHUD(Head Up Display)などの画像照射システムおよび画像照射方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のナビゲーションシステムでは、GPS(Global Positioning System)などから位置情報を取得する。この取得した位置情報に基づいて、現在表示されている地図上の店補などを表すPOI情報が、アイコンやその他の絵記号の形式で表示されている。
このPOI情報の表示では、複数の表示が重なる場合、車両に距離が近いPOI情報を優先して重ね書き表示する技術が開示されている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−139931号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前述の技術では、運転者が視認する実際の風景(以下、「実景」という)とは別の、二次元地図画面または同地図を俯瞰するように座標変換した地図画面への表示を前提としているため、POI情報の表示が煩雑になり、HUDに表示した場合の視認性が劣化する。
上記に鑑み、本発明は、HUD上で表示されるPOI情報の視認性を向上させる画像照射システムおよび画像照射方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様に係る画像照射システムは、車両の運転者を撮像する撮像部と、前記撮像された画像から前記運転者の単眼位置を算出する第1の算出部と、前記車両位置を算出する第2の算出部と、前記車両の走行方向を算出する方向算出部と、複数の対象物と、これら複数の対象物の位置を表す位置情報と、を記憶する記憶部と、前記算出された車両位置と、前記算出された車両の走行方向と、前記記憶された対象物の位置情報との関係から、この走行方向に存在する1以上の対象物を選択する第1の選択部と、前記選択された対象物の第1の画像を含む第2の画像を生成する画像生成部と、前記算出された単眼位置に基づいて、前記生成された第2の画像の投影位置を決定する決定部と、前記生成された第2の画像を、前記決定された投影位置に照射する照射部と、を具備する。
【0005】
本発明の一態様に係る画像照射方法は、車両の運転者を撮像するステップと、前記撮像された画像から前記運転者の単眼位置を算出するステップと、前記車両位置を算出するステップと、前記車両の走行方向を算出するステップと、複数の対象物と、これら複数の対象物の位置を表す位置情報と、を記憶するステップと、前記算出された車両位置と、前記算出された車両の走行方向と、前記記憶された対象物の位置情報との関係から、この走行方向に存在する1以上の対象物を選択するステップと、前記選択された対象物の第1の画像を含む第2の画像を生成するステップと、前記算出された単眼位置に基づいて、前記生成された第2の画像の投影位置を決定するステップと、前記生成された第2の画像を、前記決定された投影位置に照射するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、HUD上で表示されるPOI情報の視認性を向上させる画像照射システムおよび画像照射方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る画像照射システム1の構成図である。この画像照射システム1は、撮像装置10、中央演算処理装置20、記憶装置30、照射装置40およびGPS受信機60を具備する。この画像照射システム1は、ナビゲーションシステムを有する車両に装備される。
以下、各構成について詳細に説明する。
【0008】
(撮像装置10)
撮像装置10は、例えば車両のインストルメントパネルに設置されたカメラ101を具備する。カメラ101は、運転者50の略正面に設置され、予め決められた時間間隔でこの運転者50の顔を撮像する。カメラ101は、撮像した運転者50の画像を中央演算処理装置20へ入力する。このカメラ101は、車両の運転者を撮像する撮像部として機能する。
【0009】
中央演算処理装置20は、画像信号生成部201、位置算出部202、投影位置決定部203、駆動制御部204、位置算出部205を具備する。
【0010】
位置算出部202は、カメラ101から得られる画像毎に運転者50の単眼501を算出する。この位置算出部202は、算出した単眼501の画像上の画素位置から車両の走行方向に対して垂直な平面(以下、YZ面と称する)上での位置を算出する。この位置算出部202は、撮像された画像から運転者の単眼位置を算出する第1の算出部として機能する。
【0011】
図2は、単眼501のYZ面上での位置を算出する方法についての説明図である。ここで、図2のY軸は、路面に対して水平方向、Z軸は路面に対して垂直方向を表す。図2に示すように、カメラ101のY軸方向の画角をθ1、カメラ101と単眼501との垂直距離をL1、カメラ101のY軸方向の画素数をn、単位画素当たりのY軸上の距離をΔYとすると、次の(1)式が成り立つ。
ΔY=(2×L1×tan(θ1/2))/n…(1)
【0012】
位置算出部202は、この(1)式を用いてYZ面での単眼501の位置を算出する。具体的には、YZ面でのゼロ点を決めておき、このゼロ点と単眼501の位置との間の画素数を計算する。次に、計算した画素数を(1)式に乗算する。カメラ101のY軸方向の画角をθ1と、カメラ101と単眼501との垂直距離L1は、予め測定できる。このため、単眼501の画像上の位置からYZ面における単眼501の位置を算出できる。
【0013】
なお、この実施形態では、運転者50の単眼501は、Y軸方向にのみ移動することを前提としている。Z軸方向の照射位置は、運転者50が視認しやすい高さとなるように体格や運転姿勢に合わせて予め手動により調整している。この機構は図示しないが、HUDの一般的な調整方法である。
【0014】
投影位置決定部203は、位置算出部202で算出された単眼501の位置から画像を投影する位置を決定する。この投影位置決定部203は、現在の時刻T1で算出した単眼501の位置X1と、前回の時刻T0で算出した単眼501の位置X0との差分ΔXを求め、この差分ΔXから、光束の投影位置の目標値(X1+ΔX1)を決定する。ここで、単眼501の位置が移動した場合、時刻T0からT1において、単眼501が移動した方向に時刻T1以降も移動すると予測して、移動方向に算出位置T1よりも距離ΔX1だけ先の位置に光束の投影位置の目標値(X1+ΔX1)を決定する。この投影位置決定部203は、単眼位置に基づいて、生成された対象物の第1の画像を含む第2の画像の投影位置を決定する決定部として機能する。
【0015】
駆動制御部204は、投影位置決定部203で決定された投影位置へ第2の画像が照射されるよう駆動部406へ制御信号を出力する。
【0016】
ここで、カメラで撮像した画像から単眼501の投影位置を算出して、この投影位置へ画像が照射されるまでには一定の時間がかかる。このため、単眼501が移動している場合、画像を投影した位置と実際の単眼501の投影位置との間に差が生じる可能性がある。そこで、単眼501が移動している場合、位置算出部202で算出された位置よりも単眼501の移動方向に任意の距離だけ進んだ位置へ画像を投影する。このようにすれば、単眼501の位置が移動している場合でも、画像を投影した位置と実際の単眼501の投影位置との誤差を低減できる。
【0017】
むろん、位置算出部202で算出された位置を、単眼501の位置として画像を投影しても良い。また、移動距離に閾値を設ける。そして、車両の移動距離がこの閾値以下の場合には、位置算出部202で算出された位置を、単眼501の位置とする。また、車両の移動距離がこの閾値より大きい場合には、位置算出部202で算出された位置よりも単眼501の移動方向に任意の距離だけ進んだ位置を単眼501の位置としても良い。
【0018】
位置算出部205は、GPSで受信された位置信号を取り込む。位置算出部205は、GPSから得られた位置信号毎に車両位置を算出する。この位置算出部205は、算出した車両位置の経時的変化から、現在の車両の走行方向を算出する。この位置算出部205は、車両位置を算出する第2の算出部として機能する。なお、トンネルや地下駐車場などのGPSを使用できない環境では、これらの進入時の走行方向と速度を初期値とし、図示しないジャイロセンサや加速度センサの情報、あるいはステアリングホイールの回転角(舵角)や車速パルスなどを援用して算出する。また車両が装備するナビゲーションシステムに案内経路が設定されている場合には、車両が案内経路上にあると推定して走行方向を予測算出しても良い。
【0019】
画像信号生成部201は、車両位置と、記憶装置30に記憶されたPOI情報との関係から、単眼501の位置で認識される対象物を含む画面の画像信号を生成する。画像信号生成部201は、車両位置、走行方向およびPOI情報に基づいて、予め設定された所定範囲、例えば車両位置と走行方向とから、走行中の道路を判別する。次に、この道路情報とPOI情報とから道路近郊(道路の道沿い)に存在する対象物を判別する。そして、判別した道路情報とPOI情報との関係から、道路沿いに存在する対象物を含む画面の画像信号を生成する。
【0020】
図3は、第1の実施形態で対象物の画像を表示する画像表示領域を設定する方法についての説明図である。
ここでは、この実施形態に係る画像照射システム1を搭載する車両の場合について説明する。この車両Cは、ナビゲーションシステムを装備する。このナビゲーションシステムでは、地図を表す地図データを有し、位置算出部205から得られた車両位置と走行方向とに対して、この地図データが示す現在位置の周辺の地図Tとのマップマッチング処理などの処理を施す。この処理では、図3に示すように、現在の車両位置として最も確かと判断される座標と、現在の走行方向として最も確かと判断される方向とを、それぞれ車両位置(基準位置)O、走行方向Dとして決定する。なお、基準位置Oは運転者50位置あるいは簡易には車両中心部とする。
【0021】
次に、例えば、この基準位置Oと車両Cのフロントガラス408の左右端面を繋いだ線S1,S2のなす角αを運転者の視野角とみなす。また、POI情報の画像を表示する上限距離をRとし、この視野角αと長さRの線S1,S2とからなる扇形状の領域AをPOI情報の画像表示領域Aとする。この画像表示領域Aは、3次元空間からなる。すなわち、上限距離Rでの地上からの上限高さHを設定し、その上限高さHと基準位置Oとを結んだ空間領域が画像表示領域Aとなる。画像信号生成部201は、この画像表示領域A内に存在するPOI情報を表示対象として選択する。画像信号生成部201は、車両位置と、走行方向と、記憶装置30に記憶された対象物の位置情報の関係から、この走行方向に存在する1以上の対象物を選択する第1の選択部として機能する。
【0022】
また、画像信号生成部201は、表示の対象物の位置と位置算出部202で算出された単眼501の位置との間に仮想スクリーンを設定する。
次に、画像信号生成部201は、この対象物の位置と単眼501の位置とを結ぶ線を引き、この線と仮想スクリーンとの交点に表される対象物のPOI情報の画像信号が結像するようHUD虚像を画像生成する。画像信号生成部201は、この生成した画像信号を照射装置40へ供給する。この画像信号生成部201は、後述する光束生成装置401とともに、車両位置での対象物の画像(第1の画像)を含む画像(第2の画像)を生成する画像生成部として機能する。
【0023】
図4は、画像信号生成部201の構成を表すブロック図である。このブロック図は、画像信号の生成を実現するための図である。図4に示すように、画像信号生成部201は、画像書換部201a、切替部201b、遅延部201c、フレームメモリ201d,201e、比較部201f、供給部201gを備える。
【0024】
画像書換部201aは、一定の間隔でフレームメモリ201d,201eに記憶された画像を、次に選択された第2の画像に連続的に書き換える。
切替部201bは、フレームメモリ201dと201eとを切り替えて、画像書換部201aと接続させる。これにより、画像書換部201aは、フレームメモリ201d,201eの画像書き換えが可能となる。
【0025】
遅延部201cは、選択された第2の画像の書き込みを一定間隔、例えば次の画像書き込みの時間まで、遅延させる。この結果、フレームメモリ201dには、今回選択された第2の画像が書き込まれ、フレームメモリ201eには、前回選択された第2の画像が書き込まれる。画像書換部201a、切替部201b、遅延部201c、フレームメモリ201d,201eは、第2の画像を連続的に生成する生成部として機能する。
【0026】
比較部201fは、フレームメモリ201d,201eに記憶されている第2の画像をスキャンし、両方の第2の画像を比較して、画像の変化状態を比較する。この比較結果に基づいて、いずれか一方の第2の画像を選択する。比較部201fは、連続的に生成される第2の画像の変化状態に基づいて、連続的に生成される第2の画像を選択する選択部として機能する。
供給部201gは、比較部201fで選択された第2の画像に基づいて、画像信号を照射装置40の光束生成装置401へ供給する。
【0027】
すなわち、画像信号生成部201は、両方のフレームメモリ201d,201e内の第2の画像の変化状態、例えば1つの対象物の画像を表示して運転者がそれを認識するのに必要な表示時間を経過せずにフレームメモリの変化が発生したか否か比較する。この比較の結果、運転者が視認できない短い所定の時間に画像の変化が発生した場合、フレームメモリ201eに記憶されている第2の画像(前回の画像)を選択する。具体的には、車両の移動、例えば走行中にある対象物が建物等の影に隠れたり、現れたりする場合がある。この場合、対象物の画像表示が反復変化(チャタリング)することがある。
【0028】
この場合、フレームメモリ201e内の画像(前回供給した画像と同じ画像)を選択して、照射装置40へ供給する。この結果、車両の移動に伴う画像のチャタリング表示を防止することができ、HUD上のPOI情報表示の視認性を向上できる。
【0029】
(記憶装置30)
記憶装置30には、道路情報を含む地図情報の他に、地図上に配置される対象物、たとえば店舗、ホテル、公園、行楽地などの情報がPOI情報として記憶されている。この対象物のPOI情報とは、アイコンやその他の絵記号の画像、施設名称、分類(施設のジャンル)、住所、電話番号、営業時間などの詳細情報、座標や接道情報などで構成されている。記憶装置30としては、半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスクなどが使用できる。
【0030】
(照射装置40)
照射装置40は、光束生成装置401、投影レンズ402、投影範囲制御部403、投影位置制御部404、画像拡大部405、駆動部406、反射部材407を具備する。この照射装置40は、生成された対象物の第1の画像を含む画面の第2の画像を、決定された投影位置に照射する照射部として機能する。
【0031】
光束生成装置401は、画像信号生成部から得られた画像信号から運転者50の単眼501に投影する第2の画像を生成する。光束生成装置401としては、液晶パネル、マイクロミラーを用いたデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)パネルなどを使用でき、その光源として発光ダイオード(LED)や高輝度放電(HID)ランプなどが使用できる。
【0032】
投影範囲制御部403は、光束生成装置401で生成された画像の投影範囲を制御する。投影された画像の幅は、6cm程度に制御することが望ましい。成人の両眼の間隔は約6センチ程度である。投影される画像の幅を6cm程度に制御することで、画像が両眼に投影されることを効果的に防止できる。投影範囲制御部403として、開口板(いわゆるアパーチャ)などを使用できる。
【0033】
投影位置制御部404は、水平方向および垂直方向に回転可能なステージと、このステージに設置されたミラーとを具備する。投影位置制御部404は、ステージの回転によりミラーの角度を制御して、光束生成装置401で生成された第2の画像の投影位置を制御する。
【0034】
駆動部406は、投影位置制御部404が具備するステージを駆動するモータである。駆動部406は、駆動制御部204からの制御信号に応じてモータを駆動し、投影位置制御部404のステージを回転動作させる。
【0035】
図5は、投影位置制御部404のミラーの角度と画像の投影位置との関係を表した図である。図5に示すように、ミラーの角度と画像の投影位置は一対一に対応する関係となる。駆動制御部204は、この対応関係に基づいて、運転者50の単眼501へ画像を投影するために必要なミラーの角度を算出して制御信号を駆動部406へ出力する。
【0036】
画像拡大部405は、投影位置制御部404からの画像の投影サイズを拡大する。反射部材(コンバイナ)407は、画像拡大部405で拡大された画像を反射する。
反射部材407は、車両のフロントガラス408に一体形成された半透明性の部材である。運転者50は、この反射部材407を介して前方の風景が認識できる。なお、画像を投影する単眼501は、運転者50の右目または左目のどちらでも良い。
【0037】
画像を単眼だけに投影することにより、両眼視による二重映りが発生しないため、従来の両眼視HUDに比べてより明瞭な画像を視認でき、POI情報など多くの情報を認識できるようになる。
【0038】
図6は、第1の実施形態で運転者50に認識される風景および画像の重畳図である。運転者50には、単眼501に照射されたPOI情報の個々のアイコン601,601a〜601c,602,602a,603,603a(第1の画像)を配置した画面の第2の画像が、実際の風景に重畳して視認される。これらのアイコン601,601a〜601c,602,602a,603,603aは、運転者50以外の同乗者や車外の人には認識されない。
【0039】
(GPS受信機60)
GPS受信機60は、人口衛星などに装備されたGPSから位置信号を受信する。この位置信号は、受信毎に位置算出部205へ入力される。
【0040】
(画像生成動作)
次に、この画像照射システム1による画像生成動作について説明する。
図7は、第1の実施形態に係る画像照射システム1による画像生成動作を説明するフローチャートである。
【0041】
初めに、カメラ101は、運転者50の顔を撮像し(ステップS11)、撮像した画像を位置算出部202へ供給する。
【0042】
次に、位置算出部202は、カメラ101から得られた画像から運転者50の単眼501を検出する。次に、位置算出部202は、検出した単眼501の画像上の画素位置からYZ面での単眼501の位置を算出する(ステップS12)。
【0043】
次に、GPS受信機60は、GPSから位置信号を受信する(ステップS13)。次に、位置算出部205は、この受信毎に車両の位置を算出する(ステップS14)。
【0044】
次に、画像信号生成部201は、位置算出部202で算出された単眼501の位置と、記憶装置30に記憶された対象物のPOI情報との対応関係から、対象物のアイコンを含んだ第1の画面の画像信号を生成する(ステップS15)。画像信号生成部201は、生成した第2の画面の画像信号を照射装置40へ供給する。
【0045】
次に、照射装置40は、画像信号生成部201から得られた画像信号から第2の画像を生成して単眼501へ照射する(ステップS16)。
【0046】
以上のように、第1の実施形態に係る画像照射システム1では、車両位置と、POI情報との関係から、車両位置近郊の対象物のアイコン画像を含む画面の画像を生成し、単眼501に照射する。この結果、対象物のアイコン画像が実景上に存在するように投影でき、HUD上のPOI情報表示の視認性を向上できる。
【0047】
また、単眼501の移動距離を考慮して画像の投影位置を決定するので、画像を投影した位置と実際の単眼501の投影位置との誤差を低減して、正確な位置に画像を投影できる。
【0048】
また、連続的に生成される第2の画像の変化状態に基づいて、前回選択した第2の画像を再び選択する。この結果、チャタリング表示を防止することができ、HUD上のPOI情報表示の視認性を向上できる。
【0049】
なお、第1の実施形態では、車両位置の近郊(図3に示す画像表示領域A内)に存在する全ての対象物が表示の対象となる。
そこで、車両位置から走行方向を算出する。具体的には、位置算出部205は、算出した車両位置の経時的変化に基づいて、現在の車両の走行方向を算出する。なお、車両がナビゲーションシステムを備えている場合、設定された目的地の誘導経路の情報や目的地方位の情報を有するので、この誘導経路の情報や目的地方位の情報から車両の走行方向を算出することも可能である。この位置算出部205は、上述した第2の算出部として機能するとともに、車両位置に基づいて、この車両の走行方向を算出する方向算出部として機能する。
【0050】
画像信号生成部201は、車両位置と対象物との距離の上限値が予め設定される。画像信号生成部201は、車両位置と、車両の走行方向と、記憶装置30に記憶されたPOI情報との関係から、単眼501の位置で認識される車両前方の対象物を含む画面の画像信号を生成する。画像信号生成部201は、車両位置、車両の走行方向およびPOI情報に基づいて、上限値の範囲で、走行中の道路の道沿いに存在する対象物を含む画面の画像信号を生成する。
【0051】
なお、この画像信号生成部201は、走行方向前方の道路両側に存在する対象物を、画像信号の生成対象として選択しても良いし、また車両の進入し易さを考慮して走行方向前方の道路左側に存在する識別対象を画像信号の生成対象として選択しても良い。
【0052】
記憶装置30は、上述した情報の他に、距離の上限値の情報、車両の走行方向の情報、目的地の位置情報、目的地の誘導経路の情報、目的地方位の情報などを記憶可能とする。
【0053】
以上のように、この実施形態に係る画像照射システムでは、車両位置と、走行方向と、POI情報との関係から、走行方向に存在する対象物の画像を含む画面の画像を単眼501に照射する。この結果、走行方向前方の道路の道沿いに存在する対象物が実景上に投影されたように表示でき、さらにHUD上のPOI情報表示の視認性を向上できる。
【0054】
また、車両が既に装備するナビゲーションシステムを用いて、車両の走行方向を算出することも可能である。この結果、誘導経路の沿道に存在する対象物を優先して表示でき、HUD上のPOI情報表示の視認性を向上できる。また、既存のナビゲーションシステムを用いて走行方向を算出するので、製作コストを低減できる。
【0055】
(変形例1)
図8は、第1の実施形態の変形例1で運転者50に認識される風景および画像の重畳図である。なお、システム構成は、第1の実施形態の構成と同様である。第1の実施形態のように、表示範囲を設定しても、例えば都市部の繁華街などでは、POI情報が集中して多数存在する場合がある。この結果、風景と重畳して選択される対象物の画像の数が多くなって、表示が煩雑になる可能性がある。
【0056】
そこで、この第1の実施形態の変形例1に係る画像照射システムでは、画像信号生成部201で選択される対象物の画像の数を予め所定数(例えば3個)に設定する。画像信号生成部201は、画像表示領域に存在する、例えば3つのPOI情報を選択して、単眼501の位置で認識される対象物を含む画面の画像信号を生成する。画像信号生成部201は、この生成した画像信号を照射装置40へ入力する。
【0057】
照射装置40は、画像信号生成部201から得られた画像信号から画像を生成して単眼501へ照射する。これにより、図8に示すように、3個のアイコン601a〜601cの画像が風景に重畳されて表示される。
【0058】
なお、選択する対象物の画像の数の設定は、デフォルト値として設定することも、運転者50が入力部70を用いて任意に設定することも可能である。
【0059】
また、画像信号生成部201は、表示する対象物の選択において、位置算出部205で算出された車両位置と、対象物のPOI情報とに基づいて、この車両と対象物の距離を算出する。次に、この算出した距離に基づいて、近い距離に存在する対象物を優先して選択する。この画像信号生成部201は、算出した距離に基づいて、選択された対象物をさらに選択する第2の選択部として機能する。
【0060】
以上のように、変形例1に係る画像照射システムでは、生成および投影する対象物の画像の数を所定数に制限する。この結果、対象物の表示が煩雑でなくなり、さらにHUD上のPOI情報表示の視認性を向上できる。
【0061】
また、車両位置との距離が近い対象物を優先して選択するので、運転者の身近に存在する対象物から順番に情報を得ることができ、さらにHUD上のPOI情報表示の視認性を向上できる。
【0062】
(変形例2)
図9は、第1の実施形態の変形例2で運転者50に認識される風景および画像の重畳図である。なお、システム構成は、第1の実施形態の構成と同様である。例えば、選択される対象物の数を設定しても、距離の近い複数のPOI情報が存在すると、対象物の表示が重なり合って、対象物が認識しづらくなる可能性がある。
【0063】
そこで、変形例2では、複数の対象物の表示状態に基づいて、表示する対象物の画像の数を制限する。具体的には、図8のように、表示される複数のアイコン601a〜601cが重なり合って表示される場合に、重畳状態が生じないように、アイコンの画像の数を制限する。すなわち、この変形例2では、重なり合うアイコンを間引く処理を行う。
【0064】
(画像信号生成動作)
次に、変形例2に係る画像信号生成部201による画像信号生成動作について説明する。
図10は、変形例2に係る画像信号生成部201による画像信号生成動作を説明するフローチャートである。
【0065】
初めに、画像信号生成部201は、車両位置と、車両の走行方向と、記憶装置30からの対象物のPOI情報との関係から、優先度の高いPOI情報の表示候補を一つ選択する(ステップS21)。ここでは、第2の実施形態で示したように、車両位置と近い位置に存在する、例えば図9に示したアイコン601aで表されるPOI情報を選択する。
【0066】
次に、この選択されたPOI情報(アイコン601a)が、表示された時に、既に表示されたPOI情報の影になっているか否か判断する(ステップS22)。ここでは、最初の表示候補なので、影にはならない。したがって、画像信号生成部201は、この表示候補であるPOI情報(アイコン601a)を表示対象として選択する(ステップS23)。
【0067】
次に、画像信号生成部201は、表示数が設定値(例えば3つ)か否か判断する(ステップS25)。ここでは、最初の表示なので、次に、優先度が高い対象物(アイコン601bのPOI情報)を表示候補とする。このアイコン601bは、既に選択されているアイコン601aの影になる。この結果、画像信号生成部201は、アイコン601bを非表示とする(ステップS24)。
【0068】
次に、画像信号生成部201は、優先度が高い対象物(アイコン601cのPOI情報)を表示候補とする。このアイコン601cは、既に選択されているアイコン601aの影にならない。この結果、画像信号生成部201は、アイコン601cを表示対象として選択する(ステップS23)。また、その次に優先度が高い表示候補(アイコン602aのPOI情報)も同様に、表示対象として選択する。
【0069】
次に、画像信号生成部201は、表示数が設定値(例えば3つ)に達したのを判断し(ステップS25)、この選択したアイコン601a,601c,602aを含む第2の画像に基づいて、画像信号を生成する(ステップS26)。
【0070】
以上のように、変形例2に係る画像照射システムでは、対象物の画像の重畳状態に基づいて、表示する画像の数を制限する。この結果、対象物の画像の重畳がなくなって、対象物の認識が容易になり、HUD上のPOI情報表示の視認性を向上できる。
【0071】
また、選択される対象物の数の制限と、生成される第2の画像での重畳状態の制限とを併用することで、さらに対象物の認識が容易となり、さらにHUD上のPOI情報表示の視認性を向上できる。
【0072】
(変形例3)
図11は、第1の実施形態の変形例3で運転者50に認識される風景および画像の重畳図である。なお、システム構成は、第1の実施形態の構成と同様である。例えば、車両と対象物との距離が異なる複数のアイコンが選択されても、同じ大きさのアイコン表示では遠近の判別が困難な場合がある。
【0073】
そこで、変形例3では、車両と対象物との距離の大きさに基づいて、仮想スクリーンに表される対象物の画像の大きさを変更する。具体的には、図11に示すように、車両と近い距離に存在する対象物は、アイコン表示を大きくし、車両から遠い距離に存在する対象物は、アイコン表示を小さくする。
【0074】
(画像信号生成動作)
次に、変形例3に係る画像信号生成部201による画像信号生成動作について説明する。
図12は、変形例3に係る画像信号生成部201による画像信号生成動作を説明するフローチャートである。
【0075】
この動作では、ステップS32で、影になっていない対象物(アイコン601a)の場合、画像信号生成部201は、車両とこの表示候補である対象物(アイコン601a)との距離を算出する(ステップS33)。
【0076】
次に、算出した距離が予め設定した閾値(距離)より大きいか否か判断する(ステップS34)。ここで、算出した距離が閾値以下の場合、画像信号生成部201は、この表示候補である対象物(アイコン601a)の画像を大きく表示するための画像信号を生成し、照射装置40による大きいアイコン601aの画像表示を可能にする(ステップS35)。
【0077】
また、算出した距離が閾値より大きい場合、画像信号生成部201は、この表示候補である対象物(アイコン602a)を小さく表示するための画像信号を生成し、照射装置40による小さいアイコン602aの画像表示を可能にする(ステップS36)。
【0078】
以上のように、変形例3に係る画像照射システムでは、車両位置と対象物の位置との距離の大きさに基づいて、生成する第2の画像上でのアイコンの大きさを変更する。すなわち、車両位置と対象物の位置との距離が小さい場合、アイコンの画像を大きくし、距離が大きい場合、アイコンの画像を小さくする。この結果、対象物の表示に遠近感を出すことができ、さらにHUD上のPOI情報表示の視認性を向上できる。
【0079】
また、閾値としての距離を複数設定し、車両と対象物との距離が小さくなるのに応じて、段階的にアイコン表示を大きく変化させることも可能である。この結果、対象物の表示にさらに遠近感を生じることが可能となる。
【0080】
また、変形例3では、記憶装置30にPOI情報に対応して、このPOI情報に関係する関係情報を記憶しておく。この関連情報としては、例えば対象物の名称、住所、営業時間、電話番号、駐車台数、店舗ジャンルおよび表示位置などの対象物を特定するための情報である。
【0081】
画像信号生成部201は、対象物とこの対象物に関係した関係情報とを有する第1の画像を含む第2の画像に基づく、画像信号を生成する。
照射装置40は、図11に示すように、画像信号生成部201から供給された画像信号から対象物(例えば、飲食店を表すアイコン601c)の画像と、このアイコン601cに関係した関係情報601d(例えば、店名と営業時間と駐車可能台数の関係情報を表す「Rレストラン:10:00〜22:00/P10」)の画像とを含む画面の画像を生成する。
【0082】
次に、第1の画像を含む第2の画像を単眼501へ照射して、アイコン602aおよびその関係情報の投影表示を行う。なお、関連情報の表示は、運転者50の視界の下方または上方などの視界を妨げない領域に行われるように、記憶装置30に記憶される関係情報の位置情報を設定する。また、この関係情報の表示は、例えば対象物の優先度の高い順、例えば車両との距離が近い順に行う。
【0083】
以上のように、この変形例3では、対象物とともに、この対象物に関係した関係情報を表示する。この結果、運転者50は対象物に関係した詳細な情報を入手することができ、さらにHUD上のPOI情報表示の視認性を向上できる。
【0084】
(第2の実施形態)
図13は、第2の実施形態に係る画像照射システム2の構成図である。この画像照射システム2では、カメラ101が赤外線カメラで、赤外線光源102,103がインストルメントパネルに設置される。また、中央演算処理装置20aは、このカメラ101から得られる画像に基づいて、単眼501の視線方向を検出する視線方向検出部206を具備する。上述した点が第1の実施形態に係る画像照射システム1と異なる。
【0085】
赤外線光源102は、カメラ101の光軸上に配置され、赤外線光源103は、この光軸上以外の位置に配置される。赤外線光源102,103は、運転者50の頭部の位置に赤外線を照射する。
【0086】
カメラ101は、赤外線光源102,103の照射によって反射された単眼501の角膜反射像と網膜反射像とが重畳された画像を撮像する。視線方向検出部206は、この撮像された画像を画像処理し、角膜反射像と網膜反射像とを検出する。次に、この角膜反射像と網膜反射像との関係位置から運転者50の視線方向を検出する。
【0087】
ここでは、例えば角膜反射像と網膜反射像とのずれを検出し、このずれが基準角度(例えば、ずれがない0度)の位置から右または左にずれた角度を求め、運転者50の視線方向を検出する。視線方向検出部206は、算出された単眼位置に基づいて、この単眼の視線方向を検出する方向検出部として機能する。
【0088】
図14は、第2の実施形態で対象物の画像を表示する画像表示領域を設定する方法についての説明図である。
ここでは、第1の実施形態で説明した画像表示領域の設定方法を用いるものとする。まず、図3に示した車両位置Oを基準とした画像表示領域Aを設定する。次に、図14に示すように、位置算出部202で算出された運転者50の単眼501の単眼位置をこの基準位置として、画像表示領域A1を設定する。この設定では、車両位置と単眼位置は算出されているので、画像表示領域Aを座標変換して、この画像表示領域Aと相似の画像表示領域A1を設定する。
【0089】
次に、算出された単眼の視線方向を示す線D1を中心線とした所定の視野角βを設定する。そして、この視野角βと長さRの線とからなる扇型形状の領域BをPOI情報の画像表示領域Bとする。この画像表示領域Bは、画像表示領域Aと同様、3次元空間からなる。なお、設定方法は、画像表示領域Aと同様なので、説明を省略する。画像信号生成部201は、この画像表示領域B内に存在するPOI情報を表示対象として選択する。
【0090】
画像信号生成部201は、第1の選択部として機能するとともに、検出された運転者50の視線方向に存在するPOI情報を優先的に選択して、このPOI情報に対応する画像信号を生成する。なお、この第2の実施形態および以降の実施形態でも、表示される画像数の制限および間引き処理を行うことが好ましい。
【0091】
照射装置40は、画像信号生成部201から得られた画像信号から画像を生成して単眼501へ照射する。これにより、視線方向に存在するアイコンの画像が風景に重畳されて表示される。なお、この第2の実施形態および以降の実施形態でも、連続的に生成される第2の画像の変化状態に基づいて、前回選択した第2の画像を再び選択して、画像表示を一定に保つことが好ましい。
【0092】
(画像生成動作)
次に、この画像照射システム2による画像生成動作について説明する。
図15は、第2の実施形態に係る画像照射システム2による画像生成動作を説明するフローチャートである。
【0093】
この動作では、ステップS41,S42で運転者50の顔の撮影、単眼位置算出の次に、視線方向検出部206がカメラ101の画像を処理して、角膜反射像と網膜反射像の位置関係から運転者50の視線方向を検出する(ステップS43)。
【0094】
その後、画像信号生成部201が、車両位置と、車両の走行方向と、運転者50の視線方向と、記憶装置30に記憶されたPOI情報との関係から、視線方向に存在する対象物を優先的に選択する。そして、この選択した対象物を含む画面の画像信号を生成する(ステップS46)。
【0095】
照射装置40は、画像信号生成部201から得られた画像信号から画像を生成して単眼501へ照射する(ステップS47)。
【0096】
以上のように、第2の実施形態に係る画像照射システム2では、運転者50の視線方向を検出し、この視線方向に存在する対象物を優先して選択し、この選択した対象物を含む画面の画像を生成する。この結果、運転者50の望む方向に存在する対象物を表示でき、HUD上のPOI情報表示の視認性を向上できる。
【0097】
(第3の実施形態)
図16は、第3の実施形態に係る画像照射システム3の構成図である。この画像照射システム1では、撮像装置10が、カメラ101の他に、例えば車両のインストルメントパネルに設置されたカメラ104,105を具備する。中央演算処理装置20bは、手差し方向検出部207を具備する。上述した点が、第1の実施形態に係る画像照射システムと異なる。
【0098】
このカメラ104,105は、運転者50の略正面で、かつ左右対称に設置され、予め決められた時間間隔でこの運転者50の手を撮像する。このカメラ104,105は、空間中の同一位置に存在する手の左画像および右画像を撮像する。カメラ104,105は、撮像した手の画像を中央演算処理装置20へ入力する。このカメラ104,105は、特定部位を撮像する撮像部として機能する。
【0099】
手差し方向検出部207は、カメラ104,105から得られる手の左画像と右画像に対して、いわゆるステレオ画像処理技術を用いて画像処理を行う。手差し方向検出部207は、カメラ104,105から得られる手の左画像上および右画像上の画像処理によって手の形状認識情報および三角測量によって手の位置情報を得る。
【0100】
具体的には、手差し方向検出部207は、この左画像上および右画像上の各投影点を対応付け、伸ばされた指、例えば第2指(人差し指)の形状認識情報と位置情報を得る。特に、形状認識された人差し指の指先と付け根との位置情報を得る。次に、この2点の3次元の位置情報の関係から指差し方向を検出する。この手差し方向検出部207は、特定部位の位置を算出する部位算出部として機能する。さらに、手差し方向検出部207は、特定部位の位置に基づいて、特定部位の示す方向を算出する方向算出部として機能する。
【0101】
画像信号生成部201は、この検出された運転者50の指差し方向の直線上に存在する対象物を優先して選択し、この対象物を含む画面の画像信号を生成する。なお、第3の実施形態では、図14に示した第2の実施形態と同様に、指差し方向を示す線を中心線とした所定の角度βを設定する。この角度βと長さRの2線とからなる扇型形状の領域をPOI情報の画像表示領域とする。
【0102】
画像信号生成部201は、第1の選択部として機能するとともに、算出された特定部位の示す方向に存在する対象物を優先して選択し、この選択した対象物の第1の画像を含む第2の画像を生成する。
【0103】
(画像生成動作)
次に、この画像照射システム3による画像生成動作について説明する。
図17は、第3の実施形態に係る画像照射システム3による画像生成動作を説明するフローチャートである。
【0104】
この動作では、ステップS51で、カメラ101で運転者50の顔を撮像するとともに、カメラ104,105で運転者50の指を撮像する。
【0105】
その後、指差し方向検出部207が、撮像された手の左画像と右画像を画像処理して、例えば人差し指の指先と付け根との位置情報を得る。さらに、この指先と付け根の2点の位置情報から、運転者50の指差し方向を検出する(ステップS53)。
【0106】
その後、画像信号生成部201が、車両位置と、車両の走行方向と、運転者50の指差し方向と、記憶装置30に記憶されたPOI情報との関係から、指差し方向の直線上に存在する対象物を優先して選択する。そして、この選択した対象物を含む画面の画像信号を生成する(ステップS56)。
【0107】
照射装置40は、画像信号生成部201から得られた画像信号から対象物の画像を含む画面の画像を生成して単眼501へ照射する(ステップS57)。
【0108】
以上のように、第3の実施形態に係る画像照射システム3では、運転者50が指差した指差し方向を検出し、この指差し方向の直線上に存在する対象物を優先して生成する。この結果、運転者50の望む方向に存在する対象物を表示でき、さらにHUD上のPOI情報表示の視認性を向上できる。
【0109】
なお、運転者50が任意の位置を示す特定部位としては、上記指に限らず、種々考えられる。例えば顔の向いた方向などが考えられる。この場合も、顔を撮像する2台のカメラを用いれば、顔の向いた方向を検出することが可能となる。そして、この顔の向いた方向の直線上に存在する対象物を優先して生成することで、運転者50の望む方向に存在する対象物を表示することが可能となる。
【0110】
(第4の実施形態)
図18は、第4の実施形態に係る画像照射システム4の構成図である。この画像照射システム4では、車両の移動速度を測定する車速センサ80が設置され、中央演算処理装置20cに接続される。また、中央演算処理装置20cは、この車速センサ80からセンサ信号を得る移動速度検出部208を具備する。上述した点が第1の実施形態に係る画像照射システム1と異なる。なお、車速センサ80は加速度センサなどに限らず、車両が持つ車速パルスを応用しても良い。
【0111】
車速センサ80は、所定間隔で測定したセンサ信号を移動速度検出部208へ入力する。移動速度検出部208は、車速センサ80から得られたセンサ信号に基づいて、現時点の車両の移動速度を検出する。検出された移動速度は、記憶装置30に記憶される。この車速センサ80は、車両の移動速度を検出する車速検出部として機能する。
【0112】
図19は、第4の実施形態で運転者50に認識される風景および画像の重畳図である。画像信号生成部201は、車両の走行方向に基づいて、単眼501の位置で認識される対象物を含む画面の画像信号を生成する。
【0113】
具体的には、第4の実施形態では、車両と対象物との距離の上限値に基づく領域と閾値、および移動速度の閾値を予め設定しておく。この領域とは、例えば図3に示した画像表示領域Aにおいて、上限距離Rと、この上限距離Rより短い所定距離と、上限高さとから予め設定された3次元の空間領域である。
【0114】
記憶装置30は、これら設定された値の情報を記憶する。画像信号生成部201は、移動速度がこの閾値より速い場合、上限値に近い対象物(POI情報)を選択する。すなわち、画像信号生成部201は、図19に示すように、車両位置との距離がこの上限値に近い対象物を順番に選択する。次に、この選択した対象物に対応したアイコン602,602a,603を含む画面の画像信号を生成する。また、移動速度がこの閾値以下の場合、車両位置に近い距離の対象物を選択し、上記と同様に、画像信号を生成する。
【0115】
車両の移動速度が遅いときには、選択表示する対象物との距離の閾値を小さく規定し、近くのPOI情報がより多く表示されるように設定する。逆に移動速度が速いほど、選択表示する対象物との距離閾値を大きく設定し、より遠くのPOI情報を優先表示させる。これにより運転者は速い速度で移動中に目的のPOI情報を認識したとしても、十分安全な余裕のある距離をもって対処できる。
【0116】
(画像生成動作)
次に、この画像照射システム1による画像生成動作について説明する。
図20は、第4の実施形態に係る画像照射システム4による画像生成動作を説明するフローチャートである。
【0117】
この動作では、ステップS62で単眼位置算出の次に、車速センサ80からセンサ信号が入力する(ステップS63)。移動速度検出部208は、得られたセンサ信号に基づいて、車両の移動速度を検出する(ステップS64)。
【0118】
その後、画像信号生成部201が、車両位置と、車両の走行方向と、移動速度と、記憶装置30に記憶されたPOI情報との関係から、走行方向に存在する対象物を選択する。そして、この選択した対象物を含む画面の画像信号を生成する(ステップS67)。
【0119】
照射装置40は、画像信号生成部201から得られた画像信号から対象物の画像を含む画面の画像を生成して単眼501へ照射する(ステップS68)。
【0120】
(画像信号生成動作)
次に、第4の実施形態に係る画像信号生成部201による画像信号生成動作について説明する。
図21は、第4の実施形態に係る画像信号生成部201による画像信号生成動作を説明するフローチャートである。
この動作では、移動速度検出部208で検出された移動速度の情報が画像信号生成部201へ入力される(ステップS71)。
【0121】
次に、画像信号生成部201は、この移動速度が予め設定された閾値よりも小さいか否か判断する(ステップS72)。ここで、移動速度が閾値以上の場合、予め設定された距離の上限値に近いPOI情報の表示候補を一つ選択する(ステップS73)。ここでは、例えば図19に示したアイコン603で表されるPOI情報を選択する。
【0122】
次に、この選択したPOI情報(アイコン603)が、表示された時に、既に表示されたPOI情報の影になっているか否か判断する(ステップS74)。ここでは、最初の表示候補なので、影にはならない。したがって、画像信号生成部201は、この表示候補であるPOI情報(アイコン603)を表示対象として選択する(ステップS75)。
【0123】
次に、画像信号生成部201は、表示数が設定値(例えば3つ)か否か判断する(ステップS76)。ここでは、最初の表示対象なので、次に、優先度が高い表示候補(アイコン602aのPOI情報)を選択する。このアイコン602aは、既に選択されているアイコン603の影にならないので、画像信号生成部201は、アイコン602aを表示対象として選択する。また、その次の表示候補(アイコン602のPOI情報)も上記同様に、表示対象として選択する。なお、表示候補のアイコンが既に選択されているアイコンの影になる場合、その対象物は非表示となる(ステップS76)。
【0124】
また、ステップS72において、移動速度が閾値よりも小さい場合、車両位置に近い表示候補を選択する(ステップS78)。次に、上記同様、この表示候補の対象物が、既に選択されたアイコンの影になるか否か判断して表示対象を選択する。
【0125】
次に、画像信号生成部201は、表示数が設定値(例えば3つ)に達したのを判断し(ステップS77)、この選択したアイコン602,602a,603を含む画面の画像信号を生成する(ステップS79)。
【0126】
以上のように、第4の実施形態に係る画像照射システム4では、移動速度が閾値より大きい場合、上限値に近い対象物の画像を表示し、移動速度が閾値以下の場合、車両に近い対象物の画像を表示する。この結果、対象物の画像が短時間で消されるのを防止でき、さらにHUD上のPOI情報表示の視認性を向上できる。
【0127】
(その他の実施形態)
本発明の実施形態は上記の実施形態に限られず拡張、変更可能であり、拡張、変更した実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。これら実施形態1〜4を適宜組み合わせて画像照射システムを構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】第1の実施形態に係る画像照射システムの構成図である。
【図2】YZ面上の位置を算出する方法についての説明図である。
【図3】第1の実施形態で対象物の画像を表示する画像表示領域を設定する方法についての説明図である。
【図4】画像信号生成部の構成を表すブロック図である。
【図5】ミラーの角度と画像の投影位置との関係を表した図である。
【図6】第1の実施形態で運転者に認識される風景および画像の重畳図である。
【図7】第1の実施形態に係る画像照射システムによる画像生成動作を説明するフローチャートである。
【図8】第1の実施形態の変形例1で運転者に認識される風景および画像の重畳図である。
【図9】第1の実施形態の変形例2で運転者に認識される風景および画像の重畳図である。
【図10】変形例2に係る画像信号生成部による画像信号生成動作を説明するフローチャートである。
【図11】第1の実施形態の変形例3で運転者に認識される風景および画像の重畳図である。
【図12】変形例3に係る画像信号生成部による画像信号生成動作を説明するフローチャートである。
【図13】第2の実施形態に係る画像照射システムの構成図である。
【図14】第2の実施形態で対象物の画像を表示する画像表示領域を設定する方法についての説明図である。
【図15】第2の実施形態に係る画像照射システムによる画像生成動作を説明するフローチャートである。
【図16】第3の実施形態に係る画像照射システムの構成図である。
【図17】第3の実施形態に係る画像照射システムによる画像生成動作を説明するフローチャートである。
【図18】第4の実施形態に係る画像照射システムの構成図である。
【図19】第4の実施形態で運転者に認識される風景および画像の重畳図である。
【図20】第4の実施形態に係る画像照射システムによる画像生成動作を説明するフローチャートである。
【図21】第4の実施形態に係る画像信号生成部による画像信号生成動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0129】
1〜4…画像照射システム、10…撮像装置、20,20a〜20c…中央演算処理装置、30…記憶装置、40…照射装置、50…運転者、60…GPS受信機、70…入力部、80…車速センサ、101,104,105…カメラ、102,103…赤外線光源、201…画像信号生成部、202…位置算出部、203…投影位置決定部、204…駆動制御部、205…位置算出部、206…視線方向検出部、207…手差し方向検出部、208…移動速度検出部、401…光束生成装置、402…投影レンズ、403…投影範囲制御部、404…投影位置制御部、405…画像拡大部、406…駆動部、407…反射部材、408…フロントガラス、501…単眼、601,601a〜601c,602,602a,603,603a…アイコン、601d…関係情報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転者を撮像する撮像部と、
前記撮像された画像から前記運転者の単眼位置を算出する第1の算出部と、
前記車両位置を算出する第2の算出部と、
前記車両の走行方向を算出する方向算出部と、
複数の対象物と、これら複数の対象物の位置を表す位置情報と、を記憶する記憶部と、
前記算出された車両位置と、前記算出された車両の走行方向と、前記記憶された対象物の位置情報との関係から、この走行方向に存在する1以上の対象物を選択する第1の選択部と、
前記選択された対象物の第1の画像を含む第2の画像を生成する画像生成部と、
前記算出された単眼位置に基づいて、前記生成された第2の画像の投影位置を決定する決定部と、
前記生成された第2の画像を、前記決定された投影位置に照射する照射部と、
を具備することを特徴とする画像照射システム。
【請求項2】
前記画像生成部は、前記選択された対象物の数または前記生成される第2の画像での重畳状態を制限する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像照射システム。
【請求項3】
前記画像生成部は、前記算出された車両位置と、前記記憶された対象物の位置との距離を算出し、この距離に基づいて、前記生成する第2の画像上での第1の画像の大きさを変更することを特徴とする請求項1または2に記載の画像照射システム。
【請求項4】
前記画像生成部は、前記算出された距離の大きさに応じて、前記生成する第2の画像上での第1の画像の大きさを小さくすることを特徴とする請求項3に記載の画像照射システム。
【請求項5】
前記第2の画像に含まれる第1の画像の対象物を選択する情報を入力する入力部を、さらに具備し、
前記記憶部は、前記複数の対象物それぞれに関係する関係情報を記憶し、
前記第1の画像は、前記入力された対象物に関係する関係情報を含む
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の画像照射システム。
【請求項6】
前記算出された単眼位置に基づいて、この単眼の視線方向を検出する方向検出部を、さらに具備し、
前記画像生成部は、前記検出された視線方向に存在する前記対象物を優先して選択し、この選択した対象物の第1の画像を含む第2の画像を生成する
ことを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1つに記載の画像照射システム。
【請求項7】
前記運転者の特定部位を撮像する撮像部と、
前記撮像された画像から前記特定部位の位置を算出する位置算出部と、
前記算出された特定部位の位置に基づいて、この特定部位の示す方向を算出する方向算出部と、をさらに具備し、
前記画像生成部は、前記算出された特定部位の示す方向に存在する前記対象物を優先して選択し、この選択した対象物の第1の画像を含む第2の画像を生成する
ことを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1つに記載の画像照射システム。
【請求項8】
前記選択された対象物と前記車両との距離を算出する第3の算出部と、
前記算出された距離に基づいて、前記選択された対象物をさらに選択する第2の選択部と、をさらに具備し、
前記画像生成部は、前記さらに選択された対象物の第1の画像を含む第2の画像を生成する
ことを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1つに記載の画像照射システム。
【請求項9】
前記車両の移動速度を検出する車速検出部を、さらに具備し、
前記第2の選択部が、前記検出された移動速度と、前記算出された距離とに基づいて、前記選択された対象物をさらに選択する
ことを特徴とする請求項8に記載の画像照射システム。
【請求項10】
前記画像生成部は、
前記第2の画像を連続的に生成する生成部と、
前記連続的に生成される第2の画像の変化状態に基づいて、前記連続的に生成される第2の画像を選択する選択部と、を有し、
前記照射部は、前記選択された第2の画像を照射する
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1つに記載の画像照射システム。
【請求項11】
車両の運転者を撮像するステップと、
前記撮像された画像から前記運転者の単眼位置を算出するステップと、
前記車両位置を算出するステップと、
前記車両の走行方向を算出するステップと、
複数の対象物と、これら複数の対象物の位置を表す位置情報と、を記憶するステップと、
前記算出された車両位置と、前記算出された車両の走行方向と、前記記憶された対象物の位置情報との関係から、この走行方向に存在する1以上の対象物を選択するステップと、
前記選択された対象物の第1の画像を含む第2の画像を生成するステップと、
前記算出された単眼位置に基づいて、前記生成された第2の画像の投影位置を決定するステップと、
前記生成された第2の画像を、前記決定された投影位置に照射するステップと、
を含むことを特徴とする画像照射方法。
【請求項1】
車両の運転者を撮像する撮像部と、
前記撮像された画像から前記運転者の単眼位置を算出する第1の算出部と、
前記車両位置を算出する第2の算出部と、
前記車両の走行方向を算出する方向算出部と、
複数の対象物と、これら複数の対象物の位置を表す位置情報と、を記憶する記憶部と、
前記算出された車両位置と、前記算出された車両の走行方向と、前記記憶された対象物の位置情報との関係から、この走行方向に存在する1以上の対象物を選択する第1の選択部と、
前記選択された対象物の第1の画像を含む第2の画像を生成する画像生成部と、
前記算出された単眼位置に基づいて、前記生成された第2の画像の投影位置を決定する決定部と、
前記生成された第2の画像を、前記決定された投影位置に照射する照射部と、
を具備することを特徴とする画像照射システム。
【請求項2】
前記画像生成部は、前記選択された対象物の数または前記生成される第2の画像での重畳状態を制限する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像照射システム。
【請求項3】
前記画像生成部は、前記算出された車両位置と、前記記憶された対象物の位置との距離を算出し、この距離に基づいて、前記生成する第2の画像上での第1の画像の大きさを変更することを特徴とする請求項1または2に記載の画像照射システム。
【請求項4】
前記画像生成部は、前記算出された距離の大きさに応じて、前記生成する第2の画像上での第1の画像の大きさを小さくすることを特徴とする請求項3に記載の画像照射システム。
【請求項5】
前記第2の画像に含まれる第1の画像の対象物を選択する情報を入力する入力部を、さらに具備し、
前記記憶部は、前記複数の対象物それぞれに関係する関係情報を記憶し、
前記第1の画像は、前記入力された対象物に関係する関係情報を含む
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の画像照射システム。
【請求項6】
前記算出された単眼位置に基づいて、この単眼の視線方向を検出する方向検出部を、さらに具備し、
前記画像生成部は、前記検出された視線方向に存在する前記対象物を優先して選択し、この選択した対象物の第1の画像を含む第2の画像を生成する
ことを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1つに記載の画像照射システム。
【請求項7】
前記運転者の特定部位を撮像する撮像部と、
前記撮像された画像から前記特定部位の位置を算出する位置算出部と、
前記算出された特定部位の位置に基づいて、この特定部位の示す方向を算出する方向算出部と、をさらに具備し、
前記画像生成部は、前記算出された特定部位の示す方向に存在する前記対象物を優先して選択し、この選択した対象物の第1の画像を含む第2の画像を生成する
ことを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1つに記載の画像照射システム。
【請求項8】
前記選択された対象物と前記車両との距離を算出する第3の算出部と、
前記算出された距離に基づいて、前記選択された対象物をさらに選択する第2の選択部と、をさらに具備し、
前記画像生成部は、前記さらに選択された対象物の第1の画像を含む第2の画像を生成する
ことを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1つに記載の画像照射システム。
【請求項9】
前記車両の移動速度を検出する車速検出部を、さらに具備し、
前記第2の選択部が、前記検出された移動速度と、前記算出された距離とに基づいて、前記選択された対象物をさらに選択する
ことを特徴とする請求項8に記載の画像照射システム。
【請求項10】
前記画像生成部は、
前記第2の画像を連続的に生成する生成部と、
前記連続的に生成される第2の画像の変化状態に基づいて、前記連続的に生成される第2の画像を選択する選択部と、を有し、
前記照射部は、前記選択された第2の画像を照射する
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1つに記載の画像照射システム。
【請求項11】
車両の運転者を撮像するステップと、
前記撮像された画像から前記運転者の単眼位置を算出するステップと、
前記車両位置を算出するステップと、
前記車両の走行方向を算出するステップと、
複数の対象物と、これら複数の対象物の位置を表す位置情報と、を記憶するステップと、
前記算出された車両位置と、前記算出された車両の走行方向と、前記記憶された対象物の位置情報との関係から、この走行方向に存在する1以上の対象物を選択するステップと、
前記選択された対象物の第1の画像を含む第2の画像を生成するステップと、
前記算出された単眼位置に基づいて、前記生成された第2の画像の投影位置を決定するステップと、
前記生成された第2の画像を、前記決定された投影位置に照射するステップと、
を含むことを特徴とする画像照射方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
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【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2010−66042(P2010−66042A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−230670(P2008−230670)
【出願日】平成20年9月9日(2008.9.9)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月9日(2008.9.9)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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