説明

硬化性組成物を硬化して成る封止層を有する光学デバイス。

【課題】光学デバイスの長期信頼性を支える上で、その使用温度域にガラス転移に拠らない応力緩和機構を有し、かつ耐熱性、耐光性に優れる封止層を有する光学デバイスが求められている。
【解決手段】特定の粘弾性挙動を有する封止層が耐熱衝撃性において優れた特性を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。また、さらに本発明の封止剤において、特定のオルガノシロキサン組成物を硬化してなる硬化物が好ましいことを見出した。本発明は以下の構成を有する。
周波数10Hzで測定した損失正接の極大値が−40℃〜100℃の温度範囲内に1個以上あり、かつ極大値が0.01〜0.5の範囲内にある封止層を有する光学デバイス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光学デバイスの長期使用信頼性を実現する封止層、及びこれらを有する光学デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)、太陽電池、光ディスク用受光素子をはじめとする光学デバイスの多くは発光部位あるいは受光部位と、これらを保護する1層以上の封止層を有する。封止層は、光学素子を外部環境から保護して、光学デバイスの長期信頼性を確保するために、接着性、耐光性、耐熱性、耐熱衝撃性が厳しく要求される(たとえば特許文献1)。さらに白色LEDに代表されるようなデバイスの高出力化に伴い、封止材はこれまで以上の接着性、耐光性、耐熱性、耐熱衝撃性を兼ね備えることが求められている。
これに対し、現在光学デバイスの封止層として使用されている封止層は、たとえばLED等の光半導体用途では使用環境、目的等に応じて、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等が用いられてきている(たとえば特許文献2)。しかし、エポキシ樹脂を用いた場合、接着性は優れるものの、樹脂骨格中の有機成分の存在により耐光性及び耐熱性の特性が不十分であり、黄変する課題がある。また、シリコーン樹脂の場合には、樹脂骨格中に有機成分を含まないため耐光性及び耐熱性は優れるものの、軟質材料としたときの埃等の付着、硬質材料としたときの接着性及び耐熱衝撃性が不十分な場合がある等の課題がある。
一方、樹脂の特性を改良する方法として、熱可塑性樹脂に関して特定の温度領域のおける損失正接(tanδ)に注目した検討がなされている(例えば、特許文献3、非特許文献1)が、光学デバイス等に用いる硬化性組成物からなる封止材の特性改良については示唆されていない。
以上のことから、近年発展の目覚しい光学デバイスの長期信頼性を支える上で、耐熱性、耐光性、耐熱衝撃性に優れる封止材と、これを用いた光学デバイスの開発が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−359933号公報
【特許文献2】特開2008−179811号公報
【特許文献3】特開2001−234083号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構 成果報告書「平成19年度中間年報 新エネルギー技術研究開発 太陽光発電システム未来技術研究開発 費用効果に秀でた高耐久色素増感太陽電池の研究開発」、4頁目。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記現状に鑑みなされたもので、耐熱衝撃性に優れた封止層を有する光学デバイスに関する。本光学デバイスは、求められている長期信頼性を実現するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特定の粘弾性挙動を有する封止層が耐熱衝撃性において優れた特性を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
1) 硬化性組成物を硬化して成り、周波数10Hzで測定した損失正接の極大値が−40℃〜100℃の温度範囲内に少なくとも1つあり、かつ極大値が0.01〜0.5の範囲内にある封止層を有する光学デバイス。
【0008】
2) 下記式(1)で示される、前記封止層の貯蔵弾性率の温度依存性比が50以下であることを特徴とする1)に記載の光学デバイス。
貯蔵弾性率の温度依存性比=E‘(−20)/E’(100) (1)
(E‘(100)は100℃における貯蔵弾性率を、E’(−20)は−20℃における貯蔵弾性率を示す。)
【0009】
3) 前記封止材層である硬化物中のケイ素原子の含有率が10〜60重量%であることを特徴とする1)〜2)のいずれかに記載の光学デバイス。
【0010】
4) 前記封止層が、シリコーン系粒子(A)を含むことを特徴とする1)〜3)いずれかに記載の光学デバイス。
【0011】
5) 前記シリコーン系粒子(A)が、シリコーン系粒子(A−1)を、アルコキシシランを添加して縮合させて得られるシェル成分(A−2)で被覆したコア−アルコキシシラン縮合物シェル構造を有するシリコーン系粒子であることを特徴とする4)に記載の光学デバイス。
【0012】
6) 前記シリコーン系粒子(A)のシェル成分が、アルコキシシランを添加して縮合させて得られる第1シェル成分(A−2)、さらにその後アルコキシシランを添加して縮合させて得られる第2シェル成分(A−3)からなる、シリコーン系粒子コア−アルコキシシラン縮合物シェル構造を有するシリコーン系粒子であることを特徴とする5)に記載の光学デバイス。
【0013】
7) (A−3)成分であるアルコキシシラン縮合物からなる第2シェル層が、下記(a)成分を必須成分とし、下記(b)成分、下記(c)成分および下記(d)成分の少なくとも1種を縮合してなることを特徴とする、6)に記載の光学デバイス。
(a)成分:一般式(2)
【0014】
【化1】

【0015】
(式中、R12はアルキル基を示し、R13、R14およびR15は、同一または異なる一価の有機基を示す。)で表される1官能性アルコキシシラン化合物および/またはその部分縮合物。
(b)成分:一般式(3)
【0016】
【化2】

【0017】
(式中、R22、R23は同一または異なる一価のアルキル基を示し、R24、R25は同一または異なる一価の有機基を示す。)で表される2官能性アルコキシシラン化合物および/またはその部分縮合物。
(c)成分:一般式(4)
【0018】
【化3】

【0019】
(式中、R32、R33、R34は、同一または異なる一価のアルキル基を示し、R35は一価の有機基を示す。)で表される3官能性アルコキシシラン化合物および/またはその部分縮合物。
(d)成分:一般式(5)
【0020】
【化4】

【0021】
(式中、R42、R43、R44およびR45は、同一または異なる一価のアルキル基を示す。)で表される4官能性アルコキシシラン化合物および/またはその部分縮合物。
【0022】
8) (A−2)成分であるアルコキシシラン縮合物からなる第1シェル層が、下記(b)成分、下記(c)成分および下記(d)成分の少なくとも1種を縮合してなることを特徴とする、6)または7)に記載の光学デバイス。
(b)成分:一般式(3)
【0023】
【化5】

【0024】
(式中、R22、R23は同一または異なる一価のアルキル基を示し、R24、R25は同一または異なる一価の有機基を示す。)で表される2官能性アルコキシシラン化合物および/またはその部分縮合物。
(c)成分:一般式(4)
【0025】
【化6】

【0026】
(式中、R32、R33、R34は、同一または異なる一価のアルキル基を示し、R35は一価の有機基を示す。)で表される3官能性アルコキシシラン化合物および/またはその部分縮合物。
(d)成分:一般式(5)
【0027】
【化7】

【0028】
(式中、R42、R43、R44およびR45は、同一または異なる一価のアルキル基を示す。)で表される4官能性アルコキシシラン化合物および/またはその部分縮合物。
【0029】
9) (A−1)成分であるシリコーン系粒子40〜98重量%に対して、(A−2)成分であるアルコキシシラン縮合物からなる第1シェル層が1〜40重量%、(A−3)成分であるアルコキシシラン縮合物からなる第2シェル層が1〜30重量%被覆した重合体(ただし、(A−1)成分と(A−2)成分と(A−3)成分は、合わせて100重量%)であることを特徴とする、6)〜8)いずれかに記載の光学デバイス。
【0030】
10) 前記封止層が、シリコーン樹脂を含有することを特徴とする1)〜9)いずれかに記載の光学デバイス。
【0031】
11) 前記封止層が、アルケニル基を少なくとも2つ有するオルガノポリシロキサン(B)を含有する硬化性組成物を硬化して得られることを特徴とする1)〜10)いずれかに記載の光学デバイス。
【0032】
12) 前記封止層が、ヒドロシリル基を少なくとも2つ有するオルガノポリシロキサン(C)を含有する硬化性組成物を硬化して得られることを特徴とする1)〜11)いずれか一項に記載の光学デバイス。
【0033】
13) (B)成分が、一般式(6)
SiO4/2(6)
で表される4官能性の構造単位からなる三次元網目構造を主構造とし、その主構造の末端を、一般式(7)、(8)
a1a2SiO1/2(7)
a2SiO1/2(8)
(式中、Ra1はアルケニル基、Ra2はアルケニル基以外の置換または非置換の一価の炭化水素基であり、各々同一であっても異なっていても良い。)
で表される1官能性の構造単位で封鎖した構造を有し、なおかつ、その主構造の末端が一般式(7)で少なくとも2つ封鎖された構造を有する一分子中にアルケニル基を少なくとも2つ有するオルガノポリシロキサン組成物、であることを特徴とする11)に記載の光学デバイス。
【0034】
14) (C)成分が、一般式(6)
SiO4/2(6)
で表される4官能性の構造単位からなる三次元網目構造を主構造とし、その主構造の末端を、一般式(9)、(10)
b1b2SiO1/2(9)
b2SiO1/2(10)
(式中、Rb1は水素原子、Rb2はアルケニル基以外の置換若しくは非置換の一価の炭化水素基であり、各々同一であっても異なっていても良い。)
で表される1官能性の構造単位で封鎖した構造を有し、なおかつ、その主構造の末端が一般式(9)で少なくとも2つ封鎖された構造を有する一分子中にヒドロシリル基を少なくとも2つ有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであることを特徴とする12)に記載の光学デバイス。
【発明の効果】
【0035】
特定の温度域において、少なくとも1つのtanδの極大値を有し、極大値が特定の値の範囲にある封止層を有する本発明は、優れた耐熱衝撃性を有する光学デバイスを与える。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0037】
<封止層>
本発明における封止層は特定の粘弾性挙動を示すものであり、硬化性組成物を硬化させて得られる封止材であることが好ましい。
また、本発明における封止層は、アリール基含有量が3モル%以下であることが好ましく、さらには1モル%以下、特には0モル%であることが好ましい。アリール基の含有量が少ない程、耐熱耐光性に優れ、着色等が起こり難い。
【0038】
<封止層の動的力学特性>
一般に角周波数ωの正弦波形震動応力(歪)を受けた場合、歪と応力における複素弾性率はE*=E’+iE”で示される。ここでE’は貯蔵弾性率、E”は損失弾性率である。応力と歪の位相差がδである場合、損失正接(tanδ)は、E”/E’で表される。
【0039】
本発明における封止層は、光学デバイスの一般的な使用環境温度域である−40℃〜100℃において、少なくとも1つのtanδの極大値を有し、且つ極大値が0.01〜0.5の範囲内である封止層である。tanδの極大値は、0.01〜0.4の範囲内にあることがより好ましく、0.01〜0.03の範囲内にあることがさらに好ましい。0.01未満である場合は、封止層の応力の散逸能が充分でない場合があり、また0.5を超える場合は弾性率等諸特性の温度依存性が大きくなる場合がある。
【0040】
本発明における封止層は、貯蔵弾性率の温度依存性比が50以下であることが好ましく、40以下であることがより好ましく、30以下であることがさらに好ましい。
【0041】
本発明における貯蔵弾性率の温度依存性比とは以下の式(1)によって算出されるものである。
【0042】
貯蔵弾性率の温度依存性比=E’(−20)/E’(100) (1)
ここで、E’(100)、E’(−20)はそれぞれ100℃、−20℃における貯蔵弾性率である。
【0043】
貯蔵弾性率の温度依存性が前記の範囲内において、光学デバイスの製作過程で起こり得る封止層の軟化、また封止層の耐熱性の低下、等の現象がなく良好な光学デバイスが得られる。また、該温度依存性が前記範囲内である場合、球状シリカ等の添加物を分散させた封止層を用いる光学デバイスにおいて、添加物の分散状態が良好であり、所望の光学特性を維持することができる。
【0044】
本発明に用いられる封止層は、使用温度領域にガラス転移に拠らない応力緩和機構を有する耐熱性に優れた封止材であり、これを用いた耐熱性にすぐれた光学デバイスを実現する。
【0045】
<(A)シリコーン系粒子>
本発明における特定の粘弾性挙動を有する封止層は、シリコーン系粒子(A)を含有することが好ましい。シリコーン系粒子(A)は、本発明の封止層の粘弾性挙動の効果的発現に寄与し、封止層の応力緩和能を高める点で好ましい。
前記シリコーン系粒子(A)は、特にその構造を限定されないが、シロキサン結合を有する粒子であればよい。またその形状に関しても特に限定されないが、たとえば球形の場合はその体積平均粒径が、0.005μm〜3.0μmが好ましく、0.01μm〜2.0μmがより好ましく、0.05μm〜0.5μmが特に好ましい。体積平均粒径が小さい場合、シリコーン系粒子(A)を配合した組成物の粘度の増加が起きることがあり、また体積平均粒子径が大きい場合、硬化物の透明性が悪くなることがある。体積平均粒径の測定は、例えば、ナノトラック粒度分析計UPA150(日機装株式会社製)を用いて行うことができる。
【0046】
また、封止層中における(A)成分の分散性を制御するために、シリコーン粒子の表面あるいは内部に有機基を導入することも可能であり、導入に際してはたとえば化学結合の形成や、分子間力を利用した包接などの手段が挙げられる。また導入する有機基としては、たとえばビニル基、アクリル基、カルボキシル基、エステル基、エーテル基、チオール基、メルカプト基、シアノ基、アリール基などが挙げられる。
【0047】
(A)成分は、コアシェル構造を有することが好ましく、コアシェル構造におけるシェル部が2層以上から形成されることがより好ましい。なお、本発明におけるコアシェル構造とは、たとえばコア粒子の存在下、コアを形成するモノマー成分とは異なるモノマー成分を反応させることにより得ることができる。シェル成分を、コア粒子に吸収させながらコアシェル構造を形成させたり、コア部からシェル部への傾斜構造等を形成することも可能ではあるが、コア粒子の外側にシェル構造を形成したような構造を有する粒子が好ましい。
【0048】
シリコーン系粒子(A)は、シリコーン系粒子(A−1)を、アルコキシシランを添加して縮合させて得られるシェル成分(A−2)で被覆したコア−アルコキシシラン縮合物シェル構造を有するシリコーン系粒子であることが好ましい。シリコーン系粒子(A)のシェル成分が、アルコキシシランを添加して縮合させて得られる第1シェル成分(A−2)、さらにその後アルコキシシラン縮合物を添加して縮合させて得られる第2シェル成分(A−3)からなる、シリコーン系粒子コア−アルコキシシラン縮合物シェル構造を有するシリコーン系粒子であることが、さらに好ましい。
【0049】
(A−1)成分であるシリコーン系粒子と、(A−2)成分である第1シェル成分と、(A−3)成分である第2シェル成分のコアシェル構造を有することにより、(A)成分の表面のシラノール基を減少させることができる。これにより、例えばマトリクスとの親和性や相溶性を向上させることができ、本発明の封止層を得るための硬化性組成物中に配合した際の組成物の粘度が高くなりすぎたりすることを防ぐことができる。さらにこの組成物の経時変化、特に粘度上昇を防ぐことも可能である。
【0050】
(A)成分を配合した硬化性組成物を硬化させて得られる封止層は、たとえば光学デバイスの耐熱衝撃性を初めとする諸特性を向上させる点で好ましい。
【0051】
シリコーン系粒子(A)は、(A−1)成分であるシリコーン系粒子40〜98重量%に対して、(A−2)成分であるアルコキシシラン縮合物からなる第1シェル層が1〜40重量%、(A−3)成分であるアルコキシシラン縮合物からなる第2シェル層が1〜30重量%被覆した重合体(ただし、(A−1)成分と(A−2)成分と(A−3)成分を合わせて100重量%)であることが好ましい。
【0052】
さらには(A−1)成分であるシリコーン系粒子35〜96重量%に対して、(A−2)成分であるアルコキシシラン縮合物からなる第1シェル層が2〜37重量%、(A−3)成分であるアルコキシシラン縮合物からなる第2シェル層が2〜28重量%被覆した重合体であることがより好ましい。
【0053】
(A−1)成分が少ない場合、粒子の柔軟性が損なわれるため、(A)成分を配合した硬化性組成物から得られる硬化物を封止層とする光学デバイスの諸特性が低下する場合がある。(A−2)成分が少ない場合、(A)成分が本来の粒子の形状を維持できずにマトリクス中に(A)成分が流出し、硬化性組成物を硬化して得られる封止層の強度を低下させるなど物性の低下を招くことがある。
【0054】
また(A−3)成分が少ない場合、(A)成分表面のシラノール基が十分に減少させることができず、例えば(A)成分とマトリクスとの相溶性が不十分になったり、(A)成分を配合した組成物の粘度が高くなったり、経時的に増粘したり、(A)成分を配合した硬化性組成物から得られる封止層の強度が低下したりすることもある。
【0055】
(A−1)成分は、シリコーン系粒子であれば良いが、一般式(11)
SiO(4−m)/2(11)
(式中、Rは置換または非置換の一価の炭化水素基であり、各々同一であっても異なっていても良い。mは0〜3の整数を示す。)で表される構造単位を有するオルガノシロキサンから成ることが好ましい。
【0056】
また(A−1)成分は、上記一般式(11)でm=2の構造単位が、(A−1)成分の70モル%以上を占めていることが好ましく、さらに好ましくは80モル%以上を占めていることが好ましい。この成分が少ないと(A−1)成分の柔軟性が損なわれるため、(A)成分を配合した硬化性組成物を硬化して成る封止層を有する光学デバイスの諸特性が低下したりする場合がある。
【0057】
(A−1)成分はオルガノシロキサンの重合により得ることができるが、そのオルガノシロキサンは、直鎖状、分岐状および環状構造のいずれであってもよいが、入手の容易さやコストの観点から、環状構造を有するオルガノシロキサンを用いるのが好ましい。
【0058】
オルガノシロキサンの具体例としては、ヘキサメチルシクロトリシロキサン(D3)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)、トリメチルトリフェニルシクロトリシロキサンなどの環状化合物のほかに、直鎖状あるいは分岐状のオルガノシロキサンを挙げることができる。これらオルガノシロキサンは、単独または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0059】
このオルガノシロキサンの有する置換または非置換の一価の炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基、およびそれらをシアノ基などで置換した置換炭化水素基などをあげることができる。
【0060】
また(A−1)成分の分子の末端がシラノール基であることが好ましい。分子の末端にシラノール基を有していることで、後述の(A−2)成分との間で縮合反応により結合を形成するため、安定的なコア−シェル構造を有するシリコーン系粒子を得ることができる。
【0061】
(A−1)成分の製造方法には、特に限定はないが、通常の乳化重合、分散重合、溶液重合などでも得ることが可能であり、粒径の分布の制御が可能である点や、操作の簡便性等の点を考慮すると、乳化重合で得ることが好ましい。
【0062】
(A−1)成分は、より粒子径の小さい粒子を得ることができ、さらにラテックス状態での粒子径が狭くできる利点などからもシード重合を利用することが好ましい。シード重合に用いるシードポリマーは特に限定は無いが、アクリル酸ブチルゴム、ブタジエンゴム、ブタジエン−スチレンやブタジエン−アクリロニトリルゴム等のゴム成分、アクリル酸ブチル−スチレン共重合体やスチレン−アクリロニトリル共重合体等の重合体を用いることができる。
【0063】
(A−1)成分は、例えば、酸性もしくは塩基性条件下で行われる通常の乳化重合方法により製造することができるが、酸性条件下で反応させる方が、塩基性条件下で反応させるよりも、アルコキシシランの縮合反応が速く進行するため有利である。たとえば上記のオルガノシロキサンを含んだ各種原料を、乳化剤および水とともにホモミキサー、コロイドミル、ホモジナイザーなどを用いてエマルジョンとし、ついで、系のpHを酸成分で5以下、好ましくは4以下に調整し、加熱して重合させる。この際に用いる酸成分としては、安定して乳化重合を進行させることができ、またそれ自身も乳化能を併せ持つものが好ましく、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキル硫酸、アルキルスルホコハク酸などが例示されうる。
【0064】
なお、原料の全部を一括添加したのち、一定時間撹拌してからpHを任意の値に調整してもよく、また原料の一部を仕込んでpHを任意の値に調整したエマルジョンに残りの原料を逐次追加してもよい。逐次追加する場合、そのままの状態、または水および乳化剤と混合して乳化液とした状態のいずれで添加してもよいが、重合速度を速くすることができるので、乳化状態で追加する方法を用いることが好ましい。反応温度、時間は、反応制御の容易さから反応温度は0〜100℃が好ましく、50〜95℃がさらに好ましい。反応時間は、好ましくは1〜100時間であり、さらに好ましくは3〜50時間である。
【0065】
酸性条件下で重合を行う場合、通常、(A−1)成分の骨格を形成しているSi−O−Si結合は、切断と結合生成の平衡状態にある。この平衡は温度によって変化し、低温になるほど高分子量の(A−1)成分が生成しやすくなる。したがって、高分子量の(A−1)成分を得るためには、加熱により重合した後、重合温度以下に冷却して熟成を行うことが好ましい。
【0066】
具体的には、50℃以上で重合を行い重合転化率が75〜90%、さらに好ましくは82〜89%に達した時点で加熱を止め、重合温度より低い温度例えば、10〜50℃、好ましくは20〜45℃に冷却して5〜100時間程度熟成を行うことができる。なお、ここで言う重合転化率は原料中の低揮発分のオルガノシロキサンの(A−1)成分への転化率を意味する。
【0067】
乳化重合に用いる水の量についてはとくに制限は無く、各種原料を乳化分散させるために必要な量であれば良く、あえて例示するなら通常原料の合計量に対して1〜20倍の重量を用いれば良い。
【0068】
乳化重合に用いる乳化剤は、反応を行うpH領域において乳化能を失わないものであれば特に限定なく公知のものを使用することができる。かかる乳化剤の例としては、たとえばアルキルベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸ナトリウム、アルキルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。また、該乳化剤の使用量にはとくに限定がなく、目的とする(A−1)成分の粒子径などに応じて適宜調整すればよい。
【0069】
乳化剤の使用量は、充分な乳化能が得られ、かつ得られる(A−1)成分と、それから得られる、前記(A)成分であるシリコーン系粒子の物性に悪影響を与えないという点から、あえて例示するならラテックスに対して0.005〜20重量%用いるのが好ましく、特には0.05〜15重量%用いるのが好ましい。
【0070】
(A−1)成分のラテックス状態のシリコーン系粒子の体積平均粒径は、0.005μm〜3.0μmが好ましく、0.01μm〜2.0μmがより好ましく、0.05μm〜0.5μmが特に好ましい。体積平均粒径が小さいものは安定的に得ることは難しく、大きいと硬化物の透明性が悪くなる場合がある。なお、体積平均粒径の測定は、例えば、ナノトラック粒度分析計UPA150(日機装株式会社製)を用いて行うことができる。
【0071】
本発明に用いる(A−1)成分の合成の際に、必要によっては架橋剤、グラフト交叉剤と言われるものを使用することもできる。
【0072】
本発明の(A−1)成分の合成に用いることができる架橋剤としては、例えば、トリメトキシメチルシラン、フェニルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシランなどの縮合反応に関与できる官能基を3個含むいわゆる3官能性架橋剤、テトラエトキシシラン、1,3ビス〔2−(ジメトキシメチルシリル)エチル〕ベンゼン、1,4−ビス〔2−(ジメトキシメチルシリル)エチル〕ベンゼン、1,3−ビス〔1−(ジメトキシメチルシリル)エチル〕ベンゼン、1,4−ビス〔1−(ジメトキシメチルシリル)エチル〕ベンゼン、1−〔1−(ジメトキシメチルシリル)エチル〕−3−〔2−(ジメトキシメチルシリル)エチル〕ベンゼン、1−〔1−(ジメトキシメチルシリル)エチル〕−4−〔2−ジメトキシメチルシリル〕エチル〕ベンゼンなどの縮合反応に関与できる官能基を4個含むいわゆる4官能性架橋剤、さらにはこれら架橋剤のアルコキシ基を縮合させた部分縮合物を挙げることができる。
【0073】
これら架橋剤は、必要に応じ、1種若しくは2種以上組み合わせて用いることができる。この架橋剤の使用量は、(A−1)成分の内、0.1〜10重量%がこのましい。架橋剤の使用が多いと、(A−1)成分の柔軟性が損なわれるため、(A)成分をマトリクスに配合した際に、オルガノポリシロキサン組成物の低温での耐冷熱衝撃性が低下する場合がある。また架橋剤の使用量を調節することで、架橋度を変化させることにより(A−1)成分の弾性を任意に調節することができる。
【0074】
本発明に用いることができるグラフト交叉剤は、例えば、p−ビニルフェニルメチルジメトキシシラン、p−ビニルフェニルエチルジメトキシシラン、2−(p−ビニルフェニル)エチルメチルジメトキシシラン、3−(p−ビニルベンゾイロキシ)プロピルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、テトラビニルテトラメチルシクロシロキサン、アリルメチルジメトキシシラン、メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等があげられる。
【0075】
本発明に第1シェル成分(A−2)用いることにより、(A)成分の粒子としてのモルフォロジーを保持することが可能である。例えばオルガノポリシロキサン組成物から得られる封止層とする光学デバイスの、光度低下などを抑制することができる。
【0076】
本発明の(A−2)成分に用いるアルコキシシランは、以下の一般式(3)で表される(b)成分である2官能性アルコキシシラン化合物、一般式(4)で表される(c)成分である3官能性アルコキシシラン化合物、一般式(5)で表される4官能性アルコキシシラン化合物、およびそれらの部分縮合物(アルコキシ基を縮合させた部分縮合物)等を用いることが可能であり、これらを加水分解・縮合させることで(A−2)成分が得られる。これらアルコキシシランは1種類でも2種類以上でも用いることができる。
(b)成分:一般式(3)
【0077】
【化8】

【0078】
(式中、R22、R23は同一または異なる一価のアルキル基を示し、R24、R25は同一または異なる一価の有機基を示す。)で表される2官能性アルコキシシラン化合物および/またはその部分縮合物。
(c)成分:一般式(4)
【0079】
【化9】

【0080】
(式中、R32、R33、R34は、同一または異なる一価のアルキル基を示し、R35は一価の有機基を示す。)で表される3官能性アルコキシシラン化合物および/またはその部分縮合物。
(d)成分:一般式(5)
【0081】
【化10】

【0082】
(式中、R42、R43、R44およびR45は、同一または異なる一価のアルキル基を示す。)で表される4官能性アルコキシシラン化合物および/またはその部分縮合物。
【0083】
上記一般式(3)〜(5)において挙げられるアルコキシ基としては、たとえばメトキシ、エトキシ、ノルマルプロポキシ、イソプロポキシ、ノルマルブトキシ、イソブトキシ、第2級ブトキシ、第3級ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等の、炭素数1〜6のアルコキシ基である。
また、有機基としては、たとえばアルキル基、アルケニル基、アリル基、アラルキル基等の炭化水素基があげられる。
【0084】
アルコキシシラン化合物を用いて(A−2)成分を得る重合方法は、乳化重合を用いることができる。乳化重合の条件は一般的な条件が適用できるが、特に重合温度に注意を払うことが好ましい。重合の際の温度は、20〜85℃を適用することが好ましい。また、重合時間は1〜50時間が適用できる。
【0085】
また(A―2)成分は、酸性もしくは塩基性条件下で行われる通常の乳化重合方法により製造することができるが、酸性条件下で反応させる方が、塩基性条件下で反応させるよりも、アルコキシシランの縮合反応の際にゲル化を抑制しやすい等の理由により有利である。
【0086】
本発明に用いるアルコキシシラン縮合物(A−3)により、(A−1)成分と(A−2)成分の表面に多数存在するシラノール基を減らすことができる。これにより、粒子表面のシラノール基に由来する様々な課題、例えば(A)成分とマトリクスとの相溶性や親和性の低下する課題や、たとえばシリコーンゴムやシリコーン樹脂に配合した際に配合物の粘度が高くなりすぎてしまう課題や、配合物が経時変化して粘度が次第に上昇する課題を解決することができる。
【0087】
またこのようなシラノール基が多数含まれる粒子を配合した際に、例えば硬化物の吸湿の原因となり、冷熱試験の際に封止層にクラックが生じたりすることもあったが、このような点も解決できる。
【0088】
本発明の(A−3)成分はアルコキシシランの縮合物を用いる。アルコキシシランとしては、以下の一般式(2)で表される(a)成分である1官能性アルコキシシラン化合物およびそれらの部分縮合物(アルコキシ基を縮合させた部分縮合物)を必須成分とすることが好ましい。これらは1種類でも2種類以上でも用いることができる。
(a)成分:一般式(2)
【0089】
【化11】

【0090】
(一般式(2)において、R12はアルキル基を示し、R13、R14、R15は同一または異なる一価の有機基を示す。)
【0091】
上記一般式(3)において挙げられるアルコキシ基としては、たとえばメトキシ、エトキシ、ノルマルプロポキシ、イソプロポキシ、ノルマルブトキシ、イソブトキシ、第2級ブトキシ、第3級ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等の、炭素数1〜6のアルコキシ基である。
【0092】
また、有機基としては、たとえばアルキル基、アルケニル基、アリル基、アラルキル基等の炭化水素基があげられる。
さらに(A−3)成分は、前記(b)成分、前記(c)成分および前記(d)成分の少なくとも1種を縮合してなることが好ましい。(a)成分と、(b)成分、(c)成分および(d)成分の少なくとも1種とを組み合わせることで、(a)成分が(A)成分中に効率よく取り込む込まれることが可能となる。
【0093】
またここで(a)〜(d)のうちいずれかでアルケニル基を含む成分を用いれば、(A)成分にアルケニル基を導入できる。(A)成分へのアルケニル基の導入は、ヒドロシリル化反応により硬化する(B)成分および(C)成分からなるマトリクス成分に、(A)成分を配合する場合、(A)成分とマトリクス成分との間で結合を形成するため、本願発明における硬化性組成物を硬化して得られる封止層の強度を向上させることができるので好ましい。
【0094】
アルコキシシラン化合物を用いて(A−3)成分を得る重合方法は、乳化重合を用いることができる。乳化重合の条件は一般的な条件が適用できるが、特に重合温度に注意を払うことが好ましい。重合の際の温度は、20〜85℃を適用することが好ましい。また、重合時間は1〜50時間が適用できる。
【0095】
また(A―3)成分は、酸性もしくは塩基性条件下で行われる通常の乳化重合方法により製造することができるが、酸性条件下で反応させる方が、塩基性条件下で反応させるよりも、アルコキシシランの縮合反応の際にゲル化を抑制しやすい等の理由により有利である。
【0096】
乳化重合によって得られた(A)成分であるシリコーン系粒子のラテックスから粒子を分離する方法としては、特に限定は無いが、たとえばラテックスに塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウムなどの金属塩を添加することによりラテックスを凝固、分離、水洗、脱水し、乾燥する方法などがあげられる。また、スプレー乾燥法も使用できる。
【0097】
ラテックスから粒子を分離する方法は、(A)成分をマトリクス樹脂中に均一に分散させることが可能であり、さらに透明な硬化物を得ることができる点から、マスターバッチ法を用いるのが好ましい。
【0098】
マスターバッチ法としては、水系ラテックス溶液に水に可溶あるいは部分可溶な有機溶剤、例えばアルコール類(メタノール、エタノール、2−プロパノール等)やケトン類(メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、酢酸エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メチル)等などを加えることで、粒子どうしを緩凝集させた後、遠心沈降や濾過などの方法で緩凝集体を回収し、この緩凝集体が分散可能な溶剤に再分散させてからマトリクス樹脂と混合し、溶媒を留去させる方法が例示される。
【0099】
本発明の特徴を妨げない範囲で、得られた(A)成分を表面処理することができる。表面処理を行うことにより、(A)成分とマトリクス成分との親和性を向上させることができる。
【0100】
この際に用いる表面処理剤としては、例えば、シリル化剤を用いることができる。ここで用いるシリル化剤としては、一般的にアルキルシラン、例えば、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ヘキサメチル(ジ)シラザンが挙げられる。これらシリル化剤は、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0101】
また表面処理の際に、マトリクス成分と結合能を有する官能基、例えばアルケニル基、アルキニル基、エポキシ基、アミノ基、カルボキシル基等を(A)成分の表面に導入することで、(A)成分とマトリクス成分との間に結合が形成されて硬化性組成物全体の強度を向上させることができる。
【0102】
このマトリクス成分との結合能を有する官能基を重合体表面に導入する際のシリル化剤としては、一般的にアルケニルシラン、例えばクロロジメチルビニルシラン、ジクロロメチルビニルシラン、ジクロロジビニルシラン、トリクロロビニルシランが挙げられる。これらシリル化剤は、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0103】
<ケイ素含有率>
本発明における封止層は、ケイ素含有率が10〜60重量%であることが好ましく、20〜50重量%であることがより好ましく、30〜40重量%であることがさらに好ましい。前記ケイ素含有率は、封止層の単位重量当りのケイ素原子の含有量(重量%)であり、通常知られている方法により分析することができる。
【0104】
<硬化性組成物>
本発明において使用される硬化性樹脂としては、特にその構造は限定しないが、たとえばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂、熱硬化性ポリイミド、シリコーン樹脂が挙げられる。とくにシリコーン系粒子(A)を添加する場合には、シリコーン粒子(A)との相溶性の観点からエポキシ樹脂あるいはシリコーン樹脂であることが好ましく、付加型シリコーン樹脂であることがより好ましい。
【0105】
耐侯性、耐熱性が優れる封止層を得る点からは、付加型シリコーン樹脂であることが、さらに好ましい。
【0106】
本発明において硬化性樹脂としてオルガノシロキサン組成物を用いる場合、その構造は特に限定されないが、シロキサン結合を有し、ケイ素原子に有機基あるいは水素原子が結合したものであれば良く、たとえば、(A)シリコーン系粒子、(B)一分子中にアルケニル基を少なくとも2つ有するオルガノポリシロキサン組成物、(C)一分子中にヒドロシリル基を少なくとも2つ有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、(D)ヒドロシリル化触媒を含む硬化性組成物が挙げられる。
【0107】
(A)成分、(B)成分および(C)成分の配合量は、(A)成分と(B)成分と(C)成分の合計100重量部に対して、(A)成分50〜1重量部、(B)成分98〜1重量部、(C)成分98〜1重量部およびであることが好ましい。(A)成分と(B)成分と(C)成分の合計100重量部に対して、(A)成分40〜3重量部、(B)成分94〜3重量部、(C)成分94〜3重量部および(A)成分45〜3重量部であることがより好ましい。
【0108】
(A)成分の配合量が多いと、配合時に増粘したり、硬化物の透明性が低下したりする場合がある。また少ないと耐冷熱衝撃性が不十分になる場合がある(B)成分の配合量が多いと、十分な硬度の硬化物が得られなかったり、硬化物が着色したりする場合がある。また少ないと十分な硬度の硬化物が得られない場合がある。(C)成分の配合量が多いと、十分な硬度の硬化物が得られなかったり、硬化の際に発泡し気泡が硬化物中に残留したりする場合がある。また少ないと十分な硬度の硬化物が得られない場合がある。
【0109】
(D)成分の使用量については、(B)成分のアルケニル基1モルに対し、白金原子として10−1〜10−10 モルの範囲で用いるのが好ましく、10−4〜10−8 モルの範囲で用いるのがより好ましい。白金触媒が多すぎると短波長の光を吸収するため、得られた硬化物の耐光性が低下するおそれがあり、また少なすぎるとマトリクスが硬化しない場合がある。
【0110】
オルガノポリシロキサン組成物の粘度は、配合直後の粘度から次第に増加する場合があるが、この増加幅は、取り扱いのしやすさや品質安定の観点から、小さい方が好ましい。この粘度の増加幅の範囲は、25℃で24時間放置後の値が配合直後の値と比較して、20%以内が好ましく、10%以内がより好ましい。
【0111】
<(B)一分子中にアルケニル基を少なくとも2つ有するオルガノポリシロキサン組成物>
本発明における(B)成分は、後述の(C)成分である一分子中にヒドロシリル基を少なくとも2つ有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、ヒドロシリル化反応により硬化し、シリコーン系マトリクスを形成するものである。このため、1分子中に2個以上のアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンであれば、特に限定は無く、広く公知のものを使用することができる。またその構造も直鎖状、分岐鎖状、環状および三次元架橋構造を有するもののいずれであってもよい。
【0112】
直鎖状の(B)成分の例としては、ジメチルビニルシリル基で末端が封鎖されたポリシロキサン、ジメチルシロキサン単位とメチルビニルシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体などが例示されうる。
【0113】
また環状の(B)成分の例としては、1,3,5,7−テトラビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1−プロピル−3,5,7−トリビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5−ジビニル−3,7−ジヘキシル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンなどが例示されうる。
【0114】
また三次元架橋構造を有する(B)成分の例としては、特に限定はしないが、一般式(6)
SiO4/2(6)
で表される4官能性の構造単位からなる三次元網目構造を主構造とし、その主構造の末端を、一般式(7)、(8)
a1a2SiO1/2(7)
a2SiO1/2(8)
(式中、Ra1はアルケニル基、Ra2はアルケニル基以外の置換または非置換の一価の炭化水素基であり、各々同一であっても異なっていても良い。)
で表される1官能性の構造単位で封鎖した構造を有し、なおかつ、その主構造の末端が一般式(7)で少なくとも2つ封鎖された構造を有するものが例示される。
上記一般式(6)、一般式(7)および一般式(8)で表される(A)成分を配合したオルガノポリシロキサン組成物から得られる硬化物は、架橋密度が高いので、高硬度で高強度の硬化物が得られるので好ましい。
【0115】
前記アルケニル基は、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基が好ましく、入手性、また、耐熱性・耐光性の観点からビニル基がさらに好ましい。
【0116】
またアルケニル基以外の置換または非置換の一価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、またはこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基などで置換したクロロメチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基などから選択される、同一又は異種の、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜8の非置換又は置換の一価の炭化水素基が例示でき好ましい。中でも、耐熱性や耐光性の観点からメチル基がさらに好ましい。
【0117】
更に上記(B)成分は、取り扱いが容易であることから、室温において液状であることが好ましく、その室温における粘度が1000Pa・s以下であることが好ましく、100Pa・s以下であることがより好ましい。
【0118】
<(C)一分子中にヒドロシリル基を少なくとも2つ有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン>
本発明における(C)成分は、(B)成分とヒドロシリル化反応により硬化し、シリコーン系マトリクスを形成するものである。このため、1分子中に2個以上のヒドロシリル基を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであれば、特に限定は無く、広く公知のものを使用することができる。またその構造も直鎖状、分岐鎖状、環状および三次元架橋構造を有するもののいずれであってもよい。
【0119】
直鎖状の(C)成分の例としては、ジメチルハイドロジェンシリル基で末端が封鎖されたポリシロキサン、ジメチルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体などが例示されうる。
【0120】
また環状の(C)成分の例としては、1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1−プロピル−3,5,7−トリハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5−ジハイドロジェン−3,7−ジヘキシル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンなどが例示されうる。
【0121】
また三次元架橋構造を有する(C)成分の例としては、特に限定はしないが、一般式(6)
SiO4/2(6)
で表される4官能性の構造単位からなる三次元網目構造を主構造とし、その主構造の末端を、一般式(9)、(10)
b1b2SiO1/2(9)
b2SiO1/2(10)
(式中、Rb1は水素原子、Rb2はアルケニル基以外の置換若しくは非置換の一価の炭化水素基であり、各々同一であっても異なっていても良い。)
で表される1官能性の構造単位で封鎖した構造を有し、なおかつ、その主構造の末端が一般式(9)で少なくとも2つ封鎖された構造を有するものが好ましいものとして例示される。
【0122】
上記一般式(6)、一般式(9)および一般式(10)で表される(C)成分を配合したオルガノポリシロキサン組成物から得られる硬化物は、架橋密度が高いので、高硬度で高強度の硬化物が得られるので好ましい。
【0123】
またアルケニル基以外の置換または非置換の一価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、またはこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基などで置換したクロロメチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基などから選択される、同一又は異種の、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜8の非置換又は置換の一価の炭化水素基が例示でき好ましい。中でも、耐熱性や耐光性の観点からはメチル基がさらに好ましい。
【0124】
このオルガノハイドロジェンポリシロキサンの添加量は、前述の(B)成分のアルケニル基に対して(C)成分のヒドロシリル基が30〜500モル%、好ましくは40〜200モル%となる割合であることが望ましい。
【0125】
更に上記(C)成分は、取り扱いが容易であることから、室温において液状であることが好ましく、その室温における粘度が1000Pa・s以下であることが好ましく、100Pa・s以下であることがより好ましい。
【0126】
<(D)ヒドロシリル化触媒>
本発明における(D)成分であるヒドロシリル化触媒としては、例えば白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒を添加することができる。前記白金系触媒としては公知のものが使用でき、具体的には白金元素単体、白金化合物、白金複合体、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール化合物、アルデヒド化合物、エーテル化合物、各種オレフィン類やビニルシロキサンとのコンプレックスなどが例示される。白金系触媒の添加量は、(B)成分のアルケニル基1モルに対し、白金原子として10−1〜10−10モルの範囲で用いるのが好ましく、10−4〜10−8モルの範囲で用いるのがより好ましい。白金触媒が多すぎると短波長の光を吸収するため、得られた硬化物の耐光性が低下するおそれがあり、また少なすぎるとマトリクスが硬化しない場合がある。
【0127】
<接着付与剤>
本発明においては、硬化性組成物に対して必要に応じて接着付与剤を添加することができる。
本発明における接着性付与剤としては、シランカップリング剤、ほう素系カップリング剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等を好適に使用することが可能である。
【0128】
前記、シランカップリング剤の例としては、分子中にエポキシ基、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基、カルバメート基から選ばれる少なくとも1個の官能基と、ケイ素原子結合アルコキシ基を有するシランカップリング剤が好ましい。前記官能基については、中でも、硬化性及び接着性の点から、分子中にエポキシ基、メタクリル基、アクリル基が特に好ましい。
【0129】
具体的に例示すると、エポキシ官能基とケイ素原子結合アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物としては3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランが挙げられる。
【0130】
また、メタクリル基あるいはアクリル基とケイ素原子結合アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物としては3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシランが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0131】
ほう素系カップリング剤の例としては、ほう酸トリメチル、ほう酸トリエチル、ほう酸トリ−2−エチルヘキシル、ほう酸ノルマルトリオクタデシル、ほう酸トリノルマルオクチル、ほう酸トリフェニル、トリメチレンボレート、トリス(トリメチルシリル)ボレート、ほう酸トリノルマルブチル、ほう酸トリ−sec−ブチル、ほう酸トリ−tert−ブチル、ほう酸トリイソプロピル、ほう酸トリノルマルプロピル、ほう酸トリアリル、ほう素メトキシエトキサイドが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0132】
チタン系カップリング剤の例としては、テトラ(n−ブトキシ)チタン,テトラ(i−プロポキシ)チタン,テトラ(ステアロキシ)チタン、ジ−i−プロポキシ−ビス(アセチルアセトネート)チタン,i−プロポキシ(2−エチルヘキサンジオラート)チタン,ジ−i−プロポキシ−ジエチルアセトアセテートチタン,ヒドロキシ−ビス(ラクテト)チタン、i−プロピルトリイソステアロイルチタネート,i−プロピル−トリス(ジオクチルピロホスフェート)チタネート,テトラ−i−プロピル)−ビス(ジオクチルホスファイト)チタネート,テトラオクチル−ビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート,ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート,ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート,i−プロピルトリオクタノイルチタネート,i−プロピルジメタクリル−i−ステアロイルチタネートが例示されるが、これらに限定されるわけではない。
【0133】
また、アルミニウム系カップリング剤としては、アルミニウムブトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、アルミニウムエチルアセトアセトナート、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートが例示されるが、これらに限定されるわけではない。
【0134】
本発明における接着性付与剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。添加量は、(B)成分および(C)成分の合計重量の0.05〜30重量%であることが好ましい。また、接着性付与剤の種類あるいは添加量によっては、マトリクス樹脂のヒドロシリル化反応を阻害するものがあるため、ヒドロシリル化反応に対する影響を考慮しなければならない。
【0135】
本発明に用いる硬化性組成物の保存安定性を改良する目的、あるいは硬化過程でのヒドロシリル化反応の反応性を調整する目的で、硬化遅延剤を使用することができる。硬化遅延剤としては公知のものが使用でき、具体的には脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機イオウ化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等が挙げられる。これらを単独使用、または2種以上併用してもかまわない。
【0136】
前記の脂肪族不飽和結合を含有する化合物としては、2−フェニル−3−ブチン−2−オール、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3−メチル−1−ヘキシン−3−オール、3−エチル−1−ペンチン−3−オール、2−メチル−3−ブチン−2−オール、3−メチル−1−ペンチン−3−オール、エン−イン化合物類、無水マレイン酸、マレイン酸ジメチル等のマレイン酸エステル類等が例示されうる。
【0137】
有機リン化合物としては、トリオルガノフォスフィン類、ジオルガノフォスフィン類、オルガノフォスフォン類、トリオルガノフォスファイト類等が例示されうる。有機イオウ化合物としては、オルガノメルカプタン類、ジオルガノスルフィド類、硫化水素、ベンゾチアゾール、チアゾール、ベンゾチアゾールジサルファイド等が例示されうる。
【0138】
窒素含有化合物としては、N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N−ジブチルエチレンジアミン、N,N−ジブチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N,N′,N′−テトラエチルエチレンジアミン、N,N−ジブチル−1,4−ブタンジアミン、2,2’−ビピリジン等が挙げられる。
【0139】
スズ系化合物としては、ハロゲン化第一スズ2水和物、カルボン酸第一スズ等が例示されうる。有機過酸化物としては、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、過安息香酸t−ブチル等が例示されうる。
【0140】
硬化遅延剤の添加量は、特に限定するものではないが、ヒドロシリル化触媒1モルに対して10−1〜10モルの範囲で用いるのが好ましく、1〜10モルの範囲で用いるのがより好ましい。また、これらの硬化遅延剤は単独で使用してもよく、2種類以上組み合わせて使用してもよい。
【0141】
本発明に用いるオルガノポリシロキサン組成物には、本発明の効果を妨げない範囲で、必要に応じ増量剤として粉砕石英、炭酸カルシウム、カーボンなどの充填剤を添加してもよい。
【0142】
また、本発明に用いるオルガノポリシロキサン組成物には、本発明の効果を妨げない範囲で、必要に応じて着色剤、耐熱性向上剤などの各種添加剤や反応制御剤、離型剤あるいは充填剤用分散剤などを任意で添加することができる。
【0143】
この充填剤用分散剤としては、例えば、ジフェニルシランジオール、各種アルコキシシラン、カーボンファンクショナルシラン、シラノール基含有低分子量シロキサンなどが挙げられる。
【0144】
また、本発明記載のオルガノポリシロキサン組成物を難燃性、耐火性にするためには二酸化チタン、炭酸マンガン、Fe、フェライト、マイカ、ガラス繊維、ガラスフレークなどの公知の添加剤を添加してもよい。なお、これら任意成分は、本発明の効果を損なわないように最小限の添加量に止めることが好ましい。
【0145】
本発明に用いるオルガノポリシロキサン組成物は、上記した成分を2本ロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどの混練機を用いたり、遊星式攪拌脱泡機を用いて均一に混合し、必要に応じ加熱処理を施したりすることにより得ることができる。
【0146】
本発明に用いるオルガノポリシロキサン組成物を硬化させる方法としては、特に限定されないが、各成分を単に混合するだけで反応させることもできるし、加熱して反応させることもできる。反応が速く、一般に耐熱性の高い材料が得られ易いという観点から、加熱して反応させる方法が好ましい。
【0147】
反応温度としては種々設定できるが、25℃〜300℃の温度範囲が好ましく、30℃〜280℃がより好ましく、35℃〜260℃がさらに好ましい。反応温度が25℃より低いと十分に反応させるための反応時間が長くなる傾向があり、反応温度が300℃より高いと製品の熱劣化が生じ易くなる傾向がある。
【0148】
反応は一定の温度で行ってもよいが、必要に応じて多段階あるいは連続的に温度を変化させてもよい。一定の温度で行うより、多段階的あるいは連続的に温度を上昇させながら反応させた方が、歪のない均一な硬化物が得られ易いという点で好ましい。
【0149】
反応時の圧力も必要に応じて種々設定でき、常圧、高圧又は減圧状態で反応させることもできる。
【0150】
本発明における光学デバイスとは、CD、DVDなどの光記録ディスク用受光素子、LED、固体撮像素子であるラインセンサーやエリアセンサー、太陽電池、携帯電話用光学系装置、デジタルカメラ用光学系装置、光学薄膜製品、レーザービームプリンター光学系装置、液晶表示装置、プラズマディスプレイ装置、光学フィルター、非線形光学材料を用いた光学系装置、プロジェクタ/リアプロTV用光学デバイス、空間光変調器、空間位相変調器、オプティカルアイソレーターなどが挙げられるがこれらの光学デバイスに限定されるものではない。
【実施例】
【0151】
以下の実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0152】
(動的粘弾性測定用硬化物作成)
封止層を形成させる硬化性樹脂組成物を型に充填し、対流式オーブンで80℃×2時間、100℃×1時間、150℃×5時間熱硬化させて、長さ35mm、幅5mm、厚さ2mmの資料を作成した。
【0153】
(動的粘弾性測定)
上記の通り作成した測定用硬化物の動的粘弾性を、UBM社製動的粘弾性測定装置ReogelE4000を用い、測定温度−20℃〜100℃、昇温速度4℃毎分、歪み4μメートル、周波数10Hz、チャック間25mm、引張モードで測定した。
【0154】
測定結果より、損失正接が極大値を示す温度と、−20℃、100℃における貯蔵弾性率を用い、以下の式にしたがって貯蔵弾性率の温度依存性を算出した。
貯蔵弾性率の温度依存性比=E‘(−20)/E’(100)(2)ここで、E‘(100)は100℃における貯蔵弾性率を、E’(−20)は−20℃における貯蔵弾性率を示す。
【0155】
(評価用硬化物の作成)
株式会社エノモト製LEDパッケージ(品名:TOP LED 1−IN−1)に、0.4mm×0.4mm×0.2mmの単結晶シリコンチップ1個を、株式会社ヘンケルジャパン製エポキシ系接着剤(品名:LOCTITE348)で貼り付け、150℃で30分オーブンに入れて固定した。ここに封止層を形成させる硬化性樹脂組成物を注入し、対流式オーブンで80℃×2時間、100℃×1時間、150℃×5時間熱硬化させて試料を作成した。
【0156】
(使用環境温度における長期信頼性評価)
以下の2種の試験により長期信頼性評価を行った。
評価1…熱衝撃試験
上記の通り作成した評価用硬化物を、熱衝撃試験機(エスペック製 TSA−71H−W)によって、高温保持100℃、5分間、低温保持−40℃、5分間のサイクルを100サイクル行った後、試料を観察した。試験後、目視で変化が無ければ○、クラックが入ったり、パッケージとの間に剥離、あるいは着色が起きたりした場合は×とした。
評価2…耐熱試験
上記の通り作成した評価用硬化物を、対流式オーブン(エスペック社製 SPHH−101)中で200℃、100時間放置した後、試料を観察した。試験後、目視で変化が無ければ○、クラックが入ったりパッケージとの間に剥離、あるいは着色が起きたりした場合は×とした。
【0157】
(合成例1)
攪拌機、還流冷却機、窒素吹込口、モノマー追加口、温度計を備えた五つ口フラスコに純水400重量部および10重量%水溶液ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム12重量部(固形分)を混合したのち窒素雰囲気下で50℃に昇温した。その後アクリル酸ブチル(BA)10重量部、t−ドデシルメルカプタン3重量部、パラメンタンハイドロパーオキサイド0.01重量部(固形分)を加えた。
【0158】
30分後、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(SFS)0.18部、エチレンジアミン4酢酸2ナトリウム(EDTA)0.019重量部、硫酸第一鉄0.019重量部を添加し、1時間攪拌した。BA90重量部、t−ドデシルメルカプタン27重量部、および、パラメンタンハイドロパーオキサイド0.18重量部(固形分)の混合液を3時間かけて連続追加した。さらに1時間の後重合を行い、シードポリマー(体積平均粒径0.020μm)を含むラテックスを得た。
【0159】
次に、撹拌機、還流冷却器、窒素吹込口、モノマー追加口、温度計を備えた五つ口フラスコに、上述のシードポリマーを2.0重量部(固形分)、10重量%水溶液ドデシルベンゼンスルホン酸1.5重量部(固形分)および純水300重量部(シードポリマーを含むラテックスからの持ち込み分を含む)を仕込んだ後、10分間攪拌してから、窒素雰囲気下で系を80℃に昇温させた。これとは別に純水150重量部、5重量%水溶液ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5重量部(固形分)、オクタメチルシクロテトラシロキサン97重量部、トリメトキシメチルシラン3重量部からなる混合物をホモミキサーにて、8000rpmで5分間強制乳化した後に、この混合液を3.5時間かけて連続追加した。さらに2.5時間の後重合を行い、25℃に冷却して20時間放置して重合を終了し、(A−1)成分であるシリコーン系粒子(体積平均粒径0.110μm)を含むラテックスを得た。
【0160】
(合成例2)
攪拌機、還流冷却機、窒素吹込口、モノマー追加口、温度計を備えた五つ口フラスコに、合成例1で得られた(A−1)成分であるシリコーン系粒子90重量部(固形分)、およびドデシルベンゼンスルホン酸を10重量%水溶液で0.45重量部(固形分)を仕込み、窒素雰囲気下で40℃に昇温させた。
【0161】
これとは別に、純水40重量部とドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを15重量%水溶液で0.1重量部(固形分)、ジメトキシジメチルシラン7.30重量部((CHSiO2/2で表される構造単位の完全縮合物に換算して4.5重量部に相当)、エチルシリケート縮合物(多摩化学工業社製、商品名エチルシリケート40、SiO含有量:39.0〜42.0重量%)11.16重量部(SiOで表される構造単位の完全縮合物に換算して4.5重量部に相当)からなる混合物をホモミキサーにて5000rpmで5分間強制乳化した後に、20分間かけて滴下して加えた。この溶液を40℃に保ったまま5時間攪拌することで(A−2)成分を形成した。
【0162】
次にこの溶液に、純水27重量部とドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを15重量%水溶液で0.03重量部(固形分)、メトキシトリメチルシラン6.42重量部((CHSiO1/2で表される構造単位の完全縮合物に換算して5.0重量部に相当)、エトキシジメチルビニルシラン1.40重量部(Vi(CHSiO1/2で表される構造単位の完全縮合物に換算して1.0重量部に相当)、ジメトキシジメチルシラン0.81重量部((CHSiO2/2で表される構造単位の完全縮合物に換算して0.5重量部に相当)、エチルシリケート縮合物(多摩化学工業社製、商品名エチルシリケート40、SiO含有量:39.0〜42.0重量%)1.24重量部(SiOで表される構造単位の完全縮合物に換算して0.5重量部に相当)からなる混合物をホモミキサーにて5000rpmで5分間強制乳化した後に、10分間かけて滴下して加えた。
【0163】
この溶液を40℃に保ったまま4.5時間攪拌することで(A−3)成分を形成した。この系を25℃に冷却して20時間放置して重合を終了し、(A)成分であるシリコーン系粒子(体積平均粒径0.112μm)を含むラテックスを得た。
【0164】
(実施例1)
合成例2で得られた(A)成分を含むラテックス(樹脂固形分濃度16重量%)の樹脂固形分35重量部に対して酢酸エチル/メタノール=6/4 (vol/vol)から成る混合溶媒200重量部を加えて粒子を凝集させた後、遠心分離機で2000rpm、5分間遠心沈降させた。得られた沈殿を酢酸エチル/メタノール=3/7 (vol/vol)の混合溶媒200重量部に分散させて洗浄した後、遠心分離機で2000rpm、5分間遠心沈降させた。得られた沈殿を酢酸エチル/メタノール=4/6 (vol/vol)の混合溶媒200重量部に分散させて洗浄した後、遠心分離機で2000rpm、5分間遠心沈降させ溶媒を留去することをさらに3回繰り返した。その後、得られた沈殿35重量部に酢酸エチル350重量部を加えて、(A)成分の酢酸エチル溶液を得た。
【0165】
こうして得られた(A)成分であるシリコーン系粒子の樹脂固形分30重量部に対して、(B)成分である三次元構造を有するビニル基含有ポリシロキサン(クラリアント社製、商品名MQV−7、ビニル基含有量3.5モル/kg)を36.2重量部、(C)成分である三次元構造を有するヒドロシリル基含有ポリシロキサン(クラリアント社製、商品名MQH−5、ヒドロシリル基含有量2.3モル/kg)を57.9重量部と、同じく(C)成分である三次元構造を有するヒドロシリル基含有ポリシロキサン(クラリアント社製、商品名MQH−8、ヒドロシリル基含有量7.5モル/kg)を5.9重量部配合し、この混合物をロータリーエバポレーターで濃縮して酢酸エチルを留去した。
【0166】
その後、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン5.0重量部、ほう酸トリメチル1.0重量部、1−エチニル−1−シクロヘキサノールの1%キシレン溶液0.0011重量部、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンの1%キシレン溶液0.0010重量部、(D)成分である白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3重量%含有)0.0062重量部を加えた後、遊星式攪拌脱泡機にて攪拌・脱泡を行い、液状混合物を得た。
得られた液状混合物を各試験用硬化物作成方法に従い硬化させて、封止材及び当該封止材を有するLEDを作成し、各試験を行った。
【0167】
(実施例2)
上記の合成例2においてエトキシジメチルビニルシランを8.40重量部用いる点、及び実施例1における(A)成分を20重量部用いる点以外は実施例1と同様に各試験用硬化物作成方法に従い硬化させて、封止材及び当該封止材を有するLEDを作成し、各試験を行った。
【0168】
(実施例3)
上記の実施例2において、(A)成分を30重量部用いる点以外は実施例2と同様に各試験用硬化物作成方法に従い硬化させて、封止材及び当該封止材を有するLEDを作成し、各試験を行った。
【0169】
(実施例4)
上記の実施例2において、(A)成分を40重量部用いる点以外は実施例2と同様に各試験用硬化物作成方法に従い硬化させて、封止材及び当該封止材を有するLEDを作成し、各試験を行った。
【0170】
(比較例1)
(B)成分である三次元構造を有するビニル基含有ポリシロキサン(クラリアント社製、商品名MQV−7、ビニル基含有量3.5モル/kg)を36.2重量部、(C)成分である三次元構造を有するヒドロシリル基含有ポリシロキサン(クラリアント社製、商品名MQH−5、ヒドロシリル基含有量2.3モル/kg)を57.9重量部と、同じく(C)成分である三次元構造を有するヒドロシリル基含有ポリシロキサン(クラリアント社製、商品名MQH−8、ヒドロシリル基含有量7.5モル/kg)を5.9重量部配合した。
【0171】
その後、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン5.0重量部、ほう酸トリメチル1.0重量部、1−エチニル−1−シクロヘキサノールの1%キシレン溶液0.0011重量部、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンの1%キシレン溶液0.0010重量部、(D)成分である白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3重量%含有)0.0062重量部を加えた後、遊星式攪拌脱泡機にて攪拌・脱泡を行い、液状混合物を得た。
得られた液状混合物を各試験用硬化物作成に従い硬化させ、長期信頼性試験を行った。
【0172】
(比較例2)
攪拌機、還流冷却機、モノマー吹込口を備えた4つ口フラスコに1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(ゲレスト社製)20重量部、3−ビニル−7−オキサビシクロ[4.1.0]−ヘプタン(ユニオンカーバイド社製)18.5重量部、脱水トルエン(和光純薬工業社製)20mlを加え、0.013重量部のウィルキンソン触媒(アルドリッチ社製)を加えた後、60℃で4h攪拌した後、ビニルトリメトキシシラン(ゲレスト社製)22重量部を加え、90℃に昇温後、さらに6時間攪拌した。室温にて溶媒を減圧留去後、54.6重量部の1−[2−(3{7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプチル}エチル]−3−[2−トリメトキシシリルエチル]−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンを固形分で得た。
【0173】
さらに攪拌機、還流冷却機、モノマー吹込口を備えた4つ口フラスコに上記で得られた1−[2−(3{7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプチル}エチル]−3−[2−トリメトキシシリルエチル]−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン10重量部、脱イオン水を10重量部、イオン交換樹脂0.4重量部(製品名アンバーライトIRA−400、ロームアンドハス社製)、2−プロパノール5重量部を加え、150℃で12時間攪拌した。混合物を酢酸エチル(和光純薬工業製)を溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーによりイオン交換樹脂を除去後、溶媒を減圧留去することにより8重量部の1−[2−(3{7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプチル}エチル]−3−[2−トリメトキシシリルエチル]−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンのゾルゲル縮合物を得た。
【0174】
上記で得られたゾルゲル縮合物を、各試験用硬化物作成に従い硬化させ、長期信頼性試験を行った。
【0175】
各種試験結果を表1に示す。
【0176】
【表1】

【0177】
表1に示されるように、実施例1では損失正接が67℃に極大を有していながら、貯蔵弾性率の温度依存性が8.7と非常に小さく、耐熱衝撃試験および耐熱試験においても変化が無いことが分かる。一方で、比較例1において損失正接の極大は−40℃〜100℃の間に存在せず、熱衝撃試験においてクラックが発生し、また比較例2においては48℃に損失正接のピークが存在するものの、貯蔵弾性率の温度依存性が95と非常に大きく、耐熱性試験で着色が発生した。以上のことから、実施例1のLED封止材は接着性、耐光性、耐熱性、耐熱衝撃性に優れ、またこれを封止層とするLEDは長期信頼性に優れることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性組成物を硬化して成り、周波数10Hzで測定した損失正接の極大値が−40℃〜100℃の温度範囲内に少なくとも1つあり、かつ極大値が0.01〜0.5の範囲内にある封止層を有する光学デバイス。
【請求項2】
下記式(1)で示される、前記封止層の貯蔵弾性率の温度依存性比が50以下であることを特徴とする請求項1に記載の光学デバイス。
貯蔵弾性率の温度依存性比=E‘(−20)/E’(100) (1)
(E‘(100)は100℃における貯蔵弾性率を、E’(−20)は−20℃における貯蔵弾性率を示す。)
【請求項3】
前記封止材層である硬化物中のケイ素原子の含有率が10〜60重量%であることを特徴とする請求項1〜2のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項4】
前記封止層が、シリコーン系粒子(A)を含むことを特徴とする請求項1〜3いずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項5】
前記シリコーン系粒子(A)が、シリコーン系粒子(A−1)を、アルコキシシランを添加して縮合させて得られるシェル成分(A−2)で被覆したコア−アルコキシシラン縮合物シェル構造を有するシリコーン系粒子であることを特徴とする請求項4に記載の光学デバイス。
【請求項6】
前記シリコーン系粒子(A)のシェル成分が、アルコキシシランを添加して縮合させて得られる第1シェル成分(A−2)、さらにその後アルコキシシランを添加して縮合させて得られる第2シェル成分(A−3)からなる、シリコーン系粒子コア−アルコキシシラン縮合物シェル構造を有するシリコーン系粒子であることを特徴とする請求項5に記載の光学デバイス。
【請求項7】
(A−3)成分であるアルコキシシラン縮合物からなる第2シェル層が、下記(a)成分を必須成分とし、下記(b)成分、下記(c)成分および下記(d)成分の少なくとも1種を縮合してなることを特徴とする、請求項6に記載の光学デバイス。
(a)成分:一般式(2)
【化12】

(式中、R12はアルキル基を示し、R13、R14およびR15は、同一または異なる一価の有機基を示す。)で表される1官能性アルコキシシラン化合物および/またはその部分縮合物。
(b)成分:一般式(3)
【化13】

(式中、R22、R23は同一または異なる一価のアルキル基を示し、R24、R25は同一または異なる一価の有機基を示す。)で表される2官能性アルコキシシラン化合物および/またはその部分縮合物。
(c)成分:一般式(4)
【化14】

(式中、R32、R33、R34は、同一または異なる一価のアルキル基を示し、R35は一価の有機基を示す。)で表される3官能性アルコキシシラン化合物および/またはその部分縮合物。
(d)成分:一般式(5)
【化15】

(式中、R42、R43、R44およびR45は、同一または異なる一価のアルキル基を示す。)で表される4官能性アルコキシシラン化合物および/またはその部分縮合物。
【請求項8】
(A−2)成分であるアルコキシシラン縮合物からなる第1シェル層が、下記(b)成分、下記(c)成分および下記(d)成分の少なくとも1種を縮合してなることを特徴とする、請求項6または7に記載の光学デバイス。
(b)成分:一般式(3)
【化16】

(式中、R22、R23は同一または異なる一価のアルキル基を示し、R24、R25は同一または異なる一価の有機基を示す。)で表される2官能性アルコキシシラン化合物および/またはその部分縮合物。
(c)成分:一般式(4)
【化17】

(式中、R32、R33、R34は、同一または異なる一価のアルキル基を示し、R35は一価の有機基を示す。)で表される3官能性アルコキシシラン化合物および/またはその部分縮合物。
(d)成分:一般式(5)
【化18】

(式中、R42、R43、R44およびR45は、同一または異なる一価のアルキル基を示す。)で表される4官能性アルコキシシラン化合物および/またはその部分縮合物。
【請求項9】
(A−1)成分であるシリコーン系粒子40〜98重量%に対して、(A−2)成分であるアルコキシシラン縮合物からなる第1シェル層が1〜40重量%、(A−3)成分であるアルコキシシラン縮合物からなる第2シェル層が1〜30重量%被覆した重合体(ただし、(A−1)成分と(A−2)成分と(A−3)成分は、合わせて100重量%)であることを特徴とする、請求項6〜8いずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項10】
前記封止層が、シリコーン樹脂を含有することを特徴とする請求項1〜9いずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項11】
前記封止層が、アルケニル基を少なくとも2つ有するオルガノポリシロキサン(B)を含有する硬化性組成物を硬化して得られることを特徴とする請求項1〜10いずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項12】
前記封止層が、ヒドロシリル基を少なくとも2つ有するオルガノポリシロキサン(C)を含有する硬化性組成物を硬化して得られることを特徴とする請求項1〜11いずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項13】
(B)成分が、一般式(6)
SiO4/2(6)
で表される4官能性の構造単位からなる三次元網目構造を主構造とし、その主構造の末端を、一般式(7)、(8)
a1a2SiO1/2(7)
a2SiO1/2(8)
(式中、Ra1はアルケニル基、Ra2はアルケニル基以外の置換または非置換の一価の炭化水素基であり、各々同一であっても異なっていても良い。)
で表される1官能性の構造単位で封鎖した構造を有し、なおかつ、その主構造の末端が一般式(7)で少なくとも2つ封鎖された構造を有する一分子中にアルケニル基を少なくとも2つ有するオルガノポリシロキサン組成物、であることを特徴とする請求項11に記載の光学デバイス。
【請求項14】
(C)成分が、一般式(6)
SiO4/2(6)
で表される4官能性の構造単位からなる三次元網目構造を主構造とし、その主構造の末端を、一般式(9)、(10)
b1b2SiO1/2(9)
b2SiO1/2(10)
(式中、Rb1は水素原子、Rb2はアルケニル基以外の置換若しくは非置換の一価の炭化水素基であり、各々同一であっても異なっていても良い。)
で表される1官能性の構造単位で封鎖した構造を有し、なおかつ、その主構造の末端が一般式(9)で少なくとも2つ封鎖された構造を有する一分子中にヒドロシリル基を少なくとも2つ有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであることを特徴とする請求項12に記載の光学デバイス。


【公開番号】特開2011−114147(P2011−114147A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−268924(P2009−268924)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】