説明

車両のための被拘束層減衰

本発明は、車両底板(1)に使用するための振動ダンパであって、拘束層としての床下パネル(3)と、被拘束層としての減衰層(2)とが設けられており、該減衰層(2)が、床下パネル(3)よりも小さな弾性係数を有しており、振動ダンパが車両底板(1)に固定された時に前記減衰層(2)が車両底板(1)と床下パネル(3)との間に配置されるようになっている。振動ダンパは、床下パネル(3)が、予め成形されておりかつ車両底板(1)に固定されている場合にこの形状にとどまりかつ第1のポリマ材料から形成されており、減衰層(2)が、発泡性ではない第2のポリマ材料又はビチューメン材料から形成されており、また、車両底板(1)に振動ダンパを固定する前に床下パネル(3)に配置されていることを特徴とする。さらに、本発明は、個々の減衰装置、及び振動ダンパを製造する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、拘束層としての床下パネルと、拘束層としての減衰層を有し、減衰層が床下パネルよりも小さな弾性係数を有し、振動ダンパが車両底板に固定されたときに減衰層が車両底板と床下パネルとの間に配置されるようになっている、車両底板に適用するための振動ダンパに関する。さらに、本発明は、このような振動ダンパを製造するための、減衰装置及び方法にも関する。
【0002】
現代の自動車産業は、益々、自動車の底板に、底板の直下に取り付けられた集合体及び構成部材を石及び塩等の物理的及び化学的損傷から保護するために床下パネルを提供する。これらの床下パネルは、通常、プラスチック材料から形成されており、ガラス繊維等の強化添加物を含む。さらに、これらの床下パネルは、車両の空力抵抗を低減するために、及び/又は底板のすぐ下側又はエンジン室の下側の熱流を管理するために、及び/又は騒音の発生及び/又は伝達を減じるために、使用されている。あいにく、これらの軽量の床下パネルは、振動し、望ましくない騒音を生ぜしめる傾向がある。
【0003】
これらの欠点を克服するために、欧州特許出願公開1520772号明細書は、このような床下パネルに付加的に弾性材料を提供することを提案している。この弾性材料は、床下パネルと自動車の底板との間に配置されており、音響学的特性及び空力特性を組み合わせることを許容する。特に、この構成は、古典的なばね質量系に従って音響学的に動作し、床下パネルは質量として作用し、弾性材料はばねとして作用する。このようなばね質量系は技術分野においてよく知られており、防音のために広く使用されている。開示された構成はさらに、床下パネルの振動を減衰するために弾性材料を局所的に圧縮することを許容する。あいにく、弾性材料の局所的な圧縮は、同時に音響系の減衰性能を減じる。この種の床下構造は制限された音響学的性能を有するように見える。
【0004】
同様の欠点が、十分な減衰効果を示すために減衰材料のかなり厚い堆積を必要とする、全ての種類の単層ダンパ、特に噴霧可能ダンパからも知られている。これは、底板の重量の望ましくない増大を生ぜしめ、明らかに、付加的な組立て作業及び増大した組立て費用を生じる。
【0005】
車体のパネル、特に金属床パネルのために、拘束された3層タイプダンパを使用することも、欧州特許出願公開第0077987号明細書から知られている。この拘束されたダンパは、粘弾性層が結合層と拘束層との間に緊密に挟持されるように積層された、溶融可能結合層と、粘弾性層と、拘束層とを有している。このダンパの拘束層は、未硬化熱硬化性樹脂及び無機充てん剤を含む樹脂配合物から形成されている。しかしながら、このダンパの減衰性能を容易に調整及び/又は最適化することは不可能である。
【0006】
振動の間、減衰層内のせん断力が増大され、これにより重要な量のエネルギが付加的に散逸されることは、拘束層ダンパの減衰機構の有効性にとって重要である。
【0007】
本発明の目的は、軽量で、単純に製造され、単純に組み立てられ、振動減衰性能を最適化するための進歩した容易性を有する、床下パネルのための振動ダンパ及び振動減衰装置を提供することである。
【0008】
この目的は、最初に言及された振動ダンパによって達成され、この振動ダンパにおいて、床下パネルは予め成形されており、車両底板に固定された場合にこの形状を保ち、第1のポリマ材料から形成されており、減衰層が、発泡性でない第2のポリマ又はビチューメン材料から形成されており、振動ダンパを車両底板に固定する前に床下パネルに配置される。本発明による減衰装置は、車両底板と、このような振動ダンパとを含み、これらは相俟って拘束層ダンパを形成している。様々な層の、剛性、損失率、及び厚さは、全体的な減衰性能を最適化するために局所的に調整される。
【0009】
さらに、前記目的は、方法の請求項に概説された、このような振動ダンパを製造するための対応する方法によって達成される。
【0010】
減衰層を車両底板に固定するために、有利には接着剤が減衰層上に配置される。好適には、接着剤は、溶融可能結合層ではない。また、接着剤は有利には、振動減衰の有効性を妨害しないために、高いせん断剛性を有する;減衰効果は、接着剤によってさらに高められる又は調整される。
【0011】
接着剤は、床下パネルを減衰層に結合するためにも使用されることができ、この場合も同様にこの接着剤は高いせん断剛性を有している。
【0012】
拘束された減衰効果を最適化するために、床下パネルは好適には、振動の間の減衰層におけるせん断ひずみを誘発するために合成材料から形成されており、この場合、床下パネルは、繊維強化された又は強化されていない熱可塑性プラスチック、特に純粋ポリマ繊維又はガラス繊維とポリマ繊維との混合物から形成されている。パネルも、多孔質ガラス球が充填された、熱可塑性プラスチック、特にポリプロピレン又はポリアミド、を使用することによって形成されてよい。1つの択一例によれば、床下パネルは、射出成形されたPP、又は前記材料の組合せから形成されている。
【0013】
例えば、本発明による床下パネルは射出成形によって製造されることができる。1つの択一例によれば、床下パネルは直接配合法によって形成される。
【0014】
1つの好適な床下パネルは、ガラス繊維強化材料、特にポリプロピレン又はポリアミドから形成されている。
【0015】
別の有利な択一例によれば、本発明による床下パネルは、天然繊維強化材料、特にポリプロピレン又はポリアミドから形成されている。極めて適切であると証明されたこのような天然繊維は、好適には、バナナ、ジュート、ヘンプ、ケナフ、亜麻、及び堅果殻のグループから選択される。本発明による振動ダンパのリサイクルは、天然繊維を使用することによって著しく改良される。
【0016】
発明者たちは、発明の幾つかの実施形態による床下パネルが、有利には、25mmよりも小さな繊維によって強化された熱可塑性プラスチックから形成されていることを発見した。特に、繊維の長さは、1〜25mm、より好適には10〜25mmであってよい。幾つかの実施形態において、好適な平均繊維長は、10mmよりも大きく、幾つかの実施形態によれば、約20mmである。さらに、幾つかの実施形態によれば、10〜50重量%において床下パネルの繊維充填の程度を調整することが好適であることが分かった。
【0017】
幾つかの実施形態において、本発明による床下パネルの単位面積ごとの好適な質量は、1200〜2500g/m2である。床下層の好適な厚さは、1〜3mm、好適には1.2〜2.5mm、より好適には1.3〜2.0mmである。
【0018】
上のパラメータは、有利には、オベルスト法(the Oberst method (DIN EN ISO 6721))に従って測定された、2000N/mm2よりも高い弾性率を有する床下パネルを提供する。
【0019】
同様に、減衰材料は、本発明による振動ダンパの物理的特性に重要な影響を及ぼす。好適には、減衰材料は、高い接着力及び/又は粘着力を有しており、ブチルゴム、噴霧可能なビチューメンダンパ、ビチューメンマスチックから選択されるか又は感圧接着箔を含む。減衰層の択一的な材料は、標準的なビチューメン/ビチューメン減衰箔、ブチルゴム箔、ビチューメンヘビー層、又は層状構成を形成するための前記材料の幾つかの組合せである。
【0020】
ここで、ビチューメンという用語は、このビチューメン材料が所望の減衰特性を有するように適応されるように、改質ビチューメンのために使用されている。したがって、ビチューメンという用語は、高分子改質されたビチューメンを生じる高分子改質剤を含む、適切な充填材を備えたビチューメン材料を含む。
【0021】
幾つかの実施形態において、減衰層は、好適には、1000〜4000g/m2、幾つかの実施形態によれば2500〜4000g/m2、の単位面積当たりの質量を有している。また、幾つかの実施形態による減衰層は好適には1.0〜4mmの厚さを有する。
【0022】
幾つかの実施形態において、減衰層の損失係数は、好適には、オベルスト法(the Oberst method(DIN EN ISO 6721))に従って測定された、デルタT=40℃の温度範囲において0.1よりも大きくなるように調整されている。200Hzにおけるせん断係数は、好適には、−20℃〜80℃の温度範囲において1×105〜1×108であるように調整されている。
【0023】
幾つかの実施形態において、床下パネル及び減衰層を含む振動ダンパは、好適には、オベルスト法(the Oberst method(DIN EN ISO 6721))に従って測定された、デルタT=60℃の温度範囲において0.15よりも大きな損失係数を有する。
【0024】
このような極めて有効な振動ダンパを生じる、1つの好適な材料選択は、床下パネルのためには、0〜50%のガラス繊維を含有したPP(ポリプロピレン)であり、減衰層のためには、ビチューメン又はブチルゴムである。このような材料の場合に、損失係数に関する前記値が測定された。
【0025】
有利な実施形態によれば、減衰層は、減衰層が床構造の形状に従うことができるように又は様々な厚さを備えたパッチから組み立てられるように、局所的に変化する厚さを有する。
【0026】
1つの実施形態は、マスチック材料の帯材の取付けの間に、Z方向での圧縮、すなわちX方向及びY方向での減衰材料の膨張を許容するために減衰層に小孔が設けられていることを特徴とする。
【0027】
1つの実施形態によれば、減衰層によって被覆されていない領域が存在することもある。これらの領域において、床下パネルには小孔が設けられていてよいか又は床下パネルは吸収材料と置換されている。特に、この吸収材料は、繊維強化された又は強化されていない熱可塑性プラスチック繊維材料、特に純粋ポリマ繊維又はガラス繊維とポリマ繊維との混合物から形成されることができる。
【0028】
本発明による減衰装置は、車両底板及び上述のような振動減衰装置を有する。層の厚さ、損失係数及び剛性は、振動減衰性能に関して最適化されている。
【0029】
1つの個々の実施形態によれば、減衰層は、底板と床下パネルとの間の空間の全てを被覆しているのではなく、部分的に自由空間を残している。この自由空間は、その代りに、少なくとも部分的に、吸収材料、特に、発泡体、繊維材料、繊維層積層体、ポリマ箔、空気、又は同様のもので充填されていてよい。
【0030】
好適な実施形態において、減衰層は床下パネルに直接に取り付けられているか又は接着されているが、別の有利な実施形態は、床下パネルと車両底板との間にスペーサが配置されることを提案する。このスペーサは床下パネルと減衰層との間、又は減衰層と車両底板との間に配置されてもよい。スペーサは車両底板と床下パネルとの間の所定の距離を保証し、この場合、スペーサは、軽量材料、例えば独立気泡発泡材料から形成されているか、又は拘束層自体によって形成されている。
【0031】
別の実施形態によれば、この床下パネルの外部形状を円滑にするために床下パネルの外側に挿入層が配置されており、この場合、挿入層は、軽量材料、例えば吸収材料から形成されているか、又は床下パネル材料自体から形成されている。
【0032】
全ての上の実施形態は、床下パネルを被拘束減衰層装置に組み込み、このことは、様々な層の厚さ、損失係数及び剛性の観点から、装置全体の振動減衰性能を最適化することができる。このことは、あらゆる与えられた材料選択及びあらゆる与えられた仕様のために減衰性能の強い改良を提供する。車両内部の騒音がさらに低減されることは、一体化された振動減衰装置の付加的な利点である。
【0033】
発明を例示するために、以下の図面が参照され、図面においては様々な層が上述のような特性を有しておりかつ、説明された材料から形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明による被拘束層減衰装置を含む車両底板の概略的な断面図である。
【図2】本発明による、振動ダンパ及び減衰装置の概略的な断面図を示している。
【図3】本発明による、振動ダンパ及び減衰装置の別の構成の概略的な断面図を示している。
【図4】本発明による、振動ダンパ及び減衰装置の別の構成の概略的な断面図を示している。
【図5】本発明による、振動ダンパ及び減衰装置の別の構成の概略的な断面図を示している。
【図6】本発明による、振動ダンパ及び減衰装置の別の構成概略的な断面図を示している。
【図7】減衰層の別の構成を含む、本発明による減衰装置の概略的な断面図である。
【図8】減衰層の別の構成を含む、本発明による減衰装置の概略的な断面図である。
【図9】減衰層の別の構成を含む、本発明による減衰装置の概略的な断面図である。
【図10】減衰層の別の構成を含む、本発明による減衰装置の概略的な断面図である。
【図11】減衰層の別の構成を含む、本発明による減衰装置の概略的な断面図である。
【図12】変化する厚さを有する装置のための様々な構成を有する、本発明による減衰装置の概略的な断面図である。
【図13】変化する厚さを有する装置のための様々な構成を有する、本発明による減衰装置の概略的な断面図である。
【図14】変化する厚さを有する装置のための様々な構成を有する、本発明による減衰装置の概略的な断面図である。
【0035】
図1は、本発明による減衰装置の概略的な断面図を示している。この装置は、車両底板1と、拘束層として作用する床下パネル3と、被拘束層として作用する、間に配置された減衰層2とを有している。これらの層1,2,3は、被拘束層ダンパを形成している。床下パネル3は、間隔を置いて配置されており、締結具11によって車両底板1に固定されており、締結具は、被拘束層ダンパに特定の圧縮力を有していない。このような締結具は、例えばクリップ、ピン、ねじ等であってよい。図2は、車両底板1と、減衰層2と、床下パネル3とから成る減衰装置を拡大図で示している。図3に示された本発明による振動ダンパは、この例において、車両底板1に固定される前は、床下パネル3と減衰層2とから成る。
【0036】
十分な表面対表面結合を保証するために減衰材料が高い接着力及び/又は粘着力を有すると有利である。この材料は(個々の組み合わせにおいても)、好適には、ブチルゴム、噴霧可能なビチューメンダンパ、ビチューメンマスチック又は感圧接着箔から選択されている。
【0037】
図4は減衰装置を示しており、この場合、減衰層2は、底板1の形状に従うように局所的に変化する厚さを有している。減衰層2は、様々な厚さの小片から組み立てられてよい。
【0038】
図5は減衰装置を示しており、この場合、様々な層の間の結合は、高いせん断剛性を有する様々な接着剤4,5によって達成されている。接着剤4,5によって、通常必要とされる締結具11の数が著しく減じられることができる。全く締結具を用いない実施形態さえ、適切な接着剤が使用されれば可能である。
【0039】
図6に示された減衰装置は、振動の間、減衰層2においてせん断ひずみを有するために剛性材料から形成された拘束層材料3を有する。拘束層3は好適には、繊維強化された又は強化されていない熱可塑性プラスチック繊維材料、特にガラス繊維又は天然繊維によって強化されたポリプロピレン材料、ガラス繊維及びポリマ繊維の混合物、純粋なポリマ繊維、射出成形されたPP(ポリプロピレン)材料、又はこれらの材料の組み合わせから形成されている。繊維は有利には長さに関して前記特性を有しており、前記材料から形成されている。床下パネルのための特別な材料は、例えば国際公開第2001/40025号明細書に記載されている。技術分野において公知の軽量強化熱可塑性プラスチックは、"Advanced glass-mat thermomplastic composite applications for the automotive industry",2006年1月,Quadrant Plastic Compositesに記載されている。その他の適切な材料は、国際公開第2004/088025号明細書及びDE102006035361に記載されている。
【0040】
図7に示された減衰装置は本発明による層状構成であり、この場合、減衰層2は、標準的なビチューメン減衰箔、ブチルゴム、ブチルゴム箔、ビチューメンヘビー層、ビチューメンマスチック、噴霧可能なビチューメンダンパ、又はこれらの材料の組合せの層から形成されている。
【0041】
図8は減衰装置を示しており、床下パネル3は部分的に減衰層2によって被覆されており、床下パネル3と底板1との間に自由空間10が形成されている。
【0042】
図9は減衰装置を示しており、減衰層2は、マスチックの帯材を取り付ける間にZ方向での圧縮(又はX方向及びY方向での、減衰材料の膨張)を許容するために小孔が設けられている。
【0043】
図10は減衰装置を示しており、この場合、層3は、減衰材料2によって被覆されていない領域において、1つの位置において、吸収材料7、特に、ガラス及びポリマ繊維又は純粋ポリマ繊維の混合物から成る材料によって置換されている。
【0044】
図11は減衰装置を示しており、この場合、底板1と床下パネル3との間の自由空間10が、吸収材料6、特に、繊維材料及び/又は繊維層積層体(織物材料を含む)、発泡体、発泡チャンバ、ポリマ箔、空気又は同様のものによって充填されている。繊維層積層体又はポリマ箔は、技術分野において公知であり、例えば、国際公開第2005/023594号パンフレット又は国際公開第2006/105933号パンフレットに記載されている。
【0045】
図12は減衰装置を示しており、この場合、床下パネル3と底板1との間の所定の距離を保証するためにスペーサ8が減衰領域において拘束層3に配置されている。スペーサ8は、好適には、軽量材料、例えば独立気泡発泡材料であるか、又は拘束層自体によって形成されている。
【0046】
図13に示された減衰装置は、底板1と床下パネル3との間に所定の距離を保証するために減衰層2との車両底板との間にスペーサ8を有している。好適には、スペーサ8は、軽量材料、例えば独立気泡発泡材料から形成されているか、又は底板材料から形成されている。
【0047】
図14は減衰装置を示しており、この場合、床下パネル3の外部形状を円滑にするために挿入層9が床下パネル3の外側に配置されており、この挿入層9は、軽量材料、例えば吸収材料から形成されているか、又は床下パネル材料自体から形成されている。
【符号の説明】
【0048】
1 底板、 2 減衰層、 3 床下パネル、 4,5 接着剤、 6,7 吸収材料、 8 スペーサ、 9 挿入層、 10 自由空間、 11 締結具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両底板(1)に使用するための振動ダンパであって、拘束層としての床下パネル(3)と、被拘束層としての減衰層(2)とが設けられており、該減衰層(2)が、床下パネル(3)よりも小さな弾性係数を有しており、振動ダンパが車両底板(1)に固定された時に前記減衰層(2)が車両底板(1)と床下パネル(3)との間に配置されるようになっている形式のものにおいて、床下パネル(3)が、予め成形されておりかつ車両底板(1)に固定された場合にこの形状にとどまりかつ第1のポリマ材料から形成されており、減衰層(2)が、発泡性ではない第2のポリマ材料又はビチューメン材料から形成されており、また、車両底板(1)に振動ダンパを固定する前に床下パネル(3)に配置されていることを特徴とする、振動ダンパ。
【請求項2】
振動ダンパを車両底板(1)に接着するために減衰層(2)に接着剤(4)が配置されている、請求項1記載の振動ダンパ。
【請求項3】
振動中に減衰層(2)におけるせん断ひずみを誘発するために床下パネル(3)が剛性材料から形成されており、床下パネル(3)が、繊維強化熱可塑性プラスチック又は繊維強化されていない熱可塑性プラスチック、特に純粋ポリマ繊維か又はガラス繊維とポリマ繊維との混合物、射出成形されたポリプロピレン、又はこれらの組合せから形成されている、請求項1又は2記載の振動ダンパ。
【請求項4】
床下パネル(3)が、多孔質ガラス球が充填された、熱可塑性プラスチック、特にポリプロピレン又はポリアミド、を使用することによって形成されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の振動ダンパ。
【請求項5】
床下パネル(3)が、ガラス繊維強化材料、特にポリプロピレン又はポリアミド、から形成されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の振動ダンパ。
【請求項6】
床下パネル(3)が、天然繊維強化材料、特にポリプロピレン又はポリアミド、から形成されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の振動ダンパ。
【請求項7】
前記天然繊維が、バナナ、ジュート、ヘンプ、ケナフ、亜麻、堅果殻のグループから選択されている、請求項6記載の振動ダンパ。
【請求項8】
繊維長が、25mmよりも小さい、特に1〜25mm、好適には10〜25mmである、請求項3から7までのいずれか1項記載の振動ダンパ。
【請求項9】
平均繊維長が、10mmよりも大きい、好適には約20mmである、請求項3から8までのいずれか1項記載の振動ダンパ。
【請求項10】
床下パネル(3)の繊維の充填の程度が、10〜50重量%である、請求項1から9までのいずれか1項記載の振動ダンパ。
【請求項11】
床下パネル(3)が、1200〜2500g/m2の、単位面積当たりの質量を有する、請求項1から10までのいずれか1項記載の振動ダンパ。
【請求項12】
床下パネル(3)が、1〜3mm、好適には1.2〜2.5mm、より好適には1.3〜2.0mmの厚さを有している、請求項1から11までのいずれか1項記載の振動ダンパ。
【請求項13】
床下パネル(3)が、オベルスト法(the Oberst method (DIN EN ISO 6721))に従って測定された、2000N/mm2よりも大きな弾性係数を有している、請求項1から12までのいずれか1項記載の振動ダンパ。
【請求項14】
減衰層(2)の減衰材料が、高い接着力及び/又は粘着力を有しており、噴霧可能なビチューメンダンパ、ビチューメンマスチック、標準的なビチューメン減衰箔、ビチューメンヘビー層、ブチルゴム、ブチルゴム箔、から選択されており、感圧接着箔を含み、又は層状構成を形成するこれらの材料の組合せである、請求項1から13までのいずれか1項記載の振動ダンパ。
【請求項15】
減衰層(2)が、1000〜4000g/m2、特に2500〜4000g/m2の単位面積当たりの質量を有している、請求項1から14までのいずれか1項記載の振動ダンパ。
【請求項16】
減衰層(2)が1.0〜4mmの厚さを有している、請求項1から15までのいずれか1項記載の振動ダンパ。
【請求項17】
減衰層(2)が、オベルスト法(the Oberst method (DIN EN ISO 6721))に従って測定された、デルタT=40℃の温度範囲において0.1よりも大きな損失係数を有する、請求項1から16までのいずれか1項記載の振動ダンパ。
【請求項18】
減衰層(2)が、−20℃〜80℃の温度範囲において1×105〜1×108Paの200Hzにおけるせん断係数を有する、請求項1から17までのいずれか1項記載の振動ダンパ。
【請求項19】
振動ダンパが、オベルスト法(the Oberst method (DIN EN ISO 6721)に従って測定された、デルタT=60℃の温度範囲において0.15よりも大きな損失係数を有する、請求項1から18までのいずれか1項記載の振動ダンパ。
【請求項20】
振動ダンパが、0〜50%のガラス繊維を含有するポリプロピレンから形成された床下パネル(3)と、ビチューメン又はブチルゴムの減衰層(2)とを含む、請求項1から19までのいずれか1項記載の振動ダンパ。
【請求項21】
減衰層(2)が、床構造の形状に従うために局所的に変化する厚さを有するか又は異なる厚さを有する小片から組み立てられている、請求項1から20までのいずれか1項記載の振動ダンパ。
【請求項22】
様々な層の間の結合が、高いせん断剛性を有する接着剤(4,5)によって達成される、請求項1から21までのいずれか1項記載の振動ダンパ。
【請求項23】
減衰層(2)が、マスチック材料の帯材を取り付ける間、減衰材料のZ方向での圧縮、すなわちX方向及びY方向での膨張、を許容するために小孔が設けられている、請求項1から22までのいずれか1項記載の振動ダンパ。
【請求項24】
減衰層(2)によって被覆されていない領域において、床下パネル(3)が、小孔が設けられているか又は吸収材料(7)によって置換されており、該吸収材料が、特に繊維強化された又は強化されていない熱可塑性繊維材料、特に、純粋ポリマ繊維又はガラス繊維及びポリマ繊維の混合物から形成されている、請求項1から23までのいずれか1項記載の振動ダンパ。
【請求項25】
車両底板(1)と、該車両底板(1)に取り付けられた請求項1から24までのいずれか1項記載の振動ダンパとを含むことを特徴とする減衰装置。
【請求項26】
底板(1)と床下パネル(3)との間の空間(10)が減衰層(2)によって被覆されていない、請求項25記載の減衰装置。
【請求項27】
減衰層(2)によって充填されていない、底板(1)と床下パネル(3)との間の自由空間が、代わりに少なくとも部分的に吸収材料(6)、特に発泡体、繊維材料、繊維層積層体、ポリマ箔、空気、又は同様のものによって充填されている、請求項26記載の減衰装置。
【請求項28】
底板(1)と床下パネル(3)との間の所定の距離を保証するために、減衰される領域において床下パネル(3)にスペーサ(8)が配置されており、該スペーサ(8)が、軽量材料、例えば独立気泡発泡材料、から形成されているか又は拘束層自体によって形成されている、請求項25から27までのいずれか1項記載の減衰装置。
【請求項29】
底板(1)と床下パネル(3)との間の所定の距離を保証するために、減衰層(2)と車両底板(1)との間にスペーサ(8)が配置されており、スペーサ(8)が、軽量材料、例えば独立気泡発泡材料から形成されているか又は底板材料自体によって形成されている、請求項25から28までのいずれか1項記載の減衰装置。
【請求項30】
床下パネル(3)の外部形状を円滑にするために該床下パネル(3)の外側に挿入層(9)が配置されており、該挿入層(9)が、軽量材料、例えば吸収材料から形成されているか又は床下パネル材料自体によって形成されている、請求項25から29までのいずれか1項記載の減衰装置。
【請求項31】
床下パネル(3)を車両底板(1)に締結するために締結具(11)が設けられている、請求項25から30までのいずれか1項記載の減衰装置。
【請求項32】
車両底板(1)に使用するための、請求項1から31までのいずれか1項記載の振動ダンパを製造する方法であって、床下パネル(3)が拘束層として使用されて、減衰層(2)が被拘束層として使用され、減衰層(2)が床下パネル(3)よりも小さな弾性係数を有しており、振動ダンパを車両底板(1)に固定する際に減衰層(2)が車両底板(1)と床下パネル(3)の間に配置されるようになっている形式のものにおいて、振動ダンパが車両底板(1)に固定された時に実質的に変化させられない形状を得るように床下パネル(3)が製造され、該床下パネル(3)が第1のポリマ材料から形成され、減衰層(2)が、非発泡性の第2のポリマ材料又はビチューメン材料から製造されかつ、振動ダンパを車両底板(1)に固定する前に床下パネル(3)に配置されることを特徴とする、振動ダンパを製造する方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公表番号】特表2010−517864(P2010−517864A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−549356(P2009−549356)
【出願日】平成20年2月12日(2008.2.12)
【国際出願番号】PCT/CH2008/000052
【国際公開番号】WO2008/098395
【国際公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(508212738)リーター テクノロジーズ アクチエンゲゼルシャフト (6)
【氏名又は名称原語表記】Rieter Technologies AG
【住所又は居所原語表記】Schlosstalstrasse 43, CH−8406, Winterthur, Switzerland
【Fターム(参考)】