説明

経路情報案内装置及びその制御方法並びに制御プログラム

【課題】第1の経路の情報と、経由地を含む第2の経路の情報との比較した情報を提供することにより、経由地への立ち寄りの可否を容易に決定することができる。
【解決手段】カーソル地点特定部35は、画面スクロールが、一定時間停止した場合に、ユーザがスクロールさせた画面における地図上のカーソルによって指示される位置を、カーソル地点として特定する。経路計算部33は、カーソル地点特定部35において、現在地から経由地を経由して目的地に至る最適な経路を計算する。情報比較部36は、経路計算部33によって計算された、カーソル地点を経由地とした場合の現在地から目的地までの所要時間及び所要距離と、予め記憶された現在地から目的地までの所要時間及び所要距離とを比較し、現在地から目的地までの所要時間及び所要距離に対する、カーソル地点を経由地として設定した場合の所要時間及び所要距離の変化量を計算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ナビゲーション装置として使用される経路情報案内装置に関するものであって、特に、現在地から目的地までの経路における距離や所要時間と、地図上に表示されたカーソルの指示する位置を経由地とした場合の経路における距離や所要時間の比較を容易に行うことのできる技術である。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の普及と電子技術の発達に伴い、車両に搭載して道案内を行う車載用ナビゲーション装置が急速に普及している。経路情報案内装置は、道路や各種施設などの情報に基づき、現在地等の出発地から指定された目的地までの経路を計算し設定し、GPSなどで自車位置を検出しながら、経路に沿った地図や自車位置の画面表示などにより経路誘導を行うものである。
【0003】
このようなナビゲーション装置においては、ユーザは、画面に表示された地図をスクロールさせることにより、現在地又は目的地以外所望の位置を参照することができるのが一般的である。このようにして、ユーザがスクロールさせた画面における地図の中心位置は、カーソルによって指示されるが、このカーソルの指示する位置(以下、「カーソル地点」という。)からの、現在地又は目的地に対する方向、および現在地又は目的地までの直線距離や道のり距離等は有益な情報である。そこで、このような情報を表示するナビケーション装置が従来より提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−293750号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この特許文献1では、現在地からカーソル地点、カーソル地点から目的地の方向及び距離を知ることができても、例えば、目的地まで直行した経路や、カーソル地点を経由地として含む経路の距離や所要時間の差などの情報については、ユーザが知ることができなかった。
【0005】
すなわち、従来技術では、表示された現在地と指定されたカーソル地点間の距離および指定されたカーソル地点と目的地間の距離に基づいて、カーソル地点を経由地として含む目的地までの距離が計算され、画面上に表示されただけであった。
【0006】
そして、このように、カーソル地点を経由地として含む目的地までの距離が表示されている状態においては、初めに計算された現在地から目的地に直行した場合の距離は画面上に表示されていない。そのため、ユーザが、自己の旅程において、経由地を通過する余裕があるか否かを決定する場合には、自分で直行距離とカーソル地点を経由地として通過した場合の距離とを比較して、距離と時間等の判断をせざるを得なかった。
【0007】
しかしながら、ユーザが、初めに計算された現在地から目的地に直行した場合の距離を記憶するのは面倒で、さらに、その記憶した現在地から目的地に直行した場合の距離とカーソル地点を経由地として含む目的地までの距離の差は、正確なものとは言えなかった。このような従来技術においては、経由地への立ち寄りの可否の決定を容易に行うことができなかった。
【0008】
本発明は、上記のような従来技術の課題を解決するもので、その目的は、現在地から目的地までの情報と、カーソル地点を経由地として含む現在地から目的地までの情報とを、比較することにより、経由地への立ち寄りの可否を容易に決定することができる利便性の高い経路情報案内装置、その制御方法及び制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、経路探索及び地図表示のための道路地図データを格納する記憶手段と、目的地を設定する目的地設定手段と、出発地から目的地までの第1の経路を計算する第1の経路計算手段と、前記道路地図データに基づき、地図を表示する地図表示手段と、前記地図表示手段により表示された地図をスクロールするスクロール手段と、前記スクロール手段によりスクロールされた地図上の地点を特定地点として特定する地点特定手段と、前記第1の経路が設定されている場合に、前記地点特定手段により特定地点が設定された場合に、前記特定地点を経由する出発地から目的地までの第2の経路を計算する第2の経路計算手段と、前記第1の経路と第2の経路とを比較し、差分を計算する比較手段と、前記差分を報知する報知手段と、を備えたことを特徴とする。なお、この発明は、請求項8及び13に記載されたとおり、経路情報案内装置の制御方法及び制御プログラムとして捉えることも可能である。
【0010】
以上の態様では、すでに目的地が設定されている場合において、ユーザが地図スクロールを行った場合に、当該スクロール画面の地図上に表示された所定地点を特定地点として、当該特定地点までを経由地として想定した場合の現在地から経由地を通過し、目的地へ至る第2の経路を、第2の経路計算手段において計算し、さらに、すでに計算された現在地から目的地までの第1の経路と、距離又は所要時間の差分を計算して、これをユーザに対して報知することができる。これにより、ユーザは、現在地から目的地までの情報と、スクロールした画面上の所定地点を経由地として含む現在地から目的地までの情報とを、容易に比較することができ、経由地への立ち寄りの可否の決定が容易となる。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1記載の発明において、前記スクロール手段は、さらに、ユーザによるスクロール指示の停止を検出する機能を備え、前記地点特定手段は、前記スクロール手段が前記スクロール指示の一定時間以上の停止を検出した場合に、特定地点の特定を行うことを特徴とする。なお、この発明は、請求項9及び請求項14に記載されたとおり、経路情報案内装置の制御方法及び制御プログラムとして捉えることも可能である。
【0012】
以上の態様では、ユーザによる一定時間のスクロール指示の停止を、経由地候補となり得る可能性と判断し、この停止を当該第2の経路の経路計算の条件とすることで、ユーザの希望に適ったタイミングで、第1の経路と第2の経路との比較結果をユーザに報知することができる。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記特定地点は、スクロールされた地図上に表示されたカーソルの位置であることを特徴とする。なお、この発明は、請求項10及び請求項15に記載されたとおり、経路情報案内装置の制御方法及び制御プログラムとして捉えることも可能である。
【0014】
以上の態様では、一般的にスクロールした画面においては、その中心位置に、移動の指標としてカーソルが表示されるが、当該カーソルの表示位置を、経由地として経路計算の対象とすることで、ユーザが、経由地候補として経路計算され、第2の経路と第1の経路との比較結果を得る場合に、当該経由地候補の地点の把握が容易となる。
【0015】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明において、前記特定地点を経由地とする旨の指示を受け付けて、当該特定地点を経由地として設定する経由地設定手段を備えたことを特徴とする。なお、この発明は、請求項11及び請求項16に記載されたとおり、経路情報案内装置の制御方法及び制御プログラムとして捉えることも可能である。
【0016】
以上の態様では、ユーザに対して、経由地の決定を、画面スクロールの停止した後、一定時間経過後に、報知手段が画面表示により受け付けることにより、ユーザが敢えて別途操作を行うことなく、スクロール画面上の特定地点を経由地として容易に設定することができるようになる。
【0017】
請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記経由地設定手段は、前記報知手段による案内に対して、ユーザの指示を所定時間検出しない場合には、当該特定地点を経由地として設定するものであることを特徴とする。
【0018】
以上の態様では、経由地設定手段は、報知手段による経由地決定の案内後、所定時間ユーザの案内を検知しない場合に、当該特定地点を経由地として設定することにより、当該特定地点において、所定時間スクロール指示がなされず、停止している場合において当該地点を経由地として設定したい意思表示であると、ユーザの意思を合理的に解して処理を行うことで、あえてユーザが操作を行わなくてもよく、ユーザの利便性に寄与することができる。
【0019】
請求項6の発明は、請求項1の発明において、経路探索及び地図表示のための道路地図データを格納する記憶手段と、目的地を設定する目的地設定手段と、前記道路地図データに基づき、地図を表示する地図表示手段と、前記地図表示手段により表示された地図をスクロールするスクロール手段と、前記スクロール手段によりスクロールされた地図上の地点を特定地点として特定する地点特定手段と、前記地点特定手段により特定地点が設定された場合に、前記特定地点を目的地する出発地から目的地までの経路を計算する第3の経路計算手段と、出発地から目的地に至る距離、時間又は料金を報知する報知手段と、を備えたことを特徴とする。
【0020】
以上の態様では、目的地設定の処理においても、ユーザが表示された地図をスクロールさせた場合において、当該スクロール先の所定地点を、目的地として設定することができ、利便性の高い経路情報案内装置を提供することができる。
【0021】
請求項7の発明は、前記スクロール手段は、ユーザによるスクロール指示の停止を検出するものであり、前記地点特定手段は、前記スクロール手段が前記スクロール指示の一定時間以上の停止を検出した場合に、特定地点の特定を行うことを特徴とする。
【0022】
以上の態様では、ユーザによる一定時間のスクロール指示の停止を、目的地候補となり得る可能性と判断し、この停止を当該目的地への経路の経路計算の条件とすることで、ユーザの希望に適ったタイミングで、目的地に対する現在地からの情報をユーザに報知することができる。
【発明の効果】
【0023】
以上のような本発明によれば、現在地から目的地までの情報と、カーソル地点を経由地として含む現在地から目的地までの情報とを、比較することにより、経由地への立ち寄りの可否を容易に決定することができる利便性の高い経路情報案内装置、その制御方法及び制御プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に、本発明を実施するための最良の実施形態について、図面を参照して説明する。
[1.本実施形態]
[1−1.構成]
本実施形態は、目的地への経路を案内する経路情報案内装置(以下「本装置」と呼ぶ)を説明するもので、その制御方法、制御プログラムとしても把握可能であり、本装置の構成を図1に示す。
【0025】
すなわち、1は、VICS(登録商標)情報等を取得する為のFM多重受信及び処理部、2は、VICS情報を取得する為のビーコン受信及び処理部である。3は、システム全体の制御を司るメインCPU(中央演算装置)及びその周辺回路であり、本装置各部の制御を含む情報処理を行う制御部である。メインメモリMを構成する4は、メインプログラムをロードする為のダイナミックRAM(DRAM)、5は、メイン電源オフの間も設定などメモリ内容を保持するためのバッテリーバックアップ付スタティックRAM(SRAM)、6は、起動時等に制御部3よりアクセスされるROMである。
【0026】
7は、地図、経路などの情報を描画及び表示する表示部で、液晶表示パネルなどの表示画面を持つ。本発明では、その表示部としてタッチパネル機能を備えたディスプレイを用いる。8は、表示部7用に設けられたビデオRAM(VRAM)である。9は、音声の出力を行うスピーカである。10は、TV(各種のテレビジョン放送)を受信する為のTV受信及び処理部、11は、イルミネーション(計器盤等の照明)・車速パルス・パーキング等の動作や状態を検出する車両情報取得部である。
【0027】
12は、HDD、DVD−ROM、CD−ROMなどのドライブを用いて、道路地図データ(典型的には、経路探索用データや地図表示用データ)・その他の検索データや地図関連データなどを記録する地図データの記憶装置である。
【0028】
13は、情報や操作の入力を受け付ける入力部で、操作スイッチやタッチパネルなどからの入力を検出する制御装置であるが、入力部の構成や種類は自由で、表示部7の表示パネルと一体のタッチセンサのほか、表示部7の周囲に配置される操作スイッチ類、リモコンユニット、などを単独、又は自由に組み合わせて用いればよい。本実施形態において、ユーザは、この入力部13を通じて、表示部7の表示パネルに表示される地図画面をスクロールすることができる。
【0029】
14は、測位技術(例えば、GPS、ジャイロ、地磁気センサ、加速度センサ、車速パルスなど)により、現在地、進行方位、車速など自車の挙動に関する航法情報を得る測位部である。すなわち、この測位部14より、ジャイロや車速パルスを用いた自立航法、およびGPS等を用いた電波航法から、自車位置と自車進行方向を計算することで、車両がどの道路リンクを走行しているか推定するものである。
【0030】
また、制御部3は、所定の制御プログラムにより、以下のような機能・作用に対応する処理手段(図1に示す31、32…)を実現・実行する。なお、現在地検出部31、目的地受付決定部(目的地設定手段)32、経路計算部(第1の経路計算手段及び第2の経路計算手段)33、案内情報制御部38、表示制御部(本発明における報知手段を含む。)39の基本的な機能は、本発明特有の要素ではなく従来と共通のナビゲーション処理を実行するものであるので、本実施形態に関連する点以外の説明は場合により省略する。
【0031】
スクロール制御部34は、ユーザが、入力部13を介して、表示部7の表示パネルに表示される地図画面をスクロールさせるための指示を入力した場合に、この入力に応じて、画面上の地図画面をスクロール移動させる手段である。
【0032】
カーソル地点特定部35は、スクロール制御部34における画面スクロールの処理が、一定時間停止した場合に、ユーザがスクロールさせた画面における地図のカーソルによって指示される位置を、カーソル地点として、座標を参照し、当該位置を特定地点として特定する手段である。
【0033】
また、本実施形態の経路計算部33(「第1の経路計算手段」及び「第2の経路計算手段」の機能を併せ持つ。)は、上記の通り、現在地検出部31によって特定される現在地と、目的地受付決定部32におけるユーザからの目的地の入力によって特定される目的地の情報に基づいて、現在地から目的地に至る経路(以下、単に「第1の経路」ともいう。)を計算するだけでなく、カーソル地点特定部(地点特定手段)35において特定された位置を経由地として、現在地から経由地を経由して目的地に至る最適な経路(以下、単に「第2の経路」ともいう。)を計算する処理も実行する。
【0034】
情報比較部(比較手段)36は、経路計算部33によって計算された、第2の経路の所要時間及び所要距離と、同じく経路計算部33によって計算され、予めメモリに記憶された第1の経路の所要時間及び所要距離とを比較し、現在地から目的地までの所要時間及び所要距離に対する、カーソル地点を経由地として設定した場合の所要時間及び所要距離の変化量を計算し、これを表示部7に表示する手段である。具体的には、図3(a)に示すように、地図を表示した画面上の左下など、地図表示の障害とならない位置に、例えば、目的地までの距離と所要時間、カーソル地点を経由地とした場合の追加的にかかる距離と所要時間、現在地から経由地までの距離と所要時間等を表示するものである。
【0035】
なお、本実施形態では、情報比較部36における第1の経路と第2の経路との比較対象は、現在地から目的地までの所要時間及び所要距離としているが、これは最適な実施態様を示すに過ぎず、本発明には、例えば、第1及び第2の経路に高速道路又は一般有料道路等の料金の支払いが必要となる道路を含む場合に、通行料金を比較対象とすることも含まれるものであり、さらには、第1の経路と第2の経路とにおいて、ユーザにおいて経路選択の指標となるものであって、差分として比較可能な対象は、すべて包含するものである。
【0036】
経由地決定部37は、カーソル地点特定部35において、カーソル地点が特定地点とされ、情報比較部36により、現在地から目的地までの所要時間及び所要距離に対する、カーソル地点を経由地として設定した場合の所要時間及び所要距離の変化量を表示部7に表示した場合に、ユーザから、当該カーソル地点を、経由地として決定するか否かの入力を受付け、又は、地図のスクロール移動の停止が所定時間以上経過した場合に、当該カーソル地点を経由地として決定する手段である。より具体的には、当該カーソル地点について、ユーザに対し、例えば、図3の画面例に示すように、表示部7の表示画面上に「決定」ボタンを表示し、経由地として決定するか否かを表示制御部39を介して画面表示により報知して受け付け、ここに対するユーザの押下等による入力を受け付けるものである。
【0037】
なお、上述の通り、経由地決定部37では、所定時間ユーザによる経由地決定の入力を検知しない場合に、当該特定地点を経由地として設定することとしているが、これは最適な実施態様を示すものであり、本発明においてはこのような場合に限られず、ユーザによる経由地決定の入力を検知しない限り、当該カーソル地点を経由地として設定しない処理も含むものである。
【0038】
案内情報制御部38は、設定された経路に従ったナビゲーションを実行するための種々の情報をユーザに向けて案内処理する手段である。また、表示制御部39は、案内情報制御部38から出力される情報に従って、自車位置、地図データ等に基づいて、周辺の地図上における自車位置、走行中若しくは所望の経路、スクロール地図の場合カーソル地点と現在地方向を示す線、カーソル地点を経由地とした場合の目的地までの所要時間・所要距離の変化量等を、表示部7に平面的、立体的、その他の態様で表示させ、あるいはスピーカ9からの音声出力を制御する手段であり、本発明における報知手段の機能を含む手段である。
【0039】
[1−2.作用]
本実施形態における経路情報案内装置は、従来通り、目的地受付決定部32がユーザからの目的地の入力を受付け、この目的地情報と、現在地検出部31から得られる現在地情報とに基づいて、経路計算部33が、例えば、ダイクストラ法等の手法により、現在地から目的地に至る最適な第1の経路を計算し、これをメモリ群Mに保存する。この保存された第1の経路情報を案内情報制御部38において、ナビゲーション情報として処理して、表示制御部39を介して、表示部7又はスピーカ9により、ユーザに案内情報を提供する。本実施形態は、このような目的地が設定され、通常のナビゲーション処理が実行されている段階において、処理を行うものである。
【0040】
以下、本実施形態特有の処理について、図2のフローチャートを参照して説明する。まず、ユーザが、入力部13を介して、表示部7の表示パネルに表示される地図画面をスクロールの指示を入力した場合に、スクロール制御部34が、この入力を検出し(S201のYES)、スクロール処理を実行する(S202)。また、ユーザによるスクロール指示の停止を検出する(S203)。
【0041】
スクロール制御部34により、ユーザによるスクロール指示の停止が検出された場合には(S203のYES)、カーソル地点特定部35は、ユーザがスクロールさせた画面における地図のカーソルによって指示される位置を、カーソル地点として位置座標情報を参照し、当該位置を特定地点として特定する(S204)。なお、このスクロールの停止の時間は、任意の設定時間でよく、例えば、1秒間あるいは0.5秒間など、比較的短いタイミングで設定可能である。
【0042】
経路計算部33は、カーソル地点特定部35において、特定された特定地点であるカーソル地点の情報に基づき、現在地から経由地を経由して目的地に至る最適な第2の経路の計算を実行し、これをメモリ群Mに保存する(S205)。
【0043】
続いて、情報比較部36は、経路計算部33によって計算された第2の経路情報をメモリ群Mより読み出し、この第2の経路の所要時間及び所要距離と、同じく経路計算部33によって計算され、予めメモリに記憶された第1の経路における所要時間及び所要距離とを比較し、現在地から目的地までの所要時間及び所要距離に対する、カーソル地点を経由地として設定した場合の所要時間及び所要距離の変化量を計算する(S206)。
【0044】
案内情報制御部38は、情報比較部36によって計算された所要時間及び距離の変化量を、案内情報として、表示制御部39を介して、表示部7に表示する(S207)。具体的には、図3の画面例に示すように、地図を表示した画面上の左下など、地図表示の障害とならない位置に、例えば、目的地までの距離と所要時間、カーソル地点を経由地とした場合の追加的にかかる距離と所要時間、現在地から経由地までの距離と所要時間等を表示する。
【0045】
より具体的に、図3の画面例の表示内容について説明すると、「目的地まで13.1km(30分)」との表示は、第1の経路における現在地からの距離である13.1kmと、予想所要時間である30分を表すものである。また、「経由地追加で+2.5km(8分)」との表示は、スクロール地点を経由地として追加した場合に増加する距離である2.5kmと、増加する所要時間である8分を表すものである。つまり、スクロール地点を経由地に追加した場合、現在地から最終目的地までの距離は、13.1kmと2.5kmの和である15.6kmとなり、合計の所要時間は、30分と8分の和である38分となるのであり、図における表示は、その変化量を示したものである。さらに、「現在地から4.7km」との表示は、現在地からカーソル地点までの直線距離である4.7kmを表すものである。なお、この表示は、経路計算部33において経路計算を行った後の処理であるから、この場合は、現在地からカーソル地点までの道のり距離を表示するようにすることも可能である。
【0046】
その後、経由地決定部37は、経由地決定処理に移行する。すなわち、図3の画面例に示すように、表示部7に表示される画面上に、現在のカーソル地点を経由地を決定するか否かを問う「決定」ボタンを表示し、ユーザに対して経由地決定の可否を問う(S208)。
【0047】
ユーザが、入力部13を通じて、当該「決定」ボタンの押下等により、当該カーソル地点を経由地として決定する旨の入力を行った場合には、経由地決定部37は、S208においてYESの処理を行い、当該カーソル地点を経由地として設定する(S210)。なお、このとき、第2の経路は、すでにS204において計算されているため、この段階で、再度経路計算部33において、最適な経路の計算を行う必要はなく、メモリ群Mに保存された情報をそのまま利用することができ、経路計算の必要なく処理を終了することができる(END)。
【0048】
一方で、ユーザより何らの入力も得られない場合には、経由地決定部37は、S208においてNOの処理を行い、経由地決定部37は、スクロール停止が、例えば、3秒間等、所定時間継続するか否かを検出し(S211)、所定時間継続した場合は(YES)、経由地決定部37において、当該カーソル地点を経由地として設定する(S210)。一方、スクロール停止が、所定時間経過しなかった場合には(NO)、S201に処理を返し、S201〜S209の処理を繰り返す。
【0049】
[1−3.効果]
以上のような本実施形態によれば、すでに目的地が設定されている場合において、ユーザが地図スクロールを行った場合に、当該スクロール画面の地図上に表示された所定地点であるカーソル地点を特定地点として、当該特定地点までを経由地として想定した場合の現在地から経由地を通過し、目的地へ至る第2の経路を、経路計算手段において計算し、さらに、すでに計算された現在地から目的地までの第1の経路と、距離又は所要時間の差分を計算して、これをユーザに対して報知することができる。これにより、ユーザは、現在地から目的地までの情報と、スクロールした画面上のカーソル地点を経由地として含む現在地から目的地までの情報とを、容易に比較することができ、経由地への立ち寄りの可否の決定が容易となる。
【0050】
また、ユーザによる一定時間のスクロール指示の停止を、経由地候補となり得る可能性と判断し、この停止を当該第2の経路の経路計算の条件とすることで、ユーザの希望に適ったタイミングで、第1の経路と第2の経路との比較結果をユーザに報知することができる。
【0051】
また、一般的にスクロールした画面においては、その中心位置に、移動の指標としてカーソルが表示されるが、本実施形態において、当該カーソルの表示位置を、経由地として経路計算の対象とすることで、ユーザが、経由地候補として経路計算され、第2の経路と第1の経路との比較結果を得る場合に、当該経由地候補の地点の把握が容易となる。
【0052】
ユーザに対して、経由地決定部37による経由地の決定を、画面スクロールの停止後に一定時間後に、案内情報制御部38が画面表示により受け付けることにより、ユーザが敢えて別途操作を行うことなく、スクロール画面上の特定地点を経由地として容易に設定することができるようになる。
【0053】
経由地決定部37は、案内情報制御部38による経由地決定の案内後、所定時間ユーザによる経由地決定の入力を検知しない場合に、当該特定地点を経由地として設定することにより、当該特定地点において、所定時間スクロール指示がなされず、停止している場合において当該地点を経由地として設定したい意思表示であると、ユーザの意思を合理的に解して処理を行うことで、あえてユーザが操作を行わなくてもよく、ユーザの利便性に寄与することができる。
【0054】
[2.他の実施形態]
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、次のような態様も含む。[2−1.目的地未設定時における処理]
本実施形態においては、予め目的地が設定され、経路計算部33により現在地から目的地までの最適な第1の経路の計算がなされ、誘導案内がなされている状態を前提とした態様であるが、本発明は、このような態様に限られず、以下に示すように、目的地が設定されていない場合も、図1に示したブロック構成により処理を行うことができる。
【0055】
この態様における処理の流れを図4のフローチャートを用いて説明する。まず、ユーザが、入力部13を介して、表示部7の表示パネルに表示される地図画面をスクロールの指示を入力した場合に、スクロール制御部34が、この入力を検出し(S401)、スクロール処理を実行する(S402)。また、ユーザによるスクロール指示の停止を検出する(S403)。
【0056】
スクロール制御部34により、ユーザによるスクロール指示の停止が検出された場合には(S403のYES)、カーソル地点特定部35は、ユーザがスクロールさせた画面における地図のカーソルによって指示される位置を、カーソル地点として位置座標情報を参照し、当該位置を特定する(S404)。なお、このスクロールの停止の時間は、本実施形態と同様、任意の設定時間でよく、例えば、1秒間あるいは0.5秒間など、比較的短いタイミングで設定可能である。
【0057】
経路計算部33は、カーソル地点特定部35において、特定されたカーソル地点の情報に基づき、現在地からそのカーソル地点、つまり、目的地に至る最適な経路の計算を実行し、これをメモリ群Mに保存する(S405)。
【0058】
案内情報制御部38は、経路計算部33によって計算された現在地から目的地への所要時間及び距離を、案内情報として、表示制御部39を介して、表示部7に表示する(S406)。具体的には、図5の画面例に示すように、地図を表示した画面上の左下など、地図表示の障害とならない位置に、例えば、目的地までの距離と所要時間を表示する。
【0059】
より具体的に、図5の画面例の表示内容について説明すると、「目的地まで13.1km(30分)」との表示は、現在地から目的地までの距離である13.1kmと、予想所要時間である30分を表すものである。なお、この表示は、経路計算部33において経路計算を行った後の処理であるから、この場合は、現在地からカーソル地点までの直線距離を表示しても、道のり距離を表示してもどちらでもよい。
【0060】
その後、目的地受付決定部32は、目的地決定処理に移行する。すなわち、図5の画面例に示すように、表示部7に表示される画面上に、現在のカーソル地点を目的地を決定するか否かを問う「決定」ボタンを表示し、ユーザに対して目的地決定の可否を問う(S408)。
【0061】
ユーザが、入力部13を通じて、当該「決定」ボタンの押下等により、当該カーソル地点を目的地として決定する旨の入力を行った場合には、目的地受付決定部32は、S408においてYESの処理を行い、当該カーソル地点を目的地として設定する(S409)。なお、このとき、現在地から目的地までの最適経路は、すでにS404において計算されているため、この段階で、再度経路計算部33において、最適経路の計算を行う必要はなく、メモリ群Mに保存された情報をそのまま利用することができ、経路計算の必要なく処理を終了することができる(END)。
【0062】
一方で、ユーザより何らの入力も得られない場合には、目的地受付決定部32は、S408においてNOの処理を行い、目的地受付決定部32は、スクロール停止が、例えば、3秒間等、所定時間継続するか否かを検出し(S410)、所定時間継続した場合は(YES)、目的地受付決定部32において、当該カーソル地点を目的地として設定する(S409)。一方、スクロール停止が、所定時間経過しなかった場合には(NO)、S401に処理を返し、S401〜S409の処理を繰り返す。
【0063】
以上の態様では、目的地設定の処理においても、ユーザが表示された地図をスクロールさせた場合において、当該スクロール先の所定地点を、目的地として設定することができ、利便性の高い経路情報案内装置を提供することができる。
【0064】
また、ユーザによる一定時間のスクロール指示の停止を、目的地候補となり得る可能性と判断し、この停止を当該目的地への経路の経路計算の条件とすることで、ユーザの希望に適ったタイミングで、目的地に対する現在地からの情報をユーザに報知することができる。
【0065】
[2−2.その他の実施形態]
本実施形態において、図3で示した画面例において、経由地情報の表示を、「経由地追加で+2.5km(8分)」とし、現在地からの距離と所要時間の変化分を表示しているが、本発明では、このような態様に限られず、現在地から経由地を含む目的地までの経路におけるトータルの距離及びトータルの所要時間を表示した上で、各々の変化分も合わせて表示するようにするなど、ユーザの便宜のために、表示する情報を適宜変更することが可能である。例えば、図6(a)に示すように、「経由地追加で/総距離:15.6km(+2.5km)/所要時間:38分(+8分)」とする態様である。
【0066】
また、スクロール地点を経由地として追加した際の所要時間に代えて、目的地への予定到着時刻を表示するようにしてもよい。例えば、図6(b)に示すように、「経由地追加で/総距離:15.6km(+2.5km)/予定到着時刻:13:38(+8分)」とする態様である。
【0067】
なお、本発明において、経由地情報の報知は、すでに説明した画面表示する態様に合わせて、音声によって行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施形態の構成を示す機能ブロック図。
【図2】本発明の実施形態における処理を示すフローチャート。
【図3】本発明の実施形態における経由地情報の表示画面例を示す図。
【図4】本発明の他の実施形態における処理を示すフローチャート。
【図5】本発明の他の実施形態における経由地情報の表示画面例を示す図。
【図6】本発明の他の実施形態における経由地情報の表示画面例を示す図。
【符号の説明】
【0069】
1…FM多重受信及び処理部
2…ビーコン受信及び処理部
3…制御部(メインCPU及びその周辺回路)
31…現在地検出部
32…目的地受付決定部
33…経路計算部
34…スクロール制御部
35…カーソル地点特定部
36…情報比較部
37…経由地決定部
38…案内情報制御部
39…表示制御部
4…ダイナミックRAM(DRAM)
5…スタティックRAM(SRAM)
6…ROM
7…表示部
8…ビデオRAM(VRAM)
9…スピーカ
10…TV受信及び処理部
11…車両情報取得部
12…道路地図データ・検索データ及び地図関連データの記憶装置
13…入力部(タッチキー制御装置)
14…測位部
M…メインメモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
経路探索及び地図表示のための道路地図データを格納する記憶手段と、
目的地を設定する目的地設定手段と、
出発地から目的地までの第1の経路を計算する第1の経路計算手段と、
前記道路地図データに基づき、地図を表示する地図表示手段と、
前記地図表示手段により表示された地図をスクロールするスクロール手段と、
前記スクロール手段によりスクロールされた地図上の地点を特定地点として特定する地点特定手段と、
前記第1の経路が設定されている場合に、前記地点特定手段により特定地点が設定された場合に、前記特定地点を経由する出発地から目的地までの第2の経路を計算する第2の経路計算手段と、
前記第1の経路と第2の経路とを比較し、差分を計算する比較手段と、
前記差分を報知する報知手段と、
を備えたことを特徴とする経路情報案内装置。
【請求項2】
前記スクロール手段は、さらに、ユーザによるスクロール指示の停止を検出する機能を備え、
前記地点特定手段は、前記スクロール手段が前記スクロール指示の一定時間以上の停止を検出した場合に、特定地点の特定を行うことを特徴とする請求項1記載の経路情報案内装置。
【請求項3】
前記特定地点は、スクロールされた地図上に表示されたカーソルの位置であることを特徴とする請求項1又は2記載の経路情報案内装置。
【請求項4】
前記特定地点を経由地とする旨の指示を受け付けて、当該特定地点を経由地として設定する経由地設定手段を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の経路情報案内装置。
【請求項5】
前記経由地設定手段は、前記報知手段による案内に対して、ユーザの指示を所定時間検出しない場合には、当該特定地点を経由地として設定するものであることを特徴とする請求項4記載の経路情報案内装置。
【請求項6】
経路探索及び地図表示のための道路地図データを格納する記憶手段と、
目的地を設定する目的地設定手段と、
前記道路地図データに基づき、地図を表示する地図表示手段と、
前記地図表示手段により表示された地図をスクロールするスクロール手段と、
前記スクロール手段によりスクロールされた地図上の地点を特定地点として特定する地点特定手段と、
前記地点特定手段により特定地点が設定された場合に、前記特定地点を目的地する出発地から目的地までの経路を計算する第3の経路計算手段と、
出発地から目的地に至る距離、時間又は料金を報知する報知手段と、
を備えたことを特徴とする経路情報案内装置。
【請求項7】
前記スクロール手段は、さらに、ユーザによるスクロール指示の停止を検出する機能を備え、
前記地点特定手段は、前記スクロール手段が前記スクロール指示の一定時間以上の停止を検出した場合に、特定地点の特定を行うことを特徴とする請求項6記載の経路情報案内装置。
【請求項8】
経路探索及び地図表示のための道路地図データを格納する記憶手段を用いて、制御部が経路情報の案内を実行する経路情報案内装置の制御方法であって、
前記制御部が、
目的地を設定する目的地設定処理と、
出発地から目的地までの第1の経路を計算する第1の経路計算処理と、
前記道路地図データに基づき、地図を表示する地図表示処理と、
前記地図表示処理により表示された地図をスクロールするスクロール処理と、
前記スクロール処理によりスクロールされた地図上の地点を特定地点として特定する地点特定処理と、
前記第1の経路が設定されている場合に、前記地点特定処理により特定地点が設定された場合に、前記特定地点を経由する出発地から目的地までの第2の経路を計算する第2の経路計算処理と、
前記第1の経路と第2の経路とを比較し、差分を計算する比較処理と、
前記差分を報知する報知処理と、
を実行することを特徴とする経路情報案内装置の制御方法。
【請求項9】
前記スクロール処理は、さらに、ユーザによるスクロール指示の停止を検出することを含み、
前記地点特定処理は、前記スクロール処理が前記スクロール指示の一定時間以上の停止を検出した場合に、特定地点の特定を行うことを特徴とする請求項8記載の経路情報案内装置の制御方法。
【請求項10】
前記特定地点は、スクロールされた地図上に表示されたカーソルの位置であることを特徴とする請求項8又は9記載の経路情報案内装置の制御方法。
【請求項11】
前記制御部は、前記特定地点を経由地とする旨の指示を受けて、当該特定地点を経由地として設定する経由地設定処理を実行することを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載の経路情報案内装置の制御方法。
【請求項12】
前記経由地設定処理は、前記報知処理による案内に対して、ユーザの指示を所定時間検出しない場合には、当該特定地点を経由地として設定するものであることを特徴とする請求項11記載の経路情報案内装置の制御方法。
【請求項13】
経路探索及び地図表示のための道路地図データを格納する記憶手段を用いて、制御部に経路情報の案内を実行させる経路情報案内装置の制御プログラムであって、
このプログラムは、前記制御部に、
目的地を設定する目的地設定処理と、
出発地から目的地までの第1の経路を計算する第1の経路計算処理と、
前記道路地図データに基づき、地図を表示する地図表示処理と、
前記地図表示処理により表示された地図をスクロールするスクロール処理と、
前記スクロール処理によりスクロールされた地図上の地点を特定地点として特定する地点特定処理と、
前記第1の経路が設定されている場合に、前記地点特定処理により特定地点が設定された場合に、前記特定地点を経由する出発地から目的地までの第2の経路を計算する第2の経路計算処理と、
前記第1の経路と第2の経路とを比較し、差分を計算する比較処理と、
前記差分を報知する報知処理と、
を実行させることを特徴とする経路情報案内装置の制御プログラム。
【請求項14】
前記地点特定処理は、前記スクロール処理が前記スクロール指示の一定時間以上の停止を検出した場合に、特定地点を特定させる処理を含むことを特徴とする請求項13記載の経路情報案内装置の制御プログラム。
【請求項15】
前記特定地点は、スクロールされた地図上に表示されたカーソルの位置であることを特徴とする請求項13又は14記載の経路情報案内装置の制御プログラム。
【請求項16】
前記プログラムは前記制御部に、前記特定地点を経由地とする旨の指示を受け付けて、当該特定地点を経由地として設定させる経由地設定処理を実行させることを特徴とする請求項13〜15のいずれか1項に記載の経路情報案内装置の制御プログラム。
【請求項17】
前記経由地設定処理は、前記報知処理による案内に対して、ユーザの指示を所定時間検出しない場合には、当該カーソル地点を経由地として設定させるものであることを特徴とする請求項16記載の経路情報案内装置の制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−271006(P2009−271006A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−123669(P2008−123669)
【出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】