説明

負荷制御装置

【課題】過電流を検出する機能や過電流から出力スイッチング素子を保護する機能を備えた負荷制御装置を提供する。
【解決手段】スイッチングレギュレータ60から電力が供給されて少なくとも一つの負荷71、72に供給する出力電流I1、I2を制御する負荷制御装置1で、負荷に接続されて出力制御信号に応じて負荷に出力電流を供給するときに導通する出力スイッチング素子21、22と、出力電流が過電流であることに起因してスイッチングレギュレータの出力電圧値が所定電圧値を下回ったことを検出したとき、所定時間に亘り出力スイッチング素子を非通電状態に制御する出力スイッチング素子制御手段11、12、40とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スイッチングレギュレータから電力が供給されて、少なくとも一つの負荷に供給する出力電流を制御する負荷制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、小型化及び軽量化を図り、電子部品を減らすことでコストを低減した負荷制御装置が開示されている。特許文献1の負荷制御装置は、複数個の負荷から駆動電流が流される負荷を選択する負荷選択スイッチングデバイスと、負荷選択スイッチングデバイスによって選択された負荷に流される駆動電流の方向を切り替える電流方向切替用スイッチングデバイスとを備えている。特許文献1の負荷制御装置によれば、各負荷毎にスイッチングデバイスを設ける必要がないため、負荷制御装置自体を小型化及び軽量化することができる。これに加えて、スイッチングデバイスの少数化によって、負荷の制御に使用される電子部品も減ることでコストの低減が図られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−339583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで一般に負荷制御装置では、出力スイッチング素子としてリレーを用いた場合には、大きな突入電流が接点に流れると接点が溶融等で劣化するためリレーの寿命が短くなって頻繁にリレーの取り替えを要することがある。そこで、リレーに代えて無接点であるために接点の劣化が生じない利点を有するソリッドステートリレー(SSR)を用いていた。
【0005】
しかしながら、負荷制御装置にSSRを用いる場合には、負荷制御装置とは別個に、負荷に流れる過電流を検出するための抵抗素子を設けたり過電流でSSRが破損することを防ぐ保護素子を設けなければならないといった不都合があった。
【0006】
この発明は、このような状況に鑑み提案されたものであって、過電流を検出する機能や過電流から出力スイッチング素子を保護する機能を備えた負荷制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明に係る負荷制御装置は、スイッチングレギュレータから電力が供給されて、少なくとも一つの負荷に供給する出力電流を制御する負荷制御装置であって、前記負荷に接続されて、出力制御信号に応じて該負荷に前記出力電流を供給するときに導通する出力スイッチング素子と、前記出力電流が過電流であることに起因して、前記スイッチングレギュレータの出力電圧値が所定電圧値を下回ったことを検出したときに、所定時間に亘り前記出力スイッチング素子を非通電状態に制御する出力スイッチング素子制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1において、前記出力スイッチング素子制御手段は、前記出力電圧値が前記所定電圧値を下回ったことを検出する電圧検出手段と、前記電圧検出手段によって前記出力電圧値が前記所定電圧値を下回ることが検出されたことを起点として、前記所定時間に亘り前記出力スイッチング素子を非導通状態に制御する前記出力制御信号を出力する制御信号出力手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は2において、前記出力スイッチング素子は、制御端子を備えたN型半導体スイッチであって、前記制御端子に、前記N型半導体スイッチを導通状態に制御する前記出力制御信号が入力されたときに、前記N型半導体スイッチはソース出力形式で前記出力電流を前記負荷に供給することを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項3において、前記負荷は、電磁方向切替弁に装備された複数のソレノイドであって、前記N型半導体スイッチは、一の前記ソレノイドに接続されて該ソレノイドに前記出力電流を供給する第1のN型半導体スイッチと、他の前記ソレノイドに接続されて該ソレノイドに前記出力電流を供給する第2のN型半導体スイッチと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明に係る負荷制御装置によれば、負荷制御装置とは別個に、出力電流が過電流であることを検出する素子を設けなくても、スイッチングレギュレータの垂下特性を利用することで出力電流が過電流であることを検出できる。
これに加えて、出力スイッチング素子制御手段が出力スイッチング素子を非導通状態にすることで、過電流が出力スイッチング素子に流れ続けることを防止して過電流から前記出力スイッチング素子を保護できる。
請求項2の発明によれば、電圧検出手段によってスイッチングレギュレータの出力電圧値が所定電圧値を下回ったことを検出した場合には、スイッチングレギュレータの垂下特性に基づいて、出力電流が過電流であることを判別できる。
これに加えて、制御信号出力手段によって出力されて出力スイッチング素子を非導通状態に制御する出力制御信号に基づいて、出力スイッチング素子を非導通状態にして、出力スイッチング素子に過電流が流れ続けることを防止する制御が可能になる。
請求項3の発明によれば、出力スイッチング素子としてP型半導体スイッチより大容量で安価なN型半導体スイッチを用いることに伴って、負荷制御装置の製造コストの上昇を抑えることができる。
請求項4の発明によれば、各ソレノイド毎にN型半導体スイッチを備えた負荷制御装置を別個に設けなくても、単一の負荷制御装置で複数のソレノイドにそれぞれ出力電流を供給することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態の負荷制御装置の概略ブロック図である。
【図2】同負荷制御装置が備えるスイッチング制御部の回路構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態を、図1及び図2を参照しつつ説明する。図1に示すように負荷制御装置1は、第1コマンドインターフェース11と、第2コマンドインターフェース12と、Nチャンネル型MOSFET21、22と、ハイサイド電源部30と、スイッチング制御部40とを備えている。
【0014】
第1コマンドインターフェース11には、入力端子(IN1)を介して第1コマンド発生部51が接続されている。第2コマンドインターフェース12には、入力端子(IN2)を介して第2コマンド発生部52が接続されている。
【0015】
大容量のNチャンネル型MOSFET21のドレインは、入力端子(IN3)を介してスイッチングレギュレータ60と接続されている。スイッチングレギュレータ60は、入力端子(IN3)を介して前記ドレインに24ボルトの直流出力電圧VINを印加する。Nチャンネル型MOSFET21のゲートは、第1コマンドインターフェース11の出力端子に接続されている。Nチャンネル型MOSFETのソースは出力端子(OUT1)に接続されている。出力端子(OUT1)とグランドとの間には第1ソレノイド71が接続されている。Nチャンネル型MOSFET21にはハイサイド電源部30が接続されてハイサイド電圧が印加される。
【0016】
同じく大容量のNチャンネル型MOSFET22のドレインは、入力端子(IN3)を介してスイッチングレギュレータ60と接続されている。このドレインにも直流入力電圧VINが印加される。Nチャンネル型MOSFET22のゲートは、第2コマンドインターフェース12の出力端子に接続されている。Nチャンネル型MOSFET22のソースは出力端子(OUT2)に接続されている。出力端子(OUT2)とグランドとの間には第2ソレノイド72が接続されている。Nチャンネル型MOSFET22にもハイサイド電源部30が接続されてハイサイド電圧が印加される。両ソレノイド71、72は、油圧ポンプによって圧油を供給する管路に設けられた電磁方向切替弁に装備されている。なお、両ソレノイド71、72は負荷の一例で、電磁方向切替弁は、例えば動作速度が高速で負荷電流が大きい工作機械のツールククランプ装置の作動に用いられる。
【0017】
スイッチング制御部40は、電圧検出部41と、制御信号出力部42とを備えている。スイッチング制御部40の入力端子(IN4)は入力端子(IN3)を介してスイッチングレギュレータ60と接続されている。スイッチング制御部40の出力端子(OUT4)は、第1コマンドインターフェース11の入力端子と第2コマンドインターフェース12の入力端子とに接続されている。
【0018】
図2には、スイッチング制御部40の回路構成を示した。電圧検出部41は、分圧抵抗R1〜R3と、フィルタ回路44と、抵抗R5と、コンデンサC2と、タイマIC45と、各NPNトランジスタTR1、TR2とを備えている。分圧抵抗R1〜R3は直列に接続された上で入力端子(IN4)とグランドとの間に接続されている。フィルタ回路44は、抵抗R1と抵抗R2との接続点と、グランドとの間に接続されている。このフィルタ回路44は、前記接続点とタイマIC45のトリガ端子(TRIG)との間に接続された抵抗R4と、該抵抗R4とグランドとの間に接続されたコンデンサC1とで構成されてローパスフィルタとして機能する。抵抗R5とコンデンサC2とは、直列に接続されて電源電圧VCCとグランドとの間に接続されている。抵抗R5の抵抗値とコンデンサC2の静電容量によって、タイマIC45が直流入力電圧VINを分圧抵抗R1〜R3で分圧した電圧V1が予め定めた所定電圧値を下回ることを検出したことに対して、タイマIC45の出力信号がローレベルからハイレベルに変化するタイミングを遅らせる所定時間(抵抗値×静電容量)が定められる。電源電圧VCCは、図示しない電源部で直流入力電圧VINを降圧して生成される。また、所定電圧値は、直流出力電圧VINが定常値(24ボルト)であるときにタイマIC45のトリガ端子(TRIG)に印加される分圧電圧V1の値よりも2V程度低い値に設定した。
【0019】
タイマIC45は、トリガ端子(TRIG)と、スレッシュホールド端子(TH)と、ディスチャージ端子(DCH)と、リセット端子(RST)と、VCC端子(VCC)と、コントロール電圧端子(CV)と、GND端子(GND)と、出力端子(OUT)とを有する。
【0020】
トリガ端子(TRIG)は、フィルタ回路44を介して抵抗R1と抵抗R2との接続点に接続されている。スレッシュホールド端子(TH)及びディスチャージ端子(DCH)は、抵抗R5とコンデンサC2との接続点に接続されている。リセット端子(RST)及びVCC端子(VCC)は電源電圧VCCに接続されている。ここでは、リセット端子(RST)は電源電圧VCCと接続されることで使用されていない。電源電圧VCCとVCC端子(VCC)との間は、コンデンサC3を介してグランドに接続されている。このコンデンサC3は、電源電圧VCCに含まれるノイズをグランドに流して除去する。コントロール電圧端子(CV)は、コンデンサC4を介してグランドに接続されている。GND端子(GND)はグランドに接続されている。
【0021】
NPNトランジスタTR1のベースは、抵抗R6を介して出力端子(OUT)に接続されている。電源電圧VCCとグランドとの間には、抵抗R7と抵抗R8とが直列に接続されている。NPNトランジスタTR1のコレクタは、抵抗R7と抵抗R8との接続点に接続されている。NPNトランジスタTR1のエミッタはグランドに接続されている。さらにNPNトランジスタTR2のベースは、抵抗R7と抵抗R8との接続点に接続されている。NPNトランジスタTR2のエミッタはグランドに接続されている。
【0022】
制御信号出力部42は、PNPトランジスタTR3と抵抗R10とを備えている。PNPトランジスタTR3のベースは、抵抗R9を介してNPNトランジスタTR2のコレクタに接続されている。PNPトランジスタTR3のエミッタは電源電圧VEEに接続されている。PNPトランジスタTR3のエミッタとベースとの間には抵抗R10が接続されている。PNPトランジスタTR3のコレクタは出力端子(OUT4)に接続されている。電源電圧VEEは、直流入力電圧VINに上記のハイサイド電圧を加算して生成される。
【0023】
次に負荷制御装置1の動作を説明する。第1コマンド発生部51は、図示しないプログラマブルロジックコントローラ(PLC)からの制御信号に応じて第1ソレノイド71を励磁する第1励磁制御コマンドを生成する。第1コマンド発生部51は第1励磁制御コマンドを第1コマンドインターフェース11に送信する。第1コマンドインターフェース11は、受信した第1励磁制御コマンドをハイレベル信号に変換する。その後第1コマンドインターフェース11は、ハイレベル信号をNチャンネル型MOSFET21のゲートに出力する。このハイレベル信号によってNチャンネル型MOSFET21のゲート電圧は高レベル電圧に固定されて、Nチャンネル型MOSFET21はオン状態(導通状態)になる。これにより、ソース電流経路L1が形成されて、出力電流I1が出力端子(OUT1)を通じて第1ソレノイド71に供給される。このソース電流経路L1は、スイッチングレギュレータ60から入力端子(IN3)、Nチャンネル型MOSFET21、出力端子(OUT1)及び第1ソレノイド71を介してグランドに至るものである。なお、Nチャンネル型MOSFET21は出力スイッチング素子及び第1のN型半導体スイッチの一例であり、Nチャンネル型MOSFET21のゲートは制御端子の一例である。また、ハイレベル信号は、本発明のN型半導体スイッチを導通状態に制御する出力制御信号の一例であり、第1ソレノイド71は本発明の一のソレノイドの一例である。
【0024】
一方、第2コマンド発生部52は、PLCからの制御信号に応じて第2ソレノイド72を励磁する第2励磁制御コマンドを生成する。第2コマンド発生部52は第2励磁制御コマンドを第2コマンドインターフェース12に送信する。第2コマンドインターフェース12は、受信した第2励磁制御コマンドをハイレベル信号に変換する。その後第2コマンドインターフェース12は、ハイレベル信号をNチャンネル型MOSFET22のゲートに出力する。これにより、Nチャンネル型MOSFET22は上記のNチャンネル型MOSFET21と同様にオン状態になり、ソース電流経路L2が形成される。よって、出力電流I2が出力端子(OUT2)を通じて第2ソレノイド72に供給される。このソース電流経路L2は、スイッチングレギュレータ60から入力端子(IN3)、Nチャンネル型MOSFET22、出力端子(OUT2)及び第2ソレノイド72を介してグランドに至るものである。なお、Nチャンネル型MOSFET22は出力スイッチング素子及び第2のN型半導体スイッチの一例であり、Nチャンネル型MOSFET22のゲートは制御端子の一例である。また、第2ソレノイド72は本発明の他のソレノイドの一例である。
【0025】
各ソレノイド71、72に断線や短絡がなく出力電流I1、I2が供給されているとき(以下、通常の制御という。)は、スイッチング制御部40及び両コマンドインターフェース11、12は以下のように動作する。図2に示すように、分圧電圧V1はトリガ端子(TRIG)に印加される。タイマIC45は、分圧電圧V1の値を予め定めた所定電圧値と比較して分圧電圧V1の値が所定電圧値を上回ることを検出した後にローレベル信号を出力端子(OUT)からNPNトランジスタTR1のベースに出力する。これにより、NPNトランジスタTR1はオフ状態になる。加えて電源電圧VCCによってNPNトランジスタTR2にベース電流が供給されることで、エミッタとコレクタとの間が導通してNPNトランジスタTR2はオン状態になる。さらに電源電圧VEEによってPNPトランジスタTR3にベース電流が供給されることで、エミッタとコレクタとの間が導通してPNPトランジスタTR3はオン状態になる。これに伴ってPNPトランジスタTR3のコレクタに接続された出力端子(OUT4)からハイレベル信号が両コマンドインターフェース11、12に出力される。各コマンドインターフェース11、12は、制御信号出力部42からハイレベル信号を受信したことを条件としてハイレベル信号をNチャンネル型MOSFET21、22に出力することを継続する。通常の制御では、タイマIC45内でディスチャージ端子(DCH)に接続されたディスチャージトランジスタをオン状態にすることで、コンデンサC2を放電させる。
【0026】
これに対し例えば第1ソレノイド71が短絡したときは、負荷制御装置1は以下のように動作する。第1ソレノイド71が短絡することで出力電流I1の値が所定値を超えた過電流となった場合には、スイッチングレギュレータ60は短絡から保護するために出力電圧(直流入力電圧VIN)を低下させる(以下、垂下特性という。)。このため、分圧電圧V1も直流入力電圧VINに比例して低下する。タイマIC45は、第1ソレノイド71の短絡によって分圧電圧V1の値が所定電圧値を下回ったことを検出すると、タイマIC45内でディスチャージ端子(DCH)に接続されたディスチャージトランジスタをオフ状態にすることで、コンデンサC2を電源電圧VCCから供給される電流で充電させる。これに加えてタイマIC45は、ハイレベル信号を出力端子(OUT)からNPNトランジスタTR1のベースに出力する。
【0027】
ハイレベル信号がNPNトランジスタTR1のベースに出力されたことでNPNトランジスタTR1はオン状態になる。これに伴って、電源電圧VCCによってNPNトランジスタTR2に供給されるベース電流が減少することでNPNトランジスタTR2はオフ状態になる。NPNトランジスタTR2がオフ状態になると、PNPトランジスタTR3にベース電流が供給されなくなることでPNPトランジスタTR3はオフ状態になる。これにより、出力端子(OUT4)からローレベル信号が第1コマンドインターフェース11に出力される。第1コマンドインターフェース11は、制御信号出力部42からローレベル信号を受信したことを条件としてローレベル信号を所定時間(抵抗R5の抵抗値×コンデンサC2の静電容量)に亘りNチャンネル型MOSFET21のゲートに出力する。これにより、Nチャンネル型MOSFET21のゲート電圧は低レベル電圧に固定されて、Nチャンネル型MOSFET21はオフ状態(非導通状態)になる。そこで、過電流がNチャンネル型MOSFET21や第1ソレノイド71に供給されずにNチャンネル型MOSFET21の破損や第1ソレノイド71の焼損を防止できる。なお、第1コマンドインターフェース11及びスイッチング制御部40は本発明の出力スイッチング素子制御手段の一例である。また、電圧検出部41は本発明の電圧検出手段の一例であり、制御信号出力部42(PNPトランジスタTR3)及び第1コマンドインターフェース11は本発明の制御信号出力手段の一例である。第1コマンドインターフェース11から出力されるローレベル信号は、本発明の出力スイッチング素子を非導通状態に制御する出力制御信号の一例である。
【0028】
続いてタイマIC45がスレッシュホールド端子(TH)で検出したコンデンサC2の両端電圧の値が所定の比較電圧値に達したと判断して、出力端子(OUT)から出力する信号レベルをハイレベルからローレベルに変化させる所定時間(抵抗R5の抵抗値×コンデンサC2の静電容量)が経過したときに、タイマIC45は出力端子(OUT)からローレベル信号を第1コマンドインターフェース11に出力する。これにより、負荷制御装置1は、通常の制御を再開して出力電流I1を第1ソレノイド71に供給する。そして過電流の原因(第1ソレノイド71の短絡)が除去されるまで、タイマIC45は出力端子(OUT)から上述したローレベル信号とハイレベル信号とを交互に出力する制御を繰り返す。一方、過電流の原因が除去された場合には、タイマIC45はローレベル信号を出力端子(OUT)から出力する。これにより、負荷制御装置1は通常の制御を行う。
【0029】
また、第2ソレノイド72が短絡したときもスイッチングレギュレータ60の垂下特性を利用することで、第1ソレノイド71が短絡したときと同様にして第2コマンドインターフェース12がローレベル信号を所定時間に亘りNチャンネル型MOSFET22のゲートに出力する。これにより、Nチャンネル型MOSFET22をオフ状態にしてNチャンネル型MOSFET22の破損や第2ソレノイド72の焼損を防止できる。なお、第2コマンドインターフェース12及びスイッチング制御部40は本発明の出力スイッチング素子制御手段の一例である。また、制御信号出力部42(PNPトランジスタTR3)及び第2コマンドインターフェース12は本発明の制御信号出力手段の一例であり、第2コマンドインターフェース12から出力されるローレベル信号は、本発明の出力スイッチング素子を非導通状態に制御する出力制御信号の一例である。
【0030】
<本実施形態の効果>
本実施形態の負荷制御装置1では、両コマンドインターフェース11、12及びスイッチング制御部40を備えることで、負荷制御装置1とは別個に出力電流I1、I2が過電流であることを検出する素子を設けなくても、スイッチングレギュレータ60の垂下特性を利用して出力電流I1、I2が過電流であることを検出できる。
これに加えて、両コマンドインターフェース11、12及びスイッチング制御部40がNチャンネル型MOSFET21、22をオフ状態にすることで、過電流がNチャンネル型MOSFET21、22に流れ続けることを防止して過電流からNチャンネル型MOSFET21、22を保護できる。
【0031】
また、電圧検出部41によって分圧電圧V1が所定電圧値を下回ったことを検出した場合には、スイッチングレギュレータ60の垂下特性に基づいて、出力電流I1、I2が過電流であることを判別できる。
これに加えて、各コマンドインターフェース11、12は、制御信号出力部42からローレベル信号を受信したことを条件としてローレベル信号を各Nチャンネル型MOSFET21、22のゲートに出力することで、各Nチャンネル型MOSFET21、22をオフ状態にした。これに伴って、各Nチャンネル型MOSFET21、22に過電流が続けることを防止する制御が可能になる。
【0032】
さらに、出力電流I1を第1ソレノイド71に供給又は遮断するスイッチング素子や出力電流I2を第2ソレノイド72に供給又は遮断するスイッチング素子として、Pチャンネル型MOSFETよりも大容量で安価なNチャンネル型MOSFETを用いることで、負荷制御装置1の製造コストの上昇を抑えることができる。
【0033】
さらに加えて、各ソレノイド71、72毎にNチャンネル型MOSFETを備えた負荷制御装置を別個に設けなくても、単一の負荷制御装置1で二つのソレノイド71、72にそれぞれ出力電流I1、I2を供給することが可能になる。
【0034】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく発明の趣旨を逸脱しない範囲内において構成の一部を適宜変更して実施できる。例えば、上述した実施形態では負荷制御装置が出力電流を二つのソレノイドにそれぞれ供給する例を示したが、これに限らず、負荷制御装置は、1つ又は3つ以上のNチャンネル型MOSFETを備えて各Nチャンネル型MOSFETをオン状態にすることで、各Nチャンネル型MOSFETを通じて1つ又は3つ以上のソレノイドに出力電流を供給するものであってもよい。
【0035】
また、上述した実施形態では負荷制御装置が電磁方向切替弁に出力電流を供給する例を示したが、これに限らず、負荷制御装置は、電磁方向切替弁以外の負荷に出力電流を供給するものであってもよい。
【符号の説明】
【0036】
1・・負荷制御装置、11・・第1コマンドインターフェース、12・・第2コマンドインターフェース、21、22・・Nチャンネル型MOSFET、40・・スイッチング制御部、41・・電圧検出部、42・・制御信号出力部、60・・スイッチングレギュレータ、71・・第1ソレノイド、72・・第2ソレノイド、I1、I2・・出力電流、L1、L2・・ソース電流経路、VIN・・スイッチングレギュレータの出力電圧。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチングレギュレータから電力が供給されて、少なくとも一つの負荷に供給する出力電流を制御する負荷制御装置であって、
前記負荷に接続されて、出力制御信号に応じて該負荷に前記出力電流を供給するときに導通する出力スイッチング素子と、
前記出力電流が過電流であることに起因して、前記スイッチングレギュレータの出力電圧値が所定電圧値を下回ったことを検出したときに、所定時間に亘り前記出力スイッチング素子を非通電状態に制御する出力スイッチング素子制御手段と、
を備えることを特徴とする負荷制御装置。
【請求項2】
前記出力スイッチング素子制御手段は、
前記出力電圧値が前記所定電圧値を下回ったことを検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段によって前記出力電圧値が前記所定電圧値を下回ることが検出されたことを起点として、前記所定時間に亘り前記出力スイッチング素子を非導通状態に制御する前記出力制御信号を出力する制御信号出力手段と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の負荷制御装置。
【請求項3】
前記出力スイッチング素子は、制御端子を備えたN型半導体スイッチであって、
前記制御端子に、前記N型半導体スイッチを導通状態に制御する前記出力制御信号が入力されたときに、前記N型半導体スイッチはソース出力形式で前記出力電流を前記負荷に供給することを特徴とする請求項1又は2に記載の負荷制御装置。
【請求項4】
前記負荷は、電磁方向切替弁に装備された複数のソレノイドであって、
前記N型半導体スイッチは、一の前記ソレノイドに接続されて該ソレノイドに前記出力電流を供給する第1のN型半導体スイッチと、他の前記ソレノイドに接続されて該ソレノイドに前記出力電流を供給する第2のN型半導体スイッチと、を有することを特徴とする請求項3に記載の負荷制御装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−135143(P2012−135143A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−286073(P2010−286073)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000241588)豊和工業株式会社 (230)
【Fターム(参考)】