説明

車両の車体フレーム構造

【課題】 車両の車体フレーム構造を改良することで、車両の軽量化、コスト低減を図ることにある。
【解決手段】 車輪を少なくとも四輪備えた車両10の車体フレーム11をフロントフレーム12、センタフレーム13及びリヤフレーム14に分割し、これらのフロントフレーム12、センタフレーム13及びリヤフレーム14をそれぞれ組み立てた状態にして連結する車両10の車体フレーム構造において、フロントフレーム12に、前輪16を懸架するとともに、この前輪16を操舵する操舵部材としてのステアリングシャフト17、ハンドル18を備え、センタフレーム13に、エンジン22を搭載するとともに、乗員が足を載せる床部32を備え、リヤフレーム14で、後輪27を懸架する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の車体フレーム構造の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の車両の車体フレーム構造として、車体フレームを前後に3分割したものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平1−168584号公報
【0003】
特許文献1を以下に説明する。なお、符号については同公報に記載されているものを使用した。
車体フレーム100は、同公報の第1図及び第2図に示される通り、フロントフレーム20、メインフレーム10及びシートレール30に分割される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、乗員が足を乗せる床部を、センタに設けられたメインフレーム10におけるロワチューブ12の下部に設ける場合、床部には最大で乗員数分の重量が作用するため、補強が必要になる場合があり、車両重量の増加、コストの増加を招くことがある。
【0005】
しかしながら、従来のものは、メインフレーム10にてスイングアーム7をも支持しているものであり、メインフレーム10だけに荷重が集中し、メインフレーム10が過大に重量増、コストの増加につながってしまう可能性があった。
【0006】
本発明の目的は、車両の車体フレーム構造を改良することで、車両の軽量化、コスト低減を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、車輪を少なくとも四輪備えた車両の車体フレームをフロントフレーム、センタフレーム及びリヤフレームに分割し、これらのフロントフレーム、センタフレーム及びリヤフレームをそれぞれ組み立てた状態にして連結する車両の車体フレーム構造において、フロントフレームに、前輪を懸架するとともに、この前輪を操舵する操舵部材を備え、センタフレームに、エンジンを搭載するとともに、乗員が足を載せる床部を備え、リヤフレームで、後輪を懸架することを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、上記の構成において、好ましくは、リヤフレームを、センタフレームに着脱自在に取付け、フロントフレームとセンタフレームとを、溶接接合したことを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、上記の構成において、好ましくは、センタフレームに乗員が着座するシートを支持するシート支持部を備え、床部をシート支持部の前方に設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明では、センタフレームに、エンジンを搭載するとともに床部を備えるので、重量のあるエンジンを搭載するために剛性を高くしたセンタフレームに床部を設けるため、床部を設けるための特別な補強材の必要がない。更に、後輪をリヤフレームにて懸架しているので、センタフレームが過大に重量増になることもないので、車両の軽量化、コスト低減を図ることができる。
【0011】
請求項2に係る発明では、リヤフレームをセンタフレームに着脱自在に取付けたので、リヤフレームの修理、交換等のメンテナンス性を向上させることができる。また、後輪の懸架方式を変えたり、リヤフレームを仕様の異なるもの、例えば、後輪をクローラー式のタイプなどに容易に変更することができ、車両の使い勝手を向上させることができる。
【0012】
請求項3に係る発明では、センタフレームに乗員が着座するシートを支持するシート支持部を備え、床部をシート支持部の前方に設けたので、剛性の高いセンタフレームでシートに着座した乗員をも支持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る車体フレーム構造構造を採用した車両の側面図であり、車両10は、車体フレーム11をフロントフレーム12、センタフレーム13及びリヤフレーム14から構成し、フロントフレーム12に左右の前輪16を懸架する前輪用サスペンション(不図示)を取付けるとともに前輪16を操舵する操舵部材(ステアリングシャフト17、このステアリングシャフト17の上端に取付けたハンドル18等)を備え、センタフレーム13にパワーユニット21(エンジン22及びこのエンジン22に一体的に取付けた変速機23からなる。)、燃料タンク24、左右のシート25,26(手前側の符号25のみ示す。)を取付け、リヤフレーム14に左右の後輪27を懸架する後輪用サスペンション(不図示)を取付けるとともに傾斜可能とした荷台28を取付けた不整地走行車両である。
【0014】
センタフレーム13は、乗員が乗降する際に足を掛ける左右一対のステップ31,31(手前側の符号31のみ示す。)と、このステップ31よりも一段高くした床部32とを備え、この床部32に、シート25,26に着座した乗員が足を載せる。なお、36はフロントフレーム12とセンタフレーム13とに取付けたロールバーである。
【0015】
図2は本発明に係る車両の平面図であり、車両10のセンタフレーム13にシートフレーム41を取付け、このシートフレーム41でシート25,26を支持し、これらのシート24,25の下方であって車両前後方向に延ばした左右一対のロアサイドフレーム42,42の間にパワーユニット21を配置し、このパワーユニット21の前方で且つシート25,26の下方に車幅方向に延びるように燃料タンク24を配置したことを示す。
【0016】
図3は本発明に係る車体フレーム及びステップフレームを示す斜視図である。
車体フレーム11のフロントフレーム12は、ロアサイドフレーム42,42の前端に取付けたフロント第1クロスメンバ51と、このフロント第1クロスメンバ51から前方に延ばした左右一対のフロントロアサイドフレーム52,52と、これらのフロントロアサイドフレーム52,52から立ち上げた左右一対の断面コ字状のフロント第1起立フレーム53,53及び左右一対のかぎ針形状としたフロント第2起立フレーム54,54と、これらのフロント第1起立フレーム53及びフロント第2起立フレーム54のそれぞれの先端に連結した左右一対のフロント中間フレーム56,56と、左右のフロント第1起立フレーム53,53に渡して取付けたフロント第2クロスメンバ57と、左右のフロント第2起立フレーム54,54間に渡して取付けたフロント第3クロスメンバ58及びフロント第4クロスメンバ59と、左右のフロント中間フレーム56,56間に渡して取付けたフロント第5クロスメンバ62と、これらのフロント第3クロスメンバ58及びフロント第5クロスメンバ62のそれぞれの間に渡して取付けた連結フレーム63,63とからなる。
【0017】
フロントロアサイドフレーム52は、フロントロアブラケット66を取付けた部材であり、このフロントロアブラケット66と前述のフロント第1起立フレーム53の下部とで前輪用サスペンションを構成するロアアーム68,68を支持する。
【0018】
また、フロント中間フレーム56は、フロントアッパブラケット67を取付けた部材であり、このフロントアッパブラケット67と前述のフロント第1起立フレーム53の上部とで、前輪用サスペンションを構成するアッパアーム69,69を支持する。
【0019】
センタフレーム13は、左右一対のロアサイドフレーム42,42と、これらのロアサイドフレーム42,42のそれぞれの後部から立ち上げた左右一対のセンタ起立フレーム71,71と、これらのロアサイドフレーム42及びセンタ起立フレーム71のそれぞれに渡して取付けた左右一対の屈曲フレーム72,72と、屈曲フレーム72及びフロント第2起立フレーム54のそれぞれに渡して取付けた左右一対のサブフレーム73,73と、これらのサブフレーム73,73の後部から立ち上げたシート支持ポスト74,74と、これらのシート支持ポスト74,74の上端に取付けたシート支持バー76と、左右のサブフレーム73,73に渡して取付けたセンタ第1クロスメンバ77と、左右のロアサイドフレーム42,42に渡して取付けたセンタ第2クロスメンバ78と、左右のセンタ起立フレーム71,71に渡して取付けたセンタ第3クロスメンバ81と、センタ起立フレーム71,71のそれぞれの後部に取付けた左右一対の連結フレーム82,82と、リヤフレーム14にセンタフレーム13を着脱可能に連結するために連結フレーム82に取付けた左右一対の連結ブラケット83,83と、これらの連結ブラケット83,83に渡して取付けたセンタ第4クロスメンバ84,84とからなる。
シート支持バー76は、左右の屈曲フレーム72,72と共に、図2に示したシートフレーム41を介してシート25,26を支持する部材である。
【0020】
ロアサイドフレーム42,42及びサブフレーム73,73は、ステップ31(図1参照)及び床部32(図1参照)を支持する左右一対のステップフレーム90,90を取付けた部材である。
【0021】
ステップフレーム90は、ロアサイドフレーム42から車両側方へ延ばしたロア第1サイドフレーム91、ロア第2サイドフレーム92及びロア第3サイドフレーム93と、これらのロア第1サイドフレーム91、ロア第2サイドフレーム92、ロア第3サイドフレーム93のそれぞれの先端に取付けたコ字状のサイドコ字フレーム94と、ロア第3サイドフレーム93の中間部から立ちあげたサイド起立フレーム96と、サブフレーム73から車両側方へ延ばしそして車両後方へ延ばすとともに先端をサイド起立フレーム96に連結したL字状のアッパサイドL字フレーム97と、サブフレーム73から車両側方へ延ばすとともに先端をアッパサイドL字フレーム97に連結したアッパサイドフレーム98と、ロア第1サイドフレーム91及びアッパサイドL字フレーム97のそれぞれに渡して取付けた第1支柱101,101と、ロア第2サイドフレーム92及びアッパサイドフレーム98のそれぞれに渡して取付けた第2支柱102,102とからなる。
【0022】
ロア第1サイドフレーム91、ロア第2サイドフレーム92、ロア第3サイドフレーム93及びサイドコ字フレーム94は、前述のステップ31を載せるステップ支持フレーム103を構成する部材である。
サブフレーム73,73、アッパサイドL字フレーム97,97、アッパサイドフレーム98,98は前述の床部32を載せる床部支持フレーム104を構成する部材である。
【0023】
リヤフレーム14は、連結フレーム82,82に連結ブラケット83,83を介して取付けた左右一対のリヤアッパフレーム111,111及び左右一対のリヤロアフレーム112,112と、リヤアッパフレーム111及びリヤロアフレーム112のそれぞれに傾斜させて取付けた左右一対のリヤ傾斜フレーム113,113と、リヤアッパフレーム111及びリヤロアフレーム112のそれぞれの後端部に渡して取付けた左右一対のリヤ起立フレーム114,114と、左右のリヤ傾斜フレーム113,113に渡して取付けたリヤ中間第1クロスメンバ115と、これらのリヤ傾斜フレーム113及びリヤ起立フレーム114に渡して取付けた左右一対のリヤ中間フレーム116,116と、左右のリヤアッパフレーム111,111に渡して取付けたリヤアッパクロスメンバ117と、左右のリヤロアフレーム112,112に渡して取付けたリヤロア第1クロスメンバ118及びリヤロア第2クロスメンバ121と、左右のリヤ起立フレーム114,114に渡して取付けたリヤ中間第2クロスメンバ122とからなる。
【0024】
リヤロアフレーム112は、リヤロアブラケット126,127を取付けた部材であり、これらのリヤロアブラケット126,127で後輪用サスペンションを構成するロアアーム124,124を支持する。
【0025】
リヤ中間フレーム116は、リヤアッパブラケット131,132を取付けた部材であり、これらのリヤアッパブラケット131,132で後輪用サスペンションを構成するアッパアーム125,125を支持する。
【0026】
図4は本発明に係る車体フレームの要部を示す平面図であり、左右のステップ31,31及び床部32を斜線を施して示す。
ステップ31は、車幅方向ではアッパサイドL字フレーム97よりも外側でサイドコ字フレーム94までの範囲で、車両前後方向ではサイドコ字フレーム94の前後長の範囲の部分であり、ステップ31の後端31aはシート25,26よりも後方に位置する。
【0027】
床部32は、車幅方向では左右のアッパサイドL字フレーム97を含め、これらの内側の範囲であり、車両前後方向では燃料タンク24よりも車両前方で、フロントフレーム12(図1参照)のフロント第2起立フレーム54(図1参照)より車両後方に位置する図示せぬダッシュボードとの境界を前端とする範囲の部分である。燃料タンク24が中央で車両前方へ膨出しているために、床部32の後縁32aは、前方に突出しているが、シート25,26間なので、特に乗員の足元が狭くなる心配はない。
【0028】
図5は本発明に係るステップ及び床部を示す斜視図であり、センタフレーム13及びステップフレーム90にステップ31及び床部32を設けたことを示す。
このように、ステップ31と、このステップ31よりも一段高い床部32とを設けたことで、床部32に直接に上がるよりも、ステップ31に足を掛けて床部32に上がった方が、乗降はより楽になる。
【0029】
更に、高い床部32によって、床部32の下方で且つロアサイドフレーム42よりも上方(即ち、サブフレーム73とロアサイドフレーム42との間にほぼ相当する。)に、ハーネス、補機類、小物、ツール等を収納可能な空間135を形成することができる。
【0030】
図6は本発明に係る車体フレームを分割した状態を示す側面図であり、車体フレーム11のフロントフレーム12とセンタフレーム13とは、フロント第1クロスメンバ51とロアサイドフレーム42の先端との接合箇所、及びフロント第2起立フレーム54とサブフレーム73の先端との接合箇所で分割でき、センタフレーム13とリヤフレーム14とは、連結フレーム82とリヤアッパフレーム111、リヤロアフレーム112との連結箇所で分割できる。
【0031】
このように、車体フレーム11を、フロントフレーム12、センタフレーム13、リヤフレーム14に分割する分割構造としておけば、それぞれのフレーム12,13,14は小型・軽量になり、運搬、保管がし易く、また、予め、各フレーム12,13,14を組み立てておき、フロントフレーム12とセンタフレーム13とを接合し、センタフレーム13とリヤフレーム14とをボルト及びナットで連結すれば、車体フレーム11の全体の組立が容易になり、生産性を向上させることができる。
【0032】
図7は本発明に係るセンタフレームとリヤフレームとの連結部を示す第1斜視図であり、連結ブラケット83をインナブラケット141とアウタブラケット142とから構成し、連結フレーム82とリヤアッパフレーム111、リヤロアフレーム112とをこれらのインナブラケット141とアウタブラケット142とで挟み込み、図示せぬボルト及びナットで連結フレーム82とインナブラケット141、アウタブラケット142とを締結し、図示せぬボルト及びナットでインナブラケット141、アウタブラケット142とリヤアッパフレーム111、リヤロアフレーム112とを締結したことを示す。なお、145はリヤアッパフレーム111の後部側面に取付けたリヤブラケットであり、このリヤブラケット145で後輪用サスペンションを構成するリヤクッションユニットの上端を支持する。(図3ではリヤブラケット145は省略した。)
【0033】
図8は本発明に係るセンタフレームとリヤフレームとの連結部を示す第2斜視図であり、センタフレーム13からリヤフレーム14(図7参照)を取外し、アウタブラケット142(図7参照)も取外した状態を示す。インナブラケット141は、板材をプレス成形した部材であり、アウタブラケット142も同様である。連結フレーム82は、センタ起立フレーム71の後部に取付けた矩形断面の中空部材である。
【0034】
以上に述べたセンタフレーム13とリヤフレーム14との連結要領を次に説明する。
図9(a)〜(c)は本発明に係るセンタフレームとリヤフレームとの連結要領を示す作用図である。
(a)において、連結フレーム82にボルト挿通穴151を開けておき、左右の連結フレーム82,82の内側にセンタ第4クロスメンバ84で連結した左右のインナブラケット141,141を矢印で示すように挿入し、連結フレーム82,82の外側面にそれぞれアウタブラケット142を矢印で示すように当てる。
【0035】
(b)において、車両側方からボルト152をアウタブラケット142に開けたボルト挿通穴、連結フレーム82のボルト挿通穴151、インナブラケット141に開けたボルト挿通穴に順に通し、ボルト152の先端にナット153をねじ込む。
【0036】
(c)において、ボルト挿通穴155を開けておいたリヤアッパフレーム111(及びリヤロアフレーム112)をインナブラケット141とアウタブラケット142との間に挿入し、車両側方からボルト156をアウタブラケット142に開けたボルト挿通穴、リヤアッパフレーム111(及びリヤロアフレーム112)のボルト挿通穴155、インナブラケット141に開けたボルト挿通穴に順に通し、ボルト156の先端にナット157をねじ込む。これで、センタフレーム13へのリヤフレーム14の連結が完了する。
【0037】
図10は本発明に係る車両のロールバーを示す斜視図であり、ロールバー36は、センタフレーム13(図3参照)の後部から立ち上げるリヤパイプ161と、フロントフレーム12(図3参照)から上方斜め後方に立ち上げるフロントパイプ162と、これらのリヤパイプ161及びフロントパイプ162に渡すコ字状のトップパイプ163とからなる。
【0038】
リヤパイプ161は、センタ起立フレーム71,71(図3参照)に取付けるロアパイプ165と、このロアパイプ165の上端に取付けるアッパパイプ166とからなる。
ロアパイプ165は左右に設けたL字状パイプ167,168と、これらのL字状パイプ167,168に渡して取付けたV字状パイプ171とからり、センタ起立フレーム71,71に取付ける取付部165a,165bと、アッパパイプ166に取付ける取付部165c,165dとを備える。
【0039】
アッパパイプ166は、コ字状パイプ173と、このコ字状パイプ173の左右に渡して取付けたV字状パイプ174とからなり、ロアパイプ165の取付部165c,165dに取付ける取付部166a,166bと、トップパイプ163に取付ける取付部166c,166dとを備える。
【0040】
フロントパイプ162は、直線状の左パイプ176及び右パイプ177からなり、左パイプ176は、フロント第2起立フレーム54(図3参照)に取付ける取付部162aと、トップパイプ163に取付ける取付部162bとを備え、右パイプ177は、フロント第2起立フレーム54に取付ける取付部162cと、トップパイプ163に取付ける取付部162dとを備える。
【0041】
トップパイプ163は、コ字の各端部に、アッパイプ166の取付部166c,166dに取付ける取付部163a,163bを備え、コ字の各角部に、フロントパイプ162の取付部162b,162dに取付ける取付部163c,163dを備える。
以上に示した各取付部同士は、ボルト及びナットで締結する。
【0042】
以上の図1、図4及び図5で説明したように、本発明は第1に、車輪(前輪16、後輪27)を少なくとも四輪備えた車両10の車体フレーム11をフロントフレーム12、センタフレーム13及びリヤフレーム14に分割し、これらのフロントフレーム12、センタフレーム13及びリヤフレーム14をそれぞれ組み立てた状態にして連結する車両10の車体フレーム構造において、フロントフレーム12に、前輪16を懸架するとともに、この前輪16を操舵する操舵部材としてのステアリングシャフト17、ハンドル18を備え、センタフレーム13に、エンジン22を搭載するとともに、乗員が足を載せる床部32を備え、リヤフレーム14で、後輪27を懸架することを特徴とする。
【0043】
センタフレーム13に、エンジン22を搭載するとともに床部32を備えるので、重量のあるエンジン22を搭載するために剛性を高くしたセンタフレーム13に床部32を設けるため、床部32を設けるための特別な補強材が必要なく、車両10の軽量化、コスト低減を図ることができる。
【0044】
また、フロントフレーム12、センタフレーム13及びリヤフレーム14のそれぞれが小さくなり、運搬や保管等を容易に行うことができる。更に、フロントフレーム12、センタフレーム13及びリヤフレーム14のそれぞれに必要な部品を組み付けてから、3つのフレーム12,13,14を連結することが可能になり、組付性を向上させることができる。
【0045】
本発明は第2に、図6及び図7で説明したように、上記の構成において、好ましくは、リヤフレーム14を、センタフレーム13に着脱自在に取付け、ロントフレーム12とセンタフレーム13とを、溶接接合したことを特徴とする。
【0046】
リヤフレーム14をセンタフレーム13に着脱自在に取付けたので、リヤフレーム14の修理、交換等のメンテナンス性を向上させることができる。また、リヤフレーム14を仕様の異なるものに容易に変更することができ、車両10(図1参照)の使い勝手を向上させることができる。
【0047】
本発明は第3に、図1及び図2に示したように、上記の構成において、好ましくは、センタフレーム13に乗員が着座するシート25,26を支持するシート支持部としてのシートフレーム41を備え、床部32をシートフレーム41の前方に設けたことを特徴とする。
【0048】
センタフレーム13にシートフレーム41を備え、床部32をシートフレーム41の前方に設けたので、剛性の高いセンタフレーム13でシート25,26に着座した乗員をも支持することができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の車体フレーム構造は、四輪車に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に係る車体フレーム構造を採用した車両の側面図である。
【図2】本発明に係る車両の平面図である。
【図3】本発明に係る車体フレーム及びステップフレームを示す斜視図である。
【図4】本発明に係る車体フレームの要部を示す平面図である。
【図5】本発明に係るステップ及び床部を示す斜視図である。
【図6】本発明に係る車体フレームを分割した状態を示す側面図である。
【図7】本発明に係るセンタフレームとリヤフレームとの連結部を示す第1斜視図である。
【図8】本発明に係るセンタフレームとリヤフレームとの連結部を示す第2斜視図である。
【図9】本発明に係るセンタフレームとリヤフレームとの連結要領を示す作用図である。
【図10】本発明に係る車両のロールバーを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0051】
10…車両、11…車体フレーム、12…フロントフレーム、13…センタフレーム、14…リヤフレーム、16,27…車輪(前輪、後輪)、17,18…操舵部材(ステアリングシャフト、ハンドル)、22…エンジン、25,26…シート、32…床部、41…シート支持部(シートフレーム)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪を少なくとも四輪備えた車両の車体フレームをフロントフレーム、センタフレーム及びリヤフレームに分割し、これらのフロントフレーム、センタフレーム及びリヤフレームをそれぞれ組み立てた状態にして連結する車両の車体フレーム構造において、
前記フロントフレームは、前輪を懸架するとともに、この前輪を操舵する操舵部材を備え、
前記センタフレームは、エンジンを搭載するとともに、乗員が足を載せる床部を備え、
前記リヤフレームは、後輪を懸架することを特徴とする車両の車体フレーム構造。
【請求項2】
前記リヤフレームは、前記センタフレームに着脱自在に取付けられ、前記フロントフレームとセンタフレームとは、溶接接合されることを特徴とする請求項1記載の車両の車体フレーム構造。
【請求項3】
前記センタフレームは、乗員が着座するシートを支持するシート支持部を備え、前記床部は、シート支持部の前方に設けられることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両の車体フレーム構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−103370(P2006−103370A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−289150(P2004−289150)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】