説明

薄板収納容器

【課題】極薄ウエハを破損せずに出し入れすると同時に、搬送、処理することが可能な薄板収納容器を提供する。
【解決手段】極薄化ウエハ37を真空吸着し固定できる薄板収納容器を用いる。収納容器の真空吸着部は、ウエハを載置するウエハ吸着面、吸着面上に開口したウエハを真空吸着する複数の吸着孔、吸着孔が接続する減圧室、外部真空ラインと接続する吸引口および減圧室と吸引口とを接続する吸気孔を持つ。減圧室には支持隔壁が設置され、吸着板を支える。吸着板は、収納容器から分離できる構造である。吸着面が弾性材料で、他方が一定の強度を有する高分子材料で構成する二層構造である。収納容器は、好適にはウエハ吸着面が周縁部に対し凹状である。ウエハが真空吸着固定されるので、薄板収納容器の搬送やプロセスも自動化が可能となる。収納容器は繰り返し使用でき、環境負荷も少ない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体用ウエハを搭載する薄板収納容器に関する。特に極薄化したウエハを安全に確実に搭載する薄板収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体用ウエハの一方の面(以下、表面)に、トランジスタ、不純物拡散層および導電体層等の素子を形成した後で、ウエハの裏面を研削しウエハ厚みを所望の厚みに加工することが一般に行われている。この加工の後で、所望の形状(大きさ)にダイシングされ、半導体チップ加工される。このチップが半導体パッケージや、回路基板等に搭載される。この半導体パッケージや回路基板等に、極めて薄いものが要求されてきていて、その場合には最終のウエハ厚みを極薄化する必要がある。半導体素子形成時における初期のウエハの厚みは、300〜1000μmであるが、最終のウエハ厚み(チップ厚み)は10〜200μmになる場合もある。このような薄いウエハになると、何ら支持のない単独のウエハでは、ウエハの表面と裏面の応力差により激しく湾曲したり(いわゆる、反りが大きくなり)、またウエハの強度が小さくなり、ウエハに傷や欠陥を誘発する可能性が高くなる。あるいは、最終のウエハ厚みが上記ほど薄くない場合であっても(たとえば、ウエハ厚み200〜400μm)、ウエハが大口径化した場合(たとえば、200mm以上)にも、ウエハが激しく湾曲したり、ウエハに傷や欠陥を誘発する可能性が高くなる。この結果、ウエハが極薄化した後は、ウエハの搬送やプロセスが非常に困難である。
【0003】
上記の問題に対して、平板上より極薄ウエハの直径より僅かに大きい直径の半円弧状ガイドを起立させた収納棚の複数を、支柱を介して等間隔で上下に平行に並べた多段式収納カセットが提案されている(たとえば、特開2004-273867)。また、互いに嵌合して積層可能な収納容器の間に極薄ウエハをスペーサーシートで挟持して収納するものも提案されている(たとえば、特開2005-191419)。さらには、ウエハ裏面研削工程で用いたウエハ表面保護フィルムを付着させた状態で、ウエハ裏面研削工程の後に、ウエハ裏面にダイシングテープを貼合し、その後で前記ウエハ表面保護フィルムを剥離し、ダイシングすることが提案されている(たとえば、特開2002-246345号公報、特開2004-186296号公報)。
【0004】
また、ウエハ裏面研削後のウエハは、たとえウエハ表面保護フィルムやダイシングテープが付着しウエハを支持していても、そのままでは平坦な状態を維持できないため、工程間搬送や工程内搬送を自動で行うことができず、大半はマニュアルで行っている。たとえば、ウエハ切断前後の外観検査も一枚一枚手動で搬送している。
【0005】
【特許文献1】特開2004-273867
【特許文献2】特開2005-191419
【特許文献3】特開2002-246345号公報
【特許文献4】特開2004-186296号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、提案された収納カセットにおいては、開閉機構が大掛かりになる上に、常にウエハを平坦な状態で取り扱うことが困難である。この結果、容器の高価格化を招くと同時に、ウエハの変形によるマイクロクラックの発生や作業性の困難さなどが原因となるウエハの損傷が発生するという課題を有している。また、スペーサーシートを有する容器においては、消耗品であるスペーサーが必要となるために、ランニングコストが高くなり、地球に優しい構造となっていない。さらに、搬送時にウエハが動きやすい構造になっているために、搬送時にウエハを損傷し易いという問題もある。ウエハ裏面研削後にウエハ厚みが極薄になった場合、または/及びウエハが大口径の場合には、ウエハ裏面研削後にウエハ表面保護フィルムを剥離すると、ウエハが反ったり、破損しやすくなるという問題がある。
【0007】
また、ウエハ裏面研削後にウエハ厚みが極薄になった場合、または/及びウエハが大口径の場合には、たとえウエハ表面保護フィルムが付着していても、ダイシングテープが付着していても、ウエハはフレキシビリティ(柔軟性)があり、ウエハ単独で平坦な状態を維持することは困難である。このため、ウエハ裏面研削後の工程を自動で搬送または処理することができず、人手が介在したり、ウエハに損傷を与える危険性が高いという問題がある。このため極めて高価なプロセスとなっている。
【0008】
さらに、良品判定の電気特性検査は、ウエハの裏面研削前に行うため、ウエハ裏面研削後に変動した電気特性の変化を検出することができなかったり、不良化したチップを良品として製品に搭載してしまうという問題がある。これを防止する一つの方法として、ウエハ裏面研削前の検査では、ある程度厳しい検査をして、ウエハ裏面研削後に変動した電気特性の変化に対応しているが、歩留まりを落とす原因となり、コストアップの要因となっている。ウエハ裏面研削後に破壊したり、損傷を受けたウエハは、電気特性検査を全くする必要がないにも関わらず、ウエハ裏面検査前に電気特性検査をしなければならず、高価な半導体検査装置(テスター)を使うため、
これもコストアップの要因となっている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、微小な外力によって破損しやすい極薄ウエハを破損せずに出し入れすると同時に、搬送・処理することが可能な薄板収納(保持)容器を提供することを目的とする。
【0010】
ウエハを真空吸着し固定できる薄板収納容器を用いる。薄板収納容器は真空吸着部を有していて、ウエハ裏面を真空吸着できるようになっている。真空吸着部は、ウエハを載置する吸着面、ウエハを真空吸着する吸着孔、真空を保持する減圧室、外部の真空引き装置に接続する吸引口、および吸引口と減圧室を結ぶ吸気孔を含む。吸引口には、外部と真空吸着部との接続を開閉する切替弁や逆止弁がついている。減圧室には支持隔壁が配置され、多数の部分室に分離されている。支持隔壁には連通孔があいている。薄板収納容器は、減圧室より上の部分(吸着板という)が、減圧室、吸気孔および吸引口を含む下の部分(薄板収納容器基板という)と分離できる。また、好適な薄板収納容器の構造は、薄板収納容器のウエハ載置部が周縁部に対して凹状になっている。さらには、吸着板の構造は、ウエハ吸着面側が弾性高分子材料であり、他方が一定の強度を有する高分子材料である、二層構造となっている。
【発明の効果】
【0011】
薄板収納容器の吸引口が外部の真空引き装置に接続し、ウエハが薄板収納容器に載置されると、真空引き装置によって吸引口および吸気孔を通して、減圧室の空気が吸引され、さらに吸着口を通してウエハが吸着面に吸着される。ウエハが確実に吸着され、薄板収納容器に固定された後に、切替弁等が閉じられ、薄板収納容器の真空吸着部が真空に保持される。また、切替弁等が閉じられた後には、薄板収納容器は外部の真空引き装置と切り離される。ウエハは大気圧と真空吸着部との圧力差によって、薄板収納容器に固定され平坦状に保持されているので、薄板収納容器の搬送やプロセスなどにおいても、ウエハは薄板収納容器から動くことはない。また、ウエハを薄板収納容器に吸着した後は、ウエハが平坦な状態を維持できる。従って、ウエハが極薄になった後でも、搬送を自動化できる。
【0012】
吸着板は薄板収納容器基板から分離できるため、吸着板が磨耗したりして使用困難になった場合には簡単に交換できる。減圧室には支持隔壁が設置されているので、吸着板を下から支持しているため、吸着板の変形が殆ど発生しない。従って、吸着板を薄くすることができる。繰り返しの真空引きにも変形が少ないためウエハの吸着が確実に行われるため、ウエハ吸着用の薄板収納容器としての信頼性も高い。減圧室は、支持隔壁により多数の部分室に分離されているが、連通孔があいているために、すべての部分室が真空に引かれる。部分室には吸着孔があいていて、その上に載置されるウエハを真空吸着する。多数の部分室が均等な面積になるように設計されているので、ウエハの吸着がウエハ内全面に渡り均等に行われる。指示隔壁がない場合には、減圧室の中でも最も先に真空引きされる吸引開口付近のウエハ吸着が急速に行われ、そこから遠い場所は真空引きが遅かったため、ウエハにかかる負担が大きくウエハ損傷の原因になっていたが、支持隔壁を設けることにより、ウエハの吸着がウエハ内全面に渡り均等に行われ、ウエハ損傷がかなり少なくなる。吸着板は取り外し可能であるから、薄板収納容器の内部まで洗浄できるようになった。加えて、支持隔壁も取り外し可能にすることにより、減圧室や吸気孔までも洗浄可能となった。この結果、汚染やパーティクル対策が充分行われ、薄板収納容器の寿命を飛躍的に長くすることができる。
【0013】
また、薄板収納容器のウエハ載置部が周縁部に対して凹状になった薄板収納容器は、ウエハを吸着し搭載しても、何ら冶工具を使わずにそのまま薄板収納容器を積層できるという利点がある。また、ウエハを載置する時にウエハの端部が傾斜面にかかってもウエハが滑り載置部(ウエハ吸着面)に載置することができる。特にこの部分に潤滑性高分子材料を用いた場合には、この効果が顕著である。潤滑性高分子材料として、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PBN(ポリブチレンナフタレート)。PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン)等が挙げられる。尚、潤滑性材料と潤滑性高分子以外の材料とを一緒に用いた場合にも上記の効果がある。
【0014】
吸着板を二層構造としたり、吸着板に弾性高分子材料からなる支持ネットを付着することにより、ウエハを載置したり真空吸着する時の衝撃が緩和され、ウエハの破損や損傷が殆ど起こらなくなる。減圧室に支持隔壁を設置しているので、弾性高分子材料を用いても吸着板を厚くしたりする必要もない。
【0015】
以上のような効果があるので、本発明の薄板収納容器を用いることにより、たとえ、ウエハが極薄(たとえば、ウエハ厚み10〜200μm)であっても、または大口径(ウエハ厚みが200〜400μmで、ウエハ直径が200mm以上)であっても、ウエハが破損したりすることはない。
【0016】
以上から、本発明の薄板収納容器を用いることにより、歩留まりの高いプロセスを構築できる。
【0017】
以上の他にも、本発明は以下のような効果もある。
【0018】
ウエハを吸着した薄板収納容器が工程中で滞留しても、工程間で清浄かつ安全にストックできるために、加工効率を向上させることができ、工程設計が容易になる。すなわち、ウエハの表面が他のものに接触しないように、ウエハ(収納容器)ケースに収納あるいは、ウエハが重ならないような収納容器を用いることにより、収納容器の上積み保管も可能となる。このことにより、工程間にウエハ(収納容器)やウエハ(収納容器)ケースをストックできるため、装置効率や処理効率を高めることができ、フレキシブル(柔軟)に工程設計が可能となる。
【0019】
薄板収納容器等に、バーコードや、RFタグ(Radio Frequency Tag)のような無線タグなどの情報表示手段を取り付けることが容易となり、ウエハの枚葉管理ができ、的確かつ正確な処理をウエハに施すことができる。また、ウエハのトレーサビリティを向上させることが可能となる。
【0020】
また、繰り返しになるが、工程間および工程内搬送や処理が自動化できるため、ウエハ(収納容器)検査や処理において、ウエハを破損することなく安全に行うことができ、加工歩留まりを向上させることができる。
【0021】
薄板収納容器は洗浄することで繰り返し使用することが可能であり、消耗品を極力少なくし、環境にやさしく、安価な製造が可能となるという利点もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明において、ウエハとは主には半導体ウエハを指す。たとえば、半導体ウエハの材料は、シリコン(Si)やゲルマニウム(Ge)などの単元素半導体材料や、シリコンゲルマニム(SiGe)や砒化ガリウム(GaAs)やインジウムリン(InP)等の化合物半導体材料や、GaAlAs等の3元系以上の半導体材料である。しかし、これらにかかわらず、絶縁物の上に半導体デバイスを形成したものも含まれる。たとえば、ガラスや石英やプラスチックなどの上に薄膜デバイスを作成したもの、ガラスや石英やプラスチックなどの上に半導体材料を貼りあわせたものである。あるいは、金属の上に絶縁物・半導体材料を貼りあわせたものも含まれる。さらには、プラスチック等の高分子材料も含まれる。
【0023】
半導体プロセスにおいて、ウエハの表面にトランジスタ等の能動素子、抵抗・コンデンサ・インダクタンス等の受動素子や配線・絶縁層等を形成し、半導体デバイスが作製される。本発明に適用される半導体デバイスとして、メモリ、CPU、システムIC、アナログIC、デジタルICなどがあるが、広義には単体の能動素子や受動素子も含まれる。すなわち、能動素子や受動素子を少なくとも1個以上含むものを表す。一般に半導体ウエハ上には、これらの半導体デバイスが多数形成され、個片(いわゆる、チップ)に切断された後に、用途に応じて種々の製品に搭載される。たとえば、半導体パッケージの場合には、リードフレームに搭載される。また回路基板に搭載され、携帯電話やICカードやPCなど種々の機器に用いられる場合もある。さらに、液晶や有機EL(エレクトロルミネッセンス)等の表示素子も含まれる。
【0024】
近年の最終製品は超小型化を要求されるものが多く、その傾向は今後も益々進化していくと予想できる。従って、それらの最終製品に搭載されるチップは非常に薄い厚みのものであることを要求される。チップの厚みを薄くするには、その前段階であるウエハを薄くする必要がある。ウエハを薄くするには、ウエハ上にデバイスが形成された後に、ウエハ裏面加工研削を行う。
【0025】
本発明は、通常の厚みのウエハ(薄板)にも適用できることは当然であるが、特に、ウエハ裏面研削等により、薄くなったウエハを搭載できる薄板収納容器に関する。本発明で記載する「薄板収納容器」とは、「ウエハ(薄板)を支持または保持可能で、ウエハ(薄板)を搭載した状態でウエハ(薄板)を搬送しプロセスを行うこと(いわゆる、ウエハ(薄板)を処理すること)ができるもの」である。従って、このようなものとして考えるならば、「ウエハ(薄板)支持トレイ」、「ウエハ(薄板)保持トレイ」、「ウエハ(薄板)支持容器」、あるいは「ウエハ(薄板)キャリヤ」と呼んでも良い。
【0026】
裏面研削工程とは所望の厚みのウエハにするために、半導体デバイスが形成されているウエハ表面と反対側のウエハ裏面を研削し、ウエハを薄くする工程である。この工程では、ウエハ表面に形成されている半導体デバイスを保護するために、ウエハ表面に保護フィルムを貼合する。この保護フィルムとして、たとえばリンテック製E-seriesや三井化学製イクロステープがある。保護フィルムを貼合したウエハを裏面研削装置(いわゆる、バックグラインド装置)に配置し、砥粒を含んだ水を加えながら砥石でウエハ裏面を研削する。所望のウエハ厚みを得た時点で裏面研削を終了する。裏面研削は、一般に粗研削と仕上げ研削とからなる。粗研削は、粗い砥粒を用いて早くウエハ裏面を削る方法である。従って、ウエハ裏面には粗い研磨後に大きな歪や応力が残る。仕上げ研削は粗研削の後で行い、より細かい砥粒を用いて、前記の歪や応力を緩和する。しかし、歪や応力は完全には除去できないので、裏面加工歪除去を行う場合もある。
【0027】
ウエハ裏面研削を行った後や裏面加工歪除去を行った後に、本発明である薄板収納容器を使用できる。すなわち、ウエハ表面保護フィルムを付着したままの状態で、本発明の薄板収納容器に載置する。薄板収納容器には真空吸着部があり、ウエハはその真空吸着部に載り、真空で吸着される。ウエハ裏面が真空吸着面となる。薄板収納容器に載置するまではウエハにはウエハ表面保護フィルムで支持されているが、ウエハ表面保護フィルムは柔らかいので、ウエハが極薄の場合(たとえば、10〜200μmの厚みのウエハ)、または/及びウエハが大口径化の場合(たとえば、ウエハ厚みが200〜400μmで、ウエハ直径が200mm以上)には、ウエハ表面保護フィルムを付着したままのウエハでは、柔軟な状態となっていて平坦な状態を保つことはできない。従って、薄板収納容器にウエハを載せるまでは、自動搬送が困難であり、マニュアル搬送が望ましい。もちろん、手動搬送と同程度の配慮のされた自動搬送なら自動でも良い。薄板収納容器に載置した後は、薄板収納容器に吸着されているので、ウエハが反ることはなく、平坦な状態を維持できる。
【0028】
本発明の薄板収納容器の第1の実施形態を図1に示す。図1(a)は、第1の実施形態の薄板収納容器1にウエハ17を搭載した状態を示す。薄板収納容器1の上側面および下側面は平面状である。すなわち、薄板収納容器1は平板状である。
【0029】
薄板収納容器1は、減圧室2、吸着孔3、吸着面4、吸気孔5及び吸引口6を含んでいる。減圧室2、吸着孔3、吸着面4、吸気孔5及び吸引口6を薄板収納容器1の真空吸着部と考えることができる。この実施形態においては、減圧室2の下側に吸気孔5との接続口である吸引開口10があり、吸気孔5は薄板収納容器下側部分7の下方に伸び、中途で曲がり、薄板収納容器横側部分8で薄板収納容器の外部へ出ていて、吸気孔5は吸引口6で終端になっている。減圧室2は吸着面4の裏面である上側部分9と吸着収納容器の下方に位置する下側部分7とで主に囲まれて構成されてなる収納容器内部に配置している。薄板収納容器下側部分7とは、減圧室2を含む薄板収納容器の下側部分を指す。また、薄板収納容器横側部分8とは、上側部分9と下側部分7とで主に構成される減圧室2の内、減圧室の側面を構成して減圧室2を完全ならしめる部分を指す。薄板収納容器上側部分9とは、吸着面4の裏面であって減圧室2の一部を構成する部分を指す。
【0030】
本発明の第1の実施形態では、図1(b)に示すように、薄板収納容器1を薄板収納容器下側部分7と薄板収納容器上側部分9に分離できるようになっている。すなわち、薄板収納容器下側部分7は、減圧室2、吸気孔5、吸引開口10および吸引口6を含む平板状の部分である。これを本発明においては、薄板収納容器基板と呼ぶ。薄板収納容器上側部分9は、吸気孔3および吸着面4を含む平板状の部分である。これを本発明においては、吸着板と呼ぶ。第1の実施形態においては、吸着板は減圧室2の天井部分を構成し、薄板収納容器基板は残りの部分を構成する。本発明においては、薄板収納容器下側部分と薄板収納容器基板とは同じものを意味し、薄板収納容器上側部分と吸着板とは同じものを意味するので、同じ番号で示すことにする。
【0031】
薄板収納容器基板7の減圧室は、図1(b)に示すように、支持隔壁11で仕切られている。支持隔壁の目的は、吸着板を支持する(下から支える)ことである。本発明に用いる薄板収納容器の吸着板は、高分子材料をベースとした薄い板状のものである。従って、中空の減圧室の上を覆う吸着板は自重で変形する可能性がある。特に大口径ウエハを載置する薄板収納容器では、その変形が顕著になる。さらに、ウエハを吸着する時に、減圧室を真空にひいた時に、吸着板が重力で押しつぶされ、大きな変形をする可能性もある。そうなれば、ウエハを吸着するという本来の目的を達成できない。これを防止するために、吸着板にある程度の強度を持たせることが考えられるが、吸着板が厚くなり、薄板収納容器全体が大型化する。この結果、取り扱いや自動プロセスに用いることが困難になる。その上、材料費がかかり、プロセスコストも増大する。また、仮に強度の大きい吸着板を作製できたとしても、繰り返しの真空引きにより磨耗したり変形したりして長期間の使用は困難である。そこで、本発明においては、減圧室に支持隔壁を設けることにより、より薄い軽量の吸着板を使用できるようにした。減圧室2は支持隔壁11によって、完全に分離されているわけではなく、支持隔壁11には、部分的に溝または孔があり(連通孔12)、支持隔壁で仕切られた部分同士は、この連通孔12によりつながっている。
【0032】
図1(c)は、薄板収納容器基板7を上側から見た平面図である。この実施形態においては、支持隔壁11が同心円状に配列している。また、同心円状の部分も細かく分離している。支持隔壁11には、連通孔12が存在していて、分離した部分室はつながっている。すべての部分室が連通孔等を通じてつながっていて、すべての部分室を真空引きできることが望ましい。この連通孔の目的は、減圧室の中を真空にするためである。また、真空になった後で、空気などを導入して、真空を破る時にも使われる。連通孔12は、余り小さいと減圧室全体を真空にしたり、真空を破ったりするのに時間がかかるし、余り大きいと支持隔壁11の強度が小さくなるので、適度な大きさにする必要がある。連通孔12は、支持隔壁11に空けられた孔や溝のほかに、減圧室2と支持隔壁11との間、または吸着板9と支持隔壁11との間に部分的な空間を設けても良い。ただしこれも、真空引き時間等や支持隔壁の強度等が問題にならない程度に設計する必要がある。また、各部分の連通孔の数も真空引き時間等や支持隔壁の強度等を考慮して設計する必要がある。支持隔壁11は、吸着板が部分的または局部的に変形しないように、均等に配列することが望ましい。支持隔壁の数を増やしていけば、吸着板の変形に対しては望ましいが、真空引き時間が長くなったり、作製が困難となるため、最適化が望ましい。また、支持隔壁の幅も大きくしすぎると、吸着板の吸着孔を塞ぎウエハを部分的に吸着できない場合も出てくる。支持隔壁の幅も小さくしすぎると支持隔壁の強度が不十分となり、吸着板の変形が起こりやすくなる。従って、支持隔壁の最適化も重要である。第1の実施形態に用いた同心円状の支持隔壁11は、より均等に吸着板9を支えることができるものである。しかし、同心円状に限られず、網目状の支持隔壁でも良い。
【0033】
支持隔壁は、薄板収納容器基板7に固定している必要はなく、取り外しができるものでも良い。また、支持隔壁は吸着板の減圧室2側に形成されていても良い。吸着板9を取り外した時に、一緒に取り外して洗浄などもできる。薄板収納容器は真空吸着を繰り返しているので、パーティクル等の汚染物質を減圧室に蓄積する可能性もあるが、支持隔壁を取り外しできれば洗浄も容易である。但し、減圧室に適合するように作製する必要がある。そうでなければ、吸着板9を充分に支持できなくなる。
【0034】
また、できるだけ均等に吸着板9の吸着孔が存在することが望ましい。支持隔壁で仕切られた各部分には、少なくとも一つ以上の吸着孔を配置することが望ましい。それにより、ウエハの吸着が充分にかつ均等になるようにすることが可能となる。支持隔壁がない場合には、吸着板の各吸着孔のウエハを吸引する力を均等にすることが困難であるが、支持隔壁を設けて部分室に分けることにより、ウエハの真空引きを均等に行うことができる。
【0035】
支持隔壁は、吸着板を支えているので一定程度の強度が必要である。そのような材料として、たとえば、熱可塑性エラストマーやフッ素樹脂等の弾性高分子材料が挙げられる。
【0036】
熱可塑性エラストマーとして、PEE(ポリエステルエラストマー)、PBTE(ポリブチレンテレフタレートエラストマー),PBNE(ポリブチレンナフタレート)、PPE(ポリフェニレンエーテル)、PUE(ポリウレタンエラストマー)等がある。フッ素樹脂として、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)やPFA(パーフルオロアルコキシアルカン)が挙げられる。また、PP(ポリプロピレン)も用いることができる。また、PC(ポリカーボネート),PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PBN(ポリブチレンナフタレート)、PP(ポリプロピレン),PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン)等の高分子材料も使用できる。尚、上記の高分子材料は単独でも良いし、複数を含む材料でも良い。
【0037】
図1に示すように、薄板収納容器基板7にはシール材18が減圧室周囲を取り巻いている。シール材18は、薄板収納容器基板7のシール材保持溝(図に示されていない)に入っている。吸着板9が薄板収納容器基板7と結合した時に、シール材18は吸着板9のシール材受け溝14に入る。このシール部(シール材18、シール材受け溝14およびシール保持溝を含む)の役割は、減圧室の真空度を保持することである。薄板収納容器には、薄板収納容器基板7と吸着板9とを結合する結合部がついている。第1の実施形態においては、薄板収納容器基板7側にフック15が、吸着板9にはフック受け溝16がついている。図1(c)および図1(d)に示すように、フック15とフック受け溝16の位置は、対応している。これらの結合部を設けることにより、薄板収納容器基板7と吸着板9を確実に結合できる。
【0038】
ウエハの吸着方法について、図1(a)に基づいて説明する。吸引口6は真空引き装置に接続されている(図には示されていない)。ウエハ17が薄板収納容器1の吸着面4に載置される。裏面研削後に厚みが極薄化したウエハは一般には反っているので、ウエハ17が真空に引かれる前には、平坦な面である薄板収納容器1の吸着面4とウエハ17との間には隙間があいている。真空引き装置によって真空引きされると、吸引口6において真空引き装置に接続した吸気孔5を通って、吸引開口10で吸気孔5と連結した減圧室2が真空引きされる。減圧室は、支持隔壁11によって多数の部分室に分けられているが、連通孔12を通じて各部分室が真空に引かれていく。さらに、減圧室2と吸着面4とを連結した吸着孔3を通ってウエハ17が真空に引かれ、隙間がなくなってウエハ17が薄板収納容器1の吸着面4にしっかりと吸着される。薄板収納容器1の吸着面4において、吸着孔3はウエハが載置および吸着される場所以外の場所には存在しないように配置されている。また、吸着孔3は図1(e)に示すように、ウエハの載置および吸着される場所に多数存在している。吸着孔の大きさと数は、ウエハが吸着され固定されるために充分な程度に設計される。好ましくは、吸着孔3の大きさは、直径が0.5mm以上である。0.5mm未満の大きさの吸着孔では、吸着孔の数にもよるが、真空引きに時間がかかるととともに、十分にウエハ11が吸着されない場合がある。また、0.5mm未満の大きさの吸着孔では、異物で塞がる場合もある。吸着孔の大きさの最大値は、ウエハサイズ、ウエハの厚み、ウエハの反り量あるいはウエハ吸着面の粗さによって変化する。しかし、一般にウエハ厚みが極薄の場合には、50mmを越える大きさの吸着孔3では真空引きのスピードが速すぎて、ウエハが破損する可能性もある。また、ウエハ側の吸着面の微小な凹凸により真空がリークしやすくなる場合もある。吸着孔3の大きさは、そろっている必要はない。たとえば、中心の吸着孔3のサイズを大きくし、周辺側に向かう吸着孔3のサイズを徐々に小さくすると、ウエハの吸着が好ましい場合がある。一般にウエハの中心付近は反り量が大きく、周辺は反り量が小さい場合が多いからである。ウエハ17上に形成される個々のチップの下にのみ吸着孔3を配置し、ウエハ17上のスクライブラインにあたる位置には吸着孔を配置しないことが効果的な場合もある。たとえば、スクライブライン上をダイシングした後にも、個々のチップを確実に吸着する場合である。このような場合には、薄板収納容器をチップの大きさや配置によって変更することが必要となる。薄板収納容器には、容易に情報表示手段を取り付けることができるので、薄板収納容器をウエハ毎に変更することは、工程管理上も特に問題なく可能である。また、図1に示されるように、吸気孔5の1部および吸引口6は薄板収納容器の外側に出ている。
【0039】
吸気孔5または吸引口6には切替弁あるいは逆止弁が付いていて(図示されていない)、薄板収納容器1の真空吸着部が真空になりウエハを完全に吸着した後で、それらの弁を閉じると真空が保持されるようになっている。従って、真空が保持された後には、真空引き装置を薄板収納容器の吸引口6から取り外しても、ウエハ17は薄板収納容器1に確実に吸着されていて、その後に薄板収納容器1を使用して搬送やプロセスを行っても、ウエハ17は、薄板収納容器1から離脱したり、薄板収納容器1の吸着面4上で動くことはない。尚、切替弁や逆止弁の他にも、真空を保持できるような方法であれば、本発明の薄板収納容器に適用できる。たとえば、吸引口6に蓋をする方法や吸引口6に栓をする方法が挙げられる。切替弁等の開閉や、蓋や栓をすることは、自動化も可能である。
【0040】
図2は、第1の実施形態における薄板収納容器2つを、その裏面同士を結合させたものである。結合の方法として、第1の実施形態における薄板収納容器の裏面にフック部等の結合手段を付ける方法や、単純に両者をクランプする方法もある。あるいは、製造時に一体ものとして作ることもできる。ウエハ30は、吸着面24Aおよび24Bに真空吸着されて固定されているので、一方の面が下向きや横向きになってもウエハ30が薄板収納容器から離れたり、動いたりすることはない。第1の実施形態の薄板収納容器はこのような使用も可能なので、薄板収納容器の小型化や薄板収納容器ケース(容器)の小型化ができ、搬送装置の小型化やプロセス装置の小型化も容易に可能となる。
【0041】
図3は、本発明の第2の実施形態を示す図である。
【0042】
図3(a)は横方向断面図、図3(b)は平面図である。図1に示す場合と異なるのは、ウエハを載置する場所(ウエハ載置部またはウエハ吸着面34)が周辺に比較し凹状になっていることである。尚、ウエハ吸着面34はもちろん平坦な形状である。ウエハの載置部34には、図3(b)に示すように、吸着孔33が多数存在し、ウエハ37を確実に吸着できるようになっている。図3(b)の吸着孔は小さな円形で示しているが、他の形状、たとえば四角形や楕円形や三角形やそれらに類似した形状でも良い。あるいは、それらの組合わせでも良い。あるいは、ウエハ37を吸着できるその他の形状でも良い。ウエハ37を平坦状に維持でき、かつ確実に固定できる程度に吸着孔の数と形状と大きさを選択することができる。尚、吸着孔33はウエハ搭載位置の範囲内にあることが必要であることは、図1に示す薄板収納容器と同様である。
【0043】
図3に示す薄板収納容器31の周辺部から載置部(吸着面)34への傾斜は、図3の傾斜面38で示されるように、テーパー状になっている。ウエハ37が薄板収納容器31の載置部34に置かれる時に、多少位置ずれしてウエハの端が傾斜面38にかかっても、ウエハ37は傾斜面38から滑って載置部34に載置される。すなわち、図1の場合の薄板収納容器に比較し、ウエハ37の載置場所が安定化するという利点がある。また、ウエハの破損を防止するという利点もある。薄板収納容器31の周縁部39はある程度平坦となっている。周縁部39の高さが、ウエハを載置部34に吸着した場合のウエハ37の表面(最上面)の高さよりも高くしておくことにより、薄板収納容器31を重ねて積層しても、ウエハ37への接触がないという利点もある。周縁平坦部39の面積は、積み重ねても安定する程度の面積を確保する必要がある。従って、この場合は、特別のウエハ(薄板収納容器)ケースを使う必要がない。
【0044】
しかし、薄板収納容器を結合したければ、周縁部39に図1と同様なフック部などの結合手段を取り付ければ良い。薄板収納容器の結合により、一括で薄板収納容器を移動したり、プロセスができるという利点がある。また、周縁部39にシール部も取り付ければ、薄板収納容器に囲まれた領域である薄板収納容器の凹状部にあるウエハは、外部環境から隔離されるので、外部環境からの汚染やクリーン度の異常などの影響を受けないという利点もある。
【0045】
図3に示す薄板収納容器31の吸気孔35および吸引口36のタイプは、図1に示した薄板収納容器1の吸気孔5および吸引口6のタイプと少し異なっている。
図1に示す薄板収納容器1の吸気孔5は、薄板収納容器下側部分7の下方に伸びていたが、図3に示す薄板収納容器31においては、吸気孔35は減圧室32の横側部分40に伸び、そのまま外部に出ている。このような構造になっている場合には、薄板収納容器の下部分を薄くできるため、薄板収納容器31を薄くすることが可能となる。薄板収納容器ケースに薄板収納容器31を収納する場合には、薄板収納容器ケースも小さくすることができる。
【0046】
尚、薄板収納容器31のような薄板収納容器を積み重ねができるような薄板収納容器の場合には、薄板収納容器31の裏にもウエハを吸着し載置可能である。この表裏一体の収納容器においては、下向きになるウエハも存在するが、薄板収納容器の吸着面にウエハが確実に吸着されているので、ウエハが落下することはない。
【0047】
さらに、傾斜面が垂直に近い段差を有するものでも良い。ウエハの位置ずれに対しては余裕度が小さいが、精度良くウエハを載置部(吸着部)に載置できれば特に問題が発生することもない。本発明の載置部が凹状になった薄板収納容器は、さらに本発明の支持隔壁101および連通孔102を減圧室32の内部に持つ。その働きは、第1の実施形態と同様である。なお、図3においては薄板収納容器31の裏面形状は平坦になっているが、薄板収納容器31の表面形状と裏面形状とを略相似にすることによって、2枚の薄板収納容器を互いに積層するときに、収納する薄板を上下からしっかりと押えて固定することができる。このようにして薄板を固定した後は、薄板を吸着するための真空引きは解除することができる。また、このとき、薄板収納容器31の裏面にも、吸着面34の形状に対応した領域に上記の弾性材料を配しておくのが好ましい。
【0048】
本発明の載置部が凹状になった薄板収納容器は、上記にて説明したように大きなメリットを有するが、本発明の一つである吸着板はさらにその効果を増大できる。第1の実施形態において説明したように、吸着板は減圧室32の天井部分を構成し、薄板収納容器基板は残りの部分を構成する。また、吸着板の天井部分は、支持隔壁と共に減圧室32を分割して(連通孔等を通して)連通した複数の部分室を形成する。減圧室32と天井部分を分離する方法について、幾つかの実施形態について、以下に説明する。尚、下記に示した以外にも、吸着板の底面を球面状にする場合、底面を凹凸状に分離する場合など多くの形態もある。あるいは、減圧室32の中途で分離する方法、減圧室32を吸着板側に含める方法などもあり、どれも実用的である。また、上記は第1の実施形態にも適用できる。
【0049】
図4に基づいて、本発明の第3の実施形態を説明する。
【0050】
図4に示す吸着板49は、図3に示す第2の実施形態における減圧室の天井から上側部分を平面状に切ったものである。減圧室42は、支持隔壁111で仕切られていて、支持隔壁111で分離された部分(部分室)は支持隔壁111にあけられた連通孔112でつながっている。減圧室42の周囲をシール材118が囲んでいる。これに対応して、シール受け溝113が吸着板49側に取り付いている。吸着板49と薄板収納容器基板47との結合機構の結合部として、フック115が薄板収納容器基板47側に、フック受け溝116が吸着板49側についている。(尚、これらは、逆側に取り付いていても、第1の実施形態と同様に目的を達成できることは自明である。)第3の実施形態の吸着板は、薄板収納容器基板47に合わせて押すだけで簡単に結合できる。それぞれの働きは、第1の実施形態および第2の実施形態で説明したものと同様である。
【0051】
図5に基づいて、本発明の第4の実施形態を説明する。
【0052】
図5に示す吸着板59は、横方向断面図が傾斜面部に適合した逆台形形状のものである。減圧室52の上側部分がそのまま吸着板59となっている。吸着板59の傾斜面58Aおよび薄板収納容器基板57の傾斜面58Bに結合部(フック125、フック受け溝126)やシール部(シール材128、シール受け溝124)が付いている。吸着板59を薄板収納容器基板57の凹部へ押し込むことにより、吸着板59と薄板収納容器基板57とを結合することができる。第4の実施形態の吸着板は、薄板収納容器基板57の傾斜面58に合わせて押すだけで簡単にセットできる。それぞれの働きは、第1の実施形態および第2の実施形態で説明したものと同様である。
【0053】
図6に基づいて、本発明の第5の実施形態を説明する。
【0054】
図6も図5と同じく、吸着板69は横方向断面図が傾斜面部に適合した逆台形形状のものである。しかし、第5の実施形態の吸着板69は、凹状部の平坦部に結合部(フック135、フック受け溝136)やシール部(シール材138、シール保持溝、シール受け溝134)が付いている。減圧室62は、凹状部全体より小さくなっていて、吸着板69は、凹状部の平坦部で支えられる。従って、第5の実施形態の吸着板69は、薄板収納容器基板67の凹状部に載せて押すだけで簡単にセットできる。それぞれの働きは、第1の実施形態および第2の実施形態で説明したものと同様である。
【0055】
図7は、吸着板の構造に関する本発明の第6の実施形態を示す図である。吸着板は、ウエハを載置する場所であり、またウエハを真空吸着する場所であるから、一定程度の強度が必要で、また繰り返し使用できるような耐久性も必要である。一方、ウエハは、シリコンやガラス等のもろい材料で作られているので、吸着板はウエハを損傷させない柔軟性も要求される。このような相反するような要求に対して本発明の第6の実施形態が有用である。
【0056】
本発明の第6の実施形態における吸着板71は、吸着基板72と吸着シート75との2層の構造になっている。ウエハに直接接触する吸着面74の側に吸着シート75がある。吸着シート75は、主に弾性材料からなり、ウエハが載置してもウエハに衝撃を与えないレベルの弾性を有する。このような材料としては、弾性高分子材料があり、弾性高分子材料として、熱可塑性エラストマーや発泡高分子やフッ素樹脂がある。熱可塑性エラストマーとして、PEE(ポリエステルエラストマー)、PBTE(ポリブチレンテレフタレートエラストマー),PBNE(ポリブチレンナフタレート)、PPE(ポリフェニレンエーテル)、PUE等がある。発泡高分子として、発泡PET(ポリエチレンテレフタレート)、発泡PE(ポリエチレン)発泡PU(ポリウレタン)や発泡PS(ポリスチレン)等が挙げられる。フッ素樹脂として、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)やPFA(パーフルオロアルコキシアルカン)が挙げられる。また、PP(ポリプロピレン)も用いることができる。さらに、ウエハを滑らせて最適位置にウエハを載置するために、PBT(ポリブチレンテレフタレート)やPBN(ポリブチレンナフタレート)等の潤滑性高分子も使用できる。吸着基板72は、繰り返しの真空引き等に対して耐久性と強度を有する材料である。この吸着基板に用いられる材料として、PC(ポリカーボネート),PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PBN(ポリブチレンナフタレート)、PP(ポリプロピレン),PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン)等の高分子材料が挙げられる。尚、上記の材料単独でも良いし、複数を含む材料でも良い。
【0057】
吸着板には、吸着孔があいているので、その作製方法としては、吸着シートと吸着基板を貼りあわせたものを型抜きする方法や二色成形法で形成する方法がある。また、最初から吸着孔をあけたものを貼り合せる方法などもある。吸着シートと吸着基板との貼り合せる方法には、融着法や溶接法を用いたりする方法や、特殊な接着剤を用いる接着法などがある。以上のように、吸着板の構造を2層構造にすることにより、第6の実施形態における吸着板は、所定の強度を有しながら、ウエハに対して損傷も与えない特性を有する。
【0058】
尚、ウエハを損傷しないように充分注意をしてプロセスを行う場合には、吸着シートを付けないで1層の吸着板で充分である場合もある。1層の吸着板の時には、上述の高分子材料を含む材料で構成すれば良い。たとえば、PC(ポリカーボネート),PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PBN(ポリブチレンナフタレート)、PP(ポリプロピレン),PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン)等の高分子材料である。また、吸着板の厚みや構造を最適化することにより、弾性高分子材料も使用できる。弾性高分子材料として、熱可塑性エラストマーや発泡高分子やフッ素樹脂がある。熱可塑性エラストマーとして、PEE(ポリエステルエラストマー)、PBTE(ポリブチレンテレフタレートエラストマー),PBNE(ポリブチレンナフタレートエラストマー)、PPE(ポリプロピレンエラストマ−)、PUE(ポリウレタンエラストマー)等がある。発泡高分子として、発泡PET(ポリエチレンテレフタレート)、発泡PE(ポリエチレン)発泡PU(ポリウレタン)や発泡PS(ポリスチレン)等が挙げられる。フッ素樹脂として、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)やPFA(パーフルオロアルコキシアルカン)が挙げられる。また、PP(ポリプロピレン)も用いることができる。尚、上記の材料単独でも良いし、複数を含む材料でも良い。
【0059】
図8は、吸着板の構造に関する本発明の第6の実施形態を示す図である。吸着板81に支持ネット82を付着させた構造である。図8(a)は、横方向断面図、図8(b)は、平面図である。支持ネット82は、網目状構造またはすのこ状構造または碁盤の目状構造等になっている。支持ネット82で仕切られた領域でウエハが載置される領域には、吸着板81に設けられた吸着孔83が存在し、吸着孔83を通して、ウエハが真空に引かれウエハは支持ネット82上に吸着される。支持ネット82の網目状等の構造は、余り大きいと、ウエハの周辺を吸着できないとか、網目状等の空間でウエハの載置していない周辺の領域が存在して、吸着孔が外気とつながって、真空吸着が充分行われないという問題が発生するので、適度に小さな網目状等構造にする必要がある。
【0060】
この支持ネットの目的も第5の実施形態と同じで、ウエハに衝撃を与えずにウエハを吸着板に吸着させることである。従って、支持ネットの材料も弾性材料が望ましい。しかも繰り返し使用もできるものが望ましい。たとえば、PEE、PBTE、PBNE、PPEまたはPUE等の熱可塑性エラストマー、或いは、発泡PET、発泡PE、発泡PUまたは発泡PS等の発泡高分子、或いは、PTFEやPFA等のフッ素樹脂、或いはPPなどである。これらの高分子材料は、柔軟性があり、また耐久性も有している。尚、上記の材料単独でも良いし、複数を含む材料でも良い。
【実施例】
【0061】
図9に本発明の実施例を示す。この薄板収納容器91は吸着面94を有する吸着板99が取り外しできるようになっている。吸着面94上に多数の吸着孔93が存在する。減圧室92には支持隔壁103が同心円状の網目構造に配置している。外部の真空装置と吸着口96を接続して、吸気孔95および減圧室92とつながった吸引開口97から減圧室92が真空引きされる。支持隔壁103には連通孔100があいていて、支持隔壁103で仕切られた部分室は真空が引かれるようになっている。吸着板99は、支持隔壁103に支えられているので、一定程度の強度があれば、真空引きによって変形することはない。
【0062】
この吸着孔93はウエハ上の個々のチップに対応するように配置することもできるので、ダイシング工程でウエハがチップ毎に完全に切断されてもチップが個々に吸着面に吸着される。吸着板99は、薄板収納容器91にシール部98で連結されるようになっている。デバイスが変わり、ウエハ内のチップ位置が異なる場合は、そのチップ位置に合わせた吸着板に変更することができる。吸着板が薄板収納容器基板104と連結すると、支持隔壁103に支持されるようになっている。吸着板99や薄板収納容器91に情報表示手段を取り付ければデバイスや吸着板や薄板収納容器の管理も容易になる。このような薄板収納容器91を使用することにより、種々のデバイスについて、ウエハ切断後に電気特性検査や外観検査などを行うことも可能となる。
【0063】
ウエハ裏面研削を行い、極薄化したウエハについては、ウエハ表面保護用フィルムをウエハに付着した状態で薄板収納容器に載置した方が、ウエハの反りの影響が少ないこととウエハの破損を少なくできることから、望ましい場合が多い。
【0064】
本発明の薄板収納容器をウエハ切断工程に用いる方法について説明する。
【0065】
ウエハ切断方法として、ダイシングブレードを用いたダイシング装置(いわゆる、ダイサー)を用いる方法がある。これは、薄板収納容器上に載置されたウエハを所望の大きさにダイシングブレードで切断する方法である。一般にウエハ上にパターン形成されたスクライブラインに沿って切断する。ウエハの厚みや、ウエハの材質、ウエハ上に形成された薄膜等に応じてダイシングの条件を変化させてウエハ切断(ダイシング)を行う。また、ダイシングをするウエハの量によって、フルカット、セミフルカット及びハーフカット等の方法がある。しかし、主には、フルカット法にてダイシングを行う。
【0066】
フルカットとは、ウエハを完全に切断する方法である。従って、切込みが薄板収納容器側に入る。また、セミフルカットとはウエハ厚み量程度を切断する方法であり、ウエハはほぼ完全に切断されるが、できるだけ切込みを薄板収納容器側に入れないようにする方法である。フルカットでは、薄板収納容器側にダイシングの切込みが入り、傷がつくので、薄板収納容器を繰り返し使うことが困難である場合が多い。薄板収納容器も比較的高価であるため、ダイシング時に薄板収納容器に傷が入らないようにし、薄板収納容器を繰り返し使用することが望ましい。
【0067】
フルカットを用いて完全にウエハを切断しながら、薄板収納容器に損傷を与えない方法として、ダイシングテープを用いる方法がある。これは、薄板収納容器吸着前に、ウエハ表面保護フィルムが付着したウエハの裏面にダイシングテープを付着させ、その後で薄板収納容器に載置し吸着する方法である。ウエハ表面保護フィルムは薄板収納容器に吸着した後で剥離する。あるいは、ダイシングテープを付着させた後に、薄板収納容器吸着工程に入る前に、ウエハ表面保護フィルムを剥離しても良い。ウエハ表面保護フィルムを剥離した場合でも、薄板収納容器やダイシングテープがウエハを支持しているので、たとえウエハが極薄でも、または/及びウエハが大口径であっても、ウエハが反ることはなくウエハを平坦な状態でプロセスできる。フルカットの場合、切断部はウエハを完全に分離し、しかもダイシングテープにも切込みが入る。しかし、薄板収納容器には切込みは入らず、薄板収納容器は損傷しないので、薄板収納容器を繰返し使用できる。
【0068】
本発明の薄板収納容器はウエハ切断工程後にチップ移載工程にも適用可能である。すなわち、薄板収納容器に吸着されたウエハを所望のサイズのチップに切断した後で、チップをピックアップして所定の場所に移載することができる。所定の場所とは、チップのその後の使用方法によって異なる。たとえば、ICパッケージの場合には、リードフレームやCOB基板上に搭載する。チップトレイに移載する場合もある。回路基板上に移載する場合もある。
【0069】
チップのピックアップはたとえばコレットをチップにあて真空吸引して行う。チップをピックアップする前に、薄板収納容器側の真空を破るか、真空度を少し弱めるかすることが好ましい場合がある。一般には、ピックアップ時にウエハ表面から真空吸着するが、このピックアップ側の真空度が、薄板収納容器の真空度より強ければ、チップはピックアップできる。しかし、ピックアップ側の真空度が強すぎると、ピックアップ後に、チップに大気圧と真空度との圧力差による力がチップに加わるので、チップにダメッジが入る場合もある。そのような恐れのある場合(チップ厚みが薄い場合や、チップサイズが大きい場合など)には、チップをピックアップする前に、真空を破るか、真空度を少し弱めるかすることが好ましい。
【0070】
また、チップの下に吸着孔がある場合などには、チップをピックアップ後などに、切替弁や逆止弁を用いて減圧室92の真空を保持している場合は、真空が破れる可能性があるので、ピックアップ時に薄板収納容器の真空部分を真空に引く必要がある場合もある。このように薄板収納容器の真空部分を真空に引くことにより、一部のチップをピックアップ後もチップは薄板収納容器側に引かれるので、真空が破れたりすることによるチップの位置ずれ等の問題も発生しない。また、ピックアップ装置側や移載側等に位置ずれ補正が装備されている場合には、真空が破れることによる問題の発生は少ない。
【0071】
前述のダイシングテープを用いてウエハを吸着する場合も、たとえフルカット法を用いても、ダイシングテープは深さ方向には完全に切断されていないので、チップのピックアップによる薄板収納容器の真空が破れるという問題は発生しない。
【0072】
以上説明したように、チップ移載においても本発明の薄板収納容器を用いているので、チップ移載工程の自動化もできるし、ウエハ切断工程の自動化およびウエハ切断からチップ移載工程との工程間の連結も自動(たとえば、自動移送)化が可能となる。
【0073】
ダイシングテープとチップの密着性を減少させるために、チップを移載する前に、UV照射を行うこともできる。UV照射はダイシングテープの糊残り対策として有効である。本発明の薄板収納容器を用いて、UV照射も可能であるから、UV照射工程の自動化はもちろん、その前後工程との工程間の連結も自動(たとえば、自動移送)化が可能である。
【0074】
ウエハ表面に形成されたデバイスの最終電気特性検査は、ウエハ切断前に行うことが望ましい。さらに望ましくは、ウエハ切断後、チップ移載前に行うことがさらに望ましい。何故ならウエハの電気特性は前の工程の影響を受けるからである。しかし、ウエハ裏面研削後において、ウエハが200μm以下の厚みになった場合、またはウエハ厚みが200〜400μmでもウエハ径が200mm以上(たとえば、200〜1000mm)と大口径になった場合には、ウエハの反りが大きくなったり、強度不足によるウエハ損傷の恐れがあるために、従来は、ウエハ裏面研削後はウエハの電気特性検査を行うことが困難であった。しかし、本発明の薄板収納容器を用いることにより、ウエハ切断前に電気特性検査を行うことが可能となる。すなわち、薄板収納容器にウエハを吸着した状態で、電気特性検査を行うことができる。しかも自動化にも対応できる。たとえば、薄板収納容器を薄板収納容器ケースに複数枚セットしておけば、あるいは、積み重ねの可能な薄板収納容器を使えば、複数枚の薄板収納容器を重ねてテスターにセットしておけば、やはり電気特性検査装置(テスターなど)で自動的に処理可能である。
【0075】
さらに、本発明の薄板収納容器を用いれば、ウエハ切断後にも電気特性検査を行うことができる。すなわち、ウエハ切断後にもチップとして薄板収納容器に吸着させることも可能であるから、電気特性検査が可能となる。たとえば、ウエハのチップ配列に合わせて、吸着孔を配置しておけばよい。ウエハのチップ配列に合わせた薄板収納容器をデバイス毎に用意しておけば良い。あるいはウエハのチップ配列に合わせた吸着板を用意して、デバイス毎に吸着板を変更するということもできる。このことにより、ウエハが切断場所(いわゆる、スクライブライン)に沿って完全に切断されたとしても、チップはチップ毎に配列した吸着孔によって吸着されているので、切断後もチップ位置が変化することはない。また、ダイシングテープに付着したウエハを薄板収納容器に吸着させ、かつダイシングテープの内部で切込み部を留めておけば、ウエハを切断してもダイシングテープは薄板収納容器に吸着されており、薄板収納容器の真空は破られないから切断後のチップは固定されていて、チップの電気特性検査を行うことが可能となる。また、ハーフカット方式を用いれば、ウエハ切断後も薄板収納容器の真空は破られないので、ウエハ(チップ)の電気特性検査を行うことが可能となる。尚、ダイシングテープがあった場合でも、ハーフカット方式の場合でも、ウエハのチップ配列に合わせた吸着孔があれば、ウエハ切断後にもチップの位置ずれが少ない場合もあり、安全性が高いということが言える。
【0076】
薄板収納容器には、バーコードやRFタグのような無線タグなどの情報表示手段を取り付けることができる。たとえば、薄板収納容器の側面や底面などに取り付けることができる。また、図3で示すような周辺部が高くなっている収納容器では、周辺部のウエハが載置されない平坦な場所にも取り付けることができるし、テーパー部にも取り付けることが可能である。さらに、図1に示すような上面が平坦な収納容器でも、ウエハの周辺または、ウエハのファセットの外側部分などウエハが載置されない場所にも取り付けることができる。最近の情報表示手段は非常に小さくなっているので、少しのスペースがあれば取付けが可能である。これらの表示手段を取り付けることにより、種々のプロセス情報を書き込んだり、読み込んだりできる。その情報に従って、プロセスの条件を変更することも可能となる。収納容器毎に情報表示手段を取り付けることができるので、ウエハの枚葉管理もできる。従って、種々のデバイスを混在して流動が可能となる。たとえば、本発明の薄板収納容器を用いると、ダイシング工程においても、ウエハ1枚ごとに、ダイシングの条件を変更可能である。また、電気特性検査においても、1枚ごとに異なったデバイスの検査が可能となる。さらに、1枚のウエハ内のチップ毎に検査条件の変更も可能である。加工処理能力の異なる場合などによりウエハが工程間で滞留しても、1枚ごとに誤りなく情報を把握できる。また、情報を保管することも容易となるので、薄板収納容器を使用してプロセスを行ったウエハについては、トレーサビリティも高くなり、信頼性の高い製品を作製できる。
【0077】
また、本発明の薄板収納容器は収納容器ケースに収納もできるし、クリーンボックスなどにも保管できる。また、積み重ねが可能な薄板収納容器の場合には、単純積み重ねも可能なので、スペースを最小化もできる。従って、工程内および工程間に清浄かつ安全に、または/及び大量にストックでき、工程設計が容易になる。
【0078】
さらに、極薄ウエハまたは/及び大口径ウエハでは工程間搬送時に破損しやすいという問題を防止するために、ウエハを積層する時に各ウエハの間に消耗品である層間紙を挿入していたが、本発明の薄板収納容器を使用する場合は、このような層間紙は不要となり、これもコストダウンにつながるという利点もある。
【0079】
これまでも説明したように、薄板収納容器にウエハを吸着後は、薄板収納容器の自動搬送が可能となるので、薄板収納容器吸着工程に続けて、ウエハ切断工程に、さらにチップ移載工程へと工程間搬送が自動で可能となる。従って、これらの一貫ラインを構築できる。さらに、これらの工程の間にウエハ電気特性検査工程やウエハ外観検査工程が入っても、同様に一貫した自動化ラインを構築でき、非常にコストの安い製造ラインを作ることが可能となる。また、薄板収納容器に情報表示手段を容易に付置できるので、ウエハの枚葉管理ができ自由度の高い製造ラインを作ることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、半導体プロセスにおけるウエハ裏面研削工程以降ウエハのプロセスや搬送工程において、利用することができる。特に、極薄ウエハや極薄チップや大口径ウエハを用いる半導体産業において、利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1(a)】図1(a)は、本発明の薄板収納容器に係る第1の実施形態を示す図である。
【図1(b)】図1(b)は、本発明の薄板収納容器に係る第1の実施形態を示す図である。
【図1(c)】図1(c)は、本発明の薄板収納容器に係る第1の実施形態を示す図である。
【図1(d)】図1(d)は、本発明の薄板収納容器に係る第1の実施形態を示す図である。
【図1(e)】図1(e)は、本発明の薄板収納容器に係る第1の実施形態を示す図である。
【図2】図2は、本発明の薄板収納容器に係る第1の実施形態の応用を示す図である。
【図3(a)】図3(a)は、本発明の薄板収納容器に係る第2の実施形態を示す図である。
【図3(b)】図3(b)は、本発明の薄板収納容器に係る第2の実施形態を示す図である。
【図4】図4は、本発明の薄板収納容器に係る第3の実施形態を示す図である。
【図5】図5は、本発明の薄板収納容器に係る第4の実施形態を示す図である。
【図6】図6は、本発明の薄板収納容器に係る第5の実施形態を示す図である。
【図7(a)】図7(a)は、本発明の薄板収納容器に係る第6の実施形態を示す図である。
【図7(b)】図7(b)は、本発明の薄板収納容器に係る第6の実施形態を示す図である。
【図8(a)】図8(a)は、本発明の薄板収納容器に係る第7の実施形態を示す図である。
【図8(b)】図8(b)は、本発明の薄板収納容器に係る第7の実施形態を示す図である。
【図9】図9は、本発明の薄板収納容器に係る実施例を示す図である。
【符号の説明】
【0082】
1・・・薄板収納容器、2・・・減圧室、3・・・吸着孔、4・・・吸着面、
5・・・吸気孔、6・・吸引口、7・・薄板収納容器下側部分(薄板収納容器基板)、
8・・薄板収納容器横側部分、9・・薄板収納容器上側部分(吸着板)、
10・・吸引開口、11・・支持隔壁、12・・連通孔、14・・・シール材受け溝、
15・・・フック、16・・・フック受け溝、17・・・ウエハ、18・・・シール材、
24A・・・吸着面、24B・・・吸着面、27A・・・薄板収納容器基板、
27B・・薄板収納容器基板、29A・・吸着板、29B・・・吸着板、30・・・ウエハ
31・・・薄板収納容器、32・・・減圧室、33・・・吸着孔、34・・・吸着面、
35・・吸気孔、36・・吸引口、37・・ウエハ、38・・傾斜面、39・・周縁部、
40・・・(薄板収納容器)横側部分、42・・・減圧室、43・・・吸着孔、
44・・・吸着面、45・・・吸気孔、46・・・吸引口、47・・・薄板収納容器基板、
49・・吸着板、52・・・減圧室、53・・・吸着孔、54・・・吸着面、
55・・・吸気孔、56・・・吸引口、57・・・薄板収納容器基板、
58A・・・傾斜面、58B・・・傾斜面、59・・・吸着板、67・・薄板収納容器基板、
69・・・吸着板、71・・・吸着板、72・・・吸着基板、73・・・吸着孔、
74・・・吸着面、75・・・吸着シート、81・・吸着板、82・・支持ネット、
83・・吸着孔、91・・・薄板収納容器、92・・・減圧室、93・・・吸着孔、
94・・・吸着面、95・・・吸気孔、96・・・吸引口、97・・・吸引開口、
98・・・シール材、99・・・吸着板、100・・・連通孔(溝)、
101・・・支持隔壁、102・・・連通孔、103・・・支持隔壁、
104・・・薄板収納容器基板、111・・・支持隔壁、112・・連通孔、
113・・・シール受け溝、115・・・116・・・フック受け溝、
118・・・シール材、121・・・支持隔壁、122・・・連通孔、
124・・・シール受け溝、125・・・フック、126・・・フック受け溝、
128・・・シール材、134・・・シール受け溝、135・・・フック、
136・・・フック受け溝、138・・・シール材、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハを真空吸着する真空吸着部を有する薄板収納容器であって、真空吸着部は、ウエハを載置するウエハ吸着面、吸着面上に開口したウエハを真空吸着する複数の吸着孔、複数の吸着孔が接続する減圧室、外部真空ラインと接続する吸引口、および減圧室と吸引口とを接続する吸気孔を有し、前記減圧室には支持隔壁が設けられていて、当該減圧室を複数の部分室に分離し、前記ウエハ吸着面を支えていることを特徴とする薄板収納容器。
【請求項2】
ウエハを真空吸着する真空吸着部を有する薄板収納容器であって、真空吸着部は、ウエハを載置するウエハ吸着面、吸着面上に開口したウエハを真空吸着する複数の吸着孔、複数の吸着孔が接続する減圧室、外部真空ラインと接続する吸引口、および減圧室と吸引口とを接続する吸気孔を有していて、前記薄板収納容器は、前記減圧室の天井部分から二つの部分に分離可能であり、分離可能な一方の部分は、前記ウエハ吸着面および吸着孔を含む吸着板であり、分離可能な他方の部分は、前記減圧室、吸気孔および吸引口を含む薄板収納容器基板であることを特徴とする薄板収納容器。
【請求項3】
請求項1および2とからなることを特徴とする薄板収納容器。
【請求項4】
上記薄板収納容器は平板形状であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかの項記載の薄板収納容器。
【請求項5】
上記ウエハ吸着面が、上記薄板収納容器の周縁部に対して凹状に形成されていて、前記ウエハ吸着面と前記周縁部との間にある側段部が外側に開いた傾斜面であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかの項記載の薄板収納容器。
【請求項6】
上記減圧室の天井部分を含む上記吸着板の底面が平面形状であることを特徴とする、請求項5記載の薄板収納容器。
【請求項7】
横断面形状が逆台形形状を有している吸着板であることを特徴とする、請求項5記載の薄板収納容器。
【請求項8】
上記薄板収納容器基板に接して上記減圧室を構成する上記吸着板の外周面に、上記減圧室を気密にシールするシール構造を有しているか、あるいは上記吸着板を上記薄板収納容器に固定するための留め構造を有しているか、あるいはそれらの双方を有していることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかの項記載の薄板収納容器。
【請求項9】
ウエハを上記薄板収納容器に吸着した状態において、ウエハの最上面が当該薄板収納容器の周縁平坦部より低いことを特徴とする、請求項5〜8のいずれかの項記載の薄板収納容器。
【請求項10】
上記吸着板は、少なくとも弾性高分子材料からなることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかの項記載の薄板収納容器。
【請求項11】
上記弾性高分子は、熱可塑性エラストマーまたは発泡高分子材料またはフッ素樹脂または潤滑性分子材料の少なくともいずれかであることを特徴とする、請求項10のいずれかの項記載の薄板収納容器。
【請求項12】
上記支持隔壁には、当該支持隔壁で仕切られた各部分室を真空引きすることが可能な孔または溝があいていることを特徴とする、請求項1または請求項3〜11のいずれかの項記載の薄板収納容器。
【請求項13】
上記支持隔壁は上記減圧室から分離して繰り返し使用できることを特徴とする、請求項1または請求項3〜12のいずれかの項記載の薄板収納容器。
【請求項14】
上記部分室はほぼ等しい容積を有していることを特徴とする、請求項1または請求項3〜13のいずれかの項記載の薄板収納容器。
【請求項15】
上記各部分室には、少なくとも一つ以上の吸着孔が存在することを特徴とする、請求項1または請求項3〜14のいずれかの項記載の薄板収納容器。
【請求項16】
分離した上記吸着板、上記支持隔壁あるいは上記ウエハ支持基板の少なくとも一つを洗浄することにより繰り返し使用することを特徴とする、請求項1〜15のいずれかの項記載の薄板収納容器。
【請求項17】
上記吸着板は、少なくとも二層構造を有していることを特徴とする、請求項1〜16のいずれかの項記載の薄板収納容器。
【請求項18】
上記吸着面を構成する材料は、少なくとも弾性高分子材料からなることを特徴とする、請求項17記載の薄板収納容器。
【請求項19】
上記弾性高分子材料は、熱可塑性エラストマーまたは発泡高分子材料またはフッ素樹脂または潤滑性高分子材料の少なくともいずれかであることを特徴とする、請求項18記載の薄板収納容器。
【請求項20】
上記吸着板と密着した網目構造を有する支持ネットを介してウエハを吸着することを特徴とする、請求項1〜19のいずれかの項記載の薄板収納容器。
【請求項21】
上記支持ネットを構成する網目の各形成領域に、少なくとも一つ以上の吸着孔が存在することを特徴とする、請求項20記載の薄板収納容器。
【請求項22】
上記支持ネットは、少なくとも弾性高分子材料から構成されていることを特徴とする、請求項20または21記載の薄板収納容器。
【請求項23】
上記弾性高分子材料は、熱可塑性エラストマーまたはフッ素樹脂または発泡高分子またはポリプロピレンの少なくともいずれかであることを特徴とする、請求項22記載の薄板収納容器。
【請求項24】
上記薄板収納容器における吸着面の吸着孔はウエハのチップ位置ごとに存在していて、ウエハのスクライブライン上には存在していないことを特徴とする、請求項1〜23のいずれかの項記載の半導体チップの形成方法。
【請求項25】
上記薄板収納容器をウエハ電気特性検査またはウエハダイシング工程にて用いることを特徴とする、請求項1〜24のいずれかの項記載の薄板収納容器。
【請求項26】
上記薄板収納容器をウエハ裏面加工歪除去工程に用いることを特徴とする、請求項1〜25のいずれかの項記載の薄板収納容器。
【請求項27】
上記薄板収納容器に情報表示手段を付置していることを特徴とする、請求項1〜26のいずれかの項記載の薄板収納容器。
【請求項28】
上記情報表示手段は、上記薄板収納容器における側面部、底面部または上面部の少なくともいずれかの部分に付置していることを特徴とする、請求項27記載の薄板収納容器。

【図1(a)】
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【図1(b)】
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【図1(c)】
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【図1(d)】
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【図1(e)】
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【図2】
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【図3(a)】
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【図3(b)】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7(a)】
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【図7(b)】
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【図8(a)】
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【図8(b)】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−281053(P2007−281053A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−102759(P2006−102759)
【出願日】平成18年4月4日(2006.4.4)
【出願人】(000140890)ミライアル株式会社 (74)
【Fターム(参考)】