説明

糖尿病の治療又は予防のためのジペチジルペプチダーゼ阻害剤としてのフェニルアラニン誘導体

本発明は、ジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素阻害剤(「DP−IV阻害剤」)であり、糖尿病及び特に2型糖尿病等のジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素が関係する疾患の治療又は予防に有用なフェニルアラニン誘導体に向けられている。本発明は、これらの化合物を含有する医薬組成物及び、ジペプチジルペプチダーゼIV酵素が関与するこのような疾患の予防又は治療におけるこれらの化合物及び組成物の使用にも向けられる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
糖尿病は複数の原因から誘発され、空腹状態時、又は経口ブドウ糖負荷試験におけるグルコース投与後の血漿グルコースレベル上昇、又は高血糖により特徴づけられる疾患の過程を指す。高血糖が持続する場合、又はコントロールされない場合、罹患率及び死亡率が高くなる。グルコースホメオスタシスが異常であると、直接的であれ間接的であれ、脂質、リポタンパク質及びアポリポタンパク質代謝が変化し、他の代謝及び血行動態疾患が発症することが多い。従って、2型糖尿病患者は、冠状動脈性心疾患、脳卒中、末梢血管疾患、高血圧、腎障害、神経障害及び網膜症を含めた大血管性及び微小血管性合併症を併発する危険性が特に高い。ゆえに、糖尿病の臨床的管理及び治療においては、グルコースホメオスタシス、脂質代謝及び高血圧を治療的にコントロールすることがきわめて重要である。
【0002】
糖尿病には2種類のタイプがあることが一般に認められている、1型糖尿病又はインスリン依存性糖尿病(IDDM)では、患者はグルコース利用を調節するホルモンであるインスリンを殆ど、又は全く産生しない。2型糖尿病又はインスリン非依存性糖尿病(NIDDM)では、患者の血漿インスリンレベルは糖尿病でない人と同等か又は高いことが多い。しかし、これらの患者は主なインスリン感受性組織である筋肉、肝臓や脂肪組織においてグルコース及び脂質代謝のためのインスリン刺激作用に対して抵抗性を有しており、血漿インスリンレベルは高いが顕著なインスリン抵抗性を解決するには十分でない。
【0003】
インスリン抵抗性は、インスリン受容体数の減少が主原因ではなく、インスリン受容体結合後の欠陥により起こるものと思われるが、まだ十分に解明されていない。このようなインスリン応答性に対する抵抗性が生じると、筋肉でのグルコース取り込み、酸化及び貯蔵がインスリンにより十分に活性化されず、脂肪組織における脂肪分解及び肝臓におけるグルコース産生及び分泌がインスリンにより十分に抑制されなくなる。
【0004】
2型糖尿病に対して行うことができる治療は長年にわたり実質的に変化しておらず、限界があることが分かっている。運動及び食事によるカロリー摂取制限により糖尿病状態は劇的に改善されるが、ライフスタイルが非活動的であり、食品、特に飽和脂肪を多く含む食品を過剰に摂取する習慣が出来上がっているため、この治療のコンプライアンスは非常に低い。より多量のインスリンを分泌するように膵臓β−細胞を刺激するスルホニル尿素(例えば、トルブタミド及びグリピジド)又はメグリチニドを投与することにより、及び/又はスルホニル尿素又はメグリチニドが効果を示さなくなった場合にインスリンを注射することによってインスリンの血漿レベルを上昇させると、インスリン濃度は高度なインスリン抵抗性組織を刺激するのに十分なレベルの高さとなる。しかし、インスリン又はインスリン分泌促進薬(スルホニル尿素又はメグリチニド)の投与により血漿グルコースレベルが危険なレベルまで低下する可能性があり、また、血漿インスリンレベルがさらに一層高くなるためインスリン抵抗性が悪化する可能性がある。ビグアナイドはインスリン感受性を高めて高血糖を若干改善する。しかし、2種類のビグアナイド薬、フェンホルミン及びメトホルミンは各々乳酸アシドーシス及び悪心/下痢を誘発することがある。メトホルミンはフェンホルミンよりも副作用を発現しにくく、2型糖尿病の治療のために処方されることが多い。
【0005】
グリタゾン類(すなわち、5−ベンジルチアゾリジン−2,4−ジオン)は、2型糖尿病の多くの症状を改善する可能性を有する、最近記載された化合物群である。これらの物質は、一部の2型糖尿病動物モデルにおいて筋肉、肝臓及び脂肪組織のインスリン感受性を大幅に向上させ、その結果、低血糖を起こさずに高い状態にある血漿グルコースレベルをある程度改善するか、又は完全に正常値に戻す。現在市販されているグリタゾン類は、ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体(PPAR)、主にPPAR−γサブタイプのアゴニストである。PPAR−γアゴニズムは一般に、グリタゾン類で見られるインスリン感受性向上に関与すると考えられている。2型糖尿病の治療に対して現在試験中のさらに新しいPPARアゴニストはα、γもしくはδ−サブタイプ、又はこれらの組合せのアゴニストであり、多くの場合グリタゾン類とは化学的に異なる(すなわち、チアゾリジンジオンではない)。トログリタゾン等、グリタゾン類の中には重篤な副作用(例えば、肝毒性)を示したものがある。
【0006】
現在、この疾患に対するさらなる治療法が研究途上にある。最近導入された、又は現在開発中の新規の生化学的アプローチとしては、α−グルコシダーゼ阻害剤(例えば、アカルボース)及びタンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤を用いる治療が挙げられる。
【0007】
ジペプチジルペプチダーゼ−IV(「DP−IV」又は「DPP−IV」)酵素の阻害剤である化合物も糖尿病、特に2型糖尿病の治療に有用であり得る薬物として研究中である。例えば、国際特許出願公開第97/40832号、同第98/19998号、米国特許第5,393,560号、Bioorg.Med.Chem.Lett.,6:1163−1166(1996);及びBioorg.Med.Chem.Lett.,6:2745−2748(1996)を参照。2型糖尿病の治療におけるDP−IV阻害剤の有用性は、DP−IVがグルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)及び胃抑制ペプチド(GIP)をインビボで容易に不活性化するという事実に基づいている。GLP−1及びGIPはインクレチンであり、食物を消費したときに産生される。インクレチンはインスリン産生を刺激する。DP−IVを阻害するとインクレチンの不活性化が抑えられ、よって膵臓によるインスリン産生刺激の面でインクレチンの効果が上がる。従って、DP−IVを阻害すると血清インスリンレベルが上昇する。有利には、インクレチンは食物を消費したときにのみ体内で産生されるので、例えば食間等、過度の血糖値低下(低血糖症)を惹起し得る不適当な時期にはDP−IV阻害によりインスリンレベルが上昇することはないと予想される。従って、DP−IV阻害は、インスリン分泌促進薬の使用に伴う危険な副作用である低血糖の危険性を高めることなくインスリンを上昇させると期待される。
【0008】
DP−IV阻害剤は本明細書で検討するように他の治療用途をも有し得る。DP−IV阻害剤は今まで広く研究されておらず、特に糖尿病以外の用途については研究されていない。DP−IV阻害剤を改良して、糖尿病及び、場合によっては他の疾患及び状態の治療に使用できるような新規化合物を開発することが必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、ジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素阻害剤(「DP−IV阻害剤」)であり、糖尿病及び特に2型糖尿病等のジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素が関与する疾患の治療又は予防に有用なフェニルアラニン誘導体に向けられている。本発明は、これらの化合物を含有する医薬組成物及び、ジペプチジルペプチダーゼIV酵素が関与するこのような疾患の予防又は治療におけるこれらの化合物及び組成物の使用にも向けられる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の詳細な説明)
本発明は、ジペプチジルペプチダーゼ−IVの阻害剤として有用なフェニルアラニン誘導体に関する。本発明の化合物は、構造式Iによって、又は医薬的に許容可能その塩として記載される。
【0011】
【化18】

[各nは、独立して0、1又は2であり;
m及びpは、各々独立して0又は1であり;
Xは、CH、S、CHF又はCFであり;
W及びZは、各々独立してCH、CHF又はCFであり;
は、水素又はシアノであり;
各Rは、水素、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ及びヒドロキシからなる群から独立して選択され;
は、アリール、ヘテロアリール又は複素環(アリール、ヘテロアリール及び複素環は、非置換であるか又は1〜5個のR5置換基で置換されている。)であり;
は、
水素、
1−10アルキル(アルキルは、非置換であるか又はハロゲンもしくはヒドロキシから独立して選択される1〜5個の置換基で置換されている。)、
2−10アルケニル(アルケニルは、非置換であるか又はハロゲンもしくはヒドロキシから独立して選択される1〜5個の置換基で置換されている。)、
(CH−アリール(アリールは、非置換であるか又はヒドロキシ、ハロゲン、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換であるか又は1〜5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1〜5個の置換基で置換されている。)、
(CH−ヘテロアリール(ヘテロアリールは、非置換であるか又はヒドロキシ、ハロゲン、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換であるか又は1〜5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されている。)、
(CH−複素環(複素環は、非置換であるか又は、オキソ、ヒドロキシ、ハロゲン、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換であるか又は1〜5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されている。)、
(CH−C3−6シクロアルキル(シクロアルキルは、非置換であるか又は、ハロゲン、ヒドロキシ、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換であるか又は1〜5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されている。)、
(CHCOOH、
(CHCOOC1−6アルキル、
(CHCONR[R及びRは、水素、テトラゾリル、チアゾリル、(CHフェニル、(CH−C3−6シクロアルキル及びC1−6アルキル(アルキルは、非置換であるか又はハロゲン及びヒドロキシから独立して選択される1〜5個の置換基で置換されており、フェニル及びシクロアルキルは、非置換であるか又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換であるか又は1〜5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1〜5個の置換基で置換されている。)からなる群から独立して選択されるか、又は、
[R及びRは、それらが結合する窒素原子とともに、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン及びモルホリンから選択される複素環、該複素環が非置換であるか又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換であるか又は1〜5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1から3個の置換基で置換されている。)を形成する。]
からなる群から選択され、
[R中のいずれのメチレン(CH)炭素原子も、非置換であるか又はハロゲン、ヒドロキシ及び、非置換であるか又は1〜5個のハロゲンで置換されているC1−4アルキルから独立して選択される1〜2個の基で置換されており;
各Rは、
ハロゲン、
シアノ、
オキソ、
ヒドロキシ、
1−6アルキル(アルキルは、非置換であるか又は1〜5個のハロゲンで置換されている。)、
1−6アルコキシ(アルコキシは、非置換であるか又は1〜5個のハロゲンで置換されている。)、
(CH−NR
(CH−CONR
(CH−OCONR
(CH−SONR
(CH−SO
(CH−NRSO
(CH−NRCONR
(CH−NRCOR
(CH−NRCO
(CH−COOH、
(CH−COOC1−6アルキル、
(CH−アリール(アリールは、非置換であるか又はハロゲン、ヒドロキシ、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換であるか又は1〜5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1〜5個の置換基で置換されている。)、
(CH−ヘテロアリール(ヘテロアリールは、非置換であるか又はヒドロキシ、ハロゲン、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換であるか又は1〜5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されている。)、
(CH−複素環(複素環は、非置換であるか又はオキソ、ヒドロキシ、ハロゲン、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換であるか又は1〜5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されている。)、
(CH−C3−6シクロアルキル(シクロアルキルは、非置換であるか又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換又は1から5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されている。)、
からなる群から独立して選択され、R中のいずれのメチレン(CH)炭素原子も、非置換であるか又はハロゲン、ヒドロキシ及び、非置換又は1〜5個のハロゲンで置換されているC1−4アルキルから独立して選択される1〜2個の基で置換されており;
各Rは、テトラゾリル、チアゾリル、(CH)n−フェニル、(CH−C3−6シクロアルキル及びC1−6アルキル(アルキルは、非置換であるか又は1〜5個のハロゲンで置換されており、フェニル及びシクロアルキルは非置換であるか又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換であるか又は1〜5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1〜5個の置換基で置換されている。)からなる群から独立して選択され、R中のいずれのメチレン(CH)炭素原子も、非置換であるか又はハロゲン、ヒドロキシ及び、非置換又は1〜5個のハロゲンで置換されているC1−4アルキルから独立して選択される1〜2個の基で置換されており;
各Rは、水素又はRである。]
【0012】
本発明化合物のある実施形態において、*印を付した炭素原子が、式Ia:
【0013】
【化19】

で表されるような立体配置を取り、Rが水素又はフッ素であり、W、X、Z、m、p、R、R及びRが上記で定義されるとおりである。
【0014】
本発明の化合物のこの実施形態のクラスにおいて、**印を付したRに結合する炭素原子が、式Ib:
【0015】
【化20】

で表されるような立体配置を取り、Rが、水素又はフッ素であり、W、X、Z、m、p、R、R及びRが上記で定義されるとおりである。
【0016】
本発明化合物の第2の実施形態において、式Ic:
【0017】
【化21】

で表されるように、mが1であり、pが0であり、Rが水素又はフッ素であり、W、X、Z、R、R及びRが上記で定義されるとおりである。
【0018】
この実施形態のクラスには、*印を付した炭素原子及び**印を付した炭素原子が、式Id:
【0019】
【化22】

で表されるような立体配置を取り、Rが水素又はフッ素であり、W、X、R、R及びRが上記で定義されるとおりである化合物が包含される。
【0020】
本発明の化合物のこのクラスのサブクラスにおいて、Rが水素であり、WがCHであり、XがCH、CHF又はCFである。
【0021】
本発明化合物の第3の実施形態において、式Ie:
【0022】
【化23】

で表されるように、Rが水素であり、XがCHFであり、m及びpが0であり、Rが水素又はフッ素であり、R及びRが上記で定義されるとおりである。
【0023】
この実施形態のクラスには、*印を付した炭素原子が式If:
【0024】
【化24】

で表されるような立体配置を取り、Rが水素又はフッ素であり、R及びRが上記で定義されるとおりである化合物が包含される。
【0025】
本発明化合物の第4の実施形態において、式Ig:
【0026】
【化25】

で表されるように、Rが水素であり、m及びpが1であり、Rが水素又はフッ素であり、W、X、Z、R及びRが上記で定義されるとおりである。
【0027】
この実施形態のクラスには、*印を付した炭素原子が式Ih:
【0028】
【化26】

で表されるような立体配置を取り、Rが水素又はフッ素であり、W、X、Z、R及びRが上記で定義されるとおりである化合物が包含される。
【0029】
このクラスのサブクラスにおいて、W及びZがCHであり、XがCHF又はCFである。
【0030】
本発明化合物の第5の実施形態において、Rが、
1−6アルキル(アルキルは、非置換であるか又はハロゲンもしくはヒドロキシから独立して選択される1〜5個の置換基で置換されている。)、
2−6アルケニル(アルケニルは、非置換であるか又は独立してハロゲンもしくはヒドロキシから選択される1〜5個の置換基で置換されている。)、
(CH−C3−6シクロアルキル(シクロアルキルは、非置換であるか又はハロゲン、ヒドロキシ、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換であるか又は1〜5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されている。)、
(CH−COOH、
(CH−COOC1−6アルキル、
(CHCONR[R及びRは、水素、テトラゾリル、チアゾリル、(CHフェニル、(CH−C3−6シクロアルキル及びC1−6アルキル(アルキルは、非置換であるか又はハロゲン及びヒドロキシから独立して選択される1〜5個の置換基で置換されており、フェニル及びシクロアルキルは非置換であるか又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換であるか又は1〜5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1〜5個の置換基で置換されている。)からなる群から選択されるか、又は、
及びRは、それらが結合する窒素原子とともに、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン及びモルホリンから選択される複素環(該複素環は、非置換であるか又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換であるか又は1〜5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1〜5個の置換基で置換されている。)を形成する。]
からなる群から選択され、
中のいずれのメチレン(CH)炭素原子も、非置換であるか又はハロゲン、ヒドロキシ及び非置換又は1〜5個のハロゲンで置換されているC1−4アルキルから独立して選択される1〜2個の基で置換されている。
【0031】
本発明化合物のこの実施形態のクラスにおいて、Rが、
1−3アルキル(アルキルは、非置換であるか又はハロゲンもしくはヒドロキシから独立して選択される1〜5個の置換基で置換されている。)、
CH−C3−6シクロアルキル、
COOH、
COOC1−6アルキル、
CONR[R及びRは、水素、テトラゾリル、チアゾリル、(CH−フェニル、(CH−C3−6シクロアルキル及びC1−6アルキル(アルキルは、非置換であるか又はハロゲン及びヒドロキシから独立して選択される1〜5個の置換基で置換されており、フェニル及びシクロアルキルは、非置換であるか又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換又は1〜5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1〜5個の置換基で置換されている。)からなる群から独立して選択されるか、又は、
及びRは、それらが結合する窒素原子とともに、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン及びモルホリンから選択される複素環(該複素環は、非置換であるか又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換であるか又は1〜5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1〜5個の置換基で置換されている。)を形成する。]
からなる群から選択される。
【0032】
本発明の第6の実施形態には、構造式Ii:
【0033】
【化27】

(式中、
Xは、CH、S、CHF又はCFであり;
W及びZは、各々独立してCH、S、CHF又はCFであり;
は、フェニル、ヘテロアリール又は複素環(フェニル、ヘテロアリール及び複素環は、非置換であるか又は1〜3個のR置換基で置換されている。)であり;
は、
メチル、
エチル、
CH−シクロプロピル、
COOH、
COOMe、
COOEt、
CONHMe、
CONMe
CONH
CONHEt、
CONMeCHPh、
ピロリジン−1−イルカルボニル、
アゼチジン−1−イルカルボニル、
3−フルオロアゼチジン−1−イルカルボニル、
モルホリン−4−イルカルボニル及び
[(テトラゾール−5−イル)アミノ]カルボニルからなる群から選択され;
各Rは、
ハロゲン、
シアノ、
オキソ、
ヒドロキシ、
1−6アルキル(アルキルは、非置換であるか又は1〜5個のハロゲンで置換されている。)、
1−6アルコキシ(アルコキシは、非置換であるか又は1〜5個のハロゲンで置換されている。)、
NR
CONR
OCONR
SONR
SO2R9、
NRSO
NRCONR
NRCOR
NRCO
COOH、
COOC1−6アルキル、
アリール(アリールは、非置換であるか又はハロゲン、ヒドロキシ、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換であるか又は1〜5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1〜5個の置換基で置換されている。)、
ヘテロアリール(ヘテロアリールは、非置換であるか又はヒドロキシ、ハロゲン、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換であるか又は1〜5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されている。)、
複素環(複素環は、非置換であるか又はオキソ、ヒドロキシ、ハロゲン、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換であるか又は1〜5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されている。)及び、
(CH−C3−6シクロアルキル(シクロアルキルは、非置換であるか又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換であるか又は1〜5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されている。)からなる群から独立して選択される。
【0034】
この実施形態のクラスにおいて、各Rは、
ハロゲン、
シアノ、
オキソ、
1−6アルキル(アルキルは、非置換であるか又は1〜5個のハロゲンで置換されている。)、
1−6アルコキシ(アルコキシは、非置換であるか又は1〜5個のハロゲンで置換されている。)、
CONR
NRCOR
SO
NRSO
COOH、
COOC1−6アルキル、
ヘテロアリール(ヘテロアリールは、非置換であるか又はヒドロキシ、ハロゲン、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換であるか又は1〜5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されている。)、
複素環(複素環は、非置換であるか又はオキソ、ヒドロキシ、ハロゲン、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換であるか又は1〜5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されている。)、からなる群から独立して選択される。
【0035】
このクラスのサブクラスにおいて、Rは、
4−フルオロフェニル、
2,4−ジフルオロフェニル、
3,4−ジフルオロフェニル、
2−クロロフェニル、
2−フルオロフェニル、
3−(メチルスルホニル)フェニル、
3−(エトキシカルボニル)フェニル、
3−カルボキシフェニル、
3−(アミノカルボニル)フェニル、
3−[(tert−ブチルアミノ)カルボニル]フェニル、
3−[(フェニルアミノ)カルボニル]フェニル、
3−[(チアゾール−2−イルアミノ)カルボニル]フェニル、
3−[(テトラゾール−5−イルアミノ)カルボニル]フェニル、
3−[[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミノ]フェニル、
3−(テトラゾール−5−イル)フェニル、
4−フルオロ−3−(テトラゾール−5−イル)フェニル、
2−フルオロ−5−(テトラゾール−5−イル)フェニル、
3−(5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル、
4−フルオロ−3−(5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル、
3−(5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)フェニル、
3−(5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル、
3−(1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)フェニル、
3−(1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル、
3−[5−(トリフルオロメチル)−1,2,4−トリアゾール−3−イル]フェニル、3−(5−エトキシ−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル、
ピリジン−3−イル、
6−フルオロ−ピリジン−3−イル、
6−メトキシピリジン−3−イル、
6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル、
1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル、
1−エチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル、
5−ブロモ−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル、
イミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イル、
[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イル、
3−(トリフルオロメチル)[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イル
3−オキソ−2,3−ジヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イル、
2−メチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イル、
4−アミノキナゾリン−6−イル、
2−(アセチルアミノ)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イル、
3−アミノイミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イル、
3−カルボキシピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル、
5−ブロモ−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル、
[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル、
[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−7−イル及び
ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−5−イルからなる群から選択される。
【0036】
この実施形態の別のクラスには、構造式Ij:
【0037】
【化28】

の化合物が包含される。
(式中、
は、
メチル、
エチル、
CH−シクロプロピル、
COOH、
COOMe、
COOEt、
CONHMe、
CONMe
CONH
CONHEt、
CONMeCH2Ph、
ピロリジン−1−イルカルボニル、
アゼチジン−1−イルカルボニル、
3−フルオロアゼチジン−1−イルカルボニル、
モルホリン−4−イルカルボニル及び
[(テトラゾール−5−イル)アミノ]カルボニルからなる群から選択され;
は、
4−フルオロフェニル、
2,4−ジフルオロフェニル、
3,4−ジフルオロフェニル、
2−クロロフェニル、
2−フルオロフェニル、
3−(メチルスルホニル)フェニル、
3−(エトキシカルボニル)フェニル、
3−カルボキシフェニル、
3−(アミノカルボニル)フェニル、
3−[(tert−ブチルアミノ)カルボニル]フェニル、
3−[(フェニルアミノ)カルボニル]フェニル、
3−[(チアゾール−2−イルアミノ)カルボニル]フェニル、
3−[(テトラゾール−5−イルアミノ)カルボニル]フェニル、
3−[[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミノ]フェニル、
3−(テトラゾール−5−イル)フェニル、
4−フルオロ−3−(テトラゾール−5−イル)フェニル、
2−フルオロ−5−(テトラゾール−5−イル)フェニル、
3−(5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル、
4−フルオロ−3−(5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル、
3−(5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)フェニル、
3−(5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル、
3−(1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)フェニル、
3−(1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル、
3−[5−(トリフルオロメチル)−1,2,4−トリアゾール−3−イル]フェニル、3−(5−エトキシ−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル、
ピリジン−3−イル、
6−フルオロ−ピリジン−3−イル、
6−メトキシピリジン−3−イル、
6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル、
1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル、
1−エチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル、
5−ブロモ−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル、
イミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イル、
[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イル、
3−(トリフルオロメチル)[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イル、3−オキソ−2,3−ジヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イル、
2−メチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イル、
4−アミノキナゾリン−6−イル、
2−(アセチルアミノ)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イル、
3−アミノイミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イル、
3−カルボキシピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル、
5−ブロモ−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル、
[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル、
[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−7−イル及び
ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−5−イルからなる群から選択される。)
【0038】
このクラスのサブクラスにおいて、Wは、CHであり、Xは、CHF又はCFである。
【0039】
ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤として有用な本発明の化合物の例を次に挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0040】
【化29】



又は、医薬的に許容可能なその塩。
【0041】
本明細書で使用する場合、次の定義が適用される。
【0042】
「アルキル」及び、アルコキシやアルカノイルのような接頭辞「アルカ(Alk)」を有する他の基は、炭素鎖を他の方法で定義しない限り、直鎖もしくは分枝鎖又はその組合せである炭素鎖を意味する。アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−及びtert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル等が含まれる。例えばC3−10から炭素原子の特定の数が示される場合、アルキルという用語にはシクロアルキル基及びシクロアルキル構造と組み合わせた直鎖又は分枝鎖状アルキル鎖の組み合わせも含まれる。炭素原子数が指定されていない場合は、C1−6を意図する。
【0043】
「シクロアルキル」は、アルキルのサブセットであり、特定の数の炭素原子を有する飽和炭素環式の環を意味する。シクロアルキルの例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等が含まれる。シクロアルキル基は、通常、他に定義しない限り単環である。シクロアルキル基は、他に定義しない限り飽和している。
【0044】
「アルコキシ」という用語は、炭素原子数が指定された(例えばC1−6アルコキシ)、又は炭素原子数がこの範囲のいずれかの数[すなわち、メトキシ(MeO−)、エトキシ、イシプロポキシ等]である、直鎖又は分枝鎖状のアルコキシドを意味する。
【0045】
「アルキルチオ」という用語は、炭素原子数が指定された(例えばC1−6アルキルチオ)、又は炭素原子数がこの範囲のいずれかの数[すなわち、メチルチオ(MeS−)、エチルチオ、イソプロピルチオ等]である、直鎖又は分枝鎖状のアルキスルフィドを意味する。
【0046】
「アルキルアミノ」という用語は、炭素原子数が指定された(例えばC1−6アルキルアミノ)、又は炭素原子数がこの範囲のいずれかの数[すなわち、メチルアミノ、エチルアミノ、イソプロピルアミノ、t−ブチルアミノ等]である、直鎖又は分枝鎖状のアルキルアミンを意味する。
【0047】
「アルキルスルホニル」という用語は、炭素原子数が指定された(例えばC1−6アルキルスルホニル)、又は炭素原子数がこの範囲のいずれかの数[すなわち、メチルスルホニル(MeSO−)、エチルスルホニル、イソプロピルスルホニル等]である、直鎖又は分枝鎖状のアルキスルホンを意味する。
【0048】
「アルキルオキシカルボニル」という用語は、炭素数が指定された(例えば、C1−6アルキルオキシカルボニル)、又は炭素数がこの範囲のいずれかの数[すなわち、メチルオキシカルボニル(MeOCO−)、エチルチオキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル]である、直鎖又は分枝鎖状の本発明カルボン酸誘導体のエステルを意味する。
【0049】
「アリール」は、炭素環原子を含有する単環式又は多環式芳香族環系を意味する。好ましいアリールは、単環式又は二環式の6−10員の芳香族環系である。フェニル及びナフチルは好ましいアリールである。最も好ましいアリールはフェニルである。
【0050】
「ヘテロ環(heterocycle及びheterocyclyl)」は、飽和又は不飽和の非芳香族環又は、O、S及びNから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有し、さらに、イオウの酸化物、すなわちSO及びSOを含む環を意味する。ヘテロ環の例には、テトラヒドロフラン(THF)、ジヒドロフラン、1,4−ジオキサン、モルホリン、1,4−ジチアン、ピペラジン、ピペリジン、1,3−ジオキソラン、イミダゾリジン、イミダゾリン、ピロリン、ピロリジン、テトラヒドロピラン、ジヒドロピラン、オキサチオラン、ジチオラン、1,3−ジオキサン、1,3−ジチアン、オキサチアン、チオモルホリン等が含まれる。
【0051】
「ヘテロアリール」は、O、S及びNから選択される環ヘテロ原子を少なくとも1個含有する、芳香族又は部分的芳香族ヘテロ環を意味する。ヘテロアリールには、他のヘテロアリール又は他の種の環(例えば、アリール、シクロアルキル及び非芳香族ヘテロ環)に融合しているヘテロアリールも含まれる。ヘテロアリール基の例には、ピロリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、2−オキソ−(1H)−ピリジニル(2−ヒドロキシ−ピリジニル)、オキサゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フリル、トリアジニル、チエニル、ピリミジニル、ピラジニル、ベンズイソキサゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、インドリニル、ピリダジニル、インダゾリル、イソインドリル、ジヒドロベンゾチエニル、インドリジニル、シノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、カルバゾリル、ベンゾジオキソリル、キノキサリニル、プリニル、フラザニル、イソベンジルフラニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、キノリル、インドリル、イソキノリル、ジベンゾフラニル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、[1,2,4−トリアゾロ][4,3−a]ピリジニル、ピラゾロ[1,5−a]ピリジニル、[1,2,4−トリアゾロ][1,5−a]ピリジニル、2−オキソ−1,3−ベンズオキサゾリル、4−オキソ−3H−キナゾリニル、3−オキソ−[1,2,4]−トリアゾロ[4,3−a]−2H−ピリジニル、5−オキソ−[1,2,4]−4H−オキサジアゾリル、2−オキソ−[1,3,4]−3H−オキサジアゾリル、2−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イミダゾリル、3−オキソ−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾリル等が含まれる。ヘテロ環及びヘテロアリール基の場合、3−15原子を含有する環及び環系が含まれ、1−3環を形成する。
【0052】
「ハロゲン」には、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素が含まれる。塩素及びフッ素が通常好ましい。アルキル又はアルコキシ基においてハロゲンが置換されている場合、最も好ましいのはフッ素である(例えばCFO及びCFCHO)。
【0053】
本発明化合物は1個又は複数の不斉中心を含み得、よってラセミ体、ラセミ混合物、単一の鏡像異性体、ジアステレオ異性体混合物及び個別のジアステレオ異性体として存在し得る。本発明化合物は、式Iaで*印を付した炭素原子において1個の不斉中心を有する。分子における様々な置換基の性質によっては、他の不斉中心が存在し得る。そのような各不斉中心は独立して2種類の光学異性体を産み出すが、混合物中の考え得る光学異性体及びジアステレオ異性体全てが、及び精製又は部分精製された化合物として、この発明の範囲内に含まれることを意図する。本発明は、これらの化合物の全てのそのような異性体を包含することを意図している。
【0054】
本明細書に記載の化合物のうち、あるものはオレフィン二重結合を含み、特記しない限りE及びZ幾何異性体の両方を包含する。
【0055】
本明細書に記載の化合物のうちあるものは、1個又は複数の二重結合シフトを伴う異なる水素結合点を有する互変異性体として存在し得る。例えば、ケトン及びそのエノール型はケト−エノール互変異性体である。各互変異性体及びその混合物も本発明化合物に包含される。
【0056】
式Iは、好ましい立体化学のない、化合物群の構造を示す。式Iaは、これらの化合物が調製される、βアミノ酸のアミノ基が結合する炭素原子における好ましい立体化学を示す。
【0057】
これらのジアステレオ異性体又はそのクロマトグラフィーによる分離物を、本明細書中で開示する方法に適切に変更を加えて、当業者にとって公知のようにして独立して合成することができる。誘導体化された結晶産物又は結晶中間体のX線結晶解析により、必要であれば絶対立体配置が既知である不斉中心を含有する試薬とともに、絶対立体化学を決定することができる。
【0058】
必要に応じて、各エナンチオマーを単離するために、本化合物のラセミ混合物を分離し得る。分離は、当業者にとって公知の方法、例えば、化合物のラセミ混合物をエナンチオマー的に純粋な化合物にカップリングしてジアステレオマー混合物を形成した後、分別結晶又はクロマトグラフィーのような標準的方法を用いて各ジアステレオマーに分離することにより実施し得る。カップリング反応は多くの場合、エナンチオマー的に純粋な酸又は塩基を用いた塩の形成である。次いで、添加したキラル残基の開裂により、ジアステレオマー誘導体を純粋なエナンチオマーに変換し得る。当業者により公知のキラル固定相を用いるクロマトグラフィー法により、本化合物のラセミ混合物を直接分離することもできる。
【0059】
あるいは、当業者にとって公知である、光学的に純粋な出発材料又は公知の立体配置を有する試薬を用いる立体選択的合成により、化合物のエナンチオマーを得ることができる。
【0060】
本明細書で使用される場合、構造式Iの化合物に対する言及は、医薬的に許容可能な塩をも含み、遊離化合物又は医薬的に許容可能なその塩の前駆体として使用される場合、又は他の合成操作において使用される場合は、医薬的に許容可能ではない塩をも含むことが理解されるであろう。
【0061】
医薬的に許容可能な塩の形態で本発明化合物を投与し得る。「医薬的に許容可能な塩」という用語は、無機又は有機の塩基及び無機又は有機の酸を含む医薬的に許容可能な非毒性塩基又は酸から調製される塩を意味する。「医薬的に許容可能な塩」という用語の中に包含される塩基性化合物の塩とは、通常、遊離塩基を適切な有機又は無機酸と反応させることにより調製されるこの発明の化合物の非毒性塩を意味する。本発明の塩基性化合物の代表的な塩には、次のもの:酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、酸性酒石酸塩、ホウ酸塩、臭化物、カンシル酸、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストレート、エシレート、フマル酸塩、グルセプテート、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸、ヨウ化物、イソチオネート、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリル酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸、メシル酸、臭化メチル塩、硝酸メチル塩、メチル硫酸塩、ムケート、ナプシル酸塩、硝酸塩、N−メチルグルカミンアンモニア塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩(エンボネート)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、硫酸塩、塩基性酢酸塩、スクシン酸塩、タンニン酸、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシル酸塩、トリエチオジド及び吉草酸塩が含まれるがこれに限定されない。さらに、本発明の化合物が酸性部分を有する場合、適切な医薬的に許容可能なその塩には、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、第一マンガン、第二マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛等を含む無機塩基から誘導される塩が含まれるがこれに限定されない。アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム及びナトリウム塩が特に好ましい。医薬的に許容可能な非毒性有機塩基から誘導される塩には、第1級、第2級又は第3級アミン、環状アミン及び塩基性イオン交換樹脂、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミン等、が含まれる。
【0062】
本発明化合物に存在するカルボン酸(−COOH)又はアルコール基の場合も、カルボン酸誘導体、例えばメチル、エチルもしくはピバロイルオキシメチル、又は、アルコールのアシル誘導体、例えば酢酸塩、マレイン酸塩の医薬的に許容可能なエステルを使用することができる。徐放性又はプロドラッグ製剤として使用するために溶解性又は加水分解の性質を変化させるものとして当業者にとって公知のそれらのエステル及びアシル基も含まれる。
【0063】
構造式Iの化合物の溶媒和物、特に水和物も同様に本発明に含まれる。
【0064】
本発明の例として、本実施例及び本明細書中で開示されている化合物の使用がある。
【0065】
本発明の化合物は、ジペプチジルペプチダーゼIV酵素の阻害を必要とする哺乳類等の患者における、有効量の本化合物を投与することを含む、ジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素の阻害方法において有用である。本発明は、ジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素活性の阻害剤としての、本明細書中で開示される化合物の使用に向けられる。
【0066】
ヒト等の霊長類に加えて、本発明の方法に従い、様々な他の哺乳類を処置することができる。例えば、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、モルモット、ラット又は他のウシ属、ヒツジ、ウマ科、イヌ科、ネコ科、げっ歯類又はネズミ科動物を含むがこれに限定されない哺乳類を処置できる。しかし、本方法は、鳥類(例えば、ニワトリ)等の他種においても使用できる。
【0067】
本発明はさらに、本発明化合物を医薬的に許容可能な担体又は希釈剤と組み合わせることを備える、ヒト及び動物におけるジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素活性阻害のための薬剤製造方法に向けられる。
【0068】
本方法で処置される対象は通常、哺乳類、好ましくは、ジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素活性阻害が必要な男性又は女性のヒトである。「治療上有効量」という用語は、研究者、獣医師、医師又は他の臨床医学者により求められている組織、系、動物又はヒトの生物学的又は医学的反応を誘発するであろう対象化合物量を意味する。
【0069】
本明細書中で使用される場合、「組成物」という用語は、特定量の特定成分を含有する産物及び、直接又は間接的に、特定量の特定成分の組み合わせにより得られるあらゆる産物を包含することを意味する。医薬組成物と関連してこのような用語は、活性成分及び担体を構成する不活性成分を含有する産物、そして直接的であれ間接的であれ、任意の2種類以上の成分の組み合わせ、複合体形成、もしくは凝集、又は1種類以上の成分の解離、又は1種類以上の成分の他のタイプの反応もしくは相互作用により得られるあらゆる産物を包含することを意図する。従って、本発明の医薬組成には、本発明化合物と医薬的に許容可能な担体との混合によって調製されるあらゆる組成物が包含される。「医薬的に許容可能」とは、担体、希釈剤又は賦形剤が処方の他の成分と共存でき、そのレシピエントにとって有害ではないことを意味する。
【0070】
化合物「の投与」及び/又は化合物「を投与」という用語は、本発明化合物又は本発明化合物のプロドラッグを、治療を必要とする個体に与えることを意味すると理解されるべきである。
【0071】
ジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素活性の阻害剤としての本発明による化合物の有用性を当業者により公知の方法により明らかにすることができる。阻害定数を以下のように測定する。DP−IVにより分解され蛍光AMC残基を放出する基質Gly−Pro−AMCを用いて連続蛍光光度アッセイを行う。この反応を表す速度パラメーターは以下の通りである:Km=50μM;kcat=75s−1;kcat/Km=1.5x10−1−1。典型的な反応の場合、約50pM酵素、50μM Gly−Pro−AMC及び緩衝液(100mM HEPES、pH7.5、0.1mg/ml BSA)が含有され、総反応体積は100μlである。96ウェルプレート蛍光光度計を用いて360nmの励起波長及び460nmの発光波長において、AMCの遊離を連続的にモニターする。これらの条件下で、25℃において30分間で約0.8μMのAMCが産生される。これらの研究で使用する酵素は、バキュロウイルス発現系(Bac−To−Bac、Gibco BRL)において産生される可溶性(膜貫通ドメイン及び細胞質延長部分を除く。)ヒトタンパク質であった。Gly−Pro−AMC及びGLP−1の加水分解の速度定数は天然酵素について文献に記載されている値と一致することが分かった。化合物に対する解離定数を測定するために、酵素及び基質を含有する反応系に、阻害剤のDMSO溶液を添加した(DMSOの最終濃度は1%)。上記の標準的な反応条件で、室温にて全実験を行った。解離定数(Ki)を決定するために、競合的阻害に対するミカエリス−メンテンの式に、非線形回帰により反応速度を適合させた。解離定数の再現における誤差は概して2倍未満であった。
【0072】
特に、次の実施例の化合物は、上記のアッセイにおいて通常IC50が約1μM未満であるという、ジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素に対する阻害活性を有した。このような結果は、ジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素活性の阻害剤としての使用における本化合物の本質的な活性を暗示するものである。
【0073】
ジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素(DP−IV)は、広範囲の生物機能に関わっている細胞表面タンパク質である。この酵素は広範な組織(腸、腎臓、肝臓、膵臓、胎盤、胸腺、脾臓、上皮細胞、血管内皮、リンパ及び骨髄性細胞、血清)に分布しており、組織及び細胞タイプにより発現レベルが異なる。DP−IVは、T細胞活性化マーカー、CD26と同じであり、インビトロにおいて多くの免疫制御因子、内分泌、神経ペプチドを分解することができる。この事実から、ヒト又は他の種における様々な疾患プロセスにおいてこのペプチダーゼが何らかの役割を持つ可能性が示唆される。
【0074】
従って、次の疾患、障害及び状態の予防又は治療方法において本化合物は有用である。
【0075】
2型糖尿病及び関連疾患:インクレチンGLP−1及びGIPがインビボでDP−IVにより速やかに不活化されることは十分立証されている。DP−IV(−/−)欠損マウスを用いた研究及び前臨床試験で、DP−IVを阻害するとGLP−1及びGIPの定常濃度が上昇し、その結果耐糖能が改善されることが示されている。GLP−1及びGIPと同様に、グルコース調節に関与する他のグルカゴンファミリーペプチドもDP−IVにより不活化されると思われる(例えば、PACAP)。これらのペプチドのDP−IVによる不活化はグルコースホメオスタシスにおいても役割を果たし得る。
【0076】
従って、本発明のDP−IV阻害剤は、2型糖尿病の治療及び2型糖尿病に伴うことが多い、代謝性シンドロームX、反応性低血糖及び糖尿病性異常脂質血症を含む多くの症状の治療及び予防に有用である。以下に検討する肥満もこの発明の化合物による治療に反応し得る2型糖尿病に伴って見られることの多い他の状態である。
【0077】
以下の疾患、障害及び状態は2型糖尿病に関連し、従って、本発明化合物によりこれらの病気を治療、コントロール、場合により予防し得る:(1)高血糖、(2)低耐糖能、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満、(5)脂質障害、(6)異常脂質血症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDLレベル、(11)高LDLレベル、(12)アテローム性動脈硬化症及びその後遺症、(13)血管再狭窄、(14)過敏性腸症候群、(15)クローン病及び潰瘍性大腸炎を含む炎症性腸疾患、(16)他の炎症状態、(17)膵炎、(18)腹部肥満、(19)神経変性疾患、(20)網膜症、(21)腎障害、(22)神経障害、(23)高血圧、(24)シンドロームX、(25)卵巣アンドロゲン過剰症(多嚢胞性卵巣症候群)及びインスリン抵抗性が要素となる他の疾患。
【0078】
肥満:DP−IV阻害剤は肥満の治療に有用であり得る。これはGLP−1及びGLP−2が食物摂取及び胃内容物排出に対して抑制効果を有することが観察されたことに基づいている。GLP−1を外部からヒトに対して投与すると、食物摂取を著しく減少させ、胃内容物の排出を遅らせる(Am.J.Physiol.,277,R910−R916(1999))。ラット及びマウスにGLP−1をICV投与した場合も食物摂取に対して顕著な効果が見られた(Nature Medicine,2:1254−1258(1996))。こうした食物摂取の抑制はGLP−1R(−/−)マウスでは認められず、このことから、この効果が脳GLP−1受容体を介するものであることが示される。GLP−1と同様に、GLP−2もDP−IVにより調節されると思われる。GLP−2をICV投与した場合も、GLP−1で見られた効果と同様に食物摂取が抑制される(Nature Medicine,6:802−807(2000))。さらに、DP−IV欠損マウスを用いた研究から、これらの動物が食餌により誘導される肥満及び関連する病変(例えば高インスリン血症)に対して抵抗性を有することが示唆される。
【0079】
成長ホルモン欠乏:下垂体前葉からの成長ホルモン放出を刺激するペプチドである成長ホルモン放出因子(GRF)がインビボでDP−IV酵素により分解されるという仮説から考えて、DP−IV阻害は成長ホルモン欠乏の治療に有用であり得る(国際特許出願公開第00/56297号)。以下のデーターから、GRFが内在性基質であることが証明される:(1)GRFがインビトロで効率的に分解され、不活性産物GRF[3−44]が生じる(BBA 1122:147−153(1992));(2)GRFは血漿中で速やかにGRF[3−44]に分解される。これは、DP−IV阻害剤のジプロチンAにより妨害される;及び(3)GRF[3−44]がヒトGRFトランスジェニックブタの血漿中で見られる(J.Clin.Invest.,83:1533−1540(1989))。従って、DP−IV阻害剤は、成長ホルモン分泌促進剤に対して認められている同一スペクトルの適応症に対して有用であり得る。
【0080】
腸障害:DP−IVに対する内在性基質と思われるグルカゴン様ペプチド−2(GLP−2)が腸上皮に対して栄養効果を発揮し得ることを示す研究結果(Regulatory Peptides,90:27−32(2000))から、腸障害の治療のためにDP−IV阻害剤を使用できる可能性が示唆される。げっ歯類において、GLP−2を投与すると小腸の質量が増加し、大腸炎及び腸炎のげっ歯類モデルで腸障害が改善される。
【0081】
免疫抑制:T細胞活性化及びケモカインプロセッシングにおけるDP−IV酵素及び疾患のインビボモデルにおけるDP−IV阻害剤の効果を示唆する研究から、DP−IV阻害が免疫応答を調節するために有用である可能性が考えられる。DP−IVが活性化免疫細胞に対する細胞表面マーカーであるCD26と同一であることが判明している。免疫細胞の分化及び活性化状態によりCD26の発現が調節される。CD26は、T細胞活性化のインビトロモデルにおいて共刺激分子として機能することが一般に認められている。多くのケモカインが、おそらく非特異的アミノペプチダーゼによる分解からそれ自体を保護するために、末端から2番目にプロリンを有する。多くのケモカインはインビトロでDP−IVによりプロセッシングされることが分かっている。あるいくつかのケース(RANTES、LD78−β、MDC、エオタキシン、SDF−1α)では、分解の結果、化学走性及びシグナリングアッセイにおける活性が変化する。受容体選択性が変化する場合もあると考えられる(RANTES)。DP−IV加水分解の予想産物を含めて、多くのケモカインの多重N末端切断型がインビトロ細胞培養系で同定された。
【0082】
移植及び関節炎の動物モデルにおいて、DP−IV阻害剤が有効な免疫抑制剤であることが判明した。DP−IVの不可逆阻害剤であるプロジピン(Pro−Pro−ジフェニル−ホスホネート)により、心臓同種移植を行ったラットの生存期間が7日間から14日間と、2倍になったことが分かった(Transplantation,63:1495−1500(1997))。ラットのコラーゲン及びアルキルジアミン誘発関節炎においてDP−IV阻害剤を試験したところ、このモデルにおける後肢腫脹を統計的に有意に改善することが分かった(Int.J.Immunopharmacology,19:15−24(1997)及びImmunopharmacology,40:21−26(1988))。DP−IVは、関節リウマチ、多発性硬化症、グレーヴズ病及び橋本病甲状腺炎を含めた多数の自己免疫疾患において上方制御される(Immunology Today,20:367−375(1999)。
【0083】
HIV感染:HIVの細胞進入を阻害する多数のケモカインがDP−IVの有力な基質であるため(Immunology Today,20:367−375(1999))、DP−IV阻害はHIV感染又はAIDSの治療もしくは予防に有用であり得る。SDF−1αの場合、分解により抗ウイルス活性が低下する(PNAS,95:6331−6(1998))。従って、DP−IVの阻害によるSDF−1αの安定化がHIV感染性を低下させると期待される。
【0084】
造血:DP−IVが造血に関与し得るため、DP−IV阻害は造血(hematopiesis)の治療又は予防に有用であり得る。DP−IV阻害剤のVal−Boro−Proはシクロホスファミド誘発性好中球減少症のマウスモデルにおいて造血を刺激した(国際特許出願公開第99/56753号)。
【0085】
神経障害:様々な神経プロセスに関与するペプチドの多くがインビトロにおいてDP−IVに分解されるため、DP−IV阻害は様々な神経又は精神障害の治療又は予防に有用である可能性が考えら得る。従って、DP−IV阻害剤は、神経障害の治療において有効であり得る。エンドモルフィン−2、β−カソモルフィン及びサブスタンスPはいずれもDP−IVに対するインビトロでの基質であることが判明している。いずれの場合も、インビトロでの分解は非常に効率的であり、kcat/Kは、〜10−1−1以上である。ラットの無痛覚の電気ショックジャンプ試験モデルで、DP−IV阻害剤は外因性エンドモルフィン−2の存在に関係なく顕著な効果を示した(Brain Research,815:278−286(1999))。
【0086】
阻害剤が興奮毒性による細胞死から運動ニューロンを保護し、MPTPを同時に投与した際にドーパミンニューロンの線条体神経支配を保護し、MPTP処理の後に治療として与えた場合に線条体神経分布密度の回復を促進する能力を有することにより、DP−IV阻害剤の神経保護及び神経再生効果も明らかになった[Yong−Q.Wu,ら、「インビトロ及びインビボにおけるジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害剤の神経保護効果(Neuroprotective Effects of Inhibitors of Dipeptidyl and Clinical Applications)」Int.Conf.On Dipeptidyl Aminopeptidases:Basic Science and Clinical Aplications,2002年9月26−29日、(Berlin,Germany)]。
【0087】
不安
生来DP−IVが欠損しているラットは、不安を緩衝する表現型を有する(国際特許出願公開第02/34243号;Karlら、Physiol.Behav.2003)。ポーソルト及び明/暗モデルを使用した場合もDP−IV欠損マウスは不安緩衝表現型を示す。従って、DP−IV阻害剤が、不安及び関連疾患を治療するのに有用であることが分かる。
【0088】
記憶及び認知
Duringら(Nature Med.9:1173−1179(2003))により示されたように、GLP−1アゴニストは、学習(受動的回避、Morrisの水迷路)及び神経損傷(カイニン酸誘発性ニューロンアポトーシス)のモデルにおいて活性がある。この結果から、学習及び神経保護におけるGLP−1に対する生理的役割が示唆される。DP−IVによるGLP−1の安定化により同様の効果が示されることが期待される。
【0089】
腫瘍侵襲及び転移:正常細胞を悪性表現型へ形質転換した際にDP−IVを含めたいくつかのエクトペプチダーゼ(ectopeptidase)の発現の増加又は低下が見られた(J.Exp.Med.,190:301−305(1999))ことから、DP−IV阻害は腫瘍侵襲及び転移の治療又は予防に有用であり得る。これらのタンパク質の上方制御又は下方制御は組織及び細胞型特異的であると思われる。例えば、T細胞リンパ腫、T細胞急性リンパ性白血病、細胞由来甲状腺癌、基底細胞癌及び乳癌で高いCD26/DP−IV発現が認められた。従って、DP−IV阻害剤はこのような癌の治療において有用であり得る。
【0090】
良性前立腺肥大:BPH患者由来の前立腺組織で高いDP−IV活性が見られた(Eur.J.Clin.Chem.Clin.Biochem.,30:333−338(1992))ことから、DP−IV阻害は良性前立腺肥大の治療に有用であり得る。
【0091】
精子運動性/男性避妊:精液中で、精子運動性に重要な前立腺由来小器官である前立腺体(prostatosomes)が非常に高レベルのDP−IV活性を有する(Eur.J.Clin.Chem.Clin.Biochem.,30:333−338(1992))ことから、DP−IV阻害は精子運動性の調節及び男性避妊に有用であり得る。
【0092】
歯肉炎:歯肉溝滲出液においてDP−IV活性が見られ、いくつかの研究において歯周病重篤度に相関している(Arch.Oral Biol.,37:167−173(1992))ことが示されていることから、DP−IV阻害は歯肉炎の治療に有用であり得る。
【0093】
骨粗しょう症:GIP受容体が骨芽細胞中に存在することから、DP−IV阻害が骨粗しょう症の治療又は予防に有用であり得る。
【0094】
本発明化合物は次の状態又は疾患のうち1つ以上を治療又は予防するのに有用である:(1)高血糖、(2)低耐糖能、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満、(5)脂質障害、(6)異常脂質血症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDLレベル、(11)高LDLレベル、(12)アテローム性動脈硬化症及びその後遺症、(13)血管再狭窄、(14)過敏性腸症候群、(15)クローン病及び潰瘍性大腸炎を含めた炎症性腸疾患、(16)他の炎症状態、(17)膵炎、(18)腹部肥満、(19)神経変性疾患、(20)網膜症、(21)腎障害、(22)神経障害、(23)シンドロームX、(24)卵巣アンドロゲン過剰症(多嚢胞性卵巣症候群)、(25)2型糖尿病、(26)成長ホルモン欠乏、(27)好中球減少症、(28)神経障害、(29)腫瘍転移、(30)良性前立腺肥大、(32)歯肉炎、(33)高血圧、(34)骨粗しょう症及びDP−IVの阻害により治療又は予防され得る他の状態又は疾患。
【0095】
本化合物は、他の薬剤と組み合わせた、上記の疾患、障害及び状態の予防又は治療方法においてさらに有用である。
【0096】
本発明化合物は、式Iを有する化合物又は他の薬物が有用であり得る疾患又は状態の治療、予防、改善又は回復において1つ以上の他の薬物と組合せて使用され得るが、この場合、薬物の併用は各々の薬物を単独で使用した場合よりもより安全又はより有効である。このような他の薬物を、該薬物に対して通常使用されているルート及び量で式Iを有する化合物と同時又は逐次投与し得る。式Iの化合物を1つ以上の他の薬物と同時に使用する場合は、その他の薬物及び式Iの化合物を含有する単位剤形の医薬組成物が好ましい。しかし、併用治療には式Iの化合物及び1つ以上の他の薬物を異なる重複スケジュールで投与する治療も含まれる。1つ以上の他の活性成分と組合せて使用する場合、本発明化合物及び他の活性成分は各々を単独で使用した場合よりも低用量で使用され得ることを意図する。従って、本発明の医薬組成物には、式Iの化合物に加えて1つ以上の他の活性成分を含有するものが含まれる。
【0097】
式Iの化合物と組合せて投与することができ、別々に又は同一の医薬組成物として投与し得る他の活性成分の例には、
(a)他のジペプチジルペプチダーゼIV(DP−IV)阻害剤、
(b)(i)例えばKRP−297のようなPPARα/γ二重アゴニストを含む、グリタゾン(例:トログリタゾン、ピオグリタゾン、エングリタゾン、MCC−555、ロシグリタゾン等)などのPPARγアゴニスト、及びフェノフィブリン酸誘導体(例:ゲムフィブロジル、クロフィブレート、フェノフィブレート及びベザフィブレート)のようなPPARαアゴニスト、(ii)メトホルミンやフェンホルミンのようなビグアナイド、及び(iii)タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤を含むインスリン増感剤、
(c)インスリン又はインスリン擬似物質、
(d)トルブタミド、グリブリド、グリピジド、グリメピリド等のスルホニル尿素及び他のインスリン分泌促進薬、レパグリニド等のメグリチニド類、
(e)(アカルボース及びミグリトール等の)α−グルコシダーゼ阻害剤、
(f)国際特許出願公開第98/04528号、同第99/01423号、同第00/39088号及び同第00/69810号に記載されているようなグルカゴン受容体アンタゴニスト、
(g)国際特許出願公開第00/42026号及び同第00/59887号に記載されているようなGLP−1、GLP−1擬似物質及びGLP−1受容体アゴニスト、
(h)国際特許出願公開第00/58360号に記載されているようなGIP及びGIP擬似物質、並びにGIP受容体アゴニスト、
(i)国際特許出願公開第01/23420号に記載されているようなPACAP、PACAP擬似物質及びPACAP受容体アゴニスト、
(j)(i)HMG−CoAレダクターゼ阻害剤(ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、イタバスタチン、ロスバタチン及び他のスタチン類)、(ii)金属イオン封鎖剤(コレスチラミン、コレスチポール及び架橋デキストランのジアルキルアミノアルキル誘導体)、(iii)ニコチニルアルコール、ニコチン酸又はその塩、(iv)フェノフィブリン酸誘導体(ゲムフィブロジル、クロフィブレート、フェノフィブレート及びベザフィブレート)等のPPARαアゴニスト、(v)KRP−297等のPPARα/γ二重アゴニスト、(vi)β−シトステロール及びエゼチミブ等のコレステロール吸収阻害剤、(vii)アバシミブ等のアシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤及び(viii)プロブコール等の抗酸化剤などのコレステロール低下剤、
(k)国際特許出願公開第97/28149号に記載されているようなPPARδアゴニスト、
(l)フェンフルラミン、デキサフェンフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、オルリスタット、ニューロペプチドY1又はY5アンタゴニスト、CB1受容体逆アゴニスト及びアンタゴニスト、β3アドレナリン作動性受容体アゴニスト、メラノコルチン−受容体アゴニスト、特にメラノコルチン−4受容体アゴニスト、グレリンアンタゴニスト、及びメラニン凝集ホルモン(MCH)受容体アンタゴニストなどの抗肥満薬、
(m)回腸胆汁酸トランスポーター阻害剤、
(n)炎症状態に使用する薬剤、例えばアスピリン、非ステロイド性抗炎症剤、グルココルチコイド、アズルフィジン及び選択的シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤及び
(o)ACE阻害剤等の抗高血圧剤(エナラプリル、リシノプリル、カプトプリル、キナプリル、タンドラプリル)、A−II受容体ブロッカー(ロサルタン、カンデサルタン、イルベサルタン、バルサルタン、テルミサルタン、エプロサルタン)、βブロッカー及びカルシウムチャネルブロッカー、が含まれるが、これらに限定されない。
【0098】
構造式Iの化合物と組み合わせることができるジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害剤には、国際特許出願公開第03/004498号(2003年1月16日);国際特許出願公開第03/004496号(2003年1月16日);欧州特許出願第1 258 476号(2002年11月20日);国際特許出願公開第02/083128号(2002年10月24日);国際特許出願公開第02/062764号(2002年8月15日);国際特許出願公開第03/000250号(2003年1月3日);国際特許出願公開第03/002530号(2003年1月9日);国際特許出願公開第03/002531号(2003年1月9日);国際特許出願公開第03/002553号(2003年1月9日);国際特許出願公開第03/002593号(2003年1月9日);国際特許出願公開第03/000180号(2003年1月3日);及び国際特許出願公開第03/000181号(2003年1月3日)において開示されているものが含まれる。具体的なDP−IV阻害剤化合物には、イソロイシンチアゾリジド;NVP−DPP728;P32/98;及びLAF237が含まれる。
【0099】
構造式Iの化合物と組み合わせることができる抗肥満化合物には、フェンフルラミン、デキスフェンフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、オルリスタット、ニューロペプチドY1又はY5アンタゴニスト、カナビノイドCB1受容体アンタゴニスト又は逆アゴニスト、メラノコルチン受容体アゴニスト、特にメラノコルチン−4受容体アゴニスト、グレリンアンタゴニスト、及びメラニン凝集ホルモン(MCH)受容体アンタゴニストが含まれる。構造式Iの化合物と組み合わせることができる抗肥満化合物の概説については、S.Chakiら、「摂食抑制剤の最近の進歩:肥満治療の有力な治療ストラテジー(Recent advances in feeding suppressing agents:potential therapeutic strategy for the treatment of obesity)」、Expert Opin.Ther.Patents,11:1677−1692(2001)及びD.Spanswick及びK.Lee、「新規抗肥満薬(Emerging anbtiobesity drugs)」Expert Opin.Emerging Drugs,8:217−237(2003)を参照のこと。
【0100】
構造式Iの化合物と組み合わせることができるニューロペプチドY5アンタゴニストには、米国特許第6,335,345号(2002年1月1日)及び国際特許出願公開01/14376号(2001年3月1日)で開示されているもの、及びGW 59884A;GW 569180A;LY366377;及びCGP−71683Aとされる、特定の化合物が含まれる。
【0101】
式Iの化合物と組み合わせることができるカナビノイドCB1受容体アンタゴニストには、PCT公開国際特許出願公開第03/007887号;米国特許第5,624,941号で開示されているようなもの、リモナバントなど;PCT公開国際特許出願第02/076949号、SLV−319など;米国特許第6,028,084号;PCT公開国際特許出願公開第98/41519号;PCT公開国際特許出願公開第00/10968号;PCT公開国際特許出願公開第99/02499号;米国特許第5,532,237号;及び米国特許第5,292,736号で開示されているものが含まれる。
【0102】
構造式Iの化合物と組み合わせることができるメラノコルチン受容体アゴニストには、PCT公開国際特許出願公開第03/009847号(2003年2月6日);国際特許出願公開第02/068388号(2002年9月6日)、国際特許出願公開第99/64002号(1999年12月16日)、国際特許出願公開第00/74679号(2000年12月14日);国際特許出願公開第01/70708号(2001年9月27日)で開示されているもの;及び国際特許出願公開第01/70337号(2001年9月27日)で開示されているもの、ならびにJ.D.Speakeら、「メラノコルチン−4−受容体アゴニスト開発の最近の進歩(Recent advances in the development of melanocortin−4 receptor agonists)、Expert Opin.Ther.Patents,12:1631−1538(2002)で開示されているものが含まれる。
【0103】
上記組み合わせには、本発明化合物と他の1種類の活性成分だけでなく、2種類以上の他の活性化合物との組合せが含まれる。非限定例には、式Iを有する化合物とビグアナイド、スルホニル尿素、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、PPARアゴニスト、PTP−1B阻害剤、他のDP−IV阻害剤及び抗肥満化合物から選択される2つ以上の化合物との組合せが含まれる。
【0104】
同様に、本発明化合物が有用である疾患又は状態の治療/予防/抑制又は改善に使用される他の薬剤と組み合わせて、本発明化合物を使用することができる。本発明化合物と同時に又は逐次的に、このような他の薬剤に対して通常使用される経路及び量でこれらの他の薬剤を投与することができる。本発明化合物を1種類以上の他の薬剤と同時に使用する場合、本発明化合物に加えてこのような他の薬剤を含有する医薬組成物が好ましい。従って、本発明医薬組成物には、本発明化合物に加えて、1種類以上の他の活性成分をも含有するものが含まれる。
【0105】
第2の活性成分に対する本発明化合物の重量比は様々でよく、各成分の有効量に依存する。通常、各成分の有効量が使用されるであろう。従って、例えば、本発明化合物を別の薬剤と組み合わせる場合、他の薬剤に対する本発明化合物の重量比は通常、約1000:1から約1:1000、好ましくは約200:1から、約1:200である。本発明化合物と他の活性成分との組み合わせも、通常、上記の範囲内であると考えられるが、各ケースにおいて、各活性成分の有効量を使用すべきである。
【0106】
このような組み合わせにおいて、本発明化合物及び他の活性成分を別々に、又は一緒に投与し得る。さらに、1つの要素の投与を、他の薬剤投与の前に、同時に、又は投与後に行い得る。
【0107】
経口、非経口(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、ICV、大槽内注射又は注入、皮下注射又は移植)で、吸入スプレー、鼻部、膣、直腸、舌下又は局所経路の投与によって本発明化合物を投与することができ、各投与経路に適した従来の非毒性の医薬的に許容可能な担体、アジュバント及び賦形剤を含有する適切な単位剤型で、単独又は一緒に処方することができる。マウス、ラット、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコ、サル等の温血動物の治療に加えて、本発明化合物はヒトにおける使用に有効である。
【0108】
この発明の化合物の投与に対する医薬組成物は、都合よく、投薬単位形で与えてよく、医薬分野で広く公知のいずれかの方法により調製し得る。全ての方法において、活性成分を1種類以上の付属成分の一部を構成する担体と会合させるステップが含まれる。一般に、医薬組成物は、均一かつ十分に活性成分を液体担体もしくは細かく砕いた固形担体、又はその両方に会合させ、必要であれば、所望する剤形に成型することにより調製される。医薬組成物においては、疾患のプロセス又は状態に対して所望する効果を生じさせるために十分な量の活性対象化合物が含まれる。本明細書中で使用される場合、「組成物」という用語は、直接的又は間接的に、特定量の特定成分の組み合わせにより得られる任意の生成物とともに特定量の特定成分を含有する生成物を包含することを意味する。
【0109】
活性成分を含有する医薬組成物は、例えば、錠剤、トローチ剤、薬用ドロップ、液体又は油性懸濁液、分散性粉末又は顆粒、乳剤、硬カプセルもしくは軟カプセル、又はシロップもしくはエリキシール剤のような経口での使用に適した形態であり得る。医薬組成物の製造に関して当業者によって公知のいずれかの方法に従って、経口で用いるための組成物を調製することができ、このような組成物には、医薬的に的確で飲みやすい調製物を提供するために、甘味剤、香味剤、着色剤及び保存剤からなる群から選択される1種類以上の物質を含有させることができる。錠剤には、錠剤製造に適切な非毒性の医薬的に許容可能な賦形剤と混合された活性成分が含まれる。これらの賦形剤は、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム又はリン酸ナトリウム等の不活性の希釈剤;例えばコーンスターチ又はアルギン酸といった造粒剤及び崩壊剤、例えばデンプン、ゼラチン又はアカシアといた結合剤、及び例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルクといった潤滑剤であり得る。錠剤は、被覆されていなくてもよく、又は、胃腸管における崩壊及び吸収を遅らせ、さらに長時間にわたり活性を持続させるために既知の技術により被覆し得る。例えば、モノステアリン酸グリセロール又はジステアリン酸グリセリル等の徐放化物質を使用することができる。これらの錠剤は、放出をコントロールするための浸透性の治療用錠剤を形成するために、米国特許番号第4,256,108号;第4,166,452号;及び第4,265、874号で述べられている技術により被覆することもできる。
【0110】
経口使用のための処方は、活性成分が不活性の固体希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はカオリン、と混合されている硬ゼラチンカプセル、又は、活性物質が水又は油性溶媒、例えばピーナツ油、液体パラフィン又はオリーブ油、と混合されている軟ゼラチンカプセルであり得る。
【0111】
水性懸濁液には、水性懸濁液の製造に適切な賦形剤と混合された活性物質が含まれる。このような賦形剤は、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシ−プロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニル−ピロリドン、トラガカントゴム及びアカシアゴム等の懸濁剤であってよく、分散又は湿潤剤は、天然のリン脂質、例えばレシチン、又は、脂肪酸とのアルキレンオキシド縮合生成物、例えばポリオキシエチレンステアリン酸、又は、長鎖脂肪族アルコールとのエチレンオキシドの縮合生成物、例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール、又は、脂肪酸由来の部分的エステル及びヘキシトールとのエチレンオキシド縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビトールモノオリエート、又は、脂肪酸由来の部分的エステル及びヘキシトール無水物とのエチレンオキシド縮合生成物、例えばポリエチレンソルビタンモノオリエートであり得る。水性懸濁液には、1種類以上の保存剤、例えばエチル、又はn−プロピル、p−ヒドロキシベンゾエート、1種類以上の着色剤、1種類以上の香味剤、及びスクロース又はサッカリン等の1種類以上の甘味剤も含まれ得る。
【0112】
例えばラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油又はココナツ油といった植物油中又は液体パラフィン等の鉱物油中で活性成分を懸濁することにより、油性懸濁液を処方することができる。油性懸濁液には、濃縮剤、例えば蜜蝋、硬パラフィン又はセチルアルコールが含まれ得る。味覚的に飲みやすい経口調製物を提供するために、上述したもの等の甘味剤及び香味剤を添加し得る。アスコルビン酸等の抗酸化剤を添加することによりこれらの組成物を保存することができる。
【0113】
水の添加による水性懸濁液の調製に適した分散性粉末及び顆粒においては、活性成分を分散又は湿潤剤、懸濁剤及び1種類以上の保存剤と混合して提供する。適切な分散又は湿潤剤及び懸濁剤は、既に上述したものにより例示されている。さらなる賦形剤、例えば甘味剤、香味剤及び着色剤もまた加えることができる。
【0114】
本発明の医薬組成物は、水中油型乳剤の形態を取ることもできる。油相は植物油、例えばオリーブ油、ラッカセイ油、又は鉱物油、例えば液体パラフィン、又はこれらの混合物であり得る。適切な乳化剤は天然のゴム、例えばアカシアゴム、トラガカントゴム、天然のリン脂質、例えばダイズ、レシチン、及び脂肪酸由来のエステル又は部分エステル、及び、無水ヘキシトール、例えばソルビタンモノオリエート、及び、エチレンオキシドとの上記部分エステル縮合生成物、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオリエートであり得る。乳剤には甘味剤及び香味剤も含まれ得る。
【0115】
甘味剤、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール又はスクロースとともにシロップ及びエリキシール剤を処方することができる。このような処方には、粘滑剤、保存剤及び香味剤及び着色剤も含まれ得る。
【0116】
医薬組成物は、滅菌注射用水溶液又は油脂性懸濁液の形態を取り得る。上述した適切な分散又は湿潤剤及び懸濁剤を使用して既知の技術に従い、この懸濁液を処方することができる。滅菌注射用調製物は、非毒性の非経口用として許容可能な希釈剤又は溶媒、例えば、1,3−ブタンジオール溶液としての、滅菌注射用溶液又は懸濁液でもあり得る。使用し得る許容可能な賦形剤及び溶媒は水、リンゲル液及び塩化ナトリウム等張液である。さらに、溶媒又は懸濁媒体として、滅菌された、不揮発性油が従来から使用されている。この目的に対して、合成モノ−又はジグリセリドも含めていかなるブランドの不揮発性油も使用できる。さらに、オレイン酸等の脂肪酸が注射用調製物の調製に使用できる。
【0117】
本薬物を直腸投与するために坐剤の形態で本発明化合物を投与することもできる。常温で固体であるが直腸温度では液体となり、従って直腸内で溶解して薬物を放出する適切な非刺激性賦形剤と本薬物とを混合することによって、これらの化合物を調製することができる。そのような物質とはカカオバター及びポリエチレングリコールである。局所で使用するために、本発明化合物を含有するクリーム、軟膏、ゼリー、溶液又は懸濁液等を使用することができる。(このような適用目的に対して、局所適用には洗口剤及びうがい薬が含まれる。)
本明細書中で記述しているように、本発明の医薬組成物及び方法にはさらに、通常上記の病的状態の治療で適用される治療目的の他の活性化合物が含まれ得る。
【0118】
ジペプチジルペプチダーゼIV酵素活性の阻害を必要とする状態の治療又は予防において、適切な用量レベルは通常、約0.01〜500mg/kg(患者の体重)/日となるが、これを1回又は複数回に分けて投与できる。好ましくは、約0.1〜250mg/kg/日であることが好ましいが、約0.5〜約100mg/kg/日であればより好ましい。適切な用量レベルは、約0.01〜250mg/kg/日、約0.05〜100mg/kg/日又は約0.1〜50mg/kg/日であり得る。この範囲内で、用量は、0.05〜0.5、0.5〜5又は5〜50mg/kg/日であり得る。経口投与の場合、好ましくは活性成分を1.0〜1000mg、特に治療対象の患者に対する用量を症状にあわせて調整するために本活性成分を1.0、5.0、10.0、15.0、20.0、25.0、50.0、75.0、100.0、150.0、200.0、250.0、300.0、400.0、500.0、600.0、750.0、800.0、900.0及び1000.0mg含有する錠剤の形状で本化合物を与える。1日1〜4回、好ましくは1日1回又は2回の投薬計画で本化合物を投与することができる。
【0119】
糖尿病及び/又は高脂血症又は高トリグリセリド血症、又は本発明化合物が適用される他の疾患を治療もしくは予防する場合、通常、本発明化合物を動物の体重1kgあたり約0.1mg〜約100mgの1日用量で、好ましくは1日1回投与するか又は1日2〜6回に分けて投与するか又は徐放性形態で投与すると満足のいく結果が得られる。ほとんどの大型哺乳類の場合、1日総用量は約1.0mg〜約1000mg、好ましくは約1〜約50mgである。体重70kgの成人の場合、1日総用量は通常約7mg〜約350mgである。この用法、用量を最良の治療反応をもたらすように調整し得る。
【0120】
しかし、各々個別の患者に対する特定の投薬レベル及び投薬頻度は様々であってよく、使用する特定の化合物の活性、代謝安定性及びその化合物の有効時間、年齢、体重、全般的な健康状態、性別、食餌、状態、投与時期、排出速度、薬物の組み合わせ、個々の状態の重症度及び治療を受けるホストを含む様々な要因に依存するものであることが理解されるはずである。
【0121】
次のスキーム及び実施例においてこの発明の化合物のいくつかの調製方法を説明する。出発物質は、当業者にとって公知の方法に従って、又は本明細書中で説明するようにして調製する。
【0122】
式IIの化合物のようなα−アミノ酸中間体及び式IIIの化合物のような置換された複素環中間体から、標準的ペプチドカップリング条件を用いてその後脱保護を行い、本発明化合物を調製することができる。
【0123】
【化30】

(式中、m、p、W、X、Z、R、R、R及びRは、上記で定義するとおりであり、Pは、tert−ブトキシカルボニル(BOC)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)又は9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)等の適切な窒素保護基である。)
これらの中間体の調製について、次のスキームで説明する。
【0124】
【化31】

【0125】
式IIの化合物は、購入するか又は当業者にとって公知の様々な方法により適宜調製し得る。文献(X.Qianら、Tetrahedron 1995、51、1033−1054)に記載されている適宜な1つの経路をスキーム1で説明する。市販されている、又は、例えば塩化チオニル又は塩化オキサリルで処理することにより、相当する酸から容易に調製できる、例えば酸塩化物1などの活性化された酸誘導体により、フェニルオキサゾリジノン2のリチウム陰イオンを処理して、アシルオキサゾリジノン3が得られる。オキサゾリジノン3に対する適切なアリールグリニャール試薬4の共役付加により、中間体5が得られる。2つの都合のよい方法のうち1つの方法において、α−アジド部分を導入し得る。最初に、ボロントリフラートでの処理によりアシルオキサゾリジノン5から生じるホウ素エノラート、及び塩基、例えばトリエチルアミン又はN,N−ジイソプロピルエチルアミン等を、N−ブロモスクシニミドとの反応により臭素処理する。アジド6を得るために、例えばアジ化テトラメチルグアニジニウムで処理して、得られた臭化物をアジドで置換する。あるいは、アジ化物6を直接得るために、例えばカリウムヘキサメチルジシラザンにより生成されるアシルオキサゾリジノン5のカリウムエノラートを、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニルアジド(3つのアジドが付加)と反応させ得る。接触水素化又はトリフェニルホスフィンを用いた処理によりそのアジドを還元し、その結果得られたアミンを、例えば、ジ−tert−ブチルジカルボネ−トで処理してそのN−tert−ブチルオキシカルボニル(Boc)誘導体として、適切な基で保護する。都合よくリチウムヒドロペルオキシドを用いた処理によりオキサゾリジノンを加水分解し、所望する酸中間体IIを得る。当業者にとって容易に明らかであるように、オキサゾリジノン2の(R)又は(S)エナンチオマーのいずれかを適切に選択し、アシルオキサゾリジノン5をアジド6へと変換するために適切な方法を用いることにより、この経路を経由してエナンチオマー的に純粋な形態で酸IIの全ての4個のジアステレオマーを利用することができる。
【0126】
【化32】

スキーム2で説明するように、中間体5におけるアリール及びR置換基を逆の順序で導入し得る。酸8は市販品として購入するか又は当業者にとって公知の様々な方法で容易に調製される。このような方法のうちある方法では、Stilleのカップリング条件下において、適切に置換したヨードベンゼン(ArI)でアクリル酸メチル(7)を処理してエステルの加水分解後に酸8を得る。例えばオキサリルクロライドを用いた処理によるその酸塩化物として、又はピバロイルクロライド(PivCl)を用いた反応による無水物混合物として、酸の活性化を行った後、リチウムオキサゾリジノン2で処理を行い、アシルオキサゾリジノン9を得る。適切なグリニャール試薬10に触媒として銅を添加して、所望する中間体5を得る。スキーム1で説明したようにして中間体IIへの変換を行うことができる。
【0127】
【化33】

が場合によっては置換されているアルケニル基を含み、R及び保護されたアミンがお互いに対して逆である中間体II調製の代替方法をスキーム3に示す。酸8に対してEDCを介するN、O−ジメチルヒドロキシアミンへのカップリングを行い、続いて、適切なグリニャール試薬11で処理を行い、ケトン12を得る。アルコール13への還元は、例えば、Tetrahedron Lett.36:9153−9156(1995)においてE.J.Corneyが記載しているようにCBS触媒の(R)異性体存在下で、カテコールボランを用いて処理することにより非対称様式で行うことができる。そのアルコールをN−Bocグリシンとカップリングさせてエステル14を得る。中間体IIaを得るために、Angew.Chem.Int.Ed.Eng.,33:998−999(1994)でU.Kazmaierが記載しているようにしてエステル14のエノラートの[3,3]−シグマトロピー転位を行うことができる。
【0128】
【化34】

【0129】
式IIIの化合物は、市販されているか又は都合よく当業者に公知の様々な方法で調製することができる。式中、XがCHFであり、W及びZがCHである中間体IIIを調製するための都合よいある方法をスキーム4に示す。それ自身が知られているか又は都合よく当業者に公知の様々な方法により都合よく調製できる、適切に保護されたアルコール15を、(ジエチルアミノ)三フッ化イオウ(DAST)又は[ビス(2−メトキシエチル)アミノ]三フッ化イオウ(16)等のフッ素化剤で処理して、脱保護の後、フルオロ中間体IIIaを得る。
【0130】
【化35】

式中、XがCFであり、W及びZがCHである中間体IIIの調製方法をスキーム5に示す。当業者にとって公知の様々な方法により、適切に保護されたアルコール16を酸化して対応するケトン17を得る。DAST等のフッ素化剤でケトン17を処理し、脱保護した後フルオロ中間体IIIbを得る。
【0131】
【化36】

【0132】
標準的なペプチドカップリング条件下、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)又はジクロロメタン等の溶媒中で、室温にて3〜48時間かけて、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(EDC/HOBT)又はO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート及び1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(HATU/HOAT)を使用して、中間体II及びIIIをカップリングさせ、スキーム6に示すように中間体18を得る。場合によって、中間体IIIは、塩酸塩又はトリフルオロ酢酸塩等の塩であってよく、これらの場合、カップリング反応に対して、塩基、通常、N,N−ジイソプロピルエチルアミンを添加するのが都合よい。次に、例えばトリフルオロ酢酸又はメタノリック塩化水素を用いて保護基を除去し、Bocの場合は、所望するアミンIを得る。必要であれば、再結晶化、練和、分取薄層クロマトグラフィー、Biotage(R)装置等よるシリカゲルを用いたフラッシュクロマトグラフィー又はHPLCにより不必要な副産物を除き、得られた生成物を精製する。HPLCにより精製した化合物を対応する塩として単離することができる。同様にして中間体の精製を行うことができる。
【0133】
あるケースでは、スキーム6で説明したようにして調製した生成物Iを、例えば、Ar又はRにおいて置換基を操作することによりさらに修飾することができる。これらの操作には、当業者にとって公知の還元、酸化、アルキル化、アシル化及び加水分解反応が含まれ得るがこれに限定されない。
【0134】
【化37】

このようなもののうちある例をスキーム7で説明する。中間体18合成法として上述した経路に従って、中間体19(式中、フェニル置換基が臭素及びヨウ素等のハロゲンである。)を利用することができる。Suzuki条件下のパラジウム触媒存在下において臭化物又はヨウ化物19とボロン酸20とをカップリングさせることにより、中間体18が得られる。スキーム6で述べたようにしてこれを生成物Iに変換できる。
【0135】
【化38】

このような方法の別の例をスキーム8で説明する。中間体19を対応するボロン酸エステル21に変換する。ボロン酸塩21に対して、パラジウム触媒存在下で、Ar’Br22等の適切なハロゲン化物を用いてSuzukiカップリングを行い、ビアリール誘導体18を得る。スキーム6で述べたようにしてこれを生成物Iに変換できる。
【0136】
【化39】

スキーム9では、R置換基に対してさらなる反応を行う例を説明する。中間体18aのオゾン分解を行った後、酸化し、酸18bを得る。アミンとその酸をカップリングさせて、アミド18cを得ることができる。スキーム6で説明したようにして、中間体18b及び18cを生成物Iに変換することができる。
【0137】
場合によって、反応を促進するため、又は不必要な反応産物を避けるために、既に述べた反応スキームを実行する順序を変更することができる。本発明がさらに完全に理解されるよう、次の実施例を提供する。これらの実施例は、ただ説明を行うためのものであり、決して本発明を限定するものとして解釈されるべきものではない。
【0138】
中間体1
【0139】
【化40】

(3S)−3−フルオロピロリジン塩酸塩
ステップA:ベンジル(3R)−3−ヒドロキシピロリジン−1−カルボキシレート
機械式撹拌装置、サーモカップル、添加用漏斗及び窒素バブラーを備えた22Lの3ネックの丸底フラスコに、3(R)−3−ヒドロキシピロリジン425g(4.88mol)、ジクロロメタン8L及びトリエチルアミン1L(7.17mol)を添加した。氷浴でその溶液を5〜10℃に冷却し、反応温度を<20℃に保ちながら約1.5時間にわたりクロロギ酸ベンジルを1000g(5.86mol)滴下添加した。反応混合物をさらに1時間、氷浴中で撹拌し、次にその氷浴を取り去り、一晩、反応混合物を室温に温めた。重炭酸ナトリウム飽和水溶液が〜15L入った大型の抽出器にこの混合物を注いだ。ジクロロメタンを1回につき2L用いて、水相を2回逆抽出した。合わせた有機物を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮して橙色の油状物質を得た。未精製物質をジクロロメタンに吸収させ、50%酢酸エチル/へキサン中で予めパックされたシリカゲル、5kgカラムに添加し、連続して、50%酢酸エチル/へキサン8L、75%酢酸エチル/へキサン16L、そして100%酢酸エチル/へキサンで溶出し、黄色の油状物質として表題化合物を得て、放置して結晶化させた。
【0140】
ステップB:ベンジル(3S)−3−フルオロピロリジン−1−カルボキシレート
機械式撹拌装置、サーモカップル、添加用漏斗及び窒素バブラーを備えた5Lの3ネックの丸底フラスコに、(ジエチルアミノ)三フッ化イオウ375ml(2.84mol)及びジクロロメタン400mlを添加した。その溶液を−78℃まで冷却した。反応温度を<−70℃に保ちながら、添加用漏斗を用いてジクロロメタン400ml中のベンジル(3R)−3−ヒドロキシピロリジン−1−カルボキシレート304g(1.37mol)の溶液を、2時間にわたりこれに添加した。反応混合物を撹拌し、一晩、室温までゆっくりと温めた。氷、水及び重炭酸ナトリウム飽和水溶液が入った大型の抽出器にこの反応混合物を慎重に分割して添加した。その混合物を酢酸エチル8Lで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮して褐色の油状物質を得た。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、10〜30%酢酸エチル/へキサン勾配で溶出。)による精製により褐色の油状物質として表題化合物を得た。
【0141】
ステップC:(3S)−3−フルオロピロリジン塩酸塩
ベンジル(3S)−3−フルオロピロリジン−1−カルボキシレート(249g、1.11mmol)をエタノール2.3Lに溶解し、次に水を115ml、続いて10%炭素担持パラジウムを30g添加した。40psi水素下で、約24時間、この混合物を振盪した。さらに触媒を10g、次に5g添加した。この混合物を反応が完全に進むまで40psi水素下で撹拌した。混合物をろ過し、濾過ケーキをエタノールで洗った。合わせた濾過液及び洗浄液を濃塩酸185mlで処理し、無色の油状物質が得られるまで濃縮した。残渣をトルエンと共沸させ、次にジエチルエーテル2Lを添加した。その油状物質が結晶化されるまでイソプロピルアルコールを添加した。この混合物を週末の間、室温にて熟成させた。結晶を回収し、ジエチルエーテルで洗い、真空中で乾燥させ、表題化合物を得た。[a]D=+8.64(c=4,メタノール)。
【0142】
中間体2
【0143】
【化41】

(3R)−3−フルオロピリジン塩酸塩
ステップA:ベンジル(3S)−3−アセトキシピロリジン−1−カルボキシレート
機械式撹拌装置、サーモカップル、添加用漏斗及び窒素バブラーを備えた22Lの3ネックの丸底フラスコに、ベンジル(3R)−3−ヒドロキシピロリジン−1−カルボキシレート(中間体1、ステップA)442g(1.91mol)、トルエン12L、トリフェニルホスフィン751g(2.86mol)及び氷酢酸164ml(2.86mol)を添加した。得られた混合物を室温にて撹拌し、次に添加用漏斗を用いて、約30分間にわたり、冷水浴で内部温度を<28℃に保ちながら、ジエチルアゾジカルボキシレート500g(2.87mol)を添加した。この反応物を室温にて一晩撹拌した。真空中で溶媒を除去し、残渣をジエチルエーテル6Lで練和した。この固形物を濾取し、ジエチルエーテルでよく洗った。濾過物及びエーテル洗浄液を合わせ、固形物を伴う高粘度の黄色の油状物質になるまで濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、5%及び10−30%勾配の酢酸エチル/へキサン勾配で連続的に溶出。)を用いて精製を行い、黄白色の油状物質として表題化合物を得た。
【0144】
ステップB:ベンジル(3S)−3−ヒドロキシピロリジン−1−カルボキシレート
ベンジル(3S)−3−アセトキシピロリジン−1−カルボキシレート427g(1.62mol)が入った、20Lの3ネックの丸底フラスコに、無水エタノール4Lと、それに続いて水約400ml中の水酸化カリウム101g(1.57mol)を添加した。約15分後、反応混合物を水8Lに注ぎ、酢酸エチル8Lで抽出した。次に水層をさらに4Lの酢酸エチルで抽出した。合わせた有機物を飽和食塩水で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥させ、高粘度の油状物質及び固体になるまで濃縮した。
【0145】
ステップC:ベンジル(3R)−3−フルオロピロリジン−1−カルボキシレート
基本的に中間体1、ステップBで概要を述べた方法に従い、ベンジル(3S)−3−ヒドロキシピロリジン−1−カルボキシレートのうち366g(1.62mol)を表題化合物に変換した。
【0146】
ステップD:(3R)−3−フルオロピロリジン塩酸塩
基本的に中間体1、ステップCで概要を述べた方法に従い、ベンジル(3R)−3−フルオロピロリジン−1−カルボキシレートのうち222g(1.0mol)を表題化合物に変換した。[α]D=−8.61(c=4,メタノール)。
【0147】
中間体3
【0148】
【化42】

3,3−ジフルオロピロリジン塩酸塩
ステップA:ベンジル3−オキソピロリジン−1−カルボキシレート
機械式撹拌装置、サーモカップル、コンデンサー、及び窒素バブラーを備えた12Lの3ネックの丸底フラスコに、ベンジル(3R)−3−ヒドロキシピロリジン−1−カルボキシレート(中間体1、ステップA)351g(1.61mol)、ジクロロメタン6L、粉末状分子ふるい500g、及びN−メチルモルホリン−N−オキシド400g(3.41mol)を添加した。得られた懸濁液を室温にて撹拌し、これに対して、テトラプロピルアンモニウムパールテナート(tetrapropylammonium perruthenate)を12.9g(0.0367mol)添加した。冷水浴で反応温度を<30℃に維持した。この混合物を室温にて2時間撹拌した。この混合物をシリカゲルの5kgのプラグ上に注ぎ、10%酢酸エチル/ジクロロメタンで溶出して橙色の油状物質として表題化合物を得た。
【0149】
ステップB:ベンジル3,3−ジフルオロピロリジン−1−カルボキシレート
機械式撹拌装置、サーモカップル、添加用漏斗及び窒素バブラーを備えた12Lの3ネックの丸底フラスコに、ベンジル3−オキソピロリジン−1−カルボキシレート292g(1.33mol)及びジクロロメタン3Lを添加した。冷水浴を使用して内部温度を25℃未満に保ちながら、室温にて、約3時間にわたり、この撹拌溶液に(ジエチルアミノ)三フッ化イオウ530ml(4.0mol)を滴下添加した。この混合物を室温にて一晩撹拌した。氷及び固形の重炭酸ナトリウムが入った大型の抽出器にこの混合物を注いだ。次に、酢酸エチル8Lを添加し、重炭酸ナトリウムで混合物を塩基性化した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ褐色の油状物質309gになるまで濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、10−20%の酢酸エチル/へキサン勾配で溶出。)を用いて精製し、表題化合物を得た。
【0150】
ステップC:3,3−ジフルオロピロリジン塩酸塩
基本的に中間体1、ステップCで概要を述べた方法に従い、ベンジル3,3−ジフルオロピロリジン−1−カルボキシレートのうち242g(1.00mol)を表題化合物に変換した。H NMR(500MHz,CDOD):δ3.7(t,2H),3.6(t,2H),2.55(m,2H)。
【0151】
中間体4
【0152】
【化43】

4−フルオロピペリジン塩酸塩
ステップA:ベンジル4−フルオロ−1−ピペリジンカルボキシレート
1Lの丸底フラスコに、ベンジル4−オキソ−1−ピペリジンカルボキシレート12.64g(51.4mmol)及びジクロロメタンを300ml添加した。−78℃の撹拌溶液に、約1時間にわたり、添加用漏斗を用いて[ビス(2−メトキシエチル)アミノ]三フッ化イオウ19ml(102.8mmol)を添加した。反応混合物をゆっくりと一晩室温まで温めた。その反応混合物を、水及び重炭酸ナトリウム
飽和水溶液の入った大型の抽出器に分割して慎重に添加した。混合物をジクロロメタン(3x300ml)で抽出した。合わせた有機層を重炭酸ナトリウム飽和水溶液で1回、10%塩酸溶液で2回、及び飽和食塩水で洗い、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濃縮した。Biotage(R)システム(勾配、へキサンから65%酢酸エチル/へキサン)を用いたフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、所望する生成物を得た。LC/MS 242.1(M+1)。
【0153】
ステップB:4−フルオロピペリジン塩酸塩
ベンジル4−フルオロ−1−ピペリジンカルボキシレート(5.5g、23.2mmol)をエタノール80mlに溶解し、炭素担持20%水酸化パラジウム(乾燥状態)1.0gをその混合物に添加した。混合物を40psi水素下で約12時間振盪し、次に、celiteパッドに通して濾過し、メタノール100mlで洗った。合わせた濾過液及び洗浄液をジエチルエーテル中の1M 塩酸60mlで処理し、白色のろう状の固体になるまで濃縮した。その固体を真空中で乾燥させ、固体として表題化合物を得た。この物質をさらに精製せずに使用した。H NMR(CDCl):δ4.95(d,J=47.4Hz,1H),3.70(br s,1H),3.34−3.27(m,4H),2.29(dt,J=37.1,12.3Hz,2H),2.16(br s,2H)。
【0154】
中間体5
【0155】
【化44】

3−フルオロアゼチジントリフルオロ酢酸塩
ステップA:1−ベンズヒドリル−3−フルオロアゼチジン
250mlの丸底フラスコに、1−ベンズヒドリル−3−フルオロアゼチジン3.0g(12.5mmol)及びジクロロメタン80mlを添加した。−78℃の撹拌溶液に、約3時間にわたり、添加用漏斗を用いて[ビス(2−メトキシエチル)アミノ]三フッ化イオウ4.6ml(25mmol)を添加した。反応混合物をゆっくりと一晩室温まで温めた。水及び重炭酸ナトリウム飽和水溶液が入った大型抽出器に、反応混合物を分割して(慎重に)添加した。その混合物をジクロロメタン80mlで3回抽出した。合わせた有機層を重炭酸ナトリウム飽和溶液、水及び飽和食塩水で連続して洗い、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濃縮した。Biotage(R)システム(勾配、へキサンから80%酢酸エチル/へキサン)でフラッシュクロマトグラフィーにより精製を行い、所望する生成物を得た。LC/MS 242.1(M+1)。
【0156】
ステップB:3−フルオロアゼチジントリフルオロ酢酸塩
1−ベンズヒドリル−3−フルオロアゼチジン(1.7g、7.04mmol)をエタノール60ml及び炭素担持20%水酸化パラジウム(乾燥ベース)500mg中で溶解した。40psi水素下で、約12時間、この混合物を振盪した。混合物をceliteパッドに通して濾過し、濾過ケーキをメタノール100mlで洗った。合わせた洗浄液をトリフルオロ酢酸10mlで処理して濃縮し、2種類の油状物質を得たが、所望するフルオロアゼチジン塩は、より濃厚な物質の方である。この混合物をさらに精製しなかった。1H NMR(CDCl3)δ5.45−4.30(dm,J=56.7Hz,1H),4.46−4.38(m,2H),4.24−2.17(m,2H)。
【実施例1】
【0157】
【化45】

(3S)1−[(2S,3S)−2−アミノ−3−(4’−フルオロ−1,1’−ビフェニル−4−イル)−1−オキソブタニル]−3−フルオロピロリジン、トリフルオロ酢酸
ステップA:(4R)−3−[(2E)−3−(4−ブロモフェニル)プロプ−2−エノイル]−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−2−オン
無水THF(250ml)中のブロモケイ皮酸(5.79g、22.5mmol)の撹拌溶液に、−78℃にてトリエチルアミン(4.60ml、34.6mmol)、続いてトリメチルアセチルクロライド(3.54ml、24.7mmol)を添加した。得られた懸濁液を−78℃にて15分間、0℃にて1時間、次に−78℃にて15分間撹拌した後、リチウム4(R)−4−フェニル−2−オキサゾリジノンのスラリー(n−ブチルリチウム(19.1ml、30.5mmol)を−78℃にて無水THF(150ml)中の4(R)−4−フェニル−2−オキサゾリジノン(5.0g、30.6mmol)溶液に添加して−78℃にて15分前に調製。)に、0℃にてカニューレを用いて該懸濁液を移した。−78℃にて1時間、室温にて12時間、得られたスラリーを撹拌した。塩化アンモニウム飽和水溶液でこの反応を停止させた。有機相を分離し、真空中で濃縮して未精製生成物を直接次のステップで使用した。LC/MS 372.0(M+1)。
【0158】
ステップB:(4R)−3−[(3R)−3−(4−ブロモフェニル)ブタノイル]−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−2−オン
THF(60ml)及びジメチルスルフィド(30ml)中の臭化銅(II)ジメチルスルフィド複合体(8.78g、42.7mmol)撹拌溶液に、−40℃にて、臭化メチルマグネシウム(12.7ml、ジエチルエーテル中、3.0M、38.1mmol)を添加した。得られた混合物を−40℃にて30分間撹拌し、その後−20℃まで温めた。THF(30ml)中のステップA由来の生成物(3.53g、9.48mmol)を、−20℃にて1時間にわたり上記反応混合物に添加した。得られた混合物を−20℃にて2時間撹拌し、次にゆっくりと室温まで温め、室温にて12時間撹拌した。塩化アンモニウム飽和水溶液をゆっくりと添加して反応を停止させた。有機相を分離し、水相を酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗い、真空中で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、83:17へキサン/酢酸エチル)により精製を行い所望する生成物を得た。
【0159】
ステップC:(4R)−3−[(2R,3S)−2−ブロモ−3−(4−ブロモフェニル)ブタノイル]−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−2−オン
ジクロロメタン(40ml)中のステップB由来の生成物(2.87g、7.39mmol)の撹拌溶液に、−78℃にて、ジイソプロピルエチルアミン(1.93ml、11.1mmol)及びジブチルボロントリフラート(9.6ml、ジクロロメタン中、1M溶液、9.60mmol)を添加した。淡黄色の溶液を−78℃にて15分間、0℃にて1時間撹拌し、再び−78℃で15分間冷却した。予め冷却しておいたジクロロメタン(40ml)中のN−ブロモスクシニミド(3.93g、22.2mmol)懸濁液に、カニューレを用いて上記溶液を移した。得られた混合物を−78℃にて1時間、0℃にて3時間撹拌した。0.5N亜硫酸水素ナトリウム水溶液を添加して反応を停止させた。有機相を分離して、水相を酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗い、真空中で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、83:17へキサン/酢酸エチル)により精製を行い所望する生成物を得た。
【0160】
ステップD:(4R)−3−[(2S,3S)−2−アジド−3−(4−ブロモフェニル)ブタノイル]−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−2−オン
アセトニトリル(40ml)中のステップC由来の生成物(2.71g、6.39mmol)の撹拌溶液に、テトラメチルグアニジニジウムアジド(3.51g、22.2mmol)を添加した。室温にて12時間反応物を撹拌した。その固体を濾取し、濾過液を蒸発させた。未精製生成物をフラッシュクロマトグラフィー(83:17へキサン/酢酸エチル)で精製し、所望する生成物を得た。
【0161】
ステップE:(2S,3S)−2−アジド−3−(4−ブロモフェニル)ブタン酸
THF(60ml)中のステップD由来の生成物(2.77g、6.23mmol)の撹拌溶液に、水(20ml)を添加した。その溶液を0℃にて15分間撹拌し、次に30%過酸化水素(6.0ml、52.9mmol)を添加した後、水酸化リチウム(0.50g、21.2mmol)をゆっくりと添加した。得られた混合物を0℃にて4時間撹拌した。亜硫酸ナトリウム飽和水溶液を添加して反応を停止させ、室温にて30分間撹拌した。水相を分離し、ジクロロメタンで3回洗浄した。次に、3N塩酸で水相をpH1まで酸性化し、酢酸エチルで3回に分けて抽出した。酢酸エチル抽出物を合わせて、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で蒸発させ、生成物を得て、直接次のステップで使用した。
【0162】
ステップF:(3S)−1−[(2S,3S)]−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−3−(4−ブロモフェニル)−1−オキソブタニル]−3−フルオロピロリジン
無水DMF(10ml)に溶解した酸、1.20g(4.22mmol)に、EDC(2.29g、11.9mmol)、HOBT(1.62g、11.9mmol)、(3S)−3−フルオロピロリジン塩酸塩(1.50g、11.9mmol)及びN,N’−ジイソプロピルエチルアミン(4.2ml、23.6mmol)を添加した。室温にて12時間撹拌した後、酢酸エチルで反応物を希釈した。有機相を飽和食塩水、1N塩酸及び1N水酸化ナトリウム水溶液で洗い、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で蒸発させて、黄色の泡状物質を回収した。この泡状物質に、ジオキサン40ml、水4ml及びトリフェニルホスフィン(4.70g、17.9mmol)を添加した。反応物を12時間、90℃にて加熱し、室温まで冷却した。真空中で溶媒を除去し、ジオキサン20ml及び重炭酸ナトリウム飽和水溶液20mlで残渣を溶解した。得られた混合物に、ジ−tert−ブチルジカルボネート(35.8mmol)7.8gを添加した。室温にて12時間、反応物を撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、1N塩酸でpH1まで酸性化した。層を分離し、酢酸エチルで2回に分けて水層を抽出した。有機抽出物を合わせ、飽和食塩水で洗い、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、66:34へキサン/酢酸エチル)で精製し、所望する生成物を得た。LC/MS 429.1(M+1)。
【0163】
ステップG:(3S)−1−[(2S,3S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−3−(4’−フルオロ−1,1’−ビフェニル−4−イル)−1−オキソブタニル]−3−フルオロピロリジン
トルエン2ml及びエタノール2ml中のステップF由来の生成物(51.0mg、0.12mmol)の撹拌溶液に、4−フルオロフェニルボロン酸(49.0mg、0.29mmol)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)クロライド(19.5mg、0.024mmol)及び炭酸ナトリウム水溶液(0.30ml、2M、0.60mmol)を添加した。反応物を12時間、90℃にて加熱し、室温まで冷却した。反応混合物をシリカゲルのパッドに通して濾過した。溶媒を真空中で除去し、残渣を分取TLC(シリカ、50%酢酸エチル/へキサン)により精製し、所望するカップリング生成物を得た。
【0164】
ステップH:(3S)−1−[(2S,3S)−2−アミノ−3−(4’−フルオロ−1,1’−ビフェニル−4−イル)−1−オキソブタニル]−3−フルオロピロリジン、トリフルオロ酢酸塩
ジクロロメタン(5ml)中のステップG由来のカップリング生成物61.0mgの撹拌溶液に、室温にてトリフルオロ酢酸(1ml)を添加した。室温にて1時間撹拌した後、溶媒を真空中で除去し、残渣をHPLC(YMC Pro−C18カラム、勾配溶出、10−90%アセトニトリル/0.1%TFA含有水)で精製して、表題化合物を得た。LC/MS 345.0(M+1)。
【実施例2】
【0165】
【化46】

(3S)−1−[(2S,3S)−2−アミノ−3−(3’−カルボキシ−1,1’−ビフェニル−4−イル)−1−オキソブタニル]−3−フルオロピロリジン、トリフルオロ酢酸塩
ステップA:(3S)−1−[(2S,3S)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−(3’−ベンジルオキシカルボニル−1,1’−ビフェニル−4−イル)−1−オキソブタニル]−3−フルオロピロリジン
トルエン5ml及びエタノール5ml中の実施例1、ステップF由来の生成物(214.9mg、0.50mmol)の撹拌溶液に、3−ベンジルオキシカルボニルフェニルボロン酸(512.4mg、2.00mmol)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)クロライド(81.7mg、0.100mmol)及び2M炭酸ナトリウム水溶液(1.25ml、2.50mmol)を添加した。反応物を90℃にて12時間加熱した後、室温まで冷却した。反応混合物をシリカゲルのパッドに通して濾過した。真空中で溶媒を除去し、残渣を分取TLC(シリカ、50%酢酸エチル/へキサン)で精製し、所望するカップリング生成物を得た。
【0166】
ステップB:(3S)−1−[(2S,3S)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−(3’−カルボキシ−1,1’−ビフェニル−4−イル)−1−オキソブタニル]−3−フルオロピロリジン
酢酸エチル3ml中のステップA由来の生成物の撹拌溶液に、10%Pd−Cを50mg添加した。その反応フラスコに対して、窒素をフラッシュし、次に水素雰囲気下(1atm)で12時間撹拌した。反応終了後、その溶液をCeliteのパッドに通した。真空中で溶媒を除去し、表題化合物を得た。
【0167】
ステップC:(3S)−1−[(2S,3S)−2−アミノ−3−(3’−カルボキシ−1,1’−ビフェニル−4−イル)−1−オキソブタニル]−3−フルオロピロリジン、トリフルオロ酢酸塩
ステップB由来の生成物をジクロロメタン5ml及びトリフルオロ酢酸1mlに溶解した。反応物を室温にて1時間撹拌した。溶媒を真空中で除去し、残渣をHPLC(YMC Pro−C18カラム、勾配溶出、10−90%アセトニトリル/0.1%TFAを含有する水)で精製し、表題化合物を得た。LC/MS 371.1(M+I)。
【実施例3】
【0168】
【化47】

(3S)−1−[(2S,3S)−2−アミノ−3−[3’−(テトラゾール−5−イル)−1,1’−ビフェニル−4−イル]−1−オキソブタニル]−3−フルオロピロリジン、トリフルオロ酢酸塩
ステップA:(3S)−1−[(2S,3S)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−(3’−シアノ−1,1’−ビフェニル−4−イル)−1−オキソブタニル]−3−フルオロピロリジン
トルエン4ml及びエタノール4ml中の実施例1、ステップFの生成物(210.0mg、0.49mmol)の撹拌溶液に、3−シアノフェニルボロン酸(275.6mg、1.87mmol)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)クロライド(76.0mg、93.1mmol)及び2M炭酸ナトリウム水溶液(1.2ml、24.0mmol)を添加した。反応物を90℃にて12時間加熱した後、室温まで冷却した。反応混合物をシリカゲルのパッドに通して濾過した。真空中で溶媒を除去し、残渣を分取TLC(シリカ、50%酢酸エチル/へキサン)で精製し、所望するカップリング生成物を得た。
【0169】
ステップB:(3S)−1−[(2S,3S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−3−[3’−(テトラゾール−5−イル)−1,1’−ビフェニル−4−イル]−1−オキソブタニル]−3−フルオロピロリジン
トルエン5ml中のステップA由来の生成物(101.0mg、0.22mmol)の撹拌溶液に、トリメチルチンアジド(0.586mg、2.85mmol)を添加した。反応物を100℃にて12時間加熱し、室温まで冷却した。溶媒を除去し、残渣を分取TLC(シリカ、ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、所望する生成物を得た。
【0170】
ステップC:(3S)−1−[(2S,3S)−2−アミノ−3−[3’−(テトラゾール−5−イル)−1,1’−ビフェニル−4−イル]−1−オキソブタニル]−3−フルオロピロリジン、トリフルオロ酢酸塩
ステップB由来の生成物(56.2mg)をジクロロメタン5ml及びトリフルオロ酢酸1mlに溶解し、室温にて1時間撹拌した。溶媒を真空中で除去し、残渣をHPLC(YMC Pro−C18カラム、勾配溶出、10−90%アセトニトリル/0.1%TFAを含有する水)で精製し、表題化合物を得た。LC/MS 395.2(M+1)。
【実施例4】
【0171】
【化48】

(3S)−1−[(2S,3S)−2−アミノ−3−[3’−(5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−1,1’−ビフェニル−4−イル]−1−オキソブタニル]−3−フルオロピロリジン、トリフルオロ酢酸塩
ステップA:(3S)−1−[(2S,3S)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−[3’−(5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−1,1’−ビフェニル−4−イル]−1−オキソブタニル]−3−フルオロピロリジン
エタノール3ml中の実施例3、ステップA由来の生成物(140mg、0.31mmol)の撹拌溶液に、ヒドロキシルアミン(水中50%)3mlを添加した。反応物を90℃にて12時間加熱し、その後室温まで冷却した。溶媒を真空中で除去し、トルエンを用いて残渣を共沸により乾燥させた。ジクロロメタン5ml中の上記残渣の撹拌溶液に、トリエチルアミン(0.31ml、2.22mmol)、次にクロロギ酸エチル(0.155ml、1.48mmol)を添加した。反応物を室温にて2時間撹拌し、塩化アンモニウム飽和水溶液により反応を停止させた。その水溶液を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗い、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をトルエン5mlに溶解し、120℃にて一晩加熱した。溶媒を真空中で除去し、残渣を分取TLC(シリカ、25%酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、生成物を得た。LC/MS 511.0(M+1)。
【0172】
ステップB:(3S)−1−[(2S,3S)−2−アミノ−3−[3’−(5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−1,1’−ビフェニル−4−イル]−1−オキソブタニル]−3−フルオロピロリジン、トリフルオロ酢酸塩
ジクロロメタン5ml中のステップA由来の生成物の撹拌溶液に、トリフルオロ酢酸1mlを添加した。反応混合物を室温にて1時間撹拌した。溶媒を真空中で除去し、残渣をHPLC(YMC Pro−C18カラム、勾配溶出、10−90%アセトニトリル/0.1%TFAを含有する水)で精製し、表題化合物を得た。LC/MS 411.1(M+1)。
【実施例5】
【0173】
【化49】

(3S)−1−[(2S,3S)−2−アミノ−3−[4−(6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)フェニル]−1−オキソブタニル]−3−フルオロピロリジン、塩酸塩
ステップA:(3S)−1−[(2S,3S)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−[4−(6−メトキシピリジン−3−イル)フェニル]−1−オキソブタニル]−3−フルオロピロリジン
トルエン2ml及びエタノール2ml中の実施例1、ステップF由来の生成物(51.0mg、0.12mmol)の撹拌溶液に、2−メトキシ−5−ピリジンボロン酸(71.3mg、0.466mmol)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)クロライド(19.5mg、0.238mmol)及び2M炭酸ナトリウム水溶液(0.30ml、0.60mmol)を添加した。反応物を90℃にて12時間加熱した後、室温まで冷却した。反応混合物をシリカゲルのパッドに通して濾過した。真空中で溶媒を除去し、残渣を分取TLC(シリカ、50%酢酸エチル/へキサン)で精製し、所望するカップリング生成物を得た。
【0174】
ステップB:(3S)−1−[(2S,3S)−2−アミノ−3−[4−(6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)フェニル]−1−オキソブタニル]−3−フルオロピロリジン、塩酸塩
濃塩酸(37%)3mlにステップA由来の生成物を溶解させた。反応混合物を100℃にて48時間加熱し、室温まで冷却した。トルエンとの共沸により水を除去した。HPLC(YMC Pro−C18カラム、勾配溶出、10−90%アセトニトリル/0.1%濃塩酸を含有する水)で精製し、表題化合物を得た。LC/MS 344.1(M+1)。
【実施例6】
【0175】
【化50】

(3S)−1−[(2S,3S)−2−アミノ−3−[4−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)フェニル]−1−オキソブタニル]−3−フルオロピロリジン、トリフルオロ酢酸塩
ステップA:(3S)−1−[(2S,3S)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−[4−(6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)フェニル]−1−オキソブタニル]−3−フルオロピロリジン
実施例5、ステップA由来の(3S)−1−[(2S,3S)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−[4−(6−メトキシピリジン−3−イル)フェニル]−1−オキソブタニル]−3−フルオロピロリジン(0.65g、1.42mmol)をピリジン塩酸塩(2.25g、19.5mmol)(ニート)と混合し、予め加熱しておいた油浴(160℃)に置いた。160℃にて20分間撹拌した後、反応物を室温まで冷却し、重炭酸ナトリウム飽和溶液でpH7になるように中性化した。これに、1,4−ジオキサン15ml、続いてジ−tert−ブチルジカルボネート(2.14g、9.82mmol)を添加した。室温にて12時間撹拌した後、酢酸エチルと飽和食塩水との間で反応物を分配した。有機層を分離し、酢酸エチルで2回に分けて水層を抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で蒸発により溶媒を除去した。分取TLC(シリカ、50%酢酸エチル/へキサン)で精製し、所望する生成物を得た。
【0176】
ステップB:(3S)−1−[(2S,3S)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−[4−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)フェニル]−1−オキソブタニル]−3−フルオロピロリジン
室温にて、DMF3ml中のステップAの生成物(430.0mg、0.97mmol)の撹拌溶液に、炭酸セシウム(0.57mg、1.74mmol)、続いてヨードメタン(0.4ml、6.4mmol)を添加した。30分後に、反応混合物を酢酸エチルで希釈し、飽和食塩水で洗い、真空中で濃縮して、残渣を分取TLC(シリカ、ジクロロメタン中6%メタノール)で精製し、この生成物を得た。
【0177】
ステップC:(3S)−1−[(2S,3S)−2−アミノ−3−[4−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)フェニル]−1−オキソブタニル]−3−フルオロピロリジン、トリフルオロ酢酸塩
ステップB由来の生成物をジクロロメタン5ml及びトリフルオロ酢酸1mlに溶解した。室温にて1時間後、真空中で溶媒を除去し、残渣をHPLC(YMC Pro−C18カラム、勾配溶出、10−90%アセトニトリル/0.1%TFAを含有する水)で精製して、所望する生成物を得た。LC/MS 358.2(M+1)。
【実施例7】
【0178】
【化51】

(3S)−[(2S,3S)−2−アミノ−4−シクロプロピル−3−[4−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)フェニル]−1−オキソブタニル]−3−フルオロピロリジン、トリフルオロ酢酸塩
ステップA:(4R)−3−[(3R)−3−(4−ブロモフェニル)へキス−5−エノイル]−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−2−オン
臭化アリルマグネシウムを用いて、基本的に、実施例1、ステップBで概説した手順に従い、実施例1、ステップA由来の生成物のうち4.5gを表題化合物に変換した。
【0179】
ステップB:(4R)−3−[(3R)−3−(4−ブロモフェニル)−4−シクロプロピルブタノイル]−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−2−オン
0℃にてジエチルエーテル20ml中の実施例1、ステップA由来の生成物(1.32g、3.18mmol)の撹拌溶液に、ジエチルエーテル中のジアゾメタン溶液を過剰量添加し、次に酢酸パラジウム(II)(0.215g、0.957mmol)を添加し、0℃にて2時間反応物を撹拌した。次に、酢酸を添加して過剰なジアゾメタンが反応しないようにした。反応混合物をシリカゲルのパッドに通して濾過し、溶媒を真空中で除去した。NMRから、所望生成物と出発物質との1:1混合物であることが分かった。同じ反応手順をもう1度繰り返し、所望生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン中25%酢酸エチル)により単離した。LC/MS 430.0(M+1)。
【0180】
ステップC:(4R)−3−[(2R,3S)−2−ブロモ−3−(4−ブロモフェニル)−4−シクロプロピルブタノイル]−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−2−オン
基本的に、実施例1、ステップCで概説した手順に従い、ステップB由来の生成物のうち1.16gを表題化合物に変換した。
【0181】
ステップD:(4R)−3−[(2S,3S)−2−アジド−3−(4−ブロモフェニル)−4−シクロプロピルブタノイル]−4−フェニル−1,3−オキサゾリジン−2−オン
基本的に、実施例1、ステップDで概説した手順に従い、ステップC由来の生成物のうち0.61gを表題化合物に変換した。
【0182】
ステップE:(2S,3S)−2−アジド−3−(4−ブロモフェニル)−4−シクロプロピルブタン酸
基本的に、実施例1、ステップEで概説した手順に従い、ステップD由来の生成物のうち0.51gを表題化合物に変換した。
【0183】
ステップF:(3S)−1−[(2S,3S)−2−アジド−3−(4−ブロモフェニル)−4−シクロプロピルブタノイル]−3−フルオロピロリジン
基本的に、実施例1、ステップFで概説した手順に従い、ステップE由来の生成物のうち0.267gを表題化合物に変換した。
【0184】
ステップG:(3S)−1−[(2S,3S)−3−(4−ブロモフェニル)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4−シクロプロピルブタノイル]−3−フルオロピロリジン
基本的に、実施例1、ステップGで概説した手順に従い、ステップF由来の生成物のうち0.31gを表題化合物に変換した。
【0185】
ステップH:(3S)−1−[(2S,3S)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4−シクロプロピル−3−[4−(6−メトキシピリジン−3−イル)フェニル]ブタノイル]−3−フルオロピロリジン
基本的に、実施例5、ステップAで概説した手順に従い、ステップG由来の生成物のうち0.17gを表題化合物に変換した。LC/MS 498.1(M+1)。
【0186】
ステップI:(3S)−1−[(2S,3S)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4−シクロプロピル−3−[4−(6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)フェニル]ブタノイル]−3−フルオロピロリジン
ステップH由来の生成物(0.18g、0.361mmol)をピリジン塩酸塩(0.83g、7.21mmol)(ニート)と混合し、予め加温しておいた油浴(160℃)に置いた。160℃にて20分間撹拌した後、反応物を室温まで冷却し、重炭酸ナトリウム飽和水溶液でpH7になるように中性化した。これに、1,4−ジオキサン10ml、続いてジ−tert−ブチルジカルボネート(0.473g、2.17mmol)を添加した。室温にて12時間撹拌した後、酢酸エチルと飽和食塩水との間で反応物を分配した。有機層を分離し、酢酸エチルで2回に分けて水層を抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で蒸発により溶媒を除去した。分取TLC(シリカ、ヘキサン中50%酢酸エチル)で精製し、所望する生成物を得た。
【0187】
ステップJ:(3S)−1−[(2S,3S)−2−アミノ−4−シクロプロピル−3−[4−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)フェニル]−1−オキソブタニル]−3−フルオロピロリジン、トリフルオロ酢酸塩
基本的に、実施例6、ステップB及びCで概説した手順に従い、ステップI由来の生成物のうち0.056gを表題化合物に変換した。LC/MS 398.3(M+1)。
【実施例8】
【0188】
【化52】

(3S)−1−[(2S,3S)−2−アミノ−3−[4−(5−ブロモ−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)フェニル]−1−オキソブタニル]−3−フルオロピロリジン、トリフルオロ酢酸塩
ジクロロメタン3ml中の(3S)−1−[(2S,3S)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−[4−(6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)フェニル]−1−オキソブタニル]−3−フルオロピロリジン(実施例6、ステップA、111.4mg、0.251mmol)の撹拌溶液に、三臭化ピリジニウム(0.098、0.306mmol)を添加した。室温にて2時間後、溶媒を真空中で除去し、残渣を分取TLC(シリカ、9%メタノール/ジクロロメタン)で精製し、生成物47mgを得て、それをジクロロメタン5ml及びトリフルオロ酢酸1mlに溶解した。室温で1時間後、溶媒を真空中で除去し、残渣をHPLC(YMC Pro−C18カラム、勾配溶出、10−90%アセトニトリル/0.1%TFAを含有する水)で精製して、表題化合物を得た。LC/MS 424.0(M+1)。
【実施例9】
【0189】
【化53】

(3S)−1−[(2S,3S)−2−アミノ−3−[3’−[(tert−ブチルアミノ)カルボニル]−1,1’−ビフェニル−4−イル]−1−オキソブタニル]−3−フルオロピロリジン、トリフルオロ酢酸塩
無水N,N−ジメチルホルムアミド(1.0ml)中の(3S)−1−[(2S,3S)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−(3’−カルボキシ−1,1’−ビフェニル−4−イル)−1−オキソブタニル]−3−フルオロピロリジン(実施例2、ステップB)(37.6mg、0.08mmol)の撹拌溶液に、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC、23mg、0.12mmol)、ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT、16.2mg、0.12mmol)及びtert−ブチルアミン(0.32ml、0.16mmol)を添加した。室温にて16時間撹拌した後、反応物を酢酸エチルで希釈した。有機相を0.5N塩酸、重炭酸ナトリウム飽和水溶液、水及び飽和食塩水で連続して洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)させて、減圧下で濃縮して、未精製のカップリング生成物を得て、分取薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、50%酢酸エチル/ヘキサン溶出液)により精製した。得られた生成物をジクロロメタン1mlに溶解し、トリフルオロ酢酸1mlで処理した。反応物を室温にて1時間撹拌し、減圧下で濃縮して表題化合物を得た。LC/MS 426.3(M+1)。
【実施例10】
【0190】
【化54】

(3S)−1−[(2S,3S)−2−アミノ−3−[3’−[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミノ]−1,1’−ビフェニル−4−イル]−1−オキソブタニル]−3−フルオロピロリジン、トリフルオロ酢酸塩
ステップA:3−ヨード−フェニル−トリフルオロメチルスルホンアミド
ジクロロメタン15ml中の3−ヨードアニリン(0.36ml、3.0mmol)溶液に、無水トリフルオロ酢酸(1.00ml、6.0mmol)を滴下添加した。ピリジン(1.21ml、15.0mmol)を添加し、得られた透明な溶液を室温にて16時間撹拌した。反応混合物を濾過し、濾過液を減圧下で濃縮した。残渣を酢酸エチル(10ml)に溶解し、次に1N水酸化ナトリウム水溶液(10ml)を添加した。室温にて30分間撹拌した後、2つの層を分離した。有機相を飽和食塩水で洗い、乾燥(硫酸マグネシウム)させ濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、30%酢酸エチル−ヘキサン溶出液)で未精製生成物を精製し、無色の油状物質として所望する生成物を得た。
【0191】
ステップB:(3S)−1−[(2S,3S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−3−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]−1−オキソブタニル]−3−フルオロピロリジン
再封可能な厚手の試験管に、実施例1、ステップF由来の(3S)−1−[(2S,3S)−2−[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]−3−(4−ブロモフェニル)−1−オキソブタニル]−3−フルオロピロリジン(1.0g、2.33mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(1.78g、6.99mmol)、酢酸カリウム(1.14g、11.66mmol)及び1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)クロライド(0.38g、0.466mmol)を入れた。ジメチルスルホキシド(15ml)を添加し、次にその試験管に窒素をフラッシュして密閉した。反応混合物を80℃にて一晩温め、室温に冷却して水と酢酸エチルとの間で分配した。さらに酢酸エチルで2回、混合物を抽出した。合わせた酢酸エチル抽出物を飽和食塩水で洗い、乾燥(硫酸マグネシウム)させ減圧下で濃縮して褐色の油状物質を得た。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、5−25%酢酸エチル/へキサン勾配溶出液)で精製し、泡状物質として所望する生成物を得た。LC/MS 477.2(M+1)。
【0192】
ステップC:(3S)−1−[(2S,3S)−2−アミノ−3−[3’−[[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミノ]−1,1’−ビフェニル−4−イル]−1−オキソブタニル]−3−フルオロピロリジン、トリフルオロ酢酸塩
エチレングリコールジメチルエーテル0.75ml及び水0.75ml中のステップA由来の生成物(70.2 mg、0.2mmol)の撹拌溶液に、ステップB由来の生成物、47.6mg(0.10mmol)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィン)フェロセンパラジウム(n)クロライド(16.4mg、0.02mmol)及びリン酸カリウム(63.6mg、0.3mmol)を添加した。反応混合物を90℃にて16時間加熱した。室温まで冷却した後、混合物を酢酸エチルで希釈し、重炭酸ナトリウム飽和水溶液、水及び飽和食塩水で連続して洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)させ、減圧下で濃縮して未精製のカップリング生成物を回収し、分取薄層クロマトグラフィー(シリカ、酢酸エチル溶出液)で精製した。得られたカップリング生成物をさらにHPLC(YMC Pro−C18カラム、勾配溶出、10−90%アセトニトリル/0.1%TFAを含有する水)で精製した。精製した生成物をジクロロメタン0.5mlで溶解し、トリフルオロ酢酸0.5mlで処理した。室温にて1時間撹拌した後、溶媒を真空中で除去し、残渣を分取HPLC(YMC Pro−C18カラム、勾配溶出、10−90%アセトニトリル/0.1%TFAを含有する水)で精製し、表題化合物を得た。LC/MS 474.2(M+1)。
【実施例11】
【0193】
【化55】

(3S)−1−[(2S,3S)−2−アミノ−3−[4−([1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イル)フェニル]−1−オキソブタニル]−3−フルオロピロリジン
ステップA:5−ヨード−2−ヒドラジノピリジン
2−クロロ−5−ヨードピリジン(1.918g、8.01mmol)、無水ヒドラジン(1.26ml、40.05mmol)及びピリジン(30ml)の混合物を還流温度にて18時間温めた。室温まで冷却した後、反応混合物を減圧下で濃縮した。残渣をジクロロメタンと1N水酸化ナトリウム水溶液との間で分配した。有機層を分離し、乾燥(硫酸マグネシウム)させ減圧下で濃縮した。残渣をヘキサンで練和し、得られた沈殿物を回収して真空中で乾燥させ、灰白色の結晶として表題化合物を得た。LC/MS 235.8(M+1)。
【0194】
ステップB:6−ヨード−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン
オルトギ酸トリエチル(100ml)中の上記ステップA由来の生成物(2.0g、8.51mmol)の混合物を、還流温度で18時間温めた。室温まで冷却した後、反応混合物を減圧下で濃縮した。残渣をジクロロメタンン250mlに溶解し、シリカゲルのパッドに通して濾過した。そのパッドを20%メタノール/ジクロロメタンで洗い、シリカゲルから化合物を溶出し、その濾過液を乾燥するまで濃縮し、ジクロロメタンに再溶解した。ヘキサンを添加して得られた沈殿物を回収した。半分量になるまで濾過液を濃縮し、次にさらにヘキサンを添加して希釈し、第2回目の生成物回収を行った。合わせた固体を真空中で乾燥させ、黄白色の固体として表題化合物を得た。LC/MS 246.0(M+1)。
【0195】
ステップC:(3S)−1−[(2S,3S)−2−アミノ−3−[4−([1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イル)フェニル]−1−オキソブタニル]−3−フルオロピロリジン
エチレングリコールジメチルエーテル0.75ml及び水0.75ml中のステップB由来の生成物(48.0mg、0.195mmol)の撹拌溶液に、実施例10、ステップB由来の(3S)−1−[(2S,3S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−3−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]−1−オキソブタニル]−3−フルオロピロリジン62.0mg(0.13mmol)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)クロライド(21.0mg、0.26mmol)及びリン酸カリウム(83mg、0.39mmol)を添加した。反応混合物を90℃にて16時間加熱し、室温まで冷却した。混合物を酢酸エチルで希釈し、水及び飽和食塩水で連続して洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)させ、真空減圧下で濃縮して未精製のカップリング生成物を回収し、分取薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、5%メタノール/ジクロロメタン溶出液)で精製した。得られた生成物をジクロロメタン1mlに溶解し、トリフルオロ酢酸1mlで処理した。反応物を室温にて1時間撹拌し、減圧下で濃縮した。残渣を分取薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、10%メタノール/1%水酸化アンモニウム/ジクロロメタン溶出液)で精製し、表題化合物を得た。LC/MS 368.2(M+1)。
【実施例12】
【0196】
【化56】

(3S)−1−[(2S,3S)−2−アミノ−3−カルボキシ−3−(4’−フルオロ−1,1’−ビフェニル−4−イル)−1−オキソプロパニル]−3−フルオロピロリジン、トリフルオロ酢酸塩
ステップA:trans−4−(4−ブロモフェニル)−3−ブテン−2−オン
無水ジクロロメタン(500ml)中に溶解した4−ブロモケイ皮酸25.0g(110mmol)に、EDC(28.8g、150mmol)、HOBT(20.3g、150mmol)、N,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(14.6g、150mmol)及びN,N’−ジイソプロピルエチルアミン(23ml、150mmol)を添加した。室温にて24時間撹拌した後、反応物を濃縮し、10%塩酸水溶液400mlで希釈した。次に、得られた混合物を1回あたり300mlのジエチルエーテルで3回に分けて溶出し、有機相を合わせ、10%塩酸、重炭酸ナトリウム飽和水溶液及び飽和食塩水(各100ml)で連続して洗浄した。次にその有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空中で蒸発させ、粘性のある油状物質としてWeinrebアミドを回収し、さらに精製せずに使用した。この油状物質に、無水テトラヒドロフラン300mlを添加し、得られた溶液を−78℃まで冷却した。この溶液に、臭化メチルマグネシウム(180mmol、ジエチルエーテル中に3N)60mlを添加した。撹拌混合液をゆっくりと1時間にわたり0℃まで戻した。その後、水及び5%塩酸水溶液(各100ml)で慎重にこの混合物の反応を停止させ、濃縮してテトラヒドロフランを除去した。得られた混合物をジエチルエーテル各300mlで3回に分けて抽出し、有機相を合わせ、5%塩酸、重炭酸ナトリウム飽和水溶液及び飽和食塩水(各100ml)で連続して洗浄した。次に、その有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空中で蒸発させ、粘性のある油状物質を回収した。その未精製物質をBiotage(R)システムを用いたフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、0−15%酢酸エチル/ヘキサン勾配)で精製し、黄白色の結晶性固体として表題化合物を得た。LC/MS 225.0(M+1),227.0(M+3)。
【0197】
ステップB:(2S,3E)−4−(4−ブロモフェニル)−3−ブテン−2−オール
トルエン100ml中のステップA由来のケトン5.55g(24.7mmol)に、(R)−2−メチル−CBS−オキサザボロリジン触媒3.7ml(3.7mmol、トルエン中1M)を添加し、得られた混合物を室温にて15分間撹拌した。その混合物を−78℃まで冷却し、トルエン30ml中のカテコールボラン4.0ml(37.1mmol)を30分間にわたり滴下添加した。添加後、そのスラリーを−78℃にて60分間撹拌し、ゆっくりと均一にした。TLCにより出発物質が完全に消えたことが分かるまで、その溶液を−78℃にてさらに4時間(反応時間は4〜24時間まで様々である。)撹拌した。次に、その反応混合物を水100mlで希釈し、得られた混合物をジエチルエーテル各100mlで3回抽出した。次に有機相を合わせ、1N NaOH水溶液各100mlで2回、5%塩酸溶液各100mlで2回、飽和食塩水100mlで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空中で蒸発させ、未精製のろう状の固体を回収した。この未精製物質をBiotage(R)システムを用いたフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、0−20%酢酸エチル/ヘキサン勾配)で精製し、無色結晶固体としてアルコールを得た。この化合物をヘキサン中で再結晶化し、無色結晶としてアルコールを回収した(Mosherエステル分析によると96% ee)。LC/MS 209.0(M−HO+1),211.0(M−HO+3)。
【0198】
ステップC:(1S,2E)−3−(4−ブロモフェニル)−1−メチルプロプ−2−エニルN−(tert−ブトキシカルボニル)グリシン酸塩
無水ジクロロメタン(300m)に溶解させたステップB由来のアルコール12.6g(55mmol)に、EDC(23g、120mmol)、HOBT(16g、120mmol)、N−(tert−ブトキシカルボニル)グリシン(21g、120mmol)及びN,N’−ジイソプロピルエチルアミン(19ml、120mmol)を添加した。5時間後、混合物を濃縮し、10%塩酸水溶液200mlで希釈した。得られた混合物をジエチルエーテル各300mlで3回抽出し、有機相を合わせ、5%塩酸、重炭酸ナトリウム飽和水溶液及び飽和食塩水(各100ml)で連続して洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空中で蒸発させ、粘性のある油状物質として未精製物質を回収した。その未精製物質をBiotage(R)システムを用いたフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、0−20%酢酸エチル/ヘキサン勾配)で精製し、無色結晶性固体として表題化合物を得た。LC/MS 328.1(M−tBu+1),330.1(M−tBu+3)。
【0199】
ステップD:メチル(βS)−4−ブロモ−N−(tert−ブトキシカルボニル)−β−[(1E)−プロプ−1−エニル]−L−フェニルアラニナート
無水テトラヒドロフラン(50ml)中のステップC由来のエステル(18.1g、47mmol)を、予め−78℃に冷却しておいたリチウムヘキサメチルジシルアジド溶液105ml(105mmol、テトラヒドロフラン中に1M)にカニューレを用いて添加した。その温度で10分間撹拌した後、塩化亜鉛溶液55ml(55mmol、ジエチルエーテル中に1M)を−78℃にて添加した。得られた混合物を−78℃にて5時間撹拌した後、3時間にわたりゆっくりと室温に戻した。さらに室温にて2時間撹拌した後、水及び5%塩酸(各100ml)によりこの混合物の反応を停止させた。次に、得られた混合物を酢酸エチル各300mlで3回抽出し、有機相を合わせ、5%塩酸、重炭酸ナトリウム飽和水溶液及び飽和食塩水(各200ml)で連続して洗浄した。その有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、真空中で蒸発させて黄色の泡状物質として未精製物質を得た。LC/MS 384.1(M+1), 386.1(M+3)。この未精製物質を1:1のジエチルエーテル/メタノール500mlに溶解し、0℃に冷却した。黄色が持続するまで、トリメチルシリルジアゾメタン溶液(75ml、150mmol、ヘキサン中に2M)を数回に分けて添加した。室温まで温めた後、その溶液をさらに8時間撹拌し、次に真空中で濃縮した。この未精製物質をBiotage(R)システムを用いたフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、0−15%酢酸エチル/ヘキサン勾配)で精製し、無色の油状物質として表題化合物を得た。LC/MS 298.0 (M−Boc+1),300.0(M−Boc+3)。
【0200】
ステップE:メチル(2S,3S,4E)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−3−(4’−フルオロ−1,1’−ビフェニル−4−イル)−4−ヘキセノエート
トルエン40ml及び2M炭酸ナトリウム水溶液7ml(14mmol)中のステップD由来の生成物(5.5g、13.8mmol)の撹拌溶液に、4−フルオロフェニルボロン酸(2.52g、18mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(2g、1.7mmol)を添加した。反応物を140℃にて20時間加熱し、その後室温まで冷却して、水100mlで希釈した。得られた混合物をジエチルエーテル各150mlで3回抽出し、有機相を合わせ、5%塩酸、重炭酸ナトリウム飽和水溶液及び飽和食塩水(各100ml)で連続して洗浄した。その有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空中で蒸発させ、粘性のある油状物質として未精製物質を回収した。その未精製物質を、Biotage(R)システムを用いたフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、0−15%酢酸エチル/ヘキサン勾配)で精製し、無色のろう状固体として表題化合物を得た。LC/MS 414.3(M+1)。
【0201】
ステップF:(2S,3S,4E)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−3−(4’−フルオロ−1,1’−ビフェニル−4−イル)−4−ヘキセン酸
3:1:1のテトラヒドロフラン/メタノール/1N水酸化リチウム水溶液(50ml、50mmol)250ml中のステップE由来の生成物(3.55g、8.9mmol)の溶液を室温にて15時間撹拌し、次に濃縮して、10%塩酸水溶液200mlで酸性化した。得られた混合物を酢酸エチル各150mlで3回抽出し、有機相を合わせ、5%塩酸及び飽和食塩水(各100ml)で連続して洗浄した。その有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空中で蒸発させ、無色の泡状固体として酸を回収し、さらに精製せずに使用した。LC/MS 385.2(M+1)。
【0202】
ステップG:(3S)−1−[(2S,3S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−3−(4’−フルオロ−1,1’−ビフェニル−4−イル)−1−オキソへキス−4−エニル]−3−フルオロピロリジン
無水ジクロロメタン(100ml)に溶解したステップF由来の酸2.11g(5.49mmol)に、EDC(1.34g、7.0mmol)、HOBT(0.95g、7.0mmol)、(3S)−3−フルオロピロリジン塩酸塩(880mg、7.0mmol)及びN,N’−ジイソプロピルエチルアミン(1.1ml、7.0mmol)を添加した。室温にて48時間撹拌した後、混合物を濃縮し、10%塩酸水溶液100mlで希釈した。得られた混合物を酢酸エチル各150mlで3回抽出し、有機相を合わせ、5%塩酸、重炭酸ナトリウム飽和水溶液及び飽和食塩水(各100ml)で連続して洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空中で蒸発させ、粘性のある油状物質として未精製物質を回収した。その未精製物質を、Biotage(R)システムを用いたフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、0−40%酢酸エチル/ヘキサン勾配)で精製し、無色固体として表題化合物を得た。LC/MS 471.3(M+1)。
【0203】
ステップH:(3S)−1−[(2S,3S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−3−カルボキシ−3−(4’−フルオロ−1,1’−ビフェニル−4−イル)−1−オキソプロパニル]−3−フルオロピロリジン
1:1のメタノール/ジクロロメタン(150ml)に溶解したステップG由来のオレフィン1.0g(2.12mmol)の溶液を、2分間、酸素でパージし、次に−78℃に冷却した。淡青色が持続するまでオゾンをその溶液に泡立てて通気し(約5分)、次に青色が再び消えるまで酸素を泡立てて通気した。硫化ジメチル(2ml、過剰量)を添加し、得られた混合物を室温に戻し、さらに20分間撹拌した。この反応混合物を濃縮し、酢酸エチル200mlで希釈し、5%塩酸、重炭酸ナトリウム飽和水溶液、飽和食塩水(各50ml)で連続して洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空中で蒸発させ、未精製アルデヒドを回収した。その未精製アルデヒド、リン酸二水素ナトリウム(439mg、3.18mmol)、亜塩素酸ナトリウム(580mg、6.4mmol)及びイソブチレン(4.25ml、8.5mmol、THF中で2M)を室温にて8時間、4:1のtert−ブタノール/水、50ml中で撹拌し、濃縮した。その未精製混合物を5%塩酸水溶液50mlで希釈し、酢酸エチル各150mlで3回抽出した。有機相を合わせ、5%塩酸及び飽和食塩水(各50ml)で連続して洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空中で蒸発させ、無色結晶性固体として未精製物質を回収した。その未精製物質をHPLC(YMC Pro−C18カラム、勾配溶出、30−95% アセトニトリル/0.1%TFAを含有する水)で精製し、無色結晶性固体として表題化合物を得た。LC/MS 475.2(M+1)。
【0204】
ステップI:(3S)−1−[(2S,3S)−2−アミノ−3−カルボキシ−3−(4’−フルオロ−1,1’−ビフェニル−4−イル)−1−オキソプロパニル]−3−フルオロピロリジン、トリフルオロ酢酸塩
ステップH由来の酸(55mg、0.12mmol)を1:1のトリフルオロ酢酸/ジクロロメタン、20mlに溶解し、60分間撹拌し、濃縮した。その未精製物質を逆相HPLC(YMC Pro−C18カラム、勾配溶出、10−90% アセトニトリル/0.1%TFAを含有する水)で精製し、無色の結晶性固体として表題化合物を得た。LC/MS 375.2(M+1).
【実施例13】
【0205】
【化57】

(3S)−1−[(2S,3S)−2−アミノ−3−(ジメチルアミノカルボニル)−3−(4’−フルオロ−1,1’−ビフェニル−4−イル)−1−オキソプロパニル]−3−フルオロピロリジン、トリフルオロ酢酸塩
無水ジクロロメタン(10ml)に溶解した実施例12、ステップHの(3S)−1−[(2S,3S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−3−カルボキシ−3−(4’−フルオロ−1,1’−ビフェニル−4−イル)−1−オキソプロパニル]−3−フルオロピロリジン、200mg(0.42mmol)に、EDC(116mg、0.6mmol)、HOBT(81mg、0.6mmol)、ジメチルアミン(0.4ml、0.8mmol、テトラヒドロフラン中に2.0M)及びN,N’−ジイソプロピルエチルアミン(0.091ml、0.6mmol)を添加した。室温にて48時間撹拌した後、酢酸エチル200mlで反応物を希釈し、5%塩酸、重炭酸ナトリウム飽和水溶液、飽和食塩水(各50ml)で連続して洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して真空中で蒸発させ、黄色の泡状物質としてアミドを回収した。1:1のトリフルオロ酢酸/ジクロロメタン、50mlにこの物質を溶解し、60分間撹拌し、その後濃縮した。未精製物質をHPLC(YMC Pro−C18カラム、勾配溶出、10−90%アセトニトリル/0.1%TFAを含有する水)で精製し、黄白色の結晶性固体として表題化合物を得た。LC/MS 402.3(M+1)。
【実施例14】
【0206】
【化58】

1−[(2S,3S)−2−アミノ−3−(ジメチルアミノカルボニル)−3−(4−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イルフェニル)−1−オキソプロパニル]−3,3−ジフルオロピロリジン、塩酸塩
ステップA:1−[(2S,3S,4E)−3−(4−ブロモフェニル)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ヘキス−4−エノイル]−3,3−ジフルオロピロリジン
テトラヒドロフラン(THF)600ml中のメチル(βS)−4−ブロモ−N−(tert−ブトキシカルボニル)−β−[(1E)−プロプ−1−エニル]−L−フェニルアラニナート(実施例12、ステップD)25g(62.8mmol)の溶液に、メタノール200ml及び1N水酸化ナトリウム水溶液200ml(200mmol)を続けて添加した。反応混合物を室温にて3時間撹拌し、次にメタノール及びTHFを減圧下で除去した。この水性混合物に、1N塩酸250mlを添加し、この混合物を酢酸エチル(3x300ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を食塩水(300ml)で洗い、次に硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して真空中で濃縮し、カルボン酸を得て、さらに精製せずに使用した。
【0207】
3,3−ジフルオロピロリジン18.6g(130mmol)、HOBt17.5g(130mmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン22.8ml(130mmol)及びDMF300mlと上記の酸とを混合した。次にEDC25g(130mmol)を添加し、その溶液を室温にて窒素下で12時間撹拌した。酢酸エチル(1.5L)を添加し、その混合物を0.5N重炭酸ナトリウム水溶液(3x400ml)、1N塩酸(2x400ml)及び食塩水(400ml)で洗い、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して真空中で濃縮し、表題化合物を得て、次のステップで使用するために十分に精製した。MS 375.1(M+1−Boc)。
【0208】
ステップB:1−[(2S,3S)−3−(4−ブロモフェニル)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−(ジメチルアミノカルボニル)−1−オキソプロパニル]−3,3−ジフルオロピロリジン
丸底フラスコに水1.5Lを入れ、過ヨウ素酸ナトリウム80g(374mmol)を添加した。その混合物を均一になるまで撹拌し、次に過マンガン酸カリウム1.2g(7.5mmol)をその混合物に添加した。この濃紫色の溶液に、炭酸カリウム粉末5.7g(41.1mmol)(〜325メッシュ)及び500mlのtert−ブタノール溶液としてステップA由来の生成物17.7g(37.4mmol)を添加した。この反応混合物を室温にて24時間撹拌し、亜硫酸ナトリウム飽和水溶液50mlで処理し、1N塩酸水溶液(400ml)で酸性化し、酢酸エチル(3x400ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を食塩水(3x400ml)で洗い、得られた透明な溶液を硫酸ナトリウムで乾燥させて、濾過し、真空中で濃縮し、未精製の酸を得て、さらに精製せずに使用した。
【0209】
HOBt10.1g(74.8mmol)及びDMF300mlと上記の酸を混合した。N,N−ジイソプロピルエチルアミン13ml(74.8mmol)、THF中の2Nジメチルアミン37.4ml(74.8mmol)及びEDC14.3g(74.8mmol)を連続してその溶液に添加した。この反応混合物を室温にて12時間撹拌した。酢酸エチル(1.2L)を添加し、混合物を0.5N重炭酸ナトリウム水溶液(3x400ml)、1N塩酸水溶液(2x300ml)及び食塩水(400ml)で洗い、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して、真空中で濃縮した。Biotage Horizon(R)システムを用いたフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、1:1酢酸エチル/ヘキサンから100%酢酸エチル、10%メタノール/酢酸エチル勾配)で精製し、表題化合物を得た。MS 450.0(M+1−tert−ブチル)。
【0210】
ステップC:1−[(2S,3S)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−(ジメチルアミノカルボニル)−1−オキソ−3−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]プロパニル]−3,3−ジフルオロピロリジン
ステップB由来の臭化物11.5g(22.8mmol)に、ビス(ピナコラート)ジボロン11.5(45.6mmol)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(ジクロロメタンとの複合体(1:1))3.7g(4.6mmol)、酢酸カリウム11.2g(114mmol)及びジメチルスルホキシド(DMSO)70mlを添加した。その混合物に窒素を泡立てて3分間通気し、次にその混合物を80℃にて窒素下で4時間撹拌した。混合物を室温まで冷却し、シリカゲルパッドに通して濾過し、過剰量の酢酸エチルでリンスした。その溶液を食塩水で2回洗い、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して真空中で濃縮した。Biotage Horizon(R)システムを用いたフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、40%酢酸エチル/ヘキサンから100%酢酸エチル、20%メタノール/酢酸エチル勾配)で精製し、表題化合物を得た。MS 496.3(M+1−tert−ブチル)。
【0211】
ステップD:1−[(2S,3S)−2−アミノ−3−(ジメチルアミノカルボニル)−3−(4−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イルフェニル)−1−オキソプロパニル]−3,3−ジフルオロピロリジン、塩酸塩
エタノール/トルエン(1:1)200ml中のステップC由来の化合物9.27g(16.8mmol)に、6−ブロモ[1,2,4]トリアゾロ[1,5a]ピリジン(中間体18)6.7g(33.6mmol)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(ジクロロメタンとの複合体、1:1)2.9g(3.6mmol)及び2N炭酸ナトリウム水溶液42ml(84mmol)を添加した。反応混合物を窒素下で90℃にて12時間撹拌した。室温まで冷却した後、酢酸エチル600mlをその混合物に添加し、有機相を0.5N重炭酸ナトリウム水溶液及び食塩水で連続して洗い、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。未精製物質を、Kiloprep(R)100Gシステムを用いた逆相HPLC(Kromasil C8 16ミクロン、定組成溶出、40%アセトニトリル/0.1%TFAを含有する水)により精製しカップリング生成物を得た。
【0212】
ジクロロメタンとTFAとの1:1混合液で上記中間体を溶解し、室温にて30分間撹拌して、真空中で濃縮した。その生成物をKiloprep(R)100Gシステムを用いた逆相HPLC(Kromasil C8 16ミクロン、勾配溶出、0%−65%アセトニトリル/0.1%TFAを含有する水)により精製し、TFA塩として生成物を得た。この塩を水で溶解し、2N炭酸ナトリウム水溶液を添加して、その水溶液をpH2に調整した。3:1、クロロホルム:イソプロパノール(5x300ml)で水性混合物を抽出した後、合わせた有機層を食塩水で1回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。得られたアミンをジクロロメタンで溶解し、その溶液に、エーテル中の2N塩酸を30ml添加した。60分間撹拌した後、その溶液を蒸発させて、白色の塩酸塩として表題化合物を得た。再結晶化(エタノール/エーテル)に続いて水/アセトニトリル(40:60、100ml)から凍結乾燥させることにより、その化合物をさらに精製し、表題化合物を得た。MS 443.2(M+1)。
【0213】
【化59】

【実施例15】
【0214】
【化60】

1−[(2S,3S)−2−アミノ−3−(ジメチルアミノカルボニル)−3−(4−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−7−イルフェニル)−1−オキソプロパニル]−3,3−ジフルオロピロリジン、トリフルオロ酢酸塩
ジメトキシエタン1.2ml、エタノール0.30ml及び2M炭酸ナトリウム水溶液0.30ml中の実施例14、ステップC由来の中間体(48mg、0.090mmol)、中間体19(48mg、0.18mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(12mg)の混合物を窒素雰囲気下で18時間、84℃にて温めた。その混合物を室温まで冷却し、酢酸エチル12mlで希釈し、Celiteのプラグに通して濾過した。濾過液を減圧下で濃縮して、分取薄層クロマトグラフィー(1mmシリカ、12:1のジクロロメタン:メタノール中10%水酸化アンモニウム溶出液)で残渣を精製し、保護された中間体39mgを得て、これをジクロロメタン4mlに溶解し、トリフルオロ酢酸2mlで処理した。室温で1時間置いた後、揮発物を窒素還流下で除去し、残渣を乾燥エーテルで練和し、白色粉末として表題化合物を得た。MS 443.2(M+1)。
【0215】
【化61】

【実施例16】
【0216】
【化62】

1−[(2S,3S)−2−アミノ−3−(ジメチルアミノカルボニル)−3−(4−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−5−イルフェニル)−1−オキソプロパニル]−3,3−ジフルオロピロリジン、トリフルオロ酢酸塩
実施例15の調製に対して記述したようにして、実施例14、ステップC由来の中間体(48mg、0.090mmol)と、中間体20(38mg、0.25mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)の反応を行った。分取薄層クロマトグラフィー(1mmシリカ、ジクロロメタン中の6%メタノール溶出液)でこの中間体を精製し、実施例15で記述したようにしてトリフルオロ酢酸による脱保護を行い、白色固体として表題化合物を得た。MS 443.2(M+1)。
【実施例17】
【0217】
【化63】

1−[(2S,3S)−2−アミノ−3−(メチルアミノカルボニル)−3−(4−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イルフェニル)−1−オキソプロパニル]−3,3−ジフルオロピロリジン、トリフルオロ酢酸塩
ステップA:1−[(2S,3R及び3S)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−カルボキシ−1−オキソ−3−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]プロパニル]−3,3−ジフルオロピロリジン
水1.5Lを丸底フラスコに入れ、過ヨウ素酸ナトリウム80g(374mmol)を添加した。その混合物を均一になるまで撹拌し、過マンガン酸カリウム1.2g(7.5mmol)を混合物に添加した。この濃紫色の溶液に、炭酸カリウム粉末5.7g(41.1mmol)(〜325メッシュ)及び、500mlのtert−ブタノール溶液として実施例14、ステップA由来の1−[(2S,3S,4E)−3−(4−ブロモフェニル)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ヘキス−4−エノイル]−3,3−ジフルオロピロリジン17.7g(37.4mmol)を添加した。この反応混合物を室温にて24時間撹拌し、亜硫酸ナトリウム飽和水溶液50mlで処理し、1N塩酸水溶液(400ml)で酸性化して、酢酸エチル(3x400ml)で溶出した。合わせた有機抽出物を食塩水(3x400ml)で洗い、得られた透明な溶液を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、真空中で濃縮して未精製酸を得て、これをさらに精製せずに使用した。
【0218】
上記酸のうち6.0g(12.6mmol)を、ビス(ピナコラート)ジボロン4.6g(18.0mmol)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(ジクロロメタンとの複合体(1:1))400mg(0.49mmol)、酢酸カリウム7.5g(76mmol)及びジメチルスルホキシド(DMSO)40mlを添加した。窒素でパージした後、この混合物を100℃にて窒素下で10時間撹拌した。この混合物を室温まで冷却し、1N塩酸水溶液(100ml)で酸性化し、Celiteパッドに通して濾過し、続いて酢酸エチル(200ml)でリンスした。層を分離し、有機層を酢酸エチル(2x200ml)で抽出した。その有機層を合わせ、食塩水で2回洗い、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して真空中で濃縮した。次のステップで使用するために、得られた暗褐色の固体を十分に精製した。MS 425.4(M+1−Boc)。
【0219】
ステップB:1−[(2S,3R及び3S)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−カルボキシ−3−(4−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イルフェニル)−1−オキソプロパニル]−3,3−ジフルオロピロリジン
エタノール/トルエン(1:1)80ml中のステップA由来のボロン酸塩に対して、6−ブロモ[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン(中間体18)6.0g(11.4mmol)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(ジクロロメタンとの複合体、1:1)400mg(0.49mmol)及び2N炭酸ナトリウム水溶液37ml(74mmol)を添加した。反応混合物を100℃にて窒素下で18時間撹拌した。室温まで冷却した後、酢酸エチル600mlをその混合物に添加し、有機相を1N塩酸及び食塩水で続けて洗い、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して真空中で濃縮した。逆相HPLC(YMC Pro−C18カラム、勾配溶出、10−90%アセトニトリル/0.1%TFAを含有する水)で未精製物質を精製し、ベンジル位のジアステレオマーの混合物として精製カップリング生成物を得た。MS 516.4(M+1)。
【0220】
ステップC:1−[(2S,3S)−2−アミノ−3−(メチルアミノカルボニル)−3−(4−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イルフェニル)−1−オキソプロパニル]−3,3−ジフルオロピロリジン、トリフルオロ酢酸塩
ジクロロメタン20ml中のステップB由来の酸150mg(0.30mmol)及びN−ヒドロキシスクシニミド92mg(0.80mmol)に、EDC160mg(0.80mmol)を添加し、得られた溶液を室温にて窒素下で12時間撹拌した。反応混合物の反応を水で停止させ、次にクロロホルム/イソプロピルアルコール(IPA)の3:1溶液で抽出した。合わせた有機層を重炭酸ナトリウム飽和水溶液(50ml)及び食塩水(50ml)で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して真空中で濃縮し、N−ヒドロキシスクシニミドエステルを得た。この未精製物質をジオキサン10ml及びメチルアミン(THF中2N溶液、20mmol)で溶解し、混合物を室温にて3時間撹拌した。この混合物を濃縮し、残渣を逆相HPLC(YMC Pro−C18カラム、勾配溶出、10−90%アセトニトリル/0.1%TFAを含有する水)で精製し、ジアステレオマーの混合物として純粋なメチルアミドを得た。MS 529.5(M+1)。
【0221】
上記生成物をジクロロメタン及びTFAの1:1混合物で溶解し、室温にて60分間撹拌して、真空中で濃縮した。3:1のクロロホルム/IPA、150mlにこの物質を溶解し、重炭酸ナトリウム飽和水溶液50mlで洗い、遊離塩基を形成させた。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。得られたジアステレオマー混合物を分取TLC(10%メタノール/ジクロロメタン)で分離し、より極性が低く、早く溶出されるジアステレオマーとして、表題化合物の遊離塩基を得た。その遊離塩基を再び逆相HPLC(YMC Pro−C18カラム、勾配溶出、0%−50%アセトニトリル/0.1%TFAを含有する水)にかけ、表題化合物を得た。MS 429.4(M+1)。
【0222】
表1−3に列挙した本発明の化合物のうちいくつかを調製するために、次の中間体を使用した。
【0223】
中間体6
【0224】
【化64】

6−ヨードイミダゾ[1,2−a]ピリジン
ステップA:2−アミノ−5−ヨードピリジン
酢酸6.6ml、水2.5ml及び濃硫酸0.16ml中の2−アミノピリジン(941mg、10mmol)、ヨウ素(980mg、3.86mmol)及び過ヨウ素酸(547mg、2.4mmol)の混合物を、80℃にて2時間加熱した。その反応物を室温まで冷却し、チオ硫酸ナトリウム水溶液に注いだ。その水溶液をジクロロメタンで数回抽出し、合わせた抽出物を乾燥(硫酸マグネシウム)させ、減圧下で濃縮して未精製生成物を得て、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、25%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して所望する生成物を得た。LC−MC 220.8(M+1)。
【0225】
ステップB:6−ヨードイミダゾ[1,2−a]ピリジン
エタノール(12ml)中のステップA由来の生成物(480mg、2.18mmol)の溶液に、クロロアセトアルデヒド(水中50wt.%、0.336ml)を添加し、その混合物を85℃にて3時間加熱した。室温まで冷却した後、その溶液を減圧下で濃縮した。重炭酸ナトリウム飽和水溶液とジクロロメタンとの間で残渣を分配した。有機相を分離し、乾燥(硫酸マグネシウム)させ、真空中で濃縮し、淡褐色の固体として生成物を得て、さらに精製せずに用いた。LC/MS 244.8(M+1)。
【0226】
中間体7
【0227】
【化65】

5−(3−ヨードフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン
ステップA:3−ヨードベンズヒドラジド
オキサリルクロライド(0.70ml、7.5mmol)を滴下して、N,N−ジメチルホルムアミド1滴を含有するジクロロメタン15ml中の3−ヨード安息香酸(1.24g、5.0mmol)の懸濁液を処理した。室温にて2.5時間撹拌した後、溶液を減圧下で濃縮して淡橙色の油状物質を得て、乾燥テトラヒドロフラン(THF)10mlに溶解し、乾燥THF15ml中のtert−ブチルカルバゼート(793mg、6.0mmol)及びトリエチルアミン(1.10ml)の氷冷懸濁液に滴下添加した。得られた混合物を一晩、室温に温め、次に減圧下で濃縮した。酢酸エチルと水との間で残渣を分配し、5%塩酸水溶液、重炭酸ナトリウム飽和水溶液及び飽和食塩水で有機層を続けて洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)させ、減圧下で濃縮して灰白色の固体を得た。ヘキサンで練和し、白色の粉末を得て、それをジクロロメタン60mlに懸濁し、氷水浴中で冷却した。トリフルオロ酢酸(25ml)を滴下添加し、その混合物を室温まで温めた。1時間後、その溶液を減圧下で濃縮して、残渣を水60mlに溶解し、1N水酸化ナトリウム水溶液でpH8.0に中和した。得られた沈殿物を回収し、水で洗い、真空中で乾燥させ、白色粉末として3−ヨードベンズヒドラジドを得た。
【0228】
ステップB:5−(3−ヨードフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)オン
乾燥THF12ml中のステップA由来の生成物(1.048g、4.0mmol)及びトリエチルアミン(0.60ml、4.0mmol)の氷冷溶液に、乾燥THF5ml中のN,N−カルボニルジイミダゾール(800mg、5.0mmol)の溶液を滴下添加した。得られた混合物を室温まで一晩温め、次に、減圧下で濃縮した。残渣をジエチルエーテルと水との間で分配し、5%塩酸水溶液、重炭酸ナトリウム飽和水溶液及び飽和食塩水でエーテル層を続けて洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)させ、減圧下で濃縮して白色粉末を得た。酢酸エチル−へキサンから再結晶化させ、綿毛上の白色固体として表題化合物を得た。LC/MS 289.2(M+1)。
【0229】
中間体8
【0230】
【化66】

5−エトキシ−3−(3−ヨードフェニル)−1H−1,2,4−トリアゾール
ステップA:2−アミノ−5−(3−ヨードフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール
メタノール20ml中の3−ヨードベンズヒドラジド(2.62g、10.0mmol、中間体7、ステップA)の氷冷懸濁液に、メタノール10ml中の臭化シアン(1.06g、10.0mmol)の溶液を滴下添加した。30分後、その混合物を室温まで温め、次に還流温度で1.5時間温めた。得られた溶液を0℃に冷却し、濃水酸化アンモニウムでpH9.0に中和した。得られた沈殿物を回収し、メタノールで洗い、真空中で乾燥させ、灰白色の粉末として生成物を得た。LC/MS 288.0(M+1)。
【0231】
ステップB:5−エトキシ−3−(3−ヨードフェニル)−1H−1,2,4−トリアゾール
無水エタノール30ml中の水酸化カリウム(1.0g)溶液に、ステップA由来の生成物(1.00g、3.48mmol)を添加した。その混合物を還流温度まで温め、5時間後、室温まで冷却した。その溶液を氷酢酸で酸性化し、減圧下で濃縮した。生成物を酢酸エチルに抽出し、水及び飽和食塩水で、合わせた酢酸エチル抽出物を続けて洗い、乾燥(硫酸マグネシウム)させ、濃縮して、橙色の半固体として未精製生成物を得た。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、15%酢酸エチル−ヘキサン)で精製し、灰白色の粘着性のある泡状物質として生成物を得た。LC/MS 316.0(M+1)。
【0232】
中間体9
【0233】
【化67】

4−(3−ブロモフェニル)−1,3−ジヒドロ−2H−イミダゾール−2−オン
水中(10ml)の3−ブロモフェナシルブロミド(0.5g、1.8mmol)、尿素(0.32g、5.3mmol)及び酢酸アンモニウム(0.40g、5.4mmol)の混合物に、氷酢酸(0.32g、5.4mmol)を添加した。反応混合物を還流温度にて一晩加熱した。室温まで冷却した後、酢酸エチルで3回に分けて混合物を抽出し、合わせた抽出物を乾燥(硫酸マグネシウム)させ、減圧下で濃縮して、褐色の残渣を得て、ジエチルエーテルで練和し、所望する生成物を得た。LC/MS 238.9及び240.9(M+1)。
【0234】
中間体10
【0235】
【化68】

3−(3−ヨードフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4H−1,2,4−トリアゾール
ステップA:エチル3−ヨードベンズイミデート塩酸塩
無水エタノール20ml中の3−ヨードベンゾニトリル(2.00g、8.73mmol)の溶液に、室温にて30分間、塩化水素ガスを泡立てて通気した。得られた溶液を室温に48時間維持し、次に減圧下で濃縮した。残渣をジエチルエーテルで練和し、回収して真空中で乾燥させ、白色粉末として生成物を得た。
【0236】
ステップB:3−ヨードベンズアミジン塩酸塩
無水エタノール20ml中のステップA由来の生成物(1.00g、3.21mmol)の氷冷懸濁液に、20分間、アンモニアガスを泡立てて通気した。得られた透明な溶液を室温まで温め、48時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮して、残渣をジエチルエーテルで練和した。容器を傾けて上清を除去し、残ったゴム状生成物を真空中で乾燥させ、白色の泡状物質として表題化合物を得た。
【0237】
ステップC:3−(3−ヨードフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4H−1,2,4−トリアゾール
乾燥テトラヒドロフラン4.0ml中のトリフルオロ酢酸エチル(0.12ml、1.00mmol)の溶液に、無水ヒドラジン(25ml、0.80mmol)を添加し、得られた溶液を還流温度まで加熱した。1時間後、その溶液を室温まで冷却し、乾燥テトラヒドロフラン3.0ml中のステップB由来のアミジン塩酸塩(283mg、1.00mmol)及び固形の水酸化ナトリウム(50mg)の混合物に、シリンジを用いて該溶液を添加した。反応混合物を還流温度にて3時間温め、次に一晩室温まで冷却した。沈殿した固体を濾過により除去し、濾過液を減圧下で濃縮して黄色の粘性物質を得て、それを酢酸エチルと水との間で分配した。有機層を飽和食塩水で洗い、乾燥(硫酸マグネシウム)させ、減圧下で濃縮して、未精製生成物を得て、それをフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ステップ勾配、0−20%酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、白色の固体として生成物を得た。LC/MS 339.8(M+1)。
【0238】
中間体11
【0239】
【化69】

6−ヨードキナゾリン−4(3H)−オン
無水エタノール(80ml)中の2−アミノ−5−ヨード安息香酸(2.0g、7.6mmol)及びホルムアミジン酢酸塩(0.99g、9.5mmol)の混合物を還流温度にて2時間加熱した。この反応物を氷浴で冷却し、撹拌しながら水(10ml)を添加した。濾過により得られた沈殿物を回収し、色の薄い結晶として所望する生成物を得た。LC/MS 272.7(M+1)。
【0240】
中間体12
【0241】
【化70】

6−ヨード−3−(トリフルオロメチル)[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン
ステップA:2,2,2−トリフルオロ−N’−(5−ヨードピリジン−2−イル)アセトヒドラジド
壁の厚い再封可能な試験管に入ったトリフルオロ酢酸(1.5ml)中の5−ヨード−2−ヒドラジノピリジン(235mg、1mmol)の溶液に、無水トリフルオロ酢酸(0.356ml、2.5mmol)を添加した。混合物を50℃まで温めた。18時間後、その混合物を減圧下で乾燥するまで濃縮した。得られた残渣を分取薄層クロマトグラフィー(シリカ、5%メタノール/ジクロロメタン)で精製し、生成物を得た。LC/MS 331.8(M+1)。
【0242】
ステップB:6−ヨード−3−(トリフルオロメチル)[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン
ステップA由来の生成物(145mg、0.438mmol)を過リン酸(5ml)に懸濁し、その混合物を140℃にて6時間加熱した。混合物を室温まで冷まし、氷に注ぎ、濃水酸化アンモニウム水溶液で中和した。その混合物を酢酸エチルで数回抽出し、合わせた抽出物を飽和食塩水で洗い、乾燥(硫酸マグネシウム)させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣を分取薄層クロマトグラフィー(シリカ、8%メタノール/ジクロロメタン)で精製し、表題化合物を得た。LC/MS 313.8(M+1)。
【0243】
中間体13
【0244】
【化71】

6−ヨード[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3(2H)−オン
ジクロロメタン(30ml)中の5−ヨード−2−ヒドラジノピリジン(470mg、2mmol)の溶液に、ジクロロメタン20ml中のN,N−カルボニルジイミダゾール(389mg、2.4mmol)の溶液を添加した。室温にて2時間撹拌した後、水、0.5N塩酸水溶液、重炭酸ナトリウム飽和水溶液で混合物を続けて洗浄した。有機相を乾燥(硫酸マグネシウム)させ、減圧下で濃縮して生成物を回収した。一晩静置して水相から沈殿させて得られた黄色結晶を回収し、真空中で乾燥させ、さらに生成物を得た。LC/MS 261.8(M+1)。
【0245】
中間体14
【0246】
【化72】

6−ヨード−2−メチル[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3(2H)−オン
無水ジメチルホルムアミド(DMF、4ml)中の6−ヨード−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3(2H)−オン(中間体13、360mg、1.379mmol)の溶液に、炭酸セシウム(1.35g、4.14mmol)及びヨードメタン(0.52ml)を続けて添加し、反応混合物を室温にて一晩撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、沈殿した固形物を濾過により除去した。濾過物を飽和食塩水で洗い、乾燥(硫酸マグネシウム)させ、乾燥するまで減圧下で濃縮した。残渣を分取薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、3%メタノール/ジクロロメタン)で精製し、表題化合物を得た。LC/MS 257.8(M+1)。
【0247】
中間体15
【0248】
【化73】

7−ヨードキナゾリン−4(3H)−オン
ステップA:4−クロロ−6−ヨードキナゾリン
6−ヨードキナゾリン−4(3H)−オン(中間体11、100mg、0.37mmol)及びフェニルホスホン酸ジクロライド(1.5ml)の混合物を150℃にて1時間加熱した。反応混合物を氷浴中で冷却した後、イソプロピルエーテルを添加した。得られた結晶沈殿物を濾過により回収し、次に重炭酸ナトリウム飽和水溶液とともに撹拌した。その溶液を酢酸エチルで3回に分けて抽出し、合わせた抽出物を乾燥(硫酸マグネシウム)させ、減圧下で濃縮して未精製の生成物を得た。分取薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、5%及び10%酢酸エチル/へキサン)により精製し、所望する生成物を回収した。LC/MS 291(M+1)。
【0249】
ステップB:7−ヨードキナゾリン−4(3H)−オン
ステップA由来の生成物(73.8mg)に、エタノール(7ml)中の2Mアンモニアの溶液を添加し、得られた溶液を室温にて2時間撹拌した。揮発物を減圧下で除去し、残渣をジエチルエーテルで練和して白色粉末として所望する生成物を得た。LC/MS 271.8(M+1)。
【0250】
中間体16
【0251】
【化74】

N−(6−ヨードイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル)アセトアミド
ステップA:5−ヨード−2−p−トルエンスルホンアミドピリジン
ピリジン6ml中の5−ヨード−2−アミノピリジン(2.50g、11.4mmol)の溶液に、p−トルエンスルホニルクロライド(2.00g、10.4mmol)を添加し、得られた溶液を90℃にて18時間温めた。室温まで冷却した後、氷冷水75mlにその溶液を撹拌しながら分割して添加した。得られた沈殿物を回収し、水で洗い、真空中で乾燥させ黄白色粉末を得て、数分間、メタノール20mlとともに撹拌した。固体生成物を回収し、メタノールで洗い、真空中で乾燥させ、灰白色の粉末として表題化合物を得た。LC/MS 374.8(M+1)。
【0252】
ステップB:1−(カルバミルメチル)−5−ヨード−2−(p−トルエンスルホンアミド)ピリジン
乾燥N,N−ジメチルホルムアミド8.0ml中のステップA由来の生成物(1.60g、4.27mmol)の溶液に、水素化ナトリウム(ミネラルオイル中の60重量%の分散液、188mg)を添加した。15分後、溶液を60℃まで10分間温め、その後室温まで冷却した。クロロアセトアミド(420mg)を1度に添加し、溶液を100℃まで温めた。2.5時間後、その溶液を室温まで冷却し、氷冷水70mlに注いだ。得られた沈殿物を回収し、水で洗い、一晩風乾した。続いて、未精製生成物をメタノール20mlとともに数分間撹拌し、濾過により生成物を回収し、白色粉末として表題化合物を得た。LC/MS 414.9(M+1−H2O)。
【0253】
ステップC:N−(6−ヨードイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル)アセトアミド
ステップB由来の生成物(300mg、0.70mmol)及び無水酢酸1.0mlの混合物を還流温度にて2.5時間温めた。その溶液を室温まで冷却し、減圧下で濃縮した。残渣を酢酸エチルと水との間で分配し、重炭酸ナトリウム飽和水溶液及び飽和食塩水で酢酸エチル層を続けて洗い、乾燥(硫酸マグネシウム)させ、減圧下で濃縮した。未精製残渣を分取薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、7%メタノール/ジクロロメタン)で精製し、黄白色粉末として表題化合物を得た。LC/MS 301.9(M+1)。
【0254】
中間体17
【0255】
【化75】

6−ヨード−3−ニトロイミダゾ[1,2−a]ピリジン
15℃にて、濃硫酸(1.8ml)中の6−ヨードイミダゾ[1,2−a]ピリジン(中間体6、6,448mg、1.84mmol)の溶液に、濃硝酸(0.54ml)を滴下添加した。添加終了後、反応混合物を室温にて1時間撹拌し、氷10gの上に注いだ。水酸化カリウム水溶液で混合物のpHを4に調整し、生成した固体を濾過により回収し、水で洗い、乾燥させた。未精製生成物をジクロロメタン/ヘキサンから再結晶化させ、表題化合物を得た。LC/MS 289.8(M+1)。
【0256】
中間体18
【0257】
【化76】

6−ブロモ[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン
ステップA:N’−(5−ブロモピリジン−2−イル)−N,N−ジメチルイミドホルムアミド
N,N−ジメチルホルムアミド(6ml)中の5−ブロモ−2−アミノピリジン(3.0g、17.3mmol)の撹拌溶液に、N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(5.37g、45.0mmol)を添加した。反応混合物を130℃に一晩加熱した。室温まで冷却した後、減圧下で揮発物を除去し、褐色の油状物質として所望する生成物を得た。LC/MS 227.8(M+1)。
【0258】
ステップB:6−ブロモ[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン
メタノール(30ml)中のステップA由来の未精製生成物(3.94g、17.3mmol)の氷冷撹拌溶液及びピリジン(2.73g、35.6mmol)に、ヒドロキシアミン−O−スルホン酸(2.54g、22.5mmol)を添加した。反応混合物を室温まで温め、一晩撹拌した。減圧下で揮発物を除去し、重炭酸ナトリウム水溶液と酢酸エチルとの間で残渣を分配した。水層をさらに酢酸エチルで抽出し、水(100ml)及び飽和食塩水(100ml)で合わせた有機層を続けて洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)させ真空中で濃縮し、褐色の固体を回収し、それをジクロロメタンから再結晶化させて、橙色の固体として表題化合物を得た。LC/MS 197.9及び199.9(M+1)。
【0259】
中間体19
【0260】
【化77】

7−ヨード[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン
ステップA:2−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−4−ヨードピリジン
tert−ブタノール140ml、トルエン130ml及びトリエチルアミン35ml中の4−ヨードピコリン酸ヘミ−ヨウ化水素酸水和物(Lohse,O.Synth.Commun.1996,26,2017;24.5g,78.3mmol)の撹拌溶液に、ジフェニルホスホリルアジド(27ml、125mmol)を30分間にわたり滴下添加した。得られた溶液を65℃に温め、1.5時間後、浴槽の温度を100℃に上げた。4時間後、溶液を冷却し、減圧下で濃縮し、残渣を酢酸エチル(600ml)及び水(300ml)の間で分配した。重炭酸ナトリウム飽和水溶液(200ml)及び飽和食塩水(200ml)で酢酸エチル層を続けて洗い、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮して褐色の固体を回収した。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル;5%酢酸エチル−ヘキサン溶出液)で精製し、黄白色の固体を回収し、それをヘキサンで練和し、白色固体として表題化合物を得た。MS 265.1(M+l−tBu)。
【0261】
ステップB:2−アミノ−4−ヨードピリジン
ジクロロメタン25ml中の上記ステップA由来の生成物(3.84g、12.0mmol)の氷冷溶液に、トリフルオロ酢酸(12ml)を滴下添加した。得られた溶液を室温まで温め、1時間後、減圧下で揮発物を除去した。残渣を水(120ml)に溶解し、重炭酸ナトリウムを分割して添加してその溶液を中和した。混合物を酢酸エチルで抽出し、抽出物を飽和食塩水で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮して、灰白色の固体を回収し、それをヘキサンで練和し、白色粉末として表題化合物を得た。MS 221.1(M+1)。
【0262】
ステップC:7−ヨード[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン
N,N−ジメチルホルムアミド(0.5ml)中の上記ステップB由来の生成物(220mg、1.00mmol)の撹拌溶液に、N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(0.37ml、2.60mmol)を添加した。その反応混合物を130℃にて一晩加熱した。室温まで冷却した後、減圧下で揮発物を除去し、赤色の油状物質を得て、それをメタノール2.0ml及びピリジン0.162mlに溶解した。氷浴中で溶液を冷却し、ヒドロキシルアミン−O−スルホン酸(147mg、1.30mmol)を一度に添加した。反応混合物を室温に温め、一晩撹拌した。減圧下で揮発物を除去し、残渣を飽和食塩水と酢酸エチルとの間で分配した。水層をさらに酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層を飽和食塩水(100ml)で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、橙色の固体として表題化合物を得た。MS 246.1(M+1)。
【0263】
中間体20
【0264】
【化78】

5−クロロピラゾロ[1,5−a]ピリミジン
ステップA:5−ヒドロキシピラゾロ[1,5−a]ピリミジン
1,4−ジオキサン65ml中の3−アミノピラゾール(11.5g、0.138mol)に、エチルプロピオラート(14.7g、15.2ml、0.150mol)を滴下添加し、得られた淡黄色の溶液を還流温度に温めた。4時間後、真紅の溶液を室温まで冷却し、撹拌しながらトルエン100mlを添加した。得られた沈殿物を回収し、トルエンで洗い、風乾し、黄褐色の固体として表題化合物を得た。MS 136.0(M+1)。
【0265】
ステップB:5−クロロピラゾロ[1,5−a]ピリミジン
ステップA由来の生成物(1.35g、10.0mmol)及びオキシ塩化リン7.5mlの混合物を還流温度にて4時間温めた。混合物を冷却し、減圧下で揮発物を除去した。黒っぽい残渣を氷水とジクロロメタンとの間で分配し、水層をさらにジクロロメタンで抽出した。合わせた有機抽出物を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮して、淡褐色の固体を得て、それをフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;ジクロロメタン中0.5%メタノール溶出液)で精製し、白色の固体として表題化合物を得た。MS 153.8及び155.8(M+1)。
【0266】
基本的に、実施例1−17に対して概説した手順に従い、表1−3で挙げた化合物例を調製した。
【0267】
【表4】





【0268】
【表5】


【0269】
【表6】


【0270】
医薬処方の例
経口用医薬組成物の具体的な実施形態として、100mgの力価の錠剤は、本発明のいずれかの化合物100mg、微結晶性セルロース268mg、クロスカメロースナトリウム20mg及びステアリン酸マグネシウム4mgから構成される。活性物質、微結晶性セルロース及びクロスカメロースをまず混合する。次に、その混合物をステアリン酸マグネシウムで潤滑化し、錠剤に押圧する。
【0271】
一定の具体的な実施形態に関して本発明を記述し説明してきたが、当業者は、手順及びプロトコルの様々な手直し、変更、改変、置換、削除又は追加が、本発明の精神及び範囲から逸脱することなくなされ得ることを理解されたい。例えば、前述の本発明化合物を用いて何らかの兆候に対する処置を行う場合の哺乳類の反応性は様々であるため、本発明中で示したような特定の用量以外の有効量を使用し得る。観察される特定の薬理反応は、選択する特定の活性化合物に従い、及び依存して、又は、剤形のタイプ及び採用する投与方式ならびに存在する医薬担体があるか否かに依存して様々であり、そのような予想される結果のバリエーション又は相違は、本発明の目的及び実施によって企図される。従って、本発明は以下の請求項の範囲によって規定され、このような特許請求の範囲は妥当な限り広く解釈されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式Iの化合物、又は医薬的に許容可能なその塩。
【化1】

[式中、
各nは、独立して0、1又は2であり;
m及びpは、各々独立して0又は1であり;
Xは、CH、S、CHF又はCFであり;
W及びZは各々独立してCH、CHF又はCFであり;
は、水素又はシアノであり;
各Rは、水素、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ及びヒドロキシからなる群から独立して選択され;
は、アリール、ヘテロアリール又は複素環(アリール、ヘテロアリール及び複素環は非置換であるか又は1ないし5個のR置換基で置換されている。)であり;
は、
水素、
1−10アルキル(アルキルは、非置換であるか又はハロゲンもしくはヒドロキシから独立して選択される1ないし5個の置換基で置換されている。)、
2−10アルケニル(アルケニルは、非置換であるか又はハロゲンもしくはヒドロキシから独立して選択される1ないし5個の置換基で置換されている。)、
(CH)n−アリール(アリールは、非置換であるか又はヒドロキシ、ハロゲン、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換であるか又は1ないし5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1ないし5個の置換基で置換されている。)、
(CH−ヘテロアリール(ヘテロアリールは、非置換であるか又はヒドロキシ、ハロゲン、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換であるか又は1ないし5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1ないし3個の置換基で置換されている。)、
(CH−複素環(複素環は、非置換であるか又はオキソ、ヒドロキシ、ハロゲン、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換であるか又は1ないし5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1ないし3個の置換基で置換されている。)、
(CH−C3−6シクロアルキル(シクロアルキルは、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換であるか又は1ないし5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1ないし3個の置換基で置換されている。)、
(CHCOOH、
(CHCOOC1−6アルキル、
(CHCONR[R及びRは、水素、テトラゾリル、チアゾリル、(CHフェニル、(CH−C3−6シクロアルキル及びC1−6アルキル(アルキルは、非置換であるか、又はハロゲン及びヒドロキシから独立して選択される1ないし5個の置換基で置換されており、フェニル及びシクロアルキルは、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換であるか又は1ないし5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1ないし5個の置換基で置換されている。)からなる群から独立して選択されるか;
又は、R及びRは、それらが結合する窒素原子とともに、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン及びモルホリンから選択される複素環(該複素環は、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換であるか又は1ないし5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1ないし3個の置換基で置換されている。)を形成する。]
からなる群から選択され、
中のいずれのメチレン(CH)炭素原子も、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ及び、非置換であるか若しくは1ないし5個のハロゲンで置換されているC1−4アルキルから独立して選択される1ないし2個の基で置換されており;
各Rは、
ハロゲン、
シアノ、
オキソ、
ヒドロキシ、
1−6アルキル(アルキルは、非置換であるか又は1ないし5個のハロゲンで置換されている。)、
1−6アルコキシ(アルコキシは、非置換であるか又は1ないし5個のハロゲンで置換されている。)、
(CH−NR
(CH−CONR
(CH−OCONR
(CH−SONR
(CH−SO
(CH−NRSO
(CH−NRCONR
(CH−NRCOR
(CH−NRCO
(CH−COOH、
(CH−COOC1−6アルキル、
(CH−アリール(アリールは、非置換であるか又はハロゲン、ヒドロキシ、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換であるか又は1ないし5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1ないし5個の置換基で置換されている。)、
(CH−ヘテロアリール(ヘテロアリールは、非置換であるか、又はヒドロキシ、ハロゲン、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換であるか又は1ないし5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1ないし3個の置換基で置換されている。)、
(CH−複素環(複素環は、非置換であるか又はオキソ、ヒドロキシ、ハロゲン、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換であるか又は1ないし5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1ないし3個の置換基で置換されている。)、
(CH−C3−6シクロアルキル(シクロアルキルは、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換又は1ないし5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1ないし3個の置換基で置換されている。)からなる群から独立して選択され、
中のいずれのメチレン(CH)炭素原子も、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ及び、非置換若しくは1ないし5個のハロゲンで置換されているC1−4アルキルから独立して選択される1ないし2個の基で置換されており;
各Rは、テトラゾリル、チアゾリル、(CH−フェニル、(CH−C3−6シクロアルキル及びC1−6アルキル(アルキルは、非置換であるか、又は1ないし5個のハロゲンで置換されており、フェニル及びシクロアルキルは、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換であるか又は1ないし5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1ないし5個の置換基で置換されている。)からなる群から独立して選択され、
中のいずれのメチレン(CH)炭素原子も、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ及び、非置換又は1ないし5個のハロゲンで置換されているC1−4アルキルから独立して選択される1ないし2個の基で置換されており;
各Rは、水素又はRである。]
【請求項2】
*印を付した炭素原子が式Ia:
【化2】

(R3は水素又はフッ素である。)
で表される立体配置を取る、請求項1に記載された化合物。
【請求項3】
**印を付したRに結合する炭素原子が式Ib:
【化3】

で表される立体配置を取る、請求項2に記載された化合物。
【請求項4】
が水素又はフッ素である、構造式Ic:
【化4】

の請求項1に記載された化合物。
【請求項5】
*印を付した炭素原子が構造式Id:
【化5】

で表される立体配置を取る、請求項4に記載された化合物。
【請求項6】
が水素であり、WがCHであり、XがCH、CHF又はCFである、請求項5に記載された化合物。
【請求項7】
が水素又はフッ素である、構造式Ie:
【化6】

の請求項1に記載された化合物。
【請求項8】
*印を付した炭素原子が構造式If:
【化7】

で表される立体配置を取る、請求項7に記載された化合物。
【請求項9】
が水素又はフッ素である、構造式Ig:
【化8】

の請求項1に記載された化合物。
【請求項10】
*印を付した炭素原子が構造式Ih:
【化9】

で表される立体配置を取る、請求項9に記載された化合物。
【請求項11】
W及びZがCHであり、XがCH、CHF又はCFである、請求項10の化合物。
【請求項12】
が、
1−6アルキル(アルキルは、非置換であるか、又はハロゲンもしくはヒドロキシから独立して選択される1ないし5個の置換基で置換されている。)、
2−6アルケニル(アルケニルは、非置換であるか、又はハロゲン若しくはヒドロキシから独立して選択される1ないし5個の置換基で置換されている。)、
(CH−C3−6シクロアルキル(シクロアルキルは、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換であるか又は1ないし5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1ないし3個の置換基で置換されている。)、
(CH−COOH、
(CH−COOC1−6アルキル、
(CHCONR[R及びRは、水素、テトラゾリル、チアゾリル、(CHフェニル、(CH−C3−6シクロアルキル及びC1−6アルキル(アルキルは、非置換であるか、又はハロゲン及びヒドロキシから独立して選択される1ないし5個の置換基で置換されており、フェニル及びシクロアルキルは、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換であるか、又は1ないし5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1ないし5個の置換基で置換されている。)からなる群から独立して選択されるか、
又は、R及びRは、それらが結合する窒素原子とともに、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン及びモルホリンから選択される複素環(該複素環は、非置換であるか又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換であるか又は1ないし5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1ないし5個の置換基で置換されている。)を形成する。]
からなる群から選択され、
中のいずれのメチレン(CH)炭素原子も、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ及び非置換若しくは1ないし5個のハロゲンで置換されているC1−4アルキルから独立して選択される1ないし2個の基で置換されている、請求項1に記載された化合物。
【請求項13】
が、
1−3アルキル(アルキルは、非置換であるか、又はハロゲンもしくはヒドロキシから独立して選択される1ないし5個の置換基で置換されている。)、
CH-C3−6シクロアルキル、
COOH、
COOC1−6アルキル、
CONR[R及びRは、水素、テトラゾリル、チアゾリル、(CH−フェニル、(CH−C3−6シクロアルキル及びC1−6アルキル(アルキルは、非置換であるか、又はハロゲン及びヒドロキシから独立して選択される1ないし5個の置換基で置換されており、フェニル及びシクロアルキルは、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換又は1ないし5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1ないし5個の置換基で置換されている。)、
からなる群から独立して選択されるか、
又は、R及びRは、それらが結合する窒素原子とともに、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン及びモルホリンから選択される複素環(該複素環は、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換であるか又は1ないし5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1ないし5個の置換基で置換されている。)を形成する。]
からなる群から選択される、請求項12に記載された化合物。
【請求項14】
構造式Iiの、請求項1に記載された化合物。
【化10】

[式中、Xは、CH、S、CHF又はCFであり;
W及びZは、各々独立してCH、CHF又はCFであり;
は、フェニル、ヘテロアリール又は複素環(フェニル、ヘテロアリール及び複素環は、非置換であるか又は1ないし3個のR置換基で置換されている。)であり;
は、
メチル、
エチル、
CH−シクロプロピル、
COOH、
COOMe、
COOEt、
CONHMe、
CONMe
CONH
CONHEt、
CONMeCHPh、
ピロリジン−1−イルカルボニル、
アゼチジン−1−イルカルボニル、
3−フルオロアゼチジン−1−イルカルボニル、
モルホリン−4−イルカルボニル及び
[(テトラゾール−5−イル)アミノ]カルボニルからなる群から選択され;
各Rは、
ハロゲン、
シアノ、
オキソ、
ヒドロキシ、
1−6アルキル(アルキルは、非置換であるか又は1ないし5個のハロゲンで置換されている。)、
1−6アルコキシ(アルコキシは、非置換であるか又は1ないし5個のハロゲンで置換されている。)、
NR
CONR
OCONR
SONR
SO
NRSO
NRCONR
NRCOR
NRCO
COOH、
COOC1−6アルキル、
アリール(アリールは、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換であるか又は1ないし5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1ないし5個の置換基で置換されている。)、
ヘテロアリール(ヘテロアリールは、非置換であるか、又はヒドロキシ、ハロゲン、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換であるか又は1ないし5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1ないし3個の置換基で置換されている。)、
複素環(複素環は、非置換であるか、又はオキソ、ヒドロキシ、ハロゲン、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換であるか又は1ないし5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1ないし3個の置換基で置換されている。)及び、
(CH−C3−6シクロアルキル(シクロアルキルは、非置換であるか又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換であるか又は1ないし5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1ないし3個の置換基で置換されている。)
からなる群から独立して選択される。]
【請求項15】
各Rが、
ハロゲン、
シアノ、
オキソ、
1−6アルキル(アルキルは、非置換であるか又は1ないし5個のハロゲンで置換されている。)、
1−6アルコキシ(アルコキシは、非置換であるか又は1ないし5個のハロゲンで置換されている。)、
CONR
NRCOR
SO
NRSO
COOH、
COOC1−6アルキル、
ヘテロアリール(ヘテロアリールは、非置換であるか又はヒドロキシ、ハロゲン、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換であるか又は1ないし5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1ないし3個の置換基で置換されている。)、
複素環(複素環は、非置換であるか、又はオキソ、ヒドロキシ、ハロゲン、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換であるか又は1ないし5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1ないし3個の置換基で置換されている。)からなる群から独立して選択される、請求項14に記載された化合物。
【請求項16】
が、
4−フルオロフェニル、
2,4−ジフルオロフェニル、
3,4−ジフルオロフェニル、
2−クロロフェニル、
2−フルオロフェニル、
3−(メチルスルホニル)フェニル、
3−(エトキシカルボニル)フェニル、
3−カルボキシフェニル、
3−(アミノカルボニル)フェニル
3−[(tert−ブチルアミノ)カルボニル]フェニル、
3−[(フェニルアミノ)カルボニル]フェニル、
3−[(チアゾール−2−イルアミノ)カルボニル]フェニル、
3−[(テトラゾール−5−イルアミノ)カルボニル]フェニル、
3−[[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミノ]フェニル、
3−(テトラゾール−5−イル)フェニル、
4−フルオロ−3−(テトラゾール−5−イル)フェニル、
2−フルオロ−5−(テトラゾール−5−イル)フェニル、
3−(5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル、
4−フルオロ−3−(5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル、
3−(5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)フェニル、
3−(5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル
3−(1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)フェニル、
3−(1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル、
3−[5−(トリフルオロメチル)−1,2,4−トリアゾール−3−イル]フェニル、
3−(5−エトキシ−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル、
ピリジン−3−イル、
6−フルオロ−ピリジン−3−イル、
6−メトキシピリジン−3−イル、
6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル、
1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル、
1−エチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル、
5−ブロモ−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル、
イミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イル、
[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イル、
3−(トリフルオロメチル)[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イル、
3−オキソ−2,3−ジヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イル、
2−メチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イル、
4−アミノキナゾリン−6−イル、
2−(アセチルアミノ)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イル、
3−アミノイミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イル、
3−カルボキシピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル、
5−ブロモ−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル、
[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル、
[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−7−イル、及び、
ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−5−イル、
からなる群から選択される、請求項14に記載された化合物。
【請求項17】
構造式Ijの請求項14に記載された化合物。
【化11】

(式中、
が、
メチル、
エチル、
CH−シクロプロピル、
COOH、
COOMe、
COOEt、
CONHMe、
CONMe
CONH
CONHEt、
CONMeCHPh、
ピロリジン−1−イルカルボニル、
アゼチジン−1−イルカルボニル、
3−フルオロアゼチジン−1−イルカルボニル、
モルホリン−4−イルカルボニル及び
[(テトラゾール−5−イル)アミノ]カルボニル、
からなる群から選択され;
R4が、
4−フルオロフェニル、
2,4−ジフルオロフェニル、
3,4−ジフルオロフェニル、
2−クロロフェニル、
2−フルオロフェニル、
3−(メチルスルホニル)フェニル、
3−(エトキシカルボニル)フェニル、
3−カルボキシフェニル、
3−(アミノカルボニル)フェニル、
3−[(tert−ブチルアミノ)カルボニル]フェニル、
3−[(フェニルアミノ)カルボニル]フェニル、
3−[(チアゾール−2−イルアミノ)カルボニル]フェニル、
3−[(テトラゾール−5−イルアミノ)カルボニル]フェニル、
3−[[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミノ]フェニル、
3−(テトラゾール−5−イル)フェニル、
4−フルオロ−3−(テトラゾール−5−イル)フェニル、
2−フルオロ−5−(テトラゾール−5−イル)フェニル、
3−(5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル、
4−フルオロ−3−(5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル、
3−(5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)フェニル、
3−(5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル、
3−(1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)フェニル、
3−(1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル、
3−[5−(トリフルオロメチル)−1,2,4−トリアゾール−3−イル]フェニル、
3−(5−エトキシ−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル、
ピリジン−3−イル、
6−フルオロ−ピリジン−3−イル、
6−メトキシピリジン−3−イル、
6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル、
1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル、
1−エチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル、
5−ブロモ−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル、
イミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イル、
[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イル、
3−(トリフルオロメチル)[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イル、
3−オキソ−2,3−ジヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イル、
2−メチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イル、
4−アミノキナゾリン−6−イル、
2−(アセチルアミノ)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イル、
3−アミノイミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イル、
3−カルボキシピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル、
5−ブロモ−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル、
[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル、
[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−7−イル及び、
ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−5−イル、
からなる群から選択される。)
【請求項18】
WがCHであり、XがCHF又はCFである、請求項17に記載された化合物。
【請求項19】
【表1】





表1からなる群から選択される構造式の、請求項17に記載された化合物、又は医薬的に許容可能なその塩。
【請求項20】
【表2】


からなる群から選択される構造式の請求項16に記載された化合物、又は医薬的に許容可能なその塩。
【請求項21】
【表3】


からなる群から選択される構造式の請求項16に記載された化合物、又は医薬的に許容可能なその塩。
【請求項22】
【化12】




からなる群から選択される構造式の請求項16に記載された化合物、又は医薬的に許容可能なその塩。
【請求項23】
【化13】

である請求項22に記載された化合物、又は医薬的に許容可能なその塩。
【請求項24】
【化14】

である請求項22に記載された化合物、又は医薬的に許容可能なその塩。
【請求項25】
【化15】

である請求項22に記載された化合物、又は医薬的に許容可能なその塩。
【請求項26】
【化16】

である請求項22に記載された化合物、又は医薬的に許容可能なその塩。
【請求項27】
【化17】

である請求項22に記載された化合物、又は医薬的に許容可能なその塩。
【請求項28】
請求項1に記載された化合物と医薬的に許容可能な担体とを含有する、医薬組成物。
【請求項29】
糖尿病の治療が必要な哺乳類に対して請求項1に記載された化合物の治療上有効量を投与することを含む、糖尿病の治療を必要とする哺乳類における糖尿病治療方法。
【請求項30】
インスリン非依存性(2型)糖尿病の治療が必要な哺乳類に対して請求項1に記載された化合物の治療上有効量を投与することを含む、前記哺乳類におけるインスリン非依存性(2型)糖尿病治療方法。
【請求項31】
高血糖の治療を必要とする哺乳類に対して請求項1に記載された化合物の治療上有効量を投与することを含む、前記哺乳類における高血糖治療方法。
【請求項32】
肥満の治療を必要とする哺乳類に対して請求項1に記載された化合物の治療上有効量を投与することを含む、前記哺乳類における肥満治療方法。
【請求項33】
糖尿病の治療を必要とする哺乳類に対してPPARα/γの2重アゴニストであるKRP−297と組み合わせて請求項1に記載された化合物の治療上有効量を投与することを含む、前記哺乳類における糖尿病治療方法。
【請求項34】
糖尿病の治療を必要とする哺乳類に対してメトホルミンと組み合わせて請求項1に記載された化合物の治療上有効量を投与することを含む、前記哺乳類における糖尿病治療方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式Iの化合物、又は医薬的に許容可能なその塩。
【化1】

[式中、
各nは、独立して0、1又は2であり;
m及びpは、各々独立して0又は1であり;
Xは、CH、S、CHF又はCFであり;
W及びZは各々独立してCH、CHF又はCFであり;
は、水素又はシアノであり;
各Rは、水素、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ及びヒドロキシからなる群から独立して選択され;
は、アリール、ヘテロアリール又は複素環(アリール、ヘテロアリール及び複素環は非置換であるか又は1ないし5個のR置換基で置換されている。)であり;
は、
1−10アルキル(アルキルは、非置換であるか又はハロゲンもしくはヒドロキシから独立して選択される1ないし5個の置換基で置換されている。)、
2−10アルケニル(アルケニルは、非置換であるか又はハロゲンもしくはヒドロキシから独立して選択される1ないし5個の置換基で置換されている。)、
(CH)n−アリール(アリールは、非置換であるか又はヒドロキシ、ハロゲン、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換であるか又は1ないし5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1ないし5個の置換基で置換されている。)、
(CH−ヘテロアリール(ヘテロアリールは、非置換であるか又はヒドロキシ、ハロゲン、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換であるか又は1ないし5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1ないし3個の置換基で置換されている。)、
(CH−複素環(複素環は、非置換であるか又はオキソ、ヒドロキシ、ハロゲン、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換であるか又は1ないし5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1ないし3個の置換基で置換されている。)、
(CH−C3−6シクロアルキル(シクロアルキルは、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換であるか又は1ないし5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1ないし3個の置換基で置換されている。)、
(CHCOOH、
(CHCOOC1−6アルキル、
(CHCONR[R及びRは、水素、テトラゾリル、チアゾリル、(CHフェニル、(CH−C3−6シクロアルキル及びC1−6アルキル(アルキルは、非置換であるか、又はハロゲン及びヒドロキシから独立して選択される1ないし5個の置換基で置換されており、フェニル及びシクロアルキルは、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換であるか又は1ないし5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1ないし5個の置換基で置換されている。)からなる群から独立して選択されるか;
又は、R及びRは、それらが結合する窒素原子とともに、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン及びモルホリンから選択される複素環(該複素環は、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換であるか又は1ないし5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1ないし3個の置換基で置換されている。)を形成する。]
からなる群から選択され、
中のいずれのメチレン(CH)炭素原子も、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ及び、非置換であるか若しくは1ないし5個のハロゲンで置換されているC1−4アルキルから独立して選択される1ないし2個の基で置換されており;
各Rは、
ハロゲン、
シアノ、
オキソ、
ヒドロキシ、
1−6アルキル(アルキルは、非置換であるか又は1ないし5個のハロゲンで置換されている。)、
1−6アルコキシ(アルコキシは、非置換であるか又は1ないし5個のハロゲンで置換されている。)、
(CH−NR
(CH−CONR
(CH−OCONR
(CH−SONR
(CH−SO
(CH−NRSO
(CH−NRCONR
(CH−NRCOR
(CH−NRCO
(CH−COOH、
(CH−COOC1−6アルキル、
(CH−アリール(アリールは、非置換であるか又はハロゲン、ヒドロキシ、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換であるか又は1ないし5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1ないし5個の置換基で置換されている。)、
(CH−ヘテロアリール(ヘテロアリールは、非置換であるか、又はヒドロキシ、ハロゲン、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換であるか又は1ないし5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1ないし3個の置換基で置換されている。)、
(CH−複素環(複素環は、非置換であるか又はオキソ、ヒドロキシ、ハロゲン、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換であるか又は1ないし5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1ないし3個の置換基で置換されている。)、
(CH−C3−6シクロアルキル(シクロアルキルは、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換又は1ないし5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1ないし3個の置換基で置換されている。)からなる群から独立して選択され、
中のいずれのメチレン(CH)炭素原子も、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ及び、非置換若しくは1ないし5個のハロゲンで置換されているC1−4アルキルから独立して選択される1ないし2個の基で置換されており;
各Rは、テトラゾリル、チアゾリル、(CH−フェニル、(CH−C3−6シクロアルキル及びC1−6アルキル(アルキルは、非置換であるか、又は1ないし5個のハロゲンで置換されており、フェニル及びシクロアルキルは、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換であるか又は1ないし5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1ないし5個の置換基で置換されている。)からなる群から独立して選択され、
中のいずれのメチレン(CH)炭素原子も、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ及び、非置換又は1ないし5個のハロゲンで置換されているC1−4アルキルから独立して選択される1ないし2個の基で置換されており;
各Rは、水素又はRである。]
【請求項2】
*印を付した炭素原子が式Ia:
【化2】

(R3は水素又はフッ素である。)
で表される立体配置を取る、請求項1に記載された化合物。
【請求項3】
**印を付したRに結合する炭素原子が式Ib:
【化3】

で表される立体配置を取る、請求項2に記載された化合物。
【請求項4】
が水素又はフッ素である、構造式Ic:
【化4】

の請求項1に記載された化合物。
【請求項5】
*印を付した炭素原子が構造式Id:
【化5】

で表される立体配置を取る、請求項4に記載された化合物。
【請求項6】
が水素であり、WがCHであり、XがCH、CHF又はCFである、請求項5に記載された化合物。
【請求項7】
が水素又はフッ素である、構造式Ie:
【化6】

の請求項1に記載された化合物。
【請求項8】
*印を付した炭素原子が構造式If:
【化7】

で表される立体配置を取る、請求項7に記載された化合物。
【請求項9】
が水素又はフッ素である、構造式Ig:
【化8】

の請求項1に記載された化合物。
【請求項10】
*印を付した炭素原子が構造式Ih:
【化9】

で表される立体配置を取る、請求項9に記載された化合物。
【請求項11】
W及びZがCHであり、XがCH、CHF又はCFである、請求項10の化合物。
【請求項12】
が、
1−6アルキル(アルキルは、非置換であるか、又はハロゲンもしくはヒドロキシから独立して選択される1ないし5個の置換基で置換されている。)、
2−6アルケニル(アルケニルは、非置換であるか、又はハロゲン若しくはヒドロキシから独立して選択される1ないし5個の置換基で置換されている。)、
(CH−C3−6シクロアルキル(シクロアルキルは、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換であるか又は1ないし5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1ないし3個の置換基で置換されている。)、
(CH−COOH、
(CH−COOC1−6アルキル、
(CHCONR[R及びRは、水素、テトラゾリル、チアゾリル、(CHフェニル、(CH−C3−6シクロアルキル及びC1−6アルキル(アルキルは、非置換であるか、又はハロゲン及びヒドロキシから独立して選択される1ないし5個の置換基で置換されており、フェニル及びシクロアルキルは、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換であるか、又は1ないし5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1ないし5個の置換基で置換されている。)からなる群から独立して選択されるか、
又は、R及びRは、それらが結合する窒素原子とともに、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン及びモルホリンから選択される複素環(該複素環は、非置換であるか又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換であるか又は1ないし5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1ないし5個の置換基で置換されている。)を形成する。]
からなる群から選択され、
中のいずれのメチレン(CH)炭素原子も、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ及び非置換若しくは1ないし5個のハロゲンで置換されているC1−4アルキルから独立して選択される1ないし2個の基で置換されている、請求項1に記載された化合物。
【請求項13】
が、
1−3アルキル(アルキルは、非置換であるか、又はハロゲンもしくはヒドロキシから独立して選択される1ないし5個の置換基で置換されている。)、
CH-C3−6シクロアルキル、
COOH、
COOC1−6アルキル、
CONR[R及びRは、水素、テトラゾリル、チアゾリル、(CH−フェニル、(CH−C3−6シクロアルキル及びC1−6アルキル(アルキルは、非置換であるか、又はハロゲン及びヒドロキシから独立して選択される1ないし5個の置換基で置換されており、フェニル及びシクロアルキルは、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換又は1ないし5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1ないし5個の置換基で置換されている。)、
からなる群から独立して選択されるか、
又は、R及びRは、それらが結合する窒素原子とともに、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン及びモルホリンから選択される複素環(該複素環は、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換であるか又は1ないし5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1ないし5個の置換基で置換されている。)を形成する。]
からなる群から選択される、請求項12に記載された化合物。
【請求項14】
構造式Iiの、請求項1に記載された化合物。
【化10】

[式中、Xは、CH、S、CHF又はCFであり;
W及びZは、各々独立してCH、CHF又はCFであり;
は、フェニル、ヘテロアリール又は複素環(フェニル、ヘテロアリール及び複素環は、非置換であるか又は1ないし3個のR置換基で置換されている。)であり;
は、
メチル、
エチル、
CH−シクロプロピル、
COOH、
COOMe、
COOEt、
CONHMe、
CONMe
CONH
CONHEt、
CONMeCHPh、
ピロリジン−1−イルカルボニル、
アゼチジン−1−イルカルボニル、
3−フルオロアゼチジン−1−イルカルボニル、
モルホリン−4−イルカルボニル及び
[(テトラゾール−5−イル)アミノ]カルボニルからなる群から選択され;
各Rは、
ハロゲン、
シアノ、
オキソ、
ヒドロキシ、
1−6アルキル(アルキルは、非置換であるか又は1ないし5個のハロゲンで置換されている。)、
1−6アルコキシ(アルコキシは、非置換であるか又は1ないし5個のハロゲンで置換されている。)、
NR
CONR
OCONR
SONR
SO
NRSO
NRCONR
NRCOR
NRCO
COOH、
COOC1−6アルキル、
アリール(アリールは、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換であるか又は1ないし5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1ないし5個の置換基で置換されている。)、
ヘテロアリール(ヘテロアリールは、非置換であるか、又はヒドロキシ、ハロゲン、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換であるか又は1ないし5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1ないし3個の置換基で置換されている。)、
複素環(複素環は、非置換であるか、又はオキソ、ヒドロキシ、ハロゲン、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換であるか又は1ないし5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1ないし3個の置換基で置換されている。)及び、
(CH−C3−6シクロアルキル(シクロアルキルは、非置換であるか又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換であるか又は1ないし5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1ないし3個の置換基で置換されている。)
からなる群から独立して選択される。]
【請求項15】
各Rが、
ハロゲン、
シアノ、
オキソ、
1−6アルキル(アルキルは、非置換であるか又は1ないし5個のハロゲンで置換されている。)、
1−6アルコキシ(アルコキシは、非置換であるか又は1ないし5個のハロゲンで置換されている。)、
CONR
NRCOR
SO
NRSO
COOH、
COOC1−6アルキル、
ヘテロアリール(ヘテロアリールは、非置換であるか又はヒドロキシ、ハロゲン、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換であるか又は1ないし5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1ないし3個の置換基で置換されている。)、
複素環(複素環は、非置換であるか、又はオキソ、ヒドロキシ、ハロゲン、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシ(アルキル及びアルコキシは、非置換であるか又は1ないし5個のハロゲンで置換されている。)から独立して選択される1ないし3個の置換基で置換されている。)からなる群から独立して選択される、請求項14に記載された化合物。
【請求項16】
が、
4−フルオロフェニル、
2,4−ジフルオロフェニル、
3,4−ジフルオロフェニル、
2−クロロフェニル、
2−フルオロフェニル、
3−(メチルスルホニル)フェニル、
3−(エトキシカルボニル)フェニル、
3−カルボキシフェニル、
3−(アミノカルボニル)フェニル
3−[(tert−ブチルアミノ)カルボニル]フェニル、
3−[(フェニルアミノ)カルボニル]フェニル、
3−[(チアゾール−2−イルアミノ)カルボニル]フェニル、
3−[(テトラゾール−5−イルアミノ)カルボニル]フェニル、
3−[[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミノ]フェニル、
3−(テトラゾール−5−イル)フェニル、
4−フルオロ−3−(テトラゾール−5−イル)フェニル、
2−フルオロ−5−(テトラゾール−5−イル)フェニル、
3−(5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル、
4−フルオロ−3−(5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル、
3−(5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)フェニル、
3−(5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル
3−(1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)フェニル、
3−(1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル、
3−[5−(トリフルオロメチル)−1,2,4−トリアゾール−3−イル]フェニル、
3−(5−エトキシ−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル、
ピリジン−3−イル、
6−フルオロ−ピリジン−3−イル、
6−メトキシピリジン−3−イル、
6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル、
1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル、
1−エチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル、
5−ブロモ−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル、
イミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イル、
[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イル、
3−(トリフルオロメチル)[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イル、
3−オキソ−2,3−ジヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イル、
2−メチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イル、
4−アミノキナゾリン−6−イル、
2−(アセチルアミノ)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イル、
3−アミノイミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イル、
3−カルボキシピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル、
5−ブロモ−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル、
[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル、
[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−7−イル、及び、
ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−5−イル、
からなる群から選択される、請求項14に記載された化合物。
【請求項17】
構造式Ijの請求項14に記載された化合物。
【化11】

(式中、
が、
メチル、
エチル、
CH−シクロプロピル、
COOH、
COOMe、
COOEt、
CONHMe、
CONMe
CONH
CONHEt、
CONMeCHPh、
ピロリジン−1−イルカルボニル、
アゼチジン−1−イルカルボニル、
3−フルオロアゼチジン−1−イルカルボニル、
モルホリン−4−イルカルボニル及び
[(テトラゾール−5−イル)アミノ]カルボニル、
からなる群から選択され;
R4が、
4−フルオロフェニル、
2,4−ジフルオロフェニル、
3,4−ジフルオロフェニル、
2−クロロフェニル、
2−フルオロフェニル、
3−(メチルスルホニル)フェニル、
3−(エトキシカルボニル)フェニル、
3−カルボキシフェニル、
3−(アミノカルボニル)フェニル、
3−[(tert−ブチルアミノ)カルボニル]フェニル、
3−[(フェニルアミノ)カルボニル]フェニル、
3−[(チアゾール−2−イルアミノ)カルボニル]フェニル、
3−[(テトラゾール−5−イルアミノ)カルボニル]フェニル、
3−[[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミノ]フェニル、
3−(テトラゾール−5−イル)フェニル、
4−フルオロ−3−(テトラゾール−5−イル)フェニル、
2−フルオロ−5−(テトラゾール−5−イル)フェニル、
3−(5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル、
4−フルオロ−3−(5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル、
3−(5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)フェニル、
3−(5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル、
3−(1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)フェニル、
3−(1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル、
3−[5−(トリフルオロメチル)−1,2,4−トリアゾール−3−イル]フェニル、
3−(5−エトキシ−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル、
ピリジン−3−イル、
6−フルオロ−ピリジン−3−イル、
6−メトキシピリジン−3−イル、
6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル、
1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル、
1−エチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル、
5−ブロモ−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル、
イミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イル、
[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イル、
3−(トリフルオロメチル)[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イル、
3−オキソ−2,3−ジヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イル、
2−メチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イル、
4−アミノキナゾリン−6−イル、
2−(アセチルアミノ)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イル、
3−アミノイミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イル、
3−カルボキシピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル、
5−ブロモ−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル、
[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル、
[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−7−イル及び、
ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−5−イル、
からなる群から選択される。)
【請求項18】
WがCHであり、XがCHF又はCFである、請求項17に記載された化合物。
【請求項19】
【表1】





表1からなる群から選択される構造式の、請求項17に記載された化合物、又は医薬的に許容可能なその塩。
【請求項20】
【表2】


からなる群から選択される構造式の請求項16に記載された化合物、又は医薬的に許容可能なその塩。
【請求項21】
【表3】


からなる群から選択される構造式の請求項16に記載された化合物、又は医薬的に許容可能なその塩。
【請求項22】
【化12】




からなる群から選択される構造式の請求項16に記載された化合物、又は医薬的に許容可能なその塩。
【請求項23】
【化13】

である請求項22に記載された化合物、又は医薬的に許容可能なその塩。
【請求項24】
【化14】

である請求項22に記載された化合物、又は医薬的に許容可能なその塩。
【請求項25】
【化15】

である請求項22に記載された化合物、又は医薬的に許容可能なその塩。
【請求項26】
【化16】

である請求項22に記載された化合物、又は医薬的に許容可能なその塩。
【請求項27】
【化17】

である請求項22に記載された化合物、又は医薬的に許容可能なその塩。
【請求項28】
請求項1に記載された化合物と医薬的に許容可能な担体とを含有する、医薬組成物。
【請求項29】
糖尿病の治療が必要な哺乳類に対して請求項1に記載された化合物の治療上有効量を投与することを含む、糖尿病の治療を必要とする哺乳類における糖尿病治療方法。
【請求項30】
インスリン非依存性(2型)糖尿病の治療が必要な哺乳類に対して請求項1に記載された化合物の治療上有効量を投与することを含む、前記哺乳類におけるインスリン非依存性(2型)糖尿病治療方法。
【請求項31】
高血糖の治療を必要とする哺乳類に対して請求項1に記載された化合物の治療上有効量を投与することを含む、前記哺乳類における高血糖治療方法。
【請求項32】
肥満の治療を必要とする哺乳類に対して請求項1に記載された化合物の治療上有効量を投与することを含む、前記哺乳類における肥満治療方法。
【請求項33】
糖尿病の治療を必要とする哺乳類に対してPPARα/γの2重アゴニストであるKRP−297と組み合わせて請求項1に記載された化合物の治療上有効量を投与することを含む、前記哺乳類における糖尿病治療方法。
【請求項34】
糖尿病の治療を必要とする哺乳類に対してメトホルミンと組み合わせて請求項1に記載された化合物の治療上有効量を投与することを含む、前記哺乳類における糖尿病治療方法。

【公表番号】特表2006−509839(P2006−509839A)
【公表日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−507072(P2005−507072)
【出願日】平成15年11月3日(2003.11.3)
【国際出願番号】PCT/US2003/034924
【国際公開番号】WO2004/043940
【国際公開日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】