説明

薄膜トランジスタを備えた平板表示装置

【課題】 薄膜トランジスタを備えた平板表示装置を提供する。
【解決手段】 各駆動薄膜トランジスタの活性層の結晶粒の差によって、そして、駆動薄膜トランジスタの活性層のサイズを変更せずホワイトバランスを合せ、各副画素に最適の電流を供給することによって適正な輝度を得、寿命を短縮させないようにするためのものであって、自己発光素子を備えた複数の副画素を含む画素と、前記各副画素に備えられて少なくともチャンネル領域を有する半導体活性層を備え、前記自己発光素子に各々接続されて電流を供給するものであって、前記活性層の少なくともチャンネル領域が前記副画素別にその結晶粒のサイズまたは形状が相異なるように備えられた駆動薄膜トランジスタと、を含むことを特徴とする平板表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薄膜トランジスタを備えたアクティブマトリックス型平板表示装置に係り、より詳細には多結晶質シリコンを活性層で備え、各表示画素別にその結晶粒のサイズ及び形状を異にした薄膜トランジスタを備えた平板表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ素子や有機電界発光ディスプレイ素子または無機電界発光ディスプレイ素子など平板表示装置に使われる薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)は各ピクセルの動作を制御するスイッチング素子及びピクセルを駆動させる駆動素子として使われる。
【0003】
このようなTFTは、基板上に高濃度の不純物でドーピングされたドレーン領域とソース領域及び前記ドレーン領域とソース領域間に形成されたチャンネル領域を有する半導体活性層を有し、この半導体活性層上に形成されたゲート絶縁膜及び活性層のチャンネル領域の上部のゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極で構成されるが、前記半導体活性層はシリコンの結晶状態によって非晶質シリコンと多結晶質シリコンとに区分される。
【0004】
非晶質シリコンを利用したTFTは、低温蒸着が可能であるという長所があるが、電気的な特性及び信頼性が低下し、表示素子の大面積化が難しくて最近には多結晶質シリコンを多く使用している。多結晶質シリコンは、数十ないし数百cm/V・sの高い電流移動度を有し、高周波動作特性及び漏れ電流値が低くて高精細及び大面積の平板表示装置に使用するのに最適である。
【0005】
一方、前記のようなTFTは、前述したように、平板表示装置においてスイッチング素子や画素の駆動素子として使われるが、能動駆動方式のアクティブマトリックス(Active Matrix:AM)型有機電界発光表示装置は各画素当り少なくとも2つのTFTを備える。
【0006】
前記有機電界発光素子は、アノード電極とカソード電極間に有機物よりなる発光層を有する。この有機電界発光素子は、これら電極に陽極及び陰極電圧が各々印加されるにつれてアノード電極から注入された正孔が正孔輸送層を経由して発光層に移動され、電子はカソード電極から電子輸送層を経由して発光層に注入され、この発光層から電子と正孔とが再結合して励起子を生成し、この励起子が励起状態から基底状態に変化されるにつれて、発光層の蛍光性分子が発光することによって画像を形成する。フルカラー有機電界発光表示装置の場合には前記有機電界発光素子として赤(R)、緑(G)、青(B)の3色を発光する画素を備えさせることによってフルカラーを具現する。
【0007】
しかし、前記のような有機電界発光表示装置において、各色彩を発光する赤、緑、青の各発光層の発光効率が色彩別に相異なる。同じ電流を印加した場合、発光効率によってある色は発光輝度が落ち、ある色は発光輝度が高まって適正度の色バランスまたはホワイトバランスを得難い。例えば、緑色発光層の発光効率が赤色発光層及び青色発光層に比べて3ないし6倍高いため、ホワイトバランスを合せるためには赤色及び青色発光層にそれだけさらに多い電流を流さなければならない。
【0008】
このように、ホワイトバランスを合せるための従来の方法として、特許文献1には駆動ラインを通じて供給される電圧、すなわち、Vdd値を各画素別に異なるように印加する方法が開示されている。
【0009】
また、特許文献2には駆動TFTのサイズを調節することによってホワイトバランスを合せる方法が開示されている。すなわち、駆動TFTのチャンネル領域のチャンネル幅をWとし、チャンネル長をLとする時、その比であるW/Lを赤、緑、青色の各画素別に異なるように設計して赤、緑、青色の各有機電界発光素子に流れる電流量を調節することである。
【0010】
特許文献3には各画素を相異なるサイズに形成することによってホワイトバランスを合せる方法が開示されている。すなわち、発光効率が最高である緑色発光領域の発光面積を赤色及び青色発光領域の発光面積に比べて最小に形成してホワイトバランスと長寿命化とを図るのである。このような発光面積の差はアノード電極の面積を変えることで生じさせることができる。
【0011】
これ以外にもデータラインを通じて印加される電圧範囲を赤、緑、青色の各画素別に異ならせて電流量を制御することによって輝度を調節する方法が知られている。
【0012】
しかし、前記のような方法は多結晶質シリコンを使用する平板ディスプレイ装置のTFTにおいて、その結晶構造を考慮していないのである。すなわち、TFT活性層の結晶粒はその結晶化方法によって多様な形状及びサイズを有しうるが、このような結晶粒状及びサイズによって電流移動度が変えられ、この場合に前記のような方法によってもホワイトバランスを合せられないという問題が発生しうる。
【0013】
一方、有機電界発光素子においては各副画素当り有機電界発光素子に流れる電流量が限界値を超過すれば、限界値以上の電流量によって単位面積当り輝度がかなり高まり、これにより有機電界発光素子の寿命が急に減少する。したがって、素子の寿命のためにも各副画素当り最適の電流量を供給しなければならない。
【特許文献1】特開平5−107561号公報
【特許文献2】特開2001−109399号公報
【特許文献3】特開2001−290441号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、前記のような問題点を解決するために案出されたものであって、各駆動TFTの活性層の結晶粒の差によってホワイトバランスを合せられる平板表示装置を提供することである。
【0015】
本発明の他の目的は、駆動TFTの活性層のサイズを変更せず、同じ駆動電圧を加えた状態でもホワイトバランスを合せられる平板表示装置を提供することである。
【0016】
本発明のさらに他の目的は、各副画素に最適の電流を供給することによって適正な輝度を得、寿命を短縮させない平板表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記のような目的を達成するために、本発明は自己発光素子を備えた複数の副画素を含む画素と、前記各副画素に備えられて少なくともチャンネル領域を有する半導体活性層を備え、前記自己発光素子に各々接続されて電流を供給するものであって、前記活性層の少なくともチャンネル領域が前記副画素別にその結晶粒状が相異なるように備えられた駆動TFTと、を含むことを特徴とする平板表示装置を提供する。
【0018】
本発明の他の特徴によれば、前記副画素は少なくとも二つの相異なる色相を有するように備えられる。
【0019】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記チャンネル領域は前記副画素の色相別にその結晶粒状が相異なるように備えられる。
【0020】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記各チャンネル領域の結晶粒状は前記各副画素を流れる電流値によって決定されうる。
【0021】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記各チャンネル領域の結晶粒状は前記各チャンネル領域の電流移動度によって決定されうる。
【0022】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記チャンネル領域の結晶粒状は前記チャンネル領域を形成する結晶粒のサイズによって決定されうる。
【0023】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記チャンネル領域の結晶粒のサイズは同じ駆動電圧下で前記各副画素に流れる電流値に比例するように決定されうる。
【0024】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記チャンネル領域の結晶粒のサイズは前記各チャンネル領域の電流移動度に比例するように決定されうる。
【0025】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記チャンネル領域の結晶粒状は前記チャンネル領域を形成する結晶粒によって決定されうる。
【0026】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記チャンネル領域の結晶粒状は同じ駆動電圧下で最少の電流が流れる副画素の少なくともチャンネル領域が無定形の結晶粒界を有するように決定されうる。
【0027】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記チャンネル領域の結晶粒状は同じ駆動電圧下で前記無定形の結晶粒界を有する副画素より多い電流が流れる副画素の少なくともチャンネル領域の結晶粒が平行に配列された第1結晶粒界と、前記第1結晶粒界間に前記第1結晶粒界にほぼ垂直に延びた第2結晶粒界とを有するものであって、前記第1結晶粒界がストライプ状、または四角形状に決定されうる。
【0028】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記チャンネル領域の結晶粒状は同じ駆動電圧下で最多の電流が流れる副画素の少なくともチャンネル領域の結晶粒が平行に配列された第1結晶粒界と、前記第1結晶粒界間に前記第1結晶粒界にほぼ垂直に延びた第2結晶粒界とを有するものであって、前記第1結晶粒界がストライプ状に決定されうる。
【0029】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記チャンネル領域の結晶粒状は最低の電流移動度を有する副画素の少なくともチャンネル領域が無定形の結晶粒界を有するように決定されうる。
【0030】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記チャンネル領域の結晶粒状は前記無定形の結晶粒界を有する副画素より高い電流移動度を有する副画素の少なくともチャンネル領域の結晶粒が平行に配列された第1結晶粒界と、前記第1結晶粒界間に前記第1結晶粒界にほぼ垂直に延びた第2結晶粒界とを有するものであって、前記第1結晶粒界がストライプ状、または四角形状に決定されうる。
【0031】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記チャンネル領域の結晶粒状は最高の電流移動度を有する副画素の少なくともチャンネル領域の結晶粒が平行に配列された第1結晶粒界と、前記第1結晶粒界間に前記第1結晶粒界にほぼ垂直に延びた第2結晶粒界とを有するものであって、前記第1結晶粒界がストライプ状に決定されうる。
【0032】
本発明はまた前記のような目的を達成するために、自己発光素子を備えた赤色、緑色及び青色の副画素を含む画素と、前記各副画素に備えられて少なくともチャンネル領域を有する半導体活性層を備え、前記自己発光素子に各々接続されて電流を供給するものであって、前記活性層の少なくともチャンネル領域が前記副画素の色相別にその結晶粒状が相異なるように備えられた駆動TFTと、を含むことを特徴とする平板表示装置を提供する。
【0033】
このような本発明の他の特徴によれば、前記チャンネル領域の結晶粒状は前記チャンネル領域を形成する結晶粒のサイズによって決定されうる。
【0034】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記各チャンネル領域の結晶粒のサイズは前記緑色副画素を流れる電流値が最低に決定されうる。
【0035】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記各チャンネル領域の結晶粒のサイズは同じ駆動電圧下で各副画素を流れる電流値が赤色、青色及び緑色副画素の順に低くなるように決定されうる。
【0036】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記各チャンネル領域の結晶粒のサイズは前記緑色副画素の活性層のチャンネル領域の電流移動度が最低に決定されうる。
【0037】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記各チャンネル領域の結晶粒のサイズは前記各副画素の活性層のチャンネル領域の電流移動度が赤色、青色及び緑色副画素の順に低くなるように決定されうる。
【0038】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記各チャンネル領域の結晶粒のサイズは赤色、青色及び緑色副画素の順に小さくなるように決定されうる。
【0039】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記チャンネル領域の結晶粒状は前記チャンネル領域を形成する結晶粒によって決定されうる。
【0040】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記各チャンネル領域の結晶粒状は前記緑色副画素を流れる電流値が最低に決定されうる。
【0041】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記各チャンネル領域の結晶粒状は同じ駆動電圧下で各副画素を流れる電流値が赤色、青色及び緑色副画素の順に低くなるように決定されうる。
【0042】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記各チャンネル領域の結晶粒状は前記緑色副画素の活性層のチャンネル領域の電流移動度が最低に決定されうる。
【0043】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記各チャンネル領域の結晶粒状は前記各副画素の活性層のチャンネル領域の電流移動度が赤色、青色及び緑色副画素の順に低くなるように決定されうる。
【0044】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記各チャンネル領域の結晶粒のうち赤色副画素の少なくともチャンネル領域の結晶粒が平行に配列された第1結晶粒界と、前記第1結晶粒界間に前記第1結晶粒界にほぼ垂直に延びた第2結晶粒界とを有するものであって、前記第1結晶粒界が前記赤色副画素の活性層の長手方向に垂直に備えられたストライプ状の結晶粒界とを有しうる。
【0045】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記各チャンネル領域の結晶粒のうち緑色副画素の少なくともチャンネル領域は無定形の結晶粒界を有しうる。
【0046】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記各チャンネル領域の結晶粒のうち青色副画素の少なくともチャンネル領域の結晶粒が平行に配列された第1結晶粒界と、前記第1結晶粒界間に前記第1結晶粒界にほぼ垂直に延びた第2結晶粒界とを有するものであって、前記第1結晶粒界が四角形状となりうる。
【0047】
このような本発明において、前記活性層の少なくともチャンネル領域は多結晶質シリコンで備えられ、前記多結晶質シリコンはレーザによる結晶化方法によって形成されうる。
【発明の効果】
【0048】
本発明によれば、次のような効果を得られる。
【0049】
第一に、TFTの活性層のサイズや駆動電圧を変更せず、同じサイズの活性層を有してもホワイトバランスを合せられる。
【0050】
第二に、副画素別に適正な電流を供給するので、適正な輝度を得られ、寿命の劣化を防止できる。
【0051】
第三に、各副画素当り駆動TFTが占める面積を広くせず、素子に流れる電流量だけを調節することによって、開口率の減少問題を解決し、信頼性を向上させうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
以下、添付された図面を参照し、望ましい実施の形態により本発明を詳細に説明する。
【0053】
図1は、本発明による平板表示装置のうちその望ましい一実施形態によるAM型有機電界発光表示装置のTFT活性層構造を説明するための平面図である。図1に示したように、前記有機電界発光表示装置の各画素はR、G及びBの副画素が縦方向(図1で上下方向)に反復配置されるように備えられている。しかし、このような画素の構成は、必ずこれに限定されるものではなく、各色相の副画素がモザイク状、格子状のような多様なパターンに配列されて画素を構成でき、その色相も相異なる少なくとも二つ以上の色相に多様に構成できる。
【0054】
このような有機電界発光表示装置は、複数のゲートライン51が横方向(図1で左右方向)に配置され、複数のデータライン52が縦方向に配置されている。そして、電力を供給するための駆動ライン53も縦方向に配置されている。これらゲートライン51、データライン52及び駆動ライン53は、一つの副画素を取り囲むように備えられる。
【0055】
一方、前記のような構成において、R、G及びB画素の各副画素は、第1TFTと、第2TFTの少なくとも二つのTFTを備えるが、前記第1TFT 10r,10g,10bはゲートライン51の信号によって素子の動作を制御するスイッチングTFTとなり、前記第2TFT 20r,20g,20bは、素子を駆動する駆動TFTとなられる。このようなTFTの数及び配置は、ディスプレイの特性及び駆動方法によって多様な数が存在しうるのはもとより、その配置方法も多様に存在しうる。
【0056】
これら第1TFT 10r,10g,10b及び第2TFT 20r,20g,20bは、各々半導体活性層の第1活性層11r,11g,11b及び第2活性層21r,21g,21bを有するが、これら活性層は、たとえ図面に示されていないにしても、各々後述するようなチャンネル領域を有する。前記チャンネル領域は、長手方向に形成された第1活性層11r,11g,11b及び第2活性層21r,21g,21bのほぼ中央部に位置した領域であって、その上部を通じてゲート電極が絶縁されて形成された領域に当たる。
【0057】
このような有機電界発光表示装置において、前記駆動TFTをなす第2活性層は各副画素別にその結晶粒状が相異なるように形成されうる。本発明の望ましい一実施形態によれば、これら第2活性層は、各色相別にその結晶粒状が相異なるように形成されうる。すなわち、R画素を構成する第2活性層21r別に、G画素を構成する第2活性層21g別に、B画素を構成する第2活性層21b別に相異なる形状の結晶粒を有させる。したがって、R、G、Bの色相の各副画素が図1のようなストライプ状に配列されておらず、格子状に配列されている場合には、これにより各第2活性層の方向も格子状で相異なるように配列される。そして、もし各副画素の色相がR、G、B以外に他の色相で構成されている場合、その色相別に結晶粒状を異にして配置されうる。
【0058】
一方、本発明の望ましい一実施形態によれば、前記第1活性層11r,11g,11b及び第2活性層21r,21g,21bは、多結晶質シリコン薄膜によって形成されうる。そして、図1に示したように、少なくとも前記第2活性層21r,21g,21bは、その結晶粒状がR、G、Bの画素別に各々異なるように備えられている。この時、この第2活性層21r,21g,21bのうちその中央部分のチャンネル領域の結晶粒がこのように相異なる形状を有させれば十分であるが、構造設計の複雑性によって第2活性層全体、さらに各単一副画素全体の結晶粒状を相異なるようにした。後述される本発明の望ましい実施形態においては、このように各副画素別に結晶粒の種類を異にしたが、本発明は必ずこれに限定されず、各表示画素の第1活性層11r,11g,11bは全て同じ結晶構造にすることもある。
【0059】
本発明の望ましい一実施形態によれば、このように駆動TFTとして使われる第2TFTの活性層のチャンネル領域をR、G、Bの各表示画素別にその結晶粒状を相異なるようにすることによって活性層のサイズを同じにし、同じ駆動電圧に対してもホワイトバランスを合せられる。以下では、このような原理をさらに詳細に説明する。
【0060】
前述したように、有機電界発光表示装置においては、R、G、Bの各副画素がその発光層の発光効率の差によって輝度に差が生じ、これにより同じ電流値に対してはホワイトバランスを合せられなかった。表1には、現在有機電界発光表示装置で一般的に広く使われるR、G、Bの有機発光層の発光効率とホワイトバランスとを満足するためにR、G、Bの各副画素に流さなければならない電流値を表した。
【0061】
【表1】



【0062】
前記表1に示されたように、ホワイトバランスを満足するために流れなければならない電流値は緑色副画素が最少であり、青色副画素がその次であり、赤色副画素が最多の電流が流れなければならないことが分かる。
【0063】
このような電流値の差は、発光素子に電流を供給する駆動TFTの図1の第2TFT20r,20g,20bの活性層の結晶粒状を相異なるようにすることによって達成できる。すなわち、R、G、Bの各副画素の第2TFT20r,20g,20bの活性層を図2に示されたように、その結晶粒状を相異なるように形成することによって各副画素の発光素子、例えば、有機電界発光素子に供給される電流値が変えられる。
【0064】
これは、言い換えれば、前記第2TFT20r,20g,20bの活性層である第2活性層21r,21g,21bの結晶粒状が同じ駆動電圧で各表示画素を流れる電流値によって結晶させる。したがって、ホワイトバランスを合せるために発光効率が最高であるG表示画素の電流値が最低になるようにG表示画素の第2TFT 20gの第2活性層21rの方向を合せなければならず、望ましくは各表示画素の電流値がR、B及びGの表示画素の順に低くなるように赤色第2TFT 20r、青色第2TFT 20b、緑色第2TFT 20gの各第2活性層21r,21g,21bの結晶粒状を調節しなければならない。すなわち、赤色副画素の電流値が最大になるように赤色第2活性層21rの結晶粒状を決定し、青色副画素の電流値がそれより小さくなるように青色第2活性層21bの結晶粒状を決定し、緑色副画素の電流値が最小になるように緑色第2活性層21gの結晶粒状を決定する。これにより表1に示されたように、各副画素の輝度が補完されてホワイトバランスが合せられる。
【0065】
このように第2TFTの活性層の結晶粒状は活性層のチャンネル領域の電流移動度によっても決定されうる。これは活性層のチャンネル領域での電流移動度が大きければさらに多量の電流が流れ、チャンネル領域での電流移動度が小さければさらに少量の電流が流れうるためである。
【0066】
したがって、ホワイトバランスを合せるために発光効率が最高である緑色副画素の電流移動度が最低になるように緑色副画素の第2TFT 20gの活性層の形状を合せなければならず、望ましくは各副画素の第2TFTの活性層チャンネル領域の電流移動度が赤色、青色及び緑色の副画素の順に低くなるように赤色第2TFT 20r、青色第2TFT 20b、緑色第2TFT 20gの各活性層の形状を調節しなければならない。すなわち、赤色副画素の赤色第2活性層21rのチャンネル領域の電流移動度が最大になるように赤色第2活性層21rの形状を決定し、青色副画素の青色第2活性層21bのチャンネル領域の電流移動度がそれより小さくなるように青色第2活性層21bの形状を決定し、緑色副画素の緑色第2活性層21gのチャンネル領域の電流移動度が最小になるように緑色第2活性層21gの形状を決定する。これにより各副画素での電流コストは前述したような差を表し、各副画素の輝度は補完されてホワイトバランスが合わされうる。
【0067】
このような電流値及び電流移動度差は活性層を形成する多結晶質シリコン薄膜の結晶構造によって変化しうるが、すなわち、各副画素での活性層を相異なる結晶構造の多結晶質シリコン薄膜に形成することによって前述したような電流値の差及び電流移動度差の効果が得られる。
【0068】
図2に示されたように、本発明の望ましい一実施形態によれば、多結晶質シリコン薄膜は非晶質シリコン薄膜を公知の順次側面固相化法(Sequential Lateral Solidification、以下、“SLS法”)によって結晶化できる。この時、各副画素の第2TFTの活性層のチャンネル領域が他の結晶形状を有させるために相異なる色相の画素別に相異なる結晶形状を有させた。前記SLS法は、シリコンの結晶粒が液相と固相との境界面でその境界面に対して垂直方向に成長するという事実を利用したものであって、マスクを利用してレーザビームを透過させて非晶質シリコンの一部を溶融させ、この溶融されたシリコンの部分と溶融されていないシリコンの部分との境界から溶融されたシリコンの部分に結晶成長させることによって結晶化をなす。
【0069】
図2に示されたような結晶構造は前記SLS法を適用するにおいて、各画素別に相異なるマスクを使用することによって得られる。
【0070】
まず、R副画素の結晶構造61は相互平行した直線上の第1結晶粒界61aが複数に形成されており、これにほぼ垂直方向に第2結晶粒界61bが形成されている。このような結晶構造61は、ストライプ状のレーザビーム透過領域を有するマスクを利用してストライプ状に溶融させて結晶化したものであって、この結晶構造61に駆動TFTの活性層を形成すれば、活性層のチャンネル領域と第1結晶粒界61aとがなす角度によって図3のような電流移動度差を得られる。すなわち、活性層のチャンネル領域と第1結晶粒界とが垂直をなす時にその電流移動度が最大になり、相互平行をなす時にその電流移動度が最小になる。これにより、赤色副画素の第2活性層21rのチャンネル領域Crは第1結晶粒界61aに垂直になって高い電流移動度を得られる。
【0071】
次いで、緑色副画素の結晶構造62は結晶粒のサイズが非常に小さく形成された無定形結晶形状をなさせる。これはSLS法でフラッドラジエーション方法によるものであって、マスクなしにレーザ照射によって複数の結晶核を形成した後、結晶成長をなして微細で緻密な分布の結晶粒を得る。このような無定形の結晶構造に図2に示されたように、第2TFTの第2活性層21gを形成すれば、その電流移動度を下げられる。
【0072】
一方、青色副画素の結晶構造63は、第1結晶粒界63aがほぼ四角形状をなすが、これはSLS法で、ストライプ状のレーザビーム透過領域とドット状のレーザビーム遮蔽領域とが混合されたマスクを利用して製造できるが、このような四角形結晶構造に図2に示されたように、第2TFTの第2活性層21bを形成すれば、赤色副画素の結晶構造61の電流移動度と、G表示画素の結晶構造62の電流移動度間の比に当たる電流移動度比を得られる。
【0073】
前記のようにR画素、G画素及びB画素別に各副画素の結晶形状を相異なるように形成し、これに各々第2活性層21r,21g,21bを形成すれば、その電流移動度が相異なるようになり、これにより同じ駆動電圧に対する各副画素の電流値も変わり、この調節によってホワイトバランスをなせる。すなわち、図4に示されたように、各画素R,G,Bの副画素別に電流移動度比の差が生じ、ストライプ状の結晶形状を有する赤色副画素の場合が無定形結晶形状を有する緑色副画素の場合よりその電流移動度がほぼ5倍程度差が生じることが分かる。また、四角形結晶形状を有する青色副画素の場合が無定形結晶形状を有する緑色副画素の場合より電流移動度がほぼ3倍程度差が生じることが分かる。したがって、このような結晶構造の変化だけでもホワイトバランスを満足させるための電流値の差を克服できる。
【0074】
一方、前述したような効果は図5に示されたように、各副画素の活性層の少なくともチャンネル領域を形成する結晶粒のサイズを相異なるようにすることによって得られる。図5による本発明の望ましい他の一実施形態は、エキシマーレーザアニーリング(Excimer Laser Annealing、以下、“ELA”)法によって結晶化したものであって、各表示画素別に相異なるエネルギーを照射することによってその結晶サイズを相異なるようにできる。
【0075】
まず、ELA法において、照射されるレーザのエネルギー密度によって図6に示されたように、その結晶粒のサイズが相異なるように形成される。図6は、500Åの非晶質シリコン薄膜をELA法によって結晶化するにおいて、照射されるレーザのエネルギー密度による結晶粒サイズの差を示したものである。
【0076】
図6に示したように、領域Iは、比較的低いエネルギー密度で照射して非晶質シリコンに部分溶融が生じさせる場合であって、非晶質シリコンの部分的な溶融によってその結晶粒は垂直方向に成長して小さなサイズの結晶粒を形成する。
【0077】
領域IIは、これより高いエネルギー密度で照射して非晶質シリコンに近似完全溶融を生じさせる場合であって、結晶成長は溶融されていない少数の固相結晶核から側方向に成長してサイズが大きい結晶粒を形成する。
【0078】
領域IIIは、最高のエネルギー密度で照射して非晶質シリコンに完全溶融を生じさせる場合であって、過冷によって多数の結晶核を発生させてこれから微細な結晶粒の成長をさせる。
【0079】
このように結晶粒のサイズが相異なるように形成される場合、これによる電流移動度も相異なるようにあらわれるが、すなわち、図7に示されたように、結晶粒のサイズが大きくなるほど電流移動度が高くなってほぼ直線式に近い関係になることが分かる。
【0080】
このような図6及び図7によって、最大の結晶粒を形成できる領域IIによって結晶化する場合に最大の電流移動度を得られ、最小の結晶粒を形成できる領域IIIによって結晶化する場合に最小の電流移動度を得られることが分かる。
【0081】
したがって、図5に示されたように、R表示画素の副画素の結晶構造64は、図6の領IIで結晶化してその結晶粒のサイズを最大にし、最大の電流移動度を得られるようにする。
【0082】
次いで、G表示画素の副画素の結晶構造65は、図6の領域IIIで結晶化してその結晶粒のサイズを最小にし、これにより最低の電流移動度を得るようにする。
【0083】
一方、B表示画素の副画素の結晶構造66は、R表示画素とG表示画素間の比に当たる電流移動度を得なければならず、図6で領域Iと領域II間に当たるエネルギー密度で結晶化する。
【0084】
前記のようにR表示画素、G表示画素及びB表示画素別にその副画素の結晶サイズを相異なるように形成し、これに各々第2活性層達21r,21g,21bを形成すれば、その電流移動度が相異なるようになり、これにより同じ駆動電圧に対する各副画素の電流値も変わり、この調節によってホワイトバランスをなせる。
【0085】
前述したような本発明の望ましい他の一実施形態においても、各副画素別に結晶粒の種類を相異なるようにしたが、前述したように、各副画素の第1活性層11r,11g,11bは、全て電流移動度が良い同じ結晶構造にできるのはもとより、駆動TFTの第2活性層達21r,21g,21bの場合だけ相異なるサイズの結晶構造を有させうる。
【0086】
以上、前述したような有機電界発光表示装置の各副画素は、図8ないし図11に示されたように、同じ構造を有する。
【0087】
図8は、図1、図2及び図5の副画素のうち不特定な何れか一つの副画素を示すものであって、その図面符号も特定副画素を示すものでない不特定な副画素についてのものである。図9は、図8に示されたような不特定な単位副画素についての等価回路図を示したものである。
【0088】
まず、図8を参照して見れば、本発明の望ましい一実施形態によるAM有機電界発光表示装置の各副画素は、スイッチング用である第1TFT10と、駆動用である第2TFT 20の少なくとも2つのTFTと、一つのキャパシタ30及び一つの有機電界発光素子40(以下、“EL素子”)とよりなる。前記のようなTFT及びキャパシタの数はこれに限定されず、これよりさらに多数のTFT及びキャパシタを備えられる。
【0089】
前記第1TFT 10は、ゲートライン51に印加されるスキャン信号に駆動されてデータライン52に印加されるデータ信号を伝達する役割をする。前記第2TFT20は、前記第1TFT 10を通じて伝えられるデータ信号によって、すなわち、ゲートとソース間の電圧差VgsによってEL素子40に流入される電流量を決定する。前記キャパシタ30は、前記第1TFT 10を通じて伝えられるデータ信号を一フレーム間保存する役割をする。
【0090】
このような回路を具現するために、図8、図10及び図11のような構造を有する有機電界発光表示装置を形成するが、これをより詳細に説明すれば、次の通りである。
【0091】
図8、図10及び図11に示されたように、ガラス材の絶縁基板1にバッファ層2が形成されており、このバッファ層2の上部に第1TFT 10、第2TFT 20、キャパシタ30及びEL素子40が備えられる。
【0092】
図8及び図10に示されたように、前記第1TFT 10はゲートライン51に接続されてTFTオン/オフ信号を印加するゲート電極13と、ゲート電極13の上部に形成されてデータライン52と接続されて第1活性層11にデータ信号を供給するソース電極14と、第1TFT 10とキャパシタ30とを連結させてキャパシタ30に電源を供給するドレーン電極15で構成される。第1活性層11とゲート電極13間にはゲート絶縁膜3が備えられている。
【0093】
充電用キャパシタ30は、第1TFT 10と第2TFT 20間に位置されて一フレームの間第2TFT 20を駆動させるのに必要な駆動電圧を保存するものであって、図8及び図10に示されたように、第1TFT 10のドレーン電極15と接続される第1電極31、第1電極31の上部に第1電極31とオーバラップされるように形成され、電源印加線である駆動ライン53と電気的に連結される第2電極32及び第1電極31と第2電極32間に形成されて誘電体として使われる層間絶縁膜4で備えられる。もちろん、このような充電用キャパシタ30の構造は必ずこれに限定されず、TFTのシリコン薄膜とゲート電極の導電層とが第1及び第2電極として使われ、ゲート絶縁層が誘電層として使われることもあり、この以外にも多様な方法によって形成できる。
【0094】
第2TFT 20は、図8及び図11に示されたように、キャパシタ30の第1電極31と連結されてTFTオン/オフ信号を供給するゲート電極23と、ゲート電極23の上部に形成され、駆動ライン53と接続されて第2活性層21に駆動のための基準電圧を供給するソース電極24と、第2TFT 20とEL素子40とを連結させてEL素子40に駆動電源を印加するドレーン電極25とで構成される。第2活性層21とゲート電極23間にはゲート絶縁膜3が備えられている。ここで、第2活性層21のチャンネル領域は、前述したように、画素の色相によってその結晶粒状やサイズを変えられる。
【0095】
一方、EL素子40は、電流の流れによってR、G、Bの光を発光して所定の画像情報を表示するものであって、図8及び図11に示されたように、第2TFT20のドレーン電極25に連結されてこれからプラス電源を供給されるアノード電極41と、全体画素を覆うように備えられてマイナス電源を供給するカソード電極43、及びこれらアノード電極41とカソード電極43間に配置されて発光する有機発光膜42で構成される。図面で、5はSiOよりなる絶縁性パシベーション膜、6はアクリルよりなる絶縁性平坦化膜である。
【0096】
以上、前述したような本発明の望ましい実施形態による有機電界発光表示装置の層状構造は、必ずしも前記に限定されず、これと異なるいかなる構造も本発明が適用されうる。
【0097】
このような有機電界発光表示装置は、その駆動TFTである第2TFTの第2活性層の少なくともチャンネル領域を各副画素の色相別にその結晶粒のサイズまたは形状が相異なるようにすることによって各色相の表示画素別にその電流移動度を相異なるようにし、これにより同じ駆動電圧でも各々異なる電流値が流れて全体的にホワイトバランスを合せられる。また、各副画素のEL素子に必要な適正な電流値を供給できるので、素子の耐久性を向上させうる。
【0098】
次いで、前述したような構造を有する本発明の望ましい一実施形態による有機電界発光表示装置の製造方法の一実施形態を説明する。
【0099】
まず、図10及び図11に示されたように、ガラス材の絶縁基板1上にバッファ層2を形成する。前記バッファ層2は、SiOよりなり、PECVD法、APCVD法、LPCVD法、ECR法によって蒸着できる。そして、このバッファ層2はほぼ3000Å程度に蒸着できる。
【0100】
前記バッファ層2の上部には非晶質シリコン薄膜が蒸着されるが、ほぼ500Å程度に蒸着させうる。前記のような非晶質シリコン薄膜は多様な方法によって多結晶質シリコン薄膜に結晶化させうる。この時、結晶化した多結晶質シリコン薄膜は、図2または図5に示されたように各副画素の色相別に、または各副画素である第2TFTの第2活性層に対応する部分別に相異なる結晶構造を有させる。
【0101】
これは前述したように、図2のような結晶構造を得るためにはSLS法によってそのマスク種類を異にして、結晶の形状をR表示画素の場合、第1結晶粒界61a、第2結晶粒界61bを有するストライプ状にし、G表示画素の場合、無定形の結晶構造62にし、B表示画素の場合、第1結晶粒界63aが四角形である四角形状の結晶構造63にする。そして、図5のような結晶構造を得るためにはELA法によって図6のような相異なるエネルギー密度でレーザビームを照射し、R表示画素の場合、最大サイズの結晶粒を有する結晶構造64にし、G表示画素の場合、最小サイズの結晶粒を有する結晶構造65にし、B表示画素の場合、R表示画素とG表示画素間の比に当たるサイズの結晶粒を有する結晶構造66にする。
【0102】
このような多結晶質シリコン薄膜を形成した後にはその上に図2及び図5に示されたように、各表示画素別に第1TFT 10r,10g,10bの第1活性層11r,11g,11bと、第2TFT 20r,20g,20bの第2活性層21r,21g,21bをパターニングする。
【0103】
このように活性層のパターニングを行った後にはその上にSiOによってゲート絶縁膜をPECVD法、APCVD法、LPCVD法、ECR法によって蒸着して形成し、MoW、Al/Cuで導電膜を成膜した後にパターニングしてゲート電極を形成する。前記活性層、ゲート絶縁膜、ゲート電極は多様な順序及び方法によってパターニングできる。
【0104】
活性層、ゲート絶縁膜、ゲート電極のパターニングが終わった後にはそのソース及びドレーン領域にN型またはP型不純物をドーピングする。
【0105】
このようにドーピング工程が終わった後には図10及び図11に示されたように、層間絶縁膜4及びパジベーション膜5を形成した後、コンタクト溝を通じてソース電極14,24及びドレーン電極15,25を活性層11,21に接続し、平坦化膜6を形成する。
【0106】
一方、第2TFT 20に接続するEL素子40は多様な方法によって形成されうるが、まず、ITO(Indium Tin Oxide)によって第2TFT20のドレーン電極15に接続するアノード電極41を形成した後にパターニングし、その上に有機膜42を形成する。この時、前記有機膜42は低分子または高分子有機膜が使用されうる。
【0107】
まず、低分子有機膜を使用する場合、ホール注入層、ホール輸送層、有機発光層、電子輸送層、電子注入層が単一あるいは複合構造で積層形成され、使用できる有機材料も銅フタロシアニン(CuPc)、N,N−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン(NPB)、トリス−8−ハイドロキシキノリンアルミニウム(Alq3)をはじめとして多様に適用できる。これら低分子有機膜は、真空蒸着の方法で形成される。
【0108】
高分子有機膜の場合にはホール輸送層(HTL)及び発光層(EML)で備えられた構造を有し、この時、前記ホール輸送層としてPEDOTを使用し、発光層としてPPV(Poly−Phenylene Vinylene)系及びポリフルオレン系のような高分子有機物質を使用し、これをスクリーン印刷やインクジェット印刷方法で形成する。
【0109】
このように有機膜を形成した後にはAl/Caなどでカソード電極43を全面蒸着するか、またはパターニングして形成できる。そして、カソード電極43の上部はガラスまたはメタルキャップによって密封される。
【0110】
以上で本発明の望ましい実施形態を参照して説明したが、当業者は特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域をはずれない範囲内で本発明を多様に修正及び変更できると理解できる。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明は有機電界発光表示装置に適用した場合であるが、本発明はこれに限定されず、液晶表示装置や無機電界発光表示装置のような画素駆動用素子としてTFTを利用できるいかなる構造にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明の望ましい一実施形態によるAM型有機電界発光表示装置のTFT活性層構造を説明するための平面図である。
【図2】TFTの活性層をなす多結晶質シリコン薄膜に各副画素の活性層を形成した状態を示す平面図である。
【図3】活性層の方向とチャンネル領域の電流移動度との関係を示すグラフである。
【図4】図2による活性層の電流移動度比を示すグラフである。
【図5】TFTの活性層をなす多結晶質シリコン薄膜に各副画素の活性層を形成した状態を示す平面図である
【図6】ELA結晶化法において、エネルギー密度と結晶粒のサイズとの関係を示すグラフである。
【図7】結晶粒のサイズと電流移動度との関係を示すグラフである。
【図8】本発明によるTFTを備えた有機電界発光表示装置の単一副画素についての部分拡大平面図である。
【図9】図8の副画素についての等価回路図である。
【図10】図8のIV−IVについての断面図である。
【図11】図8のV−Vについての断面図である。
【符号の説明】
【0113】
10r,10g,10b 第1TFT
11r,11g,11b 第1活性層
20r,20g,20b 第2TFT
21r,21g,21b 第2活性層
51 ゲートライン
52 データライン
53 駆動ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己発光素子を備えた複数の副画素を含む画素と、
前記各副画素に備えられて少なくともチャンネル領域を有する半導体活性層を備え、前記自己発光素子に各々接続されて電流を供給するものであって、前記活性層の少なくともチャンネル領域が前記副画素別にその結晶粒状が相異なるように備えられた駆動薄膜トランジスタと、を含むことを特徴とする平板表示装置。
【請求項2】
前記副画素は、少なくとも二つの相異なる色相を有するように備えられたことを特徴とする請求項1に記載の平板表示装置。
【請求項3】
前記チャンネル領域は、前記副画素の色相別にその結晶粒状が相異なるように備えられたことを特徴とする請求項2に記載の平板表示装置。
【請求項4】
前記各チャンネル領域の結晶粒状は、前記各副画素を流れる電流値によって決定されることを特徴とする請求項1に記載の平板表示装置。
【請求項5】
前記各チャンネル領域の結晶粒状は、前記各チャンネル領域の電流移動度によって決定されることを特徴とする請求項1に記載の平板表示装置。
【請求項6】
前記チャンネル領域の結晶粒状は、前記チャンネル領域を形成する結晶粒のサイズによって決定されることを特徴とする請求項1に記載の平板表示装置。
【請求項7】
前記チャンネル領域の結晶粒のサイズは、同じ駆動電圧下で前記各副画素に流れる電流値に比例するように決定されることを特徴とする請求項6に記載の平板表示装置。
【請求項8】
前記チャンネル領域の結晶粒のサイズは、前記各チャンネル領域の電流移動度に比例するように決定されることを特徴とする請求項6に記載の平板表示装置。
【請求項9】
前記チャンネル領域の結晶粒状は、前記チャンネル領域を形成する結晶粒によって決定されることを特徴とする請求項1に記載の平板表示装置。
【請求項10】
前記チャンネル領域の結晶粒状は、同じ駆動電圧下で最少の電流が流れる副画素の少なくともチャンネル領域が無定形の結晶粒界を有するように決定されることを特徴とする請求項9に記載の平板表示装置。
【請求項11】
前記チャンネル領域の結晶粒状は、同じ駆動電圧下で前記無定形の結晶粒界を有する副画素より多い電流が流れる副画素の少なくともチャンネル領域の結晶粒が平行に配列された第1結晶粒界と、前記第1結晶粒界の間に前記第1結晶粒界にほぼ垂直に延びた第2結晶粒界とを有するものであって、前記第1結晶粒界がストライプ状、または四角形状に決定されることを特徴とする請求項10に記載の平板表示装置。
【請求項12】
前記チャンネル領域の結晶粒状は、同じ駆動電圧下で最多の電流が流れる副画素の少なくともチャンネル領域の結晶粒が平行に配列された第1結晶粒界と、前記第1結晶粒界の間に前記第1結晶粒界にほぼ垂直に延びた第2結晶粒界とを有するものであって、前記第1結晶粒界がストライプ状に決定されることを特徴とする請求項9に記載の平板表示装置。
【請求項13】
前記チャンネル領域の結晶粒状は、最低の電流移動度を有する副画素の少なくともチャンネル領域が無定形の結晶粒界を有するように決定されることを特徴とする請求項9に記載の平板表示装置。
【請求項14】
前記チャンネル領域の結晶粒状は、前記無定形の結晶粒界を有する副画素より高い電流移動度を有する副画素の少なくともチャンネル領域の結晶粒が平行に配列された第1結晶粒界と、前記第1結晶粒界の間に前記第1結晶粒界にほぼ垂直に延びた第2結晶粒界とを有するものであって、前記第1結晶粒界がストライプ状、または四角形状に決定されることを特徴とする請求項13に記載の平板表示装置。
【請求項15】
前記チャンネル領域の結晶粒状は、最高の電流移動度を有する副画素の少なくともチャンネル領域の結晶粒が平行に配列された第1結晶粒界と、前記第1結晶粒界の間に前記第1結晶粒界にほぼ垂直に延びた第2結晶粒界とを有するものであって、前記第1結晶粒界がストライプ状の結晶粒界を有するように決定されることを特徴とする請求項9に記載の平板表示装置。
【請求項16】
前記活性層の少なくともチャンネル領域は、多結晶質シリコンで形成されたことを特徴とする請求項1に記載の平板表示装置。
【請求項17】
前記多結晶質シリコンは、レーザによる結晶化方法によって形成されたことを特徴とする請求項16に記載の平板表示装置。
【請求項18】
自己発光素子を備えた赤色、緑色及び青色の副画素を含む画素と、
前記各副画素に備えられて少なくともチャンネル領域を有する半導体活性層を備え、前記自己発光素子に各々接続されて電流を供給するものであって、前記活性層の少なくともチャンネル領域が前記副画素の色相別にその結晶粒状が相異なるように備えられた駆動薄膜トランジスタと、を含むことを特徴とする平板表示装置。
【請求項19】
前記チャンネル領域の結晶粒状は、前記チャンネル領域を形成する結晶粒のサイズによって決定されることを特徴とする請求項18に記載の平板表示装置。
【請求項20】
前記各チャンネル領域の結晶粒のサイズは、前記緑色副画素を流れる電流値が最低になるように決定されることを特徴とする請求項19に記載の平板表示装置。
【請求項21】
前記各チャンネル領域の結晶粒のサイズは、同じ駆動電圧下で各副画素を流れる電流値が赤色、青色及び緑色副画素の順に低くなるように決定されることを特徴とする請求項19に記載の平板表示装置。
【請求項22】
前記各チャンネル領域の結晶粒のサイズは、前記緑色副画素の活性層のチャンネル領域の電流移動度が最低になるように決定されることを特徴とする請求項19に記載の平板表示装置。
【請求項23】
前記各チャンネル領域の結晶粒のサイズは、前記各副画素の活性層のチャンネル領域の電流移動度が赤色、青色及び緑色副画素の順に低くなるように決定されることを特徴とする請求項19に記載の平板表示装置。
【請求項24】
前記各チャンネル領域の結晶粒のサイズは、赤色、青色及び緑色副画素の順に小さくなるように決定されることを特徴とする請求項19に記載の平板表示装置。
【請求項25】
前記チャンネル領域の結晶粒状は、前記チャンネル領域を形成する結晶粒によって決定されることを特徴とする請求項18に記載の平板表示装置。
【請求項26】
前記各チャンネル領域の結晶粒状は、前記緑色副画素を流れる電流値が最低になるように決定されることを特徴とする請求項25に記載の平板表示装置。
【請求項27】
前記各チャンネル領域の結晶粒状は、同じ駆動電圧下で各副画素を流れる電流値が赤色、青色及び緑色副画素の順に低くなるように決定されることを特徴とする請求項25に記載の平板表示装置。
【請求項28】
前記各チャンネル領域の結晶粒状は、前記緑色副画素の活性層のチャンネル領域の電流移動度が最低になるように決定されることを特徴とする請求項25に記載の平板表示装置。
【請求項29】
前記各チャンネル領域の結晶粒状は、前記各副画素の活性層のチャンネル領域の電流移動度が赤色、青色及び緑色副画素の順に低くなるように決定されることを特徴とする請求項25に記載の平板表示装置。
【請求項30】
前記各チャンネル領域の結晶粒のうち赤色副画素の少なくともチャンネル領域の結晶粒が平行に配列された第1結晶粒界と、前記第1結晶粒界の間に前記第1結晶粒界にほぼ垂直に延びた第2結晶粒界とを有するものであって、前記第1結晶粒界が前記赤色副画素の活性層の長手方向に垂直に備えられたストライプ状であることを特徴とする請求項25に記載の平板表示装置。
【請求項31】
前記各チャンネル領域の結晶粒のうち緑色副画素の少なくともチャンネル領域は無定形の結晶粒界を有することを特徴とする請求項25に記載の平板表示装置。
【請求項32】
前記各チャンネル領域の結晶粒のうち青色副画素の少なくともチャンネル領域の結晶粒が平行に配列された第1結晶粒界と、前記第1結晶粒界の間に前記第1結晶粒界にほぼ垂直に延びた第2結晶粒界とを有するものであって、前記第1結晶粒界が四角形状であることを特徴とする請求項25に記載の平板表示装置。
【請求項33】
前記活性層の少なくともチャンネル領域は、多結晶質シリコンで形成されたことを特徴とする請求項18に記載の平板表示装置。
【請求項34】
前記多結晶質シリコンは、レーザによる結晶化方法によって形成されたことを特徴とする請求項33に記載の平板表示装置。

【図1】
image rotate



【図2】
image rotate



【図3】
image rotate



【図4】
image rotate



【図5】
image rotate



【図6】
image rotate



【図7】
image rotate



【図8】
image rotate



【図9】
image rotate



【図10】
image rotate



【図11】
image rotate


【公開番号】特開2004−280054(P2004−280054A)
【公開日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−363356(P2003−363356)
【出願日】平成15年10月23日(2003.10.23)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】