説明

表示装置および電子機器

【課題】開口率を損なうことなくセンシング回路を液晶表示装置に組み込む。
【解決手段】表示領域Aには、複数の画素回路が形成され画像を表示する。この表示領域Aの外延に沿ってセンシング領域B1およびB2が形成される。センシング領域B1およびB2では画像を表示せず、そこには、静電容量検出素子を備えたセンシング回路が形成される。さらに、センシング領域B1およびB2の隣接する表示領域Aの辺に沿って個別領域Q1およびQ2がある。そこには、メニューボタンが表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量の変化を検出するセンシング機能を備えた表示装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
静電容量の変化を検出するセンシング回路を備えた表示装置が知られている。例えば、特許文献1に記載された技術は、画像を表示する表示領域の内側にセンシング回路を備える。このセンシング回路では、基準容量と静電容量検出素子とを直列に接続し、その接続点を増幅トランジスタのゲートに接続し、ゲート電位に応じた検出電流を増幅トランジスタに流す。そして、静電容量素子の静電容量の変化を検出電流の変化として取り出す。
【特許文献1】特開2007-48275号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、表示領域にセンシング回路を組み込むと開口率が低下して表示品質が劣化するといった問題がある。
また、従来のセンシング回路では、センシングの度に、増幅トランジスタのゲート電位を所定の電位にリセットする必要がある。このため、従来のセンシング回路では、増幅トランジスタの電源とは別にリセット用の電圧をリセットトランジスタを介して増幅トランジスタのゲートに供給していた。また、基準容量の一方の端子には基準電圧が供給され、静電容量素子の一方の端子には、液晶表示装置の対向電極に供給される共通電位が供給されていた。このように各種の電圧を各々供給するためには、複数の配線を形成する必要があるため、センシング回路の構造が複雑となるといった問題があった。
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、簡易な構成で、開口率を低下することなく、センシング回路を表示装置に組み込むことを解決課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題を解決するために、本発明に係る表示装置は、複数の画素回路が形成され、画像を表示する表示領域と、前記表示領域の外延に沿って形成され、画像を表示しないセンシング領域とを備え、前記センシング領域に静電容量の変化を検出するセンシング回路を形成したことを特徴とする。
この発明によれば、センシング領域は表示領域の外側に配置されるので、開口率を低下させることがない。また、センシング領域は表示領域に沿って形成されているので、表示領域の構造の変化がセンシング領域にも影響を及ぼす。このため、利用者が表示領域を指で触れるなど、表示領域の構造が変化すると、これに伴う静電容量の変化をセンシング領域において検知することができる。
【0005】
より具体的には、前記センシング領域は、前記表示領域の辺の一部または全部に配置され、当該センシング領域に、複数の前記センシング回路がライン状に形成されることが好ましい。
また、前記センシング領域に隣接する表示領域の一辺と対向する辺に沿って、前記複数の画素回路を駆動するための駆動回路を形成することが好ましい。この場合には、センシング領域を横切って駆動信号を画素回路に供給する必要がないので、センシング領域における配線レイアウトを簡素化することが可能となる。
【0006】
また、前記表示領域には、複数の走査線と、複数のデータ線と、前記走査線と前記データ線との交差に対応して設けられた複数の画素回路とが形成され、前記表示領域の一辺に沿って前記複数の走査線を順次選択する駆動回路を形成し、当該一辺と交わる辺に沿って、前記センシング領域を配置し、前記駆動回路から出力される信号に基づいて当該センシング領域に形成される複数のセンシング回路を駆動することが好ましい。この場合には、画像表示と同期してセンシングを実行することになるが、センシング回路のための駆動回路を省略することができるので、構成を簡素化することができる。さらに、センシング周期がより遅くてもよい場合には、駆動回路から供給される信号を間引いて用いればよい。この場合には、センシング回路の動作周波数を下げることができるので、消費電力を削減することができる。
【0007】
また、前記複数の画素回路の各々は、画素電極と、共通電極と、前記画素電極と前記共通電極との間で生じる電界が加わる液晶とを備え、前記センシング回路は、第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間で生じる電界が加わる前記液晶によって形成される静電容量の変化を検出することが好ましい。この場合には、センシング領域の上から指で押さなくても隣接する表示領域が指で押されると、センシング領域においても、第1電極と第2電極との間の電気的状態(例えば、第1電極と第2電極との間の距離)が変化するので、静電容量の変化としてこれを検出することができる。この発明のより具体的な態様としては、前記画素回路が備える前記液晶が前記画素電極と前記共通電極との間に挟持される表示装置や、前記画素電極と前記共通電極が別々の層に形成され、前記画素回路が備える前記液晶が、前記画素電極を含む層と前記共通電極を含む層との間の領域とは異なる領域に配置される表示装置、前記画素電極と前記共通電極が同一の層に形成され、前記画素回路が備える前記液晶が前記層とは異なる層に含まれる表示装置を例示可能である。
【0008】
さらに、利用者が指示を入力するためのボタンを、前記表示領域の内側であって、前記センシング領域と隣接した位置に表示させる制御回路を備えることが好ましい。利用者はボタンを指で押すことによって指示を入力するが、これをボタンに隣接するセンシング領域のセンシング回路で検出することができる。
【0009】
加えて、前記センシング回路は、一方の電極に電源線が電気的に接続され、ゲート電位に応じた検出電流を他方の電極から出力する第1トランジスタ(例えば、図2に示す41)と、前記第1トランジスタのゲートと電源線との間に設けられ、第1制御線を介してゲートに供給されるリセット信号に応じてオン状態となる第2トランジスタ(例えば、図2に示す42)と、前記第1制御線と前記第1トランジスタのゲートとの間に設けられた基準容量と、一方の端子が前記第1トランジスタのゲートに電気的に接続され、他方の端子に所定電位が供給される静電容量検出素子と、前記第1トランジスタの他方の電極と検出線との間に設けられ、第2制御線を介してゲートに供給される選択信号に応じてオン状態となる第3トランジスタ(例えば、図2に示す43)とを備える。
【0010】
この発明によれば、第1トランジスタのゲート電位をリセットするために電源線を介して供給される電圧を用いるので、リセット用に特別な電源を用意する必要がなく、これを供給する配線数を減らすことができる。また、基準容量の一方の端子は第1制御線に接続され、リセット信号によってセンシング動作を行うので、基準容量に専用の電源を設ける必要がなく、さらにこれを供給する配線数を減らすことができる。よって、センシング回路の構成を大幅に簡素化できる。くわえて、静電容量素子の他方の端子に供給される所定電位を固定電位とすれば、第1トランジスタのゲート電位が所定の周期で変動することがない。また、表示装置の画像表示の周期と同期してセンシングを実行する必要がないので、必要に応じてセンシングしたり、より長い周期でセンシングを実行することができる。この結果、消費電力を削減することができる。
【0011】
次に、本発明に係る電子機器は、上述した表示装置を備えることが好ましい。このような電子機器としては、パーソナルコンピュータ、携帯電話機、携帯情報端末、およびタッチパネルなどが含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
<1.実施形態>
図1は、本発明の実施形態に係る液晶表示装置の構成を示すブロック図である。液晶表示装置500は、表示領域Aと、その周囲に設けられたセンシング領域B1およびB2を備える。センシング領域B1およびB2は、画像が表示されない非表示領域である。表示領域Aには、複数の走査線30と複数のデータ線31と、これらの交差に対応して複数の画素回路Pが配置されている。画素回路Pは、トランジスタ33と、画素電極34と、共通電位Vcomが供給される対向電極(共通電極)36と、画素電極34と対向電極36との間に挟持された液晶35を備える。トランジスタ33はTFT(Thin Film Transistor)で構成され、そのゲートは走査線30に、ドレインはデータ線31に、ソースは画素電極34に接続される。液晶35には、画素電極34と対向電極36との間で生じる電界(液晶の厚み方向の電界)が加わる。
【0013】
Yドライバ100は、複数の走査線30を順次選択するための走査信号を生成して、各画素回路Pに各々供給する。走査信号は、1垂直走査期間(1F)の最初のタイミングから、1水平走査期間(1H)に相当する幅のパルスであって、1行目の走査線30に供給される。以降、このパルスを順次シフトして、各走査線30の各々に走査信号として供給する。一方、Xドライバ200は、選択された走査線30に位置する画素回路Pの各々に対し表示すべき階調に応じた大きさのデータ信号を供給する。
【0014】
次に、センシング領域B1およびB2には複数のセンシング回路40が配置される。このセンシング回路40は、静電容量の変化を検出し、駆動回路300によって駆動される。
図2にセンシング回路40の回路図を示す。センシング回路40は、増幅トランジスタ41、リセットトランジスタ42、および選択トランジスタ43を備える。これらのトランジスタは、上述した画素回路Pのトランジスタ33と同様にTFTで構成され、同じプロセスで形成される。
【0015】
リセットトランジスタ42のゲートには、第1制御線10を介してリセット信号RESが供給される。リセットトランジスタ42のドレインは電源線20に接続され、そのソースは増幅トランジスタ41のゲートと接続される。電源線20には電圧VRHが供給される。
増幅トランジスタ41のドレインは電源線20に接続され、そのソースは選択トランジスタ43のドレインに接続される。選択トランジスタ43のソースは検出線21に接続され、そのゲートには第2制御線11を介して選択信号SELが供給される。
また、増幅トランジスタ41のゲートと第1制御線10との間には、基準容量素子44が設けられている。さらに、静電容量検出素子45の一方の端子は、増幅トランジスタ41のゲートに接続され、その他方の端子には所定電位Vxが供給される。なお、この例において所定電位Vxは共通電位Vcomと異なる固定電位である。したがって、共通電位Vcomを交流駆動して変動させても、それによって増幅トランジスタ41の電位が変動することはなく、画像表示と独立してセンシングを行うことができる。また、表示装置の画像表示の周期と同期してセンシングを実行する必要がないので、必要に応じてセンシングしたり、より長い周期でセンシングを実行することができる。この結果、消費電力を削減することができる。
【0016】
次に、センシング回路40の動作を図3〜図6を参照して説明する。センシング回路40は、リセット期間Tres、センシング期間Tsen、および読出期間Toutを一単位として動作する。
まず、リセット期間Tresにおいて、リセット信号RESのレベルはVDとなり、リセットトランジスタ41がオン状態となる。このとき、選択信号SELはローレベルであり選択トランジスタ43はオフ状態となる。すると、図4に示すように増幅トランジスタ41のゲートの電位が電源電位VRHにリセットされる。
【0017】
次に、リセット期間Tresに続くセンシング期間Tsenでは、リセット信号RESのレベルがVDからGND(=0V)に変化する。すると、図5に示すようにリセットトランジスタ42がオフ状態となる。第1制御線10は基準容量素子44の一方の電極と接続されているので、基準容量素子44はカップリング容量として機能し、リセット信号RESのレベルが変化すると増幅トランジスタ41のゲート電位が変化する。
【0018】
ここで、基準容量素子44の容量値をCr、静電容量検出素子45の容量値をCs、第1制御線10の電位変化をΔVgate(=VD)とすれば、増幅トランジスタ41のゲート電位の変化分ΔVは、以下に示す式(1)で与えられる。但し、寄生容量は無視する。
ΔV=ΔVgate*Cr/(Cr+Cs)……(1)
式(1)から、静電容量検出素子45の容量値Csが大きければ容量カップリングによる変化分ΔVは小さく、逆に容量値Csが小さければ変化分ΔVは大きい。したがって、静電容量検出素子45の容量変化をゲート電位に反映させることができる。
【0019】
次に、読出期間Toutでは、選択信号SELがローレベルからハイレベルに変化する。すると、図6に示すように選択トランジスタ43がオン状態となる。これによって、増幅トランジスタ41のゲート電位に応じた検出電流Idetが検出線21に流れる。
ところで、読出期間Toutにおいて、選択トランジスタ43を確実にオン状態とするためには、読出期間Toutに先立って、検出線21の電位をプリチャージ電位Vpreにプリチャージすることが好ましい。この例では、図3に示すように、リセット期間Tresおよびセンシング期間Tsenをプリチャージ期間Tpreとし、当該期間において検出線21にプリチャージ電位Vpreを供給している。
【0020】
ここで、静電容量検出素子45による静電容量の変化を図7を参照して説明する。静電容量検出素子45は図7に示すように第1電極45aと第2電極45bとの間に液晶35を挟持して構成される。人の指が触れない状態では、同図(A)に示すように第1電極45aと第2電極45bとが平行であるが、指で液晶表示装置500を押すと、第2電極45bが撓み、第1電極45aと第2電極45bの距離が短くなる。このため、人が指で液晶表示装置500を押すと、静電容量検出素子45の容量値Csが大きくなる。このようにして、静電容量の変化が検出される。
【0021】
また、この例の基準容量素子44は一方の電極として半導体層47を用い、他方の電極としてゲート配線48を用い、それらの間にゲート酸化膜49を挟持して構成される。なお、半導体層47、ゲート配線48、およびゲート酸化膜49は、他のトランジスタ41や42と同一のプロセスによって形成される。したがって、基準容量素子44を形成するために特別なプロセスは不要であり、製造コストを削減することができる。
【0022】
ところで、基準容量素子44は、第1制御線10と増幅トランジスタ41のゲートの間に設ければよい。リセットトランジスタ42のゲート・ドレイン間およびゲート・ソース間には、その構造に起因する寄生容量が付随する。そこで、図8に示すセンシング回路40’のように、リセットトランジスタ42の寄生容量を基準容量素子44として用いてもよい。この場合には、図7に示すように基準容量素子44を作り込まなくてもよいので、構造をより一層、簡素化することができる。
【0023】
また、上述した実施形態では、共通電位Vcomと異なる固定電位を所定電位Vxとしたが、これを変形し、共通電位Vcomを所定電位Vxとしてもよい。つまり、第2電極45bと対向電極(共通電極)36とが電気的に接続された形態としてもよい。この形態は、共通電位Vcomを変化させる形態(コモン変調駆動)であって、少なくともセンシング期間Tsenには共通電位Vcomが固定電位となる形態であってもよい。これらの形態において、第2電極45bが電気的に接続される共通電極として、FFS(Fringe Field Switching)方式やIPS(In-Plane Switching)方式等の横電界モードで液晶を駆動する液晶表示装置における共通電極を採用した形態としてもよい。この形態では、画素電極と共通電極との間で生じる電界(横電界)が液晶に加わる。
【0024】
図9は、FFS方式の形態の構造例を示す断面図である。ただし、増幅トランジスタおよび基準容量素子については図示を省略してある。この例のように、FFS方式の形態では、画素電極81と共通電極82は別々の層に形成され、液晶35は、画素電極81を含む層と共通電極82を含む層との間の領域83とは異なる領域に配置される。領域83は、第1電極(容量性電極)91aを含む層と第2電極91bを含む層との間の領域でもある。第1電極91aはリセットトランジスタ94のソース94s(すなわち増幅トランジスタのゲート)に接続されている。
【0025】
この例では、画素電極81にはカラーフィルタ92が、第1電極91aにはブラックマトリクス93が重なっている。ブラックマトリクス93を用いるのはセンシング回路からの不要な光を遮断するためである。この例でも、人が指で液晶表示装置501を押すと、静電容量検出素子91の容量値Csが変化するから、静電容量の変化を検出することができる。なお、IPS方式の形態では、画素電極と共通電極は同一の層に形成され、液晶35は、この層とは異なる層に含まれることとなる。
【0026】
また、上述した実施形態では、センシング回路40を駆動するために、駆動回路300を設けたが、画像表示と同期してセンシングを実行することを許容するのであれば、図10に示すようにセンシング回路40に供給する選択信号SELおよびリセット信号RESをYドライバ101で生成する構成としてもよい(液晶表示装置501)。この構成を得るには、Yドライバ100に含まれるシフトレジスタの段数を1段増やしてYドライバ101とし、初段または最終段から出力されるシフト信号に基づいて、選択信号SELおよびリセット信号RESを生成するようにすればよい。
【0027】
図11は、液晶表示装置501の回路図である。ただし、Xドライバ200については図示を省略してある。液晶表示装置501は、センサ用Xドライバ301と、Yドライバ101と、表示領域Aに配置されたN−1行L列の画素回路Pと、センシング領域B1またはB2に配置されたN−1+L個のセンシング回路40とを備える。センシング領域B1ではL個のセンシング回路40が行方向(N行目)に並んでおり、センシング領域B2では残るN−1個のセンシング回路40が列方向(L+1列目)に並んでいる。以降の説明では、画素回路Pおよびセンシング回路40の総称として「単位回路」を用いる。
【0028】
センサ用Xドライバ301は、センシング領域B1を挟んで表示領域Aと対向する位置に設けられており、L本の第2制御線11の各々に選択信号selを供給する。Yドライバ101は、表示領域Aを挟んでセンシング領域B2と対向する位置に設けられており、液晶表示装置500における走査信号と同一のパルスを順次シフトして、N本の走査線30の各々には走査信号として、N−1本の第1制御線10の各々にはリセット信号として供給する。つまり、画素回路Pおよびセンシング回路40は、同じシフトパルスにより動作する。
【0029】
また、データ線31とN本目(センシング領域B1のL個のセンシング回路40用)の走査線30は、互いに交差しないように配置されている。また、センシング領域B2のN−1個のセンシング回路40用の検出線21と、センシング領域B1のL個のセンシング回路40用の検出線22は、いずれも、走査線30と交差しないように配置されている。
【0030】
N行目の単位回路(L個のセンシング回路40)の各々では、走査線30がリセットトランジスタ42のゲートおよび基準容量素子44の一方の電極と接続され、第2制御線11が選択トランジスタ43のゲートと接続され、N行目の単位回路に共通の検出線22が選択トランジスタ43のソースと接続されている。なお、液晶表示装置501では、検出線22に対してプリチャージは行われない。
【0031】
一方、L+1列目の単位回路(N−1個のセンシング回路40)の各々では、同一行の単位回路に共通の走査線30が選択トランジスタ43のゲートと接続され、同一行の単位回路に共通の第1制御線10がリセットトランジスタ42のゲートと基準容量素子44の一方の電極とに接続され、L+1列目の単位回路に共通の検出線21が選択トランジスタ43のソースと接続されている。つまり、N−1個のセンシング回路40は、画素回路Pと同じ選択信号SELにより選択される。なお、液晶表示装置501でも、検出線21の電位はプリチャージ電位Vpreにプリチャージされる。
【0032】
次に、液晶表示装置501の動作を、図12を参照して説明する。図に示すように、n行目の画素回路Pに対してデータ信号(DATA)が供給される1水平走査期間(1H)では、選択信号SEL[1]〜[N]のうち選択信号SEL[n]のみがハイレベルとなり、次の1水平走査期間では、選択信号SEL[1]〜[N]のうち選択信号SEL[n+1]のみがハイレベルとなる。つまり、選択信号SEL[1]〜[N]のレベルは、1水平走査期間を単位として巡回的かつ排他的にハイレベルとなる。
【0033】
また、図に示すように、n行目の画素回路Pに対してデータ信号(DATA)が供給される1水平走査期間(1H)では、リセット信号RES[1]〜[N−1]のうちリセット信号RES[n+2]のみのレベルがVDとなり、その直前の1水平走査期間では、リセット信号RES[1]〜[N−1]のうちリセット信号RES[n+1]のみのレベルがVDとなり、その直前の1水平走査期間では、リセット信号RES[1]〜[N−1]のうちリセット信号RES[n]のみのレベルがVDとなる。つまり、リセット信号RES[1]〜[N−1]のレベルは、1水平走査期間を単位として巡回的かつ排他的にVDとなる。
【0034】
図に示すように、n本目の走査線30に供給される選択信号SEL[n]と、n+2本目の走査線30に供給されるリセット信号RES[n+2]は、同一となる。ただし、リセット信号RES[N]は存在せず、選択信号SEL[N−1]はリセット信号RES[1]と、選択信号SEL[N]はリセット信号RES[2]と同一となる。したがって、リセット信号RES[N−1]のレベルがVDとなる1水平走査期間の次の1水平走査期間(リセット信号RES[1]のレベルがVDとなる1水平走査期間の直前の1水平走査期間)では、いずれのリセット信号RESのレベルもVDとならず、この期間においてリセット期間Tresを迎えるセンシング回路40は、L+1列目の単位回路に含まれていない。
【0035】
以上より明らかなように、L+1列目の単位回路(N−1個のセンシング回路40)は、1水平走査期間を単位として巡回的かつ排他的にリセット期間Tresを迎え、N行目の単位回路(L個のセンシング回路40)は、選択信号SEL[N]がローレベルとなるとリセット期間Tresを迎える。
【0036】
n行L+1列目の単位回路(センシング回路40)は、リセット信号RES[n]がハイレベルからローレベルに変化するとセンシング期間Tsenを迎え、選択信号SEL[n]がローレベルからハイレベルに変化すると読出期間Toutを迎える。つまり、L+1列目の単位回路(N−1個のセンシング回路40)は、1水平走査期間を単位として巡回的かつ排他的にセンシング期間Tsenおよび読出期間Toutを迎える。各期間におけるセンシング回路40の動作は前述の通りである。よって、検出線21には、N−1個のセンシング回路40からの検出電流Idet(Vs)が1水平走査期間を単位として巡回的かつ排他的に流れる。なお、N−1個のセンシング回路40の各々のためのプリチャージ期間Tpreは、当該センシング回路40のための読出期間Toutの前の期間であって、N−1個のセンシング回路40のうち当該センシング回路40の直前に読出期間Toutを迎えるセンシング回路40のための読出期間Toutの後の期間である。
【0037】
一方、図に示すように、選択信号SEL[N]がハイレベルの期間では、1水平走査期間をL等分した期間を1単位期間としたとき、ある1単位期間(1h)では選択信号sel[1]〜[L]のうち選択信号sel[m]のみがハイレベルとなったとすると、次の1単位期間では選択信号sel[1]〜[L]のうち選択信号sel[m+1]のみがハイレベルとなる。つまり、N行目の単位回路(L個のセンシング回路40)は、選択信号SEL[N]がハイレベルとなるとセンシング期間Tsenを迎え、選択信号SEL[N]がハイレベルの期間において、1単位期間を単位として排他的に読出期間Toutを迎える。各期間におけるセンシング回路40の動作は前述の通りであるから、検出線22には、選択信号SEL[N]がハイレベルの期間において、L個のセンシング回路40からの検出電流Idet(Vs)が1単位期間を単位として排他的に流れる。
【0038】
なお、液晶表示装置501を変形し、センシング領域B2をYドライバ101と表示領域Aとの間に配置した形態としてもよいし、センシング領域B1をXドライバ200と表示領域Aとの間に配置した形態としてもよい。後者の場合、Xドライバ200に代えて、Xドライバ200およびセンサ用Xドライバ301の機能を備えたXドライバを採用するのが好ましい。
【0039】
次に、センシング回路40と表示領域Aに表示される画像の関係について、図13を参照して説明する。この例では、表示領域Aの端部の内側の個別領域Q1およびQ2に図示せぬ制御回路がメニューボタンを表示させるように制御する。ユーザーはメニューボタンを押下げることによって、装置に対して指示を入力することができる。個別領域Q1はセンシング回路40が配置されるセンシング領域B1に近接して配置される。ここで、ユーザーが個別領域Q1を指で押すと、その周りの部分がへこむので、これと連動して、センシング領域B1のセンシング回路40に形成された静電容量検出素子45の容量値Csが変化する。したがって、ユーザーがどの個別領域Q1を指でふれたかを検知することができる。
【0040】
センシング回路40を表示領域Aの内部に形成すると、開口率が低下するが、センシング領域B1およびB2に形成すれば、そのような不都合はない。また、センシング回路40が形成されるセンシング領域B1およびB2は、表示領域Aの端部に沿って形成されており、静電容量検出素子45はセルギャップのギャップ長が変化すると静電容量が変化するので、ユーザーがセンシング領域B1およびB2を直接押さなくても、これを検出することが可能である。
【0041】
図14にセンシング回路40が配置される他の態様を説明する。図14(A)は、表示領域Aの下辺に沿ってセンシング領域B1が形成され、そこにセンシング回路40が配置される。この場合、センシング領域B1が配置される下辺と対向する上辺に沿って、Xドライバ200を配置することが好ましい。このようにXドライバ200を配置すると、センシング回路40を横切ってデータ線31を配置する必要がないので、配線レイアウトを簡素化することが可能となる。
【0042】
また、図14(B)に示すように表示領域Aの上辺に沿ってセンシング領域B3を形成し、表示領域Aの下辺に沿ってセンシング領域B1を形成してもよい。また、図14(C)に示すように、表示領域Aの下辺、右辺、および上辺に沿ってセンシング領域B1、B2およびB3を各々配置してもよい。さらに、図14(D)に示すように、表示領域Aの四辺に沿ってセンシング領域B1、B2、B3およびB4を各々配置してもよい。
【0043】
<2.応用例>
次に、本発明に係る液晶表示装置を利用した電子機器について説明する。図15は、液晶表示装置500又は501を表示部として採用したモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。パーソナルコンピュータ2000は、表示部としての液晶表示装置500又は501と本体部2010とを備える。本体部2010には、電源スイッチ2001およびキーボード2002が設けられている。液晶表示装置500又は501にはメニューボタン2020、2030、および2040が表示される。これらのメニューボタンには各種のプログラムを割り当てることができる。例えば、メニューボタン2020には電子メールを割り当て、メニューボタン2030にはブラウザを割り当て、メニューボタン2040には描画ソフトを割り当てることができる。ユーザーはキーボード2002を操作しなくても、メニューボタンに触れるだけで、所望のソフトを起動することが可能となる。
【0044】
図16に、実施形態に係る液晶表示装置500又は501を適用した携帯電話機の構成を示す。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001およびスクロールボタン3002、ならびに表示部としての液晶表示装置500又は501を備える。スクロールボタン3002を操作することによって、液晶表示装置500又は501に表示される画面がスクロールされる。液晶表示装置500又は501にはメニューボタン3010および3020が表示される。例えば、メニューボタン3010をユーザーが触れると電話帳が表示され、メニューボタン3020をユーザーが触れるとこの携帯電話機の電話番号が表示される。
【0045】
図17に、実施形態に係る液晶表示装置500又は501を適用した携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistants)の構成を示す。情報携帯端末4000は、複数の操作ボタン4001および電源スイッチ4002、ならびに表示部としての液晶表示装置500又は501を備える。電源スイッチ4002を操作すると、メニューボタン4010および4020が表示される。メニューボタン4010を押すと住所録が表示され、メニューボタン4020を押すとスケジュール帳が表示される。
【0046】
なお、本発明に係る電気光学装置が適用される電子機器としては、図15から図17に示したもののほか、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、スキャナ、複写機、ビデオプレーヤ、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。
【0047】
なお、上述したセンシング回路40は、表示領域Aの画素回路Pが形成される同一の平面上に形成されたが、表示領域Aの上に別の基板として形成し、両者を張り合わせて用いてもよい。また、表示領域Aの内部にセンシング回路40を設けてもよい。これらの場合でも、第1制御線10によって基準容量素子44の一方の電極に電位を供給する配線と、リセットトランジスタ42のゲートにリセット信号RESを供給する配線とを兼用することによる配線数の低減効果は損なわれることはない。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施形態に係る液晶表示装置の構成を示すブロック図である。
【図2】センシング回路の構成を示す回路図である。
【図3】センシング回路の動作を示すタイミングチャートである。
【図4】リセット期間におけるセンシング回路の動作を示す説明図である。
【図5】センシング期間におけるセンシング回路の動作を示す説明図である。
【図6】読出期間におけるセンシング回路の動作を示す説明図である。
【図7】静電容量検出素子の構造を示す断面図である。
【図8】センシング回路の他の例を示す回路図である。
【図9】FFS方式の形態の構造例を示す断面図である。
【図10】液晶表示装置の他の構成例を示すブロック図である。
【図11】他の構成例の回路図である。
【図12】他の構成例の動作を示すタイミングチャートである。
【図13】センシング回路と表示領域に表示される画像の関係について説明するための説明図である。
【図14】センシング回路と表示領域に表示される画像の他の関係について説明するための説明図である。
【図15】本発明に係る電子機器の具体的な形態を示す斜視図である。
【図16】本発明に係る電子機器の具体的な形態を示す斜視図である。
【図17】本発明に係る電子機器の具体的な形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0049】
500,501……液晶表示装置、A……表示領域、B1〜B4……センシング領域、Q1〜Q4……個別領域、40,40’……センシング回路、41……増幅トランジスタ、42,94……リセットトランジスタ、43……選択トランジスタ、44……基準容量素子、45,91……静電容量検出素子、RES……リセット信号、SEL……選択信号、10……第1制御線、11……第2制御線、20……電源線、21,22……検出線、Tres……リセット期間、Tsen……センシング期間、Tout……読出期間、Tpre……プリチャージ期間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素回路が形成され、画像を表示する表示領域と、
前記表示領域の外延に沿って形成され、画像を表示しないセンシング領域とを備え、
前記センシング領域に静電容量の変化を検出するセンシング回路を形成した、
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記センシング領域は、前記表示領域の辺の一部または全部に配置され、
当該センシング領域に、複数の前記センシング回路がライン状に形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記センシング領域に隣接する表示領域の一辺と対向する辺に沿って、前記複数の画素回路を駆動するための駆動回路を形成した、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記表示領域には、複数の走査線と、複数のデータ線と、前記走査線と前記データ線との交差に対応して設けられた複数の画素回路とが形成され、
前記表示領域の一辺に沿って前記複数の走査線を順次選択する駆動回路を形成し、
当該一辺と交わる辺に沿って、前記センシング領域を配置し、
前記駆動回路から出力される信号に基づいて当該センシング領域に形成される複数のセンシング回路を駆動する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記複数の画素回路の各々は、画素電極と、共通電極と、前記画素電極と前記共通電極との間で生じる電界が加わる液晶とを備え、
前記センシング回路は、第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間で生じる電界が加わる前記液晶によって形成される静電容量の変化を検出する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記画素回路が備える前記液晶は、前記画素電極と前記共通電極との間に挟持されることを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記画素電極と前記共通電極は別々の層に形成され、
前記画素回路が備える前記液晶は、前記画素電極を含む層と前記共通電極を含む層との間の領域とは異なる領域に配置される、
ことを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項8】
前記画素電極と前記共通電極は同一の層に形成され、
前記画素回路が備える前記液晶は、前記層とは異なる層に含まれる、
ことを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項9】
利用者が指示を入力するためのボタンを、前記表示領域の内側であって、前記センシング領域と隣接した位置に表示させる制御回路を備えることを特徴とする請求項1乃至8のうちいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記センシング回路は、
一方の電極に電源線が電気的に接続され、ゲート電位に応じた検出電流を他方の電極から出力する第1トランジスタと、
前記第1トランジスタのゲートと電源線との間に設けられ、第1制御線を介してゲートに供給されるリセット信号に応じてオン状態となる第2トランジスタと、
前記第1制御線と前記第1トランジスタのゲートとの間に設けられた基準容量と、
一方の端子が前記第1トランジスタのゲートに電気的に接続され、他方の端子に所定電位が供給される静電容量検出素子と、
前記第1トランジスタの他方の電極と検出線との間に設けられ、第2制御線を介してゲートに供給される選択信号に応じてオン状態となる第3トランジスタとを、
備えることを特徴とする請求項1乃至9のうちいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項11】
請求項10に記載の表示装置を備えたことを特徴とする電子機器。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2009−3414(P2009−3414A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−65280(P2008−65280)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】