説明

自動車用ナビゲーションシステム及びナビゲーション方法

【課題】 高速道路優先を含む経路探索情報に基づく探索経路に沿い走行する自動車を高速道路への走行から変更するとき、経路探索情報を、一般道路優先を含むように自動的に変更するようにした自動車用ナビゲーションシステム及びナビゲーション方法を提供する。
【解決手段】 乗用車が現在地から目的地に向かうための探索条件に基づき経路探索をし、この経路探索による探索経路が高速道路を含むとき乗用車を高速道路への乗線前に上記探索経路から逸脱させ当該乗用車の乗線インターチェンジを変更する際、上記探索条件を、一般道路優先を含むように自動的に変更し、この変更後の探索条件に基づき経路探索をする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用ナビゲーションシステム及びナビゲーション方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、乗用車用ナビゲーションシステムにおいては、当該乗用車の乗員が、目的地まで当該乗用車を走行させるために経路探索する際、探索条件として目的地の他に高速道路優先を入力すると、高速道路を優先的に含む経路探索が、当該入力探索条件に基づきなされるものがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記ナビゲーションシステムによれば、当該乗員は、探索した高速道路を含む経路に沿い当該乗用車の走行を開始させることとなる。ここで、このような走行開始後、乗員が、当該乗用車を高速道路に乗線させる前に、探索経路の先の交通渋滞を知る等の何らかの原因により、高速道路ではなく一般道路で目的地に向かうように走行経路を変更することがある。このような場合には、当該乗用車は、上記高速道路に向かう経路から外れることになる。
【0004】
しかし、上述のように、探索条件は、一般道路優先ではなく高速道路優先でナビゲーションシステムに入力されているため、当該ナビゲーションシステムでは、高速道路に向かう経路が何度も繰り返し探索されることになる。その結果、このような探索の繰り返しが乗員に対し非常に煩わしい感じを与えるという不具合を生ずる。
【0005】
この煩わしさを解消するには、高速道路優先ではなく一般道路優先の探索条件を再度ナビゲーションシステムに入力しなければならず、このような入力操作は、当該乗用車の運転中の乗員にとって非常に面倒であるという不具合を招く。
【0006】
そこで、本発明は、以上のようなことに対処するため、高速道路優先を含む経路探索情報に基づく探索経路に沿い走行する自動車を高速道路への走行から変更するとき、経路探索情報を、一般道路優先を含むように自動的に変更するようにした自動車用ナビゲーションシステム及びナビゲーション方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するため、自車両が現在地から目的地に向かうための経路を探索する経路探索手段と、前記経路に高速道路が含まれるか否かを判定する高速道路判定手段と、前記自車両が前記経路を逸脱したか否かを判定する逸脱判定手段と、前記自車両が前記経路を逸脱したと判定された場合に、前記経路を再探索する再探索手段と、前記高速道路判定手段により前記経路に前記高速道路が含まれると判定され、且つ、前記逸脱判定手段により前記自車両が前記高速道路に乗線する前に前記経路を逸脱したと判定された場合に、前記再探索手段における経路の再探索条件を一般道路優先に設定する再探索条件設定手段とを備えたことを特徴とする自動車用ナビゲーションシステムを提供するものである。

上記のように構成した自動車用ナビゲーションシステムにおいては、前記高速道路判定手段により前記経路に前記高速道路が含まれると判定され、且つ、前記逸脱判定手段により前記自車両が前記高速道路に乗線する前に前記経路を逸脱したと判定された場合に、再探索条件設定手段によって前記再探索手段における経路の再探索条件が一般道路優先に設定される。このため、例えば、乗員が一般道路を通り目的地に向かうように意思変更した場合には、探索条件のうちの高速道路優先が自動的に一般道路優先に変更され、このように変更された探索条件でもって、新たにっ経路探索がなされるので、高速道路に向かう経路探索何度も繰り返し探索される煩わしさがなくなる

本発明の実施にあたっては、上記のように構成した自動車用ナビゲーションシステムにおいて、前記再探索手段により再探索された経路において、前記経路探索手段により探索された経路から前記高速道路に乗線するインターチェンジが変更されたか否かを判定する変更判定手段を更に備えて、前記インターチェンジが変更されたと判定された場合に、前記再探索条件設定手段が前記再探索手段における前記再探索条件を一般道路優先に設定してもよい。 この場合には、乗員が一般道路を通り目的地に向かうような意思変更が、当該自動車の乗線インターチェンジの変更を基準に判定された場合にも、探索条件のうち高速道路優先が自動的に一般道路優先に変更され、このように変更された探索条件でもって新たな経路の探索がなされる

また、本発明の実施あたっては、上記のように構成した自動車用ナビゲーションシステムにおいて、前記再探索手段により前記経路が再探索された再探索回数を算出する再探索回数算出手段を更に備えて、 前記再探索条件設定手段が前記再探索回数が所定回数以上である場合に、前記再探索手段における前記再探索条件を一般道路優先に設定してもよい
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明が適用された乗用車用ナビゲーションシステムの第1実施形態を示している。当該ナビゲーションシステムは、GPS受信装置10及びリモートコントローラ20を備えている。GPS受信装置10は、衛星航法システム(GPSともいう)の人工衛星から送信される電波を受信して、当該乗用車の現在地を計測し現在地信号として出力する。リモートコントローラ20は、携帯用のもので、その操作により、必要な情報を信号としてマイクロコンピュータ30(後述する)の受信部(図示しない)に送信する。ここで、必要な情報とは、例えば、所望の地図の表示要求、当該乗用車の現在地から目的地までの経路の探索条件の入力要求その他の各種の要求を表す。
【0009】
また、当該ナビゲーションシステムは、マイクロコンピュータ30、ハードディスクドライブ40(以下、HDD40という)及び表示装置50を備えている。なお、ハードディスクドライブはハードディスクともいわれる。
【0010】
マイクロコンピュータ30は、図2及び図3にて示すフローチャートに従いコンピュータプログラムを実行し、この実行中において、GPS受信装置10の出力信号、リモートコントローラ20の送信信号の上記受信部による受信やHDD40のデータ(後述する)に基づき、当該乗用車の経路探索や経路案内に要する処理その他の処理を行う。本第1実施形態において、上記受信部は、マイクロコンピュータ30に内蔵のものに限らず当該マイクロコンピュータ30に外付けしたものであってもよい。また、当該マイクロコンピュータ30は、当該乗用車のイグニッションスイッチIGを介しバッテリBから給電されて作動する。なお、上記コンピュータプログラムは、マイクロコンピュータ30に内蔵のROMに、当該マイクロコンピュータ30により読み出し可能に予め書き込まれている。
【0011】
HDD40は、イグニションスイッチIGを介しバッテリBから給電されて作動するもので、このHDD40の地図データはマイクロコンピュータ30により読み出される。本第1実施形態では、HDD40には、複数の地図の各を表す各地図データが、マイクロコンピュータ30により読み出し可能にデータベースとして書き込まれている。
【0012】
表示装置50は、マイクロコンピュータ30による制御のもと、当該乗用車において必要なデータを情報として表示する。なお、本第1実施形態では、表示装置50として、液晶パネルと駆動回路からなる液晶表示装置が採用されており、当該液晶パネルは、当該乗用車の車室内のダッシュパネルの左右方向中央上部に設けられている。
【0013】
以上のように構成した本第1実施形態において、イグニッションスイッチIGがオンされると、マイクロコンピュータ30は、バッテリBから給電されて作動状態になり、図2及び図3のフローチャートに従い上記コンピュータプログラムの実行を開始する。これに伴い、ステップ100において、地図の表示要求の有無が判定される。ここで、リモートコントローラ20からその操作により所望の地図の表示要求が信号として送信されていると、ステップ101において、HDD40のデータベースから上記所望の地図を表す地図データが読み出される。ついで、ステップ110において、GPS受信装置10からの現在地信号に基づき当該乗用車の現在地が決定される。
【0014】
然る後、リモートコントローラ20からその操作により目的地を含む探索条件が信号として送信されると、この送信がマイクロコンピュータ30に対する探索条件の入力要求であることに基づき、ステップ120においてYESと判定され、ステップ121にて当該探索条件がマイクロコンピュータ30に入力処理される。
【0015】
ついで、次のステップ130において経路探索処理がなされる。この経路探索処理では、ステップ101で読み出された地図データ及びステップ110での現在地が表示データとして合成され、この表示データが表示装置50により所望の地図及びこの地図上の現在地として表示される。
【0016】
さらに、現在地から目的地に至るまでの経路がステップ120での入力探索条件に基づき探索される。このような探索のもと、表示装置50の表示地図上には、探索経路が表示される。このため、当該乗用車の運転者は、当該探索経路に沿い当該乗用車の走行を開始させる。
【0017】
上述のようなステップ130での処理後、ステップ140において、上記探索経路には高速道路が含まれているか否かが判定される。ここで、高速道路が含まれていることで、ステップ140での判定がYESになると、ステップ141において、当該乗用車の現在地追跡処理が、当該乗用車の走行の開始に伴い生ずるGPS受信装置10からの現在地信号に基づき表示装置50の表示地図上にてなされ、当該現在地追跡処理に基づき、当該乗用車に対する経路案内処理がステップ142にてなされる。
【0018】
然る後、当該乗用車が上記探索経路中の高速道路に乗線していなければ、当該高速道路上の当該乗用車の現在地(GPS受信装置10の現在地信号で特定される)に基づきステップ150においてNOと判定される。ついで、ステップ160において、当該乗用車が上記探索経路を逸脱したか否かが判定される。
【0019】
現段階において、当該乗用車が上記探索経路に沿う案内経路を走行していれば、GPS受信装置10からの現在地信号で特定される現在地に基づきステップ160での判定がNOとなる。以後、ステップ141乃至ステップ160を循環する処理が繰り返されるような当該乗用車の走行がなされている間に、当該乗用車が上記探索経路中の高速道路に乗線すれば、ステップ150での判定がYESとなる。
【0020】
一方、当該乗用車が高速道路に乗線する前に当該乗用車の乗員が、その意思により、上記探索経路をそのまま走行せずに一般道路で目的地に向かうように経路変更をした場合には、当該乗用車が上記探索経路から逸脱する。このような逸脱は、例えば、当該乗用車の走行中の道路標識等により上記探索経路に沿う案内経路の先の道路で交通渋滞が生じている旨を、乗員が認識して経路を変更する意思で起きる。
【0021】
以上のような探索経路からの逸脱に伴い、ステップ150でのYESとの判定がなされる前にステップ160にてGPS受信装置10からの現在地信号に基づきYESと判定されると、コンピュータプログラムは図3のステップ161に進む。すると、このステップ161では、高速道路優先のままの探索条件のもとで、経路探索が再びなされる。即ち、上記探索条件に基づき、現在地から目的地への探索経路の再探索処理が表示装置50の表示地図上にてなされる。
【0022】
この再探索処理後、ステップ162において、変数データiがi=i+1=1と加算更新される。ここで、変数データiは、ステップ161での上記探索経路の再探索処理の回数を表す。ついで、ステップ170において、変数データiがi≦nか否かにつき判定される。
【0023】
但し、nは、当該探索経路の再探索処理の回数の許容上限値を表す。本第1実施形態では、当該許容上限値は、上記意思変更に伴いなされる表示装置50の表示地図上での経路の再探索処理の回数が乗員にとり煩わしいと感じない程度の上限値として、2と設定されている。なお、nは、n=2に限ることなく、3或いはその他の値に必要に応じて変更してもよい。また、変数データiは、ステップ130での処理の際にi=0とクリアされる。
【0024】
現段階では、変数データi=1故ステップ170での判定はYESとなる。しかして、ステップ140乃至ステップ170を通る循環処理の繰り返し中において、ステップ162での最新の更新変数データがi=3になると、ステップ170での判定がNOとなる。これにより、当該乗員による上記意思変更が維持されていると認められることから、ステップ171において、上記探索条件のうちの高速道路優先が一般道路優先に自動的に変更される。
【0025】
このように上記探索条件の一つが変更されると、次のステップ180において、上記目的地及び一般道路優先を含む変更探索条件に基づき、表示装置50の表示地図上にて、現在地(GPS受信装置10からの現在地信号により特定される)から一般道路を通り目的地に至るまでの探索経路(以下、変更探索経路ともいう)が新たに探索処理される。その後、当該探索処理のもと、ステップ181において、表示装置50の表示地図上にて、現在地から目的地までの経路案内処理がなされる。
【0026】
なお、ステップ140にてNOとの判定がなされた場合には、一般道路を含む探索経路に沿い、ステップ181での現在地追跡処理及びステップ190での経路案内処理のもとに当該乗員は当該乗用車を目的地に向けて走行させる。また、ステップ150にてYESとの判定がなされた場合には、高速道路を含む探索経路に沿い、ステップ181での現在地追跡処理及びステップ190での経路案内処理のもとに当該乗員は当該乗用車を目的地に向けて走行させる。
【0027】
以上説明したように、本第1実施形態では、目的地を含む探索条件の入力(ステップ121参照)に基づきなされる経路探索処理(ステップ130参照)の結果、この処理による探索経路に高速道路が含まれている場合には、現在地追跡処理(ステップ141参照)及び経路案内処理(ステップ142参照)に基づく案内経路に沿い当該乗用車を走行させる。そして、当該乗用車が高速道路に乗線する前に当該乗員が交通渋滞等の原因により一般道路を通り目的地に向かうと意思変更した場合には、この意思変更が維持されているとの判定(ステップ150でのNOとの判定、ステップ160でのYESとの判定及びステップ170でのNOとの判定参照)に基づき、高速道路優先を含む入力探索条件のうち、当該高速道路優先が一般道路優先に自動的に変更される(ステップ171参照)。そして、この探索条件の変更に基づき、一般道路優先を含む現在地から目的地までの変更探索経路が、新たに、探索処理される。
【0028】
このように、当該乗員が一般道路を通り目的地に向かうように意思変更した場合には、探索条件のうちの高速道路優先が自動的に一般道路優先に変更され、このように変更された探索条件でもって、新たに経路探索がなされるので、高速道路に向かう経路が何度も繰り返し探索されるという煩わしさを当該乗員に与えることがない。
【0029】
また、上述のように、探索条件のうちの高速道路優先が自動的に一般道路優先に変更されるので、改めてリモートコントローラ20により一般道路優先を含む探索条件をマイクロコンピュータ30に入力するという面倒な操作が不要となり、当該乗用車の運転走行中の乗員にとり便利である。従って、当該乗員は、その意思変更後の一般道路を利用して目的地まで快適に当該乗用車を安全走行できる。
(第2実施形態)
図4は本発明の第2実施形態の要部の構成を示している。この第2実施形態では、上記第1実施形態にて述べたコンピュータプログラムを実行するためのフローチャート(図2及び図3参照)の一部が図4にて示すごとく変更されている。その他の構成は上記第1実施形態と同様である。
【0030】
このように構成した本第2実施形態において、上記第1実施形態にて述べたと同様にステップ140での判定がYESになると、上記第1実施形態とは異なりステップ140aにてi=0とクリアされる。
【0031】
そして、上記第1実施形態にて述べたと同様に、高速道路を含む探索経路から当該高速道路に乗線する前に当該探索経路を逸脱した場合には、ステップ150でのYESとの判定前にステップ160でYESと判定がなされる。これは、上記第1実施形態にて述べたように、当該乗用車が高速道路に乗線する前に当該乗用車の乗員が、その意思により、上記探索経路をそのまま走行せずに一般道路で目的地に向かうように経路変更した場合、当該乗用車が上記探索経路から逸脱するからである。
【0032】
上述のごとくステップ160でYESと判定された後は、上記第1実施形態にて述べたように両ステップ161、162の処理がなされることなく、ステップ170においてi≦nか否かの判定が直接なされる。現段階では、i≦n故、ステップ170での判定がYESとなり、上記第1実施形態にて述べたと同様に両ステップ161、162の処理の処理がなされる。即ち、ステップ161では、高速道路優先のままの探索条件のもとで上記探索経路の再探索処理がなされ、ステップ162では、変数データiの加算更新処理がなされる。
【0033】
以後、各ステップ141、142での処理、ステップ150でのNOとの判定、ステップ160でのYESとの判定、ステップ170でのYESとの判定及び各ステップ161、162での処理が順次繰り返されている間に、ステップ162での最新の更新変数データi=3になると、ステップ170での判定がNOとなる。これにより、上記第1実施形態と同様に、当該乗員による経路変更の意思が維持されていると認められることから、ステップ171において、上記探索条件のうちの高速道路優先が一般道路優先に自動的に変更される。
【0034】
このように上記探索条件の一つが変更されると、次のステップ180において、上記目的地及び一般道路優先を含む変更探索条件に基づき、上記第1実施形態と同様に、現在地から一般道路を通り目的地に至るまでの上記変更探索経路が新たに探索処理される。これに伴い、ステップ181以後の処理が上記第1実施形態と同様になされる。
【0035】
以上説明したように、本第2実施形態では、上記第1実施形態と異なり、ステップ160における探索経路の逸脱との判定の直後に、ステップ170におけるi≦nの成立の有無の判定がなされ、i≦nの成立に伴い各ステップ161、162の処理がなされるが、このような処理過程を経ても、上記第1実施形態と同様の作用効果を達成することができる。
(第3実施形態)
図5は本発明の第3実施形態の要部の構成を示している。この第3実施形態では、上記第1実施形態にて述べたコンピュータプログラムを実行するためのフローチャート(図2及び図3参照)の一部が図5にて示すごとく変更されている。なお、上記第1実施形態にて述べた変数データi及びnは廃止されている。その他の構成は上記第1実施形態と同様である。
【0036】
このように構成した本第3実施形態において、上記第1実施形態にて述べたと同様に、高速道路を含む探索経路から当該高速道路に乗線する前に当該探索経路を逸脱した場合にはステップ150でのYESとの判定前にステップ160でYESと判定がなされる。
【0037】
これは、上記第1実施形態にて述べたように、当該乗用車が高速道路に乗線する前に当該乗用車の乗員が、その意思により、上記探索経路をそのまま走行せずに一般道路で目的地に向かうように経路変更した場合、当該乗用車が上記探索経路から逸脱するからである。ステップ160での処理に伴い、上記第1実施形態と同様に、ステップ161にて、高速道路優先のままの探索条件のもとで、上記探索経路の再探索処理がなされる。
【0038】
この再探索処理が終了すると、ステップ170Aにおいて、ステップ161の再探索処理によって、乗線するインターチェンジがステップ130での探索経路の乗線インターチェンジから変更になったか否かが判定される。ステップ170AでNOと判定された場合には、ステップ141乃至ステップ170Aを循環する処理が繰り返される。そして、ステップ170AでYESと判定された場合には、上記第1実施形態と同様にステップ171において、上記探索条件のうち高速道路優先が一般道路優先に自動的に変更される。この変更後、上記第1実施形態と同様にステップ180以後の処理がなされる。
【0039】
以上説明したように、本第3実施形態では、上記第1実施形態と同様に目的地及び高速道路優先を含む入力探索条件のもと、当該乗用車が高速道路に乗線する前に乗員が交通渋滞等の原因により一般道路を通り目的地に向かうと意思変更した場合には、この意思変更が維持されているとの判定(ステップ150でのNOとの判定及び各ステップ160、170AでのYESとの判定参照)に基づき、高速道路優先を含む入力探索条件のうち、当該高速道路優先が一般道路優先に自動的に変更される(ステップ171参照)。そして、この探索条件の変更に基づき、現在地から一般道路を通り目的地に至るまでの探索経路が、新たに、上記第1実施形態と同様に探索処理される。
【0040】
このように、当該乗員が一般道路を通り目的地に向かうような意思変更が、当該乗用車の乗線インターチェンジの変更を基準に判定された場合にも、探索条件のうちの高速道路優先が自動的に一般道路優先に変更され、このように変更された探索条件でもって、探索経路の探索が新たになされるので、上記第1実施形態にて述べたと同様の作用効果を達成できる。
(第4実施形態)
図6乃至図9は、本発明の第4実施形態を示している。この第4実施形態においては、上記第1実施形態にて述べたコンピュータプログラムを実行するためのフローチャート(図2及び図3参照)が、図7及び図8にて示すフローチャートに変更されている。
【0041】
また、本第4実施形態では、図6にて示すごとく、上記第1実施形態とは異なり、HDD40に代えて、携帯電話60及び上記第1実施形態にて述べた乗用車とは別途基地に設けてなる情報センターの情報装置70が採用されている。携帯電話60は、上記第1実施形態にて述べたマイクロコンピュータ30からの出力データ(後述する)を入力されて情報装置70に送信し、当該情報装置70からの送信データ(後述する)を受信してマイクロコンピュータ30に入力する。
【0042】
情報装置70は、送受信機70a、サーバ70b及び記憶装置70cを備えており、送受信機70aは、携帯電話60からの送信データを受信してサーバ70bに入力し、このサーバ70bからの出力データを入力されて携帯電話60に送信する。記憶装置70cには、上記第1実施形態にて述べたHDD40に書き込まれているデータベースが記憶されている。
【0043】
サーバ70bは、図9にて示すフローチャートに従いサーバプログラムを実行し、この実行中において送受信機70aからの入力データ及び記憶装置70cのデータベースに基づき経路探索処理を行いそのデータを送受信機70aに出力する処理等を行う。なお、上記サーバプログラムはサーバ70bであるコンピュータのROMに予め記憶されている。その他の構成は上記第1実施形態と同様である。
【0044】
このように構成した本第4実施形態において、マイクロコンピュータ30は、図7及び図8のフローチャートに従いコンピュータプログラムを実行し、サーバ70bは、図9のフローチャートに従いサーバプログラムを実行する。
【0045】
しかして、上記第1実施形態にて述べたと同様にリモートコントローラ20からの表示要求に基づきステップ100(図2及び図7参照)での判定がYESになると、ステップ101A(図7参照)において所望の地図を表す地図データの読み出し指令がなされ、この指令は、マイクロコンピュータ30から携帯電話60に出力され、この携帯電話60から送信信号として情報装置70に送信される。
【0046】
すると、携帯電話60からの地図データの読み出し指令を表す送信信号は、情報装置70の送受信機70aにより受信され、サーバ70bに入力される。このように地図データの読み出し指令があることから、図9のステップ200においてYESと判定され、ステップ201において、記憶装置70cのデータベースから所望の地図を表す地図データが読み出される。
【0047】
また、図7のステップ101Aの処理後、ステップ110において上記第1実施形態にて述べたと同様に当該乗用車の現在地の決定処理がなされる。ついで、上記第1実施形態にて述べたと同様の探索条件の入力要求に基づきステップ120においてYESと判定されると、上記現在地及び探索条件は、ステップ121Aにて入力されて携帯電話60に出力され、この携帯電話60からデータとして送信される。これに伴い、この送信データは、情報装置70の送受信機70aにより受信され、サーバ70bに入力される。このため、現在地及び探索条件の受信であるとして、図9のステップ210にてYESと判定される。
【0048】
すると、ステップ211において、経路探索処理がなされる。この経路探索処理では、ステップ201で読み出された地図データ及びステップ210で受信された現在地及び探索条件に基づき探索経路が探索される。このように探索された探索経路は、地図データと共に、ステップ212において、データとしてサーバ70bから送受信機70aを介して携帯電話60に送信される。
【0049】
しかして、携帯電話60がその受信データをマイクロコンピュータ30に出力すると、マイクロコンピュータ30は、ステップ130Aにて、上記探索経路の受信であるとしてYESと判定する。なお、この受信に伴い、地図データ及び探索経路が表示データとして合成され、この表示データが表示装置50により所望の地図及びこの地図上の現在地として表示される。これに伴い、当該乗用車の乗員は、表示装置50の表示画面の表示地図上の探索経路に沿い当該乗用車の走行を開始する。
【0050】
また、ステップ130AでのYESとの判定後、上記第1実施形態と同様に、図7のステップ140乃至ステップ160の処理がなされる。上記第1実施形態と同様に当該乗用車が高速道路を含む探索経路を逸脱することでステップ160での判定がYESになると、ステップ160aにおいて、GPS受信装置10からの現在地信号により特定される当該乗用車の現在地が携帯電話60に出力され、さらにこの携帯電話60から情報装置70に送信される。すると、送受信機70aが携帯電話60からの現在地をサーバ70bに入力する。これに伴い、図9のステップ220において、現在地受信に基づきYESと判定される。
【0051】
この判定後、ステップ221において、図3のステップ161での処理と実質的に同様に、高速道路優先のままの探索条件のもとで、上記探索経路の再探索処理がなされ、そして、この再探索処理による探索経路がステップ222においてサーバ70bから送受信機70aを介し携帯電話60に送信される。
【0052】
しかして、携帯電話60が上記探索経路をマイクロコンピュータ30に入力すると、このマイクロコンピュータ30は、図8のステップ161Aにおいて、再経路探索に基づく探索経路の受信であるとしてYESと判定する。以後、上記第1実施形態と同様に、ステップ140乃至ステップ170の処理がなされる。
【0053】
上記第1実施形態と同様にステップ170での判定がNOになると、乗員による高速道路ではなく一般道路で目的地に向かうという意思変更が維持されていることから、ステップ171Aにおいて、上記探索条件のうちの高速道路優先が一般道路優先に自動的に変更されて携帯電話60に出力される。携帯電話60が一般道路優先を送受信機70aに送信すると、この送受信機70aはその受信データをサーバ70bに入力する。このため、図9のステップ230において、一般道路優先の受信であるとして、YESと判定される。
【0054】
これに伴い、ステップ231において、探索経路の探索処理が、上記目的地及び一般道路優先を含む変更探索条件に基づき新たになされ、この一般道路を含む変更探索経路が、ステップ232において、サーバ70bから送受信機70aを介し携帯電話60に送信される。
【0055】
携帯電話60が上記変更探索経路をマイクロコンピュータ30に入力すると、図8のステップ180Aにおいて、上記変更探索経路の受信であることに基づき、YESと判定される。これに伴い、上記第1実施形態と同様に各ステップ181、190の処理がなされる。そして、このような処理に基づき乗員は当該乗用車を一般道路で目的地に向け走行させる。
【0056】
以上説明したように、本第4実施形態では、上記第1実施形態とは異なり、HDD40に代えて携帯電話60及び情報装置70を採用した。そして、HDD40に書き込んであるデータベースを情報装置70の記憶装置70cに記憶しておき、マイクロコンピュータ30で行っていた高速道路優先を含む探索条件に基づく探索経路の探索処理及び一般道路優先を含む経路探索情報に基づく変更探索経路の探索処理を、携帯電話60を介するマイクロコンピュータ30と情報装置70との間の通信の利用のもとに、サーバ70bで行うようにした。これによっても、上記第1実施形態と同様の作用効果を達成できる。
【0057】
ここで、情報装置70の記憶装置70cに代えて、インターネット等の公衆電気通信回線を利用し、上記データベースに相当する情報よりもさらに詳細な多種多様の広範な情報をもサーバ70bに取り込むようにすれば、探索条件に応じた経路探索をより一層詳細にかつ広範に行うことができる。
(第5実施形態)
図10は、本発明の第5実施形態の要部を示している。この第5実施形態では、上記第4実施形態にて述べたコンピュータプログラムを実行するためのフローチャート(図7及び図8参照)の一部が図10にて示すごとく変更されている。なお、上記第4実施形態にて述べた変数データi及びnは廃止されている。その他の構成は上記第4実施形態と同様である。
【0058】
このように構成した本第5実施形態において、上記第4実施形態にて述べたと同様に、高速道路優先を含む探索条件に基づきサーバ70bにより再探索された探索経路が携帯電話60により受信されてマイクロコンピュータ30に入力されると、ステップ161AにおいてYESと判定される。
【0059】
そして、ステップ170Aにて、当該乗用車の乗線インターチェンジを変更したことで、上記第3実施形態と同様にYESと判定される。すると、ステップ171Aにおいて、上記第4実施形態にて述べたと同様に、上記探索条件のうち高速道路優先が一般道路優先に変更されて携帯電話60に出力され、情報装置70の送受信機70aにより受信されて、サーバ70bに入力される。この入力後、上記第4実施形態と同様に、ステップ230(図9参照)以後の処理及びステップ180A(図8参照)以後の処理がなされる。
【0060】
このように、当該乗員が一般道路を通り目的地に向かうような意思変更が、当該乗用車の乗線インターチェンジの変更を基準に判定された場合にも、上記探索条件のうち高速道路優先が自動的に一般道路優先に変更され、このように変更された探索条件でもって、探索経路の探索が新たになされるので、上記第4実施形態にて述べたと同様の作用効果を達成できる。
【0061】
なお、本発明の実施にあたり、上記第1及び第2の各実施形態では、変数データiが、ステップ161での探索経路の再探索処理の回数を表し、nが、当該探索経路の再探索処理の回数の許容上限値を表す例について説明したが、これに代えて、変数データiは、ステップ160でのYESとの判定回数(探索経路の逸脱との判定回数)を表し、nは、当該探索経路の逸脱との判定回数の許容上限値を表すようにしてもよい。これにより、探索経路の再探索処理の回数ではなく、探索経路からの逸脱回数によっても、上記探索条件のうち高速道路優先が自動的に一般道路優先に変更されることで、上記第1及び第2の各実施形態と同様の作用効果を達成できる。
【0062】
また、本発明の実施にあたり、リモートコントローラ20に代えて、表示装置50の液晶パネルの表面に併設されてリモートコントローラ20と同様の機能を有するタッチスイッチパネルその他のリモートコントローラ20と同様の機能を有する操作手段を採用してもよい。
【0063】
また、本発明の実施にあたり、GPS受信装置10による現在地の計測に代えて、車速センサ及び方位センサを採用し、車速センサによる当該乗用車の検出車速から現在地からの走行距離を算出するとともに方位センサにより当該乗用車の進行方向を検出して、当該乗用車の出発地点からの経路上の現在地を算出するようにしてもよく、また、この現在地の算出及びGPS受信装置10による現在地の計測を併用してもよい。
【0064】
また、本発明の実施にあたり、当該ナビゲーションシステムは、表示装置50の表示に加え、例えば、音声装置の音声でもって、当該乗用車を案内するに必要な種々の情報を乗員に伝えるものであってもよい。
【0065】
また、本発明の実施にあたり、携帯電話60に代えて、PHS、自動車電話等の各種の無線通信可能な送受信機を採用してもよい。
【0066】
また、本発明の実施にあたり、ステップ140において、上記各実施形態とは異なり、当該乗用車が現在地から目的地に向かうための探索条件が高速道路優先を含むと判定したとき、当該探索条件に基づき経路探索してなる探索経路に沿い走行する当該乗用車を高速道路への走行から変更させる際(ステップ150でのNOとの判定、ステップ160でのYESとの判定及びステップ170でのNOとの判定の際、或いはステップ150でのNOとの判定及び両ステップ160、170AでのYESとの判定の際)、上記探索条件を、一般道路優先を含むように自動的に変更(ステップ171或いは171A参照)し、この変更経路探索条件に基づき経路探索をするようにしても、上記各実施形態と同様の作用効果を達成できる。
【0067】
また、本発明の実施にあたり、上記第4実施形態にて述べた情報装置70において、記憶装置70cは、サーバ70bの外付けではなく、当該サーバ70bにハードディスクドライブとして内蔵するようにしてもよい。
【0068】
また、本発明の実施にあたり、ナビゲーションシステムの適用対象は、乗用車に限ることなく、一般に、バス、トラックや二輪自動車等の自動車であってもよい。
【0069】
また、本発明の実施にあたり、当該乗用車は、ガソリンエンジンを原動機とする車に限ることなく、ディーゼルエンジンを原動機とするディーゼル車、電動機を原動機とする電気自動車やエンジンと電動機を原動機とするハイブリッド車であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の第1実施形態を示すブロック図である。
【図2】図1のマイクロコンピュータの作用を示すフローチャートの前段部である。
【図3】図1のマイクロコンピュータの作用を示すフローチャートの後段部である。
【図4】本発明の第2実施形態の要部を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第3実施形態の要部を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第4実施形態を示すブロック図である。
【図7】図6のマイクロコンピュータの作用を示すフローチャートの前段部である。
【図8】図6のマイクロコンピュータの作用を示すフローチャートの後段部である。
【図9】図6のサーバの作用を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第5実施形態の要部を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0071】
10…GPS受信装置、20…リモートコントローラ、
30…マイクロコンピュータ、40…HDD、50…表示装置、
60…携帯電話、70…情報装置、70a…送受信機、70b…サーバ、
70c…記憶装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両が現在地から目的地に向かうための経路を探索する経路探索手段と、
前記経路に高速道路が含まれるか否かを判定する高速道路判定手段と、
前記自車両が前記経路を逸脱したか否かを判定する逸脱判定手段と、
前記自車両が前記経路を逸脱したと判定された場合に、前記経路を再探索する再探索手段と、
前記高速道路判定手段により前記経路に前記高速道路が含まれると判定され、且つ、前記逸脱判定手段により前記自車両が前記高速道路に乗線する前に前記経路を逸脱したと判定された場合に、前記再探索手段における経路の再探索条件を一般道路優先に設定する再探索条件設定手段と、
を備えたことを特徴とする自動車用ナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記再探索手段により再探索された経路において、前記経路探索手段により探索された経路から前記高速道路に乗線するインターチェンジが変更されたか否かを判定する変更判定手段を更に備えて、
前記インターチェンジが変更されたと判定された場合に、前記再探索条件設定手段が前記再探索手段における前記再探索条件を一般道路優先に設定することを特徴とする請求項1に記載の自動車用ナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記再探索手段により前記経路が再探索された再探索回数を算出する再探索回数算出手段を更に備えて、
前記再探索条件設定手段が前記再探索回数が所定回数以上である場合に、前記再探索手段における前記再探索条件を一般道路優先に設定することを特徴とする請求項1に記載の自動車用ナビゲーションシステム。
【請求項4】
自車両が現在地から目的地に向かうための経路を探索する経路探索手段と、前記経路に高速道路が含まれるか否かを判定する高速道路判定手段と、前記自車両が前期経路を逸脱したか否かを判定する逸脱判定手段と、前記自車両が前記経路を逸脱したと判定された場合に、前記経路を再探索する再探索手段と
を備えた自動車用ナビゲーションシステムにおいて、
前記高速道路判定手段により前記経路に前記高速道路が含まれると判定され、且つ、前記逸脱判定手段により前記自車両が前記高速道路に乗線する前に前記経路を逸脱したと判定された場合に、前記再探索手段における経路の再探索条件を一般道路優先に設定するようにしたことを特徴とする自動車におけるナビゲーション方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−275633(P2008−275633A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−150564(P2008−150564)
【出願日】平成20年6月9日(2008.6.9)
【分割の表示】特願2002−99136(P2002−99136)の分割
【原出願日】平成14年4月1日(2002.4.1)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】