説明

誘電体膜を洗浄するための装置及び方法

本発明において誘電体膜を洗浄する装置及び方法が提供される。一実施形態では、誘電体膜を洗浄する装置は、基板を支持するように適応されたチャンバ本体と、上記チャンバ本体へ複数の反応性ラジカルを与えるように適応されたリモートプラズマ源と、上記リモートプラズマ源を上記チャンバ本体に結合する通路と、上記通路に隣接して配設された少なくとも1つの磁石とを含む。別の実施形態では、誘電体膜を洗浄する方法は、処理チャンバに配設される少なくとも部分的に露出される誘電体層を有する基板を準備し、リモートプラズマ源において複数の反応性ラジカルを生成し、少なくとも1つの磁石を隣接して配設させた通路を通して、上記処理チャンバへ上記リモートプラズマ源から上記反応性ラジカルを流し込み、上記通路を通る上記反応性ラジカルを磁気的にろ過することを含む。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
[0001]本発明は、一般に、基板の表面を洗浄するための装置及び方法に関する。より詳細には、本発明は、誘電体膜の表面を洗浄するための装置及び方法を提供する。
【関連技術の説明】
【0002】
[0002]集積回路及び半導体デバイスの相互接続構造は、典型的に、誘電体材料によって分離された導電性層の三次元回路網を形成するように一連の誘電体層及び導電性層を形成することにより製造される。この相互接続構造は、例えば、低k誘電体層の如き誘電体層が1つ以上の導電性プラグ又はサブレイヤーの上に形成されているようなダマシン構造を使用して製造することができる。そのような導電性サブレイヤーへの電気接続を形成するため、誘電体がパターン付けされ、そこを貫通するビア開口を画成するようにエッチングされる。この誘電体層内に開口を形成することにより、その導電性ラインの部分が露出させられる。従って、これらの相互接続特徴部を、信頼性をもって形成することは、個々の基板上及び各ダイに形成されるデバイスの品質、性能及び信頼性を確保する上で重要なファクタである。
【0003】
[0003]集積回路及び半導体デバイスの市場は、より高速な回路、及び例えば、単一チップに何百万という構成要素を含むような、より高い回路密度を絶えず必要としている。その結果として、集積回路構成要素の寸法は小さくなり、そのような構成要素を製造するために使用される材料を選択することの重要性が増してきている。例えば、集積回路の構成要素の間に導電性路を与える銅及びアルミニウムの如き低抵抗金属相互接続は、隣接金属ラインの間の容量性結合を減少させて同じライン幅にて信頼性のある性能を可能とするような金属層間絶縁を与えるために、それら金属相互接続の間に、例えば、誘電率≦4を有する低誘電率層を必要としている。
【0004】
[0004]誘電体層として従来使用されている低k材料としては、とりわけ、基板上に膜として堆積される、非ドープシリコンガラス(USG)、フッ素ドープシリコンガラス(FSG)、炭素ドープ二酸化シリコン及びポリテトラフルオロエチレンがある。エッチング画成された誘電体層上に導電性層を形成する前に、エッチング及び/又はアッシング処理による自然酸化物及び/又は有機物質の如き残留汚染物質を除去するため、誘電体膜の上部表面を洗浄するのが望ましい。それら汚染物質を除去することにより、接触抵抗が減ぜられ及び/又は堆積される導電性層の界面での接着損失を防止することができる。
【0005】
[0005]導電性層の堆積前に誘電体膜表面から汚染物質を除去するのに、前洗浄手順を使用することができる。しかしながら、誘電体層を前洗浄するために使用されている従来の現場プラズマでは、その後の導電性層の堆積前に、誘電体膜表面が損傷させられたり又は再スパッタリングさせられてしまったり、又は、処理チャンバにおいて望ましくない荷電粒子が生成されてしまうことがある。従って、現場プラズマ技法を使用して洗浄された低k誘電体膜では、膜劣化及び欠陥が生じてしまうことがある。その上、炭素ドープ低k物質は、炭素欠乏又は「k損失」を生じ勝ちであり、この場合には、低k物質の誘電率が、洗浄手順にて使用されるプラズマに曝された後に、増大させられてしまう。その結果、洗浄手順後に、望ましくないクロストーク及びRC遅延がより大きな問題となってしまう。
【0006】
[0006]従って、当業分野においては、改良された低k誘電体洗浄処理が必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
[0007]誘電体膜を洗浄するための装置及び方法が提供される。1つの実施形態では、本装置は、基板を支持するように適応されたチャンバ本体と、上記チャンバ本体へ複数の反応性ラジカルを与えるように適応されたリモートプラズマ源と、上記チャンバ本体へ上記リモートプラズマ源を結合する通路と、上記通路に隣接して配設された少なくとも1つの磁石と、を含む。
【0008】
[0008]別の実施形態では、誘電体膜を洗浄するための方法は、処理チャンバに配設される少なくとも部分的に露出される誘電体層を有する基板を準備するステップと、リモートプラズマ源において複数の反応性ラジカルを生成するステップと、少なくとも1つの磁石が隣接して配設された通路を通して上記処理チャンバ内へ上記リモートプラズマ源から上記反応性ラジカルを流し込むステップと、上記通路を通過する上記反応性ラジカルを磁気的にろ過するステップと、を含む。
【0009】
[0009]更に別の実施形態では、誘電体膜を洗浄するための方法は、第1の処理チャンバに配設される少なくとも部分的に露出される誘電体層を有する基板を準備するステップと、リモートプラズマ源において複数の反応性ラジカルを生成するステップと、少なくとも1つの磁石が隣接して配設された通路を通して上記処理チャンバ内へ上記リモートプラズマ源から上記反応性ラジカルを流し込むステップと、上記通路を通過する上記反応性ラジカルから荷電粒子を磁気的にろ過するステップと、上記リモートプラズマ源から通過する荷電粒子を取り除くステップと、上記ろ過されたラジカルを使用して上記誘電体層の露出部分を洗浄するステップと、真空を損なうことなく第2の処理チャンバへ上記洗浄された基板を移送するステップと、上記第2のチャンバにおいて上記洗浄された基板上にライナー層を堆積させるステップと、を含む。
【0010】
[0010]本発明の教示は、図面に関連して以下の詳細な説明を参照することにより、容易に理解されよう。
【0011】
[0017]理解を容易にするため、図において共通な同一要素を示すために、可能な限りにおいて、同一の参照符号を用いている。1つの実施形態の要素及び特徴は、更に詳説せずとも、他の実施形態に組み入れて効果のあるものと考えられる。
【0012】
[0018]しかしながら、図面は、本発明の典型的な実施形態のみを例示するものであり、従って、本発明の範囲を限定しようとしているものでなく、本発明は、その他の同様の効果のある実施形態を含みうるものであることに注意されたい。
【詳細な説明】
【0013】
[0019]本発明の実施形態は、一般は、リモートプラズマ源を使用して誘電体層を洗浄するための装置を提供する。この装置は、誘電体層の洗浄中にリモートプラズマ源から通過する荷電粒子の数を減少させることにより、誘電体膜の品質を保つ。
【0014】
[0020]本発明は、更に、誘電体層を洗浄するための方法を提供する。後エッチングされる誘電体層を洗浄することにより、汚染物質が取り除かれ、その後の導電性層堆積の接着性が改善され、最終的には、形成されるデバイスの完全性及び信頼性が改善される。
【0015】
[0021]1つの実施形態では、誘電体層は、低k物質であってよい。このような低k誘電体層は、約2.0から約4.0まで、約2.0から約3.0まで、というような約4.0より低いk値、又は約2.7より低いk値を有する誘電体物質を含む。適当な低k誘電体層の実施例は、商品名「Black Diamond」(商標)の下で入手できるものであり、これは、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアル社によって製造されている低kシリコンオキシカーバイドである。更に別の実施形態では、この適当な低k誘電体層は、酸素、炭素及び水素のうちの少なくとも1つと化合されたシリコンでよい。
【0016】
[0022]誘電体層のエッチング後、その基板表面は、損傷されたシリコン膜又は金属残留物を有していることがある。フォトレジストストリッピング又はアッシング処理による残留フォトレジストが基板表面に存在することもある。誘電体層のエッチングによる残留ポリマーが存在することもある。このような損傷を軽減及び/又は排除するため、導電性層の堆積前に、リモートプラズマ前洗浄処理が行われる。
【0017】
[0023]本発明の洗浄処理は、ろ過されるリモートプラズマ源を有する処理チャンバにおいて行われる。本発明の効果が得られるように適応されるリモートプラズマ源を有する処理チャンバは、アプライドマテリアル社から入手できる。
【0018】
[0024]図1は、ろ過されるリモートプラズマ源50及びチャンバ本体10を有するリモートプラズマ源(RPS)処理チャンバ100の1つの実施形態の概略断面図を示している。この処理チャンバ100は、チャンバアダプター16、アダプター18及び蓋40を含むチャンバ本体10を有する。チャンバアダプター16及び蓋40は、アルミニウム、ステンレス鋼又はその他の適当な材料で形成することができる。蓋40は、処理領域30を画成するようにチャンバアダプター16に取り外し可能に結合される。
【0019】
[0025]チャンバ本体10の処理領域30にヒーター14が配設されている。このヒーター14は、基板8へ熱を与え、処理中に基板を加熱したり冷却したりするのに使用される。このヒーター14は、更に後述するような基板の表面の洗浄の如き処理中に基板8を支持する。ヒーター14は、チャンバアダプター16の底部に結合され、その外側周辺に配設されたフォーカスリング38を支持する。このフォーカスリング38は、処理中にウエハ8を取り囲み規制する。1つの実施形態では、このフォーカスリング38は、石英で形成することができる。
【0020】
[0026]アダプター18は、蓋40とチャンバアダプター16との間に配設されており、ガス分配プレート26を支持する。このガス分配プレート26と蓋40との間にプレナム48が画成されている。ガス分配プレート26は、蓋40に形成されたポート42を通してプレナム48に流れ込むガスが処理領域30に配設された基板8に亘って分配されるようにする複数の開口を含む。
【0021】
[0027]リモートプラズマ源50は、導管56によってポート42に結合されている。この適当なリモートプラズマ源の実施例は、アプライドマテリアル社から入手できる。導管56は、リモートプラズマ源50において生成された反応性ラジカルが処理領域30に入る前にろ過されるようにする通路を与える。リモートプラズマ源から生成される反応性ラジカルは、イオン、荷電種及びその他の反応性種を含む。1つの実施形態では、導管56を通して流れるガスは、その導管56に隣接して配設された少なくとも1つの磁石によって発生される磁界によってろ過される。
【0022】
[0028]図1に示した実施形態では、第1の磁石52及び第2の磁石54が導管56に隣接して配設されている。これら磁石52、54は、導管56に隣接した所定の位置に固着され又は取り付けられる。図1に示した1つの実施形態では、これら磁石52、54は、締結具によって導管56に締結又は固着されており、また、磁石52、54を取り付けるためには、接着層又はその他の適当な方法を使用することができる。また、磁石52、54は、チャンバ蓋40又はチャンバ本体10の他の部分に取り付けることも考えられる。磁石と導管56内に形成される通路との間の相対的距離は、導管56を通る磁界の強度に影響を及ぼし、従って、そのろ過効率に影響を及ぼす。従って、これら磁石は、所定のろ過効果を与えるべく磁界の強度を選択できるようにするため、位置を変えることができるようにして取り付けられるのがよい。
【0023】
[0029]図2A及び図2Bは、導管56の両側に配設された磁石52、54の1つの実施形態を示している。望ましくない荷電粒子がイオン又は荷電種から生成され、従来のリモートプラズマ源から漏出し基板に衝突し、それにより、洗浄処理後の膜特性が劣化したものとなってしまうものと考えられる。本発明の1つの実施形態では、リモートプラズマ源50から流れる反応性ラジカルを同伴した荷電粒子をろ過するように、磁界を発生させるため、2つの対向磁石52、54が使用されている。これら対向磁石52、54は、システム200及び210に示されるように、接続導管56内に磁界202、212を生成し、導管56において荷電粒子を捕捉するろ過作用を与える。この生成された磁界は、それら2つの対向磁石の間で導管56を横切る実質的に水平方向302を有するもので、荷電粒子の移動路を定める。図3に示されるように、荷電粒子は、磁力線302によってろ過され拘束され、磁力線302に沿って旋回しつつ移動させられる。荷電粒子の移動路304は、図3に示されている。荷電粒子は、導管を通して流れていくにつれて、減速され、又は方向転換されたり、又は減速され且つ方向転換させられたりする。通過していく荷電粒子は、導管の壁部に接触するように引き付けられ、電気的に中性な非イオン種となる。このようにして、実質的にろ過され電気的に中性なラジカルのみが、基板の表面に分配され、そこの汚染物質と反応して洗浄する。従って、望ましくない荷電粒子は、処理領域30に入るガス流から効率よくろ過される。
【0024】
[0030]前述したように、磁界の強度は、異なる処理要件に基づいて調整することができる。異なる処理条件の下では、異なるエネルギーの電子を、リモートプラズマ源から導入される異なるイオン及び反応性ラジカルから生成することができる。それら電子から荷電されるより高いエネルギーを有したイオンを捕捉するため、より強い磁界を印加することができる。反対に、それら電子から荷電されるより低いエネルギーを有するイオンを捕捉するため、より弱い磁界を印加することもできる。1つの実施形態では、磁界は、異なる磁石を使用することにより、即ち、異なる強度を有する磁石と交換することにより、調整することができる。別の実施形態では、磁界は、対向磁石52、54の間の距離を変えることによっても調整することができる。磁石52、54の間の距離は、より小さな直径を有する導管を使用することにより、短くすることができる。更に、これら磁石52、54の間の距離は、磁石と導管との間に空隙を与えるか、又は、図2に示されるように、導管と磁石との間に介在物204、214を挿入することにより、長くすることができる。その適当な材料の実施例としては、ガラス板、アルミナ片又はその他の非磁性材料がある。そうすることにより発生される磁界は、対向磁石の間の増大される距離に逆比例して減少させられる。1つの実施形態では、対向磁石52、54は、約0cmから約20cmまでの距離のところに置くことができる。それにより発生される磁界は、約1000ガウスから約100ガウスまでである。別の実施形態では、対向磁石52、54は、約0cmから約8cmまでの距離のところに置くことができ、このとき発生される磁界は、約800ガウスから約100ガウスまでの間である。更に別の実施形態では、対向磁石52、54は、約1cmから約5cmまでの距離のところに置くことができ、このとき発生される磁界は、約600ガウスから約400ガウスまでの間である。
【0025】
[0031]図1に戻って、反応性ラジカルは、チャンバ本体10内へ通過する処理ガス(即ち、反応性ラジカル)の流路に石英表面を設けることにより、更にろ過することができる。例えば、リモートプラズマ源50をポート42に接続する通路を画成する導管56の内側表面60に、少なくとも部分的に石英を裏打ちしておくか、又は、その内側表面60を石英で形成しておくとよい。更に、プレナム48を画成する表面及び/又はガス分配プレート26も又、石英で少なくとも部分的に被覆しておくか、又は、それらを石英で形成しておくとよい。例えば、図1に示した実施形態では、石英リング24でプレナム48の外側境界を取り囲んでいる。更に、プレナム48の上方境界を画成する蓋40の底部表面に、石英ライナー44を配設しておくとよい。この石英表面60は、水素含有ラジカルが水素結合できその石英表面上に吸収されるような表面を与えることによりそれらラジカルの再結合を減少させるイオンフィルターとして作用するものと考えられる。石英表面60に衝突する水素含有ラジカルは、吸収された水素含有ラジカルを付勢されたガスへと解放させ、それにより、水素ラジカルを再生させる。水素イオンは、この石英表面によっては再生されず、従って、これらイオンは、再結合して、電気的に中性な非イオン種を形成する。従って、活性化された洗浄ガスをその石英表面上に通すことにより、それら反応性ラジカルは、付勢された洗浄ガスから効果的にろ過されるが、それら反応性ラジカルは、保存される。再結合活性ラジカルからの荷電粒子は、効率的に減少させられる。
【0026】
[0032]更に又、本発明の前洗浄処理のための処理ガスは、前述した反応性処理チャンバ本体10と流体連通したリモートプラズマ源50内でプラズマへと励起される。反応性ラジカルが、水素ガス、ヘリウムガス又はそれらの組み合わせたものを含む選択された洗浄ガスの群から生成され、基板表面の汚染物質と反応する。プラズマが生成された後、水素又はヘリウムガス又はそれらの組み合わせたものが、リモートプラズマ源50内へ導入され、それから反応性ラジカルが生成される。それから、それら生成された反応性ラジカルは、接続導管56を通過して、処理領域30へと分配され、汚染物質を洗浄する。反応性ラジカルのプラズマからのラジカルによる洗浄の後で、基板表面に残留している自然酸化物及び汚染物質は、それから生成されるラジカルによって除去される。
【0027】
[0033]本発明においては、基板上の誘電体層は、H、He又はH/Heの混合体からリモートプラズマ源によって生成され且つ発生磁気フィルターを通してチャンバ内へ分配される反応性ラジカルで前洗浄される。このフィルターは、付勢された反応性ラジカルを中性化し、プラズマ領域から漏出する可能性のある荷電粒子を減少させ、その中性化された反応性ラジカルを基板表面へ分配させてその上の表面汚染物質及び残留物と反応して洗浄するようにするために、設けられている。それら中性化された反応性ラジカルは、とりわけ、残留フォトレジスト、炭化水素、フルオロカーボン、自然酸化物及びポリマーを除去し、低k膜特性を更に損なうことなく自然酸化物及び残留物のない誘電体層を与える。
【0028】
[0034]異なる処理要件に対して洗浄効率を調整するため、異なる洗浄圧力を使用することができる。1つの実施形態では、前洗浄処理は、1500sccmの割合で水素ガスを流し込み、1500ワットの高周波電力を印加し、ウエハ温度を300℃に維持し、チャンバを400ミリトールというより高い圧力に維持することを含み、ここで、従来のフォトレジストのエッチング割合は、800−1000Å/分のあたりである。別の実施形態では、前洗浄処理は、200sccmの割合で水素ガスを流し込み、1500ワットのRF電力を印加し、ウエハ温度を300℃に維持し、チャンバを30ミリトールというより低い圧力に維持することを含み、ここで、従来のフォトレジストのエッチング割合は、900−1100Å/分のあたりである。更に別の実施形態では、前洗浄処理は、1:1の比率で水素及びヘリウムガスを含み、チャンバ圧力を30ミリトールに維持し、ここで、従来のフォトレジストのエッチング割合は、700−900Å/分である。更に別の実施形態では、前洗浄処理は、3:7の比率で水素及びヘリウムガスを含み、チャンバ圧力を45ミリトールに維持し、ここで、従来のフォトレジストのエッチング割合は、600−800Å/分である。
【0029】
[0035]図5は、ここに記載したような処理を行うように適応される典型的なマルチチャンバ処理システム500の概略上面図である。これらシステムの実施例としては、アプライドマテリアル社から市販されているエンジュラ、センチュラ及びプロジューサー処理システムがある。本発明の効果を得るように適応される別の同様のマルチチャンバ処理システムは、1993年2月16日に発行された「Stage Vacuum Wafer Processing System and Method」と題する米国特許第5,186,718号明細書に開示されており、この明細書の記載はここに援用される。
【0030】
[0036]このシステム500は、一般に、基板をシステム500に入れたり出したり移送するためのロードロックチャンバ502、504を含む。典型的には、システム500は真空下に置かれているので、ロードロックチャンバ502、504は、システム500へ導入される基板を「ポンプダウン」することができる。第1のロボット510は、基板を、ロードロックチャンバ502、504、処理チャンバ512、514、移送チャンバ522、524及びその他のチャンバ516、518の間で移送することができる。第2のロボット530は、基板を、処理チャンバ532、534、536、538と移送チャンバ522、524との間で移送することができる。各処理チャンバ512、514、516及び518は、原子層堆積(ALD)、化学気相堆積(CVD)、物理気相堆積(PVD)、エッチング、前洗浄、脱気、配向及びその他の基板処理を含む繰り返し層堆積の如き多数の基板処理動作を行うために、装備することができる。また、これらチャンバ512、514、516、532、534、536、538のうちの少なくとも1つは、前述したような処理チャンバとして構成される。第1のロボット510は、また、基板を1つ以上の移送チャンバ522及び524へ出し入れするように移送する。
【0031】
[0037]移送チャンバ522及び524は、システム500内で基板を移送できるようにしながら、超高真空状態を維持するのに使用される。第2のロボット530は、移送チャンバ522及び524と、第2のセットの1つ以上の処理チャンバ532、534、536及び538との間で基板を移送する。処理チャンバ512、514、516及び518と同様に、処理チャンバ532、534、536及び538は、原子層堆積(ALD)、化学気相堆積(CVD)、物理気相堆積(PVD)、エッチング、前洗浄、脱気及び配向を含む繰り返し層堆積の如き種々な基板処理動作を行うために、装備することができる。基板処理チャンバ512、514、516、532、534、536及び538のうちのいずれも、もし、特定の処理をこのシステム500で行う場合に必要がないのであれば、このシステム500から取り外すことができる。
【0032】
[0038]この処理システムは、図1に示したような誘電体層を含む基板表面を前洗浄するための処理チャンバ100のような1つ以上の前洗浄チャンバ、バリヤー層を堆積するように構成された1つ以上の原子層堆積(ALD)又はPVDチャンバ及びシード層を堆積するように構成された1つ以上のPVDチャンバを含む。システムの効率及びスループットを高めるために、この処理システムの1つの構成は、基板表面を前洗浄するように構成された2つの前洗浄チャンバ、バリヤー層を堆積するように構成された2つのALD又はPVDチャンバ及びバックエンド中央移送チャンバに接続して配設されシード層を堆積するように構成された2つのPVDチャンバを含む。1つの実施形態では、前洗浄チャンバは、参照符号512、514で示すものである。処理チャンバ534、536は、窒化タンタル(TaN)ALD又はPVDチャンバであり、処理チャンバ532及び538は、銅又はタンタルPVDチャンバである。
【0033】
[0039]本発明において、基板は、この基板の表面上の汚染物質を前洗浄するため前洗浄チャンバ512、514へと移送される。この前洗浄ステップに続いて、基板は、誘電体層の露出表面上にTi、Ti/TiN、Ta、Ta/TaN等の如きライナー又はバリヤー層を堆積するため処理チャンバ534、536へと移送され、その後、更にその露出部分にAl、Cu、W又はその他の導電性物質を充填するため別の処理チャンバ532、538へと移送される。
【0034】
[0040]図4は、ここに説明した実施形態を実施するのに使用される別の反応性前洗浄チャンバ402の概略断面図である。本発明の効果を得るように適応される1つのチャンバは、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアル社から入手できるプリクリーンIIチャンバである。このチャンバ402は、ステンレス鋼、アルミニウム等の如き金属構成であってよい側壁部414を有するベース部材412によって形成された真空チャンバ本体411を含む。ベース部材412の底部の開口415は、チャンバ本体411の内側のガス圧力を制御するのに使用されるターボポンプ416に接続される。石英ドーム417は、チャンバ本体411の頂部を形成しており、この石英ドーム417の周囲には、フランジ418が設けられており、このフランジ418は、ベース部材412の側壁部414の上部周辺と組み合っている。石英ドーム417とベース部材412との接合部にガス分配システム419が設けられている。石英、セラミック等で形成された絶縁性ペデスタル420は、チャンバ本体411にウエハを保持するように配置された導電性ペデスタル422を保持する石英カバー421を有する。RF電力供給源の如き高周波電力供給源432が、ペデスタル422に容量的に結合され、そこに負のバイアス電圧を供給する。
【0035】
[0041]RF誘導コイルの如きアンテナ425が、チャンバ本体411におけるプラズマ密度を制御するため、石英ドーム417の外側に巻かれている。このアンテナ425は、カバー427によって支持されている。このアンテナ425は、中空銅管で形成することができる。このアンテナ425の巻回の内側でチャンバ本体411に、交流軸方向電磁界が生成される。一般的に、約400kHzから約1356kHzまでのRF周波数が使用され、この周波数で動作する従来設計(図示していない)のRF電力供給源430が、チャンバ本体411にプラズマを生成するため、整合回路網(図示していない)によってアンテナ425に結合されている。この高周波電磁界により、ペデスタル422の上方のチャンバ本体411の部分内にプラズマが生成される。チャンバ本体411の内側に真空が引かれ、1つ以上のガス源(図示していない)からガス入口429を通してチャンバ本体411内へ処理ガスが送り込まれる。ガスをチャンバ本体411の外側へ抜くために、排気出口428を使用することができる。
【0036】
[0042]チャンバ本体402の頂部に接続導管56を介してリモートプラズマ源50が配設されている。このリモートプラズマ源50は、プラズマを生成して、複数の反応性ラジカルを形成し、接続導管56を通してそれらラジカルをチャンバ本体411へと分配する。このリモートプラズマ源50は、チャンバ本体411からある距離のところに配置されていて、それらのリモート反応性ラジカルがチャンバ本体411までの距離に亘って走行しフィルター200を通過するようにされている。そのフィルターは、リモートプラズマ源50から生成され付勢された反応性ラジカルをろ過し中性化するように接続導管56に置かれるように配置されている。
【0037】
[0043]かくして、導電性層堆積前の前洗浄処理後の低k膜劣化を減少させ、低k膜品質を大幅に改善するような、誘電体膜を洗浄するための装置及び方法が提供された。
【0038】
[0044]本発明の実施形態について前述したのであるが、本発明の基本的範囲から逸脱せずに、本発明の他の更に別の実施形態を考えることができ、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって決定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明による反応性前洗浄チャンバの一実施形態の概略断面図である。
【図2A】本発明による2つの対向磁石の一実施形態の概略断面図である。
【図2B】図2Aの2つの対向磁石の間に存在する磁界の概略上面図である。
【図3】本発明に従って磁石によって拡大される荷電粒子の流路の一実施形態の上面図である。
【図4】本発明の実施形態を実施するのに使用することのできる反応性前洗浄チャンバの別の実施形態を示している。
【図5】本発明の処理を行うように適応されるマルチチャンバ処理システムの一実施例の概略上面図である。
【符号の説明】
【0040】
8…基板(ウエハ9、10…チャンバ本体、14…ヒーター、16…チャンバアダプター、18…アダプター、24…石英リング、26…ガス分配プレート、30…処理領域、38…フォーカスリング、40…チャンバ蓋、42…ポート、44…石英ライナー、48…プレナム、50…リモートプラズマ源、52…第1の磁石、54…第2の磁石、56…接続導管、60…内側表面(石英表面)、100…処理チャンバ、200…システム、202…磁界、204…介在物、210…システム、212…磁界、214…介在物、302…磁力線、304…移動路、402…反応性前洗浄チャンバ、411…真空チャンバ本体、412…ベース部材、414…側壁部、415…開口、416…ターボポンプ、417…石英ドーム、418…フランジ、419…ガス分配システム、420…絶縁性ペデスタル、421…石英カバー、422…導電性ペデスタル、425…アンテナ、427…カバー、428…排気出口、429…ガス入口、430…RF電力供給源、432…高周波電力供給源、500…マルチチャンバ処理システム、502…ロードロックチャンバ、504…ロードロックチャンバ、510…第1のロボット、512…処理チャンバ、514…処理チャンバ、516…他のチャンバ、518…他のチャンバ、522…移送チャンバ、524…移送チャンバ、530…第2のロボット、532…処理チャンバ、534…処理チャンバ、536…処理チャンバ、538…処理チャンバ、550…マイクロプロセッサコントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部で基板を支持するように適応されたチャンバ本体と、
複数の反応性ラジカルを上記チャンバ本体へ与えるように適応されたリモートプラズマ源と、
上記リモートプラズマ源を上記チャンバ本体に結合する通路と、
上記通路に隣接して配設された少なくとも1つの磁石と、
を備える、誘電体膜を洗浄するための装置。
【請求項2】
上記通路に隣接して配設された2つ以上の磁石を更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
上記磁石は、導管の外側周辺の対向側に配設されている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
上記通路に隣接して配設された上記磁石は、上記通路を横切る磁界を与える、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
上記磁界は、上記磁石の間の距離を変えることにより調整可能である、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
上記対向磁石は、約0センチメートルから約10センチメートルの距離だけ離間される、請求項3に記載の装置。
【請求項7】
上記通路は、少なくとも部分的に石英で裏打ちされる、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
上記通路の少なくとも一部分は、石英管により画成される、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
上記チャンバ本体を上記リモートプラズマ源に結合する入口より下で、上記チャンバ本体に配設されたガス分配プレートと、
上記入口と上記ガス分配プレートの間に画成されたプレナムに露出された石英表面と、
を更に備える請求項1に記載の装置。
【請求項10】
上記チャンバ本体に配設され、熱を上記基板へ与えるように適応されたヒーターを更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
処理チャンバに配設される少なくとも部分的に露出された誘電体層を有する基板を準備するステップと、
リモートプラズマ源において複数の反応性ラジカルを生成するステップと、
少なくとも1つの磁石を隣接して配設させた通路を通して、上記リモートプラズマ源から上記処理チャンバへと上記反応性ラジカルを流し込むステップと、
上記通路に通される上記反応性ラジカルを磁気的にろ過するステップと、
を備える、誘電体層を洗浄する方法。
【請求項12】
上記通路に隣接して配設された上記磁石により磁界を調整するステップを更に備える、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
上記通路において荷電粒子を中性化するステップを更に備える、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
上記荷電粒子を上記通路の壁部に接触させるように引き付けるステップを更に備える、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
上記リモートプラズマ源の下流の石英表面に対して上記反応性ラジカルを露出させるステップを更に備える、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
上記露出された誘電体層を上記ろ過された反応性ラジカルで洗浄するステップを更に備える、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
上記洗浄された誘電体層の少なくとも一部分にバリヤー層を堆積するステップを更に備える、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
上記誘電体層は、低k物質である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
上記洗浄するステップは、
上記処理チャンバを約400ミリトールより低い圧力に維持する段階と、
約1200Wから1800Wの範囲内のリモートプラズマ源電力を印加する段階と、
上記チャンバへ水素ガスを流す段階と、
を更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
上記チャンバ圧力を維持する段階は、上記処理チャンバを約30ミリトールの圧力に維持することを更に含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
上記処理チャンバにヘリウムガスを流す段階を更に含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
約250℃から約350℃までの温度に上記基板を加熱するステップを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項23】
第1の処理チャンバに配設される少なくとも部分的に露出された誘電体層を有する基板を準備するステップと、
リモートプラズマ源において複数の反応性ラジカルを生成するステップと、
少なくとも1つの磁石を隣接して配設させた通路を通して、上記リモートプラズマ源から上記反応性ラジカルを上記処理チャンバへと流し込むステップと、
上記通路を通る上記反応性ラジカルから荷電粒子を磁気的にろ過するステップと、
上記リモートプラズマ源から通される荷電粒子を除去するステップと、
上記ろ過されたラジカルを使用して上記誘電体層の露出された部分を洗浄するステップと、
真空を損なうことなく、上記洗浄された基板を第2の処理チャンバへ移送するステップと、
上記第2のチャンバ内で上記洗浄された基板上にライナー層を堆積するステップと、
を備えた、誘電体層を洗浄する方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−516920(P2009−516920A)
【公表日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−541487(P2008−541487)
【出願日】平成18年11月17日(2006.11.17)
【国際出願番号】PCT/US2006/061033
【国際公開番号】WO2007/120276
【国際公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】