説明

車両の制御装置および制御方法

【課題】コストの上昇を抑制しつつ、車両が旋回中であるか否かを判定して、車両の挙動を精度高く制御する。
【解決手段】ECUは、旋回中であって(S100にてYES)、走行抵抗が予め定められた値D以下であって、かつ、走行抵抗の時間変化量が予め定められた値E以下である場合に(S102にてYES)、左右の車輪速差の絶対値の時間変化量が予め定められた値F以下であると(S104にてYES)、車両が直進走行中であることを判定するステップ(S106)と、旋回中ではないときに(S100にてNO)、走行抵抗が予め定められた値A以上であって、かつ、走行抵抗の時間変化量が予め定められた値B以上である場合に(S110にてYES)、左右の車輪速差の絶対値の時間変化量が予め定められた値C以上であると(S112にてYES)、車両が旋回中であることを判定するステップ(S114)とを含む、プログラムを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両が旋回しているか否かを判定し、判定結果を用いて車両の挙動を制御する技術に関し、特に、車両の走行抵抗および左右の車輪速に基づいて車両が旋回しているか否かを判定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の走行状態に応じて車両の挙動を制御する技術が公知である。たとえば、特開2006−256368号公報(特許文献1)は、車両のロール状況に応じて捩り剛性可変式スタビライザ装置のスタビライザ力及び減衰力可変式ショックアブソーバの減衰力の両者を適宜に制御する車両のロール制御装置を開示する。車両のロール制御装置は、減衰特性可変式減衰力発生手段の減衰力によるロール抑制制御量及び捩り剛性可変式スタビライザ装置のスタビライザ力によるロール抑制制御量を制御することにより車両のロールを抑制制御する。この車両のロール制御装置は、車両のロール量の変化率を判定する手段と、ロール量の変化率が大きいときにはロール量の変化率が小さいときに比して、減衰力発生手段の減衰特性を高減衰側へ制御するとともにスタビライザ装置の捩り剛性を低くするロール抑制制御量制御手段とを有することを特徴とする。
【0003】
上述した公報に開示された車両のロール制御装置によると、車両のロールの効果的な抑制制御を確保することができるとともに、スタビライザ装置の捩り剛性が低くされることによりスタビライザ装置により消費されるエネルギーを低減することができ、さらにはロール量の変化率が小さいときには減衰力発生手段の減衰特性が高減衰側へ制御されず、したがって車両の乗り心地性の悪化を確実に回避することができる。
【特許文献1】特開2006−256368号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両の挙動を制御する際に、車両が旋回中であるか否かについて精度よく判定する必要がある。しかしながら、車両が旋回中であるか否かを判定するためには、たとえば、ナビゲーションや操舵角センサなどの部品を別途設ける必要がある。そのため、コストが上昇するという問題がある。また、車両の各車輪の車輪速に基づいて車両が旋回しているか否かを判定することも考えられるが、路面の摩擦係数や状態により車輪がスリップする場合においては、車両が旋回中であるか否かを精度高く判定することができない。
【0005】
上述した公報に開示された車両のロール制御装置においては、車両の挙動を示す要素の一つであるロール量を検出しているに過ぎず、上述した課題を解決することができない。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであって、その目的は、コストの上昇を抑制しつつ、車両が旋回中であるか否かを判定して、車両の挙動を精度高く制御する車両の制御装置および制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明に係る車両の制御装置においては、車両は、左右の車輪を有する。この制御装置は、車両が走行する際に進行方向の反対方向に作用する走行抵抗を算出するための走行抵抗算出手段と、算出された走行抵抗に基づいて走行抵抗の時間変化量を算出するための手段と、左右の車輪の車輪速に基づいて左右の車輪の車輪速差の絶対値の時間変化量を算出するための手段と、走行抵抗が予め定められた第1の値以上であって、走行抵抗の時間変化量が予め定められた第2の値以上であって、かつ、車輪速差の絶対値の時間変化量が予め定められた第3の値以上である場合に、車両が旋回中であることを判定するための判定手段と、判定手段による判定結果に基づいて車両を制御するための制御手段とを含む。第7の発明に係る車両の制御方法は、第1の発明に係る車両の制御装置と同様の構成を有する。
【0008】
第1の発明によると、走行抵抗が予め定められた第1の値以上であって、走行抵抗の時間変化量が予め定められた第2の値以上であって、かつ、車輪速差の絶対値の時間変化量が予め定められた第3の値以上である場合、走行抵抗は増加傾向にあり、かつ、左右の車輪速における回転速度差が拡大しつつあることから、車両が旋回中であることを判定することができる。そのため、たとえば、車輪速のみで車両が旋回中であるか否かを判定する場合と比較して、車輪にスリップが生じた場合においても判定の精度が悪化することを抑制することができる。すなわち、車両が旋回中であるか否かを精度高く判定することができる。そのため、車両が旋回中であるか否かの判定結果に基づいて車両を制御することにより、車両の挙動を精度高く制御することができる。また、走行抵抗は、車両に一般的に設けられる検出装置(たとえば、車輪速センサ、エンジン回転数センサおよびスロットルポジションセンサ)を用いて算出することができるため、車両が旋回しているか否かを判定をするために別途新たな部品を設ける必要がないため、部品点数の増加によるコストの上昇を抑制することができる。したがって、コストの上昇を抑制しつつ、車両が旋回中であるか否かを判定して、車両の挙動を精度高く制御する車両の制御装置および制御方法を提供することができる。
【0009】
第2の発明に係る車両の制御装置は、第1の発明の構成に加えて、走行抵抗に関連した車両の走行状態を検出するための状態検出手段をさらに含む。走行抵抗算出手段は、検出された走行状態に基づいて走行抵抗を算出する。第8の発明に係る車両の制御方法は、第2の発明に係る車両の制御装置と同様の構成を有する。
【0010】
第2の発明によると、車両の走行状態(たとえば、車輪速、エンジン回転数およびスロットル開度)に基づいて算出された走行抵抗、走行抵抗の時間変化量および車輪速差の絶対値の時間変化量に基づいて車両が旋回中であるか否かを精度高く判定することができる。
【0011】
第3の発明に係る車両の制御装置においては、第1または2の発明の構成に加えて、車両には、エンジンが搭載される。状態検出手段は、エンジンの回転数を検出するための手段と、エンジンの出力の増加要求の程度を検出するため手段と、車両の速度を検出するための手段とを含む。走行抵抗算出手段は、回転数と増加要求の程度とに基づいて車両の予測加速度を算出するための手段と、車両の速度に基づいて車両の実加速度を算出するための手段と、予測加速度と実加速度との差に基づいて走行抵抗を算出するための手段とを含む。第9の発明に係る車両の制御方法は、第3の発明に係る車両の制御装置と同様の構成を有する。
【0012】
第3の発明によると、エンジンの回転数と出力の増加要求の程度(たとえば、スロットル開度)とに基づいてエンジンにおいて発生するトルクを予測することができる。そのため、発生するトルクより車両に作用する駆動力を算出して、車両の加速度を予測することができる。一方、車両の速度の時間変化量に基づいて車両の実加速度を算出することができる。したがって、予測加速度と実加速度との差が走行抵抗に起因した減少分であるため、この減少分を算出することにより走行抵抗を精度高く取得することができる。また、車両が旋回しているか否かを判定するために別途新たな部品を設ける必要がないため、部品点数の増加によるコストの上昇を抑制することができる。
【0013】
第4の発明に係る車両の制御装置においては、第1〜3のいずれかの発明の構成に加えて、車両には、自動変速機が搭載される。制御手段は、判定手段による判定結果に基づいて自動変速機を制御する。第10の発明に係る車両の制御方法は、第4の発明に係る車両の制御装置と同様の構成を有する。
【0014】
第4の発明によると、車両が旋回中であるか否かを走行抵抗と車輪速差とに基づいて精度高く判定することができるため、判定結果に基づいて自動変速機を制御することにより(たとえば、旋回中の変速制限)、車両の挙動を適切に制御することができる。
【0015】
第5の発明に係る車両の制御装置においては、第1〜4のいずれかの発明の構成に加えて、車両には、電動サスペンションが搭載される。制御手段は、判定手段による判定結果に基づいて電動サスペンションを制御する。第11の発明に係る車両の制御方法は、第5の発明に係る車両の制御装置と同様の構成を有する。
【0016】
第5の発明によると、車両が旋回中であるか否かを走行抵抗と車輪速差とに基づいて精度高く判定することができるため、判定結果に基づいて電動サスペンションを制御することにより(たとえば、旋回中のロール制御)、車両の挙動を適切に制御することができる。
【0017】
第6の発明に係る車両の制御装置においては、第1〜5のいずれかの発明の構成に加えて、判定手段は、算出された走行抵抗が第1の値よりも小さい予め定められた第4の値以下であって、走行抵抗の時間変化量が第2の値よりも小さい予め定められた第5の値以下であって、かつ、車輪速差の絶対値の時間変化量が第3の値よりも小さい予め定められた第6の値以下である場合に、車両が直進中であることを判定する。第12の発明に係る車両の制御方法は、第6の発明に係る車両の制御装置と同様の構成を有する。
【0018】
第6の発明によると、車両が直進中であるか否かの判定を第1の値よりも小さい第4の値、第2の値よりも小さい第5の値および第3の値よりも小さい第6の値を用いることにより、車両の挙動に応じて旋回中であるとの判定結果と直進中であるとの判定結果とが頻繁に入れ替わることが抑制される。そのため、車両の挙動を適切に制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
【0020】
図1の本実施の形態に係る車両の上面図に示すように、車両10は、左前側の車輪20と、右前側の車輪22と、左後側の車輪24と、右後側の車輪26と、ステアリングホイール30とを含む。本実施の形態において車両10は、後輪駆動車であるとして説明するが特に後輪駆動車に限定されるものではなく、前輪駆動車であってもよいし、4輪駆動車であってもよいものとする。
【0021】
また、車両10は、エンジンのみを動力源とする車両であってもよいし、エンジンと回転電機とを動力源とするハイブリッド車両であってもよいし、回転電機のみを動力源とする電気自動車であってもよいものとする。
【0022】
運転者がステアリングホイール30を見て時計回りにステアリングホイール30を回転させると、左前側の車輪20と、右前側の車輪22とは、車両10の進行方向に対して右側に操舵される。これにより、車両10は、右方向に旋回を開始する。
【0023】
一方、運転者がステアリングホイール30を見て反時計回りにステアリングホイール30を回転させると、左前側の車輪20と、右前側の車輪22とは、車両10の進行方向に対して左側に操舵される。これにより、車両10は、左方向に旋回を開始する。
【0024】
図2に示すように、本実施の形態に係る車両は、ECU(Electronic Control Unit)100と、自動変速機150と、エンジン152と、スロットル開度センサ102と、エンジン回転数センサ104と、車輪速センサ(L)106と、車輪速センサ(R)108とをさらに含む。
【0025】
ECU100は、CPU(Central Processing Unit)とメモリ110とを含む。メモリ110には、各種情報、プログラム、しきい値、マップ等が記憶され、必要に応じてCPUによってデータが読み出されたり、格納されたりする。
【0026】
エンジン152は、車両の動力源であって、ガソリンエンジンであってもよいし、ディーゼルエンジンであってもよい。
【0027】
自動変速機150は、有段式の自動変速機であってもよいし、変速比を連続的に変更する無段式の自動変速機であってもよい。
【0028】
電動サスペンション250は、たとえば、ECU100の制御信号に基づいて、油圧あるいは電動のアクチュエータにより、各車輪20,22,24,26におけるサスペンションの減衰力を独立して変更する。電動サスペンション250は、ECU100により、車両の旋回中の車体のロール量が減少するように各車輪20,22,24,26におけるサスペンションの減衰力が適切に制御される。
【0029】
スロットル開度センサ102は、エンジン152の電子スロットル154のスロットルバルブの開度(以下、単にスロットル開度と記載する)を検出する。スロットル開度センサ102は、検出したスロットル開度を示す信号(スロットル開度信号)をECU100に送信する。なお、スロットル開度センサ102に代えてアクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセルポジションセンサを用いてもよい。
【0030】
エンジン回転数センサ104は、エンジン152の出力軸の回転数(以下、エンジン回転数と記載する)を検出する。エンジン回転数センサ104は、検出したエンジン回転数を示す信号(エンジン回転数信号)をECU100に送信する。
【0031】
車輪速センサ(L)106は、左前の車輪20の回転速度を検出する。車輪速センサ(L)106は、検出した車輪20の回転速度を示す信号(車輪速信号(1))をECU100に送信する。なお、車輪速センサ(L)106は、好ましくは従動輪である車輪20の回転速度を検出することが望ましいが、車輪20に代えて左後の車輪24の回転速度を検出するようにしてもよい。
【0032】
なお、本実施の形態においては、ECU100は、車輪速センサ(L)106から車輪20または24の回転速度を受信して、受信した回転速度をその後の処理に用いるとして説明するが、車輪20および24においてそれぞれ検出された回転速度の平均値を算出し、算出された平均値をその後の演算処理に用いるようにしてもよい。
【0033】
車輪速センサ(R)108は、右前の車輪22の回転速度を検出する。車輪速センサ(R)108は、検出した車輪22の回転速度示す信号(車輪速信号(2))をECU100に送信する。なお、車輪速センサ(R)108は、好ましくは従動輪である車輪22の回転速度を検出することが望ましいが、車輪22に代えて右後の車輪26の回転速度を検出するようにしてもよい。
【0034】
なお、本実施の形態においては、ECU100は、車輪速センサ(R)108から車輪22または26の回転速度を受信して、受信した回転速度をその後の処理に用いるとして説明するが、車輪22および26においてそれぞれ検出された回転速度の平均値を算出し、算出された平均値をその後の演算処理に用いるようにしてもよい。
【0035】
以上のような構成を有する車両においては、車両の挙動を制御する際に、車両が旋回中であるか否かについて精度よく判定する必要がある。しかしながら、車両が旋回中であるか否かを判定するためには、たとえば、ナビゲーションや操舵角センサなどの部品を別途設ける必要がある。そのため、コストが上昇する場合がある。
【0036】
そこで、本発明は、ECU100が、走行抵抗に関連した車両の走行状態に基づいて走行抵抗を算出して、算出された走行抵抗に基づいて走行抵抗の時間変化量を算出して、左右の車輪20,22の車輪速差の絶対値の時間変化量を算出して、走行抵抗が予め定められた値A以上であって、走行抵抗の時間変化量が予め定められた値B以上であって、かつ、左右の車輪20,22の車輪速差の絶対値の時間変化量が予め定められた値C以上である場合に、車両が旋回中であることを判定する点に特徴を有する。
【0037】
なお、本実施の形態において「走行抵抗」とは、車両が走行する際に進行方向の反対方向に作用する力を示す。走行抵抗は、たとえば、空気抵抗と、勾配抵抗と、車輪20,22,24,26におけるタイヤのころがり抵抗と、車輪20,22,24,26が回転する際の車両10に設けられる軸受部における摩擦抵抗とを含む。
【0038】
ECU100は、エンジン回転数とスロットル開度とに基づいて車両の予測加速度を算出する。また、ECU100は、車両の速度を示す、車輪20,22,24,26のうちのいずれかの車輪速に基づいて車両の実加速度を算出する。さらに、ECU100は、予測加速度と実加速度との差に基づいて走行抵抗を算出する。なお、車輪速は、車輪20,22,24,26のうちの少なくとも2つの回転速度の平均値であってもよく、たとえば、従動輪の回転速度の平均値であってもよい。あるいは、自動変速機150の出力軸回転数に基づいて車両の速度を算出して、算出された車両の速度に基づいて車両の実加速度を算出するようにしてもよい。
【0039】
また、ECU100は、旋回中であるか否かの判定結果に基づいて車両を制御する。本実施の形態において、ECU100は、旋回中であるか否かの判定結果に基づいて自動変速機150または電動サスペンション250を制御する。
【0040】
図3に、本実施の形態に係る車両の制御装置であるECU100の機能ブロック図を示す。
【0041】
ECU100は、走行抵抗算出部200と、走行抵抗変化量算出部202と、車輪速差変化量算出部204と、旋回判定部206と、車両制御部208とを含む。
【0042】
走行抵抗算出部200は、スロットル開度センサ102からのスロットル開度信号と、エンジン回転数センサ104から受信するエンジン回転数信号と、車輪速センサ(L)106からの車輪速信号(1)と、車輪速センサ(R)108からの車輪速信号(2)とに基づいて走行抵抗を算出する。
【0043】
具体的には、走行抵抗算出部200は、スロットル開度、エンジン回転数および図4に示すエンジン回転数とスロットル開度とエンジントルクとの関係を示すマップに基づいて車両の予測加速度を算出する。
【0044】
走行抵抗算出部200は、たとえば、スロットル開度がA%であって、エンジン回転数がNE(0)とすると、図4に示す実線のエンジン回転数NE(0)に対応するエンジントルクTe(0)を、エンジン回転数とスロットル開度とに基づいてエンジン152が発現するエンジントルクを特定する。走行抵抗算出部200は、特定されたエンジントルクに基づいて予測される車両の加速度、すなわち、予測加速度を算出する。
【0045】
走行抵抗算出部400は、車輪速信号(1)と車輪速信号(2)とのうちの少なくともいずれか一方に基づいて車両の実加速度を算出する。走行抵抗算出部400は、車輪20,22のうちのいずれか一方の車輪速に基づいて実加速度を算出するようにしてもよいし、車輪20の車輪速および車輪22の車輪速の平均値に基づいて実加速度を算出するようにしてもよい。
【0046】
走行抵抗算出部400は、予測加速度と実加速度との差に基づいて走行抵抗を算出する。なお、走行抵抗算出部400は、予測加速度と実加速度との差と車重とに基づいて実走行抵抗を算出して、算出された実走行抵抗を「走行抵抗」としてその後の演算処理に用いてもよいし、予測加速度と実加速度との差を「走行抵抗」としてその後の演算処理に用いるようにしてもよい。なお、走行抵抗算出部400は、算出された走行抵抗をメモリ110に記憶して、次回の走行抵抗変化量算出部202における演算処理に用いる。
【0047】
走行抵抗変化量算出部202は、算出された走行抵抗に基づいて走行抵抗の時間変化量を算出する。具体的には、走行抵抗変化量算出部202は、算出された走行抵抗の微分値を算出するようにしてもよいし、前回の計算時に走行抵抗算出部200において算出された走行抵抗(1)と今回の計算時に走行抵抗算出部200において算出された走行抵抗(2)との差分を計算のサイクル時間で除算して算出するようにしてもよい。
【0048】
車輪速差変化量算出部204は、車輪速信号(1)および車輪速信号(2)に基づい左右車輪速差の絶対値の時間変化量を算出する。具体的には、車輪速差変化量算出部204は、車輪20,22の車輪速差の絶対値を算出する。車輪速差変化量算出部204は、前回の計算時に算出された車輪速差の絶対値から今回の計算時に算出された車輪速差の絶対値を減算して、減算した値を計算のサイクル時間で除算することにより、左右の車輪速差の絶対値の時間変化量を算出する。なお、車輪速差変化量算出部204は、算出された左右の車輪速差の絶対値の時間変化量をメモリ110に記憶して次回の車輪速差変化量算出部204における演算処理に用いる。
【0049】
旋回判定部206は、走行抵抗、走行抵抗の時間変化量および左右の車輪速差の絶対値の時間変化量に基づいて車両が旋回中であるか否かを判定する。また、旋回判定部206は、走行抵抗、走行抵抗の時間変化量および左右の車輪速差の絶対値の時間変化量に基づいて車両が直進中であるか否かを判定する。
【0050】
具体的には、旋回判定部206は、走行抵抗が予め定められた値A以上であって、走行抵抗の時間変化量が予め定められた値B以上であって、かつ、左右の車輪速差の絶対値の時間変化量が予め定められた値C以上である場合に、車両が旋回中であると判定する。予め定められた値A、BおよびCは、実験等に適合される値であって、特に限定されるものではない。
【0051】
また、旋回判定部206は、走行抵抗が予め定められた値D以下であって、走行抵抗の時間変化量が予め定められた値E以下であって、かつ、左右の車輪速差の絶対値の時間変化量が予め定められた値F以下である場合、車両が直進中であると判定する。予め定められた値Dは、予め定められた値Aよりも小さい値であれば、特に限定されるものではない。また、予め定められた値Eは、予め定められた値Bよりも小さい値であれば、特に限定されるものではない。さらに、予め定められた値Fは、予め定められた値Cよりも小さい値であれば特に限定されるものではない。予め定められた値D、EおよびFは、予め定められた値A、BおよびCとの関係において、車両が旋回中であるという判定と車両が直進中であるという判定とが頻繁に入れ替わらないように設定される。
【0052】
また、旋回判定部206は、車両が旋回中であることを判定すると旋回判定フラグをオンし、旋回判定部206は、車両が直進中であることを判定すると旋回判定フラグをオフする。なお、旋回判定フラグは、オフを初期状態とする。
【0053】
車両制御部208は、旋回判定部206における判定結果に基づいて車両を制御する。車両制御部208は、たとえば、旋回判定フラグの状態に基づいて車両を制御する。本実施の形態において、車両制御部208は、旋回判定部206における判定結果に基づいて自動変速機150および電動サスペンション250のうちの少なくともいずれか一方を制御する。
【0054】
本実施の形態において、車両制御部208は、たとえば、車両が旋回中であると判定する場合にアップシフト側および/またはダウンシフト側の変速段への変速を制限するように自動変速機150を制御する。また、車両制御部208は、車両が直進中であると判定する場合に変速の制限を解除するように自動変速機150を制御する。
【0055】
あるいは、車両制御部208は、たとえば、車両が旋回中であると判定する場合に電動サスペンション250において、車両のロール量が減少するように車輪20,22,24,26におけるサスペンションの減衰力を制御する。また、車両制御部208は、車両が直進中であると判定する場合に車輪20,22,24,26のサスペンションの減衰力を初期値に戻すように制御する。なお、電動サスペンションの具体的な制御態様については、周知の技術であるため、その詳細な説明は行なわない。
【0056】
なお、車両制御部208は、車両の旋回時と直進時とで制御態様が異なる装置を制御するものであればよく、特に自動変速機150および電動サスペンション250に限定されるものではない。車両制御部208は、たとえば、車両の旋回時にシートベルトの保持力を増加し、直進時にシートベルトの保持力を初期値に戻すようにシートベルトユニットを制御するようにしてもよいし、車両の旋回時に、ヘッドライトの照射方向を車両の旋回方向側に変更し、車両の直進時に、ヘッドライトの照射方向を進行方向に戻すようにヘッドライトユニットを制御するようにしてもよい。
【0057】
また、本実施の形態において、走行抵抗算出部200と、走行抵抗変化量算出部202と、車輪速差変化量算出部204と、旋回判定部206と、車両制御部208とは、いずれもECU100のCPUがメモリ110に記憶されたプログラムを実行することにより実現される、ソフトウェアとして機能するものとして説明するが、ハードウェアにより実現されるようにしてもよい。なお、このようなプログラムは記憶媒体に記録されて車両に搭載される。
【0058】
図5を参照して、本実施の形態に係る車両の制御装置であるECU100で実行されるプログラムの制御構造について説明する。
【0059】
ステップ(以下、ステップをSと記載する)100にて、ECU100は、車両が旋回中であるか否かを判定する。具体的には、ECU100は、旋回判定フラグがオンであれば、車両が旋回中であると判定し、旋回判定フラグがオフであれば、車両が旋回中ではないことを判定する。車両が旋回中であることが判定されると(S100にてYES)、処理はS102に移される。もしそうでないと(S100にてNO)、処理はS110に移される。
【0060】
S102にて、ECU100は、走行抵抗が予め定められた値D以下であって、かつ、走行抵抗の時間変化量が予め定められた値E以下であるか否かを判定する。走行抵抗が予め定められた値D以下であって、かつ、走行抵抗の時間変化量が予め定められた値E以下であると(S102にてYES)、処理はS104に移される。もしそうでないと(S102にてNO)、処理はS108に移される。
【0061】
S104にて、ECU100は、左右の車輪速差の絶対値の時間変化量が予め定められた値F以下であるか否かを判定する。左右の車輪速差の絶対値の時間変化量が予め定められた値F以下であると(S104にてYES)、処理はS106に移される。もしそうでないと(S104にてNO)、処理はS108に移される。
【0062】
S106にて、ECU100は、車両が直進走行していることを判定する。ECU100は、旋回判定フラグをオンからオフに変更する。S108にて、ECU100は、車両が継続して旋回していることを判定する。すなわち、ECU100は、旋回判定フラグのオン状態を維持する。
【0063】
S110にて、ECU100は、走行抵抗が予め定められた値A以上であって、かつ、走行抵抗の時間変化量が予め定められた値B以上であるか否かを判定する。走行抵抗が予め定められた値A以上であって、かつ、走行抵抗の時間変化量が予め定められた値B以上であると(S110にてYES)、処理はS112に移される。もしそうでないと(S110にてNO)、この処理は終了する。
【0064】
S112にて、ECU100は、左右の車輪速差の絶対値の時間変化量が予め定められた値C以上であるか否かを判定する。左右の車輪速差の絶対値の時間変化量が予め定められた値C以上であると(S112にてYES)、処理はS114に移される。もしそうでないと(S112にてNO)、この処理は終了する。
【0065】
S114にて、ECU100は、車両が旋回中であることを判定する。すなわち、ECU100は、旋回判定フラグをオフからオンに変更する。S116にて、ECU100は、車両が継続して直進していることを判定する。すなわち、ECU100は、旋回判定フラグのオフ状態を維持する。
【0066】
S118にて、ECU100は、旋回判定フラグの状態に応じて自動変速機150および電動サスペンション250のうちの少なくともいずれか一方を制御する。
【0067】
以上のような構造およびフローチャートに基づく本実施の形態に係る車両の制御装置であるECU100の動作について図6を用いて説明する。
【0068】
たとえば、車両が緩やかに加速しながら直進している際に右旋回を開始する場合を想定する。図6に示すように、運転者が動作を行なう期間としては、時間T(2)までのステアリング右切り増し期間と、時間T(2)から時間T(3)までのステアリング保持期間と、時間T(3)から時間T(4)までのステアリング戻し期間と、時間T(5)以降のパーシャル期間とを含む。
【0069】
車両の直進中においては、車輪速差は同一となるため、車輪速差の絶対値の時間変化量は、ゼロである。また、車両の加速時においては、空気抵抗、勾配抵抗、タイヤのころがり抵抗および軸受部の摩擦抵抗等の走行抵抗を受けるため、走行抵抗はR(0)となる。
【0070】
このような場合に、乗車する運転者がステアリングホイール30を右旋回方向に回転すると、左前側の車輪20および右前側の車輪22は、車両の直進方向に対して右側に操舵される。車輪20,22が操舵されると、車輪20,22が操舵される方向に車輪20,22のタイヤがスリップしていくことにより車両が旋回を開始することとなる。右旋回中においては、旋回中心側に位置する右前の車輪22の回転速度は、左前の車輪20の回転速度よりも小さいため、ステアリングホイール30の右旋回方向への操舵量が増加するほど、左右の車輪速差は拡大していくこととなる。
【0071】
タイヤにスリップが発生することにより走行抵抗はR(0)から増加していく。走行抵抗の増加により走行抵抗の時間変化量も増加していく。
【0072】
時間T(0)にて、旋回判定フラグがオフであって(S100にてNO)、走行抵抗の時間変化量が予め定められた値B以上になっても、走行抵抗が予め定められた値Aよりも小さいと(S102にてNO)、車両が継続して直進していることが判定される(S116)。そのため,車両が直進中であることに対応して自動変速機150または電動サスペンション250が制御される(S118)。
【0073】
時間T(1)にて、旋回判定フラグがオフであって(S100にてNO)、走行抵抗の時間変化量が予め定められた値B以上であって、かつ、走行抵抗が予め定められた値A以上である場合に(S110にてYES)、左右の車輪速差の絶対値の時間変化量が予め定められた値C以上になると(S112にてYES)、車両が旋回中であることが判定される(S114)。このとき、旋回判定フラグがオンされることとなる。そのため、車両が旋回中であることに対応して自動変速機150または電動サスペンション250が制御される(S118)。
【0074】
時間T(2)から時間T(3)までの期間(ステアリング保持期間)にて、運転者がステアリングホイール30を右旋回方向の操舵量を保持すると、走行抵抗は、略一定の状態となり、走行抵抗の時間変化量は、走行抵抗の増加が緩やかになるとともに減少していく。左右の車輪速差は、操舵量が保持されるため、略一定の状態となる。
【0075】
このとき、旋回判定フラグがオンであって(S100にてYES)、車両の走行抵抗は予め定められた値Dよりも大きく、または、走行抵抗の時間変化量は、予め定められた値Eよりも大きいため(S102にてNO)、車両が継続して旋回していることが判定される(S108)。そのため、車両が旋回中であることに対応して自動変速機150または電動サスペンション250が制御される(S118)。
【0076】
時間T(3)以降において、運転者がステアリングホイール30を戻し始めると、車輪20,22のスリップが解消されるため、走行抵抗は減少を開始する。そのため、走行抵抗の時間変化量は、負側に減少する。また、車両の操舵量は減少するため、車輪速差も減少を開始する。したがって、車輪速差の絶対値の時間変化量は負側に減少する。
【0077】
時間T(4)にて、走行抵抗が予め定められた値D以下であって、かつ、走行抵抗の時間変化量が予め定められた値E以下であって(S102にてYES)、左右の車輪速差の絶対値の時間変化量が予め定められた値F以下であると(S104にてYES)、車両が直進中であることが判定される(S106)。このとき、旋回判定フラグがオフされることとなる。そのため、車両が直進中であることに対応して自動変速機150または電動サスペンション250が制御される(S118)。
【0078】
時間T(5)にて、運転者がステアリングホイール30を車両の直進に対応する操舵量に戻すと、旋回判定フラグがオフであって(S100にてNO)、走行抵抗は予め定められた値Aよりも低いR(0)となる(S110にてNO)。そのため、車両が継続して直進していることが判定されるため(S116)、車両が直進中であることに対応して自動変速機150または電動サスペンション250が制御される(S118)。
【0079】
なお、車両が左旋回する場合も右旋回の場合と同様の判定および制御が行なわれる。そのため、その詳細な説明は繰返さない。また、車両が右旋回か左旋回かについては、たとえば、左右の車輪速差の値の符号に基づいて判定するようにしてもよいし、あるいは、たとえば、右側の車輪の回転速度が左側の回転速度よりも大きいと左旋回であると判定し、左側の車輪の回転速度が右側の回転速度よりも大きいと右旋回であると判定するようにしてもよい。
【0080】
以上のようにして、本実施の形態に係る車両の制御装置によると、走行抵抗が予め定められた値A以上であって、走行抵抗の時間変化量が予め定められた値B以上であって、かつ、車輪速差の絶対値の時間変化量が予め定められた値C以上である場合、走行抵抗は増加傾向にあり、かつ、左右の車輪速における回転速度差が拡大しつつあることから、車両が旋回中であることを判定することができる。そのため、たとえば、車輪速のみで車両が旋回中であるか否かを判定する場合と比較して、車輪にスリップが生じた場合においても判定の精度が悪化することを抑制することができる。すなわち、車両が旋回中であるか否かを精度高く判定することができる。そのため、車両が旋回中であるか否かの判定結果に基づいて車両を制御することにより、車両の挙動を精度高く制御することができる。また、走行抵抗は、実加速度と予測加速度との差により算出することができるため、車両が旋回しているか否かを判定をするために別途新たな部品を設ける必要がない。その結果、部品点数の増加によるコストの上昇を抑制することができる。したがって、コストの上昇を抑制しつつ、車両が旋回中であるか否かを判定して、車両の挙動を精度高く制御する車両の制御装置および制御方法を提供することができる。
【0081】
また、エンジンの回転数と出力上昇の要求の程度(たとえば、スロットル開度)とに基づいてエンジンにおいて発生するトルクを予測することができる。そのため、発生するトルクより車両に作用する駆動力を算出して、車両の加速度を予測することができる。一方、車両の速度の時間変化量に基づいて車両の実加速度を算出することができる。したがって、予測加速度と実加速度との差が走行抵抗に起因した減少分であるため、この減少分を算出することにより走行抵抗を精度高く取得することができる。
【0082】
さらに、車両が旋回中であるか否かの判定結果に基づいて自動変速機または電動サスペンションを制御することにより(たとえば、旋回中の変速制限制御またはロール量の低減制御)、車両の挙動を適切に制御することができる。
【0083】
そして、車両が直進中であるか否かの判定を予め定められた値Aよりも小さい予め定められた値D、予め定められた値Bよりも小さい予め定められた値Eおよび予め定められた値Cよりも小さい予め定められた値Fを用いることにより、車両の挙動に応じて旋回中であるとの判定結果と直進中であるとの判定結果とが頻繁に入れ替わることが抑制される。そのため、車両の挙動を適切に制御することができる。
【0084】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本実施の形態における車両の上面図である。
【図2】本実施の形態における車両の概略構成図である。
【図3】本実施の形態に係る車両の制御装置であるECUの機能ブロック図である。
【図4】エンジンのトルクと回転数とスロットル開度との関係を示す図である。
【図5】本実施の形態に係る車両の制御装置であるECUで実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図6】本実施の形態に係る車両の制御装置であるECUの動作を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0086】
10 車両、20,22,24,26 車輪、30 ステアリングホイール、100 ECU、102 スロットル開度センサ、104 エンジン回転数センサ、110 メモリ、150 自動変速機、152 エンジン、154 電子スロットル、200 走行抵抗算出部、202 走行抵抗変化量算出部、204 車輪速差変化量算出部、206 旋回判定部、208 車両制御部、250 電動サスペンション。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の制御装置であって、前記車両は、左右の車輪を有し、
前記車両が走行する際に進行方向の反対方向に作用する走行抵抗を算出するための走行抵抗算出手段と、
前記算出された走行抵抗に基づいて前記走行抵抗の時間変化量を算出するための手段と、
前記左右の車輪の車輪速に基づいて前記左右の車輪の車輪速差の絶対値の時間変化量を算出するための手段と、
前記走行抵抗が予め定められた第1の値以上であって、前記走行抵抗の時間変化量が予め定められた第2の値以上であって、かつ、前記車輪速差の絶対値の時間変化量が予め定められた第3の値以上である場合に、前記車両が旋回中であることを判定するための判定手段と、
前記判定手段による判定結果に基づいて前記車両を制御するための制御手段とを含む、車両の制御装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記走行抵抗に関連した車両の走行状態を検出するための状態検出手段をさらに含み、
前記走行抵抗算出手段は、前記検出された走行状態に基づいて前記走行抵抗を算出する、請求項1に記載の車両の制御装置。
【請求項3】
前記車両には、エンジンが搭載され、
前記状態検出手段は、
前記エンジンの回転数を検出するための手段と、
前記エンジンの出力の増加要求の程度を検出するため手段と、
前記車両の速度を検出するための手段とを含み、
前記走行抵抗算出手段は、
前記回転数と前記増加要求の程度とに基づいて前記車両の予測加速度を算出するための手段と、
前記車両の速度に基づいて前記車両の実加速度を算出するための手段と、
前記予測加速度と前記実加速度との差に基づいて前記走行抵抗を算出するための手段とを含む、請求項1または2に記載の車両の制御装置。
【請求項4】
前記車両には、自動変速機が搭載され、
前記制御手段は、前記判定手段による判定結果に基づいて前記自動変速機を制御する、請求項1〜3のいずれかに記載の車両の制御装置。
【請求項5】
前記車両には、電動サスペンションが搭載され、
前記制御手段は、前記判定手段による判定結果に基づいて前記電動サスペンションを制御する、請求項1〜4のいずれかに記載の車両の制御装置。
【請求項6】
前記判定手段は、前記算出された走行抵抗が前記第1の値よりも小さい予め定められた第4の値以下であって、前記走行抵抗の時間変化量が前記第2の値よりも小さい予め定められた第5の値以下であって、かつ、前記車輪速差の絶対値の時間変化量が前記第3の値よりも小さい予め定められた第6の値以下である場合に、前記車両が直進中であることを判定する、請求項1〜5のいずれかに記載の車両の制御装置。
【請求項7】
車両の制御方法であって、前記車両は、左右の車輪を有し、
前記車両が走行する際に進行方向の反対方向に作用する走行抵抗を算出する走行抵抗算出ステップと、
前記算出された走行抵抗に基づいて前記走行抵抗の時間変化量を算出するステップと、
前記左右の車輪速に基づいて前記左右の車輪の車輪速差の絶対値の時間変化量を算出するステップと、
前記走行抵抗が予め定められた第1の値以上であって、前記走行抵抗の時間変化量が予め定められた第2の値以上であって、かつ、前記車輪速差の絶対値の時間変化量が予め定められた第3の値以上である場合に、前記車両が旋回中であることを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにおける判定結果に基づいて前記車両を制御する制御ステップとを含む、車両の制御方法。
【請求項8】
前記制御方法は、前記走行抵抗に関連した車両の走行状態を検出する状態検出ステップをさらに含み、
前記走行抵抗算出ステップは、前記検出された走行状態に基づいて前記走行抵抗を算出する、請求項7に記載の車両の制御方法。
【請求項9】
前記車両には、エンジンが搭載され、
前記状態検出ステップは、
前記エンジンの回転数を検出するステップと、
前記エンジンの出力の増加要求の程度を検出するステップと、
前記車両の速度を検出するステップとを含み、
前記走行抵抗算出ステップは、
前記回転数と前記増加要求の程度とに基づいて前記車両の予測加速度を算出するステップと、
前記車両の速度に基づいて前記車両の実加速度を算出するステップと、
前記予測加速度と前記実加速度との差に基づいて前記走行抵抗を算出するステップとを含む、請求項7または8に記載の車両の制御方法。
【請求項10】
前記車両には、自動変速機が搭載され、
前記制御ステップは、前記判定ステップにおける判定結果に基づいて前記自動変速機を制御する、請求項7〜9のいずれかに記載の車両の制御方法。
【請求項11】
前記車両には、電動サスペンションが搭載され、
前記制御ステップは、前記判定ステップにおける判定結果に基づいて前記電動サスペンションを制御する、請求項7〜10のいずれかに記載の車両の制御方法。
【請求項12】
前記判定ステップは、前記算出された走行抵抗が前記第1の値よりも小さい予め定められた第4の値以下であって、前記走行抵抗の時間変化量が前記第2の値よりも小さい予め定められた第5の値以下であって、かつ、前記車輪速差の絶対値の時間変化量が前記第3の値よりも小さい予め定められた第6の値以下である場合に、前記車両が直進中であることを判定する、請求項7〜11のいずれかに記載の車両の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−23803(P2010−23803A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−191103(P2008−191103)
【出願日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】