説明

繰返し高圧・低圧洗浄ステップを含む遠隔プラズマ洗浄プロセス

基板処理チャンバ中に配置された基板を処理した後で、基板処理チャンバの1つまたは複数の内側表面から不要な堆積物蓄積を除去する遠隔プラズマプロセス。一実施形態では、基板が基板処理チャンバから外に移送され、フッ素含有エッチャントガスの流れが遠隔プラズマ源の中へ導入され、そこで反応種が形成される。遠隔プラズマ源から基板処理チャンバへの反応種の連続的な流れが発生され、一方では、高圧力洗浄ステップと低圧力洗浄ステップのサイクルが繰り返される。高圧力洗浄ステップ中に、基板処理チャンバ内の圧力が4〜15トルの範囲に維持されている間、反応種は基板処理チャンバの中へ流される。低圧力洗浄ステップ中に、高圧力洗浄ステップで到達された高圧力の少なくとも50パーセントだけ基板処理チャンバの圧力を減少させながら、反応種が基板処理チャンバの中へ流される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2008年10月22日に出願された米国特許仮出願第61/107,634号の優先権を主張する。出願第61/107,634号は、本明細書で参照してその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
現代の半導体デバイスの製造において主要なステップの1つは、シリコン酸化物層などの層を基板またはウェーハ上に形成することである。よく知られているように、そのような層は、化学気相成長法(CVD)によって堆積されることがある。従来の熱CVDプロセスでは、反応ガスが基板表面に供給され、そこで熱誘起化学反応が起こって所望の膜を形成する。従来のプラズマCVDプロセスでは、制御されたプラズマが、例えば無線周波(RF)エネルギーまたはマイクロ波エネルギーを使用して形成されて、反応ガス中の反応種を分解および/または高エネルギー化して所望の膜を生成する。
【0003】
そのようなCVDプロセスの間に、処理チャンバの壁のような領域に不要な堆積も起こる。この産業ではよく知られているように、チャンバ壁の内側に蓄積した不要な堆積材料を現場チャンバ洗浄作業で除去するのが一般的である。一般的なチャンバ洗浄技術は、フッ素などのエッチャントガスを使用してチャンバ壁および他の領域から堆積材料を除去することを含む。いくつかのプロセスでは、エッチャントガスがチャンバの中に導入され、さらに、エッチャントガスが堆積材料と反応してチャンバ壁から堆積材料を除去するようにプラズマが形成される。そのような洗浄処置は、一般的に、堆積ステップと堆積ステップの間にウェーハごとに、またはn枚のウェーハごとに行われる。
【0004】
いくつかの半導体製造は現場プラズマ洗浄の代替として遠隔プラズマ洗浄プロセスを用い、エッチャントプラズマがマイクロ波プラズマシステム、トロイダルプラズマ発生器または同様なデバイスのような高密度プラズマ源によって基板処理チャンバから遠く離れたところで発生される遠隔プラズマ洗浄処置が用いられることがある。エッチャントプラズマからの解離種は、次に、基板処理チャンバに輸送され、そこで、望まれていない堆積物蓄積と反応してその堆積物蓄積をエッチング除去することができる。遠隔プラズマ洗浄処置は、現場プラズマ洗浄よりも「よりソフトな」エッチングを実現するので、すなわちプラズマがチャンバ構成要素と接触しないためにチャンバ構成要素に対するイオン衝撃および/または物理的損傷がより少ないので、時には、製造業者によって使用されることもある。
【発明の概要】
【0005】
本発明の実施形態は、例えば基板の上に材料層を堆積させることによって基板が基板処理チャンバ中で処理された後で、その基板処理チャンバの1つまたは複数の内側表面から不要な堆積物蓄積を除去する技術に関する。いくつかの以前に使用された遠隔プラズマ洗浄プロセスの1つの問題は、洗浄プロセスの間に発生される反応性フッ素種がチャンバの内側からエッチングされたシリコンと再結合して、洗浄プロセスの効率を害する四フッ化珪素(SiF)の気相副生成物を形成することであった。特に、SiFは、洗浄プロセスの間に発生される酸素種と気相で反応してSiO粒子を形成することができる。本発明の実施形態は、洗浄プロセスの間にチャンバ圧力を高圧力レベルと低圧力レベルの間で周期的に循環させることによってSiFの気相副生成物がポンプ排気される遠隔プラズマ洗浄プロセスに関する。
【0006】
一実施形態に従って、基板が基板処理チャンバから外に移送された後で、フッ素含有エッチャントガスの流れが、遠隔プラズマ源の中へ導入され、反応種が遠隔プラズマ源中で形成される。遠隔プラズマ源から基板処理チャンバへの反応種の連続的な流れが生成され、一方では、基板処理チャンバ内で高圧力洗浄ステップと低圧力洗浄ステップのサイクルが繰り返される。高圧力洗浄ステップの間に、そのチャンバ内の圧力が4〜15トルの範囲に維持されている間ずっと反応種は基板処理チャンバの中へ流されている。低圧力洗浄ステップの間に、高圧力洗浄ステップで到達された高圧力の少なくとも50パーセントだけチャンバの圧力を下げながら、反応種は基板処理チャンバの中へ流される。いくつかの実施形態は、高圧力洗浄ステップと低圧力洗浄ステップのサイクルを少なくとも4回繰り返す。
【0007】
いくつかの実施形態では、高圧力ステップの間、チャンバ圧力は4〜15トルの範囲にあり、低圧力ステップの間、チャンバ圧力は0.5〜4トルの範囲にある。いくつかの他の実施形態では、高圧力ステップでのチャンバ圧力は、5〜8トルの範囲にあり、低圧力ステップでは0.5〜2.5トルの範囲にある。いくつかの実施形態では、フッ素含有エッチャントガスは三フッ化窒素であり、その三フッ化窒素は、高圧力ステップの間、少なくとも毎分4リットルの率で遠隔プラズマ源の中へ導入される。
【0008】
他の実施形態では、本発明のプロセスは、基板を基板処理チャンバから外に移送することと、その後で、(a)基板処理チャンバに流体で結合されている遠隔プラズマ源の中へフッ素含有エッチャントガスを流し、エッチャントガスから反応種を形成し、さらに反応種を基板処理チャンバの中へ輸送し、さらに、(b)フッ素含有エッチャントガスを遠隔プラズマチャンバの中へ連続的に流し、かつ反応種を基板処理チャンバの中へ連続的に輸送しながら、基板処理チャンバ内の圧力を第1の範囲内の高圧力と第2の範囲内の低圧力の間で、高圧力と低圧力の少なくとも2サイクルにわたって循環させることによって、不要な堆積物蓄積を除去することと、を含み、高圧力は低圧力よりも高い。
【0009】
本発明のこれらおよび他の実施形態は、その有利点および特徴と共に、以下の本文および添付の図に関連してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に関連したステップを図示する流れ図である。
【図2A】本発明の特定の一実施形態に従ったチャンバ圧力の経時的な変化を例示するグラフである。
【図2B】図2Aに図示された洗浄プロセスに従ったSiF放出を時間にわたって図示するグラフである。
【図3A】以前から知られている洗浄プロセスに従ったチャンバ圧力の経時的な変化を例示するグラフである。
【図3B】図3Aに図示された洗浄プロセスに従ったSiF放出を時間にわたって図示するグラフである。
【図4A】以前から知られている洗浄プロセスと本発明の実施形態に従った洗浄プロセスの洗浄率を時間にわたって比較するグラフである。
【図4B】以前から知られている洗浄プロセスと本発明の実施形態に従った洗浄プロセスの洗浄率を時間にわたって比較するグラフである。
【図5A】本発明の技術に従って行われた洗浄プロセスの試験結果を図示する。
【図5B】従来技術に従って行われた洗浄プロセスの試験結果を図示する。
【図6】本発明の実施形態が使用されることがある代表的な基板処理システムを示す単純化された断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態は、例えば基板の上にシリコン酸化物または同様な材料の層を堆積させることによって基板が基板処理チャンバ中で処理された後で、基板処理チャンバの1つまたは複数の内側表面から不要な堆積物蓄積を除去する技術に関する。フッ素は、遠隔プラズマ洗浄プロセスで一般に使用されるエッチャント種であり、三フッ化窒素(NF)は、そのようなプロセスでの一般的なフッ素供給源である。反応性エッチャント種の供給源として使用されるようなフッ素含有と、ドープまたはアンドープシリコン酸化物、シリコン窒化物または同様なものなどのシリコン含有材料とがチャンバの内側から除去される遠隔プラズマ洗浄の間に、洗浄プロセスで発生される反応性フッ素種は、チャンバの内側からエッチングされたシリコンと再結合して、洗浄プロセスの効率を害するSiF気相副生成物を形成する。SiFは、洗浄プロセスの間に発生される酸素種と気相で反応してSiO粒子を形成することができる。本発明の実施形態は、洗浄プロセスの間中チャンバ圧力を高圧力レベルと低圧力レベルの間で周期的に循環させることによって、チャンバおよび/または排気前配管内のSiFの累積を最小限にする。
【0012】
標準的な一様な圧力の遠隔プラズマチャンバ洗浄の間に、SiFの分圧は、最初のうち時間の経過と共に大きくなり、遂にはピークか安定状態かに達し、それから、シリコン含有材料がほとんど除去されたような洗浄の終わり近くで低下する。この洗浄の間に、チャンバ内でのフッ素とシリコン含有材料の間の反応が逆方向に動いてシリコン酸化物または他のシリコン含有粒子を形成するほど十分な大きさに、SiFの分圧が、達するのを防ぐことが望ましい。本発明の実施形態では、低圧力サイクルの間に、過剰なSiFはチャンバおよび/または前配管から外にポンプ排気され、それによってSiFの分圧を低くし、さらに粒子形成の可能性を低くする。本発明の実施形態は、多くの異なる遠隔プラズマ洗浄プロセスに有用であるが、フッ素含有ガスの大流量、例えば毎分3.0リットル以上の流量が遠隔プラズマ発生器の中へ流されるプロセスで、特に有用である。そのような大流量プロセスは、より少ない流量の洗浄プロセスに比べてチャンバの実効洗浄率を高めるために、対応する多量の解離反応種を発生させてチャンバの中へ輸送する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に従ったステップを図示する流れ図である。図1に示されるように、基板堆積プロセスまたは他の型の基板処理ステップ(ステップ2)が基板処理チャンバ中で起こった後で、基板はチャンバから外に移送される(ステップ4)。次に、随意の現場プラズマ加熱ステップが達成され(ステップ6)、このステップでは、プラズマは、基板処理チャンバ内でアルゴンのような不活性ガスから形成される。プラズマは、基板処理チャンバを、遠隔プラズマ洗浄プロセスより前の先行基板処理作業(例えば、堆積ステップ)の温度より上の温度に加熱する。
【0014】
いったんチャンバが適切な温度に加熱されると、現場プラズマは消され、基板処理チャンバに流体で結合されている遠隔プラズマチャンバの中でプラズマが発生される(ステップ8)。一実施形態では、NFを遠隔プラズマチャンバの中へ導入する前に、アルゴンまたは同様な不活性ガスの初期の流れで遠隔プラズマが引き起こされる。それから、NFが遠隔プラズマチャンバの中へ導入されるにつれて、アルゴンの流量は減少される。例として、遠隔プラズマは、3000sccmのアルゴンの流れで引き起こされることがあり、この3000sccmのアルゴンは、NFが1000sccmの初期流量で遠隔プラズマチャンバの中へ導入されそれから1500sccmの流れに増やされるときに、1000sccmにそれから500sccmに次第に減少される。一実施形態では、遠隔プラズマ起動ステップは、主洗浄ステップで使用される洗浄パワーの40〜70パーセントの範囲の洗浄パワーを使用する。チャンバ内のいくつかの不要な堆積材料蓄積は、ステップ8で除去されるが、洗浄プロセスの大部分は、以下で述べられるようにステップ10〜16の間に起こる。
【0015】
次に、NFの流量は、最初の高圧力遠隔プラズマ洗浄ステップ(ステップ12)の間に高められる。一実施形態では、高圧力遠隔プラズマ洗浄ステップ12は、NFを8000〜14000sccmの範囲の流量で遠隔プラズマチャンバの中へ導入し、基板処理チャンバ内の圧力を4〜15トルの範囲に設定する。より大きなNF流量およびより高いチャンバ圧力は、一般に、より高い洗浄率に等しいが、チャンバ圧力が高すぎると、洗浄一様性が悪くなることがある。したがって、本発明のいくつかの実施形態は、ステップ12の間中、5〜8トルの範囲のチャンバ圧力を設定している。いくつかの実施形態では、スロットルバルブを適切な設定で使用することによって、圧力は、所望のレベルに維持される。また、高圧力での逆流を防ぐために、例えば25〜60sccmの範囲の小さなアルゴン流が、遠隔プラズマユニットをバイパスしてプロセスガスノズルを通して直接チャンバの中へ導入されることがある。
【0016】
高圧力遠隔プラズマ洗浄ステップ12の間に、洗浄反応によるSiF副生成物がチャンバ内に蓄積し、したがってSiFの分圧は大きくなる。本発明の実施形態は、NFの流量を下げることおよび/またはスロットルバルブを完全に開くことの一方または両方によってチャンバ圧力を下げて洗浄ステップ12によるガス副生成物の除去を加速することによって、SiF分圧を下げる(ステップ14)。いくつかの実施形態では、NF流量は、ステップ12の間のNF流量の20〜50パーセントの範囲に落とされ、いくつかの実施形態では、ステップ12の終わりでのチャンバ圧力は、ステップ10の間に到達された高圧力の10〜50パーセントの範囲である。
【0017】
一般に、ステップ12での圧力をできるだけ速く、できるだけ低い圧力レベルに下げることが望ましい。下げられたチャンバ圧力レベルで、洗浄効率は一時的に落ちる。ステップ12は、時間ベースか圧力ベースかのどちらかで終点指定されることがある。すなわち、いくつかの実施形態では、下げられた圧力の洗浄ステップ12は、X秒後に停止されるが、他の実施形態では、圧力がXトルに落ちると直ちに停止される。一実施形態では、ステップ12は、4〜8秒の範囲の選ばれた期間後に終点指定される。他の実施形態では、ステップ12は、0.5〜4トルの範囲の選ばれた圧力に達すると直ぐに終点指定される。さらに他の実施形態では、ステップ12は、0.5〜2.5トルの範囲の選ばれた圧力に達すると直ぐに終点指定される。全体的な高洗浄効率を維持するために、本発明の実施形態は、ステップ10に比べてステップ12の継続時間を最小限にする。いくつかの実施形態では、ステップ12の継続時間は、ステップ10の継続時間の10〜33パーセントの範囲にある。
【0018】
ステップ12の後で、ステップ10とステップ12の高圧力サイクルと低圧力サイクルが、所望の程度のチャンバ洗浄が起こるまで1回または複数回繰り返される(ステップ14)。いくつかの実施形態では、ステップ10および12は少なくとも4回繰り返される。いくつかの実施形態では、洗浄プロセスは、ステップ14の後で完了する。他の実施形態では、米国特許第7,159,597号に述べられているようにチャンバを効果的に洗浄するために必要な洗浄ガスの量を下げるために拡散支配洗浄(ステップ16)の期間を可能にするように、NFの流量はステップ10の流量から落とされ、チャンバ圧力は、ステップ10のレベルとステップ12で到達された最低レベルとの間のどこかの下げられたレベルに設定される。米国特許第7,159,597号は、これによって参照してその全体が組み込まれる。留意されたいことであるが、図1は、ステップ16がステップ12の後に起こることを示しているが、いくつかの実施形態では、ステップ10の最終サイクルの直ぐ後に拡散支配洗浄ステップ16が続く。例えば、特定の一実施形態では、洗浄シーケンスは、ステップ2、4、6、8、10、12、10、12、10、12、10、12、10、16であることがある。
【0019】
図2Aは、本発明の特定の一実施形態に従ったチャンバ圧力の経時的な変化を例示するグラフであり、チャンバ圧力はおおよそ9トルと2トルの間で循環されている。図2Aに示されるように、この特定の洗浄プロセスは、6つの低圧力サイクル12で分離された対応する数の高圧力サイクル10を含んでいる。図2Aは、各ステップ12の継続時間が、各ステップ10の継続時間よりも相当に短いことを示している。洗浄プロセスの終わり近くで、チャンバ圧力は、洗浄ステップ16に従って、延長された時間の間ずっとおおよそ6トルの下げられたレベルに設定されている。
【0020】
図2Bは、当業者には知られているFTIR技術によって測定されるようなSiF放出を図示するグラフであり、このグラフは、図2Aに図示されたプロセスの間中にどんなに多くのSiFがチャンバ中にあるかを表している。線18の傾きは、ステップ10および12の繰返しプロセスの間の、チャンバが洗浄されている率を示す。本発明をさらに理解し評価するために、ここで図3Aおよび3Bが参照され、図3Aおよび3Bは、図2Aおよび2Bのグラフとそれぞれ同様なグラフであり以前から知られている洗浄プロセスを表し、この洗浄プロセスでは、最初の延長された長さの高レベル圧力洗浄ステップ20(図3A)が、図2Aに示されたプロセスのステップ16にほぼ対応する下げられたレベルの洗浄ステップ22より前に行われている。図3Bでは、線28の傾きは、ステップ20の間にチャンバが洗浄される率を表している。
【0021】
図3Bを図2Bと比較すると、線18の傾きは、線28の傾きよりも大きく、このことは、本発明の技術に従って遠隔洗浄プロセスの間にチャンバ圧力を高から低に循環させることが、単に洗浄圧力をより高いレベルに保つよりも高い洗浄効率をもたらすことを意味している。図4Aおよび4Bは、さらに、以前から知られている洗浄プロセスに比べて本発明の実施形態のより高い洗浄効率を証明している。図4Aおよび4Bの各々に、高圧力ステップの間NFの流量が毎分12リットルに設定された3つの別個の洗浄プロセスの経時的な洗浄率が示されている。3つのプロセスには、ステップ22の圧力が9トル(図4A、プロセス30)か6トル(図4B、プロセス40)かのどちらかである、図3Aに示されたプロセスと同様な第1の以前から知られているプロセスと、ステップ10の圧力が9トル(図4A、プロセス32)か6トル(図4B、プロセス42)かのどちらかでありさらにステップ10と12が30秒ごとに繰り返される図2Aのプロセスと同様な第2のプロセスと、ステップ10の圧力が9トル(図4A、プロセス34)か6トル(図4B、プロセス44)かのどちらかでありさらにステップ10と12が15秒ごとに繰り返される図2Aのプロセスと同様な第2のプロセスとがある。プロセス32および34の洗浄率をプロセス30の洗浄率と比較し、さらにプロセス42および44の洗浄率をプロセス40の洗浄率と比較することから明らかなように、全ての例で、本発明の技術に従って行われた洗浄プロセスが、依然から知られている洗浄プロセスよりも高い洗浄効率であった。
【0022】
本発明の利益のさらなる証明は、図5Aと図5Bの比較で示され、これらの図は、チャンバの様々な場所での洗浄率を表している。とりわけ、図5Aおよび5Bのデータを発生させるために、10個の別個のシリコン酸化物クーポンが、基板処理チャンバ内の図に書込みされた位置に配置され(位置1は、チャンバのスリットバルブの近くである)、図2Aの洗浄プロセスと同様な本発明の技術に従った洗浄プロセス(図5A)と、図2Bの洗浄プロセスと同様な以前から知られている洗浄プロセス(図5B)とに同一時間の間ずっとさらされた。それから、シリコン酸化物クーポンの厚さが各洗浄プロセスの完了後に測定されて、チャンバの様々な場所のクーポンからどんなに多くのシリコン酸化物が除去されたかが決定され、実際に除去された量が図5Aおよび5Bに示されている。図5Aと5Bで同じ場所で除去された材料の量を比較することによって、各チャンバ場所で、図5Aに関連した洗浄率が、図5Bに図示されたチャンバの対応する場所に関連した洗浄率よりも大きいことが示される。
【0023】
チャンバが、遠隔で解離された反応種を、チャンバと流体でつながっている遠隔プラズマ源からチャンバの中へ輸送する機能を有するという条件で、本発明の実施形態は、いろいろな基板処理チャンバを使用して実現可能である。その上、随意のステップ6(図1)が用いられる場合には、チャンバは、チャンバ内にエッチャントプラズマ(現場プラズマ)を形成することによってチャンバ内に反応性エッチング種を生成する能力を有する必要がある。本発明の方法のいくつかの実施形態が実施されることがある誘導‐結合HDP‐CVDチャンバの例が、以下で明らかにされる。理解されるべきことであるが、以下のチャンバの説明は、熱CVDチャンバおよび、とりわけPECVDチャンバおよびECR‐HDPチャンバなどの他のプラズマチャンバを含めていろいろな他の堆積チャンバで、本発明の技術が、使用可能であるように、ただ例示する目的だけのためである。
【0024】
図6は、本発明に従ったチャンバ洗浄技術が用いられることがある高密度プラズマ化学気相成長(HDP‐CVD)システム100の単純化された断面図である。CVDシステム100は、とりわけ、チャンバ本体102、基板支持台104(例えば、静電気チャック)、ガスノズル106、108、チャンバドーム110、遠隔プラズマ洗浄システム112、および真空システム114を含む。チャンバ本体102、チャンバドーム110および基板支持台104が組み合わさって処理領域116を画定し、この処理領域116に、化学気相成長作業などの基板処理作業の間、基板118が位置付けされている。便宜上、本発明に直接関係のないシステム100の数多くの特徴は、図6から省略されており、本明細書では議論されない。例えば、システム100は、処理ガスをガスノズル106、108に送り出すガス分配システム120並びに、チャンバの中に導入された処理ガスからチャンバ内でプラズマを形成するためのエネルギーを供給するようにチャンバに結合されている供給源およびバイアスプラズマシステム(示されていない)を含む。
【0025】
真空システム114は、チャンバ102の下部を形成し、チャンバを真空システムに接合する本体部材126、およびスロットル本体128を含み、スロットル本体128は、3枚羽根スロットルバルブ130を収納し、ゲートバルブ132およびターボ分子ポンプ134に取り付けられており、ターボ分子ポンプ134は、基板処理作業の間、約1mトルくらいのチャンバ圧力の精密で安定した制御を可能にする。ゲートバルブ132は、スロットル本体128および処理領域116からポンプ134を分離することができる。
【0026】
真空システム114は、また、追加の分離バルブ140および142、終点検出器144、追加のスロットルバルブ146、および粗引きポンプ148を含む。基板処理作業の間、分離バルブ140は閉じているが、ゲートバルブ132および分離バルブ142は開いている。ガスは、ポート152およびガス導管150aを通して前配管150の中へ排気される。基板処理作業の間、圧力はスロットルバルブ130によって制御される。チャンバ洗浄作業の間、ゲートバルブ132および分離バルブ142は閉じているが、バルブ140は開いている。洗浄ガスは、ポート154およびガス導管150bを通して前配管150の中へ排気される。チャンバ洗浄作業の間、圧力はスロットルバルブ146によって制御される。ガス導管150aおよび150bは、ガス前配管150の一部である。
【0027】
チャンバ本体102、本体部材126、およびスロットル本体128は、一体化容器を形成するように互いに溶接されている。ポート154は、チャンバ100のほぼ同じ高さにある3つのポートのうちの1つである。他の2つのポートは、ポート154の左および右に90度のところにあり、したがって図6に示されていない。前述の3つのポートの各々は、ゲートバルブ132およびターボ分子ポンプ134の上流(基板処理およびチャンバ洗浄作業の間にチャンバの中へ入るまたはチャンバから外へ出るガス流に対して)にある。本発明のいくつかの実施形態では、示されていないポートは、一般に、圧力ゲージのようなデバイスまたはヘリウムガスのパージをチャンバ100に結合するために使用される。しかし、さらに大きなポンプ排気容量が利用される実施形態では、これらの追加のポートは、適切な取付け具およびバルブを使って前配管に直接結合されて、チャンバ洗浄作業の間ポート154を通る経路に加えて前配管に至るガス流路を実現し、それによって、チャンバ洗浄作業の間のチャンバ100のポンプ排気容量を高める。そのような前配管構成のさらなる詳細は、2009年5月14日に米国特許出願公開第2009/0120464号として公開された米国特許出願第12/265,641号に述べられており、この出願は、参照して本明細書に組み込まれる。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態を完全に説明したが、本発明の多くの他の同等物または代替実施形態が当業者に明らかであろう。例えば、本発明は、CVDチャンバの洗浄に関して説明されたが、適切な場合には、エッチングチャンバを含めて他の型のチャンバを洗浄するためにも使用可能である。また、上で明らかにされた例全てがエッチャントガスとしてNFを使用したが、他のエッチャントガスが他の実施形態で使用されることがある。そのようなものとして、上の説明は、例示的であり限定的でない。これらの同等物および/または代替物は、本発明の範囲内に含まれることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理チャンバ中に配置された基板を処理した後で、前記基板処理チャンバの1つまたは複数の内側表面から不要な堆積物蓄積を除去するプロセスであって、
前記基板を前記基板処理チャンバから外に移送することと、
(a)前記基板処理チャンバに流体で結合されている遠隔プラズマ源の中へフッ素含有エッチャントガスを流して、前記エッチャントガスから反応種を形成し、前記反応種を前記基板処理チャンバの中へ輸送し、
(b)前記フッ素含有エッチャントガスを前記遠隔プラズマチャンバの中へ連続的に流し、かつ前記反応種を前記基板処理チャンバの中へ連続的に輸送しながら、前記基板処理チャンバ内の圧力を第1の範囲内の高圧力と第2の範囲内の低圧力の間で、高圧力と低圧力の少なくとも2サイクルにわたって循環させる、
ことによって、前記不要な堆積物蓄積を除去することと、
を含み、前記高圧力が前記低圧力よりも高いプロセス。
【請求項2】
前記高圧力が、15トル未満であり、前記低圧力が、前記高圧力の50パーセント以下である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記高圧力が、4〜15トルの範囲にあり、前記低圧力が、0.5〜4トルの範囲にある、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記高圧力が、5〜8トルの範囲にあり、前記低圧力が、0.5〜2.5トルの範囲にある、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記基板処理チャンバ内の圧力が、前記高圧力サイクル中に前記第1の範囲内にあるとき、前記遠隔プラズマ源の中への前記フッ素含有ガスの流量が、少なくとも毎分4リットルである、請求項2に記載のプロセス。
【請求項6】
前記フッ素含有エッチャントガスが、三フッ化窒素を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
各低圧力サイクルの継続時間が、前記先行する高圧力ステップの継続時間の10〜33パーセントの範囲にある、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
前記エッチャントガスを前記遠隔プラズマ源の中へ流すより前に、不活性ガスから形成された現場プラズマで前記基板を加熱することをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
前記プロセス中に、前記高圧力ステップおよび低圧力ステップを少なくとも4回繰り返す、請求項1に記載のプロセス。
【請求項10】
基板処理チャンバ中に配置された基板を処理した後で、前記基板処理チャンバの1つまたは複数の内側表面から不要な堆積物蓄積を除去するプロセスであって、
前記基板を前記基板処理チャンバから外に移送することと、
前記基板処理チャンバに流体で結合されている遠隔プラズマ源の中へフッ素含有エッチャントガスを流して、前記エッチャントガスから反応種を形成することと、
(i)前記基板処理チャンバ内の圧力を4〜15トルの範囲に維持している間、前記反応種を前記基板処理チャンバの中へ流す高圧力洗浄ステップと、
(ii)前記高圧力洗浄ステップで到達した高圧力の少なくとも50パーセントだけ前記基板処理チャンバの圧力を減少させながら、前記反応種を前記基板処理チャンバの中へ流す低圧力洗浄ステップと、
のサイクルを複数回繰り返しながら、前記遠隔プラズマ源から前記基板処理チャンバへの前記反応種の連続的な流れを維持することと、
を含むプロセス。
【請求項11】
前記高圧力が、5〜8トルの範囲にあり、前記低圧力が、0.5〜2.5トルの範囲にある、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
前記基板処理チャンバ内の圧力が、前記高圧力サイクル中に前記第1の範囲内にあるとき、前記遠隔プラズマ源の中への前記フッ素含有ガスの流量が、少なくとも毎分4リットルである。
【請求項13】
前記フッ素含有エッチャントガスが、三フッ化窒素を含む、請求項10に記載のプロセス。
【請求項14】
前記高圧力ステップと低圧力ステップが、前記プロセス中に、少なくとも4回繰り返される、請求項10に記載のプロセス。
【請求項15】
前記低圧力が、前記高圧力の10〜50パーセントの範囲にあり、前記高圧力洗浄ステップの継続時間の10〜33パーセントの範囲の継続時間を有する、請求項10に記載のプロセス。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−506637(P2012−506637A)
【公表日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−533219(P2011−533219)
【出願日】平成21年10月7日(2009.10.7)
【国際出願番号】PCT/US2009/059878
【国際公開番号】WO2010/047953
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】