説明

粉体収容器、トナーカートリッジ、粉体搬送装置及び画像形成装置

【課題】ポンプを用いなくても内部の粉体の減少に伴い自動的に減容化される粉体収容器を提供する。
【解決手段】一端部に開口部66aが形成され、内部に粉体が収容されると共に、少なくとも一部が変形可能な粉体収容部66を有する粉体収容器である。開口部66aが形成された一端部とは反対側の他端部に、当該他端部を前記一端部に対して離れる方向に引っ張る相手部材の係止部を係止するための被係止部66bを設けた。さらに、粉体収容部66に前記一端部側から前記他端部側へ伸びる折り目Eを付けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に粉体を収容する粉体収容器、その粉体収容器内にトナーを収容したトナーカートリッジ、前記粉体収容部を備える粉体搬送装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等の電子写真方式の画像形成装置では、一般的にトナーやキャリアと呼ばれる現像剤を用いて、現像装置によりトナー像を形成して画像を作成している。この種の画像形成装置は、トナーが画像形成と共に消費されるため、通常は、トナーを収容したトナーカートリッジを画像形成装置に装着し、カートリッジ内のトナーが無くなったら新しいカートリッジと交換して新しいトナーを補充するようにしている。
【0003】
また、上記のようなカートリッジを用いたトナー補充方式においては、ランニングコストの低減のため、カートリッジ内のトナーを可能な限り残さず使い切りたいというユーザーの要請がある。そのため、従来、トナーカートリッジとして、筒状の容器の内面に螺旋状の突起を設けたスクリューボトルと呼ばれる容器を用い、この容器を回転させることによってトナーを少しずつ排出部に搬送する方法や、通称オーガと呼ばれるスクリューを容器内部に設けて、これを回転させることでトナーを排出部に送る方法等が採用されている。
【0004】
しかし、上記オーガによる搬送方式は、容器内部にスクリューを設けかつ回転させる必要があり、構造が複雑となる欠点がある。また、この搬送方式では、堆積したトナーをオーガで強制的に搬送するため、トナーに負荷がかかり、トナーの凝集や劣化の虞がある。さらに、交換する容器内部にスクリューを設けることは、消耗品のコストを高めると同時に、資源の消費による環境負荷を増大に繋がるといった問題もある。
【0005】
一方、上記スクリューボトルによる搬送方式は、容器内部にスクリューを設ける必要がないため、構成がシンプルとなる。しかし、この搬送方式では、容器自体を回転させて使用するため、通常、容器の形状は円筒状の容器本体の一側面に出口を設けた形状(ビンを横にしたような形状)となり、直方体の容器と比較して収容できるトナー量が少ないという欠点や、交換時に手が滑りやすく持ちにくいという欠点がある。
【0006】
また、オーガを内装した容器やスクリューボトルは、PET等で形成された、いわゆる「ハードボトル」と呼ばれる容器で構成されているため、使用済みの容器のリサイクルに大きな課題がある。すなわち、一般に、使用済みの容器はメーカーがユーザー先から回収し、再生や再利用又は焼却処分が行われるが、ハードボトルタイプの容器は潰して減容化し難いので、嵩張り、回収・運搬のコストが高額となる。さらに、回収された容器にトナーを再充填して容器の再利用を図る場合に、回収容器の洗浄作業が困難であり、トナー充填効率も良くないことから、回収容器の再利用化に要するコストも高額となる。
【0007】
また、上記のスクリューボトルやオーガを用いないトナー搬送方式として、外部から容器に衝撃を与えたり、容器をストッパーに当接させたりして、容器に振動(往復運動)を与え、トナーの慣性力によってトナーを移動/排出する方式がある(特許文献1参照)。この方式は、トナーが大量に収容されている状態では、容器中で積載されているトナーが振動によりまとまって移動するため、振動一往復あたりのトナーの搬送速度を十分確保できる。しかしながら、容器中のトナー量が少なくなるに連れて、トナーの山が崩れ薄く広がってしまうため、振動一往復あたりのトナーの搬送速度がトナーの山の高さに応じて低下し、搬送速度を維持することができなくなるといった問題がある。また、容器に生じる振動が書き込み系に影響を与え、画像を乱すといった問題もある。さらに、トナーが流動化するのに時間がかかったり、逆に振動によってタッピングと同様の作用が生じ、トナーの凝集(ブロッキング)が発生したりすることがある。
【0008】
また、トナーを収容する可撓性の容器にノズルを差し込み、このノズルを通してポンプでトナーを吸い出し、それを現像装置に補給する現像剤供給装置が知られている(特許文献2参照)。この種のトナー補給方式では、ポンプでトナーを吸い出すのに伴い可撓性の容器が自動的に減容していく。そして、容器内にトナーがほとんど無くなった状態では、容器が潰れた状態になるため、使用済みの容器の回収、運搬、再利用に要するコストを低減することが可能である。また、容器内のトナー残量に応じて容器が減容するため、外観でトナー残量がわかる利点もある。
【0009】
しかしながら、ポンプでトナーを吸い出す方式では、排出口(吸出口)からトナーを吸い出しやすくするために、容器の排出口を下方に向けて配置しなければならない。仮に、排出口を横向きにして容器を水平方向に配置すると、重力によってトナーを排出口付近に集めることができず、トナーが架橋して排出されないまま容器内に残ることがある。このことから、ポンプでトナーを吸い出すタイプの容器は、水平に配置することが困難であり、容器の配置に大きな制約がある。具体的に、容器内のトナーをスムーズに排出できるようにするには、容器を水平面に対して50°以上に傾斜させて配置する必要がある。従って、この種の容器を用いた構成では、実質的に縦方向に長い容器の設置スペースを確保しなければならず、画像形成装置全体の大きさを縦方向にコンパクト化するのには不向きである。
【0010】
また、上記のようなポンプを用いないで、可撓性の容器からトナーを排出する方法として、容器に対し外側から凸部を押し当てて移動させることにより、内部のトナーを排出口から押し出す方法が提案されている(特許文献3参照)。この方法によれば、容器を水平方向に長く配置してもトナーを排出することが可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、ポンプを用いないで可撓性の容器からトナーを排出する方法では、トナーの排出に伴って容器を自動的に減容化することができない。このため、使用済みの容器を減容化するのに、容器を潰す作業を行わなければならなかった。また、外観でトナー残量を把握することもできなかった。
【0012】
そこで、本発明は、斯かる事情に鑑み、ポンプを用いなくても内部の粉体の減少に伴い自動的に減容化される粉体収容器、その粉体収容器を用いたトナーカートリッジ、前記粉体収容器を備える粉体搬送装置及び画像形成装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1の発明は、一端部に開口部が形成され、内部に粉体が収容されると共に、少なくとも一部が変形可能な粉体収容部を有する粉体収容器であって、前記開口部が形成された一端部とは反対側の他端部に、当該他端部を前記一端部に対して離れる方向に引っ張る相手部材の係止部を係止するための被係止部を設け、前記粉体収容部に前記一端部側から前記他端部側へ伸びる折り目を付けたものである。
【0014】
粉体収容部の被係止部に相手部材の係止部を係止した状態では、粉体収容部の前記他端部が前記一端部に対して離れる方向に引っ張られる。すなわち、粉体収容部には、折り目が伸びる方向に引っ張り力が作用する。この引っ張り力によって粉体収容部には折り目に沿って折り畳まれる力が生じる。これにより、粉体収容部内の粉体が減少すると、それに伴い粉体収容部は折り目に沿って折り畳まれ自動的に減容化される。
【0015】
請求項2の発明は、請求項1に記載の粉体収容器において、前記粉体収容部の互いに対向する面に、それぞれ前記折り目を付けたものである。
【0016】
粉体収容部の互いに対向する面にそれぞれ折り目を付けることにより、粉体収容部内の粉体が減少すると、粉体収容部は折り目に沿って扁平状に折り畳まれるようになるので、粉体収容部をより効果的に減容化することができる。
【0017】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の粉体収容器において、前記折り目を、前記粉体収容部が内側に折り畳まれるように付けたものである。
【0018】
折り目を、粉体収容部が内側に折り畳まれるように付けることにより、粉体収容部が折り畳まれた際にその周囲に配設された部材と接触しないようにすることができる。これにより、粉体収容部がその周囲に配設された部材に接触することによる損傷や異音の発生を防止できる。また、粉体収容部が周囲の部材に接触して折り畳み変形が阻害されることによる減容化の抑制、これに伴う粉体排出性の低下も防止できる。
【0019】
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の粉体収容器において、前記折り目を、前記粉体収容部の前記一端部から前記他端部までの全域に渡って付けたものである。
【0020】
折り目を、粉体収容部の前記一端部から前記他端部までの全域に渡って付けることにより、粉体収容部の折り畳み姿勢を制御しやすくなる。このため、粉体収容部の変形に伴う粉体排出性を安定化させることができる。
【0021】
請求項5の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の粉体収容器において、前記折り目と前記被係止部を同一直線上に配設したものである。
【0022】
折り目と被係止部を同一直線上に配設することで、粉体収容部が折り目に沿って折り畳まれやすくなり、粉体収容部内の粉体がほとんど無くなった際に、粉体収容部がより薄く折り畳まれるようになる。
【0023】
請求項6の発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載の粉体収容器において、前記粉体収容部の前記他端部に孔部を形成し、当該孔部を前記相手部材の係止部を挿入して係止するための前記被係止部としたものである。
【0024】
このように、粉体収容部の前記他端部に孔部を形成することで、被係止部を構成することが可能である。
【0025】
請求項7の発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載の粉体収容器において、前記粉体収容部の前記他端部に孔部が形成された被係止部材を取り付け、当該孔部を前記相手部材の係止部を挿入して係止するための前記被係止部としたものである。
【0026】
このように、粉体収容部の前記他端部に、被係止部としての孔部が形成された被係止部材を取り付けてもよい。この場合、被係止部は粉体収容部とは別体の被係止部材に形成されているので、被係止部材の形状を変更するだけで、被係止部を様々な形状に容易に変更することができる。また、粉体収容部ごとに異なる形状の被係止部材を取り付けることで、粉体収容部の識別や非互換又は誤装着防止が可能となる。しかも、各粉体収容部の形状は共通にしておくことができるので、低コストで粉体収容部の識別や非互換又は誤装着防止を実現することが可能である。
【0027】
請求項8の発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載の粉体収容器において、前記粉体収容部の前記他端部に被係止部材を取り付け、当該被係止部材と前記他端部との境界に形成される段差部を前記相手部材の係止部を引っ掛けて係止するための前記被係止部としたものである。
【0028】
このように、粉体収容部の前記他端部に被係止部材を取り付け、その被係止部材と前記他端部との境界に形成される段差部を被係止部としてもよい。また、この場合も、請求項7の発明と同様に、被係止部材の形状を変更するだけで、被係止部を様々な形状に容易に変更することができる。また、粉体収容部ごとに異なる形状の被係止部材を取り付けることで、粉体収容部の識別や非互換又は誤装着防止を低コストで実現することが可能である。
【0029】
請求項9の発明は、請求項7又は8に記載の粉体収容器において、前記被係止部材の一部を前記粉体収容部の前記他端部から内部に挿入し、当該挿入された前記被係止部材の一部を前記粉体収容部の内面に接着して取り付けたものである。
【0030】
このように、被係止部材の一部を粉体収容部の内部に挿入することにより、被係止部材を粉体収容部に対して効率良く接着することができる。
【0031】
請求項10の発明は、請求項7又は8に記載の粉体収容器において、前記被係止部材を前記粉体収容部の前記他端部の外面に接着して取り付けたものである。
【0032】
このように、被係止部材を粉体収容部の前記他端部の外面に接着する場合は、粉体収容部内に粉体を充填して封止した後で、被係止部材を取り付けることができる。これにより、被係止部材への粉体の付着や、被係止部材の損傷を防止でき、付着した粉体の清掃作業や、損傷した被係止部材の交換作業等を行わなくて済むので、コストの削減を図れる。
【0033】
請求項11の発明は、請求項7又は8に記載の粉体収容器において、前記被係止部材は前記粉体収容部の前記他端部を挟む一対の挟持部を有し、一方の前記挟持部に凸部を設けると共に、他方の前記挟持部に嵌合孔を形成し、さらに、前記粉体収容部の前記他端部に取付用孔を形成し、前記一対の挟持部で前記粉体収容部の前記他端部を挟み、前記一方の挟持部の前記凸部を前記取付用孔に貫通させ、当該凸部を前記他方の挟持部の前記嵌合孔に嵌合させることにより、前記被係止部材を前記粉体収容部の前記他端部に取り付けたものである。
【0034】
この場合、請求項10と同様に、粉体収容部内に粉体を充填して封止した後で、被係止部材を取り付けることができるので、被係止部材への粉体の付着や、被係止部材の損傷を防止できる。これにより、付着した粉体の清掃作業や、損傷した被係止部材の交換作業等を行わなくて済むので、コストの削減を図れる。さらに、この場合は、被係止部材を取り付けるために接着材を塗布する工程や容着する工程が不要となるので、取付作業が容易となる。
【0035】
請求項12の発明は、請求項7又は8に記載の粉体収容器において、前記被係止部材は前記粉体収容部の前記他端部を挟む一対の挟持部を有し、当該一対の挟持部で前記粉体収容部の前記他端部を挟圧することにより、前記被係止部材を前記粉体収容部の前記他端部に取り付けたものである。
【0036】
この場合、請求項10及び11と同様に、粉体収容部内に粉体を充填して封止した後で、被係止部材を取り付けることができるので、被係止部材への粉体の付着や、被係止部材の損傷を防止できる。これにより、付着した粉体の清掃作業や、損傷した被係止部材の交換作業等を行わなくて済むので、コストの削減を図れる。さらに、この場合は、請求項11と同様に、被係止部材を取り付けるために接着材を塗布する工程や容着する工程が不要となるので、取付作業が容易となる。
【0037】
請求項13の発明は、請求項1から12のいずれか1項に記載の粉体収容器の内部にトナーを収容したトナーカートリッジである。
【0038】
請求項1から12のいずれか1項に記載の粉体収容器をトナーカートリッジとして用いることが可能である。
【0039】
請求項12の発明は、請求項1から12のいずれか1項に記載の粉体収容器と、当該粉体収容部の変形可能な部分を内側へ押し込んだ状態で前記開口部側へ移動して粉体を前記開口部から送り出す送出部材とを備えた粉体搬送装置である。
【0040】
粉体搬送装置が、請求項1から12のいずれか1項に記載の粉体収容器を備えているので、これらの粉体収容器による上記効果が得られる。
【0041】
請求項15の発明は、請求項1から12のいずれか1項に記載の粉体収容器を備えた画像形成装置である。
【0042】
画像形成装置が、請求項1から12のいずれか1項に記載の粉体収容器を備えているので、これらの粉体収容器による上記効果が得られる。
【発明の効果】
【0043】
本発明によれば、ポンプを用いなくても、内部の粉体の減少に伴って粉体収容部が折り畳まれて自動的に減容していくため、外観で粉体残量を把握することができる。また、粉体収容部内の粉体がほとんど無くなると、粉体収容部は折り畳まれて潰れた状態になるため、使用済みの粉体収容部を廃棄する際に粉体収容部を潰す手間が不要となり利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係る画像形成装置としてのプリンタを示す構成図である。
【図2】前記画像形成装置の作像部を示す拡大図である。
【図3】トナー補給装置の斜視図である。
【図4】トナーカートリッジの構成図である。
【図5】トナー収容部の縦断面図であり、(a)はトナー収容部を膨らませた状態を示す図、(b)はトナー収容部が折り畳まれた状態を示す図である。
【図6】トナー収容部の横断面図であり、(a)はトナー収容部を膨らませた状態を示す図、(b)はトナー収容部が折り畳まれた状態を示す図である。
【図7】1枚のシート材で構成されたトナー収容部の横断面図であり、(a)はトナー収容部を膨らませた状態を示す図、(b)はトナー収容部が折り畳まれた状態を示す図である。
【図8】トナーカートリッジの分解図である。
【図9】(a)は、トナーカートリッジを引出トレイに装着する前の状態を示す平面図、(b)は、トナーカートリッジを引出トレイに装着した状態を示す平面図である。
【図10】固定部の拡大図である。
【図11】引出トレイの斜視図である。
【図12】引出トレイを本体側フレームに取り付けた状態の斜視図である。
【図13】本体側フレームの拡大図である。
【図14】本体側フレーム及び引出トレイの断面側面図である。
【図15】引出トレイ等の断面側面図である。
【図16】トナー搬送装置の構成図である。
【図17】引出トレイの断面側面図である。
【図18】送出部材と脚部材の側面図である。
【図19】送出部材が起立した状態から倒れた状態に切り換わるときの動作を説明するための図である。
【図20】送出部材が倒れた状態から起立した状態に切り換わるときの動作を説明するための図である。
【図21】トナーの送出動作を説明するための図である。
【図22】送出部材を戻す際の動作を説明するための図である。
【図23】トナー収容部の内面に被係止部材を接着して取り付けた構成を示す断面図である。
【図24】トナー収容部の外面に被係止部材を接着して取り付けた構成を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は断面図である。
【図25】被係止部材がトナー収容部の端部を挟むことで取り付けた構成を示す図であり、(a)は分解図、(b)は断面図である。
【図26】被係止部材がトナー収容部の端部を挟圧することで取り付けた構成を示す図であり、(a)は被係止部材を円柱状に形成した場合の斜視図、(b)は被係止部材を四角柱状に形成した場合の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0046】
まず、図1及び図2にて、画像形成装置全体の構成及び動作について説明する。
図1は画像形成装置としてのプリンタを示す構成図であり、図2はその作像部を示す拡大図である。
【0047】
図1に示すように、中間転写ユニット10の中間転写ベルト11に対向するように、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像部6Y,6M,6C,6Bkが並設されている。なお、装置本体100に設置される4つの作像部6Y,6M,6C,6Bkは、作像プロセスに用いられるトナーの色が異なる以外はほぼ同一構造であるので、図2において、作像部6と感光体ドラム1と1次転写バイアスローラ9とにおける符号のアルファベット(Y,M,C,Bk)を省略して図示する。
【0048】
図2を参照して、作像部6は、像担持体としての感光体ドラム1と、感光体ドラム1の周囲に配設された帯電部4、現像部としての現像装置5、クリーニング部2等で構成されている(図1では現像装置5のみ表示)。感光体ドラム1上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程)が行われ、感光体ドラム1上に所望のトナー像が形成される。
【0049】
作像部6を構成する、感光体ドラム1、帯電部4、現像装置5、クリーニング部2は、それぞれ、画像形成装置本体100に対して着脱自在に設置できるように構成されている。そして、それぞれが、寿命に達したときに、新品のものに交換可能となっている。
【0050】
なお、本実施形態では、作像部6を構成する、感光体ドラム1、帯電部4、現像装置5、クリーニング部2を、それぞれ、単独のユニットとしたが、これらを一体化して、装置本体100に着脱自在に設置されるプロセスユニットとすることもできる。その場合、作像部6のメンテナンスを行う際の作業性が向上する。
【0051】
図2に基づき、作像部6における現像装置5の構成についてさらに詳しく説明する。
図2に示すように、現像装置5は、感光体ドラム1に対向する現像剤担持体としての現像ローラ51、現像ローラ51の下方に設置された現像剤規制部材としてのドクターブレード52、現像剤収容部53,54内に配設された現像剤攪拌搬送部材としての2つの搬送スクリュー55,56、現像剤Gを収容するケース50等で構成されている。ここで、現像剤Gとしては、キャリアとトナーとからなる2成分現像剤を用いている。また、現像装置5には、現像剤G中のトナー濃度を検知する図示しないトナー濃度センサが設けてある。
【0052】
図2を参照して、感光体ドラム1は、不図示の駆動部によって図2中の時計方向に回転駆動される。そして、帯電部4の位置で、帯電ローラ4aにより感光体ドラム1の表面が一様に帯電される(帯電工程)。
その後、感光体ドラム1の表面は、不図示の露光部から発せられたレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での露光走査によって静電潜像が形成される(露光工程)。
【0053】
その後、感光体ドラム1の表面は、現像装置5の現像ローラ51との対向位置に達して、この位置で静電潜像が現像されて、所望のトナー像が形成される(現像工程)。
その後、感光体ドラム1の表面は、中間転写ベルト11及び第1転写バイアスローラ9との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1上のトナー像が中間転写ベルト11上に転写される(1次転写工程)。このとき、感光体ドラム1上には、僅かながら未転写トナーが残存する。
【0054】
その後、感光体1の表面は、クリーニング部2との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1上に残存した未転写トナーがクリーニングブレード2aによって回収される(クリーニング工程)。
最後に、感光体ドラム1の表面は、不図示の除電部との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1上の残留電位が除去される。
こうして、感光体ドラム1上で行われる一連の作像プロセスが終了する。
【0055】
なお、上述した作像プロセスは、4つの作像部6Y,6M,6C,6Bkで、それぞれ行われる。すなわち、図1に示す読み取り部32で読み取った画像情報に基づいて、作像部の下方に配設された図示しない露光部から、レーザ光L(図2参照)が、各作像部6Y,6M,6C,6Bkの感光体ドラム1上に向けて照射される。詳しくは、露光部は、光源からレーザ光Lを発して、そのレーザ光Lを回転駆動されたポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学素子を介して感光体ドラム1上に照射する。その後、現像工程を経て各感光体ドラム1上に形成した各色のトナー像を、中間転写ベルト11上に重ねて転写する。こうして、中間転写ベルト11上にカラー画像が形成される。
【0056】
4つの1次転写バイアスローラ9Y,9M,9C,9BKは、それぞれ、中間転写ベルト11を感光体ドラム1Y,1M,1C,1Bkとの間に挟み込んで1次転写ニップを形成している。そして、1次転写バイアスローラ9Y,9M,9C,9Bkに、トナーの極性とは逆極性の転写バイアスが印加される。
そして、中間転写ベルト11は、図の矢印方向に走行して、各1次転写バイアスローラ9Y,9M,9C,9Bkの1次転写ニップを順次通過する。こうして、感光体ドラム1Y,1M,1C,1Bk上の各色のトナー像が、中間転写ベルト11上に重ねて1次転写される。
【0057】
その後、各色のトナー像が重ねて転写された中間転写ベルト11は、2次転写ローラ19との対向位置に達する。この位置では、2次転写バックアップローラ12が、2次転写ローラ19との間に中間転写ベルト11を挟み込んで2次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト11上に形成されたカラートナー像は、この2次転写ニップの位置に搬送された転写紙等の被転写材P上に転写される。このとき、中間転写ベルト11には、被転写材Pに転写されなかった未転写トナーが残存するが、中間転写ベルト11上の残存トナーは図示しないベルトクリーニング装置によって除去される。
こうして、中間転写ベルト11上で行われる一連の転写プロセスが終了する。
【0058】
ここで、2次転写ニップの位置に搬送された被転写材Pは、装置本体100の下方に配設された給紙部26から、給紙ローラ27やレジストローラ対28等を経由して搬送されたものである。
詳しくは、給紙部26には、転写紙等の被転写材Pが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ27が図1中の反時計方向に回転駆動されると、一番上の被転写材Pがレジストローラ対28のローラ間に向けて給送される。
【0059】
レジストローラ対28に搬送された被転写材Pは、回転駆動を停止したレジストローラ対28のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト11上のカラー画像にタイミングを合わせて、レジストローラ対28が回転駆動されて、被転写材Pが2次転写ニップに向けて搬送される。こうして、被転写材P上に、所望のカラー画像が転写される。
【0060】
その後、2次転写ニップの位置でカラー画像が転写された被転写材Pは、定着部20の位置に搬送される。そして、この位置で、定着ローラ及び圧力ローラによる熱と圧力とにより、表面に転写されたカラー画像が被転写材P上に定着される。
その後、被転写材Pは、排紙ローラ対29のローラ間を経て、装置外へと排出される。排紙ローラ対29によって装置本体100外に排出された被転写Pは、出力画像として、スタック部30上に順次スタックされる。
こうして、画像形成装置における一連の画像形成プロセスが完了する。
【0061】
また、図1において、中間転写ユニット10の上方には、トナー補給部31が配設されている。トナー補給部31は、各色のトナーが充填された4つのトナー補給装置60Y,60M,60C,60Bkを有する。各トナー補給装置60Y,60M,60C,60Bkからは、対応する現像装置5Y,5M,5C,5Bkにトナー搬送経路が延びており、このトナー搬送経路を介して、トナー補給装置60Y,60M,60C,60Bkから現像装置5Y,5M,5C,5Bkにトナーが供給されるようになっている。これにより、各現像装置5Y,5M,5C,5Bkでのトナー消費量に応じてトナーを新たに供給することができ、長期に亘って現像装置を利用することが可能である。
【0062】
上記4つのトナー補給装置60Y,60M,60C,60Bkは、異なる色のトナーを収容している以外は同様の構成となっている。そこで、以下、1つのトナー補給装置の構成について説明する。
【0063】
図3は、トナー補給装置の斜視図である。なお、図3において、トナー補給装置60における符号のアルファベット(Y,M,C,Bk)は省略している。
図3に示すように、トナー補給装置60は、トナーを充填したトナー収容器(粉体収容器)としてのトナーカートリッジ61と、トナーカートリッジ61を保持する保持部材としての引出トレイ62と、トナーカートリッジ61を固定する固定部63と、トナーカートリッジ61から排出されたトナーを貯留するサブホッパ64等によって構成されている。また、サブホッパ64には、内部に貯留されたトナーを現像装置に向けて搬送するための図示しないトナー搬送パイプが接続されている。
【0064】
引出トレイ62は、本体側フレーム65に対して水平方向に移動可能に取り付けられている。引出トレイ62を図の矢印X1方向に移動させた場合は、引出トレイ62を装置本体から引き出すことができ、反対に、引出トレイ62を図の矢印X2方向に移動させた場合は、引出トレイ62を装置本体に収容できるようになっている。
【0065】
図4は、トナーカートリッジ61の構成図である。同図において、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は底面図、(d)は断面図を示す。
図4に示すように、トナーカートリッジ61は、粉体としてのトナーを収容するトナー収容部(粉体収容部)66と、トナー収容部66内のトナーを外部へ排出するための排出部67によって構成されている。
【0066】
図4(d)に示すように、トナー収容部66は、一端部側に開口部66aが形成された変形可能な長手状の袋部材で構成されている。その開口部66aには、トナーを充填しやすいように、開口部66aを開口した状態に保持する開口保持部材68が設けられている。トナー収容部66の素材としては、可撓性を有する柔軟な素材が用いられる。トナー収容部66の素材には、例えば、PA(ポリアミド樹脂、ナイロン)、PE(高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン)、PC(ポリカーボネート樹脂)、PP(ポリプロピレン樹脂)、PS(ポリスチレン樹脂)、PAN(ポリアクリロニトリル樹脂)、PET(ポリエステル樹脂)、PVC(ポリ塩化ビニル樹脂)、PVDC(ポリ塩化ビニリデン樹脂)等の様々な樹脂のシートを単独又は複合した材料を用いることができる。本実施形態では、PP、PET、PA、LDPE(低密度ポリエチレン)の4種類の樹脂シートを貼り合わせて構成している。シートの形成方法としては、PVD(Physical Vapor Deposition )法やCVD(Chemical Vapor Deposition )法等の薄膜形成方法を適用することが可能である。
【0067】
本実施形態では、トナー収容部66の全体を変形可能な部材で構成しており、使用済みのトナー収容部66をコンパクトに折り畳んで、回収や運搬、再利用にあたっての環境負荷を軽減できる点で好ましい。ただし、トナー収容部66の一部のみを変形可能な部材で構成することも可能である。
【0068】
図4(d)に示すように、排出部67には、トナーを導入するための導入口67aと、トナーを排出するための排出口67bとが形成されている。本実施形態では、排出口67bは下方を臨むように配設されている。これにより、トナーを排出口67bから重力によって落下させてサブホッパ64へ送ることができ、トナーを排出する構成の簡素化を図ることが可能である。また、排出部67内には、導入口67aから排出口67bに向かって下方に傾斜した傾斜面67cが設けられており、トナーが排出口67bへスムーズに搬送されるようになっている。この傾斜面67cの水平面に対する傾斜角度は、10°以上に設定することが望ましい。また、排出口67bの底面(下面)には、排出口67bを開閉するためのスライドシャッタ67dが図4(b)の矢印Y方向にスライド移動可能に設けられている。
【0069】
図5は、トナー収容部66の縦断面図、図6は、トナー収容部66の横断面図である。また、図5、図6のそれぞれにおいて、(a)はトナー収容部66を膨らませた状態を示し、(b)はトナー収容部66が折り畳まれた状態を示している。
図5、図6に示すように、トナー収容部66の両側面662には、その長手方向に伸びる折り目Eが付けられている。図5では、折り目Eは、トナー収容部66の開口部66aが形成された一端部からそれとは反対側の他端部までの全域に渡って直線状に形成されている。また、折り目Eは、トナー収容部66の側面662が内側に折り畳まれるように付けられている。
【0070】
また、図6に示す例では、トナー収容部66の上面660、下面661及び左右の側面662が、それぞれ別々のシート材から成っており、これら4枚のシート材を貼り合わせて袋状のトナー収容部66を構成している。この場合、図6に示すように、各シート材を貼り合わせるための接着しろFが4箇所必要になる。
【0071】
また、図7に示すように、1枚のシート材を袋状に形成してトナー収容部66を構成することも可能である。すなわち、1枚のシート材を筒状に貼り合わせ、その断面の四隅を山折りにして、上面660、下面661、左右側面662を形成する。さらに、各側面662の中央部を谷折りにして折り目Eを付けている。この場合、シート材の接着しろFは1箇所だけとなるので、図6に示すトナー収容部66に比べて接着しろFが少ない。このため、図7に示すトナー収容部66は、接着しろFが少ない分、トナー収容部66の配置スペースを小さくすることができる利点がある。また、接着しろFの無い部分においてトナーの充填スペースを広げることができるので、画像形成装置内の限られたスペースを有効に活用することも可能である。
【0072】
一方、図6に示すトナー収容部66は、接着しろFを四隅に有していることにより、図7に示すトナー収容部66に比べて、強度が向上する。このため、トナー収容部66全体の剛性が高くなり、トナー収容部66の持ち運びを行いやすくなる利点がある。
【0073】
また、本実施形態では、シート材同士を熱容着によって接着しているが、接着剤や両面粘着テープなどを用いてシート材を接着してもよい。なお、シート材の接着を熱溶着で行う場合は、最内側のシート層にLDPEを用いることにより接着性が向上する。
【0074】
図8は、トナーカートリッジ61の分解図である。同図において、(a)は排出部67の斜視図、(b)は開口保持部材68の斜視図、(c)は開口保持部材68をトナー収容部66に設けた状態の斜視図を示す。
図8(b)に示すように、開口保持部材68は、短筒状の挿入部68aと、フランジ状の連結部68bとが一体成型されて構成されている。図8(c)に示すように、挿入部68aは、トナー収容部66の開口部66aに挿入可能となっている。本実施形態では、トナー収容部66と開口保持部材68とを熱容着にて接着するようにしているが、接着剤等により接着してもよい。また、熱容着する際に、挿入部68aの挿入箇所を図8(c)の上下方向から抑えやすいように、挿入部68aの外形は略六角形状に形成されている。
【0075】
図8(a)に示すように、排出部67の導入口67a側には、開口保持部材68の連結部68aと係合可能な一対の溝部67eが設けられている。上記のように、開口保持部材68をトナー収容部66に挿入して接着した後、開口保持部材68を溝部67eに上方から挿入して係合させることにより、トナー収容部66と排出部67とを一体的に連結させることが可能となっている。また、排出部67の開口保持部材68との連結部には、当該連結部からトナーが漏れないようにシール材69が設けられている。
【0076】
図9(a)は、トナーカートリッジ61を引出トレイ62に装着する前の状態を示す平面図、同図の(b)は、トナーカートリッジ61を引出トレイ62に装着した状態を示す平面図である。
図9(b)に示すように、排出部67の両側面にはそれぞれ凹部67fが設けられている。一方、各凹部67fに対応する引出トレイ62の部位には、凸部62aが設けてあり、各凸部62aは対応する凹部67f内に挿入可能となっている。また、トナー収容部66の排出部67側とは反対側の端部には、相手側の係止部に係止される被係止部としての孔部66bが形成されている。一方、孔部66bに対応する引出トレイ62の部位には、係止部としてのフック状の引っ掛け部62bが設けられている。
【0077】
そして、この引っ掛け部62bを孔部66bに挿入して係止すると共に、上記凸部62aを上記凹部67f内に挿入することによって、トナーカートリッジ61は引出トレイ62に対して装着された状態となる。また、このようにトナーカートリッジ61を装着した状態では、通常、凸部62aと凹部67fは互いに非接触状態となっている。しかし、引出トレイ62を装置本体に対し引き出す又は収容する際に、トナーカートリッジ61が長手方向に移動した場合、凸部62aが凹部67fに当接することでトナーカートリッジ61の長手方向の移動を規制するようになっている。
【0078】
また、トナーカートリッジ61を引出トレイ62から取り外すには、凹部67fを凸部62aから離脱させ、引っ掛け部62bを孔部66bから離脱させればよい。本実施形態では、各凸部62a(又は各凹部67f)は、互いに同じ形状に形成されているが、異なる形状とすることで、トナーカートリッジ61の誤装着を防止することも可能である。
【0079】
図9(a)に示すように、上記引っ掛け部62bは、引出トレイ62に対して図の矢印Qの方向へ移動可能に取り付けられている。すなわち、引っ掛け部62bは、トナーカートリッジ61を引出トレイ62に装着した状態(図9(b)に示す状態)で、排出部67側とそれと逆方向へ移動可能に構成されている。また、図9(a)に示すように、引っ掛け部62bは、弾性部材としての捩りコイルバネ62kによって図の右側へ付勢されている。これにより、引っ掛け部62bをトナー収容部66の孔部66bに挿入して引っ掛けた状態にすると、引っ掛け部62bは捩りコイルバネ62kの付勢力によって排出部67とは逆方向へ引っ張られ、トナー収容部66が所定の位置に保持されるようになっている。
【0080】
図10は、上記固定部63の拡大図である。同図において、(a)は固定部63にトナーカートリッジ61を固定する前の状態を示し、(b)は固定部63にトナーカートリッジ61を固定した状態を示す。
図10に示すように、固定部63は、サブホッパ64の上部に接続された本体部70と、本体部70の上部に取り付けられた固定アーム71と、固定アーム71と本体部70とに渡って取り付けられたバネ部材72と、固定アーム71よりも下方で本体部70に取り付けられたシャッタ開放部材73を有している。なお、固定アーム71、バネ部材72及びシャッタ開放部材73は、それぞれ、図の手前側と奥側に1つずつ設けられている。
【0081】
固定アーム71は、凹部71aを有する略C字状に形成されている。また、固定アーム71は、その中間部に配設された水平方向の支軸71bを中心に本体部70に回動可能に取り付けられている。この支軸71bを中心に固定アーム71が回動することで、固定アーム71は、図10(a)に示す固定解除位置と、図10(b)に示す固定位置とに切り換えられるようになっている。
【0082】
バネ部材72は、引張コイルバネである。その一端部は固定アーム71に取り付けられ、他端部は本体部70に取り付けられている。図10(a)(b)に示すように、固定アーム71が固定位置と固定解除位置との間で回動すると、バネ部材72の固定アーム71に取り付けられた端部が固定アーム71の回動支点(支軸71b)を越えて移動するようになっている。このように、固定アーム71の回動に伴ってバネ部材72が回動支点を越えることで、バネ部材72は固定アーム71をその回動させる方向へ付勢するようになる。
【0083】
一方、排出部67には、上記固定アーム71によって固定される被固定部としての突起部67gが設けられている。この突起部67gは、排出部67の両側面にそれぞれ1つずつ設けられている(図4(a)又は(c)参照)。
【0084】
シャッタ開放部材73は、水平方向の支軸73bを中心に本体部70に回動可能に取り付けられている。また、シャッタ開放部材73は、排出部67に設けられたスライドシャッタ67dの凸部670dを保持するための凹部73aを有する。
【0085】
また、固定部63の本体部70には、切欠き部70aが形成されている。一方、排出部67の両側面には、それぞれ、前記切欠き部70aの上部に当接可能なL字状の突片部67hが突設されている。
【0086】
トナーカートリッジ61を固定部63に固定するには、まず、上記図9において説明したようにトナーカートリッジ61を引出トレイ62に装着する。そして、引出トレイ62を装置本体に収容する方向(図3の矢印X2方向)へ移動させる。この収容動作に伴って、図10(a)に示すように、トナーカートリッジ61の排出部67が固定部63に接近すると、排出部67に設けてある突起部67gが固定アーム71の一端部(図の下方の端部)71cに当接し、バネ部材72の付勢力に抗して固定アーム71を図の反時計方向に回動させる。これにより、固定アーム71は、図10(a)に示す固定解除位置から図10(b)に示す固定位置へと切り換えられる。その結果、図10(b)に示すように、突起部67gは、固定アーム71の凹部71a内に収容されると共に、固定アーム71の他端部(図の左側の端部)71dと本体部70の縁とによって挟まれて固定される。また、固定アーム71の回動に伴ってバネ部材72が固定アーム71の回動支点を越えると、バネ部材72は固定アーム71を切換後の位置に保持する方向に付勢するようになる。
【0087】
また、トナーカートリッジ61の排出部67が固定部63に接近することにより、排出部67に設けてある突片部67hが本体部70の切欠き部70aに挿入され、突片部67hが切欠き部70aの上部に当接する(図10(b)参照)。これにより、排出部67の上下方向のがたつきが防止される。
【0088】
さらに、排出部67に設けてあるスライドシャッタ67dがシャッタ開放部材73に当接し、シャッタ開放部材73を図の時計方向へ回動させる。そして、図10(b)に示すように、スライドシャッタ67dの凸部670dがシャッタ開放部材73の凹部73aに挿入され保持される。また、このとき、シャッタ開放部材73が回動して本体部70に当接することにより、シャッタ開放部材73のそれ以上の回動が規制されるため、スライドシャッタ67dはシャッタ開放部材73によって排出部67の後方へと押されて移動する。これにより、スライドシャッタ67d(排出口)が開放され、排出部67からサブホッパ64へトナーを排出することが可能となる。
以上のようにして、トナーカートリッジ61の固定部63への固定が完了する。
【0089】
また、トナーカートリッジ61の固定を解除する場合は、引出トレイ62を装置本体に対して引き出す方向(図3の矢印X1方向)へ移動させる。この引出動作により、トナーカートリッジ61は図10(b)において左方向へ移動し、排出部67に設けてある突起部67gが固定アーム71の他端部71dを押して、バネ部材72の付勢力に抗して固定アーム71を図の時計方向に回動させる。これにより、固定アーム71は図10(b)に示す固定位置から図10(a)に示す固定解除位置へ移動し、突起部67gが固定アーム71から離脱する。また、これと同時に、排出部67に設けてある突片部67hとスライドシャッタ67dとが、それぞれ切欠き部70aとシャッタ開放部材73とから離脱し、トナーカートリッジ61の固定が解除される。また、シャッタ開放部材73から離脱したスライドシャッタ67dは、図示しないバネ等の付勢力を受けて排出口を閉塞する方向にスライド移動させられるようになっており、排出口からのトナー漏れを防止する。
【0090】
上記のように、本実施形態では、引出トレイ62の引出・収容操作(固定部63への着脱動作)に連動して、固定アーム71の回動操作と、スライドシャッタ67dの開閉動作を行うことができるので、トナーカートリッジ61の固定及びその解除と、排出口の開閉を容易に行うことができ、操作性に優れる。また、固定アーム71の回動に伴ってバネ部材72が固定アーム71の回動支点を越えることにより、バネ部材72は固定アーム71をその回動させる方向へ付勢するようになるので、固定アーム71を切換後の位置で確実に保持することが可能である。さらに、突片部67hが切欠き部70aに当接することにより、排出部67の上下方向のがたつきを防止できるので、トナーカートリッジの固定状態を安定させることができる。なお、本実施形態では、トナー収容部66と排出部67とを一体として、引出トレイ62に対して着脱されるように構成しているが、排出部67が引出トレイ62(又は固定部63)に据え置きになっていて、トナー収容部66を着脱するように構成してもよい。
【0091】
図11は、引出トレイ62の斜視図である。
図11に示すように、引出トレイ62は、上記トナーカートリッジ61の両側面を支持する一対の側壁62cと、トナーカートリッジ61を載置する載置面62dとを有する。各側壁62cの図の手前側の端部には、上記本体側フレーム65に取り付ける際に主基準となる主基準軸62eが配設されている。なお、本実施形態では、この主基準軸62eは、後述のトナー搬送装置に駆動力を伝達する伝達ギヤ74の支軸として用いられている。また、各側壁62cの図の奥側の端部には、それぞれ本体側フレーム65に取り付ける際に従基準となる従基準軸62fが1つずつ配設されている。
【0092】
図12は、引出トレイ62を本体側フレーム65に取り付けた状態の斜視図である。
図12に示すように、本体側フレーム65は、引出トレイ62の引出方向X1及び収容方向X2に伸びる一対のガイドレール65aを有する。また、各ガイドレール65aの上端縁は、引出トレイ62の両側壁62cに形成された溝62g内に挿入されている。これにより、引出トレイ62はガイドレール65aに沿って引出方向X1と収容方向X2とに移動可能に構成されている。
【0093】
また、本体側フレーム65の図の手前側の端部には、引出トレイ62の上記主基準軸62eと嵌合可能な第1の位置決め凹部65bが形成され(図13参照)、本体側フレーム65の図の奥側の端部には、上記従基準軸62fと嵌合可能な第2の位置決め凹部65cが形成されている。これにより、引出トレイ62を収容方向X2に移動させた際、主基準軸62e及び従基準軸62fが、第1及び第2の位置決め凹部65b,65cに挿入されて互いに嵌合することにより、引出トレイ62は本体側フレーム65に対して所定の位置に位置決めされるようになっている。
【0094】
また、図12に示すように、本体側フレーム65の図の手前側の端部には、駆動装置によって駆動される駆動ギヤ75が設けられている。この駆動ギヤ75は、引出トレイ62を装置本体内に収納し本体側フレーム65に位置決めした状態で、伝達ギヤ74と連結されるようになっている。
【0095】
また、図14に示すように、本体側フレーム65には、引出トレイ62を加圧して固定する加圧部材76が設けられている。本実施形態では、加圧部材76を2つのレバーを組み合わせたもので構成している。引出トレイ62を収容方向X2に移動させた際、これら2つのレバーで引出トレイ62の下面に設けた凸部62hを挟み込むように加圧することによって、引出トレイ62を第1及び第2の位置決め凹部65b,65c側へ押し付けて固定するようになっている。
【0096】
また、図15に示すように、引出トレイ62には、トナー収容部66内のトナーを排出部67側へ搬送するためのトナー搬送装置(粉体搬送装置)8が設けてある。以下、図15〜図18に基づき、トナー搬送装置8の構成を詳しく説明する。
【0097】
図16に示すように、上記トナー搬送装置8は、ベース部材80と、ベース部材80に取り付けられた送出部材81及び一対の脚部材82と、ベース部材80を移動させる移動手段としてのベルト部材83と、ベース部材80をガイドするガイド部材としての一対のガイドレール84等によって構成されている。なお、図16において、手前側のガイドレール84は図示省略している。
【0098】
ベース部材80は、上部80aと下部80bとに分割されており、これら上部80aと下部80bによってベルト部材83を挟み込むことによって、ベルト部材83にベース部材80が取り付けられている。ベルト部材83は、無端状のベルトで構成されており、引出トレイ62に設けられた2つのローラ77,78(図15参照)によって張架されている。一方のローラ77に上記伝達ギヤ74(図11参照)から駆動力が伝達されることにより、ベルト部材83は正逆両方向に回転可能に構成されている。このように、ベルト部材83が正方向又は逆方向に回転することによって、ベース部材80と、これに取り付けられた送出部材81及び脚部材82は、一体的に、排出部67側へ向かう送出方向Z1と、それとは逆方向の戻り方向Z2とに、往復移動可能となっている。
【0099】
また、ベース部材80の両側面には、ガイドレール84上を転動する回転体としてのコロ85が2つずつ設けてある。このように、ベース部材80にコロ85を設けることで、ベース部材80がガイドレール84に沿って円滑に移動できるようになっている。なお、一対のガイドレール84は、引出トレイ62に固定されている。
【0100】
また、図16に示すように、送出部材81と脚部材82は、水平方向の支軸86を介して互いに開閉可能に取り付けられている。詳しくは、送出部材81と脚部材82は、それぞれ、前記支軸86を中心に互いに独立して回動可能に構成されており、送出部材81又は脚部材82が当該支軸86を中心に回動することで、送出部材81と脚部材82は互いに開閉可能となっている。また、送出部材81と脚部材82は、図示しない付勢部材としての捩りコイルバネによって互いに開く方向に付勢されている。また、送出部材81には、脚部材82を閉じた際に当該脚部材82を収容するための収容凹部81aが形成されている。
【0101】
上記ベルト部材83の回転方向の切換は、図17に示す2つのスイッチ87,88によって行う。移動方向切換手段としての各スイッチ87,88は、それぞれ、送出部材81の移動方向切換位置に配設されている。具体的には、一方のスイッチ87は、引出トレイ62の送出方向Z1の端部(図の左側の端部)に配設され、他方のスイッチ88は、引出トレイ62の戻り方向Z2の端部(図の右側の端部)に配設されている。また、送出部材81が移動方向切り換え位置の一方に到達した際、その位置に配設されたスイッチ87又は88に対して、ベース部材80が接触するようになっている。すなわち、ベース部材80は、各スイッチ87,88に接触してオンにする入力手段として機能する。このように、ベース部材80がスイッチ87又は88に接触することにより、送出部材81の移動方向が送出方向Z1又は戻り方向Z2に切り換えられるので、トナーの送出動作を連続的に行うことが可能である。また、接触式のスイッチの代わりに非接触式のセンサを配設し、ベース部材80等に設けた被検知部(入力手段)がその非接触式のセンサに近接することで当該センサをオンにするようにしてもよい。
【0102】
図18は、送出部材81と脚部材82の側面図である。
図18に示すように、脚部材82は、上記引出トレイ62の載置面62dに当接しており、この載置面62dに沿って送出方向Z1と戻り方向Z2に往復移動可能となっている。すなわち、載置面62dは、脚部材82をガイドするガイド面としての機能も有する。上記のように、送出部材81と脚部材82は捩りコイルバネによって互いに開くように付勢されているが、脚部材82は、載置面62dに当接することによって水平方向に配設された状態で支持されている。一方、送出部材81は、水平方向に支持されている脚部材82に対して送出方向Z1(排出部67側)へ回動して開くように付勢されているが、図示しないストッパー等の規制部が前記捩りコイルバネの付勢力に抗して送出部材81の開く方向への回動を規制している。これにより、送出部材81は載置面62dに対して起立した状態(図の実線で示す状態)となるように支持されている。このように、載置面62dと規制部とによって、送出部材81が載置面62dに対して所定の起立した状態となるように、送出部材81と脚部材82とが成す開き角度は所定の角度αに保持されている。
【0103】
また、図18において、開き角度βは、送出部材81を上記規制部によって規制しないようにした場合の角度である。すなわち、この角度βは、上記捩りコイルバネが自然状態である場合の開き角度を示す。図18に示すように、自然状態の捩りコイルバネによって保持される開き角度βは、送出部材81が所定の起立した状態となる開き角度αより大き
く、かつ、180°よりも小さい範囲内で設定されている。
【0104】
また、上記図9(a)に示すように、脚部材82が載置面62d上で往復移動する方向(送出方向Z1及び戻り方向Z2)の両端部側に、それぞれ、脚部材82が侵入可能な凹部62i,62jが設けられている。本実施形態では、これら凹部62i,62jを設けることで、送出部材81を載置面62dに対して起立した状態と倒れた状態とに切換可能に構成している。
以下、図19と図20に基づき、送出部材81を起立した状態と倒れた状態とに切り換える切り換え動作について説明する。
【0105】
図19(a)は、送出部材81が、送出方向Z1の端部側の凹部62iに到達する前の状態を示す。この状態では、送出部材81と脚部材82とが成す開き角度は、図示しない規制部と載置面62dによって所定の角度αに保持されており、送出部材81は載置面62dに対して所定の起立した状態となっている。
【0106】
そして、図19(b)に示すように、送出部材81が送出方向Z1に移動し、脚部材82が凹部62iの位置に到達すると、この位置では脚部材82を支持する載置面62dが存在しないため、脚部材82は図示しない捩りコイルバネの付勢力を受けて下方に開き、脚部材82が凹部62i内に侵入する。このときの送出部材81と脚部材82との間の開き角度は、上記捩りコイルバネの自然状態で保持される角度βとなる。
【0107】
また、送出部材81が凹部62iの位置に到達したとき、図17に示すスイッチ87にベース部材80が接触し、送出部材81の移動方向が切り換えられる。
【0108】
図19(c)に示すように、移動方向が切り換えられ、送出部材81が戻り方向Z2へ移動すると、脚部材82が凹部62iの縁(開口部付近)に当接し、脚部材82の先端が上方へ持ち上げられる。このように脚部材82が持ち上げられ、さらに開く方向に脚部材82が回動すると、開き角度が上記角度βより大きくため、上記捩りコイルバネによる付勢力は閉じる方向へ作用する。その結果、送出部材81は閉じる方向に付勢力を受け載置面62d上に倒される。
【0109】
そして、図19(d)に示すように、脚部材82が凹部62iから脱すると、送出部材81及び脚部材82は、載置面62d上に水平状に倒れた状態で保持される。詳しくは、この状態で、送出部材81と脚部材82とが成す開き角度は、180°に近い角度に開いているため、送出部材81と脚部材82は捩りコイルバネによって互いに閉じる方向に付勢力を受けているが、載置面62dによって送出部材81と脚部材82の回動が規制されているので、送出部材81と脚部材82は水平状に倒れた状態で保持される。なお、送出部材81と脚部材82は、互いに180°以上開かないように構成されている。
【0110】
図20(a)は、上記のようにして倒された送出部材81が、戻り方向Z2の端部側の凹部62jに到達する前の状態を示す。この状態では、上記図19(d)に示す状態と同様に、送出部材81と脚部材82とが成す開き角度は、180°に近い角度に開いており、送出部材81と脚部材82は載置面62d上で水平状に倒れた状態で保持されている。
【0111】
そして、図20(b)に示すように、脚部材82が凹部62jの位置に到達すると、この位置では脚部材82を支持する載置面62dが存在しないため、脚部材82は上記捩りコイルバネの付勢力を受けて下方に閉じ、脚部材82が凹部62j内に侵入する。また、このときの送出部材81と脚部材82との間の開き角度は、捩りコイルバネの自然状態で保持される角度βとなる。なお、送出部材81は、凹部62j内に侵入できないように構成されているため、送出部材81は凹部62j上を通過する。
【0112】
また、送出部材81が凹部62jの位置に到達したとき、図17に示すスイッチ88にベース部材80が接触し、送出部材81の移動方向が切り換えられる。
【0113】
図20(c)に示すように、移動方向が切り換えられ、送出部材81が送出方向Z1へ移動すると、脚部材82が凹部62jの縁(開口部付近)に当接し、脚部材82の先端が上方へ持ち上げられる。このように脚部材82が持ち上げられ、さらに閉じる方向に脚部材82が回動すると、開き角度が上記角度βより小さくため、上記捩りコイルバネによる付勢力は開く方向へ作用する。その結果、送出部材81は開く方向に付勢力を受け起立させられる。
【0114】
そして、図20(d)に示すように、脚部材82が凹部62jから脱すると、送出部材81は、所定の開き角度αで起立した状態に保持される。
【0115】
以下、図21に基づいて、本発明に係るトナー搬送装置8のトナーの送出動作(搬送動作)について説明する。
なお、図21の(a)(b)(c)では、それぞれトナーカートリッジ61が引出トレイ62に装着され、さらに、その引出トレイ62が装置本体内に収容された状態となっている。従って、この状態で装置本体側の駆動装置からベルト部材83に駆動力が伝達可能となっており、送出部材81を往復移動させ得る状態となっている。
【0116】
図21(a)は、トナー収容部66内のトナーTの残量がある程度減った状態を示す。 この場合、送出部材81は捩りコイルバネの付勢力を受けて起立した状態となっている。これにより、トナー収容部66の下面は、起立した送出部材81によって内側へ押し込まれた状態となっている。そして、送出部材81がトナー収容部66を内側へ押し込んだ状態で送出方向Z1に移動することにより、内部のトナーTは送出部材81によって押されて排出部67側へ移動させられる。そして、排出部67側へ移動させられたトナーTは、慣性力と重力によって排出部67から下方へ排出される。また、上記の如く、排出部67には傾斜面67cが設けてあるので(図4(d)参照)、トナーTはこの傾斜面67c上を滑ることでスムーズに排出される。さらに、本実施形態では、排出部67に微小な振動を付与する図示しない振動付与手段が設けられている。この振動付与手段によって排出部67に微小な振動を付与することで、排出部67からのトナーTの排出が促進されると共に、排出部67へのトナーTの付着が防止される。
【0117】
また、図21(b)は、トナー収容部66内にトナーTが大量に充填されている状態を示す。
このように、トナー収容部66内にトナーTが大量に存在する箇所では、トナーTが詰まっていることでトナー収容部66が硬くなっていると共に、トナーTの重量で重くなっている。このため、図21(b)に示すように、送出部材81は倒れた状態となり、トナー収容部66に対する送出部材81の押し込み量が少なくなる。そして、送出部材81は、トナーTが大量に存在する箇所では倒れた状態のまま送出方向Z1に移動する。その後、送出部材81が排出部67付近のトナーTの比較的少ない位置に達すると、図21(c)に示すように、送出部材81は起立した状態となることで、送出部材81の押し込み量が多くなる。このように、排出部67付近で送出部材81が起立して押し込み量が多くなることにより、排出部67付近の動かし易いトナーTから順次排出することができる。
【0118】
上記のように、本実施形態では、トナー収容部66内のトナー量に応じて、送出部材81の押し込み量が変化するので、トナー収容部66内のトナー残量にかかわらずトナーを排出部67へ安定して確実に送り出すことが可能である。また、小ストレスでトナーを搬送することができ、トナーの凝集や劣化を抑制することができる。さらに、大きな振動や衝撃が生じることがない(排出部67に微小な振動を付与するだけである)ので、振動による異常画像の発生の虞も無い。
【0119】
また、トナー収容部66の材質(柔軟性等)や最大トナー収容量などに応じて、送出部材81を付勢する捩りコイルバネの付勢力を適宜変更することにより、送出部材81の押し込み力を適切な値に調整することが可能である。その場合、捩りコイルバネの付勢力を大きくしても、本施形態では、図示しない規制部によって送出部材81の回動が規制されるので、送出部材81を所定の起立した状態に保持することができる。
【0120】
また、図22に示すように、送出部材81を元の位置へ戻す際は、送出部材81が倒れたた状態に切り換えられる。これにより、戻り方向Z2へ移動する送出部材81によってトナーが戻されるのを防止できる。しかも、本実施形態の場合、上記図19及び図20で説明したように、送出部材81の起立した状態と倒れた状態との切換動作を、脚部材82が凹部62i又は62jに侵入するだけの簡単な機構によって実現できるので、構成の簡素化を図ることができる。なお、凹部62i,62jの代わりに、貫通した孔部とすることも可能である。
【0121】
また、図21に示すように、トナーの送出動作時、移動する送出部材81によってトナー収容部66が排出部67側に押されることにより、トナー収容部66の端部を係止する引っ掛け部62bも排出部67側(図の矢印A方向)に引っ張られて移動する。このように、本実施形態では、トナー収容部66が押されるのに伴って引っ掛け部62bが移動するので、送出部材81がトナー収容部66を押す際に生じるトナー収容部66への急激な負荷の増加を軽減することができ、トナー収容部66の損耗を抑制することが可能である。
【0122】
その後、図22に示すように、送出部材81を戻すときは、引っ掛け部62bが上記捩りコイルバネ62k(図9(a)参照)によって排出部67側とは逆方向(図の矢印B方向)へ引き戻され、トナー収容部66が所定の位置に保持される。
【0123】
また、トナー収容部66を引っ掛け部62bに係止された状態では、引っ掛け部62bによってトナー収容部66の長手方向に引っ張り力が作用している。すなわち、上記折り目Eが伸びる方向に引っ張り力が作用しており、この引っ張り力によってトナー収容部66には折り目Eに沿って内側に折り畳まれる力が生じる。このため、トナー収容部66内のトナーが減少すると、それに伴いトナー収容部66は折り目Eに沿って折り畳まれ、トナー収容部66の上面と下面が接近するように変形することで減容していく。そして、トナー収容部66内のトナーがほとんど無くなった状態になると、図5(b)に示すように、トナー収容部66が扁平状に潰れた状態になる。
【0124】
このように、本実施形態では、ポンプを用いなくても、トナーの消費に伴ってトナー収容部66が折り畳まれて自動的に減容化していくため、外観でトナー残量を把握することができる。また、トナー収容部66内のトナーがほとんど無くなると、トナー収容部66は折り畳まれて潰れた状態になるため、使用済みのトナー収容部66を廃棄する際にトナー収容部66を潰す手間が不要となり利便性が向上する。
【0125】
また、本実施形態では、トナー収容部66の開口部66a側の一端部からそれとは反対側の他端部まで(長手方向全域に渡って)折り目Eを付けているので、トナー収容部66の折り畳み姿勢を制御しやすくなる。このため、トナー収容部66の変形に伴う粉体排出性(トナー搬送作用)を安定化することができ、トナー補給動作に有利である。
【0126】
また、本実施形態では、折り目Eの位置でトナー収容部66が内側に折り畳まれるように構成されているので、トナー収容部66が折り畳まれた際に、トナー収容部66がその周囲に配設された部材に接触して損傷したり、接触によって異音が発生したりすることがない。また、トナー収容部66が周囲に配設された部材に接触しないので、トナー収容部66の折り畳み変形が阻害されることによる減容化の抑制や、これに伴うトナー排出性の低下の虞もない。
【0127】
また、図5に示すように、引っ掛け部62bに引っ掛けられる孔部66bは、折り目Eと同一直線上に配設されることが好ましい。このように、孔部66bを配設することで、トナー収容部66が折り目Eに沿って折り畳まれやすくなり、トナー収容部66内のトナーがほとんど無くなった場合に、トナー収容部66がより薄く折り畳まれるようになる。
【0128】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
上述の実施形態では、被係止部としての孔部66bをトナー収容部66の端部に直接形成しているが、図23に示すように、被係止部としての孔部40aをトナー収容部66とは別体の被係止部材40に設けてもよい。
【0129】
図23に示す実施形態では、トナー収容部66の端部に、孔部40aが形成(貫設)された被係止部材40を取り付けている。詳しくは、被係止部材40の一部をトナー収容部66の端部から内部に挿入し、その挿入された部分をトナー収容部66の内面に接着して取り付けている。また、孔部40aは、被係止部材40のトナー収容部66から露出した部分に形成されており、孔部40aに上記引っ掛け部62b等の係止部が挿入され係止されるようになっている。なお、孔部40aは、相手部材の係止部を係止することができるのであれば、貫通孔以外に、有底孔又は凹部の形状に形成することも可能である。
【0130】
また、図24に示す実施形態のように、被係止部材40をトナー収容部66の端部の外面に接着することにより取り付けてもよい。なお、図24では、被係止部材40に形成されている孔部40aを有底孔又は凹部としているが、貫通孔とすることも可能である。
【0131】
また、図25に示す実施形態のように、被係止部材40がトナー収容部66の端部を挟むことで取り付けられるように構成してもよい。
図25(a)に示すように、この実施形態では、被係止部材40は、可撓性を有する曲げ部45を介して互いに一体的に連結された一対の挟持部41,42を有する。各挟持部41,42には、それぞれ被係止部としての孔部41a,42aが形成(貫設)されている。さらに、一方の挟持部41には、2つの凸部43が形成され、他方の挟持部42には、前記凸部43と嵌合可能な2つの嵌合孔44が形成(貫設)されている。また、トナー収容部66の端部には、被係止部材40を取り付けるための2つの取付用孔66dが形成(貫設)されている。
【0132】
被係止部材40をトナー収容部66の端部に取り付けるには、図25(b)に示すように、曲げ部45を曲げて一対の挟持部41,42でトナー収容部66の端部を挟む。このとき、凸部43が取付用孔66dを貫通し、さらに、凸部43が嵌合孔44に挿入して嵌合することにより、一対の挟持部41,42が展開しないように固定される。これにより、被係止部材40がトナー収容部66の端部に取り付けられる。
【0133】
なお、図25に示す構成において、一対の挟持部41,42を互いに連結せずに、それぞれ別体で構成することも可能である。また、一対の挟持部41,42のいずれか一方のみに、被係止部としての貫通孔、又は有底孔あるいは凹部を形成してもよい。
【0134】
さらに、別の実施形態を図26に示す。
図26に示す実施形態では、被係止部材40が有する一対の挟持部41,42で、トナー収容部66の他端部を挟圧することにより取り付けている。また、この実施形態では、被係止部としての孔部や凹部等を形成していない。ここでは、被係止部材40とトナー収容部66との端部の境界に形成される段差部Hを被係止部としている。すなわち、段差部Hに相手部材の係止部を引っ掛けることにより係止するように構成している。また、被係止部材40の形状は、図26(a)に示すような円柱状、又は図26(b)に示すような四角柱状、その他種々の形状を選択することが可能である。なお、この構成において、被係止部としての孔部や凹部等を形成することも可能である。また、段差部Hに相手部材を係止する際、被係止部材40の上下から一対の係止部によって挟むように構成すると、被係止部材40がトナー収容部66の端部から外れにくくなる。
【0135】
上記のように、被係止部をトナー収容部66とは別体の被係止部材40に設けた場合は、被係止部材40の形状を変更するだけで、被係止部を貫通孔、有底孔、凹部又は段差部等の様々な形状に容易に変更することが可能である。また、トナー収容部66ごとに異なる形状の被係止部材40を取り付けることで、トナー収容部66の識別が可能となる。この場合、各トナー収容部66の形状は共通にしておくことができるので、低コストでトナー収容部66の識別を実現できる。また、トナー収容部66内に収容されるトナーの色ごとに被係止部材40の形状を異ならせてもよい。さらに、異なる形状の被係止部材40に対応して相手部材側の係止部の形状も異ならせることにより、トナーカートリッジの非互換又は誤装着防止の機能を発揮できるようになる。
【0136】
被係止部材40をトナー収容部66に接着(容着)する場合は、図23に示す実施形態のように、被係止部材40の一部をトナー収容部66内に挿入することにより、効率良く容着できる。ただし、この場合、トナー収容部66内にトナーを充填する前に、被係止部材40をトナー収容部66に容着する必要があるため、その後のトナー充填工程において、被係止部材40にトナーが付着したり被係止部材40が損傷したりする虞がある。この点、図24、図25、図26に示すような被係止部材40をトナー収容部66内に挿入せずに取り付ける構成は、トナー収容部66内にトナーを充填して封止した後で、被係止部材40を取り付けることが可能である。このため、これらの構成は、被係止部材40へのトナーの付着や、被係止部材40の損傷を防止でき、付着したトナーの清掃作業や、損傷した被係止部材40の交換作業等を行わなくて済むので、コストの削減を図れる利点がある。さらに、図25や図26に示すように、被係止部材40でトナー収容部66の端部を挟む構成は、接着材を塗布する工程や容着する工程が不要となるので、取付作業が容易となる利点がある。
【0137】
以上の本発明の構成を、トナー以外の粉体を収容する粉体収容器に適用することも可能である。また、本発明に係る粉体収容器を、図1に示すプリンタに限らず、その他のプリンタ、複写機、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等に搭載してもよい。また、本発明に係る粉体収容器に、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0138】
8 トナー搬送装置(粉体搬送装置)
40 被係止部材
40a 孔部(被係止部)
41 挟持部
41a 孔部(被係止部)
42 挟持部
42a 孔部(被係止部)
43 凸部
44 嵌合孔
60 トナー補給装置
61 トナーカートリッジ
62 引出トレイ
62b 引っ掛け部(係止部)
66 トナー収容部(粉体収容部)
66a 開口部
66b 孔部(被係止部)
66d 取付用孔
81 送出部材
E 折り目
H 段差部(被係止部)
T トナー(粉体)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0139】
【特許文献1】特開2002−46843号公報
【特許文献2】特開2005−91879号公報
【特許文献3】特開平11−143195号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端部に開口部が形成され、内部に粉体が収容されると共に、少なくとも一部が変形可能な粉体収容部を有する粉体収容器であって、
前記開口部が形成された一端部とは反対側の他端部に、当該他端部を前記一端部に対して離れる方向に引っ張る相手部材の係止部を係止するための被係止部を設け、前記粉体収容部に前記一端部側から前記他端部側へ伸びる折り目を付けたことを特徴とする粉体収容器。
【請求項2】
前記粉体収容部の互いに対向する面に、それぞれ前記折り目を付けた請求項1に記載の粉体収容器。
【請求項3】
前記折り目を、前記粉体収容部が内側に折り畳まれるように付けた請求項1又は2に記載の粉体収容器。
【請求項4】
前記折り目を、前記粉体収容部の前記一端部から前記他端部までの全域に渡って付けた請求項1から3のいずれか1項に記載の粉体収容器。
【請求項5】
前記折り目と前記被係止部を同一直線上に配設した請求項1から4のいずれか1項に記載の粉体収容器。
【請求項6】
前記粉体収容部の前記他端部に孔部を形成し、当該孔部を前記相手部材の係止部を挿入して係止するための前記被係止部とした請求項1から5のいずれか1項に記載の粉体収容器。
【請求項7】
前記粉体収容部の前記他端部に孔部が形成された被係止部材を取り付け、当該孔部を前記相手部材の係止部を挿入して係止するための前記被係止部とした請求項1から5のいずれか1項に記載の粉体収容器。
【請求項8】
前記粉体収容部の前記他端部に被係止部材を取り付け、当該被係止部材と前記他端部との境界に形成される段差部を前記相手部材の係止部を引っ掛けて係止するための前記被係止部とした請求項1から5のいずれか1項に記載の粉体収容器。
【請求項9】
前記被係止部材の一部を前記粉体収容部の前記他端部から内部に挿入し、当該挿入された前記被係止部材の一部を前記粉体収容部の内面に接着して取り付けた請求項7又は8に記載の粉体収容器。
【請求項10】
前記被係止部材を前記粉体収容部の前記他端部の外面に接着して取り付けた請求項7又は8に記載の粉体収容器。
【請求項11】
前記被係止部材は前記粉体収容部の前記他端部を挟む一対の挟持部を有し、一方の前記挟持部に凸部を設けると共に、他方の前記挟持部に嵌合孔を形成し、さらに、前記粉体収容部の前記他端部に取付用孔を形成し、
前記一対の挟持部で前記粉体収容部の前記他端部を挟み、前記一方の挟持部の前記凸部を前記取付用孔に貫通させ、当該凸部を前記他方の挟持部の前記嵌合孔に嵌合させることにより、前記被係止部材を前記粉体収容部の前記他端部に取り付けた請求項7又は8に記載の粉体収容器。
【請求項12】
前記被係止部材は前記粉体収容部の前記他端部を挟む一対の挟持部を有し、当該一対の挟持部で前記粉体収容部の前記他端部を挟圧することにより、前記被係止部材を前記粉体収容部の前記他端部に取り付けた請求項7又は8に記載の粉体収容器。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載の粉体収容器の内部にトナーを収容したことを特徴とするトナーカートリッジ。
【請求項14】
請求項1から12のいずれか1項に記載の粉体収容器と、当該粉体収容部の変形可能な部分を内側へ押し込んだ状態で前記開口部側へ移動して粉体を前記開口部から送り出す送出部材とを備えたことを特徴とする粉体搬送装置。
【請求項15】
請求項1から12のいずれか1項に記載の粉体収容器を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2012−163808(P2012−163808A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−24848(P2011−24848)
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】