移動体用画像記憶装置、ナビゲーション装置、移動体用画像記憶方法及びプログラム
【課題】撮像部が撮像した画像の記憶容量を節約できるとともに、ユーザにとって必要な画像を、特定が容易となるように記憶可能な移動体用画像記憶装置、ナビゲーション装置、移動体用画像記憶方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】自車に設置されたカメラ２からの画像を記憶する内部メモリ４２を有し、自車の現在位置を算出する現在位置算出部４１１と、内部メモリ４２に記憶される画像の一部について、内部メモリ４２とは別に記憶を開始させるための指示を入力するスイッチ３と、スイッチ３による入力があった時よりも、所定時間前の画像と自車の位置とを関連付けて記憶する外部メモリ５とを有する。
【解決手段】自車に設置されたカメラ２からの画像を記憶する内部メモリ４２を有し、自車の現在位置を算出する現在位置算出部４１１と、内部メモリ４２に記憶される画像の一部について、内部メモリ４２とは別に記憶を開始させるための指示を入力するスイッチ３と、スイッチ３による入力があった時よりも、所定時間前の画像と自車の位置とを関連付けて記憶する外部メモリ５とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、例えば、移動体に設置した撮像部により撮像された画像の記憶処理に改良を施した移動体用画像記憶装置、ナビゲーション装置、移動体用画像記憶方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【０００２】
近年、自動車の一般化と情報処理技術の発達にともない、車載用の電子機器が急速に普及している。例えば、ナビゲーション装置は、ナビゲーション制御用のコンピュータであるナビゲーションＥＣＵ（Ｅｌｅｃｔｒｏｎｉｃ Ｃｏｎｔｒｏｌ Ｕｎｉｔ）によって、自車の現在位置を含む地図を表示装置の画面上に表示させるとともに、経路データに基づいて、現在位置から指定された目的地までの最適な誘導経路を計算して、特定の表示や音声合成などで誘導案内するものである。
【０００３】
また、走行中に車外や車内の画像を撮像するカメラを搭載し、このカメラによって撮像した画像を記憶しておく画像記憶装置が存在する。この画像記憶装置は、自車が走行中の画像をメモリ等の記憶媒体に記憶しておき、事故が発生したときに、記憶されていた画像を状況の証明等に利用するものである。また、かかる画像記憶装置を活用すれば、ドライブ中に見逃した風景や出来事、車内の様子などを、ナビゲーション装置や自宅のコンピュータのディスプレイにおいて、後で見直すことも可能となる。
【０００４】
例えば、特許文献１には、広角レンズ若しくは魚眼レンズによって、車外の広い範囲の画像を撮像して、所定の連続記憶時間だけメモリに記憶し、それを超える場合には上書きして記憶する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
【特許文献１】特開２００６−３１３１３９号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
ところで、事故時に必要となる画像は、事故前後の短時間に過ぎない。このため、事故のためだけに長時間に亘って記憶し続けることは、メモリ等の記憶媒体の無駄が多い。一方、ドライブ中に見逃した風景などを後で見直すためには、長時間記憶し続けていた方が、該当する画像が残されている可能性は高い。
【０００７】
しかし、たとえ所望の画像が記憶されていたとしても、長時間の記憶画像の中のどの画像であったかを、ユーザが確認するためには、再生、早送り、巻き戻し等の作業をする必要があり、時間と手間がかかる。さらに、ユーザがその風景自体をよく覚えていない場合には、どの画像かを特定できない場合もある。さらに、たとえ画像を特定できたとしても、それが、自車が走行していたどの位置に当たるのかも不明となる。
【０００８】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するものであり、その目的は、撮像部が撮像した画像の記憶容量を節約できるとともに、ユーザにとって必要な画像を、特定が容易となるように記憶可能な移動体用画像記憶装置、ナビゲーション装置、移動体用画像記憶方法及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
上記の目的を達成するため、請求項１の発明は、移動体に設置された撮像部からの画像を記憶する画像記憶部を有する移動体用画像記憶装置において、移動体の現在位置を算出する現在位置算出部と、前記現在位置に基づいて、移動体の位置を記憶する位置記憶部と、前記画像記憶部に記憶される画像の一部について、前記画像記憶部とは別に記憶を開始させるための指示を入力する開始指示入力部と、前記開始指示入力部による入力があった時よりも前の画像と移動体の位置とを関連付けて記憶する特定画像記憶部と、を有することを特徴とする。
【００１０】
請求項８の移動体用画像記憶方法は、請求項１の発明を方法の観点から捉えたものであり、請求項９の移動体用画像記憶プログラムは、請求項１及び８の発明をコンピュータプログラムの観点から捉えたものである。
【００１１】
以上のような請求項１、８及び９の発明では、移動体により移動中のユーザが、ある風景を見逃したと思った時などに、開始指示入力部を用いて指示入力をする。すると、それ以前の画像が、移動体の位置情報とともに、画像記憶部とは別の特定画像記憶部に記憶される。このため、ユーザにとって必要な画像のみを、区別して保存することができるので、記憶容量を節約できるとともに、所望の画像の特定及び確認がし易くなる。
【００１２】
また、特定画像記憶部には、画像に関連付けて移動体の位置も記憶されるので、画像に対応する場所を容易に特定できる。さらに、事故時等の画像は、画像記憶部に記憶されているので、状況の証明等に用いることができる。ユーザが必要な画像は、別途、特定画像記憶部に記憶するため、事故時のための画像記憶部の容量は少なくて済む。
【００１３】
請求項２の発明は、請求項１の移動体用画像記憶装置において、前記特定画像記憶部が記憶する画像の時間長を設定する時間長設定部を有することを特徴とする。
以上のような請求項２の発明では、ユーザが、見逃した風景等を遡って見るために十分な長さを確保しつつ、必要な容量が過度に大きくならない程度の所望の時間長を設定できる。
【００１４】
請求項３の発明は、請求項２の移動体用画像記憶装置において、前記時間長は、複数設定され、前記開始指示入力部は、複数の前記時間長を選択可能に設けられていることを特徴とする。
以上のような請求項３の発明では、ユーザが、風景等を見逃したことに気づいた時点で、あらかじめ設定した複数の時間長のいずれかを選択して開始指示を入力することにより、状況に応じて、所望の画像を確実に保存できる。
【００１５】
請求項４の発明は、請求項１〜３のいずれか１項の移動体用画像記憶装置において、前記特定画像記憶部への画像の記憶を停止させるための指示を入力する停止指示入力部を有することを特徴とする。
以上のような請求項４の発明では、ユーザが見たい風景等が、長い距離続いている場合等には、その風景等が終了した時点で、ユーザが停止指示を入力することにより、所望の画像を確実に保存できる。
【００１６】
請求項５の発明は、請求項１〜４のいずれか１項の移動体用画像記憶装置において、前記特定画像記憶部は、撮像部が画像を撮像した日時を、画像と関連付けて記憶するように設定されていることを特徴とする。
以上のような請求項５の発明では、撮像部が撮像した日時とともに、画像を記憶するので、画像の特定や確認が、より一層し易くなる。
【００１７】
請求項６の発明は、請求項１〜５のいずれか１項に記載の移動体用画像記憶装置において、移動体の速度を算出する速度算出部と、前記速度算出部により算出された速度が、所定の速度以下か否かを判定する速度判定部と、前記速度判定部によって、所定の速度以下と判定された場合に、前記画像記憶部による画像の記憶を停止させる停止指示部と、を有することを特徴とする。
以上のような請求項６の発明では、停車中や渋滞中など、移動体の速度が低下することによって、連続した撮像の必要がなくなった場合には、画像記憶部への画像の記憶が停止するので、記憶容量を節約できる。
【００１８】
請求項７の発明は、コンピュータ又は電子回路を用いて、予め備える道路地図データに基づいて、移動体が移動する経路を表示するナビゲーション装置において、請求項１〜６のいずれか１項に記載の移動体用画像記憶装置を備えたことを特徴とする。
以上のような請求項７の発明では、位置とともに記憶された画像を、ナビゲーション装置におけるインタフェースとして利用したり、画像に関連付けられた位置を地点登録や検索に利用する等が可能となる。
【発明の効果】
【００１９】
以上のような本発明によれば、撮像部が撮像した画像の記憶容量を節約できるとともに、ユーザにとって必要な画像を、特定が容易となるように記憶可能な移動体用画像記憶装置、ナビゲーション装置、移動体用画像記憶方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【００２０】
【図１】本発明の実施形態の構成を示す機能ブロック図。
【図２】本発明の実施形態における処理手順を示すフローチャート。
【図３】本発明の実施形態における画像を記憶するメモリの一例を示す説明図。
【図４】本発明の実施形態における記録開始、記録停止の入力画面例を示す説明図。
【図５】本発明の実施形態における記憶時間の選択画面例を示す説明図。
【図６】本発明の実施形態における特定画像のアイコン表示例を示す説明図。
【図７】本発明の実施形態における特定画像に対応する周辺施設の検索例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【００２１】
次に、本発明を実施するための最良の形態（以下「実施形態」と呼ぶ）について図面を参照して具体的に説明する。なお、本実施形態は、周辺装置を備えたコンピュータをプログラムで制御することで実現できるが、この場合のハードウェアやプログラムの実現態様は各種変更可能である。従って、以下の説明では、本発明及び本実施形態の各機能を実現する仮想的回路ブロックを用いる。また、本発明は、画像記憶装置及び方法に加え、上記のようなプログラム、そのようなプログラムを記憶したコンピュータ読取可能な記憶媒体としても把握できる。
【００２２】
〔１．構成〕
〔１−１．全体構成〕
まず、本実施形態における画像記憶装置（以下「本装置」と呼ぶ）は、概略としては、カメラにより撮像した画像を内部メモリに記憶し続けるとともに、ユーザが指定した時点の直前の特定画像を、別途外部メモリに記憶することにより、記憶容量を抑えつつ、事故時に利用可能な画像を確保し、ユーザが見逃した風景等の特定画像を容易に特定できるようにしたものであり、図１の機能ブロック図に示す下記の各要素を備えている。
【００２３】
すなわち、ＧＰＳチューナ１は、本装置が搭載された自動車（自車と呼ぶ）の現在位置すなわち自車位置について、ＧＰＳ衛星から送られてくるＧＰＳ信号をアンテナを介して受信する手段である。カメラ２は、車外を撮像可能となるように、自車の車体に設置された撮像部である。スイッチは、制御部４に対して、開始指示及び停止指示を入力するための入力部である。このスイッチは、本装置の筐体に設けられたものであっても、コードを介して遠隔配置されたものであっても、リモコンに組み込まれたものであってもよい。
【００２４】
制御部４は、本装置全体を制御するＣＰＵ及びその周辺回路であり、その詳細は後述する。外部メモリ５は、ユーザの指定があった場合に作成される画像を記憶する特定画像記憶部である。この外部メモリ５としては、例えば、フラッシュメモリを用いることが考えられる。
【００２５】
ナビゲーション装置６は、出発地から目的地までの経路を算出し、自車位置及び道路地図データ等に基づいて、自車位置周辺の地図、地図上における自車位置、走行経路等を表示部７に表示させながら、目的地まで誘導案内する手段である。このナビゲーション装置６については、周知のあらゆる技術が適用可能であるため、説明を省略する。
【００２６】
表示部７は、地図、操作メニュー、記憶した画像など、各種の情報を画面に表示する手段である。入力部８は、ナビゲーション装置６及び画像記憶装置４に対して、各種の情報を入力するための手段である。この入力部８は、ナビゲーション装置６のフロントパネルに設けられたスイッチやタッチセンサ、遠隔操作可能なリモコンユニット等によって構成することができる。入力部８をタッチパネルとして、表示部７と一体に構成することも可能である。なお、入力部８には、制御部４に対する開始指示や停止指示などを入力するスイッチ３と同様の機能を持たせることもできる。加速度センサ９は、自動車より得られる車速パルスを処理することで加速度を検出する手段である。
【００２７】
〔１−２．制御部の構成〕
制御部４は、ロケータ４１、内部メモリ４２、特定画像作成部４３、判定部４４、指示部４５等を有している。ロケータ４１は、現在位置算出部４１１、車速算出部４１２を有している。現在位置算出部４１１は、ＧＰＳチューナ１において受信した信号に基づいて、ＧＰＳ測位により、自車の現在位置（自車位置）を演算する手段である。
【００２８】
なお、現在位置算出部４１１は、計算される現在位置をナビゲーション装置６の加速度センサ９やジャイロスコープ（図示せず）からの検出データにより補正し、さらに、道路地図データとのマップマッチングをとることにより、より正確に自車位置を推定することも可能である。また、現在位置については、ナビゲーション装置６から得ることもできる。
【００２９】
車速算出部４１２は、加速度センサ９からの検出データに基づいて、自車の速度を演算する手段である。なお、車速について、ナビゲーション装置６から得ることもできる。つまり、ナビゲーション装置６におけるロケータを利用して、ロケータ４１の機能を代用させてよい。
【００３０】
内部メモリ４２は、カメラ２が撮像した画像を記憶する画像記憶部である。内部メモリ４２としては、メイン電源がオフになっている間もバッテリーによりバックアップされ、オンになったときにメモリ内容を提供するＳＲＡＭ等によって構成することが考えられる。
【００３１】
記憶する画像の時間長は、内部メモリ４２にあらかじめ設定されている。例えば、図３に示すように、常時３０秒過去分（−３０Ｓ）の画像を記憶するメモリと、開始指示入力があった瞬間から１４分３０秒後（＋１４Ｍ３０Ｓ）までの画像を記憶するメモリが設定されているとすると、過去分も含めて、全部で５分間（５Ｍ）の画像を記憶することができる。開始指示入力がない場合、過去分のメモリは、３０秒経過後は、古いデータから順番に新しいデータによって上書きされていく。但し、後述するように、この設定は自由である。例えば、全体の容量を１分間、５分間、１０分間としたり、過去分の容量を２０秒、３０秒、１分としたりすることが考えられるが、これらには限定されない。
【００３２】
また、内部メモリ４２は、最初に装置が起動してから（若しくは記憶を開始してから）あらかじめ設定された時間（例えば、５秒）毎に、ロケータ４１から得られる自車位置情報を画像と関連付けて記憶する機能（ロケーションスタンプ機能）、その時の内蔵のタイマから得られた日時を、画像と関連付けて記憶する機能（タイムスタンプ機能）等を有している。このため、内部メモリ４２は、請求項の位置記憶部にも対応する。
【００３３】
さらに、内部メモリ４２は、本装置に必要な各種設定等を記憶する機能も有している。設定としては、例えば、次のようなものが考えられるが、これに限定されるものではない。具体的な値も、本実施形態で例示しているものには限定されない。また、これらはデフォルトで設定されていてもよいし、ユーザが、入力部８等を介して、所望の値を入力、変更できるようにしてもよい。
【００３４】
・内部メモリ４２が記憶する画像の時間長若しくは記憶容量
・装置を起動、記憶を開始若しくは走行を開始してから、内部メモリ４２に自車位置を記憶する時間間隔
・装置を起動、記憶を開始若しくは走行を開始してから、内部メモリ４２に日時を記憶する時間間隔
【００３５】
・ユーザの開始指示入力があった時から、どのくらい前の画像に遡って特定画像の作成若しくは記憶を開始するかの所定の遡及時間若しくはその時間に対応する画像の記憶容量
・特定画像の作成若しくは記憶を開始してから、どのくらいの時間作成若しくは記憶を続けるかの所定の時間長若しくはその時間に対応する記憶容量（時間長設定部）
・特定画像の作成若しくは記憶を開始若しくは停止する基準となる所定の速度
【００３６】
なお、外部メモリ５、内部メモリ４２等、本装置における記憶部としては、現在又は将来において利用可能なあらゆる記憶媒体が利用可能であり、上記に例示したものには限定されない。このため、ナビゲーション装置６のメモリ、ハードディスク等を、本装置の記憶部と兼用させることもできる。
【００３７】
また、内部メモリ４２におけるカメラ２からの画像を記憶する領域、各種設定を記憶する領域、外部メモリ５における特定画像を記憶する領域等、各情報の記憶領域については、それぞれ独立した記憶媒体を利用することも可能である。なお、上記のように、カメラ２からの画像を記憶する時間長及び遡及時間等は、記憶領域として設定する記憶容量によって決定されるようにしてもよいし、使用される記憶媒体自体の記憶容量によって決まるようにしてもよい。
【００３８】
特定画像作成部４３は、内部メモリ４２に保存された画像のうち、ユーザの開始指示入力があった時よりも所定の遡及時間前から、所定時間長経過後までの画像に基づいて、動画像を作成する手段である。作成された動画像は、外部メモリ５に記憶される。このとき、画像が撮像された日時及び位置に関する情報も、動画像に関連付けられて、記憶される。
【００３９】
判定部４４は、ユーザの開始指示入力があった時から、あらかじめ内部メモリ４２に設定された時間長が経過したか否かを判定する時間長判定部と、車速算出部４１２により算出される自車の速度が、あらかじめ内部メモリ４２に設定された速度以下か否かを判定する速度判定部としての機能を有している。
【００４０】
指示部４５は、ユーザによるスイッチ３若しくは入力部８からの開始指示入力、停止指示入力に応じて、若しくは判定部４４における判定結果に応じて、内部メモリ４２、特定画像作成部４３、外部メモリ５に対して、処理の開始若しくは停止を指示する手段である。
【００４１】
〔２．作用〕
以上のような本実施形態による処理の一例を説明する。概要としては、自車の走行中に、表示部７に通常のナビゲーション表示が行われるとともに、カメラ２による撮像が行われる。撮像された画像は、内部メモリ４２に記憶されるとともに、ユーザの指示入力から遡った所望の画像が、外部メモリ５に記憶される。
【００４２】
以下、処理の詳細を、図２のフローチャートを参照して説明する。また、上述のロケーションスタンプ機能、タイムスタンプ機能は、装置の起動後、画像の記録開始後若しくは自車の走行開始後に、常時動作しているものとして、フローチャートからは省略する。
【００４３】
すなわち、本装置の電源がＯＮとなった後、自車が走行を開始して、車速算出部４１２により算出される車速が、あらかじめ設定された速度を超えたことを、判定部４４が判定すると（ステップ２０１）、内部メモリ４２が、カメラ２によって撮像された画像の記憶を開始する（ステップ２０２）。
【００４４】
かかる走行中において、ユーザが、ある風景を見逃したと思って、スイッチ３を操作して、開始指示入力を行う（ステップ２０３）。すると、指示部４５が開始指示を出力するので、特定画像作成部４３が、内部メモリ４２に記憶された画像のうち、開始指示入力があった時よりも所定の遡及時間前から、所定時間長経過後までの画像に基づいて、動画像の作成を開始する（ステップ２０４）。作成された動画像は、日時及び位置情報に関連付けて、外部メモリ５に記憶される（ステップ２０５）。図３の例では、３０秒過去分の画像と１４分３０秒後の画像を合わせた動画像が作成、記憶される。
【００４５】
ユーザが、スイッチ３を操作して、停止指示入力を行った場合には（ステップ２０６）、指示部４５が停止指示を出力するので、特定画像作成部４３は、動画像の作成、外部メモリ５への動画像の記憶を停止する（ステップ２０８）。
【００４６】
また、開始指示があってから（若しくは動画像の作成、記憶が開始してから）、あらかじめ設定された時間長が経過したことを、判定部４４が判定した場合にも（ステップ２０７）、指示部４５による停止指示によって、特定画像作成部４３による画像の作成、外部メモリ５への記憶を停止する（ステップ２０８）。
【００４７】
なお、停車中や渋滞中のように、車速算出部４１２により算出される車速が、あらかじめ設定された速度以下となったと、判定部４４によって判定された場合には（ステップ２０９）、連続して同じ画像を撮像する必要性がないとして、内部メモリ４２への画像の記憶は行われない（ステップ２１）。以上の処理を、本装置の電源がＯＦＦになるまで継続する（ステップ２１１）。
【００４８】
なお、事故時等には、自車のエンジンを切ることによって、電源ＯＦＦとなり、内部メモリ４２への画像の記憶が停止するので、事故時の画像が内部メモリ４２に保持される。この時、自動的に又はスイッチ３若しくは入力部８を操作することにより、事故時の画像が、外部メモリ５へ記憶されるようにしてもよい。電源ＯＮとなっていても、ユーザのスイッチ３若しくは入力部８の操作に応じて、内部メモリ４２への画像の記憶が停止するように設定してもよいし、その時、事故時の画像が、外部メモリ５へ記憶されるように設定してもよい。
【００４９】
〔３．効果〕
以上のような本実施形態によれば、ユーザがドライブ中に、ある風景を見逃したと思った時などに、スイッチ３により開始指示入力をすると、その時点から遡った過去の画像に基づいて動画像が作成され、日時や位置に関する情報とともに、特定画像として外部メモリ５に記憶される。このため、ユーザの所望の画像のみを、区別して保存することができ、記憶容量を節約できる。特に、特定画像とともに、自車の位置や日時に関する情報も記憶されるので、画像に対応する場所を、容易に特定できる。
【００５０】
さらに、事故時等の画像は、内部メモリ４２に記憶されているので、証拠等に用いることができる。ユーザが必要な特定画像は、別途、外部メモリ５に記憶することができるため、長時間記録し続ける必要がなく、内部メモリ４２の容量は、少なくて済む。
【００５１】
また、ユーザは、見逃した風景等を遡って見るために十分な長さを確保しつつ、必要な容量が過度に大きくならない程度の所望の時間長を設定できる。さらに、走行開始直後、停車中、渋滞中など、連続した撮像の必要がない場合には、画像の記憶を停止するので、記憶容量を節約できる。
【００５２】
〔４．他の実施形態〕
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。入力部は、スイッチには限定されず、例えば、図４に示すように、表示部７の表示画面に、開始、停止に対応するボタンを表示させ、ユーザがいずれかを選択できるようにしてもよい。音声認識部を備え、マイクからの音声入力に応じて、同様の操作ができるようにしてもよい。
【００５３】
開始指示入力があってから、特定画像を作成及び記録する時間長については、あらかじめ複数設定しておくことも可能である。これは、例えば、図５に示すように、表示部７の表示画面に、設定された時間に対応するボタンを表示させ、ユーザが状況に応じて、いずれかを選択すると、開始指示とその設定時間による記録が行われるようにすることが考えられる。なお、遡及時間についても、同様に、複数設定することも可能である。
【００５４】
また、特定画像記憶部に記憶する時間長については、あらかじめ特定の時間を設定せず若しくは比較的長い時間を設定しておき、ユーザの判断したタイミングで入力部を操作して、記憶を停止させることも可能である。これにより、ユーザが見たい風景が、長い距離続いている場合等においても、途中で途切れることなく記録しておくことができる。
【００５５】
また、特定画像記憶部に記憶した画像については、単に、呼び出して表示させるだけに留まらない。例えば、特定画像に対応する地点を、ナビゲーション装置における地点登録部（メモリ、ハードディスク等）に登録することにより、当該地点を、ナビゲーション装置の検索部による検索、目的地設定部による目的地設定、表示部による地図表示や画像表示といった処理に活用することも可能である。
【００５６】
この場合、例えば、図６に示すように、特定画像を、当該地点を選択する際の目安となる小さな画像（アイコン等）として、利用することもできる。入力部によって、登録された地点が選択された場合に、対応する画像が表示されるようにしてもよいし、図７に示すように、その位置情報に基づいて、周辺の施設情報が検索されてリストアップされるようにしてもよい。検索は、ナビゲーション装置のデータベース（メモリ、ハードディスク）から行われるようにしてもよいし、インターネットに接続して、各種情報を提供するサイトから、周辺の施設情報が検索されるようにしてもよい。
【００５７】
また、画像記憶部及び特定画像記憶部に記憶される画像は、静止画であっても動画であってもよい。例えば、画像記憶部、特定画像記憶部ともに、動画を記憶するように設定してもよいし、画像記憶部、特定画像記憶部ともに、静止画を記憶するように設定してもよい。
【００５８】
また、画像記憶部に記憶された静止画（所定時間間隔のコマ画像）に基づいて、特定画像作成部が動画を作成して、特定画像記憶部に記憶してもよい。画像記憶部に記憶された動画に基づいて、特定画像作成部が静止画を作成して、特定画像記憶部に記憶してもよい。
【００５９】
撮像部によって撮像される画像は、車外であっても、車内であってもよく、その両方であってもよい。本発明の撮像部を、駐車時等の運転補助用のカメラと兼用させてもよい。所定の速度以下の場合に、画像記憶部による画像の記憶を停止する機能は、解除できるように構成してもよい。これにより、速度低下時や停車時に、他車から衝突されるような事故の場合にも、事故時の画像が記憶される。その他、画像記憶装置の各機能は、ナビゲーション装置の機能と兼用させることもできる。さらに、本発明は、車載用には限定されず、他の移動体にも適用可能である。
【符号の説明】
【００６０】
１…ＧＰＳチューナ
２…カメラ
３…スイッチ
４…制御部
５…外部メモリ
６…ナビゲーション装置
７…表示部
８…入力部
４１…ロケータ
４２…内部メモリ
４３…特定画像作成部
４４…判定部
４５…指示部
４１１…現在位置算出部
４１２…車速算出部
【技術分野】
【０００１】
本発明は、例えば、移動体に設置した撮像部により撮像された画像の記憶処理に改良を施した移動体用画像記憶装置、ナビゲーション装置、移動体用画像記憶方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【０００２】
近年、自動車の一般化と情報処理技術の発達にともない、車載用の電子機器が急速に普及している。例えば、ナビゲーション装置は、ナビゲーション制御用のコンピュータであるナビゲーションＥＣＵ（Ｅｌｅｃｔｒｏｎｉｃ Ｃｏｎｔｒｏｌ Ｕｎｉｔ）によって、自車の現在位置を含む地図を表示装置の画面上に表示させるとともに、経路データに基づいて、現在位置から指定された目的地までの最適な誘導経路を計算して、特定の表示や音声合成などで誘導案内するものである。
【０００３】
また、走行中に車外や車内の画像を撮像するカメラを搭載し、このカメラによって撮像した画像を記憶しておく画像記憶装置が存在する。この画像記憶装置は、自車が走行中の画像をメモリ等の記憶媒体に記憶しておき、事故が発生したときに、記憶されていた画像を状況の証明等に利用するものである。また、かかる画像記憶装置を活用すれば、ドライブ中に見逃した風景や出来事、車内の様子などを、ナビゲーション装置や自宅のコンピュータのディスプレイにおいて、後で見直すことも可能となる。
【０００４】
例えば、特許文献１には、広角レンズ若しくは魚眼レンズによって、車外の広い範囲の画像を撮像して、所定の連続記憶時間だけメモリに記憶し、それを超える場合には上書きして記憶する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
【特許文献１】特開２００６−３１３１３９号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
ところで、事故時に必要となる画像は、事故前後の短時間に過ぎない。このため、事故のためだけに長時間に亘って記憶し続けることは、メモリ等の記憶媒体の無駄が多い。一方、ドライブ中に見逃した風景などを後で見直すためには、長時間記憶し続けていた方が、該当する画像が残されている可能性は高い。
【０００７】
しかし、たとえ所望の画像が記憶されていたとしても、長時間の記憶画像の中のどの画像であったかを、ユーザが確認するためには、再生、早送り、巻き戻し等の作業をする必要があり、時間と手間がかかる。さらに、ユーザがその風景自体をよく覚えていない場合には、どの画像かを特定できない場合もある。さらに、たとえ画像を特定できたとしても、それが、自車が走行していたどの位置に当たるのかも不明となる。
【０００８】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するものであり、その目的は、撮像部が撮像した画像の記憶容量を節約できるとともに、ユーザにとって必要な画像を、特定が容易となるように記憶可能な移動体用画像記憶装置、ナビゲーション装置、移動体用画像記憶方法及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
上記の目的を達成するため、請求項１の発明は、移動体に設置された撮像部からの画像を記憶する画像記憶部を有する移動体用画像記憶装置において、移動体の現在位置を算出する現在位置算出部と、前記現在位置に基づいて、移動体の位置を記憶する位置記憶部と、前記画像記憶部に記憶される画像の一部について、前記画像記憶部とは別に記憶を開始させるための指示を入力する開始指示入力部と、前記開始指示入力部による入力があった時よりも前の画像と移動体の位置とを関連付けて記憶する特定画像記憶部と、を有することを特徴とする。
【００１０】
請求項８の移動体用画像記憶方法は、請求項１の発明を方法の観点から捉えたものであり、請求項９の移動体用画像記憶プログラムは、請求項１及び８の発明をコンピュータプログラムの観点から捉えたものである。
【００１１】
以上のような請求項１、８及び９の発明では、移動体により移動中のユーザが、ある風景を見逃したと思った時などに、開始指示入力部を用いて指示入力をする。すると、それ以前の画像が、移動体の位置情報とともに、画像記憶部とは別の特定画像記憶部に記憶される。このため、ユーザにとって必要な画像のみを、区別して保存することができるので、記憶容量を節約できるとともに、所望の画像の特定及び確認がし易くなる。
【００１２】
また、特定画像記憶部には、画像に関連付けて移動体の位置も記憶されるので、画像に対応する場所を容易に特定できる。さらに、事故時等の画像は、画像記憶部に記憶されているので、状況の証明等に用いることができる。ユーザが必要な画像は、別途、特定画像記憶部に記憶するため、事故時のための画像記憶部の容量は少なくて済む。
【００１３】
請求項２の発明は、請求項１の移動体用画像記憶装置において、前記特定画像記憶部が記憶する画像の時間長を設定する時間長設定部を有することを特徴とする。
以上のような請求項２の発明では、ユーザが、見逃した風景等を遡って見るために十分な長さを確保しつつ、必要な容量が過度に大きくならない程度の所望の時間長を設定できる。
【００１４】
請求項３の発明は、請求項２の移動体用画像記憶装置において、前記時間長は、複数設定され、前記開始指示入力部は、複数の前記時間長を選択可能に設けられていることを特徴とする。
以上のような請求項３の発明では、ユーザが、風景等を見逃したことに気づいた時点で、あらかじめ設定した複数の時間長のいずれかを選択して開始指示を入力することにより、状況に応じて、所望の画像を確実に保存できる。
【００１５】
請求項４の発明は、請求項１〜３のいずれか１項の移動体用画像記憶装置において、前記特定画像記憶部への画像の記憶を停止させるための指示を入力する停止指示入力部を有することを特徴とする。
以上のような請求項４の発明では、ユーザが見たい風景等が、長い距離続いている場合等には、その風景等が終了した時点で、ユーザが停止指示を入力することにより、所望の画像を確実に保存できる。
【００１６】
請求項５の発明は、請求項１〜４のいずれか１項の移動体用画像記憶装置において、前記特定画像記憶部は、撮像部が画像を撮像した日時を、画像と関連付けて記憶するように設定されていることを特徴とする。
以上のような請求項５の発明では、撮像部が撮像した日時とともに、画像を記憶するので、画像の特定や確認が、より一層し易くなる。
【００１７】
請求項６の発明は、請求項１〜５のいずれか１項に記載の移動体用画像記憶装置において、移動体の速度を算出する速度算出部と、前記速度算出部により算出された速度が、所定の速度以下か否かを判定する速度判定部と、前記速度判定部によって、所定の速度以下と判定された場合に、前記画像記憶部による画像の記憶を停止させる停止指示部と、を有することを特徴とする。
以上のような請求項６の発明では、停車中や渋滞中など、移動体の速度が低下することによって、連続した撮像の必要がなくなった場合には、画像記憶部への画像の記憶が停止するので、記憶容量を節約できる。
【００１８】
請求項７の発明は、コンピュータ又は電子回路を用いて、予め備える道路地図データに基づいて、移動体が移動する経路を表示するナビゲーション装置において、請求項１〜６のいずれか１項に記載の移動体用画像記憶装置を備えたことを特徴とする。
以上のような請求項７の発明では、位置とともに記憶された画像を、ナビゲーション装置におけるインタフェースとして利用したり、画像に関連付けられた位置を地点登録や検索に利用する等が可能となる。
【発明の効果】
【００１９】
以上のような本発明によれば、撮像部が撮像した画像の記憶容量を節約できるとともに、ユーザにとって必要な画像を、特定が容易となるように記憶可能な移動体用画像記憶装置、ナビゲーション装置、移動体用画像記憶方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【００２０】
【図１】本発明の実施形態の構成を示す機能ブロック図。
【図２】本発明の実施形態における処理手順を示すフローチャート。
【図３】本発明の実施形態における画像を記憶するメモリの一例を示す説明図。
【図４】本発明の実施形態における記録開始、記録停止の入力画面例を示す説明図。
【図５】本発明の実施形態における記憶時間の選択画面例を示す説明図。
【図６】本発明の実施形態における特定画像のアイコン表示例を示す説明図。
【図７】本発明の実施形態における特定画像に対応する周辺施設の検索例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【００２１】
次に、本発明を実施するための最良の形態（以下「実施形態」と呼ぶ）について図面を参照して具体的に説明する。なお、本実施形態は、周辺装置を備えたコンピュータをプログラムで制御することで実現できるが、この場合のハードウェアやプログラムの実現態様は各種変更可能である。従って、以下の説明では、本発明及び本実施形態の各機能を実現する仮想的回路ブロックを用いる。また、本発明は、画像記憶装置及び方法に加え、上記のようなプログラム、そのようなプログラムを記憶したコンピュータ読取可能な記憶媒体としても把握できる。
【００２２】
〔１．構成〕
〔１−１．全体構成〕
まず、本実施形態における画像記憶装置（以下「本装置」と呼ぶ）は、概略としては、カメラにより撮像した画像を内部メモリに記憶し続けるとともに、ユーザが指定した時点の直前の特定画像を、別途外部メモリに記憶することにより、記憶容量を抑えつつ、事故時に利用可能な画像を確保し、ユーザが見逃した風景等の特定画像を容易に特定できるようにしたものであり、図１の機能ブロック図に示す下記の各要素を備えている。
【００２３】
すなわち、ＧＰＳチューナ１は、本装置が搭載された自動車（自車と呼ぶ）の現在位置すなわち自車位置について、ＧＰＳ衛星から送られてくるＧＰＳ信号をアンテナを介して受信する手段である。カメラ２は、車外を撮像可能となるように、自車の車体に設置された撮像部である。スイッチは、制御部４に対して、開始指示及び停止指示を入力するための入力部である。このスイッチは、本装置の筐体に設けられたものであっても、コードを介して遠隔配置されたものであっても、リモコンに組み込まれたものであってもよい。
【００２４】
制御部４は、本装置全体を制御するＣＰＵ及びその周辺回路であり、その詳細は後述する。外部メモリ５は、ユーザの指定があった場合に作成される画像を記憶する特定画像記憶部である。この外部メモリ５としては、例えば、フラッシュメモリを用いることが考えられる。
【００２５】
ナビゲーション装置６は、出発地から目的地までの経路を算出し、自車位置及び道路地図データ等に基づいて、自車位置周辺の地図、地図上における自車位置、走行経路等を表示部７に表示させながら、目的地まで誘導案内する手段である。このナビゲーション装置６については、周知のあらゆる技術が適用可能であるため、説明を省略する。
【００２６】
表示部７は、地図、操作メニュー、記憶した画像など、各種の情報を画面に表示する手段である。入力部８は、ナビゲーション装置６及び画像記憶装置４に対して、各種の情報を入力するための手段である。この入力部８は、ナビゲーション装置６のフロントパネルに設けられたスイッチやタッチセンサ、遠隔操作可能なリモコンユニット等によって構成することができる。入力部８をタッチパネルとして、表示部７と一体に構成することも可能である。なお、入力部８には、制御部４に対する開始指示や停止指示などを入力するスイッチ３と同様の機能を持たせることもできる。加速度センサ９は、自動車より得られる車速パルスを処理することで加速度を検出する手段である。
【００２７】
〔１−２．制御部の構成〕
制御部４は、ロケータ４１、内部メモリ４２、特定画像作成部４３、判定部４４、指示部４５等を有している。ロケータ４１は、現在位置算出部４１１、車速算出部４１２を有している。現在位置算出部４１１は、ＧＰＳチューナ１において受信した信号に基づいて、ＧＰＳ測位により、自車の現在位置（自車位置）を演算する手段である。
【００２８】
なお、現在位置算出部４１１は、計算される現在位置をナビゲーション装置６の加速度センサ９やジャイロスコープ（図示せず）からの検出データにより補正し、さらに、道路地図データとのマップマッチングをとることにより、より正確に自車位置を推定することも可能である。また、現在位置については、ナビゲーション装置６から得ることもできる。
【００２９】
車速算出部４１２は、加速度センサ９からの検出データに基づいて、自車の速度を演算する手段である。なお、車速について、ナビゲーション装置６から得ることもできる。つまり、ナビゲーション装置６におけるロケータを利用して、ロケータ４１の機能を代用させてよい。
【００３０】
内部メモリ４２は、カメラ２が撮像した画像を記憶する画像記憶部である。内部メモリ４２としては、メイン電源がオフになっている間もバッテリーによりバックアップされ、オンになったときにメモリ内容を提供するＳＲＡＭ等によって構成することが考えられる。
【００３１】
記憶する画像の時間長は、内部メモリ４２にあらかじめ設定されている。例えば、図３に示すように、常時３０秒過去分（−３０Ｓ）の画像を記憶するメモリと、開始指示入力があった瞬間から１４分３０秒後（＋１４Ｍ３０Ｓ）までの画像を記憶するメモリが設定されているとすると、過去分も含めて、全部で５分間（５Ｍ）の画像を記憶することができる。開始指示入力がない場合、過去分のメモリは、３０秒経過後は、古いデータから順番に新しいデータによって上書きされていく。但し、後述するように、この設定は自由である。例えば、全体の容量を１分間、５分間、１０分間としたり、過去分の容量を２０秒、３０秒、１分としたりすることが考えられるが、これらには限定されない。
【００３２】
また、内部メモリ４２は、最初に装置が起動してから（若しくは記憶を開始してから）あらかじめ設定された時間（例えば、５秒）毎に、ロケータ４１から得られる自車位置情報を画像と関連付けて記憶する機能（ロケーションスタンプ機能）、その時の内蔵のタイマから得られた日時を、画像と関連付けて記憶する機能（タイムスタンプ機能）等を有している。このため、内部メモリ４２は、請求項の位置記憶部にも対応する。
【００３３】
さらに、内部メモリ４２は、本装置に必要な各種設定等を記憶する機能も有している。設定としては、例えば、次のようなものが考えられるが、これに限定されるものではない。具体的な値も、本実施形態で例示しているものには限定されない。また、これらはデフォルトで設定されていてもよいし、ユーザが、入力部８等を介して、所望の値を入力、変更できるようにしてもよい。
【００３４】
・内部メモリ４２が記憶する画像の時間長若しくは記憶容量
・装置を起動、記憶を開始若しくは走行を開始してから、内部メモリ４２に自車位置を記憶する時間間隔
・装置を起動、記憶を開始若しくは走行を開始してから、内部メモリ４２に日時を記憶する時間間隔
【００３５】
・ユーザの開始指示入力があった時から、どのくらい前の画像に遡って特定画像の作成若しくは記憶を開始するかの所定の遡及時間若しくはその時間に対応する画像の記憶容量
・特定画像の作成若しくは記憶を開始してから、どのくらいの時間作成若しくは記憶を続けるかの所定の時間長若しくはその時間に対応する記憶容量（時間長設定部）
・特定画像の作成若しくは記憶を開始若しくは停止する基準となる所定の速度
【００３６】
なお、外部メモリ５、内部メモリ４２等、本装置における記憶部としては、現在又は将来において利用可能なあらゆる記憶媒体が利用可能であり、上記に例示したものには限定されない。このため、ナビゲーション装置６のメモリ、ハードディスク等を、本装置の記憶部と兼用させることもできる。
【００３７】
また、内部メモリ４２におけるカメラ２からの画像を記憶する領域、各種設定を記憶する領域、外部メモリ５における特定画像を記憶する領域等、各情報の記憶領域については、それぞれ独立した記憶媒体を利用することも可能である。なお、上記のように、カメラ２からの画像を記憶する時間長及び遡及時間等は、記憶領域として設定する記憶容量によって決定されるようにしてもよいし、使用される記憶媒体自体の記憶容量によって決まるようにしてもよい。
【００３８】
特定画像作成部４３は、内部メモリ４２に保存された画像のうち、ユーザの開始指示入力があった時よりも所定の遡及時間前から、所定時間長経過後までの画像に基づいて、動画像を作成する手段である。作成された動画像は、外部メモリ５に記憶される。このとき、画像が撮像された日時及び位置に関する情報も、動画像に関連付けられて、記憶される。
【００３９】
判定部４４は、ユーザの開始指示入力があった時から、あらかじめ内部メモリ４２に設定された時間長が経過したか否かを判定する時間長判定部と、車速算出部４１２により算出される自車の速度が、あらかじめ内部メモリ４２に設定された速度以下か否かを判定する速度判定部としての機能を有している。
【００４０】
指示部４５は、ユーザによるスイッチ３若しくは入力部８からの開始指示入力、停止指示入力に応じて、若しくは判定部４４における判定結果に応じて、内部メモリ４２、特定画像作成部４３、外部メモリ５に対して、処理の開始若しくは停止を指示する手段である。
【００４１】
〔２．作用〕
以上のような本実施形態による処理の一例を説明する。概要としては、自車の走行中に、表示部７に通常のナビゲーション表示が行われるとともに、カメラ２による撮像が行われる。撮像された画像は、内部メモリ４２に記憶されるとともに、ユーザの指示入力から遡った所望の画像が、外部メモリ５に記憶される。
【００４２】
以下、処理の詳細を、図２のフローチャートを参照して説明する。また、上述のロケーションスタンプ機能、タイムスタンプ機能は、装置の起動後、画像の記録開始後若しくは自車の走行開始後に、常時動作しているものとして、フローチャートからは省略する。
【００４３】
すなわち、本装置の電源がＯＮとなった後、自車が走行を開始して、車速算出部４１２により算出される車速が、あらかじめ設定された速度を超えたことを、判定部４４が判定すると（ステップ２０１）、内部メモリ４２が、カメラ２によって撮像された画像の記憶を開始する（ステップ２０２）。
【００４４】
かかる走行中において、ユーザが、ある風景を見逃したと思って、スイッチ３を操作して、開始指示入力を行う（ステップ２０３）。すると、指示部４５が開始指示を出力するので、特定画像作成部４３が、内部メモリ４２に記憶された画像のうち、開始指示入力があった時よりも所定の遡及時間前から、所定時間長経過後までの画像に基づいて、動画像の作成を開始する（ステップ２０４）。作成された動画像は、日時及び位置情報に関連付けて、外部メモリ５に記憶される（ステップ２０５）。図３の例では、３０秒過去分の画像と１４分３０秒後の画像を合わせた動画像が作成、記憶される。
【００４５】
ユーザが、スイッチ３を操作して、停止指示入力を行った場合には（ステップ２０６）、指示部４５が停止指示を出力するので、特定画像作成部４３は、動画像の作成、外部メモリ５への動画像の記憶を停止する（ステップ２０８）。
【００４６】
また、開始指示があってから（若しくは動画像の作成、記憶が開始してから）、あらかじめ設定された時間長が経過したことを、判定部４４が判定した場合にも（ステップ２０７）、指示部４５による停止指示によって、特定画像作成部４３による画像の作成、外部メモリ５への記憶を停止する（ステップ２０８）。
【００４７】
なお、停車中や渋滞中のように、車速算出部４１２により算出される車速が、あらかじめ設定された速度以下となったと、判定部４４によって判定された場合には（ステップ２０９）、連続して同じ画像を撮像する必要性がないとして、内部メモリ４２への画像の記憶は行われない（ステップ２１）。以上の処理を、本装置の電源がＯＦＦになるまで継続する（ステップ２１１）。
【００４８】
なお、事故時等には、自車のエンジンを切ることによって、電源ＯＦＦとなり、内部メモリ４２への画像の記憶が停止するので、事故時の画像が内部メモリ４２に保持される。この時、自動的に又はスイッチ３若しくは入力部８を操作することにより、事故時の画像が、外部メモリ５へ記憶されるようにしてもよい。電源ＯＮとなっていても、ユーザのスイッチ３若しくは入力部８の操作に応じて、内部メモリ４２への画像の記憶が停止するように設定してもよいし、その時、事故時の画像が、外部メモリ５へ記憶されるように設定してもよい。
【００４９】
〔３．効果〕
以上のような本実施形態によれば、ユーザがドライブ中に、ある風景を見逃したと思った時などに、スイッチ３により開始指示入力をすると、その時点から遡った過去の画像に基づいて動画像が作成され、日時や位置に関する情報とともに、特定画像として外部メモリ５に記憶される。このため、ユーザの所望の画像のみを、区別して保存することができ、記憶容量を節約できる。特に、特定画像とともに、自車の位置や日時に関する情報も記憶されるので、画像に対応する場所を、容易に特定できる。
【００５０】
さらに、事故時等の画像は、内部メモリ４２に記憶されているので、証拠等に用いることができる。ユーザが必要な特定画像は、別途、外部メモリ５に記憶することができるため、長時間記録し続ける必要がなく、内部メモリ４２の容量は、少なくて済む。
【００５１】
また、ユーザは、見逃した風景等を遡って見るために十分な長さを確保しつつ、必要な容量が過度に大きくならない程度の所望の時間長を設定できる。さらに、走行開始直後、停車中、渋滞中など、連続した撮像の必要がない場合には、画像の記憶を停止するので、記憶容量を節約できる。
【００５２】
〔４．他の実施形態〕
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。入力部は、スイッチには限定されず、例えば、図４に示すように、表示部７の表示画面に、開始、停止に対応するボタンを表示させ、ユーザがいずれかを選択できるようにしてもよい。音声認識部を備え、マイクからの音声入力に応じて、同様の操作ができるようにしてもよい。
【００５３】
開始指示入力があってから、特定画像を作成及び記録する時間長については、あらかじめ複数設定しておくことも可能である。これは、例えば、図５に示すように、表示部７の表示画面に、設定された時間に対応するボタンを表示させ、ユーザが状況に応じて、いずれかを選択すると、開始指示とその設定時間による記録が行われるようにすることが考えられる。なお、遡及時間についても、同様に、複数設定することも可能である。
【００５４】
また、特定画像記憶部に記憶する時間長については、あらかじめ特定の時間を設定せず若しくは比較的長い時間を設定しておき、ユーザの判断したタイミングで入力部を操作して、記憶を停止させることも可能である。これにより、ユーザが見たい風景が、長い距離続いている場合等においても、途中で途切れることなく記録しておくことができる。
【００５５】
また、特定画像記憶部に記憶した画像については、単に、呼び出して表示させるだけに留まらない。例えば、特定画像に対応する地点を、ナビゲーション装置における地点登録部（メモリ、ハードディスク等）に登録することにより、当該地点を、ナビゲーション装置の検索部による検索、目的地設定部による目的地設定、表示部による地図表示や画像表示といった処理に活用することも可能である。
【００５６】
この場合、例えば、図６に示すように、特定画像を、当該地点を選択する際の目安となる小さな画像（アイコン等）として、利用することもできる。入力部によって、登録された地点が選択された場合に、対応する画像が表示されるようにしてもよいし、図７に示すように、その位置情報に基づいて、周辺の施設情報が検索されてリストアップされるようにしてもよい。検索は、ナビゲーション装置のデータベース（メモリ、ハードディスク）から行われるようにしてもよいし、インターネットに接続して、各種情報を提供するサイトから、周辺の施設情報が検索されるようにしてもよい。
【００５７】
また、画像記憶部及び特定画像記憶部に記憶される画像は、静止画であっても動画であってもよい。例えば、画像記憶部、特定画像記憶部ともに、動画を記憶するように設定してもよいし、画像記憶部、特定画像記憶部ともに、静止画を記憶するように設定してもよい。
【００５８】
また、画像記憶部に記憶された静止画（所定時間間隔のコマ画像）に基づいて、特定画像作成部が動画を作成して、特定画像記憶部に記憶してもよい。画像記憶部に記憶された動画に基づいて、特定画像作成部が静止画を作成して、特定画像記憶部に記憶してもよい。
【００５９】
撮像部によって撮像される画像は、車外であっても、車内であってもよく、その両方であってもよい。本発明の撮像部を、駐車時等の運転補助用のカメラと兼用させてもよい。所定の速度以下の場合に、画像記憶部による画像の記憶を停止する機能は、解除できるように構成してもよい。これにより、速度低下時や停車時に、他車から衝突されるような事故の場合にも、事故時の画像が記憶される。その他、画像記憶装置の各機能は、ナビゲーション装置の機能と兼用させることもできる。さらに、本発明は、車載用には限定されず、他の移動体にも適用可能である。
【符号の説明】
【００６０】
１…ＧＰＳチューナ
２…カメラ
３…スイッチ
４…制御部
５…外部メモリ
６…ナビゲーション装置
７…表示部
８…入力部
４１…ロケータ
４２…内部メモリ
４３…特定画像作成部
４４…判定部
４５…指示部
４１１…現在位置算出部
４１２…車速算出部
【特許請求の範囲】
【請求項１】
移動体に設置された撮像部からの画像を記憶する画像記憶部を有する移動体用画像記憶装置において、
移動体の現在位置を算出する現在位置算出部と、
前記現在位置に基づいて、移動体の位置を記憶する位置記憶部と、
前記画像記憶部に記憶される画像の一部について、前記画像記憶部とは別に記憶を開始させるための指示を入力する開始指示入力部と、
前記開始指示入力部による入力があった時よりも前の画像と移動体の位置とを関連付けて記憶する特定画像記憶部と、
を有することを特徴とする移動体用画像記憶装置。
【請求項２】
前記特定画像記憶部が記憶する画像の時間長を設定する時間長設定部を有することを特徴とする請求項１記載の移動体用画像記憶装置。
【請求項３】
前記時間長は、複数設定され、
前記開始指示入力部は、複数の前記時間長を選択可能に設けられていることを特徴とする請求項２記載の移動体用画像記憶装置。
【請求項４】
前記特定画像記憶部への画像の記憶を停止させるための指示を入力する停止指示入力部を有することを特徴とする請求項１〜３のいずれか１項に記載の移動体用画像記憶装置。
【請求項５】
前記特定画像記憶部は、撮像部が画像を撮像した日時を、画像と関連付けて記憶するように設定されていることを特徴とする請求項１〜４のいずれか１項に記載の移動体用画像記憶装置。
【請求項６】
移動体の速度を算出する速度算出部と、
前記速度算出部により算出された速度が、所定の速度以下か否かを判定する速度判定部と、
前記速度判定部によって、所定の速度以下と判定された場合に、前記画像記憶部による画像の記憶を停止させる停止指示部と、
を有することを特徴とする請求項１〜５のいずれか１項に記載の移動体用画像記憶装置。
【請求項７】
コンピュータ又は電子回路を用いて、予め備える道路地図データに基づいて、移動体が移動する経路を表示するナビゲーション装置において、
請求項１〜６のいずれか１項に記載の移動体用画像記憶装置を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項８】
移動体に設置された撮像部からの画像を画像記憶部が記憶する移動体用画像記憶方法において、
現在位置算出部が、移動体の現在位置を算出し、
位置記憶部が、前記現在位置に基づいて、移動体の位置を記憶し、
開始指示入力部が、前記画像記憶部に記憶される画像の一部について、前記画像記憶部とは別に記憶を開始させるための指示を入力し、
特定画像記憶部が、前記開始指示入力部による入力があった時よりも前の画像と移動体の位置とを関連付けて記憶することを特徴とする移動体用画像記憶方法。
【請求項９】
移動体に設置された撮像部からの画像を記憶する処理を、コンピュータを用いて実行させる移動体用画像記憶プログラムにおいて、
前記コンピュータに、
移動体の現在位置を算出させる処理と、
前記現在位置に基づいて、移動体の位置を記憶させる処理と、
記憶される画像の一部について、別途記憶を開始させるための開始指示を入力させる処理と、
前記開始指示の入力があった時よりも前の画像と移動体の位置とを関連付けて記憶させる処理と、
を実行させることを特徴とする移動体用画像記憶プログラム。
【請求項１】
移動体に設置された撮像部からの画像を記憶する画像記憶部を有する移動体用画像記憶装置において、
移動体の現在位置を算出する現在位置算出部と、
前記現在位置に基づいて、移動体の位置を記憶する位置記憶部と、
前記画像記憶部に記憶される画像の一部について、前記画像記憶部とは別に記憶を開始させるための指示を入力する開始指示入力部と、
前記開始指示入力部による入力があった時よりも前の画像と移動体の位置とを関連付けて記憶する特定画像記憶部と、
を有することを特徴とする移動体用画像記憶装置。
【請求項２】
前記特定画像記憶部が記憶する画像の時間長を設定する時間長設定部を有することを特徴とする請求項１記載の移動体用画像記憶装置。
【請求項３】
前記時間長は、複数設定され、
前記開始指示入力部は、複数の前記時間長を選択可能に設けられていることを特徴とする請求項２記載の移動体用画像記憶装置。
【請求項４】
前記特定画像記憶部への画像の記憶を停止させるための指示を入力する停止指示入力部を有することを特徴とする請求項１〜３のいずれか１項に記載の移動体用画像記憶装置。
【請求項５】
前記特定画像記憶部は、撮像部が画像を撮像した日時を、画像と関連付けて記憶するように設定されていることを特徴とする請求項１〜４のいずれか１項に記載の移動体用画像記憶装置。
【請求項６】
移動体の速度を算出する速度算出部と、
前記速度算出部により算出された速度が、所定の速度以下か否かを判定する速度判定部と、
前記速度判定部によって、所定の速度以下と判定された場合に、前記画像記憶部による画像の記憶を停止させる停止指示部と、
を有することを特徴とする請求項１〜５のいずれか１項に記載の移動体用画像記憶装置。
【請求項７】
コンピュータ又は電子回路を用いて、予め備える道路地図データに基づいて、移動体が移動する経路を表示するナビゲーション装置において、
請求項１〜６のいずれか１項に記載の移動体用画像記憶装置を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項８】
移動体に設置された撮像部からの画像を画像記憶部が記憶する移動体用画像記憶方法において、
現在位置算出部が、移動体の現在位置を算出し、
位置記憶部が、前記現在位置に基づいて、移動体の位置を記憶し、
開始指示入力部が、前記画像記憶部に記憶される画像の一部について、前記画像記憶部とは別に記憶を開始させるための指示を入力し、
特定画像記憶部が、前記開始指示入力部による入力があった時よりも前の画像と移動体の位置とを関連付けて記憶することを特徴とする移動体用画像記憶方法。
【請求項９】
移動体に設置された撮像部からの画像を記憶する処理を、コンピュータを用いて実行させる移動体用画像記憶プログラムにおいて、
前記コンピュータに、
移動体の現在位置を算出させる処理と、
前記現在位置に基づいて、移動体の位置を記憶させる処理と、
記憶される画像の一部について、別途記憶を開始させるための開始指示を入力させる処理と、
前記開始指示の入力があった時よりも前の画像と移動体の位置とを関連付けて記憶させる処理と、
を実行させることを特徴とする移動体用画像記憶プログラム。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【公開番号】特開２０１０−１８１２８０（Ｐ２０１０−１８１２８０Ａ）
【公開日】平成２２年８月１９日（２０１０．８．１９）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−２５１６２（Ｐ２００９−２５１６２）
【出願日】平成２１年２月５日（２００９．２．５）
【出願人】（０００００１４８７）クラリオン株式会社 (1,722)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２２年８月１９日（２０１０．８．１９）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年２月５日（２００９．２．５）
【出願人】（０００００１４８７）クラリオン株式会社 (1,722)
【Ｆターム（参考）】
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