説明

紫外線(UV)、及びプラズマ励起有機金属化学気相成長(MOCVD)方法

本発明は、HTSコーティングのテープの製造のための、高スループット、紫外線(UV)励起の有機金属化学気相成長(MOCVD)システムである。本発明の前記UV励起のMOCVDシステムは、堆積ゾーンを照射し、薄膜成長率を改善するUV光源を含む。前記MOCVDシステムはさらに、反応速度を最適化するため、前駆体蒸気の励起を増加し、従来の二原子酸素(O2)よりも単原子酸素(O)の大気を利用し、これにより、前記薄膜成長率は増加する。別の実施形態では、マイクロ波プラズマ注入器は、前記UV光源の代替となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温超伝導(HTS)被覆ワイヤの、高スループットの有機金属化学気相成長法(MOCVD)に関するものである。さらに詳細には、本発明は、化学気相成長(CVD)を励起をするために、紫外線(UV)あるいはマイクロ波光源放射を組み込んだMOCVDシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
過去30年において、米国の最終エネルギー消費の電力は、25%から40%に上昇した。この上昇を考慮すると、電力需要は、次第に信頼性の高い、上質な電力の危機的な要求となる。電力需要は成長を続けるにつれ、特に旧都市部の電力システムは性能限界に至っており、新しい解決法を要求されている。
【0003】
ワイヤは、変圧器、伝送及び流通システム、モータを含む世界の電力システムの基本構成要素を形成する。1986年の革命的なHTS複合物の発見は、電力産業の全く新しいタイプのワイヤの発展に導き、この発見は、1世紀以上における、ワイヤ技術の最も重要な進歩である。
【0004】
HTSワイヤは、同じ物理的寸法の従来の銅及びアルミニウム導線の100倍以上の電流を流す最高の性能を提供する。HTSワイヤの優れた電力密度は、次世代の電力産業技術を可能にする。それは、大きな規模、重要性、また効率的な利益を提供する。HTS技術は、種々の方法で、コストを下げ、電力システムの容量と信頼性を増加する。例えば、HTSワイヤは、既存の通行路を通って2〜5倍多くの電力を送信することができる。この新しいケーブルは、その環境足跡を削減すると同時に電力網の性能を改良する強力なツールを提供する。しかしながら、今日まで、次世代HTSワイヤの製造で用いられる前記HTSコーティングテープの短いサンプルのみが、高性能レベルで製造されている。HTS技術が、発電および流通産業での使用に向け、商業的に成長するために、HTSコーティングのテープの連続的な、高いスループットの技術を発展させる必要がある。
【0005】
MOCVDは、HTSコーティングのテープをコスト効率よく生産するために必要な高いスループットの期待を示す堆積プロセスである。MOCVDの間、酸化イットリウムバリウム銅(YBa2Cu37、或いはYBCO)などのHTS膜は、気質の表面に起こる化学反応を介して、不活性ガスによって運ばれた気相前駆体によって、加熱された緩衝金属基板へ堆積される。
【0006】
1998年10月13日付の、Hubertらの米国特許USP5,820,678(名称、“固体ソースMOCVDシステム”は、多要素化学気相成長の有機金属前駆体を供給する配送システムを含む、超伝導および非超伝導酸化膜をMOCVD製作するためのシステムを記述している。前記前駆体は、所望の速度で研磨され、蒸発域へ供給され、その後、薄膜形成のための堆積チャンバー内の反応域へ供給される。しかしながら、Hubertのプロセスにより達成できるスループットは、非常に限定される。有機金属化学気相成長が起こる基板は、例えば温度伝導性ペーストで、堆積プロセスを通して基板ホルダに固定して取り付けられる。結果として、不連続な堆積作業は、MOCVDのHubertのプロセスを特徴づけ、そのようなプロセスを通して達成できる生産を非常に限定する。
【0007】
MOCVDプロセスの堆積能率を増大するための試みがなされてきた。2001年9月18日付の、TompaのUSP 6,289,842(名称、“プラズマ励起化学気相成長システム”)は、不連続なウエハーコーティングシステムの堆積プロセスをよくするrfプラズマ生成システムを開示している。Hubert(USP 5,820,678)は、蒸気化した反応物質を注入する注入コーンの周りに包まれ、ガス混合物が堆積チャンバー内の反応ゾーンに到着するとき、rfプラズマを生成して化学反応を促進する、13.54MHzの発振器に接続されたコイルを提供している。
【0008】
P.C.Chouらは、“Optimization of Jc of YBCO films prepared by photo-assisted MOCVD through statistical robust design”Physica C 254(1995)93-112において、光励起のDVDを用いて、イットリウム−バリウム−銅−酸化物(YBCO)膜の高堆積速度(毎分1ミクロン)の達成を開示している。Chouらは、二原子酸素大気及び広範囲の電磁波放射線(紫外線及び赤外線(IR)を含む)を放射するハロゲンランプを利用し、ハロゲンランプで基板(IR)を加熱し、且つ堆積ゾーンに入る前駆体(UV)を加熱して、その反応速度を速くするが、それは早期の前駆体分解をしばしば引き起こす。Chouらのプロセスは、拡張縮小可能でも、再生可能でもなく、拡張した長さの基板上の連続的な堆積に適していない;従って、この研究は、高いスループットのMOCVDプロセスに適合しない。
【0009】
イットリウム安定ジルコニア薄膜のマイクロ波プラズマ化学気相成長法(PECVD)の研究は、B. Preauchatらにより、“Performances of microwave PECVD reactor or thin and thick oxide coatings at extremely high deposition rate”(第8回国際プラズマ表面工学会議の会報誌(2001)109-115)に公開されている。B.Preauchatのシステムは、石英壁で形成される堆積チャンバーを含む。これは、高温のガラス製品作業を要求し、長いワイヤの連続的な堆積のシステムを構成することを困難にする。
【0010】
大規模なMOCVDシステムへのよりよいアプローチは、MOCVDチャンバーを通して、複数の緩衝金属基板テープを移動させるオープンリール巻き取りシステムを利用する。基板テープは、チャンバー壁のすき間を通って、前記MOCVDチャンバーに出入りして、並んで移動し、そこで薄膜堆積を受ける。放射基板放熱器及びシャワーヘッドは、複数の移動する基板テープ上で薄膜堆積を広範囲に適合させるように、広範囲の堆積ゾーンを作るため適切にサイズを調整されてもよい。広い堆積ゾーンに加えて、スループットに作用するその他の主な要因は前記MOCVDプロセスの薄膜成長率である。複雑な反応速度は、このようなプロセスで到達可能な薄膜成長率を広範囲にする。これらの複雑な反応速度を助長する要因は、室圧、基板温度、酸素含有量および堆積ゾーンへの導入方法、前記堆積ゾーンに供給されている前駆体の量(前記前駆モル濃度と、前記シャワーヘッド組み立て部を通る前駆体蒸気およびその不活性キャリアガスの質量流量とによって決定される)、前記前駆体が前記堆積ゾーンへのその導入の前に保持されているときの温度、前記堆積ゾーン外への反応副産物の廃棄能率を含む。
【0011】
従って、本発明の目的は、前記堆積ゾーンでエネルギー源を利用して反応速度を強化することによって、スループットが改善された連続的なMOCVDシステムを提供することである。
【0012】
従って、本発明の目的は、前記堆積ゾーンでUV或いはマイクロ波エネルギー源を利用して反応速度を強化することによってスループットが改善された連続的なMOCVDシステムを提供することである。
【0013】
従って、本発明の目的は、超伝導薄膜の堆積の間、前駆体の強化された利用効率を有する、スループットが改善された連続的なMOCVDシステムを提供することである。
【0014】
本発明の別の目的は、前記堆積ゾーン内の単原子酸素大気を供給して反応速度を強化することによって、スループットが改善された連続的なMOCVDシステムを提供することである。
【特許文献1】米国特許第5,653,806号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0334 374号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
YBCO薄膜を堆積する先行技術のプロセスに関する問題は、開示されたプロセスにおいて、複数の連続的に移動する金属基板表面に膜を堆積するために前記堆積ゾーンにシャワーヘッドを通して亜酸化窒素および二原子酸素を供給すると共に、前記MOCVD反応炉の前記堆積ゾーンで補助的エネルギー源を利用することによって、最小に抑えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
第1の実施形態において、本発明は、HTSでコーティングされたテープの製造のための高スループット、UV励起のMOCVDシステムである。本発明の前記UV励起MOCVDシステムは、前記堆積ゾーンを照射し、前記薄膜成長率を改良するUV光源を含む。前記MOCVDシステムはさらに、従来の二原子酸素(O2)とは対照的に単原子酸素(O)を利用して、反応速度を最適化し、これにより前記薄膜成長率が増加する。
【0017】
本発明は、このような高スループットの連続的なMOCVDシステムを特徴付ける拡張した堆積実行の間に生じる副産物を防ぐ、或いは除去する。薄膜の適切な成長に必要な前記堆積温度を低下する単原子酸素を用いて、前記金属基板と前記YBCO薄膜との間の望ましくないこれらの副産物を最小限に抑える。
【0018】
図1は、本発明に従って、高スループットの、UV励起MOCVDシステム100を図示する。前記MOCVDシステム100は、ガスライン110と、気化器118を供給する液体前駆体配給ライン116を含む。ポンプ112は、液体前駆体配給ライン116に接続され、前駆体計器114は液体前駆体配給ライン116に沿って配置される。前記ガスライン110は、アルゴン或いは窒素などの不活性キャリアガスが通るチューブ或いはパイプである。前記液体前駆体配給ライン116は、前記ポンプ112と前記気化器118との間を、特殊な混合の溶剤と共に、イットリウム、バリウム、銅などの有機金属の前駆体を含む溶液が通るチューブ或いはパイプである。前記ポンプ112は、0.1と10ml/分との間の低流量にできる液体前駆体配給ポンプである。前記ポンプ112は、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)ポンプなどの、高圧の、低流量ポンプである。前記圧力計114は、気化器118へ入る前に液体前駆体溶液の出口圧力を監視する検知装置である。前記気化器118は、前記前駆体溶液がフラッシュ蒸発され、前駆体気化ライン120を介してシャワーヘッド126への配給の不活性キャリアガスと混ぜられる要素である。
【0019】
亜酸化窒素(N2O)及び二原子酸素(O2)が通るチューブ或いはパイプであるライン122は、前記気化器118と前記シャワーヘッド126との間の前記前駆体蒸気化ライン120に通じている。前記シャワーヘッド126は、一定面積にわたって蒸気均一分布ができる技術において公知の要素であり、複数のボルト及びガスケットでそこに形成されたシールと共に固定された上下のフランジからなるステンレス鋼型枠を仮定してもよい。複数の開口部は、下フランジを通って機械加工され、一連の均等に置かれた品質のよい開口部として配置される。
【0020】
その他の実施形態において、前記シャワーヘッド126は、例えば、YBCO及び酸化サマリウムバリウム銅(SmBa2Cu37或いは“Sm123”)などのその他の薄膜を持って、多層コーティングテープの堆積を可能にするよう、このような方法で複数の前駆体蒸気化ラインによって供給される複数の孤立した区画を含んでもよい。
【0021】
MOCVDチャンバー124に格納されるものは、お互いに向き合って配置された前記シャワーヘッド126と基板ヒータ128であり、直接的にその間の空間に堆積ゾーンを作る。
【0022】
一つ或いはそれ以上のテープ136は、前記堆積ゾーンを通して移動せられる。前記テープ136は、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)及び/又は酸化セリウム(CeO2)などの緩衝層が2軸構成、例えば、(100)<001>立方構成で予め堆積されている場合、インコネルなどのステンレス鋼あるいはニッケル合金のような長さを変えることができる基質である。前記テープ136は、約900℃の温度に耐えられることができ、望ましい完成した製品及びシステム限定にあうよう変形してもよい。例えば、前記テープ136は、厚さ25μ、幅1cm、長さ100mであってもよい。
【0023】
前記ヒータ128は、ランプなどの放射加熱体を介して、前記基板テープ136に対し、通常、約700から900℃の範囲で、熱を提供する公知の単数あるいは複数区域基板ヒータである。或いは、前記ヒータ128は、Kanthal或いはMoSi2などの発熱体を利用する電気抵抗ヒータである。前記MOCVDチャンバー124は、1Torrから50Torrの範囲、例えば30Torrの圧力で維持される冷水壁反応などのを、MOCVDプロセスが行われる場合、真空包装の堆積チャンバーである。
【0024】
前記シャワーヘッド126及びヒータ128の規模によって規定された前記堆積ゾーンは、例えば、およそ2ミリ間隔に均等に並べた30個の移動するテープ136上で、堆積を可能にする。
【0025】
前記MOCVDチャンバー124のすぐ外に配置されたものは、前記UV放射線134が前記堆積ゾーンに向けられるよう前記MOCVDチャンバー124内に配置された水晶板132を通してUV放射線134を放射するUV光源130である。前記UV光源130は、一つ或いはそれ以上のランプなどの要素が、望ましい172nmの波長のある約100nmから350nmの間の波長を持つUV放射線134を放射する内ハウジングを含む。前記UV光源130は、望ましい約10kWの電力のある約500Wから20kWの間の電力定格によって特徴付けられる。前記UV光源130は、前記シャワーヘッド126と前記ヒータ128との間に作られる前記堆積ゾーンに対応させて適切にサイズを調整され、結果として、前記堆積ゾーン全体を照射できる多くのランプを含んでもよい。前記水晶板132は、UV放射線134が低い吸収或いは反射で前記MOCVDチャンバー124へ送信される窓である。
【0026】
さらに、複数の熱電温度計およびセンサ(図示せず)は、おそらく、前記MOCVDシステム100中の重要な位置に配置される。
【0027】
前記MOCVDシステム100は、従来のMOCVDシステム以上に増加したスループットによって特徴付けられ、複数の移動するテープ136上への前記超伝導体YBCOあるいはその他のHTS膜の連続的堆積が可能である。動作において、前記ポンプ112は、イットリウム、バリウム、及び銅のテトラメチル・ヘプタンジオネイト化合物などの前記有機金属前駆体を含む室温で保存される液体を、テトラハイドロフランおよびイソプロパノールなどの適当な溶剤の混合と共に、前記液体前駆体配給ライン116を介して、前記気化器118へ配給する。前記バリウム化合物は、フェナントロリンなどの化合物で内転され、特に水分を含んだ大気の下で、長期的安定性を確保する。
【0028】
前記気化器118への導入で、前記溶液は、230から300℃の間の温度で、望ましくは、適温240℃で、すぐにフラッシュ蒸発する。アルゴン或いは窒素などの不活性キャリアガスは前記ガスライン110を介して、気化器118に入り、有機金属前駆体蒸気と混合し、前記前駆体蒸気を、前記前駆体蒸気化ライン120を介して前記シャワーヘッド126へ配給する。
【0029】
亜酸化窒素(N2O)及び二原子酸素(O2)はそののち、前記前駆体の早期分解を防止するよう、前記シャワーヘッド126に近いポイントで、前記気化器118と前記シャワーヘッド126との間の前記前駆体蒸気化ライン120へ流れ込むライン122を介して前記前駆体蒸気およびその不活性キャリアガスに導入され、これにより、前記前駆体蒸気化ライン120及び前記シャワーヘッド126内の膜蓄積の発生を削減する。前記亜酸化窒素、二原子酸素、及び不活性キャリアガスを持つ前駆体蒸気は、前記前駆体蒸気化ライン120を介して、前記MOCVDチャンバー124へ配給され、前記シャワーヘッド126へ到達すると、全堆積ゾーンに均一に注入される。
【0030】
前記シャワーヘッド126及び前記ヒータ128は、例えば、それらの間を前記テープ136が通ることができる29mmの最適な距離でそれぞれ配置され、重要な熱および気相の配給を達成する。本発明の一つの実施形態において、シャッター(図示せず)が提供され、前記ヒータ128が、その最適な動作電力に上昇すると開く。前記テープ136が、前記堆積ゾーンを通して移動するとき、それらは基板ヒータ128による温度で、およそ780℃まで上昇する。前記熱されたテープ136が気相前駆体構成に触れると、YBCOの薄膜はそこに堆積し、前記有機物質が前記イットリウム、バリウム、および銅に一度結合した有機物質が分離し、CO2、H2O、NO2の形で前記堆積ゾーンの外へ噴出される。
【0031】
前記堆積プロセスの間、前記UV光源130は、前記水晶板132を通して、前記堆積ゾーンを満たすUV放射線134を放射する。前記シャワーヘッド126を通して、前記前駆体蒸気およびその不活性キャリアガスと共に、前記堆積ゾーンへ注入される前記亜酸化窒素(N2O)および二原子酸素(O2)は、前記UV放射線134と反応し、一酸化窒素(NO)と単原子酸素(O)とに分解する。単原子酸素は、YBCO薄膜の構成の単原子酸素よりも効率的な反応ガスであるので、前記膜の製造が強化される。さらに、前記前駆体蒸気は、単に酸素と反応し、熱したテープ136に接触することと比較して、前記UV放射線134からのエネルギーを吸収し、より高いエネルギー状態へと励起されてより容易に分解し、前記テープ136の上に所望のYBCO薄膜を堆積する。
【0032】
該プロセスは、完全に理解されていないが、前記堆積ゾーン内の単原子酸素大気と、前記堆積ゾーンをUV放射線134で溢れさせる結果としての前記前駆体蒸気の高エネルギー状態への励起との組み合わせは、より効果的な薄膜の成長を前記MOCVDシステム100に起こすことができる。さらに、前記堆積ゾーン内の単原子酸素大気を作るための前記UV光源130の利用は、薄膜堆積を、低基板温度で起こすことができ、低電力ヒータ128を可能にし、またさらに、前記金属基板とそこに配置されたYBCO薄膜との間で、高スループット、連続的なMOCVDプロセスを特徴付ける高温に達する延長した照射の下で起こり得る化学反応の可能性を削減する。
【0033】
その他の実施形態において、高大気温度に耐えられるUVランプは、前記MOCVDチャンバー124内に取り付けられる。これらのランプを、前記シャワーヘッド126の長さに沿って並べ、その後に反射器を置き、前記テープ136上に前記UV放射線の焦点を合わせる。
【0034】
図2は、図1に関して記載された同一の或いは同様の要素、ガスライン110、ポンプ112、圧力計器114、液体前駆体配給ライン116、気化器118、前駆体蒸気化ライン120、ライン122、MOCVDチャンバー124、シャワーヘッド126、ヒータ128、及びテープ134を含む、MOCVDシステム200を示す。
【0035】
加えて、前記MOCVDシステム200は、前記UV光源130の場所にマイクロ波プラズマランチャー210を含む。マイクロ波放射線は、前記マイクロ波プラズマランチャー210で生成され、前記シャワーヘッド126の前のポイントで、前記前駆体蒸気化ライン120に導入される。前記マイクロ波プラズマランチャー210は、約100Wと20kWとの間の電力、好ましい電力は約10kWで、例えば2.45GHzの周波数によって特徴付けられるマイクロ波放射線の光源を含む。
【0036】
動作において、マイクロ波が生成されたプラズマは、均一な混合が前記前駆体蒸気、その不活性キャリアガス、N2O及びO2、そして前記マイクロ波プラズマの間で起こる、このような方法において、前記マイクロ波プラズマランチャー210を介して前記前駆体蒸気化ライン120に導入される。前記前駆体蒸気およびその不活性キャリアガスと共に配給される前記N2O及びO2は、NOとOに分解し、これにより、反応速度を強化し、前記MOCVDシステム200内の薄膜成長率を改良する前記堆積ゾーン内の単原子酸素の大気を提供する。前記反応速度はさらに、前記マイクロ波プラズマによる前駆体蒸気の励起によって強化され、図1に関して記載された同様の理由で改善された薄膜成長率を生じる。
【0037】
別の実施形態において、前記マイクロ波プラズマランチャー210はマイクロ波プラズマをMOCVDチャンバー124の壁に配置された窓を通して、前記MOCVDチャンバー124に直接的に注入され、これにより、前記堆積ゾーン内でプラズマエンベロープを生成する。しかしながら、この実施の形態では、より少ない均一の混合が、前記前駆体蒸気と前記マイクロ波プラズマの間で起こる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に従った紫外線励起のMOCVDシステム
【図2】本発明に従ったプラズマ励起のMOCVDシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機金属気相成長を用いて高温超伝導体テープの連続的な高スループット準備を行うためのプロセスであって、該プロセスは、
基板の単数あるいは多数のより糸を設けること、
前記基板のより糸をMOCVD反応炉に通して、曲がりくねって進ませること、
蒸気の形の超伝導前駆体化合物の源を設けること、
前記蒸気の形の超伝導前駆体化合物を不活性キャリアガスと混合すること、
前記蒸気化された前駆体化合物と不活性キャリアガスとの混合物を亜酸化窒素および二原子酸素と結合させること、
前記基板のより糸を、前記MOCVDチャンバー内の、シャワーヘッドとそのシャワーヘッドの下に配置された基板ヒータとの間のスペースによって定義される堆積ゾーンを通して、移動させ、
前記堆積ゾーンにエネルギーを投入するエネルギー源を設ける、ここで、その提供されるエネルギーは、前記二原子酸素を反応させて単原子を形成させ、前記前駆体分子を高エネルギー状態に励起させるのに十分である、
前記結合されたガスと蒸気を、超伝導化合物を持つ前記前駆体蒸気が前記堆積ゾーンで前記基板の熱された表面に接触するよう、前記シャワーヘッドを通して前記MOCVD反応炉に導入すること、を備えるプロセスである。
【請求項2】
請求項1のプロセスにおいて、前記エネルギーはUV放射線の形式である。
【請求項3】
請求項1のプロセスにおいて、前記エネルギーはマイクロ波放射線の形式である。
【請求項4】
請求項1のプロセスにおいて、前記エネルギー源は、前記MOCVD反応炉に外部から配置される。
【請求項5】
請求項1のプロセスにおいて、前記エネルギー源は、前記MOCVD反応炉内に配置される。
【請求項6】
請求項1のプロセスにおいて、前記エネルギー源は、約100nmから350nmの間の波長で放射線を放射する。
【請求項7】
請求項1のプロセスにおいて、前記基板の一本より糸が設けられ、該基板の一本のより糸がコーティングされた後、多数のより糸に分割される。
【請求項8】
請求項1のプロセスにおいて、前記エネルギー源は約500wから20kwの間の電力定格を持つ。
【請求項9】
請求項1のプロセスにおいて、前記基板ヒータは約700℃から950℃の温度に基板を加熱する。
【請求項10】
請求項1のプロセスにおいて、前記MOCVD反応炉は冷壁反応炉である。
【請求項11】
請求項1のプロセスにおいて、前記MOCVD反応炉内の圧力は1から50Torrの範囲内である。
【請求項12】
請求項1のプロセスにおいて、前記基板は金属よりなり、それらの上に堆積された二軸バッファ層を有する。
【請求項13】
請求項1のプロセスにおいて、前記エネルギー源は約2から約4GHzの範囲内の波長での放射線を生成する。
【請求項14】
請求項1のプロセスにおいて、前記エネルギー源は約500wから20kwの間の電力を生成する。
【請求項15】
請求項1のプロセスにおいて、前記エネルギー源は、UVエネルギー光源とマイクロ波エネルギー光源との組み合わせである。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−526708(P2006−526708A)
【公表日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−514976(P2006−514976)
【出願日】平成16年5月25日(2004.5.25)
【国際出願番号】PCT/US2004/016638
【国際公開番号】WO2004/108978
【国際公開日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(505448796)スーパーパワー インコーポレイテッド (18)
【Fターム(参考)】