説明

移動体検出装置、移動体検出方法および移動体検出プログラム

【課題】移動体の画像上の大きさに関わらず(移動体が遠方に存在する場合でも)、移動体を正確に検出すること。
【解決手段】移動体検出装置100は、オプティカルフロー方式により画像内の移動体を検出するオプティカルフロー移動体検出部130と、フレーム間差分法により画像内の移動体を検出するフレーム間差分移動体検出部140とを有し、自車両が停止状態に応じて、オプティカルフロー移動体検出部130あるいはフレーム間差分移動体検出部140による検出結果を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、移動体に搭載されたカメラによって撮影された画像から移動体を検出する移動体検出装置およびその移動体検出方法、移動体検出プログラムに関し、特に、移動体の画像上の大きさに関わらず、移動体を正確に検出可能な移動体検出装置、移動体検出方法および移動体検出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の外に設けたカメラにより、運転手の死角となる画像を取得し、取得した画像を運転手に提示することにより交通事故を未然に防ぐ技術として、例えば、ブラインドコーナモニタ(以下、BCM;Blind Corner Monitor)等の製品が利用されている。
【0003】
図8は、BCMの撮影範囲を示す図である。図8に示すように、車両10が見通しの悪い交差点やT字路を走行する場合に、車両10前方に設置したBCM(例えば、プリズム型のBCM)から車両10左右方向の画像をモニタに表示することによって、運転手の死角から接近する車両20やその他歩行者などを確認することが可能となる。図9は、BCMによって撮影される画像の一例を示す図である。図9では左右方向の画像がまとめて1つのモニタに表示されている。
【0004】
そして、近年では、BCMを利用したモニタ表示に留まらず、例えば、BCMによって表示した画像内から移動体(自車両に接近する車両)を検出して警告することで、運転手に注意を喚起させる技術が実用化に向けて開発されている。なお、画像内から移動体を検出する手法として、一般的に、オプティカルフロー方式が用いられる。
【0005】
例えば、特許文献1では、オプティカルフロー方式を用いて移動体を検出する技術が公開されており、画像領域を、近距離物体が映ると思われる領域(近距離領域)、遠距離物体が映ると思われる領域(遠距離領域)に分割し、近距離領域に対してはブロックマッチング法、遠距離領域に対しては勾配法を用いて移動体の検出を行っている。
【0006】
【特許文献1】特開2007−172540号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般的に、画像上の移動体は、遠い位置ほど小さくなる。したがって、BCMなどの広角画像を、死角領域の画像を1つの画像内に納めるように画像を変換して出力する場合には、移動体が存在する画像上の領域が更に小さくなる。
【0008】
そして、上記した特許文献1の手法(勾配法)を用いて遠距離領域に存在する移動体を検出することも可能であるが、勾配法は計算が複雑で処理が遅く、画像上の細かい動きを検出するという特性から、ノイズを多く拾ってしまうため、遠くに存在する移動体を正確に検出することが出来ないという問題があった。
【0009】
また、オプティカルフローをベースとした考え方(勾配法)によれば、フレーム上の特徴点がどの方向に移動しているかを追跡する手法であるため、現フレームで初めて現れた移動体については検出することが出来ない。
【0010】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであり、移動体の画像上の大きさに関わらず(移動体が遠方に存在する場合でも)、移動体を正確に検出することが出来る移動体検出装置、移動体検出方法および移動体検出プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この移動体検出装置は、移動体に搭載されたカメラによって撮影された画像から移動体を検出する移動体検出装置であって、オプティカルフローにより前記画像内の移動体を検出する第1の移動体検出手段と、フレーム間差分法により前記画像内の移動体を検出する第2の移動体検出手段と、前記カメラを搭載した移動体が停止しているか否かを判定する停止判定手段と、前記停止判定手段が、停止していると判定した場合に、前記第2の移動体検出手段による検出結果を出力する検出結果出力手段と、を備えたことを要件とする。
【0012】
また、この移動体検出装置は、上記の移動体検出装置において、前記検出結果出力手段は、前記停止判定手段が、停止していないと判定した場合に、前記第1の移動体検出手段による検出結果を出力することを要件とする。
【0013】
また、この移動体検出装置は、上記の移動体検出装置において、前記第2の移動体検出手段は、前記カメラによって撮影された画像において、道路消失点を含んだ所定の画像領域内から移動体を検出することを要件とする。
【0014】
また、この移動体検出装置は、上記の移動体検出装置において、前記第1の移動体検出手段は、前記カメラを搭載した移動体に接近する移動体を検出対象とし、前記カメラを搭載した移動体から離れる移動体を検出対象から除外することを要件とする。
【0015】
また、この移動体検出方法は、移動体に搭載されたカメラによって撮影された画像から移動体を検出する移動体検出装置の移動体検出方法であって、前記移動体検出装置は、前記カメラによって撮影された画像を記憶装置に記憶する記憶ステップと、前記記憶装置から画像を取得し、オプティカルフローにより前記画像内の移動体を検出する第1の移動体検出ステップと、前記第1の移動体検出ステップによって移動体が検出されず、かつ、前記カメラを搭載した移動体が停止しているか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップの判定結果に基づいて、フレーム間差分法により前記画像内の移動体を検出する第2の移動体検出ステップと、前記第1の移動体検出ステップまたは第2の移動体検出ステップによる検出結果を出力する出力ステップと、を含んでいることを要件とする。
【0016】
また、この移動体検出プログラムは、コンピュータに、移動体に搭載されたカメラによって撮影された画像を記憶装置に記憶する記憶手順と、前記記憶装置から画像を取得し、オプティカルフローにより前記画像内の移動体を検出する第1の移動体検出手順と、前記第1の移動体検出手順によって移動体が検出されず、かつ、前記カメラを搭載した移動体が停止しているか否かを判定する判定手順と、前記判定手順の判定結果に基づいて、フレーム間差分法により前記画像内の移動体を検出する第2の移動体検出手順と、前記第1の移動体検出手順または第2の移動体検出手順による検出結果を出力する出力手順と、を実行させることを要件とする。
【発明の効果】
【0017】
開示の移動体検出装置は、車両の走行状態に対応した最適な移動体検出方式(車両が停止していない場合には、オプティカルフロー方式、車両が停止している場合には、フレーム間差分方式)を利用して、移動体の検出を実行するので、移動体の画像上の大きさに関わらず(移動体が遠方に存在する場合でも)、移動体を正確に検出することが出来る。
【0018】
また、開示の移動体検出装置は、カメラによって撮影された画像において、道路消失点を含んだ所定の画像領域内から移動体を検出するので、ノイズの影響を低減することができる。
【0019】
また、開示の移動体検出装置は、カメラを搭載した移動体に接近する移動体を検出対象とし、カメラを搭載した移動体から離れる移動体を検出対象から除外するので、重要な情報のみを運転手に通知することができる。
【0020】
また、開示の移動体検出方法は、車両の走行状態に対応した最適な移動体検出方式(車両が停止していない場合には、オプティカルフロー方式、車両が停止している場合には、フレーム間差分方式)を利用して、移動体の検出を実行するので、移動体の画像上の大きさに関わらず(移動体が遠方に存在する場合でも)、移動体を正確に検出することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る移動体検出装置、移動体検出方法および移動体検出プログラムの好適な実施の形態を詳細に説明する。
【実施例1】
【0022】
まず、本実施例1にかかる移動体検出装置の概要および特徴について説明する。本実施例1にかかる移動体検出装置は、カメラ(例えば、ブラインドコーナモニタ;BCM)の撮影した画像から移動体を検出する場合に、カメラを搭載した車両の走行状態に応じて、検出方法を選択し、選択した検出方法による検出結果を出力する。
【0023】
具体的に、移動体検出装置は、車両が停止していない場合には、オプティカルフロー方式により、画像内から移動体を検出し、車両が停止している場合には、フレーム間差分方式により、画面内から移動体を検出する。
【0024】
図1は、オプティカルフロー方式およびフレーム間差分方式の特徴を説明するための図である。同図に示すように、オプティカルフロー方式は、自車両走行時の移動体の検出精度が高いが、消失点付近(カメラから遠くに離れた位置付近)の移動体の検出および現フレームで新たに生じた移動体の検出の精度が低いという特徴がある。反対に、フレーム間差分方式は、消失点付近の移動体の検出および現フレームで新たに生じた移動体の検出精度が高いが、自車両走行時の移動体の検出の精度が低いという特徴がある。
【0025】
このように、本実施例1にかかる移動体検出装置は、車両の走行状態に対応した最適な移動体検出方式(車両が停止していない場合には、オプティカルフロー方式、車両が停止している場合には、フレーム間差分方式)を利用して、移動体の検出を実行するので、移動体の画像上の大きさに関わらず(移動体が遠方に存在する場合でも)、移動体を正確に検出することが出来る。
【0026】
次に、本実施例1にかかる移動体検出装置の構成について説明する。図2は、本実施例1にかかる移動体検出装置100の構成を示す図である。同図に示すように、この移動体検出装置100は、画像入力部110と、車両停止判定部120と、オプティカルフロー移動体検出部130と、フレーム間差分移動体検出部140と、移動体通知部150とを備えて構成される。なお、図では省略するが、図2に示す移動体検出装置100は、ブラインドコーナモニタ等のカメラに接続され、車両に設置されているものとする。
【0027】
画像入力部110は、カメラ(BCM)からの画像入力を受け付けた場合に、入力された画像の情報をオプティカルフロー移動体検出部130およびフレーム間差分移動体検出部140に出力する手段である。
【0028】
車両停止判定部120は、車両中の車速検出装置(図示略)およびブレーキセンサ(図示略)等に接続され、車速検出装置から入力される車速情報およびブレーキ情報を基にして、車両が停止しているか否かを判定する手段である。車両停止判定部120は、判定結果をフレーム間差分移動体検出部140に出力する。
【0029】
具体的に、車両停止判定部120は、車両の速度が閾値未満、かつ、ブレーキが踏まれている場合に、車両が停止していると判定する。一方、車両停止判定部120は、車両の速度が閾値以上、または、ブレーキが踏まれていない場合に、車両が停止していないと判定する。
【0030】
オプティカルフロー移動体検出部130は、ブロックマッチング法によるオプティカルフロー方式によって、画像入力部110から入力される画像から移動体を検出する手段である。オプティカルフロー移動体検出部130は、フレーム間差分移動体検出部140および移動体通知部150に検出結果を出力する。
【0031】
ここで、現在の画像のフレームをnフレーム、nフレームの1つ前のフレームをn−1フレームと定義して、オプティカルフロー移動体検出部130の説明を行うと、例えば、オプティカルフロー移動体検出部130は、n−1フレームの画像内の所定領域からブロック情報(所定領域に含まれる画素値の情報等を含む)を抽出し、抽出したブロック情報と、nフレームの画像内に含まれる各画素値とを比較して、ブロック情報と一致するnフレームの画像の領域を特定すること(マッチングを実行すること)で、移動体を検出する。
【0032】
すなわち、n−1フレームの画像から抽出したブロック情報の座標と、nフレームの画像上でブロック情報と一致した領域の座標とが異なっていれば、ブロック情報に含まれる画像に移動体が存在することになる。なお、2フレーム間の時間間隔が閾値未満の場合には、正確に移動体を検出することが出来ない場合がある。この場合には、オプティカルフロー移動体検出部130は、2フレーム間の時間間隔が閾値以上となるように、カメラ(図示略)を制御してもよい。
【0033】
フレーム間差分移動体検出部140は、車両停止判定部120から判定結果を取得し、オプティカルフロー移動体検出部130から検出結果を取得して、自車両が停止状態にあり、かつ、オプティカルフロー移動体検出部130によって移動体が検出されていない場合に、画像入力部110から入力される画像から移動体を検出する手段である。
【0034】
具体的に、フレーム間差分移動体検出部140は、nフレームの画像の輝度値とn−1フレームの画像の輝度値との差分を算出(同一画素位置の輝度差分を算出)し、差分が閾値以上となる領域を特定することにより、移動体を検出する。フレーム間差分移動体検出部140は、移動体通知部150に検出結果を出力する。
【0035】
移動体通知部150は、オプティカルフロー移動体検出部130およびフレーム間差分移動体検出部140から検出結果を取得した場合に、モニタあるいはスピーカ(図示略)を利用して、移動体を運転手に通知する手段である。図3は、移動体を検出した場合のモニタの画像例を示す図である。同図に示すように、移動体が矩形で囲まれており、運転手は、移動体を早期に発見することが可能となる。
【0036】
なお、移動体通知部150は、検出された移動体が画像内で占める領域と画像位置との関係から警告の緊急度を判定し、緊急度に応じてモニタ内の移動体を矩形で囲む、あるいは、緊急度が所定値以上となる場合には、音声で警告するなど、緊急度に応じて警告の種別を選択して、運転手に警告しても良い。
【0037】
次に、本実施例1にかかる移動体検出装置100の処理手順について説明する。図4は、本実施例1にかかる移動体検出装置100の処理手順を示すフローチャートである。同図に示すように、移動体検出装置100は、オプティカルフロー移動体検出部130がオプティカルフロー方式に基づいて、移動体の検出を実行し(ステップS101)、移動体を検出したか否かを判定する(ステップS102)。
【0038】
そして、移動体を検出した場合には(ステップS103,Yes)、ステップS109に移行する。一方、移動体を検出していない場合には(ステップS103,No)、車両停止判定部120が、車両が停止状態か否かを判定する(ステップS104)。
【0039】
ここで、車両が停止状態でない場合には(ステップS105,No)、ステップS101に移行する。一方、車両が停止状態である場合には(ステップS105,Yes)、フレーム間差分移動体検出部140が、フレーム間差分方式に基づいて、移動体の検出を実行し(ステップS106)、移動体を検出したか否かを判定する(ステップS107)。
【0040】
そして、移動体を検出した場合には(ステップS108,Yes)、移動体通知部150が検出結果を出力し(ステップS109)、ステップS101に移行する。一方、移動体を検出していない場合には(ステップS108,No)、そのままステップS101に移行する。
【0041】
このように、オプティカルフロー移動体検出部130が移動体を検出しなかった場合に、自車両の走行状態に応じて、フレーム間差分移動体検出部140が移動体検出処理を実行するので、各移動体検出方式の弱点を補って、正確に移動体を検出することが出来る。
【0042】
上述してきたように、本実施例1にかかる移動体検出装置100は、オプティカルフロー方式により画像内の移動体を検出するオプティカルフロー移動体検出部130と、フレーム間差分法により画像内の移動体を検出するフレーム間差分移動体検出部140とを有し、自車両が停止状態に応じて、オプティカルフロー移動体検出部130あるいはフレーム間差分移動体検出部140による検出結果を出力するので、移動体の画像上の大きさに関わらず(移動体が遠方に存在する場合でも)、移動体を正確に検出することが出来る。
【実施例2】
【0043】
さて、これまで本発明の実施例について説明したが、本発明は上述した実施例1以外にも種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下では実施例2として本発明に含まれる他の実施例を説明する。
【0044】
(1)検出対象について
例えば、上記の実施例1では、オプティカルフロー移動体検出部130が、ブロックマッチング法に基づいて、画面上の移動体を全て検出し、検出結果として移動体通知部150に出力する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、自車両に影響を与える移動体に対してのみ、移動体として検出しても良い。図5は、検出対象となる移動体と検出対象外となる移動体とを説明するための図である。
【0045】
図5の左側に示すように、オプティカルフロー移動体検出部130は、画像中心側から外側方向に移動する移動体、換言すれば、自車両から遠ざかる移動体を検出対象から除外する。一方、オプティカルフロー移動体検出部130は、画像の外側から画像中心側に移動する移動体、換言すれば、自車両に接近する移動体を検出対象とする。
【0046】
このように、オプティカルフロー移動体検出部130は、移動体の移動方向に応じて、移動体を検出対象から除外することによって、運転手に不必要な情報を通知することを防ぎ、運転手の運転を妨げることを防止することが出来る。なお、フレーム間差分移動体検出部140も、オプティカルフロー移動体検出部130と同様に、移動体の移動方向に応じて、検出対象を制限しても良い。
【0047】
(2)フレーム間差分方式で差分をとる画像領域について
例えば、上記の実施例1では、フレーム間差分移動体検出部140が、nフレームとn−1フレームとの輝度値の差分をとる場合に、画像全体の輝度値をそれぞれ比較していたが、これに限定されるものではなく、例えば、各フレームに含まれる画像の消失点を含んだ所定領域の輝度値のみをそれぞれ比較することによって移動体を検出しても良い。
【0048】
図6は、画像内の消失点と比較対象となる領域とを示す図である。同図に示す例では、消失点が2つ存在しており、フレーム間差分移動体検出部140は、消失点を含んだ所定領域の輝度値を各フレームから抽出し、抽出した各輝度値の差分を取ることで、移動体を検出することができる。このように、比較対象となる領域を消失点付近に限定することで、ノイズの影響を低減することができる。
【0049】
なお、フレーム間差分移動体検出部140が消失点を算出する方法は、周知技術のいかなる方式を用いても構わないが、例えば、フレーム間差分移動体検出部140は、画像の微分画像を作成するなどして、エッジ画像を2値化し、2値化したエッジ画像を特徴点としてHough変換を行うことにより、直線を算出し、かかる直線の交点を求めることで、消失点を算出することができる。
【0050】
(3)画像を撮影するカメラについて
例えば、上記の実施例1では、BCMを利用して画像を取得していたが、これに限定されるものではない。本質的には、消失点を含む画像を撮影できる撮影手段であれば、どのような装置を用いても良い。例えば、移動体検出装置は、サイドミラーの画像を取得して、車両後方の移動体を検出することで、運転手に車両後方に存在するバイクなどの存在を通知し、バイクの巻き込みを予防することが出来る。
【0051】
(4)システムの構成など
ところで、本実施例において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部あるいは一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0052】
また、図2に示した移動体検出装置100の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。さらに、各装置にて行われる各処理機能は、その全部または任意の一部がCPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0053】
図7は、実施例1にかかる移動体検出装置100を構成するコンピュータ200のハードウェア構成を示す図である。図7に示すように、このコンピュータ(移動体検出装置)200は、入力装置201、モニタ202、カメラ(BCM)203、RAM(Random Access Memory)204、ROM(Read Only Memory)205、記憶媒体からデータを読み取る媒体読取装置206、他の装置との間でデータの送受信を行う通信装置207、車両の速度を検出する車速検出装置208、運転手によってブレーキが踏まれたか否かを検出するブレーキセンサ209、CPU(Central Processing Unit)210、HDD(Hard Disk Drive)211をバス212で接続して構成される。
【0054】
そして、HDD211には、上記した移動体検出装置100の機能と同様の機能を発揮するオプティカルフロー移動体検出プログラム211b、フレーム間差分移動体検出プログラム211c、車両停止判定プログラム211d、通知プログラム211eが記憶されている。CPU210が、オプティカルフロー移動体検出プログラム211b、フレーム間差分移動体検出プログラム211c、車両停止判定プログラム211d、通知プログラム211eを読み出して実行することにより、オプティカルフロー移動体検出プロセス210a、フレーム間差分移動体検出プロセス210b、車両停止判定プロセス210c、通知プロセス210dが起動される。
【0055】
ここで、オプティカルフロー移動体検出プロセス210aは、図2のオプティカルフロー移動体検出部130に対応し、フレーム間差分移動体検出プロセス210bは、フレーム間差分移動体検出部140に対応し、車両停止判定プロセス210cは、車両停止判定部120に対応し、通知プロセス210dは、移動体通知部150に対応する。
【0056】
また、HDD211は、移動体検出装置100で利用される情報(画像情報等)に対応する各種データ211aを記憶する。CPU210は、HDD211に格納された各種データ211aを読み出して、RAM204に格納し、RAM204に格納された各種データ204aを用いて、画像から移動体を検出する。
【0057】
ところで、図7に示したオプティカルフロー移動体検出プログラム211b、フレーム間差分移動体検出プログラム211c、車両停止判定プログラム211d、通知プログラム211eは、必ずしも最初からHDD211に記憶させておく必要はない。たとえば、コンピュータに挿入されるフレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」、または、コンピュータの内外に備えられるハードディスクドライブ(HDD)などの「固定用の物理媒体」、さらには、公衆回線、インターネット、LAN、WANなどを介してコンピュータに接続される「他のコンピュータ(またはサーバ)」などにオプティカルフロー移動体検出プログラム211b、フレーム間差分移動体検出プログラム211c、車両停止判定プログラム211d、通知プログラム211eを記憶しておき、コンピュータがこれらからオプティカルフロー移動体検出プログラム211b、フレーム間差分移動体検出プログラム211c、車両停止判定プログラム211d、通知プログラム211eを読み出して実行するようにしてもよい。
【0058】
上記の実施例1,2を含む実施形態に関し、以下の付記を開示する。
【0059】
(付記1)移動体に搭載されたカメラによって撮影された画像から移動体を検出する移動体検出装置であって、
オプティカルフローにより前記画像内の移動体を検出する第1の移動体検出手段と、
フレーム間差分法により前記画像内の移動体を検出する第2の移動体検出手段と、
前記カメラを搭載した移動体が停止しているか否かを判定する停止判定手段と、
前記停止判定手段が、停止していると判定した場合に、前記第2の移動体検出手段による検出結果を出力する検出結果出力手段と、
を備えたことを特徴とする移動体検出装置。
【0060】
(付記2)前記検出結果出力手段は、前記停止判定手段が、停止していないと判定した場合に、前記第1の移動体検出手段による検出結果を出力することを特徴とする付記1に記載の移動体検出装置。
【0061】
(付記3)前記第2の移動体検出手段は、前記カメラによって撮影された画像において、道路消失点を含んだ所定の画像領域内から移動体を検出することを特徴とする付記1または2に記載の移動体検出装置。
【0062】
(付記4)前記第1の移動体検出手段は、前記カメラを搭載した移動体に接近する移動体を検出対象とし、前記カメラを搭載した移動体から離れる移動体を検出対象から除外することを特徴とする付記1、2または3に記載の移動体検出装置。
【0063】
(付記5)移動体に搭載されたカメラによって撮影された画像から移動体を検出する移動体検出装置の移動体検出方法であって、
前記移動体検出装置は、
前記カメラによって撮影された画像を記憶装置に記憶する記憶ステップと、
前記記憶装置から画像を取得し、オプティカルフローにより前記画像内の移動体を検出する第1の移動体検出ステップと、
前記第1の移動体検出ステップによって移動体が検出されず、かつ、前記カメラを搭載した移動体が停止しているか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップの判定結果に基づいて、フレーム間差分法により前記画像内の移動体を検出する第2の移動体検出ステップと、
前記第1の移動体検出ステップまたは第2の移動体検出ステップによる検出結果を出力する出力ステップと、
を含んでいることを特徴とする移動体検出方法。
【0064】
(付記6)前記第2の移動体検出ステップは、前記カメラによって撮影された画像において、道路消失点を含んだ所定の画像領域内から移動体を検出することを特徴とする付記5に記載の移動体検出方法。
【0065】
(付記7)前記第1の移動体検出ステップは、前記カメラを搭載した移動体に接近する移動体を検出対象とし、前記カメラを搭載した移動体から離れる移動体を検出対象から除外することを特徴とする付記5または6に記載の移動体検出方法。
【0066】
(付記8)コンピュータに、
移動体に搭載されたカメラによって撮影された画像を記憶装置に記憶する記憶手順と、
前記記憶装置から画像を取得し、オプティカルフローにより前記画像内の移動体を検出する第1の移動体検出手順と、
前記第1の移動体検出手順によって移動体が検出されず、かつ、前記カメラを搭載した移動体が停止しているか否かを判定する判定手順と、
前記判定手順の判定結果に基づいて、フレーム間差分法により前記画像内の移動体を検出する第2の移動体検出手順と、
前記第1の移動体検出手順または第2の移動体検出手順による検出結果を出力する出力手順と、
を実行させることを特徴とする移動体検出プログラム。
【0067】
(付記9)前記第2の移動体検出手順は、前記カメラによって撮影された画像において、道路消失点を含んだ所定の画像領域内から移動体を検出することを特徴とする付記8に記載の移動体検出プログラム。
【0068】
(付記10)前記第1の移動体検出手順は、前記カメラを搭載した移動体に接近する移動体を検出対象とし、前記カメラを搭載した移動体から離れる移動体を検出対象から除外することを特徴とする付記8または9に記載の移動体検出プログラム。
【産業上の利用可能性】
【0069】
以上のように、本発明にかかる移動体検出装置、移動体検出方法および移動体検出プログラムは、移動体を検出する移動体検出システムなどに有用であり、特に、移動体の画像上の大きさに関わらず、移動体を正確に検出する必要がある場合に適している。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】オプティカルフロー方式およびフレーム間差分方式の特徴を説明するための図である。
【図2】本実施例1にかかる移動体検出装置の構成を示す図である。
【図3】移動体を検出した場合のモニタの画像例を示す図である。
【図4】本実施例1にかかる移動体検出装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】検出対象となる移動体と検出対象外となる移動体とを説明するための図である。
【図6】画像内の消失点と比較対象となる領域とを示す図である。
【図7】実施例1にかかる移動体検出装置を構成するコンピュータのハードウェア構成を示す図である。
【図8】BCMの撮影範囲を示す図である。
【図9】BCMによって撮影される画像の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0071】
100 移動体検出装置
110 画像入力部
120 車両停止判定部
130 オプティカルフロー移動体検出部
140 フレーム間差分移動体検出部
150 移動体通知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載されたカメラによって撮影された画像から移動体を検出する移動体検出装置であって、
オプティカルフローにより前記画像内の移動体を検出する第1の移動体検出手段と、
フレーム間差分法により前記画像内の移動体を検出する第2の移動体検出手段と、
前記カメラを搭載した移動体が停止しているか否かを判定する停止判定手段と、
前記停止判定手段が、停止していると判定した場合に、前記第2の移動体検出手段による検出結果を出力する検出結果出力手段と、
を備えたことを特徴とする移動体検出装置。
【請求項2】
前記検出結果出力手段は、前記停止判定手段が、停止していないと判定した場合に、前記第1の移動体検出手段による検出結果を出力することを特徴とする請求項1に記載の移動体検出装置。
【請求項3】
前記第2の移動体検出手段は、前記カメラによって撮影された画像において、道路消失点を含んだ所定の画像領域内から移動体を検出することを特徴とする請求項1または2に記載の移動体検出装置。
【請求項4】
前記第1の移動体検出手段は、前記カメラを搭載した移動体に接近する移動体を検出対象とし、前記カメラを搭載した移動体から離れる移動体を検出対象から除外することを特徴とする請求項1、2または3に記載の移動体検出装置。
【請求項5】
移動体に搭載されたカメラによって撮影された画像から移動体を検出する移動体検出装置の移動体検出方法であって、
前記移動体検出装置は、
前記カメラによって撮影された画像を記憶装置に記憶する記憶ステップと、
前記記憶装置から画像を取得し、オプティカルフローにより前記画像内の移動体を検出する第1の移動体検出ステップと、
前記第1の移動体検出ステップによって移動体が検出されず、かつ、前記カメラを搭載した移動体が停止しているか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップの判定結果に基づいて、フレーム間差分法により前記画像内の移動体を検出する第2の移動体検出ステップと、
前記第1の移動体検出ステップまたは第2の移動体検出ステップによる検出結果を出力する出力ステップと、
を含んでいることを特徴とする移動体検出方法。
【請求項6】
コンピュータに、
移動体に搭載されたカメラによって撮影された画像を記憶装置に記憶する記憶手順と、
前記記憶装置から画像を取得し、オプティカルフローにより前記画像内の移動体を検出する第1の移動体検出手順と、
前記第1の移動体検出手順によって移動体が検出されず、かつ、前記カメラを搭載した移動体が停止しているか否かを判定する判定手順と、
前記判定手順の判定結果に基づいて、フレーム間差分法により前記画像内の移動体を検出する第2の移動体検出手順と、
前記第1の移動体検出手順または第2の移動体検出手順による検出結果を出力する出力手順と、
を実行させることを特徴とする移動体検出プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−146153(P2009−146153A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−322556(P2007−322556)
【出願日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】