説明

誘導素子駆動回路

【課題】 低消費電流化と高速動作化のトレードオフを克服し、貫通電流防止と駆動効率向上を可能にする誘導素子駆動回路を提供する。
【解決手段】 PWM信号を入力する入力端子11と、ソースが第1の電源端子に接続されたPMOS高耐圧トランジスタM0と、ソースがGNDに接続され、ドレインがトランジスタM0のドレインに接続されたNMOS高耐圧トランジスタM1と、トランジスタM0のドレイン及びトランジスタM1のドレインの接続点に設けられ、誘導素子L1を駆動する信号を出力する出力端子12と、出力端子12の電位変化を検出してトランジスタM0をオフした後にトランジスタM1をオンする電圧検出回路9とを備える。この電圧検出回路9は、出力端子12の端子電圧VLXがLowになったことを検知し、Highを出力してトランジスタM1をオンするので、貫通電流を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導素子を駆動する高電圧DC−DCコンバータもしくは高電圧スイッチングレギュレータ等に有効な駆動回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図3は、従来の誘導素子(インダクタ)L1を駆動する高電圧向けの誘導素子駆動回路を含む電源回路である。この電源回路は、パルス幅変調(PWM)信号を入力する入力端子110と、ソースが第1の電源端子(この例では15V)に接続されたPMOS高耐圧トランジスタM0と、ソースが接地端子に接続され、ドレインが当該PMOS高耐圧トランジスタM0のドレインに接続された第1のNMOS高耐圧トランジスタM1と、PMOS高耐圧トランジスタM0のドレイン及び第1のNMOS高耐圧トランジスタM1のドレインの接続点に設けられ、誘導素子(インダクタ)L1を駆動する信号を出力する出力端子(LX)111と、出力端子(LX)111の電位変化を検出しPMOS高耐圧トランジスタM0をオフしてから第1のNMOS高耐圧トランジスタM1がオンするように構成された電圧検出回路109とを備えている。
【0003】
電圧検出回路109は、第2のNMOS高耐圧トランジスタM2及び第1の抵抗R1から構成されたソースフォロワ回路と、低耐圧のNMOSトランジスタM3と、第2の抵抗R2とからなり、ソースフォロワ回路の第2のNMOS高耐圧トランジスタM2のドレインは出力端子(LX)111に接続され、ソースは第1の抵抗R1の一端に接続され、第1の抵抗R1の他端は接地され、低耐圧のNMOSトランジスタM3のゲートは第2のNMOS高耐圧トランジスタM2のソースに接続され、ソースは接地され、ドレインは第2の抵抗R2の一端に接続され、第2の抵抗R2の他端は第2の電源端子(この例では5V)に接続されている。また、NMOSトランジスタM3のドレインは、NOT回路112、ラッチ回路108を介して第2の遅延回路105に接続されている。
PMOS高耐圧トランジスタM0のゲート電圧生成回路は、入力端子110とPMOS高耐圧トランジスタM0のゲート間に形成されたオア(OR)回路102を有し、OR回路102の第1の入力端には入力端子110からPWM信号が入力され、第2の入力端は第1の遅延回路101を介して第1のNMOS高耐圧トランジスタM1のゲートに接続され、OR回路102の出力端は、レベルシフト回路103、バッファ回路104を介してPMOS高耐圧トランジスタM0のゲートに接続されている。
【0004】
第1のNMOS高耐圧トランジスタM1のゲート電圧生成回路は、入力端子110と第1のNMOS高耐圧トランジスタM1のゲート間に形成されたアンド(AND)回路106を有し、AND回路106の第1の入力端には第2の遅延回路105が接続され、第2の入力端には入力端子110からのPWM信号が入力され、出力端は、バッファ回路107を介して第1のNMOS高耐圧トランジスタM1のゲートに接続されている。
従来の誘導素子駆動回路は、第2のNMOS高耐圧トランジスタM2でLX端子電圧をクランプし、NMOSトランジスタM3と抵抗R2とにより出力高耐圧トランジスタM0及びM1の接続点の電位低下を検出し、出力高耐圧トランジスタを構成するPMOS高耐圧トランジスタM0がオフしてから、第1のNMOS高耐圧トランジスタM1がオンするように制御し、PMOS高耐圧トランジスタM0及び第1のNMOS高耐圧トランジスタM1の導通期間が重ならないように制御することを特徴としている。
【0005】
従来の誘導素子駆動回路に形成された電圧検出回路の動作を具体的に説明する。
(1) まず、PMOS高耐圧トランジスタM0のゲート(PGATE)にハイレベルの信号が入力されて、PMOS高耐圧トランジスタM0がオフ状態になる。
(2) (1)の動作により、出力端子(LX)111の端子電圧は、15Vから−0.6Vに下がり、第2のNMOS高耐圧トランジスタM2のソースの端子電圧(VS)(5−VTH(しきい値電圧))も−0.6Vに低下する。
(3) 第2のNMOS高耐圧トランジスタM2のソースの端子電圧(VS)が−0.6Vに低下すると、この電圧はNMOSトランジスタM3のゲートに印加されてNMOSトランジスタM3をオフ状態にする。
(4) 第2の抵抗R2及びNMOSトランジスタM3のドレインノードにある寄生容量により、それらの時定数によりドレインが0Vから5V(High)になる。
(5) NMOSトランジスタM3のドレインとラッチ回路108との間にはNOT回路112が挿入されているので、NMOSトランジスタM3のドレインからの出力が反転してラッチ回路108の入力は、0V(Low)になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3637904号公報 特許文献1には、同期整流型電源回路などにおいて、貫通電流の低減を図った電源回路が開示されている。開示された電源回路は、電源電圧と基準電位間に直列に接続された上位トランジスタと下位トランジスタを有し、前記各トランジスタを各PWM信号にてオン、オフさせ、出力としてPWM制御された直流出力電圧を得るDC−DC変換回路と、前記上位トランジスタと前記下位トランジスタの接続点の中間ノードに接続されたレベルシフタを含むロジック回路を有し、前記上位トランジスタがオフした後に、前記中間ノード電位が所定の電位以下になったことを検出したときに前記下位トランジスタをオンさせる信号を出力する検出手段を有するPWM手段とを具備している。上位トランジスタがオフしたときに、中間ノード電位は下降していき、この中間ノード電位が所定の電位以下になったときに下位トランジスタをオンさせることになるので、上位トランジスタが確実にオフした後に下位トランジスタをオンさせることができ、上位トランジスタのオフ時に、上位トランジスタと下位トランジスタ間に貫通電流が流れることはない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図3に示された誘導素子駆動回路において、発生する遅延時間が遅延回路101、105よりも大きくなってしまうことが問題である。出力回路高耐圧トランジスタ接続点の電位が低下するとNMOSトランジスタM3がオフするが、第2の抵抗R2とNMOSトランジスタM3のドレインノードの寄生容量による時定数によって、動作速度が遅くなってしまう。また、第2の抵抗R2を小さくすれば、遅延時間が小さくなるが、消費電流が大きくなるために抵抗を小さくするには限度がある。
本発明は、このような事情によりなされたものであり、低消費電流化と高速動作化のトレードオフを克服し、貫通電流防止と駆動効率向上を可能にする誘導素子駆動回路を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の誘導素子駆動回路では容量を挿入した電圧検出回路を用いることを特徴としている。
【0009】
すなわち、本発明の誘導素子駆動回路は、パルス幅変調(PWM)信号を入力する入力端子と、ソースが第1の電源端子に接続された第1のPMOSトランジスタと、ソースが接地端子に接続され、ドレインが当該第1のPMOSトランジスタのドレインに接続された第1のNMOSトランジスタと、前記入力端子に接続され、前記第1のPMOSトランジスタにゲート信号を供給する第1のゲート電圧生成回路と、前記入力端子に接続され、前記第1のNMOSトランジスタにゲート信号を供給する第2のゲート電圧生成回路と、前記第1のPMOSトランジスタのドレイン及び前記第1のNMOSトランジスタのドレインの接続点に設けられ、誘導素子を駆動する信号を出力する出力端子と、前記出力端子の電位変化を検出して前記第1のNMOSトランジスタのオンオフを制御するように構成された電圧検出回路とを備え、前記電圧検出回路は、第2のNMOSトランジスタ及び第1の抵抗から構成されたソースフォロワ回路と、容量と、前記第2のNMOSトランジスタとは耐圧の異なる第2のPMOSトランジスタ及び第2の抵抗から構成されたソース接地増幅回路と、前記第1のゲート電圧生成回路の生成するゲート信号に基づいて前記容量の一端と第2の電源端子とを接離するスイッチとからなり、前記ソースフォロワ回路の第2のNMOSトランジスタのドレインは前記出力端子に接続され、ソースは前記第1の抵抗の一端に接続され、前記第1の抵抗の他端は接地され、前記容量の他端は前記第2のNMOSトランジスタのソースに接続され、ソースは前記第2の電源端子に接続され、ドレインは前記第2のゲート電圧生成回路に接続され、前記第2の抵抗は一端が前記第2のPMOSトランジスタのドレインに接続され、他端が接地され、前記第1のゲート電圧生成回路は、前記入力端子と前記第1のPMOSトランジスタのゲート間にOR回路および該OR回路の出力電圧を前記第1の電源端子の電圧に変換するレベルシフト回路を有し、前記OR回路の第1の入力端には前記入力端子からPWM信号が入力され、前記OR回路の第2の入力端は第1の遅延回路を介して前記第1のNMOSトランジスタのゲートに接続され、前記OR回路の出力端は前記第1のPMOSトランジスタのゲートに接続され、前記第2のゲート電圧生成回路は、前記入力端子と前記第1のNMOSトランジスタのゲート間にAND回路を有し、当該AND回路の第1の入力端は第2の遅延回路を介して前記電圧検出回路の出力に接続され、前記AND回路の第2の入力端には前記入力端子からPWM信号が入力され、前記AND回路の出力端は前記第1のNMOSトランジスタのゲートに接続されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、低消費電力化が可能で、高速動作により駆動効率が向上し、貫通電流を防止する誘導素子駆動回路が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1に係る誘導素子駆動回路を含む電源回路図。
【図2】図1に示す誘導素子駆動回路を流れる信号の流れを説明するタイミングチャート。
【図3】従来の誘導素子駆動回路を含む電源回路図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の誘導素子駆動回路は、高電圧を高耐圧素子である第2のNMOSトランジスタM2でクランプして、低耐圧素子であるPMOSトランジスタM3と抵抗R2と容量C1により出力回路の一対の高耐圧トランジスタ接続点の電位低下を検出し、出力回路のPMOS高耐圧トランジスタM0がオフしてから、NMOS高耐圧トランジスタM1がオンするように制御して低消費電流化と高速動作化のトレードオフを克服し、貫通電流を防止することを特徴としている。
以下、本発明の好適な実施の形態を図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0013】
図1及び図2を参照して実施例1を説明する。
図1は、実施例1に係る誘導素子駆動回路を含む電源回路図であり、図2は、図1に示す誘導素子駆動回路を流れる信号の流れを説明するタイミングチャートである。
図1に示すように、誘導素子駆動回路は、パルス幅変調(PWM)信号を入力する入力端子11と、ソースが第1の電源端子(この実施例では15V)に接続されたPMOS高耐圧トランジスタM0と、ソースが接地端子GNDに接続され、ドレインが当該PMOS高耐圧トランジスタM0のドレインに接続された第1のNMOS高耐圧トランジスタM1と、PMOS高耐圧トランジスタM0のドレイン及び第1のNMOS高耐圧トランジスタM1のドレインの接続点に設けられ、誘導素子(インダクタ)L1を駆動する信号を出力する出力端子(LX)12と、前記接続点の電位変化を検出してPMOS高耐圧トランジスタM0をオフした後に第1のNMOS高耐圧トランジスタM1がオンするように構成された電圧検出回路9とを備えている。
【0014】
電圧検出回路9は、第2のNMOS高耐圧トランジスタM2及び第1の抵抗R1から構成されたソースフォロワ回路と、容量C1と、PMOSトランジスタM3及び第2の抵抗R2から構成されたソース接地増幅回路と、容量C1の一端と第2の電源端子(この実施例では5V)とを接離するスイッチS1とからなり、ソースフォロワ回路の第2のNMOS高耐圧トランジスタM2のドレインは出力端子12に接続され、ソースは第1の抵抗R1の一端に接続され、第1の抵抗R1の他端は接地され、容量C1の他端は第2のNMOS高耐圧トランジスタM2のソースに接続され、スイッチS1の接離によって、容量C1の一端は第2の電源端子に接続されたり切り離されたりし、ソース接地増幅回路のPMOSトランジスタM3のゲートは容量C1の一端に接続され、ソースは第2の電源端子に接続され、ドレインはラッチ回路8を介して第2の遅延回路5に接続され、第2の抵抗R2は一端がPMOSトランジスタM3のドレインに接続され、他端が接地されている。
【0015】
PMOS高耐圧トランジスタM0のゲート電圧生成回路は、入力端子11とPMOS高耐圧トランジスタM0のゲート間に形成されたOR回路2を有し、OR回路2の第1の入力端には入力端子11からPWM信号が入力され、第2の入力端は第1の遅延回路1を介して第1のNMOS高耐圧トランジスタM1のゲートに接続され、出力端はレベルシフト回路(LS)3およびバッファ回路4を介してPMOS高耐圧トランジスタM0のゲートに接続されている。
第1のNMOS高耐圧トランジスタM1のゲート電圧生成回路は、入力端子11と第1のNMOS高耐圧トランジスタM1のゲート間に形成されたAND回路6を有し、AND回路6の第1の入力端には第2の遅延回路5が接続され、AND回路6の第2の入力端には入力端子11からPWM信号が入力され、AND回路6の出力端はバッファ回路7を介して第1のNMOS高耐圧トランジスタM1のゲートに接続されている。
PMOS高耐圧トランジスタM0がオフとなって電位の変化した出力端子12の電圧を電圧検出回路9により検出し、この電圧検出回路9からHighの信号を出力することにより第1のNMOS高耐圧トランジスタM1をオンする。すなわち、PMOS高耐圧トランジスタM0をオフしてから第1のNMOS高耐圧トランジスタM1をオンすることにより、これらのトランジスタの導通期間が重ならないようにする。
【0016】
図1に示すように、OR回路2とレベルシフト回路3との間には否定回路(NOT回路)10の入力端が接続され、出力端はスイッチS1に接続されている。レベルシフト回路3は入力するPWM信号の電圧と出力回路の電源電圧が異なるために設けられている。バッファ回路4、7は高耐圧トランジスタM0、M1の大きなゲート容量を駆動するために設けられている。
誘導素子駆動回路の基本動作は、入力されたPWM信号に基づいて、電位の異なる電源間に直列接続されたPMOS高耐圧トランジスタM0およびNMOS高耐圧トランジスタM1が相補的にオンオフすることによって所定のパルス信号を出力端子(LX)12から出力する。このパルス信号は誘導素子L1を駆動し、この誘導素子L1に一端が接続され他端が接地された容量C2によって安定した出力電圧を生成する。
【0017】
本発明では、LX端子電圧とNMOS高耐圧トランジスタM1のゲート電圧(NGATE電圧)をフィードバックして遅延時間を設けることにより、PMOS高耐圧トランジスタM0とNMOS高耐圧トランジスタM1が同時にオンしないようにデッドタイムを生成し、貫通電流を防止する。
遅延回路1は、第1のNMOS高耐圧トランジスタM1のゲート信号NGATEを遅延させてデッドタイムを決定する回路である。OR回路2は、第1及び第2の入力端にいずれか一方もしくは双方に1(ハイ:以下「High」で表す)が入力した場合にHighレベルを出力し、双方に0(ロウ:以下「Low」で表す)が入力した場合にLowレベルを出力する。PWM信号がHighとなると、OR回路2は、レベルシフト回路3及びバッファ回路4を介して即座にPMOS高耐圧トランジスタM0をオフさせる。
続いて、PMOS高耐圧トランジスタM0がオンするためにはOR回路2に入力するPWM信号及び遅延回路1の出力が共にLowでなければならない。第1のNMOS高耐圧トランジスタM1のゲートがLowになり、このLow信号が遅延回路1を通してから後にPMOS高耐圧トランジスタM0がオンすることになるので、出力回路高耐圧トランジスタM0、M1の貫通電流を防止することができる。
【0018】
一方、第1のNMOS高耐圧トランジスタM1がオンするためにはPWM信号と遅延回路5の出力がHighレベルであることが必要である。HighレベルのPWM信号と遅延回路5のHighレベル出力がAND回路6に入力してAND回路6はHigh信号を出力する。AND回路は、2入力がHighの場合にHigh信号を出力し、2入力のいずれか一方もしくは双方がLowの場合にLow信号を出力する。
電圧検出回路9は、出力端子(LX)12におけるLX端子電圧VLXがLowレベルになったことを検知し、High信号を出力する。すなわち、PMOS高耐圧トランジスタM0がオフした事を検知した後に第1のNMOS高耐圧トランジスタM1をオンするので、貫通電流を防止することができる。
【0019】
電圧検出回路9をさらに詳しく説明する。
PMOS高耐圧トランジスタM0がオン、第1のNMOS高耐圧トランジスタM1がオフであって、入力端子11から入力したPWM信号がLowレベルのときにスイッチS1は閉じており、PMOSトランジスタM3のゲートに加わるVX端子電圧は5Vとなる(図2参照)。また、PMOS高耐圧トランジスタM0はオンしているので、出力端子(LX)12からは高電圧(15V)が出力されている。高耐圧の第2のNMOS高耐圧トランジスタM2のゲート電圧は5Vであり、ソース電圧(VS端子電圧)は5V−VTHN(VTHNは第2のNMOS高耐圧トランジスタM2のしきい値=ほぼ4V)となる。第2のNMOS高耐圧トランジスタM2のソースに接続された容量C1にはVX−VS=VTHN(=ほぼ1V)が充電される。PMOSトランジスタM3はオフしてラッチ回路8の入力電圧がLowレベルになる。
【0020】
次に、入力端子11に入力したPWM信号がHighレベルになるとスイッチS1はオフし、VX端子の電荷が保存される。PMOS高耐圧トランジスタM0はゲート容量が大きいのでスイッチS1よりも遅くオフする。PMOS高耐圧トランジスタM0がオフすると、出力端子12のLX端子電圧がコイル電流により−0.6Vとなる(図2参照)。このとき第2のNMOS高耐圧トランジスタM2のソース電圧(VS端子電圧)はLX端子電圧に追従して−0.6Vとなり、容量C1の電荷は保存されて電位差を維持するので、VX端子電圧が0.4Vまで低下する(図2参照)。これによりPMOSトランジスタM3がオンしてラッチ回路8に立ち上がりエッジが入力され、Highレベルの信号を出力する。
従来技術における第2の抵抗R2に比べて本発明のPMOSトランジスタM3のオン抵抗が十分に低いので、PMOSトランジスタM3のドレインに寄生容量が存在しても高速に電荷をチャージできる。
なお、実施例では、電圧検出回路に抵抗を用いたが抵抗に代えて電流源を用いることもできる。
【符号の説明】
【0021】
1、5・・・遅延回路
2・・・OR回路
3・・・レベルシフト回路
4、7・・・バッファ回路
6・・・AND回路
8・・・ラッチ回路
9・・・電圧検出回路
10・・・NOT回路
11・・・入力端子
12・・・出力端子(LX)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルス幅変調(PWM)信号を入力する入力端子と、ソースが第1の電源端子に接続された第1のPMOSトランジスタと、ソースが接地端子に接続され、ドレインが当該第1のPMOSトランジスタのドレインに接続された第1のNMOSトランジスタと、前記入力端子に接続され、前記第1のPMOSトランジスタにゲート信号を供給する第1のゲート電圧生成回路と、前記入力端子に接続され、前記第1のNMOSトランジスタにゲート信号を供給する第2のゲート電圧生成回路と、前記第1のPMOSトランジスタのドレイン及び前記第1のNMOSトランジスタのドレインの接続点に設けられ、誘導素子を駆動する信号を出力する出力端子と、前記出力端子の電位変化を検出して前記第1のNMOSトランジスタのオンオフを制御するように構成された電圧検出回路とを備え、前記電圧検出回路は、第2のNMOSトランジスタ及び第1の抵抗から構成されたソースフォロワ回路と、容量と、前記第2のNMOSトランジスタとは耐圧の異なる第2のPMOSトランジスタ及び第2の抵抗から構成されたソース接地増幅回路と、前記第1のゲート電圧生成回路の生成するゲート信号に基づいて前記容量の一端と第2の電源端子とを接離するスイッチとからなり、前記ソースフォロワ回路の第2のNMOSトランジスタのドレインは前記出力端子に接続され、ソースは前記第1の抵抗の一端に接続され、前記第1の抵抗の他端は接地され、前記容量の他端は前記第2のNMOSトランジスタのソースに接続され、前記ソース接地増幅回路の第2のPMOSトランジスタのゲートは前記容量の一端に接続され、ソースは前記第2の電源端子に接続され、ドレインは前記第2のゲート電圧生成回路に接続され、前記第2の抵抗は一端が前記第2のPMOSトランジスタのドレインに接続され、他端が接地され、前記第1のゲート電圧生成回路は、前記入力端子と前記第1のPMOSトランジスタのゲート間にOR回路および該OR回路の出力電圧を前記第1の電源端子の電圧に変換するレベルシフト回路を有し、前記OR回路の第1の入力端には前記入力端子からPWM信号が入力され、前記OR回路の第2の入力端は第1の遅延回路を介して前記第1のNMOSトランジスタのゲートに接続され、前記OR回路の出力端は前記第1のPMOSトランジスタのゲートに接続され、前記第2のゲート電圧生成回路は、前記入力端子と前記第1のNMOSトランジスタのゲート間にAND回路を有し、当該AND回路の第1の入力端は第2の遅延回路を介して前記電圧検出回路の出力に接続され、前記AND回路の第2の入力端には前記入力端子からPWM信号が入力され、前記AND回路の出力端は前記第1のNMOSトランジスタのゲートに接続されていることを特徴とする誘導素子駆動回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−216977(P2011−216977A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−80667(P2010−80667)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(390009667)セイコーNPC株式会社 (161)
【Fターム(参考)】