説明

第1段階処理部および第2段階処理部を含むデータサンプラ

【課題】電力消費を低減する方法を、特に低電圧および/または低電力のデータサンプラを提供する。
【解決手段】第1段階処理部および第2段階処理部を含み、上記第1段階処理部は、各差動信号を受信し、上記各差動信号に基づいて、第1出力信号における第1エッジレートと、第2出力信号における第2エッジレートとを供給するように構成されている。上記第2段階処理部は、上記第1出力信号と上記第2出力信号との間の差を増幅し、各再生出力信号を供給するように構成されている。上記第2段階処理部は、上記第1エッジレートおよび上記第2エッジレートに基づき、第1内部信号における第3エッジレートを供給し、かつ、第2内部信号における第4エッジレートを供給する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[背景]
通常、コンピュータシステムは、互いに通信してシステムアプリケーションを行う複数の集積回路を含む。多くの場合、上記コンピュータシステムは、1以上のホストコントローラと、デュアルインラインメモリモジュール(DIMM)、グラフィックスカード、オーディオカード、ファクシミリカード、および、モデムカードのような1以上の電子的なサブシステムアセンブリとを含む。
【0002】
システム機能を実行するために、上記ホストコントローラおよび上記サブシステムアセンブリは、シリアル通信リンクおよびパラレル通信リンクのような通信リンクを介して互いに通信する。
【0003】
シリアル通信リンクは、フルバッファドDIMM(FB−DIMM)の、アドバンスドメモリバッファ(AMB)規格、周辺構成要素インターコネクトエクスプレス(PCIe)規格、および、他の任意の好適なシリアル通信リンクインターフェースを用いるリンクを含む。
【0004】
AMB用チップは、FB−DIMMにおける主要装置である。上記AMBは、2つの各シリアルリンク(一方は上り(のぼり)側のトラフィック用、他方は下り(くだり)側のトラフィック用)と、上記FB−DIMMにおけるダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)のような、オンボードメモリへのバスとを有する。
【0005】
下り側のシリアルリンク(サウスバウンド)を介して送信された、上記ホストコントローラからのシリアルデータは、一時的にバッファされ、その後、上記FB−DIMMにおけるメモリに送信される。上記シリアルデータは、アドレスと、データと、上記メモリに与えられ、上記AMBにおいて変換され、上記メモリのバスに送信されたコマンド情報とを含んでいる。
【0006】
上記AMBは、上記ホストコントローラによって指令されたように、上記メモリへの書き込み、および、上記メモリからの読み出しを行う。この読み出されたデータは、シリアルデータに変換され、上り側のシリアルリンク(ノースバウンド)上の上記ホストコントローラに返送される。
【0007】
上記AMBは、同じチャネル上のFB−DIMM間のリピータとしても機能する。上記AMBは、上記ホストコントローラまたはより上り側のAMBに接続されている一次サウスバウンドリンクから、二次サウスバウンドリンクを介して、次のFB−DIMMのより下り側のAMBに情報を転送する。上記AMBは、より下り側のFB−DIMM内の情報を二次ノースバウンドリンクから受信し、上記情報を上記AMB自体の情報と同化させた後、上記情報を、一次ノースバウンドリンクを介して、上記より上り側のAMBまたはホストコントローラに送信する。
【0008】
これによって、複数のFB−DIMM間にデイジーチェーン連結が形成される。FB−DIMMチャンネルアーキテクチャの主要な特性は、高速である点、シリアルである点、チャネル上の上記ホストコントローラとFB−DIMMとの間がポイントトゥーポイント接続である点である。上記AMBの規格は、シリアル差動伝送に基づいている。
【0009】
PCIeも、高速であり、差動信号ペアを介してデータを通信するシリアルリンクである。PCIeリンクは、双方向、シリアル、「レーン」として公知のポイントトゥーポイント接続を中心に形成されている。電気的レベルでは、各レーンは、1レーンにつき合計4データ線のために、2つの単方向低電圧の差動信号ペア、1つの送信ペア、および、1つの受信ペアを利用できる。
【0010】
任意の2つの各PCIe装置間の接続は、リンクとして知られており、1以上のレーンをまとめたものから形成されている。全ての各PCIe装置は、最小限、シングルレーン(×1)リンクをサポートしている。適宜、×2、×4、×8、×12、×16、×32、または、それ以上のレーンからなる、より広域のリンクをサポートする装置もある。
【0011】
AMBおよびPCIeのような各高速通信リンクは、多くの場合、カレントモード論理(CML)信号のようなグランド基準信号を用いて、データを通信する。これらの各データ信号は、データサンプラとも呼ばれるデータサンプリング回路を介して標本化され、上記データを復元する。
【0012】
通常、上記データサンプラは、n型金属酸化膜半導体(NMOS)に基づいた回路であり、上記NMOSに基づいたデータサンプラを介した標本化のために、レベルシフタを用いて、グランド基準信号のコモンモードレベルを上昇させている。
【0013】
上記NMOSに基づいたデータサンプラによって消費される電流に加えて、上記レベルシフタによって、電力が消費される。製造業者は、電力消費を低減する方法を、特に低電圧および/または低電力のアプリケーションに、求め続けている。
【0014】
上記およびその他の理由から、本発明のための必要性がある。
【0015】
[概要]
本発明の一形態は、第1段階処理部および第2段階処理部を含むデータサンプラを提供する。上記第1段階処理部は、各差動信号を受信し、上記各差動信号に基づいて、第1出力信号における第1エッジレートと、第2出力信号における第2エッジレートとを供給するように構成されている。上記第2段階処理部は、上記第1出力信号と上記第2出力信号との間の差を増幅し、再生出力信号を供給するように構成されている。上記第2段階処理部は、上記第1エッジレートおよび上記第2エッジレートに基づいて、第1内部信号内の第3エッジレートを供給し、第2内部信号内の第4エッジレートを供給する。
【0016】
[図面の簡単な説明]
添付の図面は、本発明をより理解するために含まれ、本明細書に包含され、その一部を構成する。上記図面は、本発明の実施形態を説明し、本明細書とともに、本発明の原理を説明するためのものである。本発明の他の実施形態および本発明が意図する多くの利点については、以下の詳細な説明を参照することにより、容易に理解できるであろう。上記図面の構成要素は、必ずしも実際の互いの相対的な縮尺とはなっていない。同様の参照符号は、対応する同様の部材を指すものである。
【0017】
図1は、本発明によるコンピュータシステムの一実施形態を示す図である。図2は、データサンプラの一実施形態を示す図である。図3は、第1段階処理部の一実施形態を示す図である。図4は、第2段階処理部の一実施形態を示す図である。図5は、ラッチの一実施形態を示す図である。
図6は、データサンプラおよびラッチの、一実施形態の動作を示すタイミング図である。図7は、2段階処理データサンプラの、セットアップ時間とホールド時間とを加算した時間の、プロセス電圧温度(PVT)コーナ解析表である。図8は、クロック信号のエッジからデータサンプラの出力までの時間を示すPVTコーナ解析表である。
【0018】
[詳細な説明]
以下の詳細な説明では、本出願の一部を構成する添付の図面を参照する。上記図面は、本発明を実施する具体的な実施形態を、実例として示す。この点に関連して、方向を示す「上」、「下」、「前」、「後」、「先端」、「後端」などのような用語を、記載した図面の方向を参照しながら用いる。本発明の実施形態の構成要素は、様々な多くの方向に設置され得るので、方向を示す上記用語を、もっぱら説明の目的で用いるのであり、決して本発明を限定する目的で用いていない。本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を用いてもよく、構造的変更または論理的変更がなされてもよいことについて、理解されたい。従って、以下の詳細な説明は、限定の意味で解釈されるべきではない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって規定されるものである。
【0019】
図1は、本発明によるコンピュータシステム20の一実施形態を示すブロック図である。コンピュータシステム20は、ホストコントローラ22およびサブシステムアセンブリ24を含む。ホストコントローラ22は、通信リンク26を介して、サブシステムアセンブリ24に電気的に結合されている。ホストコントローラ22は、通信リンク26を介して、サブシステムアセンブリ24を制御し、システムの機能を提供する。一実施形態では、ホストコントローラ22は、メモリコントローラである。
【0020】
一実施形態においては、サブシステムアセンブリ24は、FB−DIMMであり、ホストコントローラ22は、上記FB−DIMMを制御して、システムメモリの機能を提供する。他の実施形態では、サブシステムアセンブリ24は、グラフィックスカード、オーディオカード、ファクシミリカード、または、モデムカードのような、任意の好適なサブシステムアセンブリであり、ホストコントローラ22は、サブシステムアセンブリ24を制御して、それに応じたシステムの機能を提供する。
【0021】
サブシステムアセンブリ24は、データサンプラ28およびラッチ30を含む。データサンプラ28は、通信リンク26およびデータ通信路32を介して、ホストコントローラ22に電気的に結合されている。一実施形態では、データ通信路32は、通信リンク26を介して、ホストコントローラ22から信号を受信する1以上の各バッファを含み、データサンプラ28に各バッファ信号を供給する。
【0022】
一実施形態においては、データ通信路32は、通信リンク26を介して、ホストコントローラ22からCML信号を受信する1以上の各CMLバッファを含み、データサンプラ28に対し各CMLバッファ信号を供給する。
【0023】
他の各実施形態では、データ通信路32は、通信リンク26を介して、ホストコントローラ22から信号を受信する任意の好適な回路を含み、データサンプラ28に対し各信号を供給する。他の各実施形態では、データ通信路32は、上記受信する任意の好適な回路以外のいかなる回路も含まない。
【0024】
データサンプラ28は、各CML信号および他の各グランド基準信号のような、低コモンモードレベルを有する各信号を受信するように構成されている。上記各信号をデータサンプラ28が受信する前に、レベルシフタを用いて、上記各低コモンモードレベル信号のコモンモードレベルを向上させる必要はない。したがって、データサンプラ28は、電力必要量を低減でき、低電圧および/または低電力のアプリケーションにおいて、特に有効である。
【0025】
データサンプラ28は、再生出力信号路34を介して、ラッチ30に電気的に結合されている。ラッチ30は、データ出力路36を介して、サブシステムアセンブリ24内の回路に電気的に結合されている。データサンプラ28は、通信リンク26およびデータ通信路32を介して、ホストコントローラ22から信号を受信し、再生出力信号路34を介して、ラッチ30に再生出力信号を供給する。ラッチ30は、上記各再生出力信号を受信し、上記各再生出力信号内においてラッチされたデータを、データ出力信号とし、データ出力路36を介してサブシステムアセンブリ24内の他の回路に供給する。
【0026】
一実施形態では、通信リンク26は、ホストコントローラ22とサブシステムアセンブリ24との間にデータを通信する、1以上の各差動信号ペアを含む。一実施形態では、通信リンク26は、1つの差動信号ペアを含む。一実施形態では、通信リンク26は、通信リンク26を介して双方向にデータを通信する、複数の各差動信号ペアを含む。
【0027】
一実施形態においては、サブシステムアセンブリ24は、通信リンク26を介してホストコントローラ22にデイジーチェーン連結された複数の各FB−DIMMの内の1つである、単一のFB−DIMMである。上記デイジーチェーン連結された複数の各FB−DIMMは、それぞれ、AMBシリアル通信リンクを提供する少なくとも1つのAMBを含む。
【0028】
上記AMBシリアル通信リンクは、通信リンク26において、各差動ペアの各CML信号を含む。上記各FB−DIMMは、それぞれ、通信リンク26における上記各差動ペアを介して上記各CML信号を受信し、対応するラッチ30に再生出力信号を供給する、1以上のデータサンプラ28を含む。ラッチ30は、上記AMBおよび上記FB−DIMMであるサブシステムアセンブリ24に、データ出力信号を供給する。
【0029】
一実施形態では、ホストコントローラ22およびサブシステムアセンブリ24は、通信リンク26において、PCIeシリアル通信リンクを提供する。上記PCIeシリアル通信リンクは、通信リンク26において、各差動ペアの各CML信号を含む、交流結合されたインターフェースである。
【0030】
各サブシステムアセンブリ24は、通信リンク26における上記差動ペアを介して上記CML信号を受信し、それぞれの対応するラッチ30に再生出力信号を供給する、1以上のデータサンプラ28を含む。ラッチ30は、サブシステムアセンブリ24にデータ出力信号を供給する。他の実施形態では、ホストコントローラ22およびサブシステムアセンブリ24は、他の任意の好適な通信リンクを介して通信してもよい。
【0031】
図2は、データサンプラ28の一実施形態を示すブロック図である。上記データサンプラは、データ通信路32を介して入力信号INPを受信し、再生出力信号路34を介して再生出力信号ROUTを供給する。データサンプラ28は第1段階処理部40を含む。上記第1段階処理部は、出力信号路44を介して、第2段階処理部42に電気的に結合されている。第1段階処理部40は、データ通信路32を介して、ホストコントローラ22のような他の回路に電気的に結合されている。第2段階処理部42は、再生出力信号路34を介して、ラッチ30のような他の回路に電気的に結合されている。
【0032】
第1段階処理部40は、クロック増幅器であり、データ通信路32での入力信号INPを受信し、データ通信路32における、受信した入力信号INPを標本化して、アドレスデータ、書き込みデータ、コマンドデータ、および/または、クロックのような、データを再生する。
【0033】
第1段階処理部40は、データ通信路32における、低コモンモードレベルの入力信号INPを受信し、出力信号路44を介して、出力信号SOUTを第2段階処理部42に供給するように構成されている。出力信号路44の出力信号SOUTは、データ通信路32の受信された入力信号INPを標本化することによって得られたデータ情報を含む。
【0034】
第2段階処理部42は、再生可能な構造であり、出力信号路44の出力信号SOUTを受信し、再生出力信号路34での再生出力信号ROUTを供給する。一実施形態では、再生出力信号路34での再生出力信号ROUTは、データ通信路32の入力信号INPよりも高いコモンモードレベルを有している。
【0035】
一実施形態では、再生出力信号路34の再生出力信号ROUTを、クロック復元システムにおいて用いることができる。一実施形態では、第1段階処理部40は、P型金属酸化膜半導体(PMOS)のクロックされた増幅器である。
【0036】
一実施形態では、第1段階処理部40は、データ通信路32での差動入力信号INPを受信し、出力信号路44にて2つの各出力信号SOUTを供給する。第1段階処理部40は、出力信号路44での2つの各出力信号SOUTのいずれか一方において第1エッジレートを供給し、出力信号路44での2つの各出力信号SOUTの他方において第2エッジレートを供給する。上記第1エッジレートおよび上記第2エッジレートは、データ通信路32での各差動入力信号INP間の差に基づいている。
【0037】
第2段階処理部42は、出力信号路44での2つの各出力信号SOUTを受信し、上記第1エッジレートと上記第2エッジレートとの間の差に基づいて、第1内部信号においての第3エッジレートを供給し、第2内部信号においての第4エッジレートを供給する。第2段階処理部42は、出力信号路44での2つの各出力信号SOUT間の差を増幅し、再生出力信号路34での各再生出力信号ROUTを供給する。
【0038】
一実施形態では、第1段階処理部40は、データ通信路32での各差動入力信号INPを受信し、データ通信路32での上記各差動入力信号INPに基づいて、出力信号路44に2つの各出力信号SOUTを供給する。第2段階処理部42は、出力信号路44での2つの各出力信号SOUTを受信し、出力信号路44からの2つの各出力信号SOUTに基づいて、第1内部信号および第2内部信号を供給する。
【0039】
第1段階処理部40は、クロック信号の一方の状態(ハイレベルまたはローレベル)である間に、出力信号路44の2つの各出力信号SOUTを、第1電圧に向かって、または、実質的に第1電圧に、それぞれプリチャージする。これによって、上記クロック信号が上記一方の状態である間に、第2段階処理部42は、自動的に、第1内部信号および第2内部信号を、第2電圧に向かって、または、実質的に第2電圧に、それぞれプリチャージすることになる。
【0040】
上記クロック信号が逆位相(他方の状態)である間に、第1段階処理部40は、データ通信路32での各入力信号INPを標本化し、出力信号路44からの2つの各出力信号SOUTの遷移を行う。第2段階処理部42は、出力信号路44からの2つの各出力信号SOUTの遷移速度に基づいて、第1内部信号および第2内部信号を遷移させて、再生出力信号路34での各再生出力信号ROUTを供給する。
【0041】
図3は、PMOSに基づいたクロック化された増幅器である、第1段階処理部40の一実施形態を示す回路図である。第1段階処理部40は、データ通信路32を介して、データ通信路32aの差動入力信号INPP、および、データ通信路32bの差動入力信号INPNを受信し、出力信号路44を介して、出力信号路44aの出力信号SOUTP、および、出力信号路44bの出力信号SOUTNを供給する。データ通信路32aの入力信号INPPおよびデータ通信路32bの入力信号INPNは、CML信号およびその他のグランド基準信号の電圧レベルと同様の、低コモンモード電圧レベルを有している。
【0042】
第1段階処理部40は、PMOSの各入力用トランジスタ60、62の差動ペア、PMOSの1つの評価用トランジスタ64、および、NMOSの2つの各プリチャージ用トランジスタ66、68を含む。第1入力用トランジスタ60のゲートは、データ通信路32bの入力信号INPNを受信し、第2入力用トランジスタ62のゲートは、データ通信路32aの入力信号INPPを受信する。
【0043】
評価用トランジスタ64のドレインソース路の一端は、電源VDDである端子70に電気的に結合されている。評価用トランジスタ64のドレインソース路の他端は、ノード72において、第1入力用トランジスタ60のドレインソース路の一端と、第2入力用トランジスタ62のドレインソース路の一端に電気的に結合されている。評価用トランジスタ64のゲートは、ノード74におけるクロック信号CLKを受信している。
【0044】
第1プリチャージ用トランジスタ66のゲート、および、第2プリチャージ用トランジスタ68のゲートは、ノード74でのクロック信号CLKを受信する。第1プリチャージ用トランジスタ66のドレインソース路の一端は、出力信号路44aにおいて、第1入力用トランジスタ60のドレインソース路の他端に電気的に結合されている。
【0045】
第1プリチャージ用トランジスタ66のドレインソース路の他端は、ノード76において、グランドのような基準電位に電気的に結合されている。第2プリチャージ用トランジスタ68のドレインソース路の一端は、出力信号路44bにおいて、第2入力用トランジスタ62のドレインソース路の他端に電気的に結合されている。第2プリチャージ用トランジスタ68のドレインソース路の他端は、ノード76において、上記基準電位に電気的に結合されている。
【0046】
動作中、ノード74におけるクロック信号CLKが高電圧レベルである場合、評価用トランジスタ64はOFFバイアスされ、各プリチャージ用トランジスタ66、68はONバイアスされる。出力信号路44aの出力信号SOUTP、および、出力信号路44bの出力信号SOUTNは、各プリチャージ用トランジスタ66、68によって、グランドのような基準電位の電圧レベルとほぼ同レベルの低電圧レベルに、放電またはプリチャージされる。
【0047】
同様に、ノード72における電圧は、各入力用トランジスタ60、62、および、各プリチャージ用トランジスタ66、68によって、ほぼ低電圧レベルに放電する。ノード74におけるクロック信号CLKの高電圧レベルの位相(状態)を、プリチャージ期間と呼ぶ。
【0048】
ノード74におけるクロック信号CKLの立ち下りエッジは、評価期間をトリガする。上記評価期間の間に、データ通信路32aの入力信号INPP、および、データ通信路32bの入力信号INPNを標本化して、データ情報を再生する。ノード74におけるクロック信号CLKが低電圧レベルに遷移するにつれて、各プリチャージ用トランジスタ66、68はOFFバイアスされ、評価用トランジスタ64はONバイアスされる。
【0049】
データ通信路32aの入力信号INPPおよびデータ通信路32bの入力信号INPNは、低コモンモードの電圧レベルを有する各差動信号である。各入力用トランジスタ60、62のいずれか一方は、低ゲート電圧を受信し、各入力用トランジスタ60、62の他方よりも強くONバイアスされる。
【0050】
上記のより強くONバイアスされた入力用トランジスタ60または入力用トランジスタ62に結合されている、出力信号路44aの出力信号SOUTPまたは出力信号路44bの出力信号SOUTNは、OFFバイアス、または、より少なくONバイアスされた入力用トランジスタ60または入力用トランジスタ62に結合された、出力信号路44aの出力信号SOUTPまたは出力信号路44bの出力信号SOUTNよりも速いエッジにおいて、高電圧レベルに向かって、または、実質的に高電圧レベルに、充電するか、または、立ち上がる。
【0051】
出力信号路44aの出力信号SOUTPと出力信号路44bの出力信号SOUTNとにおける立ち上がりエッジ間の差は、データ通信路32aの入力信号INPPと、データ通信路32bの入力信号INPNとの間の差、および、標本化されたデータ情報に対応している。出力信号路44aの出力信号SOUTPまたは出力信号路44bの出力信号SOUTNは、ほぼ同一の高電圧レベルに立ち上がる。
【0052】
例えば、データ通信路32aのINPPが、データ通信路32bのINPNよりも高い電圧レベルである場合、入力用トランジスタ60は、入力用トランジスタ62よりも強くONバイアスされる。出力信号路44aの出力信号SOUTPは、入力用トランジスタ60によって、より速いエッジレートにおいて高電圧レベルに立ち上がり、出力信号路44bの出力信号SOUTNは、入力用トランジスタ62によって、より遅いエッジレートにおいて高電圧レベルに上昇する。
【0053】
同様に、データ通信路32aのINPPが、データ通信路32bのINPNよりも低い電圧レベルである場合、入力用トランジスタ62は、入力用トランジスタ60よりも強くONバイアスされる。出力信号路44aの出力信号SOUTPは、入力用トランジスタ60によって、より遅いエッジレートにおいて、高電圧レベルに立ち上がり、出力信号路44bの出力信号SOUTNは、入力用トランジスタ62によって、より速いエッジレートにおいて、高電圧レベルに立ち上がる。
【0054】
出力信号路44aの出力信号SOUTPと、出力信号路44bの出力信号SOUTNとにおけるエッジレート間の差は、データ通信路32aの入力信号INPPとデータ通信路32bの入力信号INPNとの間の差に、および、標本化されたデータ情報に対応している。
【0055】
ノード74におけるクロック信号CLKが、高電圧レベルに遷移するにつれて、第1段階処理部40は、プリチャージ期間に入る。評価用トランジスタ64は、OFFバイアスされ、各プリチャージ用トランジスタ66、68はONバイアスされる。出力信号路44aの出力信号SOUTPおよび出力信号路44bの出力信号SOUTNは、上記基準電位の電圧レベルとほぼ同レベルである低電圧レベルにプリチャージされる。ノード72における電圧は、各入力用トランジスタ60、62、および、各プリチャージ用トランジスタ66.68によって、低電圧レベルに放電する。ノード74におけるクロック信号CLKの立ち下りエッジによって、データ標本化が連続的に行われる。
【0056】
出力信号路44aの出力信号SOUTPおよび出力信号路44bの出力信号SOUTNは、出力信号路44を介して、第2段階処理部42によって受信される。第2段階処理部は、出力信号路44aの出力信号SOUTPと出力信号路44bの出力信号SOUTNとの間の差を増幅し、再生出力信号路34の再生出力信号ROUTを供給する。ラッチ30は、再生出力信号路34の再生出力信号ROUTを受信し、データ出力路36を介して、サブシステムアセンブリ24に対し、ラッチされたデータ出力信号を供給する。
【0057】
図4は、信号再生可能な構造である、第2段階処理部42の一実施形態を示す回路図である。第2段階処理部42は、出力信号路44を介して、第1段階処理部40に電気的に結合されている。第2段階処理部42は、出力信号路44を介して、第1段階処理部40から出力信号路44aの出力信号SOUTP、および、出力信号路44bの出力信号SOUTNを受信する。
【0058】
第2段階処理部42は、再生出力信号路34を介して、ラッチ30のような他の回路に電気的に結合され、再生出力信号路34を介して、他の回路に、再生出力信号路34aの再生出力信号ROUTP、および、再生出力信号路34bの再生出力信ROUTNを供給する。再生出力信号路34aの再生出力信号ROUTP、および、再生出力信号路34bの再生出力信ROUTNは、データ通信路32aの差動入力信号INPP、および、データ通信路32bの差動入力信号INPNよりも高いレベルのコモンモード電圧を有している。
【0059】
一実施形態では、第2段階処理部42は、各信号を、再生出力信号路34aの再生出力信号ROUTP、および、再生出力信号路34bの再生出力信号ROUTPにして供給する。これらの再生出力信号は、相補(コンプリメンタリ)型金属酸化膜半導体(CMOS)の各回路を駆動する。
【0060】
第2段階処理部42は、差動回路用ペアの各入力トランジスタ100、102、各プリチャージ用トランジスタ104、106、108、110、および、各再生用トランジスタ112、114、116、118を含む。各入力用トランジスタ100、102、および、各再生用トランジスタ116、118は、NMOSトランジスタである。各プリチャージ用トランジスタ104、106、108、110、および、各再生用トランジスタ112、114は、PMOSトランジスタである。
【0061】
第1再生用トランジスタ112および第3再生用トランジスタ116は、第2再生用トランジスタ114および第4再生用トランジスタ118に対しクロス結合されている。第1再生用トランジスタ112および第3再生用トランジスタ116の各ドレインソース路は、再生出力信号路34aにおいて互いに電気的に結合され、第2再生用トランジスタ114および第4再生用トランジスタ118のゲートに電気的に結合され、再生出力信号路34aの再生出力信号ROUTPを供給する。
【0062】
第2再生用トランジスタ114および第4再生用トランジスタ118の各ドレインソース路は、再生出力信号路34bにおいて電気的に互いに結合され、第1再生用トランジスタ112および第3再生用トランジスタ116のゲートに電気的に結合され、再生出力信号路34bの再生出力信号ROUTNを供給する。
【0063】
クロス結合された上記トランジスタでは、第1再生用トランジスタ112のドレインソース路の一端と、第2再生用トランジスタ114のドレインソース路の一端とは、ノード120において、電源VDDに電気的に結合されている。第1再生用トランジスタ112のドレインソース路の他端は、再生出力信号路34aにて、第3再生用トランジスタ116のドレインソース路の一端と、第2再生用トランジスタ114および第4再生用トランジスタ118の各ゲートとに電気的に結合されている。
【0064】
第2再生用トランジスタ114のドレインソース路の他端は、再生出力信号路34bにて、第4再生用トランジスタ118のドレインソース路の一端と、第1再生用トランジスタ112および第3再生用トランジスタ116の各ゲートとに電気的に結合されている。
【0065】
第1入力用トランジスタ100のゲートは、出力信号路44bにおいて、第1プリチャージ用トランジスタ104のゲートと、第2プリチャージ用トランジスタ106のゲートとに電気的に結合されており、これら2つの各ゲートは、出力信号路44を介して、出力信号路44bの出力信号SOUTNを受信する。第1プリチャージ用トランジスタ104のドレインソース路の一端と、第2プリチャージ用トランジスタ106のドレインソース路の一端とは、ノード120において、電源VDDに電気的に結合されている。
【0066】
第1プリチャージ用トランジスタ104のドレインソース路の他端は、ノード122において、第1入力用トランジスタ100のドレインソース路の一端と、第3再生用トランジスタ116のドレインソース路の他端とに電気的に結合されている。第2プリチャージ用トランジスタ106のドレインソース路の他端は、再生出力信号路34aにおいて、第3再生用トランジスタ116のドレインソース路の一端と、第1再生用トランジスタ112のドレインソース路の他端とに電気的に結合されている。第1入力用トランジスタ100のドレインソース路の他端は、ノード124において、グランドのような基準電位に電気的に結合されている。
【0067】
第2入力用トランジスタ102のゲートは、出力信号路44aにおいて、第3プリチャージ用トランジスタ108のゲートと、第4プリチャージ用トランジスタ110のゲートとに電気的に結合されており、これら2つの各ゲートは、出力信号路44を介して、出力信号路44aの出力信号SOUTPを受信する。第3プリチャージ用トランジスタ108のドレインソース路の一端と、第4プリチャージ用トランジスタ110のドレインソース路の一端とは、ノード120において、電源VDDに電気的に結合されている。
【0068】
第4プリチャージ用トランジスタ110のドレインソース路の他端は、ノード126において、第2入力用トランジスタ102のドレインソース路の一端と、第4再生用トランジスタ118のドレインソース路の他端とに電気的に結合されている。第3プリチャージ用トランジスタ108のドレインソース路の他端は、再生出力信号路34bにおいて、第4再生用トランジスタ118のドレインソース路の一端と、第2再生用トランジスタ114のドレインソース路の他端とに電気的に結合されている。第2入力用トランジスタ102のドレインソース路の他端は、ノード124において、上記基準電位に電気的に結合されている。
【0069】
動作中、(図3に示した)ノード74でのクロック信号CLKは、高電圧レベルであり、出力信号路44aの出力信号SOUTPおよび出力信号路44bの出力信号SOUTNは、上記基準電位の電圧レベルとほぼ同レベルである低電圧レベルにプリチャージされる。このプリチャージ期間中、第2段階処理部42は、出力信号路44aの低電圧レベルの出力信号SOUTP、および、出力信号路44bの低電圧レベルの出力信号SOUTNを受信し、ノード122において第1内部信号IPを供給し、ノード126において第2内部信号INを供給し、出力信号路44aの出力信号SOUTPおよび出力信号路44bの出力信号SOUTNに基づいて、再生出力信号路34aの再生出力信号ROUTPと再生出力信号路34bの再生出力信号ROUTNを供給する。
【0070】
出力信号路44aの低電圧レベルの出力信号SOUTPは、入力用トランジスタ102をOFFバイアスし、各プリチャージ用トランジスタ108、110をONバイアスする。出力信号路44bの低電圧レベルの出力信号SOUTNは、入力用トランジスタ100をOFFバイアスし、各プリチャージ用トランジスタ104、106をONバイアスする。ノード122での第1内部信号IPおよびノード126での第2内部信号INは、各プリチャージ用トランジスタ104、110によって、第1高電圧レベルとほぼ同レベルにプリチャージされる。34aの再生出力信号ROUTPおよび34bのROUTNは、プリチャージ用トランジスタ106、108によって、第2高電圧レベルとほぼ同レベルにプリチャージされる。
【0071】
再生出力信号路34aの高電圧再生出力信号ROUTPおよび再生出力信号路34bの高電圧再生出力信号ROUTNは、各再生用トランジスタ116、118をONバイアスして、上記第1高電圧レベルと上記第2高電圧レベルとをほぼ等しくする。各再生用トランジスタ112、114は、再生出力信号路34aの高電圧再生出力信号ROUTPおよび再生出力信号路34bの高電圧再生出力信号ROUTNとを介して、OFFバイアスされる。
【0072】
ノード74でのクロック信号CLKの立ち下がりエッジは、評価期間の開始をトリガし、出力信号路44aの出力信号SOUTPおよび出力信号路44bの出力信号SOUTNは、互いに異なる各エッジレートにて、ほぼ同一の高電圧レベルまで立ち上がる。出力信号路44aの出力信号SOUTPは、第1エッジレートにおいて立ち上がり、44bの出力信号SOUTNは、第2エッジレートにおいて立ち上がる。第1エッジレートと第2エッジレートとの間の差は、データ通信路32aの入力信号INPPとデータ通信路32bの入力信号INPNとの間の差、および、標本化されたデータ情報に対応している。
【0073】
第2段階処理部42は、出力信号路44aでの出力信号SOUTPおよび出力信号路44bでの出力信号SOUTNを受信し、上記第1エッジレートと上記第2エッジレートとの間の差に基づいて、ノード122での第1内部信号IPに第3エッジレートを供給し、ノード126での第2内部信号INに第4エッジレートを供給する。
【0074】
第2段階処理部42は、上記第1エッジレートと上記第2エッジレートとの間の差を増幅して、第3エッジレートおよび第4エッジレートを供給し、再生出力信号路34aでの再生出力信号ROUTPおよび再生出力信号路34bでの再生出力信号ROUTNを供給する。従って、再生出力信号路34aでの再生出力信号ROUTPおよび再生出力信号路34bでの再生出力信号ROUTNは、データ通信路32aでの入力信号INPPおよびデータ通信路32bでの入力信号INPNとの間の差に対応している。
【0075】
出力信号路44aでの出力信号SOUTPにおける第1エッジレートが、出力信号路44bでの出力信号SOUTNにおける第2エッジレートよりも大きい場合、入力用トランジスタ102は、入力用トランジスタ100よりも前にONバイアスされる。同様に、各プリチャージ用トランジスタ108、110は、各プリチャージ用トランジスタ104、106よりも前にOFFバイアスされる。これに応じて、ノード126での第2内部信号INは、低電圧レベルに向かって下がり始め、その下がり始めの後に、ノード122での第1内部信号IPは、ほぼ同一の低電圧レベルに向かって遷移する。ノード126の第2内部信号INの第4エッジレートは、ノード122の第1内部信号IPの第3エッジレートよりも大きい。
【0076】
再生出力信号路34aでの再生出力信号ROUTPにおける高電圧レベルを介して、再生用トランジスタ118はONバイアスされ、再生用トランジスタ114はOFFバイアスされる。ノード126での第2内部信号INが低電圧レベルに遷移するにつれて、再生出力信号路34bでの再生出力信号ROUTNは、低電圧レベルに遷移する。
【0077】
再生出力信号路34bの再生出力信号ROUTPの低電圧レベルは、再生用トランジスタ116をOFFバイアスし、再生用トランジスタ112をONバイアスする。これによって、再生出力信号路34aの再生出力信号ROUTPは、高電圧レベルに維持される。その結果として、出力信号路44aの出力信号SOUTPにおける、より速い第1エッジレートによって、再生出力信号路34aでの再生出力信号ROUTPは高電圧レベルになり、再生出力信号路34bでの再生出力信号ROUTNは低電圧レベルになる。
【0078】
再生出力信号路34aでの再生出力信号ROUTP、および、再生出力信号路34bでの再生出力信号ROUTNのコモンモード電圧レベルは、データ通信路32aの入力信号INPPおよびデータ通信路32bの入力信号INPNの、コモンモード電圧レベルよりも高い。
【0079】
出力信号路44bでの出力信号SOUTNにおける第2エッジレートが、出力信号路44aでの入力信号SOUTPにおける第1エッジレートよりも大きい場合、入力用トランジスタ100は、入力用トランジスタ102よりも前にONバイアスされる。同様に、各プリチャージ用トランジスタ104、106は、各プリチャージ用トランジスタ108、110よりも前にOFFバイアスされる。これに応じて、ノード122での第1内部信号IPは、低電圧レベルに向かって下がり始め、その下がり始めの後に、ノード126での第2内部信号INは、ほぼ同一の低電圧レベルに向かって遷移する。ノード122での第1内部信号IPにおける第3エッジレートは、ノード126での第2内部信号INにおける第4エッジレートよりも大きい。
【0080】
再生出力信号路34bの再生出力信号ROUTNの高電圧レベルを介して、再生用トランジスタ116はONバイアスされ、再生用トランジスタ112はOFFバイアスされる。ノード122での第1内部信号IPが低電圧レベルに遷移するにつれて、再生出力信号路34aの再生出力信号ROUTPは、低電圧レベルに遷移する。再生出力信号路34aの再生出力信号ROUTPの低電圧レベルは、再生用トランジスタ118をOFFバイアスし、再生用トランジスタ114をONバイアスする。
【0081】
これによって、再生出力信号路34bでの再生出力信号ROUTNは、高電圧レベルに維持される。その結果、出力信号路44bの出力信号SOUTNにおける、より速い第2エッジレートによって、再生出力信号路34bでの再生出力信号ROUTNは高電圧レベルになり、再生出力信号路34aでの再生出力信号ROUTPは低電圧レベルになる。
【0082】
再び、再生出力信号路34aの再生出力信号ROUTPおよび再生出力信号路34bの再生出力信号ROUTNの、コモンモード電圧レベルは、データ通信路32aの入力信号INPPおよびデータ通信路32bの入力信号INPNの、コモンモード電圧レベルよりも高い。
【0083】
ノード74におけるクロック信号CLKが高電圧レベルに遷移するにつれて、第1段階処理部40は、プリチャージ期間に入り、出力信号路44aの出力信号SOUTP、および、出力信号路44bの出力信号SOUTNは、上記基準電位の電圧レベルにほぼ等しい低電圧レベルにプリチャージされる。
【0084】
第2段階処理部42は、出力信号路44aの低電圧レベルの出力信号SOUTP、および、出力信号路44bの低電圧レベルの出力信号SOUTNを受信し、各プリチャージ用トランジスタ104、110によって、第1高電圧レベルとほぼ同レベルに、ノード122の第1内部信号IPおよびノード126の第2内部信号INをプリチャージする。
【0085】
同様に、第2段階処理部42は、各プリチャージ用トランジスタ106、108によって、第2高電圧レベルとほぼ同レベルに、再生出力信号路34aの再生出力信号ROUTPおよび再生出力信号路34bの再生出力信号ROUTNをプリチャージする。
【0086】
再生出力信号路34aの高電圧レベルの再生出力信号ROUTP、および、再生出力信号路34bの高電圧レベルの再生出力信号ROUTNは、第1高電圧レベルと第2高電圧レベルとをほぼ等しくする、各再生用トランジスタ116、118をONバイアスする。各再生用トランジスタ112、114は、再生出力信号路34aでの高電圧レベルの再生出力信号ROUTP、および、再生出力信号路34bでの高電圧レベルの再生出力信号ROUTNを介して、OFFバイアスされる。
【0087】
ノード74でのクロック信号CLKの立ち下りエッジによって、データサンプリングが開始される。再生出力信号路34aでの再生出力信号ROUTP、および、再生出力信号路34bでの再生出力信号ROUTNは、ラッチ30のような他の回路によって受信される。ラッチ30は、データ出力路36を介してサブシステムアセンブリ24内の他の回路へに、ラッチされたデータ出力信号を供給している。
【0088】
図5は、ラッチ30の一実施形態を示す論理回路のブロック図である。ラッチ30は、再生出力信号路34を介して、第2段階処理部42に電気的に結合され、データ出力路36を介してサブシステムアセンブリ24に電気的に結合されている。ラッチ30は、再生出力信号路34を介して、再生出力信号路34aの再生出力信号ROUTPおよび再生出力信号路34bの再生出力信号ROUTNを受信し、データ出力路36aでのデータ出力信号DOUT、および、データ出力路36bでの、上記データ出力信号DOUTが反転したデータバー出力信号DOUTBを、データ出力路36を介して、サブシステムアセンブリ24に供給している。
【0089】
ラッチ30は、第1NANDゲート140および第2NANDゲート142を含む。第1NANDゲート140の出力部は、データ出力路36aにおいて、第2NANDゲート142の入力部に電気的に結合されている。第2NANDゲート142の出力部は、データ出力路36bにて、第1NANDゲート140の入力部に電気的に結合されている。
【0090】
第1NANDゲート140は、再生出力信号路34bの再生出力信号ROUTN、および、データ出力路36bのデータバー出力信号DOUTBを受信し、データ出力路36aのデータ出力信号DOUTを供給する。第2NANDゲート142は、再生出力信号路34aの再生出力信号ROUTP、および、データ出力路36aのデータ出力信号DOUTを受信し、データ出力路36bのデータバー出力信号DOUTBを供給する。
【0091】
動作中、再生出力信号路34aの再生出力信号ROUTP、および、再生出力信号路34bの再生出力信号ROUTNは、ほぼ同一の高電圧レベルにプリチャージされる。このプリチャージの期間中、ラッチ30は、データ出力路36aのデータ出力信号DOUT、および、データ出力路36bのデータバー出力信号DOUTBの値を保持する。
【0092】
データ出力路36aのデータ出力信号DOUTが低電圧レベルである場合、データ出力路36bのデータバー出力信号DOUTBは、高電圧レベルである。同様に、データ出力路36aのデータ出力信号DOUTが高電圧レベルである場合、データ出力路36bのデータバー出力信号DOUTBは、低電圧レベルである。
【0093】
ノード74におけるクロック信号CLKが低電圧レベルに遷移した後、再生出力信号路34aの再生出力信号ROUTP、および、再生出力信号路36bの再生出力信号ROUTNのいずれか一方は、低電圧レベルに遷移し、他方は、高電圧レベルを保持する。
【0094】
この評価期間中、ラッチ30は、データ出力路36aのデータ出力信号DOUTおよびデータ出力路36bのデータバー出力信号DOUTBにてラッチする。再生出力信号路34bの再生出力信号ROUTNが低電圧レベルに遷移し、再生出力信号路34aの再生出力信号ROUTPが高電圧レベルを保持する場合、データ出力路36aのデータ出力信号DOUTは、高電圧レベルに設定され、データ出力路36bのデータバー出力信号DOUTBは、低電圧レベルに設定される。
【0095】
再生出力信号路34aの再生出力信号ROUTPが低電圧レベルに遷移し、再生出力信号路34bの再生出力信号ROUTNが高電圧レベルを保持する場合、データ出力路36bのデータバー出力信号DOUTBは、高電圧レベルに設定され、データ出力路36aのデータ出力信号DOUTは、低電圧レベルに設定される。
【0096】
ノード74におけるクロック信号CLKが高電圧レベルに遷移するにつれて、第1段階処理部40および第2段階処理部42は、上記プリチャージ期間に入り、ラッチ30は、データ出力路36aのデータ出力信号DOUTおよびデータ出力路36bのデータバー出力信号DOUTBの値を保持する。ノード74におけるクロック信号CLKの立ち下りエッジによって、データサンプリングが始まる。
【0097】
図6は、データサンプラ28およびラッチ30の一実施形態の動作を示すタイミングチャートである。データサンプラ28の第1段階処理部40は、データ通信路32を介して、波形200の差動入力信号INPPおよび波形202の差動入力信号INPNをそれぞれ受信する。同様に、第1段階処理部40は、波形204のクロック信号CLKを受信し、出力信号路44を介して、波形206の出力信号SOUTPおよび波形208の出力信号SOUTNを供給する。波形210のSOUTP−SOUTNの差は、波形206のSOUTPと波形208のSOUTNとの間の差である。
【0098】
第2段階処理部42は、第1段階処理部40から、出力信号路44を介して、波形206の出力信号SOUTP、および、波形208の出力信号SOUTNを受信し、波形212の第1内部信IP、および、波形214の第2内部信号INを供給する。波形216のIP−INの差は、波形212のIPと波形214のINとの間の差である。
【0099】
第2段階処理部42は、再生出力信号路34を介して、ラッチ30に、波形218の再生出力信号ROUTP、および、波形220の再生出力信号ROUTNを供給する。ラッチ30は、再生出力信号路34を介して、波形218の再生出力信号ROUTPおよび波形220の再生出力信号ROUTNを受信し、データ出力路36を介して、サブシステムアセンブリ24に、波形222のデータ出力信号DOUT、およびそれを反転させた、波形224のデータバー出力信号DOUTBを供給する。
【0100】
プリチャージ期間では、波形204のクロック信号CLKは、時点226において、高電圧レベルであり、これによって、評価用トランジスタ64をOFFバイアスし、各プリチャージ用トランジスタ66、68をONバイアスする。波形206の出力信号SOUTPおよび波形208の出力信号SOUTNは、各プリチャージ用トランジスタ66、68によって、時点228において低電圧レベルにプリチャージされる。波形210のSOUTP−SOUTNの差は、時点230において、ほぼ0である。
【0101】
第2段階処理部42は、波形206の低電圧レベルの出力信号SOUTP、および、波形208の低電圧レベルの出力信号SOUTNを受信する。これらの出力信号は、各入力用トランジスタ100、102をOFFバイアスし、各プリチャージ用トランジスタ104、106、108、110をONバイアスする。
【0102】
波形212の第1内部信号IP、および、波形214の第2内部信号INは、各プリチャージ用トランジスタ104、110によって、時点232において、ほぼ同一の高電圧レベルにプリチャージされる。波形216のIP−INの差は、時点234において、ほぼ0である。同様に、波形218の再生出力信号ROUTPおよび波形220の再生出力信号ROUTNは、各プリチャージ用トランジスタ106、108によって、時点236において、ほぼ同一の高電圧レベルにプリチャージされる。
【0103】
ラッチ30は、波形218の再生出力信号ROUTP、および、波形220の再生出力信号ROUTNの高電圧レベルを受信し、波形222のデータ出力信号DOUTおよび波形224のデータバー出力信号DOUTBの値を保持する。波形222のデータ出力信号DOUTが、低電圧レベルである場合、波形224のデータバー出力信号DOUTBは、高電圧レベルである。同様に、波形222のデータ出力信号DOUTが、高電圧レベルである場合、波形224のデータバー出力信号DOUTBは、低電圧レベルである。
【0104】
時点238において、204のクロック信号CLKの立下りエッジは、評価期間をトリガする。波形204のクロック信号CLKが、時点238において低電圧レベルに遷移するにつれて、各プリチャージ用トランジスタ66、68はOFFバイアスされ、評価用トランジスタ64はONバイアスされる。波形200のINPPは、波形202のINPNよりも高い電圧レベルであり、これによって、入力用トランジスタ60だけでなく、入力用トランジスタ62も、ONバイアスされることになる。
【0105】
波形206の出力信号SOUTPは、入力用トランジスタ60によって、時点240にて示される、より速い、第1エッジレートにおいて、高電圧レベルまで立ち上がる。波形208の出力信号SOUTNは、入力用トランジスタ62によって、時点242にて示される、より遅い第2エッジレートにおいて、高電圧レベルまで立ち上がる。波形210のSOUTP−SOUTNの差は、時点244にて示されるパルスとなる。
【0106】
波形206の出力信号SOUTPにおける時点240の第1エッジレートは、波形208の出力信号SOUTNにおける時点242の第2エッジレートよりも大きく(一方の電位から他方の電位への変化率が大きく)、入力用トランジスタ102は、入力用トランジスタ100よりも前にONバイアスされる。
【0107】
同様に、各プリチャージ用トランジスタ108、110は、各プリチャージ用トランジスタ104、106よりも前にOFFバイアスされる。これに応じて、波形214の第2内部信号INは、最初に、時点246において、低電圧レベルに向かって立ち下がり始め、波形212の第1内部信号IPは、次に、時点248において、ほぼ同一の低電圧レベルに向かって遷移する。
【0108】
波形214の第2内部信号INにおける、時点246での第4エッジレートは、波形212の第1内部信号IPにおける時点248での第3エッジレートよりも大きい。波形216のIP−INの差は、時点250でのパルスとなり、上記時点250でのパルスの振幅(極大値の絶対値)は、前記時点244のパルスの振幅(極大値の絶対値)よりも1振幅分大きい。
【0109】
波形214の第2内部信号INが、時点246において、低電圧レベルに遷移するにつれて、波形220の再生出力信号ROUTNは、時点252において、低電圧レベルに遷移する。波形218の再生出力信号ROUTPは、時点254において電位が若干低下し(上記時点254での再生出力信号ROUTNの変化率より小さく変化、すなわち上記時点254での再生出力信号ROUTNの低下率より小さく低下し)、波形220の再生出力信号ROUTNの低電圧レベルによって、再生用トランジスタ116はOFFバイアスされ、再生用トランジスタ112はONバイアスされて、波形218の再生出力信号ROUTPは高電圧レベルに保持される。
【0110】
ラッチ30は、時点252において低電圧レベルに遷移する波形220の再生出力信号ROUTNと、時点254において高電圧レベルを維持している波形218の再生出力信号ROUTPとを受信する。
【0111】
波形222のデータ出力信号DOUTは、時点256において、高電圧レベルとなるように設定され、波形224のデータバー出力信号DOUTBは、時点258において、低電圧レベルとなるように設定されている。
【0112】
波形200のINPPが高電圧レベルであることによって、結果として、波形222のデータ出力信号DOUTは、時点256において高電圧レベルとなり、波形224のデータバー出力信号DOUTBは、時点258において低電圧レベルとなる。
【0113】
波形200の入力信号INPPは、時点260において、より低い電圧レベルに切り替り、波形202の入力信号INPNは、時点262において、より高い電圧レベルに切り替る。波形204のクロック信号CLKは、時点264において、高電圧レベルに遷移し、データサンプラ28は、プリチャージ期間に入る。
【0114】
評価用トランジスタ64は、OFFバイアスされ、各プリチャージ用トランジスタ66、68は、波形206のプリチャージ出力信号SOUTPおよび波形208のプリチャージ出力信号SOUTNにONバイアスされ、時点266において、低電圧レベルになる。
【0115】
第2段階処理部42は、波形212の第1内部信号IP、および、波形214の第2内部信号INを、時点268において、ほぼ同一の高電圧レベルにプリチャージする。さらに、第2段階処理部42は、波形218の再生出力信号ROUTP、および、波形220の再生出力信号ROUTNを、時点270において、ほぼ同一の高電圧レベルにプリチャージする。
【0116】
ラッチ30は、波形222のデータ出力信号DOUTの時点256における高電圧レベル、および、波形224のデータバー出力信号DOUTBにおける時点258の低電圧レベルを保持する。波形204のクロック信号CLKの時点272における立ち下りエッジによって、データサンプリングが始まる。
【0117】
波形204のクロック信号CLKが、時点272において、低電圧レベルに遷移するにつれて、各プリチャージ用トランジスタ66、68は、OFFバイアスされ、評価用トランジスタ64は、ONバイアスされる。波形200のINPPは、時点260において、より低い電圧レベルであり、波形202のINPNは、時点262において、より高い電圧レベルである。
【0118】
その結果、入力用トランジスタ62は、入力用トランジスタ60より、さらに大きくONバイアスされる。波形208の出力信号SOUTNは、時点274での、より速い第1エッジレートにおいて、高電圧レベルまで立ち上がる。波形206の出力信号SOUTPは、時点276での、より遅い第2エッジレートにおいて、高電圧レベルまで立ち上がる。このときの、波形210のSOUTP−SOUTNの差は、時点278にて示す負のパルス(低電位側に凸形状のパルス)である。
【0119】
波形208の出力信号SOUTNにおける時点274での第2エッジレートは、波形206の出力信号SOUTPにおける時点276での第1エッジレートよりも大きく、入力用トランジスタ100は、入力用トランジスタ102よりも前にONバイアスされる。
【0120】
同様に、各プリチャージ用トランジスタ104、106は、各プリチャージ用トランジスタ108、110より前にOFFバイアスされる。これに応じて、波形212の第1内部信号IPは、時点280において低電圧レベルに向かって立ち下がり始め、その後、波形214の第2内部信号INは、時点282においてほぼ同一の低電圧レベルに向かって遷移する。
【0121】
波形212の第1内部信号IPにおける時点280での第3エッジレートは、波形214の第2内部信号INにおける時点282の第4エッジレートよりも大きい。波形216のIP−INの差は、時点284にて示される負のパルスであり、上記負のパルスの振幅(極大値の絶対値)は、前記時点278での負のパルスの振幅(極大値の絶対値)よりも1振幅分大きい。
【0122】
波形212の第1内部信号IPが、時点280において低電圧レベルに遷移するにつれて、波形218の再生出力信号ROUTPは、時点286において、低電圧レベルに遷移する。波形220の再生出力信号ROUTNは、時点288において、前述の時点254と同様に、若干低下し、波形218の再生出力信号ROUTPにおける低電圧レベルは、再生用トランジスタ118をOFFバイアスし、再生用トランジスタ114をONバイアスして、波形220の再生出力信号ROUTPを高電圧レベルに保持する。
【0123】
ラッチ30は、時点286において低電圧レベルに遷移する波形218の再生出力信号ROUTPと、時点288においても高電圧レベルを保持している波形220の再生出力信号ROUTNとをそれぞれ受信する。
【0124】
波形224のデータバー出力信号DOUTBは、時点290において、高電圧レベルとなるように設定され、波形222のデータ出力信号DOUTは、時点292において、低電圧レベルとなるように設定されている。波形200のINPPが時点260において低電圧レベルであること、および、波形202のINPNが時点262において高電圧レベルであることによって、結果として、波形222のデータ出力信号DOUTが、時点292において低電圧レベルとなり、波形224のデータバー出力信号DOUTBが、時点290において高電圧レベルとなる。
【0125】
波形200の入力信号INPPは、時点294において、より高い電圧レベルに切り替り、波形202の入力信号INPNは、時点296において、より低い電圧レベルに切り替る。波形204のクロック信号CLKは、時点298において、高電圧レベルに遷移し、データサンプラ28は、上記プリチャージ期間に入る。
【0126】
評価用トランジスタ64は、OFFバイアスされ、各プリチャージ用トランジスタ66、68はONバイアスされて、波形206の出力信号SOUTPおよび波形208の出力信号SOUTNをプリチャージして、時点300において、低電圧レベルにする。
【0127】
第2段階処理部42は、波形212の第1内部信号IP、および、波形214の第2内部信号INを、時点302において、ほぼ同一の高電圧レベルにプリチャージし、第2段階処理部42は、波形218の再生出力信号ROUTP、および、波形220の再生出力信号ROUTNを、時点304において、ほぼ同一の高電圧レベルにプリチャージする。
【0128】
ラッチ30は、波形222のデータ出力信号DOUTにおける時点292での低電圧レベル、および、波形224のデータバー出力信号DOUTBにおける時点290での高電圧レベルを保持する。波形204のクロック信号CLKにおける、次の立ち下りエッジによって、再び、データサンプリングが始まる。
【0129】
図7は、2段階処理のデータサンプラ28の、セットアップ時間Tsuとホールド時間Thとを互いに加算した時間を示す、プロセス・電圧・温度(PVT)のコーナ解析表400である。セットアップ時間Tsuは、データサンプラ28が確実に動作するために、ノード74におけるクロック信号CLKの立ち下がりエッジの前に、データ通信路32aの入力信号INPPおよびデータ通信路32bの入力信号INPNが、有効になる必要がある時間の総計である。ホールド時間Thは、データサンプラ28が確実に動作するために、ノード74におけるクロック信号CLKの立ち下がりエッジの後に、データ通信路32aの入力信号INPPおよびデータ通信路32bの入力信号INPNを、ホールド(保持)する必要がある時間の総計である。
【0130】
表400では、左側列の最初の2文字は、NMOS装置およびPMOS装置の速度を示している。この場合、最初の文字は、NMOS装置の速度を示し、2番目の文字は、PMOS装置の速度を示している。Tは典型的な(普通の)速度を示し、Sは上記Tと比べて遅い速度を示し、Fは上記Tと比べて速い速度を示している。左側列の最後の4文字は、電圧設定および温度設定を示している。この場合、上記最後の4文字のうちの最初の2文字は、電圧設定を示し、上記最後の4文字のうちの後ろの2文字は、温度設定を示している。TTは1.0ボルトの典型的な電圧設定、または、典型的な温度設定を示し、LVは0.9ボルトの低電圧設定を示し、HVは1.1ボルトの高電圧設定を示し、LTは摂氏0度の低温度設定を示し、HTは摂氏125度の高温度設定を示している。
【0131】
データ通信路32aの入力信号INPP、および、データ通信路32bの入力信号INPNを、160ミリボルト(mv)のピークトゥピーク差動電圧振幅、および、40ピコ秒(ps)の入力エッジレートに設定した。データ転送速度は、0の入力ジッタを伴う、1秒につき8.0ギガビット(Gb/s)である。データ通信路32aの入力信号INPP、および、データ通信路32bの入力信号INPNのコモンモード電圧レベルは、基準電圧VSSに0.25ボルトを加算した電圧である。典型的なVDDは、1.0ボルトであり、最大振幅20メガヘルツ(MHz)から1ギガヘルツ(GHz)までの40mvのノイズを含む。
【0132】
セットアップ時間とホールド時間とを加算したTsu+Thは、コーナ解析表400に示したPVT変動の間、2psから6psまで変動する。PVTパラメータが典型的なNMOS速度、典型的なPMOS速度、典型的な電圧、および、典型的な温度(TT−TTTT)を通常含んでいる行402において、セットアップ時間とホールド時間とを加算したTsu+Thは、最小の2psである。
【0133】
同様に、行404にて示す、遅いNMOS、遅いPMOS、高電圧、および、低温度(SS−HVLT)のコーナにおいて、セットアップ時間とホールド時間とを加算したTsu+Thは、2psである。
【0134】
さらに、行406の、遅いNMOS、速いPMOS、低電圧、および、高温度(SF−LVHT)のコーナにおいて、セットアップ時間とホールド時間とを加算したTsu+Thは、2psである。
【0135】
行408の、遅いNMOS、遅いPMOS、低電圧、および、高温度(SS−LVHT)のコーナにおいて、セットアップ時間とホールド時間とを加算したTsu+Thは、6psである。各行410、412、414、および、416の他のコーナにおいて、セットアップ時間とホールド時間とを加算したTsu+Thは、4psである。
【0136】
データサンプラ28のセットアップ時間とホールド時間とを加算したTsu+Thは、NMOS1段階処理データサンプラのセットアップ時間とホールド時間とを加算した時間の約半分である。1データビットが125psであり、35%データアイが43.75psのデータアイになる8GHzにおいて、セットアップ時間とホールド時間とを加算した時間において6psまで低減させることは、データサンプラ28を採用しているシステムの信頼性を高めることができる。
【0137】
図8は、クロック信号CLKのエッジから、再生出力信号路34aの再生出力信号ROUTPおよび再生出力信号路34bの再生出力信号ROUTN(CLKtoQ)までの時間を示す、PVTコーナ解析表500である。表500では、左側列の最初の2文字は、NMOS装置およびPMOS装置の速度を示している。この場合、最初の文字がNMOSの速度を示し、2番目の文字がPMOS装置の速度を示している。Tは典型的な速度を示し、Sは遅い速度を示し、Fは速い速度を示している。左側列の最後の4文字は、電圧設定および温度設定を示している。この場合、上記最後の4文字のうちの最初の2文字は、電圧設定を示し、上記最後の4文字のうちの後ろの2文字は、温度設定を示している。TTは1.0ボルトの典型的な電圧設定、または、典型的な温度設定を示し、LVは0.9ボルトの低電圧設定を示し、HVは1.1ボルトの高電圧設定を示し、LTは摂氏0度の低温度設定を示し、HTは摂氏125度の高温度設定を示している。
【0138】
データ通信路32aの入力信号INPP、および、データ通信路32bの入力信号INPNを、160ミリボルト(mv)のピークトゥピーク差動電圧振幅、および、40ピコ秒(ps)の入力エッジレートに設定した。データ転送速度は、0の入力ジッタを伴う、1秒につき8.0ギガビット(Gb/s)である。
【0139】
データ通信路32aの入力信号INPP、および、データ通信路32bの入力信号INPNのコモンモード電圧レベルは、基準電圧VSSに0.25ボルトを加算した電圧である。典型的なVDDは、1.0ボルトであり、最大振幅20メガヘルツ(MHz)から1ギガヘルツ(GHz)までの40mvのノイズを含む。負荷は、100フェムトファラッド(fF)である。
【0140】
データサンプラ28のCLKtoQ時間は、コーナ解析表500に示したPVT変動の間、65psから173psまで変動する。行502において、上記CLKtoQ時間は、速いNMOS、速いPMOS、高電圧、および、低温度(FF−HVLT)のコーナにおいて、65psである。行504の、遅いNMOS、遅いPMOS、低電圧、および、高温度(SS−LVHT)のコーナにおいて、CLKtoQ時間は173psである。
【0141】
PVTパラメータが典型的なNMOS速度、典型的なPMOS速度、典型的な電圧、および、典型的な温度(TT−TTTT)を通常含んでいる行506において、CLKtoQ時間は、99.2psである。CLKtoQ時間は、各行408、410、412、414、および、416の他の各コーナにおいて、最小値65psと最大値173psとの間である。データサンプラ28のCLKtoQ時間は、NMOS1段階処理データサンプラのCLKtoQ時間とほぼ同時間である。
【0142】
データサンプラ28は、セットアップ時間とホールド時間とを加算したTsu+Thと、CLKtoQ時間とを低減する。上記CLKtoQ時間は、NMOS1段階処理データサンプラのCLKtoQ時間とほぼ同時間である。
【0143】
同様に、データサンプラ28を配置して、データ通信路32aの入力信号INPPおよびデータ通信路32bの入力信号INPNを受信する。これらの入力信号は、CML信号および他のグランド基準信号のような、低コモンモード電圧レベルを有する。データ通信路32aの入力信号INPPおよびデータ通信路32bの入力信号INPNのコモンモード電圧レベルを上げるために、レベルシフタを用いる必要はない。従って、データサンプラ28は、電力需要を低減させ、低電圧および/低電力のアプリケーションにおいて、特に有効である。
【0144】
本明細書において、特定の実施形態について記述し、説明したが、当業者が、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更および/または様々な同様の実施形態を、ここに記載し、説明した上記特定の実施形態に置き換えてもよいいことは明白であろう。本願は、本明細書において論じた上記特定の実施形態のあらゆる適応または変形を対象とするものである。従って、本発明は、特許請求の範囲およびそれに同様なものによってのみ、限定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】本発明によるコンピュータシステムの一実施形態を示すブロック図である。
【図2】上記コンピュータシステムのデータサンプラの一実施形態を示すブロック図である。
【図3】上記データサンプラの第1段階処理部の一実施形態を示す回路図である。
【図4】上記データサンプラの第2段階処理部の一実施形態を示す回路図である。
【図5】上記データサンプラのラッチの一実施形態を示す回路図である。
【図6】上記データサンプラおよび上記ラッチの、一実施形態の動作を示すタイミングチャートである。
【図7】2つの各段階処理を有する上記データサンプラの、セットアップ時間とホールド時間とを加算した時間の、プロセス、電圧、温度(PVT)コーナ解析表である。
【図8】クロック信号のエッジから上記データサンプラの出力までの時間を示すPVTコーナ解析表である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各差動信号を受信し、上記各差動信号に基づいて、第1出力信号における第1エッジレートを供給し、第2出力信号における第2エッジレートを供給するように構成されている、第1段階処理部と、
上記第1出力信号と上記第2出力信号との間の差を増幅し、各再生出力信号を供給するように構成されている、第2段階処理部とを含み、
上記第2段階処理部は、上記第1エッジレートおよび上記第2エッジレートに基づいて、第1内部信号における第3エッジレートを供給し、第2内部信号における第4エッジレートを供給する、データサンプラ。
【請求項2】
上記第1出力信号および上記第2出力信号は、クロック信号が一方の状態である間に、第1電圧にプリチャージされ、
上記第1内部信号および上記第2内部信号は、プリチャージされた上記第1出力信号とプリチャージされた上記第2出力信号に応じて、第2電圧にプリチャージされている、請求項1に記載のデータサンプラ。
【請求項3】
上記第1出力信号および上記第2出力信号は、上記クロック信号のエッジに応じて、第3電圧に遷移し、
上記第1内部信号および上記第2内部信号は、上記第1出力信号および上記第2出力信号の遷移に応じて、第4電圧に遷移する、請求項2に記載のデータサンプラ。
【請求項4】
上記第1エッジレートと上記第2エッジレートとの間の差は、第1振幅値を有する第1パルスであり、
上記第3エッジレートと上記第4エッジレートとの間の差は、第2振幅値を有する第2パルスであり、上記第2振幅値の絶対値は、上記第1振幅値の絶対値よりも大きい、請求項1に記載のデータサンプラ。
【請求項5】
上記第1段階処理部は、クロック信号の単一のエッジに応じて、上記各差動信号を評価するように構成されている、請求項1に記載のデータサンプラ。
【請求項6】
上記各差動信号は、グランドにより基準化された各差動信号である、請求項1に記載のデータサンプラ。
【請求項7】
各差動信号を受信し、各再生出力信号を供給するように構成されたサンプラを含み、
上記サンプラは、
上記各差動信号を受信し、上記各差動信号に基づいて、第1出力信号および第2出力信号を供給するように構成された第1段階処理部と、
上記第1出力信号および上記第2出力信号を受信し、上記第1出力信号および上記第2出力信号に基づいて、第1内部信号および第2内部信号を供給するように構成された第2段階処理部とを含み、
上記第1出力信号および上記第2出力信号は、クロック信号が一方の状態である間に、第1電圧にプリチャージされ、
上記第1内部信号および上記第2内部信号は、プリチャージされた上記第1出力信号およびプリチャージされた上記第2出力信号に基づいて、第2電圧にプリチャージされる、電子システム。
【請求項8】
上記第1段階処理部は、上記クロック信号のエッジに応じた評価期間の間に、上記第1出力信号と上記第2出力信号の遷移を行うように構成されている、請求項7に記載の電子システム。
【請求項9】
上記第2段階処理部は、上記評価期間の間に、かつ、上記第1出力信号と上記第2出力信号とにおける遷移に応じて、上記第1内部信号と上記第2内部信号の遷移を行うように構成されている、請求項8に記載の電子システム。
【請求項10】
上記第2段階処理部は、上記第1内部信号と上記第2内部信号との間の差に基づいて、上記各再生出力信号を供給するように構成されている、請求項7に記載の電子システム。
【請求項11】
上記各再生出力信号を受信し、少なくとも1つのデータ出力信号を供給するように構成されているラッチを含む、請求項7に記載の電子システム。
【請求項12】
上記第1段階処理部は、上記各差動信号に基づいて、上記第1出力信号における第1エッジレートを供給し、上記第2出力信号における第2エッジレートを供給するように構成されている、請求項7に記載の電子システム。
【請求項13】
上記第2段階処理部は、上記第1エッジレートおよび上記第2エッジレートに基づいて、上記第1内部信号における第3エッジレートを供給し、上記第2内部信号における第4エッジレートを供給するように構成されている、請求項12に記載の電子システム。
【請求項14】
各差動信号を、第1段階処理部にて受信するための手段と、
上記各差動信号に基づいて、上記第1段階処理部から、第1出力信号および第2出力信号を供給するための手段と、
上記第1出力信号および上記第2出力信号を、クロック信号に基づいて、第1電圧にプリチャージするための手段と、
上記第1出力信号および上記第2出力信号を、第2段階処理部において受信するための手段と、
第1内部信号および第2内部信号を、上記第1出力信号および上記第2出力信号に基づいて供給するための手段と、
上記第1内部信号および上記第2内部信号を、プリチャージされた上記第1出力信号およびプリチャージされた上記第2出力信号に基づいて、第2電圧にプリチャージするための手段とを含む、データサンプラ。
【請求項15】
再生出力信号を供給するために、上記第1内部信号と上記第2内部信号との間の差を増幅するための手段と、
少なくとも1つのデータ出力信号を供給するために、上記再生出力信号をラッチするための手段とを含む、請求項14に記載のデータサンプラ。
【請求項16】
第1出力信号および第2出力信号を供給するための上記手段は、
上記各差動信号に基づいて、上記第1出力信号における第1エッジレートを供給し、かつ、上記第2出力信号における第2エッジレートを供給するための手段を有する、請求項14に記載のデータサンプラ。
【請求項17】
第1内部信号および第2内部信号を供給するための上記手段は、
上記第1エッジレートおよび上記第2エッジレートに基づいて、上記第1内部信号における第3エッジレートを供給し、かつ、上記第2内部信号における第4エッジレートを供給するための手段を有する、請求項16に記載のデータサンプラ。
【請求項18】
各差動信号を、第1段階処理部において受信するための手段と、
上記各差動信号に基づいて、第1出力信号における第1エッジレートを供給し、かつ、第2出力信号における第2エッジレートを供給するための手段と、
上記第1出力信号および上記第2出力信号を、第2段階処理部において受信するための手段と、
上記第1エッジレートおよび上記第2エッジレートに基づいて、第1内部信号における第3エッジレートを供給し、かつ、第2内部信号における第4エッジレートを供給するための手段とを含む、データサンプラ。
【請求項19】
第1出力信号における第1エッジレートを供給し、かつ、第2出力信号における第2エッジレートを供給するための上記手段は、
上記第1出力信号および上記第2出力信号を、クロック信号に基づいて、第1電圧にプリチャージするための手段と、
上記第1出力信号および上記第2出力信号を、上記クロック信号のエッジに応じて、第2電圧に遷移させるための手段とを含む、請求項18に記載のデータサンプラ。
【請求項20】
第1内部信号における第3エッジレートを供給し、第2内部信号における第4エッジレートを供給するための上記手段は、
上記第1内部信号および上記第2内部信号を、プリチャージされた上記第1出力信号およびプリチャージされた上記第2出力信号に基づいて、第3電圧にプリチャージするための手段と、
上記第1内部信号および上記第2内部信号を、遷移された上記第1出力信号および遷移された上記第2出力信号に応じて、第4電圧に遷移させるための手段とを含む、請求項19に記載のデータサンプラ。
【請求項21】
各差動信号を、第1段階処理部において受信する工程と、
第1出力信号および第2出力信号を、クロック信号に基づいて、第1電圧にプリチャージする工程と、
第1内部信号および第2内部信号を、プリチャージされた上記第1出力信号およびプリチャージされた上記第2出力信号に基づいて、第2電圧にプリチャージする工程と、
第1出力信号および第2出力信号を、上記各差動信号と上記クロック信号のエッジとに基づいて、遷移させる工程と、
第1出力信号および第2出力信号を、第2段階処理部において受信する工程と、
上記第1内部信号および上記第2内部信号を、上記第1出力信号および上記第2出力信号に基づいて、遷移させる工程とを含む、データ標本化方法。
【請求項22】
各再生出力信号を供給するために、上記第1内部信号と上記第2内部信号との間の差を増幅する工程と、
少なくとも1つのデータ出力信号を供給するために、上記各再生出力信号をラッチする工程とを含む、請求項21に記載のデータ標本化方法。
【請求項23】
第1出力信号および第2出力信号を遷移させる上記工程は、
上記各差動信号に基づいて、上記第1出力信号における第1エッジレートを供給し、かつ、上記第2出力信号における第2エッジレートを供給する工程を含む、請求項21に記載のデータ標本化方法。
【請求項24】
上記第1内部信号および上記第2内部信号を遷移させる上記工程は、
上記第1エッジレートおよび上記第2エッジレートに基づいて、上記第1内部信号にける第3エッジレートを供給し、かつ、上記第2内部信号における第4エッジレートを供給する工程を含む、請求項23に記載のデータ標本化方法。
【請求項25】
各差動信号を、第1段階処理部において受信する工程と、
上記各差動信号に基づいて、第1出力信号における第1エッジレートを供給し、かつ、第2出力信号における第2エッジレートを供給する工程と、
上記第1出力信号および上記第2出力信号を第2段階処理部において受信する工程と、
上記第1エッジレートおよび上記第2エッジレートに基づいて、第1内部信号における第3エッジレートを供給し、かつ、第2内部信号における第4エッジレートを供給する工程とを含む、データ標本化方法。
【請求項26】
第1出力信号における第1エッジレートを供給し、かつ、第2出力信号における第2エッジレートを供給する上記工程は、
上記第1出力信号および上記第2出力信号を、クロック信号に基づいて、第1電圧にプリチャージする工程と、
上記第1出力信号および上記第2出力信号を、クロック信号のエッジに応じて、第2電圧に遷移させる工程とを有する、請求項25に記載のデータ標本化方法。
【請求項27】
第1内部信号における第3エッジレートを供給し、かつ、第2内部信号における第4エッジレートを供給する上記工程は、
プリチャージされた上記第1出力信号およびプリチャージされた上記第2出力信号に応じて、上記第1内部信号および上記第2内部信号を第3電圧にプリチャージする工程と、
遷移された上記第1出力信号および遷移された上記第2出力信号に応じて、上記第1内部信号および上記第2内部信号を第4電圧に遷移させる工程とを含む、請求項26に記載のデータ標本化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−99244(P2008−99244A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−196057(P2007−196057)
【出願日】平成19年7月27日(2007.7.27)
【出願人】(506211850)キモンダ アクチエンゲゼルシャフト (110)
【Fターム(参考)】