説明

硬化性樹脂組成物及び硬化塗膜の形成方法

【課題】 透明性や耐熱性等に優れる皮膜を形成できるとともに、特にスリットコート法やインクジェット法により塗工する際に、部分的に塗膜の厚さが異なったり塗膜欠損の生じることのない硬化性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 硬化性樹脂組成物は、アルカリ可溶性基を含むモノマー単位(A)及び硬化性基含有重合性不飽和化合物に対応するモノマー単位(B)を含む共重合体であって、前記モノマー単位(B)の割合が共重合体を構成する全モノマー単位に対して5〜95重量%であり、且つ前記モノマー単位(B)のうち30重量%以上が、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環含有化合物から選択された少なくとも1種の化合物に対応するモノマー単位である共重合体と、常圧における沸点が180℃以上である有機溶剤を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環を有する共重合体を含む硬化性樹脂組成物と、これを用いた硬化塗膜の形成方法に関する。より詳しくは、半導体プロセスにおける遠紫外線、電子線、イオンビーム、X線などの活性光線を用いたリソグラフィーや、液晶表示素子、集積回路素子、固体撮像素子等の電子部品に設けられる絶縁膜、保護膜等を形成するために用いられる硬化性樹脂組成物と、これを用いた硬化塗膜の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、VLSIに代表されるサブミクロンオーダーの微細加工を必要とする各種電子デバイス製造の分野では、デバイスのより一層の高密度、高集積化への要求が高まっている。このため、微細パターン形成方法であるフォトリソグラフィー技術に対する要求がますます厳しくなっている。他方、液晶表示素子、集積回路素子、固体撮像素子等の電子部品においては、その劣化や損傷を防止するための保護膜、層状に配置される配線の間を絶縁するために設ける層間絶縁膜、素子表面を平坦化するための平坦化膜、電気的絶縁を保つための絶縁膜等が設けられている。なかでも液晶表示素子の場合、例えばTFT型液晶表示素子にあっては、ガラス基板上に偏光板を設け、ITO等の透明導電回路層及び薄膜トランジスタ(TFT)を形成し、層間絶縁膜で被覆して背面板とする一方、ガラス板上に偏光板を設け、必要に応じてブラックマトリックス層及びカラーフィルター層のパターンを形成し、さらに透明導電回路層、層間絶縁膜を順次形成して上面板とし、この背面板と上面板とをスペーサを介して対向させて両板間に液晶を封入して製造されるが、そこで使用される感光性樹脂組成物としては透明性、耐熱性、現像性及び平坦性に優れたものであることが要求される。
【0003】
レジストの高感度化の方法として、感光剤である光酸発生剤を利用した化学増幅型レジストがよく知られている。例えばエポキシ基を有する構造単位を含む樹脂と光酸発生剤とを含有する硬化性樹脂組成物を用い、露光により光酸発生剤からプロトン酸を生成させ、エポキシ基を開裂させて架橋反応を引き起こす。これにより樹脂が現像液に対して不溶となってパターンが形成され、さらに、露光後の加熱処理によりレジスト固相内を移動させ、当該酸によりレジスト樹脂などの化学変化を触媒反応的に増幅させる。このようにして、光反応効率(一光子あたりの反応)が1未満の従来のレジストに比べて飛躍的な高感度化が達成されている。現在では開発されるレジストの大半が化学増幅型であり、露光光源の短波長化に対応した高感度材料の開発には、化学増幅機構の採用が必須となっている。
【0004】
一方、TFT型液晶表示素子や集積回路素子に設けられる絶縁膜には、微細加工を施すことが必要となるため、当該絶縁膜を形成するための材料として、一般に、感放射線性樹脂組成物が使用されており、このような感放射線性樹脂組成物においては、高い生産性を得るために、高い感放射線性を有するものであることが要求される。また、絶縁膜が耐溶剤性の低いものである場合には、当該絶縁膜に、有機溶剤による膨潤、変形、基板からの剥離などが生じることにより、液晶表示素子や集積回路素子の製造において重大な障害が生じる。そのため、このような絶縁膜には、優れた耐溶剤性が要求される。さらに、液晶表示素子や固体撮像素子等に設けられる絶縁膜には、必要に応じて高い透明性が要求される。
【0005】
このような要求に対して、特開2003−76012号公報には、脂環式エポキシ基含有重合性不飽和化合物とラジカル重合性化合物との共重合体を含む感光性樹脂組成物が開示されており、ラジカル重合性化合物として不飽和カルボン酸等が用いられている。エポキシ化合物は、光増幅型のレジストでは、光酸発生剤により発生する酸とその後の加熱(ポストベイク)により容易に架橋し、良好なエッチング耐性を有する膜を得るのに有効である。しかし、脂環式エポキシ基含有重合性不飽和化合物はカチオン重合性に富む反面、アルカリ可溶性を付与するために用いられる不飽和カルボン酸由来のカルボキシル基と反応しやすく、保存安定性に劣るため、−20℃以下の低温下に保存する必要があり、実用性に大きな問題があった。
【0006】
また、特許第3055495号公報には、有橋環式炭化水素基がエステルの酸素原子に直接結合した(メタ)アクリル酸エステルに対応するモノマー単位と、エポキシ基含有炭化水素基を有するモノマー単位と、カルボキシル基を有するモノマー単位とからなる共重合体を含む感光性樹脂組成物が開示されている。しかし、有橋環式炭化水素基がエステルの酸素原子に直接結合した(メタ)アクリル酸エステルはエステル基の隣接位に極めて嵩高い基を有することから、モノマー合成が困難であることが多く、さらに、有機溶剤に対して溶解性が悪く、重合反応時及び得られる樹脂の取扱いが困難である。また、有橋環式炭化水素基がエステルの酸素原子に直接結合した(メタ)アクリル酸エステルは極性が非常に低いため、極性の高い不飽和カルボン酸やエポキシ基含有モノマーと共重合させる際、ポリマーの単量体組成に偏りが生じて均一組成のポリマーが得られず、よって所望のレジスト性能が得られない場合が生じる。
【0007】
一方、エポキシ基等の硬化性基を有する硬化性樹脂を溶解させる溶剤として種々のものが用いられているが、溶解性、塗布性、感度、現像性、形成されるパターン特性等の諸特性に優れた溶剤として、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどが知られている。
【0008】
また、硬化性樹脂を溶剤に溶解させた硬化性樹脂組成物を基板又は基材上に塗布する方法として、従来、スピンコート法、ロールコート法、スプレー法が汎用されてきたが、近年、塗工液の使用率の向上、工程短縮などの点で優れていることから、スリットコート法やインクジェット法により塗膜を形成することが行われるようになっている。しかし、本発明者らの検討によると、スリット法やインクジェット法により塗膜を形成する場合には、樹脂の種類によっては部分的に塗膜の厚さが異なったり塗膜欠損が生じることがある。
【0009】
【特許文献1】特開2003−76012号公報
【特許文献2】特許第3055495号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、硬度、透明性、耐熱性、耐熱変色性等の特性に優れる皮膜(硬化塗膜)を形成できるとともに、保存安定性に優れ、特にスリットコート法やインクジェット法により塗工する際に、部分的に塗膜の厚さが異なったり塗膜欠損の生じることのない硬化性樹脂組成物及び硬化塗膜の形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、以下の知見を得た。すなわち、溶剤溶解性に優れるとともに、溶液の保存安定性が極めて良好で、且つ透明性、耐熱性、耐エッチング性、平坦性、現像性等に優れた皮膜を形成できるポリマーについて検討した結果、アルカリ可溶性基を有する重合性不飽和化合物と特定量の3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環を含む重合性不飽和化合物を含む単量体混合物を共重合させて得られるポリマーが優れた特性を有することを見出した。しかしながら、このポリマーを感光性樹脂の溶剤として一般的に優れているとされているプロピレングリコールモノメチルエーテル等に溶解させて硬化性樹脂組成物を調製し、基板又は基材上にスリットコート法又はインクジェット法により塗布し、硬化させて皮膜を形成したところ、部分的に塗膜の厚さが異なったり、塗膜欠損が生じるという不具合が見られた。そこで、このような問題の生じない溶剤を見つけるべく検討した結果、特定の有機溶剤が前記硬化性樹脂組成物を特にスリットコート法又はインクジェット法を用いて塗布する場合に極めて有効であることを見いだした。本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものである。
【0012】
すなわち、本発明は、アルカリ可溶性基を含むモノマー単位(A)及び硬化性基含有重合性不飽和化合物に対応するモノマー単位(B)を含む共重合体であって、前記モノマー単位(B)の割合が共重合体を構成する全モノマー単位に対して5〜95重量%であり、且つ前記モノマー単位(B)のうち30重量%以上が、下記式(1a)及び(1b)
【化1】

(式中、Raは、それぞれ、水素原子又はヒドロキシル基で置換されていてもよい炭素数1〜7のアルキル基を示し、Aは、それぞれ、単結合又はヘテロ原子を含んでいてもよい2価の炭化水素基を示す)
で表される3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環含有化合物から選択された少なくとも1種の化合物に対応するモノマー単位である共重合体と、常圧における沸点が180℃以上である有機溶剤を含む硬化性樹脂組成物を提供する。
【0013】
前記共重合体は、モノマー単位(A)及び(B)に加えて、さらに(C)(c1)アルキル基で置換されていてもよいスチレン、(c2)下記式(2)
【化2】

[式中、R1は水素原子又は炭素数1〜7のアルキル基を示し、R2は炭素数1〜12の第1級若しくは第2級アルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基、アリール基、アラルキル基、又は−(R3−O)m−R4基(式中、R3は炭素数1〜12の2価の炭化水素基、R4は水素原子又は炭化水素基、mは1以上の整数を示す)を示す]
で表される不飽和カルボン酸エステル、及び(c3)N−置換マレイミドからなる群より選択された少なくとも1種の硬化性基非含有重合性不飽和化合物に対応するモノマー単位を含んでいてもよい。
【0014】
式(1a)又は(1b)で表される3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環含有化合物は、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−9−イル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート、2−(3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−9−イルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、又は2−(3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルオキシ)エチル(メタ)アクリレートであるのが好ましい。
【0015】
常圧における沸点が180℃以上である有機溶剤として、C5-6シクロアルカンジオール、C5-6シクロアルカンジメタノール、C5-6シクロアルカンジオールモノ又はジアセテート、C5-6シクロアルカンジメタノールモノ又はジアセテート、プロピレングリコールモノ又はジアリールエーテル、ジプロピレングリコールモノC1-4アルキルエーテル、ジプロピレングリコールジC2-4アルキルエーテル、ジプロピレングリコールモノC1-4アルキルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノ又はジC1-4アルキルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、1,3−プロパンジオールジC3-4アルキルエーテル、1,3−プロパンジオールモノC2-4アルキルエーテルアセテート、1,3−プロパンジオールモノ又はジアセテート、1,3−ブタンジオールモノ又はジC3-4アルキルエーテル、1,3−ブタンジオールモノC2-4アルキルエーテルアセテート、1,3−ブタンジオールモノ又はジアセテート、1,4−ブタンジオールモノ又はジC3-4アルキルエーテル、1,4−ブタンジオールモノC2-4アルキルエーテルアセテート、1,4−ブタンジオールモノ又はジアセテート、グリセリンモノ,ジ又はトリC1-4アルキルエーテル、グリセリンモノ,ジ又はトリアセテート、グリセリンモノ又はジC1-4アルキルエーテルジ又はモノアセテート、3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン、ジエチレングリコールモノC2-4アルキルエーテル、及びジエチレングリコールモノC2-4アルキルエーテルアセテートから選択された少なくとも1種の有機溶剤を使用できる。
【0016】
本発明は、また、前記硬化性樹脂組成物を基板又は基材上にスリットコート法又はインクジェット法により塗工して塗膜を形成した後、塗膜を硬化させる硬化塗膜の形成方法を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、硬度、透明性、耐熱性、耐熱変色性等の特性に優れる皮膜(硬化塗膜)を形成できるとともに、保存安定性に優れ、特にスリットコート法やインクジェット法により塗工する場合に、部分的に塗膜の厚さが異なったり、塗膜欠損が生じるなどの不具合がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
[共重合体]
本発明の硬化性樹脂組成物に含まれている共重合体は、アルカリ可溶性基を含むモノマー単位(A)と硬化性基含有重合性不飽和化合物に対応するモノマー単位(B)とを含んでいる。アルカリ可溶性基を含むモノマー単位(A)はポリマー(共重合体)にアルカリ可溶性を付与する機能等を有する。これによってポリマーは現像時にアルカリ水溶液(現像液)に溶解する。また、モノマー単位(B)は、熱や光の存在下でポリマーを硬化させ、皮膜に必要な硬度を付与する機能を有する。
【0019】
アルカリ可溶性基を含むモノマー単位(A)はアルカリ可溶性基を有する重合性不飽和化合物(a)を共重合に付することによりポリマー中に導入できる。前記アルカリ可溶性基としては、レジストの分野で通常用いられる基であればよく、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基などが挙げられる。アルカリ可溶性基を有する重合性不飽和化合物(a)の代表的な例として、不飽和カルボン酸又はその酸無水物、ヒドロキシスチレン又はその誘導体などが挙げられるが、これらに限定されない。これらのなかでも、特に不飽和カルボン酸又はその酸無水物が好ましい。
【0020】
不飽和カルボン酸又はその酸無水物として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸などのα,β−不飽和カルボン酸及びその酸無水物(無水マレイン酸、無水イタコン酸等)が例示される。これらのなかでも、アクリル酸、メタクリル酸が特に好ましい。アルカリ可溶性基を有する重合性不飽和化合物(a)は単独で又は2以上を組み合わせて使用できる。
【0021】
アルカリ可溶性基を含むモノマー単位(A)の共重合体に占める割合は、用いるモノマーの種類やレジストのタイプ(ネガ型又はポジ型)によっても異なるが、通常、共重合体を構成する全モノマー単位に対して10〜50重量%であり、好ましくは12〜40重量%、さらに好ましくは14〜30重量%である。この割合が小さすぎるとアルカリ現像液に対して溶解しにくく現像性が悪くなり、逆に大きすぎると現像後のエッチング耐性が悪くなり好ましくない。
【0022】
硬化性基含有重合性不飽和化合物に対応するモノマー単位(B)は、露光時等において、架橋剤を用いた架橋により或いはポリマー分子内にあるアルカリ可溶性基(例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基等)との反応によりポリマーを硬化させ、皮膜にレジストとして必要な硬度を付与し、エッチング耐性を高める機能、また、ポリマーをアルカリ不溶性に変化させる機能を有する。
【0023】
硬化性基含有重合性不飽和化合物に対応するモノマー単位(B)は、硬化性基含有重合性不飽和化合物(b)を共重合に付すことによりポリマー中に導入できる。硬化性基含有重合性不飽和化合物(b)としては、環上にエポキシ基を有する多環式脂肪族基と不飽和結合を有する基とを有する化合物が好ましい。前記多環式脂肪族基としてはジシクロペンタニル基、トリシクロデシル基などが挙げられる。前記不飽和結合としては炭素−炭素二重結合が挙げられ、不飽和結合を有する基として、ビニル基、アリル基、メタリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などが挙げられる。
【0024】
本発明では、硬化性基含有重合性不飽和化合物(b)として、少なくとも前記式(1a)及び(1b)で表される3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環含有化合物から選択された少なくとも1種の化合物を用いる。式(1a)、(1b)中、Raは、それぞれ、水素原子又はヒドロキシル基で置換されていてもよい炭素数1〜7のアルキル基を示し、Aは、それぞれ、単結合又はヘテロ原子を含んでいてもよい2価の炭化水素基を示す。
【0025】
aにおけるヒドロキシル基で置換されていてもよい炭素数1〜7のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル基などのアルキル基;ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル基、2−ヒドロキシ−1−メチルエチル基、1−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基などのヒドロキシアルキル基が挙げられる。Raとしては、水素原子又はヒドロキシル基で置換されていてもよい炭素数1〜2のアルキル基が好ましく、なかでも特に水素原子又はメチル基が好ましい。
【0026】
Aにおけるヘテロ原子を含んでいてもよい2価の炭化水素基において、ヘテロ原子は炭化水素基の末端に結合していてもよく、炭化水素基を構成する炭素原子間に介在していてもよい。ヘテロ原子として、窒素、酸素、硫黄原子等が挙げられる。
【0027】
Aの代表的な例として、下記式(3)
【化3】

(式中、R5は炭素数1〜12の2価の炭化水素基を示し、nは0以上の整数を示す)
で表される基が挙げられる。
【0028】
5における炭素数1〜12の2価の炭化水素基としては、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン、ヘキサメチレン、オクタメチレン、デカメチレン、ドデカメチレン基等の2価の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基;シクロペンチレン、シクロヘキシレン、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン等の2価の脂環式炭化水素基(シクロアルキレン基、シクロアルキリデン基、2価の橋架け炭素環式基等);これらが2以上結合した2価の炭化水素基などが挙げられる。R5としては、特に、メチレン、エチレン、プロピレン、テトラメチレン、ヘキサメチレン基等の炭素数1〜6のアルキレン基;シクロヘキシレン基等の3〜6員の脂環式炭化水素基などが好ましい。nとしては、好ましくは0〜10の整数、さらに好ましくは0〜4の整数、特に好ましくは0又は1である。
【0029】
Aの他の代表的な例として、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基などのアルキレン基(例えば、炭素数1〜12のアルキレン基、特に炭素数1〜6のアルキレン基);チオメチレン基、チオエチレン基、チオプロピレン基などのチオアルキレン基(例えば、炭素数1〜12のチオアルキレン基、特に炭素数1〜6のチオアルキレン基);アミノメチレン基、アミノエチレン基、アミノプロピレン基などのアミノアルキレン基(例えば、炭素数1〜12のアミノアルキレン基、特に炭素数1〜6のアミノアルキレン基)などが挙げられる。
【0030】
Aとしては、好ましくは、単結合[前記式(3)において、nが0である場合]、炭素数1〜6(特に炭素数1〜3)のアルキレン基、炭素数1〜6(特に炭素数2〜3)のオキシアルキレン基[前記式(3)において、nが1、R5がC1-6アルキレン基(特にC2-3アルキレン基)である基]であり、より好ましくは、単結合又はオキシエチレン基である。
【0031】
式(1a)、(1b)で表される3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環含有化合物の代表的な例として、エポキシ化ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート[3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−9−イル(メタ)アクリレート;3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート]、エポキシ化ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート[2−(3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−9−イルオキシ)エチル(メタ)アクリレート;2−(3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルオキシ)エチル(メタ)アクリレート]、エポキシ化ジシクロペンテニルオキシブチル(メタ)アクリレート、エポキシ化ジシクロペンテニルオキシヘキシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。なかでも、エポキシ化ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート及びエポキシ化ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0032】
式(1a)で表される化合物と式(1b)で表される化合物は、それぞれ単独で用いることができる。また、それらは任意の割合で混合して用いることができる。両者を混合して用いる場合、その割合は、好ましくは、式(1a):式(1b)=5:95〜95:5、より好ましくは10:90〜90:10、さらに好ましくは20:80〜80:20である。
【0033】
本発明では、式(1a)、(1b)で表される3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環含有化合物と、それ以外の硬化性基含有重合性不飽和化合物(以下、「他の硬化性基含有重合性不飽和化合物」と称する場合がある)とを併用することもできる。他の硬化性基含有重合性不飽和化合物としては、例えば、オキシラニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−エチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−オキシラニルエチル(メタ)アクリレート、2−グリシジルオキシエチル(メタ)アクリレート、3−グリシジルオキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジルオキシフェニル(メタ)アクリレート等のオキシラン環(単環)を含む重合性不飽和化合物((メタ)アクリル酸エステル誘導体など);3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、3−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルオキシ)プロピル(メタ)アクリレートなどの3,4−エポキシシクロヘキサン環等のエポキシ基含有脂環式炭素環を含む重合性不飽和化合物((メタ)アクリル酸エステル誘導体など);5,6−エポキシ−2−ビシクロ[2.2.1]ヘプチル(メタ)アクリレート等の5,6−エポキシ−2−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン環を含む重合性不飽和化合物((メタ)アクリル酸エステル誘導体など)などが挙げられる。
【0034】
また、他の硬化性基含有重合性不飽和化合物として、例えば、オキセタニル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−オキセタニル(メタ)アクリレート、3−エチル−3−オキセタニル(メタ)アクリレート、(3−メチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、2−(3−メチル−3−オキセタニル)エチル(メタ)アクリレート、2−(3−エチル−3−オキセタニル)エチル(メタ)アクリレート、2−[(3−メチル−3−オキセタニル)メチルオキシ]エチル(メタ)アクリレート、2−[(3−エチル−3−オキセタニル)メチルオキシ]エチル(メタ)アクリレート、3−[(3−メチル−3−オキセタニル)メチルオキシ]プロピル(メタ)アクリレート、3−[(3−エチル−3−オキセタニル)メチルオキシ]プロピル(メタ)アクリレートなどのオキセタン環含有重合性不飽和化合物;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートなどのオキソラン環含有重合性不飽和化合物なども挙げられる。他の硬化性基含有重合性不飽和化合物として、オキシラン環、オキセタン環又はオキソラン環を含むビニルエーテル化合物、オキシラン環、オキセタン環又はオキソラン環を含むアリルエーテル化合物等を用いることもできる。
【0035】
硬化性基含有重合性不飽和化合物に対応するモノマー単位(B)の共重合体に占める割合は、全モノマー単位に対して5〜95重量%であり、好ましくは40〜90重量%であり、さらに好ましくは45〜85重量%である。この割合が5重量%を下回ると露光時等の架橋反応が充分に進まず、耐熱性及びエッチング耐性が劣ることになる。一方、前記割合が95重量%を超えるとアルカリ可溶性等の特性が不充分となり、良好なパターンを形成できなくなる。
【0036】
また、本発明では、前記硬化性基含有重合性不飽和化合物に対応するモノマー単位(B)に占める前記式(1a)、(1b)で表される3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環含有化合物に対応するモノマー単位の割合は合計で30重量%以上であり、好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上である。この割合が30重量%を下回ると、例えばエポキシ基含有脂環式炭素環を含む重合性不飽和化合物と併用する場合には保存安定性が悪くなり、オキシラン環(単環)を含む重合性不飽和化合物(グリシジル基含有単量体など)と併用する場合には耐熱性が不足するなど、感放射線性樹脂に要求される性能が不充分となる。
【0037】
本発明において、共重合体は、モノマー単位(A)及び(B)に加えて、さらに(C)(c1)アルキル基で置換されていてもよいスチレン、(c2)前記式(2)で表される不飽和カルボン酸エステル、及び(c3)N−置換マレイミドからなる群より選択された少なくとも1種の硬化性基非含有重合性不飽和化合物に対応するモノマー単位を含んでいてもよい。式(2)中、R1は水素原子又は炭素数1〜7のアルキル基を示し、R2は炭素数1〜12の第1級若しくは第2級アルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基、アリール基、アラルキル基、又は−(R3−O)m−R4基(式中、R3は炭素数1〜12の2価の炭化水素基、R4は水素原子又は炭化水素基、mは1以上の整数を示す)を示す。モノマー単位(C)は皮膜にレジスト等として必要な硬度を付与する機能を有する。また、これに対応する単量体は共重合反応を円滑化する働きを有することがある。また、その種類によっては、架橋反応等により皮膜の硬度を高める機能も有する。
【0038】
アルキル基で置換されていてもよいスチレン(c1)におけるアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ヘキシル基などの炭素数1〜7程度のアルキル基が挙げられる。これらのなかでも、メチル基又はエチル基等の炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。前記アルキル基はスチレンのビニル基及びベンゼン環の何れに結合していてもよい。アルキル基で置換されていてもよいスチレン(c1)の代表的な例として、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン(o−ビニルトルエン、m−ビニルトルエン、p−ビニルトルエン)などが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0039】
式(2)で表される不飽和カルボン酸エステル(c2)において、R1における炭素数1〜7のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ヘキシル基などが挙げられる。R1としては、水素原子又はメチル基が特に好ましい。
【0040】
2における炭素数1〜12の第1級若しくは第2級アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル基などが挙げられる。炭素数2〜12のアルケニル基としては、例えば、アリル、3−ブテニル、5−ヘキセニル基等の第1級又は第2級アルケニル基などが挙げられる。アリール基としてはフェニル基などが挙げられる。アラルキル基としてはベンジル基などが挙げられる。
【0041】
2における−(R3−O)m−R4基中、R3は炭素数1〜12の2価の炭化水素基、R4は水素原子又は炭化水素基、mは1以上の整数を示す。前記炭素数1〜12の2価の炭化水素基としては、前記R5における炭素数1〜12の2価の炭化水素基と同様のものが挙げられる。なかでも、特に、エチレン、プロピレン、テトラメチレン、ヘキサメチレン基等の炭素数2〜6のアルキレン基;シクロヘキシレン基等の3〜6員の脂環式炭化水素基などが好ましい。R4における炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル基等のアルキル基(例えばC1-6アルキル基等)などの脂肪族炭化水素基;シクロペンチル基やシクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ノルボルニル基(ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基)やトリシクロ[5.2.1.02,6]デシル基等の橋架け炭素環式基などの脂環式炭化水素基;これらが2以上結合した基などが挙げられる。mとしては、好ましくは1〜10の整数、さらに好ましくは1〜4の整数、特に好ましくは1である。
【0042】
式(2)で表される不飽和カルボン酸エステル(c2)の代表的な例として、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(トリシクロ[5.2.1.02,6]デシルオキシ)エチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。式(2)で表される不飽和カルボン酸エステル(c2)は単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0043】
N−置換マレイミド(c3)としては、下記式(4)
【化4】

[式中、R6は有機基を示す]
で表される化合物などを使用できる。
【0044】
前記有機基には、炭化水素基、複素環式基が含まれる。炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル基等のアルキル基(例えばC1-6アルキル基等)などの脂肪族炭化水素基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基、アダマンチル基、ノルボルニル基等の橋架け炭素環式基などの脂環式炭化水素基;フェニル基などのアリール基;ベンジル基などのアラルキル基;これらが2以上結合した基などが挙げられる。複素環式基としては、例えば、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選択された少なくとも1種のヘテロ原子を含有する5〜10員程度の非芳香族性又は芳香族性の複素環式基が挙げられる。
【0045】
N−置換マレイミド(c3)の代表的な例として、例えば、N−シクロペンチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−シクロオクチルマレイミドなどのN−シクロアルキルマレイミド;N−アダマンチルマレイミド、N−ノルボルニルマレイミドなどのN−橋架け炭素環式基置換マレイミド;N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミドなどのN−アルキルマレイミド;N−フェニルマレイミドなどのN−アリールマレイミド;N−ベンジルマレイミドなどのN−アラルキルマレイミドなどが挙げられる。これらのなかでも、N−シクロヘキシルマレイミド等のN−シクロアルキルマレイミドや、N−橋架け炭素環式基置換マレイミドなどが好ましい。N−置換マレイミド(c3)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0046】
本発明の共重合体は、前記モノマー単位(A)、モノマー単位(B)、モノマー単位(C)のほかに、それ以外のモノマー単位を少量含んでいてもよい。該モノマー単位として、例えば、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルニトリルなどに対応する単位が挙げられる。本発明の共重合体が、モノマー単位(A)とモノマー単位(B)とを含み、モノマー単位(C)を含まない場合には、モノマー単位(A)とモノマー単位(B)との総量は、全モノマー単位に対して、通常98重量%以上であり、好ましくは99重量%以上、さらに好ましくは実質的に100重量%である。また、本発明の共重合体が、モノマー単位(A)とモノマー単位(B)とモノマー単位(C)とを含む場合には、これら3種のモノマー単位の総量は、全モノマー単位に対して、例えば90重量%以上、好ましくは95重量%以上、さらに好ましくは98重量%以上であり、特に実質的に100重量%であるのが好ましい。
【0047】
本発明の共重合体は、前記アルカリ可溶性基を有する重合性不飽和化合物(a)及び硬化性基含有重合性不飽和化合物(b)を含む単量体混合物であって、前記硬化性基含有重合性不飽和化合物(b)の割合が単量体の総量に対して5〜95重量%であり、且つ前記硬化性基含有重合性不飽和化合物(b)のうち30重量%以上が前記式(1a)及び/又は(1b)で表される3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環含有化合物である単量体混合物を共重合に付すことにより製造することができる。
【0048】
共重合に用いる重合開始剤としては、通常のラジカル重合開始剤が使用でき、例えば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジエチル−2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジブチル−−2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等のアゾ化合物、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシピバレート、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン等の有機過酸化物、過酸化水素などが挙げられる。過酸化物をラジカル重合開始剤として使用する場合、還元剤を組み合わせてレドックス型の開始剤としてもよい。上記のなかでもアゾ化合物が好ましく、特に、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオネート)が好ましい。
【0049】
重合開始剤の使用量は、円滑な共重合を損なわない範囲で適宜選択できるが、通常、モノマー(全単量体成分)及び重合開始剤の総量に対して、1〜10重量%程度であり、好ましくは2〜8重量%程度である。
【0050】
共重合は、溶液重合、塊状重合、懸濁重合、塊状−懸濁重合、乳化重合など、スチレン系ポリマーやアクリル系ポリマーを製造する際に用いる慣用の方法により行うことができる。これらのなかでも溶液重合が好ましい。モノマー、重合開始剤は、それぞれ、反応系に一括供給してもよく、その一部又は全部を反応系に滴下してもよい。例えば、一定温度に保持したモノマーと重合溶媒の混合液中に、重合開始剤を重合溶媒に溶解した溶液を滴下して重合する方法や、予め単量体、重合開始剤を重合溶媒に溶解させた溶液を、一定温度に保持した重合溶媒中に滴下して重合する方法(滴下重合法)などを採用できる。
【0051】
重合溶媒は単量体組成等に応じて適宜選択できる。重合溶媒として、例えば、エーテル(ジエチルエーテル;エチレングリコールモノ又はジアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノ又はジアルキルエーテル、プロピレングリコールモノ又はジアルキルエーテル、プロピレングリコールモノ又はジアリールエーテル、ジプロピレングリコールモノ又はジアルキルエーテル、トリプロピレングリコールモノ又はジアルキルエーテル、1,3−プロパンジオールモノ又はジアルキルエーテル、1,3−ブタンジオールモノ又はジアルキルエーテル、1,4−ブタンジオールモノ又はジアルキルエーテル、グリセリンモノ,ジ又はトリアルキルエーテル等のグリコールエーテル類などの鎖状エーテル;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテルなど)、エステル(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、C5-6シクロアルカンジオールモノ又はジアセテート、C5-6シクロアルカンジメタノールモノ又はジアセテート等のカルボン酸エステル類;エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ又はジアセテート、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ又はジアセテート、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ又はジアセテート、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノ又はジアセテート、1,3−プロパンジオールモノアルキルエーテルアセテート、1,3−プロパンジオールモノ又はジアセテート、1,3−ブタンジオールモノアルキルエーテルアセテート、1,3−ブタンジオールモノ又はジアセテート、1,4−ブタンジオールモノアルキルエーテルアセテート、1,4−ブタンジオールモノ又はジアセテート、グリセリンモノ,ジ又はトリアセテート、グリセリンモノ又はジC1-4アルキルエーテルジ又はモノアセテート、トリプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノ又はジアセテート等のグリコールアセテート類又はグリコールエーテルアセテート類など)、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オンなど)、アミド(N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなど)、スルホキシド(ジメチルスルホキシドなど)、アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、C5-6シクロアルカンジオール、C5-6シクロアルカンジメタノールなど)、炭化水素(ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素など)、これらの混合溶媒などが挙げられる。重合温度は、例えば30〜150℃程度の範囲で適宜選択できる。
【0052】
上記方法により本発明における共重合体が生成する。共重合体の数平均分子量は、例えば3000〜50000、好ましくは3500〜40000、さらに好ましくは4000〜30000程度である。共重合体の分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は1〜3程度である。
【0053】
上記方法で得られた重合液は、必要に応じて固形分濃度を調整したり、溶媒置換を行ったり、濾過処理を施した後、これに、用途に応じた適宜な添加剤や溶剤を加えることにより硬化性樹脂組成物として利用することができる。また、重合により生成したポリマーを沈殿又は再沈殿等により精製し、この精製したポリマーを、前記適宜な添加剤とともにレジスト用溶剤等の溶剤に溶解することにより、硬化性樹脂組成物として利用することもできる。
【0054】
[硬化性樹脂組成物]
本発明の硬化性樹脂組成物の重要な特徴は、溶剤として、常圧(0.101MPa)における沸点が180℃以上である有機溶剤を含んでいる点にある。上記共重合体、すなわちアルカリ可溶性基を有する重合性不飽和化合物と特定量の3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環を含む重合性不飽和化合物とを含む単量体混合物を共重合させて得られる共重合体をレジスト用溶剤として一般に好ましいとされているプロピレングリコールモノメチルエーテル等に溶解させて基板又は基材上にスリットコート法又はインクジェット法により塗布し、硬化させて皮膜を形成する場合には、部分的に塗膜の厚さが異なったり、塗膜欠損が生じるという不具合が見られる。しかし、本発明のように、上記共重合体を前記特定の有機溶剤に溶解させて基板又は基材上にスリットコート法又はインクジェット法により塗布した場合には、このような不具合が生じない。この理由は必ずしも明らかではないが、常圧における沸点が180℃以上の有機溶剤は、乾燥速度が緩やかであることに加え、一般に粘度が高く、しかも分子量が比較的高く、酸素原子等のへテロ原子をある程度含有することが多いので、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン骨格を有するポリマーに対して良好な親和性を示し、系の安定性が向上するためか、組成物が狭い流路を通過するスリットコート法やインクジェット法により塗布する場合であっても、塗布時及び塗布後において組成物の不均一化、ポリマーの沈殿、分離等が生じにくくなるものと考えられる。
【0055】
常圧における沸点が180℃以上の有機溶剤としては、グリコール類(3価以上のアルコールも含む)、グリコールエーテル類、グリコールエーテルエステル類、グリコールエステル類、ケトン類などが挙げられ、より具体的には、例えば、C5-6シクロアルカンジオール、C5-6シクロアルカンジメタノール、C5-6シクロアルカンジオールモノ又はジアセテート、C5-6シクロアルカンジメタノールモノ又はジアセテート、プロピレングリコールモノ又はジアリールエーテル、ジプロピレングリコールモノC1-4アルキルエーテル、ジプロピレングリコールジC2-4アルキルエーテル、ジプロピレングリコールモノC1-4アルキルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノ又はジC1-4アルキルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、1,3−プロパンジオールジC3-4アルキルエーテル、1,3−プロパンジオールモノC2-4アルキルエーテルアセテート、1,3−プロパンジオールモノ又はジアセテート、1,3−ブタンジオールモノ又はジC3-4アルキルエーテル、1,3−ブタンジオールモノC2-4アルキルエーテルアセテート、1,3−ブタンジオールモノ又はジアセテート、1,4−ブタンジオールモノ又はジC3-4アルキルエーテル、1,4−ブタンジオールモノC2-4アルキルエーテルアセテート、1,4−ブタンジオールモノ又はジアセテート、グリセリンモノ,ジ又はトリC1-4アルキルエーテル、グリセリンモノ,ジ又はトリアセテート、グリセリンモノ又はジC1-4アルキルエーテルジ又はモノアセテート、3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン、ジエチレングリコールモノC2-4アルキルエーテル、ジエチレングリコールモノC2-4アルキルエーテルアセテートなどが挙げられる。これらの有機溶剤は単独で又は2以上を組み合わせて使用できる。
【0056】
前記C5-6シクロアルカンジオールとして、シクロペンタンジオール、シクロヘキサンジオールが挙げられる。C5-6シクロアルカンジメタノールとして、シクロペンタンジメタノール、シクロヘキサンジメタノールが挙げられる。C5-6シクロアルカンジオールモノ又はジアセテートとして、シクロペンタンジオールモノアセテート、シクロペンタンジオールジアセテート、シクロヘキサンジオールモノアセテート、シクロヘキサンジオールジアセテートが挙げられる。C5-6シクロアルカンジメタノールモノ又はジアセテートとして、シクロペンタンジメタノールモノアセテート、シクロペンタンジメタノールジアセテート、シクロヘキサンジメタノールモノアセテート、シクロヘキサンジメタノールジアセテートが挙げられる。
【0057】
プロピレングリコールモノ又はジアリールエーテルとして、例えば、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールジフェニルエーテルなどが挙げられる。
【0058】
ジプロピレングリコールモノC1-4アルキルエーテルとして、例えば、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルなどが挙げられる。ジプロピレングリコールジC2-4アルキルエーテルとして、例えば、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジプロピルエーテル、ジプロピレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルプロピルエーテル、ジプロピレングリコールエチルブチルエーテル、ジプロピレングリコールプロピルブチルエーテルなどが挙げられる。ジプロピレングリコールモノC1-4アルキルエーテルアセテートとして、例えば、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどが挙げられる。
【0059】
トリプロピレングリコールモノ又はジC1-4アルキルエーテルとして、例えば、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールジプロピルエーテル、トリプロピレングリコールジブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルプロピルエーテル、トリプロピレングリコールメチルブチルエーテル、トリプロピレングリコールエチルプロピルエーテル、トリプロピレングリコールエチルブチルエーテル、トリプロピレングリコールプロピルブチルエーテルなどが挙げられる。
【0060】
1,3−プロパンジオールジC3-4アルキルエーテルとして、例えば、1,3−プロパンジオールジプロピルエーテル、1,3−プロパンジオールジブチルエーテル、1,3−プロパンジオールプロピルブチルエーテルなどが挙げられる。1,3−プロパンジオールモノC2-4アルキルエーテルアセテートとして、例えば、1,3−プロパンジオールモノエチルエーテルアセテート、1,3−プロパンジオールモノプロピルエーテルアセテート、1,3−プロパンジオールモノブチルエーテルアセテートなどが挙げられる。
【0061】
1,3−ブタンジオールモノ又はジC3-4アルキルエーテルとして、例えば、1,3−ブタンジオールモノプロピルエーテル、1,3−ブタンジオールモノブチルエーテル、1,3−ブタンジオールジプロピルエーテル、1,3−ブタンジオールジブチルエーテル、1,3−ブタンジオールプロピルブチルエーテルなどが挙げられる。1,3−ブタンジオールモノC2-4アルキルエーテルアセテートとして、例えば、1,3−ブタンジオールモノエチルエーテルアセテート、1,3−ブタンジオールモノプロピルエーテルアセテート、1,3−ブタンジオールモノブチルエーテルアセテートなどが挙げられる。
【0062】
1,4−ブタンジオールモノ又はジC3-4アルキルエーテルとして、例えば、1,4−ブタンジオールモノプロピルエーテル、1,4−ブタンジオールモノブチルエーテル、1,4−ブタンジオールジプロピルエーテル、1,4−ブタンジオールジブチルエーテル、1,4−ブタンジオールプロピルブチルエーテルなどが挙げられる。1,4−ブタンジオールモノC2-4アルキルエーテルアセテートとして、例えば、1,4−ブタンジオールモノエチルエーテルアセテート、1,4−ブタンジオールモノプロピルエーテルアセテート、1,4−ブタンジオールモノブチルエーテルアセテートなどが挙げられる。
【0063】
グリセリンモノ,ジ又はトリC1-4アルキルエーテルとして、例えば、グリセリンモノメチルエーテル、グリセリンモノエチルエーテル、グリセリンモノプロピルエーテル、グリセリンモノブチルエーテルなどが挙げられる。グリセリンモノ又はジC1-4アルキルエーテルジ又はモノアセテートとして、例えば、グリセリンモノメチルエーテルモノアセテート、グリセリンモノエチルエーテルモノアセテート、グリセリンモノプロピルエーテルモノアセテート、グリセリンモノブチルエーテルモノアセテート、グリセリンモノメチルエーテルジアセテート、グリセリンモノエチルエーテルジアセテート、グリセリンモノプロピルエーテルジアセテート、グリセリンモノブチルエーテルジアセテートなどが挙げられる。
【0064】
ジエチレングリコールモノC2-4アルキルエーテルとして、例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどが挙げられる。ジエチレングリコールモノC2-4アルキルエーテルアセテートとして、例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどが挙げられる。
【0065】
これらの有機溶剤のなかでも、ジプロピレングリコールモノ又はジC2-4アルキルエーテル、ジプロピレングリコールモノC1-4アルキルエーテルアセテート、1,3−ブタンジオールモノ又はジC3-4アルキルエーテル、1,3−ブタンジオールモノC2-4アルキルエーテルアセテート、及び1,3−ブタンジオールモノ又はジアセテートから選択された少なくとも1種の有機溶剤が好ましく、特にジプロピレングリコールモノC2-4アルキルエーテル、ジプロピレングリコールモノC1-4アルキルエーテルアセテート、及び1,3−ブタンジオールジアセテートから選択された少なくとも1種の有機溶剤が好ましい。また、有機溶剤の常圧における沸点は180℃以上(例えば、180〜280℃)であるが、より好ましくは200℃以上(例えば、200〜280℃)、さらに好ましくは220℃以上(例えば、220〜280℃)である。
【0066】
前記有機溶剤は、必要に応じて他の有機溶剤と併用することもできる。他の有機溶剤としては、常圧における沸点が180℃未満の有機溶剤の中から選択して使用でき、例えば、グリコールエーテル類、グリコールエーテルエステル類、グリコールエステル類、カルボン酸アルキルエステル類、脂肪族ケトン類が挙げられる。代表的なものを以下に例示する。なお、化合物名の後の括弧内の数字は常圧での沸点を示す。
【0067】
グリコールエーテル類には、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル(120℃)、プロピレングリコールジメチルエーテル(96℃)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(162℃)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(175℃)などが含まれる。
【0068】
グリコールエーテルエステル類には、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(156℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(146℃)、1,3−ブタンジオールモノメチルエーテルアセテート(=3−メトキシブチルアセテート)(171℃)などが含まれる。
【0069】
カルボン酸アルキルエステル類には、例えば、酢酸イソアミル(142℃)、乳酸エチル(155℃)、3−メトキシプロピオン酸メチル(142℃)、3−エトキシプロピオン酸エチル(170℃)などが含まれる。
【0070】
脂肪族ケトンとしては、2−ブタノン、2−ペンタノン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノンなどが挙げられる。
【0071】
例えば、常圧における沸点が180℃以上の有機溶剤として、グリコールエーテル類(例えば、プロピレングリコールモノ又はジアリールエーテル、ジプロピレングリコールモノC1-4アルキルエーテル、ジプロピレングリコールジC2-4アルキルエーテル、トリプロピレングリコールモノ又はジC1-4アルキルエーテル、1,3−プロパンジオールジC3-4アルキルエーテル、1,3−ブタンジオールモノ又はジC3-4アルキルエーテル、1,4−ブタンジオールモノ又はジC3-4アルキルエーテル、グリセリンモノ,ジ又はトリC1-4アルキルエーテル、ジエチレングリコールモノC2-4アルキルエーテルなど)を用いる場合には、その他の有機溶剤として、グリコールエーテルエステル類(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなど)、グリコールエステル類、カルボン酸アルキルエステル類等と組み合わせて用いるのが好ましい。
【0072】
また、常圧における沸点が180℃以上の有機溶剤として、グリコールエーテルエステル類(例えば、C5-6シクロアルカンジメタノールモノ又はジアセテート、ジプロピレングリコールモノC1-4アルキルエーテルアセテート、1,3−プロパンジオールモノC2-4アルキルエーテルアセテート、1,3−ブタンジオールモノC2-4アルキルエーテルアセテート、1,4−ブタンジオールモノC2-4アルキルエーテルアセテート、グリセリンモノ又はジC1-4アルキルエーテルジ又はモノアセテート、ジエチレングリコールモノC2-4アルキルエーテルアセテートなど)や、グリコールエステル類(例えば、C5-6シクロアルカンジオールモノ又はジアセテート、C5-6シクロアルカンジメタノールモノ又はジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、1,3−プロパンジオールモノ又はジアセテート、1,3−ブタンジオールモノ又はジアセテート、1,4−ブタンジオールモノ又はジアセテート、グリセリンモノ,ジ又はトリアセテートなど)を用いる場合には、その他の有機溶剤として、グリコールエーテル類(ジプロピレングリコールジメチルエーテルなど)と組み合わせて用いるのが好ましい。
【0073】
常圧における沸点が180℃以上の有機溶剤は、重合溶媒として用い、そのまま硬化性樹脂組成物中の溶剤として利用してもよく、硬化性樹脂組成物調製時にポリマーを溶解させるために用いてもよい。また、その他の有機溶剤を併用する場合、該その他の有機溶剤は、重合溶媒として用い、そのまま硬化性樹脂組成物中の溶剤として利用してもよく、また硬化性樹脂組成物調製時にポリマーを溶解させるために用いてもよいが、前者の場合が多い。
【0074】
本発明において、常圧における沸点が180℃以上である有機溶剤の総量は、硬化性樹脂組成物中の有機溶剤全体に対して、好ましくは10重量%以上、より好ましくは15重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上(特に80重量%以上)である。本発明の硬化性樹脂組成物中の有機溶剤は、実質的に、常圧における沸点が180℃以上である有機溶剤のみにより構成されていてもよい。硬化性樹脂組成物中の有機溶剤の総量は、硬化性樹脂組成物全体に対して、通常10〜99重量%、好ましくは50〜90重量%程度である。
【0075】
硬化性樹脂組成物には、用途に応じて適宜な添加剤を添加してもよい。このような添加剤として、光酸発生剤、架橋剤、樹脂、着色剤、重合開始剤(光カチオン重合開始剤、熱カチオン重合開始剤等)、酸化防止剤、溶解抑止剤、増感剤、紫外線吸収剤、光安定剤、接着性改良剤などが挙げられるが、これらに限定されない。硬化性樹脂組成物を感放射線性樹脂組成物或いは感光性樹脂組成物として利用する場合には、キノンジアジド化合物を添加することが多い。キノンジアジド化合物としては、感放射線性樹脂組成物や感光性樹脂組成物に通常使われる化合物を使用できる。キノンジアジド化合物の量は、硬化性樹脂組成物の固形分に対して、例えば2〜100重量%、好ましくは5〜40重量%である。
【0076】
本発明の硬化性樹脂組成物は、スプレー法、ロールコート法、スピンコート法等により塗膜を形成する場合にも使用できるが、特に狭い流路を通過するスリットコート法やインクジェット法により塗膜を形成する場合に有用である。本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化により硬度、透明性、耐熱性、耐熱変色性等の特性に優れる皮膜を与えるので、液晶表示素子、集積回路素子、固体撮像素子等の保護膜や層間絶縁膜等を形成するための硬化性樹脂組成物として好適に使用できる。
【0077】
[硬化塗膜の形成方法]
本発明の硬化塗膜の形成方法では、上記本発明の硬化性樹脂組成物を基板又は基材上にスリットコート法又はインクジェット法により塗工して塗膜を形成した後、塗膜を硬化させる。基板又は基材としては、ガラス、セラミック、シリコンウエハ、金属、プラスチックなどが挙げられる。スリットコート法、インクジェット法による塗布は公知の方法により行うことができる。硬化性樹脂組成物を感放射線性樹脂組成物或いは感光性樹脂組成物として利用する場合には、硬化性樹脂組成物を基板又は基材上に塗布した後、所定のマスクを介して塗膜に放射線(光線)を露光し、次いで現像することにより所望のパターンが形成される。露光には、種々の波長の光線、例えば、紫外線、X線などが使用でき、半導体レジスト用などでは、g線、i線、エキシマレーザーなどが使用される。現像液としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液などのアルカリ水溶液を使用できる。
【0078】
塗膜の硬化は、熱や光により行われる。硬化後の塗膜(保護膜、層間絶縁膜、文字、模様等)の厚みは、用途によって適宜選択できるが、一般には0.1〜20μm、好ましくは0.3〜10μm程度である。
【実施例】
【0079】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、化合物名の後の括弧内の数字は常圧での沸点を示す。分散度は重量平均分子量Mw/数平均分子量Mnの値である。
【0080】
合成例1
還流冷却器、滴下ロート及び撹拌機を備えた1Lのフラスコ内に窒素を適量流して窒素雰囲気とし、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(175℃)275重量部を入れ、撹拌しながら70℃まで加熱した。次いで、該フラスコ内に、メタクリル酸(MAA)55重量部、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−9−イルアクリレートと3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルアクリレートの混合物[50:50(モル比)](E−DCPA)180重量部、及びN−シクロヘキシルマレイミド(CHMI)70重量部をジプロピレングリコールジメチルエーテル170重量部に溶解した溶液を滴下ポンプを用いて約4時間かけて滴下した。一方、重合開始剤2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)30重量部をジプロピレングリコールジメチルエーテル225重量部に溶解した溶液を別の滴下ポンプを用いて約4時間かけて滴下した。重合開始剤の滴下が終了した後、約4時間同温度に保持し、その後室温まで冷却して、固形分30.3重量%、酸価35.7mg−KOH/gの共重合体溶液を得た。生成した共重合体の酸価は118mg−KOH/g、重量平均分子量Mwは9000、分散度は1.80であった。
【0081】
合成例2
還流冷却器、滴下ロート及び撹拌機を備えた1Lのフラスコ内に窒素を適量流して窒素雰囲気とし、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(175℃)345重量部を入れ、撹拌しながら70℃まで加熱した。次いで、該フラスコ内に、メタクリル酸(MAA)76重量部、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−9−イルアクリレートと3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルアクリレートの混合物[50:50(モル比)](E−DCPA)303重量部をジプロピレングリコールジメチルエーテル220重量部に溶解した溶液を滴下ポンプを用いて約4時間かけて滴下した。一方、重合開始剤2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)70重量部をジプロピレングリコールジメチルエーテル293重量部に溶解した溶液を別の滴下ポンプを用いて約4時間かけて滴下した。重合開始剤の滴下が終了した後、約4時間同温度に保持し、その後室温まで冷却して、固形分29.0重量%、酸価37.9mg−KOH/gの共重合体溶液を得た。生成した共重合体の酸価は131mg−KOH/g、重量平均分子量Mwは10000、分散度は1.67であった。
【0082】
合成例3
還流冷却器、滴下ロート及び撹拌機を備えた1Lのフラスコ内に窒素を適量流して窒素雰囲気とし、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(175℃)275重量部を入れ、撹拌しながら70℃まで加熱した。次いで、該フラスコ内に、メタクリル酸(MAA)55重量部、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−9−イルアクリレートと3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルアクリレートの混合物[50:50(モル比)](E−DCPA)180重量部、及びスチレン70重量部をジプロピレングリコールジメチルエーテル170重量部に溶解した溶液を滴下ポンプを用いて約4時間かけて滴下した。一方、重合開始剤2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)30重量部をジプロピレングリコールジメチルエーテル225重量部に溶解した溶液を別の滴下ポンプを用いて約4時間かけて滴下した。重合開始剤の滴下が終了した後、約4時間同温度に保持し、その後室温まで冷却して、固形分30.3重量%、酸価35.7mg−KOH/gの共重合体溶液を得た。生成した共重合体の酸価は118mg−KOH/g、重量平均分子量Mwは8500、分散度は1.64であった。
【0083】
合成例4
使用溶剤をジプロピレングリコールジメチルエーテルから1,3−ブタンジオールジアセテート(232℃)に変更した以外は、合成例1と同様の操作を行った。その結果、固形分30.3重量%、酸価35.7mg−KOH/gの共重合体溶液を得た。生成した共重合体の酸価は118mg−KOH/g、重量平均分子量Mwは10000、分散度は1.70であった。
【0084】
合成例5
使用溶剤をジプロピレングリコールジメチルエーテルからプロピレングリコールモノメチルエーテル(120℃)に変更した以外は、合成例1と同様の操作を行った。その結果、固形分30.3重量%、酸価35.7mg−KOH/gの共重合体溶液を得た。生成した共重合体の酸価は118mg−KOH/g、重量平均分子量Mwは7500、分散度は1.70であった。
【0085】
合成例6
使用溶剤をジプロピレングリコールジメチルエーテルからエチレングリコールモノエチルエーテル(135℃)に変更した以外は、合成例1と同様の操作を行った。その結果、固形分30.3重量%、酸価35.7mg−KOH/gの共重合体溶液を得た。生成した共重合体の酸価は118mg−KOH/g、重量平均分子量Mwは9000、分散度は1.80であった。
【0086】
実施例1(スリットコートによる塗布)
合成例1で得られた共重合体溶液100kgをジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(213℃)20kgで希釈した後、4,4′−[1−[4−(1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル)フェニル]エチリデン]ジフェノールの1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル(平均エステル化率66.7モル%)7.5kgを溶解し、孔径0.22μmのミリポアフィルターを用いてろ過して硬化性樹脂組成物を調製した。
ガラス基板上にスリットコートで上記硬化性樹脂組成物を塗布したのち、80℃で5分間プレベークして膜厚1.5μmの塗膜を形成した。
得られた塗膜に所定のパターンマスクを密着し、365nmでの光強度が10mJ/cm2である紫外線を30秒間照射した。次いでテトラメチルアンモニウムヒドロキシド0.12重量%水溶液で25℃で2分間現像した後、超純水で1分間リンスした。これらの操作により、不要部分を除去し、20μm×20μmのパターンを解像した。この解像パターンに同露光装置を用いて30秒間全面露光した後、クリーンオーブン中で200℃で1時間加熱することによって塗膜を硬化させ膜として必要な諸特性を持たせた。
【0087】
実施例2(インクジェットによる塗布)
実施例1と同様にして硬化性樹脂組成物を調製した。
塗膜の形成をスリットコートの代わりにインクジェットで行い、露光・現像工程なしで、インクジェット塗布によりパターン形成したこと以外は実施例1と同様にしてパターンの形成を行った後、実施例1と同様の操作により塗膜の硬化を行った。
【0088】
実施例3(スリットコートによる塗布)
合成例1で得られた共重合体溶液の代わりに合成例2で得られた共重合体溶液を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、硬化性樹脂組成物を調製した。
得られた硬化性樹脂組成物を用い、実施例1と同様にして塗膜及びパターンの形成、並びに塗膜の硬化を行った。
【0089】
実施例4(インクジェットによる塗布)
合成例1で得られた共重合体溶液の代わりに合成例2で得られた共重合体溶液を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、硬化性樹脂組成物を調製した。
得られた硬化性樹脂組成物を用い、実施例2と同様にしてパターンの形成、並びに塗膜の硬化を行った。
【0090】
実施例5(スリットコートによる塗布)
合成例1で得られた共重合体溶液の代わりに合成例3で得られた共重合体溶液を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、硬化性樹脂組成物を調製した。
得られた硬化性樹脂組成物を用い、実施例1と同様にして塗膜及びパターンの形成、並びに塗膜の硬化を行った。
【0091】
実施例6(インクジェットによる塗布)
合成例1で得られた共重合体溶液の代わりに合成例3で得られた共重合体溶液を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、硬化性樹脂組成物を調製した。
得られた硬化性樹脂組成物を用い、実施例2と同様にしてパターンの形成、並びに塗膜の硬化を行った。
【0092】
実施例7(スリットコートによる塗布)
合成例4で得られた共重合体溶液100kgを1,3−ブタンジオールジアセテート(232℃)20kgで希釈した後、4,4′−[1−[4−(1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル)フェニル]エチリデン]ジフェノールの1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル(平均エステル化率66.7モル%)7.5kgを溶解し、孔径0.22μmのミリポアフィルターを用いてろ過して硬化性樹脂組成物を調製した。
得られた硬化性樹脂組成物を用い、実施例1と同様にして塗膜及びパターンの形成、並びに塗膜の硬化を行った。
【0093】
実施例8(インクジェットによる塗布)
実施例7と同様にして硬化性樹脂組成物を調製した。
得られた硬化性樹脂組成物を用い、実施例2と同様にしてパターンの形成、並びに塗膜の硬化を行った。
【0094】
比較例1(スリットコートによる塗布)
合成例1で得られた共重合体溶液の代わりに合成例5で得られた共重合体溶液を用いるとともに、組成物の調製に用いる溶剤として、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(213℃)の代わりに酢酸ブチル(125℃)を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、硬化性樹脂組成物を調製した。
得られた硬化性樹脂組成物を用い、実施例1と同様にして塗膜及びパターンの形成、並びに塗膜の硬化を行った。
【0095】
比較例2(インクジェットによる塗布)
比較例1と同様にして硬化性樹脂組成物を調製した。
得られた硬化性樹脂組成物を用い、実施例2と同様にしてパターンの形成、並びに塗膜の硬化を行った。
【0096】
比較例3(スリットコートによる塗布)
合成例1で得られた共重合体溶液の代わりに合成例6で得られた共重合体溶液を用いるとともに、組成物の調製に用いる溶剤として、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(213℃)の代わりにプロピレングリコールモノメチルエーテル(120℃)を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、硬化性樹脂組成物を調製した。
得られた硬化性樹脂組成物を用い、実施例1と同様にして塗膜及びパターンの形成、並びに塗膜の硬化を行った。
【0097】
比較例4(インクジェットによる塗布)
比較例3と同様にして硬化性樹脂組成物を調製した。
得られた硬化性樹脂組成物を用い、実施例2と同様にしてパターンの形成、並びに塗膜の硬化を行った。
【0098】
評価試験
実施例及び比較例における塗工性、及び実施例及び比較例で得られた硬化塗膜等の物性を下記の方法により評価した。結果を表1に示す。
【0099】
塗工性
連続10時間以上塗布操作を繰り返し、塗膜の状態を目視観察し、塗膜の厚さが均一であり、塗膜欠損が見られない場合を○、部分的に塗膜の厚さが異なっていたり、塗膜欠損が見られる場合を×とした。
【0100】
透明性
硬化塗膜が付与された基板を分光光度計(150−20型ダブルビーム:日立製作所製)を用いて400〜800nmの透過率を測定した。このとき最低透過率が95%を超えた場合を○、90〜95%の場合を△、90%未満の場合を×とした。
【0101】
耐熱性
実施例及び比較例においてパターンを形成した後の基板を250℃のクリーンオーブン中で1時間加熱し、膜厚を測定した。パターン形成した基板の膜厚に対する残膜率を用いて、その残膜率が95%を超えた場合を○、90〜95%の場合を△、90%未満の場合を×とした。
【0102】
耐熱変色性
実施例及び比較例において塗膜を硬化させた後の基板を250℃のクリーンオーブン中で1時間加熱した後、前記透明性の評価と同様に分光光度計を用いて透過率を測定し、透過率の変化率を求めた。このときの変化率が5%未満である場合を○、5〜10%の場合を△、10%を超えた場合を×とした。
【0103】
硬度
実施例及び比較例において塗膜を硬化させた後の基板を用いて、JIS K−5400−1990の8.4.1鉛筆引っかき試験に準拠し、塗膜の擦傷により鉛筆硬度を測定し、表面硬度を測定した。
【0104】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ可溶性基を含むモノマー単位(A)及び硬化性基含有重合性不飽和化合物に対応するモノマー単位(B)を含む共重合体であって、前記モノマー単位(B)の割合が共重合体を構成する全モノマー単位に対して5〜95重量%であり、且つ前記モノマー単位(B)のうち30重量%以上が、下記式(1a)及び(1b)
【化1】

(式中、Raは、それぞれ、水素原子又はヒドロキシル基で置換されていてもよい炭素数1〜7のアルキル基を示し、Aは、それぞれ、単結合又はヘテロ原子を含んでいてもよい2価の炭化水素基を示す)
で表される3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環含有化合物から選択された少なくとも1種の化合物に対応するモノマー単位である共重合体と、常圧における沸点が180℃以上である有機溶剤を含む硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
共重合体が、モノマー単位(A)及び(B)に加えて、さらに(C)(c1)アルキル基で置換されていてもよいスチレン、(c2)下記式(2)
【化2】

[式中、R1は水素原子又は炭素数1〜7のアルキル基を示し、R2は炭素数1〜12の第1級若しくは第2級アルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基、アリール基、アラルキル基、又は−(R3−O)m−R4基(式中、R3は炭素数1〜12の2価の炭化水素基、R4は水素原子又は炭化水素基、mは1以上の整数を示す)を示す]
で表される不飽和カルボン酸エステル、及び(c3)N−置換マレイミドからなる群より選択された少なくとも1種の硬化性基非含有重合性不飽和化合物に対応するモノマー単位を含む請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
式(1a)又は(1b)で表される3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環含有化合物が、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−9−イル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート、2−(3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−9−イルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、又は2−(3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルオキシ)エチル(メタ)アクリレートである請求項1又は2記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
常圧における沸点が180℃以上である有機溶剤が、C5-6シクロアルカンジオール、C5-6シクロアルカンジメタノール、C5-6シクロアルカンジオールモノ又はジアセテート、C5-6シクロアルカンジメタノールモノ又はジアセテート、プロピレングリコールモノ又はジアリールエーテル、ジプロピレングリコールモノC1-4アルキルエーテル、ジプロピレングリコールジC2-4アルキルエーテル、ジプロピレングリコールモノC1-4アルキルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノ又はジC1-4アルキルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、1,3−プロパンジオールジC3-4アルキルエーテル、1,3−プロパンジオールモノC2-4アルキルエーテルアセテート、1,3−プロパンジオールモノ又はジアセテート、1,3−ブタンジオールモノ又はジC3-4アルキルエーテル、1,3−ブタンジオールモノC2-4アルキルエーテルアセテート、1,3−ブタンジオールモノ又はジアセテート、1,4−ブタンジオールモノ又はジC3-4アルキルエーテル、1,4−ブタンジオールモノC2-4アルキルエーテルアセテート、1,4−ブタンジオールモノ又はジアセテート、グリセリンモノ,ジ又はトリC1-4アルキルエーテル、グリセリンモノ,ジ又はトリアセテート、グリセリンモノ又はジC1-4アルキルエーテルジ又はモノアセテート、3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン、ジエチレングリコールモノC2-4アルキルエーテル、及びジエチレングリコールモノC2-4アルキルエーテルアセテートから選択された少なくとも1種の有機溶剤である請求項1〜3の何れかの項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかの項に記載の硬化性樹脂組成物を基板又は基材上にスリットコート法又はインクジェット法により塗工して塗膜を形成した後、塗膜を硬化させる硬化塗膜の形成方法。

【公開番号】特開2008−31248(P2008−31248A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−204621(P2006−204621)
【出願日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(000002901)ダイセル化学工業株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】