説明

車両の駆動装置

【課題】電動機の駆動や回生が不要な場合に電動機の連れ回りを防止でき、且つ、発進時の応答性を向上させることが可能な駆動装置を提供する。
【解決手段】遊星歯車式減速機12Aのリングギヤ24Aと遊星歯車式減速機12Bのリングギヤ24Bとに対し一方向の動力のみを伝達し他方向の動力を遮断する一方向クラッチ50が配置される。一方向クラッチ50はインナーレース51とアウターレース52とを備える。遊星歯車式減速機12Aのリングギヤ24Aと遊星歯車式減速機12Bのリングギヤ24Bとを、一方向クラッチ50のインナーレース51に結合させることによって一体回転可能に構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の駆動装置として、車両左右の車軸を差動装置に連結するとともに、一方の車軸の外周に同軸に配置した電動機によって減速機構を経由して差動装置に駆動力を伝達するようにしたものが案出されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この駆動装置100は、図14に示すように、車軸駆動用の電動機102と、この電動機102の駆動回転を減速する遊星歯車式減速機112と、この遊星歯車式減速機112の出力を車両左右の車軸110A、110Bに分配する差動装置113と、を備え、差動装置113に連結された一方の車軸110Bの外周側に、遊星歯車式減速機112と電動機102が同軸に配置されている。また、遊星歯車式減速機112のサンギヤ121とプラネタリキャリア123を、電動機102のロータ115と差動装置113のディファレンシャルケース131に夫々接続するとともに、遊星歯車式減速機112のリングギヤ124を、車体固定の減速機ケース111内に回転可能に収容し、リングギヤ124と減速機ケース111の間に、リングギヤ124と減速機ケース111を係合してリングギヤ124に制動力を付与する油圧ブレーキ128を設けることが記載されている。
【0004】
そして、油圧ブレーキ128によってリングギヤ124に制動力を付与すると、リングギヤ124が減速機ケース111に固定され、電動機102のロータ115からサンギヤ121に入力された駆動力は遊星歯車式減速機112で設定減速比に減速されて差動装置113のディファレンシャルケース131に伝達される。ディファレンシャルケース131に伝達された駆動力は差動装置113によって車両左右の車軸110A、110Bに分配される。また、油圧ブレーキ128からの制動力の付与が遮断されると、リングギヤ124が減速機ケース111に対して自由に回転するようになる。したがって、例えば、車軸110A、110Bの回転速度が電動機102の駆動要求よりも速い状況下において油圧ブレーキ128による制動力付与が遮断されると、車軸110A、110B側の余剰回転に応じてリングギヤ124が減速機ケース111内で空転し、車軸110A、110B側の回転が電動機102側に入力されなくなる。これにより、電動機102の駆動や回生が不要な場合、油圧ブレーキ128による制動力付与を遮断することにより電動機102の連れ回りを防止し燃費の向上を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−264647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の駆動装置100では、電動機102を駆動や回生する場合にはリングギヤ124に制動力を付与するため常に油圧ポンプを作動させて油圧をかけておく必要があった。また、特に低温時の車両の始動直後の発進時においては、油温が低いためオイルの粘性抵抗が大きく、油圧ブレーキ128の応答性を向上させることができないという問題があった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、電動機の駆動や回生が不要な場合に電動機の連れ回りを防止でき、且つ、発進時の応答性を向上させることが可能な駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、
第1及び第2の電動機(例えば、後述の実施形態の電動機2A、2B)を車軸駆動用の駆動源とする駆動装置(例えば、後述の実施形態の駆動装置1)であって、
前記第1及び第2の電動機の駆動回転を減速する第1及び第2の減速機(例えば、後述の実施形態の遊星歯車式減速機12A、12B)を備え、
前記第1及び第2の減速機は、第1の回転要素(例えば、後述の実施形態のサンギヤ21A、21B)と、第2の回転要素(例えば、後述の実施形態のプラネタリキャリア23A、23B)と、第3の回転要素(例えば、後述の実施形態のリングギヤ24A、24B)と、を備え、
前記第1の減速機の前記第3の回転要素と前記第2の減速機の前記第3の回転要素とに対し、一方向の動力のみを伝達し他方向の動力を遮断する一方向動力断接手段(例えば、後述の実施形態の一方向クラッチ50)が配置され、
前記一方向動力断接手段はインナーレース(例えば、後述の実施形態のインナーレース51)とアウターレース(例えば、後述の実施形態のアウターレース52)とを備え、
前記第1の減速機の前記第3の回転要素と前記第2の減速機の前記第3の回転要素とを、前記インナーレースに結合させることによって一体回転可能に構成することを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加えて、
前記第1減速機の前記第3回転要素と前記第2減速機の前記第3回転要素とは、前記インナーレースにスプライン結合されることを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の構成に加えて、
前記第1及び第2減速機は遊星歯車式減速機であって、前記第1の回転要素はサンギヤで、前記第2の回転要素はプラネタリキャリアで、前記第3の回転要素はリングギヤで構成され、
前記第1及び第2の遊星歯車式減速機の前記サンギヤに前記第1及び第2の電動機の出力軸(例えば、後述の実施形態の円筒軸16A、16B)が連結され、
前記第1及び第2の遊星歯車式減速機の前記プラネタリキャリアに前記車軸が連結され、
前記第1及び第2の遊星歯車式減速機の前記リングギヤに前記一方向断接手段が接続されることを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の構成に加えて、
前記第1及び第2の遊星歯車式減速機の前記リングギヤは、前記第1及び第2の遊星歯車式減速機の前記プラネタリキャリアに支持されて前記サンギヤと噛合するプラネタリギヤ(例えば、後述の実施形態のプラネタリギヤ22A、22B)と噛合するギヤ部(例えば、後述の実施形態のギヤ部28A、28B)より小径の小径部(例えば、後述の実施形態の小径部29A、29B)を備え、
前記第1遊星歯車式減速機の前記リングギヤの前記小径部と前記第2遊星歯車式減速機の前記リングギヤの前記小径部とは、対向配置され、前記インナーレースと一体回転するように構成され、
前記第1及び第2遊星歯車式減速機の前記リングギヤの前記小径部の径方向外側に前記インナーレースが配置されることを特徴とする。
【0012】
また、請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載の構成に加えて、
前記プラネタリキャリアが支持するプラネタリギヤ(例えば、後述の実施形態のプラネタリギヤ22A、22B)は、大径の第1ピニオン(例えば、後述の実施形態の第1ピニオン26A、26B)と前記第1ピニオンよりも小径の第2ピニオン(例えば、後述の実施形態の第2ピニオン27A、27B)を有する2連ピニオンで形成され、
前記第1ピニオンは前記サンギヤと噛合し、前記第2ピニオンは前記リングギヤと噛合することを特徴とする。
【0013】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の構成に加えて、
前記第1の減速機の前記第3の回転要素と前記第2の減速機の前記第3の回転要素とに対し双方向動力断接手段(例えば、後述の実施形態の油圧ブレーキ60A、60B)が配置されることを特徴とする。
【0014】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の構成に加えて、
前記駆動装置は車両(例えば、後述の実施形態の車両3)に用いられ、
前記一方向動力断接手段は、前記第1及び第2の電動機の駆動回転により前記車両が前進する際に係合して、前記第1及び第2の減速機の前記第3回転要素の回転をロックするように構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電動機が駆動して車両が前進走行する場合に動力を伝達可能に一方向動力伝達手段を配設することにより、車両発進時には油圧を用いずに一方向伝達手段が係合することで動力が伝達されるので車両発進時の応答性を向上させることができる。
さらに、左右両輪にそれぞれ減速機と電動機が配置されるので、左右両輪を独立に制御して操縦安定(旋回)性を向上させることができる。また、1つの電動機と2つの摩擦材で旋回性を向上させる場合と比べて、摩擦材のすべり制御に伴う発熱による損失を抑制することができ、例えばハイブリッド車両に搭載する場合に最適な仕様とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る駆動装置を適用可能な車両の一実施形態であるハイブリッド車両の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る駆動装置の縦断面図である。
【図3】図2に示す駆動装置の部分拡大図である。
【図4】本発明に係る駆動装置がフレームに搭載された状態を示す斜視図である。
【図5】車両の停車中における駆動装置の共線図である。
【図6】駆動装置がドライブ側となって前進走行する場合の駆動装置の共線図である。
【図7】駆動装置がコースト側となって前進走行する場合であって電動機が停止する場合の駆動装置の共線図である。
【図8】駆動装置がコースト側となって前進走行する場合であって電動機が回生する場合の駆動装置の共線図である。
【図9】駆動装置がドライブ側となって後進走行する場合の駆動装置の共線図である。
【図10】駆動装置がコースト側となって後進走行する場合の駆動装置の共線図である。
【図11】車両の走行状態における電動機の状態と切離機構の状態を示した図である。
【図12】駆動装置の電動機の駆動力特性図である。
【図13】変形例に係る駆動装置を適用可能な車両の一実施形態であるハイブリッド車両の概略構成を示すブロック図である。
【図14】特許文献1に記載の駆動装置の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の一実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。
本発明にかかる駆動装置1は、電動機2A、2Bを車軸駆動用の駆動源とするものであり、例えば、図1に示すような駆動システムの車両3に用いられる。
図1に示す車両3は、内燃機関4と電動機5が直列に接続された駆動ユニット6を車両前部に有するハイブリッド車両であり、この駆動ユニット6の動力がトランスミッション7を介して前輪Wfに伝達される一方で、この駆動ユニット6と別に車両後部に設けられた本発明に係る駆動装置1の動力が後輪Wr(RWr、LWr)に伝達されるようになっている。駆動ユニット6の電動機5と後輪Wr側の駆動装置1の電動機2A、2Bは、PDU8(パワードライブユニット)を介してバッテリ9に接続され、バッテリ9からの電力供給と、バッテリ9へのエネルギー回生がPDU8を介して行われるようになっている。
【0018】
図2は、駆動装置1の全体の縦断面図を示すものであり、同図において、10A、10Bは、車両の後輪Wr側の左右の車軸であり、車幅方向に同軸上に配置されている。駆動装置1の減速機ケース11は全体が略円筒状に形成され、その内部には、車軸駆動用の電動機2A、2Bと、この電動機2A、2Bの駆動回転を減速する遊星歯車式減速機12A、12Bとが、車軸10A、10Bと同軸上に配置されている。この電動機2A及び遊星歯車式減速機12Aは左後輪LWrを制御し、電動機2B及び遊星歯車式減速機12Bは右後輪RWrを制御し、電動機2A及び遊星歯車式減速機12Aと電動機2B及び遊星歯車式減速機12Bは、減速機ケース11内で車幅方向に左右対称に配置されている。そして、減速機ケース11は、図4に示すように、車両3の骨格となるフレームの一部であるフレーム部材13の支持部13a、13bと、不図示の駆動装置1のフレームで支持されている。支持部13a、13bは、車幅方向でフレーム部材13の中心に対し左右に設けられている。なお、図4中の矢印は、駆動装置1が車両に搭載された状態における位置関係を示している。
【0019】
減速機ケース11の左右両端側内部には、それぞれ電動機2A、2Bのステータ14A、14Bが固定され、このステータ14A、14Bの内周側に環状のロータ15A、15Bが回転可能に配置されている。ロータ15A、15Bの内周部には車軸10A、10Bの外周を囲繞する円筒軸16A、16Bが結合され、この円筒軸16A、16Bが車軸10A、10Bと同軸で相対回転可能となるように減速機ケース11の端部壁17A、17Bと中間壁18A、18Bに軸受19A、19Bを介して支持されている。また、円筒軸16A、16Bの一端側の外周であって減速機ケース11の端部壁17A、17Bには、ロータ15A、15Bの回転位置情報を電動機2A、2Bの制御コントローラ(図示せず)にフィードバックするためのレゾルバ20A、20Bが設けられている。
【0020】
また、遊星歯車式減速機12A、12Bは、サンギヤ21A、21Bと、このサンギヤ21に噛合される複数のプラネタリギヤ22A、22Bと、これらのプラネタリギヤ22A、22Bを支持するプラネタリキャリア23A、23Bと、プラネタリギヤ22A、22Bの外周側に噛合されるリングギヤ24A、24Bと、を備え、サンギヤ21A、21Bから電動機2A、2Bの駆動力が入力され、減速された駆動力がプラネタリキャリア23A、23Bを通して出力されるようになっている。
【0021】
サンギヤ21A、21Bは円筒軸16A、16Bに一体に形成されている。また、プラネタリギヤ22A、22Bは、例えば図3に示すように、サンギヤ21A、21Bに直接噛合される大径の第1ピニオン26A、26Bと、この第1ピニオン26A、26Bよりも小径の第2ピニオン27A、27Bを有する2連ピニオンであり、これらの第1ピニオン26A、26Bと第2ピニオン27A、27Bが同軸にかつ軸方向にオフセットした状態で一体に形成されている。このプラネタリギヤ22A、22Bはプラネタリキャリア23A、23Bに支持され、プラネタリキャリア23A、23Bは、軸方向内側端部が径方向内側に伸びて車軸10A、10Bにスプライン嵌合され一体回転可能に支持されるとともに、軸受33A、33Bを介して中間壁18A、18Bに支持されている。
【0022】
なお、中間壁18A、18Bは電動機2A、2Bを収容する電動機収容空間と遊星歯車式減速機12A、12Bを収容する減速機空間とを隔て、外径側から内径側に互いの軸方向間隔が広がるように屈曲して構成されている。そして、中間壁18A、18Bの内径側、且つ、遊星歯車式減速機12A、12B側にはプラネタリギヤ22A、22Bを支持する軸受33A、33Bが配置されるとともに中間壁18A、18Bの外径側、且つ、電動機2A、2B側にはステータ14A、14B用のバスリング41A、41Bが配置されている(図2参照)。
【0023】
リングギヤ24A、24Bは、その内周面が小径の第2ピニオン27A、27Bに噛合されるギヤ部28A、28Bと、ギヤ部28A、28Bより小径で減速機ケース11の中間位置で互いに対向配置される小径部29A、29Bと、ギヤ部28A、28Bの軸方向内側端部と小径部29A、29Bの軸方向外側端部を径方向に連結する連結部30A、30Bとを備えて構成されている。この実施形態の場合、リングギヤ24A、24Bの最大半径は、第1ピニオン26A、26Bの車軸10A、10Bの中心からの最大距離よりも小さくなるように設定されている。小径部29A、29Bは、それぞれ後述する一方向クラッチ50のインナーレース51とスプライン嵌合し、リングギヤ24A、24Bは一方向クラッチ50のインナーレース51と一体回転するように構成されている。
【0024】
ところで、減速機ケース11とリングギヤ24A、24Bの間には円筒状の空間部が確保され、その空間部内に、リングギヤ24A、24Bに対する制動手段を構成する油圧ブレーキ60A、60Bが第1ピニオン26A、26Bと径方向でラップし、第2ピニオン27A、27Bと軸方向でラップして配置されている。油圧ブレーキ60A、60Bは、減速機ケース11の内径側で軸方向に伸びる筒状の外径側支持部34の内周面にスプライン嵌合された複数の固定プレート35A、35Bと、リングギヤ24A、24Bの外周面にスプライン嵌合された複数の回転プレート36A、36Bが軸方向に交互に配置され、これらのプレート35A、35B,36A、36Bが環状のピストン37A、37Bによって係合及び開放操作されるようになっている。ピストン37A、37Bは、ハウジング11の中間位置から内径側に延設された左右分割壁39と、左右分割壁39によって連結された外径側支持部34と内径側支持部40間に形成された環状のシリンダ室38A、38Bに進退自在に収容されており、シリンダ室38A、38Bへの高圧オイルの導入によってピストン37A、37Bを前進させ、シリンダ室38A、38Bからオイルを排出することによってピストン37A、37Bを後退させる。なお、油圧ブレーキ60A、60Bは図4に示すように、前述したフレーム部材13の支持部13a、13b間に配置されたオイルポンプ70に接続されている。
【0025】
また、さらに詳細には、ピストン37A、37Bは、軸方向前後に第1ピストン壁63A、63Bと第2ピストン壁64A、64Bを有し、これらのピストン壁63A、63B,64A、64Bが円筒状の内周壁65A、65Bによって連結されている。したがって、第1ピストン壁63A、63Bと第2ピストン壁64A、64Bの間には径方向外側に開口する環状空間が形成されているが、この環状空間は、シリンダ室38A、38Bの外壁内周面に固定された仕切部材66A、66Bによって軸方向前後に仕切られている。減速機ケース11の左右分割壁39と第2ピストン壁64A、64Bの間は高圧オイルが直接導入される第1作動室とされ、仕切部材66A、66Bと第1ピストン壁63A、63Bの間は、内周壁65A、65Bに形成された貫通孔を通して第1作動室と導通する第2作動室とされている。第2ピストン壁64A、64Bと仕切部材66A、66Bの間は大気圧に導通している。
この油圧ブレーキ60A、60Bでは、第1作動室と第2作動室に高圧オイルが導入され、第1ピストン壁63A、63Bと第2ピストン壁64A、64Bに作用するオイルの圧力によって固定プレート35A、35Bと回転プレート36A、36Bを相互に押し付けが可能である。したがって、軸方向前後の第1,第2ピストン壁63A、63B,64A、64Bによって大きな受圧面積を稼ぐことができるため、ピストン37A、37Bの径方向の面積を抑えたまま固定プレート35A、35Bと回転プレート36A、36Bに対する大きな押し付け力を得ることができる。
【0026】
この油圧ブレーキ60A、60Bの場合、固定プレート35A、35Bが減速機ケース11から伸びる外径側支持部34に支持される一方で、回転プレート36A、36Bがリングギヤ24A、24Bに支持されているため、両プレート35A、35B,36A、36Bがピストン37A、37Bによって押し付けられると、両プレート35A、35B,36A、36B間の摩擦係合によってリングギヤ24A、24Bに制動力が作用し固定され、その状態からピストン37A、37Bによる係合が開放されると、リングギヤ24A、24Bの自由な回転が許容される。
【0027】
また、軸方向で対向するリングギヤ24A、24Bの連結部30A、30B間にも空間部が確保され、その空間部内に、リングギヤ24A、24Bに対し一方向の動力のみを伝達し他方向の動力を遮断する一方向クラッチ50が配置されている。一方向クラッチ50は、インナーレース51とアウターレース52との間に多数のスプラグ53を介在させたものであって、そのインナーレース51がスプライン嵌合によりリングギヤ24A、24Bの小径部29A、29Bと一体回転するように構成されている。またアウターレース52は、内径側支持部40により位置決めされるとともに、回り止めされている。一方向クラッチ50は、車両が前進する際に係合してリングギヤ24A、24Bの回転をロックするように構成されている。より具体的に、一方向クラッチ50は、リングギヤ24A、24Bに作用するトルクの作用方向によってリングギヤ24A、24Bをロック又は切り離すように構成されており、車両が前進する際のサンギヤ21A、21Bの回転方向を正転方向とするとリングギヤ24A、24Bに逆転方向のトルクが作用する場合にリングギヤ24A、24Bの回転をロックする。
【0028】
次に、このように構成された駆動装置1の制御について説明する。なお、図5〜図10は各状態における共線図を表わし、左側のS、Cはそれぞれ電動機2Aに連結された遊星歯車式減速機12Aのサンギヤ21A、車軸10Aに連結されたプラネタリキャリア23A、右側のS、Cはそれぞれ電動機2Bに連結された遊星歯車式減速機12Bのサンギヤ21B、車軸10Bに連結されたプラネタリキャリア23B、Rはリングギヤ24A、24B、BRKは油圧ブレーキ60A、60B、OWCは一方向クラッチ50を表わす。以下の説明において前進時のサンギヤ21A、21Bの回転方向を正転方向とする。また、図中、停車中の状態から上方が正転方向の回転、下方が逆転方向の回転であり、矢印は、上方が正転方向のトルクを表し、下方が逆転方向のトルクを表す。
【0029】
図5は、車両の停車中における共線図である。このとき、電動機2A、2Bは停止するとともに車軸10A、10Bは停止しているため、いずれの要素にもトルクは作用していない。
【0030】
図6は、車両が駆動装置1の電動機2A、2Bのモータトルクにより前進走行する場合、即ち駆動装置1がドライブ側となって車両が前進する場合における共線図である。電動機2A、2Bを駆動すると、サンギヤ21A、21Bには正転方向のトルクが付加される。このとき、前述したように一方向クラッチ50によりリングギヤ24A、24Bはロックされて、逆転方向に回転しようとするリングギヤ24A、24Bに正転方向のロックトルクが付加される。これによりプラネタリキャリア23A、23Bは正転方向に回転し前進走行がなされる。なお、プラネタリキャリア23A、23Bには車軸10A、10Bからの走行抵抗が逆転方向に作用する。このように車両の走行時には、イグニッションをONにして電動機2A、2Bのトルクをあげることで、一方向クラッチ50が機械的に係合してリングギヤ24A、24Bがロックされるので、油圧ブレーキ60A、60Bを作動するオイルポンプ70を作動させずに車両を発進することができる。これにより、車両発進時の応答性を向上させることができる。
【0031】
図7は、車両が駆動ユニット6により前進走行している、又は他の車両等に前進方向に牽引されている状態で電動機2A、2Bを停止する場合、即ち駆動装置1がコースト側で且つ電動機2A、2Bが停止する場合における共線図である。図6の状態から電動機2A、2Bを停止すると、プラネタリキャリア23A、23Bには車軸10A、10Bから前進走行を続けようとする正転方向のトルクが作用するので、リングギヤ24A、24Bには逆転方向のトルクが作用し一方向クラッチ50が開放される。従って、リングギヤ24A、24Bはプラネタリキャリア23A、23Bより早い速度で空転する。これにより、電動機2A、2Bで回生する必要がない場合に、油圧ブレーキ60A、60Bによりリングギヤ24A、24Bを固定しなければ、電動機2A、2Bは停止し、電動機2A、2Bの連れ回りを防止することができる。なお、このとき、電動機2A、2Bには正転方向のコギングトルクが作用し、コギングトルクとリングギヤ24A、24Bのフリクションと釣り合う合計トルク分は車軸10A、10Bの車軸ロスとなる。
【0032】
図8は、車両が駆動ユニット6により前進走行し、かつアクセルオフでの自然減速状態や、ブレーキにて制動減速している状態において、電動機2A、2Bにより回生する場合、即ち駆動装置1がコースト側で且つ電動機2A、2Bが回生する場合における共線図である。図6の状態から電動機2A、2Bを回生すると、プラネタリキャリア23A、23Bには車軸10A、10Bから前進走行を続けようとする正転方向のトルクが作用するので、リングギヤ24A、24Bには逆転方向のトルクが作用し一方向クラッチ50が開放される。このとき、油圧ブレーキ60A、60Bを係合してリングギヤ24A、24Bに逆転方向のロックトルクを付加することにより、リングギヤ24A、24Bは固定されるとともに電動機2A、2Bには逆転方向の回生トルクが作用する。これにより、電動機2A、2Bで回生充電することができる。
【0033】
図9は、車両が駆動装置1の電動機2A、2Bのモータトルクにより後進走行する場合、即ち1がドライブ側となって後進する場合における共線図である。電動機2A、2Bを逆転方向に駆動すると、サンギヤ21A、21Bには逆転方向のトルクが付加される。このとき、リングギヤ24A、24Bには正転方向のトルクが作用し一方向クラッチ50が開放される。このとき、油圧ブレーキ60A、60Bを係合してリングギヤ24A、24Bに逆転方向のロックトルクを付加することにより、リングギヤ24A、24Bは固定されるとともにプラネタリキャリア23A、23Bは逆転方向に回転し後進走行がなされる。なお、プラネタリキャリア23A、23Bには車軸10A、10Bからの走行抵抗が正転方向に作用している。
【0034】
図10は、車両が駆動ユニット6により後進走行している場合、又は他の車両等に後進方向に牽引されている状態、即ち後進走行において駆動装置1がコースト側における共線図である。このとき、プラネタリキャリア23A、23Bには車軸10A、10Bから後進走行を続けようとする逆転方向のトルクが作用するので、一方向クラッチ50によりリングギヤ24A、24Bはロックされて逆転方向に回転しようとするリングギヤ24A、24Bに正転方向のロックトルクが付加されるとともに、電動機2A、2Bには正転方向の逆起電力が発生する。
【0035】
図11は、車両の走行状態における電動機2A、2Bの状態と切離機構(一方向クラッチ50と油圧ブレーキ60A、60B)の状態を示した図である。なお、フロントとは前輪Wfを駆動する駆動ユニット6、リアとは後輪Wrを駆動する駆動装置1を表わし、○が作動(駆動、回生含む)、×が非作動(停止)を意味する。また、MOT状態とは、駆動装置1の電動機2A、2Bの状態を意味する。さらにOWCは一方向クラッチ50を意味し、ブレーキは油圧ブレーキ60A、60Bを意味する。
【0036】
停車中は、駆動装置1の電動機2A、2Bは停止するとともに、前輪Wf側の駆動ユニット6、後輪Wr側の駆動装置1はいずれも停止しており、図5で説明したように切離機構も非作動状態となっている。
【0037】
そして、イグニッションをONにした後、EV発進時は、後輪Wrの駆動装置1の電動機2A、2Bが駆動する。このとき、図6で説明したように、切離機構は一方向クラッチ50によりロックされ、電動機2A、2Bの動力が車軸10A、10Bに伝達される。
【0038】
続いて加速時には、前輪Wf側の駆動ユニット6と後輪Wr側の駆動装置1の四輪駆動となり、このときも図6で説明したように、切離機構は一方向クラッチ50によりロックされ、電動機2A、2Bの動力が車軸10A、10Bに伝達される。
【0039】
低・中速域のEVクルーズでは、モータ効率が良いため前輪Wf側の駆動ユニット6が非作動状態で、後輪Wr側の駆動装置1により後輪駆動となる。このときも図6で説明したように、切離機構は一方向クラッチ50によりロックされ、電動機2A、2Bの動力が車軸10A、10Bに伝達される。
【0040】
一方、高速域の高速クルーズでは、エンジン効率が良いため前輪Wf側の駆動ユニット6による前輪駆動となる。このとき、図7で説明したように、切離機構の一方向クラッチ50が切り離される(OWCフリー)とともに油圧ブレーキ60A、60Bを作動しないため、電動機2A、2Bは停止する。
【0041】
また、自然減速する場合も、図7で説明したように、切離機構の一方向クラッチ50が切り離される(OWCフリー)とともに油圧ブレーキ60A、60Bを作動しないため、電動機2A、2Bは停止する。
【0042】
一方、減速回生する場合、例えば前輪Wf側の駆動ユニット6の駆動力により駆動する場合は、図8で説明したように、切離機構の一方向クラッチ50は切り離される(OWCフリー)が、油圧ブレーキ60A、60Bを係合することで、電動機2A、2Bで回生充電がなされる。
【0043】
通常走行では、車両ブレーキ制動制御と協調して電動機2A、2Bで回生して走行エネルギーを回収するが、緊急制動の要求(ABS作動)時には、電動機2A、2Bの回生を禁止して車両ブレーキを優先する。この場合、一方向クラッチ50は切り離された状態(OWCフリー)となり、油圧ブレーキ60A、60Bを作動させないことで、電動機2A、2Bを停止させる。
【0044】
後進走行の場合は、前輪Wf側の駆動ユニット6が停止し後輪Wr側の駆動装置1が駆動して後輪駆動となるか、又は前輪Wf側の駆動ユニット6と後輪Wr側の駆動装置1の四輪駆動となる。このとき、図9で説明したように、電動機2A、2Bは逆転方向に回転し、切離機構の一方向クラッチ50は切り離される(OWCフリー)が、油圧ブレーキ60A、60Bを接続することで、電動機2A、2Bの動力が車軸10A、10Bに伝達される。
【0045】
また、前進方向側に牽引される(FWD被牽引)場合は、図7で説明したように、切離機構の一方向クラッチ50が切り離される(OWCフリー)とともに油圧ブレーキ60A、60Bを作動しないため、電動機2A、2Bは停止する。なお、FWD被牽引の場合に、電動機2A、2Bを回生する場合には、減速回生時と同様に油圧ブレーキ60A、60Bを接続する。
【0046】
また、PDU等の故障等の高電圧系故障時により電動機2A、2Bが駆動できない場合には、前輪Wf側の駆動ユニット6により前輪駆動となる。このとき、図7で説明したように、切離機構の一方向クラッチ50が切り離される(OWCフリー)とともに油圧ブレーキ60A、60Bを作動しないため、電動機2A、2Bは停止する。
【0047】
図12は、駆動装置1の電動機2A、2Bによる前進走行(FWD駆動)時、前進走行回生(FWD回生)時、後進走行(RVS駆動)時の駆動力特性図である。図中、右上が前進走行(FWD駆動)時の車軸トルク、右下が前進走行回生(FRD回生)時の車軸トルク、左上が後進走行(RVS駆動)時の車軸トルクを表わす。
図12に示すように、本発明の駆動装置1におけるFWD回生時及びRVS駆動時の車軸トルクは、FWD駆動時の車軸トルクより低く設定されている。これにより、FWD回生時及びRVS駆動時には、図8及び図9で説明したように油圧ブレーキ60A、60Bによりブレーキがなされるが、回生トルクやリバーストルクが低く設定されているため、ブレーキ容量が低くてすむので固定プレート35A、35Bや回転プレート36A、36Bを削減でき、低い油圧設定によりポンプ損失の低減を図ることができる。
【0048】
以上、説明した本実施形態に係る駆動装置1によれば、電動機2A、2Bが駆動して車両が前進走行する場合に動力を伝達可能に一方向クラッチ50を配設することにより、車両発進時には油圧を用いずに一方向クラッチ50が係合することで動力が伝達されるので車両発進時の応答性を向上させることができる。
また、電動機2A、2Bの駆動や回生が必要であり、且つ、一方向クラッチ50が開放されている場合に、油圧ブレーキ60A、60Bを係合することにより電動機2A、2Bの駆動や回生を行うことができると共に、電動機2A、2Bの駆動や回生が不要な場合には、油圧ブレーキ60A、60Bを開放しておくことにより電動機2A、2Bの連れ回りを防止することができる。これにより、電動機2A、2Bを必要最小限で運転を行うことができ、燃費の向上を図ることができる。
【0049】
さらに、本実施形態に係る駆動装置1によれば、一方向動力伝達手段を一方向クラッチ50で構成し、双方向動力伝達手段を油圧ブレーキ60A、60Bで構成することにより、簡易な構成で一方向動力伝達手段と双方向動力伝達手段を構成することができる。
【0050】
さらに、本実施形態に係る駆動装置1によれば、減速機を遊星歯車式減速機12A、12Bで構成することにより減速機を小型化できる。
【0051】
さらに、本実施形態に係る駆動装置1によれば、プラネタリギヤ22A、22Bとして2連ピニオンを用いることにより、減速比を大きくとることができ、電動機を小型化することができる。また、リングギヤ24A、24Bは2連ピニオンのうち小径の第2ピニオン27A、27Bの外周側に配置されるので、第1ピニオン26A、26Bの外周側に配置するときに比較して外径を小さくすることができる。また、油圧ブレーキ60A、60Bは、第1ピニオン26A、26Bと径方向でラップし、且つ、第2ピニオン27A、27Bと軸方向でラップして配置されるので、駆動装置1全体を小型化することができる。
【0052】
さらに、本実施形態に係る駆動装置1によれば、左右両輪にそれぞれ遊星歯車式減速機12A、12Bと電動機2A、2Bが配置されるので、左右両輪を独立に制御して操縦安定(旋回)性を向上させることができる。従って、1つの電動機と2つの摩擦材で旋回性を向上させる場合と比べて、摩擦材のすべり制御に伴う発熱による損失を抑制することができ、例えばハイブリッド車両に搭載する場合に最適な仕様とすることができる。
【0053】
さらに、本実施形態に係る駆動装置1によれば、左右両輪にそれぞれ遊星歯車式減速機12A、12Bと電動機2A、2Bを同軸上に配置し、且つ左右の電動機2A、2B同士も同軸上に配置することにより、駆動装置1を略円筒状にすることで車両搭載性を向上させることができる。
【0054】
さらに、本実施形態に係る駆動装置1によれば、一方向クラッチ50を左右共用化することで部品点数を削減することができる。
【0055】
さらに、本実施形態に係る駆動装置1によれば、一方向クラッチ50が電動機2A、2Bと同軸上で、且つ、遊星歯車式減速機12A、12B間に配置されるので、駆動装置1の径方向長さを短くすることができる。
【0056】
さらに、本実施形態に係る駆動装置1によれば、一方の遊星歯車式減速機12Aのリングギヤ24Aと遊星歯車式減速機12Bのリングギヤ24Bを別体にして組付け性を向上させるとともに、左右のリングギヤ24A、24Bを一方向クラッチ50のインナーレース51にスプライン結合させることによりリングギヤ24A、24Bの一体性を確保することができる。
【0057】
さらに、本実施形態に係る駆動装置1によれば、油圧ブレーキ60A、60Bを制御するオイルポンプ70を、フレーム部材13の支持部13a、13b間に配置することで、空いたスペースを有効に活用することができる。
【0058】
さらに、本実施形態に係る駆動装置1によれば、屈曲した中間壁18A、18Bの内径側、且つ、遊星歯車式減速機12A、12B側にはプラネタリギヤ22A、22Bを支持する軸受33A、33Bが配置されるとともには中間壁18A、18Bの外径側、且つ、電動機2A、2B側にはバスリング41A、41Bが配置されることで、駆動装置1の車幅方向長さを短くすることができる。
【0059】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
なお、本実施形態の駆動装置1は、2つの電動機2A、2Bにそれぞれ遊星歯車式減速機12A、12Bを設け、それぞれ左後輪LWrと右後輪RWrの制御するように構成したが、これに限定されず、図13に示すように1つの電動機2Cと1つの減速機12Cを不図示の差動装置に接続して構成してもよい。なお、図13中、上記実施形態と同一の構成部分には同一符号を付して説明を省略した。
【符号の説明】
【0060】
1 駆動装置
2A 電動機(第1の電動機)
2B 電動機(第2の電動機)
10A 車軸(駆動軸)
10B 車軸(駆動軸)
12A 遊星歯車式減速機(第1の減速機)
12B 遊星歯車式減速機(第2の減速機)
16A、16B 円筒軸(出力軸)
21A、21B サンギヤ(第1の回転要素)
23A、23B プラネタリキャリア(キャリア、第2の回転要素)
24A、24B リングギヤ(第3の回転要素)
26A、26B 第1ピニオン
27A、27B 第2ピニオン
50 一方向クラッチ(一方向動力伝達手段)
60A 油圧ブレーキ(双方向動力伝達手段)
60B 油圧ブレーキ(双方向動力伝達手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2の電動機を車軸駆動用の駆動源とする駆動装置であって、
前記第1及び第2の電動機の駆動回転を減速する第1及び第2の減速機を備え、
前記第1及び第2の減速機は、第1の回転要素と、第2の回転要素と、第3の回転要素と、を備え、
前記第1の減速機の前記第3の回転要素と前記第2の減速機の前記第3の回転要素とに対し、一方向の動力のみを伝達し他方向の動力を遮断する一方向動力断接手段が配置され、
前記一方向動力断接手段はインナーレースとアウターレースとを備え、
前記第1の減速機の前記第3の回転要素と前記第2の減速機の前記第3の回転要素とを、前記インナーレースに結合させることによって一体回転可能に構成することを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
前記第1減速機の前記第3回転要素と前記第2減速機の前記第3回転要素とは、前記インナーレースにスプライン結合されることを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記第1及び第2減速機は遊星歯車式減速機であって、前記第1の回転要素はサンギヤで、前記第2の回転要素はプラネタリキャリアで、前記第3の回転要素はリングギヤで構成され、
前記第1及び第2の遊星歯車式減速機の前記サンギヤに前記第1及び第2の電動機の出力軸が連結され、
前記第1及び第2の遊星歯車式減速機の前記プラネタリキャリアに前記車軸が連結され、
前記第1及び第2の遊星歯車式減速機の前記リングギヤに前記一方向断接手段が接続されることを特徴とする請求項1又は2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記第1及び第2の遊星歯車式減速機の前記リングギヤは、前記第1及び第2の遊星歯車式減速機の前記プラネタリキャリアに支持されて前記サンギヤと噛合するプラネタリギヤと噛合するギヤ部より小径の小径部を備え、
前記第1遊星歯車式減速機の前記リングギヤの前記小径部と前記第2遊星歯車式減速機の前記リングギヤの前記小径部とは、対向配置され、前記インナーレースと一体回転するように構成され、
前記第1及び第2遊星歯車式減速機の前記リングギヤの前記小径部の径方向外側に前記インナーレースが配置されることを特徴とする請求項3に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記プラネタリキャリアが支持するプラネタリギヤは、大径の第1ピニオンと前記第1ピニオンよりも小径の第2ピニオンを有する2連ピニオンで形成され、
前記第1ピニオンは前記サンギヤと噛合し、前記第2ピニオンは前記リングギヤと噛合することを特徴とする請求項3又は4に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記第1の減速機の前記第3の回転要素と前記第2の減速機の前記第3の回転要素とに対し双方向動力断接手段が配置されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記駆動装置は車両に用いられ、
前記一方向動力断接手段は、前記第1及び第2の電動機の駆動回転により前記車両が前進する際に係合して、前記第1及び第2の減速機の前記第3回転要素の回転をロックするように構成されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−52867(P2013−52867A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−235033(P2012−235033)
【出願日】平成24年10月24日(2012.10.24)
【分割の表示】特願2009−87771(P2009−87771)の分割
【原出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】