絶対移動経路算出装置及び方法、並びにプログラム
【課題】ユーザの絶対移動経路を高精度に算出する。
【解決手段】携帯電話100に予め定められた基準軸が指し示す方位を地磁気センサ30を用いて所定のタイミングで検出した結果と、ユーザの移動距離を検出した結果とからユーザの相対移動経路を算出するとともに、絶対座標上における携帯電話100の絶対位置をGPSを用いて測位する。そして、その測位された絶対位置の数が例えば3つに達した場合に、それらの絶対位置(a,b,c)と当該絶対位置を測位した時点における相対移動経路上の地点(a’,b’,c’)との関係から補正値(β’、ε’、Δcx+deltx、Δcy+delty)を算出し、この補正値と相対移動経路とから、絶対座標上におけるユーザの絶対移動経路を算出する。
【解決手段】携帯電話100に予め定められた基準軸が指し示す方位を地磁気センサ30を用いて所定のタイミングで検出した結果と、ユーザの移動距離を検出した結果とからユーザの相対移動経路を算出するとともに、絶対座標上における携帯電話100の絶対位置をGPSを用いて測位する。そして、その測位された絶対位置の数が例えば3つに達した場合に、それらの絶対位置(a,b,c)と当該絶対位置を測位した時点における相対移動経路上の地点(a’,b’,c’)との関係から補正値(β’、ε’、Δcx+deltx、Δcy+delty)を算出し、この補正値と相対移動経路とから、絶対座標上におけるユーザの絶対移動経路を算出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶対移動経路算出装置及び方法、並びにプログラムに関し、特に端末の絶対移動経路を算出する絶対移動経路算出装置及び方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自律航法を用いてユーザの移動経路(歩行経路)を算出する装置を具備する携帯端末(移動端末)の開発が進められている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この種の装置は、例えば、方位を検出する方位検出機能、歩数を検出する歩数検出機能、予め入力されている歩幅と歩数の積から移動距離を算出する移動距離算出機能、GPS受信機のような現在地の絶対位置を取得する位置検出機能などを含み、これらの機能により取得される値(絶対位置、方位、及び移動距離など)に基づいてユーザの移動経路を算出する。
【0004】
また、近年、道路上の車両の位置を標定し、標定した位置に応じて車両に対する情報提供・警告・介入制御などをおこなう先進安全サービスが注目を集めている。
【0005】
例えば、特許文献2〜4には、道路側に設置された光ビーコンと車載機である光ビーコン受信機を用いた位置標定技術が開示されている。これらの技術を用いると、交差点の手前に光ビーコンが設置されている場合に、光ビーコンの下を通過したタイミングで、交差点に関する一時停止警告サービスなどを受けることができる。
【0006】
【特許文献1】特開平11−194033号公報
【特許文献2】特開2007−182516号公報
【特許文献3】特開2007−181248号公報
【特許文献4】特開2007−188269号公報
【特許文献5】特開平9−89584号公報
【特許文献6】特開平8−278137号公報
【特許文献7】特開2004−286732号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の歩数計測機能では歩数誤差が生じるため、実際の歩数よりも多くあるいは少なくカウントされるおそれがある。また、歩幅はユーザ自身が設定するため、実際の歩幅との間に歩幅誤差が生じるおそれがある。
【0008】
これに対し、特許文献5には、正確な歩幅を求める方法が開示されている。この特許文献5に記載の方法は、2点のGPS測位値から距離を割り出し、距離を歩数で割ることで正確な歩幅を計算するものである。しかるに、GPSには測位誤差があり、また、上述したように歩数には歩数誤差があることから、上記特許文献5の技術を用いても、正確な歩幅を算出することは難しいものと考えられる。
【0009】
また、従来の方位検出機能は、端末が傾斜している場合、これを補正して正しい方位角を算出するが(例えば、特許文献6,7参照)、端末の指し示す方向(端末の基準方向)と端末を保持するユーザの進行方向が異なる場合(例えば、ユーザが端末を横向きに持って、前進した場合)、これを補正することができない。このため、端末により計測される方位と実際の方位との間にはズレ(方位誤差)が生じるおそれがある。
【0010】
更に、従来の自律航法では、絶対位置にGPS測定値をそのまま用いることとしていたが、前述のようにGPSには測位誤差があるため、測位誤差分だけ絶対位置がずれる場合もある。
【0011】
以上のように、従来の自律航法による歩行経路算出では、距離誤差、方位誤差、及び位置ずれが発生して、正確な経路の算出ができなくなる事態が想定される。
【0012】
一方、車両における先進安全サービスでは、例えば、車両が右折するときの車線変更タイミングなどを指示するサービス(右折支援サービス)をはじめとする様々なサービスの提案がなされている。しかしながら、右折支援サービスなどを行おうとすると、車両がどのレーンにいるのか、交差点に進入したかどうか、交差点内のどの位置にいるか、などの判断を行う必要がある。しかるに、特許文献2〜4などの位置標定技術では、光ビーコン直下を通過した瞬間を正確に決定することはできるものの、光ビーコン直下を通過した後どのレーンにいるのか、交差点までの距離がどのくらいあるのか、交差点内のどの位置にいるのかなどを正確に判断することはできない。このため、本先進安全サービスにおけるサービス向上のためには、歩行経路の場合と同様、自律航法を用いた車両の正確な走行軌跡を得る必要がある。
【0013】
また、車両における自律航法では、ジャイロセンサで方位の変化を取得し、車速パルスから走行距離を取得する方法が一般的であるが、ジャイロセンサは方位の初期値が必要であり、また、ジャイロセンサと車速パルスには誤差があるため、走行距離が増すにつれて、実際の走行経路との間にズレが生じるおそれがある。
【0014】
そこで本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、端末の絶対移動経路を高精度に算出することができる絶対移動経路算出装置及び方法、並びにプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本明細書に記載の絶対移動経路算出装置は、所定のタイミングで、端末に予め定められた基準軸が指し示す方位を検出する方位取得部と、前記所定のタイミングで、前記端末の移動距離を検出する移動距離検出部と、前記方位取得部による検出結果と前記移動距離検出部による検出結果とを用いて、前記相対移動経路を算出し、該相対移動経路を記憶する相対移動経路取得部と、前記算出した相対移動経路の先頭位置に対応する絶対位置であって、緯度と経度により表される絶対座標上における前記端末の絶対位置を取得し、該絶対位置を記憶する絶対位置取得部と、前記絶対位置が所定回数記憶される度に、前記所定回数のうちの少なくとも2点の絶対位置と当該絶対位置に対応する相対位置との関係から補正値を算出し、当該補正値と前記相対移動経路とから、前記絶対座標上における前記端末の絶対移動経路を算出する絶対移動経路算出部と、を備える絶対移動経路算出装置である。
【0016】
これによれば、端末に予め定められた基準軸が指し示す方位を所定のタイミングで検出した結果と、端末の移動距離の検出結果とから、端末の相対移動経路を算出するとともに、算出した相対移動経路の先頭位置に対応する絶対位置であって、絶対座標上における端末の絶対位置を取得する。そして、その取得された絶対位置が所定回数記憶される度に、所定回数のうちの少なくとも2点の絶対位置と当該絶対位置に対応する相対位置との関係から補正値を算出し、当該補正値と相対移動経路とから、絶対座標上における端末の絶対移動経路を算出する。したがって、絶対位置とこれに対応する相対位置との関係から、相対移動経路を本来の移動経路(絶対移動経路)に近づけるための補正値を算出することができるので、ユーザによる端末の保持状態等に関わらず、端末の絶対移動経路を高精度に算出することが可能となる。
【0017】
本明細書に記載の絶対移動経路算出方法は、端末の方位取得部が、所定のタイミングで前記端末に予め定められた基準軸が指し示す方位を検出する方位取得工程と、前記端末の移動距離検出部が、前記所定のタイミングで、前記端末の移動距離を検出する移動距離検出工程と、前記端末の相対移動経路計算部が、前記方位取得工程の検出結果と前記移動距離検出工程の検出結果とを用いて、前記相対移動経路を算出し、該相対移動経路を記憶する相対移動経路取得工程と、前記算出した相対移動経路の先頭位置に対応する絶対位置であって、緯度と経度により表される絶対座標上における前記端末の絶対位置を取得し、該絶対位置を記憶する絶対位置取得工程と、前記端末の絶対移動経路算出部が、前記絶対位置が所定回数記憶される度に、前記所定回数のうちの少なくとも2点の絶対位置と当該絶対位置に対応する相対位置との関係から補正値を算出し、当該補正値と前記相対移動経路とから、前記絶対座標上における前記端末の絶対移動経路を算出する絶対移動経路算出工程と、を含む絶対移動経路算出方法である。
【0018】
これによれば、端末に予め定められた基準軸が指し示す方位を所定のタイミングで検出した結果と、端末の移動距離の検出結果とから、端末の相対移動経路を算出するとともに、算出した相対移動経路の先頭位置に対応する絶対位置であって、絶対座標上における端末の絶対位置を取得する。そして、その取得された絶対位置が所定回数記憶される度に、所定回数のうちの少なくとも2点の絶対位置と当該絶対位置に対応する相対位置との関係から補正値を算出し、当該補正値と相対移動経路とから、絶対座標上における端末の絶対移動経路を算出する。したがって、絶対位置とこれに対応する相対位置との関係から、相対移動経路を本来の移動経路(絶対移動経路)に近づけるための補正値を算出することができるので、ユーザによる端末の保持状態等に関わらず、端末の絶対移動経路を高精度に算出することが可能となる。
【0019】
本明細書に記載のプログラムは、コンピュータに、所定のタイミングで、端末に予め定められた基準軸が指し示す方位を検出する方位取得ステップと、前記所定のタイミングで、前記端末の移動距離を検出する移動距離検出ステップと、前記方位取得ステップによる検出結果と前記移動距離検出ステップによる検出結果とを用いて、前記相対移動経路を算出し、該相対移動経路を記憶する相対移動経路取得ステップと、前記算出した相対移動経路の先頭位置に対応する絶対位置であって、緯度と経度により表される絶対座標上における前記端末の絶対位置を取得し、該絶対位置を記憶する絶対位置取得ステップと、前記絶対位置が所定回数記憶される度に、前記所定回数のうちの少なくとも2点の絶対位置と当該絶対位置に対応する相対位置との関係から補正値を算出し、当該補正値と前記相対移動経路とから、前記絶対座標上における前記端末の絶対移動経路を算出する絶対移動経路算出ステップとを実行させることにより、絶対移動経路算出装置として機能させるプログラムである。
【0020】
これによれば、コンピュータは、端末に予め定められた基準軸が指し示す方位を所定のタイミングで検出した結果と、端末の移動距離の検出結果とから、端末の相対移動経路を算出するとともに、算出した相対移動経路の先頭位置に対応する絶対位置であって、絶対座標上における端末の絶対位置を取得する。そして、コンピュータは、その取得された絶対位置が所定回数記憶される度に、所定回数のうちの少なくとも2点の絶対位置と当該絶対位置に対応する相対位置との関係から補正値を算出し、当該補正値と相対移動経路とから、絶対座標上における端末の絶対移動経路を算出する。したがって、コンピュータは、絶対位置とこれに対応する相対位置との関係から、相対移動経路を本来の移動経路(絶対移動経路)に近づけるための補正値を算出することができるので、ユーザによる端末の保持状態等に関わらず、端末の絶対移動経路を高精度に算出することが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本明細書に記載の絶対移動経路算出装置及び方法、並びにプログラムは、端末の絶対移動経路を高精度に算出することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
≪第1の実施形態≫
以下、本発明の第1の実施形態について、図1〜図24に基づいて詳細に説明する。
【0023】
図1には、本発明の絶対移動経路算出装置を具備する移動端末としての携帯電話100の構成がブロック図にて示されている。この図1に示すように、携帯電話100は、地磁気センサ30と、加速度センサ40と、GPS受信機59と、絶対移動経路算出装置50と、を備えている。なお、携帯電話100は、通話機能をはじめ、メール機能、インターネット機能、カメラ機能などの各種機能を備えるが、図1では、これらの機能に関する構成についての図示は省略している。
【0024】
絶対移動経路算出装置50は、方位取得部12と、移動距離検出部としての移動距離計算部14と、相対移動経路算出部としての相対経路計算部16と、絶対位置取得部18と、座標変換部20と、補正値計算処理部22と、補正値保持部24と、経路情報保持部26と、を有する。これらのうち、座標変換部20と補正値計算処理部22とにより、絶対移動経路算出部が構成されている。
【0025】
方位取得部12は、地磁気センサ30において検出される地磁気値を取得し、当該地磁気値に基づいて、携帯電話100に予め定められた軸が指し示す方位(以下、相対方位と呼ぶ)を取得する。なお、地磁気センサ30は、例えば3軸座標系上での地磁気の検出が可能な磁気方位センサが用いられている。
【0026】
移動距離計算部14は、ユーザから入力されたユーザの1歩分の長さを表す歩幅情報を予め保持しており、当該歩幅情報と、加速度センサ40において検出される加速度から算出される歩数情報とから、ユーザの移動距離(=歩幅×歩数)を計算する。なお、加速度センサ40としては、例えば、3軸方向の加速度を検出するセンサが用いられる。この移動距離の求め方自体は、加速度センサを用いた歩数計と同様である。
【0027】
相対経路計算部16は、方位取得部12にて得られた相対方位と移動距離計算部14にて取得された距離とを用いて、相対移動経路(以下、単に「相対経路」と呼ぶ)を計算する。絶対位置取得部18は、GPS受信機59を介して絶対位置(緯度・経度で示される位置)を取得する。
【0028】
座標変換部20は、絶対位置取得部18で取得された絶対位置座標の座標系(緯度・経度で示される座標系)と、相対経路計算部16で取得された相対経路の座標系(例えば、距離を示すX,Y座標系)の相互の変換を行う。
【0029】
補正値計算処理部22は、図1に示すように、方位補正値計算部222と、距離補正値計算部224と、座標補正値計算部226と、補正値適用部228とを有している。方位補正値計算部222は、相対経路と複数点の絶対位置とに基づいて、相対方位の誤差を補正するための方位補正値を計算する。距離補正値計算部224は、相対経路と複数点の絶対位置とに基づいて、距離に関する誤差を補正するための距離補正値を計算する。座標補正値計算部226は、相対経路と複数点の絶対位置とに基づいて、座標の誤差を補正するための座標補正値を計算する。これら方位補正値計算部222、距離補正値計算部224、及び座標補正値計算部226で計算された補正値は、補正値保持部24に一時的に格納される。また、補正値適用部228は必要に応じてこれら補正値を読み出し、当該読み出した各補正値に基づいて相対経路の補正を実行する。
【0030】
経路情報保持部26は、補正値計算処理部22で補正された相対経路を座標変換部20で絶対座標に変換した結果を保持する。
【0031】
次に、本実施形態における歩行履歴作成処理について、図2のフローチャートに沿って、かつその他の図面を適宜参照しつつ詳細に説明する。
【0032】
図2のフローチャートは、携帯電話100を保持するユーザが歩行を開始することにより、移動距離計算部14が、加速度センサ40による計測を感知した時点から開始される。
【0033】
まず、ステップS10では、相対経路計算部16等が、歩行開始からの相対経路を作成するサブルーチンを実行する。このサブルーチンでは、図3に示すように、まずステップS110において、方位取得部12が、地磁気センサ30を介して相対方位を検出する。次いで、ステップS112では、移動距離計算部14が、加速度センサ40を介してユーザの歩数を計数する。次いで、ステップS114では、移動距離計算部14が、ユーザの歩行した歩数と、予めユーザによって入力されているユーザの歩幅とから、移動距離を計算する。この場合、移動距離は、次式(1)から計算することが可能である。
(移動距離)=(歩数)×(歩幅) …(1)
【0034】
次いで、ステップS116では、相対経路計算部16が、ステップS110において検出された相対方位と、ステップS114で計算された移動距離とから、ユーザの位置を相対座標系(歩き始めの位置を原点(0,0)とする距離を示すXY座標系)上の値として計算する。
【0035】
具体的には、図4に示すように、磁北(磁石のN極が指し示す方向)を基準とした携帯電話100の示す相対方位(角度)をθi(ステップS110において検出される方位)、歩幅をLとすることにより、ユーザの相対位置Xi+1、Yi+1は、直前の位置Xi,Yiを用いて、次式(2),(3)のように表すことができる。
Xi+1=Xi+Lcos(90−θi) …(2)
Yi+1=Yi+Lsin(90−θi) …(3)
【0036】
なお、歩き始めの位置座標(X0、Y0)が(0,0)であるので、1歩目における相対位置X1、Y1は、次式(2)’、(3)’にて表される。
X1=Lcos(90−θ1) …(2)’
Y1=Lsin(90−θ1) …(3)’
【0037】
上記のような図2のステップS10(図3のサブルーチン)を、加速度センサ40において検出される加速度から算出される歩数情報に基づいて、1歩歩くごとに実行すれば、携帯電話100を保持するユーザの移動経路(相対経路)を取得することができる。
【0038】
図2に戻り、次のステップS12では、相対経路計算部16が、歩数増加分が閾値Mを超えたか否かを判断する。ここでの閾値Mは例えば8(歩)であるものとする。このステップS12の判断が否定されると、ステップS14に移行し、移動距離計算部14が、加速度センサ40をモニタすることにより、ユーザが現在歩行中であるか否かを判断する。ここでの判断が肯定された場合にはステップS10に戻る。
【0039】
その後、ステップS12の判断が肯定されるまで(8歩歩くまで)、又はステップS14の判断が否定されるまで(ユーザが歩行を中止するまで)、ステップS10、S12、S14の処理・判断を繰り返す。
【0040】
上記処理・判断の結果、ステップS12の判断が肯定されると、ステップS16に移行する。なお、ここまでの処理により、図5の表に示すようなデータを取得することができる。図5の表では、データの取得日時、歩き始めからの歩数、方位角、座標値(Xi,Yi)が記録されている。なお、ユーザの歩幅は0.7mに設定されているものとする。
【0041】
次いで、図2のステップS16では、絶対位置取得部18が、GPS受信機59を用いて絶対位置(緯度及び経度で示される位置)を検出する。この検出結果は、図6の表に示すように、8歩目のGPS測位値として記録される。なお、実際にGPS測位を行う場合には、測位要求を受けてから測位結果が得られるまで、数秒の時間を要するが、ここでは説明の便宜上、測位要求の直後に測位結果が得られるものとして説明をする。
【0042】
次いで、ステップS18では、相対経路計算部16が歩数増加分をリセットする(歩数増加分8歩を0歩に戻す)。
【0043】
次いで、ステップS20では、ステップS16で検出される絶対位置の数が閾値Nを超えたか否かを判断する。ここでは、N=2であるものとし、絶対位置数が3になった場合に、ここでの判断が肯定されるものとする。この段階では、測定された絶対位置の数は1つのみであるので、判断は否定され、ステップS14の判断に移行する。
【0044】
このステップS14における判断が肯定されると、その後は、ステップS10、S12、S14のループを繰り返す。そして、再度、歩数8歩分の相対位置を取得すると、ステップS16において絶対位置を再度検出し、ステップS18、S20を経て、再度ステップS14に戻る。そして、同様の処理を繰り返すことにより、3つ目の絶対位置を検出すると、ステップS20の判断が肯定される。ここまでの処理では、図7に示すような矢印の連続で示される相対経路と、8歩歩くごとの絶対位置とが、取得されている。なお、以下においては、8歩目の相対位置をa’、そのとき測定された絶対位置をaと記述するものとする。また、16歩目の相対位置をb’、そのとき測定された絶対位置をb、24歩目の相対位置をc’、そのとき測定された絶対位置をcと記述するものとする(絶対位置a,b,cについては、図12(a)参照)。
【0045】
図2に戻り、ステップS22では、相対経路を絶対経路に変換するサブルーチンを図8のフローチャートに沿って実行する。このサブルーチンは、ステップS10で取得された相対経路を、実際にユーザが移動した経路(実際の移動経路(図12(a)、図12(b)参照))に近づけるための補正処理(ステップS130〜S136)と、補正処理後の経路を絶対座標系上に変換する処理(ステップS138)とを含んでいる。
【0046】
まず、ステップS130では、座標変換部20が、絶対位置(a,b,c)を相対経路と同じ座標系(距離を示すXY座標系)上の値に変換する。
【0047】
この場合、3点の絶対位置(a,b,c)のうち、最初に得られた点aのXY座標を(0,0)として、2番目、3番目に得られた点b、点cのXY座標を求めることとする。
【0048】
座標値の求め方は、以下のとおりである。
【0049】
一般的に、緯度・経度から距離を計算する方法は、公知の方法として、地球を真球と仮定して球面三角法を用いて計算する方法や、地上を平面と仮定して計算する方法などがあるが、本実施形態では、地上を平面と仮定する方法を採用する。
【0050】
図9には、2つの絶対位置a,bの関係が模式的に示されている。このうち、λは経度(rad)、φは緯度(rad)を意味しており、1番目に得られた絶対位置aの経度・緯度を(λ0、φ0)とし、これを原点(0,0)とすると、2番目に得られた絶対位置bの経度、緯度(λi、φi)は、(λi−λ0,φi−φ0)=(Δλ、Δφ)と表すことができる。
【0051】
この場合、2番目に得られた絶対位置bの相対座標(Δx、Δy)は、Aを地球の赤道半径(6378137m)とすると、次式(4)、(5)から算出することができる。
Δx=A×Δλ×cos(φi) …(4)
Δy=A×Δφ …(5)
【0052】
その他の絶対位置(c)についても、上記と同様にして、1番目に得られた絶対位置の経度・緯度(λ0、φ0)からのX軸(経度)方向、Y軸(緯度)方向の距離(m)を求めることで相対座標系上の値に変換する(XY座標化する)ことが可能である。また、相対座標変換の原点(0,0)として利用した(λ0、φ0)を基準絶対座標として、補正値保持部24に格納する。
【0053】
次いで、図8のステップS132では、方位補正値の計算処理のサブルーチンを実行する。この方位補正値の計算処理のサブルーチンは、図10、図11のフローチャートに沿って実行される。この方位補正値の計算方法は、絶対位置(GPS測位値)に誤差が含まれている場合に、特に有効な方法である。すなわち、GPS測位の場合、測位誤差(図12(a)において円ea,eb,ecにて示す)があるため、図12(a)に示すように、実際の測定位置a0,b0,c0からずれた位置をGPS測位値として出力してしまうことがあるが、以下に説明する方法を用いることで、当該測位誤差を考慮した方位補正値の計算を行うことが可能である。
【0054】
まず、図10のステップS152では、方位補正値計算部222が、N点(3点)の絶対位置の中から最も距離の離れた2点の方位角κを計算する。この方位角は、図12(a)の例では、点aと点cとを結ぶ実線(直線ac)の方位角を意味する。
【0055】
次いで、ステップS154では、方位補正値計算部222が、GPS誤差と、直線acの方位角κから、実際測定した2点(直線a0c0)の方位角が含まれるGPS方位角範囲を計算する。
【0056】
この場合、GPS誤差の半径をrとし、点a,点c間の距離をglとすると、GPS方位角範囲は次式(6)、(7)により計算することができる。
α=arcsin(r/(gl/2)) …(6)
κ−α≦GPS方位角範囲≦κ+α …(7)
【0057】
次いで、ステップS156では、方位補正値計算部222が、2点(a,c)をGPS測位したときの相対経路上の2点(a’,c’)がなす方位角が、式(7)のGPS方位角範囲に入るための回転角範囲(ta°以上tb°以下)を計算する。
【0058】
ここで、図12(b)に示すように、点aの座標を原点(0,0)とした場合の点cの座標を(Bx,By)とし、点aから点cへのベクトルをBとする。また、点a’の座標を原点(0,0)とした場合の点c’の座標を(Ax,Ay)とし、点a’から点c’へのベクトルをAとし、ベクトルAからベクトルBへの回転角を求める。
【0059】
ベクトルAの単位ベクトルを、AE=A/|A|、ベクトルBの単位ベクトルを、BE=B/|B|とすると、回転角ψは内積の公式、式(8)から求めることが出来る。
AE・BE=|AE|×|BE|×cos(ψ) ・・・(8)
ただし、ψの範囲は0°≦ψ≦180°である。また、回転方向は、AEとBEの外積を求めて、その符号で判断すればよい。
【0060】
したがって、回転角ψと、上式(6)から求められる角度αとを用いることにより、ta=ψ−α、tb=ψ+αとして表すことができる。
【0061】
次いで、図10のステップS158では、上記回転角範囲((ψ−α)°以上(ψ+α)°以下)において、GPS測位値(a,b,c)がなす方位角とGPS測位値に対応する相対位置(a’,b’,c’)がなす方位角の差、を最小にする回転角を計算するサブルーチンを実行する。ここでは、図11のフローチャートに沿った処理を実行する。
【0062】
まず、図11のステップS160では、方位補正値計算部222が、回転角の変数βをta(=ψ−α)に設定する。次いで、ステップS162では、GPS測位値(a,b,c)に対応する相対位置(a’,b’,c’)を、図13(a)に示すように、β°だけ回転する。この場合、回転前の座標を(x,y)、回転後の座標を(x’,y’)とすると、次式(9),(10)から計算することができる。
x’=x×cosβ−y×sinβ …(9)
y’=x×sinβ+y×cosβ …(10)
【0063】
次いで、ステップS164では、方位補正値計算部222が、図13(b)に示すように、絶対位置N点を繋いだ多角形(本実施形態では、3点の座標を繋いだ三角形)と、相対位置N点を繋いだ多角形(本実施形態では、3点の座標を繋いだ三角形)との対応する辺間の角度を算出する。すなわち、図14(a)に示す辺abと辺a’b’との間の角度γa、図14(b)に示す辺bcと辺b’c’との間の角度γb、図14(c)に示す辺caと辺c’a’との間の角度γcを算出する。そして、方位補正値計算部222は、各角度の合計(γa+γb+γc)を算出する。
【0064】
次いで、ステップS166では、方位補正値計算部222が、βをΔ(Δは例えば1°)だけインクリメントし、ステップS168に移行する。このステップS168では、方位補正値計算部222が、βがtb(=ψ+α)以下か否かを判断する。この判断が肯定された場合には、ステップS162に戻り、上述したのと同様にして、ステップS162→S164→S166の処理を、ステップS168の判断が否定されるまで繰り返し実行する。この処理の間は、相対経路を1°ずつずらしながら、角度の合計(γa+γb+γc)の算出を繰り返すことになる。
【0065】
その後、ステップS168の判断が否定されると、ステップS170では、方位補正値計算部222が、各角度の合計(γa+γb+γc)が最も小さくなる回転角β’を求め、その回転角β’を方位補正値として設定する。なお、ここで求められた方位補正値β’は、図1の補正値保持部24に格納される。その後は、図8のステップS134に移行する。
【0066】
次のステップS134では、距離補正値の計算処理のサブルーチンを実行する。このサブルーチンは、図15のフローチャートに沿って実行される。
【0067】
まず、図15のステップS182では、距離補正値計算部224が、相対経路を方位補正値β’で回転した回転済み相対経路(Rrとする)を計算する。
【0068】
次いで、ステップS184では、距離補正値計算部224が、N点(ここでは3点)の絶対位置(GPS測位値)の重心G(図16(a)参照)を計算する。当該重心Gは、点a,b,cのX座標の平均値、及びY座標の平均値から求めることができる。
【0069】
次いで、ステップS186では、距離補正値計算部224が、N点の絶対位置(GPS測位値)に対応する回転済み相対経路Rr上のN点(a’、b’、c’)の重心G’(図16(a)参照)を計算する。また、次のステップS188では、距離補正値計算部224が、図16(b)に示すように、回転済み相対経路の重心G’を絶対位置の重心Gに一致させた回転済み相対経路(Rr’とする)を計算する。
【0070】
次いで、ステップS190では、距離補正値計算部224が、倍率を示す変数εの値を、予め設定されている最小倍率saに設定する。ここで、最小倍率saは、例えば0.5であるものとする。なお、εの値の最大倍率tbも予め設定されており、例えば、2.0であるものとする。
【0071】
次いで、ステップS192では、距離補正値計算部224が、図17(a)に示すように、2つの重心を一致させた状態で(ずらさずに)、回転済み相対経路Rr’の経路長をε倍(0.5倍)する。そして、N点の絶対位置(GPS測位値)と、これに対応するε倍した回転済み相対経路Rr’上の点との間の距離(図17(b)に拡大して示す、点a、a’の間の距離da、点b、b’の間の距離db、点c、c’の間の距離dc)の合計を計算する。
【0072】
次いで、ステップS194では、距離補正値計算部224が、εを、Δ(Δは例えば0.1)だけインクリメントする。そして、次のステップS196では、距離補正値計算部224が、εが最大倍率tb以下であるかを判断する。ここでの判断が否定された場合には、ステップS192に戻る。その後は、εをΔずつ大きくしつつ、距離da、db、dcの合計値を計算する。
【0073】
その後、εが最大倍率tbを超えるとステップS196の判断が否定され、ステップS198に移行する。このステップS198では、距離補正値計算部224が、距離da、db、dcの合計値が最も小さい倍率ε’を決定し、これを距離補正値に設定する。その後は、図8のステップS136に移行する。なお、ここで決定された距離補正値ε’は、図1の補正値保持部24に格納される。
【0074】
上記のようにしてε’が算出されると、次のステップS136(図8参照)の座標補正値の計算サブルーチンを、図18〜図20のフローチャートに沿って実行する。
【0075】
まず、図18のステップS202では、座標補正値計算部226が、相対経路を方位補正値β’で回転し、さらに距離補正値ε’で拡縮した相対経路(Rr”とする)を計算する。このときの相対経路Rr”が、図21に示されている。
【0076】
次いで、ステップS204では、座標補正値計算部226が、N点(ここでは3点)の絶対位置(GPS測位値)の重心G(図21参照)を計算する。なお、図15のステップS184において求められている重心Gを記憶しておき、その値を読み出すこととしても良い。
【0077】
次いで、ステップS206では、座標補正値計算部226が、絶対位置(GPS測位値)N点(3点(点a,b,c))に対応する相対経路Rr”上のN点(3点(点a’,b’,c’))の重心G”(図21参照)を計算する。
【0078】
次いで、ステップS208では、座標補正値計算部226が、図21に示される絶対位置(GPS測位値)の重心Gと相対経路Rr”上の点の重心G”との差分(Δcx,Δcy)(ΔcxはX軸上の差分、ΔcyはY軸上の差分)を計算する。また、座標補正値計算部226は、相対経路Rr”上の重心G”を重心Gに一致させた相対経路(Rr”’とする)を計算する。
【0079】
次いで、ステップS210では、X軸方向の座標補正値を計算するサブルーチンを、図19のフローチャートに沿って実行する。
【0080】
まず、ステップS220では、座標補正値計算部226が、移動幅deltxの初期値に−(GPS誤差半径r)を代入する。次いで、ステップS222では、座標補正値計算部226が、相対経路(Rr”’)上のN点(3点a’、b’、c’)のX座標にdeltxを加え(相対経路Rr”’をX方向にずらし)、絶対位置(GPS測位値)N点(3点a,b,c)との距離の合計を求める。
【0081】
次いで、ステップS224では、座標補正値計算部226が、deltxをdxでインクリメントする。この場合のdxとしては、0.1などの値を採用することができる。
【0082】
次いで、ステップS226では、座標補正値計算部226が、deltxがGPS誤差半径(+r)以下であるか否かを判断する。ここでの判断が肯定された場合には、ステップS222に戻り、以降deltxを増加させつつ、相対経路(Rr”’)をずらし、点a点a’間、点b点b’間、点c点c’間の距離の合計を算出する。
【0083】
そして、ステップS226の判断が否定された段階で、ステップS228に移行する。ステップS228では、座標補正値計算部226が、距離の合計が最も小さくなるdeltx(以下、deltx’と記述する)を特定し、deltx’にΔcxを加算したもの(Δcx+deltx’)をX軸方向座標補正値とする。なお、ここで求められたX軸方向座標補正値(Δcx+deltx’)は、図1の補正値保持部24に格納される。その後は、図18のステップS212に移行する。
【0084】
次のステップS212では、Y軸方向の座標補正値を計算するサブルーチンを、図20のフローチャートに沿って実行する。
【0085】
まず、図20のステップS240では、座標補正値計算部226が、相対経路Rr”’をX軸方向の座標補正値(Δcx+deltx’)で補正した相対経路Rr””を計算する。
【0086】
次いで、ステップS242において、座標補正値計算部226が、移動幅deltyの初期値に−(GPS誤差半径r)を代入する。次いで、ステップS244では、座標補正値計算部226が、相対経路(Rr””)上のN点(3点a’、b’、c’)の座標のY座標にdeltyを加え(相対経路Rr””をY方向にずらし)、絶対位置(GPS測位値)N点(3点a,b,c)との距離の合計を求める。
【0087】
次いで、ステップS246では、座標補正値計算部226が、deltyをdyでインクリメントする。この場合のdyとしては、0.1などの値を採用することができる。
【0088】
次いで、ステップS248では、座標補正値計算部226が、deltyがGPS誤差半径(+r)以下であるか否かを判断する。ここでの判断が肯定された場合には、ステップS244に戻り、以降deltyを増加させつつ、相対経路(Rr””)をずらし、点a点a’間、点b点b’間、点c点c’間の距離の合計を算出する。
【0089】
そして、ステップS248の判断が否定された段階で、ステップS250に移行する。ステップS250では、座標補正値計算部226が、距離の合計が最も小さくなるdelty(delty'と記述する)を特定し、delty’に前述したΔcyを加算したもの(Δcy+delty’)をY軸方向座標補正値とする。なお、ここで求められたY軸方向座標補正値(Δcy+delty’)は、図1の補正値保持部24に格納される。以上の処理により、図18の全処理(図8のステップS136の処理)は終了するので、図8のステップS138に移行する。なお、図18のフローチャートでは、ステップS210の処理と、ステップS212の処理の実行順を逆にしても良い。
【0090】
次のステップS138では、絶対座標への変換処理サブルーチンを図22のフローチャートに沿って実行する。
【0091】
まず、図22のステップS262では、補正値適用部228が、相対経路(Rr)を方位補正値β’で回転する。この場合の回転には、上述した式(9)、(10)を用いることができる。この処理において、例えば方位補正角が90°であった場合には、図5の表の座標値x,yが、図23(a)に示すように変換される。
【0092】
次いで、図22のステップS264では、補正値適用部228が、距離補正値ε’で、ステップS262において回転された相対経路を拡縮する。この場合、回転された相対経路における各座標点の値に、距離補正値ε’を積算すれば良い。この処理において、例えば距離補正値ε’が1.1であった場合には、図23(a)の座標値x,yが、図23(b)に示すように変換される。
【0093】
次いで、図22のステップS266では、補正値適用部228が、ステップS264において拡縮した相対経路を、座標補正値(Δcx+deltx’及びΔcy+delty’)で拡縮済みの相対経路を並行移動する(座標値に座標補正値を加算する)。この処理において、Δcx+deltx’が−0.2で、Δcy+delty’が−2.0であった場合には、図23(b)の座標値x,yが、図24(a)に示すように変換される。
【0094】
そして、図22のステップS268では、座標変換部20が、ステップS262〜S266を経て補正された相対経路を、経度・緯度に変換する。補正後の相対経路は、距離を示すXY座標であることには変わりないので、これを経度・緯度に変換するためには、図9の模式図より、次式(11)、(12)を用いることができる。
λi=Δx/(A×cosφ0)+λ0 …(11)
φi=Δy/A+φ0 …(12)
ここで、(λ0、φ0)は絶対座標を相対座標変換時に用いた、1番目に得られた絶対位置aの経度・緯度であり、補正値保持部24に格納されていたものを取り出して使用する。
【0095】
以上の処理により、図24(a)の座標値x,yは、図24(b)に示すように、緯度及び経度に変換される。
【0096】
以上のようにして、ステップS268まで終了すると、図8の全処理も終了するので、図2のステップS22を終了して、ステップS24に移行する。
【0097】
次のステップS24では、経路情報保持部26(図1参照)が、座標変換部20により変換された経路情報(絶対移動経路)を保存する。この経路情報は、図24(b)の表のうちの、少なくとも時刻と、緯度情報、経度情報とを含んでいる。
【0098】
次いで、ステップS28では、絶対位置取得部18が、絶対位置数をリセットし、次のステップS30では、相対経路計算部16が、相対経路情報をリセットする。そして、次のステップS32では、移動距離計算部14が、現在ユーザが歩行中であるか否かを判断する。ここでの判断が肯定された場合には、ステップS10に戻り、否定された場合には、図2の全処理を終了する。
【0099】
一方、上述した処理の間において、ステップS14の判断が否定された場合(歩行が中止された場合)には、図2において破線で囲まれた歩行停止処理を実行する。
【0100】
この歩行停止処理では、まず、ステップS34において、相対経路計算部16が相対経路情報を有しているか否かを判断する。ここでの判断が否定されると、歩行停止処理が終了するが、判断が肯定された場合にはステップS36に移行する。
【0101】
ステップS36では、補正値と基準絶対座標があるか否かを判断する。ここでの判断が否定されると、歩行停止処理が終了するが、肯定された場合にはステップS38に移行する。
【0102】
ステップS38では、補正値適用部228が、相対経路座標を補正値保持部24に格納されている補正値を用いて補正するとともに、座標変換部20が、補正後の相対経路座標を絶対座標に変換する。
【0103】
次いで、ステップS40では、上記ステップS38で求められた経路情報(絶対座標)を経路情報保持部26に保存する。そして、次のステップS42では、相対経路計算部16が、相対経路情報をリセットすることにより、歩行停止処理の全処理を終了する。
【0104】
なお、以上の処理において取得される経路情報(絶対移動経路)は、その更新がなされる度に、あるいはユーザからの指示に応じて適宜、携帯電話100の画面上に表示されるようになっている。
【0105】
以上詳細に説明したように、本第1の実施形態によると、携帯電話100に予め定められた基準軸が指し示す方位を地磁気センサ30を用いて検出した結果と、ユーザの移動距離(予め設定されている歩幅×加速度から検知されるユーザの歩数)を検出した結果とからユーザの相対経路を算出するとともに、所定の歩数(例えば8歩)歩くたびに、絶対座標上における携帯電話100の絶対位置をGPSを用いて測位する。そして、その測位された絶対位置の数が所定の数、例えば3つ、に達した場合に、その絶対位置(a,b,c)と当該絶対位置を測位した時点における相対経路上の相対位置(a’,b’,c’)との関係から補正値(β’、ε’、Δcx+deltx、Δcy+delty)を算出し、当該補正値と相対経路とから、絶対座標上におけるユーザの絶対移動経路を算出する。このように、絶対位置(a,b,c)とこれに対応する相対位置(a’,b’,c’)との関係から、相対経路を、本来の移動経路(絶対移動経路)に近づけるための補正値を算出することができるので、ユーザによる端末の保持状態(ユーザが進む方向と、携帯電話の指し示す方向が異なる場合など)等に関わらず、ユーザの絶対移動経路を高精度に算出することができる。
【0106】
また、本第1の実施形態によると、GPSによる絶対位置の計測が、ユーザの移動距離(歩数)が規定値(閾値M)に達するごとに実行される。このため、適切なタイミングで絶対位置の取得、及び当該絶対位置を用いた相対経路の補正を行うことが可能である。
【0107】
また、本第1の実施形態では、所定歩数(例えば24歩)歩いている間に相対経路を取得するとともに、所定の数、例えば3つ、の絶対位置を取得し、当該所定の数の絶対位置とこれに対応する相対位置とを用いて算出される補正値を用いて相対経路を補正する。そして、新たに所定歩数(24歩)歩いた場合には、その間に取得された所定の数の絶対位置から新たに算出される補正値を用いて新たに取得された相対経路を補正する。このように本第1の実施形態によると、常に、直近で更新された新たな補正値を用いて相対経路を補正することができるので、高精度な相対経路の補正を行うことが可能である。
【0108】
また、本第1の実施形態によると、方位を補正するための方位補正値、移動距離を補正するための距離補正値、及び座標値を補正するための座標補正値を算出するので、相対経路を絶対移動経路に近づけるための回転、拡大縮小、平行移動を簡易に行うことができる。これにより高精度な相対経路の補正を行うことが可能である。なお、補正値は、上記3つの補正値に限られるものではなく、少なくとも2つの絶対位置とこれに対応する相対位置とにより求められる補正値であれば種々の補正値を用いることとしても良い。また、方位、距離のいずれかが誤差なく正確に測定できるなどの場合には、方位補正値又は距離補正値のいずれかを用いないこととしても良い。
【0109】
また、本第1の実施形態によると、最も距離の離れた2つの絶対位置のなす方位角κと、絶対位置の測位誤差から算出される絶対位置方位角範囲内((κ−α)以上(κ+α)以下)に、対応する2つの相対位置のなす方位角が含まれるように、相対経路を回転し、絶対位置を繋いで形成される図形と、対応する相対位置を繋いで形成される図形のうち、対応する辺間の角度の合計値が最も小さくなる回転角β’を方位補正値とするので、絶対位置に誤差が含まれるGPSのような測位装置を用いる場合でも、方位補正値として適した値を決定することが可能である。
【0110】
また、本第1の実施形態によると、相対経路を、方位補正値β’で回転し、測位した絶対位置を繋いで形成される図形の重心Gと、対応する相対位置を繋いで形成される図形の重心G’とを一致させた状態で、相対位置の図形を拡大縮小して、絶対位置とこれに対応する相対位置との間の距離の合計が最小となる拡大縮小率ε’を求め、これを距離補正値とするので、絶対位置に誤差が含まれるGPSのような測位装置を用いる場合でも、距離補正値として適した値を決定することが可能である。
【0111】
また、本第1の実施形態によると、相対経路を、方位補正値β’で回転するとともに、距離補正値ε’で拡大縮小した状態で、絶対位置を繋いで形成される図形の重心Gと、対応する相対位置を繋いで形成される図形の重心G”とを一致させるのに必要な移動量(Δcx,Δcy)を算出し、重心G,G”を一致させた状態から、対応する絶対位置及び相対位置の間の距離の合計を最小とするのに必要な相対経路の微小移動量(deltx'、delty')を決定する。そして、移動量(Δcx,Δcy)と微小移動量(deltx'、delty')の和を、座標補正値とするので、絶対位置に誤差が含まれるGPSのような測位装置を用いる場合でも、座標補正値として適した値を決定することが可能である。
【0112】
(検出手順に関する変形例1)
上記第1の実施形態では、移動距離が規定数(歩数が閾値M)に達したときに、絶対位置を取得(測位)する場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、ユーザが曲がり角を曲がるなどして、方位の変化量が規定値(例えば90°)に達した場合に、絶対位置を検出するようにしても良い。この場合、歩数(移動距離)と方位の変化量を併用し、これらのうちのいずれかが規定値を超えた場合に、絶対位置を検出するようにしても良い。また、これらに代えて、例えば、所定時間経過するごとに絶対位置を検出するようにしても良い。いずれの方法を採用しても、適切な間隔で絶対位置の検出を行うことが可能である。
【0113】
(検出手順に関する変形例2)
また、上記第1の実施形態では、ユーザが所定歩数(例えば24歩)歩いた段階で作成された相対経路を、当該相対経路から算出される補正値を用いて補正し絶対移動経路を算出する(すなわち、所定歩数(例えば24歩)歩くまでは、その間の絶対移動経路は算出されない)こととしたが、これに限られるものではない。例えば、図2の処理に代えて、図25のフローチャートに示すような流れの処理を実行することとしても良い。
【0114】
この図25の処理では、まず、ステップS1010において、図2のステップS10と同様に相対経路作成処理を実行する。次いで、ステップS1012では、補正値保持部24に補正値と絶対座標値が存在するか否かを判断する。ここでの判断が否定された場合には、ステップS1014に移行し、図2のステップS12と同様、歩数増加分が閾値Mを超えたか否かを判断する。ここでの判断が否定された場合(歩数増加分が閾値Mを超えていない場合)には、ステップS1034に移行して、歩行中か否かを判断し、ここでの判断が肯定されると、ステップS1010に戻る。すなわち、歩数増加分が閾値Mを超えるまでは、ステップS1010→S1012→S1014→S1034の処理・判断を繰り返す。
【0115】
そして、ステップS1014の判断が肯定されると、ステップS1016、S1018において、図2のステップS16、S18と同様の処理(絶対位置の検出及び歩数増加分のリセット)を実行する。
【0116】
次いで、ステップS1020では、図2のステップS20と同様、絶対位置の数が閾値N(Nは例えば2)を超えたか否かを判断する。ここでの判断が否定された場合には、ステップS1034に移行し、歩行中か否かを判断する。その後は、これまでと同様の処理を繰り返す。
【0117】
そして、絶対位置の数が閾値N(=2)を超えた段階で、ステップS1024に移行する。ステップS1024では、図2のステップS22と同様の処理(相対経路を絶対経路に変換する処理)を実行し、ステップS1026では、補正値と基準絶対座標を補正値保持部24に格納する。
【0118】
次いで、ステップS1028、S1030では、図2のステップS28、S30と同様の処理(リセット処理)を実行し、次のステップS1034において、歩行中であるか否かを判断する。
【0119】
本変形例では、ステップS1024において、補正値と基準絶対座標値が補正値保持部24に格納されると、次回以降ステップS1012に移行した際には、判断が肯定されることになる。それ以降は、補正値保持部24に格納されている補正値と基準絶対座標値を用いて、相対経路を絶対座標に変換するとともに(ステップS1036)、当該変換された経路情報(絶対移動経路)を、経路情報保持部26に保存する(ステップS1038)。
【0120】
以上のように、ユーザが歩行を中止するまでの間、1度算出した補正値及び基準絶対座標を、それ以降の処理においても使い続けることとしているので、相対経路が作成されるごとに補正値及び基準絶対座標を更新する場合と比べて、計算量を少なくすることができる。また、相対経路が作成されるたびに、絶対座標への変換処理を行うことができるので、ほぼリアルタイムにて絶対経路を得ることが可能である。
【0121】
なお、上記方法に限らず、例えば、補正値と基準絶対座標値を算出したら、次に絶対位置がN個たまるまで、その補正値及び基準絶対座標値を用いて、ほぼリアルタイムにて絶対移動経路を仮に更新することとしても良い。この場合、絶対位置がN個たまった時点で算出される新たな補正値と基準絶対座標値を用いて真の絶対移動経路を算出することとし、当該真の絶対移動経路で、仮に更新されていた絶対移動経路を更新して、携帯電話100の画面上に表示することとしても良い。
【0122】
(方位補正値算出方法の変形例)
なお、上記第1の実施形態では、方位補正値の算出方法として、図11〜図14に示すような方法を採用した場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、GPS測位値に測位誤差が無いような場合には、図26のフローチャートに基づく方位補正値の算出を行うことができる。
【0123】
すなわち、図26に示すように、ステップS1050において、N点(例えば3点)の絶対位置(GPS測位値)の中から最も距離の離れた2点(図27に示す点a、c)を選択し、ステップS1052において、最も離れた2点の絶対位置に対応する相対経路上の2点(図27に示す点a’、c’)を選択する。そして、次のステップS1054において、相対経路上の2点(点a’,c’)がなす方位角を2点の絶対位置(点a,c)がなす方位角に一致させる回転角ηを計算し、当該回転角ηを方位補正値とする。このような方位補正値の算出方法を採用することで、測位誤差が無い場合には、高精度かつ簡易に方位補正値を算出することができる。
【0124】
(距離補正値算出方法の変形例1)
上記第1の実施形態では、距離補正値ε’を、図15〜図17に示すようにして算出することとしたが、例えば、図28のフローチャートに沿った方法で距離補正値を算出することとしても良い。
【0125】
図28の方法では、まず、ステップS1060において、距離補正値計算部224が、絶対位置(GPS測位値)N点の中から最も距離の離れた2点の絶対位置(図29(a)では、点a、点c)を選択し、各点間の距離faを計算する。
【0126】
次いで、ステップS1062では、距離補正値計算部224が、GPS距離範囲を計算する。この場合、GPS誤差範囲が半径rの範囲とされているので、GPS距離範囲は、
fa−2r≦GPS距離範囲≦fa+2r …(13)
となる。なお、GPS距離範囲とは、GPS誤差範囲から計算される正解距離が含まれる範囲のことである。
【0127】
次いで、ステップS1064では、距離補正値計算部224が、絶対位置2点を計測したときの相対位置、すなわち、絶対位置2点に対応する相対経路上の2点間の距離(相対経路距離)を算出する。ここでは、図29(b)に示す点a’、点c’間の距離fbを算出する。
【0128】
次いで、ステップS1066では、距離補正値計算部224が、相対経路距離fbとGPS距離範囲の最大値(fa+2r)を比較し、相対経路距離fbがGPS距離範囲の最大値(fa+2r)を超えているか否かを判断する。ここでの判断が肯定された場合には、ステップS1068に移行し、距離補正値計算部224が、距離補正値ε’を次式(14)にて算出する。
ε’=(fa+2r)/fb …(14)
【0129】
一方、ステップS1066での判断が否定された場合には、ステップS1070に移行する。このステップS1070では、距離補正値計算部224が、相対経路距離fbとGPS距離範囲の最小値(fa−2r)を比較し、相対経路距離fbがGPS距離範囲の最小値(fa−2r)よりも小さいか否かを判断する。ここでの判断が否定された場合には、ステップS1072に移行して、距離補正値ε’を「1」に設定する。なお、ここでは距離補正値ε’を1に設定することとしたが、これに限らず、例えば、ε’として、GPS距離(fa)を相対経路距離(fb)で除した値を採用することとしても良い。
【0130】
これに対し、ステップS1070の判断が肯定された場合には、ステップS1074に移行し、距離補正値計算部224が、距離補正値ε’を次式(15)にて算出する。
ε’=(fa−2r)/fb …(15)
【0131】
以上のような方法を採用しても、GPS距離範囲と相対経路距離との関係に応じて、距離補正値ε’の算出方法を変更するので、距離補正値の算出を適切に行うことが可能である。
【0132】
(距離補正値算出方法の変形例2)
距離補正値の算出方法は、上記第1の実施形態及び上記変形例1の方法に限られるものではなく、例えば、GPS測位値に測位誤差が無いような場合には、図30のような距離補正値の算出を行うことも可能である。
【0133】
すなわち、GPS測位値に測位誤差が無ければ、上述したGPS距離範囲を考慮する必要が無い。したがって、このような場合には、図30(a)に示すように、点ac間の距離(GPS距離)faを算出するとともに、図30(b)に示すように、点a’c’間の距離(相対経路距離)fbを算出し、これらの値から距離補正値ε’を次式(16)に基づいて算出することとしても良い。
ε’=fa/fb …(16)
このような距離補正値の算出方法を採用することで、測位誤差が無い場合であれば、簡易且つ高精度に距離補正値を算出することが可能である。
【0134】
(座標補正値算出方法の変形例)
上記第1の実施形態では、座標補正値の算出方法として、図18〜図21に示すような方法を採用した場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、GPS測位値に測位誤差が無いような場合には、図18のステップS204で計算された重心Gの座標とステップS206で計算された重心G”の座標との差分Δcx、Δcyをそのまま座標補正値に設定することとしても良い。
【0135】
なお、上記第1の実施形態では、図2のステップS20において、絶対位置の数が閾値2を超えた場合、すなわち絶対位置数が3になった場合に、相対経路を絶対経路に変換する処理(ステップS22)を行う場合について説明したが、これに限られるものではなく、閾値は1であっても良い。すなわち、絶対位置数が2になった場合に、相対経路を絶対経路に変換する処理(ステップS22)を行うこととしても良い。この場合、絶対位置(又は相対位置)の重心は、2点間の中点になる。また、例えば、絶対位置数が4や5になった場合にステップS22に移行するようにしても良い。この場合には、図13(b)、図16、図17、図21において対比に用いていた三角形が、四角形や五角形になるが、各辺間の角度(及びその合計)や各点の距離(及びその合計)の比較に関しては、上記第1の実施形態と同様の方法を採用することができる。
【0136】
なお、上記第1の実施形態では、歩数の閾値Mとして8歩を採用しているが、これに限らず、種々の歩数を閾値Mとして設定することができる。この場合、歩き始めからの合計歩数が少ない場合には閾値Mを大きくするなど、閾値Mの値を状況に応じて変動させるような制御を行っても良い。
【0137】
≪第2の実施形態≫
以下、本発明の第2の実施形態について、図31〜図38に基づいて詳細に説明する。
【0138】
図31には、道路上の車両の位置を標定し、標定した位置に応じて車両に対する情報提供・警告・介入制御を行う先進安全サービスシステムの一例が示されている。この先進安全サービスシステムは、路上に設置された道路側装置(光ビーコン)90を含んでいる。この光ビーコン90は、当該光ビーコン90の直下を通過した車両に搭載された移動端末としての車載機60(図32参照)との間で通信する。光ビーコン90は、この通信により、車両の絶対位置情報(車両の位置する緯度・経度情報、及びいずれの車線を走行しているかなどの情報)を車載機60に通知する。
【0139】
図32には、光ビーコン90の構成、及び車載機60の構成がブロック図にて示されている。
【0140】
この図32に示すように、光ビーコン90は、車載機60に対して光信号を発信(投光)するとともに、車載機60側から発信された光信号を受信(受光)する投受光機80と、投受光機80を介した車載機60との間の通信を制御する通信制御部82とを有している。
【0141】
車載機60は、受光装置70と、データ受信部74と、投受光機下位置算出部72と、ジャイロセンサ76と、車速パルス78と、絶対移動経路算出装置としての車両経路算出部50’とを有している。
【0142】
受光装置70は、光ビーコン90からの光信号を受光するものであり、データ受信部74は、光ビーコン90から受光装置70を介して各種情報を受け取るものであり、投受光機下位置算出部72は、受光装置70の光の受信状態によって車両が光ビーコン90の真下であることを算出(検知)すると、データ受信部74で受け取ったデータ(ダウンリンク送信データ)から光ビーコン90の絶対位置情報を抽出する。
【0143】
車両経路算出部50’は、投受光機下位置算出部72で抽出された絶対位置の情報と、ジャイロセンサ76や車速パルス78による検出結果から自律航法により得られる相対経路の情報と、から車両位置を計算する。この車両経路算出部50’は、上記第1の実施形態における絶対移動経路算出装置50(図1参照)と同様の構成を有している。なお、図32では、図1の構成と同一又は同等の構成には、図1の符合に「’」を付加したものを付している。
【0144】
この車両経路算出部50’は、より具体的には、データ受信部74で受け取ったデータのうち、投受光機下位置算出部72にて抽出された絶対位置情報を抽出する絶対位置取得部18’と、ジャイロセンサ76を用いて車両の方位を取得する方位取得部12’と、車速パルス78を用いて車両の走行距離を取得する移動距離計算部14’と、方位取得部12’で取得された方位と移動距離計算部14’で計算された距離から相対経路を計算する相対経路計算部16’と、絶対位置座標の座標系と相対経路の座標系の相互の変換を行う座標変換部20’と、絶対位置取得部18’で取得された絶対位置と相対経路計算部16’で計算された相対経路から補正値を計算するとともに、当該補正値で相対経路を補正する補正値計算処理部22’と、補正値計算処理部22’で補正された相対経路を座標変換部20’で絶対座標に変換した結果を保持する経路情報保持部26’、を有している。
【0145】
次に、上記車載機60及び光ビーコン90を用いた処理の流れについて、図33〜図38のフローチャートに沿って説明する。図33のフローチャートは、車両が走行を開始したことを、車速パルス78を介して移動距離計算部14’が検出した時点から開始される。
【0146】
図33のステップS502では、相対経路作成サブルーチンを、図34のフローチャートに沿って実行する。このサブルーチンでは、まず、ステップS530(図34参照)において、方位取得部12’が、車両の方位角Δθiを、ジャイロセンサ76の検出結果に基づいて取得する。
【0147】
次いで、ステップS532では、移動距離計算部14’が、車両の走行開始からの移動距離ΔLiを車速パルス78の検出結果に基づいて取得する。
【0148】
次いで、ステップS534では、相対経路計算部16’が、ステップS530、S532における取得結果に基づいて、車両の相対位置の計算を行う。
【0149】
この場合、現在の車両の方位θiは、直前の車両の方位をθi-1とすると、次式(17)にて求めることができる。
θi=θi-1+Δθi …(17)
【0150】
また、現在の車両の相対位置(Xi,Yi)は、直前の車両の相対位置を(Xi,Yi)とすると、次式(18)、(19)にて求めることができる。
Xi=Xi-1+ΔLicos(90−θi) …(18)
Yi=Yi-1+ΔLisin(90−θi) …(19)
【0151】
ここで、i=1の場合には、Δθiの初期値(ジャイロセンサ76の初期値)Δθ1が必要となる。本第2の実施形態では、初期値Δθ1を、例えば、一定値(例えば0)としても良いし、ユーザに任意の方位を入力させることとしても良い。
【0152】
図33に戻り、次のステップS504では、投受光機下位置算出部72が、光ビーコン90のダウンリンク送信データを受信したか否かを判断する。この判断が肯定された場合には、次のステップS506において、投受光機下位置算出部72が、当該データ受信が1つ目の光ビーコンからのものであるか否かを判断する。ここでの判断が肯定されると、ステップS508において、投受光機下位置算出部72が、ダウンリンク送信データ中の絶対位置情報を絶対位置1に設定し、当該絶対位置が取得されたときの相対経路情報(絶対位置1に対応する相対位置)とともに保持する。
【0153】
その後、ステップS502の処理及びステップS504の判断が実行されるが、ステップS504の判断が否定されると、ステップS522に移行する。このステップS522では、補正値と基準絶対座標が存在するか否かを判断する。ここでの判断が否定された場合には、ステップS502に戻る。その後は、ステップS502→S504→S522を繰り返し、ステップS504において判断が肯定されると、次のステップS506の判断は否定され(2つ目の光ビーコンからのダウンリンク送信データを受信した後であるため)、ステップS510に移行する。
【0154】
このステップS510では、投受光機下位置算出部72が、ダウンリンク送信データ中の絶対位置情報を絶対位置2に設定し、当該絶対位置が取得されたときの相対経路情報(絶対位置2に対応する相対位置)とともに保持する。
【0155】
次いで、ステップS512では、相対経路を絶対座標化するサブルーチンを実行する。このサブルーチンでは、まず、図35のステップS540において、座標変換部20’が、絶対座標1,2をXY座標化する。この場合、例えば、絶対位置2の座標を基準絶対位置座標とし、(0,0)に設定し、上述した第1の実施形態と同様、絶対位置1と2との間の距離と位置関係に基づいてXY座標化を行う。なお、XY座標化を行う場合、通常、車両の移動距離は人の移動距離よりもはるかに長いので、緯度経度から距離を算出する場合には、球面三角法や、地球を楕円回転体とみなした計算方法などを採用するのが好ましいが、絶対位置1,2間の距離が短い場合は、上記第1の実施形態と同様、地球を平面と仮定する算出方法を採用することとしても良い。
【0156】
次いで、ステップS542では、方位補正値の計算サブルーチンを実行する。このサブルーチンでは、図36のステップS560において、方位補正値計算部222’が、絶対位置1に対応する相対位置及び絶対位置2に対応する相対位置を選択する。次いで、ステップS562では、相対位置2点のなす方位角が、絶対位置1,2がなす方位角と一致するような回転角β’を計算する。このようにして計算された回転角β’が方位補正値となる。なお、本第2の実施形態では上述した第1の実施形態と異なり、補正値の算出方法が簡易であるが、これは、正確な絶対位置を光ビーコンを通して得ることが出来るからである。
【0157】
図35に戻り、次のステップS544では、距離補正値計算部224’が距離補正値の計算サブルーチンを実行する。このサブルーチンでは、図37のステップS570において、距離補正値計算部224’が、絶対位置1,2の間の距離(絶対位置間距離)を計算する。
【0158】
次いで、ステップS572では、距離補正値計算部224’が、絶対位置1に対応する相対位置と、絶対位置2に対応する相対位置との間の距離(相対位置間距離)を計算する。
【0159】
次いで、ステップS574では、距離補正値計算部224’が、距離補正値ε’を次式(20)に基づいて、計算する。
ε’=絶対位置間距離/相対位置間距離 …(20)
【0160】
その後は、図35のステップS546に移行する。
【0161】
次のステップS546では、座標補正値の計算及び補正済みの相対経路の計算サブルーチンを実行する。このサブルーチンでは、図38のステップS580において、座標補正値計算部226’が、相対経路を方位補正値β’で回転補正するとともに、距離補正値ε’で拡大縮小補正することにより、補正後の相対経路を計算する。
【0162】
次いで、ステップS582では、座標補正値計算部226’が、絶対位置1、2間の重心座標Gを計算する。この場合、絶対位置1,2を結ぶ線分の中点が重心座標Gとなる。
【0163】
次いで、ステップS584では、座標補正値計算部226’が、絶対位置1に対応する相対位置と、絶対位置2に対応する相対位置との重心座標G’を計算する。この場合、相対位置2点を結ぶ線分の中点が重心座標G’となる。
【0164】
次いで、ステップS586では、座標補正値計算部226’がX軸方向の補正座標値を次式(21)を用いて算出する。
X軸方向の補正座標値=重心GのX座標−重心G’のX座標 …(21)
【0165】
また、次のステップS588では、座標補正値計算部226’がY軸方向の補正座標値を次式(22)を用いて算出する。
Y軸方向の補正座標値=重心GのY座標−重心G’のY座標 …(22)
【0166】
なお、ステップS586とステップS588の順序を入れ替えて実行することとしても良い。
【0167】
次いで、ステップS590では、補正値適用部228’が、ステップS580で補正した補正後の相対経路の座標値にX軸方向の補正座標値、Y軸方向の補正座標値を加算し、補正済み相対経路を算出する。その後は、図35のステップS548に移行する。
【0168】
次のステップS548では、座標変換部20’が、前述したステップS590において算出された補正済み相対経路を絶対位置1、2を基準に絶対座標に変換する。この場合の変換には、前述した方法と同様に、球面三角法や、地球を楕円回転体とみなした計算方法などを採用するのが好ましい。ただし、絶対位置間の距離が比較的短い場合には、上記第1の実施形態と同様、地球を平面と仮定する算出方法を採用することとしても良い。
【0169】
以上のようにして、図35の処理(ステップS512のサブルーチン)が終了すると、図33のステップS514に戻る。ステップS514では、経路情報保持部26’が、絶対座標に変換された補正済み相対経路を保存する。次いで、ステップS516では、方位補正値β’、距離補正値ε’、X軸方向の補正座標値、Y軸方向の補正座標値、及び基準絶対位置座標(ここでは、絶対位置2の値)を補正値保持部24’が保存する。
【0170】
次いで、ステップS518では、絶対位置取得部18’が、絶対位置1の値を絶対位置2の値と置き換え、絶対位置2をクリアする。またステップS520では、相対経路計算部16’が、現在の絶対位置1(以前の絶対位置2)に対応する相対位置情報を残して、他の相対経路情報を全てクリアし、ステップS502に戻る。
【0171】
その後、ステップS502において、相対経路作成サブルーチンを実行するとともに、ステップS504において、光ビーコン90のダウンリンク送信データを受信したか否かを判断し、ここでの判断が否定された場合には、ステップS522に移行する。ステップS522では、補正値と基準絶対座標があるか否かを判断するが、ここでは前述したステップS516において、補正値と基準絶対座標が補正値保持部24’に保存されているので、判断は肯定される。そして、ステップS524では、補正値適用部228’や座標変換部20’が、補正値と基準絶対座標を用い、相対経路を補正して絶対座標に変換する処理を実行し、ステップS526では、経路情報保持部26’が、絶対座標に変換された相対経路(絶対移動経路)を保存し、ステップS502に戻る。
【0172】
その後は、次に光ビーコン90からのダウンリンク送信データを受信した時点で、ステップS510〜ステップS520を実行することにより、新たな補正値及び新たな基準絶対座標を算出する。また、この算出の後、更にダウンリンク送信データを受信するまでの間は、この補正値及び基準絶対座標を用いて、相対経路の補正及び座標変換を行うこととしている。
【0173】
なお、本第2の実施形態では、上述したようにして経路情報保持部26’に保存される経路情報(絶対移動経路)は、車両内に設置されたカーナビゲーションシステムの表示画面に適宜表示されるようになっている。
【0174】
以上、詳細に説明したように、本第2の実施形態によると、車載機60が車両の進む方向をジャイロセンサ76を用いて検出した結果と、車両の移動距離を車速パルス78を用いて検出した結果とから車両の相対経路を算出するとともに、車両が光ビーコン90の直下を通過するたびに光ビーコンの絶対位置座標をダウンリンクデータとして受け取る。そして、その絶対位置の数が2つに達した場合に、絶対位置2点と当該絶対位置を測位した時点における相対位置2点との関係から補正値(β’、ε’、座標補正値)を算出し、当該補正値と相対経路とから、絶対座標上における車両の絶対移動経路を算出する。このように、絶対位置2点とこれに対応する相対位置2点との関係から、相対経路を、本来の移動経路(絶対移動経路)に近づけるための補正値を算出することができるので、ジャイロセンサ76の初期値がいかなる値であっても、ユーザの絶対移動経路を高精度に算出することができる。
【0175】
また、本第2の実施形態によると、高精度にユーザの絶対移動経路を算出することができるので、この絶対移動経路に基づいて、車両が右折レーンにいるかどうか、交差点に進入したかどうか、交差点内のどの位置にいるか、などの判断を行うことができる。したがって、これら判断した情報を用いることにより、先進安全サービスのより一層のサービス向上を図ることができる。
【0176】
また、本第2の実施形態によると、外部の送信機(光ビーコン90)から発信される位置情報(ダウンリンク送信データ)を受信するたびに、絶対位置情報を取得するので、適切なタイミングで、補正値の算出及び基準絶対位置座標の算出を行うことが可能である。
【0177】
また、本第2の実施形態によると、2つ目の光ビーコンからのダウンリンク送信データを受信するまでは、その前に算出した補正値と基準絶対座標を用いて、相対経路を補正し、座標変換するので、ほぼリアルタイムで、絶対位置の算出、経路情報(絶対移動経路)の表示等を行うことが可能である。
【0178】
なお、上記第2の実施形態では、光ビーコン90からのダウンリンク送信データが、2つ集まった段階で、補正値及び基準絶対座標を算出しなおす場合について説明したが、これに限られるものではない。すなわち、絶対位置がN個(N≧2)集まった段階で、それらのうちの2つの絶対位置、及びこれらに対応する2つの相対位置を用いて、補正値及び基準絶対座標を算出しなおすこととしても良い。
【0179】
なお、上記第2の実施形態では、光ビーコン90からの情報を用いて、車載機60が、車両の経路情報(絶対移動経路)を算出する場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、所定の端末に対して情報を発信する装置(例えば、RFIDに対して情報を送信する装置)からの情報に基づいて、RFIDを保有しているユーザの経路情報(絶対移動経路)を算出するなどのシステムにも、上記第2の実施形態を適用することが可能である。
【0180】
なお、上記各実施形態では、N点の絶対位置のうち、最も距離の離れた2点を主に用いた補正値の算出を行っているが、これに限らず、最も距離の離れた2点を用いずに、別の2点を用いることとしても良い。
【0181】
なお、上記各実施形態における絶対移動経路算出装置は、複数の装置(図1の各部、図32の各部に対応)を組み合わせることにより構成しても良いし、各装置を、CPU、ROM、及びRAMなどを組み合わせた計算機システムで構成し、上記各部の機能を計算機システムに内蔵されたプログラムによって実現することとしても良い。
【0182】
上述した各実施形態は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
【0183】
なお、以上の説明に関して更に以下の付記を開示する。
(付記1)所定のタイミングで、端末に予め定められた基準軸が指し示す方位を検出する方位取得部と、前記所定のタイミングで、前記端末の移動距離を検出する移動距離検出部と、前記方位取得部による検出結果と前記移動距離検出部による検出結果とを用いて、前記相対移動経路を算出し、該相対移動経路を記憶する相対移動経路取得部と、前記算出した相対移動経路の先頭位置に対応する絶対位置であって、緯度と経度により表される絶対座標上における前記端末の絶対位置を取得し、該絶対位置を記憶する絶対位置取得部と、前記絶対位置が所定回数記憶される度に、前記所定回数のうちの少なくとも2点の絶対位置と当該絶対位置に対応する相対位置との関係から補正値を算出し、当該補正値と前記相対移動経路とから、前記絶対座標上における前記端末の絶対移動経路を算出する絶対移動経路算出部と、を備える絶対移動経路算出装置。
(付記2)前記移動距離算出部は、前記所定のタイミングで、予め設定されている前記端末を保持するユーザの歩幅と、前記端末の加速度から検知されるユーザの歩数とから、前記端末の移動距離を検出することを特徴とする付記1に記載の絶対移動経路算出装置。
(付記3)前記絶対位置取得部が前記絶対位置を取得するタイミングは、前記端末の移動距離が規定値に達するごと、前記端末に予め定められた基準軸が指し示す方位の変化量が規定値に達するごと、外部の送信機から発信される位置情報を受信するごと、の少なくとも1つのタイミングを含むことを特徴とする付記1又は2に記載の絶対移動経路算出装置。
(付記4)前記補正値を算出した後は、前記補正値算出後に算出される相対経路と前記補正値とから仮の絶対位置経路を算出し、新たな補正値を算出した段階で、前記仮の絶対位置経路の算出に用いられた相対経路と前記新たな補正値とから真の絶対位置経路を算出することを特徴とする付記1〜3のいずれかに記載の絶対移動経路算出装置。
(付記5)前記絶対移動経路算出部が算出する補正値は、前記相対移動経路の方位を補正するための方位補正値、移動距離を補正するための距離補正値、及び座標値を補正するための座標補正値を含むことを特徴とする付記1〜4のいずれかに記載の絶対移動経路算出装置。
(付記6)前記絶対移動経路算出部は、前記所定回数の絶対位置のうちの2つの絶対位置を結ぶ直線がなす角度を算出するとともに、前記2つの絶対位置に対応する2つの相対位置のなす角度を算出し、前記2つの角度の差分値を、前記方位補正値とすることを特徴とする付記5に記載の絶対移動経路算出装置。
(付記7)前記絶対移動経路算出部は、前記所定回数の絶対位置のうちの2つの絶対位置を結ぶ直線がなす角度を算出するとともに、前記2つの絶対位置に対応する2つの相対位置のなす角度を算出し、前記2つの絶対位置を結ぶ直線がなす角度と、前記絶対位置取得部の測位誤差とから算出される絶対位置方位角範囲内に、前記2つの相対位置のなす角度が含まれるように、前記相対移動経路を回転し、前記所定回数の絶対位置を繋いで形成される図形と、前記所定回数の絶対位置に対応する相対位置を繋いで形成される図形の対応する辺間の角度の合計値が最も小さくなる回転角の値を求め、前記回転角の値を、前記絶対位置取得部が取得する絶対位置が誤差を含んでいる場合の前記方位補正値とすることを特徴とする付記5に記載の絶対移動経路算出装置。
(付記8) 前記絶対移動経路算出部は、前記所定回数の絶対位置のうちの2つの絶対位置間の距離である絶対位置間距離を取得するとともに、前記2つの絶対位置に対応する2つの相対位置間の距離である相対位置間距離を取得し、前記相対位置間距離に対する前記絶対位置間距離の比率を前記距離補正値とすることを特徴とする付記5〜7のいずれかに記載の絶対移動経路算出装置。
(付記9)前記絶対位置取得部が取得する前記絶対位置が誤差を含んでいる場合、前記絶対移動経路算出部は、前記所定回数の絶対位置のうちの2つの絶対位置間距離と前記絶対位置取得部の測位誤差とから算出される絶対位置間距離範囲内に、前記2つの絶対位置に対応する2つの相対位置間距離が含まれるか否かを判断し、その判断の結果、前記相対位置間距離が、前記絶対位置間距離範囲の最小値よりも小さい場合には、前記最小値の前記相対位置間距離に対する比率を前記距離補正値とし、前記相対位置間距離が、前記絶対位置間距離範囲の最大値よりも大きい場合には、前記最大値の前記相対位置間距離に対する比率を前記距離補正値とし、前記相対位置間距離が、前記絶対位置間距離範囲の最大値よりも小さく最小値よりも大きい場合には、前記距離補正値を1に設定することを特徴とする付記5〜7のいずれかに記載の絶対移動経路算出装置。
(付記10)前記絶対位置取得部が取得する前記絶対位置が誤差を含んでいる場合、前記絶対移動経路算出部は、前記相対移動経路を、前記方位補正値で回転し、前記所定回数の絶対位置を繋いで形成される図形の重心と、前記絶対位置に対応する所定回数の相対位置を繋いで形成される図形の重心とを一致させた状態で、前記相対位置の図形を拡大縮小して、前記所定回数の絶対位置とこれらに対応する相対位置との間の距離の合計が最小となるときの拡大縮小率を、前記距離補正値とすることを特徴とする付記5〜7のいずれかに記載の絶対移動経路算出装置。
(付記11)前記絶対移動経路算出部は、前記相対移動経路を、前記方位補正値で回転するとともに、前記距離補正値で拡大縮小した状態で、前記所定回数の絶対位置を繋いで形成される図形の重心と、前記絶対位置に対応する相対位置を繋いで形成される図形の重心とを一致させるのに必要な移動量を、前記座標補正値とすることを特徴とする付記5〜10のいずれかに記載の絶対移動経路算出装置。
(付記12)前記絶対位置取得部が取得する前記絶対位置が誤差を含んでいる場合、前記絶対移動経路算出部は、前記相対移動経路を、前記方位補正値で回転するとともに、前記距離補正値で拡大縮小した状態で、前記所定回数の絶対位置を繋いで形成される図形の重心と、前記絶対位置に対応する相対位置を繋いで形成される図形の重心とを一致させるのに必要な移動量と、前記重心を一致させた状態から、前記対応する各点間距離の合計を最小とするのに必要な前記相対移動経路の微小移動量との合計の値を、前記座標補正値とすることを特徴とする付記5〜10のいずれかに記載の絶対移動経路算出装置。
(付記13)端末の方位取得部が、所定のタイミングで前記端末に予め定められた基準軸が指し示す方位を検出する方位取得工程と、前記端末の移動距離検出部が、前記所定のタイミングで、前記端末の移動距離を検出する移動距離検出工程と、前記端末の相対移動経路計算部が、前記方位取得工程の検出結果と前記移動距離検出工程の検出結果とを用いて、前記相対移動経路を算出し、該相対移動経路を記憶する相対移動経路取得工程と、前記算出した相対移動経路の先頭位置に対応する絶対位置であって、緯度と経度により表される絶対座標上における前記端末の絶対位置を取得し、該絶対位置を記憶する絶対位置取得工程と、前記端末の絶対移動経路算出部が、前記絶対位置が所定回数記憶される度に、前記所定回数のうちの少なくとも2点の絶対位置と当該絶対位置に対応する相対位置との関係から補正値を算出し、当該補正値と前記相対移動経路とから、前記絶対座標上における前記端末の絶対移動経路を算出する絶対移動経路算出工程と、を含む絶対移動経路算出方法。
(付記14)前記端末の絶対移動経路算出部が、前記絶対移動経路算出工程で算出する補正値は、前記相対移動経路の方位を補正するための方位補正値、移動距離を補正するための距離補正値、及び座標値を補正するための座標補正値を含むことを特徴とする付記13に記載の絶対移動経路算出方法。
(付記15)コンピュータに、所定のタイミングで、端末に予め定められた基準軸が指し示す方位を検出する方位取得ステップと、前記所定のタイミングで、前記端末の移動距離を検出する移動距離検出ステップと、前記方位取得ステップによる検出結果と前記移動距離検出ステップによる検出結果とを用いて、前記相対移動経路を算出し、該相対移動経路を記憶する相対移動経路取得ステップと、前記算出した相対移動経路の先頭位置に対応する絶対位置であって、緯度と経度により表される絶対座標上における前記端末の絶対位置を取得し、該絶対位置を記憶する絶対位置取得ステップと、前記絶対位置が所定回数記憶される度に、前記所定回数のうちの少なくとも2点の絶対位置と当該絶対位置に対応する相対位置との関係から補正値を算出し、当該補正値と前記相対移動経路とから、前記絶対座標上における前記端末の絶対移動経路を算出する絶対移動経路算出ステップとを実行させることにより、絶対移動経路算出装置として機能させるプログラム。
(付記16)前記補正値は、前記相対移動経路の方位を補正するための方位補正値、移動距離を補正するための距離補正値、及び座標値を補正するための座標補正値を含むことを特徴とする付記15に記載のプログラム。
【図面の簡単な説明】
【0184】
【図1】第1の実施形態に係る携帯電話(特に移動経路検出装置)の構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】絶対移動経路算出装置による処理を示すフローチャートである。
【図3】図2のステップS10の具体的な処理を示すフローチャートである。
【図4】図3のステップS110の具体的な処理内容を示す図である。
【図5】図2のステップS10の結果得られるデータの一例を示す表である。
【図6】図2のステップS16終了後に得られるデータの一例を示す表である。
【図7】図2のステップS20の判断が肯定されるまでの処理で得られる相対経路と絶対位置を模式的に示す図である。
【図8】図2のステップS22の具体的な処理を示すフローチャートである。
【図9】図8のステップS130の処理を説明するための図である。
【図10】図8のステップS132(方位補正値の計算)の具体的な処理を示すフローチャートである。
【図11】図10のステップS158の具体的な処理を示すフローチャートである。
【図12】図11の処理内容を説明するための図(その1)である。
【図13】図11の処理内容を説明するための図(その2)である。
【図14】図11の処理内容を説明するための図(その3)である。
【図15】図8のステップS134(距離補正値の計算)の具体的な処理を示すフローチャートである。
【図16】図15の処理内容を説明するための図(その1)である。
【図17】図15の処理内容を説明するための図(その2)である。
【図18】図8のステップS136(座標補正値の計算)の具体的な処理を示すフローチャートである。
【図19】図18のステップS210(X軸方向の座標補正値の計算)の具体的な処理を示すフローチャートである。
【図20】図18のステップS212(Y軸方向の座標補正値の計算)の具体的な処理を示すフローチャートである。
【図21】図18のステップS208〜S212の処理内容を説明するための図である。
【図22】図8のステップS138の具体的な処理を示すフローチャートである。
【図23】図23(a)は、図22のステップS262の結果得られる補正後の相対経路のデータを示す表であり、図23(b)は、図22のステップS264の結果得られる補正後の相対経路のデータを示す表である。
【図24】図24(a)は、図22のステップS266の結果得られる補正後の相対経路のデータを示す表であり、図24(b)は、図22のステップS268の結果得られる補正後の相対経路のデータを示す表である。
【図25】検出手順に関する変形例2に関するフローチャートである。
【図26】方位補正値算出方法の変形例に関するフローチャートである。
【図27】図26の処理を説明するための図である。
【図28】距離補正値算出方法の変形例1に関するフローチャートである。
【図29】図28の処理を説明するための図である。
【図30】距離補正値算出方法の変形例2における、図29に対応する図である。
【図31】第2の実施形態に係る先進安全サービスシステムを概略的に示す図である。
【図32】光ビーコン及び車載機の構成を示すブロック図である。
【図33】車両経路算出部による処理を示すフローチャートである。
【図34】図33のステップS502の具体的な処理を示すフローチャートである。
【図35】図33のステップS512の具体的な処理を示すフローチャートである。
【図36】図35のステップS542の具体的な処理を示すフローチャートである。
【図37】図35のステップS544の具体的な処理を示すフローチャートである。
【図38】図35のステップS546の具体的な処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0185】
100 携帯電話(端末)
12 方位取得部
14 移動距離計算部(移動距離検出部)
16 相対経路計算部(相対移動経路取得部)
18 絶対位置取得部
20 座標変換部(絶対移動経路算出部の一部)
22 補正値計算処理部(絶対移動経路算出部の一部)
50 絶対移動経路算出装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶対移動経路算出装置及び方法、並びにプログラムに関し、特に端末の絶対移動経路を算出する絶対移動経路算出装置及び方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自律航法を用いてユーザの移動経路(歩行経路)を算出する装置を具備する携帯端末(移動端末)の開発が進められている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この種の装置は、例えば、方位を検出する方位検出機能、歩数を検出する歩数検出機能、予め入力されている歩幅と歩数の積から移動距離を算出する移動距離算出機能、GPS受信機のような現在地の絶対位置を取得する位置検出機能などを含み、これらの機能により取得される値(絶対位置、方位、及び移動距離など)に基づいてユーザの移動経路を算出する。
【0004】
また、近年、道路上の車両の位置を標定し、標定した位置に応じて車両に対する情報提供・警告・介入制御などをおこなう先進安全サービスが注目を集めている。
【0005】
例えば、特許文献2〜4には、道路側に設置された光ビーコンと車載機である光ビーコン受信機を用いた位置標定技術が開示されている。これらの技術を用いると、交差点の手前に光ビーコンが設置されている場合に、光ビーコンの下を通過したタイミングで、交差点に関する一時停止警告サービスなどを受けることができる。
【0006】
【特許文献1】特開平11−194033号公報
【特許文献2】特開2007−182516号公報
【特許文献3】特開2007−181248号公報
【特許文献4】特開2007−188269号公報
【特許文献5】特開平9−89584号公報
【特許文献6】特開平8−278137号公報
【特許文献7】特開2004−286732号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の歩数計測機能では歩数誤差が生じるため、実際の歩数よりも多くあるいは少なくカウントされるおそれがある。また、歩幅はユーザ自身が設定するため、実際の歩幅との間に歩幅誤差が生じるおそれがある。
【0008】
これに対し、特許文献5には、正確な歩幅を求める方法が開示されている。この特許文献5に記載の方法は、2点のGPS測位値から距離を割り出し、距離を歩数で割ることで正確な歩幅を計算するものである。しかるに、GPSには測位誤差があり、また、上述したように歩数には歩数誤差があることから、上記特許文献5の技術を用いても、正確な歩幅を算出することは難しいものと考えられる。
【0009】
また、従来の方位検出機能は、端末が傾斜している場合、これを補正して正しい方位角を算出するが(例えば、特許文献6,7参照)、端末の指し示す方向(端末の基準方向)と端末を保持するユーザの進行方向が異なる場合(例えば、ユーザが端末を横向きに持って、前進した場合)、これを補正することができない。このため、端末により計測される方位と実際の方位との間にはズレ(方位誤差)が生じるおそれがある。
【0010】
更に、従来の自律航法では、絶対位置にGPS測定値をそのまま用いることとしていたが、前述のようにGPSには測位誤差があるため、測位誤差分だけ絶対位置がずれる場合もある。
【0011】
以上のように、従来の自律航法による歩行経路算出では、距離誤差、方位誤差、及び位置ずれが発生して、正確な経路の算出ができなくなる事態が想定される。
【0012】
一方、車両における先進安全サービスでは、例えば、車両が右折するときの車線変更タイミングなどを指示するサービス(右折支援サービス)をはじめとする様々なサービスの提案がなされている。しかしながら、右折支援サービスなどを行おうとすると、車両がどのレーンにいるのか、交差点に進入したかどうか、交差点内のどの位置にいるか、などの判断を行う必要がある。しかるに、特許文献2〜4などの位置標定技術では、光ビーコン直下を通過した瞬間を正確に決定することはできるものの、光ビーコン直下を通過した後どのレーンにいるのか、交差点までの距離がどのくらいあるのか、交差点内のどの位置にいるのかなどを正確に判断することはできない。このため、本先進安全サービスにおけるサービス向上のためには、歩行経路の場合と同様、自律航法を用いた車両の正確な走行軌跡を得る必要がある。
【0013】
また、車両における自律航法では、ジャイロセンサで方位の変化を取得し、車速パルスから走行距離を取得する方法が一般的であるが、ジャイロセンサは方位の初期値が必要であり、また、ジャイロセンサと車速パルスには誤差があるため、走行距離が増すにつれて、実際の走行経路との間にズレが生じるおそれがある。
【0014】
そこで本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、端末の絶対移動経路を高精度に算出することができる絶対移動経路算出装置及び方法、並びにプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本明細書に記載の絶対移動経路算出装置は、所定のタイミングで、端末に予め定められた基準軸が指し示す方位を検出する方位取得部と、前記所定のタイミングで、前記端末の移動距離を検出する移動距離検出部と、前記方位取得部による検出結果と前記移動距離検出部による検出結果とを用いて、前記相対移動経路を算出し、該相対移動経路を記憶する相対移動経路取得部と、前記算出した相対移動経路の先頭位置に対応する絶対位置であって、緯度と経度により表される絶対座標上における前記端末の絶対位置を取得し、該絶対位置を記憶する絶対位置取得部と、前記絶対位置が所定回数記憶される度に、前記所定回数のうちの少なくとも2点の絶対位置と当該絶対位置に対応する相対位置との関係から補正値を算出し、当該補正値と前記相対移動経路とから、前記絶対座標上における前記端末の絶対移動経路を算出する絶対移動経路算出部と、を備える絶対移動経路算出装置である。
【0016】
これによれば、端末に予め定められた基準軸が指し示す方位を所定のタイミングで検出した結果と、端末の移動距離の検出結果とから、端末の相対移動経路を算出するとともに、算出した相対移動経路の先頭位置に対応する絶対位置であって、絶対座標上における端末の絶対位置を取得する。そして、その取得された絶対位置が所定回数記憶される度に、所定回数のうちの少なくとも2点の絶対位置と当該絶対位置に対応する相対位置との関係から補正値を算出し、当該補正値と相対移動経路とから、絶対座標上における端末の絶対移動経路を算出する。したがって、絶対位置とこれに対応する相対位置との関係から、相対移動経路を本来の移動経路(絶対移動経路)に近づけるための補正値を算出することができるので、ユーザによる端末の保持状態等に関わらず、端末の絶対移動経路を高精度に算出することが可能となる。
【0017】
本明細書に記載の絶対移動経路算出方法は、端末の方位取得部が、所定のタイミングで前記端末に予め定められた基準軸が指し示す方位を検出する方位取得工程と、前記端末の移動距離検出部が、前記所定のタイミングで、前記端末の移動距離を検出する移動距離検出工程と、前記端末の相対移動経路計算部が、前記方位取得工程の検出結果と前記移動距離検出工程の検出結果とを用いて、前記相対移動経路を算出し、該相対移動経路を記憶する相対移動経路取得工程と、前記算出した相対移動経路の先頭位置に対応する絶対位置であって、緯度と経度により表される絶対座標上における前記端末の絶対位置を取得し、該絶対位置を記憶する絶対位置取得工程と、前記端末の絶対移動経路算出部が、前記絶対位置が所定回数記憶される度に、前記所定回数のうちの少なくとも2点の絶対位置と当該絶対位置に対応する相対位置との関係から補正値を算出し、当該補正値と前記相対移動経路とから、前記絶対座標上における前記端末の絶対移動経路を算出する絶対移動経路算出工程と、を含む絶対移動経路算出方法である。
【0018】
これによれば、端末に予め定められた基準軸が指し示す方位を所定のタイミングで検出した結果と、端末の移動距離の検出結果とから、端末の相対移動経路を算出するとともに、算出した相対移動経路の先頭位置に対応する絶対位置であって、絶対座標上における端末の絶対位置を取得する。そして、その取得された絶対位置が所定回数記憶される度に、所定回数のうちの少なくとも2点の絶対位置と当該絶対位置に対応する相対位置との関係から補正値を算出し、当該補正値と相対移動経路とから、絶対座標上における端末の絶対移動経路を算出する。したがって、絶対位置とこれに対応する相対位置との関係から、相対移動経路を本来の移動経路(絶対移動経路)に近づけるための補正値を算出することができるので、ユーザによる端末の保持状態等に関わらず、端末の絶対移動経路を高精度に算出することが可能となる。
【0019】
本明細書に記載のプログラムは、コンピュータに、所定のタイミングで、端末に予め定められた基準軸が指し示す方位を検出する方位取得ステップと、前記所定のタイミングで、前記端末の移動距離を検出する移動距離検出ステップと、前記方位取得ステップによる検出結果と前記移動距離検出ステップによる検出結果とを用いて、前記相対移動経路を算出し、該相対移動経路を記憶する相対移動経路取得ステップと、前記算出した相対移動経路の先頭位置に対応する絶対位置であって、緯度と経度により表される絶対座標上における前記端末の絶対位置を取得し、該絶対位置を記憶する絶対位置取得ステップと、前記絶対位置が所定回数記憶される度に、前記所定回数のうちの少なくとも2点の絶対位置と当該絶対位置に対応する相対位置との関係から補正値を算出し、当該補正値と前記相対移動経路とから、前記絶対座標上における前記端末の絶対移動経路を算出する絶対移動経路算出ステップとを実行させることにより、絶対移動経路算出装置として機能させるプログラムである。
【0020】
これによれば、コンピュータは、端末に予め定められた基準軸が指し示す方位を所定のタイミングで検出した結果と、端末の移動距離の検出結果とから、端末の相対移動経路を算出するとともに、算出した相対移動経路の先頭位置に対応する絶対位置であって、絶対座標上における端末の絶対位置を取得する。そして、コンピュータは、その取得された絶対位置が所定回数記憶される度に、所定回数のうちの少なくとも2点の絶対位置と当該絶対位置に対応する相対位置との関係から補正値を算出し、当該補正値と相対移動経路とから、絶対座標上における端末の絶対移動経路を算出する。したがって、コンピュータは、絶対位置とこれに対応する相対位置との関係から、相対移動経路を本来の移動経路(絶対移動経路)に近づけるための補正値を算出することができるので、ユーザによる端末の保持状態等に関わらず、端末の絶対移動経路を高精度に算出することが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本明細書に記載の絶対移動経路算出装置及び方法、並びにプログラムは、端末の絶対移動経路を高精度に算出することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
≪第1の実施形態≫
以下、本発明の第1の実施形態について、図1〜図24に基づいて詳細に説明する。
【0023】
図1には、本発明の絶対移動経路算出装置を具備する移動端末としての携帯電話100の構成がブロック図にて示されている。この図1に示すように、携帯電話100は、地磁気センサ30と、加速度センサ40と、GPS受信機59と、絶対移動経路算出装置50と、を備えている。なお、携帯電話100は、通話機能をはじめ、メール機能、インターネット機能、カメラ機能などの各種機能を備えるが、図1では、これらの機能に関する構成についての図示は省略している。
【0024】
絶対移動経路算出装置50は、方位取得部12と、移動距離検出部としての移動距離計算部14と、相対移動経路算出部としての相対経路計算部16と、絶対位置取得部18と、座標変換部20と、補正値計算処理部22と、補正値保持部24と、経路情報保持部26と、を有する。これらのうち、座標変換部20と補正値計算処理部22とにより、絶対移動経路算出部が構成されている。
【0025】
方位取得部12は、地磁気センサ30において検出される地磁気値を取得し、当該地磁気値に基づいて、携帯電話100に予め定められた軸が指し示す方位(以下、相対方位と呼ぶ)を取得する。なお、地磁気センサ30は、例えば3軸座標系上での地磁気の検出が可能な磁気方位センサが用いられている。
【0026】
移動距離計算部14は、ユーザから入力されたユーザの1歩分の長さを表す歩幅情報を予め保持しており、当該歩幅情報と、加速度センサ40において検出される加速度から算出される歩数情報とから、ユーザの移動距離(=歩幅×歩数)を計算する。なお、加速度センサ40としては、例えば、3軸方向の加速度を検出するセンサが用いられる。この移動距離の求め方自体は、加速度センサを用いた歩数計と同様である。
【0027】
相対経路計算部16は、方位取得部12にて得られた相対方位と移動距離計算部14にて取得された距離とを用いて、相対移動経路(以下、単に「相対経路」と呼ぶ)を計算する。絶対位置取得部18は、GPS受信機59を介して絶対位置(緯度・経度で示される位置)を取得する。
【0028】
座標変換部20は、絶対位置取得部18で取得された絶対位置座標の座標系(緯度・経度で示される座標系)と、相対経路計算部16で取得された相対経路の座標系(例えば、距離を示すX,Y座標系)の相互の変換を行う。
【0029】
補正値計算処理部22は、図1に示すように、方位補正値計算部222と、距離補正値計算部224と、座標補正値計算部226と、補正値適用部228とを有している。方位補正値計算部222は、相対経路と複数点の絶対位置とに基づいて、相対方位の誤差を補正するための方位補正値を計算する。距離補正値計算部224は、相対経路と複数点の絶対位置とに基づいて、距離に関する誤差を補正するための距離補正値を計算する。座標補正値計算部226は、相対経路と複数点の絶対位置とに基づいて、座標の誤差を補正するための座標補正値を計算する。これら方位補正値計算部222、距離補正値計算部224、及び座標補正値計算部226で計算された補正値は、補正値保持部24に一時的に格納される。また、補正値適用部228は必要に応じてこれら補正値を読み出し、当該読み出した各補正値に基づいて相対経路の補正を実行する。
【0030】
経路情報保持部26は、補正値計算処理部22で補正された相対経路を座標変換部20で絶対座標に変換した結果を保持する。
【0031】
次に、本実施形態における歩行履歴作成処理について、図2のフローチャートに沿って、かつその他の図面を適宜参照しつつ詳細に説明する。
【0032】
図2のフローチャートは、携帯電話100を保持するユーザが歩行を開始することにより、移動距離計算部14が、加速度センサ40による計測を感知した時点から開始される。
【0033】
まず、ステップS10では、相対経路計算部16等が、歩行開始からの相対経路を作成するサブルーチンを実行する。このサブルーチンでは、図3に示すように、まずステップS110において、方位取得部12が、地磁気センサ30を介して相対方位を検出する。次いで、ステップS112では、移動距離計算部14が、加速度センサ40を介してユーザの歩数を計数する。次いで、ステップS114では、移動距離計算部14が、ユーザの歩行した歩数と、予めユーザによって入力されているユーザの歩幅とから、移動距離を計算する。この場合、移動距離は、次式(1)から計算することが可能である。
(移動距離)=(歩数)×(歩幅) …(1)
【0034】
次いで、ステップS116では、相対経路計算部16が、ステップS110において検出された相対方位と、ステップS114で計算された移動距離とから、ユーザの位置を相対座標系(歩き始めの位置を原点(0,0)とする距離を示すXY座標系)上の値として計算する。
【0035】
具体的には、図4に示すように、磁北(磁石のN極が指し示す方向)を基準とした携帯電話100の示す相対方位(角度)をθi(ステップS110において検出される方位)、歩幅をLとすることにより、ユーザの相対位置Xi+1、Yi+1は、直前の位置Xi,Yiを用いて、次式(2),(3)のように表すことができる。
Xi+1=Xi+Lcos(90−θi) …(2)
Yi+1=Yi+Lsin(90−θi) …(3)
【0036】
なお、歩き始めの位置座標(X0、Y0)が(0,0)であるので、1歩目における相対位置X1、Y1は、次式(2)’、(3)’にて表される。
X1=Lcos(90−θ1) …(2)’
Y1=Lsin(90−θ1) …(3)’
【0037】
上記のような図2のステップS10(図3のサブルーチン)を、加速度センサ40において検出される加速度から算出される歩数情報に基づいて、1歩歩くごとに実行すれば、携帯電話100を保持するユーザの移動経路(相対経路)を取得することができる。
【0038】
図2に戻り、次のステップS12では、相対経路計算部16が、歩数増加分が閾値Mを超えたか否かを判断する。ここでの閾値Mは例えば8(歩)であるものとする。このステップS12の判断が否定されると、ステップS14に移行し、移動距離計算部14が、加速度センサ40をモニタすることにより、ユーザが現在歩行中であるか否かを判断する。ここでの判断が肯定された場合にはステップS10に戻る。
【0039】
その後、ステップS12の判断が肯定されるまで(8歩歩くまで)、又はステップS14の判断が否定されるまで(ユーザが歩行を中止するまで)、ステップS10、S12、S14の処理・判断を繰り返す。
【0040】
上記処理・判断の結果、ステップS12の判断が肯定されると、ステップS16に移行する。なお、ここまでの処理により、図5の表に示すようなデータを取得することができる。図5の表では、データの取得日時、歩き始めからの歩数、方位角、座標値(Xi,Yi)が記録されている。なお、ユーザの歩幅は0.7mに設定されているものとする。
【0041】
次いで、図2のステップS16では、絶対位置取得部18が、GPS受信機59を用いて絶対位置(緯度及び経度で示される位置)を検出する。この検出結果は、図6の表に示すように、8歩目のGPS測位値として記録される。なお、実際にGPS測位を行う場合には、測位要求を受けてから測位結果が得られるまで、数秒の時間を要するが、ここでは説明の便宜上、測位要求の直後に測位結果が得られるものとして説明をする。
【0042】
次いで、ステップS18では、相対経路計算部16が歩数増加分をリセットする(歩数増加分8歩を0歩に戻す)。
【0043】
次いで、ステップS20では、ステップS16で検出される絶対位置の数が閾値Nを超えたか否かを判断する。ここでは、N=2であるものとし、絶対位置数が3になった場合に、ここでの判断が肯定されるものとする。この段階では、測定された絶対位置の数は1つのみであるので、判断は否定され、ステップS14の判断に移行する。
【0044】
このステップS14における判断が肯定されると、その後は、ステップS10、S12、S14のループを繰り返す。そして、再度、歩数8歩分の相対位置を取得すると、ステップS16において絶対位置を再度検出し、ステップS18、S20を経て、再度ステップS14に戻る。そして、同様の処理を繰り返すことにより、3つ目の絶対位置を検出すると、ステップS20の判断が肯定される。ここまでの処理では、図7に示すような矢印の連続で示される相対経路と、8歩歩くごとの絶対位置とが、取得されている。なお、以下においては、8歩目の相対位置をa’、そのとき測定された絶対位置をaと記述するものとする。また、16歩目の相対位置をb’、そのとき測定された絶対位置をb、24歩目の相対位置をc’、そのとき測定された絶対位置をcと記述するものとする(絶対位置a,b,cについては、図12(a)参照)。
【0045】
図2に戻り、ステップS22では、相対経路を絶対経路に変換するサブルーチンを図8のフローチャートに沿って実行する。このサブルーチンは、ステップS10で取得された相対経路を、実際にユーザが移動した経路(実際の移動経路(図12(a)、図12(b)参照))に近づけるための補正処理(ステップS130〜S136)と、補正処理後の経路を絶対座標系上に変換する処理(ステップS138)とを含んでいる。
【0046】
まず、ステップS130では、座標変換部20が、絶対位置(a,b,c)を相対経路と同じ座標系(距離を示すXY座標系)上の値に変換する。
【0047】
この場合、3点の絶対位置(a,b,c)のうち、最初に得られた点aのXY座標を(0,0)として、2番目、3番目に得られた点b、点cのXY座標を求めることとする。
【0048】
座標値の求め方は、以下のとおりである。
【0049】
一般的に、緯度・経度から距離を計算する方法は、公知の方法として、地球を真球と仮定して球面三角法を用いて計算する方法や、地上を平面と仮定して計算する方法などがあるが、本実施形態では、地上を平面と仮定する方法を採用する。
【0050】
図9には、2つの絶対位置a,bの関係が模式的に示されている。このうち、λは経度(rad)、φは緯度(rad)を意味しており、1番目に得られた絶対位置aの経度・緯度を(λ0、φ0)とし、これを原点(0,0)とすると、2番目に得られた絶対位置bの経度、緯度(λi、φi)は、(λi−λ0,φi−φ0)=(Δλ、Δφ)と表すことができる。
【0051】
この場合、2番目に得られた絶対位置bの相対座標(Δx、Δy)は、Aを地球の赤道半径(6378137m)とすると、次式(4)、(5)から算出することができる。
Δx=A×Δλ×cos(φi) …(4)
Δy=A×Δφ …(5)
【0052】
その他の絶対位置(c)についても、上記と同様にして、1番目に得られた絶対位置の経度・緯度(λ0、φ0)からのX軸(経度)方向、Y軸(緯度)方向の距離(m)を求めることで相対座標系上の値に変換する(XY座標化する)ことが可能である。また、相対座標変換の原点(0,0)として利用した(λ0、φ0)を基準絶対座標として、補正値保持部24に格納する。
【0053】
次いで、図8のステップS132では、方位補正値の計算処理のサブルーチンを実行する。この方位補正値の計算処理のサブルーチンは、図10、図11のフローチャートに沿って実行される。この方位補正値の計算方法は、絶対位置(GPS測位値)に誤差が含まれている場合に、特に有効な方法である。すなわち、GPS測位の場合、測位誤差(図12(a)において円ea,eb,ecにて示す)があるため、図12(a)に示すように、実際の測定位置a0,b0,c0からずれた位置をGPS測位値として出力してしまうことがあるが、以下に説明する方法を用いることで、当該測位誤差を考慮した方位補正値の計算を行うことが可能である。
【0054】
まず、図10のステップS152では、方位補正値計算部222が、N点(3点)の絶対位置の中から最も距離の離れた2点の方位角κを計算する。この方位角は、図12(a)の例では、点aと点cとを結ぶ実線(直線ac)の方位角を意味する。
【0055】
次いで、ステップS154では、方位補正値計算部222が、GPS誤差と、直線acの方位角κから、実際測定した2点(直線a0c0)の方位角が含まれるGPS方位角範囲を計算する。
【0056】
この場合、GPS誤差の半径をrとし、点a,点c間の距離をglとすると、GPS方位角範囲は次式(6)、(7)により計算することができる。
α=arcsin(r/(gl/2)) …(6)
κ−α≦GPS方位角範囲≦κ+α …(7)
【0057】
次いで、ステップS156では、方位補正値計算部222が、2点(a,c)をGPS測位したときの相対経路上の2点(a’,c’)がなす方位角が、式(7)のGPS方位角範囲に入るための回転角範囲(ta°以上tb°以下)を計算する。
【0058】
ここで、図12(b)に示すように、点aの座標を原点(0,0)とした場合の点cの座標を(Bx,By)とし、点aから点cへのベクトルをBとする。また、点a’の座標を原点(0,0)とした場合の点c’の座標を(Ax,Ay)とし、点a’から点c’へのベクトルをAとし、ベクトルAからベクトルBへの回転角を求める。
【0059】
ベクトルAの単位ベクトルを、AE=A/|A|、ベクトルBの単位ベクトルを、BE=B/|B|とすると、回転角ψは内積の公式、式(8)から求めることが出来る。
AE・BE=|AE|×|BE|×cos(ψ) ・・・(8)
ただし、ψの範囲は0°≦ψ≦180°である。また、回転方向は、AEとBEの外積を求めて、その符号で判断すればよい。
【0060】
したがって、回転角ψと、上式(6)から求められる角度αとを用いることにより、ta=ψ−α、tb=ψ+αとして表すことができる。
【0061】
次いで、図10のステップS158では、上記回転角範囲((ψ−α)°以上(ψ+α)°以下)において、GPS測位値(a,b,c)がなす方位角とGPS測位値に対応する相対位置(a’,b’,c’)がなす方位角の差、を最小にする回転角を計算するサブルーチンを実行する。ここでは、図11のフローチャートに沿った処理を実行する。
【0062】
まず、図11のステップS160では、方位補正値計算部222が、回転角の変数βをta(=ψ−α)に設定する。次いで、ステップS162では、GPS測位値(a,b,c)に対応する相対位置(a’,b’,c’)を、図13(a)に示すように、β°だけ回転する。この場合、回転前の座標を(x,y)、回転後の座標を(x’,y’)とすると、次式(9),(10)から計算することができる。
x’=x×cosβ−y×sinβ …(9)
y’=x×sinβ+y×cosβ …(10)
【0063】
次いで、ステップS164では、方位補正値計算部222が、図13(b)に示すように、絶対位置N点を繋いだ多角形(本実施形態では、3点の座標を繋いだ三角形)と、相対位置N点を繋いだ多角形(本実施形態では、3点の座標を繋いだ三角形)との対応する辺間の角度を算出する。すなわち、図14(a)に示す辺abと辺a’b’との間の角度γa、図14(b)に示す辺bcと辺b’c’との間の角度γb、図14(c)に示す辺caと辺c’a’との間の角度γcを算出する。そして、方位補正値計算部222は、各角度の合計(γa+γb+γc)を算出する。
【0064】
次いで、ステップS166では、方位補正値計算部222が、βをΔ(Δは例えば1°)だけインクリメントし、ステップS168に移行する。このステップS168では、方位補正値計算部222が、βがtb(=ψ+α)以下か否かを判断する。この判断が肯定された場合には、ステップS162に戻り、上述したのと同様にして、ステップS162→S164→S166の処理を、ステップS168の判断が否定されるまで繰り返し実行する。この処理の間は、相対経路を1°ずつずらしながら、角度の合計(γa+γb+γc)の算出を繰り返すことになる。
【0065】
その後、ステップS168の判断が否定されると、ステップS170では、方位補正値計算部222が、各角度の合計(γa+γb+γc)が最も小さくなる回転角β’を求め、その回転角β’を方位補正値として設定する。なお、ここで求められた方位補正値β’は、図1の補正値保持部24に格納される。その後は、図8のステップS134に移行する。
【0066】
次のステップS134では、距離補正値の計算処理のサブルーチンを実行する。このサブルーチンは、図15のフローチャートに沿って実行される。
【0067】
まず、図15のステップS182では、距離補正値計算部224が、相対経路を方位補正値β’で回転した回転済み相対経路(Rrとする)を計算する。
【0068】
次いで、ステップS184では、距離補正値計算部224が、N点(ここでは3点)の絶対位置(GPS測位値)の重心G(図16(a)参照)を計算する。当該重心Gは、点a,b,cのX座標の平均値、及びY座標の平均値から求めることができる。
【0069】
次いで、ステップS186では、距離補正値計算部224が、N点の絶対位置(GPS測位値)に対応する回転済み相対経路Rr上のN点(a’、b’、c’)の重心G’(図16(a)参照)を計算する。また、次のステップS188では、距離補正値計算部224が、図16(b)に示すように、回転済み相対経路の重心G’を絶対位置の重心Gに一致させた回転済み相対経路(Rr’とする)を計算する。
【0070】
次いで、ステップS190では、距離補正値計算部224が、倍率を示す変数εの値を、予め設定されている最小倍率saに設定する。ここで、最小倍率saは、例えば0.5であるものとする。なお、εの値の最大倍率tbも予め設定されており、例えば、2.0であるものとする。
【0071】
次いで、ステップS192では、距離補正値計算部224が、図17(a)に示すように、2つの重心を一致させた状態で(ずらさずに)、回転済み相対経路Rr’の経路長をε倍(0.5倍)する。そして、N点の絶対位置(GPS測位値)と、これに対応するε倍した回転済み相対経路Rr’上の点との間の距離(図17(b)に拡大して示す、点a、a’の間の距離da、点b、b’の間の距離db、点c、c’の間の距離dc)の合計を計算する。
【0072】
次いで、ステップS194では、距離補正値計算部224が、εを、Δ(Δは例えば0.1)だけインクリメントする。そして、次のステップS196では、距離補正値計算部224が、εが最大倍率tb以下であるかを判断する。ここでの判断が否定された場合には、ステップS192に戻る。その後は、εをΔずつ大きくしつつ、距離da、db、dcの合計値を計算する。
【0073】
その後、εが最大倍率tbを超えるとステップS196の判断が否定され、ステップS198に移行する。このステップS198では、距離補正値計算部224が、距離da、db、dcの合計値が最も小さい倍率ε’を決定し、これを距離補正値に設定する。その後は、図8のステップS136に移行する。なお、ここで決定された距離補正値ε’は、図1の補正値保持部24に格納される。
【0074】
上記のようにしてε’が算出されると、次のステップS136(図8参照)の座標補正値の計算サブルーチンを、図18〜図20のフローチャートに沿って実行する。
【0075】
まず、図18のステップS202では、座標補正値計算部226が、相対経路を方位補正値β’で回転し、さらに距離補正値ε’で拡縮した相対経路(Rr”とする)を計算する。このときの相対経路Rr”が、図21に示されている。
【0076】
次いで、ステップS204では、座標補正値計算部226が、N点(ここでは3点)の絶対位置(GPS測位値)の重心G(図21参照)を計算する。なお、図15のステップS184において求められている重心Gを記憶しておき、その値を読み出すこととしても良い。
【0077】
次いで、ステップS206では、座標補正値計算部226が、絶対位置(GPS測位値)N点(3点(点a,b,c))に対応する相対経路Rr”上のN点(3点(点a’,b’,c’))の重心G”(図21参照)を計算する。
【0078】
次いで、ステップS208では、座標補正値計算部226が、図21に示される絶対位置(GPS測位値)の重心Gと相対経路Rr”上の点の重心G”との差分(Δcx,Δcy)(ΔcxはX軸上の差分、ΔcyはY軸上の差分)を計算する。また、座標補正値計算部226は、相対経路Rr”上の重心G”を重心Gに一致させた相対経路(Rr”’とする)を計算する。
【0079】
次いで、ステップS210では、X軸方向の座標補正値を計算するサブルーチンを、図19のフローチャートに沿って実行する。
【0080】
まず、ステップS220では、座標補正値計算部226が、移動幅deltxの初期値に−(GPS誤差半径r)を代入する。次いで、ステップS222では、座標補正値計算部226が、相対経路(Rr”’)上のN点(3点a’、b’、c’)のX座標にdeltxを加え(相対経路Rr”’をX方向にずらし)、絶対位置(GPS測位値)N点(3点a,b,c)との距離の合計を求める。
【0081】
次いで、ステップS224では、座標補正値計算部226が、deltxをdxでインクリメントする。この場合のdxとしては、0.1などの値を採用することができる。
【0082】
次いで、ステップS226では、座標補正値計算部226が、deltxがGPS誤差半径(+r)以下であるか否かを判断する。ここでの判断が肯定された場合には、ステップS222に戻り、以降deltxを増加させつつ、相対経路(Rr”’)をずらし、点a点a’間、点b点b’間、点c点c’間の距離の合計を算出する。
【0083】
そして、ステップS226の判断が否定された段階で、ステップS228に移行する。ステップS228では、座標補正値計算部226が、距離の合計が最も小さくなるdeltx(以下、deltx’と記述する)を特定し、deltx’にΔcxを加算したもの(Δcx+deltx’)をX軸方向座標補正値とする。なお、ここで求められたX軸方向座標補正値(Δcx+deltx’)は、図1の補正値保持部24に格納される。その後は、図18のステップS212に移行する。
【0084】
次のステップS212では、Y軸方向の座標補正値を計算するサブルーチンを、図20のフローチャートに沿って実行する。
【0085】
まず、図20のステップS240では、座標補正値計算部226が、相対経路Rr”’をX軸方向の座標補正値(Δcx+deltx’)で補正した相対経路Rr””を計算する。
【0086】
次いで、ステップS242において、座標補正値計算部226が、移動幅deltyの初期値に−(GPS誤差半径r)を代入する。次いで、ステップS244では、座標補正値計算部226が、相対経路(Rr””)上のN点(3点a’、b’、c’)の座標のY座標にdeltyを加え(相対経路Rr””をY方向にずらし)、絶対位置(GPS測位値)N点(3点a,b,c)との距離の合計を求める。
【0087】
次いで、ステップS246では、座標補正値計算部226が、deltyをdyでインクリメントする。この場合のdyとしては、0.1などの値を採用することができる。
【0088】
次いで、ステップS248では、座標補正値計算部226が、deltyがGPS誤差半径(+r)以下であるか否かを判断する。ここでの判断が肯定された場合には、ステップS244に戻り、以降deltyを増加させつつ、相対経路(Rr””)をずらし、点a点a’間、点b点b’間、点c点c’間の距離の合計を算出する。
【0089】
そして、ステップS248の判断が否定された段階で、ステップS250に移行する。ステップS250では、座標補正値計算部226が、距離の合計が最も小さくなるdelty(delty'と記述する)を特定し、delty’に前述したΔcyを加算したもの(Δcy+delty’)をY軸方向座標補正値とする。なお、ここで求められたY軸方向座標補正値(Δcy+delty’)は、図1の補正値保持部24に格納される。以上の処理により、図18の全処理(図8のステップS136の処理)は終了するので、図8のステップS138に移行する。なお、図18のフローチャートでは、ステップS210の処理と、ステップS212の処理の実行順を逆にしても良い。
【0090】
次のステップS138では、絶対座標への変換処理サブルーチンを図22のフローチャートに沿って実行する。
【0091】
まず、図22のステップS262では、補正値適用部228が、相対経路(Rr)を方位補正値β’で回転する。この場合の回転には、上述した式(9)、(10)を用いることができる。この処理において、例えば方位補正角が90°であった場合には、図5の表の座標値x,yが、図23(a)に示すように変換される。
【0092】
次いで、図22のステップS264では、補正値適用部228が、距離補正値ε’で、ステップS262において回転された相対経路を拡縮する。この場合、回転された相対経路における各座標点の値に、距離補正値ε’を積算すれば良い。この処理において、例えば距離補正値ε’が1.1であった場合には、図23(a)の座標値x,yが、図23(b)に示すように変換される。
【0093】
次いで、図22のステップS266では、補正値適用部228が、ステップS264において拡縮した相対経路を、座標補正値(Δcx+deltx’及びΔcy+delty’)で拡縮済みの相対経路を並行移動する(座標値に座標補正値を加算する)。この処理において、Δcx+deltx’が−0.2で、Δcy+delty’が−2.0であった場合には、図23(b)の座標値x,yが、図24(a)に示すように変換される。
【0094】
そして、図22のステップS268では、座標変換部20が、ステップS262〜S266を経て補正された相対経路を、経度・緯度に変換する。補正後の相対経路は、距離を示すXY座標であることには変わりないので、これを経度・緯度に変換するためには、図9の模式図より、次式(11)、(12)を用いることができる。
λi=Δx/(A×cosφ0)+λ0 …(11)
φi=Δy/A+φ0 …(12)
ここで、(λ0、φ0)は絶対座標を相対座標変換時に用いた、1番目に得られた絶対位置aの経度・緯度であり、補正値保持部24に格納されていたものを取り出して使用する。
【0095】
以上の処理により、図24(a)の座標値x,yは、図24(b)に示すように、緯度及び経度に変換される。
【0096】
以上のようにして、ステップS268まで終了すると、図8の全処理も終了するので、図2のステップS22を終了して、ステップS24に移行する。
【0097】
次のステップS24では、経路情報保持部26(図1参照)が、座標変換部20により変換された経路情報(絶対移動経路)を保存する。この経路情報は、図24(b)の表のうちの、少なくとも時刻と、緯度情報、経度情報とを含んでいる。
【0098】
次いで、ステップS28では、絶対位置取得部18が、絶対位置数をリセットし、次のステップS30では、相対経路計算部16が、相対経路情報をリセットする。そして、次のステップS32では、移動距離計算部14が、現在ユーザが歩行中であるか否かを判断する。ここでの判断が肯定された場合には、ステップS10に戻り、否定された場合には、図2の全処理を終了する。
【0099】
一方、上述した処理の間において、ステップS14の判断が否定された場合(歩行が中止された場合)には、図2において破線で囲まれた歩行停止処理を実行する。
【0100】
この歩行停止処理では、まず、ステップS34において、相対経路計算部16が相対経路情報を有しているか否かを判断する。ここでの判断が否定されると、歩行停止処理が終了するが、判断が肯定された場合にはステップS36に移行する。
【0101】
ステップS36では、補正値と基準絶対座標があるか否かを判断する。ここでの判断が否定されると、歩行停止処理が終了するが、肯定された場合にはステップS38に移行する。
【0102】
ステップS38では、補正値適用部228が、相対経路座標を補正値保持部24に格納されている補正値を用いて補正するとともに、座標変換部20が、補正後の相対経路座標を絶対座標に変換する。
【0103】
次いで、ステップS40では、上記ステップS38で求められた経路情報(絶対座標)を経路情報保持部26に保存する。そして、次のステップS42では、相対経路計算部16が、相対経路情報をリセットすることにより、歩行停止処理の全処理を終了する。
【0104】
なお、以上の処理において取得される経路情報(絶対移動経路)は、その更新がなされる度に、あるいはユーザからの指示に応じて適宜、携帯電話100の画面上に表示されるようになっている。
【0105】
以上詳細に説明したように、本第1の実施形態によると、携帯電話100に予め定められた基準軸が指し示す方位を地磁気センサ30を用いて検出した結果と、ユーザの移動距離(予め設定されている歩幅×加速度から検知されるユーザの歩数)を検出した結果とからユーザの相対経路を算出するとともに、所定の歩数(例えば8歩)歩くたびに、絶対座標上における携帯電話100の絶対位置をGPSを用いて測位する。そして、その測位された絶対位置の数が所定の数、例えば3つ、に達した場合に、その絶対位置(a,b,c)と当該絶対位置を測位した時点における相対経路上の相対位置(a’,b’,c’)との関係から補正値(β’、ε’、Δcx+deltx、Δcy+delty)を算出し、当該補正値と相対経路とから、絶対座標上におけるユーザの絶対移動経路を算出する。このように、絶対位置(a,b,c)とこれに対応する相対位置(a’,b’,c’)との関係から、相対経路を、本来の移動経路(絶対移動経路)に近づけるための補正値を算出することができるので、ユーザによる端末の保持状態(ユーザが進む方向と、携帯電話の指し示す方向が異なる場合など)等に関わらず、ユーザの絶対移動経路を高精度に算出することができる。
【0106】
また、本第1の実施形態によると、GPSによる絶対位置の計測が、ユーザの移動距離(歩数)が規定値(閾値M)に達するごとに実行される。このため、適切なタイミングで絶対位置の取得、及び当該絶対位置を用いた相対経路の補正を行うことが可能である。
【0107】
また、本第1の実施形態では、所定歩数(例えば24歩)歩いている間に相対経路を取得するとともに、所定の数、例えば3つ、の絶対位置を取得し、当該所定の数の絶対位置とこれに対応する相対位置とを用いて算出される補正値を用いて相対経路を補正する。そして、新たに所定歩数(24歩)歩いた場合には、その間に取得された所定の数の絶対位置から新たに算出される補正値を用いて新たに取得された相対経路を補正する。このように本第1の実施形態によると、常に、直近で更新された新たな補正値を用いて相対経路を補正することができるので、高精度な相対経路の補正を行うことが可能である。
【0108】
また、本第1の実施形態によると、方位を補正するための方位補正値、移動距離を補正するための距離補正値、及び座標値を補正するための座標補正値を算出するので、相対経路を絶対移動経路に近づけるための回転、拡大縮小、平行移動を簡易に行うことができる。これにより高精度な相対経路の補正を行うことが可能である。なお、補正値は、上記3つの補正値に限られるものではなく、少なくとも2つの絶対位置とこれに対応する相対位置とにより求められる補正値であれば種々の補正値を用いることとしても良い。また、方位、距離のいずれかが誤差なく正確に測定できるなどの場合には、方位補正値又は距離補正値のいずれかを用いないこととしても良い。
【0109】
また、本第1の実施形態によると、最も距離の離れた2つの絶対位置のなす方位角κと、絶対位置の測位誤差から算出される絶対位置方位角範囲内((κ−α)以上(κ+α)以下)に、対応する2つの相対位置のなす方位角が含まれるように、相対経路を回転し、絶対位置を繋いで形成される図形と、対応する相対位置を繋いで形成される図形のうち、対応する辺間の角度の合計値が最も小さくなる回転角β’を方位補正値とするので、絶対位置に誤差が含まれるGPSのような測位装置を用いる場合でも、方位補正値として適した値を決定することが可能である。
【0110】
また、本第1の実施形態によると、相対経路を、方位補正値β’で回転し、測位した絶対位置を繋いで形成される図形の重心Gと、対応する相対位置を繋いで形成される図形の重心G’とを一致させた状態で、相対位置の図形を拡大縮小して、絶対位置とこれに対応する相対位置との間の距離の合計が最小となる拡大縮小率ε’を求め、これを距離補正値とするので、絶対位置に誤差が含まれるGPSのような測位装置を用いる場合でも、距離補正値として適した値を決定することが可能である。
【0111】
また、本第1の実施形態によると、相対経路を、方位補正値β’で回転するとともに、距離補正値ε’で拡大縮小した状態で、絶対位置を繋いで形成される図形の重心Gと、対応する相対位置を繋いで形成される図形の重心G”とを一致させるのに必要な移動量(Δcx,Δcy)を算出し、重心G,G”を一致させた状態から、対応する絶対位置及び相対位置の間の距離の合計を最小とするのに必要な相対経路の微小移動量(deltx'、delty')を決定する。そして、移動量(Δcx,Δcy)と微小移動量(deltx'、delty')の和を、座標補正値とするので、絶対位置に誤差が含まれるGPSのような測位装置を用いる場合でも、座標補正値として適した値を決定することが可能である。
【0112】
(検出手順に関する変形例1)
上記第1の実施形態では、移動距離が規定数(歩数が閾値M)に達したときに、絶対位置を取得(測位)する場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、ユーザが曲がり角を曲がるなどして、方位の変化量が規定値(例えば90°)に達した場合に、絶対位置を検出するようにしても良い。この場合、歩数(移動距離)と方位の変化量を併用し、これらのうちのいずれかが規定値を超えた場合に、絶対位置を検出するようにしても良い。また、これらに代えて、例えば、所定時間経過するごとに絶対位置を検出するようにしても良い。いずれの方法を採用しても、適切な間隔で絶対位置の検出を行うことが可能である。
【0113】
(検出手順に関する変形例2)
また、上記第1の実施形態では、ユーザが所定歩数(例えば24歩)歩いた段階で作成された相対経路を、当該相対経路から算出される補正値を用いて補正し絶対移動経路を算出する(すなわち、所定歩数(例えば24歩)歩くまでは、その間の絶対移動経路は算出されない)こととしたが、これに限られるものではない。例えば、図2の処理に代えて、図25のフローチャートに示すような流れの処理を実行することとしても良い。
【0114】
この図25の処理では、まず、ステップS1010において、図2のステップS10と同様に相対経路作成処理を実行する。次いで、ステップS1012では、補正値保持部24に補正値と絶対座標値が存在するか否かを判断する。ここでの判断が否定された場合には、ステップS1014に移行し、図2のステップS12と同様、歩数増加分が閾値Mを超えたか否かを判断する。ここでの判断が否定された場合(歩数増加分が閾値Mを超えていない場合)には、ステップS1034に移行して、歩行中か否かを判断し、ここでの判断が肯定されると、ステップS1010に戻る。すなわち、歩数増加分が閾値Mを超えるまでは、ステップS1010→S1012→S1014→S1034の処理・判断を繰り返す。
【0115】
そして、ステップS1014の判断が肯定されると、ステップS1016、S1018において、図2のステップS16、S18と同様の処理(絶対位置の検出及び歩数増加分のリセット)を実行する。
【0116】
次いで、ステップS1020では、図2のステップS20と同様、絶対位置の数が閾値N(Nは例えば2)を超えたか否かを判断する。ここでの判断が否定された場合には、ステップS1034に移行し、歩行中か否かを判断する。その後は、これまでと同様の処理を繰り返す。
【0117】
そして、絶対位置の数が閾値N(=2)を超えた段階で、ステップS1024に移行する。ステップS1024では、図2のステップS22と同様の処理(相対経路を絶対経路に変換する処理)を実行し、ステップS1026では、補正値と基準絶対座標を補正値保持部24に格納する。
【0118】
次いで、ステップS1028、S1030では、図2のステップS28、S30と同様の処理(リセット処理)を実行し、次のステップS1034において、歩行中であるか否かを判断する。
【0119】
本変形例では、ステップS1024において、補正値と基準絶対座標値が補正値保持部24に格納されると、次回以降ステップS1012に移行した際には、判断が肯定されることになる。それ以降は、補正値保持部24に格納されている補正値と基準絶対座標値を用いて、相対経路を絶対座標に変換するとともに(ステップS1036)、当該変換された経路情報(絶対移動経路)を、経路情報保持部26に保存する(ステップS1038)。
【0120】
以上のように、ユーザが歩行を中止するまでの間、1度算出した補正値及び基準絶対座標を、それ以降の処理においても使い続けることとしているので、相対経路が作成されるごとに補正値及び基準絶対座標を更新する場合と比べて、計算量を少なくすることができる。また、相対経路が作成されるたびに、絶対座標への変換処理を行うことができるので、ほぼリアルタイムにて絶対経路を得ることが可能である。
【0121】
なお、上記方法に限らず、例えば、補正値と基準絶対座標値を算出したら、次に絶対位置がN個たまるまで、その補正値及び基準絶対座標値を用いて、ほぼリアルタイムにて絶対移動経路を仮に更新することとしても良い。この場合、絶対位置がN個たまった時点で算出される新たな補正値と基準絶対座標値を用いて真の絶対移動経路を算出することとし、当該真の絶対移動経路で、仮に更新されていた絶対移動経路を更新して、携帯電話100の画面上に表示することとしても良い。
【0122】
(方位補正値算出方法の変形例)
なお、上記第1の実施形態では、方位補正値の算出方法として、図11〜図14に示すような方法を採用した場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、GPS測位値に測位誤差が無いような場合には、図26のフローチャートに基づく方位補正値の算出を行うことができる。
【0123】
すなわち、図26に示すように、ステップS1050において、N点(例えば3点)の絶対位置(GPS測位値)の中から最も距離の離れた2点(図27に示す点a、c)を選択し、ステップS1052において、最も離れた2点の絶対位置に対応する相対経路上の2点(図27に示す点a’、c’)を選択する。そして、次のステップS1054において、相対経路上の2点(点a’,c’)がなす方位角を2点の絶対位置(点a,c)がなす方位角に一致させる回転角ηを計算し、当該回転角ηを方位補正値とする。このような方位補正値の算出方法を採用することで、測位誤差が無い場合には、高精度かつ簡易に方位補正値を算出することができる。
【0124】
(距離補正値算出方法の変形例1)
上記第1の実施形態では、距離補正値ε’を、図15〜図17に示すようにして算出することとしたが、例えば、図28のフローチャートに沿った方法で距離補正値を算出することとしても良い。
【0125】
図28の方法では、まず、ステップS1060において、距離補正値計算部224が、絶対位置(GPS測位値)N点の中から最も距離の離れた2点の絶対位置(図29(a)では、点a、点c)を選択し、各点間の距離faを計算する。
【0126】
次いで、ステップS1062では、距離補正値計算部224が、GPS距離範囲を計算する。この場合、GPS誤差範囲が半径rの範囲とされているので、GPS距離範囲は、
fa−2r≦GPS距離範囲≦fa+2r …(13)
となる。なお、GPS距離範囲とは、GPS誤差範囲から計算される正解距離が含まれる範囲のことである。
【0127】
次いで、ステップS1064では、距離補正値計算部224が、絶対位置2点を計測したときの相対位置、すなわち、絶対位置2点に対応する相対経路上の2点間の距離(相対経路距離)を算出する。ここでは、図29(b)に示す点a’、点c’間の距離fbを算出する。
【0128】
次いで、ステップS1066では、距離補正値計算部224が、相対経路距離fbとGPS距離範囲の最大値(fa+2r)を比較し、相対経路距離fbがGPS距離範囲の最大値(fa+2r)を超えているか否かを判断する。ここでの判断が肯定された場合には、ステップS1068に移行し、距離補正値計算部224が、距離補正値ε’を次式(14)にて算出する。
ε’=(fa+2r)/fb …(14)
【0129】
一方、ステップS1066での判断が否定された場合には、ステップS1070に移行する。このステップS1070では、距離補正値計算部224が、相対経路距離fbとGPS距離範囲の最小値(fa−2r)を比較し、相対経路距離fbがGPS距離範囲の最小値(fa−2r)よりも小さいか否かを判断する。ここでの判断が否定された場合には、ステップS1072に移行して、距離補正値ε’を「1」に設定する。なお、ここでは距離補正値ε’を1に設定することとしたが、これに限らず、例えば、ε’として、GPS距離(fa)を相対経路距離(fb)で除した値を採用することとしても良い。
【0130】
これに対し、ステップS1070の判断が肯定された場合には、ステップS1074に移行し、距離補正値計算部224が、距離補正値ε’を次式(15)にて算出する。
ε’=(fa−2r)/fb …(15)
【0131】
以上のような方法を採用しても、GPS距離範囲と相対経路距離との関係に応じて、距離補正値ε’の算出方法を変更するので、距離補正値の算出を適切に行うことが可能である。
【0132】
(距離補正値算出方法の変形例2)
距離補正値の算出方法は、上記第1の実施形態及び上記変形例1の方法に限られるものではなく、例えば、GPS測位値に測位誤差が無いような場合には、図30のような距離補正値の算出を行うことも可能である。
【0133】
すなわち、GPS測位値に測位誤差が無ければ、上述したGPS距離範囲を考慮する必要が無い。したがって、このような場合には、図30(a)に示すように、点ac間の距離(GPS距離)faを算出するとともに、図30(b)に示すように、点a’c’間の距離(相対経路距離)fbを算出し、これらの値から距離補正値ε’を次式(16)に基づいて算出することとしても良い。
ε’=fa/fb …(16)
このような距離補正値の算出方法を採用することで、測位誤差が無い場合であれば、簡易且つ高精度に距離補正値を算出することが可能である。
【0134】
(座標補正値算出方法の変形例)
上記第1の実施形態では、座標補正値の算出方法として、図18〜図21に示すような方法を採用した場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、GPS測位値に測位誤差が無いような場合には、図18のステップS204で計算された重心Gの座標とステップS206で計算された重心G”の座標との差分Δcx、Δcyをそのまま座標補正値に設定することとしても良い。
【0135】
なお、上記第1の実施形態では、図2のステップS20において、絶対位置の数が閾値2を超えた場合、すなわち絶対位置数が3になった場合に、相対経路を絶対経路に変換する処理(ステップS22)を行う場合について説明したが、これに限られるものではなく、閾値は1であっても良い。すなわち、絶対位置数が2になった場合に、相対経路を絶対経路に変換する処理(ステップS22)を行うこととしても良い。この場合、絶対位置(又は相対位置)の重心は、2点間の中点になる。また、例えば、絶対位置数が4や5になった場合にステップS22に移行するようにしても良い。この場合には、図13(b)、図16、図17、図21において対比に用いていた三角形が、四角形や五角形になるが、各辺間の角度(及びその合計)や各点の距離(及びその合計)の比較に関しては、上記第1の実施形態と同様の方法を採用することができる。
【0136】
なお、上記第1の実施形態では、歩数の閾値Mとして8歩を採用しているが、これに限らず、種々の歩数を閾値Mとして設定することができる。この場合、歩き始めからの合計歩数が少ない場合には閾値Mを大きくするなど、閾値Mの値を状況に応じて変動させるような制御を行っても良い。
【0137】
≪第2の実施形態≫
以下、本発明の第2の実施形態について、図31〜図38に基づいて詳細に説明する。
【0138】
図31には、道路上の車両の位置を標定し、標定した位置に応じて車両に対する情報提供・警告・介入制御を行う先進安全サービスシステムの一例が示されている。この先進安全サービスシステムは、路上に設置された道路側装置(光ビーコン)90を含んでいる。この光ビーコン90は、当該光ビーコン90の直下を通過した車両に搭載された移動端末としての車載機60(図32参照)との間で通信する。光ビーコン90は、この通信により、車両の絶対位置情報(車両の位置する緯度・経度情報、及びいずれの車線を走行しているかなどの情報)を車載機60に通知する。
【0139】
図32には、光ビーコン90の構成、及び車載機60の構成がブロック図にて示されている。
【0140】
この図32に示すように、光ビーコン90は、車載機60に対して光信号を発信(投光)するとともに、車載機60側から発信された光信号を受信(受光)する投受光機80と、投受光機80を介した車載機60との間の通信を制御する通信制御部82とを有している。
【0141】
車載機60は、受光装置70と、データ受信部74と、投受光機下位置算出部72と、ジャイロセンサ76と、車速パルス78と、絶対移動経路算出装置としての車両経路算出部50’とを有している。
【0142】
受光装置70は、光ビーコン90からの光信号を受光するものであり、データ受信部74は、光ビーコン90から受光装置70を介して各種情報を受け取るものであり、投受光機下位置算出部72は、受光装置70の光の受信状態によって車両が光ビーコン90の真下であることを算出(検知)すると、データ受信部74で受け取ったデータ(ダウンリンク送信データ)から光ビーコン90の絶対位置情報を抽出する。
【0143】
車両経路算出部50’は、投受光機下位置算出部72で抽出された絶対位置の情報と、ジャイロセンサ76や車速パルス78による検出結果から自律航法により得られる相対経路の情報と、から車両位置を計算する。この車両経路算出部50’は、上記第1の実施形態における絶対移動経路算出装置50(図1参照)と同様の構成を有している。なお、図32では、図1の構成と同一又は同等の構成には、図1の符合に「’」を付加したものを付している。
【0144】
この車両経路算出部50’は、より具体的には、データ受信部74で受け取ったデータのうち、投受光機下位置算出部72にて抽出された絶対位置情報を抽出する絶対位置取得部18’と、ジャイロセンサ76を用いて車両の方位を取得する方位取得部12’と、車速パルス78を用いて車両の走行距離を取得する移動距離計算部14’と、方位取得部12’で取得された方位と移動距離計算部14’で計算された距離から相対経路を計算する相対経路計算部16’と、絶対位置座標の座標系と相対経路の座標系の相互の変換を行う座標変換部20’と、絶対位置取得部18’で取得された絶対位置と相対経路計算部16’で計算された相対経路から補正値を計算するとともに、当該補正値で相対経路を補正する補正値計算処理部22’と、補正値計算処理部22’で補正された相対経路を座標変換部20’で絶対座標に変換した結果を保持する経路情報保持部26’、を有している。
【0145】
次に、上記車載機60及び光ビーコン90を用いた処理の流れについて、図33〜図38のフローチャートに沿って説明する。図33のフローチャートは、車両が走行を開始したことを、車速パルス78を介して移動距離計算部14’が検出した時点から開始される。
【0146】
図33のステップS502では、相対経路作成サブルーチンを、図34のフローチャートに沿って実行する。このサブルーチンでは、まず、ステップS530(図34参照)において、方位取得部12’が、車両の方位角Δθiを、ジャイロセンサ76の検出結果に基づいて取得する。
【0147】
次いで、ステップS532では、移動距離計算部14’が、車両の走行開始からの移動距離ΔLiを車速パルス78の検出結果に基づいて取得する。
【0148】
次いで、ステップS534では、相対経路計算部16’が、ステップS530、S532における取得結果に基づいて、車両の相対位置の計算を行う。
【0149】
この場合、現在の車両の方位θiは、直前の車両の方位をθi-1とすると、次式(17)にて求めることができる。
θi=θi-1+Δθi …(17)
【0150】
また、現在の車両の相対位置(Xi,Yi)は、直前の車両の相対位置を(Xi,Yi)とすると、次式(18)、(19)にて求めることができる。
Xi=Xi-1+ΔLicos(90−θi) …(18)
Yi=Yi-1+ΔLisin(90−θi) …(19)
【0151】
ここで、i=1の場合には、Δθiの初期値(ジャイロセンサ76の初期値)Δθ1が必要となる。本第2の実施形態では、初期値Δθ1を、例えば、一定値(例えば0)としても良いし、ユーザに任意の方位を入力させることとしても良い。
【0152】
図33に戻り、次のステップS504では、投受光機下位置算出部72が、光ビーコン90のダウンリンク送信データを受信したか否かを判断する。この判断が肯定された場合には、次のステップS506において、投受光機下位置算出部72が、当該データ受信が1つ目の光ビーコンからのものであるか否かを判断する。ここでの判断が肯定されると、ステップS508において、投受光機下位置算出部72が、ダウンリンク送信データ中の絶対位置情報を絶対位置1に設定し、当該絶対位置が取得されたときの相対経路情報(絶対位置1に対応する相対位置)とともに保持する。
【0153】
その後、ステップS502の処理及びステップS504の判断が実行されるが、ステップS504の判断が否定されると、ステップS522に移行する。このステップS522では、補正値と基準絶対座標が存在するか否かを判断する。ここでの判断が否定された場合には、ステップS502に戻る。その後は、ステップS502→S504→S522を繰り返し、ステップS504において判断が肯定されると、次のステップS506の判断は否定され(2つ目の光ビーコンからのダウンリンク送信データを受信した後であるため)、ステップS510に移行する。
【0154】
このステップS510では、投受光機下位置算出部72が、ダウンリンク送信データ中の絶対位置情報を絶対位置2に設定し、当該絶対位置が取得されたときの相対経路情報(絶対位置2に対応する相対位置)とともに保持する。
【0155】
次いで、ステップS512では、相対経路を絶対座標化するサブルーチンを実行する。このサブルーチンでは、まず、図35のステップS540において、座標変換部20’が、絶対座標1,2をXY座標化する。この場合、例えば、絶対位置2の座標を基準絶対位置座標とし、(0,0)に設定し、上述した第1の実施形態と同様、絶対位置1と2との間の距離と位置関係に基づいてXY座標化を行う。なお、XY座標化を行う場合、通常、車両の移動距離は人の移動距離よりもはるかに長いので、緯度経度から距離を算出する場合には、球面三角法や、地球を楕円回転体とみなした計算方法などを採用するのが好ましいが、絶対位置1,2間の距離が短い場合は、上記第1の実施形態と同様、地球を平面と仮定する算出方法を採用することとしても良い。
【0156】
次いで、ステップS542では、方位補正値の計算サブルーチンを実行する。このサブルーチンでは、図36のステップS560において、方位補正値計算部222’が、絶対位置1に対応する相対位置及び絶対位置2に対応する相対位置を選択する。次いで、ステップS562では、相対位置2点のなす方位角が、絶対位置1,2がなす方位角と一致するような回転角β’を計算する。このようにして計算された回転角β’が方位補正値となる。なお、本第2の実施形態では上述した第1の実施形態と異なり、補正値の算出方法が簡易であるが、これは、正確な絶対位置を光ビーコンを通して得ることが出来るからである。
【0157】
図35に戻り、次のステップS544では、距離補正値計算部224’が距離補正値の計算サブルーチンを実行する。このサブルーチンでは、図37のステップS570において、距離補正値計算部224’が、絶対位置1,2の間の距離(絶対位置間距離)を計算する。
【0158】
次いで、ステップS572では、距離補正値計算部224’が、絶対位置1に対応する相対位置と、絶対位置2に対応する相対位置との間の距離(相対位置間距離)を計算する。
【0159】
次いで、ステップS574では、距離補正値計算部224’が、距離補正値ε’を次式(20)に基づいて、計算する。
ε’=絶対位置間距離/相対位置間距離 …(20)
【0160】
その後は、図35のステップS546に移行する。
【0161】
次のステップS546では、座標補正値の計算及び補正済みの相対経路の計算サブルーチンを実行する。このサブルーチンでは、図38のステップS580において、座標補正値計算部226’が、相対経路を方位補正値β’で回転補正するとともに、距離補正値ε’で拡大縮小補正することにより、補正後の相対経路を計算する。
【0162】
次いで、ステップS582では、座標補正値計算部226’が、絶対位置1、2間の重心座標Gを計算する。この場合、絶対位置1,2を結ぶ線分の中点が重心座標Gとなる。
【0163】
次いで、ステップS584では、座標補正値計算部226’が、絶対位置1に対応する相対位置と、絶対位置2に対応する相対位置との重心座標G’を計算する。この場合、相対位置2点を結ぶ線分の中点が重心座標G’となる。
【0164】
次いで、ステップS586では、座標補正値計算部226’がX軸方向の補正座標値を次式(21)を用いて算出する。
X軸方向の補正座標値=重心GのX座標−重心G’のX座標 …(21)
【0165】
また、次のステップS588では、座標補正値計算部226’がY軸方向の補正座標値を次式(22)を用いて算出する。
Y軸方向の補正座標値=重心GのY座標−重心G’のY座標 …(22)
【0166】
なお、ステップS586とステップS588の順序を入れ替えて実行することとしても良い。
【0167】
次いで、ステップS590では、補正値適用部228’が、ステップS580で補正した補正後の相対経路の座標値にX軸方向の補正座標値、Y軸方向の補正座標値を加算し、補正済み相対経路を算出する。その後は、図35のステップS548に移行する。
【0168】
次のステップS548では、座標変換部20’が、前述したステップS590において算出された補正済み相対経路を絶対位置1、2を基準に絶対座標に変換する。この場合の変換には、前述した方法と同様に、球面三角法や、地球を楕円回転体とみなした計算方法などを採用するのが好ましい。ただし、絶対位置間の距離が比較的短い場合には、上記第1の実施形態と同様、地球を平面と仮定する算出方法を採用することとしても良い。
【0169】
以上のようにして、図35の処理(ステップS512のサブルーチン)が終了すると、図33のステップS514に戻る。ステップS514では、経路情報保持部26’が、絶対座標に変換された補正済み相対経路を保存する。次いで、ステップS516では、方位補正値β’、距離補正値ε’、X軸方向の補正座標値、Y軸方向の補正座標値、及び基準絶対位置座標(ここでは、絶対位置2の値)を補正値保持部24’が保存する。
【0170】
次いで、ステップS518では、絶対位置取得部18’が、絶対位置1の値を絶対位置2の値と置き換え、絶対位置2をクリアする。またステップS520では、相対経路計算部16’が、現在の絶対位置1(以前の絶対位置2)に対応する相対位置情報を残して、他の相対経路情報を全てクリアし、ステップS502に戻る。
【0171】
その後、ステップS502において、相対経路作成サブルーチンを実行するとともに、ステップS504において、光ビーコン90のダウンリンク送信データを受信したか否かを判断し、ここでの判断が否定された場合には、ステップS522に移行する。ステップS522では、補正値と基準絶対座標があるか否かを判断するが、ここでは前述したステップS516において、補正値と基準絶対座標が補正値保持部24’に保存されているので、判断は肯定される。そして、ステップS524では、補正値適用部228’や座標変換部20’が、補正値と基準絶対座標を用い、相対経路を補正して絶対座標に変換する処理を実行し、ステップS526では、経路情報保持部26’が、絶対座標に変換された相対経路(絶対移動経路)を保存し、ステップS502に戻る。
【0172】
その後は、次に光ビーコン90からのダウンリンク送信データを受信した時点で、ステップS510〜ステップS520を実行することにより、新たな補正値及び新たな基準絶対座標を算出する。また、この算出の後、更にダウンリンク送信データを受信するまでの間は、この補正値及び基準絶対座標を用いて、相対経路の補正及び座標変換を行うこととしている。
【0173】
なお、本第2の実施形態では、上述したようにして経路情報保持部26’に保存される経路情報(絶対移動経路)は、車両内に設置されたカーナビゲーションシステムの表示画面に適宜表示されるようになっている。
【0174】
以上、詳細に説明したように、本第2の実施形態によると、車載機60が車両の進む方向をジャイロセンサ76を用いて検出した結果と、車両の移動距離を車速パルス78を用いて検出した結果とから車両の相対経路を算出するとともに、車両が光ビーコン90の直下を通過するたびに光ビーコンの絶対位置座標をダウンリンクデータとして受け取る。そして、その絶対位置の数が2つに達した場合に、絶対位置2点と当該絶対位置を測位した時点における相対位置2点との関係から補正値(β’、ε’、座標補正値)を算出し、当該補正値と相対経路とから、絶対座標上における車両の絶対移動経路を算出する。このように、絶対位置2点とこれに対応する相対位置2点との関係から、相対経路を、本来の移動経路(絶対移動経路)に近づけるための補正値を算出することができるので、ジャイロセンサ76の初期値がいかなる値であっても、ユーザの絶対移動経路を高精度に算出することができる。
【0175】
また、本第2の実施形態によると、高精度にユーザの絶対移動経路を算出することができるので、この絶対移動経路に基づいて、車両が右折レーンにいるかどうか、交差点に進入したかどうか、交差点内のどの位置にいるか、などの判断を行うことができる。したがって、これら判断した情報を用いることにより、先進安全サービスのより一層のサービス向上を図ることができる。
【0176】
また、本第2の実施形態によると、外部の送信機(光ビーコン90)から発信される位置情報(ダウンリンク送信データ)を受信するたびに、絶対位置情報を取得するので、適切なタイミングで、補正値の算出及び基準絶対位置座標の算出を行うことが可能である。
【0177】
また、本第2の実施形態によると、2つ目の光ビーコンからのダウンリンク送信データを受信するまでは、その前に算出した補正値と基準絶対座標を用いて、相対経路を補正し、座標変換するので、ほぼリアルタイムで、絶対位置の算出、経路情報(絶対移動経路)の表示等を行うことが可能である。
【0178】
なお、上記第2の実施形態では、光ビーコン90からのダウンリンク送信データが、2つ集まった段階で、補正値及び基準絶対座標を算出しなおす場合について説明したが、これに限られるものではない。すなわち、絶対位置がN個(N≧2)集まった段階で、それらのうちの2つの絶対位置、及びこれらに対応する2つの相対位置を用いて、補正値及び基準絶対座標を算出しなおすこととしても良い。
【0179】
なお、上記第2の実施形態では、光ビーコン90からの情報を用いて、車載機60が、車両の経路情報(絶対移動経路)を算出する場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、所定の端末に対して情報を発信する装置(例えば、RFIDに対して情報を送信する装置)からの情報に基づいて、RFIDを保有しているユーザの経路情報(絶対移動経路)を算出するなどのシステムにも、上記第2の実施形態を適用することが可能である。
【0180】
なお、上記各実施形態では、N点の絶対位置のうち、最も距離の離れた2点を主に用いた補正値の算出を行っているが、これに限らず、最も距離の離れた2点を用いずに、別の2点を用いることとしても良い。
【0181】
なお、上記各実施形態における絶対移動経路算出装置は、複数の装置(図1の各部、図32の各部に対応)を組み合わせることにより構成しても良いし、各装置を、CPU、ROM、及びRAMなどを組み合わせた計算機システムで構成し、上記各部の機能を計算機システムに内蔵されたプログラムによって実現することとしても良い。
【0182】
上述した各実施形態は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
【0183】
なお、以上の説明に関して更に以下の付記を開示する。
(付記1)所定のタイミングで、端末に予め定められた基準軸が指し示す方位を検出する方位取得部と、前記所定のタイミングで、前記端末の移動距離を検出する移動距離検出部と、前記方位取得部による検出結果と前記移動距離検出部による検出結果とを用いて、前記相対移動経路を算出し、該相対移動経路を記憶する相対移動経路取得部と、前記算出した相対移動経路の先頭位置に対応する絶対位置であって、緯度と経度により表される絶対座標上における前記端末の絶対位置を取得し、該絶対位置を記憶する絶対位置取得部と、前記絶対位置が所定回数記憶される度に、前記所定回数のうちの少なくとも2点の絶対位置と当該絶対位置に対応する相対位置との関係から補正値を算出し、当該補正値と前記相対移動経路とから、前記絶対座標上における前記端末の絶対移動経路を算出する絶対移動経路算出部と、を備える絶対移動経路算出装置。
(付記2)前記移動距離算出部は、前記所定のタイミングで、予め設定されている前記端末を保持するユーザの歩幅と、前記端末の加速度から検知されるユーザの歩数とから、前記端末の移動距離を検出することを特徴とする付記1に記載の絶対移動経路算出装置。
(付記3)前記絶対位置取得部が前記絶対位置を取得するタイミングは、前記端末の移動距離が規定値に達するごと、前記端末に予め定められた基準軸が指し示す方位の変化量が規定値に達するごと、外部の送信機から発信される位置情報を受信するごと、の少なくとも1つのタイミングを含むことを特徴とする付記1又は2に記載の絶対移動経路算出装置。
(付記4)前記補正値を算出した後は、前記補正値算出後に算出される相対経路と前記補正値とから仮の絶対位置経路を算出し、新たな補正値を算出した段階で、前記仮の絶対位置経路の算出に用いられた相対経路と前記新たな補正値とから真の絶対位置経路を算出することを特徴とする付記1〜3のいずれかに記載の絶対移動経路算出装置。
(付記5)前記絶対移動経路算出部が算出する補正値は、前記相対移動経路の方位を補正するための方位補正値、移動距離を補正するための距離補正値、及び座標値を補正するための座標補正値を含むことを特徴とする付記1〜4のいずれかに記載の絶対移動経路算出装置。
(付記6)前記絶対移動経路算出部は、前記所定回数の絶対位置のうちの2つの絶対位置を結ぶ直線がなす角度を算出するとともに、前記2つの絶対位置に対応する2つの相対位置のなす角度を算出し、前記2つの角度の差分値を、前記方位補正値とすることを特徴とする付記5に記載の絶対移動経路算出装置。
(付記7)前記絶対移動経路算出部は、前記所定回数の絶対位置のうちの2つの絶対位置を結ぶ直線がなす角度を算出するとともに、前記2つの絶対位置に対応する2つの相対位置のなす角度を算出し、前記2つの絶対位置を結ぶ直線がなす角度と、前記絶対位置取得部の測位誤差とから算出される絶対位置方位角範囲内に、前記2つの相対位置のなす角度が含まれるように、前記相対移動経路を回転し、前記所定回数の絶対位置を繋いで形成される図形と、前記所定回数の絶対位置に対応する相対位置を繋いで形成される図形の対応する辺間の角度の合計値が最も小さくなる回転角の値を求め、前記回転角の値を、前記絶対位置取得部が取得する絶対位置が誤差を含んでいる場合の前記方位補正値とすることを特徴とする付記5に記載の絶対移動経路算出装置。
(付記8) 前記絶対移動経路算出部は、前記所定回数の絶対位置のうちの2つの絶対位置間の距離である絶対位置間距離を取得するとともに、前記2つの絶対位置に対応する2つの相対位置間の距離である相対位置間距離を取得し、前記相対位置間距離に対する前記絶対位置間距離の比率を前記距離補正値とすることを特徴とする付記5〜7のいずれかに記載の絶対移動経路算出装置。
(付記9)前記絶対位置取得部が取得する前記絶対位置が誤差を含んでいる場合、前記絶対移動経路算出部は、前記所定回数の絶対位置のうちの2つの絶対位置間距離と前記絶対位置取得部の測位誤差とから算出される絶対位置間距離範囲内に、前記2つの絶対位置に対応する2つの相対位置間距離が含まれるか否かを判断し、その判断の結果、前記相対位置間距離が、前記絶対位置間距離範囲の最小値よりも小さい場合には、前記最小値の前記相対位置間距離に対する比率を前記距離補正値とし、前記相対位置間距離が、前記絶対位置間距離範囲の最大値よりも大きい場合には、前記最大値の前記相対位置間距離に対する比率を前記距離補正値とし、前記相対位置間距離が、前記絶対位置間距離範囲の最大値よりも小さく最小値よりも大きい場合には、前記距離補正値を1に設定することを特徴とする付記5〜7のいずれかに記載の絶対移動経路算出装置。
(付記10)前記絶対位置取得部が取得する前記絶対位置が誤差を含んでいる場合、前記絶対移動経路算出部は、前記相対移動経路を、前記方位補正値で回転し、前記所定回数の絶対位置を繋いで形成される図形の重心と、前記絶対位置に対応する所定回数の相対位置を繋いで形成される図形の重心とを一致させた状態で、前記相対位置の図形を拡大縮小して、前記所定回数の絶対位置とこれらに対応する相対位置との間の距離の合計が最小となるときの拡大縮小率を、前記距離補正値とすることを特徴とする付記5〜7のいずれかに記載の絶対移動経路算出装置。
(付記11)前記絶対移動経路算出部は、前記相対移動経路を、前記方位補正値で回転するとともに、前記距離補正値で拡大縮小した状態で、前記所定回数の絶対位置を繋いで形成される図形の重心と、前記絶対位置に対応する相対位置を繋いで形成される図形の重心とを一致させるのに必要な移動量を、前記座標補正値とすることを特徴とする付記5〜10のいずれかに記載の絶対移動経路算出装置。
(付記12)前記絶対位置取得部が取得する前記絶対位置が誤差を含んでいる場合、前記絶対移動経路算出部は、前記相対移動経路を、前記方位補正値で回転するとともに、前記距離補正値で拡大縮小した状態で、前記所定回数の絶対位置を繋いで形成される図形の重心と、前記絶対位置に対応する相対位置を繋いで形成される図形の重心とを一致させるのに必要な移動量と、前記重心を一致させた状態から、前記対応する各点間距離の合計を最小とするのに必要な前記相対移動経路の微小移動量との合計の値を、前記座標補正値とすることを特徴とする付記5〜10のいずれかに記載の絶対移動経路算出装置。
(付記13)端末の方位取得部が、所定のタイミングで前記端末に予め定められた基準軸が指し示す方位を検出する方位取得工程と、前記端末の移動距離検出部が、前記所定のタイミングで、前記端末の移動距離を検出する移動距離検出工程と、前記端末の相対移動経路計算部が、前記方位取得工程の検出結果と前記移動距離検出工程の検出結果とを用いて、前記相対移動経路を算出し、該相対移動経路を記憶する相対移動経路取得工程と、前記算出した相対移動経路の先頭位置に対応する絶対位置であって、緯度と経度により表される絶対座標上における前記端末の絶対位置を取得し、該絶対位置を記憶する絶対位置取得工程と、前記端末の絶対移動経路算出部が、前記絶対位置が所定回数記憶される度に、前記所定回数のうちの少なくとも2点の絶対位置と当該絶対位置に対応する相対位置との関係から補正値を算出し、当該補正値と前記相対移動経路とから、前記絶対座標上における前記端末の絶対移動経路を算出する絶対移動経路算出工程と、を含む絶対移動経路算出方法。
(付記14)前記端末の絶対移動経路算出部が、前記絶対移動経路算出工程で算出する補正値は、前記相対移動経路の方位を補正するための方位補正値、移動距離を補正するための距離補正値、及び座標値を補正するための座標補正値を含むことを特徴とする付記13に記載の絶対移動経路算出方法。
(付記15)コンピュータに、所定のタイミングで、端末に予め定められた基準軸が指し示す方位を検出する方位取得ステップと、前記所定のタイミングで、前記端末の移動距離を検出する移動距離検出ステップと、前記方位取得ステップによる検出結果と前記移動距離検出ステップによる検出結果とを用いて、前記相対移動経路を算出し、該相対移動経路を記憶する相対移動経路取得ステップと、前記算出した相対移動経路の先頭位置に対応する絶対位置であって、緯度と経度により表される絶対座標上における前記端末の絶対位置を取得し、該絶対位置を記憶する絶対位置取得ステップと、前記絶対位置が所定回数記憶される度に、前記所定回数のうちの少なくとも2点の絶対位置と当該絶対位置に対応する相対位置との関係から補正値を算出し、当該補正値と前記相対移動経路とから、前記絶対座標上における前記端末の絶対移動経路を算出する絶対移動経路算出ステップとを実行させることにより、絶対移動経路算出装置として機能させるプログラム。
(付記16)前記補正値は、前記相対移動経路の方位を補正するための方位補正値、移動距離を補正するための距離補正値、及び座標値を補正するための座標補正値を含むことを特徴とする付記15に記載のプログラム。
【図面の簡単な説明】
【0184】
【図1】第1の実施形態に係る携帯電話(特に移動経路検出装置)の構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】絶対移動経路算出装置による処理を示すフローチャートである。
【図3】図2のステップS10の具体的な処理を示すフローチャートである。
【図4】図3のステップS110の具体的な処理内容を示す図である。
【図5】図2のステップS10の結果得られるデータの一例を示す表である。
【図6】図2のステップS16終了後に得られるデータの一例を示す表である。
【図7】図2のステップS20の判断が肯定されるまでの処理で得られる相対経路と絶対位置を模式的に示す図である。
【図8】図2のステップS22の具体的な処理を示すフローチャートである。
【図9】図8のステップS130の処理を説明するための図である。
【図10】図8のステップS132(方位補正値の計算)の具体的な処理を示すフローチャートである。
【図11】図10のステップS158の具体的な処理を示すフローチャートである。
【図12】図11の処理内容を説明するための図(その1)である。
【図13】図11の処理内容を説明するための図(その2)である。
【図14】図11の処理内容を説明するための図(その3)である。
【図15】図8のステップS134(距離補正値の計算)の具体的な処理を示すフローチャートである。
【図16】図15の処理内容を説明するための図(その1)である。
【図17】図15の処理内容を説明するための図(その2)である。
【図18】図8のステップS136(座標補正値の計算)の具体的な処理を示すフローチャートである。
【図19】図18のステップS210(X軸方向の座標補正値の計算)の具体的な処理を示すフローチャートである。
【図20】図18のステップS212(Y軸方向の座標補正値の計算)の具体的な処理を示すフローチャートである。
【図21】図18のステップS208〜S212の処理内容を説明するための図である。
【図22】図8のステップS138の具体的な処理を示すフローチャートである。
【図23】図23(a)は、図22のステップS262の結果得られる補正後の相対経路のデータを示す表であり、図23(b)は、図22のステップS264の結果得られる補正後の相対経路のデータを示す表である。
【図24】図24(a)は、図22のステップS266の結果得られる補正後の相対経路のデータを示す表であり、図24(b)は、図22のステップS268の結果得られる補正後の相対経路のデータを示す表である。
【図25】検出手順に関する変形例2に関するフローチャートである。
【図26】方位補正値算出方法の変形例に関するフローチャートである。
【図27】図26の処理を説明するための図である。
【図28】距離補正値算出方法の変形例1に関するフローチャートである。
【図29】図28の処理を説明するための図である。
【図30】距離補正値算出方法の変形例2における、図29に対応する図である。
【図31】第2の実施形態に係る先進安全サービスシステムを概略的に示す図である。
【図32】光ビーコン及び車載機の構成を示すブロック図である。
【図33】車両経路算出部による処理を示すフローチャートである。
【図34】図33のステップS502の具体的な処理を示すフローチャートである。
【図35】図33のステップS512の具体的な処理を示すフローチャートである。
【図36】図35のステップS542の具体的な処理を示すフローチャートである。
【図37】図35のステップS544の具体的な処理を示すフローチャートである。
【図38】図35のステップS546の具体的な処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0185】
100 携帯電話(端末)
12 方位取得部
14 移動距離計算部(移動距離検出部)
16 相対経路計算部(相対移動経路取得部)
18 絶対位置取得部
20 座標変換部(絶対移動経路算出部の一部)
22 補正値計算処理部(絶対移動経路算出部の一部)
50 絶対移動経路算出装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のタイミングで、端末に予め定められた基準軸が指し示す方位を検出する方位取得部と、
前記所定のタイミングで、前記端末の移動距離を検出する移動距離検出部と、
前記方位取得部による検出結果と前記移動距離検出部による検出結果とを用いて、前記相対移動経路を算出し、該相対移動経路を記憶する相対移動経路取得部と、
前記算出した相対移動経路の先頭位置に対応する絶対位置であって、緯度と経度により表される絶対座標上における前記端末の絶対位置を取得し、該絶対位置を記憶する絶対位置取得部と、
前記絶対位置が所定回数記憶される度に、前記所定回数のうちの少なくとも2点の絶対位置と当該絶対位置に対応する相対位置との関係から補正値を算出し、当該補正値と前記相対移動経路とから、前記絶対座標上における前記端末の絶対移動経路を算出する絶対移動経路算出部と、を備える絶対移動経路算出装置。
【請求項2】
前記移動距離算出部は、
前記所定のタイミングで、予め設定されている前記端末を保持するユーザの歩幅と、前記端末の加速度から検知されるユーザの歩数とから、前記端末の移動距離を検出することを特徴とする請求項1に記載の絶対移動経路算出装置。
【請求項3】
前記絶対移動経路算出部が算出する補正値は、
前記相対移動経路の方位を補正するための方位補正値、移動距離を補正するための距離補正値、及び座標値を補正するための座標補正値を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の絶対移動経路算出装置。
【請求項4】
前記絶対移動経路算出部は、前記所定回数の絶対位置のうちの2つの絶対位置を結ぶ直線がなす角度を算出するとともに、前記2つの絶対位置に対応する2つの相対位置のなす角度を算出し、
前記2つの角度の差分値を、前記方位補正値とすることを特徴とする請求項3に記載の絶対移動経路算出装置。
【請求項5】
前記絶対移動経路算出部は、
前記所定回数の絶対位置のうちの2つの絶対位置を結ぶ直線がなす角度を算出するとともに、前記2つの絶対位置に対応する2つの相対位置のなす角度を算出し、
前記2つの絶対位置を結ぶ直線がなす角度と、前記絶対位置取得部の測位誤差とから算出される絶対位置方位角範囲内に、前記2つの相対位置のなす角度が含まれるように、前記相対移動経路を回転し、
前記所定回数の絶対位置を繋いで形成される図形と、前記所定回数の絶対位置に対応する相対位置を繋いで形成される図形の対応する辺間の角度の合計値が最も小さくなる回転角の値を求め、
前記回転角の値を、前記絶対位置取得部が取得する絶対位置が誤差を含んでいる場合の前記方位補正値とすることを特徴とする請求項3に記載の絶対移動経路算出装置。
【請求項6】
前記絶対移動経路算出部は、
前記所定回数の絶対位置のうちの2つの絶対位置間の距離である絶対位置間距離を取得するとともに、前記2つの絶対位置に対応する2つの相対位置間の距離である相対位置間距離を取得し、
前記相対位置間距離に対する前記絶対位置間距離の比率を前記距離補正値とすることを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載の絶対移動経路算出装置。
【請求項7】
端末の方位取得部が、所定のタイミングで前記端末に予め定められた基準軸が指し示す方位を検出する方位取得工程と、
前記端末の移動距離検出部が、前記所定のタイミングで、前記端末の移動距離を検出する移動距離検出工程と、
前記端末の相対移動経路計算部が、前記方位取得工程の検出結果と前記移動距離検出工程の検出結果とを用いて、前記相対移動経路を算出し、該相対移動経路を記憶する相対移動経路取得工程と、
前記算出した相対移動経路の先頭位置に対応する絶対位置であって、緯度と経度により表される絶対座標上における前記端末の絶対位置を取得し、該絶対位置を記憶する絶対位置取得工程と、
前記端末の絶対移動経路算出部が、前記絶対位置が所定回数記憶される度に、前記所定回数のうちの少なくとも2点の絶対位置と当該絶対位置に対応する相対位置との関係から補正値を算出し、当該補正値と前記相対移動経路とから、前記絶対座標上における前記端末の絶対移動経路を算出する絶対移動経路算出工程と、を含む絶対移動経路算出方法。
【請求項8】
前記端末の絶対移動経路算出部が、前記絶対移動経路算出工程で算出する補正値は、
前記相対移動経路の方位を補正するための方位補正値、移動距離を補正するための距離補正値、及び座標値を補正するための座標補正値を含むことを特徴とする請求項7に記載の絶対移動経路算出方法。
【請求項9】
コンピュータに、
所定のタイミングで、端末に予め定められた基準軸が指し示す方位を検出する方位取得ステップと、
前記所定のタイミングで、前記端末の移動距離を検出する移動距離検出ステップと、
前記方位取得ステップによる検出結果と前記移動距離検出ステップによる検出結果とを用いて、前記相対移動経路を算出し、該相対移動経路を記憶する相対移動経路取得ステップと、
前記算出した相対移動経路の先頭位置に対応する絶対位置であって、緯度と経度により表される絶対座標上における前記端末の絶対位置を取得し、該絶対位置を記憶する絶対位置取得ステップと、
前記絶対位置が所定回数記憶される度に、前記所定回数のうちの少なくとも2点の絶対位置と当該絶対位置に対応する相対位置との関係から補正値を算出し、当該補正値と前記相対移動経路とから、前記絶対座標上における前記端末の絶対移動経路を算出する絶対移動経路算出ステップとを実行させることにより、絶対移動経路算出装置として機能させるプログラム。
【請求項10】
前記補正値は、
前記相対移動経路の方位を補正するための方位補正値、移動距離を補正するための距離補正値、及び座標値を補正するための座標補正値を含むことを特徴とする請求項9に記載のプログラム。
【請求項1】
所定のタイミングで、端末に予め定められた基準軸が指し示す方位を検出する方位取得部と、
前記所定のタイミングで、前記端末の移動距離を検出する移動距離検出部と、
前記方位取得部による検出結果と前記移動距離検出部による検出結果とを用いて、前記相対移動経路を算出し、該相対移動経路を記憶する相対移動経路取得部と、
前記算出した相対移動経路の先頭位置に対応する絶対位置であって、緯度と経度により表される絶対座標上における前記端末の絶対位置を取得し、該絶対位置を記憶する絶対位置取得部と、
前記絶対位置が所定回数記憶される度に、前記所定回数のうちの少なくとも2点の絶対位置と当該絶対位置に対応する相対位置との関係から補正値を算出し、当該補正値と前記相対移動経路とから、前記絶対座標上における前記端末の絶対移動経路を算出する絶対移動経路算出部と、を備える絶対移動経路算出装置。
【請求項2】
前記移動距離算出部は、
前記所定のタイミングで、予め設定されている前記端末を保持するユーザの歩幅と、前記端末の加速度から検知されるユーザの歩数とから、前記端末の移動距離を検出することを特徴とする請求項1に記載の絶対移動経路算出装置。
【請求項3】
前記絶対移動経路算出部が算出する補正値は、
前記相対移動経路の方位を補正するための方位補正値、移動距離を補正するための距離補正値、及び座標値を補正するための座標補正値を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の絶対移動経路算出装置。
【請求項4】
前記絶対移動経路算出部は、前記所定回数の絶対位置のうちの2つの絶対位置を結ぶ直線がなす角度を算出するとともに、前記2つの絶対位置に対応する2つの相対位置のなす角度を算出し、
前記2つの角度の差分値を、前記方位補正値とすることを特徴とする請求項3に記載の絶対移動経路算出装置。
【請求項5】
前記絶対移動経路算出部は、
前記所定回数の絶対位置のうちの2つの絶対位置を結ぶ直線がなす角度を算出するとともに、前記2つの絶対位置に対応する2つの相対位置のなす角度を算出し、
前記2つの絶対位置を結ぶ直線がなす角度と、前記絶対位置取得部の測位誤差とから算出される絶対位置方位角範囲内に、前記2つの相対位置のなす角度が含まれるように、前記相対移動経路を回転し、
前記所定回数の絶対位置を繋いで形成される図形と、前記所定回数の絶対位置に対応する相対位置を繋いで形成される図形の対応する辺間の角度の合計値が最も小さくなる回転角の値を求め、
前記回転角の値を、前記絶対位置取得部が取得する絶対位置が誤差を含んでいる場合の前記方位補正値とすることを特徴とする請求項3に記載の絶対移動経路算出装置。
【請求項6】
前記絶対移動経路算出部は、
前記所定回数の絶対位置のうちの2つの絶対位置間の距離である絶対位置間距離を取得するとともに、前記2つの絶対位置に対応する2つの相対位置間の距離である相対位置間距離を取得し、
前記相対位置間距離に対する前記絶対位置間距離の比率を前記距離補正値とすることを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載の絶対移動経路算出装置。
【請求項7】
端末の方位取得部が、所定のタイミングで前記端末に予め定められた基準軸が指し示す方位を検出する方位取得工程と、
前記端末の移動距離検出部が、前記所定のタイミングで、前記端末の移動距離を検出する移動距離検出工程と、
前記端末の相対移動経路計算部が、前記方位取得工程の検出結果と前記移動距離検出工程の検出結果とを用いて、前記相対移動経路を算出し、該相対移動経路を記憶する相対移動経路取得工程と、
前記算出した相対移動経路の先頭位置に対応する絶対位置であって、緯度と経度により表される絶対座標上における前記端末の絶対位置を取得し、該絶対位置を記憶する絶対位置取得工程と、
前記端末の絶対移動経路算出部が、前記絶対位置が所定回数記憶される度に、前記所定回数のうちの少なくとも2点の絶対位置と当該絶対位置に対応する相対位置との関係から補正値を算出し、当該補正値と前記相対移動経路とから、前記絶対座標上における前記端末の絶対移動経路を算出する絶対移動経路算出工程と、を含む絶対移動経路算出方法。
【請求項8】
前記端末の絶対移動経路算出部が、前記絶対移動経路算出工程で算出する補正値は、
前記相対移動経路の方位を補正するための方位補正値、移動距離を補正するための距離補正値、及び座標値を補正するための座標補正値を含むことを特徴とする請求項7に記載の絶対移動経路算出方法。
【請求項9】
コンピュータに、
所定のタイミングで、端末に予め定められた基準軸が指し示す方位を検出する方位取得ステップと、
前記所定のタイミングで、前記端末の移動距離を検出する移動距離検出ステップと、
前記方位取得ステップによる検出結果と前記移動距離検出ステップによる検出結果とを用いて、前記相対移動経路を算出し、該相対移動経路を記憶する相対移動経路取得ステップと、
前記算出した相対移動経路の先頭位置に対応する絶対位置であって、緯度と経度により表される絶対座標上における前記端末の絶対位置を取得し、該絶対位置を記憶する絶対位置取得ステップと、
前記絶対位置が所定回数記憶される度に、前記所定回数のうちの少なくとも2点の絶対位置と当該絶対位置に対応する相対位置との関係から補正値を算出し、当該補正値と前記相対移動経路とから、前記絶対座標上における前記端末の絶対移動経路を算出する絶対移動経路算出ステップとを実行させることにより、絶対移動経路算出装置として機能させるプログラム。
【請求項10】
前記補正値は、
前記相対移動経路の方位を補正するための方位補正値、移動距離を補正するための距離補正値、及び座標値を補正するための座標補正値を含むことを特徴とする請求項9に記載のプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【公開番号】特開2010−122034(P2010−122034A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−295292(P2008−295292)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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