説明

経路情報提供装置、経路情報提供方法及びプログラム

【課題】自動車利用の場合の乗車人数を考慮し、公共交通機関を利用の場合との料金比較可能な経路情報を提供する。
【解決手段】経路情報提供装置は車載用ナビゲーション装置に搭載したり家庭で使用されるPCや携帯電話などの情報機器に搭載することができる。ユーザは入力装置に対して、自動車の乗車人数及び目的地を入力する。また、経路情報提供装置は、内部の記憶媒体又は外部のデータベースなどから地図データ及び公共交通機関データを取得する。そして、演算手段は、地図データに基づいて、自動車を利用した場合の出発地から目的地までの自動車利用ルート及び利用料金を算出し、人数から自動車利用1人当たり料金を算出する。また、演算手段は、公共交通機関データに基づき出発地から目的地までの公共交通機関利用ルート及び利用料金を算出する。そして、表示手段は、少なくとも自動車利用1人当たり料金及び公共交通機関利用料金を表示装置に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目的地までの経路及び必要な料金に関する情報の提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ(PC)や携帯電話などを利用してインターネット上のサーバに接続したユーザに対して、目的地までの経路及び目的地へ到達するために必要な交通機関の料金などの情報を提供するサービスが既知である。例えば、特許文献1には、電車やバスなどの公共交通機関を利用して移動する場合の経路案内と、自家用車を利用して移動する場合の経路案内とを一括的に行うことができる装置が提案されている。一方、車載用ナビゲーション装置などにおいては、現在地から目的地までの経路を探索し、必要な高速道路料金などを含めたルート情報を提供する機能を搭載したものが知られている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−315076号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなインターネット上のサービス又はナビゲーション装置の機能は、公共交通機関を利用した場合については1人当たりの料金を提供するが、自家用車を利用した場合については自家用車1台当たりの料金を提供する。しかし、実際には自家用車には複数の人間が同乗することが多く、多人数が乗車するほど1人当たりの料金は低下する。この点、上記のインターネット上のサービス又はナビゲーション装置の機能では、自家用車の乗車人数を考慮した料金の比較ができないという問題があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題としては、上記のものが一例として挙げられる。本発明の目的は、自動車を利用する場合の乗車人数を考慮して、公共交通機関を利用する場合との料金比較が可能な経路情報を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、経路情報提供装置であって、ユーザにより少なくとも自動車の乗車人数及び目的地が入力される入力装置と、地図データを取得する地図データ取得手段と、公共交通機関データを取得する公共交通機関データ取得手段と、前記地図データに基づいて、自動車を利用した場合の出発地から前記目的地までの自動車利用ルート及び自動車利用料金を算出し、前記自動車利用料金と前記乗車人数から自動車利用1人当たり料金を算出するとともに、前記公共交通機関データに基づいて、公共交通機関を利用した場合の前記出発地から前記目的地までの公共交通機関利用ルート及び公共交通機関利用料金を算出する演算手段と、前記自動車利用1人当たり料金及び前記公共交通機関利用料金を表示装置に表示する表示手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項4に記載の発明は、入力装置、表示装置及びコンピュータを備える情報機器により実行される経路情報提供方法であって、少なくとも自動車の乗車人数及び目的地についての前記入力装置に対する入力を受け取る入力工程と、地図データを取得する地図データ取得工程と、公共交通機関データを取得する公共交通機関データ取得工程と、前記地図データに基づいて、自動車を利用した場合の出発地から前記目的地までの自動車利用ルート及び自動車利用料金を算出し、前記自動車利用料金と前記乗車人数から自動車利用1人当たり料金を算出するとともに、前記公共交通機関データに基づいて、公共交通機関を利用した場合の前記出発地から前記目的地までの公共交通機関利用ルート及び公共交通機関利用料金を算出する演算工程と、前記自動車利用1人当たり料金及び前記公共交通機関利用料金を表示装置に表示する表示工程と、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項5に記載の発明は、入力装置、表示装置及びコンピュータを備える情報機器により実行される経路情報提供プログラムであって、少なくとも自動車の乗車人数及び目的地についての前記入力装置に対する入力を受け取る入力手段、地図データを取得する地図データ取得手段、公共交通機関データを取得する公共交通機関データ取得手段、前記地図データに基づいて、自動車を利用した場合の出発地から前記目的地までの自動車利用ルート及び自動車利用料金を算出し、前記自動車利用料金と前記乗車人数から自動車利用1人当たり料金を算出するとともに、前記公共交通機関データに基づいて、公共交通機関を利用した場合の前記出発地から前記目的地までの公共交通機関利用ルート及び公共交通機関利用料金を算出する演算手段、及び、前記自動車利用1人当たり料金及び前記公共交通機関利用料金を表示装置に表示する表示手段、として前記コンピュータを機能させることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の1つの実施形態では、経路情報提供装置は、ユーザにより少なくとも自動車の乗車人数及び目的地が入力される入力装置と、地図データを取得する地図データ取得手段と、公共交通機関データを取得する公共交通機関データ取得手段と、前記地図データに基づいて、自動車を利用した場合の出発地から前記目的地までの自動車利用ルート及び自動車利用料金を算出し、前記自動車利用料金と前記乗車人数から自動車利用1人当たり料金を算出するとともに、前記公共交通機関データに基づいて、公共交通機関を利用した場合の前記出発地から前記目的地までの公共交通機関利用ルート及び公共交通機関利用料金を算出する演算手段と、前記自動車利用1人当たり料金及び前記公共交通機関利用料金を表示装置に表示する表示手段と、を備える。
【0010】
上記の経路情報提供装置は、例えば車載用ナビゲーション装置に搭載したり、家庭で使用されるPCや携帯電話などの端末装置に搭載することができる。ユーザは、入力装置に対して、少なくとも自動車の乗車人数及び目的地を入力する。なお、通常はユーザは出発地も入力するが、入力が無い場合には、車両、PC、携帯電話などの現在位置を出発地に自動設定してもよい。また、経路情報提供装置は、内部の記憶媒体又は外部のデータベースなどから地図データ及び公共交通機関データを取得する。そして、演算手段は、地図データに基づいて、自動車を利用した場合の出発地から目的地までの自動車利用ルート及び自動車利用料金を算出し、自動車利用料金と前記乗車人数から自動車利用1人当たり料金を算出する。また、演算手段は、公共交通機関データに基づいて、公共交通機関を利用した場合の出発地から目的地までの公共交通機関利用ルート及び公共交通機関利用料金を算出する。そして、表示手段は、少なくとも自動車利用1人当たり料金及び公共交通機関利用料金を表示装置に表示する。これにより、ユーザは、目的地まで自動車(自家用車)を利用して行った場合と公共交通機関を利用して行った場合の料金比較を容易に行うことができる。なお、好適には、前記演算手段は、前記自動車利用料金を前記乗車人数で除算して前記自動車利用1人当たり料金を算出する。また、表示手段は、さらに前記自動車利用ルート及び前記公共交通機関利用ルートを表示装置に表示してもよい。
【0011】
本発明の他の実施形態では、入力装置、表示装置及びコンピュータを備える情報機器により実行される経路情報提供方法は、少なくとも自動車の乗車人数及び目的地についての前記入力装置に対する入力を受け取る入力工程と、地図データを取得する地図データ取得工程と、公共交通機関データを取得する公共交通機関データ取得工程と、前記地図データに基づいて、自動車を利用した場合の出発地から前記目的地までの自動車利用ルート及び自動車利用料金を算出し、前記自動車利用料金と前記乗車人数から自動車利用1人当たり料金を算出するとともに、前記公共交通機関データに基づいて、公共交通機関を利用した場合の前記出発地から前記目的地までの公共交通機関利用ルート及び公共交通機関利用料金を算出する演算工程と、前記自動車利用1人当たり料金及び前記公共交通機関利用料金を表示装置に表示する表示工程と、を備える。
【0012】
この方法を例えば車載用ナビゲーション装置、PCや携帯電話などの情報機器で実行することにより、ユーザは、目的地まで自動車(自家用車)を利用して行った場合と公共交通機関を利用して行った場合の料金比較を容易に行うことができる。
【0013】
本発明のさらに他の実施形態では、入力装置、表示装置及びコンピュータを備える情報機器により実行される経路情報提供プログラムは、少なくとも自動車の乗車人数及び目的地についての前記入力装置に対する入力を受け取る入力手段、地図データを取得する地図データ取得手段、公共交通機関データを取得する公共交通機関データ取得手段、前記地図データに基づいて、自動車を利用した場合の出発地から前記目的地までの自動車利用ルート及び自動車利用料金を算出し、前記自動車利用料金と前記乗車人数から自動車利用1人当たり料金を算出するとともに、前記公共交通機関データに基づいて、公共交通機関を利用した場合の前記出発地から前記目的地までの公共交通機関利用ルート及び公共交通機関利用料金を算出する演算手段、及び、前記自動車利用1人当たり料金及び前記公共交通機関利用料金を表示装置に表示する表示手段、として前記コンピュータを機能させる。
【0014】
このプログラムを例えば車載用ナビゲーション装置、PCや携帯電話などの情報機器で実行することにより、ユーザは、目的地まで自動車(自家用車)を利用して行った場合と公共交通機関を利用して行った場合の料金比較を容易に行うことができる。なお、このプログラムは記録媒体に記録した状態で好適に取り扱うことができる。
【実施例】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。なお、以下の説明は、本発明を車両に搭載されるナビゲーション装置に適用した例を示す。
【0016】
[ナビゲーション装置]
図1に、ナビゲーション装置1の構成を示す。図1に示すように、ナビゲーション装置1は、自立測位装置10、GPS受信機18、システムコントローラ20、ディスクドライブ31、データ記憶ユニット36、通信用インタフェース37、通信装置38、表示ユニット40、音声出力ユニット50及び入力装置60を備える。
【0017】
自立測位装置10は、加速度センサ11、角速度センサ12及び距離センサ13を備える。加速度センサ11は、例えば圧電素子からなり、車両の加速度を検出し、加速度データを出力する。角速度センサ12は、例えば振動ジャイロからなり、車両の方向変換時における車両の角速度を検出し、角速度データ及び相対方位データを出力する。距離センサ13は、車両の車輪の回転に伴って発生されているパルス信号からなる車速パルスを計測する。
【0018】
GPS受信機18は、複数のGPS衛星から、測位用データを含む下り回線データを搬送する電波19を受信する。測位用データは、緯度及び経度情報等から車両の絶対的な位置を検出するために用いられる。
【0019】
システムコントローラ20は、インタフェース21、CPU(Central Processing Unit)22、ROM(Read Only Memory)23及びRAM(Random Access Memory)24を含んでおり、ナビゲーション装置1全体の制御を行う。
【0020】
インタフェース21は、加速度センサ11、角速度センサ12及び距離センサ13並びにGPS受信機18とのインタフェース動作を行う。そして、これらから、車速パルス、加速度データ、相対方位データ、角速度データ、GPS測位データ、絶対方位データ等をシステムコントローラ20に入力する。CPU22は、システムコントローラ20全体を制御する。ROM23は、システムコントローラ20を制御する制御プログラム等が格納された図示しない不揮発性メモリ等を有する。RAM24は、入力装置60を介して使用者により予め設定された経路データ等の各種データを読み出し可能に格納したり、CPU22に対してワーキングエリアを提供したりする。
【0021】
システムコントローラ20、CD−ROMドライブ又はDVD−ROMドライブなどのディスクドライブ31、データ記憶ユニット36、通信用インタフェース37、表示ユニット40、音声出力ユニット50及び入力装置60は、バスライン30を介して相互に接続されている。
【0022】
ディスクドライブ31は、システムコントローラ20の制御の下、CD又はDVDといったディスク33から、音楽データ、映像データなどのコンテンツデータを読み出し、出力する。なお、ディスクドライブ31は、CD−ROMドライブ又はDVD−ROMドライブのうち、いずれか一方としてもよいし、CD及びDVDコンパチブルのドライブとしてもよい。
【0023】
データ記憶ユニット36は、例えばHDDなどにより構成され、地図データや施設データなどのナビゲーション処理に用いられる各種データを記憶するユニットである。
【0024】
通信装置38は、例えば、FMチューナやビーコンレシーバ、携帯電話や専用の通信カードなどにより構成され、通信用インタフェース37を介して、VICS(Vehicle Information Communication System)センタから配信される渋滞や交通情報などの道路交通情報、その他の情報を受信する。
【0025】
表示ユニット40は、システムコントローラ20の制御の下、各種表示データをディスプレイなどの表示装置に表示する。具体的には、システムコントローラ20は、データ記憶ユニット36から地図データを読み出す。表示ユニット40は、システムコントローラ20によってデータ記憶ユニット36から読み出された地図データを、ディスプレイなどの表示画面上に表示する。表示ユニット40は、バスライン30を介してCPU22から送られる制御データに基づいて表示ユニット40全体の制御を行うグラフィックコントローラ41と、VRAM(Video RAM )等のメモリからなり即時表示可能な画像情報を一時的に記憶するバッファメモリ42と、グラフィックコントローラ41から出力される画像データに基づいて、液晶、CRT(Cathode Ray Tube)等のディスプレイ44を表示制御する表示制御部43と、ディスプレイ44とを備える。ディスプレイ44は、例えば対角5〜10インチ程度の液晶表示装置等からなり、車内のフロントパネル付近に装着される。
【0026】
音声出力ユニット50は、システムコントローラ20の制御の下、CD−ROMドライブ31又はDVD−ROM32、若しくはRAM24等からバスライン30を介して送られる音声デジタルデータのD/A(Digital to Analog)変換を行うD/Aコンバータ51と、D/Aコンバータ51から出力される音声アナログ信号を増幅する増幅器(AMP)52と、増幅された音声アナログ信号を音声に変換して車内に出力するスピーカ53とを備えて構成されている。
【0027】
入力装置60は、各種コマンドやデータを入力するための、キー、スイッチ、ボタン、リモコン、音声入力装置等から構成されている。入力装置60は、車内に搭載された当該車載用電子システムの本体のフロントパネルやディスプレイ44の周囲に配置される。また、ディスプレイ44がタッチパネル方式である場合には、ディスプレイ44の表示画面上に設けられたタッチパネルも入力装置60として機能する。
【0028】
[経路情報提供装置]
次に、本実施例による経路情報提供装置について説明する。図2に経路情報提供装置の概略構成を示す。図2に示すように、経路情報提供装置110は、入力部111と、演算部112と、表示部113と、公共交通機関DB(データベース)114と、地図DB115とを備える。なお、経路情報提供装置110を図1に示すナビゲーション装置1に適用した場合、入力装置60が入力部111を構成し、システムコントローラ20が演算部112を構成し、表示ユニット40が表示部113を構成する。地図DB115はデータ記憶ユニット36内に設けることができる。また、公共交通機関DB114は、同様にデータ記憶ユニット36内部に記憶することができる。その代わりに、公共交通機関DB114を外部のインターネットのサーバ上に設け、ナビゲーション装置1が通信装置38を利用して公共交通機関DB114にアクセスすることとしてもよい。
【0029】
入力部111は、ユーザがルート及び料金の検索を行う際に必要な情報を入力するために使用される。ナビゲーション装置1の場合、タッチパネル又はリモコンなどの入力装置60が入力部111として使用される。ユーザは、入力部111を操作して、少なくとも目的地及び自動車利用の場合の乗車人数を入力する。また、必要に応じて、ユーザは出発地及び詳細な検索条件を入力する。なお、ナビゲーション装置1の場合、ユーザが出発地を入力しない場合には、車両の現在位置を出発地とすることができる。
【0030】
公共交通機関DB114は、公共交通機関網の路線データ、料金データなどを記憶している。公共交通機関は、電車、バス、飛行機などを含む。
【0031】
地図DB115は、地図データ、道路データなどを記憶している。道路データには一般道路、高速道路及び有料道路が含まれ、高速道路及び有料道路に関しては通行料金を示す料金データが含まれている。
【0032】
演算部112は、公共交通機関を利用した場合と自動車(自家用車)を利用した場合の両方について、出発地から目的地までのルート及び料金を計算する。具体的には、演算部112は、公共交通機関DB114を参照し、出発地から目的地まで公共交通機関を利用した場合のルート(以下、「公共交通機関利用ルート」と呼ぶ。)及び料金(以下、「公共交通機関利用料金」と呼ぶ。)を算出する。こうして算出される公共交通機関利用料金は、基本的に1人当たりの料金である。
【0033】
また、演算部112は、地図DB113を参照し、出発地から目的地まで自動車を利用した場合のルート(以下、「自動車利用ルート」と呼ぶ。)及び料金(以下、「自動車利用料金」と呼ぶ。)を算出する。この自動車利用料金は、自動車1台当たりの料金であり、自動車1台分の高速道路及び有料道路の通行料金を含む。なお、ユーザが燃費を設定したり、自動車が算出する燃費情報を利用することにより、自動車利用ルートの距離に基づいて必要な燃料代を概算して自動車利用料金に含めることとしてもよい。
【0034】
さらに、演算部112は、自動車利用料金を、ユーザが入力した乗車人数で除算することにより、1人当たりの料金(以下、「自動車利用1人当たり料金」とも呼ぶ。)を算出する。そして、演算部112は、算出された公共交通機関利用ルート、公共交通機関料金、自動車利用ルート、自動車利用料金及び自動車利用1人当たり料金を表示部113へ供給する。表示部113は、これらの情報を表示装置であるディスプレイ44に表示する。
【0035】
次に、経路情報提供装置110によるルート及び料金検索処理中の表示画面例について説明する。図3(a)はルート及び料金検索の入力画面の表示例であり、図3(b)はルート及び料金検索の検索結果の表示例である。
【0036】
図3(a)に示すように、ルート及び料金検索の入力画面120は、出発地入力欄121と、目的地入力欄122と、出発地及び目的地の入力方法を指定する入力方法指定ボタン123a〜123eと、自動車乗車人数入力欄124と、詳細条件設定ボタン125と、検索開始ボタン126とを備える。
【0037】
ルート及び料金検索においては、原則としてユーザは出発地と目的地の両方を入力する。但し、ナビゲーション装置1においては、車両の現在位置を出発地に設定することができる。出発地及び目的地の指定は、入力方法指定ボタン123a〜123eに対応する各種の方法で行うことができる。例えばユーザが地図ボタン123aを押すと、ディスプレイ44には地図が表示され、ユーザは地図上の地点を指定することにより出発地又は目的地を指定することができる。ユーザが名称ボタン123bを押すと、50音の文字入力ボードが表示され、ユーザは文字列を入力することにより出発地又は目的地を指定することができる。また、ユーザは、ジャンルボタン123c、電話番号ボタン123d、住所ボタン123eを押すと、それぞれジャンル、電話番号、住所の入力により出発地又は目的地を指定することができる。
【0038】
また、ユーザは、目的地まで自動車で行く場合の乗車人数を自動車乗車人数入力欄124に入力する。また、ユーザが詳細条件設定ボタン125を押すと、詳細条件設定画面が表示され、ユーザはさらに細かな検索条件を指定することができる。例えば、利用する公共交通機関に関して、バスを利用するか否か、新幹線や特急列車の場合に指定席を利用するか自由席を利用するかなどを指定することができる。
【0039】
こうして、必要な事項の入力が完了しユーザが検索開始ボタン126を押すと、図3(b)に示すような検索結果表示画面が表示される。図3(b)に示すように、検索結果表示画面130は、自動車利用1人当たり料金131、自動車利用ルート132、公共交通機関利用料金133、公共交通機関利用ルート134を表示する。
【0040】
自動車利用1人当たり料金131は、前述のように、自動車1台当たりの料金を乗車人数で乗算して得られた料金である。自動車利用ルート132は、本例では、A町を出発し、Cインターチェンジで高速道路に入り、Dインターチェンジで高速道路を下り、B公園へ向かうルートを示している。公共交通機関利用料金133も1人当たりの料金である。公共交通機関利用ルート134は、本例では、A町から徒歩でF駅へ行き、電車でG駅まで行き、G駅からバスに乗ってH停留所で下車し、徒歩でB公園へ向かうルートである。
【0041】
このように、図3(b)の表示によれば、自動車を利用した場合の料金と公共交通機関を利用した場合の料金がいずれも1人当たりの料金で表示されるので、ユーザは両者を比較することにより、自動車と公共交通機関のいずれを利用して目的地へ行く方が料金が安いかを瞬時に知ることができる。また、これらの料金131、133とともに、自動車利用ルート132及び公共交通機関利用ルート134が表示されるので、ユーザは各料金に対応するルートを知ることができる。よって、ユーザは、ルート次第では、例えば公共交通機関を利用した方が料金は若干安いが、乗り換えが多数回必要であり面倒である、などの事情を知ることもでき、より適切な判断が可能となる。
【0042】
次に、ルート及び料金検索処理について説明する。図4にルート及び料金検索処理のフローチャートを示す。なお、この処理は、ナビゲーション装置1のCPU22が、予めROM23などに記憶されたプログラムを実行し、図2に示す演算部112として機能することにより実現される。
【0043】
まず、ユーザは入力装置60などの入力部111を操作して、出発地、目的地、乗車人数及び必要な検索条件を入力し、演算部112はそれらの情報を受け取る(ステップS11)。なお、検索を行うために最低限必要な情報は出発地、目的地及び乗車人数である。但し、ナビゲーション装置1においては、出発地の入力が無い場合には、車両の現在位置を自動的に出発地に設定することもできる。その場合には、目的地及び乗車人数のみが必須の入力事項となる。
【0044】
次に、演算部112は、地図DB115を参照して、自動車利用ルート及び自動車利用料金を算出する(ステップS12)。なお、出発地及び目的地が決定された状態で、地図データを用いてルートを探索する手法は車載用ナビゲーション装置などにおいて実施されている既知の手法であるので、詳細な説明は省略する。
【0045】
次に、演算部112は、自動車利用料金と乗車人数とに基づいて自動車利用1人当たり料金を算出する(ステップS13)。具体的には、ステップS12で得られた自動車利用料金(自動車1台当たりの料金)を、ステップS11で入力された乗車人数で除算することにより、自動車利用1人当たり料金を算出する。
【0046】
次に、演算部112は、公共交通機関DB114を参照し、公共交通機関利用ルート及び公共交通機関利用料金を算出する(ステップS14)。この手法も、インターネット上のサービスなどにおいて実施されている既知の手法であるので、詳細な説明は省略する。
【0047】
こうして、各ルート及び料金が得られると、演算部112はそれらを表示部113へ供給し、表示部113は各ルート及び料金をディスプレイ44などの表示装置に表示する(ステップS15)。具体的には、表示部113は図3(b)に例示するように、自動車利用1人当たり料金131、自動車利用ルート132、公共交通機関利用料金133及び公共交通機関利用ルート134を表示する。さらに、必要に応じて、表示部113は自動車利用料金(即ち自動車1台当たりの料金)を表示してもよい。こうして検索結果が表示されると、処理は終了する。
【0048】
以上説明したように、本実施例の経路情報提供装置は、ユーザにより少なくとも自動車の乗車人数及び目的地が入力される入力部111と、地図DB115及び公共交通機関DB114から地図データ及び公共交通機関データを取得し、前記地図データに基づいて、自動車を利用した場合の出発地から前記目的地までの自動車利用ルート及び自動車利用料金を算出し、前記自動車利用料金と前記乗車人数から自動車利用1人当たり料金を算出するとともに、前記公共交通機関データに基づいて、公共交通機関を利用した場合の前記出発地から前記目的地までの公共交通機関利用ルート及び公共交通機関利用料金を算出する演算部と、前記自動車利用1人当たり料金及び前記公共交通機関利用料金を表示装置に表示する表示部と、を備える。よって、ユーザは、自動車を利用して目的地に行った場合と公共交通機関を利用して目的地に行った場合の1人当たりの料金を瞬時に比較することができる。
【0049】
[変形例]
上記の実施例は、本発明の経路情報提供装置を車載用ナビゲーション装置に適用したものであった。その代わりに、本発明の経路情報提供装置を、ネットワークを利用してサーバに接続するPC、端末装置、携帯電話などの情報機器に適用することも可能である。そのような情報機器に対する適用例を図5に示す。図5において、本発明の経路情報提供装置は情報機器141として構成される。情報機器141はインターネットなどのネットワーク142を介して、サーバ143と接続されている。サーバ143は、公共交通機関DB144及び地図DB145に接続されている。即ち、図2に示す経路情報提供装置110の構成における入力部111、演算部112及び表示部113は情報機器114により構成される。また、公共交通機関DB144が図2における公共交通機関DB114に対応し、地図DB145が図2における地図DB115に対応する。この構成により、ユーザは自宅のPCや携帯電話などの情報機器を用いて、目的地まで自動車を利用した場合と公共交通機関を利用した場合の料金比較を容易に行うことができる。
【0050】
なお、近年では、メインのナビゲーションユニットが車両に対して着脱可能に構成された車載用ナビゲーション装置が知られている。この種のナビゲーションユニットは、車両から取り外され、自宅のPCなどに接続して使用される。この場合には、図5に破線で示すように、ナビゲーションユニット141xを情報機器141に接続し、ネットワーク142経由でサーバ143に接続することにより、公共交通機関DB144から情報を取得して検索を行うことができる。この場合には、情報機器141を利用してナビゲーションユニット141x内に記憶された経路案内プログラムを起動して、ルート及び料金検索を行うことになる。
【0051】
なお、一般的にはナビゲーションユニット141xは地図データを記憶したHDDなどの記憶媒体を備えているので、地図データをネットワーク142経由で取得する必要は無い。但し、例えばサーバ上の地図データの方が頻繁に更新されているなど、何らかの理由がある場合には、検索に使用する地図データをネットワーク142経由で地図DB145から取得しても構わない。
【0052】
また、上記の実施例では、得られた検索結果を表示装置に表示することとしているが、これに加えて、音声により検索結果を出力するようにしても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】実施例によるナビゲーション装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】経路情報提供装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】ルート及び料金検索処理の入力画面例及び検索結果表示画面例である。
【図4】ルート及び料金検索処理のフローチャートである。
【図5】変形例に係る経路情報提供装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0054】
1 ナビゲーション装置
10 自立測位装置
18 GPS受信機
20 システムコントローラ
22 CPU
36 データ記憶ユニット
40 表示ユニット
60 入力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザにより少なくとも自動車の乗車人数及び目的地が入力される入力装置と、
地図データを取得する地図データ取得手段と、
公共交通機関データを取得する公共交通機関データ取得手段と、
前記地図データに基づいて、自動車を利用した場合の出発地から前記目的地までの自動車利用ルート及び自動車利用料金を算出し、前記自動車利用料金と前記乗車人数から自動車利用1人当たり料金を算出するとともに、前記公共交通機関データに基づいて、公共交通機関を利用した場合の前記出発地から前記目的地までの公共交通機関利用ルート及び公共交通機関利用料金を算出する演算手段と、
前記自動車利用1人当たり料金及び前記公共交通機関利用料金を表示装置に表示する表示手段と、を備えることを特徴とする経路情報提供装置。
【請求項2】
前記演算手段は、前記自動車利用料金を前記乗車人数で除算して前記自動車利用1人当たり料金を算出することを特徴とする請求項1に記載の経路情報提供装置。
【請求項3】
前記表示手段は、さらに前記自動車利用ルート及び前記公共交通機関利用ルートを前記表示装置に表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の経路情報提供装置。
【請求項4】
入力装置、表示装置及びコンピュータを備える情報機器により実行される経路情報提供方法であって、
少なくとも自動車の乗車人数及び目的地についての前記入力装置に対する入力を受け取る入力工程と、
地図データを取得する地図データ取得工程と、
公共交通機関データを取得する公共交通機関データ取得工程と、
前記地図データに基づいて、自動車を利用した場合の出発地から前記目的地までの自動車利用ルート及び自動車利用料金を算出し、前記自動車利用料金と前記乗車人数から自動車利用1人当たり料金を算出するとともに、前記公共交通機関データに基づいて、公共交通機関を利用した場合の前記出発地から前記目的地までの公共交通機関利用ルート及び公共交通機関利用料金を算出する演算工程と、
前記自動車利用1人当たり料金及び前記公共交通機関利用料金を表示装置に表示する表示工程と、を備えることを特徴とする経路情報提供方法。
【請求項5】
入力装置、表示装置及びコンピュータを備える情報機器により実行される経路情報提供プログラムであって、
少なくとも自動車の乗車人数及び目的地についての前記入力装置に対する入力を受け取る入力手段、
地図データを取得する地図データ取得手段、
公共交通機関データを取得する公共交通機関データ取得手段、
前記地図データに基づいて、自動車を利用した場合の出発地から前記目的地までの自動車利用ルート及び自動車利用料金を算出し、前記自動車利用料金と前記乗車人数から自動車利用1人当たり料金を算出するとともに、前記公共交通機関データに基づいて、公共交通機関を利用した場合の前記出発地から前記目的地までの公共交通機関利用ルート及び公共交通機関利用料金を算出する演算手段、及び、
前記自動車利用1人当たり料金及び前記公共交通機関利用料金を表示装置に表示する表示手段、として前記コンピュータを機能させることを特徴とする経路情報提供プログラム。
【請求項6】
請求項5に記載の経路情報提供プログラムを記録したことを特徴とする記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−232578(P2007−232578A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−54812(P2006−54812)
【出願日】平成18年3月1日(2006.3.1)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】