説明

画像表示装置

【課題】射出瞳を移動させることが可能な画像表示装置であって射出瞳の移動に起因した画像品質の劣化を抑制する機能を有するものを提供する。
【解決手段】画像表示装置において、偏向ミラー80の制御により、当該画像表示装置の射出瞳の位置を制御し、また、可変焦点レンズ70の制御により、画像光の波面曲率を変調する。画像光の波面曲率は、偏向ミラー80の制御に起因する画像光の波面曲率の変化が打ち消されるように、偏向ミラー80の制御量またはその制御量に関連する物理量に基づいて補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を光学的に表示する技術に関するものであり、特に、画像表示装置の射出瞳を移動させる技術の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像を光学的に表示する技術として、例えば、表示すべき画像を表す画像光を直接的に観察者の網膜上に投影し、それにより、観察者が画像を虚像として観察することを可能にする技術や、そのような画像光を物理的なスクリーンに投影し、それにより、観察者が画像を実像として観察することを可能にする技術が存在する。
【0003】
さらに、光源からの光を、表示すべき画像を表す画像光に変換する技術として、例えば、光源から一斉に入射した面状の光を、LCD等、空間変調素子を用いて、各画素ごとに空間的に変調し、それにより、面状の画像光を形成する技術や、光源から入射したビーム状の光であって各画素ごとに強度変調されたものを、スキャナを用いて、面状の画像光に変換する技術が存在する。
【0004】
特許文献1は、画像を光学的に表示する装置としての従来のヘッドマウントディスプレイ装置を開示している。このヘッドマウントディスプレイ装置は、表示すべき画像を表す画像光を直接的に網膜上に投影し、それにより、観察者が画像を虚像として観察することを可能にする技術と、光源から入射したビーム状の光であって各画素ごとに強度変調されたものを、スキャナを用いて、面状の画像光に変換する技術とを採用している。
【0005】
この従来のヘッドマウントディスプレイ装置は、さらに、表示画像を観察しようとする観察者の瞳孔位置を検出し、その瞳孔の移動に合わせて当該ヘッドマウントディスプレイ装置の射出瞳を移動させる技術も採用している。
【特許文献1】特表平8−502372号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者は、画像表示装置の射出瞳を移動させるために、光学素子の一例である偏向ミラーを用いる技術を提案し、それについて研究を行った。その結果、偏向ミラーを用いれば、射出瞳を移動させることは可能であるが、表示画像が部分的にピンボケ状態になってしまう可能性があることに気がついた。その可能性およびその原因については、後に詳述する。
【0007】
さらに、本発明者は、表示画像が部分的にピンボケ状態になってしまう可能性を解消するかないし軽減するための研究を行った。その結果、表示画像を形成する画像光の波面曲率を補正すれば、射出瞳の移動に起因して表示画像が部分的にピンボケ状態になってしまう可能性が解消されるかないし軽減されることが判明した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上説明した事情を背景として、本発明は、射出瞳を移動させることが可能な画像表示装置であって射出瞳の移動に起因した画像品質の劣化を抑制する機能を有するものを提供することを課題としてなされたものである。
【0009】
本発明によって下記の各態様が得られる。各態様は、項に区分し、各項には番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、本発明が採用し得る技術的特徴の一部およびそれの組合せの理解を容易にするためであり、本発明が採用し得る技術的特徴およびそれの組合せが以下の態様に限定されると解釈すべきではない。すなわち、下記の態様には記載されていないが本明細書には記載されている技術的特徴を本発明の技術的特徴として適宜抽出して採用することは妨げられないと解釈すべきなのである。
【0010】
さらに、各項を他の項の番号を引用する形式で記載することが必ずしも、各項に記載の技術的特徴を他の項に記載の技術的特徴から分離させて独立させることを妨げることを意味するわけではなく、各項に記載の技術的特徴をその性質に応じて適宜独立させることが可能であると解釈すべきである。
【0011】
(1) 画像を光学的に表示する画像表示装置であって、
光源部と、
その光源部から出射する光を、観察者に表示すべき画像を表す画像光に変換することにより、その画像光を形成する画像光形成部と、
当該画像表示装置の射出瞳の位置を制御する射出瞳制御部と
を含み、
その射出瞳制御部は、
当該画像表示装置において前記画像光が進行する経路の途中に配置された光学素子と、
その光学素子を制御することにより、前記射出瞳の位置を制御する射出瞳制御手段と
を含み、
当該画像表示装置は、さらに、
前記画像光の波面曲率を変調する波面曲率変調素子と、
前記光学素子の制御に起因する前記画像光の波面曲率の変化が打ち消されるように、前記光学素子の制御量またはその制御量に関連する物理量に基づき、前記波面曲率変調素子を介して前記画像光の波面曲率を補正する波面曲率補正手段と
を含む画像表示装置。
【0012】
この画像表示装置によれば、射出瞳を移動させるための光学素子の制御に起因する画像光の波面曲率の変化が打ち消されるように、光学素子の制御量またはその制御量に関連する物理量に基づき、画像光の波面曲率が補正される。
【0013】
したがって、この画像表示装置によれば、射出瞳の移動に起因する画像光の波面曲率の変化が抑制され、その結果、射出瞳の移動に起因した画像品質の劣化が抑制される。
【0014】
(2) 前記波面曲率補正手段は、
前記光学素子の制御量またはその制御量に関連する物理量に基づき、前記画像光の断面上における各位置ごとに、前記波面曲率の補正量を決定する決定手段と、
その決定された補正量が実現されるように、前記波面曲率変調素子を、前記画像光の断面上における各位置に関連付けて駆動する駆動手段と
を含む(1)項に記載の画像表示装置。
【0015】
この画像表示装置の一実施態様においては、前記画像光の断面が複数の領域に分割され、各分割領域ごとに、画像光の波面曲率の補正量が決定される。この態様においては、波面曲率が、画像光の同じ断面上において、不連続的に変化させられる。
【0016】
(3) 前記光学素子は、入射光に対する角度が可変である偏向ミラーを含み、
前記射出瞳制御手段は、その偏向ミラーの、入射光に対する角度を変化させることにより、前記射出瞳の位置を制御し、
前記波面曲率補正手段は、前記偏向ミラーの、入射光に対する角度またはその角度に関連する物理量に基づいて前記画像光の波面曲率を補正する(1)または(2)項に記載の画像表示装置。
【0017】
(4) さらに、前記瞳孔の位置を検出する瞳孔位置検出部を含み、
前記射出瞳制御手段は、その瞳孔位置検出部からの出力信号に基づき、観察者の瞳孔の動きに追従するように前記射出瞳を移動させるために、前記光学素子を制御する(1)ないし(3)項のいずれかに記載の画像表示装置。
【0018】
この画像表示装置によれば、観察者の瞳孔の動きに追従するように射出瞳が自動的に移動させられる。
【0019】
(5) 前記射出瞳制御手段は、ユーザからの指令を表す入力信号に応じて、前記光学素子を制御することにより、前記射出瞳の位置を、前記入力信号に応じた位置に移動するように制御する(1)ないし(3)項のいずれかに記載の画像表示装置。
【0020】
この画像表示装置によれば、ユーザは、射出瞳の位置を任意の位置に移動させることが可能となる。例えば、ユーザは、手動で、観察者の瞳孔の動きに追従するように射出瞳を移動させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明のさらに具体的な実施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明する。
【0022】
図1には、本発明の第1実施形態に従うヘッドマウントディスプレイ装置10が概念的に光路図で示されている。このヘッドマウントディスプレイ装置10は、図示しない観察者の頭部に装着されて使用される形式の画像表示装置である。
【0023】
このヘッドマウントディスプレイ装置10は、概略的には、光源から一斉に入射した面状の光を、空間変調素子を用いて、各画素ごとに空間的に変調し、そのようにして形成された画像光を観察者の瞳孔を経て直接的に観察者の網膜上に投影し、それにより、観察者が画像を虚像として観察することを可能にするように構成されている。
【0024】
具体的には、このヘッドマウントディスプレイ装置10は、光源部12と、画像光形成部14と、リレー光学系16と、射出瞳制御部18と、瞳孔位置検出部20と、接眼光学系22とを備えている。それら要素の集まりは、観察者の右眼用と左眼用とにそれぞれ、用意されており、観察者のいずれの眼にも、画像光が入射させられる。
【0025】
光源部12は、光源としての白色LED30と、その白色LED30からの白色光が入射するフィールドレンズ32とを含むように構成されている。白色LED30は、LEDドライバ34によって駆動され、それにより、白色光を発光する。
【0026】
画像光形成部14は、フラットパネルディスプレイ(空間変調素子の一例)としてのLCD(液晶ディスプレイ)40を含むように構成されている。LCD40は、コリメートレンズ32からの白色光を、各画素ごとに、3色の成分光(RGB)に分解するカラーフィルタ(RGBフィルタ)と、各成分光の透過度を制御する液晶パネルとを含むように構成されている。その液晶パネルは、複数個の画素を有しており、各画素ごとに、各成分光の透過度を制御する。
【0027】
LCD40のいくつかの例が特開平11−194313号公報に開示されており、その公報は、引用によって本明細書に全体的に合体させられる。LCD40は、LCDドライバ42によって駆動され、それにより、白色LED30から出射した白色光に対して空間変調を施す。
【0028】
本実施形態においては、画像光形成部14がフラットパネルディスプレイを主体として構成されているが、これに限定されることなく、例えば、光スキャナを主体として構成することが可能である。この場合、このヘッドマウントディスプレイ装置10は、網膜走査型ディスプレイ装置とも称される。
【0029】
また、本実施形態においては、フラットパネルディスプレイの一例としてLCD40が採用されているが、これに限定されることなく、例えば、有機エレクトロルミネッセンスとしたり、デジタルマイクロミラーデバイスとすることが可能である。
【0030】
リレー光学系16は、前段リレーレンズ60と後段リレーレンズ62とを含むように構成されている。可変焦点レンズ70は、それの焦点距離が変化させられる。この可変焦点レンズ70は、LCD40から入射した光の波面曲率を変調する波面曲率変調素子の一例である。この可変焦点レンズ70の焦点距離を変化させるために、この可変焦点レンズ70は、可変焦点レンズドライバ72によって駆動される。
【0031】
可変焦点レンズ70は、それの屈折率もしくは屈折力またはレンズ形状が可変である液晶レンズまたは液体レンズとすることが可能であるが、これに限定されることなく、例えば、リレー光学系16の光軸方向における位置が可変である可動レンズとすることも可能である。液晶レンズおよび液体レンズのそれぞれについてのいくつかの例が特開2006−285182号公報に開示されており、その公報は、引用によって本明細書に全体的に合体させられる。
【0032】
射出瞳制御部18は、観察者の瞳孔位置の変化に追従するように、ヘッドマウントディスプレイ装置10の射出瞳の位置を制御するために設けられている。この射出瞳制御部18は、偏向ミラー80を主体として構成されている。その偏向ミラー80は、射出瞳を移動させるための光学素子の一例であり、また、反射型光学素子の一例である。この偏向ミラー80は、ヘッドマウントディスプレイ装置10におけるある中間像面の位置に一致する位置に配置されている。
【0033】
図2に示すように、偏向ミラー80は、水平方向に延びるX軸まわりに揺動可能なフレーム84に、垂直方向に延びるY軸まわりに揺動可能に装着された揺動ミラーである。フレーム84は、ヘッドマウントディスプレイ装置10のうちの静止部材に装着された図示しないX軸アクチュエータによって揺動させられる一方、偏向ミラー80は、フレーム84に装着された図示しないY軸アクチュエータによって揺動させられる。その結果、ヘッドマウントディスプレイ装置10のうちの静止部材に対する偏向ミラー80の角度は、2次元的に調整可能となる。
【0034】
図1に示すように、この偏向ミラー80は、偏向ミラードライバ88によって駆動される。
【0035】
射出瞳制御部18は、瞳孔位置検出部20によって検出された瞳孔位置に基づき、観察者の各眼ごとに、瞳孔位置の変化に追従するように、偏向ミラー80の角度を変更し、それにより、ヘッドマウントディスプレイ装置10の射出瞳を移動させる。
【0036】
瞳孔位置検出部20は、観察者の眼の瞳孔位置を検出するために有用な情報を取得するために使用されるデバイスとして、観察者の眼からの反射光を取り出すハーフミラー100を備えている。この瞳孔位置検出部20は、さらに、そのハーフミラー100からの入射光に基づき、瞳孔位置を光学的に検出する瞳孔位置検出回路102を備えている。
【0037】
ハーフミラー100は、リレー光学系16からの入射光を偏向ミラー80に向けて透過させるとともに、その透過光を接眼光学系22に向けて反射する。このハーフミラー100は、さらに、観察者の眼からの反射光であって、接眼光学系22からの入射光を、瞳孔位置検出回路102の受光部(図示しない)に向けて透過させる。
【0038】
すなわち、このハーフミラー100は、観察者の眼からの反射光を瞳孔位置検出回路102に誘導する機能のみならず、偏向ミラー80からの出射光を接眼光学系22に誘導する機能をも果たすように設計されているのである。
【0039】
瞳孔位置検出回路102は、瞳孔位置(例えば、瞳孔の中心位置)の、ヘッドマウントディスプレイ装置10の光軸上の射出瞳(中立位置にある射出瞳)に対する相対的な位置を水平方向(X方向)と垂直方向(Y方向)とについてそれぞれ検出する。この瞳孔位置検出回路102は、例えば、CCDカメラを主体として構成される。したがって、この瞳孔位置検出回路102は、瞳孔の水平方向位置Xを表す信号と、瞳孔の垂直方向位置Yを表す信号とを出力する。
【0040】
接眼光学系22は、接眼レンズ110と、その接眼レンズ110からの画像光をユーザの瞳孔に誘導する光ガイドとしてのハーフミラー112とを含むように構成されている。
【0041】
本実施形態においては、その光ガイドがハーフミラー112として構成されているため、ユーザは、ハーフミラー112を通して現実外界を観察すると同時に、接眼レンズ110からの画像光を、ハーフミラー112の反射によって受光して表示画像を観察することが可能である。すなわち、このヘッドマウントディスプレイ装置10は、現実外界に重ねて表示画像を観察可能なシースルー型なのである。
【0042】
図3には、このヘッドマウントディスプレイ装置10のうちの電気的な部分がブロック図で概念的に表されている。このヘッドマウントディスプレイ装置10は、信号処理装置120を備えている。
【0043】
その信号処理装置120は、コンピュータ122と、メモリ部124と、入出力インターフェイス126と、クロック発振器128とを含むように構成されている。入力インターフェイス126に、前述のLEDドライバ32、LCDドライバ42、瞳孔位置検出回路102、偏向ミラードライバ88および可変焦点レンズドライバ72が電気的に接続されている。
【0044】
図3に示すように、信号処理装置120は、概略的には、外部から入力されたコンテンツを表すデータに基づき、そのコンテンツを表示するために必要な信号を生成し、その信号に基づき、LEDドライバ34を介して白色LED30、LCDドライバ42を介してLCD40をそれぞれ制御する。
【0045】
コンテンツは、R輝度信号、G輝度信号およびB輝度信号によって表現される。コンピュータ122は、それら信号を入力すると、R輝度信号、G輝度信号およびB輝度信号をR/G/Bバッファ130に保存する。コンピュータ122は、各フレーム84ごとに、R輝度信号、G輝度信号およびB輝度信号から、LCD40制御用のR画像信号、G画像信号およびB画像信号を生成して、それら画像信号をLCDドライバ42に供給する。
【0046】
図4に示すように、メモリ部124には、画像表示プログラムと、瞳孔トラッキングプログラムと、波面曲率補正プログラムとが不揮発的に予め記憶されている。
【0047】
画像表示プログラムは、コンテンツを表す輝度信号に基づいて画像信号を生成してそれをLCDドライバ42に供給し、それにより、目標画像を表示するためにコンピュータ122によって実行される。この画像表示プログラムは、よく知られた手順で実行されるものであるため、文章および図示による説明を省略する。
【0048】
これに対し、瞳孔トラッキングプログラムは、瞳孔位置検出回路102からの信号であって瞳孔位置を表すものに基づき、その瞳孔位置の変化に追従するようにヘッドマウントディスプレイ装置10の射出瞳を移動させるためにコンピュータ122によって実行される。すなわち、瞳孔トラッキングプログラムは、射出瞳が瞳孔位置をトラッキングするようにするためにコンピュータ122によって実行されるのである。
【0049】
図5には、その瞳孔トラッキングプログラムが概念的にフローチャートで表されている。この瞳孔トラッキングプログラムは、ヘッドマウントディスプレイ装置10の電源(図示しない)がユーザによって投入された後に、自動的に定期的に実行されるか、またはユーザからのリクエストに応答して実行される。
【0050】
その実行時には、まず、ステップS1において、瞳孔位置検出回路102からの信号に基づき、瞳孔の水平方向位置Xが検出され、次に、ステップS2において、瞳孔位置検出回路102からの信号に基づき、瞳孔の垂直方向位置Yが検出される。
【0051】
続いて、ステップS3において、検出された水平方向位置Xに基づき、射出瞳が水平方向に瞳孔位置をトラッキングするために偏向ミラー80がY軸まわりに回転すべき角度、すなわち、Y軸まわり角度変更量(偏向ミラー80を回転させる向きを含む)が決定される。
【0052】
本実施形態においては、水平方向位置X(瞳孔位置の、中立位置からの水平方向ずれ量)と偏向ミラー80のY軸まわりの、中立位置からの回転角度量との対応関係がテーブルとしてメモリ部124に予め記憶されており、その関係に従い、瞳孔の水平方向位置Xの今回値に対応する偏向ミラー80のY軸まわり角度変更量が決定される。
【0053】
その後、ステップS4において、ステップS3に準じて、検出された垂直方向位置Yに基づき、射出瞳が垂直方向に瞳孔位置をトラッキングするために偏向ミラー80がX軸まわりに回転すべき角度、すなわち、X軸まわり角度変更量(偏向ミラー80を回転させる向きを含む)が決定される。
【0054】
本実施形態においては、垂直方向位置Y(瞳孔位置の、中立位置からの垂直方向ずれ量)と偏向ミラー80のX軸まわりの、中立位置からの回転角度量との対応関係がテーブルとしてメモリ部124に予め記憶されており、その関係に従い、瞳孔の垂直方向位置Yの今回値に対応する偏向ミラー80のX軸まわり角度変更量が決定される。
【0055】
続いて、ステップS5において、ステップS3およびS4においてそれぞれ決定されたY軸まわり角度変更量およびX軸まわり角度変更量を実現することを偏向ミラードライバ88に出力すべき制御信号が生成される。
【0056】
その後、ステップS6において、その生成された制御信号が偏向ミラードライバ88に出力され、その結果、射出瞳の水平方向位置および垂直方向位置がそれぞれ、瞳孔の、現在の水平方向位置および垂直方向位置に接近ないし一致させられる。
【0057】
以上で、この瞳孔トラッキングプログラムの一回の実行が終了する。
【0058】
図6には、前述の波面曲率補正プログラムが概念的にフローチャートで表されている。
【0059】
図7および図8には、図1に示すヘッドマウントディスプレイ装置10のうち、リレー光学系16と、ハーフミラー100と、偏向ミラー80と、接眼光学系22との間における光の経路が示されている。さらに、接眼光学系22から出射した光が、射出瞳および観察者の眼球レンズを順に経て、観察者の眼の網膜上に到達する様子も示されている。
【0060】
図7には、偏向ミラー80が中立位置にあって、射出瞳が中立位置P1に一致する場合に、接眼光学系22から出射する光によって形成される像面が示されている。ここに、「偏向ミラー80が中立位置にある状態」とは、偏向ミラー80上のすべての点が、図9に示す中間像面上に位置する状態である。すなわち、偏向ミラー80が全体的に中間像面に一致する状態なのである。
【0061】
この場合には、その像面が、接眼光学系22の光軸に対して直角な平面となり、その像面上に形成される画像を構成するすべての画素が網膜上にピンボケなく結像する。すなわち、観察者は、画像を、その画像内のすべての位置において、ピントが合っている状態で観察することができる。
【0062】
これに対して、図8には、偏向ミラー80が、中立位置から回転した位置にあって、射出瞳が、中立位置P1から距離aだけずれた位置P2に一致する場合に、接眼光学系22から出射する光によって形成される像面が示されている。ここに、「偏向ミラー80が、中立位置から回転した位置にある状態」とは、偏向ミラー80上のすべての点が、図9に示すように、中間像面上に位置するわけではない状態である。すなわち、偏向ミラー80が全体的に中間像面に一致するわけではない状態なのである。
【0063】
図8に示す場合には、各瞬間においてある2次元画像を構成する複数個の画素をそれぞれ形成する複数本の光線に着目すると、図8に示すように、偏向ミラー80のうち、中間像面に対して射出瞳に近い部分(図8においては、偏向ミラー80のうちの上部)に入射する光線は、中間像面より手前の位置で反射して射出瞳に向かうため、リレー光学系16から最終像面までの距離である光路長(以下、単に「光路長」という。)が、射出瞳が中立位置P1にある場合より短くなる。
【0064】
これに対し、図8に示すように、偏向ミラー80のうち、中間像面に対して射出瞳から遠い部分(図8においては、偏向ミラー80のうちの下部)に入射する光線は、中間像面より遠い位置で反射して射出瞳に向かうため、光路長が、射出瞳が中立位置P1にある場合より長くなる。
【0065】
このように、光線が偏向ミラー80に入射する位置(画像のうち、その光線によって形成される画素の高さ)に応じて、光路長がもとの長さから変化してしまい、ひいては、光線の拡がり角ももとの角度から変化してしまう。よって、同じ2次元画像を形成するための複数本の光線でありながら、それら光線間に光路長差および拡がり角差が発生する。
【0066】
以上要するに、図9に示すように、偏向ミラー80が、中立位置から回転した位置にあって、全体的に中間像面に一致するわけではない場合には、同じ画像を形成するための複数本の光線が光路長に関して不一致となってしまう。さらに、虚像の大きさも、偏向ミラー80が全体的に中間像面に一致する場合におけるdAより大きいdBとなってしまう。
【0067】
射出瞳が中立位置P1に位置する場合には、画像光が、瞳孔位置において、画像光の断面全体に共通する波面曲率を有する。これに対し、射出瞳が中立位置P1から位置P2に移動した場合には、同じ2次元画像を形成するための複数本の光線間に光路長差および拡がり角差が発生するため、画像光が、瞳孔位置において、画像光の断面全体は共通するわけではない波面曲率を有する。
【0068】
その結果、画像光によって観察者の眼球内に形成される最終像面が、接眼光学系22の光軸および観察者の眼球レンズの光軸に対して直角にならず、よって、観察者の網膜の表面に対して傾斜してしまう。そのため、観察者は、画像を、部分的にピンボケした画像として知覚せざるを得ないことになる。
【0069】
そこで、本実施形態においては、図10に示すように、同じ画像を形成する複数本の光線間に波面曲率差および拡がり角差が発生するように射出瞳を移動させることが必要である場合に、それら波面曲率差および拡がり角差が打ち消されるように、それら複数本の光線間に波面曲率差および拡がり角差が逆向きに発生させられる。本実施形態においては、波面曲率の変調、すなわち、光線の拡がり角の変調により、射出瞳の移動に起因する最終像面の傾斜、ひいては、表示画像のピンボケ化が抑制される。
【0070】
ここで、図11ないし図13を参照することにより、射出瞳の移動に起因する最終像面の傾斜を抑制するために、画像光の波面曲率を、その画像光の断面上の各位置ごとに補正するためのアルゴリズムを説明する。
【0071】
まず、波面曲率を補正するために可変焦点レンズ70が用いられるが、この可変焦点レンズ70には、LCD40から、各瞬間ごとに面状を成す画像光が入射する。そのため、特別の措置を講じない限り、画像光の断面上の各位置ごとに画像光の波面曲率を変調することができない。
【0072】
本実施形態においては、図11に示すように、画像を表示するための1枚のフレームが、垂直方向に延びる2本の平行直線によって3つの領域に分割される。各領域ごとに、波面曲率補正量の第1暫定値が決定される。それら3つの領域には、3つの波面曲率半径補正量がそれぞれ、複数のモードのうちのいずれかに従って割り当てられる。
【0073】
モード0は、いずれの領域についても、波面曲率を補正しないモードである。モード+1は、3つの領域のそれぞれの波面曲率を、画像中心に関して対称的なパターンで、しかも、小さな量だけ補正するためのモードである。モード−1は、そのモード+1とは逆向きのパターンで3つの領域のそれぞれの波面曲率を補正するためのモードである。モード+2は、3つの領域のそれぞれの波面曲率を、画像中心に関して対称的なパターンで、しかも、モード+1より大きな量だけ補正するためのモードである。モード−2は、そのモード+2とは逆向きのパターンで3つの領域のそれぞれの波面曲率を補正するためのモードである。
【0074】
本実施形態においては、さらに、図12に示すように、画像を表示するための1枚のフレームが、水平方向に延びる2本の平行直線によって3つの領域に分割される。各領域ごとに、波面曲率補正量の第2暫定値が決定される。それら3つの領域には、3つの波面曲率半径補正量がそれぞれ、複数のモードのうちのいずれかに従って割り当てられる。
【0075】
それらモードは、モード0、モード+1、モード−1、モード+2およびモード−2であり、図11に示す複数のモードと共通する。
【0076】
図13に示すように、本実施形態においては、1枚のフレームが、最終的には、9(=3×3)個の領域に分割される。各領域には、図11に示す5つのモード(水平方向モード)のうち各領域に割り当てられたものに対応する波面曲率補正量の第1暫定値(水平方向補正量)と、図12に示す5つのモード(垂直方向モード)のうち各領域に割り当てられたものに対応する波面曲率補正量の第2暫定値(垂直方向補正量)との合成値が最終的に割り当てられる。その合成値の一例は、それら第1暫定値と第2暫定値との単純和である。
【0077】
ここで、図6を参照することにより、前述の波面曲率補正プログラムを具体的に説明する。
【0078】
この波面曲率補正プログラムは、ヘッドマウントディスプレイ装置10の電源が投入されている間、定期的に繰り返し実行される。
【0079】
各回の実行時には、まず、ステップS101において、図5に示すステップS3の実行によって決定された偏向ミラー80のY軸まわり角度変更量(中立位置からのずれ量)に応じて、射出瞳の水平方向移動量(中立位置からのずれ量)が求められる。
【0080】
なお、射出瞳の水平方向移動量は、瞳孔の水平方向位置Xに常に実質的に一致させられることを前提としてもよい場合には、図5に示すステップS1の実行によって検出された瞳孔の水平方向位置Xとして取得してもよい。
【0081】
本実施形態においては、偏向ミラー80のY軸まわり角度変更量と射出瞳の水平方向移動量との関係が予めメモリ部124に記憶されており、その関係に従い、射出瞳の水平方向移動量の今回値が求められる。
【0082】
次に、ステップS102において、ステップS101に準じて、図5に示すステップS4の実行によって決定された偏向ミラー80のX軸まわり角度変更量(中立位置からのずれ量)に応じて、射出瞳の垂直方向移動量(中立位置からのずれ量)が求められる。
【0083】
なお、射出瞳の垂直方向移動量は、瞳孔の垂直方向位置Yに常に実質的に一致させられることを前提としてもよい場合には、図5に示すステップS2の実行によって検出された瞳孔の垂直方向位置Yとして取得してもよい。
【0084】
本実施形態においては、偏向ミラー80のX軸まわり角度変更量と射出瞳の垂直方向移動量との関係が予めメモリ部124に記憶されており、その関係に従い、射出瞳の垂直方向移動量の今回値が求められる。
【0085】
続いて、ステップS103において、図11に示す3つの領域のそれぞれにつき、射出瞳の水平方向移動に起因する最終像面の水平方向傾斜を抑制するために実現すべき水平方向波面曲率補正量(第1暫定値)が決定される。この水平方向波面曲率補正量の大きさは、射出瞳の水平方向移動量(中立位置からの水平方向ずれ量)に基づいて決定される。具体的には、射出瞳の水平方向移動量と水平方向波面曲率補正量との間に予め定められた関係であってメモリ部124に予め記憶されているものに従い、今回の水平方向波面曲率補正量が決定される。
【0086】
その後、ステップS104において、図12に示す3つの領域のそれぞれにつき、射出瞳の垂直方向移動に起因する最終像面の垂直方向傾斜を抑制するために実現すべき垂直方向波面曲率補正量(第2暫定値)が決定される。この垂直方向波面曲率補正量の大きさは、射出瞳の垂直方向移動量(中立位置からの垂直方向ずれ量)に基づいて決定される。具体的には、射出瞳の垂直方向移動量と垂直方向波面曲率補正量との間に予め定められた関係であってメモリ部124に予め記憶されているものに従い、今回の垂直方向波面曲率補正量が決定される。
【0087】
続いて、ステップS105において、図13に示す9つの領域のそれぞれにつき、対応する水平方向波面曲率補正量(第1暫定値)と垂直方向波面曲率補正量(第2暫定値)との合成値として、合成補正量が決定される。
【0088】
続いて、ステップS106において、もと画像信号がR/G/Bバッファ130から取り込まれる。その後、ステップS107において、その取り込まれたもと画像信号により表される一連の複数枚のフレームの各々が、前述の9つの領域に対応するように、9枚のサブフレームに分割されるように、もと画像信号からサブフレーム信号が生成される。図4に示す画像表示プログラムは、その生成されたサブフレーム信号をLCDドライバ42に供給することにより、画像を表示するように実行される。
【0089】
続いて、ステップS108において、前述の9つの領域について順次、対応する合成補正量が実現されるように、可変焦点レンズ70を制御するための制御信号が生成される。その後、ステップS109において、それら生成された複数の制御信号が順次、対応するサブフレーム信号のLCDドライバ42への供給に同期するように、可変焦点レンズドライバ72に出力される。
【0090】
以上で、この波面曲率補正プログラムの一回の実行が終了する。
【0091】
したがって、本実施形態によれば、射出瞳の移動の有無にかかわらず、観察者は、画像をピンボケすることなく観察することが可能となり、その結果、ヘッドマウントディスプレイ装置10による画像の表示品質が向上する。
【0092】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、説明の便宜上、可変焦点レンズ70と、信号処理装置120のうち図5に示す瞳孔トラッキングプログラムを実行する部分とが互いに共同して、前記(1)項における「射出瞳制御部」の一例を構成し、信号処理装置120のうち図5に示す瞳孔トラッキングプログラムを実行する部分が、同項における「射出瞳制御手段」の一例を構成し、信号処理装置120のうち図6に示す波面曲率補正プログラムを実行する部分が、同項における「波面曲率補正手段」の一例を構成し、偏向ミラー80が同項における「光学素子」の一例を構成していると考えることが可能である。
【0093】
さらに、本実施形態においては、説明の便宜上、信号処理装置120のうち図6に示すステップS101−S105を実行する部分が、前記(2)項における「決定手段」の一例を構成し、信号処理装置120のうち図6に示すステップS108およびS109を実行する部分と、可変焦点レンズドライバ72とが互いに共同して、同項における「駆動手段」の一例を構成していると考えることが可能である。
【0094】
なお付言するに、本実施形態においては、瞳孔の動きに追従するように自動的に射出瞳が移動させられるが、ユーザからの指令に応じた位置に射出瞳が移動するように液晶光学デバイス70が電気的に制御される態様で本発明を実施することが可能である。
【0095】
次に、本発明の第2実施形態を説明する。ただし、本実施形態は、第1実施形態に対して、光源部および画像光形成部についてのみ異なり、他の要素については共通するため、光源部および画像光形成部についてのみ説明する。
【0096】
図14には、本発明の第2実施形態に従うヘッドマウントディスプレイ装置150が概念的に光路図で示されている。
【0097】
このヘッドマウントディスプレイ装置150は、概略的には、光源から入射したビーム状の光であって各画素ごとに強度変調されたものを、スキャナを用いて、面状の画像光に変換し、そのようにして形成された画像光を観察者の瞳孔を経て直接的に観察者の網膜上に投影し、それにより、観察者が画像を虚像として観察することを可能にするように構成されている。
【0098】
図14に示すように、このヘッドマウントディスプレイ装置150は、光源部152と、画像光形成部154とを、第1実施形態とは異なる要素として有する一方、射出瞳制御部18と、瞳孔位置検出部20と、接眼光学系22とを、第1実施形態と共通する要素として有している。
【0099】
光源部152は、赤色レーザビームを発するレーザ160と、緑色レーザビームを発するレーザ162と、青色レーザビームを発するレーザ164とを備えている、それらレーザ160,162,164はそれぞれ、個別のレーザドライバ170,172,174により、発するレーザビームの強度が変調される。それらレーザ160,162,164から出射する3色のレーザビームは、各瞬間ごとに、対応する画素の色を反映する1つのレーザビームとして合成される。その合成されたレーザビームは、画像光形成部154に入射する。
【0100】
画像光形成部154は、光源部152から入射したレーザビームを水平方向に走査するために駆動される主走査ミラー180(例えば、ポリゴンミラー)と、その主走査ミラー180から入射したレーザビームを今度は、垂直方向に走査するために駆動される副走査ミラー182(例えば、ガルバノミラー)とを備えている。主走査ミラー180は、主走査ミラードライバ190によって駆動され、また、副走査ミラー182は、副走査ミラードライバ192によって駆動される。
【0101】
画像光形成部154は、さらに、前段リレーレンズ200と、後段リレーレンズ202とを備えている。前段リレーレンズ200は、主走査ミラー180と副走査ミラー182との間の中間像面と同じ位置に配置され、一方、後段リレーレンズ202は、副走査ミラー182と可変焦点レンズ70との間の中間像面と同じ位置に配置されている。
【0102】
なお付言するに、液晶光学デバイス70は、後段リレーレンズ202と接眼レンズ110との間の中間像面と同じ位置に配置されているが、図14においては、説明の便宜上、実際とは異なる配置とされている。
【0103】
本実施形態においても、第1実施形態と同様にして、射出瞳制御部18が、瞳孔位置検出部20による瞳孔位置の検出結果に基づき、ヘッドマウントディスプレイ装置150の射出瞳を、瞳孔位置の変化に追従するように移動させる。その結果、観察者は、瞳孔移動の有無にかかわらず、表示画像を同じ表示状態で観察し続けることが可能となる。
【0104】
本実施形態においては、各瞬間ごとに、可変焦点レンズ70に入射するのは、第1実施形態のように1フレーム分の画像光ではなく、1本の光線である。1本の光線は、2次元的に走査されることにより、2次元の画像光に変換される。1本の光線には、各瞬間ごとに、表示すべき1個の画素が対応する。
【0105】
よって、本実施形態においては、観察者の眼球内における最終像面上において1本の光線が入射する位置が移動するのに同期するように、その光線の波面曲率が可変焦点レンズ70により、射出瞳の移動に起因する光路長差および拡がり角差が打ち消されるように変調される。
【0106】
したがって、本実施形態によれば、射出瞳の移動の有無にかかわらず、観察者は、画像をピンボケすることなく観察することが可能となり、その結果、ヘッドマウントディスプレイ装置150による画像の表示品質が向上する。
【0107】
以上、本発明の実施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、前記[発明の開示]の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明の第1実施形態に従うヘッドマウントディスプレイ装置10を概念的に表す光路図である。
【図2】図1に示す偏向ミラー80を拡大して示す正面図である。
【図3】図1に示すヘッドマウントディスプレイ装置10のうちの電気的な構成を概念的に説明するためのブロック図である。
【図4】図3に示すメモリ部124に予め記憶されているプログラムを示す図である。
【図5】図4に示す瞳孔トラッキングプログラムを概念的に表すフローチャートである。
【図6】図4に示す波面曲率補正プログラムを概念的に表すフローチャートである。
【図7】図6に示す波面曲率補正プログラムを説明するための光路図である。
【図8】図6に示す波面曲率補正プログラムを説明するための別の光路図である。
【図9】図6に示す波面曲率補正プログラムを説明するためのさらに別の光路図である。
【図10】図6に示す波面曲率補正プログラムを説明するためのさらにまた別の光路図である。
【図11】図6に示す波面曲率補正プログラムを説明するための図およびグラフである。
【図12】図6に示す波面曲率補正プログラムを説明するための別の図およびグラフである。
【図13】図6に示す波面曲率補正プログラムを説明するためのさらに別の図である。
【図14】本発明の第2実施形態に従うヘッドマウントディスプレイ装置150を概念的に表す光路図である。
【符号の説明】
【0109】
10 ヘッドマウントディスプレイ装置
12 光源部
14 画像光形成部
18 射出瞳制御部
20 瞳孔位置検出部
70 可変焦点レンズ
72 第1部分
74 第2部分
80 偏向ミラー
84 電極
94 電極
100 ハーフミラー
102 瞳孔位置検出回路
120 信号処理装置
122 コンピュータ
150 ヘッドマウントディスプレイ装置
152 光源部
154 画像形成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を光学的に表示する画像表示装置であって、
光源部と、
その光源部から出射する光を、観察者に表示すべき画像を表す画像光に変換することにより、その画像光を形成する画像光形成部と、
当該画像表示装置の射出瞳の位置を制御する射出瞳制御部と
を含み、
その射出瞳制御部は、
当該画像表示装置において前記画像光が進行する経路の途中に配置された光学素子と、
その光学素子を制御することにより、前記射出瞳の位置を制御する射出瞳制御手段と
を含み、
当該画像表示装置は、さらに、
前記画像光の波面曲率を変調する波面曲率変調素子と、
前記光学素子の制御に起因する前記画像光の波面曲率の変化が打ち消されるように、前記光学素子の制御量またはその制御量に関連する物理量に基づき、前記波面曲率変調素子を介して前記画像光の波面曲率を補正する波面曲率補正手段と
を含む画像表示装置。
【請求項2】
前記波面曲率補正手段は、
前記光学素子の制御量またはその制御量に関連する物理量に基づき、前記画像光の断面上における各位置ごとに、前記波面曲率の補正量を決定する決定手段と、
その決定された補正量が実現されるように、前記波面曲率変調素子を、前記画像光の断面上における各位置に関連付けて駆動する駆動手段と
を含む請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記光学素子は、入射光に対する角度が可変である偏向ミラーを含み、
前記射出瞳制御手段は、その偏向ミラーの、入射光に対する角度を変化させることにより、前記射出瞳の位置を制御し、
前記波面曲率補正手段は、前記偏向ミラーの、入射光に対する角度またはその角度に関連する物理量に基づいて前記画像光の波面曲率を補正する請求項1または2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
さらに、前記瞳孔の位置を検出する瞳孔位置検出部を含み、
前記射出瞳制御手段は、その瞳孔位置検出部からの出力信号に基づき、観察者の瞳孔の動きに追従するように前記射出瞳を移動させるために、前記光学素子を制御する請求項1ないし3のいずれかに記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記射出瞳制御手段は、ユーザからの指令を表す入力信号に応じて、前記光学素子を制御することにより、前記射出瞳の位置を、前記入力信号に応じた位置に移動するように制御する請求項1ないし3のいずれかに記載の画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−192561(P2009−192561A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−29947(P2008−29947)
【出願日】平成20年2月12日(2008.2.12)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】