筒内直接燃料噴射式エンジンの制御装置
【課題】運転者の制動操作の負担を軽減するとともに、排気性能を向上させることを目的とする。
【解決手段】本発明は、吸入負圧を蓄えるブレーキブースタを備えた筒内直接燃料噴射式エンジンの制御装置であって、ブレーキブースタ内の負圧を検出し、車両の前後傾斜角に基づいて車両停止に必要なブレーキブースタ内の負圧を算出し(S54)、アイドル時のエンジン回転速度が目標アイドル回転速度となるようにスロットル開度を制御し、アイドル時の所定の運転状態のときに点火時期を圧縮上死点以降に設定する超リタード燃焼を行い(S52)、超リタード燃焼中においてブースタ負圧が要求負圧よりも小さいときに超リタード燃焼の点火時期を進角側に補正する(S55,S56)、ことを特徴とする。
【解決手段】本発明は、吸入負圧を蓄えるブレーキブースタを備えた筒内直接燃料噴射式エンジンの制御装置であって、ブレーキブースタ内の負圧を検出し、車両の前後傾斜角に基づいて車両停止に必要なブレーキブースタ内の負圧を算出し(S54)、アイドル時のエンジン回転速度が目標アイドル回転速度となるようにスロットル開度を制御し、アイドル時の所定の運転状態のときに点火時期を圧縮上死点以降に設定する超リタード燃焼を行い(S52)、超リタード燃焼中においてブースタ負圧が要求負圧よりも小さいときに超リタード燃焼の点火時期を進角側に補正する(S55,S56)、ことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は筒内直接燃料噴射式エンジンの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用エンジンの制御装置は、車両停車時にアイドルストップがかかった場合に、ブレーキブースタ内の負圧の絶対値が基準圧より低下したときは、エンジンを始動させて吸入負圧を発生させていた。そして、このときの基準圧を路面勾配に応じて変更し、運転者の制動操作の負担を軽減していた(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−204724号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、アイドル制御が実施されるエンジン始動時に、排気性能を向上させるため点火時期を遅角する場合がある。そうすると、エンジントルクの低下を防止するためにスロットル弁が開かれて、吸入負圧の発生が不十分となるため、傾斜面での停車時などをはじめとして、運転者の制動操作の負担が増加するという問題点があった。
【0004】
本発明はこのような従来の問題点に着目してなされたものであり、運転者の制動操作の負担を軽減しつつ、排気性能を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下のような解決手段によって前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために本発明の実施形態に対応する符号を付するが、これに限定されるものではない。
【0006】
本発明は、吸入負圧を蓄えるブレーキブースタ(40)を備えた筒内直接燃料噴射式エンジン(1)の制御装置であって、前記ブレーキブースタ(40)内の負圧を検出するブースタ負圧検出手段(S1)と、車両の制動に必要な前記ブレーキブースタ(40)内の負圧を算出する要求負圧算出手段(S54)と、アイドル時のエンジン回転速度が目標アイドル回転速度となるようにスロットル開度を制御するアイドル制御手段(S4)と、アイドル時の所定の運転状態のときに、点火時期を圧縮上死点以降に設定するリタード燃焼を行う手段(S52)と、前記リタード燃焼中において、前記ブースタ負圧が前記要求負圧よりも小さいときに、前記リタード燃焼の点火時期を進角側に補正する点火時期補正手段(S55,S56)と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ブースタ負圧が要求負圧より小さいときでもリタード燃焼を行うので、触媒の早期活性化及びハイドロカーボンの排出濃度低減のための後燃え効果を得ることができる。したがって、エンジン冷機時の排気性能の悪化を防止することができる。
【0008】
また、ブースタ負圧が要求負圧より小さければ、点火時期が進角側に補正される。これにより、エンジン回転速度が増加するので、アイドル制御が実施されてスロットル開度が小さくなる。したがって、吸入負圧を増大させることができるので、ブースタ負圧を適切に確保して運転者の制動操作の負担を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面等を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態による筒内直接燃料噴射式エンジン(以下「エンジン」という)1の制御装置の全体システム図である。
【0011】
本実施形態によるエンジン1の制御装置は、エンジン1と、制動装置2と、コントローラ3とを備える。
【0012】
エンジン1は、シリンダブロック20と、シリンダブロック20の頂部を覆うシリンダヘッド10とを備える。
【0013】
シリンダブロック20には、クランクシャフト24が回転可能に支持される。シリンダブロック20には、複数のシリンダ21が形成される。図1では図面の煩雑を防止するため、1つのシリンダのみを記載する。シリンダ21には、ピストン22が摺動自在に嵌合する。ピストン22は、コンロッド23によってクランクシャフト24に連結される。
【0014】
シリンダヘッド10には、燃焼室11の頂壁に開口する吸気通路12と排気通路13とが形成され、燃焼室11の頂壁中心に点火栓14が設けられる。また、シリンダヘッド10には、燃焼室11に直接燃料を噴射する燃料噴射弁15が設けられる。
【0015】
燃料噴射弁15には、高圧燃料ポンプ16及びプレッシャレギュレータ17によって所定圧力に調圧された燃料が、高圧燃料通路18を介して供給される。高圧燃料通路18には、燃料圧力を検出する燃圧センサ31が備えられる。
【0016】
吸気通路12には、上流から順にエアフローメータ121と、電子制御式のスロットル弁122とが設けられる。
【0017】
エアフローメータ121は、エンジン1に吸入される空気の流量(吸気量)を検出する。スロットル弁122は、吸気コレクタ123に流入する空気量を調整する。スロットル弁122は、エンジン運転状態に基づいて、スロットルアクチュエータ124によって開閉駆動される。
【0018】
排気通路13には、排気中の炭化水素や窒素酸化物等の有害物質を取り除く触媒コンバータ131が設けられるとともに、その触媒コンバータ131の上流側及び下流側に空燃比センサ32が設けられる。
【0019】
制動装置2は、ブレーキブースタ40と、マスターシリンダ50とを備える。
【0020】
ブレーキブースタ40は、内部にダイアフラム43で仕切られた第1室41及び第2室42と、プッシュロッド44と備える。
【0021】
第1室41は、大気弁45を介して大気と連通している。第2室42は吸気コレクタ324と連通しており、負圧状態となっている。第1室41と第2室42とは、真空弁46を介して連通している。
【0022】
プッシュロッド44は、ブレーキブースタ40の内部を貫通する。プッシュロッド44の一端はマスターシリンダ50の第2ピストン52に接続され、他端はブレーキペダル47に接続される。プッシュロッド44は、ブレーキペダル47が踏み込まれると図中左側に移動する。これにより、大気弁45及び真空弁46が開閉するとともに、マスターシリンダ50の第1ピストン51及び第2ピストン52がリターンスプリング53a,53bに抗して押し込まれ、油圧が発生する。
【0023】
マスターシリンダ50は、内部に第1ピストン51と第2ピストン52とを備える。
【0024】
第1ピストン51は、両側からリターンスプリング53a,53bによって支持される。リターンスプリング53a,53bの収まっている部分は、それぞれ第1圧力室54及び第2圧力室55を形成する。
【0025】
第1圧力室54及び第2圧力室55は、それぞれブレーキオイルの補給口と圧送口と備える。補給口は、ブレーキオイルが補給されるリザーバタンク56と連通している。圧送口は、図示しないフロントホイールシリンダ又はリヤホイールシリンダと連通している。
【0026】
続いて制動装置2の作用について説明する。
【0027】
ブレーキブースタ40の大気弁45は、ブレーキペダル47が踏み込まれていないときは閉じられている。一方で、真空弁46は開かれている。したがって、ブレーキペダル47が踏み込まれていないときは、第1室41と第2室42とは連通状態となっており、双方の圧力は同じ負圧となっている。
【0028】
この状態からブレーキペダル47を踏み込むと、プッシュロッド44が図中左側に移動して、まず真空弁46が閉じられる。これにより、第1室41と第2室42とは非連通状態となる。
【0029】
さらにブレーキペダル47を踏み込むと、大気弁45が開き第1室41に大気が導入される。これにより、第1室41の圧力は大気圧となる。一方で、第2室42の圧力は、ブレーキペダル47を踏み込む前の負圧のままである。そのため、第1室41と第2室42との間に圧力差が生じ、この差圧がダイアフラム43に作用してプッシュロッド44を移動させるときのアシスト力となる。
【0030】
このようにして、ブレーキブースタ40は、エンジン1の吸入負圧を倍力源として、ブレーキペダル47を操作するために必要な力を軽減する。
【0031】
コントローラ3は、中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、及び入出力インタフェース(I/Oインタフェース)を備えたマイクロコンピュータで構成される。コントローラ3には、前述した燃圧センサ31及び空燃比センサ32の他に、ブレーキブースタ40の第2室42の負圧を検出する負圧センサ33、エンジン1の水温を検出する水温センサ34、エンジン1の回転速度を検出するクランク角センサ35、車両の前後傾斜を計測する傾斜センサ(加速度センサ)36などの各種センサからの信号が入力される。また、コントローラ3には、アクセルペダルが踏み込まれていないとき出力されてアイドル運転中か否かを検出するアイドルスイッチ信号37が入力される。
【0032】
ところで、エンジン冷機時における触媒の早期活性化及びハイドロカーボンの排出濃度低減のためには、点火時期の遅角が有効である。そして、より大きな効果を得るためには、圧縮上死点以降の点火(以下「ATDC点火」という)が有効である。
【0033】
そこで、本発明では、エンジン冷機時のアイドル運転中に、点火時期を圧縮上死点以降に設定するとともに、この点火時期より前でかつ圧縮上死点以降に燃料を噴射する超リタード燃焼を行う。以下では、この超リタード燃焼の点火時期及び燃料噴射時期について、図2を参照して説明する。
【0034】
図2は、超リタード燃焼の点火時期及び燃料噴射時期の一実施例を示した図である。
【0035】
図2に示すように、点火時期は、圧縮上死点以降の10°ATDCから50°ATDCの間の期間に設定される。
【0036】
また、燃料噴射時期は、圧縮行程及び膨張行程に設定され、2回に分けて燃料が噴射される。
【0037】
圧縮行程中に行われる1回目の燃料噴射I1の燃料噴射時期は、その燃料噴射開始時期から点火時期までの期間Bが50°CAから140°CAの間となるように設定される。
【0038】
膨張行程中に行われる2回目の燃料噴射I2の燃料噴射時期は、その燃料噴射開始時期から点火時期までの期間Aが10°CAから20°CAの間となるように設定される。
【0039】
このように、点火時期を10°ATDCから50°ATDCまでの間に設定し、点火時期を大幅に遅角することで、触媒の早期活性化及びハイドロカーボンの排出濃度低減のための十分な後燃え効果を得ることができる。
【0040】
また、ATDC点火で燃焼を安定させるには、燃焼期間を短縮させる必要がある。そのためには、筒内乱れを強化して燃焼速度(火炎伝播速度)を上昇させる必要がある。筒内乱れは、筒内に高圧で噴射される燃料噴霧のエネルギによって生成・強化することができる。
【0041】
ここで、本実施形態において、圧縮上死点前の圧縮行程中に行われた1回目の燃料噴射I1によって生じた筒内乱れは、圧縮上死点以降に徐々に減衰していく。しかし、本実施形態では、この1回目の燃料噴射I1によって生じた筒内乱れが残っている圧縮上死点後の膨張行程中に2回目の燃料噴射I2が行われる。そのため、1回目の燃料噴射I1で生成した筒内乱れを強化することができる。
【0042】
したがって、点火時期を大幅に遅角しても、その直前に燃料を噴射して筒内乱れを強化して、燃焼速度を上昇させるので、燃焼を安定させることができる。
【0043】
図3は、超リタード燃焼時に燃焼室内に形成される混合気の状態を示す図である。
【0044】
図3に示すように、圧縮行程中に行われる1回目の燃料噴射I1によって、点火栓14の近傍に理論空燃比よりもリッチな第1混合気塊101が形成される。そして、膨張行程中に行われる2回目の燃料噴射I2によって、燃料噴射I1によって形成された第1混合気塊101の内部に、さらにリッチな第2混合気塊102が形成される。第1混合気塊101の外側には、燃料が拡散していない新気の層103が形成される。燃焼室11の全体の空燃比は、理論空燃比よりも若干リーン(16〜17程度)となるように設定される。これにより、ハイドロカーボンの後燃えに必要な酸素を確保している。
【0045】
このように成層化された状態で点火栓によって第2混合気塊102が点火され、超リタード燃焼が行われる。
【0046】
ところで、アイドル運転中は、燃焼方式が通常の成層燃焼や均質燃焼であるか超リタード燃焼であるかにかかわらず、エンジン回転速度が目標アイドル回転速度となるようにスロットル弁122の開度がフィードバック制御される。なお、ここでいう通常の成層燃焼とは、圧縮行程中に燃料を噴射し、点火栓14の近傍に燃料を偏在させた状態で混合気を圧縮上死点前に点火することによって行われる燃焼のことをいう。均質燃焼とは、吸気行程中に燃料を噴射し、空燃比が均一の混合気を燃焼室全体に形成してから点火することによって行われる燃焼のことをいう。
【0047】
超リタード燃焼を行うと、点火時期の遅角によってエンジントルクが低下するので、エンジン回転速度も低下する。したがって、アイドル運転中に超リタード燃焼が行われると、吸入空気量を増加させてエンジントルクの低下を防止するため、スロットル弁122が開かれる。
【0048】
そのため、超リタード燃焼時には、吸気コレクタ123の負圧が低下する。つまり、吸気コレクタ123の圧力が大気圧に近づく。ブレーキブースタ40は、吸気コレクタ123の負圧を倍力源として、運転者がブレーキペダル47を操作するために必要な力を軽減している。したがって、吸気コレクタ123の負圧が低下すると、運転者がブレーキペダル47を操作するために必要な力が増加してしまい、ブレーキ性能が低下する。
【0049】
そこで、本実施形態では、超リタード燃焼でのアイドル運転中に、車両の前後傾斜角(路面勾配)αに基づいて、車両停車に必要なブースタ負圧の要求値(以下「要求負圧」という)Pαを算出する。そして、実ブースタ負圧Pbが要求負圧Pαより小さいときは、超リタード燃焼を行える範囲で、点火時期を超リタード燃焼の点火時期より進角させる。これにより、エンジントルクが増加するので、エンジン回転速度も増加する。そうすると、アイドル制御によってスロットル弁122が閉じられるので、吸気コレクタ123の負圧が増加する。したがって、運転者のブレーキ操作の負担を軽減できるとともに、超リタード燃焼による排気性能の向上を図ることができる。
【0050】
図4は、本実施形態によるアイドル運転中の超リタード燃焼移行制御について説明するフローチャートである。コントローラ3は、このルーチンを所定の演算周期で繰り返し実行する。
【0051】
ステップS1において、コントローラ3は、各種センサからの信号を読み込む。具体的には、水温センサ34によって検出されたエンジン水温、燃圧センサ31によって検出された燃料圧力、傾斜センサ35によって検出された車両の前後傾斜角α、負圧センサ33によって検出されたブースタ負圧Pbを読み込む。
【0052】
ステップS2において、コントローラ3は、成層始動が可能か否かを判定する。具体的には、エンジン水温が所定温度より大きいかを判定する。また、燃料圧力が所定圧力より大きいかを判定する。コントローラ3は、エンジン水温及び燃料圧力がそれぞれ所定値より大きければステップS3に処理を移行し、小さければステップS6に処理を移行する。
【0053】
ステップS3において、コントローラ3は、通常の成層燃焼でエンジンを始動する。
【0054】
ステップS4において、コントローラ3は、アイドル運転中か否かを判定する。具体的には、アイドルスイッチ信号37の出力の有無を判定する。コントローラ3は、アイドルスイッチ信号37の出力があればステップS5に処理を移行し、出力がなければ今回の処理を終了する。
【0055】
ステップS5において、コントローラ3は、超リタード燃焼移行判定処理を実行する。具体的な内容は図5を参照して後述する。
【0056】
ステップS6において、コントローラ3は、均質燃焼でエンジンを始動する。
【0057】
図5は、超リタード燃焼移行判定処理を示すフローチャートである。
【0058】
ステップS51において、コントローラ3は、超リタード燃焼要求の有無を判定する。すなわち、エンジン冷機時であって、触媒コンバータ131の早期昇温要求があるか否かを判定する。具体的には、エンジン水温が所定温度より小さいか否かを判定する。コントローラ3は、エンジン水温が所定温度より小さければステップS52に処理を移行し、大きければ今回の処理を終了する。
【0059】
ステップS52において、コントローラ3は、燃焼方式を超リタード燃焼に移行する。具体的には、点火時期を10°〜50°ATDCに設定するとともに、この点火時期より前でかつ圧縮上死点以降に燃料を噴射する。
【0060】
ステップS53において、コントローラ3は、パーキングブレーキが作動しているか否かを判定する。コントローラ3は、パーキングブレーキが作動していれば今回の処理を終了する。パーキングブレーキが作動していれば、超リタード燃焼に移行してブレーキ性能が低下しても、車両の制動状態は維持されるためである。一方で、パーキングブレーキが作動していなければステップS54に処理を移行する。
【0061】
ステップS54において、コントローラ3は、検出した車両の前後傾斜角αに基づいて、あらかじめROMに格納された図6に示す特性のテーブルから要求負圧Pαを決定する。図6は、車両の前後傾斜角αから要求負圧Pαを設定するテーブルである。図6に示すように、車両の前後傾斜角αが大きくなるほど要求負圧Pαは大きくなる。
【0062】
ステップS55において、コントローラ3は、ブースタ負圧Pbが要求負圧Pαより大きいか否かを判定する。コントローラ3は、ブースタ負圧Pbが要求負圧Pαより大きければ、今回の処理を終了する。一方で、ブースタ負圧Pbが要求負圧Pαより小さければ、十分なブレーキ性能を発揮できなくなるためステップS56に処理を移行する。
【0063】
ステップS56において、コントローラ3は、ブースタ負圧Pbに基づいて、点火時期を進角側に補正する。具体的には、要求負圧Pαの絶対値とブースタ負圧Pbの絶対値との差(|Pα|−|Pb|)に基づいて、あらかじめROMに格納された図7に示す特性のテーブルから進角側に補正した点火時期を決定する。図7は、要求負圧Pαの絶対値とブースタ負圧Pbの絶対値との差から進角側に補正した点火時期を決定するテーブルである。図7に示すように、補正量は、要求負圧Pαの絶対値とブースタ負圧Pbの絶対値との差が大きいほど大きくなる。なお、このときの補正量は、ブースタ負圧Pbを要求負圧Pαにするために最低限必要な補正量となっている。すなわち、補正された点火時期は、スロットル弁122を、ブースタ負圧Pbを要求負圧Pαにするために必要なスロットル開度に制御したときに、アイドル回転の維持が可能なエンジントルクを発生できる点火時期となっている。
【0064】
これにより、ブレーキ性能の低下を防止するとともに、排気性能の悪化を最小限に抑えることができる。
【0065】
以上説明した本実施形態によれば、超リタード燃焼に移行したとき、ブースタ負圧Pbが要求負圧Pαよりも小さければ、ブースタ負圧Pbが要求負圧Pαとなるように点火時期を進角側に補正する。
【0066】
このように、ブースタ負圧Pbが要求負圧Pαより小さいときでも超リタード燃焼を行うので、触媒の早期活性化及びハイドロカーボンの排出濃度低減のための後燃え効果を得ることができる。したがって、エンジン冷機時の排気性能の悪化を防止することができる。
【0067】
また、ブースタ負圧Pbが要求負圧Pαより小さければ、ブースタ負圧Pbが要求負圧Pαとなるように点火時期が進角側に補正される。そうすると、エンジン回転速度が増加するので、アイドル制御が実施されてスロットル弁122が閉じられる。これにより、吸入負圧が増大するので、運転者の制動操作の負担を軽減することができる。
【0068】
さらに、パーキングブレーキが作動している場合は、ブースタ負圧Pbが要求負圧Pαより小さいときでも、点火時期を進角補正することなく超リタード燃焼を行うので、エンジン冷機時の排気性能の悪化を最小限に抑えることができる。
【0069】
(第2実施形態)
次に、図8を参照して本発明の第2実施形態について説明する。本発明の第2実施形態は、ブースタ負圧Pbが要求負圧Pαより小さいときは、超リタード燃焼への移行を禁止する点で第1実施形態と相違する。以下、その相違点を中心に説明する。なお、以下に示す各実施形態では前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を用いて重複する説明を適宜省略する。
【0070】
図8は、本発明の第2実施形態による超リタード燃焼移行判定処理を示すフローチャートである。
【0071】
第1実施形態では、ステップS51で超リタード燃焼要求の有無を判定し、要求があれば次のステップで燃焼方式を超リタード燃焼に移行していた。
【0072】
これに対して本実施形態では、ステップS51で超リタード燃焼要求の有無を判定し、要求があったときでも、次のステップで燃焼方式を超リタード燃焼に移行せず、ステップS53からS55の処理を実行する。各ステップでの処理内容は第1実施形態と同様なので、ここでは説明は省略する。
【0073】
そして、パーキングブレーキが作動しているときと(ステップS53でYes)、ブースタ負圧Pbが要求負圧Pαより大きいときは(ステップS55でYes)、ステップS252に処理を移行して、燃焼方式を超リタード燃焼に移行する。
【0074】
一方で、ブースタ負圧Pbが要求負圧Pαより小さければ(ステップS55でNo)、燃焼方式を超リタード燃焼に移行せずに今回の処理を終了する。
【0075】
以上説明した本実形態によれば、ブースタ負圧Pbが要求負圧Pαより小さいときは、超リタード燃焼への移行を禁止する。これにより、吸気コレクタ内の負圧の低下を防止できるので、運転者の制動操作の負担を軽減することができる。
【0076】
また、ブースタ負圧Pbが要求負圧Pαより大きいときは、超リタード燃焼を行うので、排気性能の悪化を抑制することができる。
【0077】
(第3実施形態)
次に、図9を参照して本発明の第3実施形態について説明する。本発明の第3実施形態は、超リタード燃焼を行っているときに、ブースタ負圧Pbが要求負圧Pαより小さければ、所定の角度ずつ点火時期を進角させる点で第1実施形態と相違する。以下、その相違点を中心に説明する。
【0078】
図9は、本発明の第3実施形態による超リタード燃焼移行判定処理を示すフローチャートである。
【0079】
第1実施形態では、ステップS55でブースタ負圧Pbが要求負圧Pαより小さいと判定したときは、ステップS56において、図7に示したテーブルに基づいて点火時期を進角させていた。
【0080】
これに対して本実施形態では、図9に示すように、ステップS55でブースタ負圧Pbが要求負圧Pαより小さいと判定したときは、ステップS356において、所定の角度ずつ点火時期を進角させる。これにより、アイドル制御が実行されて徐々にスロットル弁122が閉じられていくので、ブースタ負圧Pbを要求負圧Pαにすることができる。したがって、運転者の制動操作の負担を軽減することができる。
また、超リタード燃焼を行うので排気性能を向上させることができる。
【0081】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】筒内直接燃料噴射式エンジンの制御装置の全体システム図である。
【図2】超リタード燃焼の点火時期及び燃料噴射時期の一実施例を示した図である。
【図3】超リタード燃焼時に燃焼室内に形成される混合気の状態を示す図である。
【図4】エンジン始動時の超リタード燃焼移行制御について説明するフローチャートである。
【図5】本発明の第1実施形態による超リタード燃焼移行判定処理を示すフローチャートである。
【図6】車両の前後傾斜角から要求負圧を設定するテーブルである。
【図7】要求負圧の絶対値とブースタ負圧の絶対値との差から進角側に補正した点火時期を決定するテーブルである。
【図8】本発明の第2実施形態による超リタード燃焼移行判定処理を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第3実施形態による超リタード燃焼移行判定処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0083】
1 筒内直接燃料噴射式エンジン
40 ブレーキブースタ
122 スロットル弁
131 触媒コンバータ
S1 ブレーキブースタ負圧検出手段
S1 前後傾斜角検出手段
S52 超リタード燃焼手段
S54 要求負圧算出手段
S56 点火時期補正手段
【技術分野】
【0001】
本発明は筒内直接燃料噴射式エンジンの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用エンジンの制御装置は、車両停車時にアイドルストップがかかった場合に、ブレーキブースタ内の負圧の絶対値が基準圧より低下したときは、エンジンを始動させて吸入負圧を発生させていた。そして、このときの基準圧を路面勾配に応じて変更し、運転者の制動操作の負担を軽減していた(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−204724号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、アイドル制御が実施されるエンジン始動時に、排気性能を向上させるため点火時期を遅角する場合がある。そうすると、エンジントルクの低下を防止するためにスロットル弁が開かれて、吸入負圧の発生が不十分となるため、傾斜面での停車時などをはじめとして、運転者の制動操作の負担が増加するという問題点があった。
【0004】
本発明はこのような従来の問題点に着目してなされたものであり、運転者の制動操作の負担を軽減しつつ、排気性能を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下のような解決手段によって前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために本発明の実施形態に対応する符号を付するが、これに限定されるものではない。
【0006】
本発明は、吸入負圧を蓄えるブレーキブースタ(40)を備えた筒内直接燃料噴射式エンジン(1)の制御装置であって、前記ブレーキブースタ(40)内の負圧を検出するブースタ負圧検出手段(S1)と、車両の制動に必要な前記ブレーキブースタ(40)内の負圧を算出する要求負圧算出手段(S54)と、アイドル時のエンジン回転速度が目標アイドル回転速度となるようにスロットル開度を制御するアイドル制御手段(S4)と、アイドル時の所定の運転状態のときに、点火時期を圧縮上死点以降に設定するリタード燃焼を行う手段(S52)と、前記リタード燃焼中において、前記ブースタ負圧が前記要求負圧よりも小さいときに、前記リタード燃焼の点火時期を進角側に補正する点火時期補正手段(S55,S56)と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ブースタ負圧が要求負圧より小さいときでもリタード燃焼を行うので、触媒の早期活性化及びハイドロカーボンの排出濃度低減のための後燃え効果を得ることができる。したがって、エンジン冷機時の排気性能の悪化を防止することができる。
【0008】
また、ブースタ負圧が要求負圧より小さければ、点火時期が進角側に補正される。これにより、エンジン回転速度が増加するので、アイドル制御が実施されてスロットル開度が小さくなる。したがって、吸入負圧を増大させることができるので、ブースタ負圧を適切に確保して運転者の制動操作の負担を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面等を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態による筒内直接燃料噴射式エンジン(以下「エンジン」という)1の制御装置の全体システム図である。
【0011】
本実施形態によるエンジン1の制御装置は、エンジン1と、制動装置2と、コントローラ3とを備える。
【0012】
エンジン1は、シリンダブロック20と、シリンダブロック20の頂部を覆うシリンダヘッド10とを備える。
【0013】
シリンダブロック20には、クランクシャフト24が回転可能に支持される。シリンダブロック20には、複数のシリンダ21が形成される。図1では図面の煩雑を防止するため、1つのシリンダのみを記載する。シリンダ21には、ピストン22が摺動自在に嵌合する。ピストン22は、コンロッド23によってクランクシャフト24に連結される。
【0014】
シリンダヘッド10には、燃焼室11の頂壁に開口する吸気通路12と排気通路13とが形成され、燃焼室11の頂壁中心に点火栓14が設けられる。また、シリンダヘッド10には、燃焼室11に直接燃料を噴射する燃料噴射弁15が設けられる。
【0015】
燃料噴射弁15には、高圧燃料ポンプ16及びプレッシャレギュレータ17によって所定圧力に調圧された燃料が、高圧燃料通路18を介して供給される。高圧燃料通路18には、燃料圧力を検出する燃圧センサ31が備えられる。
【0016】
吸気通路12には、上流から順にエアフローメータ121と、電子制御式のスロットル弁122とが設けられる。
【0017】
エアフローメータ121は、エンジン1に吸入される空気の流量(吸気量)を検出する。スロットル弁122は、吸気コレクタ123に流入する空気量を調整する。スロットル弁122は、エンジン運転状態に基づいて、スロットルアクチュエータ124によって開閉駆動される。
【0018】
排気通路13には、排気中の炭化水素や窒素酸化物等の有害物質を取り除く触媒コンバータ131が設けられるとともに、その触媒コンバータ131の上流側及び下流側に空燃比センサ32が設けられる。
【0019】
制動装置2は、ブレーキブースタ40と、マスターシリンダ50とを備える。
【0020】
ブレーキブースタ40は、内部にダイアフラム43で仕切られた第1室41及び第2室42と、プッシュロッド44と備える。
【0021】
第1室41は、大気弁45を介して大気と連通している。第2室42は吸気コレクタ324と連通しており、負圧状態となっている。第1室41と第2室42とは、真空弁46を介して連通している。
【0022】
プッシュロッド44は、ブレーキブースタ40の内部を貫通する。プッシュロッド44の一端はマスターシリンダ50の第2ピストン52に接続され、他端はブレーキペダル47に接続される。プッシュロッド44は、ブレーキペダル47が踏み込まれると図中左側に移動する。これにより、大気弁45及び真空弁46が開閉するとともに、マスターシリンダ50の第1ピストン51及び第2ピストン52がリターンスプリング53a,53bに抗して押し込まれ、油圧が発生する。
【0023】
マスターシリンダ50は、内部に第1ピストン51と第2ピストン52とを備える。
【0024】
第1ピストン51は、両側からリターンスプリング53a,53bによって支持される。リターンスプリング53a,53bの収まっている部分は、それぞれ第1圧力室54及び第2圧力室55を形成する。
【0025】
第1圧力室54及び第2圧力室55は、それぞれブレーキオイルの補給口と圧送口と備える。補給口は、ブレーキオイルが補給されるリザーバタンク56と連通している。圧送口は、図示しないフロントホイールシリンダ又はリヤホイールシリンダと連通している。
【0026】
続いて制動装置2の作用について説明する。
【0027】
ブレーキブースタ40の大気弁45は、ブレーキペダル47が踏み込まれていないときは閉じられている。一方で、真空弁46は開かれている。したがって、ブレーキペダル47が踏み込まれていないときは、第1室41と第2室42とは連通状態となっており、双方の圧力は同じ負圧となっている。
【0028】
この状態からブレーキペダル47を踏み込むと、プッシュロッド44が図中左側に移動して、まず真空弁46が閉じられる。これにより、第1室41と第2室42とは非連通状態となる。
【0029】
さらにブレーキペダル47を踏み込むと、大気弁45が開き第1室41に大気が導入される。これにより、第1室41の圧力は大気圧となる。一方で、第2室42の圧力は、ブレーキペダル47を踏み込む前の負圧のままである。そのため、第1室41と第2室42との間に圧力差が生じ、この差圧がダイアフラム43に作用してプッシュロッド44を移動させるときのアシスト力となる。
【0030】
このようにして、ブレーキブースタ40は、エンジン1の吸入負圧を倍力源として、ブレーキペダル47を操作するために必要な力を軽減する。
【0031】
コントローラ3は、中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、及び入出力インタフェース(I/Oインタフェース)を備えたマイクロコンピュータで構成される。コントローラ3には、前述した燃圧センサ31及び空燃比センサ32の他に、ブレーキブースタ40の第2室42の負圧を検出する負圧センサ33、エンジン1の水温を検出する水温センサ34、エンジン1の回転速度を検出するクランク角センサ35、車両の前後傾斜を計測する傾斜センサ(加速度センサ)36などの各種センサからの信号が入力される。また、コントローラ3には、アクセルペダルが踏み込まれていないとき出力されてアイドル運転中か否かを検出するアイドルスイッチ信号37が入力される。
【0032】
ところで、エンジン冷機時における触媒の早期活性化及びハイドロカーボンの排出濃度低減のためには、点火時期の遅角が有効である。そして、より大きな効果を得るためには、圧縮上死点以降の点火(以下「ATDC点火」という)が有効である。
【0033】
そこで、本発明では、エンジン冷機時のアイドル運転中に、点火時期を圧縮上死点以降に設定するとともに、この点火時期より前でかつ圧縮上死点以降に燃料を噴射する超リタード燃焼を行う。以下では、この超リタード燃焼の点火時期及び燃料噴射時期について、図2を参照して説明する。
【0034】
図2は、超リタード燃焼の点火時期及び燃料噴射時期の一実施例を示した図である。
【0035】
図2に示すように、点火時期は、圧縮上死点以降の10°ATDCから50°ATDCの間の期間に設定される。
【0036】
また、燃料噴射時期は、圧縮行程及び膨張行程に設定され、2回に分けて燃料が噴射される。
【0037】
圧縮行程中に行われる1回目の燃料噴射I1の燃料噴射時期は、その燃料噴射開始時期から点火時期までの期間Bが50°CAから140°CAの間となるように設定される。
【0038】
膨張行程中に行われる2回目の燃料噴射I2の燃料噴射時期は、その燃料噴射開始時期から点火時期までの期間Aが10°CAから20°CAの間となるように設定される。
【0039】
このように、点火時期を10°ATDCから50°ATDCまでの間に設定し、点火時期を大幅に遅角することで、触媒の早期活性化及びハイドロカーボンの排出濃度低減のための十分な後燃え効果を得ることができる。
【0040】
また、ATDC点火で燃焼を安定させるには、燃焼期間を短縮させる必要がある。そのためには、筒内乱れを強化して燃焼速度(火炎伝播速度)を上昇させる必要がある。筒内乱れは、筒内に高圧で噴射される燃料噴霧のエネルギによって生成・強化することができる。
【0041】
ここで、本実施形態において、圧縮上死点前の圧縮行程中に行われた1回目の燃料噴射I1によって生じた筒内乱れは、圧縮上死点以降に徐々に減衰していく。しかし、本実施形態では、この1回目の燃料噴射I1によって生じた筒内乱れが残っている圧縮上死点後の膨張行程中に2回目の燃料噴射I2が行われる。そのため、1回目の燃料噴射I1で生成した筒内乱れを強化することができる。
【0042】
したがって、点火時期を大幅に遅角しても、その直前に燃料を噴射して筒内乱れを強化して、燃焼速度を上昇させるので、燃焼を安定させることができる。
【0043】
図3は、超リタード燃焼時に燃焼室内に形成される混合気の状態を示す図である。
【0044】
図3に示すように、圧縮行程中に行われる1回目の燃料噴射I1によって、点火栓14の近傍に理論空燃比よりもリッチな第1混合気塊101が形成される。そして、膨張行程中に行われる2回目の燃料噴射I2によって、燃料噴射I1によって形成された第1混合気塊101の内部に、さらにリッチな第2混合気塊102が形成される。第1混合気塊101の外側には、燃料が拡散していない新気の層103が形成される。燃焼室11の全体の空燃比は、理論空燃比よりも若干リーン(16〜17程度)となるように設定される。これにより、ハイドロカーボンの後燃えに必要な酸素を確保している。
【0045】
このように成層化された状態で点火栓によって第2混合気塊102が点火され、超リタード燃焼が行われる。
【0046】
ところで、アイドル運転中は、燃焼方式が通常の成層燃焼や均質燃焼であるか超リタード燃焼であるかにかかわらず、エンジン回転速度が目標アイドル回転速度となるようにスロットル弁122の開度がフィードバック制御される。なお、ここでいう通常の成層燃焼とは、圧縮行程中に燃料を噴射し、点火栓14の近傍に燃料を偏在させた状態で混合気を圧縮上死点前に点火することによって行われる燃焼のことをいう。均質燃焼とは、吸気行程中に燃料を噴射し、空燃比が均一の混合気を燃焼室全体に形成してから点火することによって行われる燃焼のことをいう。
【0047】
超リタード燃焼を行うと、点火時期の遅角によってエンジントルクが低下するので、エンジン回転速度も低下する。したがって、アイドル運転中に超リタード燃焼が行われると、吸入空気量を増加させてエンジントルクの低下を防止するため、スロットル弁122が開かれる。
【0048】
そのため、超リタード燃焼時には、吸気コレクタ123の負圧が低下する。つまり、吸気コレクタ123の圧力が大気圧に近づく。ブレーキブースタ40は、吸気コレクタ123の負圧を倍力源として、運転者がブレーキペダル47を操作するために必要な力を軽減している。したがって、吸気コレクタ123の負圧が低下すると、運転者がブレーキペダル47を操作するために必要な力が増加してしまい、ブレーキ性能が低下する。
【0049】
そこで、本実施形態では、超リタード燃焼でのアイドル運転中に、車両の前後傾斜角(路面勾配)αに基づいて、車両停車に必要なブースタ負圧の要求値(以下「要求負圧」という)Pαを算出する。そして、実ブースタ負圧Pbが要求負圧Pαより小さいときは、超リタード燃焼を行える範囲で、点火時期を超リタード燃焼の点火時期より進角させる。これにより、エンジントルクが増加するので、エンジン回転速度も増加する。そうすると、アイドル制御によってスロットル弁122が閉じられるので、吸気コレクタ123の負圧が増加する。したがって、運転者のブレーキ操作の負担を軽減できるとともに、超リタード燃焼による排気性能の向上を図ることができる。
【0050】
図4は、本実施形態によるアイドル運転中の超リタード燃焼移行制御について説明するフローチャートである。コントローラ3は、このルーチンを所定の演算周期で繰り返し実行する。
【0051】
ステップS1において、コントローラ3は、各種センサからの信号を読み込む。具体的には、水温センサ34によって検出されたエンジン水温、燃圧センサ31によって検出された燃料圧力、傾斜センサ35によって検出された車両の前後傾斜角α、負圧センサ33によって検出されたブースタ負圧Pbを読み込む。
【0052】
ステップS2において、コントローラ3は、成層始動が可能か否かを判定する。具体的には、エンジン水温が所定温度より大きいかを判定する。また、燃料圧力が所定圧力より大きいかを判定する。コントローラ3は、エンジン水温及び燃料圧力がそれぞれ所定値より大きければステップS3に処理を移行し、小さければステップS6に処理を移行する。
【0053】
ステップS3において、コントローラ3は、通常の成層燃焼でエンジンを始動する。
【0054】
ステップS4において、コントローラ3は、アイドル運転中か否かを判定する。具体的には、アイドルスイッチ信号37の出力の有無を判定する。コントローラ3は、アイドルスイッチ信号37の出力があればステップS5に処理を移行し、出力がなければ今回の処理を終了する。
【0055】
ステップS5において、コントローラ3は、超リタード燃焼移行判定処理を実行する。具体的な内容は図5を参照して後述する。
【0056】
ステップS6において、コントローラ3は、均質燃焼でエンジンを始動する。
【0057】
図5は、超リタード燃焼移行判定処理を示すフローチャートである。
【0058】
ステップS51において、コントローラ3は、超リタード燃焼要求の有無を判定する。すなわち、エンジン冷機時であって、触媒コンバータ131の早期昇温要求があるか否かを判定する。具体的には、エンジン水温が所定温度より小さいか否かを判定する。コントローラ3は、エンジン水温が所定温度より小さければステップS52に処理を移行し、大きければ今回の処理を終了する。
【0059】
ステップS52において、コントローラ3は、燃焼方式を超リタード燃焼に移行する。具体的には、点火時期を10°〜50°ATDCに設定するとともに、この点火時期より前でかつ圧縮上死点以降に燃料を噴射する。
【0060】
ステップS53において、コントローラ3は、パーキングブレーキが作動しているか否かを判定する。コントローラ3は、パーキングブレーキが作動していれば今回の処理を終了する。パーキングブレーキが作動していれば、超リタード燃焼に移行してブレーキ性能が低下しても、車両の制動状態は維持されるためである。一方で、パーキングブレーキが作動していなければステップS54に処理を移行する。
【0061】
ステップS54において、コントローラ3は、検出した車両の前後傾斜角αに基づいて、あらかじめROMに格納された図6に示す特性のテーブルから要求負圧Pαを決定する。図6は、車両の前後傾斜角αから要求負圧Pαを設定するテーブルである。図6に示すように、車両の前後傾斜角αが大きくなるほど要求負圧Pαは大きくなる。
【0062】
ステップS55において、コントローラ3は、ブースタ負圧Pbが要求負圧Pαより大きいか否かを判定する。コントローラ3は、ブースタ負圧Pbが要求負圧Pαより大きければ、今回の処理を終了する。一方で、ブースタ負圧Pbが要求負圧Pαより小さければ、十分なブレーキ性能を発揮できなくなるためステップS56に処理を移行する。
【0063】
ステップS56において、コントローラ3は、ブースタ負圧Pbに基づいて、点火時期を進角側に補正する。具体的には、要求負圧Pαの絶対値とブースタ負圧Pbの絶対値との差(|Pα|−|Pb|)に基づいて、あらかじめROMに格納された図7に示す特性のテーブルから進角側に補正した点火時期を決定する。図7は、要求負圧Pαの絶対値とブースタ負圧Pbの絶対値との差から進角側に補正した点火時期を決定するテーブルである。図7に示すように、補正量は、要求負圧Pαの絶対値とブースタ負圧Pbの絶対値との差が大きいほど大きくなる。なお、このときの補正量は、ブースタ負圧Pbを要求負圧Pαにするために最低限必要な補正量となっている。すなわち、補正された点火時期は、スロットル弁122を、ブースタ負圧Pbを要求負圧Pαにするために必要なスロットル開度に制御したときに、アイドル回転の維持が可能なエンジントルクを発生できる点火時期となっている。
【0064】
これにより、ブレーキ性能の低下を防止するとともに、排気性能の悪化を最小限に抑えることができる。
【0065】
以上説明した本実施形態によれば、超リタード燃焼に移行したとき、ブースタ負圧Pbが要求負圧Pαよりも小さければ、ブースタ負圧Pbが要求負圧Pαとなるように点火時期を進角側に補正する。
【0066】
このように、ブースタ負圧Pbが要求負圧Pαより小さいときでも超リタード燃焼を行うので、触媒の早期活性化及びハイドロカーボンの排出濃度低減のための後燃え効果を得ることができる。したがって、エンジン冷機時の排気性能の悪化を防止することができる。
【0067】
また、ブースタ負圧Pbが要求負圧Pαより小さければ、ブースタ負圧Pbが要求負圧Pαとなるように点火時期が進角側に補正される。そうすると、エンジン回転速度が増加するので、アイドル制御が実施されてスロットル弁122が閉じられる。これにより、吸入負圧が増大するので、運転者の制動操作の負担を軽減することができる。
【0068】
さらに、パーキングブレーキが作動している場合は、ブースタ負圧Pbが要求負圧Pαより小さいときでも、点火時期を進角補正することなく超リタード燃焼を行うので、エンジン冷機時の排気性能の悪化を最小限に抑えることができる。
【0069】
(第2実施形態)
次に、図8を参照して本発明の第2実施形態について説明する。本発明の第2実施形態は、ブースタ負圧Pbが要求負圧Pαより小さいときは、超リタード燃焼への移行を禁止する点で第1実施形態と相違する。以下、その相違点を中心に説明する。なお、以下に示す各実施形態では前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を用いて重複する説明を適宜省略する。
【0070】
図8は、本発明の第2実施形態による超リタード燃焼移行判定処理を示すフローチャートである。
【0071】
第1実施形態では、ステップS51で超リタード燃焼要求の有無を判定し、要求があれば次のステップで燃焼方式を超リタード燃焼に移行していた。
【0072】
これに対して本実施形態では、ステップS51で超リタード燃焼要求の有無を判定し、要求があったときでも、次のステップで燃焼方式を超リタード燃焼に移行せず、ステップS53からS55の処理を実行する。各ステップでの処理内容は第1実施形態と同様なので、ここでは説明は省略する。
【0073】
そして、パーキングブレーキが作動しているときと(ステップS53でYes)、ブースタ負圧Pbが要求負圧Pαより大きいときは(ステップS55でYes)、ステップS252に処理を移行して、燃焼方式を超リタード燃焼に移行する。
【0074】
一方で、ブースタ負圧Pbが要求負圧Pαより小さければ(ステップS55でNo)、燃焼方式を超リタード燃焼に移行せずに今回の処理を終了する。
【0075】
以上説明した本実形態によれば、ブースタ負圧Pbが要求負圧Pαより小さいときは、超リタード燃焼への移行を禁止する。これにより、吸気コレクタ内の負圧の低下を防止できるので、運転者の制動操作の負担を軽減することができる。
【0076】
また、ブースタ負圧Pbが要求負圧Pαより大きいときは、超リタード燃焼を行うので、排気性能の悪化を抑制することができる。
【0077】
(第3実施形態)
次に、図9を参照して本発明の第3実施形態について説明する。本発明の第3実施形態は、超リタード燃焼を行っているときに、ブースタ負圧Pbが要求負圧Pαより小さければ、所定の角度ずつ点火時期を進角させる点で第1実施形態と相違する。以下、その相違点を中心に説明する。
【0078】
図9は、本発明の第3実施形態による超リタード燃焼移行判定処理を示すフローチャートである。
【0079】
第1実施形態では、ステップS55でブースタ負圧Pbが要求負圧Pαより小さいと判定したときは、ステップS56において、図7に示したテーブルに基づいて点火時期を進角させていた。
【0080】
これに対して本実施形態では、図9に示すように、ステップS55でブースタ負圧Pbが要求負圧Pαより小さいと判定したときは、ステップS356において、所定の角度ずつ点火時期を進角させる。これにより、アイドル制御が実行されて徐々にスロットル弁122が閉じられていくので、ブースタ負圧Pbを要求負圧Pαにすることができる。したがって、運転者の制動操作の負担を軽減することができる。
また、超リタード燃焼を行うので排気性能を向上させることができる。
【0081】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】筒内直接燃料噴射式エンジンの制御装置の全体システム図である。
【図2】超リタード燃焼の点火時期及び燃料噴射時期の一実施例を示した図である。
【図3】超リタード燃焼時に燃焼室内に形成される混合気の状態を示す図である。
【図4】エンジン始動時の超リタード燃焼移行制御について説明するフローチャートである。
【図5】本発明の第1実施形態による超リタード燃焼移行判定処理を示すフローチャートである。
【図6】車両の前後傾斜角から要求負圧を設定するテーブルである。
【図7】要求負圧の絶対値とブースタ負圧の絶対値との差から進角側に補正した点火時期を決定するテーブルである。
【図8】本発明の第2実施形態による超リタード燃焼移行判定処理を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第3実施形態による超リタード燃焼移行判定処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0083】
1 筒内直接燃料噴射式エンジン
40 ブレーキブースタ
122 スロットル弁
131 触媒コンバータ
S1 ブレーキブースタ負圧検出手段
S1 前後傾斜角検出手段
S52 超リタード燃焼手段
S54 要求負圧算出手段
S56 点火時期補正手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入負圧を蓄えるブレーキブースタを備えた筒内直接燃料噴射式エンジンの制御装置であって、
前記ブレーキブースタ内の負圧を検出するブースタ負圧検出手段と、
車両の制動に必要な前記ブレーキブースタ内の負圧を算出する要求負圧算出手段と、
アイドル時のエンジン回転速度が目標アイドル回転速度となるようにスロットル開度を制御するアイドル制御手段と、
アイドル時の所定の運転状態のときに、点火時期を圧縮上死点以降に設定するリタード燃焼を行う手段と、
前記リタード燃焼中において、前記ブースタ負圧が前記要求負圧よりも小さいときは、前記リタード燃焼の点火時期を進角側に補正する点火時期補正手段と、
を備えることを特徴とする筒内直接燃料噴射式エンジンの制御装置。
【請求項2】
車両の前後傾斜角を検出する前後傾斜角検出手段を備え、
前記要求負圧算出手段は、前記前後傾斜角に基づいて、車両の制動に必要な前記ブレーキブースタ内の負圧を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の筒内直接燃料噴射式エンジンの制御装置。
【請求項3】
前記点火時期補正手段は、前記ブースタ負圧が前記要求負圧に達するスロットル開度を算出し、そのスロットル開度で前記目標アイドル回転速度を維持できるように点火時期を進角側に補正する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の筒内直接燃料噴射式エンジンの制御装置。
【請求項4】
前記点火時期補正手段は、前記ブースタ負圧が前記要求負圧に達するまで所定の角度ずつ点火時期を進角側に補正する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の筒内直接燃料噴射式エンジンの制御装置。
【請求項5】
前記リタード燃焼中において、パーキングブレーキが作動しているときは、前記点火時期補正手段による前記リタード燃焼の点火時期の進角補正を禁止する
ことを特徴とする請求項1から4までのいずれか1つに記載の筒内直接燃料噴射式エンジンの制御装置。
【請求項6】
吸入負圧を蓄えるブレーキブースタを備えた筒内直接燃料噴射式エンジンの制御装置であって、
前記ブレーキブースタ内の負圧を検出するブースタ負圧検出手段と、
車両の制動に必要な前記ブレーキブースタ内の負圧を算出する要求負圧算出手段と、
アイドル時のエンジン回転速度が目標アイドル回転速度となるようにスロットル開度を制御するアイドル制御手段と、
アイドル時の所定の運転状態のときに、点火時期を圧縮上死点以降に設定するリタード燃焼へ燃焼方式を移行するか否かを判定するリタード燃焼移行判定手段と、
を有し、
前記リタード燃焼移行判定手段は、前記ブースタ負圧が前記要求負圧よりも小さいときは、前記リタード燃焼への移行を禁止する
ことを特徴とする筒内直接燃料噴射式エンジンの制御装置。
【請求項7】
車両の前後傾斜角を検出する前後傾斜角検出手段を備え、
前記要求負圧算出手段は、前記前後傾斜角に基づいて、車両の制動に必要な前記ブレーキブースタ内の負圧を算出する
ことを特徴とする請求項6に記載の筒内直接燃料噴射式エンジンの制御装置。
【請求項8】
前記リタード燃焼移行判定手段は、パーキングブレーキが作動しているときは、前記リタード燃焼への移行禁止を解除する
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の筒内直接燃料噴射式エンジンの制御装置。
【請求項9】
前記所定の運転状態は、エンジン冷機時であって、触媒コンバータの早期昇温の要求がある運転状態である
ことを特徴とする請求項1から8までのいずれか1つに記載の筒内直接燃料噴射式エンジンの制御装置。
【請求項1】
吸入負圧を蓄えるブレーキブースタを備えた筒内直接燃料噴射式エンジンの制御装置であって、
前記ブレーキブースタ内の負圧を検出するブースタ負圧検出手段と、
車両の制動に必要な前記ブレーキブースタ内の負圧を算出する要求負圧算出手段と、
アイドル時のエンジン回転速度が目標アイドル回転速度となるようにスロットル開度を制御するアイドル制御手段と、
アイドル時の所定の運転状態のときに、点火時期を圧縮上死点以降に設定するリタード燃焼を行う手段と、
前記リタード燃焼中において、前記ブースタ負圧が前記要求負圧よりも小さいときは、前記リタード燃焼の点火時期を進角側に補正する点火時期補正手段と、
を備えることを特徴とする筒内直接燃料噴射式エンジンの制御装置。
【請求項2】
車両の前後傾斜角を検出する前後傾斜角検出手段を備え、
前記要求負圧算出手段は、前記前後傾斜角に基づいて、車両の制動に必要な前記ブレーキブースタ内の負圧を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の筒内直接燃料噴射式エンジンの制御装置。
【請求項3】
前記点火時期補正手段は、前記ブースタ負圧が前記要求負圧に達するスロットル開度を算出し、そのスロットル開度で前記目標アイドル回転速度を維持できるように点火時期を進角側に補正する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の筒内直接燃料噴射式エンジンの制御装置。
【請求項4】
前記点火時期補正手段は、前記ブースタ負圧が前記要求負圧に達するまで所定の角度ずつ点火時期を進角側に補正する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の筒内直接燃料噴射式エンジンの制御装置。
【請求項5】
前記リタード燃焼中において、パーキングブレーキが作動しているときは、前記点火時期補正手段による前記リタード燃焼の点火時期の進角補正を禁止する
ことを特徴とする請求項1から4までのいずれか1つに記載の筒内直接燃料噴射式エンジンの制御装置。
【請求項6】
吸入負圧を蓄えるブレーキブースタを備えた筒内直接燃料噴射式エンジンの制御装置であって、
前記ブレーキブースタ内の負圧を検出するブースタ負圧検出手段と、
車両の制動に必要な前記ブレーキブースタ内の負圧を算出する要求負圧算出手段と、
アイドル時のエンジン回転速度が目標アイドル回転速度となるようにスロットル開度を制御するアイドル制御手段と、
アイドル時の所定の運転状態のときに、点火時期を圧縮上死点以降に設定するリタード燃焼へ燃焼方式を移行するか否かを判定するリタード燃焼移行判定手段と、
を有し、
前記リタード燃焼移行判定手段は、前記ブースタ負圧が前記要求負圧よりも小さいときは、前記リタード燃焼への移行を禁止する
ことを特徴とする筒内直接燃料噴射式エンジンの制御装置。
【請求項7】
車両の前後傾斜角を検出する前後傾斜角検出手段を備え、
前記要求負圧算出手段は、前記前後傾斜角に基づいて、車両の制動に必要な前記ブレーキブースタ内の負圧を算出する
ことを特徴とする請求項6に記載の筒内直接燃料噴射式エンジンの制御装置。
【請求項8】
前記リタード燃焼移行判定手段は、パーキングブレーキが作動しているときは、前記リタード燃焼への移行禁止を解除する
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の筒内直接燃料噴射式エンジンの制御装置。
【請求項9】
前記所定の運転状態は、エンジン冷機時であって、触媒コンバータの早期昇温の要求がある運転状態である
ことを特徴とする請求項1から8までのいずれか1つに記載の筒内直接燃料噴射式エンジンの制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2009−114993(P2009−114993A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−289926(P2007−289926)
【出願日】平成19年11月7日(2007.11.7)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月7日(2007.11.7)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
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